JP2024064187A - 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 PSFの推定精度を向上させるとともに、画像の特定領域に対してブラー効果、またはデブラー効果を好適に付与すること可能にした画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供すること。【解決手段】 画像内の特定領域を特定する特定手段と、前記特定領域におけるPSF推定を行うPSF推定手段と、を有し、前記PSF推定手段は前記画像に対して、エッジ抽出とマスク処理のうち、少なくともひとつの処理を施すことができ、前記処理後の画像に対してPSFを推定することを特徴とする画像処理装置。【選択図】 図3

Description

本発明は、画像に対してブラー効果、またはデブラー効果を付与する技術に関するものである。
従来から画像に含まれる被写体のブレやボケの特性を表す点像分布関数(PSF)を推定し、推定したPSFに基づいて画像に対してブラー効果、またはデブラー効果を付与する技術が知られている。例えば、特許文献1では、撮影画像内の特定領域を特定し、その特定領域の画像を参照してPSFの演算し、求めたPSFをデコンボリューションすることにより、撮影画像に含まれる像ブレを低減(デブラー)する方法が開示されている。
特開2007-306548号公報 特開2002-77711号公報
渋谷亜紀、杉山善明、有木康雄、"スポーツ記事の自動判別と類似シーンの検索"、情報処理学会、第55回全国大会講演論文集、pp.65-66(1997-09) 荒木諒介, 真野航輔, 大西剛史, 平野正徳, 平川翼, 山下隆義, 藤吉弘亘, "画像生成ネットワークの逆伝播に基づく繰り返し更新による物体姿勢推定を用いた物体把持", 日本ロボット学会学術講演会, 2020.
PSF推定の特徴として、参照する被写体の模様によっては、PSFの推定結果を劣化させることがある。例えばテニスのガット部分など細かい格子模様が推定した特性に形状として現れる。つまり被写体のブレの特性を正しく推定できていないことになる。特許文献1の方法では、このような誤ったPSFを用いて補正処理を行うことになり画質弊害が生じることがある。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、PSFの推定精度を向上させるとともに、画像の特定領域に対してブラー効果、またはデブラー効果を好適に付与することが可能な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、画像内の特定領域を特定する特定手段と、前記特定領域におけるPSF推定を行うPSF推定手段と、を有し、前記PSF推定手段は前記画像に対して、エッジ抽出とマスク処理のうち、少なくともひとつの処理を施すことができ、前記処理後の画像に対してPSFを推定することを特徴とする。
本発明によればPSFの推定精度を向上させるとともに、画像の特定領域に対してブラー効果、またはデブラー効果を好適に付与すること可能にした画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することができる。
実施例1におけるデジタルカメラの構成を説明するための図。 実施例1における画像処理部の構成を説明するための図。 実施例1における画像処理部の動作を説明するためのフローチャート。 実施例1における撮影画像を説明するための図。 実施例1におけるPSF推定の対象領域を説明するための図。 実施例1におけるPSF推定の対象領域にかけるフィルタの特性を説明するための図。 実施例1におけるPSF推定結果を説明するための図。 実施例1におけるブラー付与処理の効果を説明するための図。 実施例2における画像処理部の構成を説明するための図。 実施例2における画像処理部の動作を説明するためのフローチャート。 実施例2における重みに換算するテーブルを説明するための図。
[実施例1]
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は撮像装置であり、撮像装置の一例としてのデジタルカメラに本発明を適用した例を説明する。なお、本発明は撮影画像に適用する補正処理、より具体的には推定用に画像信号を補正してからPSFを推定し、推定したPSFに基づいて画像の特定領域に対してブラー効果、またはデブラー効果を付与する方法に関する。従って、撮像装置における撮影や記録に関する構成は必須ではない。また、本実施例における「ボケ」とは画像の合焦ずれによる焦点ボケを含み、「ブレ」は手ブレや被写体ブレなどを含むが、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの機能構成を示すブロック図である。制御部101は、例えばCPUであり、デジタルカメラ100が備える各ブロックの動作プログラムをROM102より読み出し、RAM103に展開して実行することによりデジタルカメラ100が備える各ブロックの動作を制御する。
ROM102は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、デジタルカメラ100が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータ等を記憶する。RAM103は、書き換え可能な揮発性メモリであり、デジタルカメラ100が備える各ブロックの動作において出力されたデータの一時的な記憶領域として用いられる。
光学系104は、被写体像を撮像部105に結像する。光学系104には、例えば、固定レンズ、焦点距離を変更する変倍レンズ、焦点調節を行うフォーカスレンズ等が含まれている。光学系104には絞りも含まれており、絞りにより光学系の開口径を調節することで撮影時の光量調節を行う。
撮像部105は、例えばCCDやCMOSセンサー等の撮像素子であり、光学系104により撮像素子に結像された光学像を光電変換し、得られたアナログ画像信号をA/D変換部106に出力する。A/D変換部106は、入力されたアナログ画像信号にA/D変換処理を適用し、得られたデジタル画像データをRAM103に出力して記憶させる。
画像処理部107は、RAM103に記憶されている画像データに対して、ホワイトバランス調整、色補間、ガンマ処理など、様々な画像処理を適用した画像データをRAM103に出力する。また、画像処理部107は、撮影画像やRAM103に記憶されている画像データに対して、ブラー効果、またはデブラー効果を付与する処理を行う。
記録媒体108は着脱可能なメモリカード等であり、RAM103に記憶されている画像処理部107で処理された画像やA/D変換部106でA/D変換された画像などが、記録画像として記録される。
表示部109は、LCD等の表示デバイスである。表示部109は撮像部105で取り込まれた被写体像をスルー表示することで電子ビューファインダー機能を構成したり、記録媒体108に記録された画像を再生表示したりするなど、デジタルカメラ100における各種の情報提示を行う。
操作入力部110は、例えばレリーズスイッチ、設定ボタン、モード設定ダイアル等のユーザー入力インタフェースを含み、ユーザーによりなされた操作入力を検出すると、該操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。また表示部109がタッチパネルセンサを備えている態様においては、操作入力部110は、表示部109に対してなされたタッチ操作を検出するインタフェースとしても機能する。
以上、デジタルカメラ100の構成と、基本動作について説明した。
次に、本発明実施例1の特徴である画像処理部107の動作について、詳細に説明を行う。本実施例では、テニスのスウィングを行う被写体を撮影することを想定している。一般に、テニスやゴルフ、野球のバッティングなど手に持ったラケットやクラブ、バットなどをスウィングする動作を伴うスポーツ(以降、スウィングスポーツと呼ぶ)の撮影では、プレーしている被写体の顔にブレやボケは無いことが好ましい。一方、ラケットや腕などスウィングしている領域は、スウィングしている方向にブレていると躍動感があり、プレーの激しさを鑑賞者により印象的に伝えることができ、好印象な画像となる。本実施例ではスウィングしている領域におけるPSFを高精度に推定し、推定したPSFに基づいてブラー効果を付与する方法について説明する。
図2および図3を参照して、画像処理部107によるブラー効果の付与処理に関して説明する。図2は画像処理部107のブロック図である。また、図3は画像処理部107で行う処理のフローチャートである。ブラー効果を付与する処理は、処理の実行が指示された状態で撮影された画像や、メニュー画面などから処理の実行が指示された、例えば記録媒体108に記録済の画像に対して実施することができる。
図2に示されるように、画像処理部107は、主被写体検出部201、PSF推定領域抽出部202、PSF推定領域補正部203、PSF推定部204、画像補正部205より構成される。また、画像処理部107の各部は制御部101の指令の下、それぞれの機能が実行される。
次に、図3のS301で、撮像部105は制御部101の制御の下、被写体の撮影を行う。撮影によりアナログ画像信号が得られると、A/D変換部106はこれをA/D変換し、RAM103に格納する。制御部101は、画像データ206として、画像処理部107に送る。撮影された画像データの例を図4に示す。図4はテニスのスウィングをしている人物被写体401を撮影したものである。露光時間は1/500秒であり、顔にはブレが発生していない。またスウィングしているラケットは弱い動きブレが生じているものとする。また、画像のサイズは1024×680画素で、1画素のサイズは5μmであるとする。なお、本実施例ではスウィング動作と伴うスポーツとしてテニスを例に説明を行うが、その他のスポーツにも本実施例を適用することが可能である。具体的にはゴルフ、バトミントン、卓球、野球、ラクロス、ホッケー、フェンシング、剣道、カヌー、ボートなどが挙げられる。それぞれのスポーツにおいてスウィングしている対象物(競技具)の領域に動きブレが生じるようなブラー効果を付与する処理を行うことで、躍動感のあるスポーツ画像を得ることができる。
S302で、主被写体検出部201は制御部101の制御の下、S301において撮影した画像データ208における主被写体の検出を行う。ここでは人物被写体401を検出する。人物被写体401を主被写体として検出する手法については公知の技術を利用すればよく、例えば特許文献2で開示されているような手法を用いればよい。
S303で、PSF推定領域抽出部202は制御部101の制御の下、主被写体検出部201が検出した人物被写体401において、スウィングしている物体(テニスラケット)を含む矩形領域を抽出する(特定領域の抽出)。テニスラケットの領域を抽出する手法については公知の技術を利用すればよく、S302の主被写体と同じく、特許文献2で開示されているような手法を用いて領域を抽出することができる。または、操作入力部110を介してユーザーにPSF推定領域を指定させるようにしてもよい。本実施例では、PSF推定領域のサイズを256×256画素と正方の領域とする。抽出した領域を図5(a)に示す。図5(a)では図4の画像からスウィングしている物体(テニスラケット)を含む領域がPSF推定の対象領域として抽出されている。
S304で、PSF推定領域補正部203は制御部101の制御の下、PSF推定領域抽出部202が抽出した領域に対してエッジを抽出するためのフィルタをかける。この処理箇所でPSFの推定結果を劣化させるガット部分を除外する。具体的にはPSF推定領域に含まれる高周波成分を除外しつつ、エッジを抽出できるようなバンドパスフィルタを施す。
バンドパスフィルタの特性の例を図6に示す。図6において、横軸は周波数であり、“1”がナイキスト周波数である。カットオフ周波数はPSF推定領域のサイズを参考に設定されている。本実施例では、PSF推定領域のサイズの約2%となる5画素周期で繰り返されるような細かい被写体はバンドパスフィルタを通過するとカットされるようにしている。エッジ抽出後のPSF推定領域を図5(b)に示す。なお、本実施例ではエッジ抽出をする際の抽出帯域を制御することでPSF推定の精度を劣化させる被写体模様を除外したが、この方式に限られるものではない。例えばソーベルフィルタなどのエッジ抽出フィルタを施した信号に対し、エッジ間距離を算出し、ガット領域のようにエッジ間距離が短い領域に対して、信号値が低くなるようにマスク処置を施しても構わない。もしくは、エッジ抽出処理前の信号におけるガット領域に対して、信号値が0(輝度信号が0)となるようなマスク処理を施し、マスク処理後の信号に対してエッジを抽出する方法でもよい。いずれの方法を使ってもPSFの推定結果を劣化させる被写体の模様を予め除外することができ、続くPSF推定の精度を向上させることができる。
S305で、PSF推定部204は制御部101の制御の下、PSF推定領域補正部203が出力した信号を使ってPSFを推定する。PSF推定は、公知の技術を用いることができる。以下、一例として、反復法を用いたPSF推定の概要を説明する。
PSF推定領域の画像信号をB、推定する対象となるPSFをK、PSF推定領域におけるブレやボケの無い画像(潜像)をLとして、画像のノイズを無視すると、以下の式(1)の関係が成り立つ。
Figure 2024064187000002
式(1)において、Convは畳み込み演算を表す。式(1)は、KとLの両方が未知数であるため、解析的に解くことはできない。そこで、次のような推定を行う。
まず、適当な潜像Lの初期値を定める。潜像Lの初期値としては、撮影画像に対してエッジ抽出処理を施した画像を用いることができる。
続いて、以下の式(2)で表されるエネルギー関数E(K)において、Lを固定、Kを未知数として、エネルギー関数E(K)を最小化するKを算出する。
Figure 2024064187000003
式(2)において、σは正則化項を表し、ここではPSFの各要素の二乗和を取るL2ノルムを用いている。
続いて、算出したKを用いて、以下の式(3)で表されるエネルギー関数E(L)において、Kを固定、Lを未知数として、エネルギー関数E(L)を最小化するLを算出する。
Figure 2024064187000004
そして、算出したLを用いてエネルギー関数E(K)を最小化するKを算出し、算出したKを用いてエネルギー関数E(L)を最小化するLを算出するという処理を、算出したKが一定の値に収束するまで反復的に行うことによりPSFを推定する。以上が、反復法を用いたPSF推定の概要である。
図7(a)は図5(b)のPSF推定領域補正部203が出力した信号を使ってPSF推定した結果(カーネル)である。図7(a)において、尾引の方向がブレの方向、尾引の長さがブレの量、白黒の濃淡がブレの強度を表している。一方、図7(b)は従来の補正なしの状態の信号を使ってPSF推定した結果である。図7(b)では、ガット領域のエッジの格子模様がPSF推定結果に影響を与えていることがわかる。図7(a)では被写体の模様は見られず、ラケットのブレの方向や量を正しく推定することができていることがわかる。
S306で、画像補正部205は制御部101の制御の下、PSF推定部204が出力した信号を参照し、画像データ206に対してブラー効果を付与する。まずは図7(a)のカーネルを参考に、ブレの方向に沿って、ブレを強調したカーネルを生成する。
生成したカーネルを図8(a)に示す。次に画像データ206において、S303にてPSF推定領域抽出部202が抽出した該当領域に対して、ブレを強調したカーネルで畳み込み演算を行い、ブラー効果を付与する。ブラー効果を付与した結果を図8(b)に示す。図8(b)より、プレーしている人物被写体の顔にブレやボケは発生していない。一方、スウィングしているラケット領域には強い動きブレが発生していて躍動感のある画像を生成することができている。
なお、強調するブレの量は、例えば、露光時間を参考にする場合、本実施例における露光時間は1/500秒であり、これを1/250秒相当にする際は、PSF推定の結果におけるブレの量(長さ)と、強度を倍にすればよい。また、画面内における競技具の大きさや、被写体までの距離を撮影時の焦点距離で割った値を参考にする構成としてもよく、参考にする値に応じたブレの強調量を予め決めておくようにする。もしくは、強調度合い(弱、中、強)といったプリセットを準備しておき、ユーザー選択に応じて決定する構成としてもよい。このように付与するブラー効果についてその特性を適切に決定することで、好適な画像を生成することが可能となる。
また、本実施例ではスウィングしているラケット領域にブラー効果を付与する場合について説明したが、ブレ(ボケを含む)が発生している領域(例えば顔領域)に対してデブラー効果を付与することも可能である。その場合、S303で、PSF推定領域抽出部202は、主被写体検出部201が検出した人物被写体401における顔領域を特定領域として抽出する。そして、S304で、PSF推定領域補正部203は、PSF推定領域抽出部202が抽出した領域のうち、肌色部分のエッジのみが有効になるように、抽出領域における肌色領域を検出し、エッジ抽出結果に肌色領域のマスク処理を施す。このようにすることで、例えばメッシュ状の帽子など、顔周辺に存在する模様の細かい物体の影響によるPSF推定の劣化を防ぐことができる。次に、補正後のPSF推定領域の信号を使ってPSFを推定する。最後に画像補正部205は、画像データ206における顔領域と推定したPSFとの逆畳み込み演算を行うことでデブラー効果を付与する。逆畳み込み演算は次の式(4)で表される。
Figure 2024064187000005
式(4)において、Fがフーリエ変換、F^-1が逆フーリエ変換を表している。
また、本実施例において、PSF推定領域のサイズを256×256画素と正方の領域としたが、これに限定されるものではなく、正方以外の領域を対象としてもよい。例えばスウィングしているものが野球のバットのように細長い物体の場合、PSF推定領域も長方形にするのがよい。そのように構成すると、背景に存在する別の被写体が混入することを防ぐことができ、スウィングしている物体におけるPSF推定の精度が向上する。その場合、該当する長方形の領域を複数の正方矩形に分割し、それぞれの分割矩形でPSFを推定し、周波数空間上で加算することで、もとの長方形におけるPSF推定結果を算出することができる。具体的に長方形をn領域に分割した場合、長方形におけるPSF推定結果の周波数空間上での値(F(K_all))は次の式(5)で表現される。
Figure 2024064187000006
また、演算に係る負荷の関係などで分割したすべての領域でPSFを推定しない場合、エッジ抽出結果を参考に、PSF推定に用いる分割領域の優先度を決めることができる。具体的には領域内に存在するエッジの角度が広く分散しているほど安定したPSFの推定結果が得られるので、そのような領域を優先的に推定に参照するようにする。例えば競技具にメーカーのロゴや文字が印刷されている部分を含む領域を優先的に推定に参照するとよい。
また、直線状の物体よりも、円形状の物体を投入したほうがエッジの偏りが少なく、ブレの方向に関して、安定したPSF推定結果を得られることができる。そこで、例えばゴルフクラブの場合、シャフトの領域よりもヘッドの部分が含まれる領域を優先的に推定に用いるのがよい。
[実施例2]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は実施例1と同様に撮像装置であり、撮像装置の一例としてのデジタルカメラに本発明を適用した例を用いて説明する。
第1の実施例では、PSF推定の精度を向上させることで躍動感のある画像を得ることを可能としたが、本実施例では機械学習やディープラーニングの技術によるシーン認識(シーン推定)を追加することで、高品質で躍動感のある画像を安定的に生成する。
本発明の実施形態に係るデジタルカメラの構成は、実施例1で説明した図1のブロック図と同様のため説明は省略する。本実施例では、実施例1と異なり、画像処理部107が図9に示すような構成となっている。以下、詳細を説明する。
図9において、主被写体検出部901、PSF推定領域抽出部902、PSF推定領域補正部903、PSF推定部904は実施例1と同じである。画像補正部905は画像データ906とPSF推定部904、シーン認識部907の出力を受け入れるようになっている。シーン認識部907が実施例2で新たに加えられた処理である。
図10が実施例2における画像処理部107で行う処理のフローチャートである。なお、実施例2でも図4と同じくテニスのスウィングを行う被写体を撮影することを想定している。図10のS1001からS1003までの処理は、実施例1のS301からS303と同じ内容なので説明を省略する。
S1004で、シーン認識部907は制御部101の制御の下、画像データ906に写っているシーンを認識(推定)する。ここではスポーツの種類を認識する。入力シーンにおいて、どのようなスポーツを行っているかを認識する手法については公知の技術を利用すればよく、例えば非特許文献1で開示されているような手法を用いればよい。テニスだけではなく、ゴルフや野球といったスポーツを行っていることを認識することができる。
更にシーン認識部907では、スポーツ種類の認識結果や、デジタルカメラ100と人物被写体401との向き合い方、S1003で抽出したラケット領域の画像データにおけるラケットの位置姿勢推定結果から、撮影時のラケットの移動方向を推定する。なお、ラケットの位置姿勢を推定する方法は、例えば非特許文献2で開示されているような手法を用いればよい。
S1005の処理は、実施例1のS304と同じ内容なので説明を省略する。
S1006で、PSF推定部904は制御部101の制御の下、PSF推定領域補正部903が出力した信号を使ってPSFを推定する。本実施例におけるPSF推定では、実施例1の処理に加えて、入力された信号におけるエッジの偏り度合いの評価値を算出する。具体的には領域内に含まれる各エッジの角度を算出し、領域全体における角度の分散値を偏り度合いの評価値とする。評価値が高いほど領域内に様々な角度のエッジが存在することになる。PSF推定は推定領域に様々な角度のエッジがあるほどブレの方向の推定結果が安定するため、エッジの偏り度合いの評価値が大きいほど高精度なPSF推定が生成される。PSF推定部904はPSFの推定結果と、エッジの偏り度合いの評価値を画像補正部905に対して出力する。
S1007で、画像補正部905は制御部101の制御の下、PSF推定部904が出力した信号と、シーン認識部907の出力信号を参照し、画像データ906に対してブラー効果を付与する。付与するブレの方向(角度)はPSF推定が推定した方向と、シーン認識部が推定した方向をエッジの偏り度合いの評価値から生成した重みを使って統合する。図11はエッジの偏り度合いの評価値を重みαに換算する際のテーブルを表している。図11よりエッジの偏り度合いの評価値が高くなる(PSF推定の精度が高い)ほど、重みαが大きくように設計されている。次に最終的に付与するブレの方向(DIR_BLUR_F)は、PSF推定が推定した方向をDIR_BLUR_PSF、シーン認識部が推定した方向をDIR_BLUR_SCENEとすると、次の式(6)で表される。
DIR_BLUR_F = DIR_BLUR_PSF*α + DIR_BLUR_SCENE(1.0-α) (6)
算出したDIR_BLUR_Fの方向に沿って、ブレを強調したカーネルを生成する。ブレを強調する方法とブレを付与する方法は実施例1と同じである。
本実施例のように構成することで、領域内のエッジが一部の角度に偏っている場合であったとしても、位置姿勢の推定など機械学習やディープラーニングの技術を併用することで、スウィングしている物体が移動する方向を推定することができる。これにより、例えば野球のバットなど直線成分が多い競技具であっても、ブレの方向を精度よく算出することができ、高品質で躍動感のある画像を安定的に得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
100 デジタルカメラ
101 制御部
102 ROM
103 RAM
104 光学系
105 撮像部
106 A/D変換部
107 画像処理部
108 記録媒体
109 表示部
110 操作入力部

Claims (14)

  1. 画像内の特定領域を特定する特定手段と、
    前記特定領域におけるPSF推定を行うPSF推定手段と、を有し、
    前記PSF推定手段は前記画像に対して、エッジ抽出とマスク処理のうち、少なくともひとつの処理を施すことができ、
    前記処理後の画像に対してPSFを推定することを特徴とする画像処理装置。
  2. 画像内の特定領域を特定する特定手段と、
    前記特定領域におけるPSF推定を行うPSF推定手段と、
    前記特定領域にブラー効果、またはデブラー効果を付与する演算手段と、を有する画像処理装置であって
    前記PSF推定手段は前記画像に対して、エッジ抽出とマスク処理のうち、少なくともひとつの処理を施すことができ、
    前記処理後の画像に対してPSFを推定し、
    前記演算手段は、前記PSF推定の結果に基づいて、ブラー、またはデブラーの特性を決定することを特徴とする画像処理装置。
  3. 画像内の特定領域を特定する特定手段と、
    前記特定領域におけるPSF推定を行うPSF推定手段と、
    前記特定領域が移動する方向を含む、前記画像におけるシーンを推定するシーン推定手段と
    前記特定領域にブラー効果、またはデブラー効果を付与する演算手段と、を有する画像処理装置であって
    前記演算手段は、前記PSF推定の結果と、前記シーン推定の結果に基づいて、ブラー、またはデブラーの特性を決めることを特徴とする画像処理装置。
  4. 前記特定領域はスウィング動作を伴うスポーツにおけるスウィングの対象物、もしくは主被写体の顔領域であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記スウィング動作を伴うスポーツにおけるスウィングの対象物とは、各スポーツにおける競技具であることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記ブラー、または前記デブラーの特性とは、PSF推定におけるブラーの量、ブラーの方向、および強度であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
  7. 前記シーン推定手段は、前記シーンとして前記画像に写っているスポーツの種類の認識、
    前記特定領域の位置姿勢の推定の少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  8. 前記シーン推定手段は前記画像に写っているスポーツの種類の認識結果、および前記特定領域の位置姿勢の推定結果に基づいて、前記特定領域が移動する方向を推定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記演算手段は、前記PSF推定を実行する領域におけるエッジの角度における分散値が大きいほど、前記PSF推定におけるブレの方向に対する重みを大きくすることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  10. 前記PSF推定手段は前記画像の形状に応じて、推定領域を複数に分割し、それぞれをPSF推定した結果を周波数空間上で加算することで、統合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  11. 前記PSF推定手段は、前記複数に分割した推定領域におけるエッジの方向の角度の分布が広い領域ほど、統合する優先度を高くすることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記PSF推定手段は、前記特定領域が主被写体の顔領域の場合、前記画像に対してエッジ抽出をした後に、肌色領域の信号のみが有効になるマスク処理を施すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  13. 画像内の特定領域を特定する特定ステップと、
    前記特定領域におけるPSFを推定するPSF推定ステップと、を有し、
    前記PSF推定ステップでは前記画像に対して、エッジ抽出とマスク処理のうち、少なくともひとつの処理が実行でき、
    前記処理後の画像に対してPSFを推定することを特徴とする画像処理方法。
  14. コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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