JP2024093552A - 液晶ポリマーおよび空気入りタイヤ - Google Patents

液晶ポリマーおよび空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2024093552A
JP2024093552A JP2022210012A JP2022210012A JP2024093552A JP 2024093552 A JP2024093552 A JP 2024093552A JP 2022210012 A JP2022210012 A JP 2022210012A JP 2022210012 A JP2022210012 A JP 2022210012A JP 2024093552 A JP2024093552 A JP 2024093552A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tan
liquid crystal
crystal polymer
rubber
pneumatic tire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022210012A
Other languages
English (en)
Inventor
明啓 平川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire Corp
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire Corp filed Critical Toyo Tire Corp
Publication of JP2024093552A publication Critical patent/JP2024093552A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】tanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスが改良された液晶ポリマー、および該液晶ポリマーを含有する加硫ゴムを備え、WET性能および低燃費性が両立可能な空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】重量平均分子量が4万以上であって、tanδを60℃で測定したときのtanδ(60℃)に対する、tanδを-20℃で測定したときのtanδ(-20℃)の比(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))が0.21以上である液晶ポリマー、および該液晶ポリマーを含有する加硫ゴムを備える空気入りタイヤ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶ポリマーおよび空気入りタイヤに関するものである。
一般に、タイヤは様々な走行環境で使用され、例えば雨の中、湿潤路面でのグリップ性能であるウェットグリップ性能(以下、単に「WET性能」とも言う)を改良することが求められる。しかしながら、かかるWET性能の向上を目的としてゴム組成物の配合設計を行った場合、得られる加硫ゴムの低燃費性が悪化する場合があるため、これらをバランス良く向上させる技術が求められていた。
下記特許文献1では、ゴム成分としてtanδの温度分散曲線がバイモーダルとなる少なくとも2種のジエン系ゴムを含むゴム組成物を原料として使用することで、空気入りタイヤのWET性能および低燃費性の向上を図る技術が記載されている。
また、下記特許文献2では、軟化点が140℃以上である芳香族ビニル化合物の単独重合体樹脂および共重合体樹脂から選択される少なくとも1種を所定量配合したゴム組成物を原料として使用することで、タイヤの初期グリップ性能および走行安定性の向上を図る技術が記載されている。
さらに、下記特許文献3では、芳香族ビニル化合物と共役ジエン含有化合物とを単量体単位として含有し、重量平均分子量(Mw)が1,000~50,000である液状共重合体を含むゴム組成物を原料として使用することで、空気入りタイヤのWET性能および低燃費性の向上を図る技術が記載されている。
特開平08-27313号公報 特開2008-169295号公報 特開2016-117880号公報
空気入りタイヤのWET性能および低燃費性の両立を図る場合、原料となるゴム組成物の損失正接(tanδ)の最適化を図ることが重要となる。一般に、WET性能は原料となるゴム組成物の-20℃でのtanδ(以下、「tanδ(-20℃)」とも言う)に大きく依存し、tanδ(-20℃)が大きい方が空気入りタイヤのWET性能に優れる。一方、低燃費性は原料となるゴム組成物の60℃でのtanδ(以下、「tanδ(60℃)」とも言う)に大きく依存し、tanδ(60℃)が小さい方が空気入りタイヤの低燃費性に優れる。
しかしながら、前記特許文献に記載の技術では、ゴム組成物のtanδ(-20℃)を大きくし、かつtanδ(60℃)を小さくすることが難しく、最終製品である空気入りタイヤのWET性能および低燃費性をバランス良く向上することが困難であることが判明した。本発明は上記実情に鑑みて完成されたものであり、tanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスが改良された液晶ポリマー、該液晶ポリマーを含有する加硫ゴムを備え、WET性能および低燃費性が両立可能な空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち本発明は、重量平均分子量が4万以上であって、tanδを60℃で測定したときのtanδ(60℃)に対する、tanδを-20℃で測定したときのtanδ(-20℃)の比(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))が0.21以上であることを特徴とする液晶ポリマー(1)に関する。
上記液晶ポリマー(1)において、分岐構造を有する分岐型液晶ポリマーである液晶ポリマー(2)が好ましい。
上記液晶ポリマー(1)または(2)において、少なくとも活性水素基を有し、かつ分岐構造を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物との反応物である液晶ポリマー(3)が好ましい。
さらに本発明は、液晶ポリマー(1)~(3)のいずれかを含有する加硫ゴムを備える空気入りタイヤ(4)に関する。
本発明に係る液晶ポリマーは、重量平均分子量が4万以上であって、tanδを60℃で測定したときのtanδ(60℃)に対する、tanδを-20℃で測定したときのtanδ(-20℃)の比(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))が0.21以上となるように設計されている。このため、かかる液晶ポリマーを含有するゴム組成物の加硫ゴムも、tanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスが改良され、特にかかる加硫ゴムをトレッド部に備える空気入りタイヤは、WET性能および低燃費性の両方に優れる。
本発明に係る液晶ポリマーが、特に分岐構造を有する分岐型液晶ポリマーでありかつ、高分子量である場合、かかる液晶ポリマーを含有するゴム組成物の加硫ゴムのtanδ(60℃)は低く維持されつつtanδ(-20℃)が大きくなるため、tanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスがさらに改良されるため好ましい。このような効果が得られる理由については明らかではないが、以下の理由が推定可能である。
tanδは損失弾性率(E’’)と貯蔵弾性率(E’)との比率で表される(tanδ=E’’/E’)。分岐型液晶ポリマーは柔軟な分岐構造を有するため、分岐型液晶ポリマーを含有する加硫ゴムに歪が印加された場合、分岐構造が運動し、分子内摩擦が生じる。このため、加硫ゴムの変形に必要なエネルギー量、つまり損失弾性率(E’’)が増加し、その結果、tanδ、特にはtanδ(-20℃)が大きくなることが推定可能である。加えて、本発明に係る液晶ポリマーは重量平均分子量が4万以上であるため、tanδ(60℃)が小さくなる。これらにより、液晶ポリマーのtanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスがより改良されるものと考えられる。
本発明に係る液晶ポリマーを含有する加硫ゴムは、tanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスが改良されている。このため、かかる加硫ゴムを備える空気入りタイヤは、WET性能および低燃費性の両方に優れる。
本発明に係る液晶ポリマーは、重量平均分子量が4万以上であって、tanδを60℃で測定したときのtanδ(60℃)に対する、tanδを-20℃で測定したときのtanδ(-20℃)の比(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))が0.21以上である。最終的に得られる加硫ゴムを備える空気入りタイヤのWET性能および低燃費性をよりバランスよく向上させる見地から、(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))は0.27以上であることがより好ましい。また、特にtanδ(60℃)をより小さくし、最終的に得られる加硫ゴムを備える空気入りタイヤの低燃費性をより向上させる見地から、液晶ポリマーの重量平均分子量は10万以上であることがより好ましい。なお、(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))の上限は特に限定はないが、例えば2.0程度が例示可能である。同様に、液晶ポリマーの重量平均分子量の上限も特に限定はないが、例えば33万程度が例示可能である。
本発明においては、加硫ゴムのtanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランスをより高いレベルで改良するために、液晶ポリマーが、液晶相から等方相への転移温度(Ti)が20℃以下のものであることが好ましく、Tiが5℃以下であることがより好ましい。また、本発明においては液晶ポリマーが液晶ポリウレタンであることが好ましい。
本発明においては、液晶ポリマーが分岐構造を有する分岐型液晶ポリマーであることが好ましい。分岐構造を有する分岐型液晶ポリマーは、tanδ(-20℃)が大きくなる傾向がある。したがって、分岐構造を有する分岐型液晶ポリマーを使用した場合、最終的に得られる加硫ゴムを備える空気入りタイヤのWET性能がより向上するため好ましい。かかる分岐型液晶ポリマーとしては、(i)少なくとも活性水素基を有し、かつ分岐構造を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物との反応物である分岐型液晶ポリウレタンであってもよく、(ii)少なくとも活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、分岐構造を有する分岐型イソシアネート化合物との反応物である分岐型液晶ポリウレタンであってもよい。以下、各構成について説明する。
前記(i)のメソゲン基含有化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物に炭素数が4以上のアルキレンオキシドを付加した化合物(以下、「オキシド付加化合物」ともいう)が挙げられる。
上記一般式(1)において、Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、-N=N-、-CO-、-CO-O-、または-CH=N-であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または-O-であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または炭素数1~20のアルキレン基である。ただし、Rが-O-であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。なお、「隣接する結合基の一部をなす単結合」とは、当該単結合が隣接する結合基の一部と共有されている状態を意味する。例えば、上記一般式(1)において、Rが隣接する結合基の一部をなす単結合である場合、単結合であるRは両側のベンゼン環と共有された状態となり、当該両側のベンゼン環とともにビフェニル構造を形成する。Xとしては、例えば、OH、SH、NH、COOH、二級アミンなどが挙げられる。
メソゲン基含有化合物としてオキシド化合物を使用して生成した液晶ポリウレタンポリマーは、液晶相から等方相への転移温度(Ti)を所望の温度範囲に容易に設計可能となる。本発明においては、一般式(1)で表される化合物1モルに対して、炭素数が4以上のアルキレンオキシドが4~20モル、好ましくは6~15モル付加されるように調整される。
特に本発明においては、一般式(1)において、Rが隣接する結合基の一部をなす単結合であり、Rが-O-であり、Rが炭素数6のアルキレン基であるBH6に1,2-ブチレンオキシドを付加した以下の化合物(「BH6BOn」ともいう);
BH6に1,2-エポキシヘキサンを付加した以下の化合物(「BH6HOn」ともいう);
BH6にイソブチレンオキシドを付加した以下の化合物(「BH6iBOn」ともいう);
を好適に使用することができる。
メソゲン基含有化合物、特にはオキシド付加化合物の配合量は、液晶ポリマーの原材料全体の中で、20~95質量%、好ましくは30~85質量%となるように調整される。メソゲン基含有化合物、特にはオキシド付加化合物の配合量の配合量が20質量%未満の場合、生成したポリマーに液晶性が発現し難くなる。メソゲン基含有化合物、特にはオキシド付加化合物の配合量の配合量が95質量%を超える場合、ウレタン反応による高分子化が不十分となる。
前記(i)のイソシアネート化合物としては、例えば下記に示すジイソシアネート化合物を使用することができる。ジイソシアネート化合物を例示すると、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、およびm-キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、および1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;並びに1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。例示したジイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
液晶ポリマーを構成するメソゲン基含有化合物の全量を100質量部としたとき、イソシアネート化合物の割合は5~70質量部であることが好ましく、14~60質量部であることがより好ましい。イソシアネート化合物の配合量が5質量部未満である場合、ウレタン反応による高分子化が不十分となる。一方、イソシアネート化合物の割合が60質量部を超える場合、液晶ポリウレタンポリマーの原材料全体に占めるメソゲン基含有化合物の配合量が相対的に少なくなるため、液晶ポリウレタンポリマーの液晶性が低下する。
前記(ii)の活性水素基を有するメソゲン基含有化合物としては、前記一般式(1)で表される化合物またはオキシド付加化合物を使用することが挙げられる。
前記(ii)の分岐構造を有する分岐型イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチルジイソシアネートやジイソシアン酸イソホロンなどが挙げられる。
本発明に係る液晶ポリマーにおいては、メソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物とに加え、液晶ポリマーの原材料として、活性水素基含有化合物を使用してもよい。活性水素基含有化合物としては、例えば、ポリオール化合物、アミン化合物が挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、meso-エリトリトール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどが挙げられる。アミン化合物としては、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、およびモノプロパノールアミンなどが挙げられる。上掲の各活性水素基含有化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
また、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物とを反応させる場合、当業者に公知のウレタン重合触媒を使用してもよい。かかる重合触媒としては、ジブチル錫ジラウレートやオクチル酸錫などの有機錫系触媒、トリエチレンジアミンおよびその誘導体、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)、ビス(N,N-ジメチルアミノ-2-エチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルなどの第3級アミン系触媒、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカルボン酸金属塩触媒、イミダゾール系触媒などが挙げられる。これらの中でも、トリエチレンジアミンおよびその誘導体の使用が好ましい。
液晶ポリマー中に多官能化合物を組み入れる場合、多官能化合物は、活性水素基またはイソシアネート基と反応し得る官能基を3つ以上有する化合物が挙げられる。具体的には例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール;ペンタエリスリトールなどのテトラオール;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、3,3’-ジクロロ―4,4’ジアミノジフェニルメタン(MOCA)などのジアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミンなどのアミノアルコール;前記の3官能以上のイソシアネート化合物などが挙げられる。
本発明に係る空気入りタイヤの原料となるゴム組成物は、ジエン系ゴムと、前記液晶ポリマーとを少なくとも含有する。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)などが挙げられる。必要に応じて、末端を変性したもの(例えば、末端変性BR、末端変性SBRなど)、あるいは所望の特性を付与すべく改質したもの(例えば、改質NR)も好適に使用可能である。また、ポリブタジエンゴム(BR)については、コバルト(Co)触媒、ネオジム(Nd)触媒、ニッケル(Ni)触媒、チタン(Ti)触媒、リチウム(Li)触媒を用いて合成したものに加えて、WO2007-129670に記載のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物を用いて合成したものも使用可能である。
空気入りタイヤの低燃費性を考慮した場合、ポリスチレンブタジエンゴムについては、スチレン含有量10~40質量%、ブタジエン部のビニル結合量10~70質量%、およびcis分10質量%以上であるものが好ましく、スチレン含有量15~25質量%、ブタジエン部のビニル結合量10~60質量%、およびcis分20質量%以上であるものが特に好ましい。また、本発明に係るゴム組成物を空気入りタイヤのトレッドゴム部として使用する場合、油添タイプよりも非油添タイプのポリスチレンブタジエンゴムを使用することが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤの原料となるゴム組成物中、液晶ポリマーの配合量は、ゴム組成物のtanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とのバランス向上の見地から、ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、1~50質量部に設計することが好ましい。ゴム組成物中、液晶ポリマーの配合量が1質量部未満であると、最終製品である空気入りタイヤのWET性能および低燃費性をバランス良く向上することが困難となり、液晶ポリマーの配合量が50質量部を超えると、ゴム物性が損なわれる可能性がある。最終製品である空気入りタイヤのゴム物性を維持しつつ、WET性能および低燃費性をバランス良く向上するためには、ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、液晶ポリマーの配合量は5~40質量部であることが好ましく、10~30質量部であることがより好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤの原料となるゴム組成物には、前記ジエン系ゴムおよび液晶ポリマーに加えて、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックス、オイルなどの軟化剤、および加工助剤などの各種配合剤を配合することができる。
シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカを用いることができるが、特に、含水ケイ酸を主成分とする湿式シリカを用いることが好ましい。
シランカップリング剤としては、ジエン系ゴムに対し反応活性を有するシランカップリング剤を使用する。本発明において使用可能なシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。
カーボンブラックは、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン-ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
加硫系配合剤以外の配合剤を混合する工程の後、さらに加硫系配合剤を混合・分散させる。加硫系配合剤を混合する工程において使用する加硫系配合剤としては、硫黄、有機過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などが挙げられる。
硫黄系加硫剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
本発明に係る空気入りタイヤの原料となるゴム組成物は、ジエン系ゴムおよび液晶ポリマー、必要に応じてカーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、加硫系配合剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックス、やオイルなどの軟化剤、加工助剤などを、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤などの加硫系配合剤以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
本発明では、ジエン系ゴムと液晶ポリマーとを混合した後、得られたゴム組成物を加硫することにより、ジエン系ゴム中に液晶ポリマーが分散した加硫ゴムを製造することができる。かかる加硫ゴムは、ジエン系ゴム中の液晶ポリマーの分散性に優れる。このため、tanδ(-20℃)とtanδ(60℃)とがバランスに優れ、ゴム物性にも優れる。したがって、本発明に係る液晶ポリマーを含有する加硫ゴムは、例えば空気入りタイヤのトレッド部材として特に有用である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、実施例などにおける評価項目は下記のようにして測定を行った。
<動的粘弾性測定>
実施例1~5および比較例1の液晶ポリマーを測定試料とした。また、実施例1~5および比較例1の液晶ポリマーを含有する、参考例2~6および参考例1のゴム組成物について、160℃で20分間加熱することで加硫を行い、所定形状に成形して測定試料とした。液晶ポリマー試料についてはサーモフィッシャー製レオメーターHAAKE MARS 40により、昇温速度3℃/分にて、-30~65℃まで測定を行い、tanδ(-20℃)およびtanδ(60℃)を求めた。
またゴム組成物試料については、GABO社製の粘弾性試験機により、昇温速度2.5℃/分にて、-40~60℃まで測定を行い、tanδ(-20℃)およびtanδ(60℃)を求めた。
測定条件はそれぞれ以下のとおりである。
液晶ポリマー試料
測定試料のサイズ: φ20×1mm
測定モード :せん断モード
測定温度 :-30~65℃
昇温速度 :3℃/分
周波数 :10Hz
動歪み :0.02%
ゴム組成物試料
測定試料のサイズ:長さ50mm、幅3mm、厚み2mm
測定モード :引張モード
測定温度 :-40~60℃
昇温速度 :2.5℃/分
周波数 :10Hz
動歪み :0.15%
(メソゲンジオールの製造)
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物としてBH6(124g)、水酸化カリウム(2g)、及び溶媒としてトルエン(500ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとしてプロピレンオキシドを1モルのBH6に対して20当量添加し、これらの混合物を、加圧条件下、120℃で3時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(10g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のトルエンを減圧蒸留法により除去することにより、BH6にプロピレンオキシドを付加した以下の化合物(「BH6POn」ともいう)を製造した。
上記式中、nは7.5である。
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物としてBH6(400g)、水酸化カリウム(22.97g)、及び溶媒としてトルエン(2400ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとして1,2-ブチレンオキシドを1モルのBH6に対して14当量添加し、これらの混合物を、加圧条件下、120℃で3時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(18.43g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のトルエンを減圧蒸留法により除去することにより、BH6に1,2-ブチレンオキシドを付加した以下のBH6BOnを製造した。
上記式中、nは4.9である。
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物としてBH6(65g)、水酸化カリウム(2.98g)、及び溶媒としてキシレン(312ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとして1,2-エポキシヘキサンを1モルのBH6に対して10.6当量添加し、これらの混合物を、加圧条件下、140℃で3時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(6g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のキシレンを減圧蒸留法により除去することにより、BH6に1,2-エポキシヘキサンを付加した以下のBH6HOnを製造した。
上記式中、nは3.5である。
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物としてBH6(60g)、水酸化セシウム(15g)、及び溶媒としてキシレン(378ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとしてイソブチレンオキシドを1モルのBH6に対して27当量添加し、これらの混合物を、加圧条件下、140℃で4時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(8g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のキシレンを減圧蒸留法により除去することにより、BH6にイソブチレンオキシドを付加した以下のBH6iBOnを製造した。
上記式中、nは5である。
(実施例1~5および比較例1の液晶ポリマーの製造)
BH6POn、BH6BOn、BH6HOnまたはBH6iBOn各100質量部に対し、イソシアネート化合物として1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)を表1に記載の配合比で配合し、これらを撹拌しながら80℃で混合し、実施例1~5および比較例1の液晶ポリマーを製造した。
(参考例2~6および参考例1のゴム組成物の製造)
実施例1~5および比較例1の液晶ポリマーを、ラボミキサー(製品名:ラボプラストミル、東洋精機製作所社製)を使用してジエン系ゴム(SBR、商品名:SL563、JSR社製)に配合した。配合手順は、表2に記載の配合比率で、初めに第一段階として、SBRに対しシリカ(商品名:ニップシールAQ、東ソー・シリカ社製)、シランカップリング剤(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、商品名:Si69、エボニック・デグザ社製)、亜鉛華(商品名:亜鉛華1種、三井金属鉱業社製)、ステアリン酸(商品名:ルナックS-20、花王株式会社製)、および老化防止剤(商品名:ノクラック6C、大内新興化学工業株式会社製)を添加して160℃で混練し、次に第二段階として、混練物に実施例1~5および比較例1の液晶ポリマーを添加して160℃で混練し、さらに第三段階として、混練物に、硫黄(ゴム用粉末硫黄150メッシュ、細井化学工業社製)、および加硫促進剤(商品名:ノクセラーCZ(1次加硫促進剤)、ノクセラーD(2次加硫促進剤)、いずれも大内新興化学工業社製)を添加して90℃で混練し、得られたものを参考例2~6および参考例1のゴム組成物とした。参考例2~6および参考例1のゴム組成物について、160℃で20分間加熱することで加硫を行い、所定形状に成形して測定試料とし、tanδ(-20℃)/tanδ(60℃)を評価した。
表2の結果から、tanδ(-20℃)/tanδ(60℃)がバランスよく改善した液晶ポリマーを配合していることに起因して、参考例2~6のゴム組成物の加硫ゴムは、tanδ(-20℃)が大きく増大しているものの、tanδ(-20℃)/tanδ(60℃)が非常に大きいため、かかる加硫ゴムを備える空気入りタイヤでは、WET性能および低燃費性の両方に優れることがわかる。

Claims (4)

  1. 重量平均分子量が4万以上であって、tanδを60℃で測定したときのtanδ(60℃)に対する、tanδを-20℃で測定したときのtanδ(-20℃)の比(tanδ(-20℃)/tanδ(60℃))が0.21以上であることを特徴とする液晶ポリマー。
  2. 分岐構造を有する分岐型液晶ポリマーである請求項1に記載の液晶ポリマー。
  3. 少なくとも活性水素基を有し、かつ分岐構造を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物との反応物である請求項1に記載の液晶ポリマー。
  4. 請求項1に記載の液晶ポリマーを含有する加硫ゴムを備える空気入りタイヤ。
JP2022210012A 2022-12-27 液晶ポリマーおよび空気入りタイヤ Pending JP2024093552A (ja)

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024093552A true JP2024093552A (ja) 2024-07-09

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6161510B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7087170B2 (ja) ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
WO2006030806A1 (ja) 共役ジオレフィン(共)重合ゴムの製造方法、共役ジオレフィン(共)重合ゴム、ゴム組成物、およびタイヤ
JP2009126907A (ja) ゴム組成物
WO2018070148A1 (ja) トレッドゴム部材の製造方法、及びタイヤの製造方法
JP6320884B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2022067912A (ja) 側鎖型液晶ポリマーおよびその製造方法、ならびに該ポリマーを含有するゴム組成物および空気入りタイヤ
JPWO2018186458A1 (ja) ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法及びタイヤ
JP2024093552A (ja) 液晶ポリマーおよび空気入りタイヤ
JP2024093595A (ja) ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2013119615A (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2024093461A (ja) ゴム組成物、加硫ゴムおよび空気入りタイヤ
JP2017088754A (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2023091394A (ja) 液晶ポリマー、ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2022067806A (ja) ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP4510538B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2022067794A (ja) ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2024093526A (ja) ゴム組成物、加硫ゴムおよび空気入りタイヤ、ならびにゴム組成物の製造方法
JP2013155305A (ja) タイヤ用ゴム組成物、その製造方法、及び空気入りタイヤ
JP7261652B2 (ja) ゴム組成物および空気入りタイヤ
US11434352B2 (en) Rubber composition and pneumatic tire
JP7296772B2 (ja) ゴム組成物および空気入りタイヤ
EP2457947B1 (en) Pneumatic tire
JP2021191813A (ja) タイヤ及び熱可塑性エラストマー複合体
JP2016183265A (ja) タイヤ用ゴム組成物