JP2024524891A - インターロイキン-15に基づく免疫サイトカイン - Google Patents

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本発明は、とりわけ、IL-15スーパーアゴニスト(IL-15及びIL-15Rαのsushiドメインに基づく)及び抗体を含む免疫サイトカインに関する。本発明は、核酸、ベクター、方法及び医学的使用も提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、とりわけ、IL-15スーパーアゴニスト(IL-15及びIL-15Rαのsushiドメインに基づく)及び抗体を含む免疫サイトカインに関する。
インターロイキン15(IL-15)は、細胞傷害性リンパ球及びメモリー表現型CD8 T細胞の生成を誘導し、ナチュラルキラー(NK)細胞の増殖及び維持を刺激する天然に存在するサイトカインであるが、インターロイキン2とは対照的に、活性化誘導細胞死を媒介せず、Tregを一貫して活性化せず、毛細血管漏出症候群を引き起こすことがより少ない(Waldmann、Duboisら、2020)。とりわけ癌の治療におけるIL-15及び数が増えてきているIL-15類似体/スーパーゴニストの有効性及び制限を実証する広範な前臨床研究及び臨床研究が実施されており、Robinson及びSchlunsによって概説されている(Robinson及びSchluns 2017)。
IL-15は、インターロイキン2(IL-2)と同様に、α、β及びγサブユニットを有するヘテロ三量体受容体を介して作用するが、それらは共通のγ鎖受容体(γ又はγ)及びIL-2/IL-15Rβ(IL-2Rβ、CD122としても知られる)を共有し、γ鎖受容体はIL-4、IL-7、IL-9及びIL-21とも共有する。このヘテロ三量体受容体は、第3のサブユニットとして、IL-2又はIL-15についての特定のサブユニット、すなわち、IL-2Rα(CD25)又はIL-15Rα(CD215)を含有する。下流のIL-2及びIL-15ヘテロ三量体受容体は、細胞内シグナル伝達のためにJAK1(Janus(ヤヌス)キナーゼ1)、JAK3、及びSTAT3/5(シグナル伝達性転写因子(シグナル伝達兼転写活性化因子)3及び5)分子を共有し、同様の機能をもたらすが、両方のサイトカインは、Waldmann(2015、例えば表1を参照)及びConlon(2019)において概説されるように、異なる役割も有する。
従って、IL-2、IL-15又はその誘導体の結合による異なるヘテロ三量体受容体の活性化は、免疫系の特異的調節及び潜在的な副作用をもたらす可能性を有している。最近、NK細胞及びCD8 T細胞の活性化を特異的に標的とすることを目的として、IL-15又はIL-15多様体を含む新規化合物が設計された。これらは、中親和性IL-2/IL-15Rβγ、すなわち、NK細胞、CD8 T細胞、NKT細胞及びγδ T細胞で発現される、IL-2/IL-15Rβ及びγサブユニットからなる受容体を標的とする化合物である。これは、IL-15トランスプレゼンテーションによって媒介される安全かつ強力な免疫刺激にとって重要であるが、設計された化合物SOT101(SO-C101、RLI-15)、ALT-803及びhetIL-15は、IL-15Rαサブユニット(の一部)を既に含有し、それゆえ抗原提示細胞によるαサブユニットのトランスプレゼンテーションを模擬する。SO-C101は、IL-15Rαの共有結合したsushi(スシ)+ドメインを含むので、中親和性IL-15Rβγのみに結合する。このため、SO-C101は、IL-15RαにもIL-2Rαにも結合しない。同様に、ALT-803及びhetIL-15は、それぞれIL-15Rαsushiドメイン又は可溶性IL-15Rαを保有し、それゆえ中親和性IL-15Rβγ受容体に結合する。従って、IL-15及びIL-15類似体/スーパーゴニストは、癌及び感染性疾患(感染症)の治療のための有望な臨床段階開発候補である。
標的化サイトカイン送達の方法として、免疫サイトカインと呼ばれる抗体-サイトカイン融合分子が開発されている。このようなタンパク質は、抗原結合特性及びサイトカイン活性の両方を保持する。抗体部分を腫瘍関連抗原、血管新生抗原、腫瘍微小環境抗原又は免疫チェックポイントに標的化することによって、免疫サイトカインは腫瘍微小環境に隔離され、サイトカイン部分は、免疫細胞で発現されるその同族受容体を介してシグナル伝達し、抗腫瘍応答を誘導することができる。例えば、抗体がチェックポイント阻害剤(CPI)である場合、抗体とサイトカインの組み合わせは、CPIを通して免疫系に対する「ブレーキ」を持ち上げ、サイトカインを通して免疫細胞を刺激することによって、癌に対する免疫応答を増強することになる。抗体が腫瘍抗原を標的とする場合、抗体エフェクター機能は、抗体エフェクター機能に関与する免疫細胞を活性化するサイトカインの存在によって増強される可能性がある。
しかしながら、承認されたIL-15ベースの免疫サイトカインはまだ市販されていない。最近、CEA及びFAPに対して標的化されたIL-2ベースの免疫サイトカインが中止されたようである。
従って、免疫サイトカインの設計を改善することが引き続き必要とされている。
Waldmann,T.A.、S.Duboisら、(2020). Frontiers in Immunology 11(868) Robinson,T.O.及びK.S.Schluns(2017). Immunol Lett 190:159-168 Waldmann,T.A. (2015). Cancer Immunol Res 3(3):219-227 Conlon,K.C.ら、(2019). J Interferon Cytokine Res 39(1):6-21
本発明者らは、本発明において、IL-15スーパーアゴニスト(IL-15及びIL-15Rのsushiドメインに基づく)活性及び免疫サイトカインを形成する抗体の調節を可能にする変異/タンパク質修飾ツールボックスを開発した。本発明者らは、免疫エフェクター細胞に対する高すぎる親和性に起因する標的介在性の薬物消失(target mediated drug deposition)を最小限にし、免疫サイトカインの半減期の増加をもたらすために、IL-15スーパーアゴニストのIL-2/IL-15Rβ及び/又はγ受容体への結合を低下させる好適な単変異又は二重変異を特定した。異なる変異は、低減された結合のレベルを調整することを可能にする。IL-15スーパーアゴニストにおける他の変異は、翻訳後修飾に関してIL-15多様体の均質性を改善してもよい。IL-15スーパーアゴニストの活性を調節することは、抗体に融合した1つ又は2つのサイトカインの存在を変化させることも含んでもよい。それゆえ、上記ツールボックスは、ヘテロ二量体抗体を可能にする変異も含む。抗体エフェクター機能を調節するためのツールボックス変異は、抗体依存性細胞傷害活性を増強するか若しくは低下させるFc変異及び/又は抗体のインビボ半減期若しくは安定性を増加させる変異を含んでもよい。上記ツールボックスは、脱フコシル化(アフコシル化、afucosylated)抗体を産生することによって抗体依存性細胞傷害活性を増強することも含む。上記ツールボックスは、IgG1又はIgG4抗体等の特定の必要性に適合された抗体の異なる形式をさらに含む。本発明者らは、本発明において、CPI活性又は腫瘍抗原標的化抗体及びIL-15スーパーアゴニストの活性を組み合わせることを目的とする例示的な免疫サイトカインも設計した。IL-2/IL-15Rβへの結合が減少したRLI分子に融合した、減少したADCC活性を有するヘテロ二量体化ペムブロリズマブに基づく免疫サイトカインは、CPIとサイトカインとの組み合わせである。IL-2/IL-15Rβへの結合が低下したRLI分子に融合したヘテロ二量体化hCl1a、抗CLDN18.2抗体(ADCC活性が増強されていてもよい)に基づく免疫サイトカインは、腫瘍抗原標的化抗体とサイトカインとの組み合わせである。
非還元条件下でのRLI2(RLI2 wt)、G78A置換を有するRLI2(RLI2 A)及びG78A/N79Q置換を有するRLI2(RLI2 AQ)のLMW SDS-PAGE及びウエスタンブロット(抗RLI-15)分析。クーマシー染色については、0.5μg又は2μgのタンパク質を使用し(レーン2、4、6、8、10及び12)、ウエスタンブロッティングについては、25ngのタンパク質を使用した(レーン3、7、11)。 還元条件下(R)及び非還元(NR)条件下でのRLI2(RLI2 wt)、G78A置換を有するRLI2(RLI2 A)及びG78A/N79Q置換を有するRLI2(RLI2 AQ)のキャピラリー電気泳動、変性、分析。破線のボックス1はグリコシル化部位番号2のバンド(主要)を表し、ボックス2はグリコシル化部位番号1のバンド(次位(マイナー))を表し、破線のボックス3はRLI2Aの新規化部位を表す。名前が付けられていないレーンは16、21、30、48,68kDaのマーカーである。 クーマシーブルー(左のペイン)、硝酸銀(中央のペイン)で染色し、抗IL15ウエスタンブロット(右のペイン)で検出されたSDS-PAGE(7.5~18%)によるCHO細胞で発現した3つの脱グリコシル化RLI多様体の分析:レーン1:分子量マーカー;レーン2:RLI2N176Q、レーン3:RLI2N168S/N176Q/N209S、レーン4:RLI1N168S/N176Q/N209S 32Db細胞又はkit225細胞の活性化によって決定された上清からのRLI2及びRLI2AQの効力。(A)32Db細胞、21時間(h)、(B)kit225細胞、4時間。 kit225細胞の活性化によって決定された、上清からのRLI2AQと比較した精製されたRLI2又は上清からのRLI2の相対的効力。 高グリコシル化RLI2及び低グリコシル化RLI2の比較。280nmで測定された緩衝液Bの濃度に依存するCPI HIC溶出プロファイル。左のボックスは、高グリコシル化RLI2(「RLI-15-HG」)についてのプールされた画分2B1 1~3を示し、右のボックスは、低グリコシル化RLI2(「RLI-15-LG」)についてのプールされた画分4B1 1~3を示す。 高グリコシル化RLI2及び低グリコシル化RLI2の比較。RLI-15-HGの画分2B1 1~3、RLI2参照標準物質及び所与のkDaの分子量ラダーのSDS PAGE。 高グリコシル化RLI2及び低グリコシル化RLI2の比較。RLI-15-LGの画分4B1 1~3、RLI2参照標準及び所与のkDaの分子量ラダーのSDS PAGE。 選択されたPEM-RLI構築物のキャピラリー電気泳動。 雌hPD-1シングルKI HuGEMMマウスに移植されたHuCell MC38-hPD-L1腫瘍細胞株の処置における、ペムブロリズマブと比較したPEM-RLI NA x1のインビボでの治療有効性。 混合リンパ球反応(hPBMCドナー):対照(PBMCのみ)、ペムブロリズマブ及びPEM LE-RLI2AQ NA x1についてのpg/ml単位のINFγ分泌。 カニクイザルにおける、10又は30μg/kgのPEM-RLI x1及び30又は90μg/kgのPEM LE/YTE-RLI NA x1をそれぞれ1日目及び15日目にIV投与した後の、正常な結合を有するPEM-RLIと比較してIL-2Rβγ結合が低下したPEM-RLI構築物の薬物動態及び薬力学。投与後の時間単位の時間に依存する血清中の構築物の濃度。10μg/kgのPEM-RLI x1(灰色の実線)、30μg/kgのPEM-RLI x1(灰色の点線)、30μg/kgのPEM LE/YTE-RLI NA x1(黒色の点線)、又は90μg/kgのPEM LE/YTE-RLI NA x1(黒色の実線);LLOQは定量下限を指す:PEM-RLI x1(灰色)、PEM LE/YTE-RLI NA x1(黒色)。群あたり2匹の動物(群中の個々の動物について塗りつぶしの丸及び白丸)。 カニクイザルにおける、10又は30μg/kgのPEM-RLI x1及び30又は90μg/kgのPEM LE/YTE-RLI NA x1をそれぞれ1日目及び15日目にIV投与した後の、正常な結合を有するPEM-RLIと比較してIL-2Rβγ結合が低下したPEM-RLI構築物の薬物動態及び薬力学。日単位の時間に依存するリンパ球の数(変化倍率):PEM-RLI x1(灰色)、PEM LE/YTE-RLI NA x1(黒色)。群あたり2匹の動物(群中の個々の動物について塗りつぶしの丸及び白丸)。 カニクイザルにおける、10又は30μg/kgのPEM-RLI x1及び30又は90μg/kgのPEM LE/YTE-RLI NA x1をそれぞれ1日目及び15日目にIV投与した後の、正常な結合を有するPEM-RLIと比較してIL-2Rβγ結合が低下したPEM-RLI構築物の薬物動態及び薬力学。Ki67 NK細胞の%:PEM-RLI x1(灰色)、PEM LE/YTE-RLI NA x1(黒色)。群あたり2匹の動物(群中の個々の動物について塗りつぶしの丸及び白丸)。 カニクイザルにおける、10又は30μg/kgのPEM-RLI x1及び30又は90μg/kgのPEM LE/YTE-RLI NA x1をそれぞれ1日目及び15日目にIV投与した後の、正常な結合を有するPEM-RLIと比較してIL-2Rβγ結合が低下したPEM-RLI構築物の薬物動態及び薬力学。Ki67 CD8 T細胞の%:PEM-RLI x1(灰色)、PEM LE/YTE-RLI NA x1(黒色)。群あたり2匹の動物(群中の個々の動物について塗りつぶしの丸及び白抜きの丸)。 30μg/kgの単回IV投与後のカニクイザルにおけるPEM-RLI NA x1及びPEM-RLI NA x2の薬物動態及び薬力学の比較。時間単位の時間に依存する血清中の構築物の濃度;LLOQは定量下限を指す。PEM-RLI NA x1は黒色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表され、PEM-RLI NA x2は灰色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表されている。 30μg/kgの単回IV投与後のカニクイザルにおけるPEM-RLI NA x1及びPEM-RLI NA x2の薬物動態及び薬力学の比較。日数単位の時間に依存するリンパ球の数(変化倍率)。PEM-RLI NA x1は黒色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表され、PEM-RLI NA x2は灰色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表されている。 30μg/kgの単回IV投与後のカニクイザルにおけるPEM-RLI NA x1及びPEM-RLI NA x2の薬物動態及び薬力学の比較。Ki67 NK細胞の%。PEM-RLI NA x1は黒色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表され、PEM-RLI NA x2は灰色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表されている。 30μg/kgの単回IV投与後のカニクイザルにおけるPEM-RLI NA x1及びPEM-RLI NA x2の薬物動態及び薬力学の比較。Ki67 CD8 T細胞の%。PEM-RLI NA x1は黒色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表され、PEM-RLI NA x2は灰色で表され、2匹の個々の動物は塗りつぶしの丸及び白抜きの丸で表されている。 600μg/kgの単回IV投与後のカニクイザルにおけるPEM LE/YTE-RLI NA x1及びPEM LE-RLI NA x1の薬物動態の比較。血清中の構築物の濃度が時間単位の時間に依存して示され、LLOQは定量下限を指す:PEM LE/YTE-RLI NA x1は黒色の丸/点線で表され、PEM LE-RLI NA x1は灰色の丸及び実線で表されている。 600μg/kgの単回IV投与後のカニクイザルにおけるPEM LE-RLI NA x1及びPEM-RLI NQD x1の薬物動態の比較。血清中の構築物の濃度が時間単位の時間に依存して示され、LLOQは定量下限を指す:PEM LE-RLI NA x1は灰色の丸/線で表され、PEM-RLI NQD x1は黒色の丸/線で表されている。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が低下した免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が増強された免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。(A)DLE変異。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が増強された免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。(B)DE変異。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が増強された免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。(C)AAA変異。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が増強された免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。(D)TL変異。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が増強された免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。(E)IE変異。 非改変エフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性の、ADCC活性が増強された免疫サイトカイン及び抗体hCl1a及びゾルベツキシマブに対する比較。ADCC標的細胞は、CLDN18.2を過剰発現するA549細胞(A549-CLDN18.2)又はCLDN18.2を内因的に発現するPA-TU-8988S細胞(PATU)であった。(F)脱フコシル化免疫サイトカイン。 Balb/cマウスにおけるRTX-RLI2AQ免疫サイトカインのPD活性:CD8 T細胞又はNK細胞(左パネル)又は活性化CD8 T細胞又はNK細胞(Ki67 - 右パネル)のパーセントはフローサイトメトリによって決定された。 肺重量によって決定されたインビボでのRencaマウス転移モデルにおけるRTX-RLI2AQ免疫サイトカインの抗転移活性。 A20-hCD20/Balb/cマウスにおけるRTX-RLI免疫サイトカインの抗腫瘍有効性:腫瘍成長は、時間に依存して個々のマウスについて示されている。A:1~4日目に皮下注射した緩衝液対照;B:1~4日目に1mg/kgで皮下注射したRLI2対照;C:1日目及び8日目に0.15mg/kgでi.v.注射したRTX-RLI2AQ リツキシマブ単独と比較した、リツキシマブに基づくRTX-RLI免疫サイトカインのADCC活性:DAPI陽性によって決定された死んだ腫瘍細胞の%は、試験されたポリペプチドの濃度に依存して決定された:黒色の丸:リツキシマブ、灰色の丸:リツキシマブ+NK92細胞;点線を伴う黒い三角:RTX-RLI2AQ x2;実線を伴う黒い三角:RTX-RLI2AQ x2+NK92細胞;灰色の正方形:RTX-RLI2AQ x1;黒い正方形:NK92細胞を伴うRTX-RLI2AQ x1。 PD-1/PD-L1遮断の%が、Keytruda及びSOT201のpM単位の濃度の増加に依存して示される。 SOT201又はIL-2/IL-15Rβγへの結合を低下させずにIL-15部分を有するSOT201 wtの量を増加させた場合の、健常ドナー由来のヒトPBMCをインビトロで7日間刺激した後にフローサイトメトリによって決定されたKi67 NK細胞及びCD8 T細胞の%。 5mg/kgのマウス代用分子mSOT201(抗マウスPD-1抗体RMP1-14融合RLI-15AQA)に等モル量の化合物をIV注射した5日後にフローサイトメトリによって健常C57BL/6マウス(n=2/群)の脾臓において検出されたCD8 T細胞又はNK細胞の細胞増殖(Ki67)を、単独活性対照としての抗マウスPD-1抗体単独又は抗ヒトPD1マウスIgG1-RLI-15AQA(hPD1-mSOT201)と比較したもの。 1日目(腫瘍体積80~100mmの無作為化日)に対照(NaCl)、mSOT201、mSOT201(5mg/kg)と等モル量のhPD1-mSOT201又はmPD1の単回注射でIV処置された同系MC38腫瘍細胞を有するC57BL/6マウスの17日間の時間経過にわたるmm単位の腫瘍体積(n=10マウス/群)。 処置後100日まで生存しているMC38腫瘍保持マウスの対応する%。 RNA seqデータ上のメタジーン(metagene)によって決定された、MC38腫瘍保持マウスのmSOT201処置腫瘍試料(N=3)及び対照試料(n=4)にわたる示された適応免疫細胞及び自然免疫細胞並びに癌関連線維芽細胞(CAF)に関連する遺伝子セットの相対発現レベル。ボックスプロット:最小値、中央値(メジアン)、最大値。 図21A(1)の続き。 図21A(1)及び図21A(2)の続き。 樹立した腫瘍(80~100mm)のmSOT201(5mg/kg)IV処置後7日目にMC38腫瘍保持マウスの脾臓又はリンパ節における示された細胞のフローサイトメトリにより%Ki67細胞によって決定された細胞増殖(n=2)。 対照(NaCl)、mSOT201、CD25結合を消失させたmPD1-IL-2βγアゴニスト(抗マウスPD-1抗体RMP1-14に融合されたIL-2v)、又はRLI-15AQAと抗マウスPD-1抗体mPD1(RMP1-14)との組み合わせの単回注射でIV処置されたMC38腫瘍を有するC57BL/6マウスの21日間の時間経過にわたるmm単位の腫瘍体積(n=10マウス/群)。 健常C57/BL6マウスにおけるIV投与後の5日目及び8日目にフローサイトメトリによって検出されたCD8 T細胞及びNK細胞のKi67細胞%によって決定された細胞増殖。 mSOT201、mPD1-IL-2v又はRLI-15AQA及びmPD-1の組み合わせでIV処置されたMC38腫瘍を保有するC57BL/6マウスの7日目の脾臓又はリンパ節におけるCD8 T細胞の%Ki67細胞。無作為化1日目、腫瘍体積100mm(n=10/群)。 示された日にフローサイトメトリ及び血液学により決定された、1日目の0.6mg/kgのSOT201の単回IV投与後のカニクイザルの血液中のNK細胞及びCD8 T細胞のKi67の%及び絶対細胞数の変化倍率。各グラフ曲線は1匹の動物を表す。 示された日にフローサイトメトリによって決定された、1日目及び21日目(矢印によって示される)の0.3mg/kgのSOT201のIV投与の投与後のカニクイザルの血液中のNK細胞及びCD8 T細胞のKi67の%。各グラフ曲線は1匹の動物を表す。 インビボでのマウスSOT201代用物による処置後のNK細胞及びCD8 T細胞の増殖。hPD1-mSOT201、mPD-1、mSOT201、mSOT201 wt及びmPD1-IL2vによる処置後5日目及び8日目の健常C57BL/6マウスの脾臓におけるCD8 T細胞及びNK細胞の増殖。CD8 T細胞及びNK細胞におけるKi67の発現はフローサイトメトリによって検出された。上記分子は、1日目に、5mg/kgのmSOT201と等モル用量で5.37mg/kgのhPD1-mSOT201、4.51mg/kgのmPD-1が、及び0.25mg/kgのmSOT201 wtと等モル用量で0.26mg/kgのmPD1-IL2vがi.v.投与された。フローサイトメトリ分析は5日目及び8日目に実施された。データは、1日につき群あたり2人の個体の平均±SEMを表す。 インビボでのマウスSOT201代用物による処置後のNK細胞及びCD8 T細胞の増殖。hPD1-mSOT201、mPD-1、mSOT201、mSOT201 wt及びmPD1-IL2vによる処置後5日目及び8日目の健常C57BL/6マウスの脾臓におけるCD8 T細胞及びNK細胞の増殖。CD8 T細胞及びNK細胞におけるKi67の発現はフローサイトメトリによって検出された。上記分子は、1日目に、10mg/kgのmSOT201と等モル用量で10.74mg/kgのhPD1-mSOT201、9.02mg/kgのmPD-1が、及び0.1mg/kgのmSOT201 wtと等モル用量で0.1mg/kgのmPD1-IL2vがi.v.投与された。フローサイトメトリ分析は5日目及び8日目に実施された。データは、1日につき群あたり2人の個体の平均±SEMを表す。 インビボでのPD-1感受性腫瘍モデル及びPD-1耐性腫瘍モデルにおけるマウスSOT201代用物。(A)抗PD-1感受性腫瘍モデル。MC38/C57BL/6マウスモデル:4.51mg/kg mPD-1(mSOT201と等モル量として選択された、文献と比較して最適以下の(準最適)用量)、5mg/kg mSOT201又は5.37mg/kg hPD1-mSOT201(mSOT201と等モル量)の0日目の単回i.v.投与;D0=腫瘍体積が約80~100mmの無作為化日、10匹のマウス/群。CT26/BALB/cマウスモデル:9.02mg/kgのmPD-1(文献と比較して有効用量)、10mg/kgのmSOT201、10.74mg/kgのhPD1-mSOT201(mSOT201と等モル量)で0日目、3日目、6日目及び9日目の4回のi.p.投与;D0=腫瘍体積が約100mmの無作為化日、10匹のマウス/群。(B)抗PD-1耐性腫瘍モデル。CT26 STK11 koマウスモデル:9.02mg/kgのmPD-1(文献と比較して有効用量)、10mg/kgのmSOT201、10.74mg/kgのhPD1-mSOT201(mSOT201と等モル量)で0日目、3日目、6日目及び9日目の4回のi.p.投与;D0=腫瘍体積が約100mmの無作為化日、10匹のマウス/群。B16F10/C57BL/6マウスモデル:9.02mg/kgのmPD-1(文献と比較して有効用量)、10mg/kgのmSOT201、10.74mg/kgのhPD1-mSOT201(mSOT201と等モル量)で0日目、3日目、6日目及び9日目の4回のi.p.投与;0日目=腫瘍体積約100mmの無作為化日、10匹のマウス/群。対照群に存在するすべてのマウスのカットオフ日、CR=完全奏効。 インビボでのmSOT201対RLI-15AQA変異タンパク質(ムテイン)+抗PD-1の比較。以下の群を用いるMC38/C57BL/6マウスモデル: G1 模擬対照 G4:0日目に0.64mg/kgのRLI-15AQAのs.c.単回投与+0日目に4.51mg/kgのmPD-1のi.p.単回投与。 G2 0日目に5mg/kgのmSOT201のi.v.単回投与 G3 0日目に2mg/kgのmSOT201のi.v.単回投与 G6 0日目に4.51mg/kgの単独mPD1のi.p.単回投与(mSOT201と等モル量として選択された、文献と比較して最適以下の用量)、 G11 0日目に5mg/kgのhPD1-mSOT201のi.v.単回投与+0日目に4.36mg/kgのmPD-1のi.p.単回投与、0日目=腫瘍体積が約80~100mmの無作為化日;10匹のマウス/群対照群に存在するすべてのマウスのカットオフ日、CR=完全奏効。 MC38/C57BL/6マウスモデル - D0=約80~100mmの無作為化日、10匹のマウス/群。CR=完全奏効 G1 模擬対照 G2 0日目に5mg/kgのmSOT201のi.v.単回投与 G3 0日目に2mg/kgのmSOT201のi.v.単回投与 G7 0日目、1日目、2日目及び3日目に1mg/kgのRLI2AQの4回のs.c.投与 G5 0日目に1mg/kgのRLI2AQのs.c.単回投与+0日目に5mg/kgのmPD1のi.p.単回投与 G8 0日目、1日目、2日目及び3日目に1mg/kgのRLI2AQの4回のs.c.投与+0日目に5mg/kgのmPD1のi.p.単回投与 G9 0日目、1日目、2日目及び3日目に1mg/kgのRLI2AQの4回のs.c.投与+0日目、3日目、6日目及び9日目に5mg/kgのmPD1の4回のi.p.投与 G6 0日目に5mg/kgのmPD1のi.p.単回投与 G10 0日目、3日目、6日目及び9日目に5mg/kg mPD1の4回のi.p.投与対照群に存在するすべてのマウスのカットオフ日 インビボでのmSOT201対RLI2AQ+抗PD-1腫瘍成長の比較。MC38/C57BL/6マウスモデル。時間に依存して、及び16日目の個々の動物について示されたmm単位の平均腫瘍体積。水平線は平均腫瘍体積を示す。 G1 模擬対照 G2 0日目に2mg/kgのmSOT201のi.v.単回投与、 G3 0日目及び1日目に2mg/kgのRLI2AQの2回のs.c.投与+0日目、3日目、6日目及び9日目に2mg/kgのmPD1の4回のi.p.投与1実験のみ。D0=腫瘍体積が約80~100mmの無作為化日;10匹のマウス/群。CR=完全奏効 NK細胞、CD8 T細胞並びにαβTCR及びγδTCRを発現する細胞(T細胞)の相対的増殖が、フローサイトメトリを使用して、SOT201(上記からのG2)及びRLI2AQ+抗PD-1(上記からのG3)処置後7日目に脾臓、リンパ節及び腫瘍において調べられた。3つの腫瘍試料がプールされ、3つの脾臓及びリンパ節試料が別々に分析された。 インビボでのmSOT201対RLI2AQ+抗PD-1腫瘍増殖の比較。MC38/C57BL/6マウスモデル。リンパ節、脾臓及び腫瘍由来のCD8 T細胞(上段)及びNK細胞(下段)について、%での親の頻度(親集団と比較した相対パーセンテージ)が示されている。 インビボでのmSOT201対RLI2AQ+抗PD-1腫瘍増殖の比較。MC38/C57BL/6マウスモデル。リンパ節、脾臓及び腫瘍由来のαβTCR CD3 T細胞(上段)及びβγTCR CD3 T細胞(下段)についての%での親の頻度が示されている。 (A)DC-T細胞ベースのアッセイにおける免疫原性。候補分子をiDCに負荷し、CFSEで予め染色された自己CD4 T細胞とインキュベートし、CFSE染色を検出した後の%CFSElow染色CD4 T細胞として示されたPEM-RLI-15候補分子に対するT細胞応答。CFSElowは、細胞周期をまわっている細胞(cycling cell)の代理として用いられている。11人のドナーの平均±SEMが示されている。タンパク質なしでインキュベートされ、従って非特異的T細胞増殖を誘導した対照DCと比較した有意差が示されている。p≦0.05、***p≦0.001。(B)導入された置換N65A及びG175A/N176QにわたるRLI-15ペプチドのIFN-γ及びTNF-αについてのFluoroSpotアッセイ。40人のドナーの試験集団における平均dSFUに対するMut2又はMut3ペプチド対それぞれの野生型ペプチドの効果の、95%信頼区間(CI)による推定。SFU=スポット形成単位、dSFU=再刺激ウェルのSFU-非再刺激ウェルのSFU。 改変されたエフェクター機能を有するSOT202分子のhPBMCの増殖を誘導する能力の比較。単離されたhPBMCの増殖が、SOT202-DANA、SOT202-afuc-DANA、SOT202-DLE-DANA、SOT202-DE-DANA及びSOT202-LALAPG-DANAについて評価された。細胞はインビトロで7日間刺激された。6人のドナーの平均±SEMが示されている。NK細胞(上)及びCD8 T細胞(下)の増殖は、フローサイトメトリによってKi67細胞を計数することによって測定された。 SOT202分子及びSOT201のhPBMCの増殖を誘導する能力の比較。単離されたhPBMCの増殖が、SOT202、SOT202-afuc、SOT201-DANA、SOT202-DANA及びSOT202-afuc-DANAについて評価された。NK細胞(上)及びCD8 T細胞(下)の増殖は、フローサイトメトリによってKi67細胞を計数することによって測定された。 改変されたエフェクター機能を有するSOT202-DANA分子及びSOT201-DANAのhPBMCの増殖を誘導する能力の比較。単離されたhPBMCの増殖が、SOT201-DANA、SOT202-DANA、SOT202-afuc-DANA、SOT202-LALAPG-DANA及びhCl1a(SOT202-mabとも記載される)について評価された。NK細胞(上)及びCD8 T細胞(下)の増殖は、フローサイトメトリによってKi67細胞を計数することによって測定された。 mSOT202による刺激後に健常C57BL/6マウスの脾臓において検出された、CD8 T細胞又はNK細胞の細胞増殖(Ki67)。細胞増殖は、Ki67染色によって検出され、5、10若しくは20mg/kgのmSOT202(hCl1a-mIgG2a-NA 1x)又はhCl1a-mIgG2aの化合物のIV注射の5日後にフローサイトメトリによって測定された。 (A)と同じ実験条件下でのNK細胞及びCD8 T細胞のパーセンテージ。 mSOT202、mSOT202-LALAPG及びhCl1a-mIgG2aによる刺激後に健常C57BL/6マウスの脾臓において検出されたNK細胞の細胞増殖。上:細胞増殖はKi67染色によって検出され、5mg/kgの化合物のIV注射の5日後及び10日後にフローサイトメトリによって測定された。下:NK細胞のパーセンテージ。 mSOT202、mSOT202-LALAPG及びhCl1a-mIgG2aによる刺激後に健常C57BL/6マウスの脾臓において検出されたCD8 T細胞の細胞増殖。上:細胞増殖はKi67染色によって検出され、5mg/kgでの化合物のIV注射の5日後及び10日後にフローサイトメトリによって測定された。下:CD8 T細胞のパーセンテージ。
定義
免疫グロブリン(Ig)としても知られる「抗体」は、ヒト及びほとんどの哺乳動物において、ジスルフィド結合によって連結された2つの重鎖(HC)及び2つの軽鎖(LC)から構成される大きいY字形タンパク質である。軽鎖は1つの可変ドメインV及び1つの定常ドメインCからなるが、重鎖は1つの可変ドメインV及び3つの定常ドメインC1、C2、C3を含む。構造的に、抗体は、それぞれ1つのV、V、C、及びC1ドメインを含む2つの抗原結合断片(フラグメント)(Fab)、並びに2つの重鎖の2つのC2及びC3を含むFc断片又はドメインにも分割される。
本明細書で使用される「抗体多様体(バリアント)」又は「抗体機能的多様体」は、例えば、抗体のエフェクター機能を調節するため、抗体安定性及びインビボ半減期を調節するため、並びに/又は抗体Fcドメインのヘテロ二量体化を誘導するための修飾を有する抗体に関する。このような多様体は、変異及び/又は翻訳後修飾によって達成されてもよい。抗体多様体は、N末端リジンの短縮化(切断)を有する抗体重鎖も含む。他の含まれるバリエーションは、色素、放射性核種、毒素又は他の結合部分等の他の部分への化学的又は酵素的カップリングのための重鎖及び/又は軽鎖のN末端タグ又はC末端タグである。さらに、抗体多様体は、化学的修飾、それらのグリコシル化の修飾、又は他の部分への化学的連結のための人工アミノ酸での置換を含んでもよい。
本明細書で使用される抗体多様体は、2つ以上の異なるエピトープを潜在的に認識する免疫グロブリンγ(IgG)ベースの二重特異性抗体にも関する。様々な形式の二重特異性抗体が当該技術分野において公知であり、例えば、Godarら(2018)及びSpiessら(2015)によって概説されている。本発明に係る二重特異性形式は、Fcドメインを含む。本発明の免疫サイトカインに関して、2つのRLIコンジュゲートは、ある部分に別様に連結されない場合、両方の軽鎖のC末端又は両方の重鎖のC末端のいずれかに融合されてもよく、あるいは、1つのRLIコンジュゲートは、ヘテロ二量体二重特異性形式のために1つの重鎖のC末端に、又は異なる軽鎖を有するヘテロ二量体二重特異性形式の重鎖若しくは1つの軽鎖に融合されてもよい。
抗体機能的多様体は、対応する非修飾抗体と同じエピトープ又は標的に結合することができる。総称的に使用される場合の用語「抗体」は、本明細書で定義される抗体多様体を含む。
本明細書で使用される「コンジュゲート」は、インターロイキン15(IL-15)若しくはその誘導体とインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)若しくはその誘導体のsushiドメインとの非共有結合又は共有結合複合体のいずれかに関する。非共有結合複合体は、2つのポリペプチドの同時発現によって、又は別々の発現、(部分的)精製及びその後のそのようなポリペプチドの親和性によりそのような複合体を形成するための組み合わせによって形成されてもよい。好ましくは、コンジュゲートは、2つのポリペプチドが遺伝的に(genetically)融合され、組換えにより発現されて単一のポリペプチド鎖をもたらしインタクトな複合体を形成する、融合タンパク質である。
本明細書で使用される「免疫サイトカイン」は、本発明に係るコンジュゲートに遺伝的に融合した抗体又はその機能的多様体を含むポリペプチドに関する。
RLIが特定の免疫サイトカイン構築物内で言及される場合、それはRLI2である。
EU番号付けスキームが、開示された抗体又は部分抗体配列に適用されている。
「インビボ半減期」又はT1/2は、(終末相(terminal))血漿半減期を指すか、又はT1/2は、排出の半減期又は終末相の半減期であり、すなわち、投与後、インビボ半減期は、分布の擬似平衡に達した後に血漿濃度/血中濃度が50%減少するのに必要な時間である(Toutain及びBousquet-Melou、2004)。血液/血漿中の薬物、ここではポリペプチドである免疫サイトカインアゴニストの測定は、典型的にはポリペプチド特異的ELISAによって行われる。特定の薬物のインビボ半減期は、任意の哺乳動物において決定することができる。例えば、インビボ半減期は、ヒト、霊長類又はマウスにおいて決定することができる。ヒトにおいて決定されたインビボ半減期は、マウスにおけるインビボ半減期とはかなり異なる可能性があるが、すなわち、特定の薬物についてのマウスにおけるインビボ半減期は、ヒトにおける同じ薬物について決定されたインビボ半減期よりも通常短いが、マウスにおいて決定されたこのようなインビボ半減期は、依然として、ヒトにおける特定のインビボ半減期の指標を与える。従って、マウスにおける特定の薬物について決定されたインビボ半減期から、ヒトにおけるその薬物のインビボ半減期を推定することができる。これは、ヒトに関与する単なる科学的目的のための実験の禁止に起因して、ヒトにおける特定の薬物のインビボ半減期の直接的な決定が稀にしか可能ではないため、特に重要である。あるいは、半減期は、ヒトにおける半減期により類似する霊長類(例えば、カニクイザル)において決定することができる。
「組み合わせて投与される」と記載される場合、これは、典型的には、2つの薬剤が共調剤され、同時投与されることを意味するのではなく、むしろ、1つの薬剤が、他の薬剤と組み合わせたその使用を特定するラベルを有することを意味する。そのため、例えば、免疫サイトカインは、癌の治療又は管理に使用するためのものであり、この使用は、免疫サイトカイン及びさらなる治療剤を同時に、別々に、又は逐次的に投与すること、又はその逆を含む。しかし、本出願におけるいかなるものも、それらの2つの組み合わされた薬剤がひとまとまり若しくはキットとして提供されること、又はさらには投薬スケジュールが合致する場合に共調剤され、一緒に投与されることを排除すべきではない。そのため、「組み合わせて投与される」は、(i)薬物が、関節注入、関節注射等で一緒に投与されること、(ii)薬物が、各薬物の所与の投与方法に従って別々であるが並行して投与されること、及び(iii)薬物が、別々にかつ逐次的に投与されることを含む。
この文脈における並行投与は、好ましくは、両方の治療が一緒に開始されること、例えば、治療レジメン内の各薬物の最初の投与が同じ日に投与されることを意味する。潜在的な異なる治療スケジュールを考慮すると、以降の日/週/月の間に、投与が常に同じ日に起こらなくてもよいことは明らかである。概して、並行投与は、両方の薬物が各治療サイクルの開始時に同時に体内に存在することを目的とする。この文脈における逐次投与は、好ましくは、両方の治療が逐次的に開始される、例えば、第2の薬物が活性になる前に第1の薬物に対する身体の薬力学的応答を可能にするために、第1の薬物の最初の投与が、第2の薬物の最初の投与より少なくとも1日、好ましくは数日又は1週間早く行われることを意味する。その後、治療スケジュールは、互いに重複若しくは断続的であってもよく、又は直接続いてもよい。
用語「約」は、値と共に使用される場合、その値±10%、好ましくはその値の±5%、とりわけ±1%を意味する。
用語「を含む(comprising)」が本明細書及び請求項において使用される場合、その用語は他の要素を除外しない。本発明の目的のために、用語「からなる(consisting of)」は、用語「を含む(comprising of)」の好ましい実施形態であると考えられる。以下において、群が少なくともある数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も開示すると理解されるべきである。
単数の名詞に言及するときに不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」、「an」又は「the」が使用される場合、他に何かが具体的に述べられていない限り、これはその名詞の複数形を含む。
従って、「少なくとも1種の化学療法剤」等における用語「少なくとも1つの」、「少なくとも1種の」は、1種以上の化学療法剤を意味するということを意味してもよい。用語「そ(れら)の組み合わせ」は、同じ文脈において、複数の化学療法剤を含む組み合わせを指す。
技術用語は、それらの共通の意味で使用される。特定の意味が特定の用語に伝えられる場合、用語の定義は、用語が使用される文脈において以下で与えられる。
ラテン語quaque/each、every(各、毎)に由来する「qxw」は、x週毎を表し、例えばq2wは2週毎を表す。
「s.c.」又は「SC」は皮下を表す。
「i.v.」又は「IV」は静脈内を表す。
「i.p.」又は「IP」は腹腔内を表す。
maxは最大濃度を表す。
AUCは曲線下面積を表す。
Figure 2024524891000001
Figure 2024524891000002
Figure 2024524891000003
Figure 2024524891000004
Figure 2024524891000005
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第1の態様では、本発明は、サイトカインコンジュゲートと抗体又はその機能的断片とを含む免疫サイトカインに関する。このサイトカインコンジュゲートは、インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体及びインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)又はその誘導体のsushiドメインのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。当該免疫サイトカインに含まれる抗体又はその機能的多様体は、ヘテロ二量体Fcドメイン、(同じIgGクラスの野生型Fcドメインを有する同じ免疫サイトカインと比較して)改変されたエフェクター機能及び/又は(同じIgGクラスの野生型Fcドメインを有する同じ免疫サイトカインと比較して)増加したインビボ半減期を有することを特徴とする。上記コンジュゲートは、両方の抗体重鎖若しくは抗体軽鎖のC末端に、若しくはヘテロ二量体Fcドメインの場合、1つの抗体重鎖のC末端に直接的又は間接的に融合されてもよい。当該免疫サイトカインのインビボ半減期の増加は、FcRn結合を増加させるFc変異によって達成されてもよい。
上記抗体又はその機能的多様体のFcドメインは、重鎖、又はヘテロ二量体Fcドメインの場合、一方若しくは両方の重鎖のC末端リジンの切断等のさらなる修飾も含んでもよい。加えて、間接的融合のために、グリシン及びセリンのような残基から構成される柔軟なリンカーが抗体の重鎖又は軽鎖のC末端に導入されて、隣接するコンジュゲートが抗体Fcドメインに対して自由に移動するようにされてもよい。
1つの実施形態では、当該免疫サイトカインに含まれる抗体又はその機能的多様体は、表4に開示される抗体hCl1a、hCl1b、hCl1c、hCl1d、hCl1e、hCl1f、hCl1g、hCl1h、hCl1i及びhCl1jではない。
1つの実施形態では、当該免疫サイトカインに含まれる抗体又はその機能的多様体は、表4に開示される抗体hCl1a、hCl1b、hCl1c、hCl1d、hCl1e、hCl1f、hCl1g、hCl1h、hCl1i及びhCl1jである。
1つの実施形態では、本発明は、標的に結合する抗体又はその機能的多様体であって、この抗体は、IgG1、IgG2、IgG4、合成IgG若しくは二重特異性抗体、又はそのFc操作バージョンである抗体又はその機能的多様体を提供する。好ましい実施形態では、この抗体はIgG1又はIgG4クラス抗体である。標的が腫瘍細胞上に存在する場合、好ましい抗体形式(フォーマット)はIgG1である。標的が免疫細胞上に存在する場合、好ましい抗体形式はIgG4である。抗体形式がIgG1である場合、免疫グロブリンのFc領域は、複数のFcγ受容体(FcγR)及び補体タンパク質(例えば、C1q)と優先的に相互作用し、抗体依存性細胞傷害活性(antibody-dependent cellular cytotoxicity、ADCC)、抗体依存的細胞食作用(antibody-dependent cellular phagocytosis、ADCP)又は補体依存性細胞傷害活性(complement-dependent cytotoxicity、CDC)を介した標的細胞の排除等の免疫エフェクター機能を媒介する。治療アプローチについては、Fc媒介性エフェクター機能を増強又はサイレンシングすることが有益であってもよい。ADCC等のFc媒介性エフェクター機能は、抗体が腫瘍細胞を標的とする場合には、増強されてもよく、抗体がPD-1又はCTLA-4等の免疫細胞上に存在するチェックポイント阻害剤を標的とする場合、サイレンシングされてもよい。抗体が、PD-1又はCTLA-4等の免疫細胞上に存在するチェックポイント阻害剤を標的とする場合、抗体は、Fc媒介性エフェクター機能の弱い誘導因子であるIgG4形式であってもよい。別の実施形態では、PD-1又はCTLA-4等のチェックポイント阻害剤を標的とする抗体は、ADCC及び/又はCDC活性を強力に低減又はサイレンシングするように、例えば、FcγR及びC1q結合が低減するように操作されたIgG1形式であってもよい。抗腫瘍治療用抗体の開発におけるIgGサブクラスの選択方法に関する多くの指針は、Yu J.ら(Yu、Songら、2020)に見出されてもよい。
抗体のFc媒介性機能は、Fc操作免疫グロブリンを用いて調節されてもよい。表2は、そのようなFc操作の例を示す。
Figure 2024524891000008
Figure 2024524891000009
ADCCの誘発における抗体又はエフェクター細胞の有効性を決定するためのいくつかの実験室的方法が存在する。通常、ある表面露出抗原を発現する標的細胞株は、その抗原に特異的な抗体又は免疫サイトカインとともにインキュベートされる。インキュベーション後、Fc受容体CD16(Fc受容体FcγRIIIa(CD16a)及びFcγRIIIb(CD16b))を発現するエフェクター細胞は、抗体又は免疫サイトカイン標識標的細胞と共インキュベートされる。エフェクター細胞は、典型的にはPBMC(末梢血単核細胞)であり、PBMCのうちの小さいパーセンテージはNK細胞である。あるいは、精製されたNK細胞が使用されてもよい。さらなる代替法は、ヒトCD16を外因的に発現するヒトNK細胞株NK92(ATCC CRL-2407)(NK92-hCD16)の使用である。数時間にわたって、抗体、標的細胞、及びエフェクター細胞の間に複合体が形成され、これが標的の細胞膜の溶解をもたらす。標的細胞に何らかの種類の標識を予め負荷した場合、その標識は細胞溶解の量に比例して放出される。細胞傷害性は、溶液中の標識の量を、健康な無傷(インタクトの)細胞内に残っている標識の量と比較して測定することによって定量することができる。標識は、Perussia及びLoza(Perussia及びLoza 2000)に記載されている放射性標識51Crであってもよい。予め負荷された標的細胞を使用する代わりに、ADCC活性は、LDH細胞傷害性アッセイを使用しても測定されてもよい。LDH細胞傷害性アッセイは、細胞の細胞傷害性を決定するための単純かつ信頼できる方法を提供する比色分析である。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、ADCC中に起こる原形質膜損傷等の原形質膜への損傷時に細胞培養培地中に放出される多くの異なる細胞型に存在する細胞質酵素である。LDHアッセイプロトコルは、酵素カップリング反応に基づく。細胞から放出されたLDHは、乳酸を酸化してNADHを生成し、次いでこれは水溶性テトラゾリウム塩(WST)と反応して黄色を生成することができる。生成された色の強度は、溶解細胞の数と直接相関する。ADCC活性は、実施例9に開示されるようにも測定されてもよい。
標的細胞及びエフェクター細胞を使用するADCCアッセイの代替として、免疫サイトカインのFc受容体結合は、実施例24に記載されるように、表面プラズモン共鳴(SPR)によっても試験することができる。
1つの実施形態では、当該免疫サイトカインに含まれる抗体又はその機能的多様体の改変されたエフェクター機能は、同じIgGクラスの野生型Fcドメインを有する同じ免疫サイトカインと比較して、抗体依存性細胞傷害活性の低下である。抗体エフェクター機能は、表2の対応するセクションに列挙される変異を介して(変異によって)FcγR及びC1q結合を低下させることによって低減されてもよい。
1つの実施形態では、抗体又はその機能的多様体がIgG1である場合、ADCCの低下は、L234A/L235A、P329G、L234A/L235A/P329G、G236R/L328R、D265A、N297A、N297Q、N297G又はL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、好ましくはL234A/L235A/P329Gから選択される変異によって達成されてもよい。
別の実施形態では、抗体又はその機能的多様体がIgG4である場合、ADCCの低下は、L235E、F234A/L235A、F234A/L235A/P329G、P329G、S228P/L235E、S228P/F234A/L235A又はE233P/F234V/L235A/D265A/R409K、好ましくはL235Eから選択される変異によって達成されてもよい。
さらに別の実施形態では、抗体又はその機能的多様体がIgG2である場合、ADCCの低下は、H268Q/V309L/A330S/P331S又はV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sから選択される変異によって達成されてもよい。
1つの実施形態では、抗体又はその機能的多様体がIgG2(IgG2a又はIgG2b)及びIgG4のハイブリッド又はその機能的多様体であり、IgG2由来のCH1+ヒンジ領域及びIgG4由来のCH2+CH3領域(IgG2アミノ酸118~260及びIgG4アミノ酸261~447)を含む場合に、ADCCの低下が達成されてもよい。
好ましい実施形態では、IgG1抗体のADCCの低下は、L234A/L235A(「LALA」)変異を介して達成され、配列番号26のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
別の好ましい実施形態では、IgG1抗体のADCCの低下は、L234A/L235A/P329G(「LALAPG」)変異を介して達成され、配列番号27のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
実施例23及び図13は、免疫サイトカインhCl1a LALAPG-RLI DANAが、NK92細胞の存在下でA549-CLDN18.2細胞又はPA-TU-8988において試験した場合、hCl1a抗体単独のhCl1a-RLI DANA免疫サイトカインと比較して、ADCC活性をほぼ消失させたことを示す。hCl1a LALA抗体も、hCl1a抗体と比較してADCC活性を低下したが、ADCC活性は完全には消失しない。
別の好ましい実施形態では、IgG4抗体を選択する場合、Fc媒介性エフェクター機能の既に低い誘導は、L235E変異、F234A/L235A又はE233P/F234V/L235A/D265A/L309V/R409K変異を介してさらに低減されてもよい。
好ましい実施形態では、IgG4抗体のADCCの低下は、L235E変異を介して達成され、配列番号43のIgG4 FC領域を含んでもよい。
本発明の別の実施形態では、当該免疫サイトカインに含まれる抗体又はその機能的多様体の改変されたエフェクター機能は、増強されたADCCである。
1つの実施形態では、上記抗体は、表2の対応するセクションに列挙される変異を介して及び/又は脱フコシル化によって増加したFcγRIIIa結合によってADCCを増強するように修飾されてもよい。
1つの実施形態では、ADCCは、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332E又はL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298Aから選択される変異を介してIgG1抗体又はその多様体において増強される。
好ましい実施形態では、ADCCは、好ましくは、S239D/I332E(「DE」)、S239D/I332E/A330L(「DLE」)、S298A/E333A/K334A(「AAA」)、K392T/P396L(「TL」)又はV264I/I332E(「IE」)から選択される変異を介してIgG1抗体又はその多様体において増強される。
1つの実施形態では、ADCCは、DE変異を介してIgG1抗体において増強され、配列番号30のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
別の実施形態では、ADCCは、DLE変異を介してIgG1抗体において増強され、配列番号31のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
別の実施形態では、ADCCは、AAA変異を介してIgG1抗体において増強され、配列番号34のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
さらに別の実施形態では、ADCCは、TL変異を介してIgG1抗体において増強され、配列番号36のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
別の実施形態では、ADCCは、IE変異を介してIgG1抗体において増強され、配列番号37のIgG1 Fc領域を含んでもよい。
さらに別の実施形態では、ADCCは、脱フコシル化を介して抗体のフコース含有量を減少させることによっても増強されてもよい(Pereira、Chanら、2018)。フコース(6-デオキシ-L-ガラクトース)は、哺乳動物細胞において産生される多くのN及びO結合グリカンの共通成分である。CH2ドメインの各々における保存されたN-グリコシル化部位Asn297(N297)におけるIgG1のFc N-グリカン上のコアフコースの不存在は、ナチュラルキラー細胞等の免疫エフェクター細胞上に存在するFcγRIIIaに対するIgG1 Fc結合親和性を増加させ、ADCC活性の増強をもたらすことが示されている。フコシルトランスフェラーゼ(FUT)は、GDP-フコースからアクセプター基質にフコース残基を転移させる。FUT8は、IgG1のコアフコシル化のためにN-グリカン上の最も内側のN-アセチルグルコサミンにα1,6結合を介してフコースを転移させる唯一のα1,6-フコシルトランスフェラーゼである。脱フコシル化抗体は、FUT8遺伝子がノックアウトされている(POTELLIGENT(登録商標)技術)CHO細胞において産生されてもよい。このような細胞株において産生された抗体は、従来のCHO細胞において産生された同じ抗体と比較して増強されたADCCを示した(Yamane-Ohnuki、Kinoshitaら、2004)。あるいは、抗体は、フコース合成経路が偏向され、脱フコシル化抗体をももたらす糖操作細胞株(GlymaX(登録商標)、ProBioGen(プロパイオジェン))(Rosenlocher、Bohrschら 2015、Dekkers、Plompら 2016)において産生されてもよい。
1つの実施形態では、抗体は、抗体の脱フコシル化を介して増加したFcγRIIIa結合によってADCCを増強するように修飾されてもよい。
別の実施形態では、抗体は、抗体の脱フコシル化と組み合わせて、表2の対応するセクションに列挙される変異の1つを介して増加したFcγRIIIa結合によってADCCを増強するように修飾されてもよい。
好ましい実施形態では、IgG1抗体は、抗体の脱フコシル化と組み合わせて、AAA変異を介したFcγRIIIa結合の増加を介してADCCを増強するように修飾されてもよい。
ADCC活性を増強する異なるFc変異、又は脱フコシル化、又は脱フコシル化と組み合わせた変異を有する免疫サイトカインのADCC活性は、細胞ベースのADCCアッセイによって測定した場合の、実施例23及び図14に示されている。すべての変異は、Fcドメイン変異を伴わないヘテロ二量体免疫サイトカイン又は抗体単独と比較して、試験した免疫サイトカインのADCC活性を同様の程度まで増加させた。同様に、脱フコシル化も、免疫サイトカインのADCC活性を増強した。脱フコシル化とAAA変異との組み合わせもADCCを増強したが、DE又はDLEと脱フコシル化との組み合わせは、DE、DLE又は脱フコシル化の単独と比較してADCC活性をさらに低下させた。
エフェクター機能を調節する変異を有する免疫サイトカインのFc受容体結合は、実施例24に記載されるように、SPRによっても試験した。SPRにより、ADCC活性化受容体FcγRIIIa V158及びFcγRIIIa F158、並びにADCC阻害受容体FcγRIIbへの抗体Fc結合を評価することができた。SPR試験により、全体として、ADCCを増強する変異を有する免疫サイトカインは、抗体グリコシル化が変異によって影響されない限り、ADCCを増強する変異を有さない免疫サイトカインよりも高いA/I比を示すことが確認された。
Fcドメインへの変異の導入も、免疫サイトカインの安定性及び開発可能性に影響を及ぼしてもよく、免疫サイトカインに使用される各特定の抗体に依存してもよい。より具体的には、Fc変異を有する免疫サイトカインの融解温度及びグリコシル化が試験された(実施例25参照)。全体として、hCl1aベースの免疫サイトカインについて、TL及びIE変異は好ましくないグリコシル化を導入し、DE及びDLE変異はC2ドメインの融解温度を低下させてその安定性に影響を及ぼしたが、AAA変異は、場合により脱フコシル化と組み合わせて、hCl1aベースの免疫サイトカインの安定性及び開発可能性に影響を及ぼさなかった。
別の実施形態では、抗体の安定性を改善するために抗体のFcドメインになされる修飾は、Fabアーム交換を回避するためのIgG4抗体におけるS228P変異(Silva、Vetterleinら、2015)(配列番号39)であってもよい。
1つの実施形態では、抗体Fcドメインは、サイトカインに融合した重鎖を1つだけ有するためには、ヘテロ二量体であってもよい。ヘテロ二量体化は、抗体のCH3鎖における2つのFcドメイン(C3A鎖及びC3B鎖)の各々の変異によって達成されてもよい。下記表3は、ヘテロ二量体Fc多様体の設計を要約する(Ha、Kimら、2016)。
Figure 2024524891000010
1つの実施形態では、抗体のヘテロ二量体化は、KiH、KiHS-S、HA-TF、ZW1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTS-S、SEED又はA107のヘテロ二量体Fc多様体のいずれか1つを使用することによって達成されてもよい。
好ましい実施形態では、抗体のヘテロ二量体化は、「Knobs-into-Holes(KiH)」Fc多様体をもたらす、一方の重鎖のCH3ドメインにおけるT366W変異(配列番号28)及び他方の重鎖のCH3ドメインにおけるT366S/L368A/Y407V変異(配列番号29)を介して達成される。実施例2では、2つのRLI2コンジュゲートでホモ二量体化した免疫サイトカインの効力が、ヘテロ二量体化した免疫サイトカインの効力と比較される。表11は、1つのRLI2コンジュゲートのみがヘテロ二量体免疫サイトカイン(RTX-RLI x1)に存在するが、それにもかかわらず、驚くべきことに、その効力は、ホモ二量体免疫サイトカイン(RTX-RLI 2x)の効力の50%を依然として上回ることを示す。
ヘテロ二量体免疫サイトカインを産生する方法は、実施例3に見出すことができる。ホモ二量体免疫サイトカインと比較したこのようなヘテロ二量体免疫サイトカインの効力の測定は、実施例5及び表15に見出すことができる。本発明の1つの目的は、コンジュゲートの効力を減少させることであるので、本発明者らは、本明細書で、C末端に融合した2つのRLL2コンジュゲートを有するホモ二量体免疫サイトカインが効力のわずかな減少を有したのに対して、1つのRLI2コンジュゲートのみを有するヘテロ二量体免疫サイトカインがkit225細胞に対する効力の約10倍の低下を示したことを示す。
好ましくは、RLI2コンジュゲートは、knob重鎖に融合される。
本発明のヘテロ二量体免疫サイトカインの例示的な配列は、SOT201(ペムブロリズマブ多様体ベースのヘテロ二量体免疫サイトカイン)については、配列番号21(「HC knob-RLI2AQNA」)、配列番号22又は配列番号101(末端リジンが欠失している又はしていない「HC hole」、)及び配列番号23(LC)、好ましくは配列番号21、配列番号101及び配列番号23に、hCl1a多様体ベースのヘテロ二量体免疫サイトカインについては配列番号85(「HC knob-RLI2AQDANA」)、配列番号87(「HC hole」)及び配列番号88(LC)に、別のhCl1a多様体ベースのヘテロ二量体免疫サイトカインについては配列番号111(「HC knob-RLI2AQNA」)、配列番号110(「HC hole」)及び配列番号88((LC)に、リツキシマブに基づくヘテロ二量体免疫サイトカインについては配列番号97(「HC knob AAA-RLI2AQNA」)、配列番号98(「HC holeAAA」)及び配列番号99(LC)に、又はセツキシマブに基づくヘテロ二量体免疫サイトカインについては配列番号94(「HC knob-RLI2AQDANA」)、配列番号95(「HC hole」)及び配列番号92(LC)に見出すことができる。
1つの実施形態では、ヘテロ二量体Fcドメインは、ホモ二量体Fcドメインを有する免疫サイトカインと比較して、細胞培養における発現時に免疫サイトカインのより高い収率をもたらす。ヘテロ二量体抗体形式は、重鎖及び軽鎖の誤対合(mispairing)に起因してより低い発現を有することが一般に予想されるが、驚くべきことに、ヘテロ二量体免疫サイトカインについて、KiH技術を使用するヘテロ二量体構築物は、それぞれのホモ二量体構築物と比較してより高い発現を有することが観察された(実施例3を参照)。
免疫サイトカインがヘテロ二量体でない場合、上記コンジュゲートは、抗体の軽鎖のC末端にも融合されてもよい(例えば、配列番号45)。グリシン又はセリン及びグリシンからなるリンカーが、抗体に対する融合コンジュゲートの柔軟性を可能にするために、軽鎖のC末端とコンジュゲートのN末端との間に存在してもよい。
あるいは、RLI2AQを片方又は両方の重鎖のC末端に融合させるためにリンカーが使用されてもよい。このようなリンカーは、好ましくはグリシン又はグリシン及びセリンから構成され、より好ましくはGGGGS単位から30~50アミノ酸の長さで構成され、とりわけ配列番号100のL40リンカーである。
別の実施形態では、本発明は、免疫サイトカインであって、免疫サイトカインのインビボ半減期が増加し、抗体又はその機能的多様体は、IgG1又はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S又はT250Q/M428Lから選択される変異を含む、免疫サイトカインに関する。
Fcドメインは、抗体の安定性及び血清半減期において中心的な役割を果たす。抗体のインビボ半減期は、FcRn結合を増加させるFcドメインにおけるM252Y/S254T/T256E又はM428L/N434S変異を介して増加されてもよい(Dall’Acqua、Woodsら 2002;Zalevsky、Chamberlainら 2010)。
1つの実施形態では、IgG1又はIgG4型の抗体の半減期は、それぞれ配列番号35及び配列番号44のFcドメインのM252Y/S254T/T256E(「YTE」)変異を介して増加する。
別の実施形態では、本発明は、免疫サイトカインであって、抗体又はその機能的多様体が低下したADCCを有し、その抗体又はその機能的多様体がIgG4抗体又はその機能的多様体であり、L235E変異及びKiH-ヘテロ二量体Fcドメインを含む、免疫サイトカインに関する。抗体標的が、免疫細胞上に存在するチェックポイント阻害剤、例えば、T細胞の表面上のPD-1又はCTLA-4である場合に、ADCCを低下させることは、これらの免疫細胞に対するNK細胞誘導性細胞傷害性を回避するために有益であってもよい。IgG4抗体は、抗体を安定化させるためにS228P変異も必要に応じて含有してもよい。L235E変異を有するIgG4 Fcドメインは、配列番号43の配列であってもよい。S228P変異を有するIgG4 CH1-ヒンジドメインは、配列番号39の配列のものであってもよい。IgG4抗体のKiH-ヘテロ二量体Fcドメインは、配列番号41(「knob」)及び配列番号42(「hole」)の配列であってもよい。任意選択で、一方又は好ましくは両方の重鎖は、末端リジン欠失(dK)、すなわち配列番号41(「knob」)及び配列番号42(「hole」)の配列を有してもよい。別の実施形態では、両方の重鎖が末端リジンを有する。
実施例10~実施例26は、このような免疫サイトカインに関する。
1つの実施形態では、免疫サイトカインのコンジュゲートは、N末端からC末端の順序で、IL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体と、リンカーと、IL-15又はその誘導体とを含む融合タンパク質であり、好ましくは、IL-15Rαsushiドメインは、配列番号5の配列、より好ましくは、配列番号6のIL-15Rαsushi+断片を含み、リンカーは、18~22アミノ酸の長さを有し、好ましくはグリシン又はセリン及びグリシンから構成され、より好ましくは配列番号7の配列を有し、IL-15は配列番号2の配列を有する。
配列番号7の柔軟なリンカーを介して配列番号2の成熟ヒトIL-15のN末端に融合した配列番号6のIL-15Rαsushi+断片を有する融合タンパク質は、受容体-リンカー-インターロイキン2を表すRLI2又は配列番号8の配列を有するSO-C101と呼ばれ、低い免疫原性を有する臨床段階IL-2/IL-15Rβγスーパーアゴニストである。これは、このような融合タンパク質を、免疫サイトカイン形式で使用される好ましいコンジュゲートにする。
好ましい実施形態では、当該免疫サイトカインは、翻訳後修飾に関してIL-15多様体の均質性を増加させる少なくとも1つの変異を含むIL-15多様体であって、好ましくは、この変異は、IL-15成熟ヒトIL-15(配列番号2)のN77における脱アミド化及び/又はN79におけるグリコシル化を低減し、より好ましくは、上記変異は、変異G78A、G78V、G78L又はG78I、及びN79Q、N79S又はN79Tから選択され、最も好ましくは、上記変異はG78A/N79Q(「AQ変異」)であるIL-15多様体を含む。
免疫サイトカインの均質性を増大させるIL-15変異並びにIL-2/IL-15Rβ及び/又はγ受容体への結合を低下させるIL-15変異は、本発明の免疫サイトカインにおいて独立に使用されてもよいし、又は本発明の免疫サイトカインにおいて組み合わされてもよい。
別の好ましい実施形態では、当該免疫サイトカインは、IL-2/IL-15Rβ及び/又はγ受容体への結合を低下させる少なくとも1つの変異を含むIL-15多様体を含み、好ましくは、この変異アミノ酸は、配列番号2の配列を有するIL-15成熟ヒトIL-15のN1、N4、S7、D8、K10、K11、D30、D61、E64、N65、L69、N72、E92、Q101、Q108、I111から選択され、より好ましくは変異アミノ酸はD61、N65及びQ101から選択され、最も好ましくは変異アミノ酸はN65である。
IL-2/IL-15Rβ及び/又はγ受容体への結合を低下させる上記変異は、好ましくはN1D、N1A、N1G、N4D、S7Y、S7A、D8A、D8N、K10A、K11A、D30N、D61A、D61N、E64Q、N65D、N65A、N65E、N65R、N65K、L69R、N72R、Q101D、Q101E、Q108D、Q108A、Q108E及びQ108R、好ましくはD8A、D8N、D61A、D61N、N65A、N65D、N72R、Q101D、Q101E及びQ108A、より好ましくはD61A、N65A及びQ101、最も好ましくはN65Aから選択される置換、又はD8N/N65A、D61A/N65A若しくはD61A/N65A/Q101Dから選択される組み合わされた置換である。
別の実施形態では、当該免疫サイトカインは、好ましくはEGFR、HER2、FGFR2、FOLR1、CLDN18.2、CEA、GD2、O-アセチル-GD-2、GM1、CAIX、EPCAM、MUC1、PSMA、c-Met、ROR1、GPC3、CD19、CD20、CD38から選択される腫瘍抗原に、好ましくはFAP、フィブロネクチンのEDAドメイン、フィブロネクチンのEDBドメイン及びLRRC15、好ましくはFAP及びフィブロネクチンのEDBドメインから選択される腫瘍細胞外マトリックス抗原に、血管新生抗原、好ましくはVEGF、若しくはエンドグリン(CD105)に結合する抗体若しくはその機能的多様体を含むか、又は、免疫調節抗体若しくはその機能的多様体であり、この免疫調節抗体は、好ましくはCD40アゴニスト、CD137/4-1 BBアゴニスト、CD134/OX40アゴニスト及びTNFRSF18/GITRアゴニストから選択される共刺激受容体を刺激するか、又は免疫調節抗体は、好ましくはPD-1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、LAG3アンタゴニスト、TIGITアンタゴニスト、阻害性KIRアンタゴニスト、BTLA/CD272アンタゴニスト、HAVCR2/TIM-3/CD366アンタゴニスト及びADORA2Aアンタゴニストから、より好ましくはPD-1アンタゴニストから選択される免疫抑制受容体を阻害する。
上記に列挙した標的に対する抗体は、当該技術分野において周知であるか、又は標準的な免疫化若しくはファージディスプレイプロトコルによって作製することができる。非ヒト抗体はヒト化することができる。抗EGFR抗体の例は、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、及びマツズマブである。抗HER2抗体の例は、トラスツズマブ、ペルツズマブ又はマルゲツキシマブである。抗CLDN18.2抗体の例は、ゾルベツキシマブ及び以下の本発明の抗体である。抗CEA抗体の例はアルシツモマブである。抗GD2の例はhu14.18K322Aである。抗O-アセチル-GD-2の例はc.8B6である。FGFR2、FOLR1、GM1、CAIX、EPCAM、MUC1、PSMA、c-Met、ROR1、GPC3、CD19。抗CD20抗体の例は、リツキシマブ、オクレリズマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ及びユブリツキシマブ(ublituximab)である。抗CD38抗体の例は、ダラツムマブ、MOR202及びイサツキシマブである。
抗FAP抗体の例は、シブロツズマブ及びB12(米国特許出願公開第2020-0246383A1号明細書)である。フィブロネクチンの抗EDAドメイン抗体の例はF8抗体((Villa、Trachselら、2008)、国際公開第2010/078945号パンフレット、国際公開第2014/174105号パンフレット)であり、フィブロネクチンの抗EDBドメインの例はL19抗体((Pini、Vitiら、1998)、国際公開第1999/058570号パンフレット)であり、抗LRRC15抗体の例はサムロタマブ(Samrotamab)/huM25(国際公開第2017/095805号パンフレット)である。
抗VEGF抗体の例はベバシズマブ及びラニビズマブである。抗エンドグリン抗体の例はTRC105(国際公開第2010039873A2号パンフレット)である。
抗CD40アゴニスト抗体の例は、セリクレルマブ(selicrelumab)、APX005M、ChiLob7/4、ADC-1013、SEA-CD40及びCDX-1140(Vonderheide 2020)である。抗CD137/4-1 BBアゴニスト抗体の例は、ウレルマブ及びウトミルマブ(Chester、Sanmamedら、2018)である。抗CD134/OX40アゴニスト抗体の例は、PF-04518600、MEDI6469、MOXR0916、MEDI0562、INCAGN01949(Fu、Linら、2020)である。抗TNFRSF18/GITRアゴニスト抗体の例はDTA-1である。
PD-1アンタゴニストの例は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体又は抗PD-L2抗体である。抗PD-1アンタゴニスト抗体(拮抗性抗体)の例は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピディリズマブ、トリパリマブ及びチスレリズマブ(tislelizumab)(Dolgin、2020)である。抗PD-L1アンタゴニスト抗体の例は、アテゾリズマブ及びアベルマブである。抗CTLA-4アンタゴニスト抗体の例はイピリムマブである。抗LAG3アンタゴニスト抗体の例はレラトリマブである。抗TIGITアンタゴニスト抗体の例は、チラゴルマブ(tiragolumab)、ビボストリマブ(Vibostolimab)、ドムバナリマブ(Domvanalimab)、エチギリマブ(Etigilimab)、BMS-986207、EOS-448、COM902、ASP8374、SEA-TGT、BGB-A1217、IBI-939及びM6223である。
抗BTLAアンタゴニスト抗体の例はTAB004である。抗HAVCR2/TIM-3アンタゴニスト抗体の例は、LY3321367、MBG453及びTSR-022である。
好ましい実施形態は、コンジュゲートが配列番号10の配列を含み、抗体が配列番号20のペムブロリズマブ由来重鎖knob配列、配列番号22のペムブロリズマブ由来重鎖hole配列、及び配列番号16の軽鎖配列を含み、上記コンジュゲートがリンカーなしでC末端重鎖knob配列に融合される、好ましくは配列番号21の免疫サイトカインである。
1つの実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10又は配列番号11の配列のコンジュゲートを含み、抗体は、表4のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、表2のDE、DLE、AAA、TL又はIE変異を介して、又は脱フコシル化を介して、又は上に列挙された変異と脱フコシル化との組み合わせを介して増強されたADCC活性を有する。
別の実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10又は配列番号11の配列のコンジュゲートを含み、抗体は、表4のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体である。
Figure 2024524891000011
好ましい実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10の配列のコンジュゲートと、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体とを含み、IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体である。
好ましい実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10の配列のコンジュゲートと、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体とを含み、IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、表2のDE、DLE、AAA、TL又はIE変異を介して、又は脱フコシル化を介して、又は上に列挙された変異と脱フコシル化との組み合わせを介して増強されたADCC活性を有する。
別の好ましい実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10の配列のコンジュゲートと、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体とを含み、IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、脱フコシル化を介して増強されたADCC活性を有する。
好ましい実施形態では、当該免疫サイトカインは、配列番号11の配列のコンジュゲートを含み、抗体多様体は、配列番号84の重鎖knob配列、配列番号87の重鎖hole配列及び配列番号88の軽鎖配列を有するヘテロ二量体IgG1抗CLDN18.2抗体である。
好ましい免疫サイトカインの例示的な配列は、配列番号85(「HC knob」)、配列番号87(「HC hole」)及び配列番号88(LC)であってもよい。
好ましい免疫サイトカインの別の例示的な配列は、配列番号86(「HC knob」)、配列番号87(「HC hole」)及び配列番号88(LC)であってもよい。
好ましい免疫サイトカインのさらに別の例示的な配列は、配列番号111(「HC knob」)、配列番号110(「HC hole」)及び配列番号88(LC)であってもよい。
別の好ましい実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10の配列のコンジュゲートを含み、抗体多様体は、配列番号84の重鎖knob配列、配列番号87の重鎖hole配列及び配列番号88の軽鎖配列を有するヘテロ二量体IgG1抗CLDN18.2抗体である。
驚くべきことに、抗Claudin(クローディン)18.2抗体hCl1aに融合したRLI2AQ DANA変異体は、RLI2AQ NA変異体と比較してより高いADCCを示した。
さらに別の実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10の配列のコンジュゲートと、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体とを含み、IgG1多様体は表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、IgG1 FcドメインにS239D/I332E(DE)のADCC増強変異を有する。
さらに別の実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号11の配列のコンジュゲートと、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体とを含み、IgG1多様体は表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、IgG1 FcドメインにS239D/I332E(DE)ADCC増強変異を有する。
別の実施形態では、本発明の免疫サイトカインは、配列番号10の配列を有する融合タンパク質を含み、抗体多様体は、配列番号91のVH配列及び配列番号92のVL配列を有するヘテロ二量体IgG1抗EGFR抗体であり、IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、表2の対応するセクションに列挙されるFC変異を介して、又は脱フコシル化を介して、又は変異と脱フコシル化との組み合わせを介して増強されたADCC活性を有する。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される免疫サイトカインをコードする核酸に関する。
さらに別の実施形態では、本発明は、当該免疫サイトカインをコードする核酸を含むベクターに関する。
さらなる実施形態では、本発明は、当該免疫サイトカインをコードするベクター又は核酸を含む宿主細胞に関する。
本発明の別の実施形態は、治療に使用するための当該免疫サイトカイン、核酸又はベクターに関する。
本発明のさらに別の実施形態は、当該免疫サイトカイン、核酸又はベクターと、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
別の実施形態では、当該免疫サイトカイン、核酸又はベクターは、腫瘍性疾患若しくは感染性疾患に罹患している、腫瘍性疾患若しくは感染性疾患を発症するリスクがある、及び/又は腫瘍性疾患若しくは感染性疾患と診断される対象の治療に使用するためのものであってもよい。
別の実施形態では、本発明は、腫瘍性疾患若しくは感染性疾患に罹患している、腫瘍性疾患若しくは感染性疾患を発症するリスクがある、及び/又は腫瘍性疾患若しくは感染性疾患と診断される患者を治療する方法であって、当該免疫サイトカイン、核酸又はベクターを投与する工程を含む方法に関する。
典型的な臨床開発経路は標準治療との組み合わせであるので、本発明の免疫サイトカインは、他の薬剤と組み合わせて投与されてもよく、典型的には、特定の適応症の標準治療は承認されている。本発明の免疫サイトカインは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗LAG3、抗TIM-3、抗CTLA4抗体又は抗TIGIT抗体、好ましくは抗PD-L1抗体又は抗PD-1抗体であってもよいチェックポイント阻害剤と組み合わされてもよい。これらの抗体は、免疫細胞、とりわけT細胞が癌細胞を死滅させることを遮断(ブロッキング)又は下方制御する細胞相互作用を遮断/それに拮抗するという点で共通しており、従って、これらの抗体はすべてアンタゴニスト抗体である。抗PD-1抗体の例は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、BMS-936558、SHR1210、IBI308、PDR001、BGB-A317、BCD-100及びJS001である。抗PD-L1抗体の例は、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035及びMGD013(PD-1及びLAG-3に二重特異的)である。PD-L2抗体の例はsHIgM12である。抗LAG-3抗体の例は、レラトリマブ(BMS986016)、Sym022、REGN3767、TSR-033、GSK2831781、MGD013(PD-1及びLAG-3に二重特異的)並びにLAG525(IMP701)である。抗TIM-3抗体の例は、TSR-022及びSym023である。抗CTLA-4抗体の例は、イピリムマブ及びトレメリムマブ(チシリムマブ)である。抗TIGIT抗体の例は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058)及びエチギリマブである。
配列
Figure 2024524891000012
Figure 2024524891000013
Figure 2024524891000014
Figure 2024524891000015
Figure 2024524891000016
Figure 2024524891000017
Figure 2024524891000018
Figure 2024524891000019
Figure 2024524891000020
Figure 2024524891000021
Figure 2024524891000022
Figure 2024524891000023
Figure 2024524891000024
Figure 2024524891000025
Figure 2024524891000026
Figure 2024524891000027
Figure 2024524891000028
Figure 2024524891000029
実施例1:一般的材料及び方法
kit225での効力アッセイ
IL-2及びIL-15の両方の活性は、Horiら(1987)によって記載されるように、kit225細胞の増殖の誘導によって決定することができる。kit225細胞(Hori、Uchiyamaら、1987)をkit225基本培地中で継代し、継代4~7で効力アッセイに使用した。効力アッセイの前に、kit225細胞を、IL-2を含まないkit225基本培地中で24時間培養した(飢餓期間)。1×10kit225細胞を96ウェルプレートに蒔き(プレーティングし)、RLI-15及びそれぞれの分子PEM-RLI-15の連続希釈物を細胞に添加した。細胞を37℃、5%COで72±3時間インキュベートした。インキュベーション後、10μl(ウェル中の体積の10%)のAlamar Blue(アラマーブルー)を各ウェルに添加し、6時間後、吸光度を、Tecan Spark吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、620nm参照を用いて560nmで測定した(15秒間検出する前に混合を設定した)。いくつかの場合において、より低い効力のRLI2変異体を試験した場合、kit225細胞とのインキュベーションは、3日間(72時間±3時間)から5日間に延長した。
好ましくは、例えば、CTLL-2細胞を使用するSomanら(Soman、Yangら、2009)によって記載されるように、IL-2又はIL-15刺激による増殖活性化を決定するために、比色分析又は蛍光等の方法が使用される。kit225細胞等の細胞株の代替として、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)又はバフィーコートを使用することができる。IL-2又はIL-15の活性を決定するための好ましいバイオアッセイは、STAT5-RE CTLL-2細胞を使用するIL-2/IL-15 Bioassay Kit(Promegaカタログ番号CS2018B03/B07/B05)である。
分析したRLI多様体の濃度は以下の通りであった。
RLI2上清。 0.133mg/ml(ELISA、2回の実験からの平均)
RLI2AQ上清。 0.0297mg/ml(ELISA、2回の実験からの平均)
RLI2の特性
純度(RP-UPLC) 99.8%
調剤 20mMヒスチジン、6%(w/v)ソルビトール、pH6.5
保存温度 -20℃
kit225基本培地
RPMI(460mL)+FBS(30mL)+Glutamax(グルタマックス)(5mL)+ペニシリン-ストレプトマイシン(5mL)+フラスコに添加したサイトカイン(75cm2);IL-2(5ng/mL)。サイトカインは培養直前に培地に添加した。
hPBMC効力アッセイ
バフィーコートを健常ドナーから得た。PBMCをFicoll Paque勾配によって単離し、3回洗浄し、96ウェルプレート中でT細胞完全培地に再懸濁した。免疫サイトカインを示した濃度で添加し、プレートを37℃、5%COで7日間インキュベートした。免疫細胞集団の増殖をフローサイトメトリによって検出した。
T細胞完全培地
RPMI1640培地、CTS GlutaMAX-I 1×、100U/mLペニシリン-ストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム、NEAA 1×(非必須アミノ酸混合物)、2-メルカプトエタノール0.05mM及び10%ABヒト血清(熱不活化)。
Figure 2024524891000030
ヒトNK細胞(hNK)の単離:健常ドナー由来の新鮮な血液を、冷PBS-EDTA、ph7.4で1:1の比率で希釈し、PBMCをFicoll-Paque勾配単離によって単離した。単離したPBMCを完全培養培地に再懸濁した。EasySep Human NK Cell Isolationキット(Stem Cell Technologies(ステムセル・テクノロジーズ)、米国)を製造業者の説明書に従って使用してPBMCからhNK細胞を単離した。各ドナーの単離hNK細胞を、3×10細胞/mlの濃度で10%血清を含むNK培地に再懸濁した。
PD-1/PD-L1遮断バイオアッセイ
製造業者の説明書に従ってアッセイを行った(Promega PD-1/PD-L1 Blockade Bioassay J1250)。手短に述べると、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞を96ウェルプレートに蒔き、37℃、5%COインキュベータ中で16~20時間インキュベートした。その後、示した濃度のPEM-RLI免疫サイトカイン及びPD-1エフェクター細胞を上記細胞に添加し、37℃、5%COインキュベータ中で6時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、Bio-Glo(商標)試薬をウェルに添加し、室温で15分間インキュベートし、発光測定を行った。
カニクイザル研究
示したPEM-RLI分子の薬物動態を、カニクイザル(n=2~3)において、示した用量を投与した後に1日目又は15日目に試験した。血清分離のための血液を、投与の1時間後、4時間後、8時間後、24時間後、48時間後、60時間後、72時間後、84時間後、96時間後、120時間後及び168時間後に採取した(いくつかの時間点は、いくつかの場合において省略したことがある)。血清中の免疫サイトカインの濃度を、表5の抗体を用いてELISAにより決定した。選択した免疫細胞集団(NK細胞及びCD8 T細胞)のフローサイトメトリ評価のための血液を、投与前、5日目、8日目、12日目、15日目、19日目、22日目及び26日目に採取した。
Figure 2024524891000031
Figure 2024524891000032
マウス有効性研究
これらの研究の目的は、雌hPD1シングルKI HuGEMMマウス(C57BL/6-Pdcd1em1(hPDCD1)/Smoc)(n=8マウス/群)におけるHuCell MC38-hPD-L1腫瘍細胞株の処置における単剤療法としてのPEM-RLI2 NA x1及びペムブロリズマブのインビボ治療有効性を評価することであった。各マウスの右下腹部に、腫瘍発生のためにPBS0.1ml中のMC38-hPD-L1腫瘍細胞(1×10)を皮下接種した。平均腫瘍サイズが108mmに達したときに無作為化を開始した。40匹のマウスをこの研究に登録した。すべての動物を5つの試験群に無作為に割り当てた。無作為化は、「Matched distribution」法(StudyDirector(商標)ソフトウェア、バージョン3.1.399.19)に基づいて行った。無作為化日の日付を0日目(D0)と表記した。腫瘍細胞接種後、動物の罹患率及び死亡率を毎日(又はStudy Directorの裁量で、必要に応じてより頻繁に)チェックした。腫瘍体積を、キャリパーを使用して2次元で週に3回測定し、体積を、式:V=(L×W×W)/2(式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍長(最も長い腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍幅(Lに垂直な最も長い腫瘍寸法)である)を使用してmmで表した。PEM-RLI2 NA x1を0日目に20mg/kgでIV投与し、ペムブロリズマブを0日目、3日目、6日目及び9日目に5mg/kgでIP投与した。腫瘍観察を18日間続けた。これと同時に、PEM-RLI2 NA x1(N65A及びAQ変異を有するIL-15)を0日目に5、10でIV投与した。腫瘍観察を6日間続けた。
混合リンパ球反応(mixed lymphocyte reaction)
バフィーコートを健常ドナーから得た。PBMCをFicoll Paque勾配によって単離し、3回洗浄した。PBMCをFicoll Paque勾配によって単離し、3回洗浄した。hPBMCドナーの対を、1nMの等モル濃度のペムブロリズマブ及びPEM L-RLI NA x1とともに6日間培養した。細胞上清中のIFNγ産生を、ヒトIFN-γ DuoSet ELISA(R&D systems(アールアンドディ・システムズ)、番号DY258B)を用いて決定した。データは、IFNγ産生の相対応答[%]として表し、12対のhPBMC健常ドナーからの平均±SEMを表す。
SDS-PAGE及び抗RLIウエスタンブロット分析
精製したタンパク質をSDS-PAGE及び抗RLIウエスタンブロットによって分析した。
クーマシー(Coomassie)染色:タンパク質バンドは、変性条件下でそれらの分子量に従って可視化される。
簡潔に述べると、1体積のローディングバッファー(βメルカプトエタノールを含むか又は含まない)を3体積の試料に添加して分析し(次いで、1×ローディングバッファーに程度の差はあれ希釈し)、ホモジナイズし、95℃で5分間変性させた。変性試料をCriterion TGXゲルにロードし、1×TGS緩衝液中、定電圧(300V)及び制限電流(ゲルの種類に応じてゲルあたり75mA又は135mA)でランニング緩衝液中で、ゲルの種類に応じて18分又は21分間泳動させる。ゲルをカセットから取り出し、水中で5分間3回洗浄し、Biosafe染色溶液(Biorad(バイオラッド))で20分間染色し、水中で20分間3回洗浄した後、水中で3時間最終脱染洗浄する。次いで、染色したゲルをゲルスキャナーでスキャンする。
ウエスタンブロット分析:次いで、ゲルをニトロセルロース膜に転写し、異なる抗体を用いたウエスタンブロット分析に使用する。移動の終わりに、そのゲルを、ニトロセルロース膜へのタンパク質転写のために使用する。参照例(Biorad番号170-4155、Trans-BlotR Turbo(商標) Transfer Starter System)について、転写パラメータは、2.5A、25V、7分(Criterionゲルについて)又は2.5A、25V、3分(Mini-PROTEANゲルについて)である。次いで、iBind(商標)Flex溶液中での膜飽和後、抗体インキュベーション及び洗浄工程をiBindシステム中で行う。露出後、完全に乾燥したら、分析のために膜をスキャンする。使用した一次抗体は抗RLI2-PR01抗体(Cytune、希釈1:25000)であり、使用した二次抗体はロバ抗ウサギIgG-AP抗体(Santa Cruz Biotechnology(サンタクルーズ・バイオテクノロジー)、希釈1:5000)であった。
キャピラリー電気泳動
キャピラリー電気泳動によるタンパク質分析は、定電界中での篩マトリックスによるLDS標識タンパク質多様体の分離に依存する。Labchip GXII機器は、96ウェルプレート上にロードされたタンパク質試料を特徴付けるために単独のシッパー(sipper)マイクロ流体チップを使用する。マイクロ流体チップ技術は、タンパク質試料の分離及び分析を可能にする。レーザ誘起シグナルの検出及び分析後、提供されるデータは以下のとおりである:ラダー及びマーカー較正標準を用いた相対タンパク質濃度、分子サイズ及びパーセント純度。
試料を、5μLの試料及び35μLのHT Protein Sample BufferをDTTの存在下又は不存在下で35mMの最終濃度で混合することによって変性させる。必要であれば、試料をHT Protein Sample Buffer中に1mg/mLで予め希釈する。混合物を100℃で5分間加熱することによって変性を行う。次いで、70μLの水を添加し、試料を2,000gで10分間遠心分離する。次いで、(96ウェルプレート中の)試料を、チップ移入及び分析のためにLabChip GXII機器にロードする。
Figure 2024524891000033
グリコシル化/脱アミド化変異体
Figure 2024524891000034
RLI2分子は、N176(RLI番号付け)に主要なグリコシル化部位を有し、N168に次位の部位を有する。N209ではグリコシル化は見られない。グリカンは、複雑で、主に二分岐で、フコシル化された、ほとんどシアリル化されないG0~G2である。細胞培養において、約40~50%のタンパク質がグリコシル化され、N168は約5%である。上記のように精製した後、約14~25%のRLI2がグリコシル化されている。異なるレベルのグリコシル化は、効力、安定性に対するいかなる影響も示さず、薬物動態に対してわずかな影響しか示さず、グリコシル化RLI2はより短い半減期を有するが、活性薬理学的成分の不均質性は、規制の観点から依然として問題がある。
大腸菌(E.coli)において発現されるIL-15において特定される脱アミド化のための潜在的なホットスポット(Nellis、Michielら、2012)は、N77(IL-15番号付け)/N174(RLI番号付け)である。N79のN-グリコシル化はN77脱アミド化を部分的に妨げることが記載されている(Thaysen-Andersen、Chertovaら、2016)が、本発明者らは、実際に、質量分析において、N77がCHO発現RLI2において脱アミド化されることを見て、脱アミド化がRLI2及びRLIベースの産物の潜在的な不均質性についての実際の問題であると特定した。それゆえ、脱アミド化は回避されるべきである。
図1Aは、RLI2 wt(変異なし)が実際に、約20kDa及び25kDaの2つの主要バンド及び少数のより小さいバンドを有する不均質産物であり、すべてが抗RLI2抗体に対して免疫反応性であり、これによりRLI2タンパク質の異なる修飾物であることを示す。
本発明者らは、グルタミンへの保存的置換が脱アミド化のリスクを解決しなかったので、N77の脱アミド化を消失させてそれにより極性アミドを取り除くための自明なやり方としてN77を変異させることを回避することを望んだ。位置N77における潜在的な脱アミド化を消失させるために、RLI2における単置換G78A(IL-15番号付け)/G175A(RLI番号付け)を代わりに導入した(RLI2A)。脱アミド化の喪失はクーマシー染色又はウエスタンブロットでは見られなかったが、RP-UPLCにおける主要な酸性ピーク(pI6.0)は、脱アミド化の喪失について予想されるように、cIEFにおいて有意に減少し、これは、脱アミド化ホットスポットN174が実際に脱アミド化されたことを確認する(データは示さず)。PEM-RLI AQ構築物の質量分析も、脱アミド化がないことを示した(データは示さず)。
驚くべきことに、G78A変異は、グリコシル化のわずかな増加をもたらし(図1Aを参照。図1Bにおいてよりよく見られる)、RLI2 wtと比較してより大きい/より多くのグリコシル化された種を伴った。このような新たなグリコシル化パターンを示すさらなるバンドが現れる(図1Bの破線のボックス3を参照)。RP-UPLCピークもわずかにシフトした(データは示さず)。この変化したグリコシル化パターンは、グリコシル化に対する脱アミノ化変異G78Aの影響が予測できなかったため、予想外であった。
IL-15の主要グリコシル化部位を破壊するために導入されたQ(RLI2AQ、RLI2AQ)によるN79(IL-15番号付け)/N176(RLI番号付け)の追加的な置換によって、RLI2のより大きい種の顕著な減少が観察された(図1Bの破線のボックス1を参照)。残余のより大きいバンド(図1Bの実線のボックス2を参照)は、おそらく、RLI分子の約20%のN71(IL-15番号付け)/N168(RLI番号付け)におけるグリコシル化を表し、この分子は、RLI2 wt及びRLI2と比較してわずかに増加しているようである。ボックス1のバンドは、N176でグリコシル化されたRLI2を表し得るが、ボックス3のバンドは、N176及びN168でグリコシル化されたRLI2を表し得る。しかしながら、ボックス3のバンドは、N176において好ましくないシアル酸グリカン構造を有してグリコシル化されたRLI2である可能性もある。いかなる理論にも束縛されるものではないが、N71におけるグリコシル化のこの驚くべき増加は、主要部位N79におけるグリコシル化が、RLI2 wtにおけるN71におけるグリコシル化を立体的に妨害し、そのような妨害はN79が変異されると軽減されるということを説明しる可能性がある。
まとめると、AQ置換を有するRLI2AQ、従ってIL-15AQも、非常に改善された均質性及び脱アミド化のリスクの低減を有するRLI2、又はIL-15、多様体を表す。
RLI多様体の生物学的活性に対するグリコシル化の効果/影響を比較するために、本発明者らは、部位特異的変異誘発(Stratagene(ストラタジーン) Site Directed Mutagenesis XL Kit)によって、IL-15の3つの潜在的グリコシル化部位N71/N79/N160(RLIについてはN168/N176/N209)を特異的に不活性化した。N71をSで置換し、N79をQで置換し、N160をSで置換することにより、RLI2N168S/N176Q/N209S及びRLI1N168S/N176Q/N209Sを生成した。N79(=RLIのN176)における主要なN-グリコシル化占有を確認するために、RLI2N176Q変異体を作製した。CHO細胞における一過性発現は、特有の25kDaバンドをもたらす(図2、右のペインを参照)。
主要グリコシル化部位のみで変異したRLIタンパク質(RLI2N176Q)も、特有の25kDaバンドを示し、それゆえ、CHOにおいて発現(一過性発現)されるRLIのN176残基上の主要なグリコシル化占有が確認された。一過性CHO細胞において発現された脱グリコシル化変異体の分泌収率は、それらのグリコシル化/元の対応物と同様であった。従って、発現レベルへの脱グリコシル化の有意な影響はなかった。同じことがピキア・パストリス(Pichia Pastoris)発現系でも観察された(データは示さず)。
さらには、N-グリコシル化部位上のこれらの変異は、kit225又は32Dβ細胞上のRLIのインビトロ増殖活性に有意な影響を誘導しないようである。通常のように、すべてのRLIバージョン(RLI1又はRLI2、グリコシル化又は非グリコシル化、CHO又はバキュロ又はピキア)は、同様に、kit225細胞株の増殖を刺激した。
RLI2AQ多様体の効力
IL-2及びIL-15の両方の活性は、Horiら(1987)によって記載されるように、kit225細胞の増殖の誘導によって決定することができる。kit225細胞(Hori、Uchiyamaら、1987)をkit225基本培地中で継代し、継代4~7で効力アッセイに使用した。効力アッセイの前に、kit225細胞を、IL-2を含まないkit225基本培地中で24時間培養した(飢餓期間)。1×10kit225細胞を96ウェルプレートに蒔き、RLI-15及びそれぞれの分子PEM-RLI-15の連続希釈物を細胞に添加した。細胞を37℃、5%COで72±3時間インキュベートした。インキュベーション後、10μl(ウェル中の体積の10%)のAlamar Blueを各ウェルに添加し、6時間後、吸光度を、Tecan Spark吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、620nm参照を用いて560nmで測定した(15秒間検出する前に混合を設定した)。いくつかの場合において、より低い効力のRLI2変異体を試験した場合、kit225細胞とのインキュベーションは、3日間(72時間±3時間)から5日間に延長した。
好ましくは、例えば、CTLL-2細胞を使用するSomanら(Soman、Yangら、2009)によって記載されるように、IL-2又はIL-15刺激による増殖活性化を決定するために、比色分析又は蛍光等の方法が使用される。kit225細胞等の細胞株の代替として、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)又はバフィーコートを使用することができる。IL-2又はIL-15の活性を決定するための好ましいバイオアッセイは、STAT5-RE CTLL-2細胞を使用するIL-2/IL-15 Bioassay Kitバイオアッセイキット(Promegaカタログ番号CS2018B03/B07/B05)である。
分析したRLI多様体の濃度は以下の通りであった。
RLI2上清。 0.133mg/ml(ELISA、2回の実験からの平均)
RLI2AQ上清。 0.0297mg/ml(ELISA、2回の実験からの平均)
Figure 2024524891000035
Figure 2024524891000036
従って、上清としてのグリコシル化変異体RLI2AQは、上清からのRLI2と比較した場合、kit225及び/又は32Db細胞を刺激する非常に類似した効力を示した。これは驚くべきことであった。というのは、多くの糖タンパク質についてグリコシル化の喪失はより低い活性をもたらすからである。
IL-2/IL-15βγ受容体へのSPR(Biacore)結合実験においても、RLI2とRLI AQとの間のkon速度、koff速度及び平衡定数Kにおける関連する差は観察されなかった(データは示さず)。
要約すると、AQ置換を有するRLI2AQ、従って同様にIL-15AQは、非常に改善された均質性、脱アミド化のリスクの低減を有し、免疫細胞を活性化する同等の効力を有するRLI2、又はIL-15、多様体を表す。
高グリコシル化RLI2及び低グリコシル化RLI2のカニクイザルPK/PD研究
高グリコシル化RLI2及び低グリコシル化RLI2をそれらのPK及びPD特性に関して比較するために、200L規模の生産キャンペーンを実行し、S0SP及びX0SPデプスフィルターで回収し、タンパク質をPPAカラム上に捕捉した。溶媒界面活性剤処理によってウイルスを不活化し、Capto Adhereカラム及びヒドロキシアパタイトII型カラム(フロースルー(素通り)モード)を介して精製を継続し、続いてナノ濾過による第2のウイルス除去工程を行った。RLI調製物をCapto Impres Phenylカラム(CPI Phenyl HIC)上でポリッシング(最終精製)し(polished)、高グリコシル化RLI2についての選択した画分をプールし(RLI-15-HG)、低グリコシル化RLI2についての選択した画分をプールした(RLI-15-LG)(図5A~Cを参照)。最後に、UFDF濾過を、10kDaカットオフUF膜上で最終調剤緩衝液(20mMヒスチジン、6%ソルビトール、pH6.5)中へ行った。RLI-15-HGは、RLIの大部分をグリコシル化RLI異性体の上側のバンドに示すが、RLI-15-LGは、グリコシル化RLI異性体のより小さな画分のみを含有する(図5B及びC)。
合計3匹の雄及び3匹の雌のカニクイザルをPK/PD研究に含めた。動物を、クロスオーバー投与設計に従って、毎日の皮下投与により、RLI2をRLI-15-HG及びRL1-15-LGとして15μg/kg(名目用量)で受ける2つの群に割り振った。投与は、10日間のウォッシュアウト期間によって隔てられた4日間の2期間(2×4)にわたって行った(1日目~4日目:雄についてはRLI-125-LG及び雌についてはRLI-15-HG、15日目~18日目:雄についてはRLI-15-HG及び雌についてはRLI-15-LG)。薬力学的パラメータ(NK、CD4及びCD8細胞におけるKi67発現を含む)を、処置前期間、5日目、12日目及び19日目に収集した血液試料から分析した。薬物動態学的調査のための血液試料を、1日目及び15日目に各処置期間における最初の投与後に、以下の時間点ですべての動物から採取した:投与前並びに投与の0.5時間、1時間、2時間、6時間、12時間及び24時間後。生物分析を行った。加えて、バックアップ血清試料(D1(投与前))。D15(投与前)及びD16(24時間)を免疫原性評価(ADA判定)に部分的に使用した。
薬物動態(PK)分析は、Phoenix(商標)WinNonlin(登録商標)ソフトウェア(バージョン6.4、Certara L.P.(サターラ))でのノンコンパートメント解析を使用して実施した。
薬物動態プロファイル:1日目及び15日目の投与後のサンプリング期間の大部分にわたって定量可能な量のRLI2を測定したので、すべての処置動物を試験項目に曝露した。主要な薬物動態パラメータを表10に要約する。
Figure 2024524891000037
max及びAUC0-tによる曝露は、雄性動物と雌性動物とで異なっていた。Cmax及びAUC0-tは、雄よりも雌において約2倍高かった。この性別の違いとは無関係に、RLI-15-HG及びRLI-15-LGの薬物動態の差も観察された。驚くべきことに、RLI-15-HGによる暴露は、RLI-15-LGによる暴露よりも低かった。RLI-15-HGとRLI-15-LGとの間の比は、動物の性別に依存せずに、Cmax及びAUC0-tについてそれぞれ0.606及び0.453であった。
免疫原性を決定するためのDC-T細胞ベースのアッセイ
バフィーコートを健常ドナーから得た。この血液をPBS-EDTAで希釈し(175mLの希釈血液を得た)、PBMCをFicoll Paque勾配(15mLのFicoll+35mLの希釈血液)によって単離した。CD14単球を、EasySep(商標)Human CD14 Positive Selection Kit II(17858、StemCell(ステムセル))を製造業者の説明書に従って使用して単離した。CD14画分を新しいファルコンチューブにピペットで移し、残りを1200rpmで10分間遠心分離し、次いでCryoStore培地に再懸濁し、凍結し、-80℃で一時的に保存した。単離したCD14単球をDC培地(IL-4及びGM-CSFを補充したCellGro)に再懸濁した。細胞を、5%COを用いて37℃で5日間インキュベートし、回収し、48ウェルプレートに播種した。iDCにタンパク質を4時間負荷(ロード)し、サイトカインカクテル(TNF-α、IL-1β+IL-4及びGM-CSF)を用いて一晩成熟させた。続いてPBS及びT細胞培地で4回洗浄した。細胞を自己CFSE染色CD4 T細胞と1:10の比で共培養し(陰性磁気分離(磁選))、7日間培養した。CFSE希釈をフローサイトメトリによって検出した。
Figure 2024524891000038
実施例2:リツキシマブ(RTX)に基づく抗CD20免疫サイトカイン
この免疫サイトカインはリツキシマブ(VH:配列番号96、VL:配列番号99)に基づいた。表11に列挙した免疫サイトカインを生成し、それらの提供されたアッセイについて試験した。
Figure 2024524891000039
RTX-RLI免疫サイトカインは、RLI2と比較して低用量でインビボでの効力の増加を示し、異なるRTX-RLI免疫サイトカインは、RLI2を含むか若しくはRLI2AQを含むかによらず、x2若しくはx1であるかによらず、又はリンカーを伴うか若しくは伴わないかによらず、互いに同等であった。
実施例3:ホモ二量体RLI2免疫サイトカインの産生収率の低下
免疫サイトカインをCHO細胞において一過性に発現させ、プロテインAを使用する標準的な抗体精製プロトコルを使用して精製した。簡潔には、Mab select sure(GE)を使用して、Fcの存在に起因して免疫サイトカイン産物を捕捉した。Nuvia HR-S(CEX)を結合/溶出モードで使用して、オリゴマー化免疫サイトカイン材料及び部分的に非カップリング抗体RTX又はPEM、並びにエンドトキシン(内毒素)及びDNA夾雑物を分離した。分取ゲル濾過(Superdex 200)を、残留するオリゴマー化ICK非カップリング抗体を除去するために使用した。免疫サイトカインを、Vivaspin 30kDaを用いて2mg/mlに濃縮した。
RTX免疫サイトカイン(RTX-ICK)の上流産生は、25kDa及び50kDaタンパク質、裸のRTX又はRTX-RLI x2(RTX KiH-RLI x1)、オリゴマー化したRTX-RLIを表す上清中の夾雑物の存在を生じ、2つのRLI2分子を有するホモ二量体構築物とKiH技術を使用して1つのRLI2分子を有するヘテロ二量体構築物との間で産生に差があった。ヘテロ二量体抗体形式は、重鎖の誤対合に起因してより低い発現を有することが一般に予想されるが、驚くべきことに、ヘテロ二量体免疫サイトカインについて、KiH技術を使用するヘテロ二量体構築物は、それぞれのホモ二量体構築物と比較してより高い発現を有することが観察された。従って、最適化されていない産生収率は、RTX-RLI2 x2(70~100mg/l)と比較してRTX-RLI2 x1(220~300mg/l)について約3倍高く、PEM-RLI2 x2(10~20mg/l)と比較してPEM-RLI2 x1(90~120mg/l)について6倍といっそう高かったが、これらの最適化されていない発現において、IgG4 PEM構築物は、概して、IgG1 RTX構築物と比較してより悪い発現を有した。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明者らは、正確に折り畳まれたホモ二量体免疫サイトカインの発現の有意な喪失は、折り畳まれるべき抗体の各重鎖に連結された2つのRLI分子が適切な抗体折り畳み(フォールディング)を妨害することに関連していると推測する。これは、RLI分子が互いに相互作用し、これにより、適切なホモ二量体を形成するための重鎖C末端の自由を制限する傾向を有するためである。
KiH変異及びL235E変異の両方は、PEM-RLI2構築物の産生収率に有意な影響を及ぼさなかったのに対して、YTE変異は、単独で又はL235Eと組み合わせて、発現レベルを2倍低下させた。
実施例4:低減されたインビトロ効力のためのIL-15変異タンパク質
IL-2Rβ及び/又はγ受容体へのRLIコンジュゲートの結合及びそれによるインビトロ効力を減少させ、RLI2含有産物の不均質性を低減するために、変異をRLI2コンジュゲートのIL-15部分内に導入した。示したアミノ酸置換を、成熟ヒトIL-15配列において行った(表12を参照)。
Figure 2024524891000040
Figure 2024524891000041
IL-2Rβ及び/又はγへの結合に影響を及ぼす試験したIL-15置換は、kit225細胞に対するRLI分子の効力を著しく低下させた。単一変異体N65AはNQD三重変異体と同様の効力の低下をもたらす(表13参照)。他の置換は、効力にわずかな影響しか及ぼさなかった。
Figure 2024524891000042
抗体に結合しないで試験したRLI-15変異タンパク質についても、NA変異は、ここではkit225細胞でのEC50として測定して、活性の約2対数(log)の減少をもたらす。
実施例5:ホモ二量体及びヘテロ二量体CD20標的免疫サイトカインの比較
抗CD20抗体リツキシマブに基づく免疫サイトカインは、両方の抗体重鎖のC末端へのRLI2 wtコンジュゲートの融合(「x2」)によって、又は一方の重鎖の1つのC末端への1つのRLI2変異タンパク質の融合(「x1」)によるリツキシマブのKiH多様体を使用することによって生成した。リツキシマブ(「RTX」)に基づく免疫サイトカインを、kit225細胞に対するそれらのインビトロ効力について試験した(実施例1及び表15を参照)。
Figure 2024524891000043
C末端に融合した2つのRLI2コンジュゲートを有するホモ二量体RTX-RLI 2x免疫サイトカインは、効力のわずかな減少を有したのに対して、1つのRLI2コンジュゲートのみを有するヘテロ二量体免疫サイトカインは、kit225細胞に対する効力の約10倍の低下を示した。
同様の活性が、インビトロでの7日間の刺激後にhNK細胞CD8 T細胞の活性化(Ki67細胞)に対して観察された。
Figure 2024524891000044
kit225に対する免疫サイトカインの効力は、活性化ヒトNK細胞、CD8 T細胞及びCD8メモリーT細胞に対する免疫サイトカインの効力と相関することができる。RTX-RLI2 x1のみが約3倍の低下を有した。
実施例6:リツキシマブに基づく抗CD20免疫サイトカインのPD活性
免疫サイトカインを、健常Balb/cマウス(2匹のマウス/群)に1日目にIV投与した等モル用量のRTX-ICKの投与の後の脾臓由来の免疫細胞に対するPD活性について試験した。RLI2を20μg/マウスで4連続日(1日目~4日目)に毎日SC注射した。免疫細胞集団の活性化を、フローサイトメトリによって5日目に検出した。以下の抗体(表17)をPD試験(マウス)に使用した。
Figure 2024524891000045
インビボでRTX-RLI2 x2、RTX-RLI AQ x2及びRTX-L40-RLI2 x2の間にPD活性の差はなかった(図15)。等モル量のRTX-RLI2 x1のPD活性は、たった1つのRLI2分子/抗体に起因してより低かったが、二重のRTX-RLI x2分子と比較して、免疫細胞の相対数において約20~30%少ないに過ぎなかった。
実施例7:インビボでのRencaマウス転移モデルにおけるリツキシマブに基づく抗CD20免疫サイトカインの抗転移活性
等モル用量での抗CD20免疫サイトカインの抗転移活性を、Balb/cマウスのRenca腎細胞癌転移モデルにおいて試験した。3μg/用量のICKを1日目(D1)にIV注射し、16日目に肺を採取し、肺湿重量を測定した。
インビボで、RTX-RLI2AQ x2、RTX-RLI2AQ x2、RTX-L40-RLI2AQ x2及びRTX-RLI2AQ x1の間でRLI2AQ部分の抗転移活性において有意差は観察されなかった(図16)。3μg/用量の単回注射は、対照と比較して転移の30~40%の減少をもたらした。
実施例8:A20-hCD20/Balb/cマウスにおける抗CD20 RTX-RLI2AQ免疫サイトカインの抗腫瘍有効性
RTX-RLI2AQ x2免疫サイトカインの抗腫瘍有効性を、A20-hCD20腫瘍細胞株(CrownBiosciences(クラウン・バイオサイエンス)、米国)をs.c.移植したBalb/cマウスにおいて試験した。マウスを、StudyDirector動物管理ソフトウェアパッケージ(v3.0、StudyLog Systems(スタディログ・システムズ)、米国)によって提供されるマッチした分布関数を使用して腫瘍体積に基づいて処置群に無作為化して、1日目に群間及び群内の最小量のばらつきを達成した。RTX-RLI2AQ x2を0.15mg/kgで1日目及び8日目に投与し、RLI2を1mg/kgで1~4日目の4連続日に投与した。腫瘍体積を、研究期間中週2回測定し、測定を、キャリパーを使用して2次元で行い、体積を、式「V=(L×W×W)/2」(式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍長(最も長い腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍幅(Lに垂直な最も長い腫瘍寸法)である)を使用してmmで表した。
RTX-RLI2AQ x2の2回のi.v.注射は、対照と比較した場合、A20-hCD20/balbcマウス腫瘍モデルにおいて有意な抗腫瘍効力を示した。RTX-RLI免疫サイトカインと比較して、ほぼ10倍高い用量(又はこの免疫サイトカインの分子量が大きいために、さらに高い匹敵する等モル用量)で4回投与した場合、RLI2について同様の有効性が示された(図17)。
実施例9:リツキシマブ単独と比較したリツキシマブに基づく抗CD20免疫サイトカインのADCC活性
Daudi細胞株を、NK92-CD16細胞を伴って又は伴わずに、示した濃度のRTX及びRTX-RLI2分子とともにインキュベートした。Daudi細胞死をDAPI陽性細胞のパーセンテージとして評価し、フローサイトメトリによって検出した。
ウェルあたり4×10個のDaudi腫瘍細胞(CD20を発現するB細胞リンパ腫)を96ウェルプレートに播種した。NK92-CD16細胞を、RTX-RLI2AQ分子の連続希釈物(濃度0.001、0.01、0.1、1、10及び100nM)とともに1:5の比で添加した。細胞を加湿5%CO中、37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、NK細胞及び腫瘍細胞の識別のためのCD56-Alexa Fluor700、CD19-PE抗体、並びに死んだ腫瘍細胞(CD19+DAPI+細胞)を特定するためのDAPIで染色し、フローサイトメトリによって分析した。
RTX-RLI2AQ分子のADCC活性は、リツキシマブ対照よりもわずかに低かった。しかしながら、RTX-RLI AQ及びRTX-RLI 1xのそれぞれ70%又は80%と比較して、リツキシマブ単独のADCC活性によって細胞の60%しか死滅しなかった(図18)。
実施例10:PD-1標的免疫サイトカインにおけるIL-15 N65A変異はkit225細胞に対する効力の低下を示す
抗PD-1抗体であるペムブロリズマブに基づく免疫サイトカインを様々な形式で生成した。ペムブロリズマブは、抗体のFc部分に安定化S228P変異を有するヒト化IgG4-κ抗体である。免疫サイトカインにおける使用のためにこの構築物を改善するために、ペムブロリズマブ(「PEM」)のバリエーションを試験した。IgG4抗体クラスは比較的低いADCC活性を有するということが公知であるが、L235E変異(Alegre、Collinsら、1992)(「LE」)を、ADCCをさらに低下させるために導入した(配列番号43)。免疫原性/抗薬物抗体の潜在的可能性を制限するために、より複雑なADCC不活性化変異を回避した。1つ又は2つのRLI2分子を、PEM抗体のC末端に遺伝的に融合させた。ホモ二量体PEM多様体(「x2」)の場合、1つのRLI2分子を各重鎖に融合させたのに対し、ヘテロ二量体PEM多様体(「x1」)は、knob-in-hole(KiH)技術(Elliott、Ultschら、2014)を用いて作製し、1つのRLI2分子は、T336W置換を有するknob重鎖(配列番号41)に融合したのに対し、hole重鎖(RLI2融合を有さない)は、T366S/L368A/Y407V置換を含んでいた(配列番号42)。RLI2を重鎖に融合させた場合、産物の不均質性を低減するために末端リジン(K)を欠失させた(「dK」)。さらに、異なるRLI2変異タンパク質を使用して、抗体の重鎖に融合させた。すべてのRLI2分子は、産物の不均質性を低減するためのAQ(G78A/N79Q)置換を有し、IL-2/IL-15RβγへのRLI2の結合を低下させる以下の置換をPEM-RLI免疫サイトカインにおいて試験した:DA、NA、ND、AD(K10A Q101D)及びNQD。作製したPEM-RLI免疫サイトカインを表18、左列に列挙する。
準備したIL-15置換を有するいくつかのホモ二量体又はヘテロ二量体のPEM-RLI2AQ免疫サイトカインの効力を、RLI2を標準として使用し相対的効力について100%に設定して、kit225細胞におけるインビトロEC50を測定することによって比較した(表18)。目的は、kit225細胞においてRLI2の最も効力が低い変異タンパク質を特定することであった。示した結果は、2~5回の実験の平均である。
Figure 2024524891000046
RLI:RLI2AQ;ND:検出されない(アッセイの感度の限界)
PEM-RLI-NA x1内のRLI2AQNAは、IL-2/IL-15Rβγを低下させる単一変異を有する最も効力が低いRLI変異タンパク質として特定され、これは、3つのアミノ酸置換を有するNQD変異よりも依然として約10倍活性であり、これにより、免疫原性の比較的高いリスクを有する。
ヘテロ二量体PEM-RLI免疫サイトカインを、還元条件下及び非還元条件下でキャピラリー電気泳動によって分析した(図1)。すべての免疫サイトカインは高い純度を示し、抗体重鎖、重鎖+RLI(HC-RLI)及び軽鎖が明確に分離していた。HC-RLIバンドのすぐ上のかすかなバンドは、重鎖上のグリコシル化RLIを表す。驚くべきことに、グリコシル化は、NA変異体に関して低減されるようであった。
実施例11:Fc多様体(LE、YTE又はLE-YTE)を有するPEM-RLI x1又はPEM-RLI NA x1分子はインビトロでkit225細胞に対するそれらの効力に差異を示さない
ADCCを低下させる(LE置換)か、又は増加したFcRn結合を介してインビボ半減期を増加させる(YTE置換)か、又は両方の組み合わせ(LE-YTE)を持つように設計されたFc多様体を有するいくつかのヘテロ二量体PEM-RLI x1及びPEM-RLI NA x1の効力を、kit225細胞を使用してEC50を決定することによってインビトロで比較し(表19)、RLI2を標準として使用し、相対的効力について100%に設定した。データは2回の実験の平均を表す。
Figure 2024524891000047
RLI:RLI2AQ
RLIコンジュゲート中にIL-15不活性化NA変異を有さないRLI2AQとのヘテロ二量体融合物におけるPEMのFc多様体(PEM-LE、YTE、又はLE/YTE-RLI x1)は、kit225に対してPEM-RLI x1と同様の効力を実証した。同様に、RLIコンジュゲート中に不活性化IL-15 NA変異を有するすべての比較した構築物は、試験したFc多様体によらず、kit225細胞に対して同様の(低下した)効力を示した。従って、抗体Fc領域における試験した変異は、PEM-RLI構築物の効力に影響を及ぼさなかった。
実施例12:インビトロでのkit225に対する効力におけるPEM LE-RLI NA x1、PEM LE/YTE-RLI NA x1及びPEM-RLI NQD x1分子の評価
2つのバッチから選択したPEM-RLI免疫サイトカイン構築物を、kit225細胞を用いて、インビトロでRLI2と比較して効力に関して比較した。分子の効力をEC50として評価し、RLI2分子に関連する相対的効力としても計算した。データは1つの実験を表す。表20に示すように、kit225細胞に対するEC50を決定することによって測定した試験免疫サイトカインの効力に関して、高いバッチ間の一貫性が観察された。
Figure 2024524891000048
実施例13:インビトロでのkit225及びhPBMCに対する効力におけるPEM LE-RLI NAx1、PEM LE/YTE-RLI NAx1及びPEM-RLI NQD x1分子の比較
LE/YTE Fc修飾を伴って又は伴わずに、1つ又は2つのRLI2分子を保有する選択したPEM-RLI免疫サイトカイン構築物(PEM-RLI)。示したPEM-RLI免疫サイトカインを、インビトロで7日間、6人の健常ドナー由来のヒトPBMCの刺激のために様々な濃度で使用した。ヒトNK細胞及びCD8 T細胞に対する効力を、kit225細胞に対する効力と比較した(表21参照)。
驚くべきことに、N65A IL-15変異体(「NA」)については、インビトロでのkit225におけるヒトNK細胞又はCD8 T細胞の活性化に関して、1つ又は2つのRLI2分子を保有する分子(x1及びx2免疫サイトカインを比較する)の効力の差は観察されなかった。他の実験から既知であるとおり、抗体のFc部分におけるLE/YTEは、融合RLI分子の効力に影響を及ぼさない。IL-15 NQD変異タンパク質を含有する免疫サイトカインは、約10倍のさらなる低下した効力を有した。ヒトPBMC効力データは6人のドナーの平均である。kit225データは2~3回の実験の平均である。
Figure 2024524891000049
実施例14:インビトロでのkit225細胞におけるHC又はLCに結合した低効力PEM-RLI変異体の評価
変異Fc抗体部分(LE-YTE)を有する又は有さないPEM-RLI免疫サイトカインにおけるいくつかの低効力IL-15変異タンパク質を、参照としてのPEM LE/YTE-RLI2 NA x1と比較して、それらの効力に関して比較した。「Lc」免疫サイトカインでは、RLIコンジュゲートを抗体の軽鎖のC末端に融合した(が、他のすべての構築物は両方の重鎖の一方のC末端に融合したRLIコンジュゲートを有する)。インビトロ効力試験は、変更したプロトコル(長期細胞インキュベーション)でkit225細胞株を使用して達成した。分子の効力をEC50として評価し、PEM LE/YTE-RLI NA x1分子に対する相対的効力としても計算した。表22のデータは2~4回の実験の平均を表す。
Figure 2024524891000050
置換の組み合わせQDQA(Q101D/Q108A)、NQD(D30N/E64Q/N65D)、DANA(D61A/N65A)及びDANAQD(D61A/N65A/Q101D)は、DANAQD構築物について測定不可能になるまでPEM-RLI免疫サイトカイン構築物の効力をさらに低下させた。抗体の軽鎖に融合したRLIコンジュゲートを有する免疫サイトカインは、抗体の一方の重鎖上に同じIL-15変異を有する1つのみのRLIコンジュゲートを有する構築物と比較して、同様の効力を示した。
実施例15:変異Fc部分を有する又は有さない低効力変異体の比較
目的は、変異Fc抗体部分(LE-YTE)を伴う又は伴わないPEM-RLI NA x1よりも効力の低いいくつかの変異タンパク質の効力を評価し比較することであった。これらの分子は、ペムブロリズマブ(IgG4)及びRLI-15の融合タンパク質(PEM-RLI-15)である。RLI2を標準として使用した。インビトロ効力試験は、kit225細胞株を用いて達成した。分子の効力をEC50として評価し、裸のRLI-15分子に関連する相対的効力としても計算した。データは、3.5日又は7日のkit225増殖後のいくつかの実験の平均を表す。
Figure 2024524891000051
実施例16:ペムブロリズマブの機能性は、RLI2又はRLI2変異タンパク質の融合によっても、抗体のFc修飾によっても影響されない
ペムブロリズマブの抗PD-1抗体誘導体の機能性を、生物発光細胞ベースのアッセイ「PD-1/PD-L1 Blockade Bioassay」(J1250、Promega)を使用説明書に従って使用してPD-1/PD-L1相互作用の遮断を測定することによって決定した。示したPEM RLI免疫サイトカインを試験して、PD-1/PD-L1相互作用を遮断するそれらの活性に関するそれらの効力を評価した(表24参照)。試験した免疫サイトカイン間で有意差は観察されなかった。それゆえ、免疫サイトカインのPEM部分の機能性(PD-1遮断)は、結合したRLI2分子の数、RLI2コンジュゲートにおける変異又は抗体のFc部分における変異とは無関係に保存されている。
Figure 2024524891000052
実施例17:PEM-RLI NA x1免疫サイトカインはマウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍有効性を示す
PEM-RLI NA x1免疫サイトカインのインビボ治療有効性を、雌ヒトPD-1シングルKI HuGEMMマウス(n=8マウス/群)におけるHuCell MC38-hPD-L1腫瘍の処置における単剤療法としてのペムブロリズマブと比較した。無作為化0日目に平均腫瘍サイズが108mmに達した時点で処置を開始した。PEM-RLI NA x1を0日目に20mg/kgでIV投与し、ペムブロリズマブを0日目、3日目、6日目及び9日目に5mg/kgでIP投与した。
PEM-RLI NA x1は、対照未処置群と比較して(p値は<0.05であった)、及びペムブロリズマブ処置群と同様に、このモデルにおいて腫瘍体積を強く減少させた(図7を参照)。免疫サイトカインについては、ペムブロリズマブとの顕著な差異は見られなかったが、免疫サイトカインの単回注射は、ペムブロリズマブの4回の投与と同様の結果を達成したことに留意されたい。さらに、マウスはRLIに対して約10倍低い感受性であることが公知であるので、PEM-RLI NA x1の完全な機能性は、このマウスモデルにおいて試験することができず、従って、ヒトにおける処置効果はより良好であると予想される。
実施例18:PEM LE/YTE-RLI NA x1分子は混合リンパ球反応におけるIFN-γ産生をペムブロリズマブ及びRLI-15単剤療法よりも増強する
PEM-RLI構築物がT細胞活性化及びIFNγ産生を増強する潜在能力を評価するために、混合リンパ球反応(mixed lymphocyte reaction、MLR)を採用した。MLRは、同じ種の2人の遺伝的に異なる個体由来の白血球を共培養して、細胞幼若化(細胞芽球形質転換、cell blast transformation)、DNA合成及び増殖をもたらすインビトロアッセイである。MLRの生成は、細胞集団の表面上に発現され、主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex、MHC)によってコードされる同種決定因子の不適合性の結果として生じる。
IFNγ産生を介したT細胞活性化を、インビトロでのMLRアッセイにおいて、PEM RLI-NA x2、PEM RLI-NQD x1、PEM LE/YTE-RLI NA x1及びPEM YTE-RLI x1分子について評価した。PEM-RLI構築物をRLI2及びペムブロリズマブと比較した。対応する対照としてはるかに適していると思われる、抗体に融合されていないそれぞれのRLI-15変異タンパク質は、本研究の時点では入手できなかった。
ミスマッチのヒトPBMCドナー対をPEM LE/YTE-RLI NA x1(1000nM)とインキュベートした場合、等モル量のペムブロリズマブと比較してIFNγ産生が増加し、調整したRLI2濃度は300倍低下し、RLI2 NA変異タンパク質の効力に等しくなった。データは、ペムブロリズマブ及びPEM LE/YTE-RLI NA x1については6つのドナー対の、RLI2については3つのドナー対の平均±SEを表す(図8を参照)。
実施例19:PEM LE/YTE-RLI NA x1分子はPEM-RLI wt x1分子より長いインビボ半減期を示し、これは高いPD活性と相関する
PEM-RLI x1及びPEM LE/YTE-RLI NA x1の薬物動態を、カニクイザル(n=2)において、1日目及び15日目にそれぞれ10又は30μg/kg(PEM-RLI x1)及び30又は90μg/kg(PEM LE/YTE-RLI NA x1)の投与後に試験した。血清分離のための血液を、1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、60時間、72時間、96時間、120時間及び168時間に採取した。血清中のPEM-RLI x1及びPEM LE/YTE-RLI NA x1の濃度をELISAによって決定した。選択した免疫細胞集団(NK細胞及びCD8 T細胞増殖 - Ki67、リンパ球数)のフローサイトメトリ評価のための血液を投与前、5日目、8日目、12日目、15日目、19日目、22日目及び26日目に採取した。
IL-2/15Rβγに対して低下したRLI-15親和性を有するPEM LE/YTE-RL1 NA x1分子は、カニクイザルにおけるIV投与後にPEM-RL1 x1に対して有意に延長された半減期を示した(図9A)。リンパ球の数の増加(図9B)並びにKi67陽性によって決定したNK細胞(図9C)及びCD8 T細胞(図9D)の増殖の増加によって示されるように、IL-2Rβγに対する親和性が著しく減少し効力が著しく減少したRLI変異タンパク質を有するPEM LE/YTE-RLI NA x1分子は、PEM抗体との融合物において高いPD活性を保持した(図9)。
実施例20:PEM-RLI NA x2分子は、PEM-RLI NA x1分子を超える利益を示さない(PK及びPDプロファイル)
PEM-RLI NA x1及びPEM-RLI NA x2の薬物動態を、1日目に30μg/kgを投与した後のカニクイザル(n=2)において試験して、抗体に結合した1つのRLI2分子に勝る2つのRLI2分子の利益を評価した。血清分離のための血液を、1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間及び168時間に採取した。血清中のPEM-RLI NA x1及びPEM-RLI NA x2の濃度をELISAによって決定した。選択した免疫細胞集団(NK細胞及びCD8 T細胞増殖 - Ki67、リンパ球数)のフローサイトメトリ評価のための血液を投与前、5日目、8日目、12日目、15日目、19日目、22日目及び26日目に採取した。
カニクイザルにおけるIV投与後の血清濃度によって決定した薬物動態(図10A)又はリンパ球数によって決定した薬力学(変化倍率、図10B)、%Ki67 NK細胞(図10C)及び%Ki67 CD8 T細胞(図10D)に関して、抗体に結合したIL-2/15Rβγに対する親和性が低下した2つのRLI2分子を有するPEM-RLI免疫サイトカインの、1つの分子のRLI2に勝る利益はなかった。
実施例21:LE変異を有するPEM-RLI NA x1分子は、LE/YTE変異を有する分子よりも長い半減期を示す
PEM LE/YTE-RLI NA x1及びPEM LE-RLI NA x1の薬物動態を、1日目の600μg/kgのIV投与後に、カニクイザル(n=3)において試験した。血清分離のための血液を、1時間、8時間、24時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間及び120時間に採取した。血清中のPEM LE/YTE-RLI NA x1及びPEM LE-RLI NA x1の濃度をELISAによって決定した。YTE変異は、FcRn結合を増加させ、これにより血漿半減期を増加させることが報告されているが、1つのRLI NA変異タンパク質を有する免疫サイトカイン形式では、半減期は、驚くべきことに、LE変異のみを有する構築物と比較して減少した(図11)。
実施例22:より低い効力の変異体PEM-RLI NQD x1はPEM-RLI NAx1分子よりも長い半減期を示す
PEM LE-RLI NA x1及びPEM-RLI NQD x1(NQDはD30N/E64Q/N65Dを指す)の薬物動態を、1日目の600μg/kgのIV投与後に、カニクイザル(n=3)において試験した。血清分離のための血液を、1時間、8時間、24時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、120時間及び144時間に採取した。血清中のPEM L-RLI NA x1及びPEM-RLI NQD x1の濃度をELISAによって決定した。NA変異体と比較してさらに低下した効力を示した三重変異体NQDを有するPEM-RLI構築物(表13参照)は、N65A置換を有するPEM-RLI構築物と比較して、インビボでさらに増加した半減期を示した(図12)。
実施例23:改変されたエフェクター機能を有する抗Claudin18.2 hCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性
細胞株
ヒト細胞株PA-TU-8988S(Creative Bioarray(クリエイティブ・バイオアレイ)、カタログ番号CSC-C0326)及びClaudin18.2を過剰発現するA549(ATCC CCL-185)(A549-Cldn18.2)を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン(GlutaMAX、Gibco(ギブコ))、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン(Invitrogen(インビトロジェン))及び2μg/mlピューロマイシン(Gibco)を補充したDMEM培地(Gibco)中で増殖させた。
A549細胞を、トランスポザーゼ発現構築物(pcDNA3.1-hy-mPB)、転位性の全長huCLDN18.2を有する構築物(pPB-Puro-huCLDN18.2)を、ピューロマイシン耐性カセット及びトランスフェクション対照としてのEGFPを有する構築物(pEGFP-N3)(Waldmeier、Hellmannら、2016)とともに用いてエレクトロポレーションによって同時トランスフェクトした。エレクトロポレーション後、細胞を5%CO2雰囲気の加湿インキュベータ中37℃の増殖培地中で2日間回復させた。トランスフェクションは、EGFP発現のFC分析によって検証した。次いで、CLDN18.2を発現する細胞を、ピューロマイシンを1μg/mlで培養物に添加することによって選択し、さらに増殖させて、10%DMSOを含むFCS中で凍結ストックを生成した。トランスフェクトした細胞におけるCLDN18.2の発現をFCによって分析した。
より均質なPA-TU-8988S細胞集団を有するために、細胞をFACSによって選別して、より高いCLDN18.2発現を有する細胞のみを選択した。手短に言えば、FACS緩衝液(PBS、2%FCS)に懸濁したPA-TU-8988S細胞を、氷上で30分間、2μg/mlのゾルベツキシマブとともにインキュベートした。FACS緩衝液中で洗浄した後、細胞をPE標識Fcγ特異的IgGヤギ抗ヒト二次抗体(eBioscience(イーバイオサイエンス))とともに氷上で30分間インキュベートした。洗浄後、染色した細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、FACSAria(商標)機器によって分析及び選別し、高発現細胞から中等度発現細胞を分離した。選別後、採取したPA-TU-8988S-High細胞(PaTu)を増殖培地に再懸濁し、増殖させ、凍結したアリコートを液体N2中に保存した。
ヒトCD16を外因的に発現するヒトNK細胞株NK92(ATCC CRL-2407)(NK92-hCD16、本明細書ではNK92と呼ぶ)を、Clemenceauら、2013(Clemenceau、Vivienら、2013)に記載されているように生成した。この細胞を、10%ABヒト血清(One Lambda(ワン・ラムダ))、2mMグルタミン(GlutaMAX、Gibco)及び5ng/ml IL-2(Peprotech(ぺプロテック))を補充したRPMI1640培地(Gibco)中で増殖させた。すべての細胞を、5%COを含む加湿雰囲気中で37℃に維持した。
細胞ベースのADCCアッセイ
A549-Cldn18.2又はPaTu細胞を96ウェルプレートに適切な濃度(A549-Cldn18.2 - 20000細胞、PaTu - 30000細胞)で播種し、24時間インキュベートした。NK92細胞又は単離したヒトNK細胞を遠心分離によって回収し、洗浄し、ADCCアッセイ培地(2mMグルタミン及び10%熱不活化(56℃で20分間)プール済み補体ヒト血清(Innovative Research(イノベイティブ・リサーチ))を補充したRPMI1640(フェノールレッドなし))に再懸濁した。接着細胞(標的細胞T)を含む96ウェルプレートから培地を除去し、ADCCアッセイ培地中の懸濁液中のNK92細胞(エフェクター細胞E)を、接着標的細胞に、A549-Cldn18.2について10のE:T比及びPA-TU-8988S細胞について5のE:T比で添加した。試験する抗体又は免疫サイトカイン(ICK)を0.001~100nM又は0.0001~10μg/mlの濃度範囲で添加した。ヒトIgG1アイソタイプ抗体(Ultra-LEAF(商標) Purified Human IgG1 Isotype Control Recombinant Antibody、Biolegend(バイオレジェンド)、カタログ番号403502)を非特異的対照として含めた。混合物を37℃で一晩インキュベートした。24時間後、LDH Cytotoxicity Assay(Abcam(アブカム)、ab65393)を製造業者の説明書に従って使用して、死細胞から放出された乳酸デヒドロゲナーゼ酵素の活性として表される細胞傷害性を測定した。10μlの上清を新しい96ウェルプレートに移し、LDH基質と混合し、発色した色の変化を、分光光度計を用いて450nmのODで測定した。次式に従って細胞傷害性を計算した:細胞傷害性(%)=((試験試料-エフェクター細胞対照-低対照)/(高対照-低対照))×100;「試験試料」:エフェクター/標的混合物;「エフェクター細胞対照」:NK92細胞のみを有する1つのウェル(エフェクター細胞から放出されるLDH活性を決定する);「低対照」:標的細胞のみを有する1つのウェル(未処置の標的細胞からのLDH活性の自発的放出を決定する);「高対照」:溶解緩衝液で透過処理した標的細胞を有する1つのウェル(最大放出可能LDH活性を決定する)。
図13は、改変されたエフェクター機能を有するhCl1a抗体に基づく免疫サイトカインのADCC活性を示す。試験した免疫サイトカインはすべてヘテロ二量体Fcドメインを有し、1つのRLI2AQコンジュゲートが重鎖のうちの1つのC末端に融合していた。ADCCを低下させるエフェクタードメインの変異を有する免疫サイトカインを試験した場合、免疫サイトカインhCl1a LALAPG-RLI DANAは、hCl1a抗体単独のhCl1a-DANA免疫サイトカインと比較した場合、NK92細胞の存在下でA549-CLDN18.2細胞(上のパネル)又はPA-TU-8988S(下のパネル)に対して試験した場合、ほぼ消失したADCC活性を示した。hCl1a-LALA抗体も、hCl1a抗体と比較して低下したADCC活性を示したが、しかしながらADCC活性は完全には消失しなかった。コンジュゲートの添加は、抗体単独のADCC活性と比較した場合に、ADCC活性が低下した際の、免疫サイトカインのADCC活性に影響を及ぼさなかった。表25は、試験した各免疫サイトカイン又は抗体について測定したADCC EC50値を要約する。EC50値は、Graphpad(グラフパッド) Prism Softwareを使用し、組み込みの「log(AGONIST) vs. response - variable slope (four parameters)(log(アゴニスト)対応答-可変勾配(4つのパラメータ))」EC50決定を用いて決定した。
ADCCを増強するエフェクタードメインの変異を有する免疫サイトカインを試験した場合、FcドメインにDLE、DE、AAA、TE又はIE変異を有するhCl1a抗体に基づくすべての試験した免疫サイトカインは、それらの変異を有さない同じ免疫サイトカイン又は抗体単独と比較して、増強されたADCC活性を示した(図14)。
ADCC活性を増強するために、脱フコシル化(afucosylation)も試験した。図14Fは、A549-Cldn18.2及びPA-TU-8988S細胞において、脱フコシル化免疫サイトカインhCl1a-DANA afucが、hCl1a-DANAと比較して増強されたADCC活性、並びに上記のDE及びDLE変異を有する免疫サイトカインに匹敵するADCC活性を有することを示す。しかしながら、脱フコシル化をエフェクタードメイン増強の変異と組み合わせた場合、脱フコシル化は、驚くべきことに、DE又はDLEの変異によって誘導されるADCC増強に悪影響を及ぼした(図14B及びAを参照)。それにもかかわらず、脱フコシル化をAAA変異と組み合わせた場合には、増強されたADCC活性は維持された(図14C)
Figure 2024524891000053
実施例24:表面プラズモン共鳴(SPR)によるADCC活性化受容体FcγRIIIa V158及びFcγRIIIa F158並びにADCC阻害受容体FcγRIIbへの抗体Fc結合の評価
ヒトFcγRIIIa受容体(hFcγRIIIa;CD16a)は、位置158の2つの多型多様体、hFcγRIIIaV158及びhFcγRIIIaF158として存在する。FcγRIIIaはADCC活性を活性化し、FcγRIIbはADCCを阻害する。免疫サイトカインのADCC活性は、受容体に対するそれらの親和性をSPRによって測定する場合、FcγRIIbへのEC50結合親和性に対するFcγRIIIaへのEC50結合親和性の比として表すことができる。
SPR実験は、Biacore 8K(Cytiva(サイティバ)、シカゴ、イリノイ州、米国)で、CM5センサーチップ(Cytiva)を用い、THE Hisタグ抗体(Genscript(ジェンスクリプト))を用いて固定化して行った。FcγRIIIa V158、FcγRIIIa F158又はFcγRIIbタンパク質を1×HBS-EP+ランニングバッファー中で10μl/分の流量、30秒の接触時間で捕捉に使用した。脱フコシル化を伴って又は伴わずにDLE及びDEを有する構築物を除き、30μl/分の流量で、300秒/300秒の会合時間/解離時間を用いて適切な範囲の濃度連続希釈で、試験した各免疫サイトカインについて会合/解離の速度を測定した。DLE及びDEを有する構築物については、120s/1200sの会合/解離時間を適用した。下記表26は、SPR測定の結果を要約する。
Figure 2024524891000054
A/I比=(FcgRIIIaに対する親和性)/(FcgRIIbに対する親和性)。親和性=1/Kdである。
「afuc」は脱フコシル化を指す。
A/I比は、ADCC活性化受容体(「A」;FcγRIII)に対する結合強度を、ADCC阻害受容体(「B」;FcγRIIb)に対する結合強度と比較して評価することを可能にする。この比が高いほど、抗体又は免疫サイトカインの活性化受容体への結合が強くなる。
SPRデータは、全体的に、ADCCを増強する変異を有するすべての免疫サイトカインが、TL変異の一部であるADCCを増強する変異を有さない免疫サイトカインよりも高いA/I比を示すことを確認する。TL変異の比較的低いA/I比は、そのような変異のグリコシル化の増加に起因している可能性がある(実施例25参照)。
実施例25:増強されたADCC活性を有するhCl1aに基づく免疫サイトカインの安定性/開発可能性
ADCCを増強するDLE、DE、AAA、TL若しくはIE変異を有するか、又は脱フコシル化されているhCl1aに基づく免疫サイトカインを、C2ドメインの融解温度、配列不安定性(liability)及びグリコシル化(N-グリカン)プロファイルを評価することによって、それらの安定性及び開発可能性を評価した。
2ドメインの融解温度を、MicroCal PEAQ-DSC自動化システム(Malvern Panalytical(マルバーン・パナリティカル))を使用する示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。手短に述べると、免疫サイトカイン試料をその保存緩衝液中で1mg/mlに希釈した。加熱は、1℃/分の速度で20℃から100℃まで行った。次いで、タンパク質溶液をその場で(in situ)冷却し、同じ熱的スキャンを実行して、第1のスキャンから差し引くためのベースラインを得た。
N-グリカン分析のために、タンパク質を最初にDTTで還元し、次いで注入用ガラスインサートバイアルを備えたHPLCカラムに移した。タンパク質を逆相クロマトグラフィーによって分離し、UV検出器と組み合わせたWaters(ウォーターズ)/XEVOG2XS-QTOFオンラインLC-MSによって検出した。検出されたグリカン鎖の分子量を既知のN-グリカン型と一致させ、N-グリカン相対存在量を計算し、検出されたピークの強度によって表した。
ADCC増強変異を有する免疫サイトカイン構築物のアミノ酸配列を、表27に記載するように、以下のさらなる配列不安定性(ADCC増強変異を有さない構築物には存在しない)の存在について分析した。
Figure 2024524891000055
TL変異は、N-グリコシル化配列不安定性(IgG1配列中のN390に近接した変異K392T)を導入した。他の変異によって配列不安定性は導入されなかった(表28参照)。
Figure 2024524891000056
スコア4:パラメータは、mAbベースの薬物製品について予想される範囲内である;
スコア3:開発中に必要とされる品質属性の注意深い監視/評価;
スコア2:予定表及び/又はコストにかなりの影響を与える可能性が高い;
スコア1:適切に制御できない高リスク。
全体として、脱フコシル化は安定性及び開発可能性に影響を及ぼさず、従って免疫サイトカインのADCC活性を増強するために使用されてもよい。DLE及びDE変異は、Tm1(C2ドメインの融解温度)のかなりの低下を引き起こし(表29参照)、免疫サイトカインの溶液中での安定性に影響を及ぼす潜在性を有していた。しかしながら、これらの変異は免疫サイトカインのグリコシル化に影響を与えなかった。TL変異によって導入された配列不安定性は、望ましくないシアリル化され高マンノースのグリカン種の導入をもたらした(表30参照)。これらの種は、免疫サイトカインのpKに悪影響を与える可能性がある。同様に、IE変異を有する免疫サイトカインは、高い割合のマンノース種を有し、これは、それら免疫サイトカインの特性に影響を与える潜在性を有していた。AAA変異を有する免疫サイトカインは、マンノース種の増加をもたらした(表30参照)。しかしながら、脱フコシル化免疫サイトカインの生成は、グリコシル化を開発可能性に関して許容可能なレベルに部分的に戻した。それゆえ、hCl1aに基づく免疫サイトカインの増強が望まれる場合、AAA変異は、任意選択で脱フコシル化と組み合わせて、その安定性及び開発可能性に最も少ない影響しか及ぼさない推奨される変異であってもよい。脱フコシル化は、評価した特性に影響を及ぼさなかった。DLE及びDE変異は、Tmのかなりの減少を引き起こし、分子を不安定化させる潜在性を有していた。TL変異は、さらなるグリコシル化部位をFcに導入した。IE変異を有する構築物は、高い割合のマンノース種を有していた。
Figure 2024524891000057
Figure 2024524891000058
実施例26:マウスインビボ有効性試験
この研究の目的は、マウスモデルにおけるhCl1a-RLI免疫サイトカインのインビボ治療有効性を試験することである。雌NMRIヌードマウスに、5~7週齢で、Claudin18.2を外因的に発現する膵臓ヒト細胞株由来異種移植片BXPC3(ATCC CRL-1687(商標))(BXPC3-CLDN18.2)を移植する。腫瘍を片側皮下注射によって移植する。これらの動物を、約100mmの腫瘍体積に基づいて無作為化する。マウスを異なる群(群あたりn=7)に割り当て、1日目に表31に従って処置する。動物を週2回、体重減少及び腫瘍体積についてチェックする。腫瘍体積は、キャリパーによって測定し、式:V=(L×W×W)/2(式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍長(最も長い腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍幅(Lに垂直な最も長い腫瘍寸法)である)を使用してmmで表す。2000mmの腫瘍負荷に達するか、又は著しい体重減少(連続する2日間で全体的に30%超、又は20%超)を経験すると、マウスを安楽死させる。
Figure 2024524891000059
実施例27:抗PD-1抗体及びSOT201はCD8 T細胞の活性化において相乗作用する
SOT201は、knob重鎖のC末端でRLI-15AQAに融合した、重鎖のT366W-knob/T366S、L368A、Y407V-hole置換、L235E置換を有し、末端Kを欠失したヒト化IgG4ペムブロリズマブに由来する抗体(配列番号21、配列番号101、配列番号23を参照)を有するヘテロ二量体免疫サイトカインである。SOT201及びKeytruda(キイトルーダ)(登録商標)(ペムブロリズマブ)を、実施例1に従ってPD-1/PD-L1遮断アッセイにおいて比較した。図19Aは、SOT201が抗PD-1抗体Keytrudaと同様にPD-1/PD-L1相互作用を効果的に遮断することを示す。SOT201及びペムブロリズマブについて決定したK値を表32に示す。
Figure 2024524891000060
11人の健常ドナー由来のヒトPBMCを、RLI2AQ N65A(RLI-15AQA)多様体を有するSOT201で、又はSOT201と同じ抗体重鎖及び軽鎖を有するがIL-2/IL-15RβγへのIL-15部分の結合が減少していないRLI2AQ多様体を有する対照分子(「SOT201 wt」)を用いてインビトロで7日間刺激した。細胞増殖を、フローサイトメトリ分析によってKi-67 NK細胞及びCD8 T細胞を測定することによって決定した。SOT201は、受容体結合が低下していないRLI-15分子を有する比較可能な免疫サイトカイン分子(SOT201 wt)と比較して、より高いEC50濃度でNK細胞及びCD8 T細胞の増殖を活性化する(図19B)。
RLI-15AQAに融合した、ヘテロ二量体化のための類似の置換(E356K、N399K/K409E、K439D)、ADCCサイレンシング(D265A)及び安定化(dK)を有する抗マウスPD-1抗体RMP1-14(BioXCell(バイオエクセル)、レバノン(Lebanon)、ニューハンプシャー州、米国)を含むマウス代用物SOT201(mSOT201:配列番号102、配列番号103及び配列番号104を参照)を、モノクローナル抗マウスPD-1抗体RMP1-14それ自体(mPD1)、及びmSOT201と同様のインビボ半減期を有するRLI-15AQA対照としての抗ヒトPD1マウスIgG1-RLI-15AQA(hPD1-mSOT201)(これは、C57BL/6マウスにおいていかなるPD-1遮断活性も発揮しない)によって表される単独活性対照と比較した。細胞増殖(Ki67)は、健常C57BL/6マウス(n=2/群)における5mg/kgのmSOT201に等モル量の化合物のIV注射の5日後に、フローサイトメトリによって脾臓において検出した。マウス代用物mSOT201における抗PD-1抗体及びRLI-15AQA変異タンパク質部分は、CD8 T細胞増殖に対して相乗効果を示した(図19C)。
実施例28:MC38マウスモデルにおける腫瘍退縮
C57BL/6マウス(hPD1トランスジェニック)に同系MC38細胞株を移植した。試験薬剤mSOT201、hPD1-mSOT201及びmPD1を、1日目(無作為化日、腫瘍体積80~100mm)に、5mg/kgのmSOT201に等モル量でIV注射し(n=10/群)、対照(NaCl)と比較した。mSOT201は、単回IV投与後に10匹中9匹のマウスにおいて腫瘍退縮を誘導したのに対し、これと比較して、モノクローナル抗マウスPD-1抗体(mPD1)、及びマウスにおいて抗PD-1効果を発揮しない抗ヒトPD-1マウスIgG1-RLI-15変異タンパク質免疫サイトカイン(hPD1-mSOT201)は、対照マウスと比較して腫瘍成長に対してわずかな効果を示しただけであった(図20A)。同様に、抗マウスPD-1抗体単独(mPD1)又はRLI-15AQA変異タンパク質単独の対照としての抗ヒトPD1マウスIgG1-RLI-15変異タンパク質免疫サイトカイン(hPD1-mSOT201)と比較した融合タンパク質(mSOT201)中の抗マウスPD-1抗体及びRLI-15AQA変異タンパク質の相乗活性は、処置後100日までの時間経過における生存マウスにおいて示される(図20B)。
実施例29:MC38腫瘍における抗腫瘍免疫に関連する経路及び遺伝子の誘導並びに脾臓及びリンパ節における免疫細胞の活性化
RNA単離:RNA試料を、mSOT201(5mg/kg)の単回IV投与の7日後に同系MC38腫瘍保有C57BL/6マウスの腫瘍から単離した。1日目(無作為化日、腫瘍体積80~100mm)に3匹のマウスをmSOT201(5mg/kg)でIV処置し、4匹の対照マウスを未処置のままにした。RNeasy MicroKitを用いて腫瘍組織からRNAを単離した。Agilent(アジレント) Bioanalyzer RNA Nano Chip及びQubit HS RNAアッセイを使用して、RNA試料の質をチェックした。
RNA配列分析:配列決定ライブラリーを、SMARTer(登録商標)Stranded Total RNA-Seq Kit v3-Pico Input Mammalian Kit(タカラバイオ米国(Takara Bio USA,Inc.))によってRNA試料から調製し、キャピラリーゲル電気泳動システム(HS DNAチップを有するAgilent Bioanalyzer)及びQubit HS DNAアッセイを用いてライブラリー品質管理を実施し、NovaSeq 6000でNovaSeq 6000 300 cycles Reagent Kitを使用して2x151bpランで配列決定を行った。
データ分析:生データを、以下の工程を含む標準的なRNA-seqパイプラインに従って処理した:品質管理(FastQC及びFastqScreenによる)、アダプタートリミング(seqtkを用いることによってRead2において8bpトリミング)、参照ゲノムGRCm39へのマッピング(HISAT2を用いる)及び転写物計数(ht-seqを用いる)。得られたアウトプット、各試料についての転写物の数を含む定量ファイルを、Rパッケージ及びggplot2、tydiverse、dplyrを介してさらに処理した。生のカウントを、DESeq2によって比正規化の中央値に正規化した。遺伝子発現差異分析は、R中のDESeq2(バージョン1.24.0)を用いて行った(abs(log2FC)=1、FDR<0.05)。ヒートマップは、R中のComplexHeatmapパッケージを使用して作成した。DEGの機能及び濃縮の分析は、ClusterProfiler及びウェブベースのツール遺伝子オントロジー(Gene ontology、GO)を使用して行った。細胞集団分析のためのTPM値を計算するために、トリミングされたfastqファイルに対してsalmonツールを使用した。細胞集団の分析は、TIMER 2.0及びxCellツールによって行った。
結果:発現差異分析(abs(log2FC)=1、FDR<0.05)は、対照試料と比較して、mSOT201処置腫瘍において800個のマウス遺伝子の上方制御及び1910個のマウス遺伝子の下方制御をもたらした。遺伝子オントロジー(GO)ターム(term)の濃縮分析は、αβ T細胞、γδ T細胞、B細胞、NK細胞の活性化、細胞傷害性、細胞死滅、サイトカイン産生、細胞走化性及び細胞接着に関連した上方制御されたDEGを主に特定したが、下方制御された遺伝子は、腫瘍発生及び腫瘍シグナル伝達に関連した。これらのデータは、mSOT201が腫瘍微小環境において自然免疫及び適応免疫の両方を活性化することを示す。次に、本発明者らは、腫瘍微小環境における異なる免疫細胞集団の相対存在量を推定するために「メタジーン」マーカーを採用した。全トランスクリプトームの知見に従って、mSOT201処置試料を、CD8 T細胞(p<0.001)、CD8ナイーブT細胞(p<0.0005)、CD8エフェクターメモリーT細胞(p=0.001)、CD8 セントラルメモリーT細胞(p<0.001)、γδ T細胞(p=0.0002)、NK細胞(p<0.001)、CD4 T細胞(p=0.0157)、CD4ナイーブT細胞(p=0.1176)、CD4エフェクターメモリーT細胞(p=0.003)、B細胞(p=0.0602)、骨髄樹状細胞(p=0.0120)に関連する遺伝子セットについて濃縮した。他方、癌関連線維芽細胞に関連する遺伝子セットは著しく減少した(p=0.0254)(図21A)。
mSOT201は、MC38腫瘍保持マウスの脾臓及びリンパ節において選択された免疫細胞集団の増殖を誘導した(図21B)。樹立した腫瘍(80~100mm)のmSOT201処置後7日目に、フローサイトメトリによって細胞増殖(Ki67)を検出した(n=2)。
実施例30:kit225細胞における異なるIL2/IL-15RβγアゴニストのEC50値
RLI-15(SOT101)、SOT201(PEM-RLI-15AQA)、hPD-1-IL-2v及びαhPD1-IL-15m M1のEC50値を、実施例1に記載したように決定した。hPD-1-IL-2vにおいて、1つのIL-2変異タンパク質IL-2v(配列番号106)は、国際公開第2018/184964A1号パンフレットに記載されるように、抗ヒトPD-1抗体の一方の重鎖のC末端に融合されている(国際公開第2018/184964A1号パンフレットの中の配列番号22、配列番号23及び配列番号25の配列)。αhPD1-IL-15m M1において、変異N1A-D30N-E46G-V49Rを有する1つのIL-15変異タンパク質(配列番号107)は、国際公開第2019/166946A1号パンフレット(その中の図1D、その中の配列番号89、配列番号74及び配列番号65を参照)に記載されるように抗ヒトPD-1抗体の一方の重鎖のC末端に融合される。EC50値を表33に示す。
Figure 2024524891000061
試験されるさらなる興味深い候補は、変異N1G-D30N-E46G-V49R-E64Qを有する1つのIL-15変異タンパク質(配列番号108)が、国際公開第2019/166946A1号パンフレット(その中の図1C、その中の配列番号90、配列番号74及び配列番号65を参照)に記載される抗ヒトPD-1抗体の一方の重鎖のC末端に融合されている、αhPD1-IL-15m M2である。
従って、SOT201は、kit225細胞においてPD1-IL-2v及びαhPD1-IL-15m M1よりも実質的に低いEC50を有し、より高い投与量及びより長いインビボ半減期を可能にし、抗PD-1/PD-L1相互作用を破壊する活性に関して、より強く、より長く持続する効果も発揮すると予想される。
実施例31:MC38腫瘍モデルにおけるmSOT201とmPD1-IL-2Rβγアゴニストとの比較
mSOT201(マウスSOT201代用物)を、対照(NaCl)、IL-2v IL-2変異タンパク質に融合した抗マウスPD-1抗体RMP1-14(mPD1-IL-2Rβγアゴニスト)、及びRLI-15AQAとmPD1抗体との組み合わせと、実施例28に記載した単回IV投与でMC38腫瘍モデルにおいて比較した。mPD1-IL-2Rβγの投与は、健常C57/BL6マウスにおける5mg/kgのmSOT201のIV投与後の5日目のNK細胞及びCD8 T細胞増殖に合致するように選択し、0.25mg/kgのmPD1-IL-2Rβγの等価用量となった。細胞増殖(Ki67)はフローサイトメトリによって検出した。mSOT201はCD8 T細胞及びNK細胞の活性化を誘導し、これはmPD1-IL-2Rβγアゴニストとは対照的に8日目まで持続した(図22B)。
mPD1-IL-2Rβγは、IL-2変異タンパク質IL-2v(配列番号106)が、IL-2Rαに対する親和性を低下させるIL-2配列に対する置換F42A、Y45A及びL72G(国際公開第2018/184964A1号パンフレット、例えば、27頁及び28頁にまたがる段落を参照)、並びにさらなる置換、位置3におけるO-グリコシル化を排除するためのT3A(28頁及び29頁にまたがる段落)、並びに発現又は安定性を増加させるためのC125A(30頁、3番目の段落)を含むIL-2/IL-15Rβγアゴニストである。
SOT201のマウス代用物(mSOT201)は、mPD1-IL-2Rβγアゴニストについての10匹中5匹と比較して、単回IV投与後に10匹のMC38腫瘍保持マウス中9匹において腫瘍退縮を誘導したが、RLI-15AQAとmPD1抗体との組み合わせは、対照マウスと比較して腫瘍成長の遅延のみをもたらした(図22A)。
mSOT201は、MC38腫瘍保持マウスにおいてNK細胞及びCD8 T細胞の増殖を誘導し、これは、mPD1-IL-2Rβγアゴニスト、及びmPD1と組み合わせた等モル量のRLI-15AQAとは対照的に、投与後7日間持続した。MC38腫瘍の処置は、無作為化1日目、腫瘍体積100mmであった(n=10/群)。
さらに、mSOT201は、8日目に増殖細胞の顕著な減少を示したmPD1-IL-2Rβγアゴニストとは対照的に、8日目に依然として持続するCD8 T細胞及びNK細胞の著しく長い活性化を誘導した(図22B)。
SOT201は、MC38腫瘍保持マウスの脾臓及びリンパ節においてもNK細胞及びCD8 T細胞の増殖を誘導し、これは、mPD1-IL-2v及び等モル量のRLI-15AQA及びmPD1抗体の組み合わせとは対照的に、投与後7日間持続した(図22C)。
実施例32:カニクイザルにおけるSOT201のPKプロファイル
SOT201を0.6mg/kgで1日目にカニクイザルにIV投与し、NK細胞及びCD8 T細胞の増殖(Ki67)及び絶対細胞数をフローサイトメトリ及び血液学により経時的に決定した。SOT201は、IV投与後にカニクイザルの血液中でNK(5日目に約90%)及びCD8 T細胞(5日目に約80%)の高い増殖及び拡大を誘導した(図23A)。薬物動態パラメータを表34に示す。
Figure 2024524891000062
SOT201は、カニクイザルにおいて反復的IV投与後にNK細胞及びCD8 T細胞の活性化を誘導した(図23B)。
実施例33:マウスSOT201代用物のPD活性
この研究の第1の目的は、マウス代用分子mSOT201(実施例27参照)による処置が、C57BL/6マウスにおいてhPD1-mSOT201又はmPD-1による処置と比較して、CD8 T細胞増殖に対して相加的/相乗的効果を有するかどうかを評価することであった。研究の第2の目的は、C57BL/6マウスにおいてmSOT201 wtマウス代用分子の薬力学的活性をマウス代用分子mPD1-IL2vと比較することであった。試験したマウス代用分子の説明を表35に記載する。PD活性を5日目及び8日目に評価した。FACS分析を上記のように実施した。
Figure 2024524891000063
Figure 2024524891000064
ペムブロリズマブはマウスPD-1を認識しないので、hPD-1-mSOT201は、同様のPKプロファイルを有する非結合抗体に結合したRLI-15AQAの対照を表し、それゆえ、そのようなPKプロファイルを有するRLI-15AQA分子のPD活性を反映する。mPD-1分子は、抗PD-1抗体単独のPD活性を反映する。CD8 T細胞の活性化に関して、mSOT201は、等モル量で投与したその単独成分代用物hPD1-mSOT201及びmPD-1と比較して、5日目及びさらには8日目において、相加効果より多い(すなわち相乗的)効果を示す。比較すると、5日目に予想される高い活性を考慮してより低く投与したmPD1-IL2v及びmSOT201 wtの両方(両方ともより活性なIL-2/IL-15Rβγアゴニストを有する)は、5日目にCD8 T細胞のわずかに高い活性化を示すが、そのような効果は短時間しか持続せず、CD8 T細胞の活性化は8日目にmSOT201についてはるかに強い。活性化NK細胞を見ると、差異はそれほど顕著ではない。予想通り、mPD-1はNK細胞を活性化しないが、hPD1-mSOT201、mPD1-IL2v、mSOT201及びmSOT201 wtは5日目に強く活性化し、mSOT201は他のものよりもいくらか弱い。8日目に、再びmSOT201は、mPD1-IL2v及びmSOT201 wtと比較してNK細胞のより強い活性化を示す(図24A)。
mSOT201、hPD1-mSOT201及びmPD-1をAの2倍の量で投与したが、mSOT201 wt及びmPD1-IL2vは、実験Aにおいて細胞の最大活性化に既に達している可能性が高いので、より低い量で投与した場合にも、同様の様子が観察された(図24Bを参照)。予想通り、mSOT201 wt及びmPD1-IL2vは、CD8 T細胞及びNK細胞の両方の活性化の低下を示し、これらの活性化は、CD8 T細胞については、この場合も8日目に低下して対照レベルになった。
これらのデータは、IL-2/IL-15Rβγへの結合が顕著に低下したSOT201がその抗PD-1部分とともにNK細胞及びCD8 T細胞の強力かつ長期持続性の活性化因子であるのに対し、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト活性がより高い分子は、とりわけCD8 T細胞のはるかに短い活性化を示すということを示す。シス(すなわち、同じCD8 T細胞上)又はトランス(すなわち、近接した異なるCD8 T細胞間)でのPD-1発現CD8 T細胞のPD-1及びIL-2/IL-15Rβγの同時結合というアビディティー(結合活性)効果が、CD8 T細胞のそのような優先的な活性化をもたらすと仮定される。
実施例34:PD-1感受性及びPD-1処置耐性マウスモデルにおけるmSOT201の抗腫瘍有効性活性
この研究の目的は、抗PD-1処置感受性(CT26、MC38)及び抗PD-1処置耐性(B16F10、CT26 STK11 ko)マウスモデルにおけるmSOT201の抗腫瘍活性を評価することであった。試験したマウス代用分子の説明を表37に記載する。
Figure 2024524891000065
SOT201のマウス代用分子、mSOT201、は、その単独成分代用物mPD-1及びhPD1-mSOT201と比較して、試験したPD-1感受性腫瘍モデルCT26及びMC38において相乗効果を示し、10匹中5匹及び10匹中9匹で完全奏効を示す(図25A)。
抗PD-1療法に耐性であることが公知である腫瘍モデルにおいてさえ、mSOT201は、その単独成分と比較して相乗効果を示したが、治療効果は上記感受性モデルほど強くはなく、B16F10モデルについて10匹のマウスのうち1匹のみが完全奏効を示した。
実施例35:mSOT201対RLI-15AQA変異タンパク質+抗PD-1抗体の抗腫瘍有効性活性
この研究の目的は、MC38マウスモデルにおけるmSOT201対RLI-15 AQA変異タンパク質+抗PD-1処置の抗腫瘍活性を評価することであった。試験したマウス代用分子の説明を表38に記載する。
Figure 2024524891000066
抗PD-1部分とIL-2/IL-15βγアゴニストRLI-15AQAとの融合(2用量、G2及びG3)は、個々の等モル量の成分の組み合わせ(G4:RLI-15AQA+mPD1、又はG11:hPD1-mSOT201+mPD1)と比較して強い相乗効果を示した。図26参照。PD-1陽性免疫細胞の活性化の時間的及び空間的連鎖は、個々の成分による免疫細胞の活性化よりも機構的に強いと仮定される。
実施例36:mSOT201対SOT101+抗PD-1抗体の抗腫瘍有効性活性
この研究の目的は、MC38マウスモデルにおけるmSOT201対SOT101+抗PD-1処置の抗腫瘍活性を評価することであった。試験したマウス代用分子の説明を表39に記載する。
Figure 2024524891000067
2mg/kgのmSOT201の単回投与(G3)は、1mg/kgのRLI2AQの4回投与+5mg/kgのmPD1の単回投与(G8)又は1mg/kgのRLI2AQの4回投与+5mg/kgのmPD1の4回投与(G9)による併用療法とほぼ同じ治療効果を示した。しかしながら、5mg/kgのmSOT201の単回投与(G2)は、個々の成分の複数回投与(G8及びG9)よりも性能が優れている。
実施例37:mSOT201対SOT101+抗PD-1抗体処置の下での免疫細胞活性化の差異に関する機構研究
この研究の目的は、MC38マウスモデルにおいて同様の有効用量のmSOT201対SOT101+抗PD-1処置の抗腫瘍活性を評価することであった。試験したマウス代用分子の説明は表39に記載されている。
両方の処置における様々な免疫細胞集団の相対数の差を、腫瘍、脾臓及びリンパ節において検出した。CD8 T細胞及びαβTCR保有CD3細胞の相対的増殖は、脾臓及びリンパ節において両方の処置の間で変化しなかった。しかしながら、腫瘍において、mSOT201は、CD8 T細胞のより高い相対的増加を誘導したが、RLI2AQ+抗PD-1処置の組み合わせはより多くのNK細胞を増加させた。興味深いことに、mSOT201は、脾臓及びリンパ節においてより高い割合のγδTCR保有CD3細胞を誘導したが、RLI2AQ+抗PD-1併用処置は、主に腫瘍においてより高い割合のγδTCR保有CD3細胞を誘導した(図28参照)。
実施例38:免疫原性を決定するためのDC-T細胞ベースのアッセイ及びFluorospot(フルオロスポット)アッセイ
この研究の目的は、1つのRLI-15変異タンパク質を有するペムブロリズマブベースの免疫サイトカイン(PEM-RLI-15候補分子)の免疫原性リスクをインビトロで評価することであった。DC-T細胞アッセイ法をこの目的に使用し、試験産物をまず未成熟樹状細胞(iDC)とともにインキュベートし、成熟DC(mDC)のMHC分子に負荷した候補分子のプロセシングされたペプチドとして、自己T細胞に後で提示させた。7日間の共インキュベーション期間の後、T細胞増殖を抗薬物抗体形成の代理マーカーとして測定した。DCによって誘導されるT細胞増殖の検出を使用して、結果に強い影響を及ぼし得る試験系におけるRLI-15成分の刺激活性を軽減したが、この強い影響は免疫原性に起因するものではない。キーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)を陽性対照として使用した。これは、KLHは強い免疫応答誘導を誘導することが公知であるからである。ペムブロリズマブを陰性対照として使用した。タンパク質を負荷しなかった対照DCを、非特異的T細胞増殖の評価のための対照として使用した。
Figure 2024524891000068
表40によるPEM-RLI-15候補分子を、iDCの刺激のためにそれぞれ2つの濃度で使用した。DCの成熟は、炎症誘発性サイトカインによって誘導した。24時間後、mDCを洗浄し、CFSEで予め染色した自己CD4 T細胞とインキュベートした。T細胞の増殖を、7日後にフローサイトメトリによるCFSE検出に基づいて評価した。
このアッセイは、RLI N65A変異タンパク質のまだなお高すぎる活性が直接的なT細胞活性化及びRLI-15活性への波及(spill over)を生じるため、SOT201(PEM L-RLI N65A x1)では実施することができなかった。
ヒトCD14単球(3回の別々の実験から11人の健常ドナー)から生成したDCを、10μg/ml(図示せず)又は50μg/mlのPEM-RLI-15候補分子、ペムブロリズマブ又はKLHとともに24時間、成熟シグナル(炎症誘発性サイトカインTNFα及びIL-1β)の存在下でインキュベートした。続いて、タンパク質を負荷した洗浄したmDCを、自己CFSE染色CD4 T細胞とともに培養した。7日後にフローサイトメトリによってT細胞増殖を測定した。CFSElow細胞を、細胞周期をまわっている細胞とみなして、増殖するCD4 T細胞の割合をCFSEシグナルに基づいて評価した。KLHを陽性対照として使用し、ペムブロリズマブを陰性対照として使用した(図29参照)。PEM-RLI-15候補分子PEM L-RLI DANA x1/PEM LY-RLI DANA x1は、陰性対照と比較して、T細胞の有意な増殖を誘導せず、これは、低い免疫原性リスクを反映していた(11人のドナーのうちの1人において検出された陽性応答)。候補分子PEM LY-RLI DANAQD x1は、陰性対照と比較してT細胞の有意な増殖を誘導し(p=0.0208、対応のあるt検定)、IL-2/IL-15Rβγへの結合を低下させるための3つの変異を有するこのRLI-15変異タンパク質についての潜在的な免疫原性リスクを指摘した(11人のドナーのうちの4人において検出された陽性応答)。
過度に活性なRLI-15変異タンパク質は免疫応答を刺激しているので、DC-T細胞アッセイは、RLI-15(野生型配列)と比較してRLI-15AQAの免疫原性を試験するのに適していない。従って、置換が導入されたペプチドの対を、置換にまたがって生成し、Fluorospotアッセイにおいて試験した。
Figure 2024524891000069
40人のドナーのCD8枯渇PBMCを播種し、RPMI+10%huAb及びIL-7中で試験ペプチドとともにインキュベートした。培地を、1日目にIL-7について更新(リフレッシュ)し、4日目にIL-7及びIL-2について更新した。7日目に、CD8枯渇PBMCを回収し、一晩静置し、翌日FluoroSpotプレート上に播種し、ペプチドで再刺激した。9日目に、INF-γ及びTNF-α FluoroSpotプレートを発色させた。
図29Bは、すべての試験条件について信頼区間が0と重なることを示し、これは、変異体ペプチドを対合した野生型配列と比較すると、平均dSFUのシフトの証拠がないことを意味する。それゆえ、N65A置換及びG175A/N176Q置換対の両方について、免疫原性の関連する増加は見られない。
実施例39:異なる抗PD-1 IL-2/IL-15Rβγアゴニスト免疫サイトカインの効力
以下の抗PD-1 IL-2/IL-15Rβγアゴニスト免疫サイトカイン(表42)を作製して、それらの活性を比較した。
Figure 2024524891000070
抗PD-1 IL-2/IL-15Rβγアゴニスト免疫サイトカインの効力を、kit225細胞(表43参照)及びhPBMC(表44参照)で決定した。
Figure 2024524891000071
Figure 2024524891000072
実施例40:抗PD-1 IL-2/IL-15Rβγアゴニスト免疫サイトカインのPD-1/PD-L1遮断活性
PD-1/PD-L1軸の遮断活性を評価するために、抗PD-1 IL-2/IL-15Rβγアゴニスト免疫サイトカインを、上記のようにPD-1/PD-L1 Blockade Bioassay(Promega、番号J1250)を使用して試験した。結果を表45に示す。
Figure 2024524891000073
SOT201は、3つの試験した抗PD-1 IL-2/IL-15Rβγアゴニスト免疫サイトカインのうちで最も高いPD-1/PD-L1遮断活性を示す。
実施例41:kit225細胞に対する改変されたエフェクター機能を有するヒト及びマウス代用物SOT202分子の効力
SOT202は、knob重鎖のC末端でRLI-15AQAに融合した、重鎖のT366W-knob/T366S、L368A、Y407V-hole置換を有し、末端Kを欠失したヒト化IgG1 hCl1aに由来する抗体(配列番号111、配列番号110及び配列番号88を参照)を有するヘテロ二量体免疫サイトカインである。以下の実施例において、SOT202-XXXという用語は、表13に示すRLI2におけるDANA変異等のさらなる修飾変異がSOT202になされた分子を示す。明確にするために、SOT202-DANAは、追加のDA(D61A)変異のみがSOT202と異なるが、これは、SOT202がすでにNA(N65A)変異を含むためである(番号はIL-15番号付けを指す)。示した、抗体のADCC特性を改変するIgG1分子のエフェクタードメインにおける変異、例えば、表2に示すAAA、DE及びDLE変異。用語「afuc」は、脱フコシル化IgG1分子を表す。脱フコシル化抗体も、改変されたADCC特性を有する。
kit225細胞の増殖の誘導に対するヒト及びマウス代用物のSOT202 ADCC改変分子の活性を実施例1に記載のように評価し、EC50及びSOT101と比較した相対的効力を表46及び表47に示す。マウスSOT202は、SOT202のヒトhIgG1定常ドメインをそのマウス等価物のmIgG2aで置き換えることによって生成した(mSOT202:配列番号112、配列番号128及び配列番号129;mSOT2020 LALAPG:配列番号130、配列番号131及び配列番号129;mSOT202アイソタイプ:mSOT202アイソタイプHC knob、配列番号133及び配列番号134;mSOT202 LALAPGアイソタイプ:配列番号135、配列番号136、配列番号134)。
Figure 2024524891000074
この効力アッセイは、SOT202がkit225細胞に対してSOT201と同じ効力(表36参照)を示すこと、及びADCC改変が免疫サイトカインの効力に影響を及ぼさなかったことを示す。それゆえ、このツールボックスは、kit225細胞の活性化に関する免疫サイトカインの効力に影響を及ぼすことなく、抗体のADCC活性を調整することを可能にする。
Figure 2024524891000075
ヒトSOT202については、ADCC改変(LALAPG変異)は、kit225細胞の活性化に関してマウスSOT202代用物の効力に影響を及ぼさなかった。しかしながら、マウスSOT202代用物は、それらのヒト対応物よりも効力が低い。これは、ヒトNK細胞及びマウスNK細胞でIL-15Rβγとの同時シグナル伝達に必要とされるCD16をkit225細胞が発現しないことによる可能性が高い。
実施例42:ヒトNK細胞及びCD8 T細胞に対するヒトSOT202 ADCC改変分子の効力
ヒトNK細胞及びCD8 T細胞の増殖の誘導に対するヒトSOT202 ADCC改変分子の活性を実施例1に記載したように(hPBMC効力アッセイ)評価し、EC50及びSOT202と比較した相対的効力を図30及び表48に示す。
Figure 2024524891000076
ADCCを増強するDLE及びDE変異を有するSOT202-DANAは、ADCC改変のないSOT202-DANAと比較して、ヒトNK細胞活性を大きく増加させた。脱フコシル化SOT202もADCC活性を増加させたが、その程度はDE及びDLE変異よりも低かった。他方、ADCCを低下させる変異、例えばLALAPG変異は、NK細胞の活性化をほとんど消失させた。これらの変異は、CD8 T細胞活性化に対してわずかな効果しか有さなかった。理論に束縛されるものではないが、増強する変異によるCD16受容体へのより高い結合は、IL-15Rβγシグナル伝達と相乗作用すると想定される。
実施例43:SOT201分子と比較したヒトNK細胞及びCD8 T細胞に対するヒトSOT202分子の効力
ヒトNK細胞及びCD8 T細胞の増殖の誘導に対するヒトSOT202分子の活性をSOT201の活性と比較した。EC50並びにSOT202及びSOT201と比較した相対的効力を図31及び表49に示す。
Figure 2024524891000077
ヒトNK細胞及びCD8 T細胞の増殖の誘導に対するヒトSOT202分子の活性をSOT201-DANAの活性と比較した。EC50並びにSOT202及びSOT201と比較した相対的効力を図32及び表49に示す。NA変異のみを有する分子と比較して、DANA変異を有する分子の刺激活性の低下は、先の実施例において既に記載したように、この変異のより低い刺激活性を確認する。脱フコシル化を介して増強されたADCC活性を有するSOT202分子(NA変異を有するSOT202)はNK細胞活性を増加させるが、CD8 T細胞活性を増加させず、実施例42に示す結果を確認する。SOT201は、IgG4抗体に基づき、従って、IgG4抗体は、固有の低いADCC活性を有する。
Figure 2024524891000078
SOT202及びSOT201分子は、ヒトCD8 T細胞に対して同じ効力を有するが、NK細胞に対しては同じではない。脱フコシル化はヒトNK細胞活性を増加させた。
実施例44:mSOT202は、健常C57BL/6マウスの脾臓における免疫細胞を活性化する
マウスSOT202は、SOT202のヒトhIgG1定常ドメインをそのマウス等価物のmIgG2a(配列番号127、配列番号128及び配列番号129)で置き換えることによって生成した。細胞増殖(Ki67)を、健常C57BL/6マウスにおける5、10又は20mg/kgのmSOT202の化合物のIV注射の5日後に、フローサイトメトリによって脾臓において検出した。mSOT202は、NK細胞及びCD8 T細胞の用量依存性刺激を示した(図33(A)及び(B))。
実施例45:mSOT202は、ADCC活性とNK細胞増殖に対するRLI2刺激との間の相乗作用を誘導する
細胞増殖(Ki67)を、健常C57BL/6マウスにおける5mg/kgのmSOT202分子のIV注射の5日後及び10日後にフローサイトメトリによって脾臓において検出した。mSOT202(hCl1a-mIgG2a-NA 1x)のNK細胞に対する増殖活性は、mSOT202-LALAPG(ADCC活性を有さないhCl1a-mIgG2a-LALAPG-NA 1x)の効果に加えたhCl1a-mIgG2a(RLI2なしの分子)の効果よりも高く、これは、mSOT202中の抗体のADCC活性と、CD16シグナル伝達によると考えられるRLI2の増殖活性との間の相乗作用を示す(図34(A))。それゆえ、ADCCは、NK細胞の活性の増加に寄与する可能性がある。CD8 T細胞刺激については、相乗作用は、この実験モデルでは測定できなかった(図34(B))。
本発明は、以下の実施形態によって説明される。
1. 免疫サイトカインであって、
a. インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体及びインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)又はその誘導体のsushiドメインを含むポリペプチドを含むコンジュゲートと、
b. 抗体又はその機能的多様体であって、
i. ヘテロ二量体Fcドメイン、
ii. 改変されたエフェクター機能、及び/若しくは
iii. 増加したインビボ半減期
を特徴とする抗体又はその機能的多様体と
を含み、
上記コンジュゲートは、両方の抗体重鎖若しくは抗体軽鎖のC末端に、若しくはi.の場合、1つの抗体重鎖のC末端に直接的又は間接的に融合されている
免疫サイトカイン。
2. 上記改変されたエフェクター機能は低下した抗体依存性細胞傷害活性であり、上記抗体又はその機能的多様体は、
a. IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、L234A/L235A、P329G、L234A/L235A/P329G、G236R/L328R、D265A、N297A、N297Q、N297G若しくはL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331Sから選択される変異を含むか、
b. IgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、L235E、F234A/L235A、F234A/L235A/P329G、P329G、S228P/L235E、S228P/F234A/L235A若しくはE233P/F234V/L235A/D265A/R409Kから選択される変異を含むか、
c. IgG2(IgG2a若しくはIgG2b)及びIgG4のハイブリッド若しくはその機能的多様体であり、IgG2由来のCH1及びヒンジ領域を含み、CH2及びCH3領域はIgG4由来である(IgG2アミノ酸118~260及びIgG4アミノ酸261~447)か、又は
d. IgG2抗体若しくはその機能的多様体であり、H268Q/V309L/A330S/P331S若しくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sから選択される変異を含み、
番号付けはEU番号付けに従う
実施形態1に記載の免疫サイトカイン。
3. 上記抗体又はその機能的多様体は、
(a)IgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、L235E変異を含むか、又は
(b)IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、L234A/L235A変異を含む
実施形態2に記載の免疫サイトカイン。
4. 上記改変されたエフェクター機能は増強された抗体依存性細胞傷害活性であり、上記抗体又はその機能的多様体は、
a. IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、一方の重鎖において、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332E若しくはL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298Aから、
好ましくは、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332Eから選択される変異を含み、他方の重鎖において、D270E/K326D/A330M/K334E変異をさらに含み、かつ/又は
b. 脱フコシル化IgG1、IgG2若しくはIgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、
番号付けはEU番号付けに従う
実施形態1に記載の免疫サイトカイン。
5. 上記ヘテロ二量体Fcドメインは、KiH、KiHS-S、HA-TF、ZW1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTS-S、SEED及びA107、好ましくはKiHから選択される、実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
6. 上記ヘテロ二量体Fcドメインは、ホモ二量体Fcドメインを有する免疫サイトカインと比較して、細胞培養における発現時に上記免疫サイトカインのより高い収率をもたらす、実施形態1から実施形態5のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
7. 上記免疫サイトカインの半減期が増加し、上記抗体又はその機能的多様体は、IgG1又はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S又はT250Q/M428Lから選択される変異を含み、
番号付けはEU番号付けに従う
実施形態1から実施形態6のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
8. 上記抗体又はその機能的多様体は、低下した抗体依存性細胞傷害活性を有し、上記抗体又はその機能的多様体は、IgG4抗体又はその機能的多様体であり、L235E変異及びKiHヘテロ二量体化Fcドメインを含む、実施形態1から実施形態3のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
9. 上記コンジュゲートは、N末端からC末端の順序で、IL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体と、リンカーと、上記IL-15又はその誘導体とを含む融合タンパク質であり、好ましくは、上記IL-15Rαsushiドメインは配列番号5の配列を含み、
上記リンカーは、18~22アミノ酸の長さを有し、好ましくはグリシン又はセリン及びグリシンから構成され、より好ましくは配列番号7の配列を有し、上記IL-15は配列番号2の配列を有する
実施形態1から実施形態8のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
10. 上記IL-15多様体は、
a. 翻訳後修飾に関して上記IL-15多様体の均質性を増加させる少なくとも1つの変異であって、
好ましくは、この変異は、IL-15(配列番号2)のN77における脱アミド化及び/若しくはN79におけるグリコシル化を低減し、
より好ましくは、上記変異は、変異G78A、G78V、G78L又はG78I、及びN79Q、N79S若しくはN79Tから選択され、
最も好ましくは、上記変異はG78A/N79Qである、少なくとも1つの変異、並びに/又は
b. IL-2/IL-15Rβ及び/若しくはγ受容体への結合を低下させる少なくとも1つの変異であって、
好ましくは、この変異アミノ酸は、IL-15(配列番号2)のN1、N4、S7、D8、K10、K11、D30、D61、E64、N65、L69、N72、E92、Q101、Q108、I111から選択され、より好ましくは上記変異アミノ酸は、D61、N65及びQ101から選択され、最も好ましくは上記変異アミノ酸はN65である、少なくとも1つの変異
を含む、実施形態1から実施形態9のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
11. 上記IL-2/IL-15Rβ及び/又は上記γ受容体への結合を低下させる上記少なくとも1つの変異は、N1D、N1A、N1G、N4D、S7Y、S7A、D8A、D8N、K10A、K11A、D30N、D61A、D61N、E64Q、N65D、N65A、N65E、N65R、N65K、L69R、N72R、Q101D、Q101E、Q108D、Q108A、Q108E及びQ108R、好ましくはD8A、D8N、D61A、D61N、N65A、N65D、N72R、Q101D、Q101E及びQ108A、より好ましくはD61A、N65A及びQ101D、最も好ましくはN65Aから選択される置換、又はD8N/N65A、D61A/N65A若しくはD61A/N65A/Q101Dから選択される組み合わされた置換である、実施形態1から実施形態10のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
12. 上記抗体又はその機能的多様体は、
a. 好ましくはEGFR、HER2、FGFR2、FOLR1、CLDN18.2、CEA、GD2、O-アセチル-GD-2、GM1、CAIX、EPCAM、MUC1、PSMA、c-MET、ROR1、GPC3、CD19、CD20、CD38から選択される腫瘍抗原に結合するか、
b. 好ましくはFAP、フィブロネクチンのEDAドメイン、フィブロネクチンのEDBドメイン及びLRRC15、好ましくはFAP及びフィブロネクチンのEDBドメインから選択される腫瘍細胞外マトリックス抗原に結合するか、
c. 血管新生抗原、好ましくはVEGF、又はエンドグリンに結合するか、
d. 免疫調節抗体又はその機能的多様体であり、
上記免疫調節抗体は、共刺激受容体を刺激し、好ましくはCD40アゴニスト、CD137/4-1BBアゴニスト、CD134/OX40アゴニスト及びTNFRSF18/GITRアゴニストから選択されるか、又は
上記免疫調節抗体は、免疫抑制受容体を阻害し、好ましくはPD-1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、LAG3アンタゴニスト、TIGITアンタゴニスト、阻害性KIRアンタゴニスト、BTLAアンタゴニスト、HAVCR2アンタゴニスト及びADORA2Aアンタゴニスト、より好ましくはPD-1アンタゴニストから選択される
実施形態1から実施形態11のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
13. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、
上記抗体は、
i. 配列番号20の重鎖knob配列、
ii. 配列番号22の重鎖hole配列、及び
iii. 配列番号16の軽鎖配列
を含み、上記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
実施形態1のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
14. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、上記抗体は、
i. 配列番号84の重鎖knob配列、
ii. 配列番号87の重鎖hole配列、及び
iii. 配列番号88の軽鎖配列
を含み、上記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
実施形態1のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
15. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、上記抗体は、
i. 配列番号93の重鎖knob配列、
ii. 配列番号95の重鎖hole配列、及び
iii. 配列番号92の軽鎖配列
を含み、上記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
実施形態1のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
16. 実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の免疫サイトカインをコードする核酸。
17. 実施形態16に記載の核酸を含むベクター。
18. 実施形態16に記載の核酸又は実施形態17に記載のベクターを含む宿主細胞。
19. 治療に使用するための、実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン、実施形態16に記載の核酸又は実施形態17に記載のベクター。
20. 実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン、実施形態16に記載の核酸又は実施形態17に記載のベクターと、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
21. 腫瘍性疾患若しくは感染性疾患に罹患している、腫瘍性疾患若しくは感染性疾患を発症するリスクがある、及び/又は腫瘍性疾患若しくは感染性疾患と診断される対象の治療に使用するための、実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン、実施形態16に記載の核酸又は実施形態17に記載のベクター。
22. 腫瘍性疾患若しくは感染性疾患に罹患している、腫瘍性疾患若しくは感染性疾患を発症するリスクがある、及び/又は腫瘍性疾患若しくは感染性疾患と診断される患者を治療する方法であって、実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン、実施形態16に記載の核酸又は実施形態17に記載のベクターを投与する工程を含む、方法。
本発明は、以下の実施形態によっても説明される。
1. 免疫サイトカインであって、
a. インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体及びインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)又はその誘導体のsushiドメインを含むポリペプチドを含むコンジュゲートと、
b. PD-1抗体又はその機能的多様体であって、
i. ヘテロ二量体Fcドメイン、
ii. 改変されたエフェクター機能、及び/若しくは
iii. 増加したインビボ半減期
を特徴とするPD-1抗体又はその機能的多様体と
を含み、
上記コンジュゲートは、両方の抗体重鎖若しくは抗体軽鎖のC末端に、若しくはi.の場合、1つの抗体重鎖のC末端に直接的又は間接的に融合されている
免疫サイトカイン。
2. 上記改変されたエフェクター機能は低下した抗体依存性細胞傷害活性であり、上記抗体又はその機能的多様体は、
a. IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、L234A/L235A、P329G、L234A/L235A/P329G、G236R/L328R、D265A、N297A、N297Q、N297G若しくはL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331Sから選択される変異を含むか、
b. IgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、L235E、F234A/L235A、F234A/L235A/P329G、P329G、S228P/L235E、S228P/F234A/L235A若しくはE233P/F234V/L235A/D265A/R409Kから選択される変異を含むか、
c. IgG2(IgG2a若しくはIgG2b)及びIgG4のハイブリッド若しくはその機能的多様体であり、IgG2由来のCH1及びヒンジ領域を含み、CH2及びCH3領域はIgG4由来である(IgG2アミノ酸118~260及びIgG4アミノ酸261~447)か、又は
d. IgG2抗体若しくはその機能的多様体であり、H268Q/V309L/A330S/P331S若しくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sから選択される変異を含み、
番号付けはEU番号付けに従う
実施形態1に記載の免疫サイトカイン。
3. 上記抗体又はその機能的多様体は、
(a)IgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、L235E変異を含むか、又は
(b)IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、L234A/L235A変異を含む
実施形態2に記載の免疫サイトカイン。
4. 上記ヘテロ二量体Fcドメインは、KiH、KiHS-S、HA-TF、ZW1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTS-S、SEED及びA107、好ましくはKiHから選択される、実施形態1から実施形態3のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
5. 上記ヘテロ二量体Fcドメインは、ホモ二量体Fcドメインを有する免疫サイトカインと比較して、細胞培養における発現時に上記免疫サイトカインのより高い収率をもたらす、実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
6. 上記免疫サイトカインの半減期が増加し、上記抗体又はその機能的多様体はIgG1又はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S又はT250Q/M428Lから選択される変異を含み、番号付けはEU番号付けに従う、実施形態1から実施形態5のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
7. 上記抗体又はその機能的多様体は、低下した抗体依存性細胞傷害活性を有し、上記抗体又はその機能的多様体はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、L235E変異及びKiHヘテロ二量体化Fcドメインを含む、実施形態1から実施形態6のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
8. 上記コンジュゲートは、N末端からC末端の順序で、IL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体と、リンカーと、上記IL-15又はその誘導体とを含む融合タンパク質であり、好ましくは、上記IL-15Rαsushiドメインは配列番号5の配列を含み、リンカーは、18~22アミノ酸の長さを有し、好ましくはグリシン又はセリン及びグリシンから構成され、より好ましくは配列番号7の配列を有し、上記IL-15は配列番号2の配列を有する、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
9. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、上記抗体は、
i. 配列番号20の重鎖knob配列、
ii. 配列番号22の重鎖hole配列、及び
iii. 配列番号23の軽鎖配列
を含み、上記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
実施形態1から実施形態8のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
本発明の別の態様は、以下の実施形態において説明される。
1. 免疫サイトカインであって、
a. インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体及びインターロイキン15受容体α(IL-15R)又はその誘導体のsushiドメインを含むポリペプチドを含むコンジュゲートと、
b. Claudin18.2抗体又はその機能的多様体であって、
i. ヘテロ二量体Fcドメイン、
ii. 改変されたエフェクター機能、及び/若しくは
iii. 増加したインビボ半減期
を特徴とするClaudin18.2抗体又はその機能的多様体と
を含み、
上記コンジュゲートは、両方の抗体重鎖若しくは抗体軽鎖のC末端に、若しくはi.の場合、1つの抗体重鎖のC末端に直接的又は間接的に融合されている
免疫サイトカイン。
2. 上記改変されたエフェクター機能は、増強された抗体依存性細胞傷害活性であり、上記抗体又はその機能的多様体は、
a. IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、一方の重鎖において、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332E若しくはL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298Aから、
好ましくはS239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332Eから選択される変異を含み、他方の重鎖においてD270E/K326D/A330M/K334E変異をさらに含み、かつ/又は
b. 脱フコシル化IgG1、IgG2若しくはIgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、
番号付けはEU番号付けに従う
実施形態1に記載の免疫サイトカイン。
3. 上記ヘテロ二量体Fcドメインは、KiH、KiHS-S、HA-TF、ZW1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTS-S、SEED及びA107、好ましくはKiHから選択される、実施形態1又は実施形態2に記載の免疫サイトカイン。
4. 上記ヘテロ二量体Fcドメインは、ホモ二量体Fcドメインを有する免疫サイトカインと比較して、細胞培養における発現時に上記免疫サイトカインのより高い収率をもたらす、実施形態1から実施形態3のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
5. 上記免疫サイトカインの半減期が増加し、上記抗体又はその機能的多様体はIgG1又はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S又はT250Q/M428Lから選択される変異を含み、番号付けはEU番号付けに従う、実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
6. 上記コンジュゲートは、N末端からC末端の順序で、IL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体と、リンカーと、上記IL-15又はその誘導体とを含む融合タンパク質であり、好ましくは、上記IL-15Rαsushiドメインは配列番号5の配列を含み、上記リンカーは、18~22アミノ酸の長さを有し、好ましくはグリシン又はセリン及びグリシンから構成され、より好ましくは配列番号7の配列を有し、上記IL-15は配列番号2の配列を有する、実施形態1から実施形態5のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
7. 上記コンジュゲートは、配列番号10又は配列番号11の配列を含み、上記抗体は、表4のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、上記IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、表2のDE、DLE、AAA、TL若しくはIE変異を介して、又は脱フコシル化を介して、又は上に列挙された変異と脱フコシル化との組み合わせを介して増強されたADCC活性を有する、実施形態1から実施形態6のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
8. 上記コンジュゲートは配列番号10の配列を含み、上記抗体は、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、上記IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、表2のDE、DLE、AAA、TL若しくはIE変異を介して、又は脱フコシル化を介して、又は上に列挙された変異と脱フコシル化との組み合わせを介して増強されたADCC活性を有する、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
9. 上記コンジュゲートは配列番号10の配列を含み、上記抗体は、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、上記IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、脱フコシル化を介して増強されたADCC活性を有する、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
10. 上記コンジュゲートは配列番号11の配列を含み、上記抗体多様体は、配列番号84の重鎖knob配列、配列番号87の重鎖hole配列、及び配列番号88の軽鎖配列を有するヘテロ二量体IgG1抗CLDN18.2抗体である、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
11. 上記コンジュゲートは配列番号10の配列を含み、上記抗体多様体は、配列番号84の重鎖knob配列、配列番号87の重鎖hole配列、及び配列番号88の軽鎖配列を有するヘテロ二量体IgG1抗CLDN18.2抗体である、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
12. 上記コンジュゲートは配列番号10の配列を含み、上記抗体は、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、上記IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、IgG1 FcドメインにS239D/I332E(DE)のADCC増強変異を有する、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
13. 上記コンジュゲートは配列番号11の配列を含み、上記抗体は、それぞれ配列番号46及び配列番号47のVH及びVLドメイン配列を有する抗CLDN18.2ヘテロ二量体IgG1抗体多様体であり、上記IgG1多様体は、表3のKiH変異を介してヘテロ二量体であり、IgG1 FcドメインにS239D/I332E(DE)のADCC増強変異を有する、実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の免疫サイトカイン。
14. 配列番号85(「HC knob」)、配列番号87(「HC hole」)及び配列番号88(LC)の配列の免疫サイトカイン。
15. 配列番号86(「HC knob」)、配列番号87(「HC hole」)及び配列番号88(LC)の配列の免疫サイトカイン。
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国際公開第2018/184964A1号パンフレット
国際公開第2019/166946A1号パンフレット

Claims (17)

  1. 免疫サイトカインであって、
    a. インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体及びインターロイキン15-受容体α又はその誘導体のsushiドメイン(IL-15Rα)を含むポリペプチドを含むコンジュゲートであって、
    前記IL-15誘導体は、IL-2/IL-15Rβ及び/又はγ受容体への結合を低下させる少なくとも1つの変異を含む、コンジュゲートと、
    b. 抗体又はその機能的多様体であって、
    i. ヘテロ二量体Fcドメイン、
    ii. 改変されたエフェクター機能、及び/若しくは
    iii. 増加したインビボ半減期
    を特徴とする抗体又はその機能的多様体と
    を含み、
    前記コンジュゲートは、両方の抗体重鎖若しくは抗体軽鎖のC末端に、若しくはi.の場合、1つの抗体重鎖のC末端に直接的又は間接的に融合されている
    免疫サイトカイン。
  2. 前記免疫サイトカインは抗体の機能的多様体を含む請求項1に記載の免疫サイトカイン。
  3. 前記改変されたエフェクター機能は低下した抗体依存性細胞傷害活性であり、前記抗体又はその機能的多様体は、
    a. IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、L234A/L235A、P329G、L234A/L235A/P329G、G236R/L328R、D265A、N297A、N297Q、N297G若しくはL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331Sから選択される変異を含むか、
    b. IgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、L235E、F234A/L235A、F234A/L235A/P329G、P329G、S228P/L235E、S228P/F234A/L235A若しくはE233P/F234V/L235A/D265A/R409Kから選択される変異を含むか、
    c. IgG2(IgG2a若しくはIgG2b)及びIgG4のハイブリッド若しくはその機能的多様体であり、IgG2由来のCH1及びヒンジ領域を含み、CH2及びCH3領域はIgG4由来である(IgG2アミノ酸118~260及びIgG4アミノ酸261~447)か、又は
    d. IgG2抗体若しくはその機能的多様体であり、H268Q/V309L/A330S/P331S若しくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sから選択される変異を含み、
    番号付けはEU番号付けに従う
    請求項1又は請求項2に記載の免疫サイトカイン。
  4. 前記抗体又はその機能的多様体は、
    (a)IgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、L235E変異を含むか、又は
    (b)IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、L234A/L235A変異を含む
    請求項3に記載の免疫サイトカイン。
  5. 前記改変されたエフェクター機能は増強された抗体依存性細胞傷害活性であり、前記抗体又はその機能的多様体は、
    a. IgG1抗体若しくはその機能的多様体であり、一方の重鎖において、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332E若しくはL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298Aから、
    好ましくはS239D/I332E、S239D/I332E/A330L、S298A/E333A/K334A、K392T/P396L、V264I/I332Eから選択される変異を含み、他方の重鎖において、D270E/K326D/A330M/K334E変異をさらに含み、かつ/又は
    b. 脱フコシル化IgG1、IgG2若しくはIgG4抗体若しくはその機能的多様体であり、
    番号付けはEU番号付けに従う
    請求項1に記載の免疫サイトカイン。
  6. 前記ヘテロ二量体Fcドメインは、KiH、KiHS-S、HA-TF、ZW1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTS-S、SEED及びA107、好ましくはKiHから選択される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  7. 前記ヘテロ二量体Fcドメインは、ホモ二量体Fcドメインを有する免疫サイトカインと比較して、細胞培養における発現時に前記免疫サイトカインのより高い収率をもたらす請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  8. 前記免疫サイトカインの半減期が増加し、前記抗体又はその機能的多様体はIgG1又はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S又はT250Q/M428Lから選択される変異を含み、
    番号付けはEU番号付けに従う
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  9. 前記抗体又はその機能的多様体は、低下した抗体依存性細胞傷害活性を有し、前記抗体又はその機能的多様体はIgG4抗体又はその機能的多様体であり、L235E変異及びKiHヘテロ二量体化Fcドメインを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  10. 前記コンジュゲートは、N末端からC末端の順序で、前記IL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体と、リンカーと、前記IL-15又はその誘導体とを含む融合タンパク質であり、好ましくは前記IL-15Rαsushiドメインは配列番号5の配列を含み、
    前記リンカーは、18~22アミノ酸の長さを有し、好ましくはグリシン又はセリン及びグリシンから構成され、より好ましくは配列番号7の配列を有し、好ましくは前記IL-15は配列番号2の配列を有する
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  11. 前記IL-15多様体は、
    a. 翻訳後修飾に関して前記IL-15多様体の均質性を増加させる少なくとも1つの変異であって、
    好ましくは、前記変異は、IL-15(配列番号2)のN77における脱アミド化及び/若しくはN79におけるグリコシル化を低減し、
    より好ましくは、前記変異は、変異G78A、G78V、G78L若しくはG78I、及びN79Q、N79S若しくはN79Tから選択され、
    最も好ましくは、前記変異はG78A/N79Qである、少なくとも1つの変異、並びに/又は
    b. 前記IL-2/IL-15Rβ及び/若しくは前記γ受容体への結合を低下させる少なくとも1つの変異であって、
    前記変異アミノ酸は、IL-15(配列番号2)のN1、N4、S7、D8、K10、K11、D30、D61、E64、N65、L69、N72、E92、Q101、Q108、I111から選択され、好ましくは、前記変異アミノ酸は、D61、N65及びQ101から選択され、より好ましくは、前記変異アミノ酸はN65である、少なくとも1つの変異
    を含む請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  12. 前記IL-2/IL-15Rβ及び/又は前記γ受容体への結合を低下させる前記少なくとも1つの変異は、N1D、N1A、N1G、N4D、S7Y、S7A、D8A、D8N、K10A、K11A、D30N、D61A、D61N、E64Q、N65D、N65A、N65E、N65R、N65K、L69R、N72R、Q101D、Q101E、Q108D、Q108A、Q108E及びQ108R、好ましくはD8A、D8N、D61A、D61N、N65A、N65D、N72R、Q101D、Q101E及びQ108A、より好ましくはD61A、N65A及びQ101D、最も好ましくはN65Aから選択される置換、又はD8N/N65A、D61A/N65A若しくはD61A/N65A/Q101Dから選択される組み合わされた置換である請求項11に記載の免疫サイトカイン。
  13. 前記抗体又はその機能的多様体は、
    a. 好ましくはEGFR、HER2、FGFR2、FOLR1、CLDN18.2、CEA、GD2、O-アセチル-GD-2、GM1、CAIX、EPCAM、MUC1、PSMA、c-MET、ROR1、GPC3、CD19、CD20、CD38から選択される腫瘍抗原に結合するか、
    b. 好ましくはFAP、フィブロネクチンのEDAドメイン、フィブロネクチンのEDBドメイン及びLRRC15、好ましくはFAP及びフィブロネクチンのEDBドメインから選択される腫瘍細胞外マトリックス抗原に結合するか、
    c. 血管新生抗原、好ましくはVEGF、又はエンドグリンに結合するか、
    d. 免疫調節抗体又はその機能的多様体であり、
    前記免疫調節抗体は、共刺激受容体を刺激し、好ましくはCD40アゴニスト、CD137/4-1BBアゴニスト、CD134/OX40アゴニスト及びTNFRSF18/GITRアゴニストから選択されるか、又は
    前記免疫調節抗体は、免疫抑制受容体を阻害し、好ましくはPD-1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、LAG3アンタゴニスト、TIGITアンタゴニスト、阻害性KIRアンタゴニスト、BTLAアンタゴニスト、HAVCR2アンタゴニスト及びADORA2Aアンタゴニスト、より好ましくはPD-1アンタゴニストから選択される
    請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
  14. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、
    前記抗体は、
    i. 配列番号20の重鎖knob配列、
    ii. 配列番号22又は配列番号101、好ましくは配列番号101の重鎖hole配列、及び
    iii. 配列番号16の軽鎖配列
    を含み、前記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
    請求項1に記載の免疫サイトカイン。
  15. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、
    前記抗体は、
    i. 配列番号84の重鎖knob配列
    ii. 配列番号87の重鎖hole配列、及び
    iii. 配列番号88の軽鎖配列
    を含み、前記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
    請求項1に記載の免疫サイトカイン。
  16. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、
    前記抗体は、
    i. 配列番号93の重鎖knob配列、
    ii. 配列番号95の重鎖hole配列、及び
    iii. 配列番号92の軽鎖配列
    を含み、前記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
    請求項1に記載の免疫サイトカイン。
  17. サイトカインドメインは配列番号10の配列を含み、
    前記抗体は、
    i. 配列番号109の重鎖knob配列、
    ii. 配列番号110の重鎖hole配列、及び
    iii. 配列番号88の軽鎖配列
    を含み、前記サイトカインドメインは、リンカーなしで重鎖knob配列のC末端に融合されている
    請求項1に記載の免疫サイトカイン。
JP2023576235A 2021-06-23 2022-06-23 インターロイキン-15に基づく免疫サイトカイン Pending JP2024524891A (ja)

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