JP2024117236A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強度及び圧縮強度の両者に優れた成形体の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の一実施形態に係る成形体の製造方法は、繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、前記成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有し、前記熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、前記熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥により造粒したものであり、前記熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmであり、前記成形工程における加熱温度は、(前記多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、成形体の製造方法に関する。
繊維状の物質を結合剤により接着させて成形体を製造する方法が検討されている。従来、このような結合剤としてポリエステル樹脂等の樹脂が用いられてきた。また、製造過程において大量の水を必要としてきた。
しかし、近年、環境問題や埋蔵資源の節約に対応するために、石油由来の材料の使用を抑制することが求められている。また、エネルギー消費抑制及び製造装置小型化の観点から、乾燥等に大量のエネルギーや大型の設備が必要である水の付与を必ずしも必要としない、乾式の成形方法が求められている。
例えば、特許文献1には、繊維および熱可塑性澱粉を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有する成形体の製造方法が記載されている。
特開2021-155655号公報
しかしながら、成形体の強度は未だ不十分であり、引張強度及び圧縮強度の両者に優れた成形体の製造方法が望まれる。
本発明に係る成形体の製造方法の一態様は、
繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、
前記成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有し、
前記熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、
前記熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥により造粒したものであり、
前記熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmであり、
前記成形工程における加熱温度は、(前記多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である。
実施形態に係る製造方法に適用可能な成形体製造装置を模式的に示す側面図。
以下に、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.成形体の製造方法
本発明の一実施形態に係る成形体の製造方法は、繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有し、熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥により造粒したものであり、熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmであり、成形工程における加熱温度は、(多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である。
従来、澱粉と可塑剤を混合させた熱可塑性澱粉粒子においては、熱可塑する温度の制御を行うことが困難であった。また、選択する可塑剤によって造粒性が異なるため、比較的粒径が小さくかつ均一な粒径分布とできる手法が確立されておらず、熱可塑性澱粉粒子の粒子径の制御も困難であった。このような従来の熱可塑性澱粉粒子は、成形に必要な加熱が不十分であったり、繊維と均一に混合できなかったりし、成形体の強度が不十分になりやすいものであった。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、可塑剤が多価アルコールであるとき、可塑剤の融点のみによって熱可塑性澱粉粒子の熱可塑温度を制御できることを新たに見出した。さらに、該可塑剤を用いた場合において、噴霧乾燥により熱可塑性澱粉粒子を造粒することで、粒子径の制御が容易に可能であることも判明した。
したがって、本実施形態に係る成形体の製造方法によれば、澱粉と融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、また、噴霧乾燥により造粒したものである熱可塑性澱粉粒子を用いることで、引張強度及び圧縮強度の両者に優れた成形体が得られる。
1.1 成形用原料用意工程
本実施形態に係る成形体の製造方法は、繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程を有する。
後述の成形体製造装置200では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、混合工程と、ウェブ形成工程とが、本実施形態に係る成形体の製造方法での成形用原料用意工程に該当する。
以下、成形用原料に含まれる各成分について説明する。
1.1.1 繊維
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる成形用原料は、繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含むものである。混合物における繊維は、成形体の形状の保持に大きく寄与するとともに、成形体の強度等の特性に大きな影響を与える成分である。
繊維としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などが挙げられ、更に詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維や、レーヨン、リヨセル、キュプラ、ビニロン、アクリル、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、炭素、ガラス、金属からなる繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、複数であってもよい。また、湿式離解、乾式解繊、精製などを行った再生繊維であってもよい。
また、繊維は、水酸基、カルボニル基、アミノ基のうちの少なくとも1つの化学構造を含む物質で構成されていることが好ましい。これにより、繊維と、後に詳述する熱可塑性澱粉粒子との間で、水素結合を形成しやすくなり、繊維と熱可塑性澱粉粒子との接合強度が向上することで、成形体の引張強度及び圧縮強度がより向上する傾向にある。
繊維は、天然由来の繊維、すなわち、バイオマス由来繊維であるのが好ましく、セルロース繊維であるのがより好ましい。これにより、環境問題や埋蔵資源の節約等により好適に対応することができる。特にセルロース繊維は、植物由来で豊富な天然素材であり、環境問題や埋蔵資源の節約等にさらに好適に対応することができるとともに、成形体の安定供給、コスト低減等の観点からも好ましい。加えて、繊維の原料として古紙等を使用することができ資源循環が可能となる。さらに、セルロース繊維は、各種繊維の中でも、理論上の強度が特に高いものであり、成形体の強度のさらなる向上の観点からも有利である。
セルロース繊維は、通常、主としてセルロースで構成されたものであるが、セルロース以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ヘミセルロース、リグニン等が挙げられる。また、セルロース繊維としては、漂白等の処理が施されたものを用いてもよい。
また、繊維は、紫外線照射処理、オゾン処理、プラズマ処理等の処理が施されたものであってもよい。これにより、繊維の親水性を高めることができ、熱可塑性澱粉粒子との親和性を高めることができる。より具体的には、これらの処理により、繊維の表面に水酸基等の官能基を導入することができ、熱可塑性澱粉粒子との間で、より効率よく水素結合を形成することができるようになる場合がある。
繊維の平均長さは、特に限定されないが、0.1mm以上50mm以下であるのが好ましく、0.2mm以上5.0mm以下であるのがより好ましく、0.3mm以上3.0mm以下であるのがさらに好ましい。これにより成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる傾向にある。
繊維の平均太さは、特に限定されないが、0.005mm以上0.5mm以下であるのが好ましく、0.01mm以上0.05mm以下であるのがより好ましい。これにより、成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる傾向にある。また、成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる傾向にある。
繊維の平均アスペクト比、すなわち、平均太さに対する平均長さは、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上500以下であるのがより好ましい。これにより、成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる傾向にある。また、成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる傾向にある。
なお、繊維の長さ、太さは、例えばファイバーテスター(Lorentzen & Wettre社製)により測定することができる。
混合物における繊維の含有量は、特に限定されないが、50.0質量%以上99.0質量%以下であるのが好ましく、60.0質量%以上95.0質量%以下であるのがより好ましく、70.0質量%以上90.0質量%以下であるのがさらに好ましい。繊維の含有量が上記範囲内であると、繊維と熱可塑性澱粉粒子との結着性がより良好となり、成形体の引張強度及び圧縮強度がより優れる傾向にある。
繊維は、シート状の成形体の解繊物を含むものであるのが好ましい。これにより、解繊物は、通常、綿状をなし、種々の形状、厚さの成形体の製造により好適に対応することができる。また、解繊物の原料としてシート状の成形体を用いることにより、成形用原料の調製が容易となる。また、必要時に必要な量だけ、シート状の成形体から成形用原料を容易に調製することができるため、その結果、原料の保管に要する空間を狭くすることができ、成形体製造装置の小型化にも寄与する。また、シート状の成形体が記録媒体等として用いられた古紙であり、これからシート状の成形体を製造する場合、成形体の再利用回数、リサイクルの回数をより好適に増やすことができ好ましい。
1.1.2 熱可塑性澱粉粒子
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる成形用原料は、繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含むものである。混合物における熱可塑性澱粉粒子は、成形体において、繊維同士を結合する結合材として機能する成分である。特に、熱可塑性澱粉粒子は、バイオマス由来の原料であるため、環境問題や埋蔵資源の節約等に好適に対応することができる。
なお、熱可塑性澱粉粒子における「熱可塑性」とは、水分を付与しない状態で加熱した場合に、可塑化する性質のことをいう。
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含むものである。したがって、熱可塑性澱粉粒子は、澱粉を外部可塑化したものであるが、澱粉を内部可塑化したものとすることもできる。
なお、澱粉の外部可塑化は、例えば、澱粉が有する官能基との間で水素結合を形成可能な官能基を分子内に複数個有する化合物を、澱粉と混合することにより行うことができる。また、澱粉の内部可塑化は、例えば、澱粉が有する官能基を、エステル化、特に炭素数が2以上の炭素鎖を有する化合物によりエステル化することにより、行うことができる。
〈造粒方法〉
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥(スプレードライ)により造粒したものである。噴霧乾燥による造粒であると、比較的粒子径が小さく、また粒子径がそろった均一な粒径分布が得られるため、熱可塑性澱粉粒子と繊維とを均一に混合でき、成形体の引張強度及び圧縮強度を優れたものとできる。
噴霧乾燥は、例えば、スプレードライヤー等の噴霧乾燥機を用いて、澱粉、80℃以上180℃以下である多価アルコールと、水とを含む溶液を噴霧して乾燥させることにより行うことができる。該溶液は、上記成分を混合した後、加熱撹拌し、澱粉糊化液とすることが好ましい。噴霧乾燥機における、該溶液の供給速度、入口温度、出口温度、滞留時間、アトマイザ回転数及び噴霧圧力等を適宜に調節することにより、得られる熱可塑性澱粉粒子の大きさ、形状を調整することが可能である。
噴霧乾燥における、上記溶液が噴霧乾燥機に導入される導入口の温度(入口温度)は、100~200℃が好ましく、110~190℃がより好ましく、120~180℃がさらに好ましい。噴霧乾燥における、上記溶液が噴霧されて排出される排出口の温度(出口温度)は、40~100℃が好ましく、50~90℃がより好ましく、60~80℃がさらに好ましい。
噴霧乾燥機としては、特に限定されないが、例えば、ヤマト科学社製 ADL311S-Aを用いることができる。
〈物性〉
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmである。熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径が1μm以上であると、噴霧乾燥における造粒時の収率が向上し好ましい。熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径が50μm以下であると、繊維と均一に混合させることができるため成形体の引張強度及び圧縮強度が向上する。平均粒子径の下限は1μm以上であるが、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、7μm以上がさらに好ましい。平均粒子径の上限は50μm以下であるが、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径を言い、例えば、サンプルを、当該サンプルが溶解・膨潤しない分散媒に添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をレーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000II、日機装株式会社製)を用いて測定する。当該レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置と同質の装置を使用しても良い。
熱可塑性澱粉粒子の溶融温度は、80℃以上180℃以下であるのが好ましく、90℃以上160℃以下であるのがより好ましく、100℃以上140℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、成形体を製造する際の加熱温度を比較的低いものとすることができ、成形体の構成材料が不本意に劣化してしまうこと等を効果的に防止することができ、また、省エネルギーの観点からも好ましい。また、得られる成形体の耐熱性や室温等の比較的低温での機械的強度等をより優れたものとすることができる場合がある。
なお、熱可塑性澱粉粒子の溶融温度は、JIS K 7210に準拠した測定、より具体的には、フローテスターを用いた昇温法により求めることができる。溶融温度の測定には、例えば、島津製作所社製 CFT-100Dを用いることができ、この場合、例えば、シリンダー圧を0.5MPaとして測定することができる。
混合物における熱可塑性澱粉粒子の含有量は、混合物の全質量に対して1.5質量%以上90質量%以下であることが好ましく、3質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以上85質量%以下であることが特に好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより特に好ましく、20質量%以上50質量%以下であることが殊更に好ましい。混合物における熱可塑性澱粉粒子の含有量が上記範囲内であると、繊維と熱可塑性澱粉粒子との結着性がより良好となり、成形体の引張強度及び圧縮強度がより優れる傾向にある。
以下、熱可塑性澱粉粒子に含有する各成分について説明する。
〈澱粉〉
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる熱可塑性澱粉粒子は、澱粉を含む。澱粉は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子材料である。当該澱粉としては、アミロース、アミロペクチンが挙げられ、これらのうちの少なくとも一方を含む。また、澱粉は、必要に応じて酸処理等の化学的処理を施したものであってもよい。
澱粉としては、例えば、各種植物由来のものを用いることができ、より具体的には、例えば、トウモロコシ、小麦、米等の穀類、ソラマメ、緑豆、小豆等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ等のイモ類、カタクリ、ワラビ、葛等の野草類、サゴヤシ等のヤシ類を由来とするものを用いることができる。これらの中でも、トウモロコシ由来の澱粉であることが好ましい。
澱粉は市販品を用いてもよく、例えば、SK-200、ハイデックス128、モールドNo.1、Y-3P(以上商品名、日本コーンスターチ社製)などが挙げられる。
澱粉の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは4万~60万、より好ましくは10万~40万である。
熱可塑性澱粉粒子における澱粉の含有量は、熱可塑性澱粉粒子の全質量に対して30~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、40~80質量%がさらに好ましく、40~60質量%が特に好ましい。
〈融点が80℃以上180℃以下である多価アルコール〉
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる熱可塑性澱粉粒子は、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールを含む。多価アルコールは、分子中に2個以上の水酸基を有するものであり、当該水酸基は水素結合形成が可能であるため、澱粉に熱可塑性を付与できる。多価アルコールの中でも融点が上記範囲内のものは、噴霧乾燥による造粒性に優れている。本実施形態に用いられる多価アルコールの融点は80℃以上180℃以下であるが、90℃以上160℃以下が好ましく、100℃以上140℃以下がより好ましく、110℃以上130℃以下が特に好ましい。
融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとしては、例えば、グルコース(融点146℃)、フルクトース(融点103℃)、ガラクトース(融点167℃)、マルトース(融点102℃)等の糖類、ソルビトール(融点95℃)、マルチトール(融点145℃)、キシリトール(融点92℃)、エリスリトール(融点121℃)、D-マンニトール(融点166℃)、ラクチトール(融点146℃)、パラチノース(融点122-123℃)等の糖アルコール類、スクラロース(融点130℃)等の糖誘導体、酒石酸(融点170℃)等のヒドロキシ酸類などが挙げられる。
融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールは糖アルコールであることが好ましい。糖アルコールは天然由来、すなわち、石油などではないバイオマス由来の原料であるため、環境問題や埋蔵資源の節約等により好適に対応することができる。糖アルコールの中でも、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、D-マンニトールから選ばれる1種以上が好ましく、エリスリトールがより好ましい。
熱可塑性澱粉粒子における融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールの含有量は、混合物の全質量に対して5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、40質量%以上がより特に好ましい。また、かかる含有量の上限は、特に限定されないが、混合物の全質量に対して95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下が特に好ましく、60質量%以下がより特に好ましい。かかる含有量が10質量%以上であると、澱粉に十分熱可塑性を付与できるため、成形工程において繊維と熱可塑性澱粉粒子が良好に結着し、成形体の強度がより向上する傾向にある。かかる含有量が95質量%以下であると、澱粉における結着力が良好に発現でき、成形体の強度がより向上する傾向にある。
1.1.3 その他の成分
本実施形態に係る成形体の製造方法に用いられる成形用原料は、繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビヤ系ガム等の天然ガム糊;エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導糊;澱粉、グリコーゲン、デキストリン、アミロース、葛、こんにゃく、片栗粉等の多糖類;アルギン酸ソーダ、寒天等の海藻類;コラーゲン、ゼラチン、加水分解コラーゲン等の動物性蛋白質;サイズ剤;前述の繊維由来の不純物;前述の熱可塑性澱粉粒子由来の不純物等が挙げられる。
ただし、成形用原料中における繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物以外の成分の含有率は、成形用原料の全量に対して、30質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以下であるのがさらに好ましく、5質量%以下であるのが特に好ましく、1質量%以下であるのがより特に好ましい。
1.2 成形工程
本実施形態に係る成形体の製造方法は、成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程を有する。これにより、融着した熱可塑性澱粉粒子により繊維同士が結合した成形体が得られる。
後述の成形体製造装置200では、シート形成工程が本実施形態に係る成形体の製造方法での成形工程に該当する。
成形工程における加熱温度は、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である。加熱温度が上述の多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上であると、熱可塑性澱粉粒子が十分溶融して結合力を発揮し、成形体の強度を確保可能である。また、加熱温度が200℃以下であると、繊維が焦げて脆くなることを抑制し、成形体の強度を良好とできる。
上記加熱温度における下限は、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上であるが、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.85)℃以上であってよく、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.9)℃以上であってよく、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.95)℃以上であってよく、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.99)℃以上であってもよい。
上記加熱温度における上限は、200℃以下であるが、180℃以下であってもよく、160℃以下であってもよく、140℃以下であってよく、120℃以下であってもよい。
成形工程での加圧は、0.1MPa以上100MPa以下で行うのが好ましく、0.5MPa以上80MPa以下で行うのがより好ましい。
1.3 その他の工程
本実施形態に係る成形体の製造方法は、上記工程の他に、加湿工程等を含んでいてもよい。加湿工程は、例えば、成形用原料に水を噴霧して加湿する工程であり、成形用原料に含まれる繊維や熱可塑性澱粉粒子などの飛散を抑制することができる。
その一方で、本実施形態に係る成形体の製造方法は、成形体の製造過程で一切の水を用いないことも可能である。したがって、本実施形態に係る成形体の製造方法は、加湿工程を含まないことが、エネルギー消費抑制及び製造装置小型化の観点から好ましい。
成形体の製造過程における成形用原料の最大水分含有量は、25質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましく、15質量%以下であるのがさらに好ましい。なお、水分含有量は、A&D社製の加熱乾燥式水分計等を用いた測定により求めることができる。
1.4 成形体
本実施形態に係る製造方法により得られる成形体の形状は、特に限定されず、例えば、シート状、ブロック状、球状、三次元立体形状等、いかなるものであってもよいが、シート状をなすものであるのが好ましい。なお、ここでいうシート状とは、厚さが30μm以上30mm以下、密度が0.05g/cm以上1.5g/cm以下となるように成形された成形体を指すとする。これにより、例えば、成形体を記録媒体等として好適に用いることができる。また、後述する、製造装置を用いることにより、より効率よく製造することができる。
本実施形態に係る製造方法により得られる成形体の用途は、特に限定されず、例えば、記録媒体、液体吸収体、緩衝材、吸音材等が挙げられる。また、成形体は、成形工程の後に、切断等の機械加工や、各種化学処理が施されて、用いられるものであってもよい。
1.5 成形体製造装置
本実施形態に係る成形体の製造方法に好適に適用することができる成形体製造装置について説明する。図1は、成形体を製造する成形体製造装置200を模式的に示す図である。
ここで例示する成形体製造装置200においては、原料Cから得られるセルロース繊維を含む繊維が上述した繊維に相当し、混合部250において混合される結着材が上述した熱可塑性澱粉粒子に相当する。そして、製造されるシートSが上述の成形体に相当する。
成形体製造装置200は、図1に示すように、上流から下流に向かって、例えば、供給部210と、粗砕部220と、定量供給部230と、解繊部240と、混合部250と、フォーミング部260と、ウェブ搬送部270と、成形部280と、裁断部290と、を含む。成形体製造装置200は、シート状の成形体であるシートSを製造する。
供給部210は、粗砕部220に原料Cを供給する原料供給工程を行う部分である。供給部210は、自動送り機構を有している。供給部210は、自動送り機構によって、粗砕部220に原料Cを連続的かつ自動的に投入する。原料Cは、セルロース繊維を含む材料である。
粗砕部220は、供給部210から供給される原料Cを、大気などの気中で細断する粗砕工程を行う部分である。粗砕部220は、粗砕刃222を有する。粗砕部220は、例えば、シュレッダーやカッターミルなどである。原料Cは、粗砕刃222によって細断されて細片となる。細片の平面形状は、例えば数mm角もしくは不定形である。細片は、定量供給部230に集められる。
定量供給部230は、細片を計量してホッパー232へ定量供給する。定量供給部230は、例えば、振動フィーダーである。ホッパー232に供給された細片は、管234を介して解繊部240の導入口242に搬送される。
解繊部240は、例えば、導入口242と、排出口244と、ステーター246と、ローター248と、図示しない気流発生機構と、を有している。解繊部240は、原料Cの細片を乾式にて解繊して、繊維を生成する解繊工程を行う部分である。原料Cの細片は、気流発生機構の気流によって、導入口242を介して解繊部240の内部に導入される。なお、「乾式」とは、液体中で所定の処理を実施せずに、大気などの気中で実施することをいう。
ステーター246は、略円筒状の内側面を有している。ローター248は、ステーター246の内側面に沿って回転する。原料Cの細片は、ステーター246とローター248との間に挟まれて、ステーター246とローター248との間に発生するせん断力によって解繊される。
解繊部240の解繊により生成された繊維は、繊維長が1.0mm以上であることが好ましい。これによれば、繊維が過度に短くならないため、シートSの機械的強度が向上する。繊維は、解繊部240の排出口244から混合部250へ排出される。混合部250の管251は、解繊部240の内部と、フォーミング部260の内部と、を連通している。繊維は、気流発生機構が発生させる気流によって、解繊部240から管251を介してフォーミング部260へ搬送される。
混合部250は、例えば、管251と、ホッパー252,253と、供給管254,255と、バルブ256,257と、を有している。混合部250は、管251の空気中を搬送されてくる繊維に対して、結着材及び必要に応じて添加剤を混入させる混合工程を行う部分である。これにより混合物が生成される。
ホッパー252は、結着材を管251内へ供給する。ホッパー252は、供給管254を介して管251の内部に連通している。バルブ256は、供給管254において、ホッパー252と管251との間に設けられている。バルブ256は、ホッパー252から管251に供給される結着材の重量を調整する。バルブ256により、繊維と結着材との混合比が調整される。
ホッパー253は、添加剤を管251内へ供給する。ホッパー253は、供給管255を介して管251の内部に連通している。バルブ257は、供給管255において、ホッパー253と管251との間に設けられている。バルブ257は、ホッパー253から管251に供給される添加剤の重量を調整する。バルブ257により、繊維及び結着材に対する添加剤の混合比が調整される。
繊維及び結着材などは、管251内をフォーミング部260へ搬送されながら混合されて混合物となる。管251における混合物生成の促進、及び混合物の搬送性向上のために、管251に気流を発生させるブロアーなどを設けてもよい。混合物は、管251の下流の端とフォーミング部260とを接続する供給部材258を介して、フォーミング部260へ導入される。
フォーミング部260は、繊維及び結着材などを含む混合物を空気中で堆積させて、ウェブWを生成するウェブ形成工程を行う部分である。フォーミング部260は、例えば、分散部262と、堆積部268と、を有している。
分散部262は、堆積部268の内部に設けられている。分散部262の内部は、供給部材258を介して管251と連通している。堆積部268の下方には、ウェブ搬送部270が設けられている。フォーミング部260は、混合物を供給部材258から分散部262の内部に取り込み、乾式にてウェブ搬送部270のメッシュベルト272上に堆積させる。
分散部262は、例えば、回転部材264と、回転部材264を収納するドラム部266と、を有している。図示の例では、回転部材264は、+状の部材である。回転部材264は、図示しない駆動部の駆動により回転する。ドラム部266は、略柱状の部材である。ドラム部266の下方は、例えば、金属メッシュで形成されている。金属メッシュの網目は、混合物に含まれる繊維や結着材などを通過させる。
堆積部268は、略箱状の部材である。堆積部268の上面は、供給部材258と接続されている。堆積部268の底面に相当する領域は、開放されている。分散部262は、堆積部268内にあって、メッシュベルト272の上面と対向している。堆積部268は、例えば、樹脂や金属などで構成されている。
混合物は、回転する回転部材264や、回転部材264とドラム部266との間を通過することによってほぐされる。混合物中の複数の繊維は、絡み合った状態が解かれて単体に分離されて、ドラム部266の網目を通過する。これにより、分散部262は、混合物に含まれる繊維及び結着材などを堆積部268の内部で分散させる。
混合物は、分散部262の内部から堆積部268内の空気中に放出されて、重力及びウェブ搬送部270のサクション機構275の吸引力によって、メッシュベルト272上に導かれる。混合物は、メッシュベルト272の上面に、後述する第1基材N1を介して堆積する。堆積部268は、分散された繊維を含む混合物を堆積させてウェブWを形成する。
ウェブ搬送部270は、例えば、メッシュベルト272と、張架ローラー273と、サクション機構275と、を有している。
メッシュベルト272は、無端ベルトである。図示の例では、メッシュベルト272は、4つの張架ローラー273によって張り架けられる。メッシュベルト272は、サクション機構275による吸引を妨げず、ウェブWを保持できる強度を有している。メッシュベルト272は、例えば、金属や樹脂で構成されている。メッシュベルト272が有するメッシュの穴径は、特に限定されないが、例えば、60μm以上125μm以下である。
張架ローラー273は、メッシュベルト272を回転可能に支持している。4つの張架ローラー273の少なくとも1つは、図示しないモーターによって回転駆動される。メッシュベルト272は、張架ローラー273の回転によって、上面が下流に向かって移動する。図示の例では、メッシュベルト272は、時計回りに回動する。メッシュベルト272が回動することによって、第1基材N1及びウェブWが下流へ搬送される。
メッシュベルト272の上流側には、基材供給部274が設けられている。基材供給部274は、ロール状の第1基材N1を回転可能に支持している。第1基材N1は、基材供給部274からメッシュベルト272の上面へ連続的に供給される。第1基材N1は、搬送されながら、上面に堆積部268から混合物が降下して堆積される。これにより、第1基材N1の上面にウェブWが連続的に形成される。メッシュベルト272は、第1基材N1と共にウェブWを下流へ搬送する。第1基材N1は、不織布で構成されている。
サクション機構275は、分散部262の下方に設けられている。サクション機構275は、メッシュベルト272上への混合物の堆積を促進させる。サクション機構275は、メッシュベルト272及び第1基材N1が有する複数の穴を介して、堆積部268内の空気を吸引する。メッシュベルト272及び第1基材N1の複数の穴は、空気を通し、混合物に含まれる繊維や結着材などを通し難い。分散部262から堆積部268の内側に放出された混合物は、空気と共に下方に吸引される。サクション機構275としては、ブロアーなどの公知の吸引装置が用いられる。
堆積部268内の混合物は、重力に加えてサクション機構275の吸引力によって第1基材N1の上面に堆積してウェブWとなる。ウェブWは、空気を比較的に多く含み、柔らかく膨らんでいる。ウェブWは、メッシュベルト272によって、第1基材N1と共に下流へ搬送される。
なお、図示はしないが、メッシュベルト272の上方に加湿器を設けて加湿工程を行ってもよい。加湿器は、ウェブWに水を噴霧して加湿する。これにより、ウェブWに含まれる繊維や結着材などの飛散を抑制することができる。さらに、加湿に用いる水に水溶性の添加剤などを含ませて、加湿と並行して添加剤をウェブWに含侵させてもよい。一方で、本実施形態に係る成形体の製造方法は、成形体の製造過程で一切の水を用いないことも可能である。したがって、本実施形態に係る成形体の製造方法においては、加湿工程を含まないことが、エネルギー消費抑制及び製造装置小型化の観点から好ましい。
ウェブ搬送部270の下流には、ダンサーローラー276が配置される。ウェブWは、最も下流側の張架ローラー273から剥離された後、ダンサーローラー276に引き込まれる。ダンサーローラー276は、下流における加工時間を確保する。具体的には、成形部280での成形は、バッチ処理となる。そのため、堆積部268から連続的に搬送されてくるウェブWに対して、ダンサーローラー276を上下に移動させて成形部280に到達する時間を遅延させる。
ダンサーローラー276の下流、かつ成形部280の上流には、基材供給部277が設けられている。基材供給部277は、ロール状の第2基材N2を回転可能に支持する。第2基材N2は、基材供給部277からウェブWの上面へ連続的に供給される。これにより、ウェブWは、下方の第1基材N1と、上方の第2基材N2と、に挟まれた状態で成形部280に送り出される。第2基材N2は、不織布で構成されている。
成形部280としては、加熱プレス装置を用いる。成形部280は、上基板282と、下基板284と、を有している。成形部280は、第1基材N1、ウェブW、及び第2基材N2を連続帳票状のシートSに成形するシート形成工程を行う部分である。上基板282及び下基板284は、ウェブWを間に挟んで加圧すると共に、内蔵するヒーターによって加熱する。第1基材N1及び第2基材N2は、ウェブWに含まれる繊維が成形部280に付着することを抑制することができる。
ウェブWは、加圧によって上下方向から圧縮されて密度が増加する。ウェブWに含まれる結着材は、加熱により溶融して繊維の間に濡れ広がる。この状態で加熱が終了して結着材が固化すると、繊維同士が結着材によって結着される。これにより、第1基材N1、ウェブW、及び第2基材N2の3層から成る連続帳票状のシートSが成形される。連続帳票状のシートSは、下流の裁断部290へ搬送される。
なお、成形部280では、加熱プレス装置に代えて、加熱ローラー及び加圧ローラーを用いて連続的に成形を行ってもよい。この場合には、ダンサーローラー276を省いてもよい。
裁断部290は、シートSを連続帳票状から単票状に裁断する。裁断部290は、図示はしないが、縦刃と、横刃と、を有している。縦刃及び横刃は、例えば、ロータリーカッターなどである。なお、ロータリーカッターに代えて超音波カッターなどを用いてもよい。縦刃は、連続帳票状のシートSを進行方向に沿う方向に切断する。横刃は、連続帳票状のシートSを進行方向と交差する方向に切断する。これにより、シートSは、略矩形の単票状に加工されてトレイ292に収容される。
成形体製造装置200により製造されるシートSは、堆積部268により形成されるウェブWの厚さを変更すること、ウェブWを複数層積層して厚さを変更すること、成形部280による加圧、加熱の程度を変更すること、等により、所望の厚さ、強度となるように成形できる。また、図示の例では、熱可塑性澱粉粒子を混合部250において添加しているが、熱可塑性澱粉粒子は、混合部250よりも上流側で混合されてもよい。
成形部280における加圧、加熱の程度は、製造されるシートSの特性に応じて適宜設定し得るが、成形部280における加熱は、ウェブWの温度が、(上述の多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下とすることがより好ましい。
また、上記の例では、第1基材N1、第2基材N2として不織布を用いているが、これを用いなくてもよいし、ウェブWを積層する場合には、最上面及び最下面だけに不織布が配置されるようにしてもよい。
製造されたシートS(成形体)は、加熱プレス装置、加熱加圧ローラー等により成形された場合には、シートSの主面に平行な方向に繊維が配向する。すなわち、繊維が堆積される際及び/又はウェブWが成形される際に、繊維の長手方向がシートSの主面に平行な方向に揃いやすく、繊維がシートSの法線方向に直立しにくい。そのため、成形体は、機械的特性に異方性を有する。
成形体は、用途に応じて適宜成形体の使用時の向きを変えることにより成形体の機械的特性の異方性を利用することができる。例えば、より良好な強度を得る場合には、荷重を支える方向が、繊維の配向方向に沿うように成形・加工して使用することができる。
2.実施例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。
2.1 熱可塑性澱粉粒子の調製
澱粉(日本コーンスターチ社製、SK-200)を5質量%と、キシリトールを5質量%と、水を90質量%とを混合し、100℃で2時間加熱撹拌させ、澱粉糊化液を作製した。スプレードライ装置(ヤマト科学製、ADL311S-A)を用いて、入口温度150℃、出口温度70℃にて澱粉糊化液を噴霧乾燥させ調製例1に係る熱可塑性澱粉粒子を得た。
可塑剤を下表1に記載のものに変更し、熱可塑性澱粉粒子における澱粉と可塑剤の含有量が下表1に記載の通りになるように変更した以外は上記調製例1と同様にして、調製例2~6,9~12,14に係る熱可塑性澱粉粒子を得た。
メタノール33重量%にエリスリトール19重量%を加え、40~60℃で攪拌溶解させた。次に澱粉(デキストリン、日澱化學株式会社製)48重量%を加え十分攪拌後、減圧下でメタノールを留去し粉末状の含浸法における調製例7,8に係る熱可塑性澱粉粒子を得た。また、調製例13として、原料の酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、SK-200)そのものを用いた。
Figure 2024117236000001
上表1の記載について説明を補足する。
[可塑剤]
キシリトール(東京化成)、マルチトール(三菱商事ライフサイエンス)、D-マンニトール(三菱商事ライフサイエンス)、ポリグリセリン(阪本薬品工業)、尿素(富士フィルム和光)、エリスリトール(東京化成)
[熱可塑温度(ガラス転移点)測定]
光学顕微鏡(OLYMPUS製 BX51)とホットステージ(METTLER TOLEDO製 FP82HT)を用いて、5℃/minの速さで50℃~180℃まで昇温させ、粉体が完全に熱可塑(融解)する温度を測定した。
[粒子径測定]
卓上簡易SEM(TM3030Plus型Miniscorpe)を用いて撮影し、SEM画像上で澱粉粒子を無作為に40個抽出し、澱粉の粒子径を測定した。なお、1μm以下の粒子については、SEM上で二次凝集しやすいため、二次凝集体の粒子径で判断した。
2.2 成形体の製造
下表2に記載の条件で、セルロース繊維と上記で得られた熱可塑性澱粉粒子を混合し混合物を得た。当該混合物を、圧力90MPaにて下表2に記載の成形温度で2分ホットプレスし、シート状サンプルを作製した。また、当該混合物を、圧力1MPaにて下表2に記載の成形温度で6分ホットプレスし、ブロック状サンプルを作製した。
Figure 2024117236000002
2.3 評価方法
2.3.1 粒子径
上述の測定により得られた粒子径について以下の基準に従い評価した。
(評価基準)
A:平均粒子径1μm以上25μm未満
B:平均粒子径25μm以上50μm未満
C:平均粒子径50μm以上100μm未満
D:平均粒子径100μm以上
2.3.2 引張試験
上記で得られたシート状サンプルについて、AUTOGRAP AGC-X 500N(島津製作所製)を用いて、JIS P8113に準じた測定を行い、比引張強さを求め、以下の基準に従い評価した。C以上の評価で良好な引張強度を有すると判断した。
(評価基準)
A:比引張強さが15N・m/g以上
B:比引張強さが10N・m/g以上15N・m/g未満
C:比引張強さが5N・m/g以上10N・m/g未満
D:比引張強さが5N・m/g未満
2.3.3 圧縮試験
上記で得られたブロック状サンプルを10mm×20mm×10mmに切り出し、AG-IS(島津製作所製)を用いて圧縮測定を行い、10%圧縮歪みを求め、以下の基準に従い評価した。C以上の評価で良好な圧縮強度を有すると判断した。
(評価基準)
A:10%圧縮ひずみ時の圧縮応力が0.5MPa以上
B:10%圧縮ひずみ時の圧縮応力が0.3MPa以上0.5MPa未満
C:10%圧縮ひずみ時の圧縮応力が0.1MPa以上0.3MPa未満
D:10%圧縮ひずみ時の圧縮応力が0.1MPa未満
2.4 評価結果
評価結果を上表2に示す。
繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有し、熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥により造粒したものであり、熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmであり、成形工程における加熱温度は、(多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である、成形体の製造方法により得られた各実施例に係る成形体は、引張強度及び圧縮強度の両者に優れることが分かった。
これに対して、そうではない各比較例に係る成形体は、引張強度及び/又は圧縮強度に劣った。
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
成形体の製造方法の一態様は、
繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、
前記成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有し、
前記熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、
前記熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥により造粒したものであり、
前記熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmであり、
前記成形工程における加熱温度は、(前記多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である。
上記成形体の製造方法の一態様において、
前記多価アルコールが糖アルコールであってもよい。
上記成形体の製造方法の何れかの態様において、
前記熱可塑性澱粉粒子における前記多価アルコールの含有量が、前記熱可塑性澱粉粒子の全質量に対して10質量%以上95質量%以下であってもよい。
上記成形体の製造方法の何れかの態様において、
前記混合物における前記熱可塑性澱粉粒子の含有量が、前記混合物の全質量に対して1.5質量%以上80質量%以下であってもよい。
上記成形体の製造方法の何れかの態様において、
前記繊維はセルロース繊維であってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成、を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
200…成形体製造装置、210…供給部、220…粗砕部、222…粗砕刃、230…定量供給部、232…ホッパー、234…管、240…解繊部、242…導入口、244…排出口、246…ステーター、248…ローター、250…混合部、251…管、252,253…ホッパー、254,255…供給管、256,257…バルブ、258…供給部材、260…フォーミング部、262…分散部、264…回転部材、266…ドラム部、268…堆積部、270…ウェブ搬送部、272…メッシュベルト、273…張架ローラー、274…基材供給部、275…サクション機構、276…ダンサーローラー、277…基材供給部、280…成形部、282…上基板、284…下基板、290…裁断部、292…トレイ

Claims (5)

  1. 繊維と熱可塑性澱粉粒子との混合物を含む成形用原料を用意する成形用原料用意工程と、
    前記成形用原料を加熱および加圧して、所定の形状に成形する成形工程と、を有し、
    前記熱可塑性澱粉粒子は、澱粉と、融点が80℃以上180℃以下である多価アルコールとを含み、
    前記熱可塑性澱粉粒子は、噴霧乾燥により造粒したものであり、
    前記熱可塑性澱粉粒子の平均粒子径は、1~50μmであり、
    前記成形工程における加熱温度は、(前記多価アルコールの融点[℃]×0.8)℃以上200℃以下である、成形体の製造方法。
  2. 前記多価アルコールが糖アルコールである、請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性澱粉粒子における前記多価アルコールの含有量が、前記熱可塑性澱粉粒子の全質量に対して10質量%以上95質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記混合物における前記熱可塑性澱粉粒子の含有量が、前記混合物の全質量に対して1.5質量%以上80質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載の成形体の製造方法。
  5. 前記繊維はセルロース繊維である、請求項1又は請求項2に記載の成形体の製造方法。
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