JP2024069160A - 支持ガラス基板、積層体、積層体の製造方法及び半導体パッケージの製造方法 - Google Patents

支持ガラス基板、積層体、積層体の製造方法及び半導体パッケージの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヤング率と耐失透性が高く、しかも短波長側の透過率が高い支持ガラス基板、積層体、積層体の製造方法及び半導体パッケージの製造方法を提供する。【解決手段】加工基板を支持するための支持ガラス基板であって、ガラス組成として、モル%で、SiO240~80%、Al2O30~25%、B2O30.1~25%、Li2O+Na2O+K2O 0~5%、MgO 0~25%、CaO 15.2~30%、SrO 0~10%、BaO 0~10%を含有し、モル比(SiO2+Al2O3)/B2O3が1.6~7.6、(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が0.16以上である、支持ガラス基板。【選択図】図1

Description

本発明は、支持ガラス基板、積層体、積層体の製造方法及び半導体パッケージの製造方法に関する。
携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Data Assistance)等の携帯型電子機器には、小型化及び軽量化が要求されている。これに伴い、これらの電子機器に用いられる半導体チップの実装スペースも厳しく制限されており、半導体チップの高密度な実装が課題になっている。そこで、近年では、三次元実装技術、すなわち半導体チップ同士を積層し、各半導体チップ間を配線接続することにより、半導体パッケージの高密度実装を図っている。
また、従来のウエハレベルパッケージ(WLP)は、バンプをウエハの状態で形成した後、ダイシングで個片化することにより作製されている。しかし、従来のWLPは、ピン数を増加させ難いことに加えて、半導体チップの裏面が露出した状態で実装されるため、半導体チップの欠け等が発生し易いという問題があった。
そこで、新たなWLPとして、fan out型のWLPが提案されている。fan out型のWLPは、ピン数を増加させることが可能であり、また半導体チップの端部を保護することにより、半導体チップの欠け等を防止することができる。
fan out型のWLPでは、例えば、複数の半導体チップを支持ガラス基板上に配列した後、樹脂の封止材でモールドして、加工基板を形成した後に、加工基板の一方の表面に配線する工程、半田バンプを形成する工程等を有する。
これらの工程は、約200℃の熱処理を伴うため、封止材が変形して、加工基板が寸法変化する虞がある。加工基板が寸法変化すると、加工基板の一方の表面に対して、高密度に配線することが困難になり、また半田バンプを正確に形成することも困難になる。
このような事情から、加工基板の寸法変化を抑制するために、ガラス基板を用いて、加工基板を支持することが検討されている(特許文献1参照)。
ガラス基板は、表面を平滑化し易く、且つ剛性を有する。よって、支持基板としてガラス基板を用いると、加工基板を強固、且つ正確に支持することが可能になる。またガラス基板は、紫外光、赤外光等の光を透過し易い。よって、支持基板としてガラス基板を用いると、紫外線硬化型接着剤等により接着層等を設けた時に、加工基板とガラス基板を容易に固定することができる。更に、赤外線を吸収する剥離層等を設ける時に、加工基板とガラス基板を容易に分離することもできる。別の方式として、紫外線硬化型テープ等により接着層等を設ける時にも、加工基板とガラス基板を容易に固定、分離することができる。
特開2015-78113号公報
支持ガラス基板には、半導体チップの熱膨張係数に整合させるために、所定の熱膨張係数が求められる。例えば、40×10-7~60×10-7/℃の熱膨張係数を有することが求められることがある。
しかし、支持ガラス基板の熱膨張係数が上記値を満たすように成分を調整すると、支持ガラス基板のヤング率が低下して、加工基板の加工処理の信頼性が損なわれる虞がある。また耐失透性が低下して、支持ガラス基板の生産性が低下し易くなる。
また、加工基板の加工処理後には、加工基板とガラス支持基板を分離する工程が存在するが、その工程の際に、支持ガラス基板を通じて、短波長の光が剥離層に照射される。このため、支持ガラス基板の短波長での透過率(紫外線透過率)を高める必要があるが、短波長側の透過率を高めることは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、ヤング率と耐失透性が高く、しかも短波長側の透過率が高い支持ガラス基板、積層体、積層体の製造方法及び半導体パッケージの製造方法を提供することである。
本発明者は、種々の実験を繰り返した結果、支持ガラス基板のガラス組成範囲を厳密に規制、特にCaOの含有範囲を厳密に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として、提案するものである。
すなわち、態様1の支持ガラス基板は、加工基板を支持するための支持ガラス基板であって、ガラス組成として、モル%で、SiO 40~80%、Al 0~25%、B 0.1~25%、LiO+NaO+KO 0~5%、MgO 0~25%、CaO 14.5~30%、SrO 0~10%、BaO 0~10%を含有し、モル比(SiO+Al)/Bが1.6~7.6、(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が0.16以上であることを特徴とする。ここで、「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量を指す。「(SiO+Al)/B」はSiOとAlの合量をBの含有量で除した値を指す。「(SrO+BaO)/(MgO+CaO)」はSrOとBaOの合量をMgOとCaOの合量で除した値を指す。
また、態様2の支持ガラス基板は、態様1において、ガラス組成として、モル%で、SiO 45~70%、Al 7~15%、B 8~14%、LiO+NaO+KO 0~5%、MgO 0~6%、CaO 14.5~30%、SrO 0~5%、BaO 0~5%を含有し、モル比(SiO+Al)/Bが3.8~7.6、(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が0.17以上であることが好ましい。
態様3の支持ガラス基板は、態様1又は態様2において、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が40×10-7~60×10-7/℃であることが好ましい。「30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定可能である。
態様4の支持ガラス基板は、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、厚み1mm換算、254nmにおける反射損失を含む透過率が5%以上であることが好ましい。本発明における「透過率」は、外表面の反射損失を含むものであり、外表面の反射損失を除いた透過率(内部透過率)とは異なる。
態様5の支持ガラス基板は、態様1から態様4のいずれか一つの態様において、ヤング率が70GPa以上であることが好ましい。ここで、「ヤング率」は、曲げ共振法により測定した値を指す。
態様6の支持ガラス基板は、態様1から態様5のいずれか一つの態様において、液相粘度が104.0dPa・s以上であることが好ましい。ここで、「液相粘度」は、液相温度における粘度であり、白金球引き上げ法で測定可能である。「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定することにより算出可能である。なお、液相粘度は、成形性の指標であり、液相粘度が高い程、成形性が向上する。
態様7の支持ガラス基板は、態様1から態様6のいずれか一つの態様において、高温粘度102.5dPa・sにおける温度が1600℃未満であることが好ましい。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。なお、102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当し、この温度が低い程、溶融性が向上する。
態様8の支持ガラス基板は、態様1から態様7のいずれか一つの態様において、直径100~500mmのウエハ形状を有し、板厚が2mm未満であり、全体板厚偏差(TTV)が5μm以下であり、且つ反り量が60μm以下であることが好ましい。ここで、「全体板厚偏差(TTV)」は、例えば、コベルコ科研社製のBow/Warp測定装置SBW-331ML/dにより測定可能である。「反り量」は、支持ガラス基板全体における最高位点と最小二乗焦点面との間の最大距離の絶対値と、最低位点と最小二乗焦点面との絶対値との合計を指し、例えばコベルコ科研社製のBow/Warp測定装置SBW-331M/Ldにより測定可能である。
態様9の積層体は、少なくとも加工基板と加工基板を支持するための支持ガラス基板とを備える積層体であって、支持ガラス基板が態様1から態様8のいずれか一つの態様の支持ガラス基板であることを特徴とする。
態様10の積層体は、態様9において、加工基板が、少なくとも封止材でモールドされた半導体チップを備えることが好ましい。
態様11の積層体の製造方法は、態様1から態様8のいずれか一つの態様の支持ガラス基板を用意する工程と、加工基板を用意する工程と、前記支持ガラス基板と前記加工基板を積層して、積層体を得る工程と、を備えることを特徴とする。
態様12の半導体パッケージの製造方法は、態様9又は態様10の積層体を用意する工程と、加工基板に対して、加工処理を行う工程と、を有することが好ましい。
態様13の半導体パッケージの製造方法は、態様12において、加工処理が、加工基板の一方の表面に配線する工程を含むことが好ましい。
態様14の半導体パッケージの製造方法は、態様12又は態様13において、加工処理が、加工基板の一方の表面に半田バンプを形成する工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、ヤング率と耐失透性が高く、しかも短波長側の透過率が高い支持ガラス基板、積層体、積層体の製造方法及び半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
本発明の積層体の一例を示す概念斜視図である。 fan out型のWLPの製造工程を示す概念断面図である。
本発明の支持ガラス基板は、ガラス組成として、モル%で、SiO 40~80%、Al 0~25%、B 0.1~25%、LiO+NaO+KO 0~5%、MgO 0~25%、CaO 14.5~30%、SrO 0~10%、BaO 0~10%を含有し、モル比(SiO+Al)/Bが1.6~7.6、(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が0.16以上である。上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示は、モル%を表す。また、別段の記載がない限り、本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載の数値を最小値及び最大値としてそれぞれ含む範囲を意味する。
SiOは、ガラスの骨格を形成する主成分である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化が困難になると共に、ヤング率、耐酸性が低下し易くなる。しかし、SiOの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性や成形性が低下し易くなることに加えて、クリストバライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。よって、SiOの含有量は、好ましくは40~80%、45~70%、50~68%、52~65%、特に好ましくは53~62%である。なお、溶融性を優先する場合、SiOの含有量の上限は64%以下、62%以下、特に61%以下であることが好ましい。
Alは、ガラス骨格を形成して、ヤング率を高める成分である。しかし、Alの含有量が多過ぎると、ムライト等の結晶が析出し、液相粘度が低下し易くなる。よって、Alの含有量は、好ましくは0~25%、3~20%、5~18%、特に好ましくは7~15%である。なお、溶融性や成形性を優先する場合、Alの含有量の上限は12%以下、特に11%以下であることが好ましい。
は、溶融性や耐失透性を高める成分である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、ヤング率が低下し易くなる。よって、Bの含有量は、好ましくは0.1~25%、0.5~23%、1~21%、3~20%、5~18%、6~16%、7~15%、特に好ましくは8~14%である。
モル比(SiO+Al)/Bは、好ましくは1.6~7.6、2~7.5、特に好ましくは3.8~7.4である。モル比(SiO+Al)/Bが上記範囲外になると、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が40×10-7~60×10-7/℃の範囲において、耐失透性、溶融性を高いレベルで維持することが困難になる。
アルカリ金属酸化物(LiO、NaO及びKO)は、溶融性を高める成分である。しかし、アルカリ金属酸化物の含有量が多過ぎると、熱膨張係数を大幅に上昇して、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が60×10-7/℃超になり易くなる。よって、LiO+NaO+KOの含有量は、好ましくは0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、0~0.5%、特に好ましくは0~0.1%未満である。
LiOは、溶融性を高める成分である。しかし、アルカリ金属酸化物の含有量が多過ぎると、熱膨張係数を大幅に上昇して、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が60×10-7/℃超になり易くなる。よって、LiOの含有量は、好ましくは0~1%、0~0.5%、特に好ましくは0~0.1%未満である。
NaOは、溶融性を高める成分である。しかし、アルカリ金属酸化物の含有量が多過ぎると、熱膨張係数を大幅に上昇して、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が60×10-7/℃超になり易くなる。よって、NaOの含有量は、好ましくは0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、0~0.5%、特に好ましくは0~0.1%未満である。なお、溶融性を特に優先する場合、NaOの下限範囲は0.001%以上、特に0.005%以上であることが好ましい。
Oは、溶融性を高める成分である。しかし、アルカリ金属酸化物の含有量が多過ぎると、熱膨張係数を大幅に上昇して、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が60×10-7/℃超になり易くなる。よって、KOの含有量は、好ましくは0~3%、0~2%、0~1%、0~0.5%、特に好ましくは0~0.1%未満である。
MgOは、熱膨張係数を高める成分である。また高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。しかし、MgOの含有量が多くなると、耐失透性が低下し易くなる。よって、MgOの含有量は、好ましくは0~25%、0~12%、0~10%、0~9%、0~8%、0~6%、1~5%、1~4%、特に好ましくは1~3%である。
CaOは、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高める成分である。またヤング率や熱膨張係数を高める成分である。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、アノーサイト等の結晶が析出し、液相粘度を低下させ易くなる。よって、CaOの含有量は、好ましくは14.5~30%、14.5~25%、14.5~20%、14.5~18%、16~17.4%、16~17.2%、特に好ましくは16.2~17%である。
SrOは、耐失透性や熱膨張係数を高める成分であり、高温粘度を下げて溶融性を高める成分である。しかし、SrOの含有量が多過ぎると、ガラス組成のバランスを欠いて、耐失透性が低下し易くなる。よって、SrOの含有量は、好ましくは0~10%、0~8%、0~6%、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、特に好ましくは0~1%未満である。
BaOは、耐失透性を高め、ガラスの成形性を向上させる成分である。また、熱膨張係数を高める効果もある。しかし、BaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成のバランスを欠いて、耐失透性が低下し易くなる。よって、BaOの含有量は、好ましくは0~10%、0~8%、0~7%、0~6%、0~5%、特に好ましくは0~4%である。なお、耐失透性の向上を優先する場合、BaOの下限範囲は0.1%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。
モル比(SrO+BaO)/(MgO+CaO)は、好ましくは0.16以上、0.17以上、0.18以上、特に好ましくは0.19以上である。モル比(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が上記範囲外になると、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が40×10-7~60×10-7/℃の範囲において、耐失透性、成形性を高いレベルで維持することが困難になる。上限は特に限定されないが、例えば、0.5以下、0.4以下、特に0.3以下としてもよい。
上記成分以外にも、任意成分として、他の成分を導入してもよい。なお、上記成分以外の他の成分の含有量は、本発明の効果を的確に享受する観点から、合量で15%以下、10%以下、特に5%以下が好ましい。
ZnOは、高温粘性を下げて、溶融性や成形性を顕著に高める成分であり、また耐候性を高める成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0~3%、0~2%、0~1%、特に好ましくは0~0.1%である。
Feは、不純物成分、或いは清澄剤成分として導入し得る成分である。しかし、Feの含有量が多過ぎると、紫外線透過率が低下する虞がある。すなわち、Feの含有量が多過ぎると、樹脂層、剥離層を介して、加工基板と支持ガラス基板の接着と脱着を適正に行うことが困難になる。よって、Feの含有量は、好ましくは0~0.05%、0~0.03%、0~0.02%、特に好ましくは0.0001~0.01%である。なお、本発明でいう「Fe」は、2価の酸化鉄と3価の酸化鉄を含み、2価の酸化鉄は、Feに換算して、取り扱うものとする。他の酸化物についても、同様にして、表記の酸化物を基準にして取り扱うものとする。
TiOは、不純物成分として導入し得る成分である。しかし、TiOの含有量が多過ぎると、紫外線透過率が低下する虞がある。すなわち、TiOの含有量が多過ぎると、樹脂層、剥離層を介して、加工基板と支持ガラス基板の接着と脱着を適正に行うことが困難になる。よって、TiOの含有量は、好ましくは0~0.05%、0~0.03%、0~0.02%、特に好ましくは0.0001~0.01%である。
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有する成分であり、また高温粘性を低下させる成分である。SnOの含有量は、好ましくは0~2%、0.001~1%、0.01~0.9%、特に好ましくは0.05~0.7%である。SnOの含有量が多過ぎると、SnOの失透結晶が析出し易くなる。SnOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。
清澄剤として、As、Sbが有効に作用するが、環境的観点で言えば、これら成分を極力低減することが好ましい。As、Sbのそれぞれの含有量は、好ましくは1%以下、0.5%以下、0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下である。
SOは、清澄作用を有する成分である。SOの含有量は、好ましくは0~1%、0~0.5%、0~0.1%、特に好ましくは0~0.01%である。SOの含有量が多過ぎると、SOリボイルが発生し易くなる。
更に、ガラス特性が損なわれない限り、清澄剤として、F、C、或いはAl、Si等の金属粉末を各々1%程度まで導入してもよい。また、CeO等も1%程度まで導入し得るが、紫外線透過率の低下に留意する必要がある。
Clは、ガラスの溶融を促進する成分である。ガラス組成中にClを導入すれば、溶融温度の低温化、清澄作用の促進を図ることができ、結果として、溶融コストの低廉化、ガラス製造窯の長寿命化を達成し易くなる。しかし、Clの含有量が多過ぎると、ガラス製造窯周囲の金属部品を腐食させる虞がある。よって、Clの含有量は、好ましくは3%以下、1%以下、0.5%以下、特に好ましくは0.1%以下である。
は、失透結晶の析出を抑制し得る成分である。但し、Pを多量に導入すると、ガラスが分相し易くなる。よって、Pの含有量は、好ましくは0~15%、0~10%、0~5%、0~2.5%、0~1.5%、0~0.5%、特に好ましくは0~0.3%である。
ZrOは、耐薬品性やヤング率を改善する成分である。しかし、ZrOを多量に導入すると、ガラスが失透し易くなり、また導入原料が難熔解性であるため、未熔解の結晶性異物がガラス中に混入する虞がある。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0~10%、0~7%、0~5%、0~3%、0~1%、特に好ましくは0~0.1%である。
、Nb、Laには、歪点、ヤング率等を高める働きがある。しかし、これらの成分の含有量が各々5%、特に1%より多いと、原料コスト、製品コストが高騰する虞がある。
MoOは、不純物、或いは分相抑制成分として導入し得る成分である。またMoは、溶融工程における電極に含まれ得る成分であり、電気溶融加熱によりMoOが溶出し、溶融ガラス中に取り込まれる。しかし、MoOが多量に導入されると、透過率が低下し易くなる。よって、MoOの含有量は、好ましくは0~0.01%、0~0.007%、0~0.006%、特に好ましくは0~0.002%である。
本発明の支持ガラス基板は、以下の特性を有することが好ましい。
30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数は、好ましくは40×10-7~60×10-7/℃、42×10-7~58×10-7/℃、45×10-7~56×10-7/℃、特に好ましくは47×10-7~55×10-7/℃である。30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が上記範囲外になると、半導体チップの熱膨張係数に整合し難くなり、加工処理時に支持ガラス基板上の加工基板の寸法変化(特に反り変形)が生じ易くなる。
厚み1mm換算、254nmにおける反射損失を含む透過率は、好ましくは5%以上、10%以上、20%以上、25%以上、特に好ましくは30%以上である。厚み1mm換算、254nmにおける反射損失を含む透過率が低過ぎると、加工基板の加工処理後に、短波長側の光により加工基板を支持ガラス基板から剥離し難くなる。厚み1mm換算、254nmにおける反射損失を含む透過率の上限は特に限定されないが、例えば99.9%以下、99%以下、98%以下、特に95%以下としてもよい。
ヤング率は、好ましくは70GPa以上、73GPa以上、75GPa以上、特に好ましくは77GPa以上である。ヤング率が低過ぎると、積層体の剛性を維持し難くなり、加工基板の変形、反り、破損等が発生し易くなる。ヤング率の上限は特に限定されないが、例えば100GPa以下、特に99GPa以下としてもよい。
液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.6dPa・s以上、特に好ましくは104.8dPa・s以上である。このようにすれば、成形時に失透結晶が析出し難くなるため、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法でガラス基板を成形し易くなる。液相粘度の上限は特に限定されないが、例えば108.0dPa・s以下としてもよい。
高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1600℃未満、1550℃以下、1520℃以下、1500℃以下、1480℃以下、1450℃以下、特に好ましくは1400℃以下である。高温粘度102.5dPa・sにおける温度が高くなると、溶融性が低下して、ガラス基板の製造コストが高騰する。高温粘度102.5dPa・sにおける温度の下限は特に限定されないが、例えば1000℃以上、特に1050℃以上としてもよい。
本発明では、ガラスの熱膨張曲線の傾きが変化する温度をガラス転移点として取り扱う。ガラス転移点は、好ましくは600℃以上、特に好ましくは650℃以上である。ガラス転移点が低すぎると、ガラスが流動しすぎてしまい、所望の形状に成形することが難しくなる。また、ガラス転移点が低すぎると、高温使用時にガラスが変形しやすくなる。ガラス転移点の上限は特に限定されないが、800℃以下、特に750℃以下としてもよい。
本発明では、ガラス転移点以上の温度において、ガラスの熱膨張曲線の傾きが変化する温度を屈伏点として取り扱う。屈伏点は、好ましくは700℃以上、特に好ましくは720℃以上である。屈伏点が低すぎると、ガラスが流動しすぎてしまい、所望の形状に成形することが難しくなる。また、高温使用時にガラスが変形しやすくなる。屈伏点の上限は特に限定されないが、800℃以下、特に750℃以下としてもよい。
歪点は、好ましくは590℃以上、610℃以上、特に好ましくは630℃以上である。歪点が低過ぎると、ガラス表面に機能性膜を高温で成膜する際に、ガラスに意図しない変形が生じ易くなる。歪点の上限は特に限定されないが、例えば800℃以下、特に750℃以下としてもよい。
徐冷点(ガラスの粘度が約1013dPa・sに相当する温度)は、好ましくは600℃以上、特に好ましくは650℃以上である。徐冷点が低すぎると、ガラスを成形した際に割れやすくなる。また、徐冷点が低すぎると、ガラスが経年収縮しやすくなり、寸法正確性が悪くなる等の悪影響が生じやすくなる。徐冷点の上限は特に限定されないが、750℃以下、特に700℃以下としてもよい。
軟化点(ガラスの粘度が約107.6dPa・sに相当する温度)は、好ましくは800℃以上、特に好ましくは830℃以上である。軟化点が低すぎると、高温使用時にガラスが変形しやすくなる。軟化点の上限は特に限定されないが、950℃以下、特に900℃以下としてもよい。
密度は、好ましくは3.0g/cm以下、特に好ましくは2.8g/cm以下である。密度が大きすぎると単位面積当たりの重量が大きくなり、取り扱いが困難になる。密度の下限は特に限定されないが、例えば2.0g/cm以上、特に2.2g/cm以上としてもよい。
液相温度は、好ましくは1200℃以下、特に好ましくは1180℃以下である。このようにすれば、ガラス製造時に失透結晶が発生して、生産性低下する事態を防止し易くなる。液相温度の下限は特に限定されないが、900℃以上、特に950℃以上としてもよい。なお、液相温度は耐失透性の指標であり、液相温度が低い程、耐失透性に優れる。また、液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を顕微鏡観察にて測定した値である。液相粘度logηは、液相温度TLにおけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
本発明の支持ガラス基板は、例えば、直径100~500mmのウエハ形状を有し、板厚が2mm未満であり、全体板厚偏差(TTV)が5μm以下であり、且つ反り量が60μm以下であることが好ましい。以下、好ましい形状について説明する。
本発明の支持ガラス基板は、ウエハ状が好ましく、その直径は100~500mm、特に150~450mmが好ましい。このようにすれば、fan out型のWLPの製造工程に適用し易くなる。必要に応じて、それ以外の形状、例えば矩形等の形状に加工してもよい。
板厚は、好ましくは2mm未満、1.5mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1mm以下、特に好ましくは0.9mm以下である。板厚が薄くなる程、積層体の質量が軽くなるため、ハンドリング性が向上する。一方、板厚が薄過ぎると、支持ガラス基板自体の強度が低下して、支持基板としての機能を果たし難くなる。よって、板厚は、好ましくは0.1mm以上、0.2mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、特に好ましくは0.7mm超である。
全体板厚偏差(TTV)は、好ましくは5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、特に好ましくは0.1~1μm未満である。また算術平均粗さRaは、好ましくは20nm以下、10nm以下、5nm以下、2nm以下、1nm以下、特に好ましくは0.5nm以下である。下限は特に限定されないが、例えば0.1nm以上としてもよい。表面精度が高い程、加工処理の精度を高め易くなる。特に配線精度を高めることができるため、高密度の配線が可能になる。また支持ガラス基板の強度が向上して、支持ガラス基板及び積層体が破損し難くなる。更に支持ガラス基板の再利用回数を増やすことができる。なお、「算術平均粗さRa」は、触針式表面粗さ計又は原子間力顕微鏡(AFM)により測定可能である。
なお、本発明の支持ガラス基板は、オーバーフローダウンドロー法で成形した後に、表面を研磨されてなることが好ましい。このようにすれば、全体板厚偏差(TTV)を2μm未満、1.5μm以下、1μm以下、特に0.1~1μm未満に規制し易くなる。
反り量は、好ましくは60μm以下、55μm以下、50μm以下、1~45μm、特に好ましくは5~40μmである。反り量が小さい程、加工処理の精度を高め易くなる。特に配線精度を高めることができるため、高密度の配線が可能になる。
真円度は、1mm以下、0.1mm以下、0.05mm以下、特に0.03mm以下が好ましい。下限は特に限定されないが、例えば0.001mm以上としてもよい。真円度が小さい程、fan out型のWLPの製造工程に適用し易くなる。なお、「真円度」は、ノッチ部を除き、ウエハの外形の最大値から最小値を減じた値である。
本発明の支持ガラス基板は、ノッチ部(ノッチ形状の位置合わせ部)を有することが好ましく、ノッチ部の深部は平面視で略円形状又は略V溝形状であることがより好ましい。これにより、支持ガラス基板のノッチ部に位置決めピン等の位置決め部材を当接させて、支持ガラス基板を位置固定し易くなる。結果として、支持ガラス基板と加工基板の位置合わせが容易になる。特に、加工基板にもノッチ部を形成して、位置決め部材を当接させると、積層体全体の位置合わせが容易になる。
本発明の支持ガラス基板は、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性の樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下頂端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス基板を製造する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス基板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、少量の研磨によって、全体板厚偏差(TTV)を2μm未満、特に1μm未満まで低減することができる。結果として、ガラス基板の製造コストを低廉化することができる。
本発明の支持ガラス基板は、イオン交換処理が行われていないことが好ましく、表面に圧縮応力層を有しないことが好ましい。イオン交換処理を行うと、支持ガラス基板の製造コストが高騰するため、イオン交換処理を行わなければ、支持ガラス基板の製造コストを低下させることが可能になる。更にイオン交換処理を行うと、支持ガラス基板の全体板厚偏差(TTV)を低減し難くなるため、イオン交換処理を行わなければ、そのような不具合を解消し易くなる。なお、本発明の支持ガラス基板は、イオン交換処理を行い、表面に圧縮応力層を形成する態様を排除するものではない。機械的強度を高める観点だけに着目すると、イオン交換処理を行い、表面に圧縮応力層を形成することが好ましい。
本発明の積層体は、少なくとも加工基板と加工基板を支持するための支持ガラス基板とを備える積層体であって、支持ガラス基板が上記の支持ガラス基板であることを特徴とする。また、加工基板が、少なくとも封止材でモールドされた半導体チップを備えることが好ましい。上述した構成を満たすガラス基板は、ヤング率が高いため積層体の剛性を維持し易く、加工基板の変形、反り、破損等の発生を抑制することができる。したがって、本発明の積層体は、加工基板の加工処理の信頼性低下を抑制することができる。
本発明の積層体は、加工基板と支持ガラス基板の間に、接着層を有することが好ましい。接着層は、樹脂であることが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化樹脂)等が好ましい。またfan out型のWLPの製造工程における熱処理に耐える耐熱性を有するものが好ましい。これにより、fan out型のWLPの製造工程で接着層が融解し難くなり、加工処理の精度を高めることができる。なお、加工基板と支持ガラス基板を容易に固定するため、紫外線硬化型テープを接着層として使用することもできる。
本発明の積層体は、更に加工基板と支持ガラス基板の間に、より具体的には加工基板と接着層の間に、剥離層を有すること、或いは支持ガラス基板と接着層の間に、剥離層を有することが好ましい。このようにすれば、加工基板に対して、所定の加工処理を行った後に、加工基板を支持ガラス基板から剥離し易くなる。加工基板の剥離は、生産性の観点から、紫外レーザー光等の照射光により行うことが好ましい。
剥離層は、レーザー光等の照射光により「層内剥離」又は「界面剥離」が生じる材料で構成される。つまり一定の強度の光を照射すると、原子又は分子における原子間又は分子間の結合力が消失又は減少して、アブレーション(ablation)等を生じ、剥離を生じさせる材料で構成される。なお、照射光の照射により、剥離層に含まれる成分が気体となって放出されて分離に至る場合と、剥離層が光を吸収して気体になり、その蒸気が放出されて分離に至る場合とがある。
本発明の積層体において、支持ガラス基板は、加工基板よりも大きいことが好ましい。これにより、加工基板と支持ガラス基板を支持する際に、両者の中心位置が僅かに離間した場合でも、支持ガラス基板から加工基板の縁部が食み出し難くなる。
本発明の積層体の製造方法は、上記の支持ガラス基板を用意する工程と、加工基板を用意する工程と、支持ガラス基板と加工基板を積層して、積層体を得る工程と、を備えることを特徴とする。これにより、加工基板の加工処理の信頼性低下を抑制することができる積層体を製造することができる。
本発明の半導体パッケージの製造方法は、上記の積層体を用意する工程と、加工基板に対して、加工処理を行う工程と、を有することを特徴とする。言い換えると、本発明の半導体パッケージの製造方法は、少なくとも加工基板と加工基板を支持するための支持ガラス基板とを用意する工程と、加工基板に対して、加工処理を行う工程と、を有すると共に、支持ガラス基板が上記の支持ガラス基板であることを特徴とする。
本発明の半導体パッケージの製造方法は、更に積層体を搬送する工程を有することが好ましい。これにより、加工処理の処理効率を高めることができる。なお、「積層体を搬送する工程」と「加工基板に対して、加工処理を行う工程」とは、別途に行う必要はなく、同時であってもよい。
本発明の半導体パッケージの製造方法において、加工処理は、加工基板の一方の表面に配線する処理、或いは加工基板の一方の表面に半田バンプを形成する処理が好ましい。本発明の半導体パッケージの製造方法では、これらの処理時に加工基板が寸法変化し難いため、これらの工程を適正に行うことができる。
加工処理として、上記以外にも、加工基板の一方の表面(通常、支持ガラス基板とは反対側の表面)を機械的に研磨する処理、加工基板の一方の表面(通常、支持ガラス基板とは反対側の表面)をドライエッチングする処理、加工基板の一方の表面(通常、支持ガラス基板とは反対側の表面)をウェットエッチングする処理の何れかであってもよい。なお、本発明の半導体パッケージの製造方法では、加工基板に反りが発生し難いと共に、積層体の剛性を維持することができる。結果として、上記加工処理を適正に行うことができる。
図面を参酌しながら、本発明を更に説明する。
図1は、本発明の積層体1の一例を示す概念斜視図である。図1では、積層体1は、支持ガラス基板10と加工基板11とを備えている。支持ガラス基板10は、加工基板11の寸法変化を防止するために、加工基板11に貼着されている。支持ガラス基板10と加工基板11との間には、剥離層12と接着層13が配置されている。剥離層12は、支持ガラス基板10と接触しており、接着層13は、加工基板11と接触している。
つまり、積層体1は、支持ガラス基板10、剥離層12、接着層13、加工基板11の順に積層配置されている。支持ガラス基板10の形状は、加工基板11に応じて決定されるが、図1では、支持ガラス基板10及び加工基板11の形状は、何れも略円板形状である。剥離層12は、例えばレーザーを照射することで分解する樹脂を使用することができる。また、レーザー光を効率よく吸収し、熱に変換する物質を樹脂に添加することもできる。例えば、カーボンブラック、グラファイト粉、微粒子金属粉末、染料、顔料等である。剥離層12は、プラズマCVDや、ゾル-ゲル法によるスピンコート等により形成される。接着層13は、樹脂で構成されており、例えば、各種印刷法、インクジェット法、スピンコート法、ロールコート法等により塗布形成される。また、紫外線硬化型テープも使用可能である。接着層13は、剥離層12により加工基板11から支持ガラス基板10が剥離された後、溶剤等により溶解除去される。紫外線硬化型テープは、紫外線を照射した後、剥離用テープにより除去可能である。
図2は、fan out型のWLPの製造工程を示す概念断面図である。図2(a)は、支持部材20の一方の表面上に接着層21を形成した状態を示している。必要に応じて、支持部材20と接着層21の間に剥離層を形成してもよい。次に、図2(b)に示すように、接着層21の上に複数の半導体チップ22を貼付する。その際、半導体チップ22のアクティブ側の面を接着層21に接触させる。次に、図2(c)に示すように、半導体チップ22を樹脂の封止材23でモールドする。封止材23は、圧縮成形後の寸法変化、配線を成形する際の寸法変化が少ない材料が使用される。続いて、図2(d)、(e)に示すように、支持部材20から半導体チップ22がモールドされた加工基板24を分離した後、接着層25を介して、支持ガラス基板26と接着固定させる。その際、加工基板24の表面の内、半導体チップ22が埋め込まれた側の表面とは反対側の表面が支持ガラス基板26側に配置される。このようにして、積層体27を得ることができる。なお、必要に応じて、接着層25と支持ガラス基板26の間に剥離層を形成してもよい。更に、得られた積層体27を搬送した後に、図2(f)に示すように、加工基板24の半導体チップ22が埋め込まれた側の表面に配線28を形成した後、複数の半田バンプ29を形成する。最後に、支持ガラス基板26から加工基板24を分離した後に、加工基板24を半導体チップ22毎に切断し、後のパッケージング工程に供される(図2(g))。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1~3は、本発明の実施例(試料No.1~22)及び比較例(試料No.23)を示している。
はじめに、表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れ、1400~1700℃で3~24時間溶融した。ガラスバッチの溶解に際しては、白金スターラーを用いて攪拌し、均質化を行った。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、板状に成形した後、徐冷点より20℃程度高い温度から、3℃/分で常温まで徐冷した。得られた各試料について、密度ρ、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数CTE30-380、ヤング率E、ガラス転移点Tg、屈伏点Tf、歪点Ps、徐冷点Ta、軟化点Ts、高温粘度104.0dPa・sにおける温度、高温粘度103.0dPa・sにおける温度、高温粘度102.5dPa・sにおける温度、高温粘度102.0dPa・sにおける温度、液相温度TL、液相粘度logη及び厚み1mm換算、254nmにおける透過率T254を評価した。
密度ρは、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数CTE30-380、ガラス転移点Tg、屈伏点Tfは、ディラトメーターで測定した値である。
ヤング率Eは、共振法により測定した値を指す。
歪点Ps、徐冷点Ta、軟化点Tsは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s、102.5dPa・s及び102.0dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を顕微鏡観察にて測定した値である。液相粘度logηは、液相温度TLにおけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
厚み1mm換算、254nmにおける透過率T254は、ダブルビーム型分光光度計を用いて測定した反射損失を含む値である。測定試料として、両面を光学研磨面(鏡面)に研磨したものを使用した。なお、AFMにより、これらの測定試料のガラス表面の表面粗さRaを測定したところ、測定領域5μm×5μmで0.5~1.0nmであった。
表中から明らかなように、試料No.1~22は、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が40×10-7~60×10-7/℃の範囲内であり、液相温度TLが1168℃以下と低く耐失透性が高かった。また、ヤング率が81GPa以上と高くなった。さらに、厚み1mm換算、254nmにおける透過率T254が19%以上と高くなった。よって、試料No.1~22は、上記熱膨張係数を有する支持ガラス基板として好適であると考えられる。一方、試料No.23は、目的とする熱膨張係数が得られなかった。また、液相温度TLが1331℃より高く、耐失透性が低くなった。
はじめに、表中に記載の試料No.1~22に記載のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉に供給して1400~1700℃で溶融し、次いで溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー成形装置に供給し、板厚が0.8mmになるようにそれぞれ成形した。得られたガラス基板について、両表面を機械研磨して、全体板厚偏差(TTV)を1μm未満に低減した。得られたガラス基板をφ300mm×0.8mm厚に加工した後、その両表面を研磨装置により研磨処理した。具体的には、ガラス基板の両表面を外径が相違する一対の研磨パットで挟み込み、ガラス基板と一対の研磨パッドを共に回転させながらガラス基板の両表面を研磨処理した。研磨処理の際、時折、ガラス基板の一部が研磨パッドから食み出すように制御した。なお、研磨パッドはウレタン製、研磨処理の際に使用した研磨スラリーの平均粒径は2.5μm、研磨速度は15m/分であった。得られた各研磨処理済みガラス基板について、コベルコ科研社製のBow/Warp測定装置SBW-331ML/dにより全体板厚偏差(TTV)と反り量を測定した。その結果、全体板厚偏差(TTV)がそれぞれ0.85μm以下であり、反り量がそれぞれ35μm以下であった。
1、27 積層体
10、26 支持ガラス基板
11、24 加工基板
12 剥離層
13、21、25 接着層
20 支持部材
22 半導体チップ
23 封止材
28 配線
29 半田バンプ

Claims (14)

  1. 加工基板を支持するための支持ガラス基板であって、
    ガラス組成として、モル%で、SiO 40~80%、Al 0~25%、B 0.1~25%、LiO+NaO+KO 0~5%、MgO 0~25%、CaO 14.5~30%、SrO 0~10%、BaO 0~10%を含有し、モル比(SiO+Al)/Bが1.6~7.6、(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が0.16以上である、支持ガラス基板。
  2. ガラス組成として、モル%で、SiO 45~70%、Al 7~15%、B 8~14%、LiO+NaO+KO 0~5%、MgO 0~6%、CaO 14.5~30%、SrO 0~5%、BaO 0~5%を含有し、モル比(SiO+Al)/Bが3.8~7.6、(SrO+BaO)/(MgO+CaO)が0.17以上である、請求項1に記載の支持ガラス基板。
  3. 30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が40×10-7~60×10-7/℃である、請求項1又は2に記載の支持ガラス基板。
  4. 厚み1mm換算、254nmにおける反射損失を含む透過率が5%以上である、請求項1又は2に記載の支持ガラス基板。
  5. ヤング率が70GPa以上である、請求項1又は2に記載の支持ガラス基板。
  6. 液相粘度が104.0dPa・s以上である、請求項1又は2に記載の支持ガラス基板。
  7. 高温粘度102.5dPa・sにおける温度が1600℃未満である、請求項1又は2に記載の支持ガラス基板。
  8. 直径100~500mmのウエハ形状を有し、板厚が2mm未満であり、全体板厚偏差(TTV)が5μm以下であり、且つ反り量が60μm以下である、請求項1又は2に記載の支持ガラス基板。
  9. 少なくとも加工基板と加工基板を支持するための支持ガラス基板とを備える積層体であって、
    支持ガラス基板が請求項1又は2に記載の支持ガラス基板である、積層体。
  10. 加工基板が、少なくとも封止材でモールドされた半導体チップを備える、請求項9に記載の積層体。
  11. 請求項1又は2に記載の支持ガラス基板を用意する工程と、
    加工基板を用意する工程と、
    前記支持ガラス基板と前記加工基板を積層して、積層体を得る工程と、を備える、積層体の製造方法。
  12. 請求項9に記載の積層体を用意する工程と、
    加工基板に対して、加工処理を行う工程と、を有する、半導体パッケージの製造方法。
  13. 加工処理が、加工基板の一方の表面に配線する工程を含む、請求項12に記載の半導体パッケージの製造方法。
  14. 加工処理が、加工基板の一方の表面に半田バンプを形成する工程を含む、請求項12に記載の半導体パッケージの製造方法。
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