JP2024513974A - 慢性活動性白質病変/放射線学的孤立性症候群を治療するための組成物及び方法 - Google Patents

慢性活動性白質病変/放射線学的孤立性症候群を治療するための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

放射線学的孤立性症候群患者を含む無症状及び/または初期段階多発性硬化症患者に、上記患者からの磁気共鳴画像における緩徐拡張性病変と常磁性リム病変との特定及び/または共局在に基づいて、疾患修飾性抗体療法剤を投与する方法を本明細書で提供する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月13日に出願の米国仮出願第63/174399号、2022年3月16日に出願の米国仮出願第63/320655号、2021年4月13日に出願の仏国仮出願第FR2103793号、及び2022年4月12日に出願の国際出願第PCT/US2022/024450号の優先権の利益を主張する。
多発性硬化症(MS)は、典型的には白質の限局性病変を特徴とする中枢神経系の慢性の炎症性脱髄疾患であり、かつ、一般に、再発性(RMS)及び再発寛解(RRMS)から徐々に進行する形態に至るまでの臨床的表現型の範囲を呈する。再発性及び一次性進行型多発性硬化症(PPMS)ならびに他の形態へのMSの表現型の分類は、多発性硬化症の臨床試験に関して、US National Multiple Sclerosis Society(NMSS)Advisory Committeeによって1996年に定義付けられたものである。しかしながら、特に、提示されている区別は、種々の形態の病態生理学の基本的で、十分に確立されており、かつ十分に理解された科学的特性に基づいたものではなかった。それとは反対に、それらが提案された時点で、委員会は、表現型の記述が当分野の専門家による共通見解の主観的見解であり、客観的な生物学的所見によって裏付けたものでなかったことを認めている。
最近になって臨床医によって認識されるようになってきたように、これらの種々の臨床的表現型の差異は、絶対的というよりも、むしろ相対的なものである。例えば、一部のエビデンスが、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)が二次性進行型多発性硬化症(SPMS)とは異なるMSの非炎症性の形態または少なくともより炎症性の低い病理学的形態を表すことを示唆している一方で、豊富な臨床データ、イメージングデータ、及び遺伝子データは、PPMSが進行性MS表現型の範囲の一部であることを示唆しており、自然経過コホートの分析により、SPMS及びPPMSの両方で類似する速度で悪化が進むことが明らかとなっている。Lublin,Fred D.,et al. Defining the Clinical Course of Multiple Sclerosis:The 2013 Revisions. Neurology.2014 Jul 15;83(3):278-86。したがって、当分野において、臨床的亜型及び起こり得る病態生理に関して、亜型にかなりの重複があるといった認識が高まっている。
このような新しい認識ならびに一般的な臨床的表現型分類の固有の主観性を踏まえて、疾患の根底にある生物学的表現に基づく種々の病態生理学的特性が徐々に注目されている。MSの根底にある病状が炎症及び神経変性の両方に関与するといった一般的な所見がある。Lublin et al.Neurology、The 2013 clinical course descriptors for multiple sclerosis: A clarification 2020:94:1-5. doi.10.1212/WNL.0000000000009636。疾患の臨床進化とこれらのメカニズムとの関係は、複雑である。しかし、さらなる特性付けが必要である。前述。
この1つの側面は、磁気共鳴イメージング(MRI)に基づく白質病変の有病率及び拡大に関する。MRIは、生体内のMS病変を検出するために最も感度の高いイメージング技術であり、かつ、従来のT2強調MRIに基づく病変負荷測定が、治療試験における治療効果をモニタするために広く使用されている。しかしながら、特に、従来のMRIの病変負荷とMS患者の臨床的身体障害との間にはわずかな相関関係のみがあり、これは臨床的放射線学的解離と呼ばれる現象である。Seewan et al.,Arch Neurol. 2009;66(5):601-609.doi:10.1001/archneurol.2009.57。したがって、患者の適切な治療決定を知らせるために、より正確であり、かつ有益な放射線学的方法が、依然として明らかに必要である。
放射線学的孤立性症候群(RIS)を伴う個人は、MSを示唆する偶発的なMRI異常が生じる。磁化率に基づくイメージングを使用する最近の研究により、慢性活動性白質病変(CAWML)の亜群が、病変のエッジにおける常磁性磁化率関連の信号損失のリム、慢性活動性脱髄を示す食細胞内部の鉄の存在と関連する常磁性リムサイン(PRS)を有することが明らかとなっている。Suthiphosuwan et al.,JAMA Neuro. Paramagnetic Rim Sign in Radiologically Isolated Syndrome March 9,2020 doi:10.1001/jamaneurol.20200124。したがって、これらの患者は、通常は、MSの再発性形態及び進行性形態向けに指定されるより積極的な疾患修飾性治療の選択肢から、実際に利益が得られる可能性がある。しかし、残念なことに、利用できる治療法の決定及び承認において、病態生理学よりも主観的な臨床的表現型が歴史的に強調されていることを考えると、特に、RIS患者母集団には、治療法の選択肢がほとんどなく、かつ疾患は典型的には、臨床症状がより明らかとなるまで悪化させたまま放置される。
Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ)は、抗最晩期抗原(VLA)-4ヒト化モノクローナルIgG4抗体であり、血管細胞接着分子(VCAM)-1とのVLA-4相互作用を遮断し、かつ炎症性病変を軽減することによって、血液脳関門の全体にわたるリンパ球の遊走を阻害する。ナタリズマブは、多発性硬化症の再発性形態及び進行性形態の治療向けに承認されたバイオ治療薬である。米国の臨床診療では、ナタリズマブは、臨床医によって判断される少なくとも1つの再発事象が生じた患者のみに使用されるが、その一方で、欧州では、ナタリズマブ治療法は、少なくとも1つの急性病変(典型的には、MRIにおけるT2またはT1ガドリニウム増強病変での病変負荷/サイズの増大として定義される)の特定に加えて、少なくとも1つの再発事象の診断が必要である。現在まで、治療に伴うリスクに加えて、治療決定を促すための臨床的表現型の長年の依存を考慮すると、初期段階の疾患へのその潜在的使用に対する共通見解は存在していない。
Lublin,Fred D.,et al. Defining the Clinical Course of Multiple Sclerosis:The 2013 Revisions. Neurology.2014 Jul 15;83(3):278-86 Lublin et al.Neurology、The 2013 clinical course descriptors for multiple sclerosis: A clarification 2020:94:1-5. Seewan et al.,Arch Neurol. 2009;66(5):601-609.doi:10.1001/archneurol.2009.57 Suthiphosuwan et al.,JAMA Neuro. Paramagnetic Rim Sign in Radiologically Isolated Syndrome March 9,2020
本開示は、放射線学的孤立性症候群(RIS)患者を含む患者における慢性病変活性(CLA)とも呼ばれる慢性白質病変活性(CWMLA)を、適切な疾患修飾性療法剤、例えば、抗VLA-4抗体を用いて治療する及び/または軽減することを、それを必要とする患者に行う方法を提供する。特に、本発明は、特定の磁気共鳴イメージング技術で可視化されたCWMLAの特定の症状が疾患進行と相関することから、これらの放射線学的マーカーが一致する患者を、かかる療法を正当化するために従来より用いられている臨床症状(例えば、再発)が見られない場合であっても、より積極的な疾患修飾性抗体療法剤を用いて効果的に治療することが可能であることを実証する。したがって、初期段階及び/または無症状(例えば、再発の最初の症状の発現前)の患者、例えば、RIS患者を、CWMLAの新しい放射線学的特性の存在に基づいて治療する新しい方法について、本明細書に記載及び例示する。
一態様では、本開示は、放射線学的孤立性症候群(RIS)を治療することを、それを必要とする患者に行うための方法を提供するが、該方法は、治療有効量の疾患修飾性抗体療法剤を上記患者に投与することを含み、ここで、上記患者は、少なくとも1つの磁化率強調磁気共鳴画像(MRI)における少なくとも1つの位相リム病変(PRL)で定義されるCWMLAを有している。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1つの緩徐拡張性病変(SEL)で定義されるCWMLAを有している。いくつかの実施形態では、患者は、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される少なくとも1つのSELで定義されるCWMLAを有している。
いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1つのPRLと共局在する少なくとも1つのSEL(逆も同様)で定義されるCWMLAを有している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのSELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される。
いくつかの実施形態では、SELは、単一のMRIスキャンからの非強調T1/T2情報を使用して、急性MS病変と慢性MS病変とを判別する及び/またはSELと非SELとを判別する機械学習ベースの分類器を使用して検出される。次に、有利には、RISを患っている疑いのある患者、または以前にRISを患っていると判断され、かつMSを発症するリスクが高い患者について、単一時点での脳のMRIスキャンを、薬剤造影を用いずに参照することができる。次に、スキャンは、分類器アルゴリズムに入力されてよく、それにより、脳スキャンに存在する急性病変と慢性病変とを、及び/またはSELと非SELとを識別及び弁別することができる。その識別及び弁別に基づいて、特定の患者及び疾患状態に適した、適切な疾患修飾性抗体療法剤が投与され得る。
いくつかの実施形態では、急性または慢性のいずれかの病変及び/またはSELの分類に関する予測値を有する1つ以上の特徴が利用される。いくつかの実施形態では、上記特徴は、T2強調スキャン画像で現れるような病変のコア領域の一次強度を定量化する特徴;T1強調スキャン画像で現れるような病変周辺で暗いグレイとして現れる信号の量を定量化する特徴;T1強調スキャン画像で現れるような病変の周辺及び/またはコアに存在する明るいグレイの信号の量を定量化する特徴;画像に存在する不均質性に関する特徴;繰り返しパターンの存在に関するような画像の構造に関する特徴;ならびに画像のテクスチャに関する特徴、を含むか、またはそれらで構成される群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患修飾性抗体療法剤は、ナタリズマブ、BIIB107及びオクレリズマブから選択される。いくつかの実施形態では、疾患修飾性抗体療法剤は、抗VLA-4抗体、例えば、ナタリズマブまたはBIIB107である。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4抗体は、二相投与レジメンで投与されるナタリズマブであり、ここで、該二相レジメンは、約10~約14ヶ月にわたる月に1回のナタリズマブの投与を含む誘導期、それに続く、5、6、7、または8週ごとに1回のナタリズマブの投与を含む慢性期を含む。いくつかの実施形態では、誘導期は、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、または約14ヶ月を超える期間にわたる月に1回のナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの少なくとも1つの期間は、皮下(SC)投与を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの誘導期及び慢性期の両方は、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの誘導期は、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの慢性期は、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、驚くべきことに、ナタリズマブのSC投与及び量は、IV投与と一致する場合がある。いくつかの実施形態では、誘導期及び慢性期の間に投与される治療有効量は、同じであり、かつ治療有効量は、250~450mg(例えば、250mg、300mg、350mg、400mg、または450mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。いくつかの実施形態では、慢性期の間にSC投与される治療有効量は、300~500mg(例えば、300mg、350mg、400mg、450mg、または500mg)である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、約250~約450mg(例えば、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、または約450mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。いくつかの実施形態では、慢性期の間にSC投与される治療有効量は、約300~約500mg(例えば、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、または約500mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4抗体は、慢性投与レジメンで投与されるナタリズマブであり、ここで、該慢性投与レジメンは、4週ごとの一定の間隔でのナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、非体重ベースの固定量のナタリズマブである。いくつかの実施形態では、ナタリズマブの治療有効量は、約250~450mg、または約300mgである。いくつかの実施形態では、ナタリズマブの治療有効量は、非体重ベースの300mgの固定用量である。さらなる実施形態では、慢性投与レジメンは、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、または約12ヶ月を超える期間にわたって4週ごとである。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、IV投与を含む。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、PRLであると特定された場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、SELであると特定された場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のSELの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のPRLと共局在する場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のPRLの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のSELと共局在する場合に開始される。
別の態様において、本発明は、無症状及び/または初期段階のMS患者(例えば、再発が診断されていないか、または共通見解の診断基準を満たす、例えば、Thompson AJ et al.Lancet Neurol.2018;17:162-173)における慢性活動性白質病変を軽減及び/または治療する方法を提供するが、該方法は、治療有効量の疾患修飾性抗体療法剤を上記患者に投与することを含み、ここで、上記患者は、少なくとも1つの磁化率強調磁気共鳴画像(MRI)における少なくとも1つの位相リム病変(PRL)で定義されるCWMLAを有している。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1つの緩徐拡張性病変(SEL)で定義されるCWMLAを有している。いくつかの実施形態では、患者は、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される少なくとも1つのSELで定義されるCWMLAを有している。
いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1つのPRLと共局在する少なくとも1つのSEL(逆も同様)で定義されるCWMLAを有している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのSELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される。
いくつかの実施形態では、SELは、単一のMRIスキャンからの非強調T1/T2情報を使用して急性MS病変と慢性MS病変とを判別する及び/またはSELと非SELとを判別する機械学習ベースの分類器を使用して検出される。次に、有利には、MSなどの脳の病気を患っている疑いのある無症状及び/または初期段階患者、あるいは、MSを発症するリスクのある無症状及び/または初期段階患者について、単一時点での脳のMRIスキャンを、薬剤造影を用いずに参照することができる。次に、スキャンは、分類器アルゴリズムに入力されてよく、それにより、脳スキャンに存在する急性病変と慢性病変とを、及び/またはSELと非SELとを識別及び弁別することができる。その識別及び弁別に基づいて、特定の患者及び疾患状態に適した、適切な疾患修飾性抗体療法剤が投与され得る。
いくつかの実施形態では、急性または慢性のいずれかの病変及び/またはSELの分類に関する予測値を有する1つ以上の特徴が利用される。いくつかの実施形態では、上記特徴は、T2強調スキャン画像で現れるような病変のコア領域の一次強度を定量化する特徴;T1強調スキャン画像で現れるような病変周辺で暗いグレイとして現れる信号の量を定量化する特徴;T1強調スキャン画像で現れるような病変の周辺及び/またはコアに存在する明るいグレイの信号の量を定量化する特徴;画像に存在する不均質性に関する特徴;繰り返しパターンの存在に関するような画像の構造に関する特徴;ならびに画像のテクスチャに関する特徴、を含むか、またはそれらで構成される群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患修飾性抗体療法剤は、ナタリズマブ、BIIB107及びオクレリズマブから選択される。いくつかの実施形態では、疾患修飾性抗体療法剤は、抗VLA-4抗体、例えば、ナタリズマブまたはBIIB107である。いくつかの実施形態では、抗VLA-4抗体は、二相投与レジメンで投与されるナタリズマブであり、ここで、該二相レジメンは、約10~約14ヶ月にわたる月に1回のナタリズマブの投与を含む誘導期、それに続く、5、6、7、または8週ごとに1回のナタリズマブの投与を含む慢性期を含む。いくつかの実施形態では、誘導期は、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、または約14ヶ月を超える期間にわたる月に1回のナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、二相プロトコルの少なくとも1つの期間は、皮下(SC)投与を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの誘導期及び慢性期の両方は、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの誘導期は、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンの慢性期は、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、驚くべきことに、ナタリズマブのSC投与及び量は、IV投与と一致する場合がある。いくつかの実施形態では、誘導期及び慢性期の間に投与される治療有効量は、同じであり、かつ治療有効量は、250~450mg(例えば、250mg、300mg、350mg、400mg、または450mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。いくつかの実施形態では、慢性期の間にSC投与される治療有効量は、300~500mg(例えば、300mg、350mg、400mg、450mg、または500mg)である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、約250~約450mg(例えば、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、または約450mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。いくつかの実施形態では、慢性期の間にSC投与される治療有効量は、約300~約500mg(例えば、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、または約500mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4抗体は、慢性投与レジメンで投与されるナタリズマブであり、ここで、該慢性投与レジメンは、4週ごとの一定の間隔でのナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、非体重ベースの固定量のナタリズマブである。いくつかの実施形態では、ナタリズマブの治療有効量は、約250~450mg、または約300mgである。いくつかの実施形態では、ナタリズマブの治療有効量は、非体重ベースの300mgの固定用量である。さらなる実施形態では、慢性投与レジメンは、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、または約12ヶ月を超える期間にわたって4週ごとである。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、IV投与を含む。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、PRLであると特定された場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、SELであると特定された場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のSELの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のPRLと共局在する場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のPRLの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のSELと共局在する場合に開始される。
別の態様において、無症状及び/または初期段階のMS患者(例えば、再発事象が診断されていない)における慢性白質病変活性を軽減及び/または治療する方法を提供するが、該方法は、a)慢性活動性白質病変を有することが知られているか、その疑いのある患者からの少なくとも1つの磁化率強調磁気共鳴画像における少なくとも1つの位相リム病変(PRL)を特定することと、b)上記患者からの少なくとも1つのT1強調/T2強調MRIにおける1つの緩徐拡張性病変(SEL)を特定することと、c)上記患者において少なくとも1つのPRLが少なくとも1つのSELと共局在しているかどうか(逆も同様)を決定することと、ならびにd)共局在している場合に、疾患修飾性抗体療法剤による治療を開始することと、を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのSELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される。いくつかの実施形態では、疾患修飾性抗体療法剤は、ナタリズマブ、BIIB107及びオクレリズマブから選択される。いくつかの実施形態では、疾患修飾性抗体療法剤は、抗VLA-4抗体、例えば、ナタリズマブまたはBIIB107である。
いくつかの実施形態では、SELは、単一のMRIスキャンからの非強調T1/T2情報を使用して急性MS病変と慢性MS病変とを判別する及び/またはSELと非SELとを判別する機械学習ベースの分類器を使用して検出される。次に、有利には、MSなどの脳の病気を患っている疑いのある無症状及び/または初期段階患者、あるいは、MSを発症するリスクのある無症状及び/または初期段階患者について、単一時点での脳のMRIスキャンを、薬剤造影を用いずに参照することができる。次に、スキャンは、分類器アルゴリズムに入力されてよく、それにより、脳スキャンに存在する急性病変と慢性病変とを、及び/またはSELと非SELとを識別及び弁別することができる。その識別及び弁別に基づいて、特定の患者及び疾患状態に適した、適切な疾患修飾性抗体療法剤が投与され得る。
いくつかの実施形態では、急性または慢性のいずれかの病変及び/またはSELの分類に関する予測値を有する1つ以上の特徴が利用される。いくつかの実施形態では、上記特徴は、T2強調スキャン画像で現れるような病変のコア領域の一次強度を定量化する特徴;T1強調スキャン画像で現れるような病変周辺で暗いグレイとして現れる信号の量を定量化する特徴;T1強調スキャン画像で現れるような病変の周辺及び/またはコアに存在する明るいグレイの信号の量を定量化する特徴;画像に存在する不均質性に関する特徴;繰り返しパターンの存在に関するような画像の構造に関する特徴;ならびに画像のテクスチャに関する特徴、を含むか、またはそれらで構成される群から選択される。
いくつかの実施形態では、方法は、二相投与レジメンで治療有効量のナタリズマブを上記患者に投与することをさらに含み、ここで、該二相投与レジメンは、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも10ヶ月、または少なくとも12ヶ月にわたる、2週ごとに1回、約2週ごとに1回、4週ごとに1回、約4週ごとに1回、30日ごとに1回、約30日ごとに1回、月に1回、または約月に1回の抗VLA-4抗体の投与を含む誘導期、それに続く、5~10週ごとに1回、あるいは、5、6、7、または8週ごとに1回の抗VLA-4抗体の投与を含む慢性期を含む。いくつかの実施形態では、誘導期は、6~18ヶ月、8~16ヶ月、10~14ヶ月であるか、または11ヶ月であるか、12ヶ月であるか、または13ヶ月である。いくつかの実施形態では、誘導期は、12ヶ月であり、かつ慢性期は、5週ごと、約5週ごと、6週ごと、約6週ごと、7週ごと、または約7週ごとのナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、誘導期は、12ヶ月であり、かつ慢性期は、6週ごとのナタリズマブの投与を含む。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のSELの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のPRLと共局在する場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のPRLの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のSELと共局在する場合に開始される。
プラセボ群におけるCWMLAもしくは全脳体積損失と複合的身体障害進行との関連を示す。ベースラインから108週目までの(A)SEL、(B)非SEL、及び(C)CNT2病変におけるT1LVの変化は、SPMS患者の複合的身体障害進行と極めて関連していた。複合的身体障害進行を示すSPMS患者では、進行を示さない患者と比較して、ベースラインから108週目までの(D)全脳体積損のパーセンテージの変化の差は観察されなかった。複合的進行を、EDSS、Timed 25-Foot Walk、または9-Hole Peg Testのうち1つ以上で、24週間目及び試験終了時に確認した。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)及び三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)によって層別化されている。CNT2=慢性非強調T2;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病体積。
CWMLAとEDSS進行との関連を示す。ベースラインから108週目までに、(A)SEL及び(C)CNT2病変内のT1LVが増加し、(B)非SELでは増加しなかったことは、プラセボで治療されたSPMS患者のEDSS進行と関連していた。(ただし、非SELでは、一貫した方向的な動向が観察された)。試験の24週目及び最後に、EDSS進行を確認した。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)によって、かつ三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)によって層別化されている。CNT2=慢性非強調T2;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病体積。
CWMLAと9HPT進行との関連を示す。ベースラインから108週目までに、(A)SEL及び(C)CNT2病変内のT1LVが変化し、(B)非SELでは変化しなかったことは、プラセボで治療されたSPMS患者の9HPT進行と関連していた。(ただし、非SELでは、一貫した方向的な動向が観察された)。試験の24週目及び最後に、9HPT進行を確認した。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)によって、かつ三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)によって層別化されている。9HPT=9-Hole Peg Test;CNT2=慢性非強調T2;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病変体積。
CWMLAとT25FW進行との関連を示す。ベースラインから108週目までに、(B)非SEL及び(C)CNT2病変内でT1LVが変化し、(A)SELでは変化しなかったことは、プラセボで治療されたSPMS患者のT25FW進行と関連していた。(ただし、SELでは、一貫した方向的な動向が観察された)。試験の24週目及び最後に、T25FW進行を確認した。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)によって、かつ三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)によって層別化されている。CNT2=慢性非強調T2;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病体積;T25FW=Timed 25-Foot Walk。
AWMLAが見られない場合のCWMLAと複合的身体障害進行との関連を示す。(B)非SEL及び(C)CNT2病変におけるCWMLAは、プラセボで治療されたSPMS患者においてAWMLAが見られない複合的身体障害進行と関連を維持した。しかし、(A)SELは関連していなかった。(ただし、SELでは、一貫した方向的な動向が観察された)。急性病変活性がないことは、ベースライン及びベースライン後のT1ガドリニウム増強がないこと、かつベースライン後の新しい/拡大したT2病変がないことと、定義付けた。複合的進行を、EDSS、Timed 25-Foot Walk、または9-Hole Peg Testのうち1つ以上で、24週間目及び試験終了時に確認した。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)及び三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)によって層別化されている。AWMLA=急性白質病変活性、急性病変活性(ALA)とも呼ばれる;CNT2=慢性非強調T2;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病変体積。
AWMLAが見られる場合と見られない場合とのSELの有病率及びSEL重症度の度数分布を示す。SELの(A)数、(B)絶対体積、及び(C)相対体積(ベースライン非強調T2LVのパーセンテージ)は、AWMLAのない患者と比較して、プラセボで治療されたAWMLAのあるSPMS患者で大きかった。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。急性病変活性がないことは、ベースラインまたはベースライン後のGd+T1病変がないこと、かつベースライン後の24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変がないことと、定義付けた。急性病変は、ベースラインGd+T1病変及びベースライン後Gd+T1病変、ならびに24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変があることと、定義付けた。p値は、Van Elteren検定によるものであり:ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。AWMLA=急性白質病変活性;BL=ベースライン;EDSS=拡大身体障害状態スケール;Gd+=ガドリニウム増強;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T2LV=T2高強度病変体積。 AWMLAが見られる場合と見られない場合とのSELの有病率及びSEL重症度の度数分布を示す。SELの(A)数、(B)絶対体積、及び(C)相対体積(ベースライン非強調T2LVのパーセンテージ)は、AWMLAのない患者と比較して、プラセボで治療されたAWMLAのあるSPMS患者で大きかった。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。急性病変活性がないことは、ベースラインまたはベースライン後のGd+T1病変がないこと、かつベースライン後の24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変がないことと、定義付けた。急性病変は、ベースラインGd+T1病変及びベースライン後Gd+T1病変、ならびに24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変があることと、定義付けた。p値は、Van Elteren検定によるものであり:ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。AWMLA=急性白質病変活性;BL=ベースライン;EDSS=拡大身体障害状態スケール;Gd+=ガドリニウム増強;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T2LV=T2高強度病変体積。 AWMLAが見られる場合と見られない場合とのSELの有病率及びSEL重症度の度数分布を示す。SELの(A)数、(B)絶対体積、及び(C)相対体積(ベースライン非強調T2LVのパーセンテージ)は、AWMLAのない患者と比較して、プラセボで治療されたAWMLAのあるSPMS患者で大きかった。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。急性病変活性がないことは、ベースラインまたはベースライン後のGd+T1病変がないこと、かつベースライン後の24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変がないことと、定義付けた。急性病変は、ベースラインGd+T1病変及びベースライン後Gd+T1病変、ならびに24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変があることと、定義付けた。p値は、Van Elteren検定によるものであり:ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。AWMLA=急性白質病変活性;BL=ベースライン;EDSS=拡大身体障害状態スケール;Gd+=ガドリニウム増強;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T2LV=T2高強度病変体積。 AWMLAが見られる場合と見られない場合とのSELの有病率及びSEL重症度の度数分布を示す。SEL有病率の範囲ごとの患者の度数分布であり、AWMLAが見られない患者と比較して、AWMLAが見られる患者はSELと特定された総T2病変負担のパーセンテージがより高いことを示している。これらのボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。急性病変活性がないことは、ベースラインまたはベースライン後のGd+T1病変がないこと、かつベースライン後の24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変がないことと、定義付けた。急性病変は、ベースラインGd+T1病変及びベースライン後Gd+T1病変、ならびに24、48、72、96、及び108週目に新しい/拡大したT2病変があることと、定義付けた。p値は、Van Elteren検定によるものであり:ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。AWMLA=急性白質病変活性;BL=ベースライン;EDSS=拡大身体障害状態スケール;Gd+=ガドリニウム増強;SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T2LV=T2高強度病変体積。
SEL有病率に対するナタリズマブの効果を示す。ナタリズマブは、SPMS患者におけるSELの(A)数、(B)絶対体積、及び(C)相対体積(ベースライン非強調T2LVのパーセンテージ)を減少させた。ボックスプロット表現では、ボックスは、四分位数間領域にまたがり、中央値は、ボックス中の水平線でマークされており、ヒゲは、最高観察結果及び最低観察結果まで延びる、ボックスの外の2つの線である。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースライン拡大身体障害状態スケールスコア(≦5.5または≧6.0)及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)によって層別化されている。SEL=緩徐拡張性病変;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T2LV=T2高強度病変体積;T2w=T2強調。
ナタリズマブ対プラセボによるCWMLAの変化を示す。ナタリズマブは、プラセボと比較して、SPMS患者におけるSEL及び非SEL内のT1LVの、(A、B)絶対増加を測定した際に、CWMLAを低下させていた。分布のない四分位値信頼限界を示す。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。BL=ベースライン;CI=信頼区間;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病変体積。 ナタリズマブ対プラセボによるCWMLAの変化を示す。ナタリズマブは、プラセボと比較して、SPMS患者におけるSEL及び非SEL内のT1LVの、(A、B)絶対増加を測定した際に、CWMLAを低下させていた。分布のない四分位値信頼限界を示す。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。BL=ベースライン;CI=信頼区間;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病変体積。 ナタリズマブ対プラセボによるCWMLAの変化を示す。ナタリズマブは、プラセボと比較して、SPMS患者におけるSEL及び非SEL内のT1LVの、(C、D)パーセンテージ増加を測定した際に、CWMLAを低下させていた。分布のない四分位値信頼限界を示す。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。BL=ベースライン;CI=信頼区間;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病変体積。 ナタリズマブ対プラセボによるCWMLAの変化を示す。ナタリズマブは、プラセボと比較して、SPMS患者におけるSEL及び非SEL内のT1LVの、(C、D)パーセンテージ増加を測定した際に、CWMLAを低下させていた。分布のない四分位値信頼限界を示す。p値は、Van Elteren検定によるものであり;ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2病変体積分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化されている。BL=ベースライン;CI=信頼区間;CWMLA=慢性白質病変活性;EDSS=拡大身体障害状態スケール;SPMS=二次性進行型多発性硬化症;T1LV=T1低強度病変体積。
(A)~(E)は、SELとPRLとの重複を示す。(A)スクリーニング及び(B)72週目のT1w画像の略図である、スクリーニングから72週目までの既存の病変における変化に基づいて特定されたSELを示す。(C)72週目に同時に記録された度数マップの略図である、位相リム(PRL)注釈を示す。72週目のFLAIR画像の概略を示している(C)リム内の領域に対応する(D)PRLに付随するT2病変を示す。(E)SELとPRLに付随するT2病変とのボクセルごとの重複を示す(矢印は重複するボクセルを表す。また、SELのみに存在するボクセル及びPRLに付随するT2病変のみに存在するボクセルも示す)。
SELの数とPRLの数との相関を示す。PRLの数はx軸で、SELの数はy軸で示されている。
(A)~(B)は、各タイプの病変の比較を示す。(A)SELと共局在するPRLのサイズ及び共局在しないPRLのサイズを示す。(B)PRLと共局在するSELのサイズ及び共局在しないSELのサイズを示す。
(A)~(B)は、SEL/PRL病変内の組織損傷の進展を示す。(A)SELと共局在するPRL及び共局在しないPRL、ならびに(B)PRLと共局在するSEL及び共局在しないSELの正規化磁化伝達比(nMTR)軌道の比較を示す。(A)は非PRL;PRL及びSEL;PRL及び非SELを示している。(B)は非SEL;SEL及びPRL;SEL及び非PRLを示している。(A)及び(B)は、各サンプルに対する加重平均として計算されている(PRLまたはSEL)。網掛け領域は、平均値の95%CIを表している。
(A)~(B)は、SEL/PRL病変内の組織損傷の進展を示す。放射状方向の拡散性軌道の比較を示す。(A)SELと共局在するPRL及び共局在しないPRL、ならびに(B)PRLと共局在するSEL及び共局在しないSELを示している。(A)は非PRL;PRL及びSEL;PRL及び非SELを示している。(B)は非SEL;SEL及びPRL;SEL及び非PRLを示している。(A)及び(B)は、各サンプルに対する加重平均として計算されている(PRLまたはSEL)。網掛け領域は、平均値の95%CIを表している。
脳T2MRIスキャンの慢性非強調MS病変から抽出した2つのパッチ(1つはSEL、もう1つは非SEL)の選択された領域を示す。
(A)~(B)は、コア及び周辺領域を示すベースラインT2MRIスキャンから抽出した非SELパッチを示す。(A)非強調、(B)コア(実線)及び周辺(破線)を示す。
(A)~(C)は、SELパッチと非SELパッチ(上部がSEL、下部が非SEL)との病変体積マッチングの図である。(A)、(B)、及び(C)のそれぞれは、体積が一致したペアに対応する。
SELと非SELパッチとを判別するために選択された15個の放射線学的特徴のそれぞれの有病率を示す。略称は以下の通りである:t1p:T1強調MRI造影前(すなわち、特徴は非造影T1強調MRI画像から抽出された);t2w:T2強調MRI(すなわち、特徴はT2強調MRI画像から抽出された);コア/周辺:特徴がコアまたは周辺領域内のどちらで計算されたかを指定;glrlm:グレイレベルランレングス行列;glcm:グレイレベル共起行列;glszm:グレイレベルサイズゾーン行列。とりわけ、パッチのコア内のT1強度の平均値、中央値、及び90パーセンタイルを含む1次元統計が、関連性があると特定された。これは、SELがベースライン時における非SELに比べて、T1低強度の程度がより高いことを報告した以前の研究と一致している。
訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。ADVANCE訓練セット(バランス正解率:73.0%)を示す。 訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。ADVANCE検証セット(バランス正解率:66.8%)を示す。 訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。ASCENDテストセット(バランス正解率:65.7%)を示す。 訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。SYNERGYテストセット(バランス正解率:68.5%)を示す。
体積が一致しているパッチでの訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。 体積が一致しているパッチでの訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。 体積が一致しているパッチでの訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。 体積が一致しているパッチでの訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列を示す。
TYSABRI(登録商標)(BIOGEN(登録商標)、MA)の商標名で販売されているナタリズマブは、多発性硬化症及びクローン病の治療向けに、米国のFood and Drug administration(FDA)によって承認されたインテグリン受容体拮抗薬である。FDAが承認した標準的投与レジメンは、300ミリグラム(mg)を4週ごとにおよそ1時間かけて静脈内に注入するものである。ナタリズマブ療法を受けた患者の母集団の中で、進行性多巣性白質脳症(PML)を発症した患者の小さな亜集団がある(Plavina,T.et al.Ann Neurol 2014;76:802-12)。このリスクを特定し、かつ最小限に抑えるために、広範囲の患者のモニタリング及び代替的な投与法の開発など、相当な労力が払われてきた。それにもかかわらず、これらのリスクならびにコスト、及び他の考慮事項の点から、特に、MSの臨床症状のいずれかを示していない無症状患者を含む初期段階疾患で、ナタリズマブまたはその他のより積極的な疾患修飾性抗体療法を使用することは、当分野で、一般に積極的に進められていない。
磁気共鳴イメージングが利用できるようになったことにより、表面的症状がない場合であっても、異常な脳の所見の検出率が増加した。MRI所見がMS患者で見られる所見と類似しているが、MSに付随する典型的な物理的または神経症状、例えば、再発が患者において無症状である場合、これは、放射線学的孤立性症候群(RIS)であることが知られている。RISとMSとには強い関連があるが、RISの診断は、必ずしもMS診断に進むとは限らない。実際、2年間にわたって追跡した際に、RIS患者の約3分の1のみが神経系事象を発症し、MSであると診断されるが、同時に、MRIにより3分の1に症状を伴わない新しい所見が見られ、残りの3分の1には変化が見られなかった。したがって、MSに進行する可能性が高いRIS患者を特定し、それにより、疾患プロセスのより早い段階でより効果的な治療決定ができるように改善された方法が必要である。
くすぶり型プラークとしても知られている慢性活動性病変は、多発性硬化症における慢性炎症の神経病理的特徴である(Elliott et al.Patterning chronic active demyelination in slowly expanding/evolving white matter MS legions. AJNR Am J Neuroradiol dx.doi.org/10.3174/ajnr.A6742)。慢性活動性病変は、一般に、鉄または亜鉛を含有している場合がある活性化ミクログリア及び/またはマクロファージのリムによって取り囲まれている。これらの常磁性リム病変(PRL)は、慢性活動性病変における鉄/亜鉛蓄積の有望な病理学的バイオマーカーと考えられ、磁化率強調イメージングを使用して特定される。これらは、形態が変化しており、コアにはまばらなT細胞及びB細胞が見られ、脱髄及び軸索が減少する速度が遅い。PRLの検出には、現在のところ、磁化率強調イメージングが必要であることは、当該技術分野において公知である。Haller et al.,Susceptibility-weighted imaging:technical essentials and clinical neurologic applications Radiology 2021;299:3-26。
従来のT1強調/T2強調脳MRIによる緩徐拡張性/進展性病変(SEL)の検出は、くすぶり型または慢性活動性プラークの代替的な読み取りを提供する(Elliott et al.Slowly expanding/evolving lesions as a magnetic resonance imaging marker of chronic active multiple sclerosis lesions.Mult Scler J 2019;25:1915-1925)。緩徐拡張性病変については、これまでに文献にて説明されている(Elliott et al.Chronic white matter lesion activity predicts clinical progression in primary progressive multiple sclerosis,Brain 2019;142:2787-2799)。従来の脳MRIによるSELは、参照スキャンと経過観察スキャンとの間の非線形変形のヤコビ行列式によって評価した際に、一貫して、かつ同心的に局所拡大しているT2病変の近接領域である。一般的に、SELは、既存の病変の非SEL領域と比較して、T1ガドリニウム(Gd)増強がなく、ベースライン時に平均T1信号強度がより低く、かつ経時的なT1強度の段階的な低下を示す(Elliott et al Ocrelizumab may reduce tissue damage in chronic active lesions as measured by change in T1 hypointensity of slowly evolving lesions in patients with primary progressive multiple sclerosis. Poster presented at AAN;Poster 376,April 24,2018;Los Angeles,CA)。
本明細書に記載及び例示されているように、これらの2つの放射線学的マーカーの組み合わせにより、初期段階のMS患者、例えば、RISを患っていることが分かっているまたはその疑いのある患者における疾患進行の情報が得られ、それによって、抗VLA-4抗体療法を含む、より積極的な疾患修飾性抗体療法からの利益を受ける可能性のある患者を、疾患プロセスの早期に特定し、かつ結果的に早期の治療開始が可能になる。
さらに、これらの同じ初期段階の患者は、2021年4月13日に出願の仮出願番号FR2103793及び同時係属の国際出願番号PCT/US2022/024450(これらの開示は、本明細書で参照として明示的に援用される)に記載されているような、単一のMRIスキャンからの非強調T1/T2情報を使用した、急性MS病変と慢性MS病変との正確かつ再現性のある判別が可能な機械学習ベースの分類器の使用から利益を受けることができる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、単一の非強調MRIスキャンでの1つ以上の慢性活動性白質病変、及び/または1つ以上のSELの特定により、初期段階のMS患者、例えば、RISを患っていることが分かっているまたはその疑いのある患者における疾患進行の情報が得られ、それによって、抗VLA-4抗体療法を含む、より積極的な疾患修飾性抗体療法からの利益を受ける可能性のある患者を、疾患プロセスの早期に特定し、かつ結果的に早期の治療開始が可能になる。
定義
本明細書で提示される対象は、典型的には、特定の病態に対して治療を受けているかまたは受ける予定の男性または女性のヒト対象(患者)である。この状態は、自己免疫状態であっても、または炎症状態であってもよい。多くの場合、自己免疫状態は炎症状態と見なされ、逆もまた同様であり、したがって、いくつかの実施形態では、対象は自己免疫状態及び/または炎症状態を有する。自己免疫状態とは、対象の免疫系が対象自身の細胞/組織を攻撃する状態である。本発明によって企図される自己免疫状態の非限定的例は、放射線学的孤立性症候群(RIS)、及び無症状及び/または初期段階多発性硬化症(MS)(例えば、再発が診断されていない)を含む。
MSに関連する再発は、発熱または感染を伴わない状態で発症し、かつ、環境的及び全身性誘因に関連したものではなく、血液脳関門(BBB)の完全性の侵害を特徴とするCNSにおける急性炎症を意味する。放射線学的分野において、再発の基準は、脳、脊髄、またはその両方における、磁気共鳴イメージング(MRI)による病変のT2イメージングまたはT1ガドリニウム増強での病変負荷/サイズの増加として定義される。臨床分野では、患者は、「軽度」の症状、例えば、数秒あるいは数分の間持続する瞬間的な及び/または発作的なしびれてピリピリする感覚を呈し;代替的または付加的に、より重度の病勢悪化は、例えば、運動失調、視覚障害、複視、疲労、認知障害、腸/膀胱機能不全の発症、または患者の可動性、機敏さ、歩行姓、安全性もしくは全体の機能能力を妨げる手足の運動麻痺を含む場合がある。後者の症状は、より高い確率で再発の発見につながる。
本明細書で使用される場合、「約」とは、所与の値の0.1%~5%の範囲(例えば、所与の値の5%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%上下範囲)を意味する。量及びその他の指定値が本明細書で提供される場合、許容可能な偏差は、薬学的に許容される基準の範囲内である。
本明細書及び特許請求の範囲において、本明細書で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、反対に明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
また、反対のことが明確に示されていない限り、2つ以上のステップまたは動作を含む本明細書で請求されるいずれの方法においても、その方法のステップまたは動作の順番は、その方法のステップまたは動作が詳述されている順番に必ずしも限られるというわけではないことも理解されるべきである。
特許請求の範囲及び上記の明細書では、「含む、備える(comprising)」、「含む、備える、が挙げられる(including)」、「運ぶ、保持する(carrying)」、「保持する、有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」、「構成する(composed of)」などの全ての移行句は、制限のないものとして、すなわち、限定することなく含むことを意味すると理解されるべきである。米国特許庁特許審査手続マニュアル第2111.03項に規定されているように、「からなる(consisting of)」及び「本質的にからなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句であるものとする。
数値に先行する「約」及び「実質的に」という用語は、列挙された数値の±10%を意味する。
値の範囲が提供される場合、範囲の上限と下限の間の各値は、本明細書で具体的に企図され、説明されている。同じ意味で用いられる「薬学的有効量」または「治療有効量」は、疾患の症状及び/または疾患の合併症を治療するのに、または少なくとも部分的に抑止するのに十分な量である。
CWMLAの治療法のために本明細書で企図される「疾患修飾性抗体療法剤」は、抗VLA-4抗体、例えば、ナタリズマブ及びBIIB107、ならびにオクレリズマブなどの抗CD20抗体を含む。「抗VLA-4抗体」は、抗最晩期抗原(VLA)-4モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはキメラ抗VLA-4モノクローナル抗体である。抗VLA-4抗体については、当該技術分野においてこれまでに説明されてきた。これらとしては、α-4インテグリンを標的とし、かつ現在、臨床試験(ClinicalTrials.gov no.NCT04593121)中のナタリズマブ及びBIIB107、モノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。その開示が、本明細書で参照として明示的に援用されるPCT/US2011/032641及びPCT/US2019/034962も参照されたい。
放射線学的測定
前述の背景技術を考慮して、いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのSEL及び少なくとも1つの磁化率強調磁気共鳴画像の特定のために、少なくとも1つのPRLの特定のために、及びPRLと共局在するSELの存在とその逆との2つの、共局在の程度の決定のために、患者からの少なくとも1つのT1及びT2強調画像の組み合わせの同時または順次取得について教示する。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のSELの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のPRLと共局在する場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者のPRLの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のSELと共局在する場合に開始される。本発明の特定の実施形態に関するより詳細な説明を、本明細書中で後述する。
いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、PRLであると特定された場合に開始される。いくつかの実施形態では、抗VLA-4療法剤による治療は、患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、SELであると特定された場合に開始される。いくつかの実施形態では、SELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される。
種々の実施形態では、本発明は、磁気共鳴イメージングを利用して一連/1組の脳画像を作成する方法について教示する。いくつかの実施形態では、方法は、MRI装置を利用して、標準化3-Tesla、3D等方性マルチエコー、勾配エコーMRIを適用して、上記の患者における任意のPRLを特定して、T1及びT2強調MRIを適用して、任意のSELを特定することを含む。SELとPRLとの「共局在」は、観察者(放射線科医)の視覚経験による対応するセグメント化された体積の発見的閾値のセットに基づくか、あるいは、PRLと共局在するSEL(逆も同様)の体積の正確なパーセントを決定する自動処理パイプラインに依存する場合がある。
本明細書に記載されている実施例及び実験に記載されているイメージングシステムのタイプの全て、ならびに類似のシステムを含む、イメージングシステムのいくつかの異なるタイプを使用して、本明細書に記載される本発明の方法を実施できることを当業者であれば、容易に理解されるであろう。
機械学習分類法
いくつかの実施形態では、本発明は、仮出願番号FR2103793及び同時係属の国際出願番号PCT/US2022/024450(これらの開示は、あらゆる目的で、本明細書で参照として明示的に援用される)に記載されているような、単一MRIスキャンからの非強調T1/T2情報を使用してMS病変を分類する機械学習ベースの分類器を利用する。これらの分類器の使用により、単一時点の急性MS病変検出の感度を効果的に高めることができる可能性があり、かつ、ガドリニウム増強を伴うT1強調スキャンで特定される高強度の、及び/または以前の参照スキャンと比較したT2強調スキャンでの新しい高強度病変の、従来の検出の感度を、複製するか、それに近似するか、またはそれを超えることができる可能性があり、新しい局所情報にこれらが反映される可能性がある。
いくつかの実施形態では、単一の時点でのイメージングに基づいて脳病変を分類する適切な方法は、単一の時点からの患者画像データを入手することと、該患者画像データを入力として脳病変分類モデルに提供することと、該患者画像データで特定された1つ以上の病変ごとの分類を生成することと、該1つ以上の病変ごとの分類を、1つ以上の表示デバイスによる表示のために提供することと、を含む場合があり、ここで、該脳病変分類モデルは、複数の対象に関する対象画像データを使用して訓練され、該対象画像データは、2つ以上の時点で取り込まれたものである。いくつかの実施形態では、単一の時点からの患者画像データは、2つ以上の画像スキャンシーケンスからのデータを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の画像スキャンシーケンスからのデータは、非強調MRIデータを含み、ここで、2つ以上の画像スキャンシーケンスは、常磁性造影剤の投与を含まない。いくつかの実施形態では、患者画像データで特定された1つ以上の病変ごとの分類は、急性もしくは慢性、またはSELもしくは非SELのうちのいずれかであるように選択される。
いくつかの実施形態では、急性もしくは慢性のいずれか及び/またはSELである病変の分類に関する予測値を有する特定の放射線学的特徴が利用され、例えば、以下の例示的な実施形態を含む。
・ T2強調スキャン画像で現れるような病変のコア領域の一次強度を定量化する特徴。このような特徴は、慢性病変よりも強度が高く、かつより均一に高強度である傾向のある急性病変に相当するものであり、一方、慢性病変は、高強度ボクセルが少ない場合がある。
・ T1強調スキャン画像で現れるような病変の周辺で暗いグレイとして現れる信号の量を定量化する特徴。
・ T1強調スキャン画像で現れるような病変の周辺及び/またはコアに存在する明るいグレイの信号の量を定量化する特徴。
・ 画像に存在する不均質性に関する特徴。例えば、特徴により、画像の複雑度(この画像は、不均一性であり、かつグレイレベルの急速な変化を含む場合がある)、平均グレイレベルに関するグレイレベルのばらつき、または画像の同質のパターンの存在を定量化することができる。
・ 繰り返しパターンの存在に関するような、画像の構造に関する特徴。例えば、繰り返しパターンがより多い画像は、観察可能な強度パターンがより少ないものよりも、より「構造化されている」と見なすことができる。
・ 画像の粗さまたは細かさなどの、画像のテクスチャに関する特徴。
一部の実施形態では、SELと非SELとを判別するための放射線学的特徴は、図17に列挙されている放射線学的特徴を含むか、またはそれらで構成される群から選択される。
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI(非造影T1強調MRI画像から抽出された)、グレイレベルランレングス行列(連続するグレイレベルを定量化する)、ランレングス不均一性(画像全体にわたるランレングスの類似性の程度。その値が低いほど、画像内のランレングス間での均質性がより高いことを示す)
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI、一次特徴(一般的に使用されるマスク及び基準値によって定義される画像領域内のボクセル強度の分布を説明する)、パッチ内で90パーセンタイルのボクセル
・ 周辺領域内で計算されたT2強調MRI(T2強調MRI画像から抽出された)、一次特徴、均質性(各強度値の二乗の合計の程度;画像アレイの均質性の程度;より高い均一性は、より高い均質性または個別の強度値のより小さな範囲を意味する)
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI、一次特徴、平均値(パッチ内の平均グレイレベル強度)
・ 周辺領域内で計算された造影前T1強調MRI、一次特徴、ロバストな平均絶対偏差(グレイレベルが10~90パーセンタイルであるか、または10パーセンタイル及び90パーセンタイルに等しい、画像アレイのサブセットで計算された平均値からの全ての強度値の平均間隔)
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI、一次特徴、パッチ内のグレイレベル強度の中央値
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI、グレイレベル共発生行列、エントロピーの合計(近傍強度値差の合計)
・ 周辺領域内で計算されたT2強調MRI、一次値、平均二乗(全ての二乗強度値の平均値の平方根;画像値の大きさの別の程度)
・ 周辺領域内で計算されたT2強調MRI、一次値、パッチ内の最大グレイレベル強度
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI、グレイレベルサイズゾーン行列、ゾーンエントロピー(ゾーンサイズ及びグレイレベルの分布における不確実性/偶発性の程度;値が高いほど、テクスチャパターンの異質性がより高いことを示す)
・ 周辺領域内で計算された造影前T1強調MRI、グレイレベルランレングス行列、ランレングス不均一性(画像全体にわたるランレングスの類似性の程度;その値が低いほど、画像内のランレングス間での均質性がより高いことを示す)
・ コア領域内で計算された造影前T1強調MRI、グレイレベルランレングス行列、ランエントロピー(ランレングス及びグレイレベルの分布における不確実性/偶発性の程度;値が高いほど、テクスチャパターンの異質性がより高いことを示す)
・ 周辺領域内で計算されたT2強調MRI、一次値、非対称度(平均値周辺の値の分布の非対称性の程度;正または負であり得る)
・ コア領域内で計算されたT2強調MRI、一次値、平均値(パッチ内の平均グレイレベル強度)
・ 周辺領域内で計算されたT2強調MRI、一次値、パッチ内の90パーセンタイルのボクセル
より一般的には、機械学習分類器は、1つ以上の機械学習システム、方法、及び/またはモデルを利用する場合がある。機械学習モデルは、入力を受信し、重み、バイアス、分類、または分析のうち1つ以上を入力に適用して、出力を生成するように構成されたモデルと見なされる場合がある。出力は、例えば、入力の分類、入力に基づいた分析、設計、プロセス、予測、または入力に関連する推奨、あるいは、任意の他の適切なタイプの出力を含む場合がある。機械学習モデルは、一般的に、訓練データ、例えば、経験的データ及び/または入力データのサンプル、例えば、本明細書の他の箇所に記載される訓練データのタイプを使用して訓練され、これらのデータは、モデルの1つ以上の態様、例えば、重み、バイアス、基準を確立、調整、または修正して、分類またはクラスタなどを形成するために、モデルに供給される。機械学習モデルの態様は、入力に対して、線形に、並行して、ネットワーク(例えば、ニューラルネットワーク)を介して、または任意の適切な構成を介して動作し得る。
訓練セット(例えば、2つ以上の時点で取り込まれた対象画像データ)は、機械学習分類器を訓練するために、入力として使用される場合があり、かかる方法の最適な組み合わせを作ることを目的として、機械学習方法の選択または組み合わせを促進し得る。そのような選択の1つの目標は、病変タイプ間の低減されたイメージングバイオマーカー空間(例えば、急性病変と慢性病変との、またはSELと非SELとの)または進行の量もしくは程度を分別するために、特徴の最適なサブセットを作成することである。一実施形態では、線形及び非線形特徴対クラス相関テストを使用して、分類間の最大分散に相当する特徴を特定することができる。
この評価及び分類は、図17に示すような初期特徴順位、及び、例えば、個々の相関値が最も大きいいくつかの特徴を特定できる初期特徴選択を利用することができる。一実施形態では、特徴部分空間として選択された50個のそのような特徴が存在し得る。これらの特徴から、組み込まれる選択方法は、ツリーベース分類器及び最小絶対収縮及び選択演算子(LASSO)を含むスパース線形モデルを活用することができる。
このようにして、上述したような特徴部分空間から開始して、最も有用でない特徴を各ステップで削除するようにして、ある特徴を削除することによって、特徴部分空間内のいくつかの特徴が減少し得る研究を実施することが可能である。このようにして、アンサンブル分類器は、各ステップで最適化することができる。このプロセスを、最適化と特徴削除との再帰的な繰り返しで進行させて、放射線学的特徴の各減少された組み合わせを、病変分類目的(例えば、活動性と慢性との、またはSELと非SELとの)に関連付けられた順位にすることができる。
このアンサンブル分類メカニズムの結果は、2つのクラス(活動性及び慢性)間の分離可能性を最適化するように機能する、線形分類方法(例えば、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン)及び/または非線形分類方法(例えば、パーセプトロン、深層畳み込みニューラルネットワークもしくは他のタイプのニューラルネットワーク)を含み得る分類方法の選択されたサブセットである場合がある。
一実施形態では、機械学習モデルのプールに、大規模なランダム化グリッドサーチを介してハイパーパラメータチューニングが行われ、それに続いて、目的の分類タスクに対してk倍のクロス検証が行われる場合がある。次に、このチューニングにより、性能ベンチマークが得られ、それにより、最も性能の高いモデル、例えば、n個の最高性能モデルを選択することができる。次に、これらのモデルは、スタッキング、または勝者総取り、または確率的重要度サンプリングアンサンブル戦略の下で組み合わせることができる。
機械学習モデルの実装には、様々なタイプのニューラルネットワークを含む1つ以上の機械学習技術の展開、及び線形回帰、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、または勾配ブースト機械(GBM)などの統計的技術が含まれる場合がある。実施形態に応じて、機械学習モデルの訓練は、教師あり、または教師なし、あるいはその両方であってよい。教師あり学習は、訓練データ及び訓練データに対応するラベルを提供することを含む場合がある。教師なし訓練は、クラスタリング、分類などを含む場合がある。クラスタリングの異なるタイプ、またはクラスタリングの組み合わせも、使用されてよく、これらは、教師ありまたは教師なしであってよい。
一実施形態では、機械学習ベースの分類器は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、深層または完全畳み込みニューラルネットワーク(DCNN、FCNN)、深層学習ニューラルネットワーク(DNN)、深層信念ネットワーク(DBN)、及び当業者に一般によく知られている他のニューラルネットワークを含む複数のタイプのニューラルネットワークのうち1つ以上を含む場合がある。
機械学習モデルの一部である場合がある機械学習システムは、1つ以上のプロセッサ、不揮発性非一時的記憶用の1つ以上の記憶デバイス、及び一時的記憶用の揮発性メモリであるが、非一時的記憶用の不揮発性メモリも含む場合がある1つ以上のメモリデバイスを含んでいてもよい。1つ以上の機械学習システムによって実装される複数の機械学習法は、アンサンブル分類プロセスの一部として利用することができる。一実施形態では、機械学習システム内のプロセッサは、ニューラルネットワーク構造または他の学習フレームワークに役立つ場合がある、グラフィック処理装置(GPU)、または中央演算処理装置(CPU)である場合がある。
一部の文献は、機械学習、深層学習、人工知能、及び多事例学習を様々な方法で区別している。本説明の目的で、これらのアプローチのいずれかまたは全てが、本明細書に記載の1つ以上の発明の目的を達成するために必要な構造及び機能を提供する場合がある。
投与レジメン
本開示はまた、ナタリズマブを用いて病理学的炎症を軽減するための二相投与レジメンを提供するが、ここで、投与レジメンは、標準間隔投与(SID)を使用する誘導期、それに続く、延長間隔投与(EID)を使用する慢性期を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療期で、皮下投与を使用する。いくつかの実施形態では、両方の治療期で、皮下投与を使用する。いくつかの実施形態では、SID期の間に投与されるのと同じ用量が、EID期の間に投与される場合があり、かつ、いくつかの実施形態では、IV投与されるのと同じ用量が、SC投与される場合がある。
本明細書で企図する二相投与レジメンとは、少なくとも2つの期間、例えば、誘導期及び慢性期でのナタリズマブの投与を指す。いくつかの実施形態では、誘導期は、SIDスケジュールでのナタリズマブの投与を含み、かつ慢性期は、EIDスケジュールでのナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、誘導期は、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも10ヶ月、または少なくとも12ヶ月にわたる、2週ごとに1回、約2週ごとに1回、3週ごとに1回、約3週ごとに1回、4週ごとに1回、約4週ごとに1回、30日ごとに1回、約30日ごとに1回、月に1回、または約月に1回のナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、誘導期は、6~18ヶ月、8~16ヶ月、10~14ヶ月であるか、11ヶ月であるか、12ヶ月であるか、または13ヶ月である。いくつかの実施形態では、慢性期は、5~10週ごとに1回のナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、慢性期は、5週ごと、約5週ごと、6週ごと、約6週ごと、7週ごと、約7週ごと、8週ごと、約8週ごとのナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、誘導期及び慢性期の両方は、SC投与を含む。いくつかの実施形態では、誘導期及び慢性期は、単独でのSC投与を含む。いくつかの実施形態では、驚くべきことに、ナタリズマブのSC投与及び量は、IV投与と一致する場合がある。
いくつかの実施形態では、誘導期及び慢性期の間に投与される治療有効量は、同じであり、かつ治療有効量は、250~450mg(例えば、250mg、300mg、350mg、400mg、または450mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。いくつかの実施形態では、慢性期の間にSC投与される治療有効量は、300~500mg(例えば、300mg、350mg、400mg、450mg、または500mg)である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、約250~約450mg(例えば、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、または約450mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。いくつかの実施形態では、慢性期の間にSC投与される治療有効量は、約300~約500mg(例えば、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、または約500mg)、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは300mgである。代表的二相投与レジメンについては、米国仮出願番号第63/113,864号(2020年11月14日出願)、同63/113,865号(2020年11月14日出願)、同63/142,968号(2021年1月28日出願)、同63/142,970号(2021年1月28日出願)、及び同時係属の国際出願番号第PCT/US2021/059266号に記載されており、これらの開示は、本明細書で参照として明示的に援用される。
本開示はまた、ナタリズマブを用いて病理学的炎症を軽減するための慢性投与レジメンを提供する。いくつかの実施形態では、ナタリズマブは、慢性投与レジメンで投与され、ここで、該慢性投与レジメンは、4週ごとの一定の間隔でのナタリズマブの投与を含む。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、非体重ベースの固定量のナタリズマブである。いくつかの実施形態では、ナタリズマブの治療有効量は、約250~450mg、より好ましくは約300mg、さらにより好ましくは、非体重ベースの300mgの固定用量である。さらなる実施形態では、慢性投与レジメンは、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、または約12ヶ月を超える期間にわたって4週ごとである。代表的な慢性投与レジメンについては、WO 2003/072040に記載されており、この開示は、本明細書で参照として明示的に援用される。
いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、SC注射を含む。いくつかの実施形態では、慢性投与レジメンは、IV投与を含む。代表的なSC投与製剤については、WO 2008/157356に記載されており、その開示は、本明細書で参照として明示的に援用される。
本明細書で提供する治療手順の有効性を測定及び/またはモニタリングするための関連バイオマーカーとしては、例えば、sVCAM及び/またはNf-Lが挙げられる。理論に縛られることなく、循環リンパ球の表面上のその標的α4インテグリンのナタリズマブによる飽和及び/または占有の増加により、リンパ球上のα4インテグリンの表面発現が減少するだけではなく、sVCAMの血清濃度も減少する。それに対応して、sVCAMは、α4インテグリン受容体飽和及び一般的な免疫監視活性に効果的な代替バイオマーカーを提供する。例えば、Plavina et al.,Neurology(2017)89(15):1584-1593を参照されたい。対照的に、Nf-Lなどのニューロフィラメントタンパク質は、軸索損傷及びニューロン死の徴候を呈し、かつ、特にMS患者での進行中の疾患活性に対する効果的な代替バイオマーカーとして機能する。例えば、Kuhle et al.Mult Scler.(2013) 19:1597-603;Varhaug et al.,Front Neurol.(2019)10:338を参照されたい。
これらの二相投与レジメンは、ナタリズマブ療法の安全性を向上させるために提供される。いくつかの実施形態では、二相投与レジメンは、慢性ナタリズマブ療法の安全性を向上させるために提供される。安全性は、例えば、PMLなど、有害事象のリスクを低減することによって向上させることができる。場合によっては、二相レジメンは、PMLのリスクを低減するか、抗ナタリズマブ抗体の生成を誘導するリスクを低減するか、ナタリズマブに対する患者の感作のリスクを低減するか、またはそれらの組み合わせを低減する。場合によっては、二相レジメンは、患者におけるナタリズマブに対する抗イディオタイプ抗体の生成に起因するナタリズマブ治療の有効性の損失のリスクを低減する。
抗JCV抗体に対して血清陽性の患者は、PMLのリスクが特に高い。いくつかの実施形態では、PMLリスク対象は、1.5を超える抗JCV抗体インデックスレベル(例えば、平均インデックスレベル)を有する。いくつかの実施形態では、低PMLリスク対象とは、0.9以下の抗JCV抗体インデックスレベル(例えば、平均インデックスレベル)を有する対象である。抗JCウイルスインデックス値は、血清/血漿の2ステップELISA抗体アッセイ(STRATIFY JCV(商標)抗体(インデックス付き)と反射抑制アッセイ;例えば、本明細書で援用されるLee,P.et al.J of Clin Virol,2013;57(2):141-146を参照されたい)から計算される。抗体インデックスレベル、インデックスレベルを評価するためのアッセイ、ならびにPMLリスクを決定するためのそのようなインデックスレベル及びアッセイの使用については、例えば、WO2012/166971及びWO2014/193804に記載されている。
対象がナタリズマブ療法の開始前に抗JCV抗体の血清陽性を検査した場合、または対象がナタリズマブ療法中に血清陰性の抗JCV抗体状態から血清陽性の抗JCV抗体状態に切り替わった場合、対象はPMLリスクが高いと見なされ得る。いくつかの実施形態では、対象がナタリズマブ療法の開始前に1.5を超える抗JCV抗体インデックスレベルを有する場合、または対象がナタリズマブ療法中に0.9以下の抗JCV抗体インデックスレベルから、1.5より高い抗JCV抗体インデックスレベルまで切り替わった場合、その対象はPMLリスクが高いと見なされる。例えば、ナタリズマブ療法を開始する前に、対象は抗JCV抗体の有無について検査される場合がある。この検査結果によって、対象がPMLリスクの低い対象(抗JCV抗体について血清陰性、または抗JCV抗体のインデックスレベルが0.9以下)であることが示されている場合、この対象は4週間の間隔のSIDスケジュールでのナタリズマブ療法の対象として特定され得る。SIDスケジュールでのナタリズマブ療法の過程で、対象は抗JCV抗体の有無について再検査される場合がある(例えば、毎月もしくは2、3、4、5、6ヶ月ごと、または毎年検査される)。再検査時に、対象が抗JCV抗体の血清陰性から血清陽性に切り替わった場合、または抗JCV抗体のインデックスレベルが0.9以下から、抗JCV抗体のインデックスレベルが1.5を超える場合、この対象は、少なくとも5週間の間隔のEIDスケジュールでのナタリズマブ療法の対象として特定され得る。
実施例1:急性炎症を伴うまたは伴わないSPMS患者における慢性白質病変活性と身体障害進行との関連
目的:時間の経過とともに徐々に拡大する白質病変の亜群である緩徐拡張性病変(SEL)により、一次性進行型多発性硬化症(MS)疾患における身体障害蓄積が予測されることが明らかとなった。SEL、急性白質病変活性(AWMLA)、慢性白質病変活性(CWMLA)、及び身体障害進行間の関係性は、十分に理解されていない。本研究では、二次性進行型MS母集団の脳白質におけるCWMLA及び急性病変活性(AWMLA)を評価した。
本研究では、ベースラインから108週目までのSEL、非SEL、及び総既存慢性非強調T2(CNT2)病変におけるT1LVの変化によってCWMLAを測定した。AWMLAは、1)ベースラインを含む最長108週目までの試験中の任意の時点でのガドリニウム増強(Gd+)T1病変、または2)任意のベースライン後の新しいもしくは拡大したT2病変のいずれかが生じることと定義付けた。1)SEL及び非SELにおけるCWMLAのT1強調(T1w)MRI特徴と、確認された身体障害進行との関連、2)AWMLAが見られない場合のCWMLAと確認された身体障害進行との関連、及び3)CWMLAとAWMLAとの関連について、プラセボで治療した二次性進行型MS母集団で検査した。本研究において、本発明者らは、二次性進行型MS(SPMS)でナタリズマブとプラセボとを比較したASCENDの第3相臨床試験(ClinicalTrials.gov no.NCT01416181)も検査した。
材料及び方法
試験設計、患者、及びMRI
ASCEND研究(ClinicalTrials.gov no.NCT01416181)は、ナタリズマブの有効性及び安全性を評価するために、SPMS患者で行われた、2つのパートからなる多施設型の、ランダム化された、二重盲検型、プラセボ対照第3相研究であった。研究設計及び結果の詳細については、これまでに詳細に説明されている。Kapoor et al.Lancet Neurol 2018;17:405-415。軸方向T1W(3Dスポイル勾配エコー):TR=28~35ms;TE=4~11ms;フリップ角=27°~30°;解像度0.98×0.98×3mm)、及び軸方向T2W(2D高速スピンエコー:TR=4000~7400ms;TE=58~95ms;解像度=0.98×0.98×3mm)を、ベースライン時、24週目、48週目、72週目、96週目、及び108週目で取得した。SEL分析母集団は、ベースラインから108週目までの全ての時点(24、48、72、及び96週目を含む)でT1w及びT2強調(T2w)画像が取得可能であった治療意図母集団の亜集団である。
身体障害進行の臨床的測定
拡大身体障害状態スケール(EDSS)、Timed 25-Foot Walk(T25FW)、及び9-Hole Peg Test(9HPT)評価を、ベースライン時、及び108週目まで12週ごとに実施した。複合的に確認された身体障害進行を、ベースラインEDSSスコア≦5.5からの≧1.0ポイントの増加もしくはベースラインスコア≧6.0からの≧0.5ポイントの増加、T25FW時間でのベースラインからの≧20%の増加、及び/または9HPT時間(どちらの手でも)でのベースラインからの≧20%の増加、の3つの基準のうち1つ以上を満たすものとして定義付けた。進行を、考えられる進行の開始から6ヶ月以上後の来院時、及び試験の終了時に確認した。臨床的な再発に起因する身体障害進行を捕らえる可能性を最小限にするために、独立した神経学評価委員会によって確認された臨床的再発の発症から74日以内に、開始、または確認された確認済みの身体障害進行事象は、含めなかった。急性病変活性がないことは、ベースラインまたはベースライン後のT1ガドリニウム増強(Gd+)病変がないこと、かつベースライン後の新しいまたは拡大したT2高強度病変がないことと、定義付けた。
SEL、AWMLA、及び全体的なCWMLAの特定
SEL特定のプロセスについては、他で詳細に説明されている。Elliott et al.Brain 2019;142:2787-2799及びElliott et al. Mult Scler 2019;25:1915-1925。簡単に述べると、SELは、ベースラインから108週目までに、一貫して、かつ同心的に局所拡大した、既存のT2病変の近接領域である。SEL検出の前に、半自動化方法を使用してベースラインスキャンで、T2病変を特定した。この方法では、その後、T2病変の全自動セグメンテーションを1人の訓練されたMRIリーダーによって手動で再調査し、かつ補正した。Francis SJ.In:McGill University DoN,ed.,2005。SEL検出の第1段階では、SEL候補を、a)Gd+がなく、かつb)ベースラインスキャンと108週目のスキャンとの間の非線形変形のヤコビ行列式によって決定されるような最小の局所体積膨張を呈する、ベースラインT2病変マスクの≧10ボクセルの近接領域として特定する。SEL検出の第2段階では、時間の経過を伴った拡大の同心性及び一貫性を基準にして順番に各SEL候補をスコア化する。ベースラインと各中間の時点(24、48、72、及び96週目)との間の局所拡大を考慮することによって、時間の経過とともに一貫して、かつ徐々に拡大するSEL候補の特定が可能になり、一方、同心性を測定することによって、中心から外向きに放射状に拡大するSEL候補の特定が可能になる。各SEL候補にSELスコアを割り当て、これを、一貫性及び同心性の平均正規化測定値の合計として計算する。
ASCENDの第3相臨床試験(ClinicalTrials.gov no.NCT01416181)から、SPMS患者でSELを特定した。SELとして特定されない非強調ベースラインT2病変マスクの一部として定義付けられる非SELもまた、非強調T2病変の全体性と同様に評価した。ASCENDのSEL分析母集団(プラセボ、n=292;ナタリズマブ、n=308)は、ベースラインから108週目までの全ての時点でT1w及びT2w画像が取得可能であった患者の亜集団である。結果は、SELスコアが≧0のSELを表している。性別、ベースラインEDSS、年齢、及び罹病期間によるSEL及び非SELの分布を表1~3に示す。
AWMLAは、1)ベースラインを含む最長108週目までの試験中の任意の時点でのGd+T1病変、または2)任意のベースライン後の新しいもしくは拡大したT2病変のいずれかが生じることと定義付けた。Gd+T1病変を、2人の訓練されたMRIリーダーによる2つの完全な手動識別の共通見解として決定し、この際、どの不一致も、第3の無関係のリーダーによって判定した。新しいまたは拡大したT2病変を、連続する時点での各T2病変マスクを比較し、かつ、以前の時点では存在せず、T2強調強度の増加が最小であった新しいT2病変の病巣領域を自動的に特定することによって決定した。新しいT2病変のこれらの病巣領域は、完全にNAWM(新しい)内にあるか、または既存のT2病変(拡大した)に隣接している可能性がある。自動的に特定した新しいまたは拡大した全てのT2病変を、手動で再調査し、かつ必要に応じて補正した。
病変の拡大の検出に対するSELアプローチは、臨床試験において、一般的に「新しいまたは拡大したT2病変」として報告される、いわゆる新しい「T2拡大病変」の検出に使用されるものとは根本的に異なるものであることを理解することは重要である。Arnold et al.Mult Scler 2021;27(11):1681-3。「新しいまたは拡大したT2病変カウント」(研究室によって異なる)の文脈における「拡大した」病変の検出方法は、基本的に、既存のT2信号異常の領域に隣接して結合しているため、「新規」の新しい病変(正常に見えるWMによって取り囲まれているはずであると定義される)として認定されない可能性がある急性白質病変活性の新しい病巣を検出するように設計されている。CWMLAを、プラセボ群のSPMS患者におけるSEL、非SEL、及び総既存慢性非強調T2(CNT2)病変での、ベースラインから108週目までのT1低強度病変体積(T1LV)の変化によって測定した。T1低強度病変を、ガドリニウム増強がなく、かつT1強調強度が灰白質のT1強調強度の中央値以下であるT2病変の領域として定義付けた。
ヤコビ積分を介して全脳萎縮を測定した。Nakamura et al.Neuroimage Clin 2014;4:10-17。
統計的分析
SELデータの統計的分析は、試験的なものであり、かつ、全ての時点でT1w及びT2wスキャンに欠損がなく、評価可能であったASCENDからの全ての患者(ベースラインから108週目;SEL分析母集団)を含めた。欠損データのインピュテーションは行わなかった。
2つの治療群のベースラインGd+T1病変を比較するために、2つのサンプルの比例テストを適用した。CWMLAについて、Van Elteren検定を使用して、発症者と未発症者を比較し、進行状態、ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2高強度病変体積(T2LV)分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18,818.49mm)で層別化した。AWMLAとSEL有病率との関連の分析を、Van Elteren検定に基づいて行い、AWMLA、ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化した。プラセボとナタリズマブとでのCWMLAの比較を、Van Elteren検定に基づいて行い、治療法、ベースラインEDSSスコア(≦5.5または≧6.0)、及び三分位値に基づくベースラインT2LV分類(≦6908.79mm、>6908.79~18818.49mm、及び>18818.49mm)で層別化した。統計的検定を両側で、かつ多重度に対する調整を行わずに5%の有意水準で行った。
結果
SPMS分析母集団のベースライン人口統計学的及び脳MRI特性
ASCEND研究データセットからのSEL検出向けに利用可能な分析母集団及び治療意図母集団の、ベースライン人口統計学的及び脳MRI特性について、表4に示す。年齢及び性別をSEL分析母集団及び治療意図母集団に対して、かつ治療群間で同様に分配した。SEL分析母集団では、ベースライン時のGd+T1病変が≧1であったナタリズマブ治療された個人は、プラセボで治療された個人よりもパーセンテージが高かったが(28%対19%)、差は統計的に有意ではなかった。SEL分析母集団では、ナタリズマブ治療群及びプラセボ治療群は、ベースライン時において平均T2LVが同程度であった(18.1対16.5cm)。ベースライン時の平均正規化脳体積も、2つの治療群で同程度であった。
プラセボ群におけるCWMLAの増加に付随するSPMSの身体障害進行
CWMLAを、プラセボで治療したSPMS患者の、ベースラインから108週目までのSEL、非SEL、及び総既存CNT2病変におけるT1LVの変化によって測定した。ナタリズマブがAWMLAを低下させるため、治療効果を避けるために、分析をプラセボ群に限定した。CWMLAについて、複合的身体障害進行を伴う患者(n=143)と、無増悪のままの患者(n=149)とを比較した。確認された複合的身体障害進行を伴うSPMS患者は、SEL、非SEL、及びCNT2病変におけるT1LV変化を測定した際に、無増悪の患者よりもCWMLAが著しくより重症であった(中央値の上昇 [Q1,Q3]発症者対未発症者:それぞれ、100[3,524]対23[0,155]mm、p=0.0023;231[17,1090]対109[-29,538]mm、p=0.0170;及び372[26,1662]対160[-23,770]mm、p=0.0026、図1A~C)。対照的に、ベースラインから108週目までの全脳体積変化を測定した際の脳萎縮率は、複合的に確認された身体障害進行を伴うSPMS患者と、伴わないSPMS患者とではそれほど差はなかった(p=0.2176、図1D)。
確認された身体障害進行が、EDSSスコアのみに基づく場合、T1LV増加を測定した際のCWMLAは、SEL(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:142[6,815]対39[0,258]mm、p=0.0135;図2A)及びCNT2病変(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:577[66,2529]対246[0,1090]mm、p=0.0375;図2C)において未発症者よりも発症者で著しく高く、非SELでは同一方向への一貫した動向が見られた(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:292[26,1302]対159[-9,710]mm、p=0.1156;図2B)。同様に、確認された身体障害進行が、9HPTスコアのみに基づく場合、T1LV増加を測定した際のCWMLAは、SEL(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:112[0,629]対37[0,258]mm、p=0.0051;図3A)及びCNT2病変(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:549[66,1995]対197[0,1139]mm、p=0.0075;図3C)において未発症者よりも発症者で著しく高く、かつ非SELでは、未発症者よりも発症者で数値的に高かった(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:240[-9,1097]対143[-3,661]mm、p=0.0772;図3B)。最後に、確認された身体障害進行が、T25FWのみに基づく場合、T1LV増加を測定した際のCWMLAは、非SEL(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:229[20,1133]対141[-25,609]mm、p=0.0230;図4B)及びCNT2病変(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:371[23,1634]対205[-6,954]mm、p=0.0214;図4C)において未発症者よりも発症者で著しく高く、かつSELでは、未発症者よりも発症者で数値的に高かった(中央値の上昇[Q1,Q3]発症者対未発症者:100[3,426]対29[0,220]mm、p=0.0873;図4A)。
プラセボ群における、AWMLAが完全に見られない状態でのCWMLAの増加との関連を維持したままのSPMSの身体障害進行
ベースラインから108週目までで、292人のプラセボSPMS患者のうち95人は、AWMLAが見られなかったため、ベースラインまたはベースライン後Gd+T1病変なし、及びベースライン後の新しい/拡大したT2病変なしと定義した。AWMLAが見られないSPMS患者におけるCWMLAについて、複合的に確認された身体障害進行を伴う患者(n=40)と、無増悪のままの患者(n=55)とを比較した。複合的進行を示す患者は、非SEL(p=0.0045;図5B)及びCNT2病変(p=0.0103;図5C)におけるT1LV変化の有意差が示すように、無増悪の患者よりもより重症のCWMLAが生じ、かつSELでは、同一方向への動向が観察された(p=0.2332;図5A)。
AWMLAが見られないプラセボで治療されたSPMS患者の低いSEL有病率
AWMLAが見られるプラセボSPMS患者は、AWMLAのない患者よりも、SEL数及び体積を測定した際に、SEL有病率がより高く(ベースライン時のSELのT2w境界に基づく)、かつSELと特定された既存のベースラインT2LVの割合がより高かった(図6A~C)。少なくとも1つのSELを伴う患者の割合も、AWMLAのない患者(71%、n=95)と比較して、AWMLAが見られる患者(89%、n=197)でより高かった。AWMLAのないSPMS患者(n=95)と、ベースライン時のみにAWMLAが見られた患者(n=28)もしくはベースライン後にAWMLAが見られた患者(n=169)とのSEL有病率の差の分析により、ベースライン及びベースライン後のAWMLAの両方が、高いSEL有病率と関連していることが確認されたが、ベースライン時のみにおいてAWMLAが見られる患者のサンプルサイズは、SEL数及び相対体積に関する有意差を、関係するSEL有病率が示すには小さすぎた(図6A及びC)。SEL有病率の範囲ごとの患者の度数分布の分析もまた、SELと特定された総T2病変負荷量が>20%であったのは、AWMLAを伴う患者では19%であり、これに対しAWMLAを伴わない患者ではわずか5%であったことを示した(図6D)。
SPMS患者におけるSEL及びCWMLAに対するナタリズマブ対プラセボの効果
プラセボ治療群及びナタリズマブ治療群は、ベースラインから108週目までに検出されたSELが≧1の患者のパーセンテージが同程度であった(83%対79%)。
ナタリズマブは、SELのより小さい数値(中央値の数値、3対4;p<0.0001;図7A)及びより少ない絶対SEL体積(ベースライン時のT2wのSEL体積の中央値、288対561mm;p<0.0001;図7B)で示されるように、プラセボよりもより低いSEL有病率に関連していた。したがって、SELとして特定された長手方向の総ベースライン非強調T2LVの割合は、プラセボ治療患者よりも、ナタリズマブ治療患者で有意に低かった(割合の中央値、2.7%対5.0%;p<0.0001;図7C)。
絶対及び相対T1LV蓄積を測定した際のCWMLAに付随する脳組織損失は、SEL(図8A及びC)及び非SEL(図8B及びD)の両方において、プラセボ治療患者よりもナタリズマブ治療患者でより少なかった。
考察
SELは、連続的な拡大及び組織破壊を伴うMS慢性白質病変の亜群であり、かつ進行性発症MSにおける臨床進行が予測されるものである。Elliott et al.Brain 2019;142:2787-2799、Elliott et al.Mult Scler 2019;25:1915-1925及びElliott et al.AJNR Am J Neuroradiol 2020;41:1584-1591。SELでは、T1LVの経時的な蓄積、ならびに、磁化伝達比の低減、及び拡散テンソルイメージングの放射状方向の拡散性の増加を含む、漸進的な微細構造組織の変化が反映されるイメージング基準値の変化が存在する。Elliott et al.AJNR Am J Neuroradiol 2020;41:1584-1591。これらの所見は、慢性脱髄過程及び持続的な軸索/神経細胞の破壊を示唆しており(Elliott et al.AJNR Am J Neuroradiol 2020;41:1584-1591)、これは、慢性活動性病変の病状研究で確認されている。Frischer et al.Ann Neurol 2015;78:710-721及びLuchetti et al.Acta Neuropathol 2018;135:511-528。しかし、SELの脳組織損失のMRI測定に適度に影響を及ぼす可能性のあるオクレリズマブ(Elliott et al.Brain 2019;142:2787-2799)及びナタリズマブ(Preziosa et al.Mult Scler 2020:1352458520969105)などの抗炎症性DMTが近年報告されている。
本研究では、SELは、SPMS患者で最も多く特定され、確認された身体障害進行は、SELだけではなく非SELでもT1LV蓄積を測定した際に、より重症のCWMLAに付随するものであった。これらの所見は、OPERA I及びIIのデータセット内の再発性MS患者ならびにORATORIOデータセット内の一次性進行型MS患者に関して以前に報告された所見と一致している。Elliott et al.Brain 2019;142:2787-2799及びElliott et al.Mult Scler 2019;25:1915-1925。自然経過の状況で進行しているSPMS患者は、SEL、非SEL、及び総ベースライン非強調T2病変におけるT1LV増加を測定した際に、SEL有病率がより高く、より重症のCWMLAが生じていた。SPMS患者にAWMLAが見られない場合、SEL有病率は低下したが(SELの数及び体積によって示されたように)、患者の>70%に≧1のSELが見られた。重要なことに、SPMS患者における確認された身体障害進行とより重症のCWMLAとの関連は、AWMLAが見られない場合も著しく維持されている。一貫した所見が、ORATORIOデータセット内のプラセボで治療された一次性進行型MS患者で報告された。この患者群では、AWMLA、CWMLA、及び全脳萎縮を測定し、かつSEL及び非SELにおけるCWMLAのみが経時的な確認された身体障害進行があると予測した。Elliott et al.Brain 2019;142:2787-2799。これは、CWMLAに付随する脳組織損失が、MSにおけるAWMLAと無関係の身体障害進行の重要な動因である可能性があることを示している。
プラセボ治療と比較して、ナタリズマブ治療により、SELの数及び体積、ならびにSELと特定されたベースライン非強調T2病変の割合が有意に減少した。ナタリズマブにより、SEL及び非SELの両方におけるT1LV増加を測定した際に、CWMLAが低下していた。AWMLAとSEL有病率との有意な関連は、進行性MS患者におけるCWMLAに対するナタリズマブの効果が、急性炎症を抑制するその高い有効性に関連している可能性があることを示唆している。ナタリズマブの効果及びCD20発現細胞の激減を実証した以前の研究は、この所見をさらに裏付けている。Kappos et al.JAMA Neurol 2020;77:1132-1140,Montalban et al.N Engl J Med 2017;376:209-220,Polman et al.N Engl J Med 2006;354:899-910,Butzkueven et al.J Neurol Neurosurg Psychiatry 2014;85:1190-1197,及びHauser et al.N Engl J Med 2017;376:221-234。慢性活動性病変に対するナタリズマブの効果はまた、活性化ミクログリアを測定するポジトロン放射断層撮影研究で事前に実証されている。Kaunzner et al.Mult Scler Relat Disord 2017;15:27-33及びSucksdorff et al.Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2019;6:e574。これらの研究では、ナタリズマブは、非強調病変(Kaunzner et al.Mult Scler Relat Disord 2017;15:27-33)において、かつより具体的には、慢性活動性病変のリム(Sucksdorff et al.Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2019;6:e574)において、活性化ミクログリア及びマクロファージを反映したPK11195の取り込みを低減させた。
CWMLA及び身体障害進行の一因となるくすぶり炎症が、MSにおける急性炎症によって影響を受ける可能性があることが妥当と思われる。近年発表された、ORATORIO研究での継続的にオクレリズマブによる治療を受けた一次性進行型MS患者の6.5年にわたる長期脳MRI経過観察(Wolinsky et al.Lancet Neurol 2020;10:998-1009)により、T1LVの年間の増加がおよそ3~6%であったことが(およそ6年でベースラインから37%の総増加に達する)が明らかとなり、この増加は、48週以降これらの患者においてAWMLAがないことが示されたため、AWMLAとは関係なく、SEL及び非SELにおけるCWMLAに起因し得る可能性がある。
いずれの特定の理論にも縛られることを望まないが、CWMLA(SEL及び非SELにおける)及び/またはMSの進行性形態の身体障害進行に対するナタリズマブ及び/またはオクレリズマブの効果は、AWMLAを静めるそれらの能力によって主に説明することができる。例えば、主要な層の推定対象に対するベイズの推論を使用した拡張アプローチを使用して、ランダム化後の事象発生として、AWMLA共変数閾値によって特徴付けられた亜群における治療効果を評価することができる。Magnusson et al.Stat Med 2019;38(23):4761-4771。
MS病変の組織病理学的用語をさらに洗練する取り組みが行われている(Kuhlmann et al.Acta Neuropathol 2017;133:13-24)が、慢性活動性病変表現型の自然経過への理解は、標本が利用可能になる数十年前にそれらの寿命が始まる可能性があるため、把握しにくいものである。Dal-Bianco et al.Brain 2021;144:833-847 doi.org/10.1093/brain/awaa436。慢性活性または混合型活性/不活性病変の病変リムの分子研究は、M1分極化マクロファージ及び活性化ミクログリアの優位性を示している。Jackle et al.Brain 2020;143:2073-2088。自然免疫系及び適応免疫系の相互作用は、双方向的に分極化に影響を及ぼし、かつ疾患プロセスを持続させる可能性がある。Strachan et al.J Interferon Cytokine Res 2014;34:615-622。磁化率強調イメージングで検出される位相リムは、鉄含有ミクログリア/マクロファージのリムのイメージングバイオマーカーであると考えられ、疾患の重症度及び脳萎縮に関連している。SEL(Kaunzner et al.Brain 2019;142:133-145、Absinta et al.J Clin Invest 2016;126:2597-2609、Dal-Bianco et al.Acta Neuropathol 2017;133:25-42、及びAbsinta et al.JAMA Neurol 2019;76:1474-1483)及び位相リム病変(PRL)の両方は、慢性活動性病変と関係がある(Preziosa et al.Mult Scler 2020:1352458520969105)。最近の研究により、かなりの割合のPRLには経時的な拡大が生じず、かつ一部のSELには位相リムが全く生じなかったため、SELとPRLとの部分的な一致が実証された(Elliott et al.Neurology 2021;96:(15 Supplement)4101)。本明細書で実証するように、CWMLAのSEL、非SEL、及びPRLの程度の相補性を明らかにすることにより、慢性活動性病変の異なるMRI表現型内の長手方向組織変化特性の特性決定を拡張することができる。
結論として、SEL及び非SELにおけるCWMLAは、慢性活動性病変及び/または二次軸索変性のイメージングバイオマーカーであり、これは、進行性の炎症を反映し、かつ臨床的身体障害進行に関連する。本開示は、AWMLAの存在は、新しいGd+病変または新しいT2高強度病変にかかわらず、SPMS患者におけるより高いSEL有病率に関連することを示す。CWMLAに対するAWMLAの影響に関するこの間接的なエビデンスは、非常に効果的な疾患修飾療法で急性炎症を制限することの重要性を強調している。しかし、AWMLAが見られない場合であっても、CWMLAと確認された身体障害進行との関連性は、程度はより限られるが、存続しており、未発症者よりも発症者において、T1w病変体積の増加がT2w非強調病変の非SEL組織で主に見られる。
本研究ではCWMLAのナタリズマブの効果の発生は急速であり、治療の24週目から始まり、SEL及び非SELにおいてT1w病変体積増加が統計的に大幅に低減した。総括すると、これらの結果は、CWMLAの一因となる可能性のあるくすぶり型炎症及び神経変性経路の両方を遮断することを目的として、AWMLAに影響を与えるだけでなく、より具体的にCWMLAを標的とする療法の開発の継続の必要性を強調している。
ベースラインから108週目までの完全なイメージングデータセットのある患者(N=600)を、SEL有病率(SELの数及び体積)、身体障害進行、AWMLA(ガドリニウム増強病変及び新しいT2高強度病変によって評価)、及びCWMLA(SEL及び非SELとして特定されたベースラインT2非強調病変におけるT1低強度病変体積増加によって評価)について分析した。
結果:SEL及び非SELの両方でのCWMLAは、進行を伴わない患者よりも、確認された身体障害進行を伴うSPMS患者でより高かった。ベースライン時及び研究時にAWMLAが完全に見られなかった場合、SEL有病率は、著しく低く、一方で、非SELにおけるCWMLAは、身体障害進行との関連を維持したままであった。ナタリズマブにより、プラセボと比較して、SEL有病率ならびにSEL及び非SELにおけるCWMLAが低下した。
実施例2:慢性及び最近の急性MS病変における位相リム病変のMRI特性
目的:再発性多発性硬化症(RMS)母集団で、位相リム病変(PRL)の有病率、急性の新しいT2病変とのそれらの関係を決定し、かつ位相リムを伴う場合(PRL+)と、位相リムを伴わない場合(PRL-)の、T2病変における、正規化T1強調強度(nT1)、正規化磁化伝達比(nMTR)及び拡散テンソルイメージングの放射状方向の拡散性(DTI-RD)を定量化することである。
背景:慢性活動性病変は、磁化率強調MR画像における位相リム信号であると考えられているMS病変の亜集団である。
設計/方法:標準化3-Tesla、3D等方性マルチエコー、勾配エコーMRIを使用して、AFFINITY試験[NCT03222973](N=44)から、経過観察72週目及び96週目に、RMS患者の亜集団のPRLデータを収集した。
結果:72週目の経過観察で、44人のうち27人の患者(61.4%)に少なくとも1つのPRLがあり、かつ44人のうち11人の患者(25.0%)に少なくも4つのPRLがあった。72週目に特定されたPRLのおよそ10%は、ベースラインから72週目までに形成した急性の新しい病変から派生したものである。PRL+であった急性の新しいT2病変は、リムがなかった急性の新しいT2病変と比較して、最初の検出でより大きく(サイズの中央値は392対52mm3である)、かつ検出時及び回復段階で平均してnMTRが低かった。ベースライン時に既存していたT2病変内で検出された慢性PRLは、ベースライン時により低いnMTR、及びより高いRDを示していた。これらの病変はまた、位相リムのない慢性病変と比較して、ベースラインから72週目で、nMTRの低下、及びRDの増加の傾向も示した。
結論:これらのデータは、位相リムを伴う慢性T2病変が、リムのない慢性病変よりも、より重症の組織損傷を有することを示唆している。持続的な位相リムが生じた新しいT2病変の少数は、サイズがより大きく、nMTRの低下を測定した際に、より重症の急性組織損傷に付随するものであった。
実施例3:位相リム検出及び/または緩徐拡張性特性による慢性MS病変のMRI特性
目的:再発性多発性硬化症(RMS)患者で、位相リム病変(PRL)と緩徐拡張性病変(SEL)との共局在性を評価し、かつPRL及びSELにおける正規化磁化伝達比(nMTR)及び拡散テンソルイメージング放射状方向の拡散性(DTI-RD)を比較することである。
背景:磁化率強調位相画像で検出されたPRLは、慢性活動性MS病変に付随したものであった(Absinta et al.J Clin Invest 2016;126:2597-2609)。SELは、従来のMRIシーケンスのみを使用して評価することができる慢性活動性MS病変のマーカーであると仮定されている(Elliot et al.Multiple Sclerosis Journal 2018;DOI:10.1177/1352458518814117)。これらの病変タイプは、SELが、進行性発症MSにおける身体障害進行の前兆である病変内の進行中の組織損傷に付随したものであるため、関連バイオマーカーである可能性があり(Elliott et al.Brain 2019;142:2787-2799、及びElliott et al.AJNR Am J Neuroradiol 2020;41(9):1584-1591)、かつPRLが≧4の患者は、身体障害の蓄積がより早いことを示した(Absinta et al.JAMA Neurol 2019;76:1474-1483)。しかし、SELとPRLとの重複の程度は、不明である。
設計/方法:研究設計:脳MRIデータを、初期の盲検プラセボ対照部分を用いる再発性MSでのオピシヌマブの第2相試試験であるAFFINITY[NCT03222973]、それに続く、非盲検継続研究で取得した。疾患修飾療法(DMT)(インターフェロン、ナタリズマブ、またはフマル酸ジメチル)に対して安定な患者をランダム化し、それらの基礎DMTに加えて、750mgのオピシヌマブをプラセボの4週ごとに投与した。
イメージング:イメージングプロトコルには、ガドリニウム前/後のT1強調スキャン、T2強調FLAIR、PD強調及びT2強調スピンエコー画像、磁化伝達比(MTR)を計算するためのMTパルスを用いる/用いない2つのスポイル勾配リコールエコー画像、及び32個の方向を用いる拡散強調イメージングを含めた。パート2でのみ、プロトコルに、標準3T Siemens 3D等方性マルチエコースポイル勾配T2を用いる磁化率強調イメージング(SWI)を含めた。72週目またはパート2/1日目にSWI位相画像からPRLを検出した。長手方向T1及びT2強調画像を使用して、ベースラインから72週までに一貫して、かつ同心的に拡大したパート1のベースラインT2病変の領域として、SELを検出した。
結果:AFFINITYパート2の高度MRIサブ研究に参加した患者の41人が、72週目にSWIが取得可能であった。表5に、患者の特性を示す。
累積的に、分析した41人の患者の中で、PRL(119)の2倍を超えるSEL(267)が検出された。ほとんどのSELとPRLとは、重複していなかった(図9e)。PRLの39.5%(47/119)が、SELと共局在していたのに対し、SELの17.2%(46/267)がPRLと共局在していた。患者間でSELカウント及びPRLカウントの中程度の相関値が観察された(r=0.67)(図10)。SEL/PRL共局在のある病変は、SEL単独病変またはPRL単独病変よりも大きかった。SELと共局在するPRLは、共局在していないPRLよりもサイズが大きかった(図11A~11B及び表6)。
PRL+/SEL+の両方として検出された慢性病変は、SEL特性を伴わないPRL及び関連PRLを伴わないSELと比較して、正規化磁化伝達比(nMTR)が最も低く(図12A~12B)、かつ拡散テンソルイメージング放射状方向の拡散性(DTI-RD)はより高かった(図13A~13B)。
結論:SEL及びPRLとして定義付けられた白質病変は、部分的な対応関係のみを示し、かつ少数のSELのみが、位相リムに関連する(逆も同様である)。共局在するSEL及びPRLは、慢性活動性白質病変の最も重症の亜集団である可能性がある。SEL及びPRLの進行中の調査は、MRI病変亜型を明らかにし、かつMS疾患進行のより高い感度のマーカーをもたらす可能性がある。
実施例4:位相リム検出及び/または緩徐拡張性特性による慢性MS病変のMRI特性
目的:SEL対非SEL MS病変活性の放射線学的組織構造バイオマーカー判別の低次元性特性を特定し、かつ断面T1及びT2強調脳MRIから慢性非強調白質MS病変におけるSELと非SELとを判別するMLベース分類器を開発することである。
背景:慢性活動性病変は、既存のMS病変内で発症する慢性炎症性のプロセスによるミエリン及び軸索の潜行性損傷を介してMSの進行性生物学において役割を果たしていると考えられる(Luchetti et al.Acta Neuropathol.2018;135(4):511-528)。一部の慢性活動性病変は、一貫して同心的に拡大した、既存のT2病変の近接領域である、MRIで特定可能な緩徐拡張性病変(SEL)として検出される場合がある(Elliott C,et al.Mult Scler.2019;25(14):1915-1925)。機械学習及びテクスチャ分析技術により、従来のMRIイメージングでMS病変亜型の判別が可能になる可能性がある。多発性硬化症では、疾患活性は、2つの形態、すなわち再発性MSまたは進行性MSに、従来より分類されている。従来のMRIは、疾患の再発性形態に付随する急性疾患活性の信頼性の高いバイオマーカーを提供するが、MSの進行期を特徴付ける組織状態を検出するための確立されたバイオマーカーが比較的少ない。
これに関連して、一般に、活性化したミクログリア及びマクロファージのリムによって病理学的に特性付けられる慢性活動性病変が、MSの進行性生物学において重要な役割を果たしている可能性があると考えられている。慢性活動性病変のクラス全体を通して、その一部はSELとして検出される場合がある。これらの病変は、一貫して同心的に拡大した、既存のT2病変の近接領域として、T1強調MRIで特定可能である。したがって、SEL検出の現在の方法は、1~2年の経過観察の期間にわたって取得される少なくとも3つの長手方向スキャンに依存するものである。長手方向データに対する要件により、SEL活性の定量化が遅延することになり、これは、進行性MSを対象とするDMTに対する臨床試験との関係において部分的に関連する。したがって、本実施例の目的は、断面設定でSELを検出することである。本実施例で提示されるアルゴリズムは、機械学習と組み合わせた放射線学的分析の分野からの画像処理の技術を利用する。そのようなものであるから、この解決策は、SEL活性に関連する組織構造バイオマーカーの特性を特定し、かつこの特性を使用して、白質高強度の範囲内でSELと非SELとを弁別するように設計されている。
設計/方法:T1強調及びT2強調MRIを遡及的に分析した(ADVANCE-1512人の再発・寛解MS患者;ASCEND-886人の二次性進行型MS患者;SYNERGY-419人の再発・寛解MS/二次性進行型MS患者)。1~2年の経過観察にわたる長手方向MRIデータを利用して、ヤコビ積分に基づく方法(Elliott C,et al.Mult Scler.2019;25(14):1915-1925)を使用して各ベースラインスキャンでグラウンドトゥルースSELを検出した。簡単に述べると、一連の長手方向スキャンにわたるT1強度の進展を分析するヤコビアンに基づく方法を使用して各ベースラインスキャンでグラウンドトゥルースSELを検出した。
15×15×15mmの立方のパッチを、各ベースラインスキャンのSEL及び非SEL組織から抽出した(図14)。具体的には、15×15×15mmの立方のパッチを、全ての取得可能なベースラインスキャンにわたるSEL及び非SELからランダムにサンプリングした。パッチごとに、テクスチャに基づく放射線学的特徴を、図15Bで緑色及び赤色でそれぞれ示されているように、パッチのコア及び周辺から別々に抽出した。より詳細には、図15Bを参照すると、「コア」領域は、パッチの中央のボクセルから4mm未満離れて位置する全ての病変ボクセルを含む。「周辺」領域は、コア領域のエッジから外側3mmの周縁部の範囲内のボクセルを含む。パッチごとに、372個の放射線学的特徴のセットを、T1及びT2強調MRIデータから抽出した。
特徴選択アルゴリズムによって、各特徴の判別値を評価した。選択された特徴を使用して、MLモデルのプールをベンチマークテストにかけた。スタッキング戦略を使用して、5つの最高性能モデルをアンサンブル学習させた。再帰的ループによって、有益でない特徴をさらに排除した。簡単に述べると、ADVANCEからの患者を、80:20で訓練セット及び検証セットに分けた。訓練セットを、特徴選択及びアンサンブル分類パイプラインへの入力として使用した。特徴選択パイプラインにより、一変量設定及び多変量設定の両方で、各特徴とパッチのラベルとの関連を評価する相関テストのアンサンブルを使用して、372個の特徴の各特徴の予測値を評価した。このアプローチにより、最も有用なものから最も有用でないものまで放射線学的特徴を順位付けした。50個の最も有用な特徴で定義される入力空間では、患者レベル分割を使用して10倍のクロス検証を介して、標準的な機械学習モデルのプールをベンチマークテストにかけた。スタッキング戦略下で、5つの最高性能モデルを組み合わせた。
有益でない特徴を1つずつ再帰的に排除することによって、放射線学的特徴空間の次元性をさらに圧縮させた。これにより、15個のみの放射線学的変数のコンパクトな特性と共に、SELと非SELとを判別するためにこの特性を解釈することができる最適な分類器が得られた。その後、ADVANCE患者からのパッチの検証セットと、ASCEND及びSYNERGY患者からのパッチの独立したセットとの両方に関して、この最適な分類器をテストした。
本発明者らは、SELと非SELとを判別するために、SEL対非SELパッチを含む病変の体積の厳密なマッチングに基づいて、新しい分類器を追加的に訓練した(図16A~16C)。これにより、体積に依存しない組織構造バイオマーカーが確実に検出される。
このパイプライン全体を、1回目はSEL及び非SELパッチのランダムサンプリング、2回目はSEL対非SELパッチで見られる病変の体積の厳密なマッチングに基づいて、2回適用した。この体積マッチング実験により、単に組織構造バイオマーカーに基づき、かつ形状に依存せず、SELと非SELとを判別する本発明の能力を本発明者らで評価することが可能になる。
明確にするために、テクスチャを定量化する放射線学的特徴に両方の実験を制限したが、エントロピー及びエネルギーなどのこれらの特徴の一部は体積交絡があることを認識することが重要である。したがって、厳密な体積マッチングパラダイムにより、体積に依存しない分類を確実に行うことができる。
結果:本発明の再帰的排除パイプラインを介して選択した15個の放射線学的特徴は、SEL活性と非SEL活性とを判別するコンパクトな特性の範囲を定める。この特性は、主として、パッチのコア内のT1強調MRI信号からの情報を含む。本発明者らは、パッチのコア内のT1強度の平均値、中央値、及び90パーセンタイルを含む1次元統計が関連性があると特定されたことを観察した。これは、SELがベースラインで、非SELに比べて、T1低強度の程度がより高いことを報告した以前の研究と一致している。15個の特徴の放射線学的特性には、T1強調MRIから10個、T2強調MRIから5個、パッチの「コア」から8個、及びパッチの「周辺」からの7個を含めた。SELパッチと非SELパッチとを判別するために選択した15個の放射線学的特徴のそれぞれの有病率を図17に示す。
SELパッチと非SELパッチとを判別する際に、本発明の最適な分類モデルにより、ADVANCE検証セットで67%、ASCENDテストセットで66%、SYNERGYテストセットで69%のバランス正解率が実現した。重要なことに、本発明者らは、SPMSのASCEND母集団でテストした場合に、高い感度及び低い特異度を実現し、その一方で、対照的に、本発明者らは、SYNERGY母集団でテストした場合に、低い感度及び高い特異度を観察した(表7)。
図18A~18Dは、訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列である。
体積均衡設定では、結果として生じるアンサンブルモデルは、ADVANCE検証セットに加えてSYNERGY及びASCENDテストセットで62%のバランス正解率を実現した(表8)。先の表で報告した結果と比較して、この体積均衡実験にて報告された性能のわずかな低下は、本発明の初期の実験が、組織構造情報以上に、SELと非SELとの体積測定差を捕らえていることを示している。
図19A~19Dは、体積が一致しているパッチでの訓練セット、検証セット、及び独立した試験セットに基づくパッチレベルSEL対非SEL識別の分類モデルの性能を示す混同行列である。
結論:単一時点の非造影の従来のT1及びT2強調MRIを使用して、ランダムパッチサンプリングでは66%~69%の範囲、それに対して厳密な病変体積マッチングでは62%の分類精度で、SELと非SELとを判別できる機械学習分類器を開発した。これは、SELが、ML技術を使用して断面設定で検出可能な従来の非強調MRI信号のパターンを示す可能性があることを意味する。SELの単一時点検出により、長手方向分析の必要性を低減し、かつ慢性MS病変亜型のベースライン定量化が可能となる可能性がある。アルゴリズムの応用には、臨床試験における母集団の富化及び医療現場での患者の予後判定の改善を含めることができる。さらに、常磁性リム特定により検出可能な慢性活動性病変を、分類アルゴリズムに組み込むことができる。
発明者に既知の本出願を実行するための最善のモードを含む、本出願の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことによって、当業者に明らかとなるであろう。当業者は、必要に応じてそのような変形を利用することができ、本明細書に詳述したのとは異なる方法で本出願を実施できることが考えられる。したがって、本出願の多くの実施形態は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲の主題の全ての修正及び等価物を含む。さらに、それらの全ての可能な変形における、上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、本出願によって包括される。
本明細書で参照される全ての特許、特許出願、特許出願の刊行物、及び他の材料、例えば、論文、書籍、明細書、刊行物、文書、物などは、全ての目的でその全体がこの参照により本明細書に援用される。ただし、本明細書に関するなんらかの手続用ファイル履歴、本明細書と矛盾するまたは相反する全ての手続履歴のいずれか、または本明細書に現在または後に関連する特許請求の範囲の最も広い範囲に影響を及ぼす制限を有する可能性のあるもののいずれかを除く。例として、組み込まれる資料のいずれかに関連する用語の説明、定義、及び/または使用と、本明細書に関連する用語の間に矛盾または相反がある場合は、本明細書の用語の説明、定義、及び/または使用が優先されるものとする。
結論として、本明細書に開示される出願の実施形態は、本出願の実施形態の原理を説明するものであると理解されたい。使用可能な他の変更も、本出願の範囲内であり得る。したがって、例として、限定はされないが、本明細書の教示に従って、本出願の実施形態の代替的構成を利用することができる。したがって、本出願の実施形態は、示され、かつ説明される通りの正確なものに限定されない。

Claims (19)

  1. 放射線学的孤立性症候群を治療することを、それを必要とする患者に行う方法であって、治療有効量の疾患修飾性抗体療法剤を前記患者に投与することを含み、前記患者は、少なくとも1つの磁化率強調磁気共鳴画像(MRI)において少なくとも1つの位相リム病変(PRL)を有するか、または前記患者は、少なくとも1つのT1強調/T2強調MRIにおいて少なくとも1つの緩徐拡張性病変(SEL)を有する、前記方法。
  2. 初期段階及び/または無症状MS患者における慢性活動性白質病変を軽減及び/または治療する方法であって、治療有効量の疾患修飾性抗体療法剤を前記患者に投与することを含み、前記患者は、少なくとも1つの磁化率強調MRIにおいて少なくとも1つのPRLを有するか、または前記患者は少なくとも1つのT1強調/T2強調MRIにおいて少なくとも1つのSELを有する、前記方法。
  3. 疾患修飾性抗体療法剤による治療は、前記患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、PRLであると特定された場合に開始される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 疾患修飾性抗体療法剤による治療は、前記患者の総T2高強度病変の体積及び/または数の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、SELであると特定された場合に開始される、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記患者は、少なくとも1つのPRLと共局在する少なくとも1つのSELか、または少なくとも1つのSELと共局在する少なくとも1つのPRLを有し、必要に応じて、前記少なくとも1つのSELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して検出される、請求項1または2に記載の方法。
  6. 疾患修飾性抗体療法剤による治療は、前記患者のSELの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のPRLと共局在する場合に、及び/または前記患者のPRLの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のSELと共局在する場合に、開始される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記SELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して、急性MS病変と慢性MS病変とを、及び/またはSELと非SELとを判別する機械学習ベースの分類器を使用して検出される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  8. 前記疾患修飾性抗体療法剤は、ナタリズマブ、BIIB107及びオクレリズマブから選択される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 前記疾患修飾性抗体療法剤は、ナタリズマブである、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  10. ナタリズマブは、二相投与レジメンで投与され、前記二相レジメンは、約10~約14ヶ月にわたる月に1回のナタリズマブの投与を含む誘導期、それに続く、5、6、7、または8週ごとに1回のナタリズマブの投与を含む慢性期を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記二相プロトコルの少なくとも1つの期間は、皮下(SC)投与を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記二相プロトコルの両方の期間は、SC投与を含む、請求項10に記載の方法。
  13. 無症状及び/または初期段階のMS患者(例えば、再発事象がない)における慢性病変活性を軽減及び/または治療するための方法であって、a)慢性病変活性を有することが知られているか、その疑いのある患者からの少なくとも1つの磁化率強調磁気共鳴画像における少なくとも1つの位相リム病変(PRL)を特定することと、b)前記患者からの少なくとも1つのT1強調/T2強調MRIにおける少なくとも1つの緩徐拡張性病変(SEL)を特定することと、c)前記患者において前記少なくとも1つのPRLが前記少なくとも1つのSELと共局在しているかどうか(逆も同様)を決定することと、ならびにd)共局在している場合に、疾患修飾性抗体療法剤による治療を開始することと、を含む、前記方法。
  14. 前記少なくとも1つのSELは、単一時点の非造影T1及びT2強調MRIを使用して、急性MS病変と慢性MS病変とを、及び/またはSELと非SELとを判別する機械学習ベースの分類器を使用して検出される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記疾患修飾性抗体療法剤による治療は、前記患者のSELの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のPRLと共局在する場合に、及び/または前記患者のPRLの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%が、その患者のSELと共局在する場合に、開始される、請求項13または請求項14に記載の方法。
  16. 前記疾患修飾性抗体療法剤は、ナタリズマブ、BIIB107及びオクレリズマブから選択される、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記疾患修飾性抗体療法剤は、抗VLA-4抗体、例えば、ナタリズマブまたはBIIB107である、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記抗VLA-4抗体は、ナタリズマブであり、かつ前記方法は、二相投与レジメンで治療有効量のナタリズマブを前記患者に投与することをさらに含み、前記二相レジメンは、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも10ヶ月、または少なくとも12ヶ月にわたる、2週ごとに1回、4週ごとに1回、30日ごとに1回、または月に1回の前記抗VLA-4抗体の投与を含む誘導期、それに続く、5~10週ごとに1回のナタリズマブの投与を含む慢性期を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記慢性期は、5週ごとに1回、6週ごとに1回、7週ごとに1回、または8週ごとに1回のナタリズマブの投与を含む、請求項18に記載の方法。
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