JP2024515082A - 顔料を含む水中油型化粧品組成物 - Google Patents

Abstract

本発明は、水相中に分散された少なくとも１つの油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧品組成物であって、ａ）アルキルホスフェート化合物から選択される少なくとも１つの乳化剤と、ｂ）少なくとも１つのポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤と、ｃ）スルホン単位を含有するポリマーから選択される少なくとも１つの水性増粘剤と、ｄ）少なくとも１つのポリオキシアルキレンシリコーン化合物で表面が処理された少なくとも１つの顔料と、を含む、化粧品組成物に関する。本発明はまた、皮膚のメイクアップとして、特にファンデーションとしての、上述の組成物の使用に関する。

Description

本発明は、特に、メイクアップ専用の、顔料を含む水中油型（Ｏ／Ｗ）エマルション型の化粧品組成物、例えば、ファンデーションのための組成物、並びにファンデーションとしてのこれらの水中油型（Ｏ／Ｗ）エマルションの使用の分野に関する。

皮膚の外観を改善する化粧品組成物が強く求められている。特に、ファンデーションなどのメイクアップ組成物は、肌色をより美しくし、統一すること、又は母斑、色素沈着、毛穴、皺及び小皺などの皮膚の欠陥又は皮膚の不規則性を隠すことを可能にする。ファンデーション用の組成物は、容易で均質な広がり及びカバー特性並びに良好な耐性を可能にするように、粉末及び粒子状着色剤の皮膚への良好な接着性、並びにこれらの粉末及び顔料の均一な分散性を有していなければならない。

油中水型エマルションの形態でファンデーションを製造して、良好な広がり、カバー性及び均質性を得ることは、一般に容易である。しかしながら、水中油型エマルション（又は「直接」エマルション）は、適用されたときにそれらが提供する爽快感のために、化粧品分野において特に評価されている。例えば、国際公開第２０１６／０８７５５４号の出願に記載されている、会合性ポリウレタン、非イオン性界面活性剤、脂肪族アルコール及び疎水性化合物でコーティングされた１０重量％の顔料を含む、着色した水中油型組成物が知られている。

しかしながら、水中油型エマルションは、肌色製品にはあまり適していない。というのも、これらのエマルションは、油中水型エマルションよりもこの種の製品にあまり適していない官能特性、特に、滑りやすさの欠如、不十分なカバー性、及び適用時に組成物が作用して色の容易かつ均一な適用を可能にするには短すぎる適用時間又は作業性（「プレイタイム」）を有しているからである。

更に、高い顔料含有量を有する組成物は、一般に、官能特性を実質的に損なうことなく安定化させるのは、より困難である。エマルションに関連する不安定性（クリーミング及び軟凝集など）に加えて、他の不安定性は、顔料の移動、沈降又は凝集に関連する場合がある。しかしながら、顔料の良好な分散は必須であり、直接エマルションを用いて得ることは、より困難な場合がある。これらの様々な不安定性は、経時的な組成物の質感及び／又は色合いの変化を引き起こす可能性がある。いくつかの不安定性はまた、製品の塊の色（組成物の色）と、組成物が皮膚上にフィルムの形態で適用された場合に最終的に得られる色との間に顕著な色の差を生じさせる可能性がある。

最後に、適用後に経時的な接着性に関して満足のいく特性を有する直接エマルションを得ることは、より困難である。この接着欠陥はまた、温度及び環境湿度条件に応じて、悪化する可能性がある。皮膚上のメイクアップフィルムの不安定化は、数時間でメイクアップに不均一な外観を生じさせる効果を有し、したがってこれは不満足なものである。

国際公開第２０１６／０８７５５４号 米国特許第４，５７８，２６６号 米国特許第５，５３８，７９３号

Ｊ．Ｓｏｃ．Ｃｏｓｍ．Ｃｈｅｍ．１９５４（ｖｏｌｕｍｅ ５），ｐａｇｅｓ ２４９－２５６

したがって、肌色を統一し、欠陥を修正するのに有効であり、皮膚上で均一にカバーする自然な結果を伴う良好な広がり特性及び耐性を有する、特にメイクアップ製品又は肌色製品のための化粧品組成物が依然として必要とされている。また、適用されたときに爽快感及び軽さの感覚を提供し、良好な官能特性、特に、適用及び広がりの容易さを有しつつ、適用したときに粘性の感覚がなく、べとつかず、手触りが心地よく、油っぽい感覚を残さず、一日中快適に着けることができる、メイクアップのための化粧品組成物が必要とされている。

特に、良好な官能特性、良好な滑りやすさ、作業性の十分な持続期間（「プレイタイム」）を伴う、良好な広がりの容易さ、良好なカバー性を示し、かつ均質なメイクアップ結果を得ることを可能にしつつ、爽快感を提供する、メイクアップのための、特にファンデーションのための、化粧品組成物が依然として必要とされている。

同時に、経時的に良好な安定性を有する化粧品組成物、特に最終使用者による開封後数ヶ月までの製品の貯蔵期間を通して安定である化粧品組成物が必要とされている。

本出願人は、驚くべきことに、また、予期せぬことに、これらの問題の全てが本発明による組成物によって解決され得ることを発見した。

一態様によれば、本発明は、水相中に分散された少なくとも１つの油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧品組成物であって、
ａ）少なくとも１つのアルキルホスフェート乳化剤と、
ｂ）少なくとも１つのポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤と、
ｃ）スルホン単位を含有するポリマーから選択される少なくとも１つの水性増粘剤と、
ｄ）ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された少なくとも１つの顔料と、を含む、化粧品組成物に関する。

実際に、多くの研究の後、本願発明者らは、水中油型エマルションの爽快感及び軽さの特性を維持しつつ、油中水型エマルションの官能特性、特に、良好な滑りやすさ及び十分に長い作業時間（「プレイタイム」）を伴う非常に良好な広がりやすさを有する、水中油型エマルションの形態の肌色製品を提供することが可能であることを発見した。換言すれば、本願発明者らは、２つの異なる形態の化粧品の利点を組み合わせることを可能にする組成物を開発した。特に、本発明による組成物は、顔料の良好な分布を可能にし、驚くべきことに、皮膚に溶け込み、良好な自然なカバー性及び均質なメイクアップ結果を提供し、肌色を統一することを可能にするだけではなく、例えば、皺、小皺及び毛穴などの皮膚上の起伏の欠陥を隠すことも可能にする。

本願発明者らによって実証された成分の特定の組み合わせは、適用時にこの感覚性及び作業性の両方を有し、非常に良好な色均一性及び耐性、並びに非常に良好な経時的安定性を有する組成物を得ることを可能にする。

最後に、本発明による組成物は、顕著な割合の界面活性剤、乳化剤又は増粘剤を必要とせずに、安定な水中油型エマルションを得るという利点を有する。成分の特定の組み合わせのボディ（body）及び安定性は、官能特性を低下させることなく、又はプレイタイム若しくはカバー性を不安定にすることなく、日々の保護のために鉱物又は有機の日焼け止め剤を組み込むことも可能にする。

本発明による組成物は、皮膚への局所適用に適している。本組成物を、特に皮膚のためのケア及び／又はメイクアップのために使用することができる。例えば、本組成物を、皮膚ケア製品として、例えば、顔、手、若しくは身体のための保護、治療若しくはケアクリームとして、又は日焼け防止製品として使用してもよい。本発明による組成物は、皮膚のためのメイクアップとしての製品として、特にファンデーションとして使用することもできる。

したがって、本発明はまた、メイクアップ製品としての、好ましくはファンデーションとしての、上で定義された組成物の化粧品としての使用に関する。

本明細書で使用される一般的な用語を以下に定義する。

「少なくとも１つ」という表現は、「１つ以上」という表現と同等である。

「含む」という表現は、「からなる」という表現を包含する。

本発明の目的のために、「化粧品組成物」という用語は、外用局所適用に適した組成物を指す。化粧品組成物は、皮膚（身体、顔、目の輪郭、まぶた）と適合性のある支持体である、化粧品として許容される支持体を含む。化粧品組成物は、好ましくは肌色製品、より具体的にはファンデーションである。

本発明の意味の範囲内で、「肌色製品」は、顔料を使用して、顔色を統一するか、若しくは修正すること、又は皮膚の欠陥を隠すことを可能にする皮膚カバー製品（身体、顔、目の輪郭、まぶた）を指す。肌色製品は、メイクアップ及び／又はケア製品であってもよい。例えば、保湿ケア及び／又は抗ＵＶ保護も提供する着色された欠陥防止クリームであってもよい。好ましくは、肌色製品は、少なくとも３％の顔料を含む。好ましくは、肌色製品は、ファンデーションである。

「ファンデーション」という用語は、それが適用される皮膚に均一な色を与えるメイクアップを意味することが意図される。本発明の意味の範囲内で、ファンデーションは、組成物の総重量に対して、少なくとも７重量％の顔料、好ましくは少なくとも８重量％の顔料、より優先的には少なくとも１０重量％の顔料を含む。

「水中油型エマルション」（Ｏ／Ｗと表される）は、肉眼で巨視的に均質な混合物が観察されるように、不連続油相が特に液滴の形態で分散されている連続水相からなる組成物を意味する。

本発明の目的のために、「乳化剤」は、エマルションの動的安定性を増加させることができる任意の化合物又は化合物の混合物を意味する。本発明の意味の範囲内で、この用語は、両親媒性化合物、すなわち親水性（極性）部分及び親油性（無極性）部分の両方を有する化合物を示す。

本明細書において、「組成物の総重量に対する重量％としての量又は含有量」という表現は、「組成物の総質量に対する質量％としての量又は含有量」という表現と同等である。

「ＩＮＣＩ」という名称は、Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ Ｎｏｍｅｎｃｌａｔｕｒｅ ｏｆ Ｃｏｓｍｅｔｉｃ Ｉｎｇｒｅｄｉｅｎｔｓによる化粧品成分の名称を指す。

アルキルホスフェート乳化剤：
本発明による組成物は、アルキルホスフェート化合物から選択される少なくとも１つの乳化剤を含有する。

本発明によれば、「アルキルホスフェート」という用語は、アルキル鎖に結合したホスフェート基を有する化合物、例えばモノアルキルホスフェート（ホスフェート要素が単一のアルキル鎖に結合している）又はジアルキルホスフェート（ホスフェート要素が２つのアルキル鎖に結合している）を包含する。組成物は、単一の種類のアルキルホスフェートを含んでもよいが、２つ以上の異なる種類のアルキルホスフェートを組み合わせて使用することもできる。

好ましくは、アルキルホスフェート化合物は、モノアルキルホスフェートエステルである。

好ましくは、アルキルホスフェート化合物は、Ｃ１２～Ｃ２４、好ましくはＣ１６～Ｃ１８アルキルホスフェートである。

有利には、アルキルホスフェート化合物は、セチルホスフェート、ステアリルホスフェート、セテアリルホスフェート及びそれらの混合物から選択される。

アルキルホスフェート化合物は、塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩の形態であり得る。好ましくは、アルキルホスフェート化合物は、アルカリ金属塩の形態である。アルカリ金属としては、例えば、カリウム、リチウム及びナトリウムを挙げることができる。好ましくは、アルキルホスフェート化合物は、カリウム塩の形態である。

有利には、アルキルホスフェート化合物は、セチルホスフェート、より具体的にはセチルリン酸カリウムである。本発明に従って使用することができるセチルホスフェートの例として、Ａｍｂｉｓｏｌ Ｋ（ＤＳＭ製）、Ａｍｂｉｓｏｌ Ａ（ＤＳＭ）及びＣｒｏｄａｆｏｓ ＭＣＫ（Ｃｒｏｄａ）の名称で販売されている製品を挙げることができる。

本発明による組成物中のアルキルホスフェートの量は、組成物の総重量に対して０．３重量％以上、好ましくは０．５重量％以上、より好ましくは０．８重量％以上であり得る。

一方で、本発明による組成物中のアルキルホスフェートの量は、組成物の総重量に対して最大２．５重量％、好ましくは最大１．５重量％であり得る。

好ましくは、本発明による組成物中のアルキルホスフェートの量は、組成物の総重量に対して０．５重量％～２．５重量％、好ましくは０．８重量％～１．５重量％である。これにより、組成物のより良好な安定性と感覚性とを組み合わせることが可能になる。

ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤：
本発明による組成物は、少なくとも１つのポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤を含有する。

本発明によれば、「ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤」という用語は、少なくとも１つのポリオキシアルキレン鎖、例えば繰り返されるオキシエチレン及び／又はオキシプロピレン単位を含む鎖を有するシリコーン含有ポリマー乳化剤を包含する。この用語は、特に、ポリオキシアルキレン親水性側鎖及び／又は末端基、好ましくはポリオキシエチレン化（又はＰＥＯ）及び／又はポリオキシプロピレン化（又はＰＯＰ）側鎖及び／又は末端基を有するオルガノシロキサンポリマー（ポリオルガノシロキサン、特にポリジメチル（又はジアルキル）シリコーン）を包含する。この用語は、特に、水に可溶性の１つ以上のエーテル官能基を含むポリジメチルシロキサン（ＰＤＭＳ）（繰り返されるオキシアルキレン単位、特にオキシエチレン及び／又はオキシプロピレン単位）を包含する。

シリコーン乳化剤のポリオキシアルキレン鎖は、７～１８個のオキシアルキレン単位を含み得る。好ましくは、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤は、少なくとも９個の単位、好ましくは少なくとも１０個のオキシアルキレン単位を含む。好ましくは、シリコーン乳化剤は、最大１５個の単位、好ましくは最大１３個のオキシアルキレン単位を含む。

好ましくは、シリコーン乳化剤は、ポリオキシエチレン及び／又はポリオキシプロピレン鎖、好ましくはポリオキシエチレンを含む。

好ましくは、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤は、９以上、好ましくは１１以上、より好ましくは１３以上のＨＬＢを有する。

ＨＬＢという用語は周知であり、Ｇｒｉｆｆｉｎの意味での２５℃における界面活性剤の親水性－親油性バランスを指す。親水性－親油性バランス（ＨＬＢ）は、界面活性剤の親水性基の寸法及び強度と、親油性基の寸法及び強度との間の平衡を意味する。ＧｒｉｆｆｉｎによるＨＬＢ値は、Ｊ．Ｓｏｃ．Ｃｏｓｍ．Ｃｈｅｍ．１９５４（ｖｏｌｕｍｅ ５），ｐａｇｅｓ ２４９－２５６に定義されている。

組成物は、単一の種類のポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤を含み得る。２つ又はいくつかの異なる種類のポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤を組み合わせて使用することができる。

好ましくは、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤は、直鎖ポリシロキサンである。好ましくは、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤は、ポリオキシアルキレン、好ましくはポリオキシエチレン、ポリジメチルシロキサンである。

使用可能なポリオキシアルキレンシリコーン含有乳化剤の中で、例えば、以下のＩＮＣＩ名を有する化合物を挙げることができる。ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン（例えば、Ｓｈｉｎ－ＥｔｓｕによってＫＦ－６０１１の名称で販売されており、１４．５のＨＬＢを有する）、ＰＥＧ－１０ジメチコン（例えば、Ｓｈｉｎ－ＥｔｓｕによってＫＦ－６０４３の名称で販売されており、１４．５のＨＬＢを有する）、ＰＥＧ－１２ジメチコン（例えば、ＢＲＢによってＢＲＢ ５２６の名称で販売され、１３のＨＬＢを有するか、又はＭｏｍｅｎｔｉｖｅ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｍａｔｅｒｉａｌｓ Ｉｎｃ．によってＳｉｌｓｏｆｔ ８７０の名称で販売される）、ラウリルＰＥＧ／ＰＰＧ－１８／１８ジメチコン（例えば、ＳｉｌｔｅｃｈによってＳｉｌｕｂｅ Ｊ１０１５－Ｏ－２１２の名称で販売される）。

好ましくは、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤は、ジメチコン誘導体メチルエーテルから選択される。例として、ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコンを挙げることができる。

本発明による組成物中のポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤の量は、組成物の総重量に対して、少なくとも０．３重量％、好ましくは少なくとも０．５重量％、より好ましくは少なくとも０．８重量％であり得る。

一方で、本発明による組成物中のポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤の量は、組成物の総重量に対して最大５重量％、好ましくは最大２重量％であり得る。

本発明による組成物中のポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤の量は、組成物の総重量に対して、好ましくは０．５重量％～５重量％、好ましくは０．８重量％～２重量％である。これにより、組成物のより良好な安定性と感覚性とを組み合わせることが可能になる。

水性増粘剤：
本発明による組成物は、スルホン単位を含有するポリマーである少なくとも１つの水性増粘剤を含む。

本発明の文脈内の「増粘剤」という用語は、その存在により、それが導入される組成物の粘度を増加させることを可能にするポリマーを意味する。

本発明の文脈内の「水性増粘剤」という用語は、水溶性又は水分散性又は水膨潤性のポリマーを意味する。

「スルホン単位を含有するポリマー」という用語は、スルホン部分を有する少なくとも１つのモノマー、すなわち部分－ＳＯ_３Ｍ（式中、Ｍは水素又はアルカリ若しくはアルカリ土類若しくはアンモニウム若しくはアルカノールアンモニウムイオンを表す）を含む少なくとも１つのモノマーを含むポリマーを意味する。ホモポリマー（スルホン部分を含有するモノマーのみを含む）又はコポリマー（他の種類のモノマーも含む）であってもよい。このポリマーは、スルホン基を有する少なくとも１つのエチレン性不飽和モノマーから得ることができる。ポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。

好ましくは、水性増粘剤は、コポリマーである。

好ましくは、水性増粘剤は、アクリロイルジメチルタウレート単位を含むコポリマーである。換言すれば、スルホン単位を含有するポリマーは、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のコポリマーである。

有利には、コポリマーは、アンモニア塩の形態である。換言すれば、スルホン単位は、－ＳＯ_３Ｍの形態であり、ここでＭはアンモニウムイオンを表す。好ましくは、コポリマーは、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム単位を含む。

好ましくは、コポリマーは、アクリルアミド単位を含まない。このことは、組成物の安定性に関して利点を有し得る。

有利には、コポリマーは、ビニルピロリドン単位を更に含む。

本発明の特定の実施形態によれば、水性増粘剤は、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とビニルピロリドンとのコポリマーである。

使用可能な水性ゲル化剤としては、例えば、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ＶＰコポリマーのＩＮＣＩ名を有する化合物（例えば、ＣｌａｒｉａｎｔによってＡＲＩＳＴＯＦＬＥＸ ＡＶＣの名称で販売される）を挙げることができる。

本発明による組成物中のスルホン単位を含有するポリマーの量は、組成物の総重量に対して、少なくとも０．５重量％、好ましくは少なくとも０．８重量％、より好ましくは少なくとも１重量％であり得る。

更に、本発明による組成物中のスルホン単位を含有するポリマーの量は、組成物の総重量に対して、最大３重量％、好ましくは最大１．８重量％、より好ましくは最大１．５重量％であり得る。

本発明による組成物中のスルホン単位を含有するポリマーの量は、組成物の総重量に対して、好ましくは０．５重量％～１．８重量％、好ましくは０．８重量％～１．５重量％である。

本発明の好ましい実施形態によれば、スルホン単位を含有するポリマーの量に対する水の量の重量比は、少なくとも４０：１、例えば４０：１～７０：１である。実際、水性増粘剤の割合に対する水の割合は、組成物の実現可能性及び安定性に影響を及ぼす。

表面が処理された顔料：
本発明による組成物は、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された少なくとも１つの顔料を含む。

「顔料」は、皮膚に適用される組成物及び／又は組成物のフィルムを着色及び／又は不透明化することを意図した、水性及び／又は有機媒体に不溶性の粒子を意味すると理解される。これらの顔料は、白色であっても着色されていてもよい。顔料は、例えば、鉱物顔料及び／又は真珠層であってもよい。

好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも１つの着色顔料を含む。換言すれば、組成物は、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された少なくとも１つの着色顔料を含む。それは、例えば、赤色、黄色又は黒色顔料（又は顔料の組み合わせ）であってもよい。本発明による組成物は、１つ以上の白色顔料を更に含んでもよい。

好ましくは、顔料は、鉱物顔料（無機顔料とも呼ばれる）から選択される。例えば、有用な鉱物顔料、亜鉛、鉄（黒色、黄色若しくは赤色）、又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、二酸化チタン、金属粉末を挙げることができる。

好ましくは、顔料（表面処理において適用される）は、酸化鉄及び／又は二酸化チタンの鉱物顔料から選択される。

顔料は、真珠層であってもよい。「真珠層」という用語は、本発明の文脈内では、虹色であってもなくてもよく、特に特定の軟体動物によってその殻の中で産生されるか、又は他の方法で合成され、光干渉によって色効果を示す、任意の形態の着色粒子を意味する。真珠層は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄又は酸化チタンで覆われたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで覆われたチタンマイカ、酸化クロムで覆われたチタンマイカ、有機着色剤で覆われたチタンマイカ、また、オキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択され得る。真珠層はまた、その表面に金属酸化物及び／又は有機着色剤の少なくとも２つの連続層が重ねられているマイカ粒子であってもよい。好ましくは、真珠層は、二酸化チタン又は酸化鉄並びにオキシ塩化ビスマスで覆われたマイカである。

「表面が処理された顔料」とは、少なくとも１つの処理剤でコーティングされた顔料を意味する。ここで、コーティングとは、顔料上に吸収、吸着又はグラフト接合された表面剤（又は処理剤）による顔料の全体的又は部分的な表面処理を指す。コーティングはまた、少なくとも１つの追加の化合物を含んでもよい。

当業者は、市販されている表面が処理された顔料を使用することができる。

表面が処理された顔料は、化学的性質、電子的性質、又は機械化学的性質の表面処理の周知の技術に従って調製することができる。処理剤は、溶媒蒸発、化学反応及び共有結合の生成によって、顔料上に吸収、吸着又はグラフト接合され得る。コーティングは、例えば、組成物の他の成分への粒子の組み込みの前に、任意選択的に加温して、粒子及び処理剤を撹拌しながら単純に混合することによって、固体粒子の表面に液体処理剤を吸着させることによって行うことができる。コーティングは、例えば、処理剤と固体顔料粒子の表面との化学反応及び処理剤と粒子との間の共有結合の生成によって行うことができる。この方法は、特に米国特許第４，５７８，２６６号に記載されている。化学的表面処理は、揮発性溶媒中に処理剤を希釈し、この混合物中に顔料を分散させ、次いで揮発性溶媒をゆっくりと蒸発させて、処理剤を顔料の表面上に付着させることからなっていてもよい。

本発明の文脈において、顔料は、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤を用い、表面で処理される。換言すれば、顔料は、ポリオキシアルキレンシリコーン化合物で表面が全体的に又は部分的に処理されている。ここで、顔料のコーティングは、水に混和性である親水性化合物を用いて行われる。したがって、顔料は、本発明による組成物の水中油型エマルションの外部水相中に分散する。この構成にもかかわらず、本発明による組成物は、驚くべきことに、カバー性のメイクアップ結果を得ることを可能にし、このカバー性は、多くの場合、直接エマルションによって着色された配合物から失われる。

本発明によれば、「ポリオキシアルキレンシリコーン剤」という用語は、少なくとも１つのポリオキシアルキレン鎖、例えば繰り返されるオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位又はそれらの混合物を含む鎖を有するシリコーンポリマーを包含する。

シリコーン表面剤は、オルガノポリシロキサン、シラン誘導体、シリコーン－アクリレートコポリマー、シリコーン樹脂、及びこれらの混合物から選択され得る。特に、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤は、直鎖ポリシロキサンであってもよい。

シリコーン処理剤のポリオキシアルキレン鎖は、７～１８個のオキシアルキレン単位を含み得る。好ましくは、シリコーン処理剤は、少なくとも７個の単位、好ましくは少なくとも９個のオキシアルキレン単位を含む。好ましくは、シリコーン処理剤は、最大１８個の単位、好ましくは最大１５個のオキシアルキレン単位を含む。

好ましくは、シリコーン処理剤は、ポリオキシエチレン及び／又はポリオキシプロピレン鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖を含む。

好ましくは、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤は、ポリオキシアルキレン、好ましくはポリオキシエチレン、ポリジメチルシロキサンである。

ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤の例として、ＩＮＣＩ名ＰＥＧ－１２ジメチコンを有する化合物を挙げることができる。

組成物は、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された単一の種類又はいくつかの異なる種類の顔料を含んでもよい。

好ましくは、表面が処理された少なくとも１つの顔料は、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で処理された酸化鉄及び／又は二酸化チタンの鉱物顔料である。

ポリオキシアルキレンシリコーン化合物で処理された鉱物顔料の市販参照品の例としては、ＤＡＩＴＯ ＫＡＳＥＩ ＥＵＲＯＰＥによって参照名ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＲＥＤ ＮＯ．２１１Ｐ、ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＢＬＡＣＫ ＮＯ．７１０Ｐ、ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＹＥＬＬＯＷ ＮＯ．６０２Ｐで販売される酸化鉄（例えば、赤色、黒色若しくは黄色）、又はＤＡＩＴＯ ＫＡＳＥＩによって参照名ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＴＩＯ２ Ｒ２００で販売される二酸化チタン（例えば、白色）を挙げることができる。

処理される顔料の粒径は、好ましくは１００ｎｍ以上である。好ましくは、顔料粒子のサイズは、１００ｎｍ～５μｍ、好ましくは２００ｎｍ～２μｍ、好ましくは５００ｎｍ～１５００ｎｍの範囲である。

「粒径」という用語は、本発明の文脈内では、粒子のＤ５０を意味する。Ｄ５０又は平均体積サイズは、粒子の５０体積％がＤ５０未満のサイズを有するように定義される粒径に相当する。平均体積サイズは、Ｍａｌｖｅｒｎ製のＭａｓｔｅｒＳｉｚｅｒレーザ粒径分析器を使用して、光散乱によって評価することができ、評価される上述の粒子は、例えば、オクチルドデシルネオペンタノエートなどの液体媒体中に分散される。

好ましくは、本発明による組成物中のポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された顔料の量は、組成物の総重量に対して少なくとも３重量％、好ましくは少なくとも５重量％である。これにより、肌色を実質的に統一する着色された組成物を有することを可能にする。

特定の実施形態によれば、ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された顔料の量は、組成物の総重量に対して少なくとも７重量％である。これにより、特にファンデーション用の組成物を得ることが可能になる。本発明による組成物中の表面が処理された顔料の量は、組成物の総重量に対して、特に少なくとも８重量％、より好ましくは少なくとも１０重量％、更に少なくとも１２重量％であり得る。満足のいく特性を有する安定な水中油型組成物は、それらが大量の顔料及び充填剤を含むことを考慮すると、得ることがますます困難であることに留意すべきである。しかしながら、本発明による特定の組み合わせは、驚くべきことに、良好な官能特性と、適切な広がりやすさ及びカバー性及び良好な経時的安定性を兼ね備えつつ、本発明による水中油型組成物中の顔料の高い含有量を達成することを可能にする。

好ましくは、表面で処理される顔料の量は、組成物の総重量に対して最大１５重量％である。

油相：
本発明による組成物は、水相中に分散された少なくとも１つの油相を含む。換言すれば、本発明による組成物は、不連続油相を含む。油相は、室温（２５℃）で（構造化剤の非存在下で）液体である。油相は、有機物であり、水に非混和性である。

油相（脂肪相とも呼ばれる）は、少なくとも１つの油を含む。油相は、本質的に単一の油又は１つより多い油の混合物からなってもよい。

「油」は、室温（２５℃）、及び大気圧（１０１ ３２５Ｐａ、７６０ｍｍＨｇ）で液体である「脂肪物質」を意味する。油は、植物、動物又は合成起源のものであってよい。油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。油は、炭化水素系油、シリコーン油、フッ素化油又はこれらの油の混合物であってもよい。

「脂肪物質」という用語は、室温（２５℃）及び大気圧（１．０１３ ． １０^５Ｐａ、７６０ｍｍＨｇ）で水に不混和性である有機化合物を意味する。この種類の化合物は、一般に、その構造中に、少なくとも６個の炭素原子を含む炭化水素鎖又は少なくとも２つのシロキサン基の配列を有する。

「炭化水素油」は、主に水素及び炭素原子、並びに任意選択的に酸素及び窒素、硫黄及び／又はリン原子を含有する油を指す。

本発明の目的のために、「シリコーン油」は、少なくとも１つのケイ素原子、特に少なくとも１つのＳｉ－Ｏ基を含む油を意味する。

「フッ素化油」という用語は、少なくとも１個のフッ素原子を含有する油を指す。

「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で、皮膚と接触して１時間未満で蒸発することができる油を意味する。揮発性油は、室温で液体であり、０．１３Ｐａ～４０，０００Ｐａ（１０^－３～３００ｍｍＨｇ）の範囲の蒸気圧を有し得る。揮発性油は、炭化水素、シリコーン又はフッ素化油であり得る。

「不揮発性油」という用語は、蒸気圧が０．１３Ｐａ未満（１０^－３ｍｍＨｇ未満）である油を意味する。特に、不揮発性油は、室温及び大気圧で少なくとも数時間、皮膚上に留まる可能性が高い。不揮発性油は、炭化水素、シリコーン又はフッ素化油であり得る。

本発明の文脈において使用可能な油として、例えば、Ｃ６～Ｃ１６炭化水素、１６個より多い炭素原子を含有する炭化水素系油、非シリコーン油、植物油、グリセリド（カプリン酸／カプリル酸のものを含む合成トリグリセリドを含む）、トリグリセリドとは異なる脂肪酸及び／又は脂肪アルコールエステル、脂肪酸エーテル、シリコーン油、フッ素化油、並びにこれらの混合物を挙げることができる。

植物、鉱物又は合成起源のＣ６～Ｃ１６炭化水素は、直鎖、分岐鎖、任意選択的に環状であってもよく、好ましくはアルカンである。例として、ノナン（Ｃ９）、ｎ－デカン（Ｃ１０）、ｎ－ウンデカン（Ｃ１１）、ｎ－ドデカン（Ｃ１２）、ｎ－トリデカン（Ｃ１３）、ｎ－テトラデカン（Ｃ１４）、ｎ－ペンタデカン（Ｃ１５）、ｎ－ヘキサデカン（Ｃ１６）、アルカンの混合物（例えばウンデカン及びトリデカン）、イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソデカンを挙げることができる。

植物、鉱物又は合成起源の炭化水素油（１６個より多い炭素原子を含有する炭化水素）は、直鎖又は分岐鎖であり得る。炭化水素系油の例として、パラフィン油、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、スクアランを挙げることができる。

植物油は、好ましくは、カプリル酸／カプリン酸トリグリセリドなどのトリグリセリドから選択することができる。植物油の非限定的な例としては、スイートアーモンド油、マカダミア油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、ゴマ油、クルミ油、アルガン油、ホホバ油、カレンデュラ油、アプリコット油、ヒマワリ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、ヘンプ油、ナタネ油、綿実油、ヤシ油、パンプキンシード油、グレープシード油、アララ油（arara oil）、ヒマシ油、アボカド油、ミラベルプラム油、シアバター油及びこれらの混合物が挙げられる。

グリセリドは、１つ（モノグリセリド）又はそれより多く（ジグリセリド及びトリグリセリド）の脂肪酸とのグリセロールエステルである。それらは天然又は合成起源であってもよい。例えば、カプリン酸／カプリル酸のトリグリセリドを挙げることができる。

脂肪族アルコール、エステル及び酸は、少なくとも６個の炭素原子、好ましくは８～２６個の炭素原子を含み、特に１つ以上のヒドロキシル基によって任意選択的に置換された、少なくとも１つの直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を有する。

エステルは、任意選択的にヒドロキシル化された、脂肪酸及び／又は脂肪族アルコールのエステルから選択することができる。前述のトリグリセリドとは異なるこれらのエステルは、特に、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖のＣ１～Ｃ２６脂肪族モノ酸又はポリ酸のエステル、及び飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖のＣ１～Ｃ２６脂肪族モノアルコール又はポリアルコールのエステルから選択されてもよく、エステルの総炭素数は６以上である。脂肪酸及び／又は脂肪族アルコールのエステルの非限定的な例としては、オクチルドデシルベヘネート、イソセチルベヘネート、リノレイルラクテート、イソセチルラウレート、ヘキシルラウレート、イソセチルステアレート、イソデシルオレエート、イソノニルイソノナノエート、オクチルイソノナノエート、メチルアセチルリシノレート、イソステアリルパルミテート、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、２－エチルヘキシルパルミテート、アルキルミリステート、例えばイソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、イソプロピルステアレート又はイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、オクチルステアレート、オクチルヒドロキシステアレート、イソステアリルラクテート、ジイソプロピルアジペート、ジオクチルマレート、２－ヘキシルデシルラウレート、エチル２－ヘキシルカプレート／カプリレート（又はオクチルカプレート／カプリレート）、イソステアリルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエート、ヘプタノエート（例えばイソステアリルヘプタノエート）、オクタノエート（例えばセチルオクタノエート、セテアリルオクタノエート、トリデシルオクタノエート）が挙げられる。

脂肪酸エーテルは、より具体的には、６～２４個の炭素原子を含むエーテルから選択され得る。脂肪酸エーテルは、例えばジカプリリルエーテルなどの植物由来のものであってもよい。

シリコーン油は、環状又は非環状の不揮発性シリコーン油、環状又は非環状の揮発性シリコーン油、及びこれらの混合物から選択され得る。シリコーン油は、特に、少なくとも１つのＳｉ－Ｏ基を含んでもよい。これらは特にオルガノポリシロキサンであってよい。シリコーン油の非限定的な例としては、シクロメチコン、直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサン（又はpolydimethylsiloxane、ＰＤＭＳ）、アルキル、アルコキシ、フェニル又はコポリオール基を含むジメチコン、架橋シリコーンポリマー、フェニルシリコーン、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、Ｃ１～３０混合ポリシロキサン、ジメチコノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、シリコーン油は、ジメチコン及びメチルトリメチコンから、より具体的にはジメチコンから選択される。

フッ素化油は、例えば、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルカン、フッ素化ポリエーテル、フッ素化シリコーン、及びこれらの混合物から選択され得る。

本発明による組成物は、組成物の総重量に対して少なくとも１５重量％、好ましくは少なくとも２０重量％の油含有量を有し得る。

本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、最大５０重量％、好ましくは最大４０重量％、好ましくは最大３０重量％の油含有量を有し得る。このことは、組成物の安定性及び感覚性のために好ましい。

本発明による組成物中の油の量は、好ましくは、組成物の総重量に対して１５～３０重量％である。

有利には、本発明による組成物の油相は、少なくとも１つのシリコーン油を含む。このことは、安定性及び感覚性の点で有利である。

本発明による組成物中のシリコーン油の含有量は、組成物の総重量に対して３重量％～４０重量％、例えば５重量％～３０重量％であってよい。

有利には、本発明による組成物中のシリコーン油の含有量は、組成物の総重量に対して、少なくとも５重量％、好ましくは少なくとも１０重量％、より優先的には少なくとも１５重量％である。

油相は、例えば溶媒、配合剤及び／又は活性剤などの油に可溶性又は混和性の追加の成分を更に含んでもよい。

水相：
本発明による組成物は、連続水相を含む。

水相は、水を含む。水相は、例えば、水溶性溶媒、水溶性配合剤、及び／又は水溶性活性剤などの油に可溶性又は混和性の追加の成分を更に含んでもよい。

「水溶性溶媒」という用語は、本発明の文脈内では、室温（２５℃）で液体であり、水と混和性（２５℃及び大気圧で５０重量％を超える水への混和性）である化合物を意味する。

水溶性又は水混和性溶媒としては、例えば、短鎖モノアルコール、例えばＣ１～Ｃ４（例えばエタノール、イソプロパノール、２－エトキシエタノール）、好ましくは２～８個の炭素原子を有するジオール又はポリオール（例えばエチレングリコール、１，２－プロピレングリコール、１，３－ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセロール、及びソルビトール）、並びにこれらの混合物を挙げることができる。

好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも４０重量％、好ましくは少なくとも４５重量％、好ましくは少なくとも５０重量％の油含有量を有する。これにより、組成物のより良好な感覚特性及び安定性を得ることを可能にする。

本発明による組成物は、組成物の総重量に対して最大７０重量％、好ましくは最大６０重量％の含水量を有し得る。このことは、組成物の実現可能性及び安定性のために好ましい。

追加の充填剤及び粒子：
本発明による組成物は、少なくとも１つの充填剤を更に含んでもよい。充填剤は、特に、改善された艶消し性、カバー性、接着性及び／又は安定性といった追加の特性を組成物に与えることを可能にし得る。

「充填剤」という用語は、組成物の媒体中に分散された不溶性形態である、任意の形態の固体粒子を意味する。粒子は無色、白色であってもよく、又は着色されていてもよい。粒子は、本質的に鉱物又は有機であり得る。粒子は、組成物にボディ、メイクアップの柔軟性、艶消し性及び／又は均一性を付与することを可能にする。

本発明による組成物に使用される充填剤は、層状、小球状、球状若しくは繊維状の形状、又はこれらの定義された形状の間の任意の他の中間形状であってもよい。

本発明による充填剤は、表面コーティングされていてもいなくてもよく、特に、例えばシリコーン、アミノ酸、フッ素化誘導体、又は組成物中の充填剤の分散及び適合性を促進する任意の他の物質などの表面剤で表面が処理されていてもよい。

鉱物充填剤の例として、タルク、マイカ、シリカ、中空シリカ微小球、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、シリカ複合体及び二酸化チタンを挙げることができる。

有機充填剤の例として、ポリアミド、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル酸コポリマー、ラウロイルリジン、ポリマー中空微小球、例えばポリ塩化ビニリデン／アクリロニトリル、ヘキサメチレンジイソシアネート／トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー粉末、シリコーン樹脂マイクロビーズ、合成又は天然微粉化ワックス、ポリウレタン粉末、特にコポリマーを含む架橋ポリウレタン粉末（上述のコポリマーはトリメチロールヘキシルラクトンを含む）を挙げることができる。有機充填剤はまた、ＤａｉｔｏによってそのＣｅｌｌｕｌｏｂｅａｄｓ製品ラインで販売されているものなどのセルロース粉末であってもよい。例えば米国特許第５５３８７９３号に記載されているように、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂でコーティングされた架橋エラストマーオルガノポリシロキサン粉末も挙げることができる。このようなエラストマー粉末は、ＳＨＩＮ ＥＴＳＵによってＫＳＰ－１００（登録商標）、ＫＳＰ－１０１（登録商標）、ＫＳＰ－１０２（登録商標）、ＫＳＰ－１０３（登録商標）、ＫＳＰ－１０４（登録商標）及びＫＳＰ１０５（登録商標）の名称で販売されている。シリコーン樹脂でコーティングされた架橋エラストマーオルガノポリシロキサン粉末、例えばフルオロアルキル基で官能化されたハイブリッドシリコーン粉末、特にＳｈｉｎ ＥｔｓｕによってＫＳＰ－２００の名称で販売されているもの、又はフェニル基で官能化されたハイブリッドシリコーンの粉末、特にＳｈｉｎ ＥｔｓｕによってＫＳＰ－３００の名称で販売されているものも挙げることができる。

化粧品におけるその知識によって、当業者は、本発明による組成物に関連する効果を実質的に変えることなく、所望の特性に応じて、本発明による組成物に添加される充填剤及びそれらの量を選択することができる。

追加の化合物：
本発明による組成物は、１つ以上の配合剤、特に従来の活性成分又は化粧品賦形剤を更に含んでもよい。

これらの配合剤は、本発明の組成物の用途に応じて適宜選択することができる。

配合剤の非限定的な例としては、親水性又は親油性の有機溶媒（例えば、低級アルコール及びポリオール）、イオン性又は非イオン性の親水性又は親油性のレオロジー剤（増粘剤又はゲル化剤）、軟化剤、保湿剤、安定剤、皮膚軟化剤、フィルム形成剤、乳化剤、界面活性剤（アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性）、充填剤（例えば、艶消し粉末、ソフトフォーカス活性タッチ粉末など）、ＵＶ遮断剤（又は光保護剤、有機及び／又は無機、ＵＶＡ及び／又はＵＶＢで活性）、着色剤、キレート化剤（キレート剤）、アルカリ化剤又は酸性化剤、保存剤、香料又は化粧品及び／又は皮膚科学分野で通常使用される任意の他の成分が挙げられる。これらの様々な化合物の量は、考慮中の分野において従来使用されている量である。これらの化合物は、それらの性質に応じて、脂肪相又は水相に導入することができる。

本発明による組成物は、少なくとも１つの活性成分を更に含んでもよい。活性成分としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
－抗汚染剤及び／又は抗ラジカル剤及び／又は抗酸化剤（補酵素Ｑ１０又はユビキノン）、
－明色化剤、脱色素剤、
－老化防止剤、
－植物タンパク質及びそれらの加水分解物（例えば、大豆タンパク質抽出物）などのテンショニング剤又は抗しわ剤、
－保湿剤（ポリオール、例えばグリセリンなど）、
－抗炎症剤（グリチルレチン酸及びその塩など）、
－鎮静剤（アラントイン、ビサボロール、ヤグルマギク水）、
－抗微生物剤又は抗菌剤（サリチル酸など）、
－テンショニング剤、
－硬化剤、
－ビタミン（例えばレチノール又はビタミンＡ、アスコルビン酸又はビタミンＣ、トコフェロール又はビタミンＥ、ナイアシンアミド又はビタミンＰＰ又はＢ３、パンテノール又はビタミンＢ５、ビオチン又はビタミンＢ８、及びそれらの誘導体、例えばこれらのビタミンのエステルなど）、
－精油。

化粧品におけるそれらの知識によって、当業者は、本発明による組成物に関連する効果を実質的に変えることなく、所望の特性に応じて、本発明による組成物に添加される配合剤及びそれらの量を選択することができる。

本発明による組成物は、化粧品用途に適している。特に、本発明による組成物は、外用局所適用に適している。例えば、ケア製品及び／又はメイクアップ製品として使用されてもよい。

本発明による組成物は、化粧品として許容される担体、すなわち、本発明の意味の範囲内では、皮膚と適合性のある支持体を含む。

有利には、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、最大５重量％、好ましくは最大４重量％の界面活性剤を含む。

有利には、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、最大４重量％、好ましくは最大３重量％のイオン性界面活性剤を含む。

実際に、本発明による組成物は、一般に皮膚に対してより刺激性である顕著な割合の界面活性剤及び乳化剤を必要とせずに、安定な水中油型エマルションを得るという利点を有する。

「界面活性剤」とは、２つの不混和性の水相及び油相の２つの表面間の表面張力を改変する任意の化合物を意味する。界面活性剤は、親水性（極性）部分及び親油性（非極性）部分の両方を有する両親媒性分子を含む。より具体的には、乳化特性を有する、すなわちエマルションの動的安定性を増加させることができる化合物又は両親媒性化合物の混合物を、ここで挙げることができる。界面活性剤という用語は、特に、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤、例えばアニオン性、カチオン性界面活性剤及び双性イオン性又は両性界面活性剤を包含する。

本発明の目的のために、「イオン性界面活性剤」という用語は、少なくとも１つのイオン性充填剤を含む任意の界面活性剤化合物を指す。本発明の意味の範囲内で、イオン性界面活性剤は、より具体的には、５～８のｐＨで水中でイオン化することができる化合物を指す。この用語は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤をまとめたものである。これらの界面活性剤は、特に、塩、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩及びアルカリ土類金属塩であってよい。

本発明による組成物の水相は、好ましくは８以下のｐＨを有する。

使用：
別の態様によれば、本発明は、皮膚のためのメイクアップとしての本発明による組成物の使用に関する。

組成物は、上述の特徴のうちの１つ以上を有し得る。

より具体的には、本発明は、ファンデーションとしての本発明による組成物の使用に関する。

好ましくは、使用は、組成物の総重量に対して、少なくとも７重量％の顔料及び充填剤、好ましくは少なくとも８重量％の顔料及び充填剤、より好ましくは少なくとも１０重量％の顔料及び充填剤を含む化粧品組成物に関する。「顔料」及び「充填剤」は、上で定義されている。満足のいく特性を有する水中油型組成物は、それらが大量の顔料及び充填剤を含むことを考慮すると、これを得て安定化させることがますます困難であることに留意すべきである。しかしながら、本発明者らは、顔料が高度に充填された安定な水中油型エマルションを得ることを可能にするだけでなく、優れた官能特性も有することの関連を実証した。したがって、本発明による組成物は、着色クリームだけでなく、より高い割合の顔料、良好な広がり特性、カバー性及び経時的な作業性（プレイタイム）を必要とするファンデーションにも使用可能である。

本発明はまた、上で定義した組成物を皮膚に適用する少なくとも１つの工程を含む、皮膚のためのメイクアップ及び／又はケアとしての非治療的方法に関する。

本発明は、以下に提示される非限定的な実施例によって、より詳細に示される。使用される化合物又は原料は、それらのＩＮＣＩ名によって命名される。他に特定されない場合、示されるパーセンテージは、質量パーセンテージである。略語「ｑｓ」は、組成物がその最終質量の１００％に達するのに十分な量でなければならないことを意味する。

実施例１：１２％の顔料を含む水中油型エマルション
組成物１～８は、以下の表１及び２に示される％としての割合で、以下に記載される手順に従って調製される。種々の組成物はまた、それらの外観、それらの経時的安定性、及びそれらの適用特性に基づいて評価される。

組成物２～５は、それらが本発明による組成物に特有の２つのエマルションの組み合わせ、すなわち、アルキルホスフェート化合物（例えば、セチルリン酸カリウムなど）とポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤（例えば、ＩＮＣＩ名ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコンを有する化合物など）との組み合わせを含まないという点で、本発明による組成物１とは異なる。以下の評価は、これらの乳化剤のうちの１つが欠如しているか、又は別の種類の乳化剤で置き換えられる場合、安定性が損なわれることを示す。

組成物６～８は、それらがポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が特異的に処理されたもの以外の種類の顔料を含むという点で、本発明による組成物１とは異なる。比較組成物６及び７は、それぞれ、フィチン酸（親水性化合物）でコーティングされた顔料、及びシリカでコーティングされた顔料を含む。比較組成物８は、表面が処理されていない顔料を含む。以下の評価は、得られた比較組成物が均質でないこと、又は他の種類の顔料（処理されたもの又は処理されていないもの）を使用した場合にエマルションが安定ではないことを示す。

上の表１及び２では、
－「Ｐ」と題された左列は、化合物が存在する相を示す。
－括弧内の参照（化合物のＩＮＣＩ名の次、又は顔料の％の次）は、これらの化合物を含む使用される原材料の商品名を示す。これらの原料の詳細を以下に示す。
^（ａ）ＡＭＰＨＩＳＯＬ Ｋ（ＩＮＣＩ名：セチルリン酸カリウム）、ＤＳＭにより販売。
^（ｂ）ＫＦ－６０１１（ＩＮＣＩ名：ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン）、ＳＨＩＮ－ＥＴＳＵにより販売。
^（ｃ）ＡＲＩＳＴＯＦＬＥＸ ＡＶＣ（ＩＮＣＩ名：アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ＶＰコポリマー）、ＣＬＡＲＩＡＮＴにより販売。
^（ｄ）エトキシル化シリコーンでコーティングされた酸化鉄又は二酸化チタン顔料、参照名ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＢＬＡＣＫ ＮＯ．７１０Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９９／酸化鉄（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）、ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＲＥＤ ＮＯ．２１１Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９１／酸化鉄（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）、ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＹＥＬＬＯＷ ＮＯ．６０２Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９２／酸化鉄（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）例えばＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＴＩＯ２ Ｒ２００（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７８９１／二酸化チタン（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）でＤＡＩＴＯ ＫＡＳＥＩにより販売。要求及び所望の最終色相に応じて、黒色、赤色、黄色及び白色顔料の混合物が使用される。本発明による組成物１では、以下の割合を使用した（組成物の総重量に対して合計１２重量％のこの種類の顔料を表す）：０．２１％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＢＬＡＣＫ ＮＯ．７１０Ｐ、０．３７％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＲＥＤ ＮＯ．２１１Ｐ、１．７０％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＹＥＬＬＯＷ ＮＯ．６０２Ｐ及び９．７２％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＴＩＯ２ Ｒ２００。
^（ｅ）ＴＥＧＯ ＣＡＲＥ ＰＢＳ ６（ＩＮＣＩ名：ポリグリセリル－６ステアレート（及び）ポリグリセリル－６ベヘネート）、ＥＶＯＮＩＫ Ｎｕｔｒｉｔｉｏｎ ＆ Ｃａｒｅ ＧｍｂＨにより販売。
^（ｆ）ＳＩＭＵＬＳＯＬ １６５（ＩＮＣＩ名：グリセリルステアレート（及び）ＰＥＧ－１００ステアレート）、ＳＥＰＰＩＣにより販売。
^（ｇ）ＣＯＶＡＣＲＹＬ ＭＶ６０（ＩＮＣＩ名：ポリアクリル酸ナトリウム）、ＳＥＮＳＩＥＮＴ ＣＯＳＭＥＴＩＣ ＴＥＣＨＮＯＬＯＧＩＥＳにより販売。
^（ｈ）Ｃｈｉｏｎｅ ＨＤ Ｄｉｇｉｔａｌ Ｐｉｎｋ Ｓ４３０Ｖ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７８９１（及び）合成フルオロフロゴパイト）、ＢＡＳＦにより販売。
^（ｉ）ＸＩＡＭＥＴＥＲ（Ｒ）ＰＭＸ－１５０３ ＦＬＵＩＤ（ＩＮＣＩ名：ジメチコン（及び）ジメチコノール）、ＤＯＷ ＣＯＲＮＩＮＧにより販売。
^（ｊ）ＧＲＡＮＳＩＬ ＳＩＷ－０７８（ＩＮＣＩ名：ジメチコン（及び）ポリシリコーン－１１（及び）ブチレングリコール（及び）アクア（ａｑｕａ）（及び）ブチレングリコール（及び）デシルグルコシド（及び）カプリリルグリコール）、ＧＲＡＮＴ ＩＮＤＵＳＴＲＩＥＳ，ＩＮＣ．により製造。
^（ｋ）ＳＨ２１９（ＩＮＣＩ名：シリカ（及び）ＣＩ ７７８９１／二酸化チタン）、ＳＵＮＪＩＮ ＣＨＥＭＩＣＡＬ ＣＯ．，ＬＴＤ．により製造。
^（ｌ）ＥＬＥＭＥＮＴ１４＊ ＰＤＭＳ ５－Ａ、ＭＯＭＥＮＴＩＶＥ ＰＥＲＦＯＲＭＡＮＣＥ ＭＡＴＥＲＩＡＬＳ ＧｍｂＨにより製造。
^（ｍ）フィチン酸でコーティングされた酸化鉄又は二酸化チタンの顔料（水性媒体中に分散可能）、参照名ＵＮＩＰＵＲＥ ＢＬＡＣＫ ＬＣ９９８ ＰＨＹ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９９（酸化鉄）（及び）フィチン酸（及び）水酸化ナトリウム）、ＵＮＩＰＵＲＥ ＲＥＤ ＬＣ３８８ ＰＨＹ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９１（酸化鉄）（及び）フィチン酸（及び）水酸化ナトリウム）、ＵＮＩＰＵＲＥ ＹＥＬＬＯＷ ＬＣ１８８ ＰＨＹ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９２（酸化鉄）（及び）フィチン酸（及び）水酸化ナトリウム）、並びにＵＮＩＰＵＲＥ ＷＨＩＴＥ ＬＣ９８７ ＰＨＹ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７８９１（二酸化チタン）（及び）フィチン酸（及び）水酸化ナトリウム）でＳＥＮＳＩＥＮＴにより販売。要求及び所望の最終色相に応じて、黒色、赤色、黄色及び白色顔料の混合物が使用され、組成物６の総重量に対して合計１２重量％のコーティングされた顔料を表す。
^（ｎ）シリカで処理された酸化鉄又は二酸化チタンの顔料、参照名ＳＩＨ－２ ＢＬＡＣＫ Ｎ°７１０Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９９（及び）シリカ）、ＳＩＨ－２ ＲＥＤ Ｎ°２１１Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９１（及び）シリカ）、ＳＩＨ－２ ＹＥＬＬＯＷ Ｎ°６０２Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９２（及び）シリカ）、並びにＳＩＨ ５ ＴＩＯ２ Ｒ２５０（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７８９１（及び）シリカ（及び）水酸化アルミニウム）でＤＡＩＴＯ ＫＡＳＥＩにより販売。要求及び所望の最終色相に応じて、黒色、赤色、黄色及び白色顔料の混合物が使用され、組成物７の総重量に対して合計１２重量％の処理された顔料を表す。
^（ｐ）キサンタンガムで安定化された水／グリセリン混合物中に分散された酸化鉄又は二酸化チタンの顔料（Ｏ／Ｗエマルションで良好な性能を有することが知られている）、参照名ＣＯＶＡＲＩＮＥ ＢＬＡＣＫ ＷＮ ９７９８（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９９（及び）グリセリン（及び）アクア（及び）キサンタンガム（及び）クエン酸ナトリウム）、ＣＯＶＡＲＩＮＥ ＲＥＤ ＷＮ ３７９８（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９１（及び）グリセリン（及び）アクア（及び）キサンタンガム（及び）クエン酸ナトリウム）、ＣＯＶＡＲＩＮＥ ＹＥＬＬＯＷ ＷＮ １７９８（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９２（及び）グリセリン（及び）アクア（及び）キサンタンガム（及び）クエン酸ナトリウム）、例えばＣＯＶＡＲＩＮＥ ＷＨＩＴＥ ＷＮ ９７８７（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７８９１（及び）グリセリン（及び）アクア（及び）キサンタンガム（及び）クエン酸ナトリウム）でＳＥＮＳＩＥＮＴにより販売。要求及び所望の最終色相に応じて、黒色、赤色、黄色及び白色顔料の混合物が使用され、組成物８の総重量に対して合計１１．９４重量％の顔料を表す。
^（ｒ）Ｅｄｅｔａ ＢＤ、ＢＡＳＦにより販売。
^（ｓ）Ｗｉｌｆａｒｉｎ ＥＰ９９７、ＷＩＬＭＡＲにより販売。
^（ｔ）ＺＥＭＥＡプロパンジオール、ＤｕＰｏｎｔ Ｔａｔｅ ＆ Ｌｙｌｅ Ｂｉｏ Ｐｒｏｄｕｃｔｓにより販売。
^（ｕ）ＳＥＮＳＩＶＡ ＳＣ ５０、Ｓｃｈｕｌｋｅ Ｆｒａｎｃｅ ＳＡＲＬにより販売。

組成物１～７の手順：
ビーカー中で撹拌しながらＥＤＴＡ二ナトリウムを可溶化することによって、水相Ａを調製する。Ａ相を、２５０ｒｐｍ（１分当たりの回転数）で約１０分間、ＥＤＴＡ二ナトリウムが溶解するまで、解集合器を備えたＲａｙｎｅｒｉ撹拌下に維持する。更に、グリセリン、プロパンジオール、エチルヘキシルグリセリンを混合することによって、Ｂ相を予め調製しておく。次いで、相Ｂを相Ａに添加し、全体を２５０ｒｐｍで５分間撹拌する。次にアクリロイルジメチルタウレート（相Ｃ）コポリマーの水溶液を、先の水性混合物に添加する。速度を４００ｒｐｍから８００ｒｐｍまで徐々に増加させつつ、全体を均質化するまで撹拌する。次いで、ポリアクリル酸ナトリウム（相Ｄ）を添加し、撹拌を１０００ｒｐｍで５分間維持した後、加熱プレートを使用して全体を８０～８５℃に加熱する。相Ｅ（アルキルホスフェート、又は適切な場合、ポリグリセリルエステルの混合物）を、熱い混合物に添加し、撹拌を８０～８５℃で１０分間、１０００～１２００ｒｐｍに維持する。次いで、相Ｆ（ポリオキシアルキレンシリコーン又は適切な場合にはステアリン酸エステルの混合物）を水性の熱い混合物に添加し、撹拌を８０～８５℃で５分間、１０００ｒｐｍに維持する。次いで、撹拌しながら（１５００～１６００ｒｐｍ）、予め８０℃に加熱した脂肪相（ジメチコンを含む相Ｇ）を、８０～８５℃に維持した水相に組み込むことによって、エマルションを作製する。エマルションを形成した後も、依然として８０～８５℃で１０分間撹拌を維持する（１５００ｒｐｍ）。次いで、加熱プレートを除去して、依然として撹拌しながら（１１００ｒｐｍ）、混合物を冷却させる。混合物が５０℃に達したら、顔料（相Ｈ）を添加し、全体を２０００ｒｐｍで１０分間撹拌しながら均質化する。次いで、相Ｉ（ジメチコン及びジメチコノールの混合物）を混合物に添加し、撹拌を１１００ｒｐｍで５分間維持する。次いで、相Ｊ（少量の水とＧＲＡＮＳＩＬ ＳＩＷ－０７８プレミックスとの混合物）を添加し、撹拌を１１００ｒｐｍで３分間維持する。混合物が４０℃に達したら、香料（相Ｋ）を添加し、撹拌を１１００ｒｐｍで３分間維持する。このようにして、ファンデーション組成物が得られる。

組成物８の手順：
この手順では、使用される顔料は、水／グリセリン混合物中の酸化鉄又は二酸化チタン粒子の即時使用可能な分散液の形態である。表２に示すイタリック体のパーセンテージは、最終組成物中のこれらの成分のそれぞれの全体的なパーセンテージを考慮したものである（グリセリンと、水の一部は、使用した顔料の市販の分散液によって提供される）。

この手順では、ＥＤＴＡ二ナトリウムを撹拌下で４３．８２％の水に可溶化して、水相Ａを調製する。この相Ａを、解集合器を備えたＲａｙｎｅｒｉ撹拌下で、２５０ｒｐｍに維持する。プロパンジオールとエチルヘキシルグリセリンとを混合することによって、Ｂ相を予め調製する。次いで、この相Ｂを相Ａに添加し、全体を２５０ｒｐｍで５分間撹拌する。この水性混合物に、即時使用可能な顔料の分散液（相Ｈ）を添加する。合計で、１１．９４重量％の顔料（最終組成物の総重量に対して）及び５．９７重量％のグリセリン（最終組成物の総重量に対して）に相当する２３．８８重量％の分散液を添加する。全体を４００ｒｐｍで５分間撹拌する。次いで、相Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｉ、Ｊ及びＫを、組成物１～７について上述した手順と同じ方法で添加する。このようにして、ファンデーション組成物が得られる。

評価及び観察：
－安定性：
上の組成物の安定性を、調製した後、及び４０℃で３ヶ月間の加速条件下（サーモスタット制御オーブン中）に保存した後に試験した。

組成物を官能分析（外観、色及び臭気）によって評価した。色、表面、放出、相分離、沈降又は凝集の事象の可能性のある事象、及び沈殿物、相シフト又は渦巻き（volute）の存在の可能性を調べるために、全体的な外観を、肉眼及び顕微鏡（Ｏｌｙｍｐｕｓ ＢＨ２ １０×１０倍倍率顕微鏡）を用いて評価する。臭気を対照組成物（２０℃の暗所又は冷蔵庫で保存）と比較する。結果を以下の表３に列挙し、以下の注釈を使用する。
Ｃ＝適合（不安定性を示す現象がない）
ＮＣ＝不適合（エマルションの破壊、不均一な混合物などの不安定性を示す現象）。

組成物２～８は、本発明による組成物とは対照的に、良好な適用及び均質な結果を可能にする満足な外観を示さない。結果は、本発明による成分の特定の組み合わせが、顔料の均一な分布を有する組成物を得ることを可能にすることを示す。本発明による組成物はまた、比較組成物とは対照的に、経時的に非常に良好な安定性を有する。実際に、本発明による組成物１は、化粧品において一般的に使用される加速条件下で安定であり、４０℃で３ヶ月などの経時的安定性を保証する。ここで、組成物１はまた、サーモスタットで制御されたオーブン中、５０℃で１ヶ月などのより厳しい条件下でも安定である。

－官能感覚：
５名のパネリストが、本発明の組成物１に従って得られたファンデーションの質感及び官能特性、特に、柔軟性、非べとつき、適用時の爽快感、滑りやすさ、作業性の持続時間（プレイタイム）、カバー性、及び得られたフィルムの均一性を評価した。

本発明による組成物１は、軟らかく、きめ細やかであり、べとつかず、触ったときに油っぽくない質感を有する。更に、質感は軽く、重く感じない。

驚くべきことに、本発明による組成物１は、適用時の良好な爽快感、非常に容易な広がり性と、良好な滑りやすさ、長く十分なプレイタイム、及び良好なカバー性の両方を兼ね備えている。特に、本発明による組成物は、跡を残すことなく、皮膚の欠陥（毛穴又は小皺など）の均一なメイクアップを得ることを可能にする。したがって、本発明による組成物は、爽快感の効果と、良好な官能特性及び良好な色均一性及び広がりやすさを兼ね備えている。

実施例２：７．５％の顔料及び太陽光遮断剤を含む水中油型エマルション。
顔色及び日焼け止め組成物９～１２は、以下の表４に示される％としての割合で、以下に記載される手順に従って調製される。これらの組成物は全て、無機ＵＶ遮断剤（シリカで覆われた二酸化チタン）及び有機ＵＶ遮断剤（フェニルベンズイミダゾールスルホン酸というＩＮＣＩ名を有するエンスリゾール、サリチル酸エチルヘキシルというＩＮＣＩ名を有するサリチル酸オクチル、ホモサレート、及びオクトクリレン）を含むハイブリッドＵＶ遮断系によってＵＶＡ及びＵＶＢに対する高い太陽光保護（ＳＰＦ３０）を与える。これらの組成物はまた、実施例１の観点で、それらの外観、それらの経時的安定性、及びそれらの適用特性によって評価される。

上の表４では、括弧内の参照（化合物のＩＮＣＩ名の次）は、使用した原料に関するものであり、その詳細を以下に示す。
^（ａ）ＡＭＰＨＩＳＯＬ Ｋ（ＩＮＣＩ名：セチルリン酸カリウム）、ＤＳＭにより販売。
^（ｂ）ＫＦ－６０１１（ＩＮＣＩ名：ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン）、ＳＨＩＮ－ＥＴＳＵにより販売。
^（ｃ）ＡＲＩＳＴＯＦＬＥＸ ＡＶＣ（ＩＮＣＩ名：アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ＶＰコポリマー）、ＣＬＡＲＩＡＮＴにより販売。
^（ｄ）エトキシル化シリコーンでコーティングされた酸化鉄又は二酸化チタン顔料、参照名ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＢＬＡＣＫ ＮＯ．７１０Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９９／酸化鉄（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）、ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＲＥＤ ＮＯ．２１１Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９１／酸化鉄（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）、ＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＹＥＬＬＯＷ ＮＯ．６０２Ｐ（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７４９２／酸化鉄（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）例えばＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＴＩＯ２ Ｒ２００（ＩＮＣＩ名：ＣＩ ７７８９１／二酸化チタン（及び）ＰＥＧ－１２ジメチコン）でＤＡＩＴＯ ＫＡＳＥＩにより販売。要求及び所望の最終色相に応じて、黒色、赤色、黄色及び白色顔料の混合物が使用される。本発明による組成物１では、以下の割合を使用した（組成物の総重量に対して合計１２重量％のこの種類の顔料を表す）：０．２１％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＢＬＡＣＫ ＮＯ．７１０Ｐ、０．３７％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＲＥＤ ＮＯ．２１１Ｐ、１．７０％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＹＥＬＬＯＷ ＮＯ．６０２Ｐ及び９．７２％のＰＥＧ１２ ＤＭ－２ ＴＩＯ２ Ｒ２００。
^（ｉ）ＸＩＡＭＥＴＥＲ（Ｒ）ＰＭＸ－１５０３ ＦＬＵＩＤ（ＩＮＣＩ名：ジメチコン（及び）ジメチコノール）、ＤＯＷ ＣＯＲＮＩＮＧにより販売。
^（ｌ）ＥＬＥＭＥＮＴ１４＊ ＰＤＭＳ ５－Ａ、ＭＯＭＥＮＴＩＶＥ ＰＥＲＦＯＲＭＡＮＣＥ ＭＡＴＥＲＩＡＬＳ ＧｍｂＨにより製造。
^（ｑ）無機太陽光遮断剤（シリカ及びジメチコンでコーティングされた二酸化チタン粒子）、参照名ＰＡＲＳＯＬ（登録商標）ＴＸ（ＩＮＣＩ名：二酸化チタン（及び）シリカ（及び）ジメチコン）でＤＳＭにより販売。
^（ｒ）Ｅｄｅｔａ ＢＤ、ＢＡＳＦにより販売。
^（ｓ）Ｗｉｌｆａｒｉｎ ＥＰ９９７、ＷＩＬＭＡＲにより販売。
^（ｔ）ＺＥＭＥＡプロパンジオール、ＤｕＰｏｎｔ Ｔａｔｅ ＆ Ｌｙｌｅ Ｂｉｏ Ｐｒｏｄｕｃｔｓにより販売。
^（ｕ）ＳＥＮＳＩＶＡ ＳＣ ５０、Ｓｃｈｕｌｋｅ Ｆｒａｎｃｅ ＳＡＲＬにより販売。
^（ｗ）Ｎｅｏ Ｈｅｌｉｏｐａｎ（登録商標）Ｈｙｄｒｏ、ＳＹＭＲＩＳＥ ＡＧにより販売。
^（ｘ）Ｎｅｏ Ｈｅｌｉｏｐａｎ（登録商標）ＯＳ、ＳＹＭＲＩＳＥ ＡＧにより販売。
^（ｙ）Ｎｅｏ Ｈｅｌｉｏｐａｎ（登録商標）ＨＭＳ、ＳＹＭＲＩＳＥ ＡＧにより販売。
^（ｚ）Ｎｅｏ Ｈｅｌｉｏｐａｎ（登録商標）３０３、ＳＹＭＲＩＳＥ ＡＧにより販売。

組成物９～１２の手順：
ビーカー中で撹拌しながらＥＤＴＡ二ナトリウムを可溶化することによって、水相Ａを調製する。Ａ相を、２５０ｒｐｍ（１分当たりの回転数）で約１０分間、ＥＤＴＡ二ナトリウムが溶解するまで、解集合器を備えたＲａｙｎｅｒｉ撹拌下に維持する。次いで、なおも解集合器を備えたＲａｙｎｅｒｉ撹拌下で、混合物を塩基性にするためにトロメタミン（相Ｂ）を添加し、その後、スルホン酸フェニルベンズイミダゾール（相Ｃ）を添加する。可溶化するまで撹拌を続ける。更に、グリセリン、プロパンジオール、エチルヘキシルグリセリン及びフェノキシエタノールを混合することによってＤ相を調製する。次いで、相Ｄを先の水性混合物（Ａ＋Ｂ＋Ｃ）に添加し、なおも解集合器を備えたＲａｙｎｅｒｉ撹拌下で、全てを撹拌する。次にアクリロイルジメチルタウレート（相Ｅ）コポリマーの水溶液を、先の水性混合物に添加する。速度を４００ｒｐｍから８００ｒｐｍまで徐々に増加させつつ、全体を均質化するまで撹拌する。必要に応じて、アルキルホスフェート化合物（組成物９、１０及び１１については相Ｆ）を、Ｒａｙｎｅｒｉ解集合撹拌下で、先の混合物に添加する。次いで、必要に応じて、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤（組成物９、１０及び１２については相Ｇ）を、Ｒａｙｎｅｒｉ解集合撹拌下で、添加する。更に、相Ｈを、Ｒａｙｎｅｒｉ解集合撹拌下で、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、オクトクリレン、無機ＵＶ遮断剤及びジメチコンを混合することによって調製する。次いで、Ｈ相を、Ｒａｙｎｅｒｉ解集合撹拌下で、先の水性混合物に添加し、得られたエマルションを５分間撹拌する。次いで、顔料（相Ｉ）を添加し、全体をＲａｙｎｅｒｉ解集合撹拌下で５分間均質化する。組成物１２（脂肪相の添加後のエマルションが不均一で滑らかではない）の場合、Ｊ相（ジメチコンとジメチコノールの混合物）を先の混合物に添加し、撹拌を５分間維持する。このようにして、ファンデーション組成物が得られる。

結果：
比較組成物１１は、ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤（ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン）を含有しないという点で、本発明による組成物９とは異なる。その評価は、２４時間保存するとすぐに、組成物１１が、本発明による組成物９よりも、輝度の低い、より灰色がかった、より不均一な（塊状の）外観を有することを示す。

比較組成物１２は、アルキルホスフェート化合物（セチルリン酸カリウム）を含有しないという点で、本発明による組成物１０とは異なる。その評価は、２４時間の保存から、組成物１２の安定性が損なわれ、滑らかでない外観及び不均一なエマルションになることを示す。

更に、官能特性の評価は、比較組成物１１が、容易に適用され、５分後に乾いた感触を有する（急速に乾燥する）が、べたつく質感を有し、毛穴を目立たせることを示す。また、より粗いフィーリングを有する（指であまり滑らかでなく、あまり柔らかくない）。

本発明による組成物１０は、組成物１２よりも良好な爽快感と、より流動的な外観とを兼ね備えている。また、皮膚上でのべたつきが少なく、ざらつきが少なく、きめが細かく、より長いプレイタイムを有するように感じられる。

本発明による組成物９はまた、爽快感と、良好な色の均一性及び広がり性とを兼ね備えている。

結論として、本発明による成分の組み合わせは、高い顔料含有量であっても経時的に安定であり、適用されたときの爽快感（水中油型エマルションの特徴）及び油中水型エマルションのものに匹敵する広がり特性、特に良好な滑りやすさ、十分に長いプレイタイム、及び良好なカバー性を伴う均一なメイクアップを両方とも兼ね備えつつ、パケットの形成がなく、皮膚の欠陥（毛穴又は細い線）に跡を残さない、均質な水中油型組成物を得ることを可能にする。

Claims (16)

1. 水相中に分散された少なくとも１つの油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧品組成物であって、
   ａ）少なくとも１つのアルキルホスフェート乳化剤と、
   ｂ）少なくとも１つのポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤と、
   ｃ）スルホン単位を含有するポリマーから選択される少なくとも１つの水性増粘剤と、
   ｄ）ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された少なくとも１つの顔料と、を含む、化粧品組成物。
2. 前記アルキルホスフェート乳化剤が、セチルホスフェート、ステアリルホスフェート、セテアリルホスフェート及びこれらの混合物から選択される、請求項１に記載の化粧品組成物。
3. 前記アルキルホスフェート乳化剤が、アルカリ金属塩、好ましくはカリウム塩の形態である、請求項１又は２に記載の化粧品組成物。
4. 前記ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤が、９以上、好ましくは１１以上、より好ましくは１３以上のＨＬＢを有する、請求項１～３のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
5. 前記ポリオキシアルキレンシリコーン乳化剤が、ジメチコン誘導体メチルエーテルから選択される、請求項１～４のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
6. 前記水性増粘剤が、アクリロイルジメチルタウレート単位を、好ましくはアンモニア塩の形態で含むコポリマーである、請求項１～５のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
7. 前記水性増粘剤が、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とビニルピロリドンとのコポリマーである、請求項１～６のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
8. 前記顔料が、酸化鉄及び／又は二酸化チタンの鉱物顔料である、請求項１～７のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
9. 前記少なくとも１つの顔料が着色顔料である、請求項１～８のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
10. 前記ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤がポリオキシアルキレンポリジメチルシロキサンである、請求項１～９のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
11. ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された顔料の量が、前記組成物の総重量に対して少なくとも３重量％、好ましくは少なくとも５重量％である、請求項１～１０のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
12. ポリオキシアルキレンシリコーン処理剤で表面が処理された顔料の量が、前記組成物の総重量に対して少なくとも７重量％、好ましくは少なくとも８重量％、より好ましくは少なくとも１０重量％である、請求項１～１１のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
13. 前記油相が、少なくとも１つのシリコーン油を含む、請求項１～１２のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
14. 前記シリコーン油の含有量が、前記組成物の総重量に対して、少なくとも５重量％、好ましくは少なくとも１０重量％、より好ましくは少なくとも１５重量％である、請求項１２に記載の化粧品組成物。
15. 前記組成物の総重量に対して、少なくとも４０重量％、好ましくは少なくとも４５重量％の含水量を有する、請求項１～１４のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
16. 皮膚のメイクアップとして、好ましくはファンデーションとしての、請求項１～１５のいずれか一項に記載の組成物の使用。