JP2024509059A - 気密性を有する光ファイバにおける後方散乱を増強するためのシステムおよび方法 - Google Patents

気密性を有する光ファイバにおける後方散乱を増強するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本明細書に記載されるのは、高後方散乱導波路(例えば、光ファイバ)および高後方散乱光ファイバを採用するセンサのための製造のシステム、方法、および物品である。簡単に説明すると、一実施形態は、1mを超え、または好ましくは100mを超え、または好ましくは1kmを超えるファイバの長さにわたって無傷のままである抵抗仕様を特徴とする高後方散乱ファイバ、または増強散乱ファイバまたは「ESF」を含み、ESFの反射率は、-100dB/mmから-70dB/mmの範囲内で正確に調整することができ、増強された散乱は、空間的に連続的であってもよく、または100ミクロンから10mだけ離間した離散場所にあってもよい。【選択図】図1A

Description

[関連出願の参照]
本出願は、米国仮出願63/148,927(2021年2月12日)の利益を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書は、気密性を有する光ファイバにおける後方散乱を強化するためのシステム、方法、および製造品に関する。
光ファイバ内の後方散乱光は、分散型音響感知のために使用される。これは、例えば、石油およびガス探査におけるいわゆるダウンホール用途において有意な用途を有するが、そのようなウェル内の高温および高水素環境は、従来の光ファイバの急速な劣化を引き起こす。気密カーボンコーティングの追加およびゲルマニウムを含まない(Geフリー)コアの使用は、そのような過酷な環境におけるファイバ寿命を改善した。
音響事象に対する感度を増加させるために、屈折率摂動が光ファイバに沿って導入され、後方散乱光の量を増加させてもよい。これは従来のファイバについて周知であるが、カーボンコーティングおよびGeフリーのファイバに屈折率摂動を導入することは、多くの理由で問題がある。特に、例えばUV波長での化学線は、Geフリーファイバでは有効ではなく、フェムト秒パルス書き込みの使用を必要とする。さらに、化学線パルス(例えば、フェムト秒レーザパルス)書き込みは、シリカガラス構造を損傷し、光学損失の増加を引き起こす。これは、特定の用途のための短い格子に対して許容可能であり得るが、数メートルにわたる分散感知は、許容できない損失をもたらす。最後に、化学線曝露は、カーボンコーティングを損傷し、気密性を低下させ、機械的信頼性を低下させることが知られている。
したがって、当該技術分野において、気密コーティングを有するGeフリーファイバに長い長さの化学線パルス入射グレーティングを製造する問題が依然として存在する。
本開示は、高後方散乱導波路(例えば、光ファイバ)と、高後方散乱光ファイバを採用するセンサとを提供する。簡単に説明すると、一実施形態は、1mを超える、または好ましくは>100m、または好ましくは>1kmのファイバの長さにわたって無傷のままである抵抗仕様を特徴とする高後方散乱ファイバ、または増強散乱ファイバまたは「ESF」を含むことであって、ESFの反射率は、-100dB/mmから-70dB/mmの範囲内で正確に調整することができ、増強された散乱は、空間的に連続的であってもよく、または代替として、100ミクロンから>10mだけ離間した離散位置にあってもよい。
他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明の検討によって、当業者に明白となるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、本開示の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
本発明の一実施形態によるFBG書き込みセットアップの概略図である。 本発明の一実施形態によるFBG書き込みプロセス中にコアの中心に集束されたビームの投影を示す図である。 本発明の一実施形態による気密コーティング光ファイバの断面図を示す図である。 本発明の一実施形態による気密コーティングファイバの長さに沿った内接FBGを示す図である。
本明細書に記載の例示的な実施形態は、気密性を有する光ファイバにおける後方散乱の強化に関する。より具体的には、例示的な実施形態は、ファイバが「過酷な」環境に曝されたときに書き込みプロセスが光学的または機械的特性のエージング特性を劣化させないようにコーティングおよびコアにおける相対強度が調整される、気密(カーボン)コーティングを有する光ファイバにおける化学線パルス書き込み格子に関する。長さが数ミリメートルから数キロメートルまで変動し得る、結果として生じるファイバデバイスは、全伝送損失<2dB/km、ネイティブレイリー散乱(増強散乱ファイバまたは「ESF」)よりも大きい後方散乱と、少なくとも1つの範囲の光周波数にわたって散乱性能指数(FOM)>1を示す(US特許9,766,396)。ファイバ導波路のコアの少なくとも一部における屈折率(Δn)の空間変調によって引き起こされ、50時間を超える高温(>30°C)および他の過酷な環境条件下(湿度レベル>50%、および/または分圧>0.1psi、および/または歪み>0.5%での水素曝露)で、光減衰の有意な増加なしに安定かつ非破壊的な動作を可能にする。
光学材料における選択領域の屈折率修正は、出射光の挙動の制御を介して、高度な機能性を伴う光学材料を可能にし、その結果、有用なフォトニック構造となる。後方散乱ファイバは、このようなフォトニック構造のひとつで、材料の屈折率の空間的変化に依存し、伝播する光の一部の経路を変えることを可能にし、光波の波動ベクトルと媒質の屈折率の物理的変化の空間周波数に対応するベクトルとの間の位相整合条件を満たすことによって、通常、光波の本来の伝搬方向に対して逆方向である。
ESFのいくつかの従来および将来の用途は、高温、高湿度、および高腐食性の化学物質またはガスへの曝露不足などの過酷な環境条件下で安定かつロバストな長期動作を提供する能力を必要とする。そのような過酷な環境は、ファイバの伝送損失を増加させ、ESFの性能を損ない、それによって、フォトニックデバイスおよびシステム全体の長期信頼性および動作を犠牲にすることが知られている。UV放射を使用するESF刻印のためのシリカガラスに感光性を与えるための、ファイバコアのゲルマニウム共ドープは、水素に富む環境下での伝送損失を実質的に増加させることが知られている。これは、そのようなフォトニックシステムを故障する傾向にし、したがって、信頼できる長期動作にとって非実用的である。これらの課題を回避するために、コーティング材料は、ファイバ保護のために、ならびにファイバの長期動作および増強された散乱を維持するように設計されている。カーボンおよびポリイミドなどのポリマー材料に依存するコーティング技術は、損失の増加および機械的強度の劣化を回避することによって、過酷な条件下での動作を目的としたESFに適用されてきた。
さらに、ファイバコアのゲルマニウム共ドープの使用を回避するために、「ピュアコア」(ゲルマニウム非ドープ)ファイバが、水素に富む環境における劣化に対するより高い耐性のために開発されている。ピュアコアファイバの使用および過酷な環境に対する保護を増大させることができるコーティングの適用は、ESF製造のための代替方法の使用を必要とする。1つのアプローチは、持続時間がフェムト秒からピコ秒のスケールで短いパルスを放射するレーザの使用である。そのようなレーザパルスは、放射強度の損失を低減してコーティングを通過し、ファイバのコア領域に直接集束されて所望の周期および構成のESFを刻む波長で動作させることができる。そのようなレーザによって誘起される屈折率変調は、ガラスマトリックスによる非線形吸収に依存し、ゲルマニウム含有量の存在に依存せず、したがって、ピュアコアファイバにおけるESFの刻み込みを可能にする。ESFは、ファイバがカーボン層およびポリマー層でコーティングされた後にファイバ「オフタワー」上に刻み込むことができる。これは、ESFの刻印後のファイバの機械的強度を可能にする。屈折率変化の量およびESFの長さは、所望の反射率およびその空間分布に基づいて選択され、標的用途に合わせて調整することができる。得られたESFで刻まれたファイバは、輸送、エネルギー探査、原子炉、電気通信、および交通監視ネットワークで使用するための、ならびに重要なインフラストラクチャを監視するためのセンサおよび反射体として使用することができる。
本明細書に記載される例示的な実施形態は、カーボンおよび/またはポリイミドポリマーコーティングなどの気密コーティングを有する光ファイバ、ならびに非ドープコア光ファイバにおけるESF製造のためのシステムおよび方法に関する。重要なことに、ファイバは、水素拡散および湿度に対する特定の耐性ならびに他の耐薬品性、特定の耐熱性、特定の耐ひずみ性を有し、増強された散乱を生じる処理工程後、水素、湿度、および他の耐薬品性は無傷のままである。特に、これらの厳しい耐性仕様は、1mを超え、または好ましくは>100m、または好ましくは>1kmのファイバの長さにわたって維持される。ESFの反射率は、-100dB/mmから-70dB/mmまで正確に調整することができる。増強された散乱は、空間的に連続的であり得るか、または100ミクロンから10mだけ離間した離散的場所にあり得る。
ESFの例は、1)連続的な周期的または準周期的な屈折率摂動、2)100μmから10mのいずれかの間隔でファイバに沿って位置する単離された屈折率摂動を含む。孤立した散乱中心は、1ミクロンから10cmのいずれかの空間的広がりを有し得る。孤立した散乱中心は、好ましくは<10nmまたは好ましくは<30nmまたは好ましくは<100nmのスペクトル反射帯域幅を有することができる。散乱は、1500から1700nmの中心にあってもよい。散乱はまた、非常に広帯域であり得る。それは、レイリー散乱が生じる全ての波長に存在し得る。
そのようなESFは、摂動を生成するための処理の前および後の両方で同じ気密性を有する。あるいは、気密性は、あるレベルを上回ったままであり、これは、依然として、気密封止を伴わないファイバのそれより2倍または好ましくは10倍大きい。例えば、低減された気密性から生じる減衰は、同じ分圧の水素または水蒸気、温度、および曝露時間について、未処理のファイバにおける減衰よりもわずか2~10倍大きい。
例えば、Geフリーのコアを有し、カーボンでコーティングされ、次いでポリイミドでコーティングされたファイバを製造することができる。次いで、このファイバは、ポリイミドおよびカーボンコーティングを貫通し、ファイバのコアの屈折率を変化させ、レイリー散乱より大きい後方散乱をもたらす化学線に暴露されてもよい。屈折率の変化は、ファイバコアを横断する一連の平面を形成し、ファイバコア内に周期的または準周期的構造をもたらし得る。この構造の長さは、長さが1ミクロン~10cm以上のいずれかであり得る。個々の構造の間隔は、100ミクロン~10mのいずれかであってもよい。重要なことには、化学線はファイバに入り、過剰な化学線は、厳しい耐性仕様のいずれかを変更することなくファイバから出る。したがって、気密性、熱安定性、および耐歪み性は、屈折率変化がファイバに置かれた後も同じままである。例えば、これは、化学線がカーボンおよびポリイミドコーティングを通過するときに、化学線がこれらのコーティングを損傷しないように充分に低い強度を有する場合に達成することができる。あるいは、損傷は、ファイバの耐性が部分的にのみ低下するほど小さくてもよい。
例えば、化学線のビームは、ピーク強度がポリマーおよびカーボンコーティングの損傷閾値を下回るように集束させることができる。実験装置の詳細な概略図を図1Aに示す。さらに、化学線の集束は、ビームがファイバを離れるときに、それもファイバ上のコーティングの損傷閾値を下回るように調整することができる。この集束を達成する1つの方法は、化学線の焦点をファイバコアと重なるように調整すること。ビームのウエストサイズが充分に小さい場合、化学線は、ファイバコーティングを通過するときに強度が大幅に低下する程度までコア領域から離れて広がる。
図1Aは、本発明の1つ以上の実施形態によるFBG書き込みセットアップの概略図100を示す。具体的には、概略図100は、レーザビーム115を放射する化学パルスレーザ110を示す。レーザビーム115は、複数のアライメントミラー120a、120bを用いて方向転換される。次いで、レーザビーム115は、集束レンズ130を通過する。集束レンズ130は、レーザビーム115を光ファイバ140上に集束させ、増強後方散乱格子150を刻む。
図1Bは、本発明の1つ以上の実施形態による、FBG書き込みプロセス中に光ファイバ230のコア231の中心でレンズ220を介して集束されたレーザビーム210の投影の概略図200を示す。例示的な実施形態によれば、光ファイバ230は、コア231、クラッド232、気密コーティング層233、およびポリマーコーティング234を特徴としてもよい。
図1Cは、本発明の1つまたは複数の実施形態による気密コーティングされた光ファイバ310の断面図の概略図300を示す。図1Bの光ファイバ230と同様であって、例示的な気密コーティングされた光ファイバ310は、rcoreの半径を有するコア311、クラッド312、気密コーティング層313、およびrcoatingの半径を有するポリマーコーティング314を特徴とし得る。
図1Dは、本発明の1つ以上の実施形態による、気密コーティングファイバ410のコア430の長さに沿った内接FBG420の概略図400を示す。
概して、化学線の効果は、いくつかの因子、すなわち波長、パルス持続時間、反復速度、ファイバコアにおけるピーク強度、ならびにファイバの入口ファセットおよび出口ファセットにおけるピーク強度によって制御される。本発明によれば、これらのパラメータは、コアに対する効果が所望の屈折率変調を与えるのに充分であり、コーティングに対する効果が放射線によって損傷されないように調整することができる。
これらのアイデアを定量化するため、ガラスコアおよびファイバコーティングの閾値は、以下のように考慮することができる:Iglass index change=散乱FOM(US出願15/175,656(2016年6月7日、発行:US特許9,766,396)から、参照により本明細書に組み込まれる)を所望の量だけ増加させるのに充分な量だけファイバコアの指数を変化させるのに必要とされる強度Icoating damage=気密コーティングを損傷するかまたはファイバの機械的強度を損なう強度)。
一般に、次いで、化学線パラメータは、以下を充足するように調整され得る。
beam(rcore)>Iglass index change
beam(rcoating)<Icoating damage
ここで、Ibeam(rcore)およびIbeam(rcoating)は、それぞれファイバコア(rcore)およびコーティング(rcoating)の外縁におけるビーム強度を示す。
例えば、これらの値が、カーボンの薄層でコーティングされた標準的なゲルマノシリケートファイバについてのものであると考えることができる。屈折率変化は、800nm付近で生じ、150fs程度のパルス持続時間を有するフェムト秒レーザを使用して導入される。このファイバのコアを変更するための閾値は以下の通りである。
glass index change=1.8±0.4×1013W/cm
カーボンコーティングを損傷するための閾値は、以下のとおりである。
coating damage=1×1012W/cm
したがって、上記式から次式が得られる。
beam(rcoating)<1×1012W/cm
beam(rcore)>1.8±0.4×1013W/cm
式は、ビームがファイバの表面で焦点をぼかされ得ることを暗示する。ビームがファイバの中心に集束されると仮定すると、ビームの半径方向依存性は、ガウスビーム式を使用して近似することができる。
ここで、λはパルス波長、ωはビームウエスト、nはガラスの屈折率、rはコアからの距離、ω(r)はrにおけるビームワッシャである。この関係を使用して、ビーム寸法の比は、コア半径およびコーティング半径において推定され得る。簡単にするために、円筒形集束は、ファイバの曲面から除外されてもよい。この効果は、計算に含めることができ、または、ファイバ表面における緊張効果を排除する屈折率整合油などの所望の屈折率の材料にファイバを浸漬することによって排除または低減することができる。非常に薄い(<1ミクロン)カーボンコーティング層を有する標準ファイバの場合、標準ファイバの場合62.5μmであるガラスファイバクラッドの半径を使用することができる。ファイバ軸に直交する軸上での円柱集束後の強度の比は次式となる。
したがって、ビームパラメータは次式を満たす。
λ=800nm、n=1.5、rcoating=62.5μm、および次式と仮定して、必要なビームウエストωを推定することができる。
この場合、以下の式を使用することができる:
したがって、集束光学系は、カーボンコーティングを損傷または損傷させずにコアに屈折率変化を生じさせるために、ファイバのコアにおいて0.77μm以下のビームウエストを得るように設定する必要がある。
より一般的には、所与のファイバおよびコーティングについて、この式は、様々な化学線曝露下でのファイバの研究から決定される異なるパラメータを有する。例えば、気密性は、金属などのカーボンコーティング以外の材料を使用して達成することができる。また、ファイバは、コアへの水素の移動を阻害するゲッタリング領域または異なる組成および屈折率を含有してもよい。パラメータが決定されると、ビーム集束光学系は、この関係を満たすように調整される。
ファイバコアに屈折率変動を生成するために複数のパルスが必要とされる場合、パルスの数は、2つの閾値に対する計算に含まれていたであろう。この場合、関連パラメータは、総化学線量Dであり得る。これは、以下のように表され得る。
D=Itpulsepulses
ここで、Iはパルス強度であり、tpulseはパルス持続時間であり、Npulseはパルスの数である。
様々な書き込みビームパラメータ(λ、ω、tpulsepulses)は、次いで、次式を充足するように調整されなければならない。
D(rcoating)<Dcoating damage
かつ、
D(rcore)>Iglass index change
または、より明示的に、次式で表される。
かつ、
なお、これらの不等式では、パルスの数は、コアおよびコーティングにおいて必ずしも同じではない。そのような差は、ビームがコアよりもコーティングにおいて大きい場合に生じ得る。ファイバコアにおける屈折率変化が、コアを通して書き込みビームを移動させることを必要とする場合、コーティングの所与の部分は、ビームがコアを通して移動される間、大きい書き込みビームから多くのパルスを受け得る。
一般に、線量のパラメータは、ファイバ及び描画システムに対して決定されなければならず、ビームパラメータは、それに応じて調整される。化学線による分解の程度を決定するために、ファイバは、7日間の水素の75psi分圧で130°Cの容器に入れることができる。1550nmでのファイバの減衰は、典型的には、水素暴露後に2dB/kmまで増加し得る。本発明の化学線に曝露されたファイバは、同じ水素曝露後に、好ましくは33%以下、すなわち2.7dB/kmまでの減衰の増加を有する。カーボンは、少なくとも10nmの厚さであるべきである。しかし、100nmまたは1ミクロンの厚さの層など、より厚い層を適用することもできる。カーボンは、化学線曝露によるアブレーション後でさえも依然として気密であるように充分に厚くてもよい。したがって、Icoating damageの値は、上記よりも高くてもよい。
光学後方散乱は、多くの異なる屈折率摂動を通して増加させられ得る。屈折率摂動からのコア導波モードからの散乱は、結合モード近似を使用して推定することができる。この近似では、散乱電場(E)の振幅は、重複積分に比例する。
ここで、ηは重複積分であり、Eincidentは入射導波光のE場振幅の横方向依存性であり、Escatteredは散乱E場のE場振幅の横方向依存性であり、δn(r,θ)は光ファイバの軸を横断する円筒座標への明確な依存性を有する屈折率摂動であり、積分はファイバの横方向面積にわたる。
この関係から、Eincidentは主にコアに限定されているので、所望の屈折率摂動は、光ファイバの光ガイドコアの少なくとも一部分と空間的に重なるべきであることが明らかである。後方伝搬モードへの散乱を増加させるために、そのような摂動は、ファイバ軸に直交する方向に最小限の変動を有し得る。これは、重複積分から理解することができる。r方向およびθ方向におけるδn(r,θ)の変化は、誘導されないモードとの重なり積分を増大させることができ、その理由は、そのようなモードがファイバ軸に対してある角度で移動し、したがって、それらのE場のより横方向の変化を有するからである。屈折率摂動の目的は、非誘導損失モードへの散乱を最小限に抑えながら、誘導モードへの後方散乱を増大させることであるので、所望の屈折率摂動δn(r,θ)は、r及びθにほとんど又は全く依存しない。
散乱ファイバの例として、δn(r,θ)はファイバのコアのみに存在し、rおよびθにほとんどまたは全く依存しないと考えることができる。ファイバ軸に沿った依存性は、δnの唯一の変動である。ファイバに沿った方向をz方向とする。まず、δnの変化が周期的である場合を考える。この場合、そのような摂動が長さLにわたって持続し、摂動が量Dだけ離間される場合、単位長さ当たりの空間的に平均化された散乱は次式となる。
ここで、ηは、上で論じた重複積分である。この増加した散乱は、λsを中心とするスペクトル依存性を有し、およそ以下のスペクトル幅ΔλBWを有する。
ここで、nは導波モードの有効指数であり、一般に、そのような摂動が長さLに沿って均一な振幅δnを有する場合、スペクトルはこの帯域幅外の大きな側波帯を示す。その結果、主散乱帯域幅外の散乱を低減するために、屈折率摂動をアポダイズ(apodize)しなければならない。
アポダイゼーション(apodization)は、δnを非常に小さな値から長さLの中央付近の最大値に変化させ、そして、長さLの他端において再度、非常に小さい値に変化させる。そのようなアポダイゼーションは、帯域外散乱を帯域内の散乱の10dB未満とすることができる。
別のアプローチは、ファイバ軸に沿って周期的ではない屈折率摂動を利用し得る。そのような摂動のセットは、摂動の局所周期δnを変化させることによって散乱帯域幅を増加させ得る。この最も単純な例は、周期がチャープ率Csと共に直線的に増加する摂動のセットであり得る。この場合、長さLを有する摂動のセットの帯域幅ΔλBWは、
ΔλBW=C
となる。
単位長さ当たりの平均反射の推定値は次式となる。
ここで、入射光に対する有効相互作用長は、そのようなチャープ摂動セット内で推定される次式となる。
式は、ESFに対する散乱パラメータの所与のセットに対する屈折率摂動の必要な大きさを推定するために使用され得る。散乱パラメータは、単位長さRあたりの散乱、中心波長λs、およびこの散乱が生じる帯域幅ΔλBW、および個々の摂動間の間隔Dを含む。一例では、以下の値が考慮され得る。
導波路パラメータも使用することができ、η=1およびn=1.45は、1550nm付近の導波モードの有効屈折率である。摂動は、およそ以下となる。
このような摂動は、「一次散乱」を与える。摂動がさらに離れている場合、「高次散乱」を使用することが可能である。そのような高次散乱は、屈折率摂動の周期的パターンの高次空間フーリエ成分から生じる。N次散乱の場合、以下のように計算することができる。
高次フーリエ成分が散乱を生じさせる場合、δnのN次フーリエ成分が考慮され得ることに留意されたい。より具体的には次式となる。
ここで、Λは摂動の間隔である。摂動がN次フーリエ係数を使用する場合、次式のλsにおいて散乱を生じさせる摂動はδnである。
多くの場合、Max{δn(z)}>δnであることに留意されたい。均一格子の場合、必要とされる格子長Lは、以下のように推定され得る。
そして、均一な格子に必要な屈折率摂動δnは次式となる。
摂動のチャープセットについてであって、チャープ率は、
チャープパターンLcの長さは、以下の式によって推定することができる。
そして、必要とされる屈折率変調はδnとなる
この場合、相互作用の有効長は次式となる。
これらのパラメータはまた、D=1mの場合において計算されてもよい。この場合、LとLの値は同じであってもよい。しかしながら、指数摂動振幅値は、1桁大きい:δn=6×10-6およびδn=5×10-7となる。
均一で直線的なチャープ摂動は摂動の2つの例であるが、摂動の多くの他のパターンも可能である。例えば、非線形チャープ期間を有することが可能。摂動の各後続セットに異なる期間を持たせることも可能である。最後に、単一または複数の無作為に離間した摂動を有することが可能である。露光間でDの値が変化することも可能である。
望ましいESFはレイリー散乱よりも多くの散乱を有し、ファイバ導波路に導入される追加の減衰はほとんどない。したがって、屈折率摂動は、ファイバの導波モードの減衰が屈折率摂動のないファイバと比較して変化しないか又は非常に低くなるように導波路に導入することができる。シリカコアファイバでは、光学減衰が延伸張力に敏感であることがよく知られている。より高い張力(例えば、高い延伸速度または低い温度に起因して)は、光を吸収するいわゆる延伸誘起欠陥をガラスネットワーク内に生成する。より高い延伸張力の影響は、コアの粘度を低下させることによって、例えば塩素、フッ素、アルカリ、及び他の元素をドープすることによって軽減することができる。同様に、化学線暴露による屈折率変化は、シリカガラスネットワークへの損傷の結果である可能性が高いため、格子書き込み中に誘発される光減衰もまた、延伸条件およびガラスの化学的性質に敏感である。したがって、ESFにおいて低い光減衰を維持するには、書き込み条件、延伸条件およびガラス組成に注意を払う必要がある。さらに、温度および速度などの延伸条件もまた、適切な密封コーティングを生成するのに適している必要がある。
延伸および化学線暴露中に生成されるガラス欠陥は準安定であり、すなわち、それらは経時的にアニールすることができ、アニール速度は暴露条件、ガラスの化学的性質、およびアニール条件(典型的には時間および温度)に依存することに留意することが重要。ESFにおける格子は、典型的には、実際の使用前または使用中にアニール中にある程度の回復を可能にするためにより高い強度で刻まれる。格子強度および光学減衰の決定には、通常、アニーリング中の変化を考慮する。
一実施形態によれば、上記2つの例についての増加した減衰が考慮され得る。一般に、ファイバは、露光前に減衰係数αを有し、ファイバの長さzにわたってe-αzの伝送を有する。露光後、減衰係数はα=α+δα(δn)となり、ここでδαは、摂動δnを与えるために露光されたファイバの部分の減衰係数の変化である。加えて、摂動Lの長さに依存せず、例えば、屈折率摂動の開始および終了における屈折率ステップ不連続性のみに依存する、離散減衰点が存在する可能性もある。そのような離散損失点を通る透過は次式となる。
D>Lの場合、長さDにわたる減衰係数は、次式となる。
任意の長さzにわたる伝送は、次いで、次式となる。
散乱性能指数は、均一周期摂動の場合、次式となる。
ここで、NAはファイバ開口数であり、チャープ摂動の場合、次式となる。
摂動δnは、散乱FOMが最大化されるように導波路に導入されなければならない。
1つの例示的な実施形態によれば、テストフェムト散乱ファイバのための注目すべき要素は、以下を含み得る:
1) ファイバ:Geコアおよびカーボン/ポリイミドを有するもの;
2) 間隔:10cm;
3) 格子長0.5mm;
4) 反射帯域幅1540nm±6nm;
5) チャープは、ほぼ線形であるが、あまり重要ではない;
6) 1つの格子の反射強度R=-70dB;
7) 長さ200m。
例えば、様々な強度(例えば、短い長さの-75dBから-50dBまで)を有するいくつかの試験格子から始めることができる。このようなプロセスを使用して、より短い長さのファイバを試験することができる。他の試験手順は、水素感受性、減衰、機械的強度、所定の温度(例えば、15°C)での熱安定性などを試験し得る。
本開示は、その例示的な実施形態を参照して説明されている。本開示に開示される全ての例示的な実施形態及び条件付き説明は、本開示が属する技術分野の当業者による本開示の原理及び概念の理解を助けることを意図して説明された。したがって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を変形して実施できることを理解できるであろう。種々の特徴を有する多数の実施形態が本明細書に説明されているが、本明細書に議論されない他の組み合わせにおけるそのような種々の特徴の組み合わせは、本開示の実施形態の範囲内であると想定される。

Claims (12)

  1. 化学線パルス放射線の適用によって引き起こされる修正された屈折率を有するとともに、屈折率摂動を生成する光ファイバであって、
    コアと、
    クラッドと、
    気密コーティング層と、
    コーティングとを備え、
    前記屈折率摂動は、前記光ファイバの前記コアの長さに沿って刻まれ、前記屈折率摂動の反射率は、-100dB/mmから-70dB/mmまでの範囲内にあることを特徴とする光ファイバ。
  2. 前記屈折率摂動は空間的に連続的であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  3. 前記屈折率摂動は、100ミクロンから10mの範囲内で離間した離散的な位置にあることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  4. 前記屈折率摂動は、約1500nmおよび約1700nmの間の中心にあることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  5. 前記屈折率摂動は、レイリー散乱が生じる波長に存在することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  6. 前記屈折率摂動は、1ミクロンから10cmの範囲内の空間的広がりを有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  7. 前記屈折率摂動の中心は、10nm未満のスペクトル反射帯域幅を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  8. 前記屈折率摂動の中心は、30nm未満のスペクトル反射帯域幅を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  9. 前記屈折率摂動の中心は、100nm未満のスペクトル反射帯域幅を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  10. 前記コアは、ゲルマニウムを含まないコアであることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  11. 前記気密コーティング層はカーボンであることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  12. 1mを超える長さを有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
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