JP2024102707A - 送り装置及び流体供給装置 - Google Patents

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Tetsuya Nagata
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Akihiko Sato
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勝平 佐々木
Shohei Sasaki
友隆 國分
Tomotaka Kokubu
誠 長谷川
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Abstract

【課題】送りねじの速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ること。【解決手段】送り装置3は、対象物21を送り方向に向けて移動させる可動体30と、弾性復元力を利用して可動体に推力を付与するばね部材31と、可動体に付与された推力によって送り軸線O1回りに回転する送りねじ32と、送りねじの回転に伴って回転する輪列機構33と、輪列機構を調速する調速機構34と、輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構35と、を備える。ばね部材は、帯状の弾性体47が渦巻き状に巻回された巻回部48と、弾性体のうち巻回部から引き伸ばされた部分である引出部49と、を備える。引出部は、可動体に連結される。ばね部材は、引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して可動体に推力を付与する。【選択図】図1

Description

本発明は、送り装置及び流体供給装置に関する。
従来から、各種の分野において薬液を送り出す薬液ポンプが使用されている。例えば、理化学分野、医療分野において薬液を注入する場合や、水処理分野において酸、アルカリ等の薬液を注入する場合や、畜産分野において栄養剤等の薬液を注入する場合等に薬液ポンプが使用されている。
この種の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献1に示されるように、バレル及びプランジャを有する薬剤容器と、駆動ラックを有するピストンと、駆動ハウジングと、駆動ラックに噛み合う駆動ピニオンと、駆動ピニオンと直接的又は間接的に結合され、駆動ピニオンを介して駆動ラックを直線移動させる直線状ぜんまいと、駆動ピニオンの回転速度の調整を行う調整機構と、を具備する薬液ポンプが知られている。
同様の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献2に示されるように、薬液が充填されたシリンジの外筒を保持する保持体と、シリンジのプランジャを押圧する押圧部材と、押圧部材を付勢する渦巻きばねと、を具備する薬液ポンプが知られている。
渦巻きばねは、帯状の弾性体が渦巻き状に巻回されることで構成されている。渦巻きばねは、弾性体の外端部が保持体に固定されると共に、外端部から引き伸ばされた状態で弾性体の内端部を含む巻回部分が押圧部材に収納されている。
この薬液ポンプによれば、渦巻きばねが自身の弾性復元力によって、引き伸ばされた部分を巻き取るように弾性復元変形する。これにより、押圧部材を移動させてプランジャを押圧することができ、シリンジ内に向けてプランジャを送り込むことができる。その結果、シリンジ内から薬液を排出することができ、薬液を外部に供給することができる。
同様の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献3に示される薬液ポンプが知られている。この薬液ポンプは、薬液が充填されたシリンジと、シリンジのプランジャ(押し子)と、プランジャに固定されたナット部材に螺着された送りねじと、複数の歯車を介して送りねじに動力を伝達する駆動モータと、を備えている。
この薬液ポンプによれば、駆動モータからの動力を利用して送りねじを回転させることで、ナット部材を介してプランジャを移動させることができ、プランジャを押圧することができる。これにより、シリンジ内に向けてプランジャを送り込むことができる。その結果、シリンジ内から薬液を排出することができ、薬液を外部に供給することができる。
さらに同様の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献4に示される薬液ポンプが知られている。
この薬液ポンプは、プランジャの移動に伴って薬液が吐出されるシリンジを保持する保持部材と、所定の駆動力でプランジャを押圧して、プランジャをシリンジ内に向かう第1方向に移動させる駆動部と、プランジャの移動を調整する調整機構と、を備えている。調整機構は、シリンジ内でのプランジャの移動に起因して生じる抵抗力と駆動力との差分に応じて、プランジャに対して第1方向と同じ方向に補助力を付与、或いはプランジャに対して第1方向とは反対の第2方向に反力を付与する。
この薬液ポンプによれば、調整機構がシリンジ内でのプランジャの移動に起因して生じる抵抗力と駆動力との差分に応じて、補助力或いは反力をプランジャに付与するので、一定の移動量でプランジャを移動させることができる。これにより、シリンジ内に向けてプランジャを送り込むことができる。その結果、シリンジ内から薬液を一定の吐出量で吐出することが可能となる。
特許第6645829号公報 特開2011-194069号公報 特許第6442480号公報 特許第6937397号公報
上記特許文献1に記載の薬液ポンプでは、直線状ぜんまいを利用して駆動ラックを有するピストンを押圧すると共に、直線状ぜんまいによる軸方向の押圧力をトーション運動に変換し、駆動ピニオンを介して調整機構に伝えている。しかしながら、直線状ぜんまいが解けるにつれて、直線状ぜんまいによる軸方向の押圧力も減少するため、調整機構に伝わるトーション運動の回転トルクが減少してしまう。従って、調整機構による駆動ピニオンの回転速度の調整を適切に行うことが難しい。従って、プランジャを所望の速度で安定に送り移動させることが難しく、安定した薬液供給に繋げることが難しい。
上記特許文献2に記載の薬液ポンプでは、渦巻きばねによる動力(渦巻きばねの弾性復元力)を利用してプランジャを押圧している。そのため、プランジャを押圧するための推力が渦巻きばねの巻取りに伴って変動する可能性がある。従って、プランジャの速度制御が不十分となり、該プランジャを所望の速度で安定に送り移動させることが難しい。従って、安定した薬液供給に繋げることが難しい。
上記特許文献3に記載の薬液ポンプでは、駆動モータからの動力を利用して送りねじを回転させることで、ナット部材を介してプランジャを送り移動させている。そのため、例えば引用文献2に記載の発明に比べれば、プランジャを所望の速度で送り移動させ易い。しかしながら、プランジャを押圧するための推力が、駆動モータの動力(回転トルク)によって決定されてしまう。従って、薬液の粘性やプランジャの摺動抵抗等の影響を受けることなく、安定した推力でプランジャを押圧するためには、例えば駆動モータを大型化する等して、大きな回転トルクを確保する必要がある。そのため、省電力化を図り難くなってしまううえ、駆動モータに費やすコストが高くなってしまう。
さらに上記特許文献4に記載の発明では、シリンジ内でのプランジャの移動に起因して生じる抵抗力と駆動力との差分に応じて、補助力或いは反力をプランジャに付与している。しかしながら、ぜんまいの巻き解けによる動力を利用して、調整機構が補助力を付与している。そのため、ぜんまいの巻取りに伴って補助力が変動する可能性があり、プランジャを一定の推力で押圧することや、所望の速度で安定に送り移動させることが難しい。従って、安定した薬液供給に繋げることが難しい。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、送りねじの速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ることができる送り装置及び流体供給装置を提供することである。
(1)本発明に係る送り装置は、対象物を送り方向に向けて移動させる可動体と、弾性復元力を利用して前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与するばね部材と、前記送り方向に平行に配置された送り軸線回りに回転可能な状態で前記可動体に組み合わされていると共に、前記可動体に付与された推力によって前記送り軸線回りに回転する送りねじと、前記送りねじの回転に伴って回転する輪列機構と、前記輪列機構の回転速度を調整する調速機構と、前記輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構と、を備える。前記ばね部材は、帯状の弾性体が渦巻き状に巻回された巻回部と、前記弾性体のうち前記巻回部から引き伸ばされた部分である引出部と、を備える。前記引出部は、前記可動体に連結される。前記ばね部材は、前記引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、前記可動体に推力を付与することを特徴とする。
本発明に係る送り装置によれば、ばね部材による弾性復元力を利用して可動体に推力を付与できるので、可動体を送り方向に向けて押圧することができる。この際、可動体には送りねじが組み合わされているので、送りねじを利用して可動体の移動速度を制御することができる。
具体的には、ばね部材による推力によって可動体が送り方向に移動しはじめると、可動体に組み合わされた送りねじが送り軸線回りに回転する。そのため、送りねじの回転に伴って輪列機構を回転させることができる。この際、調速機構によって輪列機構を調速(回転速度を調整)できるので、輪列機構及び送りねじを所定の回転速度で回転させることができる。従って、ばね部材の弾性復元力の変化等に影響され難く、可動体を一定速度で送り方向に向けて移動(送り移動)させることができる。
さらに切換機構によって輪列機構の回転の停止と開始とを切り換えることができるので、輪列機構及び送りねじを介して可動体の移動停止と移動開始とを制御することができる。そのため、可動体の移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することもできる。
さらにばね部材による弾性復元力を主な推力として可動体を移動させている。そのため、簡便な構成で可動体に推力を付与できるので、低コスト化及び構成の簡略化を図り易い。さらには電池等の電力が不要であるので、この点においても低コスト化を図り易いうえ、安全性を向上できる。
さらにばね部材が、引き伸ばされた引出部を巻回部に巻回するように弾性復元変形するので、ばね部材による弾性復元力を利用して引出部を巻回部側に引っ張ることができ、引出部に連結された可動体を送り方向に向けて押圧することができる。特にばね部材を、渦巻きばねとして利用することができ、例えばコイルばね等に比べて、伸びた状態から巻回によって元の状態に復元する間の弾性復元力がほぼ一定となる特性を有する、いわゆる定荷重ばねとして利用できる。従って、予め決められた一定の推力で可動体を押圧することができると共に、調速機構による調速を精度良く行うことができる。
さらにばね部材における巻回部の位置を変化させることなく、弾性復元変形によって引出部を引っ張って巻回することが可能となる。従って、巻回部を移動させることなく、可動体を移動させることができるので、巻回部の移動スペースが不要となり、その分、省スペース化を図ることができる。特に巻回部は、引出部を巻回するにつれてサイズが大きくなるため、有効に省スペース化を図ることができる。そのため、送り装置全体の小型化、薄型化に繋げることができる。
(2)(1)に記載の送り装置において、前記調速機構は、前記輪列機構に噛み合うと共に、前記輪列機構の回転速度に応じた抵抗を発生させる羽根車を備えても良い。
この場合には、羽根車による抵抗を利用して輪列機構を調速できるので、例えば機械式時計におけるてんぷを利用した調速機構等と異なり、音を発生させ難く、静音性を維持しながら調速を行うことが可能である。
(3)(2)に記載の送り装置において、前記切換機構は、ストッパ部材と、前記羽根車に対して前記ストッパ部材を接触させて前記羽根車の回転を停止させる回転停止位置と、前記羽根車から前記ストッパ部材を離間させて前記羽根車の回転を許容する回転許容位置との間で、前記ストッパ部材を移動させるアクチュエータと、を備えても良い。
この場合には、アクチュエータを利用してストッパ部材を回転停止位置に位置させることで、羽根車に対してストッパ部材を接触させて回転を停止させることができる。これにより、羽根車を介して輪列機構の回転を停止することができる。その反対に、アクチュエータを利用してストッパ部材を回転許容位置に位置させることで、羽根車からストッパ部材を離間させることができ、羽根車の回転を許容することができる。これにより、輪列機構の回転を開始することができる。
このように、アクチュエータを利用してストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間を移動させるだけの簡便な操作で、輪列機構の回転の停止と開始とを切り換えることができる。そのため、可動体の移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することができる。さらに、アクチュエータを、可動体に推力を付与するために利用するのではなく、切換機構の一部として利用しているため、例えば動力の小さいアクチュエータを利用することができる。従って、省電力化及び低コスト化に繋げることができる。
(4)(1)に記載の送り装置において、前記調速機構は、ひげぜんまいを動力源として、前記送り軸線に対して非同軸に配置された回転軸線回りに、所定の振り角で往復回転するてんぷを有する調速機と、前記輪列機構の回転に伴って回転するがんぎ車と、前記てんぷの往復回転に基づいて揺動すると共に、前記がんぎ車のがんぎ歯に対して交互に係脱することで前記がんぎ車の回転を制御するアンクルと、を有する脱進機と、を備えても良い。
この場合には、例えば機械式時計に一般的に用いられる調速機構と同様に輪列機構を調速することができる。具体的には、ひげぜんまいを動力源として、所定の振り角(定常振幅)でてんぷを回転軸線回りに往復回転させることができ、てんぷの回転に基づいてアンクルを規則正しく揺動させることができる。これにより、輪列機構の回転に伴って回転するがんぎ車のがんぎ歯に対してアンクルを交互に係脱させることができ、がんぎ車及び輪列機構を調速することができる。
特に、ひげぜんまいを動力源として往復回転するてんぷを利用しているので、輪列機構を精度良く調速することができる。さらに、がんぎ車に伝わった動力を、アンクルを介しててんぷに伝えることができるので、てんぷに回転エネルギーを補充することが可能である。従って、長時間に亘って安定した調速を行うことができる。
(5)(4)に記載の送り装置において、前記切換機構は、ストッパ部材と、前記てんぷに対して前記ストッパ部材を接触させて前記てんぷの回転を停止させる回転停止位置と、前記てんぷから前記ストッパ部材を離間させて前記てんぷの回転を許容する回転許容位置との間で、前記ストッパ部材を移動させるアクチュエータと、を備えても良い。
この場合には、アクチュエータを利用してストッパ部材を回転停止位置に位置させることで、てんぷに対してストッパ部材を接触させて回転を停止させることができる。これにより、てんぷを介して輪列機構の回転を停止することができる。その反対に、アクチュエータを利用してストッパ部材を回転許容位置に位置させることで、てんぷからストッパ部材を離間させることができ、てんぷの回転を許容することができる。これにより、輪列機構の回転を開始することができる。
このように、アクチュエータを利用してストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間を移動させるだけの簡便な操作で、輪列機構の回転の停止と開始とを切り換えることができる。そのため、可動体の移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することができる。さらに、アクチュエータを、可動体に推力を付与するために利用するのではなく、切換機構の一部として利用しているため、例えば動力の小さいアクチュエータを利用することができる。従って、省電力化及び低コスト化に繋げることができる。
(6)(3)又は(5)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、通電及び非通電によって直線的に往復移動する可動軸を有するソレノイドと、前記ソレノイドへの通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記ストッパ部材は、前記可動軸の往復移動に伴って、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する。
この場合には、ソレノイドの可動軸を直線的に往復移動させるだけの簡便な方法で、ストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間で移動させることができ、輪列機構の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り換えることができる。
(7)(6)に記載の送り装置において、前記可動軸に連結されると共に、前記可動軸から前記ストッパ部材に向けて延びる押圧軸と、前記押圧軸に一体的に取り付けられた可動突起と、前記可動突起を相対移動可能に収納する収納通路が形成されたスイッチ部材と、を備えても良い。前記収納通路内には、前記可動突起を位置決めする第1ストッパ位置及び第2ストッパ位置が設けられている。前記可動突起は、前記可動軸が往復移動するたびに、前記収納通路内を移動しながら前記第1ストッパ位置と前記第2ストッパ位置とに交互に位置決めされる。前記押圧軸は、前記可動突起が前記第1ストッパ位置に位置しているときに、前記ストッパ部材を押圧して前記ストッパ部材を前記回転停止位置に位置させ、前記可動突起が前記第2ストッパ位置に位置しているときに、前記ストッパ部材から離間する。前記ストッパ部材は、前記回転許容位置に向けて付勢されている。
この場合には、ソレノイドの可動軸を往復移動させるたびに、押圧軸に取り付けられた可動突起を収納通路内に沿って移動させながら、第1ストッパ位置及び第2ストッパ位置に交互に位置決めすることができる。可動突起を第1ストッパ位置に位置決めすることで、押圧軸を利用してストッパ部材を押圧して回転停止位置に位置させることができる。これに対して、可動突起を第2ストッパ位置に位置決めすることで、押圧軸をストッパ部材から離間させることができる。これにより、ストッパ部材を、付勢によって回転停止位置から回転許容位置に位置させることができる。
従って、ストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間で移動させることができる。特に、可動突起を第1ストッパ位置及び第2ストッパ位置に交互に位置決めすることができるので、例えばソレノイドを非通電(無通電)にした場合であっても、ストッパ部材を回転停止位置又は回転許容位置に位置決めすることができる。従って、省電力で輪列機構の回転の停止と開始とを切り換えることができる。
(8)(3)又は(5)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、第1電磁石及び第2電磁石と、前記第1電磁石及び前記第2電磁石が磁力を発生するように、前記第1電磁石及び前記第2電磁石への通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記ストッパ部材は、前記第1電磁石による磁力、及び前記第2電磁石による磁力で吸着されることで、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する。
この場合には、第1電磁石及び第2電磁石に磁力を発生させるだけの簡便な方法で、ストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間で移動させることができ、輪列機構の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り換えることができる。
(9)(3)又は(5)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、前記ストッパ部材に連結された第1形状記憶合金ワイヤ及び第2形状記憶合金ワイヤと、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤに対して通電を行うように、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤへの通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤは、通電加熱に伴って長さが収縮すると共に放熱に伴って長さが伸長する。前記ストッパ部材は、前記第1形状記憶合金ワイヤの伸縮、及び前記第2形状記憶合金ワイヤの伸縮によって、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する。
この場合には、第1形状記憶合金ワイヤ及び第2形状記憶合金ワイヤに通電を行って、それぞれのワイヤの長さを瞬間的に収縮させるだけの簡便な方法で、ストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間で移動させることができ、輪列機構の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り換えることができる。
(10)(3)又は(5)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、通電及び非通電によって180°未満の角度範囲内で揺動回転する可動軸を有するガルバノモータと、前記ガルバノモータへの通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記ストッパ部材は、前記可動軸の揺動回転に伴って前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する。
この場合には、ガルバノモータの可動軸を180°未満の角度範囲内で揺動回転させるだけの簡便な方法で、ストッパ部材を回転停止位置と回転許容位置との間で移動させることができ、輪列機構の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り換えることができる。
(11)(1)に記載の送り装置において、前記送りねじの回転に伴って回転する従動歯車と、第1レバー及び第2レバーを有し、ストッパ軸線回りに回転可能に配置された回転規制部材と、を備えても良い。前記回転規制部材は、前記第1レバーが前記従動歯車の従動歯に対して接触し、且つ前記第2レバーが前記従動歯に対して非接触状態となるように、前記ストッパ軸線回りに付勢される。前記従動歯車は、予め決められた所定の回転速度で回転しているときに、前記従動歯が前記第1レバーを順次押込むように回転し、且つ前記所定の回転速度を超えて回転したときに、前記従動歯に対して前記第1レバーが非接触となるように前記回転規制部材を回転させる。前記回転規制部材は、前記従動歯車が前記所定の回転速度を超えて回転したときに、前記第2レバーを前記従動歯に係止させて、前記従動歯車の回転を規制する。
この場合には、ばね部材による推力によって可動体が送り方向に移動すると共に送りねじが送り軸線回りに回転すると、送りねじの回転に伴って従動歯車が回転する。この際、従動歯車は、予め決められた所定の回転速度で回転している場合には、従動歯がストッパ部材の第1レバーを順次押込みながら回転する。
そして、送り装置の作動中において、例えば輪列機構の輪列噛み合い等が外れた場合には、送りねじ及び従動歯車が過度の速度で回転するおそれがある。しかしながら、従動歯車が所定の回転速度を超える速度で回転した場合には、従動歯に対して第1レバーが非接触となるように回転規制部材を回転させる。これにより、回転規制部材は、第2レバーを従動歯に係止させて従動歯車の回転を機械的に規制することができる。そのため、送りねじ及び従動歯車の回転を強制的に停止させることができる。従って、可動体が送り方向に向けて例えば勢い良く移動してしまうことを防止することができる。
(12)本発明に係る流体供給装置は、(1)に記載の送り装置と、内部に流体が充填される収容筒と、前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を有する流体収容器と、を備える。前記可動体は、前記プランジャを前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されている。
本発明に係る流体供給装置によれば、可動体を送り方向に向けて移動させることで、収容筒内にプランジャを押し込むことができる。これにより、収容筒内に充填された流体を押し出すことができ、流体を外部に供給することができる。
特に上述した送り装置を具備しているので、可動体及びプランジャを速度制御しながら移動させることができるので、流体を精度良く外部に供給することができる。さらに、流体の連続的な供給や、決まった単位量の供給等も行うことができる。その結果、流体を所望の供給態様で外部に供給することができる。従って、流体供給装置を、患者の体内に薬液を投入する薬液供給装置等として好適に利用することが可能である。
本発明によれば、送りねじの速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ることができる。
本発明に係る送り装置及び流体供給装置(薬液投与装置)の第1実施形態を示す図であって、薬液投与装置全体の構成を示す斜視図である。 図1に示す本体ケースを取り外した状態を示す薬液投与装置の上面図である。 図2に示す薬液投与装置の輪列機構、調速機構、切換機構等の周辺を後方から見た斜視図である。 図3に示す輪列機構、調速機構、切換機構等を後方から見た背面図である。 図3に示す調速機構、切換機構の側面図である。 図4に示す状態から回転規制部材によって従動歯車の回転を停止させた状態を示す背面図である。 本発明に係る送り装置の第2実施形態を示す図であって、調速機構、スイッチ部材、切換機構の側面図である。 図7に示す調速機構、スイッチ部材、切換機構の上面図である。 図7に示すスイッチ部材及び押圧軸の斜視図である。 図9に示すスイッチ部材の側面図である。 図10に示すスイッチ部材の斜視図である。 本発明に係る送り装置の第3実施形態を示す図であって、調速機構及び切換機構の斜視図である。 本発明に係る送り装置の第4実施形態を示す図であって、調速機構及び切換機構の斜視図である。 本発明に係る送り装置の第5実施形態を示す図であって、調速機構及び切換機構の斜視図である。 図14に示す調速機構及び切換機構の上面図である。 本発明に係る送り装置の第6実施形態を示す図であって、送り装置を具備する薬液投与装置の上面図である。 図16に示す調速機構及び切換機構の周辺の側面図である。 本発明に係る送り装置の第7実施形態を示す図であって、調速機構及び切換機構の側面図である。 本発明に係る送り装置の第8実施形態を示す図であって、調速機構及び切換機構の側面図である。 本発明に係る送り装置の第9実施形態を示す図であって、調速機構及び切換機構の斜視図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る送り装置及び流体供給装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、流体供給装置を、薬液を使用者の体内に投与する薬液投与装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
(薬液投与装置)
図1及び図2に示すように、本実施形態の薬液投与装置(本発明に係る流体供給装置)1は、薬液W(本発明に係る流体)が充填されたシリンジ(本発明に係る流体収容器)2と、シリンジ2のプランジャ21を移動(送り移動)させる送り装置3と、シリンジ2及び送り装置3を収容する本体ケース4と、を備えている。なお、図1以外の各図面では、本体ケース4の図示を省略している。
なお、薬液Wとしては特に限定されるものではないが、例えばインスリンが挙げられる。この場合、薬液投与装置1はインスリン投与装置として機能する。
(本体ケース)
本体ケース4は、例えばケース本体及び蓋部材が組み合わされた構成とされ、ユーザの予め決められた体表面Sの装着箇所(例えば腹部周辺)に装着することが可能とされている。本実施形態では、図示を簡略化するために、本体ケース4を箱型の直方体状に形成しているが、本体ケース4の形状はこの場合に限定されるものではない。例えば、本体ケース4を平面視円形状、楕円状、多角形状等に形成しても構わない。
本体ケース4をユーザの体表面Sに装着する装着方法については、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用して構わない。例えば、粘着テープ等を利用して本体ケース4を体表面Sに貼着しても構わないし、クリップや装着ベルト等の図示しない装着部材を本体ケース4に組み合わせ、装着部材を介して本体ケース4を体表面Sに装着しても構わない。
なお、本体ケース4内には、薬液投与装置1を構成する各種の図示しない構成品が収容されている。本実施形態では、本体ケース4の厚さ方向を上下方向といい、ユーザの体表面Sから本体ケース4に向かう方向を上方、その反対方向を下方という。さらに上下方向に直交する一方向を前後方向L1といい、上下方向及び前後方向L1に直交する方向を左右方向L2という。さらに前後方向L1のうちの一方側を前方FWといい、その反対方向を後方BKという。さらに左右方向L2のうちの一方側を右側RHといい、その反対方向を左側LHという。
(注入セット)
図1に示すように、本実施形態の薬液投与装置1は、シリンジ2に接続される注入セット10を備えている。
注入セット10は、使用者の体表面Sに例えば貼着等によって取り付け可能とされた注入パッチ11と、シリンジ2と注入パッチ11との間に接続された中継チューブ12と、を備えている。
注入パッチ11は、図示しない内針と共に体内に穿刺可能とされ、内針の引き抜きによって体表面Sに留置されるプラスチック製のカニューレ型の留置針13を備えている。これにより、シリンジ2内から供給された薬液Wを、中継チューブ12及び留置針13を通じて使用者の体内に投与することが可能とされている。なお、留置針13は、本体ケース4を体表面Sに装着している間、使用者に穿刺された状態で体表面Sに留置可能とされている。
なお、注入セット10は必須なものではなく、具備しなくても構わない。例えば、本体ケース4に、押し込み操作可能な図示しない操作部材によって、体内側に向けて飛び出し可能な留置針を直接取り付けても構わない。この場合、例えば可撓性を有するチューブ等を通じて、留置針とシリンジ2とを接続すれば良い。
(シリンジ)
薬液投与装置1にセットされるシリンジ2について説明する。
図1及び図2に示すように、シリンジ2は、例えばリザーババレル等と称される薬液容器であって、内部に薬液Wが充填されるシリンジ本体(本発明に係る収容筒)20と、シリンジ本体20の内部に摺動移動可能に配置され、送り方向である前方FWに向けた移動によって薬液Wを外部に供給するプランジャ21と、を備えている。
シリンジ本体20は、前後方向L1に沿って延びる送り軸線O1を中心とした円筒状に形成されている。なお、送り軸線O1は、送り方向に対して平行に配置されている。具体的には、シリンジ本体20は、前端部側が閉塞し、且つ後端部側が開口した有頂筒状に形成されている。なお、シリンジ本体20の形状は、特に限定されるものではなく、例えば楕円状に形成しても構わない。
なお、例えば予め薬液Wが充填された図示しないバイアル(またはアンプルともいう)から薬液Wを移し替えて或いは吸い上げることで、シリンジ本体20内に薬液Wを充填することが可能とされている。
シリンジ本体20の前端部には、図示しない流体供給口が形成されている。そして図1に示す中継チューブ12が流体供給口に接続される。これにより、シリンジ本体20内の薬液Wを、流体供給口を通じて中継チューブ12内に供給することが可能とされている。
プランジャ21は、後方BKからシリンジ本体20内に挿入され、送り軸線O1に沿って摺動移動可能とされている。プランジャ21は、前後方向L1に沿って延びる第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23と、第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23の前端部に一体に形成された円柱状のガスケット部24と、を備えている。
ガスケット部24は、送り軸線O1に沿ってシリンジ本体20内を前後摺動可能とされている。ガスケット部24の外周面には、Oリング等の図示しないシール部材が固定されている。これにより、ガスケット部24とシリンジ本体20との間は、密(液密、気密)にシールされている。
第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23は、送り軸線O1を挟んで左右方向L2に向かい合うように配置されている。第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23は、前端部がガスケット部24に連結され、後端部が後述するスライダ30に一体的に連結されている。
上述のように構成されたシリンジ2は、図示しない保持台によって保持されることで、前後方向L1及び左右方向L2に位置決めされた状態で本体ケース4に取り外し可能に組み合わされている。
なお、プランジャ21を後方BKから前方FWに向けて移動させることで、シリンジ本体20内にプランジャ21を押込むことができる。従って、本実施形態では、前方FWがプランジャ21の押込み方向となる。
(送り装置)
図1及び図2に示すように、送り装置3は、後述する送りねじ32の回転を制御しながらプランジャ21を前方FWに向けて押し込み、シリンジ2内から外部に向けて薬液Wを供給する役割を果たしている。
送り装置3は、シリンジ2のプランジャ21(本発明に係る対象物)を送り方向である前方FWに向けて移動させるスライダ(本発明に係る可動体)30と、弾性復元力を利用して、前方FWに向けてスライダ30に推力を付与する渦巻きばね(本発明に係るばね部材)31と、スライダ30に付与された推力によって送り軸線O1回りに回転する送りねじ32と、送りねじ32の回転に伴って回転する輪列機構33と、輪列機構33を調速する調速機構34と、輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換える切換機構35と、を備えている。
(スライダ)
スライダ30は、送り軸線O1に沿って前後方向L1に移動可能に配置されると共に、プランジャ21を押圧して、該プランジャ21を押込み方向である前方FWに向けて移動させる役割を果たしている。
スライダ30は、前後方向L1に所定の厚みを有すると共に、前後方向L1から見て外形が四角形状となるように形成されている。ただし、スライダ30の形状は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。スライダ30は、プランジャ21よりも後方BK側に配置されている。
なお、スライダ30には、第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23の後端部が一体的に組み合わされている。
スライダ30の下面には、下方に向けて突出すると共に、本体ケース4の底壁に形成された図示しない案内レールに沿って前後方向L1に案内される図示しない案内片が形成されている。これにより、スライダ30は、送り軸線O1に沿ってがたつき少なく直線的に移動可能とされている。
スライダ30の中央部には、該スライダ30を前後方向L1に貫通すると共に、後述するナット部材50が組み込まれるナット用開口部30aが形成されている。
(渦巻きばね)
渦巻きばね31は、スライダ30を前方FWに向けて押圧する役割を果たしている。本実施形態では、2つの渦巻きばね31を有している。このうち一方の渦巻きばね31を第1渦巻きばね41といい、他方の渦巻きばね31を第2渦巻きばね42という。
第1渦巻きばね41は、本体ケース4の底壁上に配置された円筒状の第1ボビン43を主に利用して本体ケース4内に配置されている。同様に第2渦巻きばね42は、本体ケース4の底壁上に配置された円筒状の第2ボビン44を主に利用して本体ケース4内に配置されている。
第1ボビン43の内側には、本体ケース4に取り付けられた円柱状の第1軸部45が差し込まれている。これにより、第1ボビン43は、本体ケース4内で位置決めされた状態で、第1軸部45の中心軸線を中心として回転可能とされている。
同様に第2ボビン44の内側には、本体ケース4に取り付けられた円柱状の第2軸部46が差し込まれている。これにより、第2ボビン44は、本体ケース4内で位置決めされた状態で、第2軸部46の中心軸線を中心として回転可能とされている。
第1渦巻きばね41は、厚みが薄く、且つ所定の幅を有する長尺な帯状の弾性体47を渦巻き状に巻回することで構成されている。なお、弾性体47の材質としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレス等の金属製としても構わないし、合成樹脂製であっても構わない。
第1渦巻きばね41は、弾性体47が渦巻き状に巻回され、第1ボビン43に外装された巻回部48と、スライダ30に連結されると共に、弾性体47のうち巻回部48から引き伸ばされた部分である引出部49と、を備えている。
巻回部48は、第1ボビン43を囲むように外装され、第1ボビン43に対して相対移動可能とされている。これにより、巻回部48は、例えば第1軸部45の中心軸線回りに回転しながら引出部49を効率良く巻き取ることが可能とされている。
巻回部48は、第1ボビン43を囲むように外装されることで本体ケース4によって保持されている。特に巻回部48は、シリンジ本体20よりも押込み方向側(前方FW側)に配置されている。
引出部49は、巻回部48から送り軸線O1と平行に後方BKに向かって引き伸ばされていると共に、シリンジ2の右側RHに隣接するように配置されている。引出部49の端部は、スライダ30に連結されている。
このように構成された第1渦巻きばね41は、引出部49が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、スライダ30を前方FWに押圧するように、スライダ30に推力を付与している。これにより、スライダ30を前方FWに向けて移動させることができ、第1渦巻きばね41の弾性復元力に起因する推力によって、プランジャ21を押込み方向(前方FW)に向けて移動させることができる。そのため、プランジャ21をシリンジ本体20内に押し込むことが可能とされている。
なお、第1渦巻きばね41は、いわゆる定荷重ばねとされ、例えばコイルばね等に比べて、伸びた状態から巻回によって元の状態に復元する間の弾性復元力がほぼ一定となる特性を有している。従って、予め決められた一定の推力でプランジャ21を押圧可能とされている。
第2渦巻きばね42は、上述した第1渦巻きばね41と同様に構成されている。従って、第2渦巻きばね42に関し、第1渦巻きばね41と同一の構成部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
つまり、第2渦巻きばね42は、巻回部48及び引出部49を備えている。巻回部48は、第2ボビン44を囲むように外装されることで、本体ケース4によって保持されている。これにより、第2渦巻きばね42の巻回部48についても、シリンジ本体20よりも押込み方向側(前方FW側)に配置されている。さらに引出部49は、巻回部48から送り軸線O1と平行に後方BKに向かって引き伸ばされていると共に、シリンジ2の左側LHに隣接するように配置されている。そして引出部49の端部は、スライダ30に連結されている。
上述のように配置された第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42は、図2に示すように、上方から見た平面視で、送り軸線O1を対称軸として線対称に配置されている。これにより、第1渦巻きばね41の引出部49及び第2渦巻きばね42の引出部49は、送り軸線O1を対称軸として線対称に配置されると共に、シリンジ2を挟んで左右方向L2に配置された状態でスライダ30にそれぞれ連結されている。さらに、第1渦巻きばね41の引出部49及び第2渦巻きばね42の引出部49は、送り軸線O1に平行に配置され、シリンジ2の左右両側に配置されている。
(送りねじ)
送りねじ32は、前後方向L1に沿って延びる螺軸(リードスクリュー)であって、送り軸線O1と同軸に配置されている。具体的には、送りねじ32は、第1プランジャ軸22と第2プランジャ軸23との間に位置した状態で、シリンジ本体20よりも後方BKに配置されている。送りねじ32は、スライダ30に形成されたナット用開口部30a内を通じて、スライダ30よりもさらに後方BKに突出している。送りねじ32の外周面には、送りねじ32の全長に亘って雄ねじ部が形成されている。
本実施形態の送りねじ32は、ナット部材50を介してスライダ30に一体的に組み合わされている。ナット部材50は、送りねじ32に螺着された状態で、スライダ30に形成されたナット用開口部30aの内側に組み込まれている。ナット部材50の内周面には、送りねじ32の雄ねじ部に螺合する図示しない雌ねじ部が形成されている。ナット部材50は、回り止めがされた状態でナット用開口部30aの内側に組み込まれている。これにより、ナット部材50は、送り軸線O1回りの回転が規制された状態で送りねじ32に螺着されている。
本実施形態の送りねじ32とナット部材50とは、噛み合い抵抗(摩擦抵抗)が低い状態で互いに噛み合っている。そのため、送りねじ32とナット部材50との噛み合い部分は、いわゆるすべりねじとして機能している。
従って、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による推力によってスライダ30が前方FWに向けて押圧されることに伴って、送りねじ32を送り軸線O1回りに回転させることが可能とされている。従って、スライダ30の直線運動を送りねじ32の回転運動に変換することができる。そのため、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による推力は、スライダ30を前方FWに向けて移動させることに加えて、送りねじ32を送り軸線O1回りに回転させることに寄与する。
なお、送りねじ32における雄ねじ部を、該雄ねじ部のねじ山のピッチよりも、リードが大きくなるように形成することが好ましい。この場合のリード角としては、例えば20°以上が挙げられる。
この場合には、雄ねじ部のねじ山のピッチよりもリード(送りねじ32が1回転したときの前後方向L1に進む距離)を大きくすることができる。そのため、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による推力を利用して、送りねじ32を効率良く回転させることができる。
なお、このような雄ねじ部としては、例えば、二条ねじ、三条ねじ等の多条ねじにすることが挙げられる。ただし、ねじ山のピッチよりもリードが大きくなるように形成されていれば良く、多条ねじに限定されるものではない。
なお、ナット部材50は必須なものではなく、具備しなくても構わない。例えば、スライダ30に送りねじ32が挿通される挿通孔を形成し、挿通孔の内周面に送りねじ32の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成しても構わない。この場合であっても、送りねじ32の雄ねじ部と挿通孔の雌ねじ部との噛み合い部分をすべりねじとして機能させることで、スライダ30の直線運動を送りねじ32の回転運動に変換することができる。
なお、本実施形態では、送りねじ32の雄ねじ部は右ねじとされている。これにより、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による推力によってスライダ30が前方FWに向けて押圧されることに伴って、ナット部材50を送りねじ32に対して緩み方向に回転させ、且つ送りねじ32を後方BKから見て反時計方向に回転させることが可能とされている。
(輪列機構)
図1~図4に示すように、輪列機構33は、互いに噛み合い可能に配置された第1中間歯車51、第2中間歯車52、及び第3中間歯車53を具備している。
ただし、輪列機構33を構成する歯車の数は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
第1中間歯車51は、送りねじ32のうちスライダ30よりも後方BKに位置する部分に連結されている。これにより、第1中間歯車51は、送りねじ32の回転に伴って送り軸線O1回りに回転する。なお、本実施形態では、第1中間歯車51は、スライダ30が前方FWに向けて移動することに伴って、送りねじ32と同様に、後方BKから見て図3に示す矢印の如く反時計方向に回転する。
第2中間歯車52は、第1中間歯車51に噛み合った状態で、第1中間歯車51よりも右側RHに配置されている。これにより、第2中間歯車52は、第1中間歯車51の回転に伴って回転する。なお、第2中間歯車52は、送り軸線O1に対して平行に延びる軸線を中心として回転すると共に本体ケース4内に軸支されている。
第3中間歯車53は、第2中間歯車52に噛み合った状態で、第2中間歯車52よりも右側RHに配置されている。これにより、第3中間歯車53は、第2中間歯車52の回転に伴って回転する。なお、第3中間歯車53は、送り軸線O1に対して平行に延びる軸線を中心として回転すると共に本体ケース4内に軸支されている。
(調速機構)
図1~図4に示すように、調速機構34は、輪列機構33に噛み合うと共に、輪列機構33の回転速度に応じて抵抗を発生させる羽根車60を備えている。
本実施形態の羽根車60は、輪列機構33を構成する第3中間歯車53に噛み合うウォーム軸61に設けられている。ウォーム軸61は、上下方向に延びるように形成され、第3中間歯車53より右側RHに位置するように配置されている。ウォーム軸61は、本体ケース4内に回転軸線O2回りに回転可能に支持されている。ウォーム軸61の外周面には、第3中間歯車53が噛み合う螺旋状のウォーム溝が形成されている。
このように構成されたウォーム軸61は、第1中間歯車51、第2中間歯車52及び第3中間歯車53を介して伝達された送りねじ32の回転力によって回転する。
羽根車60は、ウォーム軸61の上端部に一体に組み合わされ、ウォーム軸61と共に回転する。なお、回転軸線O2方向から見て、回転軸線O2に対して交差する方向を径方向といい、回転軸線O2回りを周回する方向を周方向という。
羽根車60は、ウォーム軸61に固定された円柱状の軸体62と、回転速度に応じた回転抵抗(空気抵抗)を発生させると共に、回転に伴う遠心力によって上方に向けて変位する複数の羽根部63と、複数の羽根部63と軸体62との間にそれぞれ配置され、複数の羽根部63を弾性変位可能に支持する弾性支持部64と、を備えている。
羽根車60の材質は、特に限定されるものではないが、例えば合成ゴム製とされている。ただし、羽根車60の全体が合成ゴムで形成されている必要はなく、少なくとも弾性支持部64が合成ゴムで形成されることで弾性変位可能とされていれば構わない。
本実施形態では、羽根車60は、周方向に等間隔に配置された2つの羽根部63を具備している。ただし、羽根部63の数は、この場合に限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、3つ以上の複数であっても構わない。2つの羽根部63は、ウォーム軸61の回転に伴って空気抵抗を受けながら回転する。これにより、羽根車60は、ウォーム軸61の回転速度に応じた回転抵抗を付与することが可能とされている。
さらに2つの羽根部63は、回転に伴う遠心力によって径方向の外側に引っ張られながら、上方に向けて浮き上がるような応力を受けるように設計されている。これにより、2つの羽根部63は、弾性支持部64を弾性変位(弾性変形)させながら、上方に向けて変位可能とされている。
このように構成された羽根車60は、回転速度に応じた抵抗(回転抵抗)を発生させることで、輪列機構33の全体を調速する。なお、輪列機構33は、送りねじ32の回転を増速する噛み合いでウォーム軸61に繋がっている。
(切換機構)
図1~図3及び図5に示すように、切換機構35は、ストッパ部材70と、該ストッパ部材70を移動させるアクチュエータ80と、を備え、羽根車60を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換える。従って、切換機構35は、送り装置3のスタート・ストップ機能を付加する機構である。
なお、切換機構35としては、輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができれば良く、羽根車60を介して行う必要はない。
ストッパ部材70は、羽根車60よりも前方FWに配置されている。ストッパ部材70は、例えば上下方向に沿って延びるプレート状に形成され、左右方向L2に延びる揺動軸線O3を中心として、前後方向L1(径方向)に揺動可能とされている。なお、揺動軸線O3は、ストッパ部材70の下端部を左右方向L2に貫くように配置されている。
ストッパ部材70は、揺動軸線O3を中心として、羽根車60に対して接近して羽根車60の回転を停止させる回転停止位置P1と、羽根車60から離間して羽根車60の回転を許容する回転許容位置P2と、の間を移動可能とされている。
ストッパ部材70の上端部には、羽根車60に向けて突出する停止突起71が形成されている。停止突起71は、ストッパ部材70が回転停止位置P1に位置したときに、羽根車60の回転軌跡内に径方向の外側から進入する。これにより、回転する羽根車60に対して停止突起71を接触させることができ、羽根車60の回転を停止させることが可能とされている。これにより、輪列機構33の全体の回転を停止させることができる。
なお、ストッパ部材70は、図示しないコイルばね等の付勢部材によって、回転許容位置P2に向けて付勢されている。これにより、ストッパ部材70は、外力を受けない限り、回転許容位置P2に位置決めされている。
アクチュエータ80は、ストッパ部材70を回転停止位置P1と回転許容位置P2との間で移動させる制御を行う。アクチュエータ80は、出没可能な可動軸91を具備するソレノイド90と、ソレノイド90への通電を制御する制御部100(図3及び図5参照)と、を備えている。
ソレノイド90は、ストッパ部材70よりもさらに前方FWに配置されている。なお、ソレノイド90は、図示しない支持部によって本体ケース4内に取り付けられている。さらにソレノイド90は、可動軸91を後方BKに向けて配置されている。
ソレノイド90は、内部に固定鉄心やコイル等を有し、通電及び非通電によって、可動軸91を前後方向L1に直線的に往復移動させることが可能とされている。具体的には、ソレノイド90は、通電による電圧印加によって磁界を生じさせ、可動鉄心として機能する可動軸91を固定鉄心側に吸引する。これにより、可動軸91を内部に引き込むように前方FWに向けて移動させることができる。その反対に、ソレノイド90が非通電とされた場合には、吸引力を解消することができる。これにより、コイルばねによる付勢によって可動軸91を後方BKに向けて伸ばすように移動させることができる。
このように、通電及び非通電の切換えによって、可動軸91を前後方向L1に直線的に往復移動させることが可能とされている。
可動軸91は、ソレノイド90の通電によって内部に引き込まれているときに、回転許容位置P2に位置するストッパ部材70に対して前方FWから接触している(図3参照)。そして可動軸91は、ソレノイド90の非通電時によって後方BKに向けて伸長したときに、ストッパ部材70を後方BKから押圧して、回転停止位置P1に移動させる(図5参照)。
これにより、ソレノイド90の通電、非通電によって、ストッパ部材70を回転停止位置P1と回転許容位置P2との間で移動させることが可能となる。
制御部100は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、ソレノイド90に対して制御電流を供給する。これにより、ソレノイド90は、通電、非通電が制御されている。なお、制御部100及び総合制御部は、本体ケース4に取り付けられた図示しない制御基板に実装されている。総合制御部は、例えば薬液投与装置1全体を総合的に制御するCPU等で構成されている。
さらに制御基板には、フラッシュメモリ等の各種記憶部等を含む、複数の電子部品が実装されていると共に、各種の構成品に電力を供給する電源部等が実装されている。なお電源部は、例えばボタン電池、乾電池等の交換可能な一次電池、或いは充放電可能な二次電池等、適宜採用して構わない。
(回転規制部材)
上述のように構成された送り装置3は、図1~図4に示すように、送りねじ32が過度の回転速度で回転することを防止する回転規制部材110をさらに備えている。
送りねじ32の後端部には、送りねじ32の回転に伴って回転する従動歯車120が連結されている。これにより、従動歯車120は、送りねじ32の回転に伴って、第1中間歯車51と共に送り軸線O1回りに回転する。従って、従動歯車120は、スライダ30が前方FWに向けて移動することに伴って図3に示す矢印の如く反時計方向に回転する。
従動歯車120は、第1中間歯車51よりも後方BKに配置されていると共に、全周に亘って間隔をあけて配置された複数の従動歯121を有している。
回転規制部材110は、従動歯車120よりも左側LHに配置されると共に、第1中間歯車51よりも後方BKに配置されている。回転規制部材110は、第1レバー111及び第2レバー112を有し、ストッパ軸線O4回りに回転可能に配置されている。ストッパ軸線O4は、送り軸線O1と平行な前後方向L1に沿って延びている。
ただし、回転規制部材110の位置は、従動歯車120よりも左側LHに配置される場合に限定されるものではなく、後述する動作を行うことができれば、従動歯車120に対して例えば上方、下方や右側RH等に配置しても良く、適宜変更して構わない。
回転規制部材110は、第1レバー111が従動歯121に対して接触し、且つ第2レバー112が従動歯121に対して非接触状態となるように、ストッパ軸線O4回りに付勢されている。
詳細に説明する。
回転規制部材110には、後方BKに向けて突出した第1係合ピン113が形成されている。さらに本体ケース4内には、図示しない支持部等によって第2係合ピン114が保持されている。第2係合ピン114は、第1係合ピン113よりも左側LHに位置していると共に上方に配置している。そして、第1係合ピン113と第2係合ピン114との間には、コイルばね115が取り付けられている。コイルばね115は、自然長よりも伸びた状態で取り付けられており、弾性復元力によって第1係合ピン113を第2係合ピン114側に向けて付勢している。これにより、回転規制部材110の全体は、コイルばね115による弾性復元力によって、図3に示す矢印の如く、反時計方向に回転するように付勢されている。
第1レバー111は、回転規制部材110の反時計方向への付勢によって、従動歯121に対して下方から接触している。そして第2レバー112は、第1レバー111が接触している従動歯121よりも左側LHに配置され、従動歯121に対して非接触とされている。さらに本体ケース4内には、図示しない支持部等によってストッパピン116が保持されている。ストッパピン116は、ストッパ軸線O4を中心として第1レバー111よりも時計方向に離間して配置されている。
従動歯車120は、送りねじ32の回転に伴って予め決められた所定の回転速度で回転している場合には、従動歯121が第1レバー111を下方に押下げるように回転する。これにより、回転規制部材110は、従動歯車120の回転によって時計方向に一旦回転した後、コイルばね115による付勢によって反時計方向に回転して、第1レバー111が次の従動歯121に対して下方から接触することを繰り返す。従って、従動歯車120は、回転規制部材110による回転規制を受けることなく、反時計方向に回転し続ける。
これに対して従動歯車120が所定の回転速度を超えた速度で回転した場合には、従動歯121が第1レバー111を下方に向けて強く押し込む。そのため、図6に示すように、回転規制部材110は、第1レバー111がストッパピン116に接触するまで、図6に示す矢印の如く時計方向に勢い良く回転する。従って、第1レバー111は、従動歯121に対して非接触状態となる。これと同時に、第2レバー112が従動歯車120に接近するように移動して、従動歯121の回転軌跡内に進入する。これにより、第2レバー112を従動歯121に対して下方から接触させることができる。
特に、回転規制部材110は、ストッパピン116に対して第1レバー111が接触しているため、時計方向への回転が規制されている。そのため、従動歯121に対して第2レバー112を係止させることができる。これにより、従動歯車120の回転を規制することが可能とされている。
(薬液投与装置の作用)
次に、上述のように構成された薬液投与装置1を使用して、使用者の体内に薬液Wを投与する場合について説明する。
なお、この場合の初期状態として、図1に示すように薬液投与装置1が使用者の体表面Sに装着され、留置針13が体内に穿刺された状態で体表面Sに留置されているものとする。さらに、薬液Wが充填されたシリンジ2が本体ケース4内にセットされているものとする。さらに、スライダ30がプランジャ21よりも後方BK側に位置して、プランジャ21が押し込み開始位置にセットされているものとする。
上述の初期状態のもと、薬液投与装置1によれば、渦巻きばね31による弾性復元力を利用してスライダ30に推力を付与できるので、スライダ30を送り方向である前方FWに向けて押圧することができる。
具体的には、図1及び図2に示す第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42が、引き伸ばされた引出部49を巻回部48に巻回するように弾性復元変形する。これにより、第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42による弾性復元力を利用して、図1に示す矢印Fの如く引出部49を前方FWに向けて引っ張ることができる。そのため、引出部49に連結されたスライダ30を送り軸線O1に沿って前方FWに向けて押圧することができる。
その結果、スライダ30を介してプランジャ21を押込み方向に向けて、一定の推力で押圧することができる。
この際、スライダ30には、ナット部材50を介して送りねじ32が組み合わされているので、送りねじ32を利用してスライダ30の移動速度を制御することができる。
具体的には、渦巻きばね31による推力によってスライダ30が前方FWに向けて移動しはじめると、それに伴って送りねじ32が送り軸線O1回りに回転する。そのため、送りねじ32の回転に伴って、輪列機構33(第1中間歯車51、第2中間歯車52、第3中間歯車53)を回転させることができると共に、ウォーム軸61及び羽根車60を回転させることができる。
そのため、羽根車60を利用して、輪列機構33の回転速度に応じた空気抵抗等の回転抵抗を発生させることができる。従って、羽根車60によって発生した回転抵抗を利用して、例えばウォーム軸61を所定の回転速度(例えば2000~3000rpm等)で回転させることができる。
このように、羽根車60を有する調速機構34によって、輪列機構33を調速できるので、輪列機構33及び送りねじ32を所定の回転速度で回転させることができる。例えば、送りねじ32を1rpm程度のゆっくりとした回転速度で回転させることができる。これにより、渦巻きばね31の弾性復元力の変化等に影響され難く、スライダ30を一定速度で前方FWに向けて移動(送り移動)させることができる。
従って、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による弾性復元力によって一定の推力で押圧されたプランジャ21を、速度制御しながら押込み方向である前方FWに向けて移動させることができる。その結果、シリンジ本体20内に充填された薬液Wをプランジャ21で押し出すことができ、留置針13に向けて供給することができる。これにより、供給された薬液Wを、留置針13を通じて使用者に投与することができる。この際、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができるので、薬液Wを精度良く供給することができる。
さらに切換機構35によって輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができるので、輪列機構33及び送りねじ32を介してスライダ30の移動停止と移動開始とを制御することができる。そのため、スライダ30及びプランジャ21の移動のタイミングや、移動時間等を任意に調整することもできる。従って、薬液Wの連続的投与だけでなく、決まった単位量の間欠的投与等を行うことができる。
切換機構35による切換え動作について説明する。
薬液投与装置1の作動時、図3に示すように、制御部100がソレノイド90に対して制御電流を供給して通電させることで、可動軸91を内部に引き込んでおく。これにより、ストッパ部材70を回転許容位置P2に位置決めさせることができるので、羽根車60を回転させ続けることができる。これにより、輪列機構33を回転させることができ、薬液投与を行える。
輪列機構33の回転を停止する場合には、制御部100によってソレノイド90への通電を停止する。これにより、図5に示すように、コイルばねによる付勢によって可動軸91を伸長させることができ、ストッパ部材70を押圧して回転停止位置P1に移動させることができる。これにより、停止突起71を羽根車60の回転軌跡内に進入させて、羽根車60の回転を停止させることができる。
このように、ソレノイド90を含むアクチュエータ80を利用して、ストッパ部材70を回転停止位置P1と回転許容位置P2との間を移動させるだけの簡便な操作で、輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。さらに、ソレノイド90を、スライダ30に推力を付与するために利用するのではなく、切換機構35の一部として利用しているため、例えば動力の小さいソレノイドを利用することができる。従って、省電力化及び低コスト化に繋げることができる。
さらに本実施形態の薬液投与装置1では、図1及び図2に示すように、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による弾性復元力を主な推力としてスライダ30を移動させている。そのため、簡便な構成でスライダ30に推力を付与できるので、低コスト化及び構成の簡略化を図り易い。さらには、電池等の電力が不要であるので、この点においても低コスト化を図り易いうえ、安全性を向上できる。
さらに、第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42が、引き伸ばされた引出部49を巻回部48に巻回するように弾性復元変形するので、第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42による弾性復元力を利用して引出部49を巻回部48側に引っ張ることができ、引出部49に連結されたスライダ30を前方FWに向けて押圧することができる。特に、定荷重ばねとして機能する渦巻きばね31を利用するので、予め決められた一定の推力でスライダ30を押圧することができると共に、調速機構34による調速を精度良く行うことができる。
さらに、第1渦巻きばね41の巻回部48、及び第2渦巻きばね42の巻回部48は、第1ボビン43及び第2ボビン44を介して本体ケース4に保持されている。これにより、巻回部48の位置を変化させることなく、弾性復元変形によって引出部49を引っ張って巻回することができる。従って、巻回部48を移動させることなく、スライダ30を移動させることができるので、巻回部48の移動スペースが不要となり、その分、省スペース化を図ることができる。特に、巻回部48は、引出部49を巻回するにつれてサイズが大きくなるため、有効に省スペース化を図ることができる。そのため、薬液投与装置1全体の小型化、薄型化に繋げることができる。
さらには、第1渦巻きばね41の引出部49、及び第2渦巻きばね42の引出部49は、送り軸線O1を対称軸として線対称に配置されると共に、シリンジ2の両側に配置された状態でスライダ30に連結されている。そのため、スライダ30にモーメント荷重が発生することを抑制しながら前方FWに向けて移動させることができる。従って、プランジャ21を送り軸線O1に沿って連続的に真っすぐに移動させることができると共に、スティックスリップ現象(いわゆるびびり現象)を生じさせ難い。
従って、プランジャ21を抵抗少なくスムーズに移動させることができる。その結果、プランジャ21をより安定した移動速度で移動させることができ、薬液Wを安定且つ精度良く供給することができる。
さらに本実施形態では、第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42の引出部49による引っ張り力を、スライダ30の左右両側に均等に作用させることができる。従って、スライダ30にモーメント荷重が発生することを適切に抑制しながら押込み方向に移動させることができ、プランジャ21をより安定に移動させることができる。
さらに2つの渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)を利用するので、それぞれの渦巻きばね31が有する弾性復元力を抑えたとしても、プランジャ21を押圧するため適切な推力を得ることができる。従って、例えば第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42を小型化、薄型化等した場合であっても、プランジャ21を安定して移動させることができる。そのため、プランジャ21の安定した移動を実現しつつ、薬液投与装置1全体のさらなる小型化、薄型化に繋げることができる。
以上説明したように、本実施形態の送り装置3によれば、送りねじ32の速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ることができる。
さらに薬液投与装置1によれば、送りねじ32を具備する送り装置3を備えているので、薬液Wを安定且つ精度良く供給することができると共に、プランジャ21の移動制御を行うことができるので、薬液Wを所望の供給態様で供給することができる。
これらのことから、使用者に対する安定的な薬液Wの投与を行うことができると共に、携帯し易い信頼性の高いインスリン投与装置等として好適に使用することができる。さらに使用者に合わせた最適な投与量、投与速度で薬液Wを投与することもでき、使い易く、利便性に優れたインスリン投与装置等として好適に使用することができる。
さらに本実施形態の薬液投与装置1において、例えば輪列機構33の輪列噛み合い等が外れた場合には、送りねじ32が過度の速度で回転するおそれがある。この場合であっても、従動歯車120及び回転規制部材110を備えているので、送りねじ32と共に従動歯車120が所定の回転速度を超えた速度で回転したときに、図6に示すように、従動歯121に対して第2レバー112を係止させることができる。これにより、従動歯車120の回転を機械的に規制することができる。従って、送りねじ32及び従動歯車120の回転を強制的に停止させることができる。従って、スライダ30が前方FWに向けて例えば勢い良く移動してしまうことを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図7及び図8に示すように、本実施形態の送り装置3は、ソレノイド90と羽根車60との間に、可動軸91の出没を機械的に制御するスイッチ部材130を備えている。
さらに本実施形態のソレノイド90の可動軸91には、該可動軸91からストッパ部材70に向けて延びる押圧軸140が連結されている。押圧軸140は、前後方向L1に沿って延びるように形成され、前端部が可動軸91に連結されている。押圧軸140の後端部は、ストッパ部材70に対して前方FWから向かい合うように配置されている。押圧軸140は、後述する可動突起141の位置に応じて、後端部がストッパ部材70を押圧して回転停止位置P1に位置させる状態と、後端部がストッパ部材70から離間した状態とに切り換わる。
なお、図7及び図8では、押圧軸140がストッパ部材70を押圧して、回転停止位置P1に位置させている状態を図示している。
図7~図9に示すように、押圧軸140には、該押圧軸140の右側RHに向けて突出するように可動突起141が一体的に取り付けられている。図示の例では、可動突起141は押圧軸140に一体的に形成され、球状に膨らむように形成されている。ただし、可動突起141は、押圧軸140とは別体に形成したうえで、押圧軸140に一体的に組み合わせても構わない。
なお、可動突起141は、押圧軸140の右側RHに突出している必要はなく、例えば左側LH、上方、下方に向けて突出するように形成しても構わない。
スイッチ部材130は、押圧軸140に対して隣接するように押圧軸140の右側RHに配置され、図示しない支持部等によって本体ケース4内に保持されている。なお、スイッチ部材130の位置は、押圧軸140に形成された可動突起141の位置に対応している。従って、可動突起141の位置に対応して、スイッチ部材130を例えば押圧軸140の左側LH、上方、下方等に配置されても構わない。
スイッチ部材130は、左右方向L2に厚みが薄く、且つ上下方向よりも前後方向L1に長い直方体状に形成されている。スイッチ部材130のうち押圧軸140に面した側面には、可動突起141を相対移動可能に収納する収納通路131が形成されている。
図9~図11に示すように、収納通路131は、複数の傾斜通路及び複数の直線通路が繋がったループ状に形成されている。そして可動突起141は、押圧軸140の移動に伴って収納通路131内を一周するように移動する。
なお、押圧軸140は、後端部が自由端とされた片持ち状とされ、例えば前端部側を基点として上下方向に変位するように一定の柔軟性を有している。そのため、押圧軸140の柔軟性を利用して、収納通路131内に沿って可動突起141を移動させることが可能とされている。
収納通路131内には、可動突起141を位置決めする第1ストッパ位置132及び第2ストッパ位置133が設けられている。第1ストッパ位置132は、収納通路131のうち最も後方BK側に位置し、且つ後方BKに向けて窪んだ部分とされている。第2ストッパ位置133は、収納通路131のうち第1ストッパ位置132よりも前方FWに位置し、且つ後方BKに向けて窪んだ部分とされている。
図7~図9では、第1ストッパ位置132に可動突起141が位置している状態を示している。
可動突起141は、可動軸91が往復移動するたびに、収納通路131内を移動しながら第1ストッパ位置132と第2ストッパ位置133とに交互に位置決めされる。そして押圧軸140は、可動突起141が第1ストッパ位置132に位置しているときに、ストッパ部材70を押圧して回転停止位置P1に位置させ、可動突起141が第2ストッパ位置133に位置しているときにストッパ部材70から離間する。このとき、ストッパ部材70は、図示しないコイルばね115による付勢によって、回転許容位置P2に位置決めされる。
なお。ストッパ部材70には、図9~図11に示すように、収納通路131内から可動突起141が抜け出ることを防止するフランジ部134が収納通路131に沿って形成されている。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加えて本実施形態の場合には、ソレノイド90の可動軸91を往復移動させるたびに、可動突起141を収納通路131内に沿って移動させながら、第1ストッパ位置132及び第2ストッパ位置133に交互に位置決めすることができる。そして、図7及び図8に示すように、可動突起141を第1ストッパ位置132に位置決めすることで、押圧軸140を利用してストッパ部材70を押圧することができ、回転停止位置P1に位置させることができる。これにより、羽根車60の回転を停止させることができ、輪列機構33及び送りねじ32の回転を停止させて、薬液投与を停止することができる。
これに対して、可動突起141を第2ストッパ位置133に位置決めすることで、押圧軸140をストッパ部材70から離間させることができる。これにより、ストッパ部材70を、コイルばね115による付勢によって、回転停止位置P1から回転許容位置P2に位置させることができる。従って、羽根車60の回転を開始させることができ、輪列機構33及び送りねじ32の回転を開始させて、薬液投与を再開することができる。
特に、可動突起141を第1ストッパ位置132及び第2ストッパ位置133に交互に位置決めすることができるので、例えばソレノイド90を非通電(無通電)にした場合であっても、ストッパ部材70を回転停止位置P1又は回転許容位置P2に位置決めすることができる。従って、省電力で輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ150が第1電磁石151及び第2電磁石152と、第1電磁石151及び第2電磁石152への通電を制御する制御部160と、を備えている。
本実施形態のストッパ部材70は、羽根車60よりも前方FWに配置されていると共に、左右方向L2に長いプレート状に形成されている。そしてストッパ部材70は、上下方向に延びる揺動軸線O5を中心として、図12に示す矢印に示す如く左右方向L2に往復回転可能とされている。ストッパ部材70のうち左右方向L2の両側に位置する端部には、羽根車60に向かって突出した停止突起71がそれぞれ形成されている。
さらにストッパ部材70のうち左右方向L2の両側に位置する端部には、永久磁石等の磁性体153がそれぞれ取り付けられている。磁性体153は、前方FWに向けて取り付けられている。
第1電磁石151及び第2電磁石152は、ストッパ部材70に取り付けられた磁性体153の前方FWに位置するように配置されている。さらに第1電磁石151及び第2電磁石152は、間隔をあけて左右方向L2に並ぶように配置されている。図示の例では、第1電磁石151が揺動軸線O5よりも左側LHに配置され、第2電磁石152が揺動軸線O5よりも右側RHに配置されている。
第1電磁石151は、磁性材料で形成された鉄心等の第1磁性軸151aと、第1磁性軸151aに巻回された図示しないコイルを内部に収容する第1ケース151bと、を備えている。第1電磁石151は、第1磁性軸151aの端面を磁性体153に対して前方FWから接触させた状態で、磁性体153の前方FWに配置されている。
第2電磁石152は、磁性材料で形成された鉄心等の第2磁性軸152aと、第2磁性軸152aに巻回された図示しないコイルを内部に収容する第2ケース152bと、を備えている。第2電磁石152は、第2磁性軸152aの端面を磁性体153に対して間隔をあけて対向するように、磁性体153の前方FWに配置されている。
制御部160は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、第1電磁石151及び第2電磁石152のコイルに通電を行っている。これにより、制御部160は、第1磁性軸151a及び第2磁性軸152aが磁力を発生するように、第1電磁石151及び第2電磁石152への通電の制御を行っている。
ストッパ部材70は、第1電磁石151による磁力によって磁性体153が吸着されたときに、図12に示すように停止突起71が羽根車60の回転軌跡の外側に位置した状態で位置決めされる。従って、ストッパ部材70は、回転許容位置P2に位置決めされる。
これに対してストッパ部材70は、第2電磁石152による磁力によって磁性体153が吸着されたときに、回転許容位置P2から揺動軸線O5回りを回転する。これにより、停止突起71が羽根車60の回転軌跡内に進入して、羽根車60に接触する。従って、ストッパ部材70は、回転停止位置に位置決めされ、羽根車60の回転を停止させる。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部160によって第1電磁石151及び第2電磁石152のコイルに交互に通電を行うことで、第1磁性軸151a及び第2磁性軸152aに交互に磁力を発生させる。これにより、第1磁性軸151a及び第2磁性軸152aに対してストッパ部材70の磁性体153を交互に吸着させることができるので、ストッパ部材70を回転停止位置と回転許容位置P2との間で移動させることができる。従って、羽根車60を介して、輪列機構33の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り替えることができる。
特に、第1電磁石151及び第2電磁石152への通電の制御を行うだけの簡便な方法によって、羽根車60を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることや、間欠的な投与等を容易に行い易い。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ170が第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172と、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172の通電を制御する制御部180と、を備えている。
本実施形態のストッパ部材70には、第3実施形態における磁性体153が取り付けられていない。
第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172は、温度に応じて長さが変化する形状記憶合金ワイヤ(Shape Memory Alloys)であって、例えばニッケル-チタン合金製とされている。ただし、形状記憶合金ワイヤの材質としては、ニッケル-チタン合金に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172は、間隔をあけて左右方向L2に並ぶように配置されている。図示の例では、第1形状記憶合金ワイヤ171が揺動軸線O5よりも左側LHに配置され、第2形状記憶合金ワイヤ172が揺動軸線O5よりも右側RHに配置されている。
第1形状記憶合金ワイヤ171は、一端部がストッパ部材70に連結され、他端部が第1通電部173に連結されている。第1通電部173は、図示しない支持部によって本体ケース4内に固定されている。図示の例では、第1形状記憶合金ワイヤ171は、中間部分が本体ケース4内に固定されたサポート軸175に支持されている。
第2形状記憶合金ワイヤ172は、一端部がストッパ部材70に連結され、他端部が第2通電部174に連結されている。第2通電部174は、図示しない支持部によって本体ケース4内に固定されている。図示の例では、第2形状記憶合金ワイヤ172は、中間部分が本体ケース4内に固定されたサポート軸175に支持されている。
なお、本実施形態のストッパ部材70は、例えば第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172の熱伝導率よりも熱伝導率が低い材料で形成され、第1形状記憶合金ワイヤ171の熱を、第2形状記憶合金ワイヤ172側に伝え難く、且つ第2形状記憶合金ワイヤ172の熱を、第1形状記憶合金ワイヤ171側に伝え難い構成とされている。
制御部180は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、第1通電部173及び第2通電部174を制御している。これにより、制御部180は、第1通電部173及び第2通電部174を介して、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172に通電を行っている。
第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172は、通電によって加熱されることで長さが瞬間的に収縮すると共に、放熱に伴って長さが伸長する特性を有する。なお、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172は、通電が終了したときの放熱によって、速やかに伸長して元の長さに復帰する。
ストッパ部材70は、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172への通電が行われていない場合には、図13に示すように停止突起71が羽根車60の回転軌跡の外側に位置した状態で位置決めされる。従って、ストッパ部材70は、回転許容位置P2に位置決めされる。
これに対してストッパ部材70は、第1形状記憶合金ワイヤ171又は第2形状記憶合金ワイヤ172への通電が行われて、第1形状記憶合金ワイヤ171又は第2形状記憶合金ワイヤ172が収縮することで、回転許容位置P2から揺動軸線O5回りを回転する。これにより、停止突起71が羽根車60の回転軌跡内に進入して、羽根車60に接触する。従って、ストッパ部材70は、回転停止位置に位置決めされ、羽根車60の回転を停止させる。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部180によって、例えば第1通電部173を介して第1形状記憶合金ワイヤ171に通電を行うことで、第1形状記憶合金ワイヤ171を瞬間的に収縮させることができる。これにより、ストッパ部材70を揺動軸線O5回りに回転させることができ、回転停止位置に位置させることができる。従って、停止突起71を利用して羽根車60を介して輪列機構33の回転を停止させることができる。
さらに、第2通電部174を介して第2形状記憶合金ワイヤ172に通電を行うことで、第2形状記憶合金ワイヤ172を瞬間的に収縮させることができる。これにより、ストッパ部材70を揺動軸線O5回りに逆回転させることができ、回転停止位置から回転許容位置P2に復帰させることができる。従って、羽根車60及び輪列機構33の回転を開始させることができる。
なお、第2形状記憶合金ワイヤ172に通電を行うことで、ストッパ部材70を回転停止位置に位置させ、第1形状記憶合金ワイヤ171に通電を行うことで、ストッパ部材70を回転許容位置P2に位置させても構わない。
このように、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172に通電を行って、それぞれのワイヤの長さを瞬間的に収縮させるだけの簡便な方法によって、羽根車60を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることや、間欠的な投与等を容易に行い易い。
なお、本実施形態において、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172の放熱性を高めても良い。例えば第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料で形成された放熱体を、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172に接触するように配置させても構わない。なお、サポート軸175を放熱体として機能させても構わない。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図14及び図15に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ190が通電及び非通電によって揺動回転する可動軸192を有するガルバノモータ191と、ガルバノモータ191への通電を制御する制御部200と、を備えている。
本実施形態のストッパ部材70は、羽根車60よりも前方FWに配置されていると共に、上下方向に延びる揺動軸線O6を中心として回転可能とされている。ストッパ部材70は、複数のストッパ片195を有している。図示の例では、複数のストッパ片195は、揺動軸線O6を中心として放射状に並ぶように4つ設けられている。ただし、ストッパ片195の数は、4つに限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、4つ以外の複数であっても構わない。
ガルバノモータ191は、図示しない支持部によって本体ケース4内に固定されている。可動軸192は、揺動軸線O7を中心として、図15に示す矢印に示す如く180°未満の角度範囲内で揺動回転する。そして、ストッパ部材70は、可動軸192の揺動軸線O7に対して、揺動軸線O6が同軸上に位置するように可動軸192に取り付けられている。これにより、ストッパ部材70は、可動軸192の揺動回転によって揺動軸線O7回りを回転する。
制御部200は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、ガルバノモータ191に対して制御電流を供給する。これにより、ガルバノモータ191は、通電、非通電が制御されている。
ストッパ部材70は、ガルバノモータ191への通電が行われていない場合、図14及び図15に示すようにストッパ片195が羽根車60の回転軌跡の外側に位置した状態で位置決めされる。従って、ストッパ部材70は、回転許容位置P2に位置決めされる。
これに対してストッパ部材70は、ガルバノモータ191への通電が行われて、可動軸192が揺動することで、ストッパ片195が羽根車60の回転軌跡内に進入して、羽根車60に接触する。従って、ストッパ部材70は、回転停止位置に位置決めされ、羽根車60の回転を停止させる。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部200によってガルバノモータ191の作動を制御することで、可動軸192を180°未満の角度範囲内で揺動回転させることができる。これにより、揺動軸線O7回りにストッパ部材70を回転させることができ、ストッパ部材70を回転許容位置P2から回転停止位置に位置させることができる。従って、ストッパ片195を利用して、羽根車60を介して輪列機構33の回転を停止させることができる。
このように、ガルバノモータ191に通電を行って、可動軸192を揺動回転させるだけの簡便な方法によって、ストッパ部材70を回転停止位置と回転許容位置P2との間で移動させることができ、輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることや、間欠的な投与等を容易に行い易い。
(第6実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、第6実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図16及び図17に示すように、本実施形態の送り装置3は、調速機構34がてんぷ212を有する調速機210と、がんぎ車221及びアンクル222を有する脱進機220と、を備えている。
本実施形態の輪列機構33は、互いに噛み合い可能に配置された第1中間歯車231及び第2中間歯車232を具備している。ただし、輪列機構33を構成する歯車の数は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
第1中間歯車231は、送りねじ32のうちスライダ30よりも後方BKに位置する部分に連結されている。従って、第1中間歯車231は、送りねじ32の回転に伴って送り軸線O1回りに回転する。第1中間歯車231は、第1傘歯231aを有している。
第2中間歯車232は、第1中間歯車231の右側RHに配置され、左右方向L2に延びる軸線回りに回転可能に配置されている。さらに第2中間歯車232は、第1傘歯231aに噛み合う第2傘歯232aを有している。これにより、送りねじ32の回転に伴って、第1中間歯車231及び第2中間歯車232を回転させることが可能とされている。
調速機構34は、輪列機構33の回転を制御する脱進機220と、脱進機220を調速する調速機210と、を備えている。なお、脱進機220及び調速機210は、機械式時計に一般的に用いられるものと同等の構成とされている。そのため、脱進機220及び調速機210についての詳細な説明は省略する。
なお、調速機構34は、シリンジ2の右側RHに配置されていると共に、第2中間歯車232の前方FWに配置されている。
脱進機220は、輪列機構33を構成する第2中間歯車232の回転に伴って回転するがんぎ車221と、がんぎ車221を脱進させて規則正しく回転させるアンクル222と、を備え、後述するてんぷ212からの規則正しい振動で輪列機構33を制御する。
がんぎ車221は、左右方向L2に延びる揺動軸線回りに回転可能とされ、第2中間歯車232に噛み合った状態で第2中間歯車232よりも前方FWに配置されている。がんぎ車221は、複数のがんぎ歯221aを有している。
アンクル222は、がんぎ車221よりも前方FWに配置され、てんぷ212の往復回転に基づいて左右方向L2に延びる軸線回りを回動(揺動)可能とされている。アンクル222は、がんぎ歯221aに対して係脱可能な入爪222a及び出爪222bを有している。入爪222a及び出爪222bは、アンクル222の回動に伴ってがんぎ歯221aに対して交互に係脱可能とされている。
従って、アンクル222の回動に伴って入爪222a及び出爪222bががんぎ歯221aに対して交互に係脱することで、がんぎ車221の回転を制御することが可能とされると共に、がんぎ車221に伝わった動力を、アンクル222及び振り石214を介しててんぷ212に伝えて、てんぷ212に回転エネルギーを補充することが可能とされている。
調速機210は、ひげぜんまい211と、アンクル222よりも前方FWに配置されたてんぷ212と、を備えている。てんぷ212は、てん輪213を有しており、ひげぜんまい211を動力源として、左右方向L2に延びるてんぷ軸線O8を中心として定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)する。なお、てんぷ軸線O8は、送り軸線O1に対して非同軸に配置されている。
ひげぜんまい211は、てんぷ軸線(本発明に係る回転軸線)O8を中心として渦巻き状に形成され、拡縮するように弾性変形可能とされている。ひげぜんまい211の内端部は、図示しない振り座を介しててんぷ212に係止されている。これにより、てんぷ212は、ひげぜんまい211を動力源として、てんぷ軸線O8回りを往復回転可能とされている。なお、てん輪213には、振り石214が取り付けられている。
さらに本実施形態の切換機構35は、ソレノイド90の可動軸91を利用して、てんぷ212の回転の停止と開始とを切り換えている。これにより、切換機構35は、てんぷ212を含む調速機構34を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えている。
ソレノイド90は、可動軸91をてん輪213に向けた状態で、てんぷ212よりも前方FWに配置されている。従って、ソレノイド90は、通電及び非通電の切換えによって、可動軸91をてん輪213に対して接近及び離間するように前後方向L1に直線的に往復移動させることが可能とされている。
可動軸91は、ソレノイド90の通電によって内部に引き込まれているときに、てん輪213から離間する。そして可動軸91は、ソレノイド90の非通電時に後方BKに向けて伸長したときに、てん輪213の周面を直接的に押圧して、てんぷ212の回転を停止させる。これにより、ソレノイド90の通電、非通電によって、てんぷ212の回転の停止と開始とを切り換えることができる。
なお、図16及び図17では、可動軸91がてん輪213の周面を押圧して、てんぷ212の回転を停止させている状態を図示している。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、渦巻きばね31による推力によってスライダ30が前方FWに向けて移動しはじめると、それに伴って送りねじ32が送り軸線O1回りに回転すると共に、送りねじ32の回転に伴って輪列機構33(第1中間歯車231及び第2中間歯車232)を回転させることができる。さらに、第2中間歯車232の回転に伴ってがんぎ車221を回転させることができる。この際、脱進機220及び調速機210を有する調速機構34を具備しているので、輪列機構33を調速することができる。
詳細には、ひげぜんまい211を動力源として、てんぷ212をてんぷ軸線O8回りに往復回転させることができ、てんぷ212の回転に基づいてアンクル222を規則正しく揺動させることができる。これにより、がんぎ車221のがんぎ歯221aに対してアンクル222の入爪222a及び出爪222bを交互に係脱することができ、がんぎ車221及び輪列機構33を調速することができる。
従って、例えば、送りねじ32を1rpm程度のゆっくりとした回転速度で回転させることができる。これにより、渦巻きばね31の弾性復元力の変化等に影響され難く、スライダ30を一定速度で前方FWに向けて移動(送り移動)させることができる。従って、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができ、薬液Wを精度良く供給することができる。
さらに切換機構35を有しているので、輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。詳細には、薬液投与装置1の作動時、制御部100がソレノイド90に対して制御電流を供給して通電させることで、可動軸91を内部に引き込んでおく。これにより、てんぷ212を回転させ続けることができ、薬液投与を行える。
輪列機構33の回転を停止する場合には、制御部100によってソレノイド90への通電を停止する。これにより、コイルばねによる付勢によって可動軸91を伸長させることができ、てん輪213の周面を押圧しててんぷ212の回転を停止させることができる。
このように、ソレノイド90を利用して、輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、輪列機構33及び送りねじ32を介してスライダ30の移動停止と移動開始とを制御することができる。そのため、スライダ30及びプランジャ21の移動のタイミングや、移動時間等を任意に調整することもできる。従って、薬液Wの連続的投与だけでなく、決まった単位量の間欠的投与等を行うことができる。
(第7実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第7実施形態について図面を参照して説明する。なお、第7実施形態においては、第6実施形態及び第3実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態の送り装置3は、切換機構35が、ストッパ部材70と、ストッパ部材70を移動させるアクチュエータ150と、を備えている。アクチュエータ150は、第1電磁石151及び第2電磁石152と、第1電磁石151及び第2電磁石152への通電を制御する制御部160と、を備えている。
ストッパ部材70は、てん輪213よりも右側RHに配置されている。ストッパ部材70は、例えば上下方向に沿って延びるプレート状に形成され、左右方向L2に延びる揺動軸線O3を中心として、前後方向L1に揺動可能とされている。なお、揺動軸線O3は、ストッパ部材70を左右方向L2に貫くように配置されている。
ストッパ部材70は、揺動軸線O3を中心として、てんぷ212に対して接近しててんぷ212の回転を停止させる回転停止位置P1と、てんぷ212から離間しててんぷ212の回転を許容する回転許容位置と、の間を移動可能とされている。
ストッパ部材70の上端部には、てんぷ212に向けて突出する停止突起71が形成されている。停止突起71は、ストッパ部材70が回転停止位置P1に位置したときに、てん輪213に形成されたロックピン215に対して接触し、てんぷ212の回転を停止させることが可能とされている。これにより、調速機構34を介して輪列機構33の全体の回転を停止させることが可能となる。
なお、ストッパ部材70の下端部には、永久磁石等の磁性体153が取り付けられている。
第1電磁石151は、第1磁性軸151aの端面を磁性体153に対して間隔をあけて対向するように磁性体153の後方BKに配置されている。第2電磁石152は、第2磁性軸152aの端面を前方FWから接触させた状態で、磁性体153の前方FWに配置されている。
制御部160は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、第1電磁石151及び第2電磁石152のコイルに通電を行っている。これにより、制御部160は、第1磁性軸151a及び第2磁性軸152aが磁力を発生するように、第1電磁石151及び第2電磁石152への通電の制御を行っている。
ストッパ部材70は、第2電磁石152による磁力によって磁性体153が吸着されたときに、図18に示すように停止突起71がロックピン215に対して接触した状態で位置決めされる。従って、ストッパ部材70は、回転停止位置P1に位置決めされ、てんぷ212の回転を停止させる。
これに対してストッパ部材70は、第1電磁石151による磁力によって磁性体153が吸着されたときに、回転停止位置P1から揺動軸線O3回りを回転して回転許容位置に移動する。これにより、停止突起71がロックピン215から離間して、てんぷ212の回転を許容する。なお図18に示す状態では、てんぷ212が停止突起71に対してロックピン215を反時計方向に接触させて停止可能とされているが、停止突起71に対してロックピン215を時計方向に接触させる場合も停止可能である。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第6実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部160によって第1電磁石151及び第2電磁石152のコイルに交互に通電を行うことで、第1磁性軸151a及び第2磁性軸152aに交互に磁力を発生させる。これにより、第1磁性軸151a及び第2磁性軸152aに対してストッパ部材70の磁性体153を交互に吸着させることができるので、ストッパ部材70を回転停止位置P1と回転許容位置との間で移動させることができる。従って、てんぷ212を介して、輪列機構33の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り替えることができる。
特に、第1電磁石151及び第2電磁石152への通電の制御を行うだけの簡便な方法によって、てんぷ212を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることや、間欠的な投与等を容易に行い易い。
(第8実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第8実施形態について図面を参照して説明する。なお、第8実施形態においては、第7実施形態及び第4実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ170が第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172と、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172の通電を制御する制御部180と、を備えている。
本実施形態のストッパ部材70には、第7実施形態における磁性体153が取り付けられていない。
第1形状記憶合金ワイヤ171は、一端部がストッパ部材70に連結され、他端部が第1通電部173に連結されている。第2形状記憶合金ワイヤ172は、一端部がストッパ部材70に連結され、他端部が第2通電部174に連結されている。
制御部180は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、第1通電部173及び第2通電部174を制御している。これにより、制御部180は、第1通電部173及び第2通電部174を介して、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172に通電を行っている。
ストッパ部材70は、第1形状記憶合金ワイヤ171への通電が行われて、第1形状記憶合金ワイヤ171が収縮することで、図19に示すように、停止突起71がロックピン215に接触した状態で位置決めされる。これにより、ストッパ部材70は、回転停止位置P1に位置決めされ、てんぷ212の回転を停止させる。
これに対して、ストッパ部材70は、第2形状記憶合金ワイヤ172への通電が行われたときに、回転停止位置P1から揺動軸線O3回りを回転して回転許容位置に移動する。これにより、停止突起71がロックピン215から離間して、てんぷ212の回転を許容する。なお図19に示す状態では、てんぷ212が停止突起71に対してロックピン215を反時計方向に接触させて停止可能とされているが、停止突起71に対してロックピン215を時計方向に接触させる場合も停止可能である。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第6実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部180によって、第1通電部173及び第2通電部174を介して第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172に通電を行うことで、ストッパ部材70を回転停止位置P1と回転許容位置との間で移動させることができる。従って、てんぷ212を介して、輪列機構33の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り替えることができる。
特に、第1形状記憶合金ワイヤ171及び第2形状記憶合金ワイヤ172への通電の制御を行うだけの簡便な方法によって、てんぷ212を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることや、間欠的な投与等を容易に行い易い。
(第9実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第9実施形態について図面を参照して説明する。なお、第9実施形態においては、第7実施形態及び第5実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図20に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ190が通電及び非通電によって揺動回転する可動軸192を有するガルバノモータ191と、ガルバノモータ191への通電を制御する制御部200と、を備えている。
ガルバノモータ191は、可動軸192は、揺動軸線O7を中心として、図20に示す矢印に示す如く180°未満の角度範囲内で揺動回転する。ストッパ部材70は、可動軸192の揺動回転によって揺動軸線O7回りを揺動する。
制御部200は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、ガルバノモータ191に対して制御電流を供給する。これにより、ガルバノモータ191は、通電、非通電が制御されている。
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第6実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部200によってガルバノモータ191の作動を制御することで、可動軸192を180°未満の角度範囲内で揺動回転させることができる。これにより、揺動軸線O3回りにストッパ部材70を揺動させることができる。従って、ストッパ部材70を回転停止位置P1と回転許容位置との間で移動させることができ、てんぷ212を介して、輪列機構33の回転の停止と開始とを容易且つ適切に切り替えることができる。
特に、ガルバノモータ191への通電の制御を行うだけの簡便な方法によって、てんぷ212を介して輪列機構33の回転の停止と開始とを切り換えることができる。従って、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることや、間欠的な投与等を容易に行い易い。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、上記各実施形態では、流体として薬液Wを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば流体としては、その他の液体や、ガス等の気体であっても構わない。使用される用途や目的等に応じて、内容物を適宜変更して構わない。例えば、流体としては、塗料、飲料、香料、油脂類(グリス、オイル等)等、様々なものを選択して構わない。
さらに上記実施形態では、2つの渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)を利用した場合を例に挙げて説明したが、2つに限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、4つ以上の偶数個利用しても構わない。
渦巻きばね31を4つ以上の偶数個利用する場合には、例えば送り軸線O1を対称軸として線対称となるように、複数の渦巻きばね31をシリンジ2の左右両側に均等配置すれば良い。これにより、スライダ30にモーメント荷重が発生することを抑制することができる。
さらに上記各実施形態では、調速機構34の一例として、羽根車60を利用した場合や、調速機210及び脱進機220を利用した場合を例に挙げて説明したが、輪列機構33の調速を行うことができれば、他の構成を採用しても構わない。
例えば、てんぷ212に代えて、電磁石による磁力を利用してアンクル222を規則正しく揺動させることで、輪列機構33の調速を行っても構わない。
さらに上記各実施形態では、従動歯車120を送りねじ32の後端部に連結させたが、この場合に限定されるものではない。従動歯車120としては、送りねじ32の回転に伴って回転すれば良く、例えば輪列機構33の途中に設けても構わない。
なお、上記各実施形態では、送りねじ32の雄ねじ部を右ねじとして説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば左ねじとしても構わない。この場合には、渦巻きばね31(第1渦巻きばね41及び第2渦巻きばね42)による推力によってスライダ30が前方FWに向けて押圧されることに伴って、送りねじ32を後方BKから見て時計方向に回転させることができる。従って、この場合には、送りねじ32の回転に伴って時計方向に回転する従動歯車120の回転に応じて、回転規制部材110が適切に作動するように設ければ良い。
なお、本発明は以下の態様を含む。
<1>
対象物を送り方向に向けて移動させる可動体と、
弾性復元力を利用して前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与するばね部材と、
前記送り方向に平行に配置された送り軸線回りに回転可能な状態で前記可動体に組み合わされていると共に、前記可動体に付与された推力によって前記送り軸線回りに回転する送りねじと、
前記送りねじの回転に伴って回転する輪列機構と、
前記輪列機構の回転速度を調整する調速機構と、
前記輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構と、を備え、
前記ばね部材は、
帯状の弾性体が渦巻き状に巻回された巻回部と、
前記弾性体のうち前記巻回部から引き伸ばされた部分である引出部と、を備え、
前記引出部は、前記可動体に連結され、
前記ばね部材は、前記引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、前記可動体に推力を付与することを特徴とする送り装置。
<2>
<1>に記載の送り装置において、
前記調速機構は、前記輪列機構に噛み合うと共に、前記輪列機構の回転速度に応じた抵抗を発生させる羽根車を備えている、送り装置。
<3>
<2>に記載の送り装置において、
前記切換機構は、
ストッパ部材と、
前記羽根車に対して前記ストッパ部材を接触させて前記羽根車の回転を停止させる回転停止位置と、前記羽根車から前記ストッパ部材を離間させて前記羽根車の回転を許容する回転許容位置との間で、前記ストッパ部材を移動させるアクチュエータと、を備えている、送り装置。
<4>
<1>に記載の送り装置において、
前記調速機構は、
ひげぜんまいを動力源として、前記送り軸線に対して非同軸に配置された回転軸線回りに、所定の振り角で往復回転するてんぷを有する調速機と、
前記輪列機構の回転に伴って回転するがんぎ車と、前記てんぷの往復回転に基づいて揺動すると共に、前記がんぎ車のがんぎ歯に対して交互に係脱することで前記がんぎ車の回転を制御するアンクルと、を有する脱進機と、を備えている、送り装置。
<5>
<4>に記載の送り装置において、
前記切換機構は、
ストッパ部材と、
前記てんぷに対して前記ストッパ部材を接触させて前記てんぷの回転を停止させる回転停止位置と、前記てんぷから前記ストッパ部材を離間させて前記てんぷの回転を許容する回転許容位置との間で、前記ストッパ部材を移動させるアクチュエータと、を備えている、送り装置。
<6>
<3>又は<5>に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
通電及び非通電によって直線的に往復移動する可動軸を有するソレノイドと、
前記ソレノイドへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記可動軸の往復移動に伴って、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
<7>
<6>に記載の送り装置において、
前記可動軸に連結されると共に、前記可動軸から前記ストッパ部材に向けて延びる押圧軸と、
前記押圧軸に一体的に取り付けられた可動突起と、
前記可動突起を相対移動可能に収納する収納通路が形成されたスイッチ部材と、を備え、
前記収納通路内には、前記可動突起を位置決めする第1ストッパ位置及び第2ストッパ位置が設けられ、
前記可動突起は、前記可動軸が往復移動するたびに、前記収納通路内を移動しながら前記第1ストッパ位置と前記第2ストッパ位置とに交互に位置決めされ、
前記押圧軸は、前記可動突起が前記第1ストッパ位置に位置しているときに、前記ストッパ部材を押圧して前記ストッパ部材を前記回転停止位置に位置させ、前記可動突起が前記第2ストッパ位置に位置しているときに、前記ストッパ部材から離間し、
前記ストッパ部材は、前記回転許容位置に向けて付勢されている、送り装置。
<8>
<3>又は<5>に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
第1電磁石及び第2電磁石と、
前記第1電磁石及び前記第2電磁石が磁力を発生するように、前記第1電磁石及び前記第2電磁石への通電を制御する制御部と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記第1電磁石による磁力、及び前記第2電磁石による磁力で吸着されることで、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
<9>
<3>又は<5>に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
前記ストッパ部材に連結された第1形状記憶合金ワイヤ及び第2形状記憶合金ワイヤと、
前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤに対して通電を行うように、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤは、通電加熱に伴って長さが収縮すると共に放熱に伴って長さが伸長し、
前記ストッパ部材は、前記第1形状記憶合金ワイヤの伸縮、及び前記第2形状記憶合金ワイヤの伸縮によって、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
<10>
<3>又は<5>に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
通電及び非通電によって180°未満の角度範囲内で揺動回転する可動軸を有するガルバノモータと、
前記ガルバノモータへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記可動軸の揺動回転に伴って前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
<11>
<1>から<10>のいずれか1つに記載の送り装置において、
前記送りねじの回転に伴って回転する従動歯車と、
第1レバー及び第2レバーを有し、ストッパ軸線回りに回転可能に配置された回転規制部材と、を備え、
前記回転規制部材は、前記第1レバーが前記従動歯車の従動歯に対して接触し、且つ前記第2レバーが前記従動歯に対して非接触状態となるように、前記ストッパ軸線回りに付勢され、
前記従動歯車は、予め決められた所定の回転速度で回転しているときに、前記従動歯が前記第1レバーを順次押込むように回転し、且つ前記所定の回転速度を超えて回転したときに、前記従動歯に対して前記第1レバーが非接触となるように前記回転規制部材を回転させ、
前記回転規制部材は、前記従動歯車が前記所定の回転速度を超えて回転したときに、前記第2レバーを前記従動歯に係止させて、前記従動歯車の回転を規制する、送り装置。
<12>
<1>から<11>のいずれか1つに記載の送り装置と、
内部に流体が充填される収容筒と、前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を有する流体収容器と、を備え、
前記可動体は、前記プランジャを前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されていることを特徴とする流体供給装置。
FW…前方(送り方向)
O1…送り軸線
O4…ストッパ軸線
O8…てんぷ軸線(回転軸線)
P1…回転停止位置
P2…回転許容位置
W…薬液(流体)
1…薬液投与装置(流体供給装置)
2…シリンジ(流体収容器)
3…送り装置
20…シリンジ本体(収容筒)
21…プランジャ(対象物)
30…スライダ(可動体)
31…渦巻きばね(ばね部材)
32…送りねじ
33…輪列機構
34…調速機構
35…切換機構
41…第1渦巻きばね(ばね部材)
42…第2渦巻きばね(ばね部材)
47…弾性体
48…巻回部
49…引出部
60…羽根車
70…ストッパ部材
80、150、170、190…アクチュエータ
90…ソレノイド
91…ソレノイドの可動軸
100、160、180、200…制御部
110…回転規制部材
111…第1レバー
112…第2レバー
120…従動歯車
121…従動歯車の従動歯
130…スイッチ部材
132…第1ストッパ位置
133…第2ストッパ位置
131…収納通路
140…押圧軸
141…可動突起
151…第1電磁石
152…第2電磁石
171…第1形状記憶合金ワイヤ
172…第2形状記憶合金ワイヤ
191…ガルバノモータ
192…ガルバノモータの可動軸
210…調速機
211…ひげぜんまい
212…てんぷ
220…脱進機
221…がんぎ車
221a…がんぎ歯

Claims (12)

  1. 対象物を送り方向に向けて移動させる可動体と、
    弾性復元力を利用して前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与するばね部材と、
    前記送り方向に平行に配置された送り軸線回りに回転可能な状態で前記可動体に組み合わされていると共に、前記可動体に付与された推力によって前記送り軸線回りに回転する送りねじと、
    前記送りねじの回転に伴って回転する輪列機構と、
    前記輪列機構の回転速度を調整する調速機構と、
    前記輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構と、を備え、
    前記ばね部材は、
    帯状の弾性体が渦巻き状に巻回された巻回部と、
    前記弾性体のうち前記巻回部から引き伸ばされた部分である引出部と、を備え、
    前記引出部は、前記可動体に連結され、
    前記ばね部材は、前記引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、前記可動体に推力を付与することを特徴とする送り装置。
  2. 請求項1に記載の送り装置において、
    前記調速機構は、前記輪列機構に噛み合うと共に、前記輪列機構の回転速度に応じた抵抗を発生させる羽根車を備えている、送り装置。
  3. 請求項2に記載の送り装置において、
    前記切換機構は、
    ストッパ部材と、
    前記羽根車に対して前記ストッパ部材を接触させて前記羽根車の回転を停止させる回転停止位置と、前記羽根車から前記ストッパ部材を離間させて前記羽根車の回転を許容する回転許容位置との間で、前記ストッパ部材を移動させるアクチュエータと、を備えている、送り装置。
  4. 請求項1に記載の送り装置において、
    前記調速機構は、
    ひげぜんまいを動力源として、前記送り軸線に対して非同軸に配置された回転軸線回りに、所定の振り角で往復回転するてんぷを有する調速機と、
    前記輪列機構の回転に伴って回転するがんぎ車と、前記てんぷの往復回転に基づいて揺動すると共に、前記がんぎ車のがんぎ歯に対して交互に係脱することで前記がんぎ車の回転を制御するアンクルと、を有する脱進機と、を備えている、送り装置。
  5. 請求項4に記載の送り装置において、
    前記切換機構は、
    ストッパ部材と、
    前記てんぷに対して前記ストッパ部材を接触させて前記てんぷの回転を停止させる回転停止位置と、前記てんぷから前記ストッパ部材を離間させて前記てんぷの回転を許容する回転許容位置との間で、前記ストッパ部材を移動させるアクチュエータと、を備えている、送り装置。
  6. 請求項3又は5に記載の送り装置において、
    前記アクチュエータは、
    通電及び非通電によって直線的に往復移動する可動軸を有するソレノイドと、
    前記ソレノイドへの通電を制御する制御部と、を備え、
    前記ストッパ部材は、前記可動軸の往復移動に伴って、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
  7. 請求項6に記載の送り装置において、
    前記可動軸に連結されると共に、前記可動軸から前記ストッパ部材に向けて延びる押圧軸と、
    前記押圧軸に一体的に取り付けられた可動突起と、
    前記可動突起を相対移動可能に収納する収納通路が形成されたスイッチ部材と、を備え、
    前記収納通路内には、前記可動突起を位置決めする第1ストッパ位置及び第2ストッパ位置が設けられ、
    前記可動突起は、前記可動軸が往復移動するたびに、前記収納通路内を移動しながら前記第1ストッパ位置と前記第2ストッパ位置とに交互に位置決めされ、
    前記押圧軸は、前記可動突起が前記第1ストッパ位置に位置しているときに、前記ストッパ部材を押圧して前記ストッパ部材を前記回転停止位置に位置させ、前記可動突起が前記第2ストッパ位置に位置しているときに、前記ストッパ部材から離間し、
    前記ストッパ部材は、前記回転許容位置に向けて付勢されている、送り装置。
  8. 請求項3又は5に記載の送り装置において、
    前記アクチュエータは、
    第1電磁石及び第2電磁石と、
    前記第1電磁石及び前記第2電磁石が磁力を発生するように、前記第1電磁石及び前記第2電磁石への通電を制御する制御部と、を備え、
    前記ストッパ部材は、前記第1電磁石による磁力、及び前記第2電磁石による磁力で吸着されることで、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
  9. 請求項3又は5に記載の送り装置において、
    前記アクチュエータは、
    前記ストッパ部材に連結された第1形状記憶合金ワイヤ及び第2形状記憶合金ワイヤと、
    前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤに対して通電を行うように、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤへの通電を制御する制御部と、を備え、
    前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤは、通電加熱に伴って長さが収縮すると共に放熱に伴って長さが伸長し、
    前記ストッパ部材は、前記第1形状記憶合金ワイヤの伸縮、及び前記第2形状記憶合金ワイヤの伸縮によって、前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
  10. 請求項3又は5に記載の送り装置において、
    前記アクチュエータは、
    通電及び非通電によって180°未満の角度範囲内で揺動回転する可動軸を有するガルバノモータと、
    前記ガルバノモータへの通電を制御する制御部と、を備え、
    前記ストッパ部材は、前記可動軸の揺動回転に伴って前記回転停止位置と前記回転許容位置との間を移動する、送り装置。
  11. 請求項1に記載の送り装置において、
    前記送りねじの回転に伴って回転する従動歯車と、
    第1レバー及び第2レバーを有し、ストッパ軸線回りに回転可能に配置された回転規制部材と、を備え、
    前記回転規制部材は、前記第1レバーが前記従動歯車の従動歯に対して接触し、且つ前記第2レバーが前記従動歯に対して非接触状態となるように、前記ストッパ軸線回りに付勢され、
    前記従動歯車は、予め決められた所定の回転速度で回転しているときに、前記従動歯が前記第1レバーを順次押込むように回転し、且つ前記所定の回転速度を超えて回転したときに、前記従動歯に対して前記第1レバーが非接触となるように前記回転規制部材を回転させ、
    前記回転規制部材は、前記従動歯車が前記所定の回転速度を超えて回転したときに、前記第2レバーを前記従動歯に係止させて、前記従動歯車の回転を規制する、送り装置。
  12. 請求項1に記載の送り装置と、
    内部に流体が充填される収容筒と、前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を有する流体収容器と、を備え、
    前記可動体は、前記プランジャを前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されていることを特徴とする流体供給装置。
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