JP2024077546A - アレイアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電体基板に形成された複数のホーンアンテナからなるアレイアンテナを小型に構成しつつ、サイドローブの発生を抑制して放射指向性の向上が可能なアレイアンテナを実現する。【解決手段】 誘電体基板(11)を用いて形成されたアレイアンテナ(1)は、信号伝送方向が第1の方向(Z)に一致する複数のホーンアンテナ(10)を備える。各々のホーンアンテナは、接続部を介して接続された導波管部(20)とホーン部(21)とからなり、導波管部は第1の方向の一端の入力部から接続部に至るまで同一の矩形断面を有し、ホーン部は接続部から第1の方向の他端の開口部に向かって拡径する矩形断面を有する。導波管部の第1の方向の長さZaとホーン部の第1の方向の長さZbに関し、寸法比Za/Zbが2以上3以下の関係を満たすように設定されている。【選択図】図2
Description
本発明は、誘電体基板に構成された複数のホーンアンテナを具備するアレイアンテナに関する。
従来から、マイクロ波帯やミリ波帯の高周波信号を用いた無線通信において、高周波信号を伝送させ、伝送方向に沿って拡径するホーン形状の開口部から電磁波を放射するホーンアンテナが知られている。近年では、ホーンアンテナの小型軽量化や加工の容易性に鑑み、誘電体基板を用いて導波管部及びホーン部を構成し、導波管部からホーン部に至る高周波信号の伝送方向が誘電体基板の側面方向に一致する構造のホーンアンテナが利用されている。この場合、導波管部は同一の矩形断面に形成され、ホーン部は開口部に向かって拡径する矩形断面に形成される。しかし、このような構造は誘電体基板の側面方向に電磁波が放射されることから構造が複雑で使い勝手が悪いため、高周波信号の誘電体基板の厚さ方向に高周波信号を伝送して基板表面から電磁波を放射する構造のホーンアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
誘電体基板の厚さ方向に電磁波を放射するホーンアンテナを構成する場合、誘電体基板の厚さ方向に沿って下側の導波管部と上側のホーン部とを所定の寸法比で形成する必要がある。通常は、特許文献1の図1に示すように、上側のホーン部の厚さ方向の長さに比べ、下側の導波管部の厚さ方向の長さが小さく設定される。また、導波管部の横方向の長さは、ホーンアンテナのインピーダンス整合の観点から、ある程度確保する必要がある。そして、ホーン部は導波管部との接続部から開口部に向かって拡径するので、上部の開口部では十分なサイズが必要となる。その結果、単体のホーンアンテナの小型化が難しくなるので、複数のホーンアンテナを含むアレイアンテナを構成する際にピッチ間隔が広がることは避けられない。これにより、アレイアンテナのサイズの大型化を招くとともに、複数のホーンアンテナのピッチ間隔が広がることで放射指向性にサイドローブが発生し、アンテナ性能が劣化するという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、誘電体基板に形成されたホーンアンテナの導波管部とホーン部の厚さ方向の寸法比を適切に設定し、サイドローブの発生を抑圧して放射指向性を向上させ、小型化に適したアレイアンテナを提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明のアレイアンテナ(1)は、複数の誘電体層(L)が積層された誘電体基板(11)を用いて形成されたアレイアンテナであって、前記アレイアンテナは、それぞれの信号伝送方向が前記誘電体基板の厚さ方向である第1の方向(Z)に一致する複数のホーンアンテナ(10)を備え、各々の前記ホーンアンテナは、接続部(P2)を介して接続された導波管部(20)とホーン部(21)とからなり、前記導波管部は、前記第1の方向の一端の入力部(P1)から前記接続部に至るまで同一の矩形断面を有し、前記ホーン部は、前記接続部から前記第1の方向の他端の開口部(P3)に向かって拡径する矩形断面を有し、前記入力部から入力された高周波信号が前記導波管部及び前記ホーン部を経由して前記開口部から外部に放射されるように構成され、前記導波管部の前記第1の方向の長さZaと前記ホーン部の前記第1の方向の長さZbに関し、寸法比Za/Zbが2以上かつ3以下の関係を満たすように設定されていることを特徴としている。
本発明のアレイアンテナは、単体のホーンアンテナの信号伝送方向が誘電体基板の厚さ方向である第1の方向に一致し、導波管部の入力部から入力された高周波信号がホーン部の開口部から外部に放射される構造を有する。そして、第1の方向に関して導波管部の長さZaとホーン部の長さZbとの寸法比Za/Zbを2以上かつ3以下を満たすように設定したので、前述のホーン部の拡径を考慮した場合の誘電体基板の横方向へのサイズの拡大を抑制することができる。よって、複数のホーンアンテナによりアレイアンテナを構成した場合、アレイアンテナ全体の小型化が可能であるとともに、ホーンアンテナ同士のピッチ間隔を広げて放射指向性におけるサイドローブの発生を抑制することが可能となる。
本発明において、導波管部及びホーン部のそれぞれの矩形断面に沿った外縁領域は、誘電体基板において第1の方向に延伸する複数のビア導体(30、31)を用いて形成することができる。これにより、誘電体シート積層技術を適用することで、多層の誘電体基板において所望の形状及びサイズを有する導波管部及びホーン部を形成することが可能となる。
本発明において、入力部の導体層には、導波管部の矩形断面の中心部に配置されホーンアンテナに高周波信号を入力するパッチ部(22)を設けることができる。この場合、パッチ部の直下の導体層には、パッチ部と空間結合されるマイクロストリップライン(23)を設け、外部から供給される高周波信号を、マイクロストリップラインを介してパッチ部に伝送させるようにしてもよい。
本発明において、複数のホーンアンテナは、第1の方向に沿った平面視で互いに同一の平面形状を有していてもよい。これにより、例えば、平面視で同一の矩形のホーンアンテナを平面内の直交する2方向に並べて配置することで、自在に拡張することができる。
本発明によれば、信号伝送方向が誘電体基板の厚さ方向である第1の方向に一致する複数のホーンアンテナは、第1の方向に関して導波管部の長さZaとホーン部の長さZbとの寸法比Za/Zbを2以上かつ3以下を満たすように設定した。従って、ホーン部の拡径に伴う誘電体基板のサイズの拡大を抑制可能となるので、全体のアレイアンテナの小型化を実現しつつ、ホーンアンテナ同士のピッチ間隔を広げて放射指向性におけるサイドローブの発生の抑制によるアンテナ特性の向上が可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明を具体化したアレイアンテナについて説明を行う。ただし、以下に述べる実施形態は本発明を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。
以下、図1~図3を用いて、本発明を適用したアレイアンテナの基本的な構造例について説明する。ここでは、複数のホーンアンテナを含むアレイアンテナを構成する場合を例示する。なお、図1~図3においては、説明の便宜のため、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向(本発明の第1の方向)をそれぞれ矢印にて示している。
図1は、本実施形態に係るアレイアンテナ1の一構造例を上方(Z方向)から見た平面図である。図1に示すアレイアンテナ1は複数のホーンアンテナ10を備えており、その全体が誘電体基板11を用いて構成されている。具体的には、図1の構造例においては、X方向に4個のホーンアンテナ10が並んで配置され、Y方向にも4個のホーンアンテナ10が並んで配置され、全部で16個のホーンアンテナ10が含まれる。これら16個のホーンアンテナ10は、いずれも平面視で矩形の部分に配置され、同一の構造を有する。なお、図1では、ホーンアンテナ10がX方向及びY方向に4個ずつ並んで計16個配置されるが、アレイアンテナ1に含まれるホーンアンテナ10の個数N(Nは2以上の整数)は自在に変更することができる。
アレイアンテナ1に含まれる16個のホーンアンテナ10はいずれも矩形の平面形状を有し、同一のサイズに形成されている。各々のホーンアンテナ10は、X方向の長さX1、Y方向の長さY1に設定されている。具体的な寸法条件は使用周波数帯域にも依存するが、例えば、80GHz程度の周波数を想定すると、X1=Y1=3.5mmの正方形の寸法条件に設定することができる。この場合、アレイアンテナ1の全体は、X方向及びY方向のそれぞれの長さが14mmの正方形となる。本実施形態のアレイアンテナ1は、同様の周波数帯域で従来型のアレイアンテナに比べて小型化及び高密度化に適しているが、具体的な構造については後述する。
図2は、図1のアレイアンテナ1に含まれる1個のホーンアンテナ10の部分の断面構造図を示している。図2は、ホーンアンテナ10の中心を通るXZ平面の切断面をY方向に沿って見た図であり、図1の16個のホーンアンテナ10のそれぞれに対して共通の構造である。図2において、誘電体基板10には複数の導体層LがZ方向に積層されるとともに、隣接する導体層Lの間に複数の導体層Mが形成されている。また、誘電体基板10は、Z方向に延伸する複数の貫通孔に導電材料を充填してなる複数のビア導体30、31が形成されている。そして、複数のビア導体30、31のうち、下方の複数のビア導体30により導波管部20の基本構造が形成され、上方の複数のビア導体31によりホーン部21の基本構造が形成されている。Z方向に沿って、複数のビア導体30はX方向とY方向の位置が共通であるが、複数のビア導体31はX方向又はY方向の位置がずれていく。これらの導波管部20及びホーン部21は一体的にホーンアンテナ10として機能する。なお、図2の例では、誘電体基板11に21層の誘電体層Lが積層されている。なお、複数のビア導体30、31は各誘電体層LのX方向又はY方向に沿って管内波長の1/4以下の間隔で並ぶように配置する必要がある。
ここで、図3は、図2のホーンアンテナ10の断面構造を模式的に表した図である。導波管部20の下端は入力部P1であり、導波管部20の上端とホーン部21の下端は接続部P2であり、ホーン部21の上端は開口部P3である。図1のホーンアンテナ10の平面形状からも理解されるように、導波管部20は一定サイズの矩形断面を有し、ホーン部21は上方に向かって拡径する矩形断面を有する。そして、接続部P2では導波管部20とホーン部21の矩形は互いに一致し、開口部P3では矩形のサイズが最大となる。そして、導波管部20及びホーン部21のそれぞれの矩形断面に沿った外縁領域は所定間隔で並ぶ複数のビア導体30、31で構成されるとともに、導波管部20及びホーン部21の内部には導体が存在しない。なお、図3は、Y方向に沿ってホーンアンテナ10のXZ平面の断面を見た図であるが、X方向に沿ってホーンアンテナ10のYZ平面の断面を見る場合であっても基本的な構造は共通である。
図2に示すように、導波管部20の入力部P1(図3)の位置の導体層Mには、導波管部20に高周波信号を入力するパッチ部22が形成されている。また、パッチ部22の直下の導体層Mには、パッチ部22と空間結合されるマイクロストリップライン23が形成されている。図1に平面視で示すように、パッチ部22は導波管部20の略中央に配置された矩形の導体であり、マイクロストリップライン23は、ホーンアンテナ10の外部(不図示)から延伸される細長い線状導体である。このマイクロストリップライン23の役割は、例えば、アレイアンテナ1の外部に置かれたICと電気的に接続され、ICからの高周波信号を、パッチ部22を介してホーンアンテナ10に給電することにある。よって、マイクロストリップライン23及びパッチ部22を介してホーンアンテナ10に給電された高周波信号は、導波管部20及びホーン部21をZ方向に沿って伝送され、開口部P3から電磁波として外部に放射される。なお、パッチ部22及びマイクロストリップライン23のそれぞれのサイズ及び形状は、ホーンアンテナ10のインピーダンス整合に影響するので、適切に設定することが望ましい。
また、マイクロストリップライン23の直下の導体層Mには、平面視でホーンアンテナ10の矩形領域の全体に拡がるグランド導体24が形成されている。このグランド導体24は複数のビア導体30の下端に接続され、ホーンアンテナ10の開口部P3に対向するグランド面として機能する。なお、グランド導体24は、ビア導体30、31より外周側の複数のビア導体(不図示)を介して導波管部20及びホーン部21の周囲の各層のグランド導体と接続されている。
ここで、図2におけるパッチ部22及びマイクロストリップライン23の配置は、ホーンアンテナ10で1つの偏波を励振させるための構成である。すなわち、給電線に相当するマイクロストリップライン23を1本のみ設けているので、その延伸方向に対応する1つの偏波のみが励振する。これに対し、X方向とY方向のそれぞれ延伸する2本の給電線を設けてパッチ部22に結合する構成を採用すれば、ホーンアンテナ10では、互いに直交する2つの偏波を励振させることができる。この場合、2本の給電線とパッチ部22は空間結合ではなく、ビア導体を介して接続することができる。
図3において、ホーンアンテナ10のZ方向の寸法に着目する。まず、ホーンアンテナ10はZ方向の長さZ1を有し、これは誘電体基板11の厚さに一致する。また、導波管部20はZ方向に沿って下端の入力部P1から上端の接続部P2まで長さZaを有し、ホーン部21はZ方向に沿って下端の接続部P2から上端の開口部P3まで長さZbを有する。なお、導波管部20の下方の領域が存在するので、導波管部20とホーン部21のZ方向の長さの和Za+Zbはホーンアンテナ10のZ方向の長さZ1より小さい。なお、80GHz程度の周波数を想定すると、誘電体基板11の薄型化と性能確保の観点から、Z1=5mm程度に設定することが望ましい
また、前述したようにホーンアンテナ10はX方向の長さX1を有し、導波管部20のX方向の長さXaはZ方向のどの位置でも一定であり、X1>Xaの関係を満たす。一方、ホーン部21のX方向の長さは、下端の接続部P2の位置では導波管部20と同じ長さXaに一致し、上端の開口部P3の位置では前述の長さX1に概ね一致する。つまり、ホーン部21は、接続部P2から開口部P3までX方向の長さがXaからX1までテーパ状に拡径していく。換言すれば、ホーン部21の側面はXZ平面内で所定角だけ傾斜した直線になっている。また、80GHz程度の周波数を想定すると、パッチ部22等が設けられる入力部P1のサイズ制約を考慮すると、Xa=2.35mm以上の値に設定することが望ましい。
本実施形態においては、導波管部20とホーン部21のそれぞれのZ方向の長さZa、Zbの寸法比の設定に特徴がある。具体的には、図2及び図3の例では、導波管部20とホーン部21のZ方向の寸法比Za/Zbが、Za/Zb=2.5に設定されている。発明者らの検証の結果、アレイアンテナ1の小型化と良好なアンテナ性能の両立を図るには、この寸法比Za/Zbを2.0から3.0の範囲内に設定することが重要であることがわかった。この点について詳しくは後述する。従来の誘電体基板11を用いたアレイアンテナ1の場合、Z方向においてホーン部21の長さは導波管部20と同程度であるか、あるいは導波管部20より長い構造が一般的である。本実施形態では、ホーン部21と導波管部21のZ方向の寸法比を従来構造と異なる設定にすることが構造上の特徴である。
以下、本実施形態のアレイアンテナ1に関し、作用効果を検証するためのシミュレーションにより得られたアンテナ特性について説明する。まず、図4~図6を用いて、アレイアンテナ1に含まれる単体のホーンアンテナ10のアンテナ特性について説明する。ここでは、図2及び図3に示すホーンアンテナ10に周波数80GHzを含む所定の周波数範囲の高周波信号を入力することを想定し、図4には反射特性を示すとともに、図5にはアンテナ利得の特性を示す。
図4に示す反射特性によれば、周波数78GHzの近傍で反射係数S11が最小値となり、周波数77~90GHzの範囲で概ね反射特性VSWRの最小値からの劣化が2程度以内となっている。また、図5に示すアンテナ利得の特性によれば、周波数77~90GHzの範囲で概ね実効利得が8dBi以上となっている。ここで、一般的には特定の周波数で実効利得のピークが現れ、そのピークを中心にアンテナ利得が減少する傾向にあるが、図6の実効利得は比較的広い周波数範囲でフラットに近い傾向になり、より使い勝手に優れたホーンアンテナ10を実現可能である。以上の結果から、単体のホーンアンテナ10は、少なくとも周波数77~90GHzの範囲で良好なアンテナ特性を得られることが確認された。
一方、図6は、導波管部20とホーン部21のZ方向の寸法比Za/Zbを変化させた場合のアンテナ利得の変化を示す図である。ここでは、ホーンアンテナ10のZ方向の長さZ1を維持しつつ、導波管部20とホーン部21のそれぞれのZ方向の寸法Za、Zbのバランスを変えることで寸法条件を変化させている。図6から明らかなようにアンテナ利得は、寸法比Za/Zbが2.4~2.6程度ではピーク値となり、寸法比Za/Zbが2より小さくなると徐々に低下し、寸法比Za/Zbが3を超えると急激に低下する。例えば、アンテナ利得のピーク値を9.2(dB)程度とし、その値から0.3dB低下する範囲を許容することを想定すると、図6において寸法比Za/Zbが2.0~3.0となる範囲内の寸法条件を設定することが望ましい。
次に、図7~図9を用いて、アレイアンテナ1全体の放射電磁波の放射指向性について説明する。ここでは、本実施形態との対比のため、図3とは異なる寸法条件として、図7に示す比較例を想定する。図7の比較例のホーンアンテナ10aは、ホーンアンテナ10a自体のZ方向の長さZ1と、導波管部20(ホーン部21の下端)のX方向の長さXaは図5と共通であるが、導波管部20及びホーン部21のそれぞれのZ方向の長さZa、Zbと、ホーンアンテナ10a自体(ホーン部21の上端)のX方向の長さX1が図5とは異なる。すなわち、導波管部20及びホーン部21は、Za=Zbを満たす寸法条件とし、ホーンアンテナ10a自体のX方向の長さX1が図5よりも拡大されている。比較例の具体的な寸法条件としては、X1=8mm、Xa=2.35mm、Z1=5mmを挙げることができる。なお、比較例ではホーン部21をZ方向に長くしていることから、X方向の拡径幅が増加するので、長さX1の増加は不可避である。
図8は、比較例のアレイアンテナ1の放射指向性を示している。すなわち、図7に示す構造を有するホーンアンテナ10aを、図1と同様に16個配置して構成したアレイアンテナ1を用いて得られた放射電磁波の指向性について説明する。ここでは、アレイアンテナ1のZ方向の上方に向かう角度を0度と定め、XZ平面内で放射方向の角度を変化させたときの利得を検証した。図8に示すように、放射方向がZ方向の上方(0度)のときに利得がピークとなるが、0度の近傍の両側に比較的大きいサイドローブSLが現れることがわかる。すなわち、比較例のアレイアンテナ1の放射指向性においては、ピークの利得に対して、サイドローブSLのレベルが5dB程度の差であり、十分に抑圧できていない。
一方、図9は、本実施形態のアレイアンテナ1の放射指向性を示している。すなわち、図2及び図3に示す構造を有する16個のホーンアンテナ10を含むアレイアンテナ1(図1)を用いて得られた放射電磁波の指向性について説明する。図9の横軸及び縦軸の意味は図8と同様である。図9に示すように、放射方向が0度の時の利得がピークとなるが、図8とは異なり、ピークの両側に大きいサイドローブは現れない。すなわち、本実施形態のアレイアンテナ1の放射指向性においては、ピークの利得に対してサイドローブのレベルを十分に抑圧可能であることがわかる。
以上説明したように、本実施形態のアレイアンテナ1は、ホーンアンテナ10の導波管部20とホーン部21の寸法比Za/Zbの適切に設定することにより、アレイアンテナ1の小型化と放射指向性の向上を実現することができる。すなわち、従来は導波管部20とホーン部21の寸法比Za/Zbは0.5~1.0程度であり、ホーン部21の方がZ方向に長いのが一般的であるのに対し(例えば、特許文献1の図1参照)、本実施形態では導波管部20に比べてホーン部21が短くなるような寸法比Za/Zbとして2.0~3.0の範囲内に設定している。よって、ホーン部21の拡径によるX方向及びY方向のサイズの拡大を抑え、各々のホーンアンテナ10を小型に構成し、かつ隣接するホーンアンテナ10の間隔を小さくすることができる。その結果、隣接するホーンアンテナ10同士の干渉を減少させ、アレイアンテナ1の放射指向性におけるサイドローブの発生を抑圧することが可能となる。そして、アレイアンテナ1における複数のホーンアンテナ10の実装密度を高め、アレイアンテナ1全体の小型化が容易となる。
以上、本実施形態に基づき本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、更に多様な変更を施すことができる。例えば、図2及び図3においては、誘電体基板10の表面に開口部P3が位置しているが、誘電体基板10の表面の全体を所定の材料で覆うことができる。これにより、表面の導体層Mの露出が避けられるので、金属の腐食を防止して良好なアンテナ特性を保ち続けることができる。なお、ホーンアンテナ10の全体を誘電体基板11の内部に埋設する構造を採用してもよい。その他の点についても上記実施形態により本発明の内容が限定されるものではなく、本発明の作用効果を得られる限り、上記実施形態に開示した内容には限定されることなく適宜に変更可能である。
1…アレイアンテナ
10…ホーンアンテナ
11…誘電体基板
20…導波管部
21…ホーン部
22…パッチ部
23…伝送線路
24…グランド導体
30、31…ビア導体
L…誘電体層
M…導体層
P1…入力部
P2…接続部
P2…開口部
10…ホーンアンテナ
11…誘電体基板
20…導波管部
21…ホーン部
22…パッチ部
23…伝送線路
24…グランド導体
30、31…ビア導体
L…誘電体層
M…導体層
P1…入力部
P2…接続部
P2…開口部
Claims (5)
- 複数の誘電体層が積層された誘電体基板を用いて形成されたアレイアンテナであって、
前記アレイアンテナは、それぞれの信号伝送方向が前記誘電体基板の厚さ方向である第1の方向に一致する複数のホーンアンテナを備え、
各々の前記ホーンアンテナは、
接続部を介して接続された導波管部とホーン部とからなり、
前記導波管部は、前記第1の方向の一端の入力部から前記接続部に至るまで同一の矩形断面を有し、
前記ホーン部は、前記接続部から前記第1の方向の他端の開口部に向かって拡径する矩形断面を有し、
前記入力部から入力された高周波信号が前記導波管部及び前記ホーン部を経由して前記開口部から外部に放射されるように構成され、
前記導波管部の前記第1の方向の長さZaと前記ホーン部の前記第1の方向の長さZbに関し、寸法比Za/Zbが2以上かつ3以下の関係を満たすように設定されている、
ことを特徴とするアレイアンテナ。 - 前記導波管部及び前記ホーン部のそれぞれの矩形断面に沿った外縁領域は、前記誘電体基板において前記第1の方向に延伸する複数のビア導体を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ。
- 前記入力部の導体層には、前記導波管部の矩形断面の中心部に配置され前記ホーンアンテナに高周波信号を入力するパッチ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホーンアンテナ。
- 前記パッチ部の直下の導体層には、前記パッチ部と空間結合されるマイクロストリップラインが設けられ、外部から供給される前記高周波信号が前記マイクロストリップラインを介して前記パッチ部に伝送されることを特徴とする請求項3に記載のホーンアンテナ。
- 前記複数のホーンアンテナは、前記第1の方向に沿った平面視で互いに同一の平面形状を有することを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ。
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JP2022189693A Pending JP2024077546A (ja) | 2022-11-28 | 2022-11-28 | アレイアンテナ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2024077546A (ja) |
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2022
- 2022-11-28 JP JP2022189693A patent/JP2024077546A/ja active Pending
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