JP2024520636A - mRNAキャッピング効率の定量的評価のためのアッセイ - Google Patents

mRNAキャッピング効率の定量的評価のためのアッセイ Download PDF

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Abstract

本発明は、複数のmRNA転写物を含むin vitro転写反応混合物からのサンプル中のキャッピング効率を定量する方法であって、mRNA転写物を、mRNA転写物の5’非翻訳領域中のヌクレオチドの配列に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列との間にmRNA:DNAハイブリッドを形成し、ヌクレアーゼ(例えば、RNAse H)消化を用いてmRNA転写物の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを放出させる工程を特徴とする、方法に関する。【選択図】図3

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2021年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/197,106号の利益を主張し、その優先権を主張するものであり、その内容は全体として本明細書に組み入れられる。
配列表の参照による組み入れ
本明細書は、配列表(MRT-2241WO-Sequence Listingという名前のテキストファイルとして電子的に提出)を参照する。このテキストファイルは2022年6月1日に作成され、サイズは13,515バイトである。配列表の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
メッセンジャーRNA(「mRNA」)療法は、種々の疾患の治療のためのますます重要なアプローチとなっている。mRNA療法は、mRNAを患者に効率的に送達し、mRNAによってコードされるタンパク質を患者の体内で効率的に産生することを必要とする。
治療で使用されるmRNAは、一般的にin vitro転写(IVT)によって産生される。5’キャップ構造がメチル化されたmRNAのみがin vivoで効率的に翻訳されるが、IVTによってキャッピングされたmRNAを生成する機構は不完全である。したがって、キャッピング効率の正確な特徴付けは、治療用途のmRNAの品質を決定するために特に重要である。
IVTプロセスは、共転写により付加されるキャップアナログを含み得る。あるいは、5’キャップ構造は、IVT反応が完了した後、転写後に酵素により付加することもできる。
共転写キャッピングの間、抗逆キャップアナログ(ARCA)がIVT反応混合物中に含まれる。得られたmRNA転写物は、メチル化されたCap 0構造を含み、これはCap 1構造を形成するためにさらにメチル化される必要がある。Cap 1構造は典型的には、キャッピングされたmRNAをin vivoで効率的に翻訳するために必要である。IVT反応混合物に2’-O-メチルトランスフェラーゼを含めることにより、メチル化を行うことができる。共転写キャッピングに供されるIVT反応混合物からのmRNAサンプルは、ヌクレオチドの配列の最初のヌクレオチドの5’末端にCap 0またはCap 1を含むmRNA転写物、および/またはキャップ構造を欠くmRNA転写物を含み得る。5’キャップ構造を有さないmRNA転写物、ならびにそれぞれCap 0およびCap 1構造を有するmRNA転写物を図1に示す。ARCAキャップアナログが使用されている場合、Cap 0およびCap 1構造は、リボース環の2’または3’OH基のいずれかにおけるmGのメチル化をさらに含んでいてもよい。
酵素による転写後キャッピングは、3つの合成工程を含む。第1の工程において、グアニルトランスフェラーゼがGTPを基質として使用し、in vitroで転写されたmRNAの5’末端にグアニン(Cap G)を付加する。第2の工程において、グアニンメチルトランスフェラーゼがメチル基を付加し、Cap 0構造を形成する。第3の工程では、2‘-O-メチルトランスフェラーゼが第2のメチル基を付加し、Cap 1構造を形成する。このプロセスを図2に示す。酵素による転写後キャッピングに供されるIVT反応混合物からのmRNAサンプルは、ヌクレオチドの配列の最初のヌクレオチドの5’末端に複数の異なるキャップ構造のいずれかを含むmRNA転写物、および/またはキャップ構造を欠くmRNA転写物を含み得る。
キャッピング効率を決定する方法は当技術分野で知られている。例えば、1つの方法は、GがmRNA転写物のヌクレオチド配列の最初のヌクレオチドであるIVT反応混合物中に[α-32P]GTPの含有を伴う。RNase T2消化後、キャッピングされていないmRNAはp3G[32P]を放出し、例えばm7Gp3G[32P]のようなキャッピングされたmRNAに対する存在量を陰イオン交換クロマトグラフィーのような分析法で測定することができる。しかしながら、サンプルの放射性標識には、多くの下流アプリケーションにおいてIVT反応混合物中のmRNAサンプルの使用が禁止されているため、放射性標識法は典型的には、別個の対照反応として並行して実行される。このような同時実行されるが別個であるサンプルは、処理する必要があるサンプル数を増加させるだけでなく、オペレーター内のエラーおよび反応条件の微小な変動により本質的に変動しやすい。
キャッピング効率を測定する放射性標識を使用しない方法も知られている。そのような方法の1つは、特許文献1に記載されている。これは、mRNAの5’末端に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを使用することを含む。このプローブは、基質が合成されたmRNA分子のプールからRNase Hで切断された5’末端を濃縮するために使用できるように、基質への結合を可能にするタグを含む。しかし、濃縮工程に必要な試薬(例えば、磁気ビーズ)がアッセイのコストを増加させる。濃縮はまた、収率の本質的な減少を伴い、アッセイのサンプル効率を低下させる。
したがって、IVT反応混合物からmRNAサンプル中のキャッピング効率を定量する、コスト効率、サンプル効率、および時間効率のよい方法が必要とされている。
国際公開第2017/098468号
本発明は、in vitro転写(IVT)によって合成されたmRNA転写物のキャッピング効率を正確および定量的に決定するための改善された方法を提供する。特に、本発明は、mRNA調製サンプルを前処理することなく、mRNA調製サンプルから(例えば、IVT反応混合物から)直接mRNA転写物のキャッピング効率を定量するための改善された方法に関する。とりわけ、本明細書で提供されるmRNAキャッピング効率法は、mRNA:DNAハイブリダイゼーション反応、ヌクレアーゼ切断、ならびにMSおよびLC-MS(質量分析/液体クロマトグラフィー-質量分析)定量を、単一の反応容器内のワンステップアッセイで組み合わせる。この改善された方法は、mRNAのキャッピング効率を評価するための信頼性が高く、迅速および効率的な定量的アプローチである。本発明は、mRNA製造中の品質管理、および最終治療製品中の活性医薬成分(API)としてのmRNAの特性評価に特に有用である。単一の反応容器を用いるワンステップの簡便性により、キャッピング効率の定量を自動化することも可能である。
本発明は、部分的には、mRNA転写物の最初の5、6、または7個の5’ヌクレオチドの高効率および正確な酵素による放出に基づいている。これは、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物の第2~第5のヌクレオチド、第3~第6のヌクレオチド、または第4~第7のヌクレオチドとの間にそれぞれmRNA:DNAハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドを使用して達成され、mRNAの最初の5、6、または7個の5’ヌクレオチドがmRNA転写物の残りの部分から放出されるようにヌクレアーゼ(例えば、RNAse H)活性を誘導する。これは、オリゴヌクレオチドと第2~第5のヌクレオチドとの間にmRNA:DNAハイブリッドを形成し、mRNAの最初の5’ヌクレオチドがmRNA転写物の残りの部分から放出されるようにヌクレアーゼ(例えば、RNAse H)活性を誘導するためのオリゴヌクレオチド上での使用を示す図3に示されている。mRNA転写物のヌクレオチドの配列中の最初の5、6、または7個の5’ヌクレオチドのみを分析することにより、本発明は、IVTにより合成されたmRNA転写物がCap1構造(例えば、不完全にメチル化されたCap0構造とは対照的に)を含むかどうかを決定するための高感度の方法を提供する。
特に、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルは、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分は、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物のヌクレオチド配列の(i)第2~第5のヌクレオチド、(ii)第3~第6のヌクレオチド、または(iii)第4~第7のヌクレオチドとの間にmRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、(i)mRNAの最初の5個の5’ヌクレオチド、(ii)最初の6個のヌクレオチド、または(iii)最初の7個のヌクレオチドをそれぞれ放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap1構造を含むmRNA転写物の最初の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)は、同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。本発明の方法は、mRNAキャッピング効率を評価するための、信頼性が高く、迅速および効率的な定量的アプローチである。本発明は、mRNA製造中の品質管理、および最終治療製品中の活性医薬成分(API)としてのmRNAの特性評価に特に有用である。
いくつかの実施形態において、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルは、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分は、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物のヌクレオチド配列の第2~第5のヌクレオチドとの間にmRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、mRNAの最初の5個の5’ヌクレオチドを放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)は同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、以下の工程:(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルは、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分は、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物のヌクレオチド配列の第3~第6ヌクレオチドとの間にmRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、mRNAの最初の6個の5’ヌクレオチドを放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)は同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、以下の工程:(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルは、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分は、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap 1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物のヌクレオチド配列の第4~第7のヌクレオチドとの間にmRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをRNase Hと接触させて、mRNAの最初の7個の5’ヌクレオチドを放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)は、同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、工程(b)~(d)は、自動化システムによって実行される。
いくつかの実施形態において、分析は、キャップのメチル化状態をさらに決定することができる。いくつかの実施形態において、本発明による方法は、異なるメチル化状態を含むキャップ構造の相対的存在量を決定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、本発明による方法は、Cap G構造を含むmRNA転写物の部分を決定するために使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明による方法は、Cap 0でキャッピングされたmRNA転写物の部分を決定するために使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明による方法は、リボース環の2’または3’OH基のいずれかにおけるmGのメチル化をさらに含むCap 0またはCap G構造を含んでいるmRNA転写物の部分を決定するために使用することができる。
いくつかの実施形態において、キャップは転写後に酵素により付加されている。いくつかの実施形態において、キャップは、共転写によりmRNAに付加されている。
工程(b)で使用するのに適したオリゴヌクレオチドは、典型的には約10~25(例えば、14~21)ヌクレオチド長である。それは、1つまたはそれ以上のRNAヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上のRNAヌクレオチド)によって片側または両側に隣接するDNAヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、好適なオリゴヌクレオチドは、16ヌクレオチド長である。特定の実施形態において、好適なオリゴヌクレオチドは、1つまたはそれ以上のRNAヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上のRNAヌクレオチド)によって片側または両側に隣接する4つのDNAヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、好適なオリゴヌクレオチドオリゴヌクレオチドは、以下の式:5’-[R][D][R]-3’
(式中、各RはRNAヌクレオチドであり、各DはDNAヌクレオチドであり、nは10~20である)で表され、オリゴヌクレオチドは、約40%~約60%のGC含量を有し、mRNA:DNAハイブリッドは、約50℃~約60℃の融解温度を有する。いくつかの実施形態において、融解温度は52℃~58℃である。いくつかの実施形態において、nは11~15である。特定の実施形態において、RNAヌクレオチドの各々は、2’-O-メチルリボースを含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、以下の式:5’-[R]11[D][R]-3’で表され、式中、各RはRNAヌクレオチドであり、各DはDNAヌクレオチドである。
本発明での使用に特に適していることが見出された例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mUmCmCmAmGmGmCmGmAmUmCTGTCmC-3’[配列番号1]を有し、式中、mUは2’-O-メチルリボースを有するウリジンを表し;mCは2’-O-メチルリボースを有するシチジンを表し;mAは2’-O-メチルリボースを有するアデニンを表し;mGは2’-O-メチルリボースを有するグアニジンを表し;Tはデオキシチミジンを表し;Gはデオキシグアニジンを表し、Cはデオキシシチジンを表す。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用できる:
Figure 2024520636000002
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。配列番号2の5’UTRを含むRNA転写物と接触させると、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物のヌクレオチド配列の第2~第5のヌクレオチドとの間にmRNA:DNAハイブリッドが形成される。mRNA:DNAハイブリッドをRNase Hと接触させると、最初の5個の5’ヌクレオチド(および存在する場合には、キャップヌクレオチド)がmRNA転写物から放出される。
いくつかの実施形態において、本方法は、本方法の工程(a)で提供されたmRNAサンプル中において、100pmol以下のin vitro転写mRNAのインプットを必要とする。
いくつかの実施形態において、本方法は、100μl以下の総アッセイ容量を必要とする。
いくつかの実施形態において、本方法の工程(b)~(c)は、90分またはそれ未満で実施される。
いくつかの実施形態において、精製工程は、本方法の工程(a)~(d)に必要とされない。
いくつかの実施形態において、本方法の工程(d)は、HPLC、場合によりUHPLCを含む。いくつかの実施形態において、本方法の工程(d)は、質量分析を含む。いくつかの実施形態において、本方法の工程(d)は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を含む。
いくつかの実施形態において、工程(a)で提供されるサンプルは、Cap 0構造を含むmRNA転写物の第2の部分を含む。いくつかの実施形態において、工程(a)で提供されるサンプルは、ギャップG構造を含むmRNA転写物の第3の部分を含む。いくつかの実施形態において、工程(a)で提供されるサンプルは、キャップ構造を含まないmRNA転写物の第4の部分を含む。
いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物の第2の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して10%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物の第3の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して10%以下である。いくつかの実施形態において、キャップ構造を含まないmRNA転写物の第4の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して10%以下である。いくつかの実施形態において、さらなる処理は、IVT反応混合物からのmRNA転写物の精製および/または封入を含む。いくつかの実施形態において、さらなる処理は、治療用組成物を製造するためのmRNA転写物の使用を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、治療用mRNAを製造する方法であって、(i)in vitro転写(IVT)反応混合物を使用して治療用mRNAを合成すること;(ii)本発明によるmRNAキャッピング効率を定量する方法を使用して、IVT反応混合物からのmRNAサンプルを分析すること;および(iii)mRNA中のCap1構造を含むmRNA転写物の第1の部分が少なくとも90%である場合、mRNAをさらに処理することを含む、前記方法を提供する。いくつかの実施形態において、さらなる処理は、工程(i)で合成された治療用mRNAの精製を含む。加えて、または代替として、さらなる処理は、工程(i)で合成された治療用mRNAを製剤化することを含み得る。製剤化は、mRNAを脂質ナノ粒子に封入することを含み得る。
とりわけ、本発明は、本明細書に記載の本発明方法を実施するための組成物およびキットをさらに提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、mRNAのキャッピング効率を定量するためのキットであって、(1)キャッピング効率が定量されるサンプル中のmRNA転写物の5’非翻訳領域の配列に相補的な適切なオリゴヌクレオチド、(2)DNAとRNAとの間のアニーリングのための1つまたはそれ以上の試薬、(3)RNAse H、(4)分析を行うための1つまたはそれ以上の試薬(例えば、クロマトグラフィーカラム)、および(5)1つまたはそれ以上の対照サンプルの1つまたはそれ以上を含み、キットを提供する。
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物の第2~第5のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成することが可能であり、対照サンプルの各々は、(i)5’キャップ構造を含む5個のヌクレオチドの配列、および(ii)キャップ構造を欠くか、または(i)とは異なるキャップ構造を含む5個のヌクレオチドの配列を、基準を提供するために定義された比率で含む。例えば、対照サンプルは、(i)5’Cap 1構造を含む5個のヌクレオチドの配列、および(ii)キャップ構造を欠く5個のヌクレオチドの配列を9:1の比率で含み得る。対照サンプルは、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の第3~第6のヌクレオチド、または第4~第7のヌクレオチドとの間で、それぞれmRNA:DNAハイブリッドを形成できるオリゴヌクレオチドに対して適宜適合され、すなわち、それぞれ6個または7個のヌクレオチドの配列を含む。
いくつかの実施形態において、(5)による1つまたはそれ以上の対照サンプルは、本発明の方法の工程(d)による分析の一部として較正工程で使用される。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の対照サンプルは、本発明の方法の工程(c)にしたがって得られたサンプルの分析と並行して実行される。いくつかの実施形態において、対照サンプルは、本方法の工程(c)にしたがって得られたサンプルと1つまたはそれ以上の対照サンプルとを同時に測定するために、本方法の工程(c)にしたがって得られたサンプルに1つまたはそれ以上の対照サンプルを添加できるように、例えば重水素化または放射性標識などの修飾が施される。
いくつかの実施形態において、(5)による対照サンプルは、適宜5、6、または7個のヌクレオチドの配列を含み、そのうちの60~100%がCap1構造を含み、例えば70~98%がCap 1、または80~95%がCap 1、または90%がCap 1を含む。いくつかの実施形態において、(5)による対照サンプルは、適宜5、6、または7個のヌクレオチドの配列を含み、そのうちの1~30%がCap G構造を含み、例えば2~20%がCap G、または3~15%がCap G、または10%がCap Gを含む。いくつかの実施形態において、(5)による対照サンプルは、適宜、5、6、または7個のヌクレオチドの配列を含み、そのうちの1~30%がCap 0構造を含み、例えば2~20%がCap 0、または3~15%がCap 0、または10%がCap 0を含む。いくつかの実施形態では、(5)による対照サンプルは、適宜、5、6、または7個のヌクレオチドの配列を含み、そのうちの1~30%はキャップ構造を含まず、例えば2~20%はキャップ構造を欠き、または3~15%はキャップ構造を欠き、または10%はキャップ構造を欠く。
いくつかの実施形態において、本発明は、mRNA調製サンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、以下の工程:(a)mRNA調製サンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第2~第5のヌクレオチド、第3~第6のヌクレオチド、または第4~第7のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(b)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、(i)mRNAの最初の5個の5’ヌクレオチド、(ii)最初の6個のヌクレオチド、または(iii)最初の7個のヌクレオチドをそれぞれ放出させる工程;および(c)サンプル中の放出されたヌクレオチドを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の相対量を決定する工程を含み、工程(a)~(c)が、同じ反応容器中で互いに連続して進行する、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、Cap 1構造を含む精製されたin vitro合成mRNA分子を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも80%含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも90%含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも95%含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を95%超含む。
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明において明らかである。しかしながら、詳細な説明は、本発明の実施態様を示しながら、例示のためにのみ与えられており、限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内での様々な変更および修正は、詳細な説明から当技術分野の当業者には明らかになるであろう。
図面は説明のためのものであり、決して限定するものではない。
5’キャップ構造を有さないmRNA転写物(A)、Cap 0を有するmRNA転写物(B)、およびCap 1構造を有するmRNA転写物(C)を模式的に示す。Cap 0およびCap 1構造は、リボース環の2’または3’OH基のいずれかにおけるmGのメチル化をさらに含んでいてもよい(図示せず)。 酵素によるキャッピングプロセスを概略的に示す。 mRNAの最初の5個の5’ヌクレオチドがmRNA転写物の残りの部分から放出されるようにRNAse H活性を誘導するために、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物の第2~第5のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成するためにオリゴヌクレオチドがどのように使用されるかを概略的に示す。オリゴヌクレオチドの点線はDNAヌクレオチドを表し;実線はRNAヌクレオチドを表す。 in vitro転写mRNA転写物のサンプルの5’キャップ構造を分析するための例示的な方法を示す。図4Aは、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを有するmRNA転写物を示し;オリゴヌクレオチドDNAヌクレオチドは文字で示され、RNAヌクレオチドは実線で表される。矢印はRNase H消化部位を示す。図4Bおよび4Cは、RNase H消化の結果生じた切断ヌクレオチドのUHPLCクロマトグラムを示す。
定義
本発明をより容易に理解するために、特定の用語を最初に定義する。以下の用語および他の用語の追加の定義は、本明細書を通して規定される。
約:本出願で使用される場合、用語「約」および「およそ」は等価物として使用される。本出願で使用される「約」/「およそ」を伴う、または伴わない数値は、関連技術分野における当業者によって理解されるあらゆる通常の変動をカバーすることを意味する。典型的には、用語「およそ」または「約」は、記載された基準値の10%以内(例えば、5%以内)、より典型的には1%以内の値の範囲を指す。
親和性:当技術分野で知られているように、「親和性」は、特定のリガンドがそのパートナーに結合する(例えば、非共有結合的に会合する)稠度、および/またはそのパートナーから解離する速度もしくは頻度の尺度である。当技術分野で知られているように、親和性を決定するために、様々な技術のいずれかを利用することができる。多くの実施形態において、親和性は特異的結合の尺度を表す。
アニールまたはハイブリダイゼーション:本明細書で使用される場合、用語「アニール」、「ハイブリダイゼーション」、および文法的な等価物は、ワトソン-クリック塩基対形成または非カノニカルな塩基対形成を介して複合体を形成するのに十分に相補性的であるヌクレオチド配列間の複合体(二重鎖またはハイブリッドとも呼ばれる)の形成を指す。アニーリングまたはハイブリダイズする配列は、安定なハイブリッドを提供するために完全な相補性を有する必要はないことは理解されよう。多くの状況において、安定なハイブリッドは、約10%未満の塩基がミスマッチである場合に形成される。したがって、本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、特定の条件下でその相補体と安定な二重鎖を形成する核酸分子を指し、一般的には約90%以上の相同性(例えば、約95%以上、約98%以上、または約99%以上の相同性)が存在する。当技術分野の当業者は、少なくとも所望のレベルの相補性を有する配列が安定にハイブリダイズする一方で、相補性が低い配列はハイブリダイズしないように、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを推定および調整する方法を理解している。ハイブリダイゼーション条件およびパラメータの例については、例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」 1989,Second Edition,Cold Spring Harbor Press:Plainview,NYおよびAusubel,「Current Protocols in Molecular Biology」1994,John Wiley & Sons:Secaucus,NJを参照されたい。2つの核酸分子間の相補性は、核酸のすべての塩基が一致する場合、「完全」、「全」または「完全」と言われ、そうでない場合は「部分的」と言われる。
Cap 1:本明細書で使用される場合、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、グアニンキャップのN7アミンの少なくとも両方がメチル化され、mRNA転写物のヌクレオチドの配列中の第1のヌクレオチドがリボースの2’OHでメチル化されているキャップ構造を含むRNA転写物を指す。Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらなる修飾を含んでいてもよい。例えば、キャップリボースの2’または3’OH基はメチル化される場合がある。別の例として、mRNA転写物のヌクレオチドの配列中の第2のヌクレオチドの2’OHがメチル化される場合がある。
Cap 0:本明細書で使用される場合、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、グアニンキャップのN7アミンがメチル化されているが、mRNA転写物のヌクレオチドの配列中の第1のヌクレオチドがリボースの2’OHでメチル化されていないキャップ構造を含むmRNA転写物を指す。Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらなる修飾を含んでいてもよい。例えば、キャップリボースの2’または3’OH基がメチル化される場合がある。
クロマトグラフィー:本明細書で使用される場合、「クロマトグラフィー」という用語は、混合物を分離するための技術を指す。典型的には、混合物は「移動相」と呼ばれる流体に溶解され、移動相は「固定相」と呼ばれる別の物質を保持する構造体を通過してこれを保持する。カラムクロマトグラフィーは、固定相がチューブ、すなわちカラム内にある分離技術である。
対照:本明細書で使用される場合、「対照」という用語は、結果が比較される基準であるという当技術分野で理解されている意味を有する。典型的には、対照は、実験において、変数を分離することによって完全性を増強し、そのような変数について結論を出すために使用される。いくつかの実施形態において、対照は、比較対象を提供するために、試験反応またはアッセイと同時に行われる反応またはアッセイである。ある実験では、「試験」(すなわち、試験される変数)が適用される。第2の実験では、試験される変数である「対照」は適用されない。いくつかの実施形態において、対照は歴史的対照(すなわち、以前に実施された試験もしくはアッセイのもの、または以前に知られている量もしくは結果)である。いくつかの実施形態において、対照は、印刷された記録または他の方法で保存された記録であるか、またはそれらを含む。対照は陽性対照または陰性対照であってもよい。
キット:本明細書で使用される場合、「キット」という用語は、物質を送達するための任意の送達システムを指す。このような送達システムは、様々な診断または治療試薬(例えば、適切な容器中のオリゴヌクレオチド、抗体、酵素など)および/または補助材料(例えば、緩衝剤、アッセイを実施するための説明書など)をある場所から別の場所に保管、輸送、または送達することを可能にするシステムを含み得る。例えば、キットは、関連する反応試薬および/または補助材料を含む1つまたはそれ以上の筐体(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される場合、「断片化キット」という用語は、各々がキット全成分の一部を含む2つまたはそれ以上の別々の容器を含む送達システムを指す。容器は一緒に、または別々に意図された受領者に送達される。例えば、第1の容器はアッセイに使用する酵素を含み得、第2の容器はオリゴヌクレオチドを含み得る。「断片化キット」という用語は、連邦食品医薬品化粧品法第520条(e)で規制されている分析物特異的試薬(ASR)を含むキットを包含することを意図しているが、これに限定されるものではない。実際、2つまたはそれ以上の別々の容器を含み、各容器がキットの全成分の一部を含む送達システムは、「断片化キット」という用語に含まれる。対照的に、「複合キット」は、単一の容器(例えば、所望の成分をそれぞれ収容する単一の箱)内に全成分を含む送達システムを指す。「キット」という用語は、断片化キットおよび複合化キットの両方を含む。
ヌクレオシド:「ヌクレオシド」または「核酸塩基」という用語は、本明細書で使用される場合、アデニン(「A」)、グアニン(「G」)、シトシン(「C」)、ウラシル(「U」)、チミン(「T」)、および炭水化物と連結したそれらのアナログ、例えば炭水化物のアノマー炭素(炭水化物の1’-炭素原子)と核酸塩基との間のN-グリコシド結合を介するD-リボース(RNAにおいて)または2’-デオキシ-D-リボース(DNAにおいて)を指す。核酸塩基がプリン、例えばAまたはGの場合、リボース糖は一般的にプリン複素環のN9位に結合する。核酸塩基がピリミジン、例えば、C、TまたはUの場合、糖は一般的に複素環のN1位に結合している。炭水化物は置換されている場合もあるし置換されない場合もある。置換リボース糖には、炭素原子の1つまたはそれ以上、例えば2’-炭素原子が、同一または異なるCl、F、--R、--OR、--NRまたはハロゲン基の1つまたはそれ以上で置換されたものが含まれるが、これらに限定されず、ここで各Rは独立してH、C-CアルキルまたはC-C14アリールである。リボースの例としては、リボース、2’-デオキシリボース、2’,3’-ジデオキシリボース、2’-ハロリボース、2’-フルオロリボース、2’-クロロリボース、および2’-アルキリボース、例えば、2’-O-メチル、4’-α-アノマーヌクレオチド、1’-α-アノマーヌクレオチド(Asselineら、NUCL.ACIDS RES.,19:4067-74 [1991])、2’-4’-および3’-4’-結合および他の「ロック」または「LNA」、二環式糖修飾(国際公開第98/22489号;国際公開第98/39352号;国際公開第99/14226号)が挙げられる。
ヌクレオチド:本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオチド」は、モノマー単位として、またはポリヌクレオチドポリマー内の、リン酸化形態(ヌクレオシドのリン酸エステル)のヌクレオシドを意味する。「ヌクレオチド5’-三リン酸」は、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、リボース糖の構造的特徴を特に指摘するために、「NTP」、または「dNTP」および「ddNTP」と表記されることもある。三リン酸エステル基は、例えば、α-チオ-ヌクレオチド5’-三リン酸のような種々の酸素部分のための硫黄置換を含んでもよい。ヌクレオチドは、モノ-、ジ-またはトリ-リン酸化形態で存在し得る。ヌクレオチドに存在するリボースの炭素原子は、塩基の骨格番号と区別するために大文字(’)で指定される。ポリヌクレオチドおよび核酸化学の総説については、Shabarova,Z.and Bogdanov,A.Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,New York,1994を参照のこと。
核酸:「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換的に使用される。これらは、デオキシリボ核酸(DNA)、およびリボ核酸(RNA)ならびにその組合せなどのヌクレオチドモノマーまたはそのアナログのポリマーを指す。ヌクレオチドは、ゲノム由来、合成由来、または半合成由来のいずれであってもよい。特に断りのない限り、用語は、合成骨格を有する核酸様構造ならびに増幅産物を包含する。当技術分野の当業者には理解されるように、これらのポリマーの長さ(すなわち、含まれるヌクレオチドの数)は、しばしばその意図される機能または用途に依存して、広く変化し得る。ポリヌクレオチドは、直鎖状、分岐直鎖状、または環状分子であり得る。ポリヌクレオチドはまた、H、NH 、トリアルキルアンモニウム、Mg、Naなどの関連対イオンを有する。ポリヌクレオチドは、全体がデオキシリボヌクレオチドで構成されていてもよく、全体がリボヌクレオチドで構成されていてもよく、またはそれらのキメラ混合物で構成される場合がある。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド間核酸塩基および糖アナログから構成されている場合もある。
オリゴヌクレオチド:いくつかの実施形態において、用語「オリゴヌクレオチド」は、約5~約150ヌクレオチド、例えば、約10~約100ヌクレオチド、約15~約75ヌクレオチド、または約15~約50ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを示すために本明細書で使用される。本発明の文脈において、オリゴヌクレオチドは、典型的には、約10~25ヌクレオチド(例えば、14~21ヌクレオチド)を含む。本明細書を通して、オリゴヌクレオチドが文字の配列(例えば、4つの塩基文字:A、C、G、およびTから選択され、これらはそれぞれアデノシン、シチジン、グアノシン、およびチミジンを示す)で表される場合はいつでも、ヌクレオチドは、左から右へ5’から3’の順序で示される。「ポリヌクレオチド配列」は、ポリマーに沿ったヌクレオチドモノマーの配列を指す。他に示されない限り、ポリヌクレオチド配列が表される場合はいつでも、ヌクレオチドは左から右に5’から3’の配向であることは理解されよう。
ヌクレオチドアナログ:核酸、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、標準ヌクレオチド塩基で構成されるか、またはヌクレオチドアイソフォームアナログで置換されていてもよく、これにはiso-C塩基およびiso-G塩基が含まれるが、これらに限定されず、これは標準塩基よりも許容性が高いまたは低いハイブリダイゼーションが可能であり、相補的なアイソフォームアナログ塩基と優先的にハイブリダイゼーションする。このようなアイソフォーム塩基の多くは、例えば、Bennerら、(1987) Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biolに記載されている。天然に存在するヌクレオチドモノマーのアナログとしては、例えば、7-デアザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザ-8-アザグアニン、7-デアザ-8-アザアデニン、7-メチルグアニン、イノシン、ネブラリン、ニトロピロール(Bergstrom,J.Amer.Chem.Soc、 117:1201-1209 [1995])、ニトロインドール、2-アミノプリン、2-アミノ-6-クロロプリン、2,6-ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードウリジン、シュードシトシン、シュードイソシトシン、5-プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン(Seela、米国特許第6,147,199号)、7-デアザグアニン(Seela、米国特許第5,990,303号)、2-アザプリン(Seela、国際公開第01/16149号)、2-チオピリミジン、6-チオグアニン、4-チオチミン、4-チオウラシル、0-6-メチルグアニン、N-6-メチルアデニン、O-4-メチルチミン、5,6-ジヒドロチミン、5,6-ジヒドロウラシル、4-メチルインドール、ピラゾロ[3,4-D]ピリミジン、「PPG」(Meyer、米国特許第6,143,877号および第6,127,121号;Gall、国際公開第01/38584号)、およびエテノアデニン(Fasman (1989) in Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,pp.385-394,CRC Press,Boca Raton,Fla.)が挙げられる。
5’末端/3’末端:用語「3’末端(end)」および「3’末端(terminus)」は、核酸分子に関して本明細書で使用される場合、末端ペントース糖の3’炭素に結合した遊離ヒドロキシル基を含む核酸の末端を指す。「5’末端(end)」および「5’末端(terminus)」という用語は、核酸分子に関して本明細書で使用される場合、末端ペントース糖の5’炭素に結合した遊離ヒドロキシル基またはリン酸基を含む核酸分子の末端を指す。mRNA転写物中のヌクレオチド数に言及する場合、特に断りのない限り、キャップヌクレオチドはカウントしない。例えば、第1の5’ヌクレオチドは、キャッピングされていないmRNA転写物において、末端ペントース糖の5’炭素に結合した遊離ヒドロキシル基またはリン酸基を含む最5’末端のヌクレオチド、またはキャッピングされたmRNA転写物において、末端ペントース糖の5’炭素に結合したキャップ構造を含む最5’末端のヌクレオチドを指す。
本発明は、Cap 1構造を含むmRNA転写物の部分を決定するために、in vitro転写(IVT)反応混合物からのmRNAサンプル中のキャップ効率を定量する改善された方法を提供する。
本方法は、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを酵素により放出することに基づく。放出された最初の5、6、または7個のヌクレオチドは、mRNAサンプルをmRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の(i)第2~第5のヌクレオチド、(ii)第3~第6のヌクレオチド、または(iii)第4~第7のヌクレオチドとの間で、それぞれmRNA:DNAハイブリッドを形成し、サンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させることによって生成される。サンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の部分を決定する。
ヌクレオチド配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap 1構造を含むmRNA転写物は、効率的に翻訳される。対照的に、Cap GまたはCap 0キャップ構造を含むmRNA転写物、またはキャップ構造を欠くmRNA転写物は、Cap 1を含むmRNA転写物ほど効率的には翻訳されない。mRNAのキャッピングが共転写により行われるにせよ、転写後に酵素により行われるにせよ、mRNA転写物の少なくとも一部はCap 1構造を含まない。したがって、IVT反応混合物からのmRNAサンプルにおけるキャッピング効率は、下流での使用に先立って決定されることが重要である。例えば、IVT反応混合物からのmRNAサンプルは、Cap 0構造を含むmRNA転写物も含み得る。いくつかの実施形態において、IVT反応混合物からのmRNAサンプルは、Cap G構造を含むmRNA転写物の一部も含む。いくつかの実施形態において、IVT反応混合物からのmRNAサンプルは、キャップ構造を含まないmRNA転写物の一部も含む。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、Cap 1を含むmRNA転写物の、異なるキャップ(例えば、Cap 0またはCap G)を含むmRNA転写物に対する相対的存在量を決定する。いくつかの実施形態において、分析は、Cap 0構造を含むmRNA転写物の相対的存在量を決定し得る。いくつかの実施形態において、分析は、Cap G構造を含むmRNA転写物の相対的存在量を決定し得る。いくつかの実施形態において、分析は、キャップ構造を欠くmRNA転写物の相対的存在量を決定し得る。
本発明者らは、mRNA転写物の最初の5個の5’ヌクレオチドの酵素による放出が、Cap 0またはCap Gを含むmRNA転写物に対する、Cap 1を含むmRNA転写物の相対的存在量を決定する上で特に有用であることを見出した。これは、図3に図示されているように、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物の第2~第5のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成し、mRNAの最初の5個の5’ヌクレオチドがmRNA転写物の残りの部分から放出されるようにヌクレアーゼ(例えば、RNAse H)活性を誘導するように、オリゴヌクレオチドを使用して達成される。mRNA転写物のヌクレオチドの配列中の最初の5個の5’ヌクレオチドのみを分析することによって、本発明者らは、IVTによって合成されたmRNA転写物がCap 1構造を(例えば、不完全にメチル化されたCap 0構造とは対照的に)含むかどうかを決定するための高感度の方法を提供することができた。
特定の実施形態において、本発明の方法は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNA転写物のメチル化プロファイルを決定する。
本発明の方法は、迅速、確実および効率的にキャッピング効率を決定し、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNA転写物の大部分がCap 1構造を含み、したがって、例えば、抗原をコードするmRNAによるワクチン接種などの治療用途、または遺伝子変異の結果としてのタンパク質の機能的な欠損または非存在に起因して、mRNAが対象において欠損しているタンパク質をコードするタンパク質欠損の治療用途の文脈において、mRNAコード化タンパク質を効率的に発現させるのに適しているかどうかを評価することができる。
mRNAキャッピング
典型的には、真核生物のmRNAは、その5’-末端に「キャップ」構造を有し、これは翻訳において重要な役割を果たす。例えば、キャップはmRNAの代謝において極めて重要な役割を果たしており、核におけるRNA転写物のプロセシングおよび成熟、核から細胞質へのmRNAの輸送、mRNAの安定性、およびmRNAからタンパク質への効率的な翻訳に程度の差こそあれ必要とされる。5’キャップ構造は、真核細胞のmRNおよび真核ウイルスのmRNAのタンパク質合成の開始ならびに、in vivoでのmRNAのプロセシングおよび安定性に関与している(例えば、Shatkin,A.J.,CELL,9:645-653 (1976);Furuichiら NATURE,266:235 (1977);FEDERATION OF EXPERIMENTAL BIOLOGISTS SOCIETY LETTER 96:1-11 (1978);Sonenberg,N.,PROG.NUC.acid res mol biol,35:173-207 (1988)を参照のこと)。mRNAの翻訳開始に必要な機械の構成要素には、特異的キャップ結合タンパク質が含まれる(例えば、Shatkin,A.J.,CELL,40:223-24 (1985);Sonenberg,N.,PROG.NUC.acid res mol biol,35:173-207 (1988)を参照のこと)。mRNAのキャップは翻訳開始因子eIF4Eによって認識される(Gingrasら、ANN.REV.BIOCHEM.68:913-963 (1999);Rhoads,R.E.,J.BIOL.CHEM.274:30337-3040 (1999))。5’キャップ構造はまた、5’-エキソヌクレアーゼ活性に対する耐性を提供し、その欠失はmRNAの急速な分解をもたらす(例えば、Ross,J.,MOL.BIOL.MED.5:1-14 (1988);Green,M.R.ら、CELL,32:681-694 (1983)を参照のこと)。多くの真核細胞遺伝子および真核ウイルス遺伝子の一次転写物は、これらの転写物のコード領域内の介在配列(イントロン)を除去するためのプロセシングを必要とするため、キャップの利点は、このようなpre-mRNAの安定化にも及ぶ。
キャッピングされたRNAは、ウサギ網状赤血球溶解物またはコムギ胚芽翻訳系などの様々なin vitro翻訳系において、キャッピングされていない転写物よりも効率的に翻訳されることが報告されている(例えば、Shimotohno,K.ら、PROC.NATL.ACAD.SCI.USA,74:2734-2738 (1977);Paterson and Rosenberg,NATURE,279:692 (1979)を参照のこと)。この効果はまた、一部にはin vitro翻訳系に存在し得るエクソリボヌクレアーゼならびに他の要因からのRNAの保護によるものであると考えられている。
Cap 1
天然に存在するキャップ構造は、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第1のヌクレオチドの5’-末端に三リン酸橋を介して連結される7-メチルグアノシンを含み、mG(5’)ppp(5’)Nをもたらし、ここで、Nは任意のヌクレオシドである。In vivoでは、キャップは酵素により付加される。キャップは核内で付加され、グアニリルトランスフェラーゼという酵素によって触媒される。RNAの5’末端へのキャップの付加は、転写開始直後に起こる。キャップヌクレオシドは他のヌクレオチドとは逆向き、すなわちmG(5’)ppp(5’)Npである。N7メチルグアノシンを含み、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第1のヌクレオチドのリボースの2’Oメチル化を欠損するキャップ構造はCap 0として知られている。mRNA転写物のヌクレオチドの配列における第1のヌクレオチドのリボースの2’Oメチル化は、mG(5’)ppp(5’)Nm、すなわちCap 1をもたらす。この2’Oメチル化は、「自己」と「非自己」のRNAを区別するために重要であり、したがってmRNA転写物の翻訳効率を高めるために重要である(例えば、Sikorskiら、NUC.acid res,48:4 (2020)を参照のこと)。Cap 1を含むmRNA転写物の翻訳効率増加の1つの報告された機構は、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドのリボース2’-Oメチル化が、翻訳の阻害剤であるIFIT1(テトラトリコペプチドリピートを含むIFN誘導タンパク質1(IFN-induced protein with tetratricopeptide repeats-1))によるmRNA転写物の認識を妨げることである(Abbasら、PNAS,114:11 (2017),Habjanら、PLoS PATHOG,9:10 (2013))。
キャッピングされたmRNAの産生
RNAの転写は、通常、ヌクレオシド三リン酸(通常、プリン、AまたはG)から始まる。In vitro転写は、典型的には、T7、T3またはSP6のようなファージRNAポリメラーゼ、ファージポリメラーゼプロモータを含むDNA鋳型、ヌクレオチド(ATP、GTP、CTPおよびUTP)ならびにマグネシウム塩を含む緩衝剤を含む。
共転写キャッピング
共転写キャッピングは、転写開始剤として、mG(5’)ppp(5’)G(「mGpppG」)の形の予め形成されたジヌクレオチドを用いて実施することができる。GTP(4:1)に対する過剰なキャップ(例えばmGpppG)は、各転写物が5’キャップを持つ機会を増加させる。この比率を変えることで、高い転写収率を達成することと、キャップ構造を欠くmRNA転写物の部分を最小限に抑えることのバランスに影響を与えることができる。mMESSAGE mMACHINE(登録商標)キット(Invitrogen)など、IVT mRNAのこの種のキャッピング用キットは市販されている。これらのキットでは、典型的には、80%のキャッピングされたRNA対20%のキャッピングされていないRNAが得られるが、転写物の伸長にはGTPが必要であるため、GTP濃度が速度制限となり、全RNA収量は低くなる。偽対称ジヌクレオチドであるmG(5’)ppp(5’)Gを使用することの欠点は、GまたはmG部分のいずれかの3’-OHが転写伸長の開始求核剤として機能しやすいことである。言い換えれば、mGとGの両部位に3’-OHが存在すると、mRNAの半分までが不適切な方向にキャップを組み込むことになる。このため、転写反応のイオン条件によって、mG(5’)pppG(pN)およびG(5’)pppmG(pN)の2種類の異性体RNAがほぼ等しい割合で合成される。異性体の変異はin vitro翻訳に悪影響を及ぼし、均質な治療産物には望ましくない。
この逆キャップ配向を防止するために、in vitro翻訳実験で使用される合成ジヌクレオチドキャップの通常の形態は、一般的に2’または3’OH基が-OCHで置換された修飾キャップアナログであるAnti-Reverse Cap Analog(「ARCA」)である。リボース環の2’または3’OH基のいずれかでmGを化学修飾すると、2’OH基がホスホジエステル結合に関与しないにもかかわらず、キャップは順方向のみに組み込まれる(Jemielity, Jら「Novel ’anti-reverse’ cap analogs with superior translational properties」、RNA, 9:1108-1122(2003))。N7におけるグアノシンのメチル化、ならびに3’O-メチル化および5’二リン酸合成の選択的手順は確立されている(Kore, A. and Parmar, G. NUCLEOSIDES, NUCLEOTIDES, AND NUCLEIC ACIDS, 25:337-340,(2006)およびKore,A. R.ら、NUCLEOSIDES, NUCLEOTIDES, AND NUCLEIC ACIDS 25(3):307-14,(2006)。mMESSAGE mMACHINE(登録商標)T7 ULTRA キット(Invitrogen)など、ARCAキャップを用いたIVT mRNAのキャッピングキットが市販されている。このようなキットは典型的には、キャップアナログとGTPの比率を4:1にすることを推奨している。キャップアナログとGTPの比率を低下させると、典型的には転写反応の収量は増加するが、キャップ構造を含むmRNA転写物の部分は減少する。
転写後のキャッピング
mRNAは、図2に概略を示す3段階の酵素プロセスで転写後にキャッピングすることもできる。第1の工程において、グアニルトランスフェラーゼは、GTPを基質として使用し、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第1のヌクレオチドの5’末端にグアニンを付加し、Cap G構造を形成する。第2の工程において、N7メチルトランスフェラーゼはキャップグアニンのN7にメチル基を付加し、Cap 0構造を形成する。第3の工程において、2’-O-メチルトランスフェラーゼは、mRNA転写物中のヌクレオチド配列の第1のヌクレオチドのリボースの2’OHにメチル基を付加し、Cap 1構造を形成する。
mRNAキャッピング効率を定量する方法
いくつかの実施形態において、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、以下の工程:(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルが、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分が、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap 1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第2~第5のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、mRNAの最初の5個の5’ヌクレオチドを放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)が同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、以下の工程:(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルが、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分が、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap 1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第3~第6のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、mRNAの最初の6個の5’ヌクレオチドを放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)が、同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、IVT反応混合物からのmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量する方法であって、以下の工程:(a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルが、ヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分が、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap 1構造を含む、工程;(b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第4~第7のヌクレオチドとの間で、mRNA :DNAハイブリッドを形成する工程;(c)工程(b)で得られたサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させて、mRNAの最初の7個の5’ヌクレオチドを放出させる工程;および(d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程を含み、工程(a)~(c)が、同じ反応容器内で互いに連続して進行する、方法を提供する。
本発明による方法の1つの利点は、IVT反応混合物からのmRNAサンプルの必要量が少ないことである。これは、一部には工程(a)~(d)に追加の工程が必要ないことによる。例えば、本発明の方法では、工程(a)~(c)のいずれかの後に精製工程を実施する必要がなく、工程(d)は、工程(c)の後に介在工程無しに直接的に進行する。同様に、本発明の方法は、工程(a)~(c)のいずれか1つの後に消化のさらなる工程を実施する必要がなく、工程(d)は、工程(c)の後に介在工程無しに直接的に進行する。同様に、本発明の方法は、工程(c)の後にmRNA転写物の放出された最初の5、6、または7個の5’ヌクレオチドを濃縮する工程を適宜実施する必要がなく、工程(d)は工程(c)の後に介在工程無しに直接的に進行する。
mRNAのインプット量
精製、消化、または濃縮の追加の工程がないため、本明細書に開示される方法は高いサンプル効率を有する。したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、提供されるmRNAサンプル中において30~110pmol以下のIVT mRNA、例えば30~100pmol、30~90pmol、30~80pmol、30~70pmol、30~60pmolまたは30~50pmolのIVT mRNAのインプットを必要とする。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、提供されるmRNAサンプル中において100pmol以下のIVT mRNAのインプットを必要とする。実施例1において、本方法は、提供されるmRNAサンプル中において55pmol以下のIVT mRNAのインプットを必要とすることが示される。他の利点の中でも、開示される方法により必要とされるインプットmRNAの量が少ないため、治療用組成物の製剤化における使用など、下流での使用のためにIVT反応混合物中に残存するmRNAの量が増加する。
アッセイ体積
本発明による方法のさらなる利点は、本方法が必要とする総アッセイ体積が少ないことである。したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、50~120μl以下、例えば50~110μl、50~100μl、50~90μl、50~80μl、50~70μlまたは50~60μlの総アッセイ体積を必要とする。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は100μl以下の総アッセイ体積を必要とする。実施例1では、52μlの体積がうまく機能することが見出されている。より少ない反応体積を使用することには、コスト削減、スケールアップの容易さ、および自動化システムへのプロセスの移行の容易さなど、多くの利点がある。
オリゴヌクレオチド
本発明の方法において使用するためのオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の(i)第2~第5のヌクレオチド、(ii)第3~第6のヌクレオチド、または(iii)第4~第7のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成する。特定の実施形態において、本発明の方法において使用するためのオリゴヌクレオチドは、図3に模式的に示されるように、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の第2~第5のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成し得る。したがって、オリゴヌクレオチドは、少なくとも4つのDNA塩基対を含む。
本発明の方法において使用するオリゴヌクレオチドは、オフターゲット部位とmRNA:DNAハイブリッドを形成しないように設計されている。オリゴヌクレオチドの特異的アニーリングによって、ヌクレアーゼ(例えば、RNase H)の切断は確実に1つの部位、すなわち、最初の5個の5’ヌクレオチド、最初の6個の5’ヌクレオチド、または最初の7個の5’オリゴヌクレオチドを適宜放出するように向けられる。例えば、1回のRNase H消化工程で最初の5個の5’ヌクレオチドのみを放出させると、高分解能分析、特にキャップヌクレオチドのメチル化状態を決定するのに適した低分子量mRNA配列のサンプルが得られる。
本明細書に開示される方法は、mRNA転写物の5’末端で起こる1回の切断イベントを必要とするため、mRNA転写物の残りの部分はインタクトのままであり、mRNA転写物の他の側面、例えば3’テールの長さなどの長さに関する追加情報を収集するために使用することができる。したがって、いくつかの実施形態において、開示されるキャッピング効率法に使用されるmRNAサンプルは、mRNA転写物の他の側面、例えば、転写物の長さまたは3’テールの長さを分析するための他の方法において使用し得る。
オリゴヌクレオチドの非特異的なアニーリングは、放出されたmRNA転写物のヌクレオチドの混合物をより複雑にし、その結果、分析段階での分解能が失われる。したがって、この分解能の損失を最小化するために、例えば、精製工程を使用して望ましくない放出mRNA転写物ヌクレオチドを除去する、または例えば最初の消化工程を使用してmRNA転写物を短くすることによってmRNA転写物を単純化してオリゴヌクレオチドのオフターゲットハイブリダイゼーションを低減する、などの余分な工程が必要となる。対照的に、本発明は、最初の単純化消化工程、精製工程、および/または新しい反応容器への移送を必要とすることなく、高分解能を達成する。
いくつかの実施形態において、本発明で使用されるオリゴヌクレオチドは、5’-[R][D][R]-3’の構造を有し、式中、各RはRNAヌクレオチドであり、各DはDNAヌクレオチドであり、添え字の数字は各ヌクレオチドの数を表す。nは、適切な融解温度(T)およびGC含量(GC%)を有するオリゴヌクレオチドを提供するように調整し得る。例えば、オリゴヌクレオチドとmRNA転写物との間で形成されるmRNA:DNAハイブリッドには、約50℃~約60℃、より典型的には52℃~58℃のTが特に望ましい。典型的には、約40%~約60%のGC含量が適切である。nは10~20であり得る。より典型的には、nは11~15である。
本発明者らは、構造:5’-[R]11[D][R]-3’を有するオリゴヌクレオチドが特に有用であることを見出し、式中、RはRNAヌクレオチドであり、DはDNAヌクレオチドであり、そして添え字の数字はそれぞれの数を表す。
メチル化RNAヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドは、標的mRNAとより安定な二重鎖を形成することができる。さらに、メチル化RNAヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドは、その後の分析工程中、サンプル中のmRNA断片と容易に区別することができる。したがって、典型的な実施形態において、本発明の方法において使用するためのオリゴヌクレオチドのRNAヌクレオチドの各々は、メチル化されており、例えば、各RNAヌクレオチドは、2’-O-メチルリボースを含んでいてもよい。
本発明の技術分野の当業者は、異なる5’UTR配列が異なるオリゴヌクレオチド配列の使用を必要とすることを理解するであろうし、したがって、本発明の方法は、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列のそれぞれ第2~第5のヌクレオチド、第3~第6のヌクレオチド、または第4~第7のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッド(キャップヌクレオチドをカウントしない)が形成されるように、5’UTRまたはmRNA転写物への結合のために特異的に適合した任意のヌクレオチド配列を使用することができる。
例えば、いくつかの実施形態において、例示的な5’UTRは、以下の配列を含む:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG[配列番号2]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む:AGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG [配列番号3]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む:GAGAAUAAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC [配列番号4]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む:GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC [配列番号5]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む:GGAGAAAGCUUACC [配列番号6]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む:GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGACCCCGGCGCCGCCACC [配列番号7]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む:AGGGUCAAGAUUAGAGAACGGUCGUAGCAUUAUCGGAGGUUCUGCCACC [配列番号8]。いくつかの実施形態において、5’UTRは、以下の配列を含む: GGGUCAAGAUUAGAGAACGGUCGUAGCAUUAUCGGAGGUUCUGCCACC [配列番号9]。
いくつかの実施形態において、5’UTRは、国際公開第2013/143700号の配列番号1~1363、配列番号1395、配列番号1421および配列番号1422から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは、国際公開第2016/107877号の配列番号25~30および配列番号319~382から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは、国際公開第2017/036580号の配列番号1~151から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは、国際公開第2014/164253号の配列番号4276~4282から選択される配列を含む。
例示的オリゴヌクレオチド
本発明の方法において使用するのに適した例示的なオリゴヌクレオチドには、以下が挙げられる:
Figure 2024520636000003
。下線を引いたヌクレオチドはDNAである。残りのヌクレオチドはRNAである。典型的な実施形態において、RNAヌクレオチドはメチル化されており、例えば、2’-O-メチルリボースを含み得る。
本発明での使用に特に適していることが見出された例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’- mUmCmCmAmGmGmCmGmAmUmCTGTCmC-3’[配列番号1]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000004
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mUmUmCmUmCmUmCmUmUmAmUTTCCmC-3’[配列番号19]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000005
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mCmUmUmUmUmCmUmCmUmCmUmUmAmUTTCCmC-3’[配列番号20]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000006
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mCmAmGmAmAmGmAmAmUmAmCTAGTmU-3’[配列番号21]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000007
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mGmGmAmCmCmAmGmAmAmGmAmAmUmAmCTAGTmU-3’[配列番号23]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000008
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mCmGmUmUmCmUmCmUmAmAmUmCmUmUmGACCCmU-3’[配列番号24]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000009
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mCmUmCmUmAmAmUmCmUmUmGACCCmU-3’[配列番号25]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000010
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mCmCmGmUmUmCmUmCmUmAmAmUmCmUmUGACCmC-3’[配列番号26]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000011
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
本発明で使用するための別の例示的なオリゴヌクレオチドは、配列:5’-mCmUmCmUmAmAmUmCmUmUGACCmC-3’[配列番号27]を有する。このオリゴヌクレオチドは、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むmRNAと共に使用することができる:
Figure 2024520636000012
5’UTR中のオリゴヌクレオチド結合部位を太字で示す。
オリゴヌクレオチド配列において、mUは2’-O-メチルリボースを有するウリジンを表し;mCは2’-O-メチルリボースを有するシチジンを表し;mAは2’-O-メチルリボースを有するアデニンを表し;mGは2’-O-メチルリボースを有するグアニジンを表し;Aはデオキシアデニンを表し;Tはデオキシチミジンを表し;Gはデオキシグアニジンを表し;そしてCはデオキシシチジンを表す。
ヌクレアーゼ
本発明にしたがって、RNA:DNAハイブリッド基質中のRNAおよび/またはDNA鎖の切断を触媒することができるヌクレアーゼを、mRNAサンプル中のmRNA分子の非翻訳領域からの第1のヌクレオチドの切断のために使用することができ;このようなヌクレアーゼは非配列特異的である。いくつかの実施形態では、1つのキャッピング効率定量において複数のヌクレアーゼが使用される。
いくつかの実施形態において、好適なヌクレアーゼは、RNase HまたはRNase H様酵素活性を有する任意の酵素である。いくつかの実施形態において、好適なヌクレアーゼは、RNase S1またはRNase S1様酵素活性を有する任意の酵素である。他の実施形態において、好適なヌクレアーゼは、Benzonase(登録商標)、ヌクレアーゼP1、ホスホジエステル、RNase AおよびRNase T1から選択される。いくつかの実施形態では、複数のヌクレアーゼ、例えば、RNase HおよびS1ヌクレアーゼが使用される。
一実施形態では、ヌクレアーゼはRNase Hである。
RNase H
RNase Hは、2つの異なる系統学的サブタイプ、タイプ1およびタイプ2に分けられるユビキタス酵素ファミリーを形成し、そのいずれかを本発明の特定の実施形態において使用し得る。RNase Hは、相補的DNA一本鎖にハイブリダイズした一本鎖(ss)RNAに結合した後、RNA:DNAハイブリッドのRNA部分を分解するという共通の能力によって統一されている。RNase HはDNAの複製および組み換え、ならびに修復に関与しているが、その生理学的役割は完全には解明されていない。In vitroでは、この酵素は二本鎖(ds)DNA、ssDNA、ssRNA、およびdsRNAとも結合するが、その親和性はRNA:DNAハイブリッドに結合するよりも低い。この酵素はユビキタスであるため、文献にはいくつかのRNase Hの配列が知られており、それぞれのアミノ酸配列は多少異なっている。米国特許第5,268,289号は耐熱性RNase Hを開示しており、米国特許第5,500,370号も同様である。米国特許第6,376,661号は、ヒトRNase Hならびにその組成物および用途を開示している。米国特許第6,001,652号はヒト2型RNase Hを開示している。米国特許第6,071,734号はHBVポリメラーゼ由来のRNase Hを開示している。これらのRNase Hはすべて、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態で使用することができる。
アッセイ実行時間
本発明による方法のもう1つの利点は、反応工程が完了までにかかる時間が短いことである。したがって、いくつかの実施形態において、mRNAサンプルをオリゴヌクレオチドと接触させる工程、およびサンプルをヌクレアーゼ(例えばR、Nase H)と接触させてmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを放出させる工程の完了は、90分未満で完了する。いくつかの実施形態では、工程は、40~100分、45~90分、50~80分、55~70分、または60~70分で実施される。
実施例1に例示されるように、mRNAサンプルをオリゴヌクレオチドと接触させる工程、およびサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させてmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを放出させる工程は、60分で実施される。したがって、本発明の特定の実施形態において、mRNAサンプルをオリゴヌクレオチドと接触させ、次いでそのサンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させる工程は、完了するのに60分以下、または65分以下を必要とする。
自動化
本発明による方法の1つの利点は、mRNAサンプルをmRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させる工程、サンプルをヌクレアーゼ(例えば、RNase H)と接触させる工程、およびサンプルを分析してCap 1構造を含むmRNA転写物の部分を決定する工程を、自動化システム上で実施できることである。自動化により、本明細書に開示される方法の時間効率をさらに向上させることができる。自動化はまた、本明細書に開示されるキャッピング効率を決定するための方法のスケールアップにも利点を有する。いくつかの実施形態において、自動化は、自動液体処理システムの使用を含む。特定の実施形態において、自動液体処理システムは、一度に約100サンプルを処理する。例えば、特定の実施形態において、自動液体処理システムは、マルチウェルプレート(例えば、96ウェルプレート)との使用に適合される。市販の液体処理システムとしては、Microlab VANTAGE 1.3、Microlab STAR、Microlab NIMBUS96またはMicrolab Prep(すべてHamilton)が挙げられる。同様のシステムはTecanからも入手可能である(例えば、Tecan FluentまたはFreedom EVO液体処理プラットフォーム)。その他の自動液体処理器は当業者には公知である。
クロマトグラフィー分離
ヌクレアーゼ処理した(例えば、RNase H処理した)サンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の部分を決定する。典型的な実施形態において、本発明は、クロマトグラフィーを利用して、Cap1を含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドに対応するヌクレオチドを、Cap 0および/またはCap Gを含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドに対応するヌクレオチド、および/またはキャップ構造を欠くmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドに対応するヌクレオチドから分離する。
いくつかの実施形態において、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを含むmRNAサンプルは、薄層クロマトグラフィー(「TLC」)に供することができる。
特定の実施形態では、工程(d)による分析は、工程(c)で得られたサンプルを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析することを含む。本明細書で使用される用語「HPLC」は、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)にも関する。
具体的な実施形態において、本発明による方法は、工程(d)で実施される分析のためにUHPLCを使用する。UHPLCは通常、2μmより小さい粒子(例えば、1.7μm)を充填したカラムを使用する。UHPLCシステムは通常、6000psiより高い圧力(例えば、最大15000psi)を採用し、その結果、高速化のために高い流速が得られる。小さな粒径との組合せにより、UHPLCは従来のHPLCシステムに比べて優れた分離能および感度を提供する(例えば、Swartz,M.E.「Ultra Performance Liquid Chromatography(UPLC):an introduction」、SEPARATION SCIENCE REDEFINED(2005)を参照)。
HPLCは、使用されるカラムに応じて、サンプル分離の異なる方法を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、適切なクロマトグラフィーカラムは、陰イオン交換カラム、陽イオン交換カラム、逆相HPLCカラム、疎水性相互作用カラム、サイズ排除カラム、またはその組合せからなる群から選択される。特定の実施形態において、逆相HPLCカラム、例えば逆相UHPLCカラムが使用される。特定の実施形態において、工程(d)による分析は、工程(c)で得られたサンプルをC18逆相UHPLCカラムで分析することを含む。本発明者らは、C18 2.1×100mmカラムが特に有用であることを見出した。いくつかの実施形態において、サンプルを加熱する(例えば、約50℃まで)か、またはサンプルを加熱したクロマトグラフィーカラムにアプライすることが望ましい場合がある。
当技術分野の当業者には公知のように、イオン交換体(例えば、陰イオン交換体および/または陽イオン交換体)は、マトリックスならびに付着した荷電基に関して、様々な材料をベースとしていてもよい。例えば、以下のマトリックス:アガロースベースのマトリックス(例えば、Sepharose(商標)CL-6B、Sepharose(商標)Fast FlowおよびSepharose(商標)High Performance)、セルロースベースのマトリクス(例えば、DEAE Sephacel(登録商標))、デキストランベースのマトリックス(例えば、SEPHADEX(登録商標))、シリカベースのマトリックスおよび合成ポリマーベースのマトリックスを使用することができ、言及した材料は多かれ少なかれ架橋される場合がある。
イオン交換樹脂は、公知の方法にしたがって調製することができる。典型的には、樹脂を対イオンに結合させる平衡化緩衝剤を、サンプルを樹脂に充填する前にイオン交換樹脂に通すことができる。好都合なことに、平衡化緩衝剤は、充填緩衝剤と同じであり得るが、これは必須ではない。一実施形態において、イオン交換樹脂は、カラムを再使用できるように、サンプルの溶出後に再生緩衝剤で再生することができる。一般的に、再生緩衝剤の塩濃度および/またはpHは、実質的にすべての汚染物質および残りのすべてのサンプルがイオン交換樹脂から溶出されるようなものとすることができる。一般的に、再生緩衝剤は、イオン交換樹脂から汚染物質およびヌクレオチドを溶出するために非常に高い塩濃度を有する。
いくつかの実施形態において、工程(c)で得られたサンプルは、工程(d)による分析のために陰イオン交換クロマトグラフィーに供される。ヌクレオチドの高分解能分析は、Ausser, W.A.ら、「High-resolution analysis and purification of synthetic oligonucleotides with strong anion-exchange HPLC」、BIOTECHNIQUES, 19:136-139(1995)に記載されているように実施することができる。陰イオン交換樹脂の場合、マトリックスに共有結合している荷電基は、例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)、第4級アミノエチル(QAE)、および/または第4級アンモニウム(Q)であり得る。いくつかの実施形態において、使用される陰イオン交換樹脂は、Q Sepharoseカラムである。陰イオン交換クロマトグラフィーは、例えば、Q Sepharose(商標)Fast Flow、Q Sepharose(商標)High Performance、Q Sepharose(商標)XL、Capto(商標)Q、DEAE、TOYOPEARL Gigacap(登録商標)Q、Fractogel(登録商標)TMAE(トリメチルアミノエチル、第4級アンモニア樹脂)、Eshmuno(商標)Q、Nuvia(商標)Q、またはUNOsphere(商標)Qを使用して実施することができる。他の陰イオン交換体としては、第4級アミノ樹脂または「Q-樹脂」(例えば、Capto(商標)-Q、Q-Sepharose(登録商標)、QAE Sephadex(登録商標))、ジエチルアミノエタン樹脂(例えばDEAE-Trisacryl(登録商標)、DEAE Sepharose(登録商標)、ベンゾイル化ナフトイル化DEAE、ジエチルアミノエチルSephacel(登録商標));Amberjet(登録商標)樹脂;Amberlyst(登録商標)樹脂;Amberlite(登録商標)樹脂(例えば、Amberlite(登録商標)IRA-67、Amberlite(登録商標)強塩基性、Amberlite(登録商標)弱塩基性)、コレスチラミン樹脂、ProPac(登録商標)樹脂(例えば、ProPac(登録商標)SAX-10、ProPac(登録商標)WAX-10、ProPac(登録商標)WCX-10);TSK-GEL(登録商標)樹脂(例えば、TSKgel DEAE-NPR;TSKgel DEAE-5PW);およびAcclaim(登録商標)樹脂が挙げられる。
陰イオン交換クロマトグラフィーの典型的な移動相には、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどの有機アルコール、または2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸(MES)を含む溶液などの極性溶液が含まれる。したがって、特定の実施形態において、移動相は、約0%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約100%の極性溶液を含む。特定の実施形態において、移動相は、分離の過程の任意の時点で、約1%~約100%、約5%~約95%、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、または約40%~約60%の極性溶液を含む。
一般的に、キャッピングされていないmRNAは、強陰イオン交換カラムの固定されたプラス電荷に吸着し、所定の流速で移動相を用いてイオン強度を増加させる勾配により、正電荷を有するカラムとのイオン相互作用の強さに比例して、カラムからキャッピングされた種(キャップが正電荷を有する)が溶出される。キャップ構造を欠く、より負に荷電した(より酸性の)mRNAヌクレオチドは、負の荷電が低い(酸性度が低い)キャップ種よりも後に溶出する。
いくつかの実施形態では、工程(d)による分析は、工程(c)で得られたものを陽イオン交換クロマトグラフィー、例えばスルホプロピル(SP)陽イオン交換クロマトグラフィーに供することを含む。他の陽イオンクロマトグラフィー膜または樹脂、例えば、MUSTANG(商標)S膜、S-Sepharose(商標)樹脂、またはBlue Sepharose(商標)樹脂を使用することができる。
いくつかの実施形態では、工程(d)による分析は、工程(c)で得られたものを疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)に供することを含む。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、極性または非極性環境に対する所与の分子の吸引力を利用し、核酸に関しては、この傾向は、ヌクレオチドおよびその修飾の疎水性または親水性によって支配される。したがって、核酸は、疎水性マトリックス、典型的には鎖長が炭素数2~18のアルキルリンカーアームを有する不活性支持体に対するそれらの様々な吸引度に基づいて分画される。固定相は、親水性ポリマー骨格(例えば、架橋Sepharose(商標)、デキストラン、またはアガロース)に結合した小さい非極性基(ブチル、オクチル、またはフェニル)を含む。いくつかの実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィーはフェニルクロマトグラフィーを含む。他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、ブチルクロマトグラフィーまたはオクチルクロマトグラフィーを含む。
いくつかの実施形態において、工程(d)による分析は、工程(c)で得られたものを逆相HPLCに供することを含む。逆相HPLCは、非極性固定相および中極性移動相を含む。いくつかの実施形態において、固定相は、例えばRMeSiClで処理されたシリカであり、ここで、RはC1837またはC17のような直鎖アルキル基である。そのため、天然でより非極性である分子は保持時間が長くなり、極性分子がより容易に溶出することが可能になる。保持時間は、移動相に極性溶媒を添加すると増加し、より疎水性の溶媒の添加によって減少する。他の変更可能なパラメータとしては移動相の流速および温度も挙げられる。分析物としての特定のRNA分子の特性は、その保持特性に重要な役割を果たすことがある。一般的に、非極性官能基(例えば、メチル基)をより多く有する分析物は、分子の疎水性が増すため、保持時間が長くなる。本発明の実施形態で使用するために適合され得る、逆相-HPLCを使用したRNA種の高分離のための手順は、当技術分野で公知である(例えば、米国特許第8,383,340号明細書;Gilar,M.「Analysis and purification of synthetic oligonucleotides by reversed-phase high-performance liquid chromatography with photodiode array and mass spectrometry detection」、ANAL. biochem.,298:196-206(2001))。いくつかの実施形態において、酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)緩衝剤は、キャップを含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドの分離および特徴付けのためのUV検出に使用される。
いくつかの実施形態において、本方法の工程(d)による分析は、本明細書に開示される1つまたはそれ以上のクロマトグラフィー分離法の組合せを利用する。例えば、本発明の特定の実施形態では、逆相イオンペアクロマトグラフィーを利用することができ、これにより、疎水性および分子と結合した陰イオンの数の両方に基づいて分離が行われる。マトリックスは、シリカベースであり得る(例えば、Murrayら、ANAL. Biochem.,218:177-184(1994))。非多孔性で不活性なポリマー樹脂を、特定の実施形態において使用し得る(例えば、Huber, C.G.「High-resolution liquid chromatography of oligonucleotides on nonporous alkylated styrene-divinylbenzene copolymers」、ANAL. BIOCHEM:351-358(1993)を参照のこと)。
特定の実施形態において、工程(d)による分析は、質量分析(「MS」)と組み合わせたクロマトグラフィー(例えば、HPLC、特にUHPLC)を含み得る。適切なLC-MS法は当技術分野で公知である。そのような方法は、典型的には、MS検出に適合する水性トリエチルアミン-ヘキサフルオロイソプロパノール(TEA HFIP)緩衝剤を使用する(Apffel, A.ら、「New procedure for the use of HPLC-ESI MS for the analysis of nucleotides and oligonucleotides」、J. Chromatogr. A, 777:3-21(1997))。例えば、最適化されたTEA-HFIP移動相を、キャップを含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドのLC-MS分離および特性評価のために使用し得る。特定の実施形態において、水性緩衝剤は、pH8.3で100mM HFIPおよび8. 6mMのTEAを含む。具体的な実施形態において、100mM HFIP/8.6mM TEA、pH8.3の水溶液を最大50%のメタノールと組み合わせて含む移動相が、本発明による方法において使用される。あるいは、トリエチル炭酸水素アンモニウム移動相を、溶出液へのカラム後のアセトニトリル添加を伴うオリゴヌクレオチド分離に使用してもよい。イオンペアリング緩衝剤は、最良のMS検出感度を与えるように選択することができる。特定の実施形態において、工程(d)による分析は、タンデム質量分析(LC-MS/MS)と組み合わせたクロマトグラフィー(例えば、HPLC)を含み得る。本発明者らは、超高速液体クロマトグラフィー-四重極飛行時間質量分析(UHPLC/Q-TOF-MS)が、本発明の工程(d)による分析の特に好適な方法であることを見出した。したがって、特定の実施形態において、本発明による方法は、超高速液体クロマトグラフィー-四重極飛行時間型質量分析(UHPLC/Q-TOF-MS)を使用して、工程(d)の分析を実施する。
いくつかの実施形態において、MSまたはLC-MSによる工程(d)によるサンプルの分析は、200~6000m/z、または250~5000m/z、または300~4000m/zのスキャン範囲にわたる分析を含む。特定の実施形態において、MSまたはLC-MSによる工程(d)によるサンプルの分析は、400~3200m/zのスキャン範囲にわたる分析を含む。
メチル化プロファイル
特定の実施形態において、キャップ構造を含むmRNA転写物は、メチル化プロファイルによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、「メチル化プロファイル」は、移動相のカラムへの添加後の一時点においてクロマトグラフィーカラムから溶出する、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドの量に対応する値のセットを指す。上述したように、天然でより非極性であるメチル化キャップおよび最後から2番目のヌクレオチドの保持時間は、より容易に溶出する極性分子に対して増加する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法の工程(c)で放出される最初の5、6、または7個のヌクレオチドの保持時間は、工程(d)で実施されるクロマトグラフィー分析工程の間に使用される移動相への極性溶媒の添加によって増加し得る。いくつかの実施形態において、本発明の方法の工程(c)で放出される最初の5、6、または7個のヌクレオチドの保持時間は、工程(d)で実施されるクロマトグラフィー分析工程の間に使用される移動相への疎水性溶媒の添加によって減少し得る。
ピーク分析
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法の工程(d)による分析は、クロマトグラム中のそれぞれのピーク面積の自動積分を含む。例えば、データは、クロマトグラム全体の総積分ピーク面積に対する特定種の積分ピーク面積のパーセント比率を指す面積パーセント値として提示される。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法の工程(d)による分析は、HPLC分析後のクロマトグラム(複数可)におけるそれぞれのピークの比較を含む。特定の実施形態において、本明細書に開示される方法の工程(d)による分析は、質量分析(例えば、LC-MS)後のクロマトグラム(複数可)におけるそれぞれのピークの総イオンカウントの比較を含む。
いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドの部分は、他のキャップ構造(例えば、Cap 0またはCap G)を含む、またはキャップ構造を欠くmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドの部分に対して決定される。
特定の実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5個のヌクレオチドの部分は、他のキャップ構造(例えば、Cap 0またはCap G)を含む、またはキャップ構造を欠くmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5個のヌクレオチドの部分に対して決定される。
対照サンプル
いくつかの実施形態において、本発明の方法の工程(d)による分析は、1つまたはそれ以上の対照サンプルを参照して実施される。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の方法の工程(d)による分析は、本発明によるmRNAサンプル中のmRNAのヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドにそれぞれ対応する合成オリゴヌクレオチドを含むキャッピングされていない対照サンプルを参照して実施される。
他の実施形態において、好適な対照サンプルは、(i)適宜5’キャップ構造を含む、5、6、または7個のヌクレオチドの配列、および(ii)適宜キャップ構造を欠く、5、6、または7個のヌクレオチドの配列を、参照を提供するために規定された比率(例えば、9:1)で含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドがmRNA転写物の最初の5個の5’ヌクレオチドの酵素による放出のために設計されている場合、対照サンプルは、(i)5’Cap 1構造を含む5個のヌクレオチドの配列、および(ii)キャップ構造を欠く5個のヌクレオチドの配列を、参照を提供するために規定された比率で含み得る。特定の実施形態において、対照サンプルは、(i)5’Cap 1構造を含む5個のヌクレオチドの配列、および(ii)キャップ構造を欠く5個のヌクレオチドの配列を、9:1の比率で含む。
いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の対照サンプルは、本発明の方法の工程(d)による分析の一部として、較正工程において使用される。いくつかの実施形態において、対照サンプルは、対照サンプルの溶出時間および/またはピーク強度を測定することによって機械較正をモニターするために使用される。いくつかの実施形態において、mRNAのヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドにそれぞれ対応する合成オリゴヌクレオチドを含む対照サンプルを、本発明の方法の工程(d)にしたがって分析し、機械較正をモニターする。
いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の対照サンプルは、工程(c)にしたがって得られたサンプルの分析と並行して実行され、参照クロマトグラムを提供する。いくつかの実施形態において、対照サンプルは、工程(c)にしたがって得られたサンプルと1つまたはそれ以上の対照サンプルを同時に測定するために、工程(c)にしたがって得られたサンプルに1つまたはそれ以上の対照サンプルを添加できるように、例えば重水素化または放射性標識などの修飾が施される。
例えば、キャップを含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5個のヌクレオチドとキャップを含まないmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5個のヌクレオチドとの間、ならびに異なるキャップ構造(例えば、Cap 0、Cap GおよびCap 1)の間を容易に区別することができる本発明の方法により達成される高分解能を考慮すると、対照サンプルの使用は厳密には必要ではない。したがって、本発明の特定の実施形態において、本発明の方法の工程(c)で得られたサンプルを分析する工程(d)では、対照サンプルを使用しない。
mRNA転写物のさらなる処理
いくつかの実施形態において、本発明の方法は製造プロセスに組み込まれ、工程(d)の結果は、mRNAサンプルが採取されたIVT反応混合物をさらに処理するかどうかを決定するために使用される。
「さらに処理する」とは、反応混合物を所定の製造プロセスにおける次の工程に移すことを意味する。例えば、さらなる処理は、例えばIVT反応混合物の特定の構成要素を除去するための精製を含むことができる。さらなる処理は、例えば脂質ナノ粒子への封入によるmRNA転写物の製剤化も含み得る。例えば、さらなる処理は、治療用組成物の調製におけるIVT反応混合物の使用を含み得る。
具体的な実施形態において、さらなる処理は、3’ポリ(A)テールの付加を含み得る。いくつかの実施形態において、約200ヌクレオチドの長さの3’ポリ(A)テール(ゲル電気泳動によって決定される)は、PolyAポリメラーゼと組み合わせてATPを添加することによって組み込まれる。いくつかの実施形態において、ポリ(A)テールは、約100~250ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ポリ(A)テールは、約50~300ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、IVT反応混合物中のmRNA転写物は、5’および3’非翻訳領域を含む。
いくつかの実施形態において、さらなる処理は、さらなる品質管理工程を含む。例えば、IVT反応混合物は、mRNA転写物の他の局面、例えばmRNA転写物の長さに関して分析することができるさらなるmRNAサンプルの供給源として使用することができる。さらなる処理は、mRNAサンプルの純度を決定することを含み得る。
典型的には、閾値を上回るCap 1構造を含むmRNA転写物の量を含むと決定されたIVT反応混合物は、さらに処理するものとする。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも91%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも92%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも93%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも94%である。特定の実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも96%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも97%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも98%である。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの少なくとも99%である。
したがって、Cap 1以外のCap構造を含むmRNA転写物の量を含むと決定されたIVT反応混合物は、Cap 1以外のCap構造が閾値未満に存在する場合にのみ、さらに処理されるものとする。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの20%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの15%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの10%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの9%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの8%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの7%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの6%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの5%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの4%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの3%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの2%以下である。いくつかの実施形態において、Cap 0構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの1%以下である。
いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの20%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの15%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの10%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの9%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの8%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの7%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの6%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの5%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの4%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの3%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの2%以下である。いくつかの実施形態において、Cap G構造を含むmRNA転写物は、さらに処理されるIVT反応混合物のサンプルの1%以下である。
一般的に、キャッピングされていないmRNA転写物の量を含むと決定されたIVT反応混合物は、その量が閾値未満である場合にのみ、さらに処理されるものとする。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの20%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの15%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの10%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの9%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの8%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの7%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの6%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの5%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの4%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの3%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの2%以下である。特定の実施形態において、キャッピングされていないmRNA転写物は、さらに処理されるITV反応混合物のサンプルの1%以下である。
Cap 1を含むmRNA転写物を90%未満含むと決定されたIVT反応混合物は、さらなる処理を行わないが、mRNAサンプルまたはIVT反応混合物は、例えばCap 1の生成が不十分である原因を決定するためなど、他の目的で使用することができる。
キット
本発明はさらに、本発明による発明方法を実施するのに有用な種々の試薬および材料を含むキットを提供する。本明細書に記載される定量的手順は、診断研究室、実験研究室、または商業的研究室によって実施される。本発明は、これらの異なる環境で使用できるキットを提供する。
mRNAキャッピング効率を検出/定量するために、キットは、標的mRNA転写物のmRNAキャップに特異的に隣接してアニールし、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列のそれぞれ第2~第5のヌクレオチド、第3~第6のヌクレオチド、または第4~第7のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成する、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドを含み得る。キットはまた、mRNA転写物のヌクレオチドの配列のそれぞれ最初の5、6、または7個のヌクレオチドを産生するためのヌクレアーゼ、すなわちRNase Hを含み得る。キットはさらに、本発明の方法にしたがってキットを使用するための説明書を含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明のキットは、参照点として使用される対照サンプルをさらに含み得る。例えば、キットに含まれる対照サンプルは、Cap 1構造を含むmRNA転写物の少なくとも90%を含むmRNAサンプルを含み得る。具体的な実施形態において、キットに含まれる対照サンプルは、適宜、5、6、または7個のリボヌクレオチドを含み、ここで、リボヌクレオチドの少なくとも90%はCap 1構造を含む。
いくつかの実施形態において、酵素操作およびクロマトグラフィー分離によってmRNAサンプル中のmRNAキャッピング効率を定量するための材料および試薬は、キットの中で一緒に組み立てることができる。例えば、このようなキットは、カラム上のキャップ構造を含むmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを分離するための薬剤、クロマトグラフィーカラム、および本発明の方法にしたがってキットを使用するための説明書を含み得る。
組成物
本発明はまた、Cap 1構造を含むin vitro合成mRNAを含む精製mRNA組成物を提供する。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも80%含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも85%を含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも90%含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも95%含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも96%含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも97%含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも98%含む。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、Cap 1構造を含むmRNA分子を少なくとも99%含む。Cap 1構造を含むmRNA分子は、本明細書に記載されるキャッピング効率アッセイ後に調製される。いくつかの実施形態において、Cap 1構造を含むmRNA分子のパーセント比率は、本発明のキャッピング効率アッセイによって決定される。
いくつかの実施形態において、mRNA組成物は脂質ナノ粒子中に封入される。いくつかの実施形態において、mRNA組成物は、in vivo送達のために製剤化される。
キャッピング効率の分析
本実施例は、「サンプル1」および「サンプル2」と称する、2つの異なるin vitro転写(IVT)反応混合物からのmRNAサンプルにおけるキャッピング効率を定量する方法を示す。
オリゴヌクレオチドを、mRNA転写物に相補的となるように設計および合成し、図3に図示されているように、オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチド配列の第2~第5のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成した。mRNA転写物は、以下の5’非翻訳領域(5’UTR)を含んでいた:
Figure 2024520636000013
オリゴヌクレオチドの配列は、以下:
Figure 2024520636000014
の通りであり、式中、mUは2’-O-メチルリボースを有するウリジンを表し;mCは2’-O-メチルリボースを有するシチジンを表し;mAは2’-O-メチルリボースを有するアデニンを表し;mGは2’-O-メチルリボースを有するグアニジンを表し;Tはデオキシチミジンを表し;Gはデオキシグアニジンを表し、Cはデオキシシチジンを表し、下線テキストはDNAヌクレオチドを表す。
サンプル1およびサンプル2を、以下のように2つの別々の反応で処理した。mRNA転写物を含むmRNAサンプル55pmolを、22μlの総初期アッセイ体積中でオリゴヌクレオチドと接触させ、75℃で10分間、続いて室温で10分間インキュベートした。その後、mRNAサンプルを同じ反応容器内でRNase Hと接触させ、総最終アッセイ体積52μlを得た。反応は37℃で40分間進行させた。RNase HはDNA:RNAハイブリッドの領域でmRNAを切断し、それによってmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5個の5’ヌクレオチドを放出させた。
精製することなく、RNase Hで切断したmRNAサンプルを、50℃に維持したInfinityLab C18 2.1×100mmカラムを有するUHPLC-QTOFシステム(Agilent)に充填し、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の部分を決定した。0.5ml/分の流速を使用して、移動相A(100mM HFIP、8.6mMトリメチルアミン、pH 8.3)から移動相B(100%メタノール)への10分間の1~16%勾配の後に、50%移動相B1.5分間を続けた。溶出液は、13L/分の350℃乾燥ガスフロー、10psiのネブライザー圧力、および3750Vのキャピラリー電圧でQTOFスペクトロメトリにより直接的に分析した。分析は、400~3200m/zのスキャン範囲にわたって負イオンモードで行った。
サンプル1およびサンプル2の得られたクロマトグラムをそれぞれ図4Bおよび図4Cに示す。図4Bに示すように、サンプル1のクロマトグラムによって、4つの識別可能なピークが明らかになった。これらは、示された通り、キャッピングされていないヌクレオチド、ならびにCap 0、Cap G、およびCap 1を有するヌクレオチドに割り当てられた。Cap 1構造を含むmRNA転写物の部分は90%未満であったため、サンプル1はそれ以上処理されなかった。図4Cに示すように、サンプル2のクロマトグラムによって、Cap 1に対応する主要なピークが明らかになった。Cap 1とキャッピングされていないヌクレオチドの相対量は、関連するクロマトグラフィーのピークを自動積分することによって決定した。Cap 1構造を含むmRNA転写物の部分は95%であると決定されたため、サンプル2はさらなる処理のために採取した。

Claims (25)

  1. in vitro転写(IVT)反応混合物からのmRNAサンプル中のキャッピング効率を定量する方法であって:
    (a)mRNAサンプルを提供する工程であって、mRNAサンプルは、キャップ有りまたは無しのヌクレオチドの配列を含む複数のmRNA転写物を含み、mRNA転写物の第1の部分は、ヌクレオチドの配列の第1のヌクレオチドの5’末端にCap 1構造を含む、工程;
    (b)mRNAサンプルを、mRNA転写物に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させて、該オリゴヌクレオチドと、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の(i)第2~第5のヌクレオチド、(ii)第3~第6のヌクレオチド、または(iii)第4~第7のヌクレオチドとの間で、mRNA:DNAハイブリッドを形成する工程;
    (c)工程(b)で得られたサンプルをRNase Hと接触させて、mRNA転写物のヌクレオチドの配列の(i)最初の5個のヌクレオチド、(ii)最初の6個のヌクレオチド、または(iii)最初の7個のヌクレオチドをそれぞれ放出させる工程;
    (d)工程(c)で得られたサンプルを分析して、mRNAサンプル中においてCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分を決定する工程
    を含み、
    工程(a)~(c)は、同じアッセイ容器内で互いに連続して進行する、方法。
  2. 工程(b)~(d)は、自動化システムによって実行される、請求項1に記載の方法。
  3. 分析は、キャップのメチル化状態をさらに決定することができる、請求項1または2に記載の方法。
  4. キャップは、転写後に酵素により付加されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. キャップは、共転写によりmRNAに付加されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  6. オリゴヌクレオチドは、以下の式:
    5’-[R][D][R]-3’
    (式中、各RはRNAヌクレオチドであり、各DはDNAヌクレオチドであり、nは10~20である)
    で表され、オリゴヌクレオチドは、約40%~約60%のGC含量を有し、mRNA:DNAハイブリッドは、約50℃~約60℃の融解温度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. RNAヌクレオチドの各々は、2’-O-メチルリボースを含む、請求項6に記載のオリゴヌクレオチド。
  8. 工程(a)で提供されたmRNAサンプル中において、100pmol以下のin vitro転写mRNAのインプットを必要とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 100μl以下の総アッセイ体積を必要とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程(b)~(c)は、90分またはそれ未満で実施する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程(d)における分析は、工程(c)で放出されたmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを分離し、キャップの有無を決定するHPLCを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. HPLCは、UHPLCである、請求項11に記載の方法。
  13. 工程(d)における分析は、Cap 1構造を含む、工程(c)において放出されたmRNA転写物のヌクレオチドの配列の最初の5、6、または7個のヌクレオチドを同定するための質量分析(MS)をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
  14. 工程(d)における分析は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を含む、請求項12に記載の方法。
  15. MSまたはLC-MSによる工程(d)におけるサンプルの分析は、200~6000m/zのスキャン範囲にわたる分析を含む、請求項13または14に記載の方法。
  16. 工程(a)で提供されるmRNAサンプルは、Cap 0構造を含むmRNA転写物の第2の部分を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 工程(a)で提供されるmRNAサンプルは、Cap G構造を含むmRNA転写物の第3の部分を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. Cap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して少なくとも90%である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. Cap 0構造を含むmRNA転写物の第2の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して10%以下である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. Cap G構造を含むmRNA転写物の第3の部分は、さらに処理されるIVT反応混合物に対して10%以下である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. さらなる処理は、IVT反応混合物からのmRNA転写物の精製および/または封入を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 治療用mRNAを製造する方法であって:
    (i)in vitro転写(IVT)反応混合物を用いて治療用mRNAを合成する工程;
    (ii)請求項1~15のいずれか1項に記載の方法を用いて、in vitro転写(IVT)反応混合物からのmRNAサンプルを分析する工程;および
    (iii)mRNA中にCap 1構造を含むmRNA転写物の第1の部分が少なくとも90%である場合、mRNAをさらに処理する工程
    を含む、方法。
  23. さらなる処理は、工程(i)において合成された治療用mRNAの精製を含む、請求項22に記載の方法。
  24. さらなる処理は、工程(i)において合成された治療用mRNAを製剤化することを含む、請求項22または23に記載の方法。
  25. 製剤化は、mRNAを脂質ナノ粒子中に封入することを含む、請求項24に記載の方法。
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