JP2024070442A - タイヤ - Google Patents

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JP2024070442A JP2022180943A JP2022180943A JP2024070442A JP 2024070442 A JP2024070442 A JP 2024070442A JP 2022180943 A JP2022180943 A JP 2022180943A JP 2022180943 A JP2022180943 A JP 2022180943A JP 2024070442 A JP2024070442 A JP 2024070442A
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卓也 栗原
Takuya Kurihara
冬 繆
Dong Miao
孝之 三木
Takayuki Miki
益任 鈴木
Masutaka Suzuki
奈津希 前川
Natsuki Maekawa
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Abstract

【課題】耐久性能に優れたタイヤを提供する。【解決手段】ビード部に、表面めっき層を有するスチールワイヤで構成されたビードコアを有するタイヤであって、前記スチールワイヤは、前記表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%であるタイヤに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
従来から、各種タイヤ性能を改善する手法が種々検討されているが、近年、高湿熱劣化後のコード/めっき層間の剥離などを防止し、耐久性能を向上することが求められている。
本発明は、前記課題を解決し、耐久性能に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ビード部に、表面めっき層を有するスチールワイヤで構成されたビードコアを有するタイヤであって、前記スチールワイヤは、前記表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%であるタイヤに関する。
本発明は、ビード部に、表面めっき層を有するスチールワイヤで構成されたビードコアを有するタイヤであって、前記スチールワイヤは、前記表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%であるタイヤであるので、耐久性能に優れたタイヤを提供できる。
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す断面図である。 図1のビード部の拡大斜視図である。 図1のビードコアの拡大断面図である。 ビードコアの部分斜視図である。 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ(乗用車用タイヤ)の一部が示された断面図である。 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ(重荷重用タイヤ)の一部が示された断面図である。 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ(二輪自動車用タイヤ)の一部が示された断面図である。
本発明は、ビード部に、めっき層を有するスチールワイヤで構成されたビードコアを有し、かつ、該スチールワイヤは、該めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%であるタイヤである。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
ゴムとめっき層の接着層は一般的にめっき層内の銅元素がゴム中の硫黄と結合することにより形成されると考えられる。しかしながら、高湿熱劣化中にめっき層内の銅元素がゴム内に溶出してしまうこと、また、めっき層がスチールワイヤ表面から剥離し、ゴム及びスチールワイヤ間の剥離をまねきやすくなると考えられる。
そこで、スチールワイヤ内部に銅元素を少量含ませることにより、ワイヤ内の銅元素及びめっき層内の銅元素の相互作用により、ワイヤ及びめっき層間の結合力を高めると共に、劣化時にめっき層から銅元素が溶出した際にもワイヤ内部から銅元素を供給できるようにすることで、めっき層及びスチールワイヤ間の接着性、ゴム及びめっき層間の接着性が強固となり、耐久性能が向上するものと考えられる。
以下、本発明の実施の一形態について図面を用いて説明するが、特に本例に限定されるものではない。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1(空気入りタイヤ)の正規状態のタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。
本明細書において、「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では、特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける“標準リム”、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association,Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、「正規リム」の場合と同様にJATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合、前記正規リムを標準リムとして記載されている別のタイヤサイズ(規格に定められているもの)の正規内圧(但し、250kPA以上)を指す。なお、250kPa以上の正規内圧が複数記載されている場合には、その中の最小値を指す。
また、本明細書において、「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、前記した「正規リム」や「正規内圧」の場合と同様に、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合は以下の計算により、正規荷重Wを求める。
V={(Dt/2)-(Dt/2-Ht)}×π×Wt
=0.000011×V+175
:正規荷重(kg)
V:タイヤの仮想体積(mm
Dt:タイヤ外径(mm)
Ht:タイヤの断面高さ(mm)
Wt:タイヤの断面幅(mm)
タイヤの「断面幅Wt(mm)」は正規状態において、タイヤ側面に模様または文字などがある場合にはそれらを除いたものとしてのサイドウォール外面間の最大幅である。
タイヤの「外径Dt(mm)」は正規状態におけるタイヤの外径を指す。
タイヤの「断面高さHt(mm)」はタイヤの半径方向断面における、タイヤ半径方向の高さを指し、タイヤのリム径をR(mm)としたとき、タイヤの外径Dtとリム径Rとの差の半分に相当する。言い換えると、断面高さHtは(Dt-R)/2により求めることが可能である。
また、本明細書において、タイヤの「扁平率」とは、タイヤの断面幅Wt(mm)に対するタイヤの断面高さHt(mm)の比を百分率で表したものであり、Ht/Wt×100により求めることができる。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、カーカス6及びベルト層7を具えている。
カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る。カーカス6は、例えば、1枚のカーカスプライ6Aで形成されている。カーカスプライ6Aは、例えば、本体部6aと折り返し部6bとを含んでいる。本体部6aは、例えば、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビードコア5に至る。折り返し部6bは、例えば、本体部6aに連なりかつビードコア5の回りで折り返されている。
カーカスプライ6Aは、例えば、タイヤ周方向に対して75~90°の角度で傾けて配列されたカーカスコードを有している。
カーカスコードとしては特に限定されないが、上記効果が良好に得られる観点から、例えば、有機繊維により形成された有機繊維コードを好適に使用できる。有機繊維としてはポリエステル、ポリアミド、セルロースなどが挙げられる。これらは合成繊維でも良く、バイオマス由来の繊維であっても良い。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、リサイクル、再生材料由来であることが望ましい。また、これらの繊維は合成繊維、バイオマス繊維、リサイクル/再生繊維の単一成分で形成されていても良く、これらを撚り合わせたハイブリッドコード、それぞれのフィラメントを合わせたマルチフィラメントを用いたコード、それぞれの成分が化学的に結合した化学構造を有するコードの何れであっても良い。
特に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、セルロース繊維を用いることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
これらの有機繊維を用いることで、走行時のタイヤ変形に伴い適度な伸び特性が付与され、それにより、乗り心地が向上し、また、耐久性能が向上したものと考えられる。
ポリエステルコードとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)コード、ポリエチレンナフタレート(PEN)コード、ポリエチレンフラノエート(PEF)等が挙げられる。他のポリエステルコードと比較して、耐空気透過性に優れ、タイヤ内部の空気圧を保持しやすい観点から、PEFを用いても良い。また、ポリエステルコードの一部がポリアミド繊維等などの他の有機繊維からなるコードとのハイブリッドコードであっても良い。
前記ポリエステルコードがバイオマス由来のポリエステルコードである場合、バイオマス由来のテレフタル酸やエチレングリコールを用いたバイオマスPETコード、バイオマス由来のフランジカルボン酸を用いたバイオマスPEFなどを好適に用いることができる。
前記バイオマスポリエステルコードは、バイオエタノールやフルフラール類、カレン類、シメン類、テルペン類などから変換、もしくは各種動植物由来の化合物から変換、微生物等から直接発酵製造したバイオマステレフタル酸、バイオマスエチレングリコールなどから得ることが可能である。
ポリアミドコードとしては、例えば、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが挙げられる。
脂肪族ポリアミドは、直鎖の炭素鎖がアミド結合により繋がった骨格を有するポリアミドであり、ナイロン4(PA4)、ナイロン410(PA410)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン610(PA610)、ナイロン1010(PA1010)、ナイロン1012(PA1012)、ナイロン11(PA11)、などを挙げることが出来る。中でも部分的又は完全にバイオマス由来の材料で得られやすい観点からは、ナイロン4、ナイロン410、ナイロン610、ナイロン10、ナイロン1010、ナイロン11などが挙げられる。
ナイロン6、ナイロン66としては、従来の化学合成由来のカプロラクタムを開環重合させたもの、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸を縮合重合させたものほか、バイオ由来のシクロヘキサンを出発原料としてバイオカプロラクタムもしくは、バイオアジピン酸、バイオヘキサメチレンジアミンを製造し、それらを用いたナイロン6、もしくはナイロン66を用いても良い。また、前記したバイオ原料はグルコースのような糖などから得たものであっても良い。これらのナイロン6、ナイロン66は従来用いられてきたものと同様の強度を備えると考えられる。
ナイロン4としては、バイオ発酵由来のグルタミン酸から、γ-アミノ酪酸に変換したのちに得られる2-ピロリドンを原料としたものが代表として挙げられるが、これに限られない。ナイロン4は、熱的・機械的安定性が良好であり、高分子構造設計が容易という特徴を有しているため、タイヤの性能、強度向上に寄与するため、好適に用いることが可能である。
ナイロン410、ナイロン610、ナイロン1010、ナイロン1012、ナイロン11等は、ひまし油(トウゴマ)から得られるリシノール酸などを原料として得ることが出来る。具体的には、ひまし油から得たセバシン酸、ドデカン二酸と任意のジアミン化合物を縮合重合することにより、ナイロン410、ナイロン610、ナイロン1010を得ることができ、ひまし油から得た11-アミノウンデカン酸を縮合重合することによりナイロン11を得ることが可能である。
半芳香族ポリアミドは、分子鎖の一部に芳香環構造を有するポリアミドであり、例えば、ナイロン4T(PA4T)、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン10T(PA10T)などが挙げられる。
ナイロン4T、ナイロン6T、ナイロン10Tは、ジカルボン酸として、テレフタル酸を用い、それぞれ任意の炭素数のジアミン化合物と縮合重合を行うことにより得ることが可能である。その際、前述のバイオマス由来のテレフタル酸を用いてこれらのナイロン材料を得ることも可能である。これらは分子鎖内に剛直な環状構造を有する為、耐熱性などの観点で優れる。
また、上記した脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドとして、リジン由来の1,5-ペンタンジアミンをジカルボン酸類と重合したポリアミド5X(Xはジカルボン酸由来の炭素数であり、整数もしくはテレフタル酸を表すT)が挙げられる。
全芳香族ポリアミドとしては、芳香環がアミド結合により繋がった骨格を有するポリアミドが挙げられ、ポリパラフェニレンテレフタルアミドなどが例示される。全芳香族ポリアミドも前述の脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドと同様に、バイオマス由来のテレフタル酸とフェニレンジアミンを結合させることにより得ても良い。
セルロース繊維としては、木材パルプ等の植物素材から製造されるレーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテート、リヨセル、モダール等を挙げることができる。これらセルロース系繊維は、原料がカーボンニュートラルであるだけでなく、生分解性であり使用後焼却しても有害ガスが出ない等の優れた環境性能を有する観点から望ましい材料である。上記の中でも、工程の効率、環境への優しさ、機械強度のバランスから、レーヨン、ポリノジック、リヨセルが特に好ましい。
また、カーカスコードは、合成、バイオマス由来を問わず、飲料用ボトルや衣料品などの使用済みのものから回収、精製したものを再度紡糸することにより得られたリサイクルコードであっても良い。
カーカス6に有機繊維コードを含むカーカスコードが使用され、該カーカスコードがASTMD6866-10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)(この値は、カーカスコード全体のバイオマス比率を示す)が1質量%以上であることが望ましい。環境面から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、100質量%でもよい。効果がより好適に得られるという理由から、pMCは高いほど好ましい。
pMC1質量%以上のカーカスコードを用いることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
バイオマス由来のカーカスコードの場合、石油由来のモノマーから合成されたコードとはごく微量の不純物が異なると考えられ、例えば、バイオマス由来のポリマーには微量の窒素化合物が存在し、種々の物性に影響し、耐久性能などを向上したものと考えられる。
また近年のSDGsの要求に伴い、バイオマス由来の原料を用いることにより、よりカーボンニュートラルとなる製品を製造できるというメリットも大きい。さらに由来のバイオマスによっては、所謂地産地消を実現できるものも多く、輸送費の削減によるCO削減効果も大きい。
ここで、pMCとは、標準現代炭素(modern standard reference)の14C濃度に対する試料の14C濃度の比であり、本明細書では、この値が化合物(コード)のバイオマス比率を示す指標として用いられる。この値の持つ意義について、下記に述べる。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガス等の化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に21世紀である現在においては、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料には14C元素は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。
一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。従って、現在の環境中で物質循環しているバイオマス資源由来の物質の14C濃度は、前記のとおりC原子全体に対して約1×10-12mol%程度の値となる。従って、これらの値の差を利用して、ある化合物(コード)中の天然資源由来の化合物(バイオマス資源由来の化合物)の比率(バイオマス比率)を算出する事ができる。
この14Cは、次のようにして測定することが一般的である。タンデム加速器をベースとした加速器質量分析法を使用し、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行う。測定では、14Cの濃度の基準となるmodern standard referenceとして、1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度を採用する。具体的な標準物質としては、NIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が提供するシュウ酸標準体を用いる。このシュウ酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値(100%)として用いる。この値と、実際に測定した試料の値の比が、本発明で用いるpMC値となる。
従って、ゴムが100%バイオマス(天然系)由来の物質で製造されたものであれば、地域差等あるものの、おおよそ110pMC程度の値を示すことになる(現在は通常の状態では、100とならないことが多い)。一方、石油等の化石燃料由来の化学物質について、この14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMC(例えば、0.3pMC)を示すことになる。この値が上述で言うバイオマス比率0%に相当する。
以上のことから、pMC値の高いゴムなどの材料、すなわち、バイオマス比率の高いゴムなどの材料をタイヤ用ゴム組成物に用いることは、環境保護の面で好適である。
なお、上述のように、標準物質との比率で計算されるという性質上、100%を超える値を取り得る。
本明細書において、各成分のpMCは、ASTMD6866-10に準拠して測定して得られる値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
なお、実施例に記載のように、コードなどの各材料(各成分)の14C濃度を分析するためには、まずゴムなどの各成分の前処理が必要となる。具体的には、ゴムなどの各成分に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する必要がある。そして、この得られたグラファイトにCs等の陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させ、タンデム加速器を用いて炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、143+は静電分析器により測定を行うことができる。
なお、本明細書では、バイオマスのことをバイオマス資源ともいう。
カーカスコードは、1本以上のフィラメントを撚り合わせることにより形成されてよい。例えば、1100デシテックスのマルチフィラメントをそれぞれ2本合わせて(言い換えれば、1100/2デシテックス)、48回/10cmの下撚りをかけた後、この下撚コード2本を合せて下撚と反対又は同方向に同数の上撚をかけたもの、1670デシテックスのマルチフィラメントをそれぞれ2本合わせて(言い換えれば、1670/2デシテックス)、40回/10cmの撚りをかけた後、この下撚コード2本を合せて上撚をかけたものなどを使用することが出来る。
また、カーカスコードは、被覆層との良好な接着性を確保する観点から、予め接着層が塗布された処理をされていることが好ましい。接着層としては公知のものが使用でき、例えばレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)による処理のほか、ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物などによりエポキシ処理した後、RFL処理したものや、ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物により処理したもの等が使用可能である。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、例えば、特開昭48-11335号公報に記載されているように、天然ゴム及び/又は合成ゴムラテックスと、フェノール-ホルムアルデヒドとレゾルシノールとの共縮合物とを含む接着剤組成物などが挙げられる。このような接着剤組成物は、例えば、アルカリ性触媒の存在下でフェノールとホルムアルデヒドとを縮合する工程と、水性フェノール-ホルムアルデヒド樹脂溶液とレゾルシノールとを共重合する工程と、生成したフェノール-ホルムアルデヒド-レゾルシノール樹脂溶液とラテックスゴムとを混合する工程とを含む製造方法により製造できる。
なお、合成ゴムラテックスとしては、ブタジエン重合体ラテックス、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス、イソプレン重合体ラテックス、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体ラテックス、ブタジエン/ビニルピリジン重合体ラテックス、ブタジエン/ビニルピリジン/スチレン共重合体ラテックスなどが挙げられる。
上記レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)からなる接着層は、RFL接着剤を付与すること(上記コードをRFL液に浸漬(DIP:ディッピング)する方法など)により、形成できる。上記RFL接着剤は、通常、撚糸して繊維コードを得た後に付着されるが、撚糸の前又は途中に行ってもよい。
上記RFL接着剤の組成は特に限定されず、適宜選択すればよいが、なかでも、レゾルシン0.1~10質量%、ホルマリン0.1~10質量%、及びラテックス1~28質量%を含む組成物であることが好ましく、レゾルシン0.5~3質量%、ホルマリン0.5~3質量%、及びラテックス10~25質量%を含む組成物であることがより好ましい。
加熱処理における加熱方法としては、例えば、RFL接着剤組成物が付着したコードを100~250℃で1~5分乾燥処理した後、さらに、150~250℃で1~5分で熱処理を行う方法などが挙げられる。乾燥処理後の熱処理の条件は、180~240℃で1~2分であることが望ましい。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物は、ソルビトールポリグリシジルエーテルと、ブロックイソシアネートとを含む組成物であれば特に限定されない。なかでも、ソルビトールポリグリシジルエーテルであって塩素含有量が9.6質量%以下であるエポキシ化合物と、ブロックドイソシアネートとを含む組成物が望ましい。
ソルビトールポリグリシジルエーテルとしては、ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールペンタグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、又はこれらの混合物などが挙げられ、ソルビトールモノグリシジルエーテルが含まれていてもよい。ソルビトールポリグリシジルエーテルは、1分子中に多数のエポキシ基を有しており高い架橋構造を形成することができる。
ソルビトールポリグリシジルエーテルの塩素含有量は、9.6質量%以下が好ましく、9.5質量%以下がより好ましく、9.4質量%以下が更に好ましく、9.3質量%以下が特に好ましい。該塩素含有量の下限は、特に限定されず、例えば、1質量%以上である。
なお、本発明において、ソルビトールポリグリシジルエーテルの塩素含有量は、JIS K 7243-3に記載の方法などにより求めることができる。
ソルビトールポリグリシジルエーテルの塩素含有量は、エポキシ化合物を合成する際に使用するエピクロルヒドリンの量を削減すること等により低減できる。
ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物とブロック剤との反応により生成し、ブロック剤由来の基により一時的に不活性化されている化合物であり、所定温度で加熱するとそのブロック剤由来の基が解離し、イソシアネート基を生成する。
イソシアネート化合物としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するもの等が挙げられる。
2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート類としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、及びこれらの異性体、アルキル置換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物等を使用できる。また、3個のイソシアネート基を有するトリイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有するテトライソシアネート類、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を使用できる。これらのイソシアネート化合物は、1種単独で又は2種以上併用することができる。中でも、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。
ブロック剤としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノール等のフェノール系;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール等のアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系等を挙げることができる。なかでも、ラクタム系、フェノール系、オキシム系ブロック剤が好ましい。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物において、ブロックイソシアネートの含有量は、ソルビトールポリグリシジルエーテル100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは200質量部以上である。上限は、好ましくは500質量部以下、より好ましくは400質量部以下である。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物には、必要に応じて以下の任意成分が含まれていても良い。例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル以外のエポキシ化合物、ソルビトールポリグリシジルエーテルと共重合可能な樹脂、ブロックドイソシアネート以外の硬化剤、有機増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、接着性向上剤、補強剤、軟化剤、着色剤、レベリング剤、難燃剤、及び帯電防止剤等が挙げられる。
ソルビトールポリグリシジルエーテル以外のエポキシ化合物として、例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、及びブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、及びダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル;トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルヒンダントイン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、ジグリシジルトリブロムアニリン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン;並びに3,4-エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイド等が挙げられる。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物による処理としては、RFLに含まれる各種成分をコードに付着させるために行われる処理、及び必要に応じてその後の加熱処理を含む処理などが挙げられる。
付着方法としては、例えば、ローラーを使った塗布、ノズルからの噴霧、浴液(接着剤組成物)への浸漬等任意の方法を用いることができる。均一に付着させ、かつ余分な接着剤を除去する観点から、浸漬による付着が好ましい。
また、コードへの付着量を調整するために、圧接ローラーによる絞り、スクレイパー等によるかき落とし、空気吹き付けによる吹き飛ばし、吸引、ビーターによる叩き等の手段をさらに採用してもよい。
コードへの付着量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
なお、コードへの付着量は、コード100質量部に対して、付着される上記RFL接着剤中の固形分の量である。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物の全固形分濃度は、好ましくは0.9質量%以上、より好ましくは14質量%以上であり、また、好ましくは29質量%以下、より好ましくは23質量%以下である。
上記ソルビトールポリグリシジルエーテルとブロックイソシアネートとを含む接着剤組成物には、レゾルシン、ホルマリン、ゴムラテックスの他に、加硫調整剤、亜鉛華、酸化防止剤、消泡剤等を添加してもよい。
加熱処理における加熱方法としては、例えば、RFL接着剤組成物が付着した補強材16を100~250℃で1~5分乾燥処理した後、さらに、150~250℃で1~5分で熱処理を行う方法などが挙げられる。乾燥処理後の熱処理の条件は、180~240℃で1~2分であることが望ましい。
上記ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物はこれらの成分を含むものであれば特に限定されないが、ハロヒドリン化合物、ブロックイソシアネート化合物及びゴムラテックスを含み、かつレゾルシン及びホルムアルデヒドを含まない接着剤組成物が望ましい。
ハロヒドリン化合物としては、ポリオール化合物とエピハロヒドリン化合物(ハロヒドリンエーテル)と反応させて得られる化合物などが挙げられる。
ポリオール化合物とは、分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、酒石酸などのヒドロキシル酸、グリセリン酸、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
エピハロヒドリン化合物としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。
ハロヒドリン化合物としては、例えば、フルオロアルコール化合物、クロロヒドリン化合物、ブロモヒドリン化合物、ヨードヒドリン化合物などが挙げられる。なかでも、ハロゲン化ソルビトール、ハロゲン化グリセロールが好ましい。
ハロヒドリン化合物100質量%中のハロゲン含有量は、5.0~15.0質量%が好ましく、7.0~13.0質量%がより好ましく、9.0~12.0質量%が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、前述のブロックイソシアネートと同様の化合物が挙げられる。また、ゴムラテックスは、前述のゴムラテックスと同様のものが挙げられる。
上記ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物は、ハロヒドリン化合物が10.0~30.0質量部、ブロックイソシアネート化合物10.0~30.0質量部、及びゴムラテックス80.0~240.0質量部を含むことが望ましい。そして、当該接着剤組成物は、レゾルシン及びホルムアルデヒドを含まない。
上記ハロヒドリン化合物とブロックイソシアネート化合物とゴムラテックスとを含む接着剤組成物からなる接着剤層は、該接着剤組成物を使用して、コードの表面上に形成される。該接着剤層は、例えば、浸漬、ブラッシング、鋳造、噴霧、ロールコーティング、ナイフコーティングなどによって形成されるが、これらに限定されない。
カーカス6において、カーカスプライ6Aの本体部6aと折り返し部6bとの間には、例えば、ビードコア5から先細状にのびる硬質のビードエーペックスゴム8が配されている。これにより、ビード部4が補強される。
ベルト層7は、例えば、カーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されている。本実施形態のベルト層7は、例えば、2枚のベルトプライ7A、7Bで形成されている。ベルトプライ7A、7Bは、例えば、タイヤ周方向に対して10~45°の角度で傾斜して配列されたベルトコードを有している。ベルトプライ7A、7Bは、例えば、互いのベルトコードが交差する向きに重ね合わされている。ベルトコードには、例えば、スチール、アラミド又はレーヨン等が好適に採用される。これにより、トレッド部2の剛性が効果的に高められる。
図2には、図1のビード部4の拡大斜視図が示されている。図2に示されるように、ビードコア5は、スチールからなるビードワイヤ20で構成されている。
ビードワイヤ20は、表面めっき層(図示省略)を有し、該表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%である。好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
ビードワイヤ20は、表面めっき層を有し、該表面めっき層を除く内部コードのコバルト含有量が0.01~2.0質量%であることが望ましい。好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.9質量%以下、特に好ましくは0.7質量%以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
内部コードのコバルト含有量が所定範囲であると、上記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、スチールワイヤのFe内の外径側に含まれるCoがめっき層の一部として働くため、接着耐久性が向上し、耐久性能が向上すると推察される。
ビードワイヤ20は、表面めっき層を有し、該表面めっき層を除く内部コードの亜鉛含有量が、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、また、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは0.005質量%以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
ビードワイヤ20は、表面めっき層を有し、該表面めっき層を除く内部コードのスズ含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上であり、また、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
なお、本発明において、「表面めっき層」とは、表面めっき層を有するスチールワイヤの表面からコード内側方向(コード表面の法線方向)に1μmまでの部分を指す。
「表面めっき層を除く内部コードの銅含有量」とは、該表面めっき層を除いたスチールワイヤ材料中の銅の含有量を指す。
「表面めっき層を除く内部コードのコバルト含有量」とは、該表面めっき層を除いたスチールワイヤ材料中のコバルトの含有量を指す。
「表面めっき層を除く内部コードの亜鉛含有量」とは、該表面めっき層を除いたスチールワイヤ材料中の亜鉛の含有量を指す。
「表面めっき層を除く内部コードのスズ含有量」とは、該表面めっき層を除いたスチールワイヤ材料中の亜鉛の含有量を指す。
表面めっき層は、効果がより得られる観点から、Cu(銅)を含むことが好ましく、Cu、Znの両方を含むことがより好ましい。
表面めっき層は、金属成分がCu及びZnのみからなる被膜とすることもできるが、Cu及びZn以外の金属成分を含んでもよい。表面めっき層は、例えば、その他の元素として、銅及び亜鉛の間のイオン化傾向にある元素を含むことが好ましく、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)、アンチモン(Sb)及びビスマス(Bi)からなる群より選択される少なくとも1種の元素が挙げられる。
表面めっき層全体としての組成は特に限定されないが、表面めっき層に含まれる金属成分のうち、例えば、Cuの含有量が10質量%以上75質量%以下であることが好ましい。また、表面めっき層がさらにCoやNiを含む場合、Co及びNiの含有量は合計で0.5質量%以上7.5質量%以下とすることが好ましい。そして、残部をZnとすることができる。
表面めっき層は、伸線加工前のワイヤ材料に、銅層、亜鉛層、必要に応じてさらにコバルト層や、ニッケル層をめっきにより形成した後、熱処理することによりワイヤの表面に形成した各層の金属を拡散することで形成できる。なお、表面めっき層を形成するためにワイヤに形成する銅層などの積層順は特に限定されないが、例えば、ワイヤ側から銅層、亜鉛層の順になるように積層することが好ましい。また、コバルト層やニッケル層は、銅層と亜鉛層との間、もしくは亜鉛層上に形成することが好ましい。
熱処理の条件は特に限定されないが、例えば、大気雰囲気下、500℃以上650℃以下で、5秒以上25秒以下加熱することにより実施できる。
そして、表面めっき層(めっき被膜)を形成した後、所望のワイヤ径となるように伸線加工することで、表面めっき層を有するワイヤを形成できる。
ビードワイヤ20の線径は、0.10mm以上、1.50mm以下であることが好ましい。特に、乗用車用タイヤのビードワイヤ20の線径は、0.20mm以上、1.40mm以下であることが好ましい。重荷重用タイヤのビードワイヤ20の線径は、0.10mm以上、1.20mm以下であることが好ましい。二輪自動車用タイヤのビードワイヤ20の線径は、0.10mm以上、0.25mm以下であることが好ましい。
表面めっき層を有するスチールワイヤは、表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が前記範囲内のものであれば特に限定されず、例えば、コード作製時に銅、必要に応じてコバルト、亜鉛などを混合させて作製したスチールワイヤを使用できるが、ライフサイクルアセスメントの観点から、タイヤ、その他の金属を含む製品及び廃棄物からリサイクルされたリサイクルスチール由来のスチールワイヤを用いてもよい。リサイクルスチールの由来は特に限定されないが、タイヤ、建造物、電線、電車、自動車、食物缶、飲料缶などリサイクル品として利用できるものが挙げられ、中でも、タイヤに用いられるビードワイヤー、ベルトコード、スチールプライ由来であることが好ましい。
スチールワイヤがリサイクルスチールの場合、リサイクルスチール内の銅元素は、スチールワイヤの表面層(1μm以下の範囲)を超えて、内部まで均一に含まれていることが望ましい。銅元素濃度が上記の濃度範囲かつ内部まで均一に含まれる状態であるとコードの加工性、強度、隣接ゴム素材との接着性のバランスを向上させることができる。
また、リサイクルスチールがコバルト元素を含む場合、スチールワイヤの表面層(1μm以下の範囲)を超えて、内部まで上記濃度範囲で含まれていることが望ましい。
図2において、ビードコア5は、1本のビードワイヤ20をタイヤ回転軸の回りに連続して巻き付けることにより形成されたシングルワインド構造を有する。
図3には、本実施形態のビードコア5の拡大断面図が示されている。図3に示されるように、ビードコア5の一例としては、例えば、ビードワイヤ20がタイヤ軸方向に並ぶワイヤ層10を、タイヤ半径方向に少なくとも3段有している形態が挙げられる。本実施形態では、5段のワイヤ層10が設けられている。本実施形態のビードコア5は、タイヤ半径方向内側から順次重ねられた第1ワイヤ層11、第2ワイヤ層12、第3ワイヤ層13、第4ワイヤ層14、及び、第5ワイヤ層15で形成されている。
ビードコア5は、タイヤ軸方向の両側に側面51を有している。この側面51は、側面51に表れる少なくとも2本のビードワイヤ20を対象として、実質的にタイヤ半径方向に沿った共通接線30を引くことができる形状を有している。
図4には、ビードコア5の部分斜視図が示されている。図4に示されるように、ビードコア5を構成しているビードワイヤ20は、巻き始め端16と巻き終わり端17とを有している。ビードワイヤ20の巻き始め端16は、第1ワイヤ層11に位置している。
本実施形態の巻き始め端16を有するビードワイヤ26は、例えば、第1ワイヤ層11の最もタイヤ軸方向外側に位置していることが望ましい。ビード部の外面は、リムフランジに強く押し付けられるため、上述の位置に配された巻き始め端16は、強く拘束される。このため、巻き始め端16のエッジは、カーカスプライ6Aと接触せず、その損傷が抑制される。ビードワイヤ26が第1ワイヤ層11の最もタイヤ軸方向内側に位置している場合、ビード部が撓むことにより、巻き始め端16のエッジがカーカスプライ6Aと接触するおそれがある。
ビードワイヤの巻き始め端16と巻き終わり端17とは、実質的にタイヤ周方向で同一の位置に設けられているのが望ましい。これにより、タイヤのユニフォミティがさらに高められる。あるいは、ビードワイヤ巻き終わり端17は、タイヤ周方向において巻き始め端16を超えて終端してもよい。巻き始め端16に至らず終端すると両端間のワイヤ本数が他部分に比べ少なくなりブロークンワイヤ等の損傷の原因となりうる。また巻き始め端16と巻き終わり端17との重複部分はタイヤビードコア中心の周長の5%以下となることが好ましい。5%を超えるとタイヤユニフォミティ及びタイヤリム性に悪影響が生じやすくなる。
図3に示されるように、本実施形態のビードコア5は、第2ワイヤ層12乃至第5ワイヤ層15の各ビードワイヤ20が、それぞれ、タイヤ軸方向に略同一の位置に配されている。これにより、第2ワイヤ層12乃至第5ワイヤ層15の4本のビードワイヤ20を対象として、前記共通接線30を引くことができる。このようなビードコア5は、さらに安定的に治具で挟むことができる。
本発明のタイヤは、トレッド、サイドウォール、ビード部(ビードコア、ビードエイペックス)、カーカス層などの各種タイヤ部材により構成され、各タイヤ部材には、トレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物、ビードエイペックス用ゴム組成物、カーカス被覆用ゴム組成物などの各種タイヤ部材用ゴム組成物が使用されている。
タイヤ部材用ゴム組成物に含まれるゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーで、アセトンにより抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。前記ゴム成分は、常温(25℃)で固体状態である。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
タイヤ部材用ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましい。また、これらのゴム成分は後述の変性処理、水素添加処理が行われていても良く、オイル、樹脂、液状ゴム成分などにより伸展された、伸展ゴムを用いても良い。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤ部材用ゴム組成物は、合成ゴムを含むことが望ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の合成ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
合成ゴムは、天然ゴム以外のゴムであり、既述のBR、SBR、IRなどが例示される。
タイヤが合成ゴムを含むゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有する場合、該タイヤ部材としては特に限定されないが、なかでも、効果がより良好に得られる観点から、トレッド部を構成する部材に適用することが好ましく、トレッドのキャップゴムに適用することがより好ましい。
少量の窒素を含む合成ゴムや、そのような合成ゴムを所定以上を用いることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、ゴム中に一定量のNを含むことにより、加硫の均一効果、促進効果が発揮され、それにより、耐久性能が向上すると推察される。また、このような加硫の均一効果、促進効果により、リトレッドを実施する際もリトレッド作業効率が良好となり、良好な耐久性能を付与でき、そして、トレッド部分の耐久性能が向上することで、近隣部材であるコード部材の耐久性能も顕著に向上すると推察される。
前記範囲内の窒素含有量を持つSBR、BR、IR等の合成ゴムは、例えば、任意の方法で窒素を導入した合成ゴムなどが挙げられ、例えば、公知の窒素含有化合物で変性したSBR、BR、IR等が例示される。
タイヤ部材用ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
キャップゴム組成物の場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。下限は特に限定されず、0質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
タイヤ部材用ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
キャップゴム組成物の場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれも使用可能である。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
タイヤ部材用ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
キャップゴム組成物の場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材用ゴム組成物は、フィラー(充填材)を含んでもよい。
フィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー、バイオ炭(BIO CHAR);難分散性フィラー等が挙げられる。
タイヤ部材用ゴム組成物において、フィラーの合計含有量(シリカ、カーボンブラックなどのフィラーの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
キャップゴム組成物の場合、フィラーの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは85質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは105質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
フィラー(充填材)のなかでも、カーボンブラックなどの炭素由来フィラー(炭素含有フィラー)、シリカが好ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、従来の鉱物油などを原料としたカーボンブラックのほか、リグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。また、タイヤなどのカーボンブラックを含むゴム製品、プラスチック製品などを分解して得られたリサイクルカーボンブラックを適宜、上記カーボンブラックと等量置換して用いても良い。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、70m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましく、120m/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材用ゴム組成物がカーボンブラックを含む場合、カーボンブラックの含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
キャップゴム組成物の場合、カーボンブラックの含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカのほか、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを用いても良い。シリカが籾殻由来である場合、上記効果が良好に得られ、また、カーボンニュートラルに貢献できる。前記もみ殻シリカは、もみ殻を熱処理して得られたものでも構わないが、もみ殻を酸処理後に熱処理する、熱処理後の粗籾殻シリカを延期と反応させて水ガラスに変換した後、通常の湿式シリカ同様の製法でシリカ粒子として得られたものでも構わない。
特に、籾殻由来のシリカを用いることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、ごく微量のカリウム、カルシウム等の不純物を含むため、表面活性が高くなり、補強性が向上し、それにより、耐久性能が向上したものと推察される。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
タイヤ部材用ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカの含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
キャップゴム組成物の場合、シリカの含有量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上、特に好ましくは80質量部以上であり、また、好ましくは300質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材用ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
難分散性フィラーとしては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等が挙げられる。なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維が好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
タイヤ部材用ゴム組成物において、難分散性フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材用ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。
可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
タイヤ部材用ゴム組成物が可塑剤を含む場合、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、前述の伸展ゴムを用いる場合、その伸展ゴムに用いられた伸展成分量は可塑剤の含有量に含まれる。
タイヤ部材用ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤ部材用ゴム組成物が液体可塑剤を含む場合、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(treated Residual Aromatic Extract)、RAE(residual Aromatic Extract)などのパラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましく、カーボンニュートラル、上記効果の観点から、植物油がより好ましく、例えば、キャップゴムなど好適に使用できる。また、ライフサイクルアセスメントの観点から上記したオイルとして、ゴム混合機やエンジンなどで用いられた潤滑油や調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いても良い。
特に、キャップゴムに植物油を用いることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
一般に植物油は従来のミネラル油等と比較して極性が高いためシリカ等のフィラーとの親和性が大きいこと、二重結合を含んでいるため老化防止剤としても働くこと、等が考えられ、それにより、耐久性能が向上したものと考えられる。
また、配合物の室温~高温付近のtanδを低くする傾向にあると考えられるため、低燃費性を向上させる効果も期待できる。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
タイヤ部材用ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物が樹脂を含む場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。前記した樹脂の軟化点は通常、樹脂のガラス転移温度より50℃±5℃高い値となる。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
タイヤ部材用ゴム組成物は、上記効果が良好に得られる観点から、ゴム粉が含むことが望ましく、例えば、キャップゴムなどに配合することが望ましい。
特に、ゴム粉を用いることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
ゴム粉とマトリクスゴムの微視的な界面での衝撃吸収効果による耐破壊性向上効果、ゴム粉の弾性によるタイヤ全体の弾性率向上が考えられ、それにより、耐久性能が向上したものと推察される。
また、ゴム粉のひっかき効果によるグリップ向上、ゴム粉が脱離することによる排水効果等が考えられる。更に、比較的弾性率の低いゴム粉を用いることにより、低温でもゴム成分全体のしなやかさが保たれる低温性能向上も期待できる。
ゴム粉としては特に限定されず、NR、SBR、BR、IRなどのジエン系ゴムなどを材質とするゴムチップ、ゴム粉末などが挙げられる。環境への配慮及びコストの観点から、中古タイヤのトレッドゴム粉砕、刈り取りのスピュー・バリ等(廃タイヤの粉砕物)、ゴム産業から出る廃物利用品の再生ゴム粉を使用することが好ましく、具体的には、JIS K 6316:1988に規定されているゴム粉などが使用可能である。なお、ゴム粉としては、タイラーメッシュにおける30メッシュパス品や40メッシュパス品などを利用できる。
再生ゴム粉などのゴム粉の平均粒径は、好ましくは70μm以上、より好ましくは100μm以上である。該平均粒径は、好ましくは1mm以下、より好ましくは750μm以下である。70μm未満であると、ゴム残りのメリットは少なくなり、トッピング加工性の改善効果が得られないおそれがある。また、グラインド加工費が高く、コストが高くなるおそれがある。1mmを超えると、仕上がり凸凹が生じ、外観が悪化するおそれがある。
なお、前記増量剤の平均粒径は、JIS Z 8815:1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
ゴム粉の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。該配合量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材用ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
タイヤ部材用ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~4質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
タイヤ部材用ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~3質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
タイヤ部材用ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
タイヤ部材用ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤ部材用ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
ベルト補強層用被覆ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.7質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
また、タイヤ部材用ゴム組成物は、有機酸コバルト、熱硬化性樹脂などを含んでもよい。
ここで、熱硬化性樹脂は、熱により効果反応を起こす樹脂で、可塑剤に含まれる樹脂と異なり溶媒抽出されない成分であるため、両者は区別される。
有機酸コバルトとしては、例えば、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ素3ネオデカン酸コバルト、アビチエン酸コバルト等が挙げられる。市販品としては、大日本インキ化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ステアリン酸コバルトが好ましい。
タイヤ部材用ゴム組成物において、有機酸コバルトの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、コバルト元素に換算して、好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1.2質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
熱硬化性樹脂としては、レゾルシン縮合物(レゾルシン樹脂)、フェノール樹脂を好適に使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
レゾルシン縮合物としては、例えば、下記式で表される化合物(樹脂)を使用できる。
Figure 2024070442000001
(式中、nは1以上の整数である。)
また、レゾルシン縮合物は、変性レゾルシン縮合物であってもよい。変性レゾルシン縮合物としては、例えば、下記式で表される化合物(樹脂)を使用できる。
Figure 2024070442000002
(式中、nは1以上の整数であり、Rはアルキル基である。)
レゾルシン縮合物の市販品としては、田岡化学工業(株)、インドスペック社等の製品を使用できる。
フェノール樹脂は、フェノールと、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを、酸又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるものである。
また、フェノール樹脂は、カシューオイル、トールオイル、ロジン等で変性された変性フェノール樹脂であってもよい。変性フェノール樹脂としては、カシューオイル変性フェノール樹脂が好ましい。また、カシューオイル変性フェノール樹脂としては、例えば、下記式で表される化合物(樹脂)を使用できる。
Figure 2024070442000003
(式中、pは、1~9の整数であり、5~6が好ましい。)
フェノール樹脂の市販品としては、住友ベークライト(株)等の製品を使用できる。
タイヤ部材用ゴム組成物において、熱硬化性樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材用ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
タイヤ部材用ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
タイヤ部材用ゴム組成物が合成ゴムを含む場合、該タイヤ部材用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の窒素含有量は0.01~5000ppmであることが望ましい。下限は、好ましくは0.05ppm以上、より好ましくは0.08ppm以上、更に好ましくは0.1ppm以上であり、上限は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本発明のタイヤとして使用可能なものとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
タイヤは、表面めっき層を有するスチールワイヤや、各タイヤ用部材に使用されるキャップゴム用組成物などの各未加硫ゴム組成物を用いて通常の方法により製造され、例えば、各タイヤ部材をタイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成し、該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
タイヤを構成する各タイヤ部材のなかでも、キャップゴム(加硫後のゴム組成物)は、より効果が得られる観点から、300%モジュラスM300(MPa)、破断時伸びEB(%)が下記式(1)、(2)を満たすことが望ましい。
(1)4.0MPa≦M300≦13.0MPa
(2)8000≦40×M300+20×EB≦17000
式(1)、(2)を満たすことで、より効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推察される。
破断伸びとモジュラスが上記式を満たす範囲であることにより、耐破壊性を向上させることができ、それにより、耐久性能が向上すると推察される。
また、上記範囲内であることで、耐破壊性、操縦安定性、乗り心地等の性能をバランスよく向上させることもできると考えられる。
式(1)において、M300は、好ましくは6.0MPa以上、より好ましくは8.0MPa以上、更に好ましくは8.5MPa以上であり、また、好ましくは12.0MPa以下、より好ましくは11.0MPa以下、更に好ましくは10.0MPa以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
式(2)において、40×M300+20×EBは、好ましくは9000以上、より好ましくは10000以上、更に好ましくは11000以上であり、また、好ましくは15000以下、より好ましくは14000以下、更に好ましくは13000以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
EBは、好ましくは300%以上、より好ましくは400%以上、更に好ましくは500%以上であり、また、好ましくは800%以下、より好ましくは700%以下、更に好ましくは600%以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
M300は、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、充填材、オイルや樹脂などの可塑剤、加硫剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、充填剤を増量したり、可塑剤を減量したり、硫黄量を増量したり、加硫促進剤を増量することにより、M300の値が高くなる傾向がある。
EB(破断時伸び)は、主に補強剤や軟化剤の配合量により調整することができる。
なお、M300(300%伸長時のモジュラス)は、JIS K6251:2010に基づく方法で測定される値である。
EB(破断時伸び)は、JIS K6251:2010に準じて測定した23℃における破断時伸びEBの値である。
次に、以下本発明の実施の一形態として、乗用車用タイヤの一例を図面を用いて説明する。
図5には、本実施形態の空気入りタイヤの右半分断面図(左半分も内部構造については対称に現れる。)を示している。図において、空気入りタイヤ101は、トレッド部102からサイドウォール部103を経てビード部104のビードコア105に至るカーカス106と、このカーカス106のタイヤ半径方向外側かつトレッド部102の内部に配されたベルト層107と、その外側に配されたバンド層18(ベルト補強層)とを具え、本例では扁平率が50%以下の乗用車用のものが例示されている。
カーカス106は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して75~90度の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ106Aから構成されている。
カーカスコードは、例えば、前述のものを使用でき、さらにスチールコードなども採用しうる。
カーカスプライ106Aは、トレッド部102からサイドウォール部103を経てビード部104のビードコア105に至る本体部106aと、この本体部106aからのびてビードコア105の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部106bとを有する。
ビードコア105を構成するビードワイヤ105aとして、例えば、前述のものを使用できる。
なお、カーカスプライ106Aの本体部106aの内側には空気を透過しにくいゴムからなるインナーライナーiが配されている。インナーライナーはゴム成分として、ブチルゴムを含むことが好ましく、ブチルゴムのみをゴム成分としても良い。また、ゴム組成物以外に、耐空気性透過性に優れたスチレンーイソブチレンースチレン共重合体(SIBS)などの熱可塑性樹脂などを用いたフィルムとしても良い。
カーカスプライ106Aの折返し部106bは、その端部を、模様、突起を除くタイヤ軸方向最外側の総巾位置Mよりもタイヤ半径方向外側に位置させたいわゆるハイターンアップ構造としたものを例示する。本例の折返し部106bの外端106beは、ベルト層107と本体部106aとの間に挟まれて終端している。また、本体部106aと折返し部106bとの間には、ビードコア105からタイヤ半径方向外側にのびかつ例えば硬質のゴム材からなるビードエーペックス112が配されることによりビード部104が補強される。
本実施形態では、ビードエーペックス112と折返し部106bとの間に、補強層113を配したものが例示される。この補強層113は、例えば金属コード又は有機繊維コードをタイヤ半径方向に対して15~30度で配列したコードプライからなる。なお、補強層113の内端はビードコア105の近傍に位置するとともに、外端は、タイヤ断面高さの40~60%の高さに設定することが望ましい。
ベルト層107は、ベルトコードをタイヤ赤道に対して10~45°の小角度で傾けて配列した少なくとも2枚、本例ではタイヤ半径方向の内、外2枚のベルトプライ107A、107Bをコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成している。なお、半径方向内のベルトプライ107Aは、外のベルトプライ107Bに比べ巾広に形成され、端部における著しい剛性段差の発生を防止している。ベルトコードとしては、スチールコードの他、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維コードなどを使用できる。
バンド層108は、例えば、複数本の有機繊維コードを平行に引き揃えかつこれをトッピングゴムにより被覆した5~15mm程度の小巾の帯状プライを、前記有機繊維コードがタイヤ周方向に対して5度以下の角度となるようにベルト層107の上に螺旋状に巻回することにより形成される。帯状プライは、使用する有機繊維コードの太さ、ベルト層の巾等により埋設するコード本数を適宜変更することができる他、1本のバンドコードをゴム被覆したものでも良い。
本例のバンド層108は、ベルト層107の略全巾を覆う第1のバンドプライ108Aと、この第1のバンドプライ108Aの内側に配されかつベルト層107の端部分だけを覆う第2のバンドプライ108Bとを含んで構成されたものを示す。
バンド層108の外側に配されたトレッドゴムTGは、内側のベース層G1と、その外側に配されかつトレッド面102aをなすキャップ層G2とを含み、本例ではトレッドゴムTGがベース層G1とキャップ層G2とからなる2層構造をなすとともに、その端縁に断面略三角形状のウイングゴム部G3を配したものを例示している。なお、サイドウォール部103には、カーカス106の外面にサイドウォールゴムG4が、またビード部105にはビードゴムG5がそれぞれ配されている。また、前記トレッドゴムTGは単一のゴム層のみからなる1層構造であっても、3層以上のゴム層を備える構造であっても良い。また、前記トレッドゴムTGはタイヤ軸方向において2つ以上の異なるゴム組成物で形成されていても良い。
キャップ層G2は、キャップゴム用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)で構成されている。キャップ層G2は、JISデュロメータA硬さが60~80度のゴム組成物(加硫後のゴム組成物)により形成されていることが望ましい。キャップ層G2のJISデュロメータA硬さは、より好ましくは64~80度、さらに好ましくは68~75度である。
ベース層G1は、本例ではキャップ層G2のタイヤ半径方向内側に配され、タイヤ軸方向の両端部がバンド層108をタイヤ軸方向外側に越えかつ先細状をなしウイングゴム部G3に接続されている。また、ベース層G1は、タイヤ軸方向の両外側に配された側部ベース層G1aと、この側部ベース層G1a、G1a(図5では一方のみ図示)の間に配された中間ベース層G1bとから構成される。なお、前記した側部ベース層G1aと中間ベース層G1bは同一のゴム組成物であっても、それぞれ異なるゴム組成物であっても良い。
そして、中間ベース層G1bのJISデュロメータA硬さを65~75度、側部ベース層G1aのJISデュロメータA硬さを45~60度とすることが望ましい。中間ベース層G1bのJISデュロメータA硬さは、より好ましくは68~73度である。また、側部ベース層G1aのJISデュロメータA硬さは、より好ましくは50~55度である。
なお、中間ベース層G1bのJISデュロメータA硬さは、キャップ層G2のJISデュロメータA硬さと同じにも設定することができるが、好ましくは該中間ベース層G1bのJISデュロメータA硬さが、キャップ層G2のJISデュロメータA硬さよりも小、より好ましくはキャップ層G2のJISデュロメータA硬さと中間ベース層G1bのJISデュロメータA硬さの差が0よりも大かつ5度以下であることが望ましい。
また、キャップ層G2は、本例では、トレッド面102aから該トレッド面102aを凹設したトレッド溝114の溝底よりもタイヤ半径方向内側までを占めるものを例示している。キャップ層G2は、トレッド面102aではトレッド接地端Eをタイヤ軸方向外側に超えウイングゴム部G3に接続されている。キャップ層G2は、トレッド溝114の部分を除き略一定厚さをなし、タイヤ赤道CLの位置において、このキャップ層G2の厚さt1と全トレッドゴム厚さtとの比(t1/t)が、例えば0.95~0.50、より好ましくは0.90~0.70程度に設定される。
側部ベース層G1aのタイヤ軸方向の長さGWは、トレッド接地巾TWの例えば8~40%、より好ましくは10~30%。さらに好ましくは15~25%とし、前記バンド層108の端部108eを覆うことが望ましい。
なお、トレッド接地巾TWとは、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに正規荷重を作用させた状態の接地端E、E間のタイヤ軸方向の距離とする。
次に、以下本発明の実施の一形態として、重荷重用タイヤの一例を図面を用いて説明する。
図6には、空気入りタイヤ202が示されている。図6において、上下方向がタイヤ202の半径方向であり、左右方向がタイヤ202の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ202の周方向である。図中、一点鎖線CLはタイヤ202の赤道面を表す。直線BLは、ビードベースラインを表す。このタイヤ202の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面CLに対して対称である。このタイヤ202は、トラック、バス等に装着される。このタイヤ202は、重荷重用空気入りタイヤである。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。
このタイヤ202は、トレッド部204、サイドウォール部206、クリンチ208、ビード部210、カーカス212、ベルト層214、ビードフィラー216、カバーゴム218、インナーライナー220、インスレーション222、クッション層224及びチェーファー226を備えている。このタイヤ202は、更に、ゴム補強層228を備えている。
トレッド部204は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド部204は、架橋ゴムからなる。トレッド部204は、路面と接触するトレッド面230を形成する。
トレッド部204は、ベース層232とキャップ層234とを備えている。キャップ層234は、ベース層232の半径方向外側に位置している。キャップ層234は、ベース層232に積層されている。通常、ベース層232は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層232の典型的なゴム成分は、天然ゴムである。通常、キャップ層234は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール部206は、トレッド部204の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール部206の半径方向外側端は、トレッド部204と接合されている。このサイドウォール部206の半径方向内側端は、クリンチ208と接合されている。このサイドウォール部206は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール部206は、カーカス212の損傷を防止する。
クリンチ208は、サイドウォール部206の半径方向略内側に位置している。クリンチ208は、軸方向において、ビード部210及びカーカス212よりも外側に位置している。図示されないが、このタイヤ202がリムに組み込まれると、クリンチ208はリム(図示されず)のフランジと当接する。クリンチ208は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。
ビード部210は、サイドウォール部206の半径方向内側に位置している。ビード部210は、ビードコア236と、このビードコア236から半径方向外向きに延びるビードエイペックス238とを備えている。このビードエイペックス238は、ビードコア236から半径方向外向きに延びる硬質エイペックス240と、この硬質エイペックス240から半径方向外向きに延びる軟質エイペックス242とを備えている。ビードコア236はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤー(ビードワイヤ)を含む。
ビードコア236を構成するビードワイヤとして、例えば、前述のものを使用できる。
硬質エイペックス240は、高硬度な架橋ゴムからなる。軟質エイペックス242は、硬質エイペックス240に比べて軟質な架橋ゴムからなる。
カーカス212は、カーカスプライ244からなる。カーカスプライ244は、両側のビード部210の間に架け渡されており、トレッド部204及びサイドウォール部206の内側に沿っている。カーカスプライ244は、ビードコア236の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ244には、主部244aと折り返し部244bとが形成されている。この主部244aは両側のビード部210の間に位置している。折り返し部244bは、ビード部210の軸方向外側に位置している。この折り返し部244bの外端244eは、ビードエイペックス238の軸方向外側に位置している。このタイヤ202では、外端244eは、軟質エイペックス242の軸方向外側に位置している。外端244eにおける応力集中は、軟質エイペックス242より緩和される。
図示されていないが、カーカスプライ244は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面CLに対してなす角度の絶対値は、45°から90°、さらには75°から90°である。換言すれば、このカーカス212はラジアル構造を有する。
コード(カーカスコード)は、例えば、前述のものを使用でき、さらにスチールワイヤなども採用しうる。カーカス212が、2枚以上のカーカスプライ44から形成されてもよい。
ベルト214は、軸方向に延在している。ベルト214は、半径方向においてトレッド部204の内側に位置している。このベルト214は、カーカス212の半径方向外側に位置している。ベルト214は、カーカス212を補強する。このタイヤ202では、ベルト214は、第一層246a、第二層246b、第三層246c及び第四層246dからなる。このタイヤ202では、ベルト214を構成する第一層246a、第二層246b、第三層246c及び第四層246dのうち、第二層246bが軸方向において最も大きな幅を有している。このタイヤ202では、この第二層246bの端246eがベルト214の端である。
図示されていないが、第一層246a、第二層246b、第三層246c及び第四層246dのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、スチールからなる。このコードは、赤道面CLに対して傾斜している。このコードが赤道面CLに対してなす角度の絶対値は、15°から70°である。
図示されないが、タイヤ202は、バンド層(ベルト補強層)を備えてもよい。バンド層は、このベルト層214の半径方向外側を覆う。バンド層は、コードとトッピングゴムとからなる。このコードによりベルト層214が拘束されるので、ベルト層214のリフティングが抑制される。
ビードフィラ216は、ビードコア36の周りを巻かれている。ビードフィラ16は、カーカスプライ244と積層されている。ビードフィラ216はビードコア236の周りを巻かれることにより、内片部216aと外片部216bとが形成されている。ビードフィラ216は、ビード部210の変形を抑制する。ビードフィラ216は、タイヤ202の耐久性の向上に寄与しうる。このビードフィラ216は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。ビードフィラ216は、例えば、スチールフィラーからなる。各コードは、スチールからなる。
カバーゴム218は、軟質エイペックス242よりも軸方向外側に位置している。図示されているように、カバーゴム218は、折り返し部244bの外端244eを覆う。カバーゴム218は、この折り返し部244bの外端244eへの応力集中を緩和しうる。
インナーライナー220は、タイヤ202の内面を構成している。インナーライナー220は、架橋ゴムからなる。インナーライナー220には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー220の典型的なゴム成分は、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー220は、タイヤ2の内圧を保持する。
インスレーション222は、インナーライナー220の外側に位置している。インスレーション222は、カーカス212の内側に位置している。インスレーション222は、カーカス212とインナーライナー220とに挟まれている。インスレーション222は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。インスレーション222は、カーカス212と堅固に接合し、インナーライナー220とも堅固に接合する。インスレーション222により、インナーライナー220とカーカス212との剥離が抑制される。
クッション層224は、ベルト層214の端246eの近傍において、カーカス212と積層されている。クッション層224は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層224は、ベルト層214の端246eの応力を吸収する。このクッション層224により、ベルト2層14のリフティングが抑制される。
チェーファー226は、ビード部210の近傍に位置している。タイヤ202がリムに組み込まれると、このチェーファー226がリムと当接する。この当接により、ビード部210の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー226は、クリンチ208と一体である。従って、チェーファー226の材質はクリンチ208の材質と同じである。チェーファー226が、布とこの布に含浸したゴムとからなってもよい。
ゴム補強層228は、トレッド部204の半径方向内側に位置している。ゴム補強層228は、ベルト層214の半径方向外側に位置している。ゴム補強層228は、半径方向においてトレッド部204とベルト214との間に位置している。ゴム補強層228は、ベルト2層14の外面を覆っている。このタイヤ202では、ゴム補強層228は、トレッド面230のエッジEtより、軸方向外側まで延びている。このゴム補強層228の軸方向端部は、クッション層224の半径方向外側に積層されている。このゴム補強層228は、架橋ゴムからなっている。
このトレッド面230には、周方向の延びる主溝248及び主溝250が形成されている。この主溝248と主溝250とは、それぞれ、トレッド面230を周方向に一周している。主溝248は、主溝250より、軸方向内側に形成されている。
タイヤ202の各部材の寸法及び角度は、図6に示されるように、タイヤ202から切り出された断面で測定される。
次に、以下本発明の実施の一形態として、二輪自動車用タイヤの一例を図面を用いて説明する。
図7には、空気入りタイヤ302が示されている。図7において、上下方向がタイヤ302の半径方向であり、左右方向がタイヤ302の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ302の周方向である。一点鎖線CLはタイヤ302の赤道面を表わす。このタイヤ302の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。実線BLは、ビードベースラインを表す。このビードベースラインは、タイヤ302が装着される正規リムのリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインは軸方向に延びている。
このタイヤ302は、トレッド部304、一対のサイドウォール部306、一対のビード部308、カーカス310、ベルト層312、バンド層314(ベルト補強層)、インナーライナー316及び一対のチェーファー318を備えている。このタイヤ302は、チューブレスタイプである。このタイヤ302は、二輪自動車の後輪に装着される。
トレッド部304は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド部304は、路面と接地するトレッド面320を形成する。トレッド面320は、軸方向において、一方のトレッド端Peから図示されない他方のトレッド面Peまで延びている。トレッド部304は、センター領域322と一対のショルダー領域324とを備えている。センター領域322は、軸方向において赤道面を跨ぐ中央に位置している。それぞれのショルダー領域324は、軸方向においてセンター領域322の外側に位置している。このセンター領域322及びショルダー領域324は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
このトレッド部304には、溝が刻まれていてもよい。この溝により、トレッドパターンが形成される。図示されないが、このトレッド部304は、ベース層を備えていてもよい。ベース層は、センター領域322及び一対のショルダー領域324の半径方向内側に位置する。ベース層は、軸方向一方のショルダー領域324の外端から他方のショルダー領域324の外端まで延びる。ベース層は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール部306は、トレッド部304の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール部306の半径方向外側端は、トレッド部304と接合されている。このサイドウォール部306は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール部306は、カーカス310の損傷を防止する。
ビード部308は、サイドウォール部306の半径方向内側に位置している。ビード部308は、ビードコア326と、このビードコア326から半径方向外向きに延びるビードエイペックス328とを備えている。ビードコア326はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。
ビードコア326を構成するビードワイヤとして、例えば、前述のものを使用できる。
ビードエイペックス328は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス310は、カーカスプライ330を備えている。第一プライ330は、両側のビード部308の間に架け渡されており、トレッド部304及びサイドウォール部306に沿っている。カーカスプライ330は、ビードコア326の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ330には、主部330aと折り返し部330bとが形成されている。
カーカスプライ330は、それぞれ並列された多数のカーカスコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのカーカスコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス310はラジアル構造を有する。
カーカスコードは、例えば、前述のものを使用でき、さらにスチールコードなども採用しうる。カーカス310が、2枚以上のカーカスプライから形成されてもよい。
ベルト層312は、一対のベルト層332を備えている。それぞれのベルト層332は、トレッド部304の半径方向内側に積層されている。ベルト層332は、バンド層314の半径方向外側に積層されている。半径方向において、ベルト層332は、トレッド部304とバンド層314との間に位置している。軸方向において、一方のベルト層332は赤道面より軸方向一方側に位置している。このベルト層332はその軸方向内端Piから軸方向外端Poまでトレッド部304に沿って延びている。軸方向において、他方のベルト層332は赤道面より軸方向他方側に位置している。このベルト層332はその軸方向内端Piから軸方向外端Poまでトレッド部304に沿って延びている。
図示されないが、一対のベルト層332のそれぞれは、並列された多数のベルトコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのベルトコードは、赤道面に対して傾斜している。ベルトコードの好ましい材質は、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
それぞれのベルト層332は、センター領域322に積層される中央部334と、ショルダー領域324に積層される側部336とを備えている。この中央部334におけるベルトコードの密度Ecは、側部40におけるベルトコードの密度Esより小さい。この密度Ec及びEsは、ベルト層312の軸方向幅5cm当たりのベルトコード打ち込み本数であるエンズとして、求められる。
バンド層314は、カーカス310の半径方向外側に位置している。バンド層314は、トレッド部304の半径方向内側に位置している。バンド層314は、その軸方向一方の外端Pbから他方の外端Pbまで、トレッド部304に沿って延びている。バンド層314は、ベルト層312と共にカーカス310を補強する。
図示されないが、バンド層14は、バンドコードとトッピングゴムとからなる。バンドコードは、軸方向一方端Pbから他方端Pbまで、螺旋状に巻かれている。このコードは実質的に周方向に延びている。周方向に対するバンドコードの傾斜角度は、5°以下、更には2°以下である。このバンドコードは有機繊維からなる。好ましい繊維をして、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー316は、カーカス310の内側に位置している。赤道面CLの近傍において、インナーライナー316は、カーカス310の内面に接合されている。インナーライナー316は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー316の典型的なゴム成分は、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー316は、タイヤ302の内圧を保持する。
チェーファー318は、ビード部308の近傍に位置している。タイヤ302が、図示されないリムに組み込まれると、このチェーファー318がリムと当接する。この当接により、ビード部308の近傍が保護される。このチェーファー318は、リムシートに当接するシート面338を備えている。チェーファー318は、例えば、布とこの布に含浸したゴムとからなっている。
図7の符号P1は、トレッド面320における、センター領域322とショルダー領域324との境界を表している。符号P2は、内周面における、センター領域322とショルダー領域324との境界を表している。この境界は、半径方向内側から外側に向かって軸方向外側から内側向きに傾斜して延びている。センター領域322の厚さは、点P1から点P2に向かって漸減している。ショルダー領域324の厚さは、点P2から点P1に向かって漸減している。
図7の片矢印Wtは、トレッド幅を表す。このトレッド幅Wtは、一方のトレッド端Peから図示されない他方のトレッド端Peまでの幅である。両矢印Wcは、センター領域322の幅を表す。この幅Wcは、一方の境界P1から他方の境界P1までの距離である。このトレッド幅Wt及び幅Wcは、トレッド面320に沿って測定される。両矢印Dは、一対のベルト層332の間隔を表す。この間隔Dは、一方の内端Piから他方の内端Piまでの距離である。この間隔Dは、一対のベルト層332が積層されたバンド層314の外周面に沿って測定される。このベルト層332では、内端Piから境界P2までが中央部334であり、境界P2から外端Poまでが側部336である。
片矢印Rは、赤道面におけるトレッド面20の曲率半径を表している。二輪自動車に装着されるタイヤ2の曲率半径Rは、四輪自動車のそれに比べて小さい。これにより、旋回走行において、ライダーは二輪自動車を内側へ容易に傾斜させられる。この傾斜によって、二輪自動車の旋回走行が容易にされる。この曲率半径Rは、一般に50mm以上150mm以下である。
このタイヤ302は、二輪自動車の後輪に装着される。このタイヤ302のバンド層312では、バンドコードが周方向に延びている。このバンド層312を備えることで、このタイヤ302は高速回転における径成長が抑制されている。これにより、このタイヤ302は、径成長による操縦安定性の低下を抑制している。このタイヤ302は高速走行に適している。
このタイヤ302では、直進走行においてセンター領域322が主に接地する。旋回走行では、ショルダー領域324が主に接地する。このセンター領域322及びショルダー領域324には、旋回走行の前期及び後期のそれぞれに作用する荷重に適した架橋ゴムを採用しうる。このタイヤ302は、高速旋回走行において、高い走行性能を発揮しうる。
このベルト層312のベルトコードは、赤道面に対して交差して延びる。このベルト層312は、タイヤ302の剛性の向上に寄与する。このベルト層312は、ベルトコードが延びる方向にトレッド部304の剛性を向上させる。このベルト層312は、旋回走行の後期の急加速において、周方向に直交する方向において、トレッド面320の接地幅を小さくする。
ベルトコードが赤道面に対してなす角度の絶対値が大きいタイヤ302は、軸方向の剛性を向上させる。この軸方向の剛性の向上によって、周方向に直交する方向において、トレッド面320の接地幅が小さくできる。この観点から、このベルトコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、70°以上であり、更に好ましくは80°以上である。この角度の絶対値は、90°以下である。
周方向に垂直な方向の剛性を向上させる観点から、中央部334のベルトコードの密度Ecと側部36におけるベルトコードの密度Esとは、それぞれ好ましくは20(本/cm)以上であり、更に好ましくは30(本/cm)以上である。一方で、この密度Esが小さいタイヤ2は、過渡特性に優れている。この観点から、この密度Ec及び密度Esのそれぞれは、好ましくは55(本/5cm)以下であり、更に好ましくは45(本/5cm)以下である。
このタイヤ302では、好ましくは、密度Ecが密度Esより小さくされる。これにより、このタイヤ302では、ショルダー領域324の剛性が向上し、且つセンター領域322の接地性が向上しうる。この観点から、この密度Esと密度Ecとの密度差(Es-Ec)は、好ましくは2(本/5cm)以上であり、更に好ましくは3(本/5cm)以上であり、特に好ましくは5(本/5cm)以上である。一方で、この密度差(Es-Ec)が小さいタイヤ302は、過渡特性に優れる。この観点から、この密度差(Es-Ec)は、好ましくは10(本/5cm)以下であり、更に好ましくは8(本/5cm)以下である。
センター領域322の幅Wcが大きいタイヤ302では、直進走行において、センター領域322が接地し易い。このセンター領域322の架橋ゴムの性能が発揮される。例えば、複素弾性率Ecが小さいセンター領域322では、高速直進走行での急制動において比較的小さな荷重が負荷された場合においても、路面に十分に接地しうる。また、複素弾性率Ecが大きいセンター領域322を備えるタイヤ302では、転がり抵抗が低減される。また、このタイヤ302では耐久性が向上する。センター領域322の架橋ゴムの性能を十分に発揮させる観点から、トレッド幅Wtに対するセンター領域22の幅Wcの比(Wc/Wt)は、好ましくは0.05以上であり、更に好ましくは0.10以上である。
一方で、センター領域322の幅Wcが小さいタイヤ302では、旋回走行において、ショルダー領域324が接地し易い。このショルダー領域324の架橋ゴムの性能が発揮される。例えば、複素弾性率Esが大きいショルダー領域324では、高速旋回走行での急加速において大きな荷重が負荷された場合において、十分な剛性を発揮しうる。また、複素弾性率Esが小さいショルダー領域324を備えるタイヤ302では、高いグリップ性能を発揮しうる。ショルダー領域324の架橋ゴムの性能を十分に発揮させる観点から、トレッド幅Wtに対するセンター領域322の幅Wcの比(Wc/Wt)は、好ましくは0.20以下であり、更に好ましくは0.15以下である。
このベルト層312は、間隔Dを空けて配置される一対のベルト層332を備えている。一対のベルト層332は、赤道面を挟んで配置されている。この間隔Dの範囲において、ベルト層312はトレッド面320の接地性を阻害しない。このタイヤ302は、高速旋回走行の前期における接地性に優れている。この間隔Dが大きいタイヤ302はトレッド面320の接地性に優れる。一方で、この間隔Dが小さいタイヤ2では、直進走行と旋回走行との間の過渡特性に優れている。この過渡特性の観点から、好ましくは、間隔Dはセンター領域322の幅Wcより小さくされる。
このタイヤ302では、中央部334におけるベルトコードの密度Ecは、側部340におけるベルトコードの密度Esより小さいことが望ましい。これにより、このタイヤ302は、更に過度特性に優れている。一方で、間隔Dが小さくされても、トレッド面320の接地性を阻害することが抑制されている。
このタイヤ302のトレッド部304は、センター領域322と一対のショルダー領域とに3分割されたが、これに限られない。このトレッド部304は、分割されたそれぞれの部分に適した架橋ゴムが採用されればよく、3分割以上の多数に分割されてもよい。例えば、トレッド部304は、5分割、7分割又は9分割されてもよい。
タイヤ302の各部材の寸法及び角度は、タイヤ302が正規リムに組み込まれ、正規内圧となる様にタイヤ302に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
タイヤサイズが225/50R16でかつ図5、表2(仕様)に示される乗用車用空気入りラジアルタイヤ(ビードワイヤ:図2~4)を試作し(比較例、実施例)、耐久性能、操縦安定性を次のような条件で評価する。
なお、タイヤは、キャップ層(表1:実施例は配合A、B、D、比較例は配合C)及びベース層の2層構造のトレッド部から構成されている。
(ビードワイヤの仕様)
線径1.20mm、表面めっき層の組成:Cu=11質量%、Sn=11質量%)
(カーカスコードの仕様)
繊度:1670dtex/2、撚り数:40(T/10cm)、コード径:0.70mm)
なお、表2に記載のとおり、カーカスコードの材料は、PET、バイオマス由来のPET、又はバイオマス由来のナイロン410であり、いずれの材料も上記の繊度、撚り数、コード径を有し、表2に記載のpMCを有している。
Figure 2024070442000004
表1(キャップトレッド)の使用材料は、以下のとおりである。
SBR:日本ゼオン(株)製のNS616(非変性SBR、Mw:53万、窒素含有量:0ppm)
変性SBR:下記製造例1で合成した変性SBR(Mw:88万、窒素含有量:15ppm)
BR:日本ゼオン(株)製のBR1220(シス含量:96質量%、窒素含有量:0ppm)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のシーストN220(NSA:114m/g)
シリカ:もみ殻由来シリカ、NSA:154m/g、CTAB:152m/g
ゴム粉:廃タイヤ(ゴム成分として天然ゴムを80質量%以上含有)を粉砕・脱硫処理し粒径が60メッシュ以下であるもの)
植物油:日清オイリオ(株)製の大豆油
プロセスオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24(アロマ系プロセスオイル)
シランカップリング剤:Momentive社製のNXT-Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
(製造例1)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、及び1,3-ブタジエンを仕込む。反応器の内容物の温度を20℃に調整し、その後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始する。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達する。重合転化率が99%に達する時点で1,3-ブタジエンを追加し、更に5分重合させ、その後、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを変性剤として加えて反応を行う。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加する。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、変性SBRを得る。
<ビードワイヤの表面めっき層を除く内部コード中のCu、Co、Zn、Sn含有量の測定>
ビードワイヤにめっき除去の化学処理を行った後、蛍光X線分析にて各元素をファンダメンタルパラメータ法による定量を行う。
<窒素含有量の測定>
キャップ層(キャップトレッド用ゴム組成物)のサンプル約20mgを重量を正確に計量してボートにセットし、酸化分解/化学発光方式の微量全窒素分析装置にて窒素原子含有量を測定する。
<300%伸張時応力(M300)>
各テストタイヤのキャップゴム内部から採取するサンプルから厚さ1mmの7号ダンベル形状の試験片を作製し、JIS K6251:2010に基づいて、20℃において引張試験を実施して300%伸張時応力(M300)(MPa)を測定する。
<破断時伸び(EB)>
各テストタイヤのキャップゴム内部から、加硫ゴムシート(加硫後のゴム組成物)を作製(採取)する。次いで、採取した加硫ゴムシート(加硫後のゴム組成物)からなる3号ダンベル型試験片を用い、JIS K6251:2010「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて、温度23℃の条件下で引張試験を実施し、23℃における破断時伸び(EB(23℃))(%)を測定する。
<耐久性能>
各テストタイヤを正規リム(16×7J)に組付け、正規内圧を充填し、正規荷重(630kg)の80%の荷重を加えた状態でドラム上を10000km走行させる。走行後のタイヤを半径方向に切り出し、周囲のゴムと接触しているビードワイヤについて、タイヤに埋め込まれている長さが30mmとなるように引き抜きサンプルを作成し、ビードワイヤを長手方向に引き抜いた際の、引き抜き力を測定し、比較例1を100とし、指数化する。周囲のゴムと接触しているビードワイヤが複数本ある場合はそれらの平均値を用いて指数化する。
<操縦安定性能>
各テストタイヤを国産FF2000ccの全輪に装着してテストコースを時速60km/hで走行し、蛇行運転をした際のドライバーの官能評価により操縦安定性能を評価する。20人のドライバーのフィーリングに基づいて、それぞれ5段階で評価する。その評価の合計値を評点として求め、比較例1を100とし、指数化する。指数が大きいほど、操縦安定性能に優れている。
Figure 2024070442000005
本発明(1)は、ビード部に、表面めっき層を有するスチールワイヤで構成されたビードコアを有するタイヤであって、
前記スチールワイヤは、前記表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%であるタイヤである。
本発明(2)は、スチールワイヤにおいて、表面めっき層を除く内部コードのコバルト含有量が0.01~1.0質量%である本発明(1)記載のタイヤである。
本発明(3)は、合成ゴムを含むゴム組成物で構成されたタイヤ部材を少なくとも1つ有し、
前記ゴム組成物の窒素含有量が0.01~5000ppmである本発明(1)又は(2)記載のタイヤである。
本発明(4)は、ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の合成ゴムの含有量が10質量%以上である本発明(3)記載のタイヤである。
本発明(5)は、キャップトレッドを有し、
前記キャップトレッドは、300%モジュラスM300(MPa)、破断時伸びEB(%)が下記式(1)、(2)を満たす本発明(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤである。
(1)4.0MPa≦M300≦13.0MPa
(2)8000≦40×M300+20×EB≦17000
本発明(6)は、カーカス層を有し、
前記カーカス層が、有機繊維コードを含むカーカスコードを備え、
前記カーカスコードにおいて、ASTMD6866-10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1質量%以上である本発明(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(7)は、前記カーカスコードが、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維及びセルロース繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維コードを含む本発明(6)記載のタイヤである。
本発明(8)は、キャップトレッドが籾殻由来のシリカを含む本発明(5)~(7)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(9)は、キャップトレッドが植物油を含む本発明(5)~(8)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(10)は、キャップトレッドがゴム粉を含む本発明(5)~(9)のいずれかに記載のタイヤである。
4 ビード部
5 ビードコア
10 ワイヤ層
11 第1ワイヤ層
12 第2ワイヤ層
16 巻き始め端
17 巻き終わり端
20 ビードワイヤ
21 ビードワイヤ
22 ビードワイヤ
30 共通接線
51 側面
102 トレッド部
103 サイドウォール部
104 ビード部
105 ビードコア
106 カーカス
106A カーカスプライ
106a カーカスプライの本体部
106b カーカスプライの折返し部
107 ベルト層
108 バンド層
TG トレッドゴム
G1 ベース層
G1a 側部ベース層
G1b 中間ベース層
G2 キャップ層
202 タイヤ
204 トレッド部
206 サイドウォール部
210 ビード部
212 カーカス
214 ベルト層
228 ゴム補強層
230 トレッド面
232 ベース層
234 キャップ層
236 ビードコア
244 カーカスプライ
248、250 主溝
252、258 溝底
254、256、260、262 壁面
302 タイヤ
304 トレッド部
306 サイドウォール部
308 ビード部
310 カーカス
312 ベルト層
314 バンド層
316 インナーライナー
318 チェーファー
320 トレッド面
322 センター領域
324 ショルダー領域
332 ベルト層
334 中央部
336 側部

Claims (10)

  1. ビード部に、表面めっき層を有するスチールワイヤで構成されたビードコアを有するタイヤであって、
    前記スチールワイヤは、前記表面めっき層を除く内部コードの銅含有量が0.01~0.7質量%であるタイヤ。
  2. スチールワイヤは、表面めっき層を除く内部コードのコバルト含有量が0.01~1.0質量%である請求項1記載のタイヤ。
  3. 合成ゴムを含むゴム組成物で構成されたタイヤ部材を少なくとも1つ有し、
    前記ゴム組成物の窒素含有量が0.01~5000ppmである請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の合成ゴムの含有量が10質量%以上である請求項3記載のタイヤ。
  5. キャップトレッドを有し、
    前記キャップトレッドは、300%モジュラスM300(MPa)、破断時伸びEB(%)が下記式(1)、(2)を満たす請求項1記載のタイヤ。
    (1)4.0MPa≦M300≦13.0MPa
    (2)8000≦40×M300+20×EB≦17000
  6. カーカス層を有し、
    前記カーカス層は、有機繊維コードを含むカーカスコードを備え、
    前記カーカスコードは、ASTMD6866-10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1質量%以上である請求項1記載のタイヤ。
  7. 前記カーカスコードは、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維及びセルロース繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維コードを含む請求項6記載のタイヤ。
  8. キャップトレッドが籾殻由来のシリカを含む請求項5記載のタイヤ。
  9. キャップトレッドが植物油を含む請求項5記載のタイヤ。
  10. キャップトレッドがゴム粉を含む請求項5記載のタイヤ。

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