JP2024066922A - 中空構造体内部にポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が充填されてなる断熱材 - Google Patents

中空構造体内部にポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が充填されてなる断熱材 Download PDF

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Abstract

【課題】 中空構造体への充填性が良く、高い断熱性能を両立する、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が中空構造体内部に充填された断熱材を提供する。【解決手段】 ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体と中空構造体とからなる断熱材であって、前記ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が中空構造体内部に充填されていることを特徴とする、断熱材。【選択図】なし

Description

本発明は、中空構造体内部にポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が充填されてなる断熱材に関する。
近年、引違い戸式、若しくは開き戸式の開閉窓、又は嵌め殺し窓等における窓枠や框等によって構成されるサッシにおいては、旧来のアルミニウム製に代わり、断熱性、耐腐食性に優れた合成樹脂製が省エネの観点から普及し始めている。
一方、防災上の観点から建物の不燃化が進められており、火災時における窓からの類焼を避けるために、窓の外部から迫る火災または輻射熱による着火等による類焼を防止することが重要な課題となっている。
既成のサッシに対しても、防火性能や断熱性能を付与するため、窓枠や框等のサッシの中空構造体を有する中空構造部材に、耐熱性を有する特定組成のセメント組成物、無機粒子、グラスウール、又は硬質ウレタンフォーム等を充填する発明が報告されている(特許文献1~4参照)。
特許第2774897公報 特開2012-12913公報 特開2005-163287公報 特開平9-132631公報
特許文献1、3、及び4の発明については、複雑な構造を有する中空構造体への充填が困難であるという課題がある。また、特許文献2の発明については、断熱性能があまり高くないという課題がある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記断熱材が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様は以下に示すとおりの断熱材に関するものである。
[1]ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体と中空構造体とからなる断熱材であって、前記ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が前記中空構造体内部に充填されていることを特徴とする、断熱材。
[2]前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が、粒径0.1~10mmのポリ塩化ビニル樹脂多孔質体である、[1]に記載の断熱材。
[3]前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が、空孔率が50~95%の範囲内であり、多孔質体の内部に中空部を有し、多孔質体の表面から中心方向に向かう孔径が0.002~0.2μmの範囲にある細孔又は連通孔を有し、その細孔又は連通孔の細孔容積が0.03cm/g以上であり、且つ、多孔質体の最も中心部に位置する中空部の平均空間容積が、多孔質体の体積に対し0.01~30体積%であることを特徴とするポリ塩化ビニル樹脂多孔質体である、[1]に記載の断熱材。
[4]前記の中空構造体が、窓枠、框、断熱箱体、又は断熱パネルである、[1]に記載の断熱材。
[5]前記の中空構造体が、ポリ塩化ビニル樹脂製の中空構造体、又はポリ塩化ビニル樹脂とアルミの組合せで構成される中空構造体である、[1]に記載の断熱材。
本発明の一態様によれば、中空構造体への充填性に優れ、尚且つ断熱性に優れる断熱材を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本明細書においては、「断熱材」とは、物理・化学的物性により熱移動・熱伝達を減少させる部材を指称する。「サッシ」とは、「窓枠」や「框」等の部材によって構成される建築用部材を指称する。「中空構造体」とは中が空洞になっている構造、又は中空構造を有する部材(以下、「中空構造部材」とも称す)の中空部を指称し、前記のサッシにおける窓枠や框は、前記中空構造体を有する中空構造部材の一例である。
上記の通り、近年、引違い戸式、若しくは開き戸式の開閉窓、又は嵌め殺し窓等における窓枠や框等によって構成されるサッシにおいては、旧来のアルミニウム製に代わり、断熱性、耐腐食性に優れた合成樹脂製が省エネの観点から普及し始めている。
一方、防災上の観点から建物の不燃化が進められており、火災時における窓からの類焼を避けるために、窓の外部から迫る火災または輻射熱による着火等による類焼を防止することが重要な課題となっている。
既成のサッシに対しても、防火性能や断熱性能を付与するため、窓枠や框等のサッシの中空構造部材の中空構造体内部に、耐熱性を有する特定組成のセメント組成物、無機粒子、グラスウール、又は硬質ウレタンフォーム等を充填する発明が報告されている。
前記のセメント組成物は、防火性に優れるものの、硬化性を有するため、空洞部に充填する直前に調製が必要で、充填を均一にするためには相応の工夫を要し、充填した後、硬化するまでに時間を要する。
前記の無機粒子は、特許文献2に記載の通り、中空構造体への充填性に優れるという特性を示すが、断熱性能があまり高くないという課題がある。
グラスウールは、圧縮に対する復元性に優れ、施工時の取扱いによる傷みや性能低下も生じにくい等の利点を有しており、住宅用等の建物の壁用断熱材として広く利用されているが、すでに成形された中空構造部材中に隙間なく充填することは困難である。また、グラスウールは、吸水性が高く、多くの水を含み、それが原因で、周囲を腐食させる等の弊害を生じる恐れがある点で扱いが難しい。
硬質ポリウレタンフォームは、低温寸法安定性や断熱性に優れ、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として広く使用されているが、特に窓枠や、框など小さく複雑な形状の中空構造部材中への充填は困難である。
また、ポリ塩化ビニル樹脂製のサッシへの適用を想定した場合、上記の従来公知の充填剤については、いずれもポリ塩化ビニル樹脂とは異なる材質のものであるため、原材料のリサイクル性が悪いという欠点がある。
本発明の断熱材は、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体と中空構造体とからなる断熱材であって、前記ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が中空構造体内部に充填されていることを特徴とする。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、分離、吸着、吸水機能、触媒固定・担持機能、断熱・緩衝性、絶縁性、吸音性、軽量性など、様々な機能や特性を有している。そのため、分離機能性や吸着性から、膜・フィルム状の分離膜や医療材料、粒状の濾過材や吸着材、軽量性や緩衝性から梱包・包装材料、断熱性から建築資材や保温材、吸音性から吸音材料、など幅広い用途で有用である。
また、本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、耐薬品性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性に優れており、安価であるため汎用材料として有用である。
すなわち、本発明のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、上記の両方の特長を兼ね備える。また、本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、ポリ塩化ビニル樹脂製のサッシと材質が同様であるため、サッシの原材料リサイクルがしやすいという特長を示す。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、多数の空孔を有することを特徴とする。その空孔率は、断熱材や吸着剤としての性能に優れる点で、50~95%の範囲内であることが好ましく、70~95%の範囲内であることがより好ましく、80~95%の範囲内であることがより好ましい。
本発明で規定するポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の空孔率(P)は、下記式に従い、全細孔容積(Vp)とポリ塩化ビニル樹脂の比重により求める。
(式中、Pは多孔質体の空孔率(%)を表し、Vpは多孔質体の全細孔容積(cm/g)を表し、ρPVCはポリ塩化ビニル樹脂の比重を表す)
多孔質体の全細孔容積(Vp)は、次の方法によって求める。
乾燥したポリ塩化ビニル樹脂多孔質体 約0.2gを秤にのせ、その正確な重量を測定し、乾燥時の重量(W)として記録する。次に、重量測定した多孔質体の全量を、25℃のメタノール 100mL中に投入して、48時間静置することによって、前記多孔質体の細孔内部にメタノールを浸透させる。次に、細孔内に十分にメタノールが含浸したポリ塩化ビニル樹脂多孔質体を取出し、乾燥した濾紙に広げて、表面の余分なメタノールを取り、重量を測定し、メタノール含浸時の重量(W)として記録する。乾燥時の重量(W)とメタノール含浸時の重量(W)及びメタノールの比重(25℃)を用いて、下記式に従い、多孔質体の全細孔容積(Vp)が求められる。
(式中、Vpは多孔質体の全細孔容積(cm/g)を表し、Wは多孔質体の乾燥時の重量(g)を表し、Wは多孔質体のメタノール含浸時の重量(g)を表し、ρMeOHはメタノールの比重を表す)
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、内部に中空部を有していてもよい。中空部は、多孔質体の内部に一つ又は複数存在していてもよい。当該中空部の孔径については、特に限定するものではないが、機械的強度に優れる点で、例えば、10~1500μmであることが好ましく、10~500μmであることがより好ましい。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、表面から中心部付近まで、又は中心部に位置する中空部まで微細な細孔又は連通孔を有する。そして、当該微細な細孔又は連通孔の孔径は、0.002~0.2μmであることが好ましい。
前記の微細な細孔又は連通孔の存在は、本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の割断面と表面のSEM写真及びガス吸着法による細孔分布測定結果から確認することができる。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の微細な細孔又は連通孔の細孔容積は、細孔分布測定装置(マイクロトラック社製、BELSORP-miniII)により吸着等温線を測定し、BJH法による解析により求める。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の形状は、実質的に球状であり、真球度については、特に限定するものではないが、例えば、多孔質体の最長径と最短径の比(最長径÷最短径)が1~2であることがこのましく、形状の均一性に優れる点で、1~1.5であることが好ましい。
また、本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体については、粒子状の形体であることが好ましく、当該粒子の大きさは、特に限定するものではないが、例えば、粒径0.1~10mmの範囲を挙げることができるが、充填性や取扱いに優れる点で、粒径は、0.5~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好ましい。
前記の粒径については、例えば、ノギスを用いて測定することもできるし、SEM写真又は光学写真を用いた画像解析によって測定することもできる。これらの測定手法を用いてポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を粒径とする。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の内部に、一つ又は複数の中空部が存在する場合、最も中心部に位置する中空部の平均空間容積は、機械的強度の点で、多孔質体の体積に対し0.01~30体積%であることが好ましく、0.05~20体積%であることがより好ましい。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の内部に位置する複数の中空部のうち多孔質体の中心部に位置する中空部の空間容積は、SEM写真又は光学写真を用いて中空部の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を中空直径とし、前記中空直径に基づいて算出する。すなわち、前記中空直径に基づいて真球体積を計算し、この計算値を空間容積とする。
また、本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の体積については、ノギス又は前記と同じSEM写真若しくは光学写真を用いて前記ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の外形の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を外径直径として計算する。すなわち、前記外径直径に基づいて真球体積を計算し、この計算値をポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の体積とする。
前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の体積と前記の空間容積から、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体における空間容積の容積率を算出する。
本発明の中空構造体は、木材、プラスチック、金属、金属酸化物などの物理強度を有する構造材で形成された構造体を表し、前記中空構造体は、単一種類の構造材で形成されていてもよいし、複数種類の構造材で形成されていてもよい。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂で形成された窓枠は、単一種類の構造材で形成された中空構造体に該当し、建物の外壁、内壁、柱、及び梁で囲われた中空構造体は、複数種類の構造材で形成されえた中空構造体に該当する。なお、中空構造体を備えた部材については、中空構造部材と称することができ、例えば、前記の窓枠及び框は、中空構造部材の一例である。
前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、上記の通り、好ましい形態としては、粒径0.1~10mmの球形粒子であり、流動性がある為、そのままでは特定の形状又は形体を保持させることは困難である。当該ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体を前記の中空構造体の内部に充填させることによって、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体を好ましい形状に成形させることができ、優れた断熱材として利用することができる。
前記の中空構造体、又は中空構造部材の形状としては、特に限定するものではないが、例えば、円柱状、柱状、三角柱状、六角柱状、円筒状(円筒の内周と外周の間が中空となっている構造)、球状、筒状、板状、又は箱状等を挙げることができ、これらが複雑に組み合わさったものであってもよい。
前記の中空構造体又は中空構造部材の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、窓枠、框、断熱箱体、又は断熱パネル等が挙げられる。なお、前記の断熱箱体としては、例えば、冷蔵庫箱体、クーラーボックス箱体、水筒、弁当箱、浴槽、冷凍倉庫、冷凍車(冷凍庫部)、冷凍船、冷凍タンカー、又は冷凍タンク等が挙げられ、前記の断熱パネルとしては、例えば、冷蔵庫扉、クーラーボックス扉、建築用断熱ボード、家屋壁中空層、家屋用高断熱ドア等が挙げられる。
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体と中空構造体とからなる断熱材を使用する温度としては、高温多湿の地域または厳寒多雪の地域など、地球上のさまざまな気候環境で想定される温度であればよく、ポリ塩化ビニル樹脂のガラス転移温度よりも低いことが好ましく、特に限定するものではないが、-100~50℃が好ましい。
本発明における中空構造体又は中空構造部材の材質としては、特に限定するものではないが、例えば、アルミニウム、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、木、スチール、ステンレス等が挙げられる。上記の通り、これらの材質については、単独で用いることもできるし、複数種類を組み合わせて用いることもできる。
これらのうち、特に限定するものではないが、本発明の断熱材のリサイクル性に優れる点から、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
合成例1で得られたポリ塩化ビニル樹脂製多孔質体断面のSEM写真(倍率:30倍)である。 実施例1及び比較例1、比較例2、比較例3、比較例4で行った断熱性評価における水温低下の経時変化を示す。
以下に、本発明の実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されて解釈されるものではない。ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、以下に示す方法により評価した。また、実施例または比較例に記載のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体については、以下に示す方法により評価した。
[走査型電子顕微鏡(SEM)による観測]
ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体のSEMによる観測は、JEOL製JSM-6390LVにより行った。
ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の断面の観測は、乾燥した多孔質体をエタノールに浸漬し、次いで、エタノールが含浸した多孔質体を液体窒素で凍結し、更に、凍結した多孔質体を剃刀で割断した断面を試料とした。
[中空部の平均空間容積]
SEM写真を用いてポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の外形の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を外径直径としてポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の体積を計算した。同じSEM写真を用いて中空部の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を中空直径として平均空間容積を計算した。前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の体積と前記の平均空間容積から、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体における空間容積の容積率を算出した。
[粒径]
ノギス、SEM写真、又は光学写真を用いてポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を粒径とした。
[全細孔容積]
多孔質体の全細孔容積(Vp)は、次の方法によって求めた。
乾燥したポリ塩化ビニル樹脂多孔質体 約0.2gを秤にのせ、その正確な重量を測定し、乾燥時の重量(W)として記録する。次に、重量測定した多孔質体の全量を、25℃のメタノール 100mL中に投入して、48時間静置することによって、前記多孔質体の細孔内部にメタノールを浸透させる。次に、細孔内に十分にメタノールが含浸したポリ塩化ビニル樹脂多孔質体を取出し、乾燥した濾紙に広げて、表面の余分なメタノールを取り、重量を測定し、メタノール含浸時の重量(W)として記録する。乾燥時の重量(W)とメタノール含浸時の重量(W)及びメタノールの比重(25℃)を用いて、下記式に従い、多孔質体の全細孔容積(Vp)が求められる。
(式中、Vpは多孔質体の全細孔容積(cm/g)を表し、Wは多孔質体の乾燥時の重量(g)を表し、Wは多孔質体のメタノール含浸時の重量(g)を表し、ρMeOHはメタノールの比重を表す)
[空孔率]
ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の空孔率(P)は、下記式に従い、全細孔容積(Vp)とポリ塩化ビニル樹脂の比重により求めた。
(式中、Pは多孔質体の空孔率(%)を表し、Vpは多孔質体の全細孔容積(cm/g)を表し、ρPVCはポリ塩化ビニル樹脂の比重を表す)
[0.002~0.2μmの細孔容積の測定]
本発明におけるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の微細な細孔又は連通孔の細孔容積は、細孔分布測定装置(マイクロトラック社製、BELSORP-miniII)により吸着等温線を測定し、BJH法による解析により求めた。
[熱伝導率]
実施例または比較例に用いた各断熱材の熱伝導率は、EKO製HC-074により測定温度条件10℃~30℃で測定した。測定試料(断熱材)の厚さは約30mmであり、大きさは20cm□である。尚、熱流計法(JISA1412-2に準拠)を用いて取得した。実施例1、比較例1、比較例3の粒状および粉末状の充填剤は、熱伝導率測定の影響の小さいポリエチレン樹脂の薄いフィルム(厚さ0.04mm)でサンプルを包装し、測定した。また、実施例2の板状の充填剤は、測定試料サイズとなる成型型の中に常温で充填発泡し、硬化させて作製し、測定した。
[表面温度]
実施例または比較例に用いた外部ボックスの表面温度は、フリアー(FLIR)製E4 Wifi赤外線サーモグラフィーで測定した。
合成例1
ポリ塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、塩ビホモポリマー、グレードTH-1700、平均重合度1600-1800)10gをジメチルアセトアミド90gに加え、70℃で撹拌し、ポリ塩化ビニル樹脂溶液10重量%を調製した。200mLのガラス容器にエタノール72gと水48gを混合して、水/エタノール混合溶液(水の割合40重量%)を調製した。70℃のポリ塩化ビニル樹脂溶液5gを10℃の該水/エタノール混合溶液(水の割合40重量%)に滴下(液滴ノズルサイズφ0.92mm)し、液滴を30分間撹拌して凝固させた。凝固した液滴を取出し、新しいエタノール100gに入れ、18時間室温で静置した。エタノールを濾過により除去し、濾過物を室温下で6時間減圧乾燥を行い、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1を得た。得られたポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、多孔質体の粒径2.5mm、空孔率90%、細孔容積(0.002~0.2μm領域)0.28cm/g、多孔質体の内部に位置する複数の中空部のうち多孔質体の中心部に位置する中空部の平均空間容積が、多孔質体の体積に対し0.17体積%を有するものであった。得られたポリ塩化ビニル樹脂多孔質体の断面のSEM写真(倍率:30倍)を図1に示す。
合成例2
ポリ塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、塩ビホモポリマー、グレードTH-3800(平均重合度3500-4100)5gをジメチルアセトアミド95gに加え、70℃で撹拌し、ポリ塩化ビニル樹脂溶液5重量%を調製した。200mLのガラス容器にエタノール36gと水84gを混合して、水/エタノール混合溶液(水の割合70重量%)を調製した。70℃のポリ塩化ビニル樹脂溶液5gを10℃の該水/エタノール混合溶液(水の割合70重量%)に滴下(液滴ノズルサイズφ0.25mm)し、液滴を60分間撹拌して凝固させた。凝固した液滴を取出し、新しいエタノール100gに入れ、18時間室温で静置した。エタノールを濾過により除去し、濾過物を室温下で6時間減圧乾燥を行い、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-2を得た。得られたポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、多孔質体の粒径1.5mm、空孔率94%、細孔容積(0.002~0.2μm領域)0.19cm3/g、多孔質体の内部に位置する複数の中空部のうち多孔質体の中心部に位置する中空部の平均空間容積が、多孔質体の体積に対し0.05体積%を有するものであった。
実施例1
下記の寸法を有する、板厚4mmのポリ塩化ビニル樹脂製の内部ボックス及び外部ボックス等によって形成される中空構造体である二重ボックスを準備し、外部ボックスと内部ボックスに挟まれた中空部に上記の合成例1で製造したポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1を77.8g(0.8L)充填し、次いで、内部ボックスに80℃温水(0.7L)を仕込み、直ぐに板厚4mmのポリ塩化ビニル樹脂板(100mm×100mm)で蓋をした。内部ボックス内の70℃から30℃までの水温低下を経時的に測定した。また、別途、80℃温水を仕込んでから1時間後の外部ボックスの外表面温度を測定した。
その結果、70℃から30℃までの水温低下の所要時間は、14時間であった。80℃温水を仕込んでから1時間後の外表面温度は、31.3℃(内部温度は62.4℃)であった。
別途、合成例1のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1(測定試料:200mm×200mm×31.7mm)の熱伝導率を測定した結果、0.0369W/mKであった。結果を表1に示した。
内部ボックス(0.75L)外寸法:縦100mm×横100mm×高さ75mm
外部ボックス(1.86L)外寸法:縦150mm×横150mm×高さ100mm
内部ボックスと外部ボックスは同心四角状になるように設置した。この時、外部ボックスの周部内壁と内部ボックスの周部外壁の間隔が21mm、外部ボックスの底部内壁と内部ボックス底部外壁の間隔が8mm、外部ボックスの上部蓋内壁と内部ボックス上部蓋外壁の間隔が7mmであった。
比較例1
実施例1において、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1の代わりに、ポリ塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、塩ビホモポリマー、グレードTH-1700、平均重合度1600-1800)541.1g(1.1L)を使用した以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、評価を行った。
70℃から30℃までの水温低下の所要時間は、10時間であった。80℃温水を仕込んでから1時間後の外表面温度は、33.6℃(内部温度は61.5℃)であった。
別途、前記ポリ塩化ビニル樹脂粉末(測定試料:200mm×200mm×31.6mm)の熱伝導率を測定した結果、0.0501W/mKであった。結果を表1に示した。
比較例2
実施例1において、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1を充填した中空構造体の代わりに、実施例1と同じ二重ボックスの外部ボックスと内部ボックスに挟まれた中空部に、常温で発泡充填(24時間硬化)されたポリウレタンフォーム(グリーンクロス製、ハイスペック発泡ウレタンスプレー)が充填された中空構造体(充填量は46.1g)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、評価を行った。
70℃から30℃までの水温低下の所要時間は、11時間であった。80℃温水を仕込んでから1時間後の外表面温度は、33.5℃(内部温度は62.9℃)であった。
別途、ポリウレタンフォーム(測定試料:200mm×200mm×34.7mm)の熱伝導率を測定した結果、0.0392W/mKであった。結果を表1に示した。
比較例3
実施例1において、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1の代わりに、無機粉末のカオリン(林純薬工業製、化学式:Al・2SiO・2HO、純度98%以上)562.6g(1.1L)を使用した以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、評価を行った。
70℃から30℃までの水温低下の所要時間は、9時間であった。80℃温水を仕込んでから1時間後の外表面温度は、36.0℃(内部温度は58.9℃)であった。
別途、カオリン(測定試料:200mm×200mm×20.6mm)の熱伝導率を測定した結果、0.0657W/mKであった。結果を表1に示した。
比較例4
実施例1において、ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体A-1の代わりに、充填剤を使用せずに空洞(無断熱)とした以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、評価を行った。
70℃から30℃までの水温低下の所要時間は6時間であった。結果を表1に示した。
本発明で用いるポリ塩化ビニル樹脂多孔質体は、耐薬品性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性に優れ、外層から中心にかけて微細な連通孔を有し、多孔質体内部に中空部を有し、空孔率が高く、高い断熱性を示す。このため、前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体と中空構造体とからなる本発明の断熱材は、窓枠、框、断熱箱体、又は断熱パネル等としての用途が期待される。

Claims (5)

  1. ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体と中空構造体とからなる断熱材であって、前記ポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が前記中空構造体内部に充填されていることを特徴とする、断熱材。
  2. 前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が、粒径0.1~10mmのポリ塩化ビニル樹脂多孔質体である、請求項1に記載の断熱材。
  3. 前記のポリ塩化ビニル樹脂多孔質体が、空孔率が50~95%の範囲内であり、多孔質体の内部に中空部を有し、多孔質体の表面から中心方向に向かう孔径が0.002~0.2μmの範囲にある細孔又は連通孔を有し、その細孔又は連通孔の細孔容積が0.03cm/g以上であり、且つ、多孔質体の最も中心部に位置する中空部の平均空間容積が、多孔質体の体積に対し0.01~30体積%であることを特徴とするポリ塩化ビニル樹脂多孔質体である、請求項1に記載の断熱材。
  4. 前記の中空構造体が、窓枠、框、断熱箱体、又は断熱パネルである、請求項1に記載の断熱材。
  5. 前記の中空構造体が、ポリ塩化ビニル樹脂製の中空構造体、又はポリ塩化ビニル樹脂とアルミの組合せで構成される中空構造体である、請求項1に記載の断熱材。
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