JP2024511072A - 炎症性関節炎を調節するための免疫調節微粒子 - Google Patents

炎症性関節炎を調節するための免疫調節微粒子 Download PDF

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Abstract

炎症性関節炎状態を治療するための組成物及び方法であって、患者の炎症性関節炎に罹患した関節又は関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節に局所投与された場合に、全般的な免疫抑制を引き起こすことなく全身に有効である組成物及び方法が、本明細書に記載される。【選択図】図3H

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月26日に出願された米国仮出願第63/166,873号の優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府の補助金
本発明は、National Institutes of Healthにより授与されたF31AR079921、T32AR064194、T32CA153915、P30AR073761、R03DE031009、P30CA23100、及びUL1TR001442、並びにNational Science Foundationにより授与されたECCS-2025752の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
炎症性関節炎は、世界中の何百万人もの人々に影響を及ぼしている。これらの状態は、腫脹並びに急性及び慢性の両方の関節痛を引き起こす。炎症性関節炎は生活の質を低下させ低下させ、障害の主な原因となっている。炎症性関節炎は、関節、関節周囲の組織、及び他の結合組織に局所的及び全身的に影響を及ぼす多くの状態を説明する。関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、及び強直性脊椎炎は、炎症性関節炎の最も一般的な形態である。この疾患の他の形態には、変形性関節症、小児関節炎、線維筋痛、痛風、及び狼瘡が含まれる。
関節リウマチ(RA)は、関節の全身性炎症を特徴とする自己免疫性炎症性関節炎の一形態である。RAに関連する全身性炎症はまた、皮膚、眼、肺、心臓、及び血管などの他の組織及び器官に損傷を引き起こす。RAに罹患した関節は、炎症促進性メディエーターを産生する活性化過剰の病原性CD4+T細胞を含む、免疫細胞で浸潤される。例えば、中等度から重度のRAでは、複数の軟骨細胞外マトリックスエピトープに対して反応性を有するポリクローナルCD4+T細胞が末梢血及び滑膜において単離されている。これらの活性化過剰免疫細胞は、関節の構造的損傷に寄与し、疼痛、腫脹、骨びらん、及び関節変形を引き起こす炎症促進性サイトカインを産生する。
炎症性関節炎のための従来の薬物としては、鎮痛剤、ステロイド、及び非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。メトトレキサート及びスルファサラジンなどの全般的な免疫抑制を引き起こす従来の疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)も、RAなどの炎症性関節炎の予後を大幅に改善している。腫瘍壊死因子阻害剤(例えば、エタネルセプト)、インターロイキン-6阻害剤(例えば、トシリズマブ)、及びインターロイキン-1受容体アンタゴニスト(例えば、アナキンラ)、並びにヤヌスキナーゼ阻害剤(例えば、トファシチニブ)などの生物学的DMARDは、炎症促進性サイトカイン及びそれらの受容体を含む炎症の特定のメディエーターを標的とする。しかしながら、上記の全ての薬物は、非特異的免疫抑制を介して作用し、日和見感染及び重篤な感染、がんのリスクを増加させ、ワクチンに対する有効性を低減する。尿路感染及び上気道感染は、免疫抑制薬の一般的な副作用である。免疫学的破壊のより深刻な影響には、肺炎、蜂巣炎、憩室炎、及び急性腎盂腎炎が含まれ得る。現在のDMARDはまた、30%を超える患者でRA寛解を誘導することができない。したがって、免疫系を調節して、炎症性関節炎の症状及び組織損傷を最小限からゼロの全般的な免疫抑制で低減することができる薬剤が必要とされている。
本明細書には、全般的な免疫抑制を引き起こすことなく全身的に有効である、免疫調節による炎症性関節炎の治療に有用な組成物及び方法が記載される。組成物及び方法は、炎症性関節炎に罹患した関節若しくは関連する流入領域リンパ節、局所皮下組織、又は炎症性関節炎に罹患した関節の関節包に直接関節内注射によって送達される免疫調節剤を含む生分解性微粒子(MP)の使用を含む。MPは、炎症性関節炎に罹患した関節及び直接治療されなかった少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節の炎症又は構造的関節損傷を低減するのに十分な時間にわたって、MPに封入又は結合した免疫調節剤の徐放性又は持続性局所放出を提供する。
RAに罹患した関節などの炎症性関節炎に罹患した関節は、炎症促進性メディエーターを産生する活性化過剰の病原性CD4+T細胞を含む、免疫細胞で浸潤される。例えば、中等度から重度のRAでは、複数の軟骨細胞外マトリックスエピトープに対して反応性を有するポリクローナルCD4+T細胞が末梢血及び滑膜において単離されている。関節浸潤性CD4+T細胞は、炎症促進性である病原性Tヘルパー(Th)及び調節性T細胞(Treg)と呼ばれるFoxP3を発現する疾患保護T細胞を含む。Treg細胞は、概して、炎症性T細胞を抑制する。しかしながら、病原性炎症に応答して、Treg細胞は、免疫調節機能を失い、インターロイキン(IL)-17などの炎症促進性サイトカインを産生する「exTreg細胞」表現型に変換することができる。Treg細胞と、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体ガンマ(RORγ)t発現Th17細胞を含む自己反応性炎症促進性CD4+T細胞のサブセットとの間の数的不均衡、及び慢性的に炎症した関節及び流入領域リンパ節におけるexTreg細胞の存在によるTreg細胞の機能障害は、RAの病因に大きく寄与する。
Sakaguchi(SKG)マウスモデルでは、ヒトRAと同様のRA疾患プロセスがうまくモデル化されている。SKGマウスは、自発的なTh17依存性関節炎を発達させる。関節炎の発症は、真菌構成成分の注射によって加速され得る。SKGマウス関節炎は、関節の対称的な関与、リウマチ因子の陽性、抗シトルリン化ペプチド抗体、IL-6、IL-1、及び腫瘍壊死因子(TNF)を含む主要なRAサイトカインの上昇、軟骨及び骨の破壊、並びにヒトRAに類似する骨密度の低減を示す。RAのSKGマウスモデルは、多くのRA患者において説明される不十分なTreg細胞機能及びTreg細胞安定性をシミュレートする。免疫不全組換え活性化遺伝子2(Rag2-KO)マウスにSKG CD4+T細胞と同時移植されたSKGマウスTreg細胞は、疾患発達を阻害する。SKG Treg細胞はまた、FoxP3を下方制御し、関節炎の関節及び流入領域リンパ節において病原性IL-17+exTregに変換される。
本明細書に記載の組成物及び方法は、炎症性関節炎に罹患した関節若しくはその関連する流入領域リンパ節、局所皮下組織、又は関節包への関節内(IA)注射によって送達される免疫調節剤を提供する。これらの経路を介して送達される免疫調節剤は、Treg細胞の局所的な拡大及び安定化、並びに炎症性関節炎に罹患した関節における抗炎症性サイトカインの産生を誘導する。局所的な免疫調節を促進することに加えて、拡大及び安定化されたTreg細胞並びに関連する抗炎症サイトカインの再循環は、最小限の全身性免疫抑制で関節炎の重症度の全身的な改善をもたらす。IA投与されたMPに封入された免疫調節剤の局所放出は、疾患保護Treg細胞の局所拡大及び安定化を刺激する。これらの疾患保護Treg細胞及び病原性T細胞は、免疫器官全体を通して全身的に再循環することができるため、局所的に拡大され、安定化されたTreg細胞は、局所的及び全身的な非関節特異的免疫応答を抑制することなく、関節特異的自己免疫を全身的に抑制することができる。
したがって、全身性免疫抑制なしに、関節炎保護Treg細胞の全身的な拡大及び安定化を誘導する免疫調節剤を封入するMPが本明細書に記載される。例えば、関節炎保護Treg細胞を誘導する高親和性レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストは、MPに封入され得る。RARアゴニストは、全身投与後に疾患保護Treg細胞を誘導することが実証されている、全トランス型レチノイン酸(ATRA)を含み得る。MPは、任意の好適な生分解性又は生体吸収性ポリマーを含み得る。例えば、MPは、RARアゴニスト封入PLGA MPを生成するために、ポリ-(乳-co-グリコール)酸(PLGA)を含む、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)を含み得る。炎症性関節炎に罹患した関節若しくは関連する流入領域リンパ節、局所皮下組織、又はRARアゴニストの局所的な徐放を提供するATRA封入PLGA MPの関節包への直接的な関節内注射。例えば、RARアゴニストATRAは、ナイーブSKGマウス及びヒトT細胞のTreg細胞への分化を増強し、炎症性Th17極性化状態におけるSKGマウス及びヒトTreg細胞を安定化させる。ATRA封入PLGA MPは、局所注射後、炎症性関節炎に罹患した関節若しくは関連する流入領域リンパ節、局所皮下組織、又は関節包に保持される。
ATRA封入PLGA MPは、炎症を軽減し、骨喪失を低減させ、注射された関節若しくは関連する流入領域リンパ節、局所皮下組織、又は関節包内のTreg細胞を増強し、T細胞依存性免疫応答の非特異的抑制の証拠なしに関節炎の症状を全身的に改善するのに十分な時間にわたって、生体活性ATRAの徐放性又は持続性放出を提供する。例えば、生分解性MPは、患者の炎症性関節炎に罹患した関節におけるTreg誘導剤の連続放出を少なくとも21日間維持することができる。生分解性MPはまた、患者の炎症性関節炎に罹患した関節におけるTreg誘導剤の連続放出を約3ヶ月間維持することができる。
炎症性関節炎に罹患している、又は無症候性炎症性関節炎を有すると疑われる患者に、封入された免疫調節剤MPを有するDMARDを含む組成物を投与することを伴う方法も本明細書に記載される。封入された免疫調節剤MPは、炎症性関節炎に罹患した関節若しくはその流入領域リンパ節、関節の近くの皮下、又は関節包への局所注射を通じて患者に投与される。DMARDは、患者に経口、皮下、又は静脈内投与され得る。治療することができる炎症性関節炎の例としては、乾癬性関節炎、RA、強直性脊椎炎、変形性関節症、若年性関節炎、線維筋痛、痛風、又は狼瘡が挙げられる。
全トランス型レチノイン酸(ATRA)が、用量依存的にTreg細胞増強及びTh17抑制を差次的に促進することを示す。図1Aは、Th17誘導条件下のナイーブCD4+マウスT (mT)細胞からのTh17及びTreg細胞分化に対するATRAの効果を評価するためのインビトロ実験を概略的に示す。図1Bは、0~10nMの濃度のATRAを用いてTh17誘導条件で分化したCD4+mT細胞におけるFoxP3発現の定量化を示す。図1Cは、0~10nMの濃度のATRAを用いてTh17誘導条件で分化したCD4+mT細胞におけるIL-17発現の定量化を示す。図1Dは、0~10nMの濃度のATRAを用いてTh17誘導条件で分化したCD4+mT細胞におけるRORγt発現の定量化を示す。図1Eは、モデル炎症条件におけるTreg細胞の不安定化実験を概略的に示す。図1Fは、1nMのATRAの有無にかかわらず、不安定化アッセイの後の、Treg細胞におけるFoxP3発現の定量化を示す。図1Gは、1nMのATRAの有無にかかわらず、不安定化アッセイの後の、Treg細胞におけるIL-17発現の定量化を示す。図1Hは、1nMのATRAの有無にかかわらず、不安定化アッセイの後の、Treg細胞におけるRORγt発現の定量化を示す。図1B~D及びF~Hのデータは、代表的な実験の平均±S.D.であり、3つの実験複製物において実施された。図1B~D及びF~Hの統計分析は、対応のないスチューデントの両側t検定を使用して実施した。 生体活性ATRAの徐放性又は持続性放出をもたらすポリ-(乳-co-グリコール)酸(PLGA)微粒子(MP)中のATRAの封入を示す。図2Aは、50:50のポリ-(乳-co-グリコール)ATRA微粒子(ATRA封入PLGA MP又はPLGA-ATRA MPと称される)を合成するための工程を示す概略図である。図2B、D、及びFは、それぞれ、10.6、6.5、及び3.9μmの平均MP直径を有する粒子を産生するために様々な速度で均質化されたATRA封入PLGA MPの走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。 図2B、D、及びFに示される平均は、粒子サイズごとの3つのバッチにわたる平均体積平均化直径を表す。図2C、E、及びGは、体積平均化サイズ及び標準偏差を含む、各均質化速度についての単一の代表的なバッチ内のATRA封入PLGA MPサイズ分布を示す。図2Cは、9.6μmのMP直径の体積平均を有する粒子のATRA封入PLGA MPサイズ分布を示す。図2Eは、6.3μmの体積平均MP直径を有する粒子のATRA封入PLGA MPサイズ分布を示す。図2Gは、3.9μmの体積平均MP直径を有する粒子のATRA封入PLGA MPサイズ分布を示す。図2Hは、28日間にわたる1mLの放出溶液中の10.6μmのATRA封入PLGA MP、6.5μmのATRA封入PLGA MP、又は3.19μmのATRA封入PLGA MPの体積平均を有する10mgのATRA封入PLGA MPからのATRAの放出プロファイルを示す。図2Iは、図1Aに示されるCD4+mT細胞Th17分化アッセイにおける様々な時点での、ATRA封入PLGA MP製剤から放出されるATRAの有効性を示す。図2Jは、図1Eに記載のCD4+mT細胞不安定化アッセイにおける様々な時点での、ATRA封入PLGA MP製剤から放出されるATRAの有効性を示す。図2Kは、CD4+ヒトhT細胞分化アッセイにおける様々な時点での、ATRA封入PLGA MP製剤から放出されるATRAの有効性を示す。nanodropによって測定される希釈された上清の濃度は、時点の下に示される。図2B、D、及びFの直径平均は、サイズごとの3つのバッチの分析に基づく。図2C、E、及びGのデータは、サイズごとの3つの異なる画像切片の分析からまとめられた、各サイズの単一のバッチからの分布及び直径平均である。図2Cは、各サイズの2つの追加のバッチについて実施され、同様の結果が得られた。図2H~Kのデータは、代表的な実験の平均±S.D.である。図2Hは、各サイズの粒子の単一のバッチを実施した3つの別個の放出複製物からのデータを表す。図2I及びJは、2回実施された。図2Kは、2人の独立したドナーで2回実施された。図2Hにおける統計分析は、対応のないスチューデントの両側t検定(*=<0.05、**=<0.01)を使用して各複製物の曲線下面積を比較することによって実施した。図2I~Kにおける分析は、対応のないスチューデントの両側t検定を使用して実施された。 ATRA封入PLGA MPが、SKGマウスにおける自己免疫性関節炎をどのように改善するかを示す。図3Aは、中期関節炎の治療におけるATRA封入PLGA MPの有効性及び注射部位でのATRA封入PLGA MPの保持を評価する実験設定を示す概略図である。図3Bは、粒子の滞留及び分解を追跡するためにインビボ画像化システム(IVIS)を使用して、関節内(IA)注射されたCy5タグ付きPLGAブランクMPからの蛍光シグナルの定量化を示す。図C~Fは、2μgのATRA封入PLGA MPで処置したマウス又は用量一致ボーラスATRAでIA注射したマウスのいずれかの関節炎の進行の定量化を示す。定量化には、図3Cに示される集計臨床スコアの比較、図3Dに示される同側及び対側の後足の臨床スコアの比較、図3Eに示される後足の集計足首厚さ、並びに図3Fに示される同側及び対側の後足の足首の厚さの比較が含まれる。図3Gは、関節炎の発症を同期させるために0日目にマンナンを注射し、14日目に2μgの35ATRA封入PLGA MP又は対照未充填PLGAブランクMPのいずれかで処置したSKGマウスにおける関節炎の臨床スコアによる疾患進行を示す。図3Hは、治療(同側)を受けた後足対偽PBS注射(対側)を受けた後足の集計臨床スコアリングを示す。図3Iは、SKGマウスにおける後足首厚さを使用した関節炎進行の定量化を示す。図3Jは、処置及び対照マウスにおける同側足首と対側足首との間の足首厚さの比較を示す。図3Bのデータは、n=9のマウスにおけるCy5タグ付きPLGAブランクMPの正規化放射効率の平均±SDである。図C~Jのデータは、平均±SEMである。図C~F(ATRA封入PLGA MPの場合はn=5、ボーラスIA ATRAの場合はn=5のマウス)及び図G~J(ATRA封入PLGA MPの場合はn=10のマウス、PLGAブランクMPの場合はn=11のマウス)は、同腹マウスのセットで実施された単一の実験からのデータを表す。図3Bの統計分析は、対応のないスチューデントの両側t検定を使用して実施し、図C~Jの統計分析は、線形混合効果モデルを使用して実施された。 インビボでのATRA封入PLGA MPの薬物動態のモデリングを示す。図4Aは、ATRA封入PLGA MPからのATRAの放出、滑膜と末梢血との間のATRAの移行、及び腎臓を介した末梢血からのATRAの除去を示す2コンパートメント薬物動態モデルの概略図である。図4Bは、モデルコンパートメントの支配微分方程式、及び一次モデル係数のパラメータ値を示す。図4Cは、10.6μm、6.5μm、及び3.9μmのATRA封入PLGA MPのインビトロ放出プロファイルに基づく、末梢血中のモデル計算濃度プロファイルを示す。図4Dは、滑液中のATRAのモデル計算濃度プロファイルを示す。図4Eは、放出プロファイルについての最大濃度(Cmax)及びそれが生じる時間(tmax)値を示す。図4C~Eのデータは、示されるパラメータ及びインビトロで決定される平均ATRA放出プロファイルを使用したモデル出力を表す。 ATRA封入PLGA MP処置マウスにおける軟骨保護の増強及び免疫細胞浸潤の低減を示す。図5A~Bは、免疫細胞浸潤(矢印に示される免疫細胞)を実証する、PLGAブランクMP又はATRA 封入PLGA MPのいずれかで処置されたマンナン誘導性関節炎を有するSKGマウスからの足首の代表的なヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色を示す。図5Cは、集計足首データの自動組織形態計測分析を介した免疫細胞浸潤による足首炎症の定量化を示す。図5Dは、集計同側(ipsi)対対側(contra)足首データの自動組織形態測定分析を介した免疫細胞浸潤による足首炎症の定量化を示す。図5E~Fは、(矢印に示される)距骨/脛骨接合部の骨びらん及びプロテオグリカン喪失を示す代表的なサフラニン-O染色を示す。図5Gは、集計スコアとしてのプロテオグリカン喪失の定量化を示す。図5Fは、同側スコア対対側スコアとしてのプロテオグリカン喪失の定量化を示す。図5A~B及び図5E~Fの画像は、代表的な画像であり、図5C、D、G、及びHのデータは、平均±SDを表す。組織学は、図3及び図4の臨床及び免疫学的データに表されるマウスからのものである。PLGAブランクMPデータについてはn=7匹のマウスから、ATRA封入PLGA MPデータからはn=4匹のマウスから集計データを取った。図5Cの統計分析は、対応のないスチューデントの両側t検定を使用して実施された。図5Dの統計分析は、処置群間の対応のないスチューデントの両側検定、並びに同じ処置群内の同側群及び対側群間の対応のないスチューデントの両側t検定を使用して実施された。図5Gの統計分析は、マン-ホイットニー検定を使用して実施された。図5Hの統計分析は、処置群間のマン-ホイットニー検定、並びに同じ処置群内の同側群及び対側群間のウィルコクソン検定を使用して実施された。図5I~Jは、PLGA-ブランクMP又はATRA封入PLGA MPで処置したマウスの後足における骨びらんの定量化を示し、ATRA封入PLGA MPの軟骨保護効果を実証する。図5Iは、両方の後足の集計骨びらんスコアリングを示すが、図5Jは、直接処置された同側後足又は未処置の対側後足によって分類されたスコアを示し、ATRA封入PLGA MPで処置されたマウスにおける処置された関節及び未処置の関節の両方で軟骨保護が観察されることを実証する。 SKGマウスにおける関節炎転帰におけるATRA媒介改善の拡張された特徴付けを示す。図6Aは、2、20、又は200μg用量でPLGAブランクMP又はATRA封入PLGA MPのいずれかで処置したマウスからの臨床スコアを示す。2μgのATRA封入PLGA MP及びPLGAブランクMPのデータは、本明細書に示される図3、並びに代替用量との比較のための図6B及び図6Dにおいて同じデータである。図6Bは、マンナンを注射し、2μgのATRA封入PLGA MP又は対照ブランクPLGA(PLGAブランク)微粒子のいずれかで14日目に処置した関節炎SKGマウスの足首厚さの変化を示す。図6Cは、直接処置された(同側)か、又は2、20、若しくは200μgのATRA封入PLGA MP又はPLGAブランクMPのいずれかで14日目に処置されたマウスからの処置に対して対側であった後足の集計臨床スコアを示す。図6A~Cの群のデータは、以下のように検出された:PLGAブランク(n=11)、ATRA封入PLGA MP 200μg(n=5)、ATRA封入PLGA MP 20μg(n=3)、ATRA封入PLGA MP 2μg(n=10)。****は、p<0.0001を示す。図6A~Cの統計分析は、線形混合効果モデルを使用して実施された。b及びcにおける同側スコアと対側スコアとの間の差は、有意ではなかった。 運命マッピングマウスにおける関節炎の誘導を示す。図7Aは、運命マッピングマウスにおける関節炎の誘導、並びにその後の処置及びエンドポイントを示す概略図である。図7B~Dは、運命マッピングマウスの脾臓(図7Bに示す)、流入領域リンパ節(図7Cに示す)、又は足首(図7Dに示す)から単離したtdTomatoCD4+T細胞によるIL-17発現の定量化を示す。対になった点は同腹仔を表し、一方の同腹仔をPLGAブランクMPでIA処置し、他方の同腹仔をATRA封入PLGA MPでIA処置した。 ATRA封入PLGA MPが、関節炎に関連しない抗原に対する全身性免疫応答を損なわないことを示す。図8Aは、完全なフロイントアジュバント(CFA)を用いた最初の免疫化(prime)及び10日後の不完全なフロイントアジュバント(IFA)を用いた後続のブースター免疫化(boost)を使用した、関節炎SKGマウスにおける卵白アルブミン(OVA)ワクチン接種アッセイを示す概略図である。図8Bは、PLGAブランクMP(n=2)又はATRA封入PLGA MP(n=3)のいずれかで処置した関節炎を有するSKGマウスの臨床スコアを示す。OVAによる免疫化は、関節炎SKGマウスを用いた以前の試験と比較して、いずれのコホートにおいても臨床スコアの進行に影響を及ぼさなかった。図8Cは、ブースター免疫化の直前及びブースター免疫化の10日後の両方で、OD405=0.3で測定された力価アッセイからの抗OVA IgG1力価のlog10を示す。図8Dは、健康なC57Bl/6マウスにおけるOVAワクチン接種アッセイを示す概略図である。図8Eは、OD405=0.3で測定した力価アッセイからの抗OVA IgG1力価のlog10を示す。図8Fは、OVAによる最初の免疫化の20日後の処理されたマウス脾細胞からの四量体+CD4+T細胞計数を示す。図8Bのデータは、処置されたPLGAブランクMP処置マウス(n=2)及びATRA封入PLGA MP処置マウス(n=3)の平均±SEMを表す。図8C、E、及びFのデータは、それぞれ、n=2、n=5、及びn=5の生物学的複製物の平均±SDを表す。図8C、E、及びFの統計分析は、対応のないスチューデントの両側t検定を使用して実施した。 皮下送達を介したATRA封入PLGA MPの有効性を示す。図9A~Bは、ATRA封入PLGA MP、トウモロコシ油中のATRAの用量一致ボーラス、及びビヒクル単独(トウモロコシ油)を肩甲骨間に皮下注射されたSKGマウスの臨床スコアを示す。ボーラスATRAもATRA封入PLGA MPも、臨床スコア(図9A)又は足首腫脹(図9B)において改善をもたらさなかった。 24時間の前処理後のCD4+T細胞におけるFoxP3又はIL-17発現の定量化を示す。図10Aは、何もしない(なし)、1nMのATRA(ATRA)、又はIL-2のいずれかで24時間前処理し、続いて細胞の除去及び洗浄、並びにTh17誘導条件への移行を行った後のCD4+T細胞におけるFOXP3発現の定量化を示す。図10Bは、何もしない(なし)、1nMのATRA(ATRA)、又はIL-2のいずれかで24時間前処理し、続いて細胞の除去及び洗浄、並びにTh17誘導条件への移行を行った後のCD4+T細胞におけるIL-17発現の定量化を示す。 ATRAが細胞DNAにエピジェネティック修飾を行うかどうかを決定するためのトランスポザーゼアクセシブルクロマチン配列決定のためのアッセイ(ATAC)からのデータを示す。図11Aは、3つの群の差次的にアクセス可能な領域(DAR)(共通、Th17対照>ATRA処理、ATRA処理>Th17対照)のピーク当たりの計数の定量化を示し、異なる領域のピーク当たりの計数の差の広がりを示す。図11Bは、1nMのATRA(ATRAで処理した)又はなし(Th17対照)を用いてTh17誘導条件で培養した細胞間のピーク当たりの計数によるDARの定量化を示す。図11Cは、ATRA処理群において強化されたDAR又はTh17対照群において強化されたDARによって行に分類された全てのDARのヒートマップである。行と比較して、所与の試料におけるDARのzスコアを決定することによって、ヒートマッピングを実施した。図11Dは、Th17及びTreg関連遺伝子のゲノムブラウザプロットを示す。
患者における炎症性関節炎を治療するのに有用な組成物及び方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の組成物は、そのような治療を必要とする、又はそのような治療の必要性を発達させる可能性がある動物又はヒトなどの対象を治療するために投与することができる。例えば、組成物は、免疫系関連の障害又は疾患の発生率及び重症度を低減することができる。治療することができる免疫系関連の障害又は疾患の例としては、乾癬性関節炎、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎、変形性関節症、小児性関節炎、線維筋痛、痛風、及び狼瘡などの炎症性関節炎の状態が挙げられる。患者は、関節が炎症性関節炎によって活動的に炎症を起こさない場合、例えば、患者が寛解状態にある場合に、重症度を低減するか又は再発を防ぐために治療され得る。患者はまた、疾患の重症度を低減するか、又は疾患の更なる発達若しくは発症を防ぐために、炎症性関節炎の発症前の段階にあるときに治療され得る。
患者における炎症性関節炎を治療するための方法は、患者の炎症性関節炎に罹患した関節、炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節、炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は炎症性関節炎に罹患した関節の関節包のうちの少なくとも1つに、免疫調節剤MPを局所投与することを含み得る。免疫調節剤は、炎症性関節炎に罹患した関節の微小環境を変更し、全般的な全身性免疫抑制を引き起こすことなく、少なくとも1つの他の炎症した関節に全身的に影響を及ぼす任意の組成物に含まれ得る。例えば、免疫調節剤は、骨びらん、炎症を低減し、軟骨損傷を低減することによって、微小環境を変更することができる。薬剤はまた、炎症促進性サイトカイン又はケモカインの量を低減すること、抗炎症性サイトカインを増加させること、又は炎症におけるB細胞、T細胞、及びマクロファージなどの様々な免疫細胞の役割を調節することによって、関節の免疫微小環境を調節することができる。
免疫調節剤
免疫調節剤には、調節性Treg誘導剤、滑膜線維芽細胞調節剤、又は生分解性材料に少なくとも部分的に封入されている抗原提示細胞調節剤を含み得る。Treg誘導剤は、ナイーブCD4+T細胞においてFOXP3発現を誘導することができる。Treg誘導剤は、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストを含み得る。RARアゴニストは、全トランス型レチノイン酸(ATRA)を含み得る。免疫調節剤はまた、ナイーブCD4+T細胞においてIL-10発現を誘導することができる。
免疫調節剤は、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を含み得、DMARDは、生分解性材料内に封入されている。DMARDはまた、少なくとも部分的に封入された免疫調節剤から除外することができ、代わりに、少なくとも部分的に封入された免疫調節剤を患者に投与するのと別個に及び同時に、患者に経口、皮下、又は静脈内投与することができる。Treg誘導剤とDMARDとの組み合わせによる患者の治療は、炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を相乗的に低減させることができる。
免疫調節剤は、MPに封入されているか、又はMPの表面に結合しているかのいずれかのTGF-βを含むことができない。TGF-βは、全般的な免疫抑制につながる非特異的Treg拡大を誘導することが知られている。更に、関節内TGF-β注射は、炎症、滑膜肥厚、及び骨棘形成を誘導することが実証されており、炎症した関節を悪化させ得る。関節内TGF-β注射も炎症性関節炎の発症を促進することが実証されているが、TGF-βの局所阻害はTreg/Th17のバランスを改善することが示されている。
免疫調節剤を含むMP
免疫調節剤を含むMPは、炎症の重症度を低減するために、炎症性関節炎に罹患した関節に関節内注射(IA)によって投与することができる。免疫調節剤の封入は、治療に関連する濃度での免疫調節剤の徐放を容易にして、未治療の関節ではなく治療された関節のみで疾患進行を抑制することができる。免疫調節剤拡大及び安定化Treg細胞、並びに関連する抗炎症性サイトカインの再循環は、注射されない関節における疾患進行に対する全身抑制に関与する。
例えば、組成物が、患者の炎症性関節炎に罹患した関節(関節内注射により直接)、炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節、炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は炎症性関節炎に罹患した関節の関節包のうちの少なくとも1つに投与される場合、ATRA封入PLGA MPなどの生分解性微粒子に少なくとも部分的に封入されたATRAなどの調節性T細胞(Treg)誘導剤は、炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症した関節内のTreg細胞集団を安定化させることができる。炎症した関節内のTreg細胞集団を安定化させることは、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させることを含み得る。機能不全Treg細胞は、炎症促進性Treg表現型T細胞を含み得る。機能不全Treg細胞はまた、Th17様exTreg表現型T細胞又はTh1様exTreg表現型T細胞を含み得る。ATRA封入PLGA MP治療はまた、患者における抗炎症性サイトカインの全身産生を増強することができる。
ATRA封入PLGA MPは、炎症性関節炎に罹患した関節への関節内注射(IA)によって投与することができ、SKGマウスにおける炎症の重症度を低減する。これは、炎症促進性Th17細胞よりも抗炎症性Treg細胞を増強することと相関する。ATRA封入MPは、マウス及びヒトTreg細胞の分化を促進し、マウスTreg細胞の不安定化を防ぎ、Th17細胞を阻害する。溶液中のATRAのボーラス注射は、ATRAを直接関節、関連するリンパ節、及び軟部組織に送達することができるが、この注射方法は、関節炎の進行にほとんど又はまったく効果がない。これは、関節、リンパ節、及び関連する軟組織からの注射されたATRA溶液の迅速なクリアランスにより、Treg細胞を拡張し安定化させるための適切な濃度のATRAを維持することができないことによる可能性が高い。対照的に、注射されたPLGAベースのMP中にATRAを封入することは、治療的に関連する濃度でのATRAの徐放を容易にし、注射後少なくとも4週間、疾患の進行を抑制する。IA ATRA封入PLGA MPは、SKGマウスにおける関節炎の重症度を低減し、処置された関節及び未処置の関節の両方における臨床スコアを安定化させた。
疾患調節と一致して、IA治療を受けた同側足首関節及び偽IA注射を受けた対側関節の両方におけるエンドポイント組織学的評価は、15の異なる型の浸潤免疫細胞、骨びらん、及びプロテオグリカン喪失の低減を実証した。これらの結果は、ATRA封入MPが、炎症を低減することに加えて、SKG関節炎における全身性疾患修飾剤としても作用することを示す。これらの結果に基づいて、本明細書に記載の局所注射されたIAベースの免疫調節剤封入ポリマーMPアプローチは、局所及び全身の治療有効性の両方を実証した。このアプローチは、全身的に送達されたDMARDに応答しない個々の関節の炎症を一時的に低減するために、いくつかのRA患者で使用されるIAステロイド注射とは異なる。
ATRA封入PLGA MPは、同じ患者において、同側注射された関節及び対側未注射関節に等しく影響を及ぼし得る。この方法を使用する全身性疾患調節は、T細胞依存性免疫応答の全般的な抑制とは関連していない可能性がある。むしろ、ATRA封入PLGA MP処置SKGマウスの足首及び流入領域リンパ節におけるTh17細胞を上回るTreg細胞の増強は、Treg細胞の局所的な増強及びこれらの細胞の全身再循環を実証し、関連する抗炎症性サイトカインは、関節炎退縮を改善する。この知見はまた、増強したexTreg細胞の数がSKGマウス関節炎モデルにおける関節炎の重症度を増加させるという観察と一致する。SKGマウスにおけるATRA封入PLGA MPのIA投与は、Treg細胞の安定性を改善し、Treg細胞のexTreg細胞への変換を制限した。
毛細血管の数及び毛細血管透過性は、RA関節で増加する可能性がある。これにより、注射療法、特に溶液中のATRAのような低分子量化合物が、RAに罹患した関節から迅速にクリアランスされる。IA注射は、限られた頻度でのみ患者に安全に投与することができるため、注射された溶液中の薬物の迅速なクリアランスは、薬物投与の頻度を単に増やすだけでは克服することができない。注射された溶液中の薬物の濃度を増加させると、薬物への関節曝露を延長させることができる。しかしながら、注射された薬物濃度の上昇は、関節内の局所的な毒性を引き起こす可能性がある。高濃度の注射された薬物の急速な放出はまた、関節からの退出後にオフターゲット組織によって取り込まれた場合、望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。対照的に、ATRA封入PLGA MPは、局所濃度のATRAの徐放性又は持続性放出をもたらすことができ、これは、組成物が直接投与されなかった患者の炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失の重症度を低減することができる。IA投与されたATRA封入PLGA MPからのATRAの放出プロファイルは、免疫抑制閾値を超える全身ATRA曝露を引き起こすには不十分である。
局所投与されたATRA封入PLGA MPの治療有効性は、SKGマウスにおけるDMARDによる全身治療よりも治療有効性が高い場合がある。IA ATRA封入PLGA MPによる関節炎スコアの改善は、SKGマウスにおける第一選択の従来のDMARDであるメトトレキサートの報告された有効性よりも優れている場合がある。これは、1.0mg/kgの投与にもかかわらず、ヒトにおける典型的な臨床的に投与される用量の約20倍を超える1日用量であり得る。IA ATRA封入PLGA MPの有効性は、SKGマウスにおける毎週100μgの抗IL-17抗体処置又は毎週200μgの抗IL-6R抗体などの生物学的DMARDの同等の全身投与であり得る。ATRA封入PLGA MPは、T細胞依存性免疫応答の全般的な抑制に関連していないため、それらはまた、保護免疫応答を更に損なうことなく、疾患制御を増強するための現在承認されているDMARDの投与に対する免疫調節アジュバントとしても機能し得る。
IA ATRA封入PLGA MPで処置されたSKGマウスにおける臨床評価及び組織形態計測評価の改善は、Treg細胞対Th17様exTreg表現型細胞比又はTreg対Th1様exTreg表現型T細胞比の改善と相関し得る。例えば、ATRA封入PLGA MPのIA注射後、Treg細胞集団は、3日以内に、及び処置後21日までに、同側足首におけるTh17様exTreg表現型細胞よりも増強され得る。この増強は、両方の足首の流入領域リンパ節などにおいて局所的に観察することができるが、脾臓では観察することができない。これらの結果は、関節-流入領域リンパ節におけるTreg細胞の安定性が、ATRA封入PLGA MPのIA注射の11日後に増強されるように思われた、運命マッピングSKGマウスからのデータと一致する。ATRAによって媒介されるTreg細胞機能のインビトロ増強と共に、これらの結果は、全身疾患特異的免疫調節が、ATRAによる全身免疫抑制ではなく、処置された関節からのTreg細胞の再循環に起因し得ることを実証する。
IA ATRA封入PLGA MPは、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)マウスにおける免疫寛容原性ワクチンを使用した抗原特異的免疫調節、RA自己抗原(Rheumavax)の混合物とのインキュベーションによる免疫寛容原性Treg誘導樹状細胞のエクスビボ生成及び17注入、並びに1つ又は複数のRA自己抗原に対するキメラ抗原受容体(CAR)-Tregのエクスビボ生成及び注入などの自己免疫炎症性関節炎で評価されている他の前臨床免疫調節戦略とは異なり得る。Rheumavax及びCAR-Treg細胞アプローチの有効性は、RAにおいて実質的な抗原拡散が生じることが知られているために標的とされ得る既知の自己抗原の不足によって制限され得る。
ATRA封入PLGA MPは、関与するエピトープの先験的な知識なしに、疾患特異的Treg細胞を促進するために炎症部位で局所的に作用するという利点を有し得る。ATRA封入PLGA MPは、T細胞媒介免疫応答の免疫抑制なしで、処置されたマウスにおける炎症性関節炎疾患の進行を永続的に抑制することができる。ATRA封入PLGA MPは、2~200μgの範囲の用量で、炎症性関節炎に罹患した関節への単一のIA注射後の疾患進行を抑制するのに等しく有効であり得る。このATRA用量は、ブドウ膜炎、実験的自己免疫性脳脊髄炎、及び炎症性自己免疫性関節炎における炎症を調節する他の自己免疫性疾患マウスモデルで使用される、0.5~25mg/kgの範囲の頻繁な全身投与ATRA用量よりも有意に低い。例えば、ATRA封入PLGA MPは、2~20μgの範囲の用量で、炎症性関節炎に罹患した関節への単一のIA注射後の疾患進行を抑制するのに有効であり得る。
1回のIA ATRA封入PLGA MP注射(Cmax)後のインビボでのATRAへの計算された最大全身曝露は、40pMであり、これは、げっ歯類における毒性に関連付けられている用量(14mg/kg超)で到達した濃度をはるかに下回り得る。本明細書に記載の薬物動態モデルは、治療された炎症性関節炎に罹患した関節の滑液中のATRAの治療有効濃度及び非免疫抑制性全身濃度を予測した。
炎症性関節炎は、慢性的な疼痛及び障害につながる可能性がある。DMARDは疾患管理を変革したが、患者の大部分は寛解を達成するのに苦労し続けている。例えば、第2のDMARDを組み合わせることによって、特定のDMARDに部分的にしか応答しない患者における免疫抑制を深めることは、現在、実行可能な選択肢ではない。臨床疾患の進行を遅らせるために病原性免疫細胞を調節する能力は、軟骨プロテオグリカン(PG)の保存及び骨びらんの低減(BE)と相まって、全般的な免疫抑制なしで全身性疾患特異的臨床利益を提供する局所送達剤としてのIA ATRA封入PLGA MPの有用性を支持する。
ATRA封入PLGA MPは、RAなどの炎症性関節炎の発達の早期に投与された場合、局所免疫調節を媒介する。この結果は、疾患の進行を減速させる又は防ぐための効果的な単剤療法としてのATRA封入PLGA MPの使用を支持する。ATRA封入PLGA MPの定期的な注射は、感染及びがんに対する免疫応答を更に損なうことなく疾患の制御を増強するために、現在承認されているDMARDと組み合わせた免疫調節アジュバントとして機能し得る。ATRA封入PLGA MPは、凍結乾燥して長期間保管することができ、市販品使用することができる可能性がある。加えて、温度安定性の低い抗体と比較して、ATRAのような小分子治療薬の温度安定性は、冷蔵保管と比較して、より経済的に好ましい室温保管の能力を提供する。炎症性関節炎に罹患した関節へのATRA封入PLGA MP注射は、必要に応じて、蛍光透視及び超音波ガイダンスの技法の下で実施することができる。重要なことに、全身送達されたATRAは、CIAマウス及び変形性関節症(OA)のモデルにおいて軟骨保護的であることが報告されている。更に、ATRAの全身投与は、筋骨格症状を引き起こさない。まとめると、これらの結果は、ATRAが十分に耐容性であり、IA送達に安全であり得ることを示す。
生分解性/生体吸収性ポリマー
本明細書に記載の免疫調節剤は、吸収を遅らせる薬剤を含み得る生分解性/生体吸収性材料に少なくとも部分的に封入することができる。注射用組成物の長期吸収は、組成物に、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。更に、本明細書に記載の化合物は、時間放出製剤、例えば、緩徐放出ポリマーを含む組成物において製剤化することができる。組成物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの迅速な放出から免疫調節剤を保護する担体を用いて調製することができる。
本明細書に記載の微粒子に含まれるポリマーは、任意の好適な生分解性ポリマーである。ポリマーの非限定的な例としては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、PLGA-ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー、ポリ(L-乳酸-I-グリコール酸)(PLLGA )、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEO-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PPO-co-D,L-ラクチド)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P4HB)、ポリ-L-リジン(PLL)、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリホスファジン、ポリジオキサゾン、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ二ビルアルコール、ポリアミノ酸、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(レブリン酸)、及び前述のポリマーのうちの1つ以上の組み合わせ、又は前述のポリマーのうちの2つ以上のブロックコポリマーが挙げられる。
例えば、ポリマーは、PLGAであり得る。PLGAポリマー中の乳酸:グリコール酸比は、約50:50~約99:1(例えば、約75:25~約90:10、約70:30~約90:10、約80:20~約90:10、約85:15~約75:25、約85:15、又は約75:25)である。いくつかの実施形態では、PLGAは、約20kDa~約1000kDa(例えば、約50kDa~約500kDa、約100kDa~約300kDa、又は約150kDa~約250kDaの重量平均分子量(MW)を有し得る。PLGAは、3以下、2.5以下、2以下、又は更には約1.8以下の多分散性指数を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約25℃~約65℃、約30℃~約55℃、又は約35℃~約50℃のガラス転移温度を有する。
あるいは、ポリマーは、PLAであり得る。PLAは、約20kDa~約1000kDa(例えば、約40kDa~約500kDa、約60kDa~約300kDa、又は約80kDa~約250kDaの重量平均分子量(MW)を有し得る。いくつかの実施形態では、PLAは、3以下、2.5以下、2以下、又は更には約1.8以下の多分散性指数を有し得る。
本明細書に記載の生分解性/生体吸収性ポリマーのトリブロックコポリマーを含むマルチブロックコポリマーもまた、本明細書で企図される。
他の例では、ポリマーは、PLA/PLGAブロックコポリマーである。PLA/PLGAブロックコポリマーは、約10kDa~約300kDa、約20kDa~約200kDa、又は約40kDa~約100kDaの重量平均分子量(MW)を有し得る。いくつかの実施形態では、PLA/PLGAブロックコポリマーは、3以下、2.5以下、2以下、又は更には約1.8以下の多分散性指数を有し得る。
本明細書に記載の2つ以上のポリマーのブレンドも企図される。例えば、PLAとPLGAとのブレンドが企図され、PLAは、PLGAとブレンドされるか、又はPLGAは、15:85、25:75、50:50などの約一連の比率でPLAとブレンドされる。例えば、PCLとPLGAとのブレンドが企図され、PCLは、PLGAとブレンドされるか、又はPLGAは、15:85、25:75、50:50などのおよその一連の比率でPLAとブレンドされる。
持続的放出製剤は、放出及び分解特性の特定の調整のために、本明細書に記載の1つ以上の生分解性ポリマーを含み得る。生分解性/生体吸収性ポリマーは、末端がカルボン酸末端であるキャップのないポリマー、又は末端がエステルとして部分的若しくは更には完全にキャップされているキャップポリマー(例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチルエステルなどの(C-C)アルキルエステル、ベンジル及びナフチルメチルエステルなどの(C-C14)アリール-(C-C)アルキルエステル、並びにそれらの組み合わせ)を含む、任意の形態であり得る。キャップの(C-C)アルキル及び/又は(C-C14)アリール部分は、-NR基などの1つ以上の基で置換することができ、式中、R及びRは、独立して、H、(C-C)アルキル、(C-C14)アリール、及び(C-C14)アリール-(C-C)アルキル基から選択される。キャップの(C-C)アルキル及び/又は(C-C14)アリール部分は、-OR基などの1つ以上の基で置換することができ、式中、Rは、H、(C-C)アルキル、(C-C14)アリール、及び(C-C14)アリール-(C-C)アルキル基から選択される。
ポリマーは、両親媒性ブロックコポリマーを含み得る。追加の特定の実施形態では、ポリマーは、乳酸及びグリコール酸(例えば、PLGA)のコポリマーを含み得る。追加の特定の実施形態では、ポリマーは、PLGA-ブロック-PEG及びPLGAのうちの少なくとも1つを含み得る。PLGA及びPEGのブロックコポリマーでは、PEGブロックは、約500Da~約40,000Da(例えば、約1,000Da~約20,000Da 又は約2,000Da~約10,000Daの分子量を有し得る。
生分解性/生体吸収性ポリマーとしては、ポリ乳酸-co-カプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸-ブロック-ポリエチレングリコール、ポリグリコール酸-ブロック-ポリエチレングリコール、ポリラクチド-co-グリコリド-ブロック-ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール-ブロック-脂質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グリコサミノグリカン、ポリオルトエステル、多糖類、多糖類誘導体、ポリヒアルロン酸、ポリアルギン酸、キチン、キトサン、キトサン誘導体、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリペプチド、ポリリシン、ポリグルタミン酸、アルブミン、ポリヒドロキシアルコノエート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート、タンパク質、ポリホスフェートエステル、脂質、及びそれらの混合物も挙げられる。
本明細書で用いられるMPは、好適かつ適切な寸法を有する。いくつかの実施例では、微粒子は、卵形、球形、楕円形、管状などであり得る。形状に加えて、MPは、MPに、マクロファージによる食作用に対する抵抗性を提供するか、又はMPが直接投与された炎症性関節炎に罹患した関節若しくは流入領域リンパ節から脱出するのに好適な直径を有する。例えば、MPは、約5μm~最大約20μmの平均直径を有し得る。別の例では、MPは、約20μm~最大約50μmの粒径を有し得る。
加えて、MPは、「D値」によって定量化され得る粒径分布を有する。本明細書で使用される場合、「D50」という用語は、50パーセンタイルの数又は体積ベースの粒子直径中央値を指し、これは、粒子集団の数又は体積で50%未満が見出される直径である。D10(10%)、D90(90%)、D99、及びD100(100%)などの他のパーセンテージもまた一般的に使用される。本明細書で使用される場合、「D99」という用語は、99パーセンタイルの数又は体積ベースのいずれかの粒子直径中央値を指し、これは、粒子集団の体積の数で99%未満が見出される直径である。数又は体積の測定値は、数の場合は[num]、体積の場合は[vol]で示される。
本明細書に記載される様々な実施形態の微粒子は、約5μm~約20μmのD50粒子直径を有し得る。本明細書に記載される様々な実施形態の微粒子は、約20μm~約50μmのD50粒子直径を有し得る。微粒子はまた、約5μm未満の直径(例えば、約1μm~約5μm、約1.5~約4μm、約1.75~約3.5μm、又は約2~約3μmのD50粒子直径)を有し得る。他の実施形態では、微粒子は、約9μm未満のD90粒径(例えば、約2μm~約9μm、約3μm~約7μm、又は約3.5μm~約6μmのD90粒径)を有し得る。更に他の実施形態では、微粒子は、約10μm未満のD99粒径(例えば、約3μm~約10μm、約4μm~約9μm、約4.5~約8μm、又は約5μm~約7μmのD99粒子直径)を有し得る。他の実施形態では、微粒子は、約15μm未満のD100[num]粒径(例えば、約3μm~約12μm、約4μm~約11μm、又は約5μm~約10μmのD100粒径)を有する。
粒径及び粒子サイズ分布は、例えば、米国特許第9,423,335号(本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる)に記載されているように、単一粒子光学サイズ分類(SPOS)によって決定することができる。SEM、顕微鏡、光散乱、レーザー回折、コールターカウンター(電気的帯感知)、及びデジタル画像分析を含む、粒径及び粒子サイズ分布を決定するための他の方法もまた使用することができる。
微粒子は密度を有する。密度は、約0.5~約2g/mL(例えば、約0.5~約1.5g/mL、約0.75g/mL~約1.5g/mL、及び約1.0g/mL~約1.5g/mL)である。微粒子は、生分解性である。追加の実施形態では、微粒子は生体浸食性(bioerodible)である。追加の実施形態では、微粒子は生体適合性である。
微粒子は、注射可能な組成物が依然として流動性及び注射可能である限り、本明細書に記載の注射可能な組成物において、任意の好適かつ適切な濃度で存在することができる。しかしながら、ある特定の組成物は、固体の特定の濃度に達すると、最終的に注射可能でなくなることを理解されたい。微粒子は、ビヒクル中で約1mg/mL~約500mg/mL(例えば、約50mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約10mg/mL~約300mg/mL、又は約1mg/mL~約200mg/mL)の濃度で存在することができる。
免疫調節剤は、ポリマーの最大約50重量%(例えば、ポリマーの約5重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約15重量%~約35重量%、約20重量%~約35重量%、又は約20重量%~約40重量%)の重量で存在することができる。APIを含むポリマーを使用して、本明細書に記載の様々な実施形態の微粒子を製造する。いくつかの実施形態では、微粒子を、そのようなポリマーから製造して、高いIA充填を有し、依然として制御されたバースト及び徐放性を示す微粒子を得ることができる。更なる特定の実施形態では、免疫調節剤は、ポリマーの最大約40重量%の重量で存在することができる。代替の特定の実施形態では、免疫調節剤は、ポリマーの少なくとも約10重量%の重量で存在し得る。更なる特定の実施形態では、免疫調節剤は、ポリマーの少なくとも約20重量%の重量で存在することができる。代替の特定の実施形態では、免疫調節剤は、ポリマーの約20~約35重量%、又はポリマーの約20~約40重量%の重量で存在し得る。
免疫調節剤は、複数の微粒子の最大約50重量%(例えば、複数の微粒子の約1重量%~約5重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約30重量%)の重量で存在することができ、重量パーセントは、微粒子中に存在し得る他の材料の存在を考慮して調整することができる。
注射可能な組成物に用いられるIAの特定の量(質量単位で測定される)は、典型的には、例えば、送達される組成物の量に依存する。送達される組成物の量は、典型的には、例えば、患者のサイズ、体重、年齢、及び健康状態、治療される疾患又は障害、投与の場所又は部位、薬物放出の持続時間、IAの効力、並びに用いられる特定のIAに依存する。
本明細書に記載の微粒子は、例えば、凍結乾燥粉末として、密封された乾燥容器に保存することができる。注射の前に、粒子を注射ビヒクルと混合することができ、得られた懸濁液のアリコートを、患者への注射のために収集することができる。典型的な設定では、この手順は、IA注入のために懸濁液を針に引き込むことによって行うことができる。一実施形態では、画像ガイダンスの有無にかかわらず、注射用の3mLの注射器を備えた1.5インチ又は1インチの25ゲージの針を、局所麻酔剤のための2%のリドカインと共に使用することができる。他の方法は、IA注射の当業者には明らかであろう。例えば、Lockman,“Knee joint injections and aspirations,”Can Fam Physician.2006 Nov 10;52(11):1403-1404(本明細書に完全に記載されているかのように、参照により組み込まれる)を参照されたい。
投与量、製剤、及び投与経路
本明細書に記載の治療剤を含有する医薬製剤は、利用可能な成分を使用して利用可能な手順によって調製することができる。製剤は、薬学的に許容される担体、ビヒクル、及びアジュバントを含有し得る。例えば、治療剤は、一般的な賦形剤、希釈剤、又は担体と共に製剤化することができ、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、エアロゾルなどに形成することができる。そのような製剤に好適な賦形剤、希釈剤、及び担体の例としては、緩衝剤、並びにデンプン、セルロース、糖、マンニトール、及びケイ酸誘導体などの充填剤及び増量剤が挙げられる。結合剤には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び他のセルロース誘導体、アルギネート、ゼラチン、及びポリビニルピロリドンなども含まれ得る。パラフィンなどの溶解を遅延させるための薬剤も含まれ得る。四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤も含まれ得る。セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの表面活性剤を含むことができる。カオリン及びベントナイトなどの吸着性医薬担体を添加することができる。防腐剤も添加することができる。本発明の組成物はまた、セルロース及び/又はセルロース誘導体などの増粘剤を含有し得る。それらはまた、キサンタン、グアー、又はカルボガム若しくはアラビアゴムなどのゴム、又は代替的にポリエチレングリコール、ベントン(bentone)、及びモンモリロナイトなどを含有し得る。
例えば、水に加えて、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、「Dowanol」という名前で販売される製品などのグリコールエーテル、ポリグリコール及びポリエチレングリコール、短鎖酸のC1-C4アルキルエステル、乳酸エチル又は乳酸イソプロピル、「Miglyol」という名前で販売される製品などの脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、動物油、鉱物油、及び植物油、並びにポリシロキサンなどの溶媒から選択される、生理学的観点から許容される1つ以上の水性又は有機溶媒を使用して、溶液を調製することが可能である。
免疫調節剤は、非経口投与のために(例えば、関節、炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節、炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は炎症性関節炎に罹患した関節の関節包への注射、例えば、ボーラス注射又は連続注入によって)製剤化することができ、アンプル、充填済み注射器、少量注入容器、又は複数回用量容器において、単位用量形態で提示することができる。
炎症性関節炎に罹患した関節に投与される免疫調節剤の用量は、炎症性関節炎に罹患した関節内のTreg細胞集団を安定化させるのに十分な量であり得、かつ患者の全身性免疫抑制を引き起こさない。炎症性関節炎に罹患した関節に投与される免疫調節剤の用量は、炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させるのに十分な量であり得、かつ患者の全身性免疫抑制を引き起こさない。
上記のように、防腐剤を添加して、剤形の貯蔵寿命を維持するのを助けることができる。活性剤及び他の成分は、油性又は水性ビヒクル中で懸濁液、溶液、又はエマルションを形成することができ、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの処方剤(formulatory agent)を含有し得る。代替的に、治療剤及び他の成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば、減菌のパイロジェンフリー水で構成するために、減菌固体の無菌単離によって、又は溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であり得る。
組成物はまた、酸化防止剤、界面活性剤、保存剤、フィルム形成剤、角質溶解剤、又は面皰改善剤(comedolytic agent)を含み得る。t-ブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びα-トコフェロールなどの酸化防止剤、並びにその誘導体が添加され得る。
組成物は、任意選択の成分として、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤、又は乳化剤、及び当該技術分野で利用可能な種類の塩を含み得る。そのような物質の例としては、生理学的に緩衝された生理食塩水及び水などの通常の生理食塩水が挙げられる。本発明の薬学的製剤において有用な薬学的担体及び/又は希釈剤の特定の非限定的な例としては、水及び生理学的に許容される緩衝生理食塩水、例えば、pH7.0~8.0のリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。
更に、活性成分は、記載の状態又はいくつかの他の状態にかかわらず、他の治療剤、例えば、鎮痛剤、抗炎症剤、抗がん剤などと組み合わせて使用することもできる。
キット
本発明は更に、疾患を検出、制御、予防、又は治療するためのキット又は他の容器などの包装された薬学的組成物に関する。本発明のキットは、本明細書に記載のもの(例えば、炎症性関節炎状態)などの免疫応答、免疫状態、及び自己免疫疾患を検出、制御、予防、又は治療するために設計され得る。
一実施形態では、キット又は容器は、ATRA封入PLGA MPなどの生分解性材料に少なくとも部分的に封入された免疫調節剤、及び免疫調節剤を含む組成物を調製するための説明書を保持し得る。
別の実施形態では、キット又は容器は、疾患の治療、予防、又は制御のための治療有効量の薬学的組成物、及び疾患の制御のための薬学的組成物の使用説明書を保持し得る。薬学的組成物は、疾患が制御、予防、又は治療されるように、治療有効量でTreg誘導剤、滑膜線維芽細胞調節剤、又は抗原提示細胞調節剤などの少なくとも1種類の免疫調節剤を含み得る。そのような組成物は、液体形態、粉末形態、又は患者に即座に投与することを可能にする他の形態であり得る。
本発明のキットはまた、本発明の組成物を投与するのに有用なツールを備える容器を含み得る。そのようなツールには、注射器、スワブ、カテーテル、消毒液などが含まれ得る。一部のキットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従って患者を治療するための、混合容器、器具、及び注射デバイスを含む、所望のツール、溶液、化合物の全てを含み得る。一実施形態では、キットは、本明細書に記載の様々な実施形態の免疫調節剤封入MPを含む。免疫調節剤封入MPは、注射器、バイアル(例えば、バイアルは、隔壁及び/又は圧着シールを含み得、バイアルは、任意選択で、窒素雰囲気などの不活性雰囲気又は乾燥空気を含み得る)、又はパウチ(例えば、防湿層を含むパウチ;パウチは、任意選択で、窒素雰囲気などの不活性雰囲気又は乾燥空気を含み得る)などの好適な容器(例えば、実質的に水不透過性)中に乾燥粉末として滅菌包装することができる。免疫調節剤封入MPを含むバイアルは、懸濁液を引き出すための針の使用を必要としない注射キャップを有することができ、MPを損傷する、又は負圧下で溶液から粒子を分離したりすることを回避するために使用することができる。キットはまた、乾燥剤を含み得る。乾燥剤は、パウチに含まれ得るか、又はパウチ材料の層に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、微粒子は、凍結ビヒクルに減菌包装されてもよい。前述のように、ビヒクルは、流動性の生体吸収性ポリマー、生理食塩水、滅菌水、リンゲル溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液などの流動性ビヒクル(例えば、液体ビヒクル)を含む、任意の好適なビヒクルであり得る。ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射剤USP(0.9%)、リンゲル注射剤USP、乳酸リンゲル注射剤USP、乳酸ナトリウム注射剤USP、デキストロース注射剤USP(5%又は10%)、注射用静菌水USP、及び注射用滅菌水USPが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、微粒子は、水中に懸濁し、注射器などの容器に予め充填し、凍結することができる。
キットは、少なくとも1つの静的混合要素、例えば、注射器に取り付けられる要素を含み得る。いくつかの実施形態では、使用者は、微粒子を送達するための静的混合要素を提供する。
キットはまた、とりわけ、本明細書に記載の様々な実施形態の微粒子がビヒクルで再構成されるときに生じ得る任意の微粒子凝集を分散するのに役立つビーズを含み得る。いくつかの実施形態では、ビーズは、微粒子よりも十分に大きいため、微粒子は注射部位に選択的に送達することができ、一方、ビーズは注射デバイス(例えば、注射器)内に残る。例えば、ビーズは、約1mmである少なくとも1つの寸法を有し得る。ビーズは、球形及び卵形を含む、任意の好適な形状であり得る。ビーズはまた、任意の好適なテクスチャを有し得る。例えば、ビーズは、滑らかなテクスチャ及び/又は粗いテクスチャを有し得る。ビーズはまた、ガラス、セラミック、金属(例えば、ステンレス鋼)、ポリマー(例えば、ePTFE又はポリプロピレン)、及び複合材料を含む任意の好適な材料で作製され得る。ビーズは、別個の容器内、本明細書に記載される様々な実施形態の微粒子と同じ容器内にキットに含まれてもよい。あるいは使用者が、好適なサイズ、形状、テクスチャ、及び/又は材料のビーズを治療現場で提供することができる。
キットはまた、滅菌水又は滅菌生理食塩水(例えば、標的注射領域が実質的に疎水性又は親油性である場合)などの本明細書に記載の注射ビヒクル、又は非水性ビヒクル(例えば、本明細書に記載の疎水性の液体ビヒクル)を含む他の好適なビヒクルを含み得る。投与前に、微粒子を注射ビヒクルに添加して懸濁液を形成し、攪拌(agitated)(例えば、攪拌(stirred)、振盪、又はボルテックス)して均一性を最大にすることができる。いくつかの実施形態では、非水性ビヒクル(例えば、本明細書に記載の疎水性の液体ビヒクル)などのビヒクルに懸濁された微粒子がキットに入ってもよい。
キットは、皮下注射針、又はカニューレ、カテーテル、若しくは他の好適なチューブなどの他の送達デバイスを更に含み得る。キットは、施術者のための説明書、投与量表、及び他の関連情報を更に含み得る。
キットは、別個の容器内のAPIを微粒子及びビヒクルと組み合わせて、微粒子の投与(例えば、注射)時にAPIのボーラスを提供することができるように、本明細書に記載の様々な実施形態の微粒子と同じ容器内又は別個の容器内のいずれかに1つ以上の追加のAPI(例えば、局所麻酔剤)を含み得る。他の実施形態では、使用者は、本明細書に記載の様々な実施形態の微粒子と組み合わせることができる1つ以上の追加のAPIを、治療現場で提供することができる。1つの特定の例では、キットは、2mlの1%のリドカイン中にATRA封入PLGA MPを含む、IA膝注射用の予め充填された注射器を含む。ATRA封入PLGA MP及びリドカインは、いくつかの実施形態では、凍結乾燥され、IA注射前にPLGA MPを懸濁し、粉末を溶解する好適なビヒクル(例えば、滅菌生理食塩水又は水)で再構成される。
キットは、複数のパッケージの内容物を再構成するための、及び/又は得られた組成物(例えば、注射可能な組成物)の投与のための指示を提供するための、説明書又は印刷されたしるしを含み得る。例えば、印刷されたしるし上の説明書は、脂肪組織、硬膜外組織、及び標的神経又はその近くの少なくとも1つを含む生物学的組織への注射を指示し得る。
範囲形式で表される値は、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」又は「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及び示された範囲内の部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。別途示されない限り、「約X~Y」という記述は、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、別途示されない限り、「約X、Y、又は約Z」という記述は、「約X、約Y、又は約Z」と同じ意味を有する。
本明細書では、文脈が明確に別途指示しない限り、用語「a」、「an」、又は「the」は、1つ又は2つ以上を含むように使用される。「又は」という用語は別途示されない限り、非排他的な「又は」を指すように使用される。加えて、本明細書で用いられ、別途定義されない表現又は用語は、説明のみを目的とするものであり、限定するものではないことを理解されたい。セクション見出しの使用は、本明細書を読むのを助けることを意図したものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。更に、セクション見出しに関連する情報は、その特定のセクション内又はセクション外で生じ得る。更に、本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許文献は、参照により個別に組み込まれるかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の方法では、時間的又は操作順序が明示的に列挙されている場合を除き、工程は、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順番で実施することができる。更に、明示的な請求項の用語がそれらを別個に実施することを列挙しない限り、指定された工程を同時に実施することができる。例えば、Xを行う特許請求された工程及びYを行う特許請求された工程は、単一の操作内で同時に実施され得、結果として生じるプロセスは、特許請求されたプロセスの文字通りの範囲内に入るであろう。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、値又は範囲、例えば、記載された値又は記載された範囲の限界の10%以内、5%以内、又は1%以内の変動の程度を可能にし得る。
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、若しくは少なくとも約99.999%以上にあるような、多数若しくは大部分を指す。
実施例1:ATRAは、エクスビボでマウス及びヒトT細胞におけるTreg分化及び安定性を促進する。
reg細胞の増強に対するATRAの効果を試験するために、サイトカイン補充を使用したTh17炎症状態におけるエクスビボ分化及び安定化アッセイを行った(図1A)。ナイーブSKG CD4+T細胞を単離して、90%超のCD4+CD44-CD62L+濃縮後(データは示さず)を一貫して得た。続いて、これらの細胞を、Th17分極化サイトカインIL-6、TGF-β1、IL-1β、及びIL-23と共に、抗マウスCD3(αCD3)及びCD28(αCD28)抗体で刺激し、4日後に免疫表現型を分析した。条件のサブセットにおいて、ATRAを、10pM~10nMの範囲のT細胞培養培地に添加した。ATRAは、濃度依存的にFoxP3を差次的に上方制御し、IL17A発現を抑制した(データは示さず)。100pMを超えると、ATRAは一貫してFoxP3発現を増強した(40.0±3.4%)が、100pM未満では、T細胞の11.2±2.3%がFoxP3を発現した(図1B)。IL-17A+CD4+T細胞の割合は、10pMのATRAで対照と同等(9.5±1.7%対11.3±1.5%)であったが、100pMのATRA濃度(7.2±1.5%)、1nMのATRA濃度(5.4±1.9%)、及び10nMのATRA濃度(5.4±2.3%)は、IL-17Aの発現を低減し、ピーク効果は1nMであった(図1C)。IL-17Aの発現の低減に加えて、RORγt+CD4+T細胞の割合は、0nMのATRA(73.3±3.9%)に曝露した細胞と比較して、1nMのATRA条件(53.3±7.9%)で低減した(図1D)。
次に、ヒトT細胞に対するATRAの効果を評価した(データは示さず)。ナイーブヒトCD4+T細胞を、末梢健康ヒトドナー血から単離し、一貫して、濃縮後90%超のCD4+CD45ROCD62L+を得た。その後、これらの細胞を、IL-6、TGF-β1、IL-1β、IL-23、及びIL-21と共に、抗ヒトCD3及びCD28抗体で刺激した。実験条件のサブセットにおいて、ATRAを、上記のように、10pM~10nMの範囲の濃度でヒトT細胞拡大培地に添加した。ヒトT細胞におけるTh17及びTreg誘導に対するATRAの差次的効果を表すために、IL-17A+T細胞のFoxP3+T細胞に対する比率を比較した。1nMのATRAでは、1人のドナーにおけるIL-17+:FoxP3+細胞の比率は、それぞれ、ATRAなし及び10pMのATRAにおける4.87:1±0.02及び4.02:1±0.99と比較して、2.68:1±0.47であった(データは示さず)。
regのエクスビボ安定性の維持に対するATRAの効果は、以前に確立されたTreg細胞安定性アッセイ後に定量化した。SKG FoxP3eGFP Treg細胞をフローサイトメトリー(TCR-β+CD4+eGFP+)によって選別し、IL6の存在下で、1nMのATRAの有無にかかわらず、72時間、αCD3及びαCD28で刺激した(図1E)。細胞培養培地へのATRAの添加は、Treg細胞の安定性を増強し、71.6±5.5%の細胞がFoxP3eGFP発現を保持し、56.4±2.2%を有意に上回る細胞が、細胞培養培地中で、ATRAの不在下でFoxP3eGFP発現を保持した(図1F)。FoxP3発現の喪失は、Th17様exTreg細胞表現型へのTreg細胞遷移と相関し、1nMのATRAで培養した11.6±1.8%及び5.7±1.1%の細胞と比較して、ATRAなしの細胞の23.0±1.7%及び13.3±1.5%が、それぞれ、RORγt及びIL-17を発現した(図1G及びH)。
実施例2:ポリ-(乳-co-グリコール)酸微粒子は、生体活性ATRA放出を維持する。
炎症した関節における関節内(IA)薬物送達のための徐放性ATRAを製剤化するために、IA注射可能な微粒子(MP)を、単一のエマルション法を使用してポリ-(乳-co-グリコール)酸(PLGA)から製造して、ATRA封入PLGA MPを生成した(図2A)。凍結乾燥したATRA封入PLGA MPの走査電子顕微鏡を使用して、表面形態を特徴付けた。一般に、初期のATRA封入PLGA MPの表面のテクスチャを、均一にした(図2B、2D、及び2F)。均質化速度を制御することにより、粒子を生成し、粒子のサイズ及び分布(3つのバッチにわたって体積平均直径は10.6±0.7μm、6.5±0.4μm、及び3.9±0.4μmであり、及び全ての条件における各バッチ内の多分散性指数は
0.30であった)を定量化した(それぞれ、図2C、2E、及び2G)。ATRA封入PLGA MPは、62.4±3.2%の充填効率を有し、これは約1.2重量%のATRAの組成物をもたらす。インビトロでのATRA放出を定量化するために、10mgのATRA封入PLGA MPを、PBS中の1mlの0.1%のBSA中に懸濁し、37℃でインキュベートし、放出上清を所定の時点で28日間にわたって収集した。ATRAの約13%は、最初の24時間以内に放出された(図2D)。24~96時間まで、元のATRA含有量の10±0.6%、15±0.2%、及び22±1.3%が、それぞれ、10.6μm、6.5μm、及び3.9μmの平均直径のATRA封入PLGA MPから放出された。その後、1日当たり最初に充填されたATRAの約0.4%の速度で、次の24日間、全てのATRA封入PLGA MPからのATRAの放出が持続し、これは、1日当たりの粒子1mg当たり約0.52ngのATRAの放出に対応する。インビトロ分解中の粒子形態の変化を特徴付けるために、ATRA封入PLGA MPを定期的に収集し、洗浄し、画像化した。粒子は最初に、分解を受ける前に、バルク浸食が構造崩壊をもたらすまで膨張した(データは示さず)。21日目までに、10.6μmの粒子の大部分はその形態を保持したが、6.5μmの粒子の大部分は浸食を開始し、3.9μmの粒子の大半は崩壊していた。
IA注射後の滑液、脾臓、及び末梢血中のATRAのインビボ濃度を推定するために、インビトロ放出プロファイルに基づいて2コンパートメン薬物動態モデルを開発した(データは図示さず)。ATRAの体内分布は、一次速度方程式、並びに以前に報告された、血清及び滑膜透過性データ(データは示さず)におけるATRA半減期の実験的に測定された動態パラメータを使用して近似した。このモデルは、最初のスパイクの後、6.5μmのATRA封入PLGA MPで、関節内の濃度が少なくとも28日間、6nM超で維持されたことを示した。末梢血中のATRAの濃度は、生理学的に関連する値(<20pM)(データは示さず)を下回った。モデル及び分解プロファイルに基づいて、更なる評価のために、6.5μmのATRA封入PLGA MPを選択した。
放出されたATRAの生体活性を、1日目、14日目、及び28日目に収集された上清、及び約20μLの滑液中に注射された2μgのATRA封入PLGA MPの送達に基づいて予想される関節濃度に希釈した複製物を用いて、図1Aに概説された実験概略図に従って評価した。3つ全ての時点で収集されたATRAの生体活性は、FoxP3発現を増加させ、IL-17発現を低減するマウスTh17の9つの分化アッセイからの結果に匹敵する、新しく調製された1nMのATRAに匹敵した(図2I)。放出されたATRAはまた、1nMのATRAに匹敵するTreg細胞を安定化しFoxP3発現を改善し、同時にIL-17発現を抑制した(図2J)。ヒトTh17分化アッセイにおいて、放出されたATRAはまた、1nMのATRAに匹敵する生体活性を保持した(図2K)。
実施例3.ATRA封入PLGA MPは、SKG関節炎における関節炎症を抑制する。
確立されたSKG関節炎を調節することの実現可能性を評価するために、ATRA封入PLGA MPを、重篤な症状を発達させる前の、中期の関節炎を有する10匹のSKGマウスの脛骨/足根足首の関節に注射した。中期の関節炎を有する11匹のSKGマウスの脛骨/足根足首の関節にPLGAブランクMPを注射した。関節炎の発症は、腹腔内(IP)マンナン注射を使用して同期させた。ATRA封入PLGA MP処置を、確立されたSKG関節炎に対応する14日後に投与した(図3A)。インビボでMP分解を追跡するために、シアニン-5(Cy5)コンジュゲートPLGAを組み込み、ATRAなしで蛍光標識されたCy5 PLGA MP及びPLGA MP(PLGAブランクMP)を生成した。PLGAブランクMPを、生存動物インビボ画像化システム(IVIS)を使用して画像化した。SKG関節炎の抑制における持続的ATRA放出の役割を決定するために、IA注射されたATRA封入PLGA MPを、溶液中のボーラスATRAの用量一致IA注射と比較した。マウスは、IA注射を介して単一の足首関節(同側足首)に20μLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水PBSに懸濁した2μgのATRA封入PLGA MPを受けた。対側後足関節(対側足首)に、同様の方法で、20μLの滅菌PBS中のCy5 PLGAブランクMPを注射した。20μLの減菌トウモロコシ油に懸濁した用量一致ボーラスATRAを、対照マウスの同側足首に注射した。対側後足関節(対側足首)に、同様の方法で、20μLの滅菌PBS中のCy5 PLGAブランクMPを注射した。蛍光減衰に基づき、MPは、注射後も関節内に局在したままであり、研究の過程で着実に分解された(図3B)。処置群間の隔週の臨床スコアリングを使用して、関節炎の進行を定量化した。マウスの処置前臨床スコアは、群間で同等であり、これは、手首及び足首の関節の両方で観察された軽度の腫脹を伴う処置前の14日目に初期スコア0から平均スコア3.5に急速に増加した。指の大部分は、全ての群で腫れていた(図3C~F)。関節炎の重症度は、IA ATRA封入PLGA MP処置マウスにおいて抑制された。対照的に、用量一致IAボーラスATRAで処置したマウスは、臨床利益を実証しなかった。関節炎の抑制に対するATRAの効果を確立するために、IA ATRA封入PLGA MPを、SKGマウスにおけるATRAなしのPLGA MP(PLGAブランクMP)のIA注射と比較した。両群は、上記で報告された結果と同様に、処置前の14日目の平均スコアが3.5であった(図3G)。2μgのATRA封入PLGA MPの単回IA注射による処置の4日後(D18:3.1±0.3)及び1週間後(D21:2.5±0.4)、マウスにおいて臨床スコアが低下し、研究エンドポイントまで(D35:2.2±0.9)安定したままであった。スコアは、同じ時点(D18:4.0±0.5、D21:4.4±0.8、D35:4.7±1.0)で測定されたPLGAブランクMP処置マウスのスコアよりも有意に低かった。ATRA封入PLGA MP処置マウスとは対照的に、PLGAブランクMP処置マウスの臨床スコアは、研究の期間にわたって増加し続けた。インビボでATRAの用量依存性効果があったかどうかを評価するために、マウスのサブセットは、20μg又は200μgのATRA封入PLGA MPのいずれかのより高い用量を受けた。ATRA封入PLGA MPで処置した全ての群の臨床スコアリングは、同等であった(図6A)。上述の研究の同側関節及び対側関節の両方において、臨床スコア及び足首厚さの測定値の改善を定量化した(図3H~J、図6B及びC)。2μgのATRA封入PLGA MP処置マウスにおける後足の足首の厚さは、処置後も安定したままか、又は減少した。対照的に、臨床スコアは、IAボーラスATRA及びPLGAブランクMP処置マウスの同側足首及び対側足首の両方で比較的増加した。
実施例4.ATRA封入PLGA MPは、滑膜浸潤、軟骨損傷、及び骨びらんを減少させる。
関節炎性SKG関節における骨及び組織のびらんを評価するために、マウスの同側足首を、PLGAブランク又はATRA封入PLGA MPのいずれかで処置した。マウスの対側足首は、両方の処置群において、リン酸緩衝生理食塩水の偽注射を受けた。マウスを、35日目に屠殺した後、組織学のために処理した。関節炎の足首関節切片のヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色は、ATRA封入PLGA MP処置マウスの関節における細胞充実性が、PLGAブランクMP処置マウスからの関節と比較して低減したことを示した(図5A)。マウスコラーゲン誘導性関節炎(「CIA」)の標準化顕微鏡的関節炎スコアリング(「SMASH」)スコアリングについて最近公開されたガイドラインに触発されて、細胞浸潤の定量化を容易にするために、組織閾値化及び細胞検出/分類のデフォルト設定を使用して、コンピュータ支援アルゴリズムをQuPathソフトウェアで生成した。軟骨プロテオグリカン(PG)喪失及び骨びらん(BE)スコアリングを、SMASHが推奨する配向足首関節切片上で行った。ATRA封入PLGA MPで処置したマウスからの足首は、PLGAブランクMPを受けたマウスと比較して、免疫細胞の数が有意に低減した(図5B)。滑膜の炎症及び浸潤の程度は、同じ処置群の対側後部関節と同側後部関節との間で同等であった(図5C)。PLGAブランクMP処置マウスからの足首切片のサフラニン-O染色を使用して、それぞれ、2.8±0.4及び1.8±0.4であったプロテオグリカン(PG)喪失及び骨びらん(BE)をスコア化した(図4D及びE)。2μgのATRA封入PLGA MP処置マウスのPG及びBEスコアは、それぞれ、1.4±0.5及び1.0±0.8であった。20及び200μgのATRA封入PLGA MP処置マウスのPG及びBEスコアは、2μgのATRA封入PLGA MP処置マウスのスコアに匹敵した(データは示さず)。これらの結果は、ATRA封入PLGA MPが、処置マウスにおける同側足首及び偽注射された対側足首の両方において、BE及びPG喪失に対する保護を付与したことを確認した。
実施例5.ATRA封入PLGA MPは、インビトロでTreg細胞の安定性を促進する。
運命マッピングマウスにおける関節炎の誘導、並びにその後の処置及びエンドポイントを示す概略図を示す(図7A)。タモキシフェン給餌時に、Treg細胞を含む任意の器官においてTdTomato蛍光タンパク質の発現を誘導するタモキシフェンを給餌する運命マッピングマウス。これらの細胞は、死ぬまでTdTomato蛍光タンパク質を発現し続け、したがって、細胞がex-Tregに不安定化された場合(FoxP3発現を失い、IL-17発現を得る)でも、Treg細胞を有する全ての器官を示し、すなわち、Treg細胞の運命を「マッピング」する。IL-17発現は、運命マッピングマウスの脾臓(図7Bに示す)、流入領域リンパ節(図7Cに示す)、又は足首(図7Dに示す)から単離したtdTomato+CD4+T細胞によって定量化した。対になった点は同腹仔を表し、一方の同腹仔をPLGAブランクMPでIA処置し、他方の同腹仔をATRA封入PLGA MPでIA処置した。ATRA封入PLGA MPで処置されたマウスは、ATRA封入PLGA MP処置された脾臓においてではなく、足首及び流入領域リンパ節において、IL-17発現細胞に不安定化されたTreg細胞をあまり含まない。
実施例6.ATRA封入PLGA MP治療は、全般的な免疫抑制なしで有効である。
IA ATRA封入PLGA MPによって誘導される局所Treg細胞増強がT細胞媒介応答の全身阻害をもたらすかどうかを評価するために、2μgのPLGAブランクMP又は2μgのATRA封入PLGA MPのいずれかで処置された関節炎のSKGマウスのT細胞依存性抗原による免疫化に対する応答を測定した。一次免疫化は、IA注射の3日後の完全なフロイントアジュバントにおける、SKG関節炎に関連しない抗原である卵白アルブミン(OVA)のエマルションの皮下注射、続いて不完全なフロイントアジュバントにおけるOVAからなる10日後のブースター免疫化からなる(図6A)。このOVA免疫化経路は、強力な抗OVA IgG1抗体応答をもたらすことが知られているため、末梢血中のプライミング後及びブースター後の抗OVA IgG1抗体濃度を定量化した。関節炎を伴わない健康な非免疫化SKGマウスを使用して、ベースライン免疫応答を定量化した。臨床スコアリングによって評価される関節炎の進行は、PLGAブランクMP及びATRA封入PLGA MPマウスの両方におけるプライム免疫化又はブースト免疫化のいずれによって影響を受けず、非免疫化マウスと類似した(図8B)。血漿抗OVA IgG1抗体力価は、PLGAブランクMPとATRA封入PLGA MP処置マウスとの間で同等であり、両群は、高い抗体力価をもたらしたが、非免疫化マウスにおける抗体力価は、検出限界を下回った(図8C)。脾臓及び流入領域リンパ節のフローサイトメトリーにより、Th1(生+CD4+IFNγ+)及びTh2(生+CD4+IL-4+)細胞の総数及び割合が、PLGAブランクMP処置群とATRA封入PLGA MP処置群との間で同等であったことが確認された(データは示さず)。
関節炎に関連しないT細胞抑制に対するIA ATRA封入PLGA MPの効果を定量化するために、我々は、H2bバックグラウンドマウスにおいてT細胞を定量化するために利用可能なOVA特異的四量体を利用し、健康なC57BL/6J(B6)マウスにおいて前述の免疫化研究を行った(図8D)。全身投与されたATRAは、全身曝露の効果を評価するために、毎日の腹腔内(i.p.)注射として送達された。IA PLGAATRA MP処置マウスにおける抗OVA IgG1応答は、力価において、処置を受けなかった免疫化マウス及び毎日ATRA注射を受けたマウスにおける応答と同等であった(図8E)。OVA特異的CD4+T細胞は、I-A(b)QAVHAAHAEIN四量体染色(NIH Tetramer Core Facility)によって定量化されるように、脾臓においてATRAの毎日のi.p.投与後に有意に低かったが、IA注射されたATRA封入PLGA MPの単回用量は、未処置の免疫化マウスと比較して、抗原特異的CD4+T細胞応答を損なわなかった(図8F)。
実施例7.ATRA封入PLGA MP及びボーラスATRAは、皮下投与された場合、臨床スコアを改善しない。
SKGマウスの処置における皮下投与されたATRA封入PLGA MPの有効性を評価して、ATRA封入PLGA MPが全身放出を介して作用するかどうか、その場合、皮下ATRA封入PLGA MP処置が疾患スコアを改善するか、又はATRA封入PLGA MP処置が局所的に作用するか、その場合、関節内空間へのその送達が疾患スコアを改善するかを決定した。ATRA封入PLGA MP、トウモロコシ油中の用量一致ボーラスATRA、及びビヒクル(トウモロコシ油)を、関節炎SKGに、SKGマウスの肩甲骨間に皮下投与した(図9A~B)。ボーラスATRAもATRA封入PLGA MPも、臨床スコア(図9A)又は足首腫脹(図9B)において改善をもたらさなかった。
実施例8.ATRAによるCD4+T細胞の前処理は、Th17誘導条件に曝露した後、FOXP3発現を増加させ、IL-17発現を低減する。
図10Aは、何もしない(なし)、1nMのATRA(ATRA)、又はIL-2のいずれかで24時間前処理し、続いて細胞の除去及び洗浄、並びにTh17誘導条件への移行を行った後のCD4+T細胞におけるFOXP3発現の定量化を示す。図10Bは、何もしない(なし)、1nMのATRA(ATRA)、又はIL-2のいずれかで24時間前処理し、続いて細胞の除去及び洗浄、並びにTh17誘導条件への移行を行った後のCD4+T細胞におけるIL-17発現の定量化を示す。ATRAによるCD4+T細胞の前処理は、Th17誘導条件に曝露した後、FOXP3発現を増加させ、IL-17発現を低減する。この実施例は、機能濃度でのATRAへの事前曝露が、機能濃度でATRAがもはや直接存在しなくても、CD4+T細胞の運命に影響を及ぼし、Treg表現型を促進することを実証する。
実施例9.ATRAは、Treg及びTh17関連遺伝子座におけるクロマチンのアクセス可能性を調節する。
トランスポザーゼによる網羅的オープンクロマチン(ATAC)配列決定アッセイは、高活性タンパク質を使用して、開放クロマチン領域内のDNAに結合し、スニップして、転写のためにアクセス可能なDNAの部分をプローブする。ATACアッセイを実施して、ATRAが細胞DNAにエピジェネティック修飾を引き起こして、転写のためのDNAのアクセス可能性に影響を及ぼすかを決定し、ひいては、細胞の「デフォルト」状態/プログラムである何かを調節する。差次的にアクセス可能な領域(DAR)の定量化は、(ATRAで処理した)又はなし(Th17対照)の1nMのATRAでTh17誘導条件で培養した細胞間のピーク当たりの計数によって示される。(図11A)。「差次的にアクセス可能な」DNAの定量化は、Th17対照においてより開いているDNA内に10316個の領域があり、ATRA処置細胞においてより開いているDNA内に7957個の領域があることを示す。3つの群のDAR(共通、Th17対照>ATRA処理、ATRA処理> Th17対照)のピーク当たりの計数の定量化は、異なる領域のピーク当たりの計数の差の広がりを示す(図11B)。
図11Cは、ATRA処理群において強化されたDAR又はTh17対照群において強化されたDARによって行に分類された全てのDARのヒートマップである。行と比較して、所与の試料におけるDARのzスコアを決定することによって、ヒートマッピングを実施した。Th17及びTreg関連遺伝子のゲノムブラウザプロットを示す(図11D)。ピークのサイズは、リードの数に対応するため、ピークが大きいほど、DNAの領域にアクセスしやすくなる。非常に関連性の高い遺伝子(FoxP3、RORc、IL-17A、及びIL-6RA)に対応する4つのプロットが示され、ATRA処理細胞及びTh17対照細胞の両方の平均ピークが視覚化される(図11D)。FoxP3では、青のピークがより大きいことがわかり、ATRAがFoxP3のアクセス可能性を促進することがわかる。次の3つ(RORc IL-17A及びIL-6RA)では、拡大すると、緑のピークがはるかに大きく(いくつかは非常に大きいため切断される)、炎症促進性遺伝子領域に対応するこれらの部位がはるかにアクセスしやすいことがわかり得る。
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51.Aarts,et.al.,Local inhibition of TGF-β1 signaling improves Th17/Treg balance but not joint pathology during experimental arthritis.Scientific Reports.2022 Feb;12:3182.
本明細書で参照又は言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が属する当業者の技術レベルを示すものであり、そのような参照される各特許又は刊行物は、参照によりその全体が個別に組み込まれるか、又はその全体が本明細書に記載されているかのように、同じ程度に参照により本明細書に具体的に組み込まれる。出願人は、任意のそのような引用された特許又は刊行物からの任意の及び全ての材料及び情報を本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。
以下の記述は、本明細書における前述の説明による本発明の様々な実施形態を説明及び要約することを意図している。
記述:
1.患者における炎症性関節炎を治療するための方法であって、
患者の炎症性関節炎に罹患した関節又は関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節に、組成物を直接投与することを含み、組成物が、
生分解性微粒子に少なくとも部分的に封入された調節性T細胞(Treg)誘導剤を含み、生分解性微粒子が、TGF-βを含まない、方法。
2.関節が、炎症性関節炎によって活動的に炎症を起こさない、記述1に記載の方法。
3.患者が、炎症性関節炎の寛解状態にある、記述1に記載の方法。
4.患者が、炎症性関節炎の発症前の段階にある、記述1に記載の方法。
5.生分解性微粒子が、生分解性ポリマーを含む、記述1に記載の方法。
6.ポリマーが、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)である、記述5に記載の方法。
7.Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてFOXP3発現を誘導する、記述1に記載の方法。
8.Treg誘導剤が、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストである、記述7に記載の方法。
9.RARアゴニストが、全てのトランスレチノイン酸(ATRA)である、記述8に記載の方法。
10.Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてIL-10発現を誘導する、記述1に記載の方法。
11.組成物が、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を更に含み、DMARDが、微粒子内に封入されている、記述1に記載の方法。
12.患者に、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を投与することを更に含む、記述1に記載の方法。
13.DMARDが、患者に、経口、皮下、又は静脈内投与される、記述12に記載の方法。
14.微粒子が、約1重量%~約5重量%のATRAを含む、記述9に記載の方法。
15.生分解性微粒子は、直径が約5μm~最大約20μmである、記述1に記載の方法。
16.生分解性微粒子は、直径が約20μm~最大約50μmである、記述1に記載の方法。
17.Treg誘導剤とDMARDとの組み合わせが、炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を相乗的に低減させる、記述11又は12に記載の方法。
18.組成物が、患者の炎症性関節炎に罹患した関節(関節内注射により直接)、炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節、炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は炎症性関節炎に罹患した関節の関節包のうちの少なくとも1つに投与される場合、組成物が、炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症した関節内のTreg細胞集団を安定化させる、記述1に記載の方法。
19.組成物が、患者における抗炎症性サイトカインの全身産生を増強する、記述1に記載の方法。
20.組成物が、関節内注射によって炎症性関節炎に罹患した関節に直接投与される場合、又は炎症性関節炎に罹患した関節に関連する流入領域リンパ節に直接投与される場合、組成物が、炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させる、記述1に記載の方法。
21.機能不全Treg細胞が、炎症促進性Treg表現型T細胞を含む、記述20に記載の方法。
22.機能不全Treg細胞が、Th17様exTreg表現型T細胞を含む、記述20に記載の方法。
23.機能不全Treg細胞が、Th1様exTreg表現型T細胞を含む、記述56に記載の方法。
24.約2μg~約20μgの組成物が、炎症性関節炎に罹患した関節又は炎症性関節炎に罹患した関節に関連する流入領域リンパ節に直接投与される、記述9及び14に記載の方法。
25.約2μg~約200μgの組成物が、炎症性関節炎に罹患した関節又は炎症性関節炎に罹患した関節に関連する流入領域リンパ節に直接投与される、記述9及び14に記載の方法。
26.投与される組成物の用量が、炎症性関節炎に罹患した関節内のTreg細胞集団を安定化させるのに十分であり、かつ患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、記述9及び14に記載の方法。
27.投与される組成物の用量が、炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させるのに十分であり、かつ患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、記述9及び14に記載の方法。
28.組成物は、組成物が直接投与されなかった患者の少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症の重症度又は骨喪失を低減させる、記述1に記載の方法。
29.組成物が、患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、記述1に記載の方法。
30.生分解性微粒子は、組成物が直接投与されなかった患者の炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を低減させるのに十分な時間にわたって、Treg誘導剤の徐放性又は持続性放出を提供する、記述1に記載の方法。
31.生分解性微粒子が、患者の炎症性関節炎に罹患した関節におけるTreg誘導剤の連続放出を少なくとも21日間維持する、記述30に記載の方法。
32.生分解性微粒子が、患者の炎症性関節炎に罹患した関節におけるTreg誘導剤の連続放出を約3ヶ月間維持する、記述30に記載の方法。
33.生分解性微粒子が、マクロファージによる食作用に耐性であるか、又は生分解性微粒子が直接投与された炎症性関節炎に罹患した関節若しくは流入領域リンパ節から脱出する、記述1又は30に記載の方法。
34.Treg誘導剤が、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化を誘導する、記述1に記載の方法。
35.生分解性微粒子が、微粒子の表面に吸着されたTGF-βを有しない、記述1に記載の方法。
36.患者における炎症性関節炎状態を治療するための方法であって、
患者の炎症性関節炎に罹患した関節、炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節、炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は炎症性関節炎に罹患した関節の関節包のうちの少なくとも1つに、組成物を局所投与することを含み、組成物が、
免疫調節剤であって、炎症性関節炎に罹患した関節の微小環境を変更し、少なくとも1つの他の炎症した関節に全身的に影響を及ぼす、免疫調節剤を含む、方法。
37.免疫調節剤が、生分解性材料に少なくとも部分的に封入された調節性T細胞(Treg)誘導剤を含み、生分解性微粒子が、TGF-βを含まない、記述36に記載の方法。
38.免疫調節剤が、生分解性材料に少なくとも部分的に封入された滑膜線維芽細胞調節剤を含み、薬剤が、TGF-βを含まない、記述36に記載の方法。
39.免疫調節剤が、生分解性材料に少なくとも部分的に封入された抗原提示細胞調節剤を含み、薬剤が、TGF-βを含まない、記述36に記載の方法。
40.患者が、炎症性関節炎の寛解状態にある、記述36に記載の方法。
41.患者が、炎症性関節炎の発症前の段階にある、記述36に記載の方法。
42.生分解性材料が、生分解性ポリマーを含む、記述37、38、又は39に記載の方法。
43.生分解性ポリマーが、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)である、記述42に記載の方法。
44.Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてFOXP3発現を誘導する、記述37に記載の方法。
45.Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてIL-10発現を誘導する、記述36に記載の方法。
46.Treg誘導剤が、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストである、記述44に記載の方法。
47.RARアゴニストが、全てのトランスレチノイン酸(ATRA)である、記述46に記載の方法。
48.組成物が、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を更に含み、DMARDが、微粒子内に封入されている、記述37、38、又は39に記載の方法。
49.患者に、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を投与することを更に含む、記述37、38、又は39に記載の方法。
50.DMARDが、患者に、経口、皮下、又は静脈内投与される、記述49に記載の方法。
51.微粒子が、約1重量%~約5重量%のATRAを含む、記述47に記載の方法。
52.微粒子は、直径が約5μm~最大約20μmである、記述37、38、又は39に記載の方法。
53.生分解性微粒子は、直径が約20μm~最大約50μmである、記述37、38、又は39に記載の方法。
54.Treg誘導剤とDMARDとの組み合わせが、炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を相乗的に低減させる、記述48又は49に記載の方法。
55.免疫調節剤が、炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症した関節内のTreg細胞集団を安定化させる、記述36に記載の方法。
56.免疫調節剤が、患者における抗炎症性サイトカインの全身産生を増強する、記述36に記載の方法。
57.免疫調節剤が、炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させる、記述36に記載の方法。
58.機能不全Treg細胞が、炎症促進性Treg表現型T細胞を含む、記述57に記載の方法。
59.機能不全Treg細胞が、Th17様exTreg表現型T細胞を含む、記述57に記載の方法。
60.機能不全Treg細胞が、Th1様exTreg表現型T細胞を含む、記述57に記載の方法。
61.約2μg~約20μgの免疫調節剤が、局所投与される、記述47又は51に記載の方法。
62.約2μg~約200μgの免疫調節剤が、局所投与される、記述47又は51に記載の方法。
63.患者に投与される免疫調節剤の用量が、炎症性関節炎に罹患した関節内のTreg細胞集団を安定化させるのに十分であり、かつ患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、記述47又は51に記載の方法。
64.患者に投与される免疫調節剤の用量が、炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させるのに十分であり、かつ患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、記述47又は51に記載の方法。
65.免疫調節剤は、免疫調節剤が直接投与されなかった患者の少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症の重症度又は骨喪失を低減させる、記述36に記載の方法。
66.組成物が、患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、記述36に記載の方法。
67.生分解性微粒子は、組成物が直接投与されなかった患者の炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも37つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を低減させるのに十分な時間にわたって、Treg誘導剤の徐放性又は持続性放出を提供する、記述1に記載の方法。
68.生分解性微粒子が、患者の炎症性関節炎に罹患した関節におけるTreg誘導剤の連続放出を少なくとも21日間維持する、記述67に記載の方法。
69.生分解性微粒子が、患者の炎症性関節炎に罹患した関節におけるTreg誘導剤の連続放出を約3ヶ月間維持する、記述67に記載の方法。
70.生分解性微粒子が、マクロファージによる食作用に耐性であるか、又は生分解性微粒子が直接投与された炎症性関節炎に罹患した関節若しくは流入領域リンパ節から脱出する、記述37、38、又は39に記載の方法。
71.Treg誘導剤が、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化を誘導する、記述37に記載の方法。
72.生分解性微粒子が、微粒子の表面に吸着されたTGF-βを有しない、記述37、38、又は39に記載の方法。
73.患者における炎症性関節炎を治療するための方法であって、
患者の炎症性関節炎に罹患した関節又は炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節に、組成物を直接投与することを含み、組成物が、
生分解性微粒子に少なくとも部分的に封入された調節性T細胞(Treg)誘導剤から本質的になる、方法。
本明細書に記載の具体的な方法、デバイス、及び組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であり、本発明の範囲に対する限定として意図されない。本明細書を考慮すると、他の目的、態様、及び実施形態が、当業者に生じ、特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の趣旨内に包含される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明に様々な置換及び修正を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。
本明細書で例示的に説明される本発明は、任意の要素、又は本明細書では必須として具体的に開示されていない制限がない場合に、適切に実施することができる。本明細書に例示的に記載される方法及びプロセスは、適切には、異なる工程の順番で実施することができ、方法及びプロセスは、必ずしも、本明細書又は特許請求の範囲に示される工程の順番に限定されない。
いかなる状況下でも、特許は、本明細書に具体的に開示されている特定の例又は実施形態又は方法に限定されると解釈されてはならない。いかなる状況下でも、特許は、審査官又は特許商標庁の他の職員若しくは従業員による記述によって制限されると解釈されてはならないが、そのような記述が、具体的かつ応答性のある書面で明示的に採用されている条件又は制限である場合は除く。
用いられている用語及び表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用には、示され、説明される特徴又はその一部の任意の等価物を除外する意図はないが、請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正及び変形は、当業者によって行われ得、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲及び本発明の記述によって定義される本発明の範囲内であると見なされることが理解されるであろう。
本発明は、本明細書において広範かつ一般的に記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い種及び亜属集団のそれぞれも、本発明の一部を形成する。これには、削除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかにかかわらず、属から任意の主題を除去する条件又は否定的な制限を伴う本発明の一般的な説明が含まれる。更に、本発明の特徴又は態様が、マーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本発明が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されていることを認識するであろう。

Claims (73)

  1. 患者における炎症性関節炎を治療するための方法であって、
    前記患者の炎症性関節炎に罹患した関節又は前記関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節に、組成物を直接投与することを含み、前記組成物が、
    生分解性微粒子に少なくとも部分的に封入された調節性T細胞(Treg)誘導剤を含み、前記生分解性微粒子が、TGF-βを含まない、方法。
  2. 前記関節が、前記炎症性関節炎によって活動的に炎症を起こさない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が、前記炎症性関節炎の寛解状態にある、請求項1に記載の方法。
  4. 前記患者が、前記炎症性関節炎の発症前の段階にある、請求項1に記載の方法。
  5. 前記生分解性微粒子が、生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ポリマーが、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてFOXP3発現を誘導する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記Treg誘導剤が、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記RARアゴニストが、全てのトランスレチノイン酸(ATRA)である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてIL-10発現を誘導する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記組成物が、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を更に含み、前記DMARDが、前記微粒子内に封入されている、請求項1に記載の方法。
  12. 前記患者に、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を投与することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記DMARDが、前記患者に、経口、皮下、又は静脈内投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記微粒子が、約1重量%~約5重量%のATRAを含む、請求項9に記載の方法。
  15. 前記生分解性微粒子は、直径が約5μm~最大約20μmである、請求項1に記載の方法。
  16. 前記生分解性微粒子は、直径が約20μm~最大約50μmである、請求項1に記載の方法。
  17. 前記Treg誘導剤と前記DMARDとの組み合わせが、前記炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を相乗的に低減させる、請求項11又は12に記載の方法。
  18. 前記組成物が、前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節(関節内注射により直接)、前記炎症性関節炎に罹患した関節の前記流入領域リンパ節、前記炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は前記炎症性関節炎に罹患した関節の関節包のうちの少なくとも1つに投与される場合、前記組成物が、前記炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症した関節内のTreg細胞集団を安定化させる、請求項1に記載の方法。
  19. 前記組成物が、前記患者における抗炎症性サイトカインの全身産生を増強する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記組成物が、関節内注射によって前記炎症性関節炎に罹患した関節に直接投与される場合、又は前記炎症性関節炎に罹患した関節に関連する前記流入領域リンパ節に直接投与される場合、前記組成物が、前記炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させる、請求項1に記載の方法。
  21. 前記機能不全Treg細胞が、炎症促進性Treg表現型T細胞を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記機能不全Treg細胞が、Th17様exTreg表現型T細胞を含む、請求項20に記載の方法。
  23. 前記機能不全Treg細胞が、Th1様exTreg表現型T細胞を含む、請求項56に記載の方法。
  24. 約2μg~約20μgの前記組成物が、前記炎症性関節炎に罹患した関節又は前記炎症性関節炎に罹患した関節に関連する前記流入領域リンパ節に直接投与される、請求項9及び14に記載の方法。
  25. 約2μg~約200μgの前記組成物が、前記炎症性関節炎に罹患した関節又は前記炎症性関節炎に罹患した関節に関連する前記流入領域リンパ節に直接投与される、請求項9及び14に記載の方法。
  26. 投与される前記組成物の用量が、前記炎症性関節炎に罹患した関節内のTreg細胞集団を安定化させるのに十分であり、かつ前記患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、請求項9及び14に記載の方法。
  27. 投与される前記組成物の用量が、前記炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させるのに十分であり、かつ前記患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、請求項9及び14に記載の方法。
  28. 前記組成物は、前記組成物が直接投与されなかった前記患者の少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症の重症度又は骨喪失を低減させる、請求項1に記載の方法。
  29. 前記組成物が、前記患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、請求項1に記載の方法。
  30. 前記生分解性微粒子は、前記組成物が直接投与されなかった前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を低減させるのに十分な時間にわたって、前記Treg誘導剤の徐放性又は持続性放出を提供する、請求項1に記載の方法。
  31. 前記生分解性微粒子が、前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節における前記Treg誘導剤の連続放出を少なくとも21日間維持する、請求項30に記載の方法。
  32. 前記生分解性微粒子が、前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節における前記Treg誘導剤の連続放出を約3ヶ月間維持する、請求項30に記載の方法。
  33. 前記生分解性微粒子が、マクロファージによる食作用に耐性であるか、又は前記生分解性微粒子が直接投与された前記炎症性関節炎に罹患した関節若しくは前記流入領域リンパ節から脱出する、請求項1又は30に記載の方法。
  34. 前記Treg誘導剤が、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化を誘導する、請求項1に記載の方法。
  35. 前記生分解性微粒子が、前記微粒子の表面に吸着されたTGF-βを有しない、請求項1に記載の方法。
  36. 患者における炎症性関節炎状態を治療するための方法であって、
    前記患者の炎症性関節炎に罹患した関節、前記炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節、前記炎症性関節炎に罹患した関節の近傍の皮下組織、又は前記炎症性関節炎に罹患した関節の関節包のうちの少なくとも1つに、組成物を局所投与することを含み、前記組成物が、
    免疫調節剤であって、前記炎症性関節炎に罹患した関節の微小環境を変更し、少なくとも1つの他の炎症した関節に全身的に影響を及ぼす、免疫調節剤を含む、方法。
  37. 前記免疫調節剤が、生分解性材料に少なくとも部分的に封入された調節性T細胞(Treg)誘導剤を含み、前記生分解性微粒子が、TGF-βを含まない、請求項36に記載の方法。
  38. 前記免疫調節剤が、生分解性材料に少なくとも部分的に封入された滑膜線維芽細胞調節剤を含み、前記薬剤が、TGF-βを含まない、請求項36に記載の方法。
  39. 前記免疫調節剤が、生分解性材料に少なくとも部分的に封入された抗原提示細胞調節剤を含み、前記薬剤が、TGF-βを含まない、請求項36に記載の方法。
  40. 前記患者が、前記炎症性関節炎の寛解状態にある、請求項36に記載の方法。
  41. 前記患者が、前記炎症性関節炎の発症前の段階にある、請求項36に記載の方法。
  42. 前記生分解性材料が、生分解性ポリマーを含む、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  43. 前記生分解性ポリマーが、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてFOXP3発現を誘導する、請求項37に記載の方法。
  45. 前記Treg誘導剤が、ナイーブCD4+T細胞においてIL-10発現を誘導する、請求項36に記載の方法。
  46. 前記Treg誘導剤が、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストである、請求項44に記載の方法。
  47. 前記RARアゴニストが、全てのトランスレチノイン酸(ATRA)である、請求項46に記載の方法。
  48. 前記組成物が、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を更に含み、前記DMARDが、前記微粒子内に封入されている、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  49. 前記患者に、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)を投与することを更に含む、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  50. 前記DMARDが、前記患者に、経口、皮下、又は静脈内投与される、請求項49に記載の方法。
  51. 前記微粒子が、約1重量%~約5重量%のATRAを含む、請求項47に記載の方法。
  52. 前記微粒子は、直径が約5μm~最大約20μmである、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  53. 前記生分解性微粒子は、直径が約20μm~最大約50μmである、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  54. 前記Treg誘導剤と前記DMARDとの組み合わせが、前記炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を相乗的に低減させる、請求項48又は49に記載の方法。
  55. 前記免疫調節剤が、前記炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症した関節内のTreg細胞集団を安定化させる、請求項36に記載の方法。
  56. 前記免疫調節剤が、前記患者における抗炎症性サイトカインの全身産生を増強する、請求項36に記載の方法。
  57. 前記免疫調節剤が、前記炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させる、請求項36に記載の方法。
  58. 前記機能不全Treg細胞が、炎症促進性Treg表現型T細胞を含む、請求項57に記載の方法。
  59. 前記機能不全Treg細胞が、Th17様exTreg表現型T細胞を含む、請求項57に記載の方法。
  60. 前記機能不全Treg細胞が、Th1様exTreg表現型T細胞を含む、請求項57に記載の方法。
  61. 約2μg~約20μgの前記免疫調節剤が、局所投与される、請求項47又は51に記載の方法。
  62. 約2μg~約200μgの前記免疫調節剤が、局所投与される、請求項47又は51に記載の方法。
  63. 前記患者に投与される前記免疫調節剤の用量が、前記炎症性関節炎に罹患した関節内のTreg細胞集団を安定化させるのに十分であり、かつ前記患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、請求項47又は51に記載の方法。
  64. 前記患者に投与される前記免疫調節剤の用量が、前記炎症性関節炎に罹患した関節内の、Treg細胞の機能不全Treg細胞に対する比率を増加させるのに十分であり、かつ前記患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、請求項47又は51に記載の方法。
  65. 前記免疫調節剤は、前記免疫調節剤が直接投与されなかった前記患者の少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症の重症度又は骨喪失を低減させる、請求項36に記載の方法。
  66. 前記組成物が、前記患者の全身性免疫抑制を引き起こさない、請求項36に記載の方法。
  67. 前記生分解性微粒子は、前記組成物が直接投与されなかった前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節及び少なくとも1つの他の炎症性関節炎に罹患した関節における炎症又は骨喪失を低減させるのに十分な時間にわたって、前記Treg誘導剤の徐放性又は持続性放出を提供する、請求項37に記載の方法。
  68. 前記生分解性微粒子が、前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節における前記Treg誘導剤の連続放出を少なくとも21日間維持する、請求項67に記載の方法。
  69. 前記生分解性微粒子が、前記患者の前記炎症性関節炎に罹患した関節における前記Treg誘導剤の連続放出を約3ヶ月間維持する、請求項67に記載の方法。
  70. 前記生分解性微粒子が、マクロファージによる食作用に耐性であるか、又は前記生分解性微粒子が直接投与された前記炎症性関節炎に罹患した関節若しくは前記流入領域リンパ節から脱出する、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  71. 前記Treg誘導剤が、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化を誘導する、請求項37に記載の方法。
  72. 前記生分解性微粒子が、前記微粒子の表面に吸着されたTGF-βを有しない、請求項37、38、又は39に記載の方法。
  73. 患者における炎症性関節炎を治療するための方法であって、
    前記患者の炎症性関節炎に罹患した関節又は前記炎症性関節炎に罹患した関節の流入領域リンパ節に、組成物を直接投与することを含み、前記組成物が、
    生分解性微粒子に少なくとも部分的に封入された調節性T細胞(Treg)誘導剤から本質的になる、方法。
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