JP2024516679A - 敗血症の早期検出用のigfbp7マーカーパネル - Google Patents

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Abstract

本発明は診断の分野に関する。特に、本発明は、感染が疑われる対象を評定するための方法であって、対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップ、対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップ、バイオマーカーの量を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/またはバイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに比較および/または計算に基づいて前記対象を評定するステップを含む、方法に関する。本発明はまた、感染が疑われる対象を評定するための、IGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカー、または前記第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤および前記第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤の使用に関する。さらに、本発明は、感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法、ならびに感染が疑われる対象を評定するためのデバイスおよびキットにさらに関する。

Description

本発明は診断の分野に関する。特に、本発明は、感染が疑われる対象を評定するための方法であって、対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップ、対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップ、前記バイオマーカーの量を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに比較および/または計算に基づいて前記対象を評定するステップを含む、方法に関する。本発明はまた、感染が疑われる対象を評定するための、IGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカー、または前記第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤および前記第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤の使用に関する。さらに、本発明は、感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法ならびに感染が疑われる対象を評定するためのデバイスおよびキットにさらに関する。
感染症、特に、そのより重度の徴候および症状を有する患者、例えば救急処置室に来院している患者において起こる感染症は、全身炎症反応症候群(SIRS)および敗血症を含む生命をより脅かす医学的状態に発展する場合がある。
敗血症3の定義によれば、敗血症は、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる生命を脅かす臓器機能不全として定義される。それは急速に発展するので、早期の認識が、敗血症患者の管理、ならびに、入院の最初の1時間以内の適切な抗生物質治療、ならびに静脈内流体および血管作動性薬物を用いた蘇生の開始を含む正しい治療的措置の開始のために重要である(surviving sepsis campaign guidelines 2016)。毎時の遅延は、罹病率および死亡率を徐々に増加させる。
敗血症の診断は、非特異的な臨床徴候および症状に基づいており、容易に見逃され得る。そのため、患者は頻繁に誤診され、疾患の重症度は多くの場合に過小評価される。総合部門および特に救急部においてこれまで敗血症の診断のためのゴールドスタンダードはない。高所得国において、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)および白血球(WBC)カウントは、敗血症性ショックの検出のためのラクテートと共に、敗血症の発症のリスクがある血流感染症を有する患者の検出のために救急処置室において多くの場合に使用されている。低所得国において、診断は大抵、臨床徴候および症状ならびに一部の事例においてSIRSおよびSOFA基準に基づく。しかしながら、ほとんどの現行のガイドラインにおいて、ラクテートの他に、(臨床化学、BGEおよびSOFAスコアの血液学的成分の例外と共に)敗血症を診断するためのバイオマーカーは列記されていない。PCTは、中程度の証拠と共にであるが、抗生物質治療を潜在的に縮小するためにのみ推奨されている。敗血症診断におけるPCTの制限は主に中程度の感度および特異性である。
国際公開第2007/009071号は、sFlt-1に基づいて検査対象における炎症応答を診断する方法を開示している。開示される方法は、VEGF、PlGF、TNF-α、IL-6、D-ダイマー、P-セレクチン、ICAM-I、VCAM-I、Cox-2、またはPAI-Iの少なくとも1つのレベルを分析することを更に含む。
EP 2 174 143 B1号は、感染症ではない原発性疾患を有する患者の予後診断のためのインビトロの方法であって、プロカルシトニンのレベルを決定することを含む、方法を開示している。
数多くのマーカーが、敗血症の検出または診断のために有用であると示唆されている。これらには、数ある中でも、PCT、プレセプシン、GDF-15、sFLT、CRP若しくはインターロイキンなどの炎症マーカー、または臓器不全に特異的なマーカーが含まれる(例えば、Spanuth,2014,Comparison of sCD14-ST(рresepsin)with еight biomarkers for mortality prediction in patients admitted with acute heart failure,2014 AACC Annual Meeting Abstracts.B-331;van Engelen,2018,Crit Care Clin 34(1):139-152.を参照)。
国際公開第2015/031996号パンフレットは、病気に対する危機的なもしくは生命を脅かす応答および/または処置応答の早期判定用のバイオマーカーを記載している。
しかしながら、感染症の徴候および症状を呈する患者の信頼できるかつ早期の評定を可能とするバイオマーカーが依然として必要とされている。
本発明は、したがって、これらの必要性を満たす手段および方法を提供する。
本発明は、感染が疑われる対象を評定するための方法であって、
(a)前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップ、
(b)前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップ、
(c)前記バイオマーカーの量を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに
(d)ステップ(c)において実行された比較および/または計算に基づいて前記対象を評定するステップ
を含む、感染が疑われる対象を評定するための方法に関する。
本明細書および請求項において使用される場合、「a」または「an」は、それが使用される文脈に依存して、1つまたは複数を意味することができることが理解されるべきである。そのため、例えば、「an」要素(item)への言及は、少なくとも1つの要素が利用され得ることを意味することができる。
以下で使用される「有する」、「備える」、もしくは「含む」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、包括的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって紹介される特徴に加えて、この文脈で記載されるエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況の両方を指してもよい。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現は、両方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独かつ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、またはさらなる要素などの1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指してもよい。用語「含む」(comprising)はまた、言及される要素のみが存在する実施形態を包含し、すなわちそれは「からなる」の意味において限定的な意味を有する。
さらに、以下で使用するとき、用語「特には」、「より特には」、「典型的には」、および「より典型的には」または類似した用語は、代替の可能性を制限することなく、追加/代替の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、追加の/代替の特徴であり、決して特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用して実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限なしに、本発明の範囲に関する制限なしに、およびそのように導入された特徴を本発明の他の追加の/代替のまたは非追加の/代替の特徴と組み合わせる可能性に関する制限なしに、追加の/代替の特徴であることが意図される。
さらに、用語「少なくとも1つの」は、本明細書において使用される場合、該用語に後続して言及される要素の1つまたは複数が本発明にしたがって使用されてもよいことを意味することが理解されるであろう。例えば、該用語が、少なくとも1つのサンプリングユニットが使用されることを示す場合、これは、1つのサンプリングユニットまたは1つより多くのサンプリングユニット、すなわち2、3、4、5もしくは任意の他の数として理解され得る。該用語が指す要素に依存して、該用語が指し得る上限があれば、それがどの程度であるのかに関して当業者は理解する。
用語「約」は、本明細書において使用される場合、前記用語の後に記載される任意の数に関して、技術的な効果が達成され得る範囲内で正確性が存在することを意味する。よって、本明細書において言及されている約は、好ましくは、精密な数値または前記精密な数値の辺りの±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、もしくはよりいっそう好ましくは±5%の範囲を指す。
さらには、本明細書および請求項における用語「第1」、「第2」、および「第3」などは、類似した要素の間で区別するために使用され、必ずしも逐次的なまたは経時的な順序を記載するために使用されるものではない。
本発明の方法は、上述のステップからなるものであってもよいか、または追加のステップ、例えば、ステップ(d)において得られた評定のさらなる評価ステップ、または治療的措置、例えば処置を推奨するステップなどを含んでもよい。さらに、それは、ステップ(a)に先立つステップ、例えば試料の前処理に関するステップを含んでもよい。しかしながら、好ましくは、上記の方法は、ヒトまたは動物身体において実施されるいかなるステップも要求しないエクスビボの方法であることが想定される。さらに、方法は、自動化により補助されてもよい。典型的には、バイオマーカーの決定はロボット機器によりサポートされてもよく、比較および評定は、データ処理機器、例えばコンピュータによりサポートされてもよい。
用語「評定する」は、本明細書において使用される場合、対象が、敗血症を患っているかどうか、敗血症を患うリスクがあるかどうか、全体的な健康状態に関してまたは敗血症もしくは敗血症および/もしくは感染症に付随する徴候および症状に関して悪化する医学的状態を呈するかどうかを評定することを指す。よって、評定することは、本明細書において使用される場合、敗血症を診断すること、敗血症を発症するリスクを予測すること、ならびに/または対象の健康状態の任意の悪化、特に、敗血症および/もしくは感染症に付随する徴候および症状に関するものを予測することを含む。典型的には、本発明にしたがって言及される評定は、敗血症を発症するリスクの評定(およびそのため敗血症を発症するリスクの予測)である。あるいは、評定は、対象の(健康)状態が悪化するリスクの予測である。さらに、敗血症を発症するリスクまたは健康状態の悪化のリスクが予測される場合、典型的には、予測は予測ウィンドウ内で実行されることが理解されるであろう。より典型的には、前記予測ウィンドウは、好ましくは、試料が得られた、約8h、約10h、約12h、約16h、約20h、約24h、約48h、特に少なくとも約48h後である。さらに、好ましくは試験試料が得られた、24または48時間後以内に、敗血症を発症するリスクが予測されてもよい。
一実施形態において、24時間以内に敗血症を発症するリスクが予測される。
代替的な実施形態において、48時間以内に敗血症を発症するリスクが予測される。
48時間の期間を実施例のセクションで分析した。
さらに別の実施形態において、評定は、対象の(健康)状態が将来的に悪化するのか否かのリスクの予測である。感染症を患っていることが疑われる、かつ/または感染症を患っている対象の「状態の悪化」という用語は、当業者によりよく理解されている。該用語は、典型的には、さらなる薬物療法または他の介入に最終的に繋がり得る状態の悪化に関する。
好ましくは、対象の疾患重症度が増加する場合、対象の抗生物質治療が強化される場合、対象がICUもしくはより高いレベルの治療のための別の処置室に入院した場合、対象が救急手術を要求する場合、対象が病院内で死亡する場合、対象が入院の30日以内に死亡する場合、対象が退院の30日以内に再入院する場合、対象が、例えばSOFAスコアで測定された場合に、臓器機能障害もしくは不全を経験する場合、および/または対象が臓器サポートを要求する場合に、対象の状態は悪化している。
当業者は、対象の状態が悪化していない場合を理解する。典型的には、対象が、先行する段落において言及されたアウトカムを有しない場合に、対象の状態は悪化していない。
一実施形態において、対象が以下のアウトカム:対象がICUに入院した場合、対象が病院内で死亡した場合、対象が入院の30日以内に死亡した場合、および/または対象が退院の30日以内に再入院した場合のうちの1つまたは複数を有する場合に、対象の状態は悪化している。
一実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、対象の抗生物質治療が強化されるリスクの予測である。
一実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、対象がICUに入院させられるリスクの予測である。そのため、対象がICUに入院させられるリスクがあるか否かが評定される。
別の実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、病院内での死の対象のリスクの予測である。そのため、対象が病院内での死のリスクがあるか否かが評定される。
さらに別の実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、入院の30日以内の死の対象のリスクの予測である。そのため、対象が病院への入院の30日以内に死のリスクがあるか否かが評定される。
さらに別の実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、退院の30日以内の再入院の対象のリスクの予測である。そのため、対象が退院の30日以内の再入院のリスクがあるか否かが評定される。
さらに別の実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、対象が臓器機能障害または不全を経験するリスクの予測である。臓器機能障害および不全は、例えば、SOFAスコアを介して評定され得る。よって、本発明はさらに、(試験試料が得られた後に)対象のSOFAスコアが増加するか否かのリスクの予測に方向付けられている。(例えば少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4点などの)SOFAスコアの増加は状態の悪化として考えられる。対照的に、SOFAスコアが増加しない場合(但し、対象は最も高いSOFAスコアを有しない)に、状態は典型的には悪化しない。予測ウィンドウは、敗血症を発症するリスクの予測のために上記されている予測ウィンドウであってもよい。
逐次的臓器不全評価(sequential organ failure assessment;SOFA)は、臓器機能障害/不全を定量的に記載する、臨床的な評定および実験室測定値を組み合わせた検証されたスコアである。呼吸、凝固、肝臓、心臓血管系、中枢神経系および腎臓の機能障害は個々にスコア付けされ、足し合わせられて、0~24の範囲に及ぶSOFAスコアとされる。好ましくは、SOFAスコアは、Vincent 1996(Vincent et al.Intensive Care Med.1996 Jul;22(7):707-10.doi:10.1007/BF01709751.PMID:8844239に記載されるように決定される。
さらに別の実施形態において、対象の状態が悪化するリスクの予測は、対象が臓器サポートを要求するリスクの予測、例えば対象が血管作動薬治療、血行動態サポート(例えば輸液治療)、酸素供給(例えば換気もしくは体外膜型人工肺によるもの)、および/または腎臓置換治療を要求するリスクの予測である。予測ウィンドウは、例えば試料が得られてから24時間または48時間後に敗血症を発症するリスクを予測するための上記の予測ウィンドウであり得る。
一実施形態において、用語「評定」は敗血症の診断を指す。そのため、感染が疑われる対象が敗血症を患っているか否かが診断される。好ましくは、評定は敗血症の早期検出を指す。
当業者によって理解されるように、本発明にしたがって実行される評定は、好ましいが、通常、調査された対象の100%では正しくない場合がある。典型的という用語は、対象の統計的に有意な部分が正確に評定され得ることを要求する。部分が統計的に有意であるかどうかは、様々な周知の統計評価ツール、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントt検定、マン-ホイットニー検定などを使用して、当業者によってさらに難なく決定されることができる。詳細は、Dowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley&Sons,New York 1983に見出すことができる。典型的に想定される信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%である。p値は、典型的には、0.2、0.1、0.05である。
用語「対象」は、本明細書において使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、より典型的にはヒトを指す。本発明の方法により調べられる対象は、感染が疑われる対象である。用語「感染が疑われる」は、本明細書において使用される場合、対象が、感染症の臨床的なパラメータ、徴候および/または症状を呈することを意味する。そのため、本発明による対象は、典型的には、感染症を患っているか、または感染症を患っていることが疑われる対象である。典型的には、対象は、救急部に来院している対象である。有利には、試料は、現れたときに得られたものである。好ましくは、試料は、救急部に現れたときに得られたものである。しかしながら、試料はまた、かかりつけ医に現れたときに得られたものであってもよい。
用語「試料」は、本明細書において使用される場合、生理学的条件下で本明細書において言及される第1、第2および/または第3のバイオマーカーを含む任意の試料を指す。より典型的には、試料は、体液試料、例えば血液試料もしくはそれに由来する試料、尿試料、唾液試料、またはリンパ液試料などである。最も典型的には、前記試料は、血液試料または血液試料に由来する試料である。よって、試料は、血液、血清または血漿試料であってもよい。
血液試料は、典型的には、毛細血管、静脈または動脈の血液試料を含む。
一実施形態において、試料は間質液試料である。
用語「敗血症」は当技術分野において周知である。本明細書で使用される場合、この用語は、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる生命を脅かす臓器機能不全を指す。敗血症の定義は、例えば、全開示内容に関して参照により本明細書に組み込まれるSinger et al.(Sepsis-3 The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock.JAMA 2016;315:801-819)において見出され得る。好ましくは、用語「敗血症」は、Singer et al.(loc.cit.)において開示されているSepsis-3定義による敗血症を指す。
典型的には、試験される対象は、感染症を患っていることが疑われる対象である。「感染症」(「感染」)という用語は、当業者にはよく理解されている。本明細書で使用される場合、「感染症」(「感染」)という用語は、好ましくは、疾患を引き起こす微生物による対象の身体組織の浸潤、その増殖、および微生物に対する対象の組織の反応を指す。一実施形態において、感染症は細菌感染症である。そのため、対象は、細菌感染症を患っていることが疑われる対象である。
本明細書の他の箇所に記載されるように、本発明は、リスクがある患者の早期同定を可能とする。本明細書において記載されている予測の一実施形態において、試験される対象は、そのため、試料が得られる時点において敗血症を患っていない。特に好ましい実施形態において、試験される対象は、好ましくは、試料が得られる時点において、敗血症性ショックを患っていない。用語「敗血症性ショック」はSinger et al.(loc.cit.)において定義されている。そのため、以下の基準が満たされる場合に、対象は敗血症性ショックを患っている。
● 敗血症、すなわち感染の疑い/感染の記録、及び感染の結果として2点以上の総SOFAスコアの変化
● 及び十分な量の蘇生にもかかわらず、MAP≧65mmHgを維持するために血管収縮薬を必要とし、かつ血清乳酸レベル>2mmol/L(18mg/dL)を有する持続性低血圧
さらに、試験される対象は、SARS-CoV-2への感染症を患っていてもよく、またはそうでなくてもよいことが想定される。
用語「決定する」は、本明細書において使用される場合、本発明にしたがって言及されるバイオマーカーの定性的なおよび定量的な決定を指し、すなわち該用語は、前記バイオマーカーの存在もしくは非存在の決定または絶対的なもしくは相対的な量の決定を包含する。
用語「量」とは、本明細書で使用される場合、本明細書で言及される化合物の絶対量、前記化合物の相対量または濃度、およびそれらと相関するまたはそれらから導き出され得る任意の値またはパラメータを指す。このような値またはパラメータは、直接的な測定により当該化合物から得られる、全ての具体的な物理的または化学的特性に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトルまたはNMRスペクトルにおける強度値を含む。さらに、本明細書の他の箇所で明示される間接測定により得られる値またはパラメータ全て、例えば、特異的に結合したリガンドから得られる化合物または強度シグナルに応答して生物学的読み出しシステムにより決定される応答レベルが包含される。上述の量またはパラメータと相関する値は、全ての標準的な数学的演算によっても得ることができるということを理解されたい。バイオマーカーが酵素、例えばアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASTもしくはASAT)である場合、用語「量」はまた、酵素の活性を包含することがある。
本発明の方法における量の決定は、第1の分子からの放出での前記第2の分子の存在もしくは非存在または量を検出することを可能とする任意の技術により実行されてもよい。好適な技術は、分子の性質およびバイオマーカーの特性に依存し、本明細書の他の箇所においてより詳細に議論される。
典型的には、本発明にしたがって言及されているバイオマーカーの量は、サンドイッチ、競合、または他のアッセイフォーマットを使用するイムノアッセイにより決定され得る。前記アッセイは、バイオマーカーの存在もしくは非存在または量を示すシグナルを発生させる。さらなる好適な方法は、バイオマーカーに特異的な物理的または化学的特性、例えば、その正確な分子量またはNMRスペクトル等を測定することを含む。当該方法は、好ましくは、バイオセンサー、免疫学的検定法と連関した光学装置、バイオチップ、質量分析計、NMR分析機、表面プラズモン共鳴測定機器またはクロマトグラフィーデバイス等の分析装置を含む。さらに、方法は、マイクロプレートELISAベース方法、完全に自動化されたまたはロボットによるイムノアッセイ(例えば、Rocheから入手可能)を含む。本発明による好適な測定方法はまた、沈降(特には免疫沈降)、電気化学発光(電気生成化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニドフルオロイムノアッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法、比濁分析、ラテックス増強比濁法もしくは比濁分析、または固相免疫試験を含み得る。当技術分野において公知のさらなる方法、例えばゲル電気泳動、2Dゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)またはウエスタンブロッティングがある。より典型的には、本明細書において言及されるバイオマーカーを決定するために特に想定される技術は、以下の付随する実施例において記載される。
本発明にしたがって決定されるバイオマーカーは当技術分野において周知である。さらに、バイオマーカーの量の決定方法は公知である。例えば、バイオマーカーは、実施例セクションに記載されるように測定され得る(実施例1を参照)。試験されるバイオマーカーの一部は酵素(例えばアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)である。これらのバイオマーカーの量はまた、試料中の前記酵素の活性を決定することにより決定され得る。
インスリン様成長因子結合タンパク質7(=IGFBP7)は、内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞から分泌されることが知られている30kDaのモジュラー糖タンパク質である(Ono,Y.,et al.,Biochem Biophys Res Comm 202(1994)1490-1496)。好ましくは、「IGFBP7」という用語は、ヒトIGFBP7を指す。タンパク質の配列は、当該技術分野で周知であり、例えば、GenBank(NP_001240764.1)を介してアクセス可能である。
プロカルシトニン(PCTと略記する)は、ホルモンカルシトニンのペプチド前駆体である。したがって、プロカルシトニンはカルシトニンの不活性プロペプチドである。これは116アミノ酸から構成され、甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)、ならびに肺および腸の神経内分泌細胞によって産生される。PCTは、敗血症を全身性炎症の他の非感染性原因と区別するための有用な生化学的マーカーとして広く報告されている(Kondo,Y.,Umemura,Y.,Hayashida,K.et al.J intensive care(2019)7:22.https://doi.org/10.1186/s40560-019-0374-4)。マーカーのアミノ酸配列は当該技術分野で周知であり、例えば欧州特許第2320237号B1に開示されている。
用語「心筋トロポニン」は、典型的には、ヒト心筋トロポニンTまたは心筋トロポニンIを指す。該用語は、しかしながらまた、上述の特有のトロポニン、すなわち、好ましくはトロポニンI、より好ましくはトロポニンTの、バリアントを包含する。そのようなバリアントは、特有の心筋トロポニンと同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を少なくとも有する。特に、それらが本明細書で言及される同じ特異的アッセイによって、例えば該心筋トロポニンを特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を使用するELISAアッセイによって検出可能である場合、それらは同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明に従って言及されるバリアントは、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失および/または付加のために異なるアミノ酸配列を有するものとし、バリアントのアミノ酸配列は、依然として、好ましくは少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、特有のトロポニンのアミノ酸配列と同一であると理解されるべきである。バリアントは、対立遺伝子バリアントまたは任意の他の種特異的ホモログ、パラログ若しくはオルソログであり得る。さらに、本明細書で言及されるバリアントは、特有の心筋トロポニンの断片、またはこれらの断片が上記で言及される本質的な免疫学的および生物学的特性を有する限り、上述の種類のバリアントを含む。好ましくは、心筋トロポニンバリアントは、ヒトトロポニンTまたはトロポニンIと同等の免疫学的特性(すなわちエピトープ組成)を有する。そのため、バリアントは、心筋トロポニンの濃度の決定のために使用される上述の手段またはリガンドにより認識可能である。そのため、バリアントは、心筋トロポニンの濃度の決定のために使用される上述の手段またはリガンドにより認識可能である。そのような断片は、例えば、トロポニンの分解産物であり得る。リン酸化またはミリスチル化などの翻訳後修飾のために異なるバリアントがさらに含まれる。好ましくは、トロポニンIおよびそのバリアントの生物学的特性は、アクトミオシンATPアーゼを阻害するか、またはインビボおよびインビトロで血管新生を阻害することができることであり、これは例えば、Moses et al.1999 PNAS USA 96(6):2645-2650により記載されるアッセイに基づいて検出され得る。好ましくは、トロポニンTおよびそのバリアントの生物学的特性は、トロポニンCおよびIと複合体を形成するか、カルシウムイオンに結合するか、または、好ましくは存在する場合にトロポニンC、IおよびTの複合体もしくはトロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンTのバリアントにより形成される複合体として、トロポミオシンに結合することができることである。トロポニンTまたはトロポニンIは、当該技術分野で周知であり、市販されているイムノアッセイ、例えばELISAによって測定することができる。本発明にしたがって特に好ましいのは、例えば商業的に利用可能なhs-cTnアッセイを使用する、高い感度でのトロポニンTの決定である。
インターロイキン-6(IL-6と略記される)は、例えば感染の間、および、外傷、特に熱傷または炎症に繋がる他の組織損傷後に、免疫応答を刺激するためにT細胞およびマクロファージにより分泌されるインターロイキンである。それは、炎症促進性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの両方として作用する。ヒトにおいて、それはIL6遺伝子によりコードされる。ヒトIL-6の配列は、GenBankを介してアクセスされ得る(ポリヌクレオチド配列についてNM_000600.3、およびアミノ酸配列についてNP_000591.1を参照)。IL-6は、リガンド結合性IL-6Rα鎖(CD126)、およびシグナル伝達構成要素gp130(CD130とも呼ばれる)からなる細胞表面I型サイトカイン受容体複合体を通じてシグナル伝達する。CD130は、白血病阻害因子(LIF)、毛様体神経栄養因子、オンコスタチンM、IL-11およびカルジオトロフィン-1を含むいくつかのサイトカインのための共通のシグナルトランスデューサーであり、ほとんどの組織においてほぼ遍在的に発現される。対照的に、CD126の発現は、ある特定の組織に制限されている。IL-6がその受容体と相互作用すると、IL-6は、複合体を形成するようにgp130およびIL-6Rタンパク質をトリガーし、そのため受容体を活性化させる。これらの複合体は、gp130の細胞内領域を集合させて、ある特定の転写因子、ヤヌスキナーゼ(JAK)ならびにシグナルトランスデューサーおよび転写活性化因子を通じたシグナル伝達カスケードを開始させる。
マーカー「クレアチニン」は当技術分野において周知である。筋肉代謝において、クレアチニンは、クレアチンおよびクレアチンホスフェートから内因的に合成される。正常な腎臓機能の条件下で、クレアチニンは糸球体濾過により排出される。クレアチニン決定は、急性および慢性腎疾患の診断およびモニタリングのための他に、腎臓透析のモニタリングのために行われる。尿中のクレアチニン濃度は、ある特定のアナライト(アルブミン、α-アミラーゼ)の排出についての基準値として使用され得る。クレアチニンは、Popper et al.,(Popper H et al.Biochem Z 1937;291:354)、Seel-ig and Wust(Seelig HP,Wust H.Arztl Labor 1969;15:34)またはBartels(Bartels H et al.Clin Chim Acta 1972;37:193)により記載されるように決定され得る。例えば、水酸化ナトリウムおよびピクリン酸が試料に加えられて、クレアチニン-ピクリン酸複合体の形成が開始される。アルカリ性溶液中で、クレアチニンは、ピクリン酸とイエローオレンジの複合体を形成する。色強度は、クレアチニン濃度に正比例し、光度測定により測定され得る。
マーカー「ビリルビン」は、当技術分野において周知である。ビリルビンは、直鎖状テトラピロールであるビラジエンのクラスのメンバーであり、ジピロール単位はエキソビニルおよびエンドビニルの両方のタイプである。ヘム分解の生成物であり、それは、ビリベルジンの還元により網内皮系において産生され、血清アルブミンとの複合体として肝臓に輸送される。それは抗酸化物質としての役割を有する。ビリルビン測定は、ほとんどの医学実験室においてルーチンに行われており、様々な方法(例えば実施例セクションに記載されている方法)により測定され得る。
CRP(C反応性タンパク質)は、肺炎球菌のC多糖に結合する血液タンパク質であることが75年以上前に発見された急性期タンパク質である。CRPは反応性炎症マーカーとして知られており、原発病変部位に由来するケモカインまたはインターロイキンに応答してまたは反応して遠位臓器(すなわち、肝臓)によって産生される。CRPは、非共有結合で連結され、約110~140kDaの分子量を有する環状五量体として組み立てられる5つの単一サブユニットからなることが知られている。好ましくは、本明細書で使用されるCRPは、ヒトCRPに関する。ヒトCRPの配列は周知であり、例えば、Woo et al.(J.Biol.Chem.1985.260(24),13384-13388)によって開示されている。CRPのレベルは通常、正常個体では低いが、炎症、感染または傷害のために100~200倍以上に上昇し得る(Yeh(2004)Circulation.2004;109:11-11-11-14)。CRPは心血管リスクの予測の独立因子であることが知られている。CRPは、当該技術分野で周知であり、市販されているイムノアッセイ、例えばELISAによって測定することができる。
プロカルシトニン(PCTと略記する)は、ホルモンカルシトニンのペプチド前駆体である。したがって、プロカルシトニンはカルシトニンの不活性プロペプチドである。これは116アミノ酸から構成され、甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)、ならびに肺および腸の神経内分泌細胞によって産生される。PCTは、敗血症を全身性炎症の他の非感染性原因と区別するための有用な生化学的マーカーとして広く報告されている(Kondo,Y.,Umemura,Y.,Hayashida,K.et al.J intensive care(2019)7:22.https://doi.org/10.1186/s40560-019-0374-30 4)。マーカーのアミノ酸配列は当該技術分野で周知であり、例えば欧州特許第2320237号B1に開示されている。PCTは、当該技術分野で周知であり、市販されているイムノアッセイ、例えばELISAによって測定することができる。
本明細書において使用される場合、用語「BNP型ペプチド」は、好ましくは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNP、およびBNPを含む。より好ましくは、BNP型ペプチドはNT-proBNPまたはBNPである。最も好ましくは、BNP型ペプチドはNT-proBNPである。プレ-プロペプチド(pre-proBNPの場合は134アミノ酸)は、短いシグナルペプチドを含み、該プレプロペプチドは、プロペプチド(proBNPの場合は108アミノ酸)を放出するために酵素で切断される。プロペプチドは更に、N末端プロペプチド(NT-プロペプチド、NT-proBNPの場合は76アミノ酸)および活性ホルモン(BNPの場合は32アミノ酸)へと切断される。好ましくは、本発明によるBNP型ペプチドは、NT-proBNP、BNPおよびそれらのバリアントである。BNP(脳ナトリウム利尿ペプチド)は活性ホルモンであり、それぞれの不活性対応物NT-proBNPよりも短い半減期を有する。
バイオマーカー内皮細胞特異的分子1(ESM-1と略記する)は当該技術分野でよく知られている。バイオマーカーは、しばしばエンドカンとも呼ばれる。ESM-1は分泌タンパク質であり、主にヒトの肺および腎臓組織の内皮細胞で発現される。パブリックドメインのデータは、甲状腺、肺、腎臓だけでなく、心臓組織でも発現することを示唆している。例えばProtein Atlas database(Uhlen M.et al.,Science 2015;347(6220):1260419)のESM-1のエントリーを参照されたい。この遺伝子の発現はサイトカインによって調節されている。ESM-1は、20kDaの成熟ポリペプチドと30kDaのO-結合型グリカン鎖で構成されるプロテオグリカンである(Bechard D et al.,J Biol Chem 2001;276(51):48341-48349)。本発明の好ましい実施形態では、ヒトESM-1ポリペプチドの量は、対象からの試料において測定される。ヒトESM-1ポリペプチドの配列は当技術分野で周知であり(例えば、Lassale P.et al.,J.Biol.Chem.1996;271:20458-20464を参照されたい、例えば、Uniprotデータベースを介して評定することができ、エントリーQ9NQ30(ESM1_HUMAN)を参照されたい。ESM-1の2つのアイソフォームは、選択的スプライシングによって生成され、アイソフォーム1(Uniprot識別子Q9NQ30-1を有する)およびアイソフォーム2(Uniprot識別子Q9NQ30-2を有する)である。アイソフォーム1は、長さ184アミノ酸である。アイソフォーム2では、アイソフォーム1のアミノ酸101から150が欠損している。アミノ酸1から19は、シグナルペプチドを形成する(該シグナルペプチドは切断され得る)。
好ましい実施形態では、ESM-1ポリペプチドのアイソフォーム1の量が決定され、すなわち、アイソフォーム1はUniProt受入番号Q9NQ30-1の下に示されるような配列を有する。
別の好ましい実施形態では、ESM-1ポリペプチドのアイソフォーム2の量が決定され、すなわち、アイソフォーム2はUniProtアクセッション番号Q9NQ30-2の下に示されるような配列を有する。
別の好ましい実施形態では、ESM-1ポリペプチドのアイソフォーム-1およびアイソフォーム2の量、すなわち総ESM-1が決定される。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASTまたはASAT)は、L-アスパラギン酸からα-ケトグルタル酸へのアミノ基転移を触媒して、L-グルタミン酸およびオキサロ酢酸を形成させる。形成されるオキサロ酢酸は、還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の同時の酸化と共にリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)によりリンゴ酸に還元される。NADへのNADHの変換に起因する経時的な吸光度における変化は、AST活性に正比例しており、例えば二色性(340、700nm)レート(bichromatic rate)技術を使用して測定され得る。
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)は、α-ケトグルタル酸(α-KG)へのL-アラニンのアミノ基転移を触媒して、L-グルタミン酸およびピルビン酸を形成させる。形成されるピルビン酸は、還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の同時の酸化と共に乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)により乳酸に還元される。吸光度における変化は、アラニンアミノトランスフェラーゼ活性に正比例しており、例えば二色性(340、700nm)レート技術を使用して測定され得る。
バイオマーカーsuPAR(可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体)は当技術分野において周知である。suPAR(NCBIアクセッション番号AAK31795)はuPARの可溶性形態である。uPARは、他にウロキナーゼおよびビトロネクチンとして公知の、uPAの膜結合型受容体である。suPARは、3つの短いα-ヘリックスと共に17個の逆平行β-シートの二次構造を有する。suPARは、膜結合型uPARの切断および放出により生成される。suPAR濃度は免疫系の活性化レベルに正に相関し、血漿、尿、血液、血清、および脳脊髄液中に存在する(Donatello et al.:Soluble urokinase-type plasminogen activator receptor as a prognostic biomarker in critically ill patients,Journal of Critical Care,Volume 29,Issue 1,2014,Pages 144-149)。
フェリチンは鉄貯蔵タンパク質である。それは鉄を貯蔵し、制御された様式で鉄を放出する。ヒト血清中に検出可能なフェリチンは、身体の貯留鉄(depot iron)と平衡状態にあり、それゆえ鉄貯蔵のレベルの指標として作用する。フェリチンの決定は、鉄代謝診断、鉄療法のモニタリング、リスク群における鉄貯蔵の確認および貧血の鑑別診断における補助として使用され得る。
本発明による方法において、第3のバイオマーカーが決定されてもよい。特に、本発明の方法のステップ(b)において、
(i)PCTの量が第2のバイオマーカーとして決定される場合に、方法は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量を第3のバイオマーカーとして決定することをさらに含む。
そのため、本発明は、少なくとも2つのバイオマーカー(すなわち本明細書において言及されている第1および第2のバイオマーカー)、または少なくとも3つのバイオマーカー(すなわち本明細書において言及されている第1、第2および第3のバイオマーカー)の決定に関する。
第1のバイオマーカーはIGFBP7である。第2のバイオマーカーは、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARから選択される。
一実施形態において、第2のバイオマーカーはPCTである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはIL6である。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーは、心筋トロポニン、例えば心筋トロポニンTまたはI、特にトロポニンTである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはアルブミンである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはCRPである。
代替的な実施形態では、第2のバイオマーカーはビリルビンである。
代替的な実施形態では、第2のバイオマーカーはフェリチンである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはESM-1である。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーは、BNP型ペプチド、例えばBNPまたはNT-proBNP、特にNT-proBNPである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはクレアチニンである。
代替的な実施形態では、第2のバイオマーカーは、アラニンアミノトランスフェラーゼである。
代替的な実施形態において、第2のバイオマーカーはsuPARである。
PCTが第2のマーカーである場合に、方法は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量を第3のバイオマーカーとして決定することをさらに含んでもよい。一実施形態において、IGFBP7、PCTおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが決定される。
本発明は上記のマーカーに限定されないことが理解されるべきである。むしろ、本発明は、追加のマーカーの決定を包含してもよい。
用語「基準」は、本明細書において使用される場合、疾患もしくは状態を患っているか、もしくはそれを発症するリスクがある対象の群、または前記疾患もしくは状態を患っていないか、もしくはそれを発症するリスクがない対象の群のいずれかへの対象の割り当てを可能とする量または値を指す。そのような基準は、これらの群を互いから分離する閾値量であることができる。よって、基準は、疾患もしくは状態を患っているか、もしくはそれを発症するリスクがある対象の群、またはそうでない対象の群への対象の割り当てを可能とする量またはスコアである。例えば、基準は、(上記されている予測ウィンドウ内、例えば約48時間以内に)敗血症を発症するリスクがある対象の群、または敗血症を発症するリスクがない対象の群への対象の割り当てを可能とする量またはスコアである。
2つの群を分離する好適な閾値量は、疾患もしくは状態を患っているか、もしくはそれを発症するリスクがあることが既知である対象もしくは対象の群または疾患もしくは状態を患っていないか、もしくはそれを発症するリスクがないことが既知である対象もしくは対象の群のいずれかからのバイオマーカーの量に基づいて本明細書の他の箇所において言及される統計的検定によりさらに難なく計算され得る。個々の対象のために適用可能な基準量は、様々な生理学的パラメータ、例えば年齢、性別、または亜集団に依存して変動し得る。
典型的には、前記基準は、敗血症を発症するリスクがあることが既知である少なくとも1の対象に由来する各々のバイオマーカーについての基準であり、好ましくは、バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と本質的に同一であるかまたは類似していることは、対象が敗血症を発症するリスクがあることを示し、バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準とは異なることは、対象が敗血症を発症するリスクがないことを示す。
典型的にはまた、前記基準は、敗血症を発症するリスクがないことが既知である少なくとも1の対象に由来する各々のバイオマーカーについての基準であり、好ましくは、バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と本質的に同一であるかまたは類似していることは、対象が敗血症を発症するリスクがないことを示し、バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準とは異なることは、対象が敗血症を発症するリスクがあることを示す。
用語「少なくとも1の対象」は、1の対象または1より多くの対象、例えば少なくとも10、50、100、200、もしくは1000の対象を指す。
一実施形態では、バイオマーカーについての基準よりも大きい当該バイオマーカーの量は、リスクがある対象(例えば、本明細書の他の箇所に記載されている敗血症を発症すること)を示す。さらに、前記バイオマーカーについての基準よりも低いバイオマーカーの量は、対象がリスクがないことを示す。(アルブミンの例外を伴う:アルブミンについて、前記バイオマーカーについての基準よりも低いバイオマーカーの量は、対象がリスクがあることを示す一方、前記バイオマーカーについての基準よりも高いバイオマーカーの量は、対象がリスクがないことを示す)。
基準量は、原則として、標準的な統計的方法を適用することによって、所与のパラメータ、例えばバイオマーカー量の平均または平均値に基づいて、対象のコホートについて計算することができる。特に、事象の診断を目的とする方法等の検査が正確であるか否かは、受信者動作特性(ROC)により最もよく説明される(特に、Zweig 1993,Clin.Chem.39:561-577を参照されたい)。ROCグラフは、観察されたデータの全範囲にわたって決定閾値を継続的に変動させることにより生じる、全ての感受性/特異性のペアのプロットである。診断方法の臨床成績は、その正確性、すなわち対象をある特定の予後または診断に正確に割り当てる能力に依存する。ROCプロットは、区別を行うのに適した閾値の全範囲について、感度対1-特異性をプロットすることにより、2つの分布間の重なりを示す。y軸は、感度、または真陽性率であり、真陽性の検査結果の数および偽陰性の検査結果の数の積に対する、真陽性の検査結果の数の比率として定義される。これは、疾患または症状の存在下での陽性とも呼ばれている。y軸は、影響を受ける下位群からのみ計算される。x軸上は、偽陽性率、または1-特異性であり、これは、真陰性の数および偽陽性結果の数の積に対する、偽陽性結果の数の比率として定義される。x軸は、特異性の指標であり、影響を受けない下位群からのみ計算される。真陽性率および偽陽性率は、2つの異なる下位群からの検査結果を使用することによって完全に別個に計算されるので、ROCプロットはコホートにおける事象の有病率に非依存性である。ROCプロット上の各点は、特定の決定閾値に相当する感受性/1-特異性の対を表す。完全な区別のある(結果の2つの分布に重なりがない)検査は、左上隅を通過するROCプロットを有しており、真陽性率は1.0、または100%(完全な感受性)であり、偽陽性率は0(完全な特異性)となる。区別のない(2つの群についての結果の分布が同一である)検査についての理論上のプロットは、左下隅から右上隅への45°の対角線となる。ほとんどのプロットは、これらの2つの極値の間に収まる。ROCプロットが45°対角線を完全に下回って収まる場合、これは、「陽性率」についての基準を「より高い」から「より低い」に入れ替え、逆もまた同様にすることによって、容易に修正される。定性的には、プロットが左上隅に近いほど、試験全体の精度が高くなる。所望の信頼区間に応じて、ROC曲線から閾値を導くことができ、これにより、感度および特異性の適切な平衡状態をそれぞれ備えた所与の事象についての診断または予測が可能になる。したがって、本発明の前述の方法に使用される基準、すなわち、リスクがある対象とリスクがない対象とを識別することを可能にする閾値は、通常、上記のように当該コホートのROCを確立し、そこから閾値量を導出することによって生成することができる。診断方法についての所望の感度および特異性に応じて、ROCプロットは、適切な閾値を導くことができる。最適な感度は、増加したリスクがあるか、または疾患を患っていることから対象を除外する(すなわちルールアウト)ために望ましいのに対し、最適な特異性が、増加したリスクがあるか、または疾患を患っていると評定される対象について想定される(すなわちルールイン)ことは理解される。
本発明の方法のステップc)は、バイオマーカー(すなわち第1のバイオマーカー、第2のバイオマーカーおよび任意に第3のバイオマーカー)の量を前記バイオマーカーについての基準と比較し、ならびに/またはバイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる対象を評定するためのスコアを計算することを含む。
そのため、それぞれ第1のバイオマーカー、第2のバイオマーカーおよび任意に第3のバイオマーカーの量は、第1のバイオマーカーについての基準、第2のバイオマーカーについての基準および任意に第3のバイオマーカーについての基準と比較されてもよい。
代替的に、スコアは、バイオマーカーの量に基づいて、すなわち第1のバイオマーカー、第2のバイオマーカーおよび、任意に第3のバイオマーカーの量に基づいて計算されてもよい。前記スコアは、感染が疑われる対象を評定すること、例えば敗血症を発症するリスクを予測することを可能とする。任意に、前記スコアは、好適な基準スコアと比較されてもよい。
用語「比較する」は、本明細書において使用される場合、本明細書において言及されているバイオマーカーについての決定された量を基準と比較することを包含する。比較は、本明細書において使用される場合、量についての値と基準との間で実行される任意の種類の比較を指すことが理解されるべきである。しかしながら、好ましくは、同一のタイプの値が互いと比較され、例えば、絶対量が本発明の方法において決定され、比較される場合、基準もまた絶対量であり、相対量が本発明の方法において決定され、比較される場合、基準もまた相対量であることなどが理解されるべきである。代替的に、用語「比較する」は、本明細書において使用される場合、計算されたスコアを好適な基準スコアと比較することを包含する。比較は、手動またはコンピュータ支援により実行することができる。量および基準の値は、例えば、互いに比較することができ、また上記比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムにより自動的に実施され得る。当該評定を実施するコンピュータプログラムは、適切な出力形式で、所望の評定を提供する。
上記のように、第1および第2のバイオマーカー、または第1、第2もしくは第3のバイオマーカーの量、すなわち単一のスコアに基づいてスコア(特に単一のスコア)を計算すること、ならびにこのスコアを基準スコアと比較することもまた想定される。好ましくは、スコアは、試験対象からの試料中の第1および第2のバイオマーカーの量に基づき、第3のバイオマーカーの量が決定される場合、試験対象からの試料中の第1、第2および第3のバイオマーカーの量に基づく。
計算されたスコアは、少なくとも2または3つのバイオマーカーの量に関する情報を組み合わせている。さらに、スコアにおいて、バイオマーカーは、好ましくは、評定の確立に対するそれらの寄与にしたがって重み付けされる。そのため、個々のマーカーについての値は典型的には重み付けされ、重み付けされた値がスコアを計算するために使用される。好適な係数(重み)は、当業者によりさらに難なく決定され得る。スコアはまた、少なくとも2つのバイオマーカーに対して訓練された決定木または決定木のセット(アンサンブル)から計算され得る。本発明の方法で適用されるバイオマーカーの組み合わせに基づいて、個々のバイオマーカーの重みならびに決定木の構造は異なり得る。
スコアは、本明細書に記載されるように対象を評定するための分類器パラメータとみなされ得る。特に、それは、単一のスコアに基づく評定を提供することを可能にする。基準スコアは、好ましくは値、特に、本明細書に記載されるように感染が疑われる対象を評定することを可能とするカットオフ値である。好ましくは、基準は単一の値である。そのため、個々のバイオマーカーの量に関する全情報を解釈する必要はない。本明細書に記載されているスコアリングシステムを使用して、有利には、バイオマーカーのために異なる次元または単位の値が使用されてもよく、その理由は、値はスコアに数学的に変換されるからである。よって、例えば絶対的な濃度についての値は、スコアにおいてピーク面積比と組み合わせられてもよい。応用される基準スコアは、所望される感度または所望される特異性に基づいて選択されてもよい。好適な基準スコアを選択する方法は当技術分野において周知である。
有利なことに、第2および、好ましくは、第3のバイオマーカーとの第1のバイオマーカーの組合せは、感染症の徴候および症状を呈する患者の信頼できるかつ早期の評定を可能とすることが本発明の基礎となる研究において見出されている。例えば、対象の評定は、試験試料が得られてから5時間以内に実行され得る。研究において、医療(非外科)救急である救急部に来院しているが調べられた。この目的のために、患者は、高い確率で敗血症を患っている患者および敗血症を伴わずに感染症を患っていることが疑われる患者にさらに分けられた。様々なバイオマーカーの量が決定されており、バイオマーカーは、ロジスティック回帰分析を介して分析され、数学的に組み合わせられた。バイオマーカー性能を評価するために受信者動作特性曲線下面積(AUC)が使用された。AUC値は、区間[a][b]内での関数f(x)の数学的積分である。AUCはまた、バイオマーカーペアおよびトリプレットについても調べられた。一緒になって最良の単一バイオマーカーAUCに対するAUCの向上を示すバイオマーカーの組合せが同定された。結果は、以下の付随する実施例に記載される。
特に、これらの患者が、例えば、救急処置室に来院している場合、重度合併症、例えば敗血症、SIRSまたは全体的健康状態の一般的悪化を発症するリスクの早期評定は、薬物投与、物理的もしくは他の治療的介入および/または入院を含む治療的措置を開始するために決定的である。これらの治療的措置は、特に、例えば、広域抗生物質の迅速な投与、輸液蘇生、血管作動性薬物治療、機械的換気、他の臓器サポート(例えば、連続的な血液濾過、体外膜型人工肺)を含み得る。治療的措置として包含されるのはまた、より高レベルの治療(例えば集中治療室、中間治療室)へのトリアージである。重度合併症のリスクがない場合、患者は、退院させて外来状況において管理され得るか、または病院の低レベル治療(例えば一般病棟)に入院させられ得る。本発明のおかげで、患者はバイオマーカー判定により早期ステージにおいて評定され得るので、生命を脅かす発症が予防され得る。本発明の基礎となる研究において同定されたバイオマーカーペアおよびトリプレットは、医学的決定のための信頼できる基礎であり、評定は、時間および費用効果の高い方式で行われ得る。
そのため、本発明の方法は、適切な治療措置を推奨または開始することを更に含んでもよい。典型的には、当該適切な治療措置は、敗血症および敗血症性ショックの管理のための国際ガイドライン(Intensive Care Med,2017)などの敗血症の管理のための医療ガイドラインまたは推奨から選択される。例えば、治療措置は、敗血症の処置、または更なる診断調査、または専門家が必要と考えるケアの他の態様であり得る。
一実施形態では、患者にリスクがあると評定された場合に推奨または開始される治療措置は、以下から選択される。
● セファロスポリン、ベータ-ラクタム/ベータ-ラクタマーゼ阻害剤(例えば、ピペラシリン)、またはカルバペネム等の少なくとも1つ以上の広域抗生物質、典型的には可能性の高い病原体と考えられる生物および抗生物質感受性に応じた、経験的広域治療の投与
● 輸液による蘇生
● ノルエピネフリンの投与等の1つ以上の血管収縮薬の投与、ならびに
● ヒドロコルチゾンの投与等の1つ以上のコルチコステロイドの投与
本明細書での上記の定義は、必要な変更を加えて以下に適用される。
本発明はまた、感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法であって、
(a)前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量の値を受け取るステップ、
(b)前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップ、
(c)前記バイオマーカーの量についての値を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに
(d)ステップ(c)において実行された比較および/または計算に基づいて前記対象を評定するステップ
を含む、感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法に関する。
用語「コンピュータ実装」は、本明細書において使用される場合、方法が、典型的には、コンピュータまたは類似したデータ処理デバイス中に含まれる、データ処理ユニット上で自動化された様式で実行されることを意味する。データ処理ユニットは、バイオマーカーの量についての値を受け取る。そのような値は、本明細書の他の箇所において詳細に記載されている量を反映する量、相対量または任意の他の計算された値であることができる。よって、上述の方法は、バイオマーカーについての量の決定を要求せず、むしろ既に予め決定された量についての値を使用することが理解されるべきである。
典型的には、前記方法のステップ(b)において、
(i)PCTの量についての値が第2のバイオマーカーとして受け取られる場合、方法は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量についての値を第3のバイオマーカーとして受け取ることをさらに含む。
本発明はまた、原理的に、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、または前記コンピュータプログラムが有形的に組み込まれたコンピュータ可読記憶媒体も企図し、前記コンピュータプログラムは、データ処理装置またはコンピュータで実行されると上記のような本発明の方法を実行する、命令を含む。具体的には、本開示は、以下をさらに包含する:
- 少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されるコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
- コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されたコンピュータロード可能データ構造、
- コンピュータスクリプトであって、前記コンピュータプログラムが、前記プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つの方法を実行するように適合されている、コンピュータスクリプト、
- コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- 先行の実施形態に記載のプログラム手段をコンピュータにとって読み取り可能な記憶媒体上に格納して備えているコンピュータプログラム、
- データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造が、コンピュータ若しくはコンピュータネットワークの主記憶装置および/または作業記憶装置にロードされた後、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合された、記憶媒体、
- コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、この明細書に記載された実施形態のうちの1つによる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶されることができる、または記憶媒体上に記憶されることができる、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品、
- 本明細書の他の箇所において定義されているパラメーターについてのデータを含む、典型的には暗号化された、データストリーム信号、ならびに
- 本発明の方法により提供される評定を含む、典型的には暗号化された、データストリーム信号。
本発明は、感染が疑われる対象を評定するためのデバイスであって、
(a)前記対象の試料中のIGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーの量を決定するための測定ユニットであって、前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの検出システムを含む、測定ユニット;ならびに
(b)測定ユニットに動作可能に連結された評価ユニットであって、好ましくは上記に規定されるような第1のバイオマーカーおよび第2のバイオマーカーについての保存された基準を有するデータベースと、好ましくは上記に規定されるような第1のバイオマーカーおよび第2のバイオマーカーの量と基準との比較を実行するための、および/またはバイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる対象を評定するためのスコアの計算を実行するための、ならびに比較に基づいて前記対象を評定するための命令を含むデータプロセッサと、を含み、バイオマーカーの量についての値を測定ユニットから自動的に受け取ることができる、評価ユニット
を含む、感染が疑われる対象を評定するためのデバイスに関する。
用語「デバイス」は、本明細書において使用される場合、評定が提供され得るように本発明の方法によるバイオマーカーの量の決定およびその評価を可能とするように互いに機能的に連結された上述のユニットを含むシステムに関する。
分析ユニットは、典型的には、試料と接触させられる固体支持体または担体上に固定化された形態で第1および第2のバイオマーカーおよび、好ましくはまた第3のバイオマーカー用のバイオマーカー検出剤を有する少なくとも1つの反応ゾーンを含む。さらに、反応ゾーンにおいて、試料中に含まれるバイオマーカーに対する検出剤の特異的結合を可能とする条件を適用することが可能である。
反応ゾーンは、試料適用を直接的に可能としてもよく、または試料が適用されるローディングゾーンに接続されていてもよい。後者の場合、試料は、ローディングゾーンと反応ゾーンとの間の接続を介して反応ゾーンに能動的にまたは受動的に輸送され得る。さらに、反応ゾーンはまた、検出器に接続される。接続は、検出器がバイオマーカーのそれらの検出剤への結合を検出できるようなものである。好適な接続は、バイオマーカーの存在または量を測定するために使用される技術に依存する。例えば、光学的な検出のために、光の伝播が検出器と反応ゾーンとの間に要求されることがあり、電気化学的決定のために、流体接続が、例えば、反応ゾーンと電極との間に、要求されることがある。
検出器は、バイオマーカーの量の決定を検出するように適合される。決定された量は引き続いて評価ユニットに伝達され得る。前記評価ユニットは、試料中に存在する量を決定するためのアルゴリズムが実装されたデータ処理要素、例えばコンピュータを含む。
本発明の方法にしたがって言及されている処理ユニットは、典型的には、中央処理装置(CPU)および/または1つ以上のグラフィック処理ユニット(GPU)および/または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つ以上のテンソル処理ユニット(TPU)および/または1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを備える。データ処理要素は、例えば、汎用コンピュータまたは携帯型コンピューティングデバイスであってもよい。本明細書に開示される方法の1つまたは複数のステップを行うために、ネットワーク越しにまたはデータを転送する他の方法などで、複数のコンピューティングデバイスが一緒に使用されてもよいこともまた理解されるべきである。例示的なコンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデータアシスタント(「PDA」)、セルラーデバイス、スマートまたはモバイルデバイス、タブレットコンピュータ、およびサーバーなどを含む。一般に、データ処理要素は、複数の命令(例えばソフトウェアのプログラム)を実行することができるプロセッサを含む。
評価ユニットは、典型的には、メモリを含むか、またはメモリに対するアクセスを有する。メモリはコンピュータ読取り可能な媒体であり、例えば、コンピューティングデバイスとローカルに位置するか、またはネットワークを通じてコンピューティングデバイスにアクセス可能な単一のストレージデバイスまたは複数のストレージデバイスを含んでもよい。コンピュータ読取り可能な媒体は、コンピューティングデバイスによりアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、揮発性媒体および非揮発性媒体の両方を含む。さらに、コンピュータ読取り可能な媒体は、リムーバブル媒体および非リムーバブル媒体の一方または両方であってもよい。例として、非限定的に、コンピュータ読取り可能な媒体はコンピュータストレージ媒体を含んでもよい。例示的なコンピュータストレージ媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリーもしくは任意の他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光学ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、またはコンピューティングデバイスによりアクセス可能であり、かつコンピューティングデバイスのプロセッサにより実行可能な複数の命令を保存するために使用され得る任意の他の媒体を含むが、それに限定されない。
本開示の実施形態によれば、ソフトウェアは、コンピューティングデバイスのプロセッサにより実行された場合に、本明細書に開示される方法の1つまたは複数のステップを行い得る命令を含んでもよい。命令の一部は、他の機械の作動を制御する信号を生成するように適合されていてもよく、そのためそれらの制御信号を通じて、コンピュータそれ自体から遠く離れたマテリアルを変換するように作動してもよい。これらの記述および表現は、データ処理技術の当業者によって、例えば、研究の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。
複数の命令はまた、所望される結果に繋がるつじつまの合うステップの配列であると一般に考えられるアルゴリズムを含んでもよい。これらのステップは、物理量の物理的マニピュレーションを要求するものである。必ずしもそうではないが、通常、これらの量は、保存、伝達、変換、結合、比較、および他にマニピュレートされることができる電気的なまたは磁気的なパルスまたはシグナルの形態を取る。主として一般的使用の理由から、これらのシグナルを値、特徴、表示データ、または数などとして、そのようなシグナルが具体化または表現される物理的項目または明示への基準として言及することが好都合な場合がある。しかしながら、これらのおよび類似した用語のすべては、適切な物理量と関連付けられ、これらの量に適用される好都合な標識として本明細書において単に使用されていることが留意されるべきである。
評価ユニットはまた、出力デバイスを含んでもよいか、または出力デバイスに対するアクセスを有する。例示的な出力デバイスは、例えば、ファックス機、ディスプレイ、プリンター、およびファイルを含む。本開示の一部の実施形態によれば、コンピューティングデバイスは、本明細書に開示される方法の1つまたは複数のステップを行い、その後に、方法の結果、指標、比または他の因子に関する出力を、出力デバイスを介して提供してもよい。
典型的には、前記測定ユニットは、第3のバイオマーカーを決定し、かつ第3のバイオマーカーの検出システムを含み、前記データベースは、第3のバイオマーカーについての保存された基準を含み、前記第3のバイオマーカーは、
(i)PCTが第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。
より典型的には、前記検出システムは、バイオマーカーの各々に特異的に検出することができる少なくとも1つの検出剤を含む。
本発明は、感染が疑われる対象を評定するためのデバイスであって、IGFBP7である第1のバイオマーカー、ならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーについての保存された基準を有するデータベースと、好ましくは上記に記載されるような前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの量と基準との比較を実行するための、ならびに前記比較に基づいて前記対象を評定するための命令を含むデータプロセッサと、を含む評価ユニットであって、前記対象の試料において決定された前記バイオマーカーの量についての値を受け取ることができる、評価ユニットを含む、感染が疑われる対象を評定するためのデバイスをさらに想定する。
典型的には、前記データベースは、第3のバイオマーカーについての保存された基準を含み、前記第3のバイオマーカーは、
(i)PCTが第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。
本発明はまた、原理的に、感染が疑われる対象を評定するための、IGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカー、または前記第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤および前記第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤の使用に関する。
本明細書で使用される場合、「検出剤」という用語は、典型的には、バイオマーカーに特異的に結合する任意の薬剤、すなわち試料中に存在する他の成分と交差反応しない薬剤を指す。典型的には、本明細書において言及されているバイオマーカーに特異的に結合する検出剤は、抗体、抗体断片もしくは誘導体、アプタマー、バイオマーカーのリガンド、バイオマーカーの受容体、バイオマーカーに結合しかつ/もしくはバイオマーカーを変換させることが既知である酵素、またはバイオマーカーに特異的に結合することが既知である小分子であってもよい。例えば、検出剤として本明細書において言及されている抗体は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方の他に、その断片、例えば抗原またはハプテンに結合することができるFv、FabおよびF(ab)2断片を含む。本発明はまた、単鎖抗体、および、所望される抗原特異性を呈する非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列がヒトアクセプター抗体の配列と組み合わせられたヒト化ハイブリッド抗体を含む。ドナー配列は、ドナーの少なくとも抗原結合性アミノ酸残基を通常含むが、ドナー抗体の他の構造的におよび/または機能的に妥当なアミノ酸残基もまた含むことができる。そのようなハイブリッドは、当技術分野において周知のいくつかの方法により調製され得る。例えば、アプタマー検出剤は核酸またはペプチドアプタマーであってもよい。そのようなアプタマーを調製する方法は当技術分野において周知である。例えば、ランダム突然変異が、アプタマーのための基礎となる核酸またはペプチドに導入され得る。これらの誘導体は次に、当技術分野において公知のスクリーニング手順、例えばファージディスプレイにしたがって結合について試験され得る。検出剤の特異的結合は、分析される試料中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質と実質的に結合しない、すなわち交差反応しないことを意味する。好ましくは、特異的に結合したバイオマーカーは、試料の任意の他の成分よりも少なくとも3倍高い、より好ましくは少なくとも10倍高い、よりいっそう好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合しているべきである。非特異的結合は、それが、例えばウエスタンブロット上でのそのサイズにしたがって、または試料中でのその相対的により高い存在量により、依然として明確に区別および測定され得る場合に、許容できることがある。
検出剤は、検出可能な標識に永久的にまたは可逆的に融合または連結していてもよい。好適な標識は当業者に周知である。好適な検出可能な標識は、適切な検出方法で検出可能な任意の標識である。典型的な標識としては、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素的に活性な標識、放射性標識、磁気標識(「例えば磁気ビーズ」、常磁性および超常磁性標識を含む)、および蛍光標識が挙げられる。酵素的に活性な標識としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびそれらの誘導体が挙げられる。検出に適した基質としては、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’-5,5’-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(Roche Diagnostics製の既成の保存溶液として入手可能な4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスファート)、CDP-Star(商標)(Amersham Biosciences)、ECF(商標)(Amersham Biosciences)が挙げられる。適切な酵素-基質の組み合わせにより、着色された反応産物、蛍光または化学発光が生じてもよく、これは、当該技術分野で公知の方法によって(例えば感光フィルムまたは適切なカメラシステムを使用して)、測定することができる。酵素反応を測定することについては、上記の基準が同様に適用される。典型的な蛍光標識としては、蛍光タンパク質(例えば、GFPおよびその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、およびAlexa色素(例えばAlexa568)が挙げられる。更なる蛍光標識が、例えばMolecular Probes(オレゴン州)から入手可能である。また、蛍光標識としての量子ドットの使用が、企図される。典型的な放射活性標識は、35S、125I、32P、および33Pなどを含む。放射性標識は、公知且つ適切な、例えば感光膜またはホスホイメージャー(phosphor imager)等の任意の方法により検出され得る。好適な標識はまた、タグ、例えばビオチン、ジゴキシゲニン(digoxygenin)、His-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、myc-タグ、インフルエンザAウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質等であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。
AST、ALT、ビリルビンおよびクレアチニンなどのバイオマーカーのための好ましい薬剤は、例えば実施例に記載されており、実施例1を参照されたい。
バイオマーカーがASTまたはALTなどの酵素である場合、検出剤は、酵素の基質、または検出に使用される任意の薬剤であり得る(実施例を参照)。
一実施形態において、ALT(ALAT)用の検出剤は例えばL-アラニンである。
一実施形態において、AST(ASAT)用の検出剤は例えばL-アスパルテートである。
クレアチニン用の検出剤は、例えばピクレート、またはクレアチニンの検出のために使用される任意の剤である(実施例、例えば実施例1を参照)。
アルブミンの検出剤は、例えばブロムクレゾールパープルである。
ビリルビン用の検出剤は、例えば、亜硝酸ナトリウムおよびスルファニル酸、または検出のために使用される任意の剤である(実施例を参照)。
本明細書に記載されているバイオマーカーの決定は、(例えばLCまたはHPLCによる)分離ステップ後に実行される質量分析(MS)を含んでもよい。質量分析は、本明細書において使用される場合、分子量(すなわち質量)または本発明にしたがって決定されるべき化合物、すなわちバイオマーカーに対応する質量変数の決定を可能とするすべての技術を包含する。好ましくは、質量分析は、本明細書において使用される場合、GC-MS、LC-MS、直接注入質量分析、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析、任意の逐次的に連結された質量分析、例えばMS-MSもしくはMS-MS-MS、ICP-MS、Py-MS、TOFまたは上述の技術を使用する任意の組み合わせられたアプローチに関する。これらの技術を応用する方法は当業者に周知である。さらに、好適なデバイスは商業的に入手可能である。より好ましくは、質量分析は、本明細書において使用される場合、LC-MSおよび/またはHPLC-MS、すなわち先行する液体クロマトグラフィー分離ステップに機能的に連結されている質量分析に関する。好ましくは、質量分析はタンデム質量分析(MS/MSとしても公知)である。タンデム質量分析は、MS/MSとしても公知であり、2つまたはより多くの質量分析ステップを伴い、断片化がステージの間に行われる。タンデム質量分析において、連続した2つの質量分析計がコリジョンセルにより接続される。質量分析計はクロマトグラフィーデバイスに連結される。クロマトグラフィーにより分離された試料は、第1の質量分析計において選別および計量され、次にコリジョンセルにおいて不活性ガスにより断片化され、1つまたは複数の小片は第2の質量分析計において選別および計量される。断片は、第2の質量分析計において選別および計量される。MS/MSによる同定はより正確である。
一実施形態において、質量分析は、本明細書において使用される場合、四重極MSを包含する。最も好ましくは、前記四重極MSは以下のように実行される:a)質量分析計の第1の分析四重極におけるイオン化により作出されたイオンの質量/電荷比(m/z)の選択、b)コリジョンガスを充填されており、コリジョンチャンバーとして作用する追加の引き続いての四重極において加速電圧を印加することによるステップa)において選択されたイオンの断片化、c)追加の引き続いての四重極におけるステップb)における断片化プロセスにより作出されたイオンの質量/電荷比の選択が為され、方法のステップa)~c)は少なくとも1回実行され、イオン化プロセスの結果として物質の混合物中に存在するすべてのイオンの質量/電荷比の分析が実行され、四重極はコリジョンガスで充填されているが、加速電圧は分析の間に印加されない。本発明にしたがって使用される前記最も好ましい質量分析に関する詳細は、国際公開第2003/073464号パンフレットにおいて見出され得る。
より好ましくは、前記質量分析は、液体クロマトグラフィー(LC)MS、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)MS、特にHPLC-MS/MSである。液体クロマトグラフィーは、本明細書において使用される場合、液体または超臨界相中の化合物(すなわち代謝物)の分離を可能とするすべての技術を指す。
質量分析のために、試料中のアナライトは、荷電分子または分子断片を生成するためにイオン化される。その後、イオン化されたアナライト、特にイオン化されたバイオマーカー、またはその断片の質量-電荷が測定される。イオン化に先立って、試料は、プロテアーゼ、例えばトリプシンでの切断に供されてもよい。プロテアーゼは、タンパク質バイオマーカーをより小さい断片に切断する。
そのため、質量分析ステップは、好ましくは、決定されるべきバイオマーカーがイオン化されるイオン化ステップを含む。当然、試料/溶出液中に存在する他の化合物もまたイオン化される。バイオマーカーのイオン化は、適切であるとみなされる任意の方法により、特に電子衝撃イオン化、高速原子衝突、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)により実行され得る。
好ましい実施形態において、(質量分析のための)イオン化ステップはエレクトロスプレーイオン化(ESI)により実行される。よって、質量分析は好ましくはESI-MS(またはタンデムMSが実行される場合、ESI-MS/MS)である。エレクトロスプレーは、いかなる化学結合も壊すことなくイオンの形成を結果としてもたらすソフトイオン化方法である。
より典型的には、第3のバイオマーカーまたは前記第3のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤が追加的に使用され、前記第3のバイオマーカーは、
(i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。
本発明はまた、IGFBP7である第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤と、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤とを含む、感染が疑われる対象を評定するためのキットに関する。
本明細書で使用される場合、「キット」という用語は、典型的には、別個にまたは単一の容器内に提供される、上述の構成要素の集合を指す。容器はまた、典型的には、本発明の方法を実施するための説明書も含む。これらの説明書は、マニュアルの形式であってもよく、またはコンピュータもしくはデータ処理デバイス上で実行される場合に本発明の方法において言及されるバイオマーカーの決定を実行もしくはサポートすることができるコンピュータプログラムコードにより提供されてもよい。コンピュータプログラムコードは、データストレージ媒体もしくはデバイス、例えば光学ストレージ媒体(例えば、コンパクトディスク)上にもしくは直接的にコンピュータもしくはデータ処理デバイス上に提供されてもよく、またはダウンロードフォーマット、例えばアクセス可能なサーバーもしくはクラウドへのリンクにおいて提供されてもよい。さらに、キットは、本明細書の他の箇所において詳細に記載されている軟正目的のためにバイオマーカーについての基準量のための標準品を通常は含んでもよい。本発明によるキットはまた、本発明の方法を実行するために必要なさらなる成分、例えば溶媒、緩衝剤、洗浄溶液および/または放出された第2の分子の検出のために要求される試薬を含んでもよい。さらに、それは、本発明のデバイスを部分的にまたは全体的に含んでもよい。
より典型的には、前記キットは、第3のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤をさらに含み、前記第3のバイオマーカーは、
(i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。
上記で実行された用語の定義および説明は、本明細書および添付の請求項において記載されるすべての実施形態のために然るべく適用されることが理解されるべきである。以下の実施形態は、本発明にしたがって想定される特定の実施形態である。
1.感染が疑われる対象を評定するための方法であって、
(a)前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップ、
(b)前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップ、
(c)前記バイオマーカーの量を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに
(d)ステップ(c)において実行された比較および/または計算に基づいて前記対象を評定するステップ
を含む、感染が疑われる対象を評定するための方法。
2.ステップ(b)において、
(i)PCTの量が前記第2のバイオマーカーとして決定される場合に、前記方法が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量を第3のバイオマーカーとして決定することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
3.前記対象が、救急部に来院している対象である、実施形態1または2に記載の方法。
4.前記評定が、敗血症を発症するリスクの評定および/または前記対象の状態が悪化するリスクの評定である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.前記基準が、敗血症を発症するリスクがあることが既知である少なくとも1の対象に由来する各々のバイオマーカーについての基準であり、好ましくは、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と本質的に同一であるかまたは類似していることが、対象が敗血症を発症するリスクがあることを示し、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準とは異なることが、対象が敗血症を発症するリスクがないことを示す、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.前記基準が、敗血症を発症するリスクがないことが既知である少なくとも1の対象に由来する各々のバイオマーカーについての基準であり、好ましくは、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と本質的に同一であるかまたは類似していることが、対象が敗血症を発症するリスクがないことを示し、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準とは異なることが、対象が敗血症を発症するリスクがあることを示す、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
7.前記対象が、感染症を患っているか、または感染症を患っていることが疑われる、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.前記試料が、血液試料または血液試料に由来する試料である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.前記対象がヒトである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法であって、
(a)前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップ、
(b)前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップ;
(c)前記バイオマーカーの量についての値を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ;ならびに
(d)ステップ(c)において実行された比較および/または計算に基づいて前記対象を評定するステップ
を含む、感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法。
11.ステップ(b)において、
(i)PCTの量についての値が前記第2のバイオマーカーとして受け取られる場合に、前記方法が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量についての値を第3のバイオマーカーとして受け取るステップを更に含む、実施形態10に記載の方法。
12.感染が疑われる対象を評定するためのデバイスであって、
(a)前記対象の試料中のIGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーの量を決定するための測定ユニットであって、前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの検出システムを含む、測定ユニット;ならびに
(b)前記測定ユニットに動作可能に連結された評価ユニットであって、好ましくは実施形態1~9のいずれか1つに記載されるような前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーについての保存された基準を有するデータベースと、好ましくは実施形態1~9のいずれか1つに記載されるような前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの量と基準との比較を実行するための、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアの計算を実行するための、ならびに前記比較に基づいて前記対象を評定するための命令を含むデータプロセッサと、を含み、前記バイオマーカーの量についての値を前記測定ユニットから自動的に受け取ることができる、評価ユニット
を含む、感染が疑われる対象を評定するためのデバイス。
13.前記測定ユニットが、第3のバイオマーカーを決定し、かつ第3のバイオマーカーの検出システムを含み、前記データベースが、第3のバイオマーカーについての保存された基準を含み、前記第3のバイオマーカーが、
(i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記検出システムが、前記バイオマーカーの各々を特異的に検出することができる少なくとも1つの検出剤を含む、実施形態12または13に記載のデバイス。
15.感染が疑われる対象を評定するためのデバイスであって、IGFBP7である第1のバイオマーカー、ならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーについての保存された基準を有するデータベースと、好ましくは実施形態1~11のいずれか1つに記載されるようにな前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの量と基準との比較を実行するための、ならびに前記比較に基づいて前記対象を評定するための命令を含むデータプロセッサと、を含む評価ユニットであって、前記対象の試料において決定された前記バイオマーカーの量についての値を受け取ることができる、評価ユニットを含む、感染が疑われる対象を評定するためのデバイス。
16.前記データベースが、第3のバイオマーカーについての保存された基準を含み、前記第3のバイオマーカーが、
(i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、実施形態15に記載のデバイス。
17.感染が疑われる対象を評定するための、IGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカー、または前記第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤および前記第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤の使用。
18.第3のバイオマーカーまたは前記第3のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤が追加的に使用され、前記第3のバイオマーカーが、
(i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、実施形態17に記載の使用。
19.IGFBP7である第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤と、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤とを含む、感染が疑われる対象を評定するためのキット。
20.第3のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤をさらに含み、前記第3のバイオマーカーが、
(i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、実施形態19に記載のキット。
21.前記評定が、敗血症を発症するリスクの評定である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法、デバイス、使用またはキット。
22.48時間以内に敗血症を発症するリスクが予測される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法、デバイス、使用またはキット。
本明細書の全体を通じて基準されるすべての参考文献は、上記に特に言及される開示内容の他に、それらの全体に関して本明細書に組み込まれる。
実施例1:バイオマーカーの決定
PCTの測定について、Elecsys(登録商標)Electro-ChemiLuminescence(ECL)技術およびアッセイ方法を以下に簡単に説明する。PCTの濃度を、cobas e801分析装置によって決定した。Cobas e801分析装置によるPCTの検出は、Elecsys(登録商標)Electro-ChemiLuminescence(ECL)技術に基づいている。簡潔には、ビオチン標識およびルテニウム標識抗体をそれぞれの量の未希釈試料と合わせ、分析装置でインキュベートする。続いて、ビオチン標識免疫複合体の結合を促進するために、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を添加し、機器でインキュベートする。このインキュベーションステップの後、反応混合物を測定セルに移し、そこでビーズを電極の表面に磁気的に捕捉する。次いで、結合したイムノアッセイ複合体を遊離の残りの粒子から分離するために、その後のECL反応のためのトリプロピルアミン(TPA)を含有するProCell M緩衝液を測定セルに導入する。次いで、作用電極と対電極との間の電圧の誘導は、ルテニウム錯体およびTPAによる光子の放出をもたらす反応を開始させる。光電子増倍管によって得られた電気化学発光シグナルは、記録され、それぞれの分析物の濃度レベルを示す数値に変換される。
PCT(プロカルシトニン)は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、商用のプロカルシトニン用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、PCTに特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から18μLを使用し、cobas e801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
GDF15(増殖/分化因子15)を、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、ドイツ国からのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチ免疫アッセイである、GDF-15の市販のECLIAアッセイで測定した。アッセイは、GDF-15に特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から21μLを使用し、cobas e801分析装置(Roche Diagnostics、ドイツ国)で希釈せずに測定した。
CysC2(シスタチンC)は、cobas(登録商標)臨床化学分析装置プラットフォーム(Roche Diagnostics、ドイツ国)用に開発されたCysCの市販のPETIA(粒子増強免疫比濁アッセイ)で測定した。アッセイは、CysCに特異的に結合する抗体で被覆されたラテックス粒子を含む。抗体試薬と試料とを混合してインキュベートすると、ラテックスは、試薬中の抗シスタチンC抗体でコーティングされた粒子を増強し、試料中のヒトシスタチンCと凝集する。凝集物によって引き起こされる濁度の程度は、546nmで比濁法によって決定することができ、試料中のシスタチンCの量に比例する。各血清試料から2μLを使用し、cobas c 501分析装置(Roche Diagnostics、ドイツ国)で測定した。
TNTHSまたはcTNThs(心筋トロポニンT)は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、商用の高感度cTroponinT用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、cTnThsに特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から50μLを使用し、cobas e801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
FERR(フェリチン)は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、商用のフェリチン用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、フェリチンに特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から10μLを使用し、cobas e801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
PBNPまたはNTpBNP(脳ナトリウム利尿ペプチドのN末端プロホルモン)は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、商用のNTproBNP用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、NTproBNPに特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から15μLを使用し、cobas e801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
IL6(インターロイキン6)は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、商用のインターロイキン-6用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、IL-6に特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から30μLを使用し、cobas e801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
IGFBP7(インスリン様成長因子結合タンパク質7)を、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、ドイツ国からのECLIAアッセイ)用に社内で開発されたサンドイッチ免疫アッセイである、IGFBP-7のロバストなプロトタイプECLIAアッセイで測定した。アッセイは、IGFBP-7に特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から10μLを使用し、cobas e601分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
ESM1(Endothelial cell-specific molecule 1)は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に自社で開発されたサンドイッチイムノアッセイである、ESM-1用のロバストなプロトタイプECLIAアッセイで測定した。アッセイは、ESM-1に特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から20μLを使用し、cobas e601分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
BILI(ビリルビン):ジアゾ化されたスルファニル酸は、亜硝酸ナトリウムおよびスルファニル酸を低いpHで組み合わせることにより形成される。試料中のビリルビン(非共役型)は、カフェイン/ベンゾエート/アセテート/EDTAの混合物中への希釈により可溶化される。ジアゾ化されたスルファニル酸の添加で、共役型ビリルビン(モノおよびジグルコロニド)ならびにデルタ型(アルブミンに共有結合したビリプロテイン-ビリルビン)を含む可溶化されたビリルビンはジアゾ-ビリルビンに変換され、これは、540nmで吸収する、二色性(540、700nm)エンドポイント技術を使用して測定される総ビリルビンを表す赤色発色団である。試料ブランク補正が使用される。
NGAL(好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン)試験は、NGALの定量的決定のための粒子増強型比濁イムノアッセイである。3μLの血漿が反応緩衝液R1と混合される。短いインキュベーション後に、反応が免疫粒子懸濁液(NGALに対するマウスモノクローナル抗体で被覆されたポリスチレンマイクロ粒子)の添加により開始される。Roche Diagnostics(Germany)からのアッセイ。試料中のNGALは免疫粒子の凝集を引き起こす。凝集の程度は、光の吸収として測定される光散乱の量により定量化される。試料中のNGAL濃度は、確立された軟正曲線上の補間により決定される。試料をcobas c 501分析装置(Roche Diagnostics、Germany)上で測定した。
KL6(シアル酸付加炭水化物抗原KL-6):試料中のシアル酸付加炭水化物抗原KL-6(KL-6)は、抗原-抗体反応を通じてマウスKL-6モノクローナル抗体コートラテックスと共に凝集する。この凝集により引き起こされる吸光度における変化を測定してKL-6レベルを決定する。試薬はSekisui Medical Co.(Japan)からのものであった。2.5μLの血漿を分析した。試料をcobas c 501分析装置(Roche Diagnostics、Germany)上で測定した。
suPAR(可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体)は、ヒト血漿試料中のsuPARを定量的に決定する比濁イムノアッセイである。試験の第1のステージは、R1試薬とのヒト起源の検体(EDTAまたはヘパリン血漿)のインキュベーションである。5分のインキュベーション後に、R2試薬を加え、反応を開始させる。反応緩衝液R2は、suPARに対するラットおよびマウスモノクローナル抗体で被覆されたラテックス粒子の懸濁液である。R2添加後に、suPAR凝集のプロセスが始まり、蓄積のレベルが、光吸収の測定の間の散乱光の量により決定される。試験の開始前に作成された線形軟正曲線が、ヒト血漿試料中のsuPARの濃度を決定するために使用される。ViroGates(Denmark)からの試薬。10μLの血漿を分析した。試料をcobas c 501分析装置(Roche Diagnostics、Germany)上で測定した。
CREAJ2(クレアチニン):この速度論的比色アッセイはJaffeの方法に基づく。アルカリ性溶液中で、クレアチニンは、ピクリン酸とイエローオレンジの複合体を形成する。色素形成の速度は、検体中のクレアチニン濃度に比例する。アッセイは、ビリルビンによる干渉を最小化するために「速度ブランク化」(rate-blanking)を使用する。Roche Diagnostics(Germany)からのアッセイ。7.5μLの血漿を決定のために使用した。試料をcobas c 501分析装置(Roche Diagnostics、Germany)上で測定した。
ALAT(アラニンアミノトランスフェラーゼ):アラニンアミノトランスフェラーゼは、α-ケトグルタル酸(α-KG)へのL-アラニンのアミノ基転移を触媒して、L-グルタミン酸およびピルビン酸を形成させる。形成されるピルビン酸は、還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の同時の酸化と共に乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)により乳酸に還元される。吸光度における変化は、アラニンアミノトランスフェラーゼ活性に正比例しており、例えば二色性(340、700nm)レート技術を使用して測定される。
ASAT(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は、L-アスパラギン酸からα-ケトグルタル酸へのアミノ基転移を触媒して、L-グルタミン酸およびオキサロ酢酸を形成させる。形成されるオキサロ酢酸は、還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の同時の酸化と共にリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)によりリンゴ酸に還元される。NADへのNADHの変換に起因する経時的な吸光度における変化は、AST活性に正比例しており、例えば二色性(340、700nm)レート(bichromatic rate)技術を使用して測定される。
ALB(アルブミン):可溶化剤の存在下で、BCPはpH4.9でアルブミンに結合する。アルブミン-BCP複合体の量はアルブミン濃度に正比例する。複合体は600nmで吸収し、多色(600nm、540nm、700nm)エンドポイント技術を使用して測定される。
CRP(C反応性タンパク質):CRPに対するモノクローナル抗体で被覆されたポリスチロール粒子は、CRPおよび凝集物を含有する検体と反応する。凝集は光シグナルの散乱を誘導する。散乱光の強度は、試料中のCRPの濃度に比例する。定量化が、既知のCRP標準品と比較して行われる。
実施例2:TRIAGE Studyからの患者の分析
TRIAGE Study、Kantonsspital Aarau、Switzerland、Emergency Department。(Schuetz 2013,BMC emergency medicine,13(1),12).
医療救急のために救急部(ED)処置を求めたすべての連続する患者をED入院において含めた。全部で4000人の患者から、入院時に感染が疑われる患者のサブセットを選択し、以下にしたがって高確率敗血症症例群または感染症対照群に分類した。
● 症例(N=64):ICUに入院しているか、またはRhee 2017、“Incidence and Trends of Sepsis in US Hospitals Using Clinical vs Claims Data,2009-2014.”JAMA 318(13):1241-1249の基準を満たす場合、ED来院の48時間以内に悪化/より高い重症度を有する可能性の高い敗血症症例。
● 対照(N=207):EDに現れた48h以内に感染が疑われるが敗血症を有しない患者。
ロジスティック回帰を介してマーカーを数学的に組み合わせ、「受信者動作特性曲線下面積」(AUC)をマーカー性能についての一般的尺度として使用した。
少なくとも1パーセンテージ点だけ単一マーカーに対してAUCの向上を有するマーカーペアの組合せ(二変量マーカー組合せ)を表1に示す。
Figure 2024516679000001
少なくとも1パーセンテージ点だけ二変量マーカーペアの他に3つすべての単一マーカーに対してAUCの向上を有するマーカートリプレットの組合せ(三変量マーカー組合せ)を表2に示す。
Figure 2024516679000002
単一マーカーに対する向上を有しないマーカーの二変量組合せの例を表3に示す。
Figure 2024516679000003

Claims (17)

  1. 感染が疑われる対象を評定するための方法であって、
    (a)前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量を決定するステップ、
    (b)前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量を決定するステップ、
    (c)前記バイオマーカーの量を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに
    (d)ステップ(c)において実行された前記比較および/または前記計算に基づいて前記対象を評定するステップ
    を含む、感染が疑われる対象を評定するための方法。
  2. ステップ(b)において、
    (i)PCTの量が前記第2のバイオマーカーとして決定される場合に、前記方法が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量を第3のバイオマーカーとして決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象が、救急部に来院している対象である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記評定が、敗血症を発症するリスクの評定および/または前記対象の状態が悪化するリスクの評定である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記基準が、敗血症を発症するリスクがあることが既知である少なくとも1の対象に由来する各々のバイオマーカーについての基準であり、好ましくは、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と本質的に同一であるかもしくは類似していることが、対象が敗血症を発症するリスクがあることを示し、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準とは異なることが、対象が敗血症を発症するリスクがないことを示し、かつ/または
    前記基準が、敗血症を発症するリスクがないことが既知である少なくとも1の対象に由来する各々のバイオマーカーについての基準であり、好ましくは、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と本質的に同一であるかもしくは類似していることが、対象が敗血症を発症するリスクがないことを示し、前記バイオマーカーの各々についての量が、対応する基準と異なることが、対象が敗血症を発症するリスクがあることを示す、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記対象が、感染症を患っているか、または感染症を患っていることが疑われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記試料が、血液試料もしくはそれに由来する試料(例えば血清もしくは血漿試料)であり、かつ/または前記対象がヒトである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法であって、
    (a)前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップであって、前記第1のバイオマーカーがIGFBP7である、前記対象の試料中の第1のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップ、
    (b)前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップであって、前記第2のバイオマーカーが、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される、前記対象の試料中の第2のバイオマーカーの量についての値を受け取るステップ、
    (c)前記バイオマーカーの量についての値を前記バイオマーカーについての基準と比較し、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアを計算するステップ、ならびに
    (d)ステップ(c)において実行された前記比較および/または前記計算に基づいて前記対象を評定するステップ
    を含み、
    任意に、ステップ(b)において、
    (i)PCTの量についての値が前記第2のバイオマーカーとして受け取られる場合、前記方法が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量についての値を第3のバイオマーカーとして受け取ることをさらに含む、
    感染が疑われる対象を評定するためのコンピュータ実装方法。
  9. 感染が疑われる対象を評定するためのデバイスであって、
    (a)前記対象の試料中のIGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーの量を決定するための測定ユニットであって、前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの検出システムを含む、測定ユニット;ならびに
    (b)前記測定ユニットに動作可能に連結された評価ユニットであって、好ましくは請求項1~7のいずれか1項に記載されるような前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーについての保存された基準を有するデータベースと、好ましくは請求項1~7のいずれか1項に記載されるように、前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの量と基準との比較を実行するための、および/または前記バイオマーカーの量に基づいて感染が疑われる前記対象を評定するためのスコアの計算を実行するための、ならびに前記比較に基づいて前記対象を評定するための命令を含むデータプロセッサと、を含み、前記バイオマーカーの量についての値を前記測定ユニットから自動的に受け取ることができる、評価ユニット
    を含む、感染が疑われる対象を評定するためのデバイス。
  10. 前記測定ユニットが、第3のバイオマーカーを決定し、かつ第3のバイオマーカーの検出システムを含み、前記データベースが、第3のバイオマーカーについての保存された基準を含み、前記第3のバイオマーカーが、
    (i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、請求項9に記載のデバイス。
  11. 前記検出システムが、前記バイオマーカーの各々を特異的に検出することができる少なくとも1つの検出剤を含む、請求項9または10に記載のデバイス。
  12. 感染が疑われる対象を評定するためのデバイスであって、IGFBP7である第1のバイオマーカー、ならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーについての保存された基準を有するデータベースと、好ましくは請求項1~9のいずれか1項に記載されるような前記第1のバイオマーカーおよび前記第2のバイオマーカーの量と基準との比較を実行するための、ならびに前記比較に基づいて前記対象を評定するための命令を含むデータプロセッサと、を含み、前記対象の試料において決定された前記バイオマーカーの量についての値を受け取ることができる、評価ユニットを含み、
    任意に、前記データベースが、第3のバイオマーカーについての保存された基準を含み、前記第3のバイオマーカーが、
    (i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、感染が疑われる対象を評定するためのデバイス。
  13. 感染が疑われる対象を評定するための、i)IGFBP7である第1のバイオマーカーならびにPCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカー、またはii)前記第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤および前記第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤の使用。
  14. 第3のバイオマーカーまたは前記第3のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤が追加的に使用され、前記第3のバイオマーカーが、
    (i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、請求項13に記載の使用。
  15. IGFBP7である第1のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤と、PCT、IL6、心筋トロポニン、アルブミン、CRP、ビリルビン、フェリチン、ESM-1、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BNP型ペプチド、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチニン、およびsuPARからなる群から選択される第2のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤とを含む、感染が疑われる対象を評定するためのキットであって、任意に、前記キットが、第3のバイオマーカーに特異的に結合する検出剤をさらに含み、前記第3のバイオマーカーが、
    (i)PCTが前記第2のバイオマーカーである場合に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、感染が疑われる対象を評定するためのキット。
  16. 前記評定が、敗血症を発症するリスクの評定である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法、デバイス、使用またはキット。
  17. 48時間以内に敗血症を発症するリスクが予測される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法、デバイス、使用またはキット。
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