JP2024503632A - ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体 - Google Patents

ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体 Download PDF

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Abstract

本発明は、がん細胞上に存在する構成要素に結合する第1のペプチドリガンドが、リンカーを介して、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素に結合する第2のペプチドリガンドにコンジュゲートしたものを含む、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体に関する。本発明は又、がんの予防、抑制、又は治療における該ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体の使用に関する。【選択図】図1

Description

(発明の分野)
本発明は、がん細胞上に存在する構成要素に結合する第1のペプチドリガンド、及び、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素に結合する1個以上の第2のペプチドリガンドを含み、該第1のペプチドリガンドはリンカーを介して該第2のペプチドリガンドにコンジュゲートしている、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体に関する。本発明は又、がんの予防、抑制、又は治療における該ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体の使用に関する。
(発明の背景)
環状ペプチドは、高い親和性及び標的特異性でタンパク質標的に結合することができ、それゆえ、治療薬の開発のための魅力的な分子クラスである。実際、幾つかの環状ペプチドは、例えば、抗菌ペプチドのバンコマイシン、免疫抑制薬のシクロスポリン、又は抗がん薬のオクトレオチドのように、診療所で使用されるのに既に成功している(Driggersらの文献、(2008), Nat Rev Drug Discov 7(7), 608-24)。優れた結合特性は、ペプチドと標的との間で形成される比較的大きな相互作用表面だけでなく、環状構造の立体構造可撓性の低下にも起因する。通常、大環状分子は、環状ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å2;Wuらの文献、(2007), Science 330、1066-71)、インテグリンαVb3に結合するArg-Gly-Aspモチーフを有する環状ペプチド(355Å2)(Xiongらの文献、(2002), Science 296(5565), 151-5)、又はウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子に結合する環状ペプチド抑制剤ウパイン-1(603Å2;Zhaoらの文献、(2007), J Struct Biol 160(1), 1-10)のように、数百平方オングストロームの表面に結合する。
その環状立体配置のために、ペプチド大環状分子は、直鎖状ペプチドよりも可撓性が低く、標的に結合したときのエントロピー損失がより小さくなり、結果的に、より高い結合親和性が生じる。可撓性の低下は又、標的特異的立体構造の固定をもたらし、直鎖状ペプチドと比較して結合特異性を増加させる。この効果は、その環が開いたときに、他のMMPに対するその選択性を失うマトリックスメタロプロテイナーゼ8(MMP-8)の強力かつ選択的な抑制剤によって例証されている(Cherneyらの文献、(1998), J Med Chem 41(11), 1749-51)。大環状化によって達成される有利な結合特性は、例えば、バンコマイシン、ナイシン、及びアクチノマイシンのような、1を超えるペプチド環を有する多環性ペプチドにおいて更により顕著である。
様々な研究チームが、以前に、システイン残基を有するポリペプチドを合成分子構造に繋いでいる(Kemp及びMcNamaraの文献、(1985), J. Org. Chem;Timmermanらの文献、(2005), ChemBioChem)。Meloen及び共同研究者らは、トリス(ブロモメチル)ベンゼン及び関連分子をタンパク質表面の構造的模倣用の合成スキャフォールド上での複数のペプチドループの迅速かつ定量的な環化に使用した(Timmermanらの文献、(2005), ChemBioChem)。候補薬物化合物(ここで、該化合物は、システイン含有ポリペプチドを、例えば、トリス(ブロモメチル)ベンゼンのような分子スキャフォールドに連結させることにより作製される)の作製方法は、WO2004/077062及びWO2006/078161に開示されている。
ファージディスプレイに基づくコンビナトリアルアプローチが開発されて、目的の標的に対する二環式ペプチドの大型ライブラリが作製及びスクリーニングされている(Heinisらの文献、(2009), Nat Chem Biol 5(7), 502-7及びWO2009/098450)。簡潔に述べると、3つのシステイン残基及び2つのランダムな6アミノ酸領域を含む直鎖状ペプチド(Cys-(Xaa)6-Cys-(Xaa)6-Cys)のコンビナトリアルライブラリをファージ上に提示し、システイン側鎖を小分子(トリス-(ブロモメチル)ベンゼン)に共有結合することにより環化させた。
(発明の概要)
本発明の第一の態様では、
(a)がん細胞上に存在する構成要素に結合する第1のペプチドリガンド;がリンカーを介して、
(b)ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素に結合する、1個以上の第2のペプチドリガンド;にコンジュゲートしたものを含むヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
該ペプチドリガンドの各々が少なくとも2つのループ配列によって隔てられた少なくとも3つの反応基を含むポリペプチド、及び該ポリペプチドの該反応基と共有結合を形成する分子スキャフォールドを含み、少なくとも2つのポリペプチドループが該分子スキャフォールド上に形成されている、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体、が提供される。
本発明の更なる態様では、本明細書で定義されるヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を、1以上の医薬として許容し得る賦形剤と組み合せて含む医薬組成物が提供される。
本発明の更なる態様では、がんの予防、抑制、又は治療において使用するための本明細書で定義されるヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が提供される。
(図面の簡単な説明)
図1は、CD107aのアップレギュレーションにより測定した、BCY15664及びBCY15911によるNK細胞の活性化を示す。 図2は、BCY17226についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図3は、BCY15664及びBCY15923についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図4は、BCY15664についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図5は、BCY17226についてのIFN-γ分泌アッセイ結果を示す。 図6は、BCY17225、BCY21686、及びBCY21687についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図7は、BCY17231、BCY17235、及びBCY18731についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図8は、BCY20793についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図9は、BCY15924、BCY18042、及びBCY18049についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図10は、BCY18603及びBCY18604についてのNK細胞傷害性アッセイ結果を示す。 図11は、BCY17225、BCY21686、及びBCY21687についてのサイトカイン分泌アッセイ結果を示す。 図12は、BCY18048についてのサイトカイン分泌アッセイ結果を示す。
(発明の詳細な説明)
本発明の第一の態様では、
(a)がん細胞上に存在する構成要素に結合する第1のペプチドリガンド;がリンカーを介して、
(b)ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素に結合する、1個以上の第2のペプチドリガンド;にコンジュゲートしたものを含むヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
該ペプチドリガンドの各々が少なくとも2つのループ配列によって隔てられた少なくとも3つの反応基を含むポリペプチド、及び該ポリペプチドの該反応基と共有結合を形成する分子スキャフォールドを含み、少なくとも2つのポリペプチドループが該分子スキャフォールド上に形成されている、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体
が提供される。
(第1のペプチドリガンド)
本明細書における言及での用語「がん細胞」には、がんに関与することが知られている任意の細胞が含まれる。がん細胞は、細胞分裂の制御に関与する遺伝子が損傷を受けた場合に発生する。発癌は、増殖と細胞死との間の正常な均衡を壊すような、正常細胞の遺伝物質の変異及びエピ変異によって生じる。これにより無制御の細胞分裂が生じ、体内での自然淘汰によってこれらの細胞が進化する結果になる。無制御であって、多くの場合に急速でもある細胞増殖は、良性又は悪性腫瘍(がん)を生じる可能性がある。良性腫瘍は、体の他の部分に拡大することはなく、他の組織に侵入することもない。悪性腫瘍は、他の器官に侵入し、離れた部位に広がり(転移)、生命を脅かすものとなり得る。
1の実施態様では、がん細胞は、HT1080、A549、SC-OV-3、PC3、HT1376、NCI-H292、LnCap、MC38、MC38 #13、4T1-D02、H322、HT29、T47D、及びRKO腫瘍細胞から選択される。
1の実施態様では、がん細胞上に存在する構成要素は、ネクチン-4である。
ネクチン-4は、4つのメンバーを含むネクチンファミリータンパク質に属する表面分子である。ネクチンは、発生及び成体期における上皮細胞、内皮細胞、免疫細胞、及び神経細胞の、極性(化)、増殖、分化、及び遊走等の様々な生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす細胞接着分子である。これらは、ヒトにおける幾つかの病理学的プロセスに関与する。これらは、ポリオウイルス、単純ヘルペスウイルス、及び麻疹ウイルスの主要な受容体である。ネクチン-1(PVRL1)又はネクチン-4(PVRL4)をコードする遺伝子内の突然変異は、その他の異常とも関連する外胚葉異形成症候群を引き起こす。ネクチン-4は、胎児発生期中に発現される。その発現は、成体組織ではファミリーの他のメンバーの発現よりも制限される。ネクチン-4は、それぞれ、50%、49%、及び86%の乳癌、卵巣癌、及び肺癌の腫瘍関連抗原であり、主に予後不良腫瘍に関する。対応する正常組織では、その発現は検出されない。乳房腫瘍において、ネクチン-4は、トリプルネガティブかつERBB2+の癌腫で主に発現される。これらのがん患者の血清中の、可溶性形態のネクチン-4の検出は、予後不良と関連する。ネクチン-4の血清レベルは、転移進行期に増大し、治療後に減少する。これらの結果は、ネクチン-4ががんの治療のための信頼できる標的となり得ることを示唆する。従って、従来技術には幾つかの抗ネクチン-4抗体が記載されている。特に、エンホルツマブベドチン(ASG-22ME)は、ネクチン-4を標的とする抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であり、固形腫瘍に罹患している患者の治療のために、現在、臨床研究されている。
1の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、ネクチン-4結合型二環式ペプチドリガンドを含む。
ネクチン-4結合型二環式ペプチドリガンドの好適な例は、そのペプチドが参照により本明細書中に組み込まれるWO2019/243832に開示されている。
1の実施態様では、ネクチン-4結合型二環式ペプチドは:
Figure 2024503632000002
(式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1、第2、及び第3のシステイン残基を表し、1Nalは1-ナフチルアラニンを表し、HArgはホモアルギニンを表し、HyP はトランス-4-ヒドロキシ-L-プロリンを表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
別の実施態様では、がん細胞上に存在する構成要素は、EphA2である。
Eph受容体型チロシンキナーゼ(Eph)は、タンパク質のチロシン残基をリン酸化するキナーゼである、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の大きな群に属する。Eph及びその膜結合型エフリンリガンド(エフリン)は、細胞配置及び組織構成を制御する(Poliakovらの文献、(2004)Dev Cell 7, 465-80)。機能的及び生化学的なEph応答は、高いリガンドオリゴマー化状態で生じる(Steinらの文献、(1998)Genes Dev 12, 667-678)。
他のパターン認識機能の中では、様々なEph及びエフリンが、血管発生における役割を果たすことが示されている。EphB4及びエフリン-B2のノックアウトは、毛細血管床を再構築して血管にする能力の欠如(Poliakovらの文献、前記)及び胚性致死をもたらす。幾つかのEph受容体及びエフリンの持続的発現は、新たに形成された成体の微小血管でも同様に観察されている(Brantley-Siedersらの文献、(2004)Curr Pharm Des 10, 3431-42;Adams(2003)J Anat 202, 105-12)。
成体における幾つかのエフリン及びその受容体が脱制御されて再出現することも又、腫瘍の浸潤、転移、及び新血管新生に寄与することが観察されている(Nakamotoらの文献、(2002)Microsc Res Tech 59, 58-67;Brantley-Siedersらの文献、前記)。更に、幾つかのEphファミリーメンバーは、種々のヒト腫瘍由来の腫瘍細胞で過剰発現されていることが見いだされた(Brantley-Siedersらの文献、前記);Marmeの文献、(2002)Ann Hematol 81 Suppl 2, S66;Boothらの文献、(2002)Nat Med 8, 1360-1)。
EPH受容体A2(エフリンA型受容体2)は、ヒトにおいてEPHA2遺伝子によってコードされるタンパク質である。
EphA2は、疾患の進行、転移、及び予後不良としばしば相関しているヒトの多数のがん、例えば、乳がん(Zelinskiらの文献、(2001), Cancer Res. 61, 2301-2306;Zhuangらの文献、(2010), Cancer Res. 70, 299-308;Brantley-Siedersらの文献、(2011), PLoS One 6, e24426)、肺がん(Brannanらの文献、(2009), Cancer Prev Res(Phila)2, 1039-1049;Kinchらの文献、(2003), Clin Cancer Res. 9, 613-618;Guoらの文献、(2013), J Thorac Oncol. 8, 301-308)、胃がん(Nakamuraらの文献、(2005), Cancer Sci. 96, 42-47;Yuanらの文献、(2009), Dig Dis Sci 54, 2410-2417)、膵臓がん(Mudaliらの文献、(2006), Clin Exp Metastasis 23, 357-365)、前立腺がん(Walker-Danielsらの文献、(1999), Prostate 41, 275-280)、肝臓がん(Yangらの文献、(2009), Hepatol Res. 39, 1169-1177)、及び神経膠芽腫(Wykoskyらの文献、(2005), Mol Cancer Res. 3, 541-551;Liらの文献、(2010), Tumor Biol. 31, 477-488)でアップレギュレートされている。
がん進行におけるEphA2の完全な役割はまだ明確にされていないが、腫瘍細胞の増殖、生存、浸潤、及び血管新生を含むがん進行の多くのステージにおける相互作用の証拠が存在する。EphA2発現のダウンレギュレーションは、腫瘍がん細胞の増殖を抑制し(Bindaらの文献、(2012), Cancer Cell 22, 765-780)、一方、EphA2の遮断は、VEGF誘導性細胞の遊走(Hessらの文献、(2001), Cancer Res. 61, 3250-3255)、簇出及び血管新生(Chengらの文献、(2002), Mol Cancer Res. 1, 2-11;Linらの文献、(2007), Cancer 109, 332-40)、並びに転移性進行(Brantley-Siedersらの文献、(2005), FASEB J. 19, 1884-1886)を抑制する。
EphA2との抗体-薬物コンジュゲートは、ラット及びマウスの異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を有意に減少させることが示されており(Jacksonらの文献、(2008), Cancer Research 68, 9367-9374)、類似の手法がヒトで試みられているが、治療は、治療関連有害事象が原因で中止しなければならなかった(Annunziataらの文献、(2013), Invest New drugs 31, 77-84)。
1の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、EphA2結合型二環式ペプチドリガンドを含む。
EphA2結合型二環式ペプチドリガンドの好適な例は、そのペプチドが参照により本明細書中に組み込まれているWO2019/122860、WO2019/122861、及びWO2019/122863に開示されている。
1の実施態様では、EphA2結合型二環式ペプチドリガンドは:
Figure 2024503632000003
(式中、Ci、Cii、及びCiiiは、第1(i)反応基、第2(ii)反応基、及び第3(iii)反応基を表し、HyPはトランス-4-ヒドロキシ-L-プロリンを表し、HArgはホモアルギニンを表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
更なる実施態様では、EphA2結合型二環式ペプチドリガンドは、任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
A-[HArg]-D-(配列番号:2)(本明細書ではBCY9594と称する);
(式中、HArgはホモアルギニンを表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
別の実施態様では、がん細胞上に存在する構成要素は、PD-L1である。
プログラム細胞死1リガンド1(PD-L1)は、マウス第19番染色体及びヒト第9番染色体上のCD274遺伝子によってコードされた290アミノ酸のI型膜貫通タンパク質である。PD-L1の発現は、慢性感染、例えば、慢性ウイルス感染(例えば、特に、HIV、HBV、HCV、及びHTLVを含む)、慢性細菌感染(例えば、特に、ヘリコバクター・ピロリ菌を含む)、並びに慢性寄生虫感染(例えば、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)を含む)に関与する免疫応答の回避に関与している。PD-L1発現は、T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、及び、内皮細胞、肝細胞、筋細胞を含む非造血細胞、並びに胎盤を含む、多数の組織及び細胞種で検出されている。
PD-L1の発現は又、抗腫瘍免疫活性の抑制にも関与している。腫瘍は、宿主T細胞によって認識可能な抗原を発現するが、腫瘍の免疫的排除は稀である。この不具合の一部は、腫瘍微小環境による免疫抑制によるものである。多くの腫瘍におけるPD-L1発現は、この抑制的環境の構成要素であり、他の免疫抑制性シグナルと協調して作用する。PD-L1発現は、乳房、肺、結腸、卵巣、メラノーマ、膀胱、肝臓、唾液腺、胃、神経膠腫、甲状腺、胸腺上皮、頭部、及び頸部を含む、多種多様な固形腫瘍においてインサイチュで示されている(Brown JAらの文献、2003 Immunol. 170:1257-66;Dong Hらの文献、2002 Nat. Med. 8:793-800;Hamanishi Jらの文献、2007 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104:3360-65;Strome SEらの文献、2003 Cancer Res. 63:6501-5;Inman BAらの文献、2007 Cancer 109:1499-505;Konishi Jらの文献、2004 Clin. Cancer Res. 10:5094-100;Nakanishi Jらの文献、2007 Cancer Immunol. Immunother. 56:1173-82;Nomi Tらの文献、2007 Clin. Cancer Res. 13:2151-57;Thompson RHらの文献、2004 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:17174-79;Wu Cらの文献、2006 Acta Histochem. 108:19-24)。更に、PD-L1の受容体であるプログラム細胞死タンパク質1(PD-1及びCD279としても知られる)の発現は、腫瘍浸潤リンパ球でアップレギュレートされ、これも又、腫瘍免疫抑制に寄与する(Blank Cらの文献、2003 Immunol. 171:4574-81)。最も重要なことには、腫瘍でのPD-L1発現と疾患転帰との関係に関する研究により、PD-L1発現が腎臓がん、卵巣がん、膀胱がん、乳がん、胃がん、及び膵臓がんにおける予後不良と強く相関することが示されている(Hamanishi Jらの文献、2007 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104:3360-65;Inman BAらの文献、2007 Cancer 109:1499-505;Konishi Jらの文献、2004 Clin. Cancer Res. 10:5094-100;Nakanishi Jらの文献、2007 Cancer Immunol. Immunother. 56:1173-82;Nomi Tらの文献、2007 Clin. Cancer Res. 13:2151-57;Thompson RHらの文献、2004 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:17174-79;Wu Cらの文献、2006 Acta Histochem. 108:19-24)。更に、これらの研究により、腫瘍でのより高いレベルのPD-L1発現が腫瘍ステージの進行及び組織構造へのより深い浸潤を促進し得ることが示唆されている。
PD-1経路は又、血液悪性腫瘍において役割を果たし得る。PD-L1は、多発性骨髄腫細胞で発現されるが、正常な形質細胞では発現されない(Liu Jらの文献、2007 Blood 110:296-304)。PD-L1は、一部の原発性T細胞リンパ腫、特に、再生不良性大細胞Tリンパ腫で発現されている(Brown JAらの文献、2003 Immunol. 170:1257-66)。PD-1は、血管免疫芽球性リンパ腫のT細胞で高度に発現され、PD-L1は、関連する濾胞樹状細胞ネットワークで発現される(Dorfman DMらの文献、2006 Am. J. Surg. Pathol. 30:802-10)。結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫において、リンパ球又は組織球(L&H)細胞と関連するT細胞は、PD-1を発現する。PD-1ライゲーションによって誘導された遺伝子のリードアウトを用いるマイクロアレイ解析により、腫瘍関連T細胞が非ホジキンリンパ腫においてインサイチュでPD-1シグナルに応答することが示唆されている(Chemnitz JMらの文献、2007 Blood 110:3226-33)。PD-1及びPD-L1は、HTLV-1が関与する成人T細胞白血病及びリンパ腫のCD4 T細胞で発現される(Shimauchi Tらの文献、2007 Int. J. Cancer 121:2585-90)。これらの腫瘍細胞は、TCRシグナルに低応答性である。
動物モデルでの研究により、腫瘍のPD-L1が、T細胞活性化を阻害し、腫瘍細胞の溶解を抑制し、場合によっては、腫瘍特異的T細胞死の増加をもたらすことが示されている(Dong Hらの文献、2002 Nat. Med. 8:793-800;Hirano Fらの文献、2005 Cancer Res. 65:1089-96)。腫瘍関連APCも又、PD-1:PD-L1経路を利用して抗腫瘍T細胞応答を制御することができる。腫瘍関連骨髄DC集団でのPD-L1発現は、腫瘍環境要因によってアップレギュレートされる(Curiel TJらの文献、2003 Nat. Med. 9:562-67)。B16メラノーマの腫瘍流入領域リンパ節内の形質細胞様樹状細胞(DC)は、制御性T細胞の抑制的活性を強く活性化するIDOを発現する。IDO処理された制御性T細胞の抑制的活性には、IDO発現DCとの細胞接触が必要であった(Sharma MDらの文献、2007 Clin. Invest. 117:2570-82)。
1の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、PD-L1結合型二環式ペプチドリガンドを含む。
1の実施態様では、PD-L1結合型二環式ペプチドリガンドは:
Figure 2024503632000004
(式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1(i)システイン基、第2(ii)システイン基、及び第3(iii)システイン基を表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
更なる実施態様では、分子スキャフォールドはTATAであり、PD-L1結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
Ac-D-[Harg]-(配列番号:3)-PSH(本明細書ではBCY11865と称する)
(式中、Hargはホモアルギニンを表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
PD-L1結合型二環式ペプチドリガンドの好適な例は、WO2020/128526及びWO2020/128527に開示されており、そのペプチドが参照により本明細書中に組み込まれている。
別の実施態様では、がん細胞上に存在する構成要素は、膜1型マトリックスメタロペプチダーゼ14(MT1、MMP14としても知られる)。MT1-MMPは、細胞外マトリックスリモデリングにおいて、直接的にはその構成要素の幾つかを分解することにより、そして間接的にはプロ-MMP2を活性化させることによって、主要な役割を演じる膜貫通型メタロプロテアーゼである。MT1-MMPは、腫瘍血管新生に決定的なものであり(Sounniらの文献、(2002)FASEB J. 16(6), 555-564)、様々な固体腫瘍で過剰発現されている。従って、本発明のMT1-MMP結合型二環式ペプチドは、がん、特に、非小細胞肺癌等の固体腫瘍の標的化治療に特別な有用性を有する。1の実施態様では、本発明の二環式ペプチドは、ヒトMT1-MMPに特異的である。更なる実施態様では、本発明の二環式ペプチドは、マウスMT1-MMPに特異的である。より更なる実施態様では、本発明の二環式ペプチドは、ヒトMT1-MMP及びマウスMT1-MMPに特異的である。より更なる実施態様では、本発明の二環式ペプチドは、ヒトMT1-MMP、マウスMT1-MMP及びイヌMT1-MMPに特異的である。
1の実施態様では、MT1結合型二環式ペプチドリガンドは:
Figure 2024503632000005
(式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1(i)システイン基、第2(ii)システイン基、及び第3(iii)システイン基を表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
更なる実施態様では、分子スキャフォールドはTATAであり、MT1結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
LPP-(配列番号:4)(本明細書ではBCY14320と称する)
、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
MT1結合型二環式ペプチドリガンドの好適な例は、WO2016/067035に開示されており、そのペプチドが参照により本明細書中に組み込まれている。
別の実施態様では、がん細胞上に存在する構成要素は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)である。
前立腺特異的膜抗原(PSMA)(グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII(GCPII)、N-アセチル-L-アスパルチル-L-グルタミン酸ペプチダーゼI((NAALADase I)、及びNAAGペプチダーゼとしても知られる)は、ヒトにおいて、FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ1)遺伝子によってコードされる酵素である。ヒトGCPIIは、750アミノ酸を含み、約84kDaに相当する量である。
ヒトPSMAは、前立腺で高度に、他の組織のほとんどよりも約100倍多く発現される。幾つかの前立腺がんでは、PSMAは、2番目に大きくアップレギュレートされる遺伝子産物であり、非がん性前立腺細胞におけるレベルよりも8~12倍増大している。この高発現のため、PSMAは、幾つかのがんの治療及びイメージングのために可能性の高いバイオマーカーとして開発中である。ヒト前立腺がんにおいて、腫瘍の高発現は、無増悪期間の短さ及び再発患者の割合の大きさと関連している。
1の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、PSMA結合型二環式ペプチドリガンドを含む。
PSMA結合型二環式ペプチドリガンドの好適な例は、WO2019/243455及びWO2020/120980であり、そのペプチドが参照により本明細書中に組み込まれている。
(第2のペプチドリガンド)
1個以上の第2のペプチドリガンドが、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素に結合することが必要であることが認識されるであろう。同様に、1を超える第2のペプチドリガンドが存在する場合、その複数の第2のペプチドリガンドは、NK細胞内の同一の又は異なる標的に結合し得ることも認識されるであろう。従って、1の実施態様では、第2の二環式ペプチドリガンドは、そのNK細胞内の同一標的に対して特異的である。更なる実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、少なくとも2つの同一の第2の二環式ペプチドリガンドを含む。この「同一の」とは、第2の二環式ペプチドが同一のアミノ酸配列を有すること、特に重要なことは、同一のアミノ酸配列は、第2の二環式ペプチドの結合部分(例えば、その配列の結合位置は変動し得る)を指すことを意味する。この実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体内の各第2の二環式ペプチドは、NK細胞の同一の標的上の全く同一のエピトープに結合し、その結果、標的結合した複合体は、ホモ二量体(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、2個の同一の第2の二環式ペプチドを含む場合)、ホモ三量体(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、3個の同一の第2の二環式ペプチドを含む場合)、又はホモ四量体(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、4個の同一の第2の二環式ペプチドを含む場合)等々が、生成するであろう。
別の実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、少なくとも2つの異なる第2の二環式ペプチドリガンドを含む。この「異なる」とは、第2の二環式ペプチドが異なるアミノ酸配列を有することを意味する。この実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体内の異なる第2の二環式ペプチドは、NK細胞の異なるエピトープに結合し、その結果、標的結合した複合体は、バイパラトピック(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、2個の異なる第2の二環式ペプチドを含む場合)、トリパラトピック(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、3個の異なる第2の二環式ペプチドを含む場合)、又はテトラパラトピック(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、4個の異なる第2の二環式ペプチドを含む場合)等々が、生成するであろう。
理論により拘束されるものではないが、結果物であるヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、NK細胞上の異なる標的、例えば異なる標的受容体をヘテロ架橋することにより、受容体を活性化できると考えられる。従って、1の実施態様では、第2の二環式ペプチドリガンドは、NK細胞上の異なる標的に対して特異的である。この実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、少なくとも2つの異なる第2の二環式ペプチドリガンド(即ち、異なるアミノ酸配列を有する、第2の二環式ペプチドリガンド)を含むことが認識されるであろう。この実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体内の第2の二環式ペプチドのそれぞれは、NK細胞の異なるエピトープに結合し、その結果、標的結合した複合体は、二重特異性ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、2個の異なる第2の二環式ペプチドを含む場合)、三重特異性多量体結合複合体(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、3個の異なる第2の二環式ペプチドを含む場合)、又は四重特異性ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体(そのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、4個の異なる第2の二環式ペプチドを含む場合)等々が、生成するであろう。
(NKp46結合型二環式ペプチド)
ナチュラルキラー(NK)細胞は、末梢血単核細胞の小画分を占める自然免疫系メンバーである。最前線の応答者として、これら免疫細胞は、不健康細胞を検出して排除し、自然免疫応答と適応免疫応答との橋渡しをする。その固有の特性により、NK細胞は腫瘍免疫及び自己免疫における治療手段を増強させる優れた候補である。
NK細胞は、様々な抑制性受容体及び活性化受容体を通して行われる免疫監視の役割を担っている。NK細胞表面上のこれらの活性化受容体及び抑制性受容体は、それを通してNK細胞の活性が健常個体内でバランスを保つ複雑な手段である。NK細胞は健康細胞表面上のMHCクラスI分子を認識し、これら健康細胞を排除することを抑制性受容体を通して抑制する。ストレス、感染、又は形質転換の時には、NK細胞は、その細胞表面上のMHCクラスIの喪失、及び活性化受容体へ結合するNK細胞受容体リガンドの誘導を通して、不健康細胞を認識する。NK細胞による非自己の認識は細胞傷害応答を惹起し、サイトカイン及び細胞傷害分子が放出されて不健康細胞が排除される。
NK細胞活性は、活性化シグナル及び抑制性シグナルの両方が関与する複雑なメカニズムによる。複数の研究報告で、天然の細胞傷害性でのNK細胞受容体の中心的役割及びがん治療での有用性の証拠が提供されている。未解決な課題は、NK細胞が介在する腫瘍細胞の認識及び死滅化についての更なる理解及び強化である。報告は、腫瘍細胞が多くのメカニズムを利用してNK活性を低下させること、並びにNK細胞の存在及び有効性が患者の予後良好と関連することを示唆している(Paseroらの文献、(2015)Oncotarget 6(16), 14360-14373、Stringarisらの文献、(2014)Haematologica 99(5), 836-847)。治療的介入を通して、がん及び自己免疫疾患と闘うための免疫反応を媒介し得るNK細胞の可能性を利用できるであろう。
1の実施態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、該NK細胞表面上に存在する、天然の細胞傷害性受容体である。更なる実施態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、NKp30、NKp44、及びNKp46から選択される天然の細胞傷害性受容体である。より更なる実施態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素はNKp46である。
天然の細胞傷害性受容体(NCR)は、NK細胞表面上に発現される刺激性受容体のファミリーであり、NKの活性化及びNK細胞媒介性細胞傷害を惹起する。NCRファミリーはNKp30、NKp44、及びNKp46の3つのメンバーからなる。NKp46のための細胞性リガンドは不明であるが、抗腫瘍性免疫におけるNKp46の役割は示されている。ウイルス性抗原を介したNKp46のNK細胞活性化は、腫瘍拒絶を引き起こす(Chinneryらの文献、2012)。NKp46受容体は、そのリガンドとの相互作用により、NK細胞を作動させて細胞傷害性を指向するように誘導し、それは標的を溶解させるNK細胞の能力を抑制する抗NKp46ブロッキング抗体の使用によって示される(Arnonらの文献、2004)。NK細胞表面上のNCR発現量も又、NK細胞傷害性を上昇させる。NCRの発現密度と、多種多様な腫瘍細胞を含む標的細胞を死滅させるNK細胞の能力との間には、強い相関関係があることが特定されている(Morettaら文献、2006年)。AML並びに子宮頸がん及びその前駆病変では、NCR又はNCRリガンドの量が不充分であるために、腫瘍細胞がNK細胞傷害性に対して抵抗性を示す(Costelloらの文献、2002、Garcia-Iglesiasらの文献、2009)。多くの固形腫瘍では、NK細胞は腫瘍微小環境によってダウンレギュレーションされており、それらの中にはNCRリガンドを排出して、免疫編集して、NK細胞が腫瘍細胞を認識し、浸潤し、死滅させる能力を妨げる腫瘍が含まれる(Nayyarの文献、2019、Stojanovicらの文献、2011、Sordo-Bahamondeらの文献、2020、Watanabeらの文献、2010、Izawaらの文献、2011、Kooらの文献、2013、Sunらの文献、2015、Hasmimらの文献、2015、Hanらの文献、2018)。Stringarisらの文献(2014)は、AML患者からのNKp46のダウンレギュレーション、NK細胞抑制性受容体NKG2Aのアップレギュレーション、及びNK細胞の低い細胞傷害能を報告した。更に又、前立腺がん等の固形がんでは、幾つかの活性化受容体(CD16、NKp30、NKp46、NKG2D、及びDNAM-1)の発現低下、並びに抑制性受容体CD85jの増加が報告されている(Pesaroらの文献、2016)。対照的に、Gautheirらの文献(2019)は、NKp46をがんにおけるNK細胞上の活性化受容体を標的とする有力な候補として特定し、SCCHN、乳がん、肝臓がん、肺がん、腎臓がん、及び転移性メラノーマのがん患者において、末梢におけるNKp46の統計的に有意なダウンレギュレーションがないことを実証した。更に、複数の固形腫瘍内では、例えばNKG2D、NKp30、及びNKp44等の他の活性化受容体のダウンレギュレーションと関連するNKp46の持続的発現、並びに腫瘍浸潤リンパ球におけるCD16の低発現が、例えば急性骨髄性白血病、乳がん、及び肺がん等のがんで報告されている(Fauriatらの文献、2007, Mamessierらの文献、2011、Platonovaらの文献、2011、Leviらの文献、2015、Kimらの文献、2010、MacFarlaneらの文献、2017)。従って、NKp46は、NK細胞が腫瘍を特定して標的化するための、治療適用に好適な特異的NK表面マーカーであることが示された。
1の実施態様では、1個以上のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドは:
Figure 2024503632000006
(式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1、第2、及び第3のシステイン残基を表し、Cbaはβ-シクロブチルアラニンを表し、dAはD-アラニンを表し、及びPYAはペンチン酸を表す)から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
更なる実施態様では、分子スキャフォールドはTATAであり、1個以上のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドは、任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
Ac-(配列番号:5)-[K(PYA)](本明細書ではBCY17224と称する);
A-(配列番号:6)-A-[dK(PYA)](本明細書ではBCY15452と称する);
A-(配列番号:7)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY15686と称する);
A-(配列番号:8)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY15687と称する);
A-(配列番号:9)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY18004と称する);
A-(配列番号:10)-A(本明細書ではBCY17662と称する);及び
A-(配列番号:11)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY18005と称する)
(式中、PYAはペンチン酸を表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
(CD16a結合型二環式ペプチド)
1の実施態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、該NK細胞表面上に存在するFc受容体である。更なる実施態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIC、FcγRIIIA、及びFcγRIIIBから選択される低親和性Fcγ受容体(FcγR)である。より更なる実施態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、FcγRIIIA(CD16aとしても知られる)である。
Fc受容体は、多くの白血球表面上で発現される。ヒトでは、5つの古典的な低親和性Fcγ受容体(FcγR)(FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIC、FcγRIIIA、及びFcγRIIIB)が、免疫グロブリンG(IgG)のFc部分に結合し、免疫細胞活性化並びに抑制化を介した炎症のメディエーターである(Mutaらの文献、1994、Ravetchらの文献、2001)。FcγRIIIA(CD16a)は、IgG分子のFc部分とのエンゲージメントによって活性化され、抗体依存性細胞傷害(ADCC)プロセスに非常に重要である。ADCCは、抗原特異的な抗体がNK細胞に対して抗原を発現したがん細胞を死滅するよう指令するメカニズムである(Arnouldらの文献、2006)。IgG1 mAbsの抗腫瘍効果に重要な役割を果たすことから、幾つかの研究は、ヒトIgG1抗ヒト上皮増殖因子受容体2(HER-2)抗体であるトラスツズマブは、転移性大腸患者におけるEGFR抗体セツキシマブと同様に、その抗腫瘍効果部分がADCCを介していることを示した(Zhangらの文献、2007, 2020、Wuらの文献、2003)。同様の結果が、B細胞分化抗原CD20に対するキメラIgG1 mAbであるリツキシマブについても報告されている(Manchesらの文献、2003, Clynesらの文献、2000)。腫瘍細胞死を促進するように免疫細胞を誘導するCD16発現の有用性が、過剰発現の研究で示された。Ig-Fcのレトロウイルス形質導入において、B16メラノーマ細胞の表面にIgFcが発現すると、インビボでの腫瘍死滅化が生じる(Riddleらの文献、2005)。NK細胞を腫瘍標的化させるFcγRエンゲージメントの役割も又、それによってキメラ抗原受容体T細胞がCD16 scFvを発現し、抗体でコートされた腫瘍細胞を対象とする研究結果において示された。セツキシマブ又はリツキシマブで治療したEGFR又はCD20腫瘍保有マウスに、インビボモデルでCD16-CarTを導入すると、免疫細胞標的化及びADCC死滅化が増強され、それによって腫瘍の免疫回避が根絶された(Ratajらの文献、2019, Caratelliらの文献、2017)。
自己免疫疾患に対するFcγR遺伝子の寄与は非常に注目を集めており、機能的FcγR多型が自己免疫疾患の病因に重要な役割を果たすことが報告されている(Salmonらの文献、2001、Morganらの文献、2003、Wuらの文献、1997)。FcγRノックアウトマウスモデルは、活性化FcγR及び抑制的FcγRの両方が自己免疫疾患の発症に影響することを示す(Nabbeらの文献、2003, Kleinauらの文献、2000、Bollandらの文献、2000)。FcγR発現の変動は、IgG免疫複合体が媒介するシグナル閾値に大きく影響する。とりわけ、炎症誘発性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインは、活性化FcγR及び抑制的FcγRの発現レベルを調節し、IgG免疫複合体に対する免疫細胞応答の閾値に影響を与え得る(Pricopらの文献、2001, Boruchovらの文献、2005)。FCGR3A及びFCGR3Bコピー数の変動は、台湾の患者において、全身性エリテマトーデス(SLE)及び関節リウマチ(RA)と関連していた(Chenらの文献、2014)。FCGR3Aのコピー数の上昇は、SLEの危険因子であることが実証された。高い頻度でサイトカインを産生するFcγRIIIA陽性樹状細胞(DC)が、SLE患者、特に進行中の疾患患者で観察され、DC中のFcγRIIIA介在炎症誘発性サイトカイン産生が疾患病因に寄与している可能性を示唆した(Henriquesらの文献、2012)。免疫細胞(NK細胞、単球、DC、マクロファージ、及びT細胞のサブセット)の表面に活性化FcγRIIIAが高密度に存在することが、免疫応答の微妙なバランスを激しい炎症へ向けて、SLEが発症すると考えられる(Chenらの文献、2014)。NK細胞内のFCGR3Aの低コピー数とCD16Aの低発現との間の相関性が実証されており、FCGR3Aのコピー数がNK細胞機能における生理的な意味を持つことが示唆された。最も重要なことは、FCGR3A欠乏が2つの異なる自己免疫疾患(SLE及びRA)と関連していることであり、これはFcγRIIIAの機能欠損が様々な自己免疫疾患に共通する危険因子である可能性を示唆する。この疾患関連性は、FcγRIIIA機能の調節がループス腎炎の重要な治療標的となる可能性を示唆する(Chenらの文献、2014)。
FcγR相互作用を通じて自己免疫疾患における炎症を阻止する手段としての治療的技術革新が、幾つかの希望を提供している。従来の研究は、自己免疫疾患における免疫複合体を媒介する事象を抑制する治療戦略としての、FcγR阻害の可能性を支持する(Clarksonらの文献、1986、Flahertyらの文献、2012)。IgG Fc断片それ自体については、RAの動物モデルにおいて、及び、血小板減少症(ITP)又は川崎病のヒトにおいて、良好な効能が実証されている(Anthonyらの文献、2008、Debre Mらの文献、1993、Hsuらの文献、1993)。多価Fcコンストラクトは、血小板減少症及び関節炎のネズミモデルにおいて免疫複合体プロセスを抑制することが示されている(Ortizらの文献、2016)。更に又、可溶性FcγR3a及び2aの注入は、ネズミループスモデルにおいて免疫複合体が作動させる炎症を抑制できる(Liらの文献、2014)。NK細胞上の免疫複合体形成の遮断は、炎症の活性化の減少、ひいては自己免疫疾患の減少のために探求すべき道である。
1の実施態様では、前記1個以上のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドは:
Figure 2024503632000007
(式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1、第2、及び第3のシステイン残基を表す)から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む。
更なる実施態様では、分子スキャフォールドはTBMTであり、1個以上のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドは、任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
A-(配列番号:12)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY13886と称する);
A-(配列番号:13)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY20361と称する);及び
A-(配列番号:14)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY13883と称する)
(式中、PYAはペンチン酸を表す)又はその医薬として許容し得る塩を含む。
1の実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する構成要素に結合する、1個の(即ち、単独の)第2のペプチドリガンドを含む。更なる実施態様では、この1個の第2のペプチドリガンドは、本明細書で定義されるNKp46結合型二環式ペプチドリガンド、又は本明細書で定義されるCD16a結合型二環式ペプチドである。
別の実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する構成要素に結合する、2個の第2のペプチドリガンドを含む。更なる実施態様では、この2個の第2のペプチドリガンドは、
両方共に本明細書で定義されるNKp46結合型二環式ペプチドリガンドである;若しくは
両方共に本明細書で定義されるCD16a結合型二環式ペプチドである;又は
1個の本明細書で定義されるNKp46結合型二環式ペプチドリガンド及び1個の本明細書で定義されるCD16a結合型二環式ペプチドである。
より更なる実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、2個の本明細書で定義されるNKp46結合型二環式ペプチドリガンドを含む場合、該ペプチドリガンドは同一である(即ち、同一のペプチド配列を共有する)。
より更なる実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が、2個の本明細書で定義されるCD16a結合型二環式ペプチドリガンドを含む場合、該ペプチドリガンドは同一である(即ち、同一のペプチド配列を共有する)。
別の実施態様では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体は、ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する構成要素に結合する、3個の第2のペプチドリガンドを含む。更なる実施態様では、この3個の第2のペプチドリガンドは、それぞれ本明細書で定義されるNKp46結合型二環式ペプチドリガンドである。より更なる実施態様では、3個の本明細書で定義されるNKp46結合型二環式ペプチドリガンドは同一である(即ち、同一のペプチド配列を共有する)。
(リンカー)
第1のペプチドリガンドは、任意の好適なリンカーを介して、1個以上の第2のペプチドリガンドにコンジュゲートしてもよいことが理解されるであろう。典型的には、該リンカーの設計は、2個以上の全二環式ペプチドが、単独で、又は両方の標的受容体に同時に結合して、そのそれぞれの標的に邪魔されずに結合できるような様式で提示されるであろう。更に、リンカーは、両方の標的に同時に結合することを可能にする一方で、所望の機能的結果をもたらす標的細胞間の適切な距離を維持するべきである。リンカーの特性は、所望の機能的結果を最適化するために、長さ、剛性、又は可溶性を増大させるように調節することができる。リンカーは又、同じ標的への1を超える二環式の結合を可能にするように設計してもよい。いずれかの結合ペプチドの価数を増大させることは、標的細胞に対するヘテロタンデムの親和性を増大させる役割を果たし得るか、又は標的受容体のうちの一方若しくは両方のオリゴマー化を誘導するのに役立ち得る。
1の実施態様では、リンカーは直鎖状リンカーである。理論により拘束されるものではないが、直鎖状リンカーには、1方の末端に1個の第1のペプチドが存在し、そして他方の末端に1個の第2のペプチドが存在することを可能とする利点があると考えられる。
更なる実施態様では、直鎖状リンカーは、
Figure 2024503632000008
、から選択される。
1の実施態様では、リンカーは分岐状リンカーである。理論により拘束されるものではないが、分岐状リンカーには、1方の末端に1個の第1のペプチドが存在し、そして残りの末端に2個以上の第2のペプチドが存在することを可能とする利点があると考えられる。
更なる実施態様では、分岐状リンカーは、
Figure 2024503632000009
Figure 2024503632000010
Figure 2024503632000011
Figure 2024503632000012
、から選択される。
特定の1実施態様では、分岐状リンカーは、
Figure 2024503632000013
、である。
(ヘテロタンデム複合体)
1の特定の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合したEphA2結合型二環式ペプチドリガンドを含み、1個以上の第2のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合した2つのNKp46結合型二環式ペプチドリガンドを含み、そして該ヘテロタンデム複合体は、表A1、表A2、及び表A3に列挙された複合体である。
(表A1(EphA2:NKp46;1:1))
Figure 2024503632000014
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY17225は、下記に図示されるように、アジド-PEG5-酸リンカーを介して1個のNKp46特異的ペプチド(BCY17224)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000015
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY18731は、下記に図示されるように、アジド-PEG24-酸リンカーを介して1個のNKp46特異的ペプチド(BCY17224)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000016
(表A2(EphA2:NKp46;1:2))
Figure 2024503632000017
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY15664は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY15452である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000018
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY15923は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY15686である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000019
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY17226は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY17224である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000020
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY15924は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY15687である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000021
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY18042は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY18004である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000022
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY18048は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY17662である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000023
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY18049は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY18005である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000024
(表A3(EphA2:NKp46;1:3))
Figure 2024503632000025
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY21686は、下記に図示されるように、メタン-N-(PEG5-酸)-トリ(MeOPr-アミド-PEG4-アジド)リンカーを介して3個のNKp46特異的ペプチド(それらの全てはBCY17224である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000026
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY21687は、下記に図示されるように、メタン-N-(PEG10-酸)-トリ(MeOPr-アミド-PEG10-アジド)リンカーを介して3個のNKp46特異的ペプチド(それらの全てはBCY17224である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000027
1の特定の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合したEphA2結合型二環式ペプチドリガンドを含み、1個以上の第2のペプチドリガンドは、TBMT スキャフォールドに結合した2個のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドを含み、該ヘテロタンデム複合体は、表B1に列挙されている複合体から選択される。
(表B1(EphA2:CD16a;1:2))
Figure 2024503632000028
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY15911は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のCD16a特異的ペプチド(その両方は共にBCY13886である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000029
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY20810は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG10)-N-ビス(PEG10-アジド)リンカーを介して2個のCD16a特異的ペプチド(その両方は共にBCY20361である)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000030
1の特定の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合したEphA2結合型二環式ペプチドリガンドを含み、2個の第2のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合した1個のNKp46結合型二環式ペプチドリガンド及びTBMT スキャフォールドに結合した1個のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドを含み、該ヘテロタンデム複合体は、表Cに列挙されている複合体から選択される。
(表C(EphA2:NKp46:CD16a;1:1:1))
Figure 2024503632000031
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY17231は、下記に図示されるように、N-(PEG3-酸)-N-(PEG3-アジド)-N-(PEG3-NH-AcAz)リンカーを介してNKp46特異的ペプチド(BCY17224)及びCD16a特異的ペプチド(BCY13883)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000032
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY17235は、下記に図示されるように、TCA-[Peg23]3リンカーを介してNKp46特異的ペプチド(BCY17224)及びCD16a特異的ペプチド(BCY13883)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000033
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY20793は、下記に図示されるように、N-(PEG3-酸)-N-(PEG3-アジド)-N-(PEG3-NH-AcAz)リンカーを介してNKp46特異的ペプチド(BCY17224)及びCD16a特異的ペプチド(BCY20361)と連結されたEphA2特異的ペプチドBCY9594からなる。
Figure 2024503632000034
1の特定の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合したMT1結合型二環式ペプチドリガンドを含み、1個以上の第2のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合した2個のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドを含み、該ヘテロタンデム複合体は、表Dに列挙されている複合体から選択される。
(表D(MT1:NKp46;1:2))
Figure 2024503632000035
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY18604は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY17224である)と連結されたMT1特異的ペプチドBCY14320からなる。
Figure 2024503632000036
1の特定の実施態様では、第1のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合したPD-L1結合型二環式ペプチドリガンドを含み、1個以上の第2のペプチドリガンドは、TATAスキャフォールドに結合した2個のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドを含み、該ヘテロタンデム複合体は、表Eに列挙されている複合体から選択される。
(表E(PD-L1:NKp46;1:2))
Figure 2024503632000037
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY18603は、下記に図示されるように、N-(酸-PEG3)-N-ビス(PEG3-アジド)リンカーを介して2個のNKp46特異的ペプチド(その両方は共にBCY17224である)と連結されたPD-L1特異的ペプチドBCY11865からなる。
Figure 2024503632000038
他に明記しない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は全て、当該分野、例えば、ペプチド化学、細胞培養及びファージディスプレイ、核酸化学、並びに生化学の分野の専門家によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。標準的な技法が、分子生物学、遺伝学、及び生化学の方法に使用される(引用により本明細書中に組み込まれる、Sambrookらの文献、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第3版、2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;Ausubelらの文献、「分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)」(1999)第4版、John Wiley & Sons社を参照)。
(命名法)
(付番)
本発明のペプチド内のアミノ酸残基位置に言及する場合、システイン残基(Ci、Cii、及びCiii)は不変であるので付番から省略する。それゆえ、本発明のペプチド内のアミノ酸残基の付番は、下記のように表す:
-Ci-N1-L2-Q3-A4-P5-Cii-M6-Q7-T8-G9-K10-V11-Ciii-(配列番号:1)。
本記載の目的において、全ての二環式ペプチドは、TATA又はTBMTで環化され、三置換構造を生じていると考えられる。TATA又はTBMTによる環化は、第1、第2、及び第3の反応基(即ち、Ci、Cii、及びCiii)上で生じる。
(分子フォーマット)
二環式コア配列へのN-又はC末端伸長は、ハイフンによって隔てられた、配列の左側又は右側に付加される。例えば、N末端βAla-Sar10-Alaテールは:
βAla-Sar10-A-(配列番号:X)
と記号標記される。
(逆向きのペプチド配列)
Nairらの文献、(2003)J Immunol 170(3), 1362-1373における開示を考慮して、本明細書に開示されるペプチド配列は、そのレトロ-インベルソ形態でも有用性を見出すことが想定される。例えば、配列が逆転し(即ち、N末端がC末端になり、その逆も同様である)、その立体化学も同様に逆転する(即ち、D-アミノ酸がL-アミノ酸になり、その逆も同様である)。疑問を避けるために、その正式名としてか又はそのアミノ酸の1文字若しくは3文字表記としてかのいずれかでのアミノ酸への言及は、特記しない限り、本明細書では、L-アミノ酸として表されることが意図される。そのようなアミノ酸がD-アミノ酸として表されることが意図される場合、アミノ酸に、例えば、[dA]、[dD]、[dE]、[dK]、[d1Nal]、[dNle]等、角括弧内に小文字のdが前置される。
(ペプチドリガンドの利点)
多機能NK細胞エンゲイジャー(NKCE)アプローチは、NK細胞の免疫監視能力とその細胞傷害機能とを組み合せて強化する。二重特異的キラー・エンゲイジャー(BiKE)、三重特異的キラー・エンゲイジャー(TRiKE)、又は四重特異的キラー・エンゲイジャー(TetraKE)は、エフェクターNK細胞と標的とする腫瘍細胞との間に結合を作り出すように設計された、小型の人工抗体分子である(Felicesらの文献、2016、Mooreらの文献、2011)。重要なことには、mAbを介したNCRの活性化により、多くの種類の標的細胞に対するNK細胞傷害性が活性化される。特異的mAbによって誘起された架橋は、強力なNK細胞の活性化を導き、細胞傷害性、及びサイトカイン産生の増加を生じる。これらのエンゲイジャーには、CD16と結合してNK細胞の細胞傷害性を作動させる抗CD16抗体、及び、腫瘍細胞に対する抗体又は抗原が含まれる。BiKEの1例は、CD16×CD33であり、インビトロでCD33+ HL60 AML細胞株に対するNK活性を増強する(Gleasonらの文献、2014)。TRiKE及びTetraKEは、サイトカインであるインターロイキン15(IL-15)分子を抗体間の連結として使用し、BiKEよりも高い細胞傷害性及び炎症誘発性サイトカインの産生を示す(Davisらの文献、2017、Felicesらの文献、2019)。NKの抗腫瘍反応を最大化するために、Vivierらのグループは最近、CD16結合用のFc断片、NK細胞受容体NKp46の活性化、並びにCD19、CD20、及びEGFR等の特異的腫瘍抗原を標的とする2個の抗体ドメインで構成される多機能NKCEの効能を示した(Gauthierらの文献、2019)。このNKCEは、インビボモデルにおいて、NK細胞の腫瘍への浸潤を増強し、腫瘍のクリアランスを促進することを示し、更に、現在臨床で使用されている抗体、例えばリツキシマブ及びセツキシマブ等を超える増強された有効性を示した。更に又、NK細胞上の複数の刺激性受容体(CD16及びNKp46)の活性化能を利用することで、抑制が克服され、完全なNK細胞活性が達成された(BenShumelの文献、2020、Tarzonaの文献、2020、Davisらの文献、2017)。
本発明の特定の二環式ペプチドは、それを注射、吸入、経鼻、点眼、経口、又は局所投与のための好適な薬物様分子とみなすことを可能とする、多くの有利な特性を有する。そのような有利な特性としては、下記のものが挙げられる:
‐種交差反応性(これは、前臨床の薬力学的及び薬物動態的評価のために通常要求される);
‐プロテアーゼ安定性(二環式ペプチドリガンドは、ほとんどの状況で、血漿プロテアーゼ、上皮(「膜固定型」)プロテアーゼ、胃腸プロテアーゼ、肺上皮(lung surface)プロテアーゼ、細胞内プロテアーゼ等に対する安定性が実証されるべきである。プロテアーゼ安定性は、二環式ペプチドリード候補が動物モデルで開発できるだけでなく、信頼してヒトへ投与できるように、異なる種間で維持されるべきである);
‐望ましい溶解度プロファイル(これは、「荷電性及び親水性残基」対「疎水性残基」並びに分子内/分子間水素結合の割合の関数であり、製剤及び吸収目的のために重要である。);並びに
‐循環系内での最適な血漿半減期(臨床的兆候及び治療レジメンに応じて、慢性又は急性のいずれかの疾患段階の管理設定での短期又は長期のインビボ曝露時間用の二環式ペプチドを開発する要求があるであろう。最適曝露時間は、(最大治療有効性のための)持続的曝露要求と、それに対する、薬剤の持続的曝露から生じる毒性効果を最小にするための短期暴露時間の要求により管理されるであろう)。
(ペプチドリガンド)
本明細書で言及されるペプチドリガンドは、分子スキャフォールドに共有結合したペプチドを指す。典型的には、そのようなペプチドは、スキャフォールドとの共有結合を形成することができる2以上の反応基(即ち、システイン残基)、及び、そのペプチドがスキャフォールドに結合するときにループを形成するのでループ配列と呼ばれる該反応基間で弧状となる配列を含む。この場合、ペプチドは、システイン、3-メルカプトプロピオン酸、及び/又はシステアミンから選択される少なくとも3つの反応基を含み、スキャフォールド上に少なくとも2つのループを形成する。
(反応基)
本発明の分子スキャフォールドは、ポリペプチド上の機能性基又は反応基を介してポリペプチドに結合していてもよい。これらは、典型的には、ポリペプチドポリマー中に見られる特定のアミノ酸の側鎖から形成される。そのような反応基は、システイン側鎖、リシン側鎖、若しくはN末端アミン基、又は任意の他の好適な反応基、例えば、ペニシラミンであってもよい。好適な反応基の詳細は、WO2009/098450に見出すことができる。
天然アミノ酸の反応基の例は、システインのチオール基、リシンのアミノ基、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のカルボキシル基、アルギニンのグアニジウム基、チロシンのフェノール基、又はセリンのヒドロキシル基である。非天然アミノ酸は、アジド、ケト-カルボニル、アルキン、ビニル、又はアリールハライド基を含む広い範囲の反応基を提供することができる。ポリペプチドの末端のアミノ基及びカルボキシル基も又、分子スキャフォールド/分子コアとの共有結合を形成する反応基としての役割を果たすことができる。
本発明のポリペプチドは、少なくとも3つの反応基を含む。該ポリペプチドは又、4以上の反応基を含むこともできる。より多くの反応基を使用すればするほど、より多くのループを分子スキャフォールド中に形成することができる。
1の好ましい実施態様では、3つの反応基を有するポリペプチドが生成される。該ポリペプチドと3回転対称を有する分子スキャフォールド/分子コアとの反応により、単一生成物異性体が生成される。この単一生成物異性体の生成は、幾つかの理由によって好ましい。化合物ライブラリの核酸は、ポリペプチドの一次配列のみをコードするが、ポリペプチドと分子コアとの反応時に形成される、分子の異性体状態をコードしない。ただ1つの生成物異性体のみ形成され得る場合、生成物異性体への核酸の帰属は、明確に規定される。複数の生成物異性体が形成される場合、核酸は、スクリーニング又は選択プロセスで単離された生成物異性体の性質に関する情報を与えることができない。単一生成物異性体の生成は又、本発明のライブラリの特定のメンバーが合成される場合にも有利である。この場合、ポリペプチドと分子スキャフォールドとの化学反応により、異性体の混合物ではなく、単一生成物異性体が生成される。
別の実施態様では、4つの反応基を有するポリペプチドが生成される。該ポリペプチドと4面体対称を有する分子スキャフォールド/分子コアとの反応により、2つの生成物異性体が生成される。2つの異なる生成物異性体が1つの同じ核酸によってコードされるとしても、両方の異性体を化学合成し、2つの異性体を分離し、両方の異性体を標的リガンドとの結合について試験することにより、単離された異性体の異性体的特性を決定することができる。
1の実施態様では、本発明の, ポリペプチドの反応基の少なくとも1つは、残りの反応基に対してオルソゴナルである。オルソゴナル反応基の使用は、該オルソゴナル反応基を分子コアの特定の部位に向けることを可能にする。オルソゴナル反応基が関連する連結戦略を用いて、形成される生成物異性体の数を制限することができる。言い換えると、少なくとも3つの結合のうちの残りのものとして選択された反応基とは別の又は異なる反応基を、少なくとも3つの結合のうちの1つ又は複数として選択することにより、分子スキャフォールド上の特定の位置への、ポリペプチドの特定の反応基を特定の順序での結合又は方向付けを、有効に達成することができる。
別の実施態様では、本発明のポリペプチドの反応基は、分子リンカーと反応させるが、その場合、該リンカーは、該リンカーが最終的な結合状態の分子スキャフォールドとポリペプチドとの間に入るように、分子スキャフォールドと反応することができる。
幾つかの実施態様では、ポリペプチドのライブラリ又はセットのメンバーであるアミノ酸は、任意の天然又は非天然アミノ酸によって置換可能である。これらの置換可能なアミノ酸から除外されるものは、ポリペプチドを分子コアに架橋するための官能基を有するものであり、ループ配列のみが置換可能であるようなものである。置換可能なポリペプチド配列は、ランダム配列、定常配列、又はランダムなアミノ酸及び定常なアミノ酸を有する配列のいずれかを有する。これらのアミノ酸の位置がループサイズを決定するので、反応基を有するアミノ酸はいずれも、ポリペプチド内の規定の位置に配置される。
1の実施態様では、3つの反応基を有するポリペプチドは、配列(X)lY(X)mY(X)nY(X)oを有し、ここで、Yは、反応基を有するアミノ酸を表し、Xは、ランダムアミノ酸を表し、m及びnは、介在するポリペプチドセグメント(同一でも異なってもよい)の長さを規定する3~6の数であり、l及びoは、隣接するポリペプチドセグメントの長さを規定する0~20の数である。
チオール媒介性コンジュゲーションに代わるものを用い、共有結合的相互作用を介して分子スキャフォールドをペプチドに結合させることができる。或いは、これらの技法は、更なる部分(例えば、分子スキャフォールドと異なる、目的の小分子)が本発明により選択又は単離された後、ポリペプチドへの該更なる部分の修飾又は結合において使用することができ-この実施態様では、明らかに、該結合は、共有結合的である必要はなく、非共有結合を包含し得る。これらの方法は、相補的反応基を有する小分子と組み合せて、必要な化学反応基を有する非天然アミノ酸を有するタンパク質及びペプチドを提示するファージを産生することによるか、又は、その分子が選択/単離段階の後に作製される場合には、非天然アミノ酸を化学的に若しくは組換えにより合成されるポリペプチドに組み入れることにより、チオールを媒介させる方法の代わりに(若しくはそれと組み合せて)使用し得る。更なる詳細は、WO2009/098450又はHeinisらの文献、Nat Chem Biol 2009, 5(7), 502-7で見ることができる。
1の実施態様では、反応基は、システイン、3-メルカプトプロピオン酸、及び/又はシステアミン残基から選択される。
(医薬として許容し得る塩)
塩形態は本発明の範囲内であり、ペプチドリガンドへの言及は、該リガンドの塩形態を含むことが理解されるであろう。
本発明の塩は、従来の化学的方法、例えば、「医薬品塩:特性、選択、及び使用(Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use)」、P. Heinrich Stahl(編者)、Camille G. Wermuth(編者)、ISBN:3-90639-026-8, Hardcover, 388頁、2002年8月、に記載されている方法によって、塩基性成分又は酸性成分を含む親化合物から合成することができる。通常、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態を、適切な塩基又は酸と、水中若しくは有機溶媒中で、又はこれら2つの混合物中で反応させることにより調製できる。
酸付加塩(モノ塩又はジ塩)は、無機及び有機両方の多種多様な酸で形成することができる。酸付加塩の例には、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D-グルクロン酸等)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸等)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸)、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸、並びにアシル化アミノ酸及び陽イオン交換樹脂からなる群から選択される酸で、形成されるモノ塩又はジ塩が含まれる。
塩の特別な一つの群は、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸、及びラクトビオン酸から形成される塩からなる。特別な塩の一つは塩酸塩である。別の特別な塩は、酢酸塩である。
化合物がアニオン性であるか、又はアニオン性であり得る機能性基を有する場合(例えば、-COOHは-COO-でもよい)、好適なカチオンを生成する有機塩基又は無機塩基で、塩を形成させることができる。好適な無機カチオンの例には、限定されるものではないが、Li+、Na+、及びK+等のアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+等のアルカリ土類金属カチオン、並びにAl3+又はZn+等の他のカチオンが含まれる。適切な有機カチオンの例には、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(即ち、NH4 +)及び置換されたアンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)が含まれる。幾つかの好適な置換されたアンモニウムイオンの例は、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びに、リシン及びアルギニン等のアミノ酸、に由来するものである。一般的な第四級アンモニウムイオンの例は、N(CH3)4 +である。
本発明の化合物がアミン基を含む場合、それらは、例えば当業者に周知の方法によるアルキル化剤との反応によって、第四級アンモニウム塩を形成してもよい。そのような第四級アンモニウム化合物は、本発明の範囲内である。
(修飾誘導体)
本明細書で定義されるペプチドリガンドの修飾誘導体は、本発明の範囲内であることが認識されるであろう。そのような好適な修飾誘導体の例には、N末端修飾及び/又はC末端修飾;1以上のアミノ酸残基の、1以上の非天然アミノ酸残基での置換(例えば、1以上の極性アミノ酸残基の、1以上の立体的に等価のアミノ酸若しくは等電子性アミノ酸での置換;1以上の非極性アミノ酸残基の、他の非天然型立体に等価のアミノ酸若しくは等電子性アミノ酸での置換);スペーサー基の追加;1以上の酸化感受性アミノ酸残基の、1以上の酸化抵抗性アミノ酸残基での置換;1以上のアミノ酸残基の、アラニンでの置換、1以上のL-アミノ酸残基の、1以上のD-アミノ酸残基での置換;二環式ペプチドリガンド内の1以上のアミド結合のN-アルキル化;1以上のペプチド結合の代替的結合での置換;ペプチド骨格長の改変;1以上のアミノ酸残基のα炭素上の水素の、別の化学基での置換、システイン、リシン、グルタメート/アスパルテート及びチロシン等のアミノ酸の、これらアミノ酸を機能性化するのに好適なアミン、チオール、カルボン酸及びフェノール反応性試薬による修飾、並びに、機能性化に好適なオルソゴナル反応性を導入するアミノ酸の導入又は置換、例えば、アルキン若しくはアジド含有成分の機能性化がそれぞれ可能な、アジド基若しくはアルキン基を有するアミノ酸の導入又は置換:から選択される1以上の修飾が含まれる。
1の実施態様では、修飾誘導体は、N末端及び/又はC末端の修飾を含む。更なる実施態様では、修飾誘導体は、好適なアミノ反応化学を用いるN末端修飾、及び/又は好適なカルボキシ反応化学を用いるC末端修飾を含む。更なる実施態様では、N末端又はC末端の修飾は、限定されるものではないが、細胞毒性剤、放射性キレート剤、又は発色団を含む、エフェクター基の付加を含む。
更なる実施態様では、修飾誘導体は、N末端修飾を含む。更なる実施態様では、N末端修飾は、N末端アセチル基を含む。この実施態様では、N末端システイン基(本明細書ではCiと称される基)は、ペプチド合成中に無水酢酸又は他の適切な試薬で封止され、N末端がアセチル化された分子を生じる。この実施態様は、アミノペプチダーゼが認識可能なポイントを除去するという利点を提供し、本二環式ペプチドが分解される可能性を回避する。
別の実施態様では、N末端修飾は、エフェクター基のコンジュゲーションを容易にし、二環式ペプチドのその標的に対する効能の保持を促進する分子スペーサー基の追加を含む。
更なる実施態様では、修飾誘導体は、C末端修飾を含む。更なる実施態様では、C末端修飾は、アミド基を含む。この実施態様では、C末端システイン基(本明細書では、Ciiiと称される基)は、ペプチド合成中にアミドとして合成され、C末端がアミド化された分子を生じる。この実施態様は、カルボキシペプチダーゼが認識可能なポイントを除去するという利点を提供し、本二環式ペプチドがタンパク質分解される可能性を低下させる。
1の実施態様では、修飾誘導体は、1以上のアミノ酸残基の、1以上の非天然アミノ酸残基での置換を含む。この実施態様では、分解性プロテアーゼによって認識されることもなく、標的とする効能に何らかの悪影響を与えることもない、立体的に等価の/等電子性側鎖を有する非天然アミノ酸を選択することができる。
或いは、近傍のペプチド結合のタンパク質分解性加水分解が立体構造的にかつ立体的に妨害されるような、拘束されたアミノ酸側鎖を有する非天然アミノ酸を使用してもよい。これらは特に、プロリン類似体、嵩高い側鎖、Cα-二置換誘導体(例えば、アミノイソ酪酸、Aib)、及び、シクロアミノ酸(単純な誘導体はアミノ-シクロプロピルカルボン酸である)に関する。
1の実施態様では、修飾誘導体は、スペーサー基の追加を含む。更なる実施態様では、修飾誘導体は、N末端システイン(Ci)及び/又はC末端システイン(Ciii)へのスペーサー基の追加を含む。
1の実施態様では、修飾誘導体は、1以上の酸化感受性アミノ酸残基の、1以上の酸化抵抗性アミノ酸残基での置換を含む。更なる実施態様では、修飾誘導体は、トリプトファン残基のナフチルアラニン又はアラニン残基での置換を含む。この実施態様は、得られる二環式ペプチドリガンドの医薬安定性プロファイルが改善される利点を提供する。
1の実施態様では、修飾誘導体は、1以上の荷電性アミノ酸残基の、1以上の疎水性アミノ酸残基での置換を含む。別の実施態様では、修飾誘導体は、1以上の疎水性アミノ酸残基の、1以上の荷電性アミノ酸残基での置換を含む。「荷電性アミノ酸残基」対「疎水性アミノ酸残基」の正しいバランスは、二環式ペプチドリガンドの重要な特性である。例えば、疎水性アミノ酸残基は、血漿タンパク質結合の程度、従って、血漿中の利用可能な遊離画分の濃度に影響を及ぼし、一方、荷電性アミノ酸残基(特に、アルギニン)は、ペプチドと細胞表面のリン脂質膜との相互作用に影響を及ぼすであろう。この2つの組み合せは、ペプチド薬の半減期、分布容積、及び曝露に影響を及ぼすであろうし、臨床評価エンドポイントに合わせて調整することができる。更に、「荷電性アミノ酸残基」対「疎水性アミノ酸残基」の正しい組み合せ及び数は、注射部位(ペプチド薬が皮下投与される場合)での刺激を軽減するであろう。
1の実施態様では、修飾誘導体は、1以上のL-アミノ酸残基の1以上のD-アミノ酸残基での置換を含む。この実施態様は、立体障害により及びD-アミノ酸の特性によりβ-ターン立体構造を安定化させて、タンパク質分解に対する安定性を高めると考えられる(Tugyiらの文献、(2005)PNAS, 102(2), 413-418)。
1の実施態様では、修飾誘導体は、任意のアミノ酸残基の除去、及び、アラニンでの置換を含む。この実施態様は、タンパク質分解攻撃を受ける可能性のある部位(複数可)を除去するという利点を提供する。
上述の修飾のそれぞれは、ペプチドの効能又は安定性を計画的に向上させる役割を果たすことに留意すべきである。修飾に基づく更なる効能改良は、下記メカニズムによって達成することができるであろう:
‐疎水性効果を利用して解離速度を低下させる疎水性成分を組み込み、より高い親和性が達成されること;
‐長距離イオン相互作用を利用する荷電性基を組み込み、会合速度を増大させ、より高い親和性をもたらすこと(例えば、Schreiberらの文献、「タンパク質の迅速な静電的支援会合(Rapid, electrostatically assisted association of proteins)」(1996)、Nature Struct. Biol. 3, 427-31を参照);並びに
‐例えば、標的結合時にエントロピー損失を最小になるようにアミノ酸側鎖を正確に拘束することにより、標的結合時にエントロピー損失が最小になるように骨格のねじれ角度を限定することにより、及び、同じ理由のために当該分子内に追加的な環化を導入することにより、追加的な制約をペプチドに組み込むこと(総説については、Gentilucciらの文献、Curr. Pharmaceutical Design,(2010), 16, 3185-203、及びNestorらの文献、Curr. Medicinal Chem(2009), 16, 4399-418を参照)。
(同位体変異体)
本発明は、全ての医薬として許容し得る、(放射性)同位体標識された本発明のペプチドリガンドであって、1以上の原子が、同じ原子番号を有するが、天然で通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されているもの、及び、本発明のペプチドリガンドであって、関連する(放射性)同位体を保持することができる金属キレート基(「エフェクター」と称される)が接合されているもの、及び、本発明のペプチドリガンドであって、特定の機能性基が関連する(放射性)同位体又は同位体標識された機能性基で共有的に置換されているもの、を含む。
本発明のペプチドリガンド内に包含するのに好適な同位体の例は、水素同位体、例えば2H(D)及び3H(T)、炭素同位体、例えば11C、13C及び14C、塩素同位体、例えば36Cl、フッ素同位体、例えば18F、ヨウ素同位体、例えば123I、125I及び131I、窒素同位体、例えば13N及び15N、酸素同位体、例えば15O、17O及び18O、リン同位体、例えば32P、硫黄同位体、例えば35S、銅同位体、例えば64Cu、ガリウム同位体、例えば67Ga又は68Ga、イットリウム同位体、例えば90Y、並びにルテチウム同位体、例えば177Lu、並びに、ビスマス同位体、例えば213Biを含む。
本発明の特定の同位体標識ペプチドリガンド、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究において、並びに疾患組織上のネクチン-4標的の存在及び/又は不在を臨床的に評価するために有用である。本発明のペプチドリガンドは、標識された化合物と他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素、又は受容体との間の複合体の形成を検出又は同定するために使用できる点で、価値ある診断特性を更に有することができる。この検出又は同定方法は、例えば、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質(例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、イクオリン及びルシフェラーゼ)等の標識剤で標識されている化合物を使用することができる。放射性同位体である、トリチウム、即ち3H(T)、及び炭素14、即ち14Cは、その組み込みの容易さ及び検出手段が用意されていることを考慮すると、この目的のために特に、有用である。
重水素、即ち2H(D)等の重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の延長又は必要投薬量の減少の結果として生じる特定の治療的利点をもたらすであろうから、状況によっては好適であろう。
11C、18F、15O及び13N等の陽電子放出同位体での置換は、標的占有率を調べるための陽電子放出トポグラフィー(PET)試験において利用できる。
本発明のペプチドリガンドの同位体標識された化合物は、通常、当業者に公知の従来技術によるか、又は既に利用されている非標識試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用している本明細書の実施例に記載されているものと類似のプロセスによって調製することができる。
(分子スキャフォールド)
分子スキャフォールドは、例えばWO2009/098450並びにその中で引用されている文献、特に、WO2004/077062及びWO2006/078161に記載されている。
前記文書に挙げられているように、分子スキャフォールドは、小分子、例えば有機小分子でもよい。
1の実施態様では、分子スキャフォールドは、高分子でもよい。1の実施態様では、分子スキャフォールドは、アミノ酸、ヌクレオチド、又は炭水化物から構成される高分子である。
1の実施態様では、分子スキャフォールドは、ポリペプチドの機能性基(複数可)と反応して、共有結合を形成することができる反応基を含む。
分子スキャフォールドは、ペプチドとの結合を形成する化学基、例えば、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、アジド、無水物、スクシンイミド、マレイミド、ハロゲン化アルキル及びハロゲン化アシルを含み得る。
本発明の分子スキャフォールドは、本発明のコード化ライブラリのポリペプチドの機能性基がその分子スキャフォールドと共有結合を形成することを可能とする化学基を含む。この化学基は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、無水物、スクシンイミド、マレイミド、アジド、ハロゲン化アルキル及びハロゲン化アシルを含む、広い範囲の機能性基から選択される。
分子スキャフォールド上でシステインのチオール基と反応させるために使用できるスキャフォールド反応基は、ハロゲン化アルキル(又はハロゲノアルカン若しくはハロアルカンとも呼ばれる)である。
その例には、ブロモメチルベンゼン(TBMBによって例示されるスキャフォールド反応基)又はヨードアセトアミドが含まれる。化合物をタンパク質中のシステインへ選択的に結合させるために使用されるその他のスキャフォールド反応基は、マレイミド、α不飽和カルボニル含有化合物、及びα-ハロメチルカルボニル含有化合物である。本発明で分子スキャフォールドとして使用できるマレイミドの例には、トリス-(2-マレイミドエチル)アミン、トリス-(2-マレイミドエチル)ベンゼン、トリス-(マレイミド)ベンゼンが含まれる。αβ不飽和カルボニル含有化合物の例は、1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)である(Angewandte Chemie, International Edition(2014), 53(6), 1602-1606)。α-ハロメチルカルボニル含有化合物の例は、N,N',N''-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリス(2-ブロモアセトアミド)である。セレノシステインも又、システインと同様の反応性を有する天然アミノ酸であり、同じ反応に使用することができる。従って、システインが言及されている場合はいつでも、文脈上、別のことが示唆されない限り、一般に、セレノシステインを代わりに用いることが許される。
1の実施態様では、分子スキャフォールドは、1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(別名、トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン(TATA)である:
Figure 2024503632000039
以上より、本発明の二環式ペプチドのCi、Cii、及びCiiiシステイン残基上での環化の後に、分子スキャフォールドは下記構造を有するTATAの三置換された1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパン-1-オン誘導体を形成する:
Figure 2024503632000040
(式中、*は3つのシステイン残基の結合ポイントを示す)。
別の実施態様では、分子スキャフォールドは2,4,6-トリス(ブロモメチル)-s-トリアジン(TBMT)である:
Figure 2024503632000041
以上より、本発明の二環式ペプチドのCi、Cii、及びCiiiシステイン残基上での環化の後に、分子スキャフォールドは下記構造を有する、三置換されたTBMT誘導体を形成する:
Figure 2024503632000042
(式中、*は3つのシステイン残基の結合ポイントを示す)。
(合成)
本発明のペプチドは、標準技術によって合成的に製造し、その後インビトロで分子スキャフォールドと反応させてもよい。これを実施する場合、標準的な化学的手法を使用することができる。これにより、更なる下流での実験又は検証のための可溶性材料の迅速な大規模製造が可能になる。そのような方法は、Timmermanらの文献、(上掲)に開示されているような従来の化学的手法を用いて達成できる。
従って、本発明は又、本明細書に記載されているように選択されるポリペプチド又はコンジュゲートの製造に関するものであり、その製造は、下記に説明されるような任意の更なる工程を含む。1の実施態様では、これらの工程は、化学合成によって製造される最終生成物ポリペプチド/コンジュゲートに対して実施される。
任意で、目的のポリペプチド内のアミノ酸残基は、コンジュゲート又は複合体の製造時に置換されてもよい。
本ペプチドは又、伸長させて、例えば別のループ等を組み込み、その結果、複数の特異性を導入することもできる。
ペプチドを伸長させるには、それを、単純に、標準的な固相又は液相化学を用いて、オルソゴナル的に保護したリシン(及び類似体)を用いて、そのN末端若しくはC末端で又はループ内で、化学的に伸長してもよい。標準的な(バイオ)コンジュゲーション技法を用いて、活性化された又は活性化可能なN末端若しくはC末端を導入してもよい。或いは、付加を、断片縮合によるか、又は、例えば(Dawsonらの文献、1994、「ネイティブケミカルライゲーションによるタンパク質の合成(Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation)」Science 266:776-779)に記載されているネイティブケミカルライゲーションによるか、又は、例えば(Changらの文献、Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Dec 20;91(26):12544-8若しくはHikariらの文献、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、第18巻、第22号、2008年11月15日、6000~6003頁)に記載されているサブチリガーゼを用いて、酵素により行ってもよい。
或いは、ペプチドを、ジスルフィド結合を介する更なるコンジュゲーションによって伸長又は修飾してもよい。これは、第一及び第二のペプチドが細胞の還元環境内で互いに一度解離することを可能にする追加的な利点を有する。この場合、分子スキャフォールド(例えば、TATA)を第一のペプチドの化学合成中に添加して、3つのシステイン基と反応させ;次に、第一のペプチドのN末端若しくはC末端に更なるシステイン又はチオールを付加して、その結果、このシステイン又はチオールが第二のペプチドの遊離のシステイン又はチオールとのみ反応し、ジスルフィド連結された二環式ペプチド-ペプチドコンジュゲートを形成することができる。
類似の技術を、2個の二環式二重特異性大環状分子の合成/カップリングに同様に適用して、四重特異性分子を作製することが可能である。
更に又、他の機能性基又はエフェクター基の付加を、適切な化学手法である、N末端若しくはC末端での又は側鎖を介したカップリングを用いて、同様に達成してもよい。1の実施態様では、カップリングは、いずれの実体(entity)の活性も遮断しないような様式で実行する。
(医薬組成物)
本発明の更なる態様では、本明細書で定義されるペプチドリガンドを1以上の医薬として許容し得る賦形剤と組み合せて含む、医薬組成物が提供される。
通常、本ペプチドリガンドを、薬理学的に適切な賦形剤又は担体と一緒の精製された形態で使用してもよい。典型的には、これらの賦形剤又は担体は、水溶液若しくはアルコール性/水性液体、エマルジョン又は懸濁液を含み、生理食塩水及び/若しくは緩衝化媒体を含む。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム液、並びに乳酸加リンゲル液が含まれる。生理学的に許容し得る好適なアジュバントは、ポリペプチド複合体を懸濁状態で保つために必要な場合、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアルギネート等の増粘剤から選択されてもよい。
静脈内ビヒクルには、輸液及び栄養補充液、並びに電解質補充液、例えば、ブドウ糖加リンゲルベースのものが含まれる。保存剤並びに他の添加物、例えば抗微生物薬、抗酸化剤、キレート剤及び不活性ガスも又、存在可能である(Mackの文献、(1982)、「レミントンの医薬品化学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第16版)。
本発明のペプチドリガンドは、別々に投与させる組成物として又は他の薬剤と組み合せて使用することができる。これらには、抗体、抗体断片、並びに様々な免疫療法薬、例えば、シルコスポリン(cylcosporine)、メトトレキサート、アドリアマイシン、又はシスプラチン、及び免疫毒素を含むことができる。医薬組成物は、本発明のタンパク質リガンドと併せた様々な細胞毒性剤若しくは他の薬剤の「カクテル」、又は投与前にプールされているか、プールされていないかを問わず、例えば異なる標的リガンドを用いて選択されたポリペプチド等の、異なる特異性を有する本発明による選択されたポリペプチドの組合せさえも含むことができる。
本発明の医薬組成物の投与経路は、当業者に一般的に公知のもののいずれでもよい。療法のために、本発明のペプチドリガンドは、標準技術に従って任意の患者へ投与することができる。投与は、非経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮的、肺経路を介するもの、又は同じく適切に、カテーテルを用いる直接注入によるものを含め、任意の適切な様式によるものであることができる。好ましくは、本発明による医薬組成物は、吸入によって投与される。投薬量及び投与頻度は、患者の年齢、性別及び状態、他の薬物の同時的な投与、禁忌、並びに臨床医によって考慮される他のパラメータに依存するであろう。
本発明のペプチドリガンドは、貯蔵用に凍結乾燥し、使用前に適切な担体キャリア中で再構成することができる。この技術は、効果的であることが示されており、当分野で公知の凍結乾燥及び再構成技術を利用することができる。凍結乾燥及び再構成は様々な程度の活性損失を生じる可能性があり、濃度レベルを上方に調整してその損失を補う必要があり得ることは、当業者に認識されるであろう。
本ペプチドリガンド又はそのカクテルを含む組成物を、予防処置及び/又は治療的処置のために投与することができる。特定の治療用途において、選択した細胞集団の少なくとも部分的な抑制、鎮静、調節、死滅化、又は何らかの他の測定可能なパラメータを達成するために適切な量を、「治療有効用量」として定義する。この投薬量を達成するために必要とされる量は、疾患の重症度及び患者自身の免疫系の全般的な状態に依存するが、概ね、体重1キログラム当たり選択したペプチドリガンド0.005~5.0 mgの範囲であり、0.05~2.0 mg/kg/用量の範囲の用量がより一般的に使用されるであろう。予防用途のために、本ペプチドリガンド又はそのカクテルを含む組成物は又、類似の若しくは少し少ない用量で投与される。
本発明によるペプチドリガンドを含む組成物を予防的及び治療的な設定で利用して、哺乳動物において選択した標的細胞集団の変化、不活性化、死滅化、又は除去を助けることができる。更に、本明細書に記載されるペプチドリガンドを、体外で又はインビトロで選択的に用いて、細胞の異成分集合体から標的細胞集団を選択的に死滅させるか、枯渇させるか、又はその逆に効果的に除去することができる。哺乳動物由来の血液を選択されたペプチドリガンドと体外で組み合せることができ、それにより、標準的な技法に従って望ましくない細胞を死滅させるか、又はその逆に血液から除去してから哺乳動物に戻す。
(治療的使用)
本発明の更なる態様では、がんの予防、抑制、又は治療において使用するための本明細書で定義されるヘテロタンデム二環式ペプチド複合体が提供される。
治療(若しくは抑制)され得るがん(及びその良性対応物)の例には、限定されるものではないが、上皮起源の腫瘍(腺腫、及び、腺癌、扁平上皮癌、移行細胞癌腫、及び他の癌を含む様々な種類の癌)、例えば、膀胱及び尿路癌、乳癌、消化器管(食道、胃(stomach)(胃(gastric))、小腸、結腸、直腸及び肛門を含む)の癌腫、肝臓癌(肝細胞癌)、胆嚢癌及び胆道系癌、膵外分泌癌、腎臓癌、肺の癌腫(例えば、腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支肺胞上皮癌、及び中皮腫)、頭頚癌(例えば、舌、口腔、喉頭、咽頭、上咽頭、扁桃、唾液腺、鼻腔、及び副鼻腔のがん)、卵巣癌、輸卵管癌、腹膜癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌、子宮頸部癌、子宮筋層癌、子宮内膜癌、甲状腺癌(例えば、甲状腺濾胞癌)、副腎癌、前立腺癌、皮膚癌、及び付属器癌(例えば、メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、ケラトアカントーマ、異形成母斑);血液系悪性腫瘍(即ち、白血病、リンパ腫)及び前悪性血液障害及び境界領域悪性腫瘍障害、例えば、リンパ系の血液系悪性腫瘍及び関連病変(例えば、急性リンパ性白血病[ALL]、慢性リンパ性白血病[CLL]、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]等のB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫及び白血病、ナチュラルキラー[NK]細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、ヘアリ細胞白血病、意義不明のモノクローナル免疫グロブリン血症、形質細胞腫、多発性骨髄腫、及び移植後リンパ増殖性疾患)、及び、骨髄系の血液系悪性腫瘍及び関連病変(例えば、急性骨髄性白血病[AML]、慢性骨髄性白血病[CML]、慢性骨髄単球性白血病[CMML]、好酸球増多症候群、真性赤血球増加症、本態性血小板血症及び原発性骨髄線維症等の骨髄増殖性疾患、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、及び前骨髄球性白血病);間葉起源の腫瘍、例えば軟組織、骨、若しくは軟骨の肉腫であって、例えば骨肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、滑膜肉腫、類上皮性肉腫、消化管間質性腫瘍、良性及び悪性組織球腫、及び、隆起性皮膚線維肉腫;中枢若しくは末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経膠腫及び神経膠芽腫、髄膜腫、上衣腫、松果体腫瘍、及びシュワン腫);内分泌性腫瘍(例えば、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、膵島細胞腫瘍、副甲状腺腫瘍、カルチノイド腫瘍、及び甲状腺の髄様癌);眼性腫瘍及び付属器腫瘍(例えば、網膜芽細胞腫);生殖細胞腫瘍及びトロホブラスト腫瘍(例えば、奇形腫、精上皮腫、未分化胚細胞腫、胞状奇胎、及び絨毛癌)、並びに、小児性腫瘍及び胎児性腫瘍(例えば、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、及び未分化神経外胚葉性腫瘍)、又は、患者を悪性腫瘍に罹りやすい状態にする、先天的か否かにかかわらない症候群(例えば、色素性乾皮症)が含まれる。
更なる実施態様では、がんは、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、多発性骨髄腫(MM)、B慢性リンパ性白血病(B-CLL)、B及びT急性リンパ性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、ヘアリ細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、並びに慢性骨髄性白血病(CML)から選択される造血器悪性腫瘍から選択される。
「予防」という用語への本明細書における言及は、疾患の誘導前の防御的な組成物の投与を含む。「抑制」は、誘導事象後であるが、疾患の臨床的出現前の組成物の投与をいう。「治療」は、疾患症状が顕在化した後の防御的な組成物の投与を含む。
疾患に対する防御又は疾患の治療におけるペプチドリガンドの有効性をスクリーニングするために使用できる動物モデル系が、利用可能である。動物モデル系の使用は、ヒト標的及び動物標的と交差反応できるポリペプチドリガンドの開発を可能にして、動物モデルの使用を可能にする本発明により、容易になる。
本発明を、下記実施例を参照して更に説明する。
(実施例)
一般に、本発明のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体の幾つかは、次の一般的な方法に従って調製することができる。
Figure 2024503632000043
全溶媒を脱気してN2でパージする。BP23825(1.0当量)、HATU(1.2当量)及びDIPEA(2.0当量)のDMF溶液を5分間混合し、次に二環式1(1.2当量)を添加する。反応混合物を、40℃で16時間撹拌する。次に反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、分取HPLCで精製して中間体2を得る。
中間体2(1.0当量)及び二環式2(2.0当量)の混合物をt-BuOH/H2O(1:1)に溶解し、次にCuSO4(1.0当量)、VcNa(4.0当量)、及びTHPTA(2.0当量)を添加する。最後に、0.2 M NH4HCO3の滴加によりpHを8に調整する。反応混合物を、40℃で16時間、N2雰囲気下で撹拌する。反応混合物は、分取HPLCで直接精製した。
この方法を使用して調製したヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を下記に列挙する。
Figure 2024503632000044
本発明の選択されたヘテロタンデム二環式ペプチド複合体のより詳細な実験は、本明細書中、下記に提供されている。
(実施例1:中間体BP23825-BCY9594の合成)
Figure 2024503632000045
化合物1(BP23825、60.0 mg、96.2 μmol、1.0当量)及びDMF(3 mL)の混合物へ、DIEA(12.4 mg、96.2 μmol、16.8 μL、1.0当量)及びHATU(38.4 mg、101 μmol、1.05当量)を添加し、混合物を5分間攪拌した。次に、BCY9594(243 mg、101 μmol、1.05当量)を混合物へ添加し、その混合物をN2でパージした後に40 ℃で16時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/zを有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を分取HPLCで精製してBP23825-BCY9594(154 mg、48.1 μmol、50.0 %収率、94.0 %純度)を白色固体として得た。計算値MW:3006.48、観察値m/z:1002.8([M+3H]3+), 1504.4([M+2H]2+)。
(実施例2:BCY15664の合成)
Figure 2024503632000046
化合物1(20.0 mg、6.65 μmol、1.0当量)、化合物2(30.0 mg、13.97 μmol、2.1当量)、及びTHPTA(2.9 mg、6.65 μmol、1.0当量)の混合物を、脱気してN2でパージしておいたt-BuOH/H2O(1:1、1 mL)に溶解した。CuSO4(0.4 M、16.6 μL、1.0当量)及びVc(4.7 mg、26.61μmol、4.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、BP23825-BCY9594が完全に消費され、所望のm/zを有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLCで精製して、BCY15664(15.0 mg、1.97 μmol、29.6 %収率、97.7%純度)を白色固体として得た。計算値MW:7317.3、観察値m/z:1220.3([M+6H]6+), 915.5([M+8H]8+)。
(実施例3:BCY15911の合成)
Figure 2024503632000047
化合物1(20.0 mg、6.65 μmol、1.0当量)、化合物2(31.6 mg、16.63 μmol、2.5当量)、及びTHPTA(2.9 mg、6.65 μmol、1.0当量)の混合物を、脱気してN2でパージしておいたt-BuOH/H2O(1:1、1 mL)に溶解した。CuSO4(0.4 M、16.6 μL、1.0当量)及びVc(4.7 mg、26.61 μmol、4.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液をpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、BP23825-BCY9594が完全に消費され、所望のm/zを有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLCで精製して、BCY15911(10.4 mg、1.50 μmol、22.61 %収率、94%純度)を白色固体として得た。計算値MW:6814.8、観察値m/z:1364.0([M+5H]5+), 1137.0([M+6H]6+)。
(実施例4:BCY15923の合成)
Figure 2024503632000048
化合物1(20.0 mg、6.65 μmol、1.0当量)、化合物2(35.0 mg、16.79 μmol、2.5当量)、及びTHPTA(2.9 mg、6.65 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/0.2 M NH4HCO3(1:1、1 mL)に溶解し、予め脱気してN2で3回パージし、次にCuSO4(0.4 M、16.6 μL、1.0当量)及びアスコルビン酸(4.69 mg、26.61 μmol、4当量)の水溶液を、N2雰囲気下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25 ℃で2時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7191.31、観察値m/z:1439.3([M/5+H]+), 1199.6([M/6+H]+))が検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY15923(4 mg、5.28e-1 umol、7.94 %収率、95%純度)を白色固体として得た。
(実施例5:BCY17226の合成)
Figure 2024503632000049
化合物1(20.0 mg、6.65 μmol、1.0当量)、化合物2(30.5 mg、14.64 μmol、2.2当量)、及びTHPTA(5.8 mg、13.30 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、1.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、24.9 μL、1.5当量)及びVcNa(4.0 mg、19.96 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2雰囲気下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で0.5時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7169.18、観察値m/z:1434.9([M/5+H]+), 1195.9([M/6+H]+))を含む1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY17226(24.0 mg、3.35 μmol、50.32 %収率、97.0 %純度)を白色固体として得た。
(実施例6:BCY15924の合成)
Figure 2024503632000050
化合物1(5 mg、1.66 μmol、1.0当量)、化合物2(6.97 mg、3.33 μmol、2.0当量)、及びTHPTA(1.45 mg、3.33 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、6.24 μL、1.5当量)及びVcNa(988.40 μg、4.99 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7195.55、観察値m/z:1440.1([M/5+H]+), 1200.2([M/6+H]+), 1029.1([M/7+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY15924(3.4 mg、4.52e-1 μmol、27.16 %収率、95.6% 純度)を白色固体として得た。
(実施例7:BCY18042の合成)
Figure 2024503632000051
化合物1(15 mg、4.99 μmol、1.0当量)、化合物2(28.08 mg、10.48 μmol、2.1当量)、及びTHPTA(4.34 mg、9.98 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、18.71 μL、1.5当量)及びVcNa(2.97 mg、14.97 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:6999.35、観察値m/z:1400.7([M/5+H]+), 1167.6([M/6+H]+), 1000.9([M/7+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY18042(3.9 mg、5.15e-1 μmol、10.32 %収率、96.0 %純度)を白色固体として得た。
(実施例8:BCY18048の合成)
Figure 2024503632000052
化合物1(15 mg、4.99 μmol、1.0当量)、化合物2(21.99 mg、10.48 μmol、2.1当量)、及びTHPTA(4.34 mg、9.98 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、25.0 μL、2.0当量)及びVcNa(2.97 mg、14.97 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7203.30、観察値m/z:1441.3([M/5+H]+), 1201.3([M/6+H]+), 901.7([M/8+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY18048(7.4 mg、9.85e-1 μmol、19.74%収率、97.4% 純度)を白色固体として得た。
(実施例9:BCY18049の合成)
Figure 2024503632000053
化合物1(15 mg、4.99 μmol、1.0当量)、化合物2(24.41 mg、10.48 μmol、2.1当量)、及びTHPTA(4.34 mg、9.98 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、18.71 μL、1.5当量)及びVcNa(2.97 mg、14.97 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7666.02、観察値m/z:959.3([M/8+H]+), 1096.2([M/7+H]+), 1278.6([M/6+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY18049(10.6 mg、1.37 μmol、27.41 %収率、98.9 %純度)を白色固体として得た。
(実施例10:BCY18603の合成)
(中間体BP23825-BCY11865の調製)
Figure 2024503632000054
化合物1(15.0 mg、24.0 μmol、1.0当量)、HATU(10.1 mg、26.5 μmol、1.1当量)、及びDIEA(9.3 mg、72.1 μmol、12.6 μL、3.0当量)の混合物を、DMF(1.0 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で6分間反応促進させ、次に化合物2(68.5 mg、26.5 μmol、1.1当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(MW:3196.7、観察値m/z:1066.6 [M/3+H]+, 800.2 [M/4+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。次に、可溶性粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(BP23825-BCY11865、43.0 mg、13.4 μmol、55.8 %収率、97.4 %純度)を白色固体として得た。
(BCY18603の調製)
Figure 2024503632000055
化合物3(15.0 mg、4.69 μmol、1.0当量)、化合物4(20.5 mg、9.85 μmol、2.1当量)、及びTHPTA(2.0 mg、4.69 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、17.6 μL、1.5当量)及びVcNa(2.8 mg、14.1 umol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7359.3、観察値m/z:1472.9 [M/5+H]+, 1227.5 [M/6+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY18603(13.4 mg、1.82 umol、38.8 %収率、97.8 %純度)を白色固体として得た。
(実施例11:BCY18604の合成)
(中間体BP23825-BCY14320の調製)
Figure 2024503632000056
化合物1(20.0 mg、32.1 μmol、1.0当量)、HATU(13.4 mg、35.3 μmol、1.1当量)及びDIEA(12.4 mg、96.2 μmol、16.8 μL、3.0当量)の混合物を、DMF(1.0 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で6分間反応促進させ、次に化合物2(74.4 mg、35.3 μmol、1.1当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(MW:2714.27、観察値m/z:1358.1 [M/2+H]+, 905.9 [M/3+H]+, 679.5 [M/4+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を取り除いた。次に、残留物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(BP23825-BCY14320、42.3 mg、15.6 μmol、48.5 %収率、97.7 %純度)を白色固体として得た。
(BCY18604の調製)
Figure 2024503632000057
化合物3(15.0 mg、5.53 μmol、1.0当量)、化合物4(24.2 mg、11.6 umol、2.1当量)、及びTHPTA(2.4 mg、5.53 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、20.7 uL、1.5当量)及びVcNa(3.3 mg、16.6 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:6876.9、観察値m/z:1376.4 [M/5+H]+, 1147.3 [M/6+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY18604(19.1 mg、2.77 μmol、50.0 %収率、97.1 %純度)を白色固体として得た。
(実施例12:BCY20810の合成)
(BP25635-BCY9594の調製)
Figure 2024503632000058
化合物1(50.0 mg、32.3 μmol、1.0当量)、HATU(14.7 mg、38.7 μmol、1.2当量)及びDIEA(8.3 mg、64.5 μmol、11.2 μL、2.0当量)の混合物を、NMP(0.5 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で5分間反応促進させ、次に化合物2(85.2 mg、35.5 μmol、1.1当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(MW:3931.5、観察値m/z:1310.5 [M/3+H]+, 983.8 [M/4+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。次に、可溶性粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(BP25635-BCY9594、34.6 mg、8.80 μmol、27.2 %収率、96.8 %純度)を白色固体として得た。
(BCY20810の調製)
Figure 2024503632000059
化合物3(15.0 mg、3.82 μmol、1.0当量)、化合物4(15.6 mg、7.63 μmol、2.0当量)及びTHPTA(3.3 mg、7.63 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、0.3 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、14.3 μL、1.5当量)及びVcNa(2.3 mg、11.4 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で0.5時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:8028.3、観察値m/z:1338.7 [M/6+H]+, 1147.7 [M/7+H]+, 1004.4 [M/8+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。可溶性粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY20810(3.0 mg、3.73e-1 μmol、9.76 %収率、95.2 %純度)を白色固体として得た。
(実施例13:BCY21686の合成)
(中間体BP25517-BCY9594の調製)
Figure 2024503632000060
化合物1(10.0 mg、7.19 μmol、1.0当量)、HATU(3.3 mg、8.6 μmol、1.2当量)、及びDIEA(2.8 mg、21.6 μmol、3.8 uL、3.0当量)の混合物を、NMP(0.5 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で5分間反応促進させ、次に化合物2(19.0 mg、7.91 μmol、1.1当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(計算値MW:3773.3、観察値m/z:1258.4 [M/3+H]+, 944.1 [M/4+H]+, 755.5 [M/5+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。次に、粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(BP25517-BCY9594、9.5 mg、2.52 μmol、35.0 %収率、95.3 %純度)を白色固体として得た。
(BCY21686の調製)
Figure 2024503632000061
化合物3(9.5 mg、2.52 μmol、1.0当量)、化合物4(15.7 mg、7.55 μmol、3.0当量)、及びTHPTA(2.2 mg、5.04 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、0.3 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、12.6 μL、2.0当量)及びVcNa(2.0 mg、10.0 μmol、4.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で0.5時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:10017.3、観察値m/z:1431.7 [M/7+H]+, 1252.9 [M/8+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY21686(12.8 mg、1.23 μmol、48.8 %収率、96.4 %純度)を白色固体として得た。
(実施例14:BCY21687の合成)
(中間体BP25668-BCY9594の調製)
Figure 2024503632000062
化合物1(15.0 mg、6.24 μmol、1.0当量)、HATU(2.8 mg、7.49 μmol、1.2当量)、及びDIEA(2.4 mg、18.7 μmol、3.3 μL、3.0当量)の混合物を、NMP(0.5 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で5分間反応促進させ、次に化合物2(16.5 mg、6.86 μmol、1.1当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(MW:4786.5、観察値m/z:1197.4 [M/4+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。次に、粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(BP25668-BCY9594、13.6 mg、2.84 μmol、45.51 %収率、95.5 %純度)を白色固体として得た。
(BCY21687の調製)
Figure 2024503632000063
化合物3(13.6 mg、2.84 μmol、1.0当量)、化合物4(17.3 mg、8.32 μmol、3.0当量)、及びTHPTA(2.5 mg、5.68 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、0.3 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.9 mg、5.68 μmol、2.0当量)及びVcNa(2.2 mg、11.37 μmol、4.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で0.5時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:11030.5、観察値m/z:1379.6 [M/8+H]+, 1226.5 [M/9+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。可溶性粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY21687(14.5 mg、1.31 μmol、46.1 %収率、94.5 %純度)を白色固体として得た。
(実施例15:BCY17231の合成)
(中間体BP24527-BCY9594の調製)
Figure 2024503632000064
化合物1(100.0 mg、143 μmol、1.0当量)、HATU(59.9 mg、157.6 μmol、1.1当量)、及びDIEA(55.56 mg、429.9 μmol、74.88 uL、3.0当量)の混合物を、DMF(5.0 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で6分間反応促進させ、次に化合物2(378 mg、157 μmol、1.1当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(MW:3080.59、観察値m/z:1027.9[(M/3+H]+, 771.2 [(M/4+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を取り除いた。次に、残留物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(BP24527-BCY9594、342 mg、111.02 μmol、77.4 %収率、91.5 %純度)を白色固体として得た。
(中間体BCY17230の調製)
Figure 2024503632000065
化合物3(100.0 mg、32.5 μmol、1.0当量)、化合物4(74.3 mg、35.7 μmol、1.1当量)、及びTHPTA(14.1 mg、32.5 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、4.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、81.1μL、2.0当量)及びVcNa(12.86 mg、64.92 μmol、2.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:5161.94、観察値m/z:1291.6([M/4+H]+), 1033.4([M/5+H]+), 861.4([M/6+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、化合物5(BCY17230、65.0 mg、12.1 μmol、37.28 %収率、96.1 %純度)を白色固体として得た。
(中間体BCY17233の調製)
Figure 2024503632000066
化合物5(65.0 mg、12.1 μmol、1.0当量)のDCM(0.80 mL)溶液へ、TEA(0.2 mL)を添加した。この混合物を25 ℃で0.5時間、攪拌した。LC-MSにより、化合物5が完全に消費され、所望のm/z(MW:5061.9、観察値m/z:1266.1[M/4+H]+, 1013.2[M/5+H]+, 844.5 [M/6+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過し、次に可溶性画分を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物6(36.8 mg、7.13 μmol、56.64 %収率、98.1 %純度)を白色固体として得た。
(中間体BCY17234の調製)
Figure 2024503632000067
化合物6(BCY17233、36.8 mg、7.13 μmol、1.0当量)及びAcAz(1.73 mg、8.72 μmol、1.2当量)のDMF(1.0 mL)溶液へ、DIEA(1.9 mg、14.4 μmol、2.5 μL、2.0当量)を添加した。この混合物を25 ℃で0.5時間、攪拌した。LC-MSにより、化合物6が完全に消費され、所望のm/z(MW:5141.35、観察値m/z:1029.8[M/5+H]+, 1286.9[M/4+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過し、次に可溶性画分を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物7(BCY17231、25.0 mg、4.65 μmol、63.96 %収率、95.7 %純度)を白色固体として得た。
(BCY17231の調製)
Figure 2024503632000068
化合物7(22 mg、4.28 μmol、1.0当量)、BCY13883(9.31 mg、4.70 μmol、1.1当量)、及びTHPTA(1.86 mg、4.28 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、10.69 μL、1.0当量)及びVcNa(1.69 mg、8.55 μmol、2.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物7が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7123.1、観察値m/z:1425.3([M/5+H]+), 1188.0([M/6+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY17231(4.8 mg、6.29e-1 μmol、14.70 %収率、93.2 %純度)を白色固体として得た。
(実施例16:BCY20793の合成)
Figure 2024503632000069
化合物1(17.4 mg、3.38 μmol、1.0当量)、BCY20361(7.61 mg、3.72 μmol、1.1当量)、及びTHPTA(1.47 mg、3.38 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、8.46 μL、1.0当量)及びVcNa(1.34 mg、6.76 μmol、2.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:7193.2、観察値m/z:1439.3([M/5+H]+), 1199.7([M/6+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY20793(8.0 mg、1.05 μmol、30.96 %収率、94.1 %純度)を白色固体として得た。
(実施例17:BCY17235の合成)
(中間体COM00000116-BCY17224の調製)
Figure 2024503632000070
COM00000116(50.0 mg、13.8 μmol、1.0当量)、BCY17224(23.0 mg、11.1 μmol、0.8当量)、及びTHPTA(30.1 mg、69.3 μmol、5.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、10 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、13.8 μL、0.4当量)及びVcNa(54.8 mg、277.1 μmol、20.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で3時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、所望の質量(mass)(計算値MW:5690.6、観察値m/z:1416.3 [(M-28)/4+H]+)が示された。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製したが、純度は低かった。化合物3(COM00000116-BCY17224、43.9 mg、53.1 %純度)を白色固体として得た。
(中間体COM00000116-BCY17224-BCY15017の調製)
Figure 2024503632000071
化合物3(COM00000116-BCY17224、29.8 mg、5.24 μmol、1.0当量)、化合物4(BCY15017、13.0 mg、5.24 μmol、1.0当量)、及びTHPTA(4.5 mg、10.5 μmol、2.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、1 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、13.1 μL、1.0当量)及びVcNa(3.1 mg、15.7 μmol、3.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、所望のm/z(計算値MW:8171.45、観察値m/z:1362.6([M/6+H]+), 1168.3([M/7+H]+))が検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。可溶性粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、化合物5(COM00000116-BCY17224-BCY15017、8.7 mg、1.06 μmol、20.2 %収率、78.7 %純度)を白色固体として得た。
(BCY17235の調製)
Figure 2024503632000072
化合物5(COM00000116-BCY17224-BCY15017、4.2 mg、5.14e-1 μmol、1.0当量)、化合物6(BCY13883、1.0 mg、5.14e-1 μmol、1.0当量)、及びTHPTA(0.2 mg、5.14e-1 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、0.2 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、1.3 μL、1.0当量)及びVcNa(0.2 mg、1.03 μmol、2.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で0.5時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物5が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:10149.8、観察値m/z:1269.3([M/8+H]+), 1128.4([M/9+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。可溶性粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY17235(1.8 mg、1.77e-1 μmol、34.4 %収率、91.6 %純度)を白色固体として得た。
(実施例18:BCY17225の合成)
Figure 2024503632000073
化合物1(20 mg、7.36 μmol、1.0当量)、化合物2(BCY17224、16.85 mg、8.09 μmol、1.1当量)、及びTHPTA(3.20 mg、7.36 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、1.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、18.4 μL、1.0当量)及びVcNa(2.92 mg、14.72 μmol、2.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物1が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:4799.47、観察値m/z:961.0([M/5+H]+), 1200.9([M/4+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY17225(19.5 mg、3.88 μmol、52.73 %収率、95.5 %純度)を白色固体として得た。
(実施例19:BCY18731の合成)
(中間体N3-PEG24-BCY9594の調製)
Figure 2024503632000074
化合物1(17.45 mg、13.75 μmol、1.1当量)、DIEA(3.23 mg、24.99 μmol、4.35 uL、2.0当量)の混合物を、DMF(1.0 mL)に溶解した。反応混合物を25~30 ℃で6分間反応促進させ、次に化合物2(30.0 mg、12.50 μmol、1.0当量)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、25~30 ℃で0.5時間攪拌した。LC-MSにより、化合物2が完全に消費され、所望のm/z(MW:3555.1、観察値m/z:1186.1 [(M/3+H]+)を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を取り除いた。次に、残留物を分取HPLC(TFA条件)で精製した。化合物3(N3-PEG24-BCY9594、23.8 mg、6.69 μmol、52.40 %収率、97.8 %純度)を白色固体として得た。
(BCY18731の調製)
Figure 2024503632000075
化合物3(N3-PEG24-BCY9594、23.8 mg、6.69 μmol、1.0当量)、化合物4(BCY17224、15.33 mg、7.36 μmol、1.1当量)、及びTHPTA(2.91 mg、6.69 μmol、1.0当量)の混合物を、t-BuOH/H2O(1:1、2.0 mL、予め脱気してN2で3回パージした)に溶解し、次にCuSO4(0.4 M、16.74 μL、1.0当量)及びVcNa(2.65 mg、13.39 μmol、2.0当量)の水溶液を、N2下で添加した。この溶液を、0.2 M NH4HCO3(1:1 t-BuOH/H2O中)の滴加でpH 8に調整すると、溶液は明るい黄色になった。この反応混合物を25~30 ℃で1時間、N2雰囲気下で攪拌した。LC-MSにより、化合物3が完全に消費され、所望のm/z(計算値MW:5636.47、観察値m/z:1410.0([M/5+H]+),1128.3([M/5+H]+), 940.4([M/6+H]+))を有する1つのメインピークが検出されたことが示された。反応混合物を濾過して、不溶性残留物を除去した。粗生成物を分取HPLC(TFA条件)で精製して、BCY18731(14.7 mg、2.50 μmol、37.4 %収率、96.0 %純度)を白色固体として得た。
(生物学的データ)
(1.脱顆粒アッセイ)
腫瘍細胞は、標的細胞を死滅させる免疫性溶菌性顆粒分泌を通して、CD8+T-細胞傷害性細胞及びNK細胞によって認識され、死滅させられる。このプロセスには、顆粒膜と免疫エフェクター細胞の細胞質膜の融合が関与し、その結果CD107a(LAMP1)が表面に露出する。CD107aの膜発現は、免疫細胞の活性化及び細胞傷害性脱顆粒のマーカーを構成する。EphA2/NKp46又はEphA2/CD16aのヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を、脱顆粒アッセイを用いてNK細胞の活性化について評価した。
実験当日に、培地を、RPMI-1640(Gibco(商標)11875-093;L-グルタミン入り)に10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1 %ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI)を補充して調製した。本明細書ではこれを作業培地と称する。予め全血から単離しておいたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を水浴で急速解凍し、予備加温しておいた作業培地10mLで、500rpm、5分間で1回洗浄した。次に、PBMCペレットを5×106 細胞/mLの濃度になるように作業培地に再懸濁し、組織培養用コートフラスコ(T-183;CELLTREAT Scientific社229351)内で一晩(12~18時間)水平に静置した。更に又、エフリンA型受容体(EphA2)を発現しているヒト肺癌細胞株A549(ATCC(登録商標)CCL-185;細胞は製造者の推奨に従い増殖・維持した)をトリプシン/EDTAを用いて培養容器から剥離し、予備加温しておいた作業培地15mLで、500rpm、5分間で1回洗浄した。次に、細胞ペレットを1×105細胞/mLの濃度で作業培地に再懸濁した。その後、100μLの細胞懸濁液を、平底組織培養用コート96ウェルプレート(Greiner社CellStar(登録商標)655180)にプレーティングし、一晩(12~18時間)静置した。
一晩インキュベーション後、PBMCをフラスコから取り出し、予備加温しておいた作業培地10mLで、500rpm、5分間で1回洗浄した。次に、ネガティブ分離キット(STEMCELL Technologies社17955)を用いて、製造者の推奨に従い、全PBMC集団からNK細胞を分離した。続いて、NK細胞ペレットを1×105細胞/mLの濃度で作業培地に再懸濁した。その後、100μLの細胞懸濁液を、一晩静止したA549細胞を含む96ウェルプレートにプレーティングした。
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を作業培地で希釈し、推奨開始濃度300 nM又は5 μMで、対応するセルプレートに1:4 希釈系列で滴定して、12点段階希釈を実施した。更に、タンパク質輸送阻害剤GolgiStop(商標)(BD Biosciences社554715)を、製造者の推奨に従い添加した。次に、プレートを37 ℃、5 % CO2で4時間インキュベートした。その後、サンプルを200μLの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS;Gibco(商標)10-010-023)で5分間、500rpmで1回洗浄した。細胞を200μLのPBSに再懸濁し、96ウェルV底ポリプロピレンプレート(Greiner社 Bio-One 651201)に移した。次にサンプルを500rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。
フローサイトメトリーZombie Aqua(商標)Fixable Viability Dye(BioLegend(登録商標)423102)のために、サンプルの調製物をPBSで1:1000希釈して調製し、各ウェルに100 μLのViability Dyeを加え、暗所、4 ℃で30分間インキュベートした。続いて、ウェルを100 μLのPBSで500 rpmで5分間洗浄し、上清を除去した。次に、ヒトTruStain FcX(商標)ブロック(BioLegend(登録商標)422302)を、1.5 μLのFcXを25 μLの染色バッファ(2 % FBSで補充した1×PBS)で希釈して調製した。Fcブロック溶液(25 μL /ウェル)を室温(RT)で10分間、暗所でインキュベートした。抗体マスターミックスカクテルを、100 μLの染色バッファあたり1.5 μLの下記抗体を希釈して調製した:FITC抗ヒトCD45(BioLegend(登録商標)304038;クローンHI30)、ブリリアントバイオレット605(商標)抗ヒトCD3(BioLegend(登録商標)344836;クローンSK7)、PE/シアニン7抗ヒトCD56(BioLegend(登録商標)362510;クローン5.1H11)、PE抗ヒトNKp46(BioLegend(登録商標)331908;クローン9E2)、及びブリリアントバイオレット421(商標)抗ヒトCD107a(BioLegend(登録商標)328626;クローンH4A3)。細胞をマスターミックスカクテル(100 μL)に再懸濁し、4℃で30分間、暗所でインキュベートした。次に、細胞を100 μLの染色バッファで500 rpmで5分間、3回洗浄し、上清を除去した。200 μLの染色バッファで再懸濁した細胞を、BD FACSCelesta(商標)フローサイトメーターで読み取り、FCSファイルをFlowJo(商標)で解析するまで、4℃で暗所に保った。
表1及び図1に示されたデータは、BCY15664及びBCY15911による処理後の、NK細胞表面上のCD107aの用量依存的アップレギュレーションを示す。非結合型対照であるBCY15667及びBCY15666は、ベースラインを超えるアップレギュレーションを惹起しない。
表1及び図1に示されたデータは、BCY15664及びBCY15911による処置後の、NK細胞表面上のCD107aの用量依存的及び腫瘍抗原依存的アップレギュレーションを示す。両方のEphA2二環式ペプチド及びNKp46二環式ペプチドが全てD-アミノ酸からなる非結合型対照(BCY15667)は、ベースラインを超えるアップレギュレーションを惹起しない。更に、EphA2二環式ペプチドのみ全てD-アミノ酸からなる対照(BCY15666)は、それゆえにNKp46への結合能はあるがEphA2には結合せず、ベースラインを超えるアップレギュレーションを惹起しない。
(表1:脱顆粒を示すNK細胞上のCD107a表面発現と関連する、最大効果の半分を起こす濃度(EC50))
Figure 2024503632000076
(2.NK細胞傷害性アッセイ)
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を、NK細胞株-腫瘍細胞株共培養でのNK機能のリードアウト(細胞傷害性及びサイトカイン分泌)について評価した。
ネガティブ分離キット(STEMCELL Technologies社17955)を用いて、全血から精製した全PBMC集団からNK細胞を分離した。次にNK細胞ペレットを、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1 %ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI)、並びに50 IU/mL ヒトIL-2(Miltenyi Biotec(登録商標)130-097-748)を添加したDMEM培地(Corning(商標)10-013-CV)に、4×105細胞/mLの濃度で再懸濁した。NK細胞傷害性アッセイのために、50 μL(2×104)の細胞懸濁液を、50 μlの(4×103)HT1080-luc細胞(ATCC(登録商標)CCL-121-luc2)(10 %熱不活化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1 %ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI)を添加したDMEM(Gibco(商標)11875-093;L-グルタミン入り)中)が入った、96ウェルプレート(Grenier(登録商標)Bio One(商標)655090)にプレーティングした。被験物質又は抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、10 %熱不活化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1%ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI))を添加したDMEM培地(Corning(商標)10-013-CV)で希釈し、推奨開始濃度10 nMで、対応するセルプレート(50 μl)に1/5希釈系列で滴定して、8点段階希釈を実施した。次に、プレートを37 ℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを250×gで5分間遠心分離し、100 μlの上清を除去した。その後、サンプルを50 μlのBright-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega(商標)E2620)で10分間インキュベートした。570 nmで励起された発光を、CLARIOstar(登録商標)プレートリーダーを用いてMARS Data Analysis Software(商標)を使って読み取った。データをGraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数非線形回帰に当てはめ、EC50値を算出した。
選択された本発明のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を、このアッセイで試験し、その結果を図2~4及び図6~10に示す。
図2は、BCY17226が用量依存的なNK細胞応答を惹起し、EphA2+ve HT1080-luc腫瘍細胞株を死滅させることを示す。非結合型ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体(BCY15667)では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を添加しないNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果は観察されない。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照としてアッセイで使用した。NK-TICA無し(「ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体無し」を指す)の平均発光を参考として、便宜的に0.00001 pMに示す。BCY17226のEC50=6.1 pMが、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図3は、BCY15664及びBCY15923が用量依存的なNK細胞応答を惹起し、EphA2+ve HT1080-luc腫瘍細胞株を死滅させることを示す。非結合型ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体(BCY15667)では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を添加しないNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果は観察されない。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照としてアッセイで使用した。NK-TICA無し(「ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体無し」を指す)の平均発光を参考として、便宜的に0.00001 pMに示す。BCY15664(NKp46エピトープ1、EC50=21 pM)又はBCY15923(NKp46エピトープ2、EC50=44 pM)が、GraphPad Prism(商標)8.0.2ソフトウェアを用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図4は、増強されたNK細胞傷害活性を惹起するために、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体コンストラクト中に腫瘍抗原結合型二環式ペプチドが必要であることを示す。非結合型EphA2/非結合型NKp46ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体(BCY15667)では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を添加しないNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果は観察されない。非結合型EphA2/結合型NKp46ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体(BCY15666)では、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を添加しないNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果は観察されない。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照としてアッセイで使用した。NK-TICA無し(「ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体なし」を指す)の平均発光を参考として、便宜的に0.001 nMに示す。BCY15664のEC50=16 pMが、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図6は、NK-TICAコンストラクト中の二環式NKp46の価数を変動させると、NK細胞傷害活性が増強されることを示す。NK-TICAコンストラクトであるBCY17225_01_02(EC50=3.6pM)、BCY21686_01_01(EC50=1.3pM)では、NK-TICAを添加しないNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果が観察された。非結合型NK-TICA(BCY15667_01_01)では、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果は観察されない。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照(EC50=0.053 pM)としてアッセイで使用した。NK-TICA無しの平均発光を参考として、便宜的に0.005 pMに示す。この二環式のEC50値は、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図7は、NK-TICAコンストラクトのスペーサー長を変動させると、用量依存的NK細胞傷害活性が増強されることを示す。NKp46二環式NK-TICAコンストラクトであるBCY18731_01_01(EC50=18pM)、BCY17231_01_01(EC50=21 pM)及びBCY17235_04_01(EC50=14 pM)では、NK-TICAを添加しないNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果が観察された。非結合型NK-TICA(BCY15667_01_01)では、NK細胞傷害性における増強された効果は観察されなかった。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1、6.7 nM)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照としてアッセイで使用した。NK-TICA無しの平均発光を参考として、便宜的に0.05 pMに示す。この二環式のEC50値は、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図8は、CD16結合型二環式及びNKp46結合型二環式NK-TICAコンストラクト(BCY20793_01_01)で処理したNK細胞による、用量依存的腫瘍死滅化が増強されることを示す。NK細胞の殺腫瘍活性がBCY20793_01_01で観察された(EC50=6.5 pM)。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照(EC50=0.45 pM)としてアッセイで使用した。非結合型NK-TICA(BCY15667_01_01)では、NK-TICA添加無しのNK:HT1080-luc共培養と比較して、腫瘍細胞死における増強された用量依存的効果は観察されない。NK-TICA無しの平均発光を参考として、便宜的に0.02 pMに示す。この二環式のEC50値は、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図9は、NK-TICAにおける代替的なNKp46結合型二環式は、HT1080-luc細胞の死滅化の増強を誘導したことを示す。NKp46結合型NK-TICAコンストラクトであるBCY18049_01_01(EC50=不安定)、BCY18042_01_01(EC50=不安定)、及びBCY15924_01_01(EC50=0.5nM)は、NK-TICA添加無しのNK:HT1080-luc共培養と比較して、HT1080-luc腫瘍細胞株のNK細胞傷害性を増強した。BCY15667_01_01(非結合型NK-TICA)は、NK-TICA添加無しのNK:HT1080-luc共培養と比較して、活性を有さない。NK-TICA無しの平均発光を参考として、便宜的に0.001 pMに示す。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1、6.7 nM)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照としてアッセイで使用した。EC50値は、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
図10は、NKp46結合型NK-TICAコンストラクト内に追加的な腫瘍結合型二環式アームを含むNK-TICAは、HT1080-luc細胞の死滅化の増強を誘導したことを示す。PD-L1結合型二環式NK-TICAコンストラクト(BCY18603_01_01;EC50=3.0 pM)又はMT1結合型二環式NK-TICAコンストラクト(BCY18604_01_01;EC50=7.9 pM)は、NK-TICA添加無しのNK:HT1080-luc共培養と比較して、HT1080-luc腫瘍細胞株のNK細胞傷害性を増強した。非結合型対照NK-TICAコンストラクト(BCY15667_01_02)は、NK-TICA添加無しのNK:HT1080-luc共培養と比較して、活性を有さない。NK-TICA無しの平均発光を参考として、便宜的に0.005 pMに示す。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1、6.7 nM)を、NK誘導された細胞傷害性の陽性参照対照(EC50=0.70 pM)としてアッセイで使用した。EC50値は、GraphPad Prism(商標)8.0.2を用いた4変数ロジスティック回帰を用いて算出された。
(3.サイトカイン分泌アッセイ)
ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を、NK細胞株-腫瘍細胞株共培養でのNK機能のリードアウト(細胞傷害性及びサイトカイン分泌)について評価した。
ネガティブ分離キット(STEMCELL Technologies(登録商標)17955)を用いて、全血から精製した全PBMC集団からNK細胞を分離した。次にNK細胞ペレットを、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1 %ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI)、並びに50 IU/mL ヒトIL-2(Miltenyi Biotec(登録商標)130-097-748)を添加したDMEM培地(Corning(商標)10-013-CV)に、4×105 細胞/mLの濃度で再懸濁した。NK細胞サイトカイン分泌アッセイのために、2×104 NK細胞(50 μLの細胞懸濁液中)を、50 μlの(4×104)HT1080-luc細胞(ATCC(登録商標)CCL-121-luc2)(10 %熱不活化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1 %ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI)を添加したDMEM(Gibco(商標)11875-093;L-グルタミン入り)中)が入った、96ウェルU底プレート(Grenier Bio One(商標)650180)にプレーティングした。被験物質又は抗体(InvivoGen(登録商標)、hegfr-mab1)を、10 %熱不活化ウシ胎児血清(FBS;Corning(登録商標)35-011-CV)、10 mM HEPES(Gibco(商標)15-630-080)、及び1%ペニシリンストレプトマイシン(Corning(商標)30-002-CI))を添加したDMEM培地(Corning(商標)10-013-CV)で希釈し、推奨開始濃度10 nMで、対応するセルプレート(50 μl)に1/5希釈系列で滴定して、8点段階希釈を実施した。次に、プレートを37 ℃、5% CO2で4時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを250×gで5分間遠心分離し、100 μlの上清を回収した。直ちにサンプルを-20 ℃で保存するか又はサイトカインレベルを評価した。採取した上清50 μlのインターフェロンγ又はTNF-αレベルを、ヒトIFN-γ Quantikine(商標)ELISAキット(R&D Systems社、DIF50C)又はヒトTNF-α Quantikine(商標)ELISAキット(R&D Systems社、DTA00D)により測定した。450 nm波長でのデータをCLARIOstar(登録商標)プレートリーダーで取得し、CLARIOstar(登録商標)プレートリーダー及びMARS Data Analysis(商標)ソフトウェアで4変数非線形回帰に当てはめ、GraphPad Prism(商標)8.0.2ソフトウェアで分析して、サイトカインレベルを定量化した。或いは、TNF-α及びIFN-γサイトカインを、採取した上清25 ulを、Luminexアッセイ:ヒトXL Cytokine Discovery Premixed Kit(R&D Systems社、FCSTM18-05)Luminex 200(商標)フロー装置及びxPONENT(商標)分析ソフトウェアにより測定した。
選択した本発明のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体をこのアッセイで試験し、結果を図5、11、及び12に示す。
図5は、NK細胞が、BCY17226、又は非結合型ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体BCY15667の存在下で、HT1080-luc腫瘍細胞株と共培養されたことを実証する。陽性対照として、ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen社、hegfr-mab1)を使用した。放出されたサイトカイン(IFN-γ)をELISA(R&D systems社、DIF50C)により、CLARIOstar(商標)プレートリーダー及びMARS Data Analysis(商標)ソフトウェアで4変数非線形回帰を適用して測定した。
図11は、NK細胞が、2 nMの、様々なNKp46二環式価数のNKp46結合型二環式NK-TICAコンストラクトの存在下で、HT1080-luc腫瘍細胞株と共培養された時に、TNF-α及びIFN-γを産生することを示す。BCY00017225_01_02、BCY21686_01_01、BCY21687_01_01の添加により、非結合型NK-TICAコンストラクト(BCY15667_01_01)と比較して、NK細胞からのサイトカイン産生が観察された。ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen社、hegfr-mab1)を、NK誘導されたサイトカインの陽性参照対照として使用した(1.34 nM)。放出されたサイトカイン(IFN-γ及びTNF-α)を、Luminexアッセイ:ヒトXL Cytokine Discovery Premixed Kit(R&D Systems社、FCSTM18-05)により、Luminex 200フロー装置及びxPONENT分析ソフトウェアで測定した。
図12は、NK細胞が、10nMの、構造的修飾を有するNKp46結合型二環式NK-TICAコンストラクトの存在下で、HT1080-luc腫瘍細胞株と共培養された時に、サイトカインを分泌することを示す。NKp46結合型二環式NK-TICA(BCY18048_01_01)は、非結合型NK-TICA(BCY15667_01_01又はBCY15666_01_01)処理でサイトカイン産生無しと比較して、IFN-γ及びTNF-αの分泌を誘導した。陽性対照として、ADCC可能な抗EGFR抗体(InvivoGen社、hegfr-mab1)を6.7 nMで使用した。放出されたサイトカイン(IFN-γ及びTNF-α)は、ELISA(R&D systems社、DIF50C, DTA00D)により、CLARIOstarプレートリーダー及びMARS Data Analysisソフトウェアで4変数非線形回帰を適用して測定した。
(参考文献のリスト)
Figure 2024503632000077
Figure 2024503632000078
Figure 2024503632000079

Claims (17)

  1. (a)がん細胞上に存在する構成要素に結合する第1のペプチドリガンド;がリンカーを介して、
    (b)ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素に結合する、1個以上の第2のペプチドリガンド;にコンジュゲートしたものを含む、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
    該ペプチドリガンドの各々が少なくとも2つのループ配列によって隔てられた少なくとも3つの反応基を含むポリペプチド、及び該ポリペプチドの該反応基と共有結合を形成する分子スキャフォールドを含み、少なくとも2つのポリペプチドループが該分子スキャフォールド上に形成されている、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  2. 前記反応基はシステイン残基である、請求項1に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  3. 前記ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、該NK細胞表面上に存在する天然の細胞傷害性受容体であり、例えばNKp30、NKp44、及びNKp46であり、特にNKp46であり、例えば前記1個以上の第2のペプチドリガンドは1個以上のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドを含む、請求項1又は2に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  4. 前記1個以上のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドは:
    Figure 2024503632000080
    (式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1、第2、及び第3のシステイン残基を表し、Cbaはβ-シクロブチルアラニンを表し、dAはD-アラニンを表し、及びPYAはペンチン酸を表す)から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項3に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
    特に、前記分子スキャフォールドはTATAであり、該1個以上のNKp46結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
    Ac-(配列番号:5)-[K(PYA)](本明細書ではBCY17224と称する);
    A-(配列番号:6)-A-[dK(PYA)](本明細書ではBCY15452と称する);
    A-(配列番号:7)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY15686と称する);
    A-(配列番号:8)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY15687と称する);
    A-(配列番号:9)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY18004と称する);
    A-(配列番号:10)-A(本明細書ではBCY17662と称する);並びに
    A-(配列番号:11)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY18005と称する)
    (式中、PYAはペンチン酸を表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  5. 前記ナチュラルキラー(NK)細胞上に存在する1個以上の構成要素は、該NK細胞表面上に存在するFc受容体、例えばFcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIC、FcγRIIIA、及びFcγRIIIBから選択される低親和性Fcγ受容体(FcγR)であり、特にFcγRIIIA(CD16aとしても知られる)であり、例えば前記1個以上の第2のペプチドリガンドは1個以上のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドを含む、請求項1又は2に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  6. 前記1個以上のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドは:
    Figure 2024503632000081
    (式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1、第2、及び第3のシステイン残基を表す)から選択されるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項5に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
    特に、前記分子スキャフォールドはTBMTであり、該1個以上のCD16a結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
    A-(配列番号:12)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY13886と称する);
    A-(配列番号:13)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY20361と称する);並びに
    A-(配列番号:14)-A-[K(PYA)](本明細書ではBCY13883と称する)
    (式中、PYAはペンチン酸を表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  7. 前記がん細胞は、HT1080、A549、SC-OV-3、PC3、HT1376、NCI-H292、LnCap、MC38、MC38 #13、4T1-D02、H322、HT29、T47D、及びRKO腫瘍細胞から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  8. がん細胞上に存在する前記構成要素はEphA2であり、例えば前記第1のペプチドはEphA2結合型二環式ペプチドリガンドを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  9. 前記EphA2結合型二環式ペプチドリガンドは:
    Figure 2024503632000082
    (式中、Ci、Cii、及びCiiiは、第1(i)反応基、第2(ii)反応基、及び第3(iii)反応基を表し、HyPはトランス-4-ヒドロキシ-L-プロリンを表し、HArgはホモアルギニンを表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項8に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
    特に、前記分子スキャフォールドはTATAであり、該EphA2結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾を含み、かつ:
    A-[HArg]-D-(配列番号:2)(本明細書ではBCY9594と称する)
    (式中、HArgはホモアルギニンを表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  10. がん細胞上に存在する前記構成要素はPD-L1であり、例えば前記第1のペプチドはPD-L1結合型二環式ペプチドリガンドを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  11. 前記PD-L1結合型二環式ペプチドリガンドは:
    Figure 2024503632000083
    (式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1(i)システイン基、第2(ii)システイン基、及び第3(iii)システイン基を表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項10に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
    特に、前記分子スキャフォールドはTATAであり、該PD-L1結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
    Ac-D-[Harg]-(配列番号:3)-PSH(本明細書ではBCY11865と称する)
    (式中、Hargはホモアルギニンを表す)、又はその医薬として許容し得る塩を含む、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  12. がん細胞上に存在する前記構成要素はMT1であり、例えば前記第1のペプチドはMT1結合型二環式ペプチドリガンドを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  13. 前記MT1結合型二環式ペプチドリガンドは:
    Figure 2024503632000084
    (式中、Ci、Cii、及びCiiiは、それぞれ第1(i)システイン基、第2(ii)システイン基、及び第3(iii)システイン基を表す)であるアミノ酸配列、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項12に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であって、
    特に、前記分子スキャフォールドはTATAであり、該MT1結合型二環式ペプチドリガンドは任意でN末端修飾及び/若しくはC末端修飾を含み、かつ:
    LPP-(配列番号:4)(本明細書ではBCY14320と称する)
    又はその医薬として許容し得る塩を含む、前記ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  14. 表A1、A2、A3、B1、C、D及びEに列挙されたいずれかの複合体である、請求項1~13のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  15. 前記医薬として許容し得る塩は、遊離酸、又は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムの塩から選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体を、1以上の医薬として許容し得る賦形剤と組み合せて含む、医薬組成物。
  17. がんの予防、抑制、又は治療において使用するための、請求項1~15のいずれか1項に記載のヘテロタンデム二環式ペプチド複合体、又は請求項16に記載の医薬組成物。
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