JP2024093644A - 脂質組成物 - Google Patents

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Naoto Nakamura
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達也 二田原
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慶子 鈴木
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Abstract

【課題】優れた核酸送達を実現でき、且つ、粒子径の小さい脂質粒子を含む脂質組成物を提供すること。
【解決手段】式(1)で表される脂質又はその塩、ステロール類、ポリエチレングリコール構造を有する脂質、および核酸を含む脂質粒子と、上記脂質粒子が分散する分散相とを含む脂質組成物であって、式(1)で表される脂質又はその塩の含有率が、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して50~75mol%であり、脂質組成物中の式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.3以上5.0以下である、脂質組成物。

【選択図】なし

Description

本発明は、脂質及び核酸を含む脂質組成物に関する。
核酸を細胞に送達できる技術が開発されてきたことから、核酸医薬品の開発が活発に行われている。核酸の送達技術の一つとして、核酸を粒子(リポソームまたは脂質粒子)に内包した核酸含有粒子を投与する方法が知られている。この技術においては、アミノ基などを有し低pHでカチオンとなる脂質を用いて核酸含有粒子を調製しているが、粒子に適切な電荷を付与することにより核酸の送達を実現している。
脂質粒子に含有させる化合物として、特許文献1および特許文献2には、脂肪族基とアミノ基とを繋ぐ連結基としてエステル基、アセタール基などを有する化合物が開示されている。また、特許文献3には、所定の構造を有する脂質化合物を含む脂質粒子が記載されている。特許文献4には、所定の構造を有する脂質化合物を含む脂質組成物が記載されている。
国際公開公報2010/054401号 国際公開公報2010/144740号 国際公開公報2019/235635号 国際公開公報2021/095876号
上記の通り、脂質及び核酸を含む脂質組成物の報告はあるが、幅広い種類の核酸を送達できる脂質組成物が望まれている。また、アミノ基を有する脂質は毒性を有することが知られていることから、粒子径が小さく、核酸をさらに効率的に送達できる技術が求められている。
本発明は、かかる状況に鑑み、幅広い種類の核酸について優れた核酸送達を実現できる脂質組成物を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、式(1)で表される脂質又はその塩、ステロール類、ポリエチレングリコール構造を有する脂質、および核酸を含む脂質粒子と、その脂質粒子が分散する分散相を含む脂質組成物であって、式(1)で表される脂質又はその塩の含有率が、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して50~75mol%であり、脂質組成物中の式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.3以上5.0以下である、脂質組成物が優れた核酸送達を達成できることを確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記を提供する。
[1] 式(1)で表される脂質又はその塩、ステロール類、ポリエチレングリコール構造を有する脂質、および核酸を含む脂質粒子と、上記脂質粒子が分散する分散相とを含む脂質組成物であって、式(1)で表される脂質又はその塩の含有率が、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して50~75mol%であり、脂質組成物中の式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.3以上5.0以下である、脂質組成物。
式中、Xは-NR-または-O-を示し、
は、水素原子、炭素数6~24の炭化水素基、またはR21-L-R22-で示される基を示し、R21は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、R22は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
およびRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示し、R31は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、R32は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12はそれぞれ独立に、水素原子または置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
およびR、R10およびR、RおよびR12、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R12およびR、並びにRおよびRの何れか一組以上は互いに連結してO原子を含んでいてもよい4~7員環を形成してもよく、
置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換のヘテロアリール基上の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
a、b、c、およびdはそれぞれ独立に0~3の整数を示し、但し、a+bは1以上であり、c+dは1以上である。
[2] ステロール類がコレステロールである、[1]に記載の脂質組成物。
[3] 核酸がmRNAである、[1]又は[2]に記載の脂質組成物。
[4] さらに双性イオン性脂質を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載の脂質組成物。
[5] 式(1)で表される脂質又はその塩の含有率が、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して10~30mol%である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の脂質組成物。
[6] 脂質粒子中の式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.5以上4.0以下である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の脂質組成物。
[7] 式(1)で表される脂質又はその塩が、以下の化合物から選ばれる脂質又はその塩である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の脂質組成物。
2-ブチルオクチル3-エチル-12-ヘキシル-6-(2-(オクタノイルオキシ)エチル)-10-オキソ-9,11-ジオキサ-3,6-ジアザヘニコサン-21-オエート
2-ペンチルヘプチル6-(2-(デカノイルオキシ)エチル)-3-エチル-12-ヘキシル-10-オキソ-9,11-ジオキサ-3,6-ジアザヘキサデカン-16-オエート
本発明は、優れた核酸送達を実現でき、且つ、粒子径の小さい脂質粒子を含む脂質組成物を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「~」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
<式(1)で表される脂質又はその塩>
本発明の脂質組成物は、式(1)で表される脂質又はその塩を含む。
式中、Xは-NR-または-O-を示し、
は、水素原子、炭素数6~24の炭化水素基、またはR21-L-R22-で示される基を示し、R21は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、R22は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
およびRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示し、R31は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、R32は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12はそれぞれ独立に、水素原子または置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
およびR、R10およびR、RおよびR12、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R12およびR、並びにRおよびRの何れか一組以上は互いに連結してO原子を含んでいてもよい4~7員環を形成してもよく、
置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換のヘテロアリール基の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
a、b、c、およびdはそれぞれ独立に0~3の整数を示し、但し、a+bは1以上であり、c+dは1以上である。
における炭素数6~24の炭化水素基、並びにRおよびRにおける炭素数3~24の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることがより好ましい。炭素数6~24のアルキル基および炭素数3~24のアルキル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数6~24のアルキル基は炭素数6~20のアルキル基であることが好ましく、炭素数3~24のアルキル基は、炭素数6~20のアルキル基であることがより好ましい。具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリメチルドデシル基(好ましくは、3,7,11-トリメチルドデシル基)、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、テトラメチルヘキサデシル基(好ましくは、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。炭素数6~24のアルケニル基および炭素数3~24のアルケニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数6~24のアルケニル基は炭素数6~20のアルケニル基であることが好ましく、炭素数3~24のアルケニル基は、炭素数6~20のアルケニル基であることがより好ましい。具体的には、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ドデカジエニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル基)、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル基)、ヘプタデカジエニル基(好ましくは、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル基)、オクタデセニル基(好ましくは、(Z)-オクタデカ-9-エニル基)、オクタデカジエニル基(好ましくは、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル基)、ノナデセニル基、イコセニル基(好ましくは、(Z)-イコサ-11-エニル基)、イコサジエニル基(好ましくは、(11,14)-イコサ-11,14-ジエニル基)、などが挙げられる。炭素数6~24のアルキニル基は炭素数6~20のアルキニル基であることが好ましく、炭素数3~24のアルキニル基は、炭素数6~20のアルキニル基であることがより好ましい。具体的には、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基などが挙げられる。上記のアルケニル基はいずれも二重結合を1つまたは2つ有することが好ましく、アルキニル基はいずれも三重結合を1つまたは2つ有することが好ましい。
21およびR31についての炭素数1~24の炭化水素基としては、炭素数10~24のアルキル基、炭素数10~24のアルケニル基または炭素数10~24のアルキニル基であることが好ましい。炭素数10~24のアルキル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数10~24のアルキル基は炭素数12~24のアルキル基であることが好ましい。具体的には、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリメチルドデシル基(好ましくは、3,7,11-トリメチルドデシル基)、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、テトラメチルヘキサデシル基(好ましくは、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-ブチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、1-ペンチルヘキシル基、2-ペンチルヘプチル基、3-ペンチルオクチル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘキシルノニル基、2-ヘキシルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、3-ヘキシルノニル基、1-ヘプチルオクチル基、2-ヘプチルノニル基、2-ヘプチルウンデシル基、3-ヘプチルデシル基、1-オクチルノニル基、2-オクチルデシル基、2-オクチルドデシル基、3-オクチルウンデシル基、2-ノニルウンデシル基、3-ノニルドデシル基、2-デシルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、3-デシルトリデシル基、2-(4,4-ジメチルペンタン-2-イル)-5,7,7-トリメチルオクチル基などが挙げられる。炭素数10~24のアルケニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。具体的には、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ドデカジエニル基、トリデセニル基(好ましくは、(Z)-トリデカ-8-エニル基)、テトラデセニル基(好ましくは、テトラデカ-9-エニル基)、ペンタデセニル基(好ましくは、(Z)-ペンタデカ-8-エニル基)、ヘキサデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル基)、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル基)、ヘプタデカジエニル基(好ましくは、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル基)、オクタデセニル基(好ましくは、(Z)-オクタデカ-9-エニル基)、オクタデカジエニル基(好ましくは、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル基)などが挙げられる。炭素数10~24のアルキニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。具体的には、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基などが挙げられる。上記のアルケニル基はいずれも二重結合を1つまたは2つ有することが好ましく、アルキニル基はいずれも三重結合を1つまたは2つ有することが好ましい。
22およびR32についての、二価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基としては、炭素数1~18のアルキレン基または炭素数2~18のアルケニレン基であることが好ましい。炭素数1~18のアルキレン基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は1~12が好ましく、1~10がより好ましく、2~10がさらに好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基などが挙げられる。炭素数2~18のアルケニレン基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は1~12が好ましく、2~10がより好ましい。
の好ましい範囲としては、-O(CO)O-、-O(CO)-、または-(CO)O-が好ましく、-O(CO)-または-(CO)O-がより好ましい。
の好ましい範囲としては、-O(CO)O-、-O(CO)-、または-(CO)O-が好ましく、-O(CO)-または-(CO)O-がより好ましい。
、R、R、R10、R11、およびR12についての、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基の炭素数1~18のアルキル基は、直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は1~12が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。アルキル基が置換基を有する場合の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基が好ましく、-O(CO)-R42または-(CO)O-R43で示される基がより好ましい。
、R、およびRについての、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基の炭素数1~18のアルキル基は、直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は1~12が好ましく、1~8がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。アルキル基が置換基を有する場合の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基が好ましく、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基がより好ましい。
O原子を含んでいてもよい4~7員環としてはアゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、アゼパン環が挙げられ、6員環であることが好ましく、ピペリジン環、モルホリン環が好ましい。
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12について、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基における置換基が置換もしくは無置換のアリール基である場合におけるアリール基としては、炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基などが挙げられる。アリール基上の置換基としては、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基が好ましく、ヒドロキシル基またはカルボキシル基がより好ましい。置換アリール基としては、具体的には、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、などが挙げられる。
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12について、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基における置換基が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合におけるヘテロアリール基としては、炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましい。具体的には、ピリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基などが挙げられる。ヘテロアリール基上の置換基としては、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基が好ましく、ヒドロキシル基またはカルボキシル基がより好ましい。置換もしくは無置換のヘテロアリール基としては、具体的には、ヒドロキシピリジル基、カルボキシピリジル基、ピリドニル基、などが挙げられる。
41、R42、R43、R44、R45およびR46についての炭素数1~18の炭化水素基としては、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であることが好ましく、炭素数1~18のアルキル基または炭素数2~18のアルケニル基であることがより好ましい。炭素数1~18のアルキル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は3~18が好ましく、5~18がより好ましい。具体的には、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリメチルドデシル基(好ましくは、3,7,11-トリメチルドデシル基)、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。炭素数2~18のアルケニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は3~18が好ましく、5~18がより好ましい。具体的には、アリル基、プレニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基(好ましくは、(Z)-2-ノネニル基または、(E)-2-ノネニル基)、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ドデカジエニル基、トリデセニル基(好ましくは、(Z)-トリデカ-8-エニル基)、テトラデセニル基(好ましくは、テトラデカ-9-エニル基)、ペンタデセニル基(好ましくは、(Z)-ペンタデカ-8-エニル基)、ヘキサデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル基)、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル基)、ヘプタデカジエニル基(好ましくは、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル基)、オクタデセニル基(好ましくは、(Z)-オクタデカ-9-エニル基)、オクタデカジエニル基(好ましくは、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル基)などが挙げられる。炭素数2~18のアルキニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数は3~18が好ましく、5~18がより好まししい。具体的には、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基などが挙げられる。
Xが-NR-を示すとき、Rが炭素数6~24の炭化水素基、またはR21-L-R22-で示される基を示すことが好ましい。このとき、RおよびRの一方が、水素原子であり;RおよびRの他方が、炭素数6~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示すことが好ましい。
Xが-O-を示すとき、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数6~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示すことが好ましい。
、R、R、R10、R11、およびR12は水素原子であることが好ましい。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、-O(CO)-R42または-(CO)O-R43で置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基、アリール基で置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基であることが好ましく、アルキル基であるときR、R、R10およびR12と互いに連結してO原子を含んでいてもよい環を形成していてもよい。なかでも、炭素数1~18のアルキル基、-O(CO)-R42または-(CO)O-R43で置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基、アリール基で置換されてもよい炭素数1~12のアルキル基、ヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~18のアルキル基、-O(CO)-R42または-(CO)O-R43で置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基であることがより好ましい。
およびRがそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18の炭化水素基、-O(CO)-R42または-(CO)O-R43で置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基、アリール基で置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、またはヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基であるか、RおよびRが互いに連結してO原子を含んでいてもよい4~7員環を形成していることが好ましい。
とRまたはRとは、互いに連結することはなく、環を形成することはない。
a+bは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。c+dは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物は、下記式(1-1)で表される化合物であることが好ましい。
24は、水素原子、炭素数6~24の炭化水素基、またはR21-L-R22-で示される基を示し、R21は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、R22は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示す。
25は、水素原子、炭素数3~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示し、R31は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、R32は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示す。
、R、R、R、R、R10、およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、または置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
およびR、R10およびR、RおよびR12、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R12およびR、並びにRおよびRの何れか一組以上は互いに連結してO原子を含んでいてもよい4~7員環を形成してもよい。ただし、好ましくは、RとRまたはRとは、互いに連結することはなく、環を形成することはない。
置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換のヘテロアリール基上の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(1-1)におけるR、R、R、R、R、R10、およびR12の定義および好ましい範囲は式(1)のものと同じである。
式(1-1)のR24は炭素数6~24のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。炭素数6~24のアルキル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数6~24のアルキル基は炭素数8~20のアルキル基であることが好ましい。具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリメチルドデシル基(好ましくは、3,7,11-トリメチルドデシル基)、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、テトラメチルヘキサデシル基(好ましくは、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。炭素数6~24のアルケニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数6~24のアルケニル基は炭素数8~20のアルケニル基であることが好ましい。具体的には、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ドデカジエニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル基)、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル基)、ヘプタデカジエニル基(好ましくは、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル基)、オクタデセニル基(好ましくは、(Z)-オクタデカ-9-エニル基)、オクタデカジエニル基(好ましくは、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル基)、ノナデセニル基、イコセニル基(好ましくは、(Z)-イコサ-11-エニル基)、イコサジエニル基(好ましくは、(11,14)-イコサ-11,14-ジエニル基)、などが挙げられる。
上記のアルケニル基はいずれも二重結合を1つまたは2つ有することが好ましい。
式(1-1)のR25は炭素数6~24のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。炭素数6~24のアルキル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数6~24のアルキル基は炭素数7~20のアルキル基であることが好ましい。具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリメチルドデシル基(好ましくは、3,7,11-トリメチルドデシル基)、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、テトラメチルヘキサデシル基(好ましくは、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。炭素数6~24のアルケニル基は直鎖でも分岐であってもよく、鎖状でも環状であってもよい。炭素数6~24のアルケニル基は炭素数8~20のアルケニル基であることが好ましい。具体的には、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ドデカジエニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル基)、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデセニル基(好ましくは、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル基)、ヘプタデカジエニル基(好ましくは、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル基)、オクタデセニル基(好ましくは、(Z)-オクタデカ-9-エニル基)、オクタデカジエニル基(好ましくは、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル基)、ノナデセニル基、イコセニル基(好ましくは、(Z)-イコサ-11-エニル基)、イコサジエニル基(好ましくは、(11,14)-イコサ-11,14-ジエニル基)、などが挙げられる。
上記のアルケニル基はいずれも二重結合を1つまたは2つ有することが好ましい。
好ましい態様においては、
Xが-O-を示し;
、R、R31、L、およびR32の定義は、式(1)における定義と同義であり、
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12はそれぞれ独立に、水素原子または置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基、および置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換のヘテロアリール基上の置換基の定義は、式(1)における定義と同義であり、
a+bは1であり、c+dは1または2である。
さらに好ましい態様においては、式(1)で示される化合物が、下記式(2)で示される化合物である。
式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示し、
31は、炭素数1~24の炭化水素基を示し、
は、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
を示し、
32は、2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
は、水素原子、または置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、または 置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換のヘテロアリール基上の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
eは2または3を示す。
、R、R、RおよびRの定義は式(1)のものと同じである。
式(2)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、Rについての、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアリール基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、置換もしくは無置換のアリール基上の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数3~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、無置換のアリール基、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43であり、R42およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数3~24の炭化水素基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、無置換のアリール基、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、好ましくは、RおよびRの少なくとも一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または 炭素数1~18のアルキル基を示し、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、無置換のアリール基、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRがそれぞれ独立に、R31-L-R32-で示される基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、無置換のアリール基、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数3~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または 炭素数1~18のアルキル基を示し、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、無置換のアリール基、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数6の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または 炭素数1~18のアルキル基を示し、置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数6の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、Rは、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数6の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、Rは、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、eは2を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数3~5の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、Rは、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数3~5の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、Rは、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、eは2を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数6の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、Rは、水素原子、または置換された炭素数1~18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、置換された炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示す。
式(2)において、さらに好ましくは、RおよびRの一方が、R31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が、炭素数6の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)-、または-(CO)O-を示し、Rは、水素原子、または置換された炭素数1~18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~18のアルキル基を示し、置換された炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、-O(CO)-R42、または-(CO)O-R43で示される基であり、R42、およびR43はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、eは2を示す。
式(2)において、好ましい態様は、
およびRの少なくとも一つは1つ以上の不飽和結合を含む炭素数3~24の炭化水素基を示すか;RおよびRがそれぞれ独立にR31-L-R32-で示される基を示すか:あるいはRおよびRの一方がR31-L-R32-で示される基を示し、RおよびRの他方が炭素数3~24の炭化水素基を示し;
は、無置換の炭素数1~18のアルキル基、あるいは-O(CO)-R42または-(CO)O-R43で置換された炭素数1~18のアルキル基を示し;
およびRは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基を示す;
(ここで、R31、L、R32、R42、およびR43は、式(2)における定義と同義である)
場合である。
式(1)で表される化合物は塩を形成していてもよい。
塩基性基における塩としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が挙げられる。
酸性基における塩としては、たとえば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N-ベンジル-β-フェネチルアミン、1-エフェナミンおよびN,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。
上記した塩の中で、好ましい塩としては、薬理学的に許容される塩が挙げられる。
式(1)で表される脂質又はその塩が、以下の化合物から選ばれる脂質又はその塩であることが好ましい。
2-ブチルオクチル3-エチル-12-ヘキシル-6-(2-(オクタノイルオキシ)エチル)-10-オキソ-9,11-ジオキサ-3,6-ジアザヘニコサン-21-オエート
2-ペンチルヘプチル6-(2-(デカノイルオキシ)エチル)-3-エチル-12-ヘキシル-10-オキソ-9,11-ジオキサ-3,6-ジアザヘキサデカン-16-オエート
式(1)で表される脂質又はその塩の製造方法は、公知の方法を組みわせることにより製造することができるが、例えば、国際公開公報2019/235635に記載されている製造法に従い、製造することができる。
式(1)で表される脂質又はその塩の製造方法は、国際公開公報2019/235635に記載されている。
本発明の脂質組成物において、式(1)で表される脂質又はその塩の含有率は、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して50~75mol%であり、55~70mol%が好ましい。
なお、脂質組成物に含まれる脂質の総量とは、後述するステロール類、ポリエチレングリコール構造を有する脂質、および双性イオン性脂質の総量を意味する。また、脂質組成物に含まれる脂質の総量のことを全脂質とも称する。
<ステロール類>
本発明の脂質組成物は、ステロール類を含む。
本発明の脂質組成物においては、油相にステロール類を含むことで、膜流動性を低下させ、脂質粒子の安定化効果を得ることができる。
ステロール類としては、特に限定されないが、コレステロール、フィトステロール(β-シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロールなど)、エルゴステロール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2’-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4’-ヒドロキシブチルエーテルなどを挙げることができる。これらの中でも、コレステロール又はその誘導体が好ましい。
本発明の脂質組成物において、全脂質に対するステロール類の含有率は、5~60mol%であることが好ましく、10~50mol%であることがより好ましい。
本発明の脂質組成物における、式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.3以上5.0以下であり、1.5以上4.0以下が好ましく、1.6以上3.5以下がより好ましい。これにより本発明の脂質組成物は、優れた核酸送達を達成でき、且つ、脂質組成物に含まれる脂質粒子の粒子径が小さいものとなる。
<ポリエチレングリコール構造を有する脂質>
本発明の脂質組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)構造を有する脂質を含む。
本発明の脂質組成物においては、油相にポリエチレングリコール構造を有する脂質を含むことで、脂質粒子の分散安定化効果を得ることができる。
ポリエチレングリコール構造を有する脂質としては、特に限定されないが、PEG修飾ホスホエタノールアミン、ジアシルグリセロールPEG誘導体、ジアルキルグリセロールPEG誘導体、コレステロールPEG誘導体、セラミドPEG誘導体などが挙げられる。これらの中でも、ジアシルグリセロールPEGが好ましい。すなわち、ポリエチレングリコール構造を有する脂質としては、ジアシルグリセロール構造とポリエチレングリコール構造とを有する脂質であることが好ましい。ジアシルグリセロール部分のアシル基は、炭素数12~22のアシル基であることがより好ましい。
ポリエチレングリコール構造を有する脂質におけるポリエチレングリコール鎖の重量平均分子量は、500~5000が好ましく、750~3000がより好ましい。また、ポリエチレングリコール鎖は分岐していてもよく、ヒドロキシメチル基のような置換基を有していてもよい。
本発明の脂質組成物において、全脂質に対するポリエチレングリコール構造を有する脂質の含有率は、0.2~10mol%であることが好ましく、0.2~5mol%がより好ましい。
<双性イオン性脂質>
本発明の脂質組成物は、さらに双性イオン性脂質を含むことが好ましい。
双性イオン性脂質としては、リン脂質が好ましい。リン脂質としては、特に限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンなどが挙げられ、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンが好ましい。また、双性イオン性脂質としては、単独でも、複数の異なる双性イオン性脂質を組み合わせても良い。
ホスファチジルコリンとしては、特に限定されないが、大豆レシチン(SPC)、水添大豆レシチン(HSPC)、卵黄レシチン(EPC)、水添卵黄レシチン(EPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DSPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DOPC)などが挙げられる。
上記の中でも、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DOPC)がより好ましい。
ホスファチジルエタノールアミンとしては特に限定されないが、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DLoPE)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(D(Phy)PE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(POPE)、1,2-ジテトラデシル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、1,2-ジヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、1,2-ジオクタデシル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、1,2-ジフィタニル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミンなどが挙げられる。
上記の中でも、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DOPE)がより好ましい。
スフィンゴミエリンとしては、特に限定されないが、卵黄由来スフィンゴミエリン、牛乳由来スフィンゴミエリンなどが挙げられる。
本発明の脂質組成物において、全脂質に対する双性イオン性脂質の含有量は、5モル%~35モル%であることが好ましく、5モル%~30モル%であることがより好ましく、10モル%~25モル%であることがさらに好ましい。
<核酸>
本発明の脂質組成物は核酸を含む。核酸としてはプラスミド、1本鎖DNA、2本鎖DNA、siRNA(small interfering RNA) 、miRNA(micro RNA)、tRNA(transfer RNA)、mRNA、アンチセンス核酸、リボザイム、アプタマー、saRNA、sgRNA等が挙げられ、いずれを含んでもよい。また、修飾化された核酸を含んでもよい。本発明の脂質組成物に含まれる核酸としては、中でもmRNAが好ましい。
本発明の脂質組成物において、全脂質に対する核酸の含有量は、好ましくは0.5~50質量%であり、より好ましくは1~25質量%であり、さらに好ましくは1.2~20質量%である。また、核酸に対する全脂質の含有量は、好ましくは2~200倍であり、より好ましくは4~100倍であり、さらに好ましくは5~83倍である。
<脂質組成物の製造方法>
本発明の脂質組成物の製造方法について説明する。
脂質組成物の製造方法は限定されないが、脂質組成物の構成成分全てまたは一部の油溶性成分を有機溶媒等に溶解させ油相とし、水溶性成分を水に溶解させ水相とし、油相と水相を混合して製造することができる。混合にはマイクロミキサーを使用してもよく、ホモジナイザー等の乳化機、超音波乳化機、高圧噴射乳化機等により乳化してもよい。
あるいは、脂質を含む溶液をエバポレータなどによる減圧乾固または噴霧乾燥機などによる噴霧乾燥などにより脂質を含む乾燥した混合物を調製し、この混合物を水系溶媒に添加し、さらに前述の乳化機などで乳化することで製造することもできる。
核酸を含む脂質組成物の製造方法の一例としては、
脂質組成物の構成成分を有機溶媒に溶解して油相を得る工程(a);
工程(a)で得た油相と、核酸などの水溶性成分を含む水相と、を混合する工程(b);
工程(b)で得た油相及び水相を含む混合液を希釈して、脂質粒子の分散液を得る工程(c);
脂質粒子の分散液から上記有機溶媒を除去する工程(d);
脂質粒子の分散液の濃度を調節する工程(e); を含む方法が挙げられる。
工程(a)においては、脂質に分類される構成成分を、有機溶媒(エタノールなどのアルコール、またはエステルなど)に溶解させることを含む。有機溶媒に溶解させた後の総脂質濃度は特に限定されないが、一般的には1mmol/L~100mmol/Lであり、好ましくは5mmol/L~50mmol/Lであり、より好ましくは10mmol/L~30mmol/Lである。
工程(b)において、水相は、核酸(例えば、siRNA、アンチセンス核酸、miRNA(micro RNA)、mRNAなど)を、水または緩衝液に溶解することで得ることができる。必要に応じて酸化防止剤などの成分を添加することができる。水相と油相を混合する比率(質量比)は、5:1~1:1が好ましく、4:1~2:1がより好ましい。
工程(d)において、脂質粒子の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に限定されず、一般的な手法を使用することができるが、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、スクロース含有トリス緩衝液などの溶液を用いて透析を行うことにより有機溶媒を除去することができる。
工程(e)において、工程(d)で得られた分散液の濃度を調整することができる。希釈する場合は、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、スクロース・トリス緩衝液などの溶液を希釈液として用いて適切な濃度に希釈することができる。濃縮する場合は、工程(d)で得られた分散液を、限外ろ過膜を用いた限外ろ過などにより濃縮することができる。濃縮した分散液をそのまま用いても好ましく、濃縮した後に前記希釈液を用いて所望の濃度に調整しても好ましい。
工程(d)における透析や、工程(e)における希釈において用いることのできる溶液としては、賦形剤、緩衝剤を添加してもよい。賦形剤としては糖類が挙げられる。糖類としては、例えばスクロース、トレハロース、マルトース、グルコース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトールなどが挙げられる。緩衝剤としては、例えば、ACES、 BES、 Bicine、 CAPS、 CHES、 DIPSO、 EPPS、 HEPES、 HEPPSO、 MES、 MOPS、 MOPSO、 TAPS、 TAPSO、 TES、 Tricineなどが挙げられる。
本発明の脂質粒子の分散液を医薬組成物とするために、無菌ろ過を行うことが好ましい。ろ過の方法としては、中空糸膜、逆浸透膜、メンブレンフィルターなどを用いて、脂質粒子の分散液から不要なものを除去することができる。本発明では、特に限定されないが、滅菌できる孔径を有するフィルター(好ましくは0.2μmのろ過滅菌フィルター)によってろ過することが好ましい。また、無菌ろ過を行うのは、工程(c)または工程(d)のあとが好ましい。
さらに必要に応じて本発明の脂質粒子の分散液を、凍結や凍結乾燥を施すことができる。本発明の脂質粒子の分散液は、一般的な方法により凍結や凍結乾燥を施すことができ、その手法は特に限定されない。
<脂質組成物について>
本発明の脂質組成物は、脂質粒子と、脂質粒子が分散する分散相を含む。脂質粒子とは、脂質から構成される粒子を意味し、脂質が凝集している脂質凝集体、ミセル、リポソームから選択されるいずれかの構造を有する組成物が含まれるが、脂質を含む組成物である限り脂質粒子の構造はこれらに限定されない。リポソームとしては、脂質二重層構造を有し、内部に水相を有し、二重膜が単層のリポソーム、多数層状に重なった多重相リポソームがある。本発明にはどちらのリポソームが含まれてもよい。
脂質粒子の形態は、電子顕微鏡観察またはエックス線を用いた構造解析などにより確認できる。例えば、Cryo透過型電子顕微鏡観察(CryoTEM法)を用いた方法により、リポソームのように脂質粒子が脂質二分子膜構造(ラメラ構造)および内水層を持つ構造であるか、粒子内部に電子密度が高いコアを持ち、脂質をはじめとする構成成分が詰まった構造を有しているか、などが確認できる。エックス線小角散乱(SAXS)測定によっても、脂質粒子についての脂質二分子膜構造(ラメラ構造)の有無を確認できる。
脂質粒子の粒子径は特に限定されないが、好ましくは10~500nmであり、より好ましくは30~300nmであり、さらに好ましくは50~200nmであり、特に好ましくは50~150nmである。脂質粒子の粒子径は、一般的な方法(例えば、動的光散乱法、レーザー回折法など)により測定することができる。
本発明の脂質組成物は、脂質粒子が分散する分散相を含む。分散相は、水または緩衝液が挙げられるが、これに限定されない。緩衝液としては、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、HEPES、MES等が挙げられる。
本発明の脂質組成物を凍結又は凍結乾燥を行う場合、凍結又は凍結乾燥のために必要となる補助剤(例えば、界面活性剤、糖類等)を分散相に含ませることができる。界面活性剤としては、例えば、Tween 80、Tween 20、Triton X-100、ドデシル硫酸ナトリウムなどがあげられる。また糖類としては、スクロース、トレハロース、マンニトール、フルクトース、ラクトース、マルトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、グリセロールなどがあげられる。
<脂質組成物の利用>
本発明における脂質組成物の利用の一例としては、核酸を含む脂質組成物を細胞に導入することによって、細胞に核酸(例えば、遺伝子など)を導入することができる。また、本発明における脂質組成物に、医薬用途を有する核酸を含む場合、脂質組成物は核酸医薬として生体に投与することができる。すなわち、本発明の脂質組成物は、好ましくは、細胞に核酸を導入するための組成物である。
本発明における脂質組成物を核酸医薬として使用する場合には、本発明の脂質組成物は単独でまたは薬学的に許容される担体(投与媒体ともいう。例えば、生理食塩水またはリン酸緩衝液)と混合して、生体に投与することができる。
薬学的に許容される担体との混合物中における脂質組成物(脂質粒子)の濃度は、特に限定されず、一般的には0.05質量%から90質量%とすることができる。また、本発明の脂質組成物を含む核酸医薬は、薬学的に許容される他の添加物質、例えば、pH調整緩衝剤、浸透圧調整剤などを添加してもよい。
本発明の脂質組成物を含む核酸医薬を投与する際の投与経路は、特に限定されず、任意の方法で投与することができる。投与方法としては、経口投与、非経口投与(関節内投与、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、皮内投与、硝子体内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、膣内投与、膀胱内投与、髄腔内投与、肺投与、直腸投与、結腸投与、頬投与、鼻投与、大槽内投与、吸入など)が挙げられる。非経口投与が好ましく、投与方法としては静脈注射、皮下注射、皮内注射または筋肉内注射が好ましい。本発明の脂質組成物を含む核酸医薬は、疾患部位に直接注射することにより投与することもできる。
本発明の脂質組成物の剤形は、特に限定されないが、経口投与を行う場合には、本発明の脂質組成物は、適当な賦形剤と組み合わせて、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、懸濁剤、シロップ剤などの形態で使用することができる。また、非経口投与を行う場合には、本発明の脂質組成物と、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および等張滅菌注射剤、懸濁化剤、溶解補助剤、粘稠化剤、安定化剤または保存料などの添加剤を適宜組み合わせることができる。
<核酸送達キャリア>
本発明の脂質組成物は、高い内包率で核酸を保持することが可能であるため、核酸送達キャリアとして非常に有用である。本発明を利用した核酸送達キャリアによれば、例えば、脂質組成物を、in vitroまたはin vivoで細胞にトランスフェクションをすることにより、細胞に核酸などを導入することができる。また、本発明を利用した核酸送達キャリアは、核酸医薬における核酸送達キャリアとしても有用である。すなわち、本発明の脂質組成物は、in vitroまたはin vivo(好ましくはin vivo)での核酸送達のための組成物として有用である。
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
<核酸脂質粒子の調製>
下記構造の脂質(以下、化合物A)を国際公開公報2019/235635に記載の方法で合成した。
化合物A(本発明の式(1)で表される脂質)、DOPE(L-α-ジオレオイル ホスファチジルエタノールアミン 製品名:COATSOME(R)MC-8181;NOF corporation社製)、コレステロール(製品名:Cholesterol HP;日本精化株式会社製)、DMG-PEG2000(1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000 製品名:SUNBRIGHT(R)GM-020;NOF corporation社製)を、表1に記載のモル比で、総脂質濃度が12.5mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させ、油相を得た。
FLuc mRNA(製品名:CleanCap FLuc mRNA(5moU);TriLink社製) を、pH4の50mmol/Lクエン酸バッファーで、油相・水相混合後の総脂質濃度のmRNA濃度に対する重量比が約20:1~60:1になるように希釈して水相を得た。つづいて水相と油相の体積比が水相:油相=3:1となるようにNanoAssemblr(Precision NanoSystems)を使用して混合し、混合液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1.5倍希釈してmRNA脂質粒子の分散液を得た。この分散液を8%スクロース含有トリス緩衝液にて透析カセット(Slide-A-Lyzer G2、 MWCO:10kD、 Thermo Fisher Scientific)を用いて透析することによりエタノールの除去を行い、FLuc mRNA内包脂質粒子を得た。
<粒子径の測定>
mRNA内包脂質粒子の粒子径は、脂質粒子分散液について、ゼータ電位・粒径測定システムELS-Z2(大塚電子)を用いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で10倍希釈し、測定した。結果を表2に示す。
<mRNAの内包率の評価>
(総mRNA濃度定量)
mRNAおよびmRNAを内包する脂質粒子100μLに、メタノール900μL添加することで脂質を溶解し、吸光度計(Thermo Fisher Scientific)を用いて260nmの吸光度を測定することにより、総mRNA濃度を定量した。
(外水相におけるmRNA濃度の定量)
Quant-iT RiboGreen RNA Assay Kit(Thermo Fisher Scientific)を用い、プロトコルに従って定量した。まず、上述のキットに含まれる20×TEバッファーを水で希釈し、1×TEバッファーとした。なお、TEは、Tris/EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を示す。外水相のmRNAのみを定量するため、mRNAを保持する脂質粒子分散液を1×TEバッファーで50倍に希釈した。50倍に希釈した脂質粒子分散液100μLを、96ウェルプレートに入れ、つづいて1×TEバッファーで2000倍に希釈したRiboGreen試薬(上記したQuanti-iT Ribogreen RNA Assay Kitに含まれている試薬)100μLをサンプルに加え、プレートリーダーInfinite F200(TECAN)を用いて蛍光(励起波長:485nm、蛍光波長:535nm)を測定することで、外水相におけるmRNA濃度を定量した。
(内包率の算出)
上述の工程で得られた総mRNA濃度および外水相でのmRNA濃度の定量結果を用いて、下記式に従って、mRNA内包脂質粒子のmRNA内包率を算出した。結果を表2に示す。
mRNA内包率(%)=(総mRNA濃度-外水相におけるmRNA濃度)÷総mRNA濃度×100
<in vitroでのLuciferase発現測定>
実施例2、3及び比較例1に対してin vitroでのLuciferase発現測定を行った。
(評価に用いた細胞)
Hela細胞を用いたin vitro試験では、E-MEM(gibco)、FBS(fetal bovine serum)(gibco)、Penicillin-streptomycin(gibco)、NEAA(Non-Essential Amino Acid)(富士フイルム和光純薬)をそれぞれ88:10:1:1の割合で混合したものを培養培地として用いた。
(Luciferase発現量の定量)
Luciferase発現量の測定はONE-Glo Luciferase Assay System(Promega)のプロトコルに従った。Hela細胞に対し、事前にhApoE(富士フイルム和光純薬)とプレインキュベーションした、最終濃度がmRNA濃度として80ng/wellとなるように調製した核酸脂質粒子の分散液を添加した。37℃、5%CO2管理下で24時間暴露後、Luciferase Assay BufferとLuciferase Assay Substrateを混合したものを100μL/wellで添加し、室温で3分静置することで測定溶液を得た。測定溶液を50μLずつ別プレートに移液し、プレートリーダー(Envision、Perkin elmer)で発光量を測定した。結果を表3に示す。
比較例の核酸脂質組成物に比べて、本発明の核酸脂質組成物は、粒子径が小さく、良好なLuciferaseの発現を確認でき、優れた核酸送達能を有することがわかった。

Claims (7)

  1. 式(1)で表される脂質又はその塩、ステロール類、ポリエチレングリコール構造を有する脂質、および核酸を含む脂質粒子と、その脂質粒子が分散する分散相を含む脂質組成物であって、
    式(1)で表される脂質又はその塩の含有率が、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して50~75mol%であり、
    脂質組成物中の式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.3以上5.0以下である、脂質組成物。
    式中、Xは-NR-または-O-を示し、
    は、水素原子、炭素数6~24の炭化水素基、またはR21-L-R22-で示される基を示し、R21は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
    を示し、R22は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
    およびRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3~24の炭化水素基、またはR31-L-R32-で示される基を示し、R31は炭素数1~24の炭化水素基を示し、Lは、-O(CO)O-、-O(CO)-、-(CO)O-、-O-、または
    を示し、R32は2価の連結基であって炭素数1~18の炭化水素連結基を示し、
    、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12はそれぞれ独立に、水素原子または置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基を示し、
    およびR、R10およびR、RおよびR12、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R12およびR、並びにRおよびRの何れか一組以上は互いに連結してO原子を含んでいてもよい4~7員環を形成してもよく、
    置換されてもよい炭素数1~18のアルキル基上の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
    置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換のヘテロアリール基上の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、-NR4546で示されるアミノ基、-O(CO)O-R41、-O(CO)-R42、-(CO)O-R43、または-O-R44で示される基であり、R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1~18の炭化水素基を示し、
    a、b、c、およびdはそれぞれ独立に0~3の整数を示し、但し、a+bは1以上であり、c+dは1以上である。
  2. ステロール類がコレステロールである、請求項1に記載の脂質組成物。
  3. 核酸がmRNAである、請求項1に記載の脂質組成物。
  4. さらに双性イオン性脂質を含む、請求項1に記載の脂質組成物。
  5. 式(1)で表される脂質又はその塩の含有率が、脂質組成物に含まれる脂質の総量に対して55~70mol%である、請求項1に記載の脂質組成物。
  6. 脂質粒子中の式(1)で表される脂質又はその塩のモル数の、脂質組成物中のステロール類のモル数に対する比が1.5以上4.0以下である、請求項1に記載の脂質組成物。
  7. 式(1)で表される脂質又はその塩が、以下の化合物から選ばれる脂質又はその塩である、請求項1に記載の脂質組成物。
    2-ブチルオクチル3-エチル-12-ヘキシル-6-(2-(オクタノイルオキシ)エチル)-10-オキソ-9,11-ジオキサ-3,6-ジアザヘニコサン-21-オエート
    2-ペンチルヘプチル6-(2-(デカノイルオキシ)エチル)-3-エチル-12-ヘキシル-10-オキソ-9,11-ジオキサ-3,6-ジアザヘキサデカン-16-オエート
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