JP2025041250A - 味覚解析装置、および味覚の解析方法 - Google Patents

味覚解析装置、および味覚の解析方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2025041250000001
【課題】簡便な構成でデータを取得し、対象となる飲食物の味覚を容易に解析することが可能な味覚解析装置の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する味覚解析装置は、励起によって光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する発光プローブの発光情報を取得するための発光情報取得部と、前記発光プローブを励起させるための励起手段と、前記発光情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する解析部と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、味覚解析装置、および味覚の解析方法に関する。
味覚とは、人間の舌にある味蕾によって主に感知される感覚であり、一般的に、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五つ(五味)に分けられている。従来、各種センサなどにより飲食物中の特定の成分を検知したり、その濃度を解析することで、味覚を推定することが行われている。また、例えば有機酸や、アミノ酸、糖などの特定の成分の含有量を測定するとともに、二酸化炭素測定機などによって炭酸度も測定し、より詳細に味覚を推定するプログラムやシステムが提案されている(例えば、特許文献1および2)。
特開2022-47369号公報 特開2022-55690号公報
しかしながら、上記特許文献に記載された方法では、五味やその他の要素のそれぞれについて互いに異なる成分を、飲食物の中から検出し、定量する必要がある。したがって、多くのセンサが必要であったり、これらを分離するための複雑な処理や装置が必要であった。また、これらの解析に時間がかかるなどの課題もあった。さらに、当該方法では、着目していない成分については、味覚の推定に使用しない。したがって、味覚に影響を及ぼす新規の成分や未知の成分が含まれている場合などには、味覚を正確に推定できない、という課題もあった。
本発明は、上記の課題に対して、簡便にデータを取得し、かつ対象となる飲食物の味覚を正確に解析することが可能な解析方法、およびこれに用いる味覚解析装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、励起によって光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する発光プローブの発光情報を取得するための発光情報取得部と、前記発光プローブを励起させるための励起手段と、前記発光情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する解析部と、を含む、味覚解析装置を提供する。
上記目的を達成するための本発明の一態様はさらに、励起によって光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する発光プローブを、前記飲食物と相互作用していない状態で励起させ、単独発光情報を取得する工程と、前記発光プローブおよび前記飲食物を相互作用させる工程と、前記飲食物と相互作用状態にある前記発光プローブを励起させて、相互作用発光情報を取得する工程と、前記単独発光情報および前記相互作用発光情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する工程と、を含む、味覚の解析方法を提供する。
本発明の一実施形態によれば、簡便にデータを取得可能であり、かつ、飲食物の味覚を詳細に解析することが可能な味覚の解析方法、およびこれに使用可能な味覚解析装置が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る味覚の解析方法のフローを示す図である。 図2は、本発明の一実施形態の変形例に係る味覚の解析方法のフローを示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る味覚の解析方法に用いるウェルプレートの平面図である。 図4は、本発明の一実施形態に使用する発光プローブの構造を説明するための図である。 図5は、本発明の一実施形態に使用する発光プローブの製造方法を説明するための図である。 図6A~図6Dは、本発明の一実施形態に使用する発光プローブが効果を発現するメカニズムを説明するための図である。 図7A~図7Dは、本発明の他の実施形態において、発光プローブと飲食物とを相互作用させる方法を説明するための図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は当該実施の形態に限定されない。なお、以下では先に味覚の解析方法について説明し、その後、これに用いることが可能な味覚解析装置について説明する。
1.味覚の解析方法
本実施形態の味覚の解析方法のフローを図1に示す。本実施形態では、励起によって光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する発光プローブを準備し、当該発光プローブを励起させたときの単独発光情報を取得する(S10、以下「単独発光情報取得工程」とも称する)。続いて、当該発光プローブと飲食物とを相互作用させる(S11、以下「相互作用工程」とも称する)。さらに、飲食物と相互作用状態にある発光プローブを励起させて、相互作用発光情報を取得する(S12、以下「相互作用発光情報取得工程」とも称する)。その後、単独発光情報および相互作用発光情報から、飲食物の味覚を解析する(S13、以下「解析工程」とも称する)。ただし、すでに単独発光情報が既知である場合などには、単独発光情報取得工程S11は必ずしも行わなくてもよい。また、相互作用発光情報取得工程S12と、単独発光情報取得工程S10とを同時に行ってもよい。
一方、図2に示すように、解析工程S13の前に、飲食物の化学的情報および/または物理的情報を取得する工程(S14、以下「飲食物情報取得工程」とも称する)を別途行ってもよい。この場合、解析工程S13では、単独発光情報取得工程S10で取得した単独発光情報および発光情報取得工程S12で取得した相互作用発光情報だけでなく、飲食物情報取得工程S14で取得した飲食物の化学的情報および/または物理的情報によっても、飲食物の味覚を解析することが可能となり、より詳細な解析が可能となる。
本実施形態の味覚の解析方法では、対象となる飲食物に含まれる個々の成分を特定するのではなく、当該飲食物との相互作用によって発光状態が変化する発光プローブの発光状態を特定する。したがって、簡便な方法で飲食物の味覚を解析でき、さらにはその解析を短時間で行うことができる。また特定の成分のみに着目するのではないことから、飲食物の味覚を総合的に解析できる。したがって、飲食物の味覚について、より正確な解析が可能である。以下、本実施形態の解析方法の各工程について説明する。なお、以下の説明では、図3に示す96穴のウェルプレート100を用いて12種類の飲食物を解析する場合を例に説明する。ただし、本発明は当該実施形態に限定されない。
(単独発光情報取得工程)
単独発光情報工程S10では、発光プローブを準備してこれを励起させ、飲食物と相互作用していない状態の発光プローブの発光情報(単独発光情報)を取得する。飲食物の解析に、複数の発光プローブを使用する場合、個々の発光プローブについて、単独発光情報を個別に取得してもよいが、複数の発光プローブについて、同時に単独発光情報を得ることが、効率などの観点で好ましい。本実施形態では、16種類の発光プローブ(図示せず)を準備し、図3に示す96穴のウェルプレート100の各行(r1行~r8行)に、異なる発光プローブを配置する。同一の行には、それぞれ同じ発光プローブを配置している。ただし、当該方法は任意に変更できる。例えば全てのウェルに同一の発光プローブを配置してもよい。また、本実施形態ではウェルプレートを使用しているが、発光プローブや飲食物を保持可能であれば、これらを保持する部材(保持部材)はウェルプレートに限定されず、例えば平板などであってもよく、後述するが、有機EL素子などであってもよい。
本実施形態において、発光プローブをウェルプレート100の所定の位置に配置する方法は、発光プローブの種類などに応じて適宜選択される。例えば、液体状の発光プローブを使用する場合、ディスペンサーなどを用いて注入してもよい。また、自動分注機を用いたり、インクジェット印刷によって配置してもよい。
発光プローブの励起方法は、発光プローブの種類などによって適宜選択されるが、本実施形態では、発光プローブに励起光を照射し、発光プローブを励起させる。そして、各発光プローブが発する光の情報を単独発光情報として取得する。このとき、上記ウェルプレートに入れた発光プローブについて、順に励起させて単独発光情報を取得してもよいが、通常、ウェルプレートに配置した全ての発光プローブを同時に励起させて、複数の単独発光情報を一度に取得することが、解析効率などの観点で好ましい。
また、発光プローブを励起させるための励起光や、単独発光情報として取得するデータの種類は、解析の手法などに応じて適宜選択される。例えば、特定の励起光(単一波長の励起光)を照射し、これによって、各発光プローブが発する光の強度や波長(発光情報)を、分光光度計などを用いて測定し、これを単独発光情報としてもよい。さらに、得られた光を例えば3刺激値(例えばCIE表色系のXYZ)に分解し、XYZそれぞれについての3つのデータを単独発光情報として取得してもよい。また、特定の励起光を照射した場合に、発光プローブが発する光の分光分布の経時変化や、経時での色度変化を、連続的または断続的に分光光度計などで測定し、これを単独発光情報としてもよい。
さらに、発光プローブが発する光の色度変化などを取得してもよい。この場合、単一の波長の励起光を短時間のみ照射し、これを受けて発光プローブが発する光をCCDカメラ、CMOSカメラなどで画像や動画として取得してもよい。得られた画像や動画から色度などを特定し、経時の色度変化に関するデータなどを単独発光情報としてもよい。
また、励起光の波長は、発光プローブの種類や、解析する飲食物の種類に応じて適宜選択され、例えば波長300nm以上700nm以下の光とすることができる。このような光によれば、飲食物に影響を及ぼし難い。また、特別な光源などが不要である。
・発光プローブについて
本実施形態で使用する発光プローブは、励起されて光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する物質であればよい。本実施形態では、励起光の照射によって励起されて発光し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する化合物を発光プローブとする。なお、本明細書において、発光プローブの発光挙動が、飲食物と相互作用によって変化するとは、発光プローブ中の原子や分子構造、電子状態などが、飲食物と相互作用することで化学的または物理的に変化し、発光プローブが発する光(例えばスペクトルや寿命など)が変化することをいう。
当該発光プローブの構造は特に制限されず、本実施形態で準備する発光プローブは、分子中に、励起光の照射によって励起されて発光する発光部を1つ以上有する化合物である。当該発光プローブは、上記発光部を複数有していてもよい。1つの発光プローブ(分子)が複数の発光部を有する場合、複数の発光部の種類は同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、励起光の照射によって励起された発光プローブが発する光は、発光プローブ中の一つの発光部が単独で発する光であってもよく、発光プローブ内の複数の発光部が相互作用して発する光であってもよい。発光プローブが発する光の例には、蛍光、りん光、エキシマー発光、エキサイプレックス発光、熱活性化遅延蛍光、励起状態分子内プロトン発光、三重項三重項消滅発光、ねじれ型分子内電荷移動発光、および凝集誘起発光などが含まれる。1つの発光プローブが発する光の種類は1つのみであってもよいが、1つの発光プローブが、複数種類の光を発生させると、より複雑な発光情報が得られやすくなる。
また、本実施形態の発光プローブは、核酸構造と、当該核酸構造の主鎖に結合した、1つ以上の発光部(以下、「発色団」や「発光団」とも称する)と、を有する。なお、本明細書において、核酸構造には、DNAやRNA由来の構造だけでなく、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド、2’-O-(2-メトキシ)エチル-修飾核酸、siRNA、架橋型核酸、ペプチド核酸、aTNA、SNA、GNA、LNA、およびモルフォリノ・アンチセンス核酸からなる群より選択される一種以上の化合物由来の構造も含むものとする。以下では、発光プローブが、ペントースまたはヘキソース由来の糖構造、および当該糖構造に結合したリン酸エステル結合を含む構造単位を1つ以上有する主鎖と、当該糖構造に結合した、1つ以上の発光部(発色団または発光団)と、を有する化合物である場合を例に説明する。
当該発光プローブの主鎖は、ペントースまたはヘキソース由来の糖構造と、当該糖構造に結合したリン酸エステル結合と、を含む構造単位を1つ以上有していればよい。当該主鎖は、上記構造単位を1つのみ含んでいてもよく、複数含んでいてもよい。すなわち、糖構造と、当該糖構造に結合したリン酸エステル結合とを1つずつ有する構造であってもよく、糖構造と、リン酸エステル結合とを交互に含む構造であってもよい。通常、当該発光プローブの主鎖の両末端は、糖構造となるため、リン酸エステル結合の数より糖構造が一つ多くなる。なお、発光プローブの主鎖が、複数の構造単位を含む場合、複数の構造単位は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
当該発光プローブの主鎖が含む上記構造単位の数は、飲食物の種類などに応じて適宜選択されるが、2以上6以下が好ましい。上記構造単位の量が多くなると、発光プローブが、飲食物に特異的に作用しやすくなる。ただし、発光プローブを、飲食物の様々な構造などと相互作用させて、多量のデータを得ることも好ましい。したがって、発光プローブと飲食物とが、適度な(過剰でない)特異性を有することが好ましく、上記構造単位の数は6以下であることが好ましい。
発光プローブの主鎖は、本実施形態の目的および効果を損なわない範囲において、ペントースまたはヘキソース由来の糖構造およびリン酸エステル結合を含む構造単位以外の構造を一部に含んでいてもよい。また、主鎖の両端の構造は特に制限されず、例えばOH基や、アルコキシ基など、各種構造とすることができる。
ここで、ペントースの例には、リボース、デオキシリボース、キシロースが含まれる。一方、ヘキソースの例には、アロース、グルコース、マンノースなどが含まれる。これらの中でも特に、糖構造がリボースまたはデオキシリボース由来の構造であると、発光プローブの主鎖が、DNAやRNAの主鎖と同様の構造になり、飲食物中のDNAやRNAと相互作用しやすくなる点で好ましい。
発光プローブの主鎖が、リボースまたはデオキシリボース由来の構造を含む場合、リン酸エステル結合は、リボースまたはデオキシリボースの3位の炭素、および5位の炭素に結合することが好ましい。また、後述の発色団または発光団は、リボースまたはデオキシリボースの1位の位置に結合していることが好ましい。すなわち、本実施形態の発光プローブは、下記の一般式(1a)または(1b)で表される構造を含むことが好ましい。
Figure 2025041250000002
当該一般式(1a)および(1b)において、Yは、後述の発色団または発光団を表す。
一方、発光プローブの発光部(発色団または発光団)は、単一の励起光に対し、単独で所定の種類の光を発する、もしくは複数の発色団または発光団が作用することによって所定の光を発する構造であればよい。当該発色団または発光団は、上記主鎖の糖構造に、当該糖構造がβ体となるように結合していることが好ましい。なお、本明細書では、「発色団」とは、波長300nm以上の光の吸収を示す構造をいい、「発光団」とは、波長300nm以上の光を吸収して発光を示す構造をいう。
1つの発光プローブが有する発色団または発光団の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。ただし、発光プローブが複数種類の発光を呈しやすいとの観点で、2以上が好ましく、3以上6以下がさらに好ましい。発光プローブが複数の発色団または発光団を有する場合、これらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。発光プローブでは、通常、主鎖中の一つの糖構造に、一つの発色団または発光団が結合する。したがって、発光プローブが、複数の発色団または発光団を有する場合、主鎖中の糖構造の数も複数であることが好ましい。すなわち、発光プローブ中の発色団または発光団の数は、上述のシグナル発生部の主鎖中の糖構造(またはペプチド構造)の数と同数、もしくはこれより少ないことが好ましい。
ここで、発光プローブが、複数の発色団または発光団を有する場合、発色団または発光団は、発光プローブの主鎖(糖構造)にまんべんなく配置されていてもよい。一方で、図4に示すように、発光プローブの一部の領域(図4では先端から10番目までの糖構造)のみに発色団または発光団が結合していてもよい。このような発光プローブは、発色団または発光団が結合しており、発光に寄与する領域(以下、「シグナル発生部」とも称する)と、発色団または発光団が殆ど結合しておらず、発光に寄与しない領域(以下、「基部」とも称する)とを有する。この場合、基部側の糖構造には、天然核酸塩基が結合していてもよい。本明細書において、天然型の核酸塩基とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルをいう。なお、シグナル発生部側の糖構造の一部に天然核酸塩基が結合していてもよい。ただし、シグナル発生部側では、天然型の核酸塩基の割合が、シグナル発生部の糖構造の総数に対して50%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
通常、シグナル発生部は、先端から10番目までの糖構造に配置されていることが好ましい。ただし、飲食物がタンパク質やリポソームのような分子サイズが大きいものを含む場合には、シグナル発生部が、先端から10番目以降の糖構造にかけて続いてもよい。ここで、当該シグナル発生部では、発色団または発光団が結合した糖構造の50%以上がβ体であることが好ましい。一般に、DNAは、リン酸エステル結合およびデオキシリボース由来の構造を含む主鎖(デオキシリボース)に塩基が結合した構造を有するが、天然のDNAでは、主鎖中のデオキシリボースが全てβ体となっている。そのため、シグナル発生部(発色団または発光団が結合した領域)の糖構造のうちの50%以上がβ体であると、DNAやRNAなど、自然界に存在する物質との構造の類似性が高いといえる。このような発光プローブは、飲食物と混合したときに、立体障害などが生じ難く、内部に入り込んだり、飲食物の形状に沿ったりすることが可能である。したがって、飲食物について、より詳細に解析することが可能である。
また、発光プローブのシグナル発生部では、発色団または発光団が結合した糖構造のうち、80%以上がβ体であることがより好ましく、全てがβ体であることがさらに好ましい。上記発色団または発光団が結合した糖構造がβ体であるか、α体であるかは、NMR解析、またはX線結晶構造解析などによって確認できる。
ここで、蛍光を発する発色団または発光団の例には、フルオレセイン、ローダミン、ホウ素ジピロメテンなど由来の構造が含まれる。りん光を発する発色団または発光団の例には、イリジウム錯体、白金錯体など由来の構造が含まれる。エキシマー発光する発色団または発光団の例には、ピレン、アントラセン、ペリレンなど由来の構造が含まれる。エキサイプレックス発光する発色団または発光団の例には、ピレン-ジメチルアニリンなど由来の構造が含まれる。熱活性化遅延蛍光を発する発色団または発光団の例には、4CzIPN、DABNAなど由来の構造が含まれる。励起状態分子内プロトン発光を発する発色団または発光団の例には、ヒドロキシフェニルベンゾオキサゾールなど由来の構造が含まれる。三重項三重項消滅発光を発する発色団または発光団の例には、9,10-ジフェニルアントラセン、ルブレンなど由来の構造が含まれる。ねじれ型分子内電荷移動発光を発する発色団または発光団の例には、ジアミノアントラセン、ジアミノナフタレンなど由来の構造が含まれる。凝集有機発光を発する発色団または発光団の例には、テトラフェニルエテン、ヘキサフェニルシロールなど由来の構造が含まれる。
さらに、有機ELの発光材料もしくはホスト、電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料として使われている化合物も、上記発色団または発光団の材料として好適に利用できる。このような化合物の具体例としては、「最先端の有機EL」(シーエムシー出版社)、有機EL材料技術(シーエムシー出版社)、有機ELのすべて(日本実業出版社)、未来を拓く多彩な色素材料(化学同人者)などに記載の化合物が含まれる。
有機EL用の各種化合物が上記発光プローブのシグナル発生部の発色団や発光団に相応しい理由は、以下の通りである。例えば、電子輸送材料はアニオンラジカルになりやすい電子受容性の芳香族化合物を含有してなる物質であるため、飲食物中の電子豊富な化合物と強い相互作用を起こす。逆に正孔輸送材料はカチオンラジカルになりやすい電子供与性の芳香族化合物を含有してなる物質であるため、飲食物中の電子欠乏性の化合物と強い相互作用を起こす。有機ELの発光材料はその両方の性質を持ち、かつ、発光量子収率が高い物質であることから、強い発光信号が得られる。なお、リン光発光材料や遅延蛍光発光材料を用いることもできる。これらは、従来の蛍光発光よりもナノ秒~μ秒程度、時間的に遅れたところで発光するため、センシング材料としては時間のファクターも次元数に含めることができ、後述のように、解析を機械学習や深層学習などを利用して行う場合には、データを多次元化できるため好適である。
以下に、有機EL材料の代表例を挙げる。これらは上述の一般式(1a)および(1b)におけるYとなり得る分子群である。また、さらに連結基などを介してYとなっていてもよい。
Figure 2025041250000003
Figure 2025041250000004
Figure 2025041250000005
Figure 2025041250000006
また、上記以外の発色団または発光団の例には、以下のものが含まれる。
Figure 2025041250000007
さらに、本実施形態で使用する発光プローブは、非発光性のモノマー由来の構造を有していてもよい。このような非発光性モノマー由来の構造は、例えば飲食物と発光プローブとの相互作用をコントロールする部位として機能することが可能である。代表的な機能とそれを実現するモノマー構造の例を示す。
A1)金属イオンを捕捉する化合物
代表的にはキレートを形成する配位子構造を有するものが挙げられ、配位の形式としては、N,N配位,N,O配位,O,O配位,N,S配位,O,S配位,S,S配位,N,Se配位,O,Se配位,S,Se配位,Se,Se配位などが含まれる。具体例には、2,2’-ビピリジン、フェナントロリン、1,8-ジアミノナフタレン、アミノ酸、クリプタンド、クラウンエーテル、8-ヒドロキシキノリン、3-メルカプトプロパノール、3-メルカプトプロピオン酸、チオカテコール、サリチルアルデヒド、アセト酢酸エステル、βジケトンなどが含まれる。
A2)照射する光の波長によって分子形状が変化する化合物
代表例には、アゾベンゼン、スチルベン、フルギド、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジン、ジヒドロピレン、フェノキシキノン、ビインデニリデンジオン、コバルト錯体、イミダゾール二量体などが含まれる。
A3)ルイス酸として働く化合物
代表的には、13族元素や遷移金属などが挙げられ、具体例には、トリアリールボラン、トリアルキルボラン、トリアルコキシボラン、トリフルオロボラン、トリクロロボラン、トリブロモボランなどが含まれる。
A4)ルイス塩基として働く化合物
代表的には、15,16族元素などが挙げられ、具体例には、アリールアミン、アルキルアミン、アリールホスフィン、アルキルホスフィン、アリールエーテル、アルキルエーテル、アリールスルフィド、アルキルスルフィドなどが含まれる。
A5)ペプチドやタンパク質と相互作用する化合物
代表的には、核酸塩基、遷移金属錯体、オキソ酸などが挙げられ、具体例には、アデニン、チミン、グアニン、チミン、シトシン、亜鉛錯体、銅錯体、ニッケル錯体、コバルト錯体、タングステン酸、モリブデン酸、リン酸などが含まれる。
A6)疎水性-疎水性相互作用を形成する化合物
代表例には、直鎖アルカン、直鎖アルケン、直鎖アルキン、分岐アルカン、分岐アルケン、分岐アルキン、芳香環、ヘテロ芳香環などが含まれる。
A7)双極子-双極子もしくは四極子-四極子相互作用を形成する化合物
代表例には、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ニトリル、ニトロアレーン、アニリン、アニソール、複素環式化合物などが含まれる。
なお、本実施形態では、発光プローブが発色団または発光団として、蛍光を発する構造、エキシマー発光を発する構造、およびエキサイプレックス発光を発する構造から選ばれる、少なくとも一つの構造を含むことが好ましく、蛍光を発する構造を少なくとも含むことが好ましい。発光プローブが蛍光を発する場合、検出しやすく、かつ解析しやすいという利点がある。
さらに、上記発光プローブは、波長300~400nmの光の照射によって、複数種類の発光を呈することが好ましい。発光プローブが、当該波長の光の照射によって、複数種類の発光を呈すると、飲食物を解析する際、特別な光源が不要であり、かつ飲食物にダメージを及ぼし難くなる。
ただし、励起光源にLEDや有機EL素子を用いる場合には可視光域での励起が有利となるため、そのような場合には上記発光プローブの吸収波長は400~700nmが有効となり、そのような色素を用いることもできる。
上記発光プローブの分子量(シグナル発生部および基部を有する場合は、シグナル発生部の分子量)は、発光プローブが有する発色団や発光団の種類、主鎖の長さなどに応じて適宜選択されるが、通常500以上10000以下が好ましく、500以上4000以下がより好ましい。発光プローブの分子量が10000以下であると、飲食物に対する特異性が適度に低くなり、飲食物の複数の箇所に非特異的に反応させたりすることが可能となる。
なお、上記の説明では、シグナル発生部の核酸構造の主鎖を構成する構造単位が、DNAやRNAのようなペントースまたはヘキソース由来の糖構造およびリン酸エステル結合を含む構造単位を有していたが、上述のように、これらに限定されない。他の構造単位の代表例としては下記のようなペプチド核酸型の構造単位が挙げられる。
Figure 2025041250000008
ペプチド核酸はDNA/RNAと同様、市販の自動合成装置(ペプチド合成装置)を用いることで網羅的な合成が可能である。ペプチド核酸は、電荷を持たず静電反発が無いことから、飲食物とより強い会合体を形成することができる。さらに、ヌクレアーゼやプロテアーゼといった酵素に耐性がある。さらに、比較的大スケールでの合成が可能である。ただし、非イオン性構造のため、水中では凝集して溶解性が低下することがある。したがって、シグナル発生部がペプチド核酸由来の構造を有する場合には、シグナル発生部に連結する基部の種類を適切に選択したり、溶媒を選択したりすることが好ましい。
ここで、上記発光プローブの製造方法は、発光プローブの構造に応じて適宜選択される。例えば上述の糖構造を有する発光プローブは、以下の方法で製造できる。ペントースまたはヘキソースに上記発色団または発光団、およびリン酸エステルを結合させたモノマーを準備する。当該モノマーをDNA/RNA合成機などにより、ホスホロアミダイド法を利用して、所望の配列で重合することにより合成できる。このような方法によれば、例えば図5の模式図に示すように、発色団または発光団の種類(図5においては、A、B、Cで表す)が異なる複数種類のモノマー(図5においては3種類)を準備し、当該モノマーの配列順序を変えて所望の数結合させる(図5では3つ結合)ことができる。つまり、発色団または発光団の種類が異なる、複数種類のモノマーから、多種多様な発光プローブを合成可能である。図5に示す例では、27通りの発光プローブを合成可能である。使用するモノマーの種類や、モノマーの結合数を変更すれば、非常に多くの種類の発光プローブを合成することが可能である。
なお、当該ホスホロアミダイド法を行う際には、通常、モノマーの一部、例えば糖構造のヒドロキシル基(例えばリボースまたはデオキシリボースの3位の炭素に結合するヒドロキシル基)、もしくはリン酸由来のヒドロキシ基を粒子状の担体(本明細書では、「担体粒子」とも称する)に担持させて重合反応を行う。当該担体粒子は、例えば多孔質ガラス、多孔質シリカゲル、またはポリスチレンなど、なお多孔質ガラスにはシリカゲルやアルミナなどの金属酸化物の多孔質体を含む。発光プローブの合成(モノマーの重合)後、当該担体を除去し、発光プローブのみを取得してもよいが、発光プローブを担体粒子に担持させた状態で使用してもよい。さらに、上記発光プローブと液体とを混合し、これをインクとして使用してもよい。
上記発光プローブは、自然界に存在する物質(例えばDNAやRNA)などと類似の主鎖構造を有する。そのため、各種飲食物と容易に相互作用することが可能であり、当該発光プローブによれば、飲食物の状態を詳細に把握することが可能である。また、上述の発光プローブは、特定の波長の光の照射によって発光する。そのため、飲食物の状態に応じて、様々な発光データを得ることが可能であり、飲食物を非常に詳細に分析することが可能である。
その効果発現メカニズムを図6A~図6Dに模式的に示す。まず、理解を促す目的で発光プローブを図6Aに示す4つの糖構造と4つの発光団を有する分子とする。4つあるRは全てピレン(図6中、Py)でも、ジメチルアミノビフェニル(図6中のN)であっても、その混合でもよい。また4つのRのうち、一つまたは二つは水素原子であってもよい。このような分子構造によって、複合型の発光プローブという形態が構築できる。
本実施形態においては、発光プローブが飲食物と複雑な相互作用を起こすことが、多次元で、かつ、大量のデータを光や色のシグナルとして発生することが特徴である。その概念を最もシンプルに具体的に示したものが図6B~図6Dであり、狙いとしては大きく分けて3つを想定している。
例えば、上記のRが全てピレンの場合を想定してみると、この発光プローブが存在する液中、または媒体中に、飲食物を接触させ紫外光で励起した場合、その飲食物に含まれ、かつ該発光プローブ中に存在するピレンとピレンの間に挿入される成分であって、ピレンの蛍光を消光させないバンドギャップの広い成分(例えば脂肪族化合物など)が存在する場合には、該発光プローブからは図6Bの左図に示すピレンのモノマー発光が観測される。
飲食物の中に全くピレンと相互作用する成分が含まれない場合は、図6Bの中央図のようにピレンのエキシマー発光が得られる。また、検体の中にピレンと相互作用するピレンのバンドギャップに近いエネルギー準位を持つ成分(蛍光性物質)が存在する場合には、図6Bの右図のように、ピレンと当該成分(該蛍光物質)によるエキサイプレックス発光が得られる。
さらに飲食物の中にナトリウムイオンやカルシウムイオンのような成分(金属イオン)が存在する場合には、発光プローブの主鎖部分に存在するリン酸基との間でキレートを形成するが、図6Dに示すように金属イオンの大きさによってピレンとピレンの分子間距離が変化するため、エキシマー発光自体も発光色(発光スペクトル)が変化する。
また、図6Aに示す構造のRがジメチルアミノビフェニル(N)の場合は、図6Cのような酸と塩基の近接による蛍光色素(N)の発光色(スペクトル)変化がおこる。これは鉱酸(硫酸や硝酸など)とアルカリ金属のようなオン/オフのスイッチングのような酸塩基イオン対形成とは異なる。この場合、検体側に含まれる物質の酸性度(プロトンの供出しやすさ)によってNとの接近距離が連続的に変化する。したがって、この発光現象をシグナルに使うことはダイナミックレンジの拡張に繋がる。またNはルイス塩基であるため、プロトン性の酸性物質以外でもルイス酸性の物質(例えばトリアリールボランやトリアルキルアルミニウム、テトラアルコキシチタンなど)とも同様の相互作用を起こす。そのため、このような成分が飲食物に含まれている際にも特異的な発光色変化を起こす。
次に、発光プローブのRが一つおきにピレン(Py)とジメチルアミノビフェニル(N)の場合は、上記とは違って検体とピレン、ならびにジメチルアミノビフェニルとの間で何も相互作用がない場合には、ピレンとジメチルアミノビフェニルとのエキサイプレックス発光が観測される。一方、相互作用する場合には前記と同様に検体成分とピレンおよび/またはジメチルアミノビフェニルとの混合エキサイプレックスによる複雑な発光が得られる。
また、4つのRのうち内側の一つまたは二つが水素原子の場合は、発光プローブ自体からはエキシマー発光やエキサイプレックス発光は起こらないか、またはその寄与は小さく、ほぼモノマー発光が観測されるが、水素原子の立体障害が小さいため、飲食物中と発光団のRとの間の相互作用は増強され、発光シグナルの変化は増強されることになる。
図6A中のPyやNが、通常の蛍光性物質ではなく、リン光性化合物や熱励起型遅延蛍光化合物である場合は、励起した直後よりも数十ナノ秒から数マイクロ秒遅れたタイミングで発光が出てくる。そのため、発光色ではなく「時間」というファクターがダイナミックレンジを拡張することとなり、図6B~図6Dのような機構に加え、このような現象も本実施形態には適用可能となる。
このような分子間相互作用およびそれによる発光色や発光スペクトルの微妙な変化、または数マイクロ秒という発光の遅れなど、さらには主鎖構造に起因する金属キレート形成によってもたらされる発光現象のごく微妙な変化は、これまで人間が理解するための分析情報としては適用が不可能であった。しかし、近年一般的に使用可能となった人工知能(AI)やそれを活用した機械学習やインフォマティクスを利用することを前提とすると、このような人智の理解を超えた多用な発光現象が対象とする飲食物に対応した状態記述データになる。
(相互作用工程)
相互作用工程S11では、対象となる飲食物を、上述の単独発光情報を取得した発光プローブと相互作用させる。本実施形態では、12種類の飲食物を、上述の96穴ウェルプレート100の各列(c1列~c12列)に、それぞれ配置する。本実施形態では、同一の列に、同一の飲食物を配置しているが、当該配置方法に限定されない。
なお、飲食物と発光プローブの相互作用方法は特に限定されず、例えばウェルプレート内で混合するだけであってもよいが、必要に応じて加熱したり、相互作用促進のための薬品を添加したりしてもよい。さらに、所定時間静置することで、相互作用を促進させてもよい。
・飲食物について
本実施形態の方法を適用可能な飲食物は、発光プローブと相互作用可能であればよく、飲料であってもよく、野菜や肉、魚など、素材そのものや、加工前や調理前の原材料であってもよい。また、加工中または調理中のものであってもよく、加工済のものや調理済みのものであってもよい。さらに一定期間保存後のものなどであってもよい。また、当該飲食物は、液体状であってもよく、固体状であってもよく、ペースト状などであってもよい。ただし、液体状であるほうが、発光プローブと相互作用しやすい。また飲食物に複数の材料が含まれている場合に、液体状のほうが、複数の材料が均一に混ざりやすく、全体の味覚を解析しやすい。したがって、固体状の成分については、細かく刻んだり、すりつぶしたりし、これらから液体成分を抽出して発光プローブと相互作用させてもよい。
(相互作用発光情報取得工程)
相互作用発光情報取得工程S12では、飲食物および発光プローブを相互作用させた状態で発光プローブを励起させ(本実施形態では励起光を照射し)、発光プローブが発する相互作用発光情報を取得する。本工程でも、上述の各ウェルに配置した、飲食物と相互作用状態の発光プローブの相互作用発光情報を個別に取得してもよいが、全てのウェルプレートの発光プローブの相互作用発光情報を一度に取得することが、解析効率などの観点でより好ましい。
また、取得する相互作用発光情報の種類は特に制限されず、通常、上述の単独発光情報と同種の情報を取得することが好ましい。例えば、特定の励起光(単一波長の励起光)を照射し、これによって、各発光プローブが発する光の強度や波長(発光情報)を、分光光度計などによって検出してもよい。さらに、得られた光を例えば3刺激値(例えばCIE表色系のXYZ)に分解し、XYZそれぞれについての3つのデータを相互作用発光情報として取得してもよい。また、特定の励起光を照射した場合に、発光プローブが発する光の分光分布の経時変化や、経時での色度変化を、連続的または断続的に分光光度計などで検出してもよい。
さらに、発光プローブが発する光の色度変化などを取得してもよい。この場合、単一の波長の励起光を短時間のみ照射し、これを受けて発光プローブが発する光をCCDカメラ、CMOSカメラなどで画像や動画として取得してもよい。得られた画像や動画から色度などを特定し、経時の色度変化に関するデータなどを相互作用発光情報としてもよい。
なお、相互作用発光情報の取得は、飲食物および発光プローブの相互作用が十分に進んだ状態で行うことが好ましい。したがって、例えば上記3刺激値XYZを相互作用発光情報として取得する場合などには、以下の方法で相互作用発光情報を取得することが好ましい。まず、発光プローブが発する光の3刺激値XYZを複数回取得する。なお、複数回とは、異なるタイミングで、それぞれ3刺激値XYZを取得することを意味する。そして、複数回取得した3刺激値XYZから、3刺激値XYZそれぞれの経時変化を特定する。特定した経時変化から、各刺激値について、10分間の値の変動割合が±10%以下となる範囲を特定する。変動割合とは、(特定の時点tにおける刺激値a)と(特定の時点tより10分前の刺激値b)との差を、(特定の時点tより10分前の刺激値a)で除した割合、すなわち{(a-b)/a}×100で算出される値をいう。通常、各刺激値の変動割合は、飲食物および発光プローブの相互作用が進むにつれ小さくなる。そして、少なくとも1つの刺激値の10分間の変動割合が±10%以下になった後に取得した3刺激値XYZを、相互作用発光情報として取得することが好ましい。なお、どのデータを相互作用発光情報とするかは、後述の解析工程にて判断してもよい。
(飲食物情報取得工程)
上述のように、本実施形態では、飲食物の化学的情報および/または物理的情報を取得する飲食物情報取得工程S14をさらに行ってもよい。当該飲食物情報取得工程で取得する化学的情報の例には、飲食物中の特定成分(例えば、味覚や香りに影響を及ぼす物質)の構造や濃度などに関する情報などが含まれる。また、物理的情報の例には、飲食物の色や、粘度、硬さなどが含まれる。本工程S14では、飲食物から、これらの情報を一種類取得してもよく、複数種類取得してもよい。
飲食物から化学的情報や物理的情報を取得する方法は特に制限されず、所望の情報に合わせて公知のセンサなどを用いて行うことができる。公知のセンサの例には、成分分析用の各種装置、色分析用の各種装置、味覚センサなどが含まれる。成分分析では、例えばタンパク質、脂質、炭水化物、脂肪酸、ケトン遊離脂肪酸、乳脂肪分などの含有量を特定可能である。色分析では、分光測色計(例えばコニカミノルタ社製、分光測色計測装置 CM-700dなど)によって、飲食物の色をデータかすることができる。また、味覚センサ(例えばinsent社、味覚センサTS5000Zや、Alpha MOS社製 ASTREEなど)では、五味に関するデータを取得できる。
(解析工程)
本工程における解析工程S13では、上記単独発光情報取得工程S10で取得した単独発光情報と、上記相互作用発光情報取得工程S12で取得した相互作用発光情報と、を解析用データとして用い、飲食物の味覚について解析を行ってもよい。一方で、上述の飲食物情報取得工程S14を行う場合には、当該工程で取得した化学的情報および/または物理的情報を利用して、飲食物の味覚をさらに細かく解析してもよい。なお、解析によって導き出す情報の種類は特に制限されず、例えば飲食物の五味それぞれに関する情報であってもよく、これらをまとめた官能的な評価であってもよい。また、五味以外の要素、例えば味の濃さ、におい、後味、舌触りなどであってもよい。
ここで、当該解析を行う場合には、標準データと解析用データとを単純に比較してもよいが、例えば標準データと解析用データとの比較結果を距離行列に変換して、ヒートマップ(重みづけなし)で解析したり、当該距離行列を主成分分析(PCAとも称される、異方性を重視した重みづけ)したり、DLによる分析(等方性を重視した重みづけ)などを行ってもよい。
一方、予め構築された学習済モデルなどで、上記解析用データを解析してもよい。学習済モデルは、例えば、後述の機械学習工程などによって作成することができるが、使用する学習済モデルは、後述の機械学習工程で作成するものに限定されない。学習済モデルを用いると、飲食物の味覚について、より適切な解析を行うことができる。
なお、学習済モデルを参照する場合、上述の解析用データを学習済モデルに当てはめることで、飲食物がどのような味覚であるか、蓄積されたデータなどから判定(予測)することができる。なお、予測結果は、例えば、分類、回帰、クラスタリング、異常検出(外れ値検出)などとして得てもよい。
(機械学習工程)
本実施形態の解析方法は、解析用データを機械学習し、学習済モデルを生成する学習工程をさらに有していてもよい。
例えば、当該機械学習工程では、上述の解析用データに基づいて、予測モデルを複数構築してもよい。そして、複数の予測モデルの結果を組み合わせることで、飲食物の味覚に関する様々な情報を予測可能な学習済モデルを作成する。
上記予測モデルは、飲食物の味覚(例えば五味や官能評価など)が予め判明している場合などには、解析用データの特徴を説明変数とし、その味覚を目的変数とする機械学習をそれぞれ行うことで構築可能である。説明変数としては、上述の解析用データの特徴を表す数値、およびそれらから計算された数値を用いることができる。上述の単独発光情報や相互作用発光情報が分光スペクトルである場合には、説明変数として、波長毎の光の強度などを採用できる。また、上記飲食物の化学的情報および/または物理的情報を取得した場合には、これらの情報を説明変数として使用できる。
一方、目的変数は、解析の目的に応じて適宜選択可能であり、飲食物の味覚の一つの要素に限らず、複数の要素としてもよい
本工程で行う機械学習は、教師あり学習であってもよいし、教師なし学習であってもよい。なお、教師あり学習とは、正解ラベルのついた学習データから「入力と出力との関係」を学習する学習方法をいう。教師なし学習とは、正解ラベルのない学習データから「データ群の構造」を学習する学習方法をいう。
また、機械学習は、強化学習、深層学習または深層強化学習であってもよい。なお、強化学習とは、試行錯誤をすることで「最適な行動系列」を学習する学習方法をいう。深層学習とは、多量のデータから、データに含まれる特徴を段階的により深く(深層で)学習する学習方法をいう。深層強化学習とは、強化学習と深層学習を組み合わせた学習方法をいう。
機械学習には、一般的な解析手法(アルゴリズム)を適用できる。機械学習には、例えば、線形回帰(重回帰分析、部分最小二乗(PLS)回帰、LASSO回帰、Ridge回帰、主成分回帰(PCR)など)、ランダムフォレスト、決定木、サポートベクターマシン(SVM)、サポートベクター回帰(SVR)、ニューラルネットワーク、判別分析などにより選択される解析手法により構築された予測モデルを適用可能である。
・その他
上記では、単独発光情報取得工程S10および相互作用発光情報取得工程S13をそれぞれ別のタイミングで行うことを説明した。ただし、相互作用工程S12において、図3に示すウェルプレート100の一列(例えばc1列)に飲食物を添加せず、残りの列(例えばc2列~c12列)に飲食物を添加してもよい。このように発光プローブと飲食物とを配置し、各発光プローブを励起させると、c1列で取得される発光情報が単独発光情報となり、c2列~c12列で取得される発光情報が相互作用発光情報となる。
・他の実施形態
上述の説明では、図3に示すウェルプレートを使用して、単独発光情報や相互作用発光情報を取得することを説明した。ただし、有機EL素子などを応用して、単独発光情報や相互作用発光情報を得てもよい。当該実施形態について、図7A~図7Dの工程図(概略断面図)を用いて説明する。当該実施形態では、透明基板111、透明電極112(例えばITO膜など)、正孔輸送層113(例えばポリ芳香族ジアミンなど)、ポリスチレンなどの受容層兼ホスト層114を形成した積層体を準備する(図7A)。透明基板111や透明電極112、正孔輸送層113などは、公知の有機EL素子と同様である。一方、受容層兼ホスト層114は、上述の飲食物や発光プローブを受容することが可能であればよい。
そして、このような積層体の受容層114の所望の領域に、飲食物121を任意の方法で塗布する(図7B)。続いて、飲食物121を塗布した受容層114の所望の位置に、上述の発光プローブをインクジェット法などによりパターン状に塗布する(図7C)。これにより、発光プローブを塗布した領域が発光層122となる。当該発光層122では、発光プローブおよび飲食物が相互作用する。なお、図示していないが、当該実施形態においても、飲食物を塗布していない領域に、発光プローブを塗布することで、単独発光情報を取得することも可能である。そして、当該発光層122上に透明電極112と対になる対向電極層115を配置し、有機EL素子とする。そして、当該有機EL素子の発光層122中の発光プローブを、常法によって励起させて相互作用発光情報を取得し(上述の工程S13)、解析工程S14で解析する。
なお、上記では、受容層114に、先に飲食物を先に塗布することを説明したが、発光プローブを先に塗布し、その後、飲食物を塗布してもよい。また、有機EL素子の構成は当該構成に限定されず、任意に変形することが可能である。
2.解析装置
上述の味覚の解析方法は、発光プローブを励起させるための励起手段(例えば励起光源や有機EL素子の場合には電源供給手段)と、発光プローブの発光情報(単独発光情報や相互作用発光情報)を取得するための発光情報取得部と、当該発光情報に基づいて、飲食物の味覚を解析するための解析部を有していればよい。
励起手段は、発光プローブを励起することが可能であればよい。上記励起光源の例には、スーパーコンティニューム光源(光ファイバーの非線形効果を利用して非常に広い波長範囲にわたって、位相の揃った強い光を出す広帯域パルス光源であり、「SC光源」とも称される)やLEDなどが含まれる。これらの励起光源によれば、光量を大きくでき、発光情報が明瞭になりやすい。
一方、発光情報取得部は、励起された発光プローブが発する発光情報を取得するための構成であり、取得する発光情報に合わせて、その種類は適宜選択される。例えば、発光情報取得部は、分光光度計や紫外可視光吸収計などであってもよく、蛍光指紋測定装置であってもよい。さらに、円二色性分散計や高速液体クロマトグラフ(HPLC)などであってもよい。CCDカメラやCMOSカメラなどであってもよい。また、発光情報取得部は、これらを2種以上組み合わせたものであってもよい。
また、取得した発光情報(単独発光情報や相互作用発光情報)や、必要に応じて飲食物の化学的情報や物理的情報を解析する解析部は、一般的な情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータなどとすることができる。このような解析部としては、プログラムやデータ、学習済モデルなどを記憶するハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、リードオンリーメモリ(ROM)などの記憶手段、プログラムの実行や計算処理などを行う中央処理装置(CPU)を備えた一般的なコンピュータ(汎用コンピュータ)を用いることができる。また、当該コンピュータは、キーボードやマウスなどの入力手段、モニタやプリンタなどの出力手段をさらに有していてもよい。
なお、解析装置は、上述のウェルプレートや、有機EL素子(例えば、透明基板、透明電極、電子輸送層、受容層などを含む積層体)を、発光プローブや飲食物を内部に保持するための保持部材として有していてもよい。
さらに、上述の飲食物の化学的情報および/または物理的情報を取得するためのセンサなどをさらに備えていてもよい。センサの種類は特に制限されず、所望の情報に基づいて適宜選択される。例えば公知の味覚センサなどであってもよい。さらに、公知のクロマトグラフィ用の装置、粘度測定装置、色度計など、いずれであってもよい。
また、解析装置は、上述の発光プレートや飲食物を所望の位置に配置するためのインクジェット印刷部などをさらに有していてもよい。
1.官能評価試験
市販の13種類の牛乳を準備した。そして、当該牛乳について、30名の評価者によって、官能試験を行った。具体的には、1つの牛乳の濃さ、甘さ、香りの強さ、後味の強さ、および好ましさを基準値(評価0)とした。そして、残りの12種類の牛乳(A~L)について、それぞれ濃さ、甘さ、香りの強さ、後味の強さ、および好ましさについて、多重比較法を用いて、各評価項目において有意差があるかどうかを評価し、基準値に対して相対的に-3から3までの7段階で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2025041250000009
2.発光プローブの合成
以下の方法で、発光プローブ1~16を合成した。全ての反応は、特段の断りのない限り、オーブン乾燥したガラス器具内で窒素雰囲気のもと行った。全ての化学製品は、Aldrich又はTCI又は関東化学から購入し、さらに精製することなくそのまま使用した。
(1)モノマー1の合成
下記反応式に基づき、中間体1~6を経て、リン酸エステルを含む主鎖と、当該主鎖に結合した発光団を有するモノマー1を合成した。
Figure 2025041250000010
・中間体1の合成
チミジン(15.0g、61.9mmol)とイミダゾール(16.9g、248mmol)をDMF(124mL)に溶解し、tertブチルジメチルシリルクロリド(19.6g、130mmol)を加え室温下17時間攪拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで分液抽出を行った。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することで無色固体として目的の中間体1を得た(28.3g、97%)。
・中間体2の合成
中間体1(28.3g、60.1mmol)と硫酸アンモニウム(12.7g、96.2mmol)をヘキサメチルジシラザン(314mL、1.50mol)に溶解し、3時間加熱還流を行ったのち、反応液に水を加えて酢酸エチルで分液抽出を行った。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し目的の中間体2を褐色液体として得た(13.2g、64%)。
・中間体4の合成
中間体2(10.1g、29.3mmol)、1-ブロモピレン(8.24g、29.3mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(671mg、733μmol)、トリtertブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(850mg、2.93mmol)、ジシクロヘキシルメチルアミン(9.35mL、44.0mmol)、1,4-ジオキサン(100mL)の混合物を90℃で1時間加熱した。水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで分液抽出を行った。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去することで得られた中間体3を含む粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
中間体3を含む粗生成物に対し、THF100mL、1MテトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液(117mL、117mmol)、酢酸(6.74mL、117mmol)を加え40℃で2時間攪拌した。水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで分液抽出を行った。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで目的の中間体4を薄褐色固体として得た(5.87g、63%)。
・中間体5の合成
トリアセチルホウ酸ナトリウム(11.8g、55.8mmol)および酢酸(7.87mL、138mmol)をアセトニトリル93mLに溶かした溶液を0℃に冷却し、中間体4(5.87g、18.6mmol)をTHF(62mL)に溶かした溶液を滴下した。滴下終了後室温に昇温し15分攪拌したのち水を加えた反応を停止した。酢酸エチルで分液抽出を行い得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去することで粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび逆相HPLCにより精製することで目的の中間体5を無色固体として得た(3.44g、58%)。
・中間体6の合成
中間体5(3.44g、10.8mmol)、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(4.40g、13.0mmol)、エチルジイソプロピルアミン(2.82mL、16.2mmol)、脱水ピリジン(54mL)の混合物を室温下4時間攪拌したのちメタノールを加えることで反応を停止した。溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで目的の中間体6を無色粘性固体として得た(5.71g、85%)。
・モノマー1の合成
中間体6(5.71g、9.20mmol)、エチルジイソプロピルアミン(6.42mL、36.8mmol)、脱水ジクロロメタン(92mL)の混合物に2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト(3.08mL、13.8mmol)を0℃で滴下した。室温に昇温し3時間攪拌したのち溶媒を留去し粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで目的のモノマー1を無色固体として得た(4.64g、61%)。
(2)モノマー2の準備
モノマー2は、下記に示す構造の試薬をGlen Research社(Sterling、ヴァージニア州)から購入した。
Figure 2025041250000011
(3)発光プローブ1~16の合成
常法に従い、下記表2に示すように、モノマー1およびモノマー2の混合配列オリゴヌクレオチド16種(Seq1~16)の合成を行った。DNA合成試薬は、Glen Research社(Sterling、ヴァージニア州)から購入した。また、全てのオリゴヌクレオチドは、日本テクノサービス社製 DNA/RNA合成機 NTS T-シリーズにてホスホロアミダイトベースのカップリング手法のための標準プロトコルを用いて合成した。自動合成により得られた各発光プローブ担持体をアンモニウム水室温2時間で反応させ粒子状担体より切り出し、遠心乾燥装置で溶媒を乾固したのち超純水を加えることで各発光プローブ1~16を含む第1成分1~16を得た。当該発光プローブ1~15は、特定の励起光(波長350nmの光)によって、蛍光およびエキシマー発光を発することが確認された。なお、発光プローブ16は、蛍光もエキシマー発光も示さなかった。
Figure 2025041250000012
3.味覚解析
3-1.実施例
牛乳の味覚に関する解析を、以下の方法で行った。なお、解析装置として、発光プローブの発光情報を取得するための発光情報取得部と、発光プローブを励起させるための励起手段と、発光情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する解析部発光情報取得部とを含む装置を用いた。なお、発光情報取得部および励起手段としては、Tecan社製 マイクロプレートリーダーSparkを使用した。また、解析部には、上記発光情報取得部および励起手段に接続された情報処理装置(コンピュータ)を用いた。
(1)単独発光情報取得工程
96穴(12列×8行)のウェルを2つ準備した。そして、発光プローブ1を、1つ目のウェルの第1行目(12列)に注入した。続いて、発光プローブ2を2行目に注入し、同様に発光プローブ3~8を3行目~8行目に一行ずつ注入した。同様に、2つ目ウェルに、発光プローブ9~16をそれぞれ1行ずつ注入した。そして、この状態で、上記発光情報取得部(Tecan社製 マイクロプレートリーダーSpark)を用いて、各ウェルに注入した発光プローブを励起させ、そのスペクトル(単独発光情報)を得た。
(2)相互作用工程
上記単独発光情報を取得した2つのウェルの列ごとに、上述の官能評価を行った牛乳A~Lを滴下した。具体的には、2つのウェルの第1の列(8穴×2)には、全て牛乳Aを滴下した。続いて、第2の列(8穴×2)には牛乳Bを滴下し、第3の列から第12の列には、牛乳CからLをそれぞれ滴下した。
(3)相互作用発光情報取得工程
牛乳滴下後のウェルについて、単独発光情報取得工程と同様に、発光情報取得部によって、スペクトル(相互作用発光情報)を得た。このとき、スペクトルの測定は、互いに異なるタイミングで複数回行った。
(4)機械学習工程および解析工程
上記単独情報取得工程および相互作用発光情報工程で取得したスペクトルを、CIE表色系の3刺激値XYZに変換した。なお、相互作用発光情報工程で取得した複数のスペクトルの3刺激値については、3刺激値それぞれの経時変化を特定した。そして、少なくとも1つの刺激値の10分間の変動割合が±10%以内になった後のデータ(3刺激値)を、相互作用発光情報として採用した。
そして、牛乳A~Iのデータを用いて、機械学習を行った。具体的には、牛乳A~Iについて得られたデータ3×16個(=3刺激値(X,Y,Z)×発光プローブ16種)を説明変数とし、先に行った官能評価の結果を目的変数として、PLS回帰により予測式を作成した。
次いで、作成した予測式を用いて、残りの牛乳J~Lについて、濃さ、甘味、香りの強さ、後味の強さについて予測し、官能評価との結果と照らし合わせた。結果を表3に示す。なお、評価は以下の基準で行った。
A:官能評価との相関係数が0.9以上
B:官能評価との相関係数が0.7以上0.9未満
C:官能評価との相関係数が0.7未満
さらに、上記結果に基づき、総合の予測精度を、以下の基準で判断した。
◎:上記評価におけるAが3つ以上
〇:上記評価におけるAが1つ以上2以下
△:上記評価におけるAが0
3-2.比較例
以下の味覚センサを用いて、牛乳A~Lについて、それぞれの装置が特定可能な複数種類のデータを測定した。
装置A:insent社製 味覚センサー TS5000Z
装置B:Alpha MOS社製 ASTREE
そして、牛乳A~Iについて、それぞれの装置A、Bによって測定された値を説明変数、先の官能評価の結果を目的変数として、PLS回帰により装置ごとに予測式を作成した。次いで、作成した予測式を用いて、残りの牛乳J~Lについて、濃さ、甘味、香りの強さ、後味の強さについて予測した。そして、実施例と同様に、官能評価の結果と照らし合わせた。結果を表3に示す。
3-3.結果
Figure 2025041250000013
上記表3に示すように、実施例の方法によれば、予測精度が非常に良好であり、特に濃さ、甘味、好ましさについては相関係数が0.9であった。一方、装置Aおよび装置Bを用いた比較例では、いずれも予測精度が低く、いずれの項目においても、相関係数が0.7以下であった。
本発明によれば、簡便にデータを取得可能であり、かつ飲食物の味覚を詳細に解析することが可能な味覚の解析方法、およびこれに使用可能な味覚解析装置が提供される。当該味覚の解析方法および味覚解析装置は、食品の製造や加工、品質管理などの分野において非常に有用である。
100 ウェルプレート
111 透明基板
112 透明電極
113 正孔輸送層
114 受容層
115 対向電極層
122 発光層

Claims (8)

  1. 励起によって光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する発光プローブの発光情報を取得するための発光情報取得部と、
    前記発光プローブを励起させるための励起手段と、
    前記発光情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する解析部と、
    を含む、味覚解析装置。
  2. 前記発光プローブおよび前記飲食物を内部に保持するための保持部材をさらに有する、
    請求項1に記載の味覚解析装置。
  3. 前記発光プローブが、核酸構造を含む化合物である、
    請求項1に記載の味覚解析装置。
  4. 前記飲食物の化学的情報および/または物理的情報を取得するためのセンサをさらに有し、
    前記解析部は、前記発光情報、ならびに前記化学的情報および/または物理的情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する、
    請求項1に記載の味覚解析装置。
  5. 前記解析部が、あらかじめ構築された学習済モデルによって、前記飲食物の味覚を解析する、
    請求項1に記載の味覚解析装置。
  6. 励起によって光を発し、かつ飲食物との相互作用によって発光挙動が変化する発光プローブを、前記飲食物と相互作用していない状態で励起させ、単独発光情報を取得する工程と、
    前記発光プローブおよび前記飲食物を相互作用させる工程と、
    前記飲食物と相互作用状態にある前記発光プローブを励起させて、相互作用発光情報を取得する工程と、
    前記単独発光情報および前記相互作用発光情報に基づき、前記飲食物の味覚を解析する工程と、
    を含む、
    味覚の解析方法。
  7. 前記相互作用発光情報を取得する工程では、前記飲食物と相互作用状態にある前記発光プローブの励起光の3刺激値をそれぞれ複数回取得し、前記3刺激値のうち、少なくとも1つの刺激値の10分間の変動割合が±10%以下になった後の所定のタイミングの前記3刺激値を、前記相互作用発光情報として取得する、
    請求項6に記載の味覚の解析方法。
  8. 前記飲食物の化学的情報および/または物理的情報を取得する工程をさらに含み、
    前記飲食物の味覚を解析する工程では、前記単独発光情報、前記相互作用発光情報、ならびに前記化学的情報および/または物理的情報に基づき、解析を行う、
    請求項6に記載の味覚の解析方法。
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