JP2024062321A - 情報処理装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】Level6の自動運転を実現し得る情報処理装置を提供する。【解決手段】情報処理装置は、障害物を含む車両の周囲の状況を検出するセンサを含む検出部から車両に関連する複数の情報を取得する取得部と、取得された複数の情報から車両が障害物を回避するための走行戦略を設定する設定部を含み、取得された複数の情報、及び設定された走行戦略に基づいて、車両の挙動を制御するための制御変数を算出する算出部と、算出した制御変数に基づいて、車両の挙動を制御する制御部と、を備え、設定部は、走行戦略として、障害物を回避した目的地に到達するまでの走行経路に関する走行パターンを適用し、複数の異なる走行パターンに対して取得された複数の情報を用いて障害物に対する接触を含む衝突のリスクに応じた重み付け値を設定し、設定した重み付け値に応じて複数の異なる走行パターンから選択的に走行パターンを設定する。【選択図】図3

Description

本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
特許文献1には、自動運転機能を有する車両について記載されている。
特開2022-035198号公報
本発明の一実施態様によれば、情報処理装置が提供される。前記情報処理装置は、障害物を含む車両の周囲の状況を検出するセンサを含む検出部から前記車両に関連する複数の情報を取得する取得部と、前記取得された複数の情報から前記車両が前記障害物を回避するための走行戦略を設定する設定部を含み、前記取得された複数の情報、及び設定された走行戦略に基づいて、前記車両の挙動を制御するための制御変数を算出する算出部と、前記算出した前記制御変数に基づいて、前記車両の挙動を制御する制御部と、を備え、前記設定部は、前記走行戦略として、前記障害物を回避した目的地に到達するまでの走行経路に関する走行パターンを適用し、複数の異なる前記走行パターンに対して前記取得された複数の情報を用いて前記障害物に対する接触を含む衝突のリスクに応じた重み付け値を設定し、設定した重み付け値に応じて前記複数の異なる走行パターンから選択的に走行パターンを設定する。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記重み付け値は、前記リスクの低さを示す値であるか、又は前記リスクの高さを示す値である。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記障害物は、前記車両以外の他車両である。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記設定部は、前記車両が走行車線からはみ出る場合、当該走行車線からはみ出ない場合に比較して、前記重み付け値として前記リスクが高い値を設定する。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記設定部は、前記車両と前記障害物との間の空間の大きさが大きいほど、前記重み付け値として前記リスクが低い値を設定する。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記算出部は、設定された前記走行パターンに応じて前記車両が走行するように前記制御変数を算出する。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記制御変数は、前記車両の速度、及び前記車両の速度を変化させるタイミングである。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記算出部は、深層学習を用いた積分法による多変量解析によって前記制御変数を算出する。
本発明の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記取得部は、10億分の1秒単位で前記複数の情報を取得し、前記算出部は、10億分の1秒単位で取得された情報を用いて前記制御変数を算出し、前記制御部は、前記制御変数を用いて10億分の1秒単位で前記車両の挙動の制御を実行する。
本発明の一実施態様によれば、コンピュータを、前記情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本実施形態に係る超高性能自動運転のAIの危険予測能力について概略的に示す図である。 本実施形態に係る車両内のネットワーク構成の一例を概略的に示す図である。 本実施形態に係るCentral Brainにより実行されるフローチャートである。 本実施形態に係るCentral Brainによる自動運転の制御例を説明する第1の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる自動運転の制御例を説明する第2の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる自動運転の制御例を説明する第3の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる自動運転の制御例を説明する第4の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる自動運転の制御例を説明する第5の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる自動運転の制御時における車両の周囲に他車両が走行している状態を示す模式図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる走行戦略の設定例を説明する第1の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainによる走行戦略の設定例を説明する第2の説明図である。 本実施形態に係るCentral Brainを含む情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態に係るCentral Brainにより設定される走行戦略に関する自車両と他車両との第1の関係を示す模式図である。 本実施形態に係るCentral Brainにより設定される走行戦略に関する自車両と他車両との第1の関係を示す模式図である。 本実施形態に係るCentral Brainにより実行されるフローチャートである。 第2実施形態に係るCentral Brainにより設定される走行戦略に関する自車両と他車両との関係を示す模式図である。 第2実施形態に係るCentral Brainにより実行されるフローチャートである。 Central Brainとして機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1実施形態]
本開示の情報処理装置は、車両の制御に関連する多くの情報に基づいて、運転制御に必要なインデックス値を高精度に求めるものであってよい。したがって、本開示の情報処理装置は、少なくとも一部が車両に搭載されて、車両の制御を実現するものであってよい。
また、本開示の情報処理装置は、Autonomous DrivingをLevel6によるAI/多変量解析/ゴールシーク/戦略立案/最適確率解/最適スピード解/最適コースマネジメント/エッジにおける多種センサ入力により得られたデータを基にリアルタイムで実現でき、デルタ最適解に基づいて調整される走行システムを提供し得る。
「Level6」とは、自動運転を表すレベルであり、完全自動運転を表すLevel5よりも更に上のレベルに相当する。Level5は完全自動運転を表すものの、それは人が運転するのと同等のレベルであり、それでも未だ事故等が発生する確率はある。Level6とは、Level5よりも上のレベルを表すものであり、Level5よりも事故が発生する確率が低いレベルに相当する。
Level6における計算力は、Level5の計算力の1000倍程度である。したがって、Level5では実現できなかった高性能な運転制御が実現可能である。
図1は、本実施形態に係る超高性能自動運転のAIの危険予測の能力について概略的に示す。本実施形態においては、検出部としての複数種類のセンサによる複数種類のセンサ情報をAIデータ化してクラウドに蓄積する。AIがナノセカンド(10億分の1秒)ごとに状況のベストミックスを予測、判断し、車両12の運行を最適化する。
図2は、Central Brain120を搭載した車両12の一例を示す概略図である。Central Brain120は、本実施の形態に係る情報処理装置の一例であってよい。Central Brain120は、図2に示すように、複数のGate Wayが通信可能に接続されていてよい。本実施の形態に係るCentral Brain120は、Gate Wayを介して取得した複数の情報に基づいて、Level6の自動運転を実現し得るものである。Central Brain120は、情報処理装置の一例である。
図2に示されているように、Central Brain120には、複数のGate Wayが通信可能に接続されている。Central Brain120は、Gate Wayを介して外部のクラウドに接続されている。Central Brain120は、Gate Wayを介して外部のクラウドへアクセスすることができるように構成されている。その一方で、Gate Wayの存在により、外部からCentral Brain120へ直接アクセスすることはできないように構成されている。
Central Brain120は、所定時間が経過する毎に、要求信号をサーバへ出力する。具体的には、Central Brain120は、10億分の1秒毎に、問い合わせを表す要求信号をサーバへ出力する。
本実施形態において使用する車両12に備えたセンサの例として、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、ロングテールインシデントAI data等が挙げられる。ロングテールインシデントAI dataとはレベル5の自動運転を実現し得る機能を実装した自動車のTripデータである。
上記センサは車両周辺の状況を検出するセンサを含む。車両周辺の状況を検出するセンサは、車両の周囲の状況を検出する周期として、車両の周囲をカメラ等で撮影する第1周期より短い第2周期で車両周辺の状況を検出する。
複数種類のセンサから取り入れるセンサ情報として、体重の重心移動、道路の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、坂道の上下横斜め傾き角度の検知、道路の凍り方、水分量の検知、それぞれのタイヤの材質、摩耗状況、空気圧の検知、道路幅、追い越し禁止有無、対向車、前後車両の車種情報、それらの車のクルージング状態、周囲の状況(鳥、動物、サッカーボール、事故車、地震、火事、風、台風、大雨、小雨、吹雪、霧、など)等が挙げられ、本実施形態では、これらの検知を10億分の1秒毎に実施する。
本実施の形態に係る情報処理装置の一例として機能するCentral Brain120は、車両に関連する複数の情報を取得可能な取得部と、取得部が取得した複数の情報から制御変数を算出する算出部と、制御変数に基づいて車両の運転制御を実行する制御部と、のそれぞれの機能を少なくとも含む。
例えば、Central Brain120は、上記のセンサにより検知された1つ以上のセンサ情報を用いて、車両の4つの車輪それぞれの車輪速、傾き、及び車輪を支持するサスペンション毎の、車輪速、傾き、及びサスペンションを制御するための制御変数を算出する機能を有する。なお、車輪の傾きは、道路に対して水平な軸に対する車輪の傾き、及び道路に対して垂直な軸に対する車輪の傾きの双方を含む。
ここで、1以上のセンサ情報は車両周辺の状況を検出するセンサからのセンサ情報を適用可能である。また、1つ以上のセンサ情報として複数のセンサ情報を用いる場合は、予め定められた数のセンサ情報を適用可能である。予め定められた数は、例えば3個である。3個のセンサ情報に基づいて、車輪速、傾き、及びサスペンションを制御するためのインデックス値を算出する。3個のセンサ情報の組み合わせから算出するインデックス値の数は、例えば3個である。車輪速、傾き、及びサスペンションを制御するためのインデックス値には、例えば、センサ情報のうち空気抵抗に関する情報から算出したインデックス値、センサ情報のうち道路抵抗に関する情報から算出したインデックス値、センサ情報のうち滑り係数に関する情報から算出したインデックス値などが含まれる。
また、1つのセンサ情報、またはセンサ情報の組み合わせが異なる複数のセンサ情報の組み合わせ毎に算出したインデックス値を集約して、車輪速、傾き、及びサスペンションを制御するための制御変数を算出する。例えば、車両の周囲の状況を検出するセンサのセンサ情報からインデックス値を算出して制御変数を算出する。また、複数のセンサ情報を用いる場合、例えば、センサ1、2及び3の組み合わせで複数のインデックス値を算出し、センサ4、5及び6の組み合わせで複数のインデックス値を算出し、センサ1、3及び7の組み合わせで複数のインデックス値を算出し、このインデックス値を集約して制御変数を算出する。このように、センサ情報の組み合わせを変えながら予め定められた数、例えば300個のインデックス値を算出し、制御変数を算出する。具体的には、算出部は、機械学習、より詳しくは深層学習(Deep Learning)を用いて、センサ情報から制御変数を算出することが可能なものであってよい。換言すると、インデックス値及び制御変数を算出する算出部は、AI(Artificial Intelligence)で構成することができる。
算出部は、多くのセンサ群等で収集したナノ秒毎のデータを、Level6の計算力を用い、下記式(1)に示すような積分法による多変量解析(例えば式(2)参照)を行うことで、正確な制御変数を求め得る。より詳しくは、Level6の計算力で各種Ultra High Resolutionのデルタ値の積分値を求めながら、エッジレベルで且つリアルタイムで各変数のインデックス化された値を求め、次のナノ秒に発生する結果を最も高い確率論値を取得し得る。
なお、式中のDLは深層学習を示し、A,B,C,D,…,Nは、センサ情報から算出したインデックス値であり、例えば空気抵抗から算出したインデックス値、道路抵抗から算出したインデックス値、道路要素から算出したインデックス値及び滑り係数から算出したインデックス値等を示す。予め定められた数のセンサ情報の組み合わせを変えながら算出されたインデックス値が300個の場合は、式中のA~Nのインデックス値も300個となり、300個のインデックス値を集約する。
また、上記の式(2)では、車輪速(V)について算出しているが、傾き、及びサスペンションを制御するための制御変数についても同様に算出する。
具体的には、Central Brain120は、4つの車輪それぞれの車輪速、道路に対して水平な軸に対する4つの車輪それぞれの傾き、道路に対して垂直な軸に対する4つの車輪それぞれの傾き、及び4つの車輪それぞれを支持するサスペンションを制御するための計16の制御変数を算出する。本実施形態では、上記16の制御変数の算出を10億分の1秒毎に実施する。なお、上記の4つの車輪それぞれの車輪速は「4つの車輪にそれぞれ搭載されたインホイールモータのスピン数(回転数)」と言うこともでき、上記の道路に対して水平な軸に対する4つの車輪それぞれの傾きは「4つの車輪それぞれの水平アングル」と言うこともできる。そして、上記の制御変数は、例えば、車両が山道を走行する場合には当該山道に合わせた最適なステアリングを行うための数値となり、車両を駐車場に駐車する場合には当該駐車場に合わせた最適なアングルで走行するための数値となる。
また、本実施形態においては、Central Brain120は、4つの車輪それぞれの車輪速、道路に対して水平な軸に対する4つの車輪それぞれの傾き、道路に対して垂直な軸に対する4つの車輪それぞれの傾き、及び4つの車輪それぞれを支持するサスペンションを制御するための計16の制御変数を算出するが、この算出はCentral Brain120である必要は無く、上記の制御変数を算出する専用のアンカーチップを別途設けても良い。この場合にも式中(2)のDLは深層学習を示し、A,B,C,D,…,Nは、センサ情報から算出したインデックス値を示す。集約するインデックスの数が上述したように300個の場合は、かかる式中のインデックスの数も300個となる。
また、本実施形態においては、Central Brain120は、上記で算出した制御変数に基づいて、10億分の1秒単位で自動運転を制御する制御部として機能する。具体的には、Central Brain120は、上記16の制御変数に基づいて、4つの車輪にそれぞれ搭載されたインホイールモータを制御することで、車両12の4つの車輪それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪それぞれを支持するサスペンションを制御して自動運転を行う。
なお、センサ情報から算出するインデックス値は、1つのセンサ、例えば、車両の周囲の状況を検出するセンサのセンサ情報からインデックス値を算出して制御変数を算出してもよい。
上述した算出部は、取得された複数の情報から車両の走行に関する走行戦略を設定する設定部を含む。車両の走行に関する走行戦略の一例には、車両の走行経路に障害物が存在する場合に、当該車両が障害物を回避するための走行パターン等の走行戦略を適用可能である。当該走行戦略では、障害物を回避した目的地に到達するまでの走行経路に関する走行パターンを含む情報を適用可能である。
設定部は、車両が走行するにあたり現在の位置から予め定めた所定時間を経過した後に到達すべき位置を目的地として、当該現在の位置から目的地に到達するまでの走行に関する情報を走行戦略として設定するものであってよい。また、現在の位置から予め定めた位置を目的地として、当該現在の位置から目的地に到達するまでの走行に関する情報を走行戦略として設定するものであってよい。
なお、設定部は、車両の乗員等が入力した目的地の情報や、現在地と目的地の間の交通情報等に基づいて、現在地から目的地に到達するまでの走行に関する情報を走行戦略として設定するものであってよい。その際に、戦略設定を計算するその時点の情報、つまり取得部が現在取得しているデータを加味しても良い。目的地までの単なるルート計算だけでなく、その瞬間の周辺状況を加味することで、より現実に則した理論値を計算するためである。走行戦略は、目的地までの最適ルート(戦略ルート)、走行速度、tilt、ブレーキングの少なくとも1つの理論値を含んで構成されていてよい。好ましくは、走行戦略は上述した最適ルート、走行速度、tilt、ブレーキングの全ての理論値で構成することができる。
設定部で設定された走行戦略を構成する複数の理論値は、制御部における自動運転制御に利用することが可能である。これに加えて、制御部は、算出部にて算出された複数のインデックス値と設定部で設定された各理論値との差分に基づいて走行戦略を更新する更新部を含んでもよい。
算出部にて算出されるインデックス値は、車両走行中に取得される情報、具体的には実際の走行時に検出される。例えば摩擦係数に基づいて推論されたものである。したがって、更新部にて走行戦略を更新するようにすることで、戦略ルート通行時における刻一刻と変わる変化へ対応することが可能となる。具体的には、更新部において、走行戦略に含まれる理論値とインデックス値からその差分(デルタ値)を算出することで、再度最適解を導き出し、戦略ルートを再策定することができる。これにより、スリップをしないぎりぎりの自動運転制御を実現できる。また、このような更新処理に際しても、上述Level6の計算力を用いることができるため、10億分の1秒単位で補正、微調整することが可能となり、より緻密な走行制御が実現できる。
また、取得部が上述した車両下部センサを有している場合には、この車両下部センサが地面の温度や材質なども検知するため、戦略ルート通行時における刻一刻と変わる変化へ対応することが可能となる。走行戦略に含まれる走行コースを計算する際、independent smart tiltを実施することもできる。更に、別の情報を検知(飛んでくるタイヤ、破片、動物など)した場合においても、戦略ルート通行時における刻一刻と変わる変化へ対応することで、瞬間瞬間に最適な走行コースを再計算し、最適コースマネジメントを実施することができる。
Central Brain120は、図3に示されているフローチャートを繰り返し実行する。
ステップS10において、Central Brain120は、センサにより検知された道路情報を含むセンサ情報を取得する。そして、Central Brain120は、ステップS11に進む。ステップS10の処理は取得部の機能の一例である。
ステップS11において、Central Brain120は、ステップS10で取得したセンサ情報に基づいて、上記16の制御変数を算出する。そして、Central Brain120は、ステップS12に進む。ステップS11の処理は設定部、および算出部の機能の一例である。
ステップS12において、Central Brain120は、ステップS11で算出した制御変数に基づいて、自動運転を制御する。そして、Central Brain120は、当該フローチャートの処理を終了する。ステップS12の処理は制御部の機能の一例である。
図4から図8は、Central Brain120による自動運転の制御例を説明する説明図である。なお、図4から図6は、車両12を前方から見た視点の説明図であり、図7及び図8は、車両12を下方から見た視点の説明図である。
図4は、車両12が平坦な道路R1を走行中の場合を示している。Central Brain120は、道路R1に合わせて算出した上記16の制御変数に基づいて、4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32を制御して自動運転を行う。
図5は、車両12が山道R2を走行中の場合を示している。Central Brain120は、山道R2に合わせて算出した上記16の制御変数に基づいて、4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32を制御して自動運転を行う。
図6は、車両12が水たまりR3を走行中の場合を示している。Central Brain120は、水たまりR3に合わせて算出した上記16の制御変数に基づいて、4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32を制御して自動運転を行う。
図7は、車両12が矢印A1で示す方向にカーブする場合を示している。Central Brain120は、進入するカーブ路に合わせて算出した上記16の制御変数に基づいて、4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32(図示せず)を制御して自動運転を行う。
図8は、車両12が矢印A2で示す方向に平行移動する場合を示している。Central Brain120は、矢印A2で示す方向への平行移動に合わせて算出した上記16の制御変数に基づいて、4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32(図示せず)を制御して自動運転を行う。
なお、図4から図8で示す車輪30及びサスペンション32の状態(傾き)は、あくまで一例であり、各図で示す状態とは異なる車輪30及びサスペンション32の状態が生じうることは言うまでもない。
ここで、従来の車両に搭載されたインホイールモータは、それぞれの駆動輪を独立して制御することができるが、当該車両では、道路状況等を分析してインホイールモータを制御することまではできなかった。そのため、当該車両では、例えば、山道又は水たまり等を走行する場合に道路状況等に基づく適切な自動運転が行えなかった。
しかし、本実施形態に係る車両12によれば、上記で説明した構成に基づいて、道路状況等の環境に適してスピード及びステアリング等が制御された自動運転を行うことができる。
上述したように制御変数に基づいて、車両12の挙動を制御して自動運転を実行することが可能である。
ところで、車両の走行中には、障害物が車両に接近する場合がある。この場合、車両は、障害物との接触または衝突を回避するために車両の挙動を変更して走行することが好ましい。障害物の一例には、走行中の自車両以外の他車両、壁面、ガードレール、縁石、及びその他の設置物が挙げられる。以降の説明では、障害物の一例として、車両12に接近する他車両を適用した場合を説明する。なお、障害物は対象物の一例である。
図9は、対面2車線の道路を走行する車両12を自車両12Aとして、自車両12Aの周囲に他車両12B、12C、12Dが走行している状態を模式的に示す図である。図の例では、自車両12Aに後続して他車両12Bが走行し、対向車線を他車両12Dが先行して走行し、後続して他車両12Cが走行している状態である。
自車両12AのCentral Brain120は、時々刻々と変化する、走行路を走行する状態に合わせて算出した上述した制御変数に基づいて、4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32を制御して自動運転を行う。また、Central Brain120は、自車両12Aの周囲の他車両12B、12C、12Dの挙動をセンサにより検出しセンサ情報として取得している。
図9に示すように、他車両12Dが自車両12Aの走行経路に進入する場合、Central Brain120は、少なくとも障害物を回避して走行するために、上述した設定部は、センサ情報から得られる自車両12Aの周辺の状況に応じて、現在の位置から目的地に到達するまでの走行戦略を設定する。図9に示す例では、自車両12Aが現在の走行状態で走行している走行パターン12Ax1で、進入する他車両12Dと衝突することを示している。そこで、Central Brain120は、例えば、他車両12Dとの衝突を回避する走行パターン12Ax2の走行パターンを設定する。
走行パターンは、予め定めた複数の異なる走行パターンの中から他車両12Dとの衝突を回避可能な走行パターンが選択されて設定される。具体的には、走行パターン上に他車両12Dが存在しない走行パターンを選択すればよい。複数の走行パターンはメモリに予め記憶しておけばよい。走行パターンは、車両の軌跡を記録した経路を適用可能である。
図10は、複数の異なる走行パターンの一例を示す図である。図10に示す例は、L字カーブのように、1か所のカーブを有する走行パターンPL、M字カーブのように、3か所のカーブを有する走行パターンPM、S字カーブのように、4か所のカーブを有する走行パターンPSを示している。各パターンに対して10種類の変形例を対応させ、合計の30種類の中から他車両12Dとの衝突を回避可能な1つの走行パターンを選択すればよい。
また、Central Brain120は、少なくとも障害物を回避して走行するために、取得されたセンサ情報から自車両に対する障害物の接触を含む衝突の位置を予測する機能を有すればよい。よって、Central Brain120は、予測位置における他車両を回避可能な走行パターンを設定する。そして、当該走行パターンに応じた制御変数を算出する。当該制御変数は、自車両12Aの現在の速度に対応して、加減速及び操舵角の少なくとも一方を時系列に変更することで、他車両を回避可能な走行パターンに沿う走行状態に制御可能な制御変数を算出することが可能となる。
例えば、図11に示すように、同じ走行パターンであっても、当該走行パターンの一部のゲイン(増幅度合い)を変更することで、走行パターンの形状を変更可能である。よって、制御変数は、算出された走行パターンに合致させるための制御変数の増幅度を算出することを含む。なお、制御変数は、車両の操舵角、及び車両の速度の少なくとも1つを適用可能である。
上述した自動運転を実現し得るCentral Brain120についてさらに説明する。Central Brain120は、図12に示す情報処理装置10として構成される。なお、上述したCentral Brain120は、ゲートウェイを含む情報処理装置として機能する広義の処理装置であり、後述するCentral Brain125は、プロセッサごとに機能を分類した場合の狭義の処理装置である。
図12は、実施形態に係るCentral Brainを含む情報処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、IPU(Image Processing Unit)121、MoPU(Motion Processing Unit)122、Central Brain125及びメモリ126を備えている。Central Brain125は、GNPU(Graphics Neural network Processing Unit)123及びCPU(Central Processing Unit)124を含んで構成されている。
IPU121は、車両に設置された超高解像度カメラ(図示せず)に内蔵され得る。IPU121は、車両の周囲に存在する物体の画像について、ベイヤ―変換、デモザイク、ノイズ除去、シャープ化等の所定の画像処理を行い、処理された物体の画像を、例えば10フレーム/秒のフレームレート且つ1200万画素の解像度で出力する。IPU121から出力された画像は、Central Brain125及びメモリ126に供給される。
MoPU122は、車両に設置された超高解像度カメラとは別の低解像度カメラに内蔵され得る。MoPU122は、撮影された物体の動きを示す動き情報を、例えば1920フレーム/秒のフレームレートで出力する。すなわち、MoPU122の出力のフレームレートは、IPU121の出力のフレームレートの100倍である。MoPU122は、物体の存在位置を示す点の、所定の座標軸に沿った動きのベクトル情報を動き情報として出力する。すなわち、MoPU122から出力される動き情報には、撮影された物体が何であるか(例えば、人なのか、障害物なのか)を識別するために必要な情報は含まれておらず、当該物体の中心点(又は重心点)の座標軸(x軸、y軸、z軸)上の動き(移動方向と移動速度)を示す情報のみが含まれている。MoPU122から出力された画像は、Central Brain125及びメモリ126に供給される。動き情報が画像情報を含まないことで、Central Brain125及びメモリ126に転送される情報量を抑制することできる。
本開示は、撮影された物体の画像を、第1のフレームレートで出力する第1のプロセッサと、撮影された物体の動きを示す動き情報を、前記第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートで出力する第2のプロセッサを含む。すなわち、本開示の車両の周囲の状況を検出する周期として第1周期で車両の周囲を撮影する検出部は、上記「第1のプロセッサ」の一例であり、IPU121は「第1のプロセッサ」の一例である。また、本開示の第1周期より短い第2周期で車両の周囲の状況を検出するセンサを含む検出部は、上記「第2のプロセッサ」の一例であり、MoPu122は、「第2のプロセッサ」の一例である。
Central Brain125は、IPU121から出力された画像及びMoPU122から出力された動き情報に基づいて、車両の運転制御を実行する。例えば、Central Brain125は、IPU121から出力された画像に基づいて、車両の周囲に存在する物体(人、動物、道路、信号、標識、横断歩道、障害物、建物など)を認識する。また、Central Brain125は、MoPU122から出力された動き情報に基づいて、車両の周囲に存在する、何であるか認識された物体の動きを認識する。Central Brain125は認識した情報に基づいて、例えば、車輪を駆動するモータの制御(速度制御)、ブレーキ制御、ハンドル制御を行う。Central Brain125において、GNPU123は画像認識に関する処理を担ってもよく、CPU124は、車両制御に関する処理を担ってもよい。
一般的に自動運転における画像認識を行うために超高解像度カメラが使用されている。高解像度カメラによって撮影された画像から、当該画像に含まれる物体が何であるかを認識することは可能である。しかしながら、Level6時代の自動運転ではこれだけでは不十分である。Level6時代では、物体の動きを認識することも必要である。物体の動きを認識することで、例えば、自動運転によって走行する車両が障害物を回避する回避動作を、より高精度で行うことが可能となる。しかしながら、高解像度カメラでは、1秒間に10フレーム程度しか画像を取得することができず、物体の動きを解析することは困難である。一方、MoPU122を搭載したカメラでは、低解像度であるものの、例えば1920フレーム/秒の高フレームレートでの出力が可能である。
そこで、本開示の技術では、IPU121及びMoPU122の2つの独立したプロセッサを用いる。高解像度カメラ(IPU121)には、捉えた物体が何なのかを認識するために必要な画像情報を取得する役割を与え、MoPU122には、物体の動きを検出する役割を与えている。MoPU122は、物体を点としてとらえ、その点の座標がx軸、y軸、z軸上のどの方向に、どの程度の速度で動くかを解析する。物体の全体の輪郭と、その物体が何なのかの検知は、高解像度カメラからの画像によって行うことが可能であることから、MoPU122によって、物体の中心点がどのように移動するかさえ分かれば、物体全体がどのような挙動をするかがわかる。
物体の中心点の移動と速度のみを解析する手法によれば、物体の画像全体がどのように動くかを判断することに比べて、Central Brain125に転送する情報量を大幅に抑制し、Central Brain125における計算量を大幅に低減することが可能である。例えば、1000ピクセル×1000ピクセルの画像を、1920フレーム/秒のフレームレートでCentral Brain125に送信する場合、色情報を含めると、40億ビット/秒のデータをCentral Brain125に送信することになる。MoPU122が、物体の中心点の動きを示す動き情報のみを送信することで、Central Brain125に転送されるデータの量を2万ビット/秒に圧縮することができる。すなわち、Central Brain125に転送されるデータの量が20万分の1に圧縮される。
このように、IPU121から出力される低フレームレート且つ高解像度の画像と、MoPU122から出力される高フレームレート且つ軽量の動き情報を組み合わせて用いることで、物体の動きを含む物体認識を、少ないデータ量で実現することが可能となる。
なお、1つのMoPU122を用いた場合には、物体の存在位置を示す点の、三次元直交座標系における2つの座標軸(x軸及びy軸)の各々に沿った動きのベクトル情報を取得することが可能である。ステレオカメラの原理を利用して、2つのMoPU122を用いて、物体の存在位置を示す点の、三次元直交座標系における3つの座標軸(x軸、y軸、z軸)の各々に沿った動きのベクトル情報を出力してもよい。z軸は、奥行方法(車両の走行)に沿った軸である。
本実施形態では、センサ情報として、車両12の周囲の状況を検出する周期として、車両の周囲をカメラ等で撮影する第1周期より短い第2周期で車両周辺の状況を検出することが可能である。すなわち、上述したLevel5では、例えば、カメラ等によって0.3秒に2回の周囲の状況を検出できるが、本実施形態ではLevel6で、例えば576回の周囲の状況を検出できる。そして、576回の周囲の状況の検出毎にインデックス値及び制御変数を算出でき、Level5で実行される自動運転より、高速かつ安全な走行を実行可能に、車両の挙動を制御可能である。
なお、自車両12Aが少なくとも他車両12Dを回避して走行するために、複数の走行パターンが存在する場合がある。そこで、本実施形態では、Central Brain120は、複数の走行パターンの中から最適な走行パターンを決定して走行戦略として設定することが可能である。
図13は、図9に示す自車両12Aと、他車両12B,12C,12Dとの関係の走行状態において、自車両12Aに適用可能な走行パターンを模式的に示す図である。
図13に示す例では、自車両12Aの経路である走行パターン12Ax1で、自車両12Aが他車両12Dと衝突する。一方、走行パターン12Ax2、及び12Ax3で、自車両12Aは他車両12Dに対して接触を含む衝突を回避可能である。そこで、Central Brain120は、走行パターン12Ax2、12Ax3のそれぞれを算出し、何れか1つを走行パターンとして設定する。当該走行パターンの設定は、自車両12Aと他車両12Dとの間の相互関係についてリスクが最小となる関係の走行パターンを設定する。具体的には、図14に示すように、自車両12Aと他車両12Dとの間の距離が最大になる走行パターン12Ax2を設定する。すなわち、複数の異なる走行パターンのうちの車両と障害物である他車両との間の空間の大きさが予め定めた所定値を超える(例えば、最大値)走行パターン12Ax2を設定する。
図15は、上述した自車両12Aが他車両12Dを回避して走行することが可能なCentral Brain120における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図15では、図3に示すステップS11の処理を、ステップS11A,11B,11Cに代えて実行する。Central Brain120は、図3に示す処理に代えて図15に示す処理を繰り返し実行することが可能である。
ステップS11Aでは、Central Brain120は、センサ情報に基づいて、車両12の走行戦略を導出する。そして、ステップS11Bでは導出された走行戦略の中から最適な走行戦略(走行パターン)を設定する。そして、ステップS11Cで、障害物(例えば、他車両12D)を回避して走行可能に設定されている走行戦略(走行パターン)に応じた制御変数を算出する。ステップS11A~S11Cの処理は算出部の機能の一例であり、ステップS11A、S11Bの処理は設定部の機能の一例である。
上述した走行戦略(走行パターン)は、時々刻々と変化する車両周辺の状況に応じて走行パターンを変更することも可能である。例えば、走行戦略(走行パターン)は、制御変数に影響する車両の速度等の車両の挙動を変化させるタイミングを含んでもよい。また、制御変数に上記タイミングを含んでもよい。
なお、車両12の速度に関する制御変数は、加速側を大中小(L、M、S)に各10種類を設定して合計30種類のパターンを適用し、減速側を大中小(L、M、S)に各10種類を設定して合計30種類のパターンを適用し、選択するようにしてもよい。この場合、自車両と他車両との間の関係は時々刻々と変化し、自車両と他車両とが接近する状態では距離が接近する方向に変化するので、パターンを選択する選択肢が時々刻々と小さくなり、選択のための処理時間は低減でき、さらにデルタの差の調整が少なくなる。
また、上記では自車両12Aに対する他車両として、他車両12Dを適用した場合を説明したが、上述した自車両12Aの周囲の他車両12B,12C,12Dの少なくとも1つ、そして全ての他車両を対象とし、当該対象の他車両に対する衝突リスクを低減する制御変数を算出してもよい。
従って、Central Brain120は、接触を含む衝突の予測に合わせて算出した制御変数に基づいて、例えば4つの車輪30にそれぞれ搭載されたインホイールモータ31を制御することで、4つの車輪30それぞれの車輪速、傾き、及び4つの車輪30それぞれを支持するサスペンション32を制御することで、衝突の回避、または衝突時に車両に発生する損害を低減して自動運転することが可能となる。
[第2実施形態]
車両の走行中には、障害物が車両に接近する場合があり、この場合、車両は、障害物との接触または衝突を回避するために車両の挙動を変更して走行することが好ましいことは上述した通りである。障害物の例には、走行中の自車両以外の他車両、壁面、ガードレール、縁石、及びその他の設置物が挙げられることも上述した通りである。以降の説明では、障害物の一例として、車両12に接近する他車両を適用した場合を説明する。
ところで、自車両が上述した複数の異なる走行パターンにおける複数の走行パターンによって他車両との接触を含む衝突を回避することができると予測される場合においても、当該複数の走行パターンの各々毎に、他車両との衝突のリスクの高さは異なる。
図16は、図9に示す自車両12Aと、他車両12B、12C、12Dとの関係の走行状態において、自車両12Aに適用可能な走行パターン、及び自車両12A及び他車両12Dの予測される走行経路を模式的に示す図である。図の例では、図9と同様に、自車両12Aに後続して他車両12Bが走行し、対向車線を他車両12Dが先行して走行し、後続して他車両12Cが走行している状態である。
図16に示す例では、自車両12Aの経路である走行パターン12Ax1で、自車両12Aが他車両12Dと衝突する。一方、走行パターン12Ax2、12Ax3、12Ax4で、自車両12Aは他車両12Dに対して接触を含む衝突を回避可能と予測される。そこで、Central Brain120は、走行パターン12Ax2、12Ax3、12Ax4のそれぞれを算出し、何れか1つを走行パターンとして設定する。
しかしながら、この場合、例えば、歩道を歩く歩行者30や、他車両12B及び他車両12Cの存在を考慮していない。例えば、図16に示す例の場合、走行パターン12Ax3や走行パターン12Ax4を適用する場合、他の走行パターンに比較して、歩行者30に接近することとなり、全体的なリスクが拡大することになる。また、この場合のリスクも、走行パターン12Ax3と走行パターン12Ax4とでは、走行パターン12Ax4の方が高くなる。更に、走行パターン12Ax2を適用する場合、他の走行パターンに比較して、他車両12Cに接近することになり、この点において、よりリスクが高くなる。この場合、最終的に他車両12Bとも接近することになるため、この意味でも、よりリスクが高くなる。
そこで、本実施形態に係るCentral Brain120における設定部は、走行戦略として、他車両を回避した目的地に到達するまでの走行経路に関する走行パターンを適用する。そして、設定部は、複数の異なる走行パターンに対して、取得された複数の情報を用いて他車両に対する接触を含む衝突のリスクの低さを示す重み付け値を設定し、複数の異なる走行パターンのうち、設定した重み付け値が大きいほど優先して選択的に走行パターンを設定する。なお、本実施形態では、重み付け値として0(零)以上1以下の範囲の値を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
また、本実施形態に係る設定部は、自車両が走行車線からはみ出る場合、当該走行車線からはみ出ない場合に比較して、重み付け値として小さな値を設定する。更に、本実施形態に係る設定部は、判断時点における自車両と他車両との間の空間の大きさが大きいほど、重み付け値として大きな値を設定する。なお、重み付け値の設定方法は以上の方法に限らず、例えば、走行車線をはみ出る場合においても、対向車線にはみ出る場合の方が、並行車線にはみ出る場合よりも小さな重み付け値を設定する形態としてもよい。
図17は、本実施形態に係る、上述した自車両12Aが他車両12Dを回避して走行することが可能なCentral Brain120における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図17では、図15に示すステップS11Bの処理を、ステップS11B1、S11B2に代えて実行する。Central Brain120は、図15に示す処理に代えて図17に示す処理を繰り返し実行することが可能である。なお、第1実施形態と共通の処理を行うステップについては、第1実施形態と同一のステップ番号を付して、ここでの説明を省略する。
ステップS11B1では、Central Brain120は、自車両が他車両との衝突を回避することができるものとして選択し得る、変形例を含めた走行パターン(以下、「選択候補走行パターン」という。)の各々について、上述したリスクの低さを示す重み付け値を導出する。
なお、本実施形態では、上記重み付け値の導出を、対象となる走行パターンで自車両が走行した場合に自車両が走行車線からはみ出る場合、当該走行車線からはみ出ない場合に比較して小さな値を導出することで行う。また、本実施形態では、上記重み付け値の導出を、対象となる走行パターンで自車両が走行した場合に、自車両と他車両との間の空間の大きさが大きいほど大きな値を導出することで行う。本実施形態では、これらの2種類の重み付け値のうち、値が小さい方の重み付け値を適用しているが、これに限るものではない。例えば、これらの2種類の重み付け値の平均値を適用する形態としてもよい。
また、重み付け値の導出方法は、これらの方法に限るものではない。例えば、対象となる走行パターンで自車両が走行した場合における、自車両と、他車両や歩行者等といった他の障害物との最接近した時点での距離が近いほど小さな値を導出することで、上記重み付け値を導出する形態としてもよい。また、例えば、対象となる走行パターンで自車両が走行した場合における、自車両が直進した場合に比較して、接近する障害物の数が多いほど小さな値を導出することで、上記重み付け値を導出する形態としてもよい。
ステップS11B2では、Central Brain120は、導出した選択候補走行パターンの各々毎の重み付け値のうち、最も大きな重み付け値となった選択候補走行パターンを、実際に適用する走行パターンとして設定する。
ステップS11A~S11Cの処理は算出部の機能の一例であり、ステップS11A、S11B1、S11B2の処理は設定部の機能の一例である。
なお、本第2実施形態に係る情報処理装置に対して、第1実施形態に係る情報処理装置の少なくとも一部の機能を組み合わせて、開示の技術における情報処理装置を構成する形態としてもよいことは言うまでもない。
また、本実施形態では、重み付け値として、リスクの低さを示す値を適用しているが、これに限るものではない。例えば、重み付け値として、リスクの高さを示す値を適用する形態としてもよい。この場合、設定部は、選択候補走行パターンのうち、設定した重み付け値が小さいほど優先して選択的に走行パターンを設定する。
図18は、Central Brain120として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
120 Central Brain
121 IPU
122 MoPU
123 GNPU
124 CPU
125 Central Brain
126 メモリ
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1224 記憶装置
1230 ROM
1240 入出力チップ

Claims (10)

  1. 障害物を含む車両の周囲の状況を検出するセンサを含む検出部から前記車両に関連する複数の情報を取得する取得部と、
    前記取得された複数の情報から前記車両が前記障害物を回避するための走行戦略を設定する設定部を含み、前記取得された複数の情報、及び設定された走行戦略に基づいて、前記車両の挙動を制御するための制御変数を算出する算出部と、
    前記算出した前記制御変数に基づいて、前記車両の挙動を制御する制御部と、を備え、
    前記設定部は、前記走行戦略として、前記障害物を回避した目的地に到達するまでの走行経路に関する走行パターンを適用し、複数の異なる前記走行パターンに対して前記取得された複数の情報を用いて前記障害物に対する接触を含む衝突のリスクに応じた重み付け値を設定し、設定した重み付け値に応じて前記複数の異なる走行パターンから選択的に走行パターンを設定する
    情報処理装置。
  2. 前記重み付け値は、前記リスクの低さを示す値であるか、又は前記リスクの高さを示す値である、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記障害物は、前記車両以外の他車両である、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記設定部は、前記車両が走行車線からはみ出る場合、当該走行車線からはみ出ない場合に比較して、前記重み付け値として前記リスクが高い値を設定する、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  5. 前記設定部は、前記車両と前記障害物との間の空間の大きさが大きいほど、前記重み付け値として前記リスクが低い値を設定する、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  6. 前記算出部は、設定された前記走行パターンに応じて前記車両が走行するように前記制御変数を算出する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  7. 前記制御変数は、前記車両の速度、及び前記車両の速度を変化させるタイミングである
    請求項6に記載の情報処理装置。
  8. 前記算出部は、深層学習を用いた積分法による多変量解析によって前記制御変数を算出する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  9. 前記取得部は、10億分の1秒単位で前記複数の情報を取得し、前記算出部は、10億分の1秒単位で取得された情報を用いて前記制御変数を算出し、前記制御部は、前記制御変数を用いて10億分の1秒単位で前記車両の挙動の制御を実行する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  10. コンピュータを、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
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