JP2024514096A - Nir吸収カプセル - Google Patents

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Abstract

NIR吸収体を取り囲むポリマーシェルを含むカプセルであって、ポリマーシェルは、ポリ(アミノ酸)を含み、及び一般構造(I)に従うN-カルボキシ-無水物単量体の界面重合により得ることができる。本カプセルは、光温熱療法(PTT)、光力学療法(PDT)、光刺激型薬物放出、及び医療用蛍光イメージングをはじめとする光線療法等の光学医学に適している。【化1】TIFF2024514096000032.tif29166【選択図】なし

Description

本発明は、光温熱療法(PTT)、光力学療法(PDT)、光刺激型薬物放出、及び医療用蛍光イメージングをはじめとする光線療法等の光学医学(opto-medical)用途のための生体適合性有機ナノカプセル及びマイクロカプセルの設計に関する。
背景分野
近赤外(NIR)レーザー技術は、光温熱療法、光力学療法、蛍光イメージング、及び光音響イメージングをはじめとする、様々な疾患の非侵襲性治療及び医療診断において重要性を高めている。こうした技術のいくつかは、NIR吸収ナノ粒子に依存しており、その場合無機ナノ粒子が使用されることが多く、例えば、金ナノ材料、カーボンナノチューブをはじめとする炭素ナノ材料、金属スルフィド、金属酸化物、及び様々な高解像度化(upconverting)ナノ粒子等がある。無機光熱変換ナノ粒子の使用は、幅広く総説がなされている(非特許文献1; 非特許文献2)。こうしたナノ粒子は、優れたNIR反応を与えるものの、生分解性ではなく、生物蓄積及び身体中の滞留時間が長いというリスクを抱えており、このリスクは、長期毒性の可能性を潜在的に高めかねない。したがって、生体適合性有機NIR吸収体に基づくナノ粒子が、非常に好適であると思われる。
光学医学用途において複数の古典的有機NIR吸収体が十分に解説されているものの、シアニン色素は、その高いモル吸光係数を理由に、NIR吸収体の特に好適なクラスである。NIRレーザー光のモル吸光が高いことは、NIR吸収体の必要量を減少させることが可能であるという利点を有し、in vitro及びin vivoイメージング並びに深部に位置する疾患、例えば腫瘍等の治療への応用を可能にする。最もよく知られておりFDA認可も受けているシアニン色素の1つは、インドシアニングリーンである。
インドシアニングリーン等のNIR吸収体は、体内でのそれらの寿命を延長する、身体の水性流体に分散可能にする、光退色を防ぐ、及びその腫瘍標的指向能力を増大させるため、カプセル化しなければならない。
そのうえさらに、NIR吸収体のカプセル化は、他の追加の利益を有する。NIR吸収体の一部クラスのスペクトル特徴は、それらの環境に大きく左右され、例えば、pH及びイオン強度の機能が変化する可能性があり、こうした変化は凝集現象により引き起こされる。したがって、NIR吸収体を物理的にカプセル化することは、吸収体のスペクトル特徴及び光物理学性質を外部環境非依存性にする。そうすると、生理環境における反応が、予測性の非常に高いものになる。レーザー反応の調節は、カプセル中のNIR吸収体の濃度を調節することにより簡単に行われ、毎回NIR吸収体を労力をかけて合成することが回避される。
ポリ(アミノ酸)等のポリペプチド系材料は、それらの生体適合性、生分解性、化学官能性の高さ、調節可能な構造建設様式、及びナノカプセル又はマイクロカプセルを形成する能力ゆえに、カプセル化の有効な候補である。
ポリ(アミノ酸)によるNIR吸収体のカプセル化は、一般に、コアセルベーション又はミセル形成を介して達成される。ポリ(アミノ酸)は、N-カルボキシ-無水物単量体(NCA)の開環重合により調製される。
ミセルを形成する目的で、ポリ(アミノ酸)ブロックを含有する両親媒性ブロック共重
合体を別々に調製して、ミセル様カプセルへと組み立てること、又はコアセルベーション型のアプローチを用いてカプセル中に移すことが必要である。両親媒性ブロック共重合体が自己組立てによりミセルになることで、NIR吸収体を保持する(hold up)ことが可能である。
別のアプローチでは、コアセルベーションは、非特許文献3に開示されるとおり、アニオン性ポリ(アミノ酸)電解質とカチオン性ポリ(アミノ酸)電解質とを一緒にまとめることにより達成される。コアセルベーションは、常に、少なくとも2種のポリ電解質を必要とし、このため、有用なポリ(アミノ酸)の選択が制限される。得られるカプセルのシェルは、ポリ電解質間の静電力により一体化を維持しており、透水の影響を受けやすく、このため、カプセルのコアに向かって、従ってカプセル化された化合物(複数可)に向かって相当の透水性をもたらす。
どちらの技術も、ポリマーシェルを持つカプセルに比べてはるかに弱いシェルという欠点を有するカプセル又はミセルをもたらす。多くの系において、生体安定性(bio-stability)を確実にするためにミセル系のシェルを架橋させることが必要になる。
ポリ(アミノ酸)は、不均一水溶媒系中でのN-カルボキシ-無水物単量体(NCA)の重合により調製することができる。非特許文献4は、不均一水溶媒系中でNCAをグラフト重合させる開始剤としてアシル化キトサンを出発物質に用いる、糖ペプチド微粒子の調製を記載した。水相を溶媒相中に乳化させることが、特に重要であり、このため、シェルの厚さが50ミクロン前後ある100ミクロン~800ミクロンの桁の巨大粒子の形成しかできなかった。この粒径は、1ミクロンより十分に小さい粒径が必要とされる複数の生物医学用途をはじめとする、数多くの用途から完全に範囲外となっている。開示される微粒子は、アミノ酸としてL-ロイシンを用いて調製され、特定のコア材料を含有していなかった。水中油方法は、水への再分散の前に完全な蒸発を必要としないことから、これまでのところ好適とされるものであるが、開示される方法をこの水中油方法に変換することは、明白からは程遠い。提案される方法では、水が不連続相であることから、カプセル化される化合物は、水溶性でなければならない。この方法では、疎水性の高い化合物ほど、一工程でカプセル化することができない。そのような化合物は、単離されたカプセルに再充填することによってのみ導入することが可能であり、この種のカプセル化を、数多くの用途にとって非常に労力のかかり経済的に実現不可能なものにしている。
光温熱療法、光力学療法、光刺激型薬物送達、及び医療用蛍光イメージングで使用するための生体適合性カプセル又はミセルは、細網内皮系による取込みを回避し及び制御された様式で要求される部位においてのみ作用するすなわち薬物を放出するために、ステルス性を有する必要がある。ステルス性は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)等の固有ステルス性を持つ合成ポリマーを組み込むことを通じて、カプセル及びミセル等の担体に導入することができる。PEGの組込みは、カプセル化の前にポリ電解質又は両親媒性ブロック共重合体の労力のかかる合成プロトコルを要求することが多く、このことが、NIR吸収ポリ(アミノ酸)系カプセルの簡単かつ拡張可能な調製の障害となっている。
ミセル様カプセルは、大抵、その球体構造を維持するために、例えば、ミセル内部にコア材料を保持するため等で、液体媒体を必要とする。したがって、乾燥状態でミセルを単離することは、非常に困難であるか、不可能である。コアセルベーションを介して得られるミセル及びカプセルは、界面重合により得られるカプセルとは対照的に、得ることが可能な粒径の範囲が限られている。そのうえさらに、両親媒性ブロックコポリマーによるアプローチは、ポリマー構造の良好な制御を可能にするものの、明確に定義されたポリマーの調製に徹底的な合成手順を必要とし、このため、これらのアプローチは、界面重合に基
づく技術とは対照的に技術的用途にそれほど適してないものになっている。
ナノカプセル及びマイクロカプセルは、化学的方法及び物理的方法の両方を用いて調製することができる。工学的用途の場合、界面重合が、カプセルの設計において最も高い制御を可能にするため、特に好適な技術である。
特許文献1は、界面重合により調製したカプセルを開示しており、このカプセルは、ビニル性ウレタン、ビニル性アミド、又はビニル性尿素単位のシェルと、IR吸収色素と組み合わせて反応性化学物質を含むことが可能なコアと、を含む。ビニル性ウレタン、ビニル性アミド、又はビニル性尿素単位のシェルは、生分解性を示さない。
したがって、ポリ(アミノ酸)系カプセルの水性分散液に直接到達することができ、サブミクロンの粒径を含む広範囲の粒径に渡り応範囲の化合物をカプセル化し、高い機械的強度、低い透水性を示すシェルを含み、このシェルが生分解性である、水性系の単一工程カプセル化技術が必要とされている。
WO2018/234179
Raza et al., Journal of Materials Research and Technology, 8(1), 1497-1509 (2019) Wang et al., International Journal of Nanomedicine, 15, 1903-1914 (2020) ACS Macro Lett. 2014, 3, 1088-1091 and in Chem. Lett. 2012, 41, 13541356 Wang et al. (International Journal of Biological Macromolecules Elsevier BV, NL, Volume 42, No. 1, p. 450-454)
本発明の目的は、上記の課題の解決策を提供することである。解決策は、請求項1に定義されるとおりの産業的かつ簡単に拡張可能な技術によりポリ(アミノ酸)でカプセル化されたNIR吸収体により実現される。
本発明の更なる態様は、請求項1に定義されるとおりのカプセルの水性分散液を提供することである。水性分散液は、請求項10に定義される。
別の態様に従って、本発明は、請求項13に定義されるとおりの、NIR吸収体をポリ(アミノ酸)でカプセル化する産業的に拡張可能な方法を含む。
本発明の他の特長、要素、工程、特徴、及び利点は、本発明の好適な実施形態についての以下の詳細な説明からより明らかとなる。本発明の具体的実施形態は、従属項においても定義される。
A.カプセル
本発明の目的は、NIR吸収体を含むコアと、及びオリゴ又はポリ(アミノ酸)を含むシェルとのカプセルであって、一般式Iに従う少なくとも1種のN-カルボキシ-無水物単量体のオリゴマー化又は重合により得られるカプセルにより実現され、
Figure 2024514096000002
式中
nは、0又は1を表し
、R、及びRは、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され
、R、及びRのうちいずれかは、五員~八員環を形成するのに必要な原子を表すことができる。
本発明のカプセルの粒径は、好ましくは0.05μm~10μm、より好ましくは0.07μm~5μm、最も好ましくは0.1μm~3μmである。粒径が1μm未満である本発明によるカプセルは、投与針及び管中の毛細管閉塞のリスクを低下させ、及び食作用を防ぐことから、これらが、特に好適である。
A.1.N-カルボキシ-無水物単量体
本発明の目的は、一般構造Iに従う少なくとも1種のN-カルボキシ-無水物単量体のオリゴマー化又は重合により得られるカプセルにより実現される
好適な実施形態において、nは、0を表す。特に好適な実施形態において、Rは、水素又はアルキル基を表し、水素が最も好適である。
別の好適な実施形態において、R及びRは、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール基からなる群より選択される。
更に好適な実施形態において、一般構造に従うN-カルボキシ-無水物単量体は、グリシン誘導体、アラニン誘導体、ロイシン誘導体、フェニルアラニン誘導体、フェニルグリシン誘導体、バリン誘導体、グルタミン酸誘導体、アスパラギン酸誘導体、リシン誘導体、オルニチン誘導体、ヒスチジン誘導体、メチオニン誘導体、システイン誘導体、アルギニン誘導体、トリプトファン誘導体、システイン誘導体、イソロイシン誘導体、チロシン誘導体、プロリン誘導体、及びセリン誘導体からなる群より選択される。D-及びL-アミノ酸誘導体両方及びそれらの混合物を使用することができる。
典型的なN-カルボキシ-無水物単量体を、表1に提示するが、それらに限定されない。
Figure 2024514096000003
Figure 2024514096000004
N-カルボキシ-無水物(NCA)は、様々な合成法を用いて調製されてきており、その始まりとなる最古の方法は、Leuchs法として知られるもので、アミノ酸のクロロギ酸アシル化から出発して、続いてその酸クロリドを介して対応するNCAへと変換する。この方法の複数の変法が、Wessely及びKatchalskiにより公表されており、それぞれ、混合無水物法及びPBrを用いた変換を使用する。おそらく、最も良く知られた方法は、Fuchs-Farting法であり、この方法は、アミノ酸から対応するNCAへの直接変換にホスゲンを使用する。安全性を理由に、ホスゲンは、その後の研究で、ジホスゲン又はトリホスゲンに置き換えられてきた。ここ数年にわたり、複数のホスゲン不含方法が開示されてきた。そのような方法について、Seckerらによる
総説がある(Macromol. Biosci., 15, 881-891 (2015))。
A.2.NIR吸収体
当該分野で既知である任意の有機近赤外(NIR)吸収体について、そのNIR吸収体が少なくとも1種の水非混和性溶媒に溶解する限り、本発明で使用可能である。水非混和性溶媒は、1対1の比で水と混合した場合、室温で2相系を形成する溶媒と定義される。エステル及びケトンは、特に好適な水非混和性溶媒である。
典型的なNIR吸収体は、ポリメチルインドリウム、金属錯体IR色素、インドシアニングリーン、ポリメチン色素、クロコニウム色素、シアニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素、カルコゲノピリロアリリデン(chalcogenopyryloarylidene)色素、金属チオラート錯体色素、ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン(bis(calcogenopyrylo)polymethine)色素、オキシインドリジン色素、ビス(アミノアリール)ポリメチン色素、インドリジン色素、ピリリウム色素、キノイド色素、キノン色素、フタロアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、(金属化)アゾメチン色素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
シアニン色素は、それらの高い吸光係数ゆえに、NIR吸収体の特に好適なクラスである。
有機溶媒に高い溶解性を示すシアニン色素は、界面重合により本発明のカプセルのコアに組み込むことが容易であることから、特に好適である。したがって、一般式IIに従うシアニン色素は、本発明によるナノ粒子の設計に、特に好適である。
Figure 2024514096000005
式中、
A及びA’は、独立して、置換又は無置換の複素環基を表し、この基は、炭素原子を介してポリメチン発色団に共有結合しており、
及びRは、独立して、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され、
及びRは、五員~八員環を形成するのに必要な原子を表すことができ、
及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択される。
更に好適な実施形態において、当該NIR吸収体は、一般式IIIに従う化合物を表し:
Figure 2024514096000006
式中、
及びRは、独立して、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され、
及びRは、五員~八員環を形成するのに必要な原子を表すことができ、
及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され、
及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基を表し、
Qは、置換又は無置換の五員又は六員の複素環を形成するのに必要な原子を表す。
更に好適な実施形態において、R及びRは、置換又は無置換の五員又は六員環を形成するのに必要な原子を表し、五員環が最も好適である。
別の好適な実施形態において、R及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基を表し、置換又は無置換のアルキル基がより好適である。
更に好適な実施形態において、A及びA’は、独立して、置換又は無置換のインドリニン(indolinine)、置換又は無置換のナフチノニリニン(naphtinolinine)、置換又は無置換のナフトスチリル基、置換又は無置換のベンズイミダゾール、置換又は無置換のベンゾチアゾール、置換又は無置換のベンゾオキサゾール、置換又は無置換のピリジン、及び置換又は無置換のキノリンからなる群より選択される。インドリニン、ナフトインドリニン、及びナフトスチリルが、特に好適である。
なお更に好適な実施形態において、R、R、R、及びRのうち少なくともつ、より好ましくは少なくとも2つが、置換又は無置換の分岐アルキル基を表す。
分岐アルキル基は、アルキル鎖の末端以外の炭素原子においてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、及びアリール又はヘテロアリール基からなる群より選択される少なくとも第二の基に置換されているアルキル基と定義される。特に好ましくは、当該分岐アルキル基は、アルキル基で置換されている。
本発明によるNIR吸収体の典型例を、表2に提示するが、これらに限定されない。
Figure 2024514096000007
Figure 2024514096000008
Figure 2024514096000009
Figure 2024514096000010
Figure 2024514096000011
Figure 2024514096000012
Figure 2024514096000013
NIR吸収体は、好ましくは700nm~1200nm、より好ましくは750nm~1150nm、最も好ましくは780nm~1100nmに吸収極大を有する。
分散液中のNIR吸収体含有量は、分散液の合計固体含有量に対して、好ましくは0.05重量%~15重量%、より好ましくは0.1重量%~10重量%、最も好ましくは0.25重量%~5重量%である。
A.3.医薬活性化合物
本発明のカプセルは、オンデマンド薬物放出にも適しており、この場合、薬物は、NIRレーザー等の適切なNIR光源により粒子を加熱した際に放出される。したがって、薬
学的化合物を組み込んでこのオンデマンド薬物放出を達成することは有用である。
場合により、PTT又はPDTは、癌細胞を完全に破壊することはできず、光温熱治療後に残存細胞の生存をもたらす可能性がある。したがって、化学療法向上のため抗癌剤を組み込むことは有用である。薬物は、複合体粒子へのNIR光照射に際して、生成した熱のため放出されることになり、相乗的な化学光温熱療法を引き起こす。抗癌剤は、好ましくは、複合体樹脂粒子の調製に使用した水非混和性溶媒に溶解しなければならない(第A.4.章を参照)。
本発明の粒子に組み込むのに適している抗癌剤は、細胞分裂阻害薬である。癌治療用の細胞分裂阻害薬は、アルキル化剤、アントラサイクリン、細胞骨格破壊剤、エポシロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチド類似体、ペプチド抗生物質、白金系作用剤、レチノイド、並びにビンカアルカロイド及びそれらの誘導体からなる群より選択することができる。アルキル化剤は、二官能性でも単官能性でも可能である。典型的な二官能性アルキル化剤は、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、及びメルファランである。典型的な単官能性アルキル化剤は、ダカルバジン、ニトロソ尿素、及びテモゾロミドである。典型的なアントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、及びバルルビシンである。典型的な細胞骨格破壊剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン、及びタキソテールである。典型的なヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、ボリノスタット及びロミデプシンである。典型的なトポイソメラーゼI阻害剤は、イリノテカン及びトポテカンである。典型的なトポイソメラーゼII阻害剤は、エトポシド、テニポシド、及びタフルポシドである。典型的なキナーゼ阻害剤は、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、及びビスモデギブである。典型的なヌクレオチド類似体は、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、及びチオグアニンである。典型的なレチノイドは、トレチノイン、アリトレチノイン、及びベキサロテンである。典型的なビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンである。
A.4.カプセル化方法
本発明によるカプセルは、開環重合法、より好ましくは界面開環重合を用いて調製される。界面開環重合は、好ましくは、水中油/溶媒の方法によるものであり、この方法は、水への再分散の前に完全な蒸発を必要としないことから、好適である。この方法の別の利点は、カプセル化される化合物が、油/溶媒に溶解性であることが可能であるということである。したがって、この方法は、一工程で疎水性化合物をカプセル化することを可能にする。
N-カルボキシ-無水物の開環重合については、Cheng及びDemingによる総説(Top. Curr. Chem., 310, 1-26 (2012))がある。第一級アミン及び任意選択で第二級アミンが、最も明白な開始剤であり、これらは、求核開始により開環重合を開始させるのに広く使用される。塩基性開始剤は、活性化単量体機構により開環重合を開始させることができ、NCAの脱プロトン化により開始して、続いて開環重合する。アミン開始剤が使用される場合、両機構が並行して進むことが多い。遷移金属による開始は、重合をより良く制御できることが知られている。開始剤としてのヘキサメチルジシラザンの使用も、重合をより良く制御するために開示されている。
更に好適な実施形態において、異なるアミノ酸に由来するN-カルボキシ-無水物の混合物が使用される。なお更なる実施形態において、異なるキラリティーの混合物が使用され、好ましくは9/1~1/9の比のD-アミノ酸とL-アミノ酸の混合物が使用される。別の好適な実施形態において、異なるキラリティー及び異なるアミノ酸の混合物が使用
される。D-アミノ酸とL-アミノ酸を混合することで、ペプチドが自然界でそうするようにポリ(アミノ酸)が二次構造又は三次構造を形成することが防止される。したがって、得られるポリマーシェルは、高密度であり、機械的に耐性がより高い。
本発明によるカプセルを調製するのに特に好適な界面開環重合法では、N-カルボキシ-無水物単量体及びNIR吸収体を、水非混和性溶媒に溶解させ、重合開始剤を含有する水溶液に乳化させる。乳化及び任意選択で当該水非混和性溶媒を除去すると、界面で開環重合が開始される。成長するにつれ、ポリ(アミノ酸)シェルが、有機物水界面で形成され、コアシェル構造が生成していき、NIR吸収体をカプセル化していく。得られるポリマーシェルは、機械的に強くかつ安定であり、カプセルが調製された液体からカプセルを単離することを可能にする。
本発明のカプセルの粒径は、乳化技術、乳化中の乳化助剤の使用並びに乳化助剤対シェル及びコアの比、乳化助剤の性質、連続相又は分散相の粘度の変更、連続相及び分散相の比、NIR吸収体の性質、並びにシェル単量体の性質を修飾することにより修飾される。高剪断技術及び超音波系技術は、乳化技術として特に好適である。本発明によるカプセルの粒径は、高剪断技術において剪断を調整することにより、又は超音波処理の際の出力及び振幅を変更することにより、調整することができる。
二官能性又は多官能性の第一級又は第二級アミンあるいはそれらの混合物は、NCAの開環重合に特に好適な開始剤である。開始剤は、水溶性であり、追加の親水性官能基で官能基導入されていることが可能である。追加の親水性官能基は、好ましくは、カルボン酸又はその塩、スルホン酸又はその塩、ホスホン酸又はその塩、リン酸エステル又はその塩、硫酸エステル又はその塩、ポリヒドロキシル官能性導入基、ポリ(エチレングリコール)、アンモニウム基、スルホニウム基、及びホスホニウム基からなる群より選択される。
典型的な開始剤を、表3に提示するが、それらに限定されない。
Figure 2024514096000014
Figure 2024514096000015
ポリ(エチレングリコール)官能基の組込みは、ヒト又は動物の身体に使用される場合に、本発明のカプセルにステルス性を与えるのに特に有用である。こうしたステルス性は、細網内皮系により取込まれることを回避するために必要である。
ポリ(エチレングリコール)は、様々な戦略を用いて組み込むことができ、そのような戦略として、ポリ(エチレングリコール)官能基導入開始剤、分散助剤及びポリ(エチレングリコール)官能基導入NCA単量体、又はそれらの組み合わせの使用が挙げられる。特に好適な実施形態において、一般構造Iに従う単量体が使用され、式中、R~Rのうち少なくとも1つがポリ(エチレングリコール)鎖で官能基導入されている。特に好適な実施形態において、当該単量体は、システイン誘導体、リシン誘導体、オルニチン誘導体、グルタミン酸誘導体、及びアスパラギン酸誘導体からなる群より選択される。エトキシ化N-カルボキシ無水物の典型例を表4に提示するが、それらに限定されない。
Figure 2024514096000016
エトキシ化N-カルボキシ無水物の単量体含有量は、合計単量体組成の、好ましくは5重量%~50重量%、より好ましくは10重量%~40重量%である。
更に好適な実施形態において、本発明のカプセルは、更に、架橋剤を含む。生体適合性及び生分解性の後に来る、樹脂粒子の最も基本的な必要条件の1つは、樹脂粒子が機能しなければならない又は貯蔵されなければならない媒体中、例えば非侵襲性療法又は診断の場合のヒト身体中での安定性である。安定性の向上は、貯蔵安定性の向上をもたらし、並びに血液循環時間の増加及び生体利用可能性の向上をもたらす。架橋剤を用いることで、樹脂粒子の安定性及び機械的耐性を、その樹脂粒子が使用される系の仕様に合うように修
飾することができる。
アミン官能性導入ポリマーを架橋することが既知である任意の架橋剤を使用することができる。好適な架橋剤は、二官能性又は多官能性イソシアネート、二官能性又は多官能性β-ケトエステル、二官能性又は多官能性β-ケトアミド、二官能性又は多官能性1,3-ジケトン、二官能性又は多官能性エポキシド若しくはオキセタン、二官能性又は多官能性無水物、二官能性又は多官能性N-カルボキシ-無水物、二官能性又は多官能性マイケル反応アクセプター(例えば、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン等)、及び二官能性又は多官能性五員環カーボネートからなる群より選択される。
好ましくは、乳化工程中に追加の乳化助剤が使用される。典型的な乳化助剤は、安定化ポリマー及び界面活性剤から選択される。ポリマー及び界面活性剤は、共反応性ポリマー又は界面活性剤であることが可能であり、例えば、第一級及び第二級アミンで官能性導入されていて、開始剤及び乳化助剤両方の役割を担って、いわゆる自己分散カプセルをもたらすものが可能である。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、又は双性イオン性のものが可能である。安定化ポリマーとして、ヒドロキシル官能性導入ポリマーが特に好適であり、好ましくは、多糖類及びポリ(ビニルアルコール)又はポリ(ビニルアルコール)コポリマーあるいはそれらの誘導体から選択される。ポリ又はオリゴ(エチレンオキシド)官能性導入ブロック型又はスター型コポリマーは、別のクラスの特に好適なポリマー乳化助剤である。
更に好適な実施形態において、本発明によるNIR反応性カプセルは、コアシェル粒子であり、コア中に追加の機能性化合物を含み、この化合物をNIRレーザー照射に際して放出することができる。本発明によるカプセル化技術は、活性医薬成分のカプセル化に関して特に関心が持たれる。
特に好適な界面開環重合法は、以下の工程を含む
a)一般構造Iに従う化合物及び有機NIR吸収体を、水非混和性溶媒に溶解させる工程と、及び
b)重合開始剤を水性液体に溶解させる工程と、及び
c)工程(a)で得られた溶液を、水性液体に乳化させ、水中溶媒型乳濁液を形成させる工程と、及び
d)任意選択で、水非混和性溶媒を蒸発させる工程と、及び
e)一般構造Iに従う化合物を重合する工程。
医薬活性作用剤等の追加の機能性化合物を本発明のカプセルに組み込まなければならない場合、この化合物は、好ましくは、水非混和性溶媒に溶解させる。本発明による開環界面重合法は、抗癌剤等の活性医薬成分の組込みに関して特に関心が持たれる。
活性医薬成分等の追加の機能性化合物を含む、本発明による複合体樹脂粒子の分散液の特に好適な調製方法は、以下の工程を含む
a)一般構造Iに従う化合物、有機NIR吸収体、及びカプセル化される追加の機能性化合物を、水非混和性溶媒に溶解させる工程と、及び
b)重合開始剤を水性液体に溶解させる工程と、及び
c)工程(a)で得られた溶液を、水性液体に乳化させる工程と、及び
d)任意選択で、水非混和性溶媒を蒸発させる工程と、及び
e)一般構造Iに従う化合物を重合する工程。
B.応用分野
本発明による複合体樹脂粒子は、ヒト及び/又は動物の身体における患部臓器のイメー
ジングに適している。NIR光を強力に吸収するので、これらは、拡散光トモグラフィー及び光音響イメージングにも適している。
適切なNIRレーザーで照射されると、本発明の複合体粒子中のNIR吸収体は、吸収したフォトンエネルギーを熱に変換して、周囲の健康な組織に対する侵襲を最小限に抑えながら、癌細胞を直接アブレーションすることができる。このことは、これら粒子を腫瘍光線療法(PTT)に非常に適したものにしている。
本発明の複合体樹脂粒子は、光力学療法(PDT)においても有用であり、この場合、NIR吸収体は、酸素分子を細胞傷害性活性酸素種(ROS)、例えば一重項酸素に変換するのに適切な波長の光で励起され、次いでこれが酸化ストレスを通じて癌細胞に損傷を与え、結果として、細胞死を誘導する。
C.実施例
C.1.材料
・Mowiol 4 88は、ポリ(ビニルアルコール)であり、供給元Kurarayである。
・Marlon A365は、アニオン性界面活性剤であり、供給元Sasol Germany GMBHである。
・トリス(2-アミノエチル)アミンは、供給元TCIであった。
・架橋剤1は、以下の構造式による三官能性β-ケトエステルであり、これは、Speisschaert et al.(Polymer, 172, 239-246 (2019))による開示のとおり、調製することができる。
Figure 2024514096000017
・NIR-27は、以下に提示するとおりの構造を有し、S2025としてFEWから供給された。
Figure 2024514096000018
・NIR-7は、NIR吸収体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000019
・ウレウム(ureum)(I)の合成
トルエン85mlに、n-ブチルイソシアナート146gを溶解させた。2-ヘプチルアミン166gを2時間かけて加え、この間、温度を50℃未満に維持した。反応を、50℃で30分間継続させた。溶媒及び過剰分のn-ブチルイソシアナートを減圧除去し、粗ウレウムを、それ以上精製することなく、第二工程に用いた。
・バルビツール酸誘導体(II)の合成
ウレウム(I)300gに、酢酸206gを加えた。混合物を60℃に加熱した。マロン酸147gに、60℃で、酢酸中のウレウム(I)の溶液を加えた。無水酢酸292gに、この溶液を加えた。反応混合物を、90℃に穏やかに加熱し、90℃で2時間半、反応を継続させた。反応物を50℃に放冷し、メタノール78gを加えた。混合物を、45分間還流させた。混合物を室温に放冷し、溶媒を減圧エバポレートした。残渣をメチルt-ブチルエーテル311gに再溶解させ、5w%塩化ナトリウム溶液2010gで3回抽出した。溶媒を、減圧除去した。トルエン35mlを加え、続いて減圧除去することを4
回行った。粗バルビツール酸誘導体(II)は、それ以上精製することなく使用した。
・中間体(III)の合成
バルビツール酸誘導体(II)240g(0.85mol)に、シクロペンタノン84gを加えた。酢酸アンモニウム5gを加え、続いて、メタノール101gを加えた。反応混合物を加熱して還流させ、反応を、還流で4時間半継続させた。反応混合物を室温に放冷し、溶媒を、50mbar圧及び95℃で除去した。トルエン5mlを加え、続いて50mbar及び100℃でエバポポレートすることを4回行った。反応混合物を室温に放冷し、トルエン92gを加えた。シリカゲル26gをトルエン55gに加えたものを加え、混合物を濾過した。シリカゲルをトルエンでフラッシュした。プールしたトルエン画分を、シリカゲル26gをトルエン55gに加えたもので2回処理し、濾過し、続いてシリカゲルをトルエンでフラッシュした。全てのトルエン画分をプールし、続いて溶媒を減圧エバポレートした。粗中間体(III)287g(収率:97%)が単離された。
・中間体(V)の合成
中間体(III)0.685kgを酢酸エチル0.334kgに溶解させた。溶液を10℃に冷却し、酢酸18.9gを加えた。N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.273kgを10分間かけて加え、この間、温度は、20℃に上昇した。反応を、室温で30分間継続させた。反応混合物を45℃に加熱し、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.604kgを15分間かけて加え、続いて反応混合物を65℃に加熱した。反応を、65℃で25分間継続させた。反応混合物を47℃に放冷し、続いてメチルt-ブチルエーテル1.06kg及びn-ヘキサン1.61kgを加えた。反応混合物を7℃に冷却した。結晶化した中間体Vを濾過して単離し、酢酸エチル160g及びメチルt-ブチルエーテル60gで洗い、続いて3回、酢酸エチル160g及びメチルt-ブチルエーテル60gで洗い、及び1回ヘプタン400gで洗った。単離した中間体(V)を乾燥させた。中間体(V)335g(収率:37%)が単離された。
・中間体(VI)の合成
中間体(VI)は、WO2013037672に開示される通りに調製することができる。
・NIR-7の合成:
中間体(VI)621gを酢酸メチル3.2lに溶解させた。反応混合物を40℃に加熱した。中間体(V)372gを加え、反応を、50℃で2時間半継続させた。反応混合物を20℃に冷却した。結晶化したNIR-7を濾過して単離し、酢酸メチル284ml、酢酸エチル2.84l、及びメチルt-ブチルエーテル530mlで洗った。粗NIR-7を、水2.9Lで処理し、濾過して単離し、水1.5l、酢酸メチル142ml、酢酸エチル280ml、及びメチルt-ブチルエーテル800mlで洗い、乾燥させた。NIR-7を597g(収率:87%)単離した。
・NIR-24は、NIR吸収体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000020
出発NIR色素(I)は、Nagaoetal.(DyesandPigments、73(3)、344-352(2006)に開示される通りに調製することができる。
・NIR-24の合成
アセトニトリル100mlに、NIR出発物質(I)30gを加えた。N,N’-ジメチルバルビツール酸6.24gを加え、続いてトリエチルアミン5.5ml(4.0g)を加えた。反応を、室温で3時間継続させた。粗NIR-24を濾過して単離し、還流しているメタノールで処理した。温メタノール溶液を濾過してNIR-24を単離し、乾燥させた。NIR-24を19.7g(収率:35%)単離した。
・NIR-25は、NIR吸収体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000021
Figure 2024514096000022
・中間体(I)の合成:
中間体(I)は、WO2010120058に開示される通りに調製することができる。
・中間体(II)の合成:
トリクロロエタン1.5リットルに、N,N’-ジシクロヘキシルバルビツール酸292gを溶解させた。シクロヘキサノン156ml、ピペリジン12ml、及び酢酸15mlを加え、反応混合物を、加熱して還流させた。ディーン・スタークトラップを用いて、水を共沸蒸留により除去した。反応を、24時間継続させた。反応混合物を室温に放冷し、溶媒を、減圧除去した。残渣を、トリクロロエタン1リットルに再溶解させた。不溶残渣を濾過して除去した。ピペリジン100mlを加えると、中間体(II)が溶媒から結晶化した。中間体(II)を、濾過して除去し、乾燥させた。302g(収率:67%)が単離された。
・NIR-25の合成:
N,N’-ジメチルイミダゾロン1.05lに、中間体(II)301.6g及び中間体(I)533gを溶解させた。無水酢酸186ml及びトリエチルアミン366mlを加え、反応混合物を100℃に加熱した。反応を、100℃で30分間継続させた。反応混合物を室温に放冷し、NIR-25を、反応混合物から結晶化させた。粗NIR-25を濾過して単離し、アセトン1.3lで処理し、続いてメチルt-ブチルエーテル1.3lで処理した。単離したNIR-25を、ジクロロメタンとメタノールの1/1混合物に再溶解させた。残存不純物を、濾過して除去した。メチルt-ブチルエーテル6.6lを加え、NIR-25を溶媒から結晶化させた。NIR-25を、濾過して除去し、乾燥させた。NIR-25を136g(収率:28%)、単離した。
・NIR-26は、NIR吸収体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000023
・中間体(I)の合成:
スルホラン173gに、1,1,2-トリメチル-1H-ベンゾインドール123.2g及びトシル酸n-デシル234.1gを溶解させた。反応器に窒素流が流れるように設定し、反応混合物を123℃に加熱した。反応を、123℃で6時間継続させた。反応器を75℃に冷却し、撹拌しながら酢酸エチル1350mlを加えて、中間体(I)を結晶化させた。反応混合物を室温に放冷し、結晶化した中間体(I)を、濾過して単離した。207(収率:69%)が単離された。
・中間体(II)の合成:
中間体(II)は、EP889363に開示される通りに調製することができる。
・NIR-26の合成:
中間体(II)2.14gを、40℃で、無水酢酸10.9mlに溶解させた。トリエチルアミン2.27gを、40℃で加えた。15分後、ジメチルアセトアミド1mlを、55℃で加えた。中間体(I)5.2gをメタノール20mlに溶解させた溶液を、55℃で加えた。反応を、55℃で3時間継続させた。結晶化したNIR-26を、濾過して単離し、メタノールで洗い、続いて50℃でメタノール処理し、濾過して単離した。NIR-26を、減圧下40℃で乾燥させた。NIR-26を3g(収率:69%)、単離した。
・NIR-11は、NIR吸収体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000024
・1,1,2-トリメチル-1H-ベンゾインドールのアルキル化
アセトニトリル60mlに、1,1,2-トリメチル-1H-ベンゾインドール31.4g及び1-ブロモ-3-メチル-ブタン33.0gを溶解させた。反応混合物を加熱して還流させ、反応を、還流で20時間継続させた。反応混合物を放冷し、アセトニトリル20mlを加えた。メチルt-ブチルエーテル100mlを加え、沈澱した中間体(I)を、濾過して単離し、メチルt-ブチルエーテルで洗い、乾燥させた。中間体(I)24.9g(収率:46%)が単離された。
・NIR-11の合成
1-メトキシ-2-プロパノール15mlに、中間体(I)1g及び中間体(II)0.636gを溶解させた。反応混合物を加熱して還流させ、反応を、還流で1時間継続させた。反応混合物を室温に放冷した。NIR-11が、溶媒から結晶化した。NIR-11を、濾過して単離し、1-メトキシ-2-dowanolで洗い、乾燥させた。NIR-11を0.775g(収率:59%)、単離した。
・NIR-28は、NIR吸収体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000025
・2,3,3-トリメチル-インドレニンのアルキル化
スルホラン80mlに、2,3,3-トリメチル-インドレニン32g及び1-クロロ-3-メチル-ブタン25gを溶解させた。ヨウ化カリウム40gを加えた。反応混合物を80℃に加熱し、反応を、80℃で19時間継続させた。反応混合物を室温に放冷し、アセトン30mlを加えた。沈澱した塩化カリウムを濾過して除去し、濾液に酢酸エチル600mlを加えた。中間体(I)が、溶媒から結晶化した。中間体(I)を、濾過して単離し、酢酸エチル及びメチルt-ブチルエーテルで洗い、乾燥させた。中間体(I)を29.4g(収率:41%)、単離した。
・NIR-28の合成
1-メトキシ-2-プロパノール15mlに、中間体(I)1g及び中間体(II)0.641gを溶解させた。反応混合物を加熱して還流させ、反応を、還流で1時間継続させた。反応混合物を室温に放冷した。NIR-28が、溶媒から結晶化した。NIR-28を、濾過して単離し、1-メトキシ-2-dowanolで洗い、乾燥させた。NIR-28を0.716g(収率:62%)、単離した。
・L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物、D-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物、及びD,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物は、N-カルボキシ-無水物単量体であり、これらは、Gabashvill et al. (Journal of Physical Chemistry B, 111(38), 11105-11110 (2007))及びOtake et al. (Angewandte Chemie, International Edition, 57(35), 11389-11393 (2018))により開示されるとおりの標準法に従って調製することができる。
・L-ロイシンN-カルボキシ無水物、D-ロイシンN-カルボキシ無水物、及びD,L-ロイシンN-カルボキシ無水物は、N-カルボキシ-無水物単量体であり、これらは、Baars et al. (Organic Process Research and Development, 7(4), 509-513 (2003))により開示されるとおりの標準法に従って調製することができる。
・PEG-NCA-1は、N-カルボキシ-無水物単量体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000026
・ペグ化メタクリラートへのシステイン付加
水75mlに、システイン6.6gを加えた。1NのNaOH溶液を用いて、pHを7.5に調整した。メタクリル化モノ-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)350を23.6g加え、反応を、室温で24時間継続させた。水溶液中の塩を、クロマトグラフィー技法を用いて除去した。水溶液をポンプでFlashpure C18(40μm、不規則)カラム(供給元Buechi)に移した。カラムに水を数分間フラッシュし、続いてメタノールを用いてシステイン誘導体を溶出させた。メタノール画分を減圧エバポレートした。残渣を酢酸エチルに溶解させた。酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧エバポレートした。システインがメタクリル化モノ-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)350に付加した中間生成物28gが、白色ワックス状物として単離された。
・PEG-NCA-1の合成
ペグ化システイン誘導体10gにテトラヒドロフラン100mlを加えた。トリホスゲン(trophosgen)2.7gを加え、反応を、60℃で3時間継続させた。反応中、ペグ化システイン誘導体は徐々に溶解した。反応混合物を室温に放冷し、溶媒を、減圧除去した。n-ヘキサン50mlを加え、PEG-NCA-1をデカンテーションにより単離した。単離したPEG-NCA-1をテトラヒドロフラン5mlに溶解させ、n-ヘキサン50mlで沈澱させ、デカンテーションにより単離した。これを、更に3回繰り返した。単離したPEG-NCA-1を減圧下で乾燥させた。PEG-NCA-1を10g(収率:96%)、粘稠油状物とし単離した。
・PEG-NCA-2は、N-カルボキシ-無水物単量体であり、以下のとおり調製される:
Figure 2024514096000027
・システインのアルキル化:
水75mlにシステイン6.06gを加えた。重炭酸ナトリウム16.8gを加え、続いてトシル化ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(Cia et al (Macromolecules, 45(15), 6175-6184 (2012))に記載されるとおりの標準トシル化条件を用い、ポリ(エチレングリコール)-モノメチルエーテル550から調製)を加えた。反応混合物を75℃に加熱し、反応を、75℃で6時間継続させた。反応混合物を室温に放冷した。水溶液をポンプでFlashpure C18(40μm、不規則)カラム(供給元Buechi)に移した。カラムに水を数分間フラッシュし、続いてメタノールを用いてシステイン誘導体を溶出させた。メタノール画分を減圧エバポレートした。残渣を塩化メチレンに溶解させた。塩化メチレン溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧エバポレートした。ペグ化システイン誘導体22g(収率:100%)が、わずかに着色したワックス状物として単離された。
・PEG-NCA-2の合成:
ペグ化システイン誘導体10g(15mmol)にテトラヒドロフラン100mlを加えた。トリホスゲン2.22g(7.5mmol)を加え、混合物を60℃に加熱した。反応を、60℃で3時間継続させた。ペグ化システイン誘導体は、反応しながら徐々に溶解した。反応物を室温に放冷し、溶媒を、減圧除去した。n-ヘキサン100mlを加え、PEG-NCA-2をデカンテーションにより単離した。単離したPEG-NCA-1をテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、n-ヘキサン100mlで沈澱させ、デカンテーションにより単離した。これを、更に2回繰り返した。単離したPEG-NCA-2を、減圧下で乾燥させた。PEG-NCA-2を10g(収率:95%)、粘稠油状物として単離した。
C.2.方法
カプセルの粒径は、ZetasizerTM Nano-S(Malvern Instruments、Goffin Meyvis)を使用して測定した。
UV-VISスペクトルは、最長1100nmのスペクトルまで、Agilent 8433分光光度計で測定した。それより深色の色素は、Shimadzu UV2600分光光度計で測定した。試料を水で希釈することにより、λmaxでの試料の吸収を1に調整した。
C.3.実施例1
この実施例は、安定化システムとしてアニオン性界面活性剤及びポリマー乳化助剤を用いた、ポリ(アミノ酸)樹脂による様々なNIR吸収体のカプセル化を解説する。
・INVRES-1の合成
メチルエチルケトン20mlに、L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物0.75g、D-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物0.75g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、及び架橋剤1を0.336g、溶解させることにより、第一溶液を調製した。この溶液に、NIR-7を75mgをジクロロメタン1mlに溶解させた溶液を加えた。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて15000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、253nmと測定された。分散液は、1051nmに吸収極大を有した。
・INVRES-2の合成
ジクロロメタン26mlに、L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物0.75g、D-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物0.75g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-26を75mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて18000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、305nmと測定された。分散液は、841nmに吸収極大を有した。
・INVRES-3の合成
ジクロロメタン26mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-24を75mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて15000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、314nmと測定された。分散液は、812nmに吸収極大を有した。
・INVRES-4の合成
ジクロロメタン26mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-27を75mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて15000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、282nmと測定された。分散液は、827nmに吸収極大を有した。
・INVRES-5の合成
ジクロロメタン26mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-25を75mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて15000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、280nmと測定された。分散液は、773nmに吸収極大を有した。
・INVRES-6の合成
ジクロロメタン26mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-11を75mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることによ
り、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて15000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、330nmと測定された。分散液は、838nmに吸収極大を有した。
・INVRES-7の合成
ジクロロメタン26mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75、D-ロイシンN-カルボキシ-無水物0.75g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-28を75mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水30mlに、Mowiol 4 88を0.692g、Marlon A365を0.259g、及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて15000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、310nmと測定された。分散液は、803nmに吸収極大を有した。
C.4.実施例2
この実施例は、サブミクロン粒子の表面にポリ(エチレングリコール)で官能性導入した、NIR反応性サブミクロン粒子の合成を解説する。
・INVRES-8の合成:
酢酸エチル14mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75g、D-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75g、PEG-NCA-1を1.380g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-7を121mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水29mlに、Synperonic PEを0.968g及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて14000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、151nmと測定された。分散液は、1051nmに吸収極大を有した。
・INVRES-9合成:
酢酸エチル14mlに、D,L-フェニルアラニンN-カルボキシ無水物1.5g、L-ロイシンN-カルボキシ無水物0.75g、D-ロイシンN-カルボキシ無水物0.7
5g、PEG-NCA-2を1.380g、架橋剤1を0.336g、及びNIR-7を121mg、溶解させることにより、第一溶液を調製した。溶液を、2.7μmフィルターで濾過した。
水29mlに、Synperonic PEを0.968g及びトリス(2-アミノエチル)アミン0.127gを溶解させることにより、第二溶液を調製した。
Ultra Turrax T25(IKA)を用いて14000rpmで5分間混合しながら、第二溶液に第一溶液を加え、この間、乳濁液の温度を20℃~30℃に維持した。水10mlを加え、続いて混合物を減圧でエバポレートして30gにした。重合を、室温で24時間、継続させた。
平均粒径は、162nmと測定された。分散液は、1051nmに吸収極大を有した。
C.5.実施例3:
この実施例は、本発明によるNIR反応性サブミクロン粒子を含む分散液のNIR反応性を解説する。
本発明によるNIRナノ粒子の希釈分散液の1mm厚さの塗膜を、3台のレーザーを装備したコヒーレントレーザーコンビネーションで露光させた。3台のレーザーは、それぞれ、920nm、1064nm、及び1150nmで発光した。異なる1mm厚さの塗膜がレーザー露光下でどの程度蒸発するかを評価した。試料を、ポリ(プロピレン)基材であるPriplak(供給元Antalis)に塗布した。結果を表5にまとめる。
Figure 2024514096000028
表5から、本発明によるNIR反応性ナノ粒子は、様々な波長で高いレーザー反応性を示すことが明らかとなる。

Claims (15)

  1. NIR吸収体を取り囲むポリマーシェルを含むカプセルであって、前記ポリマーシェルは、ポリ(アミノ酸)を含み、及び一般構造Iに従うN-カルボキシ-無水物単量体の界面重合により得ることができ、
    Figure 2024514096000029
    式中、
    nは、0又は1を表し
    、R、及びRは、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され
    、R、及びRは、五員~八員環を形成するのに必要な原子を表すことができる、前記カプセル。
  2. 前記シェルは、ポリ(エチレングリコール)を含む、請求項1に記載のカプセル。
  3. 前記NIR吸収体は、一般式II
    Figure 2024514096000030
    式中、
    A及びA’は、独立して、置換又は無置換の複素環基を表し、この基は、炭素原子を介してポリメチン発色団に共有結合しており、
    及びRは、独立して、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され
    及びRは、五員~八員環を形成するのに必要な原子を表すことができ
    及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択される、
    に従う化合物である、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  4. 前記NIR吸収体は、一般式III
    Figure 2024514096000031
    式中、
    及びRは、独立して、水素、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され
    及びRは、五員~八員環を形成するのに必要な原子を表すことができ
    及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基からなる群より選択され
    及びRは、独立して、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアルカリール基、及び置換又は無置換のアリール若しくはヘテロアリール基を表し、
    Qは、置換又は無置換の五員又は六員の複素環を形成するのに必要な原子を表す、
    に従う化合物である、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  5. 更に、平均粒径が0.07μm~5μmである、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  6. 前記ポリマーシェルは、架橋剤を含む、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  7. 前記ポリ(アミノ酸)は、L-アミノ酸及びD-アミノ酸を含む、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  8. 前記界面重合は、水中溶媒型乳濁液中で起こり、前記溶媒は、水非混和性溶媒であり、及び前記NIR吸収体を含む、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  9. 前記ポリマーシェルは、更に、医薬活性化合物を取り囲んでいる、先行請求項のいずれかに記載のカプセル。
  10. 請求項1~請求項9に定義されるとおりのカプセルと、及び界面活性剤又は安定化ポリマーと、を含む、水性分散液。
  11. 請求項10に定義されるとおりの分散液と、及び薬学的キャリア又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
  12. 医療用イメージングに使用するための、請求項10に定義されるとおりの水性分散液。
  13. 請求項10に定義されるとおりの分散液の調製法であって、以下:
    a)一般構造Iに従うN-カルボキシ-無水物単量体及びNIR吸収体を、水非混和性溶媒に溶解させる工程と、及び
    b)重合開始剤を水性液体に溶解させる工程と、及び
    c)工程(a)で得られた前記溶液を、前記水性液体に乳化させる工程と、及び
    d)任意選択で、前記水非混和性溶媒を蒸発させる工程と、及び
    e)一般構造Iに従う前記N-カルボキシ-無水物単量体を重合する工程と、
    を含む、前記方法。
  14. 請求項13に記載のカプセルの調製法であって、前記水性液体に、界面活性剤又は親水性ポリマーが添加される、前記方法。
  15. 請求項13~請求項14に記載のカプセルの調製法であって、前記重合開始剤は、ポリエチレングリコール基を含む二官能性又は多官能性第一級若しくは第二級アミンである、前記方法。
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