JP2024515902A - 組織向性が改善されたアデノ随伴ウイルスベクターカプシド - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規なキメラAAVカプシドタンパク質、並びにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、例えば、組換えAAV(rAAV)ベクター、及びその組み合わせにおける、その使用を提供する。キメラAAVカプシドタンパク質は、親AAVカプシドの場合と異なる向性を含む有利な特性を有する。本開示は、親AAVカプシドの向性特性と異なる向性特性を含む有利な特性を示す新規なキメラAAVカプシドを提供する。さらに、新規なキメラAAVカプシドは、標準プロトコルでの生成に適合可能であり、親AAV血清型の場合に一致する力価をもたらす。別の態様では、新規なキメラAAVカプシドは、臨床的遺伝子療法プログラムのための原体を作製するための標準プロトコル下での精製に適合可能である。

Description

配列表の参照
本願は、EFS-Webを介して電子的にファイルされていて、.txt形式で電子的に提出された配列表を含む。.txtファイルは、2022年2月15日に作成され、254KBのサイズを有する「PC072719_SequenceListing_ST25.txt」という表題の配列表を含む。この.txtファイルに含まれる配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、キメラAAVカプシドタンパク質の分野、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、例えば組換えAAV(rAAV)ベクターにおけるその使用に関する。具体的に、本発明は、親AAVカプシドの向性と異なる向性を含む有利な特性を有するキメラAAVカプシドに関する。
治療用導入遺伝子を送達するために組換えAAV(rAAV)ベクターを使用するような治療法を含む遺伝子療法は、治療法がなく、多くの症例において治療が限られているような広範囲の重篤な疾患を治療する可能性を有する(Wang et al.(2019)Nature Reviews 18:358-378)。rAAVベクターを含む遺伝子療法は、欠陥遺伝子の健常なコピーを患者に導入し、次いで正常な構造又は機能を有するタンパク質を発現させる。
rAAVベクターは、AAVの天然、合成又はキメラ血清型にいずれかを用いて産生することができる。血清型は、1つの血清型のウイルスカプシドタンパク質に反応性を示す抗体が別の血清型を中和できないことによって定義可能である(Choi et al.(2005)Curr.Gene Ther.5(3):299-310)。中和の欠如は、より新しいAAVの血清がサブグループ又は変異体と同じであることを示す。新しいAAV単離物は、カプシド構造、抗原多様性、及び変動する組織向性における差異を示し得る(Asokan et al.(2011)Molecular Ther.20(4)699-708)。一部のAAV血清型についての向性は特徴づけられており、それには、AAV1、AAV6及びAAV9の骨格筋向性、AAV1、AAV6及びAAV9の心筋向性、AAV5の肺向性、AAV8の肝臓向性、AAV4及びAAV8の眼向性、AAV1、AAV5、AAV8、AAV9、AAVv66及びその他のCNS向性が含まれる(Asokan et al.(2011)Molecular Ther.20(4)699-708;Hsu et al.(2020)Nat.Comm.11:3279;Srivastava et al.(2016)Curr.Opin.Virol.21:75-80)。AAV1、AAV2、AAV6、AA8及びAAV9の混合物を有するキメラカプシドは、線条体オリゴデンドロサイトに対する>95%の向性を示す(Powell et al.(2016)Gene Ther.23:807-814)。キメラカプシドは、AAV12のVP1/2配列及びAAV6のVP3配列から得られており、ヒトT細胞、造血幹細胞及び神経細胞株の感染増強を示す(Viney et al.(2021)J.Virol.95(7):1-15)。特定の細胞型若しくは組織を標的にする、又は細胞型若しくは組織を通じて特定の向性特性を有するAAVカプシドは、遺伝子療法プログラムにおける使用にとって有利である。
Wang et al.(2019)Nature Reviews 18:358-378 Choi et al.(2005)Curr.Gene Ther.5(3):299-310 Asokan et al.(2011)Molecular Ther.20(4)699-708 Hsu et al.(2020)Nat.Comm.11:3279 Srivastava et al.(2016)Curr.Opin.Virol.21:75-80 Viney et al.(2021)J.Virol.95(7):1-15
本開示は、親AAVカプシドの向性特性と異なる向性特性を含む有利な特性を示す新規なキメラAAVカプシドを提供する。さらに、新規なキメラAAVカプシドは、標準プロトコルでの生成に適合可能であり、親AAV血清型の場合に一致する力価をもたらす。別の態様では、新規なキメラAAVカプシドは、臨床的遺伝子療法プログラムのための原体を作製するための標準プロトコル下での精製に適合可能である。
いくつかの態様では、本開示は、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含むAAVカプシドポリペプチドを提供する。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、約222~約235アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、βシートGとβシートHとの間の領域は、βシートG及びβシートH内部からのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F、I、又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、E、K、N、Q、S又はTである)(配列番号52)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートH及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートHは、XIKNT(式中、Xは、Q、又はMであり;Xは、I又はMであり;Xは、L、M又はFである)(配列番号65)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列又はその両方は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23のいずれか1つで表される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列又はその両方は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22及び配列番号24のいずれか1つで表される核酸によってコードされる。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域、別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域又はその両方は、配列VPFHS(配列番号75)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)又はMKHPPP(配列番号77)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV9又はAAVrh10であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5及びAAV9からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号39、及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号39、及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域、別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域又はその両方は、配列GNNFXF(式中、Xは、E、Q又はTである)(配列番号78)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV9であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV6、AAV7及びAAV8からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号33、配列番号35及び配列番号37のいずれか1つと少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号33、配列番号35及び配列番号37のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域、別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域又はその両方は、配列LYRFVST(配列番号79)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列PPPM(配列番号80)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV5であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAVブタ5である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号47と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号47のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの態様では、本開示は、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含むAAVカプシドポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、βシートGとβシートIとの間の領域は、βシートG及びβシートI内部からのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E又はTであり;Xは、F又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、K、N又はTである)(配列番号81)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、親AAV VPI、別のAAV VP1又はその両方は、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートI及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートIは、TQYSTGQVXVXWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E、K又はQであり;Xは、I又はMであり;Xは、D又はEであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号71)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、親AAV VPI、別のAAV VP1又はその両方は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、又はその両方は、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23のいずれか1つで表される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列又はその両方は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22及び配列番号24のいずれか1つで表される核酸によってコードされる。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域並びに別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域は、配列MLRTGNNF(配列番号82)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列FITQYSTGQV(配列番号83)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV5であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAVウシ又はAAVブタ4である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号43又は配列番号45と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、配列番号43又は配列番号45のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの態様では、本開示は、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV6 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含むAAVカプシドポリペプチドを提供し、ここで該ポリペプチドは、配列番号33のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAV6 VP1ポリペプチドからのアミノ酸E547 S552、N553、A555、N558 V559のいずれか1つ以上並びにAAV9 VP1ポリペプチドからのアミノ酸N710、N711及びV721のいずれか1つ以上は、PKD1受容体と相互作用する。いくつかの実施形態では、AAV6 VP1ポリペプチドからのアミノ酸W504及びT505のいずれか1つ以上、並びにAAV9 VP1ポリペプチドからのアミノ酸S263、S269、S386、Q387、D384、N270のいずれか1つ以上は、PKD2受容体と相互作用する。
いくつかの態様では、本開示は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45及び配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるAAVカプシドポリペプチドを提供する。
いくつかの態様では、本開示は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46及び配列番号48からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるAAVカプシドポリペプチドを提供する。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを提供する。いくつかの実施形態では、rAAVベクターは、導入遺伝子を含む核酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、治療用タンパク質又はレポータータンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、レポータータンパク質は、GFPタンパク質である。いくつかの実施形態では、rAAVベクターの向性は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドを含む他の同一のrAAVベクターの向性と異なる。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、核酸は、プラスミドである。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む。
いくつかの態様では、本開示は、i)本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチド及びベクターゲノムを含むrAAVベクター、並びにii)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、i)本明細書で開示されるrAAVベクター及びii)薬学的に許容される賦形剤を含む。
いくつかの態様では、本開示は、rAAVベクターを作製する方法であって、i)培養中の宿主細胞に、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミド、及び治療用タンパク質又はレポータータンパク質をコードする核酸を含むプラスミドをトランスフェクトすることと、ii)rAAVベクターを宿主細胞、培地又はその両方から単離することと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量と実質的に類似する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量の約80%~140%である。いくつかの実施形態では、親血清型は、AAV9である。いくつかの実施形態では、rAAVベクターは、配列番号33、配列番号35又は配列番号37のアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量よりも5~100倍多い。いくつかの実施形態では、親血清型は、AAV5である。いくつかの実施形態では、rAAVベクターは、配列番号43、配列番号45又は配列番号47のアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドを含む。
いくつかの態様では、本開示は、標的細胞を形質導入する方法であって、標的細胞を、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、本明細書で開示されるrAAVベクター又は本明細書で開示される医薬組成物と接触させることを含み、それによりrAAVベクターは標的細胞に導入される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、膵臓(例えば、ベータ島細胞、外分泌)、肺、中枢若しくは末梢神経系、例えば、脳(例えば、神経若しくは上衣細胞、オリゴデンドロサイト)若しくは脊椎、腎臓、眼(例えば、網膜)、脾臓、皮膚、胸腺、精巣、肺、横隔膜、心(心臓)、筋肉若しくは腰筋、又は腸(例えば、内分泌)、脂肪組織(白色、褐色若しくはベージュ)、筋肉(例えば、線維芽細胞、筋細胞)、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、唾液腺細胞、内耳神経細胞、造血(例えば、血液若しくはリンパ)又は幹(例えば、多能性若しくは複能性前駆)細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、単離された細胞であり、形質導入はエクスビボでなされる。いくつかの実施形態では、標的細胞は、生物内の細胞であり、形質導入はインビボでなされる。いくつかの実施形態では、形質導入された標的細胞は、治療用タンパク質又はレポータータンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、レポータータンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)である。いくつかの実施形態では、生物内の形質導入細胞は、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を発現する。
いくつかの態様では、本開示は、疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防に使用するための、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、本明細書で開示されるrAAVベクター又は本明細書で開示される医薬組成物を提供する。いくつかの態様では、本開示は、疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防のための薬剤の製造における、本明細書で開示されるAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、本明細書で開示されるrAAVベクター又は本明細書で開示される医薬組成物の使用を提供する。
GHループ置換又はGIループ置換を有するAAVカプシドの例示的な設計を表す。 親rAAV9ベクター及びrAAV5ベクターの産生と比較した、AAVウシ(AAV5GHBov)、AAVブタ4(AAV5GHpo5)、AAVブタ5(AAV5GHpo5)、AAV7(AAV9GH7)又はAAV8(AAV9GH8)からのGHループ又はGIループ置換を有するAAV9又はAAV5カプシドを有する30mLの培養物中のHEK293T細胞内のrAAVベクターの例示的な産生値を表す。データは、ウイルスゲノム(vg)/mLとして表される。 親rAAV9ベクターの産生と比較した、AAV6(AAV9GH6)、AAV7(AAV9GH7)又はAAV8(AAV9GH8)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターの例示的な2リットルの懸濁培養の産生値を表す。データは、プロデューサー細胞あたりの産生されたウイルスゲノム(vg)として表される。 マウスに静脈内投与された、増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(AAV9GH6)若しくはAAV7(AAV9GH7)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターの例示的な全動物及び組織の体内分布を表す。全動物及び生体外組織において、生物発光が光子/秒として測定された。対照動物には、媒体対照としての生理食塩水が投与された。 マウスに静脈内投与された、eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(AAV9GH6)若しくはAAV7(AAV9GH7)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターの例示的な組織の体内分布の定量化を表す。全動物及び組織において、生物発光が光子/秒として測定され、非注射対照に対して正規化された(n=2)。肝臓組織内での相対的発光における有意差が**によって示される。 マウスにICVによって投与された、eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(GH6)、AAV7(GH7)若しくはAAV8(GH8)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターの例示的な全動物の体内分布を表す。全動物において、生物発光が光子/秒として測定された。対照動物には、媒体対照としての生理食塩水が投与された。 マウスにICVによって投与された、eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV7(GH7)若しくはAAV8(GH8)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターの例示的な生体外組織の体内分布を表す。組織において、生物発光が光子/秒として測定された。動物には、媒体対照としての生理食塩水が投与された。 eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(AAV9GH6)、AAV7(AAV9GH7)若しくはAAV8(AAV9GH8)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターが3E+13vg/kg又は5E+12vg/kgで投与された、C57/Bl6マウス(n=4)からの組織におけるddPCRによるrAAVベクターの体内分布を表す。体内分布における有意差が****によって示される。 eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(AAV9GH6)、AAV7(AAV9GH7)若しくはAAV8(AAV9GH8)からのGHループ置換を有するAAV9カプシドを有するrAAVベクターが3E+13vg/kgで静脈内投与されたマウスからの肝臓組織における例示的なRNA発現レベルを表す。 eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(AAV9GH6)、AAV7(AAV9GH7)若しくはAAV8(AAV9GH8)からのGHループ置換を有するAAVカプシドを有するrAAVベクターが3E+13vg/kgで投与されたマウスの肝臓及び心臓組織における例示的なIHC染色を表す。 eGFP導入遺伝子及びAAV9カプシド又はAAV6(AAV9GH6)若しくはAAV7(AAV9GH7)からのGHループ置換を有するAAVカプシドを有するrAAVベクターが投与されたマウスからの全心臓(左上パネル)、心室(右上パネル)及び肝臓(下パネル)組織のIHC GFP陽性領域の例示的な定量化を表す。各点は、単一の動物を表す。バーは、平均+/-SDを表す。有意性は、チューキーの多重比較検定を用いる一元配置分散分析によって判定された。ns=有意でない;p<0.05,**p<0.01,****p<0.0001。 cryoEM分析によるAAV-GH-AAV6カプシドの例示的な構造を表す。図12Aは、AAV9-GH-AAV6カプシドの全体的なEM密度マップを表す。図12Bは、密度マップにフィットする1つのキャプソメアの原子構造モデルを表す。図12Cは、黒色で(三角形内部に)示されるAAV6配列からのカプシド表面成分及び灰色で示されるAAV9配列からの成分を表す。 例示的なAAV9-GH-AAV6カプシド構造のAAV9カプシド構造との比較を表す。図13Aは、AAV9構造(PDBコード:3UX1)と(アライメントに基づいて)重ね合わせられたAAV9-GH-AAV6キャプソメア構造を表す。ループIV(図13B)及びVIII(図13C)領域は、カプシド間の構造的差異を示すため、拡大されている。 例示的なAAV9-GH-AAV6カプシドの構造のAAV6カプシド構造との比較を表す。図14Aは、AAV6構造(PDBコード:3SHM)と(アライメントに基づいて)重ね合わせられたAAV9-GH-AAV6キャプソメア構造を表す。ループIV(図14B)及びVIII(図14C)領域は、カプシド間の構造的差異を示すため、拡大されている。 例示的なAAV受容体PKD1の結合を表す。図15Aは、AAV5カプシドの、球として示され、名付けられたAAV5からの相互作用残基を有するAAV受容体PKD1との結合領域を表す(Zhang et al.(2019)Nat.Comm.10:3760)。図15Bは、AAV9-GH-AAV6カプシドの、球として示され、名付けられたAAV6及びAAV9からの相互作用残基を有するAAV受容体PKD1との予測された結合領域を表す。 例示的なAAV受容体PKD2の結合を表す。図16Aは、AAV1カプシドの、球として示され、名付けられたAAV1からの相互作用残基を有するAAV受容体PKD2との結合領域を表す(Zhang et al.(2019)Nat.Comm.10:3760)。図16Bは、AAV9-GH-AAV6カプシドの、球として示され、名付けられたAAV6及びAAV9からの相互作用残基を有するAAV受容体PKD2との予測された結合領域を表す。
本開示は、遺伝子療法のためのrAAVベクターの作製における使用のための新規なキメラAAVカプシドを提供する。新規なキメラカプシドは、別のAAVカプシド血清型からのβシートGドメイン及びβシートHドメイン、又はβシートIドメインの間の領域の置換を伴う親AAVカプシド血清型を含む。本開示の新規なキメラAAVカプシドは、例えば親AAVカプシドの向性特性と異なる向性特性を含む有利な特性を示す。さらに、新規なキメラAAVカプシドは、標準の細胞培養プロトコル下での作製に適合可能であり、親AAV血清型の場合に一致する力価をもたらす。さらに、新規なキメラAAVカプシドは、臨床的遺伝子療法プログラムのための原体を作製するために用いられる標準プロトコル下での精製に適合可能である。
当業者であれば、新規なAAVカプシド、例えば本明細書で開示されるもの、その上、特定の細胞型若しくは組織を標的にするか、又は細胞型若しくは組織を通じた特定の向性特性を有するものの開発が、臨床的遺伝子療法プログラムにおける使用にとって有利となることを理解するであろう。特定の疾患又は病態によって影響される組織に対応する組織向性を有する新規なAAVカプシドであれば、特に有利となろう。
I.定義
特段の定義がされていない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。本明細書で用いられる用語は、あくまで特定の実施形態を説明することを目的とし、本発明を限定することは意図されない。本発明及び添付の特許請求の範囲の記載において使用する場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別の意味を示していない限り、複数形を同様に含むことが意図される。数値範囲は、その範囲を規定する数値を包含する。「含む(comprising)」、「含む(comprise)」、「含む(comprises)、「含む(including)」及び「有する(having)」は、包括的であることが意図され、列記された要素以外の追加的要素が存在し得ることを意味する。実施形態が本明細書で「含む(comprising)」という用語を用いて説明される場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」の観点で説明されるそれ以外の類似する実施形態も提供されることが理解される。以下の用語は、以下の所与の意味を有する。
本明細書で使用する場合、「約」又は「およそ」という用語を用いて、ある値がその値を決定するために利用されている装置又は方法に対する誤差の標準偏差を含むことを示す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、本明細書で列挙される任意の数値にその数値が測定時に誤差の標準偏差を有すると思われる範囲で付記することができる。
本明細書で使用する場合、「及び/又は」という用語は、関連する列記項目の1つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせ、並びに別の可能性(「又は」)で解釈される場合の組み合わせがないことを指し、包含する。
本明細書で使用する場合、「製剤」、「医薬製剤」又は「医薬組成物」という用語は、それらがrAAVベクターに関連する場合、例えば、pHが規定された、緩衝剤、塩、凍結保護剤、界面活性剤を含む薬学的に許容される賦形剤と組み合わせたrAAVベクターを表すことを意味する。「医薬製剤」又は「医薬組成物」は、活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態の製剤である。
rAAVベクターは、カプシドが導入遺伝子を含む完全なベクターゲノムを含む場合、「完全」、「完全カプシド」、「完全ベクター」又は「完全にパッケージングされたベクター」と称される。宿主細胞によるrAAVベクターの産生中、完全カプシドほどにはパッケージングされない核酸を有し、例えば部分的な又は切断されたベクターゲノムを含むベクターが産生され得る。これらのベクターは、「中間」、「中間カプシド」、「部分的」又は部分的にパッケージングされたベクター」と称される。また、中間カプシドは、分析的超遠心分離によって分析される場合に、完全カプシドの沈降速度と中空カプシドの沈降速度との間の沈降速度である、中程度の沈降速度を有するカプシドであり得る。宿主細胞は、検出可能な核酸材料を全く含まないウイルスカプシドも生成し得る。これらのカプシドは、「中空」又は「中空カプシド」と称される。完全カプシドは、SEC-HPLCであって、それによってA260/A280比が分析的超遠心分離によって分析されたカプシド(すなわち、完全、中間及び中空)に対して予め較正されているものによって決定されたA260/A280比に基づいて、中空カプシドと区別することができる。カプシドを特徴づけるための当該技術分野で公知の他の方法は、CryoTEM、キャピラリー等電点電気泳動及び電荷検出質量分析を含む。中空及び完全AAV9カプシドについての計算された等電点がそれぞれ約6.2及び約5.8であることは報告されている(Venkatakrishnan et al.,(2013)J.Virology 87.9:4974-4984)。
本明細書で使用する場合、「遺伝子」という用語は、転写及び翻訳の後、特定のポリペプチド又はタンパク質をコードし得る少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを指す。「遺伝子導入」又は「遺伝子送達」は、外来DNAを宿主細胞に確実に挿入するための方法又はシステムを指す。こうした方法では、組み込まれていない移入されたDNAの一過性発現、移入されたレプリコン(例えば、エピソーム)の染色体外複製及び発現、並びに/又は移入された遺伝物質の宿主細胞のゲノムDNAへの組み込みをもたらし得る。
本明細書で使用する場合、「宿主細胞」という用語は、中に外因性核酸が導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「トランスフェクタント」、「形質転換体」、「形質転換細胞」及び「形質導入細胞」を含み、一次トランスフェクト、形質転換又は形質導入された細胞、及び継代の数と無関係のそれに由来する子孫を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、rAAVベクターの産生のためのパッケージング細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、それに由来するその子孫を含む、「宿主細胞株」、又は「宿主細胞培養物」である。
本明細書で使用する場合、「同一性」又は「と同一」という用語は、重合体分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関係を指す。「同一性」は、コンピュータプログラムの特定の数学モデル(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアライメントとの2つ以上の配列間の同一マッチのパーセントを測定する。
いくつかの実施形態では、重合体分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である場合、互いに「実質的に同一」であると考えられる。
例えば、2つの核酸又はポリペプチド配列のパーセント同一性の計算は、最適な比較を目的として、2つの配列を整列することによって実施することができる(例えば、最適なアライメントのため、第1及び第2配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、比較を目的として、同一でない配列は無視することができる)。特定の実施形態では、比較を目的として整列された配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%である。次に、対応位置のヌクレオチドが比較される。第1配列内の位置が第2配列内の対応位置と同じ残基(例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸)によって占有される場合、それらの分子は、その位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要がある、ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れる、それら配列によって共有される同一位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。
パーセント同一性を決定するため、配列は、それらの方法及びワールドワイドウェブ上のncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で利用可能なBLASTを含むコンピュータプログラムを用いて整列することができる。他のアライメントプログラムとして、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR(登録商標),Inc.,Madison,WI)のLasergene(登録商標)スイートにおけるMegAlign(登録商標)プログラムが挙げられる。別のアライメントアルゴリズムが、Madison,Wis.,USAからのGenetics Computing Group(GCG)パッケージにおいて利用可能なFASTAである。アライメントのための他の技術は、Methods in Enzymology,vol.266:Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996),ed.Doolittle,Academic Press,Inc.に記載されている。特に興味深いのは、配列内のギャップを許容するアライメントプログラムである。Smith-Watermanは、配列アライメントにおけるギャップを許容するアルゴリズムの一種である。Meth.Mol.Biol.70:173-187(1997)を参照されたい。また、ニードルマン・ブンシュのアライメント法を用いるギャッププログラムを利用し、配列を整列することができる。J.Mol.Biol.48:443-453(1970)を参照されたい。
また、興味深いのは、スミス・ウォーターマンの局所的相同性アルゴリズム(1981,Advances in Applied Mathematics 2:482-489)を用いて配列同一性を決定するためのBestFitプログラムである。ギャップ生成ペナルティは、一般に1~5、通常は2~4の範囲となり、いくつかの実施形態では、3となる。ギャップエクステンションペナルティは、一般に約0.01~0.20の範囲となり、場合によっては0.10となる。プログラムは、比較のためにインプットされた配列によって決定されるデフォルトパラメータを有する。好ましくは、配列同一性は、プログラムによって決定されるデフォルトパラメータを用いて決定される。また、このプログラムは、Madison,WI,USAからのGenetics Computing Group(GCG)パッケージから利用可能である。興味深い別のプログラムは、FastDBアルゴリズムである。FastDBは、Current Methods in Sequence Comparison and Analysis,Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp.127-149,1988,Alan R.Liss,Inc.に記載されている。
本明細書で使用する場合、「逆位末端配列」、「ITR」、「末端反復」及び「TR」という用語は、多くは相補的な対称的に配列された配列を含む、AAVウイルスゲノムの末端部又はその近傍のパリンドローム末端反復配列を指す。これらのITRは、折り重なって、DNA複製の初期段階でプライマーとして機能するT型ヘアピン構造を形成し得る。それらは、宿主ゲノムからの救出;及び成熟ウイルス粒子へのウイルス核酸のキャプシド形成のための、ウイルスゲノムの宿主ゲノムへの組み込みにも必要とされる。ITRは、ベクターゲノム複製及びそのウイルス粒子へのパッケージングのため、シスで必要とされる。「5’ITR」は、AAVゲノムの5’末端部及び/又は組換え導入遺伝子の5’側のITRを指す。「3’ITR」は、は、AAVゲノムの3’末端部及び/又は組換え導入遺伝子の3’側のITRを指す。野生型ITRは、長さがおよそ145bpである。修飾、又は組換えITRは、野生型AAV ITR配列の断片又は部分を含み得る。当業者は、連続回のDNA複製中、ITR配列は、交換によって、5’ITRが3’ITRになり得、その逆も生じ得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのITRが組換えベクターゲノムの5’及び/又は3’末端部に存在することで、ベクターゲノムをカプシドにパッケージングし、ベクターゲノムを含むrAAVベクター(本明細書で「rAAVベクター粒子」又は「rAAVウイルス粒子」とも称される)を産生することができる
本明細書で使用する場合、「核酸構築物」という用語は、組換えDNA技術の使用から得られる天然に存在しない核酸分子(例えば、組換え核酸)を指す。核酸構築物は、天然に見出されない様式で組み合わされ、配列されている核酸配列のセグメントを含むように修飾されている、一本鎖又は二本鎖のいずれかの核酸分子である。核酸構築物は、「ベクター」(例えば、プラスミド、rAAVベクターゲノム、発現ベクターなど)、すなわち、外因的に作出されたDNAを宿主細胞に送達するように設計された核酸分子であってもよい。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」及び「生理学的に許容される」という用語は、投与経路、インビボ送達又は接触の1つ以上に適した、生物学的に許容される配合物、気体、液体若しくは固体、又はそれらの混合物を指す。「薬学的に許容される賦形剤」(媒体、添加剤)は、対象に安全に投与し、使用される活性成分を有効用量で提供できるものである。「賦形剤」又は「担体」という用語は、本明細書で使用する場合、薬剤用の希釈剤、媒体、保存剤、結合剤又は安定化剤として一般に使用される不活性物質を指す。本明細書で使用する場合、「希釈剤」という用語は、薬学的に許容される(ヒトへの投与にとって安全で非毒性である)溶媒を指し、本明細書中の液体配合物の調製にとって有用である。例示的な希釈剤としては、限定はされないが、滅菌水及び注射用静菌水(BWFI)が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、ヌクレオチドの高分子形態、リボヌクレオチド若しくはデオキシヌクレオチドのいずれか、又はヌクレオチドのいずれかのタイプの修飾形態を指し、一本鎖又は二本鎖形態であってもよい。「ポリヌクレオチド」又は「核酸」配列は、特に指定されない限り、その相補体を包含する。本明細書で使用する場合、「単離されたポリヌクレオチド」、「単離された核酸」又は「単離された組換え核酸」という用語は、ゲノム、cDNA、若しくは合成起源のポリヌクレオチド、又はそれらのいくつかの組み合わせを意味し、その起源又は誘導源が理由で、以下の1~3つを有する:(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然に見出される場合のポリヌクレオチドの全部若しくは一部と関連しない、(2)天然に関連のないポリヌクレオチドに作動可能に連結される、又は(3)天然により大きい配列の一部として存在しない。
本明細書で使用する場合、「組換え」という用語は、ベクター、ポリヌクレオチド(例えば、組換え核酸)、ポリペプチド若しくは細胞であって、クローニング、制限若しくはライゲーションステップの様々な組み合わせ(例えば、それに含まれるポリヌクレオチド又はポリペプチドに関連する)、及び/又は天然に見出される産物と異なる構築物をもたらす他の方法の産物であるものを指す。組換えウイルス又はベクター(例えば、rAAVベクター)は、組換え核酸(例えば、導入遺伝子及び導入遺伝子の発現のための1つ以上の調節エレメントを含む核酸)を含むベクターゲノムを含む。それぞれの用語は、元のポリヌクレオチド構築物の複製物及び元のウイルス構築物の子孫を含む。
本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、生物、例えば哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト哺乳動物、非ヒト霊長類、霊長類、実験動物、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、ネコ、イヌ)を指す。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、成人、青年、又は小児対象である。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害又は病態、例えば、本明細書に提供されるように治療可能である疾患、障害又は病態を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、又は病態に罹りやすい。いくつかの実施形態では、感受性対象は、(参照対象又は集団において認められる平均リスクと比較して)増加した、疾患、障害又は病態を発現するリスクを受けやすく、及び/又は示す。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害又は病態の1つ以上の症状を呈する。いくつかの実施形態では、対象は、特定の症状(例えば、疾患の臨床症状)又は疾患、障害、若しくは病態の特徴を呈しない。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、又は病態の症状又は特徴を全く呈しない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト患者である。いくつかの実施形態では、対象は、診断及び/又は治療法が施されている最中であり、及び/又は施されている対象の個人である。いくつかの実施形態では、対象は、遺伝性疾患を有するヒト患者である。
本明細書で使用する場合、「実質的な」又は「実質的に」という用語は、目的の特徴又は特性の全体的又はほぼ全体的な範囲又は程度での提示の定性的状態を指す。当業者は、生物学的及び化学的現象が、完了に至り及び/又は完全性へ進むか若しくは絶対的結果を達成することが皆無ではないとしても稀であることを理解するであろう。したがって、「実質的な」又は「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の完全性の潜在的欠如を捉えている。
本明細書で使用する場合、「治療用タンパク質」という用語は、標的細胞(例えば、単離された細胞)又は生物(例えば、対象)におけるタンパク質の不在又は欠損に起因する症状を軽減又は低減し得る、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質(例えば、酵素、構造タンパク質、膜貫通タンパク質、輸送タンパク質)である。導入遺伝子によってコードされる治療用ポリペプチド又はタンパク質は、例えば、遺伝子異常を修正し、発現又は機能に関連する遺伝子の欠損を修正するような利益を対象に与えるものである。同様に、「治療用導入遺伝子」は、治療用ポリペプチドをコードする導入遺伝子である。いくつかの実施形態では、標的細胞内で発現される治療用ポリペプチドは、導入遺伝子(すなわち、標的細胞に導入されている外因性核酸)から発現される酵素である。
本明細書で使用する場合、「トランスフェクション」という用語は、ウイルスベクターの使用を伴わない、組換え核酸(例えば、発現プラスミド)の細胞(例えば、宿主細胞)への移入を指す。組換え核酸が導入されている細胞は、「トランスフェクト細胞」と称される。トランスフェクト細胞は、組換えAAVベクターを産生するための発現プラスミド/ベクターを含む宿主細胞(例えば、CHO細胞、Pro10細胞、HEK293細胞)であってもよい。いくつかの実施形態では、トランスフェクト細胞(例えば、パッキング細胞)は、導入遺伝子(例えば、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子)を含むプラスミド、AAV rep遺伝子及びAAV cap遺伝子(例えば、GHループ置換又はGIループ置換を有するAAV cap遺伝子)を含むプラスミド、並びにヘルパー遺伝子を含むプラスミドを含んでもよい。多くのトランスフェクション技術が当該技術分野で公知であり、限定はされないが、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクション、カチオン性又はアニオン性リポソーム、及び核局在化シグナルと組み合わせたリポソームが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「形質導入」という用語は、ウイルスベクター(例えば、rAAVベクター)による細胞(例えば、限定はされないが哺乳動物内の細胞を含む標的細胞)への核酸(例えば、ベクターゲノム)の移入を指す。いくつかの実施形態では、疾患を治療するための遺伝子療法は、治療用タンパク質をコードする修飾核酸を含むベクターゲノムを標的細胞に形質導入することを含む。導入遺伝子がウイルス又はウイルスベクターによって導入されている細胞は、「形質導入細胞」と称される。いくつかの実施形態では、形質導入細胞は、単離された細胞であり、形質導入はエクスビボでなされる。いくつかの実施形態では、形質導入細胞は、生物(例えば、対象)内の細胞であり、形質導入はインビボでなされる。形質導入細胞は、組換えAAVベクターによって形質導入されている生物の標的細胞であってもよく、生物の標的細胞は、ポリヌクレオチド(例えば、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子)を発現する。
形質導入され得る細胞は、任意の組織若しくは臓器タイプ、又は任意の起源(例えば、中胚葉、外胚葉又は内胚葉)の細胞を含む。細胞の非限定的な例としては、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、膵臓(例えば、ベータ島細胞、外分泌)、肺、中枢若しくは末梢神経系、例えば脳(例えば、神経又は上衣細胞、オリゴデンドロサイト)若しくは脊椎、腎臓、眼(例えば、網膜)、脾臓、皮膚、胸腺、精巣、肺、横隔膜、心(心臓)、筋肉若しくは腰筋、又は腸(例えば、内分泌)、脂肪組織(白色、褐色若しくはベージュ)、筋肉(例えば、線維芽細胞、筋細胞)、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、唾液腺細胞、内耳神経細胞又は造血(例えば、血液若しくはリンパ)細胞が挙げられる。追加的な例としては、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、膵臓(例えば、ベータ島細胞、外分泌細胞)、肺、中枢若しくは末梢神経系、例えば脳(例えば、神経若しくは上衣細胞、オリゴデンドロサイト)若しくは脊椎、腎臓、眼(例えば、網膜)、脾臓、皮膚、胸腺、精巣、肺、横隔膜、心(心臓)、筋肉若しくは腰筋、又は腸(例えば、内分泌)、脂肪組織(白色、褐色若しくはベージュ)、筋肉(例えば、線維芽細胞、筋細胞)、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、唾液腺細胞、内耳神経細胞又は造血(例えば、血液若しくはリンパ)細胞へと発生又は分化する幹細胞、例えば多能性若しくは複能性前駆細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態では、組織又は臓器(例えば、肝臓)の特定領域内に存在する細胞は、組織又は臓器に投与されるrAAVベクター(例えば、治療用導入遺伝子、レポーター導入遺伝子を含むrAAV)によって形質導入することができる。
本明細書で使用する場合、「導入遺伝子」という用語は、宿主細胞、標的細胞若しくは生物(例えば、対象)への送達及び/又はそれにおける発現のための任意の異種ポリヌクレオチドを意味するように使用される。こうした「導入遺伝子」は、ベクター(例えば、rAAVベクター)を用いて、宿主細胞、標的細胞又は生物に送達することができる。導入遺伝子は、プロモーターなどの制御配列に作動可能に連結することができる。発現制御配列が、宿主細胞、標的細胞又は生物における導入遺伝子の発現を促進する能力に基づいて選択できることは、当業者によって理解されるであろう。一般に、導入遺伝子は、天然に導入遺伝子と会合された内因性プロモーターに作動可能に連結され得るが、より典型的には、導入遺伝子は、導入遺伝子が天然に会合されないプロモーターに作動可能に連結される。導入遺伝子の例が、治療用ポリペプチドをコードする核酸である。
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、核酸(例えば、組換え核酸)の挿入若しくは組み込みによって操作可能である、プラスミド、ウイルス(例えば、rAAV)、コスミド、又は他の媒体を指す。ベクターを例えば遺伝子操作を含む様々な目的のために使用し(例えば、クローニングベクター)、核酸を細胞に導入/移入し、挿入された核酸を細胞内で転写又は翻訳することができる。いくつかの実施形態では、ベクター核酸配列は、少なくとも細胞内での増殖のための複製起点を含む。いくつかの実施形態では、ベクター核酸は、異種核酸配列、発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー)、選択可能マーカー(例えば、抗生物質耐性)、ポリアデノシン(ポリA)シグナル配列及び/又はITRを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞に送達されると、核酸配列は、増殖される。いくつかの実施形態では、インビトロ又はインビボのいずれかで宿主細胞に送達されると、細胞は、異種核酸配列(例えば、導入遺伝子)によってコードされるポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、宿主細胞に送達されると、核酸配列、又は核酸配列の一部は、カプシド(例えば、GHループ置換又はGIループ置換を含むキメラカプシド)にパッケージングされる。宿主細胞は、単離された細胞又は宿主生物内の細胞であり得る。ポリペプチド又はタンパク質をコードする核酸配列(例えば、導入遺伝子)に加えて、追加的な配列(例えば、調節配列)が、同じベクター内に(すなわち、遺伝子に対してシスで)存在し、その遺伝子に隣接し得る。いくつかの実施形態では、調節配列は、トランスで作用する別の(例えば、第2の)ベクター上に存在することで、遺伝子の発現を調節することができる。プラスミドベクターは、本明細書中で「発現ベクター」と称してもよい。
本明細書で使用する場合、「ベクターゲノム」という用語は、rAAVベクターを形成するため、AAVカプシドにパッケージング/カプシド形成され得るがその必要がない核酸を指す。典型的に、ベクターゲノムは、異種ポリヌクレオチド配列(例えば、導入遺伝子、調節エレメントなど)及び少なくとも1つのITRを含む。組換えプラスミドを使用し、組換えベクター(例えば、rAAVベクター)を構築又は作製する場合、ベクターゲノムは、全プラスミドを含まず、むしろウイルスベクターによる送達が意図される配列のみを含む。組換えプラスミドのこの非ベクターゲノム部分は、「プラスミド骨格」と称され、それは、組換えウイルスベクター産生の増殖にとって必要であるが、単独ではrAAVベクターにパッケージング又はカプシド形成されないプロセスとして、プラスミドのクローニング、選択及び増幅にとって重要である。典型的に、カプシドにパッケージングされるべき異種配列は、ITRによって隣接されることにより、異種配列は、プラスミド骨格から切断されると、カプシドにパッケージングされる。
本明細書で使用する場合、「ウイルスベクター」という用語は、一般に、核酸送達媒体として機能し、ウイルス粒子(すなわち、カプシド)内にパッケージングされたベクターゲノム(例えば、野生型rep及びcapを置換している導入遺伝子を含む)を含み、例えばレンチ及びパルボウイルス、例えばAAV血清型及び変異体(例えば、rAAVベクター)を含む、ウイルス粒子を指す。本明細書中の他の箇所で述べるように、組換えウイルスベクターは、rep及び/又はcap遺伝子を有するウイルスゲノムを含まず;むしろ、これらの配列を除去することにより、ベクターゲノムが目的の導入遺伝子を運ぶ能力を提供している。
特段の定義がされていない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。
本発明の態様又は実施形態がマーカッシュグループ又は他の代替的分類の観点で説明される場合、本発明は、全体として列記される全グループというよりも、個別のグループの各メンバー及びメイングループの全ての可能なサブグループだけでなく、グループメンバーの1つ以上が欠けたメイングループを包含する。本発明はまた、特許請求された発明におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上の明確な除外を想定する。
本開示は、遺伝子療法のためのrAAVベクターの作製における使用のための新規なキメラAAVカプシドを提供する。新規なキメラカプシドは、別のAAVカプシド血清型からのβシートGドメイン及びβシートHドメイン、又はIドメインの間の領域の置換を伴う親AAVカプシド血清型を含む。本開示のこれら態様のそれぞれは、以下のセクションにおいてさらに考察される。
II.一般的技術
本発明の実施においては、別段の指示がない限り、当該技術に含まれる、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来技術が利用される。こうした技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998) Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-1998) J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford UnIVersity Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)などの文献において十分に説明されている。
III.AAV及びrAAV
A.AAV
アデノ随伴ウイルスは、パルボウイルス科(Parvoviridae)のディペンドウイルス(Dependovirus)属における、直径が20~25nmの非エンベロープの一本鎖DNAを含むウイルスである。本明細書で使用する場合、「アデノ随伴ウイルス」及び/又は「AAV」という用語は、これらのパルボウイルス(parvoviruses)及びそれらの変異体を指す。該用語は、全てのサブタイプ、並びに天然に存在する形態及び組換え形態の両方を、それ以外を必要とする場合を除いて包含する。AAVは、ヒト集団に広く蔓延しているが、疾患と関連していない。ヘルパーウイルス(Helper virus)感染又はDNA損傷ストレスは、潜伏AAVプロウイルスを誘起し、活性化し、ウイルス複製を引き起こすことになる。
AAVを含むパルボウイルス(Parvoviruses)は、細胞に侵入し、核酸(例えば、導入遺伝子)を核に導入し得ることから、遺伝子療法ベクターとして有用である。いくつかの実施形態では、導入された核酸(例えば、rAAVベクターゲノム)は、形質導入細胞の核におけるエピソームとして存続する環状コンカテマーを形成する。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、宿主細胞ゲノム中の特定部位、例えばヒト染色体19上のある部位に挿入される。部位特異的な組み込みは、ランダムな組み込みと異なり、予測可能な長期発現特性をもたらす可能性が高いと考えられる。ヒトゲノムへのAAVの挿入部位は、AAVS1と称される。その核酸によってコードされるポリペプチドは、一旦細胞に導入されると、細胞によって発現され得る。AAVがヒトのあらゆる病原性疾患と関連しないことから、AAVによって送達される核酸を用いて、ヒト対象における疾患、障害及び/又は病態の治療のための治療用ポリペプチドを発現させることができる。
基準のAAV野生型ゲノムは、4681塩基(Berns et al.(1987)Advances in Virus Research 32:243-307)を含み、DNA複製の起源として、またウイルスにおけるパッケージングシグナルとしてシスで機能する各末端で末端反復配列(例えば、逆位末端配列(ITR)を含む。ゲノムは、AAV複製(「AAV rep」又は「rep」)及びカプシド(「AAV cap」又は「cap」)遺伝子としてそれぞれ知られる、2つの大きいオープンリーディングフレームを含む。AAV rep及びcapは、本明細書でAAV「パッケージング遺伝子」とも称され得る。これらの遺伝子は、ウイルスゲノムの複製及びパッケージングに関与するウイルスタンパク質をコードする。
野生型AAVは、3つのタンパク質VP1、VP2及びVP3から構成される小さい(20~25nm)正二十面体のウイルスカプシドを、カプシドを含む60のカプシドタンパク質とともに含む。各ウイルス粒子は、2倍軸、3倍軸及び5倍軸対称性を有する。3つのカプシド遺伝子VP1、VP2及びVP3は、単一のオープンリーディングフレーム内で相互に重複し、選択的スプライシングは、VP1、VP2及びVP3の産生を引き起こす(Grieger et al.(2005)J.Virol.79(15):9933-9944.)。VP3は、全サブユニットの最大で80~90%を形成する。VP1は、ホスホリパーゼ活性及び核局在化シグナルを含む本質的機能を有する。
単一のP40プロモーターは、3つ全てのカプシドタンパク質の、VP1、VP2、VP3それぞれの約1:1:10の比での発現を可能にし、AAVカプシドの生成を補完する。より具体的に、VP1は、全長タンパク質であり、VP2及びVP3は、N末端の切断増加に起因し、次第に短縮される。周知の例が、米国特許第7,906,111号明細書に記載のようなAAV9のカプシドであり、VP1は、配列番号123として同定された配列のアミノ酸残基1~736を含み、VP2は、配列番号123として同定された配列のアミノ酸残基138~736を含み、VP3は、配列番号123として同定された配列のアミノ酸残基203~736を含む。AAV2カプシドタンパク質配列は、GenBankで入手可能である:VP1(735aa;GenBank受入番号AAC03780)、VP2(598aa;GenBank受入番号AAC03778)及びVP3(533aa;GenBank受入番号AAC03779)。本明細書で使用する場合、「AAV cap」又は「cap」という用語は、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2及び/又はVP3、並びにそれらの変異体及び類似体を指す。
カプシド遺伝子の第2のオープンリーディングフレームは、カプシドアセンブリプロセスに必須である、アセンブリ活性化タンパク質(AAP)と呼ばれるアセンブリ因子をコードする(Sonntag et al.(2011)J.Virol.85(23):12686-12697)。
少なくとも4種のウイルスタンパク質、すなわち、Rep78、Rep68、Rep52及びRep40(それらの見かけ上の分子量に応じて名付けられた)が、AAV rep遺伝子から合成される。本明細書で使用する場合、「AAV rep」又は「rep」は、AAV複製タンパク質のRep78、Rep68、Rep52及び/又はRep40、並びにそれらの変異体及び類似体を意味する。本明細書で使用する場合、rep及びcapは、野生型及び組換え(例えば、修飾キメラなど)両方のrep及びcap遺伝子、並びにそれらがコードするポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、repをコードする核酸は、2つ以上のAAV血清型からのヌクレオチドを含む。例えば、repタンパク質をコードする核酸は、AAV2血清型からのヌクレオチド及びAAV3血清型からのヌクレオチドを含んでもよい(Rabinowitz et al.(2002)J.Virology 76(2):791-801)。
AAVの複数の血清型は、これまでヒトから同定されている少なくとも15の野生型血清型(すなわち、AAV1~AAV15)で天然に存在する。150を超える固有のAAV血清型が同定されている。天然に存在する血清型及び変異血清型は、他のAAV血清型と血清学的に異なるタンパク質カプシドを有することによって区別される。天然に存在するAAV血清型及び天然に存在しないAAV血清型は、多くの中で以下を含む:AAV1型(AAV1)、AAV2型(AAV2)、AAV3型(AAV3)、例えばAAV3A型(AAV3A)及びAAV3B型(AAV3B)、AAV4型(AAV4)、AAV5型(AAV5)、AAV6型(AAV6)、AAV7型(AAV7)、AAV8型(AAV8)、AAV9型(AAV9)、AAV10型(AAV10)、AAV12型(AAV12)、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh39、AAVrh43、AAVrh74(国際公開第2016/210170号パンフレットを参照されたい)、AAVrh32.22、AAV1.1、AAV2.5、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.3.1、AAV9.45、AAVShH10、HSC15/17、RHM4-1(国際公開第2015/013313号パンフレットの配列番号5)、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、RHM15-6、AAVhu.26、AAV2i8、AAV29G、AAV2,8G9、AAV-LK03、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B-S312N、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAV、NP4、NP22、NP66、AAVDJ、AAVDJ/8、AAVDJ/9(例えば、Fields et al.,“Virology”,volume 2,chapter 69(4thed.,Lippincott-Raven Publishers);米国特許第7,906,111号明細書;Gao et al.(2004)J.Virol.78:6381;Morris et al.(2004)Virol.33:375;国際公開第2013/063379号パンフレット;国際公開第2014/194132号パンフレット;国際公開第2015/121501号パンフレット;国際公開第2015/013313号パンフレットを参照されたい、これらの全ては本明細書によって参照により組み込まれる)。ヒトCD34+細胞から単離されたAAV変異体は、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14及びAAVHSC15を含む(Smith et al.(2014)Molecular Therapy 22(9):1625-1634,本明細書によって参照により組み込まれる)。ロングリード配列決定によってヒト組織から単離された天然に存在するAAVは、CNSに対する向性を有するAAVv66、並びにAAVv33、AAVv37、AAVv40、AAVv67、AAVv70、AAVv72、AAVv84、AAVv86、AAVv87及びAAVv90を含む(Hsu et al.(2020)Nat.Comm.11:3279)。
血清型の独自性は、一方のAAVに対する抗体間の交差反応性の、もう一方のAAVと比較しての欠如に基づいて判定される。こうした交差反応性の差異は、通常はカプシドタンパク質配列及び抗原決定基における差異に起因する(例えば、AAV血清型のVP1、VP2、及び/又はVP3配列の差異に起因する)。しかし、一部の天然に存在するAAV又は人工のAAV突然変異体(例えば、組換えAAV)は、現在知られている血清型のいずれかとの血清学的差異を示すことはない。そこで、これらのウイルスは、対応する型のサブグループ、又はより単純には変異体AAVと考えることができる。したがって、本明細書で使用する場合、「血清型」という用語は、血清学的に異なるウイルス、例えばAAVと、血清学的に異ならないが、所与の血清型のサブグループ又は変異体に含まれ得るウイルス、例えばAAVの両方を指す。
公知のAAV血清型のカプシドのアミノ酸配列の包括的なリスト及びアライメントは、Marsic et al.(2014)Molecular Therapy 22(11):1900-1909、特に付録の図1によって提供され;その出版物全体は本明細書によって参照により組み込まれる。
AAVの様々な血清型のゲノム配列、並びに天然逆位末端配列(ITR)、repタンパク質、及びカプシドサブユニットの配列は、当該技術分野で公知である。こうした配列は、文献中又はGenBankなどの公的データベース内で見出すことができる。例えば、GenBank受入番号NC_002077(AAV1)、AF063497(AAV1)、NC_001401(AAV2)、AF043303(AAV2)、NC_001729(AAV3)、AF028705.1(AAV3B)、NC_001829(AAV4)、U89790(AAV4)、NC_006152(AAV5)、AF028704(AAV6)、AF513851(AAV7)、AF513852(AAV8)、NC_006261(AAV8)、AY530579(AAV9)、AY631965(AAV10)、AY631966(AAV11)、及びDQ813647(AAV12)を参照されたい;これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、SrIVistava et al.(1983)J.Virology 45:555;Chiorini et al.(1998)J.Virology 71:6823;Chiorini et al.(1999)J.Virology 73:1309;Bantel-Schaal et al.(1999)J.Virology 73:939;Xiao et al.(1999)J.Virology 73:3994;Muramatsu et al.(1996)Virology 221:208;Shade et al.(1986)J.Virol.58:921;Gao et al.(2002)Proc.Nat.Acad.Sci.USA99:11854;Moris et al.(2004)Virology 33:375-383;国際特許公開の国際公開第00/28061号パンフレット、国際公開第99/61601号パンフレット、国際公開第98/11244号パンフレット;国際公開第2013/063379号パンフレット;国際公開第2014/194132号パンフレット;国際公開第2015/121501号パンフレット、並びに米国特許第6,156,303号明細書及び米国特許第7,906,111号明細書(これらの全ては本明細書によって参照により組み込まれる)も参照されたい。
B.キメラAAV
いくつかの実施形態では、2つ以上のAAV血清型(例えば、野生型AAV血清型、変異体AAV血清型)に由来するヌクレオチド配列によってコードされるカプシドタンパク質は、「キメラベクター」又は「キメラカプシド」と称される(米国特許第6,491,907号明細書を参照されたい、この全開示は参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、キメラカプシドタンパク質は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のAAV血清型に由来する核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラカプシド配列は、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh74、AAVrh10、AAV2i8、又はそれらの変異体に由来し、結果として、前述のAAV血清型のいずれかからのアミノ酸の組み合わせを含むキメラカプシドタンパク質が得られる(Viney et al.(2021)J.Virol.95:1-15;Choi et al.(2005)Curr.Gene Ther.5(3):299-310を参照されたい)。
AAVカプシドのVP1ポリペプチドは、可変領域(例えば、VR I~VR IX)及びβシート領域(例えば、A~I)を含む。(本明細書で「GHループ」とも称される)βシートGとβシートHとの間のアミノ酸配列は、可変領域IV~可変領域VIIIを包含し、AAV血清型中及び全てのパルボウイルス(Parvoviruses)中での最高レベルの多様性を含む。GHループは、3倍軸対称性であり、カプシドの約30%を構成し、プライマリーグリカンの付着受容体と相互作用する。GHループ内の領域は、約222~約235アミノ酸を含む。GHループ内であってそれを含む領域は、約235~約248アミノ酸を含む。
AAVのβシートGは、AAV2についてはFTFSYT(配列番号49)、AAV4についてはFEITYS(配列番号50)、及びAAV8についてはFQFTYT(配列番号51)として定義されている(Nam et al.(2007)J.Virology 81(22):12260-12271)。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F、I、又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、E、K、N、Q、S又はTである)(配列番号52)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及び/又はAAVブタ5である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F又はIであり;Xは、S又はTであり;Xは、E、N、Q、S又はTである)(配列番号53)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV9、AAVrh10及び/又はAAVブタ5である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FTFSYT(配列番号49)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FQFSYT(配列番号54)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV3Bである。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FEITYS(配列番号50)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV4である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FEFTYN(配列番号55)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV5である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドは、FTFSYT(配列番号56)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV6である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FEFSYS(配列番号57)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV7である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FQFTYT(配列番号51)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV8である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FQFSYE(配列番号58)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV9である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FEFSYQ(配列番号59)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAVrh10である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FEMVYK(配列番号60)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAVウシである。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FTFSYT(配列番号61)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAVブタ4である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、FEFTYS(配列番号62)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートGを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAVブタ5である。
AAVのβシートHは、AAV2及びAAV8についてはQILIKNT(配列番号63)、及びAAV4についてはQIFIKNT(配列番号64)として定義されている(Nam et al.(2007)J.Virology 81(22):12260-12271)。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、XIKNT(式中、Xは、Q、又はMであり;Xは、I又はMであり;Xは、L、M又はFである)(配列番号65)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートHを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、ウシ、ブタ4及び/又はブタ5である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、QXIKNT(式中、Xは、I又はMであり、Xは、F、L又はMである)(配列番号66)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートHを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV9、AAVrh10、ウシ及び/又はAAVブタ4である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、QILIKNT(配列番号63)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートHを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、及び/又はAAVブタ4である。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、QIMIKNTの配列(配列番号67)を含むか又はそれからなるβシートHを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV3Bである。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、QIFIKNT(配列番号64)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートHを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV4及び/又はAAVウシである。いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、MMLIKNT(配列番号68)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートHを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV5及び/又はAAVブタ5である。
AAVのβシートIは、AAV2及びAAV8についてはTQYSTGQVSVEIEWELQ(配列番号69)、AAV4についてはTQYSTGQVSVQIDWEIQ(配列番号70)として定義されている(Nam et al.(2007)J.Virology 81(22):12260-12271)。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、TQYSTGQVXVXWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E、K又はQであり;Xは、I又はMであり;Xは、D又はEであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号71)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートIを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、ウシ、ブタ4及び/又はブタ5である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、TQYSTGQVXVXEWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E又はKであり;Xは、I又はMであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号72)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートIを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV5、ウシ及び/又はブタ4である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、TQYSTGQVSVEIEWELQ(配列番号69)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートIを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV2、AAV3B、AAV6、AV7、AAV8、AAV9、AAVrh10及び/又はブタ4(porcin4)である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、TQYSTGQVSVQIDWEIQ(配列番号70)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートIを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV4である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、TQYSTGQVTVEMEWELK(配列番号73)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートIを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAV5又はAAVブタ5である。
いくつかの実施形態では、AAVカプシドポリペプチドは、TQYSTGQVAVKIEWEIQ(配列番号74)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるβシートIを含み、任意選択的に、AAVは、血清型AAVウシである。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。こうしたキメラカプシドは、「GHループ置換を有するAAVカプシド」又は「GHループ置換カプシド」と称することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、βシートG及び/又はβシートIからのアミノ酸を含む。こうしたキメラカプシドは、「GIループ置換を有するAAVカプシド」又は「GIループ置換カプシド」と称することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される新規なキメラAAVカプシドポリペプチド(例えば、GHループ置換又はGIループ置換を有するAAVカプシド)は、例えば親AAVカプシドの向性特性と異なる向性特性を含む有利な特性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される新規なキメラAAVカプシドポリペプチドは、標準の細胞培養プロトコル下での生成に適合可能であり、親AAV血清型の場合と一致する力価をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される新規なキメラAAVカプシドポリペプチドは、臨床的遺伝子療法プログラムのための原体を作製するために使用される標準プロトコル下での精製に適合可能である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される新規なキメラカプシドポリペプチドは、遺伝子療法のためのrAAVベクターの作製において使用することができる。
任意の特定理論によって拘束されることを望まないが、キメラカプシドの修飾された向性特性は、3倍軸成分の多様性に起因することがあり、産生値の維持は、5倍軸成分とRepタンパク質との結合に起因することがある。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV1、AAV2、AAV3(AAV3A及びAAV3Bを含む)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh39、AAVrh43、AAVrh74、AAVrh32.22、AAV1.1、AAV2.5、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.3.1、AAV9.45、AAVShH10、HSC15/17、RHM4-1、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、RHM15-6、AAVhu.26、AAV2i8、AAV29G、AAV2,8G9、AAV-LK03、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B-S312N、AAVトリ、AAVコウモリ、AAVウシ、AAVイヌ、AAVウマ、AAV霊長類、AAV非霊長類、AAVヒツジ、AAVバリケン、AAVブタ4、AAVブタ5、AAVヘビのNP4、NP22、NP66、AAVDJ、AAVDJ/8、AAVDJ/9、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14、AAVHSC15、AAVv66、AAVv33、AAVv37、AAVv40、AAVv67、AAVv70、AAVv72、AAVv84、AAVv86、AAVv87及びAAVv90からなる群から選択されるAAV血清型に由来する。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F、I、又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、E、K、N、Q、S又はTである)(配列番号52)のアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートHは、XIKNT(式中、Xは、Q、又はMであり;Xは、I又はMであり;Xは、L、M又はFである)(配列番号65)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号1)、AAV3B(例えば、配列番号3)、AAV4(例えば、配列番号5)、AAV5(例えば、配列番号7)、AAV6(例えば、配列番号9)、AAV7(例えば、配列番号11)、AAV8(例えば、配列番号13)、AAV9(例えば、配列番号15)、AAVrh10(例えば、配列番号12)、AAVウシ(例えば、配列番号19)、AAVブタ4(例えば、配列番号21)及びAAVブタ5(例えば、配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号2)、AAV3B(例えば、配列番号4)、AAV4(例えば、配列番号6)、AAV5(例えば、配列番号8)、AAV6(例えば、配列番号10)、AAV7(例えば、配列番号12)、AAV8(例えば、配列番号14)、AAV9(例えば、配列番号16)、AAVrh10(例えば、配列番号18)、AAVウシ(例えば、配列番号20)、AAVブタ4(例えば、配列番号22)及びAAVブタ5(例えば、配列番号24)からなる群から選択される核酸によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F又はIであり;Xは、S又はTであり;Xは、E、N、Q、S又はTである)(配列番号53)のアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートHは、QXIKNT(式中、Xは、I又はMであり;Xは、F、L又はMである)(配列番号66)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号1)、AAV3B(例えば、配列番号3)、AAV4(例えば、配列番号5)、AAV5(例えば、配列番号7)、AAV6(例えば、配列番号9)、AAV7(例えば、配列番号11)、AAV8(例えば、配列番号13)、AAV9(例えば、配列番号15)、AAVrh10(例えば、配列番号12)及びAAVブタ4(例えば、配列番号21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号2)、AAV3B(例えば、配列番号4)、AAV4(例えば、配列番号6)、AAV5(例えば、配列番号8)、AAV6(例えば、配列番号10)、AAV7(例えば、配列番号12)、AAV8(例えば、配列番号14)、AAV9(例えば、配列番号16)、AAVrh10(例えば、配列番号18)及びAAVブタ4(例えば、配列番号22)からなる群から選択される核酸によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列VPFHS(配列番号75)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)又はMKHPPP(配列番号77)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチド(例えば、配列番号15)又はrh10VP1ポリペプチド(例えば、配列番号17)である。いくつかの実施形態では、別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号1)、AAV3B(例えば、配列番号3)、AAV4(例えば、配列番号5)、AAV5(例えば、配列番号7)又はAAV9 VP1(例えば、配列番号15)ポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号25(AAV9GH2)、配列番号27(AAV9GH3B)、配列番号29(AAV9GH4)、配列番号31(AAV9GH5)、配列番号39(AAVrh10GH39)、及び配列番号41(AAVrh10GH9)のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号25(AAV9GH2)、配列番号27(AAV9GH3B)、配列番号29(AAV9GH4)、配列番号31(AAV9GH5)、配列番号39(AAVrh10GH39)、及び配列番号41(AAVrh10GH9)のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号26(AAV9GH2)、配列番号28(AAV9GH3B)、配列番号30(AAV9GH4)、配列番号32(AAV9GH5)、配列番号40(AAVrh10GH4)、及び配列番号42(AAVrh10GH9)のいずれか1つの核酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号26(AAV9GH2)、配列番号28(AAV9GH3B)、配列番号30(AAV9GH4)、配列番号32(AAV9GH5)、配列番号40(AAVrh10GH4)、及び配列番号42(AAVrh10GH9)のいずれか1つの核酸配列を含むか又はそれからなる核酸配列によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV2 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号25を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV3B VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号27を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV4 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号29を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV5 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号31を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAVrh10 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV4 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAVrh10 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号39を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAVrh10 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV9 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAVrh10 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号41を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列GNNFXF(式中、Xは、E、Q又はTである)(配列番号78)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチド(例えば、配列番号15)である。いくつかの実施形態では、別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV6(例えば、配列番号9)、AAV7(例えば、配列番号11)又はAAV8(例えば、配列番号13)ポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号33(AAV9GH6)、配列番号35(AAV9GH7)及び配列番号37(AAV9GH8)のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号33(AAV9GH6)、配列番号35(AAV9GH7)及び配列番号37(AAV9GH8)のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号34(AAV9GH6)、配列番号36(AAV9GH7)、配列番号38(AAV9GH8)のいずれか1つの核酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号34(AAV9GH6)、配列番号36(AAV9GH7)、配列番号38(AAV9GH8)のいずれか1つの核酸配列を含むか又はそれからなる核酸配列によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV6 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号33を含むか又はそれからなり、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV7 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号35を含むか又はそれからなり、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV9 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV8 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号37を含むか又はそれからなり、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列LYRFVST(配列番号79)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列PPPM(配列番号80)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドは、AAV5 VP1ポリペプチド(例えば、配列番号7)である。いくつかの実施形態では、別のAAV VP1ポリペプチドは、AAVブタ5(例えば、配列番号23)ポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号47のアミノ酸配列(AAV5GHブタ5)と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号47のアミノ酸配列(AAV5GHブタ5)を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号48の核酸配列(AAV5GHブタ5)と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号48の核酸配列(AAV5GHブタ5)を含むか又はそれからなる核酸配列によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV5 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAVブタ5 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV5 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号47を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートIからのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV1、AAV2、AAV3(AAV3A及びAAV3Bを含む)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh39、AAVrh43、AAVrh74、AAVrh32.22、AAV1.1、AAV2.5、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.3.1、AAV9.45、AAVShH10、HSC15/17、RHM4-1、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、RHM15-6、AAVhu.26、AAV2i8、AAV29G、AAV2,8G9、AAV-LK03、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B-S312N、AAVトリ、AAVコウモリ、AAVウシ、AAVイヌ、AAVウマ、AAV霊長類、AAV非霊長類、AAVヒツジ、AAVバリケン、AAVブタ4、AAVブタ5、AAVヘビのNP4、NP22、NP66、AAVDJ、AAVDJ/8、AAVDJ/9、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14、AAVHSC15、AAVv66、AAVv33、AAVv37、AAVv40、AAVv67、AAVv70、AAVv72、AAVv84、AAVv86、AAVv87及びAAVv90からなる群から選択されるAAV血清型に由来する。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F、I、又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、E、K、N、Q、S又はTである)(配列番号52)のアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートIは、TQYSTGQVXVXWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E、K又はQであり;Xは、I又はMであり;Xは、D又はEであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号71)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号1)、AAV3B(例えば、配列番号3)、AAV4(例えば、配列番号5)、AAV5(例えば、配列番号7)、AAV6(例えば、配列番号9)、AAV7(例えば、配列番号11)、AAV8(例えば、配列番号13)、AAV9(例えば、配列番号15)、AAVrh10(例えば、配列番号12)、AAVウシ(例えば、配列番号19)、AAVブタ4(例えば、配列番号21)及びAAVブタ5(例えば、配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV2(例えば、配列番号2)、AAV3B(例えば、配列番号4)、AAV4(例えば、配列番号6)、AAV5(例えば、配列番号8)、AAV6(例えば、配列番号10)、AAV7(例えば、配列番号12)、AAV8(例えば、配列番号14)、AAV9(例えば、配列番号16)、AAVrh10(例えば、配列番号18)、AAVウシ(例えば、配列番号20)、AAVブタ4(例えば、配列番号22)及びAAVブタ5(例えば、配列番号24)からなる群から選択される核酸によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートGは、FXYX(式中、Xは、E又はTであり;Xは、F又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、K、N又はTである)(配列番号81)のアミノ酸配列を含み、任意選択的に、βシートIは、TQYSTGQVXVXEWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E又はKであり;Xは、I又はMであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号72)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該置換は、親AAV VP1ポリペプチド又は別のAAV VP1ポリペプチドのいずれかのβシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV5(例えば、配列番号7)、AAVウシ(例えば、配列番号19)、AAVブタ4(例えば、配列番号21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチド、及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドは、AAV5(例えば、配列番号8)、AAVウシ(例えば、配列番号20)及びAAVブタ4(例えば、配列番号22)からなる群から選択される核酸によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列MLRTGNNF(配列番号82)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列FITQYSTGQV(配列番号83)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される。いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドは、AAV5 VP1ポリペプチド(例えば、配列番号7)である。いくつかの実施形態では、別のAAV VP1ポリペプチドは、AAVウシ(例えば、配列番号19)又はAAVブタ4(例えば、配列番号21)ポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号43(AAV5GHウシ)又は配列番号45(AAV5GHブタ4)のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号43(AAV5GHウシ)又は配列番号45(AAV5GHブタ4)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、任意選択的に、該置換は、βシートG及び/又はβシートHからのアミノ酸を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号44(AAV5GHウシ)又は配列番号46(AAV5GHブタ4)のいずれか1つの核酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドは、配列番号44(AAV5GHウシ)又は配列番号46(AAV5GHブタ4)のいずれか1つの核酸配列を含むか又はそれからなる核酸配列によってコードされる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV5 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸とAAVウシVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV5 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号43を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV5 VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸とAAVブタ4 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAV5 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、キメラAAVカプシドポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号45を含むか又はそれからなる。
本開示のキメラAAVカプシドは、当業者に公知の方法によって作製することができる(例えば、国際公開第2013/063379号パンフレットを参照されたい)。例示的な非限定的方法が、Grieger,et al.(2015)Molecular Therapy 24(2):287-297(その内容はあらゆる目的として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。キメラAAVカプシドは、哺乳動物細胞AAV産生系(例えば、293T又はHEK293細胞に基づくもの)及び昆虫細胞AAV産生系(例えば、sf9昆虫細胞に基づくもの及び/又はバキュロウイルスヘルパーベクターを使用するもの)によって作製することができる。
HEK293細胞のトランスフェクションは、迅速且つスケーラブルなAAV及びrAAV産生を可能にする。HEK293などのパッケージング細胞を用いる三重トランスフェクション法(例えば、国際公開第96/40240号パンフレット)を用いて、本開示のAAV rep及びキメラカプシドをコードするプラスミド、ヘルパー機能をコードするプラスミド(例えば、アデノウイルス又はHSVタンパク質、例えば、E1a、E1b、E2a、E4、及びVA RNA)、及び導入遺伝子(例えば、治療導入遺伝子、レポーター導入遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質)及び導入遺伝子の発現を制御するための様々なエレメントをコードするプラスミド、本開示のキメラカプシドを含むrAAVベクターを産生することができる。
いくつかの実施形態では、親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートG及びβシートH(又はβシートI)の間の領域からのアミノ酸と別のVP1ポリペプチドのβシートG及びβシートH(又はβシートI)の間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むキメラAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸並びに導入遺伝子を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、約1E+1vg/細胞~約1E+10vg/細胞を産生する。いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46又は48)を含むプラスミド及び導入遺伝子を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、約1E+1vg/細胞、約1E+2vg/細胞、約1E+3vg/細胞、約1E+4vg/細胞、1E+5vg/細胞、約1E+6vg/細胞、約1E+7vg/細胞、約1E+8vg/細胞、約1E+9vg/細胞又は約1E+10vg/細胞を産生する。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46又は48)を含むプラスミド及び導入遺伝子を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、親血清型のAAVカプシドポリペプチド(例えば、AAV9)をコードする核酸を含むプラスミドを含む他の同一の宿主細胞によって産生されるrAAVベクターの量と実質的に類似する量のrAAVベクターを産生する。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46又は48)を含むプラスミド及び導入遺伝子を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、親血清型のAAVカプシドポリペプチド(例えば、AAV9)をコードする核酸を含むプラスミドを含む他の同一の宿主細胞によって産生されるrAAVベクターの量の約80%~140%の量のrAAVベクターを産生する。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号34、36、38、)を含むプラスミド及び導入遺伝子を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、AAV9カプシドポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミドを含む他の同一の宿主細胞によって産生されるrAAVベクターの量の約80%~140%の量のrAAVベクターを産生する。
いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV6 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号33)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、AAV9カプシド(例えば、配列番号15)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞によって産生されるvg/細胞の量と比較して実質的に類似するvg/細胞の量を産生する。いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV6 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号33)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、1E+3vg超/細胞を産生する。
いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV7 GHループ置換を含むキメラAAVカプシドをコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、AAV9カプシド(例えば、配列番号15)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞によって産生されるvg/細胞の量と比較して実質的に類似するvg/細胞の量を産生する。いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV7 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号35)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、1E+3vg超/細胞を産生する。いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV7 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号35)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、1E+10vg超/mLを産生する。
いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV8 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号37)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、AAV9カプシド(例えば、配列番号15)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞によって産生されるvg/細胞の量と比較して、実質的に類似する量のvg/細胞を産生する。いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV8 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号37)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、1E+3vg超/細胞を産生する。いくつかの実施形態では、親AAV9アミノ酸配列及びAAV8 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号37)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、1E+10vg超/mLを産生する。
いくつかの実施形態では、親AAVrh10アミノ酸配列及びAAV9 GHループ置換を含むキメラAAVカプシド(例えば、配列番号41)をコードする核酸を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、1.5E+1vg超/細胞を産生する。
いくつかの実施形態では、キメラAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46又は48)を含むプラスミド及び導入遺伝子を含むプラスミドがトランスフェクトされた宿主細胞は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミドを含む他の同一の宿主細胞によって産生されるrAAVベクターの量より5~100倍多い量のrAAVベクターを産生する。
いくつかの実施形態では、キメラベクターは、変更された向性又は特定の組織又は細胞型に対する向性を示すように改変されている。「向性」という用語は、ウイルスの特定の細胞型若しくは組織型への優先的侵入及び/又は特定の細胞型若しくは組織型への侵入を促進する細胞表面との優先的相互作用を指す。AAVの向性は、一般に異なるウイルスカプシドタンパク質及びそれらの同族細胞受容体の間の特異的相互作用によって決定される(Lykken et al.(2018)J.Neurodev.Disord.10:16)。AAV血清型の組織向性及び体内分布は、インビボで試験されており、肝臓に対するAAV8、心臓に対するAAV1、AAV6及びAAV9、骨格筋に対するAAV1、AAV6及びAAV9、肺に対するAAV5、CNSに対するAAV1、AAV5、AAV8及びAAV9、並びに眼に対するAAV4及びAAV8の優先的向性を示している(Asokan et al.(2012)Mol.Therapy 20(4):699-708)
いくつかの実施形態では、本開示のAAVカプシド、すなわち、GHループ置換又はGIループ置換を有するAAVカプシドの組織向性は、キメラカプシド及びレポーター導入遺伝子(例えば、GFP)を含むrAAVベクターの動物、例えばマウスへの投与によって実証することができる。
「向性特性」は、1つ以上の標的細胞、組織及び/又は臓器の形質導入のパターンを指す。例えば、AAVカプシドは、筋細胞の効率的形質導入とともに、例えば脳細胞の単なる低い形質導入によって特徴づけられる向性特性を有し得る。
いくつかの実施形態では、GHループ置換を含む本開示のキメラカプシドは、親AAVカプシドと異なる向性特性を有する。いくつかの実施形態では、(例えば、配列番号33のアミノ酸を含むか又はそれからなる)AAV6 GHループ置換を含むAAV9カプシドは、骨格筋及び/又は心筋に対する向性を有する。いくつかの実施形態では、(例えば、配列番号33のアミノ酸を含むか又はそれからなる)AAV6 GHループ置換を含むAAV9カプシドは、AAV9カプシド又はAAV7カプシドと比較して、肝組織に対して低下した向性を有する。いくつかの実施形態では、(例えば、配列番号33のアミノ酸を含むか又はそれからなる)AAV6 GHループ置換を含むAAV9カプシドは、AAV9カプシド又はAAV7カプシドの向性と比較して、脳組織に対して低下した向性を有する。
いくつかの実施形態では、(例えば、配列番号35のアミノ酸を含むか又はそれからなる)AAV7 GHループ置換を含むAAV9カプシドは、骨格筋、心筋及び肝臓に対する向性を有する。
いくつかの実施形態では、(例えば、配列番号37のアミノ酸を含むか又はそれからなる)AAV8 GHループ置換を含むAAV9カプシドは、AAV9カプシドの向性と比較して、肝臓、心臓及び筋肉に対して低下した向性を有する。
いくつかの実施形態では、(例えば、配列番号35のアミノ酸を含むか又はそれからなる)AAV7 GHループ置換を含むAAV9カプシドは、任意選択的にICVによって投与される場合、脳、心臓、骨格筋、肝臓及び脊椎に対する向性を有する。
C.組換えAAV(rAAV)
「組換えアデノ随伴ウイルス」又は「rAAV」(本明細書で「rAAVベクター」、「rAAVウイルス粒子」、及び/又は「rAAVベクター粒子」とも称される)は、特に具体的に明示されない限り、ベクターゲノムを含むAAVカプシドを指す。ベクターゲノムは、少なくとも部分的に、天然に存在するAAVに由来しないポリヌクレオチド配列(例えば、野生型AAV中に存在しない異種ポリヌクレオチド)を含み、野生型AAVゲノムのrep及び/又はcap遺伝子は、ベクターゲノムから除去されている。AAVからのITRは、付加されているか又はベクターゲノム中に残存する。したがって、rAAVベクターという用語は、(本明細書で開示されるようなキメラカプシドを含む)カプシドを含むが、完全AAVゲノムを含まないrAAVウイルス粒子を包含し;代わりに、組換えウイルス粒子は、異種の、すなわち元来カプシド内に存在しない、核酸、ベクターゲノムを含み得る。したがって、「rAAVベクターゲノム」(又は「ベクターゲノム」)は、AAVカプシド内に含まれ得るが、その必要がない異種ポリヌクレオチド配列(少なくとも1つのITRを含む)を指す。rAAVベクターゲノムは、二本鎖(dsAAV)、一本鎖(ssAAV)又は自己相補的なもの(scAAV)であり得る。典型的に、ベクターゲノムは、治療用導入遺伝子をコードすることが多い異種核酸、又はeGFPなどのレポーター導入遺伝子を含む。
rAAVベクター、及び上に提示されるような用語は、組換えでなく、rep及びcap遺伝子をコードするウイルスゲノムを含む「AAVウイルス粒子」又は「AAVウイルス」と区別されるべきであり、ここでAAVウイルスは、ヘルパーウイルス(herper virus)、例えばアデノウイルス(adenovirus)及び/若しくは単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)、及び/又はそれらからの要求されるヘルパー遺伝子も含む細胞内に存在する場合、複製する能力がある。したがって、rAAVベクターの産生は、組換えDNA技術を用いての組換えベクターゲノムの産生を必然的に含み、組換えベクターゲノムは、rAAVベクターを形成するため、AAVカプシド内に含まれる。
本開示は、GHループ置換又はGIループ置換を含むキメラAAVカプシド、並びに例えばrAAVベクターとしてのその使用方法を提供する。いくつかの実施形態では、rAAVベクターの対象(例えば、患者)への送達又は投与により、コード化タンパク質及びペプチドが対象に提供される。したがって、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45及び配列番号47のいずれか1つのアミノ酸を含むか又はそれからなるキメラカプシドを含むrAAVベクターを使用し、疾患、障害及び/又は病態の治療のため、発現に向けて異種ポリヌクレオチドを移入/送達することができる。
rAAVベクターゲノムは、一般に130~145個の塩基ITRを、ウイルスのrep及びcap遺伝子を置換する異種核酸配列に対してシスで保持する。こうしたITRは、AAVゲノムの複製及びパッケージングを媒介する場合、組換えAAVベクターを産生するのに必要である。しかし、部分的に又は完全に合成された配列を含む修飾されたAAV ITR及び非AAV末端リピートも、このプロセスに寄与し得る。ITRは、ヘアピン構造を形成し、例えば、感染後の相補的DNA鎖の宿主細胞媒介性の合成のためのプライマーとして役立つように機能する。ITRはまた、ウイルスパッケージング、統合などにおける役割を果たす。ITRは、AAVゲノムの複製及びrAAVベクターへのパッケージングにシスで必要とされる唯一のAAVウイルス配列である。rAAVベクターゲノムは、任意選択的に、一般に異種配列(例えば、目的の遺伝子をコードする導入遺伝子)を含むベクターゲノムの5’及び3’末端に存在する2つのITRを含む。5’及び3’ITRは、共に同じ配列を含み得るか、又はそれぞれ異なる配列を含み得る。
rAAVベクターゲノムは、親AAV VP1ポリペプチド(例えば、AAV9、AAV5、AAVrh10)及び/又は別のAAV VP1ポリペプチド(例えば、AAV2、AAV2B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVウシ、AAVブタ4、AAVブタ5)の血清型と異なる、AAV血清型(例えば、野生型AAV2、その断片又は変異体)からのITRを含み得る。1つの血清型からの少なくとも1つのITRを含むが、異なる血清型からのカプシドを含む、こうしたrAAVベクターゲノムは、ハイブリッドウイルスベクターと称することができる(米国特許第7,172,893号明細書;Rabinowitz et al.(2002)J.Virology 76(2):791-801を参照されたい)。rAAV ITRは、野生型ITR配列全体を含み得るか、又はその変異体、断片、若しくは修飾であり得るが、機能性を保持する。
導入遺伝子及び少なくとも1つのITRに加えて、ベクターゲノムは、様々な調節又は制御エレメントも含み得る。典型的に、調節エレメントは、作動可能に連結されたポリヌクレオチド(例えば、導入遺伝子)の発現に影響を及ぼす核酸配列である。例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロンなどを含む、遺伝子発現に有用な調節エレメントの正確な性質は、適切な異種ポリヌクレオチドの転写及び翻訳を促進する目的で、生物から生物及び細胞型から細胞型にかけて変動することになる。調節制御は、転写、翻訳、スプライシング、メッセージ安定性などのレベルで影響され得る。いくつかの実施形態では、組換え核酸を含むrAAVベクターは、少なくとも1つのITR、導入遺伝子、プロモーター及びポリアデニル化シグナル(ポリA)配列を含む。
本開示のキメラAAVカプシドポリペプチドは、AAV1、AAV2、AAV3(AAV3A及びAAV3Bを含む、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh39、AAVrh43、AAVrh74、AAVrh32.22、AAV1.1、AAV2.5、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.3.1、AAV9.45、AAVShH10、HSC15/17、RHM4-1、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、RHM15-6、AAVhu.26、AAV2i8、AAV29G、AAV2,8G9、AAV-LK03、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B-S312N、AAVトリ、AAVコウモリ、AAVウシ、AAVイヌ、AAVウマ、AAV霊長類、AAV非霊長類、AAVヒツジ、AAVバリケン、AAVブタ4、AAVブタ5、AAVヘビのNP4、NP22、NP66、AAVDJ、AAVDJ/8、AAVDJ/9、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14、AAVHSC15、AAVv66、AAVv33、AAVv37、AAVv40、AAVv67、AAVv70、AAVv72、AAVv84、AAVv86、AAVv87及びAAVv90からなる群から選択される、親AAV VP1ポリペプチド、又は別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。
本明細書に記載のrAAVベクターは、任意の公知の産生系、例えば、哺乳動物細胞AAV産生系(例えば、293T又はHEK293細胞に基づくもの)及び昆虫細胞AAV産生系(例えば、sf9昆虫細胞に基づくもの及び/又はバキュロウイルスヘルパーベクターを使用するもの)によって得ることができる。
rAAVベクターは、いくつものカラムクロマトグラフィー法(例えば、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー)又は塩化セシウム勾配法などの当該技術分野で標準の方法によって精製することができる。rAAVベクターを精製するための方法は、当該技術分野で公知であり、Clark et al.(1999)Human Gene Therapy 10(6):1031-1039;Schenpp et al.(2002)Methods Mol.Med.69:427-443;米国特許第6,566,118号明細書及び国際公開第98/09657号パンフレットに記載の方法を含む。
rAAVベクターが産生及び精製された後、それらを滴定し(titered)(例えば、サンプル中のrAAVベクターの量を定量し)、疾患を有するヒト対象などの対象への投与のための組成物を調製することができる。rAAVベクターの滴定(titering)は、当該技術分野で公知の方法を用いて達成することができる。
本明細書中で特段の定義がされていない限り、本開示に関連して使用される科学技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味を有するものとする。本明細書で言及される全ての出版物及び他の参考文献は、それら全体が参照により組み込まれる。多くの文書が本明細書で引用されているが、この引用は、これらの文書のいずれかが当該技術分野において共通した一般的知見の一部を形成することの承認ということではない。
当業者は、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を、単なるルーチン的な実験を用いて理解し、又は確認できるであろう。こうした均等物は、以下の実施形態(E)によって包含されることが意図される。
実施形態
E1.親AAV VP1ポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチド
E2.親AAV VP1ポリペプチド及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、約222~約235アミノ酸を含む、E1のAAVカプシドポリペプチド
E3.βシートGとβシートHとの間の領域は、βシートG及びβシートH内部からのアミノ酸を含む、E1のAAVカプシドポリペプチド
E4.親AAV VP1ポリペプチド及び別のAAV VP1ポリペプチドのβシートG及びβシートHの内部及び間の領域は、約235~約248アミノ酸を含む、E1又はE3のAAVカプシドポリペプチド
E5.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV3(AAV3A及びAAV3Bを含む)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh39、AAVrh43、AAVrh74、AAVrh32.22、AAV1.1、AAV2.5、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.3.1、AAV9.45、AAVShH10、HSC15/17、RHM4-1、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、RHM15-6、AAVhu.26、AAV2i8、AAV29G、AAV2,8G9、AAV-LK03、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B-S312N、AAVトリ、AAVコウモリ、AAVウシ、AAVイヌ、AAVウマ、AAV霊長類、AAV非霊長類、AAVヒツジ、AAVバリケン、AAVブタ4、AAVブタ5、AAVヘビのNP4、NP22、NP66、AAVDJ、AAVDJ/8、AAVDJ/9、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14、AAVHSC15、AAVv66、AAVv33、AAVv37、AAVv40、AAVv67、AAVv70、AAVv72、AAVv84、AAVv86、AAVv87及びAAVv90からなる群から選択される、E1~E4のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E6.親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F、I、又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、E、K、N、Q、S又はTである)(配列番号52)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E5のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E7.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、E6のAAVカプシドポリペプチド
E8.親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F又はIであり;Xは、S又はTであり;Xは、E、Q、S又はTである)(配列番号53)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E7のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E9.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、E8のAAVカプシドポリペプチド
E10.親AAV VP1ポリペプチドのβシートH及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートHは、XIKNT(式中、Xは、Q、又はMであり;Xは、I又はMであり;Xは、L、M又はFである)(配列番号65)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E9のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E11.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、E10のAAVカプシドポリペプチド
E12.親AAV VP1ポリペプチドのβシートH及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートHは、QXIKNT(式中、Xは、I又はMであり;Xは、F、L又はMである)(配列番号66)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E11のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E13.親AAV VP1ポリペプチド及び/又は別のAAV VP1の血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ及びAAVブタ4からなる群から選択される、E12のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E14.親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23のいずれか1つで表される、E1~E13のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E15.親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22及び配列番号24のいずれか1つで表される核酸によってコードされる、E1~E14のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E16.親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列VPFHS(配列番号75)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)又はMKHPPP(配列番号77)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、E1~E15のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E17.親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV9又はAAVrh10であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5及びAAV9からなる群から選択される、E1~E16のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E18.配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号39、及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、E1~E17のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E19.配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号39、及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E18のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E20.配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号40、及び配列番号42のいずれか1つの核酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸配列によってコードされる、E1~E19のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E21.配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号40、及び配列番号42のいずれか1つを含むか又はそれからなる核酸配列によってコードされる、E1~E20のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E22.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV2 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号25のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E23.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV3B VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号27のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E24.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV4 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号29のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E25.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV5 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号31のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E26.AAVrh10 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV4 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号39のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E27.AAVrh10 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV9 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号41のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E28.親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列GNNFXF(式中、Xは、E、Q又はTである)(配列番号78)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、E1~E15のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E29.親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV9であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV6、AAV7及びAAV8からなる群から選択される、E1~E15又はE28のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E30.配列番号33、配列番号35及び配列番号37のいずれか1つと少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、E1~E15、E28又はE29のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E31.配列番号33、配列番号35及び配列番号37のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E15又はE28~E30のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E32.配列番号34、配列番号36及び配列番号38のいずれか1つの核酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸配列によってコードされる、E1~E15又はE28~E31のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E33.配列番号34、配列番号36及び配列番号38のいずれか1つの核酸配列を含むか又はそれからなる核酸配列によってコードされる、E1~E15又はE28~E32のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E34.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV6 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号33のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E35.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV7 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号35のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E36.AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV8 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号37のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E37.親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域並びに/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、配列LYRFVST(配列番号79)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列PPPM(配列番号80)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、E1~E15のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E38.親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV5であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAVブタ5である、E1~E15又はE37のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E39.配列番号47と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、E1~E15又はE37~E38のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E40.配列番号47のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E1~E15又はE37~E39のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E41.配列番号48と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸によってコードされる、E1~E15又はE37~E40のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E42.配列番号48の核酸を含むか又はそれからなる核酸によってコードされる、E1~E15又はE37~E41のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E43.AAV5 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAVブタ5 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号47のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E44.親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAVカプシドポリペプチド
E45.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV1、AAV2、AAV3(AAV3A及びAAV3Bを含む、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh39、AAVrh43、AAVrh74、AAVrh32.22、AAV1.1、AAV2.5、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.3.1、AAV9.45、AAVShH10、HSC15/17、RHM4-1、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、RHM15-6、AAVhu.26、AAV2i8、AAV29G、AAV2,8G9、AAV-LK03、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B-S312N、AAVトリ、AAVコウモリ、AAVウシ、AAVイヌ、AAVウマ、AAV霊長類、AAV非霊長類、AAVヒツジ、AAVバリケン、AAVブタ4、AAVブタ5、AAVヘビのNP4、NP22、NP66、AAVDJ、AAVDJ/8、AAVDJ/9、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14、AAVHSC15、AAVv66、AAVv33、AAVv37、AAVv40、AAVv67、AAVv70、AAVv72、AAVv84、AAVv86、AAVv87及びAAVv90からなる群から選択される、E44のAAVカプシドポリペプチド
E46.βシートGとβシートIとの間の領域は、βシートG及びβシートI内部からのアミノ酸を含む、E44~E45のAAVカプシドポリペプチド
E47.親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E又はTであり;Xは、F又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、K、N又はTである)(配列番号81)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E44~E46のAAVカプシドポリペプチド
E48.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、E47のAAVカプシドポリペプチド
E49.親AAV VP1ポリペプチドのβシートI及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートIは、TQYSTGQVXVXWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E、K又はQであり;Xは、I又はMであり;Xは、D又はEであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号71)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E44~E48のAAVカプシドポリペプチド
E50.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、E49のAAVカプシドポリペプチド
E51.親AAV VP1ポリペプチドのβシートI及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのβシートIは、TQYSTGQVXVXEWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E又はKであり;Xは、I又はMであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号72)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E44~E50のAAVカプシドポリペプチド
E52.親AAV VPI及び/又は別のAAV VP1は、AAV2、AAV3B、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、E51のAAVカプシドポリペプチド
E53.親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23のいずれか1つで表される、E44~E52のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E54.親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列及び/又は別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22及び配列番号24のいずれか1つで表される核酸によってコードされる、E44~E53のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E55.親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域並びに別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域は、配列MLRTGNNF(配列番号82)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列FITQYSTGQV(配列番号83)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、E44~E54のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E56.親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV5であり、別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAVウシ又はAAVブタ4である、E33のAAVカプシドポリペプチド
E57.配列番号43又は配列番号45と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、E44~E56のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E58.配列番号43又は配列番号45のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、E44~E57のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E59.配列番号44又は配列番号46と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一の核酸によってコードされる、E44~E58のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E60.配列番号44又は配列番号46を含むか又はそれからなる核酸によってコードされる、E44~E59のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E61.AAV5 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸とAAVウシVP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号43のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E62.AAV5 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸とAAVブタ4VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号46のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド
E63.AAV6 VP1ポリペプチドからのアミノ酸E547 S552、N553、A555、N558 V559のいずれか1つ以上、並びにAAV9 VP1ポリペプチドからのアミノ酸N710、N711及びV721のいずれか1つ以上は、PKD1受容体と相互作用する、E28~E34のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E64.AAV6 VP1ポリペプチドからのアミノ酸W504及びT505のいずれか1つ以上、並びにAAV9 VP1ポリペプチドからのアミノ酸S263、S269、S386、Q387、D384、N270のいずれか1つ以上は、PKD2受容体と相互作用する、E28~E34又はE63のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド
E65.配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45及び配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるAAVカプシドポリペプチド
E66.配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46及び配列番号48からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるAAVカプシドポリペプチド
E67.E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター
E68.導入遺伝子を含む核酸をさらに含む、E67のrAAVベクター
E69.導入遺伝子は、治療用タンパク質又はレポータータンパク質をコードする、E68のrAAVベクター
E70.レポータータンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)である、E69のrAAVベクター
E71.E67~E70のいずれか1つのrAAVベクターであって、その向性は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドを含む他の同一のrAAVベクターの向性と異なる、rAAVベクター
E72.肝臓、心臓、骨格筋又は中枢神経系(例えば、脳、脊髄)のいずれか1つに対するベクターの向性は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドを含む他の同一のrAAVベクターと比較して低下する、E71のrAAVベクター
E73.肝臓、心臓、骨格筋又は中枢神経系(例えば、脳、脊髄)のいずれか1つに対するベクターの向性は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドを含む他の同一のrAAVベクターと比較して増加する、E71のrAAVベクター
E74.E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸
E75.プラスミドである、E74の核酸
E76.E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞
E77.i)E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチド及びベクターゲノムを含むrAAVベクター並びにii)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物
E78.i)E67~E73のいずれか1つのrAAVベクター及びii)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物
E79.rAAVベクターを作製する方法であって、i)培養中の宿主細胞に、E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミド、及び治療用タンパク質又はレポータータンパク質をコードする核酸を含むプラスミドをトランスフェクトすることと、ii)rAAVベクターを宿主細胞及び/又は培地から単離することと、を含む方法
E80.宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量と実質的に類似する、E79の方法
E81.宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量の約80%~140%である、E80の方法
E82.親血清型は、AAV9又はrh10である、E79~E81のいずれか1つの方法
E83.rAAVベクターは、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドを含む、E79~E82のいずれか1つの方法
E84.宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量より5~100倍多い、E79の方法
E85.親血清型は、AAV5である、E84の方法
E86.rAAVベクターは、配列番号43、配列番号45又は配列番号47のアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドを含む、E84又はE85の方法
E87.標的細胞を形質導入する方法であって、標的細胞を、E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、E67~E73のいずれか1つのrAAVベクター又はE77若しくはE78の医薬組成物と接触させることを含み、それによりrAAVベクターは標的細胞に導入される、方法
E88.標的細胞は、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、膵臓(例えば、ベータ島細胞、外分泌)、肺、中枢若しくは末梢神経系、例えば、脳(例えば、神経若しくは上衣細胞、オリゴデンドロサイト)若しくは脊椎、腎臓、眼(例えば、網膜)、脾臓、皮膚、胸腺、精巣、肺、横隔膜、心(心臓)、筋肉若しくは腰筋、又は腸(例えば、内分泌)、脂肪組織(白色、褐色若しくはベージュ)、筋肉(例えば、線維芽細胞、筋細胞)、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、唾液腺細胞、内耳神経細胞、造血(例えば、血液若しくはリンパ)又は幹(例えば、多能性若しくは複能性前駆)細胞である、E87の方法
E89.標的細胞は、単離された細胞であり、形質導入は、エクスビボでなされる、E87又はE88の方法
E90.標的細胞は、生物内の細胞であり、形質導入は、インビボでなされる、E87又はE89の方法
E91.形質導入される細胞は、治療用タンパク質又はレポータータンパク質を発現する、E87~E90のいずれか1つの方法
E92.レポータータンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)である、E91の方法
E93.生物内の形質導入細胞は、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を発現する、E90~E92のいずれか1つの方法
E94.疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防における使用のための、E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、E67~E73のrAAVベクター又はE77若しくはE78の医薬組成物
E95.疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防のための薬剤の製造における、E1~E66のいずれか1つのAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、E67~E73のrAAVベクター又はE77若しくはE78の医薬組成物の使用
本発明は、以下の実験例を参照することによってさらに詳しく説明される。これらの例は、あくまで例示を目的として提示され、特に指定されない限り、限定することが意図されない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものとして解釈されるべきでないばかりか、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆるバリエーションを包含するように解釈されるべきである。
以下の実施例は、発明者が、親VP1ポリペプチド(例えば、AAV9)中の特定のドメインを別のAAV血清型(例えば、AAV6)からの相同性ドメインと置換することにより、新規な向性特性を有する新規なAAVカプシドを開発することができることを発見した試験について説明する。発明者はまた、これらのキメラAAVカプシドが、rAAVベクターの産生にとって有用であり、rAAVベクターが、遺伝子療法適用に適したベクターの産生のための標準的方法によって精製可能であることを発見した。
実施例1:GHループ置換を有するキメラAAVカプシド
キメラAAVカプシドを開発するため、大きいドメインの置換のためのガイドとして結晶及びcryoEM構造を使用した。親AAV血清型5、9及びrh10を使用し、βシートG(アミノ酸FXYX(式中、Xは、E、Q又はTであり、Xは、F、I又はMであり、Xは、S、T又はVであり、Xは、E、K、N、Q、S又はTである))~βシートH(XIKNT(式中、Xは、Q又はMであり、Xは、I又はMであり、Xは、F、L又はMである))(GHループと称される)及びβシートG~βシートI(TQTSTGQVXVXEWEX(式中、Xは、A、S又はTであり、Xは、E又はKであり、Xは、I又はMであり、Xは、I又はLであり、Xは、K又はQである))(GIループと称される)を含む領域に対応する核酸を同定した(Nam et al.(2007)J.Virology 81(22):12260-12271)。
GHループ置換を有するAAVカプシドの場合、3つのカプシド血清型を親血清型として使用した:AAV5、AAV9、及びAAVrh10。GHループ置換を有するキメラカプシドは、親AAV VP1(例えば、AAV9)のβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸を別のAAV血清型(例えば、AAV6)からのVP1ポリペプチドの同じ領域からのアミノ酸と置換することによって作製した(図1)。このため、GHループ断片を、AAVカプシド配列を含むプラスミドから、例えばBsiWI及びAfeIを用いて切断した。その断片を、BsiWI及びAfeI部位で、プラスミド内部の親VP1カプシド配列への標準のライゲーションによって組み込んだ。配列挿入の成功を、BaeI消化(AAV9 GHループ領域内に存在する)、MluI消化(AAV8 GHループ領域内に存在する)、ScaI消化(AAV7 GHループ領域内に存在する)及びBspEI消化(AAV6 GHループ内に存在する)によって確認した。キメラVP1ヌクレオチド配列を含むプラスミドを、配列検証した。
親AAV VP1配列から別のAAV VP1配列の置換領域にかけてのクロスオーバー領域は、VP1アミノ酸配列のβシートG領域の内部、又は下流のアミノ酸と対応するDNA配列領域で開始し、別のVP1アミノ酸配列のβシートH領域、又はβシートI領域の内部、又は上流のアミノ酸と対応するDNA配列領域で終了する(表1)。得られたキメラAAVカプシドは、親AAVカプシドと異なる向性特性、親AAV血清型の場合と一致する産生値、及び親AAV血清型に共通する方法を用いた精製を可能にする特徴を含む有利な特性を示した。
以下のGHループ又はGI置換を有する12の新規なカプシドを作製した:AAV9-GH-AAV2(AAV9GH2とも称される)、AAV9-GH-AAV3B(AAV9GH3Bとも称される)、AAV9-GH-AAV4(AAV9GH4とも称される)、AAV9-GH-AAV5(AAV9GH5とも称される)、AAV9-GH-AAV6(AAV9GH6とも称される)、AAV9-GH-AAV7(AAV9GH7とも称される)、AAV9-GH-AAV8(AAV9GH8とも称される)、AAVrh10-GH-AAV9(AAVrh10GH9とも称される)、AAVrh10-GH-AAV4(AAVrh10GH4とも称される)、AAV5-GI-AAVブタ4(AAV5GIブタ4とも称される)、AAV5-GH-AAVブタ5(AAV5GHブタ5とも称される)及びAAV5-GI-AAVウシ(AAV5GIウシとも称される)。親AAV9 VP1カプシドアミノ酸配列とGHループ置換を有するカプシドのVP1アミノ酸配列の一部との間のパーセント距離(すなわち、1-%同一性)によって測定した場合の類似性を表2に示す。
親AAV9 VP1ポリペプチドアミノ酸配列とGHループ置換を有するカプシドのVP1アミノ酸配列の一部との間の保存されたパーセント(すなわち、同一アミノ酸の百分率+類似アミノ酸の百分率)によって測定した場合の類似性を表3に示す。
キメラカプシドを使用し、懸濁液HEK293培養系においてrAAVベクターを30mLの規模で産生し、パッケージング能及び力価を判定した。次に、親カプシドと比較して良好な力価をもたらすようなキメラカプシドを、双方向CMVを用いるインビボ試験のために高性能で生成し、増強されたGFP(eGFP)及びホタルルシフェラーゼ導入遺伝子を駆動した。
eGFP導入遺伝子を有するrAAVベクターを、体内分布試験のため、Balb/cマウスに、3E+13vg/kgの用量で静脈内に、又は2E+10vg/室の用量で両室(脳室内、「icv」)CNS投与によって投与した。4週後、マウスに、生物発光イメージングのため、ルシフェリンを静脈内注射した。
また、C57Bl/6マウスに、5E+12vg/kgの各ベクターを静脈内注射し、注射の4週後、動物組織を収集した。動物組織を収集し、プロセシングのために液体窒素で凍結させるか、又は免疫蛍光イメージングのためにホルマリンで固定した。目的の組織を、DNA及びRNAプロセシング前に、Qiagenキットを使用し、製造業者のプロトコルに従い、粉末に微粉砕した。DNA分布及びRNA発現レベルの両方を、GFPプライマー-プローブセットを使用する液滴デジタルPCR(ddPCR)によって定量した。固定された組織をパラフィン包埋し、切片を作成した。次に、組織をGFPについてプローブした。
結果
30mLの産生規模で、GHループ置換を有するカプシドを含むキメラベクターにおけるvg/細胞の力価収量は、AAV9GH3B、AAV9GH4、及びAAV9GHrh10を除いてAAV9と類似した。AAV5へのGHループ置換及びGIループ置換は、AAV5より高い力価をもたらした(図2)。より大規模な2リットルの懸濁培養で、AAV9GH6、AAV9GH7、及びAAV9GH8は、AAV9の場合と類似する産生力価をもたらした。AAVrh10GH9の力価は、AAV9の場合より低かった(図3)。
GHループ置換を有するカプシドを有するrAAVベクターは、親AAV9カプシドを含むrAAVベクターの向性特性と異なる組織向性特性を示した。生物発光データに基づき、静脈内に投与されたAAV9GH6ベクターは、全動物の胸部領域及び肢に生物発光が集中されることを示し、それは心臓及び骨格筋に対する向性を意味した。興味深いことに、肝臓領域における生物発光の観察が減少した(図4)。また、AAV9GH6ベクターを静脈内注射したマウスからの組織の生体外分析により、AAV9ベクター及びAAV9GH7ベクターを注射したマウスの肝臓と比較して、肝臓における生物発光が減少することが示された(図4)。また、AAV9ベクター、AAV9GH6ベクター及びAAV9GH7ベクターを注射したマウスからの組織生物発光の定量により、親rAAV9ベクター及びAAV7 GHループ置換を有するrAAV9(AAV9GH7)と比較して、肝臓及び脳におけるrAAV9GH6ベクターの体内分布が減少することが示された(図5)。rAAV9GH8ベクターは、特異性を有するあらゆる組織を標的にすることが認められなかった。データは、光子/秒で測定され、非注射対照マウスに対して正規化された。
eGFP導入遺伝子を含むrAAV9GH7ベクターのICV注射による投与により、AAV9GH8ベクター及びAAV9GH6ベクターを同じ経路によって投与したマウスと比較して、脊椎及び脳における有意なレベルの生物発光がもたらされた。これは、全動物(図6)及び生体外組織(図7)の両方における生物発光の評価によって実証された。また、AAV9GH7キメラベクターを投与したマウスは、肝臓及び脳における有意な生物発光を示した(表4)。データは、光子/秒で測定され、非注射対照マウスに対して正規化された。
また、IV投与した親AAV9ベクター及びキメラベクターの体内分布を、骨格筋、心臓、脳及び肝臓組織における二倍体ゲノムあたりの発現されたGFP(eGFP)のコピーの数を測定することによって決定した(図9)。rAAV9ベクター又はAAV9GH7キメラベクターを投与したマウスの肝臓におけるコピーの数において、キメラrAAV9GH6ベクターを投与したマウスと比較して、有意差が認められた。体内分布におけるこの差異は、5E+12vg/kgを投与したマウス及び3E+13vg/kgを投与したマウスにおいて認められた。また、より高い用量を投与したマウスは、用量反応を表す、二倍体ゲノムあたりの全体的により高い数のeGFPコピーを示した。試験したベクターの中で、心臓における二倍体ゲノムあたりのeGFPコピーの数における有意差は認められなかった。
3E+13vg/kg投与したマウスにおいて、肝臓におけるeGFPの発現をddPCRによって測定した(図10)。二倍体ゲノムあたりに測定されたeGFPのコピーの数と比較して、発現レベルにおける有意差が認められた。すなわち、肝臓におけるeGFPのRNA発現は、AAV9又はAAV9GH7ベクターを投与したマウスにおいて最高であり、AAV9GH6ベクター又はAAV9GH8ベクターを投与したマウスの肝臓において有意により低かった。
3E+13vg/kgのrAAV9、rAAV9GH7又はrAAV9GH6ベクターを静脈内投与したマウスの心臓及び肝臓組織に対して、GFPタンパク質に対する染色により、免疫組織化学(IHC)を実施した(図11)。全心臓及び心室におけるGFP陽性領域のみを定量化した(図12)。rAAV9ベクター及びrAAV9GH6ベクターを投与したマウスの全心臓又は心室におけるGFP陽性領域において、有意差は認められなかった。rAAV9ベクターを投与したマウス及びrAAV9GH6ベクターを投与したマウスの全心臓又は心室において、rAAV9GH7ベクターを投与したマウスと比較して、有意により大きいGFP陽性領域が認められた(p<0.0001)。
rAAV9ベクター及びrAAV9GH7ベクターを投与したマウスの肝臓におけるGFP陽性領域において、有意差は認められなかった。rAAV9ベクターを投与したマウス(p<0.01)及びrAAV9GH7ベクターを投与したマウス(p<0.05)の肝臓において、rAAV9GH6ベクターを投与したマウスと比較して、有意により大きいGFP陽性領域が認められた(図12)。
実施例2:GHループ置換を有するAAVカプシドのクライオ電子顕微鏡(CryoEM)分析
方法
グラフェンオキシドフィルムで支持された電子顕微鏡グリッドを調製した。Vitrobot(ThermoFisher)を使用し、AAVサンプル溶液をガラス化した。凍結したグリッドを、300kVで作動するFEI Titan Krios透過型電子顕微鏡に移した。標的位置を、SerialEMプログラムにおいてセットアップし、高拡大率(165KX)画像を、超解像度の動画モードを用いてK2直接検出器カメラ(Gatan)を使用するプログラムにより自動的に収集した。ビニングなしのピクセルサイズは、0.868Åであり、ビーム強度は、約8e/非ビニングピクセル/秒であった。各動画についてのサンプルに対する総電子線量は、約40e/Å2であった。それぞれが20フレームを有する、全部で813の動画を収集した。
cisTEMプログラム(Grant et al.(2018)Elife 7:e353838)を用いて、データを処理し、それは、動画整列、CTF補正、粒子ピッキング、2D分類及び自動精密化及びポストプロセシングのステップを含んだ。これらのステップ後、解像度が約2.6Åの電子密度マップを取得した。これらの密度マップ及び既知のAAV9-GH-AAV6アミノ酸配列に基づき、原子モデルを、Cootプログラム(Emsley et al.(2010)Acta Crystallographica Section D-Biological Crystallography)を用いて構築した。そのモデルを、「Phenix.real-space-refine」ツール(Afonine et al.(2018)Acta Crystallogr.D Struct.Biol.)を用いて改良した。
結果
AAV9-GH-AAV6サンプルでは、最終的な2.6Åの解像度構造マップが得られた。カプシドの直径は約280Åであったが、それは他の野生型AAV血清型からのカプシドの直径に類似する。その構成溶液は、AAV9-GH-AAV6カプシドが、その非天然配列にもかかわらず、インタクトであることを示した。EM密度マップからの特徴は、AAV9-GH-AAV6カプシドのモデル構築を支持した(図12A)。側鎖配置の大半は、十分に確定しており、密度マップに十分にフィットする(図12B)。カプシド表面で、GH領域からの交換された配列は、主に、曝露され、3倍軸を中心に構成された表面である(図12C)。
AAV9-GH-AAV6及び公表されたAAV9(PDBコード:3UX1)からの構造を比較した。その2つは、1.275Åの全体的な平均二乗偏差(RMSD)の類似性を示した(図13A)。しかし、ループIV及びVIII領域において、差異はより明白であった(図13B及び図13C)。
また、AAV9-GH-AAV6構造を、AAV6の公表された構造(PDBコード:3SHM)と比較した。その2つの間の全体的なRMSDは、1.103Åであり(図14A)、明白な局所構造の差異も、ループIV及びVIII領域内に見出された(図14B及び図14C)。カプシドのループIV及びVIIIが、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)及びシアル酸(SIA)などの細胞表面グリカンとの相互作用に関与することは公知である(Agbandje-McKenna and Kleinschmidt(2012)AAV Capsid Structure and Cell Interactions.In:Snyder R.,Moullier P.(eds) Adeno-Associated Virus.Methods in Molecular Biology(Methods and Protocols),vol807.Humana Press)。野生型AAV血清型カプシドとのGHループ置換を有するキメラカプシドの全体構造の類似性の観察によると、キメラカプシドが機能的カプシドであり、ウイルスの完全性を維持することが示される。表面に曝露されたループにおいて認められる差異は、表面特性における多様性がカプシドの向性特性における変化に寄与し得ることを示す。
AAVウイルスによる初期会合のための細胞表面グリカン(ヘパラン硫酸プロテオグリカン、N末端ガラクトース及びシアル酸部分を含む)の使用に加えて、最近、5つの多発性嚢胞腎疾患(PKD)反復ドメインを含む糖タンパク質がAAV受容体として同定された。この受容体の異なるサブドメインがAAV血清型と異なる親和性で結合することが示されている。したがって、AAVカプシドの表面特性は、細胞表面受容体とのその相互作用を決定し、体内分布を変更し得る。AAV5のPKD1及びAAV1のPKD2との既知の受容体結合領域を用いて(Zhang et al.(2019)Nat.Comm.10:3760)(図15A及び図16A)、AAV9-GH-AAV6カプシド酸配列の対応する領域及び残基を同定した(図15B及び図16B)。これらの対応する領域は、親AAV9 VP1配列及びAAV6 GHループ置換配列に起因するアミノ酸から構成される。したがって、AAV9-GH-AAV6カプシドとAAV受容体との相互作用は、AAV9カプシド配列及びAAV6カプシド配列の両方からの領域及びアミノ酸残基によって媒介される可能性が高く、それはGH又はGIループ置換を有するキメラカプシドの変更された体内分布についての説明を提供する。
均等物
上記の書面の明細書は、当業者が本開示を実施することができるために十分であると考えられる。上記の説明及び実施例は、本開示の特定の例示的な実施形態を詳述している。しかし、本文中で上記がいかに詳細に見え得るとしても、本開示が多くの方法で実施することができ、本開示が添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って解釈されるべきであることは理解されるであろう。
特許、特許出願、論文、教科書などを含む本明細書で引用される全ての参考文献、及びそれらの中で引用される参考文献は、それら全体が参照により本明細書にまだ組み込まれていない範囲で組み込まれる。

Claims (62)

  1. 親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAVカプシドポリペプチド。
  2. 前記親AAV VP1ポリペプチド及び前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域は、約222~約235アミノ酸を含む、請求項1に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  3. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E、Q、又はTであり;Xは、F、I、又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、E、K、N、Q、S又はTである)(配列番号52)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1又は2に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  4. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートH及び前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートHは、XIKNT(式中、Xは、Q、又はMであり;Xは、I又はMであり;Xは、L、M又はFである)(配列番号65)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  5. 前記親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  6. 前記別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  7. 前記親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、前記別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列又はその両方は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23のいずれか1つで表される、請求項1~6のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  8. 前記親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、前記別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列又はその両方は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22及び配列番号24のいずれか1つで表される核酸によってコードされる、請求項1~7のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  9. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域、前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域又はその両方は、配列VPFHS(配列番号75)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)又はMKHPPP(配列番号77)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、請求項1~8のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  10. 前記親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV9又はAAVrh10であり、前記別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5及びAAV9からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  11. 配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号39、及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  12. 配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号39、及び配列番号41のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  13. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域、前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域又はその両方は、配列GNNFXF(式中、Xは、E、Q又はTである)(配列番号78)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列KHPPP(配列番号76)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、請求項1~12のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  14. 前記親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV9であり、前記別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV6、AAV7及びAAV8からなる群から選択される、請求項13に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  15. 配列番号33、配列番号35及び配列番号37のいずれか1つと少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項13又は14に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  16. 配列番号33、配列番号35及び配列番号37のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項13~15のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  17. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域、前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域又はその両方は、配列LYRFVST(配列番号79)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列PPPM(配列番号80)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、請求項1~8のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  18. 前記親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV5であり、前記別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAVブタ5である、請求項17に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  19. 配列番号47と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項17又は18に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  20. 配列番号47のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項17~19のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  21. 親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸と別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域からのアミノ酸との置換を含む、AAVカプシドポリペプチド。
  22. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートG及び前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGは、FXYX(式中、Xは、E又はTであり;Xは、F又はMであり;Xは、S、T又はVであり;Xは、K、N又はTである)(配列番号81)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項21に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  23. 前記親AAV VPI、前記別のAAV VP1又はその両方は、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、請求項21又は22に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  24. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートI及び前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートIは、TQYSTGQVXVXWEX(式中、Xは、A、S又はTであり;Xは、E、K又はQであり;Xは、I又はMであり;Xは、D又はEであり;Xは、I又はLであり;Xは、Q又はKである)(配列番号71)のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項21~23のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  25. 前記親AAV VPI、前記別のAAV VP1又はその両方は、AAV2、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVウシ、AAVブタ4及びAAVブタ5からなる群から選択される、請求項24に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  26. 前記親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、前記別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、又はその両方は、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23のいずれか1つで表される、請求項21~25のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  27. 前記親AAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、前記別のAAV VP1ポリペプチドのアミノ酸配列、又はその両方は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22及び配列番号24のいずれか1つで表される核酸によってコードされる、請求項21~26のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  28. 前記親AAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域並びに前記別のAAV VP1ポリペプチドのβシートGとβシートIとの間の領域は、配列MLRTGNNF(配列番号82)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってアミノ末端で隣接され、配列FITQYSTGQV(配列番号83)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列によってカルボキシ末端で隣接される、請求項21~27のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  29. 前記親AAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAV5であり、前記別のAAV VP1ポリペプチドの血清型は、AAVウシ又はAAVブタ4である、請求項28に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  30. 配列番号43又は配列番号45と少なくとも90%、95%、98%若しくは99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項21~29のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  31. 配列番号43又は配列番号45のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項21~30のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  32. AAV9 VP1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドであって、βシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸とAAV6 VP1ポリペプチドのβシートGとβシートHとの間の領域からのアミノ酸との置換を含み、配列番号33のアミノ酸配列を含む、AAVカプシドポリペプチド。
  33. 前記AAV6 VP1ポリペプチドからのアミノ酸E547 S552、N553、A555、N558 V559のいずれか1つ以上、並びに前記AAV9 VP1ポリペプチドからのアミノ酸N710、N711及びV721のいずれか1つ以上は、前記PKD1受容体と相互作用する、請求項32に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  34. 前記AAV6 VP1ポリペプチドからのアミノ酸W504及びT505のいずれか1つ以上、並びに前記AAV9 VP1ポリペプチドからのアミノ酸S263、S269、S386、Q387、D384、N270のいずれか1つ以上は、前記PKD2受容体と相互作用する、請求項32又は33に記載のAAVカプシドポリペプチド。
  35. 配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45及び配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるAAVカプシドポリペプチド。
  36. 配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46及び配列番号48からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるAAVカプシドポリペプチド。
  37. 請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター。
  38. 導入遺伝子を含む核酸をさらに含む、請求項37に記載のrAAVベクター。
  39. 前記導入遺伝子は、治療用タンパク質又はレポータータンパク質をコードする、請求項37又は38に記載のrAAVベクター。
  40. 前記ベクターの向性は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドを含む他の同一のrAAVベクターの向性と異なる、請求項37~39のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
  41. 請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸。
  42. プラスミドである、請求項41に記載の核酸。
  43. 請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞。
  44. 請求項41又は42に記載の核酸を含む宿主細胞。
  45. i)請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチド及びベクターゲノムを含むrAAVベクター、並びにii)薬学的に許容される賦形剤、を含む医薬組成物。
  46. i)請求項37~40のいずれか一項に記載のrAAVベクター、及びii)薬学的に許容される賦形剤、を含む医薬組成物。
  47. rAAVベクターを作製する方法であって、i)培養中の宿主細胞に、請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミド、及び治療用タンパク質又はレポータータンパク質をコードする核酸を含むプラスミドをトランスフェクトすることと、ii)前記rAAVベクターを前記宿主細胞、培地又はその両方から単離することと、を含む方法。
  48. 前記宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量と実質的に類似する、請求項47に記載の方法。
  49. 前記宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量の約80%~140%である、請求項47に記載の方法。
  50. 前記親血清型は、AAV9である、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記rAAVベクターは、配列番号33、配列番号35又は配列番号37のアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドを含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量は、親血清型のAAVカプシドポリペプチドをコードする核酸を含む他の同一の宿主細胞によって産生されたrAAVベクターの量より5~100倍多い、請求項47に記載の方法。
  53. 前記親血清型は、AAV5である、請求項52に記載の方法。
  54. 前記rAAVベクターは、配列番号43、配列番号45又は配列番号47のアミノ酸配列を含むAAVカプシドポリペプチドを含む、請求項52又は53に記載の方法。
  55. 標的細胞を形質導入する方法であって、前記標的細胞を、請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、請求項37~40のいずれか一項に記載のrAAVベクター又は請求項45若しくは46に記載の医薬組成物と接触させることを含み、それにより前記rAAVベクターは前記標的細胞に導入される、方法。
  56. 前記標的細胞は、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、膵臓(例えば、ベータ島細胞、外分泌)、肺、中枢若しくは末梢神経系、例えば、脳(例えば、神経若しくは上衣細胞、オリゴデンドロサイト)若しくは脊椎、腎臓、眼(例えば、網膜)、脾臓、皮膚、胸腺、精巣、肺、横隔膜、心(心臓)、筋肉若しくは腰筋、又は腸(例えば、内分泌)、脂肪組織(白色、褐色若しくはベージュ)、筋肉(例えば、線維芽細胞、筋細胞)、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、唾液腺細胞、内耳神経細胞、造血(例えば、血液若しくはリンパ)又は幹(例えば、多能性若しくは複能性前駆)細胞である、請求項55に記載の方法。
  57. 前記標的細胞は、単離された細胞であり、形質導入はエクスビボでなされる、請求項55又は56に記載の方法。
  58. 前記標的細胞は、生物内の細胞であり、形質導入はインビボでなされる、請求項55又は56に記載の方法。
  59. 前記形質導入された標的細胞は、治療用タンパク質又はレポータータンパク質を発現する、請求項55~58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 生物内の前記形質導入細胞は、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を発現する、請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防における使用のための、請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、請求項37~40のいずれか一項に記載のrAAVベクター又は請求項45若しくは46に記載の医薬組成物。
  62. 疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防のための薬剤の製造における、請求項1~36のいずれか一項に記載のAAVカプシドポリペプチドを含むrAAVベクター、請求項37~40のいずれか一項に記載のrAAVベクター又は請求項45若しくは46に記載の医薬組成物の使用。
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