JP2024068359A - 高周波誘電加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 MHz帯域の高周波電界を印加して冷凍食品を解凍する高周波誘電加熱装置において、冷凍食品の端部や角部、突起部などの過加熱を抑制し、解凍時間の短縮と解凍品質の向上を両立させる。【解決手段】 被加熱物を収納する加熱室と、前記被加熱物を挟むように対向配置された一対の電極と、前記被加熱物の温度を検知する温度センサと、MHz帯域の高周波電力を出力する高周波電源と、該高周波電源の出力を増幅して前記一対の電極間に印加する増幅部と、前記一対の電極間に印加される電圧値を検知する電圧検知部と、前記被加熱物に生じる発熱量を計算する演算部と、該演算部が計算した前記発熱量が上昇から減少に転じた時点で、前記増幅部の増幅率を低減する制御部と、を備える高周波誘電加熱装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、高周波誘電加熱装置に係り、特にMHz帯域の高周波電界を冷凍食品に印加し、誘電加熱により冷凍食品を解凍する高周波解凍装置に関する。
食品の加工工場等では、冷凍状態の食材を解凍して食品を加工する場合がある。この種の工場等で使用される食材解凍機の一種として、対向する電極の間に配置した冷凍食品にMHz帯域の高周波電界を印加し、誘電加熱により冷凍食品を解凍する高周波解凍装置が知られている(例えば、特許文献1)。
ここで、高周波誘電加熱とは、被加熱物である誘電体(食材)に高周波電界を印加し、被加熱物を構成する極性分子(水分子等)の振動等に起因する自己発熱(誘電損失)により、被加熱物を内部から加熱する技術である。
一般的な家庭用の電子レンジでは、マイクロ波(GHz帯域の電界)による誘電加熱を利用するが、マイクロ波による誘電加熱は氷と水の発熱差が大きいため、家庭用の電子レンジで冷凍食品を解凍すると、食品表層部の融解した部分が著しく発熱することで大きな加熱ムラが生じるとういう問題がある。
一方、マイクロ波よりも低い周波数帯域(MHz帯域)の高周波電界を使用する、主に業務用の高周波誘電加熱装置では、一般的な電子レンジよりも、高周波エネルギーの食材への浸透深度が深く、また、氷と水の発熱量の差も小さいため、加熱ムラが生じ難いという利点がある。
例えば、特許文献1の要約書には、「高周波解凍装置は、加熱室1と、加熱室1内に平行に配置され、間に被解凍物3が挿入される上部電極2aおよび下部電極2bと、上部電極2aと下部電極2bとの間に高周波電圧を印加する高周波電源4および整合回路6と、印加された高周波電圧の反射電力を検知する電力検知回路5と、電力検知回路5の検知信号の解凍開始時からの変化に基づいて被解凍物の進捗状態を推定して解凍の完了を判定し、判定に基づいて高周波電源4を制御する制御装置7と、を備える。」の記載があり、同文献の段落0002には、「MHz以上の高周波を印加して、誘電加熱にて冷凍された食品等の被解凍物を解凍する高周波解凍装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。高周波解凍装置は、加熱室内に上部電極と下部電極とを備え、高周波電源から両電極間に高周波電界を与え、被解凍物の誘電損失により解凍を行う。誘電加熱方式は、平行電界が冷凍食品の内部に均等に到達するため、電子レンジによるマイクロ波を用いた解凍に比べて、大型の被解凍物の解凍に適している。」との記載がある。
すなわち、特許文献1の高周波解凍装置では、MHz帯域の高周波電界を使用することにより、マイクロ波(GHz帯域)を使用する電子レンジでの解凍に比べ、被解凍物の内部をほぼ均等に解凍することができる。
また、高周波誘電加熱による食材の解凍中には、解凍の進行に伴う食材の誘電損失の変化により、食材や電極を含む負荷側のインピーダンスは大きく変化するという問題がある。そこで、高周波電源の出力インピーダンスと、食材など被加熱物を含む負荷側のインピーダンスを略同一にすることで、高周波電源に戻る反射電力(反射波)をほぼ無くして食材の加熱効率を向上させるため、高周波電源と電極の間に可変コンデンサや可変コイルから構成される整合回路が備わっており、出力側と負荷側のインピーダンスの整合(マッチング)を維持するようにしている。
この点に関し、特許文献1の段落0020には、「制御装置7は、入力電極から反射電力をさし引いた電力が常に一定になるように、高周波電源4の出力を制御して、反射電力の増加に合わせて入射電力を増加させる。」との記載があり(上記の引用文にて、「入力電極」は入射電力の誤記と思われる)、同文献の段落0021には、「制御装置7は、入射電力(FW)に対する反射電力(RW)の比率RW/FWが閾値Xを超えると、整合回路6において可変コンデンサ6a、6b、可変コイル6c等を調整し、反射電力を0Wにする。このようなインピーダンス調整は、比率が閾値Xを超える毎に繰り返し行われる。」との記載がある。
特開2020-145114号公報
特許文献1のように、MHz帯域の高周波電界を印加して食材を解凍する際に、出力側と負荷側のインピーダンス整合を維持し、反射電力を無くして高周波電源からの出力電力のほぼ全てを食材に投入させ続けると、加熱効率は向上して解凍時間は短くなるが、食材の端部や角部、突起部などに次第に電界が集中してしまい、MHz帯域の高周波誘電加熱においても食材の端部や角部、突起部などは過加熱されてしまうという問題が発生する。このようにして発生した過加熱に伴う温度ムラは解凍品質の低下に直接繋がることから、解凍時間を短くしつつ過加熱を抑制することが課題となっている。
しかしながら、特許文献1では、このような食材端部や角部、突起部の過加熱を抑制する技術については言及されておらず、解凍時間の短縮と過加熱の抑制を両立させることは困難である。
そこで本発明は、MHz帯域の高周波電界を用いて冷凍食品等を解凍する際に、冷凍食品の解凍時間を短縮しつつ、食材の端部や角部、突起部などの過加熱を抑制し、解凍品質を向上させることができる高周波誘電加熱装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下の通りである。
被加熱物を収納する加熱室と、前記被加熱物を挟むように対向配置された一対の電極と、前記被加熱物の温度を検知する温度センサと、MHz帯域の高周波電力を出力する高周波電源と、該高周波電源の出力を増幅して前記一対の電極間に印加する増幅部と、前記一対の電極間に印加される電圧値を検知する電圧検知部と、前記被加熱物に生じる発熱量を計算する演算部と、該演算部が計算した前記発熱量が上昇から減少に転じた時点で、前記増幅部の増幅率を低減する制御部と、を備える高周波誘電加熱装置。
本発明の高周波誘電加熱装置により、MHz帯域の高周波電界を用いて冷凍食品等を解凍する際に、冷凍食品の解凍時間を短縮しつつ、食材の端部や角部、突起部などの過加熱を抑制し、解凍品質を向上させることが可能となる。
一実施例の高周波誘電加熱装置の概略構成図。 図1の演算部に格納される食材毎の誘電特性データの概念図。 経過時間と食材温度または電極間電圧の関係を示すグラフ。 食材温度と食材の発熱量の関係を示すグラフ。 食材発熱量の減少時に増幅部の増幅率を低減させる制御の一例。 一実施例の高周波誘電加熱装置における処理フローチャート。
以下、図面を用いて、本発明の高周波誘電加熱装置の実施例について説明する。
なお、以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものでは無く、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において、当業者による様々な変更および修正が可能である。
また、本発明は、ステーキ肉店、焼き肉店、回転寿司を含む寿司店、居酒屋、ファミリーレストラン等の外食店舗のバックヤード等に高周波解凍装置を設置し、入店する客数に応じて予め貯蔵している冷凍状態の食材や食品(牛肉、鶏肉、魚肉、ケーキ、デザート等)を短時間で解凍して来店客に料理を提供する場合や、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の小売店舗のバックヤード等に高周波解凍装置を設置し、入店する客数に応じて予め貯蔵している弁当や惣菜等の冷凍食品を短時間で解凍し、小売店舗内の陳列棚に冷蔵チルド品として並べる場合等を想定したものであるが、本発明の高周波誘電加熱装置の用途は列挙した用途に限定されるものではない。
<高周波誘電加熱装置100の概略構成>
図1は、本発明の一実施例に係る高周波誘電加熱装置100の概略構成図である。本図に示すように、高周波誘電加熱装置100は、加熱室1と、高周波電源2と、増幅部3と、整合部4と、電力検知部5と、電圧検知部6と、演算部7と、制御部8と、図示しない操作部と表示部を有する。以下、各部の詳細を順次説明する。
加熱室1は、被加熱物である冷凍食品(以下、食材Fと称する。)を収納して誘電加熱により解凍するための箱体であり、電極11、載置台12、重量センサ13、温度センサ14、および、食材Fの出し入れに際し開閉するドア(図示せず)を有する。
電極11は、加熱室1に収納した食材Fを挟むように対向配置した一対の非磁性金属板(アルミニウム合金板、ステンレス鋼板等)であり、例えば、加熱室1の上部に配置した上部電極11aと、加熱室1の下部に配置した下部電極11bである。このような構成の高周波誘電加熱装置100では、上部電極11aと下部電極11bの間にMHz帯域の高周波電界を発生させることで、両電極間に配置した食材Fを誘電加熱して解凍することができる。
なお、上部電極11aと下部電極11bは固定されたものであっても良いし、図示しない昇降装置によって上下方向に移動可能な構成であっても良い。解凍時間の短縮化には、上部電極11aを食材Fになるべく近づける配置が望ましいので、昇降装置を用いる構成の場合、食材Fの厚さや形状に応じて、上部電極11aを食材Fに近接させることで加熱効率を向上させて、解凍時間を短縮化することができる。
載置台12は、食材Fを載置するための台であり、具体的には、誘電加熱によっては熱せられない、セラミックス製や耐熱樹脂製の容器、皿、板などである。
重量センサ13は、載置台12に載置した食材Fの重量を自動で検知し、後述する演算部7へ送信するセンサである。
温度センサ14は、載置台12に載置した食材Fの温度(以下、食材温度Tと称する。)を自動で検知し、後述する演算部7へ送信するセンサである。なお、この温度センサ14は、例えば、食材Fが放射する輻射熱を食材温度Tに換算する放射温度計などである。
高周波電源2は、MHz帯域の高周波電力を出力する電源である。
増幅部3は、高周波電源2が出力した高周波電力を、後述する制御部8が指定する増幅率で増幅するアンプ回路である。制御部8による増幅率制御の詳細は後述することとする。
整合部4は、高周波電源2の出力インピーダンスと、食材Fおよび電極11を含む負荷側のインピーダンスの整合(マッチング)をとる回路である。特許文献1でも説明されたように、食材Fの解凍の進行に伴い食材Fの誘電損失が大きく変化するため、食材Fの解凍中には負荷(食材Fと電極11)のインピーダンスも大きく変化する。そこで、整合部4が内蔵する可変コイルと可変コンデンサを適当に調整することにより、高周波電源2の出力インピーダンスと、負荷(食材Fと電極11)のインピーダンスを略同一にし、整合部4から高周波電源2に戻る反射電力(反射波)をほぼ無くすことで、食材Fの加熱効率を向上させることが可能となる。
電力検知部5は、整合部4の整合状態に基づいて、高周波電源2と増幅部3から整合部4に入射する進行電力(入射波)と、整合部4から増幅部3と高周波電源2に戻る反射電力(反射波)を検知し、後述する制御部8へ送信する。
電圧検知部6は、電極11間に印加される電圧値(下部電極11bが接地された図1の構成では、上部電極11aに印加される電圧値)を検知し、後述する演算部7へ送信する。
演算部7は、重量センサ13、温度センサ14、電圧検知部6の各出力情報や、後述する食材毎の誘電特性データ等に基づき、解凍時間の目安tを自動で計算したり、解凍中の食材Fに生じる発熱量Qを自動で計算したりする。ここでの発熱量Qの演算方法の詳細は後述する。
制御部8は、電力検知部5や演算部7からの各出力情報に基づき、増幅部3の出力調整や、整合部4の整合調整を行う。ここでの出力調整や整合調整の詳細は後述する。
なお、演算部7と制御部8は、具体的には、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の記憶装置、および、通信装置などのハードウェアを備えたコンピュータである。そして、演算装置が所定のプログラムを実行することで、後述する各機能を実現するが、以下では、このような周知技術を適宜省略しながら説明する。
上記した構成の高周波電源2と増幅部3により、MHz帯域の高周波電力が発振され、整合部4を介して、上部電極11aから食材Fに高周波電界が印加される。前述したように、MHz帯域の高周波電界は電子レンジで使用されるマイクロ波(GHz帯域)に比べ、食材Fの内部深くまで到達し易いという特性があるため、本実施例の高周波電源2を用いることで、食材Fの均質な解凍を促進することができる。
<演算部7による、発熱量Qの演算方法>
次に、演算部7による、食材Fに生じる発熱量Qの演算方法を詳細に説明する。
図2は、本実施例の演算部7に格納される、食材毎の誘電特性データの概念図である。ここに例示する食材Fの誘電特性データは、食材温度Tに対する比誘電率ε’の特性データと、食材温度Tに対する誘電損率ε''の特性データである。なお、誘電損率ε''とは、食材Fでの誘電体損(発熱)の割合を示す指標である。これらの誘電特性データは何れも、食材毎(より厳密には、食材の部位毎)に固有の値をとるが、両者共に、マイナス温度帯において温度の上昇に伴い少しずつ大きくなり、概ねマイナス5℃前後付近から急激に上昇する傾向にある。
本実施例では、解凍対象の各食材(図2の例では食材Fa~Fcの3種類)の誘電特性データを演算部7に予め格納している。そのため、加熱室1に収納した食材Fが何れに該当するかをユーザが事前に指定すれば、演算部7は、温度センサ14が検知した食材温度Tに応じた比誘電率ε’、誘電損率ε''の値を、指定された食材Fの誘電特性データに基づいて求めることができる。また、演算部7は、求めた比誘電率ε’、誘電損率ε''に基づいて、食材Fの現時点の誘電加熱量(すなわち、発熱量Q)を演算することができる。以下、演算部7での食材Fの発熱量Qの演算方法を具体的に説明する。
誘電加熱により食材Fに生じる発熱量Q(W/m)は(式1)で与えられる。ここで、(式1)のfは高周波電源2が出力する高周波電力の周波数(Hz)、εは真空の誘電率(=8.854×10-12F/m)、Eは電極11が食材Fに印加する電界強度(V/m)である。
Figure 2024068359000002
また、図1の高周波誘電加熱装置100のように、上部電極11aと下部電極11bの間に食材Fと空気層が配置されるとき、食材Fに印加される電界強度E(V/m)は(式2)で与えられる。ここで、(式2)のVは上下電極間の電圧(V)、dは空気層の厚さ(m)、dは食材Fの厚さ(m)である。
Figure 2024068359000003
(式2)を(式1)に代入すると、発熱量Q(W/m)は(式3)で表される。
Figure 2024068359000004
従って、本実施例の演算部7は、電圧検知部6で検知した上下電極間の電圧Vと、温度センサ14で検知した食材温度Tと、解凍中の食材Fに対応する誘電特性データ(図2参照)と、(式3)を利用することで、食材Fの現時点の発熱量Qを演算することができる。そして、発熱量Qを時系列で演算することで、演算部7は発熱量Qの経時変化を記憶することができる。なお、発熱量Qの値を演算する際、(式3)のdには解凍中の食材Fに対応する所与の標準値を代入すれば良く、dには装置仕様で定まる所与の値を代入すれば良い。
<冷凍マグロ柵の解凍中の食材温度Tと発熱量Qの関係>
次に、図3、図4を用いて、冷凍マグロの柵を解凍する場合の食材温度Tと発熱量Qの関係を説明する。
図3は、冷凍マグロ柵(約200g)をMHz帯域の高周波誘電加熱により解凍した場合の、食材温度Tの時間変化の測定結果(破線)と、電極間電圧Vの時間変化の測定結果(実線)の一例を併記したグラフである。上記したように、食材加熱中の制御部8は、整合部4から高周波電源2に戻る反射電力(反射波)を抑制するように、整合部4が内蔵する可変コイルと可変コンデンサを調整する。その影響により、冷凍マグロ柵を解凍中の電極間電圧Vは、図3の実線グラフで示すように、一時的に下降した後、上昇するような形態をとる。なお、図3の破線グラフ上部に示すように、食材温度Tが約マイナス5℃~マイナス1℃の温度帯は、解凍時の温度上昇が緩慢になる温度帯であり、最大氷結晶生成帯と呼ばれる。
本実施例の高周波誘電加熱装置100では、電圧検知部6により上部電極11aの電圧値(電極間電圧V)を取得でき、温度センサ14により食材温度Tを取得できる。そのため、電圧検知部6と温度センサ14の出力が入力される演算部7では、図3に例示するようなデータ対を素材として、食材温度Tの変化に対する電極間電圧Vの変化のデータを得ることができる。
さらに、本実施例の演算部7では、(1)冷凍マグロ柵の誘電特性データ(図2参照)から取得した食材温度Tに対する比誘電率ε’と誘電損率ε''、(2)電圧検知部6で検知した電極間電圧Vのデータ、および、(式3)に基づいて、所定の食材温度Tが検知された時点の食材Fに生じる発熱量Qを演算することができる。
このような発熱量Qの演算を所定時間継続することで、演算部7は、図4に示すような、冷凍マグロ柵の食材温度Tと発熱量Qの関係を示すグラフを取得することができる。本例では、食材温度Tがマイナス20℃からマイナス10℃まで上昇する過程では発熱量Qが徐々に上昇し、その後、発熱量Qが急激に増大して最大氷結晶生成帯(マイナス5℃~マイナス1℃)の手前付近で最大となることが分かる。
従って、本実施例の高周波誘電加熱装置100においては、増幅部3の増幅率を大きく設定して解凍を開始し、食材Fの発熱量Qの変化が増大から減少に転じる時点(発熱量Qの最大点)を演算部7で検知し、その時点で増幅部3の増幅率を低減すれば、食材Fの解凍時間を短縮しつつ、食材Fの発熱量Qが急減する温度帯での誘電加熱エネルギーの過剰供給に伴う食材Fの局所的な過加熱を抑制できることが分かる。
なお、図4では、発熱量Qが最大となる食材温度Tが最大氷結晶生成帯より低い温度であるが、食材Fの種類や電極間の電圧値によっては、発熱量Qが最大となる食材温度Tが最大氷結晶生成帯に含まれることもある。
<制御部8による制御方法>
次に、上記した機序を応用して、食材Fの局所的な過加熱を抑制するための制御部8による制御内容を具体的に説明する。
図5(a)は、温度センサ14で検知した食材温度Tと、演算部7で計算した解凍中の食材Fに生じる発熱量Qの関係を示すグラフである。なお、図中のQmaは、ある時刻tに検知した食材温度TFaに基づいて算出した、発熱量の最大値である。また、Qmb(ただし、Qma > Qmb)は、前述の時刻tの次の制御周期である時刻tに検知した食材温度TFb(ただし、TFa < TFb)に基づいて算出した発熱量である。従って、この例では、時刻tと時刻tの間の何れかの時点で、食材Fの発熱量Qが増加から減少に転じていることになる。
また、図5(b)は、温度センサ14で検知した食材温度Tと、増幅部3の増幅率の関係を示すグラフである。図5(a)と図5(b)の比較から分かるように、本実施例の制御部8は、食材Fの発熱量Qが増加から減少に転じたことを演算部7が検知した時刻tの時点で、増幅部3に設定する増幅率を初期値より低減させている。
このように増幅部3に設定する増幅率を切り替えることにより、解凍開始時に設定した高い増幅率で増幅された高周波電界により食材Fの解凍時間を短縮させつつ、発熱量Qの減少の検知後に設定した低い増幅率で増幅された高周波電界により食材Fの端部や角部、突起部などの過加熱を抑制することが可能となる。従って、本実施例により、冷凍食品の解凍の時短と解凍品質向上の両立を実現することができる。
なお、食材Fの解凍中には、食材Fの厚さdと空気層の厚さdは一定であるため、上記した(式3)で計算される発熱量Qの増減は、変数である、食材Fの誘電特性データ(比誘電率ε’、誘電損率ε'')と、電極間電圧Vだけの影響を受ける。従って、食材Fの厚さdや空気層の厚さdが不明であっても、それらを任意の固定値と仮定して計算した発熱量Qの増減から、増幅部3に設定する増幅率を切り替えるべき適切なタイミング(前述の時刻t)を検知することができる。
<フローチャート>
次に、図6のフローチャートを用いて、ユーザによる操作と、高周波誘電加熱装置100による解凍動作の一例について説明する。
まず、ステップS1では、ユーザは、加熱室1のドアを開き、載置台12に冷凍された食材Fを載置した後、加熱室1のドアを閉じる。
ステップS2では、重量センサ13は、食材Fの重量を自動で検知し、温度センサ14は、初期の食材温度Tを自動で検知する。なお、温度センサ14による検知は、以後も継続されるものとする。
ステップS3では、演算部7は、ステップS2で検知した食材重量と初期の食材温度Tに基づき、解凍時間の目安t(秒)を演算し、その演算結果を高周波誘電加熱装置100の前面の表示部に表示する。
ステップS4では、ユーザは、操作部を操作して、食材Fの種類に応じた解凍メニュー番号を登録する。これにより、演算部7は、予め格納されている複数の誘電特性データ(図2参照)から、加熱室1に収納された食材Fに対応する誘電特性データを選択することができる。
ステップS5では、ユーザは、操作部を操作して、解凍開始を指令する。この指令を受けた制御部8の制御により、高周波電源2は、MHz帯域の高周波電力の出力を開始する。また、増幅部3は、制御部8の制御により初期設定された高い増幅率で、高周波電源2が出力した高周波電力を増幅する。これにより、ある一定の高周波出力電力により食材Fの解凍が開始される。
ステップS6では、演算部7は、電圧検知部6と温度センサ14の出力に基づき、食材温度Tと電極間電圧Vの観測を開始する(図3参照)。
ステップS7では、演算部7は、ステップS4で選択した誘電特性データ(図2参照)と、温度センサ14が検知した現時点の食材温度Tに基づいて、現時点の食材温度Tに対する比誘電率ε’と誘電損率ε''を演算する。また、演算部7は、現時点の食材温度Tと電極間電圧V、および、本ステップ前半で取得した比誘電率ε’と誘電損率ε''を、前述の(式3)に代入し、食材Fに生じる発熱量Qを演算する。
ステップS8では、演算部7は、今回の制御周期に演算した発熱量Qと、前回の制御周期に演算した発熱量Qを比較し、発熱量の変化が増大から減少に転じたかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS8を繰り返し、要件を満たす場合は、ステップS9に進む。
ステップS9では、制御部8は、増幅部3に設定する増幅率を、初期値よりも小さいものに切り替える(図5参照)。これにより、増幅部3からの高周波出力が初期のものより低減される。これにより、食材Fの端部や角部、突起部などの過加熱が抑制される。
ステップS10では、制御部8は、解凍開始からの経過時間が、ステップS3で定めた解凍時間の目安tに達したかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS10を繰り返し、要件を満たす場合は、ステップS11に進む。
ステップS11では、制御部8は、高周波電源2をOFFし解凍を完了する。
<本実施例の効果など>
以上で説明した本実施例の高周波誘電加熱装置により、MHz帯域の高周波電界を用いて冷凍食品等を解凍する際に、冷凍食品の解凍時間を短縮しつつ、食材の端部や角部、突起部などの過加熱を抑制し、解凍品質を向上させることが可能となる。なお、以上の実施例では、食材Fを解凍する高周波誘電加熱装置を例示したが、本発明の高周波誘電加熱装置は、食材以外を解凍対象とするものであっても良い。
100 高周波誘電加熱装置
1 加熱室
11 電極
11a 上部電極
11b 下部電極
12 載置台
13 重量センサ
14 温度センサ
2 高周波電源
3 増幅部
4 整合部
5 電力検知部
6 電圧検知部
7 演算部
8 制御部
F 食材

Claims (5)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と、
    前記被加熱物を挟むように対向配置された一対の電極と、
    前記被加熱物の温度を検知する温度センサと、
    MHz帯域の高周波電力を出力する高周波電源と、
    該高周波電源の出力を増幅して前記一対の電極に印加する増幅部と、
    前記一対の電極間に印加される電圧値を検知する電圧検知部と、
    前記被加熱物に生じる発熱量を計算する演算部と、
    該演算部が計算した前記発熱量が上昇から減少に転じた時点で、前記増幅部の増幅率を低減する制御部と、
    を備えることを特徴とする高周波誘電加熱装置。
  2. 請求項1に記載の高周波誘電加熱装置において、
    前記演算部には、前記被加熱物の種類に応じた誘電特性データが予め格納されていることを特徴とする高周波誘電加熱装置。
  3. 請求項2に記載の高周波誘電加熱装置において、
    前記誘電特性データは、前記被加熱物の温度に対する比誘電率の特性データと、前記被加熱物の温度に対する誘電損率の特性データであることを特徴とする高周波誘電加熱装置。
  4. 被加熱物を収納する加熱室と、
    前記被加熱物を挟むように対向配置された一対の電極と、
    前記被加熱物の温度を検知する温度センサと、
    MHz帯域の高周波電力を出力する高周波電源と、
    該高周波電源の出力を増幅して前記一対の電極間に印加する増幅部と、
    前記一対の電極間に印加される電圧値を検知する電圧検知部と、
    前記被加熱物の種類に応じた誘電特性データが予め格納されており、選択された誘電特性データに基づいて前記被加熱物に生じる発熱量を計算する演算部と、
    該演算部が計算した前記発熱量の変化に応じて、前記増幅部の増幅率を低減する制御部と、
    を備えることを特徴とする高周波誘電加熱装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の高周波誘電加熱装置において、
    前記高周波電源の出力インピーダンスと、前記被加熱物を含む負荷側インピーダンスの整合をとる整合部を更に備えることを特徴とする高周波誘電加熱装置。
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