JP2503904Y2 - 食品収納容器用蓋体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、レトルト食品等を密封収納する食品収納容
器に取付けられる蓋体に関するものである。

〔従来の技術〕

レトルト食品等を収納する容器にあっては、先ず開封
までの密封性を確保すると共に、開封時の操作が簡単
で、しかも確実に達成できるようにすることが望まれ
る。

そして、この種の容器にあっては、成形および取扱い
が容易であり、かつ安価に得ることができると云う理由
により合成樹脂で成形されることが多々あり、この場合
の密封シールとしては、蓋本体の下面にアルミシートを
溶着し、開封時にこのアルミシートを蓋本体の一部と共
に破断除去する構成が考えられている。

例えば実公昭63-3938号公報の食品収納容器は、この
種の容器の代表的なものであって、容器本体の開口部に
嵌着される蓋体を、合成樹脂製の蓋部材の下面に、周端
部を溶着させてアルミシール用薄板を配した構成であ
り、蓋部材の頂壁部に切欠き形成した把手片を引き上げ
ることにより、頂壁部をアルミシール用薄板と共に破断
除去させ、開口するものである。

ここでは、アルミシール用薄板によって容器内の密封
シールが確実に達成され、しかも開封が容易である利点
を有している。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記実公昭63-3938号公報に示された蓋体にあって
は、下面にアルミシール用薄板を溶着組付けた蓋本体に
把手片を一体に成形しているので、この把手片をアルミ
シール用薄板上面から浮き上がらせて位置させなければ
ならず、このため蓋本体の頂壁部とアルミシール用薄板
との間に比較的大きな隙間が形成され、この隙間により
蓋本体とアルミシール用薄板との間に、把手片成形のた
めの切欠きだけで開放された空所が形成されている。

一方、この種の密封蓋体を組付ける容器は、一般にレ
トルト食品等の冷凍保存が必要とされるのであるが、こ
の冷凍保存処理により容器の表面には、結露とか氷水の
流下等により水が附着する。

このように、この種の容器の表面には、水が附着する
ものであるので、この水の附着により、前記した蓋本体
とアルミシール用薄板との間に形成された空所にも水が
附着し、かつ水が溜まることになる。この空所に溜まっ
た水は、この空所の開放口が頂壁部に形成された切欠き
だけであることから、その排水が面倒であると共に、そ
の存在を認識し難いものとなっている。

この空所内に水が溜まった状態のまま、把手片を引き
上げてアルミシール用薄板を破断して容器を開封する
と、アルミシール用薄板破断のために先端を下降傾斜さ
せた把手片の弾性変形により、前記した空所内に溜まっ
ていた水が、下降変位した把手片先端側の切欠き縁から
流出し、そのまた把手片の先端側、すなわち破断された
アルミシール用薄板部分に流下し、このアルミシール用
薄板の破断箇所から容器内に侵入するという問題があっ
た。

本考案は、上記した従来技術の問題点を解消すべく考
案されたもので、蓋本体とアルミシール用薄板との間の
空所に溜まった水をすみやかに排水できるようにするこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するための本考案の手段は、有底筒形
状の合成樹脂製食品収納容器の口縁に嵌着組付けされる
蓋体であること、 頂壁部の周縁に、一部に水抜き用のスリットが開口した
壁板を垂下設すると共に、この壁板下端に外フランジ状
にリング板を周設し、このリング板の周縁に、容器の口
縁に嵌着される組付け部を、複数の破断し易い接続片を
介して連設した合成樹脂製の蓋部材を有すること、この
蓋部材の下面全域を覆って位置し、リング板の下面と組
付け部の下面とに溶着されると共に、容器の口縁全周面
に密に溶着されるアルミシール用薄板を有すること、 頂壁部の一部を切欠いてリング板に一体設した把手片の
先端を、リング板の外周縁に臨ませること、 にある。

スリットは、蓋部材とアルミシール用薄板との間に形
成された空所内に溜まった水を排出するために設けられ
るものであるので、その壁板における開口形成箇所は、
壁板の下端箇所であることは言うまでもない。

〔作用〕

食品を収納した容器は、その全周端縁部を容器の開口
部口縁の全周面に密に溶着したアルミシール用薄板によ
り密閉保持され、この容器を密閉しているアルミシール
用薄板は、このアルミシール用薄板を介して、または直
接容器の開口部口縁に溶着組付けされた蓋部材により機
械的に保護されている。

容器の開封に際しては、手に持った容器を傾けること
により、蓋部材とアルミシール用薄板との間の空所に溜
まった水をスリットから排出し、この水の排出を終えて
から把手片を指先で引っ掛けて引き上げることにより、
アルミシール用薄板を組付け部内周縁に沿って破断する
と共に、接続片を破断して、頂壁部とスリットを有する
壁板とリング板と把手片とらか成る蓋部材部分と、破断
されたアルミシール用薄板部分との組み合わせ物を、容
器から除去して容器の開封を達成する。

この容器の開封に際して、蓋部材とアルミシール用薄
板との間の空所に水が溜まっている場合には、容器を持
ち上げることによる揺動によつて、上記した空所内に溜
まっている水の一部がスリットを通ってリング板上に流
出露出するので、この蓋部材上面への水の流出露出を知
ることにより、空所内に水が溜まっていることを事前に
簡単にかつ確実に知ることができる。

また、この種の食品収納容器は、一般に購入後、冷蔵
庫に保管されてから消費されるが、冷蔵庫内は乾燥した
状態にあり、このためスリットを設けることにより通気
性の良くなっている空所は乾燥し易く、よって例え購入
時に空所内に水滴が存る容器であっても、冷蔵庫内に保
管されることにより、この空所内の水を完全に無くすこ
とができることもある。

〔実施例〕

以下に、本考案の一実施例を図面に従って説明する。

容器１は、底壁２の周縁に周壁３を立設した有底筒形
状の合成樹脂製であり、本考案の蓋体４は、この容器１
の口縁に嵌着される。

蓋体４の蓋部材５は、合成樹脂で成形される円盤形状
であって、円板の一部を円弧弦状に切り欠いた頂壁部６
の周縁に、一部に水抜き用のスリット11が開口した壁板
７を垂下設し、この壁板７の下端に外フランジ状にリン
グ板８を周設し、更にこのリング板８の周縁に、容器１
の口縁に嵌着される組付け部９を、複数の接続片10を介
して連設した構成である。

そして、上記した壁板７には、所定間隔をあけて複数
（図示実施例では３カ所）のスリット11が開設されてあ
り、頂壁部６の中央には、リング板８の一部に肉厚に成
形された把手片12が、頂壁部６を切欠くことにより延長
形成されている。

第４図は、第２図中Ａ−Ａ線に沿って切断矢視した壁
板７と頂壁部６およびリング板８との連設壁構造を示す
要部縦断拡大図で、スリット11は、壁板７の一部を、切
除部11′で示される構成で切除することにより開設形成
される。

把手片12の先端はリング板８の外周縁に臨み、頂壁部
６の上記した円弧弦状の切欠端から壁板７を切り欠いた
連続部13となっており、連続部13に対向するリング板８
部分の外周縁が、把手片12の先端部として前方に突出す
る爪部14となっている。

また、組付け部９は容器１の口縁に嵌入する短円筒形
状であり、図示実施例では４カ所でリング板８に接続片
10を介して連設しており、従って、所定の力を把手片12
に加えて引っ張ると接続片10が破断され、組付け部９と
リング板８とは分離することになる。尚、組付け部９の
上端は外方に折り返されて折返部16となっており、容器
１の口縁外周に組み付く。

次に、上記した蓋部材５の下面全域には、アルミシー
ル用薄板15が位置する。このアルミシール用薄板15は、
前記したリング板８の下面と組付け部９の下面とに溶着
されるものである。

従って、蓋部材５の所定位置にアルミシール用薄板15
を溶着した蓋体４を容器１の口縁に嵌着して超音波等に
よるシールを行い密封すると、 内部の食品は、その品質を損なうことなく保存維持で
き、開封するに際しては、蓋部材５の把手片12を引き起
こして組付け部９からリング板８を分離させれば良いの
である。

即ち、把手片12の前端は、連続部13を介して壁板７及
びリング板８の爪部14に連続しているため、容器１の密
封状態で把手片12の後部を引き起こすと、相対的に爪部
14の前端はアルミシール用薄板15に食い込んで切断し、
更に把手片12を引っ張ると、接続片10が破断して組付け
部９とリング板８とが分離する。そしてアルミシール用
薄板15はリング板８の下面と組付け部９の下面とに接着
されているので、組付け部９からリング板８が分離する
と、リング板８の下面に接着されているアルミシール用
薄板15部分も破断し、開封が達成されることになる。

〔考案の効果〕

本考案は、上記した構成となっているので、以下に示
す効果を奏する。

蓋部材とアルミシール用薄板との間の空所に溜まった
水をスリットから簡単にかつ確実に排出できるので、容
器開封時に、この空所に溜まった水が容器内に不正に流
入すると云う不都合の発生を未然に防止することができ
る。

アルミシール用薄板上の空所に水が溜まっている場合
には、容器を取り上げることによるわずかな揺動によ
り、この水がスリットから空所外に流出し、この流出に
より空所内に水が溜まっていることを簡単にかつ確実に
知ることができ、これにより開封前に空所からの水の排
出を安全に行なうことができる。

アルミシール用薄板上の空所は、スリットにより大き
く開放された状態となっているので、この空所にわずか
な量の水が溜まっていたとしても、冷蔵庫に収納するこ
とにより、早期に乾燥させることができ、これにより、
容器を衛生的に利用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す、容器の閉状態の全
体断面図である。 第２図は、第１図に示した実施例における蓋体の拡大平
面図である。 第３図は、第１図に示した実施例における蓋体の拡大断
面図である。 第４図は、第２図中Ａ−Ａ線に沿って切断矢視した要部
縦断拡大図である。 符号の説明 1;容器、4;蓋体、5;蓋部材、6;頂壁部、7;壁板、8;リン
グ板、9;組付部、10;接続片、11;スリット、11′；切除
部、12;把手片、15;アルミシール用薄板。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】有底筒形状の合成樹脂製食品収納容器
   （１）の口縁に嵌着される蓋体であって、頂壁部（６）
   の周縁に、一部に水抜き用のスリット（11）が開口した
   壁板（７）を垂下設すると共に、該壁板（７）の下端に
   外フランジ状にリング板（８）を周設し、該リング板
   （８）の周縁に、前記容器（１）の口縁に嵌着される組
   付け部（９）を、複数の破断し易い接続片（10）を介し
   て連設した合成樹脂製の蓋部材（５）と、 該蓋部材（５）の下面全域を覆って位置し、前記リング
   板（８）の下面と組付け部（９）の下面、及び前記容器
   （１）の口縁全周面とに密に溶着されるアルミシール用
   薄板（15）とを有し、 前記頂壁部（６）の一部を切欠いて前記リング板（８）
   に一体設した把手片（12）の先端を、前記リング板
   （８）の外周縁に臨ませて成る食品収納容器用蓋体。