JP2024517508A - 3次元ワークピースを製造するための照射システムの制御方法、照射システム、コンピュータプログラム製品及び装置 - Google Patents
3次元ワークピースを製造するための照射システムの制御方法、照射システム、コンピュータプログラム製品及び装置 Download PDFInfo
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Abstract
3次元ワークピース110を製造するために原料粉末の層を放射線ビーム14で照射するための照射システム10を制御する方法を説明する。この方法は、照射される少なくとも1つの原料粉末層に対して、複数の照射区画20を含む走査パターンを形成するステップであって、複数の照射区画20のそれぞれの内部で、複数の走査ベクトルVが規定され、複数の走査ベクトルVに従って放射線ビーム14が原料粉末層を横切って走査される、ステップと、複数の照射区画20のそれぞれについて、照射区画20がダウンスキン領域22を含むかどうかを判定するステップと、複数の照射区画20のそれぞれについて、照射区画20がダウンスキン領域22を含むかどうかの判定に応じて、照射区画20内の操作ベクトルVが次々に走査される走査順序方向Sを規定するステップと、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、3次元ワークピースを製造するために原料粉末の層を放射線ビームで照射するための照射システムを制御する方法を対象とする。さらに、本発明は、この種の照射システムと、コンピュータプログラム製品が1つ又は複数の計算装置上で実行されるときに照射システムを制御する方法を実施するためのプログラム部分を含むコンピュータプログラム製品と、を対象とする。最後に、本発明は、3次元ワークピースを製造するための装置を対象とする。
積層造形法では、固化して相互接続された一連のワークピース層を生成することにより、ワークピースを層ごとに製造する。このようなプロセスは、原料の種類及び/又はワークピースを製造するために当該原料を固化する方法によって区別される場合がある。
例えば、粉末床溶融結合が、粉末、特に、金属及び/又はセラミックの原料を複雑な形状の3次元ワークピースに加工することができる積層造形プロセスである。そのために、原料粉末層を担体上に塗布し、製造されるワークピースの所望の形状に応じて部位選択的にレーザ照射を実施する。粉末層に浸透するレーザ放射は、加熱を引き起こし、その結果、原料粉末粒子が溶融するか焼結する。次いで、ワークピースが所望の形状及びサイズになるまで、すでにレーザ処理を受けた担体上の層にさらに原料粉末層を連続的に塗布する。CADデータに基づいて、試作品、工具、交換部品、高価値部品又は、例えば、歯科用又は整形外科用の補綴物などの医療用補綴物の製造又は修理に、粉末床融合結合を採用する場合がある。
特許文献1(欧州特許第2786858号明細書)に記載されているような粉末床溶融結合により3次元ワークピースを製造するための例示的な方法及び装置では、処理チャンバ内に所望の雰囲気を確立し、処理チャンバ内の不純物を排出するために、処理チャンバを通って導かれる保護ガス流を処理チャンバに供給する。照射装置の動作を制御して、照射装置の少なくとも1つの放射線源によって放射される放射線ビームを、複数の走査ベクトルを含む放射線パターンに従って原料粉末の層全体に導く。走査ベクトルは、処理チャンバを通って流れるガス流の流れの方向に応じて方向づけられる。
走査ベクトルの始点では、細孔又は欠陥が形成されやすい。そのような細孔又は欠陥は、特に、ダウンスキン領域とも呼ばれるオーバーハング領域に細孔又は欠陥がある場合、製造されたワークピースの品質に影響を及ぼす可能性がある。オーバーハング領域は、以前に固化したワークピース層の上ではなく、固化していない粉末の上にある粉末層を照射することによって生成されるワークピース層の領域として理解される。
本発明の目的は、3次元ワークピースを製造するために原料粉末の層に放射線ビームを照射するための照射システムを制御する方法と、この種の照射システムと、高品質ワークピースの製造を可能にするコンピュータプログラム製品と、を提供することである。さらに、本発明は、高品質ワークピースの製造を可能にする3次元ワークピースを製造するための装置を対象とする。
本発明を独立請求項に記載する。本発明の好ましい実施形態を従属請求項に概説する。
3次元ワークピースを製造するために原料粉末の層を放射線ビームで照射するための照射システムを制御する方法を説明する。この方法では、照射される少なくとも1つの原料粉末層に対して、複数の照射区画を含む走査パターンを規定する。複数の照射区画のそれぞれの内部で、複数の走査ベクトルを規定し、その走査ベクトルに従って放射線ビームが原料粉末層を横切って走査される。放射線ビームは、製造されるワークピースの対応する層の形状に従って、部位選択的な方法で原料粉末層を横切って導かれる電磁放射線又は粒子放射線のビームであってもよい。
照射システムは、放射線ビーム源、特に、レーザビーム源を備えてもよい。ここで、レーザビーム源は、連続レーザビーム、変調レーザビーム又はパルスレーザビームを放射するように構成されてもよい。さらに、照射システムは、放射線ビーム源によって放射された少なくとも1つの放射線ビームを分割したり、案内したり、及び/又は処理したりするための少なくとも1つの光学ユニットを備えてもよい。光学ユニットは、対物レンズ及びスキャナユニットなどの光学素子を備えてもよく、スキャナユニットは回折光学素子及び偏向ミラーを備えることが好ましい。照射システムは、原料粉末層を単一の放射線ビームで照射してもよい。しかし、このほか、照射システムが2つ以上の放射線ビームを原料粉末層に照射することが考えられる。
原料粉末層は、原料粉末を分散させるために担体を横切って移動する粉末塗布装置を用いて担体の表面上に塗布されてもよい。担体は、堅固に固定された担体であってもよい。しかし、好ましくは、担体は垂直方向に移動可能に設計され、その結果、ワークピースを原料粉末から層状に構築する際にその構築高さが増大するにつれて、担体は垂直方向下方に移動することができる。担体及び粉末塗布装置は、周囲雰囲気に対して密閉可能な処理チャンバ内に収容されてもよい。処理チャンバ内に所望の雰囲気を確立し、処理チャンバから不純物を排出するために、保護ガス流を処理チャンバを通して導いてもよい。処理チャンバ内の担体上に塗布された原料粉末は、金属粉末、特に、合金粉末であることが好ましいが、セラミック粉末又は異なる材料を含む粉末であってもよい。粉末は、任意の適切な粒径又は粒径分布を有してよい。しかし、粒径が100μm未満の粉末を処理することが好ましい。
走査パターンは縞模様であってもよい。ここで、各照射区画は縞模様の縞を形成する。しかし、このほか、走査パターンが格子模様、あるいは走査ベクトルのブロックが配置された複数の照射区画を備える他の任意の適切な走査パターンであることが考えられる。照射区画は、互いに隣接して配置されても、互いに重なり合って配置されてもよい。照射区画内の走査ベクトルは、典型的には、必ずしもではないが、互いに実質的に平行に延びる。照射区画内では、走査ベクトルは一方向であってもよい。即ち、照射区画内では、全走査ベクトルが同じ方向を向いていてもよい。しかし、このほか、照射区画内で、隣接する走査ベクトルが反対方向を向いていることが考えられる。走査パターンが縞模様である場合、縞内の走査ベクトルは、縞の長手方向軸に対して実質的に直交して延びてもよい。しかし、このほか、縞の長手方向軸に対する走査ベクトルの他の方向が考えられる。
好ましい実施形態では、複数の照射区画の少なくとも一部について、好ましくは、複数の照射区画のそれぞれについて、照射区画がダウンスキン領域を含むかどうかを判定してもよい。「ダウンスキン領域」とは、以前に凝固したワークピース層領域の上ではなく、未凝固粉末の上に位置する照射区画の領域と理解される。このため、ダウンスキン領域では、少なくとも1つの走査ベクトルが、その長さの少なくとも一部にわたって未凝固の固まっていない粉末を横切って延びる。ダウンスキン領域は、生成されるワークピース層のオーバーハング領域を形成することを目的としている。
複数の照射区画のそれぞれについて、照射区画内の走査ベクトルが次々に走査される走査順序方向を、照射区画がダウンスキン領域を含むかどうかの判定に応じて規定してもよい。走査順序方向は、照射区画内で走査ベクトルに対して実質的に直交して延びる可能性も否定できない。例えば、走査パターンが、走査ベクトルが互いに実質的に平行であり、縞の長手方向軸に対して実質的に直交して配置された状態の縞模様である場合、走査順序方向は、走査ベクトルに対して実質的に直交し、ひいては縞の長手方向軸に対して実質的に平行に延びる。上記で規定した方法のステップは、製造されるワークピース層の少なくとも1つ、好ましくは、それぞれに対して実施されてもよい。
代替実施形態では、オーバーハング領域又はダウンスキン領域を含むワークピースの領域、あるいは部品成長方向が存在するワークピースの領域を最初に判定することがあり得る。次に、照射区画の位置をこの判定の結果と比較することができる。
ここで説明する方法では、走査順序方向を規定する際に、照射区画内のダウンスキン領域の存在を考慮する。これにより、ワークピースのオーバーハング領域を形成する際に発生する可能性のある細孔の形成又は反りなどの品質問題に対処することができる。上記の照射区画の走査順序方向を規定する際に、照射区画でのダウンスキン領域の存在を考慮することは、特に、支持構造によって支持されずにオーバーハングを形成する必要がある場合に、オーバーハング、特に、水平面に対してオーバーハング角度が40°未満、30°未満又は20°未満のオーバーハングなどの低角度のオーバーハングを含むワークピースの製造では特に有利である。
走査順序方向は、照射区画がダウンスキン領域をすでに含んでいるかどうかの事前の判定に従って、即ち、製造されるワークピースの層(スライシング)及び走査パターン(ハッチング)を設定することに応じて、規定されてもよい。これは、例えば、適切なシミュレーション及び/又はスライシング/ハッチングのツールを使用することによって達成されてもよい。しかし、このほか、製造されるワークピース層の照射区画でのダウンスキン領域の存在を考慮せずに予備的な走査順序方向を規定し、その後、必要に応じて走査順序方向を再規定する、即ち、方向を変えることが考えられる。
ダウンスキン領域を含む少なくとも1つの照射区画については、走査順序方向は、固体上領域からダウンスキン領域の方向を指すように規定される。これは特に、ダウンスキン領域を含む全照射区画に適用されてもよい。ダウンスキン領域と固体上領域の両方を含む照射区画の場合、走査順序方向を規定するベクトルには、固体上領域に位置する始点とダウンスキン領域に位置する終点が含まれてもよい。照射区画がダウンスキン領域から構成される場合、即ち、固体上領域を含まない場合、走査順序方向を規定するベクトルの始点を、当該ベクトルの終点よりも固体上領域に近く配置してもよい。
いずれの場合も、固体上領域からダウンスキン領域の方向を指すように規定された走査順序方向により、固まっていない粉末上ではなく固体上領域のできるだけ近くでダウンスキン領域の照射が開始されることを確実なものにする。その結果、ダウンスキン領域内の各走査ベクトルは、以前に照射された走査ベクトルに直接隣接するか、少なくとも近接し、ひいては照射区画の以前に固化した領域に直接隣接するか、少なくとも近接して照射される。このため、固体上領域に構築されたワークピース層領域とダウンスキン領域に構築されたワークピース層領域との間の接続のほか、ダウンスキン領域に構築されたワークピース層領域全体の品質を向上させることができる。
ダウンスキン領域を含まない、即ち、固体上領域から構成される照射区画については、走査順序方向は、固体上領域から、別の照射区画、例えば、隣接する照射区画のダウンスキン領域の方向を指すように規定されてもよい。しかし、このほか、ダウンスキン領域を含まない照射区画については、走査順序方向は、原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの方向に従って規定されることが考えられる。具体的には、走査順序方向は、原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの方向と反対の向きの成分を含むように、規定されてもよい。結果として、放射線ビームが原料粉末に衝突する処理ゾーンにて、放射線エネルギーを吸収したり、及び/又は放射線ビームを遮蔽したりする可能性のある粒子状不純物の妨害効果を低減するか、回避することができる。
ダウンスキン領域を含む照射区画については、走査順序方向は、走査順序方向と部品成長方向との間の角度が90°以下となるように規定されてもよい。本出願の文脈では、「部品成長方向」という用語は、構成要素の境界が2つの層間で移動する方向を規定するものである。これは、ワークピース層全面に対して規定されることがあり得る。即ち、その結果、部品成長方向は、重心の移動の方向又はワークピースの領域/境界の方向に対応する。この場合、複数の部品成長方向が存在することがあり得る。例えば、部品成長方向は、固体上領域と照射区画のダウンスキン領域との間の境界に対して実質的に直交して延びてもよい。走査順序方向と部品成長方向との間の角度が90°以下であると、走査順序方向を規定するベクトルが部品成長方向と同じ方向に延びる成分を有し、その結果、走査順序方向が固体上領域からダウンスキン領域の方向を向くのを確実なものにする。
走査順序方向と部品成長方向との間の角度が90°以下となるような走査順序の設定は、事前に、即ち、スライシング及びハッチング手順で実施されてもよい。しかし、このほか、第1のステップにて予備走査順序方向を規定し、第2ステップにて予備走査順序方向と部品成長方向との間の角度が90°を上回るダウンスキン領域を含む照射区画が存在するかどうかを検討し、最後に、走査順序方向と部品成長方向の間の角度が90°以下であるという基準を満たすように、走査順序方向を変更することが考えられる。
これとは別に、あるいはこれに加えて、この方法は、照射区画のダウンスキン領域内の第1のエッジ走査ベクトルについて、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する第1のエッジ走査ベクトルの終点の数を判定するステップを含んでもよい。さらに、ダウンスキン領域内の第2のエッジ走査ベクトルについて、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する第2のエッジ走査ベクトルの終点の数を判定してもよい。本出願の文脈では、「エッジ走査ベクトル」という用語は、照射区画のダウンスキン領域の端にある走査ベクトル、即ち、ダウンスキン領域の境界に隣接する走査ベクトルを規定する。
走査順序方向は、第1又は第2のエッジ走査ベクトルのうち、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する終点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する終点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、規定されてもよい。
照射区画のダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルについて、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのいずれも固体上領域と接触する終点を有していないと判定された場合、即ち、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのそれぞれがダウンスキン領域内で開始され、終了する場合、この方法は、第1のエッジ走査ベクトルについて、第1のエッジ走査ベクトルの終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定するステップをさらに含んでもよい。さらに、第2のエッジ走査ベクトルについて、第2のエッジ走査ベクトルの終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定してもよい。本出願の文脈では、「固体上走査ベクトル点」という用語は、例えば、隣接する照射区画の固体上領域内にあるベクトル上の点を定義する。
走査順序方向は、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、規定されてもよい。例えば、例えば0.25mmの特定の半径を有する領域を、第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点周りに形成してもよく、その領域内に固体上走査ベクトル点がいくつ配置されるかを判定してもよい。しかし、もちろん、このほか、第1又は第2のエッジ走査ベクトルの終点周りに、任意の適切な形状であるが適切なサイズの非円形領域を形成し、このような領域内の固体上走査ベクトル点の数を分析することが考えられる。
走査順序の設定は、固体上領域と接触する第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数に応じて、事前に、即ち、スライシング及びハッチング手順に基づいて実施されてもよい。しかし、このほか、第1のステップで予備走査順序方向を規定し、上記の終点の数の基準及び/又は上記の固体上走査ベクトル点の数の基準が満たされていないダウンスキン領域を含む照射区画があるかどうかを検討し、最終的に上記の基準を満たすように走査順序方向を変更することが考えられる。
固体上領域と接触する第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数に応じた走査順序方向の規定は、ダウンスキン領域のみから構成された照射区画、即ち、固体上領域を含まない照射区画に特に適している。しかし、このほか、ダウンスキン領域と固体上領域とを含む照射区画の走査順序方向を設定するためにこのような基準を使用することが考えられる。
このほか、ダウンスキン領域がいくつかのダウンスキンベクトルブロックに及んでもよい。各ダウンスキンベクトルブロックは、1つの開始ベクトル及び1つの終了ベクトルと、走査順序方向とを含んでもよい。例えば、ダウンスキン領域にはいくつかのダウンスキン縞があってもよい。ここで、各縞は開始ベクトル及び終了ベクトルを含むダウンスキンベクトルブロックを形成する。走査順序方向は、ダウンスキンベクトルブロックごとに判定されてもよい。走査は、ブロックからブロックへの順序(固体から粉体への方向)を使用することによって、上述のように判定された各ブロックの走査順序方向を用いて、実施されてもよい。
固体上領域も含む照射区画のダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルについて、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのいずれも固体上領域と接触する終点を有していないと判定された場合、照射区画は、固体上領域内で第1の部分照射区画と第2の部分照射区画とに分割されてもよい。このため、第1及び第2の部分照射区画のそれぞれは、分割されていない照射区画の固体上領域の一部によって形成された固体上領域と、分割されていない照射区画のダウンスキン領域の一部によって形成されたダウンスキン領域と、を備える。
第1の部分照射区画に対して、第1の部分照射区画の固体上領域から第1の部分照射区画のダウンスキン領域の方向を指す第1の走査順序方向を規定してもよい。第2の部分照射区画に対して、第2の部分照射区画の固体上領域から第2の部分照射区画のダウンスキン領域の方向を指す第2の走査順序方向を規定してもよい。第1の走査順序方向と第2の走査順序方向は、逆方向を指してもよい。
走査ベクトルは、固体上領域からダウンスキン領域の方向を指すように一方向に向けられてもよい。このため、オーバーハングしたワークピース領域の品質をさらに向上させるために、照射区画平面での走査順序方向だけでなく、走査ベクトルの向きも「固体から粉体へ」の規則に従うように規定してもよい。
さらに、このほか、照射される少なくとも1つの原料粉末層について、原料粉末層内の照射区画を次々に照射する照射順序方向を、第1の照射区画から第2の照射区画の方向を指すように、規定することが考えられる。ここで、第2の照射区画は、第1の照射区画のダウンスキン領域範囲よりも大きいダウンスキン領域範囲を有する。この出願の文脈では、「ダウンスキン領域範囲」という表現は、ダウンスキン領域によって覆われる照射区画の割合を示す。この方法の実施形態では、このほか、オーバーハングしたワークピース領域の品質をさらに向上させるために、「固体から粉体へ」という規則に従うように、照射区画を次々に照射する照射順序方向を規定する。
3次元ワークピースを製造するために原料粉末の層に放射線ビームを照射するための照射システムには、制御ユニットが設けられる。制御ユニットは、排他的に照射システムに連動してもよい。しかし、このほか、制御ユニットが、3次元ワークピースを製造するために照射システムを装備した装置の動作を制御するための全体的な制御システムの一部を形成することが考えられる。制御ユニットは、照射される少なくとも1つの原料粉末層に対して、複数の照射区画を含む走査パターンを規定するように構成される。ここで、複数の照射区画のそれぞれの内部で、複数の走査ベクトルを規定し、走査ベクトルによって、放射線ビームが原料粉末層を横切って走査される。
さらに、制御ユニットは、複数の照射区画の少なくとも一部について、好ましくは、複数の照射区画のそれぞれについて、照射区画がダウンスキン領域を含むかどうかを判定し、複数の照射区画のそれぞれについて、照射区画がダウンスキン領域を含むかどうかの判定に応じて照射区画内の走査ベクトルが次々に走査される走査順序方向を規定するように構成されてもよい。
ダウンスキン領域を含む照射区画については、制御ユニットは、固体上領域からダウンスキン領域の方向を指すように走査順序方向を規定するように構成される。
ダウンスキン領域を含まない照射区画については、制御ユニットは、原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの方向に応じて走査順序方向を規定するように構成されてもよい。特に、走査順序方向は、原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの方向と反対に方向づけられた成分を含むように規定されてもよい。
ダウンスキン領域を含む照射区画については、制御ユニットは、走査順序方向と部品成長方向との間の角度が90°以下となるように走査順序方向を規定するように構成されてもよい。
制御ユニットは、照射区画のダウンスキン領域内の第1のエッジ走査ベクトルについて、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する第1のエッジ走査ベクトルの終点の数を判定し、固体上領域内にある第2のエッジ走査ベクトルについて、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する第2のエッジ走査ベクトルの終点の数を判定するようにさらに構成されてもよい。制御ユニットは、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する終点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、固体上領域と接触するか固体上領域上に位置する終点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、走査順序方向を規定するようにさらに構成されてもよい。
照射区画のダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルについて、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのいずれも固体上領域に接触する終点を有していないと判定された場合、制御ユニットは、第1のエッジ走査ベクトルについて、第1のエッジ走査ベクトルの終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定し、第2のエッジ走査ベクトルについて、第2のエッジ走査ベクトルの終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定するようにさらに構成されてもよい。制御ユニットは、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルのうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、走査順序方向を規定するようにさらに構成されてもよい。
固体上領域も含む照射区画のダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルについて、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのいずれも固体上領域と接触する終点を有していないと判定された場合、制御ユニットは、固体上領域での照射区画を第1の部分照射区画と第2の部分照射区画とに分割するようにさらに構成されてもよい。制御ユニットは、第1の部分照射区画に対して、第1の部分照射区画の固体上領域から第1の部分照射区画のダウンスキン領域の方向を指す第1の走査順序方向を規定し、第2の部分照射区画に対して、第2の部分照射区画の固体上領域から第2の部分照射区画のダウンスキン領域の方向を指す第2の走査順序方向を規定するようにさらに構成される。第1の走査順序方向と第2の走査順序方向は、逆方向を向いていてもよい。
走査ベクトルは、固体上領域からダウンスキン領域の方向を指すように一方向に方向づけられてもよい。
照射される少なくとも1つの原料粉末層について、制御ユニットは、原料粉末層内の照射区画が第1の照射区画から第2の照射区画の方向に向かうように次々に走査される照射順序方向を規定するように構成されてもよい。ここで、第2の照射区画は、第1の照射区画のダウンスキン領域範囲よりも大きいダウンスキン領域範囲を有する。
コンピュータプログラム製品には、コンピュータプログラム製品が1つ又は複数の計算装置上で実行されるときに、本開示を通じて説明するような実装例のいずれか1つ又は複数に従って概説する方法を実施するためのプログラム部分が含まれる。
原料粉末の層を放射線ビームで照射することによって3次元ワークピースを製造するための装置が、上述の照射システム及び/又は上述のコンピュータプログラム製品が保存されたコンピュータ可読記録媒体を備える。
本発明の好ましい実施形態を、添付の概略図を参照してさらに詳細に説明する。
図1は、原料粉末の層に放射線ビームを照射することによって3次元ワークピースを製造するための装置を示す。
図2は、固体上領域からダウンスキン領域の方向を指すような縞走査パターンの照射区画の走査順序方向の規定を示す。
図3は、オーバーハング領域を有する2つの例示的なワークピースの部品成長方向に応じた走査順序方向の規定を示す。
図4aは、固体上領域と接触する例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図4bは、固体上領域と接触する例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図4cは、固体上領域と接触する例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図5aは、固体上領域と接触する追加の例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図5bは、固体上領域と接触する追加の例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図5cは、固体上領域と接触する追加の例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図5dは、固体上領域と接触する追加の例示的なダウンスキン領域内の第1及び第2のエッジ走査ベクトルの終点の数の判定に応じた走査順序方向の規定を示す。
図6は、ダウンスキン領域及び固体上領域を含み、第1及び第2のエッジ走査ベクトルのいずれも固体上領域と接触する終点を有していない照射区画の走査順序の規定を示す。
図7は、第1の照射区画から、第1の照射区画のダウンスキン領域よりも大きいダウンスキン領域を含む第2の照射区画の方向を指すような格子走査パターンの照射区画の照射順序方向の規定を示す。
図1は、積層造形プロセスによって3次元ワークピースを製造するための装置100を示す。装置100は、担体102と、担体102上に原料粉末を塗布するための粉末塗布装置104と、を備える。担体102及び粉末塗布装置104は、周囲雰囲気に対して密閉可能な処理チャンバ106内に収容される。担体102は、構築されたシリンダ108内に垂直方向に移動可能であり、その結果、ワークピース110が担体102上に原料粉末から層状に構築されるとき、ワークピース110の構築高さが増大するにつれて担体102を下方に移動させることができる。担体102は、加熱器及び/又は冷却器を備えてもよい。
装置100は、担体102上に塗布された原料粉末層11にレーザ放射線を選択的に照射するための照射システム10をさらに備える。図1に示す装置100の実施形態では、照射システム10は、放射線ビーム14を放射するように構成された放射線ビーム源12を備える。放射ビーム源12は、レーザビームを放射するように構成されたレーザビーム源であってもよい。放射線ビーム源12によって放射された放射線ビーム14を案内し、処理するための光学ユニット16が放射線ビーム源12に連動されている。しかし、このほか、照射システム10が2つ以上の放射線ビームを放射するように構成されていることが考えられる。制御装置18を、照射システム10の動作と、例えば、粉末塗布装置104などの装置100の追加の構成要素の動作と、を制御するために設ける。制御ユニット18は、プログラムコード部分を含むコンピュータプログラム製品が保存されるコンピュータ可読記録媒体を備える。
プロセスガス入口112を介して処理チャンバ106にシールドガスを供給することによって、制御されたガス雰囲気、好ましくは、不活性ガス雰囲気を処理チャンバ106内に確立する。ガスは、処理チャンバ106を通って、担体102上に塗布された原料粉末層11を横切って導かれた後、プロセスガス出口114を介して処理チャンバ106から排出される。プロセスガス入口112から処理チャンバ106を通ってプロセスガス出口114に至るシールドガスの流れ方向を矢印Fで示す。プロセスガスは、プロセスガス出口114からプロセスガス入口112へ再循環されてもよく、そこで冷却されても加熱されてもよい。
3次元ワークピースを製造するための装置100の動作中に、原料粉末の層11を、粉末塗布装置104によって担体102上に塗布する。原料粉末層11を塗布するために、粉末塗布装置104は、制御ユニット18の制御下で担体102を横切って移動する。次に、再び制御ユニット18の制御下で、原料粉末の層11は、照射装置10によって、製造されるワークピース110の対応する層の形状に従って選択的に照射される。担体102上に原料粉末の層11を塗布するステップと、製造されるワークピース110の対応する層の形状に従って、原料粉末の層11にレーザ放射線を選択的に照射するステップとは、ワークピース110が所望の形状及びサイズに達するまで繰り返される。
放射線ビーム14は、制御ユニット18によって規定された走査パターンに従って原料粉末層11を横切って走査される。走査パターンは、図2及び図6に示す縞模様、図7に示す格子模様又は図4及び図5に示す別の適切な走査パターンであってもよく、走査ベクトルVのブロックが配置されている複数の照射区画20を含む。典型的には、図2から図7に示すように、走査ベクトルVは互いに実質的に平行に延びる。制御ユニット18は、複数の照射区画20のそれぞれについて、照射区画20がダウンスキン領域22、即ち、未固化粉末の上に位置し、原料粉末層11を照射することにより生成されるワークピース層のオーバーハング領域を形成することを目的とする領域を含むかどうかを判定する。
上記判定に基づいて、制御ユニット18は、複数の照射区画20のそれぞれについて、照射区画20がダウンスキン領域22を含むかどうかの判定に応じて、照射区画20内の走査ベクトルV、特に、照射区画20内の隣接する走査ベクトルVを次々に走査する走査順序方向Sを規定する。図2から図7に示す例示的な構成では、走査順序方向Sは、照射区画内で走査ベクトルVに対して実質的に直交して延びる。具体的には、ダウンスキン領域22を含む照射区画20について、走査順序方向Sは、好ましくは、固体上領域24からダウンスキン領域22の方向を指すように規定される。
図2は、オーバーハング領域を含むワークピース層を形成することを目的とした原料粉末層11を示す。放射線ビーム14が原料粉末層11を横切って走査されるべき走査パターンは縞模様であり、ひいては複数の縞形状の照射区画20を備える。複数の照射区画20のそれぞれの内部の走査ベクトルVは、互いに実質的に平行に延び、縞状照射区画20の長手方向軸に対して実質的に直交して延びる。隣接する走査ベクトルVは反対方向を向いている。全照射区画20は広範囲にわたって走査ベクトルVで覆われているが、明確にするために、図2の概略図では、選択された照射区画20の一部のみでの走査ベクトルVを示している。
原料粉末層11を照射することによって生成されるワークピース層のオーバーハング領域を形成することを目的とする照射区画20のダウンスキン領域22を、予め塗布された原料粉末層の未固化部分上に構築する。逆に、原料粉末層11を照射することによって生成されるワークピース層の容積領域を形成することを目的とする照射区画20の固体上領域24を、予め塗布された原料粉末層の固化部分上、即ち、予め構築されたワークピース層の一部上に構築する。
走査順序方向Sは、「固体から粉体へ」という一般規則に従うように規定され、即ち、ダウンスキン領域22と固体上領域24とから構成される照射区画20ごとに、固体上領域24からダウンスキン領域22の方向へ向かうように規定される。このため、走査順序方向Sを規定するベクトルには、固体上領域24に位置する始点と、ダウンスキン領域22に位置する終点とが含まれる。このため、図2の上部に示す照射区画20については、図2の左側を指す走査順序方向Sを規定するのに対し、図2の下部に示す照射区画20については、図2の右側を指す走査順序Sを規定する。
ダウンスキン領域22を含まない照射区画20については、走査順序方向Sは、固体上領域24から、追加の照射区画、例えば、隣接する照射区画20のダウンスキン領域22の方向を指すように規定されてもよい。しかし、このほか、ダウンスキン領域22を含まない照射区画20については、走査順序方向Sは、処理チャンバ106を通って、原料粉末層11を横切るように導かれるガス流の流れ方向Fに応じて規定されることが考えられる。具体的には、走査順序方向Sは、ガス流の流れ方向Fと逆向きの成分を含むように規定されてもよい。
図3は、「固体から粉体へ」という一般規則に従うように走査順序方向Sを規定するための追加の例を示す。図2は、担体102上に構築された2つのワークピース110a、110bを示す。構築方向を矢印Bで示す。ワークピース110a、110bのそれぞれは、オーバーハング領域Oを含む。図3の下部は、図3の上部にて破線で示すワークピース110a、110bの層を生成するために放射ビーム14によって照射される原料粉末層11の照射区画20を示す。照射区画20のそれぞれは、ダウンスキン領域22と固体上領域24とを備える。
矢印Gが、「固体から粉体へ」製造されるワークピース層の部品成長方向を示す。照射区画20のそれぞれについて、部品成長方向Gは、固体上領域24からダウンスキン領域22に向かって延びる。図3は、両方の照射区画20に対して、ガス流の流れ方向Fと逆向きの成分を含む同一の走査順序方向Sが規定されている場合を示す。図3の左側のワークピース110aについて、走査順序方向Sは、走査順序方向Sと部品成長方向Gとの間の角度αが約45°、ひいては90°未満となるように規定される。その結果、走査順序方向Sを規定するベクトルが、部品成長方向Gと同じ方向に延びる成分を有する。その結果、走査順序方向Gは、固体上領域24からダウンスキン領域22の方向を指す。このため、ワークピース110aが高い品質基準を満たすことが期待される。
反対に、図3の右側のワークピース110bについて、走査順序方向Sは、走査順序方向Sと部品成長方向Gとの間の角度αが約135°、ひいては90°を上回るように規定される。その結果、走査順序方向Sを規定するベクトルには、部品成長方向Gと同じ方向に延びる成分がない。結果として、走査順序方向Gは、ダウンスキン領域22から固体上領域24の方向を指す。このため、ワークピース110bには品質欠陥があることが予想される可能性も否定できない。これを回避するには、走査順序方向Sの方向を変更する、即ち、180°回転する必要がある。
図4及び図5は、ダウンスキン領域22のみから構成される、即ち、固体上領域24を含まないさまざまな例示的な照射区画20を示す。図4a~図4c並びに図5a、図5b及び図5dに示す照射区画20は、隣接する照射区画20´の固体上領域24に隣接して配置されるが、図5cに示す照射区画20は、隣接する照射区画の固体領域と接触していない。
以下では、図4及び図5に示す独占的ダウンスキン照射区画20に対する適切な走査順序方向Sを判定するための例示的な戦略について説明する。しかし、この戦略はこのほか、例えば、図2に示す照射区画など、ダウンスキン領域22と固体上領域24の両方を備える照射区画20に適用されてもよい。
この戦略は、照射区画20のダウンスキン領域22内の第1のエッジ走査ベクトルVE1について、同一であるか隣接する照射区画20の固体上領域24と接触する第1のエッジ走査ベクトルVE1の終点の数を判定することに及ぶ。さらに、ダウンスキン領域22内の第2のエッジ走査ベクトルVE2については、同一であるか隣接する照射領域20の同一であるか隣接する照射区画20の固体上領域24と接触する第2のエッジ走査ベクトルVE2の終点の数を判定する。エッジ走査ベクトルVE1、VE2は、照射区画20のダウンスキン領域22の対向する端を規定する。走査順序方向Sは、第1又は第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2のうち、固体上領域24と接触する終点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2のうち、固体上領域24に接触する終点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、規定される。
図4aの構成では、第1のエッジ走査ベクトルVE1は、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する2つの終点を有する。第2のエッジ走査ベクトルVE2は、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する終点を1つのみ有する。その結果、走査順序方向Sは、第1の走査ベクトルVE1が開始走査ベクトルとして規定され、第2の走査ベクトルVE2が最終走査ベクトルとして規定されるように、規定される。
図4bの構成では、第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2のそれぞれは、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する1つの終点を有する。その結果、走査順序方向Sは、第1の走査ベクトルVE1、VE2のいずれか1つが開始走査ベクトルとして規定されるように、規定されてもよい。
図4cの配置では、第1のエッジ走査ベクトルVE1は、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する2つの終点を有する。逆に、第2のエッジ走査ベクトルVE2の終点はいずれも、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触していない。その結果、走査順序方向Sは、第1の走査ベクトルVE1が開始走査ベクトルとして規定され、第2の走査ベクトルVE2が最終走査ベクトルとして規定されるように、規定される。
図5aの構成では、第1のエッジ走査ベクトルVE1は、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する1つの終点を有するが、第2のエッジ走査ベクトルVE2の終点はいずれも、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触していない。その結果、走査順序方向Sは、第1の走査ベクトルVE1が開始走査ベクトルとして規定され、第2の走査ベクトルVE2が最終走査ベクトルとして規定されるように、規定される。
図5bの構成では、第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2のそれぞれは、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する2つの終点を有する。その結果、走査順序方向Sは、第1の走査ベクトルVE1、VE2のいずれか1つが開始走査ベクトルとして規定されるように、規定されてもよい。
図5c及び図5dの構成の両方では、第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2はいずれも、隣接する照射区画20´の固体上領域24と接触する終点を何も有していない。このため、基本的に、走査順序方向Sは、第1の走査ベクトルVE1、VE2のいずれか1つが開始走査ベクトルとして規定されるように、規定されてもよい。
このため、図5dの構成では、追加の判定ステップを使用して、第1のエッジ走査ベクトルVE1について、第1のエッジ走査ベクトルVE1の終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定し、第2のエッジ走査ベクトルVE2について、第2のエッジ走査ベクトルVE2の終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定する。例えば、第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2の終点周りに、例えば、0.25mmの特定の半径を有する領域を規定してもよく、その領域に固体上走査ベクトル点がいくつ配置されているかを判定してもよい。この追加の判定ステップに基づいて、第1の走査ベクトルVE1が開始走査ベクトルとして規定され、第2の走査ベクトルVE2が最終走査ベクトルとして規定される。
図6は、オーバーハング領域を含むワークピース層を形成することを目的とした追加の例示的な原料粉末層11を示す。図2の構成と同じように、放射線ビーム14が原料粉末層11を横切って走査されるべき走査パターンは、複数の縞状照射区画20を含む縞模様である。図6にて複数の実質的に平行な走査ベクトルVを含むように示している照射区画20は、ダウンスキン領域22と固体上領域24とを含む。
第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2の終点のいくつが照射区画20の固体上領域24と接触しているかを分析するステップでは、第1及び第2のエッジ走査ベクトルVE1、VE2のいずれも、固体上領域24に接触する終点を有していないと判定される。このため、照射区画20は、固体上領域24では破線に沿って、第1の部分照射区画20aと第2の部分照射区画20bとに分割される。このため、第1及び第2の部分照射区画20a、20bのそれぞれは、分割されていない照射区画20の固体上領域24の一部によって形成された固体上領域24aと、分割されていない照射区画20のダウンスキン領域22の一部によって形成されたダウンスキン領域22aとを含む。
第1の部分照射区画20aについては、第1の部分照射区画22aの固体上領域24aから第1の部分照射区画22aのダウンスキン領域24aの方向、即ち、図6の左側を指す第1の走査順序方向S1を規定する。第2の部分照射区画22bについては、第2の部分照射区画22bの固体上領域24bから第2の部分照射区画22bのダウンスキン領域24bの方向、即ち、図6の右側を指す第2の走査順序方向S2を規定する。第1の走査順序方向S1と第2の走査順序方向S2とは逆方向を向いている。
図2から図7に示す例示的な構成では、隣接する走査ベクトルVは反対方向を向いている。しかし、このほか、固体上領域24からダウンスキン領域22の方向を指すように、走査ベクトルVを一方向に向けることが考えられる。固体上領域24は、ダウンスキン領域22も含む照射区画20の一部を形成しても、隣接する照射区画20の一部であってもよい。例えば、図5dの構成では、走査ベクトルVは、照射区画20´の固体上領域24から照射区画20のダウンスキン領域22の方向に一方向を向くように方向を変更されてもよい。
図7は、オーバーハング領域を含むワークピース層を形成することを目的とした追加の例示的な原料粉末層11を示す。放射線ビーム14が原料粉末層11を横切って走査されるべき走査パターンは格子模様であり、ひいては複数の長方形状の照射区画20を含む。複数の照射区画20のそれぞれの内部の走査ベクトルVは、互いに実質的に平行に延びる。隣接する走査ベクトルVは反対方向を向いている。
原料粉末層11内の照射区画20を次々に照射する照射順序方向Iを、図7の符号1で示す第1の照射区画20から、図7の符号2で示す第2の照射区画20の方向と、さらに図7の符号3で示す第3の照射区画20の方向とを指すように、規定する。
第2の照射区画20は、第1の照射区画20のダウンスキン領域範囲(約20%)よりも大きいダウンスキン領域範囲(約90%)を有する。さらに、第3の照射区画20は、第2の照射区画20のダウンスキン領域範囲(約90%)よりも大きいダウンスキン領域範囲(100%)を有する。このため、このほか、照射区画20が次々に照射される照射順序方向Iは、「固体から粉体へ」という規則に従うように規定される。
Claims (18)
- 3次元ワークピース(110)を製造するために、原料粉末の層を放射線ビーム(14)で照射するための照射システム(10)を制御する方法であって、
-照射される少なくとも1つの原料粉末層に対して、複数の照射区画(20)を含む走査パターンを形成するステップであって、前記複数の照射区画(20)のそれぞれの内部で、複数の走査ベクトル(V)を規定し、前記複数の走査ベクトル(V)に従って前記放射線ビーム(14)が前記原料粉末層を横切って走査される、ステップと、
-前記複数の照射区画(20)のそれぞれについて、前記照射区画(20)内の前記走査ベクトル(V)が次々に走査される走査順序方向(S)を規定するステップであって、ダウンスキン領域(22)を含む少なくとも1つの照射区画(20)について、前記走査順序方向(S)は、固体上領域(24)から前記ダウンスキン領域(22)の方向を指すように規定される、ステップと、を含む、方法。 - ダウンスキン領域(22)を含まない少なくとも1つの照射区画(20)について、前記走査順序方向(S)は、前記原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの方向に応じて規定され、前記走査順序方向(S)は、特に、前記原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの前記方向と反対の向きの成分を含むように規定される、請求項1に記載の方法。
- 少なくともダウンスキン領域(22)を含む照射区画(20)について、前記走査順序方向(S)は、前記走査順序方向(S)と部品成長方向(G)との間の角度(α)が90°以下であるように規定される、請求項1又は2に記載の方法。
- -照射区画のダウンスキン領域(22)内の第1のエッジ走査ベクトル(VE1)について、固体上領域(24)と接触するか固体上領域(24)上に位置する前記第1のエッジ走査ベクトル(VE1)の終点の数を判定するステップと、
-前記ダウンスキン領域(22)内の第2のエッジ走査ベクトル(VE2)について、固体上領域(24)と接触するか固体上領域(24)上に位置する前記第2のエッジ走査ベクトル(VE2)の終点の数を判定するステップと、
-前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、前記固体上領域(24)に接触するか前記固体上領域(24)上に位置する終点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、前記固体上領域(24)に接触するか前記固体上領域(24)上に位置する終点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、前記走査順序方向(S)を規定するステップと、をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。 - 照射区画のダウンスキン領域(22)内の第1及び第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)について、前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)はいずれも、固体上領域(24)と接触する終点を有していないと判定された場合、前記方法は、
-前記第1のエッジ走査ベクトル(VE1)について、前記第1のエッジ走査ベクトル(VE1)の前記終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定するステップと、
-前記第2のエッジ走査ベクトル(VE2)について、前記第2のエッジ走査ベクトル(VE2)の前記終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定するステップと、
-前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、前記走査順序方向(S)を規定するステップと、を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。 - 固体上領域(24)も含む照射区画(20)のダウンスキン領域(22)内の第1及び第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)について、第1及び第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)はいずれも、前記固体上領域(24)と接触する終点を有していないと判定された場合、前記方法は、
-前記固体上領域(24)の前記照射区画(20)を第1の部分照射区画(20a)と第2の部分照射区画(20b)に分割するステップと、
-前記第1の部分照射区画(20a)について、前記第1の部分照射区画(20a)の固体上領域(24a)から前記第1の部分照射区画(20a)のダウンスキン領域(22a)の方向を指す第1の走査順序方向(S1)を規定するステップと、
-前記第2の部分照射区画(20b)について、前記第2の部分照射区画(20b)の固体上領域(24b)から前記第2の部分照射区画(20b)のダウンスキン領域(22b)の方向を指す第2の走査順序方向(S2)を規定するステップであって、前記第1の走査順序方向(S1)と前記第2の走査順序方向(S2)とは、特に、反対方向を指す、ステップと、をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。 - 前記走査ベクトル(V)は、固体上領域(24)から前記ダウンスキン領域(22)の方向を指すように一方向に向けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
- 照射される少なくとも1つの原料粉末層について、前記原料粉末層内の前記照射区画(20)が次々に照射される照射順序方向(I)が、第1の照射区画(20)から第2の照射区画(20)の方向を指すように規定され、
前記第2の照射区画(20)は、前記第1の照射区画(20)のダウンスキン領域範囲よりも大きいダウンスキン領域範囲を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。 - 3次元ワークピース(110)を製造するために原料粉末の層を放射線ビーム(14)で照射するための照射システム(10)であって、前記照射システム(10)は制御ユニット(18)を具備し、前記制御ユニット(18)は、
-照射される少なくとも1つの原料粉末層に対して、複数の照射区画(20)を含む走査パターンを規定するステップであって、前記複数の照射区画(20)のそれぞれの内部で、複数の走査ベクトル(V)を規定し、前記複数の走査ベクトル(V)に従って前記放射線ビーム(14)が前記原料粉末層を横切って走査される、ステップと、
-前記複数の照射区画(20)のそれぞれについて、前記照射区画(20)内の前記走査ベクトル(V)が次々に走査される走査順序方向(S)を規定するステップであって、ダウンスキン領域(22)を含む少なくとも1つの照射区画(20)について、前記制御ユニット(18)は、固体上領域(24)から前記ダウンスキン領域(22)の方向を指すように走査順序方向(S)を規定するように構成される、ステップと、を実施するように構成される、照射システム(10)。 - -ダウンスキン領域(22)を含まない照射区画(20)について、前記制御ユニット(18)は、前記原料粉末層を横切る方向のガス流の流れの方向に応じて前記走査順序方向(S)を規定するように構成され、前記走査順序方向(S)は、特に、前記原料粉末層を横切る方向の前記ガス流の流れの方向と反対の向きの成分を含むように規定される、請求項9に記載の照射システム(10)。
- ダウンスキン領域(22)を含む照射区画(20)について、前記制御ユニット(18)は、前記走査順序方向(S)と部品成長方向()との間の角度(α)が90°以下であるように前記走査順序方向(S)を規定するように構成される、請求項9又は10に記載の照射システム(10)。
- 前記制御ユニット(18)は、
-照射区画のダウンスキン領域(22)内の第1のエッジ走査ベクトル(VE1)について、固体上領域(24)と接触するか固体上領域(24)上に位置する前記第1のエッジ走査ベクトル(VE1)の終点の数を判定するステップと、
-前記ダウンスキン領域(22)内の第2のエッジ走査ベクトル(VE2)について、固体上領域(24)と接触するか固体上領域(24)上に位置する前記第2のエッジ走査ベクトル(VE2)の終点の数を判定するステップと、
-前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、前記固体上領域(24)に接触するか前記固体上領域(24)上に位置する終点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、前記固体上領域(24)に接触するか前記固体上領域(24)上に位置する終点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、前記走査順序方向(S)を規定する、ステップと、を実施するようにさらに構成される、請求項9から11のいずれか1項に記載の照射システム(10)。 - 照射区画のダウンスキン領域(22)内の第1及び第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)について、前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)はいずれも、固体上領域(24)と接触している終点を有していない場合、前記制御ユニット(18)は、
-前記第1のエッジ走査ベクトル(VE1)について、前記第1のエッジ走査ベクトル(VE1)の前記終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定するステップと、
-前記第2のエッジ走査ベクトル(VE2)について、前記第2のエッジ走査ベクトル(VE2)の前記終点の近傍にある固体上走査ベクトル点の数を判定するステップと、
-前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が多い方が開始走査ベクトルとして規定されたり、及び/又は、前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)のうち、その終点の近傍にある固体上走査ベクトル点が少ない方が最終走査ベクトルとして規定されたりするように、前記走査順序方向(S)を規定するステップと、を実施するようにさらに構成される、請求項9から12のいずれか1項に記載の照射システム(10)。 - 固体上領域(24)も含む照射区画(20)のダウンスキン領域(22)内の第1及び第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)について、前記第1及び前記第2のエッジ走査ベクトル(VE1、VE2)はいずれも、前記固体上領域(24)と接触する終点を有していないと判定された場合、前記制御ユニット(18)は、
-前記固体上領域(24)の前記照射区画(20)を第1の部分照射区画(20a)と第2の部分照射区画(20b)とに分割するステップと、
-前記第1の部分照射区画(20a)について、前記第1の部分照射区画(20a)の固体上領域(24a)から前記第1の部分照射区画(20a)のダウンスキン領域(22a)の方向を指す第1の走査順序方向(S1)を規定するステップと、
-前記第2の部分照射区画(20b)について、前記第2の部分照射区画(20b)の固体上領域(24b)から前記第2の部分照射区画(20b)のダウンスキン領域(22b)の方向を指す第2の走査順序方向(S2)を規定するステップであって、前記第1の走査順序方向(S1)と第2の走査順序方向(S2)とは、特に、反対方向を指す、ステップと、を実施するようにさらに構成される、請求項9から13のいずれか1項に記載の照射システム(10)。 - 前記走査ベクトル(V)は、固体上領域(24)から前記ダウンスキン領域(22)の方向を指すように一方向に向けられている、請求項9から14のいずれか1項に記載の照射システム(10)。
- 照射される少なくとも1つの原料粉末層について、前記制御ユニット(18)は、照射順序方向(I)を規定するように構成され、前記照射順序方向(I)に従って、前記原料粉末層内の前記照射区画(20)は、第1の照射区画(20)から第2の照射区画(20)の方向を指すように、次々と走査され、前記第2の照射区画(20)は、前記第1の照射区画(20)のダウンスキン領域範囲よりも大きいダウンスキン領域範囲を有する、請求項9から15のいずれか1項に記載の照射システム。
- コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が1つ又は複数の計算装置上で実行されるときに、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を実施するためのプログラム部分を含むコンピュータプログラム製品。
- 原料粉末の層を放射ビーム(14)で照射することによって3次元ワークピースを製造するための装置(100)であって、前記装置(100)は、請求項9から16のいずれか1項に記載の照射システム及び/又は請求項17に記載のコンピュータプログラム製品が保存されたコンピュータ可読記録媒体を具備する、装置(100)。
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