JP2024508379A - 機械学習に基づく眼科的予測方法のための理論駆動型ドメイン制御 - Google Patents

機械学習に基づく眼科的予測方法のための理論駆動型ドメイン制御 Download PDF

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Abstract

本発明は、挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するコンピュータ実装方法に関する。方法は、屈折力を特定するための物理モデルを提供するステップと、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果により、屈折力を特定するための学習モデルを形成するように機械学習システムを訓練するステップを含む。訓練のための損失関数は2つのコンポーネントを含む:損失関数の第一のコンポーネントは、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果を考慮し、損失関数の第二のコンポーネントは、この第二のコンポーネントの損失関数コンポーネント値が大きくなるほど、訓練中の屈折力の予測値が、同じ臨床眼科訓練データを入力としたとき、物理モデルの結果からより大きくずれるという物理モデルの制限を考慮する。さらに、方法は、患者の眼科データを提供するステップと、使用する眼内レンズの屈折力を訓練済みの機械学習システムにより予測するステップを含み、提供される眼科データは入力データとして使用される。

Description

本発明は、眼内レンズの屈折力を特定すること及び、特に挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定の損失関数による学習モデルによって特定する方法、それに対応するシステム、並びにそれに対応する、この方法を実行するためのコンピュータプログラム製品に関する。
眼の生物学的水晶体の人工眼内レンズ(IOL:intraocular lens)への置き換えは、例えば(加齢による)屈折異常の場合や白内障の場合に行われ、近年、眼科の分野においてますます一般的になっている。このプロセスでは、生物学的水晶体が水晶体嚢から非侵襲的介入により分離されて、取り出される。そして、白内障の場合には不透明化した水晶体が人工レンズインプラントに置き換えられる。このプロセスでは、この人工レンズインプラント、すなわち眼内レンズはその時点で空になっている水晶体嚢の中に挿入される。眼内レンズの正確な位置と必要な屈折力の知識は相互に依存する。
既知の、現在利用可能なIOL計算式では、複雑さの異なる物理モデルが利用される(例えば、既知のHaigis式の輻輳の原理)。このようにして、IOLの屈折力の使用可能な特定を、データに基づいてだけでなく、利用できる物理的知識を活用して行うことが可能となる。精度は若干改善されるものの、これらの式は常に概算のみであり、生物学的眼の非常に複雑な現実を再現することはできない。レイトレーシング法を使用すれば、モデルの精度は近軸近似でのみ機能する他の多くの旧型モデルよりさらに改善しやすいが、その場合も、例えば屈折界面の形状によって、このシステムに概算が含まれる。データの入手可能性に関して、物理モデルは様々なパラメータを利用して微調節又は調整できる。しかしながら、前記モデルの構造とこれらのパラメータの選択は、それぞれの開発者により指定され、したがって必ずしも最善の表現とは言えない。この形態のシステム全体の最適な適応は非常に限定的でしかなく、その柔軟性は選択されるモデルによって制限される。
挿入すべきIOLの正しい屈折力を概算的に特定する既知の方法の欠点から進めて、本願で提示される考えの根底にある目的は、眼内レンズのための改善されたIOL屈折力予測の方法とシステムを明示することである。
この目的は、ここで提案する独立特許請求項による方法、それに対応するシステム、及び関連するコンピュータプログラム製品により達成される。別の実施形態は、それぞれの従属項に記載されている。
本発明の1つの態様によれば、挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するコンピュータ実装方法が提示される。この場合、方法は特に、眼内レンズの屈折力を特定するための物理モデルを提供するステップと、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果により、屈折力を特定するための学習モデルを形成するように機械学習システムを訓練するステップを含む。この場合、訓練に使用される損失関数は2つのコンポーネントを含むことができ、損失関数の第一のコンポーネントは、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果のうちの対応する項目を考慮に入れることができ、損失関数の第二のコンポーネントは、この第二のコンポーネントの損失関数コンポーネント値が大きくなるほど、訓練中の屈折力の予測値が、同じ臨床眼科訓練データを入力値としたとき、物理モデルの結果からより大きくずれるという物理モデルの制限を考慮に入れることができる。
方法は、患者の眼科データを提供するステップと、挿入すべき眼内レンズの屈折力を訓練済みの機械学習システムにより予測するステップをさらに含むことができ、提供される眼科データは機械学習システムのための入力データとして使用できる。
本発明の他の態様によれば、挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するシステムが提示される。システムは特に、眼内レンズの屈折力を特定するための物理モデルがそこに記憶された提供モジュールと、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果を用いて、屈折力を特定するための学習モデルを形成するように機械学習システムを訓練するようになされた訓練モジュールを含む。この場合、学習モデルのパラメータ値は、学習システムに保存できる。訓練に使用される損失関数は2つのコンポーネントを含むことができ、損失関数の第一のコンポーネントは、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果の対応する項目を考慮に入れることができ、損失関数の第二のコンポーネントは、この第二のコンポーネントの損失関数コンポーネント値が大きくなるほど、訓練中の屈折力の予測値が、同じ臨床眼科訓練データを入力値としたとき、物理モデルの結果からより大きくずれるという物理モデルの制限を考慮に入れることができる。
さらに、システムは、患者の眼科データのためのメモリと、挿入すべき眼内レンズの屈折力を訓練された機械訓練システムによって予測するようになされた予測ユニットを含むことができ、提供される眼科データは機械学習システムのための入力データとして使用される。
さらに、実施形態は、コンピュータ又はその他の命令処理システムによって、又はそれと共に使用されるプログラムコードを含むコンピュータが使用することのできる、又はコンピュータが読み取ることのできる媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品に関することができる。本明細書に関して、コンピュータが使用することのできる、又はコンピュータが読み取ることのできる媒体とは、プログラムコードを記憶し、通信し、伝送し、又は輸送するのに適した何れのデバイスとすることもできる。
挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するコンピュータ実装命令には、関連するシステムにも相応に当てはまる複数の利点と技術的効果がある。第一に、入手可能な臨床眼科データのみに基づいて挿入すべき眼科レンズの屈折力を特定する機械学習システムは比較的長い訓練時間を必要とし、第二に、物理モードの既知の特性をすっきりと考慮に入れることができない。さらに、臨床訓練データしか使用されない場合、多くの解剖学的可変性を確保するために、非常に多くのデータポイント、すなわち訓練データが必要になるであろう。さらに、純粋に臨床的な、すなわち眼科的な、訓練データについてどのような可変性が実際に存在するかは、能動的に制御できない。パラメータ空間全体を物理モデルによって体系的にサンプリングできる。
本願で提示する方法は、それに対して、両方の領域、すなわち第一に、物理数学モデルの領域だけでなく、第二に、臨床眼科データの領域から最善のものを使用する。さらに、機械学習モデルはそれに加えて、臨床眼科データによる訓練の前に、事前学習することができる。この目的のために、解剖学的に生成される訓練データを物理モデルによって生成できる。この物理モデルは、損失関数に影響を与えるものと必ずしも同じである必要はない。このようにして、訓練中に異なる物理モデルの影響を考慮に入れることができる。
この場合、提示される方法は、訓練されていない場合と事前訓練されたシステムの場合の何れについても、訓練のロバストネスに重大な影響を与える。訓練されていないニューラルネットワークの場合、損失関数の物理的制約により、システムが実際のデータで訓練中に物理的に矛盾する予測を学習し得ないことが確実となる。その結果、データセット内のはずれ値の影響が回避され、訓練されたネットワーク全体として、より安定な予測をすることができる。機械学習モデルはすでに物理的制約を利用して人工データで事前訓練され、それゆえ物理的知識を含む場合、損失関数に対する制御は、「致命的忘却」が始まり得ない、すなわち過去に学習した知識は眼科データでの訓練により簡単には上書きされない、という効果を有し得る。損失関数の物理的制約により、ネットワークは物理的な境界条件及び制限を引き続き考慮に入れざるを得なくなる。
この制約及び訓練中に利用可能とすることのできる追加の物理情報により、訓練に必要なデータは全体として格段に少なくてよくなり、それは、物理的境界条件をデータから学習する必要がないからである。これは、事前に大量のデータ(すなわち、臨床訓練データ)を集める必要がないため、方法の適用をはるかにより柔軟且つより迅速にすることができる。さらに、クリニックごとのデータセットで訓練することにより、そのようにして方法及びそれに対応するシステムをこれらのデータセットと正確にコーディネートできるようにすることが可能である。それが可能なのは、訓練には比較的少ない臨床データの項目だけで済むことになるからである。
損失関数自体の物理的制約は、パラメータ空間全体のカバー範囲を表すことができる。これは、何れの認識可能なデータポイントについての正確な物理的ソリューションでも生成でき、それゆえ、パラメータ範囲全体を体系的に表すことを可能にできる。従来の方法と比較すると、これは訓練プロセスにとって重要な利点であるが、それは、通常の状況では存在する実際のデータはパラメータ空間のわずかな部分しか表せないからである。後者はさらに、常にエラーが生じやすい可能性がある。これらは全て物理的制約によって補償できる。それゆえ、それは訓練プロセスの重大な拡張及び改善である。
実際のデータもまた、物理モデルを利用したこの直接的訓練のほかに常に考慮に入れなければならないため、コンポーネント同士の正しい重み付けは本願の概念のまた別の重要な態様を構成できる。実行される重み付けにより実現できることは、機械学習モデルが、第一に物理的境界条件を考慮できること、第二に理想のデータ状況にそれ自体を合わせるのに十分な自由度を有することである。このバランスのとれた相互作用により、訓練プロセス中に重要な利点が提供され、新しい眼科データに関するIOL屈折力の最終的な予測を改善することが可能となる。
それに加えて、理論的な眼科データを考慮に入れることも可能となるであろう。これらのデータは文献値データからも構成できる。文献値データ間、すなわち他の供給源からのデータ間の内挿法でも中間値を生成できる。このようにして得られたこれらの追加的な参照データは、損失関数の物理モデルのほかの、又はそれに代わる記数学物理モデルを補完し、又はそれに置き換わることができる。
このようにして臨床眼科データで訓練された機械学習システムの訓練中に、数学物理モデルを考慮に入れることに関して広い寛容域がある。他方で、損失関数に影響を与える、現在使用されている物理モデルでは使用されない追加データの大規模なソースプールも得られる。
提案される概念はまた、損失関数に対する影響において1つだけではない物理モデルが使用されることに拡張できる。そうではなく、損失関数への影響はまた、少なくとも1つの別の物理モデルも考慮に入れることができる。このような場合、損失関数は別の項で補足され、これは追加の重み係数と共に含められる。関数の残り、特に入力データの供給は、第一の物理モデルと一致して、それと並列に実行されることになる。
全体として、速度の点での利点を訓練中に実現でき、この利点は、訓練中にこれが臨床眼科データによる訓練を含むだけでなく、臨床眼科データの測定外れ値が物理モデルにより直接補正されることによって得られる。機械学習システムの訓練フェーズはまた、より少ない、又はそれほど多くない注釈付きデータでも進めることができる。全体として、演算パワーを大幅に節減でき、それゆえ利用可能なコンピュータ能力もよりよく利用できる。
別の例示的実施形態が以下で説明され、これは方法に関しても、それに対応するシステムに関しても有効とすることができる。
要約すれば、訓練中に実際のデータに基づいて、すなわち眼科データに基づいて動作し、したがって大量の訓練データを必要とし、確実な予測(すなわち、IOL屈折率の特定)を訓練データセットによりカバーされるパラメータ空間の外で行うことができない、IOLの屈折力を特定するための既知の機械学習システム及びそれに対応する方法とは異なり、本願で提示される方法とシステムは、物理モデル及び臨床眼科訓練データの境界条件を同等に、対応する重み付けを行った上で使用できる。本願で提示される概念はそれゆえ、典型的に利用可能な多数の臨床訓練データでは物理的境界条件の全体をカバーするのに不十分である従来の方法に勝る。さらに、これらは測定エラーも生じさせやすく、それによって状況はさらにより困難となる。簡単に言えば、(i)予想される解剖学的可変性の全体を物理モデルでカバーでき、それゆえIOLの屈折力を特定又は予測するための、よりロバストなシステムが得られる。それに加えて、(ii)物理モデルと臨床データの組合せは、ロバストなモデルに必要な臨床データがより少なくて済むことを意味する。このようにして、クリニックごと、医師ごと、又はレンズごとのロバストなモデルを作成できる。
この方法の1つの有利な実施形態によれば、損失関数の第一及び第二のコンポーネントは設定可能な方法で重み付けすることができる。それゆえ、訓練すべき機械学習システムの訓練モデルの微調整が可能となる。これに関して、例えば損失関数の2つのコンポーネントのうちのどちらにより大きい重みを付与すべきかを設定でき、すなわち、(i)臨床眼科訓練データか、(ii)物理モデルから得られる制限か、である。このようにして、影響を与えるパラメータをごく個別的に、また選択した物理モデルの種類に応じて調整できる。このようにして、選択された物理モデルの種類によって異なる強さの重みか、又はそれ以外の、若しくは追加の制限(「制約」)を規定できる。それゆえ、重み付けを導入する同期は直接認識可能であり、すなわち物理モデルから生じ得る致命的干渉と臨床データに基づく過剰適合に起因するリスクとの間のバランスがとられる。
方法のさらに有利な実施形態によれば、以下のタイプの重み付け関数を適用できる:
=B[a(Delta)-(1-a)Phy]であり、以下が適用される:
=損失関数の値
B=損失関数の一般的定数又は別の関数の項
a=重み付け定数
Delta=第一のコンポーネント、すなわち訓練中のエラーの値の誤差関数の結果(例えば、MSE:平均二乗誤差)
Phy=第二のコンポーネント、すなわち物理モデルから得られる制限。
重み付けのための値は訓練から訓練(又は再訓練)へと新たに設定できる。この目的のために、明示的ユーザインタフェースを設けることができ、それにより最適な条件での訓練が可能となる。それによって、様々な物理境界条件、すなわち物理モデルもまた手際よく試すことが可能となる。
この方法の補足的な有利な実施形態によれば、眼科データはOCT画像データ、すなわち完全な「生の」画像データ又は、OCT画像データから得られる明示的な眼科学的数値、又はOCT画像データとOCT画像データから得られた値の両方を含むことができる。画像データはバイオメトリックデータとすることも完全に可能である。このようにして、使用する訓練データの使用において高い柔軟性が得られる。
方法の別の発展型実施形態によれば、挿入すべき眼内レンズの予想位置を、製造作業中の機械学習システムのための追加の入力データ値として使用できる。このようにして、IOLの屈折力の特定をさらに改良することが可能になると予想できる。
方法の1つの実施形態からの延長形によれば、機械学習システムの学習モデルは、眼科データで訓練する前に、提供された物理モデルの法則に基づいて人工的に生成されたデータにより訓練しておくことができる。この法則は、物理モデル、すなわち公式によって表現できる。この場合、本願に記載の事前訓練のための物理モデルをさらに前述した主訓練中の物理モデルとは異なるようにすることも可能である。このようにして、少なくとも2種類の物理モデルを考慮することができ、すなわち、(i)機械学習システム学習モデルのためにこのようにして行われる2段階訓練の事前訓練中の1つの物理モデルと、(ii)機械学習システムの学習モデルのその後の主訓練中の2つ目の物理モデルである。このように選択された物理モデルに応じて、損失関数の上述の重み付けは、専用に適応されたユーザインタフェースによって容易に設定できる。このように2つの異なる物理モデルを考慮することは、損失関数を他の項により補足しなくてよいことを意味する。さらに、訓練時間及び/又は実際の訓練データの量もそれゆえ減らすことができる。利用可能なリソースがよりよく利用される。
その結果、訓練される学習モデルはそれにより、物理モデルを使って事前訓練から、時間の点で有利となるであろう。理論上、訓練のため、又は訓練データの生成のために、はるかに詳細な物理モデルを使用できる。
方法の1つの実施形態からの延長形によれば、物理モデルはまた、眼内レンズの屈折力を特定するための文献値データも含むことができる。文献値データは表の形態で存在でき、そこから値のタプルを、物理モデルの補足又はその代わりとして、例えば存在する値の内挿によって提供できる。このようにして、物理モデルをなくすことができ、しかも既知の限界値(「制約」)の影響を排除しなくてよい。
方法の有用性の高い実施形態によれば、挿入すべき眼内レンズは挿入すべき球面、トーリック、又は多焦点眼内レンズ、又は他のレンズ形状とすることができる。本願で提示する概念はそれゆえ、幅広く使用可能となる。有利な点として、訓練データ及び物理モデル(又は、複数の物理モデル)も相応に選択され得る。
方法の別の例示的実施形態によれば、機械学習システムはニューラルネットワークとすることができる。この場合、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含めることができる。CNNsは、タスクが、例えば眼科データの生のデータがそうであるように、分類すべき画像データの処理である場合に特に有益であることがわかっている。
代替的に、眼の4Dスキャンからの、おそらくは現在の時間依存データ(3つの空間方向及び眼のスキャンデータの時間変化)を利用できる。この場合、上述のCNNの代わりとして、又はそれに対する追加として、RNN(回帰型ニューラルネットワーク)を利用できる。
方法の1つの有利な例示的実施形態によれば、ある眼の眼科データとしては、軸長、前房深度、水晶体の厚さ、後房深度、角膜の厚さ、角膜曲率測定値、水晶体赤道面、WTW値、及び瞳孔径が含まれ得る。上述のパラメータのそれぞれの数値も意図されると理解されたい。現在、これらの眼パラメータ値は、眼スキャンによって手際よく、高い正確さで特定できる。
方法の拡張された例示的実施形態によれば、第二の物理モデルは、数学モデル又はレイトレーシングモデルとして表すことができる。その結果、モデルに基づく改善された訓練データを利用可能にするために異なる方法を使用するという選択が、訓練データ生成の第二のステージにおいても可能となる。これにより、提案された方法を特定のユーザに合わせて個別化するための余地を広げることができる。
方法の別の拡張された例示的実施形態によれば、臨床眼科訓練データは、手作業で、又は第三の機械学習システムによって特定又は生成できる。これに関して、手作業で、とは、眼スキャン装置によって測定することを意味する。それに対して、第三の幾何学習システムにより生成される訓練データは、人工的性質がより強い傾向があり、しかしながら比較的少ない量の臨床眼科データを使って、第三の、すでに訓練された機械学習システムにより最終的な学習ステップのためのより多くの訓練データを提供することも可能である。このようにして、本願で提示される方法はまた、比較的少量の臨床眼科データでも使用可能であり、これは通常であれば、物理モデルから真実の臨床データまで、2段階訓練ステップによって洗練させるには不十分である。例えば、この目的のためにはGAN(敵対的生成ネットワーク)を使用できる。
本発明の例示的実施形態は様々な実装カテゴリに関して説明され得る点を指摘すべきである。特に、ある例示的実施形態は方法に関して説明され、他の例示的実施形態はそれに対応する装置に関して説明され得る。それにかかわらず、当業者であれば、上述及び後述の説明から、それらが特許請求項の異なるカテゴリに属しているとしても、方法の特徴を特定して、それらの考え得る組合せ及び、対応するシステムの特徴の考え得る組合せを、特にこれに反する明示的なことわりがないかぎり、複合させることができる。
本発明の上ですでに述べた態様及び追加的な態様は、とりわけ、説明される例示的な実施形態から、及び図面に関して説明される追加的な別の具体的実施形態から明らかとなるであろう。
本発明の好ましい例示的実施形態を、例として、また下記のような図面を参照しながら説明する。
挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するコンピュータ実装方法の例示的実施形態のフローチャート様の表現を示す。 眼を、その眼の異なるバイオメトリックパラメータと共に示す。 基礎となる提案の方法又は関連するシステムの本質的な機能的コンポーネントの概略構造を示す。 本発明による予測システムの線図を示す。 追加的に図4によるシステムを全体的又は部分的に含み得るコンピュータシステムの線図を示す。
説明に関して、規約、用語、及び/又は表現は以下のように理解すべきである。
「眼内レンズ」という用語は、天然の生物学的水晶体と置き換えるために手術によって患者の眼に挿入できる人工レンズを表す。
「損失関数」という用語は、機械学習システムの訓練中にある値又は誤差値群を出力する誤差関数を表し、通常、それが大きいほど、関連する入力値群に対して、機械学習システムの予測値と期待値の相互からのずれが大きくなる。この差を特定し、使用するには数多くの方法が可能である(例えば、MSE=平均二乗誤差又はクロスエントロピ)。損失関数の出力値はニューラルネットワークに、又は重み付け関数のノードに供給される(逆伝播)。このようにして、機械学習システムの実際に予測される出力値は注釈付きの、すなわち所望の結果値の方向に収れんする。
「機械学習システム」という用語は、同じく典型的にある方法に割り当てられるシステムを表し、前記システムは例から学習する。このために、注釈付きの訓練データ(すなわち、メタデータも含む)が機械学習システムに供給されて、事前に設定されていた出力値-分類システムの場合は出力クラス-が予測される。出力クラスが十分な精度で、すなわち、事前に特定された誤り率で正確に出力された場合、その機械学習システムは訓練済みと呼ばれる。各種の機械学習システムが知られている。これらには、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、或いは回帰型ニューラルネットワーク(RNN)が含まれる。
原則として、「機械学習」という用語は、人工知能の分野の基本的用語又は基本的関数であり、例えば統計学的方法を使ってコンピュータシステムに「学習」する能力を付与する。例えば、この場合は具体的なタスク範囲内での特定の行動パターンが最適化される。使用される方法は、訓練済みの機械学習システムに、この目的のための明示的な手続き型プログラミングを必要とせずにデータを分析する能力を付与する。典型的に、例えばNN(ニューラルネットワーク)又はCNN(畳み込みニューラルネットワーク)は、人工ニューロンとして機能するノードのネットワークと、人工ニューロン間の人工的な接続(いわゆるリンク)を形成するための機械学習のシステムの例であり、その場合、パラメータ(例えば、リンクのための重み付けパラメータ)を人工リンクに割り当てることができる。ニューラルネットワークの訓練時に、リンクの重み付けパラメータ値は入力信号に基づいて、所望の結果を生成するように自動的に調整を行う。教師あり学習の場合、入力値(訓練データ)として供給された画像-一般には(入力間)データ-は、所望の出力値(所望のクラス)を生成するために所望の出力テータ(注釈)で補足される。ごく一般的に考えると、入力データの出力データへのマッピングが学習される。
「ニューラルネットワーク」という用語は計算動作(活性化関数)を実行するための、1つ又は複数の入力と1つ又は複数の出力を有する、電子的に実現されたノードからなるネットワークを表す。ここで、選択されるノードは接続部-いわゆるリンク又はエッジ-により相互接続される。接続部は特定の属性、例えば重み付けパラメータ値を有することができ、それによって先行するノードの出力値に影響を与えることができる。
ニューラルネットワークは典型的に、複数の層で構成される。少なくとも入力層、隠れ層、及び出力層が存在する。単純な例では、画像データは入力層に供給され、出力層はその画像データに関する分類結果を有することができる。しかしながら、典型的なニューラルネットワークは多数の隠れ層を有する。ノードがリンクによって接続される方法は、それぞれのニューラルネットワークの種類に依存する。この例では、ニューラル学習システムの予測値は、眼内レンズの求められる屈折力とすることができる。
「回帰型ニューラルネットワーク」という用語は、フィードフォワードネットワークとは異なり、1つの層のニューロン(すなわちノード)の同じ又は先行する層のニューロンへのリンクによって区別されるニューラルネットワークを示す。これは脳内、特に新皮質内のニューラルネットワークの相互接続の好ましい方法である。人工ニューラルネットワークにおいて、モデルニューロンの回帰型の相互接続は、データ内の時間符号化-すなわちダイナミック-情報を発見するために頻繁に使用される。このような回帰型ニューラルネットワークの例としては、エルマンネットワーク、ジョーダンネットワーク、ホップフィールドネットワーク、及び全結合ニューラルネットワークが含まれる。これらはまた、特に眼の調節挙動を考慮するために、眼の記録の中のダイナミック挙動を調べるのに適している。
「畳み込みニューラルネットワーク」(CNN)という用語は、分類器/分類システムの一例として、フィードフォワード方式に基づく人工ニューラルネットワークのクラスを表す。これらは多くの場合、画像又はそのピクセルを入力データとして使用する画像分析に使用される。畳み込みニューラルネットワークの主要コンポーネントはこの場合、畳み込み層(それゆえ、この名称)であり、それによってパラメータ共有を通じた効率的な評価が可能となる。CNNと異なり、記録された画像の各ピクセルは典型的に、従来のニューラルネットワークの入力値として、ニューラルネットワークの人工ニューロンに関連付けられる。
「パラメータ値」という用語は、患者の眼の幾何学的若しくはバイオメトリック値、又は眼科データを表す。眼のパラメータ値の例は、図2に基づいてより詳しく説明されている。
「スキャン結果」という用語は、例えばデジタル画像/記録に基づくデジタルデータを表し、これは患者の眼のOCT(光干渉断層撮影法)検査の結果を表す。
「光干渉断層撮影法」(OCTと略される)という用語は、マイクロメートル単位の解像度で散乱物質(例えば、生体組織)の2及び3次元記録(2D又は3D)を得るための既知の眼科イメージング法を表す。このプロセスでは、基本的な光源、ビームスプリッタ、及びセンサ、例えばデジタルイメージセンサの形態のセンサが利用される。OCTは、個々の網膜層の反射挙動の場所的相違を検出するために使用され、形態構造を高い解像度で表すことができる。
「A-スキャン」(軸方向深さスキャンとも呼ばれる)は、患者の眼のスキャンの1次元結果を表し、これは眼内の構造の幾何学寸法及び位置に関する情報を提供する。
「B-スキャン」という用語は、眼の断面を得るために、上述のA-スキャンを複数、横方向に重ねたものを表す。このようにして生成された眼の複数の層を組み合わせることによってボリュームビューも生成可能である。
「en face OCT」という用語は、この場合、眼の横方向の断面画像を生成するための方法を表す、これは上述のA-又はB-スキャンを用いた縦方向の断面画像と対照的である。
「ダイナミック眼データ」という用語は、動的変化、すなわち経時変化、例えば眼の調節能力を認識するための、眼の-通常は同じ位置での-2D断面画像の連続を表す。
「デジタル画像」-例えばスキャンによる-という用語は、この場合、物理的に存在する物体、例えばこの場合は眼の網膜の画像表現又は、そこからのピクセルデータの形態のある量のデータの生成結果を表す。より一般的には、「デジタル画像」とは、2次元信号マトリクスと理解することができる。マトリクスの個々のベクトルは、相互に結合することによってCNNのある層のための入力ベクトルを生成できる。デジタル画像はまた、動画シーケンスの個々のフレームとすることもできる。
「臨床眼科訓練データ」という用語は、患者の眼及び過去にこれらの患者に挿入された眼内レンズに関するデータを表す。臨床眼科訓練データには特定された眼科パラメータ値が含まれ得て、これは例えば挿入されるレンズの屈折率及び位置でもある。これらのデータは物理モデルからのデータに基づいてそれまでに訓練済みの機械学習システムを訓練する目的のために使用される。基本的に、臨床眼科訓練データには注釈が付けられる。
「訓練データ」という用語は、機械学習システムを訓練するために使用できるデータを表す。機械学習システムのためのこれらの訓練データは、過去における水晶体置換術の成功例からの眼科データ及び関連する屈折力値である。
「物理モデル」という用語は、眼の各種のパラメータを相互に関連付けて、屈折力の特定を行う数学式に関する。既知の公式には、Haigis式及びUniversal Barrett II式が含まれる。さらに、レイトレーシング法も使用できる。
「眼内レンズの屈折力」という用語は、IOLの屈折率を表す。
以下に図を詳しく説明する。この場合、図中の詳細及び情報は全て概略的に示されていると理解されたい。まず、挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するための本発明によるコンピュータ実装方法の1つの例示的な実施形態のブロック図が示されている。別の例示的実施形態、又は対応するシステムの例示的実施形態については後述する。
図1は、本発明によるコンピュータ実装方法100の例示的実施形態のフローチャート様表現を示している。方法100は、眼内レンズの屈折力を特定するための物理モデルを提供するステップ102を含む。これは、例えば表の形態で保存された一連の入力パラメータ、他の何れかの訓練済み機械学習システムからのデータ、又は文献値データに基づいて屈折力を特定する公式を含むことができる。
さらに、方法100は、臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果で機械学習システムを訓練して、屈折力を特定する学習モデルを形成するステップ104を含み、訓練の損失館数は2つのコンポーネントを含む。所望の結果とは、特定の入力パラメータ値が存在する場合に、予測されるべき機械学習システムの結果である。入力データと期待される結果データの組合せは、機械学習に関しては「正解」とも呼ばれる。これは特に、いわゆる「教師あり学習」に当てはまり、ここではそれが実行される。
損失関数の第一のコンポーネントでは、臨床眼科訓練データ及びそれに関連する所望の結果のうちの対応する項目を考慮する。損失関数のこのコンポーネントは、既知の平均二乗誤差方式を使用できる。この場合、損失関数のコンポーネントが(2次的に)大きくなるほど、予測値は注釈付きの関連する結果(予測)値からより大きくずれる。二乗の使用により、数値的に正の値と数値的に負の誤差値の両方が同様に考慮されることが確実となる。
損失関数の第二のコンポーネントでは、この第二のコンポーネントの損失関数コンポーネント値が大きくなるほど、訓練中の機械学習システムによる屈折率の予測値が、物理モデルのための入力値として同じ臨床眼科訓練データを使用したときに、物理モデルの結果からより大きくずれるという物理モデルの限界を考慮する。
方法100は、患者の特定された眼科データを提供するステップ106と、挿入すべき眼内レンズの屈折力を訓練済みの機械学習システムによって予測するステップ108をさらに含み、提供される眼科データは機械学習システムのための入力データとして使用される。
任意選択的に(したがって、破線を使って示されている)、挿入すべき眼内レンズの位置もまた、機械学習システムのための追加の入力値として使用できる(110参照)。
図2は、眼200を、眼の各種のバイオメトリ又は眼科パラメータと共に示す。特に、以下のパラメータが示されている:軸長202(AL)、前房深度204(ACD)角膜曲率測定値206(K、半径)、水晶体の屈折力(パワー)、水晶体の厚さ208(LT)、中心角膜厚さ210(CCT)、WTW値212(WTW)、瞳孔径214(PS)、後房深度216(PCD)、角膜の厚さ218(RT)。これらのパラメータの少なくとも1つは眼科訓練データと患者の眼科データの両方に含まれ、その各々が本願で提示する概念の主題に含まれる。
図3は、提案される方法の実装に有益な基本的な機能ブロックの概略構造300を示す。まず、屈折力を特定する眼の適当な物理モデル302が選択されて、提供される。第二に、訓練データ304が機械学習システム310により利用可能な状態とされる。これらはまず、いわゆる正解データ、すなわち屈折力値308及び(注釈付きの)測定された眼科データ306に対する結果の値である。代替的に、測定された眼科データの代わりに、対応する眼の完全な画像データも追加的又は代替的に使用できる(例えば、A-スキャン、B-スキャン等)。
同時に、訓練データ(測定された眼科データ306)の入力値が、物理モデルのための結果値の計算モジュールに提供される。これは、所望の、又は注釈付きのIOL屈折力値と並行して、機械学習システム310の出力(次の段落でより詳細に説明する)の物理的に正しい解からのずれを特定し、それが大きいほど、機械学習システム310からの出力はこの解からより大きくずれることになる値を戻す。例えば文献値等のその他のデータ源もまた、物理モデル302の計算された、又はそれ以外の特定された出力の代わりに使用できる。
訓練中の機械学習システム310は、深層ニューラルネットワーク(DNN)として示されている。これは、ノードの入力層(左)とノードの出力層(右)を有する。それぞれ4つと2つのノードのみが示されているが、入力ノードと出力ノードの数は典型的に、現実に使用できるニューラルネットワークの場合、はるかに多いであろう。入力層と出力層との間にノードを有する複数のさらなる層(典型的には例として示されているDNNの内側の2つ超の層)があり、これらはそれぞれの重み関数を介して選択的に相互接続される。
機械学習システム又はその学習モデルの訓練には、ノードに関するパラメータ又は、ノード間の接続の対応する重み関数を繰り返し特定することが含まれる。損失関数312は、訓練中に重み関数又はノードのパラメータ値によってどの値が適応されるかを特定する。簡単に言えば、訓練は、所望のIOL屈折力と機械学習システムにより予測されたIOL屈折力との差が所定の最小値より低くなるまで続けられる。
しかしながら、本願で提案される方法の特定の特徴はここでは、損失関数312の値が上述の差のみに基づくのではなく、基本となる物理モデル302のための計算モジュールの結果により特定された、第二の-典型的には追加的、例えばさらに線形の-コンポーネントを有するという点にある。損失関数312のコンポーネントの重み付けによって、機械学習システム310の訓練中に手際よく、有利な方法で微調整を行うことが可能である。
損失関数の2つのコンポーネントが確実に同時に利用可能となるようにするために、有利な点として、同期ユニットが利用でき、これはさらなる訓練データの供給を制御して、損失関数の両方のコンポーネントが逆伝播サイクルステップのためにすでに利用可能であり、それゆえ訓練ステップが完全に終了した場合にのみ新しい訓練データが利用可能となるようにする。
機械学習システム310の訓練が終わると、このシステムは生産的に使用できる。機械学習システム314はその時点で訓練済みであり、患者の眼科データ316を受け取ることができ、その訓練済み機械学習モデルによって、挿入すべき眼内レンズのための屈折力318を予測ユニット320で予測することができる。この場合、挿入すべき眼内レンズの所望の位置をそれに加えて、訓練済み機械学習システム314のための追加の入力パラメータ値とて使用できる。さらに、眼科データ316の代わりに、又はそれに加えて、特定された患者の眼の画像データを訓練済みの機械学習システム314のための入力値として使用できる。
図4は、-完全なものとするために-屈折力を特定するシステム400の、提案の方法100の機械学習システムの訓練を支援し、方法の演算フェーズでも使用可能なコンポーネントの好ましい例示的実施形態を示す。
システム400はプロセッサ402を含み、これはメモリ404に保存されたプログラムモジュール又はプログラムコードを実行できる。その結果、プロセッサは以下のコンポーネントの機能に、方法の要素を実行できるように影響を与える。特に、システム400はこの目的のために、保存のための物理モデルの提供モジュール406を含む。この場合、例えば測定された眼科データ及び関連するIOL屈折力値の組合せのための文献値も保存でき、又はモデルは対応するパラメータによる物理式の形態で保存できる。物理モデルのための計算ユニット408もさらに存在でき、これは物理モデルの提供モジュール406のメモリを利用する。
補足的に、前述の2つのコンポーネントを考慮する損失関数のための計算ユニット418も存在できる。
臨床眼科訓練データ及び関連する所望の結果を用いて、IOLの屈折力を特定するための学習モデルを形成するように機械学習システムを訓練するようになされた訓練モジュール410は、訓練中、損失関数の結果を使用する。この場合、損失関数は以下のコンポーネントを含む:(i)第一のコンポーネントであって、臨床眼科訓練データ及びそれに関連する所望の結果のうちの対応する項目を考慮に入れるものと、(ii)第二のコンポーネントであって、この第二のコンポーネントの関連する損失関数コンポーネント値が大きいほど、訓練中の屈折力の予測値が、同じ臨床眼科訓練データを入力値としたときに、物理モデルの結果からより大きくずれるという物理モデルの限界-又は他の何れかの境界条件(「制約」)を考慮に入れるもの。この目的のために、線形アプローチのほかに、例えば多項式又は指数関数もまた使用できる。
メモリ414を介して、患者の眼科データは最終的に機械学習システム412(これは、図3の機械学習システム310に対応する)に提供される。予測ユニット416(図3の320参照)は、挿入すべき眼内レンズの屈折力に関する機械学習システム412により特定された予測データを出力し、提供された眼科データは機械学習システムの入力データとして使用される。メモリ414は、眼科訓練データのためにも使用可能であり得る。
モジュール及びユニット-特にプロセッサ402、メモリ404、保存のための物理モデルの提供モジュール406、物理モデルの計算ユニット408、損失関数の計算ユニット418、訓練モジュール410、機械学習システム412、眼科データのメモリ416、及び予測ユニット416は、信号又はデータ交換のために、電気信号線に、又はシステム内部バスシステム420を介して接続できる点を明確に指摘すべきである。それに加えて、表示ユニットもまたシステム内部バスシステム420又は予測ユニット416に接続でき、それによって屈折力を出力し、表示し、又はそれ以外にさらに処理又は転送する。
機械学習システムとして分類システムが使用される場合、予測される屈折力は、最大の確率で予測された予測クラスにしたがって得られる。代替的に、IOLの最終的な屈折力はまた、数値的出力可変値を用いた機械学習システムとしての回帰システムによって実装できる。
図5は、屈折力を特定するシステムの少なくとも一部を含むことのできるコンピュータシステムのブロック図を示す。本願で提案される概念の実施形態は原則的に、事実上何れの種類のコンピュータでも、プログラムコードを保存及び/又は実行するためにその中で使用されるプラットフォームに関係なく使用できる。図5は、例えば、本願で提示される方法によるプログラムコードを実行するのに適し、さらに予測システムの全部又は一部を含むこともできるコンピュータシステム500を例として示している。
コンピュータシステム500は、複数の多目的機能部を有する。コンピュータシステムはこの場合、タブレットコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、他のポータブル若しくはモバイル電子機器、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、スマートフォン、特別に構成された特殊な機能部を有するコンピュータシステム、又は顕微鏡システムの構成部品とすることができる。コンピュータシステム500は、本願で提案される概念の機能を実装するために実行可能なコンピュータシステム実行可能命令-例えばプログラムモジュール-を実行するように構成できる。この目的のために、ブログラムモジュールはルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、ロジック、データ構造等を含み、特定のタスク又は特定の抽象データタイプを実装できる。
コンピュータシステムのコンポーネントは以下を含むことができる:1つ又は複数のプロセッサ又は処理ユニット502、ストレージシステム504、及びストレージシステム504を含む様々なシステムコンポーネントをプロセッサ502に接続するバスシステム506。コンピュータシステム500は典型的に、コンピュータシステム500によりアクセス可能な複数の揮発性又は不揮発性記憶媒体を含む。ストレージシステム504は、プロセッサ502により実行されるようにするために、揮発形態の記憶媒体、例えばRAM(random access memory)508のテータ及び/又は命令(コマンド)を記憶できる。これらのデータ及び命令は、本願で提示される概念の1つ又は複数の機能及び/又はステップを実現する。ストレージシステム504の別のコンポーネントは、永久メモリ(ROM)510及び長期メモリ512とすることができ、その中にプログラムモジュール及びデータ(参照符号516)及びワークフローも記憶できる。
コンピュータシステムは、通信を目的とした複数の専用デバイス(キーボード518、マウス/ポインティングデバイス(図示せず)、スクリーン520等)を含む。これらの専用デバイスはまた、タッチ感応ディスプレイの中で組み合わせることもできる。別に提供されるI/Oコントローラ514により、外部デバイスとの摩擦のないデータ交換が確実となる。ローカル又はグローバルネットワーク(インタネットを介したLAN、WAN)を介して通信するためにネットワークアダプタ522が利用可能である。ネットワークアダプタは、バスシステム506を介してコンピュータシステム500の他のコンポーネントによりアクセスできる。この場合、図示されていないが、他のデバイスもまたコンピュータシステム500に接続できると理解されたい。
さらに、IOLの屈折力を特定はるためのシステム400(図4参照)の少なくとも一部をバスシステム506に接続できる。
本発明の各種の例示的実施形態の説明は、よりよく理解するために提供されたものであり、本発明の概念をこれらの例示的実施形態に直接限定するものではない。当業者であれば、さらなる改良や変形へと展開させることができるであろう。本願で使用される用語は、例示的実施形態の基本原理を最もよく説明して、当業者がそれに容易に到達できるように選択されている。
本願で提示される原理は、システムとして、方法として、それらの組合せとして、及び/又はコンピュータプログラム製品として具現化され得る。コンピュータプログラム製品はこの場合、プロセッサ又は制御システムに本発明の各種の態様を実行させるためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令を含む1つ(又は複数)のコンピュータ読み取り可能記憶媒を含むことができる。
媒体としては、電子、磁気、光、電磁、又は赤外線若しくは赤外線媒体又は半導体システムが伝送媒体として使用され、これは例えばSSDs(solid state memoryとしてのsolid state devices/drives)、RAM(random access memory)及び/又はROM(read-only memory)、EEPROM(electrically erasable ROM)、又はそれらの何れかの組合せである。適当な伝送媒体はまた、伝播する電磁波、導波路での電磁波、又は他の伝送媒体(例えば、光ケーブルでの光パルス)又はワイヤ内で送信され電気信号も含む。
コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行装置により使用される命令を保持又は保存する具現化装置とすることができる。本明細書に記載のコンピュータ読み取り可能プログラム命令はまた、対応するコンピュータシステムに、例えばサービスプロバイダからケーブル接続又は移動無線ネットワークを介してダウンロードすることもできる。
本明細書に記載の本発明の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、機種依存又は機種非依存命令、マイクロコード、ファームウェア、状況規定データ、又は何れかのソースコード若しくはオブジェクトコードとすることができ、これは例えばC++、Java若しくはその他、又は従来の手続き型プログラミング言語、例えばブログラミング言語“C”又は同様のプログラミング言語で書かれる。コンピュータ読み取り可能プログラム命令は、全体がコンピュータシステムにより実行され得る。幾つかの例示的実施形態において、例えばプログマブルロジック回路のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLAs)等の電子回路であってもよく、これはコンピュータ読み取り可能プログラム命令の状況情報を使ってコンピュータ読み取り可能プログラム命令を実行して、本発明の態様による電子回路を構成し、又は個別化する。
本願で提示する発明はさらに、本発明の例示的実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図に関してさらに図解されている。現実的にフローチャート及び/又はブロック図の何れのブロックもコンピュータ読み取り可能プログラム命令として具現化できる点を指摘すべきである。
コンピュータ読み取り可能プログラム命令は、プロセッサ若しくはその他のプログラマブルデータ処理装置により実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図の中に示される機能又はプロセスを実行するための手段を生成するようにマシンを製作するために他の何れかの方法でプログラム可能な汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はデータ処理システムにとって利用可能とすることができる。これらのコンピュータ読み取り可能プログラム命令はしたがって、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶させることもできる。
この意味で、フローチャート又はブロック図に示される何れのブロックも、特定のロジック機能を実行するための複数の実行可能命令を表す命令のモジュール、セグメント、又は部分を表すことができる。幾つかの例示的実施形態において、個々のブロック内に示される機能は異なる順序で、任意選択により並行しても実行できる。
以下の特許請求の範囲における関連の機能を有する全ての手段及び/又はステップの図示された構造、材料、シーケンス、及び等価物は、請求項により表現される全ての構造、材料、又はシーケンスに当てはまるものとする。
100 屈折力を特定する方法
102 100の方法ステップ
104 100の方法ステップ
106 100の方法ステップ
108 100の方法ステップ
110 100の任意選択的方法ステップ
200 眼のパラメータ
202 軸長
204 前房深度
206 角膜曲率測定値
208 水晶体の厚さ
210 中心の角膜厚さ
212 WTW値
214 瞳孔径
216 後房深度
218 網膜の厚さ
300 方法の実行のための機能ブロック
302 物理モデル
304 訓練データ
306 眼科訓練入力データ
308 注釈付き訓練結果データ
310 機械学習システム
312 損失関数
314 訓練済みの機械学習システム
316 患者の眼科データ
318 挿入すべきIOLの予測屈折力
320 予測ユニット
400 屈折力を予測するシステム
402 プロセッサ
404 メモリ
406 物理モデルのメモリ
408 物理モデルのための計算ユニット
410 訓練ユニット
412 機械学習システム
414 眼科データのためのメモリ
416 予測ユニット
418 損失関数の計算ユニット
420 バスシステム
500 予測システム
500 コンピュータシステム
502 プロセッサ
504 記憶システム
506 バスシステム
508 RAM
510 ROM
512 長期メモリ
514 I/Oコントローラ
516 プログラムモジュール、潜在データ
518 キーボード
520 スクリーン
522 ネットワークアダプタ

Claims (10)

  1. 挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するコンピュータ実装方法(100)において、
    -眼内レンズの屈折力を特定するための物理モデルを提供するステップ(102)と、
    -測定された臨床眼科訓練データ(304)及び関連する所望の結果(306)を用いて、前記屈折力を特定するための学習モデルを形成するように機械学習システム(310、412)を訓練するステップ(104)であって、前記訓練のための損失関数(312)は2つのコンポーネントを含み、
    前記損失関数の第一のコンポーネントは、前記測定された臨床眼科訓練データ(304)と関連する所望の結果(306)とのうちの対応する項目を考慮し、
    前記損失関数(312)の第二のコンポーネントは、前記第二のコンポーネントの損失関数コンポーネント値が大きいほど、前記訓練中の前記屈折力の予測値が、同じ前記臨床眼科訓練データ(304)を入力値としたときに、前記物理モデルの結果からより大きくずれるという前記物理モデルの制限を考慮するステップ(104)と、
    -患者の測定された眼科データを提供するステップ(106)と、
    -前記挿入すべき眼内レンズの前記屈折力を、前記訓練済みの機械学習システムによって予測するステップ(108)であって、提供された前記測定された眼科データが前記機械学習システムのための入力データとして使用される予測するステップ(108)と、
    を含む方法(100)。
  2. 前記損失関数(312)の前記第一及び第二のコンポーネントは設定可能な方法で重み付けされる、請求項1に記載の方法(100)。
  3. 以下のタイプの重み付け関数:
    =B[a(Delta)-(1-a)Phy]、ただし、
    =前記損失関数の値
    B=前記損失関数(312)の一般的定数又は別の関数の項
    a=重み付け定数
    Delta=第一のコンポーネント、
    Phy=第二のコンポーネント
    が適用される、請求項2に記載の方法(100)。
  4. -前記測定された眼科データはOCT画像データであるか、又は
    -前記測定された眼科データは、OCT画像データから得られた明示的な数値であるか、又は
    -前記測定された眼科データはOCT画像データとOCT画像データから得られた数値との両方を含む、
    請求項1~3の何れか1項に記載の方法(100)。
  5. 前記挿入すべき眼内レンズの予想位置は前記機械学習システム(310、412)のための追加の入力データとして使用される、請求項1~4の何れか1項に記載の方法(100)。
  6. 前記機械学習システム(310、412)の前記学習モデルは、測定された眼科データでの前記訓練の前に、提供された前記物理モデルの法則に基づいて人工的に生成された訓練データにより既に訓練されている、請求項1~5の何れか1項に記載の方法(100)。
  7. 前記物理モデルはまた、眼内レンズの屈折力を特定するための文献値データも含む、請求項1~6の何れか1項に記載の方法(100)。
  8. 前記挿入すべき眼内レンズは挿入すべき球面、トーリック、又は多焦点眼内レンズである、請求項1~7の何れか1項に記載の方法(100)。
  9. 挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するシステム(400)において、
    -眼内レンズの屈折力を特定するための物理モデルがそこに記憶されている提供モジュール(406)と、
    -測定された臨床眼科訓練データ(304)及び関連する所望の結果(306)を用いて、前記屈折力を特定するための学習モデルを形成するように機械学習システム(310、412)を訓練するようになされた訓練モジュール(410)であって、前記学習モデルのパラメータ値が前記学習システム(310、412)の中に保存され、前記訓練のための損失関数は2つのコンポーネントを含み、
    前記損失関数(312)の第一のコンポーネントは、前記測定された臨床眼科訓練データ(304)及び関連する所望の結果(306)のうちの対応する項目を考慮に入れ、
    前記損失関数(312)の第二のコンポーネントは、この第二のコンポーネントの損失関数コンポーネント値が大きくなるほど、前記訓練中の前記屈折力の予測値が、同じ前記測定された臨床眼科訓練データを入力値としたときに、前記物理モデルの結果からより大きくずれるという前記物理モデルの制限を考慮に入れる、訓練モジュール(410)と、
    -患者の測定された眼科データ(316)のためのメモリ(414)と、
    -前記挿入すべき眼内レンズの前記屈折力を、前記訓練済みの機械学習システム(314)によって予測するようになされた予測ユニット(320、416)であって、前記保存された測定された眼科データは前記訓練済みの機械学習システム(314、412)のための入力データとして使用される、予測ユニット(320、416)と、
    を含むシステム(400)。
  10. 挿入すべき眼内レンズの屈折力を特定するためのコンピュータプログラム製品において、そこに保存されたプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、1つ又は複数のコンピュータ(500)又は制御ユニットによって実行可能であり、前記1つ又は複数のコンピュータ(500)又は制御ユニットに、請求項1~8のうちの1項に記載の前記方法を実行させるコンピュータプログラム製品。
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