JP2024517287A - Car t細胞療法の方法 - Google Patents

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リウ、ルイシュエン
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ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
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Abstract

本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のために対象をプレコンディショニングする方法を提供する。本方法は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む組成物を、CAR T細胞療法を対象に施す少なくとも1日前に、対象に投与することを含む。本開示はまた、対象において固形腫瘍を治療する方法を提供し、本方法は、表面抗原陰性固形腫瘍を含む対象に、ナノ粒子内の核酸が表面抗原をコードする、ナノ粒子を含む第1の組成物と、表面抗原を標的とするCAR T細胞を含む第2の組成物とを投与することを含む。【選択図】図1A

Description

本出願は、キメラ抗原受容体T細胞による治療を増強するための多層ナノ粒子の使用に関する。
助成金の開示
本発明は、National Institutes of Healthによって授与された助成番号K08 CA199224及びR37 CA251978の下で米国政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
関連出願の相互参照及び参照による組み込み
本出願は、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/186,057号及び2022年2月23日に出願された米国仮特許出願第63/313,057号に対する優先権を主張し、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年7月17日に出願された国際出願第PCT/US20/42606号、2021年2月5日に出願された国際出願第PCT/US21/16925号、及び2021年2月19日に出願された国際出願第PCT/US21/18831号も、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本開示の一部である配列表を明細書と同時にテキストファイルとして提出する。配列表を含むテキストファイルの名称は、「56528_Seqlisting.txt」であり、これは2022年5月6日に作成され、サイズは1,881バイトである。配列表の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、CAR)T細胞は、がん細胞抗原などの特定の細胞表面抗原を認識する受容体を発現するように遺伝子操作されたTリンパ球である。CAR T療法の有望性は、血液由来のがん、例えば、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫に対して実現されている。しかしながら、CAR T細胞療法は依然として初期段階であり、基礎となる技術における多くの進歩にもかかわらず、広範な使用に対する重大な障害が残っている。例えば、CAR-T細胞療法は、固形腫瘍に対してまだ成功していない。CAR T細胞が固形腫瘍に輸送される及びそれに浸潤する能力が低いことが重要な課題であり、腫瘍微小環境は主に免疫抑制性である。とりわけ、調節性T細胞、骨髄由来サプレッサー細胞、及び腫瘍関連マクロファージ(tumor-associated macrophage、TAM)は、T細胞上の阻害性受容体(例えば、CTLA-4)に結合する細胞表面リガンド(例えば、CD80/CD86)を発現するとともに、T細胞におけるアポトーシスを抑制又は誘発する可溶性因子を分泌する。固体に対するCAR T細胞療法の有効性に対する別の大きな障壁は、表面抗原の不均一性又は固形腫瘍内の表面抗原の発現の欠如である。これらの課題は、固形腫瘍を有するがん患者の大部分にCAR T細胞療法を適用する際の進歩を妨げてきた。
加えて、コンディショニング療法は、概して、CAR T細胞投与前に必要とされる。CAR T細胞投与前のリンパ球枯渇(lymphodepletion、LD)コンディショニングは、調節性T細胞を排除することによって、CAR T細胞の増殖及び生存のための「好ましい」環境を創出すると考えられている。LDコンディショニングは、多くの場合、シクロホスファミド、フルダラビン、ペントスタチン、若しくはベンダムスチンなどの化学療法剤の投与、又は放射線全身照射を伴う。LDコンディショニングのサイクル、例えば、1~5日間にわたる化学療法の実施は、通常、CAR T細胞の注入の2~14日前に施されて、CAR T細胞が増殖及び活性化するための「空間」を生み出す。U.S.Food and Drug Administrationによって現在承認されている全てのCAR T細胞治療剤は、CAR T細胞産物の注入前に化学療法に基づくリンパ球枯渇コンディショニング療法を必要とする。リンパ球枯渇コンディショニング療法は、患者によって忍容されるが、これは多くの場合、重大な副作用と関連付けられ、患者を感染症の重大なリスクにさらす。
例えば、有効性を改善し、CAR T細胞療法から利益を得る患者集団を拡大し、望ましくない副作用を最小限に抑えるCAR T細胞治療レジメンが、依然として必要とされている。
本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のために対象をプレコンディショニングする方法を提供する。本方法は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を対象に投与することを含む。本組成物は、対象にCAR T細胞療法を施す少なくとも1日前に対象に投与される。様々な態様では、本方法は、CAR T細胞療法を対象に施すことを更に含む。任意選択で、第1の組成物は、CAR T細胞療法を対象に施す2~14日(例えば、7日など約5~約8日)前に投与される。また、本開示の様々な態様では、対象は、CAR T細胞療法を施す前21日以内にリンパ球枯渇療法を施されない。例示的な実施形態では、本ナノ粒子は、少なくとも3つの核酸層(例えば、少なくとも4つ又は少なくとも5つの核酸層)を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。様々な態様では、ナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含む。様々な例において、表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。例示的な態様では、コアは、カチオン性脂質二重層を含む。任意選択で、コアは、約0.5重量%未満の核酸を含む。ナノ粒子の直径は、様々な態様では、直径で約50nm~約250nm、任意選択で、直径で約70nm~約200nmである。例示的な例では、ナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、任意選択で、約+45mV~約+55mVのゼータ電位によって特徴付けられる。ナノ粒子のゼータ電位は、様々な例において、約+50mVである。いくつかの態様では、核酸分子は、約1対約5~約1対約25、任意選択で約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5の核酸分子:カチオン性脂質比で存在する。様々な態様では、核酸分子は、RNA分子、任意選択で、メッセンジャーRNA(messenger RNA、mRNA)である。様々な態様では、mRNAは、インビトロ転写されたmRNAであり、インビトロ転写テンプレートは、腫瘍細胞から抽出されたRNAから作製されたcDNAである。様々な態様では、本ナノ粒子は、ヒトの腫瘍から単離されたRNAなどのRNAの混合物を含む。様々な態様では、核酸は、CAR T細胞によって認識される腫瘍抗原をコードしない。様々な態様では、対象は、膠芽腫、髄芽腫、びまん性内在性橋膠腫、中枢神経系への転移性浸潤を伴う末梢腫瘍、又は骨肉腫などの固形腫瘍に罹患している。
本開示は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を、CAR T細胞療法のために対象をプレコンディショニングするために使用することを更に企図し、これにおいて、本組成物は、CAR T細胞療法を対象に施す少なくとも1日前に対象に投与される。CAR T細胞療法のために対象をプレコンディショニングするための医薬の調製において本ナノ粒子を使用することも企図され、CAR T細胞療法のために対象をプレコンディショニングすることに使用するための本明細書に記載されるナノ粒子組成物も企図される。
本開示は、対象において固形腫瘍を治療する方法も提供する。本方法は、表面抗原陰性固形腫瘍を含む対象に、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、核酸が、表面抗原をコードする、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を投与することを含む。表面抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む第2の組成物も対象に投与される。任意選択で、第1の組成物は、CAR T細胞を含む第2の組成物の少なくとも1日前に投与される。また、本開示の様々な態様では、対象は、CAR T細胞療法を施す前21日以内にリンパ球枯渇療法を施されない。例示的な実施形態では、本ナノ粒子は、少なくとも3つの核酸層(例えば、少なくとも4つ又は少なくとも5つの核酸層)を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。様々な態様では、ナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含む。様々な例において、表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。例示的な態様では、コアは、カチオン性脂質二重層を含む。任意選択で、コアは、約0.5重量%未満の核酸を含む。ナノ粒子の直径は、様々な態様では、直径で約50nm~約250nm、任意選択で、直径で約70nm~約200nmである。例示的な例では、ナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、任意選択で、約+45mV~約+55mVのゼータ電位によって特徴付けられる。ナノ粒子のゼータ電位は、様々な例において、約+50mVである。いくつかの態様では、核酸分子は、約1対約5~約1対約25、任意選択で約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5の核酸分子:カチオン性脂質比で存在する。様々な態様では、核酸分子は、RNA分子、任意選択で、メッセンジャーRNA(mRNA)である。様々な態様では、固形腫瘍は、肺、肝臓、骨、脾臓、又はリンパ節に存在する。例示的な固形腫瘍は、骨肉腫である。様々な態様では、表面抗原は、CD70であり、CAR T細胞は、CD70に結合するCARを発現する。
本開示は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、核酸が表面抗原をコードする、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物、並びに表面抗原を標的とするCAR T細胞を含む第2の組成物を、対象において表面抗原陰性固形腫瘍を治療するために使用することも提供する。任意選択で、第1の組成物は、第2の組成物(CAR T細胞を含む)の少なくとも1日前に投与される。CAR T細胞療法を用いて表面抗原陰性固形腫瘍を治療するための医薬の調製における本ナノ粒子の使用も企図され、CAR T細胞療法を用いて表面抗原陰性固形腫瘍を治療することに使用するための本明細書に記載されるナノ粒子組成物も企図される。
ここで開示されるナノ粒子、医薬組成物、及び方法の追加の実施形態及び態様を、以下に提供する。
脂質二重層、リポソーム、及び多層(multilamellar、ML)RNA NP(囲み)を導く一般的なスキームの一連の図解である。 未複合体化NP(左)及びML RNA NP(右)のCEM画像のペアである。 カチオン性RNAリポプレックスを導く一般的なスキームの図解である。 アニオン性RNAリポプレックスを導く一般的なスキームの図解である。 未複合体化NPのCEM画像である。 RNA LPXのCEM画像である。 ML RNA NPのCEM画像である。 ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、若しくはアニオン性LPXで処置したマウス、又は未処置のマウスの脾臓に存在するCD11c+MHCクラスII+脾細胞の%CD86+のグラフである。 ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、若しくはアニオン性LPXで処置したマウス、又は未処置のマウスの脾臓に存在するCD8+脾細胞の%CD44+CD62L+のグラフである。 ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、若しくはアニオン性LPXで処置したマウス、又は未処置のマウスの脾臓に存在するCD4+脾細胞の%CD44+CD62Lのグラフである。 ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、若しくはアニオン性LPXで処置したマウス、又は未処置のマウスの生存%のグラフである。 ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、若しくはアニオン性LPXで処置した際のマウスで産生された、又は未処置のマウスのIFN-αの量のグラフである。 ML RNA NPの投与後の時間の関数としてプロットされたCD3+細胞のCD8又はCD44及びCD8の発現%のグラフである。 ML RNA NPの投与後の時間の関数としてプロットされたCD11c+細胞のPDL1、MHC II、CD86、又はCD80の発現%のグラフである。 ML RNA NPの投与後の時間の関数としてプロットされたCD3+細胞のCD44及びCD8の発現%のグラフである。 生存期間の中央値(点線)と比較したML RNA NPで処置したイヌの生存%のグラフである。 イヌモデルにおけるML RNA-NPの投与後(x軸)に誘発されたリンパ球のパーセンテージ(y軸)を図解する。 イヌモデルにおけるML RNA-NPの投与後数時間のインターフェロン-α産生(pg/mL、y軸)を図解する。 ML RNA-NPの投与後数時間(x軸)のCd11c+細胞上のCD80+発現の増加(発現%、y軸)を図解する。 イヌ対象へのML RNA-NPの投与後数時間(x軸)のCD8及びCD44+CD8+細胞の発現を図解する。 Aは、長期生存対象処置のタイムラインである。1回目及び2回目の腫瘍接種が示されている。Bは、3群のマウスの各々についての2回目の腫瘍接種後の動物の生存率のグラフである。2つの群は、非特異的RNA(対象における腫瘍に特異的ではないRNA;緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescence Protein、GFP)又はpp65)を含むML RNA NPにより2回目の腫瘍接種の前に処置し、1つの群は、腫瘍特異的RNAを含むML RNA NPにより2回目の腫瘍接種の前に処置したか、又は2回目の腫瘍接種の前の未処置の動物である。対照群の生存率は、「未処置」として記す。 腫瘍移植後の時間(日数)の関数としての、ML RNA NPにより単独(RNA-NP)で又はPDL1モノクローナル抗体(RNA-NP+PDL1 mAb)と組み合わせて処置した群の生存しているマウスのパーセンテージのグラフである。対照群には、未処置マウス(未処置)、いずれのRNAも含まないML NPで処置したマウス(NP単独)、及びPDL1モノクローナル抗体のみで処置したマウス(PDL1 mAb)が含まれていた。p<0.05、Gehan-Breslow-Wilcox。 腫瘍移植後様々な日数での、メラノーマの腫瘍体積(mm)(図6A)、肉腫モデルにおける生存率(図6B)、及び転移性肺モデルにおける生存率(図6C)を図解する折れ線グラフである。これらの図は、本開示のML RNA-NPがインビボで免疫学的にコールドの腫瘍に対する有効な抗腫瘍免疫応答を媒介することを示す。 腫瘍移植後様々な日数での、メラノーマの腫瘍体積(mm)(図6A)、肉腫モデルにおける生存率(図6B)、及び転移性肺モデルにおける生存率(図6C)を図解する折れ線グラフである。これらの図は、本開示のML RNA-NPがインビボで免疫学的にコールドの腫瘍に対する有効な抗腫瘍免疫応答を媒介することを示す。 腫瘍移植後様々な日数での、メラノーマの腫瘍体積(mm)(図6A)、肉腫モデルにおける生存率(図6B)、及び転移性肺モデルにおける生存率(図6C)を図解する折れ線グラフである。これらの図は、本開示のML RNA-NPがインビボで免疫学的にコールドの腫瘍に対する有効な抗腫瘍免疫応答を媒介することを示す。 本開示の非特異的ML RNA-NPが顕著な抗腫瘍有効性を媒介することを示す。図7A:皮下B16F0腫瘍を保有しているC57Bl/6マウス(7~8匹/群)の腫瘍体積(mm)に、ルシフェラーゼRNA-NPで週1回(×3)ワクチン接種するか、又はPD-L1-mAbで週2回(×3)処置した。図7B:K7M2肺腫瘍を接種し、週3回のGFP RNA-NP(×3)又は週2回のPD-L1 mAbでワクチン接種したBALB/cマウス(8匹/群)の生存率プロット(生存%;y軸)。図7C:非特異的RNA-NP(ルシフェラーゼ)は、チェックポイント耐性マウス腫瘍モデル(B16F0)におけるICI(免疫チェックポイント阻害剤)に対する応答を感作させる。腫瘍体積(mm)をy軸に提供し、腫瘍移植後の日数をx軸に提供する。 本開示の非特異的ML RNA-NPが顕著な抗腫瘍有効性を媒介することを示す。図7A:皮下B16F0腫瘍を保有しているC57Bl/6マウス(7~8匹/群)の腫瘍体積(mm)に、ルシフェラーゼRNA-NPで週1回(×3)ワクチン接種するか、又はPD-L1-mAbで週2回(×3)処置した。図7B:K7M2肺腫瘍を接種し、週3回のGFP RNA-NP(×3)又は週2回のPD-L1 mAbでワクチン接種したBALB/cマウス(8匹/群)の生存率プロット(生存%;y軸)。図7C:非特異的RNA-NP(ルシフェラーゼ)は、チェックポイント耐性マウス腫瘍モデル(B16F0)におけるICI(免疫チェックポイント阻害剤)に対する応答を感作させる。腫瘍体積(mm)をy軸に提供し、腫瘍移植後の日数をx軸に提供する。 本開示の非特異的ML RNA-NPが顕著な抗腫瘍有効性を媒介することを示す。図7A:皮下B16F0腫瘍を保有しているC57Bl/6マウス(7~8匹/群)の腫瘍体積(mm)に、ルシフェラーゼRNA-NPで週1回(×3)ワクチン接種するか、又はPD-L1-mAbで週2回(×3)処置した。図7B:K7M2肺腫瘍を接種し、週3回のGFP RNA-NP(×3)又は週2回のPD-L1 mAbでワクチン接種したBALB/cマウス(8匹/群)の生存率プロット(生存%;y軸)。図7C:非特異的RNA-NP(ルシフェラーゼ)は、チェックポイント耐性マウス腫瘍モデル(B16F0)におけるICI(免疫チェックポイント阻害剤)に対する応答を感作させる。腫瘍体積(mm)をy軸に提供し、腫瘍移植後の日数をx軸に提供する。 RNA-NPは、CAR T細胞に対する応答を感作させる。図8Aは、腫瘍移植後の様々な日数(x軸)での腫瘍サイズ(y軸、腫瘍サイズの代用としての蛍光)を図解する折れ線グラフである。対象は、CAR T細胞投与の24時間前に放射線照射(5Gy)を受けた。この研究は、移植前にCD70を発現するKR158細胞(CD70KR158)を利用した。このRNA-NP耐性腫瘍モデル(CD70KR158)において、CD70 CAR T細胞(1×10を投与)を、CD70をコードする核酸を含むナノ粒子とともに投与すると、相当な相乗作用が観察された。RNA-NP(CD70をコードする)を、CAR T細胞注入の24時間後に開始して毎週投与した(p=0.05)。図8Bは、RNA-NP連携療法が有る場合と無い場合(x軸)との末梢血中のCAR T細胞の数(y軸)を図解する棒グラフである。RNA-NPの投与後6時間で、RNA-NPは、末梢血からのCD70 CAR T細胞動員を誘導した(、p=0.0179)。 RNA-NPは、CAR T細胞に対する応答を感作させる。図8Aは、腫瘍移植後の様々な日数(x軸)での腫瘍サイズ(y軸、腫瘍サイズの代用としての蛍光)を図解する折れ線グラフである。対象は、CAR T細胞投与の24時間前に放射線照射(5Gy)を受けた。この研究は、移植前にCD70を発現するKR158細胞(CD70KR158)を利用した。このRNA-NP耐性腫瘍モデル(CD70KR158)において、CD70 CAR T細胞(1×10を投与)を、CD70をコードする核酸を含むナノ粒子とともに投与すると、相当な相乗作用が観察された。RNA-NP(CD70をコードする)を、CAR T細胞注入の24時間後に開始して毎週投与した(p=0.05)。図8Bは、RNA-NP連携療法が有る場合と無い場合(x軸)との末梢血中のCAR T細胞の数(y軸)を図解する棒グラフである。RNA-NPの投与後6時間で、RNA-NPは、末梢血からのCD70 CAR T細胞動員を誘導した(、p=0.0179)。 RNA-NPは、末期悪性腫瘍を有するイヌにおいて、注入後わずか2時間で、IFN-αサージ、末梢DCの活性化、及びリンパ球の辺縁趨向を誘発する。図9Aは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間、及び投与後6時間;x軸)でのIFN-αレベル(pg/mL、y軸)を図解する折れ線グラフである。図9Bは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間;x軸)での%CD80+樹状細胞(y軸)を図解する折れ線グラフである。図9Cは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間、投与後6時間、投与後1週間、投与後2週間、及び投与後6週間;x軸)でのリンパ球の絶対数(K/μL;y軸)を図解する折れ線グラフである。 RNA-NPは、末期悪性腫瘍を有するイヌにおいて、注入後わずか2時間で、IFN-αサージ、末梢DCの活性化、及びリンパ球の辺縁趨向を誘発する。図9Aは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間、及び投与後6時間;x軸)でのIFN-αレベル(pg/mL、y軸)を図解する折れ線グラフである。図9Bは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間;x軸)での%CD80+樹状細胞(y軸)を図解する折れ線グラフである。図9Cは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間、投与後6時間、投与後1週間、投与後2週間、及び投与後6週間;x軸)でのリンパ球の絶対数(K/μL;y軸)を図解する折れ線グラフである。 RNA-NPは、末期悪性腫瘍を有するイヌにおいて、注入後わずか2時間で、IFN-αサージ、末梢DCの活性化、及びリンパ球の辺縁趨向を誘発する。図9Aは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間、及び投与後6時間;x軸)でのIFN-αレベル(pg/mL、y軸)を図解する折れ線グラフである。図9Bは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間;x軸)での%CD80+樹状細胞(y軸)を図解する折れ線グラフである。図9Cは、様々な時点(RNA-NPの投与前、投与後2時間、投与後6時間、投与後1週間、投与後2週間、及び投与後6週間;x軸)でのリンパ球の絶対数(K/μL;y軸)を図解する折れ線グラフである。 インビトロ抗腫瘍特異的死滅である。図10Aは、K7M2 OSAマウス固形腫瘍モデルにおけるCD70+腫瘍とCD70指向CAR T細胞との同時培養後の抗腫瘍特異的IFN-γ放出を示す(二元配置ANOVA、Turkeyの多重比較)。K7M2細胞は、試験前にCD70を発現した。図10Bは、CAR T用量の増加と相関する抗腫瘍特異的死滅を示す。 インビトロ抗腫瘍特異的死滅である。図10Aは、K7M2 OSAマウス固形腫瘍モデルにおけるCD70+腫瘍とCD70指向CAR T細胞との同時培養後の抗腫瘍特異的IFN-γ放出を示す(二元配置ANOVA、Turkeyの多重比較)。K7M2細胞は、試験前にCD70を発現した。図10Bは、CAR T用量の増加と相関する抗腫瘍特異的死滅を示す。 表面抗原陰性腫瘍モデル(移植前にCD70を発現しなかったK7M2細胞)において、CD70をコードする核酸を含むRNA-NPの投与は、固形腫瘍をCD70 CAR T細胞に対して感作させた。RNA-NP(i.v.)を、K7M2尾静脈接種後5日目、CAR T投与後7日目、及びその後毎週(×3)投与した-(8/群;p=0.03)。「WT-NP」は、CD70陰性総腫瘍由来mRNAを含む。未処置の対象及びCD70 CAR T細胞を投与した対象の生存は、30日未満であった。WT-NP、CD70をコードするNP、及びCD70 CAR T細胞と組み合わせたWT-NPの投与により、生存が延長した。注目すべきことに、CD70 CAR T細胞と組み合わせてCD70をコードするNPを投与することで、提供された他の処置をはるかに超えて生存が有意に改善された。 CD70をコードするRNAを含む本開示のナノ粒子(5マイクログラム及び25マイクログラム)の注射後36時間でのCD70+脾細胞の%(図12A)及びCD70+肝細胞の%(図12B)を示す折れ線グラフである。マウスにRNA-NPを注射し、臓器(脾臓及び肝臓)を収集してCD70発現を特徴付けた。NPの全身投与により、脾細胞及び肝臓における抗原発現が生じた。 CD70をコードするRNAを含む本開示のナノ粒子(5マイクログラム及び25マイクログラム)の注射後36時間でのCD70+脾細胞の%(図12A)及びCD70+肝細胞の%(図12B)を示す折れ線グラフである。マウスにRNA-NPを注射し、臓器(脾臓及び肝臓)を収集してCD70発現を特徴付けた。NPの全身投与により、脾細胞及び肝臓における抗原発現が生じた。 形質導入研究及び腫瘍細胞のインビトロ死滅の結果を図解する。図13Aは、CD70をコードするNPの適用後の樹状細胞(DC2.4)及び脳腫瘍細胞(KR158)におけるCD70の発現を示すプロットを含む。DC2.4及びKR158細胞は、CD70を天然に発現しない。DC2.4細胞の約73%及びKR158細胞の約95%が、NPへの曝露後にCD70を発現した。図13Bは、非特異的RNA(オボアルブミン(ovalbumin、OVA)をコードするRNA)を含むNP、CD70をコードするRNAを含むNP、OVANPとCD70標的化CAR T細胞との組み合わせ、及びCD70NPとCD70標的化CAR T細胞との組み合わせが、腫瘍細胞生存性に与える効果を図解する折れ線グラフである。腫瘍細胞生存性(y軸)の代用として発光を測定したこのインビトロアッセイにおいて、CD70を天然に発現しないKR158細胞を利用した。エフェクター細胞(CAR T細胞)と標的細胞(腫瘍)との比をx軸に記す。CD70 CAR T細胞とCD70をコードするNPとの組み合わせは、生存腫瘍細胞の有意な低減を媒介した(すなわち、この組み合わせにより、他の処置よりも有意に多くの腫瘍細胞死が生じた)。 形質導入研究及び腫瘍細胞のインビトロ死滅の結果を図解する。図13Aは、CD70をコードするNPの適用後の樹状細胞(DC2.4)及び脳腫瘍細胞(KR158)におけるCD70の発現を示すプロットを含む。DC2.4及びKR158細胞は、CD70を天然に発現しない。DC2.4細胞の約73%及びKR158細胞の約95%が、NPへの曝露後にCD70を発現した。図13Bは、非特異的RNA(オボアルブミン(ovalbumin、OVA)をコードするRNA)を含むNP、CD70をコードするRNAを含むNP、OVANPとCD70標的化CAR T細胞との組み合わせ、及びCD70NPとCD70標的化CAR T細胞との組み合わせが、腫瘍細胞生存性に与える効果を図解する折れ線グラフである。腫瘍細胞生存性(y軸)の代用として発光を測定したこのインビトロアッセイにおいて、CD70を天然に発現しないKR158細胞を利用した。エフェクター細胞(CAR T細胞)と標的細胞(腫瘍)との比をx軸に記す。CD70 CAR T細胞とCD70をコードするNPとの組み合わせは、生存腫瘍細胞の有意な低減を媒介した(すなわち、この組み合わせにより、他の処置よりも有意に多くの腫瘍細胞死が生じた)。
本開示は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の有効性を改善し、かつ/又は療法に応答する患者集団を拡大するための材料及び方法を提供する。例えば、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のために対象をプレコンディショニングする方法を提供する。本方法は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子(nanoparticle、NP)を含む第1の組成物を対象に投与することを含む。本組成物は、対象にCAR T細胞療法を施す少なくとも1日前に対象に投与される。以前は、最適なT細胞増殖及び活性化をインビボで達成するためには、リンパ球枯渇(LD)コンディショニングが必要であると一般的に考えられた。LDコンディショニングは、対象のリンパ球集団を一掃する働きをする。そのような「負のコンディショニング」は、感染に対する感受性の増加、低血球数、悪心、嘔吐、倦怠感、及び脱毛などの望ましくない副作用と関連付けられる。驚くべきことに、本明細書に記載されるナノ粒子組成物の投与により、CAR T細胞療法を受け入れるように身体が十分にプライミングされ、その結果、LDコンディショニングが不要となることが確定した。この「正のコンディショニング」により、LD療法と関連付けられる望ましくない副作用が回避される。更に、本明細書に記載されるナノ粒子組成物の投与により、固形腫瘍へのT細胞輸送を促進し、別様には免疫抑制性である腫瘍微小環境における活性化を増強する免疫学的環境が創出される。本明細書に記載される観察は、CAR T細胞治療のために対象を準備することにおけるパラダイムシフトを表す。
本開示はまた、対象における固形腫瘍を治療する方法を提供し、ここでは、固形腫瘍は、「表面抗原陰性」であり、腫瘍が本明細書に開示される治療の前にCAR T細胞療法に対して臨床的に応答性であるのに十分なレベルの表面腫瘍抗原を発現しないことを意味する。本方法は、表面抗原陰性固形腫瘍を含む対象に、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、核酸が、表面抗原をコードする、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を投与することを含む。本方法は、表面抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(すなわち、CAR T細胞)を含む第2の組成物を投与することを更に含む。CAR T細胞によって標的とされる表面抗原をコードするmRNAを含む本明細書に記載されるナノ粒子の投与は、難治性固形腫瘍(すなわち、十分なレベルの表面抗原発現の欠如に起因してCAR T細胞療法に応答しない腫瘍)を、CAR T細胞療法に応答する腫瘍に変換できることが確定されている。本明細書に記載される材料及び方法は、新たな患者集団(難治性固形腫瘍を有する患者集団)のためのCAR T細胞療法の可能性を広げるとともに、「既製の」CAR T細胞療法を使用できるようにする可能性がある。
本方法の様々な態様を以下に説明する。セクションの見出しの使用は、単に読みやすさのためだけである。本開示は全体として読まれるべきであり、本明細書に記載される特徴の全ての組み合わせが企図されることを理解されたい。
ナノ粒子
本方法のナノ粒子は、カチオン性脂質及び核酸を含む。本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、直径が約1000nm未満である粒子を指す。本開示のナノ粒子は、リポソーム形成を誘導するように処理されたカチオン性脂質を含むので、様々な態様でここに開示されるナノ粒子は、リポソームを含む。リポソームは、人工的に調製されたベシクルであり、例示的な態様では、主に脂質二重層から構成される。様々な例におけるリポソームは、栄養素及び医薬品の投与のための送達媒体として使用される。様々な態様では、本開示のリポソームは、異なるサイズであり、組成物は、(a)直径数百ナノメートルであり得、狭い水性コンパートメントによって分離された一連の同心二重層を含み得る多層ベシクル(multilamellar vesicle、MLV)、(b)例えば、直径50nm未満であり得る小さな単細胞ベシクル(small unicellular vesicle、SUV)、及び(c)例えば、50~500nmの直径であり得る大きな単細胞ベシクル(large unilamellar vesicle、LUV)のうちの1つ以上を含み得る。様々な例におけるリポソームは、不健康な組織へのリポソームの付着を改善するために、又はエンドサイトーシス(これに限定されない)などの事象を活性化するために、オプソニン又はリガンドを含むように設計される。例示的な態様では、リポソームは、医薬製剤の送達を改善するために、低又は高pHを含む。様々な例において、リポソームは、封入された製剤及びリポソーム成分、脂質ベシクルが分散される媒体の性質、封入された物質の有効濃度及びその潜在的な毒性、ベシクルの適用及び/又は送達中に関与する任意の追加のプロセス、目的の用途のためのベシクルの最適化サイズ、多分散性及び貯蔵寿命、並びに安全かつ効率的なリポソーム製品の大規模生産のバッチ間の再現性及び可能性などであるがこれらに限定されない、物理化学的特性に応じて製剤化される。
例示的な実施形態では、ナノ粒子は、表面、並びに(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層、任意選択で、3つ以上の核酸層を含む、内部を含む。例示的な例では、各核酸層は、脂質層、例えば、カチオン性脂質層の間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、核酸及び脂質の交互の層を含む多層である。例示的な実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも3つの核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、少なくとも4つ又は5つの核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、少なくとも5つを超える(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の)核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。本明細書で使用される場合、「カチオン性脂質二重層」という用語は、カチオン性脂質又はそれらの混合物を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、脂質二重層を意味する。好適なカチオン性脂質は、本明細書に記載されている。本明細書で使用される場合、「核酸層」という用語は、核酸、例えば、RNAを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、ここで開示されるナノ粒子の層を意味する。
本開示のナノ粒子の固有の構造は、多層ナノ粒子(multilamellar nanoparticle、ML-NP)が生物学的効果を発揮する方法におけるメカニズムの違いをもたらす。以前に記載されたRNAベースのナノ粒子は、少なくとも部分的に、トル様受容体7(toll-like receptor 7、TLR7)経路を介して、それらの効果を発揮する。驚くべきことに、本開示の多層ナノ粒子は、TLR7とは無関係に有効性を媒介する。特定の理論に拘束されることを望まないが、MDA-5などの細胞内病原体認識受容体(pathogen recognition receptor、PRR)は、TLRよりも多層ナノ粒子の生物活性に関連していると思われる。これにより、ML RNA-NPは、単一のTLR(例えば、エンドソーム内のTLR7)とは反対に、複数の細胞内PRR(例えば、RIG-I、MDA-5)を刺激して、I型インターフェロンの更なる放出及びより強力な自然免疫の誘導を達成することができる可能性がある。これにより、RNA-NPは、長期生存対象利益を伴う優れた有効性を示すことができる。
様々な態様では、ここで開示されるナノ粒子は、正に帯電した表面を含む。いくつかの例では、正に帯電した表面は、脂質層、例えば、カチオン性脂質層を含む。様々な態様では、ナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含む。任意選択で、カチオン性脂質二重層は、DOTAPを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。様々な例において、表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。いくつかの態様では、コアは、カチオン性脂質二重層を含む。様々な例では、コアは、核酸を欠き、任意選択で、コアは、約0.5重量%未満の核酸を含む。
例示的な態様では、ナノ粒子は、ナノメートル範囲内の直径を有し、したがって、ある特定の例において、本明細書では「ナノリポソーム」又は「リポソーム」と称される。例示的な態様では、ナノ粒子は、約50nm~約500nm、例えば、約50nm~約450nm、約50nm~約400nm、約50nm~約350nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、約50nm~約100nm、約100nm~約500nm、約150nm~約500nm、約200nm~約500nm、約250nm~約500nm、約300nm~約500nm、約350nm~約500nm、約400nm~約500nmの直径を有する。例示的な態様では、ナノ粒子は、約50nm~約300nm、例えば、約100nm~約250nm、約110nm±5nm、約115nm±5nm、約120nm±5nm、約125nm±5nm、約130nm±5nm、約135nm±5nm、約140nm±5nm、約145nm±5nm、約150nm±5nm、約155nm±5nm、約160nm±5nm、約165nm±5nm、約170nm±5nm、約175nm±5nm、約180nm±5nm、約190nm±5nm、約200nm±5nm、約210nm±5nm、約220nm±5nm、約230nm±5nm、約240nm±5nm、約250nm±5nm、約260nm±5nm、約270nm±5nm、約280nm±5nm、約290nm±5nm、又は約300nm±5nmの直径を有する。例示的な態様では、ナノ粒子は、直径で約50nm~約250nmである。いくつかの態様では、ナノ粒子は、直径で約70nm~約200nmである。
例示的な態様では、ナノ粒子は、直径、例えば、直径約50nm~約500nm又は約50nm~約250nmの範囲のナノ粒子の不均一な混合物を含む医薬組成物中に存在する。任意選択で、医薬組成物は、直径で約70nm~約200nmの範囲のナノ粒子の不均一な混合物を含む。
例示的な例では、ナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、例えば、約+40mV~約+55mV、約+40mV~約+50mV、約+40mV~約+50mV、約+40mV~約+45mV、約+45mV~約+60mV、約+50mV~約+60mV、約+55mV~約+60mVのゼータ電位によって特徴付けられる。例示的な態様では、ナノ粒子は、約+45mV~約+55mVのゼータ電位を有する。様々な例におけるナノ粒子のゼータ電位は、約50mVである。様々な態様では、ゼータ電位は、+30mV又は+35mVを超える。ゼータ電位は、本開示のナノ粒子と、Sayour et al.,Oncoimmunology 6(1):e1256527(2016)に記載されるナノ粒子とを区別する、1つのパラメータである。
例示的な実施形態では、ナノ粒子は、カチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、米国特許出願公開第20130090372号(その内容は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)に記載されているものなどの低分子量カチオン性脂質である。例示的な例におけるカチオン性脂質は、カチオン性脂肪酸、カチオン性グリセロ脂質、カチオン性グリセロリン脂質、カチオン性スフィンゴ脂質、カチオン性ステロール脂質、カチオン性プレノール脂質、カチオン性糖脂質、又はカチオン性ポリケチドである。例示的な態様では、カチオン性脂質は、2つの脂肪アシル鎖を含み、その各鎖は、独立して飽和又は不飽和である。いくつかの例では、カチオン性脂質は、ジグリセリドである。例えば、いくつかの例では、カチオン性脂質は、式I又は式IIのカチオン性脂質であり得、
式中、a、b、n、及びmの各々は、独立して、2~12(例えば、3~10)の整数である。いくつかの態様では、カチオン性脂質は、式Iのカチオン性脂質であり、式中、a、b、n、及びmの各々は、独立して、3、4、5、6、7、8、9、及び10から選択される整数である。例示的な例では、カチオン性脂質は、DOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン)、又はその誘導体である。例示的な例では、カチオン性脂質は、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、又はその誘導体である。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(1,2-dioleyloxy-N,N-dimethylaminopropane、DODMA)リポソームから形成されたリポソーム、Marina Biotech(Bothell,Wash.)からのDiLa2リポソーム、1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(1,2-dilinoleyloxy-3-dimethylaminopropane、DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(2,2-dilinoleyl-4-(2-dimethylaminoethyl)-[1,3]-dioxolane、DLin-KC2-DMA)、及びMC3(米国特許公開第20100324120号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、インビトロ及びインビボでのオリゴヌクレオチド送達に好適であることが以前に記載及び示された安定化プラスミド脂質粒子(stabilized plasmid-lipid particle、SPLP)又は安定化核酸脂質粒子(stabilized nucleic acid lipid particle、SNALP)の合成から形成されたリポソームを含む。いくつかの態様におけるナノ粒子は、核酸分子に加えて、3~4個の脂質成分から構成される。例示的な態様では、リポソームは、Jeffs et al.,Pharm Res.2005;22(3):362-72によって記載されているように、55%のコレステロール、20%のジステアロイルホスファチジルコリン(disteroylphosphatidyl choline、DSPC)、10%のPEG-S-DSG、及び15%の1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)を含む。例示的な例では、リポソームは、Heyes et al.,J.Control Release,2005;107(2):276-87(2005)によって記載されているように、48%のコレステロール、20%のDSPC、2%のPEG-c-DMA、及び30%のカチオン性脂質を含み、カチオン性脂質は、1,2-ジステアルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(1,2-distearloxy-N,N-dimethylaminopropane、DSDMA)、DODMA、DLin-DMA、又は1,2-ジリノレニルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(1,2-dilinolenyloxy-3-dimethylaminopropane、DLenDMA)であり得る。
いくつかの実施形態では、リポソームは、約25.0%のコレステロール~約40.0%のコレステロール、約30.0%のコレステロール~約45.0%のコレステロール、約35.0%のコレステロール~約50.0%のコレステロール、及び/又は約48.5%のコレステロール~約60%のコレステロールを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、28.5%、31.5%、33.5%、36.5%、37.0%、38.5%、39.0%、及び43.5%からなる群から選択される百分率のコレステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、リポソームは、約5.0%~約10.0%のDSPC及び/又は約7.0%~約15.0%のDSPCを含み得る。
いくつかの実施形態では、リポソームは、DiLa2リポソーム(Marina Biotech、Bothell,Wash.)、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech、Bothell,Wash.)、中性DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)ベースのリポソーム(例えば、卵巣がんのためのsiRNA送達(Landen et al.Cancer Biology&Therapy 2006 5(12)1708-1713)、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)、及びヒアルロナン被覆リポソーム(Quiet Therapeutics、Israel)である。
様々な例において、カチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(dilinoleyl-methyl-4-dimethylaminobutyrate、DLin-MC3-DMA)、又はジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)を含み、更に中性脂質、ステロール、及び粒子凝集を低減することができる分子、例えば、PEG又はPEG修飾脂質を含む。
様々な態様におけるリポソームは、DLin-DMA、DLin-K-DMA、98N12-5、C12-200、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG-DMG、PEG化脂質及びアミノアルコール脂質を含む。いくつかの態様では、リポソームは、DLin-DMA、DLin-D-DMA、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA及びアミノアルコール脂質などのカチオン性脂質を含むが、これらに限定されない。アミノアルコールカチオン性脂質は、いくつかの態様では、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第20130150625号に記載されている脂質及び/又は記載されている方法によって作製された脂質を含む。非限定的な例として、ある特定の態様におけるカチオン性脂質は、2-アミノ-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z,2Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(米国特許出願公開第20130150625号における化合物1)、2-アミノ-3-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(米国特許出願公開第20130150625号における化合物2)、2-アミノ-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-[(オクチルオキシ)メチル]プロパン-1-オール(米国特許出願公開第20130150625号における化合物3)、及び2-(ジメチルアミノ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(米国特許出願公開第20130150625号における化合物4)、又はその任意の薬学的に許容される塩若しくは立体異性体である。
様々な実施形態では、リポソームは、(i)2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチラート(DLin-MC3-DMA)、及びジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)からなる群より選択される少なくとも1つの脂質、(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPE、及びSMから選択される中性脂質、(iii)ステロール、例えば、コレステロール、並びに(iv)PEG-脂質、例えば、PEG-DMG又はPEG-cDMAを、約20~60%のカチオン性脂質:5~25%の中性脂質:25~55%のステロール:0.5~15%のPEG-脂質のモル比で含む。
いくつかの実施形態では、リポソームは、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、及びジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される、モル基準で約25%~約75%のカチオン性脂質、例えば、モル基準で約35~約65%、約45~約65%、約60%、約57.5%、約50%、又は約40%を含む。
いくつかの実施形態では、リポソームは、モル基準で約0.5%~約15%の中性脂質、例えば、モル基準で約3~約12%、約5~約10%、又は約15%、約10%、若しくは約7.5%を含む。中性脂質の例には、DSPC、POPC、DPPC、DOPE及びSMが含まれるが、これらに限定されない。様々な態様では、ナノ粒子は中性脂質を含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、モル基準で約5%~約50%のステロール(例えば、モル基準で約15~約45%、約20~約40%、約40%、約38.5%、約35%、又は約31%を含む。例示的なステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、製剤は、モル基準で約0.5%~約20%のPEG又はPEG修飾脂質(例えば、モル基準で約0.5~約10%、約0.5~約5%、約1.5%、約0.5%、約1.5%、約3.5%、又は約5%)を含む。いくつかの実施形態では、PEG又はPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000DaのPEG分子を含む。他の実施形態では、PEG又はPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000未満、例えば、約1,500Da、約1,000Da、又は約500DaのPEG分子を含む。PEG修飾脂質の例には、PEG-ジステアロイルグリセロール(PEG-DMG)(本明細書ではPEG-C14又はC14-PEGとも称される)、PEG-cDMA(Reyes et al.J.Controlled Release,107、276-287(2005)で更に考察され、その内容は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な態様では、カチオン性脂質は、(20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメミルヘキサコサ-17,20-ジエン-9-アミン、(1Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16、19-ジエン-8-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチルドコサ-13,16-ジエン-5-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチルヘニコサ-12,15-ジエン-4-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-6-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-7-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-10-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-5-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-4-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメイヒロクタコサ-19,22-ジエン-9-アミン、(18Z,21 Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-8-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-7-アミン、(16Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-6-アミン、(22Z,25Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22,25-ジエン-10-アミン、(21 Z,24Z)-N,N-ジメチルトリアコンタ-21,24-ジエン-9-アミン、(18Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-18-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルヘキサコス-17-エン-9-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-7-アミン、N,N-ジメチルヘプタコサン-10-アミン、(20Z,23Z)-N-エチル-N-メチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、1-[(11Z,14Z)-1-ノニリコサ-11,14-ジエン-1-イル]ピロリジン、(20Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-20-エン-10-アミン、(15Z)-N,N-ジメチルエプタコス-15-エン-10-アミン、(14Z)-N,N-ジメチルノナコス-14-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルノナコス-17-エン-10-アミン、(24Z)-N,N-ジメチルトリトリアコント-24-エン-10-アミン、(20Z)-N,N-ジメチルノナコス-20-エン-10-アミン、(22Z)-N,N-ジメチルヘントリアコント-22-エン-10-アミン、(16Z)-N,N-ジメチルペンタコス-16-エン-8-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]エプタデカン-8-アミン、1-[(1S,2R)-2-ヘキシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-21-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘニコサン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン-8-アミン、N,N-ジメチル-[(1R,2S)-2-ウンデシルシクロプロピル]テトラデカン-5-アミン、N,N-ジメチル-3-{7-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン-1-アミン、1-[(1R,2S)-2-ヘプチルシクロプロピル]-N,N-ジメチルオクタデカン-9-アミン、1-[(1S,2R)-2-デシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルペンタデカン-6-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ペンタデカン-8-アミン、R-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、S-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-[(5Z)-オクタ-5-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘプチルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(ノニルオキシ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン;(2S)-N,N-ジメチル-1-[(6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(ペンチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-3-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z)-ドコス-13-エン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(13Z)-ドコス-13-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(9Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2R)-N,N-ジメチル-H(1-メトイルロクチル)オキシル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2R)-1-[(3,7-ジメチルオクチル)オキシ]-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(オクチルオキシ)-3-({8-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-{[8-(2-オクリルシクロプロピル)オクチル]オキシ}-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、及び(11E,20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-11,20,2-トリエン-10-アミン、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体から選択され得る。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、脂質-ポリカチオン複合体を含む。脂質-ポリカチオン複合体の形成は、当該技術分野で既知の方法、及び/又は米国特許出願公開第20120178702号(参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)に記載される方法によって達成され得る。非限定的な例として、ポリカチオンは、ポリリジン、ポリオルニチン及び/又はポリアルギニンなどであるがこれらに限定されない、カチオン性ペプチド又はポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、脂質-ポリカチオン複合体を含み得、これは、コレステロール又はジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(dioleoyl phosphatidylethanolamine、DOPE)などであるがこれらに限定されない、非カチオン性脂質を更に含み得る。
様々な態様では、カチオン性リポソームは、任意選択で、非カチオン性脂質を含まない。中性分子は、いくつかの態様では、サイズが200nmを超えるRNA負荷リポソームをもたらす多層ナノ粒子のコイル化/凝縮を妨害し得る。ヘルパー分子なしで生成されるカチオン性リポソームは、約70~200nm(又はそれ未満)のサイズを含み得る。これらの構築物は、負に帯電した核酸を有するカチオン性脂質から本質的になり、粒子の酸化(周囲環境に曝露された場合)を防ぐ密封されたロータリー真空エバポレーターで製剤化され得る。この態様では、ヘルパー脂質が存在しないことにより、各NPが粒子当たりにより多くの量の核酸を含む、密にパッケージ化された多層NPへのmRNAコイル形成が最適化される。粒子当たりの核酸ペイロードの増加により、これらの多層RNAナノ粒子は、免疫系を調節するための有効性の重要な予測因子である、顕著に大きな自然免疫応答を駆動する。
いくつかの態様では、核酸分子は、約1対約5~約1対約25の核酸分子:カチオン性脂質比で存在する。いくつかの態様では、核酸分子は、約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5の核酸分子:カチオン性脂質比で存在する。本明細書で使用される場合、「核酸分子:カチオン性脂質比」という用語は、質量比を意味し、ここで、核酸分子の質量は、カチオン性脂質の質量に対して相対的である。また、例示的な態様では、「核酸分子:カチオン性脂質比」という用語は、本開示のML RNA NPを作製するプロセス中にカチオン性脂質を含むリポソームに添加される核酸分子、例えば、RNAの質量の比率を意味する。例示的な態様では、ナノ粒子は、150μgの脂質混合物当たり約10μg未満又は約10μgのRNA分子を含む。例示的な態様では、ナノ粒子は、約10μgのRNAを約150μgのリポソームとインキュベートすることによって作製される。別の態様では、ナノ粒子は、脂質混合物の質量当たりより多くのRNA分子を含む。例えば、ナノ粒子は、150μgのリポソーム当たり10μg超のRNA分子を含み得る。いくつかの例におけるナノ粒子は、150μgのリポソーム又は脂質混合物当たり15μg超のRNA分子を含む。
様々な態様では、核酸分子は、RNA分子、例えば、転移RNA(transfer RNA、tRNA)、リボソームRNA(ribosomal RNA、rRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)である。様々な態様では、RNA分子は、tRNA、rRNA、mRNA、又はそれらの組み合わせを含む。様々な態様では、RNAは細胞から単離された全RNAである。例示的な態様では、RNAは、例えば、腫瘍細胞又はがん細胞などの罹患細胞から単離された全RNAである。全腫瘍RNAを取得する方法は、当該技術分野で既知であり、本明細書中の実施例1に記載されている。
表面抗原陰性固形腫瘍を含む対象における固形腫瘍を治療するための方法の文脈において、第1の組成物は、CAR T細胞によって認識される表面抗原(本明細書では表面腫瘍抗原とも称される)をコードする核酸を含むナノ粒子を含む。CAR T細胞療法のためのいくつかの好適ながん抗原標的が既知であり、例えば、米国特許第10,688,166号(特に腫瘍抗原の開示に関して、参照によりその全体が組み込まれる)に記載されている。抗原は、例えば、クローディン、CD19、CD20、CD22、CD33、CD166、CD70、CD123、CEA、c-Met、PSMA、GD2、GD3、FRα、CAIX、CD171、EGFRVIII、HER2、メソテリン、CD133、CEACAM5、EGFR、GPC3、PSMA、ROR1、VEGFR2、B7-H3、IL-13Rα、PD-L1、IL-11RαEphA2、MAGE、MCAM、NKG2Dリガンド、TEM1、FAP、GAGE、MUC1、又はNY-ESO-1であり得る。様々な態様では、表面抗原は、CD70である(すなわち、第1の組成物のナノ粒子の核酸は、CD70をコードし、CAR T細胞は、CD70発現腫瘍細胞を標的とする)。ヒトCD70の配列は、当該技術分野で既知である。例えば、UniProtKB番号P32970を参照されたい。
例示的な例では、RNA分子は、mRNAである。本開示の様々な態様では、細胞から単離された全RNAを含むナノ粒子が使用される。様々な態様では、mRNAは、インビトロ転写されたmRNAである。様々な例において、mRNA分子は、インビトロ転写(in vitro transcription、IVT)によって生成される。IVTを実施するための好適な技術が、当該技術分野で既知である。例示的な態様では、IVTキットが採用される。例示的な態様では、キットは、1つ以上のIVT反応試薬を含む。本明細書で使用される場合、「インビトロ転写(IVT)反応試薬」という用語は、IVT反応で機能する任意の分子、化合物、因子、又は塩を指す。例えば、キットは、外因性DNAテンプレートからタンパク質を合成するための真核生物又は原核生物抽出物を伴う原核生物ファージRNAポリメラーゼ及びプロモーター(T7、T3、又はSP6)を含み得る。任意選択で、RNAは、インビトロ転写されたmRNAであり、インビトロ転写テンプレートは、腫瘍細胞から抽出されたRNAから作製されたcDNAである。様々な態様では、ナノ粒子は、ヒトの腫瘍から単離されたRNAであるRNAの混合物を含む。任意選択で、腫瘍は、骨肉腫、又は膠芽腫、髄芽腫、びまん性橋膠腫、若しくは中枢神経系への転移性浸潤を伴う末梢腫瘍などの悪性脳腫瘍である。様々な態様では、RNAは、インビトロ転写されたRNA分子が3’末端にポリ(A)テールを含むように、ポリ(A)テールをコードする配列を含む。様々な態様では、ナノ粒子を作製する方法は、例えば、インビトロ転写されたRNA分子をキャッピングすることなどの追加の処理工程を含む。
例示的な態様におけるRNA(例えば、mRNA)は、タンパク質をコードする。任意選択で、タンパク質は、腫瘍抗原、サイトカイン、又は共刺激分子からなる群から選択される。実際には、タンパク質は、いくつかの態様では、例えば、腫瘍転移を阻害するのに有効なサイトカイン及び増殖因子、並びに少なくとも1つの細胞集団に対して抗増殖効果を有することが示されているサイトカイン又は増殖因子を含む、腫瘍抗原、共刺激性分子、サイトカイン、増殖因子、造血因子、又はリンホカインからなる群から選択される。そのようなサイトカイン、リンホカイン、増殖因子、又は他の造血因子としては、M-CSF、GM-CSF、TNF、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IFN、TNFα、TNF1、TNF2、G-CSF、Meg-CSF、GM-CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、及びエリスロポエチンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における使用のための追加の増殖因子としては、アンジオゲニン、骨形態形成タンパク質-1、骨形態形成タンパク質-2、骨形態形成タンパク質-3、骨形態形成タンパク質-4、骨形態形成タンパク質-5、骨形態形成タンパク質-6、骨形態形成タンパク質-7、骨形態形成タンパク質-8、骨形態形成タンパク質-9、骨形態形成タンパク質-10、骨形態形成タンパク質-11、骨形態形成タンパク質-12、骨形態形成タンパク質-13、骨形態形成タンパク質-14、骨形態形成タンパク質-15、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体α、サイトカイン誘導性好中球走化因子1、サイトカイン誘導性好中球、走化因子2α、サイトカイン誘導性好中球走化因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮由来好中球誘引物質、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経増殖因子神経増殖因子受容体、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子受容体、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在性トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子受容体、並びにキメラタンパク質及びその生物学的又は免疫学的に活性な断片が挙げられる。例示的な態様では、腫瘍抗原は、ウイルスタンパク質に由来する抗原、点変異に由来する抗原、又はがん-生殖系列遺伝子によってコードされる抗原である。例示的な態様では、腫瘍抗原は、pp65、p53、KRAS、NRAS、MAGEA、MAGEB、MAGEC、BAGE、GAGE、LAGE/NY-ESO1、SSX、チロシナーゼ、gp100/pmel17、Melan-A/MART-1、gp75/TRP1、TRP2、CEA、RAGE-1、HER2/NEU、若しくはWT1、又は本明細書に記載される任意の他の腫瘍抗原である。例示的な態様では、共刺激分子は、CD80及びCD86からなる群から選択される。
いくつかの態様では、本開示の方法は、腫瘍から単離されたmRNAではない(すなわち、腫瘍mRNAではない)、又は腫瘍細胞によって、若しくはヒトによって発現されるタンパク質をコードする核酸ではない(すなわち、タンパク質は腫瘍抗原又はがん抗原に関連しない)核酸を含む、ナノ粒子の使用を含み得る。これに関して、様々な態様では、ナノ粒子は、対象に投与されるCAR T細胞によって認識される腫瘍抗原をコードする核酸を含まない。様々な態様では、ナノ粒子は、核酸の混合物を含み、わずかな割合のみが、対象に投与されるCAR T細胞によって認識される腫瘍抗原をコードする(例えば、核酸の10%未満又は5%未満が、CAR T細胞によって認識される腫瘍抗原をコードする)。いくつかの態様では、核酸は、腫瘍又はがんに対して非特異的であるタンパク質をコードする。例えば、非特異的タンパク質は緑色、蛍光タンパク質(GFP)又はオボアルブミン(OVA)であり得る。驚くべきことに、CAR T細胞によって認識される腫瘍抗原をコードする核酸は、本開示のNP組成物を使用してプレコンディショニングを達成するために必要とされない。
表面抗原陰性腫瘍を有する対象における固形腫瘍を治療することを含む、本開示の態様では、第1の組成物(ナノ粒子を含む)は、ナノ粒子であって、表面抗原をコードする核酸を含むナノ粒子、及び対象に投与されるCAR T細胞によって認識される腫瘍抗原をコードする核酸を含まない他のナノ粒子の混合集団を含み得る。
様々な態様では、本開示は、ナノ粒子の使用を企図し、核酸層は、スローサイクリング細胞(slow-cycling cell、SCC)によって発現される核酸分子の配列を含む。「スローサイクリング細胞」又は「SCC」という用語は、低速で増殖する腫瘍又はがん細胞を指す。例示的な態様では、SCCは、少なくとも約50時間の倍加時間を有する。SCCは、黒色腫、卵巣がん、膵臓腺がん、乳がん、神経膠芽腫、結腸がんを含む、多数のがん組織で確認されている。Deleyrolle et al.,Brain 134(5):1331-1343(2011)(特にSCCの記載に関して参照により本明細書中に組み込まれる)で教示されているように、SCCは、腫瘍開始特性の増加を示し、幹細胞様である。増殖速度が遅いため、SCCは、標識保持細胞(label-retaining cell、LRC)とも称される。例示的な例では、核酸分子は、単離されたSCCから抽出されたRNAであるか、又は単離されたSCCから抽出されたRNAにハイブリダイズする核酸分子である。任意選択で、SCCは、腫瘍(例えば、膠芽腫)を有する対象から得られた混合腫瘍細胞集団から単離される。本明細書で使用される場合、「混合腫瘍細胞集団」という用語は、異なるサブタイプの腫瘍細胞を含み、スローサイクリング細胞及び少なくとも1つの他の腫瘍細胞型、例えば、ファーストサイクリング細胞(fast-cycling cell、FCC)を含む、異種細胞集団を指す。スローサイクリング細胞(SCC)によって発現される核酸分子の配列を含む、核酸層を含むNPは、特に図12に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/US21/16925号(国際公開第2021/158996号)に更に記載されている。
任意選択で、本開示の様々な態様は、腫瘍によって発現される融合タンパク質をコードする核酸のエピトープに結合するか、又はそれをコードする、RNA分子を含むナノ粒子の使用を伴い得る。例示的な態様では、エピトープは、融合タンパク質をコードする核酸の接合部を含む。様々な態様では、エピトープは、MHCクラスIIに結合するアミノ酸配列をコードする。例として、様々な例における融合タンパク質は、C11orf95-RELA融合タンパク質、又は本明細書若しくはParker and Zhang,Chin J Cancer 32(11):594-603 (2013)、Ding et al.,In J Mol Sci 19(1):177(2018)、Wener et al.,Molecular Cancer 17,article number 28(2018)、あるいはYu et al.,Scientific Reports 9,article number 1074 (2019)に記載される融合タンパク質である。参照により本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/US21/16925号の図25~28を参照されたい。例示的な態様では、融合タンパク質は、Erdr1、Mid1、Ppp1r13b、又はCKBのうちの2つの少なくとも一部を含む融合タンパク質である。例示的な態様では、融合タンパク質は、Erdr1の少なくとも一部及びMid1の少なくとも一部(例えば、Erdr1/Mid1若しくはMid1/Erdr1)、又はPpp1r13bの少なくとも一部及びCKBの少なくとも一部(例えば、Ppp1r13b/CKB若しくはCKB/Ppp1r13b)を含む、融合タンパク質である。様々な態様では、融合タンパク質は、脳腫瘍のネズミモデルによって発現される。例示的な態様では、融合タンパク質は、EWSR1、FUSR1、FOXO1、SS18、FLI1、ERG、ETV1、ETV4、FEV、SSX1のうちの2つの少なくとも一部を含む融合タンパク質である。例示的な態様では、融合タンパク質は、EWSR1、FUSR1、FOXO1、又はSS18の少なくとも一部、及びFLI1、ERG、ETV1、ETV4、FEV、又はSSX1の少なくとも一部(例えば、EWSR1/FLI1、FLI1/EWSR1、EWSR1/ERG、ERG/EWSR1、EWSR1/ETV1若しくはETV1/EWSR1、EWSR1/ETV4、ETV4/EWSR1、EWSR1/FEV、FEV/EWSR1、FUSR1/FEV、FEV/FUSR1、FUSR1/ERG、ERG/FUSR1、FOXO1/PAX3、PAX3/FOXO1、FOXO1/PAX7、PAX7/FOXO1、SS18/SSX1、又はSSX1/SS18)を含む。例示的な態様では、融合タンパク質は、肉腫腫瘍によって発現される。様々な態様では、融合タンパク質は、YAP1、FAM118B、MAMLD1、C11or95、RELA、EPN、MTOR、CASZ1、TP53、DEK、FXR2、BRAF、KIAA1549、又はEML4のうちの2つの少なくとも一部を含む。例示的な態様では、融合タンパク質は、YAP1、C11or95、MTOR、TP53、又はBRAFの少なくとも一部、及びFAM118B、MAMLD1、RELA、C11orf95、EPN、CASZ1、DEK、FXR2、KIAA1549、又はEML4の少なくとも一部(例えば、YAP1/FAM118B、FAM118B/YAP1、YAP1/MAMLD1、MAMLD1/YAP1、YAP1/C11orf95、c11orf95/YAP1、C11orf95-RELA、c11orf95/RELA、EPN-YAP1、EPN-YAP1、MTOR/MTOR、MTOR/CASZ1、CASZ1/MTOR、TP53/TP53、TP53/DEK、DEK/TP53、TP53/FXR2、FXR2/TP53、BRAF/KIAA1549、KIAA1549/BRAF、BRAF/EML4、又はEML4/BRAF)を含む。例示的な態様では、融合タンパク質は、神経腫瘍によって発現される。融合タンパク質は、がんにおける体細胞変異のカタログ(Catalog of Somatic Mutations in Cancer)(COSMIC)に関するcancer.sanger.ac.uk/cosmic/fusionでのウェブサイト、又は腫瘍学及び血液学における 遺伝学及び細胞遺伝学のアトラス(Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology)に関するatlasgeneticsoncology.org/Deep/Cancer_CytogenomicsID20145.htmlでのウェブサイトに記載されているものうちのいずれか1つであり得る。腫瘍によって発現される融合タンパク質をコードする核酸のエピトープに結合するか、又はそれをコードするRNA分子を含むナノ粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/US21/16925号に更に記載されている。
様々な例では、本開示の態様は、アンチセンス分子であるRNA分子、任意選択で、siRNA、shRNA、miRNA(microRNA)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、ナノ粒子の使用を伴い得る。アンチセンス分子は、RNA干渉を媒介するもの(RNAi)であり得る。当業者に既知であるように、RNAiは、標的mRNAが配列特異的様式で分解される、植物及び動物における遺伝子制御の遍在的機構である(Sharp,Genes Dev.,15,485-490(2001)、Hutvagner et al.,Curr.Opin.Genet.Dev.,12,225-232(2002)、Fire et al.,Nature,391,806-811(1998)、Zamore et al.,Cell,101,25-33(2000))。天然RNA分解プロセスは、dsRNA特異的エンドヌクレアーゼDicerによって開始され、これは、長鎖dsRNA前駆体の21~25ヌクレオチド長の二本鎖断片への切断を促進し、低分子干渉RNAと称される(siRNA、短鎖干渉RNAとしても知られる)(Zamore et al.,Cell.,101,25-33(2000)、Elbashir et al.,Genes Dev.,15,188-200(2001)、Hammond et al.,Nature,404,293-296(2000)、Bernstein et al.,Nature,409,363-366(2001))。siRNAは、標的mRNAを認識して切断する、大型タンパク質複合体に組み込まれる(Nykanen et al.,Cell,107,309-321(2001))。哺乳動物細胞へのdsRNAの導入は、siRNAの効率的なDicer媒介性生成をもたらさず、したがって、RNAiを誘導しないことが報告されている(Caplen et al.,Gene,252,95-105(2000)、Ui-Tei et al.,FEBS Lett,479,79-82(2000))。様々な哺乳動物細胞におけるトランスフェクトされた遺伝子及び内因性遺伝子の発現を阻害する合成21ヌクレオチドsiRNA二重鎖を導入することによって、細胞内のsiRNAの成熟におけるDicerの必要性がバイパスされ得る(Elbashir et al.,Nature,411:494-498(2001))。本開示の態様は、RNAiを媒介するRNA分子を含むナノ粒子の使用を伴い得、いくつかの態様では、RNAは、タンパク質の発現を阻害することに特異的なsiRNA分子である。本明細書で使用される場合の「siRNA」という用語は、RNAiを誘導又は媒介することが可能である約10~約50ヌクレオチド(又はヌクレオチド類似体)を含むRNA(又はRNA類似体)を指す。例示的な実施形態では、siRNA分子は、約15~約30ヌクレオチド(若しくはヌクレオチド類似体)又は約20~約25ヌクレオチド(若しくはヌクレオチド類似体)、例えば、21~23ヌクレオチド(又はヌクレオチド類似体)を含む。siRNAは、二本鎖又は一本鎖、好ましくは二本鎖であり得る。
代替的な態様では、本開示は、タンパク質の発現を阻害することに特異的な短ヘアピンRNA(shRNA)分子であるRNA分子を含む、ナノ粒子の使用を企図する。本明細書で使用される場合の「shRNA」という用語は、一本鎖RNAが、部分的にパリンドローム塩基配列を含み、その中で二本鎖構造(すなわち、ヘアピン構造)を形成する、約20以上の塩基対の分子を指す。shRNAは、ヘアピン構造にフォールドされるsiRNA(又はsiRNA類似体)であり得る。shRNAは、典型的には、約45~約60ヌクレオチドを含み、ヘアピンの約21ヌクレオチドのアンチセンス及びセンス部分と、約2~約6ヌクレオチド長の非ループ側の任意選択的なオーバーハングと、例えば、約3~10ヌクレオチド長であり得るループ部分と、を含む。
例示的な態様では、本開示は、マイクロRNA(miRNA)であるアンチセンス分子を含むナノ粒子の使用を企図する。本明細書で使用される場合、「マイクロRNA」という用語は、翻訳抑制又は標的分解を介して遺伝子発現をサイレンシングするためにmRNA分子との塩基対を形成する小さな(例えば、15~22ヌクレオチド)非コードRNA分子を指す。マイクロRNA及びその治療可能性は、当該技術分野で記載されている。例えば、Mulligan,MicroRNA:Expression,Detection,and Therapeutic Strategies,Nova Science Publishers,Inc.,Hauppauge,NY,2011、Bader and Lammers,”The Therapeutic Potential of microRNA”Innovations in Pharmaceutical Technology,pages 52-55(March 2011)を参照されたい。
ある特定の例では、RNA分子は、アンチセンス分子、任意選択で、siRNA、shRNA、又はmiRNAであり、これは、発現の低減のために免疫チェックポイント経路のタンパク質を標的とする。様々な態様では、免疫チェックポイント経路のタンパク質は、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、TIGIT、LAG3、CD112、TIM3、BTLA、又は共刺激受容体ICOS、OX40、41BB、若しくはGITRである。ある特定の例における免疫チェックポイント経路のタンパク質は、CTLA4、PD-1、PD-L1、B7-H3、B7H4、又はTIM3である。免疫チェックポイントシグナル伝達経路は、Pardoll,Nature Rev Cancer,12(4):252-264(2012)に概説されている。
例示的な実施形態では、本開示のナノ粒子は、RNA分子の混合物を含む。例示的な態様では、RNA分子の混合物は、ヒト由来の細胞から単離されたRNAであり、任意選択で、ヒトは、腫瘍を有する。いくつかの態様では、RNAの混合物は、ヒトの腫瘍から単離されたRNAである。例示的な態様では、ヒトは、がん、任意選択で、本明細書に記載される任意のがんを有する。任意選択で、RNAが単離される腫瘍は、神経膠腫(限定されないが、膠芽腫を含む)、髄芽腫、びまん性内在性橋膠腫、又は中枢神経系への転移性浸潤を伴う末梢腫瘍(例えば、黒色腫若しくは乳がん)からなる群から選択される。任意選択で、RNAが単離される腫瘍は、骨肉腫である。例示的な態様では、RNAが単離される腫瘍は、がんの腫瘍、例えば、本明細書中に記載されるこれらのがんのうちのいずれかである。
様々な態様では、ナノ粒子は、LAMPタンパク質を含むキメラタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子(例えば、RNA分子)を含む。ある特定の態様では、LAMPタンパク質は、LAMP1、LAMP2、LAMP3、LAMP4、又はLAMP5タンパク質である。
CAR T細胞
本明細書に開示される組成物は、キメラ抗原受容体を発現するT細胞(CAR T細胞)を用いた治療を受けている対象のための治療レジメンの一部である。一般に、本明細書に記載される方法は、特定のCAR T細胞産物に依存しない。様々な態様では、CAR T細胞は、第1の組成物のナノ粒子によってコードされる表面抗原に結合する。様々な態様では、本開示の方法は、免疫応答が所望される特定の標的細胞に依存しない。「キメラ抗原受容体」又は「CAR」は、腫瘍細胞などの標的細胞によって発現される抗原を認識し、それに結合するように操作されている人工免疫細胞受容体を指す。一般に、CARは、T細胞のために設計され、T細胞受容体(T cell receptor、TCR)複合体のシグナル伝達ドメイン及び抗原認識ドメイン(例えば、抗体の一本鎖断片(single chain fragment、scFv)又は他の抗体断片)のキメラである(Enblad et al.,Human Gene Therapy,26(8):498-505(2015))。CARは、非MHC制限様式で、選択された標的に向けてT細胞特異性及び反応性を再指向する能力を有する。非MHC制限抗原認識は、CARを発現するT細胞に、抗原プ処理と無関係である抗原を認識する能力を与え、したがって、腫瘍回避の主要な機構を回避する。更に、T細胞において発現されると、CARは、有利なことに、内因性T細胞受容体(TCR)α鎖及びβ鎖と二量体化しない。
各々が異なる成分を含む、CARの様々なフォーマットがある。「第1世代」CARは、ヒンジ及び膜貫通ドメインを通して、抗体由来scFvをT細胞受容体のCD3ゼータ(ζ又はz)細胞内シグナル伝達ドメインに接合する。「第2世代」CARは、共刺激シグナルを供給するために、追加のドメイン、例えば、CD28、4-1BB(41BB)、又はICOSを組み込む。「第3世代」CARは、TCR CD3ゼータ鎖と融合した2つの共刺激ドメインを含む。第3世代共刺激ドメインは、例えば、CD3ゼータ、CD27、CD28、4-1BB、ICOS、又はOX40の組み合わせを含み得る。CARは、いくつかの実施形態では、一般的に単鎖可変断片(scFv)に由来するエクトドメイン(例えば、CD3ゼータ)、ヒンジ、膜貫通ドメイン、並びにCD3及び/又は共刺激分子に由来する1つ(第1世代)、2つ(第2世代)、又は3つ(第3世代)のシグナル伝達ドメインを有するエンドドメインを含む(Maude et al.,Blood,125(26):4017-4023(2015)、Kakarla and Gottschalk,Cancer J.,20(2):151-155(2014))。
いくつかの態様では、CAR T細胞は、腫瘍抗原を標的とする。腫瘍抗原は、例えば、がん細胞の細胞表面に関連する部分を含み、好ましくは、正常な(非がん性)組織では発現されない(又はまれにしか発現されない)。CAR T細胞療法のためのいくつかの好適ながん抗原標的が既知であり、例えば、米国特許第10,688,166号(特に腫瘍抗原の開示に関して、参照によりその全体が組み込まれる)に記載されている。例えば、CAR T細胞は、例えば、クローディン、CD19、CD20、CD22、CD33、CD70、CD123、メソテリン、CEA、c-Met、PSMA、GD-2、又はNY-ESO-1(若しくは本明細書に記載される任意の他の抗原)を標的とし得る。がんの治療のためのCAR T細胞治療剤の例としては、例えば、BREYANZI(登録商標)(リソカブタゲンマラルユーセル)、TECARTUS(商標)(ブレクスカブタジェンアウトルーセル)、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル)、及びYESCARTA(商標)(アキシカブタゲンシロルユーセル)が挙げられる。非がん関連抗原の例としては、ウイルス抗原(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)抗原、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus、HCV)抗原、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HBV)抗原、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)抗原、エプスタイン・バーウイルス(Epstein Barr virus、EBV)抗原)、真菌抗原、寄生虫抗原、及び細菌抗原が挙げられる。
様々な態様では、修飾T細胞のCARは、分化抗原群70(Cluster of Differentiation 70、CD70)に結合する抗原結合ドメインを含む。CD70は、CD27に対する唯一のリガンドを表すII型膜貫通タンパク質である。CD70は、腫瘍壊死因子受容体ファミリーのグリコシル化膜貫通タンパク質である。CD70-CD27相互作用は、機能的リンパ球の発生中に共刺激を提供することにおいて重要な役割を果たす。CD70発現の厳密な制御が、免疫細胞活性化のための最適なシグナル伝達に必要とされる。CD70発現は、高度に活性化されたT/Bリンパ球及び成熟樹状細胞のわずかなサブセットに限定されるが、骨肉腫を含む明確に異なる固形腫瘍悪性腫瘍は、CD70を構成的に過剰発現し得る。CD70は、原発性腫瘍によって高度に発現されるだけでなく、再発性腫瘍においても高度に発現され、これは、原発性腫瘍及び再発性腫瘍のための一貫した治療標的を提示する。本開示の様々な態様では、CARは、CD27の細胞外部分(CD70に対するリガンド)を含む抗原結合部分を含む。任意選択で、膜貫通ドメインは、41BBの細胞内部分である。CD70標的化CARの例示的な配列は、配列番号1によってコードされる:TGGCAAG ACCCCACCCC TGGTGGCTGT GTGTGCTGGG CACACTGGTC GGACTGAGCG CCACCCCTGC CCCTAAGAGC TGCCCCGAGA GACACTACTG GGCTCAGGGC AAGCTGTGCT GCCAGATGTG CGAGCCCGGC ACCTTCCTGG TGAAAGACTG CGACCAGCAC CGGAAGGCCG CCCAGTGCGA TCCTTGCATC CCCGGCGTGT CCTTCAGCCC CGACCACCAC ACCAGACCCC ACTGCGAGAG CTGCCGGCAT TGCAACTCTG GCCTGCTGGT CCGCAACTGC ACCATCACCG CCAACGCCGA GTGCGCCTGC AGAAACGGCT GGCAGTGCCG GGACAAAGAA TGCACCGAGT GCGACCCTCT GCCCAACCCC AGCCTGACCG CCAGAAGCAG CCAGGCTCTG AGCCCTCACC CTCAGCCCAC CCATCTGCCC TACGTGTCCG AGATGCTGGA AGCCCGGACA GCCGGCCACA TGCAGACCCT GGCCGACTTC AGACAGCTGC CCGCCAGAAC CCTGAGCACC CACTGGCCTC CCCAGCGGAG CCTGTGCAGC AGCGACTTCA TCCGGATCCT GGTGATCTTC AGCGGCATGT TCCTGGTGTT CACCCTGGCT GGCGCCCTGT TCCTGCACAA GCGGGGCAGA AAGAAGCTGC TGTACATCTT CAAGCAGCCC TTCATGCGGC CCGTGCAGAC CACCCAGGAA GAGGACGGCT GCAGCTGCCG GTTCCCCGAG GAAGAGGAAG GCGGCTGCGA GCTGAGAGTG AAGTTCAGCA GAAGCGCCGA CGCCCCTGCC TACCAGCAGG GCCAGAACCA GCTGTACAAC GAGCTGAACC TGGGCAGACG GGAAGAGTAC GACGTGCTGG ACAAGCGGAG AGGCCGGGAC CCTGAGATGG GCGGCAAGCC CCAGAGGCGG AAGAACCCTC AGGAAGGCCT GTATAACGAA CTGCAGAAAG ACAAGATGGC CGAGGCCTAC AGCGAGATCG GCATGAAGGG CGAGCGGCGG AGAGGCAAGG GCCACGATGG CCTGTACCAG GGCCTGAGCA CCGCCACCAA GGACACCTAC GACGCCCTGC ACATGCAGGC TCTGCCTCCA AGA(配列番号1)。例示的なCD70標的化CAR T細胞は、特にキメラ抗原受容体及びCAR T細胞の産生のその開示に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/051047号に記載されている。
CAR T療法は、その表面上で特定のCARを産生することができるように操作されている対象又は患者自身の免疫細胞を利用する、免疫療法であり得る。いくつかの状況では、T細胞は、身体から採血し、1つ以上の血液成分(血漿、血小板又は白血球など)を除去するプロセスである、アフェレーシスを介して対象又は患者の身体から収集される。次いで、身体から収集されたT細胞は、その表面上に特定のキメラ抗原受容体を産生するように遺伝子操作される。CAR T細胞は、実験室内で成長させることによって増殖され、次いで、対象若しくは患者、又は別の対象若しくは患者に投与される。CAR T細胞は、その表面上で標的抗原を発現するがん細胞を認識し、死滅させる。細胞は、療法のレシピエントとなる対象から単離され得るか、又は療法の最終的なレシピエントではないドナー対象から単離され得る。
使用
本開示は、例えば、CAR T細胞療法の有効性を増強する、及び/又はCAR T細胞を使用する治療に対して腫瘍を感受性にするための方法を提供する。例えば、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のために対象をプレコンディショニングする方法であって、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を、CAR T細胞療法を対象に施す少なくとも1日前に、対象に投与することを含む、方法を提供する。例示的な態様では、核酸分子は、mRNAである。任意選択で、組成物は、対象に全身投与される。例えば、組成物は、静脈内投与される。様々な態様では、医薬組成物は、対象における樹状細胞(dendritic cell、DC)を活性化するのに有効な量で投与される。
第1のナノ粒子組成物は、本開示の様々な態様では、CAR T細胞の投与の少なくとも1日前に(すなわち、CAR T細胞の投与の1日以上前に)対象に投与される。本開示の例示的な態様では、第1の組成物は、CAR T細胞の投与の少なくとも1日前であるが約30日以内に対象に投与される。例えば、第1の組成物は、任意選択で、CAR T細胞の投与の約2~約21日前に投与される(例えば、CAR T細胞の投与の約2~約14日前に投与される)。例えば、本方法は、CAR T細胞療法を施す約7日前など、対象にCAR T細胞療法を施す約5~約8日前に組成物を投与することを含み得る。様々な態様では、第1の組成物は、CAR T細胞投与の2時間~72時間前に投与される。投与がCAR T細胞投与の少なくとも1日前である限り、組成物の複数回の投与が対象に与えられ得る。本開示の第1のナノ粒子組成物を用いたプレコンディショニングは、例えば、CAR T細胞産物の受容のために身体をプライミングし、標的細胞への輸送を促進し、CAR T細胞の持続性及び活性化を増強する。いくつかの態様では、本方法は、CAR T細胞を対象に投与する工程を更に含む。
本開示は、対象における固形腫瘍を治療する方法であって、表面抗原陰性固形腫瘍を含む対象に、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、核酸が表面抗原をコードする、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を投与することと、表面抗原を標的とするCAR T細胞を含む第2の組成物を投与することと、を含む、方法を更に提供する。例示的な態様では、核酸分子は、mRNAである。第1のナノ粒子組成物は、任意選択で、CAR T細胞を含む第2の組成物の投与の少なくとも1日前に(すなわち、CAR T細胞の投与の1日以上前に)対象に投与される。様々な態様では、第1の組成物は、CAR T細胞の投与の少なくとも1日前であるが約30日以内に対象に投与される。例えば、第1の組成物は、任意選択で、CAR T細胞の投与の約2~約21日前に少なくとも1回投与される(例えば、CAR T細胞の投与の約2~約14日前に投与される)。例えば、本方法は、対象にCAR T細胞療法を施す約2~約5日前に第1の組成物を投与することを含み得る。第1の組成物の複数回投与は、CAR T細胞投与前に対象に与えられ得、第1の組成物の複数回投与は、CAR T細胞投与後に対象に与えられ得る。任意選択で、第1及び/又は第2の組成物は、対象に全身投与される。例えば、第1の組成物及び/又は第2の組成物は、静脈内投与される。
本開示の様々な態様では、対象は、表面抗原陰性腫瘍を含む。これに関して、表面抗原陰性腫瘍は、本方法の前にCAR T細胞療法に対する臨床的に関連する応答を達成するためには不十分なレベルの表面腫瘍抗原を発現する腫瘍である。「表面抗原陰性腫瘍」は、表面抗原が腫瘍に完全に存在しないことを必ずしも必要としないが、これは、本開示によって企図される。表面抗原陰性腫瘍は、様々な態様では、腫瘍の細胞の20%未満(例えば、腫瘍生検によって測定される)が表面抗原を発現する(例えば、細胞の18%未満、15%未満、13%未満、10%未満、8%未満、5%未満、又は3%未満が表面抗原を発現する)、腫瘍である。したがって、様々な態様では、表面抗原陰性腫瘍は、本方法の前に、腫瘍中の細胞の19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれ未満が表面抗原を発現するものである。腫瘍細胞上の表面腫瘍抗原の存在又は非存在を特徴付ける方法は、当該分野で周知であり、例えば、PCR検出法、次世代配列決定法、蛍光活性化細胞選別(fluorescence-activated cell sorting、FACS)、及び免疫染色を含む。
任意選択で、対象は、CAR T細胞療法を施す前21日以内にリンパ球枯渇療法を施されない。リンパ球枯渇療法は、当該技術分野で理解されており、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、ペントスタチン、若しくはベンダムスチンなどの化学療法薬の投与、又は放射線照射(例えば、放射線全身照射)を含む。任意選択で、対象は、CAR T細胞療法の投与前の18日以内、14日以内、10日以内、7日以内、又は3日以内にリンパ球枯渇療法を施されない。また、任意選択で、対象は、第1のナノ粒子組成物の投与前21日以内にリンパ球枯渇療法を施されない。任意選択で、対象は、第1のナノ粒子組成物の投与前18日以内、14日以内、10日以内、7日以内、又は3日以内にリンパ球枯渇療法を施されない。
様々な態様では、本方法は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む追加の(第2又は第3の)組成物を対象に投与することを更に含む。ナノ粒子、核酸などに関する上記の考察は、本明細書に開示される第1の組成物及び追加の組成物の両方に適用される。第1の組成物及び追加の組成物は、同じ組成物であり得るか、又は異なり得る。例えば、追加の組成物のナノ粒子は、第1の組成物のナノ粒子と比較して異なる核酸を含み得る。様々な態様では、追加の組成物のナノ粒子に組み込まれる核酸は、腫瘍mRNAであり、例えば、mRNAは、インビトロ転写されたmRNAであり、インビトロ転写テンプレートは、腫瘍細胞から抽出されたRNAから作製されたcDNAである。様々な態様では、追加の組成物は、CAR T細胞投与の2時間~72時間後に投与されるが、本開示は、他の投与のタイミングも企図する。
本開示はまた、CAR T細胞を用いた治療に対する固形腫瘍の感受性を増加させる方法も提供する。例示的な実施形態では、本方法は、本明細書に記載のナノ粒子、例えば、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の粗製物を対象に投与することを含む。任意選択で、核酸は、腫瘍表面抗原をコードする。任意選択で、第1の組成物は、CAR T細胞を投与する少なくとも1日前に投与される。例示的な態様では、「感受性」は、「治療への応答性」を意味し、「感受性」及び「応答性」の概念は、薬物/化合物治療に応答する腫瘍又はがん細胞がその薬物に敏感であると言われるという点で、正の関係がある。「感受性」は、用量-効果曲線の横座標値の軸又はそれに平行な線との交点に関して定量的に測定又は記載され得、そのような点は、所与の程度の効果をもたらすためにのみ必要な用量に対応する。これと同様に、測定システムの「感受性」は、所与の程度の出力(効果)をもたらすのに必要な最小入力(最小用量)として定義されている。本開示の方法によって提供される感受性の増加は、対照と比較して、少なくとも又は約1%~約10%の増加(例えば、少なくとも又は約1%の増加、少なくとも又は約2%の増加、少なくとも又は約3%の増加、少なくとも又は約4%の増加、少なくとも又は約5%の増加、少なくとも又は約6%の増加、少なくとも又は約7%の増加、少なくとも又は約8%の増加、少なくとも又は約9%の増加、少なくとも又は約9.5%の増加、少なくとも又は約9.8%の増加、少なくとも又は約10%の増加)であり得る。本開示の方法によって提供される感受性の増加は、対照と比較して、少なくとも又は約10%~約95%超の増加(例えば、少なくとも又は約10%の増加、少なくとも又は約20%の増加、少なくとも又は約30%の増加、少なくとも又は約40%の増加、少なくとも又は約50%の増加、少なくとも又は約60%の増加、少なくとも又は約70%の増加、少なくとも又は約80%の増加、少なくとも又は約90%の増加、少なくとも又は約95%の増加、少なくとも又は約98%の増加、少なくとも又は約100%の増加)であり得る。例示的な態様では、対照は、がん若しくは腫瘍、又はここで開示される薬学的組成物で治療されなかった対象若しくは対象の集団、あるいはプラセボで処置された対象若しくは対象の対象である。例示的な態様では、対照は、本明細書に開示される治療前の腫瘍である。
CAR T療法に対する感受性の増加は、いくつかの方法のうちのいずれかで決定され得る。例えば、本明細書に記載される方法は、T細胞生存を増強し、T細胞寿命を促進し、かつ/又は複製能の喪失を制限するとともに、腫瘍を縮小し、かつ/又は腫瘍細胞死を媒介し得る。T細胞活性及び免疫応答を測定する方法が、当該技術分野で既知である。T細胞活性は、例えば、Fu et al.,PLoS ONE 5(7):e11867(2010)に記載されているものなどの細胞傷害性アッセイによって測定され得る。他のT細胞活性アッセイは、Bercovici et al.,Clin Diagn Lab Immunol.7(6):859-864(2000)に記載されている。免疫応答を測定する方法は、例えば、Macatangay et al.,Clin Vaccine Immunol,17(9):1452-1459(2010)、及びClay et al.,Clin Cancer Res.,7(5):1127-35(2001)に記載されている。
本明細書に記載される材料及び方法は、例えば、がん(例えば、固形腫瘍)などの疾患又は障害について対象を治療するために有用である。本明細書で使用される場合、「治療する」という用語、並びにそれに関連する単語は、必ずしも100%の若しくは完全な治療又は寛解を含意しない。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有するものとして認識する様々な程度の治療が存在する。この点で、疾患又は障害を治療する方法は、任意の量又は任意のレベルの治療を提供することができる。更に、本方法によって提供される治療は、治療されている疾患の1つ以上の状態又は症状若しくは兆候の治療を含み得る。例えば、本開示の治療方法は、疾患の1つ以上の症状を阻害し得る。また、本開示の方法によって提供される治療は、疾患の進行を減速することを包含し得る。
「治療する」という用語はまた、疾患の予防的治療を包含する。したがって、ここで開示される方法によって提供される治療は、予防的に治療されている疾患の発症又は再発/ぶり返しを遅延させ得る。例示的な態様では、本方法は、疾患の発症を、1日、2日、4日、6日、8日、10日、15日、30日、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、4年、又はそれ以上遅延させる。予防的治療は、治療される疾患のリスクを低減することを包含する。例示的な態様では、本方法は、疾患のリスクを、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、又はそれ以上低減する。
ある特定の態様では、疾患を治療する方法は、疾患又はその症状を阻害する方法とみなされ得る。本明細書で使用される場合、「阻害する」という用語及びそれから派生する単語は、100%の又は完全な阻害又は解消ではない場合がある。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有するものとして認識する様々な程度の阻害が存在する。ここで開示される方法は、疾患又はその症状の発症又は再発を、任意の量又はレベルまで阻害し得る。例示的な実施形態では、本方法によって提供される阻害は、少なくとも又は約10%の阻害(例えば、少なくとも又は約20%の阻害、少なくとも又は約30%の阻害、少なくとも又は約40%の阻害、少なくとも又は約50%の阻害、少なくとも又は約60%の阻害、少なくとも又は約70%の阻害、少なくとも又は約80%の阻害、少なくとも又は約90%の阻害、少なくとも又は約95%の阻害、少なくとも又は約98%の阻害)である。材料及び方法は、任意の量又はレベルで腫瘍の拡散又は増殖を阻害し得る。
がん(例えば、固形腫瘍)の治療は、いくつかの方法のうちのいずれかによって決定され得る。対象の健康状態における任意の改善が企図される(例えば、本明細書に記載される任意のパラメータの少なくとも若しくは約10%の低減、少なくとも若しくは約20%の低減、少なくとも若しくは約30%の低減、少なくとも若しくは約40%の低減、少なくとも若しくは約50%の低減、少なくとも若しくは約60%の低減、少なくとも若しくは約70%の低減、少なくとも若しくは約80%の低減、少なくとも若しくは約90%の低減、又は少なくとも若しくは約95%の低減)。例えば、治療応答は、疾患における以下の改善のうちの1つ以上を指す:(1)新生細胞の数の削減、(2)新生細胞死の増加、(3)新生細胞生存の阻害、(5)腫瘍増殖若しくは新たな病変の出現の阻害(すなわち、ある程度減速すること、好ましくは停止させること)、(6)腫瘍サイズ若しくは腫瘍負荷の減少、(7)臨床的に検出可能な疾患の非存在、(8)がんマーカーのレベルの減少、(9)患者生存率の増加、及び/又は(10)疾患若しくは状態に関連する1つ以上の症状(例えば、疼痛)のある程度の緩和。例えば、治療の有効性は、治療後の腫瘍質量及び/又は体積の変化を検出することによって決定され得る。腫瘍のサイズは、CT、PET、マンモグラム、超音波、又は触診によって、並びに生検又は外科的切除後の腫瘍のキャリパー測定又は病理学的検査によって測定される、初期サイズ及び寸法と比較され得る。応答は、例えば、腫瘍体積の変化率を使用して定量的に特徴付けられ得る(例えば、本開示の方法は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の腫瘍体積の低減をもたらす)。代替的に、腫瘍応答又はがん応答は、「病理学的完全応答」(pathological complete response、pCR)、「臨床的完全寛解」(clinical complete remission、cCR)、「臨床的部分寛解」(clinical partial remission、cPR)、「臨床的安定疾患」(clinical stable disease、cSD)、「臨床的進行性疾患」(clinical progressive disease、cPD)、又は他の定性的基準のような定性的様式で特徴付けられ得る。加えて、治療有効性はまた、他の免疫療法治療又は化学療法に対する応答性に関して特徴付けられ得る。様々な態様では、本開示の方法は、対象における治療を監視することを更に含む。
前述の方法に関して、ナノ粒子を含む組成物は、いくつかの態様では、対象に全身投与される。任意選択で、本方法は、非経口投与による本明細書に記載される組成物のうちのいずれかの投与を含む。本明細書に記載の任意の薬剤の非経口剤形は、硬膜外、脳内、脳室内、皮膚上、動脈内、関節内、心臓内、海綿体内注射、皮内、病巣内、筋肉内、眼内、骨内注入、腹腔内、髄腔内、子宮内、膣内投与、静脈内、膀胱内、硝子体内、皮下、経皮、血管周囲投与、又は経粘膜を含むが、これらに限定されない様々な経路によって対象に投与され得る。脳への投与のために、薬学的組成物は、腫瘍内送達カテーテル、リザーバ(例えば、Omayaリザーバ)に取り付けられた脳室シャントカテーテル、注入ポンプを使用して腫瘍組織に導入され得るか、又は腫瘍切除腔に導入され得る(Gliasite,Proxima Therapeuticsなど)。脳内の腫瘍組織はまた、連続注入カテーテルを使用して対流を介して、又は脳脊髄液を通して、薬学的組成物を投与することによって接触され得る。様々な例では、本組成物は、対象に静脈内投与される。
投与される活性薬剤の量又は用量(すなわち、「有効量」)は、合理的な時間枠にわたって対象において、所望の生物学的効果、例えば、治療応答又は予防応答を達成するために十分であるべきである。例えば、組成物の1回以上の用量は、投与時から臨床的に許容される期間内に、例えば、CAR T細胞療法のために対象をプライミングする、かつ/又はCAR T細胞療法に対して腫瘍を感作させる(かつ任意選択でがんを治療するために十分であるべきである。表面抗原をコードする核酸を含むナノ粒子を含む、第1の組成物が投与される場合において、第1の組成物の1回以上の用量は、腫瘍内の表面抗原の存在を増加させるために十分であるべきである。例えば、例示的な態様では、第1の組成物の1回以上の用量は、投瘍内の腫瘍細胞の20%以上で表面抗原の発現を達成するために(例えば、投与時から臨床的に許容される期間内に、固形腫瘍内の腫瘍細胞の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%で表面抗原の発現を達成するために、対象に提供される。例として、かつ本開示を限定することを意図せずに、本開示の活性薬剤の用量は、約0.0001~約1g/治療されている対象の体重kg/日、約0.0001~約0.001g/体重kg、又は約0.01mg~約1g/体重kgであり得る。
様々な態様では、ナノ粒子組成物は、例えば、毎日(1日当たり1回、1日当たり2回、1日当たり3回、1日当たり4回、1日当たり5回、1日当たり6回)、週3回、週2回、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、隔週などを含む、任意のレジメンに従って投与される。様々な態様では、本組成物は、対象に週1回投与される。第1の組成物及び追加のナノ粒子組成物の投与レジメンは、同じであり得るか、又は異なり得る。例えば、CAR T細胞投与後に提供される追加のナノ粒子含有組成物の投与レジメンは、第1の組成物とは異なる間隔で、かつ第1の組成物よりも長い期間(すなわち、より長い全治療期間)にわたって起こり得る。CAR T細胞を含む組成物は、採用される特定のCAR T細胞及び治療されているがんの治療レジメンに従って投与され得る。
本開示の方法は、上記の工程を単独で、又は他の工程と組み合わせて含んでもよい。本方法は、上記の工程のうちのいずれか1つを繰り返すことを含んでもよく、かつ/又は上記のものとは別に追加の工程を含んでもよい。例えば、ここで開示される方法は、本開示のナノ粒子又は組成物を作製又は調製するための工程を更に含んでもよい。例えば、ここで開示される方法は、対象の腫瘍の試料を、任意選択で、生検を介して取得することを更に含む。本方法はまた、腫瘍の細胞から全RNAを単離すること、逆転写を介して全RNAからcDNAを生成すること、及びcDNAからmRNAを増幅することを更に含んでもよい。任意選択で、mRNAは、例えば、第2の組成物のナノ粒子に組み込まれる。ここで開示される方法はまた、いくつかの態様では、約1対約10~約1対約20(例えば、約1~約19、約1~約18、約1~約17、約1~約16、約1~約15、約1~約14、約1~約13、約1~約12、約1~約11)のRNA:カチオン性脂質比でmRNA及びカチオン性脂質を混合することを更に含む。例示的な例では、ここで開示される方法は、約1~約15のRNA:カチオン性脂質比でmRNA及びカチオン性脂質を混合することを更に含む。
対象
対象は、マウス及びハムスターなどの齧歯目の哺乳動物、並びにウサギなどの兎形目の哺乳動物、ネコ科の動物(ネコ)及びイヌ科の動物(イヌ)を含む食肉目の哺乳動物、ウシ科の動物(ウシ)及びイノシシ科の動物(ブタ)を含む偶蹄目の哺乳動物、又はウマ科の動物(ウマ)を含む奇蹄目の哺乳動物を含むが、これらに限定されない哺乳動物である。いくつかの態様では、哺乳動物は、霊長目、Ceboid目又はSimoid目(サル)に属するか、又は真猿亜目(ヒト及び類人猿)に属する。いくつかの態様では、哺乳動物は、ヒトである。いくつかの態様では、ヒトは、18歳以上の成人である。いくつかの態様では、ヒトは、17歳以下の子供である。
様々な態様では、対象は、表面抗原陰性固形腫瘍を含む。
がん
本明細書に開示される方法によって治療可能ながんは、任意のがん、例えば、任意選択でリンパ系又は血流を通して身体の他の部分に広がる可能性のある異常かつ制御されない細胞分裂によって引き起こされる任意の悪性増殖又は腫瘍であり得る。様々な態様では、対象は、固形腫瘍を有する。これに関して、本開示は、固形腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を、CAR T細胞療法を対象に施す少なくとも1日前に、対象に投与することと、任意選択で、その後でCAR T細胞療法を施すことと、を含む。同様に任意選択で、本方法は、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む追加の(第2の)組成物を、CAR T細胞を投与した後に、投与することを更に含む。
いくつかの態様におけるがんは、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、骨がん、脳がん(例えば、神経膠腫)、乳がん(例えば、三種陰性乳がん)、肛門のがん、肛門管のがん、肛門直腸のがん、眼のがん、肝内胆管のがん、関節のがん、頭部、頸部、胆嚢、又は胸膜のがん、鼻、鼻腔、又は中耳のがん、口腔のがん、外陰のがん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、胃腸がん(例えば、消化管カルチノイド腫瘍)、ホジキンリンパ腫、子宮内膜がん又は肝細胞がん、下咽頭がん、腎がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、細気管支肺胞上皮がん)、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、上咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、骨肉腫、膵がん、腹膜のがん、大網のがん、腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎臓がん(例えば、腎細胞がん(renal cell carcinoma、RCC))、小腸がん、軟部組織がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、及び膀胱がんからなる群から選択されるものである。特定の態様では、がんは、頭頸部、卵巣、子宮頸部、膀胱、及び食道がん、膵がん、胃腸がん、胃、乳、子宮内膜、及び大腸がん、肝細胞がん、神経膠芽腫、膀胱及び肺がん(例えば、非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer、NSCLC)、細気管支肺胞がん)からなる群から選択される。任意選択で、対象は、膠芽腫、髄芽腫、びまん性内在性橋膠腫、又は中枢神経系への転移性浸潤を伴う末梢腫瘍などの悪性脳腫瘍に罹患している。任意選択で、対象は、再発性又は転移性骨肉腫などの骨肉腫に罹患している。
様々な態様では、対象は、難治性悪性腫瘍に罹患している。この点で、特定の療法又は宿主免疫応答を回避する腫瘍は、「難治性」(又は不応性)である。療法に対して「感受性」である腫瘍は、治療に対する有益な臨床応答を示す。宿主免疫応答に対して「感受性」である腫瘍は、宿主免疫系によって認識され、免疫エフェクター細胞による攻撃を受ける。
CAR T細胞療法のために対象をプレコンディショニングすることに加え、本開示のRNA-LPは、免疫学的に「コールド」な腫瘍、例えば、浸潤性T細胞を欠く、かつ/又は免疫系によって認識されない腫瘍を、免疫学的に「ホット」な腫瘍、すなわち、例えば、腫瘍微小環境における活性化された骨髄細胞及び/又はリンパ球浸潤及びインターフェロン産生を呈する腫瘍に移行させることができる。「コールド」な腫瘍の免疫学的治療は、適応免疫応答が存在しないことに少なくとも部分的に起因して、大きな課題を提示する。免疫学的に「コールド」な腫瘍を引き起こす傾向のあるがんには、神経膠芽腫、卵巣がん、前立腺がん、膵がん、及び多くの乳がんが含まれるが、これらに限定されない。ただし、「コールド」な腫瘍は、これらの種類のがんに限定されるが、がんが対象において進行するにつれて、一部のがんは、免疫系の回避を可能にする耐性機序を発達させる。驚くべきことに、本開示のナノ粒子は、宿主免疫系によって認識されるように、腫瘍を「再プログラム」する。
例示的な態様では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor、ICI)耐性の悪性腫瘍に罹患している。免疫応答(又はICI)に対する腫瘍の感受性、又は別の言い方をすれば、腫瘍に対する免疫応答(又はICI)の有効性は、当該技術分野で既知のものなどの様々な方法で決定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つ以上の他の治療剤の投与を更に含む。いくつかの態様では、他の治療剤は、がんを治療又は予防することを目的とする。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、化学療法剤である。一般的な化学療法剤としては、アドリアマイシン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メルファラン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、タキソール、トランスプラチナム、5-フルオロウラシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。化学療法は、それがリンパ球枯渇療法である場合、様々な例において、上記のように、CAR T細胞療法の前の時間枠内に投与されない。
いくつかの実施形態では、他の治療剤は、がんの治療のための放射線療法において使用される薬剤であり、実際、いくつかの実施形態では、本方法は、放射線療法を含む治療レジメンの一部である。更に、本開示の方法は、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫)などの腫瘍の外科的切除に関連して行われ得る。
例示的な態様では、本方法は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を対象に投与することを含む。「免疫チェックポイント阻害剤」又は「ICI」は、免疫チェックポイント経路のタンパク質の機能を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する任意の薬剤(例えば、化合物又は分子)である。免疫チェックポイント経路のタンパク質は、免疫応答を調節し、場合によっては、T細胞ががん細胞を攻撃するのを防止する。様々な態様では、免疫チェックポイント経路のタンパク質は、例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、TIGIT、VISTA、LAG3、CD112、TIM3、BTLA、又は共刺激受容体ICOS、OX40、41BB、若しくはGITRである。様々な態様では、ICIは、小分子、阻害核酸、又は阻害ポリペプチドである。様々な態様では、ICIは、免疫チェックポイント経路のタンパク質に結合してその機能を阻害する抗体、抗原結合抗体断片、又は抗体タンパク質産物である。抗体、抗原結合抗体断片、又は抗体タンパク質産物である好適なICIは、当該技術分野で既知であり、イピリムマブ(CTLA-4;Bristol Meyers Squibb)、ニボルマブ(PD-1;Bristol Meyers Squibb)、ペンブロリズマブ(PD-1;Merck)、アテゾリズマブ(PD-L1;Genentech)、アベルマブ(PD-L1;Merck)、及びデュルバルマブ(PD-L1;Medimmune)(Wei et al.,Cancer Discovery 8:1069-1086(2018))を含むが、これらに限定されない。ICIの他の例としては、IMP321(LAG3:Immuntep);BMS-986016(LAG3;Bristol Meyers Squibb)、IPH2101(KIR;Innate Pharma)、トレメリムマブ(CTLA-4;Medimmune)、ピディリズマブ(PD-1;Medivation)、MPDL3280A(PD-L1;Roche)、MEDI4736(PD-L1;AstraZeneca)、MSB0010718C(PD-L1;EMD Serono)、AUNP12(PD-1;Aurigene)、MGA271(B7-H3:MacroGenics)、及びTSR-022(TIM3;Tesaro)が挙げられるが、これらに限定されない。
ナノ粒子の製造方法
正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸(例えば、RNA)層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子は、(A)核酸分子とリポソームとを、約1対約5~約1対約25、例えば、約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15の核酸(例えば、RNA):リポソーム比で混合して、核酸(例えば、RNA)で被覆されたリポソームを得ることを含む方法によって製造されてもよい。リポソームは、カチオン性脂質及び有機溶媒を含む脂質混合物を、有機溶媒を真空下で蒸発させることによって乾燥させることを含む、リポソームを作製するプロセスによって作製される。本方法は、(B)RNAで被覆されたリポソームを余剰量のリポソームと混合することを更に含む。例示的な態様では、ここで開示される方法によって作製されたナノ粒子は、本明細書に記載されるナノ粒子の記載と一致する。例えば、ここで開示される方法によって作製されたナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、任意選択で、約+45mV~約+55mVのゼータ電位を有する。任意選択で、ここで開示される方法によって作製されたナノ粒子のゼータ電位は、約+50mVである。様々な態様では、ここで開示される作製されたナノ粒子のコアは、約0.5重量%未満の核酸を含み、かつ/又はコアは、カチオン性脂質二重層を含み、かつ/又はナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含み、かつ/又は、ナノ粒子の表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。
例示的な態様では、脂質混合物は、カチオン性脂質及び有機溶媒を、1mLの有機溶媒当たり約40mgのカチオン性脂質~1mLの有機溶媒当たり約60mgのカチオン性脂質の比、任意選択で、1mLの有機溶媒当たり約50mgのカチオン性脂質の比で含む。様々な例において、リポソームを作製するプロセスは、脂質混合物を再水和溶液で再水和して再水和された脂質混合物を形成し、次に再水和された脂質混合物を攪拌、静置、及びサイジングすることを更に含む。任意選択で、再水和された脂質混合物のサイジングは、再水和された脂質混合物を超音波処理、押し出し、及び/又は濾過することを含む。
ナノ粒子を作製する例示的な方法の説明は、本明細書において実施例1で提供される。実施例1に記載される工程のうちのいずれか1つ以上は、必要に応じて調整されてもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、リポソームと複合体化させる前に、RNAを調製するために必要とされる1つ以上の工程を含む。例示的な態様では、対象、例えば、ヒトに投与するためのナノ粒子を調製するために、下流の工程が含まれる。例示的な例では、本方法は、静脈内注射用のNPを配合することを含む。本方法は、様々な態様では、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を加えることを含み、任意選択で、得られた組成物を容器、例えば、バイアル、注射器、バッグ、アンプルなどに包装することを含む。いくつかの態様における容器は、すぐに使用できる容器であり、任意選択で、使い捨て用である。
医薬組成物
本開示のナノ粒子と、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤とを含む、組成物が本明細書に提供される。例示的な態様では、本組成物は、無菌組成物である。例示的な例では、本組成物は、本開示の複数のナノ粒子を含む。任意選択で、複数のうちの少なくとも50%のナノ粒子は、約100nm~約250nmの直径を有する。様々な態様では、本組成物は、1mL当たり約1010ナノ粒子~1mL当たり約1015ナノ粒子、任意選択で、1mL当たり約1012ナノ粒子±10%を含む。
例示的な態様では、本開示の組成物は、ナノ粒子、ナノ粒子を含む細胞、ナノ粒子を含む細胞の集団、又はCAR T細胞以外の、追加の成分を含んでもよい。本組成物は、様々な態様では、例えば、酸性化剤、添加剤、吸着剤、エアロゾル噴射剤、空気置換剤、アルカリ化剤、固化防止剤、抗凝固剤、抗菌保存剤、抗酸化剤、防腐剤、基剤、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、洗浄剤、希釈剤、消毒剤、崩壊剤、分散剤、溶解促進剤、染料、軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、充填剤、被膜形成剤、風味増強剤、香味剤、流動促進剤、ゲル化剤、顆粒化剤、保湿剤、潤滑剤、粘膜付着剤、軟膏基剤、軟膏、油性媒体、有機基剤、パスティル基剤、顔料、可塑剤、研磨剤、保存剤、封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐剤基剤、界面活性剤、界面活性剤、懸濁剤、甘味剤、治療剤、増粘剤、張化剤、毒性剤、増粘剤、吸水剤、水混和性共溶媒、水軟化剤、又は湿潤剤を含む、任意の薬学的に許容される成分を含む。例えば、参照によりその全体が組み込まれる、the Handbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,A.H.Kibbe(Pharmaceutical Press,London,UK,2000)、参照によりその全体が組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)を参照されたい。
本開示の組成物は、非経口及び皮下を含む、任意の許容される経路による投与に好適であり得る。他の経路としては、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、節内、及び脾臓内が挙げられる。例示的な態様では、本組成物は、全身(例えば、静脈内)投与に好適である。本組成物が対象への投与を意図した形態である場合、これは、意図した投与部位と等張であるようにすることができる。例えば、溶液が非経口投与を意図した形態である場合、これは血液と等張であり得る。本組成物は、典型的には無菌である。ある特定の実施形態では、これは、滅菌濾過膜を介した濾過によって達成されてもよい。ある特定の実施形態では、非経口組成物は、概して、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内用溶液バッグ、又は皮下注射針によって穿刺可能なストッパを有するバイアル、若しくはプレフィルド注射器に入れられる。ある特定の実施形態では、本組成物は、すぐに使用できる形態、又は投与前に再構成若しくは希釈される形態(例えば、凍結乾燥された)のいずれかで保存されてもよい。
以下の実施例は、単に本発明を例示するために提供され、その範囲を如何様にも限定するためではない。
実施例1
この実施例は、本開示のナノ粒子を作製する方法を説明する。
DOTAPリポソームの調製
1日目に、ドラフト内で次の工程を実行した。ロータベーパー浴に水を加えた。クロロホルム(20mL)を滅菌ガラスメスシリンダーに注いだ。1gのDOTAPを含むバイアルを開けた後、ガラスピペットを使用して、5mLのクロロホルムをDOTAPバイアルに加えた。次に、一定量のクロロホルム及びDOTAPを、1Lの蒸発フラスコに移した。2番目の体積5mLのクロロホルムをDOTAPバイアルに加えて、バイアル中に残存するDOTAPを溶解させ、次に、この量のクロロホルムをDOTAPバイアルから蒸発フラスコに移すことによって、DOTAPバイアルを洗浄した。メスシリンダー内の全てのクロロホルムが使用されるまで、この洗浄工程を更に2回繰り返した。次に、蒸発フラスコをBuchiロータベーパーに入れた。水浴の電源を入れて、25℃に調整した。蒸発フラスコを、水浴に触れるまで下に動かした。ロータベーパーの回転速度を、2に調整した。真空システムの電源を入れて、40mbarに調整した。10分後、真空システムの電源を切り、クロロホルムをコレクターフラスコから収集した。収集したクロロホルムの量を測定した。コレクターフラスコの位置を変えたら、真空を再びオンにし、クロロホルムが完全に蒸発するまで、蒸発フラスコの内容物を一晩乾燥させた。
2日目に、滅菌メスシリンダーを使用して、PBS(200mL)を、室温に維持した新しい滅菌500mL PBSボトルに加えた。DOTAPを収集するために、2番目の500mL PBSボトルを準備した。Buchiロータベーパー水浴を、50℃に設定した。PBS(50mL)を、25mLの使い捨て血清ピペットを使用して、蒸発フラスコに加えた。蒸発フラスコをBuchiロータベーパーに配置し、フラスコの1/3が水浴に沈むまで、下に動かした。ロータベーパーの回転速度を2に設定し、10分間回転させた後、回転を止めた。蒸発フラスコからのDOTAPを含む50mLのPBSを、2番目の500mL PBSボトルに移した。PBSボトル内のPBSの全量が使用されるまで、この工程を(3回)繰り返した。2番目の500mL PBSボトルの最終容量は、400mLであった。2番目の500mL PBSボトルの脂質溶液を30秒間ボルテックスした後、50℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーションの間、ボトルを10分毎にボルテックスした。2番目の500mL PBSボトルを室温で一晩放置した。
3日目に、PBS(200mL)を、DOTAP及びPBSを含む2番目の500mL PBSボトルに加えた。2番目の500mL PBSボトルを、超音波浴に入れた。水を超音波浴に満たし、2番目の500mL PBSボトルを5分間超音波処理した。押出機をPBS(100mL)で洗浄し、この洗浄工程を繰り返した。0.45μm孔のフィルターを濾過ユニットに取り付け、新しい(3番目の)500mL PBSボトルを、押出機の出力チューブ内に配置した。生物学的安全キャビネット中で、3番目のPBSボトルの約70%が満たされるまで、DOTAP-PBS混合物を押出機にロードした。次に、押出機の電源を入れ、全ての混合物が押出機を通過するまで、DOTAP PBS混合物を加えた。続いて、0.22μm孔のフィルターを濾過ユニットに取り付け、新しい(3番目の)500mL PBSボトルを、押出機の出力チューブに配置した。以前にフィルタリングされたDOTAP-PBS混合物をロードし、全体にわたって再度実行した。次に、PBS中にDOTAP脂質ナノ粒子(NP)を含む試料を、4℃で保存した。
RNA調製
NPに組み込む前に、RNAを、いくつかの方法のうちの1つで調製した。全腫瘍RNAを、腫瘍細胞から全RNA(rRNA、tRNA、mRNAを含む)を単離することによって調製した。全腫瘍RNAの逆転写によって生成されたcDNAテンプレートを使用してインビトロ転写反応を実行することにより、インビトロ転写されたmRNAを調製した。腫瘍抗原特異的及び非特異的RNAは、施設内で作製するか、又は供給業者から購入した。
全腫瘍RNA:腫瘍細胞からの全腫瘍由来RNA(例えば、B16F0、B16F10、及びKR158-luc)は、市販のRNeasyミニキット(Qiagen)を使用して、製造業者の指示に基づいて単離した。
インビトロ転写されたmRNA:簡単に説明すると、RNAは、製造業者の指示に従って市販のRNeasyミニキット(Qiagen)を使用して単離し、cDNAライブラリーは、RT-PCRによって生成した。SMARTScribe Reverse Transcriptaseキット(Takara)を使用して、cDNAライブラリーを生成するために、PCRによる逆転写酵素反応を、全腫瘍RNAに対して実行した。次に、得られたcDNAを、T7/SMART及びCDS IIIプライマーを含むTakara Advantage 2 Polymerase mixを使用して増幅し、増幅サイクルの総数を、ゲル電気泳動で決定した。製造業者の指示に従って、Qiagen PCR精製キットを使用して、cDNAの精製を行った。各RNAナノ粒子ワクチンで使用するのに十分なmRNAを単離するために、T7酵素ミックスを有するmMESAGE mMACHINE(Invitrogen)キットを使用して、cDNAライブラリー上でインビトロ転写を一晩行った。転写の忠実度を確保するため、ハウスキーピング遺伝子を評価した。次に、得られたmRNAを、Qiagen RNeasy Maxiキットで精製して、最終的なmRNA産物を得た。
腫瘍抗原特異的及び非特異的mRNA:腫瘍抗原特異的RNA(例えば、pp65、OVAをコードするRNA)及び非特異的RNA(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼをコードするRNA)をコードするDNAを含むプラスミドを、制限酵素(すなわち、SpeI)を使用して線形化し、Qiagen PCR MiniEluteキットを用いて精製する。続いて、線形化されたDNAを、mmRNAインビトロ転写キット(Life technologies、Invitrogen)を使用して転写し、RNA Maxiキット(Qiagen)を使用してクリーンアップした。代替的な方法では、非特異的RNAは、Trilink Biotechnologies(San Diego,CA)から購入される。
多層RNAナノ粒子(NP)の調製
DOTAP脂質NPをRNAと複合体化して、正に帯電した表面及び空のコアを備えた密にコイル状のリポソーム内に含まれるmRNAのいくつかの層を有するように設計された多層RNA-NPを作製した(図1A)。簡単に説明すると、安全キャビネット中で、RNAを-80℃から解凍し、次に、氷上に置き、PBS及びDOTAPを含む試料(例えば、DOTAP脂質NP)を室温に戻した。成分を調製したら、滅菌チューブ内で、所望の量のRNAをPBSと混合した。RNA及びPBSの混合物を含む滅菌チューブに、適切な量のDOTAP脂質NPを、物理的に混合せずに(例えば、チューブを逆さにせずに、ボルテックスせずに、攪拌せずに)加えた。RNA、PBS、及びDOTAPの混合物を、約15分間インキュベートして、多層RNA-NPを形成させた。15分後、チューブを繰り返し反転させることにより、混合物を穏やかに混合した。この時点で、混合物を、全身(すなわち、静脈内)投与の準備ができているとみなした。
上記の調製に使用されるRNA及びDOTAP脂質NP(リポソーム)の量は、事前に決定又は事前に選択される。いくつかの例では、約1μgのRNA当たり約15μgのリポソームの比率が使用された。例えば、約5μgのRNA当たり約75μgのリポソームが使用されるか、又は約25μgのRNA当たり約375μgのリポソームが使用される。他の例では、1μgのRNA当たり約7.5μgのリポソームが使用された。したがって、例示的な例では、使用される全てのμgのRNAに対して、約1μg~約20μgのリポソームが使用される。
実施例2
この例は、本開示のナノ粒子の特徴付けを説明する。
極低温電子顕微鏡(Cryo-Electron Microscopy、CEM)
CEMを使用して、実施例1に記載のように調製された多層RNA-NP並びに「RNA調製」及び「多層RNAナノ粒子(NP)の調製」の工程以外は実施例1の全ての工程に従って作製されたRNAを含まない対照NP(未複合体化NP)の構造を分析した。CEMを、Sayour et al.,Nano Lett 17(3)1326-1335(2016)に本質的に記載されているように実行した。簡単に説明すると、多層RNA-NP又は対照NPを含む試料を、Vitrobot(及びクライオTEM用の自動プランジフリーザー、これは、温度、相対湿度、ブロッティング条件及び凍結速度を制御することにより、氷晶の形成なしに試料を凍結する)中にロードして瞬間冷凍する前に、氷上に保持した。次に、試料を、Gatan UltraScan 4000(4k×4k)CCDカメラを備えたTecnai G2 F20 TWIN 200kV/FEG透過型電子顕微鏡で画像化した。得られるCEM画像を、図1Bに示す。右のパネルは、多層RNA-NPのCEM画像であり、左のパネルは対照NP(未複合体化NP)のCEM画像である。図1Bに示すように、対照NPは最大2層を含んでいたが、多層RNA NPは、複数の層を含んでいた。
ゼータ電位
多層RNA NPのゼータ電位を、Sayour et al.,Nano Lett 17(3)1326-1335(2016)に本質的に記載されるように、Brookhaven ZetaPlus装置(Brookhaven Instruments Corporation、Holtsville,NY)を使用して、位相分析光散乱(phase analysis light scattering、PALS)によって測定した。簡単に説明すると、未複合体化NP又はRNA-NP(200μL)をPBS(1.2mL)に再懸濁し、機器にロードした。試料を、試料毎に5回、各実行で25サイクル、Smoluchowskiモデルを使用して実行した。
実施例1に記載されるように調製された多層RNA NPのゼータ電位を、約+50mVで測定した。興味深いことに、多層RNA NPのこのゼータ電位は、Sayour et al.,Oncoimmunology 6(1):e1256527(2016)に記載されている、+27mV付近で測定されたものよりもはるかに高かった。特定の理論に縛られることなく、クロロホルムを蒸発させるための真空シール法を含む多層RNA NPの作製に使用するためにDOTAP脂質NPを作製する方法(実施例1)は、DOTAP脂質NPの少ない環境酸化をもたらし、これにより、より多量のRNAがDOTAP NPと複合体を形成し、かつ/又はDOTAP脂質NPへのRNAの取り込みがより増加することが可能になり得る。
ゲル電気泳動によるRNAの取り込み:
MLリポソームに組み込まれたRNAの量を測定するために、ゲル電気泳動実験を行った。この実験に基づき、実施例1に記載された手順で使用されたRNAの、全てではないにしても、ほぼ全てが、DOTAP脂質NPに組み込まれたことが定性的に示された。RNA取り込みの程度を特徴付ける追加の実験は、RNA-NP密度を測定し、このパラメータをリポプレックスのパラメータと比較することによって実行される。
実施例3
この実施例は、本開示のナノ粒子と、カチオン性RNAリポプレックス及びアニオン性RNAリポプレックスとの比較を記載する。
カチオン性リポプレックス(lipoplex、LPX)を、外表面上にある正味の正電荷によってシールドされた脂質コアのmRNAを用いて最初に開発した(図2A)。アニオン性RNAリポプレックス(図2B)を、二層リポソームの表面につながれた過剰なRNAを用いて開発した。RNA及び脂質NPを、電荷を均等化する比率で混合することによって、RNA-LPXを作製した。RNA及び脂質NPを、負電荷を有する脂質NPを過飽和させる比率で混合することによって、アニオン性RNA-NPを作製した。次に、RNA-LPX及びアニオン性RNA LPXの様々な態様を、上記の実施例に記載した多層RNA NPと比較した。
クライオ電子顕微鏡法(CEM)を使用して、RNA LPX及び実施例1に記載されているように調製された多層RNA-NPの構造を比較した。未複合体化NPを、対照として使用した。CEMを、実施例2に本質的に記載されているように実施した。図2Cは、未複合体化NPのCEM画像、図2Dは、RNA LPXのCEM画像(リポソームのRNAに対するその質量比は3.75:1)、図2Eは、多層RNA-NPのCEM画像(リポソームのRNAに対するその質量比は15:1である)。これらのデータは、ML RNA-NPによってより多くのRNAが保持されることを裏付ける。追加のデータは、RNA LPXに対してより多くのML RNA-NP複合体化を有する濃縮液滴が、質量又は電荷で等量のRNA及び脂質NP(すなわち、それぞれRNA-LPX及びアニオン性RNA-LPX)を単純に混合することによっては観察されないML RNA NPの多層形成を裏付けることを示す。このことは、本明細書に記載のML RNA-NPによってより多くのRNAが「保持」されることを裏付ける。
また、アニオン性LPXがマウスへの投与時にどこに局在するかを決定するために、実験を行った。アニオン性LPXは、投与時に動物の脾臓に局在した。
RNA LPX、アニオン性リポプレックス(LPX)、又は多層RNA-NPをマウスに投与し、活性化DCの評価のために1週間後に脾臓を採取した(p<0.05対応のないt検定)。この実験で使用したRNAは、K7M2腫瘍骨肉腫細胞株に由来する腫瘍由来のmRNAであった。図2Fに示すように、多層RNA NPで処置されたマウスは、最高レベルの活性化DCを示した。
アニオン性腫瘍mRNA-リポプレックス、腫瘍mRNA-リポプレックス、及び多層腫瘍mRNAをロードしたNPを、治療用肺がんモデル(K7M2)で比較した(n=5~8/群)。各ワクチンを、毎週静脈内投与した(x3)(**p<0.01、Mann-Whitney)。CD8+脾細胞の%CD44+CD62L+を図2Gに示し、CD4+脾細胞の%CD44+CD62L+を図2Hに示す。また、図2Jは、多層(ML)RNA-NPが、自然抗ウイルスサイトカインである実質的に増加したIFN-αを媒介することを示す。このことは、ML RNA-NPが、非抗原特異的ML RNA-NPからでさえも有効性を促進するのに十分な、実質的により大きな自然免疫を可能にすることを示す。これらのデータはまた、ML RNA-NPが、IFN-αの最も重要な産生株である活性化された形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell、pDC)の数を増加させることも間接的に裏付けている。まとめると、このデータは、アニオン性LPX及びRNA LPXと比較して、多層腫瘍特異的RNA-NPの優れた有効性を示している。
アニオン性腫瘍mRNA-リポプレックス、陽イオン性腫瘍mRNA-リポプレックス、及び多層腫瘍mRNAをロードしたNPを、治療用肺がんモデル(K7M2)で比較した(n=8/群)。各ワクチンを毎週静脈内投与した(×3)、p<0.05、Gehan Breslow-Wilcoxon検定。生存率を、Kaplan-Meier曲線分析によって測定した。図2Iに示すように、多層腫瘍特異的RNA-NPは、カチオン性RNAリポプレックス及びアニオン性RNAリポプレックスと比較して、生存率を高めるための優れた有効性を媒介した。
インビボでの自然免疫応答を活性化するための多層RNA-NPの能力をまた、神経膠腫腫瘍微小環境で調べた。
RNA-NPは腫瘍の血管周囲領域に局在し、活性化された骨髄細胞のためにTMEを再プログラムする。K-luc保有動物(n=5/群)に、腫瘍RNA-NP又はNPのみを接種した。RNA-seq分析のために48時間後に腫瘍を採取した。RNA-NPを投与された動物では、BATF3、IRF、及びIFN応答遺伝子についての遺伝子シグネチャーの顕著なアップレギュレーションが観察された。特に、本発明のRNA-NPは、BATF3(エフェクター樹状細胞表現型に関連する)、IRF5及びIRF7(インターフェロン調節因子)、並びにISG15及びIFITM3(インターフェロン応答遺伝子)の発現を顕著にアップレギュレートした。これらの遺伝子は、免疫療法の応答を感作させるために不可欠であることが示されている。そのため、RNA-NPは、エフェクター免疫応答に関連する神経膠腫腫瘍微小環境における重要な自然免疫遺伝子シグネチャーをアップレギュレートし、実際に腫瘍を「コールド」から「ホット」に変え、免疫チェックポイント阻害剤をRNA-NP処置前は効果がなかった場所で活性化できるようにする。
ここで、生理学的に関連する腫瘍抗原を標的とする多層RNA-NP製剤は、アニオン性LPX及びRNA LPXと比較して、免疫原性が高く(図2F~図2H、図2J)、有意により有効である(図2I)ことが示されている。特定の理論に縛られることなく、RNA-脂質比を変更し、ゼータ電位を上昇させることにより、緊密に巻かれたmRNAの多層リングから構成される新しいRNA-NPデザインが開発された(図1C)が、この多層デザインは、粒子の免疫原性を高め、インビボ局在化を末梢及び腫瘍微小環境(tumor microenvironment、TME)へ広げるために、mRNAのNP取り込みの増加(正/負の電荷を交互に繰り返すことによって濃縮される)を促進すると考えられる。これらの多層RNA-NPの全身投与は、リンパ節、細網内皮器官(すなわち、脾臓及び肝臓)並びにTMEに局在化し、そこでDCを活性化する(CD11c+細胞での活性化マーカーCD86の発現の増加に基づいて)。これらの活性化されたDCは、抗原特異的T細胞応答をプライミングし、いくつかの腫瘍モデルで抗腫瘍効果(TILの増加を伴う)をもたらす。
実施例4
この例は、パーソナライズされた腫瘍RNA-NPが、トランスレーショナルイヌモデルにおいて活性であることを示す。
多層RNA-NPの安全性及び活性を、悪性神経膠腫又は骨肉腫と診断されたクライアント所有のイヌ(ペットのイヌ)で評価した。イヌの悪性神経膠腫又は骨肉腫を、最初に、パーソナライズされた腫瘍RNA-NPワクチンの生成のために生検した。
パーソナライズされた多層RNA NPを生成するために、各患者の生検から全RNA材料を抽出した。次に、抽出した全RNAからcDNAライブラリーを調製し、次に、cDNAライブラリーからmRNAを増幅した。次に、mRNAをDOTAP脂質NPと複合体化し、実施例1に実質的に記載されている多層RNA-NPにした。CD11c+細胞上のPD-L1、MHCII、CD80、及びCD86の評価のために、血液を、ベースラインで、次に、ワクチン接種から2時間後及び6時間後に採取した。PD-L1、MHC-II、PDL1/CD80、及びPD-L1/CD86のCD11c発現を、イヌの最初の観察期間中に経時的にプロットする。CD3+細胞を、イヌの最初の観察期間中にCD4及びCD8の割合について経時的に分析し、これらのサブセットを、活性化マーカー(すなわち、CD44)の発現について評価した。これらのデータから、多層RNA-NPは、1)末梢DCの活性化を示すCD11c末梢血細胞上のCD80及びMHCIIの増加、並びに2)活性化T細胞の増加を誘発することが示された。
興味深いことに、投与後数時間以内に、腫瘍特異的RNA-NPは、末梢血単核細胞の辺縁趨向を誘発し、この辺縁趨向は、治療後数日及び数週間で増加したが、このことは、RNA-NPが放出前に免疫細胞集団のリンパ球ホーニングを媒介することを示唆している。
これらのデータは、パーソナライズされたmRNA-NPが、トランスレーショナルイヌ疾患モデルで安全かつ活性であることを示す。
この方法で評価されたイヌの特定のデータを示す。31kgの雄のアイリッシュセッターを、多層RNA-NPを投与されることに飼い主の同意を得て、研究に登録した。腫瘍生検後、腫瘍mRNAを首尾よく抽出及び増幅した。免疫応答を、最初のワクチンに応答してプロットした。データは、CD11c+細胞(DC)での経時的な活性化マーカーの増加を示す(図3A)。データは、RNA-NPワクチン接種後の最初の数時間以内に活性化されるCD8+細胞(CD44+CD8+細胞)の増加を示す。これらのデータは、多層RNA-NPが、雄のアイリッシュセッターで免疫学的に活性であることを裏付ける。悪性神経膠腫と診断された雄のボクサーを、RNA-NPを投与されることに飼い主の同意を得て、研究に登録した。腫瘍生検後、腫瘍mRNAを首尾よく抽出及び増幅した。免疫応答を、最初のワクチンに応答してプロットする(図3B)。データは、CD11c+細胞(DC)での経時的な活性化マーカーの増加を示す。図3Cに示すように、RNA-NPワクチン接種後の最初の数時間以内に、活性化T細胞(CD44+CD8+細胞)の増加が観察された。これらのデータは、多層RNA-NPが雄のボクサー犬で免疫学的に活性であることを裏付けている。自然発生神経膠腫を有するイヌの治療からの追加の観察を、図3E~3Hに示す。図3Eは、ワクチン接種後の日に誘発されたリンパ球のパーセンテージを示し、これは、放出前の抗原教育のための辺縁趨向を示唆している。図3Fは、インターフェロンα産生の急増を示し、図3Gは、ML RNA-NPの投与後数時間でのCD11c+細胞におけるCD80発現の増加を示す。図3Hは、免疫学的により「活性な」環境への移行に注目した、CD8+細胞及びCD44+CD8+細胞の発現を示す。このデータは、ML RNA-NPを使用して、免疫療法に対してより応答する免疫環境に移行することを裏付けている。
毎週RNA-NP(×3)を投与された後、悪性神経膠腫と診断されたイヌは、着実な経過をたどった。ワクチン接種後のMRIは、増加した腫れ及び増強(いくつかの場合で)を伴う安定した腫瘍負荷を示したが、このことは、無症候性のイヌの免疫療法反応からの偽進行とより一致し得る。支持療法及び腫瘍特異的RNA-NP(切除なしの腫瘍生検後)のみを受けている悪性神経膠腫と診断されたイヌの生存率を図3Dに示す。図3Dでは、生存期間の中央値(点線で示されている)は約65日であり、これは対症療法のみを受けているイヌの脳腫瘍患者のメタアナリシスから報告された。以前の研究では、イヌの脳星状細胞腫は77日の全生存期間の中央値を有すると報告されている。パーソナライズされた多層RNA NPは、200日を超える生存を可能にした。
初日のワクチン接種から6時間後に微熱が急増したことを除いて、パーソナライズされた腫瘍RNA-NP(1×)は、安定した血球数、差違、腎機能及び肝機能検査で良好な耐容性を示した。今日までに、悪性脳腫瘍を有すると診断された4頭のイヌを治療した。これらのイヌは、悪性腫瘍に対して他の治療的介入を受けておらず(すなわち、手術、放射線又は化学療法なし)、評価された全ての患者が、偽進行又は安定した/より小さな腫瘍を伴う免疫応答を発生させたことを強調することが重要である。RNA-NPワクチン接種後に、1匹のイヌを剖検した。この患者では、介入剤に関連すると考えられる毒性はなかった。
これらの結果は、他の抗腫瘍治療介入を受けていない対象について、悪性脳腫瘍を有するクライアント所有のイヌにおける腫瘍特異的RNA-NPの安全性及び活性を示唆する。
実施例5
本実施例は、非抗原特異的多層(ML)RNA NPが、記憶を与え、腫瘍の再チャレンジをかわすのに十分な長さの抗原特異的免疫を媒介することを示す。
腫瘍接種により合計2回チャレンジされたが、GFP RNA若しくはpp65 RNAを含むML RNA NP(各々腫瘍に非特異的である)、又は腫瘍特異的RNAを含むML RNA NPで毎週1回(×3)のみ処置された長期生存マウス(例えば、約100日間生存したマウス)を用いて、実験を行った。処置は、最初の腫瘍接種の直後及び2回目の腫瘍接種の約100日前に行われた。対照マウス(未処置のマウス)はいずれも100日まで生存しなかったため、同じタイプのマウスにK7M2腫瘍を接種することにより、新しい対照群のマウスを創出した。元の対照マウスと同様に、新しい対照群は、いずれの処置も受けなかった。長期生存者もまた、2回目の腫瘍接種後にいずれの処置も受けなかった。この実験のイベントのタイムラインを、図4Aに示す。
注目すべきことに、3つの群全てのマウスは、2回目の腫瘍チャレンジを生き延びた長期生存者を含んでいた。図4B(2回目の接種後の期間のみを示す)に示すように、3つの群全てのマウスは、腫瘍移植後40日まで生存する長期生存者を含んでいた(腫瘍接種の2回目の例)。興味深いことに、非特異的RNA(GFP RNA又はpp65 RNA)を含むML RNA NPで以前に処置された長期生存マウスのパーセンテージは、腫瘍特異的RNA(2回目の腫瘍チャレンジの前に処置)を含むML RNA NPで処置された群に匹敵する、2回目の腫瘍接種後40日まで生存した。
これらのデータは、対象の腫瘍に非特異的なRNAを含むML RNA NPが、腫瘍に特異的なRNAを含むML RNA NPにより提供される治療的処置に匹敵する治療的処置を腫瘍に提供し、動物の生存率の増加したパーセンテージにつながることを裏付けている。
実施例6
この実施例は、ML RNA NPを免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与すると、腫瘍保有対象の生存率の大幅な増加につながることを示している。
ICIと組み合わせたML RNA NPの効果を試験するために、腫瘍保有C57Bl/6マウスを、ML RNA NP単独(RNA NP)で、又は抗PDL1モノクローナル抗体(anti-PDL1 monoclonal antibody、PDL1 mAb)と組み合わせて、処置した。対照群には、未処置のマウス、いずれのRNAもロードされていないナノ粒子(NPのみ)、又はPDL1 mAbのみで処置されたマウスが含まれていた。腫瘍移植のために、マウス口腔扁平上皮がん(oral cavity squamous cell carcinoma、OSCC)細胞である約200,000MOC-1細胞を、C57Bl/6マウスの皮下に移植した。ナノ粒子を投与された群(ML RNA NPのみ、又はPDL1 mAb若しくはNPのみと組み合わせた)については、腫瘍移植の24時間以内にNPを静脈内注射し、次に、週1回更に2回注射した。ICI(ML RNA NP+PDL1 mAb又はPDL1 mAbのみ)を投与されたマウスの群については、PD-L1 mAb(400μg)を腹腔内に注射し、続いて、NPの3回目の投与まで週2回200μgを注射した。各群の生存マウスを、約100日間の研究期間にわたってモニターし、各群の生存マウスのパーセンテージを、腫瘍移植後の時間の関数としてプロットした。結果を図5に示す。この図に示すように、ICIと組み合わせたML RNA NPで処置した生存マウスのパーセンテージは、いずれかの治療のみを受けたマウスよりもはるかに高かった。
実施例7
この実施例は、本開示のML RNA-NPが、免疫学的に「コールド」な腫瘍、すなわち、ICIに応答しなかった腫瘍に対して抗腫瘍免疫応答を媒介することを示す。図6A~6Cに示されるように、本開示のML RNA-NPを免疫チェックポイント阻害剤(ここでは、抗PD-L1抗体)とともに投与すると、RNA-NP単独及びチェックポイント阻害剤単独の投与と比較して、黒色腫モデルにおいて腫瘍体積の減少がもたらされた。ML RNA-NPの投与はまた、肉腫モデル及び転移性肺モデルでの対象の生存の増強をもたらした。このデータは、ML RNA-NPが免疫学的に「コールド」な腫瘍を再プログラムすることを確立するとともに、一連のがん及び腫瘍のタイプにわたってML RNA-NPの有効性を示している。
実施例8
本実施例は、CAR T細胞プライミングに対する本開示のナノ粒子組成物の全身投与の影響を解明するための研究を説明する。
CD70及びGD2は、骨肉腫(osteosarcoma、OSA)において発現される表面抗原である。CD70-CAR Tプラットフォームは、CD70発現固形腫瘍に対して有望な抗腫瘍活性を示す。Jin et al.,Nat Commun.,10(1):4016(2019).インビトロ実験において、CD70-KR158及びCD70-K7M2 OSA腫瘍細胞に対する腫瘍特異的死滅が観察された。加えて、GD2発現OSA細胞株(K7M2及びMOS-J)を標的とするGD2-CAR T細胞構築物を生成した。追跡実験において、CAR T細胞は、組織へのCAR T動員と良好に相関する表面標的(すなわち、CD70)をコードするRNA-NPと組み合わせた場合、確立された固形腫瘍の実質的な退縮を媒介することが示された(図8A)。
CAR特異的T細胞(移植の1週間後に投与)に対するNP活性化APCの効果を決定するために、K7M2保有マウス(肺OSA転移をi.v.接種)に、以前に説明されているように(Sayour et al.Oncoimmunology 2016:e1256527;doi:10.1080/2162402X.2016.1256527)、FITCで標識したNPにカプセル化した精製腫瘍mRNA(K7M2を発現するCD70に由来する)をワクチン接種した。25μgの腫瘍mRNA(K7M2由来)を伴う375μgの本明細書に記載の脂質-NPから構成されるRNA-NP(対NP単独又は対照RNA-NP)を、CAR T細胞投与の24時間後から開始して毎週(×3)iv投与した。CAR導入遺伝子発現を末梢血から評価した。最後のワクチンの1週間後、関連性のあるFITC+DC(CD11c+CD86+MHC+細胞)を、脾臓、腫瘍流入領域リンパ節(tumor draining lymph node、tDLN)及びOSA腫瘍から選別した(FACSort;BD Aria II)。次に、RNA-NPトランスフェクトDCを、CAR T細胞とともに培養し、T細胞を、増殖、表現型(エフェクター対中央メモリー)、機能、及び細胞傷害性について評価した。T細胞の増殖を、フローサイトメトリーによってCFSE希釈を介して評価した。エフェクター/中央メモリー細胞の表現型を、CD44及びCD62Lの示差染色によって決定した。これらのT細胞を、ビーズアレイ(BD)によるTh1サイトカイン(すなわち、IL-2、TNF-α、及びIFN-γ)の検出のために上清を採取する前に、合計2サイクル再刺激した。抗原特異性を決定するために、T細胞を、K7M2(表面標的を発現する、GFP又はルシフェラーゼでトランスフェクトしたもの)又は対照腫瘍(B16F10-GFP、K7M2を発現する非表面標的)の存在下でインキュベートし、細胞傷害性死滅について評価した。生存腫瘍細胞の代用としての、各共培養におけるGFP又はルシフェラーゼの量を、フローサイトメトリー及び生物発光によって定量的に測定した。このタイプのアッセイの代表的な結果を、RNA-NPを使用した脾臓及び肝細胞の形質導入を示す図13A、並びに腫瘍細胞、RNA-NP、及びCAR T細胞を使用した研究に対応する図13Bに示す。
腫瘍へのDCの動員は、典型的には、IDO、FoxP3+Tregの増加、及び免疫調節性サイトカインの分泌を特徴とする調節表現型と関連付けられる。DCの腫瘍内効果を決定するために、腫瘍mRNA-NPを伴う又は伴わないCAR T細胞(対NP単独又は対照RNA-NP)を、K7M2保有IFN-γレポーターマウスに、DC枯渇mAb(Bioxcell)を伴って又は伴わずに、週1回(×3)投与する。活性化及び制御性T細胞を、連続した時点(6時間、1日、7日、及び21日)で、腫瘍内微小環境で経時的に調べる。以前に説明されているように(Sayour et al.Nano Lett,18(10):6195-206(2018))エフェクターT細胞を特徴付けてもよく、Tregを、FoxP3、CD25、及びCD4の発現によって表現型決定する。非枯渇動物由来のDCを、多重サイトカイン、ケモカイン(すなわち、IL-2、TNF-アルファ、IFN-I/II、MIP-1-アルファ/ベータ)、活性化マーカー(すなわち、CD80、CD86、CD40)、細胞溶解性マーカー(すなわち、TRAIL、グランザイムb)、及び調節マーカー(すなわち、IL-10、TGF-β、IDO)の発現について、FACSort及び表現型決定する。腫瘍細胞による免疫表現型の変化も評価する(すなわち、MHC-I、PD-L1、SIRPα)。
実施例9
本実施例は、OSA腫瘍微小環境(TME)におけるCAR T細胞輸送及び持続性に対する機構的基盤を調べるための研究を説明する。
RNA-NPは、T細胞上のLFA-1及びCCR2を、インターフェロン-I依存性の様式でアップレギュレートする。これらの知見は、RNAワクチンを受けた大型動物における末梢血からのリンパ球及び単球の大量の動員と相関する。高悪性度OSAは、低悪性度OSAと比較して増加したレベルのCCL2を発現するので、このアプローチは、CAR T細胞療法をOSA TMEへと駆動し、抗腫瘍活性及び持続性の増強をもたらし得る。
以降の研究は、RNA-NPワクチン接種前後のCAR T細胞のケモカイン受容体、S1P1、及びVLA-4/LFA-1発現プロファイルを調べるために役立つ。この方法論により、リンパ器官からのT細胞放出に必要なスフィンゴシン-1-リン酸受容体1(sphingosine-1-phosphate receptor 1、S1P1)、及びTMEへのT細胞通過に必要なインテグリン(すなわち、VLA-4、LFA-1)を含む、CAR T細胞輸送分子に対するRNA-NPの効果の評価が可能になる。K7M2保有IFN-γレポーターマウスに、CAR T細胞単独又はRNA-NPと組み合わせたCAR T細胞を投与する。最後のワクチン接種から1週間後、レシピエントマウスを人道的に安楽死させ(COにより)、脾臓、tdLN、骨髄、及び腫瘍を採取する。臓器を消化させ、脾臓、リンパ節、骨髄、及び腫瘍からのCAR T細胞を、標的抗原の表面発現によって、並びにエフェクター及び中央メモリーT細胞(すなわち、CD62L及びCD44マーカー)についての示差染色によって、連続した時点(7、14、及び21日目)で識別する。CD4及びCD8 CAR T細胞からのTh1関連ケモカイン受容体(すなわち、CCR2、CCR5、CCR7、及びCXCR3)、S1P1発現、VLA-4、及びLFA-1発現(ebioscience)を、マルチパラメータフローサイトメトリー及びIHCによって評価する。
以降の研究は、CAR T細胞のインビトロ及びインビボ遊走、並びにOSA TMEにおける持続性に対するRNA-NPの効果を調べるために役立つ。インビトロ:K7M2腫瘍保有ナイーブ、LFA-1、CCL2、又はCCR2 KO動物(B6トランスジェニック、Jackson)に、RNA-NP有り又は無しでCAR T細胞(対NP単独又は対照RNA-NP)を毎週(×3)投与する。最後のワクチンの1週間後、T細胞を、BD Aria II Cell Sorterを介してFACSortする。これらのT細胞を、トランスウェルアッセイ(Thermo-Fisher)において遊走能について評価し得る。簡単に説明すると、T細胞を、K7M2-GFP腫瘍細胞の層の間に透過膜を有する細胞培養インサートの上層に置く。遊走を、層間を移動するセルの数によって評価する。T細胞を、腫瘍細胞(4×10/mL)(×48時間)との共培養のために、IL-2(1マイクログラム/mL)有り又は無しで、1mL当たり4×10の濃度で、T細胞培地にプレーティングした後、ELISAによりIFN-γを決定する。生存腫瘍細胞の代用として、各共培養におけるGFPの量を、フローサイトメトリー分析及び生物発光によって定量的に測定する。インビボ:K7M2保有IFN-γレポーターマウス、又はLFA-1若しくはCCL2遮断mAb(Bioxcell)を受けているIFN-γレポーターマウスに、RNA-NP有り又は無しでCAR T細胞(対NP単独又は対照RNA-NP)を毎週(×3)投与する。TMEへのインビボ通過を、連続した時点(第1のワクチンから5日目、10日目、15日目、20日目)でのOSA腫瘍(脾臓、リンパ節、骨髄と比較して)中のCAR T細胞のパーセンテージ及び絶対数から評価する。抗原特異的なT細胞の細胞傷害性アッセイを、上記のように実施する。
実施例10
本実施例は、大型動物OSAモデルにおいて全身ワクチン接種を行った場合と行わなかった場合のCAR T細胞の免疫学的活性を調べるための研究を説明する。
OSA(天然にCD70を発現した)を有する2頭のイヌをRNA-NPで処置し、CARで形質転換したイヌT細胞を生成した。注目すべきことに、1頭のOSA患者が生存し続ける。OSAを有するイヌにおいて、投与後数時間以内に、腫瘍特異的RNA-NPは、末梢血単核細胞の辺縁趨向を誘発し、この辺縁趨向は、治療後数日及び数週間で増加した(図9A~C)が、このことは、RNA-NPが放出前に免疫細胞集団のリンパ球ホーニングを媒介することを示唆している。RNA-NPはまた、1)2時間で急増した血清IFN-α、2)CD11c+末梢血細胞上のCD86、PD-L1、及びMHCII(末梢DCの活性化を示す)、並びに3)活性化されたCD8+T細胞のパーセンテージ、における増加も誘発した。
以降の研究は、OSAのイヌモデルにおけるRNA-NP及びCAR T細胞の併用療法を調べる。転移性OSAを有するイヌのための日常的な標準治療は、緩和(生検なし)を伴い、一様に致死的である。転移性OSが疑われるイヌ(画像化に基づく)を登録する。次いで、イヌは、組織病理学による疾患の確認のためのスクリーニングCTガイド下生検、及びGD2又はCD70発現についてのスクリーニングを受ける。患者が適格性を満たす場合、本発明者らは、GD2又はCD70 CAR T細胞を製造し、これら(1×10細胞/kg)を腫瘍特異的RNA-NPと併せて投与する。パーソナライズした腫瘍mRNAの妥当性確認は、ゲル電気泳動、ナノドロップ分光光度法、及び生物分析によるRNAの品質、濃度、及び完全性に基づいて決定される。生検及び末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)収集の2週間後に、CAR T細胞単独又はCAR T細胞及びRNA-NP(1時間間隔)を、登録されたイヌに与える。イヌからの末梢検査所見及び血清サイトカイン(すなわち、IFI-I、IL-6、TNF-α)を、診断時、各隔週RNA-NPワクチン(×3)の直前、及び毎月の処置後追跡調査の間に、モニタリングする。
以降の研究は、OSAと診断されたイヌにおける末梢DC及びCAR T細胞活性化表現型を調べる。
免疫療法応答に関する生物学的相関を同定することは、新しい免疫療法の開発を阻んでいる重要な課題であった。免疫応答又は耐性に必要なDC及びCAR T細胞表現型は、以下のように調べることができる。簡単に説明すると、診断時及び各ワクチン接種の直前に、10~50mLのイヌ末梢血をバキュテナーチューブに採取する。PBMCを、Ficollを介した密度勾配遠心分離によって分離する。活性化マーカー(すなわち、CD11c+細胞上のCD80、CD86、及びMHCII)の決定のために、PBMCからのDCを毎週評価する。CAR導入遺伝子発現を評価する。T細胞リンパ球を、CD3、CD4、CD8、CCR2、CD69、LFA-1、及びPD-1の表面発現について分析し、細胞内染色を、FoxP3及びIFN-γについて行う。分析は、多色フローサイトメトリーを使用してモニタリングする。有効性を評価するために、腫瘍成長をCT画像化に基づいて決定する(RNA-NP後2週目及び4週目、並びにその後3か月毎)。免疫回避機構を、剖検を介して得られた腫瘍(すなわち、チェックポイントリガンドの発現、IDO、MHCクラスIのダウンレギュレーション)において、及びOSA TME(すなわち、MDSC、Treg、及びTAM)内で調べた。腫瘍中及びTME内の回避機構は、マルチパラメータフローサイトメトリー(LSR、BD Bioscience)によって行われる。
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示を記載している文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」及び「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本発明の態様が特徴を「含むこと」として記載される場合、実施形態も特徴「からなる」又は「から本質的になる」と企図される。
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各別個の値及び各終点を個々に言及する省略法としての役割を果たすことが単に意図され、各別個の値及び終点は、本明細書において個々に列挙されているのと同程度に本明細書に組み込まれる。動作例を除いて、又は別段の指示がない限り、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を表す全ての数字は、「約」という用語は関連する分野の当業者によって解釈されるため、「約」という用語によって全ての場合に修飾されると理解されるべきである。
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示の理解をより容易にすることを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本開示の実施に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
本開示を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む、本開示の好ましい実施形態が、本明細書に記載されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の明細書を読む際に当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形形態を採用することを予想し、本発明者らは、本開示が本明細書に具体的に記載されているもの以外の変形形態で実施されることを意図している。したがって、本開示は、準拠法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正形態及び均等物を含む。更に、それらの全ての可能な変形形態における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、本開示によって包含される。

Claims (48)

  1. キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のために対象をプレコンディショニングする方法であって、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物を、CAR T細胞療法を前記対象に施す少なくとも1日前に、前記対象に投与することを含む、方法。
  2. 前記組成物が、前記CAR T細胞療法を前記対象に施す2~14日前に投与される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記組成物が、前記CAR T細胞療法を前記対象に施す約5~約8日前に投与される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記対象が、前記CAR T細胞療法を施す前21日以内にリンパ球枯渇療法を施されない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記対象が、固形腫瘍に罹患している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記対象が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)耐性悪性腫瘍に罹患している、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記対象が、難治性悪性腫瘍に罹患している、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記対象が、悪性脳腫瘍に罹患している、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記悪性脳腫瘍が、膠芽腫、髄芽腫、びまん性内在性橋膠腫、又は中枢神経系への転移性浸潤を伴う末梢腫瘍である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記対象が、再発性又は転移性骨肉腫に罹患している、請求項5に記載の方法。
  11. 前記ナノ粒子が、少なくとも3つの核酸層を含み、それらの各々が、カチオン性脂質二重層間に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ナノ粒子の最外層が、カチオン性脂質二重層を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記表面が、前記カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記コアが、カチオン性脂質二重層を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記コアが、約0.5重量%未満の核酸を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ナノ粒子が、約40mV~約60mVのゼータ電位を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記ナノ粒子が、約45mV~約55mVのゼータ電位を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記カチオン性脂質が、DOTAP又はDOTMAである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記核酸が、mRNAである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記mRNAが、腫瘍mRNAである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記mRNAが、インビトロ転写mRNAであり、インビトロ転写テンプレートが、腫瘍細胞から抽出されたRNAから作製されたcDNAである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記mRNAが、前記CAR T細胞によって標的とされる腫瘍抗原をコードしない、請求項19に記載の方法。
  23. 前記mRNAが、腫瘍mRNAではない、請求項19に記載の方法。
  24. 前記ナノ粒子が、中性脂質を含まない、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第2の組成物を、CAR T細胞療法を施した後に、投与することを更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記第2の組成物の前記核酸が、腫瘍mRNAである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記mRNAが、インビトロ転写mRNAであり、前記インビトロ転写テンプレートが、腫瘍細胞から抽出されたRNAから作製されたcDNAである、請求項26に記載の方法。
  28. 対象において固形腫瘍を治療する方法であって、表面抗原陰性固形腫瘍を含む対象に、正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、前記核酸が前記表面抗原をコードする、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第1の組成物と、前記表面抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む第2の組成物と、を投与することを含む、方法。
  29. 前記第1の組成物が、前記第2の組成物の少なくとも1日前に投与される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記第1の組成物が、前記対象に前記第2の組成物を投与する2~14日前に少なくとも1回投与される、請求項28に記載の方法。
  31. 前記対象が、前記CAR T細胞療法を施す前21日以内にリンパ球枯渇療法を施されない、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記固形腫瘍が、肺、肝臓、骨、脾臓、又はリンパ節に存在する、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記対象が、再発性又は転移性骨肉腫に罹患している、請求項32に記載の方法。
  34. 前記ナノ粒子が、少なくとも3つの核酸層を含み、それらの各々が、カチオン性脂質二重層間に配置される、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記ナノ粒子の最外層が、カチオン性脂質二重層を含む、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記表面が、前記カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む、請求項28~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記コアが、カチオン性脂質二重層を含む、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記コアが、約0.5重量%未満の核酸を含む、請求項28~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記ナノ粒子が、約40mV~約60mVのゼータ電位を含む、請求項28~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記ナノ粒子が、約45mV~約55mVのゼータ電位を含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記カチオン性脂質が、DOTAP又はDOTMAである、請求項28~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記核酸が、mRNAである、請求項28~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記ナノ粒子が、中性脂質を含まない、請求項28~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記第2の組成物の投与後に前記第1の組成物を投与することを含む、請求項28~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 正に帯電した表面と、(i)コア、及び(ii)少なくとも2つの核酸層であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、前記核酸が、前記表面抗原をコードしない、少なくとも2つの核酸層を含む、内部とを含む、ナノ粒子を含む第3の組成物を投与することを更に含む、請求項28~44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記第3の組成物の前記核酸が、腫瘍mRNAである、請求項45に記載の方法。
  47. 前記第3の組成物の前記核酸が、腫瘍RNAではない、請求項45に記載の方法。
  48. 前記表面抗原が、CD70である、請求項28~47のいずれか一項に記載の方法。
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