JP2024519129A - 肥満症に罹患している患者が超低カロリーケトン食療法(vlckd)に応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するための方法 - Google Patents

肥満症に罹患している患者が超低カロリーケトン食療法(vlckd)に応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、そのメチル化状態が、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否かを示す遺伝子をスクリーニングおよび/または選択するためのインビトロ方法に関する。さらに、本発明は、肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するためのインビトロ方法に関する。

Description

本発明は、医療の分野に関する。特に、本発明は、そのメチル化状態が、肥満症に罹患している患者が超低カロリーケトン食療法(VLCKD)での処置に応答しているか否かまたは応答するか否かを示す遺伝子をスクリーニングおよび/または選択するためのインビトロ方法に関する。さらに、本発明は、肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するためのインビトロ方法に関する。
ケトーシスがいくつかの健康状態に対して与えるその誘発効果のために、ケトーシスは近年関心を集めている。ケトーシスは、疾患の発症の遅延および寿命の伸長に関連する。同様に、ケトーシスは、運動選手の身体的持久力の増加から老化の遅延まで、広範囲の健康上の利益を有することが示唆されている。また、神経変性疾患癌、心血管疾患および肥満症などの症状を改善する。これらの研究のいくつかは、高脂肪ケトン食療法を含んでおり、ケトン食療法の主な特徴が炭水化物制限であるとしても、臨床診療における影響に関して、主要栄養素の具体的な組成およびカロリーを考慮に入れるべきである。
VLCKDは、体重減少および維持、筋肉量の保存の増加および安静時代謝率の向上を含め、肥満症を管理する上で有効な戦略であることが実証された。さらに、VLCKDは、肥満症および2型糖尿病を有する患者における代謝パラメータを改善することができる。さらに、VLCKDは、肥満症を有する患者の生活の質を改善することを支援するために、食欲を低下させ、心理生物学的パラメータを改善することができることが実証された。しかしながら、ケトン食療法のこれらの利点の基礎に存在する分子機構はなお不明なままである。
このため、肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しているか否かまたは応答するか否か、特にVLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が起こったか否かを監視または予測するための分子的方法を見出すという、満たされていない医学的要望が存在する。本発明は、この要望を解決することを目的とし、VLCKDが肥満症メチロームにどのように影響を及ぼし得るかに関する評価が本明細書において提供される。肥満症に関連するメチローム変化が本発明において同定され、この変化はVLCKDでの処置による誘発された体重減少またはケトーシスによって媒介される。したがって、本明細書において、前記メチローム変化は、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否かの指標として提案される。
発明の簡単な説明
本発明は、肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予想するための、特にVLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が起こったか否かを監視または予測するための方法に関する。
特に、6ヶ月のVLCKD後の21人の肥満症を有する患者(n=12人の女性、47.9±1.02歳、33.0±0.2kg/m2)および12人の正常体重のボランティア(n=6人の女性、50.3±6.2歳、22.7±1.5kg/m2)を研究した。VLCKD中のケトーシス相の複数の時点(基礎、最大ケトーシスおよびケトーシスから脱出)(n=10)およびボランティアのベースライン(n=12)で、血液白血球のInfinium MethylationEPIC BeadChipメチロームからのデータを得た。VLCKDを受けた患者の代表コホート(n=18)におけるパイロシーケンシングによって結果をさらに検証し、遺伝子発現と相関させた。
VLCKDによる体重低下後、988のCpG部位(786のユニークな遺伝子)において差が見出された。VLCKDは肥満症を有する患者におけるメチル化レベルを変化させ、正常体重ボランティアのメチル化レベルと高い類似性を有し、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)1、3aおよび3bの下方制御を伴っていた。コードされる遺伝子のほとんどは、代謝プロセス、タンパク質代謝ならびに筋肉、器官および骨格系の発達に関与していた。ZNF331、FGFRL1(VLCKD誘導性体重減少)ならびにCBFA2T3、C3orf38、JSRP1およびLRFN4(VLCKD誘導性ケトーシス)を含む、事象に関連するスコアリングが上位の新規遺伝子が同定された。興味深いことに、ZNF331およびFGFRL1は、独立したコホートにおいて検証され、遺伝子発現と逆相関した。
したがって、ケトン食療法の潜在的な健康上の利益の基礎に存在する分子機構は依然として未知であるので、本発明は先行技術と比較して明確な貢献をしている。したがって、本発明は、メチローム状態が、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否か、特に、VLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が起こったか否かを示すことを初めて示している。
それ故、先行技術を超える寄与を規定し、本発明に単一性を付与する特別な技術的特徴は、メチル化状態が、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否か、特にVLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が起こったか否かを示すことである。
したがって、本発明の第1の態様は、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するためのインビトロ方法であって、表S2、S3またはS4から選択される少なくとも1種の遺伝子またはCpGのメチル化状態を決定する工程を含み、予め確立されたメチル化のレベルと比較した、メチル化のレベルの統計学的に有意な変動または乖離は、対象がVLCKDに応答しているかまたは応答するであろうことの指標である、インビトロ方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、以下の工程に従うことによって、そのメチル化状態が、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否かを示す遺伝子をスクリーニングおよび/または選択することを含む:
a.食事療法の開始時に生じるベースライン状態にある患者におけるメチル化のレベルによって表される対照値に関して、食事療法の30日目~90日目に生じる最大ケトーシスの期間にある患者と120日目~180日目に生じる食事療法の終わりにある患者との間で可変的β値≧2%およびFDR<0.10を示す、可変的にメチル化されていることを特徴とするCpGを選択する工程;ならびに/または
b.食事療法の開始時に生じるベースライン状態にある患者におけるメチル化のレベルによって表される対照値に関して、食事療法の30日目~90日目に生じる最大ケトーシスの期間にある患者間で可変的β値≧2%およびFDR<0.10を示す、可変的にメチル化されていることを特徴とするCpGを選択する工程、および食事療法の30日目~90日目に生じる最大ケトーシスの期間にある患者と120日目~180日目に生じる食事療法の終わりにある患者との間で可変的にメチル化されているCpGを破棄する工程;ならびに
c.工程a)および/もしくはb)に従って選択された可変的にメチル化されたCpG部位の少なくとも2つをプロモーター領域中に含む遺伝子を選択する工程。
好ましい態様において、工程a)およびc)に従って選択される遺伝子およびCpG部位は、表2もしくは表S2中に含まれており、それらのメチル化状態は、肥満症に罹患している患者が、VLCKDに応答しておりもしくは将来応答して体重減少および栄養学的ケトーシス誘導の両方を生じさせるか否かを示し、ならびに/または工程b)およびc)に従って選択される遺伝子およびCpG部位は、表3もしくは表S3中に含まれており、それらのメチル化状態は、肥満症に罹患している患者が、栄養学的ケトーシスの誘導によってVLCKDに応答しているか否かもしくは将来応答するか否かを示す。
好ましい態様において、本発明は、肥満症に罹患している患者が、VLCKDに応答しておりもしくは将来応答して体重減少および栄養学的ケトーシス誘導の両方を生じさせるか否かを監視または予測するための方法であって、表2またはS2から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態を決定する工程を含み、予め確立されたメチル化のレベルと比較した、メチル化のレベルの統計学的に有意な変動または乖離は、対象がVLCKDに応答しているかまたは将来応答することの指標である、方法に関する。
好ましい態様において、遺伝子のメチル化状態は、表2または表S2から選択される少なくとも1種のCpG部位において決定される。
好ましい態様において、本発明は、VLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が生じたか否かを監視または予測するための方法であって、前記患者から得られた生物学的試料中の表3または表S3から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態を決定する工程を含み、予め確立されたメチル化のレベルと比較して、メチル化のレベルの統計学的に有意な変動または乖離が、ケトーシスの低下が生じたという指標である、方法に関する。
好ましい態様において、遺伝子のメチル化状態は、表3または表S3から選択される少なくとも1種のCpG部位において決定される。
好ましい態様において、患者がVLCKDでの処置に応答しているかまたは将来応答するであろう場合には、これらの遺伝子の全体的な低メチル化が観察される。
好ましい態様において、メチル化状態の検出は、メチル化特異的PCR、バイサルファイトシーケンシング、制限消化に基づく技術、パイロシーケンシング、アッセイChIPオンチップ、メチル化された部位の可変的変換、可変的制限および/または可変的重量からなる群より選択される技術によって行われる。
好ましい態様において、患者から単離された生物学的試料は全血、好ましくは血液白血球である。
本発明の第2の態様は、肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するための、表S2、S3またはS4から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態のインビトロ使用に関する。
好ましい態様において、本発明は、肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しておりまたは将来応答して体重減少および栄養学的ケトーシス誘導の両方を生じさせるか否かを監視または予測するための、表2またはS2から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態のインビトロ使用に関する。
好ましい態様において、本発明は、表2または表S2から選択される少なくとも1種のCpG部位のメチル化状態のインビトロ使用に関する。
好ましい態様において、本発明は、VLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が生じたか否かを監視または予測するための、表3または表S3から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態のインビトロ使用に関する。
好ましい態様において、本発明は、表3または表S3から選択される少なくとも1種のCpG部位のメチル化状態のインビトロ使用に関する。
他方で、本発明は、表2、S2、3、S3またはS4から選択される少なくとも1種の遺伝子の高メチル化または低メチル化を検出するための方法であって、a)対象からDNAを得る工程と、b)表2、S2、3、S3またはS4から選択されるCpG部位における高メチル化または低メチル化を検出する工程とを含む、前記(b)検出する工程は、メチル化特異的PCR、バイサルファイトシーケンシング、制限消化に基づく技術、パイロシーケンシング、アッセイChIPオンチップ、メチル化された部位の可変的変換、可変的制限および可変的重量からなる群より選択される技術によって行われる、方法にも関する。
本発明は、コンピュータを実装された発明であって、処理ユニット(ハードウェア)およびソフトウェアが、表2、S2、3、S3またはS4から選択される遺伝子のいずれかのメチル化レベル値を受け取り、実質的な変動または乖離を見出すために、受け取られたメチル化レベル値を処理し、およびメチル化レベルの変動または乖離に関して端末を通じて出力を提供するように設定されており、メチル化レベルの変動または乖離は、肥満症に罹患している患者がVLCKDでの処置に応答しているか否かまたは応答するか否か、特に、VLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が生じたか否かを示す、コンピュータを実装された発明にも関する。
本発明の最後の態様は、肥満症に罹患している患者をVLCKDで処置するための方法であって、本明細書に記載されている方法に従って、表2、S2、3、S3またはS4から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態を決定することによって、患者がVLCKDに応答するか否かを予測する第1の工程を含む方法に関する。
本発明において、以下の略語リストが含まれる。
・ACACB、アセチル-CoAカルボキシラーゼβ
・AEBP1、AE結合タンパク質1
・ANOVA、分散分析
・BMI、肥満度指数
・C3orf38、第3染色体オープンリーディングフレーム38
・CACNA1H、カルシウム電位開口型チャネルサブユニットα1H
・CAMKK1、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼキナーゼ1
・CBFA2T3、CBFA2/RUNX1パートナー転写補助抑制因子3
・cDNA、相補的DNA
・CENPF、セントロメアタンパク質F
・CHAT、コリンO-アセチルトランスフェラーゼ
・CHUK、核因子κBキナーゼ複合体の阻害剤の成分
・COL1A1、コラーゲン、I型、α1
・COL5A1、V型コラーゲンα1鎖
・COL9A2、コラーゲン、IX型、α2
・CV、変動係数
・DMCpG、可変的にメチル化されたCpG
・DNMT、DNAメチルトランスフェラーゼ
・DNA、デオキシリボ核酸
・EWAS、エピゲノムワイド関連解析
・FDR、偽発見率
・FF、新鮮凍結
・FGFRL1、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)様タンパク質1
・GAPDH、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ
・GO、ジーンオントロジー
・HRAS、HRas癌原遺伝子、GTPアーゼ
・INSR、インスリン受容体
・JSRP1、接合部筋小胞体タンパク質1
・LAMA2、ラミニンサブユニットα2
・LRFN4、ロイシンリッチリピートおよびフィブロネクチンIII型ドメイン含有4
・MKNK2、MAPK相互作用セリン/スレオニンキナーゼ2
・PRKAG2、タンパク質キナーゼAMP活性化非触媒性サブユニットγ2
・PRKCZ、タンパク質キナーゼCζ
・qRT-PCR、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応
・RELA、v-rel細網内皮症ウイルス癌遺伝子ホモログA
・RNA、リボ核酸
・RPTOR、MTOR複合体1の調節関連タンパク質
・SD、標準偏差
・SEM、平均の標準誤差
・SGCB、βサルコグリカン
・SMTN、スムーズリン
・TRAF2、TNF受容体関連因子2
・TSC2、結節性硬化症2
・TSS200、転写開始部位200
・VLCKD、超低カロリーケトン食療法
・WC、胴囲
・ZFHX3、ジンクフィンガーホメオボックス3
・ZNF331、ジンクフィンガータンパク質331
・β-OHB、β-ヒドロキシブチラート
発明の詳細な説明
本発明において、以下の用語が定義される。
・「予め確立された閾値レベル」または「対照レベル」という用語は、VLCKDで処置される前に、肥満症に罹患している患者において測定されたメチル化レベルを指す。典型的には、このレベルは、実験的に、経験的に、または理論的に決定され得る。この値はまた、当業者によって認識されるように、既存の実験条件および/または臨床条件に基づいて任意に選択され得る。
・本明細書で使用される場合、「メチル化」という用語は、DNAメチルトランスフェラーゼ酵素の作用によって、核酸、例えばゲノムDNAの領域中の1または複数のシトシン塩基に付加されたメチル基の存在を意味すると理解される。
・したがって、本明細書で使用される「メチル化状態」という用語は、特定の核酸領域、例えばゲノム領域におけるメチル化の存在または非存在を指す。
・メチル化の「より高い」または「より低い」レベルという表現は、対照として使用される患者と比較した場合の、核酸、例えばゲノムDNAのメチル化の相対的な量の増加または減少を指す。
・本明細書で使用される場合、「CpGジヌクレオチド」、「CpGメチル化部位」または同等の用語は、ホスホジエステル結合によってグアニンに結合されたシトシンを表すと解釈されるものとする。CpGジヌクレオチドは、シトシン残基のメチル化に対する標的であり、コード核酸または非コード核酸内に存在し得る。非コード核酸は、イントロン、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ゲノム遺伝子のプロモーター領域または遺伝子間領域を含むものと当技術分野で理解されている。
・「を含む/備える」という用語は、「を含む/備える」という単語に続くものを包含するが、それに限定されないことを意味する。したがって、「を含む/備える」という用語の使用は、列挙された要素が必要とされるかまたは必須であるが、他の要素は任意であり、存在してもよく、または存在しなくてもよいことを示す。
・「のみからなる」という用語は、「のみからなる」という語句に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「のみからなる」という語句は、列挙された要素が必要とされるかまたは必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。
・「β値」は、各シトシンのメチル化レベルを指し、プローブのメチル化された型の、メチル化されていない型に対する蛍光強度比として計算される。β値は、Cy3およびCy5蛍光強度の組み合わせに従って、0(メチル化されていない)と1(完全にメチル化されている)の間の範囲にあった[Pan Du et al.,2010.Comparison of Beta-value and M-value methods for quantifying methylation level by microarray analysis.Comparative Study.BMC Bioinformatics.2010 Nov 30;11:587.doi:10.1186/1471-2105-11-587.PMID:21118553 PMCID:PMC3012676 DOI:10.1186/1471-2105-11-587]。
・「FDR」は、偽発見率を指す。FDRは、多重比較を補正するために多重仮説検定において使用される統計的アプローチである。FDRは、誤って有意に見える無作為な事象を補正するためにハイスループット実験において典型的に使用される。観察されたスコアが統計学的に有意であるか否かを決定するために帰無仮説を検定する場合、信頼の尺度p値が計算され、信頼閾値αと比較される。k個の仮説が信頼水準αと同時に検定される場合、偽陽性(すなわち、帰無仮説が実際には真である場合に帰無仮説を棄却すること)の発生の可能性は1-(1-α)kに等しく、これは実験において高い過誤率をもたらし得る。したがって、行われた検定の数に基づいて我々の統計的信頼度尺度を調整するために、FDRなどの複数の検定補正が必要とされる。
・「可変的にメチル化された」という表現は、異なる生物学的試料にわたる異なるDNAメチル化状態の存在を指し、遺伝子転写制御に関与する可能性のある機能的領域と見なされる。生物学的試料は、同じ個体内の異なる細胞/組織、異なる時間での同じ細胞/組織、異なる個体からの細胞/組織、さらには同じ細胞内の異なる対立遺伝子であり得る。
・「超低カロリーケトン食療法」(VLCKD)は、一般常識に属する用語であり、低脂肪消費、好ましくは800kcal/日未満の消費を特徴とする[Marco Castellana et al.,2020.Efficacy and safety of very low calorie ketogenic diet(VLCKD)in patients with overweight and obesity:A systematic review and meta-analysis.Rev Endocr Metab Disord.2020 Mar;21(1):5-16.doi:10.1007/s11154-019-09514-y]。
VLCKD後のDNAメチル化のプロファイル(n=10;発見コホート)。(A)Infinium MethylationEPIC BeadChip分析によって同定された988のDMCpGのメチル化レベルの全体的な相違。(B)プロモーターおよびアイランド/ショアに位置するDMCpGのメチル化レベルの全体的な相違。(C)DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)1ならびにデノボメチルトランスフェラーゼDNMT3AおよびDNMT3Bの発現レベル(D)。肥満症を有する患者と正常体重を有する健康なボランティア(n=12)群との間で可変的にメチル化されていることが明らかとなった988のCpGの教師ありクラスタリング。同定されたCpG部位は、786のユニークな遺伝子にマッピングされた。統計学的に有意な差が検出された(P<0.0001)。DMCpG、可変的にメチル化されたCpG;VLCKD、超低カロリーケトン食療法。 発見コホート(n=10)におけるVLCKD後のDMCpGの性質決定。(A)DMCpGのゲノム分布およびより広いCpGコンテキスト、(B)遺伝子領域および(C)染色体に関するそれらのそれぞれの位置。(D)VLCKD後にメチル化レベルの増加を示したものをメチル化レベルの減少を示したものと比較するDMCpGのゲノム分布、ならびにより広いCpGコンテキスト、(E)遺伝子領域および(F)染色体におけるそれらのそれぞれの位置。DMCpG、可変的にメチル化されたCpG;VLCKD、超低カロリーケトン食療法。 VLCKD後のDMCpGの生物学的意義。(A)DMCpG部位を伴う可変的にメチル化された遺伝子を表す生物学的プロセスカテゴリーのGO解析の要約。(B)遺伝子-タンパク質相互作用ネットワーク-STRING分析。メチル化によって制御される遺伝子の大部分は、STRING分析によると、タンパク質相互作用が有意に濃縮されたネットワークに属していた(p<0.001)。DMCpG、可変的にメチル化されたCpG;GO、ジーンオントロジー;VLCKD、超低カロリーケトン食療法。 VLCKDに続いてDMCpGを提示する、既知の機能を有する遺伝子。(A)VLCKD後にエピジェネティックに制御される新規遺伝子は、インスリンシグナル伝達経路、(B)アディポサイトカインシグナル伝達経路、(C)タンパク質消化および吸収機能ならびに(D)筋肉器官発達機能に属していた。DNAメチル化値は、Infinium MethylationEPIC BeadChipからのb値として表されている。*統計学的に有意な差を表す(P<0.05)。DMCpG、可変的にメチル化されたCpG;VLCKD、超低カロリーケトン食療法。 発見コホート(n=10)からの、VLCKDによって誘導されたケトーシス中のDMCpGの性質決定。(A)DMCpGのゲノム分布およびより広いCpGコンテキスト、(B)遺伝子領域および(C)染色体に関するそれらのそれぞれの位置。(D)VLCKD誘導性ケトーシス中にメチル化レベルの増加を示したものをメチル化レベルの減少を示したものと比較するDMCpGのゲノム分布、ならびにより広いCpGコンテキスト、(E)遺伝子領域および(F)染色体におけるそれらのそれぞれの位置。DMCpG、可変的にメチル化されたCpG;VLCKD、超低カロリーケトン食療法。 VLCKD誘導性ケトーシスに関連するDMCpGの生物学的意義。(A)ベースラインと最大ケトーシスの間、ベースラインと終点の間および最大ケトーシスと終点の間で検出されたDMCpGのベン図。この分析から、1239個のCpGが栄養学的ケトーシス関連DMCpGとして同定された。(B)栄養学的ケトーシス関連DMCpG部位に関連する可変的にメチル化された遺伝子を表す生物学的プロセスカテゴリーのGO解析の要約。DMCpG、可変的にメチル化されたCpG;GO、ジーンオントロジー;VLCKD、超低カロリーケトン食療法。 ZNF331およびFGFRL1のDNAメチル化は遺伝子発現と逆相関する。パイロシーケンシングによって測定された、検証コホート(n=18)におけるVLCKD後のZNF331(A)およびFGFRL1(B)のDNAメチル化の差。検証コホート(n=18)におけるVLCKD後のZNF331(C)およびFGFRL1(D)の可変的遺伝子発現。*統計学的に有意な差を表す(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。VLCKD、超低カロリーケトン食療法。
実施例1.材料および方法
実施例1.1.患者コホート
Endocrinology and Nutrition Department of the Hospital Clinico,Universitario of Valladolidにおいて行われた6ヶ月の栄養学的介入研究からの患者の血液試料から、メチル化および遺伝子発現アッセイのためのDNAおよびRNAを単離した。患者は肥満症に対する処置を受けていた。さらに、健康なボランティアの群からの試料も分析した。組み入れ基準は、18歳~65歳の年齢、肥満度指数(BMI)≧30kg/m、過去3ヶ月にわたる安定した体重、減量への欲求および食事療法の取り組みに失敗した経歴であった。主な除外基準は、甲状腺の変化、真性糖尿病、他の内分泌障害または薬物によって誘導された肥満症および過去3ヶ月に何らかの能動的な減量プログラムに参加したことであった。さらに、以前に減量手術を受けたことがある患者、麻薬またはアルコールの乱用、重篤な鬱病または任意の他の精神疾患、重篤な肝不全、任意の種類の腎不全または痛風エピソード、腎結石症、新生物、心血管または脳血管疾患の前例、管理されていない高血圧、起立性低血圧および水電解質または心電図変化が報告されたまたは疑われる患者を除外した。妊娠している女性、授乳している女性または妊娠する予定がある女性および適切な避妊法を使用していない出産可能な女性も除外した。肥満症およびメタボリックシンドローム以外には、参加者は一般に健康な個体であった。これらの基準の下で、21人の肥満症を有する患者および12人の正常体重を有するボランティアを本研究に組み入れた。研究プロトコルはヘルシンキ宣言に従っており、Ethics Committee for Clinical Research of Hospital Clinico Universitario de Valladolid、Spainによって承認された(C.I:40/13、PNK-DHA2013-01)。参加者は、研究に関連する任意の介入の前に書面によるインフォームドコンセントを交付した。参加者は、金銭的インセンティブを受けなかった。
実施例1.2.超低カロリーケトン食療法プロトコル
本研究に組み入れられた患者は、超低カロリーケトン食療法におけるドコサヘキサエン酸(DHA)補充の効果を調査する無作為化臨床試験から引き継がれた。この臨床試験は、患者がVLCKDに従う1種の群および患者がVLCKD+DHAに従う他の群という2つの群で構成された。栄養学的介入は、商業的な減量プログラム(PNK法(登録商標))に基づいた。手短に言えば、介入には、研究を実施する専門医師による評価、専門栄養士による判定および運動の推奨が含まれた。この方法は、牛乳、大豆、鳥の卵、グリーンピースおよび穀類から得られる高生物価のタンパク質調製物に基づく。各タンパク質調製物は、15gのタンパク質、4gの炭水化物、3gの脂肪を含有し、90~100kcalを提供した。VLCKD+DHA群は、500mgのDHAを補充された。減量プログラムは5つの段階を有し、総炭水化物摂取量に関するEFSAの最新ガイドライン(2015)を遵守する。最初の3つの段階は、炭水化物(野菜から1日当たり50g未満)および脂質(1日当たりわずか10gのオリーブ油)が少ないVLCKD(600~800kcal/日)からなる。患者が最低身体要件を確実に満たし、除脂肪量の喪失を防ぐために、高生物価のタンパク質の量は、理想体重1kg当たり0.8~1.2gの範囲であった。段階1では、患者は、高生物価のタンパク質調製物を1日に5回食べ、低い血糖インデックスを有する野菜を食べた。段階2では、昼食時または夕食時のいずれかに、タンパク質1食分の1種を天然タンパク質(例えば、肉または魚)で置き換えた。段階3では、生物学的タンパク質調製物の第2の1食分に代えて、低脂肪天然タンパク質の第2の1食分にした。これらのケトン体産生相全体を通して、K、Na、Mg、Caなどのビタミンおよびミネラルならびにω-3脂肪酸のサプリメントが、国際的な推奨に従って提供された。これらの3つの段階は、患者が目標体重量を失うまで、理想的には80%まで維持された。このため、ケトン体産生段階は、個体および減量目標に応じて、時間的に変動した。総ケトーシス状態は最長60日間持続した。段階4または5のいずれかでは、減量した体重の量に基づいて、患者の担当医によってケトーシスが終了され、患者は低カロリー食(800~1500kcal/日)を開始した。この時点で、患者は、異なる食物群を徐々に組み込み、体重減少の長期的な維持を保証するために食事再教育のプログラムに参加した。維持食は、炭水化物、タンパク質および脂肪のバランスがとれた食事計画からなった。個体に応じて、摂取カロリーは、体重減少を維持し、健康的な生活様式を促進することを目標として、1500~2000kcal/日の範囲であった。この研究中、患者は、目標体重に達するまで、または最長4ヶ月の経過観察の間、方法の段階に従ったが、患者はその後数ヶ月間医学的管理下に留まった。患者は、順守および潜在的な副作用を評価するために、15±2日ごとに研究チームを訪問した。完全な人体計測、身体組成および生化学的評価を4つの訪問において実施し、これらは、ケトーシスおよび体重減少の段階:訪問1(ベースライン)、訪問2(最大ケトーシス)、訪問3(低下したケトーシス)および訪問4(終点)を通した各患者の進展に従って決定された。DNAメチル化および遺伝子発現は、訪問1、2および4において行われた。
全ての訪問において、患者は、食事指導、個別的な支援的助言および正式な運動プログラムを用いて定期的に運動することの奨励を受けた。さらに、電話による励ましのプログラムが設けられ、あらゆる心配事に対処するために全ての参加者に電話番号が提供された。
実施例1.3.人体計測評価
全ての人体計測測定は、一晩の絶食(8~10時間)後に、安静条件下で2度繰り返して実施され、十分に訓練された医療従事者によって行われた。各訪問時に、患者は、同一の較正された体重計(Seca 200 scale,Medical Resources,EPI Inc OH,USA)で秤量された。BMIは、kgで表した体重をmで表した身長の二乗で割ったものとして計算された(BMI=体重(kg)/身長(m))。胴囲(WC)は、患者を立たせて息を吐かせながら、最後の肋骨と腸骨稜間の中間点上に配置された標準的な柔軟な非弾性メートルテープを使用して測定された。
実施例1.4.ケトン体のレベルの決定
ケトーシスは、携帯型メータ(GlucoMen LX Sensor,A.Menarini Diagnostics,Neuss,Germany;感度<0.2mmol/l)を使用して毛細管血中のケトン体、特にβ-ヒドロキシ-ブチラート(β-OHB)を測定することによって決定された。人体計測評価と同様に、毛細血管のケトン血症の全ての決定は、8~10時間の一晩の絶食後に行われた。これらの測定は、VLCKD全体の間、各患者によって毎日実行され、対応する値は、順守を管理するために研究チームによって機械メモリを使用して再検討された。さらに、β-OHBレベルは、患者の担当医によって各訪問時に決定された。
実施例1.5.DNAメチル化分析
DNA調製および亜硫酸水素塩変換
わずかな修正を加えて製造者の説明書に従って、標準的なフェノール-クロロホルム/プロテイナーゼ-kプロトコルを使用して新鮮凍結(FF)血液試料からのDNAを単離した。MasturPure(商標)DNA精製キット(Epicentre Biotechnologies,Madison,WI,USA)を使用してゲノムDNAを白血球から単離した。45℃で1時間、単離されたDNAをRNase Aで、処理した。蛍光定量法(Quan-iT PicoGreen DsDNA Assay、Life Technologies)を用いて、全てのDNA試料を定量し、260/280および260/230比の測定値を決定するためにNanoDrop(Thermo Scientific)を使用して純度について評価した。1.3%アガロースゲル中での電気泳動によって、FF DNAの完全性を確認した。製造者の説明書に従って、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換するEZ DNAメチル化キットMethylation-Gold(Zymo Research,CA,USA)を使用して、DNA(500ng)を亜硫酸水素塩に変換した。
Infinium MethylationEPIC BeadChip
Illumina Infinium HDメチル化プロトコルに従って、亜硫酸水素塩変換(Zymo Research;EZ-96 DNA Methylation(商標)Kit)およびInfinium MethylationEPIC BeadChip(Illumina)へのハイブリダイゼーションのために、臨床試験のVLCKD+DHA群に含まれる患者(発見コホート;n=10人の患者、3つの対をなす試料/患者)の血液白血球から得られた高品質のDNA試料(500ng)を選択した。DNA品質チェック、亜硫酸水素塩修飾、ハイブリダイゼーション、データ正規化、統計的フィルタリングおよび値の計算は、以前に記載したように行った。次いで、BeadChipで全ゲノム増幅およびハイブリダイゼーションを行った後、一塩基伸長およびHiScan SQモジュール(Illumina)での分析を行って、シトシンメチル化状態を評価した。CGアイランド(CGI)の注釈付けは、以下の分類を使用した:1)ショア、CGIに隣接する2kb配列のそれぞれに対して、2)シェルフ、ショアに隣接する2kb配列のそれぞれに対して;3)オープンシー、前記配列のいずれかまたはCGIに含まれないDNAに対して。転写開始部位200および転写開始部位1500は、それぞれ、転写開始部位から200bpまたは1500bpのいずれかの領域を示す。
パイロシーケンシング分析
パイロシーケンシングを使用して、18人の患者(検証コホート:(発見コホートに由来するn=7および患者の独立コホートからのn=11;3つの対をなす試料/患者)において、選択されたマーカーを評価した。検証コホートにおいて分析されたDNA試料は、臨床試験の2つの群に含まれる患者に由来し、統計解析のために合わせられた(VLCKD:n=10;VLCKD+DHA:n=8)。この分析において使用されたプライマー配列は、QiagenのPyroMark Assay Design2.0ソフトウェアを使用して、CpG非含有部位にハイブリダイズしてメチル化非依存性増幅が確実に起こるように設計された。MasturPure(商標)DNA精製キット(Epicentre Biotechnologies、Madison、WI、USA)を製造者の説明書に従って使用して、ゲノムDNAをFF血液白血球から単離した。亜硫酸水素塩処理されたDNA(Zymo Research;EZ-96 DNA Methylation(商標)Kit)を使用してDNAメチル化分析を行った後、PyroMark Q24 Systemバージョン2.0.7(Qiagen)を使用してPCRベースのパイロシーケンシングに基づく高度に定量的な分析を行った。メチル化レベルは、メチル化されたシトシンとメチル化されていないシトシンの合計に対するメチル化されたシトシンのパーセンテージとして表された。亜硫酸水素塩変換を検証するために、非CpGシトシン残基を組み込まれた対照として使用した。値は、全ての部位についての平均として表される。本発明者らはまた、各実行において対照としてヒト非メチル化およびメチル化DNAセット(Zymo Research)を含めた。アッセイ間精度(%CV)は<2.5%であり、アッセイ内精度(%CV)は<1.0%であった。
実施例1.6.qRT-PCRによる発現アッセイ
Trizol(Invitrogen)を製造者の推奨に従って使用して、血液白血球からのRNA(n=18人の患者)を抽出した。Nanodrop 2000分光光度計(Thermo Scientific)を用いて、RNA濃度を測定した。抽出された全RNAから、鋳型としてDNA-freeキット(Ambion)を用いて、2μgをDNase処理して、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を用いて第1鎖cDNA合成を行った。リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)は、TaqMan Universal PCR Master Mix、TaqMan Probes(Applied Biosystems)およびStep OnePlus Real-Time PCR System(Applied Biosystems)を用いて行われた。全ての実験は2つ組で行われ、遺伝子発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子GAPDHのレベルに対して正規化された。遺伝子発現の倍数変化は、製造者のガイドライン(Applied Biosystems)に従って2-ΔΔCt相対定量法を用いて計算され、データは幾何平均(SEM)として報告される。qRT-PCR実験は、MIQE(Minimum Information for Publication of Quantitative Real-Time PCR Experiments)ガイドライン(http://www.rdml.org/miqe)に準拠して行われた。
実施例1.7.統計解析
肥満症の分野におけるエピゲノムワイド分析の公表された値を考慮に入れてメチル化レベルについての差を検出するために、本研究の標本サイズを計算した。2つの独立したコホートにおいて介入の差を調べた。マイクロアレイに基づくDNAメチル化分析を発見コホート(n=10人の患者;3つの対をなす試料/患者)において実施し、次いで、同定された遺伝子を患者の独立したコホート(検証コホート;n=18人の患者;3つの対をなす試料/患者)において検証した。最後に、本研究に組み入れられた患者のグローバルコホート(n=28)において、同定されたCpG部位のDNAメチル化レベルと人体計測的または生化学的パラメータとの間の関連を評価した。各シトシンのメチル化レベルはβ値で表され、β値は、プローブのメチル化された型の、メチル化されていない型に対する蛍光強度比として計算された。β値は、Cy3およびCy5蛍光強度の組み合わせに従い、0(メチル化されていない)と1(完全にメチル化されている)の間の範囲であった。Genome Studio Illuminaソフトウェア(V2010.3)を使用して2色チャネル間で試料を正規化するために、カラーバランス調整および正規化を行った。Genome Studioは、Infinium MethylationEPIC BeadChip上に存在する異なる内部対照を使用してデータを正規化する。このソフトウェアはまた、内部バックグラウンドプローブに応じてデータを正規化した。検出されたp値>0.01を有するβ値は、最小強度および閾値を下回ると考えられ、その結果、これらのCpGはさらなる分析から除外された。さらに、問い合わせプローブの3’末端から10bpに一塩基多型(SNP)を含有するプローブを除外した。栄養学的介入によるDMCpGの一貫したパターンを特定するために、Bスプライン近似を使用して線形モデルをフィッティングした。3つの線形モデルがフィッティングされた:モデル1は、VLCKDの一般的な効果を評価するために栄養学的介入の3つの点を含めることによってフィッティングされた;モデル2は、ケトーシスおよび体重減少の効果を評価するためにベースラインおよび最大ケトーシスを含む;モデル3は、ケトーシスなしの、体重減少のみの効果を評価するために最大ケトーシスおよび終点におけるメチル化レベルを含む。ベンジャミーニおよびホッホベルクの偽発見率(FDR)手順を使用して、多重比較のためにP値を調整し、FDR<0.10の場合に結果を統計学的に有意と考えた。さらに、本発明者らは、±0.02の最小β値変化を有する訪問間の平均差に基づいて、有意な部位に対する閾値を適用した。ヒートマップ関数を使用して、有意なCpGのユークリッドクラスタ分析を行った。一変量ANOVAおよびボンフェローニ事後分析によって、栄養学的介入訪問間で全体的なメチル化レベルを比較した。上記の統計解析は全て、Rソフトウェア(バージョン3.2.0)を使用して行った。生物学的プロセスにおける濃縮を推定するために、ジーンオントロジー(GO)によって定義された生物学的プロセスに対してGOstatsパッケージを使用して超幾何検定を実施した。この解析は、全ゲノムに対して1つのセット(すなわち、同定された遺伝子のリスト)におけるGOタームの有意な過剰提示を検出した。調整されたp値<0.05を有するGOタームを有意と考えた。Windows XP(Microsoft、Redmond、WA)用のSPSSバージョン21.0ソフトウェア(SPSS Inc.、Chicago、IL)を用いて、可変的にメチル化されたCpGのゲノム分布を、Infinium MethylationEPIC BeadChip上の全ての分析された部位からのCpGの分布と比較した。CpGの過剰提示または過小提示を決定するためにカイ二乗検定を使用してP値を計算した。人体計測パラメータまたは生化学パラメータとDNAメチル化レベル(β値)との間の潜在的関連性は、スピアマン係数検定を使用して評価された。介入の時間経過中および栄養学的介入訪問間のDNAメチル化レベルおよび同定された遺伝子の発現の差は、それぞれ、ノンパラメトリック検定、クラスカル・ウォリスおよびマン・ホイットニーUによって判定された。P≦0.05を統計学的に有意と考えた。
実施例2.結果
実施例2.1.患者の特徴
VLCKDに基づく栄養学的介入に従った合計21人の患者からの試料を、正常体重を有する12人の健康なボランティアからの試料と比較し、この研究において評価した。本発明者らは、まず、発見コホート(VLCKD+DHAに従った、肥満症を有する参加者n=10(n=5の女性)および正常体重を有するボランティアn=12(6人の女性))を評価した。VLCKD+DHAまたはVLCKD-DHAに従った、肥満症を有する11人の患者(7人の女性)で構成される拡張検証コホートも分析した。年齢、性別、身長、体重、BMI、胴囲、ケトーシスまたは体重減少処置に対する応答において、いずれのコホート間でも統計学的に有意な差は観察されなかった(表1)。統計学的に有意な差は、肥満症を有する患者と正常体重を有する対象との間で、体重、BMIおよび胴囲においてのみ検出された(表1)。全ての患者は、BMI(21.9±5.1%)および胴囲(19.3±4.4%)の低下とともに、栄養学的介入後に体重が減少した(21.8±4.9%)。
実施例2.2.全体的なVLCKD介入中のDNAメチル化の変化
約85万のCpGを含む血液白血球のDNAメチル化プロファイルを、VLCKD介入後に分析した。この分析により、合計739,222の有効なCpGから、988のCpG部位において統計学的に有意な差(カットオフ点Δ≧0.02;FDR≦0.10)が明らかになった(表S2)。可変的にメチル化されたCpGは、主に、総DMCpG中(図1A)およびプロモーターおよびアイランドまたはショアに位置するDMCpG中(図1B)の両方において、栄養学的介入後に生じるCpG低メチル化方向への変化として特徴付けられた。全体的な低メチル化というこの結果は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)1ならびにデノボメチルトランスフェラーゼDNMT3AおよびDNMT3Bの発現の下方制御と相関していた(図1C)。同定されたCpG部位は786のユニークな遺伝子にマッピングされ、本発明者らは階層的クラスタアプローチを使用して、栄養学的介入訪問に従って試料を分離することができた(図1D)。栄養学的介入後に可変的にメチル化された988のCpG部位のメチル化レベルは、正常体重を有する対象からの試料において観察されたメチル化レベルに類似するように変更されたことに留意すべきである(図1C)。2つより多いCpGによって表される遺伝子のうち、ベースラインに対して最も高い差を有する20個のDMCpGが表2に表されている。機能的分布に関しては(図2)、DNAメチル化の差は主にオープンシー領域において観察され(図2A)、DMCpG部位の43.2%がプロモーター領域中に位置し、DMCpGの大部分が本体内にある(図2B)。さらに、DMCpGは、分析された全てのCpGと比較すると、主に2番、9番、16番、17番、19番および22番染色体中に見出された(図2C)。988のDMCpGのうち、本発明者らは、栄養学的介入後に、886(89.7%)が減少したDNAメチル化のレベルを有し、102(10.32%)が増加したDNAメチル化のレベルを有することを見出した。さらに、ベースラインに対してメチル化を失ったDMCpGは、主にオープンシー(図2D)および本体(図2E)中に位置していた。対照的に、栄養学的介入後にメチル化を獲得したDMCpGは、ほとんどがプロモーター中(TSS200および第1のエクソン)(図2D)およびCpGアイランド中(図2E)に位置していた。染色体分布に関しては、栄養学的処置後に減少したメチル化レベルを有するDMCpGは、1番、4番、6番、7番、8番、9番、14番および16番染色体上に見出されたのに対して、増加したメチル化レベルを有するDMCpGは、主に3番、5番、10番、11番、12番、17番、21番および22番染色体中に見出された(図2F)。
実施例2.3.食事介入関連DMCpG部位および関連遺伝子の生物学的意義
興味深いことに、ほとんどの可変的にメチル化された遺伝子は、STRING分析によると、タンパク質相互作用が有意に濃縮されたネットワークに属していた(p<0.001)(図3A)。ある分子機能または生物学的プロセスが、VLCKD介入を通じて発見された988のDMCpGに関連する786の遺伝子内で有意に濃縮されているか否かを試験するために、GO解析を行った(図3B)。統計学的有意性(FDR<0.05)を示した機能的プロセスのカテゴリーの中で、本発明者らは、転写の制御、シグナル伝達、細胞分化、増殖およびアポトーシス、代謝プロセス、低酸素に対する応答、タンパク質プロセシング、筋肉器官および骨格系の発達、神経系の発達および軸索誘導に関連するプロセスを見出した(図3B)。これらの中で、本発明者らは、インスリンシグナル伝達、タンパク質消化および吸収、アディポサイトカインシグナル伝達および筋肉発達などの肥満症生理病理学の分野における関連性のある経路に焦点を当てた(図4A~D)。生物学的関連性を調べるために、CpGアイランド/ショアにおけるプロモーター領域(TSS1500、TSS200、5’UTRおよび第1のエクソン)を代表するCpG部位を選択した。この選択により、150のユニークな遺伝子を代表する141個のCpGが得られた。このフィルタに基づいて、本発明者らは、そのメチル化がVLCKD応答に関連する遺伝子標的であり得るCpG部位を同定した。これらのうち、最も代表的な遺伝子はZNF331であり、ベースラインに対して最も高い差を有するプロモーターおよびアイランド中に位置する2つのCpG部位によって表された。さらに、代謝経路および肥満症病態形成におけるその生物学的関連性のために、ならびに白血球におけるこの遺伝子のメチル化レベルが、肥満症における機能不全の脂肪組織のメチル化レベルを反映するエピシグネチャとして以前に提案されたので、DMCpG部位の中からFGFRL1も選択された。
実施例2.4.食事誘発性ケトーシスの影響に関連するDNAメチル化の変化
ベースライン(0日目)を最大ケトーシス(30日目)と比較する分析により、1365のDMCpGが得られた。分析された全てのCpGに関して、これらのCpGは主にオープンシー(図5A)および本体(図5B)ならびに1番、10番、11番、17番、19番および22番染色体(図5C)中に見出された。メチル化を獲得したDMCpGは、アイランドおよびプロモーター中ならびに1番、2番、3番、4番および7番染色体中に見出された。メチル化を失ったDMCpGは、オープンシーおよび本体中ならびに9番、10番、11番、12番、17番、21番、22番染色体中に見出された(図5D~5F)。メチル化プロファイルに対するケトーシスの特異的効果を単離する目的で、さらなる分析を行った。DMCpGベースライン-最大ケトーシス=1365、DMCpGベースライン-終点=405およびDMCpG最大ケトーシス-終点=21を含めることによってベン図を作成した。これらの条件を使用して、本発明者らは、誘導された体重減少自体によってそのメチル化が影響を受けた280のCpGを同定し(表S4)、1239のCpGをVLCKD誘導性ケトーシス関連DMCpGとして同定した(図6A)。これらのVLCKD誘導性ケトーシス関連DMCpGは966のアノテーションが付与された遺伝子に対応し、これらのうち161はプロモーターおよびアイランドまたはショア中に位置する137のVLCKD誘導性ケトーシス関連DMCpGによって表された(表S3)。統計学的有意性(FDR<0.05)を示した機能的プロセスのカテゴリーの中で、本発明者らは、転写の制御、シグナル伝達、細胞接着、細胞分化、増殖およびアポトーシスならびに神経系の発達および軸索誘導に関連するプロセスを見出した。さらに、これらのケトーシスに関連する可変的にメチル化された遺伝子は、接着斑、インスリンおよびアディポサイトカインシグナル伝達経路、MAPKおよびP53シグナル伝達経路ならびに癌およびII型糖尿病関連経路に関与する経路に属していた(図6B)。肥満症の生理病理学に関連する全体的な経路。これらの中で、本発明者らは、インスリンシグナル伝達、タンパク質消化および吸収、アディポサイトカインシグナル伝達および筋肉発達などの肥満症生理病理学の分野における関連性のある経路に焦点を当てた。VLCKD誘導性ケトーシスに関連するDNAメチル化の潜在的に新規なシグネチャを同定するために、CpGアイランドおよびショア内に位置する2つより多いCpG部位を有し、β値の差が≧|2|%である遺伝子を選択した。これらの基準に基づいて、12の遺伝子が同定され、表3に列挙されている。プロモーター領域によってリストをさらにフィルタリングすると、遺伝子CBFA2T3、C3orf38、JSRP1およびLRFN4は、プロモーターおよびアイランド/ショア中に位置する少なくとも1つのVLCKD誘導性ケトーシス関連DMCpGを示した。
実施例2.5.代表コホートにおける候補遺伝子の検証
本発明者らは、病院内の患者の研究に対して最も実行可能な技術であるパイロシーケンシングを使用して、白血球由来の試料の独立コホート(検証コホート;n=VLCKD+DHAまたはVLCKD-DHAを合わせた表1に従う18人の患者)におけるZNF331およびFGFRL1のDNAメチル化レベルを評価した。栄養学的介入後に、ベースラインに対してメチル化レベルに統計学的に有意な差が見出された(図7A)。体重減少処置後に、ベースラインと比較して統計学的に有意な増加が、評価された4つのCpGにおいて最大ケトーシスの間に観察された(p=0.049)。しかしながら、体重減少処置後のFGFRL1メチル化レベルには、統計学的に有意な変化は観察されなかった(図7B)。DNAメチル化は、以前に転写抑制に関連付けられていた。したがって、ZNF331(図7C)およびFGFRL1(図7D)の発現を評価した。栄養学的介入後にZNF331の発現の統計学的に有意な下方制御が見出されたが、FGFRL1の発現は、ベースラインと比較して特に最大ケトーシスにおいて上方制御された。FGFRL1のメチル化レベルについての結果が独立コホートにおいて検証されなかったとしても、この遺伝子の発現は、発見コホートにおいて観察されたメチル化レベルと逆相関した。全体として、これらの結果は、体重減少に関連するZNF331およびFGFRL1のエピジェネティックな制御が関連性のある生物学的機能を有し得ることを示唆している。初期の結果は、両群がメチロームの変化を評価するために使用された主な結果である体重減少およびケトーシスを同様に誘発することを明らかにしたので、本研究の検証部分は、臨床試験の2つの群を統合することによって実施された。実際、2つの群を分離したままの検証コホートにおけるさらなる分析は、介入を通じたメチル化レベルの傾向が、研究された遺伝子、ZNF331およびFGFRL1に対する併合された分析において観察されたものと同様であることを示した。介入を通じた差は、VLCKD群よりVLCKD+DHAにおいてより高いように見受けられたが、群に応じた反復測定ANOVA解析は、ZNF331メチル化レベルにおいて、介入の時間経過についてのみ統計学的に有意性を示し(p<0.01)、時間x群間の相互作用についても、および両群間の相互作用についても統計学的に有意ではなかった(p>0.05)。
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Claims (15)

  1. 肥満症に罹患している患者が超低カロリーケトン食療法(VLCKD)での処置に応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するためのインビトロ方法であって、前記患者から得られた全血中の、表S2、表S3または表S4から選択される少なくとも1種の遺伝子またはCpGのメチル化状態を決定する工程を含み、予め確立されたメチル化のレベルと比較した、メチル化のレベルの統計学的に有意な変動または乖離は、前記対象がVLCKDに応答しているかまたは応答するであろうことの指標である、インビトロ方法。
  2. 前記方法が、
    a.前記食事療法の開始時に生じるベースライン状態にある患者におけるメチル化のレベルによって表される対照値に関して、前記食事療法の30日目~90日目に生じる最大ケトーシスの期間にある患者と120日目~180日目に生じる前記食事療法の終わりにある患者との間で可変的β値≧2%およびFDR<0.10を示す、可変的にメチル化されていることを特徴とするCpG部位を選択する工程;ならびに/または
    b.前記食事療法の開始時に生じるベースライン状態にある患者におけるメチル化のレベルによって表される対照値に関して、前記食事療法の30日目~90日目に生じる最大ケトーシスの期間にある患者間で可変的β値≧2%およびFDR<0.10を示す、可変的にメチル化されていることを特徴とするCpG部位を選択する工程、および前記食事療法の30日目~90日目に生じる最大ケトーシスの期間にある前記患者と120日目~180日目に生じる前記食事療法の終わりにある前記患者との間で可変的にメチル化されているCpG部位を破棄する工程;ならびに
    c.工程a)および/もしくはb)に従って選択された可変的にメチル化されたCpG部位の少なくとも2つをプロモーター領域中に含む遺伝子を選択する工程
    を含む、請求項1に記載のインビトロ方法。
  3. 請求項2の工程a)およびc)に従って選択された前記遺伝子およびCpG部位が、表2中に含まれており、およびそれらのメチル化状態は、肥満症に罹患している患者が、VLCKDに応答しておりもしくは将来応答して体重減少および栄養学的ケトーシス誘導の両方を生じさせるか否かを示し、ならびに/または請求項2の工程b)およびc)に従って選択された前記遺伝子およびCpG部位は、表3中に含まれており、およびそれらのメチル化状態は、肥満症に罹患している患者が、栄養学的ケトーシスの誘導によってVLCKDに応答しているか否かもしくは将来応答するか否かを示す、請求項2に記載のインビトロ方法。
  4. 表2から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態を決定する工程を含み、予め確立されたメチル化のレベルと比較した、メチル化のレベルの統計学的に有意な変動または乖離は、前記対象がVLCKDに応答しているかまたは将来応答することの指標である、肥満症に罹患している患者が、VLCKDに応答しておりもしくは将来応答して体重減少と低脂肪消費を特徴とする栄養学的ケトーシス誘導との両方を生じさせるか否かを監視または予測するための、請求項1~3のいずれかに記載のインビトロ方法。
  5. 前記遺伝子の前記メチル化状態が、表2から選択される少なくとも1種のCpG部位において決定される、請求項4に記載のインビトロ方法。
  6. 表3から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態を決定する工程を含み、予め確立されたメチル化のレベルと比較して、メチル化のレベルの統計学的に有意な変動または乖離は、ケトーシスの低下が生じたという指標である、VLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が生じたか否かを監視または予測するための、請求項1~3のいずれかに記載のインビトロ方法。
  7. 前記遺伝子の前記メチル化状態が、表3から選択される少なくとも1種のCpG部位において決定される、請求項6に記載のインビトロ方法。
  8. 前記患者がVLCKDでの前記処置に応答しているかまたは将来応答する場合に、前記遺伝子の全体的な低メチル化が観察される、請求項1~7のいずれかに記載のインビトロ方法。
  9. 前記メチル化状態の検出が、メチル化特異的PCR、バイサルファイトシーケンシング、制限消化に基づく技術、パイロシーケンシング、アッセイChIPオンチップ、メチル化された部位の可変的変換、可変的制限および/または可変的重量からなる群より選択される技術によって行われる、請求項1~8のいずれかに記載のインビトロ方法。
  10. 血液白血球において実施されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のインビトロ方法。
  11. 肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しているか否かまたは応答するか否かを監視または予測するための、表S2、表S3または表S4から選択される少なくとも1種の遺伝子またはCpGのメチル化状態のインビトロ使用。
  12. 肥満症に罹患している患者がVLCKDに応答しておりまたは将来応答して体重減少と低脂肪消費を特徴とする栄養学的ケトーシス誘導との両方を生じさせるか否かを監視または予測するための、表2から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態の、請求項11に記載のインビトロ使用。
  13. 表2から選択される少なくとも1種のCpG部位のメチル化状態の、請求項12に記載のインビトロ使用。
  14. VLCKDでの処置による栄養学的ケトーシスの誘導後に、肥満症に罹患している患者において代謝パラメータの改善が生じたか否かを監視または予測するための、表3から選択される少なくとも1種の遺伝子のメチル化状態の、請求項11に記載のインビトロ使用。
  15. 表3から選択される少なくとも1種のCpG部位のメチル化状態の、請求項14に記載のインビトロ使用。
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