JP2024062843A - 飛翔体用地上局追尾アンテナ装置 - Google Patents

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【課題】低消費電力、低価格化、メンテナンス性、耐久性を向上させる飛翔体用地上局追尾アンテナ装置を提供する。【解決手段】飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、非地上系ネットワークにおける飛翔体と地上局から上記飛翔体を追尾しながら無線通信を行うための飛翔体用地上局追尾アンテナ装置であって、上記飛翔体に対して粗追尾と精追尾による協調制御を含む追尾アンテナ制御部21を有し、上記追尾アンテナ制御部21は、上記飛翔体へ向けて電波を放射する誘電体レンズ210と、上記飛翔体の方位角方向に回転するアジマス機構及び仰角方向に回転するチルト機構を有する粗追尾機構212と、機械駆動又は電子走査によって精追尾を行う精追尾機構213と、上記誘電体レンズ210に電波を給電する給電アンテナ211と、上記飛翔体の粗追尾と精追尾による協調制御を行う協調制御部214とを備える。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)証明書1 (主催者) 電子情報通信学会 (集会名) 令和4年 電子情報通信学会総合大会 (開催場所)オンラインで開催された (開催日) 令和4年3月15日 (2)証明書2 (発行者) 電子情報通信学会 (刊行物名)令和4年 電子情報通信学会総合大会通信講演論文集1 (発行日) 令和4年3月15日 (3)証明書3 (主催者) 電子情報通信学会 (集会名) 令和4年 電子情報通信学会衛星通信研究会 (開催場所)オンラインで開催された (開催日) 令和4年5月26日 (4)証明書4 (発行者) 電子情報通信学会 (刊行物名)令和4年 電子情報通信学会信学技報 2022-05 (発行日) 令和4年5月
本発明は、非地上系ネットワークにおける飛翔体と地上局から上記飛翔体を低消費電力で追尾しながら無線通信を行うのに好適な飛翔体用地上局追尾アンテナ装置に関するものである。
Beyond5G時代では、地上系と非地上系ネットワークによる3次元的なメッシュネットワークが形成されることが考えられ、それに資する研究開発が急務となっている。HAPS(High Altitude Platform Station)等の非地上系ネットワークでは、基幹ネットワークとして地上系-非地上系プラットフォーム間の高速回線が必要となる。更に周波数効率向上のためにはミリ波帯を用いることが有効であるが、ミリ波帯のような高周波数帯域通信では、伝搬損失の増加を補償するために高利得アンテナを飛翔体に指向する必要があり、地上とプラットフォーム間を高精度で追尾するアンテナ装置が必須となる。また、周波数利用効率の観点から地上局からHAPSなどの飛翔体へ通信するアップリンクにおいて地上系ネットワークと周波数共用が考えられており、地上局から既存のサービス(Fixed Service:FS)への干渉を抑制することが課題となっている。このような課題を説明するための図を図32に示す。WRC-19において、31-31.3GHz、38-39.5GHzの周波数帯における固定サービスへの割り当ては、HAPSが世界的に使用することに合意された。地上系-非地上系ネットワークにおける周波数共用のニーズが高まり、周波数利用効率の観点から地上系-非地上系ネットワーク間の周波数共用技術が求められているという社会要請もある。HAPS用地上局のサイドローブ干渉が他の固定基地局へ与える影響を最小限にとどめたいという要求がある。
特許文献1では、飛翔体を追尾するための地上局におけるアンテナとして、2軸以上の軸数を有するジンバル機構によって駆動される機構や、アレーアンテナによる電子的な制御による指向性の決定が考慮されている。
特許文献2では、空中浮揚型の通信中継器(無線中継器)としてのHAPSを追尾するための地上局におけるアンテナとして、パラボラアンテナなどの指向性が高いフィーダリンク用アンテナによりHAPSを追尾制御する装置が開示されているが、地上局側のアンテナ追尾制御機構については考慮されてなかった。
特許文献3では、衛星通信システムの地上局に用いられるレンズアンテナ装置が開示されている。この特許文献3は、半球型レンズアンテナの焦点に集まる電波を反射させ、その反射面に放射器(アンテナ素子)を配置させ、半球レンズ周面に沿ってガイドレールを平行に架設し、ガイドレール上複数の放射器を位置決め固定している。運用時には、複数の放射器それぞれの電波ビームを、AZ軸回転機構、EL軸回転機構、xEL軸回転機構の調整によって、指向制御する構成となっている。
非特許文献1では、方位角方向・仰角方向に対応した2軸の機械駆動ジンバルに加えて仰角方向に直交したcross-EL軸を加えている。天頂追尾の際には2軸の機械駆動ジンバルでは方位角方向に速度が無限大に必要となるため、実際には天頂を通過する衛星の追尾ができないが、3軸駆動制御とすることで天頂追尾に対応している。上記のように追尾アンテナ装置はパラボラアンテナやパッチアンテナ、カセグレンアンテナなどの開口面を機械駆動ジンバルによって制御してアンテナの指向方向を決定する方式や、アクティブ電子走査(Active Electronically Scanned Array)によって電子的にアンテナ指向方向を制御する方式が主に存在している。
特開2019-121967号公報 特開2020-036100号公報 特開2005-167402号公報
木目 歩美、酒井 雄二、原島 治、「超低高度軌道衛星に対応した3軸駆動制御アルゴリズムの検討」電子情報通信学会信学技報、SAT2018-59、pp.13-16、2019年2月.
従来技術の機械駆動ジンバルによってアンテナの指向方向を決定する方式は、アンテナの開口面が掃引する体積よりアンテナサイズを小型化できず、更に天頂追尾に対応するために軸数を増やすほどその機械的構造は複雑性を増すため、体積増加や耐久性・メンテナンス性の低下を引き起こすという課題があった。
また大容量・高速通信の需要に応えるためにミリ波帯などの高周波帯域を用いる場合には、伝搬損失を補償するために高利得のアンテナを先鋭なビームで飛翔体へ向けることが必要となり、更なる高精度での飛翔体への追尾を機械駆動ジンバルによって実現することが求められる。アクティブ電子走査アレーアンテナを用いる方式では、飛翔体への指向角度による実効開口効率の低下し、それを補償する面積の大きいアレーアンテナを製作するためには、その分コストが増加するという課題があった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、地上局における追尾アンテナ装置において、簡潔な構造による高精度かつ低消費電力での飛翔体の追尾制御を達成可能とし、構造的特徴を活かして低価格化やメンテナンス性、耐久性を向上させる飛翔体用地上局追尾アンテナ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、第1の発明に係る飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、非地上系ネットワークにおける飛翔体と地上局から上記飛翔体を追尾しながら無線通信を行うための飛翔体用地上局追尾アンテナ装置であって、上記飛翔体に対して粗追尾と精追尾による協調制御を含む追尾アンテナ制御部を有し、上記追尾アンテナ制御部は、上記飛翔体へ向けて電波を放射する誘電体レンズと、上記飛翔体の方位角方向に回転するアジマス機構及び仰角方向に回転するチルト機構を有する粗追尾機構と、機械駆動又は電子走査によって精追尾を行う精追尾機構と、上記誘電体レンズに電波を給電する給電アンテナと、上記飛翔体の粗追尾と精追尾による協調制御を行う協調制御部とを備えたことを特徴とする。
第2の発明に係る飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、第1の発明において、上記粗追尾機構は、機械駆動ジンバルであることを特徴とする。
第3の発明に係る飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、第1の発明又は第2の発明において、上記給電アンテナは、単素子アンテナ又はアレーアンテナであることを特徴とする。
第4の発明に係る飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、第1の発明において、上記協調制御部は、上記地上局の位置情報及び姿勢情報と上記飛翔体の位置情報を取得し、取得された上記地上局の位置情報及び姿勢情報と上記飛翔体の位置情報に基づいて上記飛翔体の軌道予測及び重心位置を推定し、予測された軌道の重心位置が上記給電アンテナと上記誘電体レンズによって追尾可能な最大角度を示す放射限界角度内であれば、上記粗追尾機構を固定したまま上記精追尾機構のみで上記飛翔体の追尾を行い、次時刻ステップで予測される軌道の重心位置が上記放射限界角度を超える場合、予測される軌道の重心位置へ上記粗追尾機構の方向を変更することを特徴とする。
第5の発明に係る飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、第4の発明において、上記重心位置の推定は、機械学習を用いた予測モデルにより上記飛翔体の位置を予測し、予測された上記飛翔体の位置情報に基づいて重心位置を計算することを特徴とする。
第6の発明に係る飛翔体用地上局追尾アンテナ装置は、第1の発明又は第2の発明において、上記飛翔体は、HAPS、ドローン、準天頂衛星、非静止衛星のいずれかであることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、簡潔な構造による高精度かつ低消費電力での飛翔体の追尾制御を達成可能とする。
また、本発明に依れば、構造的特徴を活かして低価格化やメンテナンス性、耐久性を向上させることができる。
さらに、地上局において飛翔体方向へ高精度にアンテナを向けることで、FS(Fixed Service)へのサイドローブ干渉を低減するとともに、飛翔体の長時間飛行に対応した追尾アンテナ装置によって地上局での電力消費を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態を示す飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の構成ブロック図である。 図2は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークの概略構成図である。 図3は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置における協調制御部のフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の追尾アンテナ構成の概略図である。 図5は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の給電アンテナにパッチアレーアンテナ(XY可動ステージ無)を用いた例を示す追尾アンテナ構成の概略図である。 図6は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置における協調制御を説明するための図である。 図7は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置における協調制御部の詳細フローチャートである。 図8は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の給電アンテナに単素子アンテナ(XY可動ステージ有)を用いた例を示す追尾アンテナ構成の概略図である。 図9は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の給電アンテナにアレーアンテナ(XY可動ステージ有)を用いた例を示す追尾アンテナ構成の概略図である。 図10は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークにHAPSを用いたサービス提供システムの概念図である。 図11は、飛翔体の軌道が直線軌道、アンテナの放射限界角度に収まる旋回軌道、アンテナの放射限界角度を超える旋回軌道における協調制御を説明するための図である。 図12は、飛翔体のアレーアンテナの放射限界角度に収まる旋回軌道の時間ステップにおける方位角、仰角の推移を示している。 図13は、飛翔体のアレーアンテナの放射限界角度を超える旋回軌道の時間ステップにおける方位角、仰角の推移を示している。 図14は、本発明の有効性実証のための基礎実験の実験構成図である。 図15は、本発明の有効性実証のための基礎実験の実験装置(写真)の模式図である。 図16は、本発明の有効性実証のための基礎実験のシミュレーション条件を示している。 図17は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるHAPSの飛行シナリオを説明するための図である。 図18は、本発明の有効性実証のための基礎実験における模擬ジンバルの方位角/仰角の変位を示している。 図19は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase1:直線軌道のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図20は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase2:旋回軌道のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図21は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase3:直線軌道のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図22は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase4:旋回軌道のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図23は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図24は、本発明の実施形態におけるHAPSの位置予測に機械学習を用いた予測モデルとしてAR(Auto Regression)モデルを用いた例を示している。 図25は、本発明の実施形態におけるHAPS軌道の粗追尾による重心追尾を説明するための図である。 図26は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図27は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図28は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図29は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図30は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図31は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。 図32は、地上系-非地上系ネットワークにおける周波数共用による干渉の課題を説明するための図である。 図33は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークにドローンを用いた観測サービス提供システムの概念図である。 図34は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークに準天頂衛星を用いたサービス提供システムの概念図である。 図35は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークに非静止衛星を用いたサービス提供システムの概念図である。
以下、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1は、本発明の実施形態を示す飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の構成ブロック図であり、図2は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークの概略構成図である。以下では、飛翔体はHAPSの例について説明するが、これに限定されるものではなく、ドローン、準天頂衛星、LEO(Low Earth Orbit)やMEO(Medium Earth Orbit)に代表される非静止衛星にも同様に適用できる。また、実際の通信ネットワークには、図32に示すように、非地上系ネットワークのHAPS用地上局以外に、モバイル用基地局や他の固定基地局が存在し、スマートフォンなどのモバイルユーザがモバイルダウンリンクなどを行って通信している。HAPS用地上局は追尾アンテナ制御を行い、高度20km程度でHAPSを飛行させ、HAPSへ大量のデータをアップリンクによりアップさせる。ここでは、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置による非地上系ネット―ワークで空を飛行しているHAPSと飛翔体用地上局とでの通信ネットワーク以外は省略して図示している。
図2の例では、本発明の特徴的な追尾アンテナ制御部21を備えた飛翔体用地上局20とHAPS10との間で通信を行う。HAPS10には、図示しないが、データ通信中継を行うペイロードを備えており、HAPSアップリンクを行うフィーダアンテナを備え、飛翔体用地上局から低消費電力を実現しつつ高精度な追尾アンテナの協調制御を行うものである。フィーダアンテナには、HAPSのダウンリンク機能も有しているが、本発明ではアップリンクについて問題としているので、ダウンリンクについては記載を省略している。
図2に示すように、飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の追尾アンテナ制御部21は、誘電体レンズ210と給電アンテナ21とから構成されるレンズアンテナと、レンズアンテナを搭載した機械駆動ジンバルを有する粗追尾機構212と、レンズアンテナを有する精追尾機構213と、粗追尾制御と精追尾制御との協調制御を行う協調制御部214と、飛翔体からの位置情報の電波を受信する制御用アンテナ215と、飛翔体情報受信部216と、飛翔体情報格納部217と、通知情報受信部218と、通知情報送信部219と、を有する。
協調制御部214は、粗追尾機構212を制御する粗追尾制御手段220と、精追尾機構213を制御する精追尾制御手段221とを備えている。
誘電体レンズ210は、本発明の特徴的な誘電体レンズであり、誘電体レンズの下部に配置された給電アンテナ211と組み合わせてレンズアンテナを構成する。図示しない給電源から供給された電波は、給電アンテナ210から放射され、誘電体レンズ210を透過させて電波を集束させて飛翔体10に放射される。
給電アンテナ211は、図示しない給電源からの電波を誘電体レンズ210へ放射させるものである。給電アンテナ211としては、単素子アンテナや多素子アンテナが使用することができる。単素子アンテナしては、ホーンアンテナなどの開口面アンテナが使用できる。また、多素子アンテナとしては、アレーアンテナが使用でき、パッチアレーアンテナを使用することができる。追尾アンテナの構成については、後記する図4、図5、図8、図9にて詳細に説明する。
粗追尾機構212は、本発明の特徴の一つである機械駆動ジンバル制御を行うためのメカ機構であり、構成例は図4,図5、図8、図9のような機構である。アジマス機構とチルト機構により機械駆動ジンバルを構成し、飛翔体10に対して方位角と仰角を制御して粗追尾機構212を構成している。回転などの制御は図示しないモータなどを駆動させて行う。
精追尾機構213は、機械駆動を行うXYステージや機械駆動を行わない電子走査+スイッチングにより精追尾制御を行う。これらの粗追尾機構212や精追尾機構213を協調制御部214のエネルギー消費を抑えた効率的な制御により低消費電力化を実現する。具体的な粗追尾と精追尾の協調制御については、後記する図3又は図7図の制御フローに従って行う。
協調制御部214は、誘電体レンズ210と給電アンテナ211を有するレンズアンテナを制御する。協調制御214は、粗追尾制御手段220及び精追尾制御手段221を有し、例えばアレーアンテナの放射限界角度(θ)以内であれば、機械駆動ジンバルを固定させたまま、精追尾制御を行い、低消費電力化を行う。アレーアンテナの放射限界角度を超える場合は機械駆動ジンバルの指向方向(D)を変更する制御を行う。
制御用アンテナ215は、地上局の位置情報(緯度・経度・高度)や地上局の姿勢情報(yaw(ヨー)・roll(ロール)、pitch(ピッチ))と、飛翔体10のHAPSからの位置情報(緯度・経度・高度)を受信するために使用される。制御アンテナ215はGNSからの制御回線を構成している。飛翔体の位置情報は、受信した電波から緯度・経度・高度に変換して得るようにしても良い。また、飛翔体からの位置情報の取得は、直接的に各種情報を取得するだけでなく、例えば、GPS衛星から発信される電波には、衛星の軌道情報と原子時計の正確な時間情報が含まれており、4個以上のGPS衛星から電波を受信して、測定地点における3次元的な位置および原子時計の時刻を得るような方法でも良い。
飛翔体情報受信部216は、飛翔体10の上記位置情報を含む飛翔体情報を受信する。飛翔体情報受信部216は、飛翔体10の図示しない通信装置から、制御用アンテナ215と図示しない飛翔体の制御用アンテナとの無線通信によって、飛翔体情報を受信してもよい。飛翔体情報は、飛翔体10の移動方向を含んでもよい。飛翔体情報は、飛翔体10の移動速度を含んでもよい。飛翔体情報受信部216は、受信した飛翔体情報を飛翔体情報格納部217に格納する。
飛翔体情報格納部217は、通信対象の飛翔体10に関連する飛翔体関連情報を格納する。例えば、飛翔体10が、予め定められた飛行軌道に沿って飛行したり、予め定められた飛行軌道を直線移動、又は旋回したりする場合、飛翔体情報格納部217は、飛行軌道を示す情報を格納する。
粗追尾制御手段220は、機械駆動ジンバルを構成する粗追尾機構212を制御してアレーアンテナの放射限界角度以内に収まっているか否かで粗追尾制御を行う。
精追尾制御手段221は、機械駆動を行うXYステージなどで給電アンテナ(例えば、ホーンアンテナやパッチアレーアンテナ)をXY移動させ(例えば、約10cm程度の可動範囲)、精追尾を行う。XYステージは可動範囲が狭いことに加え、機械駆動ジンバルは重量の大きな追尾アンテナ機構全体を動かす必要があるのに対し、XYステージはその上に載る給電アンテナ部だけを動かせばよいので、消費電力が少なくて済む。
通知情報受信部218は、飛翔体10の図示しない通信装置が、時刻ステップごとに送信した通知情報を受信する。通知情報受信部218は、制御用アンテナ215を介して、通知情報を受信してよい。通知情報受信部218は、飛翔体10の図示しない通信装置が、飛翔体10側の制御用アンテナと制御用アンテナ215との無線通信によって送信した通知情報を受信してもよい。
通知情報送信部219は、時刻ステップ毎に、飛翔体10の図示しない通信装置に通知情報を送信する。通知情報送信部219は、制御用アンテナ215を介して、通知情報を飛翔体10の図示しない通信装置に送信してもよい。通知情報送信部219は、制御用アンテナ215と図示しない飛翔体10の通信装置の制御用アンテナとの無線通信によって、通知情報を図示しない飛翔体10の通信装置に送信してもよい。これらの通信は、リアルタイムで行われる。
図3は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置における協調制御部のフローチャートである。以下、協調制御部214による協調制御について説明する。
先ず、協調制御部214は、図3に示すように、地上局の位置情報及び姿勢情報取得ステップにより上記地上局の位置情報及び姿勢情報と上記飛翔体の位置情報を取得し(ステップ301)、飛翔体の位置情報取得ステップにより、飛翔体の位置情報を取得し(ステップ302)、飛翔体の軌道予測及び受信位置推定ステップにより、取得された上記地上局の位置情報及び姿勢情報と上記飛翔体の位置情報に基づいて上記飛翔体の軌道予測及び重心位置を推定し(ステップ303)、予測された軌道の重心位置が上記給電アンテナと上記誘電体レンズによって追尾可能な最大角度を示す放射限界角度内であれば(ステップ304)、上記粗追尾機構を固定したまま上記精追尾機構のみで上記飛翔体の追尾を行い(ステップ305)、次時刻ステップで予測される軌道の重心位置が上記放射限界角度を超える場合(ステップ304)、予測される軌道の重心位置へ上記粗追尾機構の方向を変更し、上記精追尾機構による上記飛翔体の追尾を行う(ステップ306)。
上記ステップ301~306の処理を時刻ステップ終了まで繰り返す。
これにより、レンズアンテナの簡潔な構造による高精度かつ低消費電力での飛翔体の追尾制御を達成可能とする。
本発明ではHAPS等の非地上系ネットワークにおける飛翔体を想定し、通信需要に応えるためのミリ波帯を用いた大容量・高速通信によるエンドユーザへのブロードバンド通信あるいは地上系-非地上系プラットフォーム間の基幹ネットワークとしての高速回線をバックホールすることが期待される。地上系-非地上系ネットワークとで共用される周波数帯域において、非地上系ネットワークから地上系ネットワークへのサイドローブ干渉を防ぐために、高精度に飛翔体を追尾し長時間飛行に対応した低消費電力での捕捉追尾を可能にする地上局における追尾アンテナ装置を本発明する。誘電体レンズおよび機械駆動ジンバルおよびアレーアンテナからなる平易なアンテナ構成に関する構造的特徴、飛翔体の軌道の重心位置を利用した低消費電力化を実現する本発明追尾方式、飛翔体の軌道に対する重心位置を決定するための軌道予測方法、以上の3項目についての説明を行う。
<誘電体レンズ、機械駆動ジンバル及びアレーアンテナからなる追尾アンテナ構成>
図4は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の追尾アンテナ構成の概略図である。
図4に示すように、追尾アンテナは、誘電体レンズ1と、XYステージに搭載された給電アンテナとしてのアレーアンテナ2と、チルト機構3と、アジマス機構4と、固定ベース5とを有する。追尾アンテナの他の構成としては、誘電体レンズを支持する支持部材や誘電体レンズと給電アンテナ(アレーアンテナ)からなるレンズアンテナを回転させる機構などを有している。図4の例では、追尾アンテナの概略構成を示している。
誘電体レンズ1は、レンズ下部に配置されたアレーアンテナからの電波を透過させて、HAPS10に放射させる。誘電体レンズ1の大きさは、電波出力に応じて選定されるが、例えば直径が約600mmや約300mmの大きさのレンズを使用することができる。所望とする大容量データをアップリンクできるように、適宜設計して決定されるものであり、限定されない。
チルト機構3とアジマス機構4から粗追尾用の機械駆動ジンバルを構成し、XYステージは精追尾用の精追尾機構を構成している。以下、HAPS用地上局アンテナとしての飛翔体用地上局追尾アンテナについて説明する。
本装置では、図4に示すように、誘電体レンズ1と機械駆動ジンバルに加えて、多素子アンテナで構成されるアレーアンテナ素子(以降アレーアンテナと呼称する)もしくは単素子を二次元的に移動させる機構を持つポジショナー(例えばXYステージと単素子アンテナ、以降XYステージアンテナと呼称する)からなる協調制御を実現するためのアンテナ機構を採用している。機械駆動ジンバルは、方位角方向に対応した水平方向回転するアジマス機構4および仰角方向に対応した垂直方向回転するチルト機構3で構成され、アレーアンテナ2あるいはXYステージアンテナは、電波放射分布を二次元に変更することでレンズアンテナから放射される電波の角度を制御する。これらの協調制御のための機構は、次項で述べる本発明追尾方式が要求する粗追尾および精追尾に対応したものであり、本発明追尾方式を実現するために必要な機構を達成している。また、常に変動する飛翔体の軌道特性に対応し、低消費電力での高速捕捉追尾を可能にするために、アレーアンテナ2の電波放射分布の変更あるいはXYステージの位置制御によって誘電体レンズ1を用いたレンズアンテナの放射角度を調整し、詳細な軌道に対しての追尾を行う。このアレーアンテナの電波放射分布の変更により追尾可能な最大角度を放射限界角度と呼称する。
このような追尾アンテナ装置は、固定ベース5を介して屋外の施設の屋上などに設置される。設置場所は、HAPSなどの飛翔体に電波を放射できる場所であれば、屋上に限らない。
図5は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の給電アンテナにパッチアレーアンテナ(XYステージ無)を用いた例を示す追尾アンテナ構成の概略図である。図8は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の給電アンテナに単素子アンテナ(XYステージ有)を用いた例を示す追尾アンテナ構成の概略図である。図9は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置の給電アンテナにアレーアンテナ(XY可動ステージ有)を用いた例を示す追尾アンテナ構成の概略図である。
本装置では、図5、図8、図9に示すように、誘電体レンズ1と、給電アンテナとしてのパッチアレーアンテナ2aと、チルト機構3と、アジマス機構4と、ホーンアンテナ6と、XYステージ7と、を有する。追尾アンテナの他の構成としては、誘電体レンズを支持する支持部材や誘電体レンズと給電アンテナからなるレンズアンテナを回転させる機構などを有している。以下、図5、図8、図9を用いて、粗追尾と精追尾による協調制御のための追尾アンテナ装置について説明する。
いずれの構成例でも粗追尾にあたる機構は、方位角方向に回転するアジマス機構4および仰角方向に回転するチルト機構3からなる機械駆動ジンバルを採用している。図8の例では、精追尾機構として機械駆動するXYステージを用いており、その上にホーンアンテナのような単素子アンテナを設置しており、安価での製造が可能である。精追尾にあたってはXYステージが二次元的に移動することで、レンズアンテナからの放射電波の角度を調整する。図9の例でも、精追尾機構は図8の例と同様にXYステージであるが、給電アンテナとしてパッチアレーアンテナ2aを採用している。これにより、図8の例と比較して薄型で体積を取らないため地上局アンテナ装置全体の小型化が可能となっている。図5の例では、XYステージ7を用いず、粗追尾にあたる機械駆動ジンバルに直接パッチアレーアンテナ2aを設置することで精追尾機構としている。このパッチアレーアンテナ2aでは、ある程度のブロック(例えば、8×8素子)ごとで放射パターンを合成し、そのブロックの電力分布を変化させることでレンズアンテナからの放射電波の角度を操作している。この図5の例では、図8,図9のようなXYステージ7の物理的な移動が制約となる追尾速度の上限がほとんど存在しないため、より柔軟な追尾が可能となっている。
本発明追尾方式では、HAPSの軌道予測を行い、累積された過去点と推定される予測点から軌道の重心位置を求めてHAPSの大まかな位置を指す粗追尾と、重心位置と実際のHAPSの位置の差分を補正するための精追尾によってHAPSの追尾を行う。重心位置を追尾する粗追尾を機械駆動ジンバル機構が担い、詳細な軌道を追尾する精追尾をアレーアンテナもしくはXYステージアンテナが担うことで、粗追尾と精追尾による協調制御を実現し、常に位置を変動させるHAPSへの捕捉追尾を行う。この際、アレーアンテナあるいはXYステージアンテナの二次元的な電力分布の変更によって追尾可能な最大角度を放射限界角度と呼称する。以降では、アレーアンテナに絞った追尾方式について説明するが、XYステージアンテナで代用可能である。なお、ここでいう重心とは、地上局アンテナを起点とした上空飛翔体の動きの過去と未来の予測点を含めた中心点を指しており、過去点と予測点の取得範囲によってはHAPS軌道の数学的な重心とは一致しない。
<飛翔体軌道の重心位置を利用した本発明追尾構成による低消費電力化>
本発明では、飛翔体を追尾するためにアレーアンテナの放射パターンもしくはXYステージアンテナの位置制御が必要となる。本発明では飛翔体の軌道予測を行い、累積された過去点と推定される予測点から軌道の重心位置を求め、重心位置に対して粗追尾用の機械駆動ジンバルを向け、詳細軌道を精追尾用のアレーアンテナもしくはXYステージアンテナで協調制御しながら追尾することで、機械駆動ジンバルの動作を低減し低消費電力での捕捉追尾を実施する。ここでいう重心とは、地上局のアンテナを起点とした上空飛翔体の動きの過去と未来の予測を含めた中心点を指す。この粗追尾に対応する機械駆動ジンバルと精追尾に対応したアレーアンテナもしくはXYステージの協調制御では、段階的に指向方向を決定しており、この協調制御に対応した構造を活用した追尾方式となっている。そのため本発明は単に各アンテナ機構を組み合わせた以上の効果を奏することができる。
図6は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置における協調制御を説明するための図である。図6に示すように、本発明の協調制御は、2自由度の制御モデルを用いて行った。すなわち、協調制御は、アーム(1)に相当する機械駆動ジンバルによる粗追尾とアーム(2)に相当するアレーアンテナによる精追尾を用いた。また、制御対象の位置を予測し、HAPSの軌道の重心位置を逐次求めることを行った。これにより、機械駆動ジンバルとアレーアンテナによる段階的な協調制御を実現した。消費電力の大きい粗追尾の動作を削減し、可能な限り消費電力の小さな精追尾で追尾することによりシステム全体の消費電力が少なくなるようアンテナ制御する。
図7は、本発明の実施形態の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置における協調制御部の詳細フローチャートである。
以下、図7の追尾アンテナ装置の詳細制御フローチャートに従って説明する。
図7に示す追尾アンテナ装置の制御フローに従って時刻ステップごとに地上局アンテナを制御する。
まず、信号受信ありの場合(ステップ701)、地上局の位置(緯度・経度・高度)及び姿勢(yaw・roll・pitch)情報について受信後(ステップ702、ステップ703)、飛翔体の位置(緯度・経度・高度)情報をGNSから制御回線を通して受信する(ステップ704)。
次に、現在の時刻ステップまでに受信した飛翔体の位置情報に基づき、飛翔体の軌道予測および重心位置の推定を実行する(ステップ705)。軌道予測において計算された1時刻ステップ先における飛翔体の予測点と現在の機械駆動ジンバルの放射角度との比較を行う(ステップ706)。粗追尾用の機械駆動ジンバルの放射角度に対して、1時刻ステップ先の飛翔体の予測点が精追尾用のアレーアンテナの放射限界角度以内であれば(ステップ707)、機械駆動ジンバルを固定したままアレーアンテナのみでの追尾を行う(ステップ712,713)。1時刻ステップ先での予測点がアレーアンテナの放射限界角度を超えた場合には(ステップ707)、その時点における飛翔体軌道の推定重心位置へ機械駆動ジンバルを向ける(ステップ708)。アレーアンテナを飛翔体の現在位置へ指向させる(ステップ709)。時刻ステップごとに以上の制御を繰り返す(ステップ710、711)。
以上の様に、機械駆動ジンバルによる粗追尾は飛翔体軌道の重心位置を追尾し、アレーアンテナによって精追尾を行う。これにより、消費電力の大きい機械駆動ジンバルの動作を削減することができるので、システム全体の低消費電力化に繋がる。
図11は、飛翔体の軌道が直線軌道、アンテナの放射限界角度に収まる旋回軌道、アンテナの放射限界角度を超える旋回軌道における協調制御を説明するための図である。
飛翔体はサービス提供エリアまで直線軌道で移動し、カバレッジするエリアの直上にて旋回軌道で飛行することで通信プラットフォームとしての役割を果たすことが想定される。図11(a)に示すように、飛翔体が直線軌道で飛行する場合、機械駆動ジンバルの指向方向に対して、精追尾の放射限界角度以内で追尾可能な範囲ではアレーアンテナを用いて追尾する。次の時間ステップにおいてアレーアンテナの放射限界角度を超えると予測された時点で機械駆動ジンバルの指向方向を、直線軌道の推定重心位置へ指向し、その上でアレーアンテナによる精追尾を行う。
図11(b)に示すように、飛翔体が旋回軌道で飛行する場合、飛翔体の旋回軌道がアレーアンテナの放射限界角度に収まれば、機械駆動ジンバルは旋回軌道の重心位置を指向することでアレーアンテナのみの追尾が可能となり、機械駆動を抑えることで消費電力が大幅に低減可能である。推定重心位置が実際の旋回軌道の重心位置と一致するためには、旋回軌道に沿う予測点の精度が求められ、過去点および予測点の軌跡が旋回軌道1周分を適切に切り出していることが必要である。
また、図11(c)に示すように、飛翔体がアレーアンテナの放射限界角度を超える旋回軌道を描く場合には、機械駆動ジンバルが旋回軌道の本来の重心位置を粗追尾していても、飛翔体の軌道はアレーアンテナによる精追尾の範囲外である。そのため、飛翔体の旋回軌道の一部への重心位置に対して粗追尾を行う。これにより飛翔体の旋回軌道がアレーアンテナの放射限界角度以内に収まる間は精追尾を行い、次の時間ステップで放射限界角度を超えると予測された時点で、その時点における飛翔体の旋回軌道の重心位置へと機械駆動ジンバルによる粗追尾を修正して、アレーアンテナによる精追尾が放射限界角度に収まるよう制御する。この場合においても、機械駆動ジンバルの駆動時間を削減できるため消費電力の低減につながる。この際、過去の観測点のみから重心を予測すると、精追尾がアレーアンテナの放射限界角度を超えるため、将来の点の予測に基づいた粗追尾の指向方向の決定が不可欠である。この図11(a)-(c)の制御はいずれも図7の制御フローに従っており、飛翔体の各軌道に応じて切り替える必要がない。
<予測モデルを用いた飛翔体軌道の重心位置予測>
本発明においては飛翔体軌道の重心位置を求めるために、機械学習を用いた予測モデルを採用する。ここでは例として、AR(Autoregressive)モデルを用いて将来の飛翔体の位置を予測するために過去の点の線形結合を行い将来の位置予測を行う。図24は、このAR(Autoregressive)モデルの例を示す概念図である。
一般的にM次元のARモデルは以下の式で与えられる。
x(k)=a0(k)+a1(k-1)x(k-1)+a2(k-2)x(k-2)+・・・+ap(k-p)x(k-p)+e(k)
(1)
ここでkは時刻ステップを表し、x(k)、ai(k)およびe(k)は大きさM×1のベクトルである。x(k)は飛翔体の緯度・経度・高度が与えられ、e(k)は平均0、標準偏差標準偏差σの推定誤差を表している。また、係数ベクトルai(k)は過去の観測位置データから与えられ、飛翔体の位置x(k)を求めるために用いられる。式(1)から時刻ステップkにおける推定飛翔体位置x(k)が求められ、これを繰り返すことで時刻ステップ先までの飛翔体の推定位置が算出される。観測されたp個の過去点および、ARモデルから求められたp個の予測点から三次元空間における飛翔体の重心位置を推定する。
<本実施形態の作用・効果>
本発明の地上局アンテナ機構は機械駆動ジンバル、アレーアンテナおよび誘電体レンズから構成され、機械的構造の観点から平易であるため、従来技術の電子アンテナと比較した場合に低価格での実現が可能である。また、アンテナ機構の平易性は地上局のメンテナンス性や耐久性を高め、保守・点検においても低価格化が期待される。飛翔体の詳細軌道はアレーアンテナによる精追尾で捕捉するため、従来技術の機械駆動ジンバルのみで開口面アンテナを制御する追尾方式と比べて、角度を読み取る精度さえ保証すれば、ギアのバックラッシュ等の機械が持つ構造からの誤差が緩和され、制御機構や構造自体が簡易化可能であり、静音化も期待される。誘電体レンズの採用により、パラボラアンテナやカセグレンアンテナにおける、一次放射器・給電線路や副反射鏡が齎すブロッキングによるサイドローブ特性の劣化を低減でき、電子走査アレーアンテナなどの電子追尾アンテナに対しても入射角に応じた開口面効率の低下を防ぐことが可能である。
また、開口面アンテナを機械駆動ジンバルで制御するような従来技術においては、天頂追尾のためにcrossEL軸などの機械的複雑性の高い3軸以上の構造を必要とし、駆動範囲を確保するための容積が求められていた。一方、本発明追尾アンテナ装置における機械駆動ジンバルによる粗追尾とアレーアンテナによる精追尾を利用した協調制御では、機械駆動ジンバルは2軸のままアレーアンテナの電波放射分布の変更によってレンズアンテナの放射角度を調整することで、天頂方向の飛翔体も高精度かつ簡素な機械的構造で捕捉追尾し続けることが可能である。
本発明の追尾方式では、飛翔体の重心位置を機械駆動ジンバルの粗追尾によって捕捉し、詳細軌道をアレーアンテナによる精追尾で捕捉する。これにより、アレーアンテナと誘電体レンズの放射限界角度に収まるような軌道で飛翔体が飛行する場合には、機械駆動ジンバルが軌道の重心へ指向したまま固定することでアレーアンテナのみによる精追尾が可能となり、消費電力の大幅な低減が実現される。
図12(a)(b)は、飛翔体のアレーアンテナの放射限界角度に収まる旋回軌道の時刻ステップにおける方位角、仰角の推移を示している。図13(a)(b)は、飛翔体のアレーアンテナの放射限界角度を超える旋回軌道の時刻ステップにおける方位角、仰角の推移を示している。図12(a)は、本発明方式とジンバルのみの場合のアレーアンテナの放射限界角度に収まる旋回軌道における方位角と時刻ステップの関係を示し、縦軸は方位角(0~360°)を示し、横軸は時刻ステップ(回)を示している。図中、本発明方式は「小〇」、ジンバルのみの場合は「小△」で表した。図13(a)は本発明方式とジンバルのみの場合のアレーアンテナの放射限界角度を超える旋回軌道における方位角と時刻ステップの関係を示し、縦軸は方位角(0~360°)を示し、横軸は時刻ステップ(回)を示している。図中、本発明方式は「小〇」、ジンバルのみの場合は「小△」で表した。
図12(b)は、本発明方式とジンバルのみの場合のアレーアンテナの放射限界角度に収まる旋回軌道における仰角と時刻ステップの関係を示し、縦軸は仰角(0~90°)を示し、横軸は時刻ステップ(回)を示している。図中、本発明方式は「小〇」、ジンバルのみの場合は「小△」で表した。図13(b)は本発明方式とジンバルのみの場合のアレーアンテナの放射限界角度を超える旋回軌道における仰角と時刻ステップの関係を示し、縦軸は仰角(0~90°)を示し、横軸は時刻ステップ(回)を示している。図中、本発明方式は「小〇」、ジンバルのみの場合は「小△」で表した。
図12(a)(b)に示すのは、地上局の直上における飛翔体の描く旋回軌道がアレーアンテナの放射限界角度以内に収まる場合の機械駆動ジンバルの方位角および仰角である。「小〇」で示されたのが本発明追尾アンテナ装置、「小△」で示されたのが機械駆動ジンバルのみでの追尾装置である。機械駆動ジンバルは毎時刻ステップで方位角方向に移動しているが、本発明追尾アンテナ装置は方位角方向・仰角方向ともに一定であり、消費電力の大きい機械駆動ジンバルの動作量を削減していることがわかる。図13(a)(b)に示すのは、地上局の直上における飛翔体の描く旋回軌道がアレーアンテナの放射限界角度を超える場合の機械駆動ジンバルの方位角および仰角である。機械駆動ジンバルのみでは毎に時刻ステップごとに機械駆動ジンバルを方位角方向に制御しているが、本発明追尾アンテナ装置では機械駆動ジンバルの動作を3時刻ステップごとの制御に抑えており、低消費電力での飛翔体の追尾を行うことが可能である。
<発明の効果が最も発揮される利用例>
図10は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークにHAPSを用いた通信サービス提供システムの概念図である。
本発明が最も効果を発揮する利用例として図10のようなHAPSを例にとったサービスが考えられる。HAPSはサービスエリア移動時には直線軌道でサービス提供エリア直上まで飛行し、サービス提供時にはエリア上空で旋回軌道を描くことが想定される。地上局側では制御回線を通してGNSSから得られるHAPSの緯度・経度・高度の位置情報と、地上局自身の緯度・経度・高度の位置情報及び yaw・roll・pitch の姿勢情報を入力として、機械駆動ジンバルの方位角・仰角およびアレーアンテナの電波放射分布を出力することでHAPSに対して追尾を行う。
HAPSはサービス提供エリアまで直線軌道で移動し、エリア直上では旋回軌道を描いてサービスを提供する。HAPSは高度20kmを飛行し、カバーするセル半径は数十キロ以上にも及ぶため、地上系のセルラーシステムより遥かに広いカバレッジを持つ。地上通信システムのカバレッジ外のエリアに対して、必要最低限の地上インフラで通信することを可能にする。地上系のバックホールやフロントホールとしての活用が期待される。
想定する軌道としては、通信サービスを提供するエリアまでは、直線軌道で飛行する。通信サービスを提供するエリアでは、円軌道や楕円軌道、もしくは風の影響を受けてDの字のような軌道を描いて飛行する。
図14は、本発明の有効性実証のための基礎実験の実験構成図であり、図15は本発明の有効性実証のための基礎実験の実験装置(写真)の模式図である。
本発明追尾方式について、消費電力の抑圧が可能であることを示すために、図14に示すような実験構成及び図15に示すような実験装置を用いて基礎実験を行った。図14に示す通り、本実験装置のハードウェア構成は、制御部としてのRaspberryPi(登録商標)61と、ディスプレイ65と、HAPS位置検出装置70と、慣性航法装置(VN-300)66と、傾斜計68と、機械駆動ジンバル73と、XYステージ74と、図16に示す基礎実験のシミュレーション条件に基づいて作成されたCSVファイルなどのパラメータを保存したデータベース64とから構成されている。また、これらのハードウェアに対応する実際の装置の模式図を図15に示す。
これらのハードウェアの処理によってCUI処理(メインスレッド)ステップ62と、予算計算処理ステップ63と、HAPS位置受信ステップ71と、VN-300受信ステップ67と、傾斜計受信ステップ69と、ジンバル/XYステージ送信ステップ72などのソフトウェア処理が実行される。これにより、飛行軌道の予測計算処理がなされる。
すなわち、HAPSの位置情報が制御回線を経由してGNSSから伝送され、地上局の位置情報は慣性航法装置66、姿勢情報は傾斜計68によって与えられる。これらの入力情報を基に、制御部であるRaspberryPi61において予測計算処理63が行われ、模擬ジンバル76とXYステージ77の位置を制御する。この実験装置は、ディスプレイ65のターミナル画面に処理結果がCUI処理62され、表示される。
図16は、本発明の有効性実証のための基礎実験のシミュレーション条件を示している。
基礎実験のシミュレーション条件としては、
HAPSの速度:100km/h、
Phase2の円の半径:2500m、
Phase4の円の半径:5000m、
HAPSの飛行高度:20km、
HAPS位置データの生成期間:0.5s、
アルゴリズム制御間隔(時刻ステップ間隔):約25秒、
模擬ジンバル方位角可動範囲:-90°<θ<90°、
模擬ジンバル仰角可動範囲:-90°<φ<90°、
XYステージ可動範囲:―100mm<x、y<100mm
地上局位置:N研究所
図17は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるHAPSの飛行シナリオを説明するための図である。飛行シナリオは、図16に示す基礎実験のシミュレーション条件を用いて計算してCSV(Comma Separated Values)データを作成した。
図17に示すHAPSの飛行シナリオをCSVデータで作成し入力とした場合の模擬ジンバルとXYステージを用いた実験結果を通して有効性を実証する。模擬ジンバルの方位角方向の可動域は-90°<θ<90°、仰角方向の可動域は-90°<φ<90°となっている。ここでのXYステージはアレーアンテナに相当し、XYステージの各ステージの移動量がアレーアンテナにおける電波放射分布位置に相当している。
飛行シナリオでは、図17に示すように、HAPSは羽田空港(HND:Haneda Airport)を出発し、直線軌道で東京都小金井市にあるN研究所まで向かい(Phase1)、N研究所上空で放射限界角度に収まる旋回軌道で3周飛行する(Phase2)。その後、調布飛行場(Chofu Airport)まで直線軌道で移動し(Phase3)、調布飛行場上空で放射限界角度を超える旋回軌道で3周飛行(Phase4)後に、羽田空港へ帰還する(Phase5)。また、地上局はN研究所に設置していると想定しており、HAPSは離陸後に100km/hで地上から上空20kmまで上昇し、高度・速度を維持したまま飛行シナリオに沿ってフライトした後、地上へ着陸する。
図18(a)(b)は、本発明の有効性実証のための基礎実験における模擬ジンバルの方位角/仰角の変位を示している。図18(a)は従来のジンバルのみの直接追尾における模擬ジンバルの動作を示しており、縦軸はジンバル角(-90°<φ<90°)、横軸は時間(秒)を示している。図中、太線はジンバルのアジマス角出力を示し、細線はジンバルのチルト角出力を示している。図18(b)は本発明の追尾アンテナ装置における模擬ジンバルおよびXYステージの動作を示しており、縦軸はジンバル角(-90°<φ<90°)、横軸は時間(秒)を示している。図中、太線はジンバルのアジマス角出力を示し、細線はジンバルのチルト角出力を示している。
また、図19~図23は各飛行シナリオのPhase1~Phase5におけるXYステージにおけるx方向とy方向の可動範囲の関係を示しており、縦軸はy方向の移動距離(mm)と横軸はx方向の移動距離(mm)を示している。
図17のシナリオに従ってHAPSが飛行した場合の模擬ジンバルの方位角/仰角の変位を図18に示す。図18(a)は、開口面アンテナをジンバルで制御して直接追尾する方式、図18(b)は、模擬ジンバルとXYステージによって協調制御する本発明追尾方式である。開口面アンテナとジンバルによってHAPSを直接追尾する方式では、模擬ジンバルは常にHAPSの方向を向いている必要があるため、図18(a)に示すように、ジンバルは滑らかに動作しており、HAPSに合わせて常時模擬ジンバルを動かしていることが分かる。一方、図18(b)に示す本発明追尾方式では、模擬ジンバルは段階的に動作している。これは、本発明追尾方式は放射限界角度以内であれば、機械駆動ジンバルによる粗追尾を固定し、アレーアンテナもしくはXYステージアンテナによる精追尾で詳細な軌道を追尾しているためである。図8に示すのは、本発明追尾方式における各飛行PhaseでのXYステージの動作である。図18(b)中のPhase1(図19)のN研究所上空に向かう直線軌道において、模擬ジンバルが当初滑らかに動作しているのは、ARモデルの係数を決定するまで、直接追尾方式と同様の制御を行っているためである。ARモデルの係数決定後では、模擬ジンバルは段階的に動作しており、図19に示すように、模擬ジンバルによる粗追尾が固定されている間はXYステージによる精追尾が直線軌道を描くことで、HAPSを追尾している。
Phase2(図20)の放射限界角度に収まる旋回軌道でHAPSが飛行している場合では、本発明追尾方式の模擬ジンバルは、図18(b)に示すように真上(仰角0°)を向いたまま固定し、XYステージが図20のように円を描くことで追尾している。そのため、消費電力の大きいジンバルを一切動かすことなく、精追尾のみでHAPS軌道を追尾できており、消費電力の大きな低減を実現している。
Phase4(図22)における放射限界角度を超える旋回軌道で飛翔する場合には、本発明追尾方式は円の一部の弧に対する重心を求めることで、粗追尾の位置を旋回軌道の中心からずらし、精追尾の放射限界角度に収めている。このとき、模擬ジンバルは図18(b)に示すような段階的な遷移はもちろんのこと、図18(a)に示す直接追尾の方式と比較して、狭い範囲での動作で済んでおり、消費電力が抑えられている。その際のXYステージの動作を図示したものが図22であり、放射限界角度以内に収まっている間はXYステージが円の一部である弧を描く。そのため、図22に示されるXYステージの軌道は、大きな円の一部の集合のようになっている。Phase5(図23)の直線軌道では図18(b)に示すように段階的に模擬ジンバルが遷移し、対応するようにして図23においてXYステージが直線を描いている。
定量的な評価のために、図18における全時刻ステップにおける方位角方向の角度の遷移した量である合計移動角度量(°)を、1 秒あたりに平均化した秒平均移動角度量(°/s)を求めた。開口面アンテナを機械駆動ジンバルによって制御して直接追尾する方式の秒平均移動角度量は0.585(°/s)、本発明追尾方式の秒平均移動角度量は0.155(°/s)であり、模擬ジンバルの動作量が大きく減少している。以上の基礎実験を通した結果を通して、本発明追尾方式は消費電力の大きい機械駆動ジンバルの動作量を削減することで、低消費電力なHAPS用地上局を実現可能であることを示した。
以下、基礎実験における直線軌道(Phase5)において、各時刻ステップの粗追尾と精追尾の協調制御について補足説明する。
図25は、本発明の実施形態におけるHAPS軌道の粗追尾による重心追尾を説明するための図である。図25の例では、HAPSの各軌道を追尾は、前述した図7の制御フローに従って行われる。機械駆動ジンバルによる粗追尾はHAPS軌道の重心位置を追尾し、アレーアンテナによって精追尾を行う。これにより、消費電力の大きい機械駆動ジンバルの動作を削減し、システム全体の低消費電力化を達成する。アレーアンテナで追尾可能な範囲は、粗追尾を固定し、精追尾のみ移動させて行う。また、次時刻ステップで放射限界角度を超える予測がされると、粗追尾は新たな重心位置へ移動させ、精追尾も移動させる。HAPSの軌道予測が重要である。
基礎実験における直線軌道(Phase5)において、各時刻ステップの粗追尾と精追尾の協調制御に例を図26~図31に示す。図26~図31(b)のXYステージ動作のグラフは、図19~図23のグラフと同様であるので、説明を省略する。
図26は、本発明の有効性実証のための基礎実験におけるPhase5:直線軌道の各時刻ステップ時のXY可動ステージ動作を説明するための図である。図26の例では、最初の時刻ステップであり、アレーアンテナの放射限界角度を超えない場合は、粗追尾は機械駆動ジンバルを固定させておき、精追尾はアレーアンテナの電力分布を変更することで指向方向を修正し詳細軌道を追尾する。また、放射限界角度を超える場合は、粗追尾は機械駆動ジンバルの指向方向を重心位置へ修正する。精追尾はアレーアンテナの電力分布を変更することで指向方向を修正し詳細軌道を追尾する。このように、図27から図31までも同様に、HAPSの位置予測を行い、重心位置の追尾を行いながら、協調制御を行う。
<本実施形態の変形例>
図33は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークにドローンを用いた観測サービス提供システムの概念図である。図33の例では、地上系ネットワークが及ばないような森林や山岳、海洋における環境データ収集を行うサービスとしてドローンへの通信を本発明の追尾アンテナ装置の粗追尾と精追尾による協調制御が適用できる。具体的には、LPWA(Low Power Wide Area)に対応したIoT機器によって環境データを収集し、ドローンと直接通信することでそのデータを必要な場所へ送る。LPWA規格として920MHz帯が使用可能である。例えば、LPWAとしては920.5M~928.1MHzにおいて、最大出力20mWの特定省電力無線局が使用できる。想定する軌道としては、対象地域までは、直線軌道で飛行する。対象地域では、円軌道や楕円軌道等に加えて、わずかな遷移を伴いながら停滞するような動作を行うことにより、本発明を適用できる。
図34は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークに準天頂衛星を用いたサービス提供システムの概念図である。図34の例では、準天頂衛星(例えば、みちびき(登録商標))を用いた通信サービス例である。準天頂衛星は8の字の軌道を描き、日本の上空では8の字の上の円に相当するような軌道となる。車や船舶などに対して高精度な測位を提供している。想定する軌道としては、準天頂衛星が日本上空で8の字軌道の一部である円軌道で飛行する。このような飛行を行うことにより、本発明を適用できる。
図35は、本発明を適用した飛翔体用地上局追尾アンテナ装置が適用される非地上系ネットワークに非静止衛星を用いたサービス提供システムの概念図である。図35の例では、LEO(Low Earth Orbit)やMEO(Medium Earth Orbit)に代表される非静止衛星を用いた通信サービス例である。非静止衛星は高度数百~2万km程度を飛行し広いカバレッジを持ち、地上通信システムのカバレッジ外のエリアに対して、必要最低限の地上インフラで通信することを可能にする。地上系のバックホールやフロントホールとしての活用が期待される。非静止衛星の可視時間が通信サービスを提供可能である時間であり、その間に直線軌道で飛行する。このような飛行を行うことにより、本発明を適用できる。
1 誘電体レンズ
2 アレーアンテナ
3 チルト機構(粗追尾用)
4 アジマス機構(粗追尾用)
5 固定ベース
6 ホーンアンテナ
7 XYステージ
10 飛翔体(HAPS)
20 地上局
21 追尾アンテナ制御部
210 誘電体レンズ
211 給電アンテナ
212 粗追尾機構
213 精追尾機構
214 協調制御部
215 制御用アンテナ
216 飛翔体情報受信部
217 飛翔体情報格納部
218 通知情報受信部
219 通知情報送信部
220 粗追尾制御手段
221 精追尾制御手段
301 地上局の位置情報及び姿勢情報取得ステップ
302 飛翔体の位置情報取得ステップ
303 飛翔体の軌道予測及び重心位置推定ステップ
304 予測軌道の重心位置が放射限界角度判断ステップ
305 粗追尾機構固定・精追尾機構追尾ステップ
306 粗追尾機構方向変更・精追尾機構追尾ステップ
307 時刻ステップ終了判断ステップ

Claims (6)

  1. 非地上系ネットワークにおける飛翔体と地上局から上記飛翔体を追尾しながら無線通信を行うための飛翔体用地上局追尾アンテナ装置であって、
    上記飛翔体に対して粗追尾と精追尾による協調制御を含む追尾アンテナ制御部を有し、
    上記追尾アンテナ制御部は、
    上記飛翔体へ向けて電波を放射する誘電体レンズと、
    上記飛翔体の方位角方向に回転するアジマス機構及び仰角方向に回転するチルト機構を有する粗追尾機構と、
    機械駆動又は電子走査によって精追尾を行う精追尾機構と、
    上記誘電体レンズに電波を給電する給電アンテナと、
    上記飛翔体の粗追尾と精追尾による協調制御を行う協調制御部とを備えたことを特徴とする飛翔体用地上局追尾アンテナ装置。
  2. 上記粗追尾機構は、機械駆動ジンバルであることを特徴とする請求項1記載の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置。
  3. 上記給電アンテナは、単素子アンテナ又はアレーアンテナであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置。
  4. 上記協調制御部は、上記地上局の位置情報及び姿勢情報と上記飛翔体の位置情報を取得し、取得された上記地上局の位置情報及び姿勢情報と上記飛翔体の位置情報に基づいて上記飛翔体の軌道予測及び重心位置を推定し、予測された軌道の重心位置が上記給電アンテナと上記誘電体レンズによって追尾可能な最大角度を示す放射限界角度内であれば、上記粗追尾機構を固定したまま上記精追尾機構のみで上記飛翔体の追尾を行い、次時刻ステップで予測される軌道の重心位置が上記放射限界角度を超える場合、予測される軌道の重心位置へ上記粗追尾機構の方向を変更し、上記精追尾機構による上記飛翔体の追尾を行うことを特徴とする請求項1記載の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置。
  5. 上記重心位置の推定は、機械学習を用いた予測モデルにより上記飛翔体の位置を予測し、予測された上記飛翔体の位置情報に基づいて重心位置を計算することを特徴とする請求項4記載の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置。
  6. 上記飛翔体は、HAPS、ドローン、準天頂衛星、非静止衛星のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の飛翔体用地上局追尾アンテナ装置。
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