JP2024526232A - マイクロ流体装置 - Google Patents

マイクロ流体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2024526232A
JP2024526232A JP2023580354A JP2023580354A JP2024526232A JP 2024526232 A JP2024526232 A JP 2024526232A JP 2023580354 A JP2023580354 A JP 2023580354A JP 2023580354 A JP2023580354 A JP 2023580354A JP 2024526232 A JP2024526232 A JP 2024526232A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
channel
metering
capillary
height
fluid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023580354A
Other languages
English (en)
Inventor
レンク ガブリエル
オーランダー アンナ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Capitainer AB
Original Assignee
Capitainer AB
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Capitainer AB filed Critical Capitainer AB
Publication of JP2024526232A publication Critical patent/JP2024526232A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

Figure 2024526232000001
キャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置であって、該装置は以下、すなわち、体液のサンプルを受け取るための入口セクションであり、入口ポート及び体液のサンプルを段階的又は徐々に増加する毛管現象で濾過膜まで輸送するように構成されたチャネルシステムを含む入口セクションと、受け取った体液の所定量を計量し、装置内の残りの流体から切り離すように構成された計量セクションと、計量セクションから計量された量の体液を受け取り、回収するように構成された出口セクションと、を備える。
【選択図】図1

Description

本開示は、一般に、全血からのマイクロ流体血漿抽出及びその計量に関し、具体的には、体液から選択された細胞を分離し、体液を抽出するように構成された濾過膜を含む、毛細管輸送によって分析のために計量された体液をサンプリングし、回収するように構成されたマイクロ流体装置に関する。
全血から血漿を分離することは、臨床診断及び生物医学研究目的の全血検査における重要なステップである。採血は従来、静脈穿刺し、5~10mlの全血をチューブに採取して行う。分析には、通常、血漿が望ましい物質である。血漿は、分析に先立ち、集中実験室で遠心分離して得られる。チューブで液体サンプルを扱う代わりに、血液を紙素材に塗布し、サンプルを紙上で乾燥させる方法もある。実験室では、乾燥血液を再溶解し、湿式化学による分析用に準備することができる。本方法は乾燥血液スポット分析(DBS:Dried Blood Spot analysis)と呼ばれ、血球を保持する分離技術と組み合わせると、乾燥血漿スポット(DPS:Dried Plasma Spots)を得ることもできる。本方法は、実験室への輸送中にコールドチェーンを維持する必要がないという利点をもたらすため、人気を博している。また、保存形式が単純なため、指穿刺によるキャピラリーホームサンプリングも可能である。
マイクロ流体システム及びラボオンチップは、生化学アッセイの時間とコストとを削減する解決策である。小型化により分析する量が減少し、反応時間が短縮し、特に高価な試薬の消費量が減少する。マイクロ流体技術は血漿抽出の目的にも適用されている。マイクロスケールにおける血漿からの血球の分離は、能動的(電界又は磁界など、外部印加力)に、あるいは受動的(沈降、ろ過、マイクロ形状体によって誘発される流体力学的効果)に達成することができる。さらに、紙ベースならびに遠心マイクロ流体も適用できる。
例えば、特許文献1(US 2014/0332098 A1)は、プログラム可能な保持バルブ、プログラム可能なトリガーバルブ、強化されたキャピラリーポンプ、及び流れレゾネーターを含む、自己動力供給式、自己調節式マイクロ流体回路のための回路要素を開示している。いくつかの実施形態によって、マイクロ流体回路内の流れ方向を反転させ、また、マイクロ流体回路を販売又は配置する前に試薬を保持し、ユーザーが容易に使用できるようになる。
多くの生化学分析では、分析物の定量化が必要である。サンプル中の分析物の正確な濃度を測定するには、正確なサンプル量の知識が必要である。マイクロ流体レベルでは、液体の計量は再び能動的又は受動的に達成することができる。液体の量を2つ以上の量に分割する能動的な手段の例としては、液体の量に機械的に干渉してユニットに分割する能動的なバルブ、又は、液体の一部を引き裂くことができる加圧空気と組み合わせた受動的なバルブのようなコンポーネントを導入することが挙げられる。液滴マイクロフルイディクスでは、ある種のマイクロ流体ジオメトリ(T字型接合部)において、2つの非混和性液相(油及び水)の間に生じるせん断力が、液体の区画化に利用される。受動的計量は、文献的にはあまり報告されていない。特許文献2(WO 2016/209147 A1)は、マイクロチャネルに統合された2つの溶解可能な膜を使用した受動的を実証している。さらに、特許文献3(US 2015/0147777 A1)は、計量に吸収材料を含む交差する溢出チャネル構造を使用している。特許文献4(WO 2015/044454 A2)は、生物流体、好ましくは全血を回収及び輸送するためのマイクロ流体装置を開示しており、計量されたサンプルを回収するためのスロープ及び計量チャネルを含む。この装置は、入口機能部を含む流路抵抗の低い第1領域と、流路抵抗の高い計量チャネルを含む第2領域とを有するが、これは、血液特性のばらつきに起因する異なる流量に適応した安定した性能を得ることに関連する問題を引き起こす可能性のある配置である。
血漿サンプリングのための完全に自律的なシステムを可能にすることが望ましい。このような血漿サンプリングのための自律システムは、プロセスを実行するユーザーからの最小限の相互作用を必要とし、それによりユーザーの訓練レベルを低減し、サンプリング中のエラーのリスクを低減できるという利点を有する。マイクロ流体レベルでの受動的な手段による自律システムはさらに、マイクロ流体機能を実行するために電源などを必要とする外部駆動力が不要であるため、システムの複雑さ及びコストを低減することができる。しかしながら、このようなシステムを開発することは、個人間で大きく異なるヘマトクリット、脂質含量、及び凝固因子が変化するという点で、システムを広範囲の全血の特性に対応させることなど、実質的な設計上の課題を伴うであろうが、これは、このようなばらつきは、能動的な流量操作によって操作しやすくなるような、システム内の流量特性の違いを生み出すからである。本開示は、前述の問題を解決する改良に向けられ、容量が規定された血漿サンプルを得る。
マイクロ流体装置で対処すべき問題の1つの側面は、マイクロフルイディクス、具体的にはマイクロ流体基板に高さ勾配を生じさせる方法を含む。チャネルの高さに勾配をつけたマイクロ流体チャネルの作製は、マイクロ流体基板上に傾斜又はスロープを作製することが困難なため、研究又は産業用マイクロ流体用途ではほとんど行われていない。傾斜は、CNCマイクロミリング、電気メッキ、又は3Dプリンティングによって製造してもよい。生成された部品は、例えば射出成形又はポリマー注型用のモールド(成形型)として使用することができる。残念ながら、これらの方法は解像度に限界があるため、スロープではなく階段状のはしごを製造することとなり、コストがかかる。
マイクロ流体システムにおいて、高さ勾配は重要な役割を果たす。例えば、Heらは、マイクロ流体ミキサーに傾斜をつけ、効率を10%向上させた。非特許文献1参照。断面が台形のマイクロ流体チャネルは、粒子分離を目的とした遠心マイクロフルイディクスに応用されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。これらの事例では、このような装置の製造は、ステレオリソグラフィのような複雑で拡張性のない製造プロトコルに依存していた。
微小環境における化学物質又は生体分子の濃度勾配は、転移、胚発生、軸索誘導、及び創傷治癒などの細胞行動に重要な役割を果たす(非特許文献5)。そのサイズが濃度勾配のスケールと一致しているため、マイクロフルイディクスは、そのような細胞プロセスを研究するための生体分子勾配を作成するために流体の流れ及び拡散プロファイルを操作するための効率的なツールとなった。濃度勾配を生成する方法は一般に、矩形マイクロ流体チャネルの斜め分岐構成を利用する[非特許文献6]。Futai氏らは、光露光SU-8レジストを操作してPDMSモールドに傾斜を生成することで生じるマイクロ流体チャネル内の高さ勾配を利用することで、長時間濃度勾配発生装置を作製した[非特許文献7]。
Lenkらは、非特許文献8で、マイクロ流体チャンネル開口部の前に血漿抽出膜を斜めに組み立てることで、チャンネルと膜との間にくさびのような構造を形成し、キャピラリー駆動血漿抽出を開始できることを示した。Hauserらは非特許文献9で、計量抽出された血漿のためのピンチオフ構造と、血漿を回収するための多孔質プラグとを有する同様の装置を示している。特許文献5(WO 2020/050770)は、計量チャネルと、計量チャネルと多孔質マトリックスとの間の橋渡し要素のT字型構成を開示している。しかしながら、T字型構成はヘマトクリット依存性のために不利であることが判明している。従って、これらの装置は、精度又は様々な範囲の血液ヘマトクリット値での信頼性の高い繰り返し動作を損なう可能性のある気泡の混入を制御又は回避するため、装置内の毛細管現象の変化に対応するための改良が必要である。さらに、簡単で効率的な大規模生産プロセスに準拠するために改善が必要である。例えば、特許文献6(WO2011/003689 A2)には、液体輸送用のスロープに関する製造上の問題が開示されている。不要な気泡の形成は、マイクロフルイディクスにおける一般的な問題である。Choi氏らは、流体の前部が流路から容積の大きい区画に流入する際の気泡形成を克服するために、親水性ストリップを用いた解決策を提唱している。特許文献7(US 2009/0152187)は、濾過プロセスを高速化するために、出口に向かって絞られた形状の血漿分離フィルタチップを開示している。しかし、計量機能、又は血漿分離付きマイクロ流体装置の入口における毛管現象のバランスをとる方法については開示されていない。
米国特許公開第2014/0332098号明細書 国際公開第2016/209147号パンフレット 米国特許公開第2015/0147777号明細書 国際公開第2015/044454号パンフレット 国際公開第2020/050770号パンフレット 国際公開第2011/003689号パンフレット 米国特許公開第2009/0152187号明細書
Microfluidics and Nanofluidics volume 19, pages 829-836(2015) Scientific Reports volume 3, Article number: 1475 (2013) Micromachines (Basel). 2018 Apr; 9(4): 171 Scientific Reports volume 5, Article number: 7717 (2015) Electrophoresis 2010 Sep;31(18):3014-27 RSC Adv., 2017,7, 29966-29984 Micromachines (Basel) <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6356992/>. 2019 Jan; 10(1): 9 Analytical chemistry 90 (22), 13393-13399 Analytical Chemistry 2019, 91, 7125-7130
本開示の目的は、分析のためにサンプリングされた体液を計量及び回収するための入口及び計量セクションを有する自律型マイクロ流体キャピラリー駆動装置であって、増加した毛管現象を許容するチャネルシステムを有する制御されたキャピラリー輸送を有する装置を提供することである。
本開示の目的は、血漿のような濾過された体液の抽出プロセスを促進し制御するために、濾過膜表面上の分配をサポートするために、血液のようなサンプルを濾過膜にアクセスするための、制御されて増加した毛管現象を有するマイクロ流体装置の入口セクションを提供することである。
本開示の目的は、マイクロ流体装置に十分な体液量を受容させるような機能を導入することであり、該機能は、不十分な受容量を修正するための簡単な観察及び便利なユーザー相互作用に依存する。
本開示の目的は、未濾過体液及び濾過体液から成る残りの流体プラグから、十分に規定された容量の濾過体液を正確に分離することを可能にする、体液の濾過のための濾過膜を備えたキャピラリー駆動式の装置を提供することである。
本開示の目的は、回収のために計量された流体の正確な輸送及び分離をサポートするために、体液の濾過のためにキャピラリー駆動し、制御された気泡導入による気液界面に依存する計量機能部を有する装置を提供することである。
本開示の目的はまた、血液サンプルを濾過して輸送し、得られた血漿を正確に計量し、計量された血漿サンプル分離することができ、すべての血液ヘマトクリットレベルに対して確実に動作するマイクロ流体装置を提供するである。
本開示の目的はまた、制御された注入量のサンプル体液を受け入れ、装置のデッドボリュームと相関するマイクロ流体装置を提供することであり、規定された出力容量は分析のために回収される。
本開示の一般的な態様及び以下では、体液を正確に輸送、濾過、計量及び回収するために、慎重に選択された構成を有するシステムのチャンバ及びチャネルを指す。このような構成は、輸送及び計量された容量の分離及び回収を適切にサポートするように設計されたチャンバ又はチャネルの寸法を含む。寸法は、チャンバ又はチャネルの「高さ(“height”)」、「幅(“width”)」の観点から対処することができる。その他の構成は、チャンバ又はチャネルを構成する材料又はその他の特徴に関連することができ、そのような文脈では「床部(“floor”)」又は「天井(“roof”)」といった用語が使用される。従って、このような用語は当業者にとって通常の意味を有する。本開示の文脈では、マイクロ流体装置は、「コネクタ(“connector”)」、「流体コネクタ(“a fluid connector”)」、又は「接続ピース(“a connecting piece”)」を用いて配置される。これらの用語が使用される場合、装置の隣接部分と流体的に連通するチャネル又はチャンバを連結することを表し、装置内のキャピラリー輸送をサポートするために開示されたような寸法にされ、そして装置に特定の機能を導入してもよい。
本開示の一般的な側面において、用語「毛管現象(“capillarity”)」は、表面張力又は界面張力が存在する液体-空気界面に存在するキャピラリー圧力に関する。毛管現象は、膜の孔径などの装置の寸法、水性又は有機などの液体の種類、塩含有量など、及び表面の疎水性又は親水性の程度(接触角)を含む疎水性又は親水性などの流量チャネルの寸法及び/又は表面特性に依存する。「毛管現象」及び「キャピラリー圧力(“capillary pressure”)」という用語は、いずれも本開示の様々な文脈で使用される。例えば、「毛管現象」という用語は、チャネル及びチャンバなどの装置の特徴を機能的に説明するために使用される。例えば、「キャピラリー圧力」という用語は、例えば、本発明装置によって体液を輸送及び計量する本開示の方法を実施することを説明する際に使用される。本明細書で称される「キャピラリー手段(“capillary means”)」とは、キャピラリーポンプとして機能し、その後の体液成分分析のために体液を回収することができる多孔性部材のことである。
「流量低減手段(“flow reduction means”)」という用語は、本開示の文脈において、装置の入口から出口への体液のキャピラリー流量を一時的に低減又は停止させる、装置のチャネル又はチャンバを特徴づける一般的な意味を持つ。流量低減手段としては、キャピラリーストップバルブ、溶解可能バルブ、親水性を変化させたチャネルの一部、寸法を変化させたチャネルの一部、流量抵抗を増加させたチャネルの一部などが例示される。
「ピンチオフ手段(“pinch-off means”)」という用語は一般的に、体液の所定の容量が装置の残りの体液から分離する本開示の部分を説明するために使用される。この点で、ピンチオフは、空気の入口に対する抵抗が周囲の領域と比較して低い点である、毛管現象が低い装置内の領域に気泡を導入することによって確立される。本開示による「ピンチオフ手段」は、ピンチオフ領域内の1つ以上の通気孔から1つ以上の気泡を導入するための流量抵抗を低減するために使用することができ、それによって、装置による残りのサンプリング量から計量された液体量を切り離すことができる、輸送された液体カラムに低いキャピラリー圧力を誘導するように設計されたピンチオフ領域に配置することができる。
本開示の一般的な態様及び以下において、「キャピラリー手段(“capillary means”)」とは、キャピラリーポンプとして作用し、その後の1つ又は分析物の分析のために、装置内の計量された体液を、随意的に濾過された体液中に回収する役割を果たす機能である。当業者は、特許文献4(WO2015/044454)でさらに説明されているように、キャピラリー手段は、装置の他の部分に適合された制御された多孔性を有することを理解するであろう。本開示の一般的側面及び以下において、用語「体液(“body fluid”)」は血液に関連し得、濾過された体液は血漿である。輸送、計量及び回収のための他の体液もまた、装置を用いて実行することが考えられるであろう。
本開示の第1の態様において、キャピラリー輸送によって、分析のための体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置が提供され、該装置は、体液のサンプルを受け取るための入口セクションであって、体液のサンプルを輸送するように構成された入口ポート及びチャネルシステムを含む、入口セクションと、血液から血漿を分離するように構成された濾過膜と、受け取った体液の所定量を計量し、装置内の残りの体液から切り離すように構成された計量セクションと、計量セクションから計量された体液容量を受け取り回収するように構成された出口セクションであって、計量された体液容量を回収するためのキャピラリー手段を含む、出口セクションと、を備え、チャネルシステムは、流れ方向に連続して、入口ポートと流体的に連通するように配置された第1のチャネル、第2のチャネル及び第3のチャネルを含み、入口セクション及びチャネルシステムは、体液のサンプルを、入口セクションから濾過膜まで段階的又は漸進的に増加する毛管現象で、濾過膜に輸送し、また濾過膜全体に分配するように構成され、計量セクションは、濾過膜から抽出された体液を受け入れるように構成され、また計量チャネルと流体的に連通するように配置された抽出チャンバを含み、及び該計量セクションは、計量された体液量を分離するように構成されたピンチオフ手段を含み、該ピンチオフ手段は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの通気孔を含むものである。
毛管現象の段階的又は漸進的な増加は、装置の連続操作を保証するよう、体液サンプルが入口セクションから濾過膜まで留め置きなく確実に移送させる。さらに、毛管現象の段階的又は漸進的な増加は、膜全体にわたりほぼ均等に濾過が行われるような分配を可能にする。通気孔により、残りの体液量から計量された体液量の効果的な分離が達成される。
一実施形態では、チャネルシステムの毛管現象の段階的又は漸進的な増加は、入口ポートから濾過膜まで連続して、チャネルの高さを減少させ、及び/又はチャネルの親水性を連続して増加させることによって確立される。
一実施形態では、第3のチャネルの床部は濾過膜の平坦な上面によって画定される。従って、第3のチャネルは濾過膜と平行に延び、濾過チャンバを形成する。
一実施形態では、第2のチャネルに対する第1のチャネルの高さの比は少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1であり、第3のチャネルに対する第2のチャネルの高さの比は少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1であり、好ましくは、第1のチャネルの高さは500~2000μmであり、第2のチャネルの高さは100~600μmであり、第3のチャネルの高さは25~200μmである。
一実施形態では、第2のチャネルは、キャピラリーストップバルブと、検査窓のような目視充填検査のための手段とを含み、両者は第1のチャネル出口に隣接して配置される。キャピラリーストップバルブにより、体液の供給が入口ポートから除去されるまで、チャネルシステムを通る体液の流れは中断される可能性があり、これにより、キャピラリーストップバルブは、キャピラリーストップバルブの閾値圧力に打ち勝つ入口ポートに形成される液滴のラプラス圧力の増加によって決壊する。これは、体液が第2のチャネルに流入する前に体液の量を計量するために使用することができる。ユーザーは、十分な量が供給されたことを確認するために、目視検査手段で充填レベルを確認することができる。
一実施形態では、キャピラリーストップバルブは、親水性が変更された第2のチャネルの一部及び/又は寸法が変更された第2のチャネルの一部の少なくとも一方から選択される。第2のチャネルの親水性及び/又は寸法は、キャピラリーストップバルブの所望の閾値又は決壊圧力を達成するように構成してもよい。好ましくは、キャピラリーストップバルブは、第2のチャネルの高さにおける急激な増加によって形成される。
一実施形態では、ピンチオフ手段は、計量チャネルの入口の前に位置する1つ以上の通気孔と流体的に連通するように配置されたピンチオフ領域を含み、該ピンチオフ領域は、抽出チャンバの最大高さよりも低い高さを有する高さ減少要素を含む。好ましくは、高さ減少要素は、抽出チャンバ内における液体の留め置きを防止するための貫通孔を有する。
一実施形態では、抽出チャンバは、漸進的に高さが増加する部分、高さ減少要素を有する部分、及び計量チャネルと流体的に連通するように配置された最大高さを有する部分を含む。
一実施形態では、抽出チャンバの頂部は濾過膜の平坦な下面によって画定され、抽出チャンバの床部は濾過膜との接点から計量チャンネルに向かって鋭角に延伸する。好ましくは、抽出チャンバは、濾過膜との接点から計量チャネルに向かって高さが漸進的に増加する概ねくさび形であり、抽出チャンバの最大高さは計量チャネルの高さを超える。濾過膜と抽出チャンバの床部との間の鋭角により、計量チャンネルに向かって発散する(広がっていく)くさび形の抽出チャンバを実現することができ、その結果、発散表面相互間の空間を漸進的に充填することが可能になり、キャピラリーポンプがほぼ形成される。同時に、濾過膜のほぼ平らで水平な向きを維持することが可能であり、血漿抽出中の蒸発及び汚染から血液サンプルを保護するためのチャンバ構造へ濾過膜の統合することを容易にする。
一実施形態では、第1のチャネルは、装置のデッドボリューム及び計量された量(出力量)に相関する容積を有する。好ましくは、第1のチャネルの容積は、計量された量以外の体液量の前部メニスカスが出口セクションのキャピラリー手段に到達するのを防ぐのに十分なものとする。デッドボリュームは、計量されず、また出口セクションのキャピラリー手段で回収されるすべての容積の合計である。言い換えれば、デッドボリュームは、濾過チャンバ、血漿抽出(濾過)膜、及び血漿抽出チャンバ全体に分配されるシステム内の残留容積である。血漿出力(計量)量は、例えばピンチオフ効果によってデッドボリュームから分離される体積である。装置のユーザーによって入口ポートに加えられる入力量は変化し、計量された出力量は一定で装置によって予め決定されるため、デッドボリュームもまた、許容範囲内で変化する。従って、第1チャンネルの容積は、デッドボリューム及び出力計量量に相関する。このように第1のチャネルの容積を選択することにより、血漿サンプリングに必要な量の血液のみが第1のチャネルに流入することが保証される。
一実施形態では、計量チャネルは、分離済みの計量した量の体液の流体前部メニスカスが、出口セクションに輸送されるときに、キャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状をとるように構成された寸法変化を有する出口部分を持つ。計量チャネルの出口部分の寸法変化によって、流体前部メニスカスの形状を、界面での互いの形状が一致するように、キャピラリー手段の形状に適合させることができる。これにより、キャピラリー手段への分離された計量した量の体液の衝突を制御して、2つの媒体間の気泡形成を防止することができる。
一実施形態では、寸法変化は、計量チャネルの幅及び/又は高さの減少を含む。幅及び/又は高さを減少させることにより、計量チャネルの表面粗さ又は寸法ばらつきのすべての影響を克服して、ほぼ直線状又は平面状のメニスカスの形成を誘導することが可能である。
一実施形態では、キャピラリー手段に隣接する計量チャネルの出口部分の遠位端は、計量チャネルの幅よりも小さい一定の幅を有する。好ましくは、計量チャネルの出口部分は、幅が漸進的に減少する第1の部分と、計量チャネルの幅よりも小さい一定の幅を有する第2の部分とを有する。幅の縮小により、流体メニスカスは凸形状から、キャピラリー手段の形状に一致するほぼ平面形状になる。
一実施形態では、流体前部メニスカスとの界面におけるキャピラリー手段の表面形状は、曲面又はほぼ平面である。
一実施形態では、出口セクションは、計量チャネルの最小寸法よりも小さい平均孔径を有する親水性多孔質ブリッジ素子からなり、ブリッジ素子は、計量チャネルの出口部分及びキャピラリー手段と流体的に連通して配置される。キャピラリー手段を2つのコンポーネントに設けることで、毛管現象を増大させ、分離された体液の計量容量を計量チャネルから紙基板に確実に輸送して回収することができる。
さらに、本開示の第1の態様は、マイクロ流体装置におけるキャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量容量をサンプリング、輸送、及び回収するための方法に関し、該方法は、以下のステップ、すなわち、装置の入口ポートに体液を供給するステップと、入口ポートと流体的に連通するように配置されたチャネルシステムを充填するステップであって、該チャネルシステムは、入口ポートと流体的に連通するように配置された第1のチャネル、第2のチャネル及び第3のチャネルを流れの方向に連続して備えるものである、該充填するステップと、段階的又は漸進的に増加する毛管現象で体液のサンプルを、血液から血漿を分離するように構成された濾過膜まで輸送するステップと、体液のサンプルを濾過膜全体に分配するステップと、濾過された体液を、抽出チャンバ、及び抽出チャンバに流体的に連通する計量チャネルを含む計量セクション内に受け入れるステップと、計量チャネル内の濾過された体液を、濾過された体液を回収するためのキャピラリー手段を含む出口セクションまで輸送するステップと、最低キャピラリー圧力を誘導する計量セクションの一部に少なくとも1つの気泡を導入することによって濾過済みの計量された体液量を切り離すステップと、並びにキャピラリー手段内における濾過済みの計量された体液量を回収するステップと、を含む。
一実施形態では、本方法は、血漿を測定及び回収する血液サンプルを用いて、第1の態様による装置を用いて実施される。
本開示の第2の態様において、キャピラリー輸送による分析のために、体液の計量された容量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置が提供され、該装置は、以下、すなわち、体液のサンプルを受け取るための入口セクションであって、入口ポート及びチャネルシステムを含む入口セクションと、血液から血漿を分離するように構成された濾過膜であって、該入口ポート及び該チャネルシステムは、体液のサンプルを輸送し、該入口ポートから該濾過膜まで段階的に又は漸進的に増加する毛細管性で濾過膜全体に分配するように構成された濾過膜と、受け取った体液の所定量を計量するように構成された計量機能部と、輸送された体液のサンプルを受け取るための少なくとも1つの多孔性媒体と、を含む。
毛管現象を段階的又は漸進的に増加させることにより、体液のサンプルが入口セクションから濾過膜までピン止めされることなく輸送され、装置の連続的な作動が確実に保証される。さらに、毛管現象を段階的又は漸進的に増加させることにより、膜全体にほぼ均等に濾過が行われるように、膜全体に分布させることができる。
一実施形態では、チャネルシステムは、入口ポートと流体的に連通して配置された第1のチャネルと、第1のチャネルよりも高い毛管現象を有する第2のチャネルとを含む、少なくとも2つの流路を備える。一実施形態では、第2のチャネルに対する第1のチャネルとの高さの比は、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1である。少なくとも2つの流路を用いると、毛管現象の増大は、例えば高さの減少を通じて、少なくとも2段階で達成することができる。
一実施形態では、チャネルシステムは、流量低減手段と、検査窓のような目視充填検査手段との少なくとも一方を備える。好ましくは、充填検査手段は、第1のチャネルに隣接する第2のチャネルに設けられる。流量低減手段及び充填検査手段は、十分な量が追加されたとき、すなわちチャネルシステムが充填されたときに、オペレータが装置への体液の塗布(被着)を停止することができるように、サンプルの流れを中断することによって予備計量を可能にする。
一実施形態では、流量低減手段は、親水性が改変された第2のチャネルの一部、寸法が変更された第2のチャネルの一部、及び流動抵抗が増大した第2のチャネルの一部、のうちの少なくとも1つから選択され、好ましくは、流量低減手段は、目視検査のための手段に隣接して設けられる。好ましくは、流量減少手段は、溶解可能なバルブ又はキャピラリーストップバルブであり、好ましくは、キャピラリーストップバルブは、第2のチャネルの高さの急激な増加を含む。
一実施形態では、多孔性媒体は、受容した量を吸収して回収するように構成され、好ましくは、多孔性流体媒体は、側方流体媒体又は濾紙である。
一実施形態では、計量機能部は、濾過膜から抽出された体液を受け入れるように構成され、計量チャネルと流体的に連通するように配置された抽出チャンバを有する計量セクションを備え、装置はさらに、計量チャネルから体液の計量した量を受けとって回収するように構成された出口セクションを含み、出口セクションは、計量された量を回収するためのキャピラリー手段を含む。
一実施形態では、チャネルシステムは、第1の毛管現象を有し、入口ポートと流体的に流通するように配置された第1のチャネルと、第2の毛管現象を有し、該第2の毛管現象は該第1の毛管現象よりも高い第3のチャネルとを備え、該第3のチャネルは頂部、随意的に通気孔を含み、そして第1のチャネルから到着した体液のサンプルを濾過膜全体に均質に分配するように構成される。好ましくは、第3のチャネルは、濾過膜の平坦な上面によって画定された床部を備える。
一実施形態では、チャネルシステムの毛管現象の段階的又は漸進的な増加は、入口ポートから濾過膜まで、チャネルの高さを連続的に減少させ、及び/又はチャネルの親水性を増加させることによって確立される。好ましくは、入口ポートから濾過膜までのチャネルシステムの毛管現象の段階的な増加は、少なくとも2段階にわたって確立される。
一実施形態では、第1のチャネルは、デッドボリューム及び装置の計量された量に相関する容積を有し、好ましくは、第1のチャネルの容積は、計量された量以外の体液量の前部メニスカスが出口セクションのキャピラリー手段に到達するのを防止するのに十分である。デッドボリュームは、計量されず、出口でキャピラリー手段に回収されるすべての量の合計である。換言すれば、デッドボリュームは、濾過チャンバ、血漿抽出(濾過)膜、及び血漿抽出チャンバにわたって分配されたシステム内の残留量である。血漿出力(計量)量は、例えばピンチオフ効果によってデッドボリュームから分離される量である。装置のユーザーによって入口ポートに加えられる入力量は変化するが、計量された出力量は一定で装置によって予め決定されるため、デッドボリュームもまた許容範囲内で変化する。従って、第1のチャネルの容積は、デッドボリューム及び出力計量量に相関する。第1のチャネルの容積をこのように選択することにより、血漿サンプリングに必要な量の血液のみが第1のチャネルに流入することが確実となる。
一実施形態では、装置はさらに、第1のチャネルと第3のチャネルとの間に配置され、流体的に連通する第2のチャネルを備える。第2のチャネルは、毛管現象の段階的又は漸進的な増加を達成するために、チャネルシステムに追加のステップを提供する。好ましくは、第3のチャネルに対する第2のチャネルの高さ比は、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1である。
一実施形態では、抽出チャンバは、濾過膜との接触部から計量チャネルに向かって高さが徐々に高くなる概ねくさび形であり、抽出チャンバの最大高さは計量チャネルの高さよりも高い。くさび形は、抽出チャンバの段階的な充填を可能にする。
一実施形態では、装置はさらに、体液の計量された量を分離するように構成されたピンチオフ手段を備え、該ピンチオフ手段は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの通気孔を含む。通気孔によって、体液の残量から計量された量の効果的な分離が達成される。
一実施形態では、ピンチオフ手段は、計量チャネルの入口に隣接して配置された、少なくとも1つの通気孔と流体的に連通するピンチオフ領域を含み、該ピンチオフ領域は、抽出チャンバの最大高さよりも低い高さを有する高さ減少要素を含む。好ましくは、抽出チャンバは、高さが漸進的に増加する部分と、高さ減少要素を有する部分と、計量チャネルに流体的に連通する抽出チャンバの最大高さを有する部分とを含む。高さ減少要素は、抽出チャンバの出口で毛管現象を増加させ、このように、濾過膜を通る体液の継続的な輸送と濾過とを確実にする。
一実施形態では、高さ減少要素は、液体の留め置きを防止するための貫通孔を含む。
さらに、本開示の第2の態様は、この第2の態様に具体化されるようなマイクロ流体デバイスによって、分析のために体液サンプルをサンプリングし、計量し、回収する方法に関する。本方法は、サンプル量を装置の入口ポートに注入するステップと、キャピラリー圧力の連続的な上昇、好ましくはキャピラリー圧力の段階的な上昇を許容するチャネルシステムを介してサンプル量を多孔性濾過膜に輸送するステップと、を含む。本方法はさらに、多孔性濾過膜からさらに増加したキャピラリー圧力を許容し、細胞物質を分離し、残りの体液を抽出するステップと、濾過膜から濾過済み体液を、徐々に低いキャピラリー圧力を誘導する抽出チャンバ内に受け入れると、 増加したキャピラリー圧力によって濾過済み体液で計量チャネルを充填するステップと、体液が最も低いキャピラリー圧力を受けるように予め規定された時点で気泡を導入することによって、抽出チャンバと計量チャネルとの間の流体的な連通を遮断するステップと、計量された体液を、出口セクションに含まれるキャピラリー手段に回収するステップと、を含む。好ましくは、計量された体液がキャピラリー手段に接触すると、抽出チャンバと計量チャネルとの間の流体的な連通が遮断される。
本方法の実施形態では、体液の量が入口ポートに手動で塗布(被着)され、入口ポートから体液が第1のチャネルを満たすように導入され、第1のチャネルが充填すると、流量減少手段が体液の輸送を一時的に停止又は減少させる。装置が正しく充填されたことを確認した後、余分な体液は入口ポートから除去され、さらなる輸送には、分離、計量、及び回収の手順が必要である。
本開示の第3の態様では、キャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置が提供され、該装置は、以下のもの、すなわち、体液のサンプルを受け取るための入口ポートを含む入口セクションと、該入口セクションから体液を受け取るように構成され、計量チャネルを備える計量セクションであって、該計量チャネルに充填された体液の計量容量を分離するように配置されるものである、該計量セクションと、及び、所定の表面形状を有するキャピラリー手段へ回収するために、分離された計量した量の体液を受け取り輸送するように構成された出口セクションであって、分離された計量した量の体液の流体前部メニスカスが、出口セクションに輸送されるときにキャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状をとるように構成された寸法変化を有する出口部分を有する、該出口セクションと、を備える。
計量チャネルの出口部分の寸法変化によって、流体前部メニスカスの形状を、界面の形状が互いに一致するように、キャピラリー手段の形状に適合させることができる。それによって、キャピラリー手段への分離された体液の計量した量の衝突を制御して、2つの媒体間の気泡形成を防止することができる。
一実施形態では、寸法変化は、計量チャネルの幅及び/又は高さの縮小を含む。幅及び/又は高さを小さくすることにより、計量チャネルの表面粗さ又は寸法ばらつきのいかなる影響をも克服して、ほぼ直線状又は平面状のメニスカスの形成を引き起こすことが可能である。
一実施形態では、キャピラリー手段に隣接する計量チャネルの出口部分の遠位端は、計量チャネルの幅よりも小さい一定の幅を有する。好ましくは、計量チャネルの出口部分は、幅が漸進的に減少する第1の部分と、計量チャネルの幅よりも小さい一定の幅を有する第2の部分とを有する。この幅の減少により、流体メニスカスは凸形状から、キャピラリー手段の形状に合致するほぼ平面的な形状になる。
一実施形態では、流体前部メニスカスとの界面におけるキャピラリー手段の表面形状は、曲面状又はほぼ平面状である。
一実施形態では、キャピラリー手段は、計量チャネルの出口部分と流体的に連通するように配置されたブリッジ要素と、ブリッジ要素に接続された紙基板とを含む。好ましくは、ブリッジ要素は、計量チャネルの最小寸法よりも小さい平均孔径を有する親水性多孔性要素である。キャピラリー手段を2つの構成要素に設けることで、毛管現象を増大させ、分離された計量した体液量を計量チャネルから紙基板に確実に輸送して回収することができる。
一実施形態では、ブリッジ要素は、マイクロ紙パルプ、マイクロフィブリル化セルロース、オープンセル親水性ポリマー、又は高圧縮性ガラスファイバーウェブの少なくとも1つから選択される材料から作成される。
一実施形態では、流体前部メニスカスとの界面表面におけるブリッジ要素の表面形状は曲面状、又はほぼ平面状である。
一実施形態において、装置はさらに、体液から選択された細胞を分離するように構成された濾過膜を含み、入口セクションは、体液のサンプルを濾過膜に輸送し、体液のサンプルが濾過膜全体に分配するように構成され、計量セクションは、濾過膜から体液を受け取り、受け取った体液を計量チャネルに輸送するように構成された抽出チャンバを含む。濾過膜により、キャピラリー手段で採取する全血から血漿などを分離することができる。
一実施形態では、装置はさらに、体液の計量された量を分離するように構成されたピンチオフ手段を備え、該ピンチオフ手段は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの通気孔を含む。通気孔によって、体液の残量から計量された体液量の効果的な分離が達成される。
一実施形態では、ピンチオフ手段は、少なくとも1つの通気孔と流体的に連通するピンチオフ領域を含み、ピンチオフ領域は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置され、より低い高さを有する領域に囲まれている。好ましくは、ピンチオフ領域を取り囲む抽出チャンバの少なくとも一部分は、計量チャネルの高さよりも低い高さを有する。周囲の高さが低い領域は、ピンチオフ領域のキャピラリー圧力の低下につながり、気泡の導入を促進する。
一実施形態では、計量セクションは、抽出チャンバと計量チャネルとの間に延在する流体コネクタと、通気孔とを含む。通気孔は、流体コネクタに隣接して、又は流体コネクタが計量チャネルに接する位置に配置してもよい。好ましくは、通気孔は計量チャネルの入口に配置され、計量チャネルの断面積と同一又はそれ以上の断面積を有する周囲空気に対するオリフィスとして構成される。そのため通気孔は、抽出チャンバの下流で計量チャンネルの上流に気泡を導入し、計量された体液量を分離するのに最適な、キャピラリー圧力の低い装置の位置に設置される。
一実施形態では、流体コネクタは、計量チャネルとは異なる寸法を有し、寸法は、高さ、幅及び長さのうちの1つ以上から選択される。好ましくは、流体コネクタは、計量チャネルの入口に向かって漸進的に増加する高さを有する。それにより、流体/空気の界面が増大し、気泡の導入が容易になる。
一実施形態では、抽出チャンバの最大高さは計量チャネルの高さよりも低い。
さらに、本開示の第3の態様は、マイクロ流体デバイスの入口からキャピラリー手段へのキャピラリー輸送によって、分析のために計量された体液量をサンプリングし、輸送し、回収するための方法に関し、該方法は以下のステップ、すなわち、体液のサンプルを装置の入口ポートに注入し、体液を随意的に濾過膜に通して、計量チャネルに輸送するステップと、計量チャネルが体液のサンプルを所定の表面形状を有するキャピラリー手段を含む出口セクションへ輸送することを許容するステップと、キャピラリー手段内で計量された流体を受け取り、キャピラリー圧力が低いことを示す計量チャネルの上流の装置の箇所に少なくとも1つの気泡を導入することによって、残りのサンプル量から計量された量の体液を分離するステップと、計量された体液の容量をキャピラリー手段に回収するステップで、出口セクションに輸送されるときに、計量チャネルの出口部分が、分離された体液の量(体積)の流体前部メニスカスを、キャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状にさせる寸法変化を構成するステップと、を含む。
本開示の第4の態様では、キャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置の出口セクションを製造する方法が提供され、該方法は、以下のステップ、すなわち、入口ポートを有する入口セクションから体液を受け取るように構成された計量チャネルを含む計量セクションに流体的に連通する出口セクションを有するマイクロ流体装置を準備するステップであり、該出口セクションは、計量チャネルの出口部分と装置の出口オリフィスとの間にブリッジキャビティを含むものである、該マイクロ流体装置を準備するステップと、ブリッジキャビティの形状に適合するように配置された親水性の多孔性ブリッジ要素を準備するステップと、ブリッジ要素がブリッジキャビティと出口オリフィスとをほぼ満たすようにブリッジ要素をブリッジキャビティに挿入するステップと、及び出口セクションにキャピラリー手段を取り付け、これによりキャピラリー手段とブリッジ要素との接触を確立するステップと、を備える。
ブリッジキャビティがほぼ充填されるように、適合可能な親水性多孔性ブリッジ要素をブリッジキャビティに挿入することにより、高精度の切断及び出口への多孔性要素の配置の必要性が低減又は排除される。その代わりに、第4の態様による方法は、自動化された高スループット大量製造における解決策の適用を可能にする。
一実施形態において、挿入することでブリッジ要素は計量チャネル内に突出する。好ましくは、挿入によって、計量チャネル内に突出するブリッジ要素の部分の表面は、計量チャネル内の体液における計量された量(体積)の流体前部メニスカスにほぼ適合する形状をとる。従って、分離された体液の計量された量のブリッジ要素への衝突を制御して、2つの媒体間の気泡形成を防止することができる。
一実施形態では、ブリッジ要素は圧縮可能な多孔質材料で作られ、ブリッジキャビティの容積より大きい体積を有し、挿入はブリッジキャビティにブリッジ要素を圧縮することを含む。圧縮可能な材料を用いると、ブリッジ要素をブリッジキャビティ内に単純に圧縮して挿入するだけで、確実にブリッジキャビティとブリッジ要素との間に隙間は形成されない。
一実施形態では、ブリッジ要素は分注可能な多孔質材料で作られており、挿入は、多孔質材料を、出口オリフィスの外側に突出するようにブリッジキャビティ内に分注し、多孔質材料が固化してブリッジ要素を形成するようにすることを含む。分注可能な材料を用いると、ブリッジ要素をブリッジキャビティ内に単純に分注するだけで、確実にブリッジキャビティとブリッジ要素との間に隙間は形成されない。この文脈では、分注可能な材料は、例えば、ノズルなどを通してブリッジキャビティに分注され、その後硬化又は固化する液状の任意の適切な材料を包含する。
一実施形態では、キャピラリー手段は、ブリッジ要素よりも高いキャピラリー圧力を体液に及ぼすように構成され、該ブリッジ要素は、計量チャネルの最小寸法よりも小さい平均孔径を有する。これにより、体液サンプルは、計量チャネルからブリッジ要素を通ってキャピラリー手段に確実に輸送される。
一実施形態では、ブリッジ要素は、マイクロ紙パルプ、マイクロフィブリル化セルロース、オープンセル親水性ポリマー、又は高圧縮性ガラスファイバーウェブの少なくとも1つから選択される材料から作られる。
さらに、第4の態様は、キャピラリー輸送によって分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置に関し、該装置は、以下すなわち、体液サンプルを受け取るために入口ポートを含む入口セクションと、入口セクションから体液を受け取るように構成され、また計量チャネルを含む計量セクションであって、計量チャネルに充填される体液の計量された量を分離するように配置される、該計量セクションと、並びに計量チャネルの出口部分と装置の出口オリフィスとの間のブリッジキャビティ、ブリッジキャビティの形状に適合するように配置され、ブリッジキャビティと出口オリフィスとをほぼ充填するようにブリッジキャビティ内に挿入される親水性多孔性ブリッジ要素、ブリッジ要素に接触するよう出口部分に取り付けられたキャピラリー手段を含む出口セクションと、を備える。
一実施形態では、本装置はさらに、体液から選択された細胞を分離するように構成された濾過膜を備え、入口セクションは、体液のサンプルを濾過膜に輸送し、濾過膜全体に分配するように構成され、計量セクションは、濾過膜から体液を受け取り、受け取った体液を計量チャネルに輸送するように構成された抽出チャンバを含む。濾過膜により、キャピラリーで採取する全血から血漿などを分離することができる。
一実施形態では、計量セクションは、抽出チャンバと計量チャネルとの間に延在する流体コネクタと、通気孔とを含む。通気孔は、流体コネクタが計量チャネルに接する位置に隣接して配置されてもよく、また計量チャネルに接する位置に配置されてもよい。このように、通気孔は、装置のキャピラリー圧力の低い位置に配置され、体液の計量した量を分離するために、抽出チャンバの下流及び計量チャンネルの上流に気泡を導入するのに最適な位置に配置される。好ましくは、流体コネクタは、計量チャネルとは異なる寸法を有し、該寸法は、高さ、幅及び長さのうちの1つ以上から選択される。
一実施形態では、計量チャネルの出口部分は、分離された体液の計量した量の流体前部メニスカスが、出口セクションに輸送されるとき、キャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状をとるように構成される。好ましくは、計量チャネルに面するブリッジ要素の表面は、曲線状又はほぼ平面である。従って、分離された体液の計量した量がブリッジ要素に与える衝撃を制御して、2つの媒体間で気泡が形成されるのを防ぐことができる。
一実施形態では、本装置はさらに、体液の計量された量を分離するように構成されたピンチオフ手段をさらに含み、ピンチオフ手段は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの通気孔を含む。通気孔によって、体液の残量から計量された容量の効果的な分離が達成される。
一実施形態では、ピンチオフ手段は、少なくとも1つの通気孔と流体的に連通するピンチオフ領域を含み、ピンチオフ領域は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置され、より低い高さを有する領域に囲まれている。好ましくは、ピンチオフ領域を取り囲む抽出チャンバの少なくとも一部分は、計量チャネルの高さよりも低い高さを有する。周囲の高さが低い領域は、ピンチオフ領域のキャピラリー圧力の低下につながり、従って気泡の導入を促進する。
一実施形態では、抽出チャンバの最大高さは計量チャンネルの高さより低い。
一実施形態では、抽出チャンバはおよそくさび形であり、抽出チャンバの頂部は濾過膜の平坦な下面によって画定され、抽出チャンバの親水性の床部は濾過膜との接触部から計量チャネルに向かって鋭角に延伸する。濾過膜と抽出チャンバの床部との間の鋭角により、計量チャンネルに向かって発散するくさび形の抽出チャンバを実現することができ、その結果、発散表面相互間の空間を徐々に充填することが可能になり、実質的にキャピラリーポンプが形成される。同時に、濾過膜のほぼ平坦で水平な向きを維持することが可能であり、これは、血漿抽出中の蒸発及び汚染から血液サンプルを保護するためのチャンバ構造における濾過膜の一体化を容易にする。好ましくは、親水性の床部は、抽出チャンバと計量チャンネルとの間に延びる流体コネクタの床部である。
一実施形態では、流体コネクタは、抽出チャンバの最大高さよりも小さい最大高さと最小高さとを有する。
本開示の第5の態様では、キャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成された多層マイクロ流体装置が提供され、該装置は、以下すなわち、体液サンプルを受け入れるための入口セクションであって、入口ポートを含み、またサンプルを平坦で横方向に延びる濾過膜に輸送し、アクセスするように構成されている、該入口セクションと、計量セクションであって、抽出チャンバ及び計量チャンバを備え、抽出チャンバは、濾過膜から抽出された体液を受け入れるように構成され、また計量チャネルと流体的に連通して配置されているものである、該計量セクションと、計量された量の体液を計量流路から受け取り、回収するように構成された出口セクションであって、計量された容量の体液を回収するためのキャピラリー手段を含み、抽出チャンバの頂部は、濾過膜の平坦な下面によって画定され、抽出チャンバの床部は、計量チャネルの床部と連続し、濾過膜の下面から鋭角に延び、抽出チャンバの床部は、計量チャネルの床部に対して傾斜して勾配を形成するものである、該出口セクションと、を備える。
抽出チャンバの床部を傾斜させることで、計量チャネルに向かって発散するくさび形の抽出チェンバを実現することができ、その結果、発散表面相互間の空間を徐々に充填することが可能になり、ほぼキャピラリーポンプが形成される。同時に、濾過膜のほぼ平らで水平な向きを維持することが可能であり、血漿抽出中の蒸発及び汚染から血液サンプルを保護するためのチャンバ構造における濾過膜の一体化を容易にする。
一実施形態において、本装置は、下から上に向かって、底部層と、抽出チャンバ及び計量チャネルの床部を形成する親水性床層と、床層のための支持構造体であって、床層の第1の部分が支持構造体上に支持されて濾過膜に接触するように底部層と床層との間に配置され、床層の第2の部分が底部層上に支持され、計量チャネルに向かって漸進的に高さが増加する抽出チャンバを得るために濾過膜と床層との間に鋭角が形成される、該支持構造体と、を含む。層構造により、装置の組み立てが容易になり、スケーラブルな大量生産が可能になる。
一実施形態では、装置は、底部層、支持構造体、床層、計量セクションを収容するように構成されたチャネル構造層、及び計量チャネルに平坦な頂部面を提供するカバー層、から選択される少なくとも5つの層を含む。
一実施形態では、床層は、抽出チャンバの床部を形成する舌部の範囲を定めるスロットを含み、舌部の自由端は支持構造上に支持される。好ましくは、スロットはほぼC字形であり、舌部はほぼ円形又はほぼ正方形である。スロットにより、抽出チャンバの床部を形成する舌部の所望の形状を容易に切断することができ、例えば、濾過膜の形状に適合させることができる。
一実施形態では、床層は、出口セクションの出口ポートを形成する開口部を含む。
一実施形態では、底部層は、抽出チャンバのサイズにほぼ対応する第1の開口部と、キャピラリー手段を収容するように配置された第2の開口部とを含む。
一実施形態では、チャネル構造層は、支持構造体、抽出チャンバの床部及び出口セクションの出口ポートを収容するように配置された開口部を含み、好ましくは、前記チャネル構造層はさらに、計量チャネルの側壁を形成するスロットを含む。
一実施形態では、カバー層は、抽出チャンバのサイズにほぼ対応する開口部を含み、濾過膜の下面が開口部上に位置する。
異なる層の開口部は、マイクロ流体装置を形成する異なる構造に収容し、多層構造を可能にする。
一実施形態では、カバー層は、親水性表面を有するチャネル層に面する第1の側面と、接着性表面を有する第2の反対側の側面面とを有する。従って、親水性表面は計量チャネルの頂部を形成し、接着性表面はカバー層の上に追加の層を組み立てることを可能にする。
一実施形態では、本装置はさらに、入口セクションと装置ハウジングとを組み立てるために、カバー層の第2面に取り付けられた少なくとも1つの追加層を含む。
さらに、本開示の第5の態様は、フォイル層の積層によるマイクロ流体装置の製造方法に関し、該方法は以下のステップ、すなわち、デバイスの底部層として基板を準備するステップと、底部層上に支持構造を組み付けるステップと、親水性の上面を有する床層を準備するステップであって、床層の第1の部分が支持構造体上に支持され、床層の第2の部分が底部層上に支持されるように、床層を底部層上に組み付け、床層の第1の部分が第2の部分に対して傾斜して勾配を形成する、該床層を準備するステップと、計量セクションを収容するように構成されたチャンネル構造層を準備するステップであって、チャンネル構造層はチャンネル床層上に組み付けるものである、該チャンネル構造層を準備するステップと、カバー層を準備し、またカバー層をチャネル構造層上に組み付けるステップと、及び濾過膜をカバー層上に載置するよう水平に組み付け、これにより、床層の第1の部分を床部とする抽出チェンバを形成するステップと、を備える。
本製造方法により、くさび形の抽出チャンバを持つ多層マイクロ流体装置のスケーラブルな大量生産が可能になる。
一実施形態では、本方法はさらに、第1の部分を形成する舌部の範囲を定めるスロットを床層に形成するステップと、舌部の自由端が支持構造体上に支持されるように床層を底層上に組み立てるステップとを含む。
一実施形態では、床層は、出口セクションの出口ポートを形成する開口部を含む。
一実施形態では、底部層は、抽出チャンバのサイズにほぼ対応する第1の開口部と、キャピラリー手段を収容するように配置された第2の開口部とを含む。
一実施形態では、チャネル構造層は、支持構造体、抽出チャンバの床部、及び出口セクションの出口ポートを収容するように配置された開口部を含む。
一実施形態では、カバー層は、親水性表面を有するチャネル構造層に面する第1の側面と、粘着性表面を有する第2の反対側の側面とを有する。
一実施形態では、本方法はさらに、カバー層上に少なくとも1つの追加層を組み付けるステップと、後続する、少なくとも1つの追加層上に入口セクション及びハウジングを組み付けるステップとを備える。
本開示の第6の態様において、キャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置が提供され、該装置は、以下すなわち、体液サンプルを受け入れるための入口セクションであって、体液の供給を受けるように配置された入口ポートを含む、該入口セクションと、入口セクションから体液を受け入れるように構成され、第1のチャネルを含む計量機能部と、及び計量機能部から体液を受け入れるように構成され、第2のチャネルを含む後続セクションであって、第1のチャネルは、そこを通る体液の流れを中断又は減少させるように構成されたキャピラリーストップバルブと、キャピラリーストップバルブに隣接して配置された目視検査手段とを含み、入口ポートの形状及び/又は寸法は、入口ポートへの体液の供給が除去されたときに、入口ポートにおける体液メニスカスのラプラス圧力がキャピラリーストップバルブの閾値圧力よりも高くなるように構成されているものである、該後続セクションと、を備える。
入口ポートの形状及び/又は寸法を設計することにより、体液の供給が除去されたときに入口ポートに付着する体液のメニスカスの所望の曲率を達成することができる。一実施形態では、体液は、入口ポートに適用される指穿刺からの血液である。メニスカスの曲率は次に、液体の表面張力によって引き起こされるラプラス圧力を決定する。入口ポートにおける体液のラプラス圧力がキャピラリーストップバルブの閾値圧力よりも高くなるように入口ポートの形状及び/又は寸法を選択することにより、体液(例えば指の血液滴)の供給が除去されて体液が第1のチャネルから第2のチャネルに流れるようになったときに、キャピラリーストップバルブが決壊することになる。これは、体液が第2のチャネルに流入する前に体液の量を測定するために使用することができる。ユーザーは、十分な量が供給されたことを確認するために、目視検査手段で充填レベルを確認することができる。
一実施形態では、キャピラリーストップバルブは、親水性が変更された第1のチャネルの一部及び/又は寸法が変更された第1のチャネルの一部の少なくとも一方から選択される。第1のチャネルの親水性及び/又は寸法は、キャピラリーストップバルブの所望の閾値又は決壊圧力を達成するように構成され得る。好ましくは、キャピラリーストップバルブは、第1のチャネルの高さの急激な増加によって形成される。
一実施形態では、後続セクションは、第1のチャネルから体液を受け入れる又は回収するための少なくとも1つの多孔質媒体からなる。従って、体液のサンプルは、簡単かつ効率的な方法で収集され得る。
一実施形態では、第2のチャネルに対する第1のチャネルの高さの比は少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1である。高さの差は、第1のチャネルから第2のへのキャピラリー輸送の継続を確実にする。
一実施形態では、入口ポートを取り囲む表面は疎水性である。疎水性表面は、入口ポートに付着する体液の液滴の形成を助け、それによってラプラス圧力を増加させる。
一実施形態では、計量機能部は血液の予計量機能部であり、第1のチャネルは濾過膜と流体的に連通して配置された前計量チャネルと、濾過膜から体液を受け入れ、血漿計量チャネルに輸送して充填するように構成された抽出チェンバである。濾過膜、抽出チャンバ及び血漿計量チャンネルにより、該装置はさらに、好ましくは血漿計量チャンネルと流体的に連通するように配置されたキャピラリー手段において、血液から血漿を自律的に分離し、計量し、回収するように構成される。
一実施形態では、装置はさらに、体液の計量された量を分離するように構成されたピンチオフ手段をさらに備え、ピンチオフ手段は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの通気孔を備える。通気孔によって、体液の残量から計量された量の効果的な分離が達成される。
一実施形態では、ピンチオフ手段は、少なくとも1つの通気孔と流体的に連通し、抽出チャンバの最大高さを有する部分に隣接して配置され、より低い高さを有する領域に囲まれたピンチオフ領域を備える。好ましくは、ピンチオフ領域を取り囲む少なくとも1つの領域は、血漿計量チャネルの高さよりも低い高さを有する。周囲の高さが低い領域は、ピンチオフ領域のキャピラリー圧力の低下につながり、従って、気泡の導入を促進する。
一実施形態では、装置はさらに、抽出チャンバと血漿計量チャネルとの間に延びる流体コネクタと、通気孔とを含む。通気孔は、流体コネクタが血漿計量チャネルに接する位置に隣接して配置されてもよいし、又は、流体コネクタが血漿計量チャネルに接する位置に配置されてもよい。好ましくは、通気孔は、血漿計量チャネルの入口に配置され、血漿計量チャネルの断面積の大きさに等しいか又はそれよりも大きい断面積を有する周囲空気に対するオリフィスとして構成される。このため、通気孔は、体液の計量された量を分離するために、抽出チャンバの下流かつ血漿計量チャンネルの上流に気泡を導入するのに最適な、キャピラリー圧力の低い装置の位置に配置される。
一実施形態では、流体コネクタは、血漿計量チャネルとは異なる寸法を有し、該寸法は、高さ、幅及び長さのうちの1つ以上から選択される。
一実施形態では、抽出チャンバの最大高さは、血漿計量チャンネルの高さよりも低い。
一実施形態では、抽出チャンバは、高さが徐々に増加するおよそくさび形であり、抽出チャンバの頂部は、濾過膜の平坦な下面によって画定され、抽出チャンバの親水性床部は、濾過膜との接触部から血漿計量チャネルに向かって鋭角に延伸する。濾過膜と抽出チャンバの床部との間の鋭角により、血漿計量チャンネルに向かって発散するくさび形の抽出チャンバを実現することができ、その結果、発散表面相互間の空間を徐々に充填することが可能になり、実質的にキャピラリーポンプが形成される。同時に、濾過膜のほぼ平らで水平な向きを維持することが可能であり、血漿抽出中の蒸発及び汚染から血液サンプルを保護するためのチャンバ構造への濾過膜の統合を容易にする。
さらに、本開示の第6の態様は、マイクロ流体装置におけるキャピラリー輸送によって、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、輸送し、回収する方法に関し、該方法は、以下のステップ、すなわち、体液を手動で装置の入口ポートに塗布するステップと、入口ポートと流体的に連通するように配置された第1のチャネルを、キャピラリー圧力によって体液で充填するステップであって、該第1のチャネルは、そこを通る体液の流れを中断又は減少させるように構成されたキャピラリーストップバルブを備えるものである、該充填するステップと、第1のチャネルが正しく充填されていることを目視検査するステップと、入口ポートへの体液の供給を除去するステップであって、入口ポートの形状及び/又は寸法は、入口ポートへの体液の供給が除去されたときに、入口ポートにおける体液メニスカスのラプラス圧力がキャピラリーストップバルブの閾値圧力よりも高くなるように構成され、それによって、キャピラリーストップバルブが、そこを通る体液の流れを許容するものである、該供給を除去するステップと、並びに第1のチャネルと流体的に連通するように配置された多孔質媒体に輸送される体液の計量された量を受け入れるステップと、を備える。
一実施形態では、キャピラリーストップバルブは、親水性を変更した第1のチャネルの一部、寸法を変更した第1のチャネルの一部の少なくとも1つから選択される。
一実施形態において、本方法はさらに、キャピラリー手段として作用する多孔質媒体中に、体液の計量された量を回収するステップと、を備える。
本方法は、体液が多孔質媒体に回収されるために装置内を流れ続けることが可能になる前に、ユーザーが十分な量の体液を供給することを可能にすることにより、体液のサンプリングを容易にする。
本開示の第7の態様では、赤血球などの細胞を除去するための濾過膜を越えて残りの体液から計量された量を切り離す手段を有するキャピラリー輸送によって、分析のために計量された量の体液をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置が提供される。本装置は、体液のサンプルを受け入れるための入口ポートを含む入口セクションを備え、該入口セクションは、サンプルを濾過膜に輸送するように構成されている。本装置はさらに、膜から抽出された体液を受け入れるように配置された抽出チャンバと、計量チャネルとを含む計量セクションとを備える。本装置はまた、計量チャネルから濾過された体液をキャピラリー手段で受け入れ、輸送し、回収するように構成された出口セクションを備える。計量セクションはさらに、計量チャネル内の濾過済み体液の計量された量を抽出チャンバ内の残りの体液から分離するように構成されたピンチオフ手段を含み、該ピンチオフ手段は、抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの通気孔からなる。通気孔によって、体液の計量された量と残りの体液量との効果的な分離が達成される。
一実施形態では、ピンチオフ手段は、計量チャネルの入口に隣接して配置された、少なくとも1つの通気孔と流体的に連通するピンチオフ領域とを含み、該ピンチオフ領域は、抽出チャンバの最大高さよりも低い高さを有する高さ減少要素を含む。好ましくは、抽出チャンバは、徐々に高さが高くなる部分、高さ減少要素を有する部分、及び計量チャネルと流体的に連通する抽出チャンバの高さが最大となる部分を含む。高さ減少要素は、ピンチオフ領域が抽出チャンバの隣接部分よりも高い高さを有することを保証し、その結果、ピンチオフ領域におけるキャピラリー圧力を減少させて気泡の導入を促進する。
一実施形態では、抽出チャンバはおよそくさび形であり、抽出チャンバの頂部は濾過膜の平坦な下面によって画定され、抽出チャンバの親水性の床部は濾過膜との接触部から計量チャンネルに向かって鋭角に延伸する。濾過膜と抽出チャンバの床部との間の鋭角により、計量チャンネルに向かって発散するくさび形の抽出チャンバを実現することができ、その結果、発散表面相互間の空間を徐々に充填することが可能になり、実質的にキャピラリーポンプが形成される。同時に、濾過膜のほぼ平坦で水平な向きを維持することが可能であり、これは、血漿抽出中に血液サンプルを蒸発及び汚染から保護するためのチャンバ構造における濾過膜の統合を容易にする。好ましくは、血漿抽出チャンバの最大高さは、計量チャンネルの高さを超える。
一実施形態では、ピンチオフ領域を取り囲む抽出チャンバの少なくとも一部分は、計量チャネルの高さよりも低い高さを有する。より低い高さの周囲の領域は、ピンチオフ領域におけるキャピラリー圧力の低下をもたらし、従って、気泡の導入を促進する。
一実施形態では、本装置は、抽出チャンバ内で液体がピン止めされるのを防ぐため、高さ減少要素に貫通孔を含む。
一実施形態では、計量部セクションは、高さが徐々に増加する部分、高さ減少要素を有する部分、及び、計量チャネルと流体的に連通するように配置された最大抽出チャンバ高さを有する部分を有する抽出チャンバを含む。
一実施形態では、本装置は、入口ポート及びチャネルシステムを含む入口セクションと、血液から血漿を分離するように構成された濾過膜とを備え、該入口セクション及びチャネルシステムは、第2の態様などの本開示の先行する態様に概説されるような特徴とともに、入口セクションから濾過膜まで段階的又は漸進的に増加する毛管現象を伴って、体液のサンプルを濾過膜に輸送し、濾過膜全体に分配するように構成される。
一実施形態において、本装置は、分離された体液の計量された量の流体前部メニスカスが、出口セクションに輸送されるときに、第3の態様などの本開示の先行する態様に概説されるような特徴を有するキャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状をとるように構成された寸法変化を有する出口部を有する計量チャネルを備える。
一実施形態では、本装置は、ブリッジキャビティが第4の態様など、本開示の先行する態様で概説される特徴でほぼ充填されるように、ブリッジキャビティに挿入可能な、適合する親水性多孔性ブリッジ要素を有する出口セクションを備える。
一実施形態では、本装置は、くさび形の抽出チャンバを有する多層装置であり、該抽出チャンバの床部は、計量チャネルの床部と連続しており、濾過膜の下面から鋭角に延びており、該抽出チャンバの床部は、計量チャネルの床部に対して傾斜して勾配を形成している。本装置、第5の態様など、本開示の先行する態様に概説されているような特徴を有する多層配置及び方法を用いて製造してもよい。
一実施形態では、本装置は、目視検査手段を含む予計量機能部を有する入口と、第6の態様など、本開示の先行する態様で概説したような特徴を有するキャピラリーストップバルブとを備える。
本開示の第8の態様では、赤血球などの細胞を除去するための濾過膜を越えて残りの体液から計量された量を切り離す手段を有するキャピラリー輸送によって、分析のために計量された容量の体液をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置が提供される。本装置は、体液のサンプルを受け入れるための入口ポートを含む入口セクションを備え、該入口セクションは、サンプルを濾過膜に輸送するように構成されている。本装置はさらに、膜から抽出された体液を受け入れるように配置された抽出チャンバと、計量チャネルと、抽出チャンバと計量チャネルとの間に配置された流体コネクタとを含む計量セクションと、計量された量を分離するために少なくとも1つの気泡を導入するように構成された少なくとも1つの通気孔を含むピンチオフ手段とを備える。通気孔により、体液の残量から計量された量の効果的な分離が達成される。
一実施形態では、抽出チャンバは、計量チャンネルの高さよりも低い最大値まで、徐々に増加する高さを有する。
一実施形態では、流体コネクタは、計量チャネルとは異なる寸法を有し、好ましくは、そのような寸法は、高さ、幅及び/又は長さのうちの1つ以上から選択される。
一実施形態では、流体コネクタは、計量チャネルの最大高さまで徐々に増加する高さを有する。流体コネクタの特別な実施形態では、抽出チャンバからの入口において最大高さよりも低い高さで配置され、高さは計量チャネルの高さまで徐々に増加する。
一実施形態では、装置は、少なくとも1つの通気孔を有し、この通気孔は、高さが抽出チャンバの最大高さを超える計量セクションに位置する。一実施形態では、少なくとも1つの通気孔は、流体コネクタが計量チャネルに接する位置に隣接して配置される、又はその位置に配置される。別の実施形態では、少なくとも1つの通気孔は、高さが最大となる位置に配置される。
一実施形態では、少なくとも1つの通気孔は、計量チャネルの入口に位置し、少なくとも計量チャネルの断面積の大きさの断面積を有する周囲空気に対するオリフィスを有するように構成される。
一実施形態では、流体コネクタは、鋭角又は曲線で計量チャネルに接合する。
一実施形態では、抽出チャンバはおよそくさび形であり、抽出チャンバの頂部は濾過膜の平坦な下面によって画定され、抽出チャンバの親水性の床部は濾過膜との接触部から計量チャネルに向かって鋭角に延伸する。濾過膜と抽出チャンバの床部との間の鋭角により、計量チャンネルに向かって発散するくさび形の抽出チャンバを実現することができ、その結果、発散表面相互間の空間を徐々に充填することが可能になり、実質的にキャピラリーポンプが形成される。同時に、濾過膜のほぼ平坦で水平な向きを維持することが可能であり、これは、血漿抽出中に血液サンプルを蒸発及び汚染から保護するためのチャンバ構造における濾過膜の統合を容易にする。好ましくは、血漿抽出チャンバの最大高さは、計量チャンネルの高さを超える。
好ましくは、抽出チャンバ、流体コネクタ及び計量チャンネルは、同一の親水性の床部を有する。
一実施形態では、本装置は、入口ポート及びチャネルシステムを含む入口セクションと、血液から血漿を分離するように構成された濾過膜とを備え、該入口セクション及び該チャネルシステムは、第2の態様などの本開示の先行する態様に概説されるような特徴とともに、入口セクションから濾過膜まで段階的又は漸進的に増加する毛管現象を伴って、体液のサンプルを濾過膜に輸送し、濾過膜全体に分配するように構成される。
一実施形態では、本装置は、分離された体液の計量された量の流体前部メニスカスが、出口セクションに輸送されるときに、第3の態様などの本開示の先行する態様に概説されるような特徴を有するキャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状をとるように構成された寸法変化を有する出口を有する計量チャネルを備える。
一実施形態では、本装置は、ブリッジキャビティが、第4の態様など、本開示の先行する態様で概説される特徴でほぼ充填されるように、ブリッジキャビティに挿入可能な適合する親水性多孔性ブリッジ要素を有する出口セクションを備える。
一実施形態では、本装置は、抽出チャンバの床部が計量チャネルの床部と連続し、濾過膜の下面から鋭角に延び、抽出チャンバの床部が計量チャネルの床部に対して傾斜して勾配を形成する、くさび形の抽出チャンバを有する多層装置である。本装置は、第5の態様など、本開示の先行する態様に概説されるような特徴を有する多層配置及び方法を用いて製造され得る。
一実施形態では、本装置は、目視検査手段を含む予計量機能部を有する入口と、第6の態様など、本開示の先行する態様で概説したような特徴を有するキャピラリーストップバルブとを備える。
次に、本開示を添付図面につき、例として説明する。
指穿刺によって全血から血漿を採取し、血液を輸送して分離し、血液から規定量の血漿を採取するのに適合化されたマイクロ流体装置の全般的な概要を示す。 A~H:いくつかの連続した流体処理ステップにおける血漿サンプリングを示す。 A~D:適用されるサンプル流体の容量制御を伴うキャピラリー力駆動マイクロ流体装置を示す。 A~E:インジケーター窓と接続キャピラリーセクションとの間に導入されたマイクロ流体機能部を有する、適用されるサンプル流体の容量制御を行うキャピラリー力駆動マイクロ流体装置を示す。 A~G:積層技術で製造されたキャピラリーストップバルブを使用するマイクロ流体装置の断面概略図である。 A~D:本開示の実施形態によるマイクロ流体装置におけるキャピラリー圧力のバランスを示す。 A~G:ピンチオフ領域を形成する異なる層を示す、本開示の一実施形態によるマイクロ流体装置の断面図である。 A~C:本開示の一実施形態によるピンチオフ溶液を示すマイクロ流体装置の平面図及び断面図である。 A~B:本開示の一実施形態によるピンチオフ溶液を示すマイクロ流体装置の断面図である。 A~B:本開示の一実施形態によるピンチオフ溶液を示すマイクロ流体装置の断面図である。 A~C:本開示の一実施形態によるピンチオフ溶液を示すマイクロ流体装置の平面図及び断面図である。 抽出チャンバと計量チャンネルとの間に通気孔を有する流体コネクタを使用することにより計量精度の問題を解決したマイクロ流体装置の一実施形態を示す平面図である。 A~D:流体コネクタ及び4つの異なる通気孔設計を含むマイクロ流体装置の平面図である。 A~F:本開示の一実施形態によるマイクロ流体装置の製造方法におけるステップを示す断面図である。 A~F:一般に、十分な体液量が導入されたことを決定することができる、段階的に増加する毛管現象を伴うチャネルシステムを有するマイクロ流体装置の実施形態を示す。 A~F:予計量チャネルと流体的に連通するように配置されたキャピラリーストップバルブを有する本開示の実施形態の断面図を示す。 A~B:マイクロ流体装置の出口部分の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 マイクロ流体装置における出口付近での気泡形成の例を示す上面図である。 本開示の一実施形態による、チャネルからキャピラリー手段への液体の輸送の成功を示す上面図である。 本開示の一実施形態によるマイクロ流体装置の計量チャネルの断面図である。 A~B:本開示の一実施形態によるマイクロ流体装置の幅が狭くなっている計量チャネルに関する試験結果を示す。 A~C:本開示の別の実施形態によるマイクロ流体装置の幅が狭くなっている計量チャネルに関する試験結果を示す。 A~C:本開示の別の実施形態によるマイクロ流体装置の幅が狭くなっている計量チャネルに関する試験結果を示す。
以下のセクションでは、本開示の実施形態に従って、キャピラリー輸送によって分析のために体液の計量された量をサンプリングして回収するように構成されたマイクロ流体装置について詳細に説明する。図面において、同様の参照数字は、複数の図全体を通して同一又は対応する要素を示す。これらの図は説明のためのものであり、本開示の範囲を何ら制限するものではないことが理解されよう。
(実施例1)マイクロ流体装置
図1は、指穿刺により全血から血漿を採取し、血液を輸送及び分離し、血液から規定量の血漿を採取するのに適合したマイクロ流体装置の例示的な実施形態を示す。大まかな概要として本システムは、図1に示すように、システムを流れる方向に配置された以下の構成要素、すなわち、
・入口セクション24であり、
・入口4、
・チャネルシステム25、
・予計量塗布(pre-metering application)チャネルとも呼ばれる、第1のチャネル6、
・中間チャネルとも呼ばれる、第2のチャネル8、
・濾過チャネルとも呼ばれる、第3のチャネル10、
・濾過膜12、
を含む、該入口セクション24と、
・計量セクション26であり、
・抽出チャンバ14、
・通気孔/ピンチオフ構造16、
・血漿計量チャネル18、
を含む、該計量セクション26と、
・出口セクション28であり、
・出口ポート21(ブリッジングキャピラリー要素20を有する)、
・キャピラリー手段22、
を含む、該出口セクション28と、
を備える。
血漿サンプリングは、図2A~図2Hに記載されているいくつかの連続した流体処理ステップを進む。概要として、図は以下、すなわち、図2A:入口セクション24の第1の、予計量塗布(被着)チャネル(pre-metering application)である、チャネル6の充填の状況;図2B:血液の前部メニスカス36がキャピラリーストップバルブ35に到達した後の血液供給30の除去が、入口ポート4に付着した血液の凸状後部メニスカス32の形成につながる状況;図2C:ラプラス圧力が、キャピラリーストップバルブ35を越えて、血液の凹状前部メニスカス36を押し出す状況;図2D:第2の中間チャネル8を通って濾過膜12へ流れ、同時に濾過膜を充填し、予計量塗布チャネル6を空にしていき、また血漿抽出を開始する状況;図2E:第3の、濾過チャネルである、チャネル10を充填する状況;図2F:抽出チャンバ14に連続濾過する状況;図2G:血漿計量チャネル18を充填する状況;及び、図2H:通気孔/ピンチオフ構造16での気泡進入を伴う、計量された血漿量をキャピラリー手段22に吸収する状況、を示す。
図2Aに示すように、血液30は、入口ポート4を介して予計量塗布チャネル6に充填される。予計量塗布チャネル6が完全に満たされると、入口ポートへの血液の供給は手動で中断され、それにより、規定された量が計量される(図2B参照)。中間チャネル8は、血液を予計量チャネル6から濾過チャネル10及び濾過膜12に向けて輸送する(図2C参照)。
従って、中間チャネル8内のキャピラリー圧力は、液体を入口ポートに留め置くキャピラリー保持圧力よりも高くする必要があり、これにより液体を予計量塗布チャネル6から濾過チャネル10/濾過膜12に圧送することができる。中間チャネル8のキャピラリー圧力が高いことは、キャピラリー圧力の急峻な上昇が中間チャネル8に気泡を導入する可能性のある、第2のチャネルと濾過膜12との接触部での気泡を防止するためにも有益である。気泡は、システム内を移動する流体プラグの毛管現象を中断させる可能性があり、その結果、流体操作を停止させ得る。一旦血液メニスカス32が濾過膜/第3のチャネル10に接触すると、これら2つの区画の充填が、並行して、区画のいずれかにおけるキャピラリー力に従って起こる(図2D~図2E参照)。
第3のチャネル10と膜12とは並列配置されているため、通常、濾過膜内のキャピラリー圧力が高いため、濾過膜が最初に充填される。一度膜の空隙容積が血液/血漿で満たされると、第3のチャネル10が充填を開始/継続する。濾過膜12はキャピラリー勾配を有し、孔径は血液受容側で10分の数マイクロメートル、血漿抽出側で2~3マイクロメートルである。血漿が濾過膜12の下面に到達するとすぐに、血漿濾過膜18と親水性底部基板38との交差部における高いキャピラリー圧力により、抽出チャンバ18内への血漿の抽出が起こる(図2D参照)。膜12と親水性底部基板38との間の発散(末広り)空間は、抽出チャンバ14内のキャピラリー圧力は予計量塗布チャネル6内の保持圧力よりもかなり高いため、血漿で徐々に満たされる(図2D~図2F参照)。
一度血漿メニスカスが血漿計量チャネル18の入口に到達すると、血漿は、チャネル18内のキャピラリー圧力によって駆動されて血漿計量チャネル18内に流入し続ける(図2G参照)。血漿計量チャネル18内のキャピラリー圧力は、膜12を通る血漿濾過を可能にするために、予計量塗布チャネル6内の保持キャピラリー圧力よりもかなり大きい必要がある。一旦、血漿計量チャネル18が完全に満たされ、メニスカスが出口ポート21に到達すると、キャピラリー圧力の急激な上昇により、血漿が出口ポート21を通ってキャピラリー手段22に吸収される(図2H参照)。
濾過膜内の血液の流動抵抗が高いため、濾過膜の上流での流体の吸収は最小限である。その代わり、濾過膜の下流に通気孔構造/ピンチオフ構造16を設けると、気泡の進入抵抗が低くなり、ピンチオフ及び血漿量の計量につながる。提示されたシステムは、下流のキャピラリーシステムの液体-空気界面につながるフォイルの構造に基づいているので、気泡の侵入はいくつかの点で可能である。従って、血漿の量を所望の精度で計量することを可能にする制御された再現性のある気泡進入を行うためには、下流のキャピラリーシステムにおけるキャピラリー保持圧力を考慮することが重要である。出口ポートを通る血漿吸収は、血漿計量チャンネル全体が空になり、血漿量がキャピラリー基板に移動するまで続く。
濾過膜に過剰な血液が存在する場合、血漿計量チャンネルの2回目の充填サイクルを防止する安全機構がないため、明確に規定された入力量を有することが極めて重要である。入力量は、システムのデッドボリューム及びシステムの血漿出力量と直接的に相関している。この目的のために、血液を膜に直接塗布する代わりに、予計量塗布チャンネル6が導入される。
予計量塗布チャネル6を導入するもう1つの理由は、必要とされる血液の総量が約70μlであることである。ユーザーはピペットなどの測定装置を使用せず、代わりに直接指穿刺によって血液を注入することが想定されるため、予計量塗布チャンネル6を使用することで、数滴の連続した血液を採取し、装置の充填状態についてユーザーにフィードバックを与えることができる。一度十分な血液がシステムに注入されると、インジケーター領域に充填が成功したことが表示される。予計量塗布チャネル6はまた、血液を膜全体に均質に分配し、濾過中の血液からの水分の蒸発を制限する目的を有する第3のチャネルとうまく統合されている。
(実施例2)予計量
注入されるサンプル流体の流量制御を伴うキャピラリー力駆動マイクロ流体装置は、一般に図3A~図3Dに記載されている。図3A~図3Dの装置は、予計量セクション/区画を有する第1の、予計量塗布、チャネル42に輸送するために、1つ以上の液滴を入口ポート40で回収するように構成される。予計量セクションが充填されると、充填インジケーター44は、入口ポート40への液体の供給を手動で中断できるように、充填状態をユーザーに確認させ、規定された量が予計量区画に閉じ込められる。予計量操作は、以下の4つのステップ、すなわち、(a)入口ポート40への液体の塗布ステップ、(b)予計量区画へのキャピラリー充填ステップ、(c)インジケーター44への到達、及び手動での読み出しステップ、(d)入口ポート40からの余分な液体の除去ステップ、で行われる。
図3A~3Dはこのプロセスを示す。図3Aは、液体が入口ポート40に塗布されることを示す。図3Bは、第1のチャネル又は予計量区画42へのキャピラリー充填を示す。図3Cは、インジケーター44に到達し、手動で読み取る様子を示す。図3Dでは、余分な液体が注入ポート40から取り除かれる。
入口への手動での流れ供給の中断は、一定の遅延を伴って行われるため、第2のチャネル又は接続キャピラリーチャネル46への規定量の時間依存性の過充填が導入される。この過充填量は、インジケーター窓44に到達してから注入口ポート42から液体を取り除くまでの時間、及び接続キャピラリーチャンネル46内の流速に依存する。
図4Aは、入口ポート50、第1のチャネル52(予計量チャネルとも呼ばれる)、インジケーター窓54、及び第2のチャネル58(接続又は後続キャピラリーチャネルとも呼ばれる)を含むキャピラリーシステムの構成要素を示す。バルブ又は流量減少ゲート56のような、キャピラリー駆動装置に適した他のマイクロ流体形状体を導入することは、計量精度を高めるのに役立つ。このようなマイクロ流体機能部は、図4B~図4Eに示すように、2つのセクション間の流れを減速又は停止させるために、インジケーター窓54と第2のチャネル58との間に導入することができる。
図4B~図4Eは、流量減少ゲート又はストップバルブ56を使用したキャピラリーシステムにおける液体の計量を示す。流量減少ゲートは、所定の時間(例えば3秒)において、流量減少ゲートがない場合よりも少ない体積57が予計量チャネル53から第2のチャネル58に溢れ出るように、流れの速度をかなり減少させるように作用し、キャピラリーシステムに塗布される液体の量が予計量チャネル52内の液体の計量された量55にほぼ等しくなるようにする。例えば、マイクロチャネルの親水性/疎水性特性を変えたり、マイクロチャネルの寸法を調整したり、又はマイクロチャネルの流動抵抗を変えたりすることで、流量減少ゲートを実施することができる。
溶解可能な膜バルブ又はキャピラリーストップバルブのようなストップバルブは、過充填量を最小化できるように、流れを完全に停止させる。溶解可能な膜バルブは液体に接触させると壊れ、下流の接続キャピラリー手段への流体的な連通を開く前に一定時間流れを止めることができる。キャピラリーストップバルブは、圧力バリアとして機能し、バルブの湿潤が起こるか、又は追加の液圧が圧力バリアを越えて液体を押し出すまで、キャピラリーシステム内の流れを完全に遮断するために使用することができる。このような液圧は、例えば、静水圧を加えることによって、あるいは入口ポートの条件の変化、例えば、入口におけるラプラス圧力/キャピラリー圧力力の変化によって、さまざまな方法で導入することができる。
入口ポートから余分な液体を手動で除去する操作は、第2のチャネルへの流れを開始するストップバルブの決壊につながるラプラス圧力の変化を導入するために使用することができる。キャピラリーシステム全体の寸法及び表面特性は、計量セクションから接続キャピラリーセクションへの液体の輸送を可能にするように選択される。キャピラリーのストップバルブは実際には閉じていないが、キャピラリーの流れに圧力バリアを作り、一定の圧力が液体にかかると決壊する。バルブは物理的に閉じているのではなく、キャピラリー流を遮断することによって閉じているだけなので、バルブが開くというよりも、バルブが決壊するという言い方をする。キャピラリーストップバルブでは、決壊圧力は液体-気体-界面の表面エネルギー、流体による濡れ性、及びバルブの幾何学的寸法の関数である。従って、マイクロ流体構造の適切な設計によって事前に規定することができる。
その結果、入口ポートの形状及び/又は寸法は、入口ポートへの体液の供給が除去されたときに、入口ポートにおける体液メニスカスのラプラス圧がキャピラリーストップバルブの閾値圧よりも高くなるように構成することができる。
(実施例3)キャピラリーストップバルブによるサンプル量コントロール
図5A~図5Gは、キャピラリーストップバルブ64を用いて実施例2で一般的に説明したようなサンプル量制御を行うマイクロ流体装置の一実施形態を示す。5A~5Gは、積層技術で作製されたキャピラリーストップバルブを使用するマイクロ流体装置の断面概略図を示す。本装置は、一緒に積層される構造化層を使用して構築される。図5Aでは、入口ポート60、計量チャネル62、キャピラリーストップバルブ64、インジケーター窓66の位置、及び第2のチャネル68を断面で示す。液滴が入口ポート60に接触すると、液体はキャピラリーストップバルブ64に達するまで、液体は装置の計量チャネル62に吸い込まれる(図5B~図5D)。計量チャネル62内の液体量から余分な液体を分離すると、少量の液体が計量チャネル62の外側で入口ポート60に付着する。
この体積の曲率により、液体にかかる表面張力に起因するラプラス圧力は、キャピラリーストップバルブ64の閾値圧力よりも高いという理由で、矢印で示すように、キャピラリーストップバルブ64を越えて計量チャネル62内の液体を押し出す。液体の流れ方向の前面におけるキャピラリー圧力は、入口ポートにおけるキャピラリー保持圧力よりも高いため、液体はその後、第2のチャネル68に流れ続ける(図5E~図5F)。
(実施例4)マイクロ流体装置におけるキャピラリー圧力平衡
図6A~6Dは、一般に、本開示によるマイクロ流体装置におけるキャピラリー圧力平衡について説明する。本マイクロ流体装置は、区画Aとして示される入口セクション72への全血の吸収を可能にし、次いで濾過素子(膜)74を通して血液を計量セクション(抽出チャンバ及び計量チャネルを含む)及び、一般に図6Aで区画Bとして示される出口セクション(キャピラリー手段/ポンプを含む)76へポンピング/輸送することにより、全血から血漿画分を自律的に濾過する。装置内の全ての流体輸送はキャピラリー圧力に基づく。血漿の濾過を成功させる条件は、区画B76内のキャピラリー圧力が区画A72内の保持圧力より大きく、システムのすべての摩擦力に照らして区画Aから区画Bへの流体輸送が起こるようにすることである。
より具体的には、本開示の実施形態は、上述のような複数のマイクロ流体素子を含む。流体は、入口から出口まで、キャピラリー圧力を利用しながらシステムを通して送り込まれる流体プラグ又はカラムを形成しながら、システムを通して送り込まれる。流体プラグがシステム内を連続的に流れるようにするためには、出口に向かって流れる液体前面のキャピラリー圧力と、流体プラグを引きずる液体末端のキャピラリー圧力(保持圧力)との間の圧力差を、常に与える必要がある。システムに充填されるメニスカスにおけるキャピラリー圧力は、充填作業全体を通じて変化し、界面の接触角、液体の表面張力、及び(最小の)チャネル/形状体の寸法によって規定される。後退端でのキャピラリー保持圧力は、後退接触角が液体-空気界面の曲率を規定し、従って、キャピラリー保持圧力であるという違いはあるが、同一のパラメータによって規定される。マイクロ流体装置が積層された層から構成されている場合、キャピラリーの高さは一般的にチャネル幅よりもはるかに小さく、異なるセクションにおけるキャピラリー圧力を主に規定する。第1のチャネルに液体が流入する間、液体はキャピラリーに捕捉されておらず、むしろ、液滴又は任意の形状の液体リザーバーの形で自由に利用できる。これにより、システム内で最大のキャピラリーの高さを有する、先に説明した第1のチャネルを満たすことができ、従って、相対的に言えば、最も低いキャピラリー圧力を引き起こす。
一旦血液の流入が停止すると、流体プラグを追跡する開放された空気-液体界面が形成され、充填及び濾過操作の間中、液体前面のキャピラリー圧力に対抗する。装置を通してプラグの連続的なキャピラリーフローを可能にするために、液体全面に続く全ての区画/チャネルは、後端でのキャピラリー圧力よりもかなり大きいキャピラリー圧力を引き起こす必要がある。
(実施例5)キャピラリーの高さの変化
実施例5は、実施例4で一般的に説明したマイクロ流体装置の詳細な実施形態である。実施例5のマイクロ流体装置は、くさび型の勾配を除き、段階的に導入されたキャピラリーの高さ変化を有する構造化フォイルのスタックから作製される。キャピラリーの高さを段階的に減少させることは、流体を段差に留め置くことなく充填することができる。しかし、キャピラリーの高さを段階的に増加させると、留め置き(ピンニング)が発生し、キャピラリーの形成が停止するが、これは、装置の連続動作を保証するために防ぐべきである。これらの設計要件により、血漿抽出チャンバを除き、システム全体を通してキャピラリーの高さが段階的に低くなり、この場合、キャピラリーの高さを連続的に高くすることで、くさび構造を徐々に充填してから、キャピラリーの高さを再び段階的に低くすることができる。システムの動作例は図2A~2Hで見ることができ、関連するキャピラリーの寸法は表1に記載されている。
以下の実施例6A及び6Bは、装置の出口にあるキャピラリー手段で回収するために正しく計量された量を輸送するために、計量された体液量をピンチオフするための異なる解決策を有するマイクロ流体装置の実施形態に言及している。
(実施例6A)計量1:膜下方でのピンチオフ
本開示の本実施形態は、キャピラリー力の使用により流体プラグを2つの流体プラグに分離することを可能にし、2つのプラグ間の流体的な連通が生じないようにする、キャピラリーシステムにおけるピンチオフ構造に関する。より具体的には、全血及び血漿から成る流体プラグから、明確に規定された血漿量を分離することを可能にする。
キャピラリー駆動システムにおいて液体をピンチオフ/分離するには、システムに気泡を導入する必要がある。気泡は、通気孔又はその他の開口セクション等、既存の液体-空気界面でシステムに導入することができる。血漿抽出チャンバ内のくさび構造は、製作上の制約から、端縁の側面の封止が不可能な構造となっている。しかし、血漿の正確な計量を可能にするためには、くさびの下方における血漿の吸収及び気泡の進入を制御する必要がある。マイクロ流体装置の構造上、血漿抽出システムにおいて最もキャピラリーの高さが高いくさび構造の部分は、血漿分離膜の下流に位置しており、この点がシステム内への気泡の進入に適している。本開示の本実施形態では、血漿抽出チャンバ内のキャピラリー保持圧力が比較的低いこの点を利用し、血漿がキャピラリーポンプに接触する際に、気泡がキャピラリーシステムに正確に入ることができる場所を制御するピンチオフ構造が設計される。
図7A~7G及び図9A~9Bはいずれも膜下方のピンチオフを示す。ピンチオフは、一旦血漿前線がキャピラリー手段に達すると起こり、キャピラリーシステムからの血漿の即時吸収が開始される。フィルターを通しての血漿の濾過は、システムからの血漿の吸収よりもかなり遅く起こるので、吸収は、両方の場合において、濾過膜の下方のセクションで起こる、最もキャピラリー圧力の低い点で成長する気泡をもたらす。これにより、血漿の第3のチャネルと血漿計量チャネルとの間に延びる流体プラグが崩壊し、気泡が血漿計量チャネル内で成長し始めるまで、キャピラリーの高さの最も高い部分で「くびれ(necking)」が生じる。膜の下方にくびれ及びピンチオフを作るのは利点であるが、これは、くびれ領域の左側と右側とに液体-固体界面が存在しないため、さもなければ2つの流体プラグ間のキャピラリー接続に繋がる可能性のあったコーナーフローを防ぐことができるためである。正方形マイクロチャネルのコーナーはキャピラリー圧力が高いため、そこに流体が捕捉され、2つの流体プラグ間の接続が残る可能性がある。血漿濾過膜の下方でピンチオフするもう1つの利点は、血漿が血漿計量チャネルを再充填する前に、2度目のピンチオフ領域充填をしなければならないことである。相対的に言えば、ここでのキャピラリーの高さは最高レベルであり、従って、キャピラリー圧力は比較的低いので、再充填はかなりゆっくりと行われる。
膜下方の血漿のピンチオフにおいて、血漿抽出チャンバと血漿計量チャネルとの間の接続を狭くすることにより、ピンチオフのために設計されたセクションに含まれる体積が減少する。ピンチオフ領域の左側におけるセクションからの血漿の望ましくない吸収が発生し得る。
システムの出口ポート21を通る血漿の吸収は、血漿計量チャネル18の入口に隣接するピンチオフ領域84からだけでなく、膜の下方における異なる領域からも起こり得る。この望ましくない吸収は、図7A~7Gに示すピンチオフ構造83、84によって低減される。濾過膜81下方のキャピラリーの高さは、血漿の吸収が望ましくない領域において、高さ減少要素83によって低減され、キャピラリーの高さが(血漿システムにおいて)最高のキャピラリーの高さ250μmを有する、表面積約2mm×2mmのピンチオフ領域84を明確に画定する。ピンチオフ領域84の右側では、チャネルカバー80がキャピラリーの高さを150μmに減少させ、ピンチオフ領域84の左側では、チャネルカバー80の延在構造83がキャピラリーの高さを150μm未満に減少させる。このようにして、膜81の下方におけるくさび形抽出チャンバ87からの血漿の不要な吸収が防止される。
膜81下方の血漿のピンチオフにおいて、血漿は抽出チャンバ87から血漿計量チャネル18に充填する。出口ポート21で多孔質プラグ89に接続した後、出口ポート21を通して血漿計量チャネル18内の血漿の吸収が起こり、血漿抽出チャンバ87と血漿計量チャネル18との間にくびれが形成される。血漿のくびれは、第3のチャネルと血漿計量チャネルとの間で崩壊し、2つの流体体積を分離する。
図7Aは、ピンチオフ領域84を有するマイクロ流体装置の一実施形態の直線G-Gを切断した縦断面図を概略的に示すとともに、図7B~7Gは、横切断線A-A、B-B、C-C、D-D、E-E、及びF-Fをそれぞれ示す。図7Fは、血漿システムのキャピラリーの高さ88を規定する血漿計量チャネル18の底部82と血漿計量チャネル18の天井80との間のオーバーラップを示す。ピンチオフ領域84は、ピンチオフ領域84の上流(図7Aの左)及び下流(図7Aの右)のキャピラリーの高さを減少させることで画定される。ピンチオフ領域は開口側壁86を有し、気泡の進入に有益でコーナーフローを防止する液体-空気界面を形成する。
図7A~7Gに示す設計に従った膜下方のピンチオフは次のように起こる。
出口21で多孔性プラグ89を濡らす前に、膜81下方のピンチオフ領域84は血漿で満たされる。多孔質プラグ89の湿潤は、ピンチオフ領域84からの血漿の吸収をもたらし、くびれが形成される。更なるくびれ領域からの血漿吸収は、くびれの崩壊をもたらし、血漿抽出チャンバ87内の流体を血漿計量チャネル18内の流体から切り離す。その後、チャネル18内の流体が装置の出口ポート21から吸収されるにつれて、気泡が血漿計量チャネル18に入る。ピンチオフ領域の再充填は、血漿濾過が継続するにつれて、血漿抽出チャンバ87から生じる。
図9Aは、抽出チャンバ102がほぼくさび形であり、天井として水平に配置された濾過膜100と、濾過膜との接触部から計量チャネル108に向かって鋭角に延びる親水性床部106によって形成された勾配104とを有する、計量1溶液の実施形態の縦断面図を示す。図9Bは、直線A-Aに沿ってとられた横断面図であり、気泡の導入によるピンチオフ前のピンチオフ領域における血漿109の充填状況を示す。
(実施例6B)計量2:計量チャネル内部でのピンチオフ構造の使用
図9A~9Bに示す計量1の解決策の代替案として、図8A~8C及び図10A~10Bでは、膜98下方のキャピラリーの高さH1は計量チャネルの高さH2よりも低くすることができ、その結果、膜下方の血漿の望ましくない吸収が防止されるが、その代わりに、通気孔92の位置で計量チャネル90の内部に気泡が形成されやすくなる。これは、図8B及び図10Aに示されるように、親水チャネル床部93と濾過膜98との間に形成されるくさび形の抽出チャンバを画定するために、勾配96の始点を膜98のさらに外側にずらすことによって達成される。これにより、計量チャネル90内に通気孔構造92を配置することによる気泡の導入が可能になる。本開示のこの実施形態は、計量チャネル90内にピンチオフ構造の使用に関する。
図10Aにおいて、抽出チャンバの最大の高さH1は、計量チャネルの高さH2未満であり、従って、H2は計量チャネル90内の最も高いキャピラリーの高さとなる。ピンチオフが発生すると、これにより、計量チャネル90内の流体が出口にあるキャピラリー手段94と接触する際に、計量チャネル90の入口に隣接する通気孔92の位置で気泡が引っ張られる。図9Bは、直線A-Aに沿って取った横断面図であり、気泡の導入によるピンチオフの前に、通気孔92に隣接するピンチオフ領域における血漿109の充填状況を示す。
図11A~11Cは、計量チャネルが非直線状、例えばほぼZ字型である、計量チャネル内部にピンチオフを有するマイクロ流体装置の代替実施形態を示す。図11Aは、図8Aの実施形態と同様に、濾過膜110が抽出チャンバの上方に配置されたマイクロ流体装置の平面図である。通気孔92は、計量チャネル90が90度曲がる位置に計量チャネル90に隣接して配置されている。この配置により、以下により詳細に説明されるように、通気孔92における液体-空気界面の表面積が増大する。図11B及び図11Cは、それぞれ直線A-A及び直線B-Bに沿ってとられた断面図であり、マイクロ流体装置の構造を示す。
(実施例7)L字型計量チャネル
様々なプロトタイプをテストした結果、膜下方からの余剰血漿の吸収を避けるためには、気泡のピンチオフを可能な限り速く、すなわち抽出チャンバと計量チャネルとが接する位置のできるだけ近くで行う必要があることが明らかになった。膜下方からの血漿の不要な吸収は血液の性質、すなわちヘマトクリット値に依存するが、これは受け入れられない。血漿の不要な吸収は、膜区画が示す抵抗(又はその欠如)の結果である。これは、膜の孔が赤血球(RBC)で詰まる(従ってヘマトクリットに依存する)、膜間の相互作用、チャネル底層(斜面)、及び膜等の要因によって生じる。
さらに、このシステムはヘマトクリット値が55又は45の血液に対しては十分に機能するが、ヘマトクリット値が35以下の場合、血漿の一部が出口まで望ましい流路をたどらず、血漿の計量が正確でなくなることが観察されている。ヘマトクリットが低いほど、膜を詰まらせる赤血球が少なくなるため、膜の抵抗が低くなる。この結果、血漿は血漿抽出チャンバから計量チャネルに非常に速く流れ込み、気泡はピンチオフしにくくなる。
プロトタイプを試験することにより、計量精度の問題を解決する1つの方法は、図12の実施形態に一般的に描かれているように、膜120下方の抽出チャンバ122と計量チャネル128との間に流体コネクタ124を使用することであることが分かった。図12の実施形態は、流体コネクタ124の可能な限り近くでピンチオフする気泡を導入し、システム内に気泡を導入した後、可能な限り迅速にピンチオフを実行することを可能にする通気孔126を有する。これにより、膜区画からの余剰HCT依存流が減少した。また、L字型計量チャネル内の通気孔の形状は、いかに簡単に気泡がシステムに導入できるかの役割を果たすことも発見された。通気孔に気泡が導入されるにはFp<Fcであり、ここで、Fpは通気孔126で液体に作用するキャピラリー力であり、Fcは出口129で液体に作用するキャピラリー力である。Fp>Fcの場合、代わりに気泡が出口129から引き出される。このため、Fpはできるだけ小さいことが望まれる。Fpに寄与する要因は、通気孔126の端縁における流体の留め置き、キャピラリー力、及び他のものに対する通気孔の液体-空気の界面である。液体-空気の界面が大きいほど気泡が入りやすいことが経験的に実証されている。これは、液体が表面張力によって最小限の表面積に収縮しようとする傾向の結果であると考えられる。
図13A~13Dは、4つの異なる通気孔126の設計を示しており、13Aは最小の液体-空気界面127aを有し、13Bは計量チャネル128の寸法にほぼ対応するわずかに大きな液体-空気界面127bを有し、13Cはより大きな斜めの液体-空気界面127cを有し、最後に13Dは最大の非直線状の液体-空気界面127dを有する。設計Aでは、液体は小さな液体-空気界面から大きな液体-空気界面(計量チャネルの断面)へと拡大する必要がある。Bでは、気泡が形成される間、同一の断面の液体-空気界面から気泡が導入される。しかし、C及びDでは、通気孔における液体-空気界面がチャネル断面よりも大きいため、チャネルへの気泡導入に必要な力が小さくなる。
(実施例8)製造方法
マイクロ流体装置の一実施形態は、高さ勾配を生成するためにマイクロ流体基板に勾配を可能にすることに関する。
血漿抽出膜からの血漿流を開始するには、受動的に(キャピラリー駆動)、又は外力を加えることによって能動的に発揮される力を必要とする。キャピラリー流を確立する1つの方法は、マイクロチャネルの開口部全体に血漿抽出膜を斜めに配置することである。膜はチャネルの底部と頂部の間に鋭角を形成し、膜下方にキャピラリー力によって駆動される流れを作り、マイクロチャネル内に輸送される。特定の血液量が膜を通過して血漿を抽出するのにかかる時間は、一般的に数分の範囲であり、血液のヘマトクリット値にも依存するため、変動することもある。この時間を考えると、抽出中に血液サンプルが蒸発しないように保護する必要がある。使い勝手の観点からは、血液量を汚染から保護することも必要である。その結果、精密濾過ベースの血漿濾過を使用した製品を可能にするためには、濾過膜をチャンバ構造に組み込む必要がある。
微細加工の観点からは、斜めに配置された血漿膜のような凹凸のある物体をチャンバ構造に組み込むのは困難であり、というのも、表面上に異なる高さの段差ができるため、液体を密閉するのが難しいためである。
一般に、血漿抽出膜は、柔軟なポリマー材料又は綿繊維から構築され、その結果、くさび構造は、後続の層が構築するための剛性支持体を提供しない。チャンバ内に組み込むためには、血漿抽出膜が水平面を呈することが好ましい。これを可能にするには、チャネルと膜との間にくさび構造を作るため、マイクロ流体基板上に傾斜を作る必要がある。
マイクロ射出成形、R2Rホットエンボスなどの一般的な工業的に拡張可能な製造技術、並びに、3Dプリンティング、分注(dispensing)、及び注型(casting)などの拡張性の低い積層方法が検討された。しかし、これらの方法は不十分なものとして却下された。第1に、射出成形又はホットエンボス、若しくは注型用の勾配を有する工具を製造できる業者を見つけるのが困難だった。第2に、これらの方法のいずれもが、必要とされる斜面の親水性表面を作り出すことができなかった。これらの方法では、親水性処理が必須条件となり、製造方法がさらに複雑になる。最後に、これらの方法はいずれも拡張性がなかった。これらの課題を克服するために、斜面を作るための解決策が開発された。
特に、実施例7は、フォイル基板と積層ベースの製造技術とを用いた装置において、マイクロ流体チャンルに高さ勾配を作り出すのに適した方法を示す。薄いフォイルを使用することにより、フォイル基板又はその一部を平面から曲げることができ、マイクロ流体基板に組み込むことができる勾配を可能にする。
マイクロ流体底部基板の一部を分離し、Aのように底部基板に取り付け、分離した構造の他端をBのように支持構造の上に置くことにより、チャネルの底部基板に勾配を作ることができる。
図14A~14Fは、マイクロ流体装置の形態の血漿サンプリングシステムを製造するための、本開示の一実施形態による製造方法におけるステップを示す断面図である。血漿抽出膜をチャンバ内に組み込んで、サンプルの蒸発を防止し、汚染から保護し、サンプルの予計量を可能にするためには、その内容全体が本明細書に組み込まれる特許文献2(WO 2016/209147 A1)に示すように、血漿抽出を斜面ではなく水平に配向させることが必要である。膜とチャネル底部との間にくさびを形成させるために、チャネルに勾配を作る提案された方法が実施された。
図14Aは、a点とb点との間に延びる抽出チャンバのための第1の開口部131と、出口に紙基板のようなキャピラリー手段を収容するための第2の開口部133をc点に備えた、底部基板フォイル130の形態とした第1の層を示す。
図14Bは、第1の開口部131の点aに隣接する底部基板130上に高平坦域を形成する、第1の層上に組み付けられた支持構造132の形態とした第2の層を示す。支持構造132は、dsPSA、分注した又はスクリーン印刷されたポリマーから作られ得る。
図14Cは、第1及び第2の層上に組み付けられた親水性床層134の形態とした第3の層を示す。第3の層は、抽出チャンバの連続的な床部を構成するとともに、抽出チャンバと流体的に連通する計量チャネルを一体に構成することを意図している。この目的のために、抽出チャンバの床部を形成する部分は、斜面135が形成されるように計量チャンネルの床部に対して傾斜している。斜面135の自由端は、点aに隣接する支持構造132に支持され、また取り付けられており、一方、床層134の残りの部分は、点bに隣接する底基板130に取り付けられ、点cに隣接する第2の開口133に向かって延長し、また第2の開口133を少なくとも部分的にカバーする。従って、斜面は、点aと点bとの間の第1の開口部131を横切って延伸する。床層134は、両者が組み合わされたときに底部基板130の第2の開口部133と整列する開口部を有してもよく、これにより出口ポート142が形成される。第3の層は、上向きの親水性フォイル材料と、下向きの接着剤層とで構成することができる。
一実施形態では、斜面135は、床層134のスロットによって形成され、舌部を画定する。スロットは、ほぼ円形又はほぼ正方形の舌部を3辺に画定するようにほぼC字型とすることができる。この場合、図14Cの左側に示されるように、舌部の自由端は、点aに隣接する支持構造132に支持され、一方、舌部の自由端に隣接する床層134の部分は、底部基板130に取り付けられる。
図14Dは、第3の層134上に組み立てられたチャネル構造層138の形態とした第4の層を示す。チャネル構造層138は、支持構造132及び抽出チャンバの床部を構成する傾斜斜面135を収容する開口部と、計量チャネルの側壁を形成するスロットとを備える。第4の層は、チャネル構造と膜チャンバ開口部とを有する両面PSAテープを切断して作製してもよい。
図14Eは、第4の層上に組み立てられたチャネルカバー層140の形態とした第5の層を示す。チャネルカバー層140は、ほぼ抽出チャンバ137のサイズに対応する開口部を備え、その一部が床層134の斜面135の自由端に隣接して支持構造132に取り付けられるように配置され得る。第5の層は、下向きの親水性表面と上向きの粘着性表面とで構成し得る。親水性表面は計量チャネルの頂部を構成し、粘着性表面はチャネルカバー層140の上に追加的な層を取り付けることを可能にする。
図14Fは、濾過膜141の周囲にチャンバを形成するための、濾過膜141及び追加的な構造148のその後の組み付けを容易にする平坦な頂部平面を提供する5層構造を示す。点aとbとの間に延びる斜面135により、床層134と血漿抽出/濾過膜141との間にくさび形の抽出チャンバ137が形成される。抽出チャンバ137は、点bに隣接する計量チャネル入口139で最大の高さに達する。
本発明のさらなる実施形態は、マイクロ流体システムにおける高さ勾配の使用及び利用の増加を含む。このようなさらなる実施形態は、背景で述べた用途に使用される。例えば、拡散効果を研究するために、傾斜チャネルを液体又はハイドロゲルのいずれかで満たすことができる。
図15A~図15Fは、入口ポート152、第1の予計量塗布チャネル154、及び第2の中間チャネル156を有する一般化されたマイクロ流体装置を示す。体液150の液滴が入口ポートに塗布され、第1のチャネル154の毛管現象によって輸送可能となる。流体がインジケーター窓のような目視検査手段155に輸送されると、流体はユーザーによって観察され、ユーザーは入口ポート152から余分な流体を除去し、それによって流体は、例えば、収集、分析、又はさらなる処理のために任意の多孔性媒体にさらに輸送されることが認められる。本装置はさらに、予計量塗布チャネル154及び中間チャネル156よりも高い毛管現象を有する第3の濾過チャネル158を含んでもよい。ここで、濾過チャネル158は、例えば濾過膜、又は側方流動媒体であり得る多孔性プラグ159と流体的に連通して配置される。
図16A~図16Fは、計量チャネル164と流体的に連通するように配置されたキャピラリーストップバルブ166を有するマイクロ流体装置を示す。図16A及び図16Bは、体液160の液滴がどのように入口ポート162に塗布され、毛管現象によって第1のチャネル163(塗布チャンバとも呼ばれる)内を計量チャネル164に向かって流体流として輸送されるかを示す。図16Cでは、流体前線はキャピラリーストップバルブ166に到達しており、これは目視検査手段168によってユーザーが検査することができる。図16Dでは、ユーザーは入口ポート162から体液160を除去し、それによって、キャピラリーストップバルブ166に打ち勝つのに十分な押圧力を確立する流体柱が形成されるので、流体柱はさらに多孔性プラグ167(図16D及び図16E)に進み、キャピラリー手段169(図16F)に集められることが可能となる。
(実施例9)製造出口部分
ここでは、チャネル内の液体を紙上に輸送する、マイクロ流体チャネルを紙基板に接続する方法が開示されており、本方法は大量生産に対応可能である。
本方法は、排出孔の形状に適合し、紙基板がチャネル基板底面の接着剤に接触できるように圧縮できる、多孔質だが圧縮性の高い材料を使用するステップを含む。多孔質材料は、穴内に投入する、又は穴上に配置してから圧縮する。多孔質プラグに使用できる材料としては、例えば、マイクロ紙パルプ、マイクロフィブリル化セルロース(MFC:micro fibrillated cellulose)、オープンセル親水性ポリマー発泡体、又は高圧縮性ガラスファイバーウェブなどが挙げられる。
図17A及び図17Bは、ガラスファイバーウェブを用いた製造方法の一実施形態の、組み付け前及び組み付け後の断面図である。図17Aでは、マイクロ流体装置の出口が示されており、排出孔171で終端する血漿計量チャネル170の先端部で、キャビティ172を形成している。計量チャネル170と紙基板176のようなキャピラリー手段との間のブリッジ要素を形成するために、ガラスファイバー材料で作られた多孔性プラグ174が排出孔171に隣接して配置される。多孔性プラグ174は、マイクロ流体装置の床層の下面にある接着面178と基板176との接着を可能にするため、紙基板176よりも小さくカットされているが、多孔性プラグ174と排出孔171との間に隙間が生じないようにするため、排出孔171よりも大きくカットされている。
次に図17Bを参照すると、多孔性プラグ174及び紙基板176に圧力を加えることにより、多孔性プラグ174がキャビティ172に挿入され、ほぼ充填される。このため、多孔性プラグ174はキャビティ172の形状に適合するように配置される。一実施形態では、多孔性プラグ174は圧縮可能な材料で形成されており、これにより、出口孔171に入り、次にキャビティ172内で膨張することが可能になる。加えられた圧力の結果、出口孔171に隣接するガラスファイバーの圧縮が太線で示されている。
別の実施形態では、分注可能な材料が出口孔171に分注され、その後、多孔性プラグ174を形成するために固化する。材料の体積は、同一の結果、すなわち、形状に適合し、キャビティ172をほぼ充填するブリッジ要素に到達するように適応し、同時に、出口形状に空隙が形成されないようにする。同時に、紙基板176とマイクロ流体装置の底部との間の接着を可能にする。
本システムの特別な設計は、液体をチャネルから紙に移す際のいくつかの困難な問題を解決する、すなわち、圧縮性の高い材料又は吐出可能な材料を使用することで、出口孔への多孔質プラグの高精度なカット及び配置の必要性が減少する。その結果、自動化された高スループット製造への応用が可能になる。この例では、ガラスファイバー材料及び6mmの紙ディスクを、それぞれ直径3mm及び6mmで打ち抜いた。2枚のディスクは直径2mmの排出孔上に配置し、また単に目視で整列させた。さらに、この解決法では、回収基板にPVAコーティングを施す必要がないため、技術のコストを削減することができる。
(実施例10)メニスカスを直線化する
矩形マイクロチャネル内の液体のさまざまな流動プロファイルは、チャネルの形状及びチャネル材料と液体との相互作用に依存する。本開示のマイクロ流体装置のチャネル内の流れは、せん断駆動流である。コーナー流はコーナー角及び濡れ接触角の影響を受ける。マイクロチャネル内の連続的な流れを維持するために、気泡の形成を避ける必要がある。
図18は、出口に多孔質プラグを用いた気泡形成の一例を示す。液体メニスカスは、その下部において多孔性プラグに衝突し、プラグの上部で気泡を膨張させる。本開示のこの実施形態では、多孔性プラグはガラスファイバーウェブで作られている。
図18は、チャネル内の液体メニスカスが、チャネルの出口孔に挿入された多孔質プラグに遭遇したときの一連の事象を示す。メニスカスと多孔質プラグとの形状不一致により、最初の衝撃はプラグの底部で起こり、空気がシステム内に引き込まれ、気泡が形成され、それがチャネル内に膨張する。液体をチャネルから紙に輸送することが目的であるため、気泡の存在が流れをブロック及び遮断する恐れがあり、空にするチャネルの液体が計量されている場合、気泡の存在によって計量された量が減少することになる。
界面の形状が互いに一致するように、キャピラリー手段の形状に流体の前面メニスカスの形状を適合させることによって、気泡の形成を回避することができる。
多孔質プラグと液体メニスカスとの相互作用中に気泡が発生しないようにするため、計量チャネルの幅を小さくすることが予測される。この幅の縮小により、液体メニスカスは凸形状からほぼ直線的な平面形状になる。同時に、多孔質プラグの界面の曲率もまた、チャネル幅の縮小によって直線化された。その結果、界面の形状は互いに一致した。
次に図19を参照すると、提案された発明を使用してチャネル190から紙基板194への液体の輸送に成功した例が示されている。この例では、多孔質プラグ192として直径3mmのガラスファイバー材料を使用し、直径6mmの紙ディスク基板194を使用している。第1の領域では、チャネル190は約2mmの幅を有し、第2の領域ではチャネル190の幅は徐々に狭くなり、第3の領域ではチャネル190はおよそ1mmの幅を有する。
出口を狭くすることで、液体メニスカスを直線的な液体フロントに再形成することができ、多孔質プラグとの衝突の制御が容易になり、2つの媒体間の衝突で気泡が形成されることを防ぐことができる。ガラスファイバーディスクを使用した解決策は、更なる調査において堅牢であることが証明され、ヘマトクリット30~55HCTの範囲における全血の血漿抽出及び計量に成功した。
さらに、この解決策は、ポイント・オブ・ケア及び迅速診断検査システムに統合するために、他の下流システムにも容易に適用できる。
図20は、現在開示されているマイクロ流体装置の計量チャネルの断面を示す。上下の材料は親水性のフォイルで構成され、チャネルの側壁は両面感圧接着テープ(dsPSA)で構成されている。
本マイクロ流体装置では、側壁の特性(粗さ、切断後の濡れ性、コーナーの角度)を作り出すチャネルの材料(底部、上部、側壁)と切断方法とがメニスカスの形状に影響する。メニスカスの形状は、出口でグラスファイバー束と接続する際に、気泡を引き込まないようにするために重要である。
これらのパラメータのさまざまな組み合わせが試験され、気泡のない接続を得るために両者が接続する時点において、出口ファイバー束の形状と一致するメニスカスの形状を得るための最適な組み合わせが発見された。
以下のパラメータ、すなわち、
・上下とも親水性材料(親水性の程度はA<B<C)
A.PCS
B.Tesa
C.コーベム・ポリエステル・フィルム
・側壁の材料(各種両面粘着テープ)
D.Tesa
E.自社製品
F.PCS
G.ARケア
H。ARシール
・切断方法
I,ナイフプロット
J.レーザーA
K.レーザーB
・狭い出口孔
L.1mm
M.0.7mm
N.0.4mm
(結果)
図21A及び図21Bは、幅2mmが徐々に狭くなり、出口に隣接する領域では幅1mmとなるチャネルを使用した試験を示す。チャネルの底部及び上部の材料はCoveme製で、側壁はARシールである。レーザーA切断法を用いた。図21Aは、2mm幅の計量領域でほぼ平面のメニスカスを示しており、図21Bでは、狭窄後の幅1mmの領域に凸状のメニスカスが生じている。
図21A及び図21Bは、幅2mmが徐々に狭くなり、出口に隣接する領域では幅1mmとなるチャネルを使用した試験を示す。チャネルの底部及び上部の材料はコベメ(Coveme)製で、側壁は自社製の両面感圧粘着テープである。ナイフプロット切断法を用いた。図22Aは、2mm幅の計量領域内の計量チャネルにおける凹状のメニスカスを示し、図22Bでは、チャネル幅を1mmに狭めた後もメニスカスはまだ凹状である。図22Cでは、出口に隣接する領域でチャネル幅をさらに0.4mmに縮小した後、メニスカスは平坦化されている。
図21A~21B及び図22A~22Cは、同一の親水性フォイルコベメを2つの異なる切断方法と材料とを組み合わせて使用することで、どのように異なるメニスカスを製造できるかを示す。図21Bの狭窄部で得られるメニスカスは、その凸状の性質により、表面が不一致であるため、ファイバー束への気泡のない接続を可能にしない。気泡のない接続は、直線状のメニスカスを有する2mmの領域にも現れない。図22A~22Cでは、血漿メニスカスを平坦化し、ファイバー束表面に適合させるために、出口狭窄部の幅を0.4mm(図22C)に縮小する必要があった。しかし、効果的な接触とファイバー束を通しての排出を可能にするには、狭窄部の幅が小さすぎた。
図23A~23Cは、現在開示されているマイクロ流体装置に本解決策が実装されていることを示す。図23A~図23Cは、幅2mmが徐々に狭くなり、出口に隣接する領域では幅0.7mmとなるチャネルを使用した試験を示す。チャネルの底部及び上部の材料はテサ(Tesa)製で、側壁は自社製の両面感圧接着テープである。レーザーB切断法を用いた。図23Aでは、計量チャンネル内に凹状のメニスカスが形成され、計量チャンネル内を進むにつれて少しぐらついている。図23Bでは、チャネル幅を0.7mmに縮小した後、メニスカスは平坦化され、ぐらつきが少なくなる一方、図23Cでは、さらに前進させた後、メニスカスは直線状となり、ガラスファイバー束に適合し、気泡のない接続と排出を可能にしている。
本開示によるキャピラリー輸送及び対応する方法によって、分析のために計量された体液量をサンプリングし、計量し、収集するように構成されたマイクロ流体装置の実施形態について説明してきた。しかしながら、当業者は、本発明の思想から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で実施形態を変化させることができることを理解する。
上記で説明したすべての代替実施形態又は実施形態の一部は、その組み合わせが矛盾しない限り、発明思想を逸脱することなく自由に組み合わせることができる。
2 マイクロ流体装置
4 入口ポート
6 第1のチャネル(予計量塗布チャネル)
8 第2のチャネル(中間チャネル)
10 第3のチャネル(濾過チャンバ)
12 濾過膜
14 抽出チャンバ
16 通気孔構造/ピンチオフ構造
18 血漿計量チャネル
20 多孔性ブリッジ要素
22 キャピラリー手段
24 入口セクション
25 チャネルシステム
26 計量セクション
28 出口セクション
30 体液(血液)
32 流体後部メニスカス
35 キャピラリーストップバルブ
36 流体前部メニスカス
38 親水性底部基板
40 入口ポート
42 第1のチャネル(予計量塗布チャネル)
44 インジケーター窓
46 第2のチャネル(キャピラリーチャネルを接続する)
50 入口ポート
52 予計量チャネル
54 インジケーター
55 計量された量
56 流量減少ゲート(キャピラリーストップバルブ)
57 オーバーフロー量
58 第2のチャネル(後続チャネル)
60 入口ポート
62 第1のチャネル(予計量塗布チャネル)
64 キャピラリーストップバルブ
66 インジケーター窓
68 第2のチャネル(後続チャネル)
72 区画A
74 濾過素子
76 区画B
80 チャネルカバー
81 濾過膜
82 親水性の床部
83 高さ減少要素
84 ピンチオフ構造
85 傾斜
86 開口側壁
88 キャピラリーの高さ
89 多孔質プラグ
90 計量チャネル
92 空気孔
93 親水性のチャネル床部
94 多孔質プラグ
95 傾斜
98 濾過膜
100 濾過膜
102 抽出チャンバ
104 傾斜
106 親水性のチャネル床部
108 計量チャネル
109 血漿
110 濾過膜
120 濾過膜
122 抽出チャンバ
124 流体コネクタ
126 通気孔
127a 液体-空気界面
127b 液体-空気界面
127c 液体-空気界面
127d 液体-空気界面
128 計量チャネル
129 出口
130 第1の層(底部基板フォイル)
131 第1の開口部a-b
132 第2の層(支持構造)
133 第2の開口部c
134 第3の層(親水性床部)
135 傾斜(抽出チャンバの床部)
136 計量チャネルの床部
137 抽出チャンバ
138 第4の層(チャネル構造)
139 計量チャネルへの入り口
140 第5の層(チャネルカバー)
141 濾過膜
142 出口ポート
148 チャンバ構造
150 体液
152 入口ポート
154 第1のチャネル(予計量塗布チャネル)
155 目視検査手段
156 第2のチャネル(中間チャネル)
158 第3(濾過)のチャネル
159 多孔質プラグ
160 体液
162 入口ポート
163 第1のチャネル(予計量塗布チャネル)
164 第2のチャネル(後続チャネル)
166 キャピラリーストップバルブ
167 多孔質プラグ
168 目視検査手段
169 キャピラリー手段
170 計量チャネル
171 出口孔
172 空洞
174 多孔質プラグ
176 紙基板
178 接着表面
190 チャネル
192 多孔質プラグ
194 紙ディスク基板

Claims (21)

  1. キャピラリー輸送により、分析のために体液の計量された量をサンプリングし、計量し、回収するように構成されたマイクロ流体装置であって、
    体液のサンプルを受け取るための入口セクションであり、入口ポート、及び前記体液のサンプルを輸送するように構成されたチャネルシステムを含む、該入口セクションと、
    血液から血漿を分離するように構成された濾過膜と、
    受け取った前記体液の所定量を計量し、前記装置内の残りの流体から切り離すように構成された計量セクションと、並びに、
    前記計量セクションから計量された体液量を受け取り、回収するように構成された出口セクションであり、前記計量された体液量を回収するためのキャピラリー手段を含む、出口セクションと、
    を備え、
    前記チャネルシステムは、流れ方向に連続して、前記入口ポートと流体的に連通するように配置された第1のチャネル、第2のチャネル、及び第3のチャネルを含み、前記入口セクション及び前記チャネルシステムは、前記体液のサンプルを、前記入口セクションから前記濾過膜まで段階的に又は漸進的に増加する毛管現象で、前記濾過膜に輸送し、また前記濾過膜全体に分配するように構成され、
    前記計量セクションは、前記濾過膜から抽出された体液を受け入れるように構成され、また前記計量チャネルと流体的に連通するように配置された抽出チャンバを含み、及び、
    前記計量セクションは、前記計量された体液量を切り離すように構成されたピンチオフ手段を含み、該ピンチオフ手段は、前記抽出チャンバの最大高さを有する部分に配置された少なくとも1つの空気孔を含むものである、
    ことを特徴とする、装置。
  2. 請求項1に記載の装置において、前記チャネルシステムの毛管現象の段階的又は漸進的な増加は、前記入口ポートから前記濾過膜まで連続して前記チャネルの高さを減少させ、及び/又は前記チャネルの親水性を順次に増加させることによって確立される、装置。
  3. 請求項1又は2のいずれか一項に記載の装置において、第3のチャネルの床部が前記濾過膜の平坦な上面によって画定されている、装置。
  4. 請求項2に記載の装置において、前記第2のチャネルに対する前記第1のチャネルの高さの比率は、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1であり、前記第3のチャネルに対する前記第2のチャネルの高さの比率は少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1であり、好ましくは前記第1のチャネルの高さが500~2000μmであり、前記第2のチャネルの高さが100~600μmであり、前記第3のチャネルの高さが25~200μmである、装置。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の装置において、前記第2のチャネルは、キャピラリーストップバルブと検査窓のような目視充填検査手段とを含み、両者が前記第1のチャネル出口に隣接して配置される、装置。
  6. 請求項5に記載の装置において、前記キャピラリーストップバルブは、親水性が変更された前記第2のチャネルの一部及び/又は寸法が変更された前記第2のチャネルの一部の少なくとも一方から選択される、装置。
  7. 請求項6に記載の装置において、前記キャピラリーストップバルブは、前記第2のチャネルの高さにおける急激な増加を含む、装置。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の装置において、前記ピンチオフ手段は、前記計量チャネルへの入口の前に配置された1つ以上の空気孔と流体的に連通するように配置されたピンチオフ領域を含み、前記ピンチオフ領域は、前記抽出チャンバの最大高さよりも低い高さを有する前記高さ減少要素を含む、装置。
  9. 請求項8に記載の装置であって、前記高さ減少要素内の貫通孔を含む、装置。
  10. 請求項9に記載の装置において、前記抽出チャンバは、前記計量チャネルと流体的に連通するように配置された、漸進的に高さが増加する部分、高さ減少要素を有する部分、及び最大高さを有する部分を含む、装置。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の装置において、前記抽出チャンバの屋根は前記濾過膜の平坦な下面によって画定され、前記抽出チャンバの床部は前記濾過膜との接触部から前記計量チャネルに延伸する、装置。
  12. 請求項11に記載の装置において、前記抽出チャンバは、前記濾過膜との接触点から前記計量チャネルに向かって高さが徐々に増加する概ねくさび形であり、前記抽出チャンバの最大高さが前記計量チャネルの高さを超える、装置。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の装置において、前記第1のチャネルは、デッドボリューム及び前記装置の前記計量された量(出力量)に相関する容積を有し、好ましくは、前記第1のチャネルの前記容積は、前記計量された量以外の体液量の前部メニスカスが前記出口セクションの前記キャピラリー手段に到達することを防止するのに十分である、装置。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の装置において、前記計量チャネルは、前記出口セクションに輸送されたときに、分離された前記計量した量の体液の流体前面メニスカスが、前記キャピラリー手段の表面形状にほぼ適合する形状をとるように構成された寸法変化を有する出口部を有する、装置。
  15. 請求項14に記載の装置において、前記寸法変化は、前記計量チャネルの幅及び/又は高さの減少を含む、装置。
  16. 請求項15に記載の装置において、前記キャピラリー手段に隣接する前記計量チャネルの前記出口部の遠位端は、前記計量チャネルの幅よりも小さい一定の幅を有する、装備。
  17. 請求項16に記載の装置において、前記計量チャネルの前記出口部は、幅が徐々に減少する第1の部分と、前記計量チャネルの幅よりも小さい一定の幅を有する第2の部分とを有する、装置。
  18. 請求項14~17のいずれか一項に記載の装置において、前記流体前面メニスカスとの界面における前記キャピラリー手段の表面形状が、曲面又はほぼ平面である、装置。
  19. 請求項1~18のいずれか一項に記載の装置において、前記出口セクションは、前記計量チャネルの最小寸法よりも小さい平均孔径を有する親水性多孔性ブリッジ要素を備え、前記ブリッジ要素は、前記計量チャネルの前記出口部及び前記キャピラリー手段と流体的に連通して配置されている、装置。
  20. マイクロ流体装置内のキャピラリー輸送により、分析のために計量された体液をサンプリング、輸送、回収する方法であって、以下のステップ、すなわち、
    体液を装置の入口ポートに供給するステップと、
    入口ポートと流体的に連通するように配置されたチャネルシステムを充填するステップであり、前記チャネルシステムは、前記入口ポートと流体的に連通するように配置された第1のチャネル、第2のチャネル、及び第3のチャネルを流れ方向に連続して備えるものである、該充填するステップと、
    段階的又は漸進的に毛管現象が増加する体液サンプルを、血液から血漿を分離するように構成された濾過膜に輸送するステップと、
    前記濾過膜全体に前記体液サンプルを分配するステップと、
    濾過済み体液を、抽出チャンバ、及び前記抽出チャンバに流体的に連通する計量チャネルを含む計量セクション内に受け入れるステップと、
    前記濾過済み体液を前記計量チャネル内で、前記濾過済み体液を回収するためのキャピラリー手段を含む出口セクションまで搬送するステップと、
    最低キャピラリー圧力を誘導する前記計量セクションの一部に少なくとも1つの気泡を導入することにより、前記計量された体液量を切り離すステップと、並びに、
    前記キャピラリー手段内における前記濾過済みの計量された体液量を回収するステップと、
    を備える、方法。
  21. 請求項20に記載の方法であって、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置を用いて、血漿を計量収集するための血液サンプルを用いて実施される、方法。
JP2023580354A 2021-06-29 2022-06-28 マイクロ流体装置 Pending JP2024526232A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
SE2150836-1 2021-06-29
SE2150835-3 2021-06-29

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024526232A true JP2024526232A (ja) 2024-07-17

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5861737B2 (ja) 血漿分離リザーバ
US11717827B2 (en) Automatic plasma separation and metering
US11426699B2 (en) Capillary pressure re-set mechanism and applications
JP4752546B2 (ja) 遠心分離デバイス及び遠心分離方法
US20240050947A1 (en) Microfluidic devices
WO2018083563A1 (en) Microfluidic chip with bead integration system
KR100824209B1 (ko) 모세관력을 이용한 수동 미세유체 세척 소자
US11305236B2 (en) Surface tension driven filtration
JP7409693B2 (ja) マイクロ流体装置
JP2024526232A (ja) マイクロ流体装置
WO2023277773A1 (en) Microfluidic devices
CN117642228A (zh) 微流体装置
Mark et al. Aliquoting structure for centrifugal microfluidics based on a new pneumatic valve
US11781954B2 (en) Bridging liquid between microfluidic elements without closed channels
KR20170048067A (ko) 혈액 분석을 위한 스마트 피펫
WO2023161619A1 (en) Integrated microfluidic test strip