JP2024508957A - 難燃性ポリプロピレン組成物 - Google Patents

難燃性ポリプロピレン組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、プロピレンポリマー(PP)、難燃剤(FR)、繊維(F)、及び任意選択で接着促進剤(AP)を含むポリプロピレン組成物(C)、並びにこのポリプロピレン組成物(C)を含む物品に向けられる。【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレンポリマー(PP)、難燃剤(FR)、繊維(F)、及び任意選択で接着促進剤(AP)を含むポリプロピレン組成物(C)、並びにこのポリプロピレン組成物(C)を含む物品に向けられる。
電気モータ及びパワーエレクトロニクスコンポーネントの製造業者は、鋼又はダイカストアルミニウム製のハウジングを使用してきた。しかしながら、部品の多くが現在積極的に冷却されているので、プラスチックによる手段は軽量構築についての1つの考えられる選択肢である。そのような既存の代替案のいくつかは、主にPC/ABS又はポリアミドをベースとし、これらは、生産において高価であり高いCOフットプリントを伴うエンジニアリングプラスチックである。
とりわけ、電子エンクロージャの1つの必須要件は、1.5mm未満の厚さで可燃性クラスUL94V-0を達成することである。これらの要件を達成する材料は、金属、ハロゲン系難燃性強化ポリマー、固有の難燃性を有するポリマー、又は非ハロゲン系難燃性強化ポリマー、例えばPC/ABS難燃系である可能性が最も高い。そのような難燃系における難燃性添加剤の高い添加量に起因して、材料性能の低下及び転換の問題が生じる。さらには、燃焼中の垂れ(dripping)を防止するために、通常、垂れ防止剤が必要とされる。
プロピレンポリマーも、難燃系のためのベースポリマーとして適用可能である。一般的に言えば、ガラス繊維が、特定の機械的特性(例えば、剛性)を達成するためにポリプロピレンとともに使用される。しかしながら、ガラス繊維強化ポリプロピレンの主な欠点は、とりわけ、高流動ポリプロピレンがベースポリマーとして適用される場合の、繊維方向における寸法安定性及び高い反りである。しかしながら、低い反りは、とりわけ高精度部品(例えば、セルホルダ等)にとって不可欠である。
それゆえ、本発明の目的は、UL94V-0の要件を満たし、機械的特性を高いレベルに維持しながら低い反りを示す難燃性強化高流動ポリプロピレン組成物を提供することである。本発明の別の目的は、燃焼中に有毒成分を放出する可能性のある物質、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、であることが多い垂れ防止剤の適用を回避することである。
従って、本発明は、ポリプロピレン組成物(C)であって、このポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて
i)20.0~80.0重量%の、少なくとも45.0g/10分のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有するプロピレンポリマー(PP)と、
ii)10.0~40.0重量%の窒素含有難燃剤(FR)と、
iii)10.0~40.0重量%の繊維(F)と、
iv)0.0~5.0重量%の接着促進剤(AP)と
を含むポリプロピレン組成物(C)に向けられる。
当該ポリプロピレン組成物(C)は、UL94V-0難燃性を提供するだけでなく、同時に良好な機械的プロファイルを維持する。加えて、UL94V-0は、わずか1.5mmの厚さで到達し、難燃性に加えて低い反り(異方性)も備えた。さらに、PTFEのようなフルオロポリマー等の垂れ防止添加剤の適用を回避することができる。
本発明の1つの実施形態によれば、ポリプロピレン組成物(C)は、6.0~40.0g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
本発明の別の実施形態によれば、ポリプロピレン組成物(C)はフルオロポリマーを含まない。
本発明のさらなる実施形態によれば、窒素含有難燃剤(FR)はハロゲンを含まない。
本発明の1つの実施形態によれば、窒素含有難燃剤(FR)は、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)及び第2の窒素含有ホスフェート(FR2)を含む。
本発明の別の実施形態によれば,第1の窒素含有ホスフェート(FR1)と第2の窒素含有ホスフェート(FR2)との重量比は60:40~40:60の範囲にある.
第1の窒素含有ホスフェート(FR1)がメラミンポリホスフェートであり、第2の窒素含有ホスフェート(FR2)がピペラジンピロホスフェートであることがとりわけ好ましい。
本発明の1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、2.0~25.0モル%(mol-%)の範囲のコモノマー含有量を有する、プロピレンとエチレン及び/又はC~Cα-オレフィンとのコポリマーである。
本発明のさらなる実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、
i)プロピレンのポリマーであるマトリクス(M)と、
ii)プロピレン並びにエチレン及び/又はC~C20a-オレフィンに由来する単位を含むコポリマーであるエラストマー(E)と
を含む異相プロピレンコポリマー(HECO)である。
本発明の別の実施形態によれば、異相プロピレンコポリマー(HECO)は、この異相プロピレンコポリマー(HECO)の総重量に基づいて7.0~25.0重量%の範囲の冷キシレン可溶部画分(XCS)を有する。
異相プロピレンコポリマー(HECO)のキシレン可溶部画分(XCS)が、
i)35.0モル%を超えるコモノマー含有量、及び/又は
ii)3.5dl/g未満のISO1628/1(デカリン中135℃)に従って測定された固有粘度(IV)
を有することがとりわけ好ましい。
本発明の1つの実施形態によれば、繊維(F)は、ガラス繊維(GF)、好ましくは0.2~1.2mmの範囲の、EN ISO1873-2による射出成形後に下記「方法」に記載されるFASEP法に従って決定された重量平均繊維長を有するガラス短繊維(SGF)である。
別の実施形態によれば、接着促進剤(AP)は、少なくとも20.0g/10分のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する無水マレイン酸でグラフトされたプロピレンのホモポリマー又はコポリマーである極性変性ポリプロピレン(PM-PP)である。
本発明はさらに、上記のポリプロピレン組成物(C)を含む物品に向けられる。
当該物品が、2.0%未満の、方法において後述するように決定されたインフロー及びクロスフローの収縮を有することがとりわけ好ましい。
以下で、ポリプロピレン組成物(C)についてより詳細に説明する。
ポリプロピレン組成物(C)
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、プロピレンポリマー(PP)と、窒素含有難燃剤(FR)と、繊維(F)と、任意選択で接着促進剤(AP)とを含む。
特に、ポリプロピレン組成物(C)は、このポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて、
i)20.0~80.0重量%、好ましくは24.0~75.0重量%、より好ましくは30.0~70.0重量%、さらにより好ましくは35.0~60.0重量%、例えば40.0~50.0重量%の上記プロピレンポリマー(PP)と、
ii)10.0~40.0重量%、好ましくは15.0~35.0重量%、より好ましくは18.0~38.0重量%、さらにより好ましくは20.0~30.0重量%、例えば20.0~25.0重量%の上記窒素含有難燃剤(FR)と、
iii)10.0~40.0重量%、好ましくは12.0~38.0重量%、より好ましくは18.0~35.0重量%、さらにより好ましくは20.0~33.0重量%、例えば25.0~30.0重量%の上記繊維(F)と、
iv)0.0~5.0重量%、より好ましくは0.4~3.0重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%、例えば1.2~1.8重量%の上記接着促進剤(AP)と
を含む。
プロピレンポリマー(PP)、窒素含有難燃剤(FR)、繊維(F)及び任意選択で接着促進剤(AP)の全量が全体でポリプロピレン組成物(C)の少なくとも90重量%を構成することが好ましい。
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、添加剤(AD)、例えば、酸スカベンジャー、酸化防止剤、着色剤、光安定剤、スリップ剤、擦り傷防止剤(anti-scratch agent)、分散剤、加工助剤、潤滑剤、顔料などをさらに含んでもよい。
従って、ポリプロピレン組成物(C)が、このポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて、
i)19.99~80.0重量%、好ましくは24.0~75.0重量%、より好ましくは30.0~70.0重量%、さらにより好ましくは35.0~60.0重量%、例えば40.0~50.0重量%の上記プロピレンポリマー(PP)と、
ii)10.0~40.0重量%、好ましくは15.0~35.0重量%、より好ましくは18.0~38.0重量%、さらにより好ましくは20.0~30.0重量%、例えば20.0~25.0重量%の上記窒素含有難燃剤(FR)と、
iii)10.0~40.0重量%、好ましくは12.0~38.0重量%、より好ましくは18.0~35.0重量%、さらにより好ましくは20.0~33.0重量%、例えば25.0~30.0重量%の上記繊維(F)と、
iv)0.0~5.0重量%、より好ましくは0.4~3.0重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%、例えば1.2~1.8重量%の上記接着促進剤(AP)と、
v)0.01~5.0重量%、より好ましくは0.1~3.5重量%、さらにより好ましくは0.2~2.0重量%、例えば0.3~1.0重量%の添加剤(AD)と
を含むことが好ましく、より好ましくはこれらからなる。添加剤(AD)は、以下により詳細に記載される。
プロピレンポリマー(PP)、窒素含有難燃剤(FR)、繊維(F)、任意選択で接着促進剤(AP)及び添加剤(AD)の全量が全体でポリプロピレン組成物(C)の少なくとも90重量%を構成することが好ましく、より好ましくは、合計で100重量%になる。
以下により詳細に概説されるように、繊維(F)は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、セルロース繊維、金属繊維、鉱物繊維、セラミック繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。本発明の実施形態については、繊維(F)はガラス繊維及び/又は炭素繊維であり、当該ポリプロピレン組成物は接着促進剤(AP)を含むことが好ましい。
それゆえ、本発明の好ましい実施形態によれば、ポリプロピレン組成物(C)は、ポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて、
i)19.99~80.0重量%、好ましくは24.0~75.0重量%、より好ましくは30.0~70.0重量%、さらにより好ましくは35.0~60.0重量%、例えば40.0~50.0重量%の上記プロピレンポリマー(PP)と、
ii)10.0~40.0重量%、好ましくは15.0~35.0重量%、より好ましくは18.0~38.0重量%、さらにより好ましくは20.0~30.0重量%、例えば20.0~25.0重量%の上記窒素含有難燃剤(FR)と、
iii)10.0~40.0重量%、好ましくは12.0~38.0重量%、より好ましくは18.0~35.0重量%、さらにより好ましくは20.0~33.0重量%、例えば25.0~30.0重量%の上記繊維(F)と、
iv)0.01~5.0重量%、より好ましくは0.4~3.0重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%、例えば1.2~1.8重量%の上記接着促進剤(AP)と
を含む。
プロピレンポリマー(PP)、窒素含有難燃剤(FR)、繊維(F)及び接着促進剤(AP)の全量が全体でポリプロピレン組成物(C)の少なくとも90重量%を構成することが好ましい。
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)が添加剤(AD)をさらに含む実施形態では、ポリプロピレン組成物(C)が、ポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて、
i)19.98~80.0重量%、好ましくは24.0~75.0重量%、より好ましくは30.0~70.0重量%、さらにより好ましくは35.0~60.0重量%、例えば40.0~50.0重量%の上記プロピレンポリマー(PP)と、
ii)10.0~40.0重量%、好ましくは15.0~35.0重量%、より好ましくは18.0~38.0重量%、さらにより好ましくは20.0~30.0重量%、例えば20.0~25.0重量%の上記窒素含有難燃剤(FR)と、
iii)10.0~40.0重量%、好ましくは12.0~38.0重量%、より好ましくは18.0~35.0重量%、さらにより好ましくは20.0~33.0重量%、例えば25.0~30.0重量%の上記繊維(F)と、
iv)0.01~5.0重量%、より好ましくは0.4~3.0重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%、例えば1.2~1.8重量%の上記接着促進剤(AP)と、
v)0.01~5.0重量%、より好ましくは0.1~3.5重量%、さらにより好ましくは0.2~2.0重量%、例えば0.3~1.0重量%の添加剤(AD)と
を含むことが好ましく、より好ましくはこれらからなる。添加剤は、以下により詳細に記載される。
1つの好ましい実施形態によれば、ポリプロピレン組成物(C)は、このポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて、
i)19.98~80.0重量%、好ましくは24.0~75.0重量%、より好ましくは30.0~70.0重量%、さらにより好ましくは35.0~60.0重量%、例えば40.0~50.0重量%の上記プロピレンポリマー(PP)と、
ii)10.0~40.0重量%、好ましくは15.0~35.0重量%、より好ましくは18.0~38.0重量%、さらにより好ましくは20.0~30.0重量%、例えば20.0~25.0重量%の上記窒素含有難燃剤(FR)と、
iii)10.0~40.0重量%、好ましくは12.0~38.0重量%、より好ましくは18.0~35.0重量%、さらにより好ましくは20.0~33.0重量%、例えば25.0~30.0重量%の上記繊維(F)と、
iv)0.01~5.0重量%、より好ましくは0.4~3.0重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%、例えば1.2~1.8重量%の上記接着促進剤(AP)と、
v)0.01~5.0重量%、より好ましくは0.1~3.5重量%、さらにより好ましくは0.2~2.0重量%、例えば0.3~1.0重量%の添加剤(AD)と
を含み、より好ましくはこれらからなり、成分i)~v)は合計で100重量%になる。
プロピレンポリマー(PP)、窒素含有難燃剤(FR)、繊維(F)、接着促進剤(AP)及び添加剤(AD)の全量が全体でポリプロピレン組成物(C)の少なくとも90重量%を構成することが好ましく、より好ましくは合計で100重量%になる。
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリプロピレン組成物(C)はフルオロポリマーを含まない。特に、ポリプロピレン組成物(C)が、0.5重量%、より好ましくは0.1重量%、さらにより好ましくは0.01重量%、例えば0.001重量%を超える量のフルオロポリマーを含有しないことが好ましい。ポリプロピレン組成物(C)の製造においてフルオロポリマーが使用されていないことがとりわけ好ましい。
本明細書で使用される場合、用語「フルオロポリマー」は、フッ素原子を含むポリマー化合物を指す。フルオロポリマーの例は、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)である。
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは6.0~40.0g/10分の範囲、より好ましくは10.0~35.0g/10分の範囲、さらにより好ましくは15.0~30.0g/10分の範囲、例えば18.0~25.0g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
機械的特性に関して、繊維ポリプロピレン組成物(C)は、3000~12000MPaの範囲、より好ましくは4000~11000MPaの範囲、さらにより好ましくは5000~10000MPaの範囲、例えば6000~9500MPaの範囲のISO527-1Aに従って23℃で決定された引張弾性率を有することが好ましい。
前の段落に加えて又はその代わりに、ポリプロピレン組成物(C)は、少なくとも4.0kJ/m、より好ましくは5.0~12.0kJ/mの範囲、さらにより好ましくは7.0~10.0kJ/mの範囲、例えば7.9~8.5kJ/mの範囲のISO179 1eAに従って-30℃で決定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さ、及び/又は少なくとも20.0kJ/m、より好ましくは25.0~50.0kJ/mの範囲、さらにより好ましくは35.0~47.0kJ/mの範囲、例えば40.0~45.0kJ/mの範囲のISO179 1eUに従って-30℃で測定されるノッチなしシャルピー衝撃強さを有することが好ましい。
さらに、本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下、さらにより好ましくは1.0mm以下、例えば0.9mm以下の厚さで、Standard for Safety of Flammability of Plastic Materials(プラスチック材料の燃焼試験規格)UL94V-0の要件を満たすことが好ましい。
1つの好ましい実施形態によれば、ポリプロピレン組成物(C)は、厚さ1.5mmの試験片を用い、条件部1を適用する(すなわち、試料を23±2℃の一定の室温及び50±10%の湿度で48時間コンディショニングする)、「測定方法」の項で本明細書に記載される方法「UL94垂直燃焼試験」に従って決定するとき、Standard for Safety of Flammability of Plastic Materials UL94V-0の要件を満たす。
ポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、プロピレンポリマー(PP)、難燃剤組成物(FR)、ガラス繊維(GF)、接着促進剤(AP)、及び任意選択で添加剤(AD)をブレンド、好ましくは溶融ブレンド(溶融混合)することによって得られる。
以下で、プロピレンポリマー(PP)、難燃剤組成物(FR)、ガラス繊維(GF)及び接着促進剤(AP)について、より詳細に説明する。
プロピレンポリマー(PP)
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、プロピレンポリマー(PP)を含む。プロピレンポリマー(PP)は、2種以上のプロピレンポリマー(PP)成分の混合物であってもよい。
プロピレンポリマー(PP)は、少なくとも45.0g/10分、より好ましくは45.0~300g/10分の範囲、さらにより好ましくは60.0~200g/10分の範囲、例えば80.0~120g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、少なくとも45.0g/10分(例えば45.0~500g/10分、45.0~200g/10分、又は45.0~130g/10分の範囲)、好ましくは少なくとも50.0g/10分(例えば50.0~500g/10分、50.0~200g/10分、又は50.0~130g/10分の範囲)、好ましくは50.0~600g/10分の範囲、より好ましくは55.0~600g/10分の範囲(例えば55.0~500g/10分、55.0~200g/10分、又は55.0~130g/10分の範囲)、より好ましくは60.0~550g/10分の範囲(例えば60.0~500g/10分、60.0~200g/10分、又は60.0~130g/10分の範囲)、さらにより好ましくは60.0~500g/10分の範囲、なおさらにより好ましくは60.0~470g/10分の範囲、なおさらにより好ましくは60.0~300g/10分の範囲、なおさらにより好ましくは60.0~200g/10分の範囲、なおさらにより好ましくは60.0~130g/10分の範囲、例えば80.0~120g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、105~600g/10分、任意選択で110~550g/10分、任意選択で120~500g/10分、任意選択で200~500g/10分、任意選択で300~500g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマー又はコポリマーであることができる。さらに、プロピレンポリマー(PP)は、異なる1種以上のプロピレンポリマー(PP)成分を含むことができる。
プロピレンポリマー(PP)がプロピレンのコポリマーである場合、コモノマーは、エチレン及び/又はC~Cα-オレフィンから選択されることが好ましい。コモノマーがエチレンであることがとりわけ好ましい。複数の、例えば2種の、プロピレンのコポリマーである異なるプロピレンポリマー成分を含むプロピレンポリマー(PP)については、すべてのプロピレンポリマー成分が同じコモノマー、例えばエチレンを含有することが好ましい。
プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンとエチレン及び/又は少なくとも別のC~Cα-オレフィンのコポリマーであることが好ましい。
プロピレンポリマー(PP)は、好ましくは、2.0~25.0モル%の範囲、より好ましくは4.0~20.0モル%の範囲、さらにより好ましくは6.0~15.0モル%の範囲、例えば6.2~12.0モル%の範囲のコモノマー含有量、例えばエチレン含有量を有する。
本発明の好ましい実施形態では、プロピレンポリマー(PP)は、
i)プロピレンのポリマーであるマトリクス(M)と、
ii)プロピレン並びにエチレン及び/又はC~Ca-オレフィンに由来する単位を含むコポリマーであるエラストマー(E)と
を含む異相プロピレンコポリマー(HECO)である。
本発明において全般的に、表現「異相」は、エラストマーがマトリクス中に(微細に)分散していることを示す。言い換えると、エラストマーはマトリクス中に混在物を形成する。従って、マトリクスは、マトリクスの一部ではない(微細に)分散した混在物を含有し、この混在物はエラストマーを含有する。本発明に係る用語「混在物」は、好ましくは、マトリクス及びこの混在物が異相ポリプロピレン内で異なる相を形成し、この混在物が、例えば、電子顕微鏡法又は走査型力顕微鏡法等の高分解能顕微鏡法によって可視であることを示すものとする。
異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)が、好ましくは、かなり低い総コモノマー含有量、好ましくはエチレン含有量を有することが理解される。従って、異相プロピレンコポリマー(HECO)のコモノマー含有量は、4.0~17.0モル%の範囲、好ましくは5.0~14.0モル%の範囲、より好ましくは6.0~10.0モル%の範囲にあることが好ましい。
異相プロピレンコポリマー(HECO)は、一般に、冷キシレン可溶部(XCS)画分及び冷キシレン不溶部(XCI)画分を特徴とする。本出願の目的のために、異相プロピレンコポリマー(HECO)の冷キシレン可溶部(XCS)画分は、上記異相プロピレンコポリマー(HECO)のエラストマーと本質的に同一である。
従って、異相プロピレンコポリマー(HECO)のエラストマーの固有粘度及びエチレン含有量について言及する場合、この異相プロピレンコポリマー(HECO)の冷キシレン可溶部(XCS)画分の固有粘度及びエチレン含有量が意図される。
従って、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)中のマトリクス(M)含有量、すなわち冷キシレン不溶部(XCI)含有量は、好ましくは75.0~93.0重量%の範囲、より好ましくは77.0~91.0重量%の範囲、例えば78.0~89.0重量%の範囲にある。
他方で、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)中のエラストマー(E)、すなわち冷キシレン可溶部(XCS)含有量は、好ましくは7.0~25.0重量%の範囲、より好ましくは9.0~23.0重量%の範囲、例えば11.0~22.0重量%の範囲にある。
異相プロピレンコポリマー(HECO)としてのプロピレンポリマー(PP)の第1の成分は、マトリクス(M)である。
マトリクス(M)としての使用に適したポリプロピレンは、当該技術分野で公知の任意のタイプのアイソタクチック若しくは主にアイソタクチックなポリプロピレンホモポリマー又はランダムコポリマーを含んでもよい。従って、ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンとエチレン及び/若しくはC4~C8α-オレフィン、例えば1-ブテン、1-ヘキセン若しくは1-オクテンとのアイソタクチックランダムコポリマーであって、総コモノマー含有量が0.05~10重量%の範囲にあるアイソタクチックランダムコポリマーであってもよい。
さらに、及び好ましくは、ポリプロピレンマトリクス(M)は、かなり高いメルトフローレートを有する。従って、本発明において、ポリプロピレンマトリクス(M)、すなわちプロピレンポリマー(PP)の冷キシレン不溶部(XCI)画分は、100~1500g/10分の範囲、より好ましくは120~800g/10分、さらにより好ましくは140~600g/10分、例えば150~500g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有することが好ましい。
さらには、ポリプロピレンマトリクス(M)は、分子量の観点から、マルチモーダル(多峰性)又はバイモーダル(二峰性)であることができる。
本発明を通して使用される表現「マルチモーダル」又は「バイモーダル」は、ポリマーのモダリティ(様相)、すなわち
・分子量の関数としての分子量分率のグラフである、そのポリマーの分子量分布曲線の形態、
及び/又は
・ポリマー画分の分子量の関数としてのコモノマー含有量のグラフである、そのポリマーのコモノマー含有量分布曲線の形態
に関して用いられる。
異相プロピレンコポリマー(HECO)としてのプロピレンポリマー(PP)の第2の成分は、エラストマー(E)である。
エラストマー(E)は、(i)プロピレン並びに(ii)エチレン及び/又は少なくとも別のC4~C20α-オレフィン、例えばC4~C10α-オレフィンから誘導可能な単位、より好ましくは(i)プロピレン並びに(ii)エチレン並びに1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン及び1-オクテンからなる群から選択される少なくとも別のα-オレフィンから誘導可能な単位を含み、好ましくはこれらからなる。エラストマー(E)は、共役ジエン、例えばブタジエン、又は非共役ジエンに由来する単位をさらに含有してもよいが、しかしながら、このエラストマーコポリマーは、(i)プロピレン並びに(ii)エチレン及び/又はC4~C20α-オレフィンから誘導可能な単位のみからなることが好ましい。使用される場合の適切な非共役ジエンとしては、直鎖状及び分枝鎖状の非環式ジエン、例えば1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、並びにジヒドロミルセン及びジヒドロオシメンの混合異性体、並びに単環脂環式ジエン、例えば1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、1,5-シクロドデカジエン、4-ビニルシクロヘキセン、1-アリル-4-イソプロピリデンシクロヘキサン、3-アリルシクロペンテン、4-シクロヘキセン及び1-イソプロペニル-4-(4-ブテニル)シクロヘキサンが挙げられる。テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ(2,2,1)ヘプタ-2,5-ジエン、2-メチルビシクロヘプタジエン、並びにアルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネン及びシクロアルキリデンノルボルネン、例えば5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデンノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、及び5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンを含む多環脂環式の縮合環ジエン及び架橋環ジエンも適切である。好ましい非共役ジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン及びジシクロペンタジエンである。
従って、エラストマー(E)は、少なくともプロピレン及びエチレンから誘導可能な単位を含み、前の段落で定義されたさらなるα-オレフィンから誘導可能な他の単位を含んでもよい。しかしながら、エラストマー(E)は、プロピレン及びエチレン、及び任意選択で、ブタジエン等の共役ジエン、又は前段落で定義された1,4-ヘキサジエン等の非共役ジエンから誘導可能な単位のみを含むことが特に好ましい。従って、エラストマー(E)としてのエチレンプロピレン非共役ジエンモノマーポリマー(EPDM)及び/又はエチレンプロピレンゴム(EPR)がとりわけ好ましく、後者が最も好ましい。
マトリクス(M)と同様に、エラストマー(E)は、ユニモーダル(単峰性)又はマルチモーダル、例えばバイモーダルであってもよい。ユニモーダル及びマルチモーダル、例えばバイモーダルの定義に関しては、上記の定義を参照されたい。
本発明において、エラストマー(E)中のプロピレンから誘導可能な単位の含有量は、冷キシレン可溶部(XCS)画分中の検出可能なプロピレンの含有量に等しい。従って、冷キシレン可溶部(XCS)画分中で検出可能なプロピレンは、45.0~75.0重量%、より好ましくは40.0~70.0重量%の範囲にある。従って、特定の実施形態では、エラストマー(E)、すなわち冷キシレン可溶部(XCS)画分は、エチレンから誘導可能な単位を25.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~60.0重量%含む。好ましくは、エラストマー(E)は、この段落で規定されるプロピレン及び/又はエチレン含有量を有する、エチレンプロピレン非共役ジエンモノマーポリマー(EPDM)又はエチレンプロピレンゴム(EPR)であり、後者が特に好ましい。
加えて、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)の冷キシレン可溶部(XCS)画分のコモノマー含有量、好ましくはエチレン含有量、は35.0モル%以上、好ましくは35.0~65.0モル%の範囲、より好ましくは45.0~60.0モル%の範囲、なおより好ましくは50.0~56.0モル%の範囲にあることが好ましい。冷キシレン可溶部(XCS)画分中に存在するコモノマーは、エラストマー(E)について上で規定されたものである。1つの好ましい実施形態では、コモノマーはエチレンのみである。
本発明のさらに好ましい要件は、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)の冷キシレン可溶部(XCS)画分の固有粘度(IV)がかなり低いことである。従って、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)の冷キシレン可溶部(XCS)画分の固有粘度は、3.5dl/g未満、より好ましくは3.4dl/g以下であることが理解される。さらにより好ましくは、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)の冷キシレン可溶部(XCS)画分の固有粘度は、1.8~3.5dl/gの範囲、より好ましくは1.9~3.4dl/gの範囲、例えば2.0~3.4dl/gである。固有粘度は、ISO1628に従ってデカリン中135℃で測定される。
プロピレンポリマー(PP)が上記で定義された異相プロピレンコポリマー(HECO)である場合、好ましくは、プロピレンポリマー(PP)のプロピレン含有量は、プロピレンポリマー(PP)の総重量に基づいて、より好ましくはマトリクス(M)及びエラストマーコポリマー(E)を合わせた量に基づいて85.0~96.0重量%、より好ましくは88.0~94.0重量%である。
異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)は、マトリクス(M)とエラストマー(E)とをブレンドすることにより製造することができる。しかしながら、異相プロピレンコポリマー(HECO)は、直列構成であり異なる反応条件で動作する反応器を使用し、連続工程プロセスで生成されることが好ましい。結果として、特定の反応器中で調製される各画分は、それ自体の分子量分布及び/又はコモノマー含有量分布を有してもよい。
本発明に係る異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)は、好ましくは、(半)結晶性プロピレンポリマー(M)が、少なくとも、1つのスラリー反応器において、好ましくはスラリー反応器において、及び任意選択で後続の気相反応器において生成され、続いてエラストマー(E)が、少なくとも、1つの、すなわち1つ又は2つの気相反応器において生成される、当該技術分野において公知の逐次重合プロセス、すなわち多段階プロセスで製造される。
従って、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)は、
(a)第1の反応器(R1)においてプロピレン並びに任意選択で少なくとも1種のエチレン及び/又はC~C12のα-オレフィンを重合して、マトリクス(M)の第1のポリプロピレン画分を得る工程であって、好ましくはこの第1のポリプロピレン画分はプロピレンホモポリマーである工程と、
(b)任意選択で、第1のポリプロピレン画分を第2の反応器(R2)に移す工程と、
(c)任意選択で、第2の反応器(R2)においてかつ上記第1のポリプロピレン画分の存在下でプロピレン並びに任意選択で少なくとも1種のエチレン及び/又はC~C12α-オレフィンを重合して、これにより第2のポリプロピレン画分を得る工程であって、好ましくはこの第2のポリプロピレン画分は第2のプロピレンホモポリマーであり、上記第1のポリプロピレン画分及び任意選択で上記第2のポリプロピレン画分はマトリクス(M)、すなわち、異相プロピレンコポリマー(HECO)のマトリクス、を形成する工程と、
(d)工程(c)のマトリクス(M)を第3の反応器(R3)に移す工程と、
(e)第3の反応器(R3)においてかつ工程(a)又は(c)で得られたマトリクス(M)の存在下で、プロピレン及びエチレンを重合して、マトリクス(M)中に分散したエラストマー(E)を得る工程であって、このマトリクス(M)及びエラストマー(E)は、異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)を形成する工程と
を含む逐次重合プロセスで生成されることが好ましい。
異相プロピレンコポリマー(HECO)であるプロピレンポリマー(PP)は、
(a)IUPACの第4~6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、及び内部ドナー(ID)を含むZiegler-Natta(チーグラー・ナッタ)触媒、
(b)任意選択で、共触媒(Co)、並びに
(c)任意選択で外部ドナー(ED)
の存在下で調製されることが好ましい。
このZiegler-Natta触媒は、プロピレン重合のためのいずれの立体特異的Ziegler-Natta触媒であってもよく、このような触媒は、好ましくは、500~10000kPa、特に2500~8000kPaの圧力、及び40~110℃、特に60~110℃の温度で、プロピレン及び任意選択のコモノマーの重合及び共重合を触媒することができる。
好ましくは、上記Ziegler-Natta触媒は、内部ドナー成分を含む高収率のZiegler-Natta型触媒を含み、これは80℃以上の高重合温度で使用することができる。このような高収率Ziegler-Natta触媒は、内部ドナー(ID)としてコハク酸エステル、ジエーテル、フタル酸エステル等、又はこれらの混合物を含むことができ、例えばLyondellBasell(ライオンデルバセル)から市販されている。好適な触媒の例は、LyondellBasellの触媒ZN180Mである。
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は異相プロピレンコポリマー(HECO)からなる。
別の実施形態では、プロピレンポリマー(PP)は、異相プロピレンコポリマー(HECO)と、さらなる異相プロピレンコポリマー等のプロピレンの1種以上のさらなるホモポリマー又はコポリマーとを含む。プロピレンポリマー(PP)が、さらなる異相プロピレンコポリマー等のプロピレンのさらなるコポリマーを含む場合、異相プロピレンコポリマー(HECO)及びプロピレンのさらなるコポリマーは、同じコモノマー、好ましくはエチレンを含有することが好ましい。
1つの代替実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマーである。
本明細書で使用される「プロピレンのホモポリマー」は、実質的に、すなわち少なくとも99.0重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%、例えば少なくとも99.9重量%のプロピレン単位からなるポリプロピレンに関する。別の実施形態では、プロピレン単位のみが検出可能であり、すなわち、プロピレンのみが重合されている。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマーであり、プロピレンポリマー(PP)は、少なくとも50.0g/10分、好ましくは50.0~600g/10分の範囲、より好ましくは55.0~600g/10分の範囲、より好ましくは60.0~550g/10分の範囲、さらにより好ましくは60.0~500g/10分の範囲、なおさらにより好ましくは60.0~470g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマーであり、プロピレンポリマー(PP)は、60.0~300g/10分の範囲、例えば60.0~200g/10分の範囲、例えば60.0~130g/10分の範囲、例えば80.0~120g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマーであり、プロピレンポリマー(PP)は、105~600g/10分、任意選択で110~550g/10分、任意選択で120~500g/10分、任意選択で200~500g/10分、任意選択で300~500g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマーであり、プロピレンポリマー(PP)は、ISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が異なる2種以上、好ましくは2種のプロピレンホモポリマー(PP)成分を含む。
1つの実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンのホモポリマーであり、プロピレンポリマー(PP)は、ISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が異なる2種以上の、好ましくは2種のプロピレンホモポリマー(PP)成分を含み、
第1のプロピレンホモポリマー成分は、50.0~125g/10分、好ましくは60.0~100g/10分、及びより好ましくは70.0~90.0g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有し、
第2のプロピレンホモポリマー成分は、105~300g/10分、好ましくは110~200g/10分、及びより好ましくは120~140g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
難燃剤組成物(FR)
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、窒素含有難燃剤(FR)を含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、窒素含有難燃剤(FR)はハロゲンを含まない。すなわち、窒素含有難燃剤(FR)が、ハロゲン原子を含む有機化合物又は無機化合物を含まないことが好ましい。本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」は、周期表の17族の元素を指す。
窒素含有難燃剤(FR)は、少なくとも1種の窒素含有ホスフェート(リン酸エステル)、好ましくは少なくとも1種の有機窒素含有ホスフェートを含むことが好ましい。好ましくは、この有機窒素含有ホスフェートは、複素環式C~C-のホスフェートであり、より好ましくは少なくとも1つのN原子を含むC~C-アルキル又はアリール化合物のホスフェートである。
本発明の好ましい実施形態によれば、窒素含有難燃剤(FR)は、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)と、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)とは異なる第2の窒素含有ホスフェート(FR2)とを含む。
好ましくは、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)及び第2の窒素含有ホスフェート(FR2)は、有機窒素含有ホスフェートである。第1の窒素含有ホスフェート(FR1)及び第2の窒素含有ホスフェート(FR2)が、複素環式C~Cのホスフェート、より好ましくは少なくとも1つのN原子を含むC~C-アルキル又はアリール化合物のホスフェートであることがとりわけ好ましい。
第1の窒素含有リン酸(FR1)が、有機窒素含有ポリホスフェートであることが好ましい。より好ましくは、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)は、複素環式C~C-のポリホスフェートであり、より好ましくは少なくとも1つのN原子を含むC~C-アリール化合物のポリホスフェートである。第1の窒素含有ホスフェート(FR1)がメラミンポリホスフェート(ポリリン酸メラミン)であることがとりわけ好ましい。
第2の窒素含有ホスフェート(FR2)が、有機窒素含有ジホスフェートであることが好ましい。より好ましくは、第2の窒素含有ホスフェート(FR2)は、複素環式C~C-のジホスフェートであり、より好ましくは、少なくとも1つのN原子、例えば2つのN原子を含むC~C-アルキル化合物のジホスフェートである。第2の窒素含有ホスフェート(FR2)がピペラジンピロホスフェート(ピロリン酸ピペラジン)であることがとりわけ好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)と第2の窒素含有ホスフェート(FR2)との重量比は、60:40~40:60の範囲にある。
好適な窒素含有難燃剤(FR)は、好ましくは市販されている。市販の窒素含有難燃剤(FR)の非常に好適な例は、SULI(蘇利)によって製造され供給される商品名Phlamoon-1090Aで販売されている難燃剤製品である。
上記で概説したように、本発明に係るポリプロピレン組成物(C)は、このポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて10.0~40.0重量%、好ましくは18.0~35.0重量%、より好ましくは20.0~38.0重量%、さらにより好ましくは20.0~30.0重量%、さらにより好ましくは20.0~27.0重量%、例えば20.0~25.0重量%の窒素含有難燃剤(FR)を含む。
窒素含有難燃剤(FR)の量は、本明細書において、ポリプロピレン組成物(C)の総重量に対する、製造業者によって供給される窒素含有難燃剤(FR)の量を意味する。従って、窒素含有難燃剤(FR)は、添加剤、難燃性相乗剤及び/又は担体媒体のようなさらなる成分を少量で含有してもよい。従って、そのようなさらなる成分は、窒素含有難燃剤(FR)の量に算入されることを理解されたい。
繊維(F)
本発明に係るポリプロピレン組成物(C)の必須成分は、繊維(F)である。
好ましくは、繊維(F)は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、セルロース繊維、金属繊維、鉱物繊維、セラミック繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、繊維(F)はガラス繊維及び/又は炭素繊維である。
繊維(F)がガラス繊維(GF)であることがとりわけ好ましい。好ましくは、ガラス繊維(GF)は、ガラス短繊維(SGF)若しくはチョップドストランドとしても知られる切断ガラス繊維、及び/又はガラス長繊維(LGF)、好ましくはガラスロービングから得られるガラス長繊維(LGF)である。
繊維(F)がガラス短繊維(SGF)であることが特に好ましい。
繊維強化組成物(C)中の切断ガラス繊維又はガラス短繊維(SGF)は、好ましくは、0.2~1.2mmの範囲、より好ましくは0.25~1.0mmの範囲、さらにより好ましくは0.3~0.8mmの範囲の、繊維強化組成物(C)をEN ISO1873-2に従って射出成形した後にFASEPに従って決定された重量平均繊維長を有する。
供給業者によって提供されるガラス短繊維(SGF)の初期平均長、すなわち、プロピレンポリマー(PP)、難燃剤(FR)及び任意選択の接着促進剤(AP)と溶融ブレンドする前のその短繊維(SFG)の平均長は、繊維強化組成物(C)中のガラス短繊維(SGF)の上述の重量平均繊維長とは異なる。
繊維強化組成物(C)に使用される切断ガラス繊維又はガラス短繊維(SGF)は、好ましくは、2.0~10.0mmの範囲、より好ましくは2.3~9.0mmの範囲、さらにより好ましくは2.5~8.0mmの範囲、例えば3.0~7.0mmの範囲の初期平均長を有する。
繊維強化組成物(C)に用いられる切断ガラス繊維又はガラス短繊維(SGF)は、好ましくは5~20μm、より好ましくは6~18μm、さらにより好ましくは8~16μmの平均直径を有する。
好ましくは、ガラス短繊維(SGF)は、125~650、好ましくは150~500、より好ましくは200~450の初期アスペクト比を有する。アスペクト比は、繊維の平均長さと平均直径との間の関係である。
ガラス短繊維(SGF)の初期平均長及び初期平均アスペクト比は、供給業者によって提供される原材料の値を指す。
接着促進剤(AP)
本発明によれば、ポリプロピレン組成物(C)は、任意選択で接着促進剤(AP)をさらに含む。接着促進剤(AP)は、極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーとして特定される。
繊維(F)がガラス繊維及び/又は炭素繊維である本発明の実施形態では、ポリプロピレン組成物(C)が接着促進剤(AP)を含むことが好ましい。
極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーは、反応性極性基を有する低分子量化合物を含む。変性されたポリプロピレンホモポリマー及びコポリマー、例えばプロピレン及びエチレン又は他のα-オレフィン、例えばC~C10α-オレフィンとのコポリマーは、ポリプロピレン組成物(C)のプロピレンポリマー(PP)と非常に相溶性が高いため、最も好ましい。
構造に関して、極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーは、好ましくはグラフトホモポリマー又はコポリマーから選択される。
これに関連して、極性化合物、特に酸無水物、カルボン酸、カルボン酸誘導体、第一級及び第二級アミン、ヒドロキシル化合物、オキサゾリン並びにエポキシドからなる群から選択される極性化合物、並びにイオン性化合物に由来する基を含有する極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーが好ましい。
上記極性化合物の具体例は、不飽和環状無水物及びその脂肪族ジエステル、二塩基酸誘導体等である。特に、無水マレイン酸、並びにマレイン酸C~C10直鎖及び分岐ジアルキル、フマル酸C~C10直鎖及び分岐ジアルキル、無水イタコン酸、イタコン酸C~C10直鎖及び分岐ジアルキルエステル、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸並びにこれらの混合物から選択される化合物を使用することができる。
無水マレイン酸又はアクリル酸でグラフトされたポリプロピレンのホモポリマー又はコポリマーを極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマー、すなわち接着促進剤(AP)として使用することが特に好ましい。
上記変性ポリマー、すなわち接着促進剤は、例えば米国特許第4,506,056号明細書、米国特許第4,753,997号明細書又は欧州特許出願公開第1805238号明細書に開示されるように、フリーラジカル発生剤(有機過酸化物等)の存在下での、上記ポリマーと、例えば無水マレイン酸又はアクリル酸との反応押出によって単純な方法で製造することができる。
極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマー、すなわち接着促進剤(AP)、中の極性化合物に由来する基の好ましい量は、0.5~5.0重量%である。例えば、この量は、0.5重量%~4.5重量%の範囲、好ましくは0.5重量%~4.0重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%~3.5重量%の範囲にあってもよい。
極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーについて、すなわち接着促進剤(AP)についてのメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)の好ましい値は20.0~400g/10分である。極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーが40.0~300g/10分の範囲、より好ましくは50.0~250g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有することが特に好ましい。
本発明の1つの好ましい実施形態では、接着促進剤(AP)は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンホモ/コポリマー、及び/又はアクリル酸変性ポリプロピレンホモ/コポリマーである。好ましくは、接着促進剤(AP)は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンホモポリマー及び/又はアクリル酸変性ポリプロピレンホモポリマー、好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレンホモポリマーである。例えば、適切な極性変性ポリプロピレン(PM-PP)ホモポリマー又はコポリマーとしては、例えば、無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンホモポリマー(PP-g-MAH)及びアクリル酸でグラフトされたポリプロピレンホモポリマー(PP-g-AA)が挙げられる。
添加剤(AD)
プロピレンコポリマー(PP)、窒素含有難燃剤(FR)、繊維(F)及び任意選択の接着促進剤(AP)に加えて、本発明のポリプロピレン組成物(C)は、添加剤(AD)を含んでもよい。典型的な添加剤は、酸スカベンジャー、酸化防止剤、着色剤、光安定剤、スリップ剤、擦り傷防止剤、分散剤、加工助剤、潤滑剤、顔料などである。
本発明のポリプロピレン組成物(C)中の添加剤の含有量は、通常5.0重量%を超えず、好ましくは0.5~3.5重量%の範囲にある。
このような添加剤は市販されており、例えば、Hans Zweifelの「Plastic Additives Handbook」、第6版、2009年(1141~1190頁)に記載されている。
さらには、本発明に係る用語「添加剤(AD)」は、担体材料、特にポリマー担体材料も含む。
ポリマー担体材料
好ましくは、本発明のポリプロピレン組成物(C)は、(a)プロピレンポリマー(PP)及び接着促進剤(AP)とは異なるさらなるポリマー(複数種可)を、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の重量に基づいて5.0重量%を超える量、好ましくは3.0重量%を超える量、より好ましくは2.0重量%を超える量では含まない。添加剤(AD)のための担体材料であるいずれのポリマーも、本発明に示されるようなポリマー化合物の量ではなく、それぞれの添加剤の量に算入される。
添加剤(AD)のポリマー担体材料は、本発明のポリプロピレン組成物(C)中での均一分布を確保するための担体ポリマーである。このポリマー担体材料は特定のポリマーには限定されない。ポリマー担体材料は、エチレンホモポリマー、エチレン及びC~Cα-オレフィンコモノマー等のα-オレフィンコモノマーから得られるエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、並びに/又はプロピレン並びにエチレン及び/若しくはC~Cα-オレフィンコモノマー等のα-オレフィンコモノマーから得られるプロピレンコポリマーであってもよい。ポリマー担体材料がスチレン又はその誘導体から誘導可能なモノマー単位を含有しないことが好ましい。
物品
本発明は、上記で規定されたポリプロピレン組成物(C)を含む物品にも関する。本発明は、特に、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の、上記で規定されたポリプロピレン組成物(C)を含む物品に関する。とりわけ好ましい実施形態では、本発明は、上記で規定されたポリプロピレン組成物(C)からなる物品に関する。
当該物品は、2.0%未満、より好ましくは1.5%未満、さらにより好ましくは1.1%未満、例えば0.9%未満の、方法において後述するように決定されたインフロー及びクロスフローの収縮を有することが好ましい。
好ましくは、当該物品は、電気ケーブル絶縁体、電気機器の筐体等の電子部品の分野における自動車用物品、自動車部品及び家電部品のパワーエレクトロニクスコンポーネントの容器や部品である。
本発明は、これより、以下に提供される実施例によりさらに詳細に説明される。
A. 測定方法
以下の用語の定義及び決定方法は、別段の定義がない限り、本発明の上記の全般的な説明及び以下の実施例に適用される。
MFR(230℃)はISO1133(230℃、2.16kg荷重)に従って測定する。
MFR(190℃)はISO1133(190℃、2.16kg荷重)に従って測定する。
NMR分光法による微細構造の定量
定量的核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、ポリマーのコモノマー含有量及びコモノマー配列分布を定量した。定量的13C{H}NMRスペクトルは、H及び13Cについてそれぞれ400.15MHz及び100.62MHzで動作するBruker Advance III 400 NMR分光計を使用して、溶液状態で記録した。すべてのスペクトルを、125℃の13Cに最適化した10mm拡張温度プローブヘッドを使用し、すべての空圧について窒素ガスを使用して記録した。およそ200mgの材料を、溶媒中の緩和剤の65mM溶液(Singh,G.、Kothari,A.、Gupta,V.、Polymer Testing 28 5(2009)、475)を与えるクロム(III)アセチルアセトナート(Cr(acac))とともに3mlの1,2-テトラクロロエタン-d(TCE-d)に溶解した。均一溶液を確保するために、ヒートブロック中での最初の試料調製のあと、そのNMRチューブを回転式オーブンの中で少なくとも1時間さらに加熱した。磁石の中へ挿入したあと、チューブを10Hzで回転させた。正確なエチレン含有量の定量のために必要である高分解能及び定量性を主な理由としてこの設定を選んだ。最適化した先端角(tip angle)、1sの繰り返し時間(recycle delay)及びバイレベルWALTZ16デカップリングスキーム(Zhou,Z.、Kuemmerle,R.、Qiu,X.、Redwine,D.、Cong,R.、Taha,A.、Baugh,D.、Winniford,B.、J.Mag.Reson. 187(2007)225;Busico,V.、Carbonniere,P.、Cipullo,R.、Pellecchia,R.、Severn,J.、Talarico,G.、Macromol.Rapid Commun. 2007、28、1128)を使用して、NOEを伴わない標準的なシングルパルス励起を採用した。1スペクトルあたり全部で6144(6k)の過渡信号を取得した。
定量的13C{H}NMRスペクトルを、独自のコンピュータープログラムを使用して処理し、積分し、関連の定量的特性を積分値から求めた。すべての化学シフトは、溶媒の化学シフトを使用して、30.00ppmのエチレンブロック(EEE)の中央のメチレン基を間接的に基準とした。このアプローチにより、この構造単位が存在しない場合でも比較可能な基準設定が可能になった。エチレンの組み込みに対応する特徴的なシグナルを観察した(Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)。
ポリプロピレンホモポリマーについては、すべての化学シフトは、21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を内部基準としている。
位置欠陥(Resconi,L.、Cavallo,L.、Fait,A.、Piemontesi,F.、Chem.Rev. 2000、100、1253;Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157;Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)又はコモノマーに対応する特徴的なシグナルを観察した。
タクチシティ分布は、23.6~19.7ppmのメチル領域の積分により、注目する立体配列に関連しない部位があればそれを補正して定量した(Busico,V.、Cipullo,R.、Prog.Polym.Sci. 26(2001) 443;Busico,V.、Cipullo,R.、Monaco,G.、Vacatello,M.、Segre,A.L.、Macromolecules 30(1997) 6251)。
具体的には、タクチシティ分布の定量に及ぼす位置欠陥及びコモノマーの影響は、立体配列の特定の積分領域から代表的な位置欠陥及びコモノマーの積分値を減算することにより補正した。
アイソタクティシティは、ペンタッドレベルで決定し、すべてのペンタッド配列に対するアイソタクチックペンタッド(mmmm)配列の百分率として報告した。
[mmmm]%=100×(mmmm/全ペンタッドの和)
2,1エリスロ位置欠陥の存在は、17.7及び17.2ppmの2つのメチル部位の存在によって示され、他の特徴的部位によって確認した。
他のタイプの位置欠陥に対応する特徴的なシグナルは観察されなかった(Resconi,L.、Cavallo,L.、Fait,A.、Piemontesi,F.、Chem.Rev. 2000、100、1253)。
2,1エリスロ位置欠陥の量は、17.7及び17.2ppmの2つの特徴的なメチル部位の平均積分値を使用して定量した。
21e=(Ie6+Ie8)/2
1,2一次挿入プロペンの量はメチル領域に基づいて定量した。その際、この領域に含まれるが一次挿入に関連しない部位及びこの領域から除外される一次挿入部位について補正を行った。
12=ICH3+P12e
プロペンの全量は、一次挿入プロペン及び存在するすべての他の存在する位置欠陥の和として定量した。
total=P12+P21e
2,1エリスロ位置欠陥のモルパーセントは、全プロペンに対して定量した。
[21e]モル%=100×(P21e/Ptotal
コポリマーについては、エチレンの組み込みに対応する特徴的なシグナルを観察した(Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)。
位置欠陥も観察された(Resconi,L.、Cavallo,L.、Fait,A.、Piemontesi,F.、Chem.Rev. 2000、100、1253;Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157);Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)場合には、コモノマー含有量に対するそのような欠陥の影響の補正が必要であった。
コモノマー分率は、13C{H}スペクトルのスペクトル領域全体にわたる複数のシグナルの積分により、Wangら(Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000) 1157)の方法を使用して定量した。この方法を、そのロバスト性、及び必要な場合には位置欠陥の存在を考慮できることが理由で選んだ。積分領域は、直面するコモノマー含有量の全範囲にわたる適用性を高めるためにわずかに調整した。
PPEPP配列中の孤立したエチレンのみが観察される系については、Wangらの方法を、存在しないことが既知の部位の非ゼロ積分の影響を低減するように改変した。このアプローチはそのような系に対するエチレン含有量の過大評価を低減し、これは、絶対的なエチレン含有量を求めるために使用される部位の数を
E=0.5(Sββ+Sβγ+Sβδ+0.5(Sαβ+Sαγ))
に減じることにより成し遂げられた。
この部位の組の使用により、対応する積分方程式は、Wangらの論文(Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157)で使用されたのと同じ表記法を使用して、
E=0.5(I+I+0.5(I+I))
となる。絶対的プロピレン含有量のために使用した方程式は改変しなかった。
絶対プロピレン含有量に使用した方程式は修正しなかった。
モルパーセントでのコモノマー組み込みはモル分率から算出した。
E[モル%]=100×fE
重量パーセントでのコモノマー組み込みはモル分率から算出した。
E[重量%]=100×(fE×28.06)/((fE×28.06)+((1-fE)×42.08))
トライアド(triad)レベルでのコモノマー配列分布は、Kakugoらの分析方法(Kakugo,M.、Naito,Y.、Mizunuma,K.、Miyatake,T. Macromolecules 15(1982)1150)を使用して決定した。この方法は、そのロバスト性、及びより広い範囲のコモノマー含有量への適用性を高めるためにわずかに調整される積分領域が理由で選んだ。
密度:ISO1183、圧縮成形した板(プラーク)に対して測定する。
プロピレンホモポリマー及びコポリマーの固有粘度(IV)は、DIN ISO1628/1、1999年10月(デカリン中135℃)に従って測定する。
冷キシレン可溶部(XCS、重量%):冷キシレン可溶部(XCS)の含有量はISO16152;第1版;2005-07-01に従って25℃で決定した。
曲げ弾性率:曲げ弾性率は、ISO294-1:1996に従って調製した80×10×4mmの射出成形試験片に対してISO178に従って3点曲げで決定した。
ノッチ付きシャルピー衝撃強さは、EN ISO1873-2に従って調製した射出成形試験片(80×10×4mm)を用いて、23℃及び-30℃でISO179-1/1eAに従って決定した。
ノッチなしシャルピー衝撃強さは、EN ISO1873-2に従って調製した射出成形試験片(80×10×4mm)を用いて、23℃及び-30℃でISO179-1/1eUに従って決定した。
引張特性は、EN ISO1873-2に従って調製した厚さ4mmの射出成形ドッグボーン試験片に対して決定した。引張弾性率は、1mm/分のひずみ速度並びに23℃、80℃及び120℃でISO527-1Aに従って決定し、降伏応力は、50mm/分のひずみ速度並びに23℃、80℃及び120℃で決定した。
灰分量(灰分)は、ISO3451-1(1997)規格に従って測定する。
平均繊維直径は、ISO1888:2006(E)、方法Bに従って決定する。
重量平均繊維長及び繊維長分布は、EN ISO1873-2に従って調製した射出成形試験片に対してFASEP(FAser(ドイツ語;繊維)SEParation)法に従って決定した。繊維を、TGAオーブン(ガラス繊維については625℃、炭素繊維については500℃)中での熱分解によって、又は溶液分離及び物理的分離によってポリマーマトリクスから分離する。分離した繊維を脱イオン水に懸濁し、繊維の数及び繊維の重なりが良好にバランスするまでこの懸濁液を希釈する。平均繊維長は、FASEP 1.9.44.0(IDM Systems(アイディーエム・システムズ)、ダルムシュタット、ドイツ)上でのグレースケール画像処理によって決定し、平均繊維長及び繊維長分布を計算することによって統計的に調べる。正確な結果は、少数の繊維クラスター及び任意の方法で切断された繊維を有する画像について達成されることになる。これは、特定の繊維対水比を実現することによって達成される。ガラス繊維の場合、比は30mg/L以下でなければならず、炭素繊維の場合、比は20mg/L以下でなければならない。遊離繊維に対するクラスターの数は、短繊維については20%未満であり、長繊維については15%未満であるべきである。
評価のために、FASEPソフトウェア(FASEPモジュールを含むImageProPlus)を使用して、バックグラウンドから繊維を分離し、塵埃及び他の関連しない特徴を除去し、重なっている場合は繊維を分離し、各繊維の長さを自動的に測定する。
平均繊維長Ln及び重量平均繊維長Lpは、ISO22314:05:2006に従って決定した。
Figure 2024508957000001
調査報告は、使用した設定に併記して以下の値を含む必要がある。
・試料毎に組み合わせたすべての画像の繊維の合計
・Ln、Lp(上記で定義した通り)
・試料毎に組み合わせたすべての画像の繊維のLmin、Lmax
・繊維長分布
・繊維質量
・局所繊維分率
荷重撓み温度(HDT):HDTは、ISO1873-2に従って調製した80×10×4mmの射出成形試験片に対して決定した。試験は、1.80MPaの公称表面応力で、ISO75、条件Aに従って平らに支持された試験片に対して行った。
線熱膨張係数(CLTE):線熱膨張係数(CLTE)は、曲げ弾性率の決定に使用したのと同じ射出成形試験片から切断した10mm長片に対してISO11359-2:1999に従って決定した。測定は、縦方向(機械方向、MD)で、23~80℃及び-30~+80℃の温度範囲においてそれぞれ1℃/分の加熱速度で行った。
インフローの収縮(shrinkage in flow)及びクロスフローの収縮(shrinkage cross flow)を、フィルムゲート射出成形品に対して決定した。一方は円形セクタ(半径300mm、開口角20°)であり、他方はストライプ(340×65mm)である。厚さ2.8mmの試験片を、400bar(バール)の背圧で同時に射出成形した。溶融温度は240℃であり、ツールの温度は25℃である。平均フローフロント速度は3.5±0.2mm/sである。射出成形プロセスの後、試験片の収縮を23℃及び湿度50%で測定する。測定は射出成形の96時間後に行った。
UL94垂直燃焼試験は、UL94:2016に従って行った。試料を、長さ125±5mm、幅13.0±0.5mm及び厚さ0.8~3.2mmの片に射出成形する。条件部1では、試料は、23±2℃の一定の室温及び50±10%の湿度で48時間コンディショニング(条件付け、調整)されなければならない。条件部2では、試料は、試験の前に、空気循環オーブン内で70±1℃で168時間コンディショニングされ、次いでデシケータ内で室温で少なくとも4時間冷却されなければならない。試験は、試料をコンディショニングから取り出してから30分以内に行わなければならない。試料を試験チャンバ内で垂直に吊り下げ、10秒間の第1の点火、次いでさらに10秒間の第2の点火に供する。各点火後の燃焼時間が記録され、残光、チャンバの底部で綿を点火する燃焼液垂れがあるかどうか、及び保持クランプまで炎又は赤熱光があるかどうかも留意される。分類は、V-0、V-1、V-2又は分類なしであり、分類は、試験対象物の厚さに依存する。
限定酸素指数(LOI)(Rheometric Sientific(レオメトリック・サイエンティフィック)のStanton Redcroft(スタントン・レッドクロフト))は、ASTM D 2863-87及びISO4589に従って行った。上記のように調製した板を、相対湿度50±5%及び温度23℃の気候室に、試験前に少なくとも24時間置いた。長さ135mm、幅6.5mm及び厚さ3mmを有する10本の試料ロッドをその板から打ち抜いた。単独の試料ロッドを、酸素及び窒素の制御された雰囲気でガラスチムニー(煙突)内に垂直(鉛直)に配置し、この酸素及び窒素は、少なくとも30秒間チムニーを通って流れており、次いで試料ロッドを上部で外部火炎によって点火した。3分後に試料に火炎が存在した場合、又は火炎が50mmを超えて燃焼した場合、試験は不合格であった。試料が試験に合格し、火炎が3分までに又は50mmまでに消火される最小酸素レベルに達するまで、異なる酸素濃度を試験した。
スパイラルフロー長さ
この方法は、射出成形の使用によって、金型の冷却効果を考慮してプラスチック材料の流動性を試験する原理を規定する。プラスチックを溶融し、加温したシリンダー内でスクリューにより可塑化する。溶融プラスチックは、ピストンとして機能するスクリューによって、ある速度及び圧力でキャビティに射出される。このキャビティは、鋼に印刷された長さ測定のための目盛尺を有する螺旋として成形されている。これは、射出成形された試験螺旋試料で流動長を直接読み取る可能性を与える。
スパイラル試験は、Engel ES 1050/250 HL射出成形装置を使用し、スパイラル金型及び600、1000又は1400barの圧力を用いて行った。
スクリュー直径:55mm
仕様射出圧力:600、1000又は1400bar
ツール形態:円形、螺旋形状;長さ1545mm;プロファイル:凸四角形(trapeze)厚さ2.1mm;断面積20.16mm
プレチャンバ及びダイの温度:230℃
ゾーン2/ゾーン3/ゾーン4/ゾーン5/ゾーン6の温度:230℃/230℃/220℃/220℃/200℃
射出サイクル:保持を含む注入時間:6秒
冷却時間:10秒
スクリュー速度:50mm/秒
ツール温度:40℃
スパイラルフロー長さは、射出操作の直後に決定することができる。
2. 実施例
プロピレンポリマー(PP)
触媒調製
PP1の調製のための触媒を以下のように調製した。
3.4Lの2-エチルヘキサノールと810mLのプロピレングリコールブチルモノエーテル(モル比4/1)を20Lの反応器に加えた。次に、Crompton GmbH(クロンプトン)が提供するBEM(ブチルエチルマグネシウム)の20.0%トルエン溶液7.8Lを、よく撹拌した上記アルコール混合物にゆっくりと加えた。添加の間、温度を10.0℃に保った。添加後、反応混合物の温度を60.0℃に上昇させ、この温度で30分間混合を続けた。最後に室温まで冷却した後、得られたMg-アルコキシドを貯蔵容器に移した。上記で調製したMgアルコキシド21.2gをビス(2-エチルヘキシル)シトラコネート4.0mLと5分間混合した。混合後、得られたMg錯体は直ちに触媒成分の調製に使用した。メカニカルスターラーを備えた300mLの反応器に、四塩化チタン19.5mLを25.0℃で入れた。混合速度は170rpmに調整した。上記で調製したMg錯体26.0gを、温度を25.0℃に保ったまま30分以内に添加した。3.0mLのViscoplex 1-254と、2mgのNecadd 447を含む1.0mLのトルエン溶液とを加えた。その後、24.0mLのヘプタンを加えてエマルションを形成した。混合を25.0℃で30分間続けた。その後、30分以内に反応器の温度を90.0℃まで上げた。この反応混合物を90.0℃でさらに30分間撹拌した。その後、撹拌を停止し、反応混合物を90.0℃で15分間沈降させた。
この固体材料を5回洗浄した。洗浄は、170rpmで30分間撹拌しながら80.0℃で行った。撹拌を停止した後、反応混合物を20~30分静置し、続いてサイフォンで吸引した。
洗浄1:洗浄は、100mLのトルエン及び1mLのドナーの混合物で行った
洗浄2:洗浄は、30mLのTiCl及び1mLのドナーの混合物で行った
洗浄3:洗浄は、100mLのトルエンで行った
洗浄4:洗浄は、60mLのヘプタンで行った
洗浄5:洗浄は、10分間の撹拌下で、60mLのヘプタンで行った
その後、撹拌を停止し、反応混合物を10分間静置し、温度を70℃に下げ、続いてサイフォンで吸引し、続いてN注入(スパージ、sparging)を20分間行い、空気に敏感な粉末を得た。
触媒のVCH変性
35mLの鉱油(Paraffinum Liquidum PL68)を125mLのステンレス鋼反応器に加え、続いて0.82gのトリエチルアルミニウム(TEAL)及び0.33gのジシクロペンチルジメトキシシラン(ドナーD)を不活性条件下、室温で加えた。10分後、5.0gの1aで調製した触媒(Ti含有量1.4重量%)を添加し、さらに20分後、5.0gのビニルシクロヘキサン(VCH)を添加した。温度を、30分かけて60℃に上昇させ、この高さで20時間保った。最後に、温度を20℃に下げ、油/触媒混合物中の未反応VCHの濃度を分析したところ、120ppm重量であることが判明した。
PP2の調製に使用した触媒は、外部ドナーとしてジシクロペンチルジメトキシシラン(ドナーD)を有するLyondellBasellの市販のZiegler-Natta触媒Avant ZN180Mである。
プロピレンポリマーPPの調製
PP1及びPP2の調製のための条件を表1に要約する。
Figure 2024508957000002
ポリプロピレン組成物(C)の調製
プロピレンポリマーPP1及びPP2を、下記表2に示す量の難燃剤組成物(FR)、ガラス繊維(GF)、接着促進剤(AP)及び添加剤(AD)と同方向回転(共回転)二軸押出機で溶融ブレンドした。
Figure 2024508957000003
PP3及びPP4(重量比45:55)の混合PP成分は、約100g/10分のメルトフローレート(ISO1133;230℃、2.16kg荷重)を有していた。
PP3は、75g/10分のメルトフローレート(ISO1133;230℃、2.16kg荷重)を有する、Borealis(ボレアリス)による市販のプロピレンホモポリマーHJ120UBである。
PP4は、125g/10分のメルトフローレート(ISO1133;230℃、2.16kg荷重)を有する、Borealisによる市販のプロピレンホモポリマーHK060AEである。
PP5は、450g/10分のメルトフローレート(ISO1133;230℃、2.16kg荷重)を有する、Borealisの市販のプロピレンホモポリマーHL504FBである。
FRは、55~60重量%のメラミンポリホスフェート及び40~55重量%のピペラジンピロホスフェートを含むSULIの市販の難燃剤組成物Phlamoon-1090Aである。
GFは、10.5μmのフィラメント直径及び3mmのストランド長を有する日本電気硝子株式会社の市販製品ECS 03 T-480Hである。
APは、Scona(スコナ)による接着促進剤SCONA TPPP 8112 GAであり、1.4重量%の無水マレイン酸含有量及び80g/10分を超えるMFR(190℃、2.16kg)を有する無水マレイン酸で官能化されたポリプロピレンである。
CBは、40重量%のカーボンブラックを含むマスターバッチである。
AO1は、Addivant(アディバント)のNaugard XL-1として市販されている酸化防止剤2,2’-オキサミドビス-(エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。
AO2は、BASF(ビーエーエスエフ)のIrgafos 168として市販されている酸化防止剤トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトである。
AO3は、BASFのIrganox 1010として市販されている酸化防止剤ペンタエリスリチル-テトラキス(3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートである。
比較例及び本発明の組成物の難燃性、収縮及び機械的特性を表3に要約する。
Figure 2024508957000004
** UL94垂直燃焼試験は、「測定方法 - UL94垂直燃焼試験」の項で上記した条件部1のもとで実施し、すなわち、試料を、23±2℃の一定の室温及び50±10%の湿度で48時間コンディショニングした。
表3から分かるように、本発明の組成物は、1.5mmの厚さでUL94V-0の要件を満たす。収縮値も、たとえ高流動ポリプロピレンがベースポリマーとして適用されたとしても、低いレベルのままである。

Claims (18)

  1. ポリプロピレン組成物(C)であって、前記ポリプロピレン組成物(C)の総重量に基づいて、
    i)20.0~80.0重量%の少なくとも45.0g/10分のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有するプロピレンポリマー(PP)と、
    ii)10.0~40.0重量%の窒素含有難燃剤(FR)と、
    iii)10.0~40.0重量%の繊維(F)と、
    iv)0.0~5.0重量%の接着促進剤(AP)と
    を含むポリプロピレン組成物(C)。
  2. 前記プロピレンポリマー(PP)は、50.0~600g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する請求項1に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  3. 前記プロピレンポリマー(PP)は、60.0~300g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する請求項2に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  4. 6.0~40.0g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  5. i)前記ポリプロピレン組成物(C)はフルオロポリマーを含まず、かつ/又は
    ii)前記窒素含有難燃剤(FR)はハロゲンを含まない
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  6. 前記窒素含有難燃剤(FR)は、第1の窒素含有ホスフェート(FR1)及び第2の窒素含有ホスフェート(FR2)を含み、任意選択で、前記第1の窒素含有ホスフェート(FR1)と前記第2の窒素含有ホスフェート(FR2)との重量比は60:40~40:60の範囲にある請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  7. 前記第1の窒素含有ホスフェート(FR1)はメラミンポリホスフェートであり、前記第2の窒素含有ホスフェート(FR2)はピペラジンピロホスフェートである請求項6に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  8. 前記プロピレンポリマー(PP)は、2.0~25.0モル%の範囲のコモノマー含有量を有する、プロピレンとエチレン及び/又はC~Cα-オレフィンとのコポリマーである請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  9. 前記プロピレンポリマー(PP)は、
    i)プロピレンのポリマーであるマトリクス(M)と、
    ii)プロピレン並びにエチレン及び/又はC~C20a-オレフィンに由来する単位を含むコポリマーであるエラストマー(E)と
    を含む異相プロピレンコポリマー(HECO)である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  10. 前記異相プロピレンコポリマー(HECO)は、前記異相プロピレンコポリマー(HECO)の総重量に基づいて7.0~25.0重量%の範囲の冷キシレン可溶部画分(XCS)を有する請求項9に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  11. 前記異相プロピレンコポリマー(HECO)のキシレン可溶部画分(XCS)は、
    i)35.0モル%を超えるコモノマー含有量、及び/又は
    ii)3.5dl/g未満のISO1628/1(デカリン中135℃)に従って測定された固有粘度(IV)
    を有する請求項9又は請求項10に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  12. 前記プロピレンポリマー(PP)はプロピレンのホモポリマーである請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  13. 前記プロピレンポリマー(PP)は、105~600g/10分の範囲のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  14. 前記繊維(F)は、ガラス繊維(GF)、好ましくは0.2~1.2mmの範囲の、EN ISO1873-2による射出成形後に「方法」に記載されるFASEP法に従って決定された重量平均繊維長を有するガラス短繊維(SGF)である請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  15. 前記接着促進剤(AP)は、少なくとも20.0g/10分のISO1133に従って決定されたメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する無水マレイン酸でグラフトされたプロピレンのホモポリマー又はコポリマーである極性変性ポリプロピレン(PM-PP)である請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  16. 前記プロピレンポリマー(PP)、前記窒素含有難燃剤(FR)、前記繊維(F)及び任意選択で前記接着促進剤(AP)の全量が全体で前記ポリプロピレン組成物(C)の少なくとも90重量%を構成する請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)。
  17. 請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物(C)を含む物品。
  18. 2.0%未満の、方法において記載されるように決定されたインフロー及びクロスフローの収縮を有する請求項17に記載の物品。
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