JP2024516392A - 抗体定常領域バリアントを有する結合分子の多量体化 - Google Patents

抗体定常領域バリアントを有する結合分子の多量体化 Download PDF

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Abstract

オリゴマーを形成するように操作された分子であって、分子の各々は、システインとなるように置換されたEU番号付けによる位置253を有するIgG CH2領域及び/またはヒトμテールピースを含む、分子。【選択図】図1A

Description

相互参照
本出願は、2021年4月28日に出願された米国仮出願番号63/180,969の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、2022年4月25日に作製され、サイズが26,426バイトである「13370-120-228_Sequence_Listing_ST25.txt」というタイトルで提出されたテキストとして本出願と共に提出された配列表を参照によりその全体を組み込む。
1.本明細書では、操作されたIgG C2領域を含む分子及びそれを含むオリゴマー複合体が提供される。さらに本明細書では、本明細書に記載の分子またはオリゴマーを含む薬学的組成物、本明細書に記載の分子に関連する宿主細胞、核酸、ベクター、ならびにかかる分子及びオリゴマーを生成する方法及び使用する方法が提供される。
2.抗体治療剤の分野では、新規組換え抗体または誘導体の設計及び生成は、多大な注目を集めており、継続的な進歩をしている。具体的には、新規設計は、ネイティブ抗体の制限を克服するために、及び抗体半減期、薬物動態、安定性、アビディティ、血液クリアランス、組織または標的細胞浸透及び保持等における改善等の利点を提供するために所望である。本明細書に記載の組成物及び方法は、この必要性を満たし、関連する利点を提供する。
3.一態様では、本明細書では、IgG C2領域を含む分子であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、分子が提供される。
いくつかの実施形態では、分子は、IgGヒンジ領域をさらに含む。他の実施形態では、分子は、IgG C3領域をさらに含む。さらに他の実施形態では、分子は、ヒトμテールピースをさらに含む。またさらに他の実施形態では、分子は、IgG C1領域をさらに含む。
いくつかの特定の実施形態では、ヒトμテールピースは、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、または90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の特定の実施形態では、ヒトμテールピースは、IgG C2領域のC末端にコンジュゲートされている。さらに他の特定の実施形態では、ヒトμテールピースは、IgG C3領域のC末端にコンジュゲートされている。
いくつかの実施形態では、IgGは、ヒトIgGである。いくつかの特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG1である。他の特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG2である。さらに他の特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG3である。またさらに他の特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG4である。
いくつかの実施形態では、分子は、標的に特異的に結合する結合ドメインをさらに含む。いくつかの特定の実施形態では、結合ドメインは、抗体断片である。他の実施形態では、分子は、抗体またはその抗原結合断片である。
一態様では、本明細書では、本明細書に記載される2つ以上の分子を含むオリゴマーが提供される。別の態様では、本明細書では、本明細書に記載される分子をコードする単離された核酸が提供される。別の態様では、本明細書では、本明細書に記載される核酸を含むベクターが提供される。
別の態様では、本明細書では、2つ以上の分子を含むオリゴマーが提供され、各分子は、IgG C2領域を含み、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている。
いくつかの実施形態では、分子は、IgGヒンジ領域をさらに含む。他の実施形態では、分子は、IgG C3領域をさらに含む。さらに他の実施形態では、分子は、ヒトμテールピースをさらに含む。またさらに他の実施形態では、分子は、IgG C1領域をさらに含む。
いくつかの特定の実施形態では、ヒトμテールピースは、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、または90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の特定の実施形態では、ヒトμテールピースは、IgG C2領域のC末端にコンジュゲートされている。さらに他の特定の実施形態では、ヒトμテールピースは、IgG C3領域のC末端にコンジュゲートされている。
いくつかの実施形態では、IgGは、ヒトIgGである。いくつかの特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG1である。他の特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG2である。さらに他の特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG3である。またさらに他の特定の実施形態では、ヒトIgGは、ヒトIgG4である。
いくつかの実施形態では、分子は、標的に特異的に結合する結合ドメインをさらに含む。いくつかの特定の実施形態では、結合ドメインは、抗体断片である。他の実施形態では、分子は、抗体またはその抗原結合断片である。
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、五量体である。他の実施形態では、オリゴマーは、六量体である。
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、ホモマーであり、2つ以上の分子は、同じ標的に結合する。他の実施形態では、オリゴマーは、ヘテロマーである。いくつかの特定の実施形態では、2つ以上の分子は、2つ以上の異なる標的に結合する。
別の態様では、本明細書では、本明細書に記載される分子、本明細書に記載されるオリゴマー、本明細書に記載される単離された核酸、または本明細書に記載されるベクター、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。別の態様では、本明細書では、対象における疾患または障害を処置するための方法であって、本明細書に記載される薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が提供される。
さらに別の態様では、本明細書では、IgG C2領域をそれぞれ含む2つ以上の分子を含むオリゴマーを作製する方法が提供され、方法は、IgG C2領域におけるEU番号付けによる位置253でシステインアミノ酸置換を各分子に導入することを含む。
またさらに別の態様では、本明細書では、オリゴマー化された分子を生成する方法であって、(i)請求項40に記載のベクターを宿主細胞に導入すること、(ii)オリゴマー化された分子の生成のための好適な条件下で宿主細胞を培養すること、及び(iii)オリゴマー化された分子を精製することを含む、方法が提供される。
4.
ヒトIgG1及びそのバリアントの一過性発現分析。SDS-PAGEによる異なるヒトIgG1(huIgG1)Fc-μtp及びhuIgG1 Fc-αtpバリアントならびに対照の一過性発現の分析。レーン1は、タンパク質ラダーを示している;レーン2は、IgM陽性対照(250mg/L)を示している;レーン3は、トランスフェクションを伴わないExpi293発現系を示している;レーン6は、I253C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンμ鎖テールピース(μtp)(配列番号3)を示している;レーン7は、I253C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンα鎖テールピース(αtp)を示している;レーン8は、Q438C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続くμtp(配列番号5)を示している;レーン9は、Q438C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続くαtpを示している;レーン10は、Y436C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続くμtp(配列番号4)を示している;レーン11は、Y436C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続くαtpを示している;レーン12は、huIgG1 Fcと、それに続くμtpを示している;レーン13は、huIgG1 Fcと、それに続くαtpを示している。 ヒトIgG1及びそのバリアントの一過性発現分析。SDS-PAGEによる異なるヒトIgG1(huIgG1)Fc-μtpバリアント及び対照の一過性発現の分析。レーン1は、タンパク質ラダーを示している;レーン2は、精製されたIgG1陽性対照(100mg/L)を示している;レーン3は、精製されたIgG1陽性対照(200mg/L)を示している;レーン4は、トランスフェクションを伴わないExpi293発現系からのコンディショニングされた培地を示している;レーン5は、H310C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンμ鎖テールピース(μtp)[huIgG1 Fc(H310C)-μtp]を示している;レーン6は、L251C、I253G及びS254C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンμ鎖テールピース(μtp)[huIgG1 Fc(L251C、I253G、及びS254C)-μtp]を示している;レーン7は、S254C及びN434C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンμ鎖テールピース(μtp)[huIgG1 Fc(S254C及びN434C)-μtp]を示している;レーン8は、L251C及びS254C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンμ鎖テールピース(μtp)[huIgG1 Fc(L251C及びS254C)-μtp]を示している。 SDS-PAGEによる異なるヒトIgG1(huIgG1)Fc-μtpバリアント及び対照の一過性発現の分析。レーン1は、タンパク質ラダーを示している;レーン2は、精製されたIgG1陽性対照(100mg/L)を示している;レーン3は、精製されたIgG1陽性対照(200mg/L)を示している;レーン4は、トランスフェクションを伴わないExpi293発現系からのコンディショニングされた培地を示している;レーン5は、N286C変異を有するhuIgG1 Fcと、それに続く免疫グロブリンμ鎖テールピース(μtp)[huIgG1 Fc(N286C)-μtp]を示している。
I253Cを有するhuIgG1 Fcと、それに続くμtp(huIgG1 Fc(I253C)-μtp)の精製。MabSelect(商標)プロテインA樹脂を用いる精製。 I253Cを有するhuIgG1 Fcと、それに続くμtp(huIgG1 Fc(I253C)-μtp)の精製。CaptureSelect(商標)FcXL Affinity Matrixを用いる精製。 I253Cを有するhuIgG1 Fcと、それに続くμtp(huIgG1 Fc(I253C)-μtp)の精製。陰イオン交換クロマトグラフィーを用いる精製。
huIgG1 Fc(I253C)-μtpの特性化。精製されたhuIgG1 Fc(I253C)-μtpのインタクト質量分析。 huIgG1 Fc(I253C)-μtpの特性化。BioRadゲル濾過タンパク質標準と重ねたhuIgG1 Fc(I253C)-μtpのHPLC-SEC分析。 huIgG1 Fc(I253C)-μtpの特性化。BioRadゲル濾過タンパク質標準と重ねたhuIgG1 Fc(I253C)-μtpのHPLC-SEC分析。 huIgG1 Fc(I253C)-μtpの特性化。BioRadゲル濾過タンパク質標準と重ねたhuIgG1 Fc(I253C)-μtpのHPLC-SEC分析。 huIgG1 Fc(I253C)-μtpの特性化。huIgG1 Fc(I253C)-μtpのHPLC-SEC分析:統合による純度の定量。 huIgG1 Fc(I253C)-μtpの特性化。示差走査蛍光法のナノ形式(ナノDSF)によるhuIgG1 Fc(I253C)-μtpの熱安定性分析。
SDS-PAGEによるIgG六量体の発現。レーン1は、精製されたヒトIgG1陽性対照(100mg/L)を示している;レーン2は、精製されたヒトIgG1六量体陽性対照(100mg/L)を示している;レーン3は、トランスフェクションなしのExpi293発現系からのコンディショニングされた培地を示している;レーン4は、抗ベータブロトー(blotho)huIgG1六量体を示している;レーン5は、抗GDNFファミリー受容体アルファ様(GFRAL)huIgG1六量体を示している;レーン6は、抗血管内皮成長因子(VEGF)huIgG1六量体を示している。
5.本開示は、抗体定常領域での所定のアミノ酸置換(すなわち、IgG C2領域におけるEU番号付けによる位置253でのシステインへの置換)が、以下のセクション6で実証されるように六量体等のオリゴマーの形成を増加させ得るという驚くべき知見に部分的に基づく。分子の集合の中の分子間結合の数は、おそらく形成され得る対応するオリゴマーの複雑性のレベルを決定する。分子が1つの分子間結合部位のみを含有する場合、二量体のみが形成され得、その理由は、各分子が二量体の他の成分と結合を形成した後に占有され、より複雑な構造を有するオリゴマーを形成するために利用可能な他の結合部位はないからである。対照的に、分子が複数の分子間結合部位を含有する場合、この所与の分子については、複数の結合パートナーを伴って複数の結合が形成され得る。そのため、より複雑な構造を有するオリゴマーは、かかる分子の集合の中で形成され得る。また、分子間結合を形成し得る分子内のアミノ酸残基の特質及び位置は、オリゴマーの形成のための効率に有意に影響を及ぼす。
一態様では、本明細書では、オリゴマーを形成するように操作された分子が提供される。また、本明細書では、開示される分子によって形成されるオリゴマーが提供される。また、本明細書では、本明細書で提供される分子及びオリゴマーを含む薬学的組成物が提供される。また、本明細書では、本明細書で提供される組成物を含むキットが提供される。さらに、本明細書では、核酸分子、ベクター及び開示される分子を発現する宿主細胞が提供される。さらに本明細書では、本明細書で提供される分子及びオリゴマーを生成する方法が提供される。またさらなる態様では、本明細書では、本分子及びオリゴマーを使用するための方法が提供される。
5.1 定義
本明細書で記載されるまたは参照される技術及び手順は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3d ed.2001);Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,2003);Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic(An ed.2009);Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols(Albitar ed.2010);及びAntibody Engineering Vols 1 and 2(Kontermann and Dubel eds.,2d ed.2010)に記載されている広く利用されている方法論等、当業者によって従来の方法論を使用する一般的によく理解されている及び/または一般的に用いられるものが含まれる。本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的用語及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有する。本明細書を解釈するために、以下の用語の説明が適用され、適切な場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数形を含み、その逆も同様である。示される用語の任意の説明が、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書と矛盾する場合、以下に示される用語の説明が優先されるものとする。
本明細書で使用される場合、用語「ジスルフィド結合」または「ジスルフィド結合性」は、分子の所定の残基におけるチオール基(-SH)の硫黄原子の共有結合性連結を指す。結合は、2つのチオールの酸化で形成され、よって、共有結合性ジスルフィド結合によって分子の2つの残基及びそれらのそれぞれの本体を連結させる。具体的には、分子がポリペプチドまたはその誘導体に言及される場合、ジスルフィド結合は、典型的には、2つのアミノ酸残基を連結させる、6つの原子の構成Cα-Cβ-Sγ-S’γ-C’β-C’αである。
本明細書で使用される場合、用語「EU番号付け」は、定常ドメイン(C1、ヒンジ、及びFcの部分を含む)のための広く使用されている番号付けスキームを指す。Kabat,E.A.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest:Tabulation and Analysis of Amino Acid and Nucleic Acid Sequences of Precursors,V-Regions,C-Regions,J-Chain,T-Cell Receptors for Antigen T-Cell Surface Antigens,[Beta]2-Microglobulins,Major Histocompatibility Antigens,Thy-1,Complement,C-Reactive Protein,Thymopoietin,Integrins,PostGamma Globulin,[Alpha]2-Macroglobulins,and Other Related Proteins,5th edn,National Institutes of Healthを参照されたい。
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される用語「オリゴマー」、「オリゴマー化された分子」、または「多量体化分子」は、いくつかの類似するまたは同一の繰り返し単位からなる複合体の構造を指す。オリゴマーは、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、十一量体、十二量体、十三量体、十四量体、十五量体、十六量体、十七量体、十八量体、十九量体、二十量体等であり得、これらは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個等の類似するまたは同一の繰り返し単位からなる複合体に相当する。
用語「抗体」、「免疫グロブリン」、または「Ig」は、本明細書で互換的に使用され、最も広い意味で使用され、具体的には、例えば、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、完全長またはインタクトモノクローナル抗体を含む)、多エピトープまたは単エピトープ特異性を有する抗体組成物、ポリクローナルまたは一価抗体、多価抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成される多重特異的抗体(例えば、それらが所望の生物学的活性を示す限り二重特異的抗体)、一本鎖抗体、及び以下に記載されるそれらの断片(例えば、ドメイン抗体)を包含する。その用語にはまた、様々な変異(例えば、定常領域またはFc領域におけるもの)及び他の修飾(例えば、C末端またはN末端への追加のペプチド配列を有するもの)を保有するものを含む全ての抗体バリアントが含まれる。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ及び/または親和性成熟、ならびに他の種、例えば、マウス、ウサギ、リャマ等からの抗体であり得る。用語「抗体」には、ポリペプチドの免疫グロブリンクラス内のB細胞のポリペプチド産物であって、特定の分子抗原に結合することができ、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの重鎖(約50~70kDa)及び1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各鎖の各アミノ末端部分には、約100~約130またはそれを超えるアミノ酸の可変領域が含まれ、各鎖の各カルボキシ末端部分には、定常領域が含まれるものを含むことが意図される。例えば、Antibody Engineering(Borrebaeck ed.,2d ed.1995);及びKuby,Immunology(3d ed.1997)を参照されたい。抗体にはまた、合成抗体、組換え的に生成された抗体、Camelidae種(例えば、リャマまたはアルパカ)からのものを含むシングルドメイン抗体またはそれらのヒト化バリアント、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び断片が誘導された抗体の結合活性の一部または全てを保持する抗体重鎖または軽鎖ポリペプチドの一部分を指す、上記のいずれかの機能的断片(例えば、抗原結合断片)が含まれるがこれらに限定されない。機能的断片(例えば、抗原結合断片)の非限定的な例には、一本鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異的、二重特異的等を含む)、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab)断片、F(ab’)断片、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及びミニボディが含まれる。特に、本明細書で提供される抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、例えば、抗原-結合ドメインまたは抗原に結合する抗原結合部位(例えば、抗体の1つ以上のCDR)を含有する分子が含まれる。かかる抗体断片は、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(1989);Mol.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers ed.,1995);Huston et al.,1993,Cell Biophysics 22:189-224;Pluckthun and Skerra,1989,Meth.Enzymol.178:497-515;及びDay,Advanced Immunochemistry(2d ed.1990)で見ることができる。本明細書で提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)または任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のものであり得る。抗体は、アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体であり得る。抗体は、アゴニストでもアンタゴニストでもない場合がある。
「抗原」は、抗体が選択的に結合し得る構造である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に存在するもしくは合成の化合物であり得る。いくつかの実施形態では、標的抗原は、ポリペプチドである。所定の実施形態では、抗原は、細胞に関連し、例えば、細胞上または細胞内に存在する。
用語「結合する」または「結合すること」は、例えば、複合体を形成することを含む、分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/またはファンデルワールス相互作用を含む非共有結合性相互作用であり得る。複合体にはまた、共有結合性または非共有結合性結合、相互作用、または力によって一緒に保持された2つ以上の分子の結合が含まれ得る。抗体上の単一の抗原結合部位と、標的分子、例えば、抗原の単一のエピトープとの間の総非共有結合性相互作用の強度は、そのエピトープに対する抗体または機能的断片の親和性である。一価抗原に対する結合分子(例えば、抗体)の会合速度(kon)に対する解離速度(koff)の比(koff/kon)は解離定数Kであり、これは親和性と逆相関する。K値が低いほど、抗体の親和性は高くなる。Kの値は、抗体及び抗原の異なる複合体について様々であり、kon及びkoffの両方に依存する。本明細書で提供される抗体についての解離定数Kは、本明細書で提供される任意の方法または当業者によく知られている任意の他の方法を使用して決定され得る。1つの結合部位での親和性は、抗体と抗原との間の相互作用の真の強度を常に反映するわけではない。複数の繰り返し抗原決定基を含有する複合体抗原、例えば、多価抗原が、複数の結合部位を含有する抗体と接触する場合、1つの部位での抗体と抗原との相互作用は、2つ目の部位での反応の可能性を増加させる。多価抗体と抗原との間のかかる複数の相互作用の強度は、アビディティと呼ばれる。
本明細書に記載の結合分子に関して、「に結合する」、「に特異的に結合する」等の用語、及び類似する用語はまた、本明細書で互換的に使用され、抗原、例えば、ポリペプチドに特異的に結合する抗原結合ドメインの結合分子を指す。抗原に結合するまたは特異的に結合する結合分子または抗原結合ドメインは、例えば、イムノアッセイ、Octet(登録商標)、Biacore(登録商標)、または当業者に知られている他の技術によって同定され得る。いくつかの実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、実験技術、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定される場合、任意の交差反応性抗原よりも高い親和性で抗原に結合する場合、抗原に結合し、または特異的に結合する。典型的には、特異的または選択的反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍となり、バックグラウンドの10倍を超え得る。結合特異性に関する論述については、例えば、Fundamental Immunology 332-36(Paul ed.,2d ed.1989)を参照されたい。所定の実施形態では、「非標的」タンパク質への結合分子または抗原結合ドメインの結合の程度は、例えば、蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析またはRIAによって決定される場合、その特定の標的抗原への結合分子または抗原結合ドメインの結合の約10%未満である。抗原に結合する結合分子または抗原結合ドメインには、結合分子が、例えば、抗原を標的とする際に治療剤及び/または診断剤として有用となるように十分な親和性で抗原に結合することが可能なものが含まれる。所定の実施形態では、抗原に結合する結合分子または抗原結合ドメインは、1μM、800nM、600nM、550nM、500nM、300nM、250nM、100nM、50nM、10nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(K)を有する。所定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、異なる種からの抗原の中で保存された抗原のエピトープに結合する。
所定の実施形態では、本明細書に記載の分子の抗体または抗原結合断片は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であるのに対し、鎖(複数可)の残部は、別の種に由来するまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体における配列と同一または相同である「キメラ」配列、ならびに所望の生物学的活性を示す限り、かかる抗体の断片を含み得る(米国特許番号4,816,567;及びMorrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-55を参照されたい)。
所定の実施形態では、本明細書に記載の分子の抗体または抗原結合断片は、ネイティブCDR残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類等の非ヒト種(例えば、ドナー抗体)の対応するCDRからの残基によって置き換えられたヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)を含むキメラ抗体である非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」形態の部分を含み得る。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンの1つ以上のFR領域残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに向上させるために行われる。ヒト化抗体重鎖または軽鎖は、CDRの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ以上の可変領域の実質的に全てを含み得る。所定の実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む。さらなる詳細については、Jones et al.,1986,Nature 321:522-25;Riechmann et al.,1988,Nature 332:323-29;Presta,1992,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-96;Carter et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285-89;米国特許番号:6,800,738;6,719,971;6,639,055;6,407,213;及び6,054,297を参照されたい。
所定の実施形態では、本明細書に記載の分子の抗体または抗原結合断片は、「完全ヒト抗体」または「ヒト抗体」の一部分を含み得、その用語は、本明細書で互換的に使用され、ヒト可変領域及び、例えば、ヒト定常領域を含む抗体を指す。特定の実施形態では、その用語は、ヒト起源の可変領域及び定常領域を含む抗体を指す。「完全ヒト」抗体はまた、所定の実施形態では、ポリペプチドに結合する抗体を包含し得、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン核酸配列の天然に存在する体細胞バリアントである核酸配列によってコードされる。用語「完全ヒト抗体」には、Kabat et al.(Kabat et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)によって記載されているようにヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に対応する可変及び定常領域を有する抗体が含まれる。「ヒト抗体」は、ヒトによって生成された抗体のものに対応するアミノ酸配列を保有するもの、及び/またはヒト抗体を作製する技術のいずれかを使用して作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリ(Hoogenboom and Winter,1991,J.Mol.Biol.227:381;Marks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581)及び酵母ディスプレイライブラリ(Chao et al.,2006,Nature Protocols 1:755-68)を含む、当該技術分野で知られている様々な技術を使用して生成され得る。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy 77(1985);Boerner et al.,1991,J.Immunol.147(1):86-95;及びvan Dijk and van de Winkel,2001,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74に記載されている方法もヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である。ヒト抗体は、抗原負荷に応答してかかる抗体を生成するように修飾されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、マウスに抗原を投与することによって調製され得る(例えば、Jakobovits,1995,Curr.Opin. Biotechnol.6(5):561-66;Bruggemann and Taussing,1997,Curr.Opin.Biotechnol.8(4):455-58;及びXENOMOUSETM技術に関する米国特許番号6,075,181及び6,150,584を参照されたい)。例えば、ヒトB-細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体に関するLi et al.,2006,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:3557-62も参照されたい。
典型的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgGの場合、4本鎖ユニットは、通常、約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結されているが、一方で2本のH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。H鎖及びL鎖はそれぞれ、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、続いて、α及びγ鎖の各々については3つの定常ドメイン(CH)、ならびにμ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端で可変ドメイン(VL)と、それに続いてその他方の末端で定常ドメイン(CL)を有する。VLは、VHと整列され、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列される。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VHとVLとが一緒に対合することにより、単一の抗原結合部位を形成する。抗体の異なるクラスの構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology 71(Stites et al.eds.,8th ed.1994);及びImmunobiology(Janeway et al.eds.,5thed.2001)を参照されたい。
用語「Fab」または「Fab領域」は、抗原に結合する抗体領域を指す。従来のIgGは通常、2つのFab領域を含み、各々が、Y形状のIgG構造の2つのアームのうちの1つに存在する。各Fab領域は、典型的には、重鎖及び軽鎖の各々の1つの可変領域及び1つの定常領域から構成される。より具体的には、Fab領域における重鎖の可変領域及び定常領域は、VH及びCH1領域であり、Fab領域における軽鎖の可変領域及び定常領域は、VL及びCL領域である。Fab領域におけるVH、CH1、VL、及びCLは、本開示による抗原結合能力を付与するために様々な方法で配置され得る。例えば、VH及びCH1領域は、1つのポリペプチド上にあり得、VL及びCL領域は、従来のIgGのFab領域と同様に、別々のポリペプチド上にあり得る。あるいは、VH、CH1、VL及びCL領域は全て、同じポリペプチド上にあり、異なる順序で配向され得る。
用語「可変領域」、「可変ドメイン」、「V領域」、または「Vドメイン」は、軽鎖または重鎖のアミノ末端に通常は位置し、重鎖における約120~130アミノ酸及び軽鎖における約100~110アミノ酸の長さを有する抗体の軽鎖または重鎖の一部分を指し、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性において使用される。重鎖の可変領域は、「VH」と称され得る。軽鎖の可変領域は、「VL」と称され得る。用語「可変」は、可変領域の所定のセグメントが抗体間で配列が広範に異なるという事実を指す。V領域は、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変領域の110アミノ酸範囲にわたって均一に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ約9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれるより高い可変性(例えば、超可変性)のより短い領域によって隔てられた約15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる可変性が低い(例えば、相対的に不変の)伸長部からなる。重鎖及び軽鎖の可変領域はそれぞれ、ループ接続を形成する、いくつかの場合では、βシート構造の一部を形成する、3つの超可変領域によって接続されたβシート構成を概ね採用する4つのFRを含む。各鎖における超可変領域は、FRによって近接して一緒に保持され、他の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(5th ed.1991)を参照されたい)。定常領域は、抗体を抗原に結合させる際に直接的に関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)における抗体の関与を示す。可変領域は、異なる抗体間で配列が広く異なる。特定の実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。
用語「重鎖」は、抗体に関して使用される場合、約50~70kDaのポリペプチド鎖であって、アミノ末端部分に約120~130またはそれを超えるアミノ酸の可変領域が含まれ、カルボキシ末端部分に定常領域が含まれるものを指す。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と称される5つの異なるタイプ(例えば、アイソタイプ)のうちの1つであり得る。異なる重鎖は、サイズが異なる:α、δ、及びγは、およそ450アミノ酸を含有するのに対し、μ及びεは、およそ550アミノ酸を含有する。軽鎖と組み合わされた場合、これらの異なるタイプの重鎖は、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、抗体の5つのよく知られているクラス(例えば、アイソタイプ)であるIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMをそれぞれ生じさせる。
用語「軽鎖」は、抗体に関して使用される場合、約25kDaのポリペプチド鎖であって、アミノ末端部分に約100~約110またはそれを超えるアミノ酸の可変領域が含まれ、カルボキシ末端部分に定常領域が含まれるものを指す。軽鎖のおおよその長さは、211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)またはラムダ(λ)と称される2つの異なるタイプが存在する。
本明細書で使用される場合、用語「超可変領域」、「HVR」、「相補性決定領域」、及び「CDR」は、互換的に使用される。「CDR」は、免疫グロブリン(Igまたは抗体)VHのβ-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2またはH3)のうちの1つ、または抗体VLのβ-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2またはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在した可変領域配列である。CDR領域は、当業者によく知られており、よく知られている番号付けシステムによって定義されている。
用語「定常領域」または「定常ドメイン」は、軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分であって、抗原への抗体の結合に直接的に関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、Fc受容体との相互作用を示すものを指す。その用語は、免疫グロブリンの他の部分である抗原結合部位を含有する可変領域と比べてより保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常領域は、重鎖のC1、C2、及びC3領域ならびに軽鎖のC領域を含有し得る。本明細書で使用される場合、用語「IgG C1」、「IgG C2」、及び「IgG C3」は、IgGの重鎖の定常領域における一般的に定義される第1、第2及び第3のドメインをそれぞれ指す。IgGからの重鎖は通常、3つの定常ドメインIgG C1、C2、C3、及びC1とC2ドメインとの間のスペーサーヒンジ領域を含有する。
本明細書における用語「Fc領域」は、例えば、ネイティブ配列Fc領域、組換えFc領域、及びバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域はしばしば、Cys226位におけるアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによると残基447)は、例えば、抗体の生成もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって、除去されてもよい。したがって、インタクト抗体の組成物は、全K447残基が除去された抗体母集団、除去されたK447残基がない抗体母集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体母集団を含んでもよい。「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合;CDC;Fc受容体結合;ADCC;貪食;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御等が含まれる。かかるエフェクター機能は通常、結合領域または結合ドメイン(例えば、抗体可変領域またはドメイン)と組み合わされるFc領域を必要とし、当業者に知られている様々なアッセイを使用して評価され得る。「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、置換、付加、または欠失)によりネイティブ配列Fc領域のものとは異なるアミノ酸配列を含む。所定の実施形態では、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域において約1~約10個のアミノ酸置換、または約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、またはそれらと少なくとも約90%の相同性、例えば、それらと少なくとも約95%の相同性を保有し得る。
用語「フレームワーク」または「FR」は、CDRを挟むそれらの可変領域残基を指す。FR残基は、例えば、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン抗体(例えば、シングルドメイン抗体)、ダイアボディ、線状抗体、及び二重特異的抗体に存在する。FR残基は、超可変領域残基またはCDR残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。
本明細書で使用される場合、「エピトープ」は、当該技術分野における用語であり、結合分子(例えば、シングルドメイン抗体配列を含む抗体)が特異的に結合し得る抗原の局在化領域を指す。エピトープは、線状エピトープまたはコンフォメーショナル、非線状、もしくは非連続エピトープであり得る。ポリペプチド抗原の場合、例えば、エピトープは、ポリペプチドの連続アミノ酸(「線状」エピトープ)であり得、またはエピトープは、ポリペプチドの2つ以上の非連続領域からのアミノ酸(「コンフォメーショナル」、「非線状」または「非連続」エピトープ)を含み得る。通常、線状エピトープは、二次、三次、または四次構造に依存する場合があり、依存しない場合があることが当業者によって理解される。例えば、いくつかの実施形態では、結合分子は、天然の三次元タンパク質構造にフォールディングされるかどうかにかかわらず、アミノ酸の群に結合する。他の実施形態では、結合分子は、エピトープを認識し、それに結合するために特定のコンフォメーション(例えば、曲げ、ツイスト、ターンまたはフォールディング)を示すためのエピトープを構成するアミノ酸残基を必要とする。
用語「標的化領域」または「結合ドメイン」は、最も広い意味で本明細書で使用され、標的(または抗原)に特異的に結合し得る分子の領域を指す。標的化領域は、C1領域を有しない抗原結合断片、または任意の再形式化された抗原結合断片、例えば、一本鎖可変断片(scFv)、非免疫グロブリンであるが、酵素-基質、受容体-リガンドまたは他のタンパク質-タンパク質相互作用を介して標的への特異的結合を形成する任意のポリペプチドであり得る。標的化領域はまた、逆相補的結合を介して標的への特異的結合を形成する核酸の配列であり得る。標的化領域はまた、標的との任意の共有結合性または非共有結合性接続を形成し得る実体であり得る。いくつかの実施形態では、標的化領域または結合ドメインは、抗体、例えば、抗体の抗原結合ドメインまたは断片に由来する。用語「抗原結合断片」、「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、及び同様の用語は、抗体との関連で使用される場合、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を結合因子に付与するアミノ酸残基を含む、抗体の一部分(例えば、CDR)を指す。「抗原結合断片」には、本明細書で使用される場合、インタクト抗体の一部分、例えば、インタクト抗体の抗原結合または可変領域を含む「抗体断片」が含まれる。抗体断片の例は上述されており、それには、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ及びジダイアボディ;一本鎖抗体分子;二重可変ドメイン抗体;単一可変ドメイン抗体(sdAb);ならびに抗体断片から形成された多重特異的抗体が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」及び「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語はまた、天然にまたは介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾を介して修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。その定義には、例えば、非天然アミノ酸、ならびに当該技術分野で知られている他の修飾を含むがこれらに限定されない、アミノ酸の1つ以上のアナログを含有するポリペプチドも含まれる。本開示のポリペプチドは、抗体または免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーに基づき得、所定の実施形態では、「ポリペプチド」は、一本鎖としてまたは2つ以上の関連する鎖として生じ得ることが理解される。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたは塩基、及び/またはそれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってまたは合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体等の修飾ヌクレオチドを含み得る。「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、通常は長さが約200ヌクレオチド未満であるがかならずしもそうではない短くて通常は一本鎖の合成ポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互排他的ではない。ポリヌクレオチドについての上記の説明は、オリゴヌクレオチドに等しく完全に適用可能である。本開示の結合分子を生成する細胞には、親ハイブリドーマ細胞、ならびに抗体をコードする核酸が導入された細菌及び真核宿主細胞が含まれ得る。別途特定されない限り、本明細書に開示される任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端は、5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の方向は、5’方向と称される。新生RNA転写産物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と称される;RNA転写産物の5’末端に対して5’であるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称される;RNA転写産物の3’末端に対して3’であるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
「単離された核酸」は、核酸、例えば、RNA、DNA、または混合核酸であり、これは、他のゲノムDNA配列ならびにネイティブ配列に天然に付属するリボソーム及びポリメラーゼ等のタンパク質または複合体から実質的に分離されている。「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。その上、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、他の細胞性物質を、または組換え技術によって生成される場合は培地を実質的に含まない場合があり、または化学的に合成される場合は化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない場合がある。特定の実施形態では、シングルドメイン抗体または本明細書に記載される抗体をコードする1つ以上の核酸分子は、単離または精製される。その用語は、それらの天然に存在する環境から取り除かれた核酸配列を包含し、それには、組換えまたはクローニングされたDNA単離物及び化学的に合成されたアナログまたは異種システムによって生物学的に合成されたアナログが含まれる。実質的に純粋な分子には、単離された形態の分子が含まれ得る。
別途特定されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いのバージョンを変性させ、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句にはまた、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がいくつかのバージョンにおいてイントロン(複数可)を含有する程度までイントロンが含まれ得る。
本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、核酸配列を宿主細胞に導入するために、例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片をコードする核酸配列を含む、核酸配列を運搬し、または含めるために使用される物質を指す。使用するために適用可能なベクターには、例えば、宿主細胞の染色体への安定な組み込みのために機能可能な選択配列またはマーカーを含み得る、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が含まれる。さらに、ベクターには、1つ以上の選択マーカー遺伝子及び適切な発現制御配列が含まれ得る。含められ得る選択マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質または毒素に対する耐性を提供し、栄養要求性欠損を補い、または培地にない重要な栄養素を供給する。発現制御配列には、当該技術分野でよく知られている構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーター等が含まれ得る。2つ以上の核酸分子が共発現される場合(例えば、抗体重鎖及び軽鎖または抗体VH及びVLの両方)、両方の核酸分子は、例えば、単一の発現ベクターまたは別々の発現ベクターに挿入され得る。単一ベクター発現のため、コード核酸は、1つの共通の発現制御配列に機能可能に連結され、または異なる発現制御配列、例えば、1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターに連結され得る。宿主細胞への核酸分子の導入は、当該技術分野でよく知られている方法を使用して確認され得る。かかる方法には、例えば、核酸分析、例えば、ノーザンブロットまたはmRNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、遺伝子産物の発現についてのイムノブロット、または導入された核酸配列またはその対応する遺伝子産物の発現を試験するための他の好適な分析的方法が含まれる。核酸分子は、所望の産物を生成するために十分な量で発現することが当業者によって理解され、発現レベルは、当該技術分野でよく知られている方法を使用して十分な発現を得るために最適化され得ることがさらに理解される。
本明細書で使用される場合、用語「宿主細胞」は、核酸分子でトランスフェクションされ得る特定の対象細胞及びかかる細胞の子孫または潜在的子孫を指す。かかる細胞の子孫は、継代世代または宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みにおいて生じ得る変異または環境的影響のため、核酸分子でトランスフェクションされていない親細胞と同一ではない場合がある。
本明細書で使用される場合、用語「同一性」は、配列をアライメント及び比較することによって決定される場合、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の配列間の関係性を指す。参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して、最大配列同一性パーセントを達成した後、及びいずれの保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基の割合と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、例えば、公共に利用可能なコンピュータソフトウエア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGN(DNAStar,Inc.)ソフトウエアを使用して、当該技術分野の技術内である様々な方法で達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたる最大整列を達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、配列の整列に適切なパラメータを決定することができる。
用語「特異性」は、抗原の特定のエピトープに対する抗原結合分子(例えば、抗体)の選択的認識を指す。例えば、自然抗体は、単一特異性である。用語「多重特異的」は、本明細書で使用される場合、2つ以上の抗原結合部位を有し、その少なくとも2つが異なる抗原に結合する抗原結合タンパク質を示す。「二重特異的」は、本明細書で使用される場合、抗原結合分子が2つの異なる抗原結合特異性を有することを示す。本明細書で使用される用語「単一特異的」は、各々が同じ抗原に結合する1つ以上の結合部位を有する抗原結合分子を示す。
用語「価」は、本明細書で使用される場合、抗原結合分子における特定数の結合部位の存在を示す。例えば、自然抗体、または全長抗体は、2つの結合部位を有し、二価である。このように、用語「三価」、「四価」、「五価」及び「六価」は、それぞれ、抗原結合分子における2つの結合部位、3つの結合部位、4つの結合部位、5つの結合部位、及び6つの結合部位の存在を示す。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な」は、本明細書で使用される場合、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されている、または米国薬局方、欧州薬局方、または動物、及びより具体的にはヒトにおいて使用するための他の一般的に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「賦形剤」は、薬学的に許容可能な物質、組成物、またはビヒクル、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、溶媒、または封入物質を意味する。賦形剤には、例えば、封入物質または添加剤、例えば、吸収加速剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝液、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、伸長剤、充填剤、香味剤、保湿剤、滑沢剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、滅菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤及びそれらの混合物が含まれる。用語「賦形剤」はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全または不完全)またはビヒクルを指し得る。
いくつかの実施形態では、賦形剤は、薬学的に許容可能な賦形剤である。薬学的に許容可能な賦形剤の例には、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(例えば、約10アミノ酸残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)及びPLURONICS(商標)が含まれる。薬学的に許容可能な賦形剤の他の例は、Remington and Gennaro,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.1990)に記載されている。
一実施形態では、各成分は、薬学的製剤の他の成分と適合性があり、かつ合理的な利益/リスク比に見合い、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織または器官と接触させて使用するために好適であるという意味で「薬学的に許容可能」である。例えば、Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.;Rowe et al.,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009;Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.;Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.;Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2009を参照されたい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、用いられる投薬量及び濃度でそれに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、水性pH緩衝液である。
いくつかの実施形態では、賦形剤は、滅菌液体、例えば、水及び油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む)であり得る。水は、組成物(例えば、薬学的組成物)が静脈内に投与される場合に例示的な賦形剤である。生理食塩水溶液ならびにデキストロース及びグリセロールの水溶液はまた、特に注射溶液のために液体賦形剤として用いられ得る。賦形剤にはまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれ得る。組成物はまた、所望の場合、少量の浸潤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤等の形態を取り得る。製剤を含む経口組成物には、標準的な賦形剤、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等が含まれ得る。
本明細書で使用される場合、用語「約」及び「およそ」は、所与の値または範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、またはそれ未満を意味する。
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途示していない限り複数形を含む。
本明細書で使用される場合、用語「間」は、「AとBとの間」または「A~Bの間」等の語句において使用される場合、A及びBの両方を含む範囲を指す。
用語「及び/または」は、本明細書において「A及び/またはB」等の語句において使用される場合、A及びBの両方;AまたはB;A(単独);ならびにB(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「及び/または」は、「A、B、及び/またはC」等の語句において使用される場合、以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独)、B(単独)、ならびにC(単独)の各々を包含することが意図される。
5.2 オリゴマーを形成するために操作された分子
5.2.1 操作された定常領域を含む分子
一態様では、本明細書では、同じまたは同様の構造の2つ以上の他の分子との接続を形成し、よって、2つ以上の単位を含むオリゴマー分子を形成することが可能である分子が提供される。より具体的には、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、位置253(EU番号付けに従う)におけるアミノ酸残基が、システイン残基となるように置換されているIgG C2領域を含み、それにより同じアミノ酸置換を有する別の分子とのジスルフィド結合を形成することが可能な部位を生成する。
いくつかの実施形態では、C2領域の位置253におけるシステイン残基に加えて、本明細書で提供される分子は、同じまたは同様の構造の他の分子との接続を形成することが可能な少なくとも1つの他の部位を含む。本明細書で提供される接続のタイプは、共有結合性または非共有結合性であり得、本明細書で提供される接続は、直接的または間接的であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される接続は、システイン残基を介するジスルフィド結合である。システイン残基は、例えば、点変異によってまたはテールピースを付加することによって分子に導入され得る。あるいは、システイン残基は、抗体領域、例えば、ヒンジ領域において天然に存在し得る。いくつかの実施形態では、上記の特性は、組み合わせて分子において提供される。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、共有結合を介する。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、ジスルフィド結合を介する。いくつかの他の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、電子共有を介する。他の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、非共有結合を介する。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、水素結合を介する。いくつかの他の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、イオン性相互作用を介する。いくつかの他の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、ファンデルワールス力を介する。いくつかの他の特定の実施形態では、本明細書で提供される分子間の接続のタイプは、疎水性結合を介する。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、互いに直接的接続を形成する。他の実施形態では、本明細書で提供される分子は、互いに間接的接続を形成する。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、直接的に形成されたジスルフィド結合を介して互いに接続する。他の実施形態では、本明細書で提供される分子は、間接的に形成されたジスルフィド結合を介して互いに接続する。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、1つ以上の接続部位を介して互いに接続し、接続分子は、本明細書で提供される分子とジスルフィド結合を形成する。1つの特定の実施形態では、接続分子は、ポリマー性IgA及びIgMに見られるJ鎖である。
所定の実施形態では、本明細書では、2つの天然アミノ酸または異常アミノ酸間に形成され得る、ジスルフィド結合を介して互いの接続を形成する分子が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子間に形成される接続は、2つの天然アミノ酸間のジスルフィド結合である。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子間に形成される接続は、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子間に形成される接続は、2つの異常アミノ酸間のジスルフィド結合である。いくつかの特定の実施形態では、異常アミノ酸はそれぞれ、反応性スルフヒドリル基を処理する。いくつかの特定の実施形態では、異常アミノ酸は、様々な長さのパラ置換脂肪族チオールを有するチロシン誘導体である(Liu et al.,PNAS,113(21)5910-5915(2016)を参照されたい)。
ジスルフィド結合を形成するための点変異
いくつかの実施形態では、本明細書では、導入された点変異間でジスルフィド結合を介した互いの接続を形成する分子が提供される。一実施形態では、アラニンがシステインで置換される。別の実施形態では、アルギニンがシステインで置換される。別の実施形態では、アスパラギンがシステインで置換される。別の実施形態では、アスパラギン酸は、システインで置換される。別の実施形態では、グルタミンがシステインで置換される。別の実施形態では、グルタミン酸がシステインで置換される。別の実施形態では、グリシンがシステインで置換される。別の実施形態では、ヒスチジンがシステインで置換される。別の実施形態では、イソロイシンがシステインで置換される。別の実施形態では、ロイシンがシステインで置換される。別の実施形態では、リジンがシステインで置換される。別の実施形態では、メチオニンがシステインで置換される。別の実施形態では、フェニルアラニンがシステインで置換される。別の実施形態では、プロリンがシステインで置換される。別の実施形態では、セリンがシステインで置換される。別の実施形態では、トレオニンがシステインで置換される。別の実施形態では、トリプトファンがシステインで置換される。別の実施形態では、チロシンがシステインで置換される。別の実施形態では、バリンがシステインで置換される。
いくつかの実施形態では、本明細書では、互いに安定なジスルフィド結合の形成を容易化する位置において導入された点変異を有する分子が提供される。いくつかの実施形態では、導入された点変異の位置は、安定なジスルフィド結合のための幾何的制約及びパラメータを満たす。いくつかの特定の実施形態では、導入された点変異の位置は、形成されたジスルフィド結合におけるCα-Cα’間の近い距離を確保する。いくつかの特定の実施形態では、導入された点変異の位置は、形成されたジスルフィド結合におけるCβ-Cβ’間の近い距離を確保する。いくつかの特定の実施形態では、導入された点変異の位置は、形成されたジスルフィド結合におけるCα-Cβ-Sγ間の適切な結合角度を確保する。他の実施形態では、導入された点変異の位置は、形成されたジスルフィド結合におけるCβ-Sγ-S’γ間の適切な結合角度を確保する。さらに他の特定の実施形態では、導入された点変異の位置は、形成されたジスルフィド結合におけるS-S結合の周囲でCβ原子の適切な回転角度を確保する。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgG C1領域を含む。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgG C2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するヒンジ領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgE Cε1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgE Cε2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgE Cε3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgE Cε4領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgD C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgD C2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgD C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgM Cμ1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgM Cμ2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgM Cμ3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgM Cμ4領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgA Cα1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgA Cα2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、システインへの点変異を有するIgA Cα3領域を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、EU番号付けによる位置Ile253でシステインへの点変異を有するIgG C2領域を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、2つ以上の上述した点変異を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C2領域においてEU番号付けによる位置Ile253でシステインへの点変異及び上述した少なくとも1つの他の点変異を含む。
ジスルフィド結合を形成するための付加されたテールピース
所定の実施形態では、本明細書で提供される分子は、互いに安定なジスルフィド結合の形成を容易化する付加されたテールピースをさらに含む。いくつかの実施形態では、付加されたテールピースは、18アミノ酸長のμテールピース(配列番号1)を含む。他の実施形態では、付加されたテールピースは、配列番号1と90%の同一性を含み、配列番号1におけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、配列番号1と85%の同一性を含み、配列番号1におけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、配列番号1と70%の同一性を含み、配列番号1におけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、配列番号1と65%の同一性を含み、配列番号1におけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、配列番号1と50%の同一性を含み、配列番号1におけるシステイン残基を保持する。
いくつかの実施形態では、付加されたテールピースは、IgA α重鎖におけるテールピース(αテールピース)を含む。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと85%の同一性を含み、テールピースにおけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと70%の同一性を含み、テールピースにおけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと65%の同一性を含み、テールピースにおけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと50%の同一性を含み、αテールピースにおけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと35%の同一性を含み、αテールピースにおけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと20%の同一性を含み、テールピースにおけるシステイン残基を保持する。他の実施形態では、付加されたテールピースは、αテールピースと5%の同一性を含み、αテールピースにおけるシステイン残基を保持する。
所定の実施形態では、本明細書に記載の所定のポリペプチドは、参照ポリペプチドと比べて所定の同一性パーセントを有するアミノ酸配列を含む。2つの配列(例えば、アミノ酸配列または核酸配列)間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873 5877(1993)のように改変されたKarlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:2264 2268(1990)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403(1990)のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、例えば、本明細書に記載の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るためにスコア=100、ワード長=12のために設定されたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて実施され得る。BLASTタンパク質検索は、例えば、本明細書に記載の分子タンパク質と相同なアミノ酸配列を得るためにスコア=50、ワード長=3のために設定されたXBLASTプログラムパラメータを用いて実施され得る。比較目的のためのギャップアライメントを得るために、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389 3402(1997)に記載されているようにGapped BLASTが利用され得る。あるいは、分子間の距離的関係性を検出する反復検索を実施するためにPSI BLASTが使用され得る(上掲)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、XBLAST及びNBLASTのもの)が使用され得る(例えば、ワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.gov上のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)を参照されたい)。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller,CABIOS 4:11-17(1998)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウエアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティが使用され得る。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許容してまたは許容せずに、上述したものと類似する技術を使用して決定され得る。同一性パーセントを計算する際に、典型的には正確な一致のみがカウントされる。
他の実施形態では、本明細書では、1つ以上のシステインを含有する付加された短いポリペプチドを有する分子が提供される。いくつかの特定の実施形態では、付加された短いポリペプチドは、5未満のアミノ酸長である。いくつかの特定の実施形態では、付加された短いポリペプチドは、6、7、8、9、または10アミノ酸長である。いくつかの特定の実施形態では、付加された短いポリペプチドは、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である。いくつかの特定の実施形態では、付加された短いポリペプチドは、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30アミノ酸長である。いくつかの特定の実施形態では、付加された短いポリペプチドは、30アミノ酸長を超える。
本明細書では、互いに安定なジスルフィド結合の形成を容易化する位置において付加されたテールピースを有する分子が提供される。いくつかの実施形態では、テールピースは、分子のC末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、C1領域のC末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、ヒンジ領域のC末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、C2領域のC末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、C3領域のC末端に付加される。いくつかの実施形態では、テールピースは、分子のN末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、C1領域のN末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、ヒンジ領域のN末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、C2領域のN末端に付加される。いくつかの特定の実施形態では、テールピースは、C3領域のN末端に付加される。
操作された分子の構成
いくつかの実施形態では、本明細書では、上述した点変異及び上述した付加されたテールピースの両方を含む分子が提供される。他の実施形態では、本明細書で提供される分子は、上述した2つ以上の点変異及び上述した付加されたテールピースの両方を有する。さらに他の実施形態では、本明細書で提供される分子は、上述した点変異及び上述した2つ以上の付加されたテールピースの両方を有する。さらに他の実施形態では、本明細書で提供される分子は、上述した2つ以上の点変異及び上述した2つ以上の付加されたテールピースの両方を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書では、多量体化のために操作された異なる抗体定常領域を含む分子が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の分子は、C2領域における1つ以上の点変異(複数可)を有し、よって、操作されたジスルフィド結合(複数可)がかかる分子間で形成し得る。他の実施形態では、本明細書に記載の分子は、1つ以上の付加されたテールピース(複数可)を有し、よって、操作されたジスルフィド結合(複数可)がかかる分子間で形成し得る。他の実施形態では、本明細書に記載の分子は、C2領域における1つ以上の点変異(複数可)及び1つ以上の付加されたテールピース(複数可)を有し、よって、複数の操作されたジスルフィド結合がかかる分子間で形成し得る。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、及びIgGヒンジ領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、及びIgG C1領域を含む。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、IgGヒンジ、及びC3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、IgGヒンジ、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、IgGヒンジ、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。
上記の実施形態では、異なる領域の順序は、野生型IgGにおける順序に従い得、または野生型IgGにおける順序とは異なり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の分子は、上述した1つ以上の付加されたテールピース(複数可)をさらに含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)またはそのバリアントを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、及びIgGヒンジ領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、及びIgG C2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgG C1領域を含む。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ、及びIgG C2領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgG C2領域、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgG C2領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、IgG C2領域、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、IgG C2領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgG C2領域、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、IgG C2領域、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。
上記の実施形態では、異なる領域の順序は、野生型IgGにおける順序に従い得、または野生型IgGにおける順序とは異なり得、ヒトμテールピースは、本分子のC末端またはN末端にコンジュゲートされ得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の分子は、1つ以上の点変異(複数可)及び1つ以上の付加されたテールピース(複数可)を有し、よって、複数の操作されたジスルフィド結合がかかる分子間で形成し得る。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、及びヒトμテールピース(配列番号1)を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、及びIgGヒンジ領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、及びIgG C3領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、IgG C2領域であって、EU番号付けによるIgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、IgG C2領域、ヒトμテールピース(配列番号1)、IgGヒンジ領域、IgG C3領域、及びIgG C1領域を含む。上記の実施形態では、異なる領域の順序は、野生型IgGにおける順序に従い得、または野生型IgGにおける順序とは異なり得、ヒトμテールピースは、分子のC末端またはN末端にコンジュゲートされ得る。
本明細書に記載のIgG、IgE、IgD、IgM、IgA領域の全てのため、バリエーションは、ネイティブ配列抗体またはポリペプチドと比較してアミノ酸配列における変化をもたらす抗体またはポリペプチドをコードする1つ以上のコドンの置換、欠失、または挿入であり得る。アミノ酸置換は、あるアミノ酸を同様の構造及び/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えること、例えば、ロイシンのセリンでの置き換え、例えば、保存的アミノ酸置き換えの結果であり得る。例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発を含む当業者に知られている標準的な技術が、本明細書で提供される分子をコードするヌクレオチド配列における変異を導入するために使用され得る。挿入または欠失は、任意に、約1~5アミノ酸の範囲で有り得る。所定の実施形態では、置換、挿入、または挿入には、元の分子と比べて25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、または2個未満のアミノ酸置換が含まれる。特定の実施形態では、置換は、1つ以上の予測される非必須アミノ酸残基でなされた保存的アミノ酸置換である。可能となったバリエーションは、配列におけるアミノ酸の挿入、欠失、または置換をシステム的に行うこと及び得られたバリアントを完全長または成熟ネイティブ配列によって示される活性について試験することによって決定され得る。
IgG C2領域に加えて、本分子は、他のIgG領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgGヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C3領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1及びC2領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1及びC3領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgGヒンジ及びC2領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgGヒンジ及びC3領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C2及びC3領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1、ヒンジ、及びC2領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1、ヒンジ、及びC3領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1、C2、及びC3領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、IgG C1、ヒンジ、C2、及びC3領域を含む。
いくつかの実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、ヒトIgGからのものである。いくつかの実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、ヒトIgG1からのものである。いくつかの実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、ヒトIgG2からのものである。いくつかの実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、ヒトIgG3からのものである。いくつかの実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、ヒトIgG4からのものである。いくつかの特定の実施形態では、先行段落において開示される1つの分子におけるIgG領域は、異なるヒトIgGアイソタイプと混合される。他の実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、マウスIgGからのものである。他の実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、ラットIgGからのものである。他の実施形態では、先行段落において開示されるIgG領域は、サルIgG、ロバIgG、ヒツジIgG、ヤギIgG、モルモットIgG、ラクダIgG、ウマIgG、またはニワトリIgGからのものである。
5.2.2 結合分子
上記で開示されるオリゴマーを形成するための特性及び構造に加えて、本明細書で提供される分子は、他の特性及び機能を含む。所定の実施形態では、本分子は、結合ドメインを含む結合分子である。いくつかの実施形態では、本分子は、抗体またはその断片である。他の実施形態では、本明細書で提供される分子の結合ドメインは、非免疫グロブリン結合因子を含む。他の実施形態では、本明細書で提供される分子の結合ドメインは、逆相補的結合を介して標的への特異的結合を形成する核酸の配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子の結合ドメインは、抗体断片を含む。
例示的な断片には、Fab断片(例えば、抗原結合ドメインを含有し、かつジスルフィド結合によって架橋された軽鎖及び重鎖の一部を含む抗体断片);Fab’(例えば、Fabを含む単一の抗原結合ドメイン及びヒンジ領域まで重鎖の追加的な部分を含有する抗体断片);F(ab’)2(例えば、重鎖のヒンジ領域で鎖間ジスルフィド結合によって接続された2つのFab’分子;Fab’分子は、同じまたは異なるエピトープに仕向けられ得る);二重特異的Fab(例えば、2つの抗原結合ドメインを有し、その各々が異なるエピトープに仕向けられ得るFab分子);scFvとしても知られている、可変領域を含む単鎖(例えば、10~25アミノ酸の鎖によって一緒に連結された抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変抗原結合決定領域);ジスルフィド結合したFv、またはdsFv(例えば、ジスルフィド結合によって一緒に連結された抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変抗原結合決定領域);ラクダ科動物化VH(例えば、VH界面におけるいくつかのアミノ酸が、天然に存在するラクダ抗体の重鎖に見られるものである抗体の単一の重鎖の可変抗原結合決定領域);二重特異的scFv(例えば、2つの抗原結合ドメインを有し、その各々が異なるエピトープに仕向けられ得るscFvまたはdsFv分子);ダイアボディ(例えば、第1のscFvのVHドメインが第2のscFvのVLドメインとアセンブルし、第1のscFvのVLドメインが第2のscFvのVHドメインとアセンブルする場合に形成される二量体化scFv;ダイアボディのこれらの2つの抗原結合領域は、同じまたは異なるエピトープを標的とし得る);トリアボディ(例えば、ダイアボディと同じように形成されるが、単一の複合体中に3つの抗原結合ドメインが生成された三量体化scFv;3つの抗原結合ドメインは、同じまたは異なるエピトープに仕向けられ得る);及びテトラボディ(例えば、ダイアボディと同じように形成されるが、単一の複合体中に4つの抗原結合ドメインが生成された四量体化scFv;4つの抗原結合ドメインは、同じまたは異なるエピトープに仕向けられ得るる)が挙げられる。
抗体断片を生成するための様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、インタクト抗体のタンパク質分解消化を介して誘導される(例えば、Morimoto et al.,1992,J.Biochem.Biophys.Methods 24:107-17;及びBrennan et al.,1985,Science 229:81-83を参照されたい)。しかしながら、これらの断片は、現在、組換え宿主細胞により直接生成され得る。Fab、Fv、及びscFv抗体断片は、E.coliまたは酵母細胞において発現し、それから分泌され、よって、大量のこれらの断片の容易な生成を可能とし得る。抗体断片は、抗体ファージライブラリから単離され得る。あるいは、Fab’-SH断片は、E.coliから直接的に回収され、化学的に接続されてF(ab’)2断片が形成され得る(Carter et al.,1992,Bio/Technology 10:163-67)。別のアプローチに従って、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む延長したin vivo半減期を有するFab及びF(ab’)2断片は、例えば、米国特許番号5,869,046に記載されている。抗体断片を生成するための他の技術が、当業者に明らかであろう。所定の実施形態では、抗体は、一本鎖Fv断片(scFv)である(例えば、WO93/16185;米国特許番号5,571,894及び5,587,458を参照されたい)。Fv及びscFvは、定常領域を欠くインタクトな統合部位を有する;よって、それらは、in vivoでの使用中に低減した非特異的結合のために好適であり得る。scFv融合タンパク質は、scFvのアミノまたはカルボキシのいずれかの末端でエフェクタータンパク質の融合を生成するために構築され得る(例えば、Borrebaeck ed.,(上掲)を参照されたい)。抗体断片はまた、例えば、上記で引用された参考文献に記載されるように、「線状抗体」であり得る。かかる線状抗体は、単一特異的または多重特異的、例えば、二重特異的であり得る。
より小さな抗体由来結合構造は、シングル可変ドメイン抗体(sdAb)とも称される別々の可変ドメイン(Vドメイン)である。所定のタイプの生物、ラクダ科動物及び軟骨魚類は、それらの免疫系の一部としてFc同等ドメイン構造に搭載された高い親和性の単一V様ドメインを保有する。(Woolven et al.,1999,Immunogenetics 50:98-101;及びStreltsov et al.,2004,Proc Natl Acad Sci USA.101:12444-49)。V様ドメイン(ラクダ科動物ではVhH及びサメではV-NARと称される)は、典型的には、標的抗原のキャビティの侵入を可能とする、長い表面ループを提示する。それらはまた、疎水性表面パッチをマスクすることによって単離されたVHドメインを安定化する。
これらのVhH及びV-NARドメインは、sdAbを操作するために使用されている。ヒトVドメインバリアントは、ファージライブラリからの選択ならびに安定な高結合性VL及びVH由来ドメインをもたらした他のアプローチを使用して設計されている。
本明細書で提供される分子における抗体断片は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)または任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のものであり得る。
本明細書に記載の抗体には、例えば、ヒト化抗体、例えば、非免疫化または複合ヒト抗体が含まれ得る。
ヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域及びヒト定常領域配列を含み得る。例えば、ヒト化抗体は、ヒト定常領域配列を含み得る。所定の実施形態では、ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む免疫グロブリンを含む任意のクラス、ならびにIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4(例えば、IgG4のバリアント及びIgG4ヌルボディ)を含む任意のアイソタイプから選択され得る。所定の実施形態では、ヒト化抗体は、カッパまたはラムダ軽鎖定常配列を含み得る。
ヒト化抗体は、CDRグラフト(欧州特許番号EP239,400;国際公開番号WO91/09967;及び米国特許番号5,225,539、5,530,101、及び5,585,089)ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(resurfacing)(欧州特許番号EP592,106及びEP519,596;Padlan,1991,Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Studnicka et al.,1994,Protein Engineering 7(6):805-814;及びRoguska et al.,1994,PNAS 91:969-973)、鎖シャッフル(米国特許番号5,565,332)、及び例えば、米国特許番号6,407,213、米国特許番号5,766,886、WO93/17105、Tan et al.,J.Immunol.169:1119 25(2002)、Caldas et al.,Protein Eng.13(5):353-60(2000)、Morea et al.,Methods 20(3):267 79(2000)、Baca et al.,J.Biol.Chem.272(16):10678-84(1997)、Roguska et al.,Protein Eng.9(10):895 904(1996)、Couto et al.,Cancer Res.55(23 Supp):5973s-5977s(1995)、Couto et al.,Cancer Res.55(8):1717-22(1995)、Sandhu JS,Gene 150(2):409-10(1994)、及びPedersen et al.,J.Mol.Biol.235(3):959-73(1994)に開示されている技術を含むがこれらに限定されない多様な当該技術分野で知られている技術を使用して生成され得る。米国特許公開番号US2005/0042664A1(2005年2月24日)(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当該技術分野で知られている。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトである源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有し得る。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば、典型的には「インポート」可変ドメインから取得される「インポート」残基と称される。ヒト化は、例えば、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、Jones et al.,1986,Nature 321:522-25;Riechmann et al.,1988,Nature 332:323-27;及びVerhoeyen et al.,1988,Science 239:1534-36)の方法に従って、実施され得る。
いくつかの場合では、ヒト化抗体は、親非ヒト抗体(例えば、げっ歯類)の6つのCDRのアミノ酸配列がヒト抗体フレームワークにグラフトされるCDRグラフト化によって構築される。例えば、Padlanらは、CDRにおける残基の約3分の1のみが実際に抗原と接触することを決定し、これらを「特異性決定残基」、またはSDRと称した(Padlan et al.,1995,FASEB J.9:133-39)。SDRグラフト化の技術では、SDR残基のみがヒト抗体フレームワークにグラフトされる(例えば、Kashmiri et al.,2005,Methods 36:25-34を参照されたい)。
ヒト化抗体を作製する際に使用される軽及び重の両方のヒト可変ドメインの選定は、抗原性を減少させるために重要であり得る。例えば、いわゆる「ベストフィット」法に従って、非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングされる。げっ歯類のものと最も近いヒト配列は、ヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして選択され得る(Sims et al.,1993,J.Immunol.151:2296-308;及びChothia et al.,1987,J.Mol.Biol.196:901-17)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定の下位群の全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークは、いくつかの異なるヒト化抗体のために使用され得る(Carter et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285-89;及びPresta et al.,1993,J.Immunol.151:2623-32)。いくつかの場合では、フレームワークは、最も豊富なヒトサブクラスであるVL6サブグループI(VL6I)及びVHブグループIII(VHIII)のコンセンサス配列に由来する。別の方法では、ヒト生殖細胞系列遺伝子は、フレームワーク領域の源として使用される。
超ヒト化と呼ばれる、CDRの比較に基づく代替的パラダイムでは、FR相同性は無関係である。その方法は、非ヒト配列と機能性ヒト生殖細胞系列遺伝子レパートリーとの比較からなる。次いでネズミ配列と同じまたは密接に関連するカノニカル構造をコードするそれらの遺伝子が選択される。次に、カノニカル構造を非ヒト抗体と共有する遺伝子内で、CDR内の最も高い相同性を有するものがFRドナーとして選択される。最後に、非ヒトCDRは、これらのFRにグラフトされる(例えば、Tan et al.,2002,J.Immunol.169:1119-25を参照されたい)。
抗体は、抗原に対するそれらの親和性及び他の望ましい生物学的特性の保持を伴ってヒト化されることがさらに通常は所望である。この目標を達成するために、1つの方法に従って、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析プロセスによって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、そして当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される三次元立体配座構造を例示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらには、例えば、WAM(Whitelegg and Rees,2000,Protein Eng.13:819-24)、Modeller(Sali and Blundell,1993,J.Mol.Biol.234:779-815)、及びSwiss PDB Viewer(Guex and Peitsch,1997,Electrophoresis 18:2714-23)が含まれる。これらの表示の調査は、免疫グロブリン候補配列の機能における残基の予想される役割の分析、例えば、免疫グロブリン候補がその抗原と結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能とする。このように、標的抗原(複数可)に対する増加した親和性等の所望の抗体特徴が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わされ得る。概して、超可変領域残基は、抗原結合への影響に直接的に、かつ最も実質的に関与している。
抗体ヒト化のための別の方法は、Human String Content(HSC)と称される抗体ヒト性の計量に基づく。この方法は、マウス配列をヒト生殖細胞系列遺伝子のレパートリーと比較し、差がHSCとしてスコア化される。標的配列は次いで、複数の多様なヒト化バリアントを生成するために全体的な同一性尺度を使用するよりもそのHSCを最大化することによってヒト化される(Lazar et al., 2007, Mol. Immunol. 44:1986-98)。
上述した方法に加えて、経験的方法が、ヒト化抗体を生成及び選択するために使用され得る。これらの方法には、ヒト化バリアントの大規模ライブラリの生成及び濃縮技術またはハイスループットスクリーニング技術を使用する最良のクローンの選択に基づくものが含まれる。抗体バリアントは、ファージ、リボソーム、及び酵母ディスプレイライブラリからならびに細菌コロニースクリーニングによって単離され得る(例えば、Hoogenboom,2005,Nat.Biotechnol.23:1105-16;Dufner et al.,2006,Trends Biotechnol.24:523-29;Feldhaus et al.,2003,Nat.Biotechnol.21:163-70;及びSchlapschy et al.,2004,Protein Eng.Des.Sel.17:847-60を参照されたい)。
FRライブラリアプローチでは、残基バリアントの集合体がFRにおける特定の位置で導入され、それに続いてグラフトされたCDRを最も良好に支持するFRを選択するためにライブラリがスクリーニングされる。置換される残基には、CDR構造に潜在的に寄与するものとして同定された「Vernier」残基(例えば、Foote and Winter,1992,J.Mol.Biol.224:487-99を参照されたい)、またはBaca et al.(1997,J.Biol.Chem.272:10678-84)によって同定されたより限定された標的残基のセットからの一部または全てが含まれ得る。
FRシャッフルでは、FR全体が、選択された残基バリアントのコンビナトリアルライブラリを生成する代わりに非ヒトCDRと組み合わされる(例えば、Dall’Acqua et al.,2005,Methods 36:43-60を参照されたい)。ライブラリは、最初にVLを、続いてVHをヒト化する2工程プロセスにおいてスクリーニングされ得る。あるいは、1工程FRシャッフルプロセスが使用され得る。かかるプロセスは、得られた抗体が向上した発現、増加した親和性、及び熱安定性を含む改善した生化学的及び物理化学的特性を示したように、2工程スクリーニングよりも効率的であることが示された(例えば、Damschroder et al.,2007,Mol.Immunol.44:3049-60を参照されたい)。
「ヒューマニアリング(humaneering)」方法は、必須最小特異性決定基(MSD)の実験的同定に基づいており、ヒトFRのライブラリへの非ヒト断片の逐次置き換え及び結合の評価に基づいている。それは非ヒトVH及びVL鎖のCDR3の領域から開始し、VH及びVLの両方のCDR1及びCDR2を含む、ヒトFRに非ヒト抗体の他の領域を徐々に置き換える。この方法論は、典型的には、区別されるヒトV-セグメントCDRを有する複数のサブクラスからの抗体のエピトープ保持及び同定をもたらす。ヒューマニアリングは、ヒト生殖細胞系列遺伝子抗体と91~96%相同である抗体の単離を可能とする(例えば、Alfenito,Cambridge Healthtech Institute’s Third Annual PEGS,The Protein Engineering Summit,2007を参照されたい)。
「ヒト操作」方法は、それにもかかわらず、元の非ヒト抗体の所望の結合特性を保持するヒトにおける低減した免疫原生を有する修飾された抗体を生成するように抗体のアミノ酸配列に特定の変化を加えることによって、非ヒト抗体または抗体断片、例えば、マウスまたはキメラ抗体または抗体断片を改変することを伴う。通常、その技術は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のアミノ酸残基を「低リスク」、「中リスク」または「高リスク」残基として分類することを伴う。置換が、得られた抗体のフォールディングに影響を及ぼすであろうリスクに対する特定の置換を加えることの予測される利益を(例えば、ヒトにおける免疫原性について)評価するグローバルリスク/利益計算を使用して分類が実施される。非ヒト(例えば、マウス)抗体配列の所与の位置で置換される特定のヒトアミノ酸残基(例えば、低または中リスク)は、非ヒト抗体の可変領域からのアミノ酸配列を特定のまたはコンセンサスヒト抗体配列の対応する領域とアライメントすることによって選択され得る。非ヒト配列における低または中リスク位置でのアミノ酸残基は、アライメントに従ってヒト抗体配列における対応する残基と置換され得る。ヒト操作されたタンパク質を作製する技術は、Studnicka et al.,1994,Protein Engineering 7:805-14;米国特許番号5,766,886;5,770,196;5,821,123;及び5,869,619;及びPCT公開WO93/11794においてより詳細に記載されている。
複合ヒト抗体は、例えば、Composite Human Antibody(商標)技術(Antitope Ltd.,Cambridge,United Kingdom)を使用して生成され得る。複合ヒト抗体を生成するために、可変領域配列は、T細胞エピトープを回避する様式で複数のヒト抗体可変領域配列の断片から設計され、それにより得られる抗体の免疫原性を最小化する。かかる抗体は、ヒト定常領域配列、例えば、ヒト軽鎖及び/または重鎖定常領域を含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、T細胞エピトープが除去されている非免疫化抗体断片を含有する。非免疫化抗体を作製するための方法が記載されている。例えば、Jones et al.,Methods Mol Biol.2009;525:405-23,xiv、及びDe Groot et al.,Cell.Immunol.244:148-153(2006))を参照されたい。非免疫化抗体は、T細胞エピトープが欠失した可変領域及びヒト定常領域を含む。簡潔には、抗体のVH及びVLがクローニングされ、その後、T細胞エピトープが、T細胞増殖アッセイにおいて抗体のVH及びVLに由来する重複ペプチドを試験することによって同定される。T細胞エピトープは、ヒトMHCクラスIIに結合するペプチドを同定するためにin silicoの方法を介して同定される。ヒトMHCクラスIIへの結合を無効化するためにVH及びVLに変異が導入される。次いで変異したVH及びVLは、非免疫化抗体を生成するために利用される。
特定の実施形態では、本明細書に記載の分子は、完全ヒト抗ヒト抗体に由来する。完全ヒト抗体は、当該技術分野で知られている任意の方法によって生成され得る。本明細書で提供されるヒト抗体断片は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列(複数可)を既知のヒト定常ドメイン配列(複数可)と組み合わせることによって構築され得る。あるいは、本開示のヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法によって作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の生成のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、例えば、Kozbor,1984,J.Immunol.133:3001-05;Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications 51-63(1987);及びBoerner et al.,1991,J.Immunol.147:86-95によって記載されている。
免疫すると、内因性免疫グロブリン生成の非存在下でヒト抗体の完全レパートリーを生成することが可能なトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生成することも可能である。ヒト抗体レパートリーを発現するトランスジェニックマウスは、多様な潜在的薬物標的に対する高親和性ヒト配列モノクローナル抗体を生成するために使用されている(例えば、Jakobovits,A.,1995,Curr.Opin.Biotechnol.6(5):561-66;Bruggemann and Taussing,1997,Curr.Opin.Biotechnol.8(4):455-58;米国特許番号6,075,181及び6,150,584;及びLonberg et al.,2005,Nature Biotechnol.23:1117-25を参照されたい)。
あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対して仕向けられた抗体を生成するヒトBリンパ球の不死化を介して調製され得る(例えば、かかるBリンパ球は、個体から回収され得、またはin vitroで免疫されている場合がある(例えば、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(1985);Boerner et al.,1991,J.Immunol.147(1):86-95;及び米国特許番号5,750,373を参照されたい)。
遺伝子シャッフルもまた、非ヒト、例えば、げっ歯類の抗体からヒト抗体を誘導するために使用され得、この場合、ヒト抗体は、出発非ヒト抗体と同様の親和性及び特異性を有する。「エピトープ刷り込み」または「ガイド化選択」とも呼ばれるこの方法によれば、本明細書に記載されるようにファージディスプレイ技術によって得られた非ヒト抗体断片の重鎖または軽鎖可変領域のいずれかは、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えられ、非ヒト鎖/ヒト鎖scFvまたはFabキメラの集団を生成する。抗原での選択は、非ヒト鎖/ヒト鎖キメラscFvまたはFabの単離をもたらし、その場合、ヒト鎖は、一次ファージディスプレイクローンにおける対応する非ヒト鎖の除去で破壊された抗原結合部位を修復する(例えば、エピトープは、ヒト鎖パートナーの選択をガイドする(刷り込む))。残存非ヒト鎖を置き換えるためにプロセスが繰り返された場合、ヒト抗体が得られる(例えば、PCTWO93/06213;及びOsbourn et al.,2005,Methods 36:61-68を参照されたい)。CDRグラフティングによる非ヒト抗体の伝統的なヒト化とは異なり、この技術は、非ヒト起源のFRまたはCDR残基を有しない完全なヒト抗体を提供する。細胞表面抗原に対してマウス抗体をヒト化するためのガイド化選択の例には、卵巣癌細胞上に存在する葉酸結合タンパク質(例えば、Figini et al.,1998,Cancer Res.58:991-96を参照されたい)及び肝細胞癌上に高度に発現するCD147(例えば、Bao et al.,2005,Cancer Biol.Ther.4:1374-80を参照されたい)が含まれる。
ガイド化選択アプローチの潜在的欠点は、他の定常部を維持しながらの1つの抗体鎖のシャッフルがエピトープドリフトをもたらし得ることである。非ヒト抗体によって認識されるエピトープを維持するために、CDR保持が適用され得る(例えば、Klimka et al.,2000,Br.J.Cancer.83:252-60;及びBeiboer et al.,2000,J.Mol.Biol.296:833-49を参照されたい)。この方法では、非ヒトVH CDR3は共通して保持されるが、それはこのCDRが抗原結合部位の中心であり得、抗原認識のための抗体の最も重要な領域であり得るからでる。しかしながら、いくつかの例では、非ヒト抗体のVH CDR3及びVL CDR3、ならびにVH CDR2、VL CDR2、及びVL CDR1が保持され得る。
多重特異的抗体、例えば、二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。所定の実施形態では、本明細書で提供される多重特異的抗体は、二重特異的抗体である。所定の実施形態では、二重特異的抗体は、マウス、キメラ、ヒトまたはヒト化抗体である。所定の実施形態では、結合特異性の一方は、1つの標的/抗原のためのものであり、他方は、別の標的/抗原のためのものである。所定の実施形態では、二重特異的抗体は、同じ標的/抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。
2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(2つの重鎖が異なる特異性を有する)の共発現によるもの等の、多重特異的抗体を作製するための方法が当該技術分野で知られている(例えば、Milstein and Cuello,1983,Nature 305:537-40を参照されたい)。多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)を生成するさらの詳細については、例えば、Bispecific Antibodies(Kontermann ed.,2011)を参照されたい。
本明細書に記載の分子がC1、ヒンジ、C2、及び/またはC3領域(複数可)を含有する場合、Fc操作によって本明細書に記載の分子を修飾することが所望であり得る。所定の実施形態では、本明細書に記載の分子における上記領域に対する修飾は、抗体のエフェクター機能の低下または排除をもたらす。所定の実施形態では、エフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)である。いくつかの実施形態では、エフェクター機能は、ADCCである。他の実施形態では、エフェクター機能は、ADCPである。他の実施形態では、エフェクター機能は、CDCである。一実施形態では、エフェクター機能は、ADCC及びADCPである。一実施形態では、エフェクター機能は、ADCC及びCDCである。一実施形態では、エフェクター機能は、ADCP及びCDCである。一実施形態では、エフェクター機能は、ADCC、ADCP及びCDCである。これは、本明細書に記載の分子のFc領域において1つ以上のアミノ酸置換を導入することによって達成され得る。
本明細書に記載の分子の血清半減期を延長するために、例えば、米国特許番号5,739,277に記載されているように、サルベージ受容体結合エピトープを分子に組み込み得る。用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のin vivo血清半減期を延長することに寄与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子のアミノ酸配列修飾(複数可)が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性(特異性、耐熱性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化、減少した免疫原性、または溶解性を含むがこれらに限定されない)を改善することが所望であり得る。よって、本明細書に記載の分子及びその抗体断片に加えて、抗体バリアントが調製され得ることが企図される。例えば、抗体バリアントは、適切なヌクレオチド変化をコードDNAに導入することによって、及び/または所望の抗体またはポリペプチドの合成によって調製され得る。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数もしくは位置の変化または膜アンカー特性の変化等、抗体の翻訳後プロセスを変化させ得ることを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、例えば、分子への任意のタイプの他の分子(複数可)の共有結合によって、化学的に修飾される。抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結等によって、化学的に修飾されている抗体が含まれ得る。多数の化学的修飾のいずれかは、特異的化学的切断、アセチル化、製剤、ツニカマイシンの代謝合成等を含むがこれらに限定されない既知の技術によって行われ得る。さらに、抗体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
バリエーションは、ネイティブ配列抗体またはポリペプチドと比較してアミノ酸配列における変化をもたらす抗体またはポリペプチドをコードする1つ以上のコドンの置換、欠失、または挿入であり得る。アミノ酸置換は、あるアミノ酸を同様の構造及び/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えること、例えば、ロイシンのセリンでの置き換え、例えば、保存的アミノ酸置き換えの結果であり得る。例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発を含む当業者に知られている標準的な技術が、本明細書で提供される分子をコードするヌクレオチド配列における変異を導入するために使用され得る。挿入または欠失は、任意に、約1~5アミノ酸の範囲で有り得る。所定の実施形態では、置換、欠失、または挿入には、元の分子と比べて25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、または2個未満のアミノ酸置換が含まれる。特定の実施形態では、置換は、1つ以上の予測される非必須アミノ酸残基でなされた保存的アミノ酸置換である。可能となったバリエーションは、配列におけるアミノ酸の挿入、欠失、または置換をシステム的に行うこと及び得られたバリアントを完全長または成熟ネイティブ配列によって示される活性について試験することによって決定され得る。
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドの範囲であるアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、及び単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントには、酵素(例えば、抗体誘導酵素プロドラッグ療法のため)または抗体の血清半減期を延長するポリペプチドへの抗体のNまたはC末端の融合が含まれる。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。あるいは、変異は、例えば、飽和変異誘発によって、コード配列の全てまたは一部に沿ってランダムに導入され得、得られた変異体は、活性を保持する変異体を同定するために生物学的活性についてスクリーニングされ得る。変異誘発後、コードされたタンパク質が発現され、タンパク質の活性が決定され得る。
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、置換を選択することにより達成され、これらは、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シートもしくは螺旋立体配座、(b)標的部位における分子の荷電もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクの維持に対するそれらの影響が著しく異なる。あるいは、保存的(例えば、同様の特性及び/または側鎖を有するアミノ酸基内の)置換は、特性を維持するようにまたは有意に変化させないように行われ得る。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従ってグループ化され得る(例えば、Lehninger,Biochemistry 73-75(2d ed.1975)を参照されたい):(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);及び(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。
あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられ得る:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu、(4)塩基性:His、Lys、Arg、(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、
及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
本明細書で提供される抗体の適切なコンフォメーションの維持に関与しない任意のシステイン残基はまた、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を防止するために、例えば、別のアミノ酸、例えば、アラニンまたはセリンで置換される。
いくつかの実施形態では、親分子と比較して改善された特性、例えば、親和性、安定性、または発現レベルを有する抗体バリアントを有する分子は、in vitro親和性成熟によって調製され得る。天然プロトタイプのように、in vitro親和性成熟は、変異及び選択の原理に基づく。抗体のライブラリは、生物(例えば、ファージ、細菌、酵母、または哺乳動物細胞)の表面上にまたはそれらのコードmRNAもしくはDNAと会合して(例えば、共有結合的または非共有結合的に)提示される。提示された抗体の親和性選択は、抗体をコードする遺伝子情報を保有する生物または複合体の単離を可能とする。ファージディスプレイ等のディスプレイ法を使用する2または3ラウンドの変異及び選択は通常、低いナノモル範囲の親和性を有する抗体断片をもたらす。親和性成熟抗体を有する分子は、標的抗原に対するナノモルまたはさらにピコモルの親和性を有し得る。
ファージディスプレイは、抗体の提示及び選択のための汎用されている方法である。抗体は、バクテリオファージ被覆タンパク質への融合体としてFdまたはM13バクテリオファージの表面上に提示される。選択は、「パンニング」と称されるプロセスである、ファージディスプレイされた抗体がそれらの標的に結合することを可能にするための抗原の曝露を伴う。抗原に結合したファージは回収され、細菌を感染させるために使用されて、さらなるラウンドの選択のためのファージを生成する。レビューのため、例えば、Hoogenboom,2002,Methods.Mol.Biol.178:1-37;及びBradbury and Marks,2004,J.Immunol.Methods 290:29-49を参照されたい。
酵母ディスプレイシステム(例えば、Boder et al.,1997,Nat.Biotech.15:553-57;及びChao et al.,2006,Nat.Protocols 1:755-68を参照されたい)では、抗体は、酵母凝集素タンパク質Aga2pの接着サブユニットに融合され得、これは酵母細胞壁をジスルフィド結合を介してAga1pに結合させる。Aga2pを介するタンパク質の提示は、細胞表面からタンパク質を突出させ、酵母細胞壁上の他の分子との潜在的相互作用を最小化する。磁気分離及びフローサイトメトリーは、改善された親和性または安定性を有する抗体について選択するためにライブラリをスクリーニングするために使用される。対象となる可溶性抗原への結合は、ビオチン化抗原での酵母の標識及び二次試薬、例えば、フルオロフォアにコンジュゲートされたストレプトアビジンによって決定される。抗体の表面発現におけるバリエーションは、scFvに隣接するヘマグルチニンまたはc-Mycエピトープタグの免疫蛍光標識を介して測定され得る。発現は、提示されたタンパク質の安定性と相関し、よって、抗体は、改善された安定性及び親和性について選択され得ることが示された(例えば、Shusta et al.,1999,J.Mol.Biol.292:949-56を参照されたい)。酵母ディスプレイの追加の利点は、提示されたタンパク質が、小胞体シャペロン及び品質制御機構を利用して、真核酵母細胞の小胞体内でフォールディングされることである。成熟が完了すると、抗体親和性は、酵母の表面上に提示されながら好都合に「調整(titrated)」され、各クローンの発現及び精製の必要性を排除し得る。酵母表面ディスプレイの理論的制限は、他の提示方法のものよりも潜在的に小さな機能的ライブラリサイズである;しかしながら、最近のアプローチは、サイズが1014であると推定されるコンビナトリアル多様性を生成するために酵母細胞交配システムを使用する(例えば、米国特許公開2003/0186374;及びBlaise et al., 2004, Gene 342:211-18)。
リボソームディスプレイでは、抗体-リボソーム-mRNA(ARM)複合体が、無細胞系で選択のために生成される。抗体の特定のライブラリをコードするDNAライブラリは、終止コドンを欠くスペーサー配列に遺伝子的に融合される。このスペーサー配列は、翻訳された場合、依然としてペプチジルtRNAに結合され、リボソームトンネルを占め、よって、対象となるタンパク質はリボソームから飛び出し、フォールディングすることが可能となる。得られるmRNA、リボソーム、及びタンパク質の複合体は、表面結合リガンドに結合し、リガンドでの親和性捕捉を介して抗体及びそのコードmRNAの同時単離を可能とし得る。次いでリボソーム結合mRNAは、cDNAに逆転写され、これは次いで変異誘発を受け、次のラウンドの選択において使用され得る(例えば、Fukuda et al.,2006,Nucleic Acids Res.34:e127を参照されたい)。mRNAディスプレイでは、抗体とmRNAとの間の共有結合は、アダプター分子としてピューロマイシンを使用して確立される(Wilson et al.,2001,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750-55)。
これらの方法は全体的にin vitroで実施されるので、それらは、他の選択技術を超える2つの主要な利点を提供する。第1に、ライブラリの多様性は、細菌細胞の形質転換効率によって制限されないが、試験管に存在するリボソーム及び異なるmRNA分子の数によってのみ制限される。第2に、任意の多様化工程の後に形質転換されなければならないライブラリはないので、ランダム変異は、例えば、非プルーフリーディングポリメラーゼによって、各選択ラウンド後に容易に導入され得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物ディスプレイシステムが使用され得る。
多様性はまた、標的化手法でまたはランダム導入を介して抗体ライブラリのCDRに導入され得る。前者のアプローチには、高または低レベルの変異誘発を介して抗体のCDRの全てを順次標的とすること、または体細胞超変異の単離されたホットスポット(例えば、Ho et al., 2005, J. Biol. Chem. 280:607-17を参照されたい)または実験ベースまたは構造的理由で親和性に影響を及ぼすと疑われる残基を標的とすることが含まれる。多様性はまた、DNAシャッフルまたは同様の技術を介して天然で態様な領域の置き換えによって導入され得る(例えば、Lu et al.,2003,J.Biol.Chem.278:43496-507;米国特許番号5,565,332及び6,989,250を参照されたい)。代替的技術は、フレームワーク領域残基内に伸長する超可変ループを標的とし(例えば、Bond et al.,2005,J.Mol.Biol.348:699-709を参照されたい)、CDRにおけるループ欠失及び挿入を用い、またはハイブリダイゼーションベースの多様化を使用する(例えば、米国特許公開番号2004/0005709を参照されたい)。CDRにおける多様性を生成する追加の方法は、例えば、米国特許番号7,985,840に開示されている。抗体ライブラリ及び/または抗体親和性成熟を生成するために使用され得る方法が、例えば、米国特許番号8,685,897及び8,603,930、ならびに米国公開番号2014/0170705、2014/0094392、2012/0028301、2011/0183855、及び2009/0075378(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
ライブラリのスクリーニングは、当該技術分野で知られている様々な技術によって達成され得る。例えば、抗体は、固体支持体、カラム、ピン、またはセルロース/ポリ(フッ化ビニリデン)膜/他のフィルターに固定化され、吸着プレートに付加されたまたはセルソーティングにおいて使用される宿主細胞上で発現され、またはストレプトアビジン被覆ビーズでの捕捉のためにビオチンにコンジュゲートされ、またはディスプレイライブラリをパニングするための任意の他の方法において使用される。
in vitro親和性成熟方法のレビューについては、例えば、Hoogenboom,2005,Nature Biotechnology 23:1105-16;Quiroz and Sinclair,2010,Revista Ingeneria Biomedia 4:39-51;及びその中の参考文献を参照されたい。
本明細書で提供される分子の抗体断片(複数可)の共有結合性修飾は、本開示の範囲内に含まれる。共有結合性修飾には、抗体の標的化アミノ酸残基を、分子の抗体断片(複数可)の選択された側鎖またはNもしくはC末端残基と反応することが可能な有機誘導体化剤と反応させることが含まれる。他の修飾には、グルタミニル及びアスパラギニル残基のそれぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(例えば、Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties 79-86(1983)を参照されたい)、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
本開示の範囲内に含まれる本明細書で提供される分子の抗体断片(複数可)の共有結合性修飾の他のタイプには、抗体またはポリペプチドのネイティブグリコシル化パターンを改変すること(例えば、Beck et al.,2008,Curr.Pharm.Biotechnol.9:482-501;及びWalsh,2010,Drug Discov.Today 15:773-80を参照されたい)、及び例えば、米国特許番号4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,670,417;4,791,192;または4,179,337に示される手法で、多様な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンのうちの1つに抗体を連結させることが含まれる。
本開示の分子の抗体断片(複数可)はまた、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列、例えば、エピトープタグ(例えば、Terpe,2003,Appl.Microbiol.Biotechnol.60:523-33を参照されたい)またはIgG分子の別のFc領域(例えば、Aruffo,Antibody Fusion Proteins 221-42(Chamow and Ashkenazi eds.,1999)を参照されたい)に融合された分子の抗体断片(複数可)を含むキメラ分子を形成するように修飾され得る。
本開示はまた、合成リンカーによって1つ以上の非抗体薬剤に共有結合された本開示の抗体のいずれか1つを含むコンジュゲートを提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子の抗体断片(複数可)は、例えば、治療剤(例えば、細胞傷害剤)または診断もしくは検出可能な分子にコンジュゲートされ、または組換え的に融合される。分子のコンジュゲートされた、または組換え的に融合された抗体断片(複数可)は、例えば、疾患または障害を処置または予防するのために有用であり得る。コンジュゲートされた、または組換え的に融合された抗体は、例えば、疾患の開始、発症、進行、及び/または重症度をモニタリングまたは予測するために有用であり得る。
かかる診断及び検出は、様々な酵素、例えば、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンステラーゼ;人工装着基、例えば、限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチン;蛍光物質、例えば、限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリン;発光物質、例えば、限定されないが、ルミノール;生物発光物質、例えば、限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、またはエクオリン;化学発光物質、例えば、限定されないが、アクリジニウムベースの化合物またはHALOTAG;放射性物質、例えば、限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、及び121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、及び111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga及び67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、または117Sn;様々な陽電子放射トモグラフィーを使用する陽電子放出金属;及び非放射性常磁性金属イオンを含むがこれらに限定されない検出可能な物質への分子の抗体断片(複数可)の接続によって達成され得る。
また、本明細書では、融合タンパク質を生成するために異種タンパク質またはポリペプチド(またはその断片、例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100アミノ酸のポリペプチド)に組換え的に融合されたまたは化学的にコンジュゲートされた(共有結合性または非共有結合性コンジュゲーション)抗体断片(複数可)、及びその使用が提供される。特に、本明細書では、標的化領域及び異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを含む融合タンパク質が提供される。一実施形態では、抗体が融合される異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、抗体を特定の細胞タイプに標的化するために有用である。
その上、本明細書で提供される抗体は、精製を容易化するためにマーカーまたは「タグ」配列、例えば、ペプチドに融合され得る。特定の実施形態では、マーカーまたはタグアミノ酸配列は、とりわけ、ヘキサ-ヒスチジンペプチド、例えば、pQEベクター(例えば、QIAGEN,Inc.を参照されたい)に提供されるタグであり、その多くは市販されている。例えば、Gentz et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821-24に記載されているように、ヘキサ-ヒスチジンは、融合タンパク質の好都合な精製を提供する。精製のために有用な他のペプチドタグには、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する血球凝集素(「HA」)タグ(Wilson et al.,1984,Cell 37:767-78)、及び「FLAG」タグが含まれるがこれらに限定されない。
部位(ポリペプチドを含む)を抗体に融合またはコンジュゲートするための方法は知られている(例えば、Arnon et al.,Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy,in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy 243-56(Reisfeld et al.eds.,1985);Hellstrom et al.,Antibodies for Drug Delivery,in Controlled Drug Delivery623-53(Robinson et al.eds.,2d ed.1987);Thorpe,Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review,in Monoclonal Antibodies:Biological and Clinical Applications 475-506(Pinchera et al.eds.,1985);Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy,in Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy 303-16(Baldwin et al.eds.,1985);Thorpe et al.,1982,Immunol.Rev.62:119-58;米国特許番号5,336,603;5,622,929;5,359,046;5,349,053;5,447,851;5,723,125;5,783,181;5,908,626;5,844,095;及び5,112,946;EP 307,434;EP 367,166;EP 394,827;PCT公開WO91/06570、WO96/04388、WO96/22024、WO97/34631、及びWO 99/04813;Ashkenazi et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10535-39;Traunecker et al.,1988,Nature,331:84-86;Zheng et al.,1995,J.Immunol.154:5590-600;及びVil et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11337-41を参照されたい)。
融合タンパク質は、遺伝子シャッフル、モチーフシャッフル、エクソンシャッフル、及び/またはコドンシャッフル(まとめて「DNAシャッフル」と称される)の技術を介して生成され得る。DNAシャッフルは、例えば、より高い親和性及びより低い解離速度を有する抗体を含む、本明細書で提供される抗体の活性を変化させるために用いられ得る(例えば、米国特許番号5,605,793;5,811,238;5,830,721;5,834,252;及び5,837,458;Patten et al.,1997,Curr.Opinion Biotechnol.8:724-33;Harayama,1998,Trends Biotechnol.16(2):76-82;Hansson et al.,1999,J.Mol.Biol.287:265-76;及びLorenzo and Blasco,1998,Biotechniques 24(2):308-13を参照されたい)。抗体、またはコードされる抗体は、組換えの前にエラー・プローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入、または他の方法によってランダム変異誘発に供されることによって変化させられ得る。本明細書で提供される抗体をコードするポリヌクレオチドは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片等を用いて組み換えられ得る。
本明細書で提供される分子の抗体断片(複数可)はまた、例えば、米国特許番号4,676,980に記載されているように、抗体ヘテロコンジュゲートを形成するための第2の抗体にコンジュゲートされ得る。
本明細書で提供される分子の抗体断片(複数可)はまた、標的抗原のイムノアッセイまたは精製のために特に有用である固体支持体に結合され得る。かかる固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンが含まれるがこれらに限定されない。
リンカーは、細胞においてコンジュゲート薬剤の放出を容易化する「切断性リンカー」であり得るが、非切断性リンカーもまた、本明細書で企図される。本開示のコンジュゲートにおいて使用するためのリンカーには、限定されないが、酸不安定リンカー(例えば、ヒドラゾンリンカー)、ジスルフィド含有リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー(例えば、アミノ酸、例えば、バリン及び/またはシトルリン、例えば、シトルリン-バリンまたはフェニルアラニン-リジンを含むペプチドリンカー)、光不安定リンカー、ジメチルリンカー(例えば、Chari et al.,1992,Cancer Res.52:127-31;及び米国特許番号5,208,020を参照されたい)、チオエーテルリンカー、または多剤トランスポーター媒介耐性を回避するように設計された親水性リンカー(例えば、Kovtun et al.,2010,Cancer Res.70:2528-37を参照されたい)が含まれる。
抗体及び薬剤のコンジュゲートは、多様な2官能性タンパク質接続剤、例えば、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、スルホ-SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を使用して作製され得る。本開示はさらに、抗体及び薬剤のコンジュゲートが、当該技術分野に開示されているように任意の好適な方法を使用して調製され得ることを企図する(例えば、Bioconjugate Techniques(Hermanson ed.,2d ed.2008)を参照されたい)。
抗体及び薬剤のための従来のコンジュゲーションストラテジーは、異種コンジュゲートをもたらす、Lys残基のε-アミノ基またはCys残基のチオール基を伴うランダムコンジュゲーション化学に基づいている。最近開発された技術は、抗体への部位特異的コンジュゲーションを可能とし、均質な搭載をもたらし、抗原結合または薬物動態が変化したコンジュゲートサブ集団を回避する。これらは、反応性チオール基を提供し、かつ免疫グロブリンのフォールディング及び構築を妨害せず、抗原結合も変化させない重鎖及び軽鎖上の位置でのシステイン置換を含む「チオマブ(thiomab)」の操作が含まれる(例えば、Junutula et al.,2008,J.Immunol.Meth.332:41-52;及びJunutula et al.,2008,Nature Biotechnol.26:925-32を参照されたい)。別の方法では、セレノシステインは、終止コドンUGAを終結からセレノシステイン挿入まで再コードすることによって抗体配列内に共翻訳的に挿入され、他の天然アミノ酸の存在下でセレノシステインの求核セレノール基で部位特異的共有結合性コンジュゲーションを可能とする(例えば、Hofer et al., 2008, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:12451-56;及びHofer et al., 2009, Biochemistry 48(50):12047-57を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子の標的化領域は、非免疫グロブリン結合因子を含む。非免疫グロブリン結合因子は、酵素-基質、受容体-リガンドまたは他のタンパク質-タンパク質相互作用を介して標的への特異的結合を形成する。いくつかの実施形態では、非免疫グロブリン結合因子は、競合結合アッセイにおいて本開示の分子を置き換える、またはそれによって置き換えらえる因子として同定される。これらの代替的結合因子には、例えば、当該技術分野で知られている操作されたタンパク質骨格のいずれかが含まれ得る。かかる骨格には、例えば、アンチカリンが含まれ、これは、リガンド結合部位を形成する4つの超可変ループを支持する硬質ベータ-バレルによって特性化されるタンパク質構造であるリポカリン骨格に基づく。新規結合特異性は、機能性ディスプレイ及びガイド化選択と組み合わせて、ループ領域における標的ランダム変異誘発によって操作され得る。(例えば、Skerra,2008,FEBS J.275:2677-83を参照されたい)。他の好適な骨格には、例えば、ヒトフィブロネクチンIIIの第10細胞外ドメインに基づくアドネクチンまたはモノボディ(例えば、Koide and Koide,2007,Methods Mol.Biol.352:95-109を参照されたい);ブドウ球菌プロテインAのZドメインに基づくアフィボディ(例えば、Nygren et al.,2008,FEBS J.275:2668-76を参照されたい);アンキリンリピートタンパク質に基づくDARPinS(例えば、Stumpp et al.,2008,Drug.Discov.Today 13:695-701を参照されたい);ヒトFynプロテインキナーゼのSH3ドメインに基づくフィノマー(例えば、Grabulovski et al.,2007,J.Biol.Chem.282:3196-204を参照されたい);Sulfolobus acidolariusからのSac7dに基づくアフィチン(例えば、Krehenbrink et al.,2008,J.Mol.Biol.383:1058-68を参照されたい);ヒトy-B-クリスタリンに基づくアフィリン(例えば、Ebersbach et al.,2007,J.Mol.Biol.372:172-85を参照されたい);膜受容体タンパク質のAドメインに基づくアビマー(例えば、Silverman et al.,2005,Biotechnol.23:1556-61)を参照されたい;システインリッチノッチンペプチド(例えば、Kolmar,2008,FEBS J.275:2684-90を参照されたい);及び操作されたクーニッツ型阻害因子(例えば、Nixon and Wood,2006,Curr.Opin.Drug.Discov.Dev.9:261-68を参照されたい)が含まれ得る。レビューのため、例えば、Gebauer及びSkerra,2009,Curr.Opin.Chem.Biol.13:245-55を参照されたい。
宿主細胞から分泌された本明細書に記載の分子の収率の最大レベルを確保するために、シグナルペプチドの断片が付加され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される分子は、シグナルペプチド(配列番号2)を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも95%の同一性を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも90%の同一性を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも85%の同一性を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも80%の同一性を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも70%の同一性を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも60%の同一性を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される分子は、配列番号2と少なくとも50%の同一性を含む。
本分子の結合ドメインは、1つ以上の抗原(複数可)に結合することが可能である。いくつかの実施形態では、抗原は、特別な疾患状態に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用し得る。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。
いくつかの実施形態では、標的細胞の抗原は、がん細胞の表面上の抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、または新抗原である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、がん細胞、例えば、副腎癌、肛門癌、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、妊娠性絨毛性、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、腸癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫(MM)、神経内分泌腫瘍、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、鼻腔癌、皮膚癌、軟部組織肉腫脊髄癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、甲状腺癌、子宮癌子宮内膜癌、膣癌、または外陰癌の細胞である。いくつかの実施形態では、がんは、副腎癌、肛門癌、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、妊娠性絨毛性、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、腸癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫(MM)、神経内分泌腫瘍、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、鼻腔癌、皮膚癌、軟部組織肉腫脊髄癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、甲状腺癌、子宮癌子宮内膜癌、膣癌、または外陰癌である。いくつかの実施形態では、がんは、副腎癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肛門癌である。いくつかの実施形態では、がんは、虫垂癌である。いくつかの実施形態では、がんは、胆管癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌である。いくつかの実施形態では、がんは、骨癌である。いくつかの実施形態では、がんは、脳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、乳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、子宮頸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、食道癌である。いくつかの実施形態では、がんは、胆嚢癌である。いくつかの実施形態では、がんは、妊娠性絨毛性である。いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、腸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、腎臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、肝臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫である。いくつかの実施形態では、がんは、中皮腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)である。いくつかの実施形態では、がんは、神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、口腔癌である。いくつかの実施形態では、がんは、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膵臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、前立腺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、鼻腔癌である。いくつかの実施形態では、がんは、皮膚癌である。いくつかの実施形態では、がんは、軟部組織肉腫脊髄癌である。いくつかの実施形態では、がんは、胃癌である。いくつかの実施形態では、がんは、精巣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、咽喉癌である。いくつかの実施形態では、がんは、甲状腺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、子宮癌子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、外陰癌である。
いくつかの実施形態では、副腎癌は、副腎皮質癌腫(ACC)、副腎皮質癌、褐色細胞腫、または神経芽腫である。いくつかの実施形態では、肛門癌は、扁平上皮癌、総排泄腔(cloacogenic)癌、腺癌、基底細胞癌、または黒色腫である。いくつかの実施形態では、虫垂癌は、神経内分泌腫瘍(NET)、粘液腺癌、杯細胞カルチノイド、腸型腺癌、または印環細胞腺癌である。いくつかの実施形態では、胆管癌は、肝外胆管癌、腺癌、肝門部胆管癌、肝門部周囲胆管癌、遠位胆管癌、または肝内胆管癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、移行細胞癌(TCC)、乳頭癌、平坦癌、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、または肉腫である。いくつかの実施形態では、骨癌は、原発性骨癌、肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨の巨細胞腫、脊索腫、または転移性骨癌である。いくつかの実施形態では、脳癌は、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、膠芽腫、髄膜腫、上衣腫、乏突起膠腫、混合性神経膠腫、下垂体癌、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、松果体部腫瘍、髄芽腫、または原発性CNSリンパ腫である。いくつかの実施形態では、乳癌は、乳腺癌、侵襲性乳癌、非侵襲性乳癌、乳房肉腫、化生性癌、腺様嚢胞癌、葉状腫瘍、血管肉腫、HER2陽性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、または炎症性乳癌である。いくつかの実施形態では、子宮頸癌は、扁平上皮癌、または腺癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、結腸直腸腺癌、原発性結腸直腸リンパ腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、カルチノイド腫瘍、粘液腺癌、印環細胞腺癌、消化管カルチノイド腫瘍、または黒色腫である。いくつかの実施形態では、食道癌は、腺癌または扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、胆嚢癌は、腺癌、乳頭腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、小細胞癌、または肉腫である。いくつかの実施形態では、妊娠性絨毛性疾患(GTD)は、胞状奇胎、妊娠性絨毛性新生物(GTN)、絨毛癌、胎盤部位栄養膜腫瘍(PSTT)、または類上皮栄養膜腫瘍(ETT)である。いくつかの実施形態では、頭頸部癌は、喉頭癌、鼻咽頭癌、下咽頭癌、鼻孔癌、副鼻腔癌、唾液腺癌、口腔癌、口腔咽頭癌、または扁桃腺癌である。いくつかの実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫、結節性硬化症、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球枯渇型、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)である。いくつかの実施形態では、腸癌は、小腸癌(small intestine cancer)、小腸癌(small bowel cancer)、腺癌、肉腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、腎臓癌は、腎細胞癌(RCC)、明細胞RCC、乳頭状RCC、嫌色素性RCC、集合管RCC、未分類RCC、移行細胞癌、尿路上皮癌、腎盂癌、または腎臓肉腫である。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、または骨髄異形成症候群(MDS)である。特定の実施形態では、白血病は、AMLである。いくつかの実施形態では、肝臓癌は、肝細胞癌(HCC)、線維層状型(fibrolamellar)HCC、胆管癌、血管肉腫、または肝臓転移である。いくつかの実施形態では、肺癌は、小細胞肺癌、小細胞癌、混合型小細胞癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、扁平上皮肺癌、大細胞未分化癌、肺結節、転移性肺癌、腺扁平上皮癌、大細胞神経内分泌癌、唾液腺型肺癌、肺カルチノイド、中皮腫、肺の肉腫様癌、または悪性顆粒細胞肺腫瘍である。いくつかの実施形態では、黒色腫は、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、癒着性黒色腫、眼黒色腫、または転移性黒色腫である。いくつかの実施形態では、中皮腫は、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫、または精巣中皮腫である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、活性型骨髄腫またはくすぶり型骨髄腫である。いくつかの実施形態では、神経内分泌腫瘍は、胃腸神経内分泌腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、または肺神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞リンパ腫/白血病(ATLL)、有毛細胞白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、アリベルト・バジン症候群、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、全身性ALCL、腸症型T細胞リンパ腫(EATL)、または肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、口腔癌は、扁平上皮癌、疣状癌、小唾液腺癌、リンパ腫、良性口腔腫瘍、好酸球性肉芽腫、線維腫、顆粒細胞腫瘍、ケラトアカントーマ、平滑筋腫、骨軟骨腫、脂肪腫、神経鞘腫、神経線維腫、パピローマ、尖圭コンジローマ、疣贅型黄色腫、化膿性肉芽腫、横紋筋腫、歯原性腫瘍、白板症、紅板症、扁平上皮口唇癌、基底細胞口唇癌、口腔癌、歯肉癌、または舌癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、上皮性卵巣癌、粘液上皮性卵巣癌、類内膜上皮性卵巣癌、明細胞上皮性卵巣癌、未分化上皮性卵巣癌、卵巣低悪性度潜在腫瘍、原発性腹膜癌、卵管癌、胚細胞腫瘍、奇形腫、未分化胚細胞腫卵巣胚細胞癌、内胚葉洞腫瘍、性索間質腫瘍、性索性腺間質腫瘍、卵巣間質腫瘍、顆粒膜細胞腫瘍、顆粒膜包膜腫瘍、セルトリ・ライディッヒ腫瘍、卵巣肉腫、卵巣癌肉腫、卵巣腺肉腫、卵巣平滑筋肉腫、卵巣線維肉腫、クルケンベルグ腫瘍、または卵巣嚢胞である。いくつかの実施形態では、膵臓癌は、膵臓外分泌腺癌、膵臓内分泌腺癌、もしくは膵臓腺癌、膵島細胞腫瘍、または神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、前立腺腺癌、前立腺肉腫、移行細胞癌、小細胞癌、または神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、鼻腔癌は、扁平上皮癌、粘膜細胞癌、腺様嚢胞細胞癌、腺房細胞癌、副鼻腔未分化癌、鼻孔癌、副鼻腔癌、上顎洞癌、篩骨洞癌、または鼻咽頭癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、メルケル細胞癌、カポジ肉腫(KS)、光線性角化症、皮膚リンパ腫、またはケラトアカントーマである。いくつかの実施形態では、軟部組織癌は、血管肉腫、皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、脱分化型脂肪肉腫(DL)、粘液性/円形細胞脂肪肉腫(MRCL)、高分化型脂肪肉腫(WDL)、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫(RMS)、または滑膜肉腫である。いくつかの実施形態では、脊髄癌は、脊髄転移性腫瘍である。いくつかの実施形態では、胃癌は、胃腺癌、胃リンパ腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、胃カルチノイド腫瘍、I型ECL細胞カルチノイド、II型ECL細胞カルチノイド、またはIII型ECL細胞カルチノイドである。いくつかの実施形態では、精巣癌は、精上皮腫、非精上皮腫、胚性癌、卵黄嚢癌、絨毛癌、奇形腫、性腺間質腫瘍、ライディッヒ細胞腫瘍、またはセルトリ細胞腫瘍である。いくつかの実施形態では、咽喉癌は、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、喉頭部扁平上皮癌、喉頭部腺癌、リンパ上皮腫、紡錘細胞癌、いぼ状癌、未分化癌、またはリンパ節癌である。いくつかの実施形態では、甲状腺癌は、乳頭癌、濾胞癌、ヒュルツル細胞癌、甲状腺髄様癌、または未分化癌である。いくつかの実施形態では、子宮癌は、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、類内膜癌、漿液性腺癌、腺扁平上皮癌、子宮癌肉腫、子宮肉腫、子宮平滑筋肉腫、子宮内膜間質肉腫、または未分化肉腫である。いくつかの実施形態では、膣癌は、扁平上皮癌、腺癌、黒色腫、または肉腫である。いくつかの実施形態では、外陰癌は、扁平上皮癌または腺癌である。
腫瘍抗原は、免疫応答、具体的には、T細胞媒介免疫応答を誘発することができる腫瘍細胞によって生成されるタンパク質である。例示的な腫瘍抗原には、限定されないが、神経膠腫関連抗原、がん胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE-1、MN-CAIX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-la、p53、プロステイン、PSMA、HER2/neu、スルビビン及びテロメラーゼ、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体、及びメソテリンが含まれる。
いくつかの実施形態では、がん抗原は、CEA、未熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6、HPV E7、BING-4、カルシウム-活性化塩化物チャネル2、サイクリン-B1、9D7、EpCAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビング、BAGEファミリー抗原、CAGEファミリー抗原、GAGEファミリー抗原、MAGEファミリー抗原、SAGEファミリー抗原、XAGEファミリー抗原、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メラン-A、MART-1、Gp100、pmel17、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異的抗原、β-カテニン、BRCA1、BRCA2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART-2、p53、Ras、TGF-βRII、またはMUC1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、CEAである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、未熟ラミニン受容体である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、TAG-72である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、HPV E6である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、HPV E7である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、BING-4である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、カルシウム-活性化塩化物チャネル2である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、サイクリン-B1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、9D7である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、EpCAMである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、EphA3である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、Her2/neuである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、テロメラーゼである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、メソテリンである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、SAP-1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、サバイビングである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、BAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、CAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、GAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、MAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、SAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、XAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、NY-ESO-1/LAGE-1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、PRAMEである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、SSX-2である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、Melan-Aである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、MART-1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、Gp100である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、pmel17である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、チロシナーゼである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、TRP-1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、TRP-2である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、P.ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、MC1Rである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、前立腺特異的抗原である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、β-カテニンである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、BRCA1である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、BRCA2である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、CDK4である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、CML66である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、フィブロネクチンである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、MART-2である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、p53である。いくつかの実施形態では、がん抗原は、Rasである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、TGF-βRIIである。いくつかの実施形態では、がん抗原は、MUC1である。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する1つ以上の抗原癌エピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃に対する標的抗原としての機能を果たすことができるいくつかのタンパク質を発現する。これらの分子には、組織特異的抗原、例えば、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼ及びgp100及び前立腺癌における前立腺酸ホスファターゼ(PAP)及び前立腺特異的抗原(PSA)が含まれるがこれらに限定されない。他の標的分子は、がん遺伝子HER2/Neu/ErbB-2等の形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、がん胎児性抗原(CEA)等のがん胎児抗原である。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、腫瘍特異的抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)である。TSAは、腫瘍細胞に特有であり、体内の他の細胞に生じない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有ではなく、代わりに、抗原に対する免疫学的寛容の状態を誘導することができない条件下で正常細胞でも発現する。腫瘍上での抗原の発現は、免疫系が抗原に応答することを可能にする条件下で生じ得る。TAAは、免疫系が未熟であり、応答することができない場合に胎児発育中に正常細胞で発現する抗原であり得るか、またはそれらは、通常非常に低レベルで正常細胞上に存在するが、はるかにより高いレベルで、腫瘍細胞で発現する抗原であり得る。
TSAまたはTAA抗原の非限定的な例には、分化抗原、例えば、MART-1/MelanA(MART-I)、gp100(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2及び腫瘍特異的多分化抗原、例えば、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、pl5;過剰発現胚抗原、例えば、CEA;過剰発現がん遺伝子及び変異腫瘍サプレッサー遺伝子、例えば、p53、Ras、HER2/neu;染色体転座に起因する独自腫瘍抗原;例えば、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR;ならびにウイルス性抗原、例えば、エプスタインバーウイルス抗原EBVA及びヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7が含まれる。
他の大きいタンパク質に基づく抗原としては、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、pl85erbB2、pl80erbB-3、c-met、nm-23HI、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、ベータ-カテニン、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、アルファ-フェトプロテイン、ベータ-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS 1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\サイクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、及びTPSが挙げられる。
本明細書で提供される結合分子の追加の非限定的な例示的な標的には、GPC2、CD276、デルタ様タンパク質リガンド3(DLL3)、NY-ESO-1、黒色腫関連抗原4;スルビビンタンパク質、滑膜肉腫X破断点タンパク質2、CD3、上皮成長因子受容体(EGFR)、erbb2チロシンキナーゼ受容体、HER2、CEA、CD66、CD66e、ROR1、ntrkr1チロシンキナーゼ受容体、GPC3、メソテリン、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、PMSA、PD-L1、葉酸受容体アルファ、PSCA、ムチン1、HLA抗原(例えば、HLAクラスI抗原A-2アルファ、HLAクラスI抗原A-11アルファ、及びHLAクラスII抗原)、c-Met、肝細胞成長因子受容体、K-Ras GTPアーゼ(KRAS)、IL-15受容体、Kitチロシンキナーゼ、PDGF受容体ベータ、RETチロシンキナーゼ受容体;Raf1プロテインキナーゼ、RafBプロテインキナーゼ、チミジル酸シンターゼ、トポイソメラーゼII、ブラキウリタンパク質、Flt3チロシンキナーゼ、VEGF、VEGF受容体(VEGF-1受容体、VEGF-2受容体、及びVEGF-3受容体)、エストロゲン受容体、新抗原、ヒトパピローマウイルスE6、及び熱ショックタンパク質が含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される結合分子は、B細胞抗原に結合する。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD2、CD5、CD6、CD9、CD11a、CD11b、CD11c、CD17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD29、CD30、CD31、CD32a、CD32b、CD35、CD37、CD38、CD39、CD40、CD45、CD45RA、CD45RB、CD45RC、CD45RO、CD46、CD47、CD48、CD49b、CD49c、CD49d、CD50、CD52、CD53、CD54、CD55、CD58、CD60a、CD62L、CD63、CD68、CD69、CD70、CD72、CD73、CD74、CD75、CD75S、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85E、CD85I、CD85J、CD86、CD92、CD95、CD97、CD98、CD99、CD100、CD102、CD108、CD119、CD120a、CD120b、CD121b、CD122、CD124、CD125、CD126、CD130、CD132、CD137、CD138、CD139、CD147、CD148、CD150、CD152、CD162、CD164、CD166、CD167a、CD170、CD171、CD175、CD175s、CD180、CD184、CD185、CD192、CD196、CD197、CD200、CD205、CD201a、CDw210b、CD212、CD213a1、CD213a2、CD215、CD217、CD218a、CD218b、CD220、CD221、CD222、CD224、CD225、CD226、CD227、CD229、CD230、CD232、CD252、CD252、CD254、CD255、CD256、CD257 CD258、CD259、CD260、CD261、CD262、CD263、CD264、CD267、CD268、CD269、CD270、CD272、CD274、CD275、CD277、CD279、CD283、CD289、CD290、CD295、CD298、CD300、CD300c、CD305、CD306、CD307a、CD307b、CD307c、CD307d、CD307e、CD314、CD215、CD316、CD317、CD319、CD321、CD327、CD328、CD329、CD338、CD351、CD352、CD353、CD354、CD355、CD356、CD357、CD358、CD360、CD361、CD362、またはCD363抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1d抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD2抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD5抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD6抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD9抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD11a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD11b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD11c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD17抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD18抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD19抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD20抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD21抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD22抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD23抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD24抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD25抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD26抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD27抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD29抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD30抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD31抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD32a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD32b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD35抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD37抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD38抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD39抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD40抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RA抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RB抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RC抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RO抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD46抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD47抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD48抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD49b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD49c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD49d抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD50抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD52抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD53抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD54抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD55抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD58抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD60a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD62L抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD63抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD68抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD69抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD70抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD72抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD73抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD74抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD75抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD75S抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD77抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD79a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD79b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD80抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD81抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD82抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD83抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD84抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD85E抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD85I抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD85J抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD86抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD92抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD95抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD97抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD98抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD99抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD100抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD102抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD108抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD119抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD120a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD120b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD121b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD122抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD124抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD125抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD126抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD130抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD132抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD137抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD138抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD139抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD147抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD148抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD150抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD152抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD162抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD164抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD166抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD167a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD170抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD171抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD175抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD175s抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD180抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD184抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD185抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD192抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD196抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD197抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD200抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD205抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD201a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CDw210b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD212抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD213a1抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD213a2抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD215抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD217抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD218a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD218b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD220抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD221抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD222抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD224抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD225抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD226抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD227抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD229抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD230抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD232抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD252抗原である。いくつか
の実施形態では、B細胞抗原は、CD252抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD254抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD255抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD256抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD257 CD258抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD259抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD260抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD261抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD262抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD263抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD264抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD267抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD268抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD269抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD270抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD272抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD274抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD275抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD277抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD279抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD283抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD289抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD290抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD295抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD298抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD300抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD300c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD305抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD306抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307d抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307e抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD314抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD215抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD316抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD317抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD319抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD321抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD327抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD328抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD329抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD338抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD351抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD352抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD353抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD354抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD355抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD356抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD357抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD358抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD360抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD361抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD362抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD363抗原である。
一実施形態では、本結合分子の標的は、病原体である。所定の実施形態では、標的細胞は、病原体を含む細胞である。
いくつかの実施形態では、病原体は、急性弛緩性脊髄炎(AFM)、アナプラズマ病、炭疽病、バベシア症、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、カンピロバクター感染症、カルバペネム耐性感染症、軟性下疳、チクングンヤウイルス感染症、クラミジア、シガテラ中毒、ディフィシル感染症、パーフリンジェンス、コクシジオイデス真菌感染症、コロナウイルス感染症、Covid-19(SARS-CoV-2)、クロイツフェルト・ヤコブ病/伝達性海綿状脳症、クリプトスポリジウム症(Crypto)、サイクロスポーラ症、デング1,2,3または4、ジフテリア、E.coli感染症/志賀毒素生成(STEC)、東部ウマ脳炎、出血熱(エボラ)、エールリヒア症、脳炎、アルボウイルスまたは傍感染性、非ポリオエンテロウイルス、D68エンテロウイルス(EV-D68)、ジアルジア症、鼻疽、淋菌感染症、鼠径部肉芽腫、インフルエンザ菌病B型(HibまたはH-flu)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、A型肝炎(Hep A)、B型肝炎(Hep B)、C型肝炎(Hep C)、D型肝炎(Hep D)、E型肝炎(Hep E)、ヘルペス、帯状疱疹(Herpes Zoster)(帯状疱疹(Shingles))、ヒストプラスマ感染症、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ(Flu)、レジオネラ症(レジオネラ病)、ハンセン病(Leprosy)(ハンセン病(Hansens Disease))、レプトスピラ症、リステリア症(リステリア)、ライム病、鼠径部リンパ肉芽腫感染症(LGV)、マラリア、麻疹、類鼻疽症、髄膜炎(ウイルス性)、髄膜炎菌性疾患(髄膜炎(細菌))、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、おたふく風邪、ノロウイルス、シラミ寄生症、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳(Pertussis)(百日咳(Whooping Cough))、腺ペスト(横痃性、敗血症性、肺性)、肺炎球菌疾患(肺炎)、急性灰白髄炎(ポリオ)、ポーワッサン、オウム病、ケジラミ症、膿疱性皮疹病(天然痘、サル痘、牛痘)、Q熱、狂犬病、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)、風疹(ドイツ麻疹)、サルモネラ胃腸炎(サルモネラ)、疥癬、スコンブロイド、敗血症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、細菌性赤痢胃腸炎(Shigella)、天然痘、メチシリン耐性ブドウ球菌感染症(MRSA)、ブドウ球菌ブドウ球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(Staph食中毒)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌感染症(VISA)、バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症(VRSA)、A群レンサ球菌病(侵襲性)(Strep A(侵襲性)、B群レンサ球菌病(Strep-B)、レンサ球菌毒性ショック症候群STSS毒素ショック、梅毒(原発性、二次性、早期潜伏性、後期潜伏性、先天性)、破傷風感染症、トリコモナス症、トリヒナ感染症、結核(TB)、潜伏性結核(LTBI)、野兎病、腸チフスD群、膣症、水痘(みずぼうそう)、Vibrio cholerae(コレラ)、ビブリオ症(ビブリオ)、エボラウイルス出血熱、ラッサウイルス出血熱、マールブルグウイルス出血熱、ウエストナイルウイルス、黄熱病、エルシニア、及びジカウイルス感染症からなる群から選択される感染性疾患を引き起こす。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、急性弛緩性脊髄炎(AFM)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、アナプラズマ病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、炭疽病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、バベシア症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ボツリヌス中毒症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ブルセラ症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、カンピロバクター感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、カルバペネム耐性感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、軟性下疳である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、チクングンヤウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、クラミジアである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、シガテラ中毒である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ディフィシル感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、パーフリンジェンスである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、コクシジオイデス真菌感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、コロナウイルスである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、Covid-19(SARS-CoV-2)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、クロイツフェルト・ヤコブ病/伝達性海綿状脳症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、クリプトスポリジウム症(Crypto)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、サイクロスポーラ症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、1,2,3または4型デングである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ジフテリアである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、E.coli感染症/志賀毒素生成性(STEC)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、東部ウマ脳炎である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、出血熱(エボラ)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、エールリヒア症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、脳炎である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、アルボウイルスまたは傍感染性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、非ポリオエンテロウイルスである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、D68エンテロウイルス(EV-D68)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ジアルジア症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、鼻疽である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、淋菌感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、鼠径部肉芽腫である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、インフルエンザ菌病B型(HibまたはH-flu)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ハンタウイルス肺症候群(HPS)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、溶血性尿毒症症候群(HUS)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、A型肝炎(Hep A)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、B型肝炎(Hep B)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、C型肝炎(Hep C)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、D型肝炎(Hep D)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、E型肝炎(Hep E)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ヘルペスである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、帯状疱疹(Herpes Zoster)(帯状疱疹(Shingles))である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ヒストプラスマ感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ヒトパピローマウイルス(HPV)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、インフルエンザ(Flu)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、レジオネラ症(レジオネラ病)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ハンセン症(ハンセン病)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、レプトスピラ症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、リステリア症(リステリア)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ライム病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、鼠径部リンパ肉芽腫感染症(LGV)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、マラリアである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、麻疹である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、類鼻疽症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、髄膜炎(ウイルス性)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、髄膜炎菌性疾患(髄膜炎(細菌))である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、おたふく風邪である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ノロウイルスである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、シラミ寄生症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、骨盤内炎症性疾患(PID)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、百日咳(Pertussis)(百日咳(Whooping Cough))である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、腺ペスト(横痃性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、敗血症性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、肺性である)。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、肺炎球菌疾患(肺炎)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、急性灰白髄炎(ポリオ)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ポーワッサンである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、オウム病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ケジラミ症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、膿疱性皮疹病(天然痘である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、サル痘である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、牛痘である)。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、Q熱である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、狂犬病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、風疹(ドイツ麻疹)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、サルモネラ胃腸炎(サルモネラ)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、疥癬である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、スコンブロイドである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、敗血症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、重症急性呼吸器症候群(SARS)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、細菌性赤痢胃腸炎(シゲラ)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、天然痘である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、メチシリン耐性ブドウ球菌感染症(MRSA)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ブドウ球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(Staph食中毒)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌感染症(VISA)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症(VRSA)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、A群レンサ球菌病(侵襲性)(Strep A(侵襲性)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、レンサ球菌病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、B群(Strep-B)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、レンサ球菌毒性ショック症候群STSS毒素ショックである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、梅毒(原発性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、二次性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、早期潜伏性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、後期潜伏性である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、先天性である)。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、破傷風感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、トリコモナス症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、トリヒナ感染症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、結核(TB)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、潜伏性結核(LTBI)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、野兎病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、腸チフスD群である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、膣症である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、水痘(みずぼうそう)、Vibrio cholerae(コレラ)である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ビブリオ症(ビブリオ)であ
る。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、エボラウイルス出血熱である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ラッサウイルス出血熱である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、マールブルグウイルス出血熱である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ウエストナイルウイルスである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、黄熱病である。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、エルシニアである。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ジカウイルス感染症である。
いくつかの実施形態では、病原体は、細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、bacillus、bartonella、bordetella、borrelia、brucella、campylobacter、chlamydia、chlamydophila、clostridium、corynebacterium、enterococcus、escherichia、francisella、haemophilus、helicobacter、legionella、leptospira、listeria、mycobacterium、mycoplasma、neisseria、pseudomonas、rickettsia、salmonella、shigella、staphylococcus、streptococcus、treponema、ureaplasma、vibrioまたはyersinia属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、bacillus属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、bartonella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、bordetella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、borrelia属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、brucella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、campylobacter属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、chlamydia属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、chlamydophila属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、clostridium属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、corynebacterium属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、enterococcus属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、escherichia属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、francisella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、haemophilus属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、helicobacter属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、legionella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、leptospira属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、listeria属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、mycobacterium属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、mycoplasma属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、neisseria属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、pseudomonas属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、rickettsia属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、salmonella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、shigella属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、staphylococcus属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、streptococcus属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、treponema属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ureaplasma属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、vibrio属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、yersinia属の細菌である。
いくつかの実施形態では、病原体は、寄生生物である。いくつかの実施形態では、寄生生物は、原虫、寄生蠕虫、または外部寄生虫である。いくつかの実施形態では、原虫は、entamoeba、giardia、leishmania、balantidium、plasmodium、またはcryptosporidiumである。いくつかの実施形態では、寄生蠕虫は、吸虫、条虫、鈎頭虫、または回虫である。いくつかの実施形態では、外部寄生虫は、節足動物である。
いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、adenoviridae、arenaviridae、astroviridae、bunyaviridae、caliciviridae、coronaviridae、filoviridae、flaviviridae、hepadnaviridae、hepeviridae、orthomyxoviridae、papillomaviridae、paramyxoviridae、parvoviridae、picornaviridae、polyomaviridae、poxviridae、reoviridae、retroviridae、rhabdoviridae、またはtogaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、adenoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、arenaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、astroviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、bunyaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、caliciviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、coronaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、filoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、flaviviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、hepadnaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、hepeviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、orthomyxoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、papillomaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、paramyxoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、parvoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、picornaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、polyomaviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、poxviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、reoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、retroviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、rhabdoviridae科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、togaviridae科のウイルスである。
いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、エプスタイン・バーウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、風疹ウイルス、または水痘帯状疱疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コロナウイルスである。いくつかの実施形態では、コロナウイルスウイルスは、Covid-19(SARS-CoV-2)である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コクサッキーウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、エプスタイン・バーウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、A型肝炎ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、B型肝炎ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、C型肝炎ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、単純ヘルペスウイルス2型である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、サイトメガロウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヒトヘルペスウイルス8型である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、インフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、麻疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、おたふく風邪ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヒトパピローマウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、パラインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ポリオウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、狂犬病ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、風疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、水痘帯状疱疹ウイルスである。
5.3 オリゴマー
別の態様では、本明細書では、本明細書で提供される分子、例えば、セクション5.2に開示されているものによって形成されるオリゴマーが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるオリゴマーは、分子が2つの他の分子または2つを超える他の分子に接続された場合に形成され得る。本明細書に開示されるオリゴマーは、ホモマーまたはヘテロマー分子から構成され得る。本明細書に開示されるオリゴマーは、異なる数の分子から構成され得る。よって、本開示は、多重特異的及び/または多価結合オリゴマーを形成するための効果的なプラットフォームを提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、各々が1つの接続部位を有する分子によって形成され、よって、オリゴマーは、二量体である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、各々が2つの接続部位を有する分子によって形成される。いくつかの特定の実施形態では、1つの分子の2つの接続部位は、1つの他の分子の2つの接続部位に仕向けられ、よって、オリゴマーは、二量体である。いくつかの特定の実施形態では、1つの分子の2つの接続部位は、2つの他の分子の接続部位に仕向けられ、よって、オリゴマーは、二量体を超える。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、各々が3つの接続部位を有する分子によって形成される。いくつかの特定の実施形態では、1つの分子の3つの接続部位は、1つの他の分子の3つの接続部位に仕向けられ、よって、オリゴマーは、二量体である。いくつかの特定の実施形態では、1つの分子の3つの接続部位は、2つの他の分子の接続部位に仕向けられ、よって、オリゴマーは、二量体を超える。いくつかの特定の実施形態では、1つの分子の3つの接続部位は、3つの他の分子の接続部位に仕向けられ、よって、オリゴマーは、二量体を超える。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、3単位を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、4単位を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、5単位を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、6単位を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、6単位超を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、三量体である。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、四量体である。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、五量体である。他の実施形態では、オリゴマーは、六量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、七量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、八量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、九量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十一量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十二量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十三量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十四量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十五量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十六量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十七量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十八量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十九量体である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、二十量体である。
本明細書で提供されるオリゴマーは、同じまたは異なる分子によって形成され得る。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、ホモマーである。他の実施形態では、オリゴマーは、ヘテロマーである。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーにおける個々の分子は全て、同じ抗原(または標的)に結合し、そのため、オリゴマーは単一特異的である;しかしながら、少なくとも2つの分子は、例えば、結合ドメインで、互いに異なる。例えば、分子は、結合ドメインの形式または構造の観点から異なり、または分子は、結合ドメインの配列が異なる。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーにおける分子の全ては、同じ抗原に結合し、よって、オリゴマーは、単一特異的である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーにおける分子の全てが同じ抗原に結合するわけではなく、よって、オリゴマーは、多重特異的である。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、二重特異的である。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、三重特異的である。他の実施形態では、オリゴマーは、四重特異的である。他の実施形態では、オリゴマーは、五重特異的である。他の実施形態では、オリゴマーは、六重特異的である。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーにおける分子の全ては、同じ抗原に結合するが、異なるエピトープ上に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、多価である。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、二価である。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、三価である。他の実施形態では、オリゴマーは、四価である。他の実施形態では、オリゴマーは、五価である。他の実施形態では、オリゴマーは、六価である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、七価である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、八価である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、九価である。他の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴマーは、十価である。
5.4 薬学的組成物
一態様では、本開示は、少なくとも本開示の分子を含む薬学的組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、治療的有効量の本明細書で提供される分子及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの特定の実施形態では、薬学的組成物は、治療的有効量の本明細書で提供されるオリゴマー及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
特定の実施形態では、用語「賦形剤」はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全または不完全)、担体またはビヒクルを指し得る。薬学的賦形剤は、滅菌液体、例えば、水及び油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む)であり得る。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液もまた、液体賦形剤として用いられ得る。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。組成物はまた、所望の場合、少量の浸潤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤等の形態を取り得る。好適な薬学的賦形剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PAに記載されている。かかる組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、好適な量の賦形剤と共に、精製された形態等で本明細書で提供される活性成分の予防的または治療的有効量を含有する。製剤は、投与様式に適するべきである。
いくつかの実施形態では、賦形剤の選定は、特定の細胞によって、及び/または投与の方法によって部分的に決定される。したがって、多様な好適な製剤が存在する。
典型的には、許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、それには、緩衝液、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む抗酸化剤;防腐剤、等張化剤、安定化剤、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);キレート剤、例えば、EDTA及び/または非イオン性界面活性剤が含まれる。
緩衝液は、特に安定性がpH依存性である場合、治療効果を最適化する範囲内でpHを制御するために使用され得る。本開示と共に使用するための好適な緩衝剤には、有機酸及び無機酸の両方ならびにそれらの塩が含まれる。例えば、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩。さらに、緩衝液は、ヒスチジン及びトリメチルアミン塩、例えば、トリスを含み得る。
防腐剤は、微生物成長を妨害するために添加され得る。本開示と共に使用するための好適な防腐剤には、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;ベンザルコニウムハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが含まれる。
時に「安定化剤」として知られている等張化剤は、組成物における液体の張力を調整または維持するために存在し得る。タンパク質及び抗体等の大きい荷電した生体分子とともに使用される場合、それらが、荷電したアミノ酸側鎖群と相互作用し、それにより分子間及び分子内相互作用の可能性を低減し得るため、それらは、多くの場合、「安定剤」と称される。例示的な等張化剤には、多価糖アルコール、3価以上の糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが含まれる。
追加の例示的な賦形剤には、(1)増量剤、(2)溶解性向上剤、(3)安定化剤及び(4)変性または容器壁への接着を防止する薬剤が含まれる。かかる賦形剤としては、多価糖アルコール(上に列挙されるもの);アミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン等;有機糖または糖アルコール、例えば、スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;単糖(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース;二糖(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース);三糖、例えば、ラフィノース;ならびに多糖、例えば、デキストリンまたはデキストランが挙げられる。
非イオン性界面活性剤または洗浄剤(「湿潤剤としても知られている」)は、治療剤の可溶化を補助するために及び動揺誘発性凝集に対して治療タンパク質を保護するために存在し得、これはまた、活性治療タンパク質または抗体の変性を引き起こすことなく製剤がせん断表面応力に曝露されることを可能とする。好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリソルベート(20、40、60、65、80等)、ポロキサマー(184、188等)、PLURONIC(登録商標)ポリオール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80等)、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、50及び60、グリセロールモノステアレート、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースが含まれる。使用され得る陰イオン性洗剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びジオクチルスルホン酸ナトリウムを含む。陽イオン性洗剤は、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含む。
投与経路は、好適な様態での、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内、もしくは関節内経路による注射もしくは注入、局所投与、吸入、または持続放出もしくは徐放手段による長期にわたる単回もしくは複数回ボーラスまたは注入等の既知の認められている方法に従う。
別の実施形態では、薬学的組成物は、制御放出または持続放出系として提供され得る。一実施形態では、ポンプは、制御または持続放出を達成するために使用され得る(例えば、Sefton,Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201-40(1987);Buchwald et al.,Surgery 88:507-16(1980);及びSaudek et al.,N.Engl.J.Med.321:569-74(1989)を参照されたい)。別の実施形態では、予防剤または治療剤(例えば、本明細書に記載される融合タンパク質)または本明細書で提供される組成物の制御または持続放出を達成するためにポリマー性物質が使用され得る(例えば、Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise eds.,1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball eds.,1984);Ranger and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61-126(1983);Levy et al.,Science 228:190-92(1985);During et al.,Ann.Neurol.25:351-56(1989);Howard et al.,J.Neurosurg.71:105-12(1989);米国特許番号5,679,377;5,916,597;5,912,015;5,989,463;ならびに5,128,326;PCT公開番号WO99/15154及びWO99/20253を参照されたい)。持続放出製剤において使用されるポリマーには、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、持続放出製剤において使用されるポリマーは、不活性であり、浸出性不純物を含まず、保存時に安定であり、無菌であり、生分解性である。さらに別の実施形態では、制御または持続放出系は、特定の標的組織、例えば、鼻孔または肺の近くに配置され得、よって、全身性用量の何分の1を必要とするにすぎない(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release Vol.2,115-38(1984)を参照されたい)。制御放出系は、例えば、Langer,Science 249:1527-33(1990)によって論述されている。当業者に知られている任意の技術は、本明細書に記載される1つ以上の薬剤を含む持続放出製剤を生成するために使用され得る(例えば、米国特許番号4,526,938、PCT公開番号WO91/05548及びWO96/20698、Ning et al.,Radiotherapy & Oncology 39:179-89(1996);Song et al.,PDA J.of Pharma.Sci.& Tech.50:372-97(1995);Cleek et al.,Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:853-54(1997);及びLam et al.,Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.24:759-60(1997)を参照されたい).
本明細書に記載の薬学的組成物はまた、処置されている特定の適応症のために必要に応じて複数の活性化合物または薬剤を含有し得る。あるいは、または加えて、本組成物は、細胞毒性薬、化学療法剤、サイトカイン、免疫抑制剤、または成長阻害剤を含み得る。かかる分子は、好適には、意図される目的のために有効な量で組み合わせで存在する。
活性成分は、例えば、液滴形成技術または界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)、またはマクロエマルジョンにも封入され得る。かかる技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 18th editionに開示されている。
リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセル、本明細書で提供される抗体または治療分子を発現することが可能な組換え細胞、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築等を含むがこれらに限定されない様々な組成物及び送達系が知られており、本明細書で提供される治療剤と共に使用され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される薬学的組成物は、疾患または障害を処置または予防するために有効な量、例えば、治療的有効量または予防的有効量で結合分子を含有する。治療的または予防的有効性は、いくつかの実施形態では、処置される対象の周期的評価によってモニタリングされる。数日またはそれ以上にわたる繰り返し投与のため、病態に応じて、処置は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで繰り返される。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であり得、決定され得る。
特定の実施形態では、用語「賦形剤」はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全または不完全)、担体またはビヒクルを指し得る。薬学的賦形剤は、滅菌液体、例えば、水及び油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む)であり得る。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液もまた、液体賦形剤として用いられ得る。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。組成物はまた、所望の場合、少量の浸潤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤等の形態を取り得る。好適な薬学的賦形剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PAに記載されている。かかる組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、好適な量の賦形剤と共に、精製された形態等で本明細書で提供される活性成分の予防的または治療的有効量を含有する。製剤は、投与様式に適するべきである。
いくつかの実施形態では、賦形剤の選定は、特定の細胞によって、及び/または投与の方法によって部分的に決定される。したがって、多様な好適な製剤が存在する。
典型的には、許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、それには、緩衝液、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む抗酸化剤;防腐剤、等張化剤、安定化剤、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);キレート剤、例えば、EDTA及び/または非イオン性界面活性剤が含まれる。
緩衝液は、特に安定性がpH依存性である場合、治療効果を最適化する範囲内でpHを制御するために使用され得る。本開示と共に使用するための好適な緩衝剤には、有機酸及び無機酸の両方ならびにそれらの塩が含まれる。例えば、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩。さらに、緩衝液は、ヒスチジン及びトリメチルアミン塩、例えば、トリスを含み得る。
防腐剤は、微生物成長を妨害するために添加され得る。本開示と共に使用するための好適な防腐剤には、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;ベンザルコニウムハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが含まれる。
時に「安定化剤」として知られている等張化剤は、組成物における液体の張力を調整または維持するために存在し得る。タンパク質及び抗体等の大きい荷電した生体分子とともに使用される場合、それらが、荷電したアミノ酸側鎖群と相互作用し、それにより分子間及び分子内相互作用の可能性を低減し得るため、それらは、多くの場合、「安定剤」と称される。例示的な等張化剤には、多価糖アルコール、3価以上の糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが含まれる。
追加の例示的な賦形剤には、(1)増量剤、(2)溶解性向上剤、(3)安定化剤及び(4)変性または容器壁への接着を防止する薬剤が含まれる。かかる賦形剤としては、多価糖アルコール(上に列挙されるもの);アミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン等;有機糖または糖アルコール、例えば、スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;単糖(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース;二糖(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース);三糖、例えば、ラフィノース;ならびに多糖、例えば、デキストリンまたはデキストランが挙げられる。
非イオン性界面活性剤または洗浄剤(「湿潤剤としても知られている」)は、治療剤の可溶化を補助するために及び動揺誘発性凝集に対して治療タンパク質を保護するために存在し得、これはまた、活性治療タンパク質または抗体の変性を引き起こすことなく製剤がせん断表面応力に曝露されることを可能とする。好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリソルベート(20、40、60、65、80等)、ポロキサマー(184、188等)、PLURONIC(登録商標)ポリオール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80等)、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、50及び60、グリセロールモノステアレート、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースが含まれる。使用され得る陰イオン性洗剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びジオクチルスルホン酸ナトリウムを含む。陽イオン性洗剤は、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含む。
投与経路は、好適な様態での、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内、もしくは関節内経路による注射もしくは注入、局所投与、吸入、または持続放出もしくは徐放手段による長期にわたる単回もしくは複数回ボーラスまたは注入等の既知の認められている方法に従う。
別の実施形態では、薬学的組成物は、制御放出または持続放出系として提供され得る。一実施形態では、ポンプは、制御または持続放出を達成するために使用され得る(例えば、Sefton,Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201-40(1987);Buchwald et al.,Surgery 88:507-16(1980);及びSaudek et al.,N.Engl.J.Med.321:569-74(1989)を参照されたい)。別の実施形態では、予防剤または治療剤(例えば、本明細書に記載される融合タンパク質)または本明細書で提供される組成物の制御または持続放出を達成するためにポリマー性物質が使用され得る(例えば、Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise eds.,1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball eds.,1984);Ranger and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61-126(1983);Levy et al.,Science 228:190-92(1985);During et al.,Ann.Neurol.25:351-56(1989);Howard et al.,J.Neurosurg.71:105-12(1989);米国特許番号5,679,377;5,916,597;5,912,015;5,989,463;ならびに5,128,326;PCT公開番号WO99/15154及びWO99/20253を参照されたい)。持続放出製剤において使用されるポリマーには、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、持続放出製剤において使用されるポリマーは、不活性であり、浸出性不純物を含まず、保存時に安定であり、無菌であり、生分解性である。さらに別の実施形態では、制御または持続放出系は、特定の標的組織、例えば、鼻孔または肺の近くに配置され得、よって、全身性用量の何分の1を必要とするにすぎない(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release Vol.2,115-38(1984)を参照されたい)。制御放出系は、例えば、Langer,Science 249:1527-33(1990)によって論述されている。当業者に知られている任意の技術は、本明細書に記載される1つ以上の薬剤を含む持続放出製剤を生成するために使用され得る(例えば、米国特許番号4,526,938、PCT公開番号WO91/05548及びWO96/20698、Ning et al.,Radiotherapy & Oncology 39:179-89(1996);Song et al.,PDA J.of Pharma.Sci.& Tech.50:372-97(1995);Cleek et al.,Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:853-54(1997);及びLam et al.,Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.24:759-60(1997)を参照されたい).
本明細書に記載の薬学的組成物はまた、処置されている特定の適応症のために必要に応じて複数の活性化合物または薬剤を含有し得る。あるいは、または加えて、本組成物は、細胞毒性薬、化学療法剤、サイトカイン、免疫抑制剤、または成長阻害剤を含み得る。かかる分子は、意図される目的のために有効な量で組み合わせて好適に存在する。
活性成分は、例えば、液滴形成技術または界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)、またはマクロエマルジョンにも封入され得る。かかる技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 18th editionに開示されている。
リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセル、本明細書で提供される抗体または治療分子を発現することが可能な組換え細胞、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築等を含むがこれらに限定されない様々な組成物及び送達系が知られており、本明細書で提供される治療剤と共に使用され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される薬学的組成物は、疾患または障害を処置または予防するために有効な量、例えば、治療的有効量または予防的有効量で結合分子を含有する。治療的または予防的有効性は、いくつかの実施形態では、処置される対象の周期的評価によってモニタリングされる。数日またはそれ以上にわたる繰り返し投与のため、病態に応じて、処置は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで繰り返される。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であり得、決定され得る。
5.5 核酸分子、ベクター、及び宿主細胞
所定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の分子をコードする核酸分子を包含する。用語「ポリペプチドをコードする核酸分子」は、ポリペプチドのためのコード配列を含む核酸分子ならびに追加のコード及び/または非コード配列を含む核酸分子を包含する。本開示の核酸分子は、RNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAが含まれ;二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖の場合は、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。
所定の実施形態では、核酸分子は、例えば、宿主細胞からのポリペプチドの発現及び分泌を補助する核酸分子(例えば、ポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に同じリーディングフレームで融合したポリペプチドのためのコード配列を含む。核酸分子は、ポリペプチドの「成熟」形態を形成するために宿主細胞によって切断されるリーダー配列を有し得る。
所定の実施形態では、核酸分子は、同じリーディングフレームにおいてマーカーまたはタグ配列に融合されたポリペプチドのためのコード配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、マーカー配列は、細菌宿主の場合、マーカーに融合されたポリペプチドの効率的な精製を可能とするベクターによって供給されるヘキサ-ヒスチジンタグである。いくつかの実施形態では、マーカーは、他の親和性タグと併せて使用される。
本明細書で提供される分子の組換え発現は、分子をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とする。本明細書で提供される分子をコードするポリヌクレオチドが得られると、分子の生成のためのベクターは、当該技術分野でよく知られている技術を使用して組換えDNA技術によって生成され得る。よって、セクション5.2に記載される分子の異なる部分をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによって本明細書で提供される分子を調製するための方法が本明細書に記載される。当業者によく知られている方法は、コード配列ならびに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築するために使用され得る。これらの方法としては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。また、プロモーターに機能可能に連結された、本明細書で提供される分子をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターが提供される。かかるベクターには、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列が含まれ得(例えば、国際公開番号WO86/05807及びWO89/01036;ならびに米国特許番号5,122,464を参照されたい)、抗体の可変ドメインは、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖及び軽鎖の両方全体の発現のためにかかるベクターにクローニングされ得る。
発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に転写され、次いでトランスフェクションされた細胞は、本明細書で提供される分子を生成するために従来の技術によって培養される。よって、また、本明細書では、異種プロモーターに機能可能に連結された、本明細書で提供される分子をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が提供される。本明細書に記載の抗原結合断片を有する分子の発現のための所定の実施形態では、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターが、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞において共発現され得る。
本明細書で提供される分子を発現させるために多様な宿主-発現ベクターシステムが利用され得る(例えば、米国特許番号5,807,715を参照されたい)。かかる宿主-発現系は、対象となるコード配列が生成され、その後精製され得るビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクションされた場合に、in situで本明細書で提供される分子を発現し得る細胞も表す。これらには、微生物、例えば、コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli及びB.subtilis);コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces Pichia);コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させたまたはコード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスからのプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、及び3T3細胞)が含まれるがこれらに限定されない。特に組換え分子全体の発現のために、細菌細胞、例えば、Escherichia coli、または、真核細胞が組換え分子の発現のために使用され得る。例えば、ヒトサイトメガロウイルスからの主要中間初期遺伝子プロモーター要素等のベクターと併せられた、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)等の哺乳動物細胞は、抗体のための効果的な発現系である(Foecking et al.,1986,Gene 45:101;及びCockett et al.,1990,Bio/Technology 8:2)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分子は、CHO細胞において生成される。特定の実施形態では、本明細書で提供される分子をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって制御される。
細菌系では、発現させる分子のために意図された用途に応じて多数の発現ベクターが有利に選択され得る。例えば、多量のかかる分子が生成されるべき場合、分子の薬学的組成物の生成のため、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を誘導するベクターが所望であり得る。かかるベクターには、融合タンパク質が生成されるようにlac Zコード領域とインフレームでコード配列がベクターに個々にライゲーションされ得るE.coli発現ベクターpUR278(Ruther et al.,1983,EMBO 12:1791);pINベクター(Inouye & Inouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101-3109;Van Heeke & Schuster,1989,J.Biol.Chem.24:5503-5509)等が含まれるがこれらに限定されない。グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)を有する融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるためにpGEXベクターも使用され得る。通常、かかる融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合と、それに続く遊離グルタチオンの存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部位から放出され得るようにトロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
昆虫系において、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)は、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用される。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞において成長する。コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、多角体病遺伝子)に個々にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えば、多角体病プロモーター)の制御下に置かれ得る。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、対象となるコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三部分リーダー配列にライゲーションされ得る。次いでこのキメラ遺伝子は、in vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域ElまたはE3)の挿入は、感染宿主において生存可能であり、分子を発現することが可能である組換えウイルスをもたらす(例えば、Logan & Shenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 1:355-359)。特定の開始シグナルもまた、挿入されたコード配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確保するために所望のコード配列のリーディングフレームと同調しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方を含む、多様な起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーター等の包含によって増強され得る(例えば、Bittner et al.,1987,Methods in Enzymol.153:51-544を参照されたい)。
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾及び処理する宿主細胞株が選択され得る。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。発現された外来タンパク質の正しい修飾及びプロセシングを確実にするために適切な細胞株または宿主系を選択し得る。この目的のため、一次転写産物の適切なプロセシング、グリコシル化、及び遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を保有する真核宿主細胞が使用され得る。かかる哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内因的に生成しないネズミ骨髄腫細胞株)、CRL7O3O及びHsS78Bst細胞が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、完全ヒト抗体またはその断片として本明細書で提供される分子は、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞において生成される。
組換えタンパク質の長期で高収率の生成のため、安定的発現が利用され得る。例えば、本明細書に記載の分子を安定的に発現する細胞株が操作され得る。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを使用するのではなく、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)によって制御されるDNA、及び選択マーカーで宿主細胞を形質転換してもよい。外来DNAの導入に続いて、操作された細胞を、富化培地中で1~2日間増殖させ、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミドにおける選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをそれらの染色体に安定的に組み込むこと及び成長してフォーカスを形成することを可能にし、これはひいては、クローニングされ、細胞株へと増殖され得る。この方法は、分子を発現する細胞株を操作するために有利に使用され得る。かかる操作された細胞株は、分子と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,1977,Cell 11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,1980,Cell 22:8-17)遺伝子を含むがこれらに限定されない多数の選択システムが使用され得、tk細胞、hgprt細胞またはaprt細胞においてそれぞれ用いられ得る。また、以下の遺伝子についての選択の基礎として代謝拮抗耐性が使用され得る:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler et al.,1980,Natl.Acad.Sci.USA 77:357;O’Hare et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu and Wu,1991,Biotherapy 3:87-95;Tolstoshev,1993,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596;Mulligan,1993,Science 260:926-932;及びMorgan and Anderson,1993,Ann.Rev.Biochem.62:191-217;1993,TIB TECH 11(5):l55-2 15);及びハイグロマイシンに対する耐性を付与する(Santerre et al.,1984,Gene 30:147)。組換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、所望の組換えクローンを選択するために慣用的に適用され得、かかる方法は、例えば、Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);及びChapters 12 and 13,Dracopoli et al.(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colberre-Garapin et al.,1981,J.Mol.Biol.150:1(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本明細書に記載の分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加し得る(レビューのため、Bebbington and Hentschel,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を参照されたい)。ベクターシステムにおけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピーの数を増加させる。増幅領域は、本明細書に記載の分子をコードする遺伝子に関連するので、分子の生成も増加し得る(Crouse et al.,1983,Mol.Cell.Biol.3:257)。
抗原結合断片を含むセクション5.2.2に記載の分子のため、宿主細胞は、本明細書で提供される2つの発現ベクターで共トランスフェクションされ得、第1のベクターは、重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターは、軽鎖由来ポリペプチドをコードする。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含んでもよい。あるいは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現させることが可能な単一のベクターが使用され得る。かかる状況では、軽鎖は、余剰の毒性遊離重鎖を避けるために重鎖の前に配置されるべきである(Proudfoot,1986,Nature 322:52;及びKohler,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197-2199)。重鎖及び軽鎖のためのコード配列は、cDNAを含んでもまたはゲノムDNAを含んでもよい。
5.6 オリゴマー化された分子を生成する方法
別の態様では、本明細書では、オリゴマーを生成するための方法が提供される。より具体的には、本明細書で提供される方法は、IgG C2領域を含む1つ以上の分子(複数可)にアミノ酸置換、例えば、EU番号付けによるアミノ酸残基位置253のシステイン残基での置換を導入する機能を実施するための第1の工程;及びかかる分子を発現する機能を実施するための第2の工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒトμテールピースを分子に導入する機能を実施するための工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、分子を含むオリゴマーを精製または単離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書で提供される分子をコードするベクターを構築することを含む。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書では、オリゴマー化された分子を生成する方法であって、(a)セクション5.5に開示されるベクターを宿主細胞に導入すること;(b)オリゴマー化された分子の生成のための好適な条件下で宿主細胞を培養すること;及び(c)宿主細胞のコンディショニングされた培地中のオリゴマー化された分子を精製することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、工程(c)の前に、本明細書で提供される方法は、宿主細胞のコンディショニングされた培地中のオリゴマー化された分子の存在を、例えば、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって検出することを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、精製されたオリゴマー化された分子をインタクト質量分析または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で特性化することをさらに含み得る。
セクション5.2.1に記載の点変異及びセクション5.2.2に記載の他の単一残基修飾は、当該技術分野で知られている方法、例えば、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR変異誘発を使用して行われ得る。部位特異的変異誘発(例えば、Carter,1986,Biochem J.237:1-7;及びZoller et al.,1982,Nucl.Acids Res.10:6487-500を参照されたい)、カセット変異誘発(例えば、Wells et al.,1985,Gene 34:315-23を参照されたい)、または他の既知技術は、セクション5.2.1に記載の標的点変異を生成するためにクローニングされたDNAに対して実施され得る。セクション5.2.1に記載の付加されたテールピース及びセクション5.2.2に記載の他の遺伝子修飾は、当業者に知られている組換えDNA技術を使用して行われ得る(例えば、Zyskind and Berstein,1989,Recombinant DNA laboratory Manual;Rajagopal,2012,Recombinant DNA Technology and Genetic Engineering;Sambrook and Russel,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Kostelny et al.,Int.J.Cancer 93:556-565,2001;Cole et al.,J.Immunol.159:3613-3621,1997及びTsurushita et al.,Methods 36:69-83,2005を参照されたい)。
セクション5.5に開示されているように操作された分子をコードするベクターを得た後、細胞トランスフェクションまたは形質導入が宿主細胞において実施され得る。宿主細胞内にポリヌクレオチドを導入することは、例えば、ウイルス(またはウイルスベクター)にポリヌクレオチドをパッケージングすること、及びウイルス(またはベクター)でまたは当該技術分野で知られているトランスフェクション手順によって宿主細胞を形質導入することを含む、任意の既知の方法によって行われ得る。哺乳動物細胞内に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は、当該技術分野でよく知られており、それには、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソームにおけるポリヌクレオチド(複数可)の封入、及び核内へのDNAの直接的マイクロインジェクションが含まれる。発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野でよく知られており、CHO細胞、HeLa細胞、及びヒト肝細胞癌細胞を含むがこれらに限定されない。
対象となるベクターを導入した後、宿主細胞は、分子の単量体形態及び分子の異なるレベルのオリゴマーを含有する混合物を培地中に分泌する。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから12時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから24時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから36時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから48時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから60時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから72時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから84時間後に収集される。いくつかの実施形態では、培地は、ベクターを宿主細胞に導入してから96時間後に収集される。
さらなる精製及び特性化の前にコンディショニングされた培地中のオリゴマー化された分子の存在を確認するための開始工程として、混合物の異なる成分の分子量プロファイルの検出が実施される。本明細書に記載の分子の単量体及びオリゴマー形態は、少なくとも質量の観点から異なるので、質量に基づく検出技術は、当該技術分野でよく知られており、限定されないが、ゲル電気泳動、例えば、SDS-PAGE、遠心分離、及びクロマトグラフィー、例えば、ゲル濾過カラムを含む。
本明細書で提供される分子が組換え発現によって生成されると、それは、免疫グロブリン分子の精製のために当該技術分野で知られている任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にプロテインA後の特定の抗原に対するアフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、異なる溶解性によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製され得る。さらに、本明細書で提供される分子は、本明細書に記載されるまたはそうでなければ精製を容易化するために当該技術分野で知られている異種ポリペプチド配列に融合され得る。
精製されたオリゴマー化された分子は、特性化され、その同一性が確認される必要がある。異なる方法が当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、質量分析によって特性化され得る。特定の実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、インタクト質量分析によって特性化され得る。他の実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、HPLCによって特性化され得る。特定の実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、HPLC-SECによって特性化され得る。他の実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、x線結晶学によって特性化され得る。他の実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、NMR分光法によって特性化され得る。他の実施形態では、精製されたオリゴマー化された分子は、低温電子顕微鏡法によって特性化され得る。
原核細胞における組換え生成
本開示の分子(例えば、抗体またはその断片)をコードするポリ核酸配列は、標準的な組換え技術を使用して得られ得る。所望のポリ核酸配列が、抗体生成細胞、例えば、ハイブリドーマ細胞から単離及びシーケンスされ得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機またはPCR技術を使用して合成され得る。得られた時点で、ポリペプチドをコードする配列は、原核生物宿主内で異種ポリヌクレオチドを複製及び発現することができる組換えベクターに挿入される。当該技術分野で利用可能であり、知られている多くのベクターが本開示の目的のために使用され得る。適切なベクターの選択は、ベクターに挿入される核酸の大きさ及びベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはこれらの両方)及びそれが存在する特定の宿主細胞とのその適合性に応じて種々の成分を含有する。ベクター成分には通常、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物及び転写終結配列が含まれるがこれらに限定されない。
一般に、宿主細胞と適合性のある種由来のレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主に関連して使用される。このベクターは、通常、複製部位、及び形質転換細胞において表現型選択を提供することができるマーキング配列を持つ。例えば、E.coliは典型的に、E.coli種由来のプラスミドであるpBR322を使用して形質転換される。特定の抗体の発現のために使用されるpBR322誘導体の例は、Carter et al.、米国特許番号5,648,237に詳細に記載されている。
加えて、宿主微生物と適合性のあるレプリコン及び制御配列を含有するファージベクターは、これらの宿主に関連して形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、GEM(商標)-11等のバクテリオファージが、E.coli LE392等の感受性宿主細胞を形質転換するために使用され得る組換えベクターを作製する際に利用され得る。
本出願の発現ベクターは、ポリペプチド成分の各々をコードする2つ以上のプロモーター-シストロン対を含み得る。プロモーターは、その発現を調節するシストロンの上流(5′)に位置する非翻訳制御配列である。原核生物プロモーターは、典型的には、2つのクラス、誘導プロモーター及び構成プロモーターに分けられる。誘導性プロモーターは、培養条件の変化、例えば、栄養素の存在もしくは非存在または温度の変化に応答してその制御下でシストロンの転写のレベルの増加を開始させるプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。選択されるプロモーターは、制限酵素消化を介して源DNAからプロモーターを除去すること及び単離されたプロモーター配列を本出願のベクターに挿入することによって本抗体をコードするシストロンDNAに機能可能に連結され得る。天然プロモーター配列も多くの異種プロモーターもいずれも、標的遺伝子の増幅及び/または発現を誘導するために使用され得る。いくつかの実施形態では、異種プロモーターが一般に天然標的ポリペプチドプロモーターと比較して発現された標的遺伝子のより大きい転写及びより高い収率をもたらすため、異種プロモーターが利用される。
原核生物宿主との使用に好適なプロモーターとしては、PhoAプロモーター、-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えば、tacまたはtrcプロモーターが挙げられる。しかしながら、細菌において機能的な他のプロモーター(他の既知の細菌またはファージプロモーター等)も好適である。それらの核酸配列は公開されており、それにより当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するためにリンカーまたはアダプターを使用して、それらを標的ペプチドをコードするシストロンに機能可能にライゲーションすることが可能である(Siebenlist et al.Cell 20:269(1980))。
一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜にわたる発現ポリペプチドの転位を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であり得る。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識及びプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。異種ポリペプチドに対してネイティブのシグナル配列を認識及びプロセシングしない原核生物宿主細胞の場合、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列によって置換され得る。
いくつかの実施形態では、本開示による抗体の生成は、宿主細胞の細胞質において生じ得、そのため、各シストロン内の分泌シグナル配列の存在を必要としない。所定の宿主株(例えば、E.coli trxB株)は、ジスルフィド結合形成のために望ましい細胞質条件を提供し、それにより発現したタンパク質サブユニットの適切なフォールディング及び構築を可能とする。
本開示の分子(例えば、抗体またはその断片)を発現させるために好適な原核生物宿主細胞には、古細菌及び真正細菌、例えば、グラム陰性またはグラム陽性生物が含まれる。有用な細菌の例としては、Escherichia(例えば、E.coli)、Bacilli(例えば、B.subtilis)、Enterobacteria、Pseudomonas種(例えば、P.aeruginosa)、Salmonella typhimurium、Serratia marcescans、Klebsiella、Proteus、Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、またはParacoccusが挙げられる。いくつかの実施形態では、グラム陰性細胞が使用される。一実施形態では、E.coli細胞は、宿主として使用される。E.coli株の例には、遺伝子型W3110 AfhuA(AtonA)ptr3 lac Iq lacL8 AompT A(nmpc-fepE)degP41 kan(米国特許番号5,639,635)を有する株33D3を含む、株W3110(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2(Washington,D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190-1219;ATCC寄託番号27,325)及びその誘導体が含まれる。他の株及びその誘導体、例えば、E.coli 294(ATCC 31,446)、E.coli B,E.coli 1776(ATCC 31,537)及びE.coli RV308(ATCC 31,608)も好適であり得る。これらの例は、限定するものではなく、例証するものである。定義された遺伝子型を有する上述の細菌のうちのいずれかの誘導体の構築方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Bass et al.,Proteins,8:309-314(1990)に記載されている。一般に、細菌の細胞におけるレプリコンの複製可能性を考慮して適切な細菌を選択することが必要である。例えば、pBR322、pBR325、pACYC177、またはpKN410等の周知のプラスミドを使用してレプリコンを提供する場合、E.coli、Serratia、またはSalmonella種が宿主として好適に使用され得る。
典型的には、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素しか分泌すべきでなく、さらなるプロテアーゼ阻害剤が細胞培養物に組み込まれることが望ましくあり得る。
宿主細胞は、上述の発現ベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適切になるように修飾された従来の栄養素培地で培養される。形質転換とは、DNAが染色体外要素として、または染色体組み込み体によってのいずれかで複製可能になるように、DNAを原核生物宿主に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換がかかる細胞に適切な標準の技術を使用して行われる。一般に、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理が、実質的な細胞壁障壁を含有する細菌細胞に使用される。形質転換の別の方法は、ポリエチレングリコール/DMSOを用いる。使用されるさらに別の技術は、電気穿孔法である。
本出願の抗体を生成するために使用される原核生物細胞は、当該技術分野で既知であり、かつ選択された宿主細胞の培養に好適な培地で成長する。好適な培地の例としては、必要な栄養補助剤を含むルリアブロス(LB)が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地は、発現ベクターを含有する原核生物細胞の成長を選択的に許容するために、発現ベクターの構築に基づいて選択された選択剤も含有する。例えば、アンピシリンは、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞を成長させるための培地に添加される。
炭素、窒素、及び無機リン酸塩源に加えて、任意の必要な補助剤も、単独で、または複合窒素源等の別の補助剤もしくは培地との混合物として導入される適切な濃度で含まれ得る。任意に、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール、及びジチオスレイトールから成る群から選択される1つ以上の還元剤を含有し得る。原核生物宿主細胞は、好適な温度及びpHで培養される。
誘導プロモーターが本出願の発現ベクターに使用される場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。本出願の一態様では、PhoAプロモーターは、ポリペプチドの転写を制御するために使用される。したがって、形質転換宿主細胞は、誘導のためにリン酸塩制限培地で培養される。好ましくは、リン酸塩制限培地はC.R.A.P培地である(例えば、Simmons et al.,J.Immunol.Methods 263:133-147(2002))。様々な他の誘導因子が、当該技術分野で既知の用いられるベクター構築物に従って使用され得る。
発現した本開示の抗体は分泌され、宿主細胞のペリプラズムから回収される。タンパク質回収は、典型的には、一般に浸透圧ショック、超音波処理、または溶解等の手段による微生物の破壊を伴う。細胞が破壊されると、細胞残屑または全細胞は、遠心分離または濾過によって除去され得る。タンパク質は、例えば、親和性樹脂クロマトグラフィーによってさらに精製される。あるいは、タンパク質は、培養培地に輸送され、その中で単離され得る。細胞が培養物から除去され得、培養上清が、生成されたタンパク質のさらなる精製のために濾過及び濃縮される。発現ポリペプチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びウエスタンブロットアッセイ等の一般に既知の方法を使用してさらに単離及び特定され得る。
あるいは、タンパク質生成は、発酵プロセスによって大量に行われる。種々の大規模供給バッチ発酵手技が、組換えタンパク質の生成に利用可能である。本開示の抗体の生成効率及び質を改善するために、様々な発酵条件が改変され得る。例えば、シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞において生成される異種タンパク質の適切なフォールディング及び溶解性を容易化することが実証されている。Chen et al.J Bio Chem 274:19601-19605(1999);U.S.Pat.No.6,083,715;米国特許番号6,027,888;Bothmann and Pluckthun,J.Biol.Chem.275:17100-17105(2000);Ramm and Pluckthun,J.Biol.Chem.275:17106-17113(2000);Arie et al.,Mol.Microbiol.39:199-210(2001).
発現した異種タンパク質(特にタンパク質分解的に感受性であるもの)のタンパク質分解を最小化するために、例えば、米国特許番号5,264,365;米国特許番号5,508,192;Hara et al.,Microbial Drug Resistance,2:63-72(1996)に記載されているように、タンパク質分解酵素が欠損している所定の宿主株が本発明のために使用され得る。タンパク質分解酵素が欠損しており、1つ以上のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換されたE.coli株は、本出願の抗体をコードする発現系において宿主細胞として使用され得る。
本明細書で生成される抗体は、さらなるアッセイ及び使用のために実質的に均質である調製物を得るためにさらに精製され得る。当該技術分野で既知の標準のタンパク質精製方法が用いられ得る。以下の手技:免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、DEAE等のシリカまたは陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び例えばSephadex G-75を使用したゲル濾過が、好適な精製手技の例示である。固相に固定化されたプロテインAは、例えば、いくつかの実施形態では、本開示の結合分子のイムノアフィニティー精製のために使用され得る。タンパク質Aが固定化される固相は、好ましくは、ガラスまたはシリカ表面を含むカラム、より好ましくは、制御孔ガラスカラムまたはケイ酸カラムである。いくつかの実施形態では、カラムは、混入物質の非特異的接着を防止することを企図して、グリセロール等の試薬で被覆され得る。その後、固相が洗浄されて、固相に非特異的に結合している混入物質を除去する。最後に、目的とする抗体が溶出により固相から回収される。
真核細胞における組換え生成
真核発現のため、ベクター成分には通常、以下のシグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、及びエンハンサー要素、プロモーター、ならびに転写終結配列のうちの1つ以上が含まれるがこれらに限定されない。
真核生物宿主で使用するためのベクターは、成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドをコードする挿入物でもあり得る。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識及びプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。かかる前駆体領域のためのDNAは、本出願の抗体をコードするDNAにリーディングフレームでライゲーションされ得る。
一般に、複製起点成分は、哺乳類発現ベクターには必要ではない(SV40起点は、典型的には、それが初期プロモーターを含有するという理由のみで使用され得る)。
発現及びクローニングベクターは、選択遺伝子、別名、選択可能なマーカーを含有し得る。選択遺伝子は、抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、またはテトラサイクリンに対する耐性を付与するタンパク質をコードし、栄養要求性欠損を補完し、または複合培地から利用可能ではない栄養素を供給し得る。
選択スキームの一例は、宿主細胞の成長を停止する薬物を利用する。異種遺伝子を用いた形質転換に成功した細胞は、薬物耐性を与え、したがって選択レジメンで生き残るタンパク質を生成する。かかる優性選択の例は、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞のための好適な選択マーカーの別の例は、本出願の抗体をコードする核酸を取り入れる能力がある細胞の同定を可能にするものである。例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、最初に、DHFRの競合アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で全ての形質転換体を培養することによって特定される。野生型DHFRが用いられる場合の例示的な適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。あるいは、ポリペプチドをコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及び別の選択マーカー、例えば、アミノグリコシド3′-ホスホトランスフェラーゼ(APH)で形質転換または共形質転換された宿主細胞(特に内因性DHFRを含有する野生型宿主)は、選択マーカー、例えば、アミノグリコシド系抗生物質のための選択因子を含有する培地中での細胞成長によって選択され得る。
発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、及び所望のポリペプチド配列をコードする核酸に機能可能に連結するプロモーターを含有する。真核遺伝子は、転写が開始する部位からおよそ25~30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70~80塩基上流に見られる別の配列が含まれ得る。ほとんどの真核の3′末端は、コード配列の3′末端へのポリAテールの付加のためのシグナルであり得る。これらの配列は全て、真核生物発現ベクターに挿入され得る。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのポリペプチド転写は、例えば、ウイルス、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びサルウイルス40(SV40)のゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、ヒートショックプロモーターから得られたプロモーターによって制御され得る(かかるプロモーターが宿主細胞系と適合性がある限り)。
高等真核生物による本開示の抗体をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによってしばしば増加する。哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン)由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている。例としては、複製起点の後半側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後半側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核プロモーターの活性化のための増強要素に関しては、Yaniv,Nature 297:17-18(1982)も参照されたい。エンハンサーは、ポリペプチドコード配列の5′位または3′位でベクターにスプライスされ得るが、好ましくは、プロモーターから5′部位に位置する。
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物からの有核細胞)において使用される発現ベクターはまた、転写の終結のために及びmRNAの安定化のために必要な配列を含有する。かかる配列は、一般的には、真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAの5′非翻訳領域、時折、3′非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、ポリペプチドコードmRNAの非翻訳部分内のポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。
本明細書におけるベクター中のDNAのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞としては、脊椎動物宿主細胞を含む本明細書に記載のより高次の真核生物細胞が挙げられる。培養物(組織培養物)中での脊椎動物細胞の繁殖は、日常的な手技になっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓株(293細胞または懸濁培養での成長のためにサブクローニングされた293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(Hep G2)である。
宿主細胞は、抗体生成のための上述した発現またはクローニングベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適切になるように修飾された従来の栄養素培地で培養され得る。
本出願の抗体を生成するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養され得る。Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、及びダルベッコ修飾イーグル培地((DMEM)、Sigma)等の市販されている培地は、宿主細胞の培養に好適である。また、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許番号4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655;または5,122,469;WO90/03430;WO87/00195;または米国特許再発行30,985に記載の培地のいずれかは、宿主細胞のための培地として使用され得る。これらの培地のいずれにも、必要に応じて、ホルモン及び/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子等)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩等)、緩衝液(HEPES等)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジン等)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬等)、微量要素(マイクロモルの範囲の最小濃度で通常存在する無機化合物と定義される)、及びグルコースまたは同等のエネルギー源が補充され得る。任意の他の必要な補充剤も、当業者に知られているであろう適切な濃度で含まれ得る、培養条件、例えば、温度、pH等は、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に使用されたものであり、当業者に明らかになる。
組換え技術を使用する際、抗体は、細胞内、周辺腔内で生成され得るか、または培地に直接分泌され得る。抗体が細胞内で生成される場合、第1のステップとして、微粒子残屑(宿主細胞または溶解断片のいずれか)が、例えば、遠心分離または限外濾過により除去される。抗体が培地に分泌される場合、かかる発現系の上清は、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して最初に濃縮される。PMSF等のプロテアーゼ阻害剤は、タンパク質分解を阻害するために前述のステップのうちのいずれかに含まれ得、抗生物質は、外来性混入物質の成長を阻止するために含まれ得る。
細胞から調製されたタンパク質組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製され得、親和性クロマトグラフィーが好ましい精製技術である。親和性リガンドが結合する基質は、ほとんどの場合アガロースであるが、他の基質も利用可能である。機械的に安定なマトリックス、例えば、制御細孔ガラスまたはポリ(スチレン-ジビニル)ベンゼンは、アガロースで達成され得る場合よりも速い流速及び短い処理時間を可能とする。イオン交換カラム上での分画、エタノール沈降、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラム等)上でのヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈降等のタンパク質精製のための他の技術も、回収される抗体に応じて利用可能である。任意の事前精製工程(複数可)の後、対象となる抗体及び混入物質を含む混合物は、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供され得る。
5.7 使用方法
5.7.1. 治療方法及び使用
別の態様では、本明細書では、本明細書で提供される分子及びオリゴマーを使用する方法及びその使用が提供される。かかる方法及び使用には、例えば、疾患または障害を有する対象への分子もしくはオリゴマー、またはそれを含有する組成物の投与を伴う治療方法及び使用が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、疾患または障害の処置を達成するための有効量で投与される。使用には、かかる方法及び処置における、及びかかる治療方法を行うための薬品の調製における組成物の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、方法は、疾患または病態を有するまたは有すると疑われる対象に組成物を投与することによって行われる。いくつかの実施形態では、方法は、それにより対象における疾患または障害を処置する。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される処置は、疾患もしくは障害、または症状、有害作用もしくはアウトカム、またはそれに関連する表現型の完全なまたは部分的な好転または低減を引き起こす。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の減少、病状の回復または寛解、及び緩解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。その用語は、疾患の完全な治癒または任意の症状の完全な排除または全ての症状もしくはアウトカムに対する効果(複数可)を含むが、これらを意味しない。
本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される処置は、疾患または障害の進行を遅延させ、例えば、疾患(例えば、がん)を留まらせ、妨害し、減速させ、妨げ、安定化し、抑制し、及び/または先送りする。この遅延は、処置されている病歴及び/または個体に応じて異なる期間であり得る。当業者に明らかであるように、十分なまたは有意な遅延は、実際には、個体が疾患または障害を発症しないという点で予防を包含し得る。例えば、転移の発症等の末期がんを遅延させることができる。他の実施形態では、本明細書で提供される方法または使用は、疾患または障害を予防する。
いくつかの実施形態では、本分子またはオリゴマーは、固形腫瘍癌を処置するために使用される。他の実施形態では、本分子またはオリゴマーは、血液癌を処置するために使用される。他の実施形態では、疾患または障害は、自己免疫性及び炎症性疾患である。他の実施形態では、疾患または障害は、感染性疾患である。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、異常な細胞成長及び/または調節不全となったアポトーシスの疾患である。かかる疾患の例には、がん、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頚部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸及び/または十二指腸)癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、肝細胞(肝臓及び/または胆管癌)、原発性または二次性中枢神経系腫瘍、原発性または二次性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ悪性腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓及び/または尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系の新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫またはそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、膀胱癌、脳癌、乳癌、骨髄癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ悪性腫瘍、黒色腫、骨髄性白血病、骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌及び脾臓癌からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫、または骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性中心リンパ腫、形質転換リンパ腫、中間分化のリンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性小開裂細胞型リンパ腫(DSCCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫、マントル帯リンパ腫、低悪性濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性T細胞白血病、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、前駆B急性リンパ芽球性白血病、前駆T急性リンパ芽球性白血病、バーキット白血病(バーキットリンパ腫)、急性二表現型白血病、慢性骨髄リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、及び慢性単球性白血病からなる群から選択される。
他の実施形態では、疾患または障害は、固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍癌は、癌腫、腺癌、副腎皮質癌、結腸腺癌、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、導管細胞癌、肺癌、甲状腺癌、鼻咽腔癌、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、肝臓癌及び肺癌からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、がんは、副腎癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肛門癌である。いくつかの実施形態では、がんは、虫垂癌である。いくつかの実施形態では、がんは、胆管癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌である。いくつかの実施形態では、がんは、骨癌である。いくつかの実施形態では、がんは、脳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、乳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、子宮頸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、食道癌である。いくつかの実施形態では、がんは、胆嚢癌である。いくつかの実施形態では、がんは、妊娠性絨毛性である。いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、腸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、腎臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、肝臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫である。いくつかの実施形態では、がんは、中皮腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)である。いくつかの実施形態では、がんは、神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、口腔癌である。いくつかの実施形態では、がんは、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膵臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、前立腺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、鼻腔癌である。いくつかの実施形態では、がんは、皮膚癌である。いくつかの実施形態では、がんは、軟部組織肉腫脊髄癌である。いくつかの実施形態では、がんは、胃癌である。いくつかの実施形態では、がんは、精巣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、咽喉癌である。いくつかの実施形態では、がんは、甲状腺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、子宮癌子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膣癌である。いくつかの実施形態では、がんは、外陰癌である。
いくつかの実施形態では、副腎癌は、副腎皮質癌腫(ACC)、副腎皮質癌、褐色細胞腫、または神経芽腫である。いくつかの実施形態では、肛門癌は、扁平上皮癌、総排泄腔(cloacogenic)癌、腺癌、基底細胞癌、または黒色腫である。いくつかの実施形態では、虫垂癌は、神経内分泌腫瘍(NET)、粘液腺癌、杯細胞カルチノイド、腸型腺癌、または印環細胞腺癌である。いくつかの実施形態では、胆管癌は、肝外胆管癌、腺癌、肝門部胆管癌、肝門部周囲胆管癌、遠位胆管癌、または肝内胆管癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、移行細胞癌(TCC)、乳頭癌、平坦癌、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、または肉腫である。いくつかの実施形態では、骨癌は、原発性骨癌、肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨の巨細胞腫、脊索腫、または転移性骨癌である。いくつかの実施形態では、脳癌は、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、膠芽腫、髄膜腫、上衣腫、乏突起膠腫、混合性神経膠腫、下垂体癌、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、松果体部腫瘍、髄芽腫、または原発性CNSリンパ腫である。いくつかの実施形態では、乳癌は、乳腺癌、侵襲性乳癌、非侵襲性乳癌、乳房肉腫、化生性癌、腺様嚢胞癌、葉状腫瘍、血管肉腫、HER2陽性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、または炎症性乳癌である。いくつかの実施形態では、子宮頸癌は、扁平上皮癌、または腺癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、結腸直腸腺癌、原発性結腸直腸リンパ腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、カルチノイド腫瘍、粘液腺癌、印環細胞腺癌、消化管カルチノイド腫瘍、または黒色腫である。いくつかの実施形態では、食道癌は、腺癌または扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、胆嚢癌は、腺癌、乳頭腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、小細胞癌、または肉腫である。いくつかの実施形態では、妊娠性絨毛性疾患(GTD)は、胞状奇胎、妊娠性絨毛性新生物(GTN)、絨毛癌、胎盤部位栄養膜腫瘍(PSTT)、または類上皮栄養膜腫瘍(ETT)である。いくつかの実施形態では、頭頸部癌は、喉頭癌、鼻咽頭癌、下咽頭癌、鼻孔癌、副鼻腔癌、唾液腺癌、口腔癌、口腔咽頭癌、または扁桃腺癌である。いくつかの実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫、結節性硬化症、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球枯渇型、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)である。いくつかの実施形態では、腸癌は、小腸癌(small intestine cancer)、小腸癌(small bowel cancer)、腺癌、肉腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、腎臓癌は、腎細胞癌(RCC)、明細胞RCC、乳頭状RCC、嫌色素性RCC、集合管RCC、未分類RCC、移行細胞癌、尿路上皮癌、腎盂癌、または腎臓肉腫である。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、または骨髄異形成症候群(MDS)である。特定の実施形態では、白血病は、AMLである。いくつかの実施形態では、肝臓癌は、肝細胞癌(HCC)、線維層状型(fibrolamellar)HCC、胆管癌、血管肉腫、または肝臓転移である。いくつかの実施形態では、肺癌は、小細胞肺癌、小細胞癌、混合型小細胞癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、扁平上皮肺癌、大細胞未分化癌、肺結節、転移性肺癌、腺扁平上皮癌、大細胞神経内分泌癌、唾液腺型肺癌、肺カルチノイド、中皮腫、肺の肉腫様癌、または悪性顆粒細胞肺腫瘍である。いくつかの実施形態では、黒色腫は、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、癒着性黒色腫、眼黒色腫、または転移性黒色腫である。いくつかの実施形態では、中皮腫は、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫、または精巣中皮腫である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、活性型骨髄腫またはくすぶり型骨髄腫である。いくつかの実施形態では、神経内分泌腫瘍は、胃腸神経内分泌腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、または肺神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞リンパ腫/白血病(ATLL)、有毛細胞白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、アリベルト・バジン症候群、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、全身性ALCL、腸症型T細胞リンパ腫(EATL)、または肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、口腔癌は、扁平上皮癌、疣状癌、小唾液腺癌、リンパ腫、良性口腔腫瘍、好酸球性肉芽腫、線維腫、顆粒細胞腫瘍、ケラトアカントーマ、平滑筋腫、骨軟骨腫、脂肪腫、神経鞘腫、神経線維腫、パピローマ、尖圭コンジローマ、疣贅型黄色腫、化膿性肉芽腫、横紋筋腫、歯原性腫瘍、白板症、紅板症、扁平上皮口唇癌、基底細胞口唇癌、口腔癌、歯肉癌、または舌癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、上皮性卵巣癌、粘液上皮性卵巣癌、類内膜上皮性卵巣癌、明細胞上皮性卵巣癌、未分化上皮性卵巣癌、卵巣低悪性度潜在腫瘍、原発性腹膜癌、卵管癌、胚細胞腫瘍、奇形腫、未分化胚細胞腫卵巣胚細胞癌、内胚葉洞腫瘍、性索間質腫瘍、性索性腺間質腫瘍、卵巣間質腫瘍、顆粒膜細胞腫瘍、顆粒膜包膜腫瘍、セルトリ・ライディッヒ腫瘍、卵巣肉腫、卵巣癌肉腫、卵巣腺肉腫、卵巣平滑筋肉腫、卵巣線維肉腫、クルケンベルグ腫瘍、または卵巣嚢胞である。いくつかの実施形態では、膵臓癌は、膵臓外分泌腺癌、膵臓内分泌腺癌、もしくは膵臓腺癌、膵島細胞腫瘍、または神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、前立腺腺癌、前立腺肉腫、移行細胞癌、小細胞癌、または神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、鼻腔癌は、扁平上皮癌、粘膜細胞癌、腺様嚢胞細胞癌、腺房細胞癌、副鼻腔未分化癌、鼻孔癌、副鼻腔癌、上顎洞癌、篩骨洞癌、または鼻咽頭癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、メルケル細胞癌、カポジ肉腫(KS)、光線性角化症、皮膚リンパ腫、またはケラトアカントーマである。いくつかの実施形態では、軟部組織癌は、血管肉腫、皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、脱分化型脂肪肉腫(DL)、粘液性/円形細胞脂肪肉腫(MRCL)、高分化型脂肪肉腫(WDL)、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫(RMS)、または滑膜肉腫である。いくつかの実施形態では、脊髄癌は、脊髄転移性腫瘍である。いくつかの実施形態では、胃癌は、胃腺癌、胃リンパ腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、胃カルチノイド腫瘍、I型ECL細胞カルチノイド、II型ECL細胞カルチノイド、またはIII型ECL細胞カルチノイドである。いくつかの実施形態では、精巣癌は、精上皮腫、非精上皮腫、胚性癌、卵黄嚢癌、絨毛癌、奇形腫、性腺間質腫瘍、ライディッヒ細胞腫瘍、またはセルトリ細胞腫瘍である。いくつかの実施形態では、咽喉癌は、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、喉頭部扁平上皮癌、喉頭部腺癌、リンパ上皮腫、紡錘細胞癌、いぼ状癌、未分化癌、またはリンパ節癌である。いくつかの実施形態では、甲状腺癌は、乳頭癌、濾胞癌、ヒュルツル細胞癌、甲状腺髄様癌、または未分化癌である。いくつかの実施形態では、子宮癌は、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、類内膜癌、漿液性腺癌、腺扁平上皮癌、子宮癌肉腫、子宮肉腫、子宮平滑筋肉腫、子宮内膜間質肉腫、または未分化肉腫である。いくつかの実施形態では、膣癌は、扁平上皮癌、腺癌、黒色腫、または肉腫である。いくつかの実施形態では、外陰癌は、扁平上皮癌または腺癌である。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、病原体によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、病原体は、急性弛緩性脊髄炎(AFM)、アナプラズマ病、炭疽病、バベシア症、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、カンピロバクター感染症、カルバペネム耐性感染症、軟性下疳、チクングンヤウイルス感染症、クラミジア、シガテラ中毒、ディフィシル感染症、パーフリンジェンス、コクシジオイデス真菌感染症、コロナウイルス感染症、Covid-19(SARS-CoV-2)、クロイツフェルト・ヤコブ病/伝達性海綿状脳症、クリプトスポリジウム症(Crypto)、サイクロスポーラ症、デング1,2,3または4、ジフテリア、E.coli感染症/志賀毒素生成(STEC)、東部ウマ脳炎、出血熱(エボラ)、エールリヒア症、脳炎、アルボウイルスまたは傍感染性、非ポリオエンテロウイルス、D68エンテロウイルス(EV-D68)、ジアルジア症、鼻疽、淋菌感染症、鼠径部肉芽腫、インフルエンザ菌病B型(HibまたはH-flu)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、A型肝炎(Hep A)、B型肝炎(Hep B)、C型肝炎(Hep C)、D型肝炎(Hep D)、E型肝炎(Hep E)、ヘルペス、帯状疱疹(Herpes Zoster)(帯状疱疹(Shingles))、ヒストプラスマ感染症、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ(Flu)、レジオネラ症(レジオネラ病)、ハンセン病(Leprosy)(ハンセン病(Hansens Disease))、レプトスピラ症、リステリア症(リステリア)、ライム病、鼠径部リンパ肉芽腫感染症(LGV)、マラリア、麻疹、類鼻疽症、髄膜炎(ウイルス性)、髄膜炎菌性疾患(髄膜炎(細菌))、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、おたふく風邪、ノロウイルス、シラミ寄生症、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳(Pertussis)(百日咳(Whooping Cough))、腺ペスト(横痃性、敗血症性、肺性)、肺炎球菌疾患(肺炎)、急性灰白髄炎(ポリオ)、ポーワッサン、オウム病、ケジラミ症、膿疱性皮疹病(天然痘、サル痘、牛痘)、Q熱、狂犬病、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)、風疹(ドイツ麻疹)、サルモネラ胃腸炎(サルモネラ)、疥癬、スコンブロイド、敗血症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、細菌性赤痢胃腸炎(Shigella)、天然痘、メチシリン耐性ブドウ球菌感染症(MRSA)、ブドウ球菌ブドウ球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(Staph食中毒)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌感染症(VISA)、バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症(VRSA)、A群レンサ球菌病(侵襲性)(Strep A(侵襲性)、B群レンサ球菌病(Strep-B)、レンサ球菌毒性ショック症候群STSS毒素ショック、梅毒(原発性、二次性、早期潜伏性、後期潜伏性、先天性)、破傷風感染症、トリコモナス症、トリヒナ感染症、結核(TB)、潜伏性結核(LTBI)、野兎病、腸チフスD群、膣症、水痘(みずぼうそう)、Vibrio cholerae(コレラ)、ビブリオ症(ビブリオ)、エボラウイルス出血熱、ラッサウイルス出血熱、マールブルグウイルス出血熱、ウエストナイルウイルス、黄熱病、エルシニア、及びジカウイルス感染症からなる群から選択される感染性疾患を引き起こす。
いくつかの実施形態では、病原体は、細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、bacillus、bartonella、bordetella、borrelia、brucella、campylobacter、chlamydia、chlamydophila、clostridium、corynebacterium、enterococcus、escherichia、francisella、haemophilus、helicobacter、legionella、leptospira、listeria、mycobacterium、mycoplasma、neisseria、pseudomonas、rickettsia、salmonella、shigella、staphylococcus、streptococcus、treponema、ureaplasma、vibrioまたはyersinia属の細菌である。
いくつかの実施形態では、病原体は、寄生生物である。いくつかの実施形態では、寄生生物は、原虫、寄生蠕虫、または外部寄生虫である。いくつかの実施形態では、原虫は、entamoeba、giardia、leishmania、balantidium、plasmodium、またはcryptosporidiumである。いくつかの実施形態では、寄生蠕虫は、吸虫、条虫、鈎頭虫、または回虫である。いくつかの実施形態では、外部寄生虫は、節足動物である。
いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、adenoviridae、arenaviridae、astroviridae、bunyaviridae、caliciviridae、coronaviridae、filoviridae、flaviviridae、hepadnaviridae、hepeviridae、orthomyxoviridae、papillomaviridae、paramyxoviridae、parvoviridae、picornaviridae、polyomaviridae、poxviridae、reoviridae、retroviridae、rhabdoviridae、またはtogaviridae科のウイルスである。
いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、エプスタイン・バーウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、風疹ウイルス、または水痘帯状疱疹ウイルスである。
他の実施形態では、疾患または障害は、免疫性または自己免疫性障害である。かかる障害には、自己免疫性水疱性疾患、無βリポタンパク血症、後天性免疫不全関連疾患、器官移植に関連する急性免疫疾患、後天性肢端チアノーゼ、急性及び慢性寄生または感染過程、急性膵炎、急性腎不全、急性リウマチ熱、急性横断性脊髄炎、腺癌、心房性異所性拍動、成人(急性)窮迫症候群、AIDS認知症複合症、アルコール性肝硬変、アルコール誘発性肝臓損傷、アルコール誘発性肝炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー及び喘息、同種移植拒絶反応、アルファ-l-アンチトリプシン欠損症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、貧血、狭心症、強直性脊椎炎関連肺疾患、前角細胞変性、抗体媒介細胞傷害、抗リン脂質症候群、抗受容体過敏反応、大動脈及び末梢動脈瘤、大動脈解離、動脈高血圧症、動脈硬化症、動静脈瘻、関節症、無力症、喘息、運動失調症、アトピー性アレルギー、心房細動(持続性または発作性)、心房粗動、房室ブロック、萎縮性自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、1型自己免疫性肝炎(古典的自己免疫性またはルポイド肝炎)、自己免疫媒介低血糖、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、B細胞リンパ腫、骨移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、閉塞性細気管支炎、脚ブロック、熱傷、悪液質、心臓不整脈、心臓失神症候群、心臓腫瘍、心筋症、心肺バイパス炎症反応、軟骨移植拒絶反応、小脳皮質変性症、小脳障害、無秩序型または多源性心房頻拍、化学療法関連障害、クラミジア、胆嚢炎(choleosatatis)、慢性アルコール依存症、慢性活動性肝炎、慢性疲労症候群、器官移植に関連する慢性免疫疾患、慢性好酸球性肺炎、慢性炎症性病変、慢性皮膚粘膜カンジダ症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性サリチル酸塩中毒、結腸直腸共通変化免疫不全(共通可変低ガンマグロブリン血症)、結膜炎、結合組織疾患関連間質性肺疾患、接触皮膚炎、クームス陽性溶血性貧血、肺性心、クロイツフェルト・ヤコブ病、特発性自己免疫性肝炎、特発性線維化性肺胞炎、培養陰性敗血症、嚢胞性線維症、サイトカイン療法関連障害、クローン病、ボクサー認知症、脱髄疾患、デング出血熱、皮膚炎、皮膚炎強皮症、皮膚病態、皮膚筋炎/多発性筋炎関連肺疾患、糖尿病(diabetes)、糖尿病性動脈硬化性疾患、糖尿病(diabetes mellitus)、びまん性レビー小体病、拡張型心筋症、拡張型鬱血性心筋症、円板状エリテマトーデス、基底核の障害、播種性血管内凝固、中年におけるダウン症候群、薬物誘発性間質性肺疾患、薬物誘発性肝炎、CNSドーパミン受容体を遮断する薬物によって誘導された薬物誘発性運動障害、薬物過敏症、湿疹、脳脊髄炎、心内膜炎、内分泌障害、腸疾患性滑膜炎、喉頭蓋炎、エプスタイン・バーウイルス感染症、肢端紅痛症、錐体外路及び小脳障害、家族性血球貪食性リンパ組織球増多症、胎児胸腺埋込拒絶反応、フリードライヒ運動失調症、機能性末梢動脈障害、女性不妊症、線維症、線維性肺疾患、真菌敗血症、ガス壊疽、胃潰瘍、巨細胞動脈炎、糸球体腎炎、糸球体腎症(glomerulonephritides)、グッドパスチャー症候群、甲状腺腫自己免疫性甲状腺機能低下症(橋本病)、痛風性関節炎、任意の器官または組織の移植拒絶反応、移植片対宿主病、グラム陰性敗血症、グラム陽性敗血症、細胞内生物に起因する肉芽腫、B群レンサ球菌(GBS)感染症、グレーブス病、ヘモジデリン沈着症関連肺疾患、有毛細胞白血病、ハレルフォルデン・スパッツ病、橋本甲状腺炎、枯草熱、心臓移植拒絶反応、ヘモクロマトーシス、造血悪性腫瘍(白血病及びリンパ腫)、溶血性貧血、溶血性尿毒症症候群/血栓溶解性血小板減少性紫斑病、出血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症/HIVニューロパシー、ホジキン病、副甲状腺機能低下症、ハンチントン舞踏病、多動性運動障害、過敏症反応、過敏症肺炎、甲状腺機能亢進症、運動低下性運動障害、視床下部・下垂体・副腎軸評価、特発性アジソン病、特発性白血球減少症、特発性肺線維症、特発性血小板減少症、特異体質性肝臓疾患、小児脊髄性筋萎縮症、感染性疾患、大動脈の炎症、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病、間質性肺炎、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、虚血再かん流傷害、虚血性脳卒中、若年性悪性貧血、若年性関節リウマチ、若年性脊髄性筋萎縮症、カポジ肉腫、川崎病、腎臓移植拒絶反応、レジオネラ、リーシュマニア症、ハンセン病、皮質脊髄系の病変、線状IgA疾患、脂質血症(lipidema)、肝臓移植拒絶反応、ライム病、リンパ浮腫、リンパ球性浸潤性肺疾患、マラリア、特発性またはNOS男性不妊症、悪性組織球増殖症、悪性黒色腫、髄膜炎、髄膜炎菌血症、腎臓の顕微鏡的血管炎、片頭痛、ミトコンドリア多系統障害、混合性結合組織病、混合性結合組織病関連肺疾患、単クローン性免疫グロブリン血症、多発性骨髄腫、多系統変性症(メンセル、デジェリン・トーマス、シャイ・ドレーガー及びマシャド・ジョセフ)、筋痛性脳炎/ロイヤルフリー病、重症筋無力症、腎臓の顕微鏡的血管炎、細胞内トリマイコバクテリウム、マイコバクテリウム結核、骨髄異形成症候群、心筋梗塞、心筋虚血障害、鼻咽腔癌、新生児慢性肺疾患、腎炎、ネフローゼ、ネフローゼ症候群、神経変性疾患、神経性I筋萎縮症、好中球減少性発熱、非アルコール性脂肪性肝炎、腹部大動脈及びその分岐の閉塞、閉塞性動脈障害、器官移植拒絶反応、睾丸炎/精巣上体炎、睾丸炎/精管切除逆転術、臓器肥大症、変形性関節症、骨粗鬆症、卵巣不全、膵臓移植拒絶反応、寄生虫疾患、副甲状腺移植拒絶反応、パーキンソン病、骨盤内炎症性疾患、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡、通年性鼻炎、心膜疾患、末梢アテローム性動脈硬化症、末梢血管障害、腹膜炎、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、ニューモシスチスカリニ肺炎、肺炎、POEMS症候群(多発ニューロパシー、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症、及び皮膚変化症候群)、かん流後症候群、ポンプ後症候群、MI後心臓切開症候群、感染後間質性肺疾患、早発閉経、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性肝炎、原発性粘液水腫、原発性肺高血圧症、原発性硬化性胆管炎、原発性血管炎、進行性核上まひ、乾癬、乾癬1型、乾癬2型、乾癬性関節症、結合組織疾患に続発する肺高血圧症、結節性多発動脈炎の肺兆候、炎症後間質性肺疾患、放射線線維症、放射線療法、レイノー現象及び疾患、レイノー病、レフサム病、規則性狭QRS頻拍、ライター病、腎臓疾患NOS、腎血管性高血圧症、再かん流傷害、拘束型心筋症、関節リウマチ関連間質性肺疾患、リウマチ様脊椎炎、サルコイドーシス、シュミット症候群、強皮症、老年性舞踏病、レビー小体型の老年性認知症、敗血症症候群、敗血性ショック、血清反応陰性関節症、ショック、鎌状赤血球貧血、T細胞またはFAB ALL、高安病/動脈炎、毛細血管拡張症、Th2型及びThl型媒介疾患、閉塞性血栓血管炎、血小板減少症、甲状腺炎、毒性、毒素ショック症候群、移植、外傷/出血、2型自己免疫性肝炎(抗LKM抗体肝炎)、黒色表皮症を伴うB型インスリン耐性、III型過敏症反応、IV型過敏症、潰瘍性大腸炎関節症、潰瘍性大腸炎、不安定狭心症、尿毒症、尿性敗血症、じんましん、ブドウ膜炎、心臓弁膜症、静脈瘤、血管炎、血管炎性びまん性肺疾患、静脈疾患、静脈血栓症、心室細動、白斑急性肝臓疾患、ウイルス及び真菌感染症、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎、ウイルス関連血球貪食症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ウィルソン病、任意の器官または組織の異種移植拒絶反応、エルシニア及びサルモネラ関連関節症、後天性免疫不全病症候群(AIDS)、自己免疫性リンパ増殖性症候群、溶血性貧血、炎症性疾患、血小板減少症、器官移植に関連する急性及び慢性免疫疾患、アジソン病、アレルギー疾患、脱毛症、円形脱毛症、アテローム性疾患/動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節炎(変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、乾癬性関節炎及び反応性関節炎を含む)、シェーグレン病関連肺疾患、シェーグレン症候群、皮膚同種移植拒絶反応、皮膚変化症候群、小腸移植拒絶反応、精子自己免疫、多発性硬化症(全てのサブタイプ)、脊髄性運動失調症、脊髄小脳変性症、脊椎関節症、散発性多腺性欠損症I型、散発性多腺性欠損症II型、スティル病、レンサ球菌性筋炎、脳卒中、小脳の構造的病変、亜急性硬化性全脳炎、交感性眼炎、気絶、心血管系の梅毒、全身性アナフィラキシー、全身性炎症反応症候群、全身性発症若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス関連肺疾患、ループス腎炎、全身性硬化症、ならびに全身性硬化症関連間質性肺疾患が含まれる。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、炎症性疾患である。炎症は、宿主防御及び免疫媒介疾患の進行において基本的な役割を果たす。炎症性反応は、化学的メディエーター(例えば、サイトカイン及びプロスタグランジン)及び炎症性細胞(例えば、白血球)を含む、事象の複雑なカスケードによって傷害(例えば、外傷、虚血、及び外来粒子)及び感染症(例えば、細菌またはウイルス感染症)に応答して開始する。炎症性反応は、増加した血流、増加した毛細血管透過性、及び食細胞の流入によって特性化される。これらの事象は、腫れ、赤み、暖かみ(変化した熱パターン)、及び傷害または感染の部位における膿形成をもたらす。
サイトカイン及びプロスタグランジンは、炎症性反応を制御し、順序付けられた自己制限カスケードで血液または罹患組織に放出される。このサイトカイン及びプロスタグランジンの放出は、傷害または感染の領域への血流を増加させ、赤み及び暖かみをもたらし得る。これらの化学物質の一部は、組織への体液の漏出を引き起こし、腫れをもたらす。この保護的プロセスは、神経を刺激し、疼痛を引き起こし得る。これらの変化は、関連する領域において限定された期間で生じる場合、身体に有益に働く。炎症性反応における体液性免疫要素と細胞性免疫要素との間のデリケートな十分にバランスの取れた相互作用は、有害な因子の排除及び損傷した組織の修復の開始を可能とする。このデリケートにバランスの取れた相互作用は崩れた場合、炎症性反応は、正常な組織に対する大きな損傷をもたらし得、反応を開始させた元の傷害よりも有害であり得る。制御できない炎症性反応のこれらの場合では、組織損傷及び器官機能不全を予防するために臨床的介入が必要とされる。乾癬、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、クローン病、喘息、アレルギーまたは炎症性腸疾患等の疾患は、慢性炎症によって特性化される。炎症性疾患、例えば、関節炎、関連する関節炎病態(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、及び乾癬性関節炎)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、敗血症、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、及び慢性閉塞性肺疾患、慢性炎症性肺疾患もまた、広まっており、問題となる病気である。
5.7.2. 診断及び検出方法及び使用
別の態様では、本明細書では、例えば、抗原の検出及び/または抗体によって認識されるそのエピトープの存在によって、検出、予後、診断、段階化のための本明細書で提供される結合分子の使用を伴い、1つ以上の組織または細胞タイプへの特定の処置の結合を決定し、及び/または対象における処置決定を知らせる方法が提供される。
いくつかの実施形態では、サンプル、例えば、細胞、組織サンプル、ライセート、組成物、またはそれらに由来する他のサンプルは、本明細書で提供される結合分子と接触させられ、結合が決定または検出される。試験サンプルにおける結合が、同じ組織タイプの参照細胞と比較して実証または検出される場合、それは、関連する疾患または障害の存在を示し得、及び/または抗体を含有する治療剤が、サンプルの由来となった組織もしくは細胞または他の生物学的物質と同じである、または同じタイプである組織または細胞に特異的に結合するであろうということを示し得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、ヒト組織からのものであり、罹患した及び/または正常な組織からのもの、例えば、処置される疾患または障害を有する対象からのもの及び/またはかかる対象と同じ種であるが処置される疾患または障害を有しない対象からのものであり得る。いくつかの場合では、正常な組織または細胞は、処置される疾患または障害を有する対象からのものであるが、それ自体は罹患した細胞または組織ではなく、例えば、所与の対象に存在するがんと同じまたは異なる器官からの正常な組織である。
特異的抗体-抗原結合を検出するための当該技術分野で知られている様々な方法が使用され得る。例示的なイムノアッセイには、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、比濁阻害イムノアッセイ(NIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及びラジオイムノアッセイ(RIA)が含まれる。アッセイ装置及び適合性のあるイムノアッセイ手順の利用可能性によってしばしば決定づけられる方法の様々な使用に必要性を満たすように指標部位、または標識基が使用され得る。例示的な標識には、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、H、または32P及び/またはクロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光部位またはタンパク質(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、またはBFP)、または発光部位(例えば、Quantum Dot Corporation,Palo Alto,Calif.によって供給されるQdot(商標)ナノ粒子)が含まれる。上記の様々なイムノアッセイを実施する際に使用される様々な一般的技術が知られている。
所定の実施形態では、標識された抗体が提供される。標識には、直接的に検出される標識または部分(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射性等)、ならびに例えば、酵素反応または分子相互作用を介して間接的に検出される部分、例えば、酵素またはリガンドが含まれるがこれらに限定されない。他の実施形態では、抗体は標識されず、その存在は、抗体のいずれかに結合する標識された抗体を使用して検出され得る。
5.8 キット及び製品
本明細書に記載の分子及びオリゴマーのいずれかを含むキット、単位投薬量、及び製品がさらに提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物のうちのいずれか1つを含むキットが提供され、好ましくは、その使用に関する指示を提供する。
本出願のキットは、好適なパッケージング内に存在する。好適なパッケージングとしては、バイアル、ボトル、瓶、可撓性パッケージング(例えば、密封マイラーまたはプラスチック袋)等が挙げられるが、これらに限定されない。キットは、任意に、緩衝液及び解釈情報等の追加の成分を提供し得る。したがって、本出願は、バイアル(密封バイアル等)、ボトル、瓶、可撓性パッケージング等を含む製品も提供する。
製品は、容器及び容器上のまたは容器に関連するラベルまたは添付文書を含み得る。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の多様な材料から形成され得る。一般に、容器は、本明細書に記載の疾患または障害(がん等)の処置に有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルである)。ラベルまたはパッケージ挿入物は、組成物が個体における特定の病態を処置するために使用されることを示す。ラベルまたはパッケージ挿入物は、組成物を個体に投与するための指示をさらに含むであろう。ラベルは、再構成及び/または使用のための説明を示し得る。薬学的組成物を保持する容器は、複数回使用バイアルであってもよく、これは、再構成した製剤の反復投与(例えば、2~6回の投与)を可能にする。添付文書とは、かかる治療薬の適応症、使用、投薬量、投与、禁忌、及び/またはその使用に関する警告についての情報を含む、治療薬の商業用パッケージに通例含まれる指示を指す。さらに、製品は、薬学的に許容可能な緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液を含む第2の容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
キットまたは製品は、薬局、例えば、病院薬局及び配合薬局での保管及び使用に十分な量でパッケージングされる、薬学的組成物の複数の単位用量及び使用に関する指示を含み得る。
簡潔性のため、所定の略語が本明細書で使用される。1つの例は、アミノ酸残基を表すための一文字の略語である。アミノ酸及びそれらの対応する三文字及び一文字の略語は以下のとおりである:
Figure 2024516392000002
本開示は通常、多数の実施形態を記載するために肯定的な言語を使用して本明細書に開示される。本開示にはまた具体的に、物質または材料、方法の工程及び条件、プロトコル、手順、アッセイまたは分析等の特定の対象事項が完全にまたは部分的に除外される実施形態が含まれる。よって、本開示が通常、本開示が含まないものに関して本明細書で明示されていない場合であっても、本開示に明示的に含まれない態様は、それにもかかわらず、本明細書に開示される。
多数の本開示の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修飾がなされ得ることが理解される。したがって、以下の実施例は、特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を説明し、それを限定するものではないことが意図されている。
6.以下は、研究において使用された様々な方法及び物質の説明であり、本発明を作製及び使用する仕方の完全な開示及び説明を当業者に提供するように示されており、本発明者が彼らの発明とみなすものもを限定することは意図されておらず、以下の実験が実施され、実施され得る実験の全てであることを示すことも意図されていない。現在時制で記載された例示的な記載は、かならずしも実施されたわけではないが、むしろその記載は、本発明の教示に関連するデータ等を生成するために実施され得ることを理解されたい。使用される数値(例えば、量、パーセンテージ等)に関する精度を確保するように努めたが、多少の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。
6.1 実施例1-huIgG1 Fc-μtpバリアントのためのプラスミド構築。
この例は、六量体の形成について試験するために定常領域における異なる点変異を有する候補のためのプラスミド構築物の設計を提供する。
以下の変異群の各々がEU番号付けに基づいてヒトIgG1 Fc領域に導入された構築物を作製した。Ile253は、システインで置換された(I253C)。Tyr436は、システインで置換された(Y436C)。Gln438は、システインで置換された(Q438C)。His310は、システインで置換された(H310C)。Leu251は、システインで置換され(L251C)、Ile253は、グリシンで置換され(I253G)、Ser254は、システインで置換された(S254C)。Ser254は、システイン(S254C)で置換され、Asn434は、システインで置換された(N434C)。Leu251は、システイン(L251C)で置換され、Ser254は、システインで置換された(S254C)。Asn286は、システインで置換された(N286C)。
上記構築物の各々のため、μtp(配列番号1)をC3領域のC末端に付加した。上記構築物の各々のため、シグナルペプチド(配列番号2)をC2領域のN末端に付加した。I253C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号3である。Y436C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号4である。Q438C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号5である。H310C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号6である。L251C、I253G、及びS254C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号7である。S254C及びN434C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号8である。L251C及びS254C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号9である。N286C変異を有するhuIgG1 Fc-μtpのアミノ酸配列は配列番号10である。上述した様々な配列が以下の表1に示されている。

Figure 2024516392000003
Figure 2024516392000004
遺伝子クローニング、部位変異、及びプラスミド構築は、当該技術分野でよく知られている標準的な分子生物学技術を用いて行った(例えば、Sambrook and Russel,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Kostelny et al.,Int.J.Cancer 93:556-565,2001;Cole et al.,J.Immunol.159:3613-3621,1997及びTsurushita et al.,Methods 36:69-83,2005.を参照されたい)。特に、huIgG1 Fc-μtpバリアントのアミノ酸配列を哺乳動物発現のためにコドン最適化した。コドン最適化されたDNAを合成し、哺乳動物発現ベクターpTT5にサブクローニングした。
6.2 実施例2-huIgG1 Fc-μtpバリアントの六量体の生成、精製、及び特性化。
様々なhuIgG1 Fc-μtp構築物をExpi293発現系(Thermo Fisher Scientific)を使用して一過性に発現させた。トランスフェクションを製造業者のプロトコルに従って行った。トランスフェクションされた細胞培養物を37℃、5%COで4日間インキュベートした。huIgG1 Fc-μtp構築物及び対照の各々からの10μLのコンディショニングされた培地を3.3μLの4X Laemmli緩衝液と混合し、95℃で5分間加熱した。NuPAGE(商標)3~8%、トリス-アセテートタンパク質ゲルを調製し、使用してコンディショニングされた培地における標的タンパク質の一過性発現を可視化した(図1を参照されたい)。
図1Aに示されているように、野生型huIgG1-μtpは、単量体形態として主に現れた(54kDa、レーン12)。驚くべきことに、強力な六量体形成がhuIgG1 Fc(I253C)-μtpについて観察された(324kDa、レーン6)。しかしながら、huIgG1 Fc(Q438C)-μtp及びhuIgG1 Fc(Y436C)-μtpの大部分は、単量体として発現した(レーン8及び10)。図1Bに示されているように、huIgG1 Fc(H310C)-μtp、huIgG1Fc(L251C、I253G、及びS254C)-μtp、huIgG1 Fc(S254C及びN434C)-μtp、及びhuIgG1 Fc(L251C及びS254C)-μtpもまた、単量体として発現した(レーン5、6、7、及び8)。図1Cに示されているように、huIgG1 Fc(N286C)-μtpは、単量体として発現した(レーン5)。そのため、huIgG1 Fc(I253C)-μtpをさらなる精製及び分析のために使用した。
MabSelect(商標)プロテインA樹脂及びCaptureSelect(商標)FcXL Affinity Matrix(Thermo Fisher Scientific)を並行して使用して親和性プルダウンによって手動でhuIgG1 Fc(I253C)-μtpの精製を開始した。200μlのプロテインA及びFcXL樹脂を小さなスピンカラムに充填した。発現したタンパク質を有する培地をピペッティングによってカラムに適用した。結合後、フロースルー、洗浄及び溶出プロセスをスピン当たり0.5分間、700gで遠心分離によって実施した。製造業者の推奨に基づいて、緩衝液1(50mMの酢酸ナトリウム、pH3.5)をプロテインA溶出のために使用したのに対し、緩衝液2(20mMの酢酸、100mMのグリシン、pH3.5)をFcXL溶出のために使用した。PBS緩衝液(pH7.5)を両方の樹脂のための洗浄緩衝液として使用した。各溶出画分は200μlの体積であり、溶出の直後に中和した。電気泳動によって精製を分析するために、20μLのサンプルを7μLの4X Laemmli緩衝液(非還元性)と混合し、95℃で5分間熱変性した。4~20%のCriterion(商標)TGX Stain-Free(商標)Protein Gelを使用して精製産物を分解し、可視化した。huIgG1 Fc(I253C)-μtpの六量体は、プロテインA樹脂のいずれの溶出画分にも検出されなかった(図2AのレーンE1~E4を参照されたい)が、フロースルー画分に存在した(データは示されていない)。対照的に、huIgG1 Fc(I253C)-μtpの六量体がFcXL樹脂の溶出画分において検出された(図2BのレーンE1を参照されたい)。かかる観察は、huIgG1 Fc(I253C)-μtpが、C2相互作用を必要とするプロテインAへの結合を完全に喪失したことを示唆している。huIgG1 Fc(I253C)-μtpは、C3相互作用を介してFcXL樹脂に結合し得ることを示唆している。
上述したアフィニティー精製方法に代えて、huIgG1 Fc(I253C)-μtpをダイアフィルトレーションと、それに続く陰イオン交換クロマトグラフィー(AIEX)を使用して捕捉し、精製した。かかる例は、以下に詳細に記載されている。発現したタンパク質を有する5mlの培地を濾過し、30kDaのカットオフ濃縮体(MilliporeSigma(商標)Amicon(商標)Ultra)を使用してダイアフィルトレーションを介して緩衝液A(50mMのトリス、50mMのNaCl、pH8.0)に緩衝液交換した。次いでタンパク質を1ml/分の流速でAKTA Avant FPLCシステムで1mlのHiTrap(商標)Q XLカラム(Cytiva)に入れた。結合したタンパク質を有するカラムを10カラム体積(CV)の緩衝液Aによって洗浄し、100%の緩衝液Aから多量の塩を有する100%の緩衝液B(50mMのトリス、500mMのNaCl、pH8.0)までの線状グラジエントを使用して溶出させた。溶出画分を250μlの体積で収集した。六量体huIgG1 Fc(I253C)-μtpは、Q XL樹脂への強力な結合を示し、75%以上の緩衝液Bのグラジエントで溶出させた(25%の緩衝液A/75%の緩衝液Bは370mMのNaClを含有し、導電性は18.45mS/cmと同等であったことに留意されたい)。溶出画分を図2Cに示されているように4~20%のCriterion(商標)TGX Stain-Free(商標)Protein Gelを使用して電気泳動によって分析した。プールされた画分(図2Cにおけるマーカーレーンに対して右)をさらなる特性化のために標準的なHBS緩衝液に緩衝液交換した。
精製されたhuIgG1 Fc(I253C)-μtp六量体を質量分析、HPLC-SEC及びナノDSFによる特性化に供した。huIgG1 Fc(I253C)-μtp一本鎖(ホモ六量体のサブ単位のみ)の正確な分子量を脱グリコシル化及びDTT還元の後にインタクト質量分析によって測定した。N-グリコシル化の完全な除去及びジスルフィド結合の還元の後、単一のhuIgG1 Fc(I253C)-μtp鎖は、図3Aに示されているように、検出された26905.70Daの分子量を有し、これは、翻訳後修飾を有しない一本鎖の計算されたモル質量(26904.50Da)と一致する。精製されたhuIgG1 Fc(I253C)-μtp六量体もまた、HPLC-SEC(Agilent)によって非変性条件下で分析した。15μlのhuIgG1 Fc(I253C)-μtp(1mg/ml)を、移動相として2X PBSを使用して0.5ml/分の流速で30分の実行でTSKgel G3000SWカラム(TOSOH)に注入した。BioRadゲル濾過標準をサンプル実行の前及び後に使用した。図3Bに示されているように、ウシサイログロブリン(670kDa)の保持時間は13分であり、ウシγ-グロブリン(158kDa)の保持時間は18分であり、ニワトリオボアルブミン(44kDa)の保持時間は20分であった。インタクト質量分析によって確認されるように、huIgG1 Fc(I253C)-μtp単量体は、2つのFc鎖を含み、54kDaの推定サイズを有していたの対し、六量体は、12個のFc鎖を有し、324kDaの推定サイズを有していた。HPLC-SECクロマトグラム(図3B及び3C)について、huIgG1 Fc(I253C)-μtp六量体は、15分の保持時間を有し、単量体は、19分の保持時間を有していたのに対し、より高いオリゴマーは、13分の保持時間を有していたことが明らかであった。HPLC-SEC(図3C)の定量的分析は、huIgG1 Fc(I253C)-μtpの94.2%が六量体(1工程AIEXから)を形成したことを示していた。huIgG1 Fc(I253C)-μtp六量体の熱安定性を評価するために、50μlのタンパク質(1mg/ml)をナノDSFによる標準的な分析に供した。熱的脱フォールディングに起因する固有の蛍光変化(図3D)は、六量体huIgG1 Fc(I253C)-μtpが79.54℃の単一の融解温度を有していたことを実証した。上記の特性化は、huIgG1 Fc(I253C)-μtpが所望のホモ六量体を形成し、それは精製可能であり、卓越した熱安定性を有することを示唆している。
6.3 実施例3-IgG六量体の生成及び精製。
huIgG1 Fc(I253C)-μtpを含む例示的な六量体IgG抗体を発現させ、精製した。例示的な六量体IgG抗体の抗原結合部分は、表2に示されるように抗ベータクロトー、抗GFRALまたは抗VEGFからのVH及びVLを含んでいた。


Figure 2024516392000005
タンパク質をExpi293発現系を使用して一過性に発現させ、上述したように電気泳動によって分析した。huIgG1 Fc(I253C)-μtpならびに抗ベータクロトーのVH及びVLを含むIgG六量体がレーン4に示されている。huIgG1 Fc(I253C)-μtpならびに抗GFRALのVH及びVLを含むIgG六量体がレーン5に示されている。huIgG1 Fc(I253C)-μtpならびに抗VEGFのVH及びVLを含むIgG六量体が図4のレーン6に示されている。
これらの六量体をプロテインLアフィニティークロマトグラフィーと、それに続く混合モードクロマトグラフィーによって精製した。タンパク質サンプルを0.2μm滅菌フィルターユニットを介して濾過し、アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。正しい緩衝液条件下(緩衝液A:1xPBS)で、サンプルを、AKTA AVANT FPLCシステムを使用して5ml/分の流速で5mlのHiTrap ProLカラムに入れた。結合したタンパク質を5CVの緩衝液Aによって洗浄し、15CVの100%緩衝液B1(0.1Mのグリシン、20mMのアセテート、pH3.5)、次いで15CVの緩衝液B2(0.1Mのグリシン、20mMのアセテート、pH3.0)を使用して樹脂から溶出させた。溶出した画分をプールし、別々に中和した。次いで中和されたプールされた画分を0.2μm滅菌フィルターユニットを介して濾過し、混合モードクロマトグラフィーによって精製した。正しい緩衝液条件(緩衝液C:50mMのHEPES、30mMのNaCl、5mMのPO)下で、サンプルを5ml/分の流速でAKTA AVANT FPLCシステムを使用してEconoFit CHT II型、40μm充填カラムに入れた。結合したタンパク質を5CVの緩衝液Cによって洗浄し、0%から100%までの緩衝液D1(50mMのHEPES、2MのNaCl、5mMのPO)の20CVの線状グラジエント、次いで0%の緩衝液D1に戻る10CVの線状グラジエントで溶出させた。これを緩衝液D2(50mMのHEPES、30mMのNaCl、500mMのPO)で繰り返した。画分を96ディープウェルプレートに収集した。単量体をNaClグラジエントで溶出させたのに対し、六量体をPOグラジエントで溶出させた。
以上から、特定の実施形態が例示の目的のために本明細書で記載されているが、本明細書で提供されるものの趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修飾がなされ得ることが理解されるであろう。上記で言及された参考文献の全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (44)

  1. IgG C2領域を含む分子であって、EU番号付けによる前記IgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、前記分子。
  2. 前記分子は、IgGヒンジ領域をさらに含む、請求項1に記載の分子。
  3. IgG C3領域をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の分子。
  4. ヒトμテールピースをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の分子。
  5. 前記ヒトμテールピースは、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、または90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の分子。
  6. 前記ヒトμテールピースは、前記IgG C2領域のC末端にコンジュゲートされている、請求項4または請求項5に記載の分子。
  7. 前記ヒトμテールピースは、前記IgG C3領域のC末端にコンジュゲートされている、請求項4または請求項5に記載の分子。
  8. 前記分子は、IgG C1領域をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の分子。
  9. 前記IgGは、ヒトIgGである、請求項1~8のいずれか1項に記載の分子。
  10. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG1である、請求項9に記載の分子。
  11. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG2である、請求項9に記載の分子。
  12. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG3である、請求項9に記載の分子。
  13. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG4である、請求項9に記載の分子。
  14. 前記分子は、標的に特異的に結合する結合ドメインをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の分子。
  15. 前記結合ドメインは、抗体断片である、請求項14に記載の分子。
  16. 前記分子は、抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~14のいずれか1項に記載の分子。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の2つ以上の分子を含むオリゴマー。
  18. 2つ以上の分子を含むオリゴマーであって、各分子は、IgG C2領域を含み、EU番号付けによる前記IgG C2領域における位置253は、システインとなるように置換されている、前記オリゴマー。
  19. 前記分子は、IgGヒンジ領域をさらに含む、請求項18に記載のオリゴマー。
  20. IgG C3領域をさらに含む、請求項18または請求項19に記載のオリゴマー。
  21. ヒトμテールピースをさらに含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  22. 前記ヒトμテールピースは、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載のオリゴマー。
  23. 前記ヒトμテールピースは、前記IgG C2領域のC末端にコンジュゲートされている、請求項21または請求項22に記載のオリゴマー。
  24. 前記ヒトμテールピースは、前記IgG C3領域のC末端にコンジュゲートされている、請求項21または請求項22に記載のオリゴマー。
  25. 前記分子は、IgG C1領域をさらに含む、請求項18~24のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  26. 前記IgGは、ヒトIgGである、請求項18~25のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  27. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG1である、請求項26に記載のオリゴマー。
  28. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG2である、請求項26に記載のオリゴマー。
  29. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG3である、請求項26に記載のオリゴマー。
  30. 前記ヒトIgGは、ヒトIgG4である、請求項26に記載のオリゴマー。
  31. 前記分子は、標的に特異的に結合する結合ドメインをさらに含む、請求項18~30のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  32. 前記結合ドメインは、抗体断片である、請求項31に記載のオリゴマー。
  33. 前記分子は、抗体またはその抗原結合断片である、請求項18~32のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  34. 前記オリゴマーは、五量体である、請求項18~33のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  35. 前記オリゴマーは、六量体である、請求項18~33のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  36. 前記オリゴマーは、ホモマーであり、前記2つ以上の分子は、同じ標的に結合する、請求項18~35のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  37. 前記オリゴマーは、ヘテロマーである、請求項18~35のいずれか1項に記載のオリゴマー。
  38. 前記2つ以上の分子は、2つ以上の異なる標的に結合する、請求項37に記載のオリゴマー。
  39. 請求項1~16のいずれか1項に記載の分子をコードする単離された核酸。
  40. 請求項39に記載の核酸を含むベクター。
  41. 請求項1~16のいずれか1項に記載の分子、請求項17~38のいずれか1項に記載のオリゴマー、請求項39に記載の単離された核酸、または請求項40に記載のベクター、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物。
  42. 対象における疾患または障害を処置するための方法であって、請求項41に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  43. IgG C2領域をそれぞれ含む2つ以上の分子を含むオリゴマーを作製する方法であって、前記IgG C2領域におけるEU番号付けによる位置253でシステインアミノ酸置換を各分子に導入することを含む、前記方法。
  44. オリゴマー化された分子を生成する方法であって、
    i.請求項40に記載のベクターを宿主細胞に導入すること、
    ii.前記オリゴマー化された分子の生成のための好適な条件下で前記宿主細胞を培養すること、及び
    iii.前記オリゴマー化された分子を精製すること
    を含む、前記方法。
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