JP2024517788A - Mpnstの処置のための化合物及び組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、SHP2阻害剤及びCDK4/6阻害剤を含む医薬組合せ;これを含む医薬組成物;並びにそのような組合せ及び組成物を、症状の処置又は予防に用いる方法に関し、CDK4/6阻害と組み合わせたSHP2阻害剤は、例えば、NF-1関連MPNSTの処置に有益である。

Description

本発明は、SHP2阻害剤、SHP2阻害剤及びCDK4/6阻害剤を含む医薬組合せ及びMEK阻害剤及びCDK4/6阻害剤を含む医薬組合せ;これを含む医薬組成物;並びにそのような化合物、組合せ及び組成物を、症状の処置に用いる方法に関し、SHP2阻害又はMEK阻害と組み合わせたSHP2阻害又はCDK4/6阻害は、例えば、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の処置に有益である。
悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)は、特に、転移性又は切除不能な場合、高い満たされない臨床的ニーズを有する希少な侵襲性軟部組織肉腫である。この適応症のための標準治療は存在しないが、軟部組織肉腫化学療法レジメンが、限られた利益を提供し得る。MPNSTは、散発的に(約45%)、神経線維腫症1型に関連して(約45%)、又は以前の放射線療法に関連して(約10%)発生し得る。神経線維腫症1型(NF1)は、神経認知作用、良性及び悪性腫瘍を発生する素因、皮膚及び他の身体所見、及び、患者の30~50%において、叢状神経線維腫(pNF)によって特徴付けられる一般的な神経遺伝学的症候群である。pNFは、悪性対応物、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の前駆腫瘍であり、それ自体が、疼痛、外観損傷(disfigurement)及び機能障害の重大な原因であり得る。
TNO155は、活性化受容体チロシンキナーゼ(RTK)から、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)経路を含む下流の経路にシグナルを伝達する、タンパク質チロシンホスファターゼ-2(SHP2、PTPN11遺伝子によってコードされる)を含有するSrcホモロジー-2ドメインの経口投与可能なアロステリック阻害剤である。SHP2はまた、免疫チェックポイント及びサイトカイン受容体シグナル伝達に関与しているとされてきた。TNO155は、広範なRTK依存性ヒト癌細胞株及びインビボ腫瘍異種移植片において有効性を実証した。
サイクリンDタンパク質は、癌細胞分裂において重要であり、CDK4及びCDK6プロテインキナーゼと複合体を形成して、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)を高リン酸化及び活性化することによって、G1期からS期への細胞周期進行を促進する。リボシクリブは、RbのCDK4/6特異的リン酸化を阻害し、それによって、G1期における細胞周期の進行を停止させる。サイクリンD1は、突然変異EGFR及び他のRTKの下流のシグナル伝達のエフェクターであり、これは、サイクリンD1-CDK4/6軸が、RTKの下流の増殖において重要な役割を果たすことを示唆している。
SHP2阻害、SHP2及びCDK4/6阻害剤の組合せ、又はCDK4/6及びMEK阻害剤の組合せは、MPNSTにおいて有効であり、持続性の応答を生じ、これは、転移性又は切除不能なMPNSTを有する患者のための新規な処置手法である。
本発明は、転移性又は切除不能なMPNSTの処置のためのSHP2阻害剤を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
MPNSTの処置のための、(a)SHP2阻害剤及び(b)CDK4/6阻害剤
を含む医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
MPNSTの処置のための、(a)CDK4/6阻害剤及び(b)MEK阻害剤
を含む医薬組成物を提供する。
SHP2i+CDK4/6i又はCDK4/6i+MEKiのいずれかの組合せは、本明細書中で、「本発明の組合せ」とも呼ばれることとなる。
本発明の組合せの別の実施形態において、SHP2i+CDK4/6i又はCDK4/6i+MEKiは、同じ製剤中にある。
本発明の組合せの別の実施形態において、SHP2i+CDK4/6i又はCDK4/6i+MEKiは、別個の製剤中にある。
別の実施形態において、本発明の組合せは、同時の、又は(あらゆる順序での)順次的な投与用である。
別の実施形態において、必要とする患者においてMPNST(散発性MPNST、又はNF1関連MPNST又は放射線療法に関連するMPNST)を処置する方法であって、患者に、治療的に有効な量のSHP2i又はSHP2i+CDK4/6i又はCDK4/6i+MEKiのいずれかの組合せを投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、SHP2i又はSHP2i+CDK4/6i又はCDK4/6i+MEKiのいずれかの組合せは、それを必要とする患者においてMPNST(散発性MPNST、又はNF1関連MPNST又は放射線療法に関連するMPNST)を処置する医薬の製造での使用を提供する。
別の実施形態において、本発明の組合せを含む医薬組成物である。
更なる実施形態において、医薬組成物は更に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
PDXモデルJH-2-031、WU-225、WU-386、WU-545、JH-2-079及びJH-2-002におけるSHP2i(TNO155)+CDK4/6i(リボシクリブ)の組合せについての結果を示す。 PDXモデルJH-2-031、WU-225、WU-386、WU-545及びJH-2-079におけるCDK4/6i(リボシクリブ)及びMEKi(トラメチニブ)の組合せについての結果を示す。 10の天然NF1-MPNST細胞株及び2つのトラメチニブ耐性細胞株(ST8814Res及びNF90.8Res)におけるCDK4/6i(リボシクリブ)+SHP2i(TNO155)の組合せについての結果を(ヒートマップとして)示す。 11のNF1-MPNST細胞株におけるCDK4/6i(リボシクリブ)+SHP2i(TNO155)の組合せについての結果を示す。
定義
以前、そして以降で用いられる一般的な用語は、好ましくは、特に明記しない限り、本開示の文脈内で、以下の意味を有し、用いられる場合はいつでも、より一般的な用語が、互いに独立して、より具体的な定義によって置き換えられて、又はそのままであることで、本発明のより詳細な実施形態を定義してもよい。
本明細書中で用いられる用語「処置する」又は「処置」は、患者における少なくとも1つの病徴を和らげ、緩和し、若しくは軽減する、又は疾患の進行の遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、NF-1関連MPNST等の障害の1つ若しくはいくつかの病徴の減少、又は障害の完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内で、用語「処置する」はまた、開始(すなわち、疾患の臨床徴候よりも前の期間)を抑制し、遅らせ、且つ/又は疾患を発症若しくは悪化させるリスクを低下させることを表す。
用語「含む」及び「挙げられる」は、特に明記しない限り、本明細書中で、オープンエンド且つ非限定の意味で用いられる。
本発明を説明する文脈における(とりわけ以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」、並びに類似のリファレンスは、本明細書中で特に明記しない限り、又は文脈によって明らかに相反しない限り、単数及び複数の双方を包含すると解釈されるべきである。複数形が化合物、塩等に用いられる場合、これは、単一の化合物、塩等も意味するととられる。
用語「組合せ療法」又は「と組み合わせて」は、本開示に記載される病態又は障害(例えば、散発性MPNST又はNF1関連MPNST又は放射線療法に関連するMPNST)を処置するための2つ以上の治療剤の投与を指す。このような投与は、一定比率の有効成分を有する単一のカプセル剤中など、ほぼ同時でのこれらの治療剤の共投与を包含する。或いは、このような投与は、各有効成分のための複数の容器、又は別個の容器中での共投与(例えば、カプセル剤、粉末、及び液体)を包含する。粉末及び/又は液体は、投与の前に、再構成されるか又は所望の用量に希釈され得る。更に、このような投与は、ほぼ同時に又は異なる時点で連続した、各タイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合も、治療レジメンは、本明細書に記載される病態又は障害を処置する際の薬剤組合せの有益な効果を提供する。
組合せ療法は、「相乗効果」を提供し、「相乗的」である、すなわち、有効成分が一緒に使用されるときに得られる効果が、化合物を別個に使用することから得られる効果の合計より大きいことを示し得る。相乗効果は、有効成分が、(1)同時に処方及び投与されるか、若しくは組み合わされた単位剤形で同時に送達されるとき;(2)別個の製剤として交互に若しくは並行して送達されるとき;又は(3)ある他のレジメンによって送達されるとき、得ることができる。交互の療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば、別個の注射器での異なる注射によって、連続的に投与又は送達されるとき、得ることができる。一般に、交互の療法の際、各有効成分の有効な投与量が、連続的に、すなわち、逐次投与される一方、組合せ療法では、2つ以上の有効成分の有効な投与量が、一緒に投与される。
本明細書中で用いられる用語「医薬組合せ」は、1つの投与単位形態における一定の組合せ、又は一定でない組合せ又は併用投与のためのパーツのキットのいずれかを指し、ここで、2つ以上の治療剤が、同時に又は時間間隔内で別々に独立して投与され得、特に、これらの時間間隔は、組合せ相手が、共同的効果、例えば相乗効果を示すことを可能にする。
用語「SHP2i」は、以下に限定されないが、TNO155、JAB-3068、JAB-3312、RMC-4630(又は米国特許第10,590,090号明細書に含まれる任意のSHP2阻害剤)、RLY-1971、BBP-398(IACS-15509)、ERAS-601及びPF-07284892(ARRY-558)を含む。
用語「CDK4/6i」は、以下に限定されないが、リボシクリブ、パルボシクリブ及びアベマシクリブを含む。
用語「MEKi」は、以下に限定されないが、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、ミルダメチニブ、及びセルメチニブを含む。
本明細書中で用いられる用語「相乗効果」は、例えば、SHP2阻害剤としての化合物TNO155及びCDK4/6阻害剤としてのリボシクリブなどの2つの治療剤の、例えば、NF-1関連MPNST、又はその病徴の症候的な進行を遅らせ、それ自体で投与される各薬物の効果の単純な追加よりも大きい効果をもたらす作用を指す。相乗効果は、例えば、適切な方法、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429-453(1981))、Loewe additivityの式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313-326(1926))、及びmedian-effect式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27-55(1984))を用いて算出することができる。先で言及された各式を、実験データに用いて、対応するグラフが生じて、薬物組合せの効果を評価する一助とすることができる。先で言及した式と関連する、対応するグラフはそれぞれ、濃度-効果曲線、アイソボログラム曲線、及び組合せ指数曲線である。
本発明の特定の組合せ、例えば、TNO155及びリボシクリブはまた、化合物の非標識形態並びに同位体標識形態を表すことが意図される。同位体標識された化合物は、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置換された1つ以上の原子を有する。TNO155及びリボシクリブ中に組み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、及び塩素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、15N、35S、36Clが挙げられる。本発明は、同位体標識されたTNO155及びリボシクリブを含み、例えば、これらの中に、放射性同位体、例えばH及び14C、又は非放射性同位体、例えばH及び13Cが存在する。同位体標識されたTNO155及びリボシクリブは、代謝研究(14Cによる)、反応速度研究(例えばH又はHによる)、検出若しくは撮像技術、例えば陽電子放射断層撮影(PET)若しくは単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)(薬物又は基質の組織分布アッセイを含む)、又は患者の放射性治療において有用である。特に、18Fで標識されたLSZ102は、PET研究又はSPECT研究に特に所望されてもよい。本発明の同位体標識された化合物は、通常、当業者に知られている従来の技術によって、又は、適当な同位体標識試薬を用いる添付の実施例に記載されるプロセスに類似したプロセスによって、調製することができる。
更に、より重い同位体、特に、重水素(すなわちH又はD)による置換は、より大きな代謝安定性に起因するある種の治療利点、例えば、インビボ半減期の増大、投薬量要件の縮小、又は治療指数の向上をもたらし得る。重水素は、この文脈において、TNO155又はリボシクリブの置換基とみなされることが理解される。そのようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体富化係数によって定義されてもよい。本明細書中で用いられる用語「同位体富化係数」は、同位体の存在量と、指定された同位体の天然の存在量との比率を意味する。TNO155又はリボシクリブ中の置換基が重水素と示されるならば、そのような化合物は、指定された各重水素原子についての同位体富化係数が、少なくとも3500(指定された各重水素原子にて52.5%の重水素組込み)、少なくとも4000(60%の重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組込み)、少なくとも5000(75%の重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組込み)、少なくとも6000(90%の重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組込み)、少なくとも6600(99%の重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組込み)である。
特定の実施形態の説明
一実施形態において、悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のSHP2阻害剤を投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、悪性末梢神経鞘腫瘍は、転移性、切除不能、散発性であるか、神経線維腫症1型に関連するか又は放射線療法に関連する。
更なる実施形態において、SHP2阻害剤は、TNO155、SHP099、JAB-3068、JAB-3312、RMC-4630(又は米国特許第10,590,090号明細書に含まれる任意のSHP2阻害剤)、RLY-1971、BBP-398(IACS-15509)、ERAS-601及びPF-07284892(ARRY-558)から選択される。
更なる実施形態において、SHP2阻害剤は、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、医薬塩は、コハク酸塩である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、投与スケジュールは、連続した、2週間の投薬/1週間の休薬又は3週間の投薬/1週間の休薬から選択される。
別の実施形態において、悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(a)SHP2阻害剤;及び(b)CDK4/6阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、悪性末梢神経鞘腫瘍は、散発性であるか、神経線維腫症1型に関連するか又は放射線療法に関連する。
更なる実施形態において、SHP2阻害剤は、TNO155、SHP099、JAB-3068、JAB-3312、RMC-4630(又は米国特許第10,590,090号明細書に含まれる任意のSHP2阻害剤)、RLY-1971、BBP-398(IACS-15509)、ERAS-601及びPF-07284892(ARRY-558)から選択される。
更なる実施形態において、SHP2阻害剤は、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンが、1日1回経口投与され、投与スケジュールは、連続した、2週間の投薬/1週間の休薬又は3週間の投薬/1週間の休薬から選択される。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンが、1日1回経口投与され、スケジュールは、2週間の投薬及び1週間の休薬である。
更なる実施形態において、CDK4/6阻害剤は、リボシクリブ、パルボシクリブ及びアベマシクリブから選択される。
更なる実施形態において、CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
別の実施形態において、悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(a)MEK阻害剤;及び(b)CDK4/6阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、悪性末梢神経鞘腫瘍は、散発性であるか、神経線維腫症1型に関連するか又は放射線療法に関連する。
更なる実施形態において、MEKiは、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、ミルダメチニブ、及びセルメチニブから選択される。
更なる実施形態において、MEK阻害剤は、N-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、N-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミドが投与され、1日当たりのジメチルスルホキシドが、1日に約0.5、1、1.5及び2mgの用量で経口投与される。
更なる実施形態において、CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
別の実施形態において、本発明は、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)の処置のための、構造:
Figure 2024517788000001

を有する(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)、又はその薬学的に許容される塩から選択されるSHP2阻害剤を提供する。
別の実施形態において、本発明は、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)の処置のための、
(a)構造:
Figure 2024517788000002

を有する(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)、又はその薬学的に許容される塩から選択されるSHP2阻害剤、及び
(b)構造:
Figure 2024517788000003

を有する7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(リボシクリブ)、又はその薬学的に許容される塩
を含む医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)の処置のための、
(a)構造:
Figure 2024517788000004

を有する7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(リボシクリブ)、又はその薬学的に許容される塩、及び
(b)構造:
Figure 2024517788000005

を有するN-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミド(トラメチニブ)、又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む医薬組成物を提供する。
一実施形態において、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を、第2の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される。
更なる実施形態において、それを必要とする患者に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩が、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置するのに有効である。
更なる実施形態において、本方法は、第2の治療剤を含む。
更なる実施形態において、それを必要とする対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤の量は、MPSNT(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置するのに有効である。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、CDK4/6阻害剤である。
更なる実施形態において、CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンが、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで、20mgの1日用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって200mgで経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって300mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
別の実施形態において、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、MEKi(トラメチニブ)耐性を克服するために、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を、リボシクリブ(ribociclic)と組み合わせて含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、以前の良性腫瘍神経線維腫のためにMEK阻害剤処置を受け、獲得耐性を生じたMPNST患者のために、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を、リボシクリブと組み合わせて含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、MPNST(散発性MPNST又はNF1に関連する若しくは放射線療法に関連するMPNST)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、MEK阻害剤に対する内因性耐性を示すMPNST患者のための、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を、リボシクリブと組み合わせて含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
薬理学及び有用性
神経線維腫症1型(NF1)は、世界で2500~3000人に1人の個体を侵す最も一般的な遺伝性腫瘍素因症候群の1つである。したがって、罹患した個体は、身体内のあらゆる細胞内でNF1遺伝子の1つの不活性化コピー(生殖細胞系突然変異)及び1つの機能的コピーを伴って誕生する。生殖細胞系突然変異の存在は、腫瘍形成のリスクを高め、これは、残っている機能的NF1遺伝子の体細胞喪失のみを必要とする。
NF1は、神経認知作用、良性及び悪性腫瘍を発生する素因、皮膚及び他の身体所見、及び、患者の30~50%において、叢状神経線維腫(pNF)によって特徴付けられる。pNFは、悪性対応物、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の前駆腫瘍であり、それ自体が、疼痛、外観損傷及び機能障害の重大な原因であり得る。pNFからMPNSTへの形質転換の全生涯リスクは、10%に近く、NF1患者は、自発性MPNSTを有する患者よりかなり若い年齢でMPNSTを発症する。
MPNSTは、特に、転移性又は切除不能な場合、高い満たされない臨床的ニーズを有する希少な侵襲性軟部組織肉腫である。この適応症のための標準治療は存在しないが、軟部組織肉腫化学療法レジメンが、限られた利益を提供し得る。MPNSTの患者を処置することに関連する難題としては、従来の全身性化学療法及び放射線療法に対する患者の相対的非感受性、及び患者の転移する傾向が挙げられる。MPNSTのための唯一の公知の根治治療は、広い陰性断端を残した外科的切除であり、これは、位置又はサイズ、手術関連合併症発生率、又は遠隔転移の存在のため実現不可能であることが多い。化学療法及び標的薬剤の多くの臨床試験にもかかわらず、患者の全生存の進歩はほとんどなかった。様々なそのようなレジメンが初期治療(すなわち、一次治療)として使用された12の試験の後ろ向き統合分析は、21%の奏効率、17週間の無増悪生存期間中央値、及び48週間の全生存期間中央値を実証した。化学療法の限られた利益を考慮して、いくつかの分子標的治療が、MPNSTの患者において調べられ、結果は厳しかった。そのような薬剤の最近の臨床試験では、0%の客観的奏効率が一貫して得られ、報告される場合、全生存期間中央値は、約4~5か月であった。
MPNSTは、腫瘍抑制因子NF1の喪失によって一般的に特徴付けられ、その発生率は、常染色体優性NF1生殖細胞系列喪失癌素因症候群、神経線維腫症1型(NF1)の患者において高くなる。NF1症候群の患者は、MPNSTの8~13%の生涯発生率及び1000人の個体当たり1.6の年間発生率を有するものと推定される一方、米国における一般集団における散発性MPNSTの発生率は、年間百万人当たり1.46である。
全てのMPNST中でも、約22~50%が、生殖細胞系列NF1喪失を有する患者で発生する一方、残りは、散発的に発生する。以前の放射線治療は、MPNSTのリスク因子であり、MPNSTの約10%は、この場合に発生する。全てのNF1関連MPNST及び散発的に又は以前の放射線療法の場合に発生するMPNSTの大部分は、NF1の喪失によって特徴付けられ、これらの場合のそれぞれにおいて2番目に多く検出される遺伝子変化は、腫瘍抑制因子の喪失である。生殖細胞系列NF1喪失を有する患者において、CDKN2Aの喪失は、MPNSTの前兆である、良性叢状神経線維腫から非定型神経線維腫への移行時に起こる、悪性進行の初期段階であるものと考えられる。
NF1の遺伝子産物であるニューロフィブロミンは、活性なRAS-GTPから不活性なRAS-GDPへの加水分解に関与するRAS GTPase活性化タンパク質(RAS-GAP)である。それは、MPNSTのほぼ90%において遺伝子変化される。したがって、異常なRAS活性化が、NF1突然変異癌の病因の根底にある。しかしながら、単一のRASファミリーメンバーが、NF1欠損MPNSTにおいて活性化される主要なRASであるかどうかは知られておらず、この腫瘍型において十分に理解されている古典的なRASファミリーメンバーHRAS、NRAS及びKRASの機能的重複性の程度も知られていない。十分に特徴付けられたRASエフェクター経路の中でも、RAF/MEK/ERK、PI3K/AKT及びRal-GDSシグナル伝達がある。これらのうち、ERKシグナル伝達は、重要な下流のエフェクターであり、したがって、薬理学的なMEK阻害の概念が、MPNSTのモデルに適用された。MEK阻害剤(MEKi)セルメチニブは、NF1関連pNFを有する小児の71%で部分奏効をもたらす(NCT01362803)。しかしながら、単剤MEKiに対するMPNSTの前臨床反応は、部分的であった。これは、ERK及び他のRASエフェクター経路の役割の理解の向上の必要性を示唆する。mTORシグナル伝達を含む更なるシグナル伝達経路が、MPNST腫瘍発生に関与するとされており、これらの経路の薬理学的阻害が提案された。更に、SUZ12又はEEDの機能喪失(LOF)によるポリコーム抑制複合体-2(PRC2)の不活性化が、MPNSTにおいて反復的に及び特異的に起こるが、その良性対応物pNFにおいては起こらず、RASに駆動される転写の増幅に関与するとされている。腫瘍抑制因子の不活性化と、発癌経路の活性化との間の複雑な協働が、NF1に駆動される腫瘍発生において起こる可能性が高く、2つ以上のRASエフェクター経路を阻害することが、完全な抗腫瘍効果に必要であり得る。
NF1遺伝子不活性化及びNF1タンパク質(ニューロフィブロミン)発現の喪失は、NF1-MPNSTの大部分を特徴付ける。NF1喪失が、MPNST発生のために必要であるが、それは、悪性転換のために十分でない。MPNSTの約50%は、散発性である(すなわち、生殖細胞系列NF1喪失を有さず、ひいてはNF1症候群を有さない患者において生じる)。散発性MPNSTのほとんどは、腫瘍における体細胞NF1喪失を有する。
TP53、CDKN2A、及びEED/SUZ12遺伝子の変化は、MPNST発生を促進する協働する二次的な遺伝子変化として報告された。しかしながら、これらのLOF変化のそれぞれの分子標的化は、独自の難題を示す。更に、転写解析研究が、RB1の負の調節因子であるRABL6Aを含む細胞周期促進遺伝子の上方制御された発現を明らかにした。CDKN2A(p16 INK4aをコードする遺伝子)の喪失、RBの不活性化、及びサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の過剰活性化は、小分子CDK4/6阻害剤(CDK4/6i)が、治療手法であり得ることを示唆する。しかしながら、CDK4/6iによる単剤療法が、CDK2過剰活性化及びE2F増幅などのバイパス機構のため、限られた有効性を示す。他の研究は、細胞周期調節因子オーロラキナーゼA(AURKA)及びpolo様キナーゼ(PLK1)の上方制御を示唆するが、オーロラキナーゼ又はPLK1阻害剤による単剤治療は、臨床試験において観察される、狭い治療指数、低いインビボ抗腫瘍活性を有し、客観的奏効をもたらさない。更に、組み合わされたCDK4/6i及びMEKiは、黒色腫、神経芽細胞腫、及び膵臓癌及びKRAS突然変異大腸癌の前臨床モデルにおいて相乗効果を実証した。MPNSTにおける、RASシグナル伝達に対するDサイクリンの依存性及びCDKN2Aの反復喪失を考慮して、CDK4/6iの細胞静止作用が、MPNSTにおいて、上流のRTK/RASの調節因子(SHP2)又はERK経路(MEKi)などの下流のRASシグナル伝達を標的とする薬物と一緒に、アポトーシスを誘導するように強化され得る。
単独のMEK阻害剤は、MPNSTにおいて有効でなく、このことは、MEKi、及び短期のMEK阻害時に浮上する適応的に変化したシグナル伝達要素を標的とする薬剤を用いた組合せ治療薬の探求を促す。MEK及び他の小分子阻害剤に対する「適応抵抗」は、過渡及び部分奏効をもたらす、受容体チロシンキナーゼ(RTK)又はそれらのリガンドのための遺伝子の転写誘導によって高頻度で起こる、シグナル伝達ネットワーク及び非ゲノムバイパス機構の動的な変化を含む。どのRTKが、MEKiに対するシグナル伝達適応として大きく上方制御されることになるかを予測できないことは、MEKi+RTKiの組合せ療法を設計する際の難題である。
NF1喪失の場合、十分に確認された発癌駆動因子であるRAS-MAPK経路が、RAS不活性化のこの障害のため、過剰活性化される。SHP2は、不活性なGDP結合状態から活性なGTP結合状態へのRASの移行を加速させる、RAS GTP負荷に関与する細胞質ホスファターゼである。したがって、SHP2の阻害は、NF1喪失のRAS活性化作用に対抗することが予測される。
したがって、RASエフェクター経路の阻害と一緒に、上流のRTKシグナル伝達からの集合点を表すシグナル伝達ノードを同時に標的化する手法が、必要となり、PTPN11/SHP2ホスファターゼが、そのような有望な標的を表す。SHP2は、複数の癌モデルにおいてRTK再活性化及びMEKiによって駆動される適応抵抗における中心ノードである。SHP2ホスファターゼは、RAS-GEF媒介性RAS-GTP負荷を促進し、不活性なGDP結合状態から活性なGTP結合状態へのRASの移行、及び細胞膜へのRASの動員を加速させ、したがって、RTK活性化が起こる場合、ほとんどのRTKによってRAS/ERK経路活性化のために必要とされる。SHP2阻害は、NF1喪失のRAS活性化作用に対抗する。NF1が、RASの不活性化に関与する一方、SHP2は、RASの活性化に関与する。
したがって、SHP2阻害(SHP2i)及び組合せSHP2iは、例えば、NF1の喪失のため過剰活性RASを有する腫瘍におけるMEKiに対するシグナル伝達適応を克服するための手法であり得る。NF1関連MPNSTを有効に標的とする最適な治療手法を特定するために、阻害剤誘導性経路再活性化を阻害する合理的な組合せ療法を設計することが必要とされている。
TNO155は、野生型SHP2のファースト・イン・クラス(first-in-class)のアロステリック阻害剤である。SHP2は、2つのN末端SH2ドメイン、古典的なPTPドメイン、及びC末端尾部から構成される、遍在的に発現される非受容体タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)である。ホスファターゼ活性は、PTPドメイン(閉鎖立体配座)に結合する2つのSHP2ドメインによって自己阻害される。受容体チロシンキナーゼ(RTK)が活性化すると、SHP2が、細胞膜に動員され、ここで、それは、活性化RTK及びいくつかのアダプタータンパク質と結合して、RAS/ERK経路を活性化することによってシグナル伝達を中継する。TNO155は、SHP2の不活性な又は「閉鎖」立体配座に結合し、それによって、それが開いて活性な立体配座になるのを防ぐ。これは、活性化RTKから、下流のRAS/ERK経路へのシグナル伝達を防ぐ。
TNO155は、広範なRTK依存性ヒト癌細胞株及びインビボ異種移植片において有効性を実証した。SHP2阻害は、低下したレベルのリン酸化ERK1/2(pERK)及び二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)mRNA転写産物の下方制御などの、ERKシグナル伝達経路内のバイオマーカーを評価することによって測定され得る。KYSE-520(食道扁平上皮細胞癌)及びDETROIT-562(咽頭扁平上皮細胞癌)癌細胞株において、インビトロpERK IC50はそれぞれ、8nM(3.4ng/mL)及び35nM(14.8ng/mL)であり、抗増殖IC50はそれぞれ、100nM(42.2ng/mL)及び470nM(198.3ng/mL)であった。TNO155の抗増殖効果は、RTKシグナル伝達に依存している癌細胞株において最も有効であることが示された。インビボで、経口投与されるTNO155(20mg/kg)によるSHP2阻害は、1日2回のスケジュールで投与された場合、EGFR依存性DETROIT-562癌細胞株においてDUSP6 mRNA転写産物の約95%の減少、及び47%の退縮を達成した。用量分割(dose fractionation)試験は、腫瘍DUSP6バイオマーカーの調節と組み合わされて、50%のPD阻害が、投与間隔の少なくとも80%で到達されたときに、最大の有効性が達成されることを示す。癌細胞におけるERK経路とCDK4/6複合体との間の広範なクロストークを考慮して、TNO155と選択的CDK4/6阻害剤、リボシクリブとの組合せが、検討された。
リボシクリブ(LEE011、Kisqali(登録商標))は、サイクリン依存性キナーゼ4及び6(CDK4/6)の経口投与可能な、高度選択的な小分子阻害剤である。リボシクリブは、ランダム化二重盲検プラセボ対照国際臨床試験(MONALEESA-2[CLEE011A2301])に基づいて、アロマターゼ阻害剤(AI)と組み合わせた、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の進行又は転移性乳癌を有する閉経後の女性の処置のための初期の内分泌ベース療法として、米国食品医薬品局(the United States Food and Drug Administration)(U.S.FDA)及び欧州委員会(the European Commission)を含むいくつかの保健機関によって承認されている。2018年7月18日に、米国食品医薬品局(the U.S.FDA)は、初期の内分泌ベース療法として、AIと組み合わせたリボシクリブの適応を、HR陽性、HER2陰性の進行又は転移性乳癌を有する閉経前/閉経周辺期の女性を含むように拡大した。適応拡大は、初期の内分泌ベース療法として又は内分泌療法中の疾患進行後に、HR陽性、HER2陰性の進行又は転移性乳癌を有する閉経後の女性のための、フルベストラントと組み合わせたリボシクリブも含む(それぞれ、MONALEESA-7[CLEE011E2301]及びMONALEESA-3[CLEE011F2301])。HR陽性、HER2陰性の進行又は転移性乳癌における更なる販売承認が、世界中の保健機関によって検討中である。HR陽性乳癌患者の処置のための更なる第III相臨床試験、並びにいくつかの他の第I相又は第II相臨床試験が、実施中である。
リボシクリブは、他のサイクリン依存性キナーゼと比べて、CDK4/6に対する高度の選択性を示しながら、生化学アッセイにおいてそれぞれ0.01及び0.039μMのIC50値で、CDK4/サイクリンD1及びCDK6/サイクリンD3酵素複合体を阻害する。多様な癌型に由来する40超のRb陽性細胞株において、リボシクリブは、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)リン酸化を阻害し、G1期からS期への細胞周期進行を妨げた。対照的に、系統を一致させたRb陰性細胞株において、細胞周期進行に対するリボシクリブの効果は観察されなかった。
リボシクリブは、以下に限定されないが、乳房悪性腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、悪性ラブドイド、肺、膵臓及び血液の悪性腫瘍を含む腫瘍異種移植モデルのサブセットにおいてインビボ抗腫瘍活性を実証した。更に、リボシクリブは、RAF、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)、ホスホイノシタイド3-キナーゼ(PI3K)及びラパマイシン(mTOR)経路の哺乳類標的の阻害剤を含む、サイクリンDレベルを調節することが知られているシグナル伝達経路を阻害する標的化薬剤と組み合わせたときに、抗腫瘍活性を示した。
TNO155は、試験CTNO155B12101においてリボシクリブと組み合わせて現在調査されている。
NF1-MPNSTの現在の治療選択肢は限られており、局所再発のリスクを低下させるために、限局性疾患のための手術及び放射線療法がある。細胞傷害性化学療法を用いた前向き研究のみが、NF1の患者においてドキソルビシン及びイホスファミド処置後に約17%(5/29の対象)の奏効率を実証しており、これは、MPNSTが、化学療法に対して最小限に応答することを示唆している。同様の応答が、転移性疾患のための様々な化学療法剤を用いて報告されている。更に、マウスNf1 MPNST前臨床試験において非常に有効であった多くの分子標的治療が、ヒト臨床試験に移行されると、有効でないことが分かった。前臨床所見から臨床への移行がうまくいかないことは、2つの大きな障壁を反映するものと考えられる:(1)現行の前臨床モデルは、ヒトMPNSTにおいて観察される遺伝子異質性の範囲を反映しないこと、及び(2)処置が、単一遺伝モデルを用いて現在捕捉されない分子サブタイプに基づいて可変の有効性を示し得ること。患者由来モデルを作成することによって、MPNSTの分子サブタイプの範囲は、様々なMPNSTが治療法に対してどのように応答するかを決定するために、よりよく特徴付けられ得る。
この重大な問題に対処するために、ヒト条件で見られる遺伝的異質性をより広く反映する一連の患者由来MPNST異種移植片が、生成された。従来の細胞株の代わりにPDX株を生成する優先性は、2つの科学的原理によって導かれた。第1に、PDX株は、より初期の継代で元の腫瘍を反映することが示された。第2に、PDX株は、部分的に、それらがプラスチック上で増殖されず、宿主の外で増殖に適応させられないため、従来の細胞株より遺伝的浮動の影響を受けにくいものと考えられる。
以下の実施例1は、免疫不全NRG又はNSGマウスにおいて増殖された、生成されたNF1-MPNST患者由来異種移植片(PDX)株を使用する。それらは、生殖細胞系列及び体細胞NF1突然変異、並びにCDKN2Aの喪失、TP53突然変異、EED/SUZ12突然変異、及び多くのコピー数変化を含む、NF1の患者に見られるゲノム変化の範囲を有する。以下の実施例1に示される前臨床データは、SHP2阻害剤、TNO155、及びCDK4/6阻害剤、リボシクリブの組合せが、NF-1関連MPNSTにおいて組合せ効果を発揮するというエビデンスを提供する。
医薬組成物
別の態様において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、治療的に有効な量のTNO155及びリボシクリブを含む、薬学的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載されるように、本発明の医薬組成物は、固体又は液体の形態での投与用に特別に製剤化されていてもよく、経口投与に適合するもの、例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、タブレット、例えば、口腔内、舌下、及び体内吸収を対象とするもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌への塗布用のペーストが挙げられる。
本明細書中で用いられるフレーズ「治療的に有効な量」は、あらゆる医学的処置に適用可能な、合理的な利益/リスク比にて、動物中の細胞の少なくとも亜集団において、多少の所望の治療効果をもたらすのに有効な、本発明の化合物を含む化合物、材料、又は組成物の量を意味する。
フレーズ「薬学的に許容される」は、合理的な利益/リスク比に相応した、過剰な毒性も、炎症も、アレルギー反応も、他の問題も合併症もなしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触させての使用に適した、化合物、材料、組成物、及び/又は剤型に言及するのに、本明細書中で使用される。
本明細書中で用いられるフレーズ「薬学的に許容されるキャリア」は、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、若しくはステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸)、又は、一方の臓器、若しくは体の一部から、もう一方の臓器、若しくは体の一部への対象化合物の運送又は運搬に関与する材料をカプセル化する溶媒を意味する。各キャリアは、製剤の他の成分と適合するという意味において、「許容可能」でなければならず、且つ患者に有害であってはならない。薬学的に許容されるキャリアとして供給することができる材料の一部の例として:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;(4)粉末トラガカントゴム;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオバター及び坐薬ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)アガー;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ無水物;並びに(22)医薬の調合に使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
先で提示したように、本化合物の特定の実施形態は、塩基性の官能基、例えばアミノ基又はアルキルアミノ基を含有してもよく、そしてこのため、薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される酸により形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この点で、本発明の化合物の比較的非毒性の無機酸付加塩及び有機酸付加塩を指す。この塩は、投与ビヒクル中に、若しくは剤型製造プロセスにおいて、又は本発明の精製された化合物を、その遊離塩基形態で、適切な有機酸若しくは無機酸と別個に反応させて、こうして形成された塩を、以降の精製の間に単離することによって、in situで調製することができる。代表的な塩として、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナプシル酸(napthylate)塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.66:1-19参照)。
対象化合物の薬学的に許容される塩として、例えば非毒性の有機酸又は無機酸由来の、化合物の従来の非毒性の塩、又は四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性の塩として、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等に由来するもの;及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等から調製される塩が挙げられる。例えばTNO155の薬学的に許容される塩は、コハク酸塩である。
その他の場合、本発明の化合物は、1つ以上の酸性の官能基を含有してもよく、そしてこのため、薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される塩基により形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この場合には、本発明の化合物の比較的非毒性の無機塩基付加塩及び有機塩基付加塩を指す。この塩は、同様に、投与ビヒクル中に、若しくは剤型製造プロセスにおいて、又は精製された化合物を、その遊離酸形態で、適切な塩基、例えば薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは重炭酸塩と、アンモニアと、又は薬学的に許容される有機一級、二級、若しくは三級アミンと別個に反応させることによって、in situで調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩として、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとして、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びピペラジン等が挙げられる(例えば、前掲のBerge et al.参照)。
また、湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香料、及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤が、組成物中に存在してもよい。
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所的(口腔内及び舌下が挙げられる)、直腸、膣、及び/又は非経口投与に適したものが挙げられる。製剤は、好都合には、ユニット剤型で提示されてもよく、そして薬学の技術において周知であるあらゆる方法によって調製されてもよい。キャリア材料と組み合わされて単一の剤型を作製することができる活性成分の量は、処置されることとなる宿主、特定の投与モードに応じて変わることとなる。キャリア材料と組み合わされて単一の剤型を作製することができる活性成分の量は、通常、治療効果をもたらす化合物の量となるであろう。通常、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントに及ぶこととなる。
特定の実施形態において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸、及びポリマーキャリア、例えばポリエステル及びポリ無水物からなる群から選択される賦形剤;並びに本発明の化合物を含む。特定の実施形態において、上述の配合により、本発明の化合物は、生物が経口的に利用可能となる。
この製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、キャリアと、そして場合によっては1つ以上の副成分と結合させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液体キャリア、若しくは微細に分割された固体キャリア、又は双方と一様に、且つ緊密に結合させ、そしてその後必要ならば、生成物を成形することによって、調製される。
経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル、カシェ、ピル、タブレット、ロゼンジ(風味をつけたベース、通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムを用いる)、粉末、顆粒の形態であってもよいし、水性又は非水性の液体中の溶液、懸濁液、又は固体分散系としてあってもよいし、水中油又は油中水の液体エマルジョンとしてあってもよいし、エリキシル又はシロップとしてあってもよいし、トローチ(不活性のベース、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムを用いる)としてあってもよいし、うがい薬等としてあってもよく、それぞれ、所定の量の本発明の化合物を活性成分として含有する。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、又はペーストとして投与されてもよい。
経口投与用の本発明の固体剤型(カプセル、タブレット、ピル、ドラジェ、粉末、顆粒、トローチ(trouches)等)中で、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又は以下のいずれかと混合されている:(1)フィラー若しくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/若しくはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/若しくはアラビアゴム;(3)湿潤剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤(solution retarding agent)、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物及び界面活性剤、例えばポロキソマー及びラウリル硫酸ナトリウム;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物;(10)着色剤;並びに(11)放出制御剤、例えばクロスポビドン若しくはエチルセルロース。カプセル、タブレット、及びピルの場合、医薬組成物は、緩衝剤を含んでもよい。また、類似の型の固体組成物は、ラクトース又は乳糖のような賦形剤、及び高分子量ポリエチレングリコール等を用いるソフトシェルゼラチンカプセル及びハードシェルゼラチンカプセル中で、フィラーとして使用されてもよい。
タブレットは、場合によっては1つ以上の副成分と共に、圧縮又は成形によって製造されてもよい。結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤、又は分散剤を用いて、圧縮タブレットが調製されてもよい。適切な機械において、不活性の希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって、成形タブレットが製造されてもよい。
本発明の医薬組成物のタブレット及び他の固体剤型、例えば、ドラジェ、カプセル、ピル、及び顆粒は、場合によっては、コーティング及び殻、例えば、医薬製剤技術において周知の腸溶コーティング及びその他のコーティングでスコア化又は調製されてもよい。また、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/又はマイクロスフェアを、所望の放出プロファイルを実現するような様々な割合で用いて、活性成分の徐放又は制御放出を実現するように製剤化されてもよい。例えば凍結乾燥させて、迅速に放出するように製剤化されてもよい。例えば、細菌保持フィルタによる濾過によって、又は滅菌水若しくは一部の他の滅菌注射可能な媒体中に使用直前に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されてもよい。この組成物はまた、場合によっては乳白剤を含有してもよく、そして消化管のある部分において活性成分のみを、又は優先的に、場合によっては遅らせて、放出する組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物(embedding composition)の例として、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。また、活性成分は、適切な場合、先に記載される賦形剤の1つ以上と共に、ミクロカプセル化された形態であってもよい。
本発明の化合物の経口投与用の液体剤型として、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤型は、当該技術において一般的に用いられている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味剤、着色剤、芳香剤、並びに保存剤を含んでもよい。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、ミクロクリスタリンセルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、並びにトラガカントゴム、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
本発明の医薬組成物に使用されてもよい適切な水性キャリア及び非水性キャリアの例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合液、植物油、例えばオリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えばレシチンの使用によって、分散系の場合に必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって、維持することができる。
この組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含有してもよい。対象化合物に及ぶ微生物の作用の予防が、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸(phenol sorbic acid)の包含によって確実にされてもよい。また、等張剤、例えば糖及び塩化ナトリウム等を組成物中に含むことが所望されてもよい。
本発明の化合物は、医薬として患者に投与される場合、それ自体が与えられてもよいし、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、例えば、0.1~99%(より好ましくは10~30%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えられてもよい。
本発明の化合物(適切な水和形態で用いられてもよい)、及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に知られている従来の方法によって、薬学的に許容される剤型に製剤化される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与モードについて、患者に有毒であることなく、所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量が得られるように変化してもよい。
選択された投薬量レベルは、使用される本発明の特定の化合物、又はそのエステル、塩、若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用されることとなる特定の化合物の排泄又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、処置の継続期間、使用される特定の化合物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物、及び/又は材料、処置されることとなる患者の年齢、性別、体重、症状、健康状態、及び先の病歴、並びに医術において周知であるような要因が挙げられる、種々の要因によって決まることとなる。
当該技術の通常の技能を有する医師であれば、必要とされる医薬組成物の有効な量を容易に決定且つ処方することができる。例えば、医師であれば、所望の治療効果を達成し、且つ、所望の効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増大させるのに必要とされるよりも低いレベルにて、医薬組成物中で使用される本発明の化合物の用量をスタートさせることができるであろう。
一般に、本発明の組合せの適切な一日用量は、治療効果をもたらすのに有効な、最も低い用量である各化合物の量となるであろう。そのような有効量は、通常、先に記載される要因によって決まることとなる。
別の態様において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、先に記載される、治療的に有効な量の1つ以上の対象化合物を含む、薬学的に許容される組成物を提供する。
TNO155、リボシクリブ及びトラメチニブ
(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)を、国際公開第2015/107495号パンフレットの実施例69に従って合成する。7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(リボシクリブ)を、国際公開第2010/020675号パンフレットの実施例74に従って合成する。N-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミド(トラメチニブ)を、国際公開第2005/121142号パンフレットの実施例4-1に従って合成する。国際公開第2015/107495号パンフレット、国際公開第2010/020675号パンフレット及び国際公開第2005/121142/号パンフレットは、全体が参照により本明細書に援用される。
SHP2、MEK及びCDK4/6は、MPNSTにおけるRASエフェクターシグナル伝達における重要なノードであり、これらの分子の阻害剤の組合せが、相乗的な抗腫瘍活性を有し得る。PDXモデルにおけるTNO155単剤及び組合せ療法(TNO155+リボシクリブ)、(リボシクリブ+トラメチニブ)のインビボ抗腫瘍効果及び毒性を試験した(実施例1)。
実施例1
NF1-MPNST患者由来異種移植片(PDX)モデルにおけるTNO155単剤並びにTNO155+リボシクリブ又はリボシクリブ及びトラメチニブの組合せ効果
実施例1のPDXモデルを、Dehrner,et al.,JCI Insight 2021;6(6):e146351及びPollard,K.,et al.,Sci Data,2020;7:184)に従って作成し、特性評価した。NRG(NOD-Rag1null IL2rgnull、NOD rag γ)マウスが、全ての実験に使用される。
SHP2i(TNO155(A)7.5mg/kg)及びCDK4/6i(リボシクリブ(B)、75mg/kg、1日1回(週に5日)、ヒト等価用量の半分(half-human equivalent)のRP2Dで)及びMEKi(トラメチニブ(C)0.075mg/kg又は0.15mg/kg、1日1回)を、強制経口投与によってNRGマウスに投与した。腫瘍反応、生存及び毒性データを収集し、分析した。腫瘍を形成するために、50%のMatrigel(BD Biosciences)中の100万~200万個のNF1-MPNST PDX由来細胞(JH-2-031、JH-2-079、JH-2-002、WU-225、WU-386、又はWU-545))を、4~6週齢の雌NRGマウスに皮下注射した。腫瘍を測定し、腫瘍が形成され始めたら、マウスを、週2回秤量した。腫瘍が150~200mmに達したときから開始して、薬物を投与した。マウスを、最大で42日間にわたって、ビヒクル、単剤(A又はB又はC)又は組合せ(A+B又はB+C)で処置した。各群は、3~5匹のマウスからなっていた。腫瘍体積を、式:V=L×W(π/6)(式中、L=最長直径及びW=幅である)を用いて計算した。
図1は、PDXモデルJH-2-031、WU-225、WU-386、WU-545、JH-2-079及びJH-2-002におけるSHP2i(TNO155)+CDK4/6i(リボシクリブ)の組合せについての結果を示す。
図2は、PDXモデルJH-2-031、WU-225、WU-386、WU-545及びJH-2-079におけるCDK4/6i(リボシクリブ)及びMEKi(トラメチニブ)の組合せについての結果を示す。
組合せ効果が、試験される5つのインビボPDXにおいて明らかであった。一部のPDXモデルが、最初の4週間の治療中にSHP2i単独又はSHP2i+CDK4/6iに対する同様の応答を実証したが、より持続した増殖阻害が、組合せによってもたらされたことが分かった。それぞれのコホートから、処置エンドポイント(4週間)の4時間後に収集されたWU-386腫瘍における薬理学的調査は、SHP2i単独又はSHP2i/CDK4/6i組合せのいずれかで処置された腫瘍におけるp-ERKレベルの低下を実証し、組合せが、TNO155より高いp-ERK阻害をもたらした。これは、SHP2及びCDK4/6の組み合わされた阻害が、NF1関連MPNSTの患者由来モデルにおいて有効であり、持続的応答を生じ、MPNSTの患者のための新規な処置手法であることを実証する。
実施例2
天然NF1-MPNST細胞株及びトラメチニブ耐性株におけるTNO155単剤及びTNO155+リボシクリブの組合せのインビトロ分析
10の天然NF1-MPNST細胞株(ST8814Par、NF90.8Par、S462、NF96.2、NF10.1、NF11.1、JH-2-002、JH-2-031、JH-2-079及びJH-2-103)及び2つのトラメチニブ耐性株(ST8814Res及びNF90.8Res)を、約1週間にわたってDMSO、TNO155(0.3、1及び3μM)、リボシクリブ(1及び3μM)又はそれらの組合せで処置した。細胞数を、トリパンブルー色素排除アッセイ(Sigma-Aldrich)を用いて計数し、DMSO対照に対して正規化した。図3は、結果をヒートマップとして示す。10の天然NF1-MPNST細胞株は、TNO155単剤に対する部分的な感受性を示し、より深い応答が、TNO155単独と比べて、TNO155+リボシクリブの組合せで観察された。TNO155単剤は、限られた活性を有することが分かったが、組合せ効果が、2つのMEKi耐性細胞株モデルにおいて見られた。
実施例3
天然NF1-MPNST細胞株及びトラメチニブ耐性株におけるTNO155単剤及びTNO155+リボシクリブの組合せのインビトロ分析
11のNF1-MPNST細胞株を、約2週間にわたってDMSO、TNO155(0.3、1及び3μM)、リボシクリブ(1及び3μM)又はそれらの組合せで処置した。細胞を、PBSで洗浄し、10%の中性緩衝ホルマリンで固定し、次に、0.1%のクリスタルバイオレットで染色した。図4は、TNO155及びリボシクリブが、いくつかのNF1-MPNST細胞株において組合せ効果を有することを示す。
TNO155及びリボシクリブの組合せは、MPNSTのインビトロ細胞株モデル並びにインビボ患者由来異種移植片(PDX)MPNSTモデルにおいて調査された。細胞株モデルにおいて、抗腫瘍活性が、両方の単剤で観察され、これは、組合せにおいて強化された(図1~4を参照)。機構的に、TNO155及びリボシクリブの組合せは、いずれかの単独の薬物と比較して、低下したERKシグナル伝達及びCDK4-サイクリンD1活性をもたらした。NF1関連MPNSTのインビボ患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいて、TNO155は、単剤としてかなりの抗腫瘍活性を示し、これは、リボシクリブの添加によって、いくつかのモデルにおいて強化された。インビトロ及びインビボでの観察は、TNO155及びリボシクリブの組み合わされた使用が、より深い持続的応答を生じ、MEKi(トラメチニブ)耐性を克服することができることを示す。TNO155及びリボシクリブの組合せは、以前の良性腫瘍神経線維腫のためにMEK阻害剤処置を受け、獲得耐性を生じたMPNST患者のため、及びMEK阻害剤に対する内因性耐性を示すMPNST患者のための、潜在的な処置手法になり得る。
本明細書中に記載される実施例及び実施形態は、説明を目的とするだけであり、それらを考慮した種々の修飾又は変更が、当業者に示唆されているであろうこと、そして本出願及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれ得ることが理解される。

Claims (20)

  1. 悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のSHP2阻害剤を投与することを含む方法。
  2. 前記悪性末梢神経鞘腫瘍が、転移性、切除不能、散発性であるか、神経線維腫症1型に関連するか又は放射線療法に関連する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記SHP2阻害剤が、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンが、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記投与スケジュールが、連続した、2週間の投薬/1週間の休薬又は3週間の投薬/1週間の休薬から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(a)SHP2阻害剤;及び(b)CDK4/6阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
  7. 前記悪性末梢神経鞘腫瘍が、散発性であるか、神経線維腫症1型に関連するか又は放射線療法に関連する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記SHP2阻害剤が、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項6又は7に記載の方法。
  9. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンが、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記投与スケジュールが、連続した、2週間の投薬/1週間の休薬又は3週間の投薬/1週間の休薬から選択される、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記CDK4/6阻害剤が、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(a)MEK阻害剤;及び(b)CDK4/6阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
  15. 前記悪性末梢神経鞘腫瘍が、散発性であるか、神経線維腫症1型に関連するか又は放射線療法に関連する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記MEK阻害剤が、N-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミド、又はその薬学的に許容される塩である、請求項14又は15に記載の方法。
  17. N-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミドが投与され、1日当たりのジメチルスルホキシドが、1日に約0.5、1、1.5及び2mgの用量で経口投与される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記CDK4/6阻害剤が、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドが、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
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