JP2024522544A - 可溶性FR-α患者におけるがんの治療 - Google Patents

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JP2024522544A JP2023574396A JP2023574396A JP2024522544A JP 2024522544 A JP2024522544 A JP 2024522544A JP 2023574396 A JP2023574396 A JP 2023574396A JP 2023574396 A JP2023574396 A JP 2023574396A JP 2024522544 A JP2024522544 A JP 2024522544A
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エリック ウェスティン,
ジウジョウ ワン,
カラム スロス,
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イミュノジェン, インコーポレイテッド
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Abstract

本開示は、がん患者に存在する可溶性葉酸受容体アルファ(FRα)の量が、FRα標的療法の有効性の強い予測因子であることを実証する。驚くべきことに、可溶性FRαのレベルの上昇は、改善された転帰と関連する。したがって、本開示は、可溶性FRα患者のがんを治療する方法、及び可溶性FRαレベルに基づいて抗FRα療法に応答する可能性が高いがんを同定する方法を提供する。本明細書では、可溶性葉酸受容体アルファ(α)を有する患者におけるがんを治療する方法が提供される。
【選択図】なし

Description

関連出願の参照
本出願は、2021年6月4日に出願された米国仮出願第63/196,763号の優先権利益を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
EFS-WEB経由で電子的に提出された配列表の参照
電子的に提出された配列表(名称:2921_110PC01_Seqlisting_ST25;サイズ:97,063バイト、作成日:2022年6月1日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
開示の分野
本開示の分野は、概して、可溶性葉酸受容体アルファ(FRα)を有する患者におけるがんを治療する方法、及びこのような治療における抗FRα活性剤(例えば、抗体及び免疫複合体)の使用に関する。
開示の背景
がんは、先進国における主要な死因の1つであり、米国だけで、年間100万人以上ががんと診断され、50万人が死亡している。全体として、3人に1人より多くが生涯にわたって何らかの形態のがんを発症すると推定されている。
葉酸受容体-α(FRαまたはFOLR1)は、葉酸に対して高い親和性を有するグリコシルホスファチジルイノシトール結合細胞表面糖タンパク質である。正常組織とがん組織におけるその生理的役割については、まだ十分に解明されていない。ほとんどの正常組織はFRαを発現せず、ほとんどの細胞への生理的葉酸の輸送は、いくつかの他のタンパク質、最も顕著には低減された葉酸担体によって媒介されていると考えられる。FRαは、漿液性上皮及び類内膜上皮性卵巣癌、子宮内膜腺癌、及び腺癌サブタイプの非小細胞肺癌において高レベルであることが判明した。重要なことに、FRα発現は、卵巣癌患者の転移巣及び再発がんにおいて、ならびに上皮性卵巣癌及び子宮内膜癌の化学療法後も維持される。これらの特性は、正常組織でのFRαの発現が高度に制限されていることに加え、FRαをADCなどの標的療法の非常に有望な標的にする。
ミルベツキシマブソラブタンシン(IMGN853)は、強力なチューブリン作用メイタンシノイドであるDM4にコンジュゲートしたFRα標的抗体を含む葉酸標的抗体薬剤コンジュゲート(ADC)であり、近年、免疫組織化学(IHC)染色により測定した中程度の及び高い膜FRαレベルを示すプラチナ耐性卵巣癌患者においてクリニックで評価された。FORWARD I第3相試験では、2:1に366人の患者をランダム化し、ミルベツキシマブソラブタンシンか、または医師が選択した単剤化学療法(ペグ化リポソームドキソルビシン、トポテカン、またはウィークリタキセル)を受け取った。試験は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の改善(全集団危険率(HR)=0.98、p=0.897)を達成できなかったが、予め指定された高いFRα亜集団(218/366)は、標準化学療法では10%であるのに対して、IMGN853治療では全体応答率が24%であることを示した。また、予め指定された高いFRα亜集団では、化学療法(HR=0.69、p値=0.049)と比べてIMGN853を受けた患者ではPFSが長く、化学療法(HR=0.62、p値=0.033)と比べてIMGN853を受けた患者では全体生存期間が長かった。これらの結果は、IHCによって測定した高レベルの膜FRαを発現する腫瘍を有する患者にとって心強いものであるが、患者のかなりの部分は、IHCによって測定した高レベルの膜FRαを示さない腫瘍を有する。さらに、可溶性FRαは、理論的にはFRα標的療法を妨害する可能性がある。したがって、FRα標的療法の安全性及び有効性に対する可溶性FRαの効果を理解する必要があると共に、より幅広い患者集団を治療するための方法が必要とされている。
本明細書では、可溶性葉酸受容体アルファ(α)を有する患者におけるがんを治療する方法が提供される。
いくつかの態様において、患者におけるがんを治療する方法は、抗FRα活性剤を含む医薬組成物を、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有するがん患者に投与することを含む。いくつかの態様において、患者の可溶性FRαは、投与前に患者から得られたサンプル中に検出された。いくつかの態様では、患者から得られたがんサンプルは、高いFRα免疫組織化学(IHC)スコアを有しない。いくつかの態様において、患者から得られたがんサンプルは、高いFRα IHCスコアを有する。いくつかの態様では、FRα IHCスコアは患者から得られていない。
いくつかの態様において、患者におけるがんを治療する方法は、(i)患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有する場合、及び/または患者から得られたがんサンプルが高いFRα IHCスコアを有する場合、抗FRα活性剤を含む医薬組成物を患者に投与すること、及び(ii)患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有さず、かつ患者から得られたがんサンプルが高いFRα IHCスコアを有さない場合、患者に化学療法を投与することを含む。
いくつかの態様では、この方法は、活性剤を投与する前に患者から得られたサンプル中の可溶性FRαのレベルを決定することをさらに含む。
いくつかの態様では、この方法は、投与前に患者から得られたがんサンプルにおけるFRα IHCスコアを決定することをさらに含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤に応答する可能性が高い患者のがんを同定するための方法は、患者から得られたサンプル中の可溶性FRαを測定することと、場合により患者から得られた腫瘍サンプル中のFRα IHCスコアを決定することとを含み、ここで、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベル及び/または高FRα IHCスコアの存在が、がんが抗FRα活性剤に応答する可能性が高いことを示す。いくつかの態様では、この方法は、がんが応答する可能性が高い場合に、抗FRα活性剤を含む医薬組成物を患者に投与することをさらに含む。
いくつかの態様において、標的可溶性FRαレベル以上ではない可溶性FRαのレベル及び高くないIHCスコアは、がんが抗FRα活性剤を含む医薬組成物に応答する可能性が低いことを示す。いくつかの態様において、標的可溶性FRαレベル以上ではない可溶性FRαのレベル及び高くないIHCスコアは、がんが抗FRα活性剤を含む医薬組成物よりも化学療法に対してより応答性である可能性が高いことを示す。
いくつかの態様では、患者の可溶性FRαのレベルは、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、及び/またはメソスケールディスカバリー(MSD)を用いて評価される。
いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約0.5ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約0.6ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約0.7ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約0.75ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約0.8ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約0.9ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.1ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.2ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.25ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.3ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.4ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.5ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.6ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.7ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.75ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.8ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約1.9ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.0ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.1ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.2ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.25ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.3ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.4ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.5ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.6ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.7ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.75ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.8ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約2.9ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.0ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.1ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.2ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.25ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.3ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.4ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.5ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.6ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.7ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.75ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.8ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約3.9ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.0ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.1ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.2ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.25ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.3ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.4ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.5ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.6ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.7ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.75ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.8ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約4.9ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは約5ng/mLである。
いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは、中程度(50~74%の細胞陽性)または高い(少なくとも75%の細胞陽性)膜FRαレベルを有する腫瘍を有する卵巣癌、原発性腹膜癌、または卵管癌の患者における平均可溶性FRαレベルであり、これは染色パーセント(PS)2+染色強度によって決定される。
いくつかの態様では、高いIHCスコアとは、少なくとも75%の腫瘍細胞が染色パーセント(PS)2+染色強度を有することを指す。いくつかの態様では、高いIHCスコアとは、少なくとも50%の腫瘍細胞がPS2+染色強度を有することを指す。
いくつかの態様では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの態様において、がんは、卵巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、腹膜癌、乳癌、及び卵管癌からなる群から選択される。いくつかの態様において、がんは卵巣癌である。いくつかの態様において、卵巣癌は、プラチナ耐性またはプラチナ不応性である。いくつかの態様では、がんはプラチナ感受性卵巣癌である。いくつかの態様において、卵巣癌は上皮性卵巣癌である。いくつかの態様において、がんは、プラチナ耐性の進行した高悪性度上皮性卵巣癌である。いくつかの態様において、がんは子宮癌である。いくつかの態様において、がんは子宮内膜癌である。いくつかの態様において、がんは膵臓癌である。いくつかの態様において、がんは腎癌である。いくつかの実施形態において、がんは肺癌である。いくつかの態様において、肺癌は非小細胞肺癌である。いくつかの態様において、がんは腹膜癌である。いくつかの態様において、腹膜癌は、原発性腹膜癌である。いくつかの態様において、がんは乳癌である。いくつかの態様では、乳癌は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。いくつかの態様では、がんは卵管癌である。いくつかの態様において、がんは再発がんである。
いくつかの態様において、活性剤は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号38のVHと配列番号44のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号38のVHと配列番号44のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する。いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号10のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、配列番号15のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VH)-CDR1と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号17のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む。いくつかの態様では、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様では、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、活性剤中の抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、PTA-10772としてAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたプラスミドによってコードされる重鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む重鎖及び/またはPTA-10774としてATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37のVHと配列番号43のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号37のVHと配列番号43のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する。いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VH)-CDR1と、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む。いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH及び/または配列番号43のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様では、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの態様において、活性剤は、抗FRα抗体の抗原結合フラグメントを含む。いくつかの態様では、抗原結合フラグメントは一本鎖可変フラグメント(scFv)である。いくつかの態様では、scFvは、配列番号60のアミノ酸配列を有する。
いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、単一特異性抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、活性剤における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、バイパラトープ抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、バイパラトープ抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様では、活性剤は、細胞傷害性剤にコンジュゲートされた抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む免疫複合体である。いくつかの態様では、細胞傷害性剤は、リンカーによって抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントにコンジュゲートする。いくつかの態様では、リンカーは、切断可能なリンカー、切断不可能なリンカー、親水性リンカー、及びジカルボン酸系リンカーからなる群から選択される。いくつかの態様では、リンカーは、N-(γ-マレイミドブトリルオキシ(maleimidobutryloxy))スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBSまたはsGMBS)、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)またはN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)、N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スルホスクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(スルホSMCC);N-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB);及びN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)からなる群から選択される。いくつかの態様では、リンカーはスルホ-SPDBである。いくつかの態様では、リンカーはスルホ-GMBSである。いくつかの態様では、リンカーはGMBSである。
いくつかの態様において、細胞傷害性剤は、メイタンシノイド、メイタンシノイド類似体、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065、CC-1065類似体、デュオカルマイシン、デュオカルマイシン類似体、カリケアミシン、ドラスタチン、ドラスタチン類似体、オーリスタチン、トマイマイシン誘導体、及びレプトマイシン誘導体または細胞傷害性剤のプロドラッグからなる群から選択される。いくつかの態様では、細胞傷害性剤はメイタンシノイドである。いくつかの態様では、メイタンシノイドは、DM4である。いくつかの態様では、メイタンシノイドは、DM21である。
いくつかの態様では、免疫複合体は、1~20の細胞傷害性剤を含む。いくつかの態様では、免疫複合体は、1~10の細胞傷害性剤を含む。いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000001
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
CBは、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり、
は、以下の式:
Figure 2024522544000002
のうちの1つで表され、
式中、
、R、Rx’及びRy’は、それぞれ独立して、H、-OH、ハロゲン、-O-(C1-4アルキル)、-SOH、-NR404142 、または-OH、ハロゲン、SOH、もしくはNR404142 で置換されていてもよいC1-4アルキルであり、ここで、R40、R41、及びR42はそれぞれ独立してHまたはC1-4アルキルであり、
l及びkは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
l1は、2~5の整数であり、
k1は、1~5の整数であり、かつ
s1は細胞結合剤CBに結合する部位を示し、s3はA基に結合する部位を示し、
Aは、アミノ酸残基、または2~20個のアミノ酸残基を含むペプチドであり、
及びRは、それぞれ独立して、H、またはC1-3アルキルであり、
は、以下の式で表され、
-CR-(CH1-8-C(=O)-
式中、R及びRは、それぞれ独立して、HまたはMeであり、L中の-C(=O)-部分は、Dに接続されており、
Dは、以下の式で表され、
Figure 2024522544000003
qは、1~20の整数である。
いくつかの態様において、R、R、Rx’、及びRy’はすべてHであり、l及びkはそれぞれ独立して、2~6の整数である。いくつかの態様において、Aは、2~5個のアミノ酸残基を含むペプチドである。いくつかの態様では、Aは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、D-Val-Ala、Val-Cit、D-Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Ala、Phe-N-トシル-Arg、Phe-N-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Ala-Ala、D-Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala-D-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号54)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号55)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号56)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、Gln-Ala、D-Ala-Pro、及びD-Ala-tBu-Glyからなる群から選択され、ここで、各ペプチドの最初のアミノ酸がL基に接続され、各ペプチドの最後のアミノ酸が-NH-CR-S-L-Dに接続される。いくつかの態様では、R及びRは、両方ともHである。いくつかの態様では、Lは、-(CH4-6-C(=O)-である。いくつかの態様では、Dは以下の式で表される:
Figure 2024522544000004
いくつかの態様では、免疫複合体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むVHと配列番号44のアミノ酸配列を含むVLとを含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、その抗体または抗原結合フラグメントは、スルホ-SPDBリンカーを介してDM4にコンジュゲートしている。いくつかの態様では、免疫複合体は、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗FRα抗体を含む。いくつかの態様では、抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む医薬組成物は、IMGN853を含む。いくつかの態様では、IMGN853を含む医薬組成物は、調整された理想体重(AIBW)に基づく用量、例えば、約6mg/kgのAIBWの用量または約5mg/kgのAIBWの用量で投与される。
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000005
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
CBAは、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を含む抗体または抗原結合フラグメントであり、
は、以下の式で表され、
Figure 2024522544000006
qは、1~10の整数である。
いくつかの態様では、抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む医薬組成物は、IMGN151を含む。
いくつかの態様では、医薬組成物は、抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均2~5個の細胞傷害性剤を含む抗FRα免疫複合体を含む。いくつかの態様では、抗FRα免疫複合体は、抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均3~4個の細胞傷害性剤を含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均2~3.5個の細胞傷害性剤を含む抗FRα免疫複合体を含む。
いくつかの態様において、可溶性FRαは、FRαに特異的に結合する検出抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて検出され、配列番号38のアミノ酸配列を含むVHと配列番号44のアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体は、検出抗体またはその抗原結合フラグメントのFRαへの結合を競合的に阻害しない。いくつかの態様において、可溶性FRαは、FRαに特異的に結合する検出抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて検出され、葉酸は、検出抗体またはその抗原結合フラグメントのFRαへの結合を競合的に阻害しない。いくつかの態様において、可溶性FRαは、FRαに特異的に結合し、かつ(a)それぞれ、配列番号18~20及び配列番号21~23、または(b)それぞれ、配列番号24~26及び配列番号27~29のVH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3アミノ酸配列を含む、検出抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて検出される。いくつかの態様において、検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ、配列番号39及び配列番号45、または(b)それぞれ、配列番号40及び配列番号46のVH及びVLアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ、配列番号51及び配列番号57、または(b)それぞれ、配列番号52及び配列番号58の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、可溶性FRαは、(i)固体支持体に結合した免疫捕捉試薬でFRαを捕捉すること、(ii)固体支持体からFRαを溶出すること、(iii)溶出したFRαを消化すること、及び(iv)消化したFRαに対してLC/MS分析を実行することによって検出され、ここで、前記FRαを、少なくとも1つのシグネチャFRαペプチドのクロマトグラフィー分離及び質量分析応答を監視することにより検出する。いくつかの態様では、固体支持体は、質量分析免疫アッセイ(MSIA)マイクロカラムを含む。いくつかの態様では、固体支持体は磁気ビーズを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの洗浄ステップは、固体支持体からFRαを溶出する前に行われる。いくつかの態様では、2つ以上の洗浄ステップが、固体支持体からFRαを溶出する前に行われる。いくつかの態様では、洗浄ステップは、固体支持体に結合したFRαを、洗浄緩衝液、塩溶液、及び洗剤と接触させることを含む。いくつかの態様では、FRαは、酸性溶液で固体支持体から溶出される。いくつかの態様では、FRαは、FRαを消化する前に還元され、アルキル化される。いくつかの態様では、FRαはトリプシン/Lys-Cで消化される。いくつかの態様では、FRαを消化することにより、配列番号68の配列を含むペプチドが生成される。いくつかの態様では、FRαを消化することにより、配列番号69の配列を含むペプチドが生成される。いくつかの態様では、FRαを消化することにより、配列番号70の配列を含むペプチドが生成される。いくつかの態様では、FRαを消化することにより、配列番号71の配列を含むペプチドが生成される。いくつかの態様では、FRαの少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのシグネチャペプチドが、LC/MS分析ステップで選択されて監視される。いくつかの態様では、シグネチャペプチドは、(a)配列番号68の配列を含むペプチド;(b)配列番号69の配列を含むペプチド;(c)配列番号70の配列を含むペプチド;及び(d)配列番号71の配列を含むペプチドを含む。
いくつかの態様では、患者の可溶性FRαのレベルは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて評価される。いくつかの態様では、可溶性FRαは、体液サンプル中で検出される。いくつかの態様において、体液は、血漿液、血清液、または腹水液である。いくつかの態様では、可溶性FRαは、末梢血サンプルにおいて検出される。
いくつかの態様では、FRα IHCスコアは、参照サンプルと比較して腫瘍サンプルにおける染色強度と染色均一性とを区別するIHCを使用して得られる。いくつかの態様では、FRα IHCスコアは、FRαに特異的に結合し、かつ配列番号30~32及び配列番号33~35のVH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3アミノ酸配列をそれぞれ含むIHC抗体またはその抗原結合フラグメントを使用して得られる。いくつかの態様では、IHC検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号41及び配列番号47のVH及びVLアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、検出抗体または抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号53及び配列番号59の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む。
また、本明細書において、本明細書で提供される任意の実施形態による標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有する患者のがんの治療のための医薬組成物であって、抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む医薬組成物も提供される。
IMGN853の安全性及び有効性を、元のスケール(左のグラフ)またはlog2スケール(右)のいずれかを使用して、選択された単剤化学療法の安全性及び有効性と比較した、第3相臨床試験に参加した患者において検出された可溶性FRαのレベルを示す図である(実施例1を参照)。 可溶性FRαレベルによるIMGN853で治療された対象における全体的な有効性を示す図である。PFS=無増悪生存期間、OS=全体生存率、ORR=客観的応答率、BIRC=盲検独立レビュー委員会、INV=治験責任医師(実施例1を参照)。 様々な可溶性FRαレベルを有する患者におけるIMGN853及び化学療法の相対的有効性を示す無増悪生存期間(PFS)ハザード比フォレストプロットである(実施例1を参照)。 可溶性FRαレベルの各四分位数(Q1~Q4)においてIHCによって測定した低い、中程度、及び高い膜FRαを有する患者の割合を示す図である(実施例2を参照)。 膜FRα免疫組織化学(IHC)染色の1+、2+、及び3+レベルを示す図である。 MIRASOL及びFORWARD I臨床試験で観察された可溶性FRα分布を示す図である。ボックスを半分にカットした水平線は、中央値を表し、ボックスの上部は、75%の値を表す(実施例3を参照)。 MIRASOL、FORWARD I、及びSORAYA臨床試験で観察された可溶性FRα分布を示す図である。ボックスを半分にカットした水平線は、中央値を表し、ボックスの上部は、75%の値を表す(実施例3を参照)。 様々なIHC FRα PS2スコアを有する患者における可溶性FRαスコアを示す図である。ボックスを半分にカットした水平線は、中央値を表し、ボックスの上部は、75%の値を表す(実施例3を参照)。 様々なIHC FRα PS2スコアを有する患者における可溶性FRαスコアを示す図である。ボックスを半分にカットした水平線は、中央値を表し、ボックスの上部は、75%の値を表す(実施例3を参照)。 可溶性FRα分布にわたる表面腫瘍FRα発現を示す図である(実施例3を参照)。 可溶性FRα分布にわたる表面腫瘍FRα発現を示す図である(実施例3を参照)。 異なるFRα IHCを有する患者における低い(Q1及びQ2)または高い(Q3及びQ4)可溶性FRαの患者の割合(上段)、及び異なる可溶性FRαレベルを有する患者における低い(PS2が50m未満)、中程度(PS2が50~74)または高い(PS2が75以上)FRα IHCを有する患者の割合(下段)を示す図である(実施例2を参照)。 異なるFRα IHCを有する患者における低い(Q1及びQ2、0.8ng/mL未満)または高い(Q3及びQ4、0.8ng/mL以上)可溶性FRαの患者の割合(上段)、及び異なる可溶性FRαレベルを有する患者におけるPS2が0~24、PS2が25~49、PS2が50~74、またはPS2が75以上のFRα IHCを有する患者の割合(下段)を示す図である。可溶性FRα四分位数を、PS2スコアを有する440人のMIRASOL患者からのデータに基づいて定義した。PS2スコアを有する404人の患者のみが図面に示されている結果に含まれている(実施例2を参照)。 可溶性FRαの検出における液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)及びELISA法の相関を示す図である(実施例4を参照)。 ELISAによって測定した場合の可溶性FRαレベルの上昇が、無増悪生存期間(PFS)及び全体応答率(ORR)の増加と相関することを示す図である(実施例4を参照)。
開示の詳細な説明
I.定義
本開示の理解を促進するために、多数の用語及び語句を下記に定義する。
本明細書で使用する場合、「葉酸受容体1」、「FRα」、「葉酸受容体アルファ(FR-α)」、または「FOLR1」という用語は、特に記載がない限り、任意の天然のFRαポリペプチドを指す。これらの用語は、「完全長」の未処理のFRαポリペプチド、ならびに細胞内の処理から生じるFRαポリペプチドの任意の形態を包含する。用語はまた、FRαの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体及び対立遺伝子変異体によってコードされるものも包含する。本明細書に記載されるFRαポリペプチドは、ヒト組織型から、若しくは別の源から等、多様な源から単離され得るか、または組み換え法または合成法によって調製され得る。具体的に示されている場合、「FRα」は、FRαポリペプチドをコードする核酸を指すために使用することができる。ヒトFRα配列は公知であり、例えば、UniProtKBアクセッション番号P15328で公的に入手可能な配列(アイソフォームを含む)を含む。FRαは、シグナルペプチド(アミノ酸1~24)、FRαタンパク質鎖(アミノ酸25~234)、及び切断可能なプロペプチド(アミノ酸235~257)を含むことができる。本明細書で使用する場合、「完全長ヒトFRα」という用語は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指し、「成熟ヒトFRα」という用語は、配列番号1)のアミノ酸25~234を含むポリペプチドを指す。
MAQRMTTQLLLLLVWVAVVGEAQTRIAWARTELLNVCMNAKHHKEKPGPEDKLHEQCRPWRKNACCSTNTSQEAHKDVSYLYRFNWNHCGEMAPACKRHFIQDTCLYECSPNLGPWIQQVDQSWRKERVLNVPLCKEDCEQWWEDCRTSYTCKSNWHKGWNWTSGFNKCAVGAACQPFHFYFPTPTVLCNEIWTHSYKVSNYSRGSGRCIQMWFDPAQGNPNEEVARFYAAAMSGAGPWAAWPFLLSLALMLLWLLS(配列番号1)。
本明細書で使用される「可溶性FRα」または「sFRα」という用語は、可溶性であり、かつ細胞会合していないFRαタンパク質を指す。それは腫瘍組織の外側(例えば、血液及び/または血漿中)にある。いくつかの態様では、これには、完全長FRα及びFRαのグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーが含まれる。いくつかの態様では、可溶性FRαは、完全長FRαのみを含む。いくつかの態様では、ECD及びGPIアンカーは、膜(例えば、可溶性脂質ラフト)中に埋め込むことができる。いくつかの態様では、可溶性FRαは、配列番号1のアミノ酸1~233、配列番号1のアミノ酸25~234、またはそれらのフラグメントを含む。
「抗FRα抗体」または「FRαに結合する抗体」という用語は、抗体がFRαを標的とする際に診断剤及び/または治療剤として有用になるように十分な親和性でFRαに結合することができる抗体を指す。本明細書で使用する場合、このような抗体は、例えば、単一特異性及び二重特異性(例えば、バイパラトープ)抗体を含む。他に指定しない限り、抗FRα抗体が無関係の非FRαタンパク質に結合する程度は、例えば放射免疫測定法(RIA)によって測定される、抗体のFRαへの結合の約10%未満である。FRα抗体の例は当該技術分野で知られており、米国特許出願公開第2012/0009181号及び第2012/0282175号、ならびに米国特許第9,200,073B2号、PCT公開第2011/106528 A1号、及び米国特許出願公開第2020/0362029号に開示されており、そのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
「IMGN853」(「ミルベツキシマブソラブタンシン」としても知られる)という用語は、huMov19(またはM9346A)抗体、スルホ-SPDBリンカー、及びDM4メイタンシノイドを含む免疫複合体を含み、平均薬剤対抗体比(DAR)が3.5である組成物を指す。「huMov19」(または「M9346A」)抗体は、配列番号50の全長重鎖(以下の配列番号50に関連して下線が引かれている可変重鎖配列番号38を含む)及び配列番号56の全長軽鎖(以下の配列番号56に関連して下線が引かれている可変軽鎖配列番号44を含む)を含む抗FRα抗体である。
Figure 2024522544000007
huMov19(M9346A)抗体は、ブダペスト条約の条項に基づいて、2010年4月7日に10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110に位置するAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、ATCC寄託番号PTA-10772及びPTA-10774を有するプラスミドによってコードされる。DM4とは、N2’-デアセチル-N2’-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)メイタンシノイドを指す。「スルホ-SPDB」とは、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート)リンカーを指す。
「IMGN151」という用語は、KIH-FR57scfv-huMov19抗体、GMBSリンカー、及びDM21Lメイタンシノイドを含む免疫複合体を含み、平均薬剤対抗体比(DAR)が3.5である組成物を指す。KIH-FR57scfv-huMov19抗体の配列を本明細書で提供する(例えば、以下の寄託物及び表8を参照)。
KIH-FR57scfv-huMov19抗体は、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、ATCC寄託番号PTA-10774(2010年4月7日に寄託)、PTA-125915(「Mov19-Fc-hole」、2019年4月29日にATCCに寄託され、2019年4月30日にATCCに受領)、及びPTA-125916(「FR57scFv2-Fc-Knob」、2019年4月29日にATCCに寄託され、2019年4月30日にATCCに受領)を有するプラスミドによってコードされる。
特定の腫瘍、組織、またはサンプルにおけるFRαの「上昇」、FRαの「発現の増加」、またはFRαの「過剰発現」という用語は、健康なまたは疾患のない(天然型、野生型)組織、細胞、または同じ型もしくは起源のサンプルに存在するレベルよりも高いレベルで存在するFRα(FRαポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸)を指す。このような発現の増加または過剰発現は、例えば、突然変異、遺伝子増幅、転写の増加、翻訳の増加、またはタンパク質の安定性の増加によって引き起こされ得る。
膜FRα発現は、免疫組織化学(IHC)により測定することができ、定義されたスコアを示す校正済み対照との比較により「染色強度スコア」及び/または「染色均一性スコア」が与えられることができる(例えば、強度がレベル3+校正済み対照と同等である場合には、3+の強度スコアが試験サンプルに与えられ、または、強度がレベル2+校正済み対照と同等である場合には、2+の強度が試験サンプルに与えられる)。スコア0は、染色がないことを指す。スコア1+は、軽い(褐色)染色を指す。スコア2+は中程度(褐色)の染色を指し、スコア3+は濃い(褐色)染色を指す。1+、2+、及び3+染色の例を、図5に示す。染色均一性は、特定の強度での細胞の染色のパーセンテージ(%)として表すことができる(例えば、1+、2+または3+の強度での50%の細胞染色)。IHCによる膜FRαの発現に関して、「PS」は、染色された百分率を指す。したがって、例えば、「75%以上の細胞がPS2+染色強度を有すること」は、サンプル中の細胞の少なくとも75%が少なくとも2+(すなわち、2+または3+)の染色強度を有することを示す。IHCによる膜FRα発現の測定方法は、例えば、国際公開第2012/135675号及び国際公開第2015/031815号に開示されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
可溶性FRαの測定方法は当該技術分野において公知であり、例えば国際公開第2019/050935号及び国際公開第2012/061759号に開示されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。可溶性FRαを測定するために使用することができる市販のキットも入手できる(例えば、Human FOLR1 Quantikine(登録商標)ELISA Kit(R&D systems))。
「参照サンプル」は、得られた結果を試験サンプルと相関させ、比較するために使用することができる。参照サンプルは、細胞(例えば、細胞株、細胞ペレット)、体液、または組織であることができる。「参照サンプル」中のFRαレベルは、FRαの絶対量もしくは相対量、量の範囲、最小量及び/もしくは最大量、平均量、ならびに/または中央量であり得る。「参照サンプル」は、試験サンプルと比較されるFRα発現のベースラインとしても機能し得る。「参照サンプル」は、同じ患者からの以前のサンプルもしくはベースラインサンプル、正常の参照、または関連する患者集団からの参照を含むことができる。一般的に、FRαレベルは標準曲線における値として表される。標準曲線は、アッセイデータをプロットしてサンプル中のFRα濃度を求める定量的方法である。いくつかの態様では、参照サンプルは、精製されたFRαまたはFRα-Fcを含む抗原標準である。本明細書に開示される検出方法は、試験サンプル中のFRαの発現レベルと、「参照値」または「参照レベル」との比較を含み得る。いくつかの態様では、参照値は、参照サンプル中のFRαの発現レベルである。参照値は、予め定められた値であることができ、また、試験サンプルと並行して試験された参照サンプル(例えば、対照生体サンプル)から求めることもできる。参照値は、中央値や平均値などの単一のカットオフ値、または信頼区間などの値の範囲とすることができる。参照値は、例えば、がんの素因を有する個体、初期または後期がんを有する個体、男性及び/または女性個体、あるいはがん治療を受けている個体など、個体の様々なサブグループについて設定することができる。
「生物学的サンプル」は、いくつかの態様では、例えば真核生物由来など、生物学的起源のものである。いくつかの態様において、サンプルはヒトサンプルであるが、動物サンプルも使用可能である。使用するサンプルの非限定的な供給源としては、例えば、固形組織、生検吸引物、腹水、流体抽出物、血液、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚の外側部、呼吸器、腸管、及び泌尿生殖器管、涙液、唾液、乳、腫瘍、器官、細胞培養物、及び/または細胞培養成分が挙げられる。本明細書において提供される説明は、がんサンプルのために有用であり、このがんサンプルには、例えば、利用可能な物質の量が少ない腹水などの体液を含むがんサンプルが含まれる。
本明細書で使用される「捕捉試薬」という用語は、適切な条件下で、捕捉試薬-標的分子複合体をサンプルの残りの部分から分離することができるように、サンプル中の標的分子を結合して捕捉することができる試薬を指す。「免疫捕捉試薬」という用語は、適切な条件下で、捕捉試薬-標的分子複合体をサンプルの残りの部分から分離することができるように、サンプル中の標的分子を結合して捕捉することができる免疫学的試薬を指す。いくつかの態様では、免疫捕捉試薬は、抗体または抗原結合フラグメントである。いくつかの態様では、捕捉試薬または免疫捕捉試薬は固定化される。いくつかの態様では、捕捉試薬または免疫捕捉試薬は固体支持体上に固定化される。
本明細書で使用される場合、「検出可能な抗体」という用語は、検出手段によって増幅された標識を用いて直接、または例えば標識されている別の抗体を介して間接的に検出できる抗体を指す。直接標識の場合、抗体は、典型的には、いくつかの手段によって検出可能な部分にコンジュゲートされる。いくつかの態様では、検出可能な抗体は、ビオチン化抗体である。
本明細書で使用されるとき、「標識」という語は、「標識された」抗体を生成するために抗体に直接的に、または間接的にコンジュゲートされる、検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体で検出可能(例えば、放射性同位標識または蛍光標識)であり得るか、または酵素標識の場合、検出可能である基質化合物もしくは組成物の化学改変を触媒し得る。
「相関する」または「相関すること」とは、任意の方法で、第1の分析の性能及び/または結果を、第2の分析の性能及び/または結果と比較することを意味する。例えば、第2の分析を行う際に第1の分析の結果を使用することができ、及び/または第1の分析の結果を使用して、第2の分析が行われるべきかを判定することができ、及び/または第1の分析の結果を第2の分析の結果と比較することができる。
「抗体」という用語は、標的、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、またはこれらの組み合わせを、当該免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して認識しこれに結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用される、「抗体」という用語は、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体を含む融合タンパク質、及び当該抗体が所望の生物活性を示すということであれば任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。本明細書で使用する場合、このような抗体は、例えば、単一特異性及び二重特異性(例えば、バイパラトープ)抗体を含む。抗体は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、5つの主な免疫グロブリンクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のいずれかであり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造及び三次元構造を有する。抗体は、ネイキッドであってもよいし、毒素(例えば、免疫複合体における)、放射性同位体などのような他の分子にコンジュゲートされていてもよい。
「抗体フラグメント」または「その抗体フラグメント」という用語は、無傷の抗体の一部を指す。「抗原結合フラグメント」とは、抗原に結合する無傷の抗体の一部を指す。抗原結合フラグメントは、無傷の抗体の抗原決定可変領域を含み得る。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、線状抗体、及び一本鎖抗体(scFv)が挙げられるがこれらに限定されない。抗体フラグメントは、ネイキッドであってもよいし、毒素(例えば、免疫複合体における)、放射性同位体などのような他の分子にコンジュゲートされていてもよい。
「モノクローナル」抗体またはその抗原結合フラグメントとは、単一の抗原決定基、すなわち、エピトープの抗原特異性の高い認識及び結合に関与する均質な抗体または抗原結合断片集団を指す。これは、通常は異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体またはその抗原結合フラグメントという用語は、無傷かつ完全長のモノクローナル抗体同様、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む任意の他の免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体またはその抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、及びトランスジェニック動物が挙げられるがこれらに限定されないあらゆる方法で作製される抗体及びその抗原結合断片を指す。
「ヒト化」抗体またはその抗原結合フラグメントという用語は、最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含む特定の免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらの断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体または抗原結合断片を指す。通常、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト免疫グロブリンであって、その相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び機能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基で置き換えられている(「CDRグラフト」)(Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988))。いくつかの態様では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)は、所望の特異性、親和性、及び機能を有する非ヒト種由来の抗体または断片における対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントを、Fvフレームワーク領域及び/または置き換えられた非ヒト残基内でのさらなる残基の置換によってさらに修飾し、抗体またはその抗原結合フラグメントの特異性、親和性、及び/または機能を改善及び最適化することができる。一般に、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含む、少なくとも1つ、通常は2つまたは3つの可変ドメインの実質的にすべてを含むが、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス領域のものである。ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントは、通常はヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むことができる。ヒト化抗体を生成するのに使用される方法の例は、特許第5,225,539号、Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91(3):969-973(1994)、及びRoguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)に記載されている。いくつかの態様において、「ヒト化抗体」は、表面再形成抗体である。
抗体の「可変領域」とは、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を単独でまたは組み合わせて指す。重鎖及び軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によってつながれた4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖内のCDRは、FRにより極めて近接して一緒に保持され、他の鎖由来のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するには少なくとも2つの技術:(1)異種間配列変化に基づく方法(すなわち、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda Md.)“Kabat”)、及び(2)抗原抗体複合体の結晶学的研究に基づく方法(Al-lazikani et al,J.Molec.Biol.273:927-948(1997))がある。さらに、当技術分野ではこれら2つの方法の組み合わせを用いてCDRを決定することもある。
抗体の「定常」領域は、抗体を抗原に結合することに直接関与はしないが、抗体依存性の細胞毒性における抗体の関与等の様々なエフェクター機能を示す。
Kabatナンバリングシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(大体、軽鎖の1~107残基及び重鎖の1~113残基)に言及する際に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.1991,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)(“Kabat”)。
Kabatのアミノ酸位置の番号付けとは、Kabat et al.(Sequences of Immunological Interest.5th Ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda,Md.),(“Kabat”)における抗体の編成の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮、またはそれへの挿入に対応するより少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従う残基52a)、ならびに重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従う残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、「標準の」Kabatナンバリング配列との抗体の配列の相同性領域でのアライメントによって所与の抗体について決定され得る。一方、Cothiaは構造ループの位置を参照する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabatナンバリング規則を用いてナンバリングした場合、Chothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、KabatナンバリングスキームがH35AとH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは33で終わり、35A及び35Bの両方が存在する場合、このループは34で終わる)。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの折衷物であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。
Figure 2024522544000008
「ヒト」抗体またはその抗原結合フラグメントという用語は、ヒトによって産生された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または当技術分野において公知の任意の技術を使用して作製した、ヒトによって産生された抗体もしくはその抗原結合フラグメントに対応するアミノ酸配列を有する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを意味する。ヒト抗体またはその抗原結合フラグメントのこの定義には、無傷または完全長の抗体及びその断片が含まれる。
「キメラ」抗体またはその抗原結合フラグメントという用語は、アミノ酸配列が2つ以上の種に由来する抗体またはその抗原結合フラグメントを指す。通常、軽鎖及び重鎖の両可変領域は、所望の特異性、親和性、及び機能を有する哺乳類の一種(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)由来の抗体またはその抗原結合フラグメントの可変領域に対応し、その定常領域は、別の種(通常はヒト)由来の抗体またはその抗原結合フラグメントの配列に対して相同であり、その種での免疫反応の誘発を回避する。
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、本明細書では互換的に使用され、特定の抗体によって認識され特異的に結合されることが可能な抗原の部分を指す。抗原がポリペプチドの場合、エピトープは、隣接アミノ酸、及びタンパク質の第3次折り畳みによって並列した非隣接アミノ酸の両方から形成され得る。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは、通常、タンパク質変性時に保持されるが、第3次折り畳みによって形成されたエピトープは、通常、タンパク質変性時に失われる。エピトープは、通常、少なくとも3個、より通常は少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を固有の空間構造に含む。
「結合親和性」とは、概して、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途指定されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に、抗原にゆっくり結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は、一般に、抗原により早く結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当技術分野で既知であり、これらのいずれも、本開示の目的のために使用することができる。
結合親和性に言及するために本明細書で使用される場合の「またはそれよりよい」とは、分子とその結合パートナーとの間のより強い結合を指す。本明細書で使用される場合の「またはそれよりよい」とは、より小さい数値のKd値によって表されるより強い結合を指す。例えば、抗原に対する親和性が「0.6nMまたはそれよりよい」抗体、すなわち、該抗原に対する該抗体の親和性は、<0.6nM、すなわち、0.59nM、0.58nM、0.57nMなど、または0.6nM未満の任意の値である。
「特異的に結合する」とは、一般に、抗体がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、及び該結合が、該抗原結合ドメイン及び該エピトープの間にある程度の相補性を必要とすることを意味する。この定義によれば、抗体は、それがランダムな無関係のエピトープに結合するよりも容易にその抗原結合ドメインを介してそのエピトープに結合する際に、エピトープに「特異的に結合する」といわれる。「特異性」という用語は、本明細書では、ある特定の抗体がある特定のエピトープに結合する相対的親和性を限定するために使用される。例えば、抗体「A」が所与のエピトープに対して抗体「B」より高い特異性を有する場合や、抗体「A」がエピトープ「C」に対して関連するエピトープ「D」に対して有するよりも高い特異性で結合するといわれる場合がある。
「優先的に結合する」とは、抗体が、関連する、同様の、相同の、または類似のエピトープに対して結合するよりも容易にあるエピトープに特異的に結合することを意味する。したがって、所与のエピトープに「優先的に結合する」抗体は、かかる抗体が関連するエピトープに交差反応する場合があるとしても、該関連するエピトープに対するよりもそのエピトープに対して結合する可能性が高い。
ある抗体は、参照抗体が当該エピトープに結合するのをある程度ブロックする程度まで、そのエピトープ、または重複エピトープに優先的に結合する場合、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を「競合的に阻害する」といわれる。競合的阻害は、当技術分野で既知の任意の方法、例えば、競合酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定され得る。ある抗体は、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%競合的に阻害するといわれ得る。
本明細書で使用される「実質的に同様の」または「実質的に同じ」という表現は、2つの数値(概して、一方は本開示の抗体に関連し、他方は参照/比較抗体に関連する)間の十分に高い類似度を表し、これは、当業者が、2つの値の間の差異を、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴において生物学的及び/または統計的有意性がほとんどないものと見なすようなものである。該2つの値の間の差異は、参照/比較抗体に関する値に応じて、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満の場合がある。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために互換的に使用される。このポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、自然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、もしくは任意の他の操作または修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。この定義に同様に含まれるのは、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1つ以上の類似体を含むポリペプチド、及び当技術分野で既知の他の修飾である。本開示のポリペプチドは抗体に基づいているため、いくつかの態様では、該ポリペプチドは、一本鎖または結合鎖として存在し得ることが理解される。
本明細書において互換的に用いられる、用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼによりポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組立て前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより、重合化後にさらに修飾され得る。他のタイプの修飾としては、例えば、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上を類似体と置換する「キャップ」、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシンなど)の懸垂部分を含むもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラーレンなど)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)によるもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、αアノマー核酸など)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態が挙げられる。さらに、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置換されるか、標準保護基により保護されるか、もしくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を調製し得るか、または固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’及び3’末端OHをリン酸化するか、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分と置換することができる。他のヒドロキシルは、標準保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドは、一般に当該技術分野において既知のリボースまたはデオキシリボース糖の類似形態を含むこともでき、例えば、2’-O-メチル-2’-O-アリル、2’-フルオロ-もしくは2’-アジド-リボース、炭素環式糖類似体、α-アノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロース、もしくはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び脱塩基ヌクレオシド類似体、例えば、メチルリボシドが挙げられる。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替連結基に置き換えられてもよい。これらの代替連結基としては、限定されないが、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)に置き換えられる態様を含み、各RまたはR’は、独立してHであるか、または置換もしくは非置換アルキル(1-20C)(任意にエーテル(--O--)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジルである。ポリヌクレオチド内のすべての結合が同一である必要はない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む、本明細書において言及されるすべてのポリヌクレオチドに適用する。
「ベクター」という用語は、宿主細胞内に目的の1つ以上の遺伝子または配列を送達することができ、かつ場合によっては発現することができる構築物を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、ネイキッドDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドもしくはファージベクター、カチオン性縮合剤に関連するDNAもしくはRNA発現ベクター、リポソームにカプセル化されたDNAもしくはRNA発現ベクター、及び特定の真核細胞、例えば生殖細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然には見られない形態のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物には、もはやそれらが天然に見られる形態ではない程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの態様では、単離された抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。
本明細書で使用される、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染物質を含まない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%である材料を指す。
「二重特異性抗体」とは、2つの異なるエピトープに結合する抗体を指す。エピトープは、同じ標的抗原上にあってもよいし、異なる標的抗原上にあってもよい。
「バイパラトープ抗体」は、同じ標的抗原(例えば、FRα)上の2つの異なる非重複エピトープに結合する二重特異性抗体である。
いくつかの態様では、本明細書に開示されるFRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、多価分子である。本明細書において使用されている「価」という用語は、抗体分子中の特定の数の結合部位が存在することを意味する。例えば、自然抗体、または全長抗体は、2つの結合部位を有し、「二価」である。「四価」という用語は、抗原結合タンパク質に4つの結合部位が存在することを意味する。「三価」という用語は、抗体分子内に3つの結合部位が存在することを意味する。本明細書で使用される「二重特異性、四価」という用語は、4つの抗原結合部位を有する抗原結合タンパク質であって、そのうちの少なくとも1つの抗原結合部位は、第1の抗原に結合し、少なくとも1つの抗原結合部位は、第2の抗原または抗原の別のエピトープに結合する、抗原結合タンパク質を指す。
本明細書で使用される「免疫複合体」または「コンジュゲート」という用語は、細胞結合剤に連結され、一般式:C-L-Aによって定義される化合物またはその誘導体を指し、式中、C=細胞毒素、L=リンカー、A=抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、抗FRα抗体または抗体フラグメント)である。免疫複合体は、この一般式を逆の順序、すなわち、A-L-Cによって定義することもできる。
「リンカー」は、化合物、通常はメイタンシノイドなどの薬剤を、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントなどの細胞結合剤に安定な共有結合様式で結合できる任意の化学部分である。リンカーは、化合物または抗体が活性状態を維持する条件下で、切断(例えば、酸誘導性の切断、光誘導性の切断、ペプチダーゼ誘導性の切断、エステラーゼ誘導性の切断、またはジスルフィド結合の切断)に感受性があるか、または実質的に抵抗性であることができる。適切なリンカーは当技術分野で周知であり、例えば、ジスルフィド基及びチオエーテル基が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性剤」という用語は、1つ以上の細胞機能を阻害するもしくは阻止する、及び/または細胞死を引き起こす、物質を指す。いくつかの態様では、細胞傷害性剤はメイタンシノイド、例えばDM4またはDM21である。DM4及びDM21を含む免疫複合体は、WO2011/106528及びWO2018/160539A1に開示されており、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
免疫複合体は、以下の構造式で表される「DM21C」の部位特異的DM21結合を含むことができ、
Figure 2024522544000009
式中、Dは、
Figure 2024522544000010
である。
免疫複合体は、以下の構造式で表されるリジン結合DM21「L-DM21」、「DM21-L」、「DM21L」、または「DM21L-G」を含むこともでき、
Figure 2024522544000011
式中、Dは上に示されており、リンカー、例えば、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)またはN-(γ-マレイミドブトリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBSまたはsGMBS)リンカーによって抗体に結合される。GMBS及びスルホ-GMBS(またはsGMBS)リンカーは当技術分野で知られており、以下の構造式で表すことができる。
Figure 2024522544000012
「任意選択の」または「場合により」とは、後に記載される状況が発生する場合と発生しない場合があり、そのため、本出願には当該状況が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。例えば、「置換されていてもよい」という表現は、所定の原子上に非水素置換基が存在してもしなくてもよいことを意味し、したがって、本出願には、非水素置換基が存在する構造と非水素置換基が存在しない構造が含まれる。
「がん」及び「がん性」という用語は、細胞集団が制御されていない細胞成長を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、または説明する。がんの例としては、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれるが、これらに限定されない。かかるがんのより特定な例としては、卵管癌、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、小腸癌、子宮内膜または子宮癌腫、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌腫、及び様々な型の頭頸部癌が挙げられる。がんは、FRαを発現するがん(「FRα発現がん」)であり得る。
「がん細胞」や「腫瘍細胞」という用語、及び文法上の同等物は、腫瘍または前がん病変に由来する細胞の総集団を指し、これには、腫瘍細胞集団の大部分を構成する非腫瘍形成性細胞と、腫瘍形成性幹細胞(がん幹細胞)との両方が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「腫瘍細胞」は、それらの腫瘍細胞をがん幹細胞から区別するために再生及び分化する能力を欠く腫瘍細胞のみを指す場合、用語「非腫瘍形成性」によって修飾される。
「進行」がんとは、元の部位または器官の外に、局所浸潤または転移のいずれかによって広がったがんである。「進行」がんという用語は、局所的に進行した疾患及び転移性疾患の両方を含む。
「転移性」がんは、身体の1つの部分から身体の別の部分へ広がっているがんを指す。
「不応性」がんとは、化学療法などの抗腫瘍治療ががん患者に投与されるにもかかわらず進行するがんである。
「再発性」がんとは、初期療法に応答した後に、初期の部位または遠位部位で再増殖したがんである。
「再発」患者は、寛解後にがんの兆候または症状を有する者である。任意に、患者は、アジュバントまたはネオアジュバント療法後に再発した。
「維持療法」という用語は、初期治療後にがんが消失した後に再発を防ぐために行われる療法を指す。
「対象」及び「患者」という用語は、特定の治療を受けることになる、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含むがこれらに限定されない任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。
「薬学的製剤」という用語は、活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象に許容できない程度に毒性のさらなる成分を含有しない調製物を指す。製剤は無菌であってもよい。
本明細書に開示される抗体、免疫複合体、または他の薬剤の「有効量」とは、具体的に述べられた目的を実行するのに十分な量である。
「治療有効量」という用語は、対象または哺乳動物における疾患または障害を「治療する」のに有効な抗体、免疫複合体、または他の薬剤の量を指す。がんの場合、治療有効量の薬剤は、がん細胞の数を減らし、腫瘍のサイズまたは負担を軽減し、末梢臓器へのがん細胞の浸潤を阻害(すなわち、ある程度まで遅らせ、いくつかの態様では停止する)し、腫瘍の転移を阻害(すなわち、ある程度まで遅らせ、いくつかの態様では停止する)し、腫瘍の増殖をある程度阻害し、がんに関連する1つ以上の症状をある程度軽減し、及び/または、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、もしくは全生存期間(OS)の増加、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)などの良好な応答、あるいは、場合によっては、疾患の安定(SD)、進行性疾患の減少(PD)、進行までの時間(TTP)の短縮、またはそれらの組み合わせをもたらすことができる。ここでの「治療」の定義を参照されたい。薬剤が既存のがん細胞の成長の予防及び/またはそれらの殺滅を行うことができる限り、この薬剤は細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性であり得る。
「治療すること」または「治療」または「治療する」または「緩和すること」または「緩和する」などの用語は、診断された病的状態または障害の症状を治癒、減速、軽減、及び/または進行を停止する治療手段を指す。したがって、治療が必要なヒトには、すでにその障害と診断されているか、またはその疑いがあるヒトが含まれる。いくつかの態様では、患者が、がん細胞の数の減少もしくはがん細胞の不在;腫瘍サイズの縮小;例えば、軟組織及び骨へのがんの広がりを含む、末梢器官へのがん細胞浸潤の阻害または不在;腫瘍転移の阻害または不在;腫瘍増殖の阻害または不在;特定のがんに関連する1つ以上の症状の軽減;罹患率と死亡率の減少;生活の質の向上;腫瘍の腫瘍形成性、腫瘍形成頻度、もしくは腫瘍形成能力の低下;腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度の減少;腫瘍形成性細胞の非腫瘍形成性状態への分化;無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、もしくは全生存期間(OS)の増加、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、病状安定(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行までの時間(TTP)の短縮、またはそれらの組み合わせの1つ以上を示す場合、対象は本開示の方法に従ってがんの「治療」に成功している。
本明細書で使用される、用語「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、所望の生物作用部位への該免疫複合体の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。本明細書に記載の薬剤及び方法と共に使用できる投与技術は、例えば、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current ed.;Pergamon;及びRemington’s,Pharmaceutical Sciences(current edition),Mack Publishing Co.,Easton,Paに見られる。一態様では、免疫複合体は静脈内に投与される。
「指示すること」という用語は、適用可能な療法、投薬、治療、治療計画などについて、任意の手段、例えば、添付文書またはその他の書面による宣伝資料などの書面による指示を提供することを意味する。
「前治療する」及び「前治療」という用語は、治療用抗体、その抗原結合フラグメント、または免疫複合体の投与前に行われる治療手段を指す。例えば、本明細書でより詳細に記載されるように、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)は、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)の投与前の約1週間、約5日間、約3日間、約2日間、または約1日間もしくは24時間以内に予防薬として投与され得る。ステロイドは、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)と同じ日に、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)の前に投与することもできる。
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値または数値範囲を修飾するために使用される場合、値または範囲を上回って最大10%、下回って10%までの偏差が、記載された値または範囲の意図された意味内に留まることを示す。本明細書で態様が数値または範囲の「約」または「およそ」という言葉で説明される場合はどこでも、特定の数値または範囲(「約」なし)に言及する類似の態様も提供されることが理解される。
本明細書の変数の任意の定義の中の化学基のリストの列挙は、任意の単一の基または列挙した基の組み合わせとしてその変数の定義を含む。本明細書の態様についての列挙は、任意の単一の態様として、または任意の他の態様もしくはその一部と組み合わせてその態様を含む。
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、及び「the(その)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形を含む。
本明細書において態様が「含む」という用語を用いて記載される場合は常に、「からなる」及び/または「から本質的になる」という用語で記載される類似の態様も提供されることが理解される。本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する」、及び「有する」などは、「含む(includes)」及び「含む(including)」などを意味し得、「から本質的になる」または「本質的になる」という用語は制限がなく、引用されるものの基本的または新規の特徴が引用されるもの以上のものの存在によって変化しない限り、引用されるもの以上のものの存在を許容するが、先行技術の態様は除外する。
具体的に述べられるか、文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的であることが理解される。本明細書において「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」、ならびに「B」の両方を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含することを意図している。
本明細書に提供する任意の組成物または方法は、本明細書に提供する任意の他の組成物及び方法のうちの1つ以上と組み合わせることができる。
II.抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメント
本明細書に記載されるように、抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントは、治療的に(例えば、がんを治療するために)、及び/またはFRα(例えば、可溶性FRα及び/または膜FRα)を検出するために使用することができる。例示的な抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントは当技術分野で公知であり、例えば、それぞれWO2011/106528、WO2014/036495、WO2015/031815、及び米国公開出願第2020/0362029号に開示されており、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントは当技術分野で公知であり、例えば、WO2012/061759、米国公開出願第2019/0233512号、米国公開出願第2020/0147229号、米国公開出願第2020/0297860号、米国公開出願第2020/0353076号、米国特許第10,822,410号、及び米国特許第10,101,343号に開示されており、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
さらに、抗FRα抗体huMov19(M9346A)は、ブダペスト条約の条項に基づいて、2010年4月7日に10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110に位置するAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、ATCC寄託番号PTA-10772及びPTA-10774を有するプラスミドによってコードされる。さらに、バイパラトープ抗FRα抗体は、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、ATCC寄託番号PTA-10774(2010年4月7日に寄託)、PTA-125915(「Mov19-Fc-hole」、2019年4月29日にATCCに寄託され、2019年4月30日にATCCに受領)、及びPTA-125916(「FR57scFv2-Fc-Knob」、2019年4月29日にATCCに寄託され、2019年4月30日にATCCに受領)を有するプラスミドによってコードされる。
例として、FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、huMov19抗体及び/またはFR57抗体もしくはその変異体、mu1-9抗体、mu1-13抗体、または2.1抗体の6つのCDR配列(すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3)を含むことができる。FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、MORAb-003抗体(ファーレツズマブとしても知られる)及び/または1848-H01抗体の6つのCDR配列(すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3)を含むことができる。CDR配列は、Kabatで定義されたCDR、Chothiaで定義されたCDR、AbMで定義されたCDR、またはそれらの混合物であり得る。CDR配列は、IMGTで定義されたCDRであってもよい。huMov19、FR57、及びそれらの変異体、1~9、1~13、及び2.1のCDR配列を以下の表1及び表2に提供する。MORAb-003及び1848-H01のCDR配列も以下の表1及び2に提供する。
Figure 2024522544000013
Figure 2024522544000014
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号5、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号5、3、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号13、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号10、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号13、11、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号18~20のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号21~23のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号24~26のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号27~29のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号30~32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号33~35のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号80~82のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号86~88のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号83~85のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号89、90、及び88のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号91~93のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号96~98のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号94、95、及び93のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号96~98のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、huMov19抗体及び/またはFR57抗体もしくはその変異体、mu1-9抗体、mu1-13抗体、または2.1抗体の重鎖及び/または軽鎖可変配列を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、MORAb-003抗体または1848-H01抗体の重鎖及び/または軽鎖可変配列を含む。huMov19、FR57、及びそれらの変異体、1~9、1~13、及び2.1の重鎖可変配列及び軽鎖可変配列を以下の表3及び表4に提供する。MORAb-003及び1848-H01の重鎖可変配列及び軽鎖可変配列も以下の表3及び表4に提供する。
Figure 2024522544000015
Figure 2024522544000016
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、huMov19抗体及び/またはFR57抗体もしくはその変異体、mu1-9抗体、mu1-13抗体、または2.1抗体の重鎖及び/または軽鎖配列を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、MORAb-003抗体の重鎖及び/または軽鎖配列を含む。huMov19、FR57、及びそれらの変異体、1~9、1~13、及び2.1の重鎖配列及び軽鎖可変配列を以下の表5及び表6に提供する。MORAb-003の重鎖配列及び軽鎖可変配列も以下の表5及び表6に提供する。
Figure 2024522544000017
Figure 2024522544000018
Figure 2024522544000019
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む。いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、FR57抗体またはその変異体の可変重鎖及び可変軽鎖を含むscFvを含む。
したがって、いくつかの態様では、抗FRα scFvは、N末端からC末端まで:配列番号42のアミノ酸配列を含むVL、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの態様では、抗FRα scFvは、N末端からC末端まで:配列番号36のアミノ酸配列を含むVH、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)、及び配列番号42のアミノ酸配列を含むVLを含む。
いくつかの態様では、抗FRα scFvは、N末端からC末端まで:配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの態様では、抗FRα scFvは、N末端からC末端まで:配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)、及び配列番号43のアミノ酸配列を含むVLを含む。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、huMov19の可変重鎖及び可変軽鎖を含むscFvを含む。
いくつかの態様では、抗FRα scFvは、N末端からC末端まで:配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの態様では、抗FRα scFvは、N末端からC末端まで:配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)、及び配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む。
VHとVLを接続するために使用できるリンカーは当技術分野で知られている。例えば、リンカーはグリシン-セリンリンカーであり得る。いくつかの態様では、リンカーは任意の長さであり得、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、または60以上のアミノ酸を含み得る。いくつかの態様では、本開示に有用なリンカーは、少なくとも1つのアミノ酸及び100未満のアミノ酸、90未満のアミノ酸、80未満のアミノ酸、70未満のアミノ酸、60未満のアミノ酸、50未満のアミノ酸、40未満のアミノ酸、30未満のアミノ酸、20未満のアミノ酸、19未満のアミノ酸、18未満のアミノ酸、17未満のアミノ酸、16未満のアミノ酸、15未満のアミノ酸、14未満のアミノ酸、13未満のアミノ酸、または12未満のアミノ酸を有する。いくつかの態様では、リンカー配列はグリシンアミノ酸残基を含む。いくつかの態様では、リンカー配列はグリシン及びセリンアミノ酸残基の組み合わせを含む。
いくつかの態様では、抗FRα scFvは、VHとVLとの間にインフレームで融合されたリンカーを含む。いくつかの態様では、そのようなグリシン/セリンリンカーは、ペプチドGGGS(配列番号64)もしくはGGGGS(配列番号65)、またはこれらの所与のペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の反復を含む、これらの反復を含むがこれらに限定されない、アミノ酸残基の任意の組み合わせを含む。本明細書に開示されるグリシン/セリンリンカーは、(GS)、(GGS)、(GGGS)、(GGGGS)、または(GGGGS)のアミノ酸配列を含み、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数である。いくつかの態様では、リンカー配列は、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号66)((GlySer)とも呼ばれる)である。いくつかの態様では、リンカー配列は、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号67)((GlySer)とも呼ばれる)である。
FR57抗体またはその変異体の可変重鎖及び可変軽鎖を含むscFvの例示的な配列を以下の表7に提供する。
Figure 2024522544000020
いくつかの態様において、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、バイパラトープ抗体またはその抗原結合フラグメントである。多くの異なるタイプの二重特異性構築物が当技術分野で知られており、バイパラトープ抗FRα抗体または抗原結合フラグメントを吸引するのに使用することができる。
いくつかの態様では、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、「ノブ・イン・ホール」構造を含む、非対称Fc分子を有する構築物である。Kontermann,MAbs.,4(2):182-97(2012)を参照されたい。ノブ・イントゥ・ホール(KIH)技術は、C3ドメインを操作して各重鎖に「ノブ」または「ホール」を作成し、ヘテロ二量体化を促進することを含む。KIH技術は、例えば、Ridgway et al.,Protein Engineering 9(7):617-721(1996);米国特許第5,731,168号;米国特許第5,807,706号;米国特許第5,821,333号に記載されており、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。「CrossMab」技術にはさらに、二重特異性抗体の半分のFab内で重鎖ドメインと軽鎖ドメインを交換することが含まれており、2つのアームが非常に異なるため、軽鎖と重鎖のミスペアリングは起こらない(Schaefer et al.,2011,Proc Natl).Acad Sci USA 108:11187-92)。ノブ・イントゥ・ホールアプローチは、かさばる側鎖を持つアミノ酸を一方の重鎖のCH3ドメインに導入し、もう一方の重鎖のCH3ドメインにある適切に設計された空洞に適合させる。アプローチを組み合わせることで、重鎖と重鎖、及び重鎖と軽鎖の相互作用の両方のミスマッチが防止され、主に単一の生成物が得られる。
いくつかの態様では、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは二価(例えば、「ノブ・イン・ホール」形式)である。二価のバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、2つのscFv、別個のポリペプチド鎖上の2つのVH-VL対、または別個のポリペプチド鎖上の1つのscFv及び1つのVH-VL対を含み得る。
いくつかの態様では、二価バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、別個のポリペプチド上にscFv及びVH-VL対を含む。このような態様では、scFvを重鎖定常領域に融合させることができ、VHを重鎖定常領域に融合させることができる。いくつかの態様では、定常領域は「ノブ・アンド・ホール」配列を有する。「ノブ」配列は、scFvに融合された重鎖定常領域内にあってもよく、「ホール」配列は、VHに融合された定常領域に融合されてもよい。あるいは、「ホール」変異は、scFvに融合された重鎖定常領域にあることができ、「ノブ」配列は、VHに融合された定常領域に融合することができる。
いくつかの態様では、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは三価である。
いくつかの態様では、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは四価(例えば、「ノブ・イン・ホール」形式)である。四価抗体は、例えば、M.J.Coloma,S.L.Morrison,Nat.Biotechnol.,15(2):159-63(1997)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、四価のバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、scFvである2つのFRα結合ドメインと、別個のポリペプチド上のVH及びVLを含む2つのFRα結合ドメインとを含む。このような態様では、scFvは、VHを含むポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。scFvは、VLを含むポリペプチドのN末端またはC末端に融合することもできる。
四価のバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つのポリペプチドを含むことができ、1つ目のポリペプチドは重鎖定常領域、VH、及びscFvを含み、2つ目のポリペプチドは軽鎖定常領域及びVLを含む。四価のバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントはまた、2つのポリペプチドを含むことができ、1つ目のポリペプチドは重鎖定常領域及びVHを含み、2つ目のポリペプチドは軽鎖定常領域、VL、及びscFvを含む。
いくつかの態様では、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、二重特異性ヘテロ二量体ダイアボディ、例えば、四量体の二重特異性ヘテロ二量体ダイアボディである。本明細書で使用される場合、用語「二重特異性ヘテロ二量体ダイアボディ」は、2つ以上のポリペプチド鎖またはタンパク質の複合体を指し、それぞれが少なくとも1つの抗体VLドメイン及び1つの抗体VHドメインを含むことができ、各ポリペプチド鎖中のVLドメイン及びVHドメインは、異なる抗体からのものである。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下の表8に開示されている配列、すなわち、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
Figure 2024522544000021
いくつかの態様において、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウス、キメラ、またはヒト化抗FRα抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。本明細書で使用される場合、ヒト化抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、再表面化された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトFRαに結合するが、FOLR2またはFOLR3には結合しない。
抗原に対する抗体の親和性または結合力は、当技術分野で周知の任意の適切な方法、例えば、サイトメトリー(フローサイトメトリーを含む)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、またはラジオイムノアッセイ(RIA)、または反応速度論(例えば、表面プラズモン共鳴分光法(BIACORE(商標))分析)を使用して実験的に決定することができる。直接結合アッセイ及び競合結合アッセイ形式を容易に使用できる。例えば、Berzofsky,et al.,“Antibody-Antigen Interactions,”In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);及び本明細書に記載の方法を参照されたい。特定の抗体-抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(塩濃度、pH、温度など)下で測定すると変動する可能性がある。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KDまたはKd、Kon、Koff)の測定は、当技術分野で知られている、及び本明細書に記載の緩衝液などの、抗体及び抗原の標準化溶液、ならびに標準化緩衝液を用いて行われる。
いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域などの重鎖定常領域を含む。いくつかの態様では、重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域またはIgG4重鎖定常領域である。さらに、いくつかの態様では、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、カッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域のいずれかの軽鎖定常領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖定常領域はカッパ軽鎖定常領域である。
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,(1975)Nature,256:495によって記載されるものなどのハイブリドーマ方法を使用して調製され得る。ハイブリドーマ法を使用して、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物が、上述のように免疫化されて、免疫抗原に特異的に結合する抗体のリンパ球による産生が誘発される。リンパ球もインビトロで免疫化することができる。免疫化後、リンパ球を単離し、例えばポリエチレングリコールを使用して適切な骨髄腫細胞株と融合させてハイブリドーマ細胞を形成し、その後、未融合リンパ球及び骨髄腫細胞から選択することができる。免疫沈降、イムノブロッティング、またはインビトロ結合アッセイ(ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)など)によって決定される、選択した抗原に対して特異的に指向するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、標準的な方法(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,1986)を使用してインビトロ培養するか、動物の腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。次いで、ポリクローナル抗体について記載したように、モノクローナル抗体を培地または腹水から精製することができる。
あるいは、モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載されるものなどの組み換えDNA法により製造されてもよい。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを使用するRT-PCRなどにより、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から単離され、それらの配列は従来の手順を使用して決定される。次いで、重鎖と軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを適切な発現ベクターにクローン化し、宿主細胞、例えばE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などにトランスフェクトされると、モノクローナル抗体は宿主細胞によって生成される。また、所望の種の組換えモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、記載されているように、所望の種のCDRを発現するファージディスプレイライブラリから単離することができる(McCafferty et al.,1990,Nature,348:552-554;Clackson et al.,1991,Nature,352:624-628;及びMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.,222:581-597)。
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド(複数可)は、組換えDNA技術を使用して多くの異なる方法でさらに修飾して、代替抗体を生成することができる。いくつかの態様では、例えばマウスモノクローナル抗体の、軽鎖及び重鎖の定常ドメインを、1)例えばヒト抗体のそれらの領域を置換してキメラ抗体を生成するか、または2)非免疫グロブリンポリペプチドと置換して融合抗体を生成することができる。いくつかの態様では、定常領域は、モノクローナル抗体の所望の抗体フラグメントを生成するために切断または除去される。可変領域の部位特異的または高密度突然変異誘発を使用して、モノクローナル抗体の特異性、親和性などを最適化することができる。
いくつかの態様では、ヒトFRαに対するモノクローナル抗体はヒト化抗体である。いくつかの態様では、このような抗体は、ヒト対象に投与された場合の抗原性及びHAMA(ヒト抗マウス抗体)応答を低下させるために治療的に使用される。
非ヒト抗体またはヒト抗体を操作、ヒト化、または再表面化するための方法も使用することができ、当技術分野でよく知られている。ヒト化抗体、再表面化抗体、または同様に操作された抗体は、非ヒト供給源、例えば、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類または他の哺乳動物に由来する1つ以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「インポート」残基と呼ばれることが多い残基によって置き換えられ、これらの残基は通常、既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、または他のドメインから取られる。
このようなインポートされた配列は、当技術分野で知られているように、免疫原性を低下させるか、または結合、親和性、オン速度、オフ速度、結合力、特異性、半減期、もしくは任意の他の適切な特性を低下、増強または改変するために使用することができる。一般に、CDR残基はFRα結合への影響に直接的かつ最も実質的に関与している。したがって、非ヒトまたはヒトのCDR配列の一部または全部は維持されるが、可変領域及び定常領域の非ヒト配列はヒトまたは他のアミノ酸で置き換えられ得る。
抗体はまた、場合により、抗原FRαに対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持して操作されたヒト化抗体、再表面化抗体、操作抗体またはヒト抗体であってもよい。この目標を達成するために、場合により、ヒト化(もしくはヒト)または操作された抗FRα抗体及び再表面化抗体は、親配列、操作配列、及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列、様々な概念的ヒト化産物及び操作産物の分析プロセスによって調製されてもよい。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、そして当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される三次元立体配座構造を例示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能な役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンのそのFRαなどの抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このように、標的抗原(複数可)に対する増加した親和性等の所望の抗体特徴が達成されるように、フレームワーク(FR)残基をコンセンサス及び移入配列から選択し、組み合わされ得る。
本明細書に開示される抗体のヒト化、再表面化、または操作は、任意の既知の方法を使用して行うことができ、その例としては、限定するわけではないが、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988),Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993),Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A,91(3):969-973(1994),Roguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)、米国特許第5,639,641号、第5,723,323号、第5,976,862号、第5,824,514号、第5,817,483号、第5,814,476号、第5,763,192号、第5,723,323号、第5,766,886号、第5,714,352号、第6,204,023号、第6,180,370号、第5,693,762号、第5,530,101号、第5,585,089号、第5,225,539号、第4,816,567号;PCT/:US98/16280号、US96/18978号、US91/09630号、US91/05939号、US94/01234号、GB89/01334号、GB91/01134号、GB92/01755号、WO90/14443号、WO90/14424号、WO90/14430号、EP229246号、同7,557,189号、同7,538,195号、及び同7,342,110号の文献に記載されている方法が挙げられ、これらの文献のそれぞれは、本明細書に引用されている文献を含め、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示されるFRαに特異的に結合する薬剤は、抗体フラグメントも包含する。抗体フラグメントを産生するために様々な技法が知られている。従来、これらのフラグメントは、無傷抗体のタンパク質分解消化により得られている(例えば、Morimoto et al.,1993,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;Brennan et al.,1985,Science,229:81を参照のこと)。いくつかの態様において、抗体フラグメントは組換え的に生成される。Fab、Fv、及びscFv抗体フラグメントがすべて、E.coliまたは他の宿主細胞内で発現され、E.coliまたは他の宿主細胞から分泌され得るため、これらのフラグメントの大量産生が可能になる。このような抗体フラグメントはまた、上述の抗体ファージライブラリから単離され得る。抗体フラグメントは、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されているような線状抗体であってもよく、単一特異性または二重特異性であってもよい。抗体フラグメントを産生するための他の技法が、当業者に明らかであろう。
修飾抗体は、抗体とヒトFRαのポリペプチドとの会合を提供する任意の種類の可変領域を含むことができることを理解されたい。これに関して、可変領域は、液性応答を取り込み、所望の腫瘍関連抗原に対する免疫グロブリンを生成するように誘導され得る任意の種類の哺乳類を含むか、またはこれに由来することができる。このように、修飾抗体の可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、マカクなど)またはルピナス起源であることができる。いくつかの態様では、修飾された免疫グロブリンの可変領域及び定常領域の両方がヒトである。いくつかの態様において、適合性抗体(通常、非ヒト由来)の可変領域を、結合特性を改善するか、または分子の免疫原性を低下させるように操作または特異的に適合させることができる。この点において、様々な領域をヒト化することができ、あるいはインポートされたアミノ酸配列を含めることによって変更することができる。
いくつかの態様において、重鎖及び軽鎖の双方における可変ドメインが、1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置換により、そして必要に応じて、部分フレームワーク領域置換及び配列変更により変更される。CDRは、フレームワーク領域が誘導されている抗体と同じクラスまたはさらにはサブクラスの抗体から誘導することができるが、CDRは、異なるクラスの抗体から、いくつかの態様では、別の種由来の抗体から誘導されるものと想定される。ある可変ドメインの抗原結合能力を別の可変ドメインに移すために、ドナー可変領域からのCDRのすべてを完全なCDRと置き換える必要がない場合がある。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するのに必要な残基を移すことのみ必要である可能性がある。米国特許第5,585,089号、第5,693,761号、及び第5,693,762号に記載の説明を考慮すると、日常的な実験を行うか、または試行錯誤試験によって、免疫原性が低下した機能性抗体を得ることは、十分に当業者の能力の範囲内であろう。
ポリペプチド及び類似体は、通常はタンパク質の一部ではない追加の化学部分を含むようにさらに修飾され得る。これらの誘導体化部分は、タンパク質の溶解性、生物学的半減期または吸収を改善し得る。これらの部分は、タンパク質などの望ましい副作用を低減または排除することもできる。これらの部分の概要は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,20th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(2000)に見出すことができる。
III.可溶性FRα及びその検出
可溶性FRαを検出する方法及びそのために使用できる抗体は、例えば、国際公開第2012/061759号、国際公開第2014/036495号、及び国際公開第2019/050935号に開示されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、可溶性FRαを検出するために使用することができるキット(例えば、ヒトFOLR1 Quantikine(登録商標)ELISA Kit(R&D systems)など)は市販されている。可溶性FRαは、患者、例えば、がんを有する患者から得られたサンプルにおいて検出することができる。サンプルは、体液を含むことができる。いくつかの態様において、体液は、血漿液、血清液、または腹水液である。いくつかの態様では、サンプルはプラズマである。いくつかの態様では、サンプルは、末梢血サンプルを含む。
いくつかの態様では、可溶性FRαは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて検出される。
抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントを用いて、可溶性FRαを検出することができる。可溶性FRαの検出に有用な抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントは、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントと呼ぶことができる。可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、上記のセクションIIに記載したmuFR1-9及びmuFR1-13抗体を含む。可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、muFR1-9及びmuFR1-13の6つのCDR(すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3)、あるいはmuFR1-9及びmuFR1-13のVH及び/またはVLを含む抗体及びその抗原結合フラグメントを含む。
いくつかの態様では、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号18~20のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号21~23のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号24~26のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号27~29のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号39のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、及び/または(b)配列番号45のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、及び/または(b)配列番号46のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び/または(b)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖(CL)を含む。
いくつかの実施形態では、可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び/または(b)配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖(CL)を含む。
いくつかの態様では、FRαへのhuMov19の結合は、FRαへの可溶性FRα検出抗体または抗原結合フラグメントの結合を競合的に阻害しない。いくつかの態様では、FRαへのIMGN853の結合は、FRαへの可溶性FRα検出抗体または抗原結合フラグメントの結合を競合的に阻害しない。いくつかの態様において、(i)PTA-10772としてAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたプラスミドによってコードされる重鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)PTA-10774としてATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体または抗原結合フラグメントのFRαへの結合は、FRαへの可溶性FRα検出抗体または抗原結合フラグメントの結合を競合的に阻害しない。
いくつかの態様では、FRαへの葉酸の結合は、FRαへの可溶性FRα検出抗体または抗原結合フラグメントの結合を競合的に阻害しない。
いくつかの態様において、可溶性FRα検出抗体または抗原結合フラグメントは、約1.0nM~約10nMのKdでヒトFRαに結合する。いくつかの態様において、可溶性FRα検出抗体または抗原結合フラグメントは、約0.5nM~約5nMのKdでヒトFRαに結合する。
いくつかの態様では、可溶性FRαは、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、または電気化学発光免疫測定法(ECLIA)もしくはメソスケールディスカバリー(MSD)を含む方法を用いて検出するものであり、MSDは、ELISAにおいて用いられる比色反応とは対照的に、電気化学発光(ECL)を検出技術として用いる点を除き、ELISAに似た方法である。いくつかの態様では、可溶性FRαは、ELISAを含む方法を用いて検出する。
いくつかの態様では、可溶性FRαは、電気化学発光(ECL)を用いて検出する。いくつかの態様では、可溶性FRαは、比色反応を用いた検出する。
いくつかの態様において、可溶性FRαは、マルチステップ法を用いた検出する。そのようなマルチステップ法の1つでは、サンプル中のFRαを濃縮するために初期免疫捕捉ステップを実施し、続いてFRαをペプチドに消化し、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)により分析する。さらに、LC/MSでペプチドを分析することにより、例えば、がん患者由来のサンプル中のFRαのレベルを含めて、サンプル中に存在するFRαのレベルを定量することができる。いくつかの態様において、サンプル中のヒトFRαを検出する方法は、(a)固体支持体に結合した免疫捕捉試薬で前記FRαを捕捉すること、(b)固体支持体からFRαを溶出すること、(c)溶出したFRαを消化すること、及び(d)消化したFRαに対して液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行うことを含み、ここで、FRαを、少なくとも1つのシグネチャFRαペプチドのクロマトグラフィー分離及び質量分析応答を監視することにより検出する。このような方法は、感度及び選択性が向上するという利点を提供する。
固体支持体に結合させた免疫捕捉試薬を用いてサンプルに対して初期免疫捕捉ステップを実施する。免疫捕捉試薬は、例えば、上記のような可溶性FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、FRαに結合する任意の免疫学的試薬であってよい。免疫捕捉試薬として抗体または抗原結合フラグメントを使用する場合、FRαへの抗体または抗原結合フラグメントの結合は、サンプル中のFRαへのIMGN853などの抗体系活性剤の結合によって競合的に阻害されない場合がある。また、免疫捕捉試薬として抗体または抗原結合フラグメントを使用する場合、FRαへの抗体または抗原結合フラグメントの結合は、サンプル中に存在する葉酸によって阻害されない場合がある。
いくつかの態様では、免疫捕捉試薬はビオチン化されている。いくつかの態様では、免疫捕捉試薬は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して固体支持体に結合する。いくつかの態様では、固体支持体は、質量分析免疫アッセイ(MSIA)マイクロカラムである。いくつかの態様では、免疫捕捉試薬は磁気ビーズを含む。
初期免疫捕捉ステップを実行するために、FRαを含むサンプルを、固体支持体に結合した免疫捕捉試薬と共にインキュベートすることができる。免疫捕捉ステップの後に洗浄ステップを実施して、捕捉されたFRαをさらに精製することができる。いくつかの態様では、1つ以上の洗浄ステップは、サンプルと免疫捕捉試薬とのインキュベーションの後、かつ捕捉されたFRαの溶出の前に実施される。いくつかの態様では、2つ以上の洗浄ステップが、捕捉されたFRαの溶出の前に実行される。いくつかの態様では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の洗浄ステップが、捕捉されたFRαに対して実行される。いくつかの態様では、洗浄ステップは、捕捉されたFRαを洗浄緩衝液と接触させることを含む。いくつかの態様において、洗浄緩衝液は、市販の洗浄緩衝液である。いくつかの態様では、洗浄ステップは、捕捉されたFRαを塩溶液及び洗剤と接触させることを含む。いくつかの態様では、塩溶液は400mM NaClであり、洗剤は0.1% Tween(登録商標)20である。
免疫捕捉後、溶出ステップを行うことにより、FRαを固体支持体から放出させることができる。いくつかの態様では、溶出ステップは、捕捉されたFRαを酸性溶液と接触させることにより実施される。いくつかの態様では、酸性溶液は市販の溶液である。いくつかの態様において、中和緩衝液の添加により溶出液のpHが中性にされる。いくつかの態様では、中和緩衝液は、pH8の500mM重炭酸アンモニウムである。いくつかの態様では、中和緩衝液は、市販の緩衝液である。
免疫捕捉及び溶出後、得られたFRαタンパク質は、ペプチドに消化され、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)によって分析され得る。いくつかの態様では、FRα含有溶液は、LC/MSによる分析の前に、アルキル化され、且つ還元される。いくつかの態様では、FRαはメタノールでアルキル化される。いくつかの態様では、FRαは、FRαをトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を含有する溶液と接触させることによって還元される。いくつかの態様では、100mM TCEPを含有する溶液を使用して、FRαを還元させる。いくつかの態様では、アルキル化及び還元後にシステインブロッキング試薬をFRα含有溶液に添加する。いくつかの態様では、システインブロッキング試薬はヨードアセトアミド(IAM)である。いくつかの態様では、100mM IAMを含有する溶液を、FRα含有溶液に添加する。
アルキル化及び還元後に、FRαはペプチドに消化される。いくつかの態様では、FRαはトリプシンで消化される。いくつかの態様では、FRαはLys-Cで消化される。いくつかの態様では、FRαは、トリプシンとLys-Cとの混合物で消化される。いくつかの態様では、FRαは、FRαを30ng/μLのトリプシン/Lys-Cを含む50mM重炭酸アンモニウム溶液と接触させることにより消化される。
トリプシン/Lys-CによるFRαの消化により、LC/MSによるサンプルの定量分析の実施に有用なペプチドが生成される。FRαの消化によって生成される例示的なシグネチャペプチドを以下の表9に示す。
Figure 2024522544000022
FRαをペプチドに消化した後、ペプチド含有溶液を調製してLC/MS分析を行うことができる。いくつかの態様では、界面活性剤は、LC/MS分析の前にペプチド含有溶液に添加される。いくつかの態様では、界面活性剤は、質量分析用に配合された市販の試薬である。いくつかの態様において、界面活性剤との反応を10%ギ酸の添加によりクエンチする。
LC/MS分析のためのサンプルの消化及び調製後、サンプルをLC/MS装置に注入して分析することができる。いくつかの態様では、FRαの少なくとも2つのシグネチャペプチドが、LC/MS分析ステップで選択されて監視される。いくつかの態様では、FRαの少なくとも3つのシグネチャペプチドが、LC/MS分析ステップで選択されて監視される。いくつかの態様では、FRαの少なくとも4つのシグネチャペプチドが、LC/MS分析ステップで選択されて監視される。いくつかの態様において、LC/MSステップで選択及び監視される少なくとも4つのシグネチャ用ペプチドは、配列番号68のアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号69のアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号70のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号71のアミノ酸配列を有するペプチドを含む。いくつかの態様では、FRαレベルの定量的測定はLC/MS分析によって提供される。いくつかの態様では、サンプル中のFRαレベルは、サンプル中のFRαのレベルをFRαの参照レベルと比較することによって定量化される。LC/MS分析による分析方法は当該技術分野で周知であり、例えば、Yang et al.Scientific Reports.2015 November 17;5:16733;doi10.1038/srep16733に記載されている。
本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、サンプル中の少なくとも0.5ng/mLのFRαレベルまで低いレベルのFRαを検出できる方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、サンプル中の少なくとも0.3ng/mLのFRαレベルまで低いレベルのFRαを検出できる方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、サンプル中の少なくとも0.25ng/mLのFRαレベルまで低いレベルのFRαを検出できる方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、サンプル中の少なくとも0.2ng/mLのFRαレベルまで低いレベルのFRαを検出できる方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、サンプル中の少なくとも0.15ng/mLのFRαレベルまで低いレベルのFRαを検出できる方法を用いて検出される。
本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、少なくとも5の信号対雑音比が観察される方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、少なくとも6の信号対雑音比が観察される方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、少なくとも7の信号対雑音比が観察される方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、少なくとも8の信号対雑音比が観察される方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、少なくとも9の信号対雑音比が観察される方法を用いて検出される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、可溶性FRαは、少なくとも10の信号対雑音比が観察される方法を用いて検出される。
いくつかの態様において、可溶性FRαレベルは、腫瘍のサイズに対して正規化された可溶性FRαレベルであり、このような正規化された可溶性FRαレベルは、可溶性FRαレベルを腫瘍のサイズで割ることによって決定することができる。いくつかの態様において、可溶性FRαレベルは腫瘍のサイズに対して正規化されていない。
IV.FRα標的療法の有効性の指標としての可溶性FRα
本明細書に記載されるように、がん患者におけるより高い可溶性FRαレベルは、驚くべきことに、FRα標的療法(例えば、抗FRα免疫複合体)に対する応答の改善と関連しており、この関連は、免疫組織化学(IHC)によって測定されるような膜FRαレベルとは独立していることができる。したがって、標的可溶性FRαレベル以上の患者における可溶性FRαレベルは、抗FRα活性剤(例えば、IMGN853またはIMGN151などの抗FRα免疫複合体)に対する患者のがんの応答性の独立した予測因子となり得る。したがって、本明細書では、抗FRα活性剤(例えば、IMGN853またはIMGN151などの抗FRα免疫複合体)を含む医薬組成物を、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有するがん患者に投与することを含む、患者におけるがんを治療する方法が提供される。いくつかの態様において、患者の可溶性FRαは、(例えば上記のセクションIIIに記載されているように)投与前に検出されている。いくつかの態様において、この方法はさらに、(例えば上記のセクションIIIに記載されているように)、投与前に患者の可溶性FRαを検出することを含む。
いくつかの態様において、がん治療の有効性を高める方法は、抗FRα活性剤(例えば、IMGN853またはIMGN151などの抗FRα免疫複合体)を含む医薬組成物をがん患者に投与することを含み、ここで、患者の可溶性FRαレベルは標的可溶性FRαレベル以上である。いくつかの態様において、患者の可溶性FRαは、(例えば上記のセクションIIIに記載されているように)投与前に検出されている。いくつかの態様において、この方法はさらに、(例えば上記のセクションIIIに記載されているように)、投与前に患者の可溶性FRαを検出することを含む。
いくつかの態様において、患者におけるがんを治療する方法は、患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有するかどうかを(例えば、他の当事者により測定された可溶性FRα検査結果を取得することにより)判定すること、及び、患者において標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルが検出された場合、抗FRα活性剤(例えば、IMGN853またはIMGN151などの抗FRα免疫複合体)を含む医薬組成物を投与することを含む。
いくつかの態様において、患者におけるがんを治療する方法は、がん患者から得られたサンプル中に標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルが存在するかどうかを判定すること、及び、サンプル中に標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルが検出された場合に、抗FRα活性剤(例えば、IMGN853またはIMGN151などの抗FRα免疫複合体)を含む医薬組成物を投与するように医師に指示することを含む。
いくつかの態様において、患者におけるがんを治療する方法は、(i)患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有する場合、抗FRα活性剤を含む医薬組成物を患者に投与すること、及び(ii)患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有さない、または患者から得られたがんサンプルが高いFRα IHCスコアを有さない場合、患者に化学療法を投与することを含む。いくつかの態様では、IHC決定に使用されるがんサンプルは、患者の可溶性FRαレベルの検出の少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、または少なくとも18か月前に得られた。いくつかの態様において、患者の可溶性FRαは、(例えば上記のセクションIIIに記載されているように)投与前に検出されている。いくつかの態様において、この方法はさらに、(例えば上記のセクションIIIに記載されているように)、投与前に患者の可溶性FRαを検出することを含む。
いくつかの態様では、FRα IHCスコアは、投与前に検出されている。いくつかの態様では、IHC決定に使用されるがんサンプルは、投与の少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、少なくとも18か月前、または少なくとも2年前に得られた。いくつかの態様では、この方法は、投与前にFRα IHCスコアを検出することをさらに含む。いくつかの態様では、可溶性FRα及びFRα IHCスコアは、投与前に検出されている。いくつかの態様では、IHC決定に使用されるがんサンプルは、投与の少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、少なくとも18か月前、または少なくとも2年前に得られた。いくつかの態様では、この方法は、投与前に可溶性FRα及びFRα IHCスコアを検出することをさらに含む。いくつかの態様では、可溶性FRαは投与前に検出されており、この方法は、投与前にFRα IHCスコアを検出することをさらに含む。いくつかの態様では、FRα IHCスコアが、投与前に(例えば、投与の少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、少なくとも18か月前、または少なくとも2年前に得られたがんサンプルにおいて)検出されており、この方法は、投与前に可溶性FRαをさらに検出する。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤に応答する可能性が高い患者のがんを同定するための方法は、患者から得たサンプル中の可溶性FRαを測定すること、及び場合により、患者から得たサンプル中のFRα IHCスコアを決定することを含み、ここで、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルの存在及び/または高いFRα IHCスコアは、がんが抗FRα活性剤に応答する可能性が高いことを示し、場合により、この方法は、がんが応答する可能性が高い場合に、抗FRα活性剤を含む医薬組成物を患者に投与することをさらに含む。
本明細書では、がんが抗FRα活性剤に応答する可能性を決定するための有効な標的可溶性FRαレベルを実証する。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは、約0.5ng/mL、約0.6ng/mL、約0.7ng/mL、約0.75ng/mL、約0.8ng/mL、約0.9ng/mL、または約1ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは、約1.1ng/mL、約1.2ng/mL、約1.25ng/mL、約1.3ng/mL、約1.4ng/mL、約1.5ng/mL、約1.6ng/mL、約1.7ng/mL、約1.75ng/mL、約1.8ng/mL、約1.9ng/mL、または約2ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは、約2.1ng/mL、約2.2ng/mL、約2.25ng/mL、約2.3ng/mL、約2.4ng/mL、約2.5ng/mL、約2.6ng/mL、約2.7ng/mL、約2.75ng/mL、約2.8ng/mL、約2.9ng/mL、または約3ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは、約3.1ng/mL、約3.2ng/mL、約3.25ng/mL、約3.3ng/mL、約3.4ng/mL、約3.5ng/mL、約3.6ng/mL、約3.7ng/mL、約3.75ng/mL、約3.8ng/mL、約3.9ng/mL、または約4ng/mLである。いくつかの態様では、標的可溶性FRαレベルは、約4.1ng/mL、約4.2ng/mL、約4.25ng/mL、約4.3ng/mL、約4.4ng/mL、約4.5ng/mL、約4.6ng/mL、約4.7ng/mL、約4.75ng/mL、約4.8ng/mL、約4.9ng/mL、または約5.0ng/mLである。
本明細書で実証されるように、卵巣癌、原発性腹膜癌、または卵管癌を有し、かつそのような患者の可溶性FRαの平均レベルを上回る患者は、抗FRα活性剤に応答する可能性が高い。したがって、いくつかの態様では、可溶性FRαの高レベルとは、卵巣癌、原発性腹膜癌、または卵管癌の患者について平均を上回るレベルを指す。いくつかの態様において、可溶性FRαの高いレベルとは、卵巣癌、原発性腹膜癌または卵管癌患者の75%のレベルよりも高いレベルを指す。いくつかの態様では、可溶性FRαの高いレベルとは、PS2スコアリングによって決定されるように、中程度(50~74%の細胞陽性)または高い(少なくとも75%の細胞陽性)膜FRαレベルを有する腫瘍を有する卵巣、原発性腹膜、または卵管癌の患者について平均を上回るレベルを指す。いくつかの態様では、可溶性FRαの高いレベルとは、PS2スコアリングによって決定されるように、中程度(50~74%の細胞陽性)または高い(少なくとも75%の細胞陽性)膜FRαレベルを有する腫瘍を有する卵巣、原発性腹膜、または卵管癌の患者の75%のレベルよりも高いレベルを指す。
V.抗FRα活性剤
本明細書で提供されるように、抗FRα活性剤は、可溶性FRαを有する患者に投与することができる。抗FRα活性剤としては、例えば、抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメント、ならびに抗FRα免疫複合体が挙げられる。抗FRα活性剤及びそれを使用する方法は、例えば、国際公開第2011/106528号、国際公開第2015/054400号、及び米国公開出願第2020/0362029号に記載されており、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントは当技術分野で公知であり、例えば、国際公開第2012/061759号、米国公開出願第2019/0233512号、米国公開出願第2020/0147229号、米国公開出願第2020/0297860号、米国公開出願第2020/0353076号、米国特許第10,822,410号、及び米国特許第10,101,343号に開示されており、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。抗FRα活性剤は、例えば、上記のセクションIIに記載されたFR57抗体及びその変異体、及びhuMov19抗体、ならびにその抗原結合フラグメント及びその免疫複合体を含む。
抗FRα活性剤はまた、例えば、FR57の6つのCDR(すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3)、その変異体、及びhuMov19を含む抗体及びそれらの抗原結合フラグメント、ならびにそれらの免疫複合体を含む。抗FRα活性剤はまた、例えば、FR57の6つのVH及び/またはVL、その変異体、及びhuMov19を含む抗体及びその抗原結合フラグメント、ならびにそれらの免疫複合体を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号38のVHと配列番号44のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号38のVHと配列番号44のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37のVHと配列番号43のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号37のVHと配列番号43のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号5、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号5、3、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号13、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号10、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号13、11、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号5、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、(b)配列番号42のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号38のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、(b)配列番号44のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)を含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、(b)配列番号42のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)、(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び(d)配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)、(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び(d)配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号60のアミノ酸配列を含む一本鎖可変領域(scFv)、(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び/または(b)配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖(CL)を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び/または(b)配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖(CL)を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び/または(b)配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖(CL)を含む。
いくつかの態様において、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び/または(c)配列番号56のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα抗体または免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号80~82のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、ならびに(b)それぞれ配列番号86~88のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα抗体または免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号83~85のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、ならびに(b)それぞれ配列番号89、90、及び88のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα抗体または免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号99のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号101のアミノ酸配列を含むVLを含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα抗体または免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤における抗体またはその抗原結合フラグメントは、ファーレツズマブ(MORAb-003)である。MORAb-003は、米国公開出願第2020/0297860号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号91~93のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、ならびに(b)それぞれ配列番号96~98のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号94、95、及び93のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、ならびに(b)それぞれ配列番号96~98のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号100のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、かかる抗体またはその抗原結合フラグメントは、KabatまたはKabatのEU番号付けスキームに従って、重鎖位置F404に非天然アミノ酸を含む。いくつかの態様において、かかる抗体またはその抗原結合フラグメントは、KabatまたはKabatのEU番号付けスキームに従って、重鎖位置Y180に非天然アミノ酸を含む。いくつかの態様において、かかる抗体またはその抗原結合フラグメントは、KabatまたはKabatのEU番号付けスキームに従って、重鎖位置F404及びY180に非天然アミノ酸を含む。非天然アミノ酸配列は、例えば、パラ-アジドメチルフェニルアラニン及びp-アジドメチル-L-フェニルアラニンである。抗体は、例えば、IgG1抗体であり得る。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤における抗体またはその抗原結合フラグメントは1848-H01である。1848-H01は、米国公開出願第2019/0083641号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、変更された(例えば、突然変異または操作された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの態様において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を低下もしくは増強し、血清半減期または抗体の他の機能的特性を変化させるように変更されている。エフェクター機能の低下または除去は、特定の場合、例えば、その作用機序が標的抗原を有する細胞を死滅させずにブロッキングまたは拮抗作用を伴う抗体の場合に望ましい。エフェクター機能の増加は、FcγRが低レベルで発現する腫瘍や外来細胞などの望ましくない細胞、例えばFcγRIIBのレベルが低い腫瘍特異的B細胞(例えば、非ホジキンリンパ腫、CLL、及びバーキットリンパ腫)に向けられた場合に一般に望ましい。このような付与または変更されたエフェクター機能活性を有する抗FRα活性物質(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、エフェクター機能活性の有効性の増強が望まれる疾患、障害または感染の治療及び/または予防に有用である。いくつかの態様では、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、または他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。
抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのFc領域は、1つ以上のFc受容体(例えば、FcγR(複数可))に結合する能力を有し得るが、いくつかの態様では、抗体または抗原結合フラグメントは、(野生型Fc領域が示す結合と比較して)FcγRIA(CD64)、FcγRIIA(CD32A)、FcγRIIB(CD32B)、FcγRIIIA(CD16a)、またはFcγRIIIB(CD16b)に対する結合が変更した変異体Fc領域を含み、例えば、活性化受容体への結合が増強され、及び/または、阻害性受容体(複数可)への結合能力が実質的に低下し、もしくは阻害性受容体(複数可)への結合能力がない。したがって、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのFc領域は、完全なFc領域のCH2ドメインの一部もしくはすべて及び/またはCH3ドメインの一部もしくはすべてを含むことができ、あるいは変異体CH2及び/または変異体CH3配列(例えば、完全なFc領域のCH2またはCH3ドメインに対する1つ以上の挿入及び/または1つ以上の欠失を含むことができる)を含むことができる。そのようなFc領域は、非Fcポリペプチド部分を含んでもよく、または非天然に完全なFc領域の一部を含んでもよく、またはCH2及び/もしくはCH3ドメインの天然に存在しない配向(例えば、2つのCH2ドメインもしくは2つのCH3ドメイン、またはN末端からC末端への方向で、CH2ドメインに連結されたCH3ドメインなど)を含んでもよい。
エフェクター機能を変化させると同定されたFc領域修飾は当技術分野において公知であり、これには、活性化受容体(例えば、FcγRIIA(CD16A)への結合を増加させ、かつ阻害受容体(例えば、FcγRIIB(CD32B)への結合を減少させる改変が含まれる(例えば、Stavenhagen,et al.,Cancer Res.57(18):8882-8890(2007))。表10に、活性化受容体への結合を増加させ、及び/または阻害受容体への結合を減少させる例示的な修飾の例示的な単一置換、二重置換、三重置換、四重置換及び五重置換(番号付けは、KabatにおけるようにEUインデックスのものであり、置換は、配列番号72のアミノ酸配列に対するものである)を挙げる。
Figure 2024522544000023
CD32Bへの結合が減少し、及び/またはCD16Aへの結合が増加したヒトIgG1 Fc領域の例示的な変異体は、F243L、R292P、Y300L、V305I、またはP396L置換を含み、ここで、番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスの番号付けである。これらのアミノ酸置換は、ヒトIgG1Fc領域において、任意の組み合わせで存在することができる。いくつかの態様では、変異型ヒトIgG1Fc領域は、F243L、R292P、及びY300L置換を含む。いくつかの態様では、変異型ヒトIgG1Fc領域は、F243L、R292P、Y300L、V305I、及びP396L置換を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、エフェクター機能を低下させる修飾を含む免疫グロブリン重鎖定常領域を含む(例えば、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001);Sazinsky et al.,PNAS USA 105:20167-20172(2008);Davis et al.,J.Rheumatol.34:2204-2210(2007);Bolt et al.,Eur.J.Immunol.23:403-411(1993);Alegre et al.,Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.,Cell Immunol.200:16-26(2000);Cole et al.,Transplantation 68:563-571(1999);Hutchins et al.,PNAS USA 92:11980-11984(1995);Reddy et al.,J.Immunol.164:1925-1933(2000);国際公開第97/11971号、及び国際公開第07/106585号;米国出願公開第2007/0148167A1号;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);ならびにKumagai et al.,J.Clin.Pharmacol.47:1489-1497(2007)を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのFc領域は、野生型IgG Fc領域によって示される結合と比較して、FcγRIA(CD64)、FcγRIIA(CD32A)(アロタイプR131及びH131)、FcγRIIB(CD32B)、FcγRIIIA(CD16a)(アロタイプV158及びF158)、及びFcγRIIIB(CD16b)(アロタイプFcγIIIb-NA1及びFcγIIIb-NA2)からなる群から選択されるエフェクター受容体への結合の減少(または実質的に結合なし)を示す。いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのFc領域変異体エフェクター受容体への結合親和性は、対応する免疫グロブリンの野生型Fc領域を含む対応する抗体または抗体結合フラグメントの結合親和性と比較して、1/10以下、1/50以下または1/100以下に低減されている。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、低下したエフェクター機能(例えば、低下したADCC)を示し、233、234、235、236、237、238、239、265、266、267、269、270、271、295、296、297、298、300、324、325、327、328、329、331、及び332からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸位置において修飾を含むIgG Fc領域を含み、ここで、アミノ酸位置の番号付けは、Kabatに記載されているようにEUインデックスに従う。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのCH2-CH3ドメインは、置換L234A、L235A、D265A、N297Q、N297A、及びN297Gのうちのいずれか1つ、2つ、3つまたは4つを含み、ここで、番号付けは、KabatにおけるようなEU指数インデックスの番号付けである。いくつかの態様では、CH2-CH3ドメインは、N297Q置換、N297A置換、またはL234A置換及びL235A置換を含み、これらの変異により、FcR結合が消失するからである。あるいは、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、FcγRIIIA(CD16a)への結合の減少(または実質的に結合なし)及び/または(野生型IgG1Fc領域(配列番号72)が示す結合及びエフェクター機能と比較して)減少したエフェクター機能を本質的に示す、天然に存在するFc領域のCH2-CH3ドメインを含む。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのFc定常領域は、IgG2Fc領域(配列番号73)またはIgG4Fc領域(配列番号74)を含む。N297A、N297G、N297Q、L234A、L235A及びD265A置換により、エフェクター機能が消失するため、エフェクター機能が望まれる状況では、これらの置換を使用しない可能性がある。
エフェクター機能が低下または消失した抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)におけるFc領域含有抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのCH2ドメイン及びCH3ドメインのIgG1配列は、置換L234A/L235A(配列番号75において下線を付して示す)を含む。
エフェクター機能が低下または消失した抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)におけるFc領域含有抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのCH2ドメイン及びCH3ドメインのIgG1配列は、置換N297A(配列番号76において下線を付して示す)を含む。
エフェクター機能が低下または消失した抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)におけるFc領域含有抗FRα抗体または抗原結合フラグメントのCH2ドメイン及びCH3ドメインのIgG1配列は、置換N297Q(配列番号77において下線を付して示す)を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号75、配列番号76、または配列番号77から選択されるFc(免疫グロブリン)配列を含む。
いくつかの態様では、バイパラトープ抗FRα活性剤(例えば、バイパラトープ抗FRα免疫複合体)におけるバイパラトープ抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、エフェクター機能が低下または消失したFc(免疫グロブリン)配列を含み(例えば、配列番号75、配列番号76、及び/または配列番号77に示される置換を含む)、本明細書に開示される1つ以上のノブ・イン・ホール変異を含む。いくつかの態様では、Fc配列は、本明細書に開示されるノブ突然変異を含む。いくつかの態様では、Fc配列は、本明細書に開示されるホール変異を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、IgG1-C220S、C226S、C229S、P238S;IgG1-C226S、C229S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;IgG1-L234A、L235A;IgG1-L234F、L235E、P331S;IgG1-L234F、L235E、P331S;IgG1-H268Q、A330S、P331S;IgG1-G236R、L328R;IgG1-L235G、G236R、IgG1-N297A;IgG1-N325A、L328R;IgG1-N325L、L328R;IgG1-K326W、E333S;IgG2-V234A、G237A;IgG2-E333S;IgG2 H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG4-S228P、L236E;IgG4-F234A、L235A;IgG4-F234A、G237A、E318A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-L236E;IgG2-EU配列118~260;及びIgG4-EU配列261~447に対応する1つ以上の修飾を含み、ここで、位置の番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスに従う。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、低減されたCDC活性を有する重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。特定の態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、CDC活性を低下させる変異を含むIgG1重鎖定常領域を含む(例えば、国際公開第1997/11971号及び国際公開第2007/106585号;米国出願公開第2007/0148167A1号;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Hayden-Ledbetter et al.,Clin.Cancer 15:2739-2746(2009);Lazar et al.,PNAS USA 103:4005-4010(2006);Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);及びSazinsky et al.,PNAS USA 105:20167-20172(2008)を参照されたい;これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。CDCを低下させる重鎖定常ドメイン配列修飾の例としては、EUインデックスに従うと、IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;IgG1-C226S、P230S;IgG1-L234F、L235E、P331S;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG2 EU配列118~260;IgG4-EU配列261~447;及びIgG2-H268Q、V309L、A330S、A331Sに対応する1つ以上の修飾が挙げられる。
いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、1つ以上の半減期の延長アミノ酸修飾(例えば、置換)を含む重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。Fc領域含有分子の半減期を延長することができる多数の変異が当該技術分野で知られており、本明細書で提供される抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントの成分として包含される。例えば、米国特許第6,277,375号、第7,083,784号、第7,217,797号、及び第8,088,376号;米国公開第2002/0147311号及び第2007/0148164号;ならびにPCT公開WO1998/23289号、WO2009/058492号、WO2010/033279号を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
FcRnに対するFc領域の結合親和性を高めることで、Fc領域を含むタンパク質の血清半減期を延長することができる。本明細書で使用される「半減期」という用語は、分子の投与後の平均生存時間の尺度である分子の薬物動態学的特性を意味する。半減期は、例えば、血清、すなわち、循環半減期または他の組織で測定されるように、対象(例えば、ヒト患者または他の哺乳類)の体またはその特定の区画から既知の量の分子の50%を除去するのに必要な時間として表すことができる。一般に、半減期の増加は、投与された分子の循環における平均滞留時間(MRT)の増加をもたらす。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、238、250、252、254、256、257、256、265、272、286、288、303、305、307、308、309、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、428、433、434、435、及び436からなる群から選択される1つ以上の位置において半減期アミノ酸置換を含み、ここで、アミノ酸位置は、EUインデックスに従って番号付けられる。いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、位置251~257、285~290、308~314、385~389、及び428~436においてアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、アミノ酸位置はEUインデックスに従って番号付けられる。いくつかの態様において、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、Kabat位置252のTyr、Phe、Trp、またはThrによるアミノ酸の置換、Kabat位置254のThrによるアミノ酸の置換、Kabat位置256のSer、Arg、Gln、Glu、Asp、またはThrによるアミノ酸の置換、Kabat位置257のLeuによるアミノ酸の置換、Kabat位置309のProによるアミノ酸の置換、Kabat位置311のSerによるアミノ酸の置換、Kabat位置428のThr、Leu、Phe、またはSerによるアミノ酸の置換、Kabat位置433のArg、Ser、Iso、Pro、またはGlnによるアミノ酸の置換、あるいはKabat位置434のTrp、Met、Ser、His、Phe、またはTyrによるアミノ酸の置換のうちの1つ以上の置換を含む。より具体的には、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、野生型ヒトIgG定常ドメインと比較して、Kabat位置252のTyrによるアミノ酸の置換、Kabat位置254のThrによるアミノ酸の置換、及びKabat位置256のGluによるアミノ酸の置換を含むアミノ酸置換を含むことができる。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、T250Q、M252Y、S254T、T256E、K288D、T307Q、V308P、A378V、M428L、N434A、N434S、N434H、N434Y、H435K、及びY436Iから選択される少なくとも1つの置換を含み、ここで、番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスの番号付けである。いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、(a)M252Y、S254T及びT256E;(b)M252Y及びS254T;(c)M252Y及びT256E;(d)T250Q及びM428L;(e)T307Q及びN434A;(f)A378V及びN434A;(g)N434A及びY436I;(h)V308P及びN434A;ならびに(i)K288D及びH435Kから選択される置換を含む。
いくつかの態様では、抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントは、置換M252Y、S254T及びT256Eのうちのいずれか1つ、2つまたは3つを含む変異体IgG Fc領域を含む。本開示はさらに、(a)エフェクター機能及び/またはFcγRを変化させる1つ以上の変異、ならびに(b)血清半減期を延長する1つ以上の変異を含む変異体Fc領域を有する抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)における抗FRα抗体または抗原結合フラグメントを提供する。
Figure 2024522544000024
いくつかの態様において、抗FRα活性剤は、抗FRα抗体または抗原結合フラグメント及び細胞傷害性剤を含む。細胞傷害性剤は、抗FRα抗体または抗原結合フラグメントに直接的に結合またはコンジュゲートすることができ、あるいは「免疫複合体」、「コンジュゲート」もしくは「ADC」を生成するために当技術分野において公知の技術を用いたリンカーを介して間接的に結合またはコンジュゲートすることができる。適切な細胞傷害性剤は、細胞の死をもたらすか、細胞死を誘導するか、または何らかの方法で細胞生存率を低下させる任意の化合物であってもよく、例えば、メイタンシノイド及びメイタンシノイド類似体を含む。
A.例示的な免疫複合体
本明細書で提供されるように、抗FRα免疫複合体は、メイタンシノイドに連結された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたメイタンシノイドを含むことができ、ここで、メイタンシノイドは、DM4であり、及び/またはメイタンシノイドは、スルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、例えば国際公開第2015/054400号に開示されるように、6mg/kgの調整された理想体重(AIBW)または5mg/kgのAIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号13、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたメイタンシノイドを含むことができ、ここで、メイタンシノイドは、DM4であり、及び/またはメイタンシノイドは、スルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、6mg/kg AIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号10、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたメイタンシノイドを含むことができ、ここで、メイタンシノイドは、DM4であり、及び/またはメイタンシノイドは、スルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、6mg/kg AIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号13、11、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたメイタンシノイドを含むことができ、ここで、メイタンシノイドは、DM4であり、及び/またはメイタンシノイドは、スルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、6mg/kg AIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたCDR配列及びDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH;及び(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたメイタンシノイドを含むことができ、ここで、メイタンシノイドは、DM4であり、及び/またはメイタンシノイドは、スルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたVH及びVL配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、6mg/kg AIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたVH及びVL配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたVH及びVL配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖(HC);及び(b)配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたメイタンシノイドを含むことができ、ここで、メイタンシノイドは、DM4であり、及び/またはメイタンシノイドは、スルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたHC及びLC配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、6mg/kg AIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたHC及びLC配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたHC及びLC配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)PTA-10772としてAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたプラスミドによってコードされる重鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び(b)PTA-10774としてATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含み得、ここで、メイタンシノイドはDM4であり、及び/またはメイタンシノイドはスルホ-SPDBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されている。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。列挙されたHC及びLC配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、6mg/kg AIBWの用量で投与され得る。いくつかの態様において、列挙されたHC及びLC配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様において、列挙されたHC及びLC配列ならびにDM4メイタンシノイド及び/またはスルホ-SPDBリンカーを含むそのような免疫複合体は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)は、IMGN853であってもよい。IMGN853は、6mg/kg AIBWの用量で投与することができる。いくつかの態様では、IMGN853は、3週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。いくつかの態様では、IMGN853は、4週間ごとに6mg/kg AIBWの用量で投与される。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号5、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号13、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号2、6、及び4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10、14、及び12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び(d)配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)配列番号60のアミノ酸配列を含むscFv、(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び(c)配列番号56のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα免疫複合体は、(a)PTA-125915としてAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたプラスミドによってコードされるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)PTA-125915としてATCCに寄託されたプラスミドによってコードされるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び(c)PTA-10774としてATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されているメイタンシノイドを含むことができる。メイタンシノイドは、例えば、DM21であり得る。メイタンシノイドは、GMBSまたはスルホ-GMBSリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10個、2~5個、または3~4個のメイタンシノイドを含み得る。
抗FRα活性剤(例えば、抗FRα免疫複合体)は、IMGN151であってもよい。
第1の特定の態様(A1)では、本明細書で提供される免疫複合体は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント上に位置する1つ以上のリジン残基のε-アミノ基を介してメイタンシノイド化合物に共有結合されている、本明細書に記載の抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの態様では、免疫複合体は、式(I)
Figure 2024522544000025
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
CBは、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント)であり、
は、以下の式:
Figure 2024522544000026
のうちの1つで表され、
式中、
、R、Rx’及びRy’は、それぞれ独立して、H、-OH、ハロゲン、-O-(C1-4アルキル)、-SOH、-NR404142 、または-OH、ハロゲン、SOH、もしくはNR404142 で置換されていてもよいC1-4アルキルであり、ここで、R40、R41、及びR42はそれぞれ独立してHまたはC1-4アルキルを表し、
l及びkは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
l1は、2~5の整数であり、
k1は、1~5の整数であり、かつ
s1は細胞結合剤CBに結合する部位を示し、s3はA基に結合する部位を示し、
Aは、アミノ酸残基、または2~20個のアミノ酸残基を含むペプチドであり、
及びRは、それぞれ独立して、H、またはC1-3アルキルであり、
は、以下の式で表され、
-CR-(CH1-8-C(=O)-
式中、R及びRは、それぞれ独立して、HまたはMeであり、L中の-C(=O)-部分は、Dに接続されており、
Dは、以下の式で表され、
Figure 2024522544000027
及び
qは、1~20の整数である。いくつかの態様では、qは、1~10の整数である。いくつかの態様において、qは2~5の整数である。いくつかの態様において、qは3~4の整数である。
第1の特定の態様(A1-1)の第1の特定の態様では、本明細書で提供される免疫複合体は、上記の式(I)で表され、式中、R、R、Rx’及びRy’はすべてHであり、l及びkはそれぞれ独立して、2~6の整数であり、残りの変数は、式(I)について上で説明した通りである。
第1の特定の態様(A1-2)の第2の特定の態様では、本明細書で提供される免疫複合体は、上記の式(I)で表され、式中、Aは、2~5個のアミノ酸残基を含むペプチドであり、残りの変数は、第1の特定の態様(A1)の式(I)または第1の特定の態様(A1-1)の第1の特定の態様について上で説明した通りである。いくつかの態様では、Aはプロテアーゼによって切断可能なペプチドである。いくつかの態様において、ペプチドは、腫瘍組織内に発現されたプロテアーゼによって切断可能である。いくつかの態様において、Aは、それぞれ独立してLまたはD異性体として存在する、Ala、Arg、Asn、Asp、Cit、Cys、selino-Cys、Gln、Glu、Gly、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValからなる群から選択される-NH-CR-S-L-Dに共有結合したアミノ酸を有するペプチドである。いくつかの態様では、-NH-CR-S-L-Dに接続されたアミノ酸は、Lアミノ酸である。
第1の特定の態様(A1-3)の第3の特定の態様では、本明細書で提供される免疫複合体は、上記の式(I)で表され、ここで、Aは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、D-Val-Ala、Val-Cit、D-Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Ala、Phe-N9-トシル-Arg、Phe-N9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Ala-Ala、D-Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala-D-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号78)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号79)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号63)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、Gln-Ala、D-Ala-Pro、及びD-Ala-tBu-Glyからなる群から選択され、ここで、各ペプチドの最初のアミノ酸がL基に接続され、各ペプチドの最後のアミノ酸が-NH-CR-S-L-Dに接続され、残りの変数は、第1の特定の態様(A1)の式(I)または第1の特定の態様(A1-1)の第1の特定の態様について記載した通りである。
第1の特定の態様(A1-4)の第4の特定の態様では、本明細書で提供される免疫複合体は、上記の式(I)で表され、式中、R及びRは、両方ともHであり、残りの変数は、第1の特定の態様(A1)の式(I)、第1の特定の態様(A1-1)の第1の特定の態様、第1の特定の態様(A1-2)の第2の態様、または第1の特定の態様(A1-3)の第3の特定の態様について記載した通りである。
第1の特定の態様(A1-5)の第5の特定の態様では、本明細書で提供される免疫複合体は、上記の式(I)で表され、式中、Lは、-(CH4-6-C(=O)-であり、残りの変数は、第1の特定の態様(A1)の式(I)、第1の特定の態様(A1-1)の第1の特定の態様、第1の特定の態様(A1-2)の第2の態様、第1の特定の態様(A1-3)の第3の特定の態様、または第1の特定の態様(A1-4)の第4の特定の態様について記載した通りである。
第1の特定の態様(A1-6)の第6の特定の態様では、本明細書で提供される免疫複合体は、上記の式(I)で表され、式中、Dは、以下の式で表され、
Figure 2024522544000028
残りの変数は、第1の特定の態様(A1)の式(I)、第1の特定の態様(A1-1)の第1の特定の態様、第1の特定の態様(A1-2)の第2の態様、第1の特定の態様(A1-3)の第3の特定の態様、第1の特定の態様(A1-4)の第4の特定の態様、または第1の特定の態様(A1-5)の第5の特定の態様について記載した通りである。
第7の特定の態様(A7)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000029
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Figure 2024522544000030
は、Lysアミン基を介してL基に接続された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント)であり、
Figure 2024522544000031
は、Cysチオール基を介してL基に接続された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント)であり、
及びRは、それぞれ独立して、HまたはMeであり、
m1、m3、n1、r1、s1及びt1は、それぞれ独立して、1~6の整数であり、
m2、n2、r2、s2及びt2は、それぞれ独立して、1~7の整数であり、
t3は、1~12の整数であり;
は、以下の式で表され、
Figure 2024522544000032
及び
qは、1~20の整数である。いくつかの態様では、qは、1~10の整数である。いくつかの態様において、qは2~5の整数である。いくつかの態様においては、qは3~4の整数である。いくつかの態様においては、Dは、以下の式で表される:
Figure 2024522544000033
第8の特定の態様(A8)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000034
で表され、
式中、
m1及びm3は、それぞれ独立して、2~4の整数であり;
m2は、2~5の整数であり、
r1は、2~6の整数であり、
r2は、2~5の整数であり、かつ
残りの変数は、第7の特定の態様(A7)で説明した通りである。
第9の特定の態様(A9)では、第7または第8の特定の態様(A7またはA8)に記載される免疫複合体について、Aは、Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala、D-Ala-Ala、Val-Ala、D-Val-Ala、D-Ala-Pro、またはD-Ala-tBu-Glyである。いくつかの態様において、第7または第8の特定の態様(A7またはA8)に記載される免疫複合体について、Aは、L-Ala-D-Ala-L-Alaである。
第10の特定の態様(A10)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000035
Figure 2024522544000036
Figure 2024522544000037
Figure 2024522544000038
Figure 2024522544000039
Figure 2024522544000040
Figure 2024522544000041
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Aは、Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala、D-Ala-Ala、Val-Ala、D-Val-Ala、D-Ala-Pro、またはD-Ala-tBu-Glyであり、かつ
は、以下の式で表され、
Figure 2024522544000042
残りの変数は、第7の特定の態様、第8の特定の態様、または第9の特定の態様(A7、A8、またはA9)で説明した通りである。いくつかの態様では、Aは、L-Ala-D-Ala-L-Alaである。いくつかの態様では、Dは以下の式で表される:
Figure 2024522544000043
第11の特定の態様(A11)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000044
Figure 2024522544000045
で表され、
式中、Dは、以下の式で表される
Figure 2024522544000046
いくつかの態様では、Dは以下の式で表される:
Figure 2024522544000047
第12の特定の態様(A12)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000048
で表され、
式中、
CBAは、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり、ここで、前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含み、
qが、1または2であり、
は、以下の式で表される。
Figure 2024522544000049
いくつかの態様では、式(I-4)または(I-6)の免疫複合体について、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含む。
第13の特定の態様(A13)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000050
で表され、
式中、
CBAは、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり、ここで、前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;(b)それぞれ配列番号7~9のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(c)それぞれ配列番号10~12のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(d)それぞれ配列番号15~17のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含み、
qは、1~10の整数、例えば、1または10であり、かつ
は、以下の式で表される
Figure 2024522544000051
いくつかの態様では、式(I-2)の免疫複合体について、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの態様において、式(I-2)の免疫複合体について、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
第14の態様(A14)では、本明細書で提供される免疫複合体は、以下の構造式で表されるメイタンシノイド化合物DM21C(Mal-LDL-DMまたはMalC5-LDL-DMまたは化合物17aとも呼ばれる)に結合されたバイパラトープ抗FRα抗体を含み、
Figure 2024522544000052
式中、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含み、Dは、下記の式で表される。
Figure 2024522544000053
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の構造式で表され、
Figure 2024522544000054
式中、
CBAは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり、
qは1または2である。
いくつかの態様では、第14の特定の態様(A14)の免疫複合体を含む組成物(例えば、医薬組成物)について、DARは、1.5~2.2、1.7~2.2、または1.9~2.1の範囲にある。いくつかの態様では、DARは、1.7、1.8、1.9、2.0または2.1である。
第15の特定の態様(A15)では、本明細書で提供される免疫複合体は、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)またはN-(γ-マレイミドブトリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBSまたはsGMBS)リンカーを介して、以下の構造式:
Figure 2024522544000055
で表されるメイタンシノイド化合物DM21(DM21L、LDL-DM、DM21L-G、または化合物14cとも呼ばれる)に結合されたバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含む。
GMBS及びスルホ-GMBS(またはsGMBS)リンカーは当技術分野で知られており、以下の構造式で表すことができる。
Figure 2024522544000056
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の構造式で表され、
Figure 2024522544000057
式中、
CBAは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、配列番号44のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含むバイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり、
qは、1~10の整数、例えば、1または10である。いくつかの態様において、qは2~5の整数である。いくつかの態様において、qは3~4の整数である。
いくつかの態様において、第15の特定の態様(A15)の免疫複合体について、バイパラトープ抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
いくつかの態様では、第15の特定の態様(A15)の免疫複合体を含む組成物(例えば、医薬組成物)について、DARは、3.0~4.0、3.2~3.8、3.1~3.7、または3.4~3.7の範囲にある。いくつかの態様では、DARは、3.2、3.3、3.4、3.5、3.5、3.7、または3.8である。いくつかの態様では、DARは3.5である。
いくつかの態様では、リジンコンジュゲートを含む組成物について、DARは、1.5~3.1の範囲である。いくつかの態様では、DARは約2.0である。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号80または83、81または84、及び82または85のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号86または89、87または90、及び88のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたエリブリンメシル酸塩を含むことができる。エリブリンメシル酸塩は、カテプシンBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10、2~5、または4つのエリブリンメシル酸塩を含むことができる。
抗FRα免疫複合体は、配列番号99のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号101のアミノ酸配列を含むVLを含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたエリブリンメシル酸塩を含むことができる。エリブリンメシル酸塩は、カテプシンBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10、2~5、または4つのエリブリンメシル酸塩を含むことができる。
抗FRα免疫複合体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号104のアミノ酸配列を含むVLを含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結されたエリブリンメシル酸塩を含むことができる。エリブリンメシル酸塩は、カテプシンBリンカーを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに結合し得る。免疫複合体は、1~10、2~5、または4つのエリブリンメシル酸塩を含むことができる。
いくつかの態様では、抗FRα免疫複合体は、MORAb-202である。MORAb-202は、カテプシンB切断可能なリンカーを介してエリブリンメシル酸塩にコンジュゲートしたファーレツズマブ(MORAb-003)を含有する抗体薬剤コンジュゲートである。MORAb-202。MORAb-202は、米国公開出願第2020/0297860号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
抗FRα免疫複合体は、(a)それぞれ配列番号91または94、92または95、及び93のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号96~98のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結された3-アミノフェニルヘミアステリン(SC209)を含むことができる。抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、KabatまたはKabatのEU番号付けスキームに従うHC-F404、HC-Y180、及びLC-K42からなる群から選択される部位において1以上の非天然アミノ酸を含む抗体を含むことができる。免疫複合体は、SC239リンカー-細胞毒素を含み得る。免疫複合体は、1~10、2~5、または4つのSC239を含むことができる。
抗FRα免疫複合体は、配列番号100のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLを含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに連結された3-アミノフェニルヘミアステリン(SC209)を含むことができる。抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントは、KabatまたはKabatのEU番号付けスキームに従うHC-F404、HC-Y180、及びLC-K42からなる群から選択される部位において1以上の非天然アミノ酸を含む抗体を含むことができる。免疫複合体は、SC239リンカー-細胞毒素を含み得る。免疫複合体は、1~10、2~5、または4つのSC239を含むことができる。
いくつかの態様では、抗FRα免疫複合体は、STRO-002である。STRO-002は、切断可能な薬剤リンカー(SC239)にコンジュゲートした抗FolRaヒトIgG1抗体(SP8166)を含有する。STRO-002は、米国公開出願第2019/0083641号に開示されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、第1の態様(A1)、または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、もしくは第15の特定の態様(A1-1、A1-2、A1-3、A1-4、A1-5、A1-6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、もしくはA15)の免疫複合体を含む組成物(例えば、医薬組成物)については、組成物中の薬剤対抗体比(DAR)としても知られる、抗体分子当たりの細胞毒性薬剤の平均数(すなわち、qの平均値)は、1.0~8.0の範囲内である。いくつかの態様においては、DARは、1.0~5.0、1.0~4.0、1.5~4.0、2.0~4.0、2.5~4.0、1.0~3.4、1.0~3.0、3.0~4.0、3.1~3.5、3.1~3.7、3.4~3.6、1.5~2.5、2.0~2.5、1.7~2.3、または1.8~2.2の範囲にある。いくつかの態様では、DARは、4.0未満、3.8未満、3.6未満、3.5未満、3.0未満、または2.5未満である。いくつかの態様では、DARは、3.1~3.7の範囲である。いくつかの態様では、DARは、3.1~3.4の範囲である。いくつかの態様では、DARは、3.3~3.7の範囲である。いくつかの態様では、DARは、3.5~3.9の範囲である。いくつかの態様では、DARは、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、または3.8である。いくつかの態様では、DARは3.5である。いくつかの態様では、DARは、1.8~2.0の範囲である。いくつかの態様では、DARは、1.7~1.9の範囲である。いくつかの態様では、DARは、1.9~2.1の範囲である。いくつかの態様では、DARは、1.9、2.0または2.1である。いくつかの態様において、1つ以上のシステインチオール基を介してメイタンシノイド化合物に連結された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む免疫複合体について、DARは、1.5~2.5、1.8~2.2、1.1~1.9、または1.9~2.1の範囲である。いくつかの態様では、DARは、1.8、1.9、2.0または2.1である。
B.リンカー
当技術分野で知られている任意の適切なリンカーを、免疫複合体の調製に使用することができる。いくつかの態様において、リンカーは二官能性リンカーである。本明細書で使用する場合、「二官能性リンカー」という用語は、2つの反応性基を有し、一方は細胞結合剤と反応することができ、他方はメイタンシノイド化合物と反応して2つの部分を互いに結合することができる修飾剤を指す。このような二官能性架橋剤は、当該技術分野ではよく知られている(例えば、Isalm and Dent in Bioconjugation chapter 5,p218-363,Groves Dictionaries Inc.New York,1999を参照)。例えば、チオエーテル結合を介した結合を可能にする二官能性架橋剤は、マレイミド基を導入するためのN-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、またはヨードアセチル基を導入するためのN-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB)を含む。細胞結合剤にマレイミド基またはハロアセチル基を導入するその他の二官能性架橋剤は、当該技術分野で周知であり(米国特許公開第2008/0050310号、第20050169933号、Pierce Biotechnology Inc.P.O.Box 117,Rockland,IL 61105,USAから入手可能)、これらに限定されないが、ビス-マレイミドポリエチレングリコール(BMPEO)、BM(PEO)、BM(PEO)、N-(β-マレイミドプロピルオキシ)スクシンイミドエステル(BMPS)、γ-マレイミド酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、5-マレイミド吉草酸NHS、HBVS、N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート)(SMCC(LC-SMCC)の「長鎖」類似体)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、4-(4-N-マレイミドフェニルヒドラジド)-酪酸ヒドラジドまたはHCl塩(MPBH)、N-スクシンイミジル-3-(ブロモアセトアミド)プロピオネート(SBAP)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、κ-マレイミドウンデカン酸N-スクシンイミジルエステル(KMUA)、N-スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)-ブチレート(SMPB)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオナミド)ヘキサノエート(SMPH)、スクシンイミジル-(4-ビニルスルホニル)ベンゾエート(SVSB)、ジチオビス-マレイミドエタン(DTME)、1,4-ビス-マレイミドブタン(BMB)、1,4-ビスマレイミジル-2,3-ジヒドロキシブタン(BMDB)、ビス-マレイミドヘキサン(BMH)、ビス-マレイミドエタン(BMOE)、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)、スルホスクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(スルホ-SIAB)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MBS)、N-(γ-マレイミドブトリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBSまたはsGMBS)、N-(ε-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-EMCS)、N-(κ-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-KMUS)、及びスルホスクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(スルホ-SMPB)を含む。
ヘテロ二官能性架橋剤は、2つの異なる反応性基を有する二官能性架橋剤である。アミン反応性N-ヒドロキシスクシンイミド基(NHS基)及びカルボニル反応性ヒドラジン基の両方を含むヘテロ二官能性架橋剤は、本明細書に記載の細胞傷害性化合物を抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントと結合させるために使用することもできる。このような市販のヘテロ二官能性架橋剤の例としては、スクシンイミジル6-ヒドラジノニコチンアミドアセトンヒドラゾン(SANH)、スクシンイミジル4-ヒドラジドテレフタレート塩酸塩(SHTH)、及びスクシンイミジルヒドラジニウムニコチン酸塩酸塩(SHNH)が挙げられる。酸に不安定な結合を有するコンジュゲートは、本開示のヒドラジン含有ベンゾジアゼピン誘導体を使用して調製することもできる。使用可能な二官能性架橋剤の例としては、スクシンイミジル-p-ホルミルベンゾエート(SFB)及びスクシンイミジル-p-ホルミルフェノキシアセテート(SFPA)が挙げられる。
ジスルフィド結合を介して細胞結合剤と細胞傷害性化合物との結合を可能にする二官能性架橋剤は、当技術分野において公知であり、ジチオピリジル基を導入するためのN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)2-スルホブタノエート(スルホ-SPDBまたはsSPDB)を含む。ジスルフィド基を導入するために使用できるその他の二官能性架橋剤は、当該技術分野で公知であり、米国特許第6,913,748号、同第6,716,821号、ならびに米国特許公開第2009/0274713号及び同第2010/0129314号に開示されており、それぞれ、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。あるいは、チオール基を導入する2-イミノチオラン、ホモシステインチオラクトンまたはS-アセチルコハク酸無水物などの架橋剤を使用することもできる。
いくつかの態様において、リンカーはカテプシン-Bリンカーである。
C.細胞傷害性剤
免疫複合体における細胞傷害性剤は、細胞の死をもたらすか、細胞死を誘導するか、または何らかの方法で細胞生存率を低下させる任意の化合物であってもよく(例えば、チューブリン作用剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤)、例えば、メイタンシノイド及びメイタンシノイド類似体、ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、カンプトテシン、タキソイド、CC-1065及びCC-1065類似体、デュオカルマイシン及びデュオカルマイシン類似体、カリケアマイシンなどのエンジイン、ドラスタチン及びオーリスタチンを含むドラスタチン類似体、トマイマイシン誘導体、レプトマイシン誘導体、メトトレキサート、シスプラチン、カルボプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、クロランブシル及びモルホリノドキソルビシンを含む。いくつかの態様では、細胞傷害性剤は、メイタンシノイド及びメイタンシノイド類似体である。
適切なメイタンシノイドの例としては、メイタンシノール及びメイタンシノール類似体のエステルが挙げられる。マイタンシノール及びメイタンシノール類似体と同様に、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に対して毒性が高い任意の薬剤が含まれる。
例示的な細胞傷害性剤は、WO2018/160539号及びWO2011/106528号に以前に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で提供される免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000058
で表されるメイタンシノイド化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み得、式中、
は、以下の構造式:
Figure 2024522544000059
で表され、
式中、
、R、Rx’及びRy’は、それぞれ独立して、H、-OH、ハロゲン、-O-(C1-4アルキル)、-SOH、-NR404142 、または-OH、ハロゲン、-SOH、もしくはNR404142 で置換されていてもよいC1-4アルキルであり、ここで、R40、R41、及びR42はそれぞれ独立してHまたはC1-4アルキルを表し、
l及びkは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
CB は、-C(=O)OHまたは-COEであり、ここで、-COEは反応性エステルであり、
Aは、アミノ酸、または2~20個のアミノ酸を含むペプチドであり、
及びRは、それぞれ独立して、H、またはC1-3アルキルであり、
は、以下の式で表され、
-CR-(CH1-8-C(=O)-
式中、R及びRは、それぞれ独立して、HまたはMeであり、L中の-C(=O)-部分は、Dに接続されており、
Dは、以下の式で表され、
Figure 2024522544000060
かつ
qは、1~20の整数である。いくつかの態様では、qは、1~10の整数である。いくつかの態様において、qは2~5の整数である。いくつかの態様において、qは3~4の整数である。
いくつかの態様では、メイタンシノイドは、以下の式:
Figure 2024522544000061
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
A’は、アミノ酸、または2~20個のアミノ酸を含むペプチド(すなわち、A-NH)であり、
及びRは、それぞれ独立して、H、またはC1-3アルキルであり、
は、-CR-(CH1-8-C(=O)-であり、R及びRはそれぞれ独立してHまたはMeであり、
Dは、以下の式で表され、
Figure 2024522544000062
かつ
qは、1~20の整数である。いくつかの態様では、qは、1~10の整数である。いくつかの態様において、qは2~5の整数である。いくつかの態様において、qは3~4の整数である。
いくつかの態様では、メイタンシノイドは、以下の式:
Figure 2024522544000063
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
x’及びRy’は、それぞれ独立して、H、-OH、ハロゲン、-O-(C1-4アルキル)、-SOH、-NR404142 、または-OH、ハロゲン、SOH、もしくはNR404142 で置換されていてもよいC1-4アルキルであり、ここで、R40、R41、及びR42はそれぞれ独立してHまたはC1-4アルキルを表し、
kは、1~10の整数であり、
Aは、アミノ酸残基、または2~20個のアミノ酸残基を含むペプチドであり、
及びRは、それぞれ独立して、H、またはC1-3アルキルであり、
は、-CR-(CH1-8-C(=O)-であり、R及びRはそれぞれ独立してHまたはMeであり、
Dは、以下の式で表され、
Figure 2024522544000064
かつ
qは、1~20の整数である。いくつかの態様では、qは、1~10の整数である。いくつかの態様において、qは2~5の整数である。いくつかの態様において、qは3~4の整数である。
いくつかの態様では、式(II)、(III)または(IV)のメイタンシノイド化合物について、変数は、第1の態様(A1)、または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、もしくは第15の特定の態様(A1-1、A1-2、A1-3、A1-4、A1-5、A1-6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、またはA15)に記載の通りである。
いくつかの態様では、メイタンシノイド化合物は、以下の式:
Figure 2024522544000065
で表される。
適切なメイタンシノールエステルの追加の例としては、修飾された芳香環を有するもの、及び他の位置に修飾を有するものが挙げられる。このような適切なメイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号、第4,256,746号、第4,294,757号、第4,307,016号、第4,313,946号、第4,315,929号、第4,331,598号、第4,361,650号、第4,362,663号、第4,364,866号、第4,450,254号、第4,322,348号、第4,371,533号、第5,208,020号、第5,416,064号、第5,475,092号、第5,585,499号、第5,846,545号、第6,333,410号、第7,276,497号、及び第7,473,796号に記載されている。さらに、そのような抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを製造するためのいくつかの説明は、米国特許第6,333,410号、同第6,441,163号、同第6,716,821号、及び同第7,368,565号に提供されており、これらの文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に援用される。
いくつかの態様では、免疫複合体は、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM3と呼ばれる)、N2’-デアセチル-N2’-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)メイタンシン(DM4)を含み、両方ともPCT出願公開WO2011/106528A1号及び米国特許第8,557,966B2号に以前に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、免疫複合体は、3-アミノフェニルヘミアスタリン(SC209)を含む。
いくつかの態様では、免疫複合体は、エリブリンメシル酸塩を含む。
D.薬剤コンジュゲーション
本明細書に記載の細胞傷害性剤(例えば、メイタンシノイド)に共有結合した抗FRα結合抗体またはその抗原結合フラグメントを含む免疫複合体は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って調製することができる。
いくつかの態様では、第1の態様(A1)の免疫複合体は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを、式(II)のメイタンシノイド化合物と反応させるステップを含む第1の方法によって調製することができる。
いくつかの態様では、第1の態様(A1)の免疫複合体は、
(a)式(III)または(IV)のメイタンシノイド化合物を本明細書に記載のリンカー化合物と反応させて、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントに共有結合し得るアミン反応性基またはチオール反応性基が結合した細胞傷害性剤-メイタンシノイド化合物(例えば、式(II)の化合物)を形成するステップ、及び
(b)抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントをメイタンシノイドリンカー化合物と反応させて免疫複合体を形成するステップを含む第2の方法によって調製することができる。
いくつかの態様では、第1の態様(A1)の免疫複合体は、
(a)抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを本明細書に記載されるリンカー化合物と反応させて、式(III)または(IV)のメイタンシノイド化合物に共有結合し得るアミン反応性基またはチオール反応性基が結合した修飾された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを形成するステップ、及び
(b)修飾された抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを式(III)または(IV)のメイタンシノイド化合物と反応させて免疫複合体を形成するステップを含む第3の方法によって調製することができる。
いくつかの態様において、上記の第2、第3、または第4の方法について、リンカー化合物は、式(a1L)~(a10L):
Figure 2024522544000066
のいずれか1つで表され、
式中、Xは、ハロゲン、J-SH、または-SSRであり、Rは、フェニル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、カルボキシニトロフェニル、ピリジル、またはニトロピリジルであり、Rは、アルキルであり、Uは、-HまたはSOHまたはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの態様において、リンカー化合物は、式(a9L)で表されるGMBSまたはスルホ-GMBS(またはsGMBS)であり、式中、Uは、-HまたはSOHまたはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000067
で表され、免疫複合体は、上記の第2、第3、または第4の方法によって調製され、ここで、リンカー化合物は、式(a9L)で表されるGMBSまたはスルホ-GMBSであり、式中、Uは、-HまたはSOHまたはその薬学的に許容される塩であり、メイタンシノイド化合物は、上記式(D-1)で表される。いくつかの態様では、式(I-1)の免疫複合体は、式(D-1)のメイタンシノイド化合物をリンカー化合物GMBSまたはスルホ-GMBSと反応させてメイタンシノイドリンカー化合物を形成し、次いで、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントをメイタンシノイドリンカー化合物と反応させることによって調製される。いくつかの態様では、メイタンシノイドリンカー化合物は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントと反応する前に精製されない。
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000068
で表され、免疫複合体は、上記の第2、第3、または第4の方法によって調製されることができ、ここで、リンカー化合物は、式(a9L)で表されるGMBSまたはスルホ-GMBSであり、式中、Uは、-HまたはSOHまたはその薬学的に許容される塩であり、メイタンシノイド化合物は、上記式(D-2)で表される。いくつかの態様では、式(I-2)の免疫複合体は、式(D-2)のメイタンシノイド化合物をリンカー化合物GMBSまたはスルホ-GMBSと反応させてメイタンシノイドリンカー化合物を形成し、次いで、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントをメイタンシノイドリンカー化合物と反応させることによって調製される。いくつかの態様では、メイタンシノイドリンカー化合物は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントと反応する前に精製されない。いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000069
で表され、免疫複合体は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを上記の式(D-3)のメイタンシノイド化合物と反応させることにより、上記の第1の方法に従って調製される。
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000070
で表され、免疫複合体は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを上記の式(D-4)のメイタンシノイド化合物と反応させることにより、上記の第1の方法に従って調製される。
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000071
で表され、免疫複合体は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを上記の式(D-5)のメイタンシノイド化合物と反応させることにより、上記の第1の方法に従って調製される。
いくつかの態様では、免疫複合体は、以下の式:
Figure 2024522544000072
で表され、免疫複合体は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを上記の式(D-6)のメイタンシノイド化合物と反応させることにより、上記の第1の方法に従って調製される。
いくつかの態様では、上記で開示された式I-3~I-6によって表される免疫複合体は、2019年3月21日に出願された米国仮出願第62/821,707号及び関連する米国特許出願第16/825,127号に記載されている方法に従って調製される。
いくつかの態様では、上記のいずれかの方法によって調製された免疫複合体は、精製ステップに供される。この点に関して、免疫複合体は、接線流ろ過(TFF)、非吸着クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、吸着ろ過、選択的沈殿、または任意の他の適切な精製プロセス、ならびにそれらの組み合わせを使用して、混合物の他の成分から精製することができる。
いくつかの態様では、免疫複合体は、単一の精製ステップ(例えば、TFF)を用いて精製される。いくつかの態様では、複合体は、単一の精製ステップ(例えば、TFF)を用いて精製され、適切な製剤に交換される。いくつかの態様では、免疫複合体は、2つの連続した精製ステップを用いて精製される。例えば、免疫複合体は、最初に選択的沈殿、吸着ろ過、吸着クロマトグラフィーまたは非吸着クロマトグラフィーによって精製され、次いでTFFで精製され得る。当業者は、免疫複合体を精製することにより、細胞傷害性剤に化学的に結合された細胞結合剤を含む安定なコンジュゲートの単離が可能になることを理解するであろう。
精製には、ペリコン型システム(Millipore,Bilerica,Mass.)、サルトコンカセット型システム(Sartorius AG,Edgewood,N.Y.)、及びセントラセット型システム(Pall Corp.,East Hills,N.Y.)など、任意の適切なTFFシステムを利用できる。
任意の適切な吸着クロマトグラフィー樹脂を精製に利用することができる。吸着クロマトグラフィー樹脂としては、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、イオン交換クロマトグラフィー、混合モードイオン交換クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)、色素リガンドクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。適切なヒドロキシアパタイト樹脂の例としては、セラミックヒドロキシアパタイト(CHTタイプI及びタイプII、Bio-Rad Laboratories,Hercules,Calif.)、HAウルトロゲルヒドロキシアパタイト(Pall Corp.,East Hills,N.Y.)、及びセラミックフルオロアパタイト(CFTタイプI及びタイプII、Bio-Rad Laboratories,Hercules,Calif.)が挙げられる。適切なHCIC樹脂の一例は、MEP Hypercel樹脂(Pall Corp.,East Hills,N.Y.)である。適切なHIC樹脂の例としては、ブチル-セファロース、ヘキシル-セファロース、フェニル-セファロース、及びオクチルセファロース樹脂(すべてGE Healthcare,Piscataway,N.J.)、ならびにMacro-prepメチル樹脂及びMacro-Prep t-ブチル樹脂(Biorad Laboratories,Hercules,Calif)が挙げられる。適切なイオン交換樹脂の例としては、SP-セファロース、CM-セファロース、及びQ-セファロース樹脂(すべてGE Healthcare,Piscataway,N.J.)、ならびにUnosphere S樹脂(Bio-Rad Laboratories,Hercules,Calif.)が挙げられる。適切な混合モードイオン交換体の例としては、Bakerbond ABx樹脂(JT Baker,Phillipsburg N.J.)が挙げられる。適切なIMAC樹脂の例としては、キレート化セファロース樹脂(GE Healthcare, Piscataway,N.J.)及びProfinity IMAC樹脂(Bio-Rad Laboratories,Hercules,Calif.)が挙げられる。適切な色素リガンド樹脂の例としては、青色セファロース樹脂(GE Healthcare,Piscataway,N.J.)及びアフィゲル青色樹脂(Bio-Rad Laboratories,Hercules,Calif.)が挙げられる。適切なアフィニティー樹脂の例としては、プロテインAセファロース樹脂(例えば、MabSelect、GE Healthcare、Piscataway、N.J.)(ここで、細胞結合剤は抗体である)及びレクチンアフィニティー樹脂(例えば、レンチルレクチンセファロース樹脂(GE Healthcare、Piscataway、N.J.))(ここで、細胞結合剤は適切なレクチン結合部位を有している)が挙げられる。あるいは、細胞結合剤に特異的な抗体を使用することができる。このような抗体は、例えば、セファロース4高速流動樹脂(GE Healthcare,Piscataway,N.J.)に固定化することができる。適切な逆相樹脂の例としては、C4、C8、及びC18樹脂(Grace Vydac,Hesperia,Calif.)が挙げられる。
任意の適切な非吸着クロマトグラフィー樹脂を精製に利用することができる。適切な非吸着クロマトグラフィー樹脂の例としては、限定されないが、SEPHADEX(商標)G-25、G-50、G-100、SEPHACRYL(商標)樹脂(例えば、S-200及びS-300)、SUPERDEX(商標)樹脂(例えば、SUPERDEX(登録商標)75及びSUPERDEX(商標)200)、BIO-GEL(登録商標)(例えば、P-6、P-10、P-30、P-60、及びP-100)、及び当業者に知られている他の樹脂が挙げられる。
VI.組成物及びキット
本明細書において、生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤において所望の純度を有する、本明細書に記載の抗FRα活性剤(例えば、免疫複合体、抗体、またはその抗原結合フラグメント)を含む組成物が提供される(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒性である。
医薬組成物は、対象への特定の投与経路のために製剤化することができる。例えば、医薬組成物は、非経口投与、例えば、静脈内投与のために製剤化することができる。インビボ投与に使用される組成物は、滅菌であり得る。これは、例えば、滅菌ろ過膜を通すろ過によって容易に達成される。
本明細書に記載の医薬組成物は、いくつかの態様では、薬剤として使用するためのものである。本明細書に記載の医薬組成物は、がんなどの状態の治療に有用であり得る。本明細書に記載のように治療できるがんの例としては、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれるが、これらに限定されない。かかるがんのより特定な例としては、卵管癌、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、小腸癌、子宮内膜または子宮癌腫、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌腫、及び様々な型の頭頸部癌が挙げられる。
本明細書において提供される医薬組成物は、抗FRα免疫複合体を含むことができ、医薬組成物(医薬組成物中の免疫複合体)は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント1つあたり平均1~20個の薬剤を有することができる。いくつかの態様では、医薬組成物は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均1~10個の薬剤を含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均2~5個の薬剤を含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均3~4個の薬剤を含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり約3.5個の薬剤を含む。
また、本明細書において、可溶性FRα及び抗FRα活性剤を検出するための試薬、または可溶性FRαもしくは高レベルの可溶性FRαが検出された場合に抗FRα活性剤を投与するための説明書を含むキットも提供される。可溶性FRαを検出するための試薬は、(a)FRαに結合する免疫捕捉試薬となり得る第1の試薬、及び(b)捕捉されたFRαをペプチドに消化し得る消化試薬を含むことができる。本明細書の他の箇所で提供されるように、免疫捕捉試薬は、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり得、例えば、FR1-9抗体またはその抗原結合フラグメント、FR1-13抗体またはその抗原結合フラグメント、FR1-9またはFR1-13抗体のCDRを含む抗体またはその抗原結合フラグメント、あるいはFR1-9またはFR1-13抗体のVH及び/またはVLを含む抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
このキットは、FRαに由来する少なくとも1つのペプチドをさらに含むことができる。このペプチドは、液体クロマトグラフィー-質量分析における標準として使用することができる。いくつかの態様では、キットは、配列番号68の配列を含むペプチドを含む。いくつかの態様では、キットは、配列番号69の配列を含むペプチドを含む。いくつかの態様では、キットは、配列番号70の配列を含むペプチドを含む。いくつかの態様では、キットは、配列番号71の配列を含むペプチドを含む。いくつかの態様では、キットは、液体クロマトグラフィー-質量分析における標準として使用することができる4つのシグネチャペプチドを含む。いくつかの態様では、4つのシグネチャペプチドは、1)配列番号68の配列を含むペプチド;2)配列番号69の配列を含むペプチド;3)配列番号70の配列を含むペプチド;及び4)配列番号71の配列を含むペプチドからなる。
このキットは、捕捉試薬用の固体支持体をさらに含むことができ、これは別個の要素として提供されていてもよく、またはこれに捕捉試薬がすでに固定化されていてもよい。したがって、キットにおける捕捉抗体またはその抗原結合フラグメントは、固体支持体上に固定化することができ、あるいはキットに含まれるか、またはキットとは別個に提供されるかかる支持体上に固定化することができる。いくつかの態様では、固体支持体は、質量分析免疫アッセイ(MSIA)マイクロカラムを含む。いくつかの態様では、固体支持体は磁気ビーズを含む。いくつかの態様において、固体支持体はストレプトアビジンで被覆されている。いくつかの態様では、免疫捕捉試薬は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して固体支持体に結合される。
VII.治療するがん
本明細書で提供されるように、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有する患者におけるがんは、抗FRα活性剤を使用して治療することができる。特定の態様において、がんは、以下に限定されるものではないが、卵管癌、がん腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病を含むがんである。かかるがんのより特定な例としては、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC))、結腸癌、結腸直腸癌、小腸癌、子宮内膜または子宮癌腫、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌腫、及び様々な型の頭頸部癌が挙げられる。
このようながんのより具体的な例としては、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣原発性腹膜癌、または卵管癌が挙げられる。いくつかの実施形態において、がんは卵巣癌である。いくつかの態様において、卵巣癌は上皮性卵巣癌(EOC)である。いくつかの態様において、卵巣癌(例えば、EOC)は、プラチナ耐性、再発性、または不応性である。いくつかの態様において、がんは腹膜癌である。いくつかの態様において、腹膜癌は、原発性腹膜癌である。いくつかの態様において、がんは子宮内膜癌である。いくつかの態様において、子宮内膜癌は漿液性子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、がんは肺癌である。いくつかの態様において、肺癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。いくつかの態様において、肺癌は、腺癌または細気管支肺胞癌である。いくつかの態様において、がんは子宮癌である。
いくつかの実施形態では、がんはプラチナ不応性である。いくつかの実施形態では、がんは原発性プラチナ不応性である。いくつかの態様において、がんはプラチナ感受性である。
いくつかの態様において、がんは、転移性がんまたは進行性がんである。
特定の態様では、IMGN151で治療するがんは、IMGN853での治療に対して耐性である。
本明細書で実証されるように、可溶性FRαレベルは、FRα標的療法に対する応答性の独立した予測因子となり得る(例えば、免疫組織化学(IHC)によって測定される膜FRαスコアに依存しない)(例えば、実施例2及び3を参照)。したがって、本明細書に提供されるいくつかの態様では、腫瘍に関してIHCスコアを得ていない。IHCによる膜FRαの検出方法は当技術分野で知られており、例えば、国際公開第2012/135675号及び国際公開第2015/031815号に開示されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
FRαは、抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントを用いてIHCによって検出することができる。IHCによるFRαの検出に有用な抗FRα抗体及びその抗原結合フラグメントは、IHC FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントと呼ぶことができる。IHC FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、上記のセクションIIに記載の2.1抗体を含む。IHC FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、2.1の6つのCDR(すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3)、あるいは2.1のVH及び/またはVLを含む抗体及びその抗原結合フラグメントを含む。
いくつかの態様では、IHC FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号30~32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;ならびに(b)それぞれ配列番号33~35のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、IHC FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)、及び/または(b)配列番号47のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、IHC FRα検出抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び/または(b)配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖(CL)を含む。
いくつかの態様では、IHCによって測定された膜FRαタンパク質は、定義されたスコアを示す対照(例えば、校正済み対照)との比較により、染色強度スコア及び/または染色均一性スコアが与えられる(例えば、強度がレベル3+校正済み対照と同等である場合には、3+の強度スコアが試験サンプルに与えられ、または、強度がレベル2+校正済み対照と同等である場合には、2+(中程度)の強度が試験サンプルに与えられる)。染色の均一性は、染色された細胞の割合に基づく。
いくつかの態様では、患者から得られた腫瘍サンプルには、パーセント染色(PS)2+染色強度を有する細胞が少なくとも75%含まれていない。いくつかの態様では、患者から得られた腫瘍サンプルには、PS2+強度を有する細胞が少なくとも50%含まれていない。いくつかの態様では、IHC染色及び強度は、投与前に決定されている。本明細書で実証されるように、そのような患者は、抗FRα活性剤(例えば、免疫複合体)で正常に治療することができる。これは、可溶性FRαが、膜FRα IHCスコアとは無関係に、そのような活性剤の有効性を予測するからである。
いくつかの態様では、患者から得られた腫瘍サンプルには、少なくとも75%の細胞がPS2+染色強度を有する。いくつかの態様では、患者から得られた腫瘍サンプルには、少なくとも50%の細胞がPS2+染色強度を有する。いくつかの態様では、IHC染色及び強度は、投与前に決定されている。
一部の態様では、対象はヒトである。
抗FRα活性剤の投与は、静脈内投与を含む非経口投与とすることができる。
状態の治療に有効な抗FRα活性剤(例えば、免疫複合体、抗体もしくはその抗原結合フラグメント)または組成物の量は、疾患の性質に依存することになる。組成物に使用されるべき正確な用量は、投与経路及び疾患の重症度にも依存することになる。
本開示の態様は、本開示の特定の抗体の詳細な調製、及び本開示の抗体を使用するための方法を詳細に記述する、下記の非限定的な例への参照により、さらに定義されることが可能である。材料及び方法の両方への、多くの修正形態が本開示の範囲から逸脱することなく実施されることが可能であることが当業者に明らかである。
本明細書に記載される実施例及び態様が例証のみを目的とするものであり、それを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び範囲内に含まれるべきであることが理解される。
実施例1.可溶性FRαレベルがFRα標的療法の有効性を予測する
可溶性FRαのレベルを、抗FRα免疫複合体IMGN853(ミルベツキシマブソラブタンシン)の投与を含む第3相臨床試験(FORWARD I)に参加した患者において検出した。この試験は、プラチナ耐性進行上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌、及び/または卵管癌を有する女性を対象に、IMGN853の安全性及び有効性を、選択された単剤化学療法(治験責任医師選択(IC))の安全性及び有効性と比較するように設計された。参加した患者はすべて、10×免疫組織化学(IHC)で決定されるようにFRα陽性腫瘍を有していた。(これらの患者のIHCスコアを、その後PS2スコアを使用して再評価した。)可溶性FRαレベルは、可溶性FRαを免疫捕捉し、可溶性FRαを消化し、消化された可溶性FRαに対して液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行うことによって測定した(米国公開出願第2020/0284810号に開示されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。患者における可溶性FRαレベルの分布を図1に示す。
患者はランダムに割り付けられ、IMGN853を6mg/kgの調整された理想体重(AIBW)で3週間に1回の投与(Q3W)、またはパクリタキセル(週に80mg/m)、ペグ化されたリポソームドキソルビシン(40mg/m、4週間に1回(Q4W))の投与、またはトポテカン(1日目、8日目、及び15日目に4mg/m(Q4W)もしくは1~5日目に1.25mg/m(Q3W))の投与のいずれかで治療された。ランダム化日から死亡日まで測定した無増悪生存期間(PFS)、RECIST 1.1による客観的応答率(ORR)、及び全体生存率(OS)を最長2年間測定した。PFS及びORRは、双方とも盲検独立レビュー委員会(BIRC)及び(INV)によって測定された。
患者を、可溶性FRαのレベルに基づいて4つの四分位数に分けた。第1の四分位数「Q1」の患者は、可溶性FRαレベルが最も低く、第4の四分位数「Q4」の患者は、可溶性FRαレベルが最も高かった。これらの四分位数のそれぞれにおけるIMGN853治療の有効性が決定された。結果を図2に示す。Q4におけるPFS期間の中央値は、BIRCによって測定されたQ1におけるPFS期間の中央値よりも2.6か月長く(5.5か月対2.9か月)、INVによって測定されたものよりも3.9か月長かった(6.9か月対3.0か月)。さらに、全体応答率は、BIRCによるQ1でのわずか12%に対し、Q4では33%であり、INVによるQ1でのわずか14%に対し、Q4では42%であった。
IMGN853及び化学療法の相対有効性も四分位のそれぞれで比較した(図3)。より高いレベルの可溶性FRαを有する2つの四分位数(Q3及びQ4)の患者は、IMGN853で治療した場合、化学療法で治療した場合よりもPFS期間が長かった。対照的に、より低いレベルの可溶性FRαを有する2つの四分位数(Q1及びQ2)の患者は、IMGN853で治療した場合よりも、化学療法で治療した場合のPFS期間が長かった。
これらの結果は、驚くべきことに、より高いレベルの可溶性FRαが、IMGN853に対する応答(PFS及びORR)の改善と関連していることを示している。したがって、患者の可溶性FRαレベルと標的可溶性FRαレベルとの比較は、患者のがんが抗FRα活性剤に応答する可能性の独立した予測因子として使用することができる。患者の可溶性FRαレベルが標的レベル以上である場合は、患者のがんがIMGN853やIMGN151などの抗FRα活性剤に応答する可能性が高いことを示す。
実施例2.可溶性FRαレベルは、膜FRα IHCレベルと有意に相関しなかった
腫瘍中のFRαのIHCレベルの増加は、IMGN853に対する応答性の増加に関連していることが以前に示されていた。したがって、IHCで測定した場合の可溶性FRαのレベルと膜FRαの腫瘍レベルとの関係を調べた。図4は、可溶性FRαレベルの各四分位数においてIHCによって測定した低い(2+強度以上のFRα膜染色を有する細胞が50%未満)、中程度(2+強度以上のFRα膜染色を有する細胞が50~74%)、及び高い(2+強度以上のFRα膜染色を有する細胞が75%以上)膜FRαを有する患者の割合を示す。その結果は、可溶性FRα及びIHCによって測定した膜FRαの腫瘍レベルが、有意に相関しなかったことを証明している。例えば、可溶性FRαの最も高い四分位数(Q4)の患者は、IHCによって測定した場合に、低、中、または高い膜FRαを有し得た(図9A)。同様に、可溶性FRαの最も低い四分位数(Q1)の患者も、IHCによって測定した場合に、低、中、または高い膜FRαを有し得た(図9A)。同様の分析をより大きな患者群で行い、可溶性FRαの最も高い四分位数(Q4)の患者は、IHCによる測定でPS2 0~24、PS2 25~49、PS2 50~74、またはPS2≧75の膜FRαを有し得たことが確認された(図9B)。同様に、可溶性FRαの最も低い四分位数(Q1及びQ2)の患者も、IHCによって測定した場合に、PS2 0~24、PS2 25~49、PS2 50~74、またはPS2≧75の膜FRαを有し得た(図9B)。
さらに、PS2染色を用いた高いIHCスコア(2+強度以上のFRα膜染色を有する細胞が75%以上)を有しないが、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベル(例えば、Q3またはQ4中の可溶性FRαレベル)を有するIMGN853で治療した患者では、部分応答及び/または完全応答(BIRC及び/またはINVによって測定)が観察された。
したがって、可溶性FRαレベルは、FRα標的療法に対する応答性の独立した予測因子を表す。
実施例3.可溶性FRαの分布は、FORWARD I試験及びMIRASOL試験において類似しており、可溶性FRα血清濃度は、IHC FRαスコアと有意に相関しない
可溶性FRαのレベルは、IMGN853を用いた第3相臨床試験(MIRSASOL)についてスクリーニングされた患者において検出された。この試験は、プラチナ耐性進行上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌、及び/または卵管癌を有する女性を対象に、IMGN853の投与を受けるようランダム化された患者の無増悪生存期間(PFS)を、選択された単剤化学療法(治験責任医師選択(IC))の安全性及び有効性と比較するように設計された。血清サンプルを、MIRASOLについてスクリーニングした患者から採取し、患者が研究に参加しているかどうかに関係なく、LC-MSを使用して可溶性FRαレベルを測定した。可溶性FRαレベルを、FORWARD I試験に登録された患者において観察されたレベルと比較した。FORWARD I試験は、IHCによって測定されたように、よりFRαが豊富な集団を表しているにもかかわらず、2つの試験間で同様の可溶性FRα分布が観察された(図6A)。(図6Aに示すように)MIRASOL試験についてスクリーニングされた135人の患者の可溶性FRαレベルも表12に示し、(図6Aに示すように)FORWARD I患者の可溶性FRαレベルを表13に示す。
Figure 2024522544000073
Figure 2024522544000074
より大きな患者群(MIRASOL試験では440人の患者、及びFORWARD Iでは250人の患者)からの可溶性FRαのレベルを図6Bに示す。SORAYAと呼ばれる追加の臨床試験を、以前にAvastin(登録商標)(ベバシズマブ)で治療されたFRα高(IHCによる)プラチナ耐性卵巣癌において行った。SORAYA試験からの患者及び3つの臨床試験(すなわち、MIRASOL、FORWARD I、及びSORAYA)からの患者における可溶性FRαのレベルも図6Bに示す。
MIRASOL試験についてスクリーニングされた患者からの可溶性FRαデータポイントを、IHC FRα PS2スコアに基づいて3つの群に分けた。同様の可溶性FRα分布が、表面腫瘍FRα発現に関係なく観察された(図7A)。(図7Aに示すように)PS2スコアリングにより決定してFRα陽性腫瘍を有するMIRASOL試験における119人の患者の可溶性FRαレベルも、表14A~14Cに示す。
Figure 2024522544000075
Figure 2024522544000076
Figure 2024522544000077
MIRASOL試験に関してより大きな患者群からの可溶性FRαデータポイントを、IHC FRα PS2スコアに基づいて4つの群に分け、その結果を図7Bに示す。
MIRASOL試験についてスクリーニングされた患者からの可溶性FRαデータポイントを、患者の対応するIHC FRα PS2スコアに対してプロットした。可溶性FRαレベルと表面腫瘍FRα発現(PS2)との間に有意な相関は見られず(図8A)、これらの結果は、より大きな患者群で確認された(図8B)。
したがって、可溶性FRαとIHCスコアとの間に有意な相関は観察されなかった。
実施例4.可溶性FRα測定値は検出方法間で相関している
ヒトFOLR1 Quantikine ELISA Kit(R&D Systemsカタログ番号:DFLR10)を用いて、FORWARD I試験からの患者の血清から可溶性FRαレベルを測定した。すべてのサンプルは、I試験の一環としてミルベツキシマブソラフタンシンの投与を継続した患者から治験薬の投与前に収集された。ELISAによって測定した可溶性FRαレベルを、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)によって検出した可溶性FRαレベルとの相関について評価した。図10に示す結果は、ELISAとLC-MSによって検出された可溶性FRαレベルが相関していることを示している。さらに、ELISAによって測定した異なる可溶性FRαレベルを有する患者において、PFS及びORを比較した。図11に示す結果は、ELISAによって測定した可溶性FRαレベルが増加した患者におけるPFS及びORRの増加を示している。
* * *
発明の概要及び要約の項ではなく、発明を実施するための形態の項は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。発明の概要及び要約の項は、本発明者(複数可)によって熟考されるような本開示の1つ以上ではあるがすべてではない例示的な態様を説明し、それ故、決して本開示及び添付の特許請求の範囲を限定することは意図しない。
本開示は、その特定の機能の実現及び関係を示す機能ビルディングブロックを用いて上記に記述された。これらの機能ビルディングブロックの境界線は、記述上の便宜のためにここに恣意的に定義されたものである。その特定の機能の実現及び関係が適切に遂行される限りにおいて、別の境界線が定義され得る。
本明細書に記載の特定の態様についての上述の説明は、当業者の範囲内の知識を適用することにより、他者が、様々な応用のために、このような特定の態様を、過度な実験をすることなく、本開示の概括的な概念から離脱することなく、容易に変更及び/または改造し得るという本開示の概括的な特徴を十分に公表することになる。したがって、そのような改造及び変更は、ここに提示されている教示及び指導に基づき、本明細書に開示された態様の等価物の意味と範囲の内にあることが意図される。本明細書の語法または用語法は、教示及び指導に鑑み、当業者により理解されるべきものであるように、ここでの語法または用語法は、説明の目的であり、かつ制限する目的ではないことを理解されたい。
本開示の広がりや範囲は、上記の例示的な態様のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲やそれらの等価物に従ってのみ定義されるべきである。

Claims (165)

  1. 抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む医薬組成物を、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有するがん患者に投与することを含む、患者におけるがんを治療する方法。
  2. 前記患者の可溶性FRαが、前記投与前に前記患者から得られたサンプル中に検出されていた、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者から得られたがんサンプルが、高いFRα免疫組織化学(IHC)スコアを有しない、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記患者から得られたがんサンプルが、高いFRα IHCスコアを有する、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記患者からFRα IHCスコアが得られていない、請求項1または2に記載の方法。
  6. (i)患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有する場合、及び/または前記患者から得られたがんサンプルが高いFRα IHCスコアを有する場合、抗FRα活性剤を含む医薬組成物を前記患者に投与すること、ならびに(ii)前記患者が標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有さず、かつ前記患者から得られたがんサンプルが高いFRα IHCスコアを有さない場合、前記患者に化学療法を投与することを含む、前記患者におけるがんを治療する方法。
  7. 前記活性剤を投与する前に、前記患者から得られたサンプル中の可溶性FRαのレベルを決定することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記投与前に前記患者から得られたがんサンプルにおける前記FRα IHCスコアを決定することをさらに含む、請求項3、4、6、及び7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 抗FRα活性剤に応答する可能性が高い患者のがんを同定するための方法であって、前記方法が、前記患者から得られたサンプル中の可溶性FRαを測定することと、場合により前記患者から得られた腫瘍サンプル中のFRα IHCスコアを決定することとを含み、標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベル及び/または高FRα IHCスコアの存在が、前記がんが前記抗FRα活性剤に応答する可能性が高いことを示し、場合により、前記方法が、前記がんが応答する可能性が高い場合に、前記抗FRα活性剤を含む医薬組成物を前記患者に投与することをさらに含む、前記方法。
  10. 標的可溶性FRαレベル以上ではない可溶性FRαのレベル及び高くないIHCスコアは、前記がんが前記抗FRα活性剤を含む医薬組成物に応答する可能性が低いことを示す、請求項10に記載の方法。
  11. 標的可溶性FRαレベル以上ではない可溶性FRαのレベル及び高くないIHCスコアは、前記がんが前記抗FRα活性剤を含む医薬組成物よりも化学療法に対してより応答性である可能性が高いことを示す、請求項10に記載の方法。
  12. 前記患者の可溶性FRαのレベルが、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、及び/またはメソスケールディスカバリー(MSD)を用いて評価される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記標的可溶性FRαレベルが約0.5ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記標的可溶性FRαレベルが約0.6ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記標的可溶性FRαレベルが約0.7ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記標的可溶性FRαレベルが約0.75ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記標的可溶性FRαレベルが約0.8ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記標的可溶性FRαレベルが約0.9ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記標的可溶性FRαレベルが約1ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.1ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.2ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.25ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.3ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.4ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.5ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.6ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.7ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.75ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.8ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記標的可溶性FRαレベルが約1.9ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.0ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.1ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.2ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.25ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.3ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.4ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.5ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.6ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.7ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.75ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.8ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記標的可溶性FRαレベルが約2.9ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.0ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.1ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.2ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.25ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.3ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.4ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.5ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.6ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.7ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.75ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.8ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  54. 前記標的可溶性FRαレベルが約3.9ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.0ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.1ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.2ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.25ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.3ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.4ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.5ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.6ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  63. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.7ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  64. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.75ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  65. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.8ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  66. 前記標的可溶性FRαレベルが約4.9ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  67. 前記標的可溶性FRαレベルが約5ng/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  68. 前記標的可溶性FRαレベルが、染色パーセント(PS)2+染色強度によって決定される、中程度(50~74%の細胞陽性)または高い(少なくとも75%の細胞陽性)膜FRαレベルを有する腫瘍を有する卵巣癌、原発性腹膜癌、または卵管癌の患者における平均可溶性FRαレベルである、請求項1~67のいずれか1項に記載の方法。
  69. 高いIHCスコアとは、少なくとも75%の腫瘍細胞が染色パーセント(PS)2+染色強度を有することを指す、請求項3、4、及び6~68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 高いIHCスコアとは、少なくとも50%の腫瘍細胞がPS2+染色強度を有することを指す、請求項3、4、及び6~68のいずれか1項に記載の方法。
  71. 前記がんが固形腫瘍である、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
  72. 前記がんが、卵巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、腹膜癌、乳癌、及び卵管癌からなる群から選択される、請求項1~71のいずれか1項に記載の方法。
  73. 前記がんが、卵巣癌であり、場合により、前記卵巣癌が、プラチナ耐性またはプラチナ不応性である、請求項72に記載の方法。
  74. 前記がんがプラチナ感受性卵巣癌である、請求項72に記載の方法。
  75. 前記卵巣癌が、上皮性卵巣癌である、請求項72~74のいずれか1項に記載の方法。
  76. 前記がんが、プラチナ耐性の進行した高悪性度上皮性卵巣癌である、請求項72、73または75に記載の方法。
  77. 前記がんが子宮癌である、請求項72に記載の方法。
  78. 前記がんが、子宮内膜癌である、請求項72に記載の方法。
  79. 前記がんが、膵臓癌である、請求項72に記載の方法。
  80. 前記がんが、腎癌である、請求項72に記載の方法。
  81. 前記がんが肺癌であり、場合により、前記肺癌が、非小細胞肺癌である、請求項72に記載の方法。
  82. 前記がんが腹膜癌であり、場合により、前記腹膜癌が原発性腹膜癌である、請求項72に記載の方法。
  83. 前記がんが、乳癌であり、場合により、前記乳癌が、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)である、請求項72に記載の方法。
  84. 前記がんが、卵管癌である、請求項72に記載の方法。
  85. 前記がんが、再発がんである、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
  86. 前記活性剤が、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、請求項1~85のいずれか1項に記載の方法。
  87. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号38のVHと配列番号44のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号38のVHと配列番号44のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する、請求項86に記載の方法。
  88. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号10のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、配列番号15のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VH)-CDR1と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号17のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む、請求項86または87に記載の方法。
  89. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号38のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号44のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項86~88のいずれか1項に記載の方法。
  90. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項86~89のいずれか1項に記載の方法。
  91. 前記活性剤中の前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、PTA-10772としてAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたプラスミドによってコードされる重鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む前記重鎖及び/またはPTA-10774としてATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む前記軽鎖を含む、請求項86~89のいずれか1項に記載の方法。
  92. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号37のVHと配列番号43のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号37のVHと配列番号43のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する、請求項86~91のいずれか1項に記載の方法。
  93. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号2のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号4のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VH)-CDR1と、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む、請求項86~92のいずれか1項に記載の方法。
  94. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号43のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項86~93のいずれか1項に記載の方法。
  95. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項86~94のいずれか1項に記載の方法。
  96. 前記活性剤が、抗FRα抗体の抗原結合フラグメントを含む、請求項1~95のいずれか1項に記載の方法。
  97. 前記抗原結合フラグメントが、一本鎖可変フラグメント(scFv)であり、場合により、前記scFVが、配列番号60のアミノ酸配列を含む、請求項96に記載の方法。
  98. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、単一特異性抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
  99. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、バイパラトープ抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
  100. 前記バイパラトープ抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を含む、請求項99に記載の方法。
  101. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号99のVHと配列番号101のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号99のVHと配列番号101のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する、請求項86に記載の方法。
  102. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号80または83のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号81または84のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号82または85のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、配列番号86または89のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VH)-CDR1と、配列番号87または90のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号88のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む、請求項86または101に記載の方法。
  103. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号99のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号101のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項86、101、または102のいずれか1項に記載の方法。
  104. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項86及び101~103のいずれか1項に記載の方法。
  105. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号100のVHと配列番号102のVLとを含む抗体と同じFRαエピトープに結合し、及び/または配列番号100のVHと配列番号102のVLとを含む抗体のFRαへの結合を競合的に阻害する、請求項86に記載の方法。
  106. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号91または94のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号92または95のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号93のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、配列番号96のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VH)-CDR1と、配列番号97のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号98のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む、請求項86または105に記載の方法。
  107. 前記活性剤における前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号100のアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号102のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項86、105、または106のいずれか1項に記載の方法。
  108. 前記活性剤が、細胞傷害性剤にコンジュゲートされた抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含む免疫複合体である、請求項1~107のいずれか1項に記載の方法。
  109. 前記細胞傷害性剤が、リンカーによって前記抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントにコンジュゲートし、場合により、前記リンカーが、切断可能なリンカー、切断不可能なリンカー、親水性リンカー、及びジカルボン酸系リンカーからなる群から選択される、請求項108に記載の方法。
  110. 前記リンカーが、N-(γ-マレイミドブトリルオキシ(maleimidobutryloxy))スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBSまたはsGMBS)、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)またはN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)、N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スルホスクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(スルホSMCC);N-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB);及びN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)からなる群から選択される、請求項109に記載の方法。
  111. 前記リンカーが、スルホ-SPDBである、請求項108または109に記載の方法。
  112. 前記リンカーが、スルホ-GMBSである、請求項108または109に記載の方法。
  113. 前記リンカーが、GMBSである、請求項108または109に記載の方法。
  114. 前記リンカーが、カテプシン-Bリンカーである、請求項108または109に記載の方法。
  115. 前記細胞傷害性剤が、メイタンシノイド、メイタンシノイド類似体、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065、CC-1065類似体、デュオカルマイシン、デュオカルマイシン類似体、カリケアミシン、ドラスタチン、ドラスタチン類似体、オーリスタチン、トマイマイシン誘導体、及びレプトマイシン誘導体または前記細胞傷害性剤のプロドラッグからなる群から選択される、請求項108~114のいずれか1項に記載の方法。
  116. 前記細胞傷害性剤がメイタンシノイドである、請求項108~115のいずれか1項に記載の方法。
  117. 前記メイタンシノイドが、DM4である、請求項116に記載の方法。
  118. 前記メイタンシノイドが、DM21である、請求項116に記載の方法。
  119. 前記細胞傷害性剤がエリブリンメシル酸塩である、請求項108~114のいずれか1項に記載の方法。
  120. 前記細胞傷害性剤がアミノフェニルヘミアステリン(SC209)である、請求項108~114のいずれか1項に記載の方法。
  121. 前記免疫複合体が、1~20の細胞傷害性剤を含み、場合により、前記免疫複合体が、1~10の細胞傷害性剤を含む、請求項108~120のいずれか1項に記載の方法。
  122. 前記免疫複合体が、以下の式:
    Figure 2024522544000078
    、またはその薬学的に許容される塩で表され、式中、
    CBは、抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントであり、
    は、以下の式:
    Figure 2024522544000079
    のうちの1つで表され、
    式中、
    、R、Rx’及びRy’は、それぞれ独立して、H、-OH、ハロゲン、-O-(C1-4アルキル)、-SOH、-NR404142 、または-OH、ハロゲン、SOH、もしくはNR404142 で置換されていてもよいC1-4アルキルであり、ここで、R40、R41、及びR42はそれぞれ独立してHまたはC1-4アルキルであり、
    l及びkは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
    l1は、2~5の整数であり、
    k1は、1~5の整数であり、かつ
    s1は細胞結合剤CBに結合する部位を示し、s3はA基に結合する部位を示し、
    Aは、アミノ酸残基、または2~20個のアミノ酸残基を含むペプチドであり、
    及びRは、それぞれ独立して、H、またはC1-3アルキルであり、
    は、以下の式で表され、
    -CR-(CH1-8-C(=O)-
    式中、R及びRは、それぞれ独立して、HまたはMeであり、L中の-C(=O)-部分は、Dに接続されており、
    Dは、以下の式で表され、
    Figure 2024522544000080
    qは、1~20の整数である、請求項108に記載の方法。
  123. 、R、Rx’及びRy’はすべてHであり、l及びkは、それぞれ独立して、2~6の整数である、請求項122に記載の方法。
  124. Aが、2~5個のアミノ酸残基を含むペプチドである、請求項122または123に記載の方法。
  125. Aは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、D-Val-Ala、Val-Cit、D-Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Ala、Phe-N-トシル-Arg、Phe-N-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Ala-Ala、D-Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala-D-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号78)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号79)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号63)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、Gln-Ala、D-Ala-Pro、及びD-Ala-tBu-Glyからなる群から選択され、各ペプチドの最初のアミノ酸がL基に接続され、各ペプチドの最後のアミノ酸が-NH-CR-S-L-Dに接続される、請求項124に記載の方法。
  126. 及びRは、両方ともHである、請求項122~125のいずれか1項に記載の方法。
  127. が、-(CH4-6-C(=O)-である、請求項122~125のいずれか1項に記載の方法。
  128. Dが、以下の式:
    Figure 2024522544000081
    で表される、請求項122~127のいずれか1項に記載の方法。
  129. 前記免疫複合体が、配列番号38のアミノ酸配列を含むVHと配列番号44のアミノ酸配列を含むVLとを含む抗FRα抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、スルホ-SPDBリンカーを介してDM4にコンジュゲートしている、請求項108に記載の方法。
  130. 前記免疫複合体が、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗FRα抗体を含む、請求項129に記載の方法。
  131. 抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む前記医薬組成物が、IMGN853を含む、請求項129に記載の方法。
  132. 前記免疫複合体を、調整された理想体重(AIBW)に基づく用量で投与する、請求項129~131のいずれか1項に記載の方法。
  133. 前記免疫複合体を、約6mg/kg AIBWの用量で投与する、請求項132に記載の方法。
  134. 前記免疫複合体を、約5mg/kg AIBWの用量で投与する、請求項132に記載の方法。
  135. 前記免疫複合体が、以下の式:
    Figure 2024522544000082
    、またはその薬学的に許容される塩で表され、式中、
    CBAは、配列番号61、62、及び56のアミノ酸配列を含む抗体または抗原結合フラグメントであり、
    は、以下の式で表され、
    Figure 2024522544000083
    かつ
    qは、1~10の整数である、請求項108に記載の方法。
  136. 抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む前記医薬組成物が、IMGN151を含む、請求項101に記載の方法。
  137. 前記医薬組成物が、抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均2~5個の細胞傷害性剤を含む抗FRα免疫複合体を含み、場合により、前記抗FRα免疫複合体が、抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均3~4個の細胞傷害性剤を含む、請求項1~136のいずれか1項に記載の方法。
  138. 前記医薬組成物が、抗体またはその抗原結合フラグメント1つ当たり平均3.5個の細胞傷害性剤を含む抗FRα免疫複合体を含む、請求項137に記載の方法。
  139. 前記可溶性FRαが、FRαに特異的に結合する検出抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて検出され、配列番号38のアミノ酸配列を含むVHと配列番号44のアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体が、前記検出抗体またはその抗原結合フラグメントのFRαへの結合を競合的に阻害しない、請求項1~138のいずれか1項に記載の方法。
  140. 前記可溶性FRαが、FRαに特異的に結合する検出抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて検出され、葉酸が、前記検出抗体またはその抗原結合フラグメントのFRαへの結合を競合的に阻害しない、請求項1~139のいずれか1項に記載の方法。
  141. 前記可溶性FRαが、FRαに特異的に結合し、かつ
    (a)それぞれ、配列番号18~20及び配列番号21~23、または
    (b)それぞれ、配列番号24~26及び配列番号27~29のVH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3のアミノ酸配列を含む、検出抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて検出される、請求項1~140のいずれか1項に記載の方法。
  142. 前記検出抗体またはその抗原結合フラグメントが、
    (a)それぞれ、配列番号39及び配列番号45、または
    (b)それぞれ、配列番号40及び配列番号46のVH及びVLアミノ酸配列を含む、請求項141に記載の方法。
  143. 前記検出抗体またはその抗原結合フラグメントが、
    (a)それぞれ、配列番号51及び配列番号57、または
    (b)それぞれ、配列番号52及び配列番号58の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項142に記載の方法。
  144. 前記可溶性FRαが、(i)固体支持体に結合した免疫捕捉試薬でFRαを捕捉すること、(ii)前記固体支持体からFRαを溶出すること、(iii)溶出した前記FRαを消化すること、及び(iv)消化した前記FRαに対してLC/MS分析を実行することによって検出され、前記FRαを、少なくとも1つのシグネチャFRαペプチドのクロマトグラフィー分離及び質量分析応答を監視することにより検出する、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
  145. 前記固体支持体が、質量分析免疫アッセイ(MSIA)マイクロカラムを含む、請求項144に記載の方法。
  146. 前記固体支持体が磁気ビーズを含む、請求項144に記載の方法。
  147. 少なくとも1つの洗浄ステップが、前記固体支持体からFRαを溶出する前に行われ、場合により、2つ以上の洗浄ステップが、前記固体支持体からFRαを溶出する前に行われる、請求項144~146のいずれか1項に記載の方法。
  148. 前記洗浄ステップが、前記固体支持体に結合した前記FRαを、洗浄緩衝液、塩溶液、及び洗剤と接触させることを含む、請求項147に記載の方法。
  149. FRαが、酸性溶液で前記固体支持体から溶出される、請求項143~148のいずれか1項に記載の方法。
  150. 前記FRαが、前記FRαを消化する前に還元され、アルキル化される、請求項149に記載の方法。
  151. 前記FRαがトリプシン/Lys-Cで消化される、請求項143~149のいずれか1項に記載の方法。
  152. 前記FRαを消化することにより、配列番号68の配列を含むペプチドが生成される、請求項143~151のいずれか1項に記載の方法。
  153. 前記FRαを消化することにより、配列番号69の配列を含むペプチドが生成される、請求項143~152のいずれか1項に記載の方法。
  154. 前記FRαを消化することにより、配列番号70の配列を含むペプチドが生成される、請求項140~153のいずれか1項に記載の方法。
  155. 前記FRαを消化することにより、配列番号71の配列を含むペプチドが生成される、請求項140~154のいずれか1項に記載の方法。
  156. FRαの少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのシグネチャペプチドが選択され、前記LC/MS分析ステップで監視される、請求項140~155のいずれか1項に記載の方法。
  157. 前記シグネチャペプチドが、
    a.配列番号68の配列を含むペプチド;
    b.配列番号69の配列を含むペプチド;
    c.配列番号70の配列を含むペプチド;及び
    d.配列番号71の配列を含むペプチドを含む、請求項156に記載の方法。
  158. 前記患者の可溶性FRαのレベルが、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて評価される、請求項1~142のいずれか1項に記載の方法。
  159. 前記可溶性FRαが体液サンプル中で検出され、場合により、前記体液が、血漿液、血清液、または腹水液である、請求項1~158のいずれか1項に記載の方法。
  160. 前記可溶性FRαが、末梢血サンプルにおいて検出される、請求項1~159のいずれか1項に記載の方法。
  161. 前記FRα IHCスコアが、参照サンプルと比較して腫瘍サンプルにおける染色強度と染色均一性とを区別するIHCを使用して得られる、請求項3、4、または6~160のいずれか1項に記載の方法。
  162. 前記FRα IHCスコアが、FRαに特異的に結合し、かつ配列番号30~32及び配列番号33~35のVH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3アミノ酸配列をそれぞれ含むIHC抗体またはその抗原結合フラグメントを使用して得られる、請求項3、4、または6~161のいずれか1項に記載の方法。
  163. 前記IHC検出抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号41及び配列番号47のVH及びVLアミノ酸配列を含む、請求項162に記載の方法。
  164. 前記検出抗体または抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号53及び配列番号59の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項163に記載の方法。
  165. 請求項1~164のいずれか1項に記載の方法に従って標的可溶性FRαレベル以上の可溶性FRαレベルを有する患者のがんを治療するための医薬組成物であって、抗葉酸受容体α(FRα)活性剤を含む、前記医薬組成物。
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