JP2024101826A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性能に優れたタイヤを提供する。【解決手段】トレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤであって、前記ハイブリッドコードの上撚り数をR3〔回/10cm〕、前記ハイブリッドコードの総繊度をD3〔dtex〕とし、R3×(D3)1/2で表される前記ハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3が、1800以上、2600以下であり、前記撚り係数K3と前記トレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(K3×L)が、15000以上であるタイヤに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
車両の安全性を向上させる観点から、様々な路面での制動性や駆動性を向上させるために種々の検討がなされている。例えば、特許文献1ではタイヤのトレッド部を形成するゴム組成物として、ゴム成分に対して40~125質量部の充填剤と、軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200~1200g/molである水添樹脂を5~50質量部含むゴム組成物を用いることで、ウェットグリップ性能やハンドリング性能を向上させ得ることが記載されている。
国際公開第2021/125242号
一方で、乗用車や二輪車においては、近年、電気自動車化の需要が高まっていることから、従来よりも車体重量が増えることが想定されており、より耐久性を高めたタイヤが今後求められていると考えられる。
本発明は、前記課題を解決し、耐久性能に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、トレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤであって、
前記ハイブリッドコードの上撚り数をR3〔回/10cm〕、前記ハイブリッドコードの総繊度をD3〔dtex〕とし、R3×(D3)1/2で表される前記ハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3が、1800以上、2600以下であり、
前記撚り係数K3と前記トレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(K3×L)が、15000以上であるタイヤに関する。
本発明によれば、トレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤであって、前記K3が1800以上、2600以下、前記K3×Lが15000以上であるタイヤであるので、耐久性能に優れたタイヤを提供できる。
本実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。 カーカスプライの折返し部及びバンド層を示す展開図である。 他の実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。 図3のカーカスプライの折返し部及びバンド層を示す展開図である。 他の実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。 他の実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。
本発明は、トレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤであって、
前記ハイブリッドコードの上撚り数をR3〔回/10cm〕、前記ハイブリッドコードの総繊度をD3〔dtex〕とし、R3×(D3)1/2で表される前記ハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3が、1800以上、2600以下であり、
前記撚り係数K3と前記トレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(K3×L)が、15000以上であるタイヤである。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
本発明では、ポリアミド繊維ヤーンとポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせたハイブリッドコードを適用し、耐疲労性が良好なポリエステル繊維ヤーンと高弾性率のポリアミド繊維ヤーンを使用することにより、従来のカーカスプライよりも高弾性かつ良好な耐疲労性を確保することが可能となり、それにより、タイヤの耐久性能を向上するものと考えられる。
また、ハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3を一定以上に保つことにより、コードがタイヤ内部で伸縮しやすくなり、耐疲労性が良好となり、タイヤの耐久性能が向上すると考えられる。
また、タイヤの接地面からコードまでの距離が離れると、コードに加わる圧縮歪を軽減することも可能となると考えられる。そのため、撚り係数K3とトレッドゴムの厚みLとの積(K3×L)を15000以上とすることで、カーカスコードの耐疲労性を高めると共に、圧縮歪を軽減することができ、タイヤの耐久性能が向上すると考えられる。
よって、本発明のタイヤでは、カーカスコードおよび、カーカスプライの耐久性能を向上させると共に、コードに加わる圧縮歪も軽減されるため、耐久性能が向上するものと推察される。
このように、トレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤにおいて、「撚り係数K3とトレッドゴムの厚みLとの積(K3×L)が15000以上」を満たす構成にすることにより、耐久性能を向上するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、「撚り係数K3とトレッドゴムの厚みLとの積(K3×L)が15000以上」のパラメーターは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、耐久性能を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明されるが、これは一形態にすぎず、本発明のタイヤは以下の形態に限定されるものではない。
本明細書において、「正規状態」とは、タイヤが正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法は、正規状態で測定された値である。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない場合、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、左右のビード間の距離を、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致させて、測定される。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける“標準リム”、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association,Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、「正規リム」の場合と同様にJATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合、前記正規リムを標準リムとして記載されている別のタイヤサイズ(規格に定められているもの)の正規内圧(但し、250kPA以上)を指す。なお、250kPa以上の正規内圧が複数記載されている場合には、その中の最小値を指す。
また、本明細書において、「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、前記した「正規リム」や「正規内圧」の場合と同様に、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合は以下の計算により、正規荷重Wを求める。
V={(Dt/2)-(Dt/2-Ht)}×π×Wt
=0.000011×V+175
:正規荷重(kg)
V:タイヤの仮想体積(mm
Dt:タイヤ外径(mm)
Ht:タイヤの断面高さ(mm)
Wt:タイヤの断面幅(mm)
タイヤの「断面幅Wt(mm)」は正規状態において、タイヤ側面に模様または文字などがある場合にはそれらを除いたものとしてのサイドウォール外面間の最大幅である。
タイヤの「外径Dt(mm)」は正規状態におけるタイヤの外径を指す。
タイヤの「断面高さHt(mm)」はタイヤの半径方向断面における、タイヤ半径方向の高さを指し、タイヤのリム径をR(mm)としたとき、タイヤの外径Dtとリム径Rとの差の半分に相当する。言い換えると、断面高さHtは(Dt-R)/2により求めることが可能である。
図1に示されるように、本実施形態の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されたバンド層7(ベルト層)とを具える。
また、前記タイヤ1は、キャンバーアングルが大きい旋回時においても十分な接地面積が得られるように、トレッド部2のトレッド端2t、2t間の外面2Sが、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲してのびるとともに、トレッド端2t、2t間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅TWがタイヤ最大幅をなしている。
前記カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部6bとを具える少なくとも1枚、本実施形態では1枚の折返しカーカスプライ6Aにより構成される。また、折返しカーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、硬質のゴムからなるビードエーペックス8が配設される。
さらに、前記折返しカーカスプライ6Aは、図2に示されるように、カーカスコード11が、タイヤ周方向に対して、例えば65~90度の角度θ1で傾けて配列される。
タイヤ1において、カーカスコード11は、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードである。ポリアミド繊維ヤーン、ポリエステル繊維ヤーンを構成するポリアミド繊維、ポリエステル繊維は、合成繊維でも良く、バイオマス由来の繊維であっても良い。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、リサイクル、再生材料由来であることが望ましい。
なお、ここで、フィラメントとはコードを形成する繊維の最小単位であり、これらのフィラメントを合わせたものをヤーンと呼ぶ。ヤーンは複数のフィラメントを撚り合わせて形成されていても良い。
ハイブリッドコードは特に限定されず、例えば、1100dtexのマルチフィラメントヤーンに48回/10cmの下撚りをかけたものを2本合わせて、この下撚マルチフィラメントヤーン2本を合せて下撚と反対又は同方向に同数の上撚をかけたもの、(言い換えれば、1100/2dtex)、1670dtexのマルチフィラメントヤーンに40回/10cmの下撚りをかけたものを2本合わせて、この下撚りマルチフィラメントヤーン2本を合わせて下撚りと反対又は同方向に同数の上撚りをかけたもの(言い換えれば、1670/2dtex)などを使用することが出来る。
なかでも、より効果が得られる観点から、1本のポリアミド繊維ヤーンと1本のポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせた2本で構成されるハイブリッドコード、1本のポリアミド繊維ヤーンと2本のポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせた3本で構成されるハイブリッドコードを用いることが望ましい。
特にこのようなハイブリッドコードにより前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
ポリアミドのフィラメントを撚り合わせたヤーンは高弾性であり、変形に強い性質があるが、耐疲労性に劣る点がある。一方、ポリエステルのフィラメントを撚り合わせたヤーンは耐疲労性が高い性質があるが、弾性率が低く、強度が劣る。そのため、これらの2種類のヤーンを一緒に撚り合わせることにより、強度および耐疲労性を向上させたコードを得ることができ、総合的にコード全体の耐久性能を向上させることができるものと考えられる。
ポリアミド繊維を構成するポリアミドとしては、例えば、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが望ましい。
脂肪族ポリアミドは直鎖の炭素鎖がアミド結合により繋がった骨格を有するポリアミドであり、ナイロン4(PA4)、ナイロン410(PA410)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン610(PA610)、ナイロン1010(PA1010)、ナイロン1012(PA1012)、ナイロン11(PA11)、などを挙げることが出来る。中でも部分的又は完全にバイオマス由来の材料で得られやすい観点からはナイロン4、ナイロン410、ナイロン610、ナイロン10、ナイロン1010、ナイロン11などが挙げられる。
ナイロン6及びナイロン66としては、従来の化学合成由来のカプロラクタムを開環重合させたもの、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸を縮合重合させたものほか、バイオ由来のシクロヘキサンを出発原料としてバイオカプロラクタムもしくは、バイオアジピン酸、バイオヘキサメチレンジアミンを製造し、それらを用いたナイロン6、もしくはナイロン66を用いても良い。また、前記したバイオ原料はグルコースのような糖などから得たものであっても良い。これらのナイロン6、ナイロン66は従来用いられてきたものと同様の強度を備えると考えられる。
ナイロン4としては、バイオ発酵由来のグルタミン酸から、γ-アミノ酪酸に変換したのちに得られる2-ピロリドンを原料としたものが代表として挙げられるが、これに限られない。ナイロン4は、熱的・機械的安定性が良好であり、高分子構造設計が容易という特徴を有しているため、タイヤの性能、強度向上に寄与するため、好適に用いることが可能である。
ナイロン410、ナイロン610、ナイロン1010、ナイロン1012、ナイロン11等はひまし油(トウゴマ)から得られるリシノール酸などを原料として得ることが出来る。具体的にはひまし油から得た、セバシン酸、ドデカン二酸と任意のジアミン化合物を縮合重合することにより、ナイロン410、ナイロン610、ナイロン1010を得ることができ、ひまし油から得た11-アミノウンデカン酸を縮合重合することによりナイロン11を得ることが可能である。
半芳香族ポリアミドは分子鎖の一部に芳香環構造を有するポリアミドであり、例えば、ナイロン4T(PA4T)、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン10T(PA10T)を挙げることが出来る。
ナイロン4T、ナイロン6T、ナイロン10Tはジカルボン酸として、テレフタル酸を用い、それぞれ任意の炭素数のジアミン化合物と縮合重合を行うことにより得ることが可能である。その際、前述のバイオマス由来のテレフタル酸を用いてこれらのナイロン材料を得ることも可能である。これらは分子鎖内に剛直な環状構造を有する為、耐熱性などの観点で優れる。
また、上記した脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドとして、リジン由来の1,5-ペンタンジアミンをジカルボン酸類と重合したポリアミド5X(Xはジカルボン酸由来の炭素数であり、整数もしくはテレフタル酸を表すT)を挙げることが出来る。
全芳香族ポリアミドとしては芳香環がアミド結合により繋がった骨格を有するポリアミドであり、ポリパラフェニレンテレフタルアミドなどを挙げることができる。全芳香族ポリアミドも前述の脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドと同様に、バイオマス由来のテレフタル酸とフェニレンジアミンを結合させることにより得ても良い。
ポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンフラノエート(PEF)等が挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、PETが望ましい。
前記ポリエステルがバイオマス由来のポリエステルである場合には、バイオマス由来のテレフタル酸やエチレングリコールを用いたバイオマスPET、バイオマス由来のフランジカルボン酸を用いたバイオマスPEFなどを好適に用いることができる。
前記バイオマスポリエステルは、バイオエタノールやフルフラール類、カレン類、シメン類、テルペン類などから変換、もしくは各種動植物由来の化合物から変換、微生物等から直接発酵製造したバイオマステレフタル酸、バイオマスエチレングリコールなどから得ることが可能である。
また、合成、バイオマス由来を問わず、飲料用ボトルや衣料品などの使用済みのものから回収、精製したものを再度紡糸することにより得ても良い。
上記ハイブリッドコードは、被覆層との良好な接着性を確保する観点から、予め接着層が塗布された処理をされていることが好ましい。接着層としては公知のものが使用でき、例えばレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)による処理のほか、ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物などによりエポキシ処理した後、RFL処理したものや、ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物により処理したもの等が使用可能である。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、例えば、特開昭48-11335号公報に記載されているように、天然ゴム及び/又は合成ゴムラテックスと、フェノール-ホルムアルデヒドとレゾルシノールとの共縮合物とを含む接着剤組成物などが挙げられる。このような接着剤組成物は、例えば、アルカリ性触媒の存在下でフェノールとホルムアルデヒドとを縮合する工程と、水性フェノール-ホルムアルデヒド樹脂溶液とレゾルシノールとを共重合する工程と、生成したフェノール-ホルムアルデヒド-レゾルシノール樹脂溶液とラテックスゴムとを混合する工程とを含む製造方法により製造できる。
なお、合成ゴムラテックスとしては、ブタジエン重合体ラテックス、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス、イソプレン重合体ラテックス、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体ラテックス、ブタジエン/ビニルピリジン重合体ラテックス、ブタジエン/ビニルピリジン/スチレン共重合体ラテックスなどが挙げられる。
上記レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)からなる接着層は、RFL接着剤を付与すること(上記コードをRFL液に浸漬(DIP:ディッピング)する方法など)により、形成できる。上記RFL接着剤は、通常、撚糸して繊維コードを得た後に付着されるが、撚糸の前又は途中に行ってもよい。
上記RFL接着剤の組成は特に限定されず、適宜選択すればよいが、なかでも、レゾルシン0.1~10質量%、ホルマリン0.1~10質量%、及びラテックス1~28質量%を含む組成物であることが好ましく、レゾルシン0.5~3質量%、ホルマリン0.5~3質量%、及びラテックス10~25質量%を含む組成物であることがより好ましい。
加熱処理における加熱方法としては、例えば、RFL接着剤組成物が付着したコードを100~250℃で1~5分乾燥処理した後、さらに、150~250℃で1~5分で熱処理を行う方法などが挙げられる。乾燥処理後の熱処理の条件は、180~240℃で1~2分であることが望ましい。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物は、ソルビトールポリグリシジルエーテルと、ブロックイソシアネートとを含む組成物であれば特に限定されない。なかでも、ソルビトールポリグリシジルエーテルであって塩素含有量が9.6質量%以下であるエポキシ化合物と、ブロックドイソシアネートとを含む組成物が望ましい。
ソルビトールポリグリシジルエーテルとしては、ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールペンタグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、又はこれらの混合物などが挙げられ、ソルビトールモノグリシジルエーテルが含まれていてもよい。ソルビトールポリグリシジルエーテルは、1分子中に多数のエポキシ基を有しており高い架橋構造を形成することができる。
ソルビトールポリグリシジルエーテルの塩素含有量は、9.6質量%以下が好ましく、9.5質量%以下がより好ましく、9.4質量%以下が更に好ましく、9.3質量%以下が特に好ましい。該塩素含有量の下限は、特に限定されず、例えば、1質量%以上である。
なお、本開示において、ソルビトールポリグリシジルエーテルの塩素含有量は、JIS K 7243-3に記載の方法などにより求めることができる。
ソルビトールポリグリシジルエーテルの塩素含有量は、エポキシ化合物を合成する際に使用するエピクロルヒドリンの量を削減すること等により低減できる。
ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物とブロック剤との反応により生成し、ブロック剤由来の基により一時的に不活性化されている化合物であり、所定温度で加熱するとそのブロック剤由来の基が解離し、イソシアネート基を生成する。
イソシアネート化合物としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するもの等が挙げられる。
2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート類としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、及びこれらの異性体、アルキル置換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物等を使用できる。また、3個のイソシアネート基を有するトリイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有するテトライソシアネート類、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を使用できる。これらのイソシアネート化合物は、1種単独で又は2種以上併用することができる。中でも、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。
ブロック剤としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノール等のフェノール系;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール等のアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系等を挙げることができる。なかでも、ラクタム系、フェノール系、オキシム系ブロック剤が好ましい。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物において、ブロックイソシアネートの含有量は、ソルビトールポリグリシジルエーテル100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは200質量部以上である。上限は、好ましくは500質量部以下、より好ましくは400質量部以下である。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物には、必要に応じて以下の任意成分が含まれていても良い。例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル以外のエポキシ化合物、ソルビトールポリグリシジルエーテルと共重合可能な樹脂、ブロックドイソシアネート以外の硬化剤、有機増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、接着性向上剤、補強剤、軟化剤、着色剤、レベリング剤、難燃剤、及び帯電防止剤等が挙げられる。
ソルビトールポリグリシジルエーテル以外のエポキシ化合物として、例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、及びブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、及びダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル;トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルヒンダントイン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、ジグリシジルトリブロムアニリン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン;並びに3,4-エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイド等が挙げられる。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物による処理としては、RFLに含まれる各種成分をコードに付着させるために行われる処理、及び必要に応じてその後の加熱処理を含む処理などが挙げられる。
付着方法としては、例えば、ローラーを使った塗布、ノズルからの噴霧、浴液(接着剤組成物)への浸漬等任意の方法を用いることができる。均一に付着させ、かつ余分な接着剤を除去する観点から、浸漬による付着が好ましい。
また、コードへの付着量を調整するために、圧接ローラーによる絞り、スクレイパー等によるかき落とし、空気吹き付けによる吹き飛ばし、吸引、ビーターによる叩き等の手段をさらに採用してもよい。
コードへの付着量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
なお、コードへの付着量は、コード100質量部に対して、付着される上記RFL接着剤中の固形分の量である。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物の全固形分濃度は、好ましくは0.9質量%以上、より好ましくは14質量%以上であり、また、好ましくは29質量%以下、より好ましくは23質量%以下である。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物には、レゾルシン、ホルマリン、ゴムラテックスの他に、加硫調整剤、亜鉛華、酸化防止剤、消泡剤等を添加してもよい。
加熱処理における加熱方法としては、例えば、RFL接着剤組成物が付着した補強材16を100~250℃で1~5分乾燥処理した後、さらに、150~250℃で1~5分で熱処理を行う方法などが挙げられる。乾燥処理後の熱処理の条件は、180~240℃で1~2分であることが望ましい。
上記ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物はこれらの成分を含むものであれば特に限定されないが、ハロヒドリン化合物、ブロックイソシアネート化合物及びゴムラテックスを含み、かつレゾルシン及びホルムアルデヒドを含まない接着剤組成物が望ましい。
ハロヒドリン化合物としては、ポリオール化合物とエピハロヒドリン化合物(ハロヒドリンエーテル)と反応させて得られる化合物などが挙げられる。
ポリオール化合物とは、分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、酒石酸などのヒドロキシル酸、グリセリン酸、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
エピハロヒドリン化合物としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。
ハロヒドリン化合物としては、例えば、フルオロアルコール化合物、クロロヒドリン化合物、ブロモヒドリン化合物、ヨードヒドリン化合物などが挙げられる。なかでも、ハロゲン化ソルビトール、ハロゲン化グリセロールが好ましい。
ハロヒドリン化合物100質量%中のハロゲン含有量は、5.0~15.0質量%が好ましく、7.0~13.0質量%がより好ましく、9.0~12.0質量%が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、前述のブロックイソシアネートと同様の化合物が挙げられる。また、ゴムラテックスは、前述のゴムラテックスと同様のものが挙げられる。
上記ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物は、ハロヒドリン化合物が10.0~30.0質量部、ブロックイソシアネート化合物10.0~30.0質量部、及びゴムラテックス80.0~240.0質量部を含むことが望ましい。そして、当該接着剤組成物は、レゾルシン及びホルムアルデヒドを含まない。
上記ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物からなる接着剤層は、該接着剤組成物を使用して、コードの表面上に形成される。該接着剤層は、例えば、浸漬、ブラッシング、鋳造、噴霧、ロールコーティング、ナイフコーティングなどによって形成されるが、これらに限定されない。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11について、上記ハイブリッドコードの上撚り数がR3〔回/10cm〕、上記ハイブリッドコードの総繊度がD3〔dtex〕の場合にR3×(D3)1/2で表されるハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3〔回・(dtex)1/2/10cm〕は、1800以上、2600以下である。
上記撚り係数K3は、好ましくは2000以上、より好ましくは2200以上、更に好ましくは2300以上であり、また、好ましくは2550以下、より好ましくは2500以下、更に好ましくは2450以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、前記総繊度とは、前記コード全体の繊度を指し、繊度とはコード10000mあたりの重量(g/10000m)である。なお、タイヤからは、カーカスコード11を抜きだし、その周囲に付着したゴムを排除した後に重量を測定することで求めることが可能であり、カーカスプライ6Aから抜き出した5本のカーカスコード11について、重量の測定を行い、その平均値を用いる。
また、カーカスコード11を10000m抜き出すことが不可能である場合には10cm以上の長さを抜き取り、この重量から10000mあたりの重量を求めた後、5本のカーカスコード11の平均値を求めることにより総繊度を求めることが可能である。
撚り係数K3が上記範囲、特に2200以上、2500以下とすることで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
上撚り係数は、複数のヤーンを撚り合わせる際の撚り数と繊度で表される指数であり、この値が大きいほど、撚りが多くまた、繊維としても太いものになると考えられる。そのため、上撚り係数を所定以上とすることによりコード全体に伸びを生じやすくさせると共に、破断を抑制しやすくすることができ、耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11について、上記ハイブリッドコードの上撚り数R3〔回/10cm〕は、好ましくは30.0以上、より好ましくは35.0以上、更に好ましくは40.0以上であり、また、好ましくは57.0以下、より好ましくは55.0以下、更に好ましくは45.0以下、特に好ましくは42.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上撚り数R3が上記範囲、特に30.0~55.0回/10cmとすることで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
上撚り数R3を増やすことにより、カーカスコード11が柔軟に伸びることができるようになり、転動時の伸長変形に対しても柔軟に応答することができると考えられる。一方で、過剰に高くなると、トレッド部などで圧縮変形が加わった際にカーカスコード11がその圧縮により破断しやすくなることが懸念されることから、上記の範囲とすることで、良好な耐久性能が得られるものと考えられる。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11において、上記ハイブリッドコードの総繊度D3は、好ましくは1400dtex以上、より好ましくは1600dtex以上、更に好ましくは2200dtex以上、特に好ましくは3300dtex以上あり、また、好ましくは5500dtex以下、より好ましくは4000dtex以下、更に好ましくは3500dtex以下、特に好ましくは3340dtex以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記範囲の総繊度D、特に1600~5500dtexとすることで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
前述の通り、総繊度は10000mあたりのコードの重量であり、これが大きくなるほど、コード全体が太くなり、強度を高めることができる。一方で、繊度が過度に高くなると、コードが剛直なものとなり、圧縮変形に対して弱くなることが懸念されることから、上記の範囲とすることにより、耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11において、より効果が得られる観点から、ポリエステル繊維ヤーンの下撚り数がR2〔回/10cm〕、ポリエステル繊維ヤーンの繊度がD2〔dtex〕の場合にR2×(D2)1/2で表されるポリエステル繊維ヤーンの下撚りにおける撚り係数K2に対する、ポリアミド繊維ヤーンの下撚り数がR1〔回/10cm〕、ポリアミド繊維ヤーンの繊度がD1〔dtex〕の場合にR1×(D1)1/2で表されるポリアミド繊維ヤーンの下撚りにおける撚り係数K1の比(K1/K2)は、0.88以上であることが望ましい。
K1/K2は、好ましくは1.00以上、より好ましくは1.10以上、更に好ましくは1.11以上であり、また、好ましくは1.36以下、より好ましくは1.30以下、更に好ましくは1.20以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
K1/K2が上記範囲、特に1.00以上、1.30以下の場合に前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、K1/K2を上記範囲にすることにより耐疲労性に不利なポリアミド繊維の撚り角度が増え、耐久性能が向上すると推察される。
なお、前記繊度とは、前記ヤーン全体の繊度を指し、ヤーン10000mあたりの重量(g/10000m)である。なお、タイヤからは、カーカスコード11を抜きだし、その周囲に付着したゴムを排除した後、コードをヤーンごとに分けて重量を測定することで求めることが可能である。また、カーカスコード11の総繊度と同様にカーカスプライ6Aから抜き出した5本のカーカスコード11について、ヤーンごとに重量の測定を行い、その平均値を用いる。また、カーカスコード11を10000m抜き出すことが不可能である場合には10cm以上の長さを抜き取り、そのヤーンの重量から10000mあたりの重量を求めた後、5本のカーカスコード11から取り出されたヤーンの繊度の平均値を用いることができる。
上記撚り係数K1は、好ましくは1200以上、より好ましくは1300以上、更に好ましくは1500以上、特に好ましくは1600以上であり、また、好ましくは2300以下、より好ましくは2100以下、更に好ましくは2000以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記撚り係数K2は、好ましくは1100以上、より好ましくは1200以上、更に好ましくは1400以上、特に好ましくは1600以上であり、また、好ましくは2000以下、より好ましくは1900以下、更に好ましくは1800以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11において、上記ポリアミド繊維ヤーンの下撚り数R1〔回/10cm〕は、好ましくは35.0以上、より好ましくは40.0以上、更に好ましくは45.0以上であり、また、好ましくは60.0以下、より好ましくは55.0以下、更に好ましくは50.0以下、特に好ましくは47.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11において、上記ポリエステル繊維ヤーンの下撚り数R2〔回/10cm〕は、好ましくは33.0以上、より好ましくは40.0以上、更に好ましくは42.0以上であり、また、好ましくは60.0以下、より好ましくは55.0以下、更に好ましくは50.0以下、特に好ましくは45.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
る。
図1において、トレッド部2のトレッドゴム2Aは、厚みがL〔mm〕であることが示されており、上記撚り係数K3〔回・(dtex)1/2/10cm〕とトレッドゴム2Aの厚みL〔mm〕との積(K3×L)〔回・(dtex)1/2/100〕は、15000以上である。
L×K3は、好ましくは17000以上、より好ましくは18000以上、更に好ましくは19000以上、特に好ましくは20000以上であり、また、好ましくは25000以下、より好ましくは24000以下、更に好ましくは23000以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッドゴム2Aの厚みLは、好ましくは6.0mm以上、より好ましくは7.5mm以上、更に好ましくは8.0mm以上、特に好ましくは8.5mmであり、また、好ましくは12.0mm以下、より好ましくは9.5mm以下、更に好ましくは9.0mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11について、上記ハイブリッドコードの上撚り数R3〔回/10cm〕とトレッドゴム2Aの厚みL〔mm〕との積(R3×L)〔回/100〕は、280.0以上、500.0以下が望ましい。
R3×Lは、好ましくは320.0以上、より好ましくは340.0以上、更に好ましくは350.0以上、特に好ましくは357.0以上であり、また、好ましくは450.0以下、より好ましくは405.0以下、更に好ましくは380.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
R3×Lが上記範囲、特に340.0以上、405.0以下とすることで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
タイヤの接地面からコードまでの距離が離れると、コードに加わる圧縮歪を軽減することも可能となると考えられる。また、撚り数R3は大きくなると、強度は高くなるが、圧縮に対して弱くなる傾向がある。そのため、撚りR3とトレッドゴムの厚みLとの積(K3×L)を所定の範囲とすることで、カーカスコードの耐疲労性を高めると共に、圧縮歪を軽減することができ、タイヤの耐久性能が向上すると考えられる。
カーカスプライ6Aのカーカスコード11について、上記K1/K2とトレッドゴム2Aの厚みL〔mm〕との積((K1/K2)×L)〔回/100〕は、6.9以上、10.0以下が望ましい。
(K1/K2)×Lは、好ましくは8.0以上、より好ましくは8.3以上、更に好ましくは8.6以上、特に好ましくは9.0以上であり、また、好ましくは9.8以下、より好ましくは9.7以下、更に好ましくは9.5以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(K1/K2)×Lが上記範囲、特に8.6以上、9.7以下とすることで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
K1/K2を大きくすることにより、ポリアミド繊維ヤーンが相対的に伸びを生じやすくすることができ、良好な強度を得ることができると考えられる。さらに、タイヤの接地面からコードまでの距離が離れると、コードに加わる圧縮歪を軽減することも可能となると考えられる。そのため、これらの積(K1/K2×L)を所定の範囲内にすることで、耐疲労性を高めると共に、圧縮歪を軽減することができ、タイヤの耐久性能が向上すると考えられる。
なお、本発明において、「トレッドゴムの厚み」は、タイヤの半径方向断面におけるタイヤ赤道面上でのトレッドゴムの厚みを意味する。トレッドゴムの厚みLは、タイヤ赤道面上におけるトレッドゴム表面の法線に沿って計測される値であり、トレッドゴム表面からバンド層、カーカス層、ベルト補強層などのスチール、テキスタイルなど他の繊維材料を含む補強層のタイヤ最表面側の界面までの距離である。また、タイヤ赤道面上に溝を有する場合は、該溝のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線で形成される面からの直線距離である。図1のタイヤ1の場合、トレッドゴムの厚みLは、タイヤ赤道面C上におけるトレッドゴム表面から、バンド層7(ベルト層)のタイヤ半径方向外側表面までの直線距離である。
トレッドゴム2Aは、図1に示されるような単層構造のトレッドゴム以外に、2層構造のトレッドゴム、3層以上の構造を有するトレッドゴムでもよい。多層構造のトレッドゴムの場合、「トレッドゴムの厚み」は、単層構造のトレッドゴムと同様、トレッドゴム表面、すなわち多層構造のトレッドゴムの最外側のゴム層の表面から前記補強層のタイヤ最表面側の界面までの距離である。
前記バンド層7(ベルト層)は、ゴム被覆された1本又は複数本のバンドコード12を、タイヤ周方向に対して5度以下の角度θ2で螺旋状に巻回した1層のジョイントレスプライ7Aからなる。
このようなジョイントレスプライ7Aは、タイヤを周方向に対して拘束力を発揮することができ、走行中のトレッド部の変形を小さくすることができるため、耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。
上記のような耐久性能を向上させるために、ジョイントレスプライ7Aのタイヤ軸方向の幅W1(図1に示す)は、トレッド幅TWの85~95%程度が望ましい。また、同様の観点より、ベルトコード12には、引張強度の大きいアラミド繊維コード又はスチールコードが望ましい。
また、前記バンド層7(ベルト層)がタイヤ半径方向断面内で描く円弧の長さは、トレッド幅TWよりも大きいことが好ましい。トレッド幅TWよりも前記バンド層7(ベルト層)の円弧の長さを大きくすることにより、トレッド部表面をラウンド状に保ちやすくなり、操縦安定性を向上させやすくすることができると考えられる。
また、バンド層の補強材としてスチールコードを用いる際には3本以上のスチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードを用いることが好ましい。そして、スチールコードの長手方向に対する垂直な断面において、これらのフィラメントの断面を囲む仮想円の直径をφ(mm)、フィラメントの直径をψ(mm)としたとき、前記直径φがψの3倍以上、6倍以下の範囲となっていることが好ましい。このようなスチールコードを用いることで、スチールフィラメント間に隙間を生じさせることができ、スチールコードによる拘束力を得つつ、スチールコードが座屈し、折れることを抑制することが可能となるため、耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。
また、上記のバンド層のタイヤ半径方向内側、カーカス層のタイヤ半径方向外側に、ベルトコードをタイヤ周方向に対して10度以上、45度以下の範囲で傾斜させた複数層のバンド層を備えても良い。
そして、本実施形態の折返しカーカスプライ6Aは、図1及び図2に示されるように、その折返し部6bの外端6beが、トレッド部2の内方かつバンド層7(ベルト層)の内側で終端する。
なお、折返しカーカスプライ6Aは、図1、2で示されているようなバンド層7(ベルト層)の内側で終端する形態でなくてもよい。
このような折返しカーカスプライ6Aは、旋回時に主に接地するトレッド端2t側において、折返し部6bのカーカスコード11をベルトコード12に交差させて、折返し部6bとバンド層7(ベルト層)とによる拘束力を大きくしうる。従って、折返しカーカスプライ6Aは、旋回時の横力を高めることができ、旋回性能を向上しうる。
トレッドゴム2Aを備えるタイヤ1において、トレッドゴム2Aを構成するトレッドゴム組成物は、例えば、以下に説明する成分を含む組成物を使用できる。なお、トレッドゴム2Aが多層構造のトレッドゴムの場合は、多層構造を構成する任意のゴム層に適用できる。なかでも、トレッドゴム表面を形成するタイヤ半径方向最外側のキャップゴム層に好適に適用できる。
トレッドゴム用組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーで、アセトンにより抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。前記ゴム成分は、常温(25℃)で固体状態である。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
トレッドゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましく、BR、SBRがより好ましい。また、これらのゴム成分は後述の変性処理、水素添加処理が行われていても良く、オイル、樹脂、液状ゴム成分などにより伸展された、伸展ゴムを用いても良い。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッドゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
トレッドゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれも使用可能である。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
トレッドゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッドゴム組成物は、フィラー(充填材)を含んでもよい。
フィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー、バイオ炭(BIO CHAR);難分散性フィラー等が挙げられる。
トレッドゴム組成物において、フィラーの合計含有量(シリカ、カーボンブラックなどのフィラーの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは65質量部以上、特に好ましくは90質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
フィラー(充填材)のなかでも、カーボンブラックなどの炭素由来フィラー(炭素含有フィラー)、シリカが好ましい。
トレッドゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、従来の鉱物油などを原料としたカーボンブラックのほか、リグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。また、タイヤなどのカーボンブラックを含むゴム製品、プラスチック製品などを分解して得られたリサイクルカーボンブラックを適宜、上記カーボンブラックと等量置換して用いても良い。
トレッドゴム組成物において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、120m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッドゴム組成物がカーボンブラックを含む場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは65質量部以上、特に好ましくは90質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッドゴム組成物において、使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカのほか、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを用いても良い。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、特に好ましくは180m/g以上、最も好ましくは190m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
トレッドゴム組成物がシリカを含む場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッドゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッドゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
難分散性フィラーとしては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等が挙げられる。なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維が好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
トレッドゴム組成物において、難分散性フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
トレッドゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。
可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、常温(25℃)において、液体であっても固体であっても良い。
トレッドゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは25質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、前述の伸展ゴムを用いる場合、その伸展ゴムに用いられた伸展成分量は可塑剤の含有量に含まれる。
トレッドゴム組成物に使用可能な可塑剤としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状ジエン系ポリマーなど)、樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(treated Residual Aromatic Extract)、RAE(residual Aromatic Extract)などのパラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。またライフサイクルアセスメントの観点から上記したオイルとして、ゴム混合機やエンジンなどで用いられた潤滑油や調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いても良い。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
トレッドゴム組成物に使用可能な上記樹脂としては、例えば、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。また、これらの樹脂は常温において、固体であっても液体であっても良い。
トレッドゴム組成物が上記樹脂を含有する場合、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。前記した樹脂の軟化点は通常、樹脂のガラス転移温度より50℃±5℃高い値となる。
また、前記樹脂が常温において液体である場合には、その軟化点は30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
トレッドゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
トレッドゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
トレッドゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
トレッドゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
トレッドゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。
トレッドゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは12.0質量部以下、より好ましくは11.0質量部以下、更に好ましくは10.0質量部以下である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
トレッドゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。
トレッドゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
トレッドゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
トレッドゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トレッドゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
トレッドゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
トレッドゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
また、トレッドゴム以外の他の部材を構成するゴム組成物においても、前述の材料を用い、適宜配合量を変更して使用することが可能である。
タイヤは、通常の方法により製造できる。例えば、公知の方法で、未加硫の状態で、トレッドゴムなどの各部材を作製し、各部材をタイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
図3には、本発明の他の実施形態のタイヤ1が示される。
この実施形態では、折返しカーカスプライ6Aが、タイヤ赤道Cにおいて、タイヤ半径方向内側に配される内側カーカスプライ15と、該内側カーカスプライ15の外側に配される外側カーカスプライ16とからなる。これらの内側、外側カーカスプライ15、16はそれぞれ、本体部15a、16aと、折返し部15b、16bとを具える。
また、本実施形態の内側カーカスプライ15、及び外側カーカスプライ16は、図4に示されるように、各々のカーカスコード19、20がタイヤ赤道Cに対して例えば65~90度の角度θ3で傾けて配列され、互いに逆向きに傾斜している。
前記内側カーカスプライ15は、図3及び図4に示されるように、その折返し部15bの外端15beが、トレッド部2の内方かつバンド層7(ベルト層)のタイヤ半径方向内側で終端する。
本実施形態の外側カーカスプライ16も、内側カーカスプライ15と同様に、その折返し部16bの外端16beが、トレッド部2、バンド層7(ベルト層)及び内側カーカスプライ15の折返し部15bの内側で終端する。
このような外側カーカスプライ16の折返し部16bは、前記トレッド端2t側において、そのカーカスコード20を、内側カーカスプライ15の折返し部15bのカーカスコード19及びベルトコード12に交差させることができ、該折返し部15bとバンド層7(ベルト層)との拘束力をさらに高めうる。
なお、外側カーカスプライ16の前記外端16beは、内側カーカスプライ15の前記外端15beとタイヤ軸方向で位置ずれして終端するのが望ましい。これにより、内側カーカスプライ15及び外側カーカスプライ16は、タイヤ赤道C側からトレッド端2t側にかけて、トレッド剛性を漸増させることができ、旋回時の過渡特性を向上しうる。
さらに、外側カーカスプライ16の前記外端16beは、内側カーカスプライ15の前記外端15beよりもタイヤ軸方向外側で終端するのが望ましい。
図5には、本発明の他の実施形態のタイヤ1が示される。
この実施形態では、トレッドゴム2Aは、軸方向に配置された異なるゴムからなる複数の領域を有する。本実施形態では、トレッドゴム2Aが有する複数の領域は、センター領域22と、一対のショルダー領域24とを含む。この場合、上記効果がより顕著に得られる。
トレッドゴムがセンター領域と一対のショルダー領域とを含むことで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。タイヤは直進時と旋回時において、車体の姿勢が異なることで、トレッド部が接地する場所が変わることとなる。またその際にトレッド部にかかる荷重も変わることから、直進時、旋回時に合わせたトレッドゴムを選択し、配置することにより、変形を最適化することができ、耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。
センター領域22は、タイヤ1の軸方向中央に位置している。センター領域22は、一例として、軸方向において赤道面Cを跨ぐ中央に位置している。センター領域22は、例えば、コーナー進入時のブレーキ性能と直進走行時の加速性能とを得るために用いられる。ショルダー領域24は、例えば、旋回走行時のグリップ力と加速性能とを得るために用いられる。
ショルダー領域24は、タイヤ1の軸方向外側に位置している。ショルダー領域24は、一例として、軸方向においてセンター領域22の外側に位置している。言い換えると、トレッドゴム2Aでは、センター領域22の軸方向両側にショルダー領域24が配置されている。センター領域22及びショルダー領域24は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ力に優れた架橋ゴムからなることが望ましい。タイヤ1では、センター領域22の複素弾性率Eは、ショルダー領域24の複素弾性率Eよりも小さいことが望ましい。
図6には、本発明の他の実施形態のタイヤ1が示される。
この実施形態では、トレッドゴム2Aは、径方向に配置された異なるゴムからなる複数の領域を有する。本実施形態では、トレッドゴム2Aは、トレッド部2内方でバンド層7(ベルト層)に沿ってタイヤ軸方向に延在するベースゴム層2Abと、このベースゴム層2Abの半径方向外側でタイヤ軸方向にのびトレッド面をなすキャップゴム層2Acとからなる2層構造のトレッドゴムである。この場合、上記効果がより顕著に得られる。
トレッドゴムがキャップゴム層とベースゴム層とを含むことで前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
トレッドゴムが2層以上となることで、トレッド部内に界面が生じ、この界面部でも路面からの入力を吸収することができ、カーカスコードに働く力を抑制することができ、耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。
本発明の適用が可能なタイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、自動二輪車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、自動二輪車用タイヤに好適に適用できる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
図1(単層構造のトレッドゴム)、図5(センター領域及び一対のショルダー領域からなるトレッドゴム)、又は図6(キャップゴム層及びベースゴム層からなる2層構造のトレッドゴム)の基本構造を有し、かつ表4、5の仕様としたカーカスプライを有する後輪の自動二輪車用タイヤを製造し、それらの性能をテストする。
なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:
180/55ZR17
リムサイズ:
後輪:MT5.50×17
トレッド幅TW:180mm
トレッド展開半幅0.5TWe:90mm
カーカス:
折返しカーカスプライ:
カーカスコードの角度θ1:90度
カーカスコードのエンズ:40本/5cm
内側カーカスプライ、及び外側カーカスプライ:
カーカスコードの角度θ3:80度
カーカスコードのエンズ:40本/5cm
バンド層:
ジョイントレスプライの枚数:1枚
ジョイントレスプライの幅W1:168mm
比W1/TW:93%
ベルトコードのコード材:スチール
ベルトコードの角度θ2:0度
トレッドゴム配合:表1~3
テスト方法は、次の通りである。
基準比較例は、以下の通りである。
基準比較例:比較例1
Figure 2024101826000001
Figure 2024101826000002
Figure 2024101826000003
トレッドゴムで使用される材料は、以下のとおりである。
SBR3830:旭化成(株)製のタフデン3830(スチレン含有量:33質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(Co系触媒を用いて合成したハイシスBR)
NR:RSS#3
カーボンブラック1:キャボットジャパン社製のショウブラックN110(NSA:145m/g)
カーボンブラック2:キャボットジャパン社製のショウブラックN326(NSA:81m/g)
オイル:出光興産(株)製のNH-70
樹脂:Arizona Chemical社製のSylvatraxx 4401(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃)
ワックス:日本精鑞社製のOzoace0355
老化防止剤:住友化学社製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油社製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製の銀嶺R
硫黄:細井化学工業社製のHK-200-5(粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS‐G(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
〔耐久性能〕
各タイヤを、リム(20x8.0JJ)、内圧(230kPa)、走行速度81km/hの条件にて、ドラム試験機上を走行させる。負荷荷重をJATMA規定の最大荷重の85%から4時間毎に15%ずつ増加させて、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定する。尚、負荷荷重がJATMA規定の最大荷重の280%に達する場合は、それを最終荷重として故障するまで走行させる。結果は、基準比較例を100とする指数で表示する。数値が大きいほど、耐久性能が良好である。
Figure 2024101826000004
Figure 2024101826000005
本発明(1)はトレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤであって、
前記ハイブリッドコードの上撚り数をR3〔回/10cm〕、前記ハイブリッドコードの総繊度をD3〔dtex〕とし、R3×(D3)1/2で表される前記ハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3が、1800以上、2600以下であり、
前記撚り係数K3と前記トレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(K3×L)が、15000以上であるタイヤである。
本発明(2)はポリエステル繊維ヤーンの下撚り数をR2〔回/10cm〕、ポリエステル繊維ヤーンの総繊度をD2〔dtex〕とし、R2×(D2)1/2で表されるポリエステル繊維ヤーンの下撚りにおける撚り係数K2に対する、ポリアミド繊維ヤーンの下撚り数をR1〔回/10cm〕、ポリアミド繊維ヤーンの総繊度をD1〔dtex〕とし、R1×(D1)1/2で表されるポリアミド繊維ヤーンの下撚りにおける撚り係数K1の比(K1/K2)が、1.00以上、1.30以下である本発明(1)記載のタイヤである。
本発明(3)はハイブリッドコードが、1本のポリアミド繊維ヤーンと1本のポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせた2本で構成されるハイブリッドコード、又は1本のポリアミド繊維ヤーンと2本のポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせた3本で構成されるハイブリッドコードである本発明(1)又は(2)記載のタイヤである。
本発明(4)はハイブリッドコードの総繊度D3が、1600~5500dtexである本発明(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(5)はハイブリッドコードの上撚り数R3が、30.0~55.0回/10cmである本発明(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(6)はトレッドゴムの厚みLが、6.0mm以上である本発明(1)~(5)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(7)は撚り係数K3が、2200以上、2500以下である本発明(1)~(6)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(8)はK3×Lが、19000以上である本発明(1)~(7)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(9)はハイブリッドコードの上撚り数R3〔回/10cm〕とトレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(R3×L)が、340.0以上、405.0以下である本発明(1)~(8)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(10)はK1/K2とトレッドゴムの厚みL〔mm〕との積((K1/K2)×L)が、8.6以上、9.7以下である本発明(1)~(9)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(11)はトレッドゴムが、センター領域と一対のショルダー領域とを含む本発明(1)~(10)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(12)はトレッドゴムが、キャップゴム層とベースゴム層とを含む本発明(1)~(11)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(13)は自動二輪車用タイヤである本発明(1)~(12)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
1 自動二輪車用タイヤ
2 トレッド部
2A トレッドゴム
6 カーカス
6A 折返しカーカスプライ
7 バンド層
7A ジョイントレスプライ
11 カーカスコード
12 ベルトコード

Claims (13)

  1. トレッドゴムと、少なくとも1本のポリアミド繊維ヤーンと少なくとも1本のポリエステル繊維ヤーンとのハイブリッドコードを含むカーカスとを備えたタイヤであって、
    前記ハイブリッドコードの上撚り数をR3〔回/10cm〕、前記ハイブリッドコードの総繊度をD3〔dtex〕とし、R3×(D3)1/2で表される前記ハイブリッドコードの上撚りにおける撚り係数K3が、1800以上、2600以下であり、
    前記撚り係数K3と前記トレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(K3×L)が、15000以上であるタイヤ。
  2. ポリエステル繊維ヤーンの下撚り数をR2〔回/10cm〕、ポリエステル繊維ヤーンの総繊度をD2〔dtex〕とし、R2×(D2)1/2で表されるポリエステル繊維ヤーンの下撚りにおける撚り係数K2に対する、ポリアミド繊維ヤーンの下撚り数をR1〔回/10cm〕、ポリアミド繊維ヤーンの総繊度をD1〔dtex〕とし、R1×(D1)1/2で表されるポリアミド繊維ヤーンの下撚りにおける撚り係数K1の比(K1/K2)が、1.00以上、1.30以下である請求項1に記載のタイヤ。
  3. ハイブリッドコードが、1本のポリアミド繊維ヤーンと1本のポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせた2本で構成されるハイブリッドコード、又は1本のポリアミド繊維ヤーンと2本のポリエステル繊維ヤーンとを撚り合わせた3本で構成されるハイブリッドコードである請求項1に記載のタイヤ。
  4. ハイブリッドコードの総繊度D3が、1600~5500dtexである請求項1に記載のタイヤ。
  5. ハイブリッドコードの上撚り数R3が、30.0~55.0回/10cmである請求項1に記載のタイヤ。
  6. トレッドゴムの厚みLが、6.0mm以上である請求項1に記載のタイヤ。
  7. 撚り係数K3が、2200以上、2500以下である請求項1に記載のタイヤ。
  8. K3×Lが、19000以上である請求項1に記載のタイヤ。
  9. ハイブリッドコードの上撚り数R3〔回/10cm〕とトレッドゴムの厚みL〔mm〕との積(R3×L)が、340.0以上、405.0以下である請求項1に記載のタイヤ。
  10. K1/K2とトレッドゴムの厚みL〔mm〕との積((K1/K2)×L)が、8.6以上、9.7以下である請求項1に記載のタイヤ。
  11. トレッドゴムが、センター領域と一対のショルダー領域とを含む請求項1に記載のタイヤ。
  12. トレッドゴムが、キャップゴム層とベースゴム層とを含む請求項1に記載のタイヤ。
  13. 自動二輪車用タイヤである請求項1に記載のタイヤ。
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