JP2024077709A - 炭素触媒、電極及び電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ高い触媒活性を示す炭素触媒、電極及び電池を提供する。【解決手段】炭素触媒は、CuKα線を用いた粉末X線回折により得られるX線回折図形における回折角(2θ)が43°付近の回折ピークから得られる結晶子サイズLaに対する、1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析により得られる平均炭素網面サイズLの比であるL/Laが12以上であり、鉄の含有量が3000ppm以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素触媒、電極及び電池に関する。
特許文献1には、チタン化合物の粒子がカーボンの構造体中に分散した複合粒子を含み、当該複合粒子が、チタン、鉄、炭素、窒素、および酸素を構成元素として有する酸素還元触媒が記載されている。
特開2016-123894号公報
一方、どのような炭素構造が炭素材料の触媒活性を向上させるのかについては、未だ十分に解明されていない。また、燃料電池の電極に、鉄を含有する触媒を使用した場合には、当該触媒から漏出した鉄によって不具合が生じることがわかってきている。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ高い触媒活性を示す炭素触媒、電極及び電池を提供することをその目的の一つとする。
[1]上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る炭素触媒は、CuKα線を用いた粉末X線回折により得られるX線回折図形における回折角(2θ)が43°付近の回折ピークから得られる結晶子サイズLaに対する、1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析により得られる平均炭素網面サイズLの比であるL/Laが12以上であり、鉄の含有量が3000ppm以下である。本発明によれば、鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ高い触媒活性を示す炭素触媒が提供される。
[2]前記[1]の炭素触媒は、前記結晶子サイズLaが10.00nm以下であることとしてもよい。[3]前記[1]又は[2]の炭素触媒は、前記平均炭素網面サイズLが5nm以上であることとしてもよい。
[4]前記[1]乃至[3]のいずれかの炭素触媒は、窒素原子を含有することとしてもよい。[5]前記[1]乃至[4]のいずれかの炭素触媒は、X線光電子分光法により得られる炭素原子濃度に対する窒素原子濃度の比が0.0005以上であることとしてもよい。
[6]前記[1]乃至[5]のいずれかの炭素触媒は、BET比表面積が100m/g以上であることとしてもよい。[7]前記[1]乃至[6]のいずれかの炭素触媒は、ミクロ孔容積が0.05cm/g以上であることとしてもよい。[8]前記[1]乃至[7]のいずれかの炭素触媒は、ミクロ孔容積が2.50cm/g以下であることとしてもよい。[9]前記[1]乃至[8]のいずれかの炭素触媒は、メソ孔容積が0.001cm/g以上であることとしてもよい。[10]前記[1]乃至[9]のいずれかの炭素触媒は、鉄以外の非貴金属を含有することとしてもよい。
[11]上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電極は、前記[1]乃至[10]のいずれかの炭素触媒を含む。本発明によれば、鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ高い触媒活性を示す電極が提供される。
[12]上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電池は、前記[11]の電極を含む。本発明によれば、鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ高い触媒活性を示す電極を有する電池が提供される。
本発明によれば、鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ高い触媒活性を示す炭素触媒、電極及び電池が提供される。
平均炭素網面サイズLに関するコロネンモデルについての説明図である。 本実施形態に係る実施例において炭素触媒の特性を評価した結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
本実施形態に係る炭素触媒(以下、「本触媒」という。)は、触媒活性を示す炭素材料である。本触媒は、主に炭素から構成される。具体的に、本触媒の炭素含有量は、例えば、70重量%以上であってもよく、75重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることが特に好ましい。また、本触媒の炭素含有量は、例えば、100重量%以下であってもよいし、95重量%以下であってもよいし、90重量%以下であってもよい。本触媒の炭素含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素触媒の炭素含有量は、元素分析(燃焼法)により得られる。
本触媒は、それ自身が単独で触媒活性を示す。すなわち、本触媒は、例えば、貴金属を担持することなく、触媒活性を示す。本触媒が示す触媒活性は、例えば、還元反応触媒活性及び/又は酸化反応触媒活性であり、より具体的には、酸素還元反応触媒活性及び/又は水素酸化反応触媒活性であり、少なくとも酸素還元反応触媒活性である。
本触媒の鉄の含有量は、例えば、3000ppm以下であってもよく、2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、500ppm以下であることがさらに好ましく、300ppm以下であることがさらに好ましく、200ppm以下であることがさらに好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましく、50ppm以下であることが特に好ましい。なお、1ppmは0.0001重量%を意味する。鉄の含有量は誘導結合プラズマ(ICP)発光分光光度法により得られる。
本触媒の鉄の含有量が上述した範囲内であることにより、例えば、本触媒を燃料電池の電極触媒として使用する場合においても、鉄に起因する不具合の発生を効果的に回避することができる。
本発明の発明者らは、鉄に起因する問題を効果的に回避しつつ炭素触媒の触媒活性を向上させるための技術的手段について鋭意検討を行った結果、その結晶子サイズLaに対する平均炭素網面サイズLの比であるL/Laが所定の範囲である炭素構造を有する炭素触媒が、高い触媒活性を示すことを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本触媒は、CuKα線を用いた粉末X線回折により得られるX線回折図形における回折角(2θ)が43°付近の回折ピークから得られる結晶子サイズLaに対する、1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析により得られる平均炭素網面サイズLの比であるL/Laが12以上である。
本触媒のL/Laは、13以上であることが好ましく、14以上であることが特に好ましい。本触媒のL/Laの上限値は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、12500以下であってもよく、10000以下であってもよく、5000以下であってもよく、1000以下であってもよく、700以下であってもよく、500以下であってもよく、300以下であってもよく、200以下であってもよく、100以下であってもよい。本触媒のL/Laは、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
上述した範囲内のL/Laは、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、L/Laが上述した下限値以上である場合には、例えば、本触媒の炭素構造が適度な平面性を有する構造を含むため、当該炭素構造に含まれる活性な構造が効果的に増加し、その結果、本触媒の触媒活性が効果的に向上する。一方、L/Laが上述した上限値以下である場合には、例えば、炭素構造において電子の導電パスが効果的に形成されることにより、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
炭素触媒の結晶子サイズLaは、当該炭素触媒のCuKα線を用いた粉末X線回折により得られるX線回折図形における回折角(2θ)が43°付近の回折ピークから得られる。ここで、炭素触媒が、その触媒活性に寄与する湾曲した炭素網面を構成する結晶子のうち、a軸方向に広がる炭素六角網面のつながった構造を有する場合、CuKα線によるX線回折図において、回折角(2θ)が43°付近(例えば、35°~60°の範囲内)にピークトップを有する炭素の(10)回折線(以下、「回折ピークf10」という。)が現れる。
そして、この回折ピークf10を解析することにより、結晶子サイズLaを算出する。すなわち、結晶子サイズLaは、回折ピークf10のブラッグ角及び半値全幅を次のシェラーの式に代入して算出する:La=Kλ/(βcosθ)。上記シェラーの式において、Kは、シェラー定数(0.94)であり、λは、CuKα線の波長(0.15418nm)であり、βは、半値全幅(radian)であり、θは、ブラッグ角(radian)である。
本触媒の結晶子サイズLaは、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、10.00nm以下であってもよく、5.00nm以下であることが好ましく、3.00nm以下であることがより好ましく、2.50nm以下であることがさらに好ましく、2.40nm以下であることがさらに好ましく、2.35nm以下であることがさらに好ましく、2.30nm以下であることがさらに好ましく、2.25nm以下であることがさらに好ましく、2.20nm以下であることがさらに好ましく、2.15nm以下であることが特に好ましい。
また、本触媒の結晶子サイズLaは、例えば、0.40nm以上であってもよく、0.70nm以上であってもよく、1.00nm以上であってもよく、1.10nm以上であってもよく、1.15nm以上であってもよく、1.20nm以上であってもよく、1.23nm以上であってもよく、1.25nm以上であってもよい。本触媒の結晶子サイズLaは、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
上述した範囲内の結晶子サイズLaは、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、結晶子サイズLaが大きすぎる場合、炭素構造がa軸方向に広がりすぎることにより、当該炭素構造に含まれる活性な構造が低減されすぎるという問題が生じ得る。これに対し、結晶子サイズLaが上述した上限値以下である場合には、炭素構造のa軸方向の広がりが適度に抑えられるため、当該炭素構造に含まれる活性な構造が効果的に増加し、その結果、本触媒の触媒活性が効果的に向上する。一方、結晶子サイズLaが小さすぎる場合、炭素構造のa軸方向の結晶性が低すぎるため、当該炭素構造が乱雑な構造を有することになり、その結果、当該炭素構造において電子の導電パスが形成されにくいという問題が生じ得る。これに対し、結晶子サイズLaが上述した下限値以上である場合には、炭素構造において電子の導電パスが効果的に形成されるため、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
炭素触媒の平均炭素網面サイズLは、当該炭素触媒の1600℃まで昇温可能な昇温脱離(TPD)分析により得られる。すなわち、本実施形態では、1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析装置(高温TPD装置)を用いた、炭素触媒の高温TPDの脱離ガス定量結果から、当該炭素触媒の炭素エッジ面の全量を計算し、その量から求まる平均炭素網面サイズLを図1に示すコロネンモデルを用いて算出する。図1に示す式中のaは、黒鉛結晶a軸方向の格子定数である0.2461nmを表す。
本触媒の平均炭素網面サイズLは、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、5nm以上であってもよく、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、23nm以上であることがさらに好ましく、25nm以上であることがさらに好ましく、26nm以上であることがさらに好ましく、27nm以上であることがさらに好ましく、28nm以上であることがさらに好ましく、29nm以上であることが特に好ましい。
また、本触媒の平均炭素網面サイズLは、例えば、5000nm以下であってもよく、2000nm以下であってもよく、1000nm以下であってもよく、500nm以下であってもよく、400nm以下であってもよく、300nm以下であってもよく、200nm以下であってもよく、120nm以下であってもよく、115nm以下であってもよく、113nm以下であってもよい。本触媒の平均炭素網面サイズLは、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
上述した範囲内の平均炭素網面サイズLは、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、平均炭素網面サイズLが小さすぎる場合、炭素構造の連続性が低すぎるために、当該炭素構造において電子の導電パスが形成されにくいという問題が生じ得る。これに対し、平均炭素網面サイズLが上述した下限値以上である場合には、炭素構造の連続性が向上することにより、本触媒の触媒活性が効果的に向上する。一方、平均炭素網面サイズLが大きすぎる場合、炭素構造に含まれる六角網面同士が積層しやすいため、当該炭素構造は平面性の高すぎる構造を有することになり、その結果、当該炭素構造に含まれる不活性な構造が多くなりすぎるという問題が生じ得る。これに対し、平均炭素網面サイズLが上述した上限値以下である場合には、炭素構造における六角網面の積層が多くなりすぎず、当該炭素構造に含まれる不活性な構造が効果的に低減されるため、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
本触媒のBET比表面積は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、100m/g以上であってもよく、200m/g以上であることが好ましく、300m/g以上であることがより好ましく、400m/g以上であることがさらに好ましく、500m/g以上であることがさらに好ましく、600m/g以上であることがさらに好ましく、650m/g以上であることがさらに好ましく、700m/g以上であることが特に好ましい。
また、本触媒のBET比表面積は、例えば、4000m/g以下であってもよく、3500m/g以下であってもよく、3000m/g以下であってもよく、2500m/g以下であってもよい。本触媒のBET比表面積は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。BET比表面積は、窒素吸着法により得られる。
上述した範囲内のBET比表面積は、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、BET比表面積が小さすぎる場合、炭素構造が密に積層し、露出している炭素原子が少ないことにより、炭素構造と反応活物質との接触が困難になるという問題が生じ得る。これに対し、BET比表面積が上述した下限値以上である場合には、炭素構造と反応活物質とが効果的に接触することにより、本触媒の触媒活性が効果的に向上する。一方、BET比表面積が大きすぎる場合、炭素構造が乱雑な構造を有することにより、当該炭素構造において電子の導電パスが形成されにくいという問題が生じ得る。これに対し、BET比表面積が上述した上限値以下である場合には、炭素構造における電子の導電パスが効果的に形成されることにより、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
本触媒のミクロ孔容積は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、0.05cm/g以上であってもよく、0.07cm/g以上であることが好ましく、0.10cm/g以上であることがより好ましく、0.15cm/g以上であることがさらに好ましく、0.20cm/g以上であることがさらに好ましく、0.25cm/g以上であることがさらに好ましく、0.30cm/g以上であることがさらに好ましく、0.35cm/g以上であることが特に好ましい。
また、本触媒のミクロ孔容積は、例えば、2.50cm/g以下であってもよく、2.00cm/g以下であることが好ましく、1.50cm/g以下であることがより好ましく、1.40cm/g以下であることがさらに好ましく、1.30cm/g以下であることがさらに好ましく、1.20cm/g以下であることがさらに好ましく、1.15cm/g以下であることがさらに好ましく、1.10cm/g以下であることがさらに好ましく、1.05cm/g以下であることがさらに好ましく、1.00cm/g以下であることがさらに好ましく、0.95cm/g以下であることが特に好ましい。本触媒のミクロ孔容積は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
なお、本実施形態において、ミクロ孔は、直径が2nm未満の細孔であり、ミクロ孔容積は、本触媒に含まれる当該ミクロ孔の総容積である。ミクロ孔容積は、窒素吸着法により得られる。
上述した範囲内のミクロ孔容積は、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、ミクロ孔容積が小さすぎる場合、炭素構造が密に積層し、露出している炭素原子が少ないことにより、炭素構造と反応活物質との接触が困難になるという問題が生じ得る。これに対し、ミクロ孔容積が上述した下限値以上である場合には、炭素構造と反応活物質とが効果的に接触することにより、本触媒の触媒活性が効果的に向上する。一方、ミクロ孔容積が大きすぎる場合、炭素構造が乱雑な構造を有することにより、当該炭素構造において電子の導電パスが形成されにくいという問題が生じ得る。これに対し、ミクロ孔容積が上述した上限値以下である場合には、炭素構造における電子の導電パスが効果的に形成されることにより、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
本触媒のメソ孔容積は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、0.001cm/g以上であってもよく、0.005cm/g以上であることが好ましく、0.01cm/g以上であってもよく、0.05cm/g以上であることが好ましく、0.06cm/g以上であることが特に好ましい。
また、本触媒のメソ孔容積は、例えば、5.00cm/g以下であってもよく、4.00cm/g以下であることが好ましく、3.00cm/g以下であることがより好ましく、2.00cm/g以下であることがさらに好ましく、1.70cm/g以下であることがさらに好ましく、1.60cm/g以下であることがさらに好ましく、1.50cm/g以下であることがさらに好ましく、1.45cm/g以下であることがさらに好ましく、1.43cm/g以下であることが特に好ましい。本触媒のメソ孔容積は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
なお、本実施形態において、メソ孔は、直径が2nm以上、50nm以下の細孔であり、メソ孔容積は、本触媒に含まれる当該メソ孔の総容積である。メソ孔容積は、窒素吸着法により得られる。
上述した範囲内のメソ孔容積は、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、メソ孔容積が小さすぎる場合、炭素構造から出入りする数十nmほどの大きさの物質(例えば、水及び/又はイオン交換物質)の輸送が妨げられることにより、触媒反応が阻害されるという問題が生じ得る。これに対し、メソ孔容積が上述した下限値以上である場合には、炭素構造への物質の輸送がスムーズに行われることにより、触媒活性が効果的に向上する。一方、メソ孔容積が大きすぎる場合、炭素触媒の嵩が大きくなりすぎることにより、当該炭素触媒の一定体積あたりの触媒活性が著しく低下するという問題が生じ得る。これに対し、メソ孔容積が上述した下限値以下である場合には、一定体積あたりの触媒活性が効果的に維持されることにより、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
本触媒は、窒素原子を含有することが好ましい。すなわち、この場合、本触媒は、例えば、炭素構造にドープされた窒素原子を含有する。具体的に、本触媒のX線光電子分光法(XPS)により得られる炭素原子濃度(原子%)に対する窒素原子濃度(原子%)の比(以下、「N/C比」という。)は、例えば、0.0005以上であってもよく、0.0007以上であることが好ましく、0.0010以上であってもよく、0.0020以上であることが好ましく、0.0030以上であることがより好ましく、0.0040以上であることがさらに好ましく、0.0050以上であることがさらに好ましく、0.0055以上であることが特に好ましい。
また、本触媒のN/C比は、例えば、0.2000以下であってもよく、0.1000以下であってもよく、0.0500以下であってもよく、0.0400以下であってもよく、0.0300以下であってもよく、0.0200以下であってもよく、0.0150以下であってもよい。本触媒のN/C比は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
上述した範囲内のN/C比は、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、N/C比が小さすぎる場合、炭素構造中に含まれる窒素が少ないことにより、窒素から炭素への電子ドーピング効果が小さく、その結果、触媒活性を十分に向上させることができないという問題が生じ得る。これに対し、N/C比が上述した下限値以上である場合には、窒素から炭素への電子ドーピング効果が得られることにより、本触媒の触媒活性が効果的に向上する。一方、N/C比が大きすぎる場合、炭素構造が乱雑になることにより、当該炭素構造における電子の導電パスが形成されにくいという問題が生じ得る。これに対し、N/C比が上述した上限値以下である場合には、炭素構造における電子の導電パスが効果的に形成されることにより、本触媒の触媒活性がより効果的に向上する。
本触媒は、鉄以外の非貴金属を含有することとしてもよい。ここで、非貴金属は、貴金属以外の金属である。また、貴金属は、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)である。
本触媒に含有される非貴金属は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、元素周期表の2族から14族に属する非貴金属であってもよく、元素周期表の2族から14族の第3周期から第5周期に属する非貴金属であることが好ましい。
具体的に、本触媒に含有される非貴金属は、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)及びスズ(Sn)からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Mg、Al、Ca、Cu、Zn、Y、Zr、Mo及びSnからなる群より選択される1以上であることが特に好ましい。
本触媒の鉄以外の非貴金属の含有量(本触媒が、複数種の非貴金属を含む場合は、当該複数種の非貴金属の含有量の合計)は、例えば、50ppm以上であってもよく、100ppm以上であってもよく、1000ppm以上であってもよく、10000ppm以上であってもよく、100000ppm以上であってもよい。また、本触媒の鉄以外の非貴金属の含有量は、例えば、500000ppm以下であってもよく、400000ppm以下であってもよく、300000ppm以下であってもよく、200000ppm以下であってもよい。本触媒の鉄以外の非貴金属の含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。非貴金属の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光光度法により得られる。
本触媒に含有される鉄以外の非貴金属は、本触媒の触媒活性の向上に寄与する。すなわち、例えば、本触媒が、後述する炭素化の原料に由来する、鉄以外の非貴金属を含有する場合、当該非貴金属の存在下で当該炭素化を行うことにより、触媒活性点を含む特有の炭素構造を効果的に形成することができる。
本触媒が、後述する炭素化の原料に由来する非貴金属を含有する場合、本触媒は、当該炭素化の原料に非貴金属が含有されていたことに起因して、当該非貴金属を含有する。この場合、本触媒は、その多孔質構造を構成する骨格の内部に非貴金属を含む。本触媒が、炭素化後に、後述する金属除去処理を経て製造される炭素化材料である場合においても、本触媒の骨格の内部には、炭素化の原料に由来する非貴金属が残存する。本触媒に含まれる非貴金属のうち、本触媒の骨格の内部に含まれる非貴金属の重量は、本触媒の骨格の表面に含まれる非貴金属の重量より大きいこととしてもよい。
本触媒の骨格の内部の非貴金属は、例えば、当該骨格に表面エッチング処理を行い、当該エッチング処理により露出した断面を分析することで検出され得る。すなわち、この場合、本触媒の1つの粒子をエッチング処理すると、エッチング処理により露出した当該粒子の断面に非貴金属が検出される。本触媒に含まれる非貴金属は、例えば、本触媒の誘導結合プラズマ(ICP)発光分光光度法によって検出することができる。
本触媒を構成する炭素材料は、後述のとおり有機物を含む原料の炭素化により得られる炭素化材料であることが好ましい。この点、本触媒が、有機物と、鉄以外の非貴金属とを含む原料の炭素化により得られる炭素化材料である場合、本触媒の炭素構造には当該非貴金属が含有されるが、本触媒の触媒活性は、当該非貴金属よりも、主に当該炭素構造自身に含まれる活性点によるものと考えられる。このことは、炭素化の原料に由来する非貴金属を含む本触媒に、当該非貴金属の含有量を低減する金属除去処理を施した場合においても、当該金属除去処理後の本触媒の触媒活性は、当該金属除去処理前のそれに比べて大きく低下しないことによって裏付けられる。
本触媒は、貴金属を含有しないこととしてもよい。すなわち、上述のとおり、本触媒は、貴金属を担持することなく、それ自身が触媒活性を示すため、貴金属を含有する必要がない。ただし、本触媒は、貴金属等の金属触媒を担持するための炭素担体として使用してもよい。
また、本触媒が鉄以外の非貴金属を含有する場合、本触媒のMg、Al、Ca、Ti、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo及びSn以外の金属の含有量、又は、Mg、Al、Ca、Cu、Zn、Y、Zr、Mo及びSn以外の金属の含有量は、例えば、3000ppm以下であってもよく、2000ppm以下であってもよく、1000ppm以下であってもよく、500ppm以下であってもよく、300ppm以下であってもよく、200ppm以下であってもよく、100ppm以下であってもよく、50ppm以下であってもよい。
本触媒の製造方法は、上述した特性を有する本触媒が得られる方法であれば特に限られないが、例えば、有機物を含む原料を炭素化することを含む方法であることが好ましい。原料に含まれる有機物は、炭素化できるものであれば特に限られない。有機物に含まれる有機化合物は、ポリマー(例えば、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂)であってもよいし、及び/又は、より分子量が小さい有機化合物であってもよい。
具体的に、有機物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル-ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリアクリル酸メチル共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸-ポリメタリルスルホン酸共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸メチル共重合体、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール、フラン、フラン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、窒素含有キレート樹脂(例えば、ポリアミン型、イミノジ酢酸型、アミノリン酸型及びアミノメチルホスホン酸型からなる群より選択される1種以上)、ポリアミドイミド樹脂、ピロール、ポリピロール、ポリビニルピロール、3-メチルポリピロール、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ビニルピリジン、ポリビニルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピラン、モルホリン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、キノキサリン、アニリン、ポリアニリン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ポリスルフォン、ポリアミノビスマレイミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ベンゾイミダゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ピッチ、絹、毛、ポリアミノ酸、核酸、DNA、RNA、ヒドラジン、ヒドラジド、尿素、サレン、ポリカルバゾール、ポリビスマレイミド、トリアジン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリウレタン、ポリアミドアミン、ポリカルボジイミド、ナフタレン、ナフタレン類縁体、アントラセン、アントラセン類縁体、ヒドロキシベンゼン、ヒドロキシベンゼン類縁体、カルバゾール、キノリン、シアヌル酸、ナフトエ酸、メチレンブルー及びフタロシアニンからなる群より選択される1種以上であってもよい。
有機物は、窒素含有有機物であることが好ましい。窒素含有有機物は、例えば、窒素含有有機化合物を含む。窒素含有有機化合物は、その分子内に窒素原子を含む有機化合物であれば特に限られない。
本触媒は、有機物と非貴金属とを含む原料の炭素化により得られる炭素化材料であることが好ましい。この場合、本触媒は、炭素化後に金属除去処理が施された炭素化材料であってもよい。金属除去処理は、炭素化材料に含まれる原料由来の非貴金属の量を低減する処理である。具体的に、金属除去処理は、例えば、酸による洗浄処理及び/又は電解処理であることが好ましい。
炭素化は、原料に含まれる有機物が炭素化される温度で当該原料を加熱することにより行う。炭素化温度は、原料が炭素化される温度であれば特に限られず、例えば、900℃以上であることが好ましく、1000℃以上であることがより好ましく、1100℃以上であることがさらに好ましく、1200℃以上であることが特に好ましい。
また、炭素化温度は、例えば、3000℃以下であってもよく、2500℃以下であることが好ましく、2000℃以下であることがより好ましく、1900℃以下であることが特に好ましい。炭素化温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素化温度までの昇温速度は特に限られず、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下であってもよい。炭素化は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
本触媒は、有機物と非貴金属とを含む原料の炭素化により得られた炭素化材料に、さらに非貴金属を担持して得られた炭素材料であってもよい。この場合、本触媒は、炭素化の原料に由来する第一の非貴金属と、当該炭素化後に担持された第二の非貴金属とを含有する。第一の非貴金属と第二の非貴金属とは、同一種の非貴金属であってもよいし、異種の非貴金属であってもよい。
第一の非貴金属及び第二の非貴金属は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、それぞれ独立に、元素周期表の2族から14族に属する非貴金属であってもよく、元素周期表の2族から14族の第3周期から第5周期に属する非貴金属であることが好ましい。
具体的に、第一の非貴金属及び第二の非貴金属は、それぞれ独立に、例えば、Mg、Al、Ca、Ti、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo及びSnからなる群より選択される1以上であることが好ましく、Mg、Al、Ca、Cu、Zn、Y、Zr、Mo及びSnからなる群より選択される1以上であることが特に好ましい。
また、例えば、第一の非貴金属が、Mg、Al、Ca、Ti、Mn、Co、Ni、Cu、Zn及びSnからなる群より選択される1以上であり、且つ、第二の非貴金属が、Y、Zr、Nb及びMoからなる群より選択される1以上であることが好ましく、第一の非貴金属が、Mg、Al、Ca、Cu、Zn及びSnからなる群より選択される1以上であり、且つ、第二の非貴金属が、Y、Zr及びMoからなる群より選択される1以上であることが特に好ましい。
本触媒が特定種の第一の非貴金属(例えば、上記群より選択される1種)と、当該第一の非貴金属とは異なる特定種の第二の非貴金属(例えば、上記群より選択される、第一の非貴金属とは異なる1種)を含む場合、本触媒の骨格の内部に含まれる当該第一の非貴金属の重量は、本触媒の骨格の表面に含まれる当該第一の非貴金属の重量より大きく、且つ、本触媒の骨格の表面に含まれる当該第二の非貴金属の重量は、本触媒の骨格の内部に含まれる当該第二の非貴金属の重量より大きいこととしてもよい。
本実施形態に係る電極(以下、「本電極」という。)は、本触媒を含む。すなわち、本電極は、例えば、電極基材と、当該電極基材に担持された本触媒と、を含むこととしてもよい。本電極は、電池電極であることが好ましい。具体的に、本電極は、例えば、燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池、微生物燃料電池)、空気電池、水電解槽(例えば、固体高分子形水電解槽)、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池の電極であることが好ましい。
本電極は、カソードであってもよいし、アノードであってもよいが、カソードであることが好ましい。すなわち、本電極は、燃料電池、空気電池、水電解槽、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池のカソード又はアノードであり、好ましくはカソードである。
本実施形態に係る電池(以下、「本電池」という。)は、本電極を含む。具体的に、本電池は、本電極を含む燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池、微生物燃料電池)、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池であることが好ましい。本電池は、本電極を含む膜/電極接合体(MEA)を有することが好ましい。
本電池は、カソード又はアノードとして本電極を有する電池であり、好ましくはカソードとして本電極を有する電池である。すなわち、本電池は、カソード又はアノードとして本電極を有する燃料電池、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池であり、好ましくはカソードとして本電極を有する燃料電池、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池である。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
[例1]
ポリビニルピリジン(PVP)0.5gを200mLのDMFに溶解させ、さらに塩化スズ(II)(SnCl)を18.03g添加して均一な溶液を調製した。この溶液を80℃で一昼夜、真空乾燥することにより、炭素化の原料を得た。
得られた原料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、50℃/分の速度で1200℃まで昇温し、当該原料を1200℃で1時間保持することにより、炭素化を行った。
次いで、遊星ボールミル(P-7、フリッチュジャパン株式会社製)内に直径が10mmの窒化ケイ素ボールをセットし、当該遊星ボールミルによって、上記炭素化により得られた炭素化材料を粉砕した。
粉砕後の炭素化材料に100mLの濃塩酸を加え、加熱還流を2時間行った。その後、炭素化材料を含有する溶液を、ろ過膜を使用してろ過し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。回収された炭素化材料を真空乾燥させた。
上述のように金属除去処理を施した炭素化材料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、加熱して1200℃で30分保持することにより熱処理を行い、例1の炭素触媒を得た。
[例2]
PVPに代えてシアヌル酸を0.5g使用し、塩化スズに代えて塩化亜鉛(II)(ZnCl)を10.56g使用した以外は上述の例1と同様にして、原料の調製、当該原料の炭素化、及び当該炭素化により得られた炭素化材料の粉砕を行った。
粉砕後の炭素化材料に20mLの濃塩酸を加え、30分間撹拌した。その後、炭素化材料を沈殿させ、溶液を除去した。この処理を数回繰り返した後、蒸留水を加え、撹拌した。炭素化材料を含有する溶液を、ろ過膜を使用してろ過し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。回収された炭素化材料を真空乾燥させた。
上述のように金属除去処理を施した炭素化材料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、加熱して1200℃で30分保持することにより熱処理を行い、例2の炭素触媒を得た。
[例3]
シアヌル酸に代えてポリアクリロニトリル(PAN)を0.5g使用し、塩化亜鉛に代えて塩化銅(II)(CuCl)を25.34g使用した以外は上述の例2と同様にして、例3の炭素触媒を得た。
[例4]
シアヌル酸に代えてポリ塩化ビニリデン(PVDC)を0.5g使用し、塩化亜鉛に代えてを塩化銅(II)(CuCl)を34.67g使用し、濃塩酸に代えて濃硝酸を20mL使用した以外は上述の例2と同様にして、例4の炭素触媒を得た。
[例5]
塩化銅に代えて塩化マグネシウム(MgCl・6HO)を17.94g使用した以外は上述の例3と同様にして、例5の炭素触媒を得た。
[例6]
PVPに代えてPANを0.5g使用し、塩化スズに代えて塩化亜鉛(II)(ZnCl)を10.56g使用した以外は上述の例1と同様にして炭素触媒を得た。この炭素触媒に対し、アンモニア雰囲気中、50℃/分の速度で900℃まで昇温し、当該炭素触媒を900℃で1時間保持することにより、窒素ドープ処理を行った。
さらに窒素ドープ処理後の炭素触媒100mgを、塩化イットリウム(YCl・6HO)1.3mgを含む水溶液130mL中に浸漬することにより、当該炭素触媒に当該塩化イットリウムを含浸させた。
その後、炭素触媒及び塩化イットリウムを含む水溶液を60℃で乾燥させ、水素雰囲気下、50℃/分の速度で1000℃まで昇温し、当該水溶液を1000℃で0.5時間保持することにより、水素還元を行った。こうして例6の炭素触媒を得た。
[例7]
塩化イットリウムに代えて塩化モリブデン(MoCl)を1.2mg使用した以外は上述の例6と同様にして、例7の炭素触媒を得た。
[例8]
塩化イットリウムに代えて塩化ジルコニウム(ZrCl)を1.0mg使用した以外は上述の例6と同様にして、例8の炭素触媒を得た。
[例9]
ノボラック型フェノール樹脂0.5gを80gのアセトンに溶解させ、さらに塩化銅(II)(CuCl)を11.20g添加して均一な溶液を調製した。この溶液を80℃で一昼夜、真空乾燥することにより、炭素化の原料を得た。
得られた原料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、50℃/分の速度で1200℃まで昇温し、当該原料を1200℃で1時間保持することにより、炭素化を行った。
次いで、遊星ボールミル(P-7、フリッチュジャパン株式会社製)内に直径が10mmの窒化ケイ素ボールをセットし、当該遊星ボールミルによって、上記炭素化により得られた炭素化材料を粉砕した。
粉砕後の炭素化材料に20mLの濃硝酸を加え、30分間撹拌した。その後、炭素化材料を沈殿させ、溶液を除去した。この処理を数回繰り返した後、蒸留水を加え、撹拌した。炭素化材料を含有する溶液を、ろ過膜を使用してろ過し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。回収された炭素化材料を真空乾燥させた。
上述のように金属除去処理を施した炭素化材料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、加熱して1200℃で30分保持することにより熱処理を行い、例9の炭素触媒を得た。
[例10]
ナフトエ酸1.5gを80gのアセトンに溶解させ、さらに塩化アルミニウム(III)(AlCl)を23.23g及び塩化亜鉛(II)(ZnCl)を23.75g添加して、均一な溶液を調製した。この溶液を80℃で一昼夜、真空乾燥することにより、炭素化の原料を得た。その後、濃硝酸に代えて硝フッ酸(HNO:HF=1mol:1mol)を20mL使用した以外は上述の例9と同様にして、例10の炭素触媒を得た。
[例C1]
ノボラック型フェノール樹脂0.5gを80gのアセトンに溶解させ、さらに銅フタロシアニンを1.08g添加して、30分間超音波撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒であるアセトンを留去後、70℃で一晩、減圧乾燥することにより、炭素化の原料を得た。
得られた原料をイメージ炉にて、窒素雰囲気中、10℃/分の速度で800℃まで昇温し、当該原料を800℃で1時間保持することにより、炭素化を行った。
その後、炭素化材料の粉砕及び酸洗浄を上述の例2と同様に行って、例C1の炭素触媒を得た。
[例C2]
シアヌル酸に代えてカルバゾールを0.5g使用し、塩化亜鉛10.56gにさらに塩化亜鉛8.50g及び塩化アルミニウム(III)(AlCl)8.29gを加えた以外は上述の例2と同様にして、例C2の炭素触媒を得た。
[粉末X線回折]
X線回折装置(XRD-6100、株式会社リガク製)を用いて、各例の炭素触媒の粉末X線回折(XRD)測定を行った。なお、入射X線としてはCuKα線を用い、X線管球への印加電圧及び電流はそれぞれ40kV及び15mAに設定し、測定角度範囲(2θ)は5°~90°の範囲に設定した。
ここで、上述のとおり、炭素触媒が、その触媒活性に寄与する湾曲した炭素網面を構成する結晶子のうち、a軸方向に広がる炭素六角網面のつながった構造を有する場合、CuKα線によるX線回折図においては、回折角(2θ)が43°付近(例えば、35°~60°の範囲内)にピークトップを有する炭素の(10)回折線である回折ピークf10が現れる。具体的に、本実施例において、回折ピークf10は、その回折角(2θ)が43.5°±1.0°であり、半値全幅が7.5°±6.5°である回折ピークとして定義された。
そして、この回折ピークf10を解析することにより、結晶子サイズLaを算出した。すなわち、結晶子サイズLaは、回折ピークf10のブラッグ角及び半値全幅を次のシェラーの式に代入して算出した:La=Kλ/(βcosθ)。上記シェラーの式において、Kは、シェラー定数(0.94)であり、λは、CuKα線の波長(0.15418nm)であり、βは、半値全幅(radian)であり、θは、ブラッグ角(radian)である。
[昇温脱離分析]
1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析装置(高温TPD装置)を用いて、各例の炭素触媒の昇温脱離分析を行った。高温TPD装置は、高周波電磁誘導加熱によって被加熱体である黒鉛るつぼを1600℃以上の高温まで加熱できる装置である。この高温TPD装置の詳細については、Carbon誌(Takafumi Ishi,SuSumu Kashihara,Yasuto Hoshikawa,Jun-ichi Ozaki,Naokatsu Kannari,Kazuyuki Takai,Toshiaki Enoki,Takashi Kyotani,Carbon,Volume80,December 2014,Pages 135-145)に記載されている。
この高温TPD装置に炭素触媒を設置し、5×10-5Pa以下の高真空下で当該炭素触媒を加熱し、脱離したガスを四重極質量分析計(Quadrupole Mass Spectrometer:QMS)で測定した。
具体的に、まず、炭素触媒1mgを黒鉛製のるつぼに充填し、高温TPD装置に付随する石英反応管にセットした。次に、装置内をターボ分子ポンプで真空引きし、圧力が5×10-5Paとなるまで真空引きを行った後、10℃/分の昇温速度で室温から1600℃に昇温した。この昇温の間、脱離してくるガスを検出し、温度(横軸)と検出強度(縦軸)との相関関係を記録した。そして、脱離したガスの量を求めた。すなわち、熱処理を開始した室温から、定量したい温度(1600℃)までのガスの検出強度の積分値(検出強度面積)をそれぞれ計算した。
一方、所定量の標準ガスを用いて、ガスの脱離量と、検出強度面積と、の相関関係を示す検量線を作成した。試料からの脱離ガスをQMSで分析するにあたり、脱離ガスに含まれる同質量ガス種(質量数28ではCO、N、C等)を厳密に区別するために、種々のガス種(H、HO、CO、CO、N、HCN、O、CH、C、C、C)についてフラグメント強度比を調べ、脱離ガスの定性に利用した。そして、測定により得た検出強度面積と、検量線及びフラグメント強度比と、に基づいて、炭素触媒からのガスの脱離量(放出量)を定量した。また、作成した検量線の妥当性を確認するために、ケッチェンブラックEC600JD(Lion Specialty Chemicals Co. Ltd.)の測定を行いエッジ水素量が1000[μmol/g]から1500[μmol/g]の範囲内に入ることを確認した。
ここで、炭素のエッジ面の量から求まる平均炭素網面サイズLから、炭素を構成する炭素網面の実際の大きさを評価することができる。本実施形態では、炭素触媒の高温TPDの脱離ガス定量結果から炭素エッジ面の全量を計算し、その量から求まる平均炭素網面サイズLを図1に示すコロネンモデルを用いて算出した。図1に示す式中のaは、黒鉛結晶a軸方向の格子定数である0.2461nmを表す。
また、含酸素化合物のうちフェノール水酸基は、昇温によって一酸化炭素として分解し、当該水酸基に由来する水素原子は炭素エッジに残ることが知られている。そのため、高温TPDで求められた水素量にはフェノール水酸基に由来する水素の寄与が含まれる可能性がある。よって、エッジ面の全量を厳密に計算するためには、フェノール水酸基について考慮する必要がある。例えば、エーテル(-O-)及びフェノール性水酸基(-OH)は、ともに700℃付近でCOとして脱離する官能基である。フェノール性水酸基がCOとして脱離した後に、Hがエッジサイトに残存する。そのため、フェノール性水酸基については、COを脱離した後に、1000℃以上の温度でHを脱離させた。また、フェノール性水酸基は、一つの官能基から2種のガス(CO及びH)が脱離する点でエーテルとは異なる。TPD分析で観測されるCOの脱離からエーテルとフェノール性水酸基とを区別することはできない。そのため,COの脱離がエーテルのみに由来する場合とフェノール性水酸基のみに由来する場合とに分けて、それぞれの場合での炭素エッジサイトの量、及びLの算出を行った。
高温TPDにおいてCOはフェノール性水酸基又はエーテルから脱離すると仮定した。下記2つの式によって、炭素触媒のエッジ面の全量(Nedge)が取り得る値を算出した。脱離するCOが全てエーテル由来であった場合、常にNedge量が最大値をとる。よって、Nedge(Max)は、次の式により算出した:Nedge(Max)[mol/g]=CO[mol/g]+CO[mol/g]+H[mol/g]×2。また、脱離するCOが全てフェノール性水酸基由来であった場合、Nedgeが最小値をとる。よって、Nedge(Min)は、次の式により算出した:Nedge(Min)[mol/g]=CO[mol/g]+H[mol/g]×2。なお、式中のCO[mol/g]、CO[mol/g]、及びH[mol/g]はそれぞれ、高温TPDより求めた一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素の脱離ガス量である。
一方、平均炭素網面サイズLは、炭素原子の原子量を12g/mol、及び黒鉛結晶のa軸方向の格子定数0.2461nmを用いて次の式により求まる:L[nm]=2×1/12×0.2461/Nedge[mol/g]。ここで、Lの最大値「L(Max)」および最小値「L(Min)」は、それぞれ次の2つの式によって計算される:「L(Max)」[nm]=2×1/12×0.2461/Nedge(Min)[mol/g];、「L(Min)」[nm]=2×1/12×0.2461/Nedge(Max)[mol/g]。
以上のように平均炭素網面サイズLはエーテルとフェノール性水酸基との分離が困難なため、最大値及び最小値の2つの値が算出される。しかし、「L(Max)」はフェノール性水酸基のみしか存在しない場合、「L(Min)」はエーテルしか存在しない場合であるが、実際の材料ではそのどちらかしか存在しないという状態は考えにくい。そこで、炭素触媒の平均炭素網面サイズLを「L(Max)」と「L(Min)」との中央値「L(av.)」として規定する。「L(av.)」は平均炭素網面サイズLの取りうる値の最小値として得られた「L(Min)」と、取りうる値の最大値として得られた「L(Max)」との和を2で除することにより得られる。この「L(av.)」を炭素触媒の平均炭素網面サイズLとして得た。
[X線光電子分光法(XPS)]
X線光電子分光装置(AXIS NOVA、KRATOS社製)を用いて、各例の炭素触媒の表面における炭素原子及び窒素原子の内殻準位からの光電子スペクトルを測定した。X線源にはAlKα線(10mA、15kV、Pass energy 40eV)を用いた。得られた光電子スペクトルにおいては、炭素原子の1s軌道に由来するC1sピークのピークトップが284.5eVに位置するよう結合エネルギーの補正を行った。
XPSワイドスキャン分析において、光電子スペクトルにおけるピーク面積と検出感度係数とから、炭素触媒の表面における炭素原子及び窒素原子の原子濃度(原子%)を求めた。また、窒素原子濃度(原子%)を炭素原子濃度(原子%)で除することにより、N/C比を算出した。なお、原子濃度(原子%)の計算は、炭素触媒には、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ホウ素原子、塩素原子、及び炭素化原料に含まれていた金属原子を含むものとして計算した。
[比表面積及び細孔容積]
比表面積・細孔分布測定装置(BELSORP MAX、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、各例の炭素触媒の窒素吸着法による比表面積及び細孔容積を測定した。
すなわち、まず、0.01gの炭素触媒を、200℃、6.7×10-2Paで、2時間保持することにより、当該炭素触媒に吸着している水分を取り除いた。次いで、BET法により、77Kにおける窒素吸着等温線を得た。この77Kにおける窒素吸着等温線は、77Kの温度で、窒素ガスの圧力の変化に伴う、炭素触媒への窒素吸着量の変化を測定して得た。そして、温度77Kにおける窒素吸着等温線から、炭素触媒の窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)を得た。また、温度77Kにおける窒素吸着等温線から、MP法によりミクロ孔容積(cm/g)を、DH法によりメソ孔容積(cm/g)を得た。
[触媒活性の評価]
回転リングディスク電極装置(RRDE-3A回転リングディスク電極装置ver.1.2、ビー・エー・エス株式会社製)と、デュアル電気化学アナライザー(CHI700C、株式会社ALS社製)とを用いて、炭素触媒の触媒活性を評価した。
すなわち、まず炭素触媒を含む作用電極を有する、三極式の回転リングディスク電極装置を作製した。具体的に、炭素触媒5mgと、5%ナフィオン(登録商標)(シグマアルドリッチ社製、ナフィオン 過フッ素化イオン交換樹脂、5%溶液(製品番号:510211))50μLと、水400μLと、イソプロピルアルコール100μLとを混合してスラリーを調製した。次いで、このスラリーに超音波処理を10分行い、その後、ホモジナイザー処理を2分行った。そして、得られたスラリーを、炭素触媒の電極の単位面積あたりの含有量が0.1mg/cmとなるように、作用電極(RRDE-3A用リングディスク電極 白金リング-金ディスク電極 ディスク直径4mm、ビー・エー・エス株式会社製)に塗布し、乾燥することにより、当該炭素触媒が担持された作用電極を作製した。
また対極としては白金電極(Ptカウンター電極23cm、ビー・エー・エス株式会社製)を使用し、参照極としては可逆式水素電極(RHE)(溜め込み式可逆水素電極、株式会社イーシーフロンティア製)を使用した。こうして、炭素触媒を含む作用電極、対極としての白金電極、及び参照極としての可逆式水素電極(RHE)を有する回転リングディスク電極装置を得た。また、電解液としては、0.1M過塩素酸水溶液を使用した。
そして、上記回転リングディスク電極装置を用いた炭素触媒の触媒活性の測定を行った。すなわち、炭素触媒を含む作用電極を有する、三極式の回転リングディスク電極装置を用いた窒素雰囲気下におけるリニアスイープボルタンメトリ(N-LSV)及び酸素雰囲気下におけるリニアスイープボルタンメトリ(O-LSV)及びを実施した。
-LSVにおいては、まず窒素バブリングを10分行い、電解液内の酸素を除去した。その後、電極を回転速度1600rpmで回転させ、掃引速度20mV/secで電位掃引した時の電流密度を電位の関数として記録した(N-LSV)。
-LSVにおいては、さらにその後、酸素バブリングを10分行い、電解液内を飽和酸素で満たした。その後、電極を回転速度1600rpmで回転させ、掃引速度20mV/secで電位掃引した時の電流密度を電位の関数として記録した(O-LSV)。
そして、O-LSVからN-LSVを差し引いて、酸素還元ボルタモグラムを得た。なお、得られた酸素還元ボルタモグラムにおいて、還元電流が負の値、酸化電流が正の値となるように数値に符号を付した。
こうして得られた酸素還元ボルタモグラムから、炭素触媒自体の触媒活性を示す指標として、-10μA/cmの還元電流が流れた時の電圧(酸素還元開始電位EO)(V vs.NHE)を記録した。
[結果]
図2には、各例の炭素触媒の特性を評価した結果を示す。図2に示すように、例1~例10の炭素触媒の酸素還元開始電位EO(V vs.NHE)は、例C1及び例C2の炭素触媒のそれより大きかった。すなわち、例1~例10の炭素触媒は、例C1及び例C2の炭素触媒より高い触媒活性を示した。
特に例1~例8の炭素触媒は、例9及び例10の炭素触媒に比べても、より大きな酸素還元開始電位EO(V vs.NHE)を示した。すなわち、例1~例8の炭素触媒は、例9及び例10の炭素触媒よりさらに高い触媒活性を示した。
また、例1~例10の炭素触媒のL/La(結晶子サイズLaに対する平均炭素網面サイズLの比)は、例C1及び例C2の炭素触媒のそれより大きかった。また、例1~例10の炭素触媒の平均炭素網面サイズLは、例C1及び例C2の炭素触媒のそれより顕著に大きかった。一方、例1~例10のうち、例9及び例10の炭素触媒の結晶子サイズLaは、例1~例8の炭素触媒のそれより小さかった。例9及び例10の炭素触媒のN/C比はゼロであった。すなわち、例9及び例10の炭素触媒は窒素原子を含まないものであった。
例C1の炭素触媒のBET比表面積(SBET)は、他の例の炭素触媒のそれより顕著に小さかった。また、例9の炭素触媒は、他の例の炭素触媒に比べて大きなミクロ孔容積(Vmicro)を有していた。一方、例C1の炭素触媒は、他の例の炭素触媒に比べて顕著に小さなミクロ孔容積(Vmicro)を有していた。

Claims (12)

  1. CuKα線を用いた粉末X線回折により得られるX線回折図形における回折角(2θ)が43°付近の回折ピークから得られる結晶子サイズLaに対する、1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析により得られる平均炭素網面サイズLの比であるL/Laが12以上であり、
    鉄の含有量が3000ppm以下である、
    炭素触媒。
  2. 前記結晶子サイズLaが10.00nm以下である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  3. 前記平均炭素網面サイズLが5nm以上である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  4. 窒素原子を含有する、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  5. X線光電子分光法により得られる炭素原子濃度に対する窒素原子濃度の比が0.0005以上である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  6. BET比表面積が100m/g以上である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  7. ミクロ孔容積が0.05cm/g以上である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  8. ミクロ孔容積が2.50cm/g以下である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  9. メソ孔容積が0.001cm/g以上である、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  10. 鉄以外の非貴金属を含有する、
    請求項1に記載の炭素触媒。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の炭素触媒を含む、
    電極。
  12. 請求項11に記載の電極を含む、
    電池。

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