JP2024506149A - 巻線体、高電圧巻線及び乾式変圧器 - Google Patents

巻線体、高電圧巻線及び乾式変圧器 Download PDF

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Abstract

本発明は、高電圧巻線(130)に用いられる巻線体(1310)に関する。前記巻線体(1310)は、複数の巻線板(1313)であって、前記巻線板(1313)に複数の櫛歯を形成するように、各前記巻線板(1313)には複数の巻線溝(1314)が設けられる複数の巻線板(1313)と、少なくとも1つの補助部材(5316)であって、前記補助部材(5316)は環状であり、前記巻線板(1313)は前記補助部材(5316)の周方向に沿って設けられ、前記補助部材(5316)は前記巻線板(1313)に固定的に接続される少なくとも1つの補助部材(5316)と、を備える。本発明は、更に高電圧巻線(130)に関する。前記高電圧巻線(130)は、前述した巻線体(1310)と高電圧コイル(1320)と高電圧絶縁層(1330)とを備える。本発明は、乾式変圧器(10)に更に関する。前記乾式変圧器(10)は、鉄心(110)と低電圧巻線(120)と前述した高電圧巻線(130)とを備え、低電圧巻線(120)は、鉄心(110)に外嵌され、高電圧巻線(130)は、低電圧巻線(120)に外嵌される。【選択図】図24

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月29日に出願された、出願番号が2021116441856、発明名称が「高電圧巻線の巻線体及び高電圧巻線」である中国特許出願、及び2021年12月29日に出願された、出願番号が2021116479228、発明名称が「乾式変圧器」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体を参照により本出願に組み込む。
本発明は、電力用変圧器の技術分野に関し、特に、巻線体、当該巻線体を備える高電圧巻線、及び当該高電圧巻線を備える乾式変圧器に関する。
現在、変圧器は、油入変圧器、乾式変圧器、ガス変圧器に分類される。乾式変圧器は、オイルフリー、防火性、長寿命、省エネ、低騒音、メンテナンスが簡単、安全性や信頼性が高いなどの利点を有する。現在、市販されている乾式変圧器の多くは、樹脂注型高電圧巻線の乾式変圧器及び開放型乾式変圧器である。乾式変圧器は、この10年間で大きく発展してきたが、運転中に絶縁割れ、熱伝導が悪く、運転環境が厳しいなどの問題が依然として存在する。
特に、乾式変圧器の高電圧巻線の構成について、現在、高電圧巻線内に導線を巻回する際に、工具に直接巻回して高電圧コイルを形成した後に、高電圧巻線を注型して形成するため、高電圧コイルの放熱能力が悪く、短絡衝撃抵抗能力も悪くなる。
従来技術の欠点に対して、本発明は、高電圧巻線の巻線体、当該巻線体を備える高電圧巻線、及び当該高電圧巻線を備える乾式変圧器を提供することを目的とする。本発明によって提供される高電圧巻線の巻線体、当該巻線体を備える高電圧巻線、及び当該高電圧巻線を備える乾式変圧器は、より良い防火性、耐老化性、及び耐短絡試験の能力を有し、コイルは、リサイクル可能、低エネルギー消費、省エネエネルギーで、環境にやさしく、絶縁層は、安定で、機械的性能が良く、使用寿命が長い。
本発明の一態様は、高電圧巻線に用いられる巻線体であって、前記巻線体は、複数の巻線板であって、前記巻線板に複数の櫛歯を形成するように、各前記巻線板に複数の巻線溝が設けられる複数の巻線板と、少なくとも1つの補助部材であって、前記補助部材は環状であり、前記巻線板は前記補助部材の周方向に沿って設けられ、前記補助部材は前記巻線板に固定的に接続される少なくとも1つの補助部材と、を備える巻線体を提供する。
一実施例において、前記櫛歯の前記巻線板の長手方向に沿った高さを歯の高さとして定義すると、前記巻線板の中央部の前記櫛歯の歯の高さ及び前記巻線板の両端の前記櫛歯の歯の高さは、いずれも前記巻線板の他の部分の前記櫛歯の歯の高さよりも大きい。
一実施例において、前記巻線体は、中空の柱体である支持筒を更に備え、複数の前記巻線板は、前記支持筒の外周面に周方向に均等に配置され、各前記巻線板の長手方向は、前記支持筒の軸方向に沿って設けられる。
一実施例において、前記巻線板には、前記巻線板の長手方向に沿って一端から他端に向かって、第1の高櫛歯領域、第1の低櫛歯領域、第2の高櫛歯領域、第2の低櫛歯領域、及び第3の高櫛歯領域が順に形成され、前記第1の高櫛歯領域と前記第3の高櫛歯領域は、前記第2の高櫛歯領域に対して対称に配置され、前記第1の低櫛歯領域と前記第2の低櫛歯領域は、前記第2の高櫛歯領域に対して対称に配置される。
一実施例において、前記補助部材は、前記支持筒の外周面に位置し、前記補助部材は、前記支持筒の径方向に沿って外側に延びており、前記支持筒を取り囲んで環状をなしている。
一実施例において、複数の前記巻線板又は前記補助部材には、係止溝が設けられ、前記巻線板と前記補助部材は、係止溝によって係合して接続される。
一実施例において、前記補助部材は、前記巻線板の内壁に設けられた中間補助部材を含む。
一実施例において、前記補助部材は、前記巻線板の端部の外側に設けられた端部補助部材を含む。
一実施例において、前記巻線体は、繊維強化複合材料から製造される。
一実施例において、前記巻線板の両端には、流通溝が設けられる。
一実施例において、複数の前記補助部材が設けられており、前記複数の補助部材は、前記補助部材の軸方向に間隔をおいて設けられる。
本発明のもう一態様は、前述したいずれかの実施例の巻線体と、高電圧コイルと、高電圧絶縁層と、を備え、前記巻線体に導線が巻回されて高電圧コイルを形成し、前記高電圧コイルの外側全体は、高電圧絶縁層で被覆される高電圧巻線を提供する。
一実施例において、前記導線は、第1の導線と第2の導線とを含み、前記第1の導線は、前記巻線体の一端から前記巻線板の長手方向に沿って前記巻線体の中央部まで巻回され、前記第2の導線は、前記巻線体の前記中央部から前記巻線板の長手方向に沿って前記巻線体の他端まで巻回される。
一実施例において、前記高電圧絶縁層は、前記高電圧コイルと前記巻線体との間の隙間及び前記巻線体の両端に充填され、前記高電圧絶縁層は、射出成形シリコーンゴムである。
一実施例において、前記射出成形シリコーンゴムは、高温加硫シリコーンゴム又は射出用液状シリコーンゴムである。
一実施例において、前記高電圧コイルは、複数セグメントのコイルを含み、前記導線は、複数セグメントの前記コイルが前記高電圧巻線の軸方向に沿って間隔をおいて設けられるように前記巻線溝内に巻回され、前記巻線板における隣接する2つの前記櫛歯同士の間には、少なくとも1セグメントの前記コイルが設けられる。
一実施例において、各セクションの前記コイルは、前記高電圧巻線の軸方向に沿って層状に往復して巻回されるとともに、前記巻線体の外周面に密に配置される。
一実施例において、前記コイルには、前記高電圧巻線の軸方向に沿って少なくとも1つの層間絶縁層が設けられ、前記層間絶縁層は、エッジが波形である絶縁長尺ストリップである。
本発明のもう一態様は、鉄心と、低電圧巻線と、前述したいずれかの実施例の高電圧巻線と、を備え、前記低電圧巻線は、前記鉄心に外嵌され、前記高電圧巻線は、前記低電圧巻線に外嵌される乾式変圧器を提供する。
一実施例において、前記鉄心の外側には、4つのコアクランプが設けられ、前記コアクランプは、繊維強化複合材料から製造される。
一実施例において、前記コアクランプは、エポキシ樹脂を含浸した繊維材料からプレス成形又は引抜き成形される。
一実施例において、前記低電圧巻線は、銅箔と低電圧絶縁層とを含み、前記銅箔と前記低電圧絶縁層とは、交互に設けられる。
一実施例において、前記低電圧絶縁層は、SHS-Pジフェニルエーテルプリプレグ又はシリコーンゴムフィルムである。
一実施例において、前記低電圧巻線内には、少なくとも1つの放熱ガス通路が設けられ、前記放熱ガス通路は、前記銅箔と前記低電圧絶縁層との間に位置する。
本発明の上記及び他の目的、特徴や利点は、図面に示された本発明の好ましい実施例のより具体的な説明によってより明確になる。全ての図面は、同一の符号で同一の部分を示し、有意に実寸大と等倍で描かれておらず、主に発明の主旨を説明するためのものである。
本発明の他の特徴、目的や利点は、以下の添付図面および非限定的な実施例の詳細な説明を参照することにより明らかになろう。
本発明の一実施例の乾式変圧器の正面図である。 本発明の一実施例の乾式変圧器の平面図である。 本発明の一実施例の組立後の鉄心の正面図である。 図2のG箇所での拡大図である。 本発明の一実施例のコアクランプの正面図である。 本発明の一実施例のコアクランプの側面図である。 本発明の一実施例の乾式変圧器の正面図である。 本発明の一実施例の乾式変圧器の側面図である。 本発明の一実施例の下側クランプの側面図である。 本発明の一実施例の巻線体の斜視模式図である。 本発明の一実施例の支持筒の断面図である。 本発明の一実施例の巻線体に巻回された高電圧コイルの斜視模式図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の斜視模式図である。 本発明の一実施例の工具接続部材の斜視模式図である。 本発明の一実施例の高電圧コイルの配線の概略図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の部分断面図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の部分断面図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の部分断面図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の部分断面図である。 本発明の一実施例の巻線体の斜視模式図である。 図20のH箇所で位置の拡大図である。 本発明の一実施例の支持筒の斜視模式図である。 図22のJ箇所での拡大図である。 本発明の一実施例の巻線部の斜視模式図である。 本発明の一実施例の補助部材の斜視模式図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の斜視模式図である。 本発明の一実施例の巻線部に巻回された高電圧コイルの斜視模式図である。 本発明の一実施例の巻線部と補助部材との接続の斜視模式図である。 図28の巻線部と端部補助部材との固定部位の拡大模式図である。 図28の巻線部と中間補助部材との固定部位の拡大模式図である。 本発明の一実施例の高電圧巻線の斜視模式図である。
要求に応じて、本明細書では本発明の具体的な実施例が開示される。しかしながら、理解すべきものとして、本明細書で開示される実施例は、本発明の典型例に過ぎず、様々な形態で表現され得る。したがって、ここで開示される具体的な詳細は、限定的なものとみなされるのではなく、請求の範囲の根拠や、本明細書に明確に開示されていない特徴と組み合わせて本明細書で開示される様々な特徴を採用することを含む実際の任意の適切な方法で本発明を異なる形態で適用するように当業者を教えるための代表的な根拠だけである。
本発明で記載される「接続」は、明確に規定又は限定されない限り、広義に理解され、直接接続又は中間媒体を介する接続のいずれであってもよい。本発明の説明において、理解すべきものとしては、「上」、「下」、「端部」、「一端」などによって示された向き又は位置関係は、図面に示される向き又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にし簡略化するためのものだけであり、言及された装置又は要素が特定の向きを有し、特定の向きで構成され、動作しなければならないことを示す又は暗示するものではないため、本発明を限制するものと理解されない。
図1~図3に示すように、本発明による一実施例において、乾式変圧器10は、A相、B相、及びC相を含む三相変圧器である。即ち、乾式変圧器10は、3つの単相変圧器100を含む。鉄心110の構造によっては、3つの変圧器100は直線構造又は三角構造を形成するように配列され、3つの変圧器100は対称構造になっていてもよい。なお、当該乾式変圧器10は、絶縁変圧器、インバータ変圧器、試験用変圧器などであってもよい。
引き続き図1~図3を参照すると、本発明による一実施例において、3つの変圧器100は、直線構造を形成するように配列され、乾式変圧器10は、鉄心110、3つの低電圧巻線120、及び3つの高電圧巻線130を含む。鉄心110、低電圧巻線120、及び高電圧巻線130は、内側から外側へ順に配置される。具体的に、鉄心110は、3つの柱状鉄心体111、3つの柱状鉄心体111の上端に位置する上部ヨーク112、及び3つの柱状鉄心体111の下端に位置する下部ヨーク113を含む。各柱状鉄心体111の外周には、1つの低電圧巻線120が外嵌され、各低電圧巻線120の外周には、1つの高電圧巻線130が外嵌される。即ち、各柱状鉄心体111には、内側から外側へ、1つの低電圧巻線120及び1つの高電圧巻線130が順に外嵌される。鉄心110、低電圧巻線120、及び高電圧巻線130は、同軸に配置され、即ち、三者は同一の軸方向を有する。柱状鉄心体111は、積層された複数層の珪素鋼板の外側に結束バンドで結束して固定することにより形成される。選択的に、柱状鉄心体111の径方向の断面は、略楕円形、円形、又は他の形状である。柱状鉄心体111の径方向の断面は、柱状鉄心体111が低電圧巻線120の中空キャビティ内に収容できれば、実際の必要に応じて適切な形状を選択することができるが、ここでは限定されない。同様に、上部ヨーク112及び下部ヨーク113も、積層された複数層の珪素鋼板から形成される。3つの柱状鉄心体111は、上部ヨーク112及び下部ヨーク113によって固定的に接続されて、鉄心110を形成する。
本発明による一実施例において、鉄心110、低電圧巻線120及び高電圧巻線130の容易な組立方法を提供する。具体的に、鉄心110の下部ヨーク113を、まず、複数層の珪素鋼板を積層して乾式変圧器10の底部に配置し、次に、下部ヨーク113の両端及び中間部位に複数層の珪素鋼板をそれぞれ挿入して3つの柱状鉄心体111を形成し、続いて、柱状鉄心体111の外周に内側から外側へ低電圧巻線120及び高電圧巻線130を順に外嵌し、最後に、3つの柱状鉄心体111の上端に複数層の珪素鋼板を水平に挿入して上部ヨーク112を形成する。このように、鉄心110、低電圧巻線120及び高電圧巻線130の組立が完了する。
図1、図2、図5及び図6を組み合わせて参照すると、鉄心110の外側には、鉄心110を挟持するためのコアクランプ140が設けられる。コアクランプ140は、3つのクランプが互いに接続して形成され、3つのクランプは、いずれも板状部材であり、中間位置にあるクランプを第1のクランプ142として定義し、残りの2つのクランプを第2のクランプ143として定義する。2つの第2のクランプ143は、コアクランプ140が溝形鋼のような構造を有し、即ち、コアクランプ140が「匚」字状の構造を有するように、第1のクランプ142が2つの第2のクランプ143に接続される両側で同方向に延びる。好ましくは、第2のクランプ143は、第1のクランプ142に対して垂直に配置される。第1のクランプ142は、鉄心110に密着するためのものであり、第2のクランプ143は、鉄心110から離れる方向に延びる。コアクランプ140を取り付けた後、第1のクランプ142の板面は、鉄心110の軸方向に沿って配置され、第2のクランプ143の板面は、鉄心110の径方向に沿って配置される。具体的に、本発明による一実施例において、鉄心110の軸方向は、鉛直方向であり、鉄心110の径方向は、水平方向である。当然ながら、他の実施例において、コアクランプは、矩形状の中空管であってもよく、即ち、コアクランプは、4つの板状構造のクランプが互いに接続して囲むことによって形成される閉じた構造を有する。当該閉じた構造によって、コアクランプの構造をより安定させる。選択的に、コアクランプは、5つ、6つ、又はそれ以上の板状構造のクランプが互いに接続して囲むことによって形成される閉じた構造を有してもよいが、ここでは限定されない。
本発明による一実施例において、コアクランプ140は、4つ設けられ、その中の2つのコアクランプ140は、鉄心110の上端(即ち、上部ヨーク112)を締結するために、鉄心110の上端の両側に対称に配置されるとともに、第1の締結部材によって固定的に接続される。他の2つのコアクランプ140は、鉄心110の下端(即ち、下部ヨーク113)を締結するために、鉄心110の下端の両側に対称に配置されるとともに、第2の締結部材によって固定的に接続される。好ましくは、第1の締結部材及び第2の締結部材は、2つのコアクランプ140によって鉄心110の両端をそれぞれ締結するように、互いに協働して使用される複数のねじ及びボルトを用いる。コアクランプ140の両端には、いずれも第1の貫通孔141が設けられる。具体的に、第1のクランプ142の両端には、1つの第1の貫通孔141がそれぞれ設けられる。2つのコアクランプ140を鉄心110の上端の両側に対応して配置し、2つのコアクランプ140の同じ端の2つの第1の貫通孔141内に同時にねじ(図示せず)を通した後、ボルトで締め付けて固定することで、2つのコアクランプ140の両端を固定して、2つのコアクランプ140で鉄心110の上端を締結する。鉄心110の下端の2つのコアクランプ140も同様な方法で固定して鉄心110の下端を締結するため、具体的に繰り返し説明されない。選択的に、鉄心110を更に信頼的に締結するために、コアクランプ140の中間部位に対しても互いに協働して使用される複数のねじとボルトで鉄心110の中央部を締結することができる。第2のクランプ143には、低電圧巻線120と接続するための第2の貫通孔(図示せず)が更に設けられる。
本実施例において、上端の2つのコアクランプ140は、鉄心110の外周に設けられた高電圧巻線130の上方に位置する。高電圧巻線130の頂部には、上端の2つのコアクランプ140を支持するとともに、低電圧巻線120及び高電圧巻線130のそれぞれと上部ヨーク112との間の安全な電气的距離を維持するための、複数の絶縁パッド1001が設けられる。同様に、下端の2つのコアクランプ140は、鉄心110の外周に設けられた高電圧巻線130の下方に位置する。下端の2つのコアクランプ140の頂部にも、低電圧巻線120及び高電圧巻線130を支持するとともに、低電圧巻線120及び高電圧巻線130のそれぞれと下部ヨーク113との間の安全な電气的距離を維持するための、複数の絶縁パッド1001が設けられる。選択的に、絶縁パッド1001は、絶縁材料から製造され、例えば、ドウモールディングコンパウンド(DMC:Dough Molding Compound)、シートモールディングコンパウンド(SMC:Sheet Molding Compound)などの低収縮性不飽和ポリエステルガラス繊維強化モールディングコンパウンドから製造され、又は、例えば、エポキシ樹脂から注型成形される。
コアクランプ140は、繊維強化複合材料から製造される。具体的に、コアクランプ140は、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維からプレス成形され、又は、エポキシ樹脂を含浸したアラミド繊維からプレス成形される。選択的に、コアクランプ140は、他の複合材料から製造されてもよい。選択的に、第1のクランプ142と第2のクランプ143は、一体成形される。
繊維強化複合材料とは、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維材料と、マトリックス材料とを、巻取り成形、プレス成形、又は引抜き成形などの成形工程を経て形成された複合材料をいう。
選択的に、本発明による他の実施例において、コアクランプは、金属材料から製造されてもよく、例えば、第1のクランプ及び第2のクランプは、一体成形された溝形鋼の異なる側壁であってもよいし、別体に成形された後に溶接により接続して固定されてもよい。コアクランプは金属材料であるので、高電圧と低電圧との接線部と金属の溝形鋼とを絶縁させるために、コアクランプの外側に小柱の絶縁体などの絶縁部品を接続する必要がある。それと同時に、鉄心とコアクランプとを絶縁させる一方、コアクランプに生じる渦電流によって鉄心の電磁損失が発生することを回避するために、鉄心の外側にも絶縁パッドを設ける必要がある。
本発明の実施例によって提供されるコアクランプ140は、繊維強化複合材料から製造されるため、従来の溝形鋼構造のコアクランプと比較すると、コアクランプ140はより優れた経済性を有し、即ち、一方では、鉄心110の外面に固定される絶縁パッドを省略することができ、もう一方では、繊維強化複合材料は金属材料よりもコストが低く、全体的なコストを60%程度削減することができる。更に、従来の溝形鋼構造は導電性の金属材料であるため、絶縁のために、コアクランプに小柱の絶縁体などの追加の絶縁部品を接続する必要がある。このようにすると、一方では、コストが増加し、もう一方では、装置全体の重量が増加し、装置の運転中の騒音が大きくなるとともに、鉄製品の生産中の炭素排出量が大きくなり、汚染が深刻である。これに対して、繊維強化複合材料から製造されたコアクランプ140はこれらの問題を解決した。更に、繊維強化複合材料から製造されたコアクランプ140は、複合体内に渦電流損失を生じることなく、乾式変圧器10の無負荷損失を低減した。以上のように、繊維強化複合材料から製造されたコアクランプ140は、コストが低く、軽量で、機械的性能が良く、繊維強化複合材料の生産中の炭素排出量が低く、環境により優しい。
図2及び図4に示すように、低電圧巻線120は、銅箔121と低電圧絶縁層122と支持ストリップ123とを含み、銅箔121と低電圧絶縁層122とは、交互に配置される。銅箔121は、銅箔紙全体を巻回して成形され、低電圧絶縁層122と銅箔121とを積層した後に共に巻回することによって、銅箔121と低電圧絶縁層122との交互配置を実現する。低電圧巻線120内には、少なくとも1つの放熱ガス通路が設けられ、当該放熱ガス通路は、隣接する銅箔121と低電圧絶縁層122との間に位置する。支持ストリップ123は、当該放熱ガス通路内に位置し、隣接する銅箔121と低電圧絶縁層122とを支持して隔離するために用いられる。具体的に、銅箔121と低電圧絶縁層122とを所定の厚さになるように積層して巻回した時に、支持ストリップ123を低電圧絶縁層122又は銅箔121の外面に固定し、その後、積層して巻回し続けて、銅箔121又は低電圧絶縁層122が支持ストリップ123に密着するようにする。選択的に、支持ストリップ123は、接着により隣接する銅箔121と低電圧絶縁層122との間に固定されてもよいし、巻回時に発生する押圧力又は他の方法によって固定されてもよい。各層の放熱ガス通路内には、複数の支持ストリップ123が設けられ、複数の支持ストリップ123は、銅箔121の外周面の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、隣接する銅箔121と低電圧絶縁層122を支持する役割を果たす。各層の放熱ガス通路内には、少なくとも2つの支持ストリップ123が設けられる。選択的に、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の支持ストリップ123が設けられてもよい。好ましくは、同層の複数の支持ストリップ123は、銅箔121の外周面の周方向に沿って等間隔に設けられる。支持ストリップ123を設けた後、銅箔121と低電圧絶縁層122とを所定の厚さに積層して巻回し続けて低電圧巻線120を形成する。放熱ガス通路は、乾式変圧器10の運転中において低電圧巻線120で発生した熱を放出するのに有利であり、乾式変圧器10の熱の蓄積による過熱失効を回避することを目的とする。選択的に、放熱ガス通路は、1層設けられてもよいし、2層又は以上の層が設けられてもよいが、ここでは限定されない。
低電圧絶縁層122は、ポリイミド含浸紙を使用し、具体的には、ポリイミドフィルムとポリスルホン繊維不織布との軟質複合材料にジフェニルエーテル樹脂を含浸させた後に焼成して製造されたSHS-Pジフェニルエーテルプリプレグであってもよい。当然ながら、低電圧絶縁層は、DMD絶縁紙又はシリコーンゴムフィルム又は他の絶縁材料を使用することもでき、乾式変圧器の異なる温度上昇レベルに応じて選択すればよい。
選択的に、支持ストリップは、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維又はエポキシ樹脂を含浸したアラミド繊維から製造される絶縁支持ストリップである。選択的に、支持ストリップは、「工」字状の断面を有する長尺ストリップであり、機械的強度がより安定である。選択的に、支持ストリップは、支持して隔離する役割を果たすことができれば、正方形又は他の形状の断面を有する長尺ストリップであってもよい。選択的に、支持ストリップは、アルミニウム管などの材料から製造されてもよい。
低電圧巻線120の内側層には、内側リード線銅列が更に設けられ、低電圧巻線120の外側層には、外側リード線銅列が更に設けられ、内側リード線銅列及び外側リード線銅列の自由端には、接続孔が設けられ、当該接続孔はコアクランプ140の第2の貫通孔に合わせて締結接続される。
別の一実施例において、図7~図9に示すように、乾式変圧器20のコアクランプは、2つの上側クランプ240と2つの下側クランプ250とを含み、上側クランプ240は、前述したコアクランプ140の構造と同じであり、繊維強化複合材料から製造され、具体的に繰り返し説明されない。2つの下側クランプ250は、互いに協働して使用される複数のねじ及びボルトで鉄心210の両側に接続して取り付けられ、具体的には、下部ヨーク213の両側に接続して取り付けられ、下側クランプ250の底部は、接地脚部202にボルトで接続されて、フレーム構造を形成する。その後、低電圧巻線と高電圧巻線を上側から下側に向かって鉄心210に外嵌し、低電圧巻線及び高電圧巻線の底部は、いずれも下側クランプ250に直接位置し、最後に他の部品を取り付ける。
本実施例において、下側クランプ250は、矩形状の中空管として設計される点、即ち、下側クランプ250は、4つの板状構造のクランプが互いに接続して囲むことによって形成される閉じた構造を有する点で上側クランプ240と異なる。下側クランプ250は、低電圧巻線や、高電圧巻線などの部品の重力負荷を負担する必要があるため、当該構造によって、下側クランプ250はより高い機械的強度を負担することができ、構造がより安定である。
図8及び図9を組み合わせて参照すると、下側クランプ250の4つのクランプは、鉛直方向に沿って設けられた2つの第1のクランプ252と、水平方向に沿って設けられた2つの第2のクランプ253と、を含む。2つの第1のクランプ252と2つの第2のクランプ253とは、互いに接続して囲むことによって形成される閉じた矩形構造を有する。一方の第1のクランプ252は、下部ヨーク213に密着して設けられ、一方の第2のクランプ253は、低電圧巻線及び高電圧巻線に密着して設けられ、他方の第2のクランプ253は、接地脚部202にボルトで接続される。選択的に、第1のクランプ252の鉄心210の軸方向の高さをより大きく設定する。このように、低電圧巻線と高電圧巻線の底部が第2のクランプ253に直接位置すると同時に、下部ヨーク213と低電圧巻線及び高電圧巻線との間に一定の隙間Mを残し、当該隙間Mが低電圧巻線の下端及び高電圧線巻線の下端のそれぞれと下部ヨーク213との間に安全な電气的距離を維持することができるため、下側クランプ250と低電圧巻線及び高電圧線巻線との間に絶縁パッドを設けることを回避することができ、コストを節約することができる。
下側クランプ250は、繊維強化複合材料から製造され、具体的には、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造される。エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造された下側クランプ250は、軽量で、絶縁性能がよく、機械的強度が高いため、他の支持パッド構造を必要とせずに、低電圧巻線及び高電圧巻線を下側クランプ250上に直接配置することができるので、製造コストを節約し、製品の自重を低減した。更に、支持パッド構造を必要としないので、一方では、パッドの位置と方向を調整するステップを省略し、製品を組立して配置する時間を節約して製品の組立効率を改善することができ、もう一方では、乾式変圧器全体の構成の安定性が強くなり、製品輸送中のパッドの変位などの欠陥による低電圧巻線及び高電圧巻線の変位と電气的距離の変化のリスクを回避できる。
図10~図15に示すように、高電圧巻線130は、巻線体1310と高電圧コイル1320と高電圧絶縁層1330とを含み、導線は巻線体1310に巻回されて高電圧コイル1320を形成する。巻線体1310は、支持筒1311と巻線部1312とを含む。支持筒1311は、中空の柱体であり、中空の円柱体であってもよいし、中空の楕円柱体又は他の中空の柱状体であってもよい。巻線部1312は、支持筒1311の外周面に設けられ、導線は巻線部1312内に巻回されて高電圧コイル1320を形成する。高電圧コイル1320は、支持筒1311の軸方向に沿って間隔をおいて配置された複数セグメントのコイルを含む。巻線体1310の軸方向と高電圧巻線130の軸方向とは、同じ方向である。
巻線部1312は、複数の巻線板1313を含み、複数の巻線板1313は、支持筒1311の周方向において支持筒1311の外周面に等間隔に配置される。各巻線板1313は、支持筒1311の軸方向に沿って延びており、巻線板1313の支持筒1311の軸方向に沿って延びた長さは、支持筒1311のその軸方向に沿って延びた長さよりも小さい。巻線板1313の数は、少なくとも2つである。選択的に、巻線板1313の数は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上であってもよいが、ここでは限定されない。好ましくは、乾式変圧器(例えば、10kV/1000kVA乾式変圧器)の巻線板1313の数は、導線の確実な巻回を保証するとともに、できるだけ材料を節約するために、12個である。他の実施例において、巻線板の支持筒の軸方向に沿って延びた長さは、支持筒のその軸方向に沿って延びた長さと等しくてもよい。
巻線板1313は、矩形板状部材であり、巻線板1313のより長い側縁は、支持筒1311の軸方向に沿って設けられ、即ち、巻線板1313の長手方向は、支持筒1311の軸方向に沿って設けられ、巻線板1313には、複数の巻線溝1314が更に設けられ、複数の巻線溝1314は、巻線板1313が櫛歯状を有し、即ち、巻線板1313に複数の櫛歯が形成されるように、支持筒1311の径方向に沿って延びているとともに、支持筒1311の軸方向に沿って間隔をおいて分布する。巻線板1313上の櫛歯の支持筒1311の軸方向に沿った高さを歯の高さとして定義すると、、巻線板1313の両端の櫛歯の歯の高さ及び巻線板1313の中央部の櫛歯の歯の高さは、いずれも他の部分の櫛歯の歯の高さよりも大きいことが好ましい。高電圧コイル1320の端部の電界強度が不均一であるため、巻線板1313の両端の歯の高さをより大きく設計することで電界を均一にすることができる。また、巻線板1313の中央部にはタップ線のタップを引き出す必要があるため、巻線板1313の中央部の歯の高さをより大きく設計すると、対応する隣接する2つの巻線溝1314同士の間の距離もより大きくなり、巻線板1313の中央部から引き出されたタップのために配置空間を確保することができる。歯の高さがより大きい櫛歯領域を高櫛歯領域として定義し、歯の高さがより小さい櫛歯領域を低櫛歯領域として定義する。上記のように設けることにより、巻線板1313の支持筒1311の軸方向において一端から他端に向かって、第1の高櫛歯領域、第1の低櫛歯領域、第2の高櫛歯領域、第2の低櫛歯領域、及び第3の高櫛歯領域が順に形成される。更に、第1の高櫛歯領域、第2の高櫛歯領域、及び第3の高櫛歯領域の歯の高さについては、特に限定されなく、例えば、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。選択的に、第1の高櫛歯領域と第3の高櫛歯領域とは第2の高櫛歯領域に対して対称に配置され、第1の低櫛歯領域と第2の低櫛歯領域とは第2の高櫛歯領域に対して対称に配置されることにより、高電圧コイル1320が高電圧巻線130の軸方向において対称に配置され得る。この場合、高電圧巻線130の重心が高電圧巻線130の中心位置に位置し、高電圧巻線130の吊り上げや輸送が便利になる。選択的に、第1の高櫛歯領域、第1の低櫛歯領域、第2の高櫛歯領域、第2の低櫛歯領域、及び第3の高櫛歯領域は、対称に配置されなくてもよいが、ここでは限定されない。選択的に、各領域の櫛歯の歯の高さは、等しい高さ又は他の設置方法を採用してもよいが、ここでは限定されない。
巻線板1313における隣接する2つの櫛歯同士の間に少なくとも1セグメントのコイルが設けられることにより、各巻線溝1314内に導線が巻き取られており、高電圧コイル1320が合理的に配置され、各セグメントのコイルが間隔をおいて配置されるのを実現することができる。
巻線板1313は、支持筒1311の周方向において支持筒1311の外周面に等間隔に配置され、各巻線板1313の両端は、面一に設けられるとともに、各巻線板1313上の巻線溝1314は、支持筒1311の周方向において1対1で一致し、各セグメントのコイルは、導線によって支持筒1311の周方向に沿って全ての巻線板1313上の対応する1回りの巻線溝1314内に巻回され、かかる力が均一で、機械的強度が良い。
他の実施例において、タップの配置位置を避けるために、複数の巻線板は、支持筒の外周面に不等間隔に配置されてもよい。即ち、隣接する2つの巻線板同士の間の距離は互いに等しくなく、例えばある隣接する2つの巻線板同士の間の距離は他の任意の隣接する2つの巻線板同士の間の距離よりも大きい。この場合、各々のタップを間隔がより大きい隣接する2つの巻線板同士の間から引き出すことができ、これにより、巻線板の中央部の櫛歯の歯の高さをより大きく設けることなく、各々のタップの配置位置を確保することができる。
他の実施例において、巻線板は、支持筒の周方向を取り囲んで設けられた環状のディスク部材であってもよい。複数の巻線板は、支持筒の軸方向に沿って間隔をおいて配置され、導線は、隣接する2つの巻線板に形成された凹溝内に巻回される。
選択的に、支持筒1311は、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維を巻き取って硬化成形又は引抜き成形された中空管であってもよいし、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維又はアラミド繊維を引き抜いて巻取り成形された中空管であってもよいし、エポキシ樹脂を含浸したアラミド繊維を巻き取って硬化成形又は引抜き成形された中空管であってもよいし、又は他の複合材料を使用して製造されてもよいが、ここでは限定されない。
本発明による一実施例において、支持筒1311と巻線板1313は、それぞれ別個に形成された2つの部品であり、両者は接着により固定される。巻線板1313も、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造され、多層ガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸した後、一定の厚さになるように積層し、プレス硬化して矩形のガラス鋼板状部材を形成し、ガラス鋼板状部材に巻線溝1314を設け、具体的には巻線溝1314を旋削により形成して、巻線板1313を形成し、巻線板1313を接着剤によって支持筒1311の外周面に固定的に接続することにより、製造原料を最大限に節約してコストを節約する。選択的に、接着剤は、2成分の耐高温性のエポキシ接着剤であり、当然ながら、他の接着剤であってもよい。しかし、当該接着剤は、支持筒1311と巻線板1313との接着を確実にするとともに、巻線体1310の外側での高電圧絶縁層1330の高温射出に適応するために耐高温性であることを保証する必要がある。
本実施例において、巻線板1313は、プレス及び硬化によって成形される。他の実施例において、工程を簡略化するために、巻線板1313は、一体注型され、硬化されて直接成形された櫛歯状の巻線板であってもよい。また、巻線板の材質は前述したとおりであるため、繰り返し説明されない。
本発明による別の一実施例において、支持筒1311は、巻線板1313と一体成形される。エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維又はアラミド繊維を厚さのより大きい中空管に引抜いた後又は巻取った後、当該中空管を旋削して支持筒1311と巻線板1313を形成する。このようにして、材料の使用量が比較的多いが、支持筒1311と巻線板1313との間の強度を保証することができ、接着不良や後続の高電圧絶縁層1330の射出中における支持筒1311と巻線板1313との間の接続の損傷を防止することができる。
本発明による一実施例において、図10及び図11に示すように、巻線体1310は、2つの見返し1315を更に含み、2つの見返し1315は、支持筒1311の2つの端部にそれぞれ設けられるとともに、支持筒1311の径方向に沿って外側に延びて環状ディスク面を形成する。両端の見返し1315は、対向して設けられ、巻線板1313が巻線体1310の外周面に配置される場合、巻線板1313の2つの端部の外側端面が2つの見返し1315の互いに対向するディスク面に当接するので、高電圧絶縁層1330の射出中においてより大きな射出圧力によって巻線板1313が損傷することを防止する。当然ながら、巻線板1313の2つの端部の外側端面は、2つの見返し1315の互いに対向するディスク面に当接しなくてもよく、即ち、巻線板1313の2つの端部の外側端面と見返し1315の巻線板1313に向かうディスク面との間に隙間を残してもよいが、ここでは限定されない。見返し1315は、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造され、支持筒1311と一体成形され、即ち、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維又はアラミド繊維から引抜き成形又は巻取り成形された後に、一定の厚さを有するディスク部材に加工・研磨される。
巻線体1310は、上記の繊維強化複合材料から製造されるため、軽量で高強度の特性を有し、より良い機械的強度を持ち、導線の巻回を効果的に支持することができ、損傷しにくく、高温加硫シリコーンゴムを巻線体1310の外側に射出する際に発生する射出衝撃力による導線の追い散らしや変位を回避できる。また、繊維強化複合材料は耐熱性が良いため、乾式変圧器10の運転中において高電圧コイル1320が発生する高すぎる熱による巻線体1310の変形を回避できる。
図10、図12及び図13を組み合わせて参照すると、A相変圧器100の例を挙げて説明する。本発明による一実施例において、導線は、周方向において巻線体1310の外周面に巻回されて高電圧コイル1320を形成する。具体的に、導線は、高電圧コイル1320の支持筒1311の軸方向に間隔をおいて分布するように巻線部1312の巻線溝1314内に巻回され、導線の巻回を完了した後に、前端及び後端に第1の外部接続端子D及び第2の外部接続端子Xである2つの外部接続端子がそれぞれ形成され、第1の外部接続端子Dは、ケーブルに接続され、第2の外部接続端子Xは、他の外部接続線に接続され、例えば、三相変圧器では、各相の変圧器間の相互接続に用いられる。導線は、巻線体1310の軸方向の中央部から、タップ2、タップ3、タップ4、タップ5、タップ6、及びタップ7である6つのタップがそれぞれ引き出され、6つのタップはタップスイッチを形成する。説明の便宜上、タップ2、タップ4、及びタップ6を第1のタップスイッチをとして定義し、タップ3、タップ5、及びタップ7を第2のタップスイッチとして定義する。
本発明による一実施例において、図10、図12及び図15に示すように、導線は、第1の導線と第2の導線とを含み、第1の導線及び第2の導線は、いずれも連続導線であり、第1の導線の外側及び第2の導線の外側は、いずれも絶縁層で被覆される。当該絶縁層は、ポリイミド膜又はガラス繊維膜であってもよいし、又は、当該絶縁層は、ポリエステル塗料などの他の絶縁材料であってもよいし、又は複数種類の絶縁材料を組み合わせて使用してもよいが、ここでは限定されない。第1の導線は、巻線部1312の一端から支持筒1311の軸方向に沿って巻線部1312の中央部まで巻回され、3つのタップが引き出される。図12を参照して、説明の便宜上、巻線部1312の上端を第1の端として定義し、巻線部1312の下端を第2の端として定義すると、第1の導線は、巻線部1312の第1の端から巻線部1312の第2の端に向かって巻回され始め、第1の導線は、全ての巻線板1313のうちの1番目の巻線溝1314に所定の巻数だけ巻き取られて、1番目のセグメントのコイル1321を形成し、1番目のセグメントのコイル1321は、円盤状コイルである。各巻線溝1314内には、円盤状コイルが1つのみ設けられ、即ち、各セグメントのコイルは、いずれも1つの円盤状コイルのみを有する。第1の導線の巻線部1312の第1の端に位置する内側導線端は、高電圧絶縁層1330の外側に露出する第1の外部接続端子Dを形成し、つまり、1番目のセグメントのコイル1321の内側導線端(即ち、第1の導線の前端)から第1の外部接続端子Dが引き出され、1番目のセグメントのコイル1321の外側導線端は、全ての巻線板1313のうちの2番目の巻線溝1314内に延びて、巻回され続けて2番目のセグメントのコイル1322を形成する。上記のように、第1の導線が巻線体1310の中央部に巻回されるとともに、その中の3つのセグメントのコイルの外側導線端から3つのタップ、即ち図15に示されるタップ6、タップ4、及びタップ2がそれぞれ引き出されるまで、第1の導線の巻回が完了する。
第2の導線は、巻線部1312の中央部から支持筒1311の軸方向に沿って巻線部1312の第2の端まで巻回され、別の3つのタップが引き出される。具体的に、第2の導線は、タップ2に隣接する次の巻線溝1314内に巻回され始めて、3番目のセグメントのコイル1323を形成する。第2の導線は第1の導線と同様な巻回方法によって巻線部1312の第2の端に向かって巻回され続けて、3番目のセグメントのコイル1323から始まる3つのセグメントのコイルから別の3つのタップ、即ちタップ3、タップ5、及びタップ7がそれぞれ引き出され、第2の導線は、巻線部1312の第2の端の各巻線板1313の最後の巻線溝1314内に巻回されて最終端のセグメントのコイル1324を形成する。第2の導線の巻線部1312の第2の端に位置する外側導線端は、高電圧絶縁層1330の外側に露出する第2の外部接続端子Xを形成し、つまり、最終端のセグメントのコイル1324の外側導線端(即ち、第2の導線の後端)から第2の外部接続端子Xを引き出す。これにより第2の導線の巻回が完了する。
導線を巻回する際に、導線を巻回して形成された各セグメントのコイルがいずれも支持筒1311の軸方向に垂直であるように、全ての巻線板1313の巻線溝1314内に巻回するため、巻回が容易で導線の配置が整然としており、巻線板1313及び支持筒1311にかかる力が均一で、機械的強度が良好である。
このように、円盤状の高電圧コイル1320が形成される。当該コイル構造は、より良い機械的強度を有し、短絡電流による電気動力に対する受容能力が強く、層状のコイルに比較すると、円盤状コイルの数がより多いため、放熱能力もより良い。また、支持筒1311の軸方向において、図13及び図15に示すように、タップ6、タップ4、及びタップ2は、順に分布して第1のタップスイッチを形成し、タップ3、タップ5、及びタップ7は、順に分布して第2のタップスイッチを形成するとともに、第1のタップスイッチと第2のタップスイッチとは、平行に配置され、6つのタップによって高電圧コイル1320のタップ装置が形成されることにより、乾式変圧器10は異なる運転状況に応じて電圧を調整することができる。
導線が巻線体1310に巻回されて高電圧コイル1320を形成することにより、高電圧コイル1320は環状となり、高電圧コイル1320の環の幅を高電圧コイル1320の幅として定義すると、高電圧コイル1320のその径方向の断面における幅は全て一致し、即ち高電圧コイル1320の外側面と支持筒1311の外周面とは等間隔であり、高電圧コイル1320全体にかかる力のバランスが取っている。当然ながら、実際の動作を考慮して、各コイルのその径方向の断面における幅は、ほぼ同じであれば、完全に同じでなくてもよい。
本実施例において、第2の導線は、タップ2に隣接する次の巻線溝1314内から、巻線部1312の第2の端の最後の巻線溝1314内まで巻回される。他の実施例において、第2の導線は、巻線部の第2の端の最後の巻線溝1314内から、タップ2に隣接する次の巻線溝1314内まで上向きに巻回されてもよい。ここで、まず第2の外部接続端子Xを形成してから、タップ7、タップ5、及びタップ3を順に形成する。当然ながら、高電圧コイル1320の巻回方法は、上記の方法に限定されず、最終的に高電圧巻線130を形成できれば、他の方法によって円盤状コイル又は層状のコイルを形成してもよい。
本実施例において、タップスイッチは6つのタップを含む。この場合、乾式変圧器10は、5つのレベルの調整可能な電圧を有する。他の実施例において、タップスイッチは4つのタップを含み、即ち第1のタップスイッチ及び第2のタップスイッチはそれぞれ2つのタップを含んでもよい。この場合、乾式変圧器は3つのレベルの調整可能な電圧を有する。乾式変圧器の実際の使用要求に合致すれば、ここでは限定されない。
図12~図14に示すように、高電圧絶縁層1330は、高電圧コイル1320と巻線体1310とを被覆して高電圧巻線130を形成する。高電圧絶縁層1330は、高温加硫シリコーンゴム又は射出用液状シリコーンゴムなどの射出成形シリコーンゴムである。射出成形シリコーンゴムは、射出工程によって成形され、成形速度が速く、生産効率が高く、クラックやエアギャップがなく、製品の部分放電が小さいとともに、シリコーンゴム弾性体であるため、組み立てられた後、高電圧巻線130と各々の部品との接続部位はいずれも弾性振動減衰を実現することができ、乾式変圧器10の運転中の騒音を大幅に低減する。高電圧絶縁層1330に高温加硫シリコーンゴムを採用する例を挙げると、まず、導線を巻線体1310に巻回して高電圧コイル1320を形成し、巻線体1310と高電圧コイル1320を射出対象物として射出機の金型内に配置し、シリコーンゴム原料を添加することにより、射出対象物の外周全体に高温加硫シリコーンゴムを射出して、高電圧巻線130を得る。高電圧絶縁層1330に高温加硫シリコーンゴムを採用することで、高電圧巻線130の絶縁性能及び機械的性能を全体的に向上させる。
本発明の実施例による高温加硫シリコーンゴムは、具体的には、生ゴム、補強剤、難燃剤、耐熱剤及び他の補助材料を含む高温加硫シリコーンゴム材料系を採用する。
一体真空射出によって高温加硫シリコーンゴムで高電圧コイル1320と巻線体1310を被覆した後、高温加硫シリコーンゴムは高電圧コイル1320と巻線体1310との間の隙間に充填されるとともに巻線体1310の両端を被覆し、且つ、高温加硫シリコーンゴムは支持筒1311の内壁を被覆せず、高電圧巻線130全体を中空柱状にする。選択的に、高電圧巻線130は、中空の円柱体であってもよいし、中空の楕円柱体又は他の中空の柱状体であってもよい。
高温加硫シリコーンゴムを一体射出する前に、工具接続部材101を設けることによって、6つのタップを接続し、6つのタップが射出中においてシリコーンゴムで被覆されて配線に使用できないことを回避する。図14に示すように、工具接続部材101は、アルミニウム合金板状部材であり、工具接続部材101の板面には、保護キャビティが設けられ、タップは当該保護キャビティ内に固定的に接続される。本発明において、当該保護キャビティは、6つの同一の段付き穴1011であり、段付き穴1011の内壁には、ねじ山が更に設けられる。6つのタップは、6つの段付き穴1011に溶接によりそれぞれ接続されてもよいし、他の方法により固定的に接続されてもよいが、ここでは限定されない。また、工具接続部材101における6つの段付き穴1011は、2列に平行に設けられ、各列に3つの段付き穴1011が設けられて第1のタップスイッチと第2のタップスイッチも平行に配置される。同時に、一体射出する前に、6つのタップを6つの段付き穴1011にそれぞれ接続した後に、6つの段付き穴1011内にいずれもボルトを接続する。このようにすると、ボルトで段付き穴1011の残りの空間に直接充填することができ、シリコーンゴムで6つの段付き穴1011に充填することを防止し、それにより6つのタップがシリコーンゴムで被覆されて配線に使用できないことを回避する。
工具接続部材101の2つの対向する側面には、2つの対称な接続溝1012が更に設けられ、射出金型には、対応して2つの接続ブロックが設けられる。工具接続部材101は射出金型に配置される際に、工具接続部材の2つの接続溝1012を介して射出金型における2つの接続ブロックにそれぞれ係合して接続され、工具接続部材101は射出金型に固定され、シリコーンゴムの射出中においてより大きな射出圧力による工具接続部材101の位置ずれを防止する。
他の実施例において、工具接続部材の2つの対向する側面には、2つの対称な接続ブロックが設けられ、射出金型には、対応して2つの接続溝が設けられてもよい。工具接続部材は射出金型に配置される際に、工具接続部材の2つの接続ブロックを介して射出金型における2つの接続溝にそれぞれ係合して接続され、工具接続部材は射出金型に固定され、シリコーンゴムの射出中においてより大きな射出圧力による工具接続部材の位置ずれを防止する。一体射出によって高電圧絶縁層1330が形成された後、工具接続部材101の側面は少量のシリコーンゴムで被覆され、工具接続部材101に被覆されたシリコーンゴムは比較的少量であるため、工具によって工具接続部材101を直接取り外して、第1のタップスイッチ及び第2のタップスイッチを露出させ、最終的に図13に示される高電圧巻線130を形成することができる。
本実施例において、工具接続部材101は、1つ設けられる。他の実施例において、工具接続部材は、2つ設けられてもよい。この場合、工具接続部材のサイズはより小さく設けられ、各工具接続部材には3つの段付き穴が設けられ、6つのタップは当該6つの段付き穴にそれぞれ接続されればよいが、ここでは限定されない。
本実施例において、図16に示すように、図16は高電圧絶縁層1330で被覆された高電圧巻線130の軸方向に沿った部分断面図を示す。導線は、前述した実施例における巻回方法によって、櫛歯状の巻線板1313に巻回されて、円盤状の高電圧コイル1320が形成され、高電圧巻線130の軸方向に沿って、円盤状の高電圧コイル1320と巻線板1313の櫛歯とは間隔をおいて設けられ、即ち隣接する2つの櫛歯同士の間に1つの円盤状コイルが設けられる。
別の一実施例において、図17に示すように、図17は高電圧絶縁層2330で被覆された高電圧巻線230の軸方向に沿った部分断面図である。導線は、二重巻線連続巻回法によって櫛歯状の巻線板2313に巻回されて高電圧コイル2320を形成する。2本の同じ連続導線が隣接して配置された後に、同時に全ての巻線板2313の上端に対応する1回りの巻線溝2314内から巻回されて1番目のセグメントのコイル2321を形成し、1番目のセグメントのコイル2321は、支持筒2311の軸方向に沿って近接して配列された2つの円盤状コイルを含み、具体的な巻回方法は、前述した実施例における高電圧コイル1320と一致する。順に同様に下向きに巻回されて、2番目のセグメントのコイル2322などの他のコイルを形成し続け、高電圧巻線230の軸方向に沿って間隔をおいて設けられる高電圧コイル2320が形成されるまで、下向きに巻回される。各セグメントのコイルは、いずれも近接して配列された2つの円盤状コイルを含み、各セグメントのコイルの巻線板2313の軸方向に沿った長さは、2本の並列導線の支持筒2311の軸方向に沿った幅の和と等しく、即ち、巻線板2313における隣接する2つの櫛歯同士の間には、2つの円盤状コイルが設けられる。本発明において、2本の同じ導線とは、当該2本の導線のサイズ及び材質がいずれも一致することをいう。単一の導線の連続巻線構造(即ち、前述した高電圧コイル1320の構造)と比較すると、同じサイズ規格の高電圧巻線の場合、巻線溝2314の数を減らすことができ、各セグメントのコイルの間隔部分同士の間の導線の遷移部分を減らし、それにより導線の使用量を減らし、降低コストを下げるという目的を達成する。他の実施例において、巻線板における隣接する2つの櫛歯同士の間には、3つの円盤状コイル又はそれ以上の円盤状コイルが設けられてもよい。
別の一実施例において、図18に示すように、図18は高電圧絶縁層3330で被覆された高電圧巻線330の軸方向に沿った部分断面図を示す。巻線板3313における巻線溝3314の支持筒3311の軸方向に沿った幅は、上記の巻線板2313における巻線溝2314の支持筒2311の軸方向に沿った幅よりも大きい。導線は、まず、層巻き法によって1番目のセグメントのコイル3321を形成する。具体的には、1本の連続導線を用いて、全ての巻線板3313の上端に対応する1回りの1番目の巻線溝3314内において、支持筒3311の軸方向に沿って1番目の巻線溝3314内の上端で下向きに連続巻回を行い、導線が1番目の巻線溝3314の下端に巻回されるまで1番目の層のコイルを形成し、1番目の層のコイルの導線は、支持筒3311の外周面で密に配置された螺旋状を有する。1番目の層のコイルの巻回を完了した後、導線は、逆向きに支持筒3311の軸方向に沿って1番目の巻線溝3314の下端から上向きに巻回されて2番目の層のコイルを形成する。導線は、1番目のセグメントのコイル3321が高電圧コイル3320の支持筒3311の径方向における所定の幅に達するまで、順に同様に往復して巻回され、最終的に、1番目のセグメントのコイル3321は支持筒3311の外周面で密に配置された螺旋状を有する。そして、導線は、巻線板3313の櫛歯を通って2番目の巻線溝3314内に遷移し、層巻き法に従って巻回されて2番目のセグメントのコイル3322を形成する。全ての巻線溝3314内の導線の巻回を終了するまで、順に同様に巻回され、それにより最終的に高電圧コイル3320を形成する。
巻線溝3314の支持筒3311の軸方向に沿った幅がより大きく、各セグメントのコイルは巻線板3313の軸方向に沿って螺旋状に配列されるとともに、各セグメントのコイルの巻線板3313の軸方向に沿った長さは2本の並列導線の幅の和よりも大きいため、複数セグメントの円筒状の高電圧コイル3320が形成される。二重巻線連続巻回法によって巻回された円盤状の構造(即ち、前述した実施例における高電圧コイル2320の構造)と比較すると、同じ規格の高電圧巻線の場合、高電圧コイル3320がよりコンパクトで、巻線溝3314の数がより少なく、それにより導線の使用量もより少なくなり、コストを更に下げるという目的を達成する。
本実施例において、巻線板3313を設けることによって、1番目のセグメントのコイル3321と2番目のセグメントのコイル3322との間に櫛歯を介在させる。他の実施例において、巻線板を設けずに、1番目のセグメントのコイルと2番目のセグメントのコイルとの間に隙間を設けてもよく、最終的に高電圧絶縁層を充填することによって高電圧コイルを固定し、同様に高電圧コイルセグメント同士の間の絶縁の目的を達することができる。
別の一実施例において、図19に示すように、図19は高電圧絶縁層4330で被覆された高電圧巻線430の軸方向に沿った部分断面図を示す。高電圧コイル4320の形成方法は、前述した実施例における高電圧コイル3320の形成方法と一致するため、繰り返し説明されない。ところが、高電圧コイル4320の各セグメントのコイルの支持筒4311の軸方向に沿った長さは、高電圧コイル3320の各セグメントのコイルの支持筒3311の軸方向に沿った長さよりも大きいため、同じ電圧レベルの乾式変圧器10の場合、セグメント化された円筒状の高電圧コイル4320のセグメント数がより少ない。高電圧コイル4320の各セグメントのコイルの支持筒4311の軸方向に沿った長さがより大きいので、各セグメントのコイル同士の間の電圧差がより大きくなり、それにより各セグメントのコイルの層同士の間に絶縁層を追加して電圧差を低減する必要がある。この場合、各セグメントのコイルには、高電圧巻線430の軸方向において層間絶縁層4301が設けられることにより、層間電界強度が絶縁導線に絶縁フィルムで被覆される耐容限界値より高くなることを防止する。また、各セグメントのコイルの層状構造は、良好な耐雷性を有し、経済的利点もより顕著である。具体的には、層巻き法によって導線を一定の厚さになるように巻回した時に、対応する位置に層間絶縁層4301を配置した後、再度導線を巻回し続けて、層間絶縁層4301を各セグメントのコイル中に設けることができる。
層間絶縁層4301は、メッシュ布であってもよいし、周方向に間隔をおいて配置された絶縁支持ストリップであってもよいし、又は他の硬質絶縁材料であってもよい。また、当該絶縁支持ストリップは、エッジが波形である絶縁長尺ストリップであり、高温加硫シリコーンゴムを射出して高電圧絶縁層を形成する際に、非常に高い射出圧力による絶縁支持ストリップの損傷を防止することができる。また、絶縁支持ストリップは硬質絶縁材料から製造されるため、シリコーンゴムの高温射出時の衝撃力に抵抗することができる。同時に、層間絶縁層4301は、1層設けられてもよいし、2層又は3層設けられてもよく、異なる設計状況に応じて決定されるが、ここでは限定されない。
本発明による一実施例において、図20~図21に示すように、巻線体5310は、前述した実施例における巻線体1310の構造と類似しており、支持筒5311と巻線部5312とが係合して接続される点で異なる。具体的には、巻線体5310は、補助部材5316を更に含み、補助部材5316は、支持筒5311の外周面の中央部に位置するとともに、支持筒5311の径方向に沿って外側に延びており、補助部材5316が支持筒5311を取り囲んで環状のディスク面を有するようにする。巻線板5313又は補助部材5316には、係止溝が設けられ、巻線板5313は、係止溝によって補助部材5316に係合して接続される。本実施例において、各巻線板5313には、いずれも第1の係止溝53131が設けられ、第1の係止溝53131は、補助部材5316が各第1の係止溝53131内に係合されるように、補助部材5316の位置に対応して設けられる。
巻線板5313のより長い側縁は、支持筒5311の軸方向に沿って設けられ、複数の巻線溝5314は、支持筒5311の径方向に沿って設けられるとともに、支持筒5311の軸方向に沿って間隔をおいて分布して、巻線板5313に複数の櫛歯を形成させる。第1の係止溝53131は、巻線板5313上に位置するとともに、巻線溝5314とは逆になるように設けられ、即ち、第1の係止溝53131は、支持筒5311の径方向に沿って設けられ、第1の係止溝53131は、巻線板5313の支持筒5311に近い側面に位置し、支持筒5311の外周面から突出する補助部材5316を第1の係止溝53131内に係合させることができる。補助部材5316は、巻線板5313の安定した配置を維持することができ、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中の巻線板5313の移動やずれを回避できる。
第1の係止溝53131は、巻線板5313の中間位置に位置し、支持筒5311の径方向において、第1の係止溝53131は、巻線板5313の支持筒5311に近い側縁から巻線板5313の中間位置の1つの櫛歯まで延びているか、又は支持筒5311の径方向において、第1の係止溝53131と巻線板5313の中間位置の1つの櫛歯とは、面一に設けられるが、櫛歯まで延びていない。一方では、第1の係止溝53131と巻線溝5314とを面一に設けることにより巻線板5313の機械的強度に影響を与えること、更には巻線板5313が力を受けて破断することを回避する。もう一方では、巻線板5313の中間位置の櫛歯の歯の高さがより大きいため、巻線板5313の機械的強度に対する第1の係止溝53131の影響を更に低減することができる。同時に、第1の係止溝53131の支持筒5311の径方向における溝の深さは、補助部材5316の支持筒5311から突出する幅と一致していることにより、補助部材5316と巻線板5313とが組み立てられた後に、補助部材5316の外側面が第1の係止溝53131の内側面に密着し、機械的強度が良くなり、締結が信頼的である。第1の係止溝53131の溝の深さが補助部材5316の支持筒5311から突出する幅よりも小さいと、巻線板5313と支持筒5311との間に隙間が残り、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中に巻線板5313が補助部材5316を中心に折り曲げられるリスクがあり、第1の係止溝53131の溝の深さが補助部材5316の支持筒5311から突出する幅よりも大きいと、第1の係止溝53131と補助部材5316との間に隙間が残り、補助部材5316は締結の役割を果たすことができない。
補助部材5316は、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造される。まず、プレス成形によって一定の厚さを有する円環部材を形成し、続いて接着剤によって補助部材5316を支持筒5311の外周面に固定的に接続することにより、材料の使用量を最大限に節約してコストを節約する。当然ながら、補助部材は、支持筒と一体成形されてもよい。即ち、まず、厚さのより大きい中空管を製造し、続いて旋削することによって巻線板5313と補助部材5316とを同時に形成する。
本実施例において、1つの補助部材5316及び1組の第1の係止溝53131が設けられている。他の実施例において、2つ又は3つなどの複数の補助部材が設けられてもよい。これに応じて、支持筒の軸方向に沿って間隔をおいて対応して2組又は3組などの複数組の第1の係止溝が設けられてもよい。このような実施例において、各組の補助部材と第1の係止溝は、支持筒の軸方向に沿って間隔をおいて分布して、巻線板の耐強度を効果的に均等化し、巻線板の構造をより安定させる。例えば、一実施例において、支持筒の外周面の中央部及び両端の位置には1つの補助部材がそれぞれ設けられ、各巻線板にはいずれも対応して3つの第1の係止溝が設けられる。
本発明による一実施例において、図22~図23に示すように、前述した実施例における支持筒5311との異なる点は、支持筒6311の外周面の補助部材6316には複数の第2の係止溝63161が設けられ、複数の第2の係止溝63161が補助部材6316の周方向に等間隔に配置されることであり、即ち各第2の係止溝63161がそれぞれ1つの巻線板に対応することである。このような実施例において、巻線板に係止溝を設ける必要はなく、巻線板は第2の係止溝63161内に直接係合される。一方では、巻線板の安定した配置を維持し、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中の巻線板の移動やずれを回避することができ、もう一方では、巻線板に係止溝を設けることによって巻線板の機械的強度に影響を与えることを回避できる。補助部材6316は、前述した実施例における補助部材5316と材質及び成形方法が一致するため、ここでは繰り返し説明されない。
他の実施例において、図24~図25に示すように、巻線体は、巻線部7310のみを含んでもよい。即ち、当該巻線体には支持筒が設けられない。剛性絶縁ライナー筒の構造を省略することにより、高電圧巻線の熱伝導効果がより良くなり、高電圧絶縁層と剛性絶縁ライナー筒との間の界面が存在せず、それにより剛性絶縁ライナー筒の表面放電を抑制し、材料を節約してコストを低減する。
具体的には、巻線部7310は、複数の櫛歯状の巻線板7311と、複数の補助部材7312と、を含む。複数の補助部材7312は、環状であり、補助部材7312の軸方向に沿って間隔をおいて設けられる。巻線板7311は、補助部材7312の軸方向に沿って複数の補助部材7312の外周に固定され、各巻線板7311は、全ての補助部材7312に同時に接続される。複数の巻線板7311は、補助部材7312の周方向に沿って等間隔に配置される。補助部材7312の軸方向は、巻線部7310の軸方向、即ち高電圧巻線の軸方向である。補助部材7312の形状は、高電圧巻線の形状全体に応じて円環状、楕円環状などに設計することができる。複数の巻線板7311は、補助部材7312の周方向に沿って設けられ、導線は、巻線部7310に巻回されて高電圧コイルを形成し、高電圧コイルは、複数セグメントのコイルを含み、複数セグメントのコイルは、高電圧巻線の軸方向に沿って間隔をおいて配置され、高電圧絶縁層は、高電圧コイル、複数の補助部材7312、及び巻線板7311を被覆している。補助部材7312は、巻線板7311の安定した配置を維持することができ、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中の巻線板7311の移動やずれを回避できる。
一実施例において、補助部材7312の外面には、複数の第3の係止溝73121が設けられ、複数の第3の係止溝73121は、補助部材7312の周方向に沿って等間隔に設けられる。複数の補助部材7312の第3の係止溝73121は、補助部材7312の軸方向において互いに面一になって、複数の第3の係止溝列を形成し、第3の係止溝列の数は巻線板7311の数に対応する。各巻線板7311は、巻線板7311が周方向において複数の補助部材7312の外周に等間隔に配置されるように、対応する1つの第3の係止溝列に係合される。更に、全ての巻線板7311の両端は面一になるとともに、全ての補助部材7312における第3の係止溝73121は補助部材7312の軸方向において互いに面一になることにより、各巻線板7311が補助部材7312の軸方向に沿って設けられ、更に導線は巻線板7311の櫛歯内に巻回されて高電圧コイルを形成し、即ち、高電圧コイルの複数セグメントのコイルが巻線部7310の軸方向に間隔をおいて分布し、かかる力が均一で、機械的強度が良くなる。
第3の係止溝73121の補助部材7312の周方向に沿った幅を第3の係止溝73121の溝の幅として定義すると、第3の係止溝73121の溝の幅は、巻線板7311の厚さと一致し、それにより巻線板7311と補助部材7312との組み立てが確実になり、第3の係止溝73121の溝の幅が巻線板7311の厚さよりも小さい場合に、巻線板7311が補助部材7312に面一に固定されにくくなることを回避することができ、又は、第3の係止溝73121の溝の幅が巻線板7311の厚さよりも大きい場合に、巻線板7311が補助部材7312の外側から離脱されることを回避することができる。巻線板7311は、接着剤によって第3の係止溝73121内に固定的に接続され、接着剤は、2成分の耐高温性のエポキシ接着剤であり、当然ながら、他の接着剤であってもよい。しかし、当該接着剤は、巻線板7311と補助部材7312との接着を確実にするとともに、高電圧絶縁層が高温射出の方法によって巻線板7311及び補助部材7312に被覆されることに適応するために耐高温性であることを保証する必要がある。
他の実施例において、巻線板の補助部材に近い側面に係止溝が設けられ、補助部材は巻線板の係止溝内に係合されて巻線板は補助部材に固定的に接続されてもよい。当然ながら、好ましくは、前述した実施例において、補助部材7312に第3の係止溝73121が設けられることによって、巻線板に係止溝が設けられることによって巻線板の機械的強度が低下することを回避する。
引き続き図24を参照すると、巻線板7311は、櫛歯板7311であり、櫛歯板7311は、前述した実施例における巻線板1313の構造と類似しているが、、櫛歯板7311の両端には、いずれも流通溝73111が設けられる点で異なる。それにより、高電圧絶縁層の射出成形中において、射出されるシリコーンゴム原料が巻線部7310の端部から巻線部7310の内側に流入することができ、更に高電圧絶縁層が巻線部7310と高電圧コイルとの間の隙間及び巻線部7310の両端に十分に充填される。
巻線板7311及び補助部材7312は、いずれもエポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造され、多層ガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸した後、一定の厚さになるように積層し、プレスして硬化してガラス鋼件を形成する。本実施例において、巻線板7311及び補助部材7312は、別体に成形された後に接着により固定される。他の実施例において、巻線板と補助部材とは、一体成形されてもよい。
別の一実施例において、図26~図27を参照すると、高電圧巻線830は、巻線部8312と、高電圧コイル8320と、高電圧絶縁層8330と、を含む。巻線部8312は、高電圧巻線830の内側で周方向に設けられ、導線は、巻線部8312の外側に巻回されて高電圧コイル8320を形成する。高電圧絶縁層8330は、高電圧コイル8320及び巻線部8312を被覆している。前述した実施例における高電圧巻線130と比較すると、高電圧巻線830では、巻線体として巻線部8312のみが設けられ、剛性絶縁ライナー筒、即ち支持筒は設けられていない。剛性絶縁ライナー筒の構造を省略することにより、一方では、高電圧巻線830の熱伝導効果がより良くなり、高電圧絶縁層8330と剛性絶縁ライナー筒との間の界面が存在せず、それにより剛性絶縁ライナー筒の表面放電を抑制し、もう一方では、更に材料を節約してコストを低減する。
巻線部8312は、複数の櫛歯状の巻線板8313を含み、複数の巻線板8313は、間隔をおいて設けられるとともに、高電圧巻線830の内側の周方向に等間隔に配置され、各巻線板8313は、高電圧巻線830の軸方向に沿って設けられる。高電圧コイル8320は、複数セグメントのコイルを含み、巻線板8313上の隣接する2つの櫛歯同士の間には、少なくとも1セグメントのコイルが設けられる。巻線板8313の数は、少なくとも2つである。選択的に、巻線板8313の数は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上であってもよいが、ここでは限定されない。
巻線板8313には、複数の巻線溝8314が更に設けられ、それにより巻線板8313は櫛歯状を有し、即ち、巻線板8313には、複数の櫛歯が形成される。巻線板8313の具体的な構造、材質、成形方法などは、前述した巻線板1313と一致するため、ここでは繰り返し説明されない。
別の一実施例において、図28~図31に示すように、高電圧巻線930は、前述した高電圧巻線830と基本的に同じであるが、巻線部9312は、補助部材9316を更に含み、補助部材9316は、環状であり、高電圧巻線930とは同軸であり、複数の巻線板9313に外嵌されて固定される点で異なる。補助部材9316の配置により、巻線板9313の安定した配置を維持することができ、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中の巻線板9313の移動やずれを回避できる。
具体的には、補助部材9316は、少なくとも1つの端部補助部材93161を含み、端部補助部材93161は、巻線板9313の端部の外側に設けられる。これにより、巻線板9313の安定した配置を維持しつつ、導線の巻回に影響を与えない。図29を参照すると、巻線板9313の端部の外側には、凹溝9317が設けられ、端部補助部材93161は、凹溝9317内に嵌合され、それにより端部補助部材93161と巻線板9313との効果的な接続を保証できる。凹溝9317は、巻線板9313の櫛歯側、即ち巻線板9313の高電圧巻線930の軸心から離れた側に位置することにより、端部補助部材93161の巻線板9313に対する固定の役割がより良くなり、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中の巻線板9313の移動やずれを回避できる。凹溝9317の溝の深さは、端部補助部材93161の厚さ以上であることによって、射出時にシリコーンゴム原料が巻線板9313の端部及び端部補助部材93161を被覆することを容易にするとともに、外部からの力の影響によって巻線板9313と端部補助部材93161との接続が失効されにくくなる。端部補助部材9316は、接着剤によって凹溝9317内に固定的に接続され、接着剤は、2成分の耐高温性のエポキシ接着剤であり、当然ながら、他の接着剤であってもよい。しかし、当該接着剤は、端部補助部材9316と巻線板9313との接着を確実にするとともに、高電圧絶縁層が高温射出の方法によって巻線板9313及び端部補助部材93161の外周に被覆されることに適応するために耐高温性であることを保証する必要がある。他の実施例において、端部補助部材は、凹溝のサイズと完全に一致してもよい。それにより、端部補助部材は接着剤なしで凹溝内に嵌合されて固定される。
本実施例において、巻線板9313の2つの端部の外側には、いずれも端部補助部材93161が設けられる。それにより、巻線板9313の両端がいずれも補助部材9316によって固定され、巻線板9313の安定した配置を効果的に維持することができる。他の実施例において、巻線板における1つの端部のみの外側に、端部補助部材が設けられてもよい。
図28及び図30を組み合わせて参照すると、補助部材9316は、中間補助部材93162を更に含み、巻線板9313を中空キャビティに取り囲む時、中空キャビティの内壁を形成するための一側面を巻線板9313の内壁として定義すると、中間補助部材93162は巻線板9313の内壁に設けられ、巻線板9313の櫛歯側の導線の巻回に影響を与えない。図30を参照すると、巻線板9313の内壁には、第4の係止溝93131が設けられ、中間補助部材93162は、第4の係止溝93131内に嵌合され、それにより中間補助部材93162と巻線板9313との効果的な接続を保証できる。第4の係止溝93131の溝の深さは、中間補助部材93162の環の幅と一致し、それにより、中間補助部材93162と巻線板9313とを組み立てた後に、中間補助部材93162の内壁と巻線板9313の内壁とが面一になり、第4の係止溝93131の溝の深さが中間補助部材93162の環の幅よりも小さい場合に、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中に巻線板9313が中間補助部材93162を中心に折り曲げられることを回避でき、又は、第4の係止溝93131の溝の深さが中間補助部材93162の環の幅よりも大きい場合に、中間補助部材93162が締結の役割を果たすことができないことを回避できる。
本実施例において、補助部材9316は、2つの端部補助部材93161と1つの中間補助部材93162とを含む。それにより、巻線板9313は、導線の巻回中及び高電圧絶縁層の射出中に位置の安定を維持し、移動やずれが発生せず、2つのセグメントのコイルが接近し過ぎて、絶縁距離が不足し、放電が発生することを回避できる。他の実施例において、端部補助部材のみを設けてもよいし、中間補助部材のみを設けてもよいし、又は、高電圧巻線の軸方向を沿って間隔をおいて複数の補助部材を設けてもよく、巻線板を補強する役割を果たすことができればよい。
補助部材9316も、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維から製造され、多層ガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸した後、一定の厚さになるように積層し、プレスして硬化して環状のガラス鋼板状部材を形成する。補助部材9316は、円環状であってもよいし、楕円環状であってもよいし、又は他の環状であってもよい。端部補助部材93161の厚さは、巻線板9313の両端の歯の高さよりも小さくされる必要があり、中間補助部材93162は、その厚さに要求がない場合には、その環の幅は、巻線板9313の非櫛歯部位の幅、即ち巻線板9313の全幅からその巻線溝9314の幅を引いた幅よりも小さくされる必要があり、或は、中間補助部材93162は、その環の幅に要求がない場合には、その厚さは、巻線板9313の中央部の櫛歯の歯の高さよりも小さくされる必要がある。このように、補助部材9316が巻線溝9314を占有して導線の巻線板9313への巻回に影響を及ぼすことを回避する。
選択的に、補助部材9316と巻線板9313とは、別体に成形された後に固定的に接着され、又は、補助部材9316と巻線板9313とは、一体成形される。
導線は、周方向に巻線板9313の外周面に巻回されて高電圧コイルを形成する。次に、高温加硫シリコーンゴムを一体真空射出によって巻線部9312、高電圧コイル、及び補助部材9316に被覆して高電圧巻線930を形成する。
本発明の有益な効果は少なくとも以下を含む。本発明の乾式変圧器の高電圧巻線は、巻線体と、高電圧コイルと、射出成形シリコーンゴムの高電圧絶縁層と、を備え、従来技術のエポキシ樹脂高電圧絶縁層と比較すると、以下の利点を有する。1)より良い防火性能、抗低温性能、耐老化性能及び耐短絡試験能力を備え、乾式変圧器の使用寿命を効果的に延長することができる。2)銅コイルはシリコーンゴムから剥がれやすく、材料のリサイクル率は99%よりも大きく、環境により優しい。3)シリコーンゴム弾性体は、一方では、機械振動による部分放電の誘因を低減ことができ、装置の放電を抑制する効果を有し、且つ、シリコーンゴムの放電作用での生成物が非導電性の二酸化ケイ素であるため、絶縁の継続的な劣化を効果的に抑制することができ、もう一方では、組み立てた後に各々の部品はシリコーンゴム弾性体によって振動減衰接続を実現し、振動及び騒音を大幅に低減することができる。4)変圧器の運転の損失を低減でき、より省エネである。5)シリコーンゴムは、撥水性と撥水移動性を有し、耐電食性、難燃性効果が良好であるとともに、H種のの絶縁材料であり、良好な絶縁特性を有するため、過酷な環境に対する良好な耐性を有し、屋内や屋外に取り付けることができる。それと同時に、本発明のシリコーンゴムは、高温加硫射出によって一体成形され、この工程方法により、高電圧絶縁層がより安定で、機械的性能がより高く、高電圧コイル及び巻線体との接着性能がより良く、高電圧絶縁層の使用寿命を効果的に延長することができる。また、本発明の射出用シリコーンゴムフィラーは、均一で分散されており、フィラーの凝集による乾式変圧器の部分放電が発生することがなく、乾式変圧器の全体性能をより優れたものとしている。
本願の技術的内容及び技術的特徴は、上記のように開示されているが、本発明の創作思想の下で、当業者は、本明細書において個別に開示された技術的特徴又は請求する技術的特徴の組み合わせを含め、これらの特徴の他の組み合わせを明らかに含む、上記の構造及び材料に対して様々な変更や改善を行うことができる。これらの変更及び/又は組み合わせは、いずれも本願に係る技術分野及び本願の特徴請求の範囲に含まれる。
一実施例において、前記高電圧絶縁層は、前記高電圧コイルと前記巻線体との間の隙間に充填されるとともに前記巻線体の両端を被覆し、前記高電圧絶縁層は、射出成形シリコーンゴムである。
図12~図14に示すように、高電圧絶縁層1330は、高電圧コイル1320と巻線体1310とを被覆して高電圧巻線130を形成する。高電圧絶縁層1330は、高温加硫シリコーンゴム又は射出用液状シリコーンゴムなどの射出成形シリコーンゴムである。射出成形シリコーンゴムは、射出工程によって成形され、成形速度が速く、生産効率が高く、クラックやエアギャップがなく、乾式変圧器10の部分放電が小さいとともに、シリコーンゴム弾性体であるため、組み立てられた後、高電圧巻線130と各々の部品との接続部位はいずれも弾性振動減衰を実現することができ、乾式変圧器10の運転中の騒音を大幅に低減する。高電圧絶縁層1330に高温加硫シリコーンゴムを採用する例を挙げると、まず、導線を巻線体1310に巻回して高電圧コイル1320を形成し、巻線体1310と高電圧コイル1320を射出対象物として射出機の金型内に配置し、シリコーンゴム原料を添加することにより、射出対象物の外周全体に高温加硫シリコーンゴムを射出して、高電圧巻線130を得る。高電圧絶縁層1330に高温加硫シリコーンゴムを採用することで、高電圧巻線130の絶縁性能及び機械的性能を全体的に向上させる。

Claims (24)

  1. 高電圧巻線に用いられる巻線体であって、
    複数の巻線板であって、前記巻線板に複数の櫛歯を形成するように、各前記巻線板に複数の巻線溝が設けられる複数の巻線板と、
    少なくとも1つの補助部材であって、前記補助部材は環状であり、前記巻線板は前記補助部材の周方向に沿って設けられ、前記補助部材は前記巻線板に固定的に接続される少なくとも1つの補助部材と、を備える
    ことを特徴とする巻線体。
  2. 前記櫛歯の前記巻線板の長手方向に沿った高さを歯の高さとして定義すると、前記巻線板の中央部の前記櫛歯の歯の高さ及び前記巻線板の両端の前記櫛歯の歯の高さは、いずれも前記巻線板の他の部分の前記櫛歯の歯の高さよりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  3. 中空の柱体である支持筒を更に備え、複数の前記巻線板は、前記支持筒の外周面に周方向に均等に配置され、各前記巻線板の長手方向は、前記支持筒の軸方向に沿って設けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  4. 前記巻線板には、前記巻線板の長手方向に沿って一端から他端に向かって、第1の高櫛歯領域、第1の低櫛歯領域、第2の高櫛歯領域、第2の低櫛歯領域、及び第3の高櫛歯領域が順に形成され、前記第1の高櫛歯領域と前記第3の高櫛歯領域は、前記第2の高櫛歯領域に対して対称に配置され、前記第1の低櫛歯領域と前記第2の低櫛歯領域は、前記第2の高櫛歯領域に対して対称に配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の巻線体。
  5. 前記補助部材は、前記支持筒の外周面に位置し、前記補助部材は、前記支持筒の径方向に沿って外側に延びており、前記支持筒を取り囲んで環状をなしている
    ことを特徴とする請求項3に記載の巻線体。
  6. 複数の前記巻線板又は前記補助部材には、係止溝が設けられ、前記巻線板と前記補助部材は、前記係止溝によって係合して接続される
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  7. 前記補助部材は、前記巻線板の内壁に設けられた中間補助部材を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  8. 前記補助部材は、前記巻線板の端部の外側に設けられた端部補助部材を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  9. 前記巻線体は、繊維強化複合材料から製造される
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  10. 前記巻線板の両端には、流通溝が設けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  11. 複数の前記補助部材が設けられており、複数の前記補助部材は、前記補助部材の軸方向に間隔をおいて設けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線体。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の巻線体と、高電圧コイルと、高電圧絶縁層と、を備え、
    前記巻線体に導線が巻回されて前記高電圧コイルを形成し、前記高電圧コイルの外側全体は、前記高電圧絶縁層で被覆される
    ことを特徴とする高電圧巻線。
  13. 前記導線は、第1の導線と第2の導線とを含み、前記第1の導線は、前記巻線体の一端から前記巻線板の長手方向に沿って前記巻線体の中央部まで巻回され、前記第2の導線は、前記巻線体の前記中央部から前記巻線板の長手方向に沿って前記巻線体の他端まで巻回される
    ことを特徴とする請求項12に記載の高電圧巻線。
  14. 前記高電圧絶縁層は、前記高電圧コイルと前記巻線体との間の隙間及び前記巻線体の両端に充填され、前記高電圧絶縁層は、射出成形シリコーンゴムである
    ことを特徴とする請求項12に記載の高電圧巻線。
  15. 前記射出成形シリコーンゴムは、高温加硫シリコーンゴム又は射出用液状シリコーンゴムである
    ことを特徴とする請求項14に記載の高電圧巻線。
  16. 前記高電圧コイルは、複数セグメントのコイルを含み、前記導線は、複数セグメントの前記コイルが前記高電圧巻線の軸方向に沿って間隔をおいて設けられるように前記巻線溝内に巻回され、前記巻線板における隣接する2つの前記櫛歯同士の間には、少なくとも1セグメントの前記コイルが設けられる
    ことを特徴とする請求項12に記載の高電圧巻線。
  17. 各セクションの前記コイルは、前記高電圧巻線の軸方向に沿って層状に往復して巻回されるとともに、前記巻線体の外周面に密に配置される
    ことを特徴とする請求項16に記載の乾式変圧器。
  18. 前記コイルには、前記高電圧巻線の軸方向に沿って少なくとも1つの層間絶縁層が設けられ、前記層間絶縁層は、エッジが波形である絶縁長尺ストリップである
    ことを特徴とする請求項17に記載の乾式変圧器。
  19. 鉄心と、低電圧巻線と、請求項12至18のいずれか1項に記載の高電圧巻線と、を備え、前記低電圧巻線は、前記鉄心に外嵌され、前記高電圧巻線は、前記低電圧巻線に外嵌される
    ことを特徴とする乾式変圧器。
  20. 前記鉄心の外側には、4つのコアクランプが設けられ、前記コアクランプは、繊維強化複合材料から製造される
    ことを特徴とする請求項19に記載の乾式変圧器。
  21. 前記コアクランプは、エポキシ樹脂を含浸した繊維材料からプレス成形又は引抜き成形される
    ことを特徴とする請求項20に記載の乾式変圧器。
  22. 前記低電圧巻線は、銅箔と低電圧絶縁層とを含み、前記銅箔と前記低電圧絶縁層とは、交互に設けられる
    ことを特徴とする請求項19に記載の乾式変圧器。
  23. 前記低電圧絶縁層は、SHS-Pジフェニルエーテルプリプレグ又はシリコーンゴムフィルムである
    ことを特徴とする請求項22に記載の乾式変圧器。
  24. 前記低電圧巻線内には、少なくとも1つの放熱ガス通路が設けられ、前記放熱ガス通路は、前記銅箔と前記低電圧絶縁層との間に位置する
    ことを特徴とする請求項22に記載の乾式変圧器。
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