JP2024079731A - ガラス基板、ガラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

ガラス基板、ガラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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JP2024079731A
JP2024079731A JP2024042075A JP2024042075A JP2024079731A JP 2024079731 A JP2024079731 A JP 2024079731A JP 2024042075 A JP2024042075 A JP 2024042075A JP 2024042075 A JP2024042075 A JP 2024042075A JP 2024079731 A JP2024079731 A JP 2024079731A
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Abstract

Figure 2024079731000001
【課題】ガラス素板から所定の形状のガラス基板を確実に分離して抜き取ることができる、ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】開孔を有するガラス基板の製造方法は、前記ガラス基板の元となるガラス素板20の面に、略同心円状に沿ってレーザ光を照射した内周円部と外周円部を形成するステップと、前記外周円部の外側部分24の加熱によって、前記ガラス素板の前記外周円部の外側部分を前記外周円部の内側部分26に対して相対的に熱膨張させて前記外周円部において隙間を形成させ、前記外周円部の前記内側部分と前記外周円部の前記外側部分を分離するステップと、前記内周円部の外側部分の加熱によって、前記ガラス素板の前記内周円部の前記外側部分を相対的に熱膨張させて前記内周円部において隙間を形成させ、前記内周円部の内側部分と前記内周円部の前記外側部分を分離するステップと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を用いて形状加工してガラス基板を製造するガラス基板の製造方法
及び磁気ディスクの製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(
Digital Versatile Disc)記録装置、あるいは、クラウドコンピ
ューティングのデータセンター等には、データ記録のためにハードディスク装置が用いら
れる。ハードディスク装置では、円盤状の非磁性体の磁気ディスク用ガラス基板に磁性層
が設けられた磁気ディスクが用いられる。磁気ディスクは、例えば、浮上距離が5nm程
度であるDFH(Disk Flying Height)タイプの磁気ヘッドに組み込
まれる。
このようなDFHタイプの磁気ヘッドでは、上記浮上距離が短いため、磁気ディスクの
主表面に微小粒子等が付着することは避けなければならない。この微小粒子の付着を抑制
するために、ガラス基板の主表面のみならず端面においても表面粗さが小さいことが望ま
しい。
このような磁気ディスクの要求を満足するために、磁気ディスク用ガラス基板の内側端
面の表面粗さを小さくしたガラス基板を、効率よく製造する技術が知られている(特許文
献1)。
具体的には、パルスレーザ光の焦線を基板内の複数の位置に向け、複数の位置でガラス
基板に吸収させて、予め定められた第1のパス上に、貫通孔の欠陥ラインをつくり、さら
に、第1のパスに沿ってガラス基板を加熱してクラックを進展させてガラス基板から第1
のパスに対して内側の部分を分離し、さらに、この内側の部分を加熱してガラス基板から
抜き取る。
特開2015-083320号公報
しかし、上記技術では、第1のパスに沿ってガラス基板を加熱してクラックを進展させ
てガラス基板から第1のパスに対して内側の部分を分離することはできても、この内側の
部分を加熱してガラス基板から安定して抜き取ることが十分にできなかった。例えば、レ
ーザを用いて欠陥を形成した後、第1のパスに沿ってガラス基板を加熱してクラックを進
展させてガラス基板から第1のパスに対して内側の部分を分離するとき、クラックによる
分離が熱によって再固着して確実に分離できない場合があり、この場合、内側の部分を加
熱しても再固着した部分が分離できない、ことがわかった。
このため、レーザ光を用いてガラス基板の内側端面の表面粗さを小さくしたガラス基板
を、効率よく製造することが難しかった。
また、近年、ガラス基板の板厚は薄くなっているため、レーザ照射及び加熱による分離
を含む処理の際に割れが発生し易い。この点でも板厚の薄いガラス基板を、確実に製造す
ることが望まれる。
そこで、本発明は、ガラス基板の端面の表面粗さを小さくするために、レーザ光を用い
てガラス基板の素となるガラス素板を形状加工する際に、ガラス素板から所定の形状のガ
ラス基板を、確実に分離して抜き取ることができるガラス基板の製造方法及びこの製造方
法を用いた磁気ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、開孔を有するガラス基板の製造方法である。当該製造方法は、
前記ガラス基板の元となるガラス素板の面に、略同心円状に沿ってレーザ光を照射した
内周円部と外周円部を形成するステップと、
前記外周円部の外側部分の加熱によって、前記ガラス素板の前記外周円部の外側部分を
前記外周円部の内側部分に対して相対的に熱膨張させて前記外周円部において隙間を形成
させ、前記外周円部の前記内側部分と前記外周円部の前記外側部分を分離するステップと

前記内周円部の外側部分の加熱によって、前記ガラス素板の前記内周円部の前記外側部
分を相対的に熱膨張させて前記内周円部において隙間を形成させ、前記内周円部の内側部
分と前記内周円部の前記外側部分を分離するステップと、
を備える。
本発明の他の一態様は、ガラス基板の製造方法である。当該製造方法は、
前記ガラス基板の元となるガラス素板の面に、所定の環形状を成した線上にレーザ光を
照射して前記線上に欠陥を形成するステップと、
前記欠陥を形成した前記ガラス素板の、前記線を境にして外側部分と内側部分のうち、
前記外側部分の加熱を、前記内側部分に比べて高めることにより、前記ガラス素板の前記
外側部分と前記内側部分を分離するステップと、
を備える。
前記ガラス基板は、開孔を有する環形状を成しており、
前記欠陥を形成するステップでは、前記レーザ光により、前記環形状の外縁の形状を前
記所定の形状として前記欠陥を形成し、
前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記環形状の前記外縁を境にし
た、前記ガラス素板の第1外側部分の加熱を、前記環形状の前記外縁を境にした、前記ガ
ラス素板の第1内側部分に比べて高くする第1加熱処理を行なう、ことが好ましい。
前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記ガラス基板の前記環形状に
対するマージンとして、前記環形状の外径の0.1%~5%の長さを残して、前記第1外
側部分と前記第1内側部分とが分離される、ことが好ましい。
前記欠陥を形成するステップでは、前記レーザ光により、前記開孔を有する前記環形状
の内縁の形状を前記所定の形状として前記欠陥を形成し、
前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記開孔を有する前記環形状の
内縁を境にした、前記ガラス素板の第2外側部分の加熱を、前記環形状の前記内縁を境に
した、前記ガラス素板の第2内側部分に比べて高くする第2加熱処理を行なう、ことが好
ましい。
前記ガラス素板から前記ガラス基板となる部分を分離するステップでは、前記第1加熱
処理後、前記第2加熱処理を行う、ことが好ましい。
本発明のさらに他の一態様は、ガラス基板の製造方法である。当該製造方法は、
前記ガラス基板の元となるガラス素板の面に、所定の環形状を成した線上にレーザ光を
照射して前記線上に欠陥を形成するステップと、
前記欠陥を形成した前記ガラス素板の、前記線を境にして外側部分と内側部分のうち、
前記外側部分の加熱を、前記内側部分に比べて高めることにより、前記ガラス素板の前記
外側部分と前記内側部分を分離するステップであって、前記外側部分を前記ガラス素板の
主表面の両側から同時に加熱して、前記外側部分の加熱を前記内側部分に比べて高めるこ
とにより、前記ガラス素板の前記外側部分と前記内側部分を分離して前記内側部分を前記
開口になる部分として除去することを含むステップと、を備える。
前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記外側部分の温度を前記内側
温度に比べて高くして、前記外側部分を前記内側部分に対して相対的に熱膨張させて、前
記線上に沿って隙間を形成することにより、前記外側部分と前記内側部分を分離する、こ
とが好ましい。
前記ガラス素板の面への前記レーザ光の照射は、
パルスレーザ光により、前記線上の複数の離散点に、点状の貫通孔を形成した後、非パ
ルスレーザ光により、前記線上の前記離散点間を繋ぐように、照射位置が前記線上を連続
的に移動することを含む、ことが好ましい。
前記非パルスレーザ光は、例えば非パルスのCOレーザであることが好ましい。
前記加熱は、前記ガラス素板の主表面の両側に設けられる加熱源からの輻射熱により前
記ガラス素板の両側の主表面を加熱することを含む、ことが好ましい。
前記ガラス素板の主表面の面積の、前記ガラス基板の主表面の面積に対する面積比は1
01%~160%であり、
前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記ガラス素板1つから前記ガ
ラス基板1つを抜き取る、ことが好ましい。
前記ガラス素板の厚さは、0.6mm以下である、ことが好ましい。
本発明のさらに他の一態様は、前記ガラス基板の製造方法で作製される前記ガラス基板
に少なくとも磁性層を形成して磁気ディスクを作製するステップをさらに備える、磁気デ
ィスクの製造方法である。
上述のガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法によれば、ガラス素板から所
定の形状のガラス基板を確実に分離して抜き取るができる。
一実施形態のガラス基板の製造方法における外側部分の加熱を説明する図である。 別の一実施形態のガラス基板の製造方法における外側部分の加熱を説明する図である。 (a)は、一実施形態で作製される磁気ディスク用ガラス基板の一例の斜視図であり、(b)は、図3(a)に示す磁気ディスク用ガラス基板の外側端面の断面の一例を示す図である。 一実施形態のガラス基板の製造方法におけるレーザ光の照射を説明する図である。 一実施形態のガラス基板の製造方法におけるガラス素板の加熱を具体的に説明する図である。 一実施形態のガラス基板の製造方法におけるレーザ光の照射を説明する図である。
以下、ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法について詳細に説明する。ガ
ラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケー
トガラスなどを用いることができる。特に、必要に応じて化学強化を施すことができ、ま
た主表面の平坦度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製するこ
とができるという点で、アモルファスのアルミノシリケートガラスを好適に用いることが
できる。
(ガラス基板の製造法の概略説明)
一実施形態のガラス基板の製造方法は、
(A)ガラス基板の元となるガラス素板の面に、所定の環形状を成した線上にレーザ光を
照射して上記線上に欠陥を形成するステップと、
(B)欠陥を形成したガラス素板の、上記線を境にして外側部分と内側部分のうち、外側
部分の加熱を、内側部分に比べて高めることにより、ガラス素板の外側部分と内側部分を
分離するステップと、を備える。
欠陥を形成するとは、ガラス素板に孔をあけること、あるいは、孔とこの孔から進展す
るクラックを形成することを含む。欠陥は、線上の全領域に形成すること、すなわち欠陥
を線状に形成することの他、線上の離間した場所に、離散的に欠陥を形成することも含む

すなわち、一実施形態のガラス基板の製造方法では、線に沿って欠陥を形成した部分に
対して外側部分の加熱を、前記線に対して内側部分の加熱に比べて高めることにより、ガ
ラス素板の外側部分と内側部分を分離する。
なお、レーザ光の照射により形成される孔は、アブレージョンによりガラス素板を(ガ
ラス素板の厚さ方向に)貫通した孔、すなわち貫通孔であることが好ましい。貫通孔を形
成することにより、ガラス素板の外側部分を加熱したときに外側部分と内側部分を容易に
分離することができる。貫通孔は、ガラス素板の主表面に対して略直交する(角度が85
~95度)ように延びている。したがって、分離される外側部分及び内側部分の分離面は
、ガラス素板の主表面に対して略直交する壁面であり、従来のスクライバを用いてできる
割断面のような主表面に対して傾斜した壁面と異なる。
図1は、一実施形態のガラス基板の製造方法における外側部分の加熱を説明する図であ
る。ガラス素板20は、略円形状あるいは略楕円形状を成したガラス板であって、一定の
板厚を有する。このガラス素板20の面に、環形状を成した線22上にレーザ光を照射し
て欠陥を形成する。さらに、欠陥を形成したガラス素板20から、ガラス基板となる部分
を取り出すために、ガラス素板20の加熱を行う。このとき、外側部分24の加熱を、内
側部分26に比べて高くすることにより、外側部分24の熱膨張量を内側部分26の熱膨
張量よりも大きくする。この結果、外側部分24は図1に示すように外側に向かって熱膨
張する。このため、外側部分24と内側部分26の界面に確実に形成し隙間を形成するこ
とができる。したがって、外側部分24と内側部分26の分離を確実にすることができる
。具体的には、外側部分24の加熱の程度が内側部分26に比べて高いことにより、外側
部分24の内周の径(内径)が、内側部分26の外周の径(外径)に比べて相対的に大き
くなるように熱膨張することで隙間が形成される。このため、形成された隙間により、外
側部分24と内側部分26を確実に分離することができる。なお、外側部分24の加熱を
内側部分26の加熱に比べて高くするとは、加熱の程度に差を設けて外側部分24と内側
部分26の加熱を行なう場合の他に、外側部分24を選択的に加熱するが、内側部分26
の意図した加熱を行なわない場合も含む。外側部分24を選択的に加熱したとしても、空
間を介した熱伝導により、あるいはガラス素板20を介した熱伝導により間接的に内側部
分26も加熱される。この場合、外側部分24の加熱は、内側部分26の加熱に比べて高
くなっている、といえる。なお、本明細書において、説明する内側部分と外側部分の「隙
間」は、内側部分と外側部分の間のいずれの位置において計測可能な空間が形成されてい
ることの他、計測可能な空間が得られなくても内側部分と外側部分の対向する面同士が物
理的又は化学的に結合状態にないことも含む。すなわち、「隙間」は、少なくとも内側部
分と外側部分の境界の一部において微視的な空間が形成されていることも含む。
外側部分24ではなく内側部分26を加熱する場合、内側部分26の熱膨張量が外側部
分24の熱膨張量に比べて大きくなるので、内側部分26が内側部分26と外側部分24
の界面を外側に押すことにより、レーザ光の照射により形成されているクラックを進展さ
せ、また、界面に新たなクラックを発生させる。しかし、これらのクラックは、内側部分
26から外側に押されるので、内側部分26と外側部分24の界面に隙間を作り難い。こ
のため、昇温した内側部分26の熱が界面に伝わって、形成されたクラックを再固着させ
て確実に分離できない場合がある。
実施形態では、外側部分24の加熱を、線22に対して内側部分26の加熱に比べて高
めることで、隙間を確実に形成し、レーザを用いて形成されたクラックによる分離が熱に
よって再固着することを防止することができる。
別の一実施形態は、開孔を有するガラス基板の製造方法である。このガラス基板の製造
方法は、
(C)ガラス基板の元となるガラス素板の面に、略同心円状に沿ってレーザ光を照射した
内周円部と外周円部を形成するステップと、
(D)外周円部の外側部分の加熱によって、ガラス素板の外周円部の外側部分を外周円部
の内側部分に対して相対的に熱膨張させて外周円部において隙間を形成させ、外周円部の
内側部分と外周円部の外側部分を分離するステップと、
(E)内周円部の外側部分の加熱によって、ガラス素板の内周円部の外側部分を相対的に
熱膨張させて内周円部において隙間を形成させ、内周円部の内側部分と内周円部の外側部
分を分離するステップと、を備える。
別の一実施形態は、開孔を有するガラス基板の製造方法である。このガラス基板の製造
方法は、
(F)ガラス基板の元となるガラス素板の面に、所定の環形状を成した線上にレーザ光を
照射して線上に欠陥を形成するステップと、
(G)欠陥を形成したガラス素板の、上記線を境にして外側部分と内側部分のうち、外側
部分の加熱を、内側部分に比べて高めることにより、ガラス素板の外側部分と内側部分を
分離するステップであって、外側部分をガラス素板の主表面の両側から同時に加熱して、
外側部分の加熱を内側部分に比べて高めることにより、ガラス素板の外側部分と内側部分
を分離して内側部分を開口になる部分として除去することを含むステップと、を備える。
図2は、一実施形態のガラス基板の製造方法における外側部分の加熱を説明する図であ
る。図2は、円形状のガラス素板30の面に、上記(C)に記載の内周円部を形成した後
、あるいは、上記(F)に記載の所定の環形状を成した線上にレーザ光を照射して線上に
欠陥を形成した後、上記(E)あるいは上記(G)に記載の加熱による分離をすることを
説明している。ガラス素板30は、上記(C)に記載のガラス素板の面に、外周円部を形
成し、上記(D)に記載のステップを行って外周円部の内側部分と外周円部の外側部分を
分離して抜き取られた板である。
内周円部及び外周円部は、図1に示す実施形態では、線22上に形成された欠陥の部分
をいう。したがって、上記(D)に記載の外周円部の形状は、図2に示すガラス素板30
の外周形状に対応する。
レーザ光の照射により形成した内周円部32の外側部分34の加熱によって、ガラス素
板30の内周円部32の外側部分34を相対的に熱膨張させて内周円部32において隙間
を形成させ、内側部分36と外側部分34を分離する。上記(G)では分離した内側部分
36を除去する。上記(G)のように、ガラス素板30の主表面の両側から同時に外側部
分34を加熱することで、上記(D)に記載する加熱時の外周円部の外側部分の熱膨張量
に比べて小さい内周円部32の外側部分の熱膨張量をガラス素板30の板厚方向で略均等
に揃えることができ、板厚方向で均一な隙間を形成させることができる。これにより、隙
間が小さくても内側部分36を外側部分34から抜き取ることができる。内周円部32は
、図1に示す実施形態における線22上に沿って形成された欠陥に対応する。
上記(C)~(E)のステップを有する実施形態においても、上記(F),(G)のス
テップを有する実施形態においても、外側部分の加熱を行なうことで、外周円部あるいは
内周円部の外側部分を、内側部分に対して熱膨張させて、外周円部及び内周円部に隙間を
形成するので、レーザを用いて形成されたクラックによる界面が熱によって再固着するこ
とを防止することができる。これにより、開孔を有するガラス基板を効率よく形成するこ
とができる。
なお、上述の「略同心円」とは、外周円部の円中心位置と内周円部の円中心位置のずれ
量が、20μm以下であることをいい、好ましくは、5μm以下である。
(ガラス基板の製造方法の具体的説明)
以下、一実施形態のガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法を詳細に説明す
る。
図3(a)は、一実施形態で作製される磁気ディスク用ガラス基板の一例の斜視図であ
る。図3(b)は、図3(a)に示す磁気ディスク用ガラス基板の外側端面の断面の一例
を示す図である。
図3(a)に示すガラス基板1は、磁気ディスク用ガラス基板である。ガラス基板1は
、円環状の薄板のガラス基板である。磁気ディスク用ガラス基板のサイズは問わないが、
磁気ディスク用ガラス基板は、例えば、公称直径2.5インチや3.5インチの磁気ディ
スク用ガラス基板のサイズである。公称直径2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板の
場合、例えば、外径が65mm、中心穴の径が20mm~25mm、板厚が0.3~0.
8mmである。公称直径3.5インチの磁気ディスク用ガラス基板の場合、例えば、外径
が95mm、中心穴の径が20mm~25mm、板厚が0.3~0.8mmである。この
ガラス基板1の主表面上に磁性層が形成されて磁気ディスクが作られる。
ガラス基板1は、一対の主表面11p,12p、外周端面に形成された側壁面11w、
側壁面11wと主表面11p,12pの間に介在する面取面11c,12c、内周端面に
も、外周端面と同様に形成された、図示されない側壁面、及び、この側壁面と主表面11
p,12pの間に介在する図示されない面取面とを備える。
ガラス基板1は、中心部に円孔を有する。側壁面11wは、ガラス基板1の板厚方向の
中心位置を含む。面取面11c,12cの主表面11p,12pに対する傾斜角度は、特
に制限されず、例えば45°である。また、側壁面11w及び面取面11c,12cの境
界は、図示されるようなエッジを有する形状に限定されるものではなく、滑らかに連続す
る曲面状であってもよい。
このようなガラス基板1は、図1あるいは図2に示すように、予め作製されたガラス素
板20,30からレーザ光を用いて抜き取られる。図4は、一実施形態のガラス基板の製
造方法におけるレーザ光の照射を説明する図である。
図4に示すレーザ光Lが照射されるガラス素板60は、例えば、フローティング法ある
いはダウンドロー法を用いて作製される一定の板厚のガラス板である。あるいは、ガラス
の塊を、金型を用いてプレス成形したガラス板であってもよい。ガラス素板60の板厚は
、最終製品である磁気ディスク用ガラス基板になる時の目標板厚に対して、研削及び研磨
の取り代量の分だけ厚く、例えば、数μm程度厚い。
レーザ光源40は、レーザ光Lを出射する装置であり、例えば、YAGレーザ、あるい
は、ND:YAGレーザ等の固体レーザが用いられる。したがって、一実施形態によれば
、レーザ光の波長は、例えば、1030nm~1070nmの範囲にあることが好ましい

レーザ光Lは、パルスレーザであり、一実施形態では、レーザ光Lによるパルス幅を1
-12秒以下(1ピコ秒以下)であることが、レーザ光Lの焦点位置におけるガラスの
過度な変質を抑制することができる点から好ましい。
また、レーザ光Lの光エネルギは、パルス幅及びパルス幅の繰り返し周波数に応じて適
宜調整することができる。パルス幅及び繰り返し周波数に対して過度な光エネルギを提供
すると、ガラスが過度に変質し易くなり、焦点位置に残渣が存在し易い。
レーザ光源40は、一実施形態によれば、発振したレーザ光を2つの光束に分け、この
2つの光束を、ガラス素板60の表面で、あるいはガラス素板60の内部で交差させるよ
うに、レーザ光Lをガラス素板60の主表面の法線方向に対して傾斜させてガラス素板6
0に照射させる。このようなレーザ光Lの照射により、ガラス素板60の線62上の一点
で厚さ方向に沿って光束同士の交差が連続するように形成されるので、この点において、
深さ方向に沿って線状に光エネルギが集中し、ガラス素板60の一部がプラズマ化して、
孔あるいは貫通孔を形成することができる。
レーザ光Lは、一実施形態によれば、パルス状の光パルスを一定時間間隔で連続して生
成する構成の光パルス群を1単位として、複数の光パルス群を断続的に発生させるバース
トパルス方式でガラス素板60に照射することが好ましい。この場合、1つの光パルス群
の中で、1パルスの光エネルギを可変にさせることも好ましい。
このようなレーザ光Lの照射の一例は、特許5959597号公報に開示されている。
レーザ光源40によるレーザ光Lの照射では、レーザ光Lを、ガラス素板60に対して
相対的に移動させながら、所定の環形状を成した線上に照射する。これにより上記線上に
欠陥を形成する。例えば、ガラス素板60に、内周円部あるいは外周円部を形成すること
ができる。レーザ光Lの照射では、ガラス素板60を移動させずにレーザ光Lを移動させ
てもよいし、レーザ光Lを移動させずにガラス素板60を移動させてもよい。
レーザ光Lの照射により、例えば、線62の離散的な位置に孔を断続的に形成した場合
、この孔から隣りの孔に向かって進展したクラックが形成され易いので、別種のレーザ光
を上記線に沿って再度照射しなくても内周円部あるいは外周円部の外側部分の加熱によっ
て、容易に外側部分と内側部分とを分離することができる。すなわち、レーザ光Lの照射
により形成された欠陥を維持したまま、ガラス素板60の外側部分の加熱によって、容易
に外側部分と内側部分とを分離することができる。特に、外側部分の加熱を、ガラス素板
60の主表面の両側から同時に加熱することにより、より容易に外側部分と内側部分とを
分離することができる。
次に、欠陥を形成したガラス素板60の、線を境にして外側部分と内側部分のうち、外
側部分の加熱を、内側部分に比べて高めることにより、あるいは、外側部分を加熱するこ
とにより、ガラス素板60の外側部分と内側部分を分離する。図5は、一実施形態のガラ
ス基板の製造方法におけるガラス素板60の加熱を具体的に説明する図である。ガラス素
板60の加熱では、例えば、ガラス素板60に欠陥が形成された線62に対して外側部分
64をヒータ50,52の間の加熱空間に配置し、内側部分66を加熱空間の外側に配置
する。これにより、外側部分64の加熱を行うことができる。このとき、外側部分64の
加熱の程度は、内側部分66に比べて高くなるので、外側部分64の熱膨張量を内側部分
66の熱膨張量よりも大きくすることができる。この結果、外側部分64は図5に示すよ
うに外側に向かって熱膨張する。このため、外側部分64と内側部分66の界面に確実に
形成し隙間を形成することができる。したがって、外側部分64と内側部分66の分離を
確実にすることができる。
なお、図4,5に示す例では、レーザ光Lの照射を環形状の線上に沿って行って、欠陥
部分を形成した後、線の外側部分64を加熱する処理を行うが、図6に示すように、ガラ
ス素板60へのレーザ光Lの照射を、2つの異なる略同心円の円弧線上に沿って行って、
2つの欠陥部分である外周円部62a及び内周円部62bを形成した後、外周円部62a
の外側部分を加熱し、内周円部62bの外側部分を加熱することもできる。図6は、一実
施形態のガラス基板の製造方法におけるレーザ光の照射を説明する図である。
このように、外側部分64と内側部分66を分離するとき、外側部分64の温度を内側
温度66に比べて高くして、外側部分64を内側部分64に対して相対的に熱膨張させて
、線62上に沿って隙間を形成することにより、外側部分64と内側部分66を分離する
ので、ガラス基板となる部分をガラス素板から確実に抜き取ることができる。
特に、内周円部62bを形成した後、内周円部62bの外側部分をガラス素板60の主
表面の両側から同時に加熱することにより、ガラス素板60の板厚方向に沿って熱膨張量
を均等に揃えることができるので、均一な隙間を形成することができる。特に、内周円部
62bはガラス素板60の中心位置に近いので、外周円部62aの外側部分に対する加熱
と同程度の加熱をしても外周円部62aに比べて熱膨張量は小さい。このため、ガラス基
板となる部分をガラス素板から確実に抜き取るための隙間を精度よく形成させることが好
ましい。この点から、内周円部62bの外側部分をガラス素板60の主表面の両側から同
時に加熱して、厚さ方向で熱膨張量を均等に揃えることが好ましい。
また、ガラス基板1は、開孔を有する環形状を成している。このようなガラス基板1を
作製する場合、開孔を有する環形状の外縁の形状を線62(図4参照)の形状として、レ
ーザ光Lによる照射で欠陥を形成し、この後、外側部分64(第1外側部分)の加熱を、
内側部分66(第1内側部分)に比べて高くする加熱を第1加熱処理として行なうことが
好ましい。レーザ光Lにより形成される、ガラス基板1の外縁を構成する外周端面の表面
粗さは、従来のスクライバを用いて機械的に割断した外周端面に比べて小さく、例えば、
ハードディスクドライブ装置内の磁気ディスク用ガラス基板に要求される外周断面に要求
される表面粗さを満足するため、端面研磨をする必要がなく、端面研磨をするとしても研
磨時間は短くて済む。このため、ガラス基板1の外縁形状を効率よく形成することができ
る。
この場合、ガラス素板60において、ガラス基板1の環形状に対するマージンとして、
環形状の外径の0.1%~5%の長さを残して、外側部分64(第1外側部分)と内側部
分66(第1内側部分)とが分離される、ことが好ましい。マージンが大きくなると、ガ
ラス素板60を廃棄する量が多くなり無駄が多くなる他、加熱の際の熱が熱伝導により拡
散し易くなるので所定の熱膨張量を引き起こすまでの加熱時間が長くなり、生産性の点で
好ましくない。
ガラス基板1の開孔(内孔)を形成する場合、開孔を有する環形状の内縁の形状を線6
2の形状として、レーザ光Lによる照射で欠陥を形成し、この後、外側部分64(第2外
側部分)の加熱を、内側部分66(第2内側部分)に比べて高くする加熱を第2加熱処理
として行なうことが好ましい。レーザ光Lにより形成される、ガラス基板1の内縁を構成
する内周端面の表面粗さは、従来のスクライバを用いて機械的に割断した外周端面に比べ
て小さく、例えば、ハードディスクドライブ装置内の回転軸と接触する磁気ディスク用ガ
ラス基板に要求される内周断面に要求される表面粗さを満足するため、端面研磨をする必
要がなく、端面研磨をするとしても研磨時間は短くて済む。このため、ガラス基板1の開
孔を効率よく形成することができる。
このとき、上記第1加熱処理後、上記第2加熱処理を行うことが好ましい。第1加熱処
理を行うときの内側部分66が、第2加熱処理を行うときの外側部分64になる。第1加
熱処理では、内側部分66は加熱されないか、加熱されるとしても外側部分64に比べて
加熱の程度は低い。しかし、内側部分66には、昇温した外側部分64からの熱伝導によ
って昇温する。したがって、昇温した内側部分66を、第2加熱処理で外側部分64とし
て加熱する際、所定の熱膨張量を引き起こすまでの加熱時間を短くすることができる。こ
のように、効率よくガラス基板1を作製することができる。
ガラス素板60へのレーザ光Lの照射は、パルスレーザ光により、線上の複数の離散点
に、点状の貫通孔を形成した後、上記パルスレーザ光と異なるレーザ光により、線上の離
散点間を繋ぐように、照射位置が線上を連続的に移動することを含んでもよい。。この場
合、パルスレーザ光で形成した複数の貫通孔のうち、隣接する貫通孔の間にクラックある
いは潜在的なクラックを形成し、この後、別種のレーザ光により、クラックあるいは顕在
化したクラックを貫通孔間で接続させることができるので、短時間に効率よくガラス素板
の形状加工をすることができる。例えば、別種のレーザ光として、COレーザを用いる
ことができる。このレーザ光によって、断続的に形成された欠陥をつなぐように線状の欠
陥を形成することができる。
すなわち、線62の離散的な位置にレーザ光Lの照射によって欠陥を断続的に形成した
後、別種のレーザ光として、COレーザを用いて、断続的に形成された欠陥をつなぐよ
うに線状の欠陥を形成して、クラックを確実に形成することもできる。これにより、後述
する外側部分と内側部分との加熱による分離が確実にできる。
なお、レーザ光Lによる照射後に行うガラス素板60の加熱は、ガラス素板60の主表
面の両側に設けられる加熱源からの輻射熱によりガラス素板60の両側の主表面を加熱す
ることを含むことが好ましい。輻射による加熱では、ガラス素板60の主表面から熱伝導
によって熱が伝わってガラス素板60が昇温するので、外側部分64と内側部分66との
間の界面は再固着する程度の温度にならない。このため、外側部分64の熱膨張によって
界面に隙間を形成することができる。
ガラス素板60の主表面の面積の、ガラス基板1の主表面の面積に対する面積比は、1
01%~160%であり、外側部分64と内側部分66を分離するとき、1つのガラス素
板60から1つのガラス基板1を抜き取ることが好ましい。大きなサイズのガラス素板6
0から複数のガラス基板1を抜き取ると、ガラス素板60の板厚の場所によるばらつきに
よってガラス基板1の板厚の固体間差が大きくなる。特に、磁気ディスク用ガラス基板で
は、板厚も一定に揃えることが好ましいため、ガラス基板の主表面の研削、研磨の程度を
ガラス基板間で調整する煩雑さがある。さらに、ガラス素板60を回転させながら精度よ
くレーザ光の照射ができる他、外側部分の加熱を行なって外側部分と内側部分を分離する
ためのガラス素板60のハンドリングが向上する。このように、一定の板厚が確保される
小さなサイズのガラス素板60を用いて、1つのガラス素板60から1つの内側部分を取
り出すことが、ガラス基板1の作製効率の点から好ましい。また、大きなガラス素板60
から1つのガラス板を抜き出す際、大きなガラス素板60の外側部分全体が加熱により昇
温するので、この昇温した部分からガラス板を抜き出す際、外側部分及び内側部分の温度
は高い状態を維持しているので、所定の熱膨張量になるように外側部分を加熱して昇温さ
せるときの温度は高くなり、好ましくない。
ガラス素板60の板厚は、一実施形態では0.6mm以下である。このような板厚のガ
ラス素板60から作製されるガラス基板1は、磁気ディスク用ガラス基板として有効に用
いることができる。磁気ディスク用ガラス基板の板厚を薄くすることにより、記憶容量の
増大化のためにハードディスク装置内に搭載する磁気ディスクの枚数を増大させることが
できる。さらに、板厚0.6mm以下のガラス素板60は、極めて薄く、レーザ照射、加
熱による外側部分と内側部分の分離の処理の際に割れが生じ易くなる。このため、ガラス
素板からガラス基板を確実に分離して抜き取ることができる本実施形態の効果は薄い板厚
のガラス素板において一層大きくなる。
このように形状加工されたガラス基板は、最終製品に適した特性を有するように各種処
理が行われる。
こうしてガラス素板60から抜き取られたガラス基板の外周端面及び内周端面(上記外
側部分64と内側部分66の界面である端面)と主表面とで形成される角部の面取り加工
を行うための面取りが行われる。一実施形態によれば、角部を、レーザ光Lと異なる種類
のレーザ光で面取りする。このレーザ光は、角部を、主表面に対して30~60度の傾斜
角度傾斜した方向から照射し、角部を加熱して軟化させて蒸発させることにより、角部を
面取りすることができる。例えば、COレーザが好適に用いることができる。このよう
な面取りによって、表面粗さの低い、真円度の高い面取り面を形成することができる。
こうして、内周端面あるいは外周端面と主表面とで形成される角部は、レーザ光を用い
て面取り加工を行うことができる。角部を、レーザ光で面取り加工するので、砥石等によ
り面取り加工を行う場合に比べて生産効率は高い。
ガラス素板60から所定の形状のガラス基板を抜き取る処理からガラス基板の角部の面
取りまでの間、端面研磨をしないので、生産効率が向上する。
得られたガラス基板1は、主表面の研削・研磨処理が行われる。
研削・研磨処理では、ガラス基板1の研削後、研磨が行われる。
研削処理では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、ガラス基板1の主表面に
対して研削加工を行う。具体的には、ガラス基板1の外周端面を、両面研削装置の保持部
材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板1の両側の主表面の研削を行う。両面
研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤
の間にガラス基板1が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または
、双方を移動操作させ、クーラントを供給しながらガラス基板1と各定盤とを相対的に移
動させることにより、ガラス基板1の両主表面を研削することができる。例えば、ダイヤ
モンドを樹脂で固定した固定砥粒をシート状に形成した研削部材を定盤に装着して研削処
理をすることができる。
次に、研削後のガラス基板1の主表面に第1研磨が施される。具体的には、ガラス基板
1の外周端面を、両面研磨装置の研磨用キャリアに設けられた保持孔内に保持しながらガ
ラス素板の両側の主表面の研磨が行われる。第1研磨は、研削処理後の主表面に残留した
キズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目
的とする。
第1研磨処理では、固定砥粒による上述の研削処理に用いる両面研削装置と同様の構成
を備えた両面研磨装置を用いて、研磨スラリを与えながらガラス基板1が研磨される。第
1研磨処理では、遊離砥粒を含んだ研磨スラリが用いられる。第1研磨に用いる遊離砥粒
として、例えば、酸化セリウム、あるいはジルコニア等の砥粒が用いられる。両面研磨装
置も、両面研削装置と同様に、上下一対の定盤の間にガラス基板1が狭持される。下定盤
の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポ
リッシャ)が取り付けられている。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または
、双方を移動操作させることで、ガラス基板1と各定盤とを相対的に移動させることによ
り、ガラス基板1の両主表面を研磨する。研磨砥粒の大きさは、平均粒径(D50)で0
.5~3μmの範囲内であることが好ましい。
第1研磨後、ガラス基板1を化学強化してもよい。この場合、化学強化液として、例え
ば硝酸カリウムと硫酸ナトリウムの混合熔融液等を用い、ガラス基板1を化学強化液中に
浸漬する。これにより、イオン交換によってガラス基板1の表面に圧縮応力層を形成する
ことができる。
次に、ガラス基板1に第2研磨が施される。第2研磨処理は、主表面の鏡面研磨を目的
とする。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面
研磨装置が用いられる。具体的には、ガラス基板1の外周端面を、両面研磨装置の研磨用
キャリアに設けられた保持孔内に保持させながら、ガラス基板1の両側の主表面の研磨が
行われる。第2研磨処理では、第1研磨処理に対して、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが
異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なる。樹脂ポリッシャの硬度は第1研磨処理時
よりも小さいことが好ましい。例えばコロイダルシリカを遊離砥粒として含む研磨液が両
面研磨装置の研磨パッドとガラス基板1の主表面との間に供給され、ガラス基板1の主表
面が研磨される。第2研磨に用いる研磨砥粒の大きさは、平均粒径(d50)で5~50
nmの範囲内であることが好ましい。
化学強化処理の要否については、ガラス組成や必要性を考慮して適宜選択すればよい。
第1研磨処理及び第2研磨処理の他にさらに別の研磨処理を加えてもよく、2つの主表面
の研磨処理を1つの研磨処理で済ませてもよい。また、上記各処理の順番は、適宜変更し
てもよい。
こうして、ガラス基板1の主表面を研磨して、磁気ディスク用ガラス基板に要求される
条件を満足した磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる。
この後、主表面が研磨されて作製されたガラス基板1に、少なくとも磁性層を形成して
磁気ディスクが作製される。
なお、ガラス基板1は、第1研磨を行う前に、例えば、第1研削後、第1研磨前に、あ
るいは、第1研削前に、ガラス基板1の端面を研磨する端面研磨処理を行ってもよい。
このような端面研磨処理を行う場合であっても、レーザ光を用いてガラス素板60から
抜き出したガラス基板1の端面の算術平均粗さRaは、0.01μm未満、真円度は15
μm以下であるので、端面研磨処理に要する時間は短い。
端面研磨処理は、遊離砥粒を端面に供給しながら研磨ブラシを用いて研磨する研磨ブラ
シ方式を用いてもよく、あるいは、磁気機能性流体を用いた研磨方式を用いてもよい。磁
気機能性流体を用いた研磨方式は、例えば、磁気粘性流体に研磨砥粒を含ませたスラリを
磁界によって塊にし、この塊の内部にガラス基板1の端面を突っ込んで、塊とガラス基板
を相対的に回転させることにより、端面を研磨する方式である。
しかし、生産効率を高めるためには、端面研磨処理をしないことが好ましい。この場合
、主表面の研削・研磨処理では、ガラス素板60から抜き取られたガラス基板1の真円度
を維持し、さらに割断面の少なくとも一部分の表面粗さを維持しつつ、ガラス基板1の主
表面を研削あるいは研磨を行う。
このようなガラス基板1の組成については、限定するものではないが、以下の組成であ
ることが好ましい。
具体的には、酸化物基準に換算し、モル%表示で、SiOを50~75%、Al
を1~15%、LiO、NaO及びKOから選択される少なくとも1種の成分を
合計で5~35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくと
も1種の成分を合計で0~20%、ならびにZrO、TiO、La、Y
、Ta、Nb及びHfOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0
~10%、有する組成からなるアモルファスのアルミノシリケートガラスである。
また、ガラス基板1は好ましくは、例えば、質量%表示にて、SiOを57~75%
、Alを5~20%、(ただし、SiOとAlの合計量が74%以上)、
ZrO、HfO、Nb、Ta、La、YおよびTiO
合計で0%を超え、6%以下、LiOを1%を超え、9%以下、NaOを5~28%
(ただし、質量比LiO/NaOが0.5以下)、KOを0~6%、MgOを0~
4%、CaOを0%を超え、5%以下(ただし、MgOとCaOの合計量は5%以下であ
り、かつCaOの含有量はMgOの含有量よりも多い)、SrO+BaOを0~3%、有
する組成からなるアモルファスのアルミノシリケートガラスであってもよい。
ガラス基板1の組成は、必須成分として、SiO、LiO、NaO、ならびに、
MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群から選ばれる一種以上のアルカリ土類金
属酸化物を含み、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量に対するCaOの含
有量のモル比(CaO/(MgO+CaO+SrO+BaO))が0.20以下であって
、ガラス転移温度が650℃以上であってもよい。このような組成のガラス基板1は、エ
ネルギーアシスト磁気記録用磁気ディスクに使用される磁気ディスク用ガラス基板に好適
である。
以上、本発明のガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法について詳細に説明
したが、本発明のガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法は上記実施形態に限
定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは
もちろんである。
1 ガラス基板
11p,12p 主表面
11c,12c 面取面
11w 側壁面
20,30,60 ガラス素板
22,62 線
24,34,64 外側部分
26,36,66 内側部分
32,62b 内周円部
40 レーザ光源
50,52 ヒータ
62a 外周円部

Claims (13)

  1. 開孔を有するガラス基板の製造方法であって、
    前記ガラス基板の元となるガラス素板の面に、略同心円状に沿ってレーザ光を照射した
    内周円部と外周円部を形成するステップと、
    前記外周円部の外側部分の加熱によって、前記ガラス素板の前記外周円部の外側部分を
    前記外周円部の内側部分に対して相対的に熱膨張させて前記外周円部において隙間を形成
    させ、前記外周円部の前記内側部分と前記外周円部の前記外側部分を分離するステップと

    前記内周円部の外側部分の加熱によって、前記ガラス素板の前記内周円部の前記外側部
    分を相対的に熱膨張させて前記内周円部において隙間を形成させ、前記内周円部の内側部
    分と前記内周円部の前記外側部分を分離するステップと、
    を備えることを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. ガラス基板の製造方法であって、
    前記ガラス基板の元となるガラス素板の面に、所定の環形状を成した線上にレーザ光を
    照射して前記線上に欠陥を形成するステップと、
    前記欠陥を形成した前記ガラス素板の、前記線を境にして外側部分と内側部分のうち、
    前記外側部分の加熱を、前記内側部分に比べて高めることにより、前記ガラス素板の前記
    外側部分と前記内側部分を分離するステップと、
    を備えることを特徴とするガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板は、開孔を有する環形状を成しており、
    前記欠陥を形成するステップでは、前記レーザ光により、前記環形状の外縁の形状を前
    記環形状として前記欠陥を形成し、
    前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記環形状の前記外縁を境にし
    た、前記ガラス素板の第1外側部分の加熱を、前記環形状の前記外縁を境にした、前記ガ
    ラス素板の第1内側部分に比べて高くする第1加熱処理を行なう、請求項2に記載のガラ
    ス基板の製造方法。
  4. 前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記ガラス基板の前記環形状に
    対するマージンとして、前記環形状の外径の0.1%~5%の長さを残して、前記第1外
    側部分と前記第1内側部分とが分離される、請求項3に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記欠陥を形成するステップでは、前記レーザ光により、前記開孔を有する前記環形状
    の内縁の形状を前記所定の形状として前記欠陥を形成し、
    前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記開孔を有する前記環形状の
    内縁を境にした、前記ガラス素板の第2外側部分の加熱を、前記環形状の前記内縁を境に
    した、前記ガラス素板の第2内側部分に比べて高くする第2加熱処理を行なう、請求項3
    または4に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記ガラス素板から前記ガラス基板となる部分を分離するステップでは、前記第1加熱
    処理後、前記第2加熱処理を行う、請求項5に記載のガラス基板の製造方法。
  7. 開孔を有するガラス基板の製造方法であって、
    前記ガラス基板の元となるガラス素板の面に、所定の環形状を成した線上にレーザ光を
    照射して前記線上に欠陥を形成するステップと、
    前記欠陥を形成した前記ガラス素板の、前記線を境にして外側部分と内側部分のうち、
    前記外側部分の加熱を、前記内側部分に比べて高めることにより、前記ガラス素板の前記
    外側部分と前記内側部分を分離するステップであって、前記外側部分を前記ガラス素板の
    主表面の両側から同時に加熱して、前記外側部分の加熱を前記内側部分に比べて高めるこ
    とにより、前記ガラス素板の前記外側部分と前記内側部分を分離して前記内側部分を前記
    開口になる部分として除去することを含むステップと、を備えることを特徴とするガラス
    基板の製造方法。
  8. 前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記外側部分の温度を前記内側
    温度に比べて高くして、前記外側部分を前記内側部分に対して相対的に熱膨張させて、前
    記線上に沿って隙間を形成することにより、前記外側部分と前記内側部分を分離する、請
    求項1~7のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  9. 前記ガラス素板の面への前記レーザ光の照射は、
    パルスレーザ光により、前記線上の複数の離散点に、点状の貫通孔を形成した後、前記
    パルスレーザ光と異なるレーザ光により、前記線上の前記離散点間を繋ぐように、照射位
    置が前記線上を連続的に移動することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のガラ
    ス基板の製造方法。
  10. 前記加熱は、前記ガラス素板の主表面の両側に設けられる加熱源からの輻射熱により前
    記ガラス素板の両側の主表面を加熱することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載
    のガラス基板の製造方法。
  11. 前記ガラス素板の主表面の面積の、前記ガラス基板の主表面の面積に対する面積比は1
    01%~160%であり、
    前記外側部分と前記内側部分を分離するステップでは、前記ガラス素板1つから前記ガ
    ラス基板1つを抜き取る、請求項1~10のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法
  12. 前記ガラス素板の厚さは、0.6mm以下である、請求項1~11のいずれか1項に記
    載のガラス基板の製造方法。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の前記ガラス基板に少なくとも磁性層を形成して
    磁気ディスクを作製するステップをさらに備える、磁気ディスクの製造方法。
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