JP2024505490A - 抗ウイルス性組成物及びデバイス並びにそれらの使用方法 - Google Patents

抗ウイルス性組成物及びデバイス並びにそれらの使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024505490A
JP2024505490A JP2023544599A JP2023544599A JP2024505490A JP 2024505490 A JP2024505490 A JP 2024505490A JP 2023544599 A JP2023544599 A JP 2023544599A JP 2023544599 A JP2023544599 A JP 2023544599A JP 2024505490 A JP2024505490 A JP 2024505490A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon nitride
virus
antiviral
minutes
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023544599A
Other languages
English (en)
Inventor
ジェイ. マッケンタイア、ブライアン
シン バル、バジャンジット
エム. ボク、ライアン
Original Assignee
シントクス テクノロジーズ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by シントクス テクノロジーズ インコーポレイテッド filed Critical シントクス テクノロジーズ インコーポレイテッド
Publication of JP2024505490A publication Critical patent/JP2024505490A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/19Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing inorganic ingredients
    • A61K8/25Silicon; Compounds thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K33/00Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N59/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing elements or inorganic compounds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01PBIOCIDAL, PEST REPELLANT, PEST ATTRACTANT OR PLANT GROWTH REGULATORY ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR PREPARATIONS
    • A01P1/00Disinfectants; Antimicrobial compounds or mixtures thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/16Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for liver or gallbladder disorders, e.g. hepatoprotective agents, cholagogues, litholytics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q11/00Preparations for care of the teeth, of the oral cavity or of dentures; Dentifrices, e.g. toothpastes; Mouth rinses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K2800/00Properties of cosmetic compositions or active ingredients thereof or formulation aids used therein and process related aspects
    • A61K2800/80Process related aspects concerning the preparation of the cosmetic composition or the storage or application thereof
    • A61K2800/805Corresponding aspects not provided for by any of codes A61K2800/81 - A61K2800/95

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Agronomy & Crop Science (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

組成物又は装置と接触するウイルスを不活性化するための抗ウイルス性組成物及び装置並びにそれらの使用方法が本明細書に記載される。組成物及び/又は装置は、1重量%~15重量%の濃度で窒化ケイ素を含み、窒化ケイ素は、組成物及び/又は装置と接触するウイルスの少なくとも85%を不活性化する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月29日に出願された米国仮出願第63/143,370号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本開示は、抗ウイルス性組成物、システム、方法、及びデバイスに関する。より具体的には、本開示は、ウイルスの不活性化のための窒化ケイ素組成物、デバイス、及びコーティングに関する。
ウイルスの安全かつ信頼性の高い不活性化又は除去の必要性は普遍的である。ヒトの健康に影響を及ぼす病原体を制御する広範な必要性が存在する。ヒト薬物療法のための抗ウイルス特性を有する材料だけでなく、様々な医療デバイス又は機器、診察台、衣類、フィルター、マスク、手袋、カテーテル、内視鏡器具等のための表面コーティング及び/又は複合材としての使用も必要とされている。
COVID-19パンデミックの原因である重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、依然として生存可能なままであり、したがっていくつかの材料上で潜在的に感染性である。COVID-19の媒介物による伝播を抑制するための戦略の1つは、表面化学がSARS-CoV-2を自発的に不活性化することができる材料の開発である。
したがって、人体と長時間接触する可能性がある、医療デバイス、機器、衣類、又は他のシステムに適用され得る、ウイルスを不活性化及び死滅させるための安全かつ信頼性の高い方法の必要性が存在する。
約1重量%~約15重量%の濃度で窒化ケイ素を含む抗ウイルス性組成物であって、窒化ケイ素が、組成物と接触するウイルスを不活性化する、抗ウイルス性組成物の実施形態が本明細書に提供される。
いくつかの態様において、ウイルスは、窒化ケイ素と少なくとも1分間又は少なくとも30分間接触する場合がある。例えば、ウイルスは、窒化ケイ素と少なくとも1分間接触した後、少なくとも85%不活性化され得る。窒化ケイ素は、10重量%以下の濃度で存在し得る。窒化ケイ素は、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、又はSiAlONであってもよい。ウイルスは、A型インフルエンザ又はSARS-CoV-2であり得る。いくつかの態様において、組成物は、スラリー、懸濁液、ゲル、スプレー、塗料、又は歯磨き粉である。
約1重量%~約15重量%の濃度で窒化ケイ素を含む抗ウイルス性装置であって、窒化ケイ素が、組成物と接触するウイルスを不活性化する、抗ウイルス性装置の実施形態が本明細書に更に提供される。
いくつかの態様において、ウイルスは、窒化ケイ素と少なくとも1分間又は少なくとも30分間接触する場合がある。例えば、ウイルスは、窒化ケイ素と少なくとも1分間接触した後、少なくとも85%不活性化され得る。窒化ケイ素は、10重量%以下の濃度で存在し得る。窒化ケイ素は、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、又はSiAlONであってもよい。ウイルスは、A型インフルエンザ又はSARS-CoV-2であり得る。いくつかの態様において、装置は、医療デバイス、医療機器、診察台、フィルター、マスク、手袋、カテーテル、内視鏡器具、又は高頻度接触表面であり得る。装置は、金属、ポリマー、及び/又はセラミックであってもよく、窒化ケイ素は、装置の表面上にコーティングされるか、又は埋め込まれてもよい。
また、抗ウイルス性装置をウイルスと接触させることを含み、装置が、約1重量%~15重量%の濃度で窒化ケイ素を含む、ウイルスの伝播を予防する方法の実施形態も本明細書に提供される。
いくつかの態様において、ウイルスは、窒化ケイ素と少なくとも1分間又は少なくとも30分間接触する場合がある。例えば、ウイルスは、窒化ケイ素と少なくとも1分間接触した後、少なくとも85%不活性化され得る。窒化ケイ素は、10重量%以下の濃度で存在し得る。窒化ケイ素は、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、又はSiAlONであってもよい。ウイルスは、A型インフルエンザ又はSARS-CoV-2であり得る。
本発明の他の態様及び反復は、以下でより徹底的に説明される。
A型インフルエンザウイルスの例示である。 0重量%、7.5重量%、15重量%、及び30重量%のSiに10分間曝露したウイルスの例示である。 図2Aに従ってSiに曝露したウイルスを接種した細胞の生存率を決定するために使用される方法の例示である。 15重量%のSiに1分間、5分間、10分間、及び30分間曝露したウイルスの例示である。 図3Aに従ってSiに曝露した後のウイルスの生存率を決定するために使用される方法の例示である。 図2Aに従って、0重量%、7.5重量%、15重量%、及び30重量%のSiに10分間曝露したA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。 図2Bに従って、7.5重量%、15重量%、及び30重量%のSiに10分間曝露したA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。 様々な濃度のSiに曝露された、スラリーに対して異なる比率のウイルスを接種した細胞の写真を含む。 (a)接種前のMDCK細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。(b)対照に曝露されたウイルスを接種した後のMDCK細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。(c)30重量%のSiに曝露したウイルスを接種した後のMDCK細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。 15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露したA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。 15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露したA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。 15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。 15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露したA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。 (a)不活性化前のA型インフルエンザウイルスのラマンスペクトルを示す。(b)曝露1分後の不活性化後のRNA及びヘマグルチニンの化学修飾に関連するA型インフルエンザウイルスのラマンスペクトルの変化を示す。 NHが、アルカリエステル交換の機序によってA型インフルエンザウイルスを不活性化することを示す。 不活性化後の五配位リン酸基におけるO-P-O伸長を示す。 ヘマグルチニン構造におけるメチオニンの振動モードを示す。 アンモニアの存在下でのメチオニンの構造変化を示す。 不活性化後のメチオニンのホモシステインへのC-S伸長を示す。 15重量%又は30重量%のSiに1分間、10分間、又は30分間曝露したネコカリシウイルスのPFU/100μlのグラフである。 30重量%のSiに1分間、10分間、30分間、又は60分間曝露したネコカリシウイルスを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。 15重量%の窒化ケイ素のスラリーに10分間曝露された後に、かつ糸状アクチン(F-アクチン)タンパク質の存在について緑色で染色したMDCK細胞を含有する生体培地への接種後に赤色で染色したA型インフルエンザ(H1H1)ウイルス(核タンパク質、NP)を示す。 図15AからのNP染色A型インフルエンザ(H1H1)ウイルスを示す。 図15AからのF-アクチン染色MDCK細胞を示す。 窒化ケイ素への曝露なしで、かつ糸状アクチン(F-アクチン)タンパク質の存在について緑色で染色したMDCK細胞を含有する生体培地への接種後に赤色で染色したA型インフルエンザ(H1H1)ウイルス(核タンパク質、NP)を示す。 図16AからのNP染色A型インフルエンザ(H1H1)ウイルスを示す。 図16AからのF-アクチン染色MDCK細胞を示す。 窒化ケイ素粉末の三峰性分布を示す。 β-Si濃度(重量%/mL)の関数としてMDCK細胞の生存率を示す。 A型インフルエンザをSi粉末に30分間曝露する前後のウイルス力価の直接比較を示す。 α-Si濃度(重量%/mL)の関数としてMDCK細胞の生存率を示す。 A型インフルエンザをα-Si粉末に30分間曝露する前後のウイルス力価の比較を示す。 窒化ケイ素粉末の三峰性粒度分布を示す。 抗ウイルス試験方法の概要である。 細胞培養培地で1分間、5分間、及び10分間インキュベートした、5、10、15、又は20重量%/体積(n=4)のいずれかの濃度の窒化ケイ素への曝露後24時間で測定されたVero細胞生存率を示す。 細胞培養培地で1分間、5分間、及び10分間インキュベートした、5、10、15、又は20重量%/体積(n=4)のいずれかの濃度の窒化ケイ素への曝露後48時間で測定されたVero細胞生存率を示す。 PFU/mLとして表される、細胞培養培地に希釈したSARS-CoV-2ウイルスとともに1分間、5分間、及び10分間インキュベートした、5、10、15、及び20重量%/体積の濃度の窒化ケイ素の力価を示す。 %阻害として表される、細胞培養培地に希釈したSARS-CoV-2ウイルスとともに1分間、5分間、及び10分間インキュベートした、5、10、15、及び20重量%/体積の濃度の窒化ケイ素の力価を示す。
本開示の様々な実施形態が、以下に詳細に考察される。具体的な実装形態が論じられるが、これは例示目的のみのために行われることを理解されたい。当業者は、他の構成要素及び構成が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用され得ることを認識するであろう。したがって、以下の説明及び図面は例示であり、限定として解釈されるべきではない。本開示の完全な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、特定の事例では、説明を不明瞭にすることを避けるために、周知又は通例の詳細は説明されていない。
本開示全体に適用される複数の定義がここで提示される。本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、又は同様の形式化への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、動作、又は特性が本技術の少なくとも一実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではなく、他の実施形態と相互排他的な別個の又は代替の実施形態でもない。更に、いくつかの実施形態によって示され、他の実施形態によって示されない可能性がある様々な特徴が記載される。
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「有する(having)」、及び「含む(including)」という用語は、それらのオープンで非限定的な意味で使用される。「a」、「an」、及び「the」という用語は、複数及び単数を包含すると理解される。したがって、「その混合物」という用語はまた、「それらの混合物」に関する。
本明細書で使用される場合、「約」は、明示的に示されているか否かにかかわらず、整数、分数、パーセンテージ等を含む数値を指す。「約」という用語は、一般に、数値の範囲、例えば、列挙された値の±0.5~1%、±1~5%又は±5~10%を指し、例えば、同じ機能又は結果を有する列挙された値と等価と考えられる。
本明細書で使用される場合、「窒化ケイ素」という用語は、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、SiAlON、又はそれらの組み合わせを含む。
本明細書で使用される場合、「不活性化する」又は「不活性化」は、ウイルスを完全に除去するか又はそれらを非感染性にすることによって、ウイルスが製品又は物体を汚染するのを防ぐウイルス不活性化を指す。
本明細書で使用される「装置」又は「構成要素」という用語は、材料、組成物、デバイス、表面コーティング、及び/又は複合材を含む。いくつかの例では、装置は、様々な医療デバイス又は機器、診察台、衣類、フィルター、マスク及び手袋等の個人用保護具、カテーテル、内視鏡器具、ウイルス持続性が疾患の伝播を促進し得る高頻度接触表面等を含み得る。装置は、金属、ポリマー、及び/又はセラミック(例えば、窒化ケイ素及び/又は他のセラミック材料)であってもよい。
本明細書で使用される場合、「接触」は、組成物又は装置によって影響を受けるように組成物又は装置に物理的に接触しているか、又は十分に近接していることを意味する。
本明細書で使用される用語は、一般に、開示される主題の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈内で、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。本明細書で論じられる用語のいずれか1つ又は複数について代替の言語及び同義語を使用することができ、用語が本明細書で詳述又は議論されるか否かに特別な重要性は置かれるべきではない。場合によっては、特定の用語の同義語が提示される。1つ又は複数の同義語の列挙は、他の同義語の使用を排除しない。本明細書で論じられる任意の用語の例を含む本明細書のどこかの例の使用は、例示にすぎず、本開示又は任意の例示的な用語の範囲及び意味を更に限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
続く説明において、本開示の追加の特徴及び利点を述べ、一部は、説明から明らかであるか、又は本明細書に開示される原理の実践により知得できる。本開示の特徴及び利点は、別添の特許請求の範囲で特に指摘される器具及び組み合わせによって実現及び取得することができる。本開示のこれら及び他の特徴は、以下の説明及び別添の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、又は本明細書で述べる原理の実践によって知得することができる。
ウイルスの不活性化のために窒化ケイ素(Si)を含む抗ウイルス性デバイス、組成物、及び装置が本明細書に提供される。窒化ケイ素は独特の表面化学を有し、生体適合性であり、多くの生物医学的用途を提供し、例えば、1)脊椎及び歯科インプラント等における同時の骨形成、骨誘導、骨伝導、及び静菌、2)異なる機構によるグラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方の死滅、3)ヒト及び動物のウイルス、細菌、及び真菌の不活性化、及び4)ポリマー又は金属マトリックス複合材、天然又は人工の繊維、ポリマー、又は窒化ケイ素粉末を含有する金属は、重要な窒化ケイ素の骨修復性、静菌性、抗ウイルス性、及び抗真菌性を保持する。
ある実施形態では、抗ウイルス性組成物は、窒化ケイ素を含み得る。例えば、抗ウイルス性組成物は、窒化ケイ素粉末を含む装置であり得る。いくつかの実施形態では、抗ウイルス性装置は、最大100重量%の窒化ケイ素を含むモノリシックな構成要素であり得る。かかる構成要素は、内部多孔率を有しない完全に密集した状態であり得るか、又は約1%~約80%の範囲の多孔率を有する多孔質であり得る。モノリシックな構成要素は、医療デバイスとして使用されてもよいか、又はウイルスの不活性化が所望され得る装置に使用されてもよい。別の実施形態では、抗ウイルス性組成物は、デバイス上又はデバイス内のウイルスを不活性するために、デバイス内又はコーティング中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、抗ウイルス性組成物は、窒化ケイ素粉末を含むスラリーであり得る。
いくつかの実施形態では、抗ウイルス性組成物は、ヒトウイルスを不活性化し得るか、又はその伝播を減少させ得る。抗病原性組成物によって不活性化され得るウイルスの非限定的な例としては、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)、A型インフルエンザ、H1N1、エンテロウイルス、及びネコカリシウイルスが挙げられる。例えば、窒化ケイ素組成物は、A型インフルエンザウイルスの不活性化に有効であり得る。他の例では、窒化ケイ素組成物は、SARS-CoV-2の不活性化に有効であり得る。
窒化ケイ素は、水性培地、又は生物学的流体及び組織と接触したときに窒素含有種が放出されるため、抗病原性であり得る。窒化ケイ素の表面化学は、以下のように示すことができる。
Si+6HO→3SiO+4NH
SiO+2HO→Si(OH)
窒素は、表面のシラノールが比較的安定であるため、ケイ素よりも速く(数分以内に)溶出する。ウイルスの場合、驚くべきことに、窒化ケイ素は、ゲノムの完全性の喪失及びウイルス不活性化をもたらすアルカリエステル交換によるRNA切断をもたらし得ることが見出された。これはまた、赤血球凝集素の活性を低下させ得る。アンモニアの溶出は、pHの付随する増加とともに、ウイルス、細菌及び真菌を不活性化する。実施例に示されるように、驚くべきことに、窒化ケイ素のそれぞれが、コロナウイルス及びA型インフルエンザを不活性化することが見出された。
ある実施形態では、抗病原性組成物は、(i)通常の気体状態からではなく固体状態からの、遅いが連続的なアンモニアの溶出、(ii)哺乳動物細胞への損傷又は悪影響なし、及び(iii)pHの低下とともに増加するインテリジェントな溶出を示す溶出動態を呈し得る。
歴史的に認識されている殺ウイルス剤である銅(Cu)の使用は、その細胞毒性によって制限される。Cuとは対照的に、Siで作られたセラミックデバイス又は装置は生体適合性であり、人体に有毒ではない。Siの利点は、材料の汎用性である。したがって、Siは、ポリマー、生物活性ガラス、更には他のセラミックに組み込まれて、Siの好ましい生体適合性及び抗ウイルス特性を保持する複合材及びコーティングを作製することができる。
抗ウイルス性デバイス又は装置は、抗ウイルス、抗菌、又は抗真菌作用のために、デバイスの表面の少なくとも一部分上に窒化ケイ素を含み得る。ある実施形態では、抗ウイルス性デバイスは、デバイスの表面の少なくとも一部分上に窒化ケイ素コーティングを含み得る。窒化ケイ素コーティングは、粉末としてデバイスの表面に塗布され得る。いくつかの例では、窒化ケイ素粉末は、デバイスの少なくとも一部分に充填され得るか、埋め込まれ得るか、又は含浸され得る。いくつかの実施形態では、粉末は、マイクロメーター又はナノメーターのサイズであり得る。平均粒度は、約100nm~約5μm、約300nm~約1.5μm、又は約0.6μm~約1.0μmの範囲であり得る。他の実施形態では、窒化ケイ素は、デバイス内に組み込まれ得る。例えば、デバイスは、窒化ケイ素粉末をデバイスの本体内に組み込み得る。一実施形態では、デバイスは窒化ケイ素で作製されてもよい。別の実施形態では、組成物は、窒化物粒子のスラリー又は懸濁液を含むことができる。
窒化ケイ素コーティングは、約1重量%~約100重量%の濃度で装置の表面上又は装置内に存在し得る。様々な実施形態では、コーティングは、約1重量%、2重量%、5重量%、7.5重量%、8.3重量%、10重量%、15重量%、16.7重量%、20重量%、25重量%、30重量%、33.3重量%、35重量%、又は40重量%の窒化ケイ素粉末を含み得る。いくつかの例では、コーティングは、約10重量%~約20重量%の窒化ケイ素を含み得る。少なくとも1つの例では、コーティングは、約15重量%の窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、窒化ケイ素は、約1重量%~約100重量%の濃度でデバイス若しくは装置内又はその表面上に埋め込まれ得る。様々な実施形態では、デバイス又は装置は、約1重量%、2重量%、5重量%、7.5重量%、8.3重量%、10重量%、15重量%、16.7重量%、20重量%、25重量%、30重量%、33.3重量%、35重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%~100重量%の窒化ケイ素を含み得る。いくつかの例では、窒化ケイ素は、約10重量%~約20重量%の濃度で装置の表面上にあってもよい。少なくとも1つの例では、窒化ケイ素は、約15重量%の窒化ケイ素の濃度で装置の表面上にあってもよい。
いくつかの実施形態では、抗ウイルス性組成物は、窒化ケイ素からなるモノリシックな構成要素であり得る。かかる構成要素は、内部多孔率を有しない完全に密集した状態であり得るか、又は約1%~約80%の範囲の多孔率を有する多孔質であり得る。モノリシックな構成要素は、医療デバイスとして使用されてもよいか、又はウイルスの不活性化が所望され得る装置に使用されてもよい。
様々な実施形態では、抗ウイルス特性のための窒化ケイ素を含むデバイス又は装置は、医療デバイスであり得る。医療デバイス又は装置の非限定的な例としては、整形外科用インプラント、脊椎インプラント、椎弓根スクリュー、歯科インプラント、留置カテーテル、気管内チューブ、大腸内視鏡スコープ、及び他の同様のデバイスが挙げられる。
いくつかの実施形態では、窒化ケイ素は、ポリマー及び織物、手術衣、管類、衣類、空気フィルター及び水フィルター、マスク、病院の診察台及び手術台等の台、机、備品、ハンドル、ノブ、おもちゃ、並びに空調フィルター等のフィルター、又は歯ブラシ等の、抗ウイルス特性のための材料又は装置内に組み込まれ得るか、又はコーティングとしてそれらに塗布され得る。いくつかの例では、フィルターは、空気が感染した肺の内外を移動するときにフィルター内の抗菌性表面層が肺病原体を捕捉することができるように、麻酔器、人工呼吸器、又はCPAP機の濾過デバイス内にあってもよい。
他の実施形態では、窒化ケイ素粉末は、スラリー、懸濁液、ゲル、スプレー、塗料、又は歯磨き粉を含むが、これらに限定されない組成物中に組み込まれ得る。例えば、次に表面に塗布される塗料等のスラリーへの窒化ケイ素の添加は、抗菌、抗真菌、及び抗ウイルス性表面を提供し得る。他の実施形態では、窒化ケイ素は、任意の適切な分散剤及びスラリー安定化剤とともに水と混合され、その後、スラリーを様々な表面上に噴霧することによって塗布され得る。分散剤の例は、Dolapix A88である。
いくつかの実施形態では、窒化ケイ素は、約5重量%~約20重量%の濃度で抗ウイルス性組成物中に含まれてもよい。少なくとも1つの例では、組成物は、約15重量%の窒化ケイ素を含み得る。代替的に、いくつかの実施形態では、窒化ケイ素は、約5重量%~約20重量%の濃度で抗ウイルス性組成物中に含まれてもよい。少なくとも1つの例では、組成物は、約15重量%の窒化ケイ素を含み得る。一例では、抗ウイルス性組成物は、窒化ケイ素粉末と水とのスラリーであり得る。窒化ケイ素を水と組み合わせて、約0.1重量%~最大約70重量%の濃度の水性スラリーを形成することができる。いくつかの実施形態では、窒化ケイ素粉末は、約0.1重量%~約55重量%の濃度でスラリー中に存在し得る。他の実施形態では、窒化ケイ素は、約0.1重量%~最大約70重量%、又は約0.1重量%~最大約55重量%の濃度で、有機懸濁液、ゲル、スプレー、及び/又は塗料中に組み込まれ得る。様々な実施形態では、スラリー、有機懸濁液、ゲル、スプレー、及び/又は塗料は、約0.1重量%、約0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、又は55重量%の窒化ケイ素を含み得る。
いくつかの実施形態では、組成物は、歯磨き粉を含み、窒化ケイ素は、標準的な歯磨き粉に見出される二酸化ケイ素粉末に直接置換される粉末の形態にある。窒化ケイ素粉末は、約1重量%~約30重量%の濃度で歯磨き粉中の二酸化ケイ素に置換され得る。いくつかの例では、窒化ケイ素は、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%の濃度で歯磨き粉中に存在し得る。窒化ケイ素は、歯磨き粉中の抗ウイルス剤及び抗菌剤として機能するだけでなく、二酸化ケイ素に類似した研磨剤としても機能し得る。
ウイルスを、窒化ケイ素を含む抗ウイルス性組成物と接触させることによって病原体を不活性化する方法が本明細書に更に提供される。ある実施形態では、方法は、デバイス又は装置を窒化ケイ素でコーティングすることと、コーティングされた装置をウイルスと接触させることとを含み得る。装置をコーティングすることは、窒化ケイ素粉末を装置の表面に塗布することを含み得る。他の実施形態では、窒化ケイ素粉末は、デバイス又は装置内に充填され得るか、組み込まれ得るか、又は含浸され得る。
特定の理論に限定されることなく、抗ウイルス性組成物は、アルカリエステル交換によってウイルス作用を低下させ、ヘマグルチニン活性を低下させ得る。驚くべきことに、窒化ケイ素粉末が、(i)RNAヌクレオチド間結合の切断によるアルカリエステル交換によってウイルス作用を著しく低下させ、(ii)ヘマグルチニン活性を著しく低下させ、それ故に、ウイルス表面上のタンパク質構造を変性させることによって宿主細胞認識を破壊し、ウイルスエンベロープの存在に関わらずウイルスの不活性化をもたらすことが見出された。
ある実施形態では、抗病原性組成物は、(i)通常の気体状態からではなく固体状態からの、遅いが連続的なアンモニアの溶出、(ii)哺乳動物細胞への損傷又は悪影響なし、及び(iii)pHの低下とともに増加するインテリジェントな溶出を示す溶出動態を呈し得る。更に、窒化ケイ素の無機的性質は、哺乳動物細胞を害するか、又は土壌、植物、及び野菜又は果物に残留効果を有することが知られている石油化学又は有機金属殺菌剤、殺ウイルス剤、及び殺菌剤の使用よりも有益であり得る。
病原体をヒト患者内の位置で処置又は予防する方法も本明細書に提供される。例えば、病原体は、ウイルスであり得る。方法は、患者を、窒化ケイ素を含むデバイス、装置、又は組成物と接触させることを含み得る。いずれか1つの理論に限定されることなく、窒化ケイ素は、ウイルス(例えば、SARS-CoV-2等のコロナウイルス、又はA型インフルエンザ)を不活性化する。デバイス、装置、又は組成物は、約1重量%~約100重量%の窒化ケイ素を含み得る。いくつかの例では、デバイス又は装置は、デバイス又は装置の表面上に約1重量%~約100重量%の窒化ケイ素を含み得る。ある実施形態では、デバイス又は装置はモノリシック窒化ケイ素セラミックであり得る。別の実施形態では、デバイス又は装置は、窒化ケイ素粉末コーティング等の窒化ケイ素コーティングを含み得る。別の実施形態では、デバイス又は装置は、窒化ケイ素をデバイスの本体内に組み込み得る。例えば、窒化ケイ素粉末は、当該技術分野で既知の方法を使用して、デバイス又は装置の本体内に組み込まれるか、又は含浸され得る。
いくつかの実施形態では、組成物又は装置は、患者又はユーザと、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、又は少なくとも1日間接触させることができる。少なくとも1つの例では、デバイス又は装置は、患者に永久的に移植され得る。少なくとも1つの例では、デバイス又は装置は、ユーザによって永久的に着用され得る。別の例では、装置は高頻度接触表面であってもよい。更なる例では、装置は、患者の体液と連続的又は持続的に接触していてもよい。体液は、血液又は気体(例えば、吸入又は呼気ガス)であってもよい。
いくつかの実施形態では、ウイルスは、組成物又は装置中の窒化ケイ素と少なくとも1分間、少なくとも5分間、又は少なくとも30分間接触した後、少なくとも70%不活性化されるか、少なくとも75%不活性化されるか、少なくとも80%不活性化されるか、少なくとも85%不活性化されるか、少なくとも90%不活性化されるか、少なくとも95%不活性化されるか、又は少なくとも99%不活性化される。少なくとも1つの例において、ウイルスは、組成物又は装置中の窒化ケイ素と少なくとも1分間接触した後、少なくとも85%不活性化される。別の例では、ウイルスは、組成物又は装置中の窒化ケイ素と少なくとも30分間接触した後、少なくとも99%不活性化される。
実施例1:ウイルス不活性化に対する窒化ケイ素濃度の影響
ウイルスの不活性化に対する窒化ケイ素濃度の影響を示すために、A型インフルエンザを様々な濃度のSi粉末に曝露した。窒化ケイ素を調製するために、特定の重量の窒化ケイ素粉末を純蒸留水と混合した。例えば、7.5gの窒化ケイ素を92.5gの純蒸留水中に分散させた。ウイルスを、この混合物に、それぞれ、1:1、1:10、及び1:100の濃度で添加した。次いで、これらの混合物を、穏やかに撹拌しながら、4℃で10分間インキュベートさせた。A型インフルエンザを、図2Aに示されるように、0重量%、7.5重量%、15重量%、及び30重量%のSiに4℃で10分間曝露した。その後、混合物を濾過して、窒化ケイ素粉末を除去した。
次いで、A型インフルエンザウイルスを接種したメイディン・ダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞を、A型インフルエンザの不活性化におけるSiの有効性について観察した。その後、残りの混合物を、生体培地中にMDCK生細胞を含むペトリ皿に接種した。その後、3日間の曝露後に、染色法を使用してMDCK生細胞の量を計数した。図2Bに従ってSiに曝露されたA型インフルエンザを細胞に3日間接種した後に、MDCK細胞の生存率を決定した。
図4Aは、0重量%、7.5重量%、15重量%、及び30重量%のSiに10分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。図4Bは、7.5重量%、15重量%、及び30重量%のSiに10分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
実施例2:ウイルス不活性化に対する曝露時間及び温度の影響
ウイルスの不活性化に対する窒化ケイ素の影響を示すために、A型インフルエンザを固定濃度のSi粉末(15重量%)に、様々な時間及び温度で曝露した。次いで、混合物を、穏やかに撹拌しながら、室温及び4℃で1~30分間インキュベートさせた。例えば、A型インフルエンザを、図3Aに示されるように、15重量%のSiに室温又は4℃で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露した。次いで、A型インフルエンザウイルスを接種したメイディン・ダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞を、A型インフルエンザの不活性化におけるSiの有効性について観察した。図3Bに従ってSiに曝露されたA型インフルエンザを細胞に3日間接種した後、MDCK細胞の生存率を決定した。
図7Aは、15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。図7Bは、15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露されたA型インフルエンザを接種したMDCK細胞の細胞生存率のグラフである。
図8Aは、15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。図8Bは、15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、又は30分間曝露されたA型インフルエンザを接種したMDCK細胞の生存率のグラフである。
実施例3:A型インフルエンザ(H1H1)不活性化に対する窒化ケイ素の影響
ウイルス不活性化に対する窒化ケイ素の影響を示すために、A型インフルエンザを15重量%の窒化ケイ素のスラリーに10分間曝露した。
図15A~15Cは、全ての真核細胞に見られる糸状アクチン(F-アクチン)タンパク質の存在について緑色で染色したMDCK細胞を含有する生体培地への接種後に赤色で染色したA型インフルエンザ(H1H1)ウイルス(A/プエルトリコ/8/1934 H1N1(PR8))を示す。図16A~16Cは、窒化ケイ素不在下でのMDCK細胞に対するウイルスの影響を示す。
実施例4:MDCK細胞における窒化ケイ素によるA型インフルエンザの殺ウイルス活性の評価
この試験は、30分のインキュベーション時点及び15重量%/重量の濃度で、A型インフルエンザに対するベータ窒化ケイ素(β-Si)粉末の抗ウイルス能力を調べるように設計された。15重量%の懸濁液を、添加剤なしでDMEM内で希釈した1.5mLのウイルス内で調製した。
プラークアッセイ方法論を利用した。プラークアッセイを十分に定量化するために、メイディン・ダービーイヌ腎臓細胞(MDCK)の生存率を、30分~72時間にわたるインキュベーション期間での様々な濃度のSiへの曝露の関数として評価した。結果は、事前選択された条件でウイルス負荷の99.98%超が低減され、Siが、A型インフルエンザに対して完全に殺ウイルス性であることを実証した。MDCK細胞の生存率は、時間及び用量に依存することが見出された。最大15重量%/重量までのSi濃度では、生存率の損失は、本質的に観察されなかった。生存率の変化は、24、48、及び72時間で15重量%の濃度のみに対して観察された(すなわち、それぞれ、83.3%、59.7%、及び44.0%生存可能)。
本試験において使用されるSi粉末は、90重量%のα-Si、6重量%のイットリア(Y)、及び4重量%のアルミナ(Al)の公称組成を有していた。それを、無機成分の水性混合及び噴霧乾燥、それに続く噴霧乾燥顆粒の焼結(約1700°Cで約3時間)、熱間静水圧プレス(約1600°Cで2時間、N中140MPa)、水性粉砕及び凍結乾燥によって調製した。結果的に得られた粉末は、図17に示されるように、0.8±1.0μmの平均粒度を有する三峰性分布を有していた。Y及びAlでSiをドーピングすることは、セラミックを高密度化し、焼結中にそのα相からβ相に変換するのに有用である。高密度化の機序は、α相の溶解と、冷却中に固化する一過性の粒界液の形成によって促進されるβ相粒子のその後の沈殿とによるものである。β-Siは、したがって、約10重量%の粒界ガラス相(IGP)及び90重量%の結晶性β-Si粒子からなる複合材である。
この試験では、3つの連続アッセイを実施した:(1)MDCK生存率試験、(2)遠心分離及び濾過を用いた及び用いないA型インフルエンザ上清滴定試験、及び(3)15重量%/重量のSiをウイルス阻害剤として30分のインキュベーション期間に使用したウイルス滴定。
図18では、MDCK細胞の生存率が、β-Si濃度(重量%/mL)の関数として示される。15重量%から開始し、連続希釈を実施して、0.047重量%に到達させた。より低い濃度では、細胞生存率は、最大72時間までの全ての時点で概して80%超であった。また、15重量%を除く全ての濃度で、細胞生存率が曝露時間とともに概して増加したことにも留意されたい。15重量%及び30分間の曝露では、細胞生存率は、約94.5%であった。
MDCK細胞生存率の決定後、細胞にウイルス及び試料を添加する24時間前に、MDCK細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したダルベッコの最小必須培地(DMEM)中に、2mLの体積で1×10細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートにプレーティングした。アッセイ当日、1×10PFU/mLの、添加剤なしでDMEMに希釈されたウイルス中の15重量%の窒化ケイ素の3つの試料を、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、試料を4℃及び12,000rpmで2分間遠心分離し、0.2ミクロンのフッ化ポリビニリデン(PVDF)フィルターを通して更に濾過した。次いで、試料を1:5で連続的に希釈し、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で3回に分けて400μLの体積で2回洗浄した細胞に7つの濃度を添加した。試料を、15~20分毎に揺動させながら、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、2mLのプラークアッセイ培地をウェルに添加し、培養物を35℃/5%COで48時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をクリスタルバイオレットを用いて染色し、プラークを視覚的に列挙した。
染色当日、プラッギング培地を除去し、単層をDPBSで2回洗浄した。次いで、細胞を70%エタノールで10分間、室温で固定した。エタノールを除去し、0.3%のクリスタルバイオレット溶液を各ウェルに室温で10分間添加した。このインキュベーションの後、クリスタルバイオレットを除去し、単層をDPBSで2回洗浄して、残留クリスタルバイオレットを除去した。単層を、プラークを計数する前に一晩空気乾燥させた。
殺ウイルス試験を、15重量%/体積の濃度、及び30分で実施した。遠心分離及び濾過のプロセスステップは、ウイルス負荷を約0.25log10低減したのみであった。この結果を考慮して、次いで、後続の滴定を、30分間のSiへのウイルスの曝露なし及び有りで実施した。Siなしの滴定のための濃度は、ISO 21702(プラスチック及び他の非多孔質表面上の抗ウイルス活性の測定)に基づいて、4.4×10pfu/mlとなるように事前に選択された。Siに30分間曝露した後、MDCK細胞上にプラークは形成されなかった。Siは、A型インフルエンザの不活性化に100%有効であるとみなされた。Si粉末に30分間曝露する前後のウイルス力価の直接比較が図19に提供される。データは、Siへの曝露後のウイルス負荷の3.5log10超の低減を明確に示す(すなわち、99.98%超)。
要約すると、これらの試験は、MDCK細胞へのSiの曝露が、15重量%/体積未満の濃度又は30分以内の期間では、有害な生存率の影響を有さなかったことを実証した。4.4×10pfu/mlのウイルス負荷、30分間曝露での15重量%/体積のSiの抗ウイルス試験条件では、Siは、曝露されたビリオンの本質的に100%を不活性化した。これらの条件下で、Siは、A型インフルエンザに対して殺ウイルス性であることが見出された。
実施例5:MDCK細胞及びA型インフルエンザに対するα-Si粉末の影響
最初に、30分間、24時間、48時間及び72時間曝露した後のMDCK細胞に対する毒性についてα-Si粉末を評価した。2%ウシ胎仔血清(FBS)を補充した1.5mLのDulbeccoの改変イーグル培地(DMEM)内で15重量%(wt%)の懸濁液を調製した。
細胞に試料を添加する24時間前に、上記のように調製されたα-Si粉末懸濁液を、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、懸濁液を4℃、12,000rpmで2分間遠心分離した。上清を、0.2ミクロンのフッ化ポリビニリデン(PVDF)フィルターを通して更に濾過し、次いで、1/2対数増分で連続的に希釈した。事前にプレーティングされた細胞に、200μLの体積で、6つの濃度を3回に分けて添加した。プレートを30分、24時間、48時間、及び72時間インキュベートし、その際、細胞を、以下に説明されるように、テトラゾリウム色素XTT(2,3-ビス(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]-2H-テトラゾリウム水酸化物)を使用して細胞毒性を評価した。
試験材料のTC50値を、テトラゾリウム色素XTTの還元を測定することによって導出した。代謝活性細胞におけるXTTは、ミトコンドリア酵素NADPHオキシダーゼによって可溶性ホルマザン生成物に代謝される。XTT溶液を、添加剤なしで、DMEM内の1mg/mLのストックとして毎日調製した。フェナジンメトスルフェート(PMS)溶液を、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)内で0.15mg/mLで調製し、-20℃の暗所で保存した。XTT/PMSストックを、XTT溶液1mL当たり40μLのPMSを添加することによって、使用直前に調製した。プレートの各ウェルに50μL(50 4)のXTT/PMSを添加し、プレートを37℃で4時間インキュベートした。4時間のインキュベーションは、各アッセイについて示される細胞数でXTT色素低減の線形応答範囲内であると経験的に決定されている。プレートを密封し、可溶性ホルマザン生成物を混合するために数回反転させ、プレートを、450nm(650nmの基準波長)で、Molecular DevicesのSpectraMax Plus 384の96ウェルプレート形式の分光光度計を用いて読み取った。
MDCK細胞を、15重量%~0.047重量%の範囲の6つの濃度のα-Si粉末で、30分間、24時間、48時間及び72時間処理した。図20では、MDCK細胞の生存率が、α-Si濃度(重量%/mL)の関数として示される。全ての濃度で処理された曝露30分後の細胞は、4.7重量%及び15重量%で処理した細胞を除いて90%を超える生存率を有し、それぞれ、89%及び83%の生存率を有した。各濃度で処理された細胞の24時間生存率は、92%を上回ったままであった。48時間では、生存率は、1.5重量%、4.7重量%、及び15重量%で処理された細胞で90%を下回るが(それぞれ、89.1%、88.7%、及び74.0%)が、72時間時点では、15重量%で処理された細胞のみが90%を下回る生存率を有した(87.5%)。
次いで、15重量%のα-Si粉末を、MDCK細胞におけるA型インフルエンザ株A/PR/8/34に対する殺ウイルス活性について評価した。15重量%の懸濁液を、添加剤なしでDMEM内で希釈した1.5mLのウイルス内で調製した。
細胞にウイルス及び試料を添加する24時間前に、MDCK細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したダルベッコの最小必須培地(DMEM)中に、2mLの体積で1×10細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートにプレーティングした。アッセイ当日、1×10PFU/mLの、添加剤なしでDMEMに希釈されたウイルス中の15重量%のα-Siの3つの試料を、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、試料を4℃及び12,000rpmで2分間遠心分離し、0.2ミクロンのフッ化ポリビニリデン(PVDF)フィルターを通して更に濾過した。次いで、試料を1:5で連続的に希釈し、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で3回に分けて400mLの体積で2回洗浄した細胞に7つの濃度を添加した。試料を、15~20分毎に揺動させながら、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、2mLのプラークアッセイ培地をウェルに添加し、培養物を35℃/5%COで48時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をクリスタルバイオレットを用いて染色し、プラークを視覚的に列挙した。
染色当日、プラーキング培地を除去し、単層をDPBSで2回洗浄した。次いで、細胞を70%エタノールで10分間、室温で固定した。エタノールを除去し、0.3%のクリスタルバイオレット溶液を各ウェルに室温で10分間添加した。このインキュベーションの後、クリスタルバイオレットを除去し、単層をDPBSで2回洗浄して、残留クリスタルバイオレットを除去した。単層を、プラークを計数する前に一晩空気乾燥させた。
15重量%のα-Si粉末を、MDCK細胞中のA型インフルエンザ株A/PR8/34に対して評価した。標的ウイルス力価は、1×10PFU/mLであり、実際の個々の複製は、3.1×10、3.8×10、及び4.7×10PFU/mLであり、3.9×10±0.8×10PFU/mLの平均力価(及び標準偏差)が得られた。この実際の力価は、標的とするPFU/mLの2倍以内である。α-Si粉末で処理された試料は、単一のプラークを含む1つのウェルを有し、4.1のPFU/mLをもたらした。
対数低減は、2.98であり、以下の式を使用して計算した:log10(A/B)、式中、Aは未処理のウイルスであり、Bは処理されたウイルスである。パーセント低減は、99.89%であり、以下の式を使用して計算した:(A-B)×100/A、式中、Aは未処理のウイルスであり、Bは処理されたウイルスである。α-Si粉末に30分間曝露する前後のウイルス力価の比較が図21に提供される。したがって、15重量%のα-Si粉末は、30分間の曝露後にA型インフルエンザウイルス株A/PR/8/34に対して殺ウイルス性であった。
実施例6:MDCK細胞内の2つの形態のSi粉末によるA型インフルエンザ殺ウイルス活性
α-Si及びβ-Si粉末の5重量%及び10重量%の懸濁液を、添加剤なしでDMEM内で希釈した1.5mLのウイルス内で調製した。
細胞にウイルス及び試料を添加する24時間前に、MDCK細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したダルベッコの最小必須培地(DMEM)中に、2mLの体積で1×10細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートにプレーティングした。アッセイ当日、1×10PFU/mLの、添加剤なしでDMEMに希釈されたウイルス中の10及び5重量%のα-Si及びβ-Si粉末の3つの試料を、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、試料を4℃及び12,000rpmで2分間遠心分離し、0.2ミクロンのフッ化ポリビニリデン(PVDF)フィルターを通して更に濾過した。次いで、試料を1:5で連続的に希釈し、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で3回に分けて400μLの体積で2回洗浄した細胞に7つの濃度を添加した。試料を、15~20分毎に揺動させながら、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、2mLのプラークアッセイ培地をウェルに添加し、培養物を35℃/5%COで48時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をクリスタルバイオレットを用いて染色し、プラークを視覚的に列挙した。
染色当日、プラッギング培地を除去し、単層をDPBSで2回洗浄した。次いで、細胞を70%エタノールで10分間、室温で固定した。エタノールを除去し、0.3%のクリスタルバイオレット溶液を各ウェルに室温で10分間添加した。このインキュベーションの後、クリスタルバイオレットを除去し、単層をDPBSで2回洗浄して、残留クリスタルバイオレットを除去した。単層を、プラークを計数する前に一晩空気乾燥させた。
5重量%及び10重量%のα-Si及びβ-Si粉末の殺ウイルス活性を、MDCK細胞中のA型インフルエンザウイルスAIPR8/34に対して評価した。これを4つの個々の実験で実施した。標的ウイルス力価は、1×10PFU/mLであった。
第1の実験では、未処理のウイルス試料の個々の複製は、5.3×10、5.9×10、及び4.1×10PFU/mLであり、5.1×10±0.9×10PFU/mLの平均力価(及び標準偏差)が得られた。5重量%及び10重量%のβ-Siで10分間処理されたウイルスは、10重量%で処理したウイルスに21未満のPFU/mLをもたらし、5重量%で処理したウイルスに21(1プラーク形成)のPFU/mLをもたらした。この試料では、対数低減は、2.4であり、以下の式を使用して計算した:log10(NB)、式中、Aは未処理のウイルスであり、Bは処理されたウイルスである。パーセント低減は、99.5%であり、以下の式を使用して計算した:(A-B)×100/A、式中、Aは未処理のウイルスであり、Bは処理されたウイルスである。
第2の実験では、未処理のウイルス試料の個々の複製は、7.5×10、7.2×10、及び5.0×10PFU/mLであり、6.6×10±1.4×10PFU/mLの平均力価(及び標準偏差)が得られた。5重量%及び10重量%のβ-Siで5分間処理されたウイルスは、両方に21未満のPFU/mLをもたらした。
第3の実験では、個々の複製は、6.9×10、7.8×10、及び5.0×10PFU/mLであり、6.6×10±1.4×10/mLの平均力価(及び標準偏差)が得られた。5重量%及び10重量%のα-Siで10分間処理されたウイルスは、両方に21未満のPFU/mLをもたらした。
第4の実験では、個々の複製は、8.8×10、1.0×10、及び7.5×10PFU/mLであり、8.8×10±1.3×10PFU/mLの平均力価(及び標準偏差)が得られた。5重量%及び10重量%のα-Siで5分間処理されたウイルスは、両方で21未満のPFU/mLをもたらした。
実験の各々では、未処理のウイルス対照について決定された実際の力価は、標的化されたPFU/mLの2倍以内であった。単一のプラークを含む1つのウェルを有する、5重量%で10分間β-Si粉末で処理された試料が、21のPFU/mLをもたらしたことを例外として、5重量%及び10重量%のα-Si及びβ-Si粉末の両方で5及び10分間処理されたウイルスは、1未満のPFU/mL(プラークは観察されなかった)をもたらした。
実施例7:インビトロにおけるSARS-CoV-2の窒化ケイ素不活性化
90重量%α-Si、6重量%イットリア(Y)、及び4重量%アルミナ(Al)の公称組成を有するドーピングしたSi粉末を、無機成分の水性混合及び噴霧乾燥、それに続く噴霧乾燥顆粒の焼結(約1700°Cで約3時間)、熱間静水圧プレス(約1600°Cで2時間、N中140MPa)、水性粉砕及び凍結乾燥によって調製した。結果的に得られた粉末は、図22に示されるように、0.8±1.0μmの平均粒度を有する三峰性分布を有していた。Y及びAlでSiをドーピングすることにより、セラミックを高密度化し、焼結中にそのα相からβ相に変換した。高密度化の機序は、α相の溶解と、冷却中に固化する一過性の粒界液の形成によって促進されるβ相粒子のその後の沈殿とによるものである。β-Siは、したがって、約10重量%の粒界ガラス相(IGP)及び90重量%の結晶性β-Si粒子からなる複合材である。
Veroアフリカミドリザル腎上皮細胞が、高レベルのSARS-CoV-2複製をサポートする能力及び抗ウイルス試験におけるそれらの使用に起因して、この分析のために選択された。10%FBS、1%L-グルタミン、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM内で、これらの細胞を培養した。細胞を37℃及び5%COに維持した。SARS-CoV-2分離株USA-WA1/2020をBEI Resourcesから入手した。Vero細胞を、SARS-CoV-2(MOI 0.1)を接種してウイルスストックを生成した。無細胞上清を、感染後72時間で収集し、10,000rpmで10分間の遠心分離を介して浄化し、0.2μmフィルターを通して濾過した。ストックウイルスを、以下に詳述されるプラークアッセイプロトコルに従って力価化した。
Si粉末を、マイクロ遠心チューブ内の1mLのDMEM増殖培地に懸濁した。チューブを30秒間ボルテックスして適切な接触を確保し、次いで、チューブリボルバに1、5、又は10分間配置した。各時点で、試料を遠心分離し、上清を収集し、0.2μmフィルターを通して濾過した。浄化された上清を細胞に24又は48時間添加した。未処理の細胞を対照として並べて維持した。ATP産生を測定するCellTiter Gloを使用して各時点で細胞を試験して、細胞生存率を決定した。
SARS-CoV-2をDMEM増殖培地で2×10PFU/mLの濃度に希釈した。4mLの希釈されたウイルスを、窒化ケイ素を含有するチューブに、20、15、10、及び5%(w/v)で添加した。Siを含まないウイルスを、対照として並行して処理した。チューブを30秒間ボルテックスして適切な接触を確保し、次いで、チューブリボルバに1、5、又は10分間配置し、一方、ウイルスのみの対照を最大10分間インキュベートした。各時点で、試料を遠心分離し、上清を収集し、0.2μmフィルターを通して濾過した。浄化された上清内の残りの感染性ウイルスを、プラークアッセイによって定量化した。抗ウイルス試験方法の概要が図23に提供される。ステップ1では、SARS-CoV-2ウイルスを培地で希釈した。ステップ2では、4mLの希釈されたウイルスを、窒化ケイ素を含有するチューブに、20、15、10、又は5%(w/v)で添加した。ステップ3では、十分な接触を確保するために、チューブを30秒間ボルテックスし、1分、5分、又は10分のいずれかの間、チューブリボルバに配置した(ウイルスのみの対照を最大10分間インキュベートした)。ステップ4では、各時点で、試料を遠心分離し、上清を収集し、0.2μmフィルターを通して濾過した。ステップ5では、浄化された上清を使用して、プラークアッセイを実施した。試料を連続的に希釈し(10倍)、1時間のインキュベーションのために新鮮なVeroに添加し、15分毎に揺動させた後、アガロース培地オーバーレイを添加し、48時間インキュベートした。48時間のインキュベーション後、細胞を10%のFAで固定し、計数のためにクリスタルバイオレットを用いて染色した。
Vero細胞を、プラークアッセイの前日に、12ウェルプレートに2×10細胞/ウェルでプレーティングした。抗ウイルス試験から浄化された上清を連続的に希釈し(10倍)、Vero細胞に200μLを添加し、37℃、5%COで1時間インキュベートした。適切なカバレッジを確保するために、プレートを15分毎に揺動させ、1時間で、1:1の比率の0.6%アガロースと、5%FBS、2%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%非必須アミノ酸(VWR、カタログ番号45000-700)、1%ピルビン酸ナトリウム、及び1%L-グルタミンを補充した2X EMEMとを細胞に添加した後、37℃、5%COで48時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を10%のホルムアミドで固定し、計数のために20%エタノール中2%のクリスタルバイオレットを用いて染色した。
真核細胞生存率に対するSiの影響を調べた。Siを細胞培養培地に5、10、15、及び20%(w/v)で再懸濁した。試料を1、5、及び10分で収集し、Vero細胞に添加した。曝露後24及び48時間でVero細胞生存率を測定した(図24A及び図24B)。5%、10%、又は15%の窒化ケイ素による曝露後24時間又は48時間のいずれかで、細胞生存率の有意な減少は、観察されなかった。20%のSiに曝露した細胞において、48時間で細胞生存率に対するわずかな影響(約10%の減少)が観察された。興味深いことに、48時間で、Vero細胞生存率の約10%の増加が、5%-10分及び10%-10分の試料で観察され(図24B)、Siが、これらの条件下で細胞成長又は細胞代謝を刺激している可能性があることが示唆された。これらのデータは、SiがVero細胞の健康及び生存率に最大20重量%/体積の最小限の影響を与えることを示した。
5、10、15、及び20%のSiがVero細胞に対して無毒であることを考慮して、これらの濃度で抗ウイルス試験を実施した。SARS-CoV-2ビリオンを、これらの濃度で1、5、又は10分間、Siに曝露した。Siへの曝露後、各溶液中に残存する感染性ウイルスをプラークアッセイにより決定した。各時点で、試料を遠心分離し、上清を収集し、0.2umフィルターを通して濾過した。浄化された上清を使用して、二重にプラークアッセイを実施した。並行して処理したが、細胞培養培地に曝露されただけのウイルスは、4.2×10PFU/mLを含んでいた。SARS-CoV-2力価は、試験された全ての濃度のSiに曝露されたときに低減された(図25A及び図25B)。阻害は、1分間曝露されたSARS-CoV-2で用量依存性であり、5%のSiがウイルス力価を約0.8log10低減させ、10%のSiが約1.2log10低減させ、15%のSiが1.4log10低減させ、20%のSiが1.7log10低減させた(図25A)。同様の結果が、5及び10分間の試料で観察された。このウイルス力価の低減は、5%のSiでの85%のウイルス阻害、10%のSiでの93%、15%のSiでの96%、及び20%のSiでの98%のウイルス阻害に対応する(図25B)。より長い時間のより高いSi濃度は、阻害の増加をもたらし、これは、20%のSi、及び10分間の曝露における99.6%のウイルス阻害につながる(図25B)。これらのデータは、SiがSARS-CoV-2に対する強力な抗ウイルス効果を有することを示す。
驚くべき発見は、Siの5%溶液への1分間の曝露が、SARS-CoV-2の85%の不活性化をもたらし、一方、Vero細胞生存率が、同じ材料の20%濃度への48時間の曝露後であっても、最小限の影響であったことであった。
いくつかの実施形態を説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替の構成、及び均等物を使用することができることが当業者によって認識されるであろう。更に、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、いくつかの周知のプロセス及び要素は記載されていない。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
当業者は、ここに開示される実施形態が限定ではなく例として教示することを理解するであろう。したがって、上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された全ての一般的及び特定の特徴、並びに本方法及びシステムの範囲の全ての記述を包含することを意図しており、これらは、言語の問題として、それらの間にあると言われる場合がある。

Claims (30)

  1. 1重量%~15重量%の濃度で窒化ケイ素を含む抗ウイルス性組成物であって、前記窒化ケイ素が、前記組成物と少なくとも1分間接触するウイルスの少なくとも85%を不活性化する、抗ウイルス性組成物。
  2. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも5分間接触する、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  3. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも30分間接触する、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  4. 前記窒化ケイ素が、10重量%以下の濃度で存在する、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  5. 前記窒化ケイ素が、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、又はSiAlONを含む、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  6. 前記ウイルスが、A型インフルエンザ、エンテロウイルス、又はSARS-CoV-2である、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  7. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも30分間接触した後、少なくとも99%不活性化される、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  8. 前記組成物が、スラリー、懸濁液、ゲル、スプレー、塗料、又は歯磨き粉を含む、請求項1に記載の抗ウイルス性組成物。
  9. 前記組成物が、歯磨き粉を含み、前記窒化ケイ素が、標準的な歯磨き粉に見出される二酸化ケイ素粉末に直接置換される粉末の形態にある、請求項8に記載の抗ウイルス性組成物。
  10. 窒化ケイ素を含む抗ウイルス性装置であって、前記窒化ケイ素が、前記装置と少なくとも1分間接触するウイルスの少なくとも85%を不活性化する、抗ウイルス性装置。
  11. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも5分間接触する、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  12. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも30分間接触する、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  13. 前記抗ウイルス性装置が、最大100重量%の窒化ケイ素を含むモノリシック窒化ケイ素デバイスである、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  14. 前記窒化ケイ素が、1重量%~約15重量%の濃度で存在する、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  15. 前記窒化ケイ素が、10重量%以下の濃度で存在する、請求項14に記載の抗ウイルス性装置。
  16. 前記窒化ケイ素が、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、又はSiAlONを含む、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  17. 前記ウイルスが、A型インフルエンザ、エンテロウイルス、又はSARS-CoV-2である、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  18. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも30分間接触した後、少なくとも99%不活性化される、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  19. 前記抗ウイルス性装置が、医療デバイス、医療機器、診察台、フィルター、マスク、手袋、カテーテル、内視鏡器具、又は高頻度接触表面である、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  20. 前記装置が、金属組成物、ポリマー組成物、及び/又はセラミック組成物を有する基材を含み、前記窒化ケイ素が、前記基材の表面上にコーティングされるか、又は埋め込まれる、請求項10に記載の抗ウイルス性装置。
  21. ウイルスの伝播を予防する方法であって、
    抗ウイルス性装置を前記ウイルスと少なくとも1分間接触させることを含み、
    前記抗ウイルス性装置が、1重量%~100重量%の濃度で窒化ケイ素を含み、
    前記窒化ケイ素が、前記抗ウイルス性装置と接触する前記ウイルスの少なくとも85%を不活性化する、方法。
  22. 前記窒化ケイ素が前記ウイルスを不活性化する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも5分間接触する、請求項21に記載の方法。
  24. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも30分間接触する、請求項21に記載の方法。
  25. 前記抗ウイルス性装置が、最大100重量%の窒化ケイ素を含むモノリシック窒化ケイ素デバイスである、請求項21に記載の方法。
  26. 前記窒化ケイ素が、1重量%~約15重量%の濃度で存在する、請求項21に記載の方法。
  27. 前記窒化ケイ素が、10重量%以下の濃度で存在する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記窒化ケイ素が、α-Si、β-Si、SiYAlON、β-SiYAlON、SiYON、又はSiAlONを含む、請求項21に記載の方法。
  29. 前記ウイルスが、A型インフルエンザ、エンテロウイルス、又はSARS-CoV-2である、請求項21に記載の方法。
  30. 前記ウイルスが、前記窒化ケイ素と少なくとも30分間接触した後、少なくとも99%不活性化される、請求項21に記載の方法。
JP2023544599A 2021-01-29 2021-04-14 抗ウイルス性組成物及びデバイス並びにそれらの使用方法 Pending JP2024505490A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202163143370P 2021-01-29 2021-01-29
US63/143,370 2021-01-29
PCT/US2021/027270 WO2022164466A1 (en) 2021-01-29 2021-04-14 Antiviral compositions and devices and methods of use thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024505490A true JP2024505490A (ja) 2024-02-06

Family

ID=82654773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023544599A Pending JP2024505490A (ja) 2021-01-29 2021-04-14 抗ウイルス性組成物及びデバイス並びにそれらの使用方法

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP4284379A1 (ja)
JP (1) JP2024505490A (ja)
KR (1) KR20230137386A (ja)
CN (1) CN116847851A (ja)
AU (1) AU2021423620A1 (ja)
CA (1) CA3204665A1 (ja)
MX (1) MX2023008465A (ja)
WO (1) WO2022164466A1 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7776085B2 (en) * 2001-05-01 2010-08-17 Amedica Corporation Knee prosthesis with ceramic tibial component
GB0603138D0 (en) * 2006-02-16 2006-03-29 Queen Mary & Westfield College Virucidal materials
JP5931886B2 (ja) * 2011-09-14 2016-06-08 日本板硝子株式会社 抗ウイルス性薄膜つき基材
US10806831B2 (en) * 2012-05-09 2020-10-20 Sintx Technologies, Inc. Antibacterial biomedical implants and associated materials, apparatus, and methods
WO2020051004A1 (en) * 2018-09-06 2020-03-12 Sintx Technologies, Inc. Antipathogenic compositions and methods thereof

Also Published As

Publication number Publication date
EP4284379A1 (en) 2023-12-06
AU2021423620A1 (en) 2023-07-27
KR20230137386A (ko) 2023-10-04
CN116847851A (zh) 2023-10-03
WO2022164466A1 (en) 2022-08-04
CA3204665A1 (en) 2022-08-04
MX2023008465A (es) 2023-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7422137B2 (ja) 抗病原性組成物およびその方法
CN110917196B (zh) 一种氯喹抑菌消毒液及其应用
US20240081442A1 (en) Antipathogenic face mask
US11844344B2 (en) Systems and methods for rapid inactivation of SARS-CoV-2 by silicon nitride and aluminum nitride
CN112205420A (zh) 一种负氧离子消毒杀菌剂、及其制备方法和应用
JP2024505490A (ja) 抗ウイルス性組成物及びデバイス並びにそれらの使用方法
US20210228625A1 (en) Antiviral compositions and devices and methods of use thereof
Pezzotti et al. Rapid inactivation of SARS-CoV-2 by silicon nitride, copper, and aluminum nitride
WO2022005550A1 (en) Systems and methods for rapid inactivation of sars-cov-2 by silicon nitride and aluminum nitride
US20220095624A1 (en) Nitride based antipathogenic compositions and devices and methods of use thereof
KR20220164554A (ko) 항병원성 안면 마스크
WO2022125797A1 (en) Nitride based antipathogenic compositions and devices and methods of use thereof
WO2022239605A1 (ja) 殺ウイルス剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240412