JP2024518519A - 6-ヒドロキシ-カンナビジオール-c4 - Google Patents

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Abstract

本発明は、薬学的に活性である化合物、及びその調製方法に関する。本発明の化合物は6-ヒドロキシ-カンナビジオール-C4(6-OH-CBD-C4)である。本発明の化合物はカンナビジオール(CBD)に関連している。CBDは、様々な疾患及び障害を処置するために使用されている非向精神性カンナビノイドである。これらの処置薬は有望であるが、当技術分野においては更に有効な処置薬がなお求められており、これは本発明の化合物によって実現された。

Description

関連出願
本出願は、2021年5月12日(12.05.2021)出願のGB 2106789.7に関連しかつその優先権を主張するものであり、その内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、薬学的に活性である新規化合物、及びその調製方法に関する。特に、本発明は、6-ヒドロキシ-カンナビジオール-C4(6-OH-CBD-C4)及びてんかんの処置におけるその使用に関する。
てんかんは世界中の人口の約1%において発生しており(Thurmanら、2011年)、そのうち70%は入手可能な既存の抗てんかん薬(AED)によって症状を適切に制御可能である。しかし、この患者群の30%(Eadieら、2012年)は、入手可能なAEDによって発作消失を獲得することができておらず、したがって難治性又は「治療抵抗性てんかん」(TRE)に罹患していると呼ばれる。
難治性又は治療抵抗性てんかんは、国際抗てんかん連盟(ILAE)により2009年に「忍容されかつ適切に選択及び使用された2回のAEDスケジュール(単剤療法、併用療法にかかわらず)の適切な試みによって持続的な発作消失を実現できないこと」と定義された(Kwanら、2009年)。
人生の最初数年の間にてんかんを発生させる個人は、処置が困難であることが多く、したがって治療抵抗性と呼ばれることが多い。小児期に頻繁な発作を経験する小児は、認知遅延、行動遅延、及び運動遅延を引き起こしうる神経障害を負うことが多い。
小児てんかんは、小児及び若年成人における比較的一般的な神経障害であり、有病率は100,000人当たり約700人である。これは人口当たりのてんかん成人数の2倍である。
小児又は若年成人が発作を呈する際に、通常は原因を調査するために調査が行われる。小児てんかんは多くの異なる症候群及び遺伝子変異により引き起こされることがあり、したがってこれらの小児の診断にはある程度の時間を要することがある。
てんかんの主な症状は反復性発作である。患者が罹患しているてんかん又はてんかん症候群の種類を確定するために、患者が経験している発作の種類に関する調査が行われる。臨床観察及び脳波記録(EEG)検査が行われ、発作の種類がILEA分類に従って分類される。
発作が両側に分布したネットワーク内で生じて該ネットワークを急速に巻き込む、全般発作は、6つのサブタイプ、すなわち強直間代発作(大発作);欠神発作(小発作);間代発作;強直発作;脱力発作;及びミオクローヌス発作に分けることができる。
発作が片側大脳半球のみに限定されるネットワーク内で生じる、焦点発作(部分発作)も、やはりサブカテゴリーに分けられる。ここで発作は、聴覚性、運動性、自律性、及び認識性/応答性を含む、発作の1つ又は複数の特徴に従って特徴づけられる。発作が限局性発作として始まり、急速に進展して両側ネットワーク内に分布する場合、この発作は両側痙攣発作と呼ばれる。この用語は続発性全般発作(焦点発作から進展してもはや限局性にはとどまらない全般発作)の代替として提案されたものである。
対象の認識性/応答性が変容する焦点発作は、機能障害を伴う焦点発作と呼ばれ、対象の認識性又は応答性が損なわれない焦点発作は、機能障害を伴わない焦点発作と呼ばれる。
大麻植物由来の非向精神性誘導体であるカンナビジオール(CBD)は、動物モデル及びヒトの両方におけるいくつかの事例報告、前臨床試験、及び臨床試験において抗痙攣性を示した。3回のランダム化対照試験は、Dravet及びLennox-Gastaut症候群を有する患者においてCBDの精製医薬製剤の有効性を示した。
これら3回の試験に基づいて、植物由来の精製CBD調製物(Epidiolex(登録商標))が、Dravet及びLennox-Gastaut症候群に関連する発作の処置に関して、FDAにより2018年6月に、EMAにより2019年9月に承認された。2020年7月に、FDAは、結節性硬化症に関連する発作の処置用の薬物を承認した。
ノルカンナビジオールとも呼ばれる、カンナビジオール-C4(CBD-C4)は、短鎖がメチレン架橋1個分短縮されたCBDの相同体である。それは大麻植物中に少量で見つかる天然カンナビノイドである。このカンナビノイドは合成手段によって製造されることもある。
以前、本出願人は、化合物CBD-C4が抗痙攣活性を示すことをWO 2020/104796において示した。治療有効性が全般発作のMESモデルにおいて示された一方で、一連の毒性スクリーニングは該化合物の毒性が許容されるものであることを証明した。
WO 2020/104796
"Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use", 2nd Edition, 2002, Stahl and Wermuth (Eds), Wiley-VCH, Weinheim, Germany Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2000, pub. Lippincott, Williams & Wilkins; and Handbook of Pharmaceutical Excipients, 9th edition, 2020, pub. Pharmaceutical Press 国際抗てんかん連盟(ILAE)によるてんかんの実用的臨床定義、2014年 ILAEによるてんかん発作型の操作的分類、2017年
本発明はこれらの考慮事項に鑑みて考案された。
最も一般的には、本発明は、新規化合物6-OH-CBD-C4が生物活性があり、したがって疾患の処置において有用であるという驚くべき発見に関する。この新規化合物は、経口、経皮、頬側、鼻内、肺内、直腸、又は眼内を含むがそれに限定されない、多種多様な経路により投与することができる。この化合物は、てんかん等の医学的状態の処置又は予防に使用することができる。
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物又はその塩が提供される。
1つの実施形態では、第1の態様の化合物は純粋化合物、単離化合物、又は合成化合物である。
本発明の第2の態様では、式(I)の化合物又はその塩を含む、医薬組成物が提供される。
1つの実施形態では、第2の態様の医薬組成物は、担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、保存料、酸化防止剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば湿潤剤)、マスキング剤、着色料、香味料、及び甘味料から選択される1種又は複数の成分を含む。
1つの実施形態では、第2の態様の医薬組成物は、液剤、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、シロップ剤、舐剤、洗口剤、滴剤、錠剤、顆粒剤、散剤、薬用キャンディー剤、トローチ剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、急速静注剤、坐剤、ペッサリー剤、チンキ剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、フォーム剤、噴霧剤、及びエアロゾル剤から選択される形態である。
本発明の第3の態様では、医薬、例えばてんかんの処置用の医薬としての使用のための、式(I)の化合物又はその塩が提供される。
本発明の第4の態様では、処置方法、例えばてんかんを処置する方法における使用のための、式(I)の化合物又はその塩が提供される。
本発明の第5の態様では、処置を必要とする対象に治療有効量の式(I)の化合物又はその塩を投与する工程を含む、処置方法が提供される。
1つの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、1種又は複数の同時投与抗てんかん薬(AED)との組み合わせで使用される。
1つの実施形態では、式(I)の化合物の用量は1~2,000mg/kgである。
本発明の第6の態様によれば、以下の工程を含む、式(I)の化合物の製造のための方法が提供される:
i)4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオールを無水酢酸で処理して4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを製造する工程;
ii)4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを無水酢酸及び二クロム酸ナトリウム二水和物で処理して4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを製造する工程;並びに
iii)4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを水素化アルミニウムリチウムで処理して式Iの化合物を製造する工程。
本発明の第7の態様では、式(I)の化合物の製造方法において形成される中間体が提供される。
本発明のこれらの及び他の態様及び実施形態を以下で更に詳細に説明する。
以下に列挙する図面を参照して本発明を説明する。
実施例2に記載のマウスでのミニMEST試験における、化合物Iとして示される試験化合物の評価を示す。
本発明は、生物活性があり、したがって疾患の処置において有用である、化合物6-OH-CBD-C4に関する。
化合物I
本発明は、式(I)の化合物を提供する。
式(I)の化合物は(1'R,2'R,4'S)-4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,4,6-トリオールである。本明細書において、それを式(I)の化合物又は化合物Iと呼ぶ。

いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は遊離塩基の形態で提供される。
或いは、該化合物の対応する塩、例えば薬学的に許容される塩を調製すること、精製すること、及び/又は取り扱うことが好都合であるか又は望ましいこともある。薬学的に許容される塩の例は"Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use", 2nd Edition, 2002, Stahl and Wermuth (Eds), Wiley-VCH, Weinheim, Germanyにおいて説明されている。
したがって、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は塩として、例えば好適な対アニオンと一緒になったプロトン化形態で提供される。
好適な対アニオンは有機アニオン及び無機アニオンの両方を含む。好適な無機アニオンの例としては、塩素アニオン(Cl-)、臭素アニオン(Br-)、ヨウ素アニオン(I-)、硫酸アニオン(SO4 2-)、亜硫酸アニオン(SO3 2-)、硝酸アニオン(NO3 -)、亜硝酸アニオン(NO2 -)、リン酸アニオン(PO4 3-)、及び亜リン酸塩アニオン(PO3 3-)を含む、無機酸に由来するアニオンが挙げられる。好適な有機アニオンの例としては2-アセトキシ安息香酸アニオン、酢酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、アスパラギン酸アニオン、安息香酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、桂皮酸アニオン、クエン酸アニオン、エデト酸アニオン、エタンジスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、ギ酸アニオン、フマル酸アニオン、グルコン酸アニオン、グルタミン酸アニオン、グリコール酸アニオン、ヒドロキシリンゴ酸アニオン、カルボン酸アニオン、乳酸アニオン、ラウリンアニオン、乳酸アニオン、マレイン酸アニオン、リンゴ酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、オレイン酸アニオン、シュウ酸アニオン、パルミチン酸アニオン、フェニル酢酸アニオン、フェニルスルホン酸アニオン、プロピオン酸アニオン、ピルビン酸アニオン、サリチル酸アニオン、ステアリン酸アニオン、コハク酸アニオン、スルファニル酸アニオン、酒石酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、及び吉草酸アニオンが挙げられる。好適なポリマー有機アニオンの例としては、タンニン及びカルボキシメチルセルロースに由来するアニオンが挙げられる。
或いは、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は塩として、例えば好適な対カチオンと一緒になった脱プロトン化形態で提供される。
好適な対カチオンは有機カチオン及び無機カチオンの両方を含む。好適な無機カチオンの例としては、Na+及びK+等のアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+等のアルカリ土類カチオン、並びにAl3+等の他のカチオンが挙げられる。好適な有機カチオンの例としてはアンモニウムイオン(すなわちNH4 +)及び置換アンモニウムイオン(例えばNH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)が挙げられる。置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニン等のアミノ酸に由来するイオンが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例はN(CH3)4 +である。
溶媒和物
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は脱溶媒和形態、例えば脱水形態で提供される。
或いは、該化合物の対応する溶媒和物を調製すること、精製すること、及び/又は取り扱うことが好都合であるか又は望ましいこともある。
したがって、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は溶媒和物(溶質(例えば化合物、化合物の塩)と溶媒との複合体)の形態で提供される。溶媒和物の例としては水和物、例えば一水和物、二水和物、及び三水和物が挙げられる。
合成方法
本発明は、以下の工程を含む、式(I)の化合物の製造のための方法を提供する:
i)4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオールをアシル化試薬で処理して4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを製造する工程;
ii)4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを酸化剤で処理して4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを製造する工程;及び
iii)4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを還元剤で処理して式Iの化合物を製造する工程。
好適なアセチル化剤としては無水酢酸、塩化アセチル、酢酸N-スクシンイミジル、1-アセチル-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン、及びN-アセチルイミダゾールが挙げられる。好ましい実施形態では、無水酢酸が使用される。
場合によっては、塩基が工程i)において使用される。好適な塩基としては、ピリジン、ジメチルベンジルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、DABCO等の有機塩基が挙げられる。好ましい実施形態では、ピリジンが使用される。
好適な酸化剤としては、無水酢酸を伴う二クロム酸ナトリウム二水和物等のクロム種が挙げられる。好ましい実施形態では、無水酢酸及び二クロム酸ナトリウム二水和物が使用される。
好適な還元剤としては水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(red-Al)、ジボラン、及び水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。好ましい実施形態では、水素化アルミニウムリチウムが使用される。
中間体
本発明は、式(I)の化合物の製造方法において形成される中間体を提供する。
医薬組成物
式(I)の化合物を単独で投与することが可能であるが、式(I)の化合物を1種又は複数の他の薬学的に許容される成分と共に含む医薬組成物(例えば製剤、調製物、又は医薬)を投与することが好ましい。
したがって、本発明は、式(I)の化合物又はその塩を1種又は複数の薬学的に許容される成分と共に含む、医薬組成物を提供する。
好適な薬学的に許容される成分(例えば担体、希釈剤、賦形剤等)は標準的な薬学の教科書、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2000, pub. Lippincott, Williams & Wilkins; and Handbook of Pharmaceutical Excipients, 9th edition, 2020, pub. Pharmaceutical Pressに見ることができる。
好適な薬学的に許容される成分の例としては、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、保存料、酸化防止剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば湿潤剤)、マスキング剤、着色料、香味料、及び甘味料が挙げられる。
好ましい実施形態では、薬学的に許容される成分は担体、油、崩壊剤、潤滑剤、安定剤、香味料、酸化防止剤、及び希釈剤から選択される。場合によっては、別の薬学的に有効な化合物が含まれてもよい。
医薬組成物は任意の好適な形態でありうる。好適な形態の例としては液剤、溶液剤(水性、非水性)、懸濁液剤(水性、非水性)、乳剤(例えば水中油型、油中水型)、シロップ剤、舐剤、洗口剤、滴剤、錠剤(例えばコーティング錠剤を含む)、顆粒剤、散剤、薬用キャンディー剤、トローチ剤、カプセル剤(例えば硬及び軟ゼラチンカプセル剤を含む)、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、急速静注剤、坐剤、ペッサリー剤、チンキ剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、フォーム剤、噴霧剤、並びにエアロゾル剤が挙げられる。
好ましい実施形態では、医薬組成物は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、吸入用散剤、スプリンクル剤、経口溶液剤、及び懸濁液剤の形態でありうる。
医学的処置
本発明者らは、式(I)の化合物が生物活性があることを発見した。実施例では、式(I)の化合物が発作のマウスモデルにおいて抗痙攣活性を示すことを実証する。したがって、式(I)の化合物、その塩、及び式(I)の化合物又はその塩を含む医薬組成物は、医学的処置において有用であろう。
したがって、本発明は、処置方法における使用のための、例えば治療によるヒト又は動物の身体の処置の方法(すなわち治療方法)における使用のための、式(I)の化合物又はその塩を提供する。
本発明はまた、医薬としての使用のための、式(I)の化合物又はその塩を提供する。
本発明はまた、処置を必要とする対象に治療有効量の式(I)の化合物又はその塩を投与する工程を含む、処置方法を提供する。
本発明はまた、医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその塩の使用を提供する。
本発明はまた、処置方法における、式(I)の化合物又はその塩の使用を提供する。
処置される状態
本発明者らは、式(I)の化合物が全般発作のマウスモデルにおいて抗痙攣活性を示すことを発見した。したがって、式(I)の化合物、その塩、及び式(I)の化合物又はその塩を含む医薬組成物は、発作に関連する特定の状態の処置において有用であろう。
同様に、式(I)の化合物、その塩、及び式(I)の化合物又はその塩を含む医薬組成物は、発作に関連する特定の状態を処置するための医薬として(また、それを処置するための医薬の製造において)有用であろう。
好ましい実施形態では、発作に関連する状態はてんかんである。
1つの実施形態では、発作に関連する状態は全般発作、例えばてんかんに関連する全般発作である。
1つの実施形態では、発作に関連する状態は焦点起始発作、例えばてんかんに関連する焦点起始発作である。
1つの実施形態では、発作に関連する状態は強直間代発作、例えばてんかんに関連する強直間代発作である。
対象/患者
通常、処置方法は、対象又は患者に式(I)の化合物又はその塩を投与する工程を含む。
対象/患者は脊索動物、脊椎動物、哺乳動物、有胎盤哺乳動物、有袋動物(例えばカンガルー、ウォンバット)、げっ歯類(例えばモルモット、ハムスター、ラット、マウス)、マウス類(例えばマウス)、ウサギ類(例えばウサギ)、鳥類(例えばトリ)、イヌ類(例えばイヌ)、ネコ類(例えばネコ)、ウマ類(例えばウマ)、ブタ類(例えばブタ)、ヒツジ類(例えばヒツジ)、ウシ類(例えば雌ウシ)、霊長類、サル類(例えばサル若しくは類人猿)、サル(例えばマーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えばゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトでありうる。
対象/患者はその発達形態のいずれかでありうる。例えば、対象/患者は乳児又は小児でありうる。
好ましい実施形態では、対象/患者は哺乳動物、より好ましくはヒト、更に好ましくは成体のヒトである。
また、対象/患者は実験研究において使用される非ヒト哺乳動物、例えばげっ歯類でありうる。げっ歯類としてはラット、マウス、モルモット、及びチンチラが挙げられる。
投与経路
処置方法は、全身/末梢であれ局所(すなわち作用が望まれる部位)であれ、任意の好都合な投与経路によって、式(I)の化合物又はその塩を対象に投与する工程を含みうる。
投与経路は経口(例えば経口摂取による);頬側;舌下;経皮(例えばパッチ、プラスター等によるものを含む);経粘膜(例えばパッチ、プラスター等によるものを含む);鼻内(例えば点鼻薬による);眼内(例えば点眼薬による);肺内(例えば、エアロゾルを例えば使用しての、例えば口若しくは鼻を通じた、吸入療法若しくはガス注入療法による);直腸(例えば坐剤若しくは浣腸による);膣内(例えばペッサリーによる);例えば注射若しくは注入による、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、くも膜下腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、及び胸骨内を含む、非経口;又は例えば皮下若しくは筋肉内でのデポー若しくはリザーバの埋め込みによる経路でありうる。
投与量
通常、処置方法は、対象に治療有効量の式(I)の化合物又はその塩を投与する工程を含む。
式(I)の化合物、その塩、及び式(I)の化合物又はその塩を含む医薬組成物の適切な投与量は、患者毎に異なりうる。一般に、最適な投与量を確定することは、任意の危険性又は有害副作用に対して治療効果のレベルのバランスを取ることを包含する。選択される投与量レベルは、式(I)の化合物の活性、投与経路、投与時間、該化合物の排泄速度、処置期間、併用される他の有効な薬剤、化合物、及び/又は材料、状態の重症度、並びに患者の種、性別、年齢、体重、体調、全身的健康、及び前病歴を含むがそれに限定されない、種々の要因に依存する。投与量及び投与経路は最終的には臨床医の裁量によるが、一般的には、投与量は、相当な有害副作用を引き起こすことなく所望の作用を実現する局所濃度を作用部位において実現するように選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の用量は1~2,000mg/日である。好ましい実施形態では、用量は20~1,000mg/日、より好ましくは50~500mg/日である。
投与は1つの用量で処置期間全体にわたって連続的に又は断続的に(例えば分割用量で適切な間隔を空けて)実行することができる。1回又は複数回の投与を行うことができ、投与レベル及び投与パターン処置は処置臨床医が選択する。
同時投与
処置方法は、対象に式(I)の化合物又はその塩を他の医薬の非存在下で投与する工程を含みうる。
いくつかの実施形態では、処置方法は、対象に式(I)の化合物又はその塩を1種又は複数の同時投与抗てんかん薬(AED)との組み合わせで投与する工程を含む。
好適なAEDとしてはルフィナミド;ラモトリジン;トピラマート;フェルバマート、スチリペントール、クロバザム、及びバルプロ酸が挙げられる。
投与は同時に行っても順次行ってもよい。
他の態様及び実施形態
上記の実施形態のあらゆる適合性のある組み合わせは、あらゆる組み合わせが個々にかつ明示的に記載されているかのように、本明細書に明示的に開示される。
本発明の様々な更なる態様及び実施形態は、本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
「及び/又は」は、使用される場合、関連する単独の各構成要素又は特徴の具体的な開示、及び該構成要素又は特徴の組み合わせの具体的な開示と見なされるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、i)A、ii)B、並びにii)A及びBのそれぞれを、各自が個々に記載されているかのように具体的に開示するものと見なされるべきである。
文脈により別途規定されない限り、先に記載された特徴の記述及び定義は、本発明の任意の特定の態様又は実施形態に限定されるものではなく、記載されるすべての態様及び実施形態に同様に当てはまる。
定義
本発明を記述するために使用されるいくつかの用語の定義を以下に詳述する。
本出願に記載の化合物を以下に列挙する。
てんかんは、以下の条件のうちいずれかにより規定される脳の疾患であると見なされる: (1)少なくとも2回の非誘発性(又は反射性)発作が24時間を超える間隔で生じること;(2)1回の非誘発性(又は反射性)発作が生じ、その後10年間の発作再発率が2回の非誘発性発作後の一般的な再発リスク(少なくとも60%)と同程度であること;(3)てんかん症候群と診断されること(国際抗てんかん連盟(ILAE)によるてんかんの実用的臨床定義、2014年)。
「焦点発作」(「焦点起始発作」)という用語は、片側大脳半球に限定されるネットワーク内で生じる発作を意味する。発作は不連続的に限局していることもあれば、より広く分布していることもある。焦点発作は皮質下構造において生じることがある(ILAEによるてんかん発作型の操作的分類、2017年)。
「全般発作」(「全般起始発作」)という用語は、脳内の何らかの地点で生じて両側に分布したネットワークを急速に巻き込むものとして概念化された発作を意味する(ILAEによるてんかん発作型の操作的分類、2017年)。
「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、問題となる対象(例えばヒト)の組織と接触させての使用に好適であり、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、又は他の問題若しくは懸念事項がなく、妥当なベネフィット/リスク比に相応している、化合物、成分、材料、組成物、剤形等に関する。また、各成分(例えば担体、希釈剤、賦形剤等)は、組成物の他の成分と適合性があるという意味で「許容される」ものでなければならない。
「治療有効量」という用語は、所望の処置レジメンに従って投与される際に、何らかの所望の治療効果を生じさせるために有効であり、妥当なベネフィット/リスク比に相応している、化合物、又は化合物を含む材料、組成物、若しくは剤形の量に関する。
「強直間代発作」は2つの期、すなわち、筋硬直及び意識消失を通常は包含する強直期、並びに肢部の律動性筋収縮を通常は包含する間代期において生じる。
ヒト等価用量(HED)は下記式を使用して推定することができる:
ラットのKmは6であり、ヒトのKmは37である。したがって、約60Kgのヒトに関して、ラットにおける用量200mg/Kgはヒト一日量約2,000mgと等しくなる。
本発明の特定の態様及び実施形態を実施例によって、かつ上記の図面を参照して説明する。
(実施例1)
化合物Iの合成的製造方法
本実施例では、薬理活性を示した新規化合物を製造するために使用した新規合成方法が記載される。以下のスキーム1では、いくつかの中間体を通じて形成された新規化合物を製造するために使用した3段階の反応が記載される。
本発明の新規化合物は(1'R,2'R,4'S)-4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,4',6-トリオールであり、全体を通じて式Iの化合物又は化合物Iと呼ばれる。
以下のスキーム1は、3工程での化合物Iの合成経路を示す。
スキーム1:化合物Iの合成
工程1:化合物bの製造
(1'R,2'R)-4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(250mg、0.832mmol)のピリジン(3.0mL)溶液を無水酢酸(0.24mL、2.5mmol)で処理し、反応混合物を室温、オーバーナイトで撹拌した。混合物を酢酸エチル(80mL)で希釈し、水(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄した。有機層を疎水性濾紙に通し、減圧濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(40gシリカカートリッジ、シクロヘキサン中5~10%酢酸エチルで溶離)で精製して(1'R,2'R)-4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを無色粘稠油状物(236mg、74%)として得た。
工程2:化合物cの製造
(1'R,2'R)-4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテート(230mg、0.597mmol)の酢酸(1.0mL)溶液を無水酢酸(0.25mL、2.69mmol)及び二クロム酸ナトリウム二水和物(214mg、0.717)で処理し、反応混合物を室温で3日間撹拌した。混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2x40mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(20mL)で洗浄し、疎水性濾紙に通し、減圧濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(25gシリカカートリッジ、シクロヘキサン中20~30%酢酸エチルで溶離)で精製して(1'R,2'R)-4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを無色油状物(111mg、47%)として得た。
工程3:化合物Iの製造
0℃に冷却された水素化アルミニウムリチウム(1.1mL、1.1mmol、1.0Mジエチルエーテル溶液)の乾燥ジエチルエーテル(3mL)溶液に(1'R,2'R)-4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテート(105mg、0.263mmol)のジエチルエーテル(3.0mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温に昇温させ、4時間撹拌した。混合物を0℃に再冷却し、水(1mL)、続いて2M塩酸(5mL)を慎重に加えた。混合物を酢酸エチル(50mL)で抽出し、有機層を食塩水(20mL)で洗浄し、疎水性濾紙に通し、減圧濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(12gシリカカートリッジ、シクロヘキサン中10~50%酢酸エチルで溶離)、続いて逆相分取HPLCで精製して化合物Iをオフホワイトの固体(23mg、28%)として得た。
(実施例2)
最小標本サイズを使用するマウスにおける最大電気ショック発作閾値(MEST)試験(ミニMEST)を使用する抗痙攣活性に関する新規化合物の評価
式Iの新規化合物の有効性を、全般発作の新規マウスモデルにおいて、通常使用されるよりも少ないn数を使用するミニMEST(最大電気ショック発作閾値)試験によって試験した。
最大電気ショック発作閾値(MEST)試験は、試験化合物の痙攣誘発性又は抗痙攣性を評価するために広く前臨床的に利用されている(Loscherら、1991年)。
MEST試験では、後肢伸筋強直痙攣を誘発するために必要な発作閾値電流を変化させる薬物の能力を、「上下型」ショック滴定法に従って測定する(Kimballら、1957年)。発作閾値の増加は抗痙攣作用を示すものである。全般強直間代発作に対する有効性が臨床的に証明されている、ナトリウムチャネル遮断薬(例えばラモトリギン)を含む抗てんかん薬はいずれも、この試験でマウスにおける抗痙攣性を示す。
逆に、発作閾値の減少は、ピクロトキシン等の公知の痙攣誘発剤で観察される痙攣誘発作用を示すものである。
後肢伸筋強直痙攣の存在を誘発するために必要な、電流(mA)として表される刺激強度を変化させる試験化合物の能力をMESTにおいて評価する。処置群内の動物の50%における、後肢強直痙攣を生じさせる電流により観察される後肢伸筋強直痙攣の存在(+)又は非存在(0)の結果(CC50)によって、処置群の発作閾値を確定し、次にこれらの効果を媒体対照群のCC50と比較した。
方法
試験の詳細:
ナイーブマウスを最大7日間ホームケージ内の処置室に順応させ、食物及び水を自由に入手可能にした。
すべての動物を試験開始時に体重測定し、群間の平均体重分布に基づいて処置群にランダムに割り当てた。すべての動物に媒体、100mg/kg(化合物I)若しくは150mg/kg(化合物II)の試験化合物、又は2.5mg/kgのジアゼパムを腹腔内注射(i.p)によって10mL/kgで投与した。
媒体、試験化合物、及びジアゼパムの投与30分後の1回の電気ショックによる後肢伸筋強直痙攣の発生について、動物を個々に評価した。
処置群内の最初の動物には予想又は推定CC50電流でショックを与えた。後続の動物では、先行動物からの痙攣の結果に応じて、電流を対数スケール間隔で低下又は上昇させた。
各処置群から作成したデータを使用して、処置群のCC50±SEM値を計算した。
試験化合物:
媒体:(85%生理食塩水中5%エタノール、10% Solutol)を以下のように調製した:エタノール1mL、Solutol 2mLを生理食塩水17mL中で60℃に昇温させた(1:2:17)。
陽性対照:ジアゼパムを2.5mg/kgで使用した。
本明細書に化合物Iとして記載される試験化合物を、式Iとして示す。試験化合物を150mg/kg(腹腔内)で、1:2:17エタノール:Solutol:0.9%生理食塩水製剤として投与した。
試料採取:
痙攣発生の直後に、1986年の動物(科学的処置)法による「スケジュール1に基づく動物の人道的殺処分」に基づいて、頭蓋を叩きつけることで脳を破壊した後、断頭により循環の恒久的停止を確実にすることで、各動物を人道的に殺処分した。断頭後に末梢血及び脳の採取を行った。
血液をリチウム-ヘパリン管に採取し、4℃、1500xgで10分間遠心分離した。得られた血漿を取り除き(100μL超)、2つのアリコートに分割して、安定化用のアスコルビン酸(100mg/mL)10μLを収容する0.5mLエッペンドルフチューブに入れた。脳を取り除き、生理食塩水中で洗浄し、半分に分けた。各半分を別々の2mLスクリューキャップクリオバイアルに入れ、秤量し、ドライアイス上で凍結させた。
統計解析
各処置群のデータを使用される各電流レベルでの+及び0の数として記録し、次に、この情報を使用してCC50値(動物の50%が発作挙動を示すために必要な電流)±標準誤差を計算する。
また、試験化合物の効果を媒体対照群からのCC50のパーセント変化として計算した。
薬物処置動物と対照との間の有意差をLitchfield及びWilcoxon(1949年)に従って評価した。
結果
図1及びTable 1(表3)には、この実験において作成されたデータが記載されている。
媒体群では、CC50値は25.0mAであると計算された。
試験30分前に腹腔内投与されたジアゼパム(2.5mg/kg)処置群では、CC50値は97.8mAであった。この結果は媒体対照に比べて統計的に有意であった(p<0.001)。
試験30分前に腹腔内投与した化合物Iは、媒体に比べて明らかな発作閾値の増加を生じさせ、150mg/kgでCC50>131mAであった。試験した6匹の動物内で「+」の後肢強直痙攣が見られなかったため、正確な値は計算されなかった。CC50は確定されなかったが、化合物IはミニMESTにおいて発作閾値の明らかな増加を示した。この処置群内の動物が痙攣を示さなかったため、化合物Iの明らかな活性が実証された。
これらのデータは、この化合物に治療効果があることを示すものである。
結論
ミニMESTモデルを使用して作成されたデータは、この化合物の治療効果を実証するものである。化合物Iは強力な治療効果を示し、CC50は媒体対照に比べて159%超も増加した。
このデータは、この新規化合物が治療上有益でありうることに関するこれまで未知であったエビデンスを示すことから、重要である。
(実施例3)
新規化合物のバイオアナリシス
血漿及び脳中の化合物Iの定量的測定値を確定するためにバイオアナリシス実験を行った。
方法
6匹のマウスに化合物Iを150mg/kgで腹腔内(i.p)注射により投与した。投与30分後に試料量40μLを使用して試料分析を行った。内部標準(アセトニトリル中)及びイソプロパノールの添加後に、試料をアセトニトリルの添加によりタンパク質沈殿させた。試料を遠心分離し、上澄み液をクリーンな96ウェルプレートに移し(プレート材料に対する非特異的結合を最小化するためにTweenを加えながら)、蒸発乾固させ、次に好適な溶媒中で再構成した。抽出物を超高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析(UPLC-MS/MS)により定量化した。
結果
Table 2(表4)は、この実験において作成されたデータを示す。高濃度の化合物Iが血漿中及び脳中で検出された。
結論
このデータは、化合物Iが血漿及び脳に存在することを確定するものである。

Claims (23)

  1. 式(I)の化合物又はその塩。
  2. 純粋化合物、単離化合物、又は合成化合物としての、請求項1に記載の化合物。
  3. 式(I)の化合物又はその塩を含む、医薬組成物。
  4. 液剤、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、シロップ剤、舐剤、洗口剤、滴剤、錠剤、顆粒剤、散剤、薬用キャンディー剤、トローチ剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、急速静注剤、坐剤、ペッサリー剤、チンキ剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、フォーム剤、噴霧剤、及びエアロゾル剤から選択される形態の、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、保存料、酸化防止剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば湿潤剤)、マスキング剤、着色料、香味料、及び甘味料から選択される1種又は複数の成分を含む、請求項3又は4に記載の医薬組成物。
  6. 医薬としての使用のための、式(I)の化合物又はその塩。
  7. 医薬がてんかんを処置するための医薬である、請求項6に記載の使用のための化合物。
  8. 医薬が全般発作、焦点起始発作、又は強直間代発作を処置するための医薬である、請求項6又は7に記載の使用のための化合物。
  9. 処置方法における使用のための、式(I)の化合物又はその塩。
  10. 処置方法がてんかんを処置する方法である、請求項9に記載の使用のための化合物。
  11. 処置方法が全般発作、焦点起始発作、又は強直間代発作を処置する方法である、請求項9又は10に記載の使用のための化合物。
  12. 1種又は複数の同時投与抗てんかん薬(AED)との組み合わせで使用される、請求項9から11のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  13. AEDがルフィナミド;ラモトリジン;トピラマート;フェルバマート、スチリペントール、クロバザム、及びバルプロ酸から選択される、請求項12に記載の使用のための化合物。
  14. 化合物の用量が1~2,000mg/日、例えば20~1,000mg/日、例えば50~500mg/日である、請求項9から13のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  15. 処置を必要とする対象に治療有効量の式(I)の化合物又はその塩を投与する工程を含む、処置方法。
  16. てんかんを処置する方法である、請求項15に記載の処置方法。
  17. 全般発作、焦点起始発作、又は強直間代発作を処置する方法である、請求項15又は16に記載の処置方法。
  18. 以下の工程を含む、式(I)の化合物の製造のための方法:
    i)4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオールをアシル化試薬で処理して4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを製造する工程;
    ii)4-ブチル-5'-メチル-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを酸化剤で処理して4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを製造する工程;及び
    iii)4-ブチル-5'-メチル-4'-オキソ-2'-(プロパ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジイルジアセテートを還元剤で処理して式Iの化合物を製造する工程。
  19. アシル化試薬が無水酢酸、塩化アセチル、酢酸N-スクシンイミジル、1-アセチル-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン、及びN-アセチルイミダゾール;例えば無水酢酸から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 塩基がピリジン、ジメチルベンジルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、DABCO;例えばピリジンから選択される、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 酸化剤がクロム酸化剤、例えば無水酢酸及び二クロム酸ナトリウム二水和物である、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 還元剤が水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(red-Al)、ジボラン、及び水素化ホウ素ナトリウム;例えば水素化アルミニウムリチウムから選択される、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 以下から選択される、式(I)の化合物の製造方法において形成される中間体。
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