JP2024106295A - 音場制御装置および音場制御方法 - Google Patents

音場制御装置および音場制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】音源を囲む閉空間の境界面に所望の音場を作ることが可能な「音場制御装置および音場制御方法」を提供する。
【解決手段】入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数に従ってフィルタ処理を行うフィルタ処理部10と、複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する複数のスピーカSPとを備え、フィルタ処理部10は、複数のスピーカSPを囲む閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数に従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うことにより、閉空間の内部に音源があることを要するKirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を有効に利用して、音源を囲む閉空間の境界面に所望の音場を作ることができるようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、音場制御装置および音場制御方法に関し、特に、所定の制御点における音圧と音圧傾度を制御することによって音場を作る装置および方法に用いて好適なものである。
近年、テレワークやオンライン会議の定着、メタバースやeスポーツなどの普及などを背景として、家庭および職場においてパソコンを使って対話を行う機会が増えている。ここで、ヘッドセットを長時間使っていると耳が痛くなるなどの弊害があるため、ヘッドセットを使わずにパソコンのマイクとスピーカを使って対話を行いたいというニーズが存在する。しかしながら、この場合、スピーカから出力された音声が周囲に漏れ聞こえてしまうという問題がある。
これに対し、ある特定の空間のみに音を再生し、その外側に音が漏れ出ないようにする技術が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。これらの特許文献1~3には、Kirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を利用した音場制御手法が開示されている。また、複数の制御点に対し、あらかじめ定められた所望の信号伝達特性を再現するように複数のフィルタの特性を決定する音場制御手法も知られている(例えば、特許文献4参照)。
このうち特許文献1の段落[0015]には、一例として、Kirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を利用した音場制御手法において、任意の閉空間として再生スピーカ(1次音源)を含む空間を選び、その空間の境界面上での音圧と音圧傾度が0となるように制御スピーカ(2次音源)の出力を適応的に制御することで、その閉空間のみで音が再生されるようにすることが開示されている。
特開2004-349795号公報 特開2005-142632号公報 WO2013-099093号公報 特開2005-249989号公報
しかしながら、特許文献1~4に記載の技術では、特許文献1の図2,3、特許文献2の図1,2、特許文献3の図9,23,24,27,30および特許文献4の図3に示されるように、音圧・音圧傾度センサやマイクが設置される制御点はスピーカの前方にのみ存在しており、複数の制御点の配置により局所空間は形成されているものの、音源を囲むような閉空間は形成されていない。
そのため、特許文献1~4に記載の技術では、閉空間の内部に音源があることを要するKirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を利用した音場制御を厳密には行うことができず、実現性のないものと言える。よって、特許文献1~4に記載の技術を用いても、Kirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を有効に利用して、音源を囲む閉空間の境界面に所望の音場を作ることが難しいという問題があった。
また、特許文献1の段落[0015]に記載の方法で音場を制御するためには、再生スピーカ(1次音源)の他に制御スピーカ(2次音源)を備える必要がある。そのため、多くのスピーカが必要になるだけでなく、閉空間の境界面上に制御スピーカを設置可能な環境にしか適用することができないという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、Kirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を有効に利用して、閉空間の内部に設置する音源によって、当該音源を囲む閉空間の境界面に所望の音場を作ることができるようにすることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明では、入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数に従ってフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、フィルタ処理部により複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する複数のスピーカとを備え、フィルタ処理部は、複数のスピーカを囲む閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数に従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うようにしている。
上記のように構成した本発明によれば、閉空間の内部に音源があることを要するKirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を有効に利用して、閉空間の内部に設置する音源によって、当該音源を囲む閉空間の境界面に所望の音場を作ることができる。
本実施形態による音場制御装置の基本原理を説明するための図である。 本実施形態による音場制御装置の応用原理を説明するための図である。 第1の実施形態による音場制御装置の構成例を示す図である。 音声の伝達系の構成を示す模式図である。 第1の設計例を模式的に示す図である。 第1の設計例における特定周波数の音圧分布を示す図である。 第1の設計例における音圧減衰量を示す図である。 第2の設計例を模式的に示す図である。 第2の設計例における特定周波数の音圧分布を示す図である。 第2の設計例における音圧減衰量を示す図である。 第3の設計例を模式的に示す図である。 第3の設計例における特定周波数の音圧分布を示す図である。 第3の設計例における音圧減衰量を示す図である。 第4~第6の設計例を模式的に示す図である。 第4~第6の設計例における特定周波数の音圧分布を示す図である。 第4~第6の設計例における音圧減衰量を示す図である。 第7~第9の設計例を模式的に示す図である。 第7~第9の設計例における特定周波数の音圧分布を示す図である。 第7~第9の設計例における音圧減衰量を示す図である。 第2の実施形態による音場制御装置の構成例を示す図である。 第10の設計例を模式的に示す図である。 第10の設計例における各制御点の音圧を示す図である。 電子機器の可動部位を含む複数箇所にスピーカを配置する構成例を示す図である。 可動部位にスピーカを配置した場合における第3の実施形態による音場制御装置の構成例を示す図である。 第4の実施形態における反射物を例示する図である。 第4の実施形態による音場制御装置の一構成例を示す図である。 第4の実施形態による関数算出部により算出されるインパルス応答の例を模式的に示す図である。 第4の実施形態による音場制御装置の他の構成例を示す図である。 第5の実施形態による音場制御装置の構成例を示す図である。 第5の実施形態の第1変形例による音場制御装置の構成例を示す図である。 第5の実施形態の第2変形例による音場制御装置の構成例を示す図である。 第5の実施形態の第3変形例による音場制御装置の構成例を示す図である。 閉空間の変形例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本実施形態による音場制御装置の基本原理を図1に基づいて説明する。図1に示すように、ユーザ200が使用する電子機器(例えば、ノートパソコン)100には複数(図1の例では8個)のスピーカSPが搭載されている。複数のスピーカSPの周りには、当該複数のスピーカSPを囲む第1の閉空間(内部閉空間)S1と、当該第1の閉空間S1を囲む第2の閉空間(外部閉空間)S2とが想定されている。
この場合、第1の閉空間S1と第2の閉空間S2との間の領域内における任意の位置xの音圧p(x)は、次の(式1)で示されるKirchhoff-Helmholtzの積分方程式で定義される。すなわち、任意の位置xの音圧p(x)は、Green関数G(r|x,ω)に音圧傾度∂p(r,ω)/∂nをかけたものと、音圧p(r,ω)にGreen関数の傾き∂G(r|x,ω)/∂nをかけたものとの差分を、第1の閉空間S1と第2の閉空間S2との間の領域で面積積分することによって算出される。ここで、任意の位置xの音圧p(x)は、第1の閉空間S1の境界面上の位置rの音圧p(r)と、第2の閉空間S2の境界面上の位置rの音圧p(r)との関係度合いを表す係数ωに依存した値となる。
Figure 2024106295000002
本実施形態では、第1の閉空間S1の境界面上に設定される複数の制御点CP1,CP1,・・・(以下、単に制御点CP1と略す)における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが所望の音場に対応する値となり、かつ、第2の閉空間S2の境界面上に設定される複数の制御点CP2,CP2,・・・(以下、単に制御点CP2と略す)における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが所望の音場に対応する値となるように係数ωを調整することにより、第1の閉空間S1と第2の閉空間S2との間の領域に所望の音場を作成する。
特に、第1の閉空間S1の境界面上に設定される複数の制御点CP1における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが何れもゼロとなり、かつ、第2の閉空間S2の境界面上に設定される複数の制御点CP2における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが何れもゼロとなるように係数ωを調整することにより、第1の閉空間S1と第2の閉空間S2との間の領域における音圧p(x)がゼロとなるように制御する。
第2の閉空間S2の境界面上における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが何れもゼロになれば、必然的に第2の閉空間S2よりも外側の空間の音圧と音圧傾度もゼロとなる。よって、第1の閉空間S1と第2の閉空間S2との間の領域における音圧p(x)がゼロとなるように制御されているので、第1の閉空間S1よりも外側の空間の音圧はゼロとなる。これにより、スピーカSPから出力された音声が第1の閉空間S1よりも外側に放出されないよう、第1の閉空間S1の境界面で音声がセパレーションされた音場を作ることができる。第1の閉空間S1よりも外側の音圧を完全にゼロにすることは難しいが、静穏化を図ることは可能である。
また、理論的には、第1の閉空間S1の境界面上における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが何れもゼロになれば、必然的にそれより外側にある第2の閉空間S2の音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nもゼロとなる。よって、図2のように複数のスピーカSPを囲む第1の閉空間S1のみを想定し、第1の閉空間S1の境界面上における音圧p(r)と音圧傾度∂p(r,ω)/∂nが何れもゼロとなるように係数ωを調整すれば、スピーカSPから出力された音声が第1の閉空間S1よりも外側に放出されないゾーンサウンドを実現することが可能である。
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態による音場制御装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態による音場制御装置1は、フィルタ処理部10および複数のスピーカSP,SP,・・・,SP(以下、特に区別しないときは単にスピーカSPと記す)を備えている。フィルタ処理部10は、複数のFIRフィルタ11,11,・・・,11(以下、特に区別しないときは単にFIRフィルタ11と記す)を備えている。音場制御装置1は、例えばノートパソコン100やデスクトップパソコンなどのパーソナルコンピュータに搭載される。
フィルタ処理部10は、入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数ω,ω,・・・,ω(以下、特に区別しないときは単に係数ωと記す)に従って複数のFIRフィルタ11,11,・・・,11によりフィルタ処理を行う。入力される音声信号とは、パーソナルコンピュータにおいて生成される音声信号である。例えば、パーソナルコンピュータを用いてオンライン会議を行っている場合は、通信ネットワークを介して相手の端末から送られてくる音声信号である。スピーカSPは、フィルタ処理部10により複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する。
ここで、フィルタ処理部10は、複数のスピーカSPを囲む閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。本実施形態においてフィルタ処理部10は、例えば図1に示した基本原理に従って、第1の閉空間S1の境界面上に設定される複数の制御点CP1における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなり、かつ、第2の閉空間S2の境界面上に設定される複数の制御点CP2における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。あるいは、フィルタ処理部10は、図2に示した応用原理に従って、第1の閉空間S1の境界面上に設定される複数の制御点CP1における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うようにしてもよい。
複数のFIRフィルタ11,11,・・・,11にそれぞれ設定される係数ω,ω,・・・,ωは、複数の制御点CP1,CP2に設置した複数の音圧・音圧傾度センサ(図示せず)により検出される音圧と音圧傾度を用いてあらかじめ調整されており、調整済みの係数ωが固定値として設定されている。複数の音圧・音圧傾度センサは、係数ωを調整するときにのみ使用し、調整した係数ωをFIRフィルタ11に設定した後は不要となる。
以下に、係数ωの調整方法の一例を、図4を参照して説明する。図4は、音声の伝達系の構成を示す模式図である。図4において、xは入力音声信号、ωは複数のFIRフィルタ11,11,・・・,11にそれぞれ設定される係数ω,ω,・・・,ω、yはフィルタ処理された音声信号、Cは複数のスピーカSP,SP,・・・,SPから出力される音声が複数の音圧・音圧傾度センサに入力されるまでの音響系伝達関数、zは音圧・音圧傾度センサにより検出される音圧と音圧傾度、Hは所望の音場を作るための特性を示す目標伝達関数、hは目標応答であり、境界面上に設定される複数の制御点CP1,CP2における音圧と音圧傾度を何れもゼロとする場合はh=0である。eはセンサ出力zと目標応答hとの誤差である。
例えば、逆行列を用いて計算する場合は、以下のように係数ωを算出することが可能である。
y=ωx
z=Cy=Cωx
h=Hx
ここで、音圧・音圧傾度センサの出力zが目標応答hと等しくなるように係数ωを調整するため、z=hとすると、
Cωx=Hx
∴ω=C-1
なお、スピーカSPの数と音圧・音圧傾度センサの数とが等しくない場合は、伝達関数の逆行列C-1の代わりにムーア-ペンローズの疑似逆行列Cを用いて、以下の式により係数ωを算出することができる。
ω=C
また、ウィナーフィルタを用いる場合は、以下のように係数ωを算出することが可能である。
y=ωx
z=Cy=Cωx
h=Hx
e=h-z=(H-Cω)x
=H-2HCωx+Cω
ここで、誤差パワーeの最小値は傾きがゼロであることから、
∂e/∂ω=-2HCx+2Cωx=0
∴ω=HCx/C
次に、いつくかの具体的な設計例について説明する。
<第1の設計例>
図5は、第1の設計例を模式的に示す図である。図5に示すように、第1の設計例では、ノートパソコン100に搭載するスピーカSPの数を8個とし、当該8個のスピーカSPの周囲に第1の閉空間S1および第2の閉空間S2を想定している。第1の閉空間S1は、ユーザ200の位置を中心とする2m四方の矩形空間である。第の2閉空間S2は、ユーザ200の位置を中心とする4m四方の矩形空間である。
第1の閉空間S1の境界面上に20個の制御点CP1を設定するとともに、第2の閉空間S2の境界面上に36個の制御点CP2を設定し、それら56個の制御点CP1,CP2に音圧・音圧傾度センサを設置する。図5に示すように、閉空間S1,S2の四隅にそれぞれ3個ずつ音圧・音圧傾度センサを設置し、四隅以外の境界面上(矩形領域の各面上)には1カ所につき2個ずつ音圧・音圧傾度センサを設置している。
図6は、第2の閉空間S2よりも内側においてシミュレーションした特定周波数の音圧分布を示す図である。図6において、x軸およびy軸により閉空間の領域が示されており、z軸により領域内における各位置の音圧が示されている。図6から分かる通り、第1の閉空間S1の内部(図6の中央付近の領域)に比べて、第1の閉空間S1の外側において音圧が低くなっている。
図7は、第1の閉空間S1より外側における音圧の、第1の閉空間S1の内部における音圧に対する減衰量(以下、「第1の閉空間S1の内外における音圧減衰量」という)を示す図である。図7において、横軸は周波数、縦軸は第1の閉空間S1の内部における音圧に対する外部における音圧の平均減衰量である。図7から分かる通り、どの周波数帯域においても、第1の閉空間S1の外側の音圧は、第1の閉空間S1の内部の音圧よりも平均で20dB程度減衰している。
<第2の設計例>
図8は、第2の設計例を模式的に示す図である。図8に示すように、第2の設計例では、8個のスピーカSPの周囲に第1の閉空間S1のみを想定し、その境界面上に20個の制御点CP1を設定している。それ以外は第1の設計例と同じである。
図9は、第2の閉空間S2よりも内側における特定周波数の音圧分布を示す図である。図9から分かる通り、第2の設計例においても、第1の閉空間S1の内部に比べて第1の閉空間S1の外側において音圧が低くなっている。図10は、第1の閉空間S1の内外における音圧減衰量を示す図である。図10から分かる通り、第1の閉空間S1の外側の音圧は、第1の閉空間S1の内部の音圧よりも平均で20dB程度減衰している。第1の設計例と比べても、性能悪化は1dB程度に抑えられている。
<第3の設計例>
図11は、第3の設計例を模式的に示す図である。図11に示すように、第3の設計例では、ノートパソコン100に2個のスピーカSPを搭載し、ノートパソコン100の周囲に8個のスピーカSPを載置している。それ以外は第2の設計例と同じである。
図12は、第2の閉空間S2よりも内側における特定周波数の音圧分布を示す図である。図12から分かる通り、第3の設計例においても、第1の閉空間S1の内部に比べて第1の閉空間S1の外側において音圧が低くなっている。
図13は、第1の閉空間S1の内外における音圧減衰量を第2の設計例と比較して示す図であり、図13(a)が第3の設計例、図13(b)が第2の設計例を示している。図13(a)から分かる通り、第1の閉空間S1の外側の音圧は、第1の閉空間S1の内部の音圧よりも平均で20dB程度減衰している。ただし、減衰量は図13(b)に示す第2の設計例の方が大きくなっている。これは、図11のようにノートパソコン100の周りにスピーカSPをサラウンド配置するよりも、図8のようにスピーカSPをノートパソコン100上にアレイ配置した方が音圧減衰効果を良好にできることを示唆している。アレイ配置によりノートパソコン100上に複数のスピーカSPを集中して配置することが可能というメリットもある。
<第4~6の設計例>
図14(a)~(c)は、それぞれ第4~第6の設計例を模式的に示す図である。図14に示すように、第4~第6の設計例は、何れも複数のスピーカSPをノートパソコン100上にアレイ配置したものであるが、列数が異なっている。図14(a)に示す第4の設計例では12個のスピーカSPを1列に配置し、図14(b)に示す第5の設計例では12個のスピーカSPを2列(1列に6個ずつ)に配置し、図14(c)に示す第6の設計例では12個のスピーカSPを3列(1列に4個ずつ)に配置している。それ以外は第2の設計例と同じである。
図15(a)~(c)は、第4~第6の設計例についてそれぞれ第2の閉空間S2よりも内側においてシミュレーションした特定周波数の音圧分布を示す図である。図15から分かる通り、第4~第6の設計例の何れにおいても、第1の閉空間S1の内部に比べて第1の閉空間S1の外側において音圧が低くなっている。
図16(a)~(c)は、第4~第6の設計例についてそれぞれ測定した第1の閉空間S1の内外における音圧減衰量を示す図である。図16(a)から分かる通り、第4の設計例では、周波数の中高域において減衰量が20dBより小さくなっており、音のセパレーション効果が低くなっている。これに対し、第5~第6の設計例では、全ての周波数帯域において20dB以上の減衰量を実現できている。これは、複数のスピーカSPを2列以上に並べてアレイ配置することによって音圧減衰効果をより良好にできることを示唆している。
なお、2列でも3列でも減衰量に大差はないので、3列以上に増やしても音圧減衰効果が上がることは期待されない。よって、スピーカSPの数を少なくできるという点で、2列のアレイ配置とするのが好ましい。
<第7~9の設計例>
図17(a)~(c)は、それぞれ第7~第9の設計例を模式的に示す図である。図17に示すように、第7~第9の設計例は、何れも複数のスピーカSPをノートパソコン100上に2列にアレイ配置したものであるが、配置の仕方が異なっている。第7~第8の設計例では何れも8個のスピーカSPを1列に4個ずつ配置しているが、図17(a)に示す第7の設計例では列内の4個のスピーカSPを非等間隔で配置し、図17(b)に示す第8の設計例では列内の4個のスピーカSPを等間隔で配置している。図17(c)に示す第9の設計例では1列目に2個、2列に6個のスピーカSPを配置している。それ以外は第2の設計例と同じである。
図18(a)~(c)は、第7~第9の設計例についてそれぞれ第2の閉空間S2よりも内側においてシミュレーションした特定周波数の音圧分布を示す図である。図18から分かる通り、第7~第9の設計例の何れにおいても、第1の閉空間S1の内部に比べて第1の閉空間S1の外側において音圧が低くなっている。
図19(a)~(c)は、第7~第9の設計例についてそれぞれ測定した第1の閉空間S1の内外における音圧減衰量を示す図である。図19から分かる通り、第7~第9の設計例の何れにおいても、第1の閉空間S1の外側の音圧は、第1の閉空間S1の内部の音圧よりも全ての周波数帯域において平均で20dB程度減衰している。これは、複数のスピーカSPを2列に並べてアレイ配置する場合、その配置の仕方によって音圧減衰効果に大きな差は生じないことを示唆している。これにより、ノートパソコン100のデザイン等に合わせて複数のスピーカSPを配置することが可能である。
(第2の実施形態)
図20は、第2の実施形態による音場制御装置2の構成例を示す図である。なお、この図20において、図3に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
図20に示すように、第2の実施形態による音場制御装置2は、フィルタ処理部10に代えてフィルタ処理部20を備えている。また、第2の実施形態による音場制御装置2は、複数の制御点CP1,CP2に設置される複数の音圧・音圧傾度センサSS,SS,・・・,SP(以下、特に区別しないときは単に音圧・音圧傾度センサSSと記す)を更に備えている。第2の実施形態において、フィルタ処理部20は、複数の音圧・音圧傾度センサSSにより検出される音圧と音圧傾度を用いて係数ωを可変設定する適応フィルタにより構成される。
フィルタ処理部20は、入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数ω,ω,・・・,ωに従って複数の適応フィルタ21,21,・・・,21によりフィルタ処理を行う。複数の適応フィルタ21,21,・・・,21にそれぞれ設定される係数ω,ω,・・・,ωは、複数の制御点CP1,CP2に設置した複数の音圧・音圧傾度センサSS,SS,・・・,SPにより検出される音圧と音圧傾度を用いてリアルタイムに調整される。スピーカSPは、フィルタ処理部20により複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する。
以下に、適応フィルタ21を用いた場合における係数ωの調整方法の一例を、図4を参照して説明する。適応フィルタを用いる場合は、以下のように係数ωを算出することが可能である。
y=ωx
z=Cy=Cωx
h=Hx
e=h-z=(H-Cω)x
=H-2HCωx+Cω
∂e/∂ω=-2HCx+2Cωx=-2eCx
この誤差パワーの傾き∂e/∂ωを用いて以下の式でフィルタ係数ωを逐次的に更新することで、係数ωを最適値に収束させる。ここで、ステップサイズパラメータμは、更新量を調整する任意の定数である。
ω(n+1)=ω(n)+2μeCx
複数の音圧・音圧傾度センサSSを構成要素に持ち、フィルタ処理部20として適応フィルタを用いる第2の実施形態は、ノートパソコン100のようなモバイル端末に複数のスピーカSPを搭載する設計よりも、設置位置が固定されているデスクトップパソコンなどに複数のスピーカSPを搭載するシステムに適用して好適である。また、スピーカSPの位置および音圧・音圧傾度センサSSの位置が固定される車載オーディオシステムなどに適用することも可能である。また、図11に示した第3の設計例のようにスピーカSPをサラウンド配置するシステムにも適用することが可能である。
(第10の設計例)
上記第1および第2の実施形態では、閉空間S1,S2の境界面上に複数の制御点CP1,CP2を設定する例について説明したが、閉空間の内部(第1の閉空間S1の内部の領域または第1の閉空間S1と第2の閉空間S2との間の領域の何れでもよい)にも更に1つ以上の制御点を設定してもよい。例えば、図21に示す第10の設計例のように、ユーザ200が位置することになるノートパソコン100の近傍(例えば、ユーザ200の左右の耳元位置)に2つの制御点CP3を更に設定するようにしてもよい。図21(a)は、図5に示した第1の設計例に対して2つの制御点CP3を追加した構成を示し、図21(b)は、図8に示した第2の設計例に対して2つの制御点CP3を追加した構成を示している。
この場合、フィルタ処理部10,20は、閉空間S1,S2の境界面上に設定される複数の制御点CP1,CP2における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となり、かつ、閉空間S1,S2の内部に設定される1つ以上の制御点CP3における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。
図22は、図21のように2つの制御点CP3を追加して設計した場合について、それぞれの制御点CP1,CP2,CP3において測定した音圧を示す図である。図22(a)が図21(a)の設計例での音圧を示し、図22(b)が図21(b)の設計例での音圧を示している。図22から分かる通り、ユーザ200の耳元の制御点CP3において測定した音圧は60dB付近であるのに対し、境界面上の制御点CP1,CP2において測定した音圧は45dB以下となっている。これは、ユーザ200の耳元ではスピーカSPからの音声が良好に聞こえるようにしつつ、第1の閉空間S1の境界面において音声のセパレーションを実現できていることを示している。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数ωに従ってフィルタ処理を行うフィルタ処理部10,20と、フィルタ処理部10,20により複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する複数のスピーカSPとを備え、フィルタ処理部10,20は、複数のスピーカSPを囲む閉空間の境界面上に設定される複数の制御点CPにおける音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うようにしている。
上記のように構成した本実施形態によれば、閉空間の内部に音源があることを要するKirchhoff-Helmholtzの積分方程式の性質を有効に利用して、閉空間の内部に設置する複数のスピーカSPによって、当該スピーカSPを囲む閉空間の境界面に所望の音場を作ることができる。例えば、閉空間の境界面上に設定される複数の制御点CPにおける音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された係数ωに従ってフィルタ処理を行うことにより、スピーカSPから出力された音声が閉空間よりも外側に放出されないよう、閉空間の境界面で音声がセパレーションされた音場を作ることができる。これにより、閉空間よりも外側の領域における静穏化を図ることが可能である。
(第3の実施形態)
上記第1および第2の実施形態では、複数のスピーカSPをノートパソコン100などの電子機器に搭載する例について説明した。この場合、複数のスピーカSPは、電子機器の非可動部位に配置するのが好ましい。例えば、電子機器がノートパソコン100の場合は、キーボードが配置される面に複数のスピーカSPを配置するのが好ましい。特に、係数ωが固定値として設定されるFIRフィルタによりフィルタ処理部10を構成する第1の実施形態においては、ノートパソコン100の中でスピーカSPの位置が変わらない非可動部位に配置するのが好ましい。
これに対し、以下に説明する第3の実施形態のように、複数のスピーカSPを非可動部位のみに配置することを必須とするものではなく、電子機器の可動部位を含む複数箇所に配置するようにしてもよい。図23は、ノートパソコン100の非可動部位および可動部位に複数のスピーカSPを配置する例を簡易的に示す図である。図23では、ノートパソコン100の非可動部位であるキーボード面101にスピーカSP101を搭載するとともに、ノートパソコン100の可動部位であるディスプレイ面102にスピーカSP102を搭載した例を示している。
ディスプレイ面102に搭載されたスピーカSP102は、ディスプレイ面102を開く角度に応じて、閉空間S1,S2内で存在する位置が変わる。そこで、図23および図24に示すように、角度検出センサ103と、当該角度検出センサ103により検出される角度に応じて、フィルタ処理部10,20に設定される係数ωを調整する係数調整部30とを備えるようにしてもよい。図24(a)は、図3に示した第1の実施形態に対する変形例を示し、図24(b)は、図20に示した第2の実施形態に対する変形例を示している。
角度検出センサ103は、可動部位であるディスプレイ面102の、非可動部位であるキーボード面101に対する角度を検出する。係数調整部30は、例えば角度検出センサ103により検出される角度をもとに調整係数を求める関数またはテーブル情報を記憶しており、この調整係数を乗算することによって係数ωを調整する。関数またはテーブル情報は、あらかじめ複数の角度で試行して調整される係数ωの値をもとに設計することが可能である。
なお、係数調整部30は、ディスプレイ面102の複数の所定角度ごとに、調整後の係数ω(上述の調整係数を乗算することによって求められる係数)をテーブル情報としてあらかじめ記憶しておいて、角度検出センサ103により検出される角度に最も近い角度に対応する調整後の係数ωをテーブル情報から取得してフィルタ処理部10,20に設定するようにしてもよい。
(第4の実施形態)
上記第1~第3の実施形態では、図25(a)に示すように、第1の閉空間S1の内部にノートパソコン100およびそれを使用するユーザ200が存在する状態で、閉空間S1,S2の境界面上に設定される複数の制御点CP1,CP2における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωをフィルタ処理部10,20に設定していた。これに対し、図25(b)に示すように、ノートパソコン100およびユーザ200以外に音を反射する別の反射物201が第1の閉空間S1または第2の閉空間S2の内部に新たに追加されると、音場制御の性能が悪化する可能性が生じる。
これに対し、第4の実施形態では、閉空間S1,S2の内部に別の反射物201が追加された場合にも閉空間S1,S2の内部を所望の音場に制御するのに必要な係数ωがフィルタ処理部10,20に設定されるようにするための情報をあらかじめ用意しておき、この情報を利用して、追加された別の反射物201に応じてフィルタ処理部10,20の係数ωを調整する。
ここで、閉空間S1,S2に追加される別の反射物201の位置や大きさ、種類などに応じて、スピーカSPから出力された音が閉空間S1,S2の内部で反射する仕方が変わる。そこで、第4の実施形態において、フィルタ処理部10,20は、閉空間S1,S2の内部に存在する別の反射物201の位置、大きさおよび種類の少なくとも1つに応じて異なる複数の反射パターンのうち、何れかの反射パターンに対応して設定された係数ωに従ってフィルタ処理を行う。
図26は、第4の実施形態による音場制御装置の一構成例を示す図である。図26に示すように、第4の実施形態による音場制御装置は、ノートパソコン100がスピーカSPを搭載することに加え、マイクMCを搭載している。また、第4の実施形態による音場制御装置は、例えばフィルタ処理部20(フィルタ処理部10でもよい)の他に、係数記憶部40、関数算出部41および係数調整部42を備えている。
係数記憶部40は、閉空間S1,S2の内部にノートパソコン100およびユーザ200のみが存在する場合および別の反射物201が更に存在する場合に複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωを、それぞれの反射パターンごとにあらかじめ記憶する。別の反射物201が存在する場合については、当該別の反射物201の位置、大きさおよび種類の少なくとも1つに応じて異なる複数の反射パターンごとに、あらかじめ複数組の係数ωを記憶する。反射パターンごとの係数ωは、実際に閉空間S1,S2の内部に反射物100,200,201が存在する状態を設定してあらかじめ調整した値である。係数記憶部40は、反射パターンごとに異なる複数組の係数ωを、反射パターンごとに設定した識別情報に関連付けて記憶する。
関数算出部41は、スピーカSPから出力されて所定位置に設置されたマイクMCに入力される音声の伝達特性を表す所定関数(以下、本明細書ではこれを応答関数と称する)を算出する。応答関数として、例えば相互相関関数またはインパルス応答を用いることが可能である。ただしこれは一例であり、これに限定されるものではない。スピーカSPから出力された音声がマイクMCまでどのように伝達されるかの特性が表される関数であれば、何れも用いることが可能である。
マイクMCが設置される所定位置は、ユーザ200がスピーカSPからの音声を聴取する際にはいつでもスピーカSPに対するマイクMCの相対位置がほぼ同じとなる位置とするのが好ましい。図26の例では、スピーカSPがノートパソコン100の非可動部位に設置され、マイクMCがノートパソコン100の可動部位に設置されているため、ユーザ200がノートパソコン100を使用するたびにスピーカSPとマイクMCとの相対位置関係が常に完全一致することはないが、ほぼ同様の相対位置関係となることが想定される。
なお、スピーカSPとマイクMCとの両方をノートパソコン100の非可動部位に設置するようにしてもよい。また、可動部位を持たない電子機器(例えば、デスクトップパソコン)にスピーカSPを搭載する場合は、当該電子機器の所定位置にマイクMCを設置すれば、スピーカSPとマイクMCとの相対位置関係は固定化される。また、可動部位を持たない電子機器が例えば机上の固定位置で使用される場合は、電子機器とは別の固定の位置にマイクMCを設置することも可能である。
係数調整部42は、係数記憶部40に反射パターンごとに記憶されている複数組の係数の中から、閉空間S1,S2の内部に存在する反射物に応じて選択される係数ωをフィルタ処理部20に設定する。具体的には、係数調整部42は、係数記憶部40に反射パターンごとに記憶されている複数組の係数の中から、関数算出部41により算出された応答関数に対応する識別情報に関連付けて記憶されている係数ωを選択してフィルタ処理部20に設定する。
ここで、識別情報は、応答関数そのものとしてもよいし、応答関数をもとに所定のアルゴリズムにより計算される特徴情報としてもよい。識別情報として特徴情報を用いる場合、関数算出部41は、応答関数を算出した後、この応答関数をもとに特徴情報を更に算出する。そして、係数調整部42は、関数算出部41により算出された特徴情報に関連付けて記憶されている係数ωを係数記憶部40から読み出してフィルタ処理部20に設定する。
図27は、関数算出部41により算出されるインパルス応答の例を模式的に示す図である。図27に示すように、関数算出部41により算出されるインパルス応答は、閉空間S1,S2の内部にユーザ200およびノートパソコン100のみが存在する場合(例えば図27(a))と、別の反射物201が更に存在する場合(例えば図27(b)(c)・・・)とで異なったものとなる。また、別の反射物201の存在位置や大きさ、種類などによってもインパルス応答はそれぞれ異なったものとなる。つまり、複数の反射パターンごとにインパルス応答は異なったものとなる。そのため、係数調整部42は、関数算出部41により算出されるインパルス応答またはこれから更に算出される特徴情報をもとに、閉空間S1,S2の反射パターンに対応する係数ωを係数記憶部40から読み出してフィルタ処理部20に設定することが可能である。
フィルタ処理部20は、関数算出部41により算出された応答関数に対応して係数調整部42により設定された反射パターンの係数ωに従って、フィルタ処理を行う。
なお、閉空間S1,S2の内部に存在する別の反射物201の位置や大きさ、種類などが異なる場合であっても、関数算出部41により算出される応答関数または特徴情報が似通ったものとなることがある。この場合、係数調整部42が係数記憶部40から実際の反射パターンとは異なる反射パターンに対応する係数ωを読み出してしまうことが起こる可能性がある。
そこで、図28に示すように、所定位置に設置されたカメラCMによる閉空間S1,S2の内部の撮影画像に基づいて、閉空間S1,S2の内部に存在する別の反射物201を検出する反射物検出部43を更に備え、関数算出部41により算出された応答関数と、反射物検出部43による別の反射物201の検出状況とに基づいて設定された反射パターンの係数ωに従ってフィルタ処理を行うようにしてもよい。
図28の例において、カメラCMはノートパソコン100の可動部位の上端付近に設置されており、ノートパソコン100の前方(ユーザ200が存在する方向)を撮影する。このため、ノートパソコン100の前方に別の反射物201が存在する場合は、反射物検出部43はその別の反射物201を撮影画像から検出することが可能である。一方、ノートパソコン100の前方に別の反射物201が存在しない場合またはノートパソコン100の後方に別の反射物201が存在する場合は、撮影画像から反射物201は検出されない。
また、図28の例において、係数記憶部40は、例えば、ノートパソコン100の前方に別の反射物201が存在する場合にフィルタ処理部20に設定すべき係数ωと、ノートパソコン100の後方に別の反射物201が存在する場合にフィルタ処理部20に設定すべき係数ωとを互いに識別可能な状態で記憶しておく。これにより、関数算出部41により算出される応答関数または特徴情報に類似する識別情報が係数記憶部40に複数記憶されている場合でも、反射物検出部43により別の反射物201が検出されるか否か(すなわち、ノートパソコン100の前方または後方のどちらに別の反射物201が存在するか)に応じて適切な係数ωを選択することが可能となる。
なお、ノートパソコン100の前方のどの位置に別の反射物201が存在するか、どの大きさの反射物201が存在するか、どの種類の反射物201が存在するかを互いに識別可能な状態で反射パターンごとの係数ωを係数記憶部40に記憶しておくようにしてもよい。このようにすることにより、反射物検出部43による別の反射物201の検出状況に応じて、係数ωの選択をより精度よく行うことが可能となる。
また、カメラCMの設置位置は図28の例に限定されない。ノートパソコン100とは異なる位置に設置するようにしてもよい。また、ノートパソコン100の前方のみならず、他の方向も撮影可能なように複数のカメラCMを設置するようにしてもよい。
以上説明した第4の実施形態では、複数の反射パターンごとに複数組の係数ωを係数記憶部40にあらかじめ記憶し、係数調整部42が係数記憶部40から何れかの係数ωを読み出してフィルタ処理部10,20に設定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、閉空間S1,S2の内部に別の反射物201が存在する場合に複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように係数ωを調整するための調整係数を複数の反射パターンごとに係数記憶部40にあらかじめ記憶しておくようにしてもよい。この場合、係数調整部42は、関数算出部41により算出された応答関数または特徴情報に基づいて係数記憶部40から対応する反射パターンの調整係数を読み出し、別の反射物201がない場合のデフォルトの係数ωに調整係数を乗算することによって係数ωを設定する。
別の例として、関数算出部41により算出された応答関数または特徴情報に基づいて係数調整部42が係数記憶部40から対応する反射パターンの係数ωまたは調整係数を読み出すことに代えて、ユーザ200からの指定に基づいて係数調整部42が係数記憶部40から対応する反射パターンの係数ωまたは調整係数を読み出すようにしてもよい。例えば、ユーザ200が目視で確認した別の反射物201の位置、大きさおよび種類の少なくとも1つを所定のユーザインタフェースにより指定可能とし、その指定内容に対応する係数ωまたは調整係数を係数記憶部40から読み出すようにすることが可能である。この場合、関数算出部41および反射物検出部43は省略可能である。
(第5の実施形態)
上記第1~第4の実施形態では、少なくとも第1の閉空間S1の境界面上に設定される複数の制御点CP1における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うことにより、スピーカSPから出力された音声が第1の閉空間S1よりも外側に放出されないよう、第1の閉空間S1の境界面で音声がセパレーションされた音場を作る構成について説明した。ただし、第1の閉空間S1よりも外側の音圧を完全にゼロにすることは難しい。
これに対し、第5の実施形態では、第1の閉空間S1よりも外側の領域で第1の閉空間S1の近くに他の人が存在する場合に、第1の閉空間S1から漏れ出てくる音声が他の人にできるだけ聞こえなくなるようにする。この第5の実施形態では、他の人が着座する位置にあるヘッドレストにスピーカとマイクを設置し、第1の閉空間S1から漏れ出て他の人の耳元に届く音声を、ヘッドレストのスピーカから出力する音声によってキャンセル(相殺)する。
図29は、第5の実施形態による音場制御装置の構成例を示す図である。なお、この図29において、第2の実施形態で説明した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。図29において、第1の閉空間S1の内部に設置された複数のスピーカSP-S1(以下、内部スピーカSP-S1という)は、図20に示した複数のスピーカSPと同じものである。また、第1の閉空間S1の境界面および内部に設置された複数の音圧・音圧傾度センサSS-S1は、図20に示した複数の音圧・音圧傾度センサSSと同じものである。
図29に示す例において、フィルタ処理部20は、複数の内部スピーカSP-S1に対する複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数ωに従ってフィルタ処理を行うものであり、特許請求の範囲の閉空間内用フィルタ処理部に相当する。すなわち、フィルタ処理部20は、第1の閉空間S1の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1が設置される位置)に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。
図29に示す例において、第1の閉空間S1の外側の領域で第1の閉空間S1の近くには他のユーザ300が存在し、他のユーザ300が着座する固定位置にはヘッドレストが存在する。そして、ヘッドレストの左右にはそれぞれ1つずつスピーカSP-OUT(以下、外部スピーカSP-OUTという)およびマイクMC-OUTが設置されている。また、外部スピーカSP-OUTから出力される音声を制御するための適応フィルタから成るフィルタ処理部50が設けられている。
フィルタ処理部50は、外部スピーカSP-OUTの近傍位置(ヘッドレスト上でマイクMC-OUTが設置される位置)に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。ここで所望の音圧とは、マイクMC-OUTに入力される音声の音圧を打ち消すような音圧である。このようにすることにより、第1の閉空間S1から漏れ出てマイクMC-OUTの位置付近に届く内部スピーカSP-S1からの音声が、外部スピーカSP-OUTから出力される音声によって減圧される。これにより、他のユーザ300が存在する位置での更なる静穏化を実現することができる。
なお、図29では、閉空間内用フィルタ処理部として第2の実施形態と同様のフィルタ処理部20を用いる例について説明したが、第1の実施形態と同様のフィルタ処理部10を用いてもよい。この場合、フィルタ処理部10に係数ωを設定した後は、第1の閉空間S1の境界面および内部に音圧・音圧傾度センサSS-S1を設置することを省略可能である。また、第5の実施形態においても、第3の実施形態で説明した構成を適用することが可能である。また、図29では、上述した第10の設計例と同様に第1の閉空間S1の内部にも制御点を設定する例について説明したが、これは省略してもよい。また、図29では、ヘッドレストの左右に2つの外部スピーカSP-OUTおよび2つのマイクMC-OUTを設置する例について説明したが、1つの外部スピーカSP-OUTおよび1つのマイクMC-OUTを設置する構成としてもよい。これらの変形は、以下に説明する第1変形例から第3変形例においても同様に適用可能である。
(第5の実施形態の第1変形例)
図30は、第5の実施形態の第1変形例による音場制御装置の構成例を示す図である。なお、この図30において、図29に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第1変形例において、ヘッドレストの左右には、図29に示したマイクMC-OUTに代えて音圧・音圧傾度センサSS-OUTが設置される。また、図29に示したフィルタ処理部20に代えてフィルタ処理部20’が設けられている。
第1変形例において、フィルタ処理部50は、外部スピーカSP-OUTの近傍位置に設定される制御点(ヘッドレスト上で音圧・音圧傾度センサSS-OUTが設置される位置)における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。これは、上述した第5の実施形態と同様である。
一方、フィルタ処理部20’は、図29と比べて太線で示した配線301を追加したように、第1の閉空間S1の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1が設置される位置)に設定される複数の制御点および外部スピーカSP-OUTの近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-OUTが設置される位置)に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。すなわち、フィルタ処理部20’は、第1の閉空間S1に設置された音圧・音圧傾度センサSS-S1に加え、第1の閉空間S1の外部のヘッドレストに設置された音圧・音圧傾度センサSS-OUT からも音声を入力し、それらの入力音声に基づいて係数ωを適応的に調整する。
このように構成することにより、第1の閉空間S1から外部の音圧・音圧傾度センサSS-OUTが存在する方向(すなわち、他のユーザ300が存在する方向)に漏れ出る音声の音圧を、図29に示した第5の実施形態よりも更に弱くすることができる。そして、このように弱められた音声が、フィルタ処理部50により制御されて外部スピーカSP-OUTから出力される音声によって減圧されるので、他のユーザ300が存在する位置でのより一層の静穏化を実現することが可能である。
(第5の実施形態の第2変形例)
図31は、第5の実施形態の第2変形例による音場制御装置の構成例を示す図である。第2変形例では、ユーザ200の隣にいる他のユーザ300が、ユーザ200が聞いている第1の音声とは異なる第2の音声を聞いており、ユーザ200および他のユーザ300の双方に対して図29で説明した第5の実施形態を適用する。
すなわち、第2変形例において第1の閉空間S1は、第1のユーザ200が聞いている音声を出力する内部スピーカSP-S1-1を囲むように形成された第1空間S1-1と、第2のユーザ300が聞いている音声を出力する内部スピーカSP-S1-2を囲むように形成された第2空間S1-2とを含む。第1空間S1-1と第2空間S1-2とは1つの境界面において隣接している。当該第1空間S1-1と第2空間S1-2とで共有される境界面上に設定される制御点は、第1空間S1-1と第2空間S1-2とで共有される。そのため、第1空間S1-1と第2空間S1-2とで共有される境界面上に設置される音圧・音圧傾度センサSS(図32の例では3つ)が第1空間S1-1と第2空間S1-2とで共有される。
第2変形例では、第1空間S1-1に対する外部スピーカSP-OUT1およびマイクMC-OUT1が第2空間S1-2の内部に存在するとともに、第2空間S1-2に対する外部スピーカSP-OUT2およびマイクMC-OUT2が第1空間S1-1の内部に存在する関係となっている。また、第1空間S1-1に対して、第1の閉空間内用フィルタ処理部としてのフィルタ処理部20-1と、第1の閉空間外用フィルタ処理部としてのフィルタ処理部50-1とが備えられるとともに、第2空間S1-2に対して、第2の閉空間内用フィルタ処理部としてのフィルタ処理部20-2と、第2の閉空間外用フィルタ処理部としてのフィルタ処理部50-2とが備えられている。
閉空間内用フィルタ処理部としてのフィルタ処理部20-1,20-2の処理は、図29で説明したフィルタ処理部20の処理と同様である。また、閉空間外用フィルタ処理部としてのフィルタ処理部50-1,50-2 の処理は、図29で説明したフィルタ処理部50の処理と同様である。
すなわち、フィルタ処理部20-1は、第1空間S1-1の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1-1が設置される位置)に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される第1の音声信号に対してフィルタ処理を行う。また、フィルタ処理部50-1は、第2空間S1-2の内部に存在する外部スピーカSP-OUT1の近傍位置(マイクMC-OUT1が設置される位置)に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される第1の音声信号に対してフィルタ処理を行う。
フィルタ処理部20-2は、第2空間S1-2の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1-2が設置される位置)に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される第2の音声信号に対してフィルタ処理を行う。また、フィルタ処理部50-2は、第1空間S1-1の内部に存在する外部スピーカSP-OUT2の近傍位置(マイクMC-OUT2が設置される位置)に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される第2の音声信号に対してフィルタ処理を行う。
(第5の実施形態の第3変形例)
図32は、第5の実施形態の第3変形例による音場制御装置の構成例を示す図である。なお、この図32において、図31に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第3変形例において、ヘッドレストの左右には、図31に示したマイクMC-OUT1,MC-OUT2に代えて音圧・音圧傾度センサSS-OUT1,SS-OUT2が設置される。また、図31に示したフィルタ処理部20-1,20-2に代えてフィルタ処理部20-1’,20-2’が設けられている。
第3変形例において、フィルタ処理部50-1,40-2は、外部スピーカSP-OUT1,SP-OUT2の近傍位置に設定される制御点(音圧・音圧傾度センサSS-OUT1,SP-OUT2が設置される位置)における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行う。これは、上述した第2変形例と同様である。
一方、フィルタ処理部20-1’は、図31と比べて太線で示した配線302を追加したように、第1空間S1-1の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1-1が設置される位置)に設定される複数の制御点および外部スピーカSP-OUT1の近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-OUT1が設置される位置)に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される第1の音声信号に対してフィルタ処理を行う。すなわち、フィルタ処理部20-1’は、第1空間S1-1に設置された音圧・音圧傾度センサSS-S1-1に加え、第1空間S1-1の外部である第2空間S1-2に設置された音圧・音圧傾度センサSS-OUT1 からも音声を入力し、それらの入力音声に基づいて係数ωを適応的に調整する。
同様に、フィルタ処理部20-2’は、図31と比べて太線で示した配線303を追加したように、第2空間S1-2の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1-2が設置される位置)に設定される複数の制御点および外部スピーカSP-OUT2の近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-OUT2が設置される位置)に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される第2の音声信号に対してフィルタ処理を行う。すなわち、フィルタ処理部20-2’は、第2閉空間S1-2に設置された音圧・音圧傾度センサSS-S1-2に加え、第2空間S1-2の外部である第1空間S1-1に設置された音圧・音圧傾度センサSS-OUT2 からも音声を入力し、それらの入力音声に基づいて係数ωを適応的に調整する。
すなわち、フィルタ処理部20-1は、第1空間S1-1の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1-1が設置される位置)に設定される複数の制御点および第2空間S1-2の内部に存在する外部スピーカSP-OUT1の近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-OUT1が設置される位置)に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される第1の音声信号に対してフィルタ処理を行う。また、フィルタ処理部50-1は、第2空間S1-2の内部に存在する外部スピーカSP-OUT1の近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-OUT1が設置される位置)に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される第1の音声信号に対してフィルタ処理を行う。
フィルタ処理部20-2は、第2空間S1-2の境界面上および内部(音圧・音圧傾度センサSS-S1-2が設置される位置)に設定される複数の制御点および第1空間S1-1の内部に存在する外部スピーカSP-OUT2の近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-OUT2が設置される位置)に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される第2の音声信号に対してフィルタ処理を行う。また、フィルタ処理部50-2は、第1空間S1-1の内部に存在する外部スピーカSP-OUT2の近傍位置(音圧・音圧傾度センサSS-S1-2が設置される位置)に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された係数ωに従って、入力される第2の音声信号に対してフィルタ処理を行う。
このように構成することにより、第1空間S1-1から外部の音圧・音圧傾度センサSS-OUT1が存在する方向(すなわち、第2のユーザ300が存在する方向)に漏れ出るスピーカSP-S1-1からの出力音声の音圧を、図31に示した第2変形例よりも更に弱くすることができる。そして、このように弱められた音声が、フィルタ処理部50-1により制御されて外部スピーカSP-OUT1から出力される音声によって減圧されるので、外部スピーカSP-OUT1から出力される音声が第2のユーザ300に対してより聞こえにくくなるようにすることができる。
同様に、第2空間S1-2から外部の音圧・音圧傾度センサSS-OUT2が存在する方向(すなわち、第1のユーザ200が存在する方向)に漏れ出るスピーカSP-S1-2からの出力音声の音圧を、図31に示した第2変形例よりも更に弱くすることができる。そして、このように弱められた音声が、フィルタ処理部50-2により制御されて外部スピーカSP-OUT2から出力される音声によって減圧されるので、外部スピーカSP-OUT2から出力される音声が第1のユーザ200に対してより聞こえにくくなるようにすることができる。
なお、上記第2変形例および第3変形例では、第1空間S1-1と第2空間S1-2とが1つの境界面において隣接する例について説明したが、第1空間S1-1と第2空間S1-2とが近接していればよく、隣接している場合にのみ第2変形例および第3変形例が適用し得るというものではない。
また、上記第5の実施形態では、第1の閉空間S1のみが存在する例について説明したが、第1の閉空間S1および第2の閉空間S2が存在す場合にも適用することが可能である。第2の閉空間S2が存在する場合、第2変形例および第3変形例では、第2の閉空間S2も第1空間S2-1および第2空間S2-2を含み、それぞれの内部に第1の閉空間S1の第1空間S1-1および第2空間S1-2を含む。そして、第2の閉空間S2の第1空間S2-1と第2空間S2-2とが互いに近接した位置に設定される。
上記第1~第4の実施形態では、フィルタ処理部10,20,20’は、閉空間S1,S2の境界面上に設定される複数の制御点CP1,CP2における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うことによって音声のセパレーションを実現する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フィルタ処理部10,20,20’は、第1の閉空間S1の境界面上に設定される複数の制御点CP1における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となり、かつ、第2の閉空間S2の境界面上に設定される複数の制御点CP2における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された係数ωに従って、入力される音声信号に対してフィルタ処理を行うようにしてもよい。
上記第1~第5の実施形態では、ユーザ2000,300の位置を中心とする矩形空間により閉空間S1,S2を構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、複数のスピーカSPを囲むように制御点CP1,CP2が設定されればよい。例えば、図33(a)のように円形空間により閉空間S1,S2を構成してもよい。また、図33(b)のように、ユーザ200,300の位置が閉空間S1,S2の中心位置から偏在した位置にあってもよい。
なお、上記各実施形態および各設計例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1,2 音場制御装置
10,20,20’,50 フィルタ処理部
11 FIRフィルタ
21 適応フィルタ
30 係数調整部
40 係数記憶部
41 関数算出部
42 係数調整部
100 ノートパソコン(電子機器)
101 キーボード面(非可動部位)
102 ディスプレイ面(可動部位)
103 角度検出センサ
S1,S2 閉空間
SP スピーカ
SS 音圧・音圧傾度センサ
MC マイク

Claims (20)

  1. 所定の制御点における音圧と音圧傾度を制御することによって音場を作る音場制御装置であって、
    入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数に従ってフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、
    上記フィルタ処理部により上記複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する複数のスピーカとを備え、
    上記フィルタ処理部は、上記複数のスピーカを囲む閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする音場制御装置。
  2. 上記閉空間は、上記複数のスピーカを囲む第1の閉空間および当該第1の閉空間を囲む第2の閉空間であり、
    上記フィルタ処理部は、上記第1の閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となり、かつ、上記第2の閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の音場制御装置。
  3. 上記フィルタ処理部は、上記第1の閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなり、かつ、上記第2の閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の音場制御装置。
  4. 上記閉空間は、上記複数のスピーカを囲む1つの閉空間であり、
    上記フィルタ処理部は、上記閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が何れもゼロとなるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の音場制御装置。
  5. 上記フィルタ処理部は、上記閉空間の境界面上に設定される上記複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となり、かつ、上記閉空間の内部に設定される1つ以上の制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の音場制御装置。
  6. 上記複数のスピーカは、2列以上に並べて配置されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の音場制御装置。
  7. 上記複数のスピーカは、電子機器の非可動部位に配置されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の音場制御装置。
  8. 上記複数のスピーカは、電子機器の可動部位を含む複数箇所に配置されており、
    上記可動部位の非可動部位に対する角度を検出する角度検出センサと、
    上記角度検出センサにより検出される角度に応じて、上記フィルタ処理部に設定される上記係数を調整する係数調整部とを更に備えた
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の音場制御装置。
  9. 上記フィルタ処理部は、上記複数の制御点に設置した複数の音圧・音圧傾度センサにより検出される音圧と音圧傾度を用いて調整された上記係数が固定値として設定されたフィルタを含むことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の音場制御装置。
  10. 上記複数の制御点に設置された複数の音圧・音圧傾度センサを更に備え、
    上記フィルタ処理部は、上記複数の音圧・音圧傾度センサにより検出される音圧と音圧傾度を用いて上記係数を可変設定する適応フィルタを含むことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の音場制御装置。
  11. 上記フィルタ処理部は、上記閉空間の内部に存在する反射物の位置、大きさおよび種類の少なくとも1つに応じて異なる複数の反射パターンのうち、何れかの反射パターンに対応して設定された係数に従って、上記フィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の音場制御装置。
  12. 上記スピーカから出力されて所定位置に設置されたマイクに入力される音声の伝達特性を表す所定関数を算出する関数算出部を更に備え、
    上記フィルタ処理部は、上記関数算出部により算出された上記所定関数に対応して設定された反射パターンの係数に従って、上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項11に記載の音場制御装置。
  13. 所定位置に設置されたカメラによる上記閉空間の内部の撮影画像に基づいて、上記閉空間の内部に存在する上記反射物を検出する反射物検出部を更に備え、
    上記フィルタ処理部は、上記関数算出部により算出された上記所定関数と、上記反射物検出部による上記反射物の検出状況とに基づいて設定された反射パターンの係数に従って、上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項12に記載の音場制御装置。
  14. 上記閉空間の内部に存在する上記複数のスピーカである複数の内部スピーカに加え、上記閉空間の外部に存在する1つ以上の外部スピーカを更に備え、
    上記フィルタ処理部は、
    上記複数の内部スピーカに対する上記複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数に従ってフィルタ処理を行う閉空間内用フィルタ処理部と、
    上記1つ以上の外部スピーカに対する1つ以上の音声出力用に設定された係数に従ってフィルタ処理を行う閉空間外用フィルタ処理部とを備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の音場制御装置。
  15. 上記閉空間内用フィルタ処理部は、上記閉空間の境界面上に設定される上記複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記閉空間外用フィルタ処理部は、上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項14に記載の音場制御装置。
  16. 上記閉空間内用フィルタ処理部は、上記閉空間の境界面上に設定される上記複数の制御点および上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記閉空間外用フィルタ処理部は、上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項14に記載の音場制御装置。
  17. 上記閉空間は、互いに近接する第1空間および第2空間を含み、
    上記第1空間に対する1つ以上の外部スピーカが上記第2空間の内部に存在するとともに、上記第2空間に対する1つ以上の外部スピーカが上記第1空間の内部に存在し、
    上記第1空間に対して第1の閉空間内用フィルタ処理部および第1の閉空間外用フィルタ処理部が備えられるとともに、上記第2空間に対して第2の閉空間内用フィルタ処理部および第2の閉空間外用フィルタ処理部が備えられ、
    上記第1の閉空間内用フィルタ処理部は、上記第1空間の境界面上に設定される上記複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記第1の閉空間外用フィルタ処理部は、上記第2空間の内部に存在する上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記第2の閉空間内用フィルタ処理部は、上記第2空間の境界面上に設定される上記複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記第2の閉空間外用フィルタ処理部は、上記第1空間の内部に存在する上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項15に記載の音場制御装置。
  18. 上記閉空間は、互いに近接する第1空間および第2空間を含み、
    上記第1空間に対する1つ以上の外部スピーカが上記第2空間の内部に存在するとともに、上記第2空間に対する1つ以上の外部スピーカが上記第1空間の内部に存在し、
    上記第1空間に対して第1の閉空間内用フィルタ処理部および第1の閉空間外用フィルタ処理部が備えられるとともに、上記第2空間に対して第2の閉空間内用フィルタ処理部および第2の閉空間外用フィルタ処理部が備えられ、
    上記第1の閉空間内用フィルタ処理部は、上記第1空間の境界面上に設定される上記複数の制御点および上記第2空間の内部に存在する上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記第1の閉空間外用フィルタ処理部は、上記第2空間の内部に存在する上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数または上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記第2の閉空間内用フィルタ処理部は、上記第2空間の境界面上に設定される上記複数の制御点および上記第1空間の内部に存在する上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行い、
    上記第2の閉空間外用フィルタ処理部は、上記第1空間の内部に存在する上記1つ以上の外部スピーカの近傍位置に設定される制御点における音圧が所望の音圧となるように調整された上記係数または上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項16に記載の音場制御装置。
  19. 上記第1空間と上記第2空間とで共有される境界面上に設定される制御点が、上記第1空間と上記第2空間とで共有されることを特徴とする請求項17または18に記載の音場制御装置。
  20. 入力される音声信号に対して、複数の音声出力用にそれぞれ設定された係数に従ってフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、当該フィルタ処理部により上記複数の音声出力用にフィルタ処理された音声信号をもとに音声を出力する複数のスピーカとを備えたシステムにおいて、所定の制御点における音圧と音圧傾度を制御することによって音場を作る音場制御方法であって、
    上記フィルタ処理部において、上記複数のスピーカを囲む閉空間の境界面上に設定される複数の制御点における音圧と音圧傾度が所望の音場に対応する値となるように調整された上記係数に従って、上記入力される音声信号に対して上記フィルタ処理を行うことを特徴とする音場制御方法。
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