JP2505460B2 - 金属管内表面清浄度の測定装置 - Google Patents

金属管内表面清浄度の測定装置

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JP2505460B2
JP2505460B2 JP62132817A JP13281787A JP2505460B2 JP 2505460 B2 JP2505460 B2 JP 2505460B2 JP 62132817 A JP62132817 A JP 62132817A JP 13281787 A JP13281787 A JP 13281787A JP 2505460 B2 JP2505460 B2 JP 2505460B2
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健二 植田
彰博 坂西
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は銅又は銅合金管の製造工程や表面改質(サン
ドブラスト,酸洗等)あるいはカーボン質に起因する銅
又は銅合金の表面清浄度,汚染度の判定のための金属表
面の汚染度,清浄度の検出装置に関するものである。
〔従来の技術〕
銅又は銅合金材のカーボン質付着に起因する材料表面
の汚染度の判定としては,Campbellテスト及びカーボン
ブラツクテストが知られている。Campbellテストは銅又
は銅合金を25%硝酸水溶液に浸し,浮上してくる不溶性
物質(カーボン質)を低倍率顕微鏡にて観察する方法,
カーボンブラツクテストは25%硝酸と10%弗酸との混液
に銅又は銅合金を浸した後,溶液をフイルター過し,
このフイルターの過残分の量を,所定量のカーボンブ
ラツクを用いて同様に過することにより予め作成した
標準(カーボンブラツクの量を変えて作成した8段階の
見本)と比較するという方法であり,いずれも定性的,
半定量的な方法である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで,プラントや冷熱機器の熱交換器として多用
される銅又は銅合金管材の淡水,海水中の異常腐食の一
因として,製造工程に起因する材料表面のカーボン質に
よる汚染が考えられていたが,適当な検出手段が無く,
対策として表面層を一層削る等の対策がとられていた。
しかしながら,この処置が適正であつたか否かは検知
する手段が無かつた。
すなわち,電子分光,電子顕微鏡,X線分析等はほとん
ど役に立たない。
そこでこの発明の目的とするところは,簡単な方法に
よつて鋭敏にその汚染度合を判定することの出来る金属
管内面の汚染度検出装置を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的を達成するためのこの発明は次の装置を用い
る。すなわち,流体の供給又は排出によつて被測定管の
内面に液密に密着又は離脱する封液手段と,一端が上記
封液手段に固着され他端が上記被測定管の一端を封じる
弾性体を貫通しかつ側面の一部が開口する絶縁パイプ
と,同絶縁パイプ内に設けられた基準電極および上記絶
縁パイプの外周面に設けられた通電対極と,電解液給排
装置から給排されかつ上記封水手段,上記弾性体及び上
記被測定管内周面で形成される空間と上記絶縁パイプ内
とを満す電解液と,上記被測定管と上記通電対極との間
に電解反応を起らしめる電解制御手段と,から構成され
る金属管内表面清浄度の測定装置である。
〔作用〕
本発明では金属材料素地を痛めずに(腐食しない)酸
化作用があり,カーボン質表面では還元作用の活発な電
解液を用いる。この条件を満たす電解液としては,クロ
ム酸があり,このクロム酸を用いる。このクロム酸を基
本とした電解液中に被検査金属体を浸漬させ,その溶液
中で金属を分極させ,+0.6〜0V(銀/塩化銀電極基
準)の電位域に発生する還元電流の大きさを計測して,
表面の清浄度又は汚染度を判定する。すなわち,Cr6価→
Cr3価の還元反応がカーボン質では活性であるが,金属
材では電流が流れないことを利用して汚染度又は清浄度
を検査する。したがつて,この発明によれば鋭敏にその
汚染度又は清浄度を判定することの出来る金属管内表面
の汚染度又は清浄度検出装置が提供できる。
〔実 施 例〕
初めに本発明の原理を説明する。
本発明は金属材料素地を痛めず(腐食しない)しかも
酸化作用があり,カーボン質表面では還元作用の活発な
溶液であるクロム酸溶液を電解液として用いる。このク
ロム酸を基本とした電解液中に被検査金属体を浸漬さ
せ,その溶液中で金属を分極させ,+0.6〜0V(銀/塩
化銀電極基準)の電位極に発生する還元電流の大きさを
計測して,表面の清浄度または汚染度を判定する。
すなわち,クロム酸の還元反応の平衡電位は理論上,
次の式で示される。
HCrO4 -+7H++3e →Cr++++4H2O ・・・・・(1) 銀−塩化銀基準E(in3.3MkCl)は E=1.144−0.1379PH+0.0197 ・log(〔HCrO4 -〕/〔Cr+++〕) 還元電位は液のPH(ペーハー),〔HCrO4 -〕/〔Cr
+++〕の濃度比で変化する。
この平衡電位から電位Exを卑の方向に変化させると,
電位変化(E−Ex)=ΔEに応じて,第1式の3e(電気
量)に相当する電流が流れる。
しかし,この電流は反応の起こる表面物質で異なり,
例えば,白金では電位変化ΔEを大きく変化させても,
電流は流れず,不活性である。これに対し,カーボンは
第4図に見られるように+0.6Vから電流が流れ始め,+
0.4V付近でピークを生じ,再び電位の低下とともに電流
が低下するように第1式の反応に極めて活性である。こ
のように,第1式の反応による(Cr6価)→(Cr3価)の
還元反応がカーボン質では活性で,電流が流れない。
従つて,白金表面にカーボンが付着すれば,上記の電
位条件で電流が流れるので,これより直ちに被検査金属
材の表面の汚れ具合を知ることが出来る。
クロム酸濃度,ベースとなる材質,カーボンの付着程
度(分布),温度,電解液の流動の具合によつてこの電
流の生じる電位は若干変動するが,+0.6Vから0Vの範囲
の電位における発生電流を用いれば,この各種条件によ
る違いをほとんどカバーでき,被検査金属材の表面の汚
れ具合を検知することが出来る。
この発明はこのような原理に基づくもので,以下その
一実施例について図面を参照して説明する。
第1図において,1は金属管であり,2は金属管1内任意
個所を封水する封水部であり,ガス室3,ガスの封入によ
り膨らむ弾性材4及び弾性材4を固定する固定体5a,5b
から成つている。弾性材4はガス室3にガスが封入され
ガス室3内の圧力が高くなると膨張し,金属管1の内周
面と接触し,ガス圧により金属管1内を密封する。固定
体5bには,ガス給排気管6,絶縁パイプ7が固定されてい
る。ガス給排気管6はガス室3に連通されている。絶縁
パイプ7の外周面には通電対極8がラセン状に配設され
ている。絶縁パイプ7の内には電位検出用の基準電極9,
基準電極9内部液と同一組成の液9aが満たされている。
絶縁パイプ7の任意個所には多孔性の液絡部9bが設けら
れている。
絶縁パイプ7,ガス給排気管6は,金属管1の入口部10
に配設され金属管1の内周面と接触して密封する固定栓
11を貫通して金属管1の外へ取り出されている。ラセン
状通電対極8の通電リード線8cが固定栓11内に埋込まれ
その端部は金属管1の外に取り出されている。固定栓11
には,固定栓11,封水部2,絶縁パイプ7にて区画された
電解液室12に電解液を給排水するための給排水口13a,13
bが貫通され金属管1の外へ取り出され,パイプ14a,14b
によつて電解液給排水装置15に連結され,電解液室12に
電解液を供給,排出又は循環させる。
ガス給排気管6は,パイプ6aによつてガス給排気装置
16に連結され,ガス室3内にガス(窒素,空気等)を給
排気する。
基準電極9,通電対極8及び金属管1はそれぞれリード
線9c,8c及び1cによりポテンシヨスタツト17に電気化学
的に接続されている。
次に,本実施例の作用について説明する。第1図にお
いて,金属管1内に絶縁パイプ7やガス給排気管6を固
定した封水部2を挿入する場合,本実施例では金属管1
の内周面の汚染度又は清浄度を判定することが目的であ
るため,封水部2が金属管1の内周面と接触すること
は,金属管1の内周面の性状を変化させることになる
(カーボン質皮膜が剥がれる)。このため封水部2は金
属管1の内周面と接触しないで挿入できかつ封水機能を
有する必要がある。このため,本実施例では,封水部2
は金属管内に挿入時は,金属管1の内径よりも弾性材4
が小さく縮んだ状態で挿入し,挿入後ガス給排気装置1
6,ガス給排気管6によつて,ガス室3内にガスを供給加
圧し,弾性材4(例えばゴム板)を膨張させ金属管1内
を密封する。
固定栓11は封水部2,絶縁パイプ7及びガス給排気管6
と一体となつて金属管1内へ挿入し,入口部10を密封す
る。なお,ゴム栓等の弾性体から成つている。
封水部2が挿入され,ガス圧力により弾性材4を膨張
させ,入口部10を固定栓11により密封したのち,電解液
給排水装置15,給排水口13a,13bにより,電解液室12にク
ロム酸をベースとした電解液を供給し,電解液室12を満
たすか又は循環させる。基準電極9は前もつて,基準電
極9内部液と同一組成の液9aを満たした絶縁パイプ7内
に挿入固定しておく。
このような構成において,ポテンシヨスタツト17は金
属管1と基準電極9との間の電位差を第2式に示すよう
に,一定速度で変化させるものである(一定電位差に保
持することもできる)。
Et=EN+vt (dE/dt)=v ・・・・・(2) ここに,ENは金属管1の内面の自然電位,Etは金属管1
の時刻tにおける電位,vは電位走査速度である。
この電位差Etに対応してポテンシヨスタツト17から電
流18がリード線8c,通電対極8,電解液室12,金属管1,リー
ド線1c,ポテンシヨスタツト17を通して流れ,この際の
電流18は金属管1のクロム酸イオンに対する活性の度合
で異なる。
第2図は銅合金供試材I(A社製),第3図は銅合金
供試材II(B社製),第4図はカーボン材の電位と電流
との関係すなわち陰分極曲線の計測結果の一例を示した
図である。
第2図の銅合金供試材I,第3図の銅合金供試材IIは製
造工程の異なる銅合金材を比較のために示してある。す
なわち,第2図の銅合金供試材Iは汚染が激しく,第3
図の銅合金供試材IIは汚染がない。また,第5図は銅合
金供試材Iと同様の銅合金供試材Iをカーボン汚染を除
去して後の陰分極曲線を示したものである。これを見る
とわかるように第2図に比べ,全体として電流が極めて
小さくなり,高電位域ではフラツトな分布となつて,明
らかに汚染状態の時と全く異なる曲線を示している。
すなわち,金属管内の表面がカーボンなどで汚染され
ているとクロム酸溶液中で電流が流れるから,第2図の
銅合金供試材Iと第3図の銅合金供試材IIの差は製造工
程の違いによる表面清浄度の違いによるものと考えられ
る。例えば,製造工程が銅管を引き抜き製作する場合の
潤滑油の洗浄の不具合,焼鈍工程における不活性ガスの
純度の不具合等によつて,このように管の表面清浄度に
差が出てくる。このような被検査金属管内面清浄度の差
は従来計測出来なかつたが,本実施例によれば,上述の
ようにはつきりとこの清浄度の違いがわかるようにな
る。
第2図乃至第4図から明らかなようにカーボン材はク
ロム酸の還元に極めて活性で,電流のピーク値によつ
て,銅合金の表面がカーボン材で汚染されているか否
か,鋭敏に検知できることがわかる。
第2図乃至第4図の計測条件は以下の通りである。
電解液 0.1Mクロム酸溶液 電位走査速度 125V/min 第6図は第2図で示した銅合金供試材Iをサンドブラ
ストで処理したものであるが,完全にカーボ材が除去さ
れてないことを示している。
表面から,約100μm研削した第5図のものは,第3
図とはほとんど変らず,完全に汚染が除去できたことが
確認出来る。
クロム酸の還元ピーク電流の大きさは,クロム酸濃
度,溶液の流動状態,電位走査速度,温度等で異なるの
で,これら条件を一定にした計測が必要である。
本実施例は金属管材製造工程の監視や表面仕上げの程
度の判定手段として従来不可能であつたものを,非破壊
的に実機に組込まれたものでも簡易にしかも単時間で定
量的に判定することが出来る。このため,金属管材製造
上,品質向上とそれによる製品プラントの腐食事故低減
に大きく貢献することが出来る。
また,実施例ではポテンシヨメータダイナミツク法
(電位走査法)による陰分極曲線測定法を採用したもの
を中心に述べたが,クロム酸還元の活発な一定電位にセ
ツトして流れる電流を計測する定電位法を用いてもよ
い。
また,基準電極9を用いないで,通電対極8と金属管
1との間に一定電圧を負荷しそのとき流れる電流の大き
さでも評価できる。この場合,絶縁パイプ7のかわり
に,Pt等の不溶性管材を配設し,不溶性管材で通電対極
8とガス給排気管6を兼用でき,ポテンシヨスタツト17
のかわりに安価な定電圧直流電源が使用できるため装置
が簡略化するが,その本質は変らない。
さらに,上記不溶性管材を二重円筒とし,外側を多孔
性とすることにより内側をガスの給排気管,外側をクロ
ム酸をベースとした電解液の給水管として使用すること
ができる。
さらにまた,本発明方法は測定対象としては,銅合金
材のみに限らず,鉄,銅,亜鉛,その他クロム酸で不働
態化する金属のカーボン汚染を検知する手段として有効
である。
〔発明の効果〕
以上,詳述したように本発明によれば,金属材製造工
程の監視や金属管の表面仕上げの程度の判定手段として
従来ほとんど不可能であつたものを,簡易にしかも単時
間で判定することが出来るようになり,金属材製造上,
品質向上とそれによる製品プラントの腐食事故低減に大
きく貢献することが出来る。
また,非破壊的な方法によつて鋭敏にその清浄度を判
定することのできる金属管内面の清浄度検出装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す断面図,第2図〜第
6図は各種金属管材料の陰分極曲線を示す図である。 1……金属管,1c……リード線,2……封水部,3……ガス
室,4……弾性体,5a,5b……固定体,6……ガス給排気管,6
a……ガス給排気パイプ,7……絶縁パイプ,8……通電対
極,8c……リード線,9……基準電極,9a……基準電極9内
部液と同一組成の液,9b……多孔性の液絡部,9c……リー
ド線,10……入口部,11……固定栓,12……電解液室,13a
……給水口,13b……排出口,14a,14b……パイプ,15……
電解液給排水装置,16……ガス給排気装置,17……ポテン
シヨスタツト

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体の供給又は排出によつて被測定管の内
    面に液密に密着又は離脱する封液手段と,一端が上記封
    液手段に固着され他端が上記被測定管の一端を封じる弾
    性体を貫通しかつ側面の1部が開口する絶縁パイプと,
    同絶縁パイプ内に設けられた基準電極および上記絶縁パ
    イプの外周面に設けられた通電対極と,電解液給排装置
    から給排されかつ上記封水手段,上記弾性体及び上記被
    測定管内周面で形成される空間と上記絶縁パイプ内とを
    満す電解液と,上記被測定管と上記通電対極との間に電
    解反応を起らしめる電解制御手段と,から構成されるこ
    とを特徴とする金属管内表面清浄度の測定装置。
JP62132817A 1987-05-28 1987-05-28 金属管内表面清浄度の測定装置 Expired - Lifetime JP2505460B2 (ja)

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