JP2024508042A - 空間トランスクリプトーム解析用のバイオチップ、その製造方法及び使用 - Google Patents

空間トランスクリプトーム解析用のバイオチップ、その製造方法及び使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、生物試料の核酸情報を解析するためのチップの製造方法を提供する。前記チップは、生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報の解析に適用される。本発明は、生物試料の核酸情報を解析するチップ及び前記チップを用いて生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報を解析する方法をさらに提供する。本発明の方法及び設備は、組織試料の細胞中の核酸発現情報(空間オミックス情報を含む)を効果的に取得することができる。【選択図】図1

Description

本出願は、2020年12月25日に提出された中国出願第202011568787.3号(発明の名称:空間トランスクリプトーム解析用のバイオチップの製造方法)の優先権を主張し、その内容全体は参照により本出願に組み込まれる。
本発明は、生物学及び医療機器分野に関する。具体的には、本発明は、生物試料の細胞の核酸情報を分析するためのチップを製造する方法に関する。前記チップは、生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報の分析に適用される。
生物組織の細胞組織と発現パターンの分析は、生物医学の研究と診断学のマイルストーンである。細胞組織学は、さまざまな染色技術を使用して、1世紀以上前に健康な臓器の基本的な構造メカニズムと一般的な病理学的変化を初めて確定した。この分野の発展により、免疫組織化学及びin situハイブリダイゼーションによる遺伝子発現でタンパク質分布を研究することが可能になった。
新しい研究では、組織に関する空間情報を保存しながら、組織内のトランスクリプトーム及び/又はゲノムの変異を特徴付けることができることが期待されている。
遺伝子発現解析の最近の発展により、マイクロアレイ又はRNAシーケンシングを使用して組織の完全なトランスクリプトームを評価することが可能となった。しかしながら、典型的なトランスクリプトーム解析は、組織全体(又は生物体全体)から抽出されたmRNAを対象としているが、小さな組織領域又は個々の細胞を収集してトランスクリプトームを解析することは、通常、手間と費用がかかり、精度も低い。
本発明は、生物試料の細胞の核酸情報、特に、生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報の分析に適したバイオチップの製造方法を提供する。具体的には、本発明によれば、以下のステップAからステップCを含む、アレイを有するバイオチップの製造方法であって、
ステップA:平行に設けられた複数のマイクロ流路により、第1群のバーコード核酸をチップ表面に固定し、第1方向の複数本の第1バーコードストリップを形成し、前記第1群のバーコード核酸は、異なるバーコード配列を有する複数種の第1バーコード核酸を含み、各本の第1バーコードストリップには、1種の第1バーコード核酸が固定され、かつ各条の第1バーコードストリップに固定される第1バーコード核酸は、異なるバーコード配列を有し、
ステップB:平行に設けられた複数のマイクロ流路により、第2群のバーコード核酸を、第2方向に沿ってチップ表面の第1方向を有する前記複数本の第1バーコードストリップに加え、複数本の第2バーコードストリップを形成し、前記第2群のバーコード核酸は、異なるバーコード配列を有する複数種の第2バーコード核酸を含み、各本の第2バーコードストリップは、1種の第2バーコード核酸を有し、かつ各本の第2バーコードストリップ上の第2バーコード核酸は、異なるバーコード配列を有し、
ステップC:第1バーコード核酸と第2バーコード核酸とが結合反応を発生する条件下で、前記複数本の第1バーコードストリップと前記複数本の第2バーコードストリップとが交差したチップ表面で第2バーコード核酸と第1バーコード核酸とを結合させ、プローブを形成し、前記プローブは、アレイの交差点を構成し、各交差点は、配列が互いに異なるプローブを有する、方法が提供される。
本発明の一態様では、前記方法において、平行に設けられた複数のマイクロ流路を有するマイクロ流路装置により、前記第1群のバーコード核酸又は第2群のバーコード核酸をチップ表面に輸送して固定し、前記マイクロ流路のチップ表面と接触する面は、溶液又は溶液中の核酸が通過可能である。
本発明の一態様では、前記方法において、前記マイクロ流路装置の各本のマイクロ流路に異なるバーコード配列を含む第1群のバーコード核酸又は第2群のバーコード核酸を加える。
本発明の一態様では、前記方法において、前記第1群のバーコード核酸における第1バーコード核酸は、第1バーコード断片を含み、好ましくは、前記第1バーコード核酸は、5'端に増幅反応のためのプライマー断片をさらに有する。
本発明の一態様では、前記方法において、前記第1群のバーコード核酸における第1バーコード核酸は、5'端に、チップ表面に結合するための基を有する。
本発明の一態様では、前記第2群のバーコード核酸における第2バーコード核酸は、3'端に、生物試料中の目的核酸を識別、結合するための捕捉断片(例えば、mRNA又はcDNAを識別、結合する断片、例えばpoly-T配列)及び第2バーコード断片を含む。
本発明の一態様では、前記方法において、前記第2群のバーコード核酸における第2バーコード核酸は、固有分子識別子(UMI)をさらに有する。
本発明の一態様では、前記方法において、前記第1バーコード核酸の3'端は、1つの一本鎖結合核酸により第2バーコード核酸に結合するための第1結合断片を有し、前記第2バーコード核酸の5'端は、前記一本鎖結合核酸により第1バーコード核酸に結合するための第2結合断片を有し、前記第1結合断片及び第2結合断片は、それぞれ前記一本鎖リンカー(Linker)核酸の両端の配列と逆相補的である。
本発明の一態様では、前記方法において、ステップCで形成されたプローブは、3'端にある生物試料中の目的核酸を識別、結合するための捕捉断片、及び第1バーコード断片と第2バーコード断片を含み、好ましくは、前記プローブは、5'端に増幅反応のためのプライマー断片をさらに有する。
本発明の一態様では、前記方法において、前記第1群のバーコード核酸における各種の第1バーコード核酸のバーコード断片の配列は、指定のものであり、及び/又は前記第2群のバーコード核酸における各種の第2バーコード核酸のバーコード断片の配列は、指定のものである。
本発明の一態様では、前記方法において、前記プローブの第1バーコード断片及び第2バーコード断片の配列は、指定のものである。
本発明の一態様では、前記方法において、ステップAにおいて、流路内の核酸濃度は、約0.1-100uM、例えば約1-20uMである。
本発明の一態様では、前記方法において、ステップBにおいて、流路内の核酸濃度は、約0.1-100uM、例えば約1-20uMである。
本発明の一態様では、前記方法において、ステップAでは、前記第1群のバーコード核酸の核酸は、チップ表面に固定される。第1群のバーコード核酸の核酸は、好ましくは化学結合によりチップ表面に固定される。化学結合は、例えば、アミノ基-アルデヒド基反応などの基結合及び共有結合架橋から選択されるいずれか1種である。チップの表面は、表面化学反応によりアミノ、アルデヒド、エポキシ、イソチオシアネート、メルカプト、シリルなどの活性化基などにより被覆されてもよい。前記第1群のバーコード核酸の核酸は、チップ表面に結合した一端(通常、5'端)は、被覆される活性化基と化学結合を形成する基を有する。
本発明の一態様では、前記方法において、ステップA及びステップBでは、前記平行に設けられたマイクロ流路の各マイクロ流路の幅は、約2-200μm、好ましくは約5-50μm、最も好ましくは約5-25μm、例えば約5μm、10μm又は50μmである。
本発明の一態様では、前記方法において、ステップA及びステップBでは、前記平行に設けられたマイクロ流路は、隣接するマイクロ流路間の距離が約5-400μm、好ましくは約10-100μm、最も好ましくは約10-50μm、例えば約20μm、50μm又は100μmである。
本発明で製造されたチップは、組織試料、特に組織薄切片に対して細胞内分子の分析(核酸及びタンパク質の分析)を行うことに適用され、例えば、PCR、質量分析法、次世代シーケンシング、又はELISAにより分析して発現及び空間情報を得ることができる。
本発明の一態様では、前記生物試料は、被験体に由来する組織試料、例えば、手術で切除した組織試料であり、好ましくは、顕微切片法により加工して得られた組織薄切片である。本発明の一態様では、前記組織試料は、固定及び包埋され(例えばパラフィンに包埋される)、支持物、例えば、ガラスシートに付着される。
本発明の一態様では、前記組織薄切片に対して形態学的解析及び/又は組織学的解析を行うことができ、この組織学的解析は、H&E染色、IHC染色、ISH染色及びFISH染色により行われる。
本発明の一態様では、1種又は複数種の生物分子に対する分析は、PCR、質量分析法、次世代シーケンシング又はELISAにより行われる。
本発明の一態様では、被験体は、動物、家畜、ペット、ヒト被験体から選択される。
本発明の一態様では、分析物は、さらに、非ヒト細胞、ヒト細胞、非天然タンパク質、核酸、小分子、染料、ウイルス、細菌、寄生虫、原生動物又は化学物質のうちの1種又は複数種を含む。小分子は、ハプテン、ペプチドタグ、プロテインタグ、蛍光タグ、核酸タグ、及びそれらの組み合わせを含む。
本発明の一態様では、前記チップは、試料におけるマーカーの定量及び/又は定性データの分析に適用できる。このマーカーは、DNA、タンパク質、RNA、脂質、細胞小器官、代謝産物、又は細胞を含む。このタンパク質は、修飾されたものを含んでもよい。前記修飾は、アセチル化、ADP-リボース化、アシル化、ADP-リボース化、アミド化、フラビンとの共有結合、ヘムとの共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体との共有結合、脂質または脂質誘導体との共有結合、ホスファチジルイノシトールとの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解加工、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレン化、硫酸化、アルギニル化、及びユビキチン化から選択される。このマーカーは、ゲノム多型、薬理ゲノミクス一塩基多型(SNP)、ゲノムSNP、体細胞多型、並びにタンパク質、脂質及び/又は細胞小器官の差次的発現を含む。前記マーカーは、一塩基位置;遺伝子内領域または遺伝子間領域;エクソン、イントロン、またはそれらの断片;コード領域または非コード領域;プロモーター、エンハンサー、5'未翻訳領域(5'UTR)、3'未翻訳領域(3'UTR)又はその断片;cDNA又は断片;SNP;体細胞変異及び/又は生殖系列変異;点突異または単一変異;欠失変異;インフレーム欠失、遺伝子内欠失、全遺伝子欠失;挿入変異;遺伝子内挿入;逆位変異;染色体内逆位、連鎖変異、連鎖挿入変異;反転変異;タンデム重複;染色体内タンデム重複;転座;染色体転座、非相互転座;再編成;ゲノム再編成;1つ又は複数のイントロンまたはその断片の再編成;再編成されたイントロン;5'-、3'-UTR又はそれらの組み合わせを含む。正常な健康組織又は細胞と比較して、がん組織又はがん細胞において、このマーカーは、改変アミノ酸配列をコードする改変ヌクレオチド配列、染色体転座、染色体内逆位、コピー数の変化、発現レベルの変化、タンパク質レベルの変化、タンパク質活性の変化、又はメチル化状態の変化を含む。単一細胞シーケンシング、単核シーケンシング、フローサイトメトリー、免疫組織化学的染色、ヘマトキシリン及びエオシン染色、全ゲノムシーケンシング、高スループットシーケンシング、質量分析法、DNAマイクロアレイ、又はそれらの組み合わせによりこのマーカーを測定することができる。
本発明のチップは、組織試料の分析に適用できる。この組織試料は、1種又は複数種の前がん細胞又は悪性細胞、固形腫瘍、軟部組織腫瘍または転移巣由来の細胞、手術断端由来の組織又は細胞、組織学的正常組織、1種又は複数種の循環腫瘍細胞(CTC)、正常隣接組織(NAT)、腫瘍に罹患しているか又は腫瘍に罹患するリスクがある同一被験体由来の血液試料、FFPE試料を含む。
本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、当業者が創造的努力なしでこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
本発明で提供されるチップの製造方法の手順の模式図である。 本発明の方法で使用される平行に設けられた複数のマイクロ流路を有する設備の例示的な実施形態の一つである。 本発明で提供されるチップの製造方法の手順の模式図である。 本発明で提供されるバイオチップの製造方法の例示的な実施形態のフローチャートである。 本発明で提供されるバイオチップの製造方法の別の例示的な実施形態のフローチャートである。 本発明で提供されるバイオチップの製造過程におけるそのバーコード核酸の結合反応に対する観察である。 本発明で提供されるバイオチップを用いてサンプル組織に対して生物空間オミックス研究を行う際に組織切片をHE染色した後の画像である。
本発明の実施例の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確で完全に説明する。明らかなように、以下の実施例は、本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的努力なしで得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
実施例1
本発明は、生物試料の細胞の核酸情報を分析するのに適したバイオチップの製造方法を提供する。より具体的には、本発明は、アレイを有するバイオチップの製造方法を提供する。本発明の一態様では、本発明で提供されるチップは、生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報の分析に適している。
図1は、本発明で提供されるアレイを有するバイオチップを製造する例示的な方法のフローチャートである。
図1に示すように、前記方法は、主に以下のステップを含む。
ステップ1:チップ基板を提供する。
ステップ2:平行に設けられた複数のマイクロ流路により、第1群のバーコード核酸(複数種の第1バーコード核酸を含む。各種の第1バーコード核酸は、異なるバーコード配列を有する(図面におけるBarcode A))をチップ表面と接触させてチップ表面に固定し、チップ表面に方向が第1方向である複数本の第1バーコードストリップを形成する。ここで、各本の第1バーコードストリップに固定された第1バーコード核酸は、異なる第1バーコード配列を有する。
図2は、平行に設けられた複数のマイクロ流路により複数種のバーコード核酸をチップ表面と接触させてチップ表面に固定する例示的な実施形態を示す。図2における左図の下方は、チップである。図2における左図の中央は、平行に設けられた複数のマイクロ流路(マイクロ流路1からマイクロ流路n)を有するマイクロ流路装置を示し、マイクロ流路のチップ表面と接触する面、即ち、図示されるマイクロ流路の底部は、溶液又は溶液中の核酸が通過(透過)できるものである。例えば、前記マイクロ流路のチップ表面と接触する面には、マイクロ流路壁が存在しない。このマイクロ流路装置を第1方向に沿ってチップ表面に被覆し、その後、マイクロ流路内に所定の溶液、例えば、バーコード核酸を含む溶液を導入する。図2の左図の上方は、溶液の導入を協力するための例示的な装置、例えば、マイクロ流路の出口に設けられる負圧を使用した真空吸引装置を示す。図2における右図は、各マイクロ流路に、入口を通して異なるバーコード配列を含むバーコード核酸(図面におけるバーコード核酸1-n)を導入することを示す。本発明の別の態様では、前記各マイクロ流路に導入されるバーコード核酸のバーコード配列は、既知又は所定のヌクレオチド配列を有する。
ステップ3:ステップ2におけるマイクロ流路を取り外し、もう1群の平行に設けられた複数のマイクロ流路により第2群のバーコード核酸(複数種の第2バーコード核酸を含む。各種の第2バーコード核酸は、異なるバーコード配列(図面におけるBarcode B)を有する)を第1バーコードストリップの方向と異なる第2方向(通常、第1方向に垂直な方向)に沿ってチップ表面と接触させ、複数本の第2バーコードストリップを形成する。ここで、各第2バーコードストリップに固定された第2バーコード核酸は、異なる第2バーコード配列を有する。
第1バーコード核酸と第2バーコード核酸とが結合反応を発生可能な条件下で、前記複数本の第1バーコードストリップと前記複数本の第2バーコードストリップとが交差したチップ表面において第2バーコード核酸と第1バーコード核酸とを結合してプローブを形成する。
ステップ4:ステップ3におけるマイクロ流路を取り外し、表面にプローブアレイを有するバイオチップを得る。前記プローブアレイ上の各交差点は、前記複数本の第1バーコードストリップと前記複数本の第2バーコードストリップとが交差した位置に対応する。各交差点は、1種のプローブ分子を有し、第1バーコード配列及び第2バーコード配列を含む。各交差点が有するプローブ分子に含まれる第1バーコード配列と第2バーコード配列の組み合わせは、互いに異なる。本発明の一態様では、前記各マイクロ流路に導入されるバーコード核酸の第1バーコード配列及び第2バーコード配列は、既知又は所定のものであるため、各交差点が有するプローブ分子に含まれる第1バーコード配列、第2バーコード配列及びその組み合わせも既知である。これによって、各交差点が具するプローブ分子の第1バーコード配列及び第2バーコード配列に基づいてチップ表面のアレイにおける空間位置を確定することができる。
本発明において、チップは、通常、固体基板を指し、その上で化学、生物、生物物理又は生物化学的のプロセスを実施することができる。チップは、チップ上に発生する化学、生物、生物物理又は生物化学的プロセスに有利するために、通路及びウェル、電極素子、電磁素子などのマイクロ構造又はマイクロスケール構造を有してもよい。チップ表面は、平坦又は不平坦であってもよい。表面が不平坦なチップは、表面に構築された通路又はウェルを含んでもよい。
チップは、任意の適切な材料で作成することができる。チップ材料の例示的なタイプは、ガラス、改質ガラス、機能性ガラス、無機ガラス、マイクロスフェア(不活性粒子及び/又は磁性粒子を含む)、プラスチック、多糖類、ナイロン、ニトロセルロース、セラミックス、樹脂、シリカ、シリカ系材料、カーボン、ファイバー又はファイバー束、上記以外の様々なポリマー、及びマルチウェルマイクロタイタープレートを含む。例示的なプラスチックの具体的なタイプは、アクリル樹脂(acrylics)、ポリスチレン、スチレンとその他の材料の共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン及びTeflonTMを含む。例示的なシリカ系材料の具体的なタイプは、シリコン及び変性シリコンの様々な形式を含む。チップ表面には、通常、生体高分子(核酸、ポリペプチド及び/又は他の重合体を含む)を堆積する必要がある。当業者に知られている様々な方法により、目的生体高分子の付着のためにチップ表面を修飾することができる。
本発明において、製造された前記チップ表面のアレイは、プローブ(又は捕捉プローブと呼ばれる)を有する。プローブとは、目的核酸、例えば、組織サンプルからの核酸の一本鎖ヌクレオチド分子を遺伝子特異的又は標的特異的に識別及び結合するものを指し、特異的なヌクレオチド配列を有し、即ち、標的核酸のヌクレオチド配列に選択的にアニールすることができ、通常、相補的なヌクレオチド配列である。組織試料中の分析物の例は、ゲノムDNA、メチル化DNA、特定のメチル化DNA配列、メッセンジャーRNA(mRNA)、ポリA mRNA、断片化mRNA、断片化DNA、ミトコンドリアDNA、ウイルスRNA、マイクロRNA、in situ合成されたPCR産物、RNA/DNAハイブリッド、脂質、炭水化物、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、タンパク質の特定のリン酸化又はアセチル化変異体、ウイルスカプシドタンパク質を含む。捕捉プローブは、遺伝子特異的捕捉プローブであってもよく、資料中の特異的標的mRNA又はcDNAとハイブリッド化する。
本発明において、前記プローブは、バーコード配列を有し、後のハイスループットの次世代シーケンシング(NGS)又は合成によるシーケンシング(SBS)の分析の応用、例えば、ハイスループットのシーケンシング分析に使用される。これらのシーケンシングにおいて、バーコード配列を用いてシーケンシングにより得られた核酸配列の核酸源をマークして同定する。バーコード分子は、生物粒子(例えば、細胞)に由来する核酸分子(例えば、RNA分子)をバーコード化してシーケンシングライブラリを生成し、その後、前記シーケンシングライブラリをシーケンシングして複数のシーケンシングリード長を産生する。複数のシーケンシングリード長のうちの一部又は全部は、バーコード配列を含む。これらのシーケンシング応用において、通常、対象中のバーコード化オーバーラップ断片が細胞ゲノムの特定の部分又は全部の少なくとも1Xカバー率、少なくとも2X、少なくとも3X、少なくとも4X、少なくとも5X、少なくとも10X、少なくとも20X、少なくとも40X又はそれ以上のカバー率を構成するまで細胞核酸を増幅する。バーコード化断片が産生されると、それらを適切なシーケンシングシステム(例えば、Illuminaシステム)上で直接シーケンシングすることができる。複数の配列上の同じバーコードの存在は、この配列の由来に関する情報を提供することができる。
ポリヌクレオチドシーケンシングでは、独特なバーコード配列に基づいて核酸断片の由来を同定することができ、及び、例えば、シーケンシングされた断片を用いてより大きな配列を組み立てることができる。バーコードにより、シーケンシング過程において単一のポリヌクレオチド断片を同定及び/又は定量化することが可能となる。
本発明において、製造されたプローブには、2つのバーコード配列が含まれる。2つのバーコード配列は、チップ表面のアレイにおけるプローブの位置を特定(それぞれX座標及びY座標の位置を特定)するのに役立つため、位置タグの作用も有する。プローブ上のバーコード配列は、チップ上のアレイにおける交差点(feature)に対応することができ、それが識別する組織における細胞(単一の細胞を含む)のこの組織試料における位置を示すこともできる。核酸タグに結合可能な他の分子の例には、抗体、抗原結合ドメイン、タンパク質、ペプチド、受容体、ハプテンなどが含まれる。
本発明において、前記プローブは、1つ又は複数の固有分子識別子(UMI)をさらに含む。固有分子識別子は、連続した核酸断片又は2つ若しくは複数の不連続な核酸断片であり、それらは、特定の分析物、又は特定の分析物に結合する捕捉プローブのマーカー若しくは識別子として機能する。UMIは、基本的に生物試料中の分析物の核酸分子とハイブリッド化しない核酸配列である。UMIは、捕捉プローブの配列内に含まれる約6から約20又はそれ以上のヌクレオチドであってもよい。
本態様の方法のステップ2において、第1群のバーコード核酸とチップとの固定は、当該技術分野における様々な既知方法により行うことができる。核酸の固定とは、共有結合又は非共有結合によりチップに直接又は間接付着することをいう。本発明の一態様では、固定とは、核酸増幅及び/又はシーケンシングを必要とする反応においてチップに静止又は付着することを指す。例示的な非共有結合は、非特異的な相互作用(例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用など)又は特異的な相互作用(例えば、親和相互作用、受容体-リガンド相互作用、抗体-エピトープ相互作用、アビジン-ビオチン(Biotin)相互作用、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用、レクチン-炭水化物の相互作用な)を含むが、これらに限定されない。
本態様の方法のステップ3において、第1バーコード核酸と第2バーコード核酸との接続は、当該技術分野における様々な既知方法により行うことができる。例えば、それぞれが別の一本鎖核酸断片(リンカー核酸)の異なる末端の配列に相補的であることにより、結合反応が可能な条件下で3つの核酸断片(第1バーコード核酸、第2バーコード核酸及びリンカー核酸)の組み合わせを形成した後、結合の目的を達成することができる。
本発明の一態様では、前記第1バーコード核酸は、第1バーコード断片を含む。本発明の一態様では、前記第1バーコード核酸は、5'端に後の増幅反応に使用されるプライマー断片(例えば、既知のシーケンシング方法に使用される汎用プライマー配列)を有する。本発明の一態様では、前記第1バーコード核酸は、5'端にチップ表面に結合するための基又は配列を有する。例えば、チップ表面がアルデヒドで修飾された場合、第1バーコード核酸は、5'端にアミノ基を有する。本発明の一態様では、前記第1バーコード核酸は、チップ上で修飾する因子と特異的な相互作用を形成する配位子を有する。例えば、前記因子及び配位子は、それぞれ抗体-エピトープ、アビジン-ビオチン、ストレプトアビジン-ビオチン、レクチン-炭水化物である。
本発明の一態様では、前記第2バーコード核酸は、第2バーコード断片を含む。本発明の一態様では、前記第2バーコード核酸は、3'端に生物試料中の目的を識別、結合するための捕捉断片、例えばmRNA又はcDNAを識別、結合するための断片、例えば、mRNAを識別するためのpoly-T配列を有する。
本発明の一態様では、前記第1バーコード核酸の3'端は、第2バーコード核酸に結合するための第1結合断片(3'結合断片)を有する。本発明の別の態様では、前記第2バーコード核酸の5'端は、第1バーコード核酸に結合するための第2結合断片(5'結合断片)を有する。本発明の別の態様では、前記第1結合断片及び第2結合断片は、それぞれリンカー核酸の一端と相補的であり、結合可能な条件下(例えば、T4リガーゼ(Ligase)などの存在下)で、第1結合断片及び第2結合断片は、リンカー核酸と組み合わせて、第1バーコード核酸と第2バーコード核酸との結合を達成する。
本発明で提供される方法により製造されたチップは、組織試料、特に、組織薄切片に対して細胞内分子(核酸及びタンパク質を含む)を分析するのに適用できる。例えば、PCR、質量分析法、新一代シーケンシング、又はELISAにより分析してその発現及び空間情報を得ることができる。
「シーケンシング」とは、通常、1種又は複数種のポリヌクレオチド中のヌクレオチド塩基配列を確定する方法及び技術を指す。ポリヌクレオチドは、例えば、核酸分子、例えばデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)(その変形又は誘導体(例えば、一本鎖DNA)を含む)であってもよい。シーケンシングは、Illumina、Pacific Biosciences、Oxford Nanopore或Life Technologiesのシーケンシングシステム(これらに限定されない)などの現在利用可能な様々なシステムにより実行することができる。或いは、核酸増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、デジタルPCR、定量PCR、又はリアルタイムPCR)又は等温増幅によりシーケンシングを実行することができる。このようなシステムは、被験体(例えば、ヒト)の遺伝情報に対応する複数の生の遺伝データを提供することができる。例えば、被験体から提供されるサンプルは、システムにより産生される。いくつかの実施例において、このようなシステムは、シーケンシングリード長(本明細書において、「リード長」とも呼ばれる)を提供する。リード長は、シーケンシングされた核酸分子の配列に対応する一連の核酸塩基を含んでもよい。いくつかの場合、本明細書で提供されるシステム及び方法は、プロテオーム情報と一緒に使用することができる。
本発明で製造されたチップは、生物試料の細胞の核酸情報、特に、生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報の分析に適用される。本発明に適した「組織試料」は、被験体から取得し、固定し、切片して平面である表面に取り付けた組織を含む。組織試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料、新鮮な組織試料、又は凍結組織試料などであってもよい。本明細書で開示される方法は、組織試料の染色の前後に行うことができる。例えば、ヘマトキシリン・エオシン染色後、本明細書で提供される方法により組織試料に対して空間分析を行うことができる。方法は、試料の組織学的分析(例えば、ヘマトキシリン・エオシン染色を使用)の後、組織を空間分析することを含む。組織切片をホルマリンで固定してパラフィンで包埋(FFPE)することは、通常、被験体から取得した組織をホルムアルデヒド(例えば、リン酸緩衝生理食塩水中の3%-5%ホルムアルデヒド)又はBouin溶液中で固定し、パラフィンに包埋し、薄切片にスライスした後、平坦な表面に取り付けること(例えば、顕微鏡スライドガラスでの生検)を含む。
本発明のチップを使用する際に、組織切片をアレイと接触させることを含む。アレイ上のプローブは、組織中の細胞の核酸、特に、mRNAを識別、結合することができる。次の分析は、逆転写及び増幅などを含み、ハイスループットの次世代シーケンシング(NGS)又は合成によるシーケンシング(SBS)により分析することができる。
いくつかの実施形態において、組織切片(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片)中の核酸はアレイに転移され、捕捉プローブとハイブリッド化することによりアレイ上に捕捉される。いくつかの実施形態において、捕捉プローブは、汎用の捕捉プローブであってもよく、例えば、核酸シーケンシングライブラリにおけるアダプター領域、又はmRNAのポリA尾部とハイブリッド化する。いくつかの実施形態において、捕捉プローブは、遺伝子特異性捕捉プローブであってもよく、例えば、試料中の特異的に標的とするmRNA又はcDNAとハイブリッド化する。
いくつかの実施形態において、組織切片(例えば、FFPE切片)中の核酸をアレイに移し、汎用のアダプターオリゴヌクレオチドの一本鎖に結合することによりアレイに捕捉する。他の実施形態において、チップ上の核酸を組織切片(例えば、FFPE切片)に移してもよい。当該技術分野の既知方法により、チップに結合したプローブを、溶液中で脱落した後にそれと接触する組織上の細胞に入らせることができる。例えば、核酸プローブとチップとの結合箇所に光分解性リンカーなどを加えるか、又はpH感受性リンカーにより核酸プローブをチップに結合した後、溶液のpH値を変化させることで核酸プローブをチップから分離させる。
本発明のチップ及びその使用については、各交差点が有するプローブ分子の第1バーコード配列及び第2バーコード配列に基づいてチップ表面のアレイにおける空間位置を知ることができ、これにより、核酸分子が位置する細胞の前記組織における位置情報を知ることもできる。
本発明で提供されるプローブアレイを有するチップの製造方法によれば、同一の基板上で複数の同じコード領域のアレイを有するチップの並行合成を実現することができる。図3に示すように、必要に応じて、チップ基板の第1方向及び第2方向に複数群の同じの第1バーコードストリップ及び第2バーコードストリップを形成することができる。これによって、対応する交差点に同じの第1バーコード及び第2バーコード配列で定義されるプローブを有する複数のチップが得られる。
本発明の一実施形態において、本発明者は、前記方法のステップ2(即ち、本発明で提供されるアレイを有するバイオチップの製造方法のステップA)において、前記第1群のバーコード核酸の核酸をチップ表面に固定する際に、前記第1群のバーコード核酸の核酸とチップ表面(チップ表面全体又は位置が第1群のバーコードと同じのチップ表面部分を含む)に固定された核酸(本明細書において、チップ表面リンカー核酸又はチップ表面リンカーと呼ばれる)とを核酸と核酸の結合反応(例えば、核酸リガーゼ及び前記2つの核酸を結合させる核酸リンカー断片)により結合させることによって、第1群のバーコード核酸のチップへの固定効率が顕著に改善され、チップにおける各プローブアレイの交差点上のプローブの密度が顕著に増加し、均一性が顕著に改善されることを予想外に見出した。この理論にとらわれずに、本発明者は、核酸と核酸との結合反応の効率及び安定性が核酸とチップ表面の他の固定方式(例えば、共有結合など)よりも強いことで、プローブ上の各核酸断片の長さが小さくなり、各断片の結合効率が向上するためであると考えている。そのため、本発明の一実施形態において、ステップAの前に予備ステップをさらに含む。この予備ステップは、チップ(例えば、スライドガラス)表面(例えば、チップの表面全体)に第1群のバーコード核酸に結合するためのチップ表面リンカー核酸を事前に固定することを含む。チップ表面リンカー核酸は、化学結合によりチップ表面に固定することができる。化学結合は、例えばアミノ-アルデヒド反応などの基結合、共有結合架橋から選択されるいずれか1種である。チップの表面は、表面化学反応によりアミノ、アルデヒド、エポキシ、イソチオシアナト、メルカプト、シランなどの活性化基などで被覆することができる。前記チップ表面リンカー核酸のチップ表面に結合する端(通常、5'端)は、被覆する活性化基と化学結合を形成する基を有する。本発明の別の実施形態において、前記チップ表面リンカー核酸の3'端は、一本鎖結合核酸により第1バーコード核酸に結合するための結合断片を有する。本発明の別の実施形態において、前記第1バーコード核酸の5'端は、一本鎖結合核酸により前記チップ表面リンカー核酸に結合するための結合断片を有し、前記チップ表面リンカー核酸の3'端は、前記一本鎖結合核酸により第1バーコード核酸に結合するための結合断片を有し、前記チップ表面リンカー核酸の3'端の結合断片及び第1バーコード核酸の5'端の結合断片は、それぞれ前記一本鎖結合核酸の両端の配列と逆相補的である。前記第1バーコード核酸の3'端は、一本鎖結合核酸により第2バーコード核酸に結合するための結合断片を有し、前記第2バーコード核酸の5'端は、前記一本鎖結合核酸により第1バーコード核酸に結合するための結合断片を有し、前記第1バーコード核酸の3'端の結合断片及び第2バーコード核酸の5'端の結合断片は、それぞれ前記一本鎖結合核酸の両端の配列と逆相補的である。本発明の別の実施形態において、前記チップ表面リンカー核酸は、5'端に次の増幅反応に使用されるプライマー断片を有し、例えば、既知のシーケンシング方法に使用される汎用のプライマー配列である。
本発明は、生物試料の核酸情報を分析するためのチップをさらに提供する。本発明の一態様では、前記分析生物試料の核酸情報を分析するためのチップは、上記の方法により製造される。本発明の一態様では、前記生物試料の核酸情報を分析するためのチップの表面は、アレイが形成されたプローブを有する。前記プローブアレイは、直行した行と列を含む。前記アレイにおけるプローブは、それぞれ異なる配列を有し、前記プローブの空間位置を示すことができる。本発明の一態様では、前記プローブは、第1バーコード及び第2バーコードを含む。本発明の別の態様では、前記プローブアレイの各行のプローブは、同じ第1バーコードを有し、各列のプローブは、同じ第2バーコードを有する。各行のプローブが有する第1バーコードは、互いに異なり、各列のプローブが有する第2バーコードは、互いに異なる。本発明の一態様では、前記生物試料の核酸情報を分析するためのチップは、その表面全体にチップ表面リンカー核酸を有する。本発明の別の態様では、前記プローブアレイにおける各プローブの5'端は、前記チップ表面リンカー核酸である。本発明の別の態様では、前記プローブアレイにおける各プローブの配列は、5'端から3'端まで前記チップ表面リンカー核酸、第1バーコード、第2バーコード、生物試料中の目的核酸を識別、結合するための捕捉断片を含む。本発明の別の態様では、前記プローブアレイにおける各プローブの配列は、5'端にある増幅反応用のプライマー断片を含む。本発明の別の態様では、前記プローブアレイにおける各プローブの配列は、固有分子識別子(UMI)をさらに含む。
本発明は、生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報の分析方法をさらに提供する。前記方法は、前記チップのアレイを組織試料と接触させることを含む。本発明に適した「組織試料」は、被験体から取得し、固定し、切片して平面である表面に取り付けた組織を含む。組織試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料、新鮮な組織試料、又は凍結組織試料などであってもよい。本発明の方法は、組織試料の染色の前後に行うことができる。例えば、ヘマトキシリン・エオシン染色後、本明細書で提供される方法により組織試料に対して空間分析を行うことができる。方法は、試料の組織学的分析(例えば、ヘマトキシリン・エオシン染色を使用)の後、組織を空間分析することを含む。組織切片をホルマリンで固定してパラフィンで包埋(FFPE)することは、通常、被験体から取得した組織をホルムアルデヒド(例えば、リン酸緩衝生理食塩水中の3%-5%ホルムアルデヒド)又はBouin溶液中で固定し、パラフィンに包埋し、薄切片にスライスした後、平坦な表面に取り付けること(例えば、顕微鏡スライドガラスでの生検)を含む。本発明の方法では、組織切片をチップ上のプローブアレイと接触させる。アレイ上のプローブは、組織中の細胞の核酸、特に、mRNAを識別、結合することができる。次の分析は、逆転写及び増幅などを含み、ハイスループットの次世代シーケンシング(NGS)又は合成によるシーケンシング(SBS)により分析することができる。
実施例2:チップ(表面局所修飾)の製造
図4は、本発明で提供されるバイオチップの製造方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
ここで、ガラスシートをチップ基板とする。
ソフトリソグラフィプロセスによりポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いて図2に示される平行に設けられた複数のマイクロ流路を含む装置を作製した。マイクロ流路の底部は開口した。
マイクロ流路の装置は、約50-500本の平行に設けられたマイクロ流路を含む。前記平行に設けられたマイクロ流路の各マイクロ流路の幅は、約2-200μm、好ましくは約5-50μm、最も好ましくは約5-25μm、例えば約5μm、10μm又は50μmである。隣接するマイクロ流路間の距離は、約5-400μm、好ましくは約10-100μm、最も好ましくは約10-50μm、例えば約20μm、50μm又は100μmである。
PLL-PEG-ビオチンを合成し、PBSで1mg/mlのPLL-PEG-ビオチン溶液を調製した。
5'端がビオチンで修飾された下記の配列を有する第1群のバーコード核酸を100本合成した。
5'ビオチン-CTACACGACGCTCTTCCGATCT 12345678 CTCTTTCCCTACACGACGCTCTT-3'
ここで、「12345678」は、8つのヌクレオチドを有するバーコード断片を示す。前記8つのヌクレオチドの配列は、既知(指定)のものである。100本の前記第1群のバーコード核酸の第1バーコードの配列は、互いに異なる。このバーコード断片の5'側のCTACACGACGCTCTTCCGATCTは、次のシーケンシングプロセスにおいて増幅反応に使用されるプライマー断片である。このバーコード断片の3'側のCTCTTTCCCTACACGACGCTCTTは、第2バーコード断片と結合を形成するための結合断片である。
下記の配列を有する第2群のバーコード核酸を100本合成した。
5'リン酸化-GAGTGATTGCTTGTGACGCCTT 87654321 NNNNNNNNNN TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN-3'
ここで、「87654321」8つのヌクレオチドを有するバーコード断片を示す。前記8つのヌクレオチドの配列は、既知(指定)のものである。100本の前記第2群のバーコード核酸の第1バーコードの配列は、互いに異なる。本発明の一態様では、第2群のバーコード核酸中の各バーコード核酸のバーコード断片は、第1群のバーコード核酸中の各バーコード核酸のバーコード断片と同じである。このバーコード断片の5'側のGAGTGATTGCTTGTGACGCCTTは、第1バーコード断片と結合を形成するための結合断片である。このバーコード断片の3'側は、polyT VN配列を有し、mRNAとの結合に使用され得る。
第1バーコード核酸と第2バーコード核酸を結合させるためのリンカー核酸を合成した。その配列は、下記の通りである。
5'-AAGGCGTCACAAGCAATCACTCAAGAGCGTCGTGTAGGGAAAGAG-3'
PDMSマイクロ流路装置とガラスシートとを貼り合わせ、流路を密閉した。界面特性に応じて、挟持ツールを用いて流路の頂部と基板であるガラスシートとを圧接して密封性を向上させてもよい。マイクロ流路の一端は、溶液入口であり、他端は、インターフェースを介して真空吸引装置に接続される。
1番目のPDMSマイクロ流路装置とガラスシートとを貼り合わせ、エタノールを導入して気泡を排除し、さらに、PBS緩衝液で洗浄し、その後、流路内に1mg/mlのPLL-PEG-ビオチン溶液を加え、室温で約30分間反応させた。消費された反応物は補充されるように低負圧を保持して流体の低速流動を維持した。
反応終了後、PBS緩衝液を導入して流路を洗浄し、次に、ストレプトアビジンを導入し、流路が満たされた後、室温で10分間静置した。反応終了後、流路が被覆する箇所のチップの局所修飾が達成された。
PBS緩衝液を導入して洗浄した。洗浄後、マイクロ流路内にビオチン化された第1群のバーコード核酸を導入した。各流路に15uMの1種の第1バーコード核酸(各流路の第1バーコード核酸は、他の流路の第1バーコード核酸と異なるバーコード配列を有する)を導入した。流路が満たされた後、室温で10分間静置した。反応終了後、流路が被覆する箇所での第1群のバーコード核酸のチップへの固定が達成され、第1群のバーコードストリップが形成された。
PBS緩衝液及び超純水で流路を洗浄し、洗浄した後、マイクロ流路装置と取り外し、チップを室温で乾燥させた。
乾燥後、もう1つのPDMSマイクロ流路装置を、1番目のPDMSマイクロ流路装置の流路と直行する方向に沿ってガラスシートと張り合わせた。流路内に緩衝液を導入して流路内のガスを排出した後、15uMの第2群のバーコード核酸を導入した。各流路に1種の第2バーコード核酸(各流路の第2バーコード核酸は、他の流路の第2バーコード核酸と異なるバーコード配列を有する)、リンカー核酸及びT4リガーゼを導入した。流路を満たした後、室温で30分間静置した。
結合反応が終了した後、緩衝液を導入し、超純水で流路を洗浄し、その後、流路を取り外し、基板を乾燥させた。これによって、チップ製造が完成した。
実施例3:チップ(表面完全修飾)の製造
図5は、本発明で提供されるバイオチップの製造方法の別の例示的な実施形態のフローチャートである。
まず、ガラスシートをチップ基板とし、表面化学反応により、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、イソチオシアネート基、メルカプト基、シラン基などの活性化基などでチップの表面を修飾した。
本実施例において、購入された光学エポキシ修飾ガラスシート(Nexterion(登録商標) SlideE)をチップ基板とした。
5'端がアミノ基で修飾された下記の配列を有する第1群のバーコード核酸を100本合成した。
5'アミノ-CTACACGACGCCTTCCGATCT 12345678 CTCTTTCCCTACACGACGCTCTT-3'
「12345678」は、8つのヌクレオチドを有するバーコード断片を示し、前記8つのヌクレオチドの配列は、既知(指定)のものである。前記100本の第1群のバーコード核酸の前記バーコード断片(第1バーコードと呼ばれる)の配列は、互いに異なり、かつ各本の第1群のバーコード核酸の第1バーコードの配列は、既知(指定)のものである。下線付きのT塩基は、FITC修飾である。本実施例において、バーコード断片を蛍光修飾及び生産検出する蛍光信号を用いてチップ合成におけるバーコード断片を加える各ステップに対して観察又は生産品質管理を行った。他の実施形態において、バーコード断片を蛍光修飾しなくてもよい。
下記の配列を有する第2群のバーコード核酸を100本合成した。
5'リン酸化-GAGTGATTGCTGTGACGCCTT 87654321 NNNNNNNNNN TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN-3'
「87654321」は、8つのヌクレオチドを有するバーコード断片を示し、前記8つのヌクレオチドの配列は、既知(指定)のものである。前記100本の第2群のバーコード核酸のバーコード断片(第2バーコードと呼ばれる)の配列は、互いに異なり、かつ各本の第2群のバーコード核酸の第2バーコードの配列は、既知(指定)のものである。下線付きのT塩基は、Cy3修飾である。
下記の配列を有するリンカー核酸を1本合成した。
5'-CAAGCAATCACTCGAAGAGCGTCGTGT-3'
実施例2で説明されたPDMSマイクロ流路装置とガラスシートとを貼り合わせ、流路の密閉を実現した。挟持ツールを用いて流路の頂部と基板であるガラスシートとを圧接して密封性を向上させた。マイクロ流路の一端は、溶液入口であり、他端は、インターフェースにより真空吸引装置に結合した。
1番目のPDMSマイクロ流路装置とガラスシートとを貼り合わせ、エタノールを導入して気泡を排除し、さらに、PBS緩衝液で1回洗浄し、その後、流路内に15uMの第1群のバーコード核酸(300mMリン酸ナトリウム緩衝液に溶解;pH8.5)を加えた。各流路に1種の第1バーコード核酸(各流路の第1バーコード核酸は、他の流路の第1バーコード核酸と異なるバーコード配列を有する)を導入した。流路が満たされた後、ガラスシートを35℃飽和塩化ナトリウムウェットボックスに置き、室温で3時間静置した。反応終了後、1×PBS緩衝液で流路を1分間洗浄した。その後、PDMSマイクロ流路装置を取り外し、修飾されたガラスシートを順に0.1%のTriton X-100、1mMのHCl、100mMのKClで洗浄し、その後、0.1MのTris(pH9.0)、50mMエタノールアミン、0.1%のSDSを用いて50℃でブロックした。ブロック終了後、脱イオン水で基板を1分間洗浄した後、窒素ガスを基板に吹き付けて乾燥させた。蛍光顕微鏡で第1バーコード核酸のFITC蛍光信号を観察し、完全に反応したこと、及び流路が被覆した箇所での第1群のバーコード核酸のチップへの固定を実現し、第1群のバーコードストリップが形成されたことを確定した。
もう1つのPDMSマイクロ流路装置を、1番目のPDMSマイクロ流路装置の流路と直交する方向に沿ってガラスシートと貼り合わせた。流路内に緩衝液を導入して流路内のガスを排出した後、15uMの第2群のバーコード核酸を導入した。各流路に1種の第2バーコード核酸(各流路の第2バーコード核酸は、他の流路の第2バーコード核酸と異なるバーコード配列を有する)、リンカー核酸及びT4リガーゼを導入した。流路が満たされた後、37℃で30分間静置した。
結合反応が終了した後、1×PBS緩衝液を導入して、超純水で流路を洗浄した。その後、流路と取り外し、脱イオン水で基板を1分間洗浄し、その後、窒素ガスを基板に吹き付けて乾燥させた。蛍光顕微鏡用いて第2バーコード核酸のCy3蛍光信号を観察し、完全に反応したこと、及び第2バーコード核酸と第1群のバーコード核酸との流路交差点での結合反応が達成され、バーコードアレイが形成されたことを確定し、これによって、チップの製造が完成した。
製造されたチップ上の蛍光信号を測定することにより、各バーコード核酸の結合反応の効率及び製造されたチップのプローブの強度(密度)と均一性を評価した。図6は、顕微鏡(オリンパスbx53)下での各バーコード核酸の結合反応の観察図を示す。図6に示すように、チップの横方向のアレイでは、第1群のバーコード核酸が持つFITC修飾蛍光信号が示され、チップの縦方向のアレイでは、第2群のバーコード核酸が持つCy3修飾蛍光信号が示される。
実施例4:組織試料の作製と染色
(一)組織OCT包埋
新鮮なマウス脳組織サンプルを取り、直ちに事前に冷却したPBS溶液又は生理食塩水で組織表面を洗浄して残留物を除去し、その後、清潔な吸水紙で液体を吸い取った。組織を包埋槽に置き、組織が完全に被覆されるまでOCT包埋剤を添加した。組織の周囲に気泡がないことを確認した後、包埋槽を氷上に置き、OCTが完全に凍結するまで静置した。
(二)凍結切片
凍結切片機の温度について、箱体温度:-20℃、サンプルヘッド温度:-10℃に設定した。切片前に凍結組織及び基板を-20℃凍結切片機の箱体に入れて30分間以上平衡した後、凍結切片機の箱体中において厚さ10μmで凍結切片を行った。
(三)組織固定、HE染色
作製された組織切片を実施例3で製造されたバーコードアレイ修飾基板に貼り付け、その後、37℃で1分間インキュベートした。組織が貼り付けられた基板を事前に冷却したメタノール中に完全に浸漬し、-20℃で30分間固定した。固定後に、基板を取り出し、裏面の液体を拭き取り、組織切片に500μlのイソプロパノールを滴下し、室温で1分間インキュベートした。1分間後、イソプロパノールを除去し、その後、室温で5-10分間乾燥させた。
1mlヘマトキシリンを加え、それを基板上の組織切片に均一に被覆させ、室温で7分間インキュベートした。ヘマトキシリン試薬を除去し、基板をRNaseフリー水中に浸漬して洗浄し、乾燥させた。1ml青色化液を加えて室温で2分間インキュベートした。青色化液を除去し、基板をRNaseフリー水に浸漬して洗浄した後、基板の裏面の液体を拭き取った。1mlエオシン混合物を加えて室温で1分間インキュベートした。
エオシンを除去し、基板をRNaseフリー水に浸漬して洗浄し、組織が不透明になるまで乾燥させた。37℃でガラスシートを5分間インキュベートした後、明視野イメージングを行った。
図7は、HE染色後の組織画像である。
(四)組織透過化
組織切片が対応するキャビティの内部に位置するように、治具キャビティを製造された組織チップに取り付けた。キャビティに70ulの透過化酵素(0.1NのHClで希釈した0.1%ペプシン)を加え、37℃で組織を透過化し、透過化酵素を除去した後、0.1×SSCで洗浄した。
実施例5:チップにより組織試料切片に対して逆転写反応、ライブラリ構築及びシーケンシングを行った。
実施例4で洗浄されたキャビティに70μl逆転写混合液を加えた。逆転写混合液は、1x第一鎖緩衝液、5mMのDTT、500μMのdNTP、0.19μg/μlのBSA、1%DMSO、2.5μMのテンプレートスイッチオリゴ、20U/μlのSuperscript III及び2U/μlのRNase阻害剤を含む。
テンプレートスイッチオリゴの配列:
5'ビオチン-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG-3'
テンプレートスイッチオリゴにおいて、最後から1、2及び3番目の塩基はリボグアノシンで修飾された。
テープでキャビティを密封した後、温度制御ボードに置き、50℃に調整して逆転写を行い、16時間反応させた。
逆転写終了後、キャビティ中の逆転写混合液を吸い出して捨てた。キャビティに70μl、0.08MのKOHを加え、室温で5分間インキュベートした後、100ulのRNaseフリー水を加えて1回洗浄した。
洗浄後のキャビティにcDNA第二鎖合成反応溶液を加えた。第二鎖合成反応溶液は、1×Kapa HiFi Hotstart ReadyMix、0.8uMの第二鎖プライマーを含む。テープでキャビティを密封した後、温度制御ボードに置き、約37℃に調整してcDNA第二鎖合成を行い、30分間反応させた。
第二鎖プライマーの配列:
5'-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACAT-3'
反応終了後、キャビティ内の第二鎖合成反応溶液を吸い出して除去した。その後、100ulのRNaseフリー水を加えて1回洗浄した。キャビティに70μl、0.08MのKOHを加え、室温で10分間インキュベートした。いくつかの新しい1.5ml遠沈管を用意し、そこに10μlのTris(1M,pH7.0)を加えた。キャビティ中の70μl試料を対応するTris含有遠沈管内に移し、均一に混合してcDNAの第二鎖を作製した。
cDNA増幅
新しい1.5ml遠沈管を取って氷上に置き、PCR増幅反応液を調製した。PCR反応液は、1×Kapa HiFi Hotstart ReadyMix、0.8μMのcDNAフォワードプライマー、0.8μMのcDNAリバースプライマー、35μlのcDNAテンプレートを含み、総体積は100μlである。以下のスキームに従ってcDNA増幅を行った
cDNA フォワードプライマーの配列:
5'-CTACACGACGCTCTTCCGATC-3'
cDNA リバースプライマーの配列:
5'-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAG-3'
結果として、CT値は、約10.6であった。
増幅終了後、AMpure SPRIselect Beadsにより増幅産物を精製した。
増幅産物に対してライブラリ構築/シーケンシングを行った。
以上の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。本発明の思想及び原則内になされる全ての修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。

Claims (13)

  1. 以下のステップAからステップCを含む、アレイを有するバイオチップの製造方法であって、
    ステップA:平行に設けられた複数のマイクロ流路により、第1群のバーコード核酸をチップ表面に固定し、第1方向の複数本の第1バーコードストリップを形成し、前記第1群のバーコード核酸は、異なるバーコード配列を有する複数種の第1バーコード核酸を含み、各本の第1バーコードストリップには、1種の第1バーコード核酸が固定され、かつ各条の第1バーコードストリップに固定される第1バーコード核酸は、異なるバーコード配列を有し、
    ステップB:平行に設けられた複数のマイクロ流路により、第2群のバーコード核酸を、第2方向に沿ってチップ表面の第1方向を有する前記複数本の第1バーコードストリップに加え、複数本の第2バーコードストリップを形成し、前記第2群のバーコード核酸は、異なるバーコード配列を有する複数種の第2バーコード核酸を含み、各本の第2バーコードストリップは、1種の第2バーコード核酸を有し、かつ各本の第2バーコードストリップ上の第2バーコード核酸は、異なるバーコード配列を有し、
    ステップC:第1バーコード核酸と第2バーコード核酸とが結合反応を発生する条件下で、前記複数本の第1バーコードストリップと前記複数本の第2バーコードストリップとが交差したチップ表面で第2バーコード核酸と第1バーコード核酸とを結合させ、プローブを形成し、前記プローブは、アレイの交差点を構成し、各交差点は、配列が互いに異なるプローブを有する、方法。
  2. 平行に設けられた複数のマイクロ流路を有するマイクロ流路装置により、前記第1群のバーコード核酸又は第2群のバーコード核酸をチップ表面に輸送して固定し、前記マイクロ流路のチップ表面と接触する面は、溶液又は溶液中の核酸が通過可能であり、前記マイクロ流路装置の各本のマイクロ流路に異なるバーコード配列を含む第1群のバーコード核酸又は第2群のバーコード核酸を加える、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1群のバーコード核酸における第1バーコード核酸は、第1バーコード断片を含み、かつ5'端に増幅反応のためのプライマー断片を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1群のバーコード核酸における第1バーコード核酸は、5'端に、チップ表面に結合するための基を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第2群のバーコード核酸における第2バーコード核酸は、3'端に、生物試料中の目的核酸を識別、結合するためのプローブ断片(例えば、mRNA又はcDNAを識別、結合する断片、例えばpoly-T配列)及び第2バーコード断片を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第2群のバーコード核酸における第2バーコード核酸は、固有分子識別子(UMI)をさらに有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1バーコード核酸の3'端は、1つの一本鎖結合核酸により第2バーコード核酸に結合するための第1結合断片を有し、前記第2バーコード核酸の5'端は、前記一本鎖結合核酸により第1バーコード核酸に結合するための第2結合断片を有し、前記第1結合断片及び第2結合断片は、それぞれ前記一本鎖結合核酸の両端の配列と逆相補的である、請求項1に記載の方法。
  8. ステップCで形成されたプローブは、3'端にある生物試料中の目的核酸を識別、結合するための捕捉断片、及び第1バーコード断片と第2バーコード断片を含み、好ましくは、前記プローブは、5'端に増幅反応のためのプライマー断片をさらに有する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記第1群のバーコード核酸における各種の第1バーコード核酸のバーコード断片の配列及び前記第2群のバーコード核酸における各種の第2バーコード核酸のバーコード断片の配列は、指定のものである、請求項1に記載の方法。
  10. ステップA又はBにおいて、流路内の核酸濃度は、約0.1-100uM、例えば、約11-20uMである、請求項1に記載の方法。
  11. ステップAにおいて、前記第1群のバーコード核酸の核酸は、化学結合によりチップ表面に固定され、前記化学結合は、例えば、アミノ-アルデヒド反応、静電吸着、共有結合架橋から選択されるいずれか1種である、請求項1に記載の方法。
  12. ステップA及びステップBにおいて、前記平行に設けられたマイクロ流路の各本のマイクロ流路は、幅が約2-200μm、好ましくは約5-50μm、最も好ましくは約5-25μm、例えば約5μm、10μm又は50μmであり、
    前記平行に設けられたマイクロ流路は、隣接するマイクロ流路間の距離が約5-400μm、好ましくは約10-100μm、最も好ましくは約10-50μm、例えば約20μm、50μm又は100μmである、請求項1に記載の方法。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の方法により製造されたアレイを有するバイオチップを用いて生物組織試料の空間トランスクリプトーム情報を解析する方法であって、
    前記チップのアレイを組織試料と接触させ、アレイ上のプローブは組織中の細胞の核酸、特に、mRNAを識別、結合し、その後、逆転写及び増幅などの反応を行い、選択的に、ハイスループットの次世代シーケンシング(NGS)又は合成によるシーケンシング(SBS)により、得られた核酸をさらに解析することを含む、方法。
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