JP2024514446A - 結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセス及び装置 - Google Patents

結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセス及び装置 Download PDF

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Abstract

結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセスであって、結晶化金属硫酸塩を、金属硫酸塩に富む液体と接触させる工程を含むプロセス。金属は、コバルト、ニッケル又はマンガンであり得、及び不純物は、マグネシウム又はカルシウムであり得る。金属硫酸塩に富む液体は、金属硫酸塩の結晶化からのオーバーフロー液であり得、及び前記オーバーフロー液は、オーバーフロー液が、接触される結晶化金属硫酸塩よりも低いレベルの不純物を含有するように、結晶化金属硫酸塩を接触させる前に1つ以上の不純物除去工程に供され得る。結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するための向流洗浄回路であって、それにより、複数の洗浄タンクは、結晶化金属硫酸塩を順番に受け取り、且つ洗浄液を前記順番とは逆に受け取るように構成される、向流洗浄回路が使用され得る。

Description

本開示は、結晶化金属硫酸塩を生成及び精製する、特に結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセス及び方法に関する。
気候変動により交通機関の電化が促進され、その結果、リチウムイオン電池(LIB)などの電池の必要性が高まっている。LIBは、すでに社会に普及しているが、その年間総消費量は、電気自動車の量販市場での普及に必要な年間総消費量に比べて少ない。LIBの需要が高まるにつれて、LIBを製造するための化学物質、特に電池グレードの金属硫酸塩の需要が高まっている。
硫酸ニッケル及び硫酸コバルトの電池用化学物質は、通常、ニッケル金属とコバルト金属とを硫酸で別々に溶解し、電池グレードの硫酸塩として結晶化する前に精製を行うことによって製造される。この金属溶解プロセスは、カソード製造業者及び製油所に硫酸塩生産回路を構築している鉱山会社の両方によって実行される。鉱石から電池に至るまでの金属溶解経路では、溶解前にロンドン金属取引所(LME)グレードの金属を生産するための電解採取又は水素還元のいずれかの高価な工程が必要である。この経路は、金属価格に対する、電池グレードの硫酸塩、主に硫酸ニッケルで求められる割増価格の主な原因となっている。業界は、濃縮物又は中間体から電池用化学物質へのより直接的な生産経路に向かって移行している。例えば、携帯電話及びエレクトロニクスに使用されるリチウムコバルト酸化物電池の化学が成熟しているため、コバルト化学物質についてより直接的な経路がすでに開発されている。
更に、現在の電池用化学物質の生産プロセスは、多くの場合、溶媒抽出(SX)によるコバルトとニッケルとの分離を含み、それにより純度の要件を満たす個々の電池グレードの硫酸塩の生産が可能になる。SXは、金属の分離に非常に効果的であり得るが、比較的複雑なユニット操作であり、抽出、スクラビング及びストリッピングの複数の段階並びに水性排出流の有機処理、クラッドの除去、有機蒸気の回収及び防火のためのシステムが必要である。これらの要件により、商業規模のSX操作に関連して多額の資本コストが発生する。必要なSX回路の数に応じて、SXに関連する直接的なコストは、製油所コストの30%を超え得る。
高純度の結晶化金属硫酸塩を得るプロセス及び方法が望ましい。
ここで、添付の図を参照して本開示の実施形態を単なる例として説明する。
本開示の一実施形態による、結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセスの概略図である。 本開示の一実施形態による、硫酸コバルトを結晶化し、それからマグネシウム及びカルシウムの不純物を除去するプロセスの概略図である。 本開示の一実施形態による向流洗浄回路の概略図である。 結晶化金属硫酸塩を生成するための一般的なプロセスのフロー図である。
結晶化金属硫酸塩、特に高純度の結晶化金属硫酸塩を生成するプロセスが望まれている。従って、本開示は、結晶化金属硫酸塩から不純物の少なくとも一部を低減又は除去するプロセス及び装置を提供する。このプロセスは、結晶化金属硫酸塩を、金属硫酸塩に富むが、不純物の少ない溶液と接触させて、それにより結晶格子内に分布し得る結晶化金属硫酸塩中の不純物を可溶化する工程を含み得る。前記溶液は、この溶液が結晶化金属硫酸塩よりも低いレベルの不純物を有するが、この溶液が金属硫酸塩に富んでいるように、不純物の少なくとも一部を低減又は除去するように処理された金属硫酸塩結晶化装置のオーバーフロー流に由来し得る。こうしたプロセスでは、金属硫酸塩結晶は、溶液と接触しても物質的に再溶解することはないが、部分的に溶解することがある。
本明細書に開示されるプロセス及び装置は、結晶化金属硫酸塩から不純物の少なくとも一部を低減又は除去するために使用され得る。結晶化金属硫酸塩は、本明細書に記載の結晶化金属硫酸塩を生成するプロセスにおいて生成され得る。結晶化金属硫酸塩は、蒸発結晶化、又は冷却結晶化、又は加熱結晶化を使用して結晶化金属硫酸塩を生成する任意のプロセスを含む、他の適切な供給源から得ることができることが理解されるであろう。
図1は、本開示の一実施形態による、結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセスを示す。金属硫酸塩は、硫酸コバルト、硫酸ニッケル又は硫酸マンガンであり得る。結晶化金属硫酸塩は、金属硫酸塩水和物であり得るか、又は任意の適切な溶媒和金属硫酸塩であり得る。図1によれば、比較的高レベルの不純物を含有する、金属硫酸塩に富む供給溶液を結晶化装置に供給し、比較的低レベルの不純物を含有する、金属硫酸塩に富む結晶と、金属硫酸塩及び不純物に富むオーバーフロー溶液とを得ることができる。金属硫酸塩に富む結晶中の不純物は、結晶格子内に分布し得る。オーバーフロー溶液は、不純物除去工程に供給され得る。不純物は、マグネシウム又はカルシウムを含み得る。不純物は、+2の酸化状態の微量金属カチオンを含み得る。不純物の除去は、不純物の少なくとも一部の沈殿を誘導するために、フッ化ナトリウムなどの沈殿剤を添加する工程を伴い得る。不純物の除去は、イオン交換(IX)、例えばコバルト液からのIXによるニッケル除去又はコバルト若しくはニッケル液からのIXによるマンガン除去などを含み得る。不純物の除去は、結晶化前及び/又は後に行うことができる。図1に示されるように、不純物除去工程に続いて、金属硫酸塩に富むが、不純物が比較的少ない液体が形成され、これは、結晶浸出工程で使用することができる。図1の液体中の金属硫酸塩濃度は、浸出工程における金属硫酸塩の濃度と同様であるため、金属硫酸塩の結晶は、再溶解しない。更に、図1の液体中の不純物のレベルは、結晶中の不純物のレベルよりも低いため、不純物は、優先的に結晶から液体に移行する。
従って、図1のプロセスでは、比較的低レベルの不純物を含有する、金属硫酸塩に富む結晶と、このプロセス又は関連するプロセスの他の箇所で再循環洗浄液として再使用できる液体とが得られる。液体洗浄液は、結晶化装置の水簸レッグで使用することができ、それにより、出てくる結晶は、精製された液体洗浄液流によって洗浄される。こうした場合、液体は、結晶化装置に入る。代わりに又は更に、結晶の最初の又はその後の洗浄工程として、結晶化装置の下流で液体洗浄液を使用して、目標生成物組成を達成することを促進し得る。液体洗浄液は、更なる処理のために粗金属硫酸塩を再溶解するなど、固体の金属硫酸塩を溶解するために使用することができる。
1つ以上の実施形態では、このプロセスは、金属硫酸塩に富む供給溶液を結晶化して、選択された金属硫酸塩に富む結晶と、金属硫酸塩及び不純物を含有するオーバーフロー溶液とを形成する工程を含む。金属硫酸塩に富む供給溶液を結晶化する工程は、金属硫酸塩に富む供給溶液から、代わりの金属硫酸塩に対して、選択された金属硫酸塩を優先的に結晶化する工程を含み得る。代わりに又は更に、金属硫酸塩に富む供給溶液は、選択された金属硫酸塩水和物の結晶化前に1つ以上の前処理工程に供され得る。
図2は、硫酸コバルト七水和物(CoSO4.7H2O)結晶からマグネシウム及びカルシウム不純物を除去するプロセスの例を示す。図1のプロセスと同様に、図2は、硫酸コバルト七水和物結晶と、フッ化ナトリウムの添加によって誘導される沈殿を介したMg/Ca除去に送られるオーバーフロー液とを提供するために、フィードが結晶化装置に供給されることを示す。図2の結晶化された硫酸コバルトは、次いで、Mg/Ca除去からの濾液が供給される水簸レッグに供給され、結晶化装置からの母液流を移動させ、結晶からMgの一部を洗浄する。この濾液は、Mgの濃度が低く、Coの濃度が高いために使用され得る。従って、この母液流を結晶と混合することにより、CoSO4.7H2O結晶を大きく溶解させることなく、結晶からのMgの一部が洗浄される。不純物除去の前提は、母液及び洗浄された結晶中のCoSO4.7H2Oに対する微量成分の相対濃度が均一分配係数を規定することである。均一分配係数は、時間及び不純物の性質(例えば、Cd、Fe、Mg、Ni、Zn、Mn、Cu又はCa)に依存する。同じ原理が図2の再浸出タンク1に適用され、ここで、結晶化金属硫酸塩が水簸レッグ後に供給される。再浸出タンク1では、Mg分配係数を低くし、結晶からより多くのMgを洗浄できるようにするため、6時間の滞留時間が選択された。任意の適切な滞留時間を選択することができ、例えば、滞留時間は、約30分~約10時間であり得る。次いで、再浸出タンク1からのスラリーが脱水される。CoSO4で濃縮された液体は、結晶化装置のフィードに再循環される。脱水された結晶は、向流洗浄(CCW)回路に送られ、Mgが更に洗浄される。
図3は、図2の硫酸コバルト七水和物結晶など、結晶化金属硫酸塩301から不純物を除去するための向流洗浄(CCW)回路/装置300の実施形態を示す。向流洗浄回路/装置300は、目標とする不純物(例えば、Mg)濃度を達成するための複数の段階の洗浄からなり得る。向流洗浄回路/装置300は、向流洗浄水302及び洗浄水303などの洗浄水のための1つ以上の投入を含むことができる。各段階310、320、330、340、350、360、370、380、390、400では、洗浄液及び固体は、選択された滞留時間、例えば6時間(Mgの最適分配係数を達成するため)でタンクにおいて混合される。例えば、第1の段階310では、洗浄液311がタンク312において固体301と混合される。各段階からのオーバーフローは、前段階の排出スラリーと組み合わされ、組み合わされた流れは、脱水のためのスクリーンに送られる。例えば、第2の段階320からのオーバーフロー321は、第1の段階310の排出スラリー314と組み合わされ、組み合わされた流れ315は、脱水のためのスクリーン316に送られる。脱水された固体は、次の段階に進められ、液体は、前の段階に送られる(即ち、固体及び水の流れは、この回路内で向流に流れる)。例えば、第1の段階310では、脱水された固体317が第2の段階320に進められ、液体311が前の段階310に送られる。洗浄水303は、この回路の最後の段階400で使用され、精製された結晶化金属硫酸塩の最終ケーキ305を提供する。CoSO4で濃縮される第1の段階310からの洗浄液304は、結晶化装置に送られる。図3のCCW回路300の場合、洗浄液304中のMgの最終濃度は、分配係数に基づき、Coの最終濃度は、CoSO4の溶解限界に基づく。向流の流れにより、(並流の流れと比較して)結晶と洗浄液との間でより効率的な物質移動が可能になる。段階の数又は洗浄水の流れを適宜調整して、最終結晶中のMg濃度をより高く/より低くすることができる。図3の実施形態では、およそ2段階ごとに結晶から約50%のMgが除去される。
図3のものなどのCCW回路では、第1のタンクからの洗浄液は、金属硫酸塩結晶化装置に再循環され得る。再循環される洗浄液は、濃縮又は他の濃厚化などの1つ以上の更なる処理工程に供され得る。一連の順番における最後の洗浄タンクの洗浄液は、実質的に不純物を含まないことが好ましく、水又は実質的に純粋な金属硫酸塩ブラインであり得る。CCW回路で使用される固体/液体分離装置は、遠心分離機、濃縮器又はスクリーンなど、液体から固体を分離する任意の適切な手段であり得る。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が特に明らかに示さない限り、複数形を含む。
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、それに続くリストが網羅的なものではなく、必要に応じて任意の他の追加の適切な項目、例えば1つ以上の更なる特徴、構成要素及び/又は成分を含む場合も含まない場合もあることを意味すると理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、「不純物」とは、本明細書に記載の金属硫酸塩ではないか、又は本明細書に記載の金属硫酸塩若しくは結晶化金属硫酸塩の形成に寄与しない原料の成分を指す。本明細書で使用される場合、「不純物」は、原料から単離されると、有用な、価値のある又は望ましい物質であり得る。1つ以上の実施形態では、不純物は、目的の硫酸塩以外の硫酸塩であり得る。例えば、プロセスでは、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト及び/又は硫酸ニッケルなどの2つ以上の硫酸塩が生成され得る。これらの硫酸塩のいずれか1つは、硫酸塩のいずれかの生成における不純物とみなされ得る。
本明細書で使用される場合、「結晶化」、「結晶化する」又は「結晶化された」とは、浸出された溶液(又はPLS)などの水溶液中の金属硫酸塩から選択的に且つゆっくりと形成される結晶ネットワークを形成するプロセスを指し、その結果、より精製された結晶性化合物が得られる。対照的に、本明細書で使用される場合、「沈殿」とは、沈殿又は塩基性化試薬の添加及び溶液からの結晶性又は非晶性固体の形成を特徴とするプロセスを指す。本明細書で使用される場合、「共結晶化する」又は「共結晶化すること」とは、2つ以上の成分(例えば、金属硫酸塩、不純物など)を溶液から一緒に(例えば、同時に)結晶化することを指す。本明細書で使用される場合、金属硫酸塩を「選択的に結晶化する」又は「選択的に共結晶化する」ことに言及する場合、「選択的」とは、全てではないにしても、ほとんどの不純物又は他の成分から金属硫酸塩を結晶化することを指し、換言すれば、「選択的」とは、より純粋な結晶化金属硫酸塩を形成することを指す。
本明細書で使用される場合、「原料」又は「事前浸出された原料」は、電池用材料の作製に望ましい金属など、更なる処理及び/又は最終製品での使用のために前記固体から抽出/単離することが望ましい少なくともいくつかの物質を含む固体物質を指す。
本明細書で使用される場合、「処理プロセス」とは、前処理工程(例えば、事前浸出)、浸出した溶液を処理して不純物を除去する精製工程(例えば、フッ化物沈殿、直接リチウム抽出)又は両方の組み合わせを含み得るプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「NMC」は、ニッケル、マンガン及び/又はコバルトを指す。例えば、NMC硫酸塩とは、硫酸ニッケル、硫酸マンガン及び/又は硫酸コバルトを指す。本明細書で使用される場合、「金属硫酸塩」とは、硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び/又は硫酸マンガンのいずれか1つ又は組み合わせを指す。更に、「金属水酸化物」は、水酸化ニッケル、水酸化コバルト及び/又は水酸化マンガンのいずれか1つ又は組み合わせを指す。本明細書で使用される場合、「金属水酸化物」という用語は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化リチウムのいずれか1つ又は組み合わせを指すことができる。
金属硫酸塩を生成するプロセス
一態様では、金属硫酸塩を生成するプロセスが提供され、このプロセスは、水溶液から金属硫酸塩を結晶化して、未結晶化金属硫酸塩を含む母液中に結晶化金属硫酸塩を形成する工程を含む。このプロセスは、結晶化金属硫酸塩を母液から分離する工程を更に含み得る。こうしたプロセスで生成された結晶化金属硫酸塩は、本開示の1つ以上の実施形態による結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセスを使用して更に精製され得る。
図4は、結晶化金属硫酸塩を生成するための一般的なプロセスのフロー図を示し、これは、母液の一部を金属水酸化物などで塩基性化し、未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程を含み得る。塩基性金属塩は、金属硫酸塩の結晶化の上流で使用することができる。結晶化工程は、本開示に従って結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するための1つ以上のプロセスを含み得る。結晶化する工程は、金属硫酸塩を結晶化する場合、母液をブリードし、ブリード速度を制御して不純物の結晶化を選択的に抑制する工程を更に含み得る。結晶化する工程は、金属硫酸塩を結晶化する場合、不純物の結晶化を選択的に抑制するために、結晶化装置内の自由水の量を制御する工程を更に含み得る。自由水の量を制御する工程は、結晶化装置からの水の蒸発速度を制御する工程又は結晶化装置への水の添加を制御する工程を含み得る。母液の一部を塩基性化して、未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程は、母液をブリードさせ、ブリード速度を制御して、金属硫酸塩の結晶化の上流で中和される酸の量と少なくともほぼ同等の量の塩基性金属塩を生成する工程を更に含む。結晶化金属硫酸塩は、電池グレードの結晶化金属硫酸塩であり得る。
本明細書に記載の金属硫酸塩を生成するプロセスの1つ以上の実施形態では、プロセスは、原料を浸出する工程と、金属硫酸塩を含む水溶液を形成する工程とを更に含む。1つ以上の実施形態では、原料は、混合された水酸化物沈殿物、混合された硫化物沈殿物、硫化ニッケル精鉱、硫化コバルト精鉱、ニッケルラテライト、ニッケルマット、フェロニッケル、リサイクルされたリチウムイオン電池若しくはリチウムイオン電池製造スクラップに由来する材料又は使用済みのカソード材料のいずれか1つ又は組み合わせを含む。1つ以上の実施形態では、原料は、事前に生成された及び/又は事前に結晶化された金属硫酸塩を含む。その原料は、事前に生成された硫酸ニッケル又は硫酸コバルトの結晶などの不純物を含む金属硫酸塩を含み得る。その原料は、金属硫酸塩を含む溶液を含み得る。金属硫酸塩を生成するプロセスは、原料を更に処理する前に原料中の金属硫酸塩を可溶化する工程を含み得る。一実施形態では、結晶化金属硫酸塩は、第1の場所で生成され、第2の場所に搬送され、第2の場所で結晶化金属硫酸塩から不純物を除去することを促進するために使用される溶液に溶解される。次いで、溶液を第2の場所で再結晶化して金属硫酸塩を回収することができる。本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、プロセスは、母液から塩基性金属塩を単離する工程を更に含む。1つ以上の実施形態では、塩基性金属塩を単離することは、1段階又は2段階の沈殿回路を使用し、塩基性金属塩を選択的に沈殿させる工程を含む。本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、金属硫酸塩は、硫酸ニッケル、硫酸コバルト又は硫酸マンガンのいずれか1つ又は組み合わせである。本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、塩基性金属塩は、金属水酸化物を含む。1つ以上の実施形態では、金属水酸化物は、水酸化ニッケル、水酸化コバルト又は水酸化マンガンのいずれか1つ又は組み合わせを含む。
本明細書に記載の金属硫酸塩を生成するプロセスの1つ以上の実施形態では、金属硫酸塩を結晶化する工程は、水溶液から硫酸ニッケル、硫酸マンガン及び硫酸コバルトのいずれか1つ又は2つを選択的に結晶化する工程を含む。本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、金属硫酸塩を結晶化する工程は、水溶液から硫酸ニッケル、硫酸マンガン及び硫酸コバルトの任意の組み合わせを選択的に結晶化する工程を含む。本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、結晶化金属硫酸塩は、電池グレードの結晶化金属硫酸塩又は電気めっきグレードの結晶化金属硫酸塩である。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載の金属硫酸塩を生成するプロセスは、金属硫酸塩を含む水溶液(例えば、硫酸塩マトリックス、貴浸出溶液(PLS)を更に精製する工程を含み、この場合、PLSは、以下などの特定の不純物又は成分を除去するために、精製段階(本明細書では不純物又は成分除去段階とも呼ばれる)のいずれか1つ又は組み合わせに供される:Cu(例えば、硫化、溶媒抽出、セメンテーション、イオン交換などを介して)、Fe及びAl(例えば、沈殿、イオン交換などを介して)、Zn(例えば、硫化、溶媒抽出、イオン交換などを介して)、Co(例えば、溶媒抽出、イオン交換、沈殿などを介して)、Ca(例えば、溶媒抽出、イオン交換などを介して)、Mg(例えば、溶媒抽出、イオン交換などを介して)、F(例えば、カルシウム/石灰の添加を介して)又はグラファイト(例えば、濾過を介して)。精製されたPLSは、精製されたPLSから硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)、硫酸マンガン(MnSO4)及び硫酸リチウム(Li2SO4)のいずれか1つ又は組み合わせを選択的に結晶化するのに十分な条件下で結晶化装置に導入されて、母液中で結晶化金属硫酸塩(例えば、原料に応じて、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウムに対して、真空下などで強制循環結晶化装置を介して)を生成することができる。これらの結晶化金属硫酸塩は、次いで、母液から単離される(例えば、結晶化装置から排出される)。1回の結晶化サイクル(例えば、1つの結晶化装置を使用)では結晶化金属硫酸塩(これは、例えば、高濃度の不純物を含有する原料で発生し得る)を生成するのに不十分な場合、結晶化装置から排出された結晶は、再結晶化されるように第2の結晶化サイクル(例えば、第2の結晶化装置を使用)に導入される前に、純水に溶解して硫酸塩水溶液を形成することができる。
結晶化後、母液は、望ましくない塩/金属(例えば、Li2SO4、MgSO4、Na2SO4など)及び溶液から結晶化しなかった金属硫酸塩(本明細書では未結晶化金属硫酸塩とも呼ばれる)を含む不純物を含有する場合がある。一実施形態では、溶液中に残存する望ましくない物質からこれらの未結晶化金属硫酸塩を選択的に回収するために、母液を結晶化装置からブリードさせ、塩基性化して、未結晶化金属硫酸塩を金属水酸化物(例えば、Ni(OH)2、Co(OH)2、Mn(OH)2など)などの塩基性金属塩に変換することができる。これらの金属水酸化物は、PLSを形成した浸出及び/又はプロセスの精製段階中に導入された酸を中和するために上流で使用され得、それにより金属水酸化物を金属硫酸塩に変換して戻し、次いでこれを結晶化によって単離することができる。上流で使用する前に、金属水酸化物を母液から単離して洗浄することができ、移送のために水で再スラリー化することができ、それにより空気への曝露が制限され得、従って水酸化物の酸化を制限することができる。別の実施形態では、結晶化後、母液(オーバーフロー溶液)の一部又は全てを使用して、結晶化金属硫酸塩から不純物を除去することを促進し得る。この実施形態では、オーバーフロー溶液を最初に処理して不純物の少なくとも一部を除去して、金属硫酸塩に富み、不純物の少ない液体を提供する。次いで、結晶化金属硫酸塩をその液体と接触させて、不純物の少なくとも一部を結晶から移動させることを促進する。この工程後に残存する液体は、更に多量の不純物を含む場合がある。その液体を塩基性化して、任意の残存する未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換することができる。塩基性金属塩は、本明細書に開示されるように上流で使用され得る。金属水酸化物を中和剤として使用することに加えて、プロセスは、中和剤の外部供給源(例えば、添加された酸化物、水酸化物)を使用して、結晶化装置から出る母液を塩基性化することもでき、任意に、浸出及び/又は精製段階中に導入された酸を中和することができる。これらの外部中和剤は、廃棄物の流れの形成(例えば、薬剤としてのCaO/CaCO3、廃棄物としてのCaSO4.2H2O、薬剤としてのNaOH、廃棄物としてのNa2SO4)を最小化するか若しくは回避するためにそれらの廃棄物から再生される能力(例えば、電気分解などを介して)又はより価値の高い副生成物(例えば、薬剤としてのKOH、副生成物としてのK2SO4)を生成する能力について選択される。1つ以上の実施形態では、NaOHが中和剤として使用され、塩基性化工程において硫酸ナトリウム流が形成される。
一般に、金属硫酸塩の生成プロセスは、主に原料に依存せず、未加工原料(例えば、濃縮物、混合された水酸化物/硫化物の沈殿物、他のNi系原料)及びリサイクルされた原料(例えば、使用済み電池材料)を許容して取り扱う。このプロセスは、金属硫酸塩を含む水溶液(例えば、硫酸塩マトリックス、貴浸出溶液(PLS))を形成するための条件(例えば、圧力浸出、圧力酸化)下で原料を浸出する工程も含み得る。このプロセスでは、結晶化硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)、硫酸マンガン(MnSO4)及び硫酸リチウム(Li2SO4)のいずれか1つ又は組み合わせが生成され得る。このプロセスでは、結晶化硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(Co-SO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)のいずれか1つ又は2つが生成され得る。このプロセスでは、結晶化硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)の3つ全てが生成され得る。プロセスから単離された結晶化金属硫酸塩の中には、電池グレードのものがあり得る。プロセスから単離された結晶化金属硫酸塩の中には、電気めっきでの使用に適したものがあり得る。プロセスから単離された結晶化金属硫酸塩の中には、金属硫酸塩水和物であるものがあり得る(例えば、結晶の不可欠な部分として様々な比で組み合わされた結晶化金属硫酸塩及び水分子、例えば金属硫酸塩あたり1つの水分子、又は金属硫酸塩あたり6つの水分子、又は金属硫酸塩あたり7つの水分子の比)。
本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、プロセスは、原料を浸出する工程と、金属硫酸塩を含む水溶液を形成する工程とを含む。例えば、プロセスは、1つ以上の原料の投入から始まり得る。適切な原料は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)又はリチウム(Li)のいずれか1つ又は組み合わせを含む任意の原料を含む。いくつかの実施形態では、原料は、未加工原料及びリサイクル材料原料のいずれか1つ又は組み合わせを含み得る。未加工原料の例は、混合された水酸化物沈殿物(MHP)、混合された硫化物沈殿物(MSP)、硫化ニッケル精鉱、硫化コバルト精鉱、ニッケルラテライト、ニッケルマット又はフェロニッケルを含むが、これらに限定されない。リサイクル材料原料の例は、使用済みカソード材料及びリサイクルされたリチウムイオン電池又はリチウムイオン電池製造スクラップに由来する材料(本明細書では集合的に黒色塊と呼ばれる)を含むが、これらに限定されない。
原料は、例えば、硫酸塩マトリックス、貴浸出溶液など、金属硫酸塩(PLS)を含む水溶液を形成する条件下で浸出され得る。一般に、浸出条件は、原料を、以下を含み得る酸性浸出液流と反応させる工程を含む:酸性流、酸性流及び過酸化水素、酸性流及び二酸化硫黄又は酸性流及びスクロースなどの別の還元剤。浸出条件は、酸素又は空気を使用して圧力容器内で原料を酸化することにより、原料を可溶化する工程も含み得る。硫酸塩マトリックスPLSの形成において、酸性流は、硫酸塩源として作用し得、例えば硫酸を含むことができるか、又は酸性流及び/若しくは原料は、硫酸塩源として作用することができる。
PLSの形成に適し得る浸出条件が多数ある。当業者であれば、処理される原料の種類又は供給源に基づいて、その選択を確認し、特定の条件を規定するためにいずれの浸出条件を選択及び試験するかを認識するであろう。例えば、浸出は、周囲温度及び/若しくは圧力において又は周囲温度及び/若しくは圧力超で起こり得る。MHP又は黒色塊を含む原料の場合、浸出は、例えば、酸及び還元剤の添加により、約65℃の温度及び大気圧で起こり得る。MSP又はニッケルマットを含む原料の場合、150~220℃の温度で圧力浸出及び/又は圧力酸化によって浸出が起こり得る。
浸出条件は、酸又は塩基試薬の使用を最小限にするように選択され得る。例えば、浸出条件は、原料と酸性浸出液流とを接触させて反対方向に流すことを伴う向流浸出を含み得る。こうした向流を使用すると、浸出効率が向上し、浸出段階での酸試薬の使用を減らすことができる。向流浸出では、酸試薬の使用を減らすことで、後に塩基で中和する必要があるプロセスの下流を通過する酸が少なくなるため、塩基試薬の使用を減らすこともできる。いくつかの実施形態では、浸出条件は、原料中の硫化物の酸化によって硫酸塩を生成し、従って原料中の金属を可溶化するために追加の酸試薬を使用する必要がない圧力浸出を含むことができる。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載の金属硫酸塩を生成するプロセスは、金属硫酸塩を含む水溶液(例えば、硫酸塩マトリックス、貴浸出溶液(PLS)を精製する工程を含み、この場合、PLSは、特定の不純物又は成分を除去するために精製段階(本明細書では不純物又は成分除去段階とも呼ばれる)のいずれか1つ又は組み合わせに供される。
浸出に続いて、PLSは、1つ以上の不純物又は成分を除去することによってPLSを精製するために、1つ以上の精製段階を経ることができる。除去される不純物又は成分の種類及び量は、PLSが形成される原料の種類及びプロセスによって生成される最終製品の仕様に少なくとも部分的に依存する(例えば、純度、グレード、硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)の1つ又は2つのみが必要な場合など)。除去される不純物又は成分の例は、ナトリウム(Na)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、コバルト(Co)及びマンガン(Mn)を含むが、これらに限定されない。除去される必要があり得る成分は、ニッケル、コバルト及びマンガンのいずれか1つ又は2つを含み得るため、例えば電池グレードの金属硫酸塩などの最終製品として使用する場合、結晶化硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)の1つ又は2つのみが結晶化装置から単離される。他の場合、硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)の3つ全てが結晶化装置から単離される。電池グレードの金属硫酸塩が必要な場合、例えば、電池グレードの硫酸ニッケルなどで許容されるこうした不純物に対する特定の製品仕様(例えば、制限)があり、プロセスの原料、水又は試薬中に前記製品仕様を超える量で存在する任意のこうした不純物は、その濃度を低下させる必要がある。
PLSから不純物又は成分を除去するための多くの適切な方法が存在する。こうした方法は、沈殿、大気圧又は圧力浸出、硫化、溶媒抽出、イオン交換及びセメンテーションを含むが、これらに限定されない。適切な方法(及びその操作条件)の選択は、除去される不純物又は成分の種類及び量並びにプロセスによって生成される最終製品の仕様に少なくとも部分的に依存する。例えば、銅は、沈殿、溶媒抽出、硫化、セメンテーション又はイオン交換などによって除去され得、鉄及びアルミニウムは、沈殿又はイオン交換などによって除去され得、亜鉛は、硫化、溶媒抽出又はイオン交換などによって除去され得、コバルトは、溶媒抽出、イオン交換又は酸化沈殿などによって除去され得る。各方法の条件及び操作パラメータは、一般に知られており、除去される不純物又は成分の種類及び量に応じて選択することができる。
例えば、セメンテーションは、第1の金属イオンと第1の固体金属との間の酸化還元反応を伴うプロセスであり、それにより第1の金属イオンが第1の固体金属によって第2の固体金属に還元され、次に第1の固体金属が第2の金属イオンに酸化される。セメンテーションは、他の試薬を使用することなく、プロセスに価値のある金属を追加できるため(例えば、ニッケル粉末が第1の固体金属として使用される場合にはNiを追加することにより)、例えば銅などの除去に選択され得、且つ/又はプロセスに酸若しくは塩基試薬を添加する必要なく、不純物の除去(例えば、還元により)が可能になる。
PLSから不純物又は成分を除去するための精製段階は、酸又は塩基試薬の使用を最小限にするように選択することができる。例えば、Cuは、ニッケル粉末とのセメンテーションによって除去され得、このセメンテーションでは、酸も塩基もほとんど必要とせず、酸も発生せず、対照的に、溶媒抽出(SX)によるCuの除去には、除去されるCuの1モルあたり1モルの硫酸が必要であり、前記添加された全ての酸は、下流の塩基によって中和される必要がある。Fe及びAlなどの他の不純物は、pHを上げる(例えば、約5.5まで)ことにより沈殿を介して除去することができ、これには、塩基の添加が必要であるが、酸の添加は必要なく、塩基は、外部の中和剤又はプロセスの下流で生成される塩基性金属塩として導入することができる。対照的に、イオン交換(IX)によるFe及びAlの除去には、Fe及びAlを交換カラムに担持させるための塩基の添加が必要であり、またFe及びAlを交換カラムから取り除くための酸の添加が必要であり、これらの不純物を簡単に処分できる形態に変換するための追加の試薬又はプロセスが必要である。
本明細書に記載のプロセスは、水溶液から金属硫酸塩を結晶化して、結晶化金属硫酸塩を形成する工程を含み得る。精製されたPLSは、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガン及び/又は硫酸リチウムのいずれか1つ又は組み合わせを溶液から選択的に結晶化又は共結晶化するのに十分な条件下で結晶化装置に導入することができる。こうした選択的結晶化は、精製されたPLS中に残存する(原料に依存する)リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの成分に対して行われ、母液中に1つ以上の結晶化金属硫酸塩(例えば、NMC硫酸塩及び/又は硫酸リチウム)が得られる。
異なる種類の結晶化装置がNMC硫酸塩及び/又は硫酸リチウムの選択的結晶化又は共結晶化に影響を与えるのに適し得る。こうした結晶化装置は、蒸発結晶化装置、強制循環(FC)結晶化装置、間接力循環(IFC)結晶化装置及びドラフトチューブバッフル(DTB)結晶化装置を含むが、これらに限定されない。こうした結晶化装置の条件及び操作パラメータは、結晶化される金属硫酸塩の種類及び純度並びに/又はPLS中の不純物の種類及び濃度に応じて選択することができる。例えば、IFC又はDTB結晶化装置を使用すると、NMC硫酸塩を結晶化するとき、より粗い結晶が形成される可能性があり、それにより、リチウム、ナトリウム、マグネシウム及び/又はカリウムなど、前記結晶化中の不純物の同伴を抑制することができる。強制循環結晶化装置を使用する場合、PLSを周囲温度(例えば、約25℃)まで急速冷却するために真空下で操作することができ、その結果、それにより水の蒸発並びにNMC硫酸塩及び/又は硫酸リチウムの結晶化が促進され得る。こうした場合、蒸発する自由水の量は、リチウム又はナトリウムなどの特定の不純物の飽和点に達するのに必要な量より少なくてもよい。硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンをともにリチウム及びナトリウムなどの不純物に対して選択的に結晶化するために結晶化装置を使用する場合、結晶化装置は、1~5又は1.5~2.5のpHレベルで操作することができる。いくつかの実施形態では、0未満、1.5未満又は0.5~1.5のpHレベルが有効である。
更に、溶液中の他の硫酸塩及び成分(例えば、不純物)よりも1つの金属硫酸塩又は金属硫酸塩の組み合わせを選択的に結晶化するように、結晶化装置の条件及び操作パラメータを選択することができる。例えば、PLS中の1つ又は2つの金属硫酸塩の濃度が非常に低く、第3の金属硫酸塩の濃度が非常に高い場合、結晶化装置のブリード速度(例えば、十分に高いブリード速度)を慎重に選択することで、1つ又は2つの金属硫酸塩よりも第3の金属硫酸塩を選択的に結晶化することが可能になる。
結晶化装置の条件及び操作パラメータは、結晶化金属硫酸塩の純度を管理するために選択され得る。結晶化中の結晶化装置からの母液のブリード及びブリードが発生する速度は、例えば、不純物の結晶化を選択的に抑制することにより、結晶化金属硫酸塩の純度に影響を与える可能性がある。本明細書で使用される場合、特定の不純物の結晶化を選択的に抑制するためのブリード速度の選択とは、可能なブリード速度の範囲内において、特定の不純物の結晶化を別の不純物の結晶化よりも抑制する結晶化装置のブリード速度を設定することを意味する。ブリード速度は、特定の不純物の結晶化を最大限に抑制するように選択することができる。不純物は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどであり得る。母液のより高いブリード速度を用いることで、結晶化金属硫酸塩の純度に影響を与える可能性のある母液中の不純物及び他の成分の濃度をより低く保つことが促進される。
更に、不純物の溶解度は、温度に依存し得、従って、結晶化装置の温度を選択することは、結晶化される金属硫酸塩の純度を管理するのに有効であり得る。例えば、硫酸リチウムの溶解度は、温度の上昇とともに低下するため、結晶化装置を高温で操作すると、PLS中に残存する任意の硫酸リチウムが沈殿し、結晶化金属硫酸塩の純度に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、結晶化装置を低温で操作すると、硫酸リチウムが溶液中に残存し、結晶化する金属硫酸塩と一緒に溶液から出ることを防ぎ得る。代わりに、結晶化装置を、同じブリード速度を維持しながら異なる温度条件で操作する場合、異なるレベルの不純物混入が生じる可能性がある。対照的に、ナトリウムの溶解度は、温度の上昇とともに増加する。そのため、結晶化装置をより高温で操作すると、ナトリウムが溶液中に残存することがあり、結晶化装置のブリード速度を上げると、結晶化する金属硫酸塩と一緒に溶液から出ることができる前に、結晶化装置からナトリウムが除去される可能性がある。しかしながら、結晶化装置をより低温で操作する場合、母液中に残存するナトリウムは、その溶解度が低いために沈殿する可能性があるか、又はニッケルと反応して、結晶化金属硫酸塩の純度に影響を及し得る複塩を形成する可能性がある。
不純物の溶解度は、PLS及び/又は母液中に存在する自由水の量にも依存し得、従って、結晶化装置内の水のレベルを管理することは、結晶化される金属硫酸塩の純度を管理する効果的な手段であり得る。例えば、場合により、金属硫酸塩が金属硫酸塩水和物(即ち結晶化金属硫酸塩と水分子とが結晶の一体部分として一定の比で結合したもの)として溶液から結晶化し、それにより母液中の水分濃度が低下する。自由水の濃度が低下することで、母液中の不純物(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)の濃度は、溶液から結晶化し、結晶化金属硫酸塩の純度に影響を与える点まで上昇する可能性もある。しかしながら、結晶化装置内にある場合に十分な量の水がPLS及び/若しくは母液に添加されている場合又は上流での処理後に過剰な量の水がPLSに残存する場合(例えば、水和物形成により失われると予想される水と少なくとも同量の水)、その自由水の存在は、溶液からの不純物の結晶化を抑制することができる。
結晶化金属硫酸塩は、結晶化装置から排出することによって母液から単離することができる。例えば、フィルター又は遠心分離機に通され、結晶を母液から分離するスラリーとして結晶化金属硫酸塩を排出することができる。濾液又は遠心分離液(即ち母液)は、次いで、結晶化装置に戻され得るか又はその一部がブリードされ得、単離された結晶は、フィルター又は遠心分離機において洗浄され、乾燥され得る。場合により、PLSがより汚れた原料から形成される場合など、1つの結晶化装置のみを使用しても、適切に純度の高い結晶化金属硫酸塩を生成するのに不十分である。次いで、第1の結晶化装置から排出された結晶は、第2の結晶化装置に導入される前に水(例えば、純水)に溶解され、再結晶化され、更に精製され得る。
本明細書に記載の金属硫酸塩を生成するプロセスは、母液の一部を塩基性化して、未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程を含み得る。本明細書に記載のプロセスの1つ以上の実施形態では、プロセスは、第2の中和剤を使用して母液の一部を塩基性化して、未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程を含む。1つ以上の実施形態では、塩基性金属塩を未結晶化金属硫酸塩に変換して戻す工程は、金属硫酸塩の結晶化の上流で酸を中和するための第1の中和剤として塩基性金属塩を使用する工程を含む。
結晶化母液は、Li2SO4、Na2SO4などの塩及び金属のような他の不純物及び成分に加えて、未結晶化金属硫酸塩を含有し得る。これらの未結晶化金属硫酸塩を選択的に回収し、且つ中和剤(本明細書では第1の中和剤とも呼ばれる)として上流で使用する塩基性金属塩を形成するために、母液中に残存する未結晶化金属硫酸塩を前記塩基性金属塩、例えば金属水酸化物(例えば、Ni(OH)2、Co(OH)2、Mn(OH)2など)に変換するように、母液を結晶化装置からブリードし、塩基性化することができる。母液を塩基性化する場合、pHレベルを7.5~10又は7.5~9.5に高めるのに十分な塩基を加えることができる。得られた金属水酸化物は、母液から沈殿し、濾過を介して母液から単離され、洗浄されてケーキを形成することができ、再パルプ化されてスラリーを形成することができる。例えば、濾過、濃縮及び濾過又は遠心分離によって金属水酸化物が回収され得、次いでフィルター又は遠心分離機において洗浄されてケーキを形成することができる。ケーキの少なくとも一部は、水又はプロセス溶液を使用してスラリー化するために、再パルプタンクに渡され得る。金属水酸化物は、例えば、1段階又は2段階の沈殿回路を介して母液から選択的に沈殿され得る。沈殿回路は、母液中のその金属水酸化物の存在に起因する金属水酸化物中の不純物から金属水酸化物を選択的に沈殿させるために使用することができる。
金属水酸化物は、プロセスの上流に導入することができ、浸出段階及び/又は精製段階で導入される酸を中和するための中和剤として使用することができる。例えば、約0%~40%の金属水酸化物(例えば、ケーキとして)を浸出段階に導入することができ、約60%~100%の金属水酸化物(例えば、ケーキとして)を精製段階に導入することができる。中和剤として金属水酸化物を使用することで、外部の中和剤を導入する必要性を低減及び/又は排除し、それにより試薬の使用量(及び関連するコスト)が減少し、製品の純度に影響を及ぼす可能性のある不純物(例えば、外部の中和剤からのカチオンNa+、K+、Ca2+、Mg2+)の更なる供給源が低減及び/又は排除され、不純物の共沈殿及び結晶化金属硫酸塩の汚染を回避するために結晶化装置のブリード速度を高くする必要がある。場合により、中和剤として使用可能な塩基性金属塩、例えば金属水酸化物の十分な量を確保するために、母液が結晶化装置からブリードされ、金属水酸化物を形成するために塩基性化される速度は、形成される金属水酸化物の量が、浸出及び/又は精製段階で導入される酸の量と少なくともほぼ同等又はほぼ同等であるように制御され得る。例えば、精製されたPLSが高純度である場合、結晶化金属硫酸塩の純度を管理するために、結晶化装置のブリード速度をそれほど高くする必要がない場合があり(例えば、上述のように)、しかしながら、それにもかかわらず、上流で使用するために十分な量の金属水酸化物が形成されるようにするために結晶化装置のブリード速度を上げる必要がある場合がある。他の場合、金属水酸化物を形成するために、母液が結晶化装置からブリードされ、塩基性化される速度は、添加された量の外部中和剤と組み合わせて形成される金属水酸化物の量が、浸出段階及び/又は精製段階で導入される酸の量と少なくともほぼ等しい又はほぼ等しいように制御され得るが、添加される外部中和剤の量は、外部中和剤の使用が結晶化金属硫酸塩の純度に影響を与える濃度で不純物(例えば、カチオン、Na+、K+、Li+、Mg2+など)を導入しないように十分に低く保たれる。こうした場合、形成された金属水酸化物と外部中和剤とを組み合わせて使用することで、資本コスト及び/又は操業コストを管理することができる。更に、金属水酸化物が上流プロセスに計量される速度は、前記プロセス(例えば、浸出、精製など)のpH設定値によって制御され得る。
更に、中和剤として塩基性金属塩(例えば、金属水酸化物)を使用すると、精製されたPLS内で塩基性金属塩が金属硫酸塩に変換されて戻される。変換された金属硫酸塩を含む精製されたPLSは、次いで、結晶化装置に進み、ここで、変換された金属硫酸塩を結晶化し、母液から単離することができる。母液を単離し、塩基性化して、溶液中の未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換し、この塩基性金属塩を中和剤として使用して塩基性金属塩を金属硫酸塩に変換して戻し、次いでこれを結晶化によって単離することができるこのループは、特定の原料から得られる単離された結晶化金属硫酸塩の収率を向上させることができる。
中和剤として塩基性金属塩、例えば金属水酸化物を使用することに加えて、プロセスは、酸を中和し、且つ/又は結晶化装置から出る母液ブリードを塩基性化するために、精製段階で中和剤の外部供給源(例えば、添加された酸化物、水酸化物など)を使用することができる(本明細書では第2の中和剤とも呼ばれる)。外部中和剤の種類及び量を選択することは、少なくとも部分的に精製段階の性質並びに母液中の金属硫酸塩及び他の成分の種類に依存し得る。当業者であれば認識するように、精製段階での使用及び/又は母液の塩基性化での使用に適した様々な種類の外部中和剤がある。適切な外部中和剤は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)又は酸化マグネシウム(MgO)を含むが、これらに限定されない。例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)及び酸化マグネシウム(MgO)のいずれか1つ又は組み合わせが外部中和剤として使用され得る。当業者であれば、精製段階での使用及び/又は母液の塩基性化での使用にあまり適さない種類の外部中和剤があることも認識するであろう。例えば、外部中和剤としてアンモニアを使用すると、硫酸ニッケル-アンモニウム塩などの複塩又はNi及び/若しくはCo錯体などの金属錯体が形成され得る。こうしたカチオン、塩又は錯体は、プロセスを実行不可能にする可能性があり、且つ/又は必要な溶媒抽出回路による操作コスト及び資本コストを増加させる可能性がある。
外部中和剤の量は、精製段階の性質に応じて選択することができる。例えば、精製段階で除去される必要があるCu濃度が高い場合、銅溶媒抽出段階で発生する任意の酸を中和するために、高濃度/高容量の中和剤が必要となり得る。更に、精製段階で除去される必要があるFeの濃度が高い場合、pHを上昇させ、加水分解によってFeを除去するために、高濃度/高容量の中和剤が必要となる。
外部中和剤の種類は、塩回収工程を介して、商業的価値を有する副生成物などの特定の副生成物を生成し、回収するように選択することができる。例えば、水酸化カリウムであるように外部中和剤を選択した場合、その使用により、肥料である硫酸カリウム(K2SO4)が生成される。水酸化カルシウムであるように外部中和剤を選択した場合、その使用により、廃棄物として処分され得るか、又は乾式壁及び建築に使用され得る製品である石膏(CaSO4.2H2O)が生成される。酸化マグネシウム(MgO)であるように外部中和剤を選択した場合、その使用により、硫酸マグネシウムが生成される。水酸化リチウム(LiOH)であるように外部中和剤を選択した場合、その使用により、硫酸リチウムが生成される。
外部中和剤の種類は、塩回収工程を介して回収され、再生される能力に基づいて選択することができ、その結果、外部中和剤がプロセスで使用され、次いで再使用のために再生され得る。例えば、水酸化ナトリウムであるように外部中和剤を選択した場合、その使用により、副生成物として硫酸ナトリウムが生成される。水酸化ナトリウムは、電気分解によって硫酸ナトリウムから再生され得る。一般に、電気分解は、プロセスで再使用するために、副生成物の硫酸ナトリウムを水酸化ナトリウムに直接的に変換して戻すことができ、その変換中に硫酸を生成する。より詳細には、電気分解は、塩溶液から酸及び塩基を再生するために、印加された電位及び1つ以上のイオン選択膜を使用し、選択膜で分離された2つ以上の区画を含むことができる電気化学セルを使用して行われる。例えば、電解は、1500~3000A/m2の電流密度において6Vの電位で作動する3区画のセルを伴うことができ、硫酸ナトリウムから約10重量%の硫酸溶液とともに約20重量%の水酸化ナトリウム溶液を生成することができ、これらは、両方ともプロセスの上流で使用するために再循環させることができる。LiOHであるように外部中和剤を選択した場合、その使用により、硫酸リチウムが生成され、この硫酸リチウムは、塩基性化及び結晶化若しくは電気分解などの下流の回収工程を使用してLiOHに変換されて戻され得るか、又は販売可能な製品として炭酸リチウムに変換され得る。1つ以上の実施形態では、外部中和剤は、水酸化ナトリウムであり、その使用により、副生成物として硫酸ナトリウムが生成される。
本開示の1つ以上の実施形態では、本明細書に記載の金属硫酸塩を生成するプロセスは、硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)、硫酸マンガン(MnSO4)及び硫酸リチウム(Li2SO4)のいずれか1つ又は組み合わせの選択的結晶化又は共結晶化を提供する。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、結晶化硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)の1つ又は2つの選択的結晶化又は共結晶化を提供する。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、結晶化硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)の3つ全ての選択的共晶化を提供する。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、電池グレードの結晶化金属硫酸塩を提供する。1つ以上の実施形態では、このプロセスは、電気めっきグレードの結晶化金属硫酸塩を提供する。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、電池グレードの結晶化金属硫酸塩を単離するために溶媒抽出回路を使用しない。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のプロセスにより、資本コスト及び操作コストが削減され、結晶化金属硫酸塩の収率が増加し、且つ/又は固形廃棄物として硫酸ナトリウムが削減又は除去される(水酸化ナトリウムが外部中和剤として使用され、硫酸ナトリウムが電気分解によって水酸化ナトリウムに変換されて戻される場合又は必要な外部中和剤の量が削減される場合)。
いくつかの実施形態では、溶媒抽出回路の代わりに、結晶化装置を使用して結晶化金属硫酸塩を単離することから、本明細書に記載のプロセスにより、資本コスト及び操作コストが削減される。結晶化には、エネルギーの投入が必要であるが、追加の試薬を使用する必要がなく、それにより操作コストが削減される。更に、結晶化に関連する資本コストは、溶媒抽出回路に関連する資本コストよりも低くなる。
他の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、試薬の使用を削減することによって資本コスト及び操作コストを削減する。例えば、硫酸ニッケルを形成するニッケル溶媒抽出回路では、生成される硫酸ニッケルの1モルあたり1モルの硫酸及び2モルの水酸化ナトリウムを消費する必要がある。対照的に、結晶化には、いかなる追加の試薬も使用する必要がない。溶媒抽出工程が精製段階の一部として使用される場合でも、前記溶媒抽出が受ける負荷が一般的により小さく(即ちより低い濃度の不純物)、そのため、必要な酸及び塩基が少なくなるため、本明細書に記載のプロセスは、試薬の使用を削減することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、プロセスの工程の数を削減することによって資本コスト及び操作コストを削減する。プロセスの工程の数を削減すると、資本コスト及び操作コストが削減されるだけでなく、プロセスの複雑さも軽減され、従ってプロセスの実行に必要なインフラストラクチャー及びスキルセットの複雑さも軽減される。例えば、溶媒抽出は、抽出、スクラビング及びストリッピングの複数の段階を必要とする比較的複雑なユニット操作であり、水性排出流の処理、クラッドの除去、有機蒸気の回収及び防火のためのシステムを必要とする。溶媒抽出回路の代わりに、結晶化装置を使用して結晶化金属硫酸塩を単離することにより、こうしたプロセスの複雑さ(及び関連するコスト)を回避することができる。
他の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、リチウム、ナトリウム、カリウム又はマグネシウムなど、プロセスの浸出及び/又は精製段階における特定の不純物又は成分の添加を低減又は防止することにより、結晶化金属硫酸塩の収率を増加させる。例えば、結晶化装置内で結晶化金属硫酸塩のワンパス収率が増加するにつれて、母液中のリチウム、ナトリウムなどの不純物の濃度も増加する。結果として、結晶化金属硫酸塩の純度を管理するために(例えば、不純物が母液中の飽和濃度に近づくことを抑制又は防止することにより)、結晶化装置のブリード速度も増加する必要がある。しかしながら、結晶化装置のブリード速度を高めると、ブリードされた未結晶化金属硫酸塩が塩基性化し、沈殿し、試薬を消費するため、非効率となる場合がある。従って、プロセスの浸出及び/又は精製段階でこれらの不純物の添加を低減又は防止することは、不純物及び金属硫酸塩の共結晶化を回避しながら、より低いブリード速度で結晶化装置を操作できることを意味し、それにより操作コストも削減しながら、結晶化金属硫酸塩のワンパス収率を向上させることができる。本開示のプロセスの1つ以上の実施形態では、特定の不純物(例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウムなど)の添加は、結晶化装置からブリードされる母液から沈殿した塩基性金属塩(例えば、金属水酸化物Ni(OH)2、Co(OH)2、Mn(OH)2など)を使用することによって低減又は防止される。いくつかの実施形態では、塩基性金属塩の沈殿及び洗浄は、慎重に制御されて(例えば、pHレベルの選択、2段階沈殿回路の使用などにより)、塩基性金属塩への不純物(例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウムなど)の沈殿を低減又は防止する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、結晶化母液を単離及び塩基性化するループを使用して、溶液中の未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩(例えば、金属水酸化物)に変換し、且つそれらの塩基性金属塩を中和剤として使用して、結晶化のために塩を金属硫酸塩に変換して戻すことにより、結晶化金属硫酸塩の収率を増加させる。ループの反復性により、結晶化金属硫酸塩の非常に良好な回収が確保される。
結晶化金属硫酸塩は、本開示による金属硫酸塩を生成するプロセスによって生成されても、他のものによって生成されても、1つ以上の実施形態又は本開示による結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセスに供され得る。同様に、本開示による結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するための向流洗浄回路は、限定されないが、本明細書で開示された金属硫酸塩を生成するプロセスなど、結晶化金属硫酸塩の任意の適切な供給源から不純物を除去するために使用され得る。
本明細書に記載の実施形態は、単なる例であることを意図している。当業者により、特定の実施形態に対する変更形態、修正形態及び変形形態が実施され得る。特許請求の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態によって限定されるべきではなく、全体として本明細書と一致する方法で解釈されるべきである。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当業者の技術レベルを示すものであり、それぞれの個別の公開特許又は特許出願は、あたかも参照により組み込まれると具体的且つ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
以上のように本発明が説明されたが、本発明が様々に変更され得ることは、明らかである。こうした変形形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、当業者にとって明らかであるこうした全ての変形形態は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

Claims (37)

  1. 結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するプロセスであって、前記結晶化金属硫酸塩を、金属硫酸塩に富む液体と接触させる工程を含むプロセス。
  2. 前記金属硫酸塩は、硫酸コバルト、硫酸ニッケル又は硫酸マンガンである、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記結晶化金属硫酸塩は、結晶格子の形態であり、及び前記不純物は、前記結晶格子内に分布している、請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. 前記不純物は、+2の酸化状態の微量金属カチオンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. 前記不純物は、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム又はリチウムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 前記結晶化金属硫酸塩中の不純物のレベルよりも低いレベルの不純物を含む金属硫酸塩に富む前記液体を提供する工程を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 金属硫酸塩に富む前記液体は、結晶液であって、それから前記結晶化金属硫酸塩が結晶化された結晶液中の金属硫酸塩濃度と同様の濃度の金属硫酸塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 金属硫酸塩結晶の一部を水と混合することにより、金属硫酸塩に富む前記液体を形成する工程を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 選択された金属硫酸塩を結晶化するプロセスであって、
    水溶液から金属硫酸塩を結晶化して、前記選択された金属硫酸塩に富む結晶と、金属硫酸塩及び不純物を含むオーバーフロー溶液とを形成する工程と、
    前記選択された金属硫酸塩に富む前記結晶を、金属硫酸塩に富む液体と接触させ、それにより前記選択された金属硫酸塩に富む前記結晶から前記不純物の少なくとも一部を移動させる工程と
    を含むプロセス。
  10. 前記オーバーフロー溶液から前記不純物の少なくとも一部を除去して、金属硫酸塩に富む前記液体を提供する工程を更に含む、請求項9に記載のプロセス。
  11. 前記金属硫酸塩に富む供給溶液を結晶化する工程は、前記金属硫酸塩に富む供給溶液から、代わりの金属硫酸塩に対して、前記選択された金属硫酸塩を優先的に結晶化する工程を含む、請求項9又は10に記載のプロセス。
  12. 前記液体を前記プロセス又は関連するプロセスの別の箇所で再使用する工程を更に含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 前記液体を再使用する工程は、結晶化のために前記液体の少なくとも一部を前記金属硫酸塩水溶液に添加する工程を含む、請求項12に記載のプロセス。
  14. 前記オーバーフロー溶液から前記不純物の少なくとも一部を除去する工程は、沈殿又はイオン交換を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. 金属硫酸塩に富む前記結晶を接触させる工程は、金属硫酸塩に富む前記結晶を向流洗浄回路において処理する工程を含む、請求項9~14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. 前記選択された金属硫酸塩は、硫酸コバルト、硫酸ニッケル又は硫酸マンガンである、請求項9~15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. 金属硫酸塩に富む前記結晶は、結晶格子を規定し、及び前記不純物は、前記結晶格子内に分布している、請求項9~16のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. 前記不純物は、+2の酸化状態の微量金属カチオンを含む、請求項9~17のいずれか一項に記載のプロセス。
  19. 前記不純物は、マグネシウム、カルシウム又はナトリウムを含む、請求項18に記載のプロセス。
  20. 金属硫酸塩に富む前記液体は、金属硫酸塩に富む前記結晶中の不純物のレベルよりも低いレベルの不純物を含む、請求項9~19のいずれか一項に記載のプロセス。
  21. 金属硫酸塩に富む前記液体は、金属硫酸塩に富む供給溶液中の金属硫酸塩濃度と同様の濃度の金属硫酸塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
  22. 結晶化金属硫酸塩から不純物を除去するための向流洗浄回路であって、結晶化金属硫酸塩を順番に受け取り、且つ洗浄液を前記選択された順番とは逆に受け取るように構成された複数の洗浄タンクであって、各洗浄タンクは、前記洗浄液から前記結晶化金属硫酸塩を分離するための固体/液体分離装置に結合され、所定の洗浄タンクの前記結晶化金属硫酸塩は、前記順番における次の洗浄タンクに進められ、及び前記所定の洗浄タンクからの前記洗浄液は、前記順番における前の洗浄タンクに進められる、複数の洗浄タンクを含む向流洗浄回路。
  23. 各洗浄タンクは、指定された滞留時間にわたって前記結晶化金属硫酸塩と前記洗浄液とを接触させるように構成される、請求項22に記載の向流洗浄回路。
  24. 前記滞留時間は、約6時間である、請求項23に記載の向流洗浄回路。
  25. 前記順番における最後の洗浄タンクの前記洗浄液は、実質的に不純物を含まない、請求項23又は24に記載の向流洗浄回路。
  26. 前記順番における前記最後の洗浄タンクの前記洗浄液は、水である、請求項25に記載の向流洗浄回路。
  27. 前記順番における最初の洗浄タンクの前記洗浄液は、金属硫酸塩結晶化装置に再循環される、請求項23~26のいずれか一項に記載の向流洗浄回路。
  28. 前記固体/液体分離装置は、遠心分離機、濃縮機又はスクリーンである、請求項23~27のいずれか一項に記載の向流洗浄回路。
  29. 前記金属硫酸塩は、硫酸コバルト、硫酸ニッケル又は硫酸マンガンである、請求項23~28のいずれか一項に記載の向流洗浄回路。
  30. 前記結晶化金属硫酸塩は、結晶格子を規定し、及び前記不純物は、前記結晶格子内に分布している、請求項23~29のいずれか一項に記載の向流洗浄回路。
  31. 前記不純物は、+2の酸化状態の微量金属カチオンを含む、請求項9~17のいずれか一項に記載の向流洗浄回路。
  32. 前記不純物は、マグネシウム、カルシウム又はナトリウムを含む、請求項18に記載の向流洗浄回路。
  33. 水溶液から金属硫酸塩を結晶化して、未結晶化金属硫酸塩を含む母液中に前記結晶化金属硫酸塩を形成する工程と
    前記結晶化金属硫酸塩を前記母液から分離する工程と、
    前記母液の一部を塩基性化して、前記未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程と、
    前記金属硫酸塩の結晶化の上流で前記塩基性金属塩を使用する工程と
    を更に含む、請求項1~8又は21のいずれか一項に記載のプロセス。
  34. 前記オーバーフロー溶液の少なくとも一部を塩基性化して、未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程と、
    前記金属硫酸塩の結晶化の上流で前記塩基性金属塩を使用する工程と
    を更に含む、請求項9~20のいずれか一項に記載のプロセス。
  35. 金属硫酸塩を生成するプロセスであって、
    水溶液から金属硫酸塩を結晶化して、未結晶化金属硫酸塩を含む母液中に結晶化金属硫酸塩を形成する工程と、
    前記結晶化金属硫酸塩を前記母液から分離する工程と、
    前記結晶化金属硫酸塩を、金属硫酸塩に富む液体と接触させて、前記結晶化金属硫酸塩から不純物を除去する工程と、
    前記母液の一部を塩基性化して、前記未結晶化金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程と、
    前記金属硫酸塩の結晶化の上流で前記塩基性金属塩を使用する工程と
    を含むプロセス。
  36. 前記母液を精製して、金属硫酸塩に富む前記液体を形成する工程を更に含む、請求項35に記載のプロセス。
  37. 前記結晶化金属硫酸塩を、金属硫酸塩に富む液体と接触させる工程は、それにより、金属硫酸塩及び不純物を含有する液体を形成し、及び前記プロセスは、金属硫酸塩及び不純物を含有する前記液体の一部を塩基性化して、前記金属硫酸塩を塩基性金属塩に変換する工程を更に含む、請求項35又は36に記載のプロセス。
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