JP2024502823A - 安定なコロナウィルスタンパク質およびそのワクチン組成物 - Google Patents

安定なコロナウィルスタンパク質およびそのワクチン組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2024502823A
JP2024502823A JP2023540514A JP2023540514A JP2024502823A JP 2024502823 A JP2024502823 A JP 2024502823A JP 2023540514 A JP2023540514 A JP 2023540514A JP 2023540514 A JP2023540514 A JP 2023540514A JP 2024502823 A JP2024502823 A JP 2024502823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coronavirus
polypeptide
seq
rbd
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023540514A
Other languages
English (en)
Inventor
エリス,ダニエル
キング,ニール
ブルーム,ジェシー
スター,タイラー
グリーニー,アリソン
Original Assignee
ユニヴァーシティ オブ ワシントン
フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニヴァーシティ オブ ワシントン, フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター filed Critical ユニヴァーシティ オブ ワシントン
Publication of JP2024502823A publication Critical patent/JP2024502823A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • A61K39/215Coronaviridae, e.g. avian infectious bronchitis virus
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2770/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
    • C12N2770/00011Details
    • C12N2770/20011Coronaviridae
    • C12N2770/20022New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2770/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
    • C12N2770/00011Details
    • C12N2770/20011Coronaviridae
    • C12N2770/20034Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein

Abstract

本明細書で提供されるのは、同じ発現、培養または貯蔵条件下で、対応する天然のまたは野生型コロナウィルススパイクタンパク質に比べて、高められた発現レベル、収率および安定性を有するそれらの変異コロナウィルス「S」スパイクタンパク質または受容体結合ドメインを含む組成物および方法である。これらの変異スパイクタンパク質は、1種または複数のコロナウィルスに対するタンパク質ベースワクチンを生成するために使用できる。【選択図】図4A

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1. 「Deep mutational scanning of SARS-CoV-2 receptor binding domain reveals constraints on folding and ACE2 binding」Tyler N.Starr et al.(BioRxiv) 2. 「Deep Mutational Scanning of SARS-CoV-2 Receptor Binding Domain Reveals Constraints on Folding and ACE2 Binding」Tyler N.Starr et al.(Cell.Volume 182,Issue 5,P1295-1310)
政府の支援
本発明は、米国国立衛生研究所により認可されたAI141707号に基づく政府の支援によりなされた。政府は、本発明に対し一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月31日に出願された米国仮出願第63/132,863号、および2021年5月14日に出願された米国仮出願第63/188,651号に対し、米国特許法35 U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張する。これらの仮出願のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明の分野は、タンパク質ベースワクチンの安定性を改善するための方法および組成物に関する。
コロナウィルスは、世界的流行の顕著な脅威を維持しており、SARS-CoV-2ウィルスによりもたらされた2019/2020年の世界的流行は、世界中で数十万人の死亡および大規模な景気減速を生じた。SARS-CoV-2は、現在の世界的流行が減少した後でも、永続的に伝染性を維持する可能性がある。従って、SARS-CoV-2または他の将来出現するコロナウィルスに対する効果的ワクチンが強く望まれる。
本明細書で記載の組成物および方法は、一部は、SARS-CoV-2 S「スパイク」タンパク質アミノ酸配列中の、発現タンパク質の収率および安定性を高める(同じまたは類似の培養条件下で)単一または対でのアミノ酸変異の発見に基づいている。この高められたスパイクタンパク質(本明細書では、「スパイクタンパク質由来抗原」とも呼ばれる)安定性は、野生型または天然タンパク質をベースにしたワクチンより長い貯蔵寿命を有するワクチンの産生を可能にする(同じまたは類似の貯蔵条件下で)。
従って、一態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDに比べて、少なくとも2つの変異をさらに含む非天然起源ポリペプチドであって、少なくとも2つの変異は、F338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365M、からなる群より選択されるか、またはBlast-p(Altschul,S.F.,Gish,W.,Miller,W.,Myers,E.W.& Lipman,D.J.(1990)”Basic local alignment search tool.” J.Mol.Biol.215:403-410)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある。一実施形態では、使用されるBlast-pプログラムは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)オンラインアラインメントツールである。あるいは、Blast-pプログラムは、装置にダウンロードして、ローカルで使用できる。当業者は、Blast-pアラインメントツールの使用について容易に理解するであろうが、誤解を避けるために、オンラインおよびダウンロードしたアラインメントツールのために、それぞれプロトコル1およびプロトコル2が本明細書で提供される。
プロトコル1:米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)サーバーからのBLASTpアラインメントオンラインで使用するためのプロトコル。
1.以下の設定を用いてBLASTアラインメントを準備する:
「2つ以上配列の整列」のためのオプションを使用する
「問い合わせ配列を入力」セクションに当該SARS-CoV-2タンパク質のための参考株配列(即ち、配列番号1)を入力する
「対象配列を入力」セクションに任意の対応するコロナウィルススパイクタンパク質配列を入力する
アルゴリズム:blastp(タンパク質-タンパク質BLAST)
期待値の閾値:0.1
ワードサイズ:6
クエリー範囲内の最大マッチ:0
マトリックス:BLOSUM62
ギャップコスト:
存在:11
伸長:1
低複雑度領域のフィルター?:オフ
マスク:
ルックアップテーブルのみ?:オフ
小文字?:オフ
2.「BLAST」ボタンをクリックすることにより分析を実行
3.「アラインメント」タブをクリックし、2つの配列間のアラインメントを示す。
4.各配列の目的の位置に対し、「問い合わせ」配列に一致する数を特定する。次に、「問い合わせ」配列の位置に整列された「対象」配列中の対応する残基位置を特定する。
プロトコル2:ローカルコンピューターまたはサーバーにダウンロードしたタンパク質BLASTpアラインメントツールで使用するためのプロトコル。
1.製造業者の説明書を用いてコマンドライン実行のためにBLASTをインストールするか、またはすでにそれがインストールされているコンピューターまたはサーバーを特定する。
2.目的のSARS-CoV-2タンパク質のためのサブタイプ特異的参考株(即ち、配列番号1)を含むFASTAフォーマットのファイルを生成する。下記のコマンドでは、このファイルは、「query.fasta」と命名される。
3.同じサブタイプ由来の異なるコロナウィルスの対応するタンパク質配列を含むFASTAフォーマットの第2のファイルを生成する。下記のコマンドでは、このファイルは、「sbjct.fasta」と命名される。
4.Terminal、iTerm2、ウインドウコンソール、リナックスコンソールまたは他の類似のターミナルエミュレーターなどのプログラムを用いて、以下のコマンドを実行する。これは、「results.txt」という名称のファイルに結果を生成する。
blastp -query query.fasta -subject sbjct.fasta -matrix BLOSUM62 -evalue 0.1-word size 6 -gapopen 11 -gapextend 1 -out results.txt
5.results.txtを開いて、2つの配列のアラインメントを示すセクションを見る。目的の各配列位置に対し、「問い合わせ」配列に一致する数を特定する。次に、「問い合わせ」配列の位置で整列された「対象」配列中の対応する残基位置を特定する。
他のタンパク質アラインメントツールも、問い合わせ配列と基準配列(例えば、配列番号1)との間の配列同一性を特定するために使用できることは、当業者には明らかであろう。問い合わせ配列と基準配列とが、かなりの配列同一性を共有することを考慮すると、他のタンパク質アラインメントツールは、Blast-pと同一の結果ではないにしても、本明細書で記載のプロトコルを使用して類似の結果を生成することが予測される。本明細書で記載のプロトコルは、このために正確で効果的であることが示され、問い合わせ配列中で変異導入されるべきアミノ酸残基の特定において、当業者を支援するように本明細書で提供される。
本明細書で提供される別の態様は、配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含み、配列番号1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)に比べて、少なくとも2つの変異をさらに含み、少なくとも2つの変異が、F338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365M、からなる群より選択される、第1のコロナウィルスRBDを含むか、または配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;またはF338L/I358F/A363L/Y365M、に対応する少なくとも2つの変異を含む第2のコロナウィルスRBDを含む、非天然起源ポリペプチドを含み、対応する位置は、プロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインのスパイクタンパク質配列との配列アラインメントにより決定される。
本明細書で提供される別の態様は、配列番号1の残基328~531と、またはBlast-pを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルスの受容体結合ドメインの対応する残基と、少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDまたは第2のコロナウィルス中の対応する残基に比べて、少なくとも2つの変異をさらに含み、少なくとも2つの変異は、少なくとも2つの変異を欠く野生型ポリペプチドの安定性に比べて、ポリペプチドの安定性を高める、非天然起源ポリペプチドを含む。特定の実施形態では、非天然起源コロナウィルス受容体結合ドメインポリペプチドの安定性およびその対応する野生型ポリペプチドの安定性は、同一条件下で評価される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の一実施形態では、少なくとも2つの変異は、配列番号1のアミノ酸位置:338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、またはBlast-pを用いて、配列番号1と第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも2つの変異は、配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365Mからなる群より選択されるか、またはBlast-pを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルスの対応する残基にある。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、受容体結合ドメインポリペプチドは、配列番号1のRBD以外の追加のアミノ酸残基をさらに含む。本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、本明細書で記載の受容体結合ドメインポリペプチドは、コロナウィルススパイクタンパク質ポリペプチドを含む。本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、受容体結合ドメインポリペプチドまたはコロナウィルススパイクタンパク質ポリペプチドは、例えば、融合ポリペプチドを含み得る。受容体結合ドメインポリペプチドまたはコロナウィルススパイクタンパク質ポリペプチドはまた、例えば、例えば、分泌のための、リーダー配列を含み得る。種々の実施形態では、リーダー配列および/またはアミノ末端メチオニンは、存在できる、あるいは、例えば、タンパク質分解性切断により除去できる。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)は、配列番号1の残基328~531と少なくとも95%の同一性を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、配列番号1のアミノ酸338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、または第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある少なくとも2つの変異は、野生型に比べて、受容体結合ドメイン中の変異のみである。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、RBDポリペプチドの発現は、細胞中で発現される場合、少なくとも2つの変異を欠く野生型RBDポリペプチドの発現と比較して(即ち、同じまたは類似の発現条件または培養条件下で)、増大する。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、RBDポリペプチドは、コロナウィルス抗体に結合する、またはコロナウィルスの同族受容体に結合する。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルス抗体は、SARS-CoV-2抗体を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドに対応するコロナウィルスのための受容体は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)受容体を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ACE受容体は、ACE2受容体である。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、第2のコロナウィルスは、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス(SARS-CoV);中東呼吸器症候群(MERS);229E;NL63;OC43;HKU1、またはその天然起源バリアントから選択されるコロナウィルスの配列を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、受容体結合ドメインポリペプチドは、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、RBDは、第2の異種ポリペプチドに融合される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、RBDは、ナノ粒子、ナノ構造体または異種の足場タンパク質に融合される。特定の実施形態では、異種の足場タンパク質は、配列番号3のI53-50三量体「A」成分を含む。他の実施形態では、異種の足場タンパク質は、米国特許第10,351,603号の表1に記載の異種の足場タンパク質を含む。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドおよび/または第2のポリペプチドは、抗原性のポリペプチドである。
本明細書で提供される別の態様は、請求項1に記載のポリペプチドを含むコロナウィルススパイクタンパク質である。
本明細書で提供される別の態様は、本明細書で記載のポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物である。一実施形態では、ポリペプチドは、薬学的に許容可能なキャリアとの混合物中にある。一実施形態では、ポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体は、懸濁液として提供される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の一実施形態では、医薬組成物は、アジュバントをさらに含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、組成物の貯蔵寿命は、少なくとも2つの変異を欠く野生型RBDポリペプチドを含む組成物より長い。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、組成物は、ワクチンとして処方される。
別の態様では、本明細書で同様に提供されるのは、少なくとも2つの変異を含む非天然起源コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドであり、少なくとも2つの変異は、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも2つの変異は、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を欠く野生型ポリペプチドの安定性に比べて、コロナウィルスポリペプチドの安定性を高める。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの空洞充填変異は、コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1のリノール酸結合ポケット中の残基の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの空洞充填変異は、配列番号1の残基328~531内の残基の変異、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの空洞充填変異は、残基335~345;355~375、または378~395の間の配列番号1の残基の変異、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの空洞充填変異は、アミノ酸336、338、341、342、358、361、363、365、368、374、377、387、または392にある配列番号1の残基の変異、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルスの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異は、配列番号1の残基338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基にある。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異は、配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365M、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基からなる群より選択される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドは、配列番号1の残基328~531またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の受容体結合ドメイン配列と少なくとも95%の同一性を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、配列番号1のアミノ酸338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、または第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある少なくとも2つの変異は、配列番号1に比べて、スパイクタンパク質サブユニット1中の変異のみである。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドは、配列番号1、または第2のコロナウィルスの野生型スパイクタンパク質サブユニット1のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドの発現は、細胞中で発現される場合、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異を欠く野生型ポリペプチドの発現と同じ発現条件下で比較して、増大する。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドは、コロナウィルス抗体に結合する、または同族コロナウィルス受容体に結合する。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルス抗体は、SARS-CoV-2抗体を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、同族コロナウィルス受容体は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)受容体を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ACE受容体は、ACE2受容体である。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドは、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス(SARS-CoV);中東呼吸器症候群(MERS);229E;NL63;OC43;HKU1から選択されるコロナウィルスの改変された変異ポリペプチドである。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドは、第2の異種ポリペプチドに融合される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドは、ナノ粒子、ナノ構造体または足場タンパク質に融合される。特定の実施形態では、異種の足場タンパク質は、配列番号3のI53-50三量体「A」成分を含む。 他の実施形態では、異種の足場タンパク質は、米国特許第10,351,603号の表1に記載の異種の足場タンパク質を含む。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドまたは第2の異種ポリペプチドは、抗原性ポリペプチドである。
別の態様では、本明細書でさらに提供されるのは、本明細書で記載のコロナウィルスポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む(例えば、混合物として、または懸濁液を形成して含む)組成物である。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の一実施形態では、コロナウィルスポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物は、アジュバントをさらに含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、組成物の貯蔵寿命は、同じまたは類似の貯蔵条件化で貯蔵される場合、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を欠く野生型コロナウィルスポリペプチドを含む組成物より長い。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、コロナウィルスポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物は、ワクチンとして処方される。
本明細書で提供される別の態様は、本明細書で記載の少なくとも2つの変異を有する受容体結合ドメイン、または本明細書で記載の少なくとも2つの変異を有するコロナウィルスポリペプチドを発現している細胞に関する。
本明細書で提供される別の態様は、本明細書で記載の少なくとも2つの変異を有する受容体結合ドメイン、または本明細書で記載の少なくとも2つの変異を有するコロナウィルスポリペプチドをコードする核酸配列に関する。
別の態様では、本発明でさらに提供されるのは、対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であり、該方法は、本明細書で記載の医薬またはワクチン組成物を対象に投与することを含む。
本明細書で提供される別の態様は、ワクチンの製造方法に関し、該方法は、本明細書で記載の少なくとも2つの変異を有する受容体結合ドメイン、または本明細書で記載の少なくとも2つの変異を有するコロナウィルスポリペプチドを含む組成物を、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む。
本明細書で提供される別の態様は、配列番号1のコロナウィルスポリペプチドに比べて、I358F、Y365F、Y365W、V367FおよびF392Wからなる群より選択される変異を含むコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含む、異種の足場タンパク質に融合された融合ポリペプチド組成物に関する。一実施形態では、異種の足場タンパク質は、配列番号3のポリペプチドを含む。 別の実施形態では、配列番号3のポリペプチド中の各システインは、アラニンに変異されている。
別の実施形態では、異種の足場タンパク質は、米国特許第10,351,603号の表1に記載の異種の足場タンパク質を含む。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、融合ポリペプチド組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。
別の実施形態では、融合ポリペプチド組成物は、アジュバントをさらに含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、融合ポリペプチド組成物を含むワクチン組成物である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、融合ポリペプチドを発現している細胞である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、融合ポリペプチドをコードする核酸を含む組成物である。
別の実施形態では、本発明で提供されるのは、対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であり、該方法は、本明細書で記載の融合ポリペプチド組成物を含む組成物を対象に投与することを含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ワクチンの製造方法であり、該方法は、本明細書で記載の融合ポリペプチド組成物またはこのような融合ポリペプチド組成物をコードする核酸を、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む。
本明細書で提供される別の態様は、配列番号1のコロナウィルスポリペプチドに比べて、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される変異を含むコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含むポリペプチドに関する。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の一実施形態では、変異は、I358F、Y365F、Y365W、V367F、およびF392Wからなる群より選択される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第2の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第3の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4または配列番号5のポリペプチド配列を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、異種の足場タンパク質を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、異種の足場タンパク質は、配列番号3のポリペプチド配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有する。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、異種の足場タンパク質は、配列番号3のポリペプチドを含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号6または配列番号7のポリペプチド配列を含む。
本明細書で提供される別の態様は、請求項59~62のいずれか1項に記載のポリペプチドからなる第1の成分、および配列番号13~18のいずれか1つと、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分を含むまたはこれらからなるポリペプチド複合体に関する。
別の態様では、本明細書でさらに提供されるのは、本明細書で記載の組成物またはポリペプチド複合体を含むワクチン組成物である。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の一実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ワクチン組成物は、アジュバントをさらに含む。
本明細書で提供される別の態様は、本明細書で記載のポリペプチドを発現している細胞に関する。
本明細書で提供される別の態様は、本明細書で記載のポリペプチドをコードする核酸に関する。
本明細書で提供される別の態様は、対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であり、該方法は、本明細書で記載のポリペプチド、タンパク質複合体、またはワクチン組成物を対象に投与することを含む。
本明細書で提供される別の態様は、ワクチンの製造方法に関し、該方法は、本明細書で記載のポリペプチドを、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む。
本明細書で提供される別の態様は、ワクチンの製造方法に関し、該方法は、本明細書で記載のポリペプチドからなる第1の成分;配列番号13~18のいずれか1つと、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分;薬学的に許容可能な担体;および任意選択で、アジュバントを混合することを含む。
従って、一態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDに比べて、少なくとも1つの変異をさらに含む非天然起源ポリペプチドであって、少なくとも1つの変異は、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515L、またはBlast-p(Altschul,S.F.,Gish,W.,Miller,W.,Myers,E.W.& Lipman,D.J.(1990)”Basic local alignment search tool.” J.Mol.Biol.215:403-410)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基からなる群より選択される。一実施形態では、使用されるBlast-pプログラムは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)オンラインアラインメントツールである。あるいは、Blast-pプログラムは、装置にダウンロードして、ローカルで使用できる。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の一実施形態では、変異は、I358F、Y365F、Y365W、V367F、およびF392Wからなる群より選択される。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第2の変異を含む。
本明細書で提供されるこの態様および全ての他の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第3の変異を含む。
本明細書で記載される別の態様は、配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDに比べて、少なくとも2つの変異をさらに含むポリペプチドに関し、少なくとも2つの変異が、配列番号1の、
F338L/Y365W;
Y365W/L513M;
Y365W/F392W;
F338M/A363L/Y365F/F377V;
Y365F/F392W;
Y365F/V395I;
Y365F/F392W/V395I;
Y365W/L513I/F515L;
F338L/A363L/Y365M;
F338L/I358F/Y365W;
I358F/Y365W/L513M;
I358F/Y365W/F392W;
F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;
I358F/Y365F/F392W;
I358F/Y365F/V395I;
I358F/Y365F/F392W/V395I;
I358F/Y365W/L513I/F515L;および
F338L/I358F/A363L/Y365M;
または、
F338L/Y365W;
Y365W/L513M;
Y365W/F392W;
F338M/A363L/Y365F/F377V;
Y365F/F392W;
Y365F/V395I;
Y365F/F392W/V395I;
Y365W/L513I/F515L;
F338L/A363L/Y365M;
F338L/I358F/Y365W;
I358F/Y365W/L513M;
I358F/Y365W/F392W;
F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;
I358F/Y365F/F392W;
I358F/Y365F/V395I;
I358F/Y365F/F392W/V395I;
I358F/Y365W/L513I/F515L;および
F338L/I358F/A363L/Y365M
に対応する少なくとも2つの変異を含む第2のコロナウィルスRBDからなる群より選択され、対応する位置は、プロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインのスパイクタンパク質配列との配列アラインメントにより決定される。
1種または複数の変異を有する例示的非天然起源SARS-CoV-2安定化受容体結合ドメインであり、出発構築物(即ち、天然または野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)に比べて高められた発現を示す。図1Aは、遺伝的にI53-50A三量体ナノ粒子成分に融合された設計リパックRBD(「Rpk」)バリアントを発現するために使用される上清の還元および非還元SDS-PAGE分析を示す。野生型対照は、RBDの変異を含まず、陰性対照は、どの分泌タンパク質もコードしないプラスミドを使用する。単量体および酸化二量体種の泳動を標識している。図1Bは、全ての構築物に含まれる変異のリストである。太字で記載の変異は、Starr et al.2020で単独で検証された。 SARS-CoV-2 RBDに対する安定化変異の位置を示す構造モデルである。図2Aは、PDB-ID 6VYB(左)によるSARS-CoV-2スパイクタンパク質の表面表現を示し、ボックス枠は、N-グリカンの表現を含むRBDの拡大で、透明表面表現により示される。図2Bは、ほとんどの設計変異を含むSARS-CoV-2受容体結合ドメインの領域の拡大図である。図2Cは、2つの変異の代表的設計セットの構造モデルであり、Rpk4およびRpk9と命名され、これは、RBDを安定化する。 I53-50A三量体成分に遺伝的に融合された安定化RBDを発現するために使用された上清への、ヒトACE2受容体とCR3022抗体の結合を測定するバイオレイヤー干渉法(BLI)を示す。ACE2およびCR3022は、上清に曝露する前に、センサー上に固定化された。(i)全ての設計、(ii)野生型RBDを含む構築物、および(iii)陰性対照血清からのデータがグラフに示されている。SARS-CoV-2同族の受容体、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体の両方、およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質を認識するCR3022 mAbに対し試験した場合、図1のそれぞれの変異させたSARS-CoV-2スパイクタンパク質は、抗原性が損なわれていないと判断された。上清からの測定はまた、それぞれのこれらの変異体は、出発構築物より遙かに高レベルで発現したことも確証する。 単量体型中で、およびI53-50A三量体に融合した場合(「-I53-50A」の付記により示される)、Rpk4またはRpk9変異を含む安定化RBDの生化学的、生物物理学的および抗原性キャラクタリゼーションを示す。発現、熱安定性およびローカル構造規則性は全て改善され、同時に、野生型SARS-CoV-2 RBDに対する類似の抗原性を維持した。図4Aは、等体積のHEK293F培養物からの発現とこれに続くIMAC精製および濃縮後の野生型および安定化RBDのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)精製を示す。単量体RBD(左)をスーパーデックス75 Increase 10/300 GLを用いて精製し、一方、I53-50A三量体(右)をスーパーデックス200 Increase 10/300 GLを用いて精製した。切り取ったゲルは、同等に希釈されたSECロード試料を示す。図4Bは、固有のトリプトファン蛍光を用いてナノDSFにより監視した、野生型および安定化RBD単量体の熱変性(左)およびI53-50A三量体への融合(右)を示す。上段パネルは、温度の関数としての各蛍光発光スペクトルの重心平均(BCM)を示し、下段パネルは、融解温度の計算に使用される平滑化された一次導関数を示す。図4Cは、野生型およびI53-50A三量体に融合した安定化RBDの水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)を示す。構造モデル(上段、PDB 6W41による)は、野生型RBD-I53-50A三量体と比べた、Rpk4-I53-50AおよびRpk9-I53-50A三量体両方のパノラマ的取り込み差異の結果を示し、陰影付けは、1分で測定した変異体三量体中の減少した取り込みレベルに基づいて決定された。ボックス枠は、残基392~399からのペプチドセグメントを強調し、このペプチドに対する交換は、複数の時点:3秒、15秒、1分、30分、および20時間(下段)で示された。 各点は、2つの測定値の平均である。標準偏差は、プロットした点より小さくなければ、示される。図4Dは、 等濃度の野生型および安定化RBD単量体と混合した場合のサイプロオレンジ(SYPRO Orange)の蛍光を示し、より大きなシグナルは、より大きなレベルの露出された疎水性を示す。図4Eは、BLIで評価された固定化CV30およびCR3022モノクローナル抗体の単量体野生型および安定化RBDに対する結合動力学を示す。2倍希釈系列中の5種のRBD濃度由来の実験データ(灰色)を1:1相互作用を記述する結合式に当てはめた(黒線)。構造モデル(左)は、CV30 Fab(PDB 6XE1)およびCR3022 Fab(PDB 6W41)に結合したSARS-CoV-2の構造アラインメントにより生成した。 構築したI53-50ナノ粒子上に提示された安定化RBDは、野生型RBDに比べて、溶液安定性を高める。図5Aは、RBD抗原を提示しているI53-50ナノ粒子免疫原の構築体の概略図を示す(「-I53-50」の付記により示す)。図5Bは、野生型RBD-I53-50、Rpk4-I53-50、およびRpk9-I53-50の陰性染色電子顕微鏡観察(nsEM)を示す(スケールバー、200nm)。図5C~5Eは、4種の異なる緩衝液中の単回凍結/解凍サイクル前後の野生型RBD-I53-50、Rpk4-I53-50、およびRpk9-I53-50に対する品質管理結果をまとめたものを示す。図5Cは、可視・紫外分光法領域での320:280nmでの吸光度の比率で、可溶性凝集体の存在の指標である。図5Dは、動的光散乱(DLS)測定を示し、これは、適切なナノ粒子構築および凝集体の形成を監視する。図5Eは、I53-50ナノ粒子免疫原の固定化hACE2-Fc受容体(上段)およびCR3022(下段)に対する反応率を示す。凍結前および凍結後データは、各ナノ粒子に対し、それぞれのCHAPS含有試料に別々に正規化された。 親野生型RBD-I53-50ナノ粒子免疫原の強力な免疫原性は、Rpk変異の付加で維持される。図6Aは、雌BALB/cマウス(各群6匹)に0週目および3週目に免役したこをと示す。各群は、等モル量のAddaVaxでアジュバント添加したRBD抗原の投与を受け、これにより、合計抗原は、ヘキサプロ-フォルドン(3量体化ドメイン)(HexaPro-foldon)で単回用量当たり5μgに、全てのその他の免疫原で単回用量当たり0.88μgに等しくなる。2週目および5週目に血清採取を実施した。RBD-I53-50免疫原は、2種の異なる緩衝液条件で調製し、1つの群はCHAPSを賦形剤として含む。図6Bは、系列希釈の血清のELISA測定値由来のAUCにより評価した、2週目および5週目のヘキサプロ-フォルドンに対する結合力価を示す。各円は、個別のマウス由来のAUC測定値を表し、水平線は、各群の幾何学的平均を示す。群4の2週目のゼロ近くのAUCを有する1匹のマウスはプロットしなかったが、幾何平均の計算には含めた。図6Cは、レンチウィルス骨格を用いた自家(D614G)偽ウィルス中和を示す。各円は、個別のマウスに対する50%阻害(IC50)での中和抗体価を表し、水平線は、各群の幾何学的平均を示す。片側ノンパラメトリック、クラスカル・ワリス検定を用いてダンの多重比較により統計解析を実施した。*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。 RBDベースナノ粒子免疫原の貯蔵寿命安定性は、Rpk変異により改善された。図7Aは、4週間にわたるDLS測定のまとめを示す。流体力学的径は、28日間の貯蔵後に凝集の徴候を示した35~40℃の野生型RBD-I53-50を除いて、全てのナノ粒子で変わらないままであった。図7Bは、各時点で-80℃の試料に正規化された、BLIによる固定化hACE2-Fc受容体(破線)およびCR3022 mAb(実線)に対する結合を示す。安定化ナノ粒子免疫原では、抗原の完全性は、変わらないままであったが、一方、35~40℃でインキュベートした野生型RBD-I53-50の結合シグナルは、60%(hACE2-Fc)および30%(CR3022)低下した。図7Cは、4週間にわたるSDS-PAGEおよびnsEMをまとめたものである。SDS-PAGEによる分解は観察されなかった。部分的な凝集は、35~40℃で貯蔵されたWTナノ粒子の28日目に対し、nsEMによってのみ観察された。35~40℃での貯蔵後28日目の電子顕微鏡写真が示され、ボックスで凝集体の実例が示されている(スケールバー、200nm)。全ての試料は、TBS、5%グリセロール、100mMのL-アルギニン中で配合された。 Rpk9変異は、ヘキサプロ変異を含む、完全長SARS-CoV-2 S外部ドメイン中に組み込まれ得る。図8Aは、等体積のHEK293F培養物からの発現とそれに続くIMAC精製および濃縮後の、野生型(ヘキサプロ-フォルドン)およびRpk9(Rpk9-ヘキサプロ-フォルドン)融合前安定化S外部ドメインのSEC精製を示す。Superose 6 Increase 10/300 GLを用いて、S外部ドメインを精製した。図8Bは、ヘキサプロ-フォルドンおよびRpk9-ヘキサプロ-フォルドンの精製の間の中間体および最終生成物の還元および非還元SDS-PAGEを示す。図8Cは、固有のトリプトファン蛍光を用いてナノDSFにより監視した、ヘキサプロ-フォルドンおよびRpk9-ヘキサプロ-フォルドンの熱変性を示す。蛍光発光スペクトルの重心平均(BCM)は、温度の関数としてプロットされる。図8Dは、ヘキサプロ-フォルドンおよびRpk9-ヘキサプロ-フォルドンのnsEMを示す(スケールバー、100nm)。 RBDのB.1.351バリアントに添加される場合、Rpk9変異は、より単純な緩衝液配合物中の適切なSEC溶出体積でRBDを提示しているI53-50ナノ粒子の相対的回復を改善し、これは、Rpk変異が異なるバリアント由来のRBDを含む免疫原の完全性を改善することを示す。Wuhan-1 RBD(Rpk変異なし)、Rpk9変異のないB.1.351 RBDおよびRpk9変異を有するB.1.351 RBDのいずれかを提示しているI53-50ナノ粒子の場合、構築およびSECは、50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、0.75%のCHAPS、4.5%のグリセロール、または50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%のグリセロール中で実施された。Rpk9変異は、Rpk9変異のない同等の試料に比べて、収率およびいずれかの緩衝液条件中でのRBD安定性の他の尺度を高めたが、Rpk9変異を有するB.1.351 RBDを提示しているナノ粒子は、相対収率およびCHAPS洗浄剤なしでのSEC泳動をより良好に維持した。 TBS、5%グリセロール、0.75%CHAPS、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子のSDS-PAGEを示す。50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、4.5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中の試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)、凍結前および凍結後解凍(F/T)の条件で分析された。 TBS、5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、4.5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中のhACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原と、(結合、x=590~889s)およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子のCR3022結合を示す。50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、4.5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022 IgGをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS、5%グリセロール、0.75%CHAPS、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子の動的光散乱を示す。50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、4.5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中の各試料の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。 TBS、5%グリセロール、0.75%CHAPS、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子の可視・紫外分光法を示す。50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、4.5%のグリセロール、0.75%のCHAPS、100mMのL-アルギニン中の各試料の可視・紫外分光法スペクトル(nm)を正規化吸光度としてプロットした。 TBS、5%グリセロール、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子のSDS-PAGEを示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中の試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)、凍結前および凍結後解凍(F/T)の条件で分析された。 TBS、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中の抗原のhACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子のCR3022結合を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中の抗原のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022 IgGをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS、5%グリセロール、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子の動的光散乱を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中の各試料の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。 TBS、5%グリセロール、100mMのL-アルギニン中のナノ粒子の可視・紫外分光法を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール、100mMのL-アルギニン中の各試料の可視・紫外分光法スペクトル(nm)を正規化吸光度としてプロットした。 TBS、5%グリセロール中のナノ粒子のSDS-PAGEを示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール中の試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)、凍結前および凍結後解凍(F/T)の条件で分析された。 TBS、5%グリセロール中のナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール中の抗原のACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS、5%のグリセロール中のナノ粒子のCR3022結合を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール中の抗原のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022 IgGをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS、5%グリセロール中のナノ粒子の動的光散乱を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール中の各試料の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。 TBS、5%グリセロール中のナノ粒子の可視・紫外分光法を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、5%のグリセロール中の各試料の可視・紫外分光法スペクトル(nm)を正規化吸光度としてプロットした。 TBS中のナノ粒子のSDS-PAGEを示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl中の試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)、凍結前および凍結後解凍(F/T)の条件で分析された。 TBS中のナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl中の抗原のhACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS中のナノ粒子のCR3022結合を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl中の抗原のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022 IgGをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 TBS中のナノ粒子の動的光散乱を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl中の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。 TBS中のナノ粒子の可視・紫外分光法を示す。50mMのトリス pH8、150mMのNaCl中の各試料の可視・紫外分光法スペクトル(nm)を正規化吸光度としてプロットした。 RBD-I53-50ナノ粒子のSDS-PAGEを示す。4種の温度で28日(D)にわたるインキュベーション試験後、試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)の条件で分析された。 RBD-I53-50ナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。4種の異なる温度で28日(D)にわたりインキュベートした抗原のhACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 RBD-I53-50ナノ粒子のCR3022結合を示す。4種の異なる温度で28日(D)にわたりインキュベートした抗原のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022をロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原と、(結合、x=590~889s)およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 RBD-I53-50ナノ粒子のnsEMを示す。4種の温度でのインキュベーション後の1日目(D)および28日目の各試料の代表的陰性染色電子顕微鏡写真を示す。スケールバー、50nm。 RBD-I53-50ナノ粒子の動的光散乱を示す。28日(D)の期間に対する各試料の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。 Rpk4-I53-50ナノ粒子のSDS-PAGEを示す。4種の温度で28日(D)にわたるインキュベーション試験後、試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)の条件で分析された。 Rpk4-I53-50ナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。4種の異なる温度で28日(D)にわたりインキュベートした抗原のhACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 Rpk4-I53-50ナノ粒子のCR3022結合を示す。4種の異なる温度で28日(D)にわたりインキュベートした抗原のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022をロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原と、(結合、x=590~889s)およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 Rpk4-I53-50ナノ粒子のnsEMを示す。4種の温度でのインキュベーション後の1日目(D)および28日目の各試料の代表的陰性染色電子顕微鏡写真を示す。スケールバー、50nm。 Rpk4-I53-50ナノ粒子の動的光散乱を示す。28日(D)の期間に対する各試料の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。 Rpk9-I53-50ナノ粒子のSDS-PAGEを示す。4種の温度で28日(D)にわたるインキュベーション試験後、試料の完全性をSDS-PAGEで分析した。標準の分子量は、kDaで記述される。各試料は、+/-還元剤(DTT)の条件で分析された。 Rpk9-I53-50ナノ粒子のhACE2-Fc結合を示す。4種の異なる温度で28日(D)にわたりインキュベートした抗原のhACE2-Fc結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。hACE2-FcをロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原(結合、x=590~889s)と、およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 Rpk9-I53-50ナノ粒子のCR3022結合を示す。4種の異なる温度で28日(D)にわたりインキュベートした抗原のCR3022 IgG結合をバイオレイヤー干渉法(BLI)で分析した。CR3022をロードしたプロテインAバイオセンサーを免疫原と、(結合、x=590~889s)およびその後、緩衝液(解離、x=890~1190s)と共にインキュベートした。 Rpk9-I53-50ナノ粒子のnsEMを示す。4種の温度でのインキュベーション後の1日目(D)および28日目の各試料の代表的陰性染色電子顕微鏡写真を示す。スケールバー、50nm。 Rpk9-I53-50ナノ粒子の動的光散乱を示す。28日(D)の期間に対する各試料の流体力学的径(nm)を正規化強度としてプロットした。
本明細書で提供されるのは、同じ発現、培養または貯蔵条件下で、天然のまたは野生型コロナウィルススパイクタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)に比べて、それらの発現レベル、収率および/または安定性を高める少なくとも1つ、2つまたはそれを超えるアミノ酸変異を有するコロナウィルス「S」スパイクタンパク質を含む組成物および方法である。これらの変異スパイクタンパク質は、SARS-CoV-2、ヒトに感染することが既知の種々のコロナウィルスに対するタンパク質ベースワクチン、またはヒトに感染することが既知の複数のコロナウィルスに対する保護を提供する汎コロナウィルスワクチンを生成するために使用できる。
一実施形態では、Sタンパク質は、特定の発現、培養、または貯蔵条件下で、天然のまたは野生型コロナウィルススパイクタンパク質に比べて、変異体コロナウィルススパイクタンパク質の発現レベル、収率および/または安定性を高める単一変異を含む。代替的実施形態では、Sタンパク質は、複数の(例えば、2、3、4、または5つの)変異を含む。
定義
本明細書で使用される場合、用語「非天然起源」または「変異体」は、少なくとも1つまたは少なくとも2つのアミノ酸残基変異を含む、および好ましくは、その対応する天然のまたは野生型コロナウィルス配列に比べて、高められた安定性および/または発現を含む、コロナウィルスポリペプチド(例えば、安定化コロナウィルスSタンパク質またはRBDポリペプチド)を意味する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の変異ポリペプチドは、例えば、少なくとも2つの変異を除いて、それらの天然の対応物と「実質的に類似」している。いくつかの実施形態では、天然の対応物には、天然起源コロナウィルスバリアントが含まれ得る。
誤解を避けるために記すと、コロナウィルスの天然起源バリアント(例えば、SARS-CoV-2バリアント:B.1.1.7;B.1.351;P.1;B.1.427;B.1.429;B.1.526;B.1.526.1;B.1.525;P.2;B.1.617;B.1.617.1;B.1.617.2;およびB.1.617.3)は、「非天然起源」または「変異体」コロナウィルス配列とは見なされないが、このようなバリアントは、その用語が本明細書で使用される場合、基準コロナウィルス配列として使用できる。
本明細書で使用される場合、「非天然起源コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチド」という用語は、最低でも、受容体結合ドメイン配列(配列番号1の残基328~531)、リノール酸結合ポケットの構造形成、および少なくとも1つまたは少なくとも2つのアミノ酸変異を可能にする残基を含むポリペプチドを意味する。一実施形態では、少なくとも2つの変異の1つは、本明細書で使用される「空洞充填変異」を含む。
両方の分子が実質的に類似の構造を有する場合(即ち、それらが、デフォルトパラメーターのBlast-pアラインメントセットにより特定されるアミノ酸配列で少なくとも90%類似している)、および少なくとも1つの関連機能(例えば、天然のコロナウィルス対応物に結合する抗体によるポリペプチドの認識により特定される抗原活性)で実質的に類似している場合、分子は、別の分子に「実質的に類似している」と言われる。即ち、変異ポリペプチドは、天然起源ポリペプチドまたは核酸とは、1種または複数のアミノ酸または核酸欠失、付加、置換、または側鎖修飾により異なるが、それでも、天然起源分子の1種または複数の特定の機能または生物活性を保持している。アミノ酸置換には、アミノ酸が異なる天然起源または非従来的アミノ酸残基で置換される変化を含む。一部の置換は、「保存的」として分類でき、この場合、ポリペプチド中に含まれるアミノ酸残基は、極性、側鎖官能基またはサイズに関連する類似の特性の別の天然起源アミノ酸と置換される。本明細書で記載のバリアントにより包含される置換はまた、「非保存的」であり得、この場合、ペプチド中に存在するアミノ酸残基は、異なる特性(例えば、荷電または疎水性アミノ酸の非荷電または親水性アミノ酸での置換)を有するアミノ酸で置換され、あるいは、天然アミノ酸が非従来的アミノ酸で置換される。また、ポリペプチドに関連して使用される場合、用語「変異体」内に包含されるのは、基準ポリペプチドに比較して(例えば、野生型コロナウィルスポリペプチドに比較して)、一次、二次、または三次構造の変化である。変異体はまた、アミノ酸の挿入、欠失または置換を含み、これには、限定されないが、ヒトタンパク質中では通常起こらないオルニチンの挿入を含む、バリアントの基準であるペプチド配列中に通常起こらないアミノ酸および他の分子の挿入および置換を含む。
本明細書で使用される場合、「対応する」または「対応する野生型コロナウィルス」という用語は、非天然起源コロナウィルスポリペプチド(例えば、スパイクポリペプチド)またはRBDポリペプチドが産生される野生型コロナウィルスポリペプチド配列(またはその天然起源バリアント)を意味する。典型的には、野生型コロナウィルス配列(またはその天然起源バリアント)は、非天然起源コロナウィルスポリペプチドと同じ株由来である。例えば、本明細書で記載の変異SARS-CoV-2ポリペプチドは、SARS-CoV-2配列の野生型コロナウィルスポリペプチドまたはその天然起源バリアント(例えば、南アフリカバリアント、ブラジルバリアント、ロスアンゼルスバリアント、など)に対応する。
本明細書で使用される場合、「天然起源バリアント」という用語は、感受性のある個体の集団で自然発生的に生ずるコロナウィルス配列を意味する。
本明細書で使用される場合、「増大した安定性」または「高められた安定性」という用語は、細胞、溶液または配合物中、同一条件下で、対応する天然のまたは野生型コロナウィルスタンパク質配列(またはその天然起源バリアント)より遅い速度で分解し、従って、例えば、本明細書の実施例で記載の熱融解アッセイを用いて評価して、対応する天然のまたは野生型コロナウィルスタンパク質配列(またはその天然起源バリアント)よりも、少なくとも12時間長く持続する変異コロナウィルスタンパク質配列を意味する。特定の例では、対応する天然のまたは野生型コロナウィルスタンパク質配列の持続性に比べて、変異コロナウィルスタンパク質配列は、細胞、溶液または配合物中で少なくとも24時間、36時間、48時間、72時間、7日間、8日間、9日間、10日間、2週間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、9か月間、1年間、2年間、またはそれを超えて持続する。いくつかの実施形態では、より高い発現レベルはまた、ポリペプチドの高められた安定性の指標、またはその結果であり得る。
本明細書で使用される場合、「増大した収率」または「高められた収率」という用語は、同じ細胞系から同じ増殖および単離条件下で回収される天然のまたは野生型タンパク質(またはその天然起源バリアント)の量と比較して、タンパク質が産生される細胞系から回収された変異コロナウィルスタンパク質の量の少なくとも10%の増大を意味する。特定の実施形態では、「高められた収率」は、同じ増殖条件下の、同じ細胞系から回収される天然のまたは野生型タンパク質の量に比べて、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、またはそれを超える、タンパク質が産生される細胞系から回収される、変異コロナウィルスタンパク質の増大を意味する。
本明細書で使用される場合、「空洞充填変異」という用語は、成熟コロナウィルススパイクタンパク質の内部空洞を「充填する」ことが予測されるアミノ酸による野生型コロナウィルススパイクタンパク質中のアミノ酸残基の置換を意味する。例えば、置換アミノ酸は、それが空洞中に突出する適切なサイズまたは電荷のものであり、空洞サイズを立体的に低減するおよび/または同族リガンドの空洞またはポケット内の結合を弱める。
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、ワクチン抗原と共に投与されると、ワクチン抗原に対する免疫応答を高めるタンパク質または化学物質を意味する。アジュバントは、免疫原または抗原に化学的に結合されないという点で、抗原性の部分または担体タンパク質から区別される。アジュバントは、当該技術分野において周知であり、例えば、フロイント完全またはフロイント不完全アジュバント(Freund,Adv.Tuberc.Res.7:130(1956);Calbiochem,San Diego Calif.)などの鉱物油乳剤、アルミニウム塩、特に、水酸化アルミニウムまたはアルハイドロゲル(商標)(米国食品医薬品局によりヒトでの使用に認可された)、ムラミルジペプチド(MDP)および[Thr1]-MDP(Byers and Allison,Vaccine 5:223(1987))などのその類似体、モノホスホリルリピドA(Johnson et al.,Rev.Infect.Dis.9:S512(1987))、などが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、示された定義要素に加えて、他の要素も存在し得ることを意味する。「含む(comprising)」の使用は、制限ではなく包含を示す。
本明細書で使用される場合、「から基本的になる(consisting essentially of)」という用語は、所与の実施形態に必要なこれらの要素を意味する。この用語は、本発明のその実施形態の基本的および新規または機能的特性に実質的に影響を与えない追加の要素の存在を可能にする。
用語「からなる(consisting of)」は、その記載中に記述されないいずれの要素も除外する、本明細書で記載の組成物、方法、およびそのそれぞれの成分を意味する。
さらに、文脈により別義が要求されない限り、単数用語は複数を含むものとし、複数用語は単数を含むものとする。
操作実施例における場合以外、または別義が指示される場合以外、本明細書で使用される成分または反応条件の量を表す全ての数値は、全ての場合において、用語の「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。用語「約(about)」は、パーセンテージに関連して使用される場合、±1%を意味し得る。
コロナウィルス
コロナウィルスは、発熱、呼吸器疾患、および時には胃腸症状を引き起こす場合がある、数百のウィルスのファミリーである。SARS-CoV-2、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすウィルスは、ヒトに感染することが既知のこのファミリーの7つのメンバーの1つであり、過去30年間に動物からヒトへ感染した3番目のウィルスである。ヒトに感染することが既知の他のコロナウィルスには、アルファコロナウィルス229EおよびNL63、およびベータコロナウィルスOC43、HKU1、SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群、またはSARSを引き起こすコロナウィルス)、およびMERS-CoV(中東呼吸器症候群、またはMERSを引き起こすコロナウィルス)が挙げられる。
本明細書で記載の方法および組成物は、ヒトに感染するコロナウィルスの場合で考察されるが、本明細書で記載の方法および組成物は、ペットまたは家畜(例えば、ブタ、ウシ、イヌ、など)を含む他の哺乳動物に感染するウィルスから安定なコロナウィルスタンパク質を生成するためにも使用できる。このようなウィルスとしては、限定されないが、ブタ伝染性胃腸炎ウィルス、ブタ呼吸器コロナウィルス、ブタ流行性下痢ウィルス(PEDV)、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウィルス、豚デルタコロナウィルス(PDCoV)、ウシコロナウィルス(BCV)、ネココロナウィルス(FCoV)、イヌコロナウィルス(CCoV)、トリ伝染性気管支炎ウィルス(IBV)、およびシチメンチョウコロナウィルス(TCV)が挙げられる。加えて、本明細書で記載のコロナウィルスは、現在既知のもの、およびさらに後で発見されるものを含む。特に本明細書で意図されるのは、進行中のまたは将来の蔓延または世界的流行の原因となるコロナウィルスである。
本明細書で使用される場合、「コロナウィルス(coronavirus)」という用語は、プラスセンス一本鎖RNAゲノムおよびヘリカル対称性を有するエンベロープ被覆ウィルスを意味する。コロナウィルスのゲノムサイズは、約27~32キロベースの範囲であり、これは、全ての既知のRNAウィルスの最大長のサイズである。大きなスパイク(S)糖タンパク質は、ウィルス粒子から突出し、電子顕微鏡により可視化すると、コロナウィルスに特徴的なコロナ様外観を付与している。コロナウィルスは、イヌ、ネコ、ブタ、マウス、ウシ、トリおよびヒトを含む多種多様な種に感染する(Holmes,et al.,1996.Coronaviridae:the viruses and their replication,p.1075-1094.In D.M.K.a.P.M.H.B.N.Fields(ed.),Fields Virology.Lippincott-Raven,Philadelphia,Pa.)。しかし、各コロナウィルス株の天然の宿主の範囲は狭く、典型的には、単一の種からなる。
コロナウィルスは、典型的には、スパイク-受容体相互作用を介して標的細胞に結合し、受容体コロナウィルスエンドサイトーシスにより、または細胞膜との融合により細胞に侵入する(Holmes,et al.,1996,前出)。スパイク-受容体相互作用は、群1および群2コロナウィルスの両方で実証されるように、種特異性の強力な決定要因である。SARS-CoVのゲノムは、一本鎖(+)センスRNAを含む。いくつかのSARSコロナウィルス分離株の完全および部分的ゲノム配列が報告されており、これらには、SARSコロナウィルスUrbani(ジェンバンク受入番号AY278741)、SARSコロナウィルスTor2(ジェンバンク受入番号AY274119)、SARSコロナウィルスCUHK-W1(ジェンバンク受入番号AY278554)、SARS-CoV Shanghai LY(ジェンバンク受入番号H012999;ジェンバンク受入番号AY322205;ジェンバンク受入番号AY322206)、SARS-CoV Shanghai QXC(ジェンバンク受入番号AH013000;ジェンバンク受入番号AY322208;ジェンバンク受入番号AY322197;ジェンバンク受入番号AY322199)、およびSARS-CoVZJ-HZ01(ジェンバンク受入番号AY322206)、
Figure 2024502823000002
が挙げられる。
S(スパイク)タンパク質は、共有結合ホモ三量体(オリゴマー)を形成し、これは、受容体結合およびウィルス感染性を媒介し得る。Sタンパク質のホモ三量体は、受容体結合ドメイン結合ドメインの正確な天然の高次構造を提示するために、および中和抗体応答を誘発するために、必要である可能性がある。加えて、Sタンパク質の細胞内プロセッシングは、かなりの翻訳後オリゴ糖修飾と関連する。N-グリカンモチーフ分析から予測される翻訳後オリゴ糖修飾(グリコシル化)は、Sタンパク質がこのような修飾のために23個もの多くの部位を有することを示す。加えて、C末端システイン残基はまた、タンパク質フォールディングおよび天然の(機能的)Sタンパク質高次構造の保存に関与し得る。一部のコロナウィルスのSタンパク質(例えば、群IIおよび群IIIウィルスの一部の株)は、Sタンパク質の中央近くで、ゴルジ装置中のトリプシン様プロテアーゼにより、またはN末端S1およびC末端S2ポリペプチドを含む、結合ポリペプチド中に細胞外局在化された酵素により、タンパク分解性にプロセッシングされ得る。II型群のコロナウィルスおよび群Iのウィルスの一部のメンバーは、そのようにプロセッシングをされない可能性がある。
診断:対象、例えば、ヒトは、診断検査結果に基づいてコロナウィルス感染症と診断される。対象は、発熱、悪寒、咳、息切れ/呼吸困難、疲労、筋肉/身体疼痛、頭痛、味または臭いの新規消失、咽頭炎、鬱血または鼻水、悪心、嘔吐、または下痢などの1種または複数の主要徴候に基づいて、コロナウィルス感染症(例えば、COVID-19、SARS、MERS、など)であると疑われる可能性がある。しかし、特定の対象は、無症候性感染症(例えば、SARS-CoV-2感染症)を呈する場合があり、従って、彼らがコロナウィルス感染症の対象と接触した場合、コロナウィルス感染症であると疑われる。両方のシナリオでは、活性コロナウィルス感染症は、対象から採取した試料中の1種または複数のウィルス抗原およびウィルス核酸を検出する当該技術分野において既知の方法を用いて確証できる。例としては、ウィルスRNAを検出するための鼻咽頭スワブまたは喀痰からの逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)診断アッセイの使用が挙げられる。他の核酸増幅法、例えば、多数の等温増幅方法のいずれかも使用でき、RT-PCRと同じではないにしても、それに近い感度を有する。等温増幅法は、増幅産物を精製するためのサーマルサイクラーを必要としない利点を有し、高感度で、より急速に結果を得ることができる。別の実施形態では、活性コロナウィルス感染症は、対象から得た生物試料中の1種または複数のコロナウィルスポリペプチド(抗原など)を検出することにより、特定できる。ウィルス抗原のためのラテラルフローアッセイは、定性的、および時には定量的診断結果を得ることができる。ウィルスポリペプチドはまた、当該技術分野において既知の、ウェスタンブロットなどの他の方法によっても検出できる。
コロナウィルス抗体の存在の評価は、対象が過去にコロナウィルスに曝露されたことがあるかどうかを判定するために、あるいは、ワクチンの有効性(即ち、変異スパイクタンパク質の免疫応答を生じさせる能力)を監視する手段として、使用できる。コロナウィルス抗体の存在を評価する方法は、当技術分野において既知であり、本明細書では詳細に考察されない。
あるいは、コロナウィルスビリオンの存在または産生は、例えば、電子顕微鏡観察を用いることにより、直接または間接的に判定できる。
タンパク質配列:天然のまたは野生型SARS-CoV-2 Sタンパク質、サブユニット1のアミノ酸配列は、下記の通り:
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAA(配列番号1)。
本明細書全体を通して、配列番号1は、他のコロナウィルスアミノ酸配列を当該技術分野において既知のアラインメントプログラム(例えば、Blast-p)を用いて整列させ得る「基本(base)」または「基準(reference)」配列として使用される。異なる(または第2の)コロナウィルス配列のスパイクタンパク質配列と、配列番号1のSARS-CoV-2スパイクタンパク質配列とのアラインメントを使って、本明細書で記載の安定化を達成するために所与のアミノ酸変異または複数変異を導入するための、異なる(または第2の)コロナウィルス中の対応する位置を決定できる。一実施形態では、異なるコロナウィルス配列は、Blast-p(Altschul,S.F.,Gish,W.,Miller,W.,Myers,E.W.& Lipman,D.J.(1990)”Basic local alignment search tool.” J.Mol.Biol.215:403-410)を用いて、配列番号1に対して整列される。一実施形態では、使用されるBlast-pプログラムは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)オンラインアラインメントツールである。あるいは、Blast-pプログラムは、装置にダウンロードして、ローカルで使用できる。当業者は、Blast-pアラインメントツールの使用について容易に理解するであろうが、誤解を避けるために、オンラインおよびダウンロードしたアラインメントツールのために、それぞれプロトコル1およびプロトコル2が本明細書で提供される。
プロトコル1:米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)サーバーからのBLASTpアラインメントオンラインで使用するためのプロトコル。
1.以下の設定を用いてBLASTアラインメントを準備する:
「2つ以上配列の整列」のためのオプションを使用する
「問い合わせ配列を入力」セクションに当該SARS-CoV-2タンパク質のための参考株配列(即ち、配列番号1)を入力する
「対象配列を入力」セクションに任意の対応するコロナウィルススパイクタンパク質配列を入力する
アルゴリズム:blastp(タンパク質-タンパク質BLAST)
期待値の閾値:0.1
ワードサイズ:6
クエリー範囲内の最大マッチ:0
マトリックス:BLOSUM62
ギャップコスト:
存在:11
伸長:1
低複雑度領域のフィルター?:オフ
マスク:
ルックアップテーブルのみ?:オフ
小文字?:オフ
2.「BLAST」ボタンをクリックすることにより分析を実行
3.「アラインメント」タブをクリックし、2つの配列間のアラインメントを示す
4.各配列の目的の位置に対し、「問い合わせ」配列に一致する数を特定する。次に、「問い合わせ」配列の位置に整列された「対象」配列中の対応する残基位置を特定する。
プロトコル2:ローカルコンピューターまたはサーバーにダウンロードしたタンパク質BLASTpアラインメントツールで使用するためのプロトコル。
1.製造業者の説明書を用いてコマンドライン実施のためにBLASTをインストールするか、またはすでにそれがインストールされているコンピューターまたはサーバーを特定する。
2.目的のSARS-CoV-2タンパク質のためのサブタイプ特異的参考株(即ち、配列番号1)を含むFASTAフォーマットのファイルを生成する。下記のコマンドで、このファイルは、「query.fasta」と命名される。
3.同じサブタイプ由来の異なるコロナウィルスの対応するタンパク質配列を含むFASTAフォーマットの第2のファイルを生成する。下記のコマンドでは、このファイルは、「sbjct.fasta」と命名される。
4.などのプログラムを用いて、Terminal、iTerm2、ウインドウコンソール、リナックスコンソールまたは他の類似のターミナルエミュレーターなどのプログラムを用いて、以下のコマンドを実行する。これにより、「results.txt」と命名されたファイルに結果が生成される。
blastp -query query.fasta -subject sbjct.fasta -matrix BLOSUM62 -evalue 0.1-word size 6 -gapopen 11 -gapextend 1 -out results.txt
5.results.txtを開いて、2つの配列のアラインメントを示すセクションを見る。目的の各配列位置に対し、「問い合わせ」配列に一致する数を特定する。次に、「問い合わせ」配列の位置で整列された「対象」配列中の対応する残基位置を特定する。
他のタンパク質アラインメントツール(例えば、ClustalwまたはClustal-omega)も、問い合わせ配列と基準配列(例えば、配列番号1)との間の配列同一性を特定するために使用できることは、当業者には明らかであろう。問い合わせ配列と基準配列とが、かなりの配列同一性を共有することを考慮すると、他のタンパク質アラインメントツールは、Blast-pと同一の結果ではないにしても、本明細書で記載のプロトコルを使用して類似の結果を生成することが予測される。本明細書で記載のプロトコルは、このために正確で効果的であることが示され、問い合わせ配列中で変異導入されるべきアミノ酸残基の特定において、当業者を支援するように本明細書で提供される。
受容体結合ドメイン(RBD)ポリペプチド
ウィルス表面「スパイク」タンパク質は、コロナウィルスの宿主細胞への侵入を媒介する。SARS-CoVおよびSARS-CoV-2のスパイクタンパク質は、それぞれ、アンギオテンシン変換酵素-2(ACE2)をその受容体として特異的に認識する受容体結合ドメインを含む。ウィルス取り込みおよび機能におけるこのドメインの重要性を考慮すると、受容体結合ドメインは、ヒトに感染することが既知のコロナウィルス中で比較的によく保存されている。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインの配列は、以下の通りである:
RFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKK(配列番号2)。
本明細書全体を通して、配列番号2は、他のコロナウィルスRBD配列を当該技術分野において既知のアラインメントプログラム(例えば、Blast-p、ClustalW、など)を用いて整列させ得る「基本(base)」または「基準(reference)」受容体結合ドメイン配列として使用される。少なくとも第2のコロナウィルスRBD配列と、配列番号2とのアラインメントを用いて、SARS-CoV-2中の所与のアミノ酸変異に対する第2のコロナウィルスRBD配列中の対応する位置を決定できる。このような実施形態では、Blast-pを用いて、コロナウィルスRBD問い合わせ配列と配列番号2とを、本明細書で記載のプロトコル1またはプロトコル2を用いて、整列させることができる。受容体結合ドメインポリペプチドは、配列番号2(または異なるコロナウィルスの等価物)内に少なくとも2つの変異を含む。いくつかの実施形態では、受容体結合ドメインポリペプチドは、追加の変異を含み得る。この追加の変異は、RBD領域に存在してもよく、またはRBD領域以外で発生してもよい。通常、少なくとも1つ、2つ、またはそれ超のアミノ酸変異は、所与のコロナウィルス配列の天然起源バリアント中で見つかる変異を含まない。例えば、SARS-CoV-2の天然起源バリアント中に存在するL452RおよびE484Kは、本明細書で記載の少なくとも1つ、2つまたはそれ超のアミノ酸変異として計数されない。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の受容体結合ドメインポリペプチドは、1種または複数のコロナウィルスに対するタンパク質ワクチンの生成に使用される。当業者に離解されるように、特に、ワクチンの設定で使用される場合、変異コロナウィルスタンパク質は、その同族受容体に対する受容体結合特性を保持する必要はなく、従って、少なくとも1つのアミノ酸変異または少なくとも2つのアミノ酸変異は、RBDの機能を保持するように設計される必要はない。コロナウィルスタンパク質機能の維持が必要でないことを考慮すると、コロナウィルスタンパク質がコロナウィルス抗原として機能する(即ち、対象中でコロナウィルス結合抗体の産生を刺激するまたは対応する野生型コロナウィルスに対するコロナウィルス抗体に結合する)能力を保持する限りにおいて、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%の同一性(例えば、配列番号1または2と少なくとも95%、少なくとも99%の同一性)を有するコロナウィルスタンパク質が、本明細書では特に意図されている。即ち、本明細書で記載の受容体結合ドメインポリペプチドは、「免疫原性」であり、即ち、受容体結合ドメインポリペプチドによる対象の免疫化(任意選択で、適切な支持体(タンパク質、脂質またはポリペプチドなど)に結合する)がRBDポリペプチドに対する(B細胞型および/またはT細胞型の)免疫応答を誘導する。
用語「エピトープ」は、特にMHC分子の存在下の場合、抗原などの分子中の抗原決定基、即ち、免疫系により認識される、例えば、T細胞またはB細胞により認識される分子の一部またはフラグメントを意味する。タンパク質抗原のエピトープは、前記タンパク質の連続的または不連続的部分を含み、5~100、5~50、8~30、10~25アミノ酸長さ、例えば、エピトープは好ましくは、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25アミノ酸長さであり得る。
タンパク質の免疫応答を生じさせる能力は、一部は、タンパク質が折り畳まれるその二次構造および高次構造に帰することができる。いくつかの実施形態では、特定の高次構造が抗原性応答を生成するために、および/またはタンパク質の安定性を強化するために、好ましい。ACE2受容体に結合したSARS-CoV-2の二次構造は、Shang et al.“Structural Basis of Receptor Recognition by SARS-CoV-2” Nature 581:221-224(2020)に記載されている。この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。SARS-CoV-2の結晶構造の知識により、当業者は、経験に基づく推論またはコンピューターソフトウェアを使用して、所与の受容体結合ドメインポリペプチドが、対象の免疫応答を誘導し得る形状または二次構造を含む可能性があるかどうかを判定できる。
特定の実施形態では、少なくとも2つのアミノ酸は、コロナウィルス受容体結合ドメイン中で変異導入され、この変異は、その対応する野生型タンパク質に比べて、細胞系中のタンパク質の収率を高め、および/または細胞、溶液、または配合物中のコロナウィルスタンパク質の安定性を高める。他の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、コロナウィルス受容体結合ドメイン中に変異導入され、この変異は、その対応する野生型タンパク質に比べて、細胞系中のタンパク質の収率を高め、および/または細胞、溶液、または配合物中のコロナウィルスタンパク質の安定性を高める。
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの変異は、スパイクタンパク質のRBD領域(配列番号2または配列番号1の残基328~531)内に導入される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、スパイクタンパク質のRBD領域内に導入される。
特定の実施形態では、少なくとも2つの変異は、配列番号1のアミノ酸残基:338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;または338、358、363、&365にあるか、またはBlast-pを用いて、配列番号1と第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある。
特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、アミノ酸残基:338、358、363、365、367、377、392、395;498、501、502、513、または515にある。他の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は:I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、またはF515Lである。
特定の実施形態では、少なくとも2つの変異は、配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365Mからなる群より選択されるか、またはBlast-pを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルスの対応する残基にある。
一実施形態では、受容体結合ドメインポリペプチドは、融合タンパク質を含む。
リノール酸結合ポケット
SARS-CoV-2 「S」(スパイク)タンパク質は、最近リノール酸結合ポケットであると特定された「ポケット」または「空洞」を含むことが示された(Toelzer et al.Science “Free fatty acid binding pocket in the locked structure of SARS-CoV-2 spike protein”(2020))。リノール酸結合ポケット中の残基は、ヒトに感染する7種の全てのコロナウィルス中で保存されており(Toelzer、前出)、この空洞が機能的に保存されていることを示す。Toelzerらはまた、リノール酸のSARS-CoV-2 Sタンパク質への結合は、Sタンパク質の閉構造を安定化することを示す。本明細書では、リノール酸結合ポケットまたはリノール酸結合ポケットのサブドメイン内の変異を用いて、リノール酸の効果を模倣でき、および/またはSタンパク質の閉構造を安定化できることが予測されている。いくつかの実施形態では、この領域中のアミノ酸変異は、「空洞充填」変異である。
一実施形態では、本明細書で使用される「空洞充填変異」は、リノール酸結合ポケット内の位置が充填される(例えば、空洞中に立体的に突出する)。天然のコロナウィルススパイクタンパク質中の空洞は、例えば、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の結晶構造表現の目視検査により(例えば、Shang et al.“Structural Basis of Receptor Recognition by SARS-CoV-2” Nature 581:221-224(2020))、または タンパク質デザインコンピューターソフトウェア(例えば、特に、BioLuminate(商標)(BioLuminate、Schrodinger LLC、New York)、Discovery Studio(商標)(Discovery Studio Modeling Environment、Accelrys、San Diego)、MOE(商標)(Molecular Operating Environment、Chemical Computing Group Inc.、Montreal)、およびRosetta(商標)(Rosetta、University of Washington、Seattle))を用いることによる、などの当該技術分野において既知の方法により特定できる。このようなモデルは、所与のコロナウィルススパイクタンパク質の安定性を高めることが予測される空洞充填変異を当業者が設計することを可能にする。
空洞充填変異のために置換されるアミノ酸には、小さい脂肪族(例えば、Gly、Ala、およびVal)または小さい極性アミノ酸(例えば、SerおよびThr)が挙げられ、これらは、立体的により大きなおよび空洞に「充填」できる類似のアミノ酸(例えば、大きな脂肪族アミノ酸(Ile、LeuおよびMet)または大きな芳香族アミノ酸(His、Phe、TyrおよびTrp))により置換される。他の実施形態では、荷電アミノ酸は、非荷電アミノ酸を置換し、または非荷電アミノ酸により置換され、それにより、タンパク質および空洞の二次構造を変え得る。置換のためのこのような残基はまた、所与のタンパク質高次構造中に覆い隠されるが、第2の高次構造中で溶媒に露出されるアミノ酸を含み得る。
特定の実施形態では、SARS-CoV-2スパイクタンパク質中の少なくとも2つの変異の少なくとも1つは、リノール酸結合ポケットに関与する残基にある。いくつかの実施形態では、変異は、リノール酸結合ポケットに「充填する」ことが好ましい(例えば、類似の電荷または疎水性を有するより大きなアミノ酸を用いて)。このような変異は、対応する野生型コロナウィルスと比べて、タンパク質の特定の高次構造を安定化し、および/またはタンパク質の分解速度を遅らせることができる。参照を容易にするために、リノール酸結合に関与する残基は、本明細書で3つのサブドメインに分類される。これらのサブドメインは、単純に、リノール酸結合に関与するいくつかの残基の近接性に基づいている。
Figure 2024502823000003
非天然起源コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドは、少なくとも1つの空洞充填変異またはリノール酸結合ポケット中の残基中の変異、およびポリペプチドの安定性および/または収率を一緒に高める少なくとも1つの追加の変異を含み得る(これらの用語は本明細書で使用されるものとする)。
いくつかの実施形態では、空洞充填変異は、アミノ酸336、338、341、342、358、361、363、365、368、374、377、387、または392にある配列番号1の残基の変異、またはBlast-pを用いて、配列番号1(またはその天然起源バリアント)と、第2のコロナウィルスの配列(またはその天然起源バリアント)との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む。他の実施形態では、空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異は、配列番号1の残基338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基にある。
いくつかの実施形態では、空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異は、配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365Mからなる群、またはBlast-p(例えば、本明細書で記載のプロトコル1または2)を用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基から選択される。
コロナウィルスタンパク質がコロナウィルスに対する抗原として機能する(即ち、対象中でコロナウィルス結合抗体の産生を刺激する)能力を保持する限りにおいて、本明細書で記載の空洞充填変異を有し、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%の同一性(例えば、配列番号1または2と少なくとも95%、少なくとも99%の同一性)をさらに有するコロナウィルスタンパク質が、本明細書では特に意図されている。即ち、本明細書で記載の非天然起源のコロナウィルススパイクタンパク質ポリペプチドは、「免疫原性」であり、即ち、ポリペプチドによる対象の免疫化(任意選択で、適切な支持体(タンパク質、脂質またはポリペプチドなど)に結合する)がポリペプチドに対する(B細胞型および/またはT細胞型の)免疫応答を誘導する。
本明細書で記載のRBDポリペプチドまたはスパイクポリペプチドは、コロナウィルスの既知のバリアント由来の1つまたは複数のアミノ酸置換を有し得る。例えば、限定されないが、ポリペプチドは、L18F、T20N、P26S、残基69~70の欠失、D80A、D138Y、R190S、D215G、K417N、K417T、G446S、L452R、Y453F、T478I、E484K、S494P、N501Y、A570D、D614G、H655Y、P681H、A701V、およびT716Lからなる群より選択される配列番号1に対する1、2、3、4、5、6、7、または8つ全ての位置を含み得る。ポリペプチドは、下記の天然起源変異または変異の組み合わせの1つを含み得る:
N501Y、任意選択で、残基69~70の1つまたは両方の欠失、A570D、D614G、P681H、および/またはT716L(UKバリアント)の1、2、3、4、または5つをさらに含む;
K417N/E484K/N501Y、任意選択で、L18F、D80A、D215G、D614G、および/またはA701V(南アフリカバリアント)の1、2、3、4、または5つをさらに含む;
K417NまたはT/E484K/N501Y、任意選択で、L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、D614G、および/またはH655Y(ブラジルバリアント)の1、2、3、4、または5つをさらに含む;または
L452R(ロスアンゼルスバリアント)。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、配列番号4または配列番号5のポリペプチド配列を含む。
RFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADFSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKK(配列番号4)
RFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADFSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGNIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVKGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKK(配列番号5)
アミノ酸変異/置換
本明細書で提供されるのは、その対応する天然のまたは野生型コロナウィルスSタンパク質に比べて、変異タンパク質の高められた安定性を付与する少なくとも2つのアミノ酸変異または置換を有する変異コロナウィルスSタンパク質またはその受容体結合ドメインである。本明細書で例示されるのは、変異SARS-CoV-2 Sタンパク質またはその受容体結合ドメインであるが、本明細書で記載の方法および組成物は、ヒトに感染するコロナウィルスおよび他の哺乳動物(即ち、コウモリ、ウシ、ブタ、など)に感染するものの両方を含む任意のコロナウィルス Sタンパク質に適用できる。当業者は、別のコロナウィルスのアミノ酸配列と、SARS-CoV-2(即ち、配列番号1または2)の配列とを整列させることにより、SARS-CoV-2に関し明細書中で概要を述べたものに対応する残基を容易に特定できる。
アラインメントは、機能が所与の残基または複数残基の受容体との直接接触であるか、または、例えば、残基が、他の残基がこのような接触をすることを可能にする高次構造の維持に関与するかに関わらず、機能に必要である可能性が高い残基に関するガイダンスを提供できる;後者の非限定的例には、リノール酸結合ポケットを満たす、またはスパイクタンパク質の所与の高次構造を維持するのに役立つ可能性のある残基が含まれる。例えば、アラインメントが対応する位置で2つの同一のまたは類似のアミノ酸を示す場合、その位置は、機能的に重要(即ち、リノール酸結合または受容体結合)である可能性がより高い。バリアントアミノ酸配列は、天然のまたは基準配列、例えば、配列番号1と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ超の同一性であり得る。天然のおよび変異体配列間の相同性の程度(パーセント同一性)は、例えば、このために通常採用され、ワールドワイドウェブ上で自由に利用できるコンピュータープログラムを用いて、2つの配列を比較することにより、決定できる。バリアントアミノ酸またはDNA配列は、それが由来する配列(本明細書では、「元の」、「天然の」、または「野生型」配列とも呼ばれる)と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ超の類似性であり得る。元のおよび変異体配列間の類似性の程度(パーセント類似性)は、例えば、類似性マトリックスを用いて決定できる。類似性マトリックスは当該技術分野において周知であり、類似性マトリックスを用いた2つの配列の比較のための多数のツールがオンラインで自由に利用可能であり、例えば、BLASTp(ワールドワイドウェブのhttp://blast.ncbi.nlm.nih.govで利用可能)をデフォルトパラメーターセットで、または本明細書で記載のプロトコル1またはプロトコル2を用いて利用できる。
空洞充填変異が望ましい場合、所与のアミノ酸を、類似の生理化学的特性を有する残基で置換でき、例えば、1つの脂肪族残基で別の残基(Ile、Val、Leu、またはAlaなどを交互に)を置換、または1つの極性残基で別の残基(LysとArg;GluとAsp;GlnとAsn;またはGlnとAsn間など)を置換でき、好ましくは、より小さい残基が、立体的に空洞を「充填する」または空洞サイズおよび/または構造の変化を誘導するために、電荷が変えられるより大きな残基により置換される。他のこのような置換、例えば、類似の疎水特性を有する全領域の置換は、よく知られており、機能を保存できる。所望のアミノ酸置換を含むポリペプチドは、本明細書で記載のいずれかの1つのアッセイで試験して、(i)所望の高次構造が維持され、天然のまたは参照ポリペプチドの抗原活性が実質的に維持されること、または(ii)タンパク質の安定性が高められることを確認できる。
いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換を含み得る。用語「保存的アミノ酸置換」は、当該技術分野において周知であり、特定のアミノ酸の類似の特性(例えば、類似の電荷または疎水性)を有するアミノ酸による置換に関する。本明細書で記載の保存的変異は、例えば、類似の電荷または疎水性であるが、サイズまたはかさ高さが異なる(例えば、空洞充填機能を提供する)アミノ酸残基での置換を含み得る。例示的保存的アミノ酸置換のリストを下表に示す。
Figure 2024502823000004
あるいは、例えば、天然のコロナウィルスSタンパク質二次構造の可撓性部分の除去が望ましい場合、例えば、システイン残基の付加による非保存的アミノ酸置換が好ましい場合がある(またはその逆の場合もある)。「非保存的置換」は、1つのクラスのアミノ酸の、別のクラス由来のアミノ酸による置換(例えば、AlaのAsp、Asn、Glu、またはGlnによる置換)を意味する。非保存的置換の追加の非限定的例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸による、システイン、グルタミン、グルタミン酸またはリジンなどの極性(親水性)残基の置換および/または極性残基による非極性残基の置換が挙げられる。
当業者により理解されるように、本明細書で記載の変異コロナウィルスポリペプチド(例えば、RBDポリペプチドまたは安定化コロナウィルスSポリペプチド)は、任意に望ましい構成の保存的および非保存的アミノ酸置換の混合物を含み得る。本明細書で記載のポリペプチドは、当該技術分野において既知の、または実施例で記載の方法を使用して、抗原活性、受容体結合ドメイン活性または高次構造に関し試験できる。
システイン残基は、タンパク質二次構造または高次構造のために重要であり得る。例えば、その同族受容体(例えば、ACE2受容体)への結合を評価すること、結晶学またはEMを用いて二次構造を評価すること、または天然のまたは野生型タンパク質に対する抗体への結合を確認することにより、変異タンパク質の二次構造が機能性および/または抗原性である場合には、システイン残基の変異が本明細書で意図される。ポリペプチドの適切な高次構造の維持に関与しないシステイン残基はまた、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止するために、例えば、セリンで置換できる。逆に、システイン結合は、その安定性を改善する、またはオリゴマー化を促進するために、ポリペプチドに付加できる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の安定化コロナウィルスSタンパク質またはRBDポリペプチドは、生物により産生されるポリペプチドおよび/またはタンパク質中でよく見つかる天然起源アミノ酸、例えば、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)、Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Glu(E)、Lys(K)、Arg(R)、およびHis(H)を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の安定化コロナウィルスSタンパク質またはRBDポリペプチドは、代替アミノ酸を含み得る。代替アミノ酸の非限定的例としては、D-アミノ酸;βアミノ酸;ホモシステイン、ホスホセリン、ホスホトレオニン、フォスフォチロシン、ヒドロキシプロリン、γカルボキシグルタミン酸;馬尿酸、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、スタチン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、ペニシラミン(3-メルカプト-D-バリン)、オルニチン、シトルリン、αメチルアラニン、パラベンゾイルフェニルアラニン、パラアミノフェニルアラニン、p-フルオロフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、およびtert-ブチルグリシン、ジアミノ酪酸、7-ヒドロキシテトラヒドロイソキノリンカルボン酸、ナフチルアラニン、ビフェニルアラニン、シクロヘキシルアラニン、アミノイソ酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、tert-ロイシン、テトラヒドロイソキノリンカルボン酸、ピペコリン酸、フェニルグリシン、ホモフェニルアラニン、シクロヘキシルグリシン、デヒドロロイシン、2,2-ジエチルグリシン、1-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸(1-amino-l-cyclopetanecarboxylic acid)、1-アミノ-1-シクロヘキサンカルボン酸(1-amino-l-cyclohexanecarboxylic acid)、アミノ安息香酸、アミノナフトエ酸、γアミノ酪酸、ジフルオロフェニルアニリン、ニペコ酸、αアミノ酪酸、チエニルアラニン、t-ブチルグリシン、トリフルオロバリン;ヘキサフルオロロイシン;フッ化類似体;アジド修飾アミノ酸;アルキン修飾アミノ酸;シアノ修飾アミノ酸;およびこれらの誘導体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、変異コロナウィルスポリペプチドは、例えば、一緒にペプチドを構成する1種または複数のアミノ酸への付加により、修飾され得る。修飾および/または部分の非限定的例には、ペグ化;グリコシル化;ヘシル化(HESylation);ELPylation;脂質化;アセチル化;アミド化;エンドキャッピング修飾;シアノ基;リン酸化;アルブミンコンジュゲーション、および環化が挙げられる。所与の溶液(即ち、水溶液)中での可溶化を改善する修飾または部分は、本明細書で特に意図されている。
元のアミノ酸配列の変化は、当業者に既知の多数の技術のいずれかにより達成できる。例えば、天然配列のフラグメントへの連結を可能にする制限酵素部位に挟まれた変異体配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することにより、特定の位置で、核酸レベルで変異を導入できる。連結後、得られた再構築配列は、目的のアミノ酸挿入、置換、または欠失を有する類似体をコードする。あるいは、オリゴヌクレオチド指定部位特異的変異法を用いて、置換、欠失、または挿入により変更された特定のコドンを有する改変されたヌクレオチド配列を提供できる。このような変化を作製する技術には、Khudyakov et al.“Artificial DNA:Methods and Applications” CRC Press、2002;Braman “In Vitro Mutagenesis Protocols” Springer、2004;およびRapley “The Nucleic Acid Protocols Handbook” Springer 2000;により開示されたものが挙げられる。これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のポリペプチドは、化学的に合成でき、変異は、化学合成工程の一部として組み込むことができる。
本明細書で記載の変異スパイクタンパク質またはRBDポリペプチドは、組換え法および化学合成を含むよく知られた方法を用いて合成できる。ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターの好適な宿主細胞中への導入によりポリペプチドを産生する組換え法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d Ed,Vols 1 to 8,Cold Spring Harbor,NY(1989);M.W.Pennington and B.M.Dunn、Methods in Molecular Biology:Peptide Synthesis Protocols,Vol 35,Humana Press,Totawa,NJ(1994)に記載されているように、当該技術分野において周知である。これらの文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ペプチドはまた、当該分野で周知の方法を使用して化学的に合成できる。例えば、以下の文献を参照されたい。Merrifield et al.,J.Am.Chem.Soc.85:2149(1964);Bodanszky,M.,Principles of Peptide Synthesis,Springer-Verlag,New York,NY(1984);Kimmerlin,T.and Seebach,D.J.Pept.Res.65:229-260(2005);Nilsson et al.,Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.(2005)34:91-118;W.C.Chan and P.D.White(Eds.)Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,Oxford University Press,Cary,NC(2000);N.L.Benoiton,Chemistry of Peptide Synthesis,CRC Press,Boca Raton,FL(2005);J.Jones,Amino Acid and Peptide Synthesis,2nd Ed,Oxford University Press,Cary,NC(2002);およびP.Lloyd-Williams,F.Albericio,and E.Giralt,Chemical Approaches to the synthesis of peptides and proteins,CRC Press,Boca Raton,FL(1997)。これら全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ペプチド誘導体はまた、米国特許第4,612,302号;同第4,853,371号;および同第4,684,620号、ならびに米国特許出願公開第2009/0263843号に記載されているようにして調製できる。これらの全ての特許文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
RBDポリペプチドまたは変異導入コロナウィルスSタンパク質の製造と精製
RBDポリペプチドまたは変異コロナウィルスSタンパク質(これらの用語は本明細書で使用されているものとする)は、例えば、溶液または固相ペプチド合成、またはDugasら(1981)に記載の従来の溶液法により連結されたタンパク質フラグメントから始まる半合成により化学的に製造できる。しかし、組換え法を用いて本明細書で記載のポリペプチドを合成するのが通常好ましい。
本明細書で記載の方法および組成物で有用なポリペプチドをクローニングおよび発現するための系には、組換え技術で良く知られている種々の微生物および細胞が含まれ、従って、本明細書では詳細に記述されない。これらには、例えば、大腸菌、桿菌、ストレプトマイセスおよび酵母類の種々の株、ならびに哺乳動物、酵母および昆虫細胞が挙げられる。本明細書で記載のポリペプチドは、所望であれば、ペプチドまたは融合タンパク質として産生できる。ペプチドおよびポリペプチドを産生するための好適なベクターは既知であり、民間および公的研究所および供託所ならびに市販品納入業者から入手可能である。遺伝子産物を発現できるレシピエント細胞は、その後に遺伝子導入される。遺伝子導入されたレシピエント細胞は、組み換え遺伝子産物の発現を可能にする条件下で培養され、組み換え遺伝子産物は培養物から回収される。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS-1細胞などの宿主哺乳動物細胞を使用できる。これらの宿主は、ワクシニアまたは豚痘などのポックスウィルス発現ベクターと併せて使用できる。合成遺伝子を宿主細胞中に運ぶように改変できる好適な非病原性ウィルス発現ベクターには、ワクシニア、アデノウィルス、レトロウィルス、などのポックスウィルス発現ベクターが挙げられる。多数のこのような非病原性ウィルス発現ベクターがヒト遺伝子療法のために、および他のワクチン薬剤のための担体としてよく使用され、よく知られており、当業者により選択できる。他の好適な宿主細胞および形質転換、培養、増幅、スクリーニングおよび生成物製造ならびに精製のための方法は、既知の技術を参照することにより、当業者により実施され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のように、合成された変異ポリペプチドを単離および/または精製することが望ましい場合がある。タンパク質精製技術は、当業者には周知であり、従って、本明細書では詳細に記述されない。これらの技術は、1つのレベルで、ホモジナイゼーションおよび細胞、組織または臓器のポリペプチドおよび非ポリペプチド画分への粗分別を含み得る。変異体コロナウィルススパイクタンパク質または受容体結合ドメインポリペプチドは、クロマトグラフおよび電気泳動技術を用いてさらに精製して、部分的または完全精製(または均質性までの精製)を達成できる。純粋なペプチドまたはポリペプチドの調製に特に向いている分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィーおよび等電点電気泳動である。特に有効なペプチド/ポリペプチド精製方法は、高性能液体クロマトグラフィー(FPLC)あるいは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。
「精製ポリペプチド」は、他の成分から分離できる組成物を意味することが意図され、変異体コロナウィルスSポリペプチドまたはその受容体結合ドメインは、生物産生組換えタンパク質またはその天然で得られる状態に対して、任意の程度に精製される。単離または精製ポリペプチドはまた、従って、それが天然で発生する環境から束縛されないポリペプチドを意味する。一実施形態では、「精製」は、種々の他の成分を除去するために、分別に供されたポリペプチド組成物で、天然のまたは野生型コロナウィルスSタンパク質に結合するコロナウィルス抗体に結合する能力を実質的に保持しているポリペプチド組成物を意味する。用語「実質的に精製」が使用される場合、この指定は、コロナウィルスポリペプチドが、例えば、組成物中の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれ超のタンパク質を構成する組成物の主要成分を形成する組成物を意味する。
本明細書で記載のポリペプチドが最も精製された状態で提供される一般的な要件は存在しない。実際に、より低い精製生成物は、特定の実施形態中で有用であることが意図されている。部分精製は、より少ない精製ステップを組み合わせて用いて達成できるか、または異なる形態の同じ一般精製スキームを利用することにより達成できる例えば、HPLC装置を利用して実施される陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは通常、低圧クロマトグラフィーシステムを利用する同じ技術よりも大きな「倍数」の精製が得られることは理解されよう。より低い程度の相対精製を示す方法は、タンパク質生成物の全回収または発現タンパク質の活性の維持における利点を有し得る。
所与のポリペプチドの精製の程度を定量化する各種方法が当業者に既知であり、例えば、活性画分の比活性を測定すること、または画分内のポリペプチドの量をSDS/PAGE分析により評価することを含む。
コロナウィルス融合タンパク質および足場
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の受容体結合ドメインポリペプチドまたは変異コロナウィルスSタンパク質は、融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のRBDポリペプチドまたは変異コロナウィルスSタンパク質は、足場、ナノ粒子、異種の足場タンパク質、またはポリマーに融合される。特定の実施形態では、異種の足場タンパク質は、配列番号3のI53-50三量体「A」成分を含む。 他の実施形態では、異種の足場タンパク質は、米国特許第10,351,603号の表1に記載の異種の足場タンパク質を含む。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の変異体コロナウィルスポリペプチドは、融合タンパク質として提供される。このような融合タンパク質は、例えば、得られる免疫応答を高めるために抗原性部分を含み得る。このような抗原性部分は、本明細書で記載の融合タンパク質を用いてワクチン接種される個体に対し異種である担体タンパク質などの異種分子を含み得る。免疫応答を活性化し、本明細書で記載の融合タンパク質と結合できる異種タンパク質は、少なくとも約20,000ダルトン、好ましくは少なくとも約40,000ダルトン、より好ましくは少なくとも約60,000ダルトンの分子量を有するタンパク質または他の分子を含む。このような状況で有用な担体タンパク質には、例えば、GST、鍵穴カサガイ由来などのヘモシアニン、血清アルブミンまたはカチオン化血清アルブミン、チログロブリン、卵白アルブミン、破傷風トキソイドまたはジフテリアトキソイドなどの種々のトキソイドタンパク質、免疫グロブリン、ヒートショックタンパク質、などが挙げられる。
化学的に1つのタンパク質(例えば、RBDポリペプチドまたは変異コロナウィルスSタンパク質)を別のタンパク質(例えば、担体または抗原性部分)に化学的に連結する方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば、1-エチル-3-(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの水溶性カルボジイミドによる結合、例えば、NHSエステル基またはスルホ-NHSエステル類似体を有するホモ二官能性架橋剤による結合、例えば、NHSエステルおよびスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、などのマレイミド基ヘテロ二機能性架橋剤による結合、ならびにグルタルアルデヒドによる結合が挙げられる。
タンパク質ベースウィルス様粒子
本開示は、タンパク質ベースウィルス様粒子(VLP)をさらに提供する。pbVLPは、融合タンパク質を含む記載の受容体結合ドメインポリペプチドまたは変異コロナウィルスSタンパク質を含み、融合タンパク質は、本明細書で記載の「第1の成分」などの多量体化ドメインを含む。
本明細書で記載の方法および組成物で使用するためのVLPは、RBDの外部ドメインまたはコロナウィルススパイクタンパク質の外部ドメイン、またはそれらの抗原性フラグメントの提示に適合された多量体タンパク質構築物を含み得る。本明細書で記載の方法および組成物で使用するためのVLPは、少なくとも第1の複数ポリペプチドを含み得る。第1の複数ポリペプチド(「第1の成分」とも呼ばれる)は、天然起源タンパク質配列から少なくとも1つのアミノ酸残基の置換により、1種または複数の残基のまたはNまたはC末端での付加により、誘導され得る。場合によっては、第1の成分は、コンピューター法により決定されたタンパク質配列を含む。この第1の成分は、VLP全コア部を形成できる;またはVLPのコア部は1つまたは複数の追加のポリペプチド(「第2の成分」または第3の、第4の、第5の成分、などとも呼ばれる)を含み、それにより、VLPは、2、3、4、5、6、7つ、またはそれを超える複数ポリペプチドを含む。場合によっては、第1の複数状態は、3回転対称により関連付けられた三量体を形成し、第2の複数状態は、5回転対称により関連付けられた五量体を形成する。このような場合には、VLPは、I53対称を有する「二十面体粒子」を形成する。これらの1つまたは複数ポリペプチドは一緒に、複数ポリペプチドの各メンバーが対称演算子により相互に関連するように、配置できる。タンパク質構成単位のシンメトリカルドッキングを伴う、自己集合性タンパク質物質を設計する一般的コンピューター法は、米国特許出願公開第2015/0356240A1号に開示されている。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
VLPの「コア部」は、本明細書では、VLPにより提示される、RBDまたはコロナウィルスSタンパク質外部ドメイン、またはそれらの抗原フラグメントのいくつかのコピーを一緒に連結するVLPの中心部分を記載するために使用される。ある実施形態では、第1の成分は、RBDを含む第1のポリペプチド、リンカー、および多量体化ドメインを含む第1のポリペプチドを含む。
非限定的実施形態を図6Aに示し、これは、VLPの成分に遺伝的に融合されたRBDを示し、VLPは任意選択で、宿主細胞中で組換え発現される(例えば、293F細胞);これは、五量体タンパク質構築物と共に、任意選択で同じまたは異なる宿主細胞(例えば、大腸菌細胞)中で組換え発現され、これら2つの複数ポリペプチドは、20個の抗原三量体を二十面体コア部の周辺に提示するVLPに自己集合する。
場合によっては、VLPは、コロナウィルスの2つ以上の多様な株由来のRBDまたはスパイクタンパク質を提示するように適合される。非限定的例では、同じVLPは、タンパク質抗原の混合種個体群またはコロナウィルスの種々の株由来のタンパク質抗原の混合ヘテロ三量体を提示する。
本明細書で記載の方法および組成物で使用するためのVLPは、遺伝子融合体としてまたは本明細書で開示の他の手段によるなどの種々の方法で抗原性タンパク質を提示する。本明細書で使用される場合、「に連結」または「に結合」は、2つのポリペプチドを結合させるために、当該技術分野において公知の任意の手段を意味する。結合は、直接的または間接的、可逆的または不可逆的、弱いまたは強い、共有または非共有、および選択的または非選択的であってよい。
いくつかの実施形態では、結合は、VLPを含む複数ポリペプチドの1つに対する抗原のNまたはC末端融合体を遺伝子工学で作製することにより、達成される。従って、VLPは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の複数抗原を提示する1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の複数ポリペプチドからなり得、または基本的になり得、少なくとも1つの複数の抗原は、少なくとも1つの複数のポリペプチドに遺伝的に融合される。場合によっては、VLPは、自己集合でき、それに遺伝的に縮合された複数の抗原性タンパク質を含む1つの複数ポリペプチドから基本的になる。場合によっては、VLPは、複数の抗原を含む第1の複数ポリペプチド;および2成分VLP、抗原性タンパク質をVLPに連結する1つの複数ポリペプチドおよびVLPの自己集合を促進するその他の複数ポリペプチドに共集合できる第2の複数ポリペプチドから基本的になる。
いくつかの実施形態では、結合は、1つまたは複数ポリペプチドと、1つまたは複数抗原性タンパク質との間の翻訳後共有結合により達成される。場合によっては、化学的架橋は、非特異的に抗原をVLPポリペプチドに結合するために使用される。場合によっては、化学的架橋は、抗原性タンパク質をVLPポリペプチド(例えば、第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチド)に特異的に結合するために使用される。クリックケミストリーおよび他の方法などの種々の特異的および非特異的架橋化学反応が当技術分野において既知である。一般に、2つのタンパク質を連結するために使用されるいずれの架橋化学反応も、本明細書で開示のVLPを用いた使用に適合させ得る。特に、免疫複合体または抗体薬物複合体の生成に使用される化学反応を使用し得る。場合によっては、VLPは、切断可能なまたは切断不能リンカーを用いて作製される。抗原の担体への結合工程および方法は、例えば、米国特許出願公開第2008/0145373A1号により提供される。この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示のVLPの成分は、種々のアミノ酸配列のいずれかを有し得る。米国特許出願公開第2015/0356240A1号(この特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、タンパク質構築物の設計のための種々の方法を記載している。米国特許出願公開第2016/0122392A1号および国際公開第WO2014/124301A1号に記載のように、ポリペプチドが、ペアーで自己集合して二十面体粒子などのVLPを形成するそれらの能力のために、設計された。設計は、集合してVLPを形成できるポリペプチド対の各メンバーのための好適な界面残基の設計を含む。そのように形成されたVLPは、二十面体対称を有するものなどのような、第1の構築体および第2の構築体をVLPに配向させる対称的に反復された、非天然の、非共有結合ポリペプチド-ポリペプチド界面を含む。
いくつかの実施形態では、RBDまたはコロナウィルスSタンパク質外部ドメイン、またはその抗原フラグメントは、第1の多量体化ドメインとの融合タンパク質として発現される。いくつかの実施形態では、第1の多量体化ドメインおよびRBDまたはコロナウィルスSタンパク質外部ドメインは、リンカー配列により連結される。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、フォルドンを含み、フォルドン配列は、EKAAKAEEAARK(配列番号8)である。
本開示のタンパク質ベースVLPに有用な設計されたタンパク質複合体の非限定的例には、米国特許第9,630,994号;国際公開第WO2018187325A1号;米国特許出願公開第2018/0137234A1号;米国特許出願公開第2019/0155988A2号に開示されたものが挙げられる。これらの特許文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。例示的配列は、表3に提供される。
Figure 2024502823000005
Figure 2024502823000006
いくつかの実施形態では、VLPは、配列番号9~13のいずれか1つと少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する融合タンパク質を含み、および本明細書で開示のRBDまたはコロナウィルススパイクタンパク質;および配列番号13~18のいずれか1つと少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分を含む。
いくつかの実施形態では、VLPは、配列番号19と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する融合タンパク質を含み、および本明細書で開示のRBDまたはコロナウィルススパイクタンパク質;および配列番号20と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、配列番号6または配列番号7のポリペプチド配列を含む。
RFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADFSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRANSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIVSPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGGVNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATE(配列番号6)
RFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADFSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGNIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVKGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRANSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIVSPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGGVNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATE(配列番号7)
タンパク質安定性
ほとんどの生物学的産物は、熱的、光化学的、または酸化的分解などの分解を受ける傾向がある。ワクチンおよびインスリンなどの生物由来物質は、世界中に配布する必要があり、異なる地域の周囲温度は大きく変化するので、急速に分解するタンパク質/組成物と比べて、延長された貯蔵寿命(または貯蔵中に安定化されているタンパク質)を有するワクチンが好ましい。増大した細胞内安定性はまた、組換えタンパク質のより大きな収率をもたらし得る。本明細書で記載の変異コロナウィルススパイクタンパク質またはその受容体結合ドメインは、それらの野生型対応物と比較して、増大した安定性を有する。これらのタンパク質の安定性は、当該技術分野において既知の1種または複数のアッセイを用いて、または実施例で記載の方法を用いて決定できる。例示的タンパク質安定性アッセイには、限定されないが、示差走査熱量測定、パルスチェイス法、ブリーチチェイス(bleach chase)法、シクロヘキサミドチェイス法、円偏光二色性分光分析、および蛍光系活性アッセイが挙げられる。
所与の組成物の安定性は、単離調製物またはワクチン調製物に適用される場合、組成物の「貯蔵寿命」とも本明細書で呼ばれ、組成物の貯蔵条件ならびに組成物の処方(例えば、化学成分の添加)または組成物が提供される物理的状態(例えば、凍結乾燥、乾燥、凍結、など)に依存する。
本明細書で使用される場合、用語「凍結乾燥(lyophilization)」、または「凍結乾燥された(lyophilized)」は、脱水過程を意味し、一般に、「凍結乾燥(freeze drying)」と呼ばれ、本明細書で記載の組成物を保存するために、または組成物を貯蔵および輸送に好都合にするために使用される。凍結乾燥は、組成物を凍結した後、周囲圧力を下げて、組成物中の凍結水を固相から気相へ直接昇華させることにより機能する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥は、本明細書で記載のワクチン組成物を保存し、それにより、ワクチン組成物を持ち運び可能にし、冷蔵の必要なしに、室温で貯蔵可能にする。
本明細書で記載の変異により提供される抗原の増大した安定性に加えて、酸化防止剤またはワクチン組成物の貯蔵寿命を伸ばすことを目的とする他の薬剤も同様に本明細書で意図されている。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の組成物は、室温で貯蔵し、冷蔵する必要性をなくすことが意図されている。
貯蔵方法に関わらず、変異コロナウィルススパイクタンパク質またはそのRBDは、対応する野生型コロナウィルススパイクタンパク質またはそのRBDのタンパク質安定性および組成物貯蔵寿命に比べて、タンパク質安定性および組成物貯蔵寿命の両方が増大する。
本明細書で記載の変異コロナウィルスタンパク質またはペプチドを含む配合物は、所定の温度での一定の期間にわたり、それらの特性変化がわずかであるという点で、安定である。一般に、本明細書で記載の配合物は、少なくとも約1か月安定である。いくつかの実施形態では、配合物は、少なくとも約6週間、少なくとも約2か月、少なくとも約4か月、少なくとも約6か月、少なくとも約8か月、少なくとも約10か月、少なくとも約12か月(1年間)、少なくとも約14か月、少なくとも約16か月、少なくとも約18か月(1.5年間)、少なくとも約20か月、少なくとも約22か月、少なくとも約24か月(2年間)、少なくとも約26か月、少なくとも約28か月、少なくとも約30か月、少なくとも約32か月、少なくとも約34か月、少なくとも約36か月(3年間)、少なくとも約38か月、少なくとも約40か月、少なくとも約42か月、少なくとも約44か月、少なくとも約46か月または少なくとも約48か月(4年間)にわたり安定である。
配合物が安定である温度は通常、約30℃未満である。いくつかの実施形態では、配合物安定性は、約25℃、約20℃、約15℃、約10℃、約8℃、約5℃、約4℃、または約2℃未満の温度を基準にしている。従って、いくつかの実施形態では、温度は、約25℃~約2℃、約20℃~約2℃、約15℃~約2℃、約10℃~約2℃、約8℃~約2℃、または約5℃~約2℃の範囲である。他の実施形態では、温度は、約25℃~約5℃、約20℃~約5℃、約15℃~約5℃、約10℃~約5℃、または約8℃~約5℃の範囲である。さらに他の実施形態では、温度は、約25℃~約8℃、約20℃~約8℃、約15℃~約8℃、または約10℃~約8℃の範囲である。さらに他の実施形態では、温度は、約25℃~約10℃、約20℃~約10℃、約15℃~約10℃、約25℃~約15℃、約20℃~約15℃、または約25℃~約20℃の範囲である。いくつかの実施形態では、組成物は、長期的貯蔵のために、4℃または-20℃で貯蔵できる。
ワクチン組成物
本明細書で記載のRBDポリペプチド、変異コロナウィルスSタンパク質またはそれらを含む融合タンパク質は、ワクチン製剤の製造に使用できる。このようなワクチン製剤は、ヒト個体に感染することが既知の7種のコロナウィルスのそれぞれに対し保護を提供できる、またはヒトに感染することが既知の7種のコロナウィルスの内の、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、または少なくとも6種に対して保護を提供できる。一実施形態では、本明細書で記載のワクチン製剤は、ヒトに感染することが既知のコロナウィルスの7種全てに対し、保護を提供できる。本明細書で記載のワクチン製剤は、将来、動物種(例えば、コウモリ)からヒトへ感染することが予測されるコロナウィルスに対して保護を提供できることも本明細書で特に意図されている。他の実施形態では、本明細書で記載のワクチン製剤は、1種または複数のコロナウィルスに対する感受性の高い動物に対する保護を提供できる。本明細書で記載の変異スパイクタンパク質ポリペプチドをコードするRNAおよび/またはDNAワクチン製剤はまた、本明細書で特に意図されている。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のコロナウィルス抗原に対し生成された免疫は、長く持続する(例えば、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年、少なくとも30年、少なくとも40年、あるいは、対象の全寿命期間の間)。あるいは、いくつかの実施形態では、本明細書で記載のワクチン製剤は、インフルエンザワクチンによる免疫化と同様に、蔓延している、または蔓延すると予測される標的ウィルス株に合わせて、年間ベースで投与され、最後の投与から少なくとも3か月間、少なくとも6か月間、少なくとも8か月間、少なくとも1年間、少なくとも1.5年間、または少なくとも2年間にわたり保護を提供できることが意図されている。
当業者は、地域免疫または集団免疫を1種または複数のコロナウィルスに付与するために、コロナウィルスワクチン製剤の100%の有効性は要求されないことを理解するであろう。従って、いくつかの実施形態では、本明細書で記載のワクチン製剤は、ワクチン接種個体の集団中の少なくとも40%が有効である、例えば、ワクチン接種個体の集団中の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%が有効である。
いくつかの実施形態では、地域感染を減らし、コロナウィルス感染および伝播を防ぐ/制御するために、本明細書で記載のワクチンを、ユニバーサルワクチネーションとして健康な子供および個体に投与できる。子供は、より穏やかな症状を有し、コロナウィルス感染症であるとは必ずしも診断されないので、彼らは、学校、家庭および地域内でコロナウィルスの伝染に重要な役割を果たし得る。インフルエンザワクチンによる研究は、地域の約80%の学童のワクチン接種が成人の呼吸器疾患および高齢者の過剰死亡を減らしたことを示した(Reichert et al.,2001)。この概念は、地域免疫または「集団免疫」として知られ、疾患に対して地域の保護の重要な役割を果たすと考えられている。ワクチン接種した人は特定のウィルスを中和する抗体を有するので、彼らは、ウィルスを他の人に伝染させる可能性がはるかに少ない。この概念は、コロナウィルス感染症にも同様に適用できる。従って、ワクチン接種していない人でも(およびワクチン接種が弱まった人または完全に効果的でない人でも)多くの場合、周りの人がワクチン接種している人は病気にならない、またはウィルスを伝染させないので、集団免疫により遮蔽できる。集団免疫は、ワクチン接種した人が増加するに伴いより効果的になる。集団免疫を達成するためには、地域の人の約60%(しかし、90~95%により近いのが好ましい)がワクチンにより保護される必要がある。免疫されていない人は、彼らまたはその他の人が病気になる確率を増大させる。
従って、別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書で記載のワクチン製剤を地域の集団に投与することにより、免疫障害を持つ個体またはワクチン接種していない個体中のコロナウィルス感染症の発生率を減らすために、集団または地域に、コロナウィルス感染症に対する実質的に防御免疫を誘導する方法である。一実施形態では、ほとんどの学童期の子供は、本明細書で記載のワクチンを投与することによりコロナウィルス感染症に対し免疫される(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ超の学童期の子供が免疫される)。別の実施形態では、地域のほとんどの(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ超の)健康な個体は、本明細書で記載のワクチンを投与することにより、所与のコロナウィルスまたはコロナウィルス群に対し免役される。別の実施形態では、本明細書で記載のワクチンは、「動的ワクチン」戦略の一部として使用できる。動的ワクチンは、新たに出現したまたは既存の世界的流行株に関連するが、抗原変異のために、哺乳動物での完全な保護を提供し得ない低い有効性のワクチンの定常生産である(Germann et al.,2006を参照)。世界的流行株の将来の同一性に関する不確定性のために、十分に適合した世界的流行株を備蓄するのはほぼ不可能である。しかし、不十分な適合性であるが、潜在的に効果的なワクチンは、世界的流行ウィルスの伝播を遅らせ、および/またはコロナウィルスの世界的流行株の症状の重症度を低減する可能性がある。一実施形態では、本明細書で記載のワクチンは、2019/2020 COVID-19世界的流行の原因である1種または複数のSARS-CoV-2株に対して向けられる。
本明細書で記載のワクチン製剤は、コロナウィルス感染症に付随する少なくとも1つの症状を防止、または任意の症状の出現を完全に防止できる。コロナウィルス感染症の一般症状としては、限定されないが、発熱、悪寒、咳、息切れ/呼吸困難、疲労、筋肉/身体疼痛、頭痛、味または臭いの新規消失、咽頭炎、鬱血または鼻水、悪心、嘔吐、または下痢が挙げられる。症状の低減は、主観的にまたは客観的に、例えば、対象による自己評価、臨床医の評価または、例えば、生活の質評価、コロナウィルス感染症または追加の症状の進行の遅延化、コロナウィルス関連疾患症状の重症度の低下を含む適切なアッセイ(例えば、抗体価および/またはT細胞活性化アッセイ)または測定(例えば、体温、肺炎感染症の程度、肺の瘢痕形成、など)の実施により、判断され得る。
好ましくは、本明細書で記載のワクチン製剤は、ワクチン接種個体から個体の地域内他の人への、または2つの異なる個体間の活性コロナウィルスの感染を、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%あるいは100%減らす(即ち、ワクチン接種個体および2つ以上の個体中の検出可能な感染がない)。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のワクチン製剤は、1種または複数のアジュバントを含む。アジュバントの非限定的例には、完全フロインドアジュバント(死滅結核菌を含む免疫応答の非特異的刺激剤)、不完全フロインドアジュバントおよび水酸化アルミニウムアジュバントが挙げられる。他のアジュバントには、GMCSP、BCG、水酸化アルミニウム、thur-MDPおよびnor-MDPなどのMDP化合物、CGP(MTP-PE)、リピドA、およびモノホスホリルリピドA(MPL)が含まれる。細菌から抽出された3種の成分を含むRIBI、MPL、トレハロースジマイコレート(TDM)および2%スクアレン/ツイーン80乳剤中の細胞壁骨格(CWS)も意図されている。MF-59、ノバソーム(登録商標)、MHC抗原も使用できる。
一態様では、アジュバント効果は、ミョウバン(リン酸緩衝食塩水中の約0.05~約0.1%の溶液で使用される)などの薬剤の使用により達成される。あるいは、本明細書で記載のワクチンは、約0.25%溶液として使用される糖類の合成ポリマー(カーボポール(登録商標))との混合剤として作製できる。いくつかのアジュバント、例えば、細菌から得られる特定の有機分子は、抗原に対してではなく、宿主に対して作用する。例は、細菌性ペプチドグリカンであるムラミルジペプチド(N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(MDP))である。他の実施形態では、ヘモシアニンおよびヘモエリトリンも、本明細書で記載のワクチン製剤と共に使用され得る。スカシガイ科のカサガイ類由来のヘモシアニン(KLH)は、特定の実施形態で使用できるが、他の軟体動物および節足動物ヘモシアニンならびにヘモエリトリンは、代替実施形態で使用し得る。
種々の多糖類アジュバントも使用できる。例えば、種々の肺炎球菌多糖類アジュバントのマウスの抗体応答に対する効果が報告されている(Yin et al.,1989)。最適応答を生成する投与量、または、示されるように、それがないと抑制が生じない投与量を採用すべきである(Yin et al.,1989)。多糖類のポリアミン変種は、脱アセチル化キチンを含むキチンおよびキトサンなどが特に好ましい。別の実施形態では、ムラミルジペプチドの親油性の二糖トリペプチド誘導体を使用でき、これは、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルグリセロールから形成された人工リポソーム中に入れて使用するために記載されている。
両親媒性および界面活性剤、例えば、サポニンおよびQS21(Cambridge Biotech)などの誘導体は、本明細書で記載のワクチン製剤中で使用するためのさらに別のアジュバント群を形成する。非イオン性ブロックコポリマー界面活性物質(Rabinovich et al.,1994)も使用できる。オリゴヌクレオチドアジュバント(Yamamoto et al.,1988)、Quil Aおよびレンチネン(lentinen)は、特定の実施形態で使用できる他のアジュバントである。
加えて、解毒した精製エンドトキシンは、脊椎動物でアジュバント応答を生成するために、単独で、または複数アジュバント製剤として使用できる。例えば、解毒したエンドトキシンとトレハロースジマイコレートの組み合わせ、または解毒したエンドトキシンとトレハロースジマイコレートおよびエンドトキシン糖脂質の組み合わせが本明細書で意図されている。あるいは、解毒したエンドトキシンと細胞壁骨格(CWS)またはCWSとトレハロースジマイコレートの組み合わせ、または解毒したエンドトキシンなしのCWSとトレハロースジマイコレートだけの組み合わせも意図されている。
当業者は、本明細書で記載のワクチンに結合できるまたはそれと混合できる異なる種類のアジュバントを知っており、これらには、特に、アルキルリゾホスホリピド(ALP);BCG;およびビオチン(ビオチン化誘導体を含む)が含まれる。使用が意図されている特定のアジュバントは、グラム陰性菌細胞由来のタイコ酸である。これらには、リポタイコ酸(LTA)、リビトールタイコ酸(RTA)およびグリセロールタイコ酸(GTA)が含まれる。それらの合成対応物の活性型も使用できる。
種々のアジュバントが、ヒトには一般的に使用されないものも含めて、他の脊椎動物のためのワクチンとしての使用に想定されている。
ワクチン製剤は、当該技術分野において周知の方法を用いて(例えば、リポソーム(例えば、Garcon and Six,J.Immunol.146:3697(1991)参照)中に、例えば、ウシロタウィルスの内側カプシドタンパク質中に(Redmond et al.,Mol.Immunol.28:269(1991))、Quil Aなどのサポニンから構成される免疫刺激分子(ISCOMS)中に(Morein et al.,Nature 308:457(1984));Morein et al.,in Immunological Adjuvants and Vaccines(G.Gregoriadis al.eds.)pp.153-162,Plenum Press,NY(1987))、または例えば、ラクチド-グリコリドコポリマーから構成される徐放型生分解性マイクロスフェア中に(O’Hagan et al.,Immunology 73:239(1991);O’Hagan et al.,Vaccine 11:149(1993))、マイクロカプセル化またはマクロカプセル化されている本明細書で記載のコロナウィルスポリペプチドまたはその融合タンパク質を含み得る。
本明細書で記載の安定化コロナウィルスポリペプチドまたはその融合タンパク質はまた、L-121などのプルロニックブロックコポリマーで調製され、ツイーン80などの洗浄剤で安定化されたスクアレンまたはスクアラン乳剤を含む脂質マイクロスフェアの表面上に吸着され得る(Allison and Byers,Vaccines:New Approaches to Immunological Problems(R.Ellis ed.)pp.431-449,Butterworth-Hinemann,Stoneman N.Y.(1992)を参照)。
本明細書で記載のワクチン製剤は、本明細書で記載の安定化コロナウィルスポリペプチドまたはその融合タンパク質を「有効量」または「治療有効量」で含む。本明細書で使用される場合、表現「有効量」または「治療有効量」は、そのレシピエント中で免疫応答を生成する(またはその生成に寄与する)ための十分高い濃度を提供するのに十分な投与量を意味する。任意の特定の対象に対する具体的な有効量レベルは、治療される障害、その障害の重症度、特定の化合物の活性、投与経路、投与された薬剤の排出速度、治療期間、投与される薬剤と組み合わせて、または同期して使われる薬物、対象の年齢、体重、性別、食事、および総体的な健康、ならびに医療技術および科学において周知の同様の因子を含む種々の要因に依存するであろう。「治療有効量」の決定で考慮される種々の一般的考察は、当業者に既知であり、例えば、Gilman et al.,eds.,Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th ed.,Pergamon Press,1990;and Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載されている。
処方のpHも同様に変わってもよい。一般に、それは、約pH6.2~約pH8.0である。いくつかの実施形態では、pHは、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、または約8.0である。無論、pHは一連のpH値内であってもよい。従って、いくつかの実施形態では、pHは、約6.2~約8.0、約6.2~7.8、約6.2~7.6、約6.2~7.4、約6.2~7.2、約6.2~7.0、約6.2~6.8、約6.2~約6.6、または約6.2~6.4である。他の実施形態では、pHは、6.4~約8.0、約6.4~7.8、約6.4~7.6、約6.4~7.4、約6.4~7.2、約6.4~7.0、約6.4~6.8、または約6.4~約6.6である。さらに他の実施形態では、pHは、約6.6~約8.0、約6.6~7.8、約6.6~7.6、約6.6~7.4、約6.6~7.2、約6.6~7.0、または約6.6~6.8である。さらに他の実施形態では、pHは、約6.8~約8.0、約6.8~7.8、約6.8~7.6、約6.8~7.4、約6.8~7.2、または約6.8~7.0である。さらに他の実施形態では、pHは、約7.0~約8.0、約7.0~7.8、約7.0~7.6、約7.0~7.4、約7.0~7.2、約7.2~8.0、約7.2~7.8、約7.2~約7.6、約7.2~7.4、約7.4~約8.0、約7.4~約7.6、または約7.6~約8.0である。
いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはこれらの組み合わせなどの1種または複数の塩を含み得る。一般に、各塩は、製剤中で、約10mM~約200mMで存在する。従って、いくつかの実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約200mM、約20mM~約200mM、約25mM~約200mM、約30mM~約200mM、約40mM~約200mM、約50mM~約200mM、約75mM~約200mM、約100mM~約200mM、約125mM~約200mM、約150mM~約200mM、または約175mM~約200mMで存在する。他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約175mM、約20mM~約175mM、約25mM~約175mM、約30mM~約175mM、約40mM~約175mM、約50mM~約175mM、約75mM~約175mM、約100mM~約175mM、約125mM~約175mM、または約150mM~約175mMで存在する。さらに他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約150mM、約20mM~約150mM、約25mM~約150mM、約30mM~約150mM、約40mM~約150mM、約50mM~約150mM、約75mM~約150mM、約100mM~約150mM、または約125mM~約150mMで存在する。さらに他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約125mM、約20mM~約125mM、約25mM~約125mM、約30mM~約125mM、約40mM~約125mM、約50mM~約125mM、約75mM~約125mM、または約100mM~約125mMで存在する。いくつかの実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約100mM、約20mM~約100mM、約25mM~約100mM、約30mM~約100mM、約40mM~約100mM、約50mM~約100mM、または約75mM~約100mMで存在する。さらに他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約75mM、約20mM~約75mM、約25mM~約75mM、約30mM~約75mM、約40mM~約75mM、または約50mM~約75mMで存在する。さらに他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約50mM、約20mM~約50mM、約25mM~約50mM、約30mM~約50mM、または約40mM~約50mMで存在する。他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約40mM、約20mM~約40mM、約25mM~約40mM、約30mM~約40mM、約10mM~約30mM、約20mM~約30、約25mM~約30mM、約10mM~約25mM、約20mM~約25mM、または約10mM~約20mMで存在する。一実施形態では、塩化ナトリウムは、製剤中に約100mMで存在する。一実施形態では、リン酸ナトリウムは、製剤中に約25mMで存在する。
本明細書で記載の変異コロナウィルスタンパク質を含む製剤は、非イオン洗浄剤などの可溶化剤をさらに含み得る。このような洗浄剤には、限定されないが、ポリソルベート80(ツイーン(登録商標)80)、トリトンX100およびポリソルベート20が挙げられる。
ワクチン投与および有効性
本明細書で記載のワクチン製剤は、任意の好適な希釈剤または賦形剤を含む薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができ、これには、それ自体組成物を投与された脊椎動物に有害な免疫応答の生成を誘導せず、過度の毒性なしに投与され得る任意の医薬品が含まれる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、脊椎動物、さらに限定すればヒトで使用するために、連邦または州政府の規制当局によって承認されている、あるいは米国薬局方、欧州薬局方または他の一般的に認められている薬局方に収載されていることを意味する。これらの組成物は、脊椎動物で防御免疫応答を誘導するためにワクチンおよび/または抗原組成物として有用であり得る。
薬学的に許容可能な担体または賦形剤には、限定されないが、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、無菌等張性緩衝水溶液、およびこれらの組み合わせが挙げられる。薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および他の賦形剤の完全な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.N.J.current edition)に示されている。 製剤は、投与方法に適合する必要がある。好ましい実施形態では、配合物は、ヒトへの投与に好適し、好ましくは無菌の非粒子および/または非発熱性である。
必要に応じ、組成物は少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。組成物は、再構成に好適な凍結乾燥粉末などの固形、液体溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、持続放出製剤、または粉剤であり得る。経口製剤には、標準的な担体、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム、などを含めることができる。
通常、本明細書で記載のコロナウィルスワクチンは、有効量または1種または複数のコロナウィルス株に対して免疫応答を刺激するのに十分な量で投与される。好ましくは、ワクチン製剤の投与は、少なくとも1種のコロナウィルスに対して実質的免疫を誘発する。通常、投与量は、例えば、年齢、健康状態、体重、性別、食事、投与時期、および他の臨床因子に応じて調節できる。
単回投与による実質的免疫の刺激が好ましいが、同じまたは異なる経路により追加の投与量を投与して、目的の効果を達成できる。新生児および乳幼児では、例えば、複数投与が十分なレベルの免疫を誘発するために必要になる場合がある。投与は、コロナウィルス感染症に対して十分なレベルの保護を維持するために、必要に応じ、小児期全体を通して間隔を置いて継続することができる。同様に、例えば、健康管理作業者、デイケア作業者、幼児のファミリーメンバー、高齢者、損傷心肺機能を有する個体などの特に重篤な疾患の影響を受けやすいまたは感染を繰り返す成人は、防御免疫応答を樹立および/または維持するために、複数回の免疫化が必要となる場合がある。誘導免疫のレベルは、所望のレベルの保護を誘発および維持するために、必要に応じ、例えば、中和分泌および血清抗体の量、ならびに、調整された投与量または反復されたワクチン接種を測定することにより、監視できる。
予防ワクチン製剤は、例えば、針および注射器または無針注入装置を用いて、皮下または筋肉注入により、全身投与できる。あるいは、ワクチン製剤は、点滴剤、大きな粒子のエアロゾル(約10ミクロンより大きい)、または上気道への噴霧により鼻腔内に投与される。上記いずれかの送達経路は、免疫応答を生じ得るが、鼻腔内投与は、コロナウィルスの侵入部位の1つで粘膜免疫誘発の追加のメリットを付与し得る。
本明細書で記載のワクチン製剤の投与の非限定的方法としては、限定されないが、非経口的投与(例えば、皮内、筋肉内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘膜(例えば、鼻腔内および経口または肺経路または坐剤により)が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書で記載のワクチン組成物は、筋肉内、静脈内、皮下、経皮または皮内に投与される。組成物は、任意の簡便な経路で投与され得、例えば、注入またはボーラス注入により、上皮または皮膚粘膜表層(例えば、口腔粘膜、結腸、結膜、鼻咽頭、中咽頭、膣、尿道、膀胱および腸粘膜、など)による吸収によって投与され、および他の生理活性物質と共に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の鼻腔内または他の粘膜のワクチン組成物投与経路は、他の投与経路よりも実質的に高い抗体または他の免疫応答を誘導し得る。別の実施形態では、本明細書で記載の鼻腔内または他の粘膜のワクチン組成物投与経路は、他のコロナウィルス株に対して交差防御を誘導する抗体または他の免疫応答を誘導し得る。投与は、全身性または局所的であり得る。いくつかの実施形態では、ワクチン製剤は、免疫化の部位で免疫応答を誘発するために、粘膜組織を標的にするような方法で投与される。例えば、腸関連リンパ組織(GALT)などの粘膜の組織は、特定の粘膜標的化特性を有するアジュバントを含む組成物の経口投与を用いて免疫化の標的にされ得る。鼻咽頭リンパ組織(NALT)および気管支関連リンパ組織(BALT)などの追加の粘膜組織も、標的にされ得る。
本明細書で記載のワクチン製剤はまた、投与スケジュール、例えば、ワクチンの初期投与に続けて、ブースター投与に基づいて投与できる。特定の実施形態では、第2の組成物投与は、2週間後~1年後のどこかで、好ましくは、初期投与の約1か月後から、約2か月後から、約3か月後から、約4か月後から、約5か月後から約6か月後に投与される。さらに、第3の投与は、第2の投与後で、初期投与から3か月後から約2年後に、あるいはより長期に、好ましくは約4か月後、約5か月後または約6か月後、または約7か月後から約1年後に投与され得る。第3の投与は、第2の投与後に、免疫グロブリンの非存在または低いレベルの存在が対象の血清および/または尿または粘膜の分泌物で検出される場合に、任意選択で投与され得る。好ましい実施形態では、第2の投与は、第1の投与の約1か月後に投与され、第3の投与は、第1の投与の約6か月後に投与される。別の実施形態では、第2の投与は、第1の投与の約6か月後に投与される。
医薬製剤の投与量は、当業者により容易に、例えば、最初に、予防的または治療的免疫応答を誘発するのに効果的な量を、例えば、ウィルス特異的免疫グロブリンの血清力価の測定により、または血清試料または尿試料または粘膜の分泌物中の抗体の阻害比率を測定することにより、特定することにより容易に決定できる。前記投与量は、動物試験から決定できる。コロナウィルスを試験するために使用される動物の非限定的リストには、モルモット、シリアンハムスター、チンチラ、ヘッジホッグ、ニワトリ、ラット、マウス、ブタ、ウシ、コウモリおよびケナガイタチが挙げられる。コウモリは特にコロナウィルスに対する天然の宿主と考えられ、ワクチンの研究または試験に特に有用であり得る。しかし、いずの上記動物も、本明細書で記載のようにワクチン製剤で投与して、誘導された免疫応答を部分的に特徴付けることができ、および/またはなんらかの中和抗体が生成されたかどうかを判定できる。
加えて、ヒト臨床試験を、当業者によりヒトに好ましい有効量を決定するために実施できる。このような臨床試験は定型業務であり、当該技術分野において周知である。用いられる正確な投与量はまた、投与経路に依存する。有効量は、インビトロまたは動物試験系から由来の用量反応曲線から外挿できる。
免疫応答を誘導する、または高める別の方法は、本明細書で記載のようにワクチン組成物を調製し、免疫賦活、免疫強化、および/または炎症促進活性を有する1種または複数のサイトカイン、リンホカインまたはケモカインなどの1種または複数の免疫刺激剤(例えば、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-12、IL-13)、成長因子(例えば、顆粒球マクロファージ(GM)コロニー刺激因子コロニー刺激因子(CSF));およびマクロファージ炎症性因子、Flt3リガンド、B7.1;B7.2、などの他の免疫賦活分子を含めることにより達成できる。このような免疫賦活分子は、コロナウィルスワクチン製剤ワクチン製剤と同じ配合物中に入れて、または別々に、投与できる。
本明細書で記載のRBDポリペプチドまたは安定化コロナウィルススパイクタンパク質は、脊椎動物(例えば、ヒト)に投与される場合に、脊椎動物中で実質的免疫を誘導できるワクチン製剤で使用できる。実質的免疫は、RBDポリペプチドまたは安定化コロナウィルススパイクタンパク質に対する免疫応答から生じ、前記脊椎動物のコロナウィルス感染症に対し保護する、またはウィルス感染症を回復する、または、コロナウィルスウィルス感染症の症状を少なくとも軽減する。いくつかの事例では、ワクチン接種し、その後感染した対象は、無症候性である。しかし、応答は、完全に防御反応ではなく、部分的な免疫応答もまた本明細書で意図されている。例えば、後でコロナウィルスに感染した部分的保護対象は、非免疫された脊椎動物に比べて、低減した重度症状、またはより短い症状の期間を経験する。例えば、SARS-CoV-2安定化スパイクタンパク質を含む製剤をワクチン接種した対象は、COVID-19を治療するために、長期入院または人工呼吸器の使用を必要としない可能性がある。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象の1種または複数のコロナウィルスによる感染症または少なくとも1つのその症状に対する実質的免疫を誘導する方法であり、該方法は、本明細書で記載のRBDポリペプチドまたは安定化コロナウィルスSタンパク質を含む少なくとも1種の有効量のワクチン製剤を投与することを含む。別の実施形態では、前記実質的免疫の誘導は、コロナウィルス関連病徴(例えば、SARS、COVID-19)の期間を短くする。
一実施形態では、本明細書で記載のワクチン製剤は、コロナウィルスの1種以上の株に対して保護を提供する免疫応答を誘発できる。安定化コロナウィルスSタンパク質または特定の亜群の特定の株から構築されたRBDポリペプチドによる脊椎動物のこの交差防御は、異なる株および/または亜群のコロナウィルスに対して交差防御を誘導できる。
キット
さらに本明細書で提供されるのは、個体または動物のワクチン接種のための、本明細書で記載のワクチン製剤の1種または複数の成分を充填した1つまたは複数の容器を含むキットである。一実施形態では、キットは、2つの容器を含み、1つは、安定化コロナウィルスポリペプチドまたはその融合タンパク質を含み、もう1つは、アジュバントを含む。医薬品もしくは生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により定められた形式の、ヒトへの投与のための製造、使用または販売についてその機関によって承認されていることを示す告知をこのような容器に添付することができる。
ワクチン製剤は、組成物の量を表示するアンプルまたはサシェなどの密閉容器中に梱包される。一実施形態では、ワクチン組成物は、液体として供給され、別の実施形態では、密閉容器中の無水滅菌凍結乾燥粉末または水不含濃縮物として供給され、例えば、水または生理食塩水を用いて、対象への投与のために適切な濃度に再構成できる。いくつかの実施形態では、ワクチン組成物は、密閉容器中の無水無菌凍結乾燥粉末として、好ましくは、約1μg、約5μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約50μg、約100μg、約125μg、約150μg、または約200μgの単位投与量で供給される。あるいは、ワクチンの単位投与量は、約1μg未満、(例えば、約0.08μg、約0.04μg;約0.2μg、約0.4μg、約0.8μg、約0.5μg以下、約0.25μg以下、または約0.1μg以下)、または約125μg超、(例えば、約150μg以上、約250μg以上、または約500μg以上)である。これらの投与量は、総コロナウィルスポリペプチドとして、またはHAのμgとして測定できる。ワクチン組成物は、凍結乾燥粉末から再構成後、約12時間以内、好ましくは、約6時間以内、約5時間以内、約3時間以内、または約1時間以内に投与する必要がある。
代替的実施形態では、本明細書で記載のワクチン組成物は、組成物の量および濃度を表示する密閉容器に入れた液体形態で供給される。好ましくは、液体形態のワクチン組成物は、少なくとも約50μg/ml、より好ましくは少なくとも約100μg/ml、少なくとも約200μg/ml、少なくとも500μg/ml、または少なくとも1mg/mlで、密閉容器に入れて供給される。
本発明は、以下の番号を付した項目のいずれか1つに記載の通りであり得る:
1.配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDに比べて、少なくとも2つの変異をさらに含む非天然起源ポリペプチドであって、少なくとも2つの変異は、F338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365M、からなる群より選択されるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある、非天然起源ポリペプチド。
2.配列番号1の残基328~531と、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルスの受容体結合ドメインの対応する残基と、少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDまたは第2のコロナウィルス中の対応する残基に比べて、少なくとも2つの変異をさらに含み、少なくとも2つの変異が、少なくとも2つの変異を欠く野生型ポリペプチドの安定性に比べて、ポリペプチドの安定性を高める、非天然起源ポリペプチド。
3.項目2に記載のポリペプチドであって、少なくとも2つの変異が、配列番号1のアミノ酸338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;
および/または338、358、363、&365にあるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある、ポリペプチド。
4.項目2または3に記載のポリペプチドであって、少なくとも2つの変異が、配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365Mからなる群より選択されるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルスの対応する残基にある、ポリペプチド。
5.項目2~4のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、配列番号1のRBD以外の追加のアミノ酸残基をさらに含む、ポリペプチド。
6.項目2~5のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、コロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)が、配列番号1の残基328~531と少なくとも95%の同一性を含む、ポリペプチド。
7.項目2~6のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、または第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある少なくとも2つの変異は、野生型に比べて、受容体結合ドメイン中の変異のみである、ポリペプチド。
8.項目2~7のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、ポリペプチドの発現が、細胞中で発現される場合、少なくとも2つの変異を欠く野生型RBDポリペプチドの発現と比較して、増大する、ポリペプチド。
9.項目2~8のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、コロナウィルス抗体に結合する、またはコロナウィルスの同族受容体に結合する、ポリペプチド。
10.項目9に記載のポリペプチドであって、コロナウィルス抗体が、SARS-CoV-2抗体を含む、ポリペプチド。
11.項目9または10に記載のポリペプチドであって、ポリペプチドに対応するコロナウィルスのための受容体が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)受容体を含む、ポリペプチド。
12.項目11に記載のポリペプチドであって、ACE受容体が、ACE2受容体である、ポリペプチド。
13.項目2~12のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、第2のコロナウィルスが、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス(SARS-CoV);中東呼吸器症候群(MERS);229E;NL63;OC43;またはHKU1から選択されるコロナウィルスの配列を含む、ポリペプチド。
14.項目2~13のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、配列番号1と少なくとも90%の同一性を含む、ポリペプチド。
15.項目2~14のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、RBDが第2の異種ポリペプチドに融合される、ポリペプチド。
16.項目15に記載のポリペプチドであって、RBDが、ナノ粒子、ナノ構造体または異種の足場タンパク質に融合される、ポリペプチド。
17.項目2~16のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、RBDポリペプチドおよび/または第2のポリペプチドが、抗原性のポリペプチドである、ポリペプチド。
18.項目1~17のいずれか1項に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む、組成物。
19.項目18に記載の組成物であって、アジュバントをさらに含む、組成物。
20.項目18または19に記載の組成物であって、組成物の貯蔵寿命が、少なくとも2つの変異を欠く野生型RBDポリペプチドを含む組成物より長い、組成物。
21.項目18~20のいずれか1項に記載の組成物であって、ワクチンとして処方される、組成物。
22.少なくとも2つの変異を含む非天然起源コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドであって、少なくとも2つの変異が、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を含む、コロナウィルスポリペプチド。
23.項目22に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも2つの変異が、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を欠く野生型ポリペプチドの安定性に比べて、コロナウィルスポリペプチドの安定性を高める、コロナウィルスポリペプチド。
24.項目22または23に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも1つの空洞充填変異が、コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1のリノール酸結合ポケット中の残基の変異を含む、コロナウィルスポリペプチド。
25.項目22~24のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも1つの空洞充填変異が、配列番号1の残基328~531内の残基の変異、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む、コロナウィルスポリペプチド。
26.項目22~25のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも1つの空洞充填変異が、残基335~345;355~375、または378~395の間の配列番号1の残基の変異、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む、コロナウィルスポリペプチド。
27.項目22~26のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも1つの空洞充填変異が、アミノ酸336、338、341、342、358、361、363、365、368、374、377、387、または392にある配列番号1の残基の変異、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルスの配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む、コロナウィルスポリペプチド。
28.項目22~27のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異が、配列番号1の残基338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、またはプロトコル1または2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基にある、コロナウィルスポリペプチド。
29.項目22~28のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異が、
配列番号1のF338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365Mからなる群、またはプロトコル1または2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基から選択される、コロナウィルスポリペプチド。
30.項目22~29のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドが、配列番号1の残基328~531またはプロトコル1または2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の受容体結合ドメイン配列と少なくとも95%の同一性を含む、コロナウィルスポリペプチド。
31.項目22~30のいずれか1項に記載のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸338&365;365&513;365&392;338、363、365&377;365&392;365&395;365、392&395;365、513、&515;338、363、&365;338、358&365;358、365、&513;358、365&392;338、358、363、365&377;358、365、&392;358、365&395;358、365、392、&395;358、365、513&515;および/または338、358、363、&365にあるか、または第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある少なくとも2つの変異が、配列番号1に比べて、スパイクタンパク質サブユニット1中の変異のみである、コロナウィルスポリペプチド。
32.項目22~31のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルスポリペプチドが、配列番号1、または第2のコロナウィルスの野生型スパイクタンパク質サブユニット1のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を含む、コロナウィルスポリペプチド。
33.項目22~32のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルスポリペプチドの発現が、細胞中で発現される場合、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異を欠く野生型ポリペプチドの発現と同じ発現条件下で比較して、増大する、コロナウィルスポリペプチド。
34.項目22~33のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルス抗体に結合する、または同族コロナウィルス受容体に結合する、コロナウィルスポリペプチド。
35.項目34に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルス抗体が、SARS-CoV-2抗体を含む、コロナウィルスポリペプチド。
36.項目35に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、同族コロナウィルス受容体が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)受容体を含む、コロナウィルスポリペプチド。
37.項目36に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、ACE受容体が、ACE2受容体である、コロナウィルスポリペプチド。
38.項目22~37のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス(SARS-CoV);中東呼吸器症候群(MERS);229E;NL63;OC43;またはHKU1から選択されるコロナウィルスの改変された変異ポリペプチドである、コロナウィルスポリペプチド。
39.項目22~38のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドが、配列番号1と少なくとも90%の同一性を含む、コロナウィルスポリペプチド。
40.項目22~39のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、第2の異種ポリペプチドに融合される、コロナウィルスポリペプチド。
41.項目22~40のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、ナノ粒子、ナノ構造体または足場タンパク質に融合される、コロナウィルスポリペプチド。
42.項目40に記載のコロナウィルスポリペプチドであって、コロナウィルスポリペプチドまたは第2の異種ポリペプチドが、抗原性ポリペプチドである、コロナウィルスポリペプチド。
43.項目22~42のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物。
44.項目43に記載の組成物であって、アジュバントをさらに含む、組成物。
45.項目43または44に記載の組成物であって、同じ貯蔵条件下での貯蔵寿命が、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を欠く野生型コロナウィルスポリペプチドを含む組成物より長い、組成物。
46.項目43~45のいずれか1項に記載の組成物であって、ワクチンとして処方される、組成物。
47.項目1~15のいずれか1項に記載の受容体結合ドメインまたは項目22~42のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドを発現する細胞。
48.項目1~15のいずれか1項に記載の受容体結合ドメインまたは項目22~42のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドをコードする核酸配列。
49.対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であって、項目21または項目46に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
50.ワクチンの製造方法であって、項目1~15または項目22~42のいずれか1項に記載の組成物を、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、方法。
51.項目1~25のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、コロナウィルススパイクタンパク質。
52.項目1~51のいずれか1項に記載の方法または組成物であって、プロトコル1のBlast-pパラメーターが下記を含む、方法または組成物:
アルゴリズム:blastp(タンパク質-タンパク質BLAST)
期待値の閾値:0.1
ワードサイズ:6
クエリー範囲内の最大マッチ:0
マトリックス:BLOSUM62
ギャップコスト:
存在:11
伸長:1
低複雑度領域のフィルター?:オフ
マスク:
ルックアップテーブルのみ?:オフ
小文字?:オフ
53.項目1~52のいずれか1項に記載の方法または組成物であって、プロトコル2のBlast-pパラメーターが下記を含む、方法または組成物:
blastp -query query.fasta -subject sbjct.fasta -matrix BLOSUM62 -evalue 0.1-word size 6 -gapopen 11 -gapextend 1 -out results.txt
54.配列番号1のコロナウィルスポリペプチドに比べて、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される変異またはそのバリアントを含むコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含む、ポリペプチド。
55.項目54に記載のポリペプチドであって、変異が、I358F、Y365F、Y365W、V367F、およびF392Wからなる群より選択される、ポリペプチド。
56.項目54または項目55に記載のポリペプチドであって、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第2の変異を含む、ポリペプチド。
57.項目58に記載のポリペプチドであって、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第3の変異を含む、ポリペプチド。
58.項目57に記載のポリペプチドであって、配列番号4または配列番号5のポリペプチド配列を含む、ポリペプチド。
59.項目54~58のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、異種の足場タンパク質を含む、ポリペプチド。
60.項目58に記載のポリペプチドであって、異種の足場タンパク質が、配列番号3のポリペプチド配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有する、ポリペプチド。
61.項目59に記載のポリペプチドであって、異種の足場タンパク質が、配列番号3のポリペプチドを含む、ポリペプチド。
62.項目61に記載のポリペプチドであって、配列番号6または配列番号7のポリペプチド配列を含む、ポリペプチド。
63.項目59~62のいずれか1項に記載のポリペプチドからなる第1の成分、および配列番号13~18のいずれか1つと、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分を含むまたはこれらからなる、ポリペプチド複合体。
64.項目54~62のいずれか1項に記載の組成物または項目63に記載のポリペプチド複合体を含むワクチン組成物。
65.項目64に記載のワクチン組成物であって、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、ワクチン組成物。
66.項目64または項目65に記載のワクチン組成物であって、アジュバントをさらに含む、ワクチン組成物。
67.項目54~62のいずれか1項に記載のポリペプチド発現している細胞。
68.項目54~62のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
69.対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であって、項目54~62のいずれか1項に記載ポリペプチド、項目63に記載のタンパク質複合体、または項目64~68のいずれか1項に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む、方法。
70.ワクチンの製造方法であって、項目54~62のいずれか1項に記載のポリペプチドを、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、方法。
71.ワクチンの製造方法であって、項目59~62のいずれか1項に記載のポリペプチドからなる第1の成分;配列番号13~18のいずれか1つと、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分;薬学的に許容可能な担体;および任意選択でアジュバントを、混合することを含む、方法。
72.非天然起源ポリペプチドであって、配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDに比べて、少なくとも1つの変異をさらに含み、少なくとも1つの変異が、配列番号1のI358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515L、または第2のコロナウィルス基準配列から選択され、第2のコロナウィルス基準配列の対応する位置が、プロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインのスパイクタンパク質配列との配列アラインメントにより決定される、非天然起源ポリペプチド。
73.項目72に記載のポリペプチドであって、F338L/Y365W;Y365W/L513M;Y365W/F392W;F338M/A363L/Y365F/F377V;Y365F/F392W;Y365F/V395I;Y365F/F392W/V395I;Y365W/L513I/F515L;F338L/A363L/Y365M;F338L/I358F/Y365W;I358F/Y365W/L513M;I358F/Y365W/F392W;F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;I358F/Y365F/F392W;I358F/Y365F/V395I;I358F/Y365F/F392W/V395I;I358F/Y365W/L513I/F515L;およびF338L/I358F/A363L/Y365Mから選択される2つ以上の変異を含む、ポリペプチド。
実施例
実施例1
理想的タンパク質ベースコロナウィルスワクチンは、高度に効果的および規模拡大可能性の両方を満たして製造できなければならず、後者の特性は、ワクチン収率および安定性により大きく影響を受ける。RNAまたはDNA免疫化を用いた遺伝子ワクチンはまた、SARS-CoV-2に対して、より高頻度で探索さており、それらの有効性は、標的抗原の発現レベルにより影響を受ける。多くのコロナウィルス、特にSARS-CoV-2および関連サルベコウィルスの受容体結合ドメイン(RBD)は、多くのRBDに向けられた強力中和抗体の単離によって、高度に有用なドメインベースワクチン標的であると考えられる。RBDは、多くの形態で産生に適用できるが、その収率および安定性に対する制限は、RBDベースタンパク質ワクチンの規模拡大可能製造および配布を妨害する可能性がある。
本明細書で提供されるのは、このようなコロナウィルスRBDを含む免疫原の収率と安定性を高めるように設計されたコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)ポリペプチド中の例示的変異である。受容体結合ドメインを含む免疫原は、天然の(即ち、野生型)RBD配列を有する同等の免疫原に比べて、溶液中での改善された安定性に加えて、高度に改善された発現および/または収率を示す一連の安定化変異を含んで生成される。当業者なら理解できるように、所与のタンパク質の増大した発現は、一部は、タンパク質の改善された安定性に起因し得る。設計された免疫原は、SARS-CoV-2に向けられる抗体およびACE2受容体により確証されるように、抗原性が損なわれていない。まとめると、これらの一連の変異は、多様なコロナウィルスに対し、ワクチンを大規模に製造する能力の改善を可能にし、これはまた、RBDに向けられる遺伝子ワクチンの性能を支援し得る。
塩基配列および変異数:SARS-CoV-2配列(配列番号1)は、本明細書を通して、他のコロナウィルスにおける変異のナンバリングのための基準として使用される。SARS-CoV-2配列の受容体結合ドメインは、下記に太字の下線文字として示される(配列番号2):下記の配列(またはその受容体結合ドメイン;配列番号2)は、少なくとも第2のコロナウィルス配列と整列され得る。
コロナウィルスタンパク質の収率および安定性の両方を高める変異の例示的リストが下記に提供される(全てのアミノ酸残基番号は、上記「塩基配列」(配列番号1)に基づいている):
1.F338L/Y365W、
2.Y365W/L513M、
3.Y365W/F392W、
4.F338M/A363L/Y365F/F377V、
5.Y365F/F392W、
6.Y365F/V395I、
7.Y365F/F392W/V395I、
8.Y365W/L513I/F515L、
9.F338L/A363L/Y365M、
10.F338L/I358F/Y365W、
11.I358F/Y365W/L513M、
12.I358F/Y365W/F392W、
13.F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V、
14.I358F/Y365F/F392W、
15.I358F/Y365F/V395I、
16.I358F/Y365F/F392W/V395I、
17.I358F/Y365W/L513I/F515L、
18.F338L/I358F/A363L/Y365M、
19.I358F/Y365W、および
20.I358F/F392W。
材料および方法
発現およびタンパク質精製:16残基リンカーでI53-50三量体「A」成分に遺伝的に融合された変異体受容体結合ドメイン(配列番号1の天然の受容体結合ドメイン残基328~531、またはバリアント、例えば、B.1.351バリアント由来の同等の配列)をコードする遺伝子をXbaIおよびAvrII制限酵素部位を用いて、pCMV/Rベクターにクローニングした。
I53-50三量体「A」成分の配列は下記である:
MKMEELFKKHKIVAVLRANSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVP
DADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQCRKAVESGAEFIVSPHLD
EEISQFCKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQ
FVKAMKGPFPNVKFVPTGGVNLDNVCEWFKAGVLAVGVGSALVK
GTPDEVREKAKAFVEKIRGCTE(配列番号3)
全ての配列には、「MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGT」分泌シグナルが先行し、C末端は、精製を可能にするために「GGSHHHHHHHH」配列でタグ付けされた。いくつかの実施形態では、I53-50三量体成分のN末端メチオニンは、抗原のアクセスし易さを改善するために、ヘリカル配列「EKAAKAEEAAR」で置換される。I53-50三量体成分の全てのシステインは、アラニンに変異された。ヒトACE2外部ドメインは、トロンビン切断部位およびC末端のヒトFcフラグメントをコードする配列に遺伝的に融合された。hACE2-Fcは、BM40シグナルペプチドと共に、GenScriptにより合成およびクローニングされた。CR3022重鎖および軽鎖をコードする遺伝子をGenScriptに注文し、pCMV/Rにクローニングした。
Expi293F発現培地(Life Technologies)を用いて、33℃、70%湿度、8%CO、150rpmで回転下、浮遊状態で増殖させたExpi293F細胞中で全てのタンパク質を産生した。3.0百万細胞/mLの密度まで増殖させた細胞と共に、PEI-MAX(Polyscience)を使用して、細胞培養物に遺伝子導入し、3日間培養した。上清を4000rcfで遠心分離することにより清澄化し、PDADMACを最終濃度の0.0375%まで加え(Sigma Aldrich)、4000rcfで2回目の遠心分離を行った。
Hisタグ含有タンパク質をバッチ結合法により清澄化上清から精製した。この場合、各清澄化上清を1Mのトリス塩酸 pH8.0で45mMおよび5MのNaClの最終濃度まで補充し、約310mMの最終濃度にした。Talonコバルト親和性樹脂(Takara)を処理した上清に添加し、緩やかな振盪を加えながら15分間インキュベートした。0.2μmのフィルターによる減圧濾過を用いて樹脂を収集し、重量カラムに移した。樹脂を20mMのトリス pH8.0、300mMのNaClで洗浄し、タンパク質を3カラム体積の20mMのトリス pH8.0、300mMのNaCl、300mMのイミダゾールで溶出した。モノクローナル抗体およびヒトACE2-Fcを発現している細胞の清澄化上清を、MabSelect PrismA 2.6x5cmカラム(Cytiva)を用いてAKTA Avant150 FPLC(Cytiva)で精製した。結合抗体を5カラム体積の20mMのNaPO、150mMのNaCl pH7.2で洗浄し、その後、5カラム体積の20mMのNaPO、1MのNaCl pH7.4で洗浄して、カラム体積の100mMのpH3.0の3グリシンで溶出した。溶出液を2Mのトリズマ塩基で中和し、最終濃度の50mMにした。
バイオレイヤー干渉法:上清中のタンパク質の分泌レベルを測定するために、タンパク質発現由来の全ての上清を1:10でKB1(25mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、0.5%のウシ血清アルブミンおよび0.01%のツイーン-20)中に希釈した。精製したACE2-FcまたはCR3022抗体をKB1中に0.02mg/mLで希釈し、8チャネルOctet system(Pall ForteBio/Sartorius)を用いて、AHCチップ(Pall ForteBio/Sartorius)上に300秒間固定した。60秒後、ベースラインをKB1中に収集し、センサーをそれぞれの希釈したACE2-FcまたはCR3022溶液に300秒間曝露し、続けて、KB1中で300秒間の解離ステップを実施した。親和性測定のために、全てのタンパク質および抗体を、黒色96ウェルGreiner Bio-oneマイクロプレート中の0.5%のウシ血清アルブミンおよび0.01%のツイーン-20(KB2)を含むリン酸緩衝食塩水中にウェル当り200μLで希釈した。ベースラインおよび解離ステップの場合には、緩衝液単独で使用した。CV30またはCR3022 IgGを事前水和プロテインAバイオセンサー(Pall ForteBio/Sartorius)に10ug/mLで150秒間、続けて60秒間ベースラインをロードした。その後、バイオセンサーを、野生型または安定化単量体RBDの5つの2倍系列希釈の内の1つとの120秒間の結合ステップに移した。CV30の場合、125μM、62.5μM、31.3μM、15.6μMおよび7.8μMを、ならびにCR3022の場合、31.3μM、15.6μM、7.8μM、3.9μMおよび2.0μMのRBD濃度を使用した。結合後、バイオセンサーを300秒間、解離の緩衝液中に移した。結合および解離ステップ由来のデータからベースラインを減算し、1:1結合モデルを使用して動力学測定値を全5種の希釈RBD全体にわたり計算した(ForteBio分析ソフトウェア、バージョン12.0)。ナノ粒子免疫原の抗原性比率の測定のために、hACE2-Fc(二量体化受容体)およびCR3022 IgGの単量体RBDおよびRBD-I53-50ナノ粒子に対する結合を周囲温度で、1000rpmで振盪を加えながら解析した。タンパク質試料を動力学緩衝液(Pall ForteBio/Sartorius)中で100nMに希釈した。その後、緩衝液、抗体、受容体、および免疫原を黒色96ウェルGreiner Bio-oneマイクロプレートに200μL/ウェルで適用した。プロテインAバイオセンサーを最初に動力学緩衝液中で10分間水和した後、固定化ステップで、動力学緩衝液中で10μg/mLに希釈したhACE2-FcまたはCR3022中に浸漬した。500秒後、ベースラインに到達させるために、チップを90秒間、動力学緩衝液に移した。ロードしたバイオセンサーを免疫原中に300秒間浸漬することにより、結合ステップを実施し、その後、動力学緩衝液中にバイオセンサーを戻して、さらに300秒間浸漬することにより、解離ステップを実施した。データからベースラインを減算した後に、ForteBio分析ソフトウェア(バージョン12.0)を用いてプロットした。
熱融解物:50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%のグリセロールを含む緩衝液中でRBDベース試料を調製し、同時に、50mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、0.25%w/vのL-ヒスチジン、5%グリセロールを含む緩衝液中でヘキサプロ-フォルドンベース試料を調製した。1℃/分の昇温速度で20~95℃で収集した固有のトリプトファン蛍光発光スペクトルの重心平均に基づくUNcle(商標)(UNchained Labs)を用いて非平衡融解温度を測定した。融解温度は、融解曲線の一次導関数の最大点として定義され、一次導関数は、二次多項式設定を用いた4つの隣接点での平滑化後に、GraphPad Prism Softwareを使って計算された。
サイプロオレンジ蛍光:5000x サイプロオレンジタンパク質ゲル染色(Thermo Fisher)を25mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、5%グリセロール中で希釈し、同じ緩衝液中で調製された単量体RBDにさらに加え、RBDで1.0mg/mLおよびサイプロオレンジで20xの最終濃度とした。試料をUNcle Nano-DSF(UNChained Laboratories)にロードし、サイプロオレンジを試料に添加の5分後、全ての試料の蛍光発光スペクトルを収集した。
インビトロナノ粒子構築体:精製した個々のナノ粒子成分の総タンパク質濃度を、UV/vis分光光度計(Agilent Cary 8454)を用いて280nmで総吸光度を測定することにより決定し、吸光係数を計算した。次の順番で加えて、室温で構築ステップを実施した:野生型または安定化RBD-I53-50A三量体融合タンパク質、続けて、必要に応じ目的の最終濃度を達成するために適量の緩衝液、および最後に、I53-50B.4PT1五量体成分(50mMのトリス pH8.0、500mMのNaCl、0.75%w/vのCHAPS中、1.1:1のRBD-I53-50A:I53-50B.4PT1のモル比で)。適量の緩衝液は、50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、0.75%のCHAPS、4.5%のグリセロール、または50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%のグリセロールを含んだ。全てのRBD-I53-50インビトロ構築物を緩やかに揺らしながら、2~8℃で少なくとも30分間インキュベートし、続けて、SECにより精製して、残留している構築されない成分を除去した。Superose 6 Increase 10/300 GLカラムをナノ粒子製造に使用した。構築粒子は、Superose 6カラムを用いて、約11mLで溶出する。構築ナノ粒子は、カラムに適用の直前に、およびSEC画分のプール後に、濾過滅菌(0.22μm)された。
陰性染色電子顕微鏡観察:野生型RBD-I53-50ナノ粒子およびRpk-I53-50ナノ粒子を最初に、50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%v/vのグリセロール中の75μg/mLに希釈した後、3μLの試料を新たにグロー放電させた300メッシュ銅グリッドに適用した。試料をグリッド上で1分間インキュベートした後、グリッドを50μLの水滴中に浸漬し、過剰な液体を濾紙(Whatman)で吸い取った。その後、グリッドを3μLの0.75%w/vギ酸ウラニル染料に浸漬した。染料を濾紙で拭き取った後に、グリッドを別の6μLの染料に浸漬し、約90秒インキュベートした。最後に、染料を吸い取り、グリッドを1分間乾燥させた後、貯蔵または画像処理した。調製したグリッドをGatanカメラを57,000xで用いて、TalosモデルL120C透過型電子顕微鏡で撮像した。
動的光散乱:UNcle(UNChained Laboratories)を使用し、動的光散乱(DLS)により、RBD-I53-50ナノ粒子試料の流体力学的径(Dh)および多分散度(%Pd)を測定した。試料を8.8μLの石英キャピラリーカセット(UNi、UNChained Laboratories)に適用し、レーザーの自動減衰を使用して、それぞれ5秒ずつ10回の取込で測定した。Dhの測定では、RBDナノ粒子緩衝液中の5%v/vグリセロールによる粘度の増大は、UNcle Clientソフトウェアにより考慮された。
水素/重水素交換質量分析:3mgのRBD-I53-50A、Rpk4-I53-50A、およびRpk9-I53-50A三量体を、重水素化緩衝液(pH7.5、85%DO、Cambridge Isotope Laboratories,Inc.)中、22℃で、3、15、60、1800、および72000秒間、H/D交換(HDX)した。その後、2.5の最終pHのために、交換試料を氷冷クエンチ緩衝液(200mMのリン酸トリス(2-クロロエチル)(tris(2-chloroethyl)phosphate)(TCEP)、8Mの尿素、0.2%ギ酸(FA))と1:1に混合し、液体窒素中で直ちに急速冷凍した。全てのカラム、ループ、弁、および配管を0℃に保持するロードシステムを用いて、Synapt G2-Si質量分析計で試料をLC-MSにより分析した。凍結試料を氷上で解凍し、固定化ペプシンカラム(2.1x50mm)に200mL/分の流量の2%アセトニトリル含有0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)と共にロードした。ペプチドをWaters CSH C18トラップカートリッジ(2.1x5mm)で捕捉後、Waters CSH C18 1x100mm 1.7μmカラムで3%~40%Bの直線勾配を用いて18分かけて分離した(A:98%水、2%アセトニトリル、0.1%FA、0.025%TFA;B:100%アセトニトリル、0.1%FA、40mL/分の流量)。持ち越し汚染を最小化するために、実験試料間で一連の洗浄を実施した。特に指定されない限り、使用した全ての水および有機溶媒は、MSグレード(Optima(商標)、Fisher)とした。各試料シリーズに対する完全重水素化対照は、ペプシン消化非重水素化試料からのLC溶出液収集、speedvac乾燥、重水素化緩衝液中の85℃で1時間のインキュベーション、および全ての他のHDX試料と同じクエンチにより作製された。内部交換標準(Pro-Pro-Pro-Ile[PPPI]およびPro-Pro-Pro-Phe[PPPF])を各試料に添加し、全ての試料に対し、一貫した標識条件を確保した。DriftScope(商標)(Waters)を用いてペプチドをマニュアルで検証し、直交保持時間とドリフト時間座標で特定した。HX-Express v2で重水素取り込み分析を実施した。ペプチドm/z値に基づいてペプチドスペクトルからピークを特定し、二項式フィッティングを適用した。重水素取り込みレベルを完全重水素化対照に対し正規化した。
マウス免疫化:4週齢の雌BALB/c(ストック:000651)マウスをJackson Laboratory、Bar Harbor,Maineから購入し、American Association for the Accreditation of Laboratory Animal Care International(AAALAC)公認のUniversity of Washington,Seattle,WAのComparative Medicine Facilityで維持した。6週齢で、投与群当り6匹のマウスにプライム免疫でワクチン接種し、3週後、2回目のワクチン接種によりマウスに追加免役した。接種の前に、免疫原懸濁液をAddaVaxアジュバント(Invivogen,San Diego,CA)と1:1vol/volで穏やかに混合して、0.009または0.05mg/mL抗原の最終濃度に到達させた。27標準規格注射針(BD,San Diego,CA)を用いて、注入部位当り50μL(合計100μL)の免疫原を、イソフルラン麻酔下でマウスの各後肢の腓腹筋中に筋肉注射した。全マウスの血清を得るために、プライムおよび追加免役後2週後に採血した。オトガイ下静脈穿刺経由で血液を収集し、1.5mLのプラスチックエッペンドルフチューブ中、室温で30分間静置し、凝血させた。2,000gで10分間の遠心分離により、ヘマトクリットから血清を分離した。分離血清中の補体因子および病原体を56℃で60分間のインキュベーションにより加熱不活性化した。使用するまで、血清を4℃または-80℃で貯蔵した。全ての実験を承認されたInstitutional Animal Care and Use Committeeプロトコルに従って、University of Washington,Seattle,WAで実施した。
ELISA:酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いてマウス血清の送達された抗原に対する結合を測定した。簡単に説明すると、Maxisorp(Nunc)ELISAプレートを4℃で、0.1Mの重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.4中の、ウェル当り0.08μg/mLの目的のタンパク質を一晩コートした。次に、プレートをドライミルク粉末(BioRad)の0.05%v/vツイーン20(TBST)を含むTBS中の4%(w/v)溶液で、室温下、1時間ブロックした。系列希釈した血清をプレートに加え、洗浄後、水素ペルオキシダーゼ結合ウマ抗マウスIgG抗体を用いて、抗体結合を顕色させた。次にプレートをTBST中で完全に洗浄し、比色分析基質(TMB、Thermo Fisher)を加え、450nmで吸光度を読み取った。曲線下面積(AUC)計算は、吸光度測定およびベースラインの隣接対間で生成される台形領域を追加して生成された。
偽ウィルス中和アッセイ:スパイク偽型レンチウィルス中和アッセイは、スパイクHDM_Spikedelta21_D614Gを使用し、これは、Addgene(#158762)またはBEI(NR-53765)から入手でき、完全配列は、ワールドワイドウェブ:https://www.addgene.org/158762で入手できる。手短に説明すると、293T-ACE2細胞(BEI NR-52511)を、ポリ-L-リシン被覆黒色壁透明底96ウェルプレート(Greiner 655930)に、ウェル当り1.25x10個の細胞を50uL D10増殖培地(10%加熱不活性化FBS、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシン含有DMEM)中に播種した。翌日、マウス血清試料を56℃で30分間加熱不活性化した後、D10増殖培地中で系列希釈した。スパイク偽型レンチウィルスを1:50に希釈し、ウェル当り約200,000RLUを得て、血清希釈物と共に37℃で1時間インキュベートした。次に、100μLのウィルス-血清混合物を細胞に加え、約52時間後、Bright-Glo Luciferase Assay System(Promega,E2610)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。中和アッセイの各バッチには、2017~2018年に収集したヒト血清の陰性対照試料および既知の中和抗体を含め、バッチ間の一貫性を確保した。各ウェルの感染率は、プレートの同じ横列中の2つの「無血清」対照ウェルと比較して計算した。各血清試料に対し、「neutcurve」パッケージ(jbloomlab.github.io/neutcurveバージョン0.5.2のワールドワイドウェブで入手可能)を用いて、下端を0に固定し、上端を1に固定したHill曲線に当てはめることにより、阻害濃度50%(IC50)および単純に1/IC50である中和力価50%(NT50)を計算した。
定量化および統計解析:GraphPad Prism8のDunnの事後解析とノンパラメトリッククラスカル・ワリス検定を用いて多群比較を実施した。P値が0.05未満の場合、差異は有意であると見なされた。
実施例2
材料および方法
細胞株
Expi293F細胞は、HEK293F細胞株から誘導され、浮遊状態で増殖するように形質転換および適合された雌ヒト胎児腎臓細胞株である(Life Technologies)。Expi293F細胞をExpi293発現培地(Life Technologies)中で増殖させ、36.5℃、8%COおよび150rpmの振盪下で培養した。ベロE6は、アフリカミドリザル由来の雌腎臓上皮細胞である。HEK-ACE2接着細胞株は、BEI Resources,NIAID,NIH:Human Embryonic Kidney Cells(HEK293T)Expressing Human Angiotensin-Converting Enzyme 2,HEK293T-hACE2 Cell Line,NR-52511から得た。全ての接着細胞を37℃、8%CO下、DMEM+10%FBS(Hyclone)+1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むフラスコ中で培養した。Expi293F以外の細胞株は、マイコプラズマ汚染の試験も、確認もしなかった。
マウス
雌BALB/cマウス(4週齢)をJackson Laboratory,Bar Harbor,Maineから得た。動物処置方法は、Institutional Animal Care and Use Committee of University of Washington,Seattle,WAの承認の下で実施した。
安定化変異の設計
Rosettaでの全ての計算は、バージョン2020.22-dev61287を用いて実施した。全ての設計トラジェクトリーは、スパイクのクライオEM構造(PDB6VXX)中で観察された密閉対称三量体高次構造中、およびRBD(PBD6YZ5)の結晶構造中でRBDを評価した。PDB項目6VXXの3回対称軸を[0,0,1]に整列させ、単一プロトマーを、.pdbフォーマットで保存した。PDB6YZ5からのRBD単量体をPDB6VXXのプロトマーと構造的に重ね合わせ、同様に保存した。設計プロトコルを、整列プロトマーおよびカスタムresfileを入力として採用するRosettaスクリプト(58、59)を用いて記述した。resfileは、側鎖の識別点(identity)および設計中に採取した高次構造を指示する。プロトコルは、2つの設計ラウンドを入力resfileに基づいて、対称モデルに適用し、各設計ステップ後、側鎖の最小化を適用する。プロトコルは、側鎖最小化と同時に実施されるべき骨格の最小化を可能にし、トラジェクトリーは骨格最小化を許容して、または許容しないで実施された。設計および最小化ステップの両方は、resfile中にリストされた全ての変異可能または詰め込み可能な残基の10Å以内の残基を再詰め込みまたは最小化可能にした。残基位置は、マニュアルで選択して位置358、365、392およびスパイクおよびRBD構造を基準にして周辺の残基を含め、可能な残基識別点は、resfile中の各位置に対し「PIKAA」オプションを使って、指定された。resfile入力は、I358F、Y365F、Y365W、および/またはF392Wの種々の組み合わせを含むように多様化されたが、また、同時に、周辺残基に対しする変異を制限または許容することもあった。追加のresfile入力が、同様に設定されたが、位置358、365、および392を特定の識別点に制限しなかった。設計モデルおよびスコアは、マニュアルで検査して、構造上好ましく見える相互作用を特定した。変異は、それらが天然で溶媒に露出されるかまたは水素結合に関与する極性基を覆い隠す場合には、廃棄された。抗原性に対する望ましくない変化を防ぐために、表面露出残基は、頻繁に考慮されることはなかった。好ましい変異セットは、最適化resfileから繰り返し再試験され、一連の多様な設計を完結するために、マニュアルで精密化された。
プラスミド構築
16グリシンおよびセリン残基のリンカーを用いて、SARS-CoV-2 RBDの野生型および安定化配列を三量体I53-50Aナノ粒子成分のN末端に遺伝的に融合した。各I53-50A融合タンパク質はまた、C末端オクタヒスチジンタグを提示し、単量体配列は、Aviおよびオクタヒスチジンタグを含んだ。Xbal1およびAvrII制限酵素部位およびギブソンアセンブリーを用いて、全配列をpCMV/Rにクローニングした。全RBD含有成分は、N末端ミューホスファターゼシグナルペプチドを含んだ。hACE2-Fcは、BM40シグナルペプチドと共に、GenScriptにより合成およびクローニングされた。免疫化試験に使用されたヘキサプロ-フォルドン構築物を報告にあるようにして生成し(Hsieh et al.Science 369:1501-05(2020))、オクタヒスチジンタグと共にpCMV/R中に置いた。発現および安定性比較に使用した、Rpk9変異含有および非含有ヘキサプロ-フォルドン構築物は、BM40シグナルペプチドを含み、pCMV/R中に置かれた。その後の細菌培養物からDNA抽出し(NucleoBond Xtra Midi kit)、Expi293F細胞中への一時的遺伝子導入のためのプラスミドを得るために、プラスミドを大腸菌(New England BioLabs)のNEB 5α株に形質転換した。この試験で使用した全ての新規タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号21~47として提供される。
>RBD-I53-50A三量体(16-GSリンカー、Wuhan-Hu-1由来の野生型RBD使用)
配列番号21
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADY SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk1-I53-50A三量体;配列番号22
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk2-I53-50A三量体;配列番号23
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPLGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk3-I53-50A三量体;配列番号24
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVMSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk4-I53-50A;配列番号25
三量体MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISN
CVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTG
CVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk5-I53-50A三量体;配列番号26
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk6-I53-50A三量体;配列番号27
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPMGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVLDF SVLYNSASFSTVKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk7-I53-50A三量体;配列番号28
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADF SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk8-I53-50A三量体;配列番号29
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADF SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk9-I53-50A三量体;配列番号30
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADF SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk10-I53-50A三量体;配列番号31
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVISLELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk11-I53-50A三量体;配列番号32
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPLGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVLDM SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk12-I53-50A三量体;配列番号33
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRFSNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRANSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk13-I53-50A三量体;配列番号34
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPLGEVFNATRFASVYAWNRKRFSNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk14-I53-50A三量体;配列番号35
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRFSNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVMSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk15-I53-50A三量体;配列番号36
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRFSNCVADF SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk16-I53-50A三量体;配列番号37
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRFSNCVADW SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIVSPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>Rpk17-I53-50A三量体;配列番号38
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRFSNCVADF SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGGSGGSGSGGSGGSGSEKAAKAEEAARKMEELFKKHKIVAVLRA NSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIV SPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGG VNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATEGGSHHHHHHHH
>RBD単量体(Aviおよびヘキサヒスチジンタグを含む);配列番号39
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADY SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGLNDIFEAQKIEWHEHHHHHHHH
>Rpk4単量体(Aviおよびヘキサヒスチジンタグを含む);配列番号40
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADY SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGLNDIFEAQKIEWHEHHHHHHHH
>Rpk9単量体(Aviおよびヘキサヒスチジンタグを含む);配列番号41
MGILPSPGMPALLSLVSLLSVLLMGCVAETGTRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADF SVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIA WNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY QPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTGLNDIFEAQKIEWHEHHHHHHHH
>I53-50B.4PT1五量体:配列番号42
MNQHSHKDHETVRIAVVRARWHAEIVDACVSAFEAAMRDIGGDRFAVDVFDVPGAYEIPLHARTLAETGR YGAVLGTAFVVNGGIYRHEFVASAVINGMMNVQLNTGVPVLSAVLTPHNYDKSKAHTLLFLALFAVKGME AARACVEILAAREKIAAGSLEHHHHHH
>2OBX五量体;配列番号43
MNQHSHKDYETVRIAVVRARWHADIVDQCVSAFEAEMADIGGDRFAVDVFDVPGAYEIPLHARTLAETGR YGAVLGTAFVVNGGIYRHEFVASAVIDGMMNVQLSTGVPVLSAVLTPHNYHDSAEHHRFFFEHFTVKGKE AARACVEILAAREKIAAGSLEHHHHHH
>ヘキサプロ-フォルドン、免疫化のために使用(Wuhan-Hu-1);配列番号44
PFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLT PTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPGSASSVASQSIIAYTMSLG AENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGI AVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSPIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDC LGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGPALQIPFPMQMAYRFNGIG VTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTPSALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDI LSRLDPPEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLM SFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNT FVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVA KNLNESLIDLQELGKYEQGSGYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFLGRSLEVLFQGPGHHHHHHHHSAW SHPQFEKGGGSGGGGSGGSAWSHPQFEK
>ヘキサプロ-フォルドン、Rpk9-ヘキサプロ-フォルドンとの発現および安定性比較のために使用(Wuhan-Hu-1);配列番号45
MARAWIFFLLCLAGRALAQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWF HAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQF CNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYS KHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTF LLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNAT RFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQT GKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEG FNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTES NKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIH ADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPGSASSVASQSIIAY TMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNR
ALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSPIEDLLFNKVTLADAGFIK QYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGPALQIPFPMQMAYR FNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTPSALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISS VLNDILSRLDPPEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGK GYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQII TTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDR LNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQGSGYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFLGRSLEVLFQGPGHHHHHHHH

>Rpk9-ヘキサプロ-フォルドン(Wuhan-Hu-1);配列番号46
MARAWIFFLLCLAGRALAQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWF HAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQF CNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYS KHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTF LLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNAT RFASVYAWNRKRISNCVADFSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCWTNIYADSFVIRGDEVRQIAPGQT GKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEG FNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTES NKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIH ADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPGSASSVASQSIIAY TMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNR ALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSPIEDLLFNKVTLADAGFIK QYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGPALQIPFPMQMAYR FNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTPSALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISS VLNDILSRLDPPEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGK GYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQII TTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDR LNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQGSGYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFLGRSLEVLFQGPGHHHHHHHH

>hACE2-FC;配列番号47
AFLKEQSTLAQMYPLQEIQNLTVKLQLQALQQNGSSVLSEDKSKRLNTILNTMSTIYSTGKVCNPDNPQE CLLLEPGLNEIMANSLDYNERLWAWESWRSEVGKQLRPLYEEYVVLKNEMARANHYEDYGDYWRGDYEVN GVDGYDYSRGQLIEDVEHTFEEIKPLYEHLHAYVRAKLMNAYPSYISPIGCLPAHLLGDMWGRFWTNLYS LTVPFGQKPNIDVTDAMVDQAWDAQRIFKEAEKFFVSVGLPNMTQGFWENSMLTDPGNVQKAVCHPTAWD LGKGDFRILMCTKVTMDDFLTAHHEMGHIQYDMAYAAQPFLLRNGANEGFHEAVGEIMSLSAATPKHLKS IGLLSPDFQEDNETEINFLLKQALTIVGTLPFTYMLEKWRWMVFKGEIPKDQWMKKWWEMKREIVGVVEPVPHDETYCDPASLFHVSNDYSFIRYYTRTLYQFQFQEALCQAAKHEGPLHKCDISNSTEAGQKLFNMLRL GKSEPWTLALENVVGAKNMNVRPLLNYFEPLFTWLKDQNKNSFVGWSTDWSPYADPLVPRGSGGGGDPEP KSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNA KTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDE LTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQG
一過性遺伝子導入
Expi293F発現培地(Life Technologies)を用いて、33℃、70%湿度、8%CO、150rpmで回転下、浮遊状態で増殖させたExpi293F細胞中でSARS-CoV-2 SおよびACE2-Fcタンパク質を産生した。3.0百万細胞/mLの密度まで増殖させた細胞と共に、PEI-MAX(Polyscience)を使用して、培養物に遺伝子導入し、3日間培養した。上清を遠心分離(4000rcfで5分)することにより清澄化し、PDADMAC溶液を最終濃度の0.0375%まで加え(Sigma Aldrich、#409014)、2回目の遠心分離ステップ(4000rcfで5分)を行った。
CV30およびCR3022の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子をGenScriptに注文し、pCMV/Rにクローニングした。PEI MAX(Polyscience)遺伝子導入試薬を用いて、Expi293F細胞中の重鎖および軽鎖プラスミドの両方の一過性同時遺伝子導入により抗体を発現させた。細胞上清を採取し、上記のように、3または6日後に清澄化した。
糖タンパク質の精製
Hisタグ含有タンパク質をバッチ結合法により清澄化上清から精製した。この場合、各清澄化上清を1Mのトリス塩酸 pH8.0で45mMおよび5MのNaClの最終濃度まで補充し、313mMの最終濃度にした。Talonコバルト親和性樹脂(Takara)を処理した上清に添加し、緩やかな振盪を加えながら15分間インキュベートした。0.45μmのフィルターによる減圧濾過を用いて樹脂を収集し、重量カラムに移した。樹脂を10カラム体積の20mMのトリス pH8.0、300mMのNaClで洗浄し、結合タンパク質を3カラム体積の20mMのトリス pH8.0、300mMのNaCl、300mMのイミダゾールで溶出した。次に、同じ上清試料に対しバッチ結合工程を反復し、第1および第2の溶出液を混合した。SDS-PAGEを用いて純度を評価した。RBDベース構築物の収率の定量化のために、同等の培養条件および体積からのIMAC溶出液に、100mMのL-アルギニンおよび5%のグリセロールを補充し、1.5mLに濃縮した。続けて、濃縮試料を1mLのループにロードし、50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%のグリセロールでプレ平衡化したスーパーデックス75 Increase 10/300 GLカラム(単量体RBDの場合)またはSuperdex200 Increase 10/300GLカラム(I53-50A三量体へのRBD融合の場合)に適用した。Rpk9変異を含むおよび含まない場合のヘキサプロ-フォルドン構築物の収率の定量化のために、同等の培養条件および体積からのIMAC溶出液に、5%のグリセロールを補充し、1.5mLに濃縮し、続けて、これを1mLのループにロードし、50mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、0.25%w/vのL-ヒスチジン、5%のグリセロールでプレ平衡化したSuperose 6 Increase 10/300GLカラムに適用した。免疫化試験のために、ヘキサプロ-フォルドンをIMACにより精製し、50mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、0.25%w/vのL-ヒスチジン、5%のグリセロールに対し、室温で4時間にわたり3回の透析を実施した。
熱変性(ナノDSF)
50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%のグリセロールを含む緩衝液中でRBDベース試料を調製し、同時に、50mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、0.25%w/vのL-ヒスチジン、5%グリセロールを含む緩衝液中でヘキサプロ-フォルドンベース試料を調製した。1℃/分の昇温速度で20~95℃で収集した固有のトリプトファン蛍光発光スペクトルの重心平均に基づくUNcle(商標)(UNchained Labs)を用いて非平衡融解温度を測定した。融解温度は、融解曲線の一次導関数の最大点として定義され、一次導関数は、二次多項式設定を用いた4つの隣接点での平滑化後に、GraphPad Prism Softwareを使って計算された。
サイプロオレンジ蛍光:
5000x サイプロ(商標)オレンジタンパク質ゲル染色(Thermo Fisher)を25mMのトリス pH8.0、150mMのNaCl、5%グリセロール中で混合および希釈し、同じ緩衝液中で調製された単量体RBDにさらに加え、RBDで1.0mg/mLおよびサイプロ(商標)オレンジで20xの最終濃度とした。試料をUNcle(商標)Nano-DSF(UNChained Laboratories)にロードし、サイプロ(商標)オレンジを試料に添加の5分後、全ての試料の蛍光発光スペクトルを収集した。
I53-50B.4PT1の微生物タンパク質発現および精製
RBD-I53-50A、I53-50B.4PT1(配列番号17)に相補的な五量体ナノ粒子成分を、米国特許出願公開第2016/0122392号(この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように産生し、2OBX非構築対照五量体の精製にも同じプロトコルを使用した。
インビトロナノ粒子構築体:
精製した個々のナノ粒子成分の総タンパク質濃度を、UV/vis分光光度計(Agilent Cary 8454)を用いて280nmで総吸光度を測定することにより決定し、吸光係数を計算した。次の順番で加えて、室温で構築ステップを実施した:野生型または安定化RBD-I53-50A三量体融合タンパク質、続けて、必要に応じ目的の最終濃度を達成するために適量の緩衝液、および最後に、I53-50B.4PT1五量体成分(配列番号17)(50mMのトリス pH8.0、500mMのNaCl、0.75%w/vのCHAPS中、1.1:1のRBD-I53-50A:I53-50B.4PT1のモル比で)。適量の緩衝液は、50mMのトリス pH7.4、185mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、0.75%のCHAPS、4.5%のグリセロール(溶液安定性試験用)、または50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%のグリセロールを含んだ。全てのRBD-I53-50インビトロ構築物を緩やかに揺らしながら、2~8℃で少なくとも30分間インキュベートし、続けて、SECにより精製して、残留している構築されていない成分を除去した。Superose(商標)6 Increase 10/300 GLカラムをナノ粒子製造に使用した。構築粒子は、Superose(商標)6カラムを用いて、約11mLで溶出する。構築ナノ粒子は、カラムに適用の直前に、およびSEC画分のプール後に、濾過滅菌(0.22μm)された。
単量体RBDの動態解析のためのバイオレイヤー干渉法
Octet(商標)Red 96 システム(Pall ForteBio/Sartorius(登録商標))を用いて、25℃、1000rpmで振盪させながら、動力学的測定を実施した。全てのタンパク質および抗体を、黒色96ウェルGreiner Bio-oneマイクロプレート中の0.5%のウシ血清アルブミンおよび0.01%のツイーン-20を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中にウェル当り200μLで希釈した。ベースラインおよび解離ステップの場合には、緩衝液単独で使用した。CV30またはCR3022 IgGを事前水和プロテインAバイオセンサー(Pall ForteBio/Sartorius(登録商標))に10ug/mLで150秒間、続けて60秒間ベースラインをロードした。その後、バイオセンサーを、野生型または安定化単量体RBDの5つの2倍系列希釈の内の1つとの120秒間の結合ステップに移した。CV30の場合、125μM、62.5μM、31.3μM、15.6μMおよび7.8μMを、ならびにCR3022の場合、31.3μM、15.6μM、7.8μM、3.9μMおよび2.0μMのRBD濃度を使用した。結合後、バイオセンサーを300秒間、解離の緩衝液中に移した。結合および解離ステップ由来のデータからベースラインを減算し、1:1結合モデルを使用して動力学測定値を全5種の希釈RBD全体にわたり計算した(ForteBio(登録商標)分析ソフトウェアバージョン12.0)。
RBDナノ粒子の抗原性比率のためのバイオレイヤー干渉法
hACE2-Fc(二量体化受容体)およびCR3022 IgGの単量体RBDおよびRBD-I53-50ナノ粒子に対する結合をOctet(商標)Red 96システムを用いて、周囲温度で、1000rpmで振盪を加えながら解析した。タンパク質試料を動力学緩衝液(Pall ForteBio/Sartorius(登録商標))中で100nMに希釈した。その後、緩衝液、抗体、受容体、および免疫原を黒色96ウェルGreiner Bio-oneマイクロプレートに200μL/ウェルで適用した。プロテインAバイオセンサーを最初に動力学緩衝液中で10分間水和した後、固定化ステップで、動力学緩衝液中で10μg/mLに希釈したhACE2-FcまたはCR3022中に浸漬した。500秒後、ベースラインに到達させるために、チップを90秒間、動力学緩衝液に移した。ロードしたバイオセンサーを免疫原中に300秒間浸漬することにより、結合ステップを実施し、その後、動力学緩衝液中にバイオセンサーを戻して、さらに300秒間浸漬することにより、解離ステップを実施した。データからベースラインを減算した後に、ForteBio(登録商標)分析ソフトウェア(バージョン12.0)を用いてプロットした。
陰性染色電子顕微鏡観察
野生型RBD-I53-50ナノ粒子およびRpk-I53-50ナノ粒子を最初に、50mMのトリス pH8、150mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、5%v/vのグリセロール中の75μg/mLに希釈した後、3μLの試料を新たにグロー放電させた300メッシュ銅グリッドに適用した。試料をグリッド上で1分間インキュベートした後、グリッドを50μLの水滴中に浸漬し、過剰な液体を濾紙で吸い取った。その後、グリッドを3μLの0.75%w/vギ酸ウラニル染料に浸漬した。染料を濾紙で拭き取った後に、グリッドを別の6μLの染料に浸漬し、約90秒インキュベートした。最後に、染料を吸い取り、グリッドを1分間乾燥させた後、貯蔵または画像処理した。調製したグリッドをGatan(商標)カメラを57,000xで用いて、Talos(商標)モデルL120C透過型電子顕微鏡で撮像した。
動的光散乱
UNcle(商標)(UNChained Laboratories)を使用し、動的光散乱(DLS)により、RBD-I53-50ナノ粒子試料の流体力学的径(Dh)および多分散度(%Pd)を測定した。試料を8.8μLの石英キャピラリーカセット(UNi(商標)、UNChained Laboratories)に適用し、レーザーの自動減衰を使用して、それぞれ5秒ずつ10回の取込で測定した。Dhの測定では、RBDナノ粒子緩衝液中の5%v/vグリセロールによる粘度の増大は、UNcle(商標)Clientソフトウェアにより考慮された。
エンドトキシン測定
タンパク質試料中のエンドトキシンレベルをEndoSafe(商標)Nexgen-MCS System(Charles River)を使って測定した。試料をエンドトキシン不含LAL試薬水中で1:50または1:100に希釈し、EndoSafe(商標)LAL試薬カートリッジのウェルに適用した。Charles River EndoScan(商標)-Vソフトウェアを用いて、エンドトキシン含量を分析した。これは、希釈因子を自動的に逆算する。エンドトキシン値は、EU/mLで報告され、その後、可視・紫外分光測定に基づいてEU/mgに変換された。我々の免疫化に好適する試料のための閾値は、<100EU/mgであった。
可視・紫外分光法
Agilent Technologies Cary 8454を用いて、紫外線-可視分光光度法(UV-Vis)測定を採用した。試料を10mm、50μL石英セル(Starna Cells,Inc.)に適用し、180~1000nmの吸光度を測定した。測定値から単一基準波長ベースラインを減算した280nmでの正味吸光度を、計算した吸光係数および分子量と共に用いて、タンパク質濃度を得た。320/280nmでの吸光度の比率を用いて、リアルタイム安定性試験試料における相対的凝集レベルを測定した。試料をそれぞれのブランキング緩衝液で希釈して、0.1~1.0の吸光度を得た。UV/Vis装置から生成した全てのデータを845x UV/可視Systemソフトウェアで処理した。
水素/重水素交換質量分析
3mgのRBD-I53-50A、Rpk4-I53-50A、およびRpk9-I53-50A三量体を、重水素化緩衝液(pH7.5、85%DO、Cambridge Isotope Laboratories,Inc.)中、22℃で、3、15、60、1800、および72000秒間、H/D交換(HDX)した。その後、2.5の最終pHのために、交換試料を氷冷クエンチ緩衝液(200mMのリン酸トリス(2-クロロエチル)(tris(2-chloroethyl)phosphate)(TCEP)、8Mの尿素、0.2%ギ酸(FA))と1:1に混合し、液体窒素中で直ちに急速冷凍した。全てのカラム、ループ、弁、および配管を0℃に保持する特注のロードシステムを用いて、Synapt(商標)G2-Si質量分析計で試料をLC-MSにより分析した。凍結試料を氷上で解凍し、カスタムパックした固定化ペプシンカラム(2.1x50mm)に200mL/分の流量の2%アセトニトリル含有0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)と共にロードした。ペプチドをWaters CSH C18トラップカートリッジ(2.1x5mm)で捕捉後、Waters CSH C18 1x100mm 1.7μmカラムで3%~40%Bの直線勾配を用いて18分かけて分離した(A:98%水、2%アセトニトリル、0.1%FA、0.025%TFA;B:100%アセトニトリル、0.1%FA、40mL/分の流量)。持ち越し汚染を最小化するために、実験試料間で一連の洗浄を実施した。特に指定されない限り、使用した全ての水および有機溶媒は、MSグレード(Optima(商標)、Fisher)とした。各試料シリーズに対する完全重水素化対照は、ペプシン消化非重水素化試料からのLC溶出液収集、speedvac乾燥、重水素化緩衝液中の85℃で1時間のインキュベーション、および全ての他のHDX試料と同じクエンチにより作製された。内部交換標準(Pro-Pro-Pro-Ile[PPPI]およびPro-Pro-Pro-Phe[PPPF])を各試料に添加し、全ての試料に対し、一貫した標識条件を確保した。
ペプチド参照リストは、変異を含む新規ペプチドの追加により野生型RBDペプチドリストから更新された。DriftScope(商標)を用いてこれらのペプチドをマニュアルで検証し、直交保持時間とドリフト時間座標で特定した。HX-Express v2で重水素取り込み分析を実施した。ペプチドm/z値に基づいてペプチドスペクトルからピークを特定し、二項式フィッティングを適用した。重水素取り込みレベルを完全重水素化対照に対し正規化した。
マウス免疫化
4週齢の雌BALB/c(ストック:000651)マウスを購入した。6週齢で、投与群当り6匹のマウスにプライム免疫でワクチン接種し、3週後、2回目のワクチン接種によりマウスに追加免役した。接種の前に、免疫原懸濁液をAddaVax(商標)アジュバントと1:1vol/volで穏やかに混合して、0.009または0.05mg/mL抗原の最終濃度に到達させた。27標準規格注射針を用いて、注入部位当り50μL(合計100μL)の免疫原を、イソフルラン麻酔下でマウスの各後肢の腓腹筋中に筋肉注射した。全マウスの血清を得るために、プライムおよび追加免役後2週後に採血した。オトガイ下静脈穿刺経由で血液を収集し、1.5mLのプラスチックエッペンドルフチューブ中、室温で30分間静置し、凝血させた。2,000gで10分間の遠心分離により、ヘマトクリットから血清を分離した。分離血清中の補体因子および病原体を56℃で60分間のインキュベーションにより加熱不活性化した。使用するまで、血清を4℃または-80℃で貯蔵した。
ELISA
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いてマウス血清の送達された抗原に対する結合を測定した。簡単に説明すると、Maxisorp(商標)(Nunc(登録商標))ELISAプレートを4℃で、0.1Mの重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.4中の、ウェル当り0.08μg/mLの目的のタンパク質を一晩コートした。次に、プレートをドライミルク粉末の0.05%v/vツイーン20を含むTBS中の4%(w/v)溶液(TBST)で、室温下、1時間ブロックした。系列希釈した血清をプレートに加え、洗浄後、水素ペルオキシダーゼ結合ウマ抗マウスIgG抗体を用いて、抗体結合を顕色させた。次にプレートをTBST中で完全に洗浄し、比色分析基質(TMB、Thermo Fisher)を加え、450nmで吸光度を読み取った。曲線下面積(AUC)計算は、吸光度測定およびベースラインの隣接対間で生成される台形領域を追加して作成された。パイソンのSciPyライブラリーを用いて、中点力価計算値(EC50)を当てはめた4点ロジスティック方程式に基づいて生成した。この場合、EC50は、カーブがその最大の50%に達する血清希釈であった。
レンチウィルスベース偽ウィルス中和アッセイ
スパイク偽型レンチウィルス中和アッセイ中和アッセイを(67)に実質的に記載のように実施した。プロトコルをこの試験のために21アミノ酸細胞質側末端短縮化を有するSARS-CoV-2スパイクを使用するように修正した。この短縮化は、スパイク偽型レンチウィルス力価およびD614G変異を増大させ、これは、今日では、ヒトSARS-CoV-2中で最も多い。このスパイク、HDM_Spikedelta21_D614Gをコードするプラスミドは、Addgene(#158762)またはBEI(NR-53765)から入手でき、完全配列は、ワールドワイドウェブ:addgene.org/158762で入手できる。
手短に説明すると、293T-ACE2細胞(BEI NR-52511)を、ポリ-L-リシン被覆黒色壁透明底96ウェルプレート(Greiner 655930)に、ウェル当り1.25x10個の細胞を50uL D10増殖培地(10%加熱不活性化FBS、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシン含有DMEM)中に播種した。翌日、マウス血清試料を56℃で30分間加熱不活性化した後、D10増殖培地中で系列希釈した。スパイク偽型レンチウィルスを1:50に希釈し、ウェル当り約200,000RLUを得て、血清希釈物と共に37℃で1時間インキュベートした。次に、100μLのウィルス-血清混合物を細胞に加え、約52時間後、Bright-Glo(商標)Luciferase Assay System(Promega(登録商標),E2610)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。中和アッセイの各バッチには、2017~2018年に収集したヒト血清の陰性対照試料および既知の中和抗体を含め、バッチ間の一貫性を確保した。各ウェルの感染率は、プレートの同じ横列中の2つの「無血清」対照ウェルと比較して計算した。各血清試料に対し、「neutcurve」パッケージ(jbloomlab.github.io/neutcurveバージョン0.5.2のワールドワイドウェブで入手可能)を用いて、下端を0に固定し、上端を1に固定したHill曲線に当てはめることにより、阻害濃度50%(IC50)および単純に1/IC50である中和力価50%(NT50)を計算した。全ての中和アッセイデータは、ワールドワイドウェブ:github.com/jbloomlab/RBD_nanoparticle_vaccineで入手できる。
MLVベース偽ウィルス中和アッセイ
MLVベースSARS-CoV-2 S偽型を次に報告のように調製した(AC Walls et al.Cell 181,281-292.e6(2020);AC Walls et al.Cell 183,1367-1382.e17(2020);AC Walls et al.Elicitation of broadly protective sarbecovirus immunity by receptor-binding domain nanoparticle vaccines,dx.doi.org/10.1101/2021.03.15.435528;JK Millet & GR Whittaker.Bio Protoc 6(2016))。手短に説明すると、HEK293T細胞をリポフェクタミン(商標)2000(Life Technologies)を用いて、SARS-CoV-2 Sコードプラスミド、MLV Gag-Polパッケージング構築物、およびルシフェラーゼレポーターをコードするMLV導入ベクターと共に、製造業者の説明書に従って、同時遺伝子導入した。細胞をOpti-MEMで3回洗浄し、37℃で遺伝子導入培地と共に5時間インキュベートした。10%FBSを含むDMEMを60時間にわたり添加した。2,500gで回転させることにより上清を採取し、0.45にμmのフィルターを通して濾過し、100kDa膜を用い、2,500gで10分間濃縮した後、分取し、-80℃で貯蔵した。
中和アッセイのために、HEK-hACE2細胞を、10%FBS(Hyclone)および1%PenStrepを含むDMEM中、8%CO下、37℃のインキュベーター(ThermoFisher)中で培養した。感染の1日以上前に、40μLのポリリジン(Sigma)を96ウェルプレート中に置き、回転させながら5分間インキュベートした。ポリリジンを除去し、プレートを5分間乾燥し、水で1回洗浄後、HEK-hACE2細胞を播種した。翌日、細胞を80%集密度であることを検査した。ハーフエリア96ウェルプレートを用いて、DMEM中で、最終体積22μLで血清の1:3段階希釈を作製した。その後、22μLの偽ウィルスを段階希釈に加え、室温で30~60分間インキュベートした。混合物を細胞に加え、2時間後、44μLの20%のFBSおよび2%のPenStrepを補充したDMEMを加え、細胞を48時間インキュベートした。48時間後、40μL/ウェルのOne-Glo-EX(商標)基質(Promega)を細胞に加え、暗所で5~10分間インキュベートした後、BioTek(商標)プレートリーダーで読み取った。正規化応答に対するlog(阻害剤)の非線形回帰を使用して、カーブフィットからIC50値を決定した。
定量化および統計解析
GraphPad Prism8のDunnの事後解析とノンパラメトリッククラスカル・ワリス検定を用いて多群比較を実施した。P値が0.05未満の場合、差異は有意であると見なされた。統計方法およびP値の範囲は、図および図表の凡例中に見つけることができる。
結果
SARS-CoV-2 S RBDの次の5つの変異を安定化RBD抗原の設計の出発点と見なした:I358F、Y365F、Y365W、V367FおよびF392W。融合前S外部ドメイン三量体(PDB ID 6VXX)のクライオEM構造を用いて、PyMol(商標)およびRosetta(商標)で5個の変異を解析した。V367F変異のみが溶媒に露出されていることがわかり、従って、抗原性を好ましくないように変えるリスクを回避するために、安定化RBD設計に含めることを考慮しなかった。他の4つの変異は、最近特定されたリノール酸(LA)結合ポケットの近くまたはそれ内で観察され、Y365はこの相互作用のための重要なゲーティング残基として特定された(図2A~2B)。LA結合ポケット中のいくつかの変異に対するDMSにより観察された発現および安定性の改善は、RBDのこの領域が、構造的に準最適であることを示した。
次に、これらの変異の組み合わせがRBDのこれらのおよび他の特性をさらに改善し得るかどうかを探索した。I358F、Y365F、Y365Wおよび/またはF392Wの1つまたは複数をモデル化し、同時に、近くの残基の変異も可能にするコンピュータープロトコルを、Rosetta(商標)で開発した(図2C)。これらの4つの検証されたLA結合ポケット内の変異のいずれかの含有を強制しない設計トラジェクトリーも実施され、その代わりに、Rosetta(商標)が同じ領域中で一連の新規安定化変異を設計するのを可能にする。完全S外部ドメイン(PDB ID 6VXX)の場合、およびRBD単量体(PDB ID 6YZ5)の結晶構造の両方で全ての設計トラジェクトリーが実施され、LA結合ポケットの周りの領域で、僅かに異なる骨格高次構造を示した。空洞を充填するおよび/または覆い隠された極性基を除去する変異を有する17種のリパック設計(「Rpk」と略称)が実験解析のために選択され、DMSで特定した個別の変異のいくつかもまた、比較のために含まれた(表1)。
Figure 2024502823000008
設計は、二十面体I53-50ナノ粒子中に組み込むことができるI53-50Aナノ粒子三量体に対するWuhan-Hu-1 RBDの遺伝子融合に関連して選別され、60コピーのRBDを提示するワクチン候補としてのそれらの評価を可能にする。安定化RBDアミノ酸配列は、従って、哺乳動物発現のためにベクターにクローニングされ、I53-50A配列C末端は抗原に融合され、2つのドメインは16残基可撓性Gly-Serリンカーにより連結された。
安定化設計は、I53-50A三量体および陰性対照プラスミドに融合された野生型RBD(「RBD」)と一緒にHEK293F細胞から分泌された。細胞培養上清の還元SDS-PAGEは、全ての設計に対し、野生型に比べて、高められた発現を示した(図1A)。さらに、非還元SDS-PAGEは、各設計により形成されたジスルフィド結合二量体の量の著しい差異を示した(図1A)。F392W変異を含む設計は、著しく低レベルのジスルフィド結合二量体を産生した。LA結合ポケット空洞を部分的に充填するF392Wに加えて、この変異のC391~C525のジスルフィドに対する近接は、それがこれらのシステインを含むオフターゲット分子間ジスルフィド形成に適さないことを示す。
2種の設計を単量体および三量体の両方として次記をより詳細な解析のために選択した:Rpk4、これは、F392W単独を特徴とし、およびRpk9、これはF392WとDMS特定によるY365Fを組み合わせて、覆い隠された側鎖ヒドロキシル基を除去するために、およびRosetta特定によるV395Iと組み合わせて、生じた空洞を疎水性充填物で再充填するために(データは示さず)。HEK293F細胞からの規模拡大発現および固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による精製は、Rpk4およびRpk9両方で、単量体としておよびI53-50A三量体への融合体として、高められた収率を確証し、Rpk9は、I53-50A三量体の明確な利点を示した(図4A&10A)。全ての構築物は、低いレベルのオフターゲットジスルフィド結合ダイマー形成を特徴とし、安定化RBD設計におけるF392W包含の重要性を強調する。単量体および三量体の両方に対し、固有のトリプトファン蛍光を監視して、ナノ示差走査蛍光定量法(ナノDSF)により融解温度(T)を測定し、野生型対応物と比較して、Rpk4タンパク質で1.9~2.4℃の増大およびRpk9タンパク質で3.8~5.3℃の増大を示した(図4B)。全ての単量体RBDは、円偏光二色性分光分析により識別不能であり、95℃での変性後、リフォールディングするように見えた(図10B)。さらに、I53-50A三量体に融合した安定化RBDの水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)は、野生型RBDに比べて、LA結合ポケット中の2つの異なるペプチドセグメント中で減少した重水素取り込みを示し(図4C、図11)、安定化設計における改善された局所的秩序化を示す。ACE2結合モチーフを含む、LA結合ポケットから離れたペプチドセグメントは、野生型に比べて、保存された構造規則性を示した。構造規則性をさらに評価するために、3種全ての単量体RBDを別々にサイプロオレンジ染料と混合し、疎水基の露出を測定した(図4D)。Rpk4とRpk9の両方は、野生型RBDに比べて、低減したシグナルを示し、Rpk9は、最小の蛍光を生成し、安定化RBD中のLA結合ポケットの改善された局所秩序がより少ない疎水性露出を生ずることを示す。HDX-MSデータと一致して、抗原部位Iaを認識する抗体CV30の結合により評価して(Hurlbut et al.Nature Communications 11:5413(2020))、どの安定化変異セットもACE2結合モチーフの抗原性に影響を与えなかった(図4E)。位置IIcおよびLA結合ポケットにより近い位置に対して、非中和抗体CR3022(Yuan et al.Science 386:630-644(2020))への親和性は、わずかに減少した(<3.5倍)。まとめると、両セットの安定化変異は、抗原の発現、熱安定性、および構造規則性を高めたが、一方、抗原性に最小限の影響を与え、Rpk9は、単量体RBDおよびI53-50A三量体に対するそれらの遺伝子融合体の両方に対し、全ての範疇で優れた改善を示した。
安定化変異は単離RBDを考慮して設計されたが、このような変異はまた、完全S外部ドメインに関しても評価された。T4フィブリチンフォルドンに融合された融合前安定化ヘキサプロ抗原の総収率は、Rpk9変異で測定され(Rpk9-ヘキサプロ-フォルドン)、野生型バージョン(ヘキサプロ-フォルドン)と比較された。用語「ヘキサプロ」は、4つの有益なプロリン置換(F817P、A892P、A899P、A942P)ならびにS-2Pに2つのプロリン置換(986および987のプロリン)を有するスパイクタンパク質を意味する。Hsieh et al.Science 369:1501-05(2020)を参照されたい;Rpk9変異で収率のわずかな改善が認められたが、わずかに早期のSEC溶出体積が観察され、これは、S外部ドメインに関連する安定性の低減を示し得る。Rpk9-ヘキサプローフォルドンは、ヘキサプロ-フォルドンと類似のナノDSFプロファイルを示したが、60℃超で起こる固有の蛍光の変化は、Rpk9-ヘキサプロ-フォルドンでわずかに加速された(図8C)。陰性染色電子顕微鏡観察(nsEM)は、典型的融合前スパイク形態が、主に変異と共に維持されたことを明らかにした(図8D)。これらのデータは、LA結合ポケットに対する変異を融合前スパイク三量体に組み込むことは可能であるが、Rpk9変異の安定化効果は、単離RBDに特有であるように見えることを示す。
RBD安定化変異が、グリセロール、L-アルギニン、および洗浄剤3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)(これは、別の方法では、ナノ粒子免疫原の調製を安定化するために使用され得る)を欠く単純な緩衝液中で、ナノ粒子の安定化を改善するかどうかを次に調査した。相補性I53-50B.4PT1五量体成分(配列番号17)の添加により、野生型および安定化RBD-I53-50A三量体をナノ粒子(RBD-I53-50、Rpk4-I53-50、およびRpk9-I53-50)に構築した(図5A)。過剰残留成分を、グリセロール、L-アルギニン、およびCHAPSと共にトリス緩衝食塩水(TBS)を含む移動相を用いてSECにより除去し、高度単分散ナノ粒子の形成を陰性染色電子顕微鏡観察(nsEM)により確認した(図5B)。次に、精製ナノ粒子を小量の賦形剤を含む緩衝液中に透析し、凍結/解凍単一サイクルの前後に溶液安定性を評価した(図5C~5E)。グリセロールおよびL-アルギニンを補充したTBS中で、野生型RBD-I53-50は、UV-Vis分光法(図5C)、動的光散乱(DLS)(図5D)によりわずかな凝集の徴候を示したが、これは、Rpk4-I53-50およびRpk9-I53-50では観察されなかった。溶液安定性の差異は、グリセロールのみを含むTBS中への透析後さらに対比された:Rpk4-I53-50およびRpk9-I53-50は両方とも、RBD-I53-50より高い凝集耐性であり、固定化ヒトACE2(hACE2-Fc)およびCR3022に対する結合をより良好に維持した(図5E)。TBS単独への透析は、全ての試料の凝集および抗原性の減少の明確な証拠を示し、Rpk9-I53-50は、RBD-I53-50およびRpk4-I53-50よりもわずかに良好に抗原性を維持した。安定化RBDに対し観察された溶液安定性の改善は、それらの高められた熱安定性および構造規則性と一致するように見え、ワクチン製造に高度に関連する配合物安定性におけるわずかであるが、重要な改善を提供する。
次に、安定化RBDの免疫原性をマウスでの免疫化試験で評価した。野生型および安定化RBDを含む免疫原は、次の2つのフォーマットで調製された:各抗原を提示するI53-50ナノ粒子、およびほぼ同等のタンパク質の非構築対照で、この場合、I53-50Aに対する三量体融合体は、わずかに改変された、ナノ粒子構築を促進する疎水性界面を欠く五量体足場と混合された(「2OBX」;配列番号43;図6A)。三量体およびナノ粒子フォーマット中の異なるRBDの免疫原性の評価を可能にすることに加えて、この比較はまた、ナノ粒子構築の効果も考慮に入れる。全てのナノ粒子免疫原は、グリセロールおよびL-アルギニンを補充したトリス緩衝食塩水(TBS)中で調製され、一方、野生型RBD-I53-50ナノ粒子はまた、他の免疫原性試験との直接比較を可能にするCHAPSをさらに含む緩衝液中でも調製された。ヘキサプロ-フォルドン(野生型RBDを特徴とする)を対照薬として含めた。雌BALB/cマウスを各免疫原で、3週間隔で2回免疫し、各免疫化の2週間後に血清を収集した(図6A)。全ての投与量をRBDのモル量で投与し、AddaVaxアジュバントを含めた。
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、ヘキサプロ-フォルドンに対する結合力価を測定し、曲線下面積(AUC)(図6B)および中間点力価(図12A)を測定することにより解析した。全てのナノ粒子群由来の血清は、初回刺激後、ヘキサプロ-フォルドンよりもわずかに高い、および非構築対象よりも顕著に高い特異的抗体レベルを示した。結合シグナルは、2回目の免疫化後、全ての群で増大し、それらの間の区別は少ない。レンチウィルス骨格を用いた偽ウィルス中和は、初回刺激後に類似の傾向を示し、全てのナノ粒子群は、非構築対照に比べて、顕著に高い中和活性を示し、およびヘキサプロ-フォルドンより、ほぼ2桁程度さらに強力な中和を示す(図6C)。中和は、2回目の免疫化後に全ての群で強く増大し、ナノ粒子およびヘキサプロ-フォルドンは、最高レベルの中和活性を示した。種々のナノ粒子群間または種々の非構築対照群間の各時点で、中和活性の顕著な差異はなかった。マウス白血病ウィルス(MLV)骨格を用いた異なる偽ウィルスアッセイで同等の結果が得られた(図12B)。これらのデータは、安定化RBDは、三量体または粒子状、微粒子フォーマットで存在する場合、野生型RBDと類似の免疫原性であり、ナノ粒子提示は、特に、単回免疫化後に、RBD免疫原性を顕著に高めることを確証した。
SARS-CoV-2ワクチンの貯蔵寿命安定性に対する改善は、製造および配布を簡略化することにより、世界的ワクチン接種の努力を直接高める潜在力を有する。2種の安定化RBDナノ粒子免疫原の安定性は、-80℃、2~8℃、22~27℃および35~40℃での28日間にわたる貯蔵に関し、DLS(図7A)、BLI(図7B)、SDS-PAGE、およびnsEM(図7C)により、野生型RBD-I53-50と比較された。-80℃、2~8℃、または22~27℃でのいずれの免疫原に関しても、調査期間中、ベースラインからの顕著なずれは観察されなかった。しかし、野生型RBD-I53-50の35~40℃で28日間の貯蔵は、DLSおよびnsEMで検出可能な凝集および顕著な抗原性の低下に繋がった。対照的に、粒子安定性および抗原性の両方は、Rpk4-I53-50およびRpk9-I53-50における、35~40℃で28日間の貯蔵で維持された。これらの結果は、RBD中の安定化変異は、それらの強力な免疫原性を損なうことなく、RBDベースナノ粒子免疫原の製造性および安定性を改善できることを確証した。
構造に基づくタンパク質設計は、可能な設計空間を特に有用な領域および変異に絞る実験的情報により大きく促進できる。本命書で、ウィルス糖タンパク質安定化の指針となるDMSデータの有用性が、SARS-CoV-2 S RBDのLA結合ポケットを構造上準最適な領域として特徴付け、潜在的安定化変異の識別点を提供することにより、実証された。これらのデータに導かれて、Rosetta(商標)での構造的モデル化は、追加の安定化変異ならびに有望な変異の組み合わせを特定した。実験的に選別された全ての設計は、野生型RBDの発現の改良に成功し、これは、多くの純粋に構造に基づく設計実験に比べて、異常に高効率である。
RBDバリアントのこの完全な生化学的および生物物理学的特徴付けは、発現を高め;オフターゲットジスルフィドを最小化し;ローカル構造規則性を改善し;および熱、溶液、および貯蔵寿命安定性を増大させる設計を発明者らが選択するのを可能にし、同時に、I53-50ナノ粒子上に提示される野生型RBDの強力な免疫原性を維持した。詳細に試験した2種の変異体の内の、Rpk4(F392W)は、より保存的で、単一アミノ酸変化のみを特徴とするが、特に発現および熱安定性を改善する追加の変異を含むRpk9(Y365F、F392W、V395I)に比べて安定化が小さかった。理論に束縛されることを意図するものではないが、発明者らは、Rpk4-およびRpk9-I53-50の改善された溶液特性が、HDX-MSおよびサイプロオレンジ蛍光により示されるように、局所構造規則性の改善および低減した疎水性表面領域露出に由来する可能性が最も高いと推測した。より一般的には、これらの結果は、他のRBD抗原は、LA結合ポケットの開放および密閉状態の間の遷移状態などの、S外部ドメインの既存の構造または単離RBDで観察されない動的高次構造を取るかもしれないという可能性を生じさせる。
野生型RBD-I53-50ナノ粒子に比べて、Rpk4-およびRpk9-I53-50の同様に強力な免疫原性は、RBDに対する中和応答の主要焦点である、ACE2結合モチーフの天然様の抗原性、および安定化変異は、抗原の表面上には露出していないという事実と一致する。これらの免疫原性データはまた、高い原子価RBDナノ粒子免疫原は、特に、単回免疫化後に、三量体型のRBDよりはるかに高い免疫原性であることを明確に実証する。三量体スパイク(ヘキサプロ-フォルドン)は、三量体RBDよりも高いレベルの中和活性を誘発する。この結果は、スパイクの状況からRBDを除去し、同時に、そのオリゴマー状態を維持することは、RBDに対する抗体応答を改善するために本質的に好都合ではなく、RBDベースワクチンにおけるナノ粒子提示の重要性を明確に示すことを実証する。
観察された製造性、安定性、および溶液特性の改善は、SARS-CoV-2のためのタンパク質ベースワクチンの製造および配布に大きな影響を与えたであろう。SARS-CoV-2ワクチンは、抗原変異に対応して、既に更新されているので、このような改善は、新規SARS-CoV-2株から得られた抗原の安定性または溶液特性の予期しない変化に対するワクチン作製の規模と速度ならびにバッファリングを最大化するために重要であり得る。さらに、種々の温度での改善された変性に対する抵抗性および貯蔵寿命安定性は、低温流通体系を欠く世界の発展途上の領域での信頼性の高い配布に対し特に顕著な効果があり得る。最後に、SARS-CoV-2の出現の前の融合前安定化「2P」変異の知識は、世界的流行応答への取り組みにとって不可欠であることが立証されたので、RBDに対する安定化変異を用いた確実にワクチン製造性を改善する能力は、ヒトへクロスオーバーする恐れがある人獣共通感染症の新たな感染源中で循環する他のコロナウィルスに対するワクチン設計を最適化するための重要なツールであり得る。

Claims (73)

  1. 配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1のRBDに比べて、少なくとも2つの変異をさらに含む非天然起源ポリペプチドであって、前記少なくとも2つの変異が、
    F338L/Y365W;
    Y365W/L513M;
    Y365W/F392W;
    F338M/A363L/Y365F/F377V;
    Y365F/F392W;
    Y365F/V395I;
    Y365F/F392W/V395I;
    Y365W/L513I/F515L;
    F338L/A363L/Y365M;
    F338L/I358F/Y365W;
    I358F/Y365W/L513M;
    I358F/Y365W/F392W;
    F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;
    I358F/Y365F/F392W;
    I358F/Y365F/V395I;
    I358F/Y365F/F392W/V395I;
    I358F/Y365W/L513I/F515L;および
    F338L/I358F/A363L/Y365M
    からなる群より選択されるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある、非天然起源ポリペプチド。
  2. 配列番号1の残基328~531と、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルスの受容体結合ドメインの対応する残基と、少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、
    配列番号1のRBDまたは前記第2のコロナウィルス中の対応する残基に比べて、少なくとも2つの変異をさらに含み、
    前記少なくとも2つの変異が、前記少なくとも2つの変異を欠く野生型ポリペプチドの安定性に比べて、前記ポリペプチドの安定性を高める、非天然起源ポリペプチド。
  3. 前記少なくとも2つの変異が、配列番号1のアミノ酸位置:
    338&365;
    365&513;
    365&392;
    338、363、365&377;
    365&392;
    365&395;
    365、392&395;
    365、513&515;
    338、363&365;
    338、358&365;
    358、365&513;
    358、365&392;
    338、358、363、365&377;
    358、365&392;
    358、365&395;
    358、365、392&395;
    358、365、513&515;および/または
    338、358、363&365
    にあるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 前記少なくとも2つの変異が、配列番号1の:
    F338L/Y365W;
    Y365W/L513M;
    Y365W/F392W;
    F338M/A363L/Y365F/F377V;
    Y365F/F392W;
    Y365F/V395I;
    Y365F/F392W/V395I;
    Y365W/L513I/F515L;
    F338L/A363L/Y365M;
    F338L/I358F/Y365W;
    I358F/Y365W/L513M;
    I358F/Y365W/F392W;
    F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;
    I358F/Y365F/F392W;
    I358F/Y365F/V395I;
    I358F/Y365F/F392W/V395I;
    I358F/Y365W/L513I/F515L;および
    F338L/I358F/A363L/Y365M
    からなる群より選択されるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある、請求項2または3に記載のポリペプチド。
  5. 配列番号1のRBD以外の追加のアミノ酸残基をさらに含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. 前記コロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)が、配列番号1の残基328~531と少なくとも95%の同一性を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  7. 配列番号1のアミノ酸位置:
    338&365;
    365&513;
    365&392;
    338、363、365&377;
    365&392;
    365&395;
    365、392&395;
    365、513&515;
    338、363&365;
    338、358&365;
    358、365&513;
    358、365&392;
    338、358、363、365&377;
    358、365&392;
    358、365&395;
    358、365、392&395;
    358、365、513&515;および/または
    338、358、363&365
    にあるか、または前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある前記少なくとも2つの変異が、野生型に比べて、前記受容体結合ドメイン中の変異のみである、請求項2~6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  8. 前記RBDポリペプチドの発現が、細胞中で発現される場合、前記少なくとも2つの変異を欠く前記野生型RBDポリペプチドの発現に比べて、増大する、請求項2~7のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  9. 前記RBDポリペプチドが、コロナウィルス抗体に結合する、またはコロナウィルスの同族受容体に結合する、請求項2~8のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  10. 前記コロナウィルス抗体が、SARS-CoV-2抗体を含む、請求項9に記載のポリペプチド。
  11. 前記ポリペプチドに対応するコロナウィルスのための前記受容体が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)受容体を含む、請求項9に記載のポリペプチド。
  12. 前記ACE受容体が、ACE2受容体である、請求項11に記載のポリペプチド。
  13. 前記第2のコロナウィルスが、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス(SARS-CoV);中東呼吸器症候群(MERS);229E;NL63;OC43;またはHKU1から選択されるコロナウィルスの配列を含む、請求項2~12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  14. 配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を含む、請求項2~13のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  15. 前記RBDが第2の異種ポリペプチドに融合される、請求項2~14のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  16. 前記RBDが、ナノ粒子、ナノ構造体または異種の足場タンパク質に融合される、請求項15に記載のポリペプチド。
  17. 前記RBDポリペプチドおよび/または前記第2のポリペプチドが、抗原性のポリペプチドである、請求項2~16のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  18. 請求項1~17のいずれか1項に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む、組成物。
  19. アジュバントをさらに含む、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記組成物の貯蔵寿命が、前記少なくとも2つの変異を欠く野生型RBDポリペプチドを含む組成物より長い、請求項18または19に記載の組成物。
  21. ワクチンとして処方される、請求項18~20のいずれか1項に記載の組成物。
  22. 少なくとも2つの変異を含み、前記少なくとも2つの変異が、少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を含む、非天然起源コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチド。
  23. 前記少なくとも2つの変異が、前記少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を欠く野生型ポリペプチドの安定性に比べて、前記コロナウィルスポリペプチドの安定性を高める、請求項22に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  24. 前記少なくとも1つの空洞充填変異が、前記コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1のリノール酸結合ポケット中の残基の変異を含む、請求項22または23に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  25. 前記少なくとも1つの空洞充填変異が、配列番号1の残基328~531内の残基の変異、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基にある変異を含む、請求項22~24のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  26. 前記少なくとも1つの空洞充填変異が、残基335~345;355~375、または378~395の間の配列番号1の残基の変異、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基にある変異を含む、請求項22~25のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  27. 前記少なくとも1つの空洞充填変異が、アミノ酸336、338、341、342、358、361、363、365、368、374、377、387、または392にある配列番号1の残基の変異、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルスの配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基の変異を含む、請求項22~26のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  28. 前記少なくとも1つの空洞充填変異および前記少なくとも1つの第2の変異が、配列番号1の残基
    338&365;
    365&513;
    365&392;
    338、363、365&377;
    365&392;
    365&395;
    365、392&395;
    365、513&515;
    338、363&365;
    338、358&365;
    358、365&513;
    358、365&392;
    338、358、363、365&377;
    358、365&392;
    358、365&395;
    358、365、392&395;
    358、365、513&515;および/または
    338、358、363&365
    にあるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基にある、請求22~27のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  29. 前記少なくとも1つの空洞充填変異および前記少なくとも1つの第2の変異が、配列番号1の:
    F338L/Y365W;
    Y365W/L513M;
    Y365W/F392W;
    F338M/A363L/Y365F/F377V;
    Y365F/F392W;
    Y365F/V395I;
    Y365F/F392W/V395I;
    Y365W/L513I/F515L;
    F338L/A363L/Y365M;
    F338L/I358F/Y365W;
    I358F/Y365W/L513M;
    I358F/Y365W/F392W;
    F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;
    I358F/Y365F/F392W;
    I358F/Y365F/V395I;
    I358F/Y365F/F392W/V395I;
    I358F/Y365W/L513I/F515L;および
    F338L/I358F/A363L/Y365M
    からなる群より選択されるか、またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の対応する残基から選択される、請求項22~28のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  30. 前記コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドが、配列番号1の残基328~531またはプロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の配列との配列アラインメントにより決定される前記第2のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1の受容体結合ドメイン配列と少なくとも95%の同一性を含む、請求項22~29のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  31. 配列番号1のアミノ酸位置:
    338&365;
    365&513;
    365&392;
    338、363、365&377;
    365&392;
    365&395;
    365、392&395;
    365、513&515;
    338、363&365;
    338、358&365;
    358、365&513;
    358、365&392;
    338、358、363、365&377;
    358、365&392;
    358、365&395;
    358、365、392&395;
    358、365、513&515;および/または
    338、358、363&365
    にあるか、または前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインの対応する残基にある前記少なくとも2つの変異が、配列番号1に比べて、前記スパイクタンパク質サブユニット1中の変異のみである、請求項22~30のいずれか1項に記載のコロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチド。
  32. 前記コロナウィルスポリペプチドが、配列番号1、または第2のコロナウィルスの野生型スパイクタンパク質サブユニット1アミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を含む、請求項22~31のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  33. 前記コロナウィルスポリペプチドの発現が、細胞中で発現される場合、前記少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも1つの第2の変異を欠く野生型ポリペプチドの発現と同じ発現条件下で比較して、増大する、請求項22~31のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  34. コロナウィルス抗体に結合する、または同族コロナウィルス受容体に結合する、請求項22~33のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  35. 前記コロナウィルス抗体が、SARS-CoV-2抗体を含む、請求項34に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  36. 前記同族コロナウィルス受容体が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)受容体を含む、請求項35に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  37. 前記ACE受容体が、ACE2受容体である、請求項36に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  38. 重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群関連コロナウィルス(SARS-CoV);中東呼吸器症候群(MERS);229E;NL63;OC43;またはHKU1から選択されるコロナウィルスの改変された変異ポリペプチドである、請求項22~37のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  39. 前記コロナウィルススパイクタンパク質サブユニット1ポリペプチドが、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を含む、請求項22~38のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  40. 第2の異種ポリペプチドに融合される、請求項22~39のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  41. ナノ粒子、ナノ構造体または足場タンパク質に融合される、請求項22~40のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  42. 前記コロナウィルスポリペプチドまたは前記第2の異種ポリペプチドが、抗原性ポリペプチドである、請求項40に記載のコロナウィルスポリペプチド。
  43. 請求項22~42のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む、組成物。
  44. アジュバントをさらに含む、請求項43に記載の組成物。
  45. 同じ貯蔵条件下での貯蔵した場合、前記少なくとも1つの空洞充填変異および少なくとも第2の変異を欠く野生型コロナウィルスポリペプチドを含む組成物よりも組成物の貯蔵寿命が長い、請求項43または44に記載の組成物。
  46. ワクチンとして処方される、請求項43~45のいずれか1項に記載の組成物。
  47. 請求項1~15のいずれか1項に記載の受容体結合ドメインまたは請求項22~42のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドを発現している細胞。
  48. 請求項1~15のいずれか1項に記載の受容体結合ドメインまたは請求項22~42のいずれか1項に記載のコロナウィルスポリペプチドをコードする核酸配列。
  49. 対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であって、請求項21または請求項46に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
  50. 請求項1~15または請求項22~42のいずれか1項に記載の組成物を、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、ワクチンの製造方法。
  51. 請求項1~25のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、コロナウィルススパイクタンパク質。
  52. プロトコル1の前記Blast-pパラメーターが、下記を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法または組成物:
    アルゴリズム:blastp(タンパク質-タンパク質BLAST)
    期待値の閾値:0.1
    ワードサイズ:6
    クエリー範囲内の最大マッチ:0
    マトリックス:BLOSUM62
    ギャップコスト:
    存在:11
    伸長:1
    低複雑度領域のフィルター?:オフ
    マスク:
    ルックアップテーブルのみ?:オフ
    小文字?:オフ
  53. プロトコル2の前記Blast-pパラメーターが、下記を含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法または組成物:
    blastp -query query.fasta -subject sbjct.fasta -matrix BLOSUM62 -evalue 0.1-word size 6 -gapopen 11 -gapextend 1 -out results.txt
  54. 配列番号1のコロナウィルスポリペプチドに比べて、I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される変異またはそのバリアントを含むコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含む、ポリペプチド。
  55. 前記変異が、I358F、Y365F、Y365W、V367F、およびF392Wからなる群より選択される、請求項54に記載のポリペプチド。
  56. I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第2の変異を含む、請求項54または請求項55に記載のポリペプチド。
  57. I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515Lからなる群より選択される第3の変異を含む、請求項54~56のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  58. 配列番号4または配列番号5のポリペプチド配列を含む、請求項57に記載のポリペプチド。
  59. 異種の足場タンパク質を含む、請求項54~58のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  60. 前記異種の足場タンパク質が、配列番号3のポリペプチド配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有する、請求項59に記載のポリペプチド。
  61. 前記異種の足場タンパク質が、配列番号3のポリペプチドを含む、請求項59に記載のポリペプチド。
  62. 配列番号6または配列番号7のポリペプチド配列を含む、請求項61に記載のポリペプチド。
  63. 請求項59~62のいずれか1項に記載のポリペプチドからなる第1の成分、および配列番号13~18のいずれか1つと、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分を含むまたはこれらからなる、ポリペプチド複合体。
  64. 請求項54~62のいずれか1項に記載の組成物または請求項63に記載のポリペプチド複合体を含む、ワクチン組成物。
  65. 薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項64に記載のワクチン組成物。
  66. アジュバントをさらに含む、請求項64または請求項65に記載のワクチン組成物。
  67. 請求項54~62のいずれか1項に記載のポリペプチド発現している細胞。
  68. 請求項54~62のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
  69. 対象にコロナウィルスに対するワクチンを接種する方法であって、請求項54~62のいずれか1項に記載ポリペプチド、請求項63に記載のタンパク質複合体、または請求項64~68のいずれか1項に記載のワクチン組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
  70. ワクチンの製造方法であって、請求項54~62のいずれか1項に記載のポリペプチドを、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、方法。
  71. ワクチンの製造方法であって、請求項59~62のいずれか1項に記載のポリペプチドからなる第1の成分;配列番号13~18のいずれか1つと、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する第2の成分;薬学的に許容可能な担体;および任意選択でアジュバントを、混合することを含む、方法。
  72. 非天然起源ポリペプチドであって、
    配列番号1の残基328~531と少なくとも90%の同一性を含む第1のコロナウィルス受容体結合ドメイン(RBD)を含み、配列番号1の前記RBDに比べて、少なくとも1つの変異をさらに含み、前記少なくとも1つの変異が、配列番号1の
    I358F、Y365F、Y365W、V367F、F392W、G502D、N501F、N501T、Q498Y、F338L、F338M、A363L、Y365M、F377V、V395I、L513I、L513M、およびF515L、または第2のコロナウィルス基準配列から選択され、前記第2のコロナウィルス基準配列の対応する位置が、プロトコル1またはプロトコル2のBlast-pパラメーターを用いて、配列番号1と、前記第2のコロナウィルス受容体結合ドメインのスパイクタンパク質配列との配列アラインメントにより決定される、非天然起源ポリペプチド。
  73. 下記から選択される2つ以上の変異を含む、請求項72に記載のポリペプチド:
    F338L/Y365W;
    Y365W/L513M;
    Y365W/F392W;
    F338M/A363L/Y365F/F377V;
    Y365F/F392W;
    Y365F/V395I;
    Y365F/F392W/V395I;
    Y365W/L513I/F515L;
    F338L/A363L/Y365M;
    F338L/I358F/Y365W;
    I358F/Y365W/L513M;
    I358F/Y365W/F392W;
    F338M/I358F/A363L/Y365F/F377V;
    I358F/Y365F/F392W;
    I358F/Y365F/V395I;
    I358F/Y365F/F392W/V395I;
    I358F/Y365W/L513I/F515L;および
    F338L/I358F/A363L/Y365M。

JP2023540514A 2020-12-31 2021-06-15 安定なコロナウィルスタンパク質およびそのワクチン組成物 Pending JP2024502823A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063132863P 2020-12-31 2020-12-31
US63/132,863 2020-12-31
US202163188651P 2021-05-14 2021-05-14
US63/188,651 2021-05-14
PCT/US2021/037341 WO2022146484A1 (en) 2020-12-31 2021-06-15 Stable coronavirus proteins and vaccine compositions thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024502823A true JP2024502823A (ja) 2024-01-23

Family

ID=82260758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023540514A Pending JP2024502823A (ja) 2020-12-31 2021-06-15 安定なコロナウィルスタンパク質およびそのワクチン組成物

Country Status (9)

Country Link
EP (1) EP4271698A1 (ja)
JP (1) JP2024502823A (ja)
KR (1) KR20230135598A (ja)
AU (1) AU2021415906A1 (ja)
BR (1) BR112023013138A2 (ja)
CA (1) CA3201697A1 (ja)
CL (1) CL2023001930A1 (ja)
CO (1) CO2023008898A2 (ja)
WO (1) WO2022146484A1 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113150084B (zh) * 2021-03-23 2023-03-21 江苏坤力生物制药有限责任公司 一种纳米化的冠状病毒抗原及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
BR112023013138A2 (pt) 2023-10-31
CA3201697A1 (en) 2022-07-07
EP4271698A1 (en) 2023-11-08
WO2022146484A1 (en) 2022-07-07
CL2023001930A1 (es) 2023-11-24
CO2023008898A2 (es) 2023-09-29
AU2021415906A1 (en) 2023-07-06
KR20230135598A (ko) 2023-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220119454A1 (en) Conformationally stabilized rsv pre-fusion f proteins
Joyce et al. SARS-CoV-2 ferritin nanoparticle vaccines elicit broad SARS coronavirus immunogenicity
US20230109393A1 (en) Designer peptides and proteins for the detection, prevention and treatment of coronavirus disease, 2019 (covid-19)
US11786591B2 (en) Recombinant metapneumovirus F proteins and their use
ES2858315T3 (es) Proteína F de prefusión de VRS soluble estabilizada para uso en la profilaxis de la infección por VRS
KR20220140586A (ko) SARS-CoV-2 백신
US11267848B2 (en) Conformationally stabilized RSV pre-fusion F proteins
JP2020156487A (ja) インフルエンザヘマグルチニンタンパク質およびその方法
CN107029227A (zh) 热稳定的呼吸道合胞病毒融合前 f 蛋白寡聚物及其在免疫组合物中的用途
AU2017321883A1 (en) Stabilized group 2 influenza hemagglutinin stem region trimers and uses thereof
JP2020125323A (ja) 立体構造的に特異的なウイルス免疫原
KR20230107621A (ko) 메타뉴모바이러스에 대한 단백질-기반 나노입자 백신
US20230399364A1 (en) Immunogenic Coronavirus Fusion Proteins and Related Methods
US11872279B2 (en) SARS-CoV-2 antigens and uses thereof
JP2024502823A (ja) 安定なコロナウィルスタンパク質およびそのワクチン組成物
US20220289796A1 (en) Methods and compositions for stabilized recombinant flavivirus e protein dimers
US20220325279A1 (en) Stable coronavirus proteins and vaccine compositions thereof
CN114835819A (zh) SARS-CoV-2 S1偶联纳米颗粒及其应用
CN116761624A (zh) 稳定的冠状病毒蛋白及其疫苗组合物
US11535651B2 (en) Hepatitis B nanoparticle-based vaccine for influenza virus
CN116964104A (zh) 免疫原性冠状病毒融合蛋白及相关方法
Morrison et al. SARS-CoV-2 ferritin nanoparticle vaccines elicit broad SARS coronavirus immunogenicity

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230914

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20230914

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A801

Effective date: 20230914