JP2024066593A - 樹脂組成物、ペレット、電力ケーブル、および電力ケーブルの製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、ペレット、電力ケーブル、および電力ケーブルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁層の絶縁性を向上させる。【解決手段】樹脂組成物は、電力ケーブルの絶縁層を構成する樹脂組成物であって、ポリエチレンを含み、ポリエチレンは、メチン基を有し、ポリエチレンは、13C核磁気共鳴スペクトルにおいて式(1)を満たす、RX≦5 ・・・(1)。ここで、RX={X/(X+Y+Z)}×100であり、X、YおよびZは、それぞれ、ポリエチレンの13C核磁気共鳴スペクトルにおけるメチン基の積分強度、メチレン基の積分強度、およびメチル基の積分強度である。【選択図】図1

Description

本開示は、樹脂組成物、ペレット、電力ケーブル、および電力ケーブルの製造方法に関する。
電力ケーブルの絶縁層を構成するベース樹脂として、例えば、ポリエチレンが用いられてきた(例えば、特許文献1)。
国際公開第2019/202870号
本開示の目的は、絶縁層の絶縁性を向上させることである。
本開示の一態様によれば、
電力ケーブルの絶縁層を構成する樹脂組成物であって、
ポリエチレンを含み、
前記ポリエチレンは、メチン基を有し、
前記ポリエチレンは、13C核磁気共鳴スペクトルにおいて式(1)を満たす、
RX≦5 ・・・(1)
ここで、
RX={X/(X+Y+Z)}×100であり、
X、YおよびZは、それぞれ、前記ポリエチレンの13C核磁気共鳴スペクトルにおける前記メチン基の積分強度、メチレン基の積分強度、およびメチル基の積分強度である
樹脂組成物が提供される。
本開示によれば、絶縁層の絶縁性を向上させることができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る樹脂組成物における一例としてのポリエチレンの一部の構造を示す概略図である。 図2は、本開示の一実施形態に係る電力ケーブルの軸方向に直交する模式的断面図である。 図3は、本開示の一実施形態に係る電力ケーブルの製造方法を示すフローチャートである。 図4は、評価1を示す概略断面図である。 図5Aは、評価2を示す概略断面図である。 図5Bは、評価2における針状電極の先端を拡大した概略断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
電力ケーブルの絶縁層の絶縁性は、例えば、特開2019-189842またはUS2021/032434Aにおいて知られているように、直流破壊電界強度によって評価される。これまでの評価は、平電極(平板電極)を用いていた。
しかしながら、電力ケーブルは、直流破壊電界強度よりも低い電界強度において、絶縁層の絶縁性が低下する場合があることが分かった。絶縁性が低下した電力ケーブルは、絶縁層の一部において、局所的に電気トリーが発生する。電気トリーは、異物によって引き起こされる。異物は、例えば、金属の微小異物、または微小ボイドである。
上述の電気トリーの発生は、針状電極を用いて絶縁層の直流破壊電界強度を測定することで観察できるとの知見を発明者は得た。すなわち、鋭利な先端を持つ針状電極を用いることで疑似的状況を形成し、局所的な電気トリーの発生を再現できる。
再現した結果、ポリエチレンにおける特定の官能基(炭化水素基)が、絶縁層の絶縁性に影響を与えることが分かった。発明者は、特定の官能基の比率を有するポリエチレンは、局所的な電気トリーの発生を抑制できることを見出した。
<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の一態様に係る樹脂組成物は、
電力ケーブルの絶縁層を構成する樹脂組成物であって、
ポリエチレンを含み、
前記ポリエチレンは、メチン基を有し、
前記ポリエチレンは、13C核磁気共鳴スペクトルにおいて式(1)を満たす、
RX≦5 ・・・(1)
ここで、
RX={X/(X+Y+Z)}×100であり、
X、YおよびZは、それぞれ、前記ポリエチレンの13C核磁気共鳴スペクトルにおける前記メチン基の積分強度、メチレン基の積分強度、およびメチル基の積分強度である。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を抑制することが可能となる。
[2]上記[1]に記載の樹脂組成物において、
曲率半径が10μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度は、100kV/mm以上である。
この構成によれば、実使用時での局所的な電気トリーの発生に起因した絶縁層の絶縁破壊を抑制することが可能となる。
[3]上記[1]または[2]に記載の樹脂組成物において、
前記ポリエチレンは、式(2)を満たす、
0.05≦RX ・・・(2)。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制することが可能となる。
[4]上記[3]に記載の樹脂組成物において、
曲率半径が5μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度は、100kV/mm以上である。
この構成によれば、実使用時での局所的な電気トリーの発生に起因した絶縁層の絶縁破壊を安定的に抑制することが可能となる。
[5]上記[3]または[4]に記載の樹脂組成物において、
前記ポリエチレンは、式(2)’を満たす、
0.1≦RX ・・・(2)’。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制することが可能となる。
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物において、
前記ポリエチレンは、式(3)を満たす、
0.8≦(X/Z)≦1.2 ・・・(3)。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制することが可能となる。
[7]上記[6]に記載の樹脂組成物において、
曲率半径が3μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度は、100kV/mm以上である。
この構成によれば、実使用時での局所的な電気トリーの発生に起因した絶縁層の絶縁破壊を安定的に抑制することが可能となる。
[8]上記[1]から[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物において、
無機充填剤をさらに含む。
この構成によれば、直流電界下での空間電荷の蓄積を抑制できる。
[9]上記[1]から[8]のいずれか1つに記載の樹脂組成物において、
前記ポリエチレンは、少なくとも低密度ポリエチレンを含む。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を抑制する樹脂組成物を安定的に得ることが可能となる。
[10]本開示の一態様に係るペレットは、
上記[1]から[9]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含む。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を抑制することが可能となる。
[11]本開示の一態様に係る電力ケーブルは、
導体と、
前記導体の外周を覆うように設けられた絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、上記[1]から[9]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含む。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を抑制することが可能となる。
[12]本開示の一態様に係る電力ケーブルの製造方法は、
導体を準備する工程と、
前記導体の外周を覆うように絶縁層を形成する工程と、
を備え、
前記絶縁層を形成する工程では、
上記[1]から[9]のいずれか1つに記載の樹脂組成物により、前記絶縁層を形成する。
この構成によれば、局所的な電気トリーの発生を抑制することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<本開示の一実施形態>
(1)樹脂組成物
本実施形態の樹脂組成物は、後述する電力ケーブル10の絶縁層130を構成する材料である。樹脂組成物は、例えば、少なくともベース樹脂を含んでいる。
[ベース樹脂]
ベース樹脂(ベースポリマ)とは、樹脂組成物の主成分を構成する樹脂成分のことをいう。本実施形態のベース樹脂は、例えば、ポリエチレンを含んでいる。
本実施形態の樹脂組成物では、ポリエチレンは、例えば、メチン基、メチレン基およびメチル基を有している。
「メチン基」とは、-CHとして表される官能基である。メチン基は、1つの炭素原子と、当該炭素原子に結合した1つの水素原子と、を有している。メチン基における炭素原子には、水素原子に加え、少なくとも1つの他の炭素原子が結合している。
具体的には、例えば図1に示すように、メチン基aは、ポリエチレンの主鎖の一部を構成している。メチン基aの炭素原子に、分岐が結合している。当該分岐としては、例えば、次のものが挙げられる。
・メチル分岐などの短鎖分岐(Short Chain Branch)SCB
・長鎖分岐(Long Chain Branch)LCB
なお、分岐が結合したメチン基aにおける炭素は、三級炭素である。ポリエチレンが上述の分岐を有することで、ポリエチレンの密度および結晶性を調整することができる。
なお、本実施形態のポリエチレンでは、メチン基が分岐と結合している箇所が多い。しかしながら、メチン基が、分岐と結合していないビニル基などの一部を構成した箇所が存在していてもよい。
「メチレン基」とは、-CHとして表される官能基である。メチレン基は、1つの炭素原子と、当該炭素原子に結合した2つの水素原子と、を有している。
具体的には、例えば図1に示すように、メチレン基b1は、ポリエチレンの主鎖の一部を構成している。メチレン基b1における炭素原子には、分岐の炭素原子が結合していない。ただし、メチレン基b2自体が、2つ以上の炭素を有する分岐の一部を構成することがある。
「メチル基」とは、-CHとして表される官能基である。メチル基は、1つの炭素原子と、当該炭素原子に結合した3つの水素原子と、を有している。
具体的には、例えば図1に示すように、メチル基c1がポリエチレンの主鎖の末端に位置しているか、或いは、メチル基c2が分岐の末端に位置している。
ポリエチレンにおけるメチン基、メチレン基およびメチル基は、例えば、13C核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance、以下では13C-NMRと略す)法により分析できる。ポリエチレンの13C-NMRスペクトルでは、ポリエチレン中の位置に応じて、メチン基、メチレン基およびメチル基に由来する複数のピークが検出される。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリエチレンの13C-NMRスペクトルにおいて、例えば、以下の特徴を有している。
本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレンは、13C-NMRスペクトルにおけるメチン基由来のピークに関して、式(1)を満たしている。
RX≦5 ・・・(1)
ここで、RXは、次の式を満たす。
RX={X/(X+Y+Z)}×100
以下、RXを「メチン基の比率」ともいう。
X、YおよびZは、それぞれ、ポリエチレンの13C-NMRスペクトルにおける次の値を示す。
・X:メチン基の積分強度
メチン基の積分強度は、ポリエチレン中のメチン基の位置に応じて生じる、メチン基由来の複数のピークを積分した強度の合計。
・Y:メチレン基の積分強度
メチレン基の積分強度は、ポリエチレン中のメチレン基の位置に応じて生じる、メチレン基由来の複数のピークを積分した強度の合計。
・Z:メチル基の積分強度
メチル基の積分強度は、ポリエチレン中のメチル基の位置に応じて生じる、メチル基由来の複数のピークを積分した強度の合計
メチン基の比率RXが5超である場合、ポリエチレンは、分解され易くなる。なぜなら、メチン基の三級炭素の結合エネルギーは、メチレン基の結合エネルギーまたはメチル基の結合エネルギーよりも小さい。このため、メチン基は、メチレン基またはメチル基と比較して、高い電界を受けた際に分解されやすい。また、メチン基の比率RXが5超である場合、ポリエチレンは、メチン基に結合した分岐を多く含む。ポリエチレン中の分岐の数に比例して、ポリエチレン中の非晶質部の量が増加する。ポリエチレンの非晶質部は、電流を伝播しやすい。
本実施形態のポリエチレンは、メチン基の比率RXが5以下である。RXが5以下のポリエチレンは、RXが5超のポリエチレンよりも、メチン基が少ない。そのため、本実施形態のポリエチレンは、局所的に高い電界が印加されてもメチン基の三級炭素が分解されにくい。また、RXが5以下のポリエチレンは、RXが5超のポリエチレンよりも、メチン基に結合した分岐が少ない。したがって、分岐に起因したポリエチレン中の非晶質部が少ない。これにより、非晶質部における電流伝播を抑制できる。
本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレンは、13C-NMRスペクトルにおけるメチン基由来のピークに関して、式(2)を満たしている。
0.05≦RX ・・・(2)
RXが0.05未満のポリエチレンは、RXが0.05以上のポリエチレンよりも、結晶が大きい。ポリエチレンの結晶が大きい場合、結晶間でヒケ(sink mark、shrink mark、sunk spot)が生じやすい。ここでいう「ヒケ」とは、樹脂の収縮により生じた窪みおよびボイドのうち少なくともいずれかを意味する。このようなヒケは、高い電界下で電気トリーの起点となりうる。
本実施形態では、RXを0.05以上とすることで、結晶間でのヒケの発生を抑制できる。
本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレンは、13C-NMRスペクトルにおけるメチン基由来のピークに関して、式(2)’を満たしていてもよい。
0.1≦RX ・・・(2)’
これにより、結晶間でのヒケの発生を安定的に抑制することができる。
さらに、本実施形態の樹脂組成物では、ポリエチレン中のメチン基の含有量と、メチル基の含有量と、が、式(3)を満たしている。
0.8≦(X/Z)≦1.2 ・・・(3)
以下では、X/Zを「メチル基に対するメチン基の比率」ともいう。
X/Zが0.8未満のポリエチレンは、X/Zが0.8以上のポリエチレンと比較して、メチン基の含有量がメチル基の含有量よりも少ない。この場合、例えば、四級炭素において1つの炭素原子から2つの分岐が生じた部分が生じる。当該四級炭素は、メチン基の三級炭素よりも結合エネルギーが小さい。したがって、四級炭素が、局所的に高い電界に起因して分解し易くなる。
X/Zが1.2超のポリエチレンは、X/Zが1.2以下のポリエチレンと比較して、メチン基の含有量がメチル基の含有量よりも多い。この場合、ポリエチレンは、ビニル基を構成するメチン基などを多く含む。ビニル基を構成するメチン基は、分岐を有さないので、分岐が少なくなる。このため、結晶間に微小なヒケが生じる可能性がある。
本実施形態では、X/Zは0.8以上である。これにより、四級炭素において1つの炭素原子から2つの分岐が生じた部分が生じることを抑制することができる。これにより、局所的に高い電界が印加されたとしても、四級炭素の存在に起因した分解を抑制することができる。
本実施形態では、X/Zを1.2以下である。この場合、ポリエチレンは、所定量の分岐を有する。これにより、結晶間での微小なヒケの発生を抑制できる。
上述の本実施形態のポリエチレンは、例えば、少なくとも低密度ポリエチレン(LDPE)を含んでいる。なお、LDPEの密度は0.91g/cm以上0.93g/cm未満である。本実施形態のポリエチレンは、例えば、主成分として、LDPEを含んでいる。なお、ここでいう「主成分」とは、最も多い成分のことを意味する。
本実施形態のポリエチレンは、LDPE以外のポリエチレンを含んでいてもよい。LDPE以外のポリエチレンとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
また、ベース樹脂は、例えば、ポリオレフィンに極性基をグラフトした変性ポリオレフィン、オレフィンおよび極性モノマの共重合体を含んでいてもよい。これらは、WO2019/202870、またはUS2021/032434Aにおいて開示されている。
LDPE以外のポリエチレン、ポリオレフィンに極性基をグラフトした変性ポリオレフィン、またはオレフィンおよび極性モノマの共重合体として挙げた材料のうち、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[その他の添加剤]
樹脂組成物は、その他の添加剤として、例えば、無機充填剤、架橋剤、酸化防止剤、滑剤のうち少なくともいずれかをさらに含んでいてもよい。無機充填剤、架橋剤、酸化防止剤、滑剤は、例えば特開2020-132819、US2020/279672A、特開2020-132818、US2020/273598A、特開2020-132817、US2020/270426A、特開2019-189842、US2021/032434Aに開示されているので説明は省略する。
以上の材料を含む本実施形態の樹脂組成物は、ペレットとして、電力ケーブル10の絶縁層130を押出成形するときに押出機内に投入される。
(2)樹脂組成物の特性
本実施形態の樹脂組成物は、以下の特性を示す。
本実施形態では、樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、例えば、1×1015Ω・cm以上である。体積抵抗率の測定方法は、例えば特開2020-132819またはUS2020/279672Aに開示されているので説明は省略する。
本実施形態では、樹脂組成物のシートの絶縁破壊電界強度は、例えば、250kV/mm以上であり、300kV/mm以上であってもよい。絶縁破壊電界強度の測定方法は、例えば特開2019-189842またはUS2021/032434Aに開示されているので説明は省略する。
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、上述したポリエチレンの13C-NMRスペクトルにおける要件を満たすことで、以下の特性を示す。
本実施形態では、樹脂組成物中のポリエチレンが「RX≦5」式(1)を満たすことで、局所的な電気トリーの発生を抑制することができる。これにより、曲率半径が10μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度を、100kV/mm以上とすることができる。
本実施形態では、樹脂組成物中のポリエチレンが「0.05≦RX」式(2)を満たすことで、局所的な電気トリーの発生を抑制することができる。これにより、曲率半径が5μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度を、100kV/mm以上とすることができる。
本実施形態では、樹脂組成物中のポリエチレンが「0.8≦(X/Z)≦1.2」式(3)を満たすことで、局所的な電気トリーの発生を抑制することができる。これにより、曲率半径が3μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度を、100kV/mm以上とすることができる。
本実施形態では、樹脂組成物が無機充填剤をさらに含むことで、樹脂組成物中の空間電荷の蓄積を抑制することができる。電界強調係数FEFの測定方法は、例えばWO2017/026039またはUS2018/218804に開示されているので説明は省略する。
(3)電力ケーブル
次に、図2を参照し、本実施形態の電力ケーブルについて説明する。
本実施形態の電力ケーブル10は、導体110と、内部半導電層120と、絶縁層130と、外部半導電層140と、遮蔽層150と、シース160と、を有している。導体110、内部半導電層120、絶縁層130、外部半導電層140、遮蔽層150、シース160、および各寸法は、WO2019/202870またはUS2021/032434に開示されているので説明は省略する。
絶縁層130は、上述した本実施形態の樹脂組成物により押出成形することにより形成されている。なお、押出成形後の絶縁層130から切り出したシートにおいても、上述した本実施形態の樹脂組成物の特性が得られる。
(4)電力ケーブルの製造方法
次に、図3を参照し、本実施形態の電力ケーブル10の製造方法について説明する。
本実施形態の電力ケーブル10の製造方法は、例えば、樹脂組成物準備工程S100と、導体準備工程S200と、ケーブルコア形成工程S300と、遮蔽層形成工程S400と、シース形成工程S500と、を有している。導体準備工程S200と、ケーブルコア形成工程S300と、遮蔽層形成工程S400と、シース形成工程S500は、例えば特開2020-132819またはUS2020/279672Aに開示されているので、詳細な説明は省略する。以下、樹脂組成物準備工程S100について説明する。
[S100:樹脂組成物準備工程]
まず、本実施形態の樹脂組成物を準備する。当該樹脂組成物準備工程S100は、例えば、ポリエチレン準備工程S120と、混合工程S140と、を有している。
(S120:ポリエチレン準備工程)
本実施形態では、例えば、高圧法によりモノマを重合してポリエチレンを製造する。モノマとしては、例えば、エチレンである。
本実施形態では、例えば、エチレンを重合する際の重合ピーク温度を主に制御する。これにより、上述した13C-NMRスペクトルにおいて式(1)、式(2)および式(3)を満たすポリエチレンが得られる。
具体的には、高圧ラジカル重合では、ポリマラジカルの分子内連鎖移動反応により、短鎖分岐(SCB)が生成される。更に、生成したポリマ分子とポリマラジカルとの間で連鎖移動が生じると、長鎖分岐(LCB)が生成される。このように生成された分岐と主鎖との結合部分に、上述したメチン基が形成される。
例えば、重合装置の反応管内における重合ピーク温度を制御することで、ポリエチレン中のメチン基の比率を制御する。重合ピーク温度が高いほど、熱ノイズが生じやすくなる。これにより、分岐の生成を促進させることができる。すなわち、ポリエチレン中のメチン基の比率を増加させることができる。
例えば、重合装置の反応管内における重合ピーク温度が生じる位置を制御することで、ポリエチレン中のメチン基の比率を制御してもよい。重合装置の反応管内の流れは押出流れであるので、冷却部の所定位置で重合ピーク温度が出現する。当該重合ピーク温度の位置および上述の重合ピーク温度の高さは、運転条件に依存する。このとき、反応管内の温度分布に応じて、ポリマが管壁に析出しうる。管壁におけるポリマの析出を増大させることで、分岐の生成を促進させることができる。すなわち、ポリエチレン中のメチン基の比率を増加させることができる。
さらに、例えば、重合装置の反応管内における重合圧力を制御してもよい。重合圧力が高いほど、分岐の生成を促進させることができる。すなわち、ポリエチレン中のメチン基の比率を増加させることができる。
なお、ポリエチレン中のメチン基の比率を減少させるためには、上述した制御と逆の制御を行えばよい。
(S140:混合工程)
ポリエチレン準備工程に続いて、混合工程を行う。ポリエチレンを含むベース樹脂と、添加剤とを混合して、混合材のペレットを形成する。
[S200:導体準備工程]
一方で、複数の導体芯線を撚り合わせることにより形成された導体110を準備する。
[S300:ケーブルコア形成工程(押出工程)]
次に、導体110の外周に、内部半導電層120、絶縁層130および外部半導電層140を付与し、これによりケーブルコアを形成する。なお、内部半導電層120、絶縁層130、外部半導電層140は架橋される。
[S400:遮蔽層形成工程]
次に、外部半導電層140の外側に、例えば銅テープの遮蔽層150を形成する。
[S500:シース形成工程]
遮蔽層150の外周に、シース160を形成する。
以上により、電力ケーブル10が製造される。
(5)本実施形態のまとめ
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレンは、「RX≦5」式(1)を満たしている。よって、局所的な電気トリーの発生を抑制することが可能となる。
(b)本実施形態では、RXを5以下とすることで、直流破壊電界強度を100kV/mm以上とすることができる。なお、直流破壊電界強度は、曲率半径が10μmである先端を有する針状電極を用いて測定した。この場合、局所的な電気トリーの発生を抑制できる。その結果、絶縁層130の絶縁破壊を抑制することができる。
(c)本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレンは、「0.05≦RX」式(2)を満たしている。よって、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制することが可能となる。
(d)本実施形態では、RXを0.05以上とすることで、直流破壊電界強度を100kV/mm以上とすることができる。なお、直流破壊電界強度は、曲率半径が5μmである先端を有する針状電極を用いて測定した。この場合、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制できる。その結果、絶縁層130の絶縁破壊を安定的に抑制できる。
(e)本実施形態の樹脂組成物中のポリエチレンは、「0.8≦(X/Z)≦1.2」式(3)を満たしている。これにより、局所的に高い電界が印加されたとしても、四級炭素の存在に起因した分解を抑制することができる。また、結晶間での微小なヒケの発生を抑制することができる。これらの結果、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制することが可能となる。
(f)本実施形態では、樹脂組成物中のポリエチレンが「0.8≦(X/Z)≦1.2」式(3)を満たすことで、直流破壊電界強度を100kV/mm以上とすることができる。なお、直流破壊電界強度は、曲率半径が3μmである先端を有する針状電極を用いて測定した。この場合、絶縁層130の絶縁破壊をより安定的に抑制することが可能となる。
<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、樹脂組成物が無機充填剤を含む場合について説明したが、樹脂組成物は、無機充填剤を含んでいなくてもよい。
上述の実施形態では、樹脂組成物中のポリエチレンは、式(1)、式(2)および式(3)を満たしている場合について説明した。しかしながら、樹脂組成物中のポリエチレンは、少なくとも式(1)を満たしていればよい。すなわち、ポリエチレンが、13C-NMRスペクトルにおいて、式(2)または式(3)の少なくともいずれかを満たしていなくてもよい。この場合であっても、式(1)を満たすことによる電気トリー抑制効果を得ることができる。ただし、ポリエチレンが、式(2)または式(3)をさらに満たしている方が、より安定的に電気トリー抑制効果が得られる。
次に、本開示に係る実施例を説明する。これらの実施例は本開示の一例であって、本開示はこれらの実施例により限定されない。
<実験1>
(1-1)ポリエチレンの準備
サンプル1-1~1-9の樹脂組成物におけるポリエチレンを、以下の条件で製造した。
・重合装置:チューブラーリアクタ
・モノマ:エチレン
・触媒:有機過酸化物
・連鎖移動剤:なし。
・重合ピーク温度:表1参照
・重合圧力:表1参照
(1-2)評価
サンプル1-1~1-9の樹脂組成物のそれぞれにおいて、以下の評価を行った。
13C-NMR]
オルトクロロベンゼンに上述の各サンプルの樹脂組成物を溶解させ、130℃の温度環境下にて、日本電子社製NMR装置を用い、13C-NMR分析を行った。得られた13C-NMRスペクトルにおけるメチン基由来のピークに関して、RXを求めた。
ここで、上述のように、RX={X/(X+Y+Z)}×100である。
[評価1:平電極による直流破壊電界強度]
図4に示すように、平電極による直流破壊電界強度を次のように測定した。
・厚さ0.15mmのシートSを形成した。なお、シートSは各サンプルの樹脂組成物からなる。
・シートSの第1面S1上に平電極FE1を配置した。また、シートの第2面S2上に平電極FE2を配置した。なお、第2面S2は、第1面S1の反対にある。平電極FE1および平電極FE2は、直径が25mmの円形である。
・シートSをシリコーンオイルO中に浸漬させた。シリコーンオイルOの温度は90℃とした。
・平電極FE1と平電極FE2により、シートSに対して電圧を印加した。電圧は、4kV/minの速度で上昇させた。
・シートSが絶縁破壊した際の印加電圧およびシートSの厚さに基づいて、シートSの直流破壊電界強度を算出した。
[評価2:針状電極Aによる直流破壊電界強度]
図5Aおよび図5Bに示すように、針状電極Aによる直流破壊電界強度を次のように測定した。
・厚さ4mmのシートSを形成した。なお、シートSは各サンプルの樹脂組成物からなる。
・シートSの第1面S1上に銀ペーストからなる導電性塗料を塗布して電極FE3を形成した。電極FE3は、直径25mmの円形に形成した。
・シートSの第2面S2から、シートSの厚さ方向に沿って、針状電極A(NE)の先端を突き刺した。針状電極A(NE)の先端は、曲率半径rが10μmとなっている。針状電極A(NE)の先端は、電極FE3から1mm離間している。
・針状電極A(NE)を突き刺したシートSをシリコーンオイルO中に浸漬させた。シリコーンオイルOの温度は90℃とした。
・針状電極A(NE)と電極FE3との間に電圧を印加した。電圧は、4kV/minの速度で上昇させた。
・シートSが絶縁破壊した際の印加電圧と、針状電極A(NE)および電極FE3の間の距離とに基づいて、シートSの直流破壊電界強度を求めた。
[評価3:針状電極Bによる直流破壊電界強度]
針状電極Bによる直流破壊電界強度を次のように測定した。針状電極Bの先端は、曲率半径が5μmとなっている。針状電極Bの先端の曲率半径以外は、針状電極Aによる直流破壊電界強度の測定条件と同じである。
(1-3)結果
サンプル1-1~1-9の樹脂組成物のそれぞれの製造条件および評価の結果を以下の表1に示す。
なお、サンプル1-1~1-9のそれぞれにおけるX/Zは、0.8以上1.2以下であった。
[サンプル1-2~1-8]
サンプル1-2~1-8は、RXが0.05以上5以下であった。また、これらのサンプルは、評価1によると、250kV/mm以上であった。また、これらのサンプルは、評価2および評価3によると、100kV/mm以上であった。
これらのサンプルは、RXが5以下であった。そのため、メチン基の三級炭素が少なかった。そのため、局所的に高い電界が印加されても、メチン基の三級炭素の分解を抑制することができた。また、メチン基に結合した分岐が少なかった。このため、分岐に起因したポリエチレン中の非晶質部が少なった。非晶質部が少なかったことで、非晶質部における電流伝播を抑制することができた。これらにより、局所的な電気トリーの発生を抑制することができた。その結果、サンプル1-2~1-8では、曲率半径が10μmである先端を有する針状電極Aを用いて測定した直流破壊電界強度を高くすることができたことを確認した。
これらのサンプルはRXが0.05以上であった。そのため、ポリエチレンにおける結晶を小さくすることができた。結晶を小さくすることで、結晶間でのヒケの発生を抑制することができた。これにより、局所的な電気トリーの発生を安定的に抑制することができた。その結果、サンプル1-2~1-8では、針状電極Bを用いて測定した直流破壊電界強度を高くすることができたことを確認した。
[サンプル1-9]
サンプル1-9はRXが10であった。
サンプル1-9では、針状電極Aおよび針状電極Bを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm未満であった。
サンプル1-9では、RXが5超であったため、メチン基の三級炭素が多かった。このため、局所的に高い電界に起因して三級炭素が分解し易かった。また、サンプル1-9は、メチン基に結合した分岐が多かった。このため、ポリエチレン中に非晶質部を多く有していた。非晶質部が多かったため、非晶質部において電流が伝播し易くなっていた。これらの結果、サンプル1-9では、針状電極AおよびBのそれぞれによる直流破壊電界強度が低くなったと考えられる。
[サンプル1-1]
RXが0.01であったサンプル1-1では、平電極による直流破壊電界強度は、250kV/mm以上であった。サンプル1-1では、針状電極Aを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm以上であった。
しかしながら、サンプル1-1では、針状電極Bを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm未満であった。
サンプル1-1では、RXが0.05未満であった。すなわち、メチン基に結合した分岐が少なかったため、ポリエチレンにおける結晶が大きかった。このため、結晶間でヒケが生じ易かった。当該ヒケが高電界下で電気トリーの起点となっていた。その結果、サンプル1-1では、針状電極Bによる直流破壊電界強度が低くなったと考えられる。
<実験2>
(2-1)ポリエチレンの準備
サンプル2-1~2-5の樹脂組成物におけるポリエチレンを、高圧法により重合した。モノマとしては、実験1と同じエチレンを用いた。重合ピーク温度と重合圧力は表2に示す。
このとき、様々な重合圧力でモノマを重合させることにより、サンプル2-1~2-5を製造した。これにより、ポリエチレン中のメチル基に対するメチン基の比率(X/Z)を制御した。
なお、サンプル2-3は、実験1のサンプル1-6に相当するものである。
(2-2)評価
サンプル2-1~2-5の樹脂組成物のそれぞれにおいて、以下の評価を行った。
[評価2および評価3]
針状電極Aおよび針状電極Bによる直流破壊電界強度の測定を実験1と同様に行った。
[評価4:針状電極Cによる直流破壊電界強度]
針状電極Cによる直流破壊電界強度を次のように測定した。針状電極Cの先端は、曲率半径が3μmとなっている。針状電極Cの先端の曲率半径以外は、針状電極Aによる直流破壊電界強度の測定条件と同じである。
(2-3)結果
実験2においてサンプル2-1~2-5の樹脂組成物のそれぞれの評価を行った結果を以下の表2に示す。
[サンプル2-1]
X/Zが0.7であったサンプル2-1では、針状電極Aおよび針状電極Bを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm以上であった。
しかしながら、サンプル2-1では、針状電極Cを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm未満であった。
サンプル2-1では、メチル基に対するメチン基の比率X/Zが0.8未満であった。すなわち、メチン基の含有量がメチル基の含有量よりも少なかった。そのため、四級炭素において1つの炭素原子から2つの分岐が生じた部分などが生じていた。このため、四級炭素が、局所的に高い電界に起因して分解し易くなっていた。その結果、サンプル2-1では、針状電極Cによる直流破壊電界強度が低くなったと考えられる。
[サンプル2-5]
X/Zが1.3であったサンプル2-5では、針状電極Aおよび針状電極Bを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm以上であった。
しかしながら、サンプル2-5では、針状電極Cを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm未満であった。
サンプル2-5では、X/Zが1.2超であった。すなわち、メチン基の含有量がメチル基の含有量よりも多かった。そのため、ビニル基を構成するメチン基などのように、分岐を生じないメチン基が多く生じ、分岐が少なくなっていた。このため、結晶間に微小なヒケが生じ、微小なヒケが高電界下での電気トリーの起点となっていた。その結果、サンプル2-5では、針状電極Cによる直流破壊電界強度が低くなったと考えられる。
[サンプル2-2~2-4]
X/Zが0.8以上1.2以下であったサンプル2-2~2-4では、針状電極Aおよび針状電極Bを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm以上であった。
さらに、サンプル2-2~2-4では、針状電極Cを用いて測定した直流破壊電界強度が、100kV/mm以上であった。
サンプル2-2~2-4では、X/Zを0.8以上とした。これにより、四級炭素において1つの炭素原子から2つの分岐が生じた部分などが生じることを抑制することができた。これにより、四級炭素の存在に起因した分解を抑制することができた。
サンプル2-2~2-4では、メチル基に対するメチン基の比率X/Zを1.2以下としたことで、分岐を生じないメチン基の過剰生成を抑制し、所定量の分岐を確保することができた。これにより、結晶間での微小なヒケの発生を抑制することができた。
これらの結果、サンプル2-2~2-4では、針状電極Cを用いて測定した直流破壊電界強度を高くすることができたことを確認した。
<実験3>
(3-1)電力ケーブルのサンプルの製造
次のような電力ケーブルのサンプルを製造した。
・導体:直径14mmの銅。
・内部半導電層:厚み1mm。
・絶縁層:上述のサンプル1-2、サンプル1-6、サンプル1-8、サンプル2-2、サンプル2-4の樹脂組成物。厚み3mm。
・外部半導電層:厚み1mm。
(3-2)評価
サンプル1-2、サンプル1-6、サンプル1-8、サンプル2-2、サンプル2-4の電力ケーブルのそれぞれを温度90℃のシリコーンオイル中に浸漬させ、絶縁層の厚さ方向に200kV/mmの直流電界を、1000時間印加した。このとき、各電力ケーブルの絶縁層が絶縁破壊するか確認した。
(3-3)結果
上述の評価の結果、サンプル1-2、サンプル1-6、サンプル1-8、サンプル2-2、サンプル2-4の電力ケーブルにおいて、絶縁破壊が生じないことを確認した。
10 電力ケーブル
110 導体
120 内部半導電層
130 絶縁層
140 外部半導電層
150 遮蔽層
160 シース
NE 針状電極
FE1、FE2 平電極
FE3 電極
O シリコーンオイル
S シート
S1 第1面
S2 第2面
a メチン基
b1、b2 メチレン基
c1、c2 メチル基

Claims (12)

  1. 電力ケーブルの絶縁層を構成する樹脂組成物であって、
    ポリエチレンを含み、
    前記ポリエチレンは、メチン基を有し、
    前記ポリエチレンは、13C核磁気共鳴スペクトルにおいて式(1)を満たす、
    RX≦5 ・・・(1)
    ここで、
    RX={X/(X+Y+Z)}×100であり、
    X、YおよびZは、それぞれ、前記ポリエチレンの13C核磁気共鳴スペクトルにおける前記メチン基の積分強度、メチレン基の積分強度、およびメチル基の積分強度である
    樹脂組成物。
  2. 曲率半径が10μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度は、100kV/mm以上である
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリエチレンは、式(2)を満たす、
    0.05≦RX ・・・(2)
    請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 曲率半径が5μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度は、100kV/mm以上である
    請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリエチレンは、式(2)’を満たす、
    0.1≦RX ・・・(2)’
    請求項3に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリエチレンは、式(3)を満たす、
    0.8≦(X/Z)≦1.2 ・・・(3)
    請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  7. 曲率半径が3μmである先端を有する針状電極を用いて測定した直流破壊電界強度は、100kV/mm以上である
    請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 無機充填剤をさらに含む
    請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  9. 前記ポリエチレンは、少なくとも低密度ポリエチレンを含む
    請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物を含む
    ペレット。
  11. 導体と、
    前記導体の外周を覆うように設けられた絶縁層と、
    を備え、
    前記絶縁層は、請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物を含む
    電力ケーブル。
  12. 導体を準備する工程と、
    前記導体の外周を覆うように絶縁層を形成する工程と、
    を備え、
    前記絶縁層を形成する工程では、
    請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物により、前記絶縁層を形成する
    電力ケーブルの製造方法。
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