JP2024511119A - 修飾されたペプチド模倣薬および使用方法 - Google Patents

修飾されたペプチド模倣薬および使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、Orai1カルシウムチャネルに結合する合成修飾ポリペプチド、ならびに限定されないが、ウイルス感染症、細菌感染症、アレルギー反応、喘息、嚢胞性線維症および他の炎症性障害などの障害における肺免疫調節剤としてのその治療的使用に関する。

Description

優先権の記載
本出願は、35U.S.C.§119(e)のもとで、2021年3月22日に出願された米国特許仮出願第63/164,132号の利益を主張し、その全内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
政府の支援の記載
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた助成金番号AI155107のもとで政府の支援を受けて行われた。政府は本発明に関して一定の権利を有する。
配列表の電子ファイリングに関する記載
37C.F.R.§1.821のもとで提出され、5470-886WO_ST25.txtと題され、25,102バイトのサイズの、2022年3月22日に作成され、EFS-Webを介して出願された、ASCIIテキスト形式の配列表を紙コピーの代わりに提供する。この配列表は、その開示のために、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
本発明は、Orai1カルシウムチャネルに結合する合成ポリペプチド、ならびに限定されないが、ウイルス感染症、細菌感染症、アレルギー反応、喘息、嚢胞性線維症および他の炎症性障害などの障害における肺免疫調節剤としてのその治療的使用に関する。
Orai1は遍在的に発現している原形質膜Ca2+チャネルであり、免疫系/炎症カスケードの必須の近位成分(proximal component)である。多すぎるOrai1は過剰な炎症に寄与するが、Orai1の体全体の阻害は免疫抑制性であるので、Orai1は厳重に調節されている。したがってOrai1機能の微調整された局所的モジュレーションが必要である。
本発明は、Orai1カルシウムチャネルに結合し、特に肺においてその発現および機能性を低減させるが、通常の全身的Orai1機能は影響を受けないままにする合成ポリペプチドを提供すること、ならびにOrai1をモジュレートすることに応答性の障害を処置するためにこれらの合成ポリペプチドを使用する方法を提供することによって、先の欠点を克服する。
本発明の第一の態様は、14R置換;位置1~4の残基の欠失;位置16の残基の欠失;バリン残基の欠失;および/またはD-ala残基の挿入のアミノ酸修飾の1つまたは複数(例えば、1つまたは複数、2つ以上、少なくとも1つ、少なくとも2つなど)を含み、番号付けが配列番号1の参照アミノ酸配列に基づき、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合する、合成ポリペプチドを提供する。
本発明の合成ポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組成物、キットおよび投薬量送達装置(delivery dosage devices)も本明細書で提供される。
本発明の別の態様は、カルシウムチャネルを介したカルシウム流入を阻害する方法であって、カルシウムチャネルを本発明の本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)と接触させ、それによって、カルシウムチャネルを介したカルシウム流入を阻害するステップを含む方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、Orai1カルシウムチャネルの発現を低減させる方法であって、カルシウムチャネルOrai1を本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)と接触させ、それによって、Orai1カルシウムチャネルの発現を低減させることを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象において免疫応答を阻害する方法であって、本発明の本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達し、それによって、免疫応答を阻害するステップを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象において炎症を阻害する方法であって、本発明の本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達し、それによって、炎症を阻害するステップを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、それらを必要とする対象において気道におけるカルシウム流入の阻害に応答性の障害を処置または防止する方法であって、治療的または予防的に有効な量の本発明の本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象の気道に送達し、それによって、障害を処置または防止するステップを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、それらを必要とする対象においてカルシウム流入の阻害に応答性の障害を処置または防止する方法であって、治療的または予防的に有効な量の本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達し、それによって、障害を処置または防止するステップを含む方法を提供する。
本発明のこれらおよび他の態様を、以下の本発明の説明でより詳細に記載する。
Orai1の影響を受ける細胞型の概略図である。 Orai1関連シグナル伝達の概略図である。感染の間、SOCEおよびOrai1活性の増大は、Ca2+感受性キナーゼ(例えば、カルシニューリン)のより大きなリン酸化および転写因子(例えば、NFAT)の活性化につながり、炎症促進性反応につながる。ELD607はOrai1に結合し、Orai1を内部移行させ、上流受容体の関与が進行中であるにもかかわらず、SOCEを防止する。 SARS-CoV-2感染(COVID-19)に関連する、Orai1に対するELD607の阻害活性の概略図である。 タプシガルギン添加後の、アラニンスキャンペプチドについてのCa2+レベルの棒グラフである。結果をベースラインに対して標準化した。1μMのタプシガルギン(Tg)を対照として使用した。スキャフォールドペプチド(ELD100)添加後のCa2+放出の阻害を比較のために示す。N=9。*p<0.02。 タプシガルギン添加の際の、保存的突然変異を受けたペプチドについてのCa2+レベルの棒グラフである。結果をベースラインに対して標準化した。1μMのタプシガルギン(Tg)を対照として使用した。ELD100添加後のCa2+放出の阻害を比較のために示す。N=9。*p<0.02。 サイズ最適化されたペプチドについての、タプシガルギン添加の際のCa2+レベルの棒グラフである。結果をベースラインに対して標準化した。1μMのタプシガルギン(Tg)を対照として使用した。ELD100添加後のCa2+放出の阻害を比較のために示す。N=9。*p<0.0001。 サイズ最適化され、かつ安定性のためにキャッピングされたペプチドについての、タプシガルギン添加の際のCa2+レベルの棒グラフである。結果をベースラインに対して標準化した。1μMのタプシガルギン(Tg)を対照として使用した。ELD100添加後のCa2+放出の阻害を比較のために示す。N=9。*p<0.05。 記載されるペプチドで処理されたHEK293T細胞の細胞質Ca2+のグラフである。 好中球エラスターゼ媒介性分解に対するELD604およびELD607による抵抗性のグラフである。ペプチドを経時的にNEに曝露し、シベレスタットの添加によって反応を止めた。次いで、ペプチドの安定性を決定するために、HPLCを行った。時点あたりN=3~4の反復。 600シリーズの化合物対ELD100スキャフォールドについて、エラスターゼの安定性、有効性およびサイズを比較する3Dグラフである。 ELD607がCF痰中で安定であることを示す図である。図11パネルAは、ELD607に対応する約4.5分のピークを示すHPLC分析のグラフを示す。図11パネルBは、それぞれ3人の異なる提供者からプールされたNLおよびCF痰の棒グラフを示す。PBS(対照)と比較して、ELD607をNLおよびCF痰中で6時間37℃でインキュベートし、試料を10kDaスピンカラムを通過させて、反応を停止した。曲線下面積は、それぞれの条件について同様であった。図11パネルCは、PBSまたはCF痰のいずれかの中でインキュベートし、HEK293T細胞に加えたELD607またはELD100のグラフを示す。1時間後に、タプシガルギンを加え、Fluo-4蛍光の変化を測定した。データは、ピークFluo-4応答を示す。対照はタプシガルギン単独の添加である。*p<0.001は対照と異なる。 ELD607が粘液と相互作用しないことを示すグラフである。散逸を用いる水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance with Dissipation)(QCM-D)アッセイを使用して、それぞれ粘液架橋結合および質量の指標として、ヒト気道の散逸および周波数を測定した。ELD607は、これらの特質を変化させなかった。これに対して、ポリ-L-リジン(陽性対照)は粘液に結合し、架橋結合および質量を変化させた。 示されるペプチドについてのQCM-D周波数の要約データの棒グラフを示す。 示されるペプチドについてのQCM-D散逸の要約データの棒グラフを示す。 Orai1のノックダウンが、ELD607がSOCEを阻害するのを妨げることを示す蛍光測定を示すグラフである。HEK293T細胞を抗Orai1 shRNAで48時間トランスフェクトし、Fluo4蛍光の変化を測定した。次いで、細胞をビヒクルまたは10mMのELD607に1時間曝露した。次いで、タプシガルギンを加え、続いて、細胞外Ca2+を加えて、ER Ca2+放出とSOCEを区別した。条件あたりn=8培養。 全体的なCa2+ではなくCa2+流入に基づく、ELD607およびELD100の用量応答曲線のグラフである。384ウェルプレート中でHEK293T細胞を培養した。次いで、細胞をビヒクルまたは10mMのELD607に1時間曝露した。次いで、100nMのタプシガルギンを加え、続いて、細胞外Ca2+を加えて、ER Ca2+放出とSOCEを区別した。データ点あたりn=8~12培養。 緑膿菌のマウスモデルの概略図(左上パネル)である。 図式化されたマウスモデルおよびx軸に記載された条件に従った実験後に定量化された、24時間での全肺におけるBALの単球を示す棒グラフである。 図式化されたマウスモデルおよびx軸に記載された条件に従った実験後に定量化された、24時間での全肺におけるBALの好中球を示す棒グラフである。 図式化されたマウスモデルおよびx軸に記載された条件に従った実験後に定量化された、24時間での全肺における細菌数の棒グラフである。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。ELD607の処理ありまたはなしでの、緑膿菌感染症モデルにおける肺サイトカインレベルの棒グラフ(左、MIP-2/CXCL2;中央、IL-17/CTLA-8;右KC/GROa/CXCL1)を示す。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。ELD607の処理ありまたはなしでの、緑膿菌感染症モデルにおけるさらなる肺サイトカインレベルの棒グラフ(左、IL-1β;中央、TNF-α;右BAL IL-6)を示す。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。示される条件:ナイーブ(左)、緑膿菌感染(中央)または緑膿菌感染およびELD607による処理に従ったマウスからの肺組織像の画像を示す。ガス交換を妨げる肺胞損傷および肥厚を示す、肺の肺胞/ガス交換領域で示されるように、感染において炎症の増大が見られた。ELD607処理は、ナイーブ肺の条件と同様に、肺胞組織像を正常化した。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。ELD607の処置ありまたはなしでの、緑膿菌感染症モデルにおける総気管支肺胞洗浄液(BAL)タンパク質レベル(左)、総BAL好中球エラスターゼレベル(中央)、総乳酸脱水素酵素(LDH)レベル(右)の棒グラフを示す。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。ELD607処理から24時間後の緑膿菌感染マウスの脾臓における細菌数(CFU/ml)の棒グラフを示す。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。感染プロトコールの概略図およびELD607処理から24時間後の緑膿菌感染マウスにおける体重減少%の棒グラフを示す。 さらなる緑膿菌感染実験のデータを示す図である。BAL分析の組織像およびグラフを示す。これらによって、ELD607が、マウスBALのマクロファージにおいてOrai1を低減させることが示唆される。マウスをビヒクルまたは緑膿菌±ELD607に曝露し、BALを得て、抗Orai1抗体、フルオレスセント2°およびDAPIで染色した。図16GパネルAは、示される異なる群からのマクロファージの代表的な画像を示す。図16GパネルBおよびCは、それぞれマクロファージおよび好中球におけるOrai1の蛍光強度を示すプロットを示す。***p<0.001は、示されるように異なる。ND=これらの群では好中球は検出されない。 感染プロトコールの概略図およびELD607処理から48時間後の緑膿菌感染マウスの生存%の棒グラフである。 同じマウスのBALの好中球の棒グラフである。 ELD100(薄い丸)、ELD607(三角形)、未処理(濃い丸;陰性対照)またはペニシリンおよびストレプトマイシン(ダイヤモンド形;陽性対照)の存在下での緑膿菌の増殖のグラフである。抗生物質処理は、増殖を十分に阻害した。ELD607は、抗菌活性を示さなかった。 3つの異なる細菌感染のBAL、肺および脾臓の分析のグラフである。これらによって、ELD607が広く好中球増加を低減させ、肺からの細菌排除を増大させたことが示唆される。マウスに緑膿菌(PA)、黄色ブドウ球菌(Sa)またはインフルエンザ菌を、続いて、ビヒクル(食塩水)またはマウスあたり0.5mg/kgのELD100もしくはELD607を鼻腔内投与した。図19パネルA、FおよびKは総細胞数を示し、図19パネルB、GおよびLはBALのマクロファージを示し、図19パネルC、HおよびMはBALの好中球を示し、図19パネルD、IおよびNは全肺のCFUを示し、図19パネルE、JおよびOは脾臓のCFUを示す。最上列、緑膿菌、中央列、黄色ブドウ球菌、最下列、インフルエンザ菌。*p<0.05はナイーブマウスと異なる;#p<0.05は感染マウスと異なる。 チリダニ(HDM)アレルギーモデル実験の結果の棒グラフである。これは、ELD100およびELD607ありまたはなしで処理したHDM曝露マウスにおける、BALの総細胞数(図20左上パネル)、BALの好酸球(図20右下パネル)、BALの単球(図20左下パネル)およびBALの好中球(図20右上パネル)を示す。 SNCC1Bマウスにおける、BALのマクロファージ(図21パネルA)および好中球(図21パネルB)のグラフである。これにより、ELD607がSNCC1Bマウスにおいて肺の炎症を低減させることが示される。分娩後の1日目から開始して11日間にわたって毎日、SCNN1Bおよび同腹子対照マウスをELD607またはビヒクルに鼻腔内曝露した。ELD607はWTマウスに対して効果がなかったが、SCNN1BマウスにおいてBALの好中球レベルを有意に減少させた。*p<0.05、***p<0.001は、示されるように異なる。 DsRed陽性による感染細胞%の棒グラフである。これによって、ELD607が、ACE2発現HEK293T細胞においてSARS-CoV-2 S1シュードウイルス感染を低減させることが示される。すべて群あたりn=3。*p<0.05は、S1シュードウイルス感染単独と異なる。 DsRed陽性による感染細胞%の棒グラフである。実験は、各棒の下に記載されるさらなるペプチドを用いて、図22と同じように行った。すべて群あたりn=3。*p<0.05は、S1シュードウイルス感染単独と異なる。 ELD607が白血球レベルを正常化し、かつ肺からのウイルス排除を増大させることを示すドットグラフである。10PFUのMHV-A59、続いて、感染から4日後に、ビヒクル(食塩水)またはマウスあたり1.0mg/kgのELD607をマウスに鼻腔内投与した。感染から6日後に、BALおよび肺を収集した。図24パネルAはBALの単球を示し;図24パネルBはBALのマクロファージを示し;図24パネルCは、全肺PFUを示す。*p<0.05はナイーブマウスと異なる;#p<0.05は感染マウスと異なる。 HEK293T細胞研究におけるELD607のデータプロットおよび棒グラフである。図25パネルAは経時的な残存ペプチド%を示し、図25パネルBは相対的阻害を示し、図25パネルCは、相対蛍光単位(RFU)によって、貯蔵部作動性カルシウム侵入(SOCE)を示し、図25パネルDは、OP1の存在下での強度加重調和平均粒径(intensity weight harmonic mean particle size)(Z平均)を示し、図25パネルEは、OP2の存在下でのZ平均を示す。 原形質膜中のOrai1に関する、全反射照明蛍光(TIFR)顕微鏡の画像および関連したデータプロットである。図26パネルAは、0時間および3時間の処理における、ビヒクル、ELD607およびスクランブル化を用いた細胞培養の画像を示す。図26パネルBは、図26パネルAに関連して、相対蛍光単位によって測定したOrai1-YFPを示す。図26パネルCは、ベースライン、タプシガルギン処理およびタプシガルギン+ELD607処理の細胞培養の画像を示す。図26パネルDは、図26パネルCに関連して、NFAT1の活性化レベルを示す。 ARDS BAL試料に関する、データプロットおよび蛍光画像である。図27パネルAは、37℃で8時間後に安定な残存ELD607の%の棒グラフを示す。図27パネルBは、ビヒクル応答%を示す。図27パネルCは、相対蛍光単位あたりの貯蔵部作動性カルシウム侵入(SOCE)スコアを示す。図27パネルDは、ビヒクル、ELD607およびスクランブル化の蛍光画像を示す。図27パネルEは、図27パネルDに関連して、相対蛍光単位あたりのOrai1レベルを示す。 100μMのELD607に24時間曝露したHEK293 T細胞における実験に関する、データプロットおよび蛍光画像である。図28パネルAは、細胞生存性(RFU)の棒グラフを示す。図28パネルBは、ビヒクルおよびELD607の蛍光画像を示す。図28パネルCおよびDは、処理前後のビヒクル対ELD607の任意単位あたりの細胞生存性(左)および経上皮抵抗性(右)を示す。 10mg/kgで7日間にわたって毎日気管内処理したマウスにおいて行った実験に関する、組織像の画像および関連したデータプロットである。図29パネルAは、肺の画像を示す。図29パネルBは、図29パネルAに関連して、肺組織像スコアを示す。図29パネルCは、日単位での経時的なマウスの体重変化%を示す。 0.5mMで1時間気管内処理したマウスで行った実験に関する、組織像の画像および関連したデータプロットである。図30パネルAは、気道内腔および間質における光シート蛍光顕微鏡の画像を示す。図30パネルBおよびCは、BAL(図30パネルB)および血液(図30パネルC)において回収されたELD607の%を示す。 カルシウム流入が約70%低減し、10CFU/マウスの緑膿菌POA1に感染させ、1時間後に0.5mg/kgのELD607で鼻腔内処理したOrai1ヘテロ接合マウスで行った実験に関する棒グラフである。図31パネルAはBalの総細胞/mlを示し;図31パネルBはBALのマクロファージを示し;図31パネルCはBALの好中球を示し;図31パネルDは肺の緑膿菌CFU数/mlを示し;図31パネルEはBALのマクロファージを示し;図31パネルFはBALの好中球を示し;図31パネルGは体重変化%を示し;図31パネルHは肺の緑膿菌CFU数/mlを示す。 感染から24時間後に加えた場合、およびbENaCマウスに慢性的に加えた場合のBALの好中球増加のELD607による低減に関する、データプロットおよび関連した生存プロットである。図32パネルA:マウスに緑膿菌を24時間感染させ;次いで、0.5mg/kgのELD607を気管内に加えた。24時間後にBALを収集して、細胞数を決定した。SCNN1Bマウスに0.5mg/kgのELD607を11日間にわたって毎日与えてから屠殺し、BALを収集した。図32パネルB:bENaCマウスの生存。 チリダニ(HDM)モデルにおけるアレルギー性炎症のELD607による低減に関するデータプロットである。図33パネルAは好酸球%を示し;図33パネルBは好中球%を示し;図33パネルCは、マクロファージ%を示す。マウスをHDMアレルゲンに14日間曝露し、3μgのELD100または2.5のμgのELD607を鼻腔内に2日間滴下注入してから屠殺した。 ARDSモデルにおける炎症のELD607による低減に関する、組織像の画像および関連したデータプロットである。図34パネルAは、LPSまたは6時間のELD607による処理の後の肺組織像を示す。図34パネルB~Dは、図34パネルAに関連して、肺傷害スコア(図34パネルB)、体重減少%(図34パネルC)およびBALの好中球%(図34パネルC)を示す。肺傷害スコアリングシステムは、Aeffner et al.Mouse Models of Acute Respiratory Distress Syndrome:A Review of Analytical Approaches,Pathologic Features,and Common Measurements.2015Tox Patholから引用した。 敗血症モデルにおける炎症のELD607による低減に関するデータプロットである。マウスに大腸菌LPSを腹腔内注射し、続いて、0.5mg/kgのELD607を1時間後に静脈内注射した実験において、図35パネルAは体重減少%を示し、図35パネルBは好中球%を示し、図35パネルCはマクロファージ%を示し、図35パネルDは残存ペプチド%を示す。
次に、本発明の実施形態が示される添付の図面および実施例を参照して、本発明を以下に説明する。この説明は、本発明を実施することができるすべての異なる方法、または本発明に追加することができるすべての特色の詳細なカタログであることを意図するものではない。例えば、一実施形態に関して例示される特色を他の実施形態に組み込むことができ、特定の実施形態に関して例示される特色をその実施形態から削除することができる。したがって、本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の特色または特色の組み合わせを排除または省略することができることを企図する。さらに、本明細書で示唆される様々な実施形態に対する多数の変形および追加は、本開示を考慮すれば、当業者には明白であり、これらは本発明から逸脱しない。したがって、以下の説明は、本発明のいくつかの特定の実施形態を例示することを意図し、それらのすべての順列、組み合わせおよび変形を余すところなく明記することは意図しない。
別段定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の本発明の説明で使用される術語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明の制限を意図するものではない。
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その参考文献が提示されている文および/または段落に関連する教示のために、参照によりその全体が組み込まれる。
文脈上別段示さない限り、本明細書に記載される本発明の様々な特色を任意の組み合わせで使用することができることが特に意図される。さらに、本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の特色または特色の組み合わせを排除または省略することができることも企図する。例示すると、組成物が成分A、BおよびCを含むことが明細書に記載される場合、A、BもしくはCのいずれか、またはこれらの組み合わせを、単独で、または任意の組み合わせで省略または放棄することができることが特に意図される。
本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用する場合、文脈において別段明示されない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数形も含むことが意図される。
また、本明細書で使用する場合、「および/または」は、関連する列挙項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、包含し、さらには、選択肢(「または」)で解釈される場合、組み合わせの欠如も指し、包含する。
本明細書で使用する場合、用語「約」は、測定可能な値、例えば、量または濃度などに言及する場合、特定の値の±10%、±5%、±1%、±0.5%またはさらに±0.1%の変動およびその特定の値を包含することを意図する。例えば、Xが測定可能な値である場合の「約X」は、XおよびXの±10%、±5%、±1%、±0.5%またはさらに±0.1%の変動を含むことを意図する。測定可能な値について本明細書で提供される範囲は、任意の他の範囲および/またはその中の個々の値を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「XとYの間」および「約XとYの間」などのフレーズは、XおよびYを含むと解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、「約XとYの間」などのフレーズは、「約Xと約Yの間」を意味し、「約X~Y」などのフレーズは「約X~約Y」を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、記載される特色、整数、ステップ、操作、要素および/または成分の存在を明記するが、1つまたは複数の他の特色、整数、ステップ、操作、要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を除外しない。
本明細書で使用する場合、移行句「から本質的になる」は、請求項の範囲が、請求項で列挙される特定の材料またはステップ、および主張される発明の基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈されることを意味する。したがって、本発明の請求項で使用される場合、用語「から本質的になる」は、「含む(comprising)」と同等であると解釈されることを意図するものではない。
本発明のペプチド配列に適用される場合、用語「から本質的になる」(および文法的変形形態)は、列挙される配列(例えば、配列番号)と、ペプチドの機能が実質的に変化しないように、列挙される配列のN末端および/またはC末端の合計10個またはそれより少ない(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)付加アミノ酸との両方からなるペプチドを意味する。合計で10個以下の付加アミノ酸は、両端の一緒に付加された付加アミノ酸の総数を含む。本発明のペプチドに適用される場合、用語「実質的に変化した」は、列挙される配列からなるペプチドの活性と比較して少なくとも約50%以上の(例えば、カルシウムチャネルへの)結合活性の増加または減少を指す。
アミノ酸は、IUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される方法で、または(アミノ酸について)、例えば、表6に示すように、両方とも37C.F.R.§1.822および確立された使用法に従う1文字コードもしくは3文字コードのいずれかによって、本明細書で表される。
用語「モジュレートする(modulate)」、「モジュレートする(modulates)」または「モジュレーション」は、特定のレベルまたは活性の増強(例えば、増加)または阻害(例えば、減少)を指す。
用語「増強する」または「増加させる」は、少なくとも約1.25倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍またはさらに15倍の特定のパラメーターの増加を指す。
本明細書で使用する場合、用語「阻害する」または「低減させる」またはそれらの文法的変形は、少なくとも約15%、25%、35%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、95%またはそれを超える特定のレベルまたは活性の減少または縮小を指す。特定の実施形態では、阻害または低減は、検出可能な活性をほとんどまたは本質的にもたらさない(最大でも、わずかな量、例えば、約10%またはさらに5%未満)。
ポリペプチドおよびカルシウムチャネルに関して使用する場合、用語「接触させる」またはそれらの文法的変形は、ポリペプチドおよびカルシウムチャネルを一方が他方に生物学的効果を発揮するように互いに十分に近接させることを指す。いくつかの実施形態では、接触させるという用語は、カルシウムチャネルへのポリペプチドの結合を意味する。
用語「処置する」、「処置すること」または「の処置」は、対象の状態の重症度が低減するかまたは少なくとも部分的に改善されるかまたは緩和されること、および少なくとも1つの臨床症状のいくらかの軽減、鎮静または低下が達成されることが意図される。
用語「防止する」、「防止すること」および「防止」(ならびにそれらの文法的変形)は、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の発症の防止および/もしくは遅延、ならびに/または本発明の方法がない場合に生じるであろうものと比較して、疾患、障害および/もしくは臨床症状の発症の重症度の低減を指す。防止は、完全なもの、例えば、疾患、障害および/または臨床症状が完全にないものであってもよい。防止はまた、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の発生ならびに/または発症の重症度が、本発明がない場合に生じるであろうものより低いような、部分的なものであってもよい。
本明細書で使用する場合、「治療的有効」量または「有効」量は、対象にいくらかの改善または利益をもたらす量である。別の言い方をすれば、「治療的有効」量または「有効量」は、対象において少なくとも1つの臨床症状のいくらかの軽減、鎮静または低下をもたらす量である。効果は、対象にいくらかの利益がもたらされる限り、完全でも治癒的でもある必要はないことを当業者なら理解するであろう。
本明細書で使用する場合、「予防的有効」量は、対象において疾患、障害および/もしくは臨床症状の発症を防止するおよび/もしくは遅延させるのに、ならびに/または本発明の方法がない場合に生じるであろうものと比較して、対象において疾患、障害および/もしくは臨床症状の発症の重症度を低減させるおよび/もしくは遅延させるのに十分である量である。防止のレベルは、いくらかの利益が対象にもたらされる限り、完全である必要はないことを当業者なら理解するであろう。
ペプチドに適用される場合、用語「断片」は、参照のペプチドまたはアミノ酸配列と比較して長さが短く、参照のペプチドもしくはアミノ酸配列と同一の連続するアミノ酸のアミノ酸配列を含む、該アミノ酸配列から本質的になる、および/または該アミノ酸配列からなるアミノ酸配列を意味すると理解される。本発明によるそのようなペプチド断片は、適切な場合は、これが成分である、より大きなポリペプチドに含まれ得る。いくつかの実施形態では、そのような断片は、本発明によるペプチドもしくはアミノ酸配列の少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個もしくはそれを超える連続したアミノ酸の長さを有するペプチドを含み得る、該ペプチドから本質的になり得る、および/または該ペプチドからなり得る。他の実施形態では、そのような断片は、本発明によるペプチドもしくはアミノ酸配列の約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4個未満もしくはそれより少ない連続したアミノ酸の長さを有するペプチドを含み得る、該ペプチドから本質的になり得る、および/または該ペプチドからなり得る。
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、別段指示がない限り、互換的に使用され、ペプチドとタンパク質の両方を包含する。
ポリペプチドの「N末端」は、N末端アミノ酸残基から始まり、最大でポリペプチドの中間点まで続く、ポリペプチドの任意の部分である。
ポリペプチドの「C末端」は、C末端アミノ酸残基から始まり、最大でポリペプチドの中間点まで続く、ポリペプチドの任意の部分である。
本明細書で使用する場合、「機能的」ペプチドまたは「機能的断片」は、通常はそのペプチドと関係がある少なくとも1つの生物活性(例えば、カルシウムチャネルへの結合またはカルシウムチャネルの阻害)を実質的に保持する。特定の実施形態では、「機能的」ペプチドまたは「機能的断片」は、非修飾ペプチドが持つ活性のすべてを実質的に保持する。生物活性を「実質的に保持する」は、ペプチドが、天然のポリペプチドの生物活性の少なくとも約50%、60%、75%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて保持する(および天然のペプチドよりも高いレベルの活性を有することさえできる)ことを意味する。「非機能的」ペプチドは、通常はペプチドと関係がある検出可能な生物活性をほとんどまたは本質的に示さない(例えば、最大でも、ほんのわずかな量、例えば、約10%未満またはさらに5%未満)ものである。タンパク質結合およびカルシウムチャネル阻害活性などの生物活性は、当技術分野で周知である、および本明細書に記載のようなアッセイを使用して、測定することができる。
「融合タンパク質」は、自然界では一緒に融合していることが見出されない2つの(またはそれを超える)異なるポリペプチドをコードする2つの異種ヌクレオチド配列またはそれらの断片が正しい翻訳リーディングフレームで一緒に融合している場合に生成されるポリペプチドである。例示的融合ポリペプチドとしては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質またはレポータータンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、β-グルクロニダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなど)、ヘマグルチニン、c-myc、FLAGエピトープなどのすべてまたは一部への本発明のペプチド(またはその断片)の融合が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド」は互換的に使用され、RNAとDNAの両方、例えば、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、合成(例えば、化学的に合成された)DNAまたはRNAおよびRNAとDNAのキメラを包含する。核酸という用語は、鎖の長さを問わず、ヌクレオチドの鎖を指す。核酸は二本鎖でもよいし、一本鎖でもよい。一本鎖の場合、核酸はセンス鎖でもよいし、アンチセンス鎖でもよい。核酸は、オリゴヌクレオチド類似体または誘導体(例えば、イノシンまたはホスホロチオエートヌクレオチド)を使用して合成することができる。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、塩基対形成能力が変化した、またはヌクレアーゼへの抵抗性が高まった核酸を調製するために、使用することができる。本発明は、本発明の核酸またはヌクレオチド配列の相補体(完全な相補体または部分的な相補体のいずれかであり得る)である核酸をさらに提供する。
「単離されたポリヌクレオチド」は、それが由来する生物の天然に存在するゲノムにおいて、直接隣接しているヌクレオチド配列(5’末端に1つおよび3’末端に1つ)と直接隣接していないヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)である。したがって、一実施形態では、単離された核酸は、コード配列に直接隣接する5’非コード(例えば、プロモーター)配列の一部またはすべてを含む。したがって、本用語は、例えば、ベクター、自律複製プラスミドもしくはウイルスに、もしくは原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれている、または他の配列から独立して、分離した分子(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ処理によって生成されるcDNAもしくはゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAを含む。本用語は、さらなるポリペプチドまたはペプチド配列をコードするハイブリッド核酸の一部である組換えDNAも含む。遺伝子を含む単離されたポリヌクレオチドは、そのような遺伝子を含む染色体の断片ではなく、むしろその遺伝子と関係があるコード領域および制御領域を含むが、その染色体上に天然に見出されるさらなる遺伝子は含まない。
用語「単離された」は、細胞性物質、ウイルス性物質および/もしくは培養培地(組換えDNA法によって生成された場合)、または化学的前駆物質もしくは他の化学物質(化学的に合成された場合)を実質的に含んでいない核酸、ヌクレオチド配列またはポリペプチドを指すことができる。さらに、「単離された断片」は、断片として天然に存在せず、天然の状態では見出されないであろう、核酸、ヌクレオチド配列またはポリペプチドの断片である。「単離された」は、調製物が技術的に純粋(均一)であることを意味しないが、これは、意図された目的のために使用することができる形態でポリペプチドまたは核酸を提供するために十分に純粋である。
単離された細胞は、その天然の状態で通常は関連している他の成分から分離されている細胞を指す。例えば、単離された細胞は、培養培地中の細胞および/または本発明の薬学的に許容可能な担体中の細胞であり得る。したがって、単離された細胞を対象に送達および/または導入することができる。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、対象から取り出され、エクスビボで本明細書に記載のように操作され、次いで、対象に戻される細胞であり得る。
「ベクター」は、細胞中への核酸のクローニングおよび/または移行のための任意の核酸分子である。ベクターは、別のヌクレオチド配列が結合して、結合したヌクレオチド配列の複製を可能にするレプリコンであってもよい。「レプリコン」は、インビボで核酸複製の自律的単位として機能する、すなわち、それ自体の制御下で複製することができる任意の遺伝要素(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルスゲノム)であり得る。用語「ベクター」は、インビトロ、エクスビボおよび/またはインビボで細胞に核酸を導入するためのウイルス核酸分子と非ウイルス核酸分子(例えば、プラスミド)の両方を含む。核酸を操作する、応答エレメントおよびプロモーターを遺伝子中に組み込むなどのために、当技術分野で既知の多数のベクターを使用することができる。例えば、適切なベクター中への応答エレメントおよびプロモーターに対応する核酸断片の挿入は、適した核酸断片を相補的な付着末端を有する選択されたベクター中にライゲーションすることによって達成することができる。あるいは、核酸分子の末端を酵素的に修飾することができ、またはヌクレオチド配列(リンカー)を核酸末端にライゲーションすることによって任意の部位を生成することができる。そのようなベクターを、ベクターを含む細胞および/または細胞ゲノム中にベクターの核酸を組み込んだ細胞の選択を提供する選択マーカーをコードする配列を含むように操作することができる。そのようなマーカーによって、マーカーを組み込み、マーカーにコードされるタンパク質を発現する宿主細胞の同定および/または選択が可能になる。「組換え」ベクターは、1種または複数の異種ヌクレオチド配列(すなわち、導入遺伝子)、例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを超える異種ヌクレオチド配列を含む、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを指す。
ウイルスベクターは、細胞および生きている動物対象において、多種多様の遺伝子送達用途で使用されている。使用することができるウイルスベクターとしては、限定されないが、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルスおよびアデノウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターとしては、プラスミド、リポソーム、荷電脂質(サイトフェクチン(cytofectins))、核酸-タンパク質複合体およびバイオポリマーが挙げられる。目的の核酸に加えて、ベクターは、1種もしくは複数の制御領域ならびに/または核酸移行の結果(特定の組織への送達、発現の持続時間など)の選択、測定およびモニタリングに有用な選択マーカーを含むこともできる。
ベクターは、当技術分野で既知の方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用または核酸ベクタートランスポーターによって、所望の細胞に導入することができる(例えば、Wu et al.,J.Biol.Chem.267:963(1992);Wu et al.,J.Biol.Chem.263:14621(1988);および1990年5月15日に出願されたHartmutら、カナダ特許出願第2,012,311号を参照されたい)。様々な実施形態では、インビボで核酸の送達を容易にするために他の分子、例えば、陽イオン性オリゴペプチド(例えば、WO95/21931)、核酸結合タンパク質に由来するペプチド(例えば、WO96/25508)および/または陽イオン性ポリマー(例えば、WO95/21931)を使用することができる。ベクターをネイキッド核酸としてインビボで導入することも可能である(米国特許第5,693,622号、第5,589,466号および第5,580,859号を参照されたい)。受容体媒介性核酸送達アプローチも使用することができる(Curiel et al.,Hum.Gene Ther.3:147(1992);Wu et al.,J.Biol.Chem.262:4429(1987))。
用語「トランスフェクション」または「形質導入」は、細胞による外来性または異種性の核酸(RNAおよび/またはDNA)の取り込みを意味する。細胞は、外来性または異種性の核酸が細胞の内部に導入されているかまたは送達されている場合に、そのような核酸で「トランスフェクトされている」または「形質導入されている」。細胞は、トランスフェクトまたは形質導入された核酸が、細胞の表現型の変化および/または細胞の活性もしくは機能の変化を与える場合、外来性または異種性の核酸によって「形質転換されている」。形質転換する核酸は、細胞のゲノムを構成する染色体DNA中に組み込まれても(共有結合されても)よいし、安定なプラスミドとして存在してもよい。
ポリヌクレオチドコード配列を「発現する」またはポリヌクレオチドコード配列の「発現」という用語は、その配列が転写され、場合により、翻訳されることを意味する。典型的には、本発明によれば、本発明のコード配列の発現は、本発明のポリペプチドの生成をもたらす。完全な発現ポリペプチドは、精製なしでインタクトな細胞中で機能することもできる。
組成物
本発明は、Orai1カルシウムチャネルに結合し、これを阻害するペプチド模倣薬の設計に関する。Orai1は、Ca2+チャネルであり、かつサイトカイン応答の上流にある、炎症の主要制御因子である(図1)。したがって、Orai1の選択的阻害は免疫調節性であり得る。
全体的なOrai1発現は、薬物標的化の際に潜在的なオフターゲット効果の問題を起こす。Orai1は、免疫細胞においてCa2+の恒常性を調節し、T細胞受容体(TCR)刺激の下流のERカルシウム枯渇を介した小胞体(ER)カルシウムセンサー間質相互作用分子1(STIM1)の活性化が、細胞中へのOrai1依存的カルシウム輸送につながり、次にこれが、カルシニューリン(カルシウムおよびカルモジュリン依存的セリン/スレオニンプロテインホスファターゼ)依存的免疫応答、例えば、インターロイキン(IL)-8、IL-2および腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)を活性化する(図2)。
理論に拘束されることを望むものではないが、ELD607などの本発明の合成ポリペプチドはOrai1を阻害し、それによって、Ca2+依存的炎症を弱めることができることが考えられる。ELD607は、カルシウム流動に依存する免疫応答を刺激するウイルスに対する免疫応答をモジュレートすることもできる。例えば、SARS-CoV-2によって引き起こされる感染症であるCOVID-19は、サイトカインストームを介した感染対象への損傷、肺浸潤、好中球増加および/または肺傷害、例えば、急性呼吸不全症候群(ARDS)を引き起こす。したがって、本発明の合成ポリペプチドによる処置は、肺サイトカインのレベルを低減させ、好中球増加を減少させ、および/または肺損傷を低減させ、その結果、感染の転帰を改善することができる(図3)。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、修飾、例えば、限定されないが、残基の置換、例えば、限定されないが、アラニン置換および/もしくはアルギニン置換、残基の欠失(例えば、C末端、N末端および/もしくは中間の位置、例えば、位置1~4での欠失;特定の位置、例えば、位置16における残基の欠失;ならびに/もしくは特定のアミノ酸残基の欠失、例えば、バリンの欠失);ならびに/またはD-ala残基などの非天然アミノ酸残基を含めた1つもしくは複数の残基の挿入ならびに/もしくは末端の修飾(例えば、C末端アミド化および/もしくはN末端アミド化、C末端アセチル化および/もしくはN末端アセチル化など)を含むことができる。これらの修飾は、単一の修飾でもよいし、修飾の任意の組み合わせ、例えば、任意の組み合わせでの少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、またはそれ以上の修飾でもよい。
本明細書に開示されるもの以外のアミノ酸置換は、表6に従って、DNA配列(またはRNA配列)のコドンを変えることによって達成することができる。あるいは、アミノ酸は、修飾アミノ酸残基(非限定例を表7に示す)でもよいし、翻訳後修飾(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化または硫酸化)によって修飾されたアミノ酸であってもよい。さらに、非天然アミノ酸は、Wang et al.,(2006)Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.35:225-49によって記載されているような「非天然」アミノ酸であってもよい。
本発明の一態様は、番号付けがShort Palate Lung and Nasal Epithelial Clone 1(SPLUNC1)タンパク質のα6ヘリックスペプチドの参照アミノ酸配列に基づき、14R置換;位置1~4の残基の欠失;位置16の残基の欠失;バリン残基の欠失;および/またはD-ala残基の挿入のアミノ酸修飾の1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ)を含む、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合する合成ポリペプチドを提供する。
本発明の別の態様は、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応し、14R置換;位置1~4の残基の欠失;位置16の残基の欠失;バリン残基の欠失;および/またはD-ala残基の挿入のアミノ酸修飾の1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ)を含む、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合する合成ポリペプチドを提供する。
配列番号1.ELD100ペプチド
DITLVHDIVNMLIHGL
SPLUNC1タンパク質は、任意の生物、例えば、哺乳動物のSPLUNC1タンパク質であり得る。本明細書で使用する場合、用語「哺乳動物」は、限定されないが、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類(例えば、サルおよびヒヒ)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスターなど)などを含む。いくつかの実施形態では、SPLUNC1タンパク質は、マウスのもの、すなわち、マウスSPLUNCタンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、SPLUNC1タンパク質はヒトSPLUNC1である。
ヒトSPLUNC1のアミノ酸配列を以下に開示する。
配列番号2.ヒトSPLUNC1
10 20 30 40 50 60
MFQTGGLIVF YGLLAQTMAQ FGGLPVPLDQ TLPLNVNPAL PLSPTGLAGS LTNALSNGLL
70 80 90 100 110 120
SGGLLGILEN LPLLDILKPG GGTSGGLLGG LLGKVTSVIP GLNNIIDIKV TDPQLLELGL
130 140 150 160 170 180
VQSPDGHRLY VTIPLGIKLQ VNTPLVGASL LRLAVKLDIT AEILAVRDKQ ERIHLVLGDC
190 200 210 220 230 240
THSPGSLQIS LLDGLGPLPI QGLLDSLTGI LNKVLPELVQ GNVCPLVNEV LRGLDITLVH
250
DIVNMLIHGL QFVIKV
ある特定の実施形態では、合成ポリペプチドは、SPLUNC1タンパク質のOrai1カルシウムチャネル結合ドメインを模倣する。カルシウムチャネル結合ドメインは、カルシウムチャネルに対して全長SPLUNC1タンパク質と実質的に同じ結合活性を有するのに必要とされる最小の断片である。用語「実質的に同じ結合活性」は、全長タンパク質の結合活性の少なくとも約50%、例えば、結合活性の少なくとも約60%、70%、80%または90%の活性を指す。いくつかの実施形態では、ペプチドは、全長SPLUNC1タンパク質と少なくとも同じ結合活性を有する。
合成ポリペプチドの長さは、それがポリペプチドの生物活性(例えば、カルシウムチャネル結合活性)を実質的に保持する限り、重要ではない。いくつかの実施形態では、合成ポリペプチドは、SPLUNC1タンパク質の約30、25、20、15、12、10または8個以下の連続するアミノ酸、またはそれに少なくとも70%の配列同一性、例えば、それに少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、断片は、約5~約30アミノ酸、約5~約25アミノ酸、約5~約20アミノ酸、約10~約30アミノ酸、約10~約25アミノ酸、約10~約20アミノ酸、約15~約30アミノ酸、約15~約25アミノ酸または約15~約20アミノ酸である。いくつかの実施形態では、合成ポリペプチドは、約16アミノ酸残基またはそれより少ない長さ、例えば、約16、15、14、13、12、11、10、9または8アミノ酸残基またはそれより少ない長さであってもよい。
ある特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、分解からポリペプチドを保護するために、少なくとも1つの修飾された末端を含むことができる。いくつかの実施形態では、合成ポリペプチドは、プロテアーゼ、例えば、肺組織で見出される内在性の哺乳動物プロテアーゼによる切断に対して抵抗性であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、限定されないが、エラスターゼおよび/またはトリプシンによる切断に対して抵抗性であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合し、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応する、位置1~4のDITL残基の欠失およびL16欠失のアミノ酸修飾を含むポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含み得る、配列番号3のアミノ酸配列から本質的になり得る、または、配列番号3のアミノ酸配列からなり得る。
配列番号3.ELD302
VHDIVNMLIHG
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合し、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応する、位置1~4のDITL残基の欠失;L16欠失;V5欠失;およびV9欠失のアミノ酸修飾を含むポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含み得る、配列番号4のアミノ酸配列から本質的になり得る、または配列番号4のアミノ酸配列からなり得る。
配列番号4.ELD601
HDINMLIHG
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合し、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応する、位置1~4のDITL残基の欠失;L16欠失;C末端アミド化;およびN末端アミド化のアミノ酸修飾を含むポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含み得る、配列番号5のアミノ酸配列から本質的になり得る、または配列番号5のアミノ酸配列からなり得る。
配列番号5.ELD621
n-VHDIVNMLIHG-n
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合し、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応する、位置1~4のDITL残基の欠失;L16欠失;V5欠失;G15欠失;C末端D-ala挿入;およびN末端D-ala挿入のアミノ酸修飾を含むポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含み得る、配列番号6のアミノ酸配列から本質的になり得る、または配列番号6のアミノ酸配列からなり得る。
配列番号6.ELD604
a-HDIVNMLIH-a
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合し、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応する、H14R置換、C末端アミド化およびN末端アミド化のアミノ酸修飾を含むポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含み得る、配列番号7のアミノ酸配列から本質的になり得る、または配列番号7のアミノ酸配列からなり得る。
配列番号7.ELD142
DITLVHDIVNMLIRGL-NH
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合し、番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応する、H14R置換;位置1~4のDITL残基の欠失;およびL16欠失のアミノ酸修飾を含むポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列を含み得る、配列番号8のアミノ酸配列から本質的になり得る、または配列番号8のアミノ酸配列からなり得る。
配列番号8.ELD607
VHDIVNMLIRG
これらの例は限定されることを意図するものではなく、かつOrai1原形質膜Ca2+チャネルに結合する合成ポリペプチドにおいて、上に記載された修飾のいずれかを上で言及された修飾の任意の他のものと組み合わせることができることが理解されよう。
同様に、本発明は、本発明の合成ポリペプチドを含む融合ポリペプチド(およびそれをコードする核酸分子)も包含することを当業者なら理解するであろう。例えば、市販の抗体(例えば、FLAGモチーフ)によって認識され得る融合タンパク質として、または別の方法(例えば、ポリ-Hisテールの付加による)で容易に精製され得る融合タンパク質として、合成ポリペプチドを発現することは有用であり得る。さらに、合成ポリペプチドの安定性を増強する融合タンパク質、例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼを含む融合タンパク質を生成することができる。別の代替物として、融合タンパク質は、レポーター分子を含むことができる。他の実施形態では、融合タンパク質は、本発明の合成ポリペプチドの活性と同じまたは異なる機能または活性、例えば、標的化、結合または酵素活性もしくは機能を提供するポリペプチドを含むことができる。
本発明は、本発明の合成ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をさらに提供する。いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子はcDNA分子であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子はmRNA分子であり得る。遺伝暗号の縮重により、本発明のポリペプチド(およびその断片)をコードする核酸分子に変動性があり得ることが当業者に理解されるであろう。異なる核酸配列が同じポリペプチドをコードすることを可能にする遺伝暗号の縮重は、文献で周知である(例えば、表6を参照されたい)。
当該技術分野において既知であるように、核酸分子またはポリペプチドが既知の配列に対して配列同一性または類似性を有するかどうかを確認するために、いくつかの異なるプログラムをするのに使用することができる。配列同一性または類似性は、当技術分野で既知の標準的な技法、例えば、限定されないが、好ましくはデフォルト設定を使用して、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の配列同一性アライメントアルゴリズムによるもの、Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法によるもの、コンピュータによるこれらのアルゴリズムの実行によるもの(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、Devereux et al.,Nucl.Acid Res.12:387(1984)によって記載されたBest Fit配列プログラムを使用して、または目視によって、決定することができる。
有用なアルゴリズムの例はPILEUPである。PILEUPは、プログレッシブペアワイズアライメントを使用して、一群の関連した配列から複数の配列アラインメントを作出する。アライメントを作出するために、クラスタリング関係を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35:351(1987)のプログレッシブアライメント方法を単純化したものを使用し;この方法は、Higgins & Sharp,CABIOS 5:151(1989)によって記載されたものと類似している。
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403(1990)およびKarlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873(1993)に記載されているBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al.,Meth.Enzymol.,266:460(1996);blast.wustl/edu/blast/README.htmlから得られたWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2は、好ましくはデフォルト値に設定されているいくつかの検索パラメーターを使用する。パラメーターは動的値であり、特定の配列の組成および目的の配列が検索される特定のデータベースの組成に応じてプログラムそれ自体によって確立されるが;値は、感度を高めるように調整することができる。さらなる有用なアルゴリズムは、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389(1997)によって報告されているギャップBLASTである。
アミノ酸配列同一性パーセンテージ値は、一致する同一残基の数を整列領域中の「より長い」配列の残基の総数で割ることによって決定される。「より長い」配列は、整列領域中に最も多くの実際の残基を有するものである(アライメントスコアを最大にするためにWU-Blast-2によって導入されたギャップは無視する)。
同様に、本明細書に開示されるポリペプチドのコード配列に関する核酸配列同一性パーセントは、本明細書に具体的に開示されるポリヌクレオチド中のヌクレオチドと同一である、候補配列中のヌクレオチド残基のパーセンテージと定義される。
アライメントは、整列させる配列中にギャップの導入を含むことができる。さらに、本明細書に具体的に開示されるポリペプチドよりも多いまたは少ないアミノ酸を含む配列について、一実施形態では、配列同一性のパーセンテージは、アミノ酸の総数に対する同一のアミノ酸の数に基づいて決定されることが理解されよう。したがって、例えば、本明細書に具体的に開示される配列よりも短い配列の配列同一性は、一実施形態では、より短い配列中のアミノ酸の数を使用して決定される。同一性パーセントの計算では、配列変異、例えば、挿入、欠失、置換などの様々な出現に対して相対的重みは割り当てられない。
一実施形態では、同一性のみが正(+1)にスコア化され、ギャップを含めた配列変異のすべての形態が「0」の値に割り当てられ、これにより、配列類似性の計算について以下に記載される重み付けされたスケールまたはパラメーターの必要性が取り除かれる。配列同一性パーセントは、例えば、一致する同一残基の数を整列領域中の「より短い」配列の残基の総数で割り、100を掛けることによって、計算することができる。「より長い」配列は、整列領域中に最も多くの実際の残基を有するものである。
本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸分子は、典型的には、適した発現制御配列、例えば、転写/翻訳制御シグナルおよびポリアデニル化シグナルと結合していることを当業者なら理解するであろう。
所望のレベルおよび組織特異的発現に応じて様々なプロモーター/エンハンサー要素を使用することができることが、さらに認識されるであろう。プロモーターは、所望の発現パターンに応じて、構成的でもよいし、誘導性でもよい。プロモーターは、天然でもよいし、外来性でもよく、かつ天然配列でもよいし、合成配列でもよい。外来性は、転写開始領域が、転写開始領域が導入される野生型宿主中に見出されないことが意図される。プロモーターは、目的の標的細胞で機能するように選択される。
例示すると、ポリペプチドコード配列をサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーター、アルブミンプロモーター、伸長因子1-α(EF1-α)プロモーター、PγKプロモーター、MFGプロモーターまたはラウス肉腫ウイルスプロモーターと作動可能に結合させることができる。
誘導性プロモーター/エンハンサー要素としては、ホルモン誘導性および金属誘導性要素ならびに外来的に供給された化合物によって調節される他のプロモーター、例えば、限定されないが、亜鉛誘導性メタロチオネイン(MT)プロモーター;デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター;T7ポリメラーゼプロモーターシステム(WO98/10088を参照されたい);エクジソン昆虫プロモーター(No et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:3346(1996));テトラサイクリン抑制性システム(Gossen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547(1992));テトラサイクリン誘導性システム(Gossen et al.,Science 268:1766(1995);Harvey et al.,Curr.Opin.Chem.Biol.2:512(1998)も参照されたい);RU486誘導性システム(Wang et al.,Nat.Biotech.15:239(1997);Wang et al.,Gene Ther.,4:432(1997));およびラパマイシン誘導性システム(Magari et al.,J.Clin.Invest.100:2865(1997))が挙げられる。
さらに、特定の開始シグナルが、挿入されたポリペプチドコード配列の効率的な翻訳のために一般に必要とされる。ATG開始コドンおよび隣接する配列を含むことができるこれらの翻訳制御配列は、天然と合成の両方の様々な起源のものであり得る。
本発明は、本発明の単離された核酸分子および/もしくは合成ポリペプチドまたはこれらを含むベクターを含む細胞をさらに提供する。細胞は、例えば、治療方法、診断方法、スクリーニング方法、Orai1カルシウムチャネルの生物学的作用を研究するための方法、合成ポリペプチドを生成する方法、または本発明の核酸分子を維持もしくは増幅する方法などで使用するための、培養細胞でもよいし、インビボの細胞でもよい。別の実施形態では、細胞は、対象から単離されたエクスビボの細胞である。診断目的または治療目的のために、エクスビボの細胞を改変し、次いで、対象に再導入することができる。いくつかの実施形態では、細胞は非形質転換気道平滑筋細胞でもよいし、気道平滑筋細胞株由来の細胞でもよい。
ヒト対象としては、新生児、乳児、児童および成人が挙げられる。場合により、対象は、例えば、対象が、障害、例えば、本明細書に記載のものもしくは本明細書に記載のものを含めた合成ポリペプチドの送達の利益を享受するであろうものを有するか、または該障害の危険性があると考えられることが理由で、本発明の方法「を必要として」いる。さらなる選択肢として、対象は、実験動物および/または疾患の動物モデルでもよい。
本発明の単離された核酸分子を含む、ベクター、プラスミドまたは他の核酸コンストラクトも提供される。
ベクターは、ポリヌクレオチドを細胞に送達するための任意の適切な手段であり得る。本発明のベクターは、当技術分野で周知であるように、ベクターが導入される細胞における核酸の発現に必要とされる遺伝成分のすべてを含む発現ベクターであり得る。例えば、発現ベクターは、5’から3’の方向で、プロモーター、プロモーターと作動可能に結合したポリペプチドをコードするコード配列、ならびに場合により、RNAポリメラーゼのための終止シグナルおよびポリアデニラーゼのためのポリアデニル化シグナルを含めた終結配列を含む「発現カセット」を典型的には含むことができる。
本発明のプロモーターの非限定例としては、CYC1、HIS3、GAL1、GAL4、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPIおよびアルカリホスファターゼプロモーター(サッカロミセス(Saccharomyces)における発現に有用である);AOX1プロモーター(ピキア(Pichia)における発現で有用である);β-ラクタマーゼ、lac、ara、tet、trp、IP、IP、T7、tacおよびtrcプロモーター(大腸菌(Escherichia coli)における発現で有用である);光調節性、種子特異的、花粉特異的、子房特異的、感染特異的または病気関連プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス35S、CMV35Sミニマル、キャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)、クロロフィルa/b結合タンパク質、リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ、シュート特異的プロモーター、根特異的プロモーター、キチナーゼ、ストレス誘導性プロモーター、イネツングロ病ウイルス、植物スーパープロモーター、ジャガイモロイシンアミノペプチダーゼ、硝酸還元酵素、マンノピン合成酵素、ノパリン合成酵素、ユビキチン、ゼインタンパク質およびアントシアニンプロモーター(植物細胞における発現で有用である)が挙げられる。当技術分野で既知の動物および哺乳動物プロモーターのさらなる例としては、限定されないが、SV40初期(SV40e)プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3’ロングターミナルリピート(LTR)に含まれるプロモーター、アデノウイルス(Ad)のE1Aまたは主要後期プロモーター(MLP)遺伝子のプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、バキュロウイルスIE1プロモーター、伸長因子1アルファ(EF1)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチン(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーターおよび転写制御領域の調節配列、遍在性のプロモーター(HPRT、ビメンチン、α-アクチン、チューブリンなど)、中間径フィラメント(デスミン、神経フィラメント、ケラチン、GFAPなど)のプロモーター、治療的遺伝子(MDR、CFTRまたは第VIII因子型など)のプロモーター、病因および/または疾患関連プロモーターならびに組織特異性を示すプロモーター、例えば、膵腺房細胞で活性があるエラスターゼI遺伝子制御領域;膵ベータ細胞で活性があるインスリン遺伝子制御領域、リンパ球細胞で活性がある免疫グロブリン遺伝子制御領域、精巣、乳房、リンパ球および肥満細胞で活性があるマウス乳癌ウイルス制御領域;肝臓で活性があるアルブミン遺伝子プロモーター、Apo AIおよびApo AII制御領域、肝臓で活性があるアルファ-フェトプロテイン遺伝子制御領域、肝臓で活性があるアルファ1-抗トリプシン遺伝子制御領域、骨髄系細胞で活性があるベータ-グロビン遺伝子制御領域、脳のオリゴデンドロサイト細胞で活性があるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域、骨格筋で活性があるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域ならびに視床下部で活性がある性腺刺激放出ホルモン(gonadotropic releasing hormone)遺伝子制御領域、ピルビン酸キナーゼプロモーター、ビリンプロモーター、脂肪酸結合腸タンパク質のプロモーター、平滑筋細胞α-アクチンのプロモーターなどが挙げられる。さらに、本発明のこれらの発現配列のいずれもエンハンサーおよび/または調節配列などの付加によって改変することができる。
本発明の実施形態で使用することができるエンハンサーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、伸長因子I(EF1)エンハンサー、酵母エンハンサー、ウイルス遺伝子エンハンサーなど。
終結制御領域、すなわち、ターミネーターまたはポリアデニル化配列は、好ましい宿主に固有の様々な遺伝子に由来し得る。本発明のいくつかの実施形態では、終結制御領域は、合成配列、合成ポリアデニル化シグナル、SV40後期ポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル、ウイルスターミネーター配列などを含むことができるか、またはこれらに由来し得る。
ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを細胞または対象に送達するために任意の適切なベクターを使用することができることが、当業者には明白である。ベクターをインビボで細胞に送達することができる。他の実施形態では、ベクターをエクスビボ細胞に送達することができ、次いで、ベクターを含む細胞を対象に送達する。送達ベクターの選択は、標的宿主の年齢および種、インビトロ対インビボ送達、所望の発現のレベルおよび持続、意図された目的(例えば、療法またはスクリーニングのため)、標的細胞または器官、送達の経路、単離されたポリヌクレオチドのサイズ、安全性への懸念などを含めた当技術分野で既知のいくつかの因子に基づいて行うことができる。
ベクターは、市販の発現ベクターでもよく、または標準的な分子生物学プロトコールに従って、研究室で構築することができる。ベクターは、限定されないが、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、アルファウイルスおよび/またはアデノ随伴ウイルスの核酸を含めて、ウイルス核酸を含むことができる。本発明の核酸分子またはベクターはまた、リポソームまたは送達ビヒクル中にあってもよく、これらは、受容体媒介性または他のタイプのエンドサイトーシスを介して細胞に取り込まれ得る。本発明の核酸分子は、細胞中にあってもよく、細胞は、核酸を発現し、それによって、細胞(例えば、宿主細胞)中で本発明の合成ポリヌクレオチドが生成される細胞であってもよい。さらに、本発明のベクターは、細胞中にあってもよく、細胞は、ベクターの核酸を発現し、それによって、細胞中で本発明の合成ポリヌクレオチドが生成される細胞であってもよい。本発明の核酸分子および/またはベクターが、宿主生物(例えば、トランスジェニック生物)中に存在することができ、宿主生物が本発明の核酸を発現し、本発明の合成ポリヌクレオチドを生成することも意図される。適切なベクターとしては、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アルファウイルス;ワクシニアウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび他のパルボウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルスまたは単純ヘルペスウイルス)、脂質ベクター、ポリ-リジンベクター、合成ポリアミノポリマーベクターなどが挙げられる。当技術分野で既知の任意のウイルスベクターを本発明で使用することができる。組換えウイルスベクターの生成および核酸送達のためのウイルスベクターの使用のためのプロトコールは、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Green Publishing Associates,Inc.およびJohn Wiley & Sons,Inc.,New York)ならびに他の標準的な実験マニュアル(例えば、Vectors for Gene Therapy.In:Current Protocols in Human Genetics.John Wiley and Sons,Inc.:1997)で見出すことができる。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、細菌ベクター、発現カセット、形質転換細胞またはナノ粒子である。
非ウイルス性の移行方法も用いることができる。核酸移行の多くの非ウイルス性方法は、巨大分子の取り込みおよび細胞内輸送のために哺乳動物細胞が使用する通常の機構に依拠する。特定の実施形態では、非ウイルス性核酸送達システムは、標的細胞による核酸分子の取り込みのためのエンドサイトーシス経路に依拠する。このタイプの例示的核酸送達システムとしては、リポソーム由来のシステム、ポリ-リジンコンジュゲートおよび人工ウイルス外被が挙げられる。
いくつかの実施形態では、プラスミドベクターが本発明の実施で使用される。例えば、ネイキッドプラスミドを組織への注射によって筋細胞に導入することができる。陽性細胞の数は典型的には低いが、発現は何か月にも及ぶ可能性がある(Wolff et al.,Science 247:247(1989))。カチオン性脂質は、培養中のいくつかの細胞への核酸の導入に役立つことが示されている(Felgner and Ringold,Nature 337:387(1989))。マウスの循環中へのカチオン性脂質プラスミドDNA複合体の注射は、肺でDNAの発現をもたらすことが示されている(Brigham et al.,Am.J.Med.Sci.298:278(1989))。プラスミドDNAの1つの利点は、非複製細胞中に導入することができることである。
代表的な実施形態では、核酸分子(例えば、プラスミド)を表面に正電荷を帯びた脂質粒子中に封入することができ、場合により、標的組織の細胞表面抗原に対する抗体でタグをつけることができる(Mizuno et al.,No Shinkei Geka 20:547(1992);PCT公開第WO91/06309号;日本特許出願第1047381号;および欧州特許公開第EP-A-43075号)。
両親媒性陽イオン分子からなるリポソームは、インビトロおよびインビボでの核酸送達のための非ウイルスベクターとして有用である(Crystal,Science 270:404(1995);Blaese et al.,Cancer Gene Ther.2:291(1995);Behr et al.,Bioconjugate Chem.5:382(1994);Remy et al.,Bioconjugate Chem.5:647(1994);およびGao et al.,Gene Therapy 2:710(1995)で概説される)。正に荷電したリポソームは、と静電気的相互作用を介して負に荷電した核酸複合化して、脂質:核酸複合体を形成すると考えられている。脂質:核酸複合体は、核酸トランスファーベクターとしていくつかの利点を有する。ウイルスベクターと異なって、脂質:核酸複合体は、本質的に無制限のサイズの発現カセットを移行させるために使用することができる。この複合体はタンパク質を欠くので、わずかな免疫原性反応および炎症反応しか誘起しない可能性がある。さらに、これは、複製または再結合して感染因子を形成することはできず、かつ低い組み込み頻度を有する。いくつかの刊行物によって、両親媒性カチオン性脂質がインビボおよびインビトロで核酸送達を媒介することができることが示されている(Felgner et al.,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 84:7413(1987);Loeffler et al.,Meth.Enzymol.217:599(1993);Felgner et al.,J.Biol.Chem.269:2550(1994))。
ウイルスベクターは、細胞および生きている動物対象において、多種多様の遺伝子送達用途で使用されている。使用することができるウイルスベクターとしては、限定されないが、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、アデノウイルス、ジェミニウイルスおよびカリモウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターとしては、プラスミド、リポソーム、荷電脂質(サイトフェクチン)、核酸-タンパク質複合体およびバイオポリマーが挙げられる。目的の核酸に加えて、ベクターは、1種もしくは複数の制御領域ならびに/または核酸移行の結果(特定の組織への送達、発現の持続時間など)の選択、測定およびモニタリングに有用な選択マーカーを含むこともできる。
上述の調節制御配列に加えて、組換え発現ベクターは、さらなるヌクレオチド配列を含むことができる。例えば、組換え発現ベクターは、ベクターを組み込んだ宿主細胞を特定するために、選択マーカー遺伝子をコードすることができる。
従来の形質転換またはトランスフェクション技法によって、原核または真核細胞にベクターDNAを導入することができる。本明細書で使用する場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、DNA装填リポソーム、リポフェクタミン-DNA複合体、細胞超音波処理、高速マイクロプロジェクタイルを使用した遺伝子ボンバードメントおよびウイルス媒介性トランスフェクションを含めて、外来性核酸(例えば、DNAおよびRNA)を宿主細胞に導入するための当技術分野で認識される様々な技法を指す。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd Ed.(Cold Spring Harbor,NY,1989)および他の実験マニュアルに見出すことができる。
安定な組み込みが所望される場合、細胞(特に、哺乳動物細胞)のごく一部のみが外来DNAをそのゲノムに組み込むことが多い。組み込み体を特定および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対して抵抗性)をコードする核酸を目的の核酸とともに宿主細胞に導入することができる。好ましい選択マーカーとしては、薬物に対する抵抗性を与えるもの、例えば、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートが挙げられる。選択マーカーをコードする核酸は、目的の核酸を含むものと同じベクターで宿主細胞に導入することができ、または別々のベクターで導入することができる。導入核酸で安定的にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって特定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子が組み込まれた細胞は生存するが、他の細胞は死ぬ)。
本発明のさらなる態様は、本発明の合成ポリペプチドおよび担体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は本発明の合成ポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。
「薬学的に許容可能な」は、有毒でもなく、その他の点でも望ましくないものでない材料、すなわち、いかなる望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく対象に投与することができる材料を意味する。注射については、担体は、典型的には液体である。他の投与方法(例えば、限定されないが、(例えば、鼻腔内投与、口腔内投与および/または吸入による)対象の粘膜への投与など)については、担体は、固体または液体のいずれかであり得る。吸入投与については、担体は呼吸に適し、好ましくは、固体または液体の粒子形態である。製剤は、好都合には、単位剤形で調製することができ、かつ当技術分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な担体は、無菌の溶液または組成物であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の合成ポリペプチド、核酸分子、ベクターおよび/または組成物、薬学的に許容可能な担体、ならびに場合により、他の医薬剤、治療剤、医薬品、安定化剤、緩衝剤、担体、アジュバント、希釈剤、など(これらは、単独で、または任意の組み合わせおよび/もしくは比率で、組成物に含めることができる)を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、限定されないが、デキサメタゾン、レムデシビル、エレクサカフトル、イバカフトル、ルマカフトル、テザカフトル、イブプロフェン、アセビルスタット(acebilustat)、レナバスム、レボフロキサシン、ピペラシリン-タキソバクタム、バンコマイシン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、セファレキシン、ドキシサイクリン塩酸塩およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される治療剤をさらに含むことができる。
本発明の合成ポリペプチド、核酸分子、ベクターおよび/または組成物を含む免疫原性組成物は、当技術分野で既知の任意の手段によって製剤化することができる。そのような組成物は、典型的には、液体の溶液または懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製される。注射前の液体への溶解または懸濁に適した固体形態も調製することもできる。凍結乾燥調製物も適切である。活性な免疫原性成分は、薬学的に許容可能であるおよび/または活性成分に適合する賦形剤および/または担体と混合されることが多い。適切な賦形剤としては、限定されないが、滅菌水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組み合わせ、ならびに安定化剤、例えば、HSAまたは他の適切なタンパク質および還元糖が挙げられる。さらに、必要に応じて、免疫原性組成物は、少量の補助物質、例えば、湿潤および/または乳化剤、pH緩衝剤ならびに/またはワクチンもしくは免疫原性組成物の有効性を増強するアジュバントを含むことができる。
本発明の医薬組成物を含む投薬量送達装置(dosage delivery device)がさらに本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、投薬量送達装置は、例えば、経口および/または経鼻吸入などによる、対象の気道への組成物の送達のための吸入器である。
本発明の別の態様は、本発明の合成ポリペプチド、核酸分子、ベクター、細胞および/または組成物を含み、本発明の方法を実施するのに有用なキットに関する。キットは、方法を実施するためのさらなる試薬(例えば、緩衝液、容器、さらなる治療剤)および指示書をさらに含むことができる。
方法
本発明の方法は、合成ポリペプチドがOrai1カルシウムチャネル、例えばヒトOrai1カルシウムチャネルに結合する能力に関する。
したがって、本発明の一態様は、カルシウムチャネルを介したカルシウム流入を阻害する方法であって、カルシウムチャネルを本発明の合成ポリペプチドまたは医薬組成物と接触させ、それによって、カルシウムチャネルを介したカルシウム流入を阻害することを含む方法を提供する。
カルシウムチャネル活性の阻害は、限定されないが、膜を横切る、細胞を横切る、または天然もしくは人工の内層を横切るカルシウム流動または電位の変化を測定することを含めて、当技術分野で既知であるかまたは本明細書に開示される任意の方法によって、測定することができる。阻害は、少なくとも約20%、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%であり得る。
本発明の別の態様は、気道平滑筋収縮を阻害する方法であって、気道を本発明のポリペプチドと接触させ、それによって、気道平滑筋収縮を阻害することを含む方法に関する。平滑筋収縮の阻害は、当技術分野で既知であるかまたは本明細書に開示される任意の技法によって測定することができる。収縮の阻害は、本発明のポリペプチドとの接触がない場合の収縮のレベルと比較して測定される。いくつかの実施形態では、収縮は、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれを超えて阻害される。
本発明の別の態様は、気道過敏性を阻害する方法であって、気道を本発明のポリペプチドと接触させ、それによって、気道過敏性を阻害することを含む方法に関する。気道反応性は、当技術分野で既知であるかまたは本明細書に開示される任意の技法によって測定することができる。過敏性の阻害は、本発明のポリペプチドとの接触がない場合の反応性のレベルと比較して測定される。本明細書で使用する場合、「過敏性」は、正常な気道の反応性のレベルと比較した、カルシウムに対する気道の反応性の増大を指す。いくつかの実施形態では、過敏性は、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれを超えて阻害される。
本発明の別の態様は、Orai1カルシウムチャネルの発現を低減させる方法であって、カルシウムチャネルOrai1を本発明の合成ポリペプチドまたは医薬組成物と接触させることを含む方法を提供する。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の合成ポリペプチドは、例えば細胞中でOrai1を内部移行させ、分解させるアロステリーをOrai1で誘導することができる。
本発明の方法は、例えば、単離されたOrai1カルシウムチャネル、人工膜中のOrai1カルシウムチャネル、または細胞中のOrai1カルシウムチャネルに対して実施することができる。一実施形態では、カルシウムチャネルは単離された細胞、例えば、培養された一次細胞または細胞株中に存在する。ある特定の実施形態では、細胞は、気道平滑筋細胞、例えば、気道平滑筋細胞培養物の一部である。別の実施形態では、単離された細胞は、上皮細胞培養物の一部、例えば、天然または人工の上皮内層、例えば、イオン流動および/または電位などの特徴を、内層を横切って測定することができる装置(ウッシングチャンバーなど)中の細胞培養物である。別の実施形態では、単離された細胞は、免疫系細胞、例えば、白血球、リンパ球、T細胞、肥満細胞、マクロファージなどである。別の実施形態では、単離された細胞は癌細胞である。別の実施形態では、細胞は、単離された組織または組織培養物の一部である。さらなる実施形態では、細胞は、動物、例えば、疾患モデルである動物、または処置を必要としている対象中に存在することができる。
いくつかの実施形態では、動物内でカルシウムチャネルを合成ポリペプチドと接触させることは、動物の肺においてのみカルシウム流入を阻害する(例えば、全体的なCa2+を低減させない)。いくつかの実施形態では、動物は疾患モデル、例えば、マウスの疾患モデルである。
いくつかの実施形態では、カルシウムチャネルを合成ポリペプチドと接触させることは、合成ポリペプチドを、カルシウムチャネルを含む細胞に送達することを含む。
いくつかの実施形態では、カルシウムチャネルを合成ポリペプチドと接触させることは、合成ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、カルシウムチャネルを含む細胞に送達することを含む。
いくつかの実施形態では、カルシウムチャネルを合成ポリペプチドと接触させることは、合成ポリペプチドを肺に直接送達すること(例えば、場合により、鼻腔内、気管内、吸入および/または肺内投与によって、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を肺に直接投与すること)を含む。
いくつかの実施形態では、カルシウムチャネルを合成ポリペプチドと接触させることは、合成ポリペプチドを、場合により全身的に、場合により静脈内投与によって、標的器官系に送達すること、(例えば、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物を標的器官系に投与すること)を含む。
本発明で企図される標的器官系は、本発明の組成物および方法が利益をもたらすことができる任意の哺乳動物器官系であり得る。標的器官系の非限定例としては、神経系(例えば、PNS、CNS)、筋肉系、呼吸器系(例えば肺、例えば気道)、生殖器系、リンパ系、腎臓系、消化器系、全身的、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、標的器官系は肺(例えば、気道)である。いくつかの実施形態では、標的器官系は生物(例えば、全身的)である。
本発明の別の態様は、対象において免疫応答を阻害する方法であって、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達し、それによって、免疫応答を阻害することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、免疫応答は、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約10%、25%、50%、75%またはそれを超えて阻害される。免疫応答の阻害は、当技術分野で既知の方法によって、例えば、対象の血液または組織中の免疫系細胞および/または抗体のレベルの測定によって、定量化することができる。
本発明の別の態様は、対象において炎症を阻害する方法であって、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達し、それによって、炎症を阻害することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、炎症は、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約10%、25%、50%、75%またはそれを超えて阻害される。炎症の阻害は、当技術分野で既知の方法によって、例えば、対象の血液または組織中の免疫系細胞、インターロイキン、ケモカインまたは他の生物学的エフェクター分子のレベルの測定によって、定量化することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達することは、場合により、鼻腔内、気管内、吸入および/または肺内投与/送達によって、合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を呼吸器の標的器官系(例えば、肺、気道)に直接送達することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達することは、場合により、全身的に、場合により、静脈内投与/送達によって、合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を標的器官系に送達することを含むことができる。
本発明の別の態様は、それらを必要とする対象において気道におけるカルシウム流入の阻害に応答性の障害を処置または防止する方法であって、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象の気道に送達し、それによって、障害を処置または防止することを含む方法を提供する。本明細書で使用する場合、用語「気道におけるカルシウム流入の阻害に応答性の障害」は、気道におけるカルシウム流入を阻害することによって処置および/または防止することができる任意の疾患、障害または状態を指す。本発明の方法における障害は、非限定例では、喘息または呼吸器アレルギーであり得る。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、例えば、経口および/または経鼻吸入による送達のための吸入器またはネブライザーを使用して、吸入によって、送達される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、鼻腔内、気管内、肺内、および/または吸入送達を介して、対象の気道に送達される。
本発明の方法によって適用される障害としては、限定されないが、炎症性肺障害、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、非嚢胞性線維症、気管支拡張、および急性または慢性気管支炎を挙げることができる。いくつかの実施形態では、障害は喘息である。いくつかの実施形態では、障害は、慢性閉塞性肺疾患((COPD)、例えば、慢性気管支炎または気腫)である。いくつかの実施形態では、障害は、アレルギー(例えば、ダストアレルギー、花粉アレルギー、カビアレルギー(例えば、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus))などである。
いくつかの実施形態では、障害は肺の遺伝性炎症状態であってもよい。いくつかの実施形態では、障害は嚢胞性線維症であってもよい。
いくつかの実施形態では、障害は線維症、例えば、限定されないが、特発性肺線維症でであってもよい。
いくつかの実施形態では、障害は、肺炎、例えば、限定されないが、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、院内肺炎(HAP)、ウイルス関連肺炎および/または細菌関連肺炎またはCOVID-19であってもよい。
いくつかの実施形態では、障害は、感染症、例えば、ウイルス、細菌および/または真菌感染症であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、感染症は呼吸器感染症であってもよく、感染因子は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MRSA)、緑膿菌(P.aeruginosa)、インフルエンザ菌(H.influenzae)、肺炎桿菌(K.pneumonia)、大腸菌(E.coli)、アシネトバクター(Acinetobacter)、エンテロバクター(Enterobacter)、肺炎球菌(S.pneumoniae)、M.カタラーリス(M.catarrhalis)、M.ニューモニエ(M.pneumoniae)、マイコバクテリウム(mycobacterium)、マイコプラズマニューモニア(mycoplasma pneumonia)、真菌(例えば、アスペルギルスフミガーツス、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ニューモシスチス(Pneumocystis)、カンジダ(Candida))またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、感染症はウイルス性呼吸器感染症であってもよく、感染因子は、コロナウイルス(例えば、MHV-A59、SARS CoV、SARS-CoV-2もしくはMERS-CoV)、デングウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルスもしくは任意の他の呼吸器ウイルスまたはこれらの任意の組み合わせである。
本発明の別の態様は、それらを必要とする対象においてカルシウム流入の阻害に応答性の障害を処置または防止する方法であって、治療的または予防的に有効な量の本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象に送達し、それによって、障害を処置または防止することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物は、標的器官系に直接送達することができる。いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物は、例えば、全身的に、場合により、静脈内送達によって、対象に直接送達することができる。
したがって、本発明に適用可能なさらなる障害としては、限定されないが、急性膵炎、関節炎、アレルギー、ベル麻痺、心血管疾患(CVD;例えば、限定されないが、血管炎が挙げられる)、皮膚筋炎、糖尿病、ギランバレー症候群、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、狼瘡、重症筋無力症、乾癬、反応性関節炎、腎炎症、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、感染症(例えば、敗血症)、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、川崎病またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、障害は、感染症、例えば、特定の標的器官系における感染症および/または全身感染症(例えば、敗血症)であってもよい。いくつかの実施形態では、感染症は、細菌、ウイルスおよび/または真菌感染症であってもよい。いくつかの実施形態では、障害は敗血症であってもよい。
いくつかの実施形態では、感染症は、全身的および/または局所的標的器官系感染症であってもよく、感染因子は、細菌(例えば、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、アシネトバクター、エンテロバクター、肺炎球菌、M.カタラーリス、M.ニューモニエ、マイコバクテリウム、マイコプラズマニューモニア、B群連鎖球菌(group B streptococci)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis))、真菌(例えば、アスペルギルスフミガーツス、クリプトコッカス、ニューモシスチス、カンジダ)、ウイルス(例えば、コロナウイルス(例えば、MHV-A59、SARS CoV、SARS-CoV-2もしくはMERS-CoV)、デングウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス)またはこれらの任意の組み合わせである。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)は、静脈内送達/投与によって、全身的に対象に送達/投与することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物(例えば、医薬組成物)を対象へ送達することは、対象の肺におけるカルシウム流入を阻害しない。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは対象に直接投与される。一般に、本発明の化合物は、薬学的に許容可能な担体(例えば、生理食塩水)中に懸濁され、経口的に、もしくは静脈内注入によって投与されるか、または皮下、筋肉内、髄腔内、腹腔内、直腸内、腟内、鼻腔内、胃内、気管内、もしくは肺内に投与される。別の実施形態では、気管内または肺内送達は、標準的なネブライザー、ジェットネブライザー、ワイヤーメッシュネブライザー、乾燥粉末吸入器または定量吸入器を使用して達成することができる。これらは、疾患または障害の部位、例えば、肺、腎臓または腸に直接送達することができる。必要とされる投薬量は、投与経路の選択;製剤の性質;患者の病気の性質;対象のサイズ、体重、表面積、年齢および性別;投与される他の薬物;ならびに主治医の判断に依存する。適切な投薬量は、0.01~100.0μg/kgの範囲である。
いくつかの実施形態では、合成ポリペプチドは、約0.1mg/kg~約10mg/kg対象、例えば、約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kgもしくは10mg/kgまたはその中の任意の値もしくは範囲の量で投与/送達される。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、約0.1mg/kg~約9.75mg/kg、約2mg/kg~約5mg/kg、約0.25mg/kg~約2.5mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kgまたは約0.50mg/kg~約1mg/kg対象の量で投与/送達され得る。いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、約0.1mg/kg、約0.25mg/kg、約0.50mg/kg、約1mg/kgまたは約4mg/kg対象の量で投与/送達され得る。
利用可能な様々なポリペプチドおよび様々な投与経路の異なる効率の点から見て、必要とされる投薬量の幅広い変動が予想される。本発明の合成ポリペプチドならびに/またはこれを含む核酸分子、ベクターおよび/もしくは医薬組成物は、所望の治療効果を達成するために、必要に応じて、任意の数の用量で、および任意のレジメンまたはスケジュールに従って、送達することができる。例えば、経口投与は、i.v.注射による投与よりも高い投薬量を必要とすることが予想されるであろう。これらの投薬量レベルの変動は、当技術分野で良く理解されているように、最適化のための標準的な実験的ルーチンを使用して調整することができる。投与は、単回または複数回(例えば、2、3、4、6、8、10;20、50、100、150倍またはそれを超えてもよい。例えば、合成ポリペプチドは1回または複数回の用量、例えば、2回以上、3回以上、4回以上もしくはそれ以上の用量などで、または換言すれば、少なくとも1回の、少なくとも2回の、少なくとも3回の、少なくとも4回のもしくはそれ以上の用量などで、送達することができる。いくつかの実施形態では、単回用量の合成ポリペプチドが送達される。いくつかの実施形態では、複数回用量の合成ポリペプチドが送達される。
いくつかの実施形態では、本発明の合成ポリペプチドは、長期間にわたる継続的投与(例えば、長期間投与)のレジメン/スケジュールに従って送達することができる。投与の適したレジメン/スケジュールの態様は、当業者、例えば医師によって確認可能であり得、対象および障害の関連するパラメーター、例えば上記のものに従って、調整され得る。
適切な送達ビヒクル(例えば、ポリマー微小粒子または埋込式装置)中へのポリペプチドのカプセル化は、特に経口送達について、送達の効率を高めることができる。
いくつかの実施形態では、合成ポリペプチドは吸入によって送達される。
いくつかの実施形態では、対象への合成ポリペプチドまたは医薬組成物の送達は、対象の肺においてのみカルシウム流入を阻害する(例えば、全体的なCa2+を低減させない)。
本発明のポリペプチドは、場合により、他の治療剤とともに送達することができる。さらなる治療剤は、本発明のポリペプチドと同時に送達することができる。本明細書で使用する場合、単語「同時に(concurrently)」は、複合効果をもたらすために、時間を十分に近づけることを意味する(すなわち、同時に(concurrently)は、同時に(simultaneously)であり得、またはこれは、短期間の内に互いに前後して起こる2つ以上の事象であり得る)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、本発明の障害の処置のために当技術分野で既知の治療剤を対象に送達することをさらに含むことができる。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、喘息を処置および/または防止する化合物、例えば、βアゴニストまたはステロイドなどの気管支拡張剤と同時に患者に送達される。他の実施形態では、これは、アレルギーを処置および/または防止する化合物、例えば、抗ヒスタミン剤と同時に患者に送達される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドと他の治療剤の複合活性は、他の治療剤単独よりも優れている。
本発明のポリペプチドとともに送達することができる、本発明の障害の処置のための当技術分野で既知のさらなる治療剤としては、限定されないが、デキサメタゾン、コルチコステロイド(例えば、フルチカゾン(Flovent HFA)、ブデソニド(Pulmicort Flexhaler)、モメタゾン(Asmanex Twisthaler)、ベクロメタゾン(Qvar RediHaler)、シクレソニド(Alvesco));レムデシビル(例えば、COVID19用);エレクサカフトル、イバカフトル、ルマカフトル、テザカフトル、イブプロフェン、アセビルスタット、レナバスム(例えば、嚢胞性線維症用);高張食塩水、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme(登録商標))、アミカシン、アモキシシリン、オーグメンチン、アンピシリン、バクトリム(スルファメトキサゾールおよび/またはトリメトプリム)レボフロキサシン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、ピペラシリン-タキソバクタム、バンコマイシン、クリンダマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、シプロフロキサシン(例えば、HAPおよび/またはVAPなどの肺炎用)、セファレキシン、ドキシサイクリン塩酸塩、メポリズマブ、レスリズマブ、レブリキズマブ、トラロキヌマブ、テゼペルマブ、ベンラリズマブならびに肺炎の処置について既知の任意の他の抗生物質が挙げられる。
さらなる態様として、本発明は、上述の治療効果(例えば、カルシウム流入のモジュレーション)のいずれかを達成するための医薬製剤およびその投与方法を提供する。医薬製剤は、薬学的に許容可能な担体中に上述の試薬のいずれか、例えば、ポリペプチドおよび/もしくは核酸ならびに/またはそれらを含むベクターを含むことができる。「薬学的に許容可能な」は、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、該材料は、毒性などのいかなる望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく対象に投与することができる。
本発明の製剤は、場合により、医薬剤、医薬品、担体、アジュバント、分散剤、希釈剤などを含むことができる。
本発明のペプチドは、既知の技法に従って、医薬担体中で投与するために製剤化することができる。例えば、Remington,The Science And Practice of Pharmacy(9th Ed.1995)を参照されたい。本発明による医薬製剤の製造では、ポリペプチド(その生理学的に許容可能な塩を含める)は、典型的には、特に許容可能な担体と混合される。担体は固体でも液体でもその両方であってもよく、0.01または0.5%~95%または99重量%のポリペプチドを含むことができる単位用量製剤、例えば、定量吸入器として、ポリペプチドとともに製剤化することができる。1種または複数のポリペプチドもしくは機能的断片またはそれらの相同体を本発明の製剤に組み込むことができ、これは、薬学の周知の技法のいずれかによって調製することができる。
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容可能な担体中に本発明のポリペプチドを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、インビボで対象を処置する方法であって、医薬組成物が治療的有効量で投与される方法である。それらを必要とするヒト対象または動物への本発明のポリペプチドの投与は、化合物を投与するための当技術分野で既知の任意の手段によってもよい。
本発明の製剤は、経口、直腸、局所、バッカル(例えば、舌下)、腟、非経口(例えば、皮下、骨格筋、心筋、横隔膜筋および平滑筋を含めた筋肉内、皮内、静脈内、腹腔内)、局所(すなわち、皮膚と気道表面を含めた粘膜表面との両方)、鼻腔内、経皮、関節内、髄腔内、および吸入投与、門脈内送達による肝臓への投与、ならびに(例えば、肝臓、中枢神経系への送達のための脳、膵臓または腫瘍もしくは腫瘍周辺組織中への)直接器官注射に適したものを含む。任意の所与のケースにおける最も適切な経路は、処置される状態の性質および重症度ならびに使用される特定のペプチドの性質に依存する。
注射については、担体は、典型的には、液体、例えば、無菌の発熱物質を含有しない水、無菌の通常の食塩水、高張食塩水、発熱物質を含有しないリン酸緩衝食塩水溶液、静菌水またはCremophor EL[R](BASF、Parsippany、N.J.)である。他の投与方法については、担体は、固体または液体のいずれかであり得る。
経口投与については、ポリペプチドは、固形剤形、例えば、カプセル剤、錠剤および粉末剤で、または液体剤形、例えば、エリキシル剤、シロップ剤および懸濁剤で投与することができる。ポリペプチドは、不活性成分および粉末化担体、例えば、グルコース、ラクトース、ショ糖、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルカン、炭酸マグネシウムなどとともにゼラチンカプセル中にカプセル化することができる。望ましい色、風味、安定性、緩衝能力、分散または他の既知の望ましい特色を与えるために加えることができるさらなる不活性成分の例は、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、食用白インクなどである。圧縮錠剤を作製するために、同様の希釈剤を使用することができる。数時間にわたって薬品の連続的放出をもたらすために、錠剤とカプセル剤の両方とも持続性放出生成物として製造することができる。圧縮錠剤は、いかなる不快な風味もマスクし、かつ大気から錠剤を保護するために、糖コーティングもしくはフィルムコーティングすることができ、または消化管における選択的崩壊のために、腸溶性コーティングすることができる。経口投与のための液体剤形は、患者の認容性を高めるために、着色剤および着香剤を含むことができる。
バッカル(舌下)投与に適した製剤としては、香味基剤、通常、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガント中に化合物を含むロゼンジ剤;ならびに不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴム中に化合物を含む香錠が挙げられる。
非経口投与に適した本発明の製剤は、ポリペプチドの無菌の水性および非水性注射液を含み、その調製物は、好ましくは、意図されたレシピエントの血液と等張である。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬および意図されたレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含むことができる。水性および非水性の無菌懸濁剤は、懸濁化剤および増粘剤を含むことができる。製剤は、単位/用量または多回用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル中で提供することができ、かつ使用直前に無菌の液状担体、例えば、食塩水または注射用水の添加しか必要としないフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。
即時の注射液および懸濁剤は、前述の種類の無菌の粉末剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。例えば、本発明の一態様では、本発明のポリペプチドもしくは機能的断片またはそれらの相同体を密封された容器中に単位剤形で含む、注射可能な安定な無菌組成物が提供される。ポリペプチドまたは塩は、適切な薬学的に許容可能な担体で再構成して、対象へのそれらの注射に適した液体組成物を形成することができる、凍結乾燥物の形態で提供される。単位剤形は、典型的には約1mg~約10グラムのポリペプチドまたは塩を含む。ポリペプチドまたは塩が実質的に水不溶性である場合、ペプチドまたは塩を水性担体中に乳化するのに十分な量で、薬学的に許容可能な十分な量の乳化剤を用いることができる。1つのそのような有用な乳化剤はホスファチジルコリンである。
直腸内投与に適した製剤は、好ましくは、単位用量坐剤として提供される。これらは、ポリペプチドを1種または複数の従来の固体担体、例えばココアバターと混合し、次いで、得られた混合物を成形することによって、調製することができる。
皮膚への局所適用に適した製剤は、好ましくは、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル剤、噴霧剤、エアロゾル剤または油剤の形態をとる。使用することができる担体としては、石油ゼリー、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤およびこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
経皮投与に適した製剤は、レシピエントの表皮と長時間にわたって密接に接触したままになるように適合された個別のパッチ剤として提供することができる。経皮投与に適した製剤は、イオン導入によって送達することもでき(例えば、Tyle,Pharm.Res.3:318(1986)を参照されたい)、典型的には、場合により緩衝化されたポリペプチド水溶液の形態をとる。適切な製剤は、クエン酸もしくはビス/トリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み、0.1~0.2Mの化合物を含む。
ポリペプチドは、別の方法では、経鼻投与のために製剤化することができ、またはそうでなければ、任意の適切な手段によって、対象の肺に投与することができ、例えば、対象が吸入する、ポリペプチドを含む呼吸に適した粒子のエアロゾル懸濁剤によって、投与することができる。呼吸に適した粒子は液体でもよいし、固体でもよい。用語「エアロゾル」は、細気管支または鼻孔に吸入され得る任意の気体によって運ばれる懸濁相を含む。特に、エアロゾルは、定量吸入器もしくはネブライザー中で、またはミスト噴霧器中で生成され得るような、液滴の気体によって運ばれる懸濁液を含む。エアロゾルは、空気または他の担体気体中に懸濁された乾燥粉末組成物も含み、これは、例えば、吸入器装置からの吹送によって送達することができる。Ganderton & Jones,Drug Delivery to the Respiratory Tract,Ellis Horwood(1987);Gonda(1990)Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313;およびRaeburn et al.,J.Pharmacol.Toxicol.Meth.27:143(1992)を参照されたい。ポリペプチドを含む液体粒子のエアロゾルは、当業者に既知であるように、任意の適切な手段によって、例えば、圧力駆動エアロゾルネブライザーまたは超音波ネブライザーを用いて、生成することができる。例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい。ポリペプチドを含む固体粒子のエアロゾルも同様に、医薬分野で既知の技法によって、任意の固体粒子性医薬エアロゾル発生機を用いて生成することができる。
あるいは、例えば、デポーまたは持続性放出製剤で、全身的様式ではなく局所的にポリペプチドを投与することができる。
さらに、本発明は、本明細書に開示されるポリペプチドおよびその塩のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁剤を形成するための技術は、当技術分野で周知である。ポリペプチドまたはその塩が水溶性の塩である場合、従来のリポソーム技術を使用して、これらを脂質小胞中に組み込むことができる。そのような場合、ポリペプチドまたは塩の水溶性により、ポリペプチドまたは塩はリポソームの親水性中心またはコア内に実質的に取り込まれる。用いられる脂質層は任意の従来の組成物であってもよく、コレステロールを含んでもよいし、コレステロールを含まなくてもよい。目的のポリペプチドまたは塩が水不溶性である場合、再度、従来のリポソーム形成技術を用いて、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に塩を実質的に取り込むことができる。いずれの場合でも、標準的な超音波処理および均質化技法を使用して、生成されるリポソームのサイズを低減することができる。
本明細書に開示されるポリペプチドまたはその塩を含むリポソーム製剤は、凍結乾燥して、凍結乾燥物を生成することができ、この凍結乾燥物は、水などの薬学的に許容可能な担体で再構成して、リポソーム懸濁液を再生することができる。
水不溶性のポリペプチドもしくは機能的断片またはそれらの相同体の場合には、例えば水性基剤乳濁液などに水不溶性のポリペプチドもしくは機能的断片またはそれらの相同体を含む医薬組成物を調製することができる。そのような場合、組成物は、所望の量のポリペプチドを乳化するのに十分な量の薬学的に許容可能な乳化剤を含む。特に有用な乳化剤としては、ホスファチジルコリンおよびレシチンが挙げられる。
特定の実施形態では、ポリペプチドは、治療的有効量(この用語は上記で定義された通りである)で対象に投与される。薬学的に活性なポリペプチドの投薬量は、当技術分野で既知の方法によって決定することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.、Easton、Pa)を参照されたい。任意の特定のポリペプチドもしくは機能的断片またはそれらの相同体の治療的に有効な投薬量は、化合物ごとに、および患者ごとにいくらか異なり、患者の状態および送達の経路に依存する。一般的な提案として、約0.1~約50mg/kgまでの投薬量が治療効果を有し、すべての重量は、塩が用いられる場合を含めて、ポリペプチドの重量に基づいて計算される。より高レベルでの毒性の懸念によって、静脈内の投薬量がより低いレベル、例えば、最大で約10mg/kgまでに制限される可能性があり、すべての重量は、塩が用いられる場合を含めて、ポリペプチドの重量に基づいて計算される。約10mg/kg~約50mg/kgまでの投薬量を経口投与に用いることができる。典型的には、約0.5mg/kg~5mg/kgmまでの投薬量を筋肉内注射に用いることができる。特定の投薬量は、それぞれ静脈内または経口投与について、約1μmol/kg~50μmol/kgまで、より詳細には、約22μmol/kgまでおよび33μmol/kgまでのポリペプチドである。
本発明の特定の実施形態では、治療効果を達成するために、様々な時間間隔(例えば、毎時間、毎日、毎週、毎月など)にわたって1回より多い投与(例えば、2、3、4回またはそれ以上の投与)を用いることができる。
本発明は、獣医学および医学的用途に使用される。適切な対象としては、鳥類および哺乳動物の両方が挙げられ、哺乳動物が好ましい。本明細書で使用する場合、用語「鳥類」は、限定されないが、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、シチメンチョウおよびキジを含む。本明細書で使用する場合、用語「哺乳動物」は、限定されないが、ヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ科の動物、イヌ科の動物、ウサギなどを含む。ヒト対象としては、新生児、乳児、児童および成人が挙げられる。
次に、以下の実施例を参照して、本発明を記載する。これらの実施例は、特許請求の範囲を本発明に限定することが意図されるものではなく、むしろ、ある特定の実施形態の例示であることが意図されることを理解されたい。当業者が思い浮かぶ、例示された方法の任意の変形は、本発明の範囲内に入ることが意図される。
[実施例1]
肺の疾患および障害のための新規な免疫調節性ペプチド
急性および慢性疾患モデルにおけるリード化合物のインビトロ最適化ならびにインビトロおよびインビボ検証を含めて、マルチプラットフォームアプローチを使用して、新規な免疫調節療法および抗ウイルス療法のために、肺のペプチドームを研究した。これらの研究によって、マウスの感染症、アレルギーおよび慢性炎症モデルにおいて、免疫調節剤として広域性の有効性を有するOrai1/Ca2+阻害剤としてELD607が特定された。この研究によって、ELD607は、全身的ではなく肺でOrai1を阻害し、有効な局所的免疫調節作用につながることが示される。
ELD100ペプチドを嚢胞性線維症(CF)患者の痰の中でE一晩インキュベートし、サイズ分画し、次いで、トリプシン消化なしで質量分析によって分析した。3つの主要な断片:すなわち、DITLV、HDIVおよびNMLIHGが見出され、好中球エラスターゼによってELD100がバリンの後で切断されたことが示唆された。ELD100は16残基を含んでいた。ペプチドのサイズを十分に最適化するために、N末端、C末端および中間ペプチドの欠失を含む一連のペプチドを生成した。この研究によって、DITLVのN末端欠失およびすべてのバリンの除去は許容されるが、末端グリシンを越えたC末端欠失は許容されないことが見出された。このアプローチを使用して、ELD100を十分に最適化するためにライブラリーを生成した。ELD100親ペプチドの配列を広範に修飾し、より短く、より強力で、より安定なペプチド配列で、活性の増強を示す、優れたペプチド模倣薬を開発した。アミノ酸配列の修飾には、アラニンスキャニング、保存的突然変異、より短い配列ならびにNおよびC末端修飾(D-alaおよびSerの付加)が含まれていた。
アラニンスキャン:ELD100で見られるCa2+放出のタプシガルギン誘導性阻害を保持する重要なアミノ酸を特定するために、一度に1つずつ各アミノ酸をAlaに変えることによって、単一の点変異をELD100配列に導入した。表1は、ELDEC IDおよび代替の命名を含めて、このAlaスキャンから得られた16個のペプチド配列を示す。HEK293T細胞において、ペプチドを3時間プレインキュベートしてから、タプシガルギンを加え、7分にわたって30秒ごとに蛍光を測定した。ペプチドを試験して、タプシガルギンの添加の際のCa2+放出の阻害を評価した。図4は、比較のために対照(ビヒクルおよびタプシガルギン)ならびにELD100の応答を含めて、各ペプチドのCa2+レベルを示す。
保存的突然変異(例えば、QをNに、KをRに置き換えるなど)は残基の静電荷を維持するが、そのサイズを変化させる。保存的突然変異を試験して、これらの修飾が得られたペプチドの効力を改善するかどうかを評価した(図5および表2)。さらに、より短い配列を試験することによって、合成するのにより安価であり、水溶液により可溶性である改善されたペプチド、ELD607が見出された(図6および表3)。アミノ(N)およびカルボキシ(C)末端の最適化も行った(図7および表4)。
これらのデータに基づいて、「600」シリーズからの5つのペプチドをタンパク質分解に対する抵抗性について最適化した。HEK293T細胞をプレーティングし、Fluo-4プラスまたはマイナスELDペプチドとともに2時間インキュベートし、488/530nmの励起/発光波長で2~6分にわたって30秒ごとに蛍光画像を撮った。図8は、様々なELDペプチドとともにインキュベートした後に測定された細胞質Ca2+を示し、ELD604、607、100および621を含めたいくつかのペプチドは、対照のスクランブルペプチドと比較して、細胞質カルシウムレベルを低減させた。候補ペプチドELD604、607、601、および100をプロテアーゼ分解に対する抵抗性について試験し、これらのペプチドを好中球エラスターゼとともにインキュベートし、様々な時点で、エラスターゼ阻害剤シベレスタットで処理して進行中の反応を停止させ、次いで、HPLCによって分析した(図9)。
これらのペプチドはトリプシンによって分解されなかった。CF肺における主要なプロテアーゼの1つである好中球エラスターゼも試験した。ELD601は、最も短い生成されたペプチドであり、好中球エラスターゼの基質であるバリンを欠いていた。エキソプロテアーゼを妨げるためにD-アラニンが側面に位置するELD601であるELD604も作製した。さらに、アルギニンがヒスチジンに置換されたELD607を含めて、有効性の増大を示す表2の保存的突然変異を組み込む、一連のELD601ベースのペプチドを生成した。バリンを欠くにもかかわらず、ELD601は、依然としてエラスターゼによって分解された。これに対して、ELD604は有意により安定であった。驚いたことに、バリンを含み、かつD-アラニンが側面に位置していないにもかかわらず、アルギニン置換は、ELD607について、安定性を有意に増大させた(図9)。
マウスモデルに置いて試験したペプチドのうち、ペプチドの安定性、サイズおよび有効性の分析の後、ELD607をリードペプチドとして選択した(図10)。
ELD607はCF痰中で安定である。CF痰は非常にタンパク分解性であり、SPLUNC1はCF痰中で急速に分解される。したがって、ELD607がCF痰中で安定であるかどうかを試験した。ELD607をCF痰上清とともに37℃で6時間インキュベートし、次いで、痰およびELD607を10kDaカットオフスピンカラムを4℃で通過させることによって反応を停止した。HPLCを使用して、ELD607に対応するピークを検出することができた(図11パネルA)。正常な痰もCF痰もこのピークの曲線下面積を縮小せず、このペプチドが経時的に安定であることが示される(図11パネルB)。CF痰への暴露後にELD607が機能的なままであったかどうかを決定するために、PBSまたはCF痰のいずれかの中で6時間インキュベートしたELD607をHEK293T細胞に加えた。ELD607がCF痰中で安定であること一致して、このペプチドは、完全な機能性を保持し、CF痰への前曝露後でさえも、Ca2+流入を十分に阻害することができた(図11パネルC)。これに対して、好中球エラスターゼ抵抗性ではないELD100は、CF痰中でのインキュベーション後に、Ca2+流入を阻害することができなかった。重要なことに、ELD607をCF痰中で6時間インキュベートしてから細胞に加え、これは、最悪の場合のシナリオを構成し:CF患者において、ELD607は、吸入後より速くその薬理学的作用を発揮し始める可能性がある。
ELD607は粘液と相互作用しない。CF気道は、粘液の蓄積/脱水を特徴とする。CFムチンメッシュの予測される孔径は約200nmであるが、ELD607は≦1nmであると推定されるので、ELD607は、水を介して拡散するのと同じ速度で粘液を介して拡散するはずである。しかし、これは、ELD607とゲル形成ムチンの間のあり得る相互作用を説明しない。前もって粘液コーティングされた、散逸を用いる水晶振動子マイクロバランス(QCM-D)を使用して、ペプチドが加えられる場合の相互作用(散逸[架橋結合]および周波数[質量]の変化)を検出した。CF肺で見られるMUC5ACおよびMUC5Bムチンを含む気道粘液とELD607が相互作用するかどうかを決定するために、QCM-Dを使用して、試験を行った。陽性対照(ポリ-L-リジン)は粘液に結合し、架橋結合ad質量を変化させたが、ELD607は粘液に影響を及ぼさなかった(図12A)。他のペプチドも周波数(図12B)および散逸(図12C)についてQCM-Dによって試験した。
ELD607は、Ca2+シグナル伝達を阻害するために、Orai1の発現を必要とする。この研究によって、ELD607はSPLUNC1およびα6スキャフォールドペプチド(ELD100)と同様の細胞生物学的特徴(cell biology)を有し、α6スキャフォールドペプチド(ELD100)、ELD607は、Orai1を阻害することによって働くことが見出された。細胞外Ca2+の非存在下で、タプシガルギンは、ERからのCa2+放出を刺激し、ELD607はこの成分に影響がなかった(図13)。ELD607はCa2+流入を低減させたが、Orai1のshRNAノックダウンの後、ELD607はもはやCa2+恒常性に影響を及ぼすことができなかった(図13)。これらの研究に続いて、図13に示すCa2+アドバック(add back)アプローチを使用して、ELD607についての用量応答試験を行った。図14では、後半のCa2+流入成分はELD607感受性であり、Orai1媒介性であることが示された。このアプローチを使用して、曲線をデータに適合させ、50%阻害濃度(IC50)を計算した。最大阻害を表5に示す。
さらなるインビボ実験を行った。細菌性肺炎のマウスモデルにおいて、10コロニー形成単位(CFU)の緑膿菌でマウスを気管内処理してから1時間後に、0.51mg/kgのペプチドによる鼻腔内処理を行った。ペプチドによる処理の24時間後に、気管支肺胞洗浄液(BAL)および器官の収集を行った(図15A)。BALの単球(図15B)および好中球(図15C)の分析によって、ELD607は、未感染のナイーブ対照と比較して、BALにおいて、有意に単球レベルを保持し、好中球レベルを低減させることが示された。さらに、感染から24時間後に、マウスの全肺ホモジネートにおいて、約10CFUを検出することができた。しかし、ELD607は、肺の細菌の約5log10の低減を引き起こした(図15D)。
BALのサイトカインレベルの分析によって、ELD607は、CXCL2としても知られるマクロファージ炎症性タンパク質2(MIP-2)、インターロイキン-17(IL-17)ならびにGROαおよびCXCL2としても知られるケラチノサイト由来ケモカイン(KC)を低減させることが示された(図16A)。ELD607は、COVID-19患者で選ばれることが示されている3つの炎症性サイトカインである、インターロイキン-1β(IL-1β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)およびIL-6も低減させた(図16B)。肺の組織像分析によって、感染による炎症の増大が示され、かつELD607で処理した感染動物において肺胞の正常化が示された(図16C)。この組織像は、マウスの肺の肺胞/ガス交換領域がELD607によって保護され、感染の間にガス交換を阻害する可能性がある肺胞損傷および肥厚を防止したことを示す。細菌性肺炎のマウスモデルまたはビヒクル処理されたマウスにおいて、0.51mg/kgのペプチドによる鼻腔内処理より1時間前に、10コロニー形成単位(CFU)の緑膿菌で気管内処理したマウスから気管支肺胞洗浄液(BAL)を収集した。マウス緑膿菌感染症モデルにおける総タンパク質、好中球エラスターゼおよび乳酸脱水素酵素(LDH)レベルもELD607によって有意に低減した(図16D)。ELD607は、脾臓の細菌数も低減させ(図16E)、吸入された治療剤が敗血症の低減などの全身作用を有し得ることが示された。同様に、ELD607は、鼻腔内の10CFU/mlの緑膿菌感染で見られる総計の体重減少も防止した(図16F)。図16Gは、BAL分析の組織像およびグラフを示し、ELD607がマウスBALマクロファージにおいてOrai1を低減させることが示唆された。マウスをビヒクルまたは緑膿菌±ELD607に曝露し、BALを得て、抗Orai1抗体、フルオレスセント2°およびDAPIで染色した。図16GパネルAは、示される異なる群からのマクロファージの代表的な画像を示す。図16GパネルBおよびCは、それぞれマクロファージおよび好中球における、Orai1の蛍光強度を示すプロットを示す。
10CFU/mlの緑膿菌で処理したマウスの生存研究において、ELD607は感染から48時間後の生存も有意に改善した(図17A)。緑膿菌感染から24時間後にELD607を加えた場合に、BALの好中球も低減した(図17B)。
ELD607は、緑膿菌の増殖に対して効果を示さず、感染パラメーターに対するその効果は免疫調節性であることが示された。これに対して、ペニシリン-ストレプトマイシンおよびシプロフラキシン(ciproflaxin)対照は、細菌の増殖を十分に阻害した(図18)。
ELD607は、複数のマウス細菌感染症モデルにおいて、好中球増加を低減させ、肺の細菌排除を増大させる。好中球増加は、グラム陽性およびグラム陰性肺感染症の両方の共通の特色である。したがって、緑膿菌、黄色ブドウ球菌,およびインフルエンザ菌を用いて、さらなる研究を行った(図19パネルB、C、G、H、LおよびM)。3生物すべてによる感染後、肺および脾臓で有意なレベルの細菌が検出され、感染によって、好中球増加が理由で、総BAL細胞数が増加したが、相対的BALマクロファージ数は減少した(図19パネルA~O)。ELD100ではなく、ELD607が、感染から24時間後に、肺のマクロファージレベルを有意に正常化し、好中球増加を低減させた。さらに、感染から24時間後に、マウスの全肺ホモジネートにおいて、約10CFUを検出することができた。しかし、ELD607は、肺の細菌の約3~5log10の低減を引き起こし(図19パネルDおよびI)、敗血症を有意に低減させた(図19パネルEおよびJ)。重要なことに、すべての場合において、ELD100スキャフォールドタンパク質は本質的に効果がなかったが、ELD607は転帰を有意に改善した。
チリダニ(HDM)アレルギー肺炎症モデル(図20);およびマウスが粘液閉塞および自発的肺炎症を発生するSCNN1B過剰発現(図21)など、さらなるモデルを試験した。
これらのデータは、ELD607が、肺サイトカインの上流のカルシウム流動を阻害し、肺サイトカインレベル、好酸球増加、好中球増加、肺炎症、肺損傷および敗血症、多くの肺疾患および障害に関連するパラメーター、例えば、限定されないが、アレルゲン(好酸球増加、循環IgGおよび肥満細胞Ca2+の低減、炎症の低減)、細菌感染症(肺サイトカイン、好中球増加、肺損傷および敗血症の低減ならびに生存の改善)、ウイルス感染症(ウイルス複製の低減、サイトカイン、好中球増加、肺損傷の予測される低減および生存の改善)ならびに粘膜障害(炎症および好中球増加の低減)を低減させることができることを示す。
Orai1レベルを調べるために、次いで、BALを緑膿菌感染マウスから得て、直ちにサイトスピンし、PFA中で固定し、Orai1に対する抗体で染色した。ELD607曝露後に、ナイーブおよび緑膿菌感染マウスでOrai1レベルの有意な減少が見られ、標的の関与が成功したことが示された。
ELD607はウイルス感染を阻害する。ACE2プロテアーゼのcDNAをHEK293T細胞で24時間過剰発現させ、次いで、24時間後、図22に示すように、これらの細胞にレンチウイルスにシュードタイプ化したSARS-CoV-2 S1スパイクタンパク質、DsRedおよびVSVG±ペプチドを感染させた。ウイルスは感染細胞でDsRedを発現したので、感染のマーカーとしてDsRedの蛍光を、イメージングプレートリーダーを使用して測定することができた。対照のスクランブルペプチドではなく、ELD607が感染を有意に低減させた(図22)。600シリーズの他のペプチドでこの実験を反復することにより、ELD604およびELD621もウイルス複製を阻害することが示された(図23)。
ELD607は、マウスコロナウイルスの感染後に、気道中の白血球組成およびウイルス負荷を正常化した。コロナウイルスは、ヒト集団において重度の転帰をともなう新興病原体である。10PFUのマウス肝炎ウイルス(MHV-A59;マウスコロナウイルス)をマウスに鼻腔内感染させた。次いで、感染から4日後に、1.0mg/kgのELD607またはビヒクルをマウスに鼻腔内投与し、次いで、ELD607の投与から2日後(感染から6日後)に、マウスを屠殺して、BALおよび肺ホモジネートを収集した。ELD607は、肺のリンパ球レベル(B細胞およびT細胞)を有意に低減させ、肺の単球およびマクロファージレベルを正常化した(図24パネルAおよびB)。さらに、単回用量のみのELD607の後、肺およびBAL中のウイルス負荷は有意に低減した(図24パネルC)。
したがって、ELD607は、急性モデルと慢性モデルの両方において、炎症を有利に低減させる。理論に拘束されることを望むものではないが、ELD607は、肺内腔の局所的炎症を和らげて好中球増加を低減させ、かつマクロファージが、好中球エラスターゼ媒介性肺傷害なしでより効率的に細菌を排除することを可能にすることができる。免疫無防備状態の証拠は見出されず、ELD607は、典型的には複数の細菌種に慢性的に感染しているCF患者に投与するのに安全であり得ることが示唆された。
[実施例2]
ペプチドベースの新規Orai1阻害剤としてのELD607に関するさらなるデータ。
HPLC分析によって、ELD607は、ヒト好中球エラスターゼへの暴露後に、α6よりも4倍以上安定であることが明らかになった(図25、パネルA)。内在性Orai1/貯蔵部作動性Ca2+流入は、HEK293T細胞において広範に研究されているので、ELD607-Orai1相互作用を理解するために、この細胞型を使用した。ELD607は、貯蔵部作動性Ca2+流入の阻害時において、α6よりも有意に強力であった(IC50は、それぞれ9および124nMであった;図25、パネルB)。タプシガルギンは、小胞体へのサイトゾルCa2+の取り込みを妨げるSERCAポンプ阻害剤である。タプシガルギンは、一般に、Orai1/貯蔵部作動性Ca2+流入を刺激するために使用される。サイトゾルCa2+のタプシガルギン誘導性上昇に対するα6およびELD607の阻害効果は相加的ではなく、これによって、これらは同じ標的を共有することが示された(図25、パネルC)。動的光散乱法(DLS)を使用して、Orai1細胞外ループのペプチドへのELD607の結合を評価した。Orai1のアミノ酸106~119(EVQLDADHDYPPGL;配列番号10)に対応するOrai1細胞外ペプチド1(OP1)が、ELD607と有意な相互作用を示したが、スクランブルELD607ペプチド対照とは有意な相互作用を示さなかった場合、強度加重調和平均粒径(intensity weighted harmonic mean particle size)(Z平均)は有意に増加した(図25、パネルD)。Orai1のアミノ酸195~234(CWVKFLPLKKQPGQPRPTSKPPASGAAANVSTSGITPGQA;配列番号11)に対応するOrai1の第2の細胞外ループ(OP2)のペプチドは、これらのペプチドのいずれとも相互作用しなかった(図25、パネルE)。したがって、ELD607はOrai1と相互作用すると結論された。
ELD607がOrai1を内部移行させたかどうかを決定するために、全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡を使用して、原形質膜中のOrai1を測定した。ビヒクル対照もスクランブルペプチドもOrai1レベルに有意に影響を及ぼさなかった。しかし、ELD607は、Orai1の原形質膜発現を約50%低減させた(図26、パネルA~B)。
Orai1は、NFATを間接的に脱リン酸化し、これが、転写因子として作用する核に進入するのを可能にすることによって、複数の細胞型でNFATを調節することが示されている。本発明者らは、NFAT-GFPをHEK293T細胞で発現させ、共焦点顕微鏡によって、ELD607が、SOCEの刺激後のNFATの核への再配置を弱める能力を評価した。ELD607は、核におけるNFATのパーセンテージを50%より大きく低減させた(図26、パネルC~D)。
ELD607は、ARDS患者の免疫細胞で活性がある。肺の好中球性炎症および肺の好中球エラスターゼレベルの増加は、ARDS患者の肺によく見られる。したがって、ELD607が、細菌性肺炎によって引き起こされるARDSを有する患者のBAL試料において安定なままであるかどうかを評価した。ELD607が好中球エラスターゼに対して抵抗性の増大を示すこと(図25、パネルA)と一致して、ELD607は、37℃のARDS BAL試料中で8時間にわたって安定なままであった(図27、パネルA)。ELD607がARDS BAL中で安定であることと一致して、ARDS BALにおけるELD607の長時間のインキュベーションは、このBALをELD607で負荷したHEK293T細胞に置いた場合に、ELD607が貯蔵部作動性Ca2+流入を阻害するのを妨げなかった(図27、パネルB)。
次に、挿管されたARDS/細菌性肺炎患者から気管吸引液を得た。これらの試料から免疫細胞を直ちに単離し、これらにCa2+色素Fluo-4を同時に加え、ビヒクル、ELD607またはスクランブルペプチドを1時間曝露した。タプシガルギンは、ビヒクルまたはスクランブルペプチドの曝露後にサイトゾルCa2+を上昇させたが、ELD607への暴露後は上昇させなかった(図27、パネルC)。
次いで、ARDS/細菌性肺炎患者の免疫細胞の対の試料に対してOrai1の免疫細胞化学を行った。各患者に由来する細胞をビヒクル、ELD607またはスクランブルELD607のいずれかに曝露した(図27、パネルDおよびE)。再度、ビヒクルでもスクランブルペプチドでもなく、ELD607の曝露が、Orai1レベルの有意な低減をもたらした(図27、パネルE)。まとめると、これらのデータは、吸入されたELD607がARDS患者の気道でOrai1を阻害することができることを示す。
ELD607はインビトロおよびインビボで無毒である。ELD607の潜在的な細胞毒性効果を検討するために、HEK294 T細胞を100mMのELD607に24時間曝露した。カルセインに細胞を曝露して生細胞を標識し、マルチプレートリーダーで蛍光を読み取ることによって、細胞毒性を評価した。ELD607処理した細胞はビヒクル対照と有意差がなく、毒性効果がないことが示された(図28、パネルA)。一次ヒト気管支上皮培養物を1mMのELD607またはビヒクル対照(食塩水)に24時間曝露した。それぞれ生細胞および死細胞を標識するためにカルセインおよびヨウ化プロピジウムを使用して、共焦点顕微鏡によって、細胞毒性を評価した。ELD607処理した細胞はビヒクル対照と有意差がなく、毒性効果がないことが示された(図28、パネルB&C)。上皮の完全な状態の尺度として、経上皮抵抗性も処理の前後に測定した。ビヒクル処理した上皮とELD607処理した上皮の間で差異は見出されなかった(図28、パネルD)。
ELD607の薬物動態および安全性をインビボで評価するために、10mg/kgのELD607で7日間にわたって毎日マウスを気管内処理した。処理から7日後にマウスを屠殺した。7日間にわたる10mg/kgのELD607でのマウスの毎日の投与は、肺組織像(図29、パネルAおよびB)でも体重(マウスの健康の一般的な指標)(図29、パネルC)でも、いかなる変化も誘導しなかった。
ELD607は肺内腔で保持される。ELD607-TAMRAまたはビヒクル(食塩水)をマウスに気管内投与した(0.5mM、1時間)。肺を単離し、固定し、浄化し、光シート蛍光顕微鏡を使用してイメージングした。ELD607-TAMRAは、気道内腔全体にわたって観察された(図30、パネルA)が、間質では観察されなかった(データは3つの個々の実験を代表する)。次いで、マウスに10mg/kgのELD607を投与し、BALおよび血液を収集した。ELD607のレベルは、BALにおいて経時的に減少し、初回用量の約10%が2時間後に検出され、プラトーに達した(図30、パネルB)。ELD607の10mg/kgの滴下注入の後、この時間枠のどの時点でも、元の用量の0.3%未満が血液中で検出され(図30、パネルC)、ELD607は全身的取り込みを有さないことが示唆された。
全体的なOrai1阻害でもステロイドでもなく、ELD607が、緑膿菌感染後の肺炎症を有利に低減させる。Orai1-/-マウスは生存率が低いので、Ca2+流入が約70%低減しているOrai1+/-マウス(Gwack et al.2008 Mol cell Biol.28(17):5209-5222)を使用した。10CFU/マウスの緑膿菌POA1に感染させ、1時間後に0.5mg/kgのELD607で鼻腔内処理したOrai1+/-マウスは、白血球レベルを正常化することができなった(図31、パネルA~C)。これに対して、緑膿菌に感染させ、ELD607で処理したWT同腹子対照は、ELD607曝露後のナイーブマウスと同様に、正常化された白血球が低減した(図31、パネルBおよびC)。さらに、感染させ、次いで、ELD607で処理したOrai1+/-マウスは、肺の細菌負荷を排除することができなかった(図31、パネルD)。
次いで、WTマウスを緑膿菌に感染させ、ELD607、Orai1小分子アンタゴニストYM-58453、デキサメタゾンまたはスクランブルELD607で処理した。ELD607は、好中球増加、体重減少および細菌感染を有意に低減させ、かつ肺のマクロファージレベルを増加せたが、-58453もデキサメタゾンもスクランブルELD607もこれらのパラメーターに対していかなる有意な効果もなかった(図31、パネルE~H)。
ELD607曝露の反復は、βENaC過剰発現マウスにおいて慢性炎症を低減させる。慢性の感染症および好中球増加を自発的に発生し、死亡率が高まったβENaC過剰発現マウスにELD607を加えた(図32、パネルA)。ELD607(0.5mg/kg)を毎日鼻腔内に加えることによって、有意に肺好中球増加が低減し、生存が延びた(図32、パネルB)。
ELD607はアレルギー性炎症を低減させる。マウスをチリダニアレルゲンに14日間曝露した。0.5mg/kgのELD100またはELD607を鼻腔内に2日間滴下注入してから、屠殺した。ELD607は、マウスチリダニモデルにおいて、BALの好中球増加および好酸球増加を有意に低減させ、BALのマクロファージを増加させた(図33、パネルA~C)。
ELD607は、急性呼吸不全症候群(ARDS)モデルにおいて炎症を低減させる。マウスを3mg/kgの大腸菌リポ多糖(LPS)に対して気管内曝露(intratracheally)した。1または6時間後に、0.5mg/kgのELD607を鼻腔内に滴下注入した。対照として、3mg/kgのデキサメタゾンを鼻腔内に与えた。ELD607は、LPSによって引き起こされる肺損傷を有意に低減させ(図34、パネルAおよびB)、体重減少を低減させ(図34、パネルC)、BALの好中球増加を弱めた(図34、パネルD)。
[実施例3]
敗血症におけるペプチドベースの新規Orai1阻害剤としてのELD607
マウスに大腸菌LPSを腹腔内注射し、続いて、1時間後に0.5mg/kgのELD607を静脈内注射した。静脈内投与したELD607は、有意に体重減少を防止し(図35、パネルA)、血液の好中球増加を有意に低減させ(図35、パネルB)、血液のマクロファージを有意に増加させた(図35、パネルC)。次に、ヒト血液中のELD607の安定性を調べ、健康な対象の血清中で4時間にわたって100%安定であることを見出した(図35、パネルD)。
前述のものは本発明の例示であり、本発明を制限すると解釈すべきでない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物もその中に含まれる。

Claims (80)

  1. 番号付けが配列番号1のアミノ酸配列に対応し、
    14R置換;
    位置1~4の残基の欠失;
    位置16の残基の欠失;
    バリン残基の欠失;および/または
    D-ala残基の挿入
    のアミノ酸修飾の1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ)を含む、Orai1原形質膜Ca2+チャネルに結合する、合成ポリペプチド。
  2. 配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  3. 16アミノ酸残基またはそれより少ない長さである、請求項1または2に記載の合成ポリペプチド。
  4. エラスターゼおよび/またはトリプシンプロテアーゼによる切断に抵抗性である、請求項1~3のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  5. 位置1~4のDITL残基の欠失;および
    L16欠失
    のアミノ酸修飾を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  6. 位置1~4のDITL残基の欠失;
    L16欠失;
    V5欠失;および/または
    V9欠失
    のアミノ酸修飾を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  7. 位置1~4のDITL残基の欠失;
    L16欠失;
    C末端アミド化;および/または
    N末端アミド化
    のアミノ酸修飾を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  8. 位置1~4のDITL残基の欠失;
    L16欠失;
    V5欠失;
    G15欠失;
    C末端D-ala挿入;および/または
    N末端D-ala挿入
    のアミノ酸修飾を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  9. H14R置換、
    C末端アミド化;および/または
    N末端アミド化
    のアミノ酸修飾を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  10. H14R置換;
    位置1~4のDITL残基の欠失;および/または
    およびL16欠失
    のアミノ酸修飾を含む、請求項1~4または9のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド。
  11. アミノ酸配列VHDIVNMLIHG(配列番号3)を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  12. アミノ酸配列HDINMLIHG(配列番号4)を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  13. アミノ酸配列n-VHDIVNMLIHG-n(配列番号5)を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  14. アミノ酸配列a-HDIVNMLIH-a(配列番号6)を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  15. アミノ酸配列DITLVHDIVNMLIRGL-NH(配列番号7)を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  16. アミノ酸配列VHDIVNMLIRG(配列番号8)を含む、請求項1に記載の合成ポリペプチド。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  18. 請求項17に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  19. 請求項17に記載のポリヌクレオチドおよび/または請求項18に記載のベクターを含む細胞。
  20. 請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項19に記載の細胞を含むキット。
  21. 請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチドおよび担体を含む組成物。
  22. 請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
  23. デキサメタゾン、レムデシビル、エレクサカフトル、イバカフトル、ルマカフトル、テザカフトル、イブプロフェン、アセビルスタット、レナバスム、レボフロキサシン、ピペラシリン-タキソバクタム、バンコマイシン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、セファレキシン、ドキシサイクリン塩酸塩およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される治療剤をさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 請求項22または23に記載の医薬組成物を含む投薬量送達装置。
  25. 吸入器である、請求項24に記載の投薬量送達装置。
  26. カルシウムチャネルを介したカルシウム流入を阻害する方法であって、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチドおよび/または請求項22または23に記載の医薬組成物を前記カルシウムチャネルと接触させ、それによって、前記カルシウムチャネルを介したカルシウム流入を阻害するステップを含む、方法。
  27. Orai1カルシウムチャネルの発現を低減させる方法であって、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチドおよび/または請求項22もしくは23に記載の医薬組成物と前記カルシウムチャネルOrai1を接触させるステップを含む、方法。
  28. 前記カルシウムチャネルが単離された細胞中に存在する、請求項26または27に記載の方法。
  29. 前記単離された細胞が細胞培養物中にある、請求項28に記載の方法。
  30. 前記カルシウムチャネルが動物の細胞中にある、請求項26または27に記載の方法。
  31. 前記動物内で前記カルシウムチャネルを前記合成ポリペプチドと接触させるステップが、前記動物の肺においてのみカルシウム流入を阻害する(例えば、全体的なCa2+を低減させない)、請求項30に記載の方法。
  32. 前記動物が疾患モデルである、請求項30または31に記載の方法。
  33. 前記カルシウムチャネルを前記合成ポリペプチドと接触させるステップが、前記カルシウムチャネルを含む細胞に前記合成ポリペプチドを送達するステップを含む、請求項26または27に記載の方法。
  34. 前記カルシウムチャネルを前記合成ポリペプチドと接触させるステップが、前記合成ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを前記カルシウムチャネルを含む細胞に送達するステップを含む、請求項26または27に記載の方法。
  35. 前記カルシウムチャネルを前記合成ポリペプチドと接触させるステップが、前記合成ポリペプチドを肺に直接送達するステップ(例えば、場合により、鼻腔内、気管内、吸入および/または肺内投与によって、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物を肺に直接投与するステップ)を含む、請求項30~34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記カルシウムチャネルを前記合成ポリペプチドと接触させるステップが、前記合成ポリペプチドを全身的に送達するステップ(例えば、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物を標的器官系に、場合により全身的に、場合により静脈内投与によって、投与するステップ)を含む、請求項30または32~34のいずれか1項に記載の方法。
  37. 対象において免疫応答を阻害する方法であって、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物(例えば、医薬組成物)を前記対象に送達し、それによって、前記免疫応答を阻害するステップを含む、方法。
  38. 対象において炎症を阻害する方法であって、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物(例えば、医薬組成物)を前記対象に送達し、それによって、炎症を阻害するステップを含む、方法。
  39. 前記合成ポリペプチド(例えば、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物)を前記対象に送達するステップが、場合により、鼻腔内、気管内、吸入および/または肺内投与によって、前記合成ポリペプチドを肺に直接送達するステップを含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記合成ポリペプチド(例えば、請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物)を前記対象に送達するステップが、前記合成ポリペプチドを標的器官系に、場合により全身的に、場合により静脈内投与によって、送達するステップを含む、請求項38に記載の方法。
  41. それらを必要とする対象において気道におけるカルシウム流入の阻害に応答性の障害を処置または防止する方法であって、治療的または予防的に有効な量の請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物(例えば、医薬組成物)を前記対象の前記気道に送達し、それによって、前記障害を処置または防止するステップを含む、方法。
  42. 前記障害が喘息である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記障害が慢性閉塞性肺疾患((COPD)、例えば、慢性気管支炎または気腫)である、請求項41に記載の方法。
  44. 前記障害がアレルギーである、請求項41に記載の方法。
  45. 前記障害が嚢胞性線維症である、請求項41に記載の方法。
  46. 前記障害が線維症(例えば、特発性肺線維症)である、請求項41に記載の方法。
  47. 前記障害が肺炎(例えば、VAP、HAP)である、請求項41に記載の方法。
  48. 前記障害が感染症である、請求項41または47に記載の方法。
  49. 前記感染症が細菌性呼吸器感染症である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記細菌性呼吸器感染症の細菌が、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、アシネトバクター、エンテロバクター、肺炎球菌、M.カタラーリス、M.ニューモニエ、マイコバクテリウム、マイコプラズマニューモニアまたはこれらの任意の組み合わせである、請求項49に記載の方法。
  51. 前記感染症が真菌性呼吸器感染症である、請求項48に記載の方法。
  52. 前記真菌性呼吸器感染症の真菌が、アスペルギルスフミガーツス、クリプトコッカス、ニューモシスチス、カンジダまたはこれらの任意の組み合わせである、請求項51に記載の方法。
  53. 前記感染症がウイルス性呼吸器感染症である、請求項48に記載の方法。
  54. 前記ウイルス性呼吸器感染症のウイルスが、コロナウイルス、デングウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルスまたはこれらの任意の組み合わせである、請求項53に記載の方法。
  55. 前記コロナウイルスがMHV-A59、SARS CoV、SARS-CoV-2またはMERS-CoVである、請求項54に記載の方法。
  56. 前記合成ポリペプチドが、鼻腔内、気管内、肺内を介して、および/または吸入送達によって、前記対象の前記気道に送達される、請求項37~39または41~55のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記対象への前記合成ポリペプチドまたは医薬組成物の送達が、前記対象の肺においてのみカルシウム流入を阻害する(例えば、全体的なCa2+を低減させない)、請求項37~39または41~56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記合成ポリペプチドが約0.1~約10mg/kg前記対象の量で投与/送達される、請求項37~57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記合成ポリペプチドが約0.50mg/kg前記対象の量で投与/送達される、請求項58に記載の方法。
  60. 単回用量の前記合成ポリペプチドが送達される、請求項37~59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 複数回用量の前記合成ポリペプチドが送達される(例えば、長期間投与)、請求項37~59のいずれか1項に記載の方法。
  62. デキサメタゾン、コルチコステロイド(例えば、フルチカゾン(Flovent HFA)、ブデソニド(Pulmicort Flexhaler)、モメタゾン(Asmanex Twisthaler)、ベクロメタゾン(Qvar RediHaler)、シクレソニド(Alvesco))、レムデシビル(COVID19)、エレクサカフトル、イバカフトル、ルマカフトル、テザカフトル、イブプロフェン、アセビルスタット、レナバスム(CF)、高張食塩水、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme(登録商標))、アミカシン、アモキシシリン、オーグメンチン、アンピシリン、バクトリム(スルファメトキサゾールおよびトリメトプリム)レボフロキサシン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、ピペラシリン-タキソバクタム、バンコマイシン、クリンダマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、シプロフロキサシン(HAP/VAP)、セファレキシン、ドキシサイクリン塩酸塩、メポリズマブ、レスリズマブ、レブリキズマブ、トラロキヌマブ、テゼペルマブ、ベンラリズマブおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される治療剤を前記対象に送達するステップをさらに含む、請求項41~61のいずれか1項に記載の方法。
  63. それらを必要とする対象においてカルシウム流入の阻害に応答性の障害を処置または防止する方法であって、治療的または予防的に有効な量の請求項1~16のいずれか1項に記載の合成ポリペプチド、請求項17に記載のポリヌクレオチド、請求項18に記載のベクター、および/または請求項21~23のいずれか1項に記載の組成物(例えば、医薬組成物)を前記対象に送達し、それによって、前記障害を処置または防止するステップを含む、方法。
  64. 前記合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または組成物が標的器官系に直接送達される、請求項63に記載の方法。
  65. 前記障害が、急性膵炎、関節炎、アレルギー、ベル麻痺、心血管疾患(CVD;例えば、限定されないが、血管炎が挙げられる)、皮膚筋炎、糖尿病、ギランバレー症候群、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、狼瘡、重症筋無力症、乾癬、反応性関節炎、腎炎症、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、感染症(例えば、敗血症)、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、川崎病またはこれらの任意の組み合わせである、請求項63または64に記載の方法。
  66. 前記障害が感染症である、請求項63~65のいずれか1項に記載の方法。
  67. 前記感染症が細菌感染症である、請求項66に記載の方法。
  68. 前記障害が敗血症である、請求項63~67のいずれか1項に記載の方法。
  69. 前記細菌感染症の細菌が、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌、B群連鎖球菌またはこれらの任意の組み合わせである、請求項67または68に記載の方法。
  70. 前記感染症が真菌感染症である、請求項66に記載の方法。
  71. 前記真菌感染症の真菌が、アスペルギルスフミガーツス、クリプトコッカス、ニューモシスチス、カンジダまたはこれらの任意の組み合わせである、請求項70に記載の方法。
  72. 前記感染症がウイルス感染症である、請求項66に記載の方法。
  73. 前記ウイルス感染症のウイルスが、コロナウイルス、デングウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルスもしくはメタニューモウイルスまたはこれらの任意の組み合わせである、請求項72に記載の方法。
  74. 前記コロナウイルスがMHV-A59、SARS CoV、SARS-CoV-2またはMERS-CoVである、請求項73に記載の方法。
  75. 前記合成ポリペプチドが静脈内送達によって前記対象に全身的に送達される、請求項63~74のいずれか1項に記載の方法。
  76. 前記対象への前記合成ポリペプチドまたは医薬組成物の送達が前記対象の肺におけるカルシウム流入を阻害しない、請求項63~75のいずれか1項に記載の方法。
  77. 前記合成ポリペプチドが約0.1~約10mg/kg前記対象の量で投与/送達される、請求項63~76のいずれか1項に記載の方法。
  78. 前記合成ポリペプチドが約0.50mg/kg前記対象の量で投与/送達される、請求項77に記載の方法。
  79. 単回用量の前記合成ポリペプチドが送達される、請求項63~78のいずれか1項に記載の方法。
  80. 複数回用量の前記合成ポリペプチドが送達される(例えば、長期間投与)、請求項63~78のいずれか1項に記載の方法。
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