JP2024518158A - 細胞の培養及び採取のための固定床バイオリアクター及び関連する方法 - Google Patents

細胞の培養及び採取のための固定床バイオリアクター及び関連する方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2024518158000001
培地入口(310)、培地出口(312)、及び培地入口と培地出口との間に配置され、それらと流体連通している内部空洞を備えた容器;充填床構成で培地入口と培地出口の間の内部空洞に配置された細胞培養基材であって、複数の多孔質ディスク(308)が積層配置された細胞培養基材;並びに、流体を保持するための採取容積(2010,2020)であって、内部空洞と流体連通している採取容積を含む、固定床バイオリアクターシステム(300)が提供され、ここで、複数の多孔質ディスクの各々が、その上で細胞を培養するように構成された表面を含む。採取容積は容器の内側にあっても外側にあってもよい。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2021年5月3日出願の米国仮特許出願第63/183,386号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
本開示は、概して、細胞を培養するための装置、システム、及び方法に関する。特に、本開示は、細胞培養基材、そのような基材を組み込んだ固定床バイオリアクター容器及びシステム、並びにモジュール式で拡張可能な基材、容器、及びシステムを含む、そのような基材及びバイオリアクターを使用して細胞を培養する方法に関する。
バイオプロセス産業では、ホルモン、酵素、抗体、ワクチン、及び細胞療法の生産を目的として、細胞の大規模培養が行われる。バイオプロセスで用いられる細胞のかなりの部分は足場依存性であり、これは、細胞が増殖し機能するために接着する表面を必要とすることを意味する。従来、接着細胞の培養は、Tフラスコ、ペトリ皿、細胞工場、セルスタック容器、ローラボトル、及びHYPERStack(登録商標)容器など、多数の容器形式のうちの1つに組み込まれた二次元(2D)細胞接着表面上で行われる。これらの手法には、治療薬又は細胞の大規模生産を可能にするのに十分に高い細胞密度を達成することが困難であることを含む、重大な欠点を有する可能性がある。
培養細胞の体積密度を増加させるための代替方法が提案されている。これらには、撹拌タンク内で行われるマイクロキャリア培養が含まれる。この手法では、マイクロキャリアの表面に接着した細胞は一定のせん断応力にさらされ、その結果、増殖及び培養性能に重大な影響を及ぼす。高密度細胞培養システムの別の例は、中空繊維バイオリアクターであり、ここで、細胞は、繊維間空間で増殖するときに大きい三次元凝集体を形成する可能性がある。しかしながら、栄養素が不足すると、細胞の増殖及び性能は著しく阻害される。この問題を軽減するために、これらのバイオリアクターは小型に作られており、大規模製造には適していない。
足場依存性細胞の高密度培養システムの別の例は、充填床バイオリアクターシステムである。例えば、細胞を捕捉するための支持体又はマトリクスシステムの充填床を含む充填床バイオリアクターシステムは、以前に特許文献1から3に開示されている。充填床マトリクスは通常、基材としての多孔質粒子又はポリマーの不織布マイクロファイバーで作られる。このようなバイオリアクターは、再循環フロースルーバイオリアクターとして機能する。このようなバイオリアクターに関する重大な問題の1つは、充填床内の細胞分布が不均一であることである。例えば、充填床は、デプスフィルタとして機能し、主に入口領域で細胞が捕捉され、その結果、接種ステップ中に細胞分布の勾配が生じる。加えて、繊維がランダムに充填されていることにより、充填床の断面の流動抵抗及び細胞捕捉効率は均一ではない。例えば、培地は、細胞充填密度が低い領域では速く流れ、抵抗が高い領域では、捕捉された細胞の数が多いことから、ゆっくりと流れる。これにより、体積細胞密度が低い領域には栄養素及び酸素がより効率的に供給され、細胞密度が高い領域では次善の培養条件で維持される、チャネリング効果が生じる。従来技術に開示されている充填床システムの別の重大な欠点は、培養プロセスの最後にインタクトな生細胞を効率的に回収することができないことである。特許文献4には、細胞採取ステップ中の充填床からの細胞回収効率を向上させるためのバイオリアクターの設計が開示されている。これは、充填床マトリクスを緩め、充填床粒子を撹拌して、多孔性マトリクスを衝突させ、それによって細胞を分離することに基づいている。しかしながら、この手法は手間がかかり、重大な細胞損傷を引き起こす可能性があるため、全体的な細胞生存率が低下する。
ローラボトルには、取り扱いが容易であること、接着面上の細胞を監視することができることなど、幾つかの利点がある。しかしながら、生産の観点から見ると、主な欠点は、ローラボトルの構成が製造床面積の大きい面積を占める一方で、容積に対する表面積の比率が低いことである。ローラボトル形式で接着細胞が利用できる表面積を増加させるために、さまざまな手法が用いられている。幾つかの解決策は市販の製品に実装されているが、ローラボトルの生産性をさらに向上させるにはまだ改善の余地が残っている。従来、ローラボトルはブロー成形プロセスによって単一の構造として製造されている。このような製造の簡素化により、バイオプロセス産業におけるローラボトルの経済的な実行可能性が可能となる。細胞培養に利用可能な表面積を増加させるためのローラボトルの幾つかの変更は、製造プロセスを変更することなく実現できるが、得られる変更したローラボトルの表面積はわずかしか増加しない。ローラボトル設計の他の変更により、製造プロセスに大幅な複雑性が加わり、バイオプロセス業界では経済的に実行不可能となる。したがって、その製造に同じブロー成形プロセスを使用しつつ、増加した表面積とバイオプロセスの生産性を備えたローラボトルを提供することが望ましい。
早期臨床治験用のウイルスベクターの製造は既存のプラットフォームでも可能であるが、後期の商業生産規模に到達するためには、高品質の製品をより多く生産することができるプラットフォームが必要とされている。
米国特許第4,833,083号明細書 米国特許第5,501,971号明細書 米国特許第5,510,262号明細書 米国特許第9,273,278号明細書
均一な細胞分布、容易に達成可能な、収量の増加、及び生細胞の採取が可能な高密度形式での細胞の培養を可能にする、細胞培養マトリクス、充填床バイオリアクター容器、及びバイオリアクターシステム、並びに方法が必要とされている。加えて、研究からプロセス開発、製造規模など、さまざまなスケールでのさまざまなユースケースのニーズに対応するために、生産レベルを調整可能なスケーラブルな解決策を可能にするようなマトリクス、容器、システム、及び方法が必要とされている。
本開示の一実施形態によれば、固定床バイオリアクターシステムが提供される。バイオリアクターシステムは、培地入口、培地出口、及び培地入口と培地出口との間に配置され、かつそれらと流体連通している内部空洞を備えた容器を含む。バイオリアクターシステムは、充填床構成で培地入口と培地出口の間の内部空洞に配置された細胞培養基材をさらに含み、該細胞培養基材は積層配置された複数の多孔質ディスクを含む。複数の多孔質ディスクの各々は、その上で細胞を培養するための表面を有する。内部空洞は、細胞培養セクションとスペーサセクションとを含み、細胞培養基材が細胞培養セクションを画定し、スペーサセクションは細胞培養セクションと培地出口との間に配置される。
1つ以上の実施形態の態様は、細胞培養基材と培地出口との間の内部空洞に配置され、それらの間にスペーサセクションを画定するスペーサをさらに含む。スペーサは、細胞培養基材を培地出口から一定の距離に配置し、細胞培養基材を内部空洞の細胞培養セクションに閉じ込める。スペーサは、スペーサセクションの長さに平行な方向に延びる複数のスペーサ部材を含むことができる。幾つかの実施形態のさらなる態様として、充填床保持器を細胞培養基材とスペーサとの間に配置することができ、充填床保持器は細胞培養基材の上部に構造的支持を提供する。充填床保持器は、多孔質であり、実質的に剛性であり、内部空洞の幅のかなりの部分にわたって延在することができる。
1つ以上の実施形態のさらなる態様では、複数の多孔質ディスクの各ディスクは、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離するディスク厚さ、及びディスク内に形成された、ディスク厚さを貫通する複数の開口部を有する。複数の開口部は、細胞培養培地、細胞、又は細胞副生成物のうちの少なくとも1つが細胞培養基材を通って流れることを可能にするように配置される。
該システムは、培地入口と細胞培養セクションとの間に配置された入口分配プレートをさらに含むことができる。入口分配プレートは、培地入口から内部空洞に入る流体を細胞培養基質の領域全体に分配することができる。該システムは、スペーサセクションと培地出口との間に配置された出口分配プレートをさらに含むことができる。
1つ以上の実施形態の一態様として、上記バイオリアクターシステムは、細胞培養基材とスペーサセクションとの間に配置された充填床保持器をさらに含み、該充填床保持器は細胞培養基材の上部に構造的支持を提供するように構成される。充填床保持器は、多孔質であり、実質的に剛性であり、内部空洞の幅のかなりの部分にわたって延在することができる。該システムは、充填床保持器と培地出口との間の内部空洞内に配置され、それらの間にスペーサセクションを画定するスペーサをさらに含むことができる。スペーサは、細胞培養基材を培地出口から一定の距離に配置し、細胞培養基材を内部空洞の細胞培養セクションに閉じ込める。充填床保持器は、例えば、剛性の格子構造とすることができる。
1つ以上の実施形態の追加の態様として、スペーサは、調節可能な長さを有し、細胞培養セクションと培地出口との間のさまざまな所定の距離を維持するように調節可能であり、それにより、細胞培養セクションに収容することができる細胞培養基材内の多孔質ディスクの数を変化させることができる。
1つ以上の実施形態のさらなる態様では、該システムは、異なる長さの複数の取り外し可能なスペーサを含み、該複数の取り外し可能なスペーサの各々は、細胞培養セクションと培地出口との間に、各他のスペーサによって維持される距離とは異なる所定の距離を維持するためにスペーサセクション内に配置することができ、それにより、細胞培養セクションに収容することができる細胞培養基材内の多孔質ディスクの数を、スペーサセクションに配置されたスペーサの長さに基づいて変化させることができる。
幾つかの実施形態の一態様では、該システムは、細胞培養基材と培地入口との間に配置された少なくとも1つの多孔質スペーサディスクをさらに含む。少なくとも1つの多孔質スペーサディスクはスペーサディスク細孔径を含むことができ、複数の多孔質ディスクの各々は、スペーサディスク細孔径がディスク細孔径より大きくなるようにディスク細孔径を有することができる。少なくとも1つの多孔質スペーサディスクは、第1のスペーサディスク細孔径を有する第1のディスクと、第2のスペーサディスク細孔径を有する第2のディスクとを含むことができ、第1のスペーサディスク細孔径は第2のスペーサディスク細孔径とは異なる。
幾つかの実施形態の一態様として、複数の多孔質ディスクは複数の織物メッシュ層を含む。複数の織物メッシュ層の各々は、画定された、実質的に均一な細孔のアレイを有する。複数の織物メッシュ層の各層は複数の織り混ぜられた繊維を含み、該複数の織り混ぜられた繊維は、第1の方向に互いに平行に走る第1の繊維群と、第2の方向に互いに平行に走る第2の繊維群とを含む。第1の方向は、第2の方向に対して実質的に垂直でありうる。幾つかの実施形態では、メッシュの複数の織り混ぜられた繊維は、第1の繊維群と第2の繊維群とからなる。
1つ以上の実施形態の一態様として、培地入口は、細胞培養前又は細胞培養中に細胞及び細胞培養培地の少なくとも一方を内部空洞に供給するように構成され、培地出口は、細胞培養中又は細胞培養後に細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを内部空洞から取り出すように構成される。培地出口は、採取動作中にスペーサセクションに加圧流体を供給するように構成され、培地入口は、採取動作中に内部空洞から細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを取り出すように構成される。バイオリアクターシステムは、培地出口を介して内部空洞を加圧流体で満たし、細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを培地入口を通じて押し出すように構成される。
1つ以上の実施形態の態様は、50枚から1000枚の多孔質ディスク、又は100枚から500枚の多孔質ディスクである複数の多孔質ディスクを含む。複数の多孔質ディスクは、ディスクあたり約1.00×10から約2.00×10個の細胞平均密度まで細胞を培養することができる。複数の多孔質ディスクの各ディスクは、間に細孔を画定する繊維を有することができ、該繊維は約50μmから約1000μmの直径を有し、細孔は約100μmから約1000μmの直径を有する。
本開示の1つ以上の実施形態による、細胞培養基材の三次元モデルの斜視図 図1Aの基材の二次元平面図 図1Bにおける基材の線A-Aに沿った断面図 幾つかの実施形態による、第1の幾何学形状を有する細胞培養基材の一例の写真 幾つかの実施形態による、第2の幾何学形状を有する細胞培養基材の一例の写真 幾つかの実施形態による、第3の幾何学形状を有する細胞培養基材の一例の写真 1つ以上の実施形態による多層細胞培養基材の斜視図 図3Aの多層細胞培養基材の平面図 1つ以上の実施形態による、図3Bの多層細胞培養基材の線B-Bに沿った断面図 1つ以上の実施形態による、図4の多層細胞培養基材の線C-Cに沿った断面図 1つ以上の実施形態による、多層細胞培養マトリクスを備えた充填床細胞培養システムの概略図 1つ以上の実施形態による、充填床細胞培養システムの断面図 1つ以上のさらなる実施形態による、充填床細胞培養システムの断面図 1つ以上の実施形態による、バイオリアクター容器の構成要素例の写真 1つ以上の実施形態による、図7A~8の細胞培養システムの流れ分配プレートの平面図 1つ以上の実施形態による、図7A~8の細胞培養システムの充填床保持器の平面図 1つ以上の実施形態による、図7A~8の細胞培養システムのスペーサの斜視図 1つ以上の実施形態による、第1の高さを有するスペーサ及び第1の高さ又は厚さの細胞培養マトリクスを備えた細胞培養システムの断面図 1つ以上の実施形態による、第2の高さを有するスペーサ及び第2の高さ又は厚さの細胞培養マトリクスを備えた細胞培養システムの断面図 1つ以上の実施形態による、第3の高さを有するスペーサ及び第3の高さ又は厚さの細胞培養マトリクスを備えた細胞培養システムの断面図 1つ以上の実施形態による、充填床細胞培養システムを組み込んだバイオプロセシングシステムの概略図 1つ以上の実施形態による、細胞採取プロセスの3つの段階における充填床細胞培養システムの断面図 1つ以上の実施形態による、細胞培養システム上で細胞を培養するためのプロセスフロー図 1つ以上の実施形態による、細胞培養システムの灌流流量を制御するための動作のプロセスフロー図 1つ以上の実施形態による、細胞が第1の細胞播種密度で播種された、細胞培養基材上の染色されたHEK293T細胞の顕微鏡写真 1つ以上の実施形態による、細胞が第2の細胞播種密度で播種された、細胞培養基材上の染色されたHEK293T細胞の顕微鏡写真 1つ以上の実施形態による、細胞が第3の細胞播種密度で播種された、細胞培養基材上の染色されたHEK293T細胞の顕微鏡写真 1つ以上の実施形態による、充填床バイオリアクター内で細胞を培養した後、細胞培養基材上で細胞採取操作を行った、染色された細胞を含む細胞培養マトリクスのディスクの写真 1つ以上の実施形態による、充填床バイオリアクター内で細胞を培養した後、及び細胞培養基材上で細胞採取操作を行った後の、染色された細胞を含む細胞培養マトリクスのディスクの写真 HYPERFlask(登録商標)を使用して培養された細胞と比較した、本開示の実施形態による2つの例について採取された総細胞の実験結果を示す棒グラフ HYPERFlask(登録商標)を使用して培養された細胞と比較した、本開示の実施形態による2つの例についての容器あたりの総ゲノムコピーの実験結果を示す棒グラフ 本開示の実施形態、HYPERFlask(登録商標)を使用して培養された細胞と比較した、本開示の実施形態による2つの例についての表面積あたりのゲノムコピーの実験結果を示す棒グラフ 1つ以上の実施形態による、ピンフィールドを備えたバイオリアクター容器の概略的な断面図 1つ以上の実施形態による、図18Aの一部の部分断面拡大図 1つ以上の実施形態による、同じ容器内に細胞培養セクション及び採取容積を備えたバイオリアクター容器の概略図 1つ以上の実施形態による、細胞培養セクション及び外部採取容積を備えたバイオリアクター容器の概略図 1つ以上の実施形態による、バイオリアクターの上部、中間、及び底部から採取された細胞、並びに平均採取数を示す図 1つ以上の実施形態による、複数の実施例及びバイオリアクターサイズにわたる一貫したAAV2-GFPベクターの収量/cmを示す図 他のプラットフォームと比較した、本開示の実施形態AのAAV2-GFP VG収量/cmの一例を示す図 他のプラットフォームと比較した、本開示の実施形態AのAAV2-GFP VG収量/容器の一例を示す図 FBS/DMEM培地を使用した、本開示の一実施形態によるバイオリアクターにおけるAAV2-GFPウイルスベクターの産生を示すグラフ HEK293T増殖期にはFBS/DMEM培地を使用し、トランスフェクション期及び産生期には無血清DMEM培地を使用した、本開示の一実施形態によるバイオリアクターにおけるAAV2-GFPウイルスベクターの産生を示すグラフ 本開示の実施形態による、細胞培養基材の異なる表面積サイズに対する容器あたりの総バルクVGの一例を示すグラフ 1つ以上の実施形態による細胞培養システムの詳細な概略図
本開示のさまざまな実施形態は、もしあれば、図面を参照して詳細に説明される。さまざまな実施形態への言及は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。加えて、本明細書に記載された例は限定的ではなく、特許請求された発明の多くの可能な実施形態のうちの幾つかを単に記載するものである。
本開示の実施形態は、細胞培養基材、及びそのような基材を組み込んだ細胞培養システム又はバイオリアクターシステム、並びにそのような基材を使用して細胞を培養する方法を対象とする。実施形態は、容器内で細胞培養基材を使用して細胞の播種、培養、トランスフェクション、及び/又は採取を実施することができ、かつ異なる生産スケールで動作させることができる、バイオリアクター容器も含む。
従来の大規模細胞培養バイオリアクターでは、さまざまなタイプの充填床バイオリアクターが使用されてきた。通常、これらの充填床は、接着細胞又は浮遊細胞を保持し、成長及び増殖を支援するための多孔質マトリクスを含む。充填床マトリクスは体積に対する表面積の比率が高く、他のシステムよりも細胞密度を高くすることができる。充填床は多くの場合、細胞がマトリクスの繊維に物理的に捕捉されるか又は絡み合う、デプスフィルタとして機能する。しかしながら、細胞接種材料は充填床を通って直線的に流れるため、細胞は充填床内で不均一に分布することになる。したがって、例えば、細胞密度は、バイオリアクターの入口領域でより高く、バイオリアクターの出口部分では大幅に低くなる。充填床内の細胞のこの不均一な分布は、バイオプロセス製造におけるこのようなバイオリアクターのスケーラビリティを著しく妨げる。
従来技術で開示されている充填床バイオリアクターにおいて遭遇する別の問題は、チャネリング効果である。充填された不織布繊維のランダムな性質に起因して、充填床の任意の断面における局所的な繊維密度は均一ではない。培地は、繊維密度が低い領域(床透過性が高い)では迅速に流れるが、繊維密度が高い(床透過性が低い)領域では非常に遅くなる。充填床全体にわたる不均一な培地灌流により、チャネリング効果が生じる。これは、細胞培養全体とバイオリアクターの性能に悪影響を与える重大な栄養素及び代謝物の勾配の発生として現れる。培地の灌流が低い領域に位置する細胞は飢餓状態になり、多くの場合、栄養素の不足又は代謝物中毒により死滅する。不織繊維足場が充填されたバイオリアクターを使用する場合、細胞採取はさらに別の問題に遭遇する。充填床はデプスフィルタとして機能することから、細胞培養プロセスの最後に放出される細胞は充填床内に閉じ込められ、細胞回収率は非常に低くなる。これにより、生細胞が製品となるバイオプロセスにおけるこのようなバイオリアクターの利用が大幅に制限される。
本開示は、細胞又は細胞由来生成物(例えば、タンパク質、抗体、ウイルス粒子)の任意の実際的な生産スケールへの容易かつ効果的なスケールアップを可能にする、足場依存性細胞のための細胞増殖マトリクス及び/又は充填床システムの実施形態を含む。一実施形態では、マトリクスには、接着細胞が接着して増殖するための構造的に規定された表面積が設けられており、これは、良好な機械的強度を有し、充填床又は他のバイオリアクター内でアセンブリされた場合に、非常に均一な多数の相互接続された流体ネットワークを形成する。特定の実施形態では、機械的に安定で非分解性の織物メッシュを使用して、接着細胞の産生を支援することができる。このようなマトリクスへの均一な細胞播種が達成でき、また、細胞又はバイオリアクターの他の生成物の効率的な採取も達成可能である。加えて、本開示の実施形態は、開示されたマトリクス上で接着細胞のコンフルエントな単層又は多層を達成するための細胞培養を支援し、制限された栄養素の拡散及び代謝産物濃度の増加を伴う3D細胞凝集体の形成を回避することができる。1つ以上の実施形態の構造的に画定されたマトリクスは、完全な細胞回収及びバイオリアクターの充填床からの一貫した細胞収集を可能にする。本開示の別の実施形態によれば、治療用タンパク質、抗体、ウイルスワクチン、又はウイルスベクターのバイオプロセス生産のためのマトリクスを備えたバイオリアクターを使用する細胞培養方法が提供される。
本明細書で用いられる場合、「構造的に定義された」とは、構成要素が、定義された構造設計に従って、ランダムではない順序付けられた構造を有することを意味する。
1つ以上の実施形態では、高体積密度形式で足場依存性細胞の接着及び増殖を支援する細胞培養マトリクスが提供される。マトリクスは、灌流バック床バイオリアクターなどのバイオリアクターシステムにおいてアセンブリし、使用することができ、マトリクス又は填床内での大きい細胞凝集体及び/又は制御不能な細胞凝集体の形成を防ぎつつ、接種ステップ中に均一な細胞分布を提供する。したがって、マトリクスはバイオリアクターの動作中の拡散制限を排除する。加えて、マトリクスは、バイオリアクターからの細胞採取を簡単かつ効率的に可能にする。
マトリクスは、比較的薄い厚さによって分離された第1の面と第2の面とを有する薄い又はシート状の構造を有する基材材料で形成することができる。言い換えれば、シート状の基材の厚さは、基材の第1の面及び第2の面の幅及び/又は長さに比べて薄い。さらに、複数の孔又は開口部が、基材の厚さを貫通して形成される。開口部間の基材材料は、細胞が二次元(2D)表面であるかのように基材材料の表面に接着でき、同時に基材材料の周囲及び開口部を通る適切な流体の流れも可能になるサイズ及び幾何学形状のものである。幾つかの実施形態では、基材はポリマーベースの材料であり、成形ポリマーシート;厚さ全体に穿孔された開口部を備えたポリマーシート;メッシュ様の層に融合された多数のフィラメント;又は、メッシュ層へと織られた複数のフィラメントとして形成することができる。マトリクスの物理的構造は、足場依存性細胞を培養するための高い表面積対体積比を有する。さまざまな実施形態によれば、マトリクスは、均一な細胞播種、均一な培地灌流、及び効率的な細胞採取を獲得するために、ある特定の方法でバイオリアクター内に配置又は充填することができる。
本開示の実施形態は、バッチあたり約1015から約1018個以上のウイルスゲノムスケールでウイルスゲノムを産生することができる実用的なサイズのウイルスベクタープラットフォームを実現することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ウイルスゲノム収量は、バッチあたり約1015から約1016のウイルスゲノム、又はバッチあたり約1016から約1019のウイルスゲノム、又はバッチあたり約1016~1018のウイルスゲノム、又はバッチあたり約1017から約1019のウイルスゲノム、又はバッチあたり約1018から約1019のウイルスゲノム、又はバッチあたり約1018以上のウイルスゲノムでありうる。「バッチ」とは、単一のバイオリアクター容器で実施される単一の細胞培養を意味しうる。本明細書の実施形態のスケーラビリティの理由から、バイオリアクター容器及び含まれる細胞培養基材は、これらの収量を達成するために適切に拡張することができる。このスケーラビリティは、均一な細胞播種と培養、均一な培地の流れ、及び/又は均一な採取を提供する、細胞培養基材の構造的に規定された性質によって支援される。幾つかの実施形態では、バッチは、協調的な細胞培養動作において用いられる複数のバイオリアクター容器を含むことができる。
加えて、本明細書に開示される実施形態は、細胞培養基材への細胞の接着及び増殖だけでなく、培養細胞の生存可能な採取も可能にする。生細胞を採取できないことは、現在のプラットフォームの重大な欠点であり、生産能力に十分な数の細胞を構築及び維持することが困難になる。本開示の実施形態の一態様によれば、80%から100%が生存、又は約85%から約99%が生存、又は約90%から約99%が生存を含めて、細胞培養基材から生細胞を採取することができる。例えば、採取される細胞のうち、少なくとも80%が生存、少なくとも85%が生存、少なくとも90%が生存、少なくとも91%が生存、少なくとも92%が生存、少なくとも93%が生存、少なくとも94%が生存、少なくとも95%が生存、少なくとも96%が生存、少なくとも97%が生存、少なくとも98%が生存、又は少なくとも99%が生存する。細胞は、例えばトリプシン、TrypLE、又はAccutaseを使用して細胞培養基材から放出させることができる。
図1A及び1Bは、それぞれ、本開示の1つ以上の実施形態の一例による、細胞培養基材100の三次元(3D)斜視図及び二次元(2D)平面図を示している。細胞培養基材100は、第1の方向に延びる第1の複数の繊維102と、第2の方向に延びる第2の複数の繊維104とからなる織りメッシュ層である。基材100の織物繊維は複数の開口部106を形成する。開口部のサイズ及び形状は、織りのタイプ(例えば、フィラメントの数、形状、及びサイズ;交差するフィラメント間の角度など)に基づいて変化しうる。開口部は、図1Bの第1の直径D及び第2の直径Dによって示されるように、ある特定の幅又は直径によって画定することができる。織物メッシュは、マクロスケールでは、二次元のシート又は層と考えることができる。しかしながら、織物メッシュを詳しく調べてみると、交差するメッシュの繊維が上下することにより、立体的な構造が明らかになる。したがって、図1Cに示されるように、織物メッシュ100の厚さTは、単一の繊維の厚さより厚くなりうる。本明細書で用いられる場合、厚さTは、織りメッシュの第1の面108と第2の面110との間の最大厚さである。
図1Bでは、開口部106は、対向する繊維102間の距離として画定される直径Dと、対向する繊維104間の距離として画定される直径Dとを有する。DとDは、織りの形状に応じて、等しくても、等しくなくてもよい。DとDが等しくない場合、大きい方を長径、小さい方を短径と呼ぶ。幾つかの実施形態では、開口部の直径とは、開口部の最も広い部分を指しうる。別段の指定がない限り、本明細書で用いられる開口部の直径は、開口部の対向する側部の平行な繊維間の距離を指す。
複数の繊維102の所与の繊維は太さtを有し、複数の繊維104の所与の繊維は太さtを有する。図1Aに示されるような円形断面の繊維、又は他の三次元断面の繊維の場合、太さt及びtは、繊維断面の最大直径又は太さである。幾つかの実施形態によれば、複数の繊維102はすべて、同じ太さtを有し、複数の繊維104はすべて、同じ太さtを有する。さらに、tとtは等しくてもよい。しかしながら、1つ以上の実施形態では、t及びtは等しくない。加えて、複数の繊維102及び複数の繊維104の各々は、2つ以上の異なる太さ(例えば、t1a、t1bなど、及びt2a、t2bなど)の繊維を含みうる。図1A~1Cに示されるように、織物メッシュの三次元的性質により、細胞の接着及び増殖に利用可能な繊維の有効表面積は、マクロスケールで同じ基材寸法を有する同等の平面2D表面における接着のための表面積を超える。
織物メッシュは、モノフィラメント又はマルチフィラメントのポリマー繊維から構成されうる。1つ以上の実施形態では、モノフィラメント繊維は約50μmから約1000μmの範囲の直径を有しうる。マイクロスケールレベルでは、細胞と比較した繊維のスケール(例えば、繊維の直径が細胞よりも大きい)に起因して、モノフィラメント繊維の表面は、接着細胞が接着し、増殖するための通常の2D表面として表示される。このような繊維は、画定されたパターンとある程度の構造的剛性とを備えたメッシュに織り込まれる。繊維は、約100μm×100μmから約1000μm×1000μmの範囲の開口部を有するメッシュへと織ることができる。フィラメント直径及び開口部直径のこれらの範囲は、幾つかの実施形態の例であるが、すべての実施形態によるメッシュの可能な特徴部サイズを制限することを意図するものではない。
基材メッシュは、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール類、及びポリプロピレンオキシドを含む、細胞培養用途に適合するポリマー材料のモノフィラメント又はマルチフィラメント繊維から製造することができる。メッシュ基材は、例えば、編み物、経編み物、又は織物(平織、綾織、オランダ織、五本針織)を含む、異なる構造パターン又は織りを有しうる。
メッシュフィラメントの表面化学は、所望の細胞接着特性を提供するために修飾する必要がある場合がある。このような修飾は、メッシュのポリマー材料の化学処理を通じて、又は細胞接着分子をフィラメント表面にグラフトすることによって行うことができる。あるいは、メッシュは、例えば、コラーゲン又はMatrigel(登録商標)を含む、細胞接着特性を実証する生体適合性ヒドロゲルの薄層でコーティングすることができる。あるいは、メッシュのフィラメント繊維の表面は、業界で知られているさまざまなタイプのプラズマ、処理ガス、及び/又は化学薬品を用いた処理プロセスを通じて細胞接着特性を与えることができる。
図2A~2Cは、本開示の幾つかの企図される実施形態による織物メッシュの異なる例を示している。これらのメッシュの繊維直径と開口部サイズ、並びに同等の2D表面と比較したそれぞれのメッシュの単層によってもたらされる細胞培養表面積の増加のおおよその規模を、以下の表1にまとめる。表1において、メッシュAは図2Aのメッシュを指し、メッシュBは図2Bのメッシュを指し、メッシュCは図2Cのメッシュを指す。表1の3つのメッシュ形状は単なる例であり、本開示の実施形態はこれらの特定の例に限定されない。メッシュCは表面積が最も大きいため、細胞の接着及び増殖において高密度を達成するのに有利であり、したがって細胞培養に最も効率的な基材を提供することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、例えば、培養チャンバ内で所望の細胞分布又は流れ特性を達成するために、メッシュA又はメッシュBなどのより低い表面積を有するメッシュ、又は異なる表面積のメッシュの組合せを含むことは、細胞培養マトリクスにとって有利でありうる。
Figure 2024518158000002
上の表に示されるように、メッシュの三次元品質により、同等のサイズの平面2D表面と比較して、細胞の接着及び増殖のための表面積の増加がもたらされる。この増加した表面積は、本開示の実施形態のスケーラビリティに役立つ。プロセス開発及びプロセスの検証研究では、試薬のコストを節約し、実験スループットを向上させるために、多くの場合、小規模のバイオリアクターが必要とされる。本開示の実施形態は、このような小規模な研究に適用可能であるが、同様に産業規模にスケールアップすることもできる。例えば、直径2.2cmの円形の形状をした100層のメッシュCを、内径2.2cmの円筒状の充填床に充填すると、細胞が接着及び増殖するために利用可能な総表面積は、約935cmに等しくなる。このようなバイオリアクターを10倍に拡張するには、7cmの内径と100層の同じメッシュとを備えた、円筒状の充填床の同様のセットアップを使用することもできる。このような場合、総表面積は9,350cmになるであろう。幾つかの実施形態では、利用可能な表面積は約99,000cm/L以上である。幾つかの実施形態では、バイオリアクター容器は、例えば100~1000の層又はそれより多くの層、又は約300層の細胞培養基材を含む、100を超える層を有する細胞培養マトリクスを有することができる。幾つかの例では、300層の細胞培養マトリクスは、約3×10から5×10cmの表面積を有することができる。幾つかの実施形態では、充填床バイオリアクターは、例えば1m、2m、2.5m、3m、4m、5m、及び10m、並びにそれらの間の範囲を含む、1から10mの等価表面積を有する。充填床でのプラグ型灌流流により、充填床の断面表面積のml/min/cmで表される同じ流量を、バイオリアクターの小規模バージョン及び大規模バージョンで使用することができる。
十分な剛性を備えた構造的に画定された培養マトリクスを使用することにより、マトリクス又は充填床全体にわたる高い流動抵抗の均一性が達成される。さまざまな実施形態によれば、マトリクスは、単層又は多層フォーマットで配置することができる。この柔軟性により、拡散の制限が排除され、マトリクスに接着した細胞に栄養素と酸素が均一に供給される。加えて、マトリクスには充填床構成の細胞捕捉領域が欠けており、培養終了時に高い生存率での完全な細胞採取が可能になる。該マトリクスはまた、充填床の充填の均一性ももたらし、プロセス開発ユニットから大規模な産業用バイオプロセスユニットまでの直接的な拡張を可能にする。充填床から細胞を直接採取する能力は、撹拌した又は機械的に振動させた容器内でマトリクスを再懸濁する必要性を排除する。さらに、細胞培養マトリクスの高い充填密度により、産業規模で管理可能な量で高いバイオプロセス生産性が得られる。
図3Aは、多層基材200を備えたマトリクスの実施形態を示しており、図3Bは、同じ多層基材200の平面図である。多層基材200は第1のメッシュ基材層202と第2のメッシュ基材層204とを含む。第1の基材層202と第2の基材層204とが重なっているにもかかわらず、メッシュの形状(例えば、開口部直径の繊維直径に対する比)は、図3Bのフィラメントのない開口部206によって示されるように、第1の基材層202と第2の基材層204の開口部が重なり合い、流体が多層基材200の全厚を通って流れる経路を提供するようなものである。図3A及び3Bは基材の2つの層のみを示しているが、本開示の実施形態は、例えば、図3A及び3Bに示されるような積層配置で配置された細胞培養基材の多くの層を含む細胞培養マトリクスを含むものと理解されたい。図3Bは、基材層202及び204が完全に位置合わせされていないことを示しているが、開口部206が位置合わせされるように層を位置合わせすることもできる。
図4は、図3Bの線B-Bにおける多層基材200の断面図を示している。矢印208は、第2の基材層204の開口部を通過し、その後、第1の基材層202のフィラメントの周囲を通る、可能な流体流路を示している。メッシュ基材層の幾何学形状は、一又は複数の基材層を通る効率的かつほぼ均一な流れを可能にするように設計される。マトリクス200の構造は、複数の配向でマトリクスを通る流体の流れに適応することができる。例えば、図4に示されるように、バルク流体の流れの方向(矢印208で示される)は、第1の基材層202及び第2の基材層204の主側面に対して垂直である。しかしながら、マトリクスは、基材層の側面がバルクフロー方向と平行になるように、流れに対して配向することもできる。例えば、図5は、図4の線C-Cに沿った多層基材200の断面図を示しており、マトリクス200の構造は、多層基材200の流体経路を通る流体の流れ(矢印210)を可能にする。流体の流れがメッシュ層の第1の面及び第2の面に対して垂直又は平行であることに加えて、マトリクスは、複数の基材片を中間の角度で配置することができ、あるいは流体の流れに対してランダムに配置することもできる。このマトリクスの柔軟性により、さまざまな用途で、及びバイオリアクター又は容器の設計での使用が可能になる。
本明細書で論じられるように、1つ以上の実施形態によれば、細胞培養基材は、バイオリアクター容器内で使用することができる。例えば、基材は、充填床バイオリアクター構成で、又は三次元培養チャンバ内の他の構成で使用することができる。しかしながら、実施形態は三次元培養空間に限定されず、基材は二次元培養表面構成とみなされるうるものにおいても使用することができることが企図されており、ここで、基材の1つ以上の層は、平底の培養皿内などに平らに置かれ、細胞の培養基材を提供する。汚染の懸念があることから、容器は使用後に廃棄することができる使い捨て容器とすることができる。
1つ以上の実施形態によれば、細胞培養マトリクスがバイオリアクター容器の培養チャンバ内で用いられる、細胞培養のための充填床バイオリアクターシステムが提供される。図6は、バイオリアクター容器302の内部空洞に細胞培養チャンバ304を有する、バイオリアクター容器302を含む細胞培養システム300の一例を示している。細胞培養チャンバ304内には、複数の基材層308から作られた細胞培養マトリクス306がある。複数の基材層308は、積み重ねて配置された複数の分離可能な別個の基材層を含むことができるが、複数の層を貼り合わせた一体型の細胞培養マトリクスも含むことができる。基材層308は、第1の面又は第2の面が、隣接する基材層の第1の面又は第2の面に面するように積層される。バイオリアクター容器300は、一端に培地、細胞、及び/又は栄養素を培養チャンバ304に投入するための入口310を有し、反対端に培養チャンバ304から培地、細胞、又は細胞産物を除去するための出口312を有する。この方法で基材層を積層可能にすることにより、画定された構造及び積層された基材を通る効率的な流体の流れに起因して、細胞の接着及び増殖に悪影響を与えることなく、システムを容易にスケールアップすることができる。
1つ以上の実施形態では、充填床の流れ抵抗及び体積密度は、異なる幾何学形状の基材層を交互に配置することによって制御することができる。特に、メッシュのサイズ及び幾何学形状(例えば、繊維の直径、開口部の直径、及び/又は開口部の幾何学形状)は、充填床形式における流体の流れ抵抗を規定する。異なるサイズ及び幾何学形状のメッシュを間に配置することにより、バイオリアクターの特定の部分の流れ抵抗を制御することができる。これにより、充填床バイオリアクター内の液体灌流の均一性を向上させることができる。例えば、10層のメッシュA(表1)に続いて10層のメッシュB(表1)、さらに10層のメッシュC(表1)を積み重ねて、所望の充填床特性を達成することができる。別の例として、充填床は、10層のメッシュBから始まり、次に50層のメッシュC、さらに10層のメッシュBが続きうる。このような繰り返しパターンは、バイオリアクター全体にメッシュが充填されるまで継続させてもよい。これらは単なる例であり、可能な組み合わせを制限することを意図するものではなく、説明の目的で使用されている。実際、異なるサイズのメッシュをさまざまに組み合わせて、細胞増殖表面の体積密度と流れ抵抗の異なるプロファイルを得ることが可能である。例えば、異なる体積細胞密度のゾーン(例えば、低/高/低/高などの密度のパターンを生成する一連のゾーン)を備えた充填床カラムは、異なるサイズのメッシュを交互に配置することによってアセンブリすることができる。
図6では、バルク流れ方向は、(矢印の方向が示すように)入口310から出口312の方向になり、この例では、基材層308の第1及び第2の主面はバルク流れ方向に対して垂直である。しかしながら、実施形態はこの構成に限定されない。例えば、基材は、第1の面及び第2の面がバルク流れ方向に平行になるように、又はバルク流れ方向に対して何らかの中間角度をなすように、培養空間内に配置することができる。したがって、本開示の実施形態のマトリクスは、いずれの構成においても採用することができる。いずれの構成においても、基材は、培養チャンバによって画定された内部空間を適切に満たすようなサイズ及び形状にすることができる。加えて、基材の個々の層のサイズ又は基材の層のスタックのサイズは、内部空間を満たすようなサイズにすることができ、あるいは、所望に応じて、内部空間の全体未満を満たすようなサイズにすることもできる。例えば、幾つかの実施形態では、基材層のスタックが内部空間全体よりも少ない容積を占めることが望ましい場合がある。
上で論じたように、本開示の実施形態は、容器内で細胞培養基材を使用して、細胞の播種、培養、トランスフェクション、及び/又は採取を実施することができ、かつ異なる生産スケールを動作させることができる、バイオリアクター容器を含む。本開示の実施形態によるバイオリアクターにより、エンドユーザは、同じバイオリアクターユニットを使用して1倍から10倍のスケールでバイオプロセス実験を実施することができる。これらの実施形態の単純なスケーラビリティモデルは、1つのシステム内で、研究からプロセス開発、そして生産スケールへのバイオプロセスの移行を可能にする。バイオリアクター容量の構成におけるこのような柔軟性により、1倍から10倍のスケール範囲でのプロセスの最適化と検証にかかるコストと時間が節約される。幾つかの実施形態の態様により、エンドユーザは、バイオリアクターのスケールアップ中に再最適化する必要なしに、同じ所定の流量で細胞を播種し、採取することができる。
図7は、1つ以上の実施形態による灌流型のバイオリアクター320を示している。バイオリアクター320は、流体、細胞、栄養素を含む培地をバイオリアクター320の内部空洞327に供給することができる培地入口321を含む。内部空洞327は、細胞培養基材323が配置される細胞培養セクション327aと、スペーサ325が配置されるスペーサセクション327bとを含むものと考えることができる。培地入口321は流れ分配プレート322に通じている。流れ分配プレート322は、細胞培養基材323が保持される内部空間の幅全体にわたって流入培地を分散及び/又は分配する。図示されてはいないが、同様の流れ分配プレートを出口326の直前に配置することができる。出口分配プレートは、培地又は成分を内部空洞327の幅全体から出口まで注ぎ込むのに役立ちうる。以下でさらに説明するように、バイオリアクター320は、流体が出口326を通じて内部空洞327に入れられるモードで動作させることもでき、その場合、出口分配プレートは、内部空洞327の幅全体にわたって流体を均等に分配するのに役立ちうる。この逆流モードでは、入口321を使用して、内部空洞327から流体又は成分を取り出すことができる。
細胞培養基材323は、例えば多孔質ポリマー基材を含む、本明細書に開示される実施形態に対応しうる。基材323は、該基材323の流れ分配プレート側から基材323の反対側又は上部まで延びる高さhを有する。任意選択的に、流れ分配プレート322の反対側の基材323の上部には、充填床保持器324がある。充填床保持器324は、培地入口321から入る培地の流れに対して基材323に構造的支持を提供するように設計されている。したがって、充填床保持器324は、充填床基材323の位置及び/又は形状を保持するのに役立ちうる。充填床保持層324は、異なる実施形態による多くの構成を有することができるが、概して、細胞を含む培地が充填床保持層324を通過できるようにしつつ、基材323を所定の位置に保持するのに十分な構造を有する。充填床保持層324の上にはスペーサ325がある。スペーサ325は、スペーサセクション327b、又は基材323及び/又は充填床保持層324の上かつ内部空洞327の上部にある培地出口326の前の内部空間を実質的に満たすようなサイズである。この空間を満たすことによって、スペーサ325は、内部空間の上部又は内部空間内の何らかの支持機構に対して固定され、したがって充填床保持層324及び基材323を所定の位置に保つ。
スペーサ325はまた、細胞培養セクション327aの上のスペーサセクション327b内にヘッドスペースを形成する。このヘッドスペースは、基材323、とりわけ基材323の上部近くの流れの均一性を高める効果を有することができる。例えば、基材323の上部が内部空洞327の上部に近い場合には、内部キャビティ327の上部における流れの制限により、圧力が増大した領域が生じ、充填層内の流れの均一性に影響を与える可能性がある。以下に論じるように、このヘッドスペースは、採取動作中に加圧流体が内部空洞327を満たし始めるための空間も提供する。
図7Bは、図7Aの実施形態の変形を示している。図7Bでは、少なくとも1つの多孔質スペーサディスク328が細胞培養基材323と培地入口321との間に配置されている。多孔質スペーサディスク328は、異なる形態をとることができるが、概して、内部空洞327の幅又は基材323の幅にわたって延在し、流体が多孔質スペーサディスク328を通って流れることを可能にする多孔質である。実施形態によれば、多孔質スペーサディスク328は、基材の開口部又は細孔の細孔径よりも大きいスペーサディスク細孔径を有する。幾つかの実施形態では、複数の多孔質スペーサディスク328を、基材323と入口321との間に積み重ねることができる。これらの複数の多孔質スペーサディスク328は各々、同じ構造(例えば、厚さ及びスペーサディスク細孔サイズ)を有することも、異なる構造(例えば、異なる厚さ及びスペーサディスク細孔サイズ)を有することもできる。多孔質スペーサディスク328は、流体が細胞培養基材323に到達する前に、入口321又は分配プレート322から流れる流体をさらに均一にし、分配するのに役立てることができることが企図されている。
図7A及び7Bの基材323は、不織布であってもよく、又は織物PET基材などの織布であってもよい。しかしながら、基材は、幾つかの実施形態では不織布でありうる。基材は、積層配置された基材材料の複数の層、又は基材材料のロール若しくはらせんを含むことができる。
図8は、図7A及び7Bのバイオリアクター320の一例の構成要素の写真である。図示されるように、バイオリアクター320は、2つ以上の分離可能な筐体構成要素350a及び350bを含むことができる。下部筐体構成要素350aには、培地入口(図8には示されていない)の上に位置する流れ分配プレート352が示されている。充填床保持器354の一例が示されている。充填床保持器354は、ほぼ格子状であり、画定された厚さを有する。充填床保持器354の格子は、格子を通る培地及び他の成分の流れを可能にするが、バイオリアクター内の任意の基材層に支持を提供する。スペーサ355の一例も示されている。筐体構成要素350a、350b、分配プレート352、充填床保持器354、及びスペーサ355の形状及びサイズは、例としてのみ示されており、本開示の実施形態は、示された構成に限定されない。第1の多孔質スペーサディスク356、第2の多孔質スペーサディスク357、及び第3の多孔質スペーサディスク358も入口付近に示されている。第2及び第3の多孔質スペーサディスク357、358は、この例では同一の構造を有し、両方とも、細胞培養基材360の細孔又は開口部直径よりも大きいスペーサディスク細孔径を有するメッシュ又はネット材料から作られている。第1の多孔質スペーサディスク356もメッシュ、ネット、又は格子材料から作られているが、第2及び第3の多孔質スペーサディスク357、358の細孔径よりも大きいスペーサディスク細孔径を有する。
図9Aは、図8の分配プレート352と同様の分配プレート2の平面図を示している。分配プレート2の孔7は、分配プレートの幅及びバイオリアクターの内部空間にわたって流れを均等に分配するように配置されている。図9Bは、幾つかの実施形態による、充填床保持器4の平面図を示しており、これは、流動抵抗を最小限に抑えつつ、充填床領域内に細胞培養基材を効果的に保持するために、多数の大きい開口部8を画定する格子形状を有している。
図10は、図8のスペーサ355の三次元モデルを示している。スペーサは、充填床領域内で基材を圧縮及び/又保持することができると同時に、バイオリアクターの内部空洞327内にスペーサセクション327bを形成して(図7Aを参照)、充填床細胞培養マトリクス上のヘッドスペースを画定することができる。異なる高さの取り外し可能なスペーサ355は、ユーザが異なる体積の細胞培養基材を用いてバイオリアクター内で細胞培養を実施することを可能にし、充填床から培地出口ポートへの培地の無制限の流れを可能にすることができる。すなわち、より高い高さを有するスペーサ355は、それに対応して充填床の高さを低くすることができ、一方、より低い高さを有するスペーサ355は、それに対応して、より高い充填床のためのより多くの空間を可能にすることができる。幾つかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、高さの異なる個別のスペーサを使用するのではなく、調整可能な高さを有するスペーサを含むことができる。
図11は、異なる高さのスペーサインサートを備え、それに対応して異なる高さの充填床基材を備えた、アセンブリされた充填床バイオリアクターの例を示している。この例では、左から右に、同じバイオリアクターを生産性が3倍に拡張するように構成することができる。しかしながら、本開示の実施形態は、構成要素のサイズをそれに応じて調整することによって、所与のバイオリアクターの生産性をさらに広範囲にスケールアップできるようにすることが企図されている。
図12は、1つ以上の実施形態による、バイオプロセッシングシステム400に組み込まれたバイオリアクター402を示している。システム400は、例えば、pH、温度、及び酸素化レベルなどの細胞培養培地パラメータを適切に維持するための培地調整容器411を含む。自動制御ポンプ409はバイオリアクター402を通して培地を灌流するために用いられる。バイオリアクター入口413には、細胞の接種又は採取した細胞の収集を容易にする追加の3方向ポートが装備されている。システム400は、培地調整容器411内のセンサ412だけでなく、インラインセンサを含んでいてもよい。
図13は、バイオリアクターから細胞を採取するプロセス中の複数の段階における上記の実施形態によるバイオリアクターを示している。細胞採取プロセスには、バイオリアクターに細胞解離溶液422を予め充填し、充填床を所定の時間インキュベートして細胞を基材から分離することが含まれる。得られた細胞懸濁液は、図13の左から右への進行に示されるように、培地出口426を通じて加圧流体(例えば、空気)を加えつつ、入口421を通って外へ出る培地/細胞の逆流によって、培地入口421から回収される。
表3は、図7~13の実施形態に従って60mmのバイオリアクター内で実施されたAAV産生の結果を示している。60mmのバイオリアクターは、総基材表面積6780cmに相当する。トランスフェクト細胞収量、トランスフェクション効率、及び1cmあたりのウイルスゲノム収量が示されている。
本開示の上記の拡張可能な容器の実施形態は、同じプラットフォーム及び同じバイオリアクター容器を使用していくつかの異なるスケールでプロセスの最適化又は産生を可能にする、足場依存性細胞のための充填床バイオリアクターシステムを目的としている。一実施形態では、例えば、バイオリアクター容器320は、接着細胞が接着し、増殖し、トランスフェクトされ、生成物を産生するための充填床323を保持する。細胞培養培地を充填床及びバイオリアクター容器を通して継続的に灌流して、細胞に酸素及び栄養素を補給し、有害な代謝産物を除去することができる。培地は、計算された流量で容器入口321を通して導入され、出口326を通してバイオリアクターから出る。充填された基材材料全体にわたって均一な流れ分布を達成するために、流れ分配プレート322が充填床領域の前に位置づけられる。この流れ分配プレートは、分岐又は半径方向に相互接続された設計を有しており、充填床全体にわたって流れを均一に分配することができる。
別の実施形態では、充填床の層は、隆起した保持格子4によってしっかりと充填された状態で保持される。この保持格子は大きい開口部を有しており、バイオリアクターの灌流中の流動抵抗を最小限に抑えるが、構造的に十分な剛性を備えているため、充填床の表面に均一に圧力をかけて、PETメッシュの層をしっかりと充填した状態に保つ。開示されたバイオリアクター内の充填床の体積は、保持格子4を所定の位置に固定するために異なる寸法のスペーサ5を利用することによって変化させることができる。バイオリアクター容器のサイズ及び充填床の直径は、約1cm(実験室スケール)から約10cm(プロセス開発スケール)、50cm(パイロットスケール)、200cm(製造スケール)まで変化しうる。
図8は、接着HEK293T細胞によるウイルス粒子のバイオプロダクションにおいて試験したバイオリアクターの一部を示している。バイオリアクターの充填床領域の内径は60mmであり、アセンブリされた状態のバイオリアクターの充填床は10から300層の剛性のPET基材で構成されうる。これは、接着細胞が接着、増殖、及び目的の化合物を産生するために利用可能な678~20300cmの表面積に相当する。図12は、培地調整容器、バイオリアクターへの培地の流れを可能にするポンプ、及びバイオプロセスを成功させるために必要なプロセス条件を支援する外部溶存酸素センサから構成される主要な外部構成要素に接続される、アセンブリされた状態のバイオリアクター容器402の概略図を示している。細胞培養培地は、培地調整容器411内で調整され、適切なpH、温度、及び溶存酸素レベルが維持される。その後、ポンプ409によって、培地がバイオリアクターを通して灌流される。ポンプ409の流量は、バイオリアクターを出る培地中の溶存酸素の所定の最小レベルを維持するように自動的に調整されるフィードバックループに組み込まれている。所与のバイオプロセスが必要とするすべてのトランスフェクション試薬、栄養素、及び追加の培地補給剤を、バルク培地に導入することができ、使用済み培地は培地調整容器411を介して除去することができる。プロセスの最後に、培地をバイオリアクターから排出し、細胞採取溶液422を再充填することができる(図13)。細胞を基材から剥離するのに十分な所定の時間、採取溶液中で充填床をインキュベートした後、細胞は、70ml/cm(充填床断面積)/分の範囲の流速を達成するためにバイオリアクター出口6に空気圧を印加することによる逆流によって採取される。細胞はバイオリアクター3方向ポート413において採取される。細胞はバイオリアクター内で直接溶解することもでき、AVV粒子を含む溶解物溶液は3方向ポート413を通じて収集することができる。
培地調整容器404は、懸濁バッチ、流加培養、又は灌流培養のためのバイオプロセス産業で用いられる典型的なバイオリアクターに見られるセンサ及び制御部品を含むことができる。これらには、DO酸素センサ、pHセンサ、酸素供給器/ガス散布ユニット、温度プローブ、並びに栄養素添加ポート及び塩基添加ポートが含まれるが、これらに限定されない。散布ユニットに供給されるガス混合物は、N、O、及びCOガス用のガス流量コントローラによって制御することができる。培地調整容器404はまた、培地を混合するためのインペラも含む。上に挙げたセンサによって測定されるすべての培地パラメータは、培地調整容器404と通信する培地調整制御ユニット418によって制御することができ、細胞培養培地406の状態を測定及び/又は所望のレベルに調整することが可能である。
培地調整容器404からの培地406は、細胞を播種して培養を開始するための細胞接種材料の注入ポートも含みうる入口を介して、バイオリアクター402へと送給される。バイオリアクター容器402はまた、そこを通じて細胞培養培地が容器402から出る、1つ以上の出口も含みうる。加えて、細胞又は細胞産物が出口から排出されてもよい。バイオリアクター402からの流出物の内容を分析するために、ラインに1つ以上のセンサ412を設けることができる。幾つかの実施形態では、システム400は、バイオリアクター402への流れを制御するための流量制御ユニットを含む。例えば、流量制御ユニットは、1つ以上のセンサ412から信号を受信し、その信号に基づいて、バイオリアクター402への入口408の上流にあるポンプ(例えば、蠕動ポンプ)に信号を送信することによって、バイオリアクター402への流れを調整することができる。したがって、センサ412によって測定された要因の1つ又は組合せに基づいて、ポンプは、バイオリアクター402への流れを制御して、所望の細胞培養条件を得ることができる。
培地灌流速度は、培地調整容器404及び充填床バイオリアクター出口に位置したセンサからのセンサ信号を収集して比較する、信号処理ユニットによって制御される。充填床バイオリアクター402を通る培地灌流の充填流の性質により、栄養素、pH、及び酸素の勾配が充填床に沿って発生する。バイオリアクターの灌流流量は、図14Bのフローチャートに従って、蠕動ポンプに動作可能に接続された流量制御ユニットによって自動的に制御することができる。
本開示の1つ以上の実施形態は、従来の方法とは異なる細胞接種ステップを提供する。従来の方法では、従来のマトリクスを備えた充填床が培地で満たされ、濃縮された接種材料が培地循環ループに注入される。細胞懸濁液は、従来の充填床マトリクス上での捕捉による細胞播種の不均一性を軽減するために、増加した流量でバイオリアクターを通ってポンピングされる。このような従来の方法では、細胞の大部分が充填床バイオリアクターに捕捉されるまで、高い流量での循環ループ内の細胞のポンピングがおそらく数時間継続される。しかしながら、従来の充填床バイオリアクターの不均一な深層濾過の性質に起因して、細胞は充填床内に不均一に分布しており、バイオリアクターの入口領域では細胞密度が高く、バイオリアクターの出口領域では細胞密度が低くなる。
対照的に、本開示の実施形態によれば、バイオリアクター内の培養チャンバの空隙容積と等しい体積の細胞接種材料が、バイオリアクター402の入口にある細胞接種材料注入ポートを通じて充填床に直接注入される(図12)。次いで、本明細書に記載される細胞培養マトリクス中に存在する均一かつ連続的な流体通路により、細胞懸濁液は充填床内に均一に分布する。播種の初期段階での重力に起因する細胞の沈降を防ぐために、接種材料の注入後すぐに培地の灌流を開始することができる。重力のバランスをとり、充填床バイオリアクターから細胞が洗い流されるのを回避するために、灌流流量は事前にプログラムされた閾値未満に維持される。したがって、初期の細胞接着段階では、細胞は充填床内で穏やかに転がり、均一な細胞の分布と利用可能な基材表面への接着が達成される。
図14Aは、幾つかの実施形態による、本明細書に開示される細胞培養システムで使用する処理ステップを示している。図14Aに示されるように、これらのプロセスステップは、プロセスの準備(S1)、細胞の播種及び接着(S2a、S2b)、細胞の増殖(S3)、トランスフェクション(S4a、S4b)、ウイルスベクターの産生(S5a、S5b)、及び採取(S6a、S6b)を含みうる。
図14Bは、図12のシステム400などの灌流バイオリアクターシステムの流れを制御するための方法450の一例を示している。方法450によれば、システム400のある特定のパラメータは、バイオリアクター最適化の実施を通じてステップS1において事前に決定される。これらの最適化の実施から、pH、pO、[グルコース]、pH、pO、[グルコース]、及び最大流量の値を決定することができる。pH、pO、及び[グルコース]の値は、ステップS2においてバイオリアクター402の細胞培養チャンバ内で測定され、pH、pO、及び[グルコース]は、ステップS3において培地調整容器404内のセンサ412によって測定される。S2及びS3におけるこれらの値に基づいて、灌流ポンプ制御ユニットは、S4において、灌流流量を維持又は調整するための決定を行う。例えば、pH≧pH2min、pO≧pO2min、及び[グルコース]≧[グルコース]2minのうちの少なくとも1つである場合、細胞培養チャンバへの細胞培養培地の灌流流量は、現在の速度で継続されうる(S5)。現在の流量が細胞培養システムの所定の最大流量以下である場合には、灌流流量を増加させる(S7)。さらには、現在の流量が細胞培養システムの所定の最大流量以下でない場合、細胞培養システムのコントローラは、次のうちの少なくとも1つを再評価することができる:(1)pH2min、pO2min、及び[グルコース]2min;(2)pH、pO、及び[グルコース];並びに、(3)バイオリアクター容器の高さ(S6)。
細胞培養マトリクスは、所望のシステムに応じて、培養チャンバ内で複数の構成で配置することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、システムは、培養チャンバ内の画定された細胞培養空間の幅を横切って延びる幅を有する、基材の1つ以上の層を含む。このように基材の複数の層を所定の高さまで積層することができる。基材の層は、1つ以上の層の第1及び第2の面が、培養チャンバ内の画定された培養空間を通る培養培地のバルク流方向に対して垂直になるように配置することができる。幾つかの実施形態では、1つ以上の層の第1の面及び第2の面は、バルク流れ方向に対して平行でありうる。1つ以上の実施形態では、細胞培養マトリクスは、バルク流に対して第1の配向にある1つ以上の基材層と、第1の配向とは異なる第2の配向にある1つ以上の他の層とを含む。例えば、さまざまな層は、バルク流方向に対して平行又は垂直であるか、あるいはその間の何らかの角度をなす、第1の面及び第2の面を有しうる。
1つ以上の実施形態では、細胞培養システムは、充填床構成の複数の個別の細胞培養基材片を含み、この基材片の長さ及び/又は幅は培養チャンバに比べて小さい。本明細書で用いられる場合、基材片の長さ及び/又は幅が培養空間の長さ及び/又は幅の約50%以下であるとき、基材片は、培養チャンバに比べて小さい長さ及び/又は幅を有すると見なされる。したがって、細胞培養システムは、所望の配置で培養空間に充填された複数の基材片を含みうる。基材片の配置は、ランダム又はセミランダムであってもよいし、あるいは、基材片が実質的に同様の配向(例えば、水平、垂直、又はバルク流方向に対して0°から90°の間の角度)で配向されるなど、所定の順序又は配列を有していてもよい。
本明細書で用いられる「画定された培養空間」とは、細胞培養マトリクスによって占有され、細胞播種及び/又は培養が行われる、培養チャンバ内の空間を指す。画定された培養空間は、培養チャンバのほぼ全体を満たすことができ、あるいは培養チャンバ内の空間の一部を占有してもよい。本明細書で用いられる場合、「バルク流方向」は、細胞の培養中及び/又は培養チャンバへの培地の流入又は流出中の、細胞培養マトリクスを通るか又は細胞培養マトリクス上の流体又は培地のバルク質量流の方向として定義される。
1つ以上の実施形態では、細胞培養マトリクスは、固定機構によって培養チャンバ内に固定される。固定機構は、細胞培養マトリクスの一部を、該マトリクスを取り囲む培養チャンバの壁、又は培養チャンバの一端のチャンバ壁に固定することができる。幾つかの実施形態では、固定機構は、細胞培養マトリクスの一部を、培養チャンバを通る部材、例えば、培養チャンバの長手方向軸に平行に走る部材、又は長手方向軸に垂直に走る部材に接着する。しかしながら、1つ以上の他の実施形態では、細胞培養マトリクスは、チャンバ又はバイオリアクター容器の壁に固定的に取り付けられることなく、培養チャンバ内に含まれていてもよい。例えば、マトリクスは、該マトリクスがそれらの境界又は構造部材にしっかりと固定されることなく、バイオリアクター容器の所定の領域内に保持されるように、培養チャンバの境界又はチャンバ内の他の構造部材によって収容されてもよい。
幾つかの実施形態の一態様は、ローラボトル構成のバイオリアクター容器を提供する。培養チャンバは、本開示に記載される1つ以上の実施形態による細胞培養マトリクス及び基材を収容することができる。
ローラボトル構成では、バイオリアクター容器は、該バイオリアクター容器を容器の中心長手方向軸の周りを移動させるための手段に動作可能に取り付けられうる。例えば、バイオリアクター容器は、中心長手方向軸の周りを回転することができる。回転は、連続的(例えば、一方向に継続する)であっても、不連続的(例えば、単一方向又は交互方向に断続的に回転する、あるいは前後の回転方向に振動する)であってもよい。動作中、バイオリアクター容器の回転が、チャンバ内の細胞及び/又は流体を移動させる。この動きは、チャンバの壁に対して相対的であると見なすことができる。例えば、バイオリアクター容器がその中心長手方向軸の周りを回転すると、重力により、流体、培地、及び/又は未接着細胞がチャンバの下部に向かって残る可能性がある。しかしながら、1つ以上の実施形態では、細胞培養マトリクスは本質的に容器に対して固定されているため、容器とともに回転する。1つ以上の他の実施形態では、細胞培養マトリクスは取り付けられておらず、容器が回転すると、容器に対して所望の程度まで自由に移動することができる。細胞は細胞培養マトリクスに接着することができるが、容器の移動により、細胞は培養チャンバ内の細胞培養培地又は液体、及び酸素又は他のガスの両方に曝露されうる。
本開示の実施形態による細胞培養マトリクス、例えば織物又はメッシュ基材を含むマトリクスなどを使用することにより、ローラボトル 容器には、接着細胞が接着、増殖、及び機能するために利用可能な表面積の増加がもたらされる。特に、ローラボトル内にモノフィラメントポリマー材料の織物メッシュの基材を使用すると、表面積は、標準的なローラボトルの約2.4から約4.8倍、又は約10倍増加しうる。本明細書で論じられるように、メッシュ基材の各モノフィラメントストランドは、それ自体が接着細胞が接着するための2D表面として存在することができる。加えて、多層のメッシュをローラボトルに配置することができ、利用可能な総表面積が標準的なローラボトルの約2から20倍の範囲に増加する。したがって、細胞播種、培地交換、及び細胞回収を含む既存のローラボトル設備及び処理は、本明細書に開示される改良型細胞培養マトリクスの追加によって、既存の動作インフラストラクチャ及び処理ステップへの影響を最小限に抑えつつ、変更することができる。
バイオリアクター容器は、任意選択的に、入口及び/又は出口手段に取り付けることができる1つ以上の出口を含む。1つ以上の出口を通じて、液体、培地、又は細胞をチャンバに供給したり、チャンバから取り出したりすることができる。容器内の単一のポートが入口と出口の両方として機能してもよく、あるいは専用の入口及び出口として複数のポートが設けられてもよい。
実施形態は、中心長手方向軸の周りの容器の回転に限定されない。例えば、容器 は、該容器に対して中心に位置しない軸の周りを回転してもよい。加えて、回転軸は水平軸でも垂直軸でもよい。
本開示の細胞培養マトリクス、細胞培養システム、及び関連方法の有効性を実証するために、以下の実施例に従って、細胞の播種及び培養に関する研究を行った。
実施例1では、ポリエチレンテレフタレート(PET)織物メッシュ基材を有する細胞培養マトリクス(図15A~15Cを参照)を静的細胞培養条件で試験した。PETメッシュをエタノールで洗浄し、酸素RFプラズマでプラズマ処理した。ゼラチンをメッシュフィラメントの表面に吸着させ、細胞接着を促進させた。ディスク状のメッシュ片をCorning(登録商標)超低接着(ULA)6ウェルプレート内に配置した。HEK293T細胞を異なる播種密度(それぞれ、図15A、15B、及び15Cに対応する、50K/cm、75K/cm、100K/cm)でメッシュディスク上に播種し、細胞培養を3日間行った。フィラメント表面上の細胞を、蛍光のGreen Cell Tracker染料で染色した。図15A~15Cは、フィラメント表面上の細胞を視覚化した結果を示している。細胞のサイズに対するメッシュフィラメントのサイズにより、モノフィラメント繊維が細胞の接着及び増殖のための二次元表面として効果的に機能することが可能となる。細胞増殖は、メッシュから細胞を採取し、Beckman Coulter社のVi-Cell(登録商標)セルカウンターで計数することによって測定した。結果は、静的細胞培養条件下、細胞培養マトリクス上で良好な細胞接着及び増殖を示した。
実施例2では、本開示の実施形態の一例に従い、図6に示されるような充填床バイオリアクターシステムで細胞を培養した。充填床は円筒状であり、各々が円形又はディスク形の細胞培養基材のスタックでできている。具体的には、実施例2では、充填床は、約25mmの高さを有し、各々、直径約20mmのPETメッシュ基材のディスク100枚を含んでいた。使用したメッシュは表1のメッシュCに対応する。細胞接着に利用可能な総二次元表面積は約760cmであったと推定される。バイオリアクターに接種するために、8mlのHEK293T細胞懸濁液(200万細胞/ml)を充填床に直接注入した。細胞懸濁液の導入直後に培地灌流を開始し、灌流流量を3ml/分に設定した。この流量での灌流を24時間継続し、その後、流量を1ml/分に減らした。この後、バイオリアクターの出口でpOの50%以上の飽和及び7以上のpHを維持するように灌流流量を調整した。2~3日後、バイオリアクターで実施した細胞をクリスタルバイオレットで染色し、バイオリアクターを分解してマトリクス内での細胞接着の均一性を確認した。好ましい実施形態によれば、バイオリアクターは、初期接着段階中に充填床内で細胞を連続的に転がす播種方法によって播種することができる。その結果、2日間の細胞培養後、充填床のすべての部分で均一な細胞分布が達成される。これは、細胞播種段階でバイオリアクターを連続的に灌流したときに、均一な細胞分布が達成されたことを示唆している。
実施例3では、細胞を充填床バイオリアクターシステム内で培養し、バイオリアクター内でのアデノ随伴ウイルス(AAV)産生のためにHEK293T細胞のトランスフェクションを実施した。実施例2と同じバイオリアクター設定を実施例3でも使用した(例えば、図6を参照)。充填床は、100枚のPETメッシュディスク(表1のメッシュC)を含んでいた。各ディスクの直径は約20mmであり、充填床の高さは約25mmで、細胞の接着及び増殖に利用可能な二次元表面積は合計約760cmであった。バイオリアクターに接種するために、8mlのHEK293T細胞懸濁液(200万細胞/ml)を充填床に直接注入した。約50mlの培地を含む培地保存容器をバイオリアクター容器に取り付けた。+10%FBS及び+6mMのL-グルタミンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)ATCC(登録商標)培地で細胞を72時間培養した。保存容器内の培地のpHが7を下回ったら、培地を新しい培地と交換した。バイオリアクターの出口でpO2の50%以上の飽和及び7以上のpHを維持するように、灌流流量を適切に調整した。72時間後、培養培地を+10%FBS、+6mMのL-グルタミンを含む50mlのCorning(登録商標)DMEM(15-018)に交換し、トランスフェクション試薬を、AAV2及びPEIpro(登録商標)が2μg/mlの最終濃度となるように1:2の比率で添加した。次の72時間の間に、保存ボトル内のpHが7未満に低下した場合は、培養培地を新しい供給培地に交換した。バイオリアクターの出口でpO2の50%以上の飽和及び7以上のpHを維持するように、灌流流量を適切に調整した。5X TrypLE(商標)を使用して細胞を採取した。トランスフェクション効率は蛍光フローサイトメータで分析し、ウイルス粒子及びウイルスゲノム力価はELISA及びPCRアッセイによって分析した。細胞培養の結果を表2に示す。ここで、「VP」はウイルスタンパク質を表し、「GC」はゲノムコピーを表す。
Figure 2024518158000003
本明細書に開示される実施形態は、細胞培養及びウイルスベクター産生のための既存のプラットフォームに優る利点を有する。本開示の実施形態は、例えば、接着細胞又は半接着細胞、トランスフェクトされた細胞を含むヒト胎児腎臓(HEK)細胞(HEK23など)、レンチウイルス(幹細胞、CAR-T)及びアデノ随伴ウイルス(AAV)などのウイルスベクターを含めた、多くの種類の細胞及び細胞副生成物の産生に使用することができることに留意されたい。これらは、本明細書に開示されるバイオリアクター又は細胞培養基材の幾つかの一般的な用途の例であるが、当業者であれば他の用途への実施形態の適用可能性を理解するように、開示される実施形態の使用又は用途を限定することを意図するものではない。
上で論じたように、本開示の実施形態の利点の1つは、細胞培養基材を通る流れの均一性である。理論に束縛されることは望まないが、細胞培養基材の規則的な構造又は均一な構造は、培地が流れることができる一貫した均一な本体を提供すると考えられる。対照的に、既存のプラットフォームは主にフェルト状又は不織繊維材料などの不規則又はランダムな基材に依拠している。本開示の基材の均一な特性は、基材上で達成される均一かつ一貫した細胞播種を調べることによって説明することができる。例えば、図16Aは、本開示の幾つかの実施形態による基材材料の3つのディスク(1801、1802、1803)を示している。図16Aのディスクは、本明細書に記載される織物PETメッシュ材料であり、各々が約60mmの直径を有する。同様のディスクを10から300層詰め込んだバイオリアクターの表面積は、約678から20,300cmになるであろう。この例では、100枚のディスクのスタックを使用して細胞培養を実施した。第1のディスク1801はバイオリアクター内のこのようなディスクのスタックの上部ディスクであり、第2のディスク1802はスタックの中間のディスクであり、第3のディスク1803はスタックの底部ディスクであった。
図16Aは、接種の72時間後のバイオリアクター内の細胞分布の均一性を示している。充填床の3つの異なる領域に由来する基材層をバイオリアクターから取り出し、クリスタルバイオレットで染色して、接着したHEK293T細胞を視覚化した。上部層、中間層及び底部層の細胞の染色の均一性は、播種及び接着ステップ中に細胞が充填床全体にわたる均一な分布を示した。開示されたバイオリアクターから採取された細胞の効率を確認するために、充填床基材試料も採取後に染色した(図16Bを参照)。図16Bは、採取ステップ後に充填床の3つの異なるゾーンから回収された染色された基材層を示している。図16Bからわかるように、採取プロセスにより、バイオリアクターから95%を超える細胞を回収した。細胞培養結果を表3に示す。
図16A及び16Bの画像を生成した実験では、バイオリアクターに細胞培養培地を事前に充填し、システムを一晩プレコンディショニングして、pH7.2、D.O.100%、及び37℃の定常状態に達した。400mlのATCC DMEM培地+10%FBS+6mM L-グルタミンを使用して、バイオリアクターシステム全体を満たした。懸濁液中、30mlのHEK293T細胞(500万細胞/mL)を、3方向ポートを通して充填床に直接注入して、接種を形成した。最初の48時間、バイオリアクターを前処理した培地で30mL/分の速度で灌流して、充填床内で均一な細胞分布、接着、及び初期増殖を可能にした。48時間の培養後、200mlの新鮮な完全ATCC DMEM培地をシステムに添加して、グルコースレベルを1g/Lを上回るように維持した。灌流流量を、バイオリアクター出口においてDOexternalが45%以上の培地飽和度を維持するように自動的に調整した。接種の72時間後、培地を500mlのCorning DMEM(15-018)+10%FBS+6mMのL-グルタミンと交換し、2時間灌流させた。トランスフェクションの24時間後、トランスフェクション混合物(プラスミドDNAとPEIの比率1:2の複合体;総DNA0.8μg/100万細胞)を培地の最終濃度が総DNA2μg/mlになるように添加し、消費済みの栄養素を補充するために、培養培地を500mlの新鮮な完全Corning DMEM(15-018)培地と交換した。灌流流量を、バイオリアクターの出口でDOexternalが45%以上の飽和度を維持するように自動的に調整した。その後の48時間の培養中にグルコースレベルを監視し、必要に応じて培地の追加又は交換を通じて補充し、レベルを0.3g/Lを上回るように維持した。トランスフェクションの72時間後、細胞をDPBS洗浄し、1X Accutase溶液を使用して採取した。トランスフェクション効率は蛍光フローサイトメトリーによって分析し、ウイルス粒子及びウイルスゲノム力価はELISA及びqPCRアッセイによって分析した。
クリスタルバイオレット染色を使用して、図16Aのディスクの表面全体にわたる細胞の均一な増殖を強調した。第1のディスク1801、第2のディスク1802、及び第3のディスク1803が細胞培養マトリクスのスタック全体に広がっているにもかかわらず、細胞増殖は3つのディスクすべてにわたって一貫している。図16Aの画像は、72時間の培養後に、細胞を基材から採取する前に撮影したものである。図16Bは、細胞が採取された後の同じ3つのディスク(1801’、1802’、及び1803’)を示している。図16Bにおいて結晶染色が相対的に存在しないことによって示されるように、細胞は、各ディスクの表面全体及び細胞培養マトリクススタックの3つのディスク全体にわたって均一に採取された。分析に基づくと、95%以上の細胞がバイオリアクターから回収された。総表面積6780cmの直径60mmの基材スタック/容器でのAAV産生の細胞培養結果を以下の表3に示す。これは、トランスフェクトされた細胞の収量、トランスフェクション効率、及び1cmあたりのウイルスゲノム収量を示している。繰り返しになるが、基材の均一な構造と均一な流動特性が、この効率的かつ均一な増殖及び採取能力に寄与すると考えられる。
Figure 2024518158000004
下記表4は、異なる直径(29mm及び60mm)のバイオリアクター容器を含む複数の実験に関連した上記の結果を示している。データは、より小さい容器(例えば、直径29mm、表面積1600cm)とより大きい(例えば、直径60mm、表面積6780cm)容器及び/又は充填床マトリクスとの間で優れたスケーラビリティを示している。
Figure 2024518158000005
実施例。60mmバイオリアクターユニットでのHEK293T細胞によるAAV産生、及び充填床バイオリアクターでのAAV産生。
充填床バイオリアクターは、図7に示すようにアルファユニットでアセンブリした。実際のバイオリアクターの部品を図8に示す。100層の構造化され処理されたPET基材を含む直径60mmの充填床をバイオリアクター内に配置した。充填床の高さは26mmであり、細胞の接着及び増殖に利用可能な総2D表面積は6780cmと計算された。バイオリアクターに細胞培養培地をあらかじめ充填し、システムを一晩プレコンディショニングして、pH7.2、D.O.100%、及び37℃の定常状態を達成した。400mlのATCC DMEM培地+10%FBS+6mM L-グルタミンを使用して、バイオリアクターシステム全体を満たした(図12)。懸濁液中、30mlのHEK293T細胞(500万細胞/mL)、接種のために3方向ポート413を通して充填床に直接注入した。
最初の48時間、バイオリアクターを前処理した培地で30mL/分の速度で灌流して、充填床内で均一な細胞分布、接着、及び初期増殖を可能にした。48時間の培養後、200mlの新鮮な完全ATCC DMEM培地をシステムに添加して、グルコースレベルを1g/Lを上回るように維持した。灌流流量を、バイオリアクター出口においてDOexternalが45%以上の培地飽和度を維持するように自動的に調整した。
接種の72時間後、培地を500mlのCorning DMEM(15-018)+10%FBS+6mMのL-グルタミンと交換し、2時間灌流させた。トランスフェクションの24時間後、トランスフェクション混合物(プラスミドDNAとPEIの比率1:2の複合体;総DNA0.8μg/100万細胞)を培地の最終濃度が総DNA2μg/mlになるように添加し、消費済みの栄養素を補充するために、培養培地を500mlの新鮮な完全Corning DMEM(15-018)培地と交換した。灌流流量を、バイオリアクターの出口においてDOexternalが45%以上の飽和度を維持するように自動的に調整した。
その後の48時間の培養中にグルコースレベルを監視し、必要に応じて培地の追加又は交換を通じて補充し、レベルを0.3g/Lを上回るように維持した。トランスフェクションの72時間後、細胞をDPBSで洗浄し、1X Accutase溶液を使用して採取した。トランスフェクション効率は蛍光フローサイトメトリーによって分析し、ウイルス粒子及びウイルスゲノム力価はELISA及びqPCRアッセイによって分析した。図16Aは、接種の72時間後のバイオリアクター内の細胞分布の均一性を示している。図16Bからわかるように、採取プロセスにより、バイオリアクターから95%を超える細胞を回収した。細胞培養結果を表3に示す。
上で論じたように、本開示の実施形態は、比較的小さく実用的な設置面積で高密度の細胞を培養可能な充填床細胞培養マトリクス及び/又はバイオリアクターを提供することができる。例えば、上記表3及び4の実施例の60mmの細胞培養マトリクスは、約6870cmの表面積を有する。参考までに、Corning HYPERFlask(登録商標)は、約1720cmの表面積を有する。表3及び4の直径60mmの細胞培養マトリクスは、HYPERFlask(登録商標)よりも小さいバイオリアクターに収容することができるが、それでもなお、採取時の細胞数が増加し、容器あたりの総ゲノムコピー数(GC、又はウイルスゲノム(VG))が増加する。図17A、17B、及び17Cは、HYPERFlask(登録商標)の2D表面上の細胞培養からのデータと比較した、表3及び4の直径60mmの基材を用いた本開示による2つのバイオリアクター容器内での細胞培養から得られたデータを示しており、これには、1cmあたりのGCが含まれ(図17C)、この例では、HYPERFlask(登録商標)よりも低いが、より高い表面積でそれを補っている。
図26は、1つ以上の実施形態による細胞培養システム520のより詳細な概略図を示している。システム520の基本構造は、図12のシステム400と同様であり、PET織物メッシュなどの細胞培養材料の充填床を含む容器を有する充填床バイオリアクター522と、別個の培地調整容器524とを備えている。しかしながら、システム400とは対照的に、システム520は、センサ、ユーザインターフェース及び制御装置、並びに培地及び細胞のためのさまざまな入口及び出口を含む、システムの詳細を示している。幾つかの実施形態によれば、培地調整容器524は、適切な温度、pH、O、及び栄養素を提供するためにコントローラ526によって制御される。幾つかの実施形態では、バイオリアクター522はコントローラ526によって制御することもできるが、他の実施形態では、バイオリアクター522は、別個の潅流回路528内に設けられ、バイオリアクター522の出口又はその近くでのO2の検出に基づいて、ポンプを使用して、潅流回路528を通る培地の流量を制御する。
例示的な実装形態
以下は、開示された主題の実装形態のさまざまな態様の説明である。各態様は、開示された主題のさまざまな特徴、特性、又は利点のうちの1つ以上を含みうる。実装形態は、開示された主題の幾つかの態様を説明することを意図しており、すべての可能な実装形態の包括的又は網羅的な説明と見なされるべきではない。
態様1は、細胞培養システムであって、
バイオリアクター容器と、
該バイオリアクター容器内に配置され、細胞を培養するように構成された細胞培養マトリクスであって、該細胞培養マトリクスが第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さ、及び基材内に形成され、基材の厚さを貫通する複数の開口部を備えた基材を含み、該複数の開口部が、細胞培養培地、細胞、又は細胞副生成物のうちの少なくとも1つが基材の厚さを通って流れることを可能にするように構成される、細胞培養マトリクスと
を含む、細胞培養システムに関する。
態様2は、基材が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール類、及びポリプロピレンオキシドのうちの少なくとも1つを含む、態様1に記載の細胞培養システムに関する。
態様3は、基材が、成形ポリマー格子シート、3D印刷された格子シート、及び織物メッシュシートのうちの少なくとも1つを含む、態様1又は態様2に記載の細胞培養システムに関する。
態様4は、基材が、1つ以上の繊維を含む織物メッシュを含む、態様3に記載の細胞培養システムに関する。
態様5は、1つ以上の繊維が、平坦、円形、長方形、又は多角形のうちの少なくとも1つである断面形状を含む、態様4に記載の細胞培養システムに関する。
態様6は、1つ以上の繊維が、モノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維のうちの少なくとも一方を含む、態様4又は態様5に記載の細胞培養システムに関する。
態様7は、1つ以上の繊維が、約50μmから約1000μm、約50μmから約600μm、約50μmから約400μm、約100μmから約325μm、又は約150μmから約275μmの第1の繊維直径を有する第1の繊維を含む、態様4から6のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様8は、1つ以上の繊維が、約50μmから約1000μm、約50μmから約600μm、約50μmから約400μm、約100μmから約325μm、又は約150μmから約275μmの第2の繊維直径を有する第2の繊維をさらに含む、態様7に記載の細胞培養システムに関する。
態様9は、第2の繊維直径が第1の繊維直径とは異なる、態様8に記載の細胞培養システムに関する。
態様10は、複数の開口部が、約100μmから約1000μm、約200μmから約900μm、又は約225μmから約800μmの開口部直径を含む、態様1から7のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様11は、繊維直径が約250μmから約300μmであり、開口部直径が約750μmから約800μmであるか、又は繊維直径が約270μmから約276μmであり、開口部直径が約785μmから約795μmである、態様10に記載の細胞培養システムに関する。
態様12は、繊維直径が約200μmから約230μmであり、開口部直径が約500μmから約550μmであるか、又は繊維直径が約215μmから約225μmであり、開口部直径が約515μmから約530μmである、態様10に記載の細胞培養システムに関する。
態様13は、繊維直径が約125μmから約175μmであり、開口部直径が約225μmから約275μmであるか、又は繊維直径が約150μmから約165μmであり、開口部直径が約235μmから約255μmである、態様10に記載の細胞培養システムに関する。
態様14は、開口部直径の繊維直径に対する比が、約1.0から約3.5、約1.25から約3.25、約1.4から約3.0、約1.5から約2.9、約1.5から約2.4、又は約2.4から約2.9である、態様10から13のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様15は、複数の開口部が、正方形、長方形、菱形、偏菱形、円形、又は楕円形の形状を有する開口部を含む、態様1から14のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様16は、複数の開口部が規則的なパターンで配列される、態様1から15のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様17は、細胞培養マトリクスが単層基材を含む、態様1から16のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様18は、細胞培養マトリクスが多層基材を含み、該多層基材が少なくとも第1の基材層と第2の基材層とを含み、第1の基材層が第1の面と該第1の面とは反対側の第2の面とを含み、第2の基材層が、第3の面と該第3の面とは反対側の第4の面とを含み、第2の面が第3の面に面する、態様1から17のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様19は、多層基材が、第1の基材層が第2の基材層に対して所定の位置合わせを有するように構成される、態様18に記載の細胞培養システムに関する。
態様20は、多層基材が、第1の基材層上の繊維の交点が第2の基材層の開口部に面するように構成される、態様19に記載の細胞培養システムに関する。
態様21は、第1の基材層の開口部が第2の基材層の開口部と少なくとも部分的に重なる、態様19又は態様20に記載の細胞培養システムに関する。
態様22は、第1の基材層及び第2の基材層の開口部が位置合わせされる、態様21に記載の細胞培養システムに関する。
態様23は、多層基材が、第1の基材層が第2の基材層に対してランダムな配向を有するように構成される、態様18に記載の細胞培養システムに関する。
態様24は、細胞培養マトリクスが、バイオリアクター容器を通る培地のバルク流れ方向が第1の面及び第2の面に対して平行又は垂直となるようにバイオリアクター容器内に配置される、態様1から23のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様25は、細胞培養マトリクスが、バイオリアクター容器内にランダムに充填された複数の基材を含む、態様1から24のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様26は、バイオリアクター容器が充填床バイオリアクターである、態様1から25のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様27は、バイオリアクター容器が、該バイオリアクター容器内に配置され、細胞培養マトリクスを含む培養空間と、該培養空間に流体を提供するか、又は培養空間から流体を取り出すように構成された1つ以上の開口部とを含む、態様1から26のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様28は、1つ以上の開口部が、流体を培養空間の内部に提供するように構成された入口と、流体をバイオリアクター容器の培養空間から取り出すことができるように構成された出口とを含む、態様27に記載の細胞培養システムに関する。
態様29は、バイオリアクター容器が、入口を含む第1の端部、該第1の端部とは反対側にある、出口を含む第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に配置されている培養空間を含む、態様28に記載の細胞培養システムに関する。
態様30は、細胞培養マトリクスが培養空間の形状に対応する形状を有する、態様29に記載の細胞培養システムに関する。
態様31は、細胞培養マトリクスが、円筒状のロールの構成のポリマーメッシュ材料を含む、態様1から30のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様32は、円筒状のロールの中心長手方向軸が培地の流れ方向に対して平行である、態様31に記載の細胞培養システムに関する。
態様33は、円筒状のロールを解くことによって、円筒状のロールがバイオリアクター容器内の培養空間の形状へと拡張するように構成される、態様31又は態様32に記載の細胞培養システムに関する。
態様34は、円筒状のロールが、該円筒状のロールが収縮した状態で培養空間に挿入され、培養空間内に配置されると培養空間内で拡張するように構成される、態様31から33のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様35は、円筒状のロール及び培養空間が、ポリマーメッシュ材料と培養空間の壁との間の摩擦力によってポリマーメッシュ材料を培養空間内の所定の位置に保持されるように構成される、態様31から34のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様36は、円筒状のロールが、バイオリアクター容器の開口部を通じて培養空間に挿入されるように構成される、態様34に記載の細胞培養システムに関する。
態様37は、開口部がバイオリアクター容器の入口及び出口のうちの一方である、態様36に記載の細胞培養システムに関する。
態様38は、バイオリアクター容器が培養空間内に基材支持体を含み、該基材支持体が、培養空間内で細胞培養マトリクスを誘導、位置合わせ、又は固定するように構成される、態様31から37のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様39は、基材支持体が、第1の端部又は第2の端部のうちの一方から第1の端部又は第2の端部のうちの他方へと延びる支持部材を含み、円筒状のロールが、支持部材が円筒状のロールの中心長手方向軸に対して平行になるように支持部材を取り囲むように構成される、態様38に記載の細胞培養システムに関する。
態様40は、バイオリアクター容器が、細胞培養中にバイオリアクター容器の中心長手方向軸の周りを回転するように構成される、態様1から39のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様41は、中心長手方向軸が、細胞培養中、重力の方向に対して垂直である、態様40に記載の細胞培養システムに関する。
態様42は、細胞培養システムが、バイオリアクター容器の回転中に基材が細胞培養流体中を移動するように構成される、態様40又は態様41に記載の細胞培養システムに関する。
態様43は、細胞培養システムが、バイオリアクター容器に動作可能に連結し、中心長手方向軸の周りでバイオリアクター容器を回転させるように構成された回転手段をさらに含む、態様40から42のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様44は、細胞培養マトリクスが、異なる幾何学形状の織物メッシュをさらに含む複数の基材を含み、異なる幾何学形状が、繊維直径、開口部直径、又は開口部幾何学形状のうちの少なくとも1つにおいて異なっている、態様1から43のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様45は、異なる幾何学形状の織物メッシュが、バイオリアクター容器内の所望の流れ特性に基づいて、バイオリアクター容器内に所定の配置で配置される、態様44に記載の細胞培養システムに関する。
態様46は、所望の流れ特性が、細胞培養マトリクス全体にわたる液体培地の均一な灌流、及び細胞培養マトリックス全体にわたる細胞増殖の分布のうちの少なくとも一方を含む、態様45に記載の細胞培養システムに関する。
態様47は、異なる幾何学形状の織物メッシュが、第1の幾何学形状を有する第1のメッシュと第2の幾何学形状を有する第2のメッシュとを含み、所定の配置が、バルク流れ方向に関して第2のメッシュの上流にある第1のメッシュを含む、態様45又は態様46に記載の細胞培養システムに関する。
態様48は、所定の配置が、第2のメッシュのスタックの上流に配置された第1のメッシュのスタックを含む、態様47に記載の細胞培養システムに関する。
態様49は、所定の配置が、バルク流れ方向に沿って交互に配置された第1のメッシュのスタックと第2のメッシュのスタックとを含む、態様47又は態様48に記載の細胞培養システムに関する。
態様50は、接着細胞又は細胞副生成物を採取するための手段をさらに含む、態様1から49のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様51は、細胞副生成物が、タンパク質、抗体、ウイルス、ウイルスベクター、ウイルス様粒子(VLP)、マクロベシクル、エクソソーム、及び多糖類のうちの少なくとも1つを含む、態様50に記載の細胞培養システムに関する。
態様52は、基材が官能化表面を含み、該官能化表面が、ポリマーメッシュ材料への接着細胞の接着を改善するために物理的又は化学的に修飾されている、態様1から51のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様53は、細胞培養マトリクスが、メッシュの表面上に培養培地中の成分を吸着又は吸収するように構成された表面を含む、態様1から52のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様54は、細胞培養マトリクスが、ポリマーメッシュ材料の表面上にコーティングを含み、該コーティングが、接着細胞の接着を促進するように構成される、態様1から53のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様55は、細胞がコーティングに接着する、態様54に記載の細胞培養システムに関する。
態様56は、コーティングが、細胞培養マトリクスへの細胞の接着を促進するように構成された生物学的な又は合成の生物活性分子である、態様54又は態様55に記載の細胞培養システムに関する。
態様57は、コーティングが、ヒドロゲル、コラーゲン、Matrigel(登録商標)、生物活性分子又はペプチド、及び生物学的タンパク質のうちの少なくとも1つである、態様54から56のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様58は、官能化表面がプラズマ処理されている、態様53から56のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様59は、細胞が、接着細胞、浮遊細胞、及び織物メッシュに接着する緩く接着した細胞のうちの少なくとも1つを含む、態様1から58のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様60は、バイオリアクター容器の入口に培地を供給するように構成された培地調整容器をさらに含む、態様1から59のいずれかに記載の細胞培養システムに関する。
態様61は、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さ、及び基材内に形成され、基材の厚さを貫通する複数の開口部を備えた基材を含み、複数の開口部が、細胞培養培地、細胞、又は細胞副生成物のうちの少なくとも1つが基材の厚さを通って流れることを可能にするように構成される、細胞培養マトリクスに関する。
態様62は、基材が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール類、及びポリプロピレンオキシドのうちの少なくとも1つを含む、態様61に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様63は、基材が、成形ポリマー格子シート、3D印刷された格子シート、及び織物メッシュシートのうちの少なくとも1つを含む、態様61又は態様62に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様64は、基材が1つ以上の繊維を含む織物メッシュを含む、態様63に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様65は、1つ以上の繊維が、平坦、円形、長方形、又は多角形のうちの少なくとも1つである断面形状を含む、態様64に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様66は、1つ以上の繊維が、モノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維のうちの少なくとも一方を含む、態様64又は態様65に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様67は、1つ以上の繊維が、約50μmから約1000μm、約50μmから約600μm、約50μmから約400μm、約100μmから約325μm、又は約150μmから約275μmの第1の繊維直径を有する第1の繊維を含む、態様64から66のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様68は、1つ以上の繊維が、約50μmから約1000μm、約50μmから約600μm、約50μmから約400μm、約100μmから約325μm、又は約150μmから約275μmの第2の繊維直径を有する第2の繊維をさらに含む、態様67に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様69は、第2の繊維直径が第1の繊維直径とは異なる、態様68に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様70は、複数の開口部が、約100μmから約1000μm、約200μmから約900μm、又は約225μmから約800μmの開口部直径を含む、態様61から69のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様71は、繊維直径が約250μmから約300μmであり、開口部直径が約750μmから約800μmであるか、又は繊維直径が約270μmから約276μmであり、開口部直径が約785μmから約795μmである、態様70に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様72は、繊維直径が約200μmから約230μmであり、開口部直径が約500μmから約550μmであるか、又は繊維直径が約215μmから約225μmであり、開口部直径が約515μmから約530μmである、態様70に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様73は、繊維直径が約125μmから約175μmであり、開口部直径が約225μmから約275μmであるか、又は繊維直径が約150μmから約165μmであり、開口部直径が約235μmから約255μmである、態様70に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様74は、開口部直径の繊維直径に対する比が、約1.0から約3.5、約1.25から約3.25、約1.4から約3.0、約1.5から約2.9、約1.5から約2.4、又は約2.4から約2.9である、態様70から73のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様75は、複数の開口部が、正方形、長方形、菱形、偏菱形、円形、又は楕円形の形状を有する開口部を含む、態様1から74のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様76は、複数の開口部が規則的なパターンで配列される、態様1から75のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様77は、細胞培養マトリクスが単層基材を含む、態様1から76のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様78は、細胞培養マトリクスが少なくとも第1の基材層と第2の基材層とを備えた多層基材を含み、第1の基材層が第1の面と該第1の面とは反対側の第2の面とを含み、第2の基材層が、第3の面と該第3の面とは反対側の第4の面とを含み、第2の面が第3の面に面する、態様1から77のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様79は、多層基材が、第1の基材層が第2の基材層に対して所定の位置合わせを有するように構成される、態様78に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様80は、多層基材が、第1の基材層上の繊維の交点が第2の基材層の開口部に面するように構成される、態様79に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様81は、第1の基材層の開口部が第2の基材層の開口部と少なくとも部分的に重なる、態様79又は態様80に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様82は、第1の基材層及び第2の基材層の開口部が位置合わせされる、態様81に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様83は、多層基材が、第1の基材層が第2の基材層に対してランダムな配向を有するように構成される、態様78に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様84は、細胞培養マトリクスが複数の基材を含み、該複数の基材の各々が、複数の基材の他のものに対してランダムな配向にある、態様61から83のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様85は、細胞培養マトリクスが、積層配置された複数の基材を含む、態様61から83のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様86は、複数の基材のうちの1つの第1の面及び第2の面が、積層配置での他の基材の第1の面及び第2の面に対して実質的に平行である、態様85に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様87は、基材が円筒状のロールの構成である、態様61から83のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様88は、培養チャンバ内に配置されると、円筒状のロールを部分的に解くことによって、円筒状のロールがバイオリアクター容器内の培養チャンバの形状へと拡張するように構成される、態様87に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様89は、円筒状のロールが、該円筒状のロールが収縮した状態で培養空間に挿入され、培養空間内に配置されると培養空間内で拡張するように構成される、態様88に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様90は、細胞培養マトリクスが、異なる幾何学形状の織物メッシュを含む複数の基材を含み、異なる幾何学形状が、繊維直径、開口部直径、又は開口部幾何学形状のうちの少なくとも1つにおいて異なっている、態様61から89のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様91は、異なる幾何学形状の織物メッシュが、バイオリアクター容器内の所望の流れ特性に基づいて所定の配置で配列される、態様90に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様92は、所望の流れ特性が、細胞培養マトリクス全体にわたる液体培地の均一な灌流、及び細胞培養マトリックス全体にわたる細胞増殖の分布のうちの少なくとも一方を含む、態様91に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様93は、異なる幾何学形状の織物メッシュが第1の幾何学形状を有する第1のメッシュと第2の幾何学形状を有する第2のメッシュとを含み、所定の配置が、細胞培養マトリクスを通る細胞培養培地の所望のバルク流れ方向に関して第2のメッシュの上流にある第1のメッシュを含む、態様91又は態様92に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様94は、所定の配置が、第2のメッシュのスタックの上流に配置された第1のメッシュのスタックを含む、態様93に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様95は、所定の配置が、バルク流れ方向に沿って交互に配置された第1のメッシュのスタックと第2のメッシュのスタックとを含む、態様93又は態様94に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様96は、細胞培養マトリクスが、細胞、タンパク質、抗体、ウイルス、ウイルスベクター、ウイルス様粒子(VLP)、マクロベシクル、エクソソーム、及び多糖類のうちの少なくとも1つを培養及び/又は採取するように構成される、態様61から95のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様97は、基材が官能化表面を含み、該官能化表面が、ポリマーメッシュ材料への接着細胞の接着を改善するために物理的又は化学的に修飾されている、態様61から96のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様98は、細胞培養マトリクスが、メッシュの表面上に培養培地中の成分を吸着又は吸収するように構成された表面を含む、態様61から97のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様99は、細胞培養マトリクスがポリマーメッシュ材料の表面上にコーティングを含み、該コーティングが接着細胞の接着を促進するように構成される、態様61から98のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様100は、細胞がコーティングに接着する、態様99に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様101は、コーティングが、細胞培養マトリクスへの細胞の接着を促進するように構成された生物学的な又は合成の生物活性分子である、態様99又は態様100に記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様102は、コーティングが、ヒドロゲル、コラーゲン、Matrigel(登録商標)、生物活性分子又はペプチド、及び生物学的タンパク質のうちの少なくとも1つである、態様99から101のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様103は、官能化表面がプラズマ処理されている、態様99から102のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様104は、細胞が、接着細胞、浮遊細胞、及び織物メッシュに接着する緩く接着した細胞のうちの少なくとも1つを含む、態様61から103のいずれかに記載の細胞培養マトリクスに関する。
態様105は、バイオリアクター内で細胞を培養する方法に関し、該方法は、バイオリアクター容器を提供するステップであって、バイオリアクター容器が、該バイオリアクター容器内の細胞培養チャンバと、該細胞培養チャンバ内に配置され、その上で細胞を培養するように構成された細胞培養マトリクスとを含み、該細胞培養マトリクスが、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さ、及び基材内に形成され、基材の厚さを貫通する複数の開口部を備えた基材を含む、ステップ;細胞培養マトリクス上に細胞を播種するステップ;細胞培養マトリクス上で細胞を培養するステップ;並びに、細胞の培養産物を採取するステップを含み、基材の複数の開口部は、細胞培養培地、細胞、又は細胞副生成物のうちの少なくとも1つが基材の厚さを通って流れることを可能にするように構成される。
態様106は、基材が、成形ポリマー格子シート、3D印刷された格子シート、及び織物メッシュシートのうちの少なくとも1つを含む、態様105に記載の方法に関する。
態様107は、基材がポリマー材料を含む、態様105又は態様106に記載の方法に関する。
態様108は、ポリマー材料が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール類、及びポリプロピレンオキシドのうちの少なくとも1つである、態様107に記載の方法に関する。
態様109は、播種するステップが、細胞を基材に接着させるステップを含む、態様105から108のいずれかに記載の方法に関する。
態様110は、播種するステップが、細胞接種材料を細胞培養マトリクスに直接注入するステップを含む、態様105から109のいずれかに記載の方法に関する。
態様111は、細胞接種材料が、バイオリアクター容器の細胞接種材料注入ポートを通じて注入される、態様110に記載の方法に関する。
態様112は、細胞接種材料の体積が細胞培養チャンバの空隙容積に等しい、態様110又は態様111に記載の方法に関する。
態様113は、細胞接種材料を注入した後、培養チャンバを通じて細胞培地を灌流するステップをさらに含む、態様110から112のいずれかに記載の方法に関する。
態様114は、培養中に細胞培養培地及び酸素のうちの少なくとも一方を細胞に供給するステップをさらに含む、態様105から113のいずれかに記載の方法に関する。
態様115は、細胞培養培地を供給するステップが、細胞培養チャンバを通じて基材全体にわたって細胞培養培地を流すステップを含む、態様114に記載の方法に関する。
態様116は、細胞培養培地を供給するステップが、バイオリアクター容器に流体的に接続される培地調整容器を提供するステップ、及び培地調整容器からバイオリアクター容器に細胞培養培地を供給するステップを含む、態様114又は態様115に記載の方法に関する。
態様117は、培養中又は培養後に培地の少なくとも一部がバイオリアクター容器から回収され、培地調整容器に戻される、態様116に記載の方法に関する。
態様118は、細胞培養チャンバへの細胞培養培地の流れを制御するステップをさらに含み、細胞培養培地が、細胞、細胞培養栄養素、又は酸素のうちの少なくとも1つを含む、態様105から117のいずれかに記載の方法に関する。
態様119は、バイオリアクター容器内の細胞培養培地、細胞、及び/又は細胞産物、又はバイオリアクター容器からの生産物を分析するステップをさらに含む、態様105から118のいずれかに記載の方法に関する。
態様120は、分析するステップが、pH、pO、[グルコース]、pH、pO、[グルコース]、及び流量のうちの少なくとも1つを測定するステップを含み、pH、pO、及び[グルコース]が細胞培養チャンバ内で測定され、pH、pO、及び[グルコース]が細胞培養チャンバ又はバイオリアクター容器の出口で測定される、態様119に記載の方法に関する。
態様121は、細胞培養チャンバへの細胞培養培地の流れが、少なくとも一部には、細胞培養培地、細胞、及び/又は細胞産物の分析結果に基づいて制御される、態様119又は態様120に記載の方法に関する。
態様122は、pH≧pH2min、pO≧pO2min、及び[グルコース]≧[グルコース]2minのうちの少なくとも1つである場合、細胞培養チャンバへの細胞培養培地の灌流流量が現在の速度で継続され、pH2min、pO2min、及び[グルコース]2minが細胞培養システムの設計に基づいて事前に決定される、態様120又は態様121に記載の方法に関する。
態様123は、現在の流量が細胞培養システムの所定の最大流量以下の場合、灌流流量を増加させる、態様120から122のいずれかに記載の方法に関する。
態様124は、現在の流量が細胞培養システムの所定の最大流量以下でない場合、細胞培養システムのコントローラが、pH2min、pO2min、及び[グルコース]2min、pH、pO、及び[グルコース]、並びにバイオリアクター容器の高さのうちの少なくとも1つを再評価する、態様120から123のいずれかに記載の方法に関する。
態様125は、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、又は少なくとも約72時間の培養後に、細胞が、約90%を超える、又は約95%を超える生存率を有する、態様105から124のいずれかに記載の方法に関する。
態様126は、細胞が、接着細胞、浮遊細胞、及び細胞培養マトリクスに接着する緩く接着した細胞のうちの少なくとも1つを含む、態様105から125のいずれかに記載の方法に関する。
態様127は、細胞の培養の産物が、細胞、タンパク質、抗体、ウイルス、ウイルスベクター、ウイルス様粒子(VLP)、マクロベシクル、エクソソーム、及び多糖類のうちの少なくとも1つを含む、態様105から126のいずれかに記載の方法に関する。
態様128は、細胞の培養の産物が、少なくとも80%が生存している、少なくとも85%が生存している、少なくとも90%が生存している、少なくとも91%が生存している、少なくとも92%が生存している、少なくとも93%が生存している、少なくとも94%が生存している、少なくとも95%が生存している、少なくとも96%が生存している、少なくとも97%が生存している、少なくとも98%が生存している、又は少なくとも99%が生存している細胞を含む、態様127に記載の方法に関する。
態様129は、少なくとも1つのリザーバを含む細胞培養容器と、少なくとも1つのリザーバ内に配置された細胞培養マトリクスであって、細胞が接着するように構成された表面を備えた複数の織り混ぜられた繊維を有する織物基材を含む細胞培養マトリクスとを含む、バイオリアクターシステムに関する。
態様130は、織物基材が、複数の織り混ぜられた繊維の均一な配置を含む、態様129に記載のシステムに関する。
態様131は、織物基材が、複数の繊維間に配置された複数の開口部を含む、態様129又は態様130に記載のシステムに関する。
態様132は、複数の繊維がポリマー繊維を含む、態様129から131のいずれかに記載のシステムに関する。
態様133は、ポリマー繊維が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール類、及びポリプロピレンオキシドのうちの少なくとも1つを含む、態様132に記載のシステムに関する。
態様134は、細胞培養マトリクスが複数の織物基材を含む、態様129から133のいずれかに記載のシステムに関する。
態様135は、複数の基材の各基材が、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さを含み、複数の開口部が基材の厚さを貫通する、態様134に記載のシステムに関する。
態様136は、複数の基材の基材が、基材の第1の面及び第2の面の一方が隣接する基材の第1の面又は第2の面の他方に隣接するように、互いに隣接して配置される、態様134又は態様135に記載のシステムに関する。
態様137は、複数の基材の少なくとも一部がスペーサ材料又は障壁によって分離されない、態様134から136のいずれかに記載のシステムに関する。
態様138は、複数の基材の少なくとも一部が互いに物理的に接触している、態様134から137のいずれかに記載のシステムに関する。
態様139は、細胞培養容器が、少なくとも1つのポートを通じて少なくとも1つのリザーバに材料を供給、又は少なくとも1つのリザーバから材料を取り出すように構成された少なくとも1つのポートを含む、態様129から138のいずれかに記載のシステムに関する。
態様140は、少なくとも1つのポートが、少なくとも1つのリザーバに材料を供給するための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つのリザーバから材料を取り出すための少なくとも1つの出口とを含む、態様139に記載のシステムに関する。
態様141は、材料が、培地、細胞、又は細胞産物のうちの少なくとも1つを含む、態様140に記載のシステムに関する。
態様142は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間の少なくとも1つのリザーバを備えた細胞培養容器と、少なくとも1つのリザーバ内に配置された細胞培養マトリクスであって、細胞が接着するように構成された表面を有する各々が複数の織り混ぜられた繊維を含む複数の織物基材を備えた細胞培養マトリクスとを含む、バイオリアクターシステムに関し、ここで、該バイオリアクターシステムは、材料を少なくとも1つのリザーバを通して第1の端部から第2の端部への流れ方向に流すように構成され、複数の織物基材の基材は、各織物基材が、他の織物基材の各々に対して実質的に平行になり、流れ方向に対して実質的に垂直になるように積み重ねられる。
態様143は、基材の各々が、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さを含み、複数の開口部が基材の厚さを貫通する、態様142に記載のシステムに関する。
態様144は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間の少なくとも1つのリザーバを備えた細胞培養容器と、少なくとも1つのリザーバ内に配置された細胞培養マトリクスであって、細胞が接着するように構成された表面を有する各々が複数の織り混ぜられた繊維を含む複数の織物基材を備えた細胞培養マトリクスとを含む、バイオリアクターシステムに関し、ここで、該バイオリアクターシステムは、材料を少なくとも1つのリザーバを通して第1の端部から第2の端部への流れ方向に流すように構成され、複数の織物基材の基材は、各織物基材が、他の織物基材の各々に対して実質的に平行になり、流れ方向に対して実質的に平行になるように積み重ねられる。
態様145は、基材の各々が、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さを含み、複数の開口部が基材の厚さを貫通する、態様144に記載のシステムに関する。
態様146は、バイオリアクターシステムであって、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間の少なくとも1つのリザーバを備えた細胞培養容器と、少なくとも1つのリザーバ内に配置された細胞培養マトリクスであって、そこに細胞が接着するように構成された表面を有する複数の織り混ぜられた繊維を備えた織物基材を含む、細胞培養マトリクスとを含み、少なくとも1つのリザーバ及び細胞培養マトリクスのうちの少なくとも一方が、細胞培養中にバイオリアクター容器の中心長手方向軸の周りを回転するように構成される、バイオリアクターシステムに関する。
態様147は、織物基材が、バイオリアクター容器の中心長手方向軸を少なくとも部分的に取り囲む円筒状基材として、少なくとも1つのリザーバ内に配置される、態様146に記載のシステムに関する。
態様148は、バイオリアクターシステムが、材料を少なくとも1つのリザーバを通して第1の端部から第2の端部への流れ方向に流すように構成される、態様146又は態様147に記載のシステムに関する。
態様149は、円筒状基材の中心長手方向軸が、培地の流れ方向に対して平行である、態様148に記載のシステムに関する。
態様150は、円筒状基材が、巻かれた織物基材の巻き戻しによって少なくとも1つのリザーバの壁と接触するように拡張するように構成された、巻かれた織物基材を含む、態様146から149のいずれかに記載のシステムに関する。
態様151は、巻かれた織物基材が、細胞培養容器内の少なくとも1つのリザーバの内部の形状へと拡張するように構成される、態様146から150のいずれかに記載のシステムに関する。
態様152は、巻かれた織物基材が、該巻かれた織物基材が収縮した巻かれた状態にある間に培養空間に挿入され、リザーバ内に配置されるとリザーバ内で拡張するように構成される、態様151に記載のシステムに関する。
態様153は、巻かれた織物基材及びリザーバが、織物基材とリザーバの壁との間の摩擦力によって織物基材がリザーバ内の実質的に所定の位置に保持されるように構成される、態様151又は態様152に記載のシステムに関する。
態様154は、巻かれた織物基材が、細胞培養容器の開口部を通してリザーバ内に挿入されるように構成される、態様151から153のいずれかに記載のシステムに関する。
態様155は、開口部が細胞培養容器の入口及び出口のうちの一方である、態様154に記載のシステムに関する。
態様156は、細胞培養容器が、リザーバ内に基材支持体を含み、該基材支持体が培養空間内で織物基材を誘導、位置合わせ、又は固定するように構成される、態様146から155のいずれかに記載のシステムに関する。
態様157は、基材支持体が、第1の端部又は第2の端部のうちの一方から第1の端部又は第2の端部のうちの他方へと延びる支持部材を含み、巻かれた織物基材が、支持部材が巻かれた織物基材の中心長手方向軸に対して平行になるように、支持部材の周囲の少なくとも一部を取り囲むように構成される、態様156に記載のシステムに関する。
態様158は、中心長手方向軸が、細胞培養中に重力の方向に対して垂直である、態様146から157のいずれかに記載のシステムに関する。
態様159は、バイオリアクターシステムが、細胞培養容器の回転中に基材が細胞培養流体中を移動するように構成される、態様146から158のいずれかに記載のシステムに関する。
態様160は、バイオリアクターシステムが、細胞培養容器に動作可能に連結し、中心長手方向軸の周りで細胞培養容器を回転させるように構成された回転手段をさらに含む、態様146から159のいずれかに記載のシステムに関する。
態様161は、織り混ぜられた複数の繊維と、該複数の繊維間に配置された複数の開口部とを含む織物基材を含む、細胞培養マトリクスに関し、ここで、各繊維は、細胞が接着するように構成された表面を含む。
態様162は、繊維の表面が、細胞がそこに放出可能に接着するように構成される、態様161に記載のマトリクスに関する。
態様163は、複数の繊維がポリマー繊維を含む、態様161又は態様162に記載のマトリクスに関する。
態様164は、ポリマー繊維が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール類、及びポリプロピレンオキシドのうちの少なくとも1つを含む、態様163に記載のマトリクスに関する。
態様165は、細胞培養マトリクスが複数の織物基材をさらに含む、態様161から164のいずれかに記載のマトリクスに関する。
態様166は、複数の基材の各基材が、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、第1の面と第2の面とを分離する厚さを含み、複数の開口部が基材の厚さを貫通する、態様165に記載のマトリクスに関する。
態様167は、複数の基材の基材が、基材の第1の面及び第2の面の一方が隣接する基材の第1の面及び第2の面の他方に隣接するように、互いに隣接して配置される、態様165又は態様166に記載のマトリクスに関する。
態様168は、複数の基材の少なくとも一部が、スペーサ材料又は障壁によって分離されない、態様165から167のいずれかに記載のマトリクスに関する。
態様169は、複数の基材の少なくとも一部が互いに物理的に接触している、態様165から168のいずれかに記載のマトリクスに関する。
態様170は、培地入口、培地出口、及び細胞培養空間を備えた容器であって、細胞培養空間が、容器の内部に配置され、培地入口及び培地出口と流体連通して培地入口と培地出口との間に配置されている、容器を含む、バイオリアクターシステムに関し、ここで、細胞培養空間は、細胞培養基材セクションと、該細胞培養基材セクションと培地出口との間に配置されたスペーサセクションとを含み、細胞培養空間は、細胞培養基材を充填床構成で含むように構成される。
態様171は、細胞培養基材が態様61から104のいずれかに記載の細胞培養マトリクスを含む、態様170に記載のバイオリアクターシステムに関する。
態様172は、培地入口と細胞培養空間との間に配置された流れ分配プレートをさらに含む、態様170又は態様171に記載のバイオリアクターシステムに関する。
態様173は、細胞培養空間とスペーサセクションとの間に配置された充填床保持層をさらに含む、態様170から172のいずれかに記載のバイオリアクターシステムに関する。
態様174は、培地出口と細胞培養空間との間に配置されたスペーサインサートをさらに含む、態様170から173のいずれかに記載のバイオリアクターシステムに関する。
態様175は、スペーサインサートが、培地出口と充填床保持層との間に配置される、態様174に記載のバイオリアクターシステムに関する。
定義
「全合成」又は「完全合成」とは、完全に合成原料から構成され、動物由来又は動物起源の材料を欠いている、マイクロキャリア又は培養容器の表面などの細胞培養物品を指す。本開示の全合成された細胞培養物品は、異種汚染のリスクを排除する。
「含む(Include,includes)」、又は同様の用語は、網羅的であるが限定的ではない、すなわち包括的であって排他的ではないことを意味する。
「ユーザ」とは、本明細書に開示されているシステム、方法、物品、又はキットを使用する人々を指し、細胞又は細胞産生物を採取するために細胞を培養している人々、又は本明細書の実施形態に従って培養及び/又は採取された細胞又は細胞産生物を使用する人々を含む。
本開示の実施形態を説明する際に採用される、例えば、組成物中の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、粘度などの値、及びそれらの範囲、又は構成要素の寸法及び同様の値並びにそれらの範囲を変更する「約」は、例えば、材料、組成物、複合材料、濃縮物、構成部品、製造品、又は使用製剤の調製に使用される一般的な測定及び取り扱い手順を通じて;これらの手順における不注意によるエラーを通じて;方法を実行するために使用される出発材料又は原料の製造、供給源、又は純度の違いを通じて;及び同様の考慮事項を通じて発生する可能性のある数量の変動を指す。「約」という用語は、特定の初期濃度又は混合物を伴う組成物又は製剤の劣化に起因して異なる量、及び特定の初期濃度又は混合物を伴う組成物又は製剤の混合又は加工に起因して異なる量も包含する。
「任意選択の」又は「任意選択的に」とは、その後に記載される事象又状況が発生してもしなくてもよいこと、及び、その記載が、当該事象又状況が発生する場合と発生しない場合を含むことを意味する。
本明細書で用いられる不定冠詞「a」又は「an」及びその対応する定冠詞「the」は、別段の指定がない限り、少なくとも1つ又は1つ以上を意味する。
当業者によく知られている略語が用いられることがある(例えば、時間を「h」又は「hrs」、グラムを「g」又は「gm」、ミリリットルを「mL」、室温を「rt」、ナノメートルを「nm」、及び同様の略語)。
成分、原料、添加剤、寸法、条件、及び同様の特徴、並びにそれらの範囲について開示されている特定の好ましい値は、例示のみを目的としており、他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を除外しない。本開示のシステム、キット、及び方法は、本明細書に記載されるいずれかの値、特定の値、さらに具体的な値、及び好ましい値のうちの任意の値又は任意の組合せを含みうる。
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、そのステップが特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していないか、又は工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に具体的に述べられていない場合には、いかなる特定の順序も、推測されることは、決して意図していない。
開示される実施形態の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明白であろう。実施形態の精神及び本質を組み込んだ開示された実施形態の修正、組合せ、部分組合せ、及び変形が当業者に想起されうることから、本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈されるべきである。
上で論じたように、1つ以上の実施形態の態様は、細胞、細胞培養培地、及び他の成分のうちの少なくとも1つをバイオリアクター容器の内部空洞に供給するように構成された培地入口を含み、該培地出口は、細胞培養中又は細胞培養後に細胞又は他の生物学的薬剤、細胞培養培地、及び細胞又は生物学的副生成物のうちの少なくとも1つを内部空洞から取り出すように構成される。加えて、本明細書で論じられるように、バイオリアクターの内容物の採取手順を実施するために、培地出口は、採取動作中に加圧流体をスペーサセクションに供給するように構成することができ、培地入口は、採取動作中に内部空洞から細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを取り出すように構成される。バイオリアクターシステムは、培地出口を介して内部空洞を加圧流体で満たし、細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを、培地入口を通じて押し出すように構成される。したがって、スペーサセクションは、本明細書では採取容積と呼ぶこともでき、これは、採取手順の少なくとも一部を実施するために、何らかの加圧手段によって加圧されているか、又は流体で満たされている空間又は容積であることを意味する。
本明細書に開示される幾つかの実施形態は、スペーサセクション又は採取容積内に取り外し可能なスペーサを提示する。幾つかの実施形態では、図18A及び18Bに示されるように、ピンフィールド2000を培地出口と細胞培養基材との間に配置することができる。ピンフィールド2000は、バイオリアクターの流れ方向の長手方向軸に実質的に平行に延びる1つ以上の部材として、又は細胞培養基材から出口へと延びる方向に延びるものとして特徴付けることができる。図18Bは、図18Aのバイオリアクター容器及びピンフィールドの一部の拡大図を示している。ピンフィールドは、バイオリアクター容器の一端又は培地出口と細胞培養基材との間に分離を生じさせることによって、採取容積を少なくとも部分的に画定することができる。ピンフィールドはまた、細胞培養基材をバイオリアクター容器の内部空洞内の所定の位置に保持するのにも役立ちうる。幾つかの実施形態では、図18A及び18Bに示されるように、ピンフィールドは、培地出口近くの流体出口プレートと一体化していてもよく、又はそれに連結されていてもよい。図18Bでは、流体出口プレートの孔が見られる。言い換えれば、流体出口プレートは、内部空洞内から流体を収集し、それを培地出口に送達する役割をすることができ、同時にピンフィールドも含む。採取手順中など、容器を通る流れが逆になると、流体出口プレートも同様に逆に動作し、培地出口を介してバイオリアクター容器に流入する流体の流体入口プレートとして効果的に機能し、内部空洞の幅及び/又は細胞培養基材の幅全体に分配され、効率的に採取することができるものと理解されたい。図18A及び18Bの採取容積は、本明細書に図示され説明される他の実施形態の幾つかと比較して、高さが比較的小さいことにも留意されたい。一部の用途では、その空間が採取溶液を保持できる限り、小さな空間しか必要とせず、採取溶液はその後、採取中に加圧されて細胞培養基材に送られる。
前述の実施形態の幾つかでは、採取容積は、細胞培養基材と培地出口との間のバイオリアクター容器内に示されている。これは、図19Aの採取容積2010によって概略的に示されている。しかしながら、実施形態はこの構成に限定されない。図19Bでは、例えば、採取容積2020は、細胞培養基材を収納するバイオリアクター容器の内部空洞の外側に配置されるが、培地出口に流体的に接続される。したがって、採取容積2020内で加圧される採取溶液は、ホースなどの流体コネクタを介して、採取用の培地出口を通じて細胞培養基材に送ることができる。採取容積2020が細胞培養基材から分離されているということは、採取容積がバイオリアクター容器から完全に除去されているか、又は単に多区画バイオリアクター容器内の細胞培養基材とは別個の区画内に保持されていることを意味しうるものと理解されたい。採取容積の別個の筐体は、バイオリアクター容器のサイズ及び複雑性を低減し、その空隙容積を低減するという点で有利であり、これは使い捨てのユニットであってもよく、細胞培養材料が予め充填されていてもよい。結果として生じるサイズと複雑性の低減により、消耗部分又は使い捨て部分から生じる廃棄物を制限することができ、また、システムのさまざまな構成要素を配置する際の柔軟性を高めることもできる。加えて、採取容積を別の容器に収容することにより、採取溶液を所望の時間まで細胞培養メッシュからより容易に分離しておくことができ、採取溶液の状態をより容易に制御することができ、採取溶液の加圧を、採取が行われる前に、細胞培養基材、細胞、又は他の成分に悪影響を与えることなく達成することがより容易になる。採取容積は、細胞培養空間の外部であっても、バイオリアクターシステムの通常の流体再循環経路を使用して維持することができる。
幾つかの実施形態によれば、採取溶液は、細胞の採取、及び/又は細胞培養基材からの細胞の放出を補助する1つ以上の成分を含むことができる。例としてはAccutase(登録商標)又はTrypLE(登録商標)が挙げられるが、当業者であれば、使用することができる代替的な採取剤を理解するであろう。
さらなる実施例
本明細書で論じられるように、本開示の実施形態は、均一な流体の流れ、細胞播種、細胞の増殖及び培養、並びに細胞採取をもたらすバイオリアクター、及びそれを使用する方法を含む。一例として、図20は、本開示の一実施形態によるバイオリアクターを示している。バイオリアクターは、積み重ねて配置された織物PETメッシュの層を含む固定床細胞培養基材を含んでいる。細胞培養基材の層を分離する他の流体流動装置又は他の物理的構造が存在しないことに留意されたい。得られる固定床は、優れた性能を実現する、均一で一貫した床であり、2.5mの表面積を有していた。細胞を図20のバイオリアクター内で細胞培養基材上に播種し、培養した。次に、培養期間の後、基材の層を充填床の3つの異なる領域(上部、中間、及び底部)から取り出した。細胞を、GFP染色を使用してこれらの取り出した層で計測し、充填床のさまざまな領域の代表的な細胞カウント数を確認した。図20に示されるように、バイオリアクターの上部(95%GFP+、MFI:2579)、中間(97%GFP+、MFI:2237)、及び底部(96%GFP+、MFI:2018)から採取された細胞の細胞カウント数は、驚くほど一貫していた。結果として得られた平均カウント数は、GFP+が96%、MFIが2423であった。
図21は、1つ以上の実施形態による、複数の実施例及びバイオリアクターサイズにわたる一貫したAAV2-GFPベクターの収量/cmを示している。具体的には、3つのサイズは、0.2m、0.7m、及び2.5mの細胞培養基材表面積を含む。各サイズは、バルクVG/cmで測定して、一貫した%GFP+細胞及び一貫したウイルスベクター収量をもたらした。
図22は、他のプラットフォームと比較した、本開示の実施形態AのAAV2-GFP VG収量/cmの一例を示している。図20のバイオリアクターと同様に、実施形態Aのバイオリアクターは、2.5mの細胞培養基材表面積を有している。比較に使用した他の2つのプラットフォームは、2.65mの市販の固定床リアクターと、2D細胞増殖表面を備えたCorning(登録商標)社のT75フラスコで構成されていた。各プラットフォームに対して3つの実験を実施した。2.65mのプラットフォームと比較して、実施形態Aは、AAV2-GFP VG/cmの大幅な増加を示し、他のプラットフォームと比較して20倍を超える増加をもたらした。
図23は、図22の他のプラットフォームと比較した、本開示の実施形態Aの容器あたりのAAV2-GFP VG収量の一例を示している。再び、実施形態Aは、2.65mプラットフォームと比較して20倍を超える増加、及びT75フラスコと比較して330倍を超える増加を示している。
図24aは、プロトコル全体にFBS/DMEM培地を使用した、本開示の一実施形態によるバイオリアクターにおけるAAV2-GFPウイルスベクターの産生を示しており、一方、図24Bは、HEK293T増殖期に用いられたFBS/DMEM培地を使用した、本開示の一実施形態によるバイオリアクターにおけるAAV2-GFPウイルスベクターの産生を示しており、無血清DMEM培地をトランスフェクション及び生産段階に使用した。
図25は、本開示の実施形態による、細胞培養基材の異なる表面積サイズに対する容器あたりの総バルクVGの一例を示している。トランスフェクションから72時間後のGFP+細胞のフローサイトメトリーとAAV2-GFP収量を両方の条件で示している。これらの図は、本開示の実施形態で無血清培地を使用することの有効性を示している。
本明細書で実証されるように、本開示の実施形態は、実証された固定床を通る均一な流体の流れを可能にする細胞培養バイオリアクター、システム、及び関連する方法を提供する。実施形態は、均一なHEK293の増殖及び効率的な生細胞採取を実証している。実施形態は、90%を超えるトランスフェクション効率と、約2.0E+10のAAV2-GFPベクター収量/cmが、複数の実施及びバイオリアクターサイズにわたって一貫していることを実証しており、これにより設計のスケーラビリティが確認された。並列評価において、本開示の実施形態は、別の固定床リアクターと比較して20倍を超える高いAAV2-GFP VG収量/cm、及びT75フラスコと比較して同等のVG収量/cm2を実証した。加えて、本開示の実施形態は、ウイルスベクターの収量に重大な影響を与えることなく、無血清DMEM培地中でトランスフェクション及びウイルスベクターの産生を実施する実現可能性を実証した。
本明細書の実施形態のさらなる利点も明らかである。例えば、幾つかの実施形態では、細胞培養基材は、バイオリアクターの内部空洞の直径全体にわたり途切れることなく広がる。これは、代替手段で用いられる複雑な流路及び経路よりも単純である。固定床を通る流れは一方向であるか、又はプラグフローとして特徴付けることができ、これもまた動作を簡素化し、例えば、細胞播種及び採取を含めた性能が向上する。その結果、充填層のすべての層が同じ効率で灌流されており、層全体にわたる又は層を通る培地の流れ又はフラックスが得られる。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
固定床バイオリアクターシステムであって、
培地入口、培地出口、及び前記培地入口と培地出口との間に配置され、かつそれらと流体連通している内部空洞を備えた容器、
充填床構成で前記培地入口と前記培地出口との間の前記内部空洞内に配置された細胞培養基材であって、複数の多孔質ディスクを積層配置で含む、細胞培養基材、並びに
流体を保持するように構成された採取容積であって、前記内部空洞と流体連通している採取容積
を含み、
前記複数の多孔質ディスクの各々が、その上で細胞を培養するように構成された表面を含む、
固定床バイオリアクターシステム。
実施形態2
前記細胞培養基材と前記培地出口との間の前記内部空洞内に配置されたスペーサをさらに含み、前記スペーサが、前記細胞培養基材を前記培地出口から一定の距離に配置し、前記細胞培養基材を前記内部空洞の細胞培養セクションに閉じ込めるように構成される、実施形態1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態3
前記スペーサが、前記多孔質ディスクの積層配置の高さと平行な方向に延びる複数のピンを備えたピンフィールドを含む、実施形態2に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態4
前記採取容積が、前記容器内の前記培地出口と前記細胞培養基材との間に配置される、実施形態1から3のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態5
前記採取容積が前記容器の外側に配置され、かつ前記容器の前記培地出口に流体的に接続される、実施形態1から3のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態6
前記複数の多孔質ディスクの各ディスクが、第1の面、該第1の面とは反対側の第2の面、前記第1の面と前記第2の面とを分離するディスク厚さ、及び前記ディスク内に形成された、前記ディスク厚さを貫通する複数の開口部を含み、
前記複数の開口部が、細胞培養培地、細胞、又は細胞副生成物のうちの少なくとも1つが前記細胞培養基材を通って流れることを可能にするように構成される、
実施形態1から5のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態7
前記培地入口と前記細胞培養基材との間に配置された入口分配プレートをさらに含み、該入口分配プレートが、前記培地入口から前記内部空洞に入る流体を前記細胞培養基材の領域全体に分配するように構成される、実施形態1から6のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態8
前記細胞培養基材と前記培地出口との間に配置された出口分配プレートをさらに含む、実施形態1から7のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態9
前記ピンフィールドが前記出口分配プレートと一体化している、実施形態8に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態10
前記採取容積が、該採取容積内で前記流体を加圧し、その加圧流体を、流体経路を通じて前記培地出口へと導いて、前記容器から内容物を採取するように構成される、実施形態9に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態11
前記バイオリアクターシステムが、前記細胞培養基材1cmあたり、少なくとも約1×10、少なくとも約1×10、少なくとも約1×1010、又は少なくとも約2×1010個のウイルスゲノムを生成するように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態12
前記バイオリアクターシステムが、約90%を超えるウイルストランスフェクション効率、又は約95%を超えるウイルストランスフェクション効率を達成するように構成される、実施形態1から11のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態13
前記バイオリアクターシステムが、前記細胞培養基材全体にわたって均一なトランスフェクション効率を達成するように構成される、実施形態12に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態14
前記均一なトランスフェクションが、前記細胞培養基材スタック構成全体にわたる個々の多孔質ディスク上で、約±10%以内、約±8%以内、約±6%以内、約±4%以内、約±2%以内、又は約±1%以内のトランスフェクション効率を含む、実施形態13に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態15
前記複数の多孔質ディスクが複数の織物メッシュ層を含む、実施形態1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態16
前記複数の織物メッシュ層の各々が、画定された、実質的に均一な細孔のアレイを有する、実施形態15に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態17
前記複数の織物メッシュ層の各層が複数の織り混ぜられた繊維を含み、該複数の織り混ぜられた繊維が、第1の方向に互いに平行に走る第1の繊維群と、第2の方向に互いに平行に走る第2の繊維群とを含む、実施形態15に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態18
前記第1の方向が前記第2の方向に対して実質的に垂直である、実施形態17に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態19
前記培地入口が、細胞培養前又は細胞培養中に細胞及び細胞培養培地の少なくとも一方を前記内部空洞に供給するように構成され、前記培地出口が、細胞培養中又は細胞培養後に細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを前記内部空洞から取り出すように構成される、実施形態1から18のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態20
前記バイオリアクターシステムが、採取動作中に前記採取容積から前記細胞培養基材に加圧流体を供給するように構成され、前記培地入口が、前記採取動作中に前記内部空洞から細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを取り出すように構成される、実施形態19に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態21
前記バイオリアクターシステムが、前記培地出口を介して前記内部空洞を前記加圧流体で満たし、細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを、前記培地入口を通じて押し出すように構成される、実施形態20に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態22
前記複数の多孔質ディスクが50枚から1000枚の多孔質ディスクを含む、実施形態1から21のいずれかに記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態23
前記複数の多孔質ディスクが100枚から500枚の多孔質ディスクを含む、実施形態22に記載の固定床バイオリアクターシステム。
実施形態24
前記複数の多孔質ディスクの各ディスクが間に細孔を画定する繊維を含み、該繊維が約50μmから約1000μmの直径を有し、前記細孔が約100μmから約1000μmの直径を有する、実施形態1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
100 細胞培養基材
102 第1の複数の繊維
104 第2の複数の繊維
106 複数の開口部
108 第1の面
110 第2の面
200 多層基材/マトリクス
202 第1のメッシュ基材層
204 第2のメッシュ基材層
206 開口部
300 細胞培養システム
302 バイオリアクター容器
304 細胞培養チャンバ
306 細胞培養マトリクス
308 複数の基材層
310 入口
312 出口
320 灌流型のバイオリアクター
321 培地入口
322 流れ分配プレート
323 細胞培養基材
324 充填床保持器
325 スペーサ
326 培地出口
327 内部空洞
327a 細胞培養セクション
327b スペーサセクション
328 多孔質スペーサディスク
350a,350b 筐体構成要素
352 流れ分配プレート
354 充填床保持器
355 スペーサ
356 第1の多孔質スペーサディスク
357 第2の多孔質スペーサディスク
358 第3の多孔質スペーサディスク
360 細胞培養基材
400 バイオプロセッシングシステム
402 バイオリアクター
409 制御ポンプ
411 培地調整容器
412 センサ
413 3方向ポート
421 培地入口
422 細胞解離溶液
426 培地出口

Claims (15)

  1. 固定床バイオリアクターシステムであって、
    培地入口、培地出口、及び前記培地入口と培地出口との間に配置され、かつそれらと流体連通している内部空洞を備えた容器、
    充填床構成で前記培地入口と前記培地出口との間の前記内部空洞内に配置された細胞培養基材であって、複数の多孔質ディスクを積層配置で含む、細胞培養基材、並びに
    流体を保持するように構成された採取容積であって、前記内部空洞と流体連通している採取容積
    を含み、
    前記複数の多孔質ディスクの各々が、その上で細胞を培養するように構成された表面を含む、
    固定床バイオリアクターシステム。
  2. 前記細胞培養基材と前記培地出口との間の前記内部空洞内に配置されたスペーサをさらに含み、前記スペーサが、前記細胞培養基材を前記培地出口から一定の距離に配置し、前記細胞培養基材を前記内部空洞の細胞培養セクションに閉じ込めるように構成される、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  3. 前記スペーサが、前記多孔質ディスクの積層配置の高さと平行な方向に延びる複数のピンを備えたピンフィールドを含む、請求項2に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  4. 前記採取容積が、前記容器内の、前記培地出口と前記細胞培養基材との間に配置される、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  5. 前記採取容積が前記容器の外側に配置され、かつ前記容器の前記培地出口に流体的に接続される、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  6. 前記培地入口と前記細胞培養基材との間に配置された入口分配プレートをさらに含み、該入口分配プレートが、前記培地入口から前記内部空洞に入る流体を前記細胞培養基材の領域全体に分配するように構成されている、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  7. 前記細胞培養基材と前記培地出口との間に配置された出口分配プレートをさらに含む、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  8. 前記ピンフィールドが前記出口分配プレートと一体化している、請求項7に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  9. 前記採取容積が、該採取容積内で前記流体を加圧し、その加圧流体を、流体経路を通じて前記培地出口へと導いて、前記容器から内容物を採取するように構成される、請求項8に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  10. 前記バイオリアクターシステムが、約90%を超えるウイルストランスフェクション効率、又は約95%を超えるウイルストランスフェクション効率を達成するように構成される、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  11. 前記バイオリアクターシステムが、前記細胞培養基材全体にわたって均一なトランスフェクション効率を達成するように構成される、請求項10に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  12. 前記均一なトランスフェクションが、前記細胞培養基材スタック構成全体にわたる個々の多孔質ディスク上で、約±10%以内、約±8%以内、約±6%以内、約±4%以内、約±2%以内、又は約±1%以内のトランスフェクション効率を含む、請求項11に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  13. 前記培地入口が、細胞培養前又は細胞培養中、細胞及び細胞培養培地の少なくとも一方を前記内部空洞に供給するように構成され、前記培地出口が、細胞培養中又は細胞培養後に細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを前記内部空洞から取り出すように構成されており、かつ
    前記バイオリアクターシステムが、採取動作中に前記採取容積から前記細胞培養基材に加圧流体を供給するように構成され、前記培地入口が、前記採取動作中に前記内部空洞から細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを取り出すように構成される、
    請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  14. 前記バイオリアクターシステムが、前記培地出口を介して前記内部空洞を前記加圧流体で満たし、細胞、細胞培養培地、及び細胞副生成物のうちの少なくとも1つを、前記培地入口を通じて押し出すように構成される、請求項13に記載の固定床バイオリアクターシステム。
  15. 前記複数の多孔質ディスクが、50枚から1000枚の多孔質ディスクを含む、請求項1に記載の固定床バイオリアクターシステム。
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