JP2024078837A - 距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 - Google Patents

距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 Download PDF

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Abstract

【課題】直接波と間接波とが混在する混在比率に応じた測定を行う。【解決手段】照射タイミングと蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行い、前記複数の測定のそれぞれにて蓄積された電荷量に応じた特徴量の傾向に基づいて、被写体に反射して到来した2つの光路に対応する2つの距離について、前記2つの距離のうち小さい距離である第1距離、前記2つの距離のうち大きい距離である第2距離、前記第1距離に対応する光強度である第1光強度および前記第2距離に対応する光強度である第2光強度を算出し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1光強度および前記第2光強度に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離画像処理部を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法に関する。
光の速度が既知であることを利用し、空間(測定空間)における光の飛行時間に基づいて測定器と対象物との距離を測定する、タイム・オブ・フライト(Time of Flight、以下「TOF」という)方式の距離画像撮像装置が実現されている(例えば、特許文献1参照)。
このような距離画像撮像装置では、光パルスの光源と物体との間を直接往復した直接光(シングルパス)に加え、物体のコーナー部や物体の表面が凹凸構造となっている部分などにおいて光パルスが多重反射する等した後に到達した間接光を含むマルチパスが受光される場合がある。特許文献2には、このようなマルチパスの傾向に応じた対応を行う技術が開示されている。
特許第4235729号公報 特開2022-113429号公報
しかしながら、従来のマルチパス対応では、直接光と間接光の混在比率に応じた測定が行われていなかった。
本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、直接光と間接光とが混在する混在比率に応じた測定を行うことができる距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法を提供することを目的とする。
本発明の距離画像撮像装置は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を具備する画素と、前記光パルスを照射する照射タイミングに同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、を有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離画像処理部と、を備え、前記距離画像処理部は、前記照射タイミングと前記蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行い、前記複数の測定のそれぞれにて蓄積された電荷量に応じた特徴量の傾向に基づいて、前記被写体に反射して到来した2つの光路に対応する2つの距離について、前記2つの距離のうち小さい距離である第1距離、前記2つの距離のうち大きい距離である第2距離、前記第1距離に対応する光強度である第1光強度および前記第2距離に対応する光強度である第2光強度を算出し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1光強度および前記第2光強度に基づいて前記被写体までの距離を算出する。
本発明の距離画像撮像装置では、前記距離画像処理部は、前記第1光強度および前記第2光強度の関係に基づいて選択した、前記第1距離および前記第2距離の何れか一方を、前記被写体までの距離とする。
本発明の距離画像撮像装置では、前記距離画像処理部は、前記第2光強度に対する前記第1光強度の比率が閾値を超える場合に前記第1距離を前記被写体までの距離とし、前記比率が閾値を超えない場合に前記第1距離及び前記第2距離の中間値である中間距離を前記被写体までの距離とする。
本発明の距離画像撮像装置では、前記距離画像処理部は、前記第1光強度および前記第2光強度の関係に基づいて重みづけ平均値の算出に用いる係数を設定し、前記係数を用いて算出される、前記第1距離および前記第2距離の重みづけ平均値である重みづけ平均距離を前記被写体までの距離とする。
本発明の距離画像撮像方法は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を具備する画素と、前記光パルスを照射する照射タイミングに同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、を有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離画像処理部と、を備える距離画像撮像装置が行う距離画像撮像方法であって、前記距離画像処理部は、前記照射タイミングと前記蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行い、前記複数の測定のそれぞれにて蓄積された電荷量に応じた特徴量の傾向に基づいて、前記被写体に反射して到来した2つの光路に対応する2つの距離について、前記2つの距離のうち小さい距離である第1距離、前記2つの距離のうち大きい距離である第2距離、前記第1距離に対応する光強度である第1光強度および前記第2距離に対応する光強度である第2光強度を算出し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1光強度および前記第2光強度に基づいて前記被写体までの距離を算出する。
本発明によれば、直接光と間接光とが混在する混在比率に応じた測定を行うことができる。
実施形態の距離画像撮像装置1の構成例を示すブロック図である。 実施形態の距離画像センサ32の構成例を示すブロック図である。 実施形態の画素321の構成例を示す回路図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。 実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
以下、実施形態の距離画像撮像装置を、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態の距離画像撮像装置の概略構成を示すブロック図である。距離画像撮像装置1は、例えば、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4とを備える。図1には、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象物である被写体OBも併せて示している。
光源部2は、距離画像処理部4からの制御に従って、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体OBが存在する測定対象の空間に光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの面発光型の半導体レーザーモジュールである。光源部2は、光源装置21と、拡散板22とを備える。
光源装置21は、被写体OBに照射する光パルスPOとなる近赤外の波長帯域(例えば、波長が850nm~940nmの波長帯域)のレーザー光を発光する光源である。光源装置21は、例えば、半導体レーザー発光素子である。光源装置21は、タイミング制御部41からの制御に応じて、パルス状のレーザー光を発光する。
拡散板22は、光源装置21が発光した近赤外の波長帯域のレーザー光を、被写体OBに照射する面の広さに拡散する光学部品である。拡散板22が拡散したパルス状のレーザー光が、光パルスPOとして出射され、被写体OBに照射される。
受光部3は、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体OBによって反射された光パルスPOの反射光RLを受光し、受光した反射光RLに応じた画素信号を出力する。受光部3は、レンズ31と、距離画像センサ32とを備える。
レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32に導く光学レンズである。レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32側に出射して、距離画像センサ32の受光領域に備えた画素に受光(入射)させる。
距離画像センサ32は、距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子である。距離画像センサ32は、二次元の受光領域に複数の画素を備える。距離画像センサ32のそれぞれの画素の中に、1つの光電変換素子と、この1つの光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部と、それぞれの電荷蓄積部に電荷を振り分ける構成要素とが設けられる。つまり、画素は、複数の電荷蓄積部に電荷を振り分けて蓄積させる振り分け構成の撮像素子である。
距離画像センサ32は、タイミング制御部41からの制御に応じて、光電変換素子が発生した電荷をそれぞれの電荷蓄積部に振り分ける。また、距離画像センサ32は、電荷蓄積部に振り分けられた電荷量に応じた画素信号を出力する。距離画像センサ32には、複数の画素が二次元の行列状に配置されており、それぞれの画素の対応する1フレーム分の画素信号を出力する。
距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1を制御し、被写体OBまでの距離を算出する。距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、距離演算部42と、測定制御部43とを備える。
タイミング制御部41は、測定制御部43の制御に応じて、測定に要する様々な制御信号を出力するタイミングを制御する。ここでの様々な制御信号とは、例えば、光パルスPOの照射を制御する信号、反射光RLを複数の電荷蓄積部に振り分けて蓄積させる信号、1フレームあたりの蓄積回数を制御する信号などである。蓄積回数とは、電荷蓄積部CS(図3参照)に電荷を振り分けて蓄積させる蓄積処理を繰返す回数である。
距離演算部42は、距離画像センサ32から出力された画素信号に基づいて、被写体OBまでの距離を演算した距離情報を出力する。距離演算部42は、複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷量に基づいて、光パルスPOを照射してから反射光RLを受光するまでの遅延時間を算出する。距離演算部42は、算出した遅延時間に応じて被写体OBまでの距離を算出する。
測定制御部43は、タイミング制御部41を制御する。例えば、測定制御部43は、1フレームの蓄積回数及び蓄積時間幅を設定し、設定した内容で撮像が行われるようにタイミング制御部41を制御する。
このような構成によって、距離画像撮像装置1では、光源部2が被写体OBに照射した近赤外の波長帯域の光パルスPOが被写体OBによって反射された反射光RLを受光部3が受光し、距離画像処理部4が、被写体OBとの距離を測定した距離情報を出力する。
なお、図1においては、距離画像処理部4を距離画像撮像装置1の内部に備える構成の距離画像撮像装置1を示しているが、距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1の外部に備える構成要素であってもよい。
ここで、図2を用いて、距離画像撮像装置1において撮像素子として用いられる距離画像センサ32の構成について説明する。図2は、実施形態の距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子(距離画像センサ32)の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、距離画像センサ32は、例えば、複数の画素321が配置された受光領域320と、制御回路322と、振り分け動作を有した垂直走査回路323と、水平走査回路324と、画素信号処理回路325とを備える。
受光領域320は、複数の画素321が配置された領域であって、図2では、8行8列に二次元の行列状に配置された例を示している。画素321は、受光した光量に相当する電荷を蓄積する。制御回路322は、距離画像センサ32を統括的に制御する。制御回路322は、例えば、距離画像処理部4のタイミング制御部41からの指示に応じて、距離画像センサ32の構成要素の動作を制御する。なお、距離画像センサ32に備えた構成要素の制御は、タイミング制御部41が直接行う構成であってもよく、この場合、制御回路322を省略することも可能である。
垂直走査回路323は、制御回路322からの制御に応じて、受光領域320に配置された画素321を行ごとに制御する回路である。垂直走査回路323は、画素321の電荷蓄積部CSそれぞれに蓄積された電荷量に応じた電圧信号を画素信号処理回路325に出力させる。この場合、垂直走査回路323は、光電変換素子により変換された電荷を画素321の電荷蓄積部それぞれに振り分けて蓄積させる。つまり、垂直走査回路323は、「画素駆動回路」の一例である。
画素信号処理回路325は、制御回路322からの制御に応じて、それぞれの列の画素321から対応する垂直信号線に出力された電圧信号に対して、予め定めた信号処理(例えば、ノイズ抑圧処理やA/D変換処理など)を行う回路である。
水平走査回路324は、制御回路322からの制御に応じて、画素信号処理回路325から出力される信号を、水平信号線に順次出力させる回路である。これにより、1フレーム分蓄積された電荷量に相当する画素信号が、水平信号線を経由して距離画像処理部4に順次出力される。
以下では、画素信号処理回路325がA/D変換処理を行い、画素信号がデジタル信号であるものとして説明する。
ここで、図3を用いて、距離画像センサ32に備える受光領域320内に配置された画素321の構成について説明する。図3は、実施形態の距離画像センサ32の受光領域320内に配置された画素321の構成の一例を示す回路図である。図3には、受光領域320内に配置された複数の画素321のうち、1つの画素321の構成の一例を示している。画素321は、3個の画素信号読み出し部を備えた構成の一例である。
画素321は、1個の光電変換素子PDと、ドレインゲートトランジスタGDと、対応する出力端子Oから電圧信号を出力する3個の画素信号読み出し部RUとを備える。画素信号読み出し部RUのそれぞれは、読み出しゲートトランジスタGと、フローティングディフュージョンFDと、電荷蓄積容量Cと、リセットゲートトランジスタRTと、ソースフォロアゲートトランジスタSFと、選択ゲートトランジスタSLとを備える。それぞれの画素信号読み出し部RUでは、フローティングディフュージョンFDと電荷蓄積容量Cとによって電荷蓄積部CSが構成されている。
なお、図3においては、3個の画素信号読み出し部RUの符号「RU」の後に、「1」~「3」の何れかの数字を付与することによって、それぞれの画素信号読み出し部RUを区別する。また、同様に、3個の画素信号読み出し部RUに備えたそれぞれの構成要素も、それぞれの画素信号読み出し部RUを表す数字を符号の後に示すことによって、それぞれの構成要素が対応する画素信号読み出し部RUを区別して表す。
図3に示した画素321において、出力端子O1から電圧信号を出力する画素信号読み出し部RU1は、読み出しゲートトランジスタG1と、フローティングディフュージョンFD1と、電荷蓄積容量C1と、リセットゲートトランジスタRT1と、ソースフォロアゲートトランジスタSF1と、選択ゲートトランジスタSL1とを備える。画素信号読み出し部RU1では、フローティングディフュージョンFD1と電荷蓄積容量C1とによって電荷蓄積部CS1が構成されている。画素信号読み出し部RU2~RU3も同様の構成である。
なお、距離画像センサ32に配置される画素の構成は、図3に示したような、3個の画素信号読み出し部RUを備える構成に限定されるものではなく、複数の画素信号読み出し部RUを備えた構成の画素であればよい。つまり、距離画像センサ32に配置される画素に備える画素信号読み出し部RU(電荷蓄積部CS)の数は、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
また、図3に示した構成の画素321では、電荷蓄積部CSを、フローティングディフュージョンFDと電荷蓄積容量Cとによって構成する一例を示した。しかし、電荷蓄積部CSは、少なくともフローティングディフュージョンFDによって構成されればよく、画素321が電荷蓄積容量Cを備えない構成であってもよい。
また、図3に示した構成の画素321では、ドレインゲートトランジスタGDを備える構成の一例を示したが、光電変換素子PDに蓄積されている(残っている)電荷を破棄する必要がない場合には、ドレインゲートトランジスタGDを備えない構成であってもよい。
光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである。光電変換素子PDの構造は任意であってよい。光電変換素子PDは、例えば、P型半導体とN型半導体とを接合した構造のPNフォトダイオードであってもよいし、P型半導体とN型半導体との間にI型半導体を挟んだ構造のPINフォトダイオードであってもよい。また、光電変換素子PDは、フォトダイオードに限定されるものではなく、例えば、フォトゲート方式の光電変換素子であってもよい。
画素321では、光パルスPOを照射する照射タイミングに同期させた蓄積タイミングにおいて入射した光を、光電変換素子PDが電荷に変換し、変換した電荷を4個の電荷蓄積部CSのそれぞれに振り分けて蓄積させる。また、蓄積タイミング以外のタイミングで画素321に入射した光については、光電変換素子PDが変換した電荷をドレインゲートトランジスタGDから排出して、電荷蓄積部CSに蓄積させないようにする。
このようにして蓄積タイミングにおける電荷の蓄積と、蓄積タイミング以外のタイミングにおける電荷の破棄とが、1フレームに渡って繰り返し行われた後、読出し期間が設けられる。読み出し期間では、水平走査回路324により、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された、1フレーム分の電荷量に相当する電気信号が、距離演算部42に出力される。
ここで、距離を算出する方法について説明する。本実施形態では、距離画像撮像装置1が受光した反射光RLがシングルパスであるか、或いは、反射光RLがマルチパスであるかにより異なる手法を用いて距離を算出する。
距離画像撮像装置1が受光した反射光RLがシングルパスであるか、マルチパスであるかの判定は、既存技術、例えば、特許文献2に記載された技術を用いて判定することが可能である。例えば、距離画像処理部4は、照射タイミングと蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行う。ここでの照射タイミングは光パルスPOを照射するタイミングである。蓄積タイミングは、電荷蓄積部CSのそれぞれに電荷を蓄積させるタイミングである。測定を行う毎に電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された電荷量に基づく特徴量を算出し、算出した特徴量の傾向に応じて、特徴量の傾向がシングルパスを受光した場合の傾向に似ている場合には、シングルパスを受光したと判定する。一方、距離画像撮像装置1は、特徴量の傾向がマルチパスを受光した場合の傾向に似ている場合には、マルチパスを受光したと判定する。
距離画像撮像装置1が受光した反射光RLがシングルパスであると判定した場合、距離画像処理部4は、以下の(1)式により、被写体OBまでの距離Lを算出する。
L=c×Td/2
Td=To×(Q2-Q3)/(Q1+Q2-2×Q3) …(1)
但し、Lは被写体OBまでの距離
cは光速
Toは光パルスPOが照射された期間
Q1は電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量
Q2は電荷蓄積部CS2に蓄積された電荷量
Q3は電荷蓄積部CS3に蓄積された電荷量
なお、(1)式においては、電荷蓄積部CS1及びCS2に跨って反射光RLに相当する電荷が蓄積されていること、および、電荷蓄積部CS1~CS3のそれぞれにおいて同量の外光成分に相当する電荷が蓄積されていることを前提とする。
一方、距離画像撮像装置1が受光した反射光RLがマルチパスであると判定した場合、距離画像処理部4は、例えば、反射光RLを2つの互いに異なる経路から到来した反射光RA及びRBの和と仮定する。距離画像処理部4は、例えば、反射光RAの距離をLA、光強度をDA、反射光RBの距離をLB、光強度をDBとし仮定し、最小二乗法などの技術を用いて、(距離LA、光強度DA、距離をLB、光強度DB)の最適な組合せを決定する。
ここで、図4~図5を用いて、混在比率が異なるマルチパスが受光される例を説明する。図4~図6は、実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。図4および図5には、物体OBAが設けられた空間を距離画像撮像装置1が撮像する例が模式的に示されている。
図4に示すように、撮像方向の正面にある物体OBAからの反射光RLを距離画像撮像装置1が受光する場合、光強度が大きい直接光D(major)と、光強度が小さい間接光M(minor)が混在した反射光が受光される。物体OBAは被写体OBの一例である。
一方、図5に示すように、撮像方向の下にある床面Fからの反射光RLを距離画像撮像装置1が受光する場合、光強度が大きい間接光M(major)と、光強度が小さい直接光D(minor)が混在した反射光が受光される。床面Fは被写体OBの一例である。
ここで、図6~図8を用いて、マルチパスの特性について説明する。図6~図8は、実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。
図6には、図4及び図5のように物体OBAが配置された空間において撮像された距離画像における画素(Pixel)と距離(TOF Distance)との関係が示されている。図6の横軸は画素における水平方向の位置座標を示す。図6の縦軸は距離を示す。
図6には、2つの距離、第1距離(Measurement)、および第2距離(Ideal distance)が示されている。
第1距離は、反射光RLに相当する電荷量に基づいて算出された測定距離である。ここで、反射光RLに相当する電荷量には、直接光Dおよび反射光RLに由来する電荷が混在していることを前提とする。
第2距離は、実際の距離であり、距離画像撮像装置1が直接光Dのみを受光した場合に算出されることが期待される理想距離である。
図6に示すように、領域EA、つまり座標Pより位置座標が小さい画素の領域、具体的には物体OBAの手前にある床面Fが撮像された領域においては、第1距離と第2距離との差分は比較的大きい。これは、物体OBAの手前にある床面Fに反射して距離画像撮像装置1に受光される反射光RLには、直接光Dの光強度に対して、より大きい光量の間接光Mが含まれているためと考えられる。この場合、直接光Dの光強度に対して、間接光Mの光強度が大きくなり、第1距離が、第2距離より大きい値となる。
ここで、領域EAにおいて、床面Fの素材が鏡面である等、床面Fの反射係数が大きい場合、床面Fに反射して距離画像撮像装置1に受光される反射光RLに含まれる直接光Dの光強度は小さくなると考えられる。このため、床面Fの反射係数が大きい程、第1距離と第2距離の差分が大きくなる傾向にあると考えられる。
一方、領域EB、つまり座標Pより位置座標が大きい画素の領域、具体的には物体OBAが撮像された領域においては、第1距離と第2距離との差分は比較的小さい。これは、物体OBAに反射して距離画像撮像装置1に受光される反射光RLには、間接光Mの光量と比較して、より大きい光量の直接光Dが含まれているためと考えられる。この場合、直接光Dの光強度に対して、間接光Mの光強度が小さくなり、第1距離が、第2距離とほぼ同じ値となる。
ここで、物体OBAにおいて床面Fに近い部分、つまり物体OBAの下部は、物体OBAの上部と比較して、床面Fからの反射光が到達し易い。このため、物体OBAの下部から距離画像撮像装置1に到達する反射光RLには、物体OBAの上部から距離画像撮像装置1に到達する反射光RLと比較して、反射光RLに含まれる間接光Mの光量が大きいと考えられる。これにより、領域EBにおいて、位置座標が小さい画素、つまり物体OBAの下部が撮像された画素において、第1距離と第2距離の差分は、位置座標が大きい画素、つまり物体OBAの上部が撮像された画素と比較して、大きくなる傾向を示すと考えられる。
図7には、図4及び図5に示すように物体OBAが配置された空間において撮像された距離画像における、画素(Pixel)と混在比率(Direct/Multipath ratio)との関係が示されている。図7の横軸は画素における水平方向の位置座標を示す。図7の縦軸は混在比率を示す。
図7には、直接光Dにおける混在比率(Direct-path ratio)、および間接光Mにおける混在比率(Multi-path ratio)が示されている。
直接光Dにおける混在比率は、反射光RLに対して直接光Dが含まれる比率である。直接光Dにおける混在比率は、以下の(2)式により示される値である。
(直接光Dにおける混在比率)=(直接光Dの光強度)/(反射光RLの光強度)…(2)
但し、(反射光RLの光強度)=(直接光Dの光強度)+(間接光Mの光強度)
一方、間接光Mにおける混在比率は、反射光RLに対して間接光MDが含まれる比率である。間接光Mにおける混在比率は、以下の(3)式により示される値である。
(間接光Mにおける混在比率)=(間接光Mの光強度)/(反射光RLの光強度)…(3)
但し、(反射光RLの光強度)=(直接光Dの光強度)+(間接光Mの光強度)
図7に示すように、原点座標において、直接光Dにおける混在比率が上限閾値(例えば、95%)以上であり、間接光Mにおける混在比率が下限閾値(例えば、5%)未満であるような傾向を示す。そして、領域EAにある領域EA1において、位置座標が大きくなるにしたがい、直接光Dにおける混在比率が小さくなる一方で、間接光Mにおける混在比率が大きくなる。
座標Qにおいて、直接光Dにおける混在比率、および間接光Mにおける混在比率が、共に、50%となる。そして領域EAにある領域EA2において、位置座標が大きくなるにしたがい、直接光Dにおける混在比率が50%より小さくなり、間接光Mにおける混在比率が50%を超えて大きくなる。
座標Pにおいて、直接光Dにおける混在比率が上限閾値(例えば、95%)以上であり、間接光Mにおける混在比率が下限閾値(例えば、5%)未満になる傾向を示す。そして領域EBにおいて、位置座標が大きくなるにしたがい、直接光Dにおける混在比率が徐々に増加して100%に漸近し、間接光Mにおける混在比率が徐々に減少して0%に近づくような傾向を示す。
図8には、図4および図5と同様に、物体OBAが設けられた空間に距離画像撮像装置1が撮像する例が模式的に示されている。
図8に示すように、距離画像撮像装置1からの距離が比較的近い床面FAには、床面Fの法線方向に対して角度θ1で光パルスPOが入射される。一方、距離画像撮像装置1からの距離が比較的遠い床面FBには、床面Fの法線方向に対して角度θ2で光パルスPOが入射される。ここで、角度θ1は角度θ2よりも小さく、角度θ1<角度θ2の関係にある。光パルスPOが床面FAで反射した場合、角度θ1が比較的小さいことから、床面FAから距離画像撮像装置1に到達する反射光RLに含まれる直接光Dの光強度は相応に強くなる。
一方、光パルスPOが床面FBで反射した場合、角度θ2が比較的大きいことから、床面FBから距離画像撮像装置1に到達する反射光RLに含まれる直接光Dの光強度は相応に弱くなる。
したがって、床面FBから距離画像撮像装置1に到達する反射光RLに含まれる直接光Dの光強度は、床面FAから距離画像撮像装置1に到達する反射光RLに含まれる直接光Dの光強度より小さいと考えられる。
また、図8に示すように、床面FBで反射した光の一部は、物体OBAにおいて床面Fの近い位置、つまり物体OBAの下部に多く到達する。一方、床面FBで反射した光の一部は、物体OBAにおいて床面Fの遠い位置、つまり物体OBAの上部にはほとんど到達しない。このため、物体OBAの下部から距離画像撮像装置1に到達した反射光RLには、床面Fで反射した間接光Mが多く含まれ、物体OBAの上部から距離画像撮像装置1に到達する反射光RLには、床面Fで反射した間接光Mがほとんど含まれない。つまり、物体OBAにおいて、下部で反射する光には、床面から到来するマルチパスに由来する成分が含まれる。このため、物体の上部で反射した反射光RLと比べて、物体の下部で反射した反射光RLにおける間接光Mの混在比率は大きくなる。
ここで、図9~図12を用いて、距離画像撮像装置1が距離を測定する方法について説明する。図9~図12は、実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理を説明するための図である。
図9には、マルチパスに含まれる光量に基づく距離が示されている。図9には、図6と同様に、横軸に画素における水平方向の位置座標、縦軸に距離が示されている。図9には、4つの距離、第3距離(Measurement)、第4距離(Multi-path distance)、第5距離(Direct-path distance)、および第6距離(Ideal distance)が示されている。
第3距離は、図6の第1距離と同様の距離であり、反射光RLに相当する電荷量に基づいて算出された測定距離である。
第4距離は、反射光RLに相当する電荷量から抽出した間接光Mに由来する電荷量に基づいて算出された間接距離である。
第5距離は、反射光RLに相当する電荷量から抽出した直接光Dに由来する電荷量に基づいて算出された間接距離である。
第6距離は、図6の第2距離と同様の、実際の距離であり、距離画像撮像装置1が直接光Dのみを受光した場合に算出されることが期待される理想距離である。
図9に示すように、領域EA1においては、第5距離と、第6距離とが、ほぼ一致する。これは、物体OBAの手前にある床面Fから到来する反射光RLに含まれる直接光Dの強度が大きいことからノイズの影響が小さくなり、(1)式などのアルゴリズムを用いて精度よく距離を算出することができるためと考えられる。
一方、領域EA2においては、第5距離と、第6距離との差分が生じる。このような差分が生じるのは、距離画像撮像装置1に近い床面Fの領域においては直接光Dの強度が大きいのに対し、物体OBAに近い床面Fの領域では直接光Dの強度が小さくなることから直接光Dに含まれるノイズの影響が大きくなり、(1)式などのアルゴリズムを用いたとしても精度よく距離を算出することが困難になるためと考えられる。
また、領域EBにおいては、第5距離と、第6距離とが、ほぼ一致する。これは、物体OBAから到来する反射光RLには直接光Dの混在比率が大きく、適切な積算回数を設定することにより直接光Dに含まれるノイズの影響が小さくなるようにすることができるためと考えられる。この場合、反射光RLに相当する電荷量に含まれる直接光Dに由来する電荷量を基に、(1)式などのアルゴリズムを用いて精度よく距離を算出することが可能となる。
ここで、図10~図12を用いて、距離画像撮像装置1が距離を算出する方法を説明する。図10~図12には、図6と同様に、横軸に画素における水平方向の位置座標、縦軸に距離が示されている。図10~図12には、第7距離(Ideal distance)、および第8距離(result)が示されている。
第7距離は、図6の第2距離および図9の第6距離と同様の、実際の距離であり、距離画像撮像装置1が直接光Dのみを受光した場合に算出されることが期待される理想距離である。
第8距離は、実施形態における距離画像撮像装置1が算出した、被写体OBまでの距離を示す測定結果である。
図10には、「result=Direct-path distance」と記載されている。これは、第8距離として、直接距離、を採用したことを示す。ここでの直接距離は、図9における第5距離(Direct-path distance)、つまり直接光Dに由来する電荷量に基づいて算出される距離である。
この場合、領域EA1および領域EBでは、第8距離が第7距離とほぼ一致する。一方、領域EA2では、第8距離と第7距離との差分が大きい。
上述した図10で述べた観点から、本実施形態の距離画像撮像装置1では、直接光Dにおける混在比率が閾値(ここでは50%)を超える場合、直接距離、つまり図9の第5距離(Direct-path distance)、を測定結果として算出する。
具体的に、距離画像撮像装置1は、例えば特許文献2に記載された技術を用いて、反射光RL(マルチパス)から直接光Dと間接光Mとを分離する。距離画像撮像装置1は、反射光RLの光量に対する、分離した直接光Dの光量の比率を、直接光Dにおける混在比率として算出する。距離画像撮像装置1は、算出した直接光Dにおける混在比率が、閾値(例えば、50%)を超える場合、直接光Dの光量に基づく距離(直接距離)を算出する。距離画像撮像装置1は、算出した直接距離を、測定結果とする。
一方、直接光Dにおける混在比率が閾値(ここでは50%)未満である場合、本実施形態の距離画像撮像装置1は、後述する図11~図13を用いて説明する、何れか手法により算出した距離を、第8距離とする。
図11には、「result(EA2)=Measurement」と記載されている。これは、領域EA2における第8距離として、測定距離、を採用したことを示す。測定距離は、図9における第3距離(Measurement)、つまり反射光RLに由来する電荷量に基づいて算出される距離である。
この場合、領域EA2と領域EBの境界、つまり座標Pの近傍において、第8距離と第7距離との差分が、図10の場合と比較して低減する。一方、座標Qから座標Pまでの間に存在する画素は、位置座標が小さくなるにしたがって、第8距離と第7距離との差分が大きくなる。そして、座標Qの近傍において、第8距離と第7距離との差分が最も大きくなり、その結果として、座標Qにおいて段差が生じる。
上述した図11で述べた観点から、本実施形態の距離画像撮像装置1では、直接光Dにおける混在比率が閾値(ここでは50%)未満である場合、測定距離、例えば、図9における第3距離(Measurement)、を測定結果として算出する。
具体的に、距離画像撮像装置1は、例えば特許文献2に記載された技術を用いて、反射光RL(マルチパス)から直接光Dと間接光Mとを分離する。距離画像撮像装置1は、反射光RLの光量に対する、分離した直接光Dの光量の比率を、直接光Dにおける混在比率として算出する。距離画像撮像装置1は、算出した直接光Dにおける混在比率が、閾値(例えば、50%)未満である場合、反射光RLの光量に基づく距離(測定距離)を算出する。距離画像撮像装置1は、算出した測定距離を、測定結果とする。
図12には、「result(EA2)=Ave」と記載されている。これは、領域EA2における第8距離として、中間距離(Ave)、を採用したことを示す。ここでの中間距離は、直接距離と測定距離の単純平均値に相当する距離であり、例えば、直接距離と測定距離の和に、0.5を乗算した距離である。
ここでの直接距離は、図9における第5距離(Direct-path distance)、つまり直接光Dに由来する電荷量に基づいて算出される距離である。また、測定距離は、図9における第3距離(Measurement)、つまり反射光RLに由来する電荷量に基づいて算出される距離である。
この場合、座標Pの近傍において、第8距離と第7距離との差分が、図10の場合と比較して低減する。また、座標Qの近傍において、第8距離と第7距離との差分が、図11の場合と比較して低減する。
上述した図12で述べた観点から、本実施形態の距離画像撮像装置1では、直接光Dにおける混在比率が閾値(ここでは50%)未満である場合、中間距離、例えば、直接距離と測定距離の中間値、を測定結果として算出する。
具体的に、距離画像撮像装置1は、直接光Dにおける混在比率が、閾値(例えば、50%)未満である場合、直接光Dの光量に基づく距離(直接距離)、および反射光RLの光量に基づく距離(測定距離)を算出する。距離画像撮像装置1は、算出した直接距離と測定距離の和に、0.5を乗算した中間距離を算出する。距離画像撮像装置1は、算出した中間距離を、測定結果とする。
図13には、「result(EA2)=Wave」と記載されている。これは、領域EA2における第8距離として、重みづけ平均距離(WAve)、を採用したことを示す。ここでの重みづけ平均距離は、直接距離と測定距離のそれぞれを、直接光Dにおける混在比率で重みづけ加算した値に相当する距離である。例えば、直接光Dにおける混在比率が30%である場合、重みづけ平均距離は、直接距離に0.3を乗算した値と、測定距離に0.7を乗算した値を加算した値である。
ここでの直接距離は、図9における第5距離(Direct-path distance)、つまり直接光Dに由来する電荷量に基づいて算出される距離である。また、測定距離は、図9における第3距離(Measurement)、つまり反射光RLに由来する電荷量に基づいて算出される距離である。
この場合、座標Pの近傍において、第8距離と第7距離との差分が、図10の場合と比較して低減する。また、座標Qの近傍において、第8距離と第7距離との差分が、図11および図12の場合と比較して低減する。特に、図11および図12において発生していた大きな段差が解消され、領域EA1と領域EA2の境界における連続性が改善する。
また、領域EA2において、全体的に、第8距離と第7距離との差分が、図10~図12の場合と比較して低減する。
上述した図13で述べた観点から、本実施形態の距離画像撮像装置1は、直接光Dにおける混在比率が閾値(ここでは50%)未満である場合、重みづけ平均距離、例えば、直接距離と測定距離を直接光Dにおける混在比率に応じて重みづけ加算した値を、測定結果とする。
具体的に、距離画像撮像装置1は、直接光Dにおける混在比率が、閾値(例えば、50%)未満である場合、直接光Dの光量に基づく距離(直接距離)、および反射光RLの光量に基づく距離(測定距離)を算出する。距離画像撮像装置1は、算出した直接距離に、直接光Dにおける混在比率に応じた第1係数(重みづけ係数K)を乗算する。距離画像撮像装置1は、算出した測定距離に、第2係数(1-K)を乗算する。距離画像撮像装置1は、係数を乗算した直接距離と、係数を乗算した測定距離の和を、重みづけ平均距離として算出する。距離画像撮像装置1は、算出した重みづけ平均距離を、測定結果とする。
例えば、距離画像撮像装置1は、以下の(4)式を用いて、重みづけ平均距離WAveを算出する。
WAve=Ddirect×K+Dopt×(1-K) …(4)
但し、WAveは、重みづけ平均距離である。
directは、直接距離である。
Kは、直接光Dにおける混在比率に応じた係数である。
optは、測定距離である。
重みづけ係数Kは、直接光Dにおける混在比率に応じた値である。例えば、直接光Dにおける混在比率が20%である場合、重みづけ係数Kは0.2である。例えば、直接光Dにおける混在比率が10%である場合、重みづけ係数Kは0.1である。なお、重みづけ係数Kは、直接光Dにおける混在比率そのものでなくともよく、少なくとも混在比率に応じた値であればよい。すなわち、混在比率をMrとして、重みづけ係数Kが、K=f(Mr)で算出される値であればよい。ここでのfは任意の関数である。
ここで、図14を用いて、距離画像撮像装置1が行う処理の流れを説明する。図14は、実施形態の距離画像撮像装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS10:距離画像撮像装置1は、画素信号を取得する。距離画像撮像装置1は、1フレームにおいて画素321を駆動させ、画素321ごとに出力される複数の画素信号、電荷蓄積部CS1~CS3のそれぞれに蓄積された電荷量に対応する画素信号を取得する。
ステップS11:距離画像撮像装置1は、画素信号から、反射光成分に対応する信号量を抽出する。距離画像撮像装置1は、反射光RLおよび環境光に対応する電荷が混在して蓄積された画素信号から、環境光成分に対応する信号を減算することにより、反射光成分に対応する信号量を抽出する。距離画像撮像装置1は、例えば、電荷蓄積部CS1~CS3のそれぞれに蓄積された電荷量に対応する画素信号のうち、最も小さい値を環境光成分に対応する信号量として特定する。
ステップS12:距離画像撮像装置1は、反射光成分に対応する信号量を、直接光Dおよび間接光Mのそれぞれに対応する信号量に分離する。距離画像撮像装置1は、例えば、特許文献2に記載された技術を用いて、反射光RL(マルチパス)から直接光Dと間接光Mとを分離する。
ステップS13:距離画像撮像装置1は、直接光Dにおける混在比率を算出する。距離画像撮像装置1は、例えば、(2)式を用いて、直接光Dにおける混在比率を算出する。なお、(2)式の光強度と、画素信号の信号量とは比例する関係にある。
ステップS14:距離画像撮像装置1は、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)を超えているか否かを判定する。
ステップS15:ステップS14において、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)を超えている場合、距離画像撮像装置1は、直接距離を算出する。
ステップS16:距離画像撮像装置1は、算出した直接距離を、測定結果とする。
ステップS17:ステップS14において、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)未満である場合、距離画像撮像装置1は、測定距離、中間距離、および重みづけ距離のうち、いずれの距離を測定結果とするか判定する。距離画像撮像装置1は、例えば、予め決定された距離を、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)未満である場合における測定結果とする。
ステップS18:ステップS17において、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)未満である場合において、測定距離を測定結果とすると判定した場合、距離画像撮像装置1は、測定距離を算出する。
ステップS19:距離画像撮像装置1は、算出した測定距離を、測定結果とする。
ステップS20:ステップS17において、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)未満である場合において、中間距離を測定結果とすると判定した場合、距離画像撮像装置1は、直接距離を算出する。
ステップS21:距離画像撮像装置1は、測定距離を算出する。
ステップS22:距離画像撮像装置1は、中間距離を算出する。距離画像撮像装置1は、直接距離と測定距離の和に、0.5を乗算した値を、中間距離とする。
ステップS23:距離画像撮像装置1は、算出した中間距離を、測定結果とする。
ステップS24:ステップS17において、直接光Dにおける混在比率が閾値(例えば、50%)未満である場合において、重みづけ平均距離を測定結果とすると判定した場合、距離画像撮像装置1は、直接距離を算出する。
ステップS25:距離画像撮像装置1は、測定距離を算出する。
ステップS26:距離画像撮像装置1は、重みづけ平均距離を算出する。距離画像撮像装置1は、直接距離に第1係数(重みづけ係数K)を乗算し、測定距離に第2係数(1-K)を乗算する。距離画像撮像装置1は、第1係数を乗算した直接距離と、第2係数を乗算した測定距離との和を、重みづけ平均距離とする。
ステップS27:距離画像撮像装置1は、算出した重みづけ平均距離を、測定結果とする。
なお、上記のフローチャートでは、ステップS17において、3つの距離(測定距離、中間距離、および重みづけ距離)のうち、いずれの距離を測定結果とするか判定する場合を例示して説明した。しかしながら、これに限定されない。3つの距離に加えて、或いは、3つの距離に代えて、他の距離が、測定結果として採用されてもよい。他の距離として、例えば、直接距離と間接距離を重みづけ加算した距離、直接距離を補正した距離、間接距離を補正した距離、測定距離を補正した距離などが想定される。
直接距離を補正した距離を採用する場合、距離画像処理部4は、例えば、直接距離に、直接光Dの混在比率に応じた補正係数を乗算した値を、補正後の直接距離とする。この場合、距離画像処理部4は、例えば、予め既知の距離にある被写体OBを測定することによって、実距離と直接距離、および直接光Dの混在比率との関係を示すテーブルを作成する。距離画像処理部4は、当該テーブルを参照することよって、直接光Dの混在比率に応じた補正係数を決定する。
間接距離を補正した距離を採用する場合、距離画像処理部4は、例えば、間接距離に、間接光Mの混在比率に応じた補正係数を乗算した値を、補正後の直接距離とする。この場合、距離画像処理部4は、例えば、予め既知の距離にある被写体OBを測定することによって、実距離と間接距離、および間接光Mの混在比率との関係を示すテーブルを作成する。距離画像処理部4は、当該テーブルを参照することよって、間接光Mの混在比率に応じた補正係数を決定する。
測定距離を補正した距離を採用する場合、距離画像処理部4は、例えば、測定距離に、に応じた補正係数を乗算した値を、補正後の直接距離とする。この場合、距離画像処理部4は、例えば、予め既知の距離にある被写体OBを測定することによって、実距離と測定距離との関係を示すテーブルを作成する。距離画像処理部4は、当該テーブルを参照することよって、測定距離に応じた補正係数を決定する。
以上説明したように、実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2と受光部3と距離画像処理部4を備える。光源部2は被写体OBに光パルスPOを照射する。受光部3は画素321と垂直走査回路323(「画素駆動回路」の一例)を有する。画素321は入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子PD及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部CSを具備する。垂直走査回路323は、光パルスPOを照射する照射タイミングに同期させた蓄積タイミングで、電荷蓄積部CSのそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる。距離画像処理部4は、電荷蓄積部CSの各々に蓄積される電荷量に基づいて、被写体OBまでの距離を算出する。距離画像処理部4は、照射タイミングと蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行う。
距離画像処理部4は、複数の測定のそれぞれにて蓄積された電荷量に応じた特徴量の傾向に基づいて、被写体OBに反射して到来した2つの光路に対応する2つの距離を設定する。距離画像処理部4は、2つの距離として、例えば、直接距離と測定距離、を設定する。距離画像処理部4は、直接距離(2つの距離のうち小さい距離である第1距離)、測定距離(2つの距離のうち大きい距離である第2距離)、直接光Dの光強度(第1距離に対応する光強度である第1光強度)、および反射光RLの光強度(第2距離に対応する光強度である第2光強度)を算出する。例えば、距離画像処理部4は、最小二乗法を用いて直接距離および直接光Dの光強度を算出し、画素信号から環境光成分に相当する信号量を減算した値を(1)式に適用することにより測定距離および反射光RLの光強度を算出する。距離画像処理部4は、直接距離(第1距離)、測定距離(第2距離)、直接光Dの光強度(第1光強度)および反射光RLの光強度(第2光強度)に基づいて、被写体OBまでの距離を算出する。
これにより、実施形態の距離画像撮像装置1では、第1距離、第2距離、第1光強度および第2光強度に基づいて、被写体OBまでの距離を算出することが可能となり、直接光と間接光とが混在する混在比率に応じた測定を行うことができる。
また、実施形態の距離画像撮像装置1では、距離画像処理部4は、直接光Dの光強度(第1光強度)および反射光RLの光強度(第2光強度)の関係に基づいて選択した、直接距離(第1距離)と測定距離(第2距離)の何れか一方を、被写体OBまでの距離とする。例えば、距離画像処理部4は、反射光RLの光強度に対する直接光Dの光強度である、直接光Dの混在比率に基づいて、直接光Dの混在比率が閾値(例えば、50%)を超えている場合に直接距離(第1距離)を、被写体OBまでの距離として選択する。直接光Dの混在比率が閾値(例えば、50%)を超えていない場合に測定距離(第2距離)を、被写体OBまでの距離として選択する。これにより、実施形態の距離画像撮像装置1では、光強度が大きく、より精度がよいことが期待できる距離を、被写体OBまでの距離として採用することができる。
また、実施形態の距離画像撮像装置1では、距離画像処理部4は、直接光Dの混在比率(第2光強度に対する第1光強度の比率)が閾値を超える場合に、直接距離(第1距離)を被写体OBまでの距離とする。距離画像処理部4は、直接光Dの混在比率(第2光強度に対する第1光強度の比率)が閾値を超えない場合に、中間距離Ave(第1距離及び前記第2距離の中間値)を、被写体OBまでの距離とする。これにより、実施形態の距離画像撮像装置1では、直接光Dの混在比率が閾値を超えない領域において、より精度よく距離を算出することが可能となる。
また、実施形態の距離画像撮像装置1では、距離画像処理部は、直接光Dの光強度(第1光強度)および反射光RLの光強度(第2光強度)の関係に基づいて重みづけ係数Kを設定する。距離画像処理部4は、重みづけ係数Kを用いて算出される、直接距離(第1距離)および測定距離(第2距離)の重みづけ平均値である重みづけ平均距離WAveを、被写体OBまでの距離とする。これにより、実施形態の距離画像撮像装置1では、直接光Dの混在比率が閾値を超えない領域において、より精度よく距離を算出することが可能となる。
上述した実施形態における距離画像撮像装置1、距離画像処理部4の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…距離画像撮像装置
2…光源部
3…受光部
32…距離画像センサ
321…画素
42…距離演算部
CS…電荷蓄積部
PO…光パルス
RL…反射光

Claims (5)

  1. 被写体に光パルスを照射する光源部と、
    入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を具備する画素と、前記光パルスを照射する照射タイミングに同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、を有する受光部と、
    前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離画像処理部と、を備え、
    前記距離画像処理部は、
    前記照射タイミングと前記蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行い、前記複数の測定のそれぞれにて蓄積された電荷量に応じた特徴量の傾向に基づいて、前記被写体に反射して到来した2つの光路に対応する2つの距離について、前記2つの距離のうち小さい距離である第1距離、前記2つの距離のうち大きい距離である第2距離、前記第1距離に対応する光強度である第1光強度および前記第2距離に対応する光強度である第2光強度を算出し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1光強度および前記第2光強度に基づいて前記被写体までの距離を算出する、
    距離画像撮像装置。
  2. 前記距離画像処理部は、前記第1光強度および前記第2光強度の関係に基づいて選択した、前記第1距離および前記第2距離の何れか一方を、前記被写体までの距離とする、
    請求項1に記載の距離画像撮像装置。
  3. 前記距離画像処理部は、前記第2光強度に対する前記第1光強度の比率が閾値を超える場合に前記第1距離を前記被写体までの距離とし、前記比率が閾値を超えない場合に前記第1距離及び前記第2距離の中間値である中間距離を前記被写体までの距離とする、
    請求項1に記載の距離画像撮像装置。
  4. 前記距離画像処理部は、前記第1光強度および前記第2光強度の関係に基づいて重みづけ平均値の算出に用いる係数を設定し、前記係数を用いて算出される、前記第1距離および前記第2距離の重みづけ平均値である重みづけ平均距離を前記被写体までの距離とする、
    請求項1に記載の距離画像撮像装置。
  5. 被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を具備する画素と、前記光パルスを照射する照射タイミングに同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、を有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離画像処理部と、を備える距離画像撮像装置が行う距離画像撮像方法であって、
    前記距離画像処理部は、
    前記照射タイミングと前記蓄積タイミングとの相対的なタイミング関係が互いに異なる複数の測定を行い、前記複数の測定のそれぞれにて蓄積された電荷量に応じた特徴量の傾向に基づいて、前記被写体に反射して到来した2つの光路に対応する2つの距離について、前記2つの距離のうち小さい距離である第1距離、前記2つの距離のうち大きい距離である第2距離、前記第1距離に対応する光強度である第1光強度および前記第2距離に対応する光強度である第2光強度を算出し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1光強度および前記第2光強度に基づいて前記被写体までの距離を算出する、
    距離画像撮像方法。
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