JP2024501943A - 多価hvtベクターワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、家禽用多価ベクターワクチンとして有用である組換えHVT(rHVT)構築物に関する。本発明のrHVTは、家禽病原体由来の4つの異種遺伝子、すなわち、IBDV由来のVP2遺伝子、NDV由来のF遺伝子、ならびにILTV由来のgD遺伝子およびgl遺伝子を含む。VP2遺伝子およびF遺伝子がrHVTのUsゲノム領域に挿入される。gD遺伝子-gl遺伝子がUL44とUL45との間またはUL45とUL46との間のどちらかでULゲノム領域に挿入される。本発明のrHVTは、インビトロおよびインビボで遺伝的に安定であることが判明し、すべての挿入遺伝子を、IBDV、NDVおよびILTVに対する防御免疫をワクチン接種家禽において誘発するために十分に足りるほど発現した。【選択図】図1

Description

本発明は、動物用ワクチンの分野、すなわち、ウイルスベクターワクチンとしてのシチメンチョウの組換えヘルペスウイルスに基づく家禽用ワクチンに関する。特に、本発明は、シチメンチョウの組換えヘルペスウイルス(rHVT)、前記rHVTを含む宿主細胞、前記rHVTおよび前記宿主細胞の医学的使用、前記rHVTおよび/または前記宿主細胞を含むワクチン、ならびに前記ワクチンの製造方法に関する。
組換えベクターウイルスは、異種遺伝子を発現させ、そのコードされたタンパク質をヒト標的または非ヒト動物標的に送達するための広く知られた手段である。例として、ワクシニアベクター、麻疹ベクターまたはアデノウイルスベクターが挙げられる。異種遺伝子が病原体由来の免疫原性タンパク質をコードするときには、これは、その病原体によって引き起こされる疾患に対する標的の効果的なワクチン接種の手段であり得る。複製する微生物として、ベクターウイルスは、ワクチン接種された標的における増殖性感染を異種遺伝子をそれ自身の遺伝子と共に発現させながら確立することができ、このようにして標的における防御免疫応答を誘発することができる。
動物用ワクチン接種において、とりわけ家禽へのワクチン接種のために、様々なベクターワクチンが、それらは使用が比較的容易でありかつコストが比較的低いために関心を集めている。いくつかのトリ用ベクターワクチンが、例えば、トリアデノウイルス、鶏痘ウイルス、および特にシチメンチョウのヘルペスウイルス(HVT)に基づくものがこれまで検討されてきている(国際公開第87/04463号および国際公開第90/002803号を参照のこと)。HVTをベクターとして使用することの利点は、HVTは鳥類に対して非病原性であり、挿入された遺伝子を運び、発現することができ、免疫をそのウイルスファミリーの病原性メンバーに対して、すなわち、マレック病ウイルス1型またはマレック病ウイルス2型(MDV1またはMDV2)に対して誘発することができるということである。
長年にわたり、種々のトリ病原体に由来する様々な遺伝子がHVTウイルスベクターによって発現されている:例えば、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、伝染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、および伝染性気管支炎ウイルスに由来する遺伝子(国際公開第93/025665号を参照のこと)、トリインフルエンザウイルス(AIV)由来の遺伝子(国際公開第2012/052384号を参照のこと)、または寄生虫エイメリア(Eimeria)由来の遺伝子(Cronenberg et al.,1999,Acta Virol.,vol.43,p.192-197)など。このことは、家禽用の様々な商用HVTベクターワクチンの開発につながっている:例えば、NDに対してはInnovax(登録商標)-ND(MSD Animal Health)およびVectormune(商標)HVT-NDV(Ceva Sante Animale)、ILTに対してはInnovax(登録商標)-ILT(MSD Animal Health)、IBDに対してはVaxxitek(商標)HVT+IBD(Boehringer-Ingelheim)(以前の名称:Gallivac(商標)HVT-IBD)およびVectormune(登録商標)ND(Ceva Sante Animale)、AIに対してはVectormune(登録商標)AI(Ceva Sante Animale)。
異種遺伝子がそのウイルスゲノムに挿入されることは、それにより、その複製、発現および/またはその遺伝的安定性がインビトロおよび/またはインビボにおいて影響を受けることがあるので、ベクターウイルスに対する負担である。これらの問題は、2つ以上の異種遺伝子が挿入されるときには特に顕著である。そのような多価組換えベクターワクチンは、潜在的に多数の疾患に対する保護を単回接種後に与えることができる。しかしながら、そのようなベクター構築物は、すべての意図された病原体に対するワクチン接種標的における防御免疫応答を誘発し、かつ維持するためには、依然としてベクターおよびその挿入物の良好な複製をインビトロおよびインビボの両方で、そして、その異種遺伝子のすべての効果的な発現を十分に高いレベルで、かつ有意な期間にわたって提供しなければならない。
遺伝的安定性はまた、大規模産生のために必要であるインビトロでの多数回の複製について可能にするであろう。加えて、そのような安定性は、販売のための許認可を、組換えウイルスが商用製造物として現場に導入され得る前に政府当局または規制当局から得るために、(遺伝子組換え生物である)インビボでの組換えウイルスによって満たされなければならない安全性および生物学的安定性の非常に高い基準を遵守していることをもたらすための要件である。
多くの多価HVTベクターワクチンが、例えば、国際公開第93/025665号および国際公開第96/005291号に記載されるようにこれまで記載されている。しかしながら、そのような刊行物に記載される多遺伝子構築物のほとんどが示唆されるに過ぎず、多数の挿入物を有する組換えベクターの一部が実際に構築され、単離されたに過ぎなかった。ごく少数がこれまでに鳥で試験された。全体として、複製時のそれらの安定性、または外来遺伝子の発現レベルに関して、結果は何ら得られておらず、ましてや、標的動物における効果的な免疫防御の誘発に関するいかなるデータも得られていない。多価HVTベクター構築物のごく少数のみが実際に認可された市販のワクチン製造物になっているのは、挿入物の遺伝的安定性および継続した発現に関するそのような課題のためである。現在、これらは、Innovax(登録商標)ND-IBD(MSD Animal Health;国際公開第2016/102647号)、Innovax(登録商標)ND-ILT(MSD Animal Health;国際公開第2013/057236号)、ULTIFEND(商標)IBD ND(Ceva Sante Animale;国際公開第2013/144355号)、およびVaxxitek(登録商標)HVT+IBD+ND(Boehringer-Ingelheim;国際公開第2018/112.051号)である。
Tang et al.(2020,Vaccines,vol.8,p.97)は、種々の異種遺伝子を含有するrHVT、すなわち、HVTのUL45遺伝子とUL46遺伝子との間に挿入されるIBDVのVP2遺伝子、UL65遺伝子とUL66遺伝子との間に挿入されるILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子、ならびにUs2におけるAIVのHA遺伝子を含有するrHVTを記載する。これらのrHVTはインビトロ細胞培養物で試験されただけであった。
国際公開第2016/102647号には、rHVTがIBDVのVP2遺伝子およびNDVのF遺伝子を、HVTのUsゲノム領域のUs2遺伝子に挿入されるただ1つの発現カセットから発現する、HVTベクターワクチンが記載される。
国際公開第2019/072964号には、MDV、NDV、IBDVおよびILTVに対する保護をもたらすことができる多価rHVTベクターのワクチンが記載される。挿入物がHVTゲノムのUL54.5遺伝子の中およびUs2遺伝子の中に配置された。
しかしながら、いくつかの方法が、家禽疾患に対処するためにあるので、家禽の効果的なワクチン接種のためのより多くのさらなる選択肢が絶えず求められている。
国際公開第87/04463号 国際公開第90/002803号 国際公開第93/025665号 国際公開第2012/052384号 国際公開第96/005291号 国際公開第2016/102647号 国際公開第2013/057236号 国際公開第2013/144355号 国際公開第2018/112.051号 国際公開第2019/072964号
Cronenberg et al.,1999,Acta Virol.,vol.43,p.192-197 Tang et al.,2020,Vaccines,vol.8,p.97
この分野における必要性に順応させ、そして、4つのトリ病原体(MDV、NDV、IBDVおよびILTV)に対する家禽の免疫化を、ただ1つのワクチンを介して可能にするrHVTベクターワクチンを提供することが本発明の目的である。
驚くべきことに、IBDVのVP2遺伝子およびNDVのF遺伝子をUsゲノム領域から発現し、かつ、ILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子をULゲノム領域における2つの特異的な遺伝子座の一方から発現するrHVTを提供することによって、この目的が満たされ得ること、その結果として、先行技術の1以上の短所が克服され得ることが見出された。
本発明者らは、IBDV-VP2遺伝子およびNDV-F遺伝子を発現すると知られているrHVT(「rHVT-VP2-F」)によって既に提供されている保護を、ILTVに対する保護を伴って拡張することを試みた。選択された追加の異種遺伝子がILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子であった。いくつかの多挿入物rHVTは、インビトロおよびインビボで試験されたとき、安定な多価組換えウイルスを生じさせることができず、すなわち、いくつかは多価組換えHVTの複製ができず、また、いくつかは異種遺伝子の1以上の発現を喪失したことが見出された。
例えば、HVTのUL39遺伝子(リボヌクレオチドレダクターゼのラージサブユニット)の遺伝子座の中へのgD遺伝子およびgI遺伝子の追加挿入は、中央部分に挿入されるときまたはUL39遺伝子の3’領域に挿入されるときのどちらも成功しなかった。これらのrHVT構築物はインビトロでCEF細胞において複製したが、ニワトリに接種されたときには複製することが完全にできなかった。
ILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子を、UL40(リボヌクレオチドレダクターゼのスモールサブユニット)とUL41遺伝子(ビリオン宿主シャットオフタンパク質)との間に挿入されるか、またはUL47遺伝子(外皮リンタンパク質)とUL48遺伝子(前初期遺伝子転写活性化因子)との間に挿入されて、そのどちらかで含む構築物もまた、効果がなかった:UL40-41挿入物構築物は、(rHVT-VP2-F構築物と比較して)インビトロでは正常に複製し、しかし、ヒヨコでのインビボでは低下したレベルで複製した。加えて、この構築物は、F遺伝子およびVP2遺伝子の発現を失ったので、インビボにおいて遺伝的に不安定であることが判明した。匹敵する状況がUL47-48挿入物構築物について生じた:この構築物もまた、インビトロでは正常に、そしてインビボでは低下した速度で複製し、また、gD遺伝子およびgI遺伝子の発現は非常に低いレベルであったに過ぎず、ILTVに対する効果的なワクチン接種には不十分であったので、この構築物もまた、インビボでは遺伝的に安定でなかった。UL47-48挿入物構築物についてのこの知見は、UL47遺伝子およびUL48遺伝子はHVTゲノムのトランスポゾン遺伝子ノックアウト研究において非必須であることが報告されていたので(Hall et al.,2015,Virology Journal,vol.12,p.130)、ことのほか期待外れであった。
本発明者らの所見は、挿入物が多くなると、ウイルスベクターの遺伝的安定性に対するより多くの問題が複製および外来遺伝子発現に関して生じるというこの分野における一般的な認識と一致していた。この場合、元となるベクターが既に2つの他の異種遺伝子を発現するという事実がILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子の追加発現のための事態を複雑化していることが明らかであった。このことは、成功した組換えHVT構築物がどんなものであるかの予測が、HVTゲノムにおける異種遺伝子のための許容可能な挿入部位が何であるかに関する先行技術における所見に基づくことができないようなほどでさえあった。同様に、ある種のrHVT構築物(例えば、Tang et al.,2020(上掲)に記載されるようなrHVT構築物)のインビトロでの効果的な複製の報告は、インビボ特性を予測するために依拠することができない。
そのため、ILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子を有する発現カセットの、HVTのULゲノム領域における2つの他の挿入部位への追加組み込みにより、安定かつ効果的な多価HVTベクター構築物が生じること、具体的には、HVTのUL44遺伝子とUL45遺伝子との間、またはHVTのUL45遺伝子とUL46遺伝子との間における挿入により、安定かつ効果的な多価HVTベクター構築物が生じることは予想外であった。これらの挿入遺伝子座は、本明細書中では「UL44-45」遺伝子座または「UL45-46」遺伝子座としてそれぞれ示されるであろう。
FおよびVP2をUsに有し、gD遺伝子およびgI遺伝子をUL44-45遺伝子座またはUL45-46遺伝子座に有する得られた多価rHVTベクターは、インビトロ細胞培養における15回の連続した継代の後でさえ、遺伝的に安定であることが見出された。ウイルスは続いて、インビボでの数回のさらなる複製サイクルを引き起こすニワトリへの接種のために使用された。その後、ウイルスが、ワクチン接種されたニワトリの脾臓からワクチン接種後15日で再び単離され、すべての挿入遺伝子の発現を維持することについて分析された。両方のUL挿入部位rHVTについて、ワクチン接種後15日での再単離ウイルスは、完全に遺伝的に安定であることが見出された:免疫蛍光プラークアッセイにおいて、試験されたすべての再単離ウイルスは、すべての異種遺伝子の発現、すなわち、F、VP2、gDおよびgIの発現を明らかにした。
ワクチン接種されたニワトリはまた、発現した異種抗原(F、VP2、gDおよびgI)のそれぞれに対する優れたセロコンバージョンを示した。3つの病原体(NDV、IBDVおよびILTV)のそれぞれに対して到達した抗体レベルは、感染または疾患に対するインビボ保護のために要求されることが知られているそれらのレベルを十分に超えていた。詳細が実施例において示される。
したがって、これらの新しい多価rHVTベクターウイルスは安定であり、MDV、NDV、IBDVおよびILTVの1以上またはすべてに対するワクチンとして有用である。
4つの主要な家禽疾患に対するワクチン接種をただ1つのワクチンから得る可能性があることは、このワクチン接種が標的動物についてはストレスのかなりの軽減を、並びに、養鶏業者については労力およびコストの削減を表すので、非常に有益である。
VP2遺伝子およびF遺伝子を発現するrHVTがUL44-45挿入遺伝子座またはUL45-46挿入遺伝子座におけるILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子の追加発現をどのように許容し得るかまたはなぜ許容し得るかは正確には知られておらず、これに対して、いくつかの他の部位における挿入は、これらの部位ならば好適であると最初には思われたが、安定かつ効果的なベクター構築物をもたらさなかった。
本発明者らは、どのような理論またはモデルであれこれらの知見を説明するかもしれないであろう理論またはモデルによって縛られることを望まないが、この効果が、インビトロおよびインビボでの複製および発現のために要求されるときには多価rHVTにおける様々な発現パターンの複雑な相互作用から生じると仮定する。不明な理由のために、追加の遺伝子がULにおけるこれらの特異的な遺伝子座で挿入されることにより、異種遺伝子の発現の強さと、これがHVTそのものの複製能力および遺伝的安定性に与えるストレスとの間におけるちょうど適切なバランスを有する多価rHVTがもたらされ、これに対して、他の構築物では、(予測不能であったが)そのような多価rHVTがもたらされない。
したがって、1つの局面において、本発明は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)のウイルスタンパク質2(VP2)遺伝子およびニューカッスル病ウイルス(NDV)の融合(F)タンパク質遺伝子を、rHVTのゲノムのユニークショート(unique short;Us)領域に挿入される第1の発現カセットから発現するシチメンチョウの組換えヘルペスウイルス(rHVT)であって、前記rHVTがまた、伝染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)の糖タンパク質D遺伝子および糖タンパク質I遺伝子(gD遺伝子およびgI遺伝子)を、前記rHVTのゲノムのユニークロング(unique long:UL)領域においてUL44遺伝子とUL45遺伝子との間またはUL45遺伝子とUL46遺伝子との間のどちらかで挿入される第2の発現カセットから発現することを特徴する、シチメンチョウの組換えヘルペスウイルス(rHVT)に関する。
「組換え(の)」は、元々は保有していなかった遺伝子構成をもたらすように出発状態または天然状態に対してその遺伝物質が改変されている核酸分子または微生物である。典型的には、そのような構築物は人工的であり、人によって作られたものである。
「シチメンチョウのヘルペスウイルス(HVT)」はまた、MDV3、メレアグリッド(Meleagrid)ヘルペスウイルス1、またはシチメンチョウヘルペスウイルスとも呼ばれる。HVTは1970年に初めて記載された(Witter et al.,1970,Am.J.Vet.Res.,vol.31,p.525)。HVTの広く知られた株、例えば、PB1またはFC-126などが、長い間、MDV1またはMDV2によって引き起こされるマレック病に対する家禽用の生ワクチンとして使用されている。
シチメンチョウのヘルペスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスおよび伝染性喉頭気管炎ウイルスはすべて、獣医学的関連性を有する広く知られたウイルスである。同じことが、マウスおよびヒトのサイトメガロウイルス(CMV)、ならびにネコヘルペスウイルス(FHV)について当てはまる。そのようなウイルスは、その分類学群の特徴づける特徴、例えば、形態学的特徴、ゲノム特徴および生化学的特徴など、並びに、生物学的特性、例えば、生理学的挙動、免疫学的挙動または病理学的挙動などを有する。
これらのウイルスに関する一般的な情報が、例えば、参考ハンドブックから、例えば、Fields Virology(LWW publ.,ISBN:9781451105636)などから入手可能である。これらのウイルスによって引き起こされる疾患に関する情報が、例えば、’The Merck veterinary manual’(2010,10th ed.,2010,C.M.Kahn edt.,ISBN:091191093X)、および’Diseases of poultry’(2008,12th ed.,Y.Saif ed.,Iowa State Univ.press,ISBN-10:0813807182)のようなハンドブックから入手可能である。本発明における使用のためのこれらのウイルスのサンプルを、様々な供給源から、例えば、ヒトからの現場単離体として、または野生もしくは農場における非ヒト動物からの現場単離体として、あるいは様々な研究所、(寄託)機関または(獣医学)大学から得ることができる。これらのウイルスは、日常的な血清学的ツールまたは分子生物学的ツールを使用して容易に特定することができる。これらすべてのウイルスから、多くの遺伝情報が、公開されている配列データベースにおいて、例えば、NCBIのGenBank(商標)、UniProt、およびEMBLのEBIなどにおいてデジタル情報として利用可能である。
この分野では知られているように、特定の分類学群における微生物の分類はその特徴の組み合わせに基づいている。そのため、本発明にはまた、例えば、亜種、株、単離体、遺伝子型、バリアント、サブタイプまたはサブグループなどとして、何らかの方法で細分類されるこれらのウイルス種のバリアントが含まれる。
さらに、本発明のための特定のウイルスが現在はこの種に帰属させられているかもしれないが、新たな識見により、新しい分類学群または異なる分類学群に再分類される可能性があるため、その分類は、やがては変わり得るかもしれない分類学的分類であることが、本発明の分野の当業者には明らかであろう。しかしながら、このことはウイルス自体またはその抗原レパートリーを変化さるのではなく、その科学的な名称または分類のみを変化させるため、そのような再分類されたウイルスは依然として本発明の範囲の範囲内にある。
「VP2タンパク質遺伝子」はこの技術分野では広く知られており、IBDVのカプシドタンパク質をコードする。VP2タンパク質遺伝子は典型的タイプのIBDVまたはバリアントタイプのIBDVに由来する場合があり、あるいはキメラである場合がある。
同様に、「Fタンパク質遺伝子」は広く知られており、NDVの融合糖タンパク質をコードする。本発明については、Fタンパク質遺伝子は、長潜伏期性タイプ、亜病原性タイプまたは短潜伏期性タイプのNDVから得ることができ、あるいはキメラである場合がある。
用語「遺伝子」は、タンパク質をコードすることができる核酸の区域を示すために使用される。本発明については、これは、「オープンリーディングフレーム」(ORF)、すなわち、遺伝子のプロモーターを含まないDNAのタンパク質コード区域に対応する。本発明についての遺伝子は完全なタンパク質をコードする場合があり、または、タンパク質のある区域、例えば、タンパク質の成熟形態のみをコードする、すなわち、「リーダー」、「アンカー」または「シグナル配列」を含まないタンパク質の区域をコードする場合がある。遺伝子は、タンパク質の特異的な区域、例えば、免疫防御エピトープを含む区域をコードする場合さえある。
この関連で、本発明についての「タンパク質」はアミノ酸の分子鎖である。タンパク質として、生来型タンパク質または成熟タンパク質、プレタンパク質またはプロタンパク質、あるいはタンパク質の機能的フラグメントが可能である。そのため、ペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチドは、これらが依然として、関連した免疫学的エピトープおよび/または機能的領域を含有する限り、タンパク質の定義の範囲内に含まれる。
本発明については、遺伝子がrHVTベクターを作製するために使用された元のHVTに存在しなかったならば、その遺伝子は当該遺伝子を運ぶrHVTベクターに対して「異種」である。
本発明については、用語「発現」は、タンパク質が転写および翻訳を介して産生されるための規則が遺伝情報により提供される遺伝子発現の広く知られた原理を示す。
「発現カセット」は、少なくとも1つの異種遺伝子と、その遺伝子の転写を行わせるためのプロモーターとを含む核酸フラグメントである。転写の終結がベクターゲノムにおけるカセットのゲノム挿入部位によって提供される配列から生じる場合があり、または発現カセットは、それ自体が終結シグナル、例えば、転写ターミネーターなどを含むことができる。
そのようなカセットでは、プロモーターおよび(任意には)ターミネーターの両方が、それらが発現を調節する遺伝子の極近傍にあることが必要であり、このことは、「機能的に連結される」として知られており、それによって、それらの間には、転写の効果的な開始-終結にそれぞれ介入するであろう意味のある他の配列が存在しない。
発現カセットはDNA形態またはRNA形態で存在することが可能であるが、HVTベクターにおけるその意図された使用のために、本発明のための発現カセットはDNAとして用いられる。当業者には明らかであろうように、発現カセットは自己完結型の発現モジュールであり、そのため、ベクターウイルスゲノムにおけるその配向は一般に重要でない。
任意に、発現カセットは、さらなるDNAエレメントを、例えば、構築およびクローニングを支援するためのDNAエレメント、例えば、制限酵素認識またはPCRプライマーのための部位などを含有する場合がある。
発現カセットは、全体としてベクターのゲノムにおけるただ1つの遺伝子座の中に挿入される。種々の技術が遺伝子座およびその挿入の向きを制御するために利用可能である。例えば、ベクターのゲノムからの隣接区域を使用することによって、カセットを特異的な方法で、例えば、米国特許第5,961,982号に記載されるような重複するコスミドを使用することにより相同的組換えプロセスによって組み込むものである。代替において、組み込みが、Tang et al.2018(Vaccine,vol.36,p.716-722)に記載されるようなCRISPR/Cas9技術を使用することによって行われる場合がある。
本発明については、ベクターのゲノムにおける「挿入された」発現カセットは、挿入されたエレメントがベクターの生来的遺伝子と一緒に転写され、かつ翻訳されるようにベクターのゲノム核酸の中に組み込まれていることを示す。ベクターのゲノムに対するその挿入の影響は、挿入が行われる方法に依存して異なる:ゲノムにおける正味の結果が、遺伝物質の付加、置換、または欠失であるかに依存して、ベクターゲノムはサイズがそれぞれ、大きくなる、同じである、または小さくなる場合がある。当業者は、ある特定のタイプの挿入を選択し、実施し、そして必要なときには様々な適合化を行うことが完全に可能である。
発現カセットの構築およびHVTベクターへのその挿入を、クローニング、トランスフェクション、組換え、選択および増幅を伴う広く知られた分子生物学的技術によって行うことができる。これらの技術および他の技術が、Sambrook&Russell:“Molecular cloning:a laboratory manual”(2001,Cold Spring Harbour Laboratory Press;ISBN:0879695773)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(J.Wiley and Sons Inc,NY,2003,ISBN:047150338X)、およびC.Dieffenbach&G.Dveksler:“PCR primers:a laboratory manual”(CSHL Press,ISBN 0879696540)、ならびに“PCR protocols”(J.Bartlett and D.Stirling;Humana press,ISBN:0896036421)のような標準的な教本に非常に詳しく説明されている。
本発明については、発現カセットに関しての用語「第1」および用語「第2」は、参照を容易にするために使用されるだけであり、順序または好みをどのような順序または好みであれ示すためには使用されない。
HVTゲノムの「ユニークショート(Us)領域」は、「内部反復ショート」(internal repeat short)と、「末端反復ショート」(terminal repeat short)との間におけるゲノムの下流側区域であることが広く知られている。HVTのUsはサイズが約8.6kbである(Kingham et al.,2001,J.of Gen.Virol.,vol.82,p.1123-1135を参照のこと)。
いくつかのHVT株の完全に注釈づけされたゲノム配列は、例えば、GenBankを介して公開されている:HVT株FC-126のゲノム配列がGenBankアクセッション番号AF291866として入手可能であり、ヌクレオチド136990~145606がUs領域を形成する。
「ILTV」はまた、トリアルファヘルペスウイルス1型と呼ばれる。いくつかのILTV株の完全に注釈づけされたゲノム配列が、ILTV参照株SA-2について、例えば、GenBankを介して、例えば、アクセッション番号NC_006623のもとで公開されている。ILTVのgDエンベロープ糖タンパク質およびgIエンベロープ糖タンパク質についての遺伝子が、Us6遺伝子およびUs7遺伝子として、それぞれILTVゲノムのUs領域に位置する。ILTVのgDタンパク質およびgIタンパク質はILTV特異的かつ防御的な抗体を誘発することができ、それらは組み合わせで使用されることが多い。それらの自然界の状況において、これらの遺伝子は一部が重複しており、それによって、gI遺伝子プロモーターが上流側のgDのオープンリーディングフレーム(ORF)に位置し、gD遺伝子ターミネーターが下流側のgIのORFに位置する。その結果として、組み合わせで使用されたときまたはILTウイルスゲノムにおけるそれらの自然界の状況から取り出されたとき、gD遺伝子およびgI遺伝子は、1つの連続したフラグメントとして、例えば、gD遺伝子プロモーターから始まり、gI遺伝子の後で終わる1つの連続したフラグメントとして都合よくサブクローニングすることができる。
HVTゲノムの「ユニークロング(UL)」領域はゲノムの上流側部分であり、HVTではサイズが約110kbである。GenBankアクセッション番号AF291866におけるHVT株FC-126のゲノム配列では、UL領域がヌクレオチド5910~117777によって形成される。
本明細書中で使用されるような表示「UL44」および類似した用語は、ULゲノム領域に位置する具体的な遺伝子を示すための本発明の分野における広く知られた方法である(例えば、GenBankアクセッション番号AF291866を参照のこと)。この命名は、単純ヘルペスウイルス1型(ヘルペスウイルス基準種)における相同遺伝子の命名に由来する。同じことが(必要な変更を加えて)、表示「UL45」および表示「UL46」について当てはまる。UL44は膜糖タンパク質Cであり、UL45は細胞融合膜タンパク質であり、UL46は外皮リンタンパク質である。
用語「の間」は、挿入された第2の発現カセットが、示された遺伝子の間で、かつその外側に、すなわち、いわゆる遺伝子間領域にあるHVTゲノムでの挿入部位(すなわち、遺伝子座)に配置されることを示すために役立つ。よって、その結果として、そのような挿入は、UL44、UL45またはUL46のオープンリーディングフレームにおいてそれぞれなされない。
本発明による例示的なrHVTベクター構築物のグラフィック表示である:上部には、多くのORFがブロック矢印によって示されているHVTゲノムが示される。細い線のボックスは反復領域を示している。 中央には、挿入物が導入されたHVTゲノムの領域が拡大されている:UL44-45の間またはUL45-46の間における挿入物、およびUs2における挿入物。
下部には、挿入された2つの発現カセットの例が表示される;
・左下:gD遺伝子プロモーター-gD遺伝子(gI遺伝子プロモーターを含む)-gI遺伝子(gD遺伝子ターミネーターを含む)-FHV1 Us9遺伝子ターミネーター。
・右下:mCMV-IE1遺伝子プロモーター-IBDV VP2遺伝子-SV40後期遺伝子ターミネーター-hCMV IE1遺伝子プロモーター-NDV F遺伝子-hCMV-IE1遺伝子ターミネーター。
本発明の様々な実施形態およびさらなる局面の詳細が下記において記載されるであろう。
1つの実施形態において、本発明によるrHVTは、第1の発現カセットが、5’から3’への方向で、かつ、次に述べる順に、
a.マウスサイトメガロウイルス前初期1遺伝子(mCMV-IE1)プロモーター、
b.IBDVのVP2遺伝子、
c.転写ターミネーター、
d.ヒトサイトメガロウイルス前初期1遺伝子(hCMV-IE1)プロモーター、
e.NDVのFタンパク質遺伝子、および
f.転写ターミネーター
を含み、
それによって、前記プロモーターおよびターミネーターが、前記VP2遺伝子に、前記F遺伝子にそれぞれ機能的に連結されることを特徴とする。すなわち、構成要素a.のプロモーターおよび構成要素c.のターミネーターがVP2遺伝子に機能的に連結され、そして、構成要素d.のプロモーターおよび構成要素f.のターミネーターがF遺伝子に機能的に連結される。
本明細書中で使用されるような用語「comprises」(含む)(同様にまた、様々な変化形、例えば、「comprising」(含む)、「comprise」(含む)、および「comprised」(含まれる)など)は、この用語が使用される本文の節、段落、請求項などによって包含されるか、あるいはこの用語が使用される本文の節、段落、請求項などにおいて包含されるすべての構成要素を、また、そのようなすべての構成要素を本発明のために想定され得るあらゆる可能な組み合わせで、たとえそのような構成要素または組み合わせが明示的に記載されていなくても示すことを意図しており、かつ、(1以上の)そのような構成要素または組み合わせのいずれかが除外されることを示すことは意図していない。
そのため、したがって、そのような本文の節、段落、請求項などはどれもまた、用語「comprising」(またはその様々な異形)が、「consist of」(からなる)、「consisting of」(からなる)、または「consist essentially of」(から本質的にはなる)などの用語によって置き換えられる1以上の実施形態に関係し得る。
用語「5’から3’への方向で」は、「下流側方向で」としてもまた知られている用語であり、この分野では広く知られている。用語「次に述べる順に」と一緒になって、この用語は、本発明によるrHVTの複製および発現が行われ得る宿主細胞の遺伝子発現機構と一緒に機能するために、その後にまとめられる構成要素が互いに関して有する必要がある相対的な向きを示すために役立つ。当業者が認識するであろうように、この方向は、「コード鎖」であるHVTの二本鎖DNAゲノムからのDNA鎖に関連し、また、「+」配向または「センス」配向にあるコードされたmRNA分子に関連する。
それにもかかわらず、そして、上記の節に不利益を与えることなく、rHVTのds DNAゲノムの相補鎖、すなわち、「テンプレート」鎖では、列挙された構成要素の相対的な順序は同じであり、しかし、そのDNA鎖では、これらの構成要素の方向は3’から5’へであり、「上流側方向で」ある。
本発明のための「プロモーター」は、下流側のコード領域の転写を導く遺伝情報の機能的領域であることが広く知られている。したがって、プロモーターは、遺伝子の上流側に位置する。
プロモーターについての命名法は、一般にはプロモーターがその自然界の状況において発現を制御する遺伝子に基づいている。例えば、本明細書中で使用されるような用語「mCMV-IE1遺伝子プロモーター」は、自然界においてmCMVからのIE1遺伝子の発現を行わせる、したがって、mCMVゲノムにおけるその遺伝子のすぐ上流側に位置するプロモーターを示す。IE1遺伝子は文書による十分な裏付けがあり、明らかに認識可能な遺伝子であるので、また、いくつかのmCMVのゲノムが配列決定されているので、そのようなプロモーターは、日常的な技術によって容易に特定することができる。例えば、基本的プロトコルにおいて、プロモーターを、2つの連続する遺伝子の間の領域を、例えば、上流側遺伝子の停止コドンから下流側遺伝子の開始コドンまでを大まかにサブクローニングすることによって、簡単に得ることができる。その後、プロモーターは、標準的な試験によって、例えば、疑わしいプロモーターを含有するクローン化領域の次第に小さくなる区域を使用するマーカー遺伝子の発現によって、特定することができる。
一般に、プロモーターは、転写の時期、持続期間、条件およびレベルに影響を及ぼす調節因子に結合することに関与するいくつかの認識可能な調節領域、例えば、エンハンサー領域などを含有する。エンハンサー領域は、一般にはプロモーターの上流側部分に位置するが、プロモーターはまた、開始コドンに向かってより下流側の領域であって、転写因子の結合およびRNAポリメラーゼ自体を向かわせることに関与する領域によって影響され得る。プロモーターの下流側領域は、一般にはいくつかの保存された配列エレメント、例えば、TATAボックス、CAATボックスおよびGCボックスなどを含有する。
エンハンサー領域と下流側領域との両方を含むプロモーターは、「完全な」プロモーターと称され、下流側領域のみを含むプロモーターは、「コア」プロモーターと称される。
mCMV-IE1遺伝子はこの技術分野では広く知られており、様々な商用供給源から、例えば、クローニングおよび発現のための商用プラスミドの供給業者などから容易に得ることができる。IE1遺伝子はまた、CMVの「主要IE遺伝子」とも呼ばれる。
mCMV-IE1タンパク質はまた、pp89とも呼ばれる。mCMV IE1遺伝子プロモーターは1985年に記載された(K.Dorsch-Hasler,et al.,1985,PNAS,vol.82,p.8325)。異種発現におけるこのプロモーターの使用は国際公開第87/03.905号および欧州特許第728.842号に記載される。完全なmCMV IE遺伝子の遺伝子座のヌクレオチド配列は、例えば、GenBankからアクセション番号L06816.1のもとで入手可能である。mCMVそのものが、例えば、ATCCからアクセション番号VR-1399のもとで入手可能である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、mCMV-IE1遺伝子プロモーターは、コアプロモーター領域、並びに、mCMV-IE1遺伝子のためのエンハンサー領域の両方を含む完全なプロモーターである。この完全なmCMV-IE1遺伝子プロモーターはサイズが約1.4kbである。
本発明のための用語「約」は、示された値を中心に±25%を意味し、好ましくは、「約」は、示された値を中心に±20%、±15%、±12%、±10%、±8%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%を意味し、または、「約」は、示された値を中心に±1%をも意味する(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、本発明のためのmCMV-IE1遺伝子プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド1~1391の領域の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む約1.4kbのDNA分子である。少なくとも96%、97%、98%、または、99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、mCMV-IE1遺伝子プロモーターは配列番号1のヌクレオチド1~1391の領域である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、本発明のためのIBDVのVP2遺伝子は、典型的タイプであるIBDVに由来するVP2タンパク質をコードする。そのような様々な遺伝子が広く知られており、それらの配列情報が先行技術において容易に入手可能である(例えば、GenBankアクセション番号D00869(F52/70株)、同D00499(STC株)または同AF499929(D78株)を参照のこと)。代替において、この遺伝子は、ビルナウイルスを操作するための日常的な技術を使用して、自然界から単離される典型的IBDVのゲノムから得ることができる。典型的タイプの様々なIBDVを、血清学または分子生物学を使用して容易に特定することができる。
IBDVのVP2遺伝子のホモログまたはバリアントは同等の効力および安定性を有するであろうので、そのため、1つの実施形態において、本発明のためのIBDVのVP2タンパク質遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド1423~2781の領域の全長に対する少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有する。少なくとも92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性が好ましい(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、本発明のためのIBDVのVP2タンパク質遺伝子は、典型的IBDV株のFaragher 52/70に由来する。
1つの実施形態において、本発明のためのIBDVのVP2タンパク質遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド1423~2781の領域である。
「転写ターミネーター」またはターミネーターは、コード領域のRNAへの転写の終結に関与する調節DNAエレメントである。一般に、そのようなエレメントは、RNAポリメラーゼ複合体に転写を停止させることができる二次構造(例えば、ヘアピン)を有する区域をコードする。そのため、転写ターミネーターは、常に翻訳されることになる領域の終止コドンの下流側に、したがって「3’非翻訳領域」に位置する。ターミネーターはまた、ポリアデニル化(ポリA)シグナルを含むことができる。このシグナルは、ほとんどの真核生物mRNAに起こり、かつ、そのようなmRNAの輸送および安定性において役割を果たすポリアデニル化を提供する。
本発明のための発現カセットのためには、RNA転写の効果的な終結がもたらされる限り、具体的なタイプの転写ターミネーターの選択は重要でない。
本発明のための第1の発現カセットにおいて、VP2遺伝子とF遺伝子との間における転写ターミネーターである構成要素c.は、VP2遺伝子の転写の終結を提供するだけでなく、これらの遺伝子の発現の効果的な分離もまた、RNA転写の起こり得る読み過ごしを妨げることによって提供している。
第1の発現カセットのために示される2つのターミネーターは同じであってもよく、または異なっていてもよい。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットは、ターミネーター領域とポリA領域との両方を含む転写ターミネーターを含む。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、VP2遺伝子のための転写ターミネーターはシミアンウイルス40(SV40)に由来し、好ましくはSV40後期遺伝子に由来する。
このターミネーターは1980年代後半以降、商用の「pCMVβ」クローニングプラスミド(Clontech)を介して入手可能である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、VP2遺伝子のための転写ターミネーターはSV40後期遺伝子に由来し、サイズが約0.2kbであり、配列番号1のヌクレオチド2812~3021の領域の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。少なくとも96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、SV40後期遺伝子由来の転写ターミネーターは配列番号1のヌクレオチド2812~3021の領域である。
その完全版でのhCMV-IE1遺伝子プロモーターはサイズが約1.5kbであり、エンハンサー、コアプロモーターおよびイントロンからなり、それによって、プロモーター活性がイントロン領域内にまで進む(Koedood et al.(1995,J.of Virol.,vol.69,p.2194-2207)を参照のこと)。
hCMV-IE1遺伝子プロモーターを、通常の分子生物学的ツールおよび分子生物学的方法を使用して、IE1遺伝子に先行するゲノム領域をサブクローニングすることによって、(広範囲に入手可能である)hCMVウイルスのゲノムから得ることができる。代替において、プロモーターは、例えば、商用の発現プラスミドから、例えば、pI17(Cox et al.(2002,Scand.J.Immunol.,vol.55,p.14-23)によって記載される)などから、あるいは市販の哺乳動物発現ベクターから、例えば、pCMV(Clontech)またはpCMV-MCSシリーズ(Stratagene;GenBankアクセッション番号AF369966)などから得ることができる。hCMVのゲノム配列が、例えば、GenBankアクセッション番号X17403から入手可能である。
hCMV-IE1遺伝子プロモーターからは、多くの非常に類似した型、例えば、GenBankから知られている。そのようなホモログおよびバリアントは、本発明の範囲の範囲内である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、hCMV-IE1遺伝子プロモーターはコアプロモーターである。そのようなコアプロモーターは、典型的にはサイズが1kb未満であろうし、好ましくはサイズが約0.4kbであろう。
1つの実施形態において、本発明のためのhCMV-IE1遺伝子コアプロモーターは、配列番号1のヌクレオチド3160~3520の領域の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む約0.4kbのDNA分子である。少なくとも96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、hCMV-IE1遺伝子コアプロモーターは配列番号1のヌクレオチド3160~3520の領域である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、NDVのFタンパク質遺伝子は、長潜伏期性タイプであるNDVに由来する。
好ましくは、長潜伏期性のNDV株に由来するNDVのFタンパク質遺伝子はNDV株のクローン30に由来する。
NDVクローン30は、例えば、Nobilis(登録商標)ND Clone 30(MSD Animal Health)でのように、生ワクチンとして長年にわたって使用されている広く知られた長潜伏期性タイプのNDVである。
1つの実施形態において、本発明のためのNDVのFタンパク質遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド3545~5206の領域の全長に対する少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有する。好ましくは、少なくとも92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、本発明のためのNDVのFタンパク質遺伝子は配列番号1のヌクレオチド3545~5206の領域である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットでは、F遺伝子のための転写ターミネーターはhCMV-IE1遺伝子に由来する。好ましくは、この転写ターミネーターはサイズが約0.3kbである。
1つの実施形態において、転写ターミネーターはhCMV-IE1遺伝子に由来し、サイズが約0.3kbであり、配列番号1のヌクレオチド5218~5498の領域の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。少なくとも96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、hCMV-IE1遺伝子に由来する転写ターミネーターは配列番号1のヌクレオチド5218~5498の領域である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットのためには、下記のことからなる群から選択される条件の1以上またはすべてが当てはまる:
・mCMV-IE1遺伝子プロモーターは完全なプロモーターである;
・IBDVのVP2遺伝子は典型的IBDV由来のVP2タンパク質をコードする;
・VP2遺伝子のための転写ターミネーターはターミネーター領域とポリA領域との両方を含み、好ましくは転写ターミネーターはSV40に由来する;
・hCMV-IE1遺伝子プロモーターはコアプロモーターである;
・NDVのF遺伝子は長潜伏期性のNDV株に由来し、好ましくはNDV株のクローン30に由来する;および
・F遺伝子のための転写ターミネーターは、hCMV-IE1遺伝子に由来する。
本発明のためのVP2遺伝子および/またはF遺伝子の発現を最適化するために、それらのコードするヌクレオチド配列をコドン最適化に供することができる。これはこの技術分野では広く知られており、DNA配列またはRNA配列の発現レベルを、コードされたタンパク質の天然起源の状況とは異なる状況において改善するために一般に適用される。コドン最適化は、組換えベクター、宿主細胞、または配列が発現されるであろう標的生物のコドン選択(tRNAレパートリー)を一致させるヌクレオチド配列を介してであることを除いて、意図されたアミノ酸をコードするためのヌクレオチド配列の適合化を伴う。その結果として、加えられるヌクレオチド変異は一般にサイレントである。そのような改変は、一般には多くのコンピューターソフトウェアプログラムのうちの1つを使用することによってインシリコで計画され、その後、所望のヌクレオチド配列を合成することができる。
そのため、本発明によるrHVTの1つの実施形態において、VP2タンパク質およびFタンパク質をコードする遺伝子は、HVTウイルスのコドン選択に向けてコドン最適化される。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットは、国際公開第2016/102647号に開示されるような発現カセットである。
一層より好ましくは、第1の発現カセットは、商用ワクチンInnovax(登録商標)ND-IBD(MSD Animal Health)において利用可能であるHVP360として国際公開第2016/102647号に記載されるrHVT構築物において用いられるようなカセットである。
本発明のための第1の発現カセットの一例が配列番号1で示され、その構成要素が表1に記載される。
Figure 2024501943000002
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、本発明のための第1の発現カセットは、サイズが約5.5kbである。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、本発明のための第1の発現カセットは、配列番号1の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む約5.5kbのDNA分子である。少なくとも96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、本発明のための第1の発現カセットは、配列番号1に示されるような核酸を含む。好ましくは、第1の発現カセットは配列番号1である。
2つの異種遺伝子を1つの大きいカセットに有する本発明における使用のための第1の発現カセットの組成から当業者に明白であるように、第1の発現カセットは、ベクターウイルスのゲノムにおけるただ1つの場所への挿入のために設計され、意図される。
また、発現カセットは、記載されるように自己完結型の発現モジュールであるので、そのため、本発明のための第1の発現カセットは、本発明によるrHVTのUsゲノム領域において、種々の遺伝子座にかつ種々の向きで挿入され得る。
HVT Usゲノム領域のいくつかの遺伝子座が、1以上の異種遺伝子の挿入を可能にすることが明らかにされている(例えば、欧州特許第431.668号および国際公開第2016/102647号を参照のこと)。例えば、Us2遺伝子またはUs10遺伝子において、あるいはUs10とSORF3との間、またはUs2とSORF3との間の領域においてである。
遺伝子に挿入されると、その結果は、挿入物を受ける遺伝子の正常なコード機能が得られたrHVTにおいて妨害されるか、または完全にさえ失われるということである。Us2およびUs10については、このことは、得られたrHVTの複製も挿入された異種遺伝子の発現も有意に妨害しないことが見出された。
したがって、好ましい実施形態において、本発明によるrHVTは、第1の発現カセットがUs2遺伝子またはUs10遺伝子に挿入されることを特徴とする。
さらなる好ましい実施形態において、本発明によるrHVTは、第1の発現カセットがUs2遺伝子に挿入されることを特徴とする。
本発明のための「Us2遺伝子における」挿入では、Us2遺伝子の機能が乱れる。1つの実施形態において、Us2における挿入では、国際公開第2016/102647号においてHVP360について記載されるように、Us2遺伝子の少なくとも25%、50%、または少なくとも75%もが欠失する。
本発明のための発現カセットの簡便な構築、操作、およびHVTへの挿入を容易にするために、発現カセットは、それ自体がクローニングまたはトランスフェクションを可能にするビヒクルなどのDNA分子に含まれること、例えば、プラスミド、コスミド、バクミドなどに含まれることが可能である(国際公開第93/25.665号および欧州特許第996.738号を参照のこと)。一般的なクローニングプラスミドの例が、例えば、pBR322由来のプラスミド、またはpUCシリーズ由来のプラスミドである。これらは広く市販されている。
発現カセットを含むプラスミドは、一般には「トランスファーベクター」、「シャトルベクター」または「ドナープラスミド」として示される。この状況において、プラスミドは、挿入を導くためのベクターのゲノムの標的挿入遺伝子座からの隣接配列領域を有する発現カセットを含む。
典型的には、トランスフェクションで使用されるトランスファーベクターは、それ自体はベクターのゲノムに組み込まれず、トランスファーベクターが運ぶ発現カセットの組み込みを、例えば、挿入が相同的組換えによって生じることを可能にすることによって容易にするだけである。その結果として、本発明における使用のための第1の発現カセットの場合、第1の発現カセットは、好ましくはその5’末端’およびその3’末端において、そのカセットをUs2に挿入するプロセスを導くHVTのUs2遺伝子の様々な区域が隣接する。
そのため、本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第1の発現カセットは、HVTのUs2遺伝子に由来する配列が隣接する。
好ましくは、隣接するUs2遺伝子配列は、上流側がGenBankアクセッション番号AF291866からのヌクレオチド140143~140541であり、下流側がGenBankアクセション番号AF291866からのヌクレオチド140541~141059である。
上記で記載されたように、本発明のrHVTベクターは、好都合には第2の発現カセットとして、インビトロおよびインビボの両方で複製時および発現時にrHVTにおいて安定に維持されるさらなる一組の異種遺伝子を含む。
したがって、1つの実施形態において、本発明によるrHVTは、第2の発現カセットが、5’から3’への方向で、かつ、次に述べる順に、
a.上流側プロモーターおよび下流側ターミネーターを伴うILTVのgD遺伝子、及び
b.上流側プロモーターおよび下流側ターミネーターを伴うILTVのgI遺伝子
を含み、
それによって、前記プロモーターおよびターミネーターが、前記gD遺伝子に、前記gI遺伝子に、それぞれ機能的に連結されることを特徴とする。
本発明における使用のための第2の発現カセットには、第1の発現カセットの場合と同じ一般的な考慮事項および好ましい選択が、必要な変更を加えて当てはまり、その結果として、本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第2の発現カセットには、
・プロモーターはコアプロモーターであってもよく、または完全なプロモーターであってもよく、
・挿入された第2の発現カセットの向きは重要でなく、そして
・gD遺伝子および/またはgI遺伝子をコードする遺伝子は、HVTウイルスのコドン選択に向けてコドン最適化される。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第2の発現カセットでは、
・gD遺伝子のためのプロモーターは、ILTVのgD遺伝子プロモーターであり、
・gI遺伝子のためのプロモーターは、ILTVのgI遺伝子プロモーターであり、
・gD遺伝子のためのターミネーターは、ILTVのgD遺伝子ターミネーターであり、および/または
・gI遺伝子のためのターミネーターは、ILTVのgI遺伝子ターミネーターである。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第2の発現カセットでは、プロモーターおよびターミネーターを伴うgD遺伝子と、プロモーターを伴うgI遺伝子とを含む第2のカセットの区域が、ILTVゲノムから全体として取り出される。上記で記載されたように、ILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子はそれらの自然界の状況では重複しているため、gD遺伝子ターミネーターおよびgI遺伝子プロモーターは、今度はgI遺伝子に、gD遺伝子に、それぞれ含まれる。
配列番号2は、本発明のための第2の発現カセットのヌクレオチド配列を約3.2kbのHind3フラグメントとして示す。
Figure 2024501943000003
好ましくは、プロモーターおよびターミネーターを伴うgD遺伝子と、プロモーターを伴うgI遺伝子とからなる区域が、配列番号2のヌクレオチド13~3081の領域の全長に対する少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を伴うヌクレオチド配列を含む約3kbのDNA分子によって形成される。少なくとも92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性が一層より好ましい(これらはその順で好ましい)。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第2の発現カセットでは、プロモーターおよびターミネーターを伴うgD遺伝子と、プロモーターを伴うgI遺伝子とを含む第2の発現カセットの区域が、配列番号2のヌクレオチド13~3081の領域によって形成される。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第2の発現カセットでは、gI遺伝子の転写ターミネーターはFHV1に由来し、好ましくはFHV1のUs9遺伝子に由来する。FHV1のUs9遺伝子が、例えば、GenBankアクセッション番号D42113で開示される。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、第2の発現カセットでは、転写ターミネーターはFHV1のUs9遺伝子に由来し、サイズが約0.05kbであり、配列番号2のヌクレオチド3097~3151の領域の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。少なくとも96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
1つの実施形態において、FHV1のUs9遺伝子に由来する転写ターミネーターは配列番号2のヌクレオチド3097~3151の領域である。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、本発明のための第2の発現カセットは、サイズが約3.2kbである。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、本発明のための第2の発現カセットは、配列番号2の全長に対する少なくとも95%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む約3.2kbのDNA分子である。少なくとも96%、97%、98%、または99%ものヌクレオチド配列同一性がより好ましい(これらはその順で好ましい)。
本発明によるrHVTの1つの実施形態において、本発明のための第2の発現カセットは、配列番号2に示されるような核酸を含む。好ましくは、第2の発現カセットは配列番号2である。
本発明によるrHVTは、好ましくは、十分に複製し、かつ、若い鳥類への接種または鳥類胚への卵内接種のために好適であることが知られている樹立されたHVTワクチン株(例えば、HVTワクチン株PB1または同FC-126)である元となるHVTに基づいている。これらは、一般に入手可能である:FC-126はATCCから入手可能であり(VR # 584-C)、PB1は凍結感染細胞における生ワクチンとして、例えば、MSD Animal Healthから市販されている。
第1および第2の発現カセット(両方とも本発明のために本明細書中で定義される通りである)を取り込むことは、(これに反して)元となるHVTの毒性または病原性を増大させず、また、毒性への復帰がないことは、HVTは自然界では非病原性であるので予想されることである。
したがって、1つの実施形態において、本発明によるrHVTの作製のために使用される元となるHVTはHVTワクチン株であり、好ましくは、PB1株またはFC-126株のHVTワクチン株である。
本発明によるrHVTは、家禽へのワクチン接種のために都合よく使用することができる、生きている組換えキャリア微生物、または「ベクター」ウイルスである。本発明によるrHVTは、マレック病(MD)と、伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)、ニューカッスル病(ND)および伝染性喉頭気管炎(ILT)の1以上またはすべてとに対する安全かつ効果的なワクチンであるという特徴を組み合わせており、加えて遺伝的に安定である。
本発明のために「遺伝的に安定」であることは、本発明によるrHVTの遺伝的構成がその後の繰り返されるウイルス複製において変化しないことを意味する。代替において、不安定な構築物は、非効率的なウイルス複製、ならびに/あるいは挿入された異種遺伝子(1つまたは複数)の1以上の発現の喪失を引き起こし得る。この安定性は、日常的な技術により、例えば、本発明によるrHVTを細胞培養におけるその後の継代培養に供することによって都合よくモニターすることができる。これらの工程の期間中に再単離されるウイルスを細胞培養ディッシュに置床し、寒天により覆い、HVT特異的なプラークが視認されるまでインキュベーションすることができる:これらはすべて、日常的な技術を使用して行われる。次に、プラークは、好適な抗体調製物を適切な陽性対照および陰性対照とともに免疫蛍光アッセイ(IFA)プロトコルで使用して、VP2タンパク質、Fタンパク質、またはgDタンパク質およびgIタンパク質の発現について染色することができる。その後、蛍光を特定の異種タンパク質についてもはや示さない任意のプラークも記録することができ、それによって、好ましくは、特定のrHVTサンプルの約100個の個々のプラークがモニターされなければならない。
驚くべきことに、本発明によるrHVTは、試験されたプラークのすべてで、15回の連続した細胞培養継代の後でさえ、また、インビボでの15日間の複製の後で、VP2タンパク質遺伝子、Fタンパク質遺伝子、gDタンパク質遺伝子およびgIタンパク質遺伝子のそれぞれの存在および発現を維持することが見出された。詳細が実施例において記載される。
このことは、先行技術において記載される主張された多価HVTベクター構築物を上回る強力かつ非常に重要な改善である。
また、VP2遺伝子、F遺伝子、gD遺伝子およびgI遺伝子のすべてが、効果的なHVTベクターワクチンにおける挿入物として既に使用されていることを考慮すると、それらが安定に維持され、かつ発現されるという事実はまた、本発明によるrHVTが家禽における防御免疫応答をこれらの抗原に対し、並びにMDVに対して誘発するであろうし、したがって、効果的な多価ベクターワクチンであろうことの信頼できる証明である。
本発明によるrHVTは、一般的な技術によって、好ましくはインビトロでの複製、例えば、ニワトリ細胞、典型的には初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)の培養物におけるインビトロでの複製によって増幅されることが可能である。この細胞は、ニワトリ胚のトリプシン処理(この技術分野ではすべて広く知られていること)によって調製することができる。CEFは単層で置床され、HVTに感染させられる。このプロセスは工業規模での産生にまでスケールアップすることができる。
一般に、rHVTは、rHVTを細胞会合形態で含有する感染した宿主細胞を採取することによって回収される。これらの細胞は、凍結期間中および貯蔵期間中の安定化をもたらすための適切なキャリア組成物に加えられる。次に、感染細胞は一般にはガラスアンプルに充填され、その後、ガラスアンプルは密封され、液体窒素において凍結され、貯蔵される。ワクチン接種のために使用されるとき、アンプルは解凍され、感染細胞は、使用中の安定化のための好適な希釈緩衝液に加えられる。好ましい実施形態において、希釈緩衝液は、国際公開第2019/121888号に開示されるような緩衝液である。
HVTの細胞会合凍結貯蔵が好ましいにもかかわらず、液体窒素の使用が実行可能でない状況では、1つの代替が、凍結乾燥を使用することである:凍結乾燥では、全培養物を使用して、HVTがその宿主細胞から細胞破壊によって、例えば、フレンチプレスまたは超音波処理器によって単離され得るというHVTの有利な特徴が用いられる。これは遠心分離によって清澄化することができ、その後、安定剤に加えられ、長期にわたる貯蔵のために凍結乾燥される。
したがって、さらなる局面において、本発明は、本発明によるrHVTを含む宿主細胞に関する。
本発明についての「宿主細胞」は、HVTによる感染および複製に対して感受性がある細胞である。そのような細胞の例として、トリの細胞、特にリンパ球または線維芽細胞がある。
好ましくは、本発明による宿主細胞は、インビトロ条件のもとで保たれる宿主細胞である。
1つの実施形態において、本発明による宿主細胞は、初代トリ細胞、すなわち、非ヒト動物の組織または臓器からインビトロで導かれ、不死化された細胞株に由来しない細胞である。典型的には、初代細胞は、少ない限られた回数の細胞分裂を行うことができるだけである。
1つの実施形態において、本発明についての初代トリ宿主細胞は初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)である。
1つの実施形態において、本発明による宿主細胞は、不死化されたトリ細胞である。いくつかの不死化トリ細胞株が、例えば、国際公開第97/044443号および国際公開第98/006824号に記載されている。
好ましい実施形態において、本発明による不死化トリ宿主細胞は不死化CEFであり、好ましくは、国際公開第2016/087560号に開示されるような不死化CEFである。
クローニングおよびトランスフェクションの種々の方法によって、本発明のための第1および第2の発現カセットは、本明細書中に記載されるようにこれらの発現カセットをそのゲノムに安定に含み、かつ発現する本発明によるrHVTを得るために使用することができる。
したがって、本発明のさらなる局面は、本発明によるrHVTを構築するための方法であって、本発明のための第1および第2の発現カセットを本発明について記載されるようなHVTのゲノムの領域に挿入することを含む方法に関する。
本発明による発現カセットを、本発明によるrHVTを作製するためにHVTゲノムに挿入することは、すべてこの技術分野では知られている種々の方法で行うことができる。1つの簡便な方法が、トランスファーベクターおよび相同的組換えの技術を使用することである。
代替において、本発明によるrHVTは、CRISPR/Cas9技術を使用して、例えば、Tang et al.,2018(上掲)によって記載されるようなCRISPR/Cas9技術を使用して作製することができる。
特に、rHVT-VP2-Fベクターウイルスを使用することができ、これは2017年以降、商用ワクチンInnovax ND-IBDにおいて利用可能である。これはさらに、CRISPR/Cas9技術を使用して、本明細書中に記載されるような第2の発現カセットを、本明細書中に記載されるようなrHVTのゲノムのUL44-45遺伝子座またはUL45-46遺伝子座の中に挿入することによって操作することができる。これらの挿入をこれらの遺伝子座に向けるために使用することができる特異的なガイドRNA配列が、実施例において記載される。
記載されるように、本発明によるrHVTの主な好都合な使用は、MD、IBD、NDおよび/またはILT、あるいは関連した疾患徴候に対する安全、安定かつ効果的なワクチン接種を提供する家禽用ワクチンにおいてであり、非常に若齢の家禽に施すことができる。
したがって、本発明のさらなる局面は、家禽用ワクチンにおける使用のための本発明によるrHVT、および/または家禽用ワクチンにおける使用のための本発明による宿主細胞に関する。
両方とも本発明によるものであるrHVTまたは宿主細胞の「ワクチンにおける使用」の種々の方法が上記で概説されており、無細胞ウイルスとして、または宿主細胞における細胞会合ウイルスとして、家禽に接種するためのワクチン組成物において使用することを含む。
また、さらなる局面において、本発明は、本発明によるrHVTおよび/または本発明による宿主細胞と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む家禽用ワクチンに関する。
「ワクチン」は、免疫学的に活性な化合物を医薬的に許容され得るキャリア中に含む組成物であることが広く知られている。「免疫学的に活性な化合物」または「抗原」は、接種された標的の免疫系によって認識され、防御的な免疫学的応答を標的の体液性免疫系および/または細胞性免疫系から誘発する分子である。
本発明によるワクチンは、MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTによって引き起こされる感染および/または疾患に対する家禽の保護を提供する。この効果は、これらのウイルスの1以上による増殖性感染の確立または増殖をそれらのそれぞれの標的器官において防止することによって、または低減することによって得られる。このことは、例えば、ウイルス量を減少させることによって、またはウイルス複製の持続期間を短くすることによって達成される。このことは、結果としてウイルス感染によって引き起こされる疾患の病変および関連した臨床徴候の数、強度、または重症度の標的動物における低減につながる。
しかしながら、ある特定の養鶏場においてまたはある特定の地域において流行しているMDV野外ウイルス、IBDV野外ウイルス、NDV野外ウイルスまたはILTV野外ウイルスの毒性に依存して、これらのウイルスの1以上のさらなるワクチン成分を加えることが、これらのウイルスの病原性バリアントまたは血清学的バリアントのための効果的なワクチン接種を保証するために必要となる場合がある。このことはこの技術分野ではすべて広く知られている。
両方とも本発明によるものである家禽用ワクチンとしての使用の有効性または家禽用ワクチンの有効性の判定は、十分に日常実施者の技能の範囲内であり、例えば、ワクチン接種後の免疫学的応答をモニターすることによって、または抗原暴露感染後の臨床症状もしくは死亡の出現を試験することによって、例えば、標的の疾患徴候、臨床スコア、血清学的パラメーターをモニターすることによって、または抗原暴露病原体を再単離することによって、そして、これらの結果を、擬似ワクチン接種動物において認められるワクチン接種-抗原暴露応答と比較することによって行うことができる。これら4つのウイルス感染のそれぞれを評価するための種々の方法がこの技術分野では広く知られている。
本発明による使用、本発明によるワクチンによってまたは本発明によるワクチン接種によって誘発される、MD、IBD、NDおよびILTに対する保護は、ワクチン接種された標的において、健康および経済的収益率における改善をもたらす。このことは、例えば、様々なパラメーターから、例えば、生存、成長速度、飼料転換、卵生産、ならびに子孫の数および健康のうちの1以上の増大などから評価することができる。さらなる効果が、健康管理のための低下したコスト、および運営の増大した経済性である。
本発明によるワクチンの様々な実施形態、好ましいものおよび実例が、下記において概説されるであろう。
本発明のための用語「家禽」は、獣医学実務との関係があり、かつ、HVTによる接種に対して感受性がある鳥類種に関連し、好ましい家禽種として、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒルおよびウズラが挙げられる。ニワトリが最も好ましい種である。
本発明については、家禽は、任意のタイプ、品種または変種のものであってよく、例えば、産卵鶏、繁殖用鶏、ブロイラー、組み合わせ品種、またはそのような品種のいずれかの親系統などである場合がある。好ましいタイプは、ブロイラー、繁殖用鶏および産卵鶏である。最も好ましいものは、ブロイラータイプおよび産卵鶏タイプの家禽である。
「医薬的に許容され得るキャリア」は、無害であり、かつ標的によって十分に許容されると同時に、ワクチンの安定化および投与を助けるために意図される。そのようなキャリアとして、例えば、滅菌水または滅菌生理的塩溶液を挙げることができる。より複雑な形態において、キャリアは、例えば、さらなる添加物(例えば、安定剤または保存剤など)を含み得る緩衝液であることが可能である。詳細および実例が、例えば、広く知られたハンドブックに記載されており、例えば、“Remington:the science and practice of pharmacy”(2000,Lippincott,USA,ISBN:683306472)、および“Veterinary vaccinology”(P.Pastoret et al.ed.,1997,Elsevier,Amsterdam,ISBN 0444819681)などに記載される。
本発明については、また、ワクチンが細胞会合HVTの形態であるとき、その場合、医薬的に許容され得るキャリアは、好ましくは、培養培地と、約10%の血清と、約6%のDMSOとの混合物である。このキャリアはまた、凍結期間中および凍結保存期間中におけるrHVT感染宿主細胞の安定化を提供する。血清は、細胞培養のために日常的に使用される血清がいずれも可能であり、例えば、ウシ胎児血清または新生仔ウシ血清などが可能である。
本発明によるワクチンは、当業者によって容易に適用可能である本明細書中に記載されるような方法によって本発明によるrHVTから調製される。例えば、本発明によるrHVTは、本発明のために記載される発現カセットがトランスフェクションおよび組換えによって挿入されることにより構築される。次に、所望のrHVTが選択され、より小さい体積またはより大きい体積で、好ましくはインビトロ細胞培養において、例えば、CEFにおけるインビトロ細胞培養において工業的に増幅される。そのような培養物から、rHVTに感染した宿主細胞の懸濁物が、全感染細胞としてまたは細胞破壊によって得られる無細胞調製物として、採取される。この懸濁物は、好適な医薬用キャリアと共にワクチンに配合され、最終製造物が包装される。細胞会合ワクチンはその後、液体窒素において貯蔵され、凍結乾燥ワクチンが-20℃または+4℃で貯蔵される。
医薬品製造のための広く知られた基準のもとでのワクチンの製造に適用される一般的な技術および考慮事項が、例えば、政府指令および政府規制(薬局方、連邦規則集第9章(9CFR))、ならびに広く知られたハンドブック(「Veterinary vaccinology」および「Remington」、ともに上掲)に記載される。一般に、そのようなワクチンは無菌で調製され、医薬用品質規格の賦形剤を使用して調製される。
そのような調製物は、無菌性、および外来性作用因の非存在についての微生物学的試験を組み込むであろうし、また、効力および安全性を確認するためのインビボまたはインビトロでの様々な検討を含む場合がある。品質、量、無菌性、安全性および効力についての試験が完了した後、ワクチンは販売のために許可され得る。これらはすべてが当業者には広く知られている。
1つの実施形態において、本発明による家禽用ワクチンは細胞会合ワクチンである。
「細胞会合(した)」は、本発明によるrHVTが本発明に従ってインビトロでは宿主細胞に含まれることを意味する。その結果として、このタイプのワクチンは、両方とも本発明によるものであるが、宿主細胞並びにrHVTの両方を含む。
本発明によるワクチンのための標的動物は原則的には健康な動物または病気の動物であることが可能であり、また、MDV、IBDV、NDVまたはILTVの存在について、あるいはMDV、IBDV、NDVまたはILTVに対する抗体について陽性または陰性である場合がある。また、標的は、任意の体重の標的、任意の性別の標的、またはワクチン接種に対して感受性がある任意の年齢の標的に可能である。しかしながら、健康な非感染の標的にワクチン接種すること、および任意の野外感染も、またその結果を防止するために可能な限り早期にワクチン接種することが明らかに有利である。
したがって、本発明によるワクチンは、MDV、IBDV、NDVまたはILTVによる感染の確立および進行の両方を妨げるので、予防的処置としてまたは治療的処置としていずれかで、あるいは両方として使用することができる。
その点において、本発明によるワクチンによるウイルス量の減少のさらなる好都合な効果は、ウイルス排出およびそれにより野外ウイルスの拡散、すなわち、子孫への垂直拡散、ならびに群れ内または集団内および地理学的地域内における水平拡散の両方を防止すること、または軽減することである。その結果として、本発明によるワクチンの使用は、MDV、IBDV、NDVまたはILTVの有病率の低下を引き起こす。
したがって、本発明のさらなる局面は、
・MDV、IBDV、NDVまたはILTVの有病率を集団において、または地理学的地域において低下させるための本発明による家禽用ワクチンの使用、および
・MDV、IBDV、NDVまたはILTVの有病率を集団において、または地理学的地域において低下させるための本発明による家禽用ワクチン
である。
本発明によるワクチンは:IBD、NDおよびILTに対しては異種挿入物の発現によって、加えて、MDに対してはHVTベクター自体によって多価免疫を既に提供している。それにもかかわらず、追加の免疫活性成分とのさらなる組み合わせを行うことが好都合であり得る。このことは、既に提供されている免疫防御を増強するために、または既に提供されている免疫防御を他の病原体に拡張するために役立ち得る。
したがって、1つの実施形態において、本発明によるワクチンは、少なくとも1つの追加の免疫活性成分を含むものである。
そのような「追加の免疫活性成分」は、抗原、免疫増強物質、サイトカイン、さらなるワクチン、または任意のそれらの組み合わせである場合がある。これにより、様々な利点が、コスト、効率および動物福祉の点でもたらされる。代替において、本発明によるワクチンは、それ自体がワクチンに加えられる場合がある。
1つの実施形態において、少なくとも1つの追加の免疫活性成分は免疫賦活性化合物であり、好ましくはサイトカインまたは免疫賦活性オリゴデオキシヌクレオチドである。
免疫賦活性オリゴデオキシヌクレオチドは、好ましくは免疫賦活性の非メチル化CpG含有オリゴデオキシヌクレオチド(INO)である。好ましいINOは、トリToll様受容体(TLR)21アゴニストであり、例えば、国際公開第2012/089.800号に記載されるもの(X4ファミリー)、国際公開第2012/160.183号に記載されるもの(X43ファミリー)、または国際公開第2012/160.184号に記載されるもの(X23ファミリー)などである。
1つの実施形態において、少なくとも1つの追加の免疫活性成分は、家禽に対して病原性である微生物に由来する抗原である。この抗原は、任意の好適な方法、例えば、家禽に対して病原性である微生物から、「生の」弱毒化抗原、不活化抗原、またはサブユニット抗原として「得る」ことができる。
家禽に対して病原性である微生物に由来する追加の抗原は好ましくは、下記のものからなる群から選択される1以上の微生物に由来する:
・ウイルス:伝染性気管支炎ウイルス、NDV、アデノウイルス、トリインフルエンザウイルス、産卵低下症候群ウイルス、IBDV、ニワトリ貧血ウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、鶏痘ウイルス、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス、アヒルペストウイルス(アヒルウイルス性腸炎)、鳩痘ウイルス、MDV、トリ白血病ウイルス(avian leucosis virus)、ILTV、トリニューモウイルスおよびレオウイルス;
細菌:大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)、オルニトバクテリウム・リノトラケアレ(Ornitobacterium rhinotracheale)、ヘモフィルス・パラガリナルム(Haemophilus paragallinarum)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、エリシペラス(Erysipelas)、マイコプラズマ(Mycoplasma)およびクリストリジウム(Clostridium);
寄生虫:エイメリア(Eimeria);ならびに
真菌:アスペルギルス(Aspergillus)。
追加の抗原はまた、さらなるベクターワクチンである場合があり、例えば、HVTに基づくもの、MDV2に基づくもの、NDVに基づくものなどである場合がある。
本発明によるワクチンの1つの実施形態において、家禽に対して病原性である微生物に由来する追加の抗原は、MDV、IBDV、NDVまたはILTVの弱毒化「生」ワクチン株である。これは、本発明によるワクチンの免疫原性を改善し、かつ拡張するために役立ち、また、このことは、MDV、IBDV、NDVまたはILTVの非常に毒性の野外株が流行しているそのような場合または地理学的地域において好都合である。
これに関して、HVTと、MDV1、MDV2またはHVTとの組み合わせが知られており、本発明については、MDVのRispens株(MDV1)、SB1株(MDV2)、またはFC-126株もしくはPB1株(HVT)が、追加の免疫活性成分として好ましい。
NDに対する応答を改善するために、本発明によるrHVTは、NDVワクチン株(例えば、温和な生NDVワクチン株C2など)と組み合わされる場合がある。
同様に、IBDに対する応答を改善するために、本発明によるrHVTは、生IBDVワクチン株(例えば、D78、PBG98、Cu-1、ST-12または89-03など)と組み合わされる場合がある。
当業者は理解するであろうように、これらの「組み合わせ」にはまた、本発明によるrHVTと、追加の免疫活性成分とが、組み合わされてまたは同時に適用されるのではなく、並行または逐次的でのワクチン接種スケジュールで適用されるワクチン接種スケジュールが含まれ:例えば、rHVTが卵内に、NDV C2が1日目に、IBDV 89-03が約17日齢目に適用されよう。
したがって、少なくとも1つの追加の免疫活性成分を含む本発明によるワクチンの1つの実施形態において、少なくとも1つの追加の免疫活性成分は、MDV、IBDV、NDVもしくはILTVからのワクチン株、または任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される微生物である。
より好ましくは、追加の免疫活性成分は、MDV Rispens、MDV SB1、NDV C2、IBDV D78、およびIBDV 89-03からなる群から選択される1以上である。
本発明によるワクチンは、本明細書中に記載されるような方法および例示されるような方法によって調製することができる。
したがって、本発明のさらなる局面は、本発明による家禽用ワクチンを調製するための方法であって、
下記の工程;
a.宿主細胞にインビトロで本発明によるrHVTを感染させる工程、
b.感染した宿主細胞を採取する工程、および
c.採取された感染宿主細胞を医薬的に許容され得るキャリアと混合する工程
を含む方法に関する。
本発明についての好適な宿主細胞および医薬的に許容され得るキャリアが上記で記載されている。また、感染、培養および採取のための好適なインビトロ方法がこの技術分野では広く知られており、本明細書中に記載され、例示される。
したがって、本発明の様々な異なる局面および実施形態を、安全な、安定かつ効果的な本発明による家禽用のワクチンを製造するために都合よく使用することができる。
したがって、さらなる局面において、本発明は、家禽用ワクチンを製造するための、本発明によるrHVTの使用、本発明による宿主細胞の使用、または任意のそれらの組み合わせの使用に関する。
他の化合物(例えば、安定剤、キャリア、アジュバント、希釈剤、乳化物および同様なものなど)を、本発明によるワクチンに混合することもまた本発明の範囲の範囲内であることは言うまでもない。そのような添加物は、広く知られたハンドブック、例えば、「Remington」および「Veterinary Vaccinology」(ともに上掲)に記載されている。
このようにして、家禽を非常に若齢での単回接種により、MD、IBD、NDおよびILTから保護することの本発明によるワクチンの効力が、必要なときにはさらに最適化され得る。
本発明によるワクチンは、家禽標的への投与のために好適である形態で、かつ、所望の適用経路および所望の効果と一致する形態で調製することができる。
本発明によるワクチンの適用経路に依存して、ワクチンの組成を適合化することが必要である場合がある。これは十分に当業者の能力の範囲内であり、これには、ワクチンの効力または安全性を微調整することが一般に伴う。このことは、ワクチン用量、量、頻度、経路を適合化することによって、あるいはワクチンを別の形態または製剤で使用することによって、あるいはワクチンの他の構成成分(例えば、安定剤またはアジュバント)を適合化することによって行うことができる。
本発明によるワクチンは、原則的には接種されたrHVTが防御感染を確立することができるならば、標的家禽に、種々の適用経路によって、及び、その一生の種々の時点で与えることができる。
しかしながら、MDV、IBDV、NDVまたはILTVによる感染は、非常に若齢で確立され得るので、本発明によるワクチンを可能な限り早期に適用することは好都合である。したがって、本発明によるワクチンは、例えば、ふ化日(「1日目」)に、または卵内に、例えば、胚発達の約18日に適用することができる(すべてがこの技術分野では広く知られている)。
したがって、1つの実施形態において、本発明によるワクチンは家禽に卵内投与される。
ワクチンの受精卵への産業的規模での自動化された注射のための装置が市販されている。これは、労働コストを最小限に抑えながら、可能な限り早期の保護をもたらす。種々の卵内接種経路が知られており、例えば、卵黄嚢内、胚内、または尿膜液腔(allantoic fluid cavity)内であり、これらは必要に応じて最適化され得る。好ましくは、HVTによる卵内接種が、ニードルが胚に接触するように行われる。
好ましくは、本発明によるワクチンは、卵内注射または非経口注射のどちらかでの注射のために好適である注射可能な液状物として、例えば、懸濁物、溶液、分散物または乳化物として配合される。
1つの実施形態において、本発明によるワクチンは非経口経路によって投与される。好ましくは、筋肉内経路または皮下経路によってである。
本発明によるワクチンの動物服用あたりの本発明によるrHVTの正確な量は、不活性化型ワクチンまたはサブユニット型ワクチンほどに重要でない。これは、rHVTが、生物学的に持続可能であるウイルス血症のレベルにまで標的動物において複製するであろうからである。原則的には、ワクチン用量は、そのような増殖性感染を開始させるために十分である必要があるだけである。接種量が大きくなっても、最適なウイルス血症感染に宿主において達するために要する時間はほとんど短くならない。そのため、非常に大きい用量は効果的でなく、加えて、経済的理由のために魅力的でない。
したがって、好ましい接種量は、本発明によるrHVTが動物服用あたり1×10^1~1×10^5プラーク形成単位(pfu)の間であり、より好ましくは1×10^2~1×10^4pfu/服用の間であり、一層より好ましくは500~5000pfu/服用の間であり、最も好ましくは約1000~約3000pfu/服用の間である。
本発明によるワクチンが細胞会合しているときには、これらの量のrHVTが感染宿主細胞に含まれる。本発明によるrHVTのウイルス粒子を計数するための様々な方法が広く知られている。
本発明によるrHVTの動物服用あたりの容量は、その意図された適用経路に従って最適化され得る。卵内接種は、一般には約0.01ml/卵~約0.5ml/卵の間の用量を用いて適用され、非経口注射は、一般には約0.1ml/鳥~約1ml/鳥の間の用量を用いて行われる。
本発明によるワクチンの免疫学的に効果的な量がどのくらいであるかの決定、または動物服用あたりのワクチン容量の最適化は、ともに十分に当業者の能力の範囲内である。
本発明によるワクチンを標的生物に適用するための服用レジメンは、ワクチンの製剤と適合する様式での、かつ、免疫学的に効果的であろうような量での単回服用または多回服用であることが可能である。
好ましくは、本発明によるワクチンの投与のためのレジメンは、動物へのストレスを軽減するために、また、労働コストを削減するために、標的家禽によって要求されるかもしれない他のワクチンの既存のワクチン接種スケジュールに統合される。これらの他のワクチンは、それらの認可された使用に適合する様式で、同時に、並行して、または逐次的に投与することができる。
上記で記載されたように、また、本明細書中下記において例示されるように、本発明によるワクチンは、好都合にはMDV、IBDV、NDVおよびILTVの1以上またはすべてによる感染を非常に若齢での単回接種によって防止するために、または軽減するために、そして、非常に若齢での単回接種による、そのような感染に関連する疾患(の徴候)の防止または軽減のために使用することができる。
したがって、本発明のさらなる局面として、下記が挙げられる:
・MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTVによる感染、あるいはそれらの関連する疾患徴候を防止するための、または軽減するための、本発明による家禽用ワクチンの使用。
・MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTVによる感染、あるいはそれらの関連する疾患徴候を防止するための、または軽減するための方法であって、本発明によるワクチンを家禽に投与することを含む方法。
・MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTVによる感染、あるいはそれらの関連する疾患徴候を防止するために、または軽減するために家禽にワクチン接種する方法であって、前記家禽に本発明によるワクチンを接種する工程を含む方法。
家禽への接種による本発明によるワクチンの使用に関する詳細が上記で記載されている:具体的には、1日齢のヒヨコへの筋肉内接種または皮下接種による接種、および18日齢の胚への卵内接種。
次に、本発明が、下記の限定されない実施例を参照してさらに説明されるであろう。
[実施例]
[実施例1]
多価rHVTベクターの構築およびインビトロ試験
1.1.作製され、試験された構築物
HVTベクター構築物rHVT-VP2-F(HVP360;国際公開第2016/102647号)に基づいて、ILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子をさらに発現する一連のHVT組換え体を作製した。HVP360は、IBDV-VP2遺伝子およびNDV-F遺伝子を、HVTのUs2遺伝子に挿入される1つの発現カセットから発現する。Tang et al.2018(上掲)によって記載されるようなCRISPR/Cas9技術を使用して、ILTV gD-gIを発現するさらなるカセットをHVP360ゲノムのUL領域に種々の部位で導入した。いくつかの構築物を第2の発現カセットの挿入により作製し、2つの構築物が、インビトロおよびインビボで試験されたとき要求されたレベルの安定した複製および発現を有することが見出された。挿入部位は、GenBankアクセッション番号AF291866で公開されるようにHVT株FC-126のゲノムに対して示される:
・rHVT構築物HVP412:UL44とUL45との間に、具体的にはnt.94482~94483の間に挿入されるgD-gIカセット、および
・rHVT構築物HVP413:UL45とUL46との間に、具体的にはnt.95335~95336の間に挿入されるgD-gIカセット。
CRISPR/Cas9誘導された挿入のために使用されるガイドRNA配列は、
・UL44とUL45との間での挿入:5’-ACATCGGGACGTACATCATG-3’(配列番号3)
・UL45とUL46との間での挿入:5’-CTAACGGTTACTGTGTTTTA-3’(配列番号4)
である。
配列番号3および配列番号4は、DNAプラスミドに挿入され、その後、ガイドRNAを産生させるために転写されたので、ここではDNAコードで示されている。配列番号3のガイドRNAは、順方向向きでHVTの二本鎖DNAに結合し、切断がそのヌクレオチド17とヌクレオチド18との間で行われる。配列番号4のガイドRNAは、逆方向向きでHVTのds DNAに結合し、切断がそのヌクレオチド3とヌクレオチド4との間で行われる。
これらのガイドRNAは、インターネットウェブサイト(zlab.bio/guide-design-resources)を使用して設計された。
使用された発現カセットおよびHVTゲノムへのそれらの挿入のグラフ表示が図1に示される。
ベクター構築物HVP360のUL領域への第2の発現カセットの他の挿入を、
・UL39の内側-中央部
・UL39の内側-3’末端付近
・UL40-41の間
・UL47-48の間
において行った。
1.2.インビトロでの遺伝的安定性
様々なrHVTベクター構築物を、インビトロで15回、CEF細胞で継代した。P15プラークを下記のようにIFAによって挿入遺伝子の発現についてモニターした:一晩にわたって確立されたCEF単層に、15回目の継代レベルでのrHVTベクターの1つを感染させた。プレートを、CPEが明瞭に視認されるまで2日間~3日間にわたってインキュベーションし、その後、96%のエタノールにより固定した。VP2およびFの発現を特異的モノクローナル抗体により検出し、gDおよびgIを、ニワトリポリクローナル抗ILTV抗体を使用して検出した。第1の抗体の後、Alexa(商標)標識されたコンジュゲートを二次抗体として使用した。次に、プレートをUV顕微鏡法によって読み取った。約100個のプラークを、発現を評価するために組換え体のそれぞれについて計数した。
HVP412およびHVP413について試験されたすべてのプラークが、VP2遺伝子、F遺伝子およびgD-gI遺伝子の完全な発現を示した。このことから、インビトロでの細胞継代レベルが(少なくとも)15まででのこれら3つの異種遺伝子の機能的かつ安定な発現が確認された。
[実施例2]
インビボでの多価rHVTベクターの特徴づけ
2.1.序論
いくつかの実験において、インビボにおけるウイルス複製および遺伝子挿入物の発現、ならびに血清学的免疫応答の誘発を、実施例1に記載されるように構築された様々な多価rHVTベクターについて試験した。実験動物は1日齢のSPF産卵鶏のヒヨコであった。rHVTベクターワクチンのインビボでの複製を明らかにするために、ワクチン接種後15日目での脾臓におけるHVTウイルス血症レベルを判定した。異種遺伝子挿入物の発現および特異的抗体の誘発について調べるために、血液サンプルを治験期間中の種々の時点で採取した。
2.2.実験
群サイズが、5匹のふ化仲間を加えた12匹の動物であった。ワクチン接種日にふ化仲間から採取された血液サンプルを、この一群の動物がワクチン接種日にNDV、IBDVおよびILTVに対する抗体について陰性であることを確認するために、血清学的に試験した。
rHVTワクチンウイルスを15回目の細胞継代で使用し、液体窒素において感染CEFとして貯蔵した。ウイルス力価(感染細胞における)は、1~1.2×10^6pfu/mlであった。投与された平均ワクチン用量が、0.2mlの標準的なHVT/CEF希釈剤において動物あたり1694PFUであり、これを、標準的な手順を使用して頸部に皮下接種した。
1つの群は、対照として役立たせるためにrHVTの元になったベクターHVP360をワクチンとして受けた。ヒヨコはふ化後すぐに陰圧アイソレーターに入れられ、その後すぐに標識されワクチン接種されたので、順化は何ら適用されなかった。
血液サンプルを、ワクチン接種後15日目、22日目、32日目および42日目にワクチン接種ヒヨコから採取した。血液サンプルを、凝固活性化因子を含むチューブに翼静脈から集め、周囲温度で保った。
ウイルス血症:
脾臓からのウイルス血症サンプル採取を下記のように行った:ワクチン接種後15日目に、脾臓を群あたり6羽のヒヨコから死後に単離した。清浄なピンセットをそれぞれのヒヨコについて使用した。脾臓を、フェノールレッド指示薬および抗生物質を含む5mlの10mM PBSを含むチューブに集め、処理するまで氷上に保った。次に、脾臓をホモジナイズし、新鮮な培地に入れ、計数した。5.0×10^6個の脾臓細胞あたりのrHVTウイルス血症を判定するために、その数の細胞を、確立されたCEF単層を有するディッシュに加え、38℃で3日間~4日間インキュベーションした。ウイルスが細胞に存在したならば、プラークとして視認されるCEFに対する細胞変性効果が引き起こされた。3つのプレートを動物サンプルあたり計数した。プレートを、96%のエタノールを使用して固定し、免疫蛍光アッセイ(IFA)を、抗原VP2、抗原F、または抗原gD-gIの1つについての染色との組み合わせで、ウイルス感染細胞を抗HVT抗血清により染色するために適用した。その結果として、3つの別個の二重染色が行われた。
血清学
血清学的応答の試験のための血液サンプルを、ワクチン接種後22日目、32日目および42日目に採取した。サンプルを遠心分離し、血清を集め、補体を不活性化した。血清を、発現した異種遺伝子に対するワクチン接種ニワトリの血清応答を判定するために種々の試験で使用した:IBDV-VP2応答を、典型的IBDVウイルス株D78を使用するウイルス中和(VN)アッセイによって測定し、NDV-F、IBDV-VP2およびILTV-gD-gIに対する血清学的応答をELISAによって測定し、標準サンプルに対する相対的なユニット数で表した。
2.3.結果および結論
ウイルス血症
rHVTウイルス血症が、群あたり6匹の動物からの脾臓においてワクチン接種後15日で検出された。対照ベクターHVP360についての平均ウイルス血症が500万個の脾臓細胞あたり93PFUであった。それ以外のrHVTワクチンを受ける群あたりの平均ウイルス血症数の結果は、以下の通りであった:
・UL39の中央部における、または3’でのgD-gI挿入物:HVTウイルス血症は検出不能;インビボでの複製は認められず、
・UL40-41における、またはUL47-48におけるgD-gI挿入物:それぞれ、36、45PFU/5×10^6:HVP360よりも低い低下したウイルス血症;低下したインビボでの複製、
・UL44-45における、またはUL45-46におけるgD-gI挿入物:それぞれ、81、92PFU/5×10^6:HVP360と同程度の良好なウイルス血症;良好なインビボでの複製
インビボでの遺伝的安定性
ウイルス血症アッセイで得られるrHVTウイルスを異種遺伝子の継続した発現について試験した。ワクチン接種後15日での脾臓由来のすべての単離体から、約100個のrHVTプラークをIFAによって分析した。
gD-gI挿入物をUL39に有するrHVTベクターはインビボで複製せず、そのため、安定性を判定することができなかった。
gD-gI挿入物をUL40-41に有するrHVTベクターは、インビボでの15日間の複製の後では、試験されたプラークの75%のみがNDV-F遺伝子の発現を示し、かつ、プラークの半分のみがIBDV-VP2遺伝子の発現を示したように、遺伝的に不安定であることが明らかにされた。
それ以外のrHVT構築物については、gD-gI挿入物をUL44-45に有するrHVT(HVP412)、UL45-46に有するrHVT(HVP413)、またはUL47-48に有するrHVTの分析されたすべてのプラークが、インビボでの15日間の複製の後、すべての異種遺伝子(IBDV-VP2、NDV-F、ならびにILTV-gDおよびgI)の発現を維持した。
血清学
自然界では、これら3つの異種抗原が由来する病原体(IBDV、NDV、およびILTV)に対する免疫応答は、すべて体液性免疫応答に非常に大きく依拠している。その結果として、ワクチン接種によって生じる抗体応答の計測は、これらの病原体からの感染および/または疾患に対するインビボ保護の信頼できる相関である。
様々なrHVTベクターによるニワトリへのワクチン接種によって誘発される血清学的応答をELISAによって分析した。陰性対照は、ワクチン接種前に試験された同じ一群の動物に由来するふ化仲間であった。NDVおよびIBDVに対する抗体保有(seroprotection)についての陽性対照が、HVP360ベクターによるワクチン接種であった。
1日目のふ化仲間のいずれもが、これらの病原体の1つ(NDV、IBDVまたはILTV)に対する検出可能な抗体価を何ら有しなかった。
抗ILTV血清反応を、市販のELISA試験(ID Screen(商標)ILT gI Indirect、ID vetから得られる)を使用して試験した。この試験では、611を超える結果値が防御免疫応答を示している。
ワクチン接種後の特定の日における種々の群についての平均ELISAスコア(n=6)の結果が表3に示される。
Figure 2024501943000004
表3に示されるELISA結果から明らかであるように、gD-gIがUL47-48の間に挿入されるrHVTは、試験されたワクチン接種後22日目、32日目および42日目のそれぞれにおいて、非常に低いレベルに過ぎない抗ILT抗血清を誘発し、したがって、防御レベルを常に下回っていた。その結果として、gD-gI挿入物をUL47-48の間に有するrHVTは、たとえインビトロおよびインビボで安定であるとしても、ILTV感染に対する多価ベクターワクチンとして有用ではないであろう。
しかしながら、gD-gIがUL44-45の間に挿入されるrHVT構築物(HVP412)、またはUL45-46の間に挿入されるrHVT構築物(HVP413)は、ワクチン接種後32日目および42日目において、防御レベルを十分に超えるスコアを有した。
加えて、構築物HVP412および構築物HVP413によるワクチン接種によって誘発される、NDVおよびIBDVに対する血清応答は、元のベクターHVP360によって誘発されるELISAスコア値に非常に近いELISAスコア値をすべての試験日で示した。その結果として、これらの構築物(HVP412およびHVP413)では、NDV-F遺伝子およびIBDV-VP2遺伝子の発現および送達が、ILTVのgD遺伝子およびgI遺伝子のUL領域への追加挿入によって影響を受けていなかった。
HVP360は、MDV、NDVおよびIBDVに対して効果的な広く知られた市販のワクチン(Innovax ND-IBD)であるので、そのため、HVP412およびHVP413は、MDV、NDVおよびIBDVに対して等しく効果的であり、今や、加えて、ILTVに対してもまた効果的である。
実施例3:ワクチン接種-抗原暴露治験
3.1.序論
実施例2に記載される血清学データが、実際に様々な病原体(NDV、IBDVおよびILTV)によって引き起こされる感染および疾患に対する良好な保護に対応することを明らかにするために、一連のワクチン接種-抗原暴露実験を行った:1日齢のSPFニワトリに、本発明の三価ベクター構築物の1つ(HVP412またはHVP413)によるワクチン接種を行った。次に、ワクチン接種体に、ワクチン接種後数週で、NDV、IBDVまたはILTVに由来する毒性のウイルス株による抗原暴露を行い、いくつかの感染パラメーターを測定した。
別々の治験を、異なる抗原暴露を調べるために行い、それによって、本発明による同じrHVTベクターワクチンが使用され、これらが同じ用量で与えられた。これらの実験の設定は、本質的には上記の実施例2に記載される通りであった。抗原暴露は、大半が以前に記載されたように行われ、例えば、NDVまたはIBDVの抗原暴露は、国際公開第2016/102647号に関して行われたように行われ、ILTV抗原暴露は、国際公開第2019/072964号に関して行われたように行われた。
3.2.材料および方法
一般的なワクチン接種
・SPF白色レグホン産卵鶏をアイソレーターにおいてふ化させた:鶏にはタグ番号の札をつけ、同日に、2000pfu(=10^3.3)のHVP412またはHVT413のどちらかを0.2mlの標準希釈剤における感染CEFとして、頸部に皮下経路によってワクチン接種した。
・陽性対照として、類似用量の商用二価rHVTベクターワクチンの1つ、すなわち、HVT-ND-IBD(HVP360、国際公開第2016/102647号;Innovax(登録商標)ND-IBD{MSD Animal Health})ベクター、または国際公開第2013/057236号に開示されるHVT-ND-ILTベクター(Innovax(登録商標)ND-ILT{MSD Animal Health}のどちらかを使用した。HVP412ウイルスおよびHVP413ウイルスを15または16の細胞継代レベルで使用した。
・陰性対照はワクチン非接種であり、その群サイズは群あたり9羽のヒヨコであった。
・IBDV抗原暴露治験およびILTV抗原暴露治験については群サイズが群あたり10羽のヒヨコであり、NDV抗原暴露試験については群サイズが群あたり15羽のヒヨコであり、それぞれの群が異なるアイソレーターに収容された。それぞれの実験のために、10羽のふ化仲間が、血清陰性状態を実験開始時に確認するために採血された。
・ワクチン接種後(pv)3週で、血液および脾臓を、実施例2に記載されるように、発現について血清学によって調べるために、また、rHVTベクターウイルス血症について調べるために、群あたり5羽のヒヨコから集めた。
特異的な抗原暴露:
IBDV
IBDV抗原暴露を、使用された群サイズがより小さかったが、Ph.Eur.monograph 0587に従って行った。具体的には、ワクチン接種後3週で、それぞれのヒヨコが、30 CID50のIBDV株CS89を0.1mlのPBSにおいて、点眼によって、両眼を覆うように分割されて受けた。
抗原暴露後、ヒヨコをIBDの臨床徴候について10日間モニターし、臨床スコアを、0から3までのスケールで、すなわち、それぞれ、徴候なし-いくつかの徴候-重篤な徴候-死亡について、毎日、それぞれのヒヨコに割り当てた。IBDの臨床徴候として、元気消失、うずくまる、蒼白、食欲不振、逆立った羽毛、および異常な糞便がある。次に、すべての残存する鳥を安楽死させ、ファブリキウス嚢を肉眼によりスコアづけし、組織学的分析のためにサンプル採取した。この場合、一般的な判断基準、例えば、肉眼的には肥大および浮腫が、顕微鏡的には、リンパ球枯渇、壊死、および偽好酸球の流入を(25%のブロックにおいて)示した濾胞の割合が使用された。これらの試験のいずれかにおける所見もまた、総臨床スコアに寄与した。
ILTV
IILTV抗原暴露を、使用された群サイズがより小さかったが、Ph.Eur.monograph 1068に従って行った。具体的には、ワクチン接種後4週で、それぞれのヒヨコが、3.0 Log10 EID50のILTV株96-3を標準的な細胞培養培地におけるCAMホモジネートとして受けた。ILTV抗原暴露ウイルスを、シリンジを介して気管の中央部にヒヨコあたり0.1mlで投与した。
抗原暴露後7日間、ヒヨコをILTの臨床徴候について1日に2回(午前および夕方)観察し、それぞれの午前において、臨床スコアを0から3までのスケールで、すなわち、それぞれ、徴候なし-いくつかの徴候-重篤な徴候-死亡について、それぞれのヒヨコに割り当てた。ILTV感染について典型的な臨床徴候として、顕著な呼吸困難、努力呼吸、あえぎ、血液喀出、鼻汁、結膜炎、および副鼻腔の腫脹がある。
抗原暴露後7日でヒヨコを安楽死させ、気管を単離し、赤色度ならびに内容物のタイプおよびコンシステンシーについて調べることによってILTV感染の徴候についてスコアづけした。これらの試験のいずれかにおける所見もまた、総臨床スコアに寄与した。
NDV
NDV抗原暴露を、使用された群サイズがより小さかったが、Ph.Eur.monograph 0450に従って行った。具体的には、抗原暴露をワクチン接種後5週で、筋肉内経路によって与えられる0.2mlのPBSにおいて、5 Log10 EID50のNDV株Herts 33/56をヒヨコあたり投与することによって行った。ヒヨコを抗原暴露後最大で14日間にわたって毎日観察し、NDV臨床スコアを、0から3までのスケールで、すなわち、それぞれ、徴候なし-いくつかの徴候-重篤な徴候-死亡について、毎日、それぞれのヒヨコに割り当てた。NDV感染の典型的な徴候として、神経学的症状、例えば、ねじれた首、明らかに垂れ下がる翼、非協調的歩行、筋振戦、および後方に湾曲した身体がある。
3.3.結果
HVP412ベクターワクチンまたはHVP413ベクターワクチンを受けるすべてのワクチン接種体が、rHVTベクターの良好なウイルス血症、およびワクチン接種後3週での異種遺伝子挿入物のすべての良好な発現(これは、実施例2で認められる発現と類似していた)を示した。
3つすべての抗原暴露治験について、1日目に試験されたふ化仲間は、NDV、IBDVおよびILTVに対する抗体について血清陰性であった。
ILTVおよびIBDVの結果のために使用される総臨床スコアは、群あたり10羽のヒヨコのすべてに対して観察期間を通して割り当てられるすべての臨床スコア、並びに、行われた肉眼検査および顕微鏡検査から得られるスコアを合計したものである。
NDV
ワクチン接種後5週で、本発明の三価rHVTベクターワクチンによって誘発されるNDV抗原暴露感染に対する保護が、二価HVT-ND-ILTによって得られる保護と少なくとも同程度であることが判明した:HVT-ND-ILTワクチンベクターおよびHVP412ベクターワクチンの両方で、87%のヒヨコが保護され、2/15の死亡、およびそれら以外のヒヨコの一部における数日間にわたる軽度の臨床徴候が示された。HVP413ワクチンでは、ヒヨコの100%が重症NDV感染に対して保護され、死亡が認められないこと、および、ほとんどがただ1日間だけであったが、3/15のヒヨコにおける軽度に過ぎない症状が示された。ワクチン非接種ヒヨコは、すべてのこれらのヒヨコが死亡したか、または抗原暴露後2日目までに安楽死させる必要があったように、抗原暴露感染に対する保護が0%であることを示した。
ILTV
ILTV抗原暴露に対する保護をワクチン接種後4週で試験し、すべてのベクターワクチンからの優れた保護が示された:HVP412は100%の保護および20の総臨床スコアを示し、HVP413は100%の保護および37の総臨床スコアを示し、HVT-ND-ILTは100%の保護および1の総臨床スコアを示した。ワクチン非接種の抗原暴露ヒヨコは、数日間にわたるILTV感染の中程度から重症の臨床兆候、すなわち、抗原暴露感染に対する保護が認められないこと、および1259の総臨床スコアを示した。
HVP412ワクチンおよびHVP413ワクチンによって誘発される血清学的応答は、HVT-ND-ILTワクチンによって誘発される血清学的応答ほどには高くなかった。しかしながら、この技術分野では広く知られているように、および防御データによってもまた確認されるように、ILTV防御は体液性免疫応答に(有意に)依存していない。
IBDV
IBDVワクチン接種効力をワクチン接種後3週で試験し、重篤な抗原暴露感染に対する優れた保護もまた示された:HVP412は100%の保護および7に過ぎない総臨床スコアをもたらし、HVP413は100%の保護を示し、総臨床スコアが5に過ぎなかった。HVP360からの保護が90%であり、総臨床スコアが166であった。ワクチン非接種の抗原暴露ヒヨコは保護されず、1541の総臨床スコアを有した。
この実験における陽性対照HVP360について認められる保護は、他の例において認められているよりもわずかに小さかった。代わりに、本発明のベクターワクチンは、IBDV感染に対して商用ベクターワクチンと少なくとも同じくらい効果的であることが明らかである。
3.4.結論
これらのワクチン接種-抗原暴露実験により、実施例2において既に記された結果、すなわち、本発明の両方のrHVTベクター構築物(HVP412およびHVP413)が、NDV、ILTVおよびIBDVの家禽病原体のそれぞれによる重篤な抗原暴露感染に対するベクターワクチンとして効果的であることが確認された。
実際、測定されたワクチン効力は、商用の二価ベクターワクチンについて認められる効力と少なくとも同じくらい良好であったか、またはそれよりも一層良好であった。

Claims (13)

  1. 伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)のウイルスタンパク質2(VP2)遺伝子およびニューカッスル病ウイルス(NDV)の融合(F)タンパク質遺伝子を、rHVTのゲノムのユニークショート(Us)領域に挿入される第1の発現カセットから発現するシチメンチョウの組換えヘルペスウイルス(rHVT)であって、
    前記rHVTがまた、伝染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)の糖タンパク質D遺伝子および糖タンパク質I遺伝子(gD遺伝子およびgI遺伝子)を、前記rHVTのゲノムのユニークロング(unique long:UL)領域においてUL44遺伝子とUL45遺伝子との間またはUL45遺伝子とUL46遺伝子との間のどちらかで挿入される第2の発現カセットから発現する、ことを特徴する、
    シチメンチョウの組換えヘルペスウイルス(rHVT)。
  2. 前記第1の発現カセットが、5’から3’への方向で、かつ、次に述べる順に、
    a.マウスサイトメガロウイルス前初期1遺伝子(mCMV-IE1)プロモーター、
    b.IBDVのVP2遺伝子、
    c.転写ターミネーター、
    d.ヒトサイトメガロウイルス前初期1遺伝子(hCMV-IE1)プロモーター、
    e.NDVのFタンパク質遺伝子、および
    f.転写ターミネーター
    を含み、
    それによって、前記プロモーターおよびターミネーターが、前記VP2遺伝子に、前記F遺伝子にそれぞれ機能的に連結されることを特徴とする、請求項1に記載のrHVT。
  3. 前記第1の発現カセットがUs2遺伝子に挿入されることを特徴とする、請求項1または2に記載のrHVT。
  4. 前記第2の発現カセットが、5’から3’への方向で、かつ、次に述べる順に、
    a.上流側プロモーターおよび下流側ターミネーターを伴うILTVのgD遺伝子、ならびに
    b.上流側プロモーターおよび下流側ターミネーターを伴うILTVのgI遺伝子
    を含み、
    それによって、前記プロモーターおよびターミネーターが、前記gD遺伝子に、前記gI遺伝子に、それぞれ機能的に連結されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のrHVT。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のrHVTを含む宿主細胞。
  6. 家禽用ワクチンにおける使用のための、請求項1~4のいずれか一項に記載のrHVT、および/または、請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 請求項1~4のいずれか一項に記載のrHVT、および/または、請求項5に記載の宿主細胞と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む家禽用ワクチン。
  8. 少なくとも1つの追加の免疫活性成分を含む請求項7に記載のワクチン。
  9. 請求項7または8に記載の家禽用ワクチンを調製するための方法であって、該方法は、
    下記の工程;
    a.宿主細胞にインビトロで請求項1~4のいずれか一項に記載のrHVTを感染させる工程、
    b.感染した宿主細胞を採取する工程、および
    c.採取された感染宿主細胞を医薬的に許容され得るキャリアと混合する工程
    を含む方法。
  10. 家禽用ワクチンを製造するための、請求項1~4のいずれか一項に記載のrHVT、請求項5に記載の宿主細胞、または任意のそれらの組み合わせの使用。
  11. MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTVによる感染、あるいはそれらの関連する疾患徴候を防止するための、または軽減するための、請求項7または8に記載の家禽用ワクチンの使用。
  12. MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTVによる感染、あるいはそれらの関連する疾患徴候を防止または軽減するための方法であって、請求項7または8のいずれか一項に記載のワクチンを家禽に投与することを含む方法。
  13. MDV、IBDV、NDVおよび/またはILTVによる感染、あるいはそれらの関連する疾患徴候を防止または軽減するために家禽にワクチン接種する方法であって、前記家禽に請求項7または8に記載のワクチンを接種する工程を含む方法。
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