JP2024060935A - 表示装置、制御装置、および射出成形機 - Google Patents

表示装置、制御装置、および射出成形機 Download PDF

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Takahiro Namiki
大吾 堀田
daigo Hotta
拓也 松永
Takuya Matsunaga
智裕 平野
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Abstract

【課題】ユーザの任意に設定された射出成形の消費電力量を容易に比較させることができる技術を提供する。【解決手段】表示装置は、射出成形の情報を有する表示画面を表示する。前記表示画面は、前記射出成形の実施時に測定される消費電力量の実績情報を表示する実績情報表示欄と、前記消費電力量の実績情報と比較するための前記射出成形の消費電力量の比較情報を、前記実績情報表示欄の表示形態と同一の表示形態で表示する比較情報表示欄と、を一緒に表示している。【選択図】図5

Description

本開示は、表示装置、制御装置、および射出成形機に関する。
特許文献1には、射出成形における消費電力を測定して電力量を算出し、表示装置(ディスプレイ)に表示する射出成形機の制御装置が開示されている。この制御装置は、消費電力を表示する際の専用表示画面を有し、変換情報と、電力量と一緒に表示可能としている。変換情報は、例えば、成形条件の変更量に対する消費電力の変換データベースに基づいて求めた未来の予測に係わる情報を含んでいる。
従来の表示装置は現在のデータと予測データとを表示しているが、現在データの表示と予測データの表示とを別々の画面に切換えて表示させている(例えば、特許文献1の[0043]参照)。そのため、現在データと予測データとが同一画面で表示されていない。
特開2009-292155号公報
ところで、ユーザが射出成形の消費電力量を調整する場合には、同一画面上において、稼働中の射出成形の消費電力量の実績と、この消費電力量の実績と同じ形態の比較情報を提供することが好ましい。
本発明は、射出成形の消費電力量の実績と比較情報とを容易に比較させることができる技術を提供する。
本発明の一態様によれば、射出成形の情報を有する表示画面を表示する表示装置であって、前記表示画面は、前記射出成形の実施時に測定される消費電力量の実績情報を表示する実績情報表示欄と、前記消費電力量の実績情報と比較するための前記射出成形の消費電力量の比較情報を、前記実績情報表示欄の表示形態と同一の表示形態で表示する比較情報表示欄と、を一緒に表示している、表示装置が提供される。
一態様によれば、ユーザの任意に設定された射出成形の消費電力量を容易に比較させることができる。
一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。 一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。 制御装置の構成要素の一例を機能ブロックで示す図である。 成形サイクルの工程の一例を示す図である。 第1実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す図である。 第2実施形態に係る表示画面を部分的に示す図である。 変形例に係る工程別画面部の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
図1~図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定金型810が取付けられる固定プラテン110と、可動金型820が取付けられる可動プラテン120と、固定プラテン110に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる移動機構102と、を有する。
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。
移動機構102は、固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開を行う。移動機構102は、固定プラテン110と間隔をおいて配置されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、トグルサポート130に対して可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130の間隔を調整する型厚調整機構180と、を有する。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、型開閉方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に従動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の従動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
型締装置100は、金型装置800の温度を調節する金型温調機を有してもよい。金型装置800は、その内部に、温調媒体の流路を有する。金型温調機は、金型装置800の流路に供給する温調媒体の温度を調節することで、金型装置800の温度を調節する。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動部として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820のエジェクタプレート826と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、エジェクタプレート826と連結されていても、連結されていなくてもよい。
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、エジェクタプレート826を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、エジェクタプレート826を元の待機位置まで後退させる。
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に進退自在に且つ回転自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330の間で伝達される荷重を検出する荷重検出器360と、を有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの第1加熱器313と第1温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに第1加熱器313と第1温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、第1温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が第1加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、第2加熱器323と第2温度検出器324とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が第2加熱器323を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される荷重を検出する。検出した荷重は、制御装置700で圧力に換算される。荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の荷重の伝達経路に設けられ、荷重検出器360に作用する荷重を検出する。
荷重検出器360は、検出した荷重の信号を制御装置700に送る。荷重検出器360によって検出される荷重は、スクリュ330と成形材料との間で作用する圧力に換算され、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
尚、成形材料の圧力を検出する圧力検出器は、荷重検出器360に限定されず、一般的なものを使用できる。例えば、ノズル圧センサ、または型内圧センサが用いられてもよい。ノズル圧センサは、ノズル320に設置される。型内圧センサは、金型装置800の内部に設置される。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、荷重検出器360によって検出される。スクリュ330の圧力が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、スクリュ330の圧力が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、スクリュ330の圧力が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1~図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する(図4も参照)。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の完了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネル770は、制御装置700による制御下で、画面を表示する。タッチパネル770の画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネル770の画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネル770は、ユーザによる画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが画面に設けられた操作部を操作することにより、操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネル770に表示される画面の切り替え等であってもよい。
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネル770として一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
(制御装置の詳細)
次に、図3を参照して、制御装置700の構成要素の一例について説明する。なお、図3に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
図3に示すように、制御装置700は、例えば、型締制御部711と、エジェクタ制御部712と、射出制御部713と、計量制御部714と、表示制御部715と、入力取得部716と、を有する。型締制御部711は、型締装置100を制御し、図4に示す型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程を実施する。エジェクタ制御部712は、エジェクタ装置200を制御し、突き出し工程を実施する。射出制御部713は、射出装置300の射出駆動源を制御し、射出工程を実施する。射出駆動源は、例えば射出モータ350であるが、油圧シリンダなどであってもよい。射出工程は、充填工程と保圧工程を含む。射出工程は、型締工程中に行われる。計量制御部714は、射出装置300の計量駆動源を制御し、計量工程を実施する。計量駆動源は、例えば計量モータ340であるが、油圧ポンプなどであってもよい。計量工程は、冷却工程中に行われる。
充填工程は、シリンダ310の内部に設けられる射出部材の移動速度の実績値が設定値になるように射出駆動源を制御する工程である。充填工程は、射出部材を前方に移動させることで、射出部材の前方に蓄積された液状の成形材料(例えば樹脂)を金型装置800の内部に充填させる工程である。射出部材は、例えばスクリュ330であるが、プランジャであってもよい。
射出部材の移動速度は、速度検出器を用いて検出する。速度検出器は、例えば射出モータエンコーダ351である。充填工程では、射出部材が前進することで、射出部材から成形材料に作用する圧力が上昇する。充填工程は、保圧工程の直前に、射出部材を一時停止させる工程、または射出部材を後退させる工程を含んでもよい。
保圧工程は、射出部材から成形材料に作用する圧力の実績値が設定値になるように射出駆動源を制御する工程である。保圧工程は、射出部材を前方に押すことで、金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充する工程である。圧力は、荷重検出器360などの圧力検出器を用いて検出する。圧力検出器として、ノズル圧センサ、または型内圧センサが用いられてもよい。
また、制御装置700の表示制御部715は、射出成形の開始前、射出成形時の各工程および射出成形の終了後等において、射出成形に関わる表示画面の情報を送信して、表示装置760に表示させる。表示画面は複数用意され、表示制御部715は、画面の切換表示、画面の重ね表示を可能としている。
さらに、制御装置700の入力取得部716は、表示装置760に表示した表示画面に基づいてユーザが操作装置750を操作した操作内容の情報を取得する。例えば、ユーザにより射出成形の設定内容が変更された場合に、入力取得部716は、その設定内容を記憶媒体702に記憶する。
〔第1実施形態〕
次に、図5を参照して、第1実施形態に係る表示装置760に表示される表示画面761の一例について説明していく。
表示画面761は、射出成形機10の射出成形の設定内容を表示する設定画面部762と、設定内容に基づく射出成形の消費電力量を表示する電力画面部765と、を一緒に表示している。なお、本明細書における「一緒に表示」とは、ユーザの手動よる切り替え操作を行うことなく、2つの画面部(設定画面部762、電力画面部765)を同じ画面上で視認できる表示形態をいう。したがって、図5に示すように、設定画面部762および電力画面部765は、上下に並んで表示される他に、互いに離れて(2つの画面部の間に他の画面部が入って)表示されてもよい。図5中の表示画面761は、ユーザが消費電力量を認識し易くなるように、設定画面部762よりも上側に電力画面部765を配置している。ただし、表示画面761は、設定画面部762よりも下側に電力画面部765を配置してもよく、あるいは設定画面部762と横並びに電力画面部765を配置してもよい。
設定画面部762は、ユーザによる数値入力、選択肢の選択等の操作に基づき射出成形の設定内容を調整可能としている。設定画面部762は、例えば、射出装置300の保圧工程、充填工程および計量工程における設定内容を表示している。設定画面部762内に表示される保圧工程の領域は、射出成形の保圧工程におけるスクリュ330の動作内容(保圧中速度、後退速度等)を示すと共に、この動作内容を設定可能としている。例えば、保圧中速度または工程速度をユーザが変更すれば、保圧工程時のスクリュ330の動作が変わり、消費電力量も変化する。設定画面部762内に表示される充填工程の領域は、射出成形の充填工程におけるスクリュ330の動作内容(V/P切換位置、移動速度、圧力等)を示すと共に、この動作内容を設定可能としている。例えば、V/P切換位置、移動速度または圧力をユーザが変更すれば、充填工程時のスクリュ330の動作が変わり、消費電力量も変化する。設定画面部762に表示される計量工程の領域は、射出成形の計量工程におけるスクリュ330の動作内容(計量前サックバック工程や計量後サックバック工程の切り替え、回転速度等)を示すと共に、この動作内容を設定可能としている。例えば、計量前サックバック工程や計量後サックバック工程切り替えや回転速度をユーザが変更すれば、計量工程時のスクリュ330の動作が変わり、消費電力量も変化する。
なお、図5中において、設定画面部762は、型締工程における型締装置100の型締力の設定、突き出し工程におけるエジェクタ装置200の設定について表示していない。型締装置100の型締力の設定やエジェクタ装置200の設定は、保安のために設定変更後の調整作業が必要となるからである。勿論、これに限らず、表示装置760は、型締工程の設定または突き出し工程の設定を表示画面761に表示して、変更可能な構成であってもよい。
一方、電力画面部765は、消費電力量の測定を操作する測定操作画面部766と、所定の測定期間における消費電力量(累積した電力量)を表示する射出成形全電力画面部767と、射出成形の工程毎の消費電力量を表示する工程別画面部768と、を有する。なお、図5中の電力画面部765では、左側から右側に向かって順に、測定操作画面部766、射出成形全電力画面部767、工程別画面部768を配置しているが、この並びは自由に設定してよい。
測定操作画面部766は、消費電力量の測定モードを設定可能な測定操作入力欄766aと、消費電力量を比較するための比較情報を取得する比較情報取得欄766bと、を含む。詳しくは後述するが、比較情報は、現在の射出成形における消費電力量と比較する際の基準の情報にもなる。よって以下では、比較情報を基準値または基準情報という場合もあり、図5乃至図7においては「基準」の項目によって表記している。
測定操作入力欄766aは、例えば、ユーザによるタッチ操作、または表示画面761に表示されたポインタの押下(マウスのクリック等)により、プルダウン式の選択肢を表示する選択ボタンを有する。プルダウン式の選択肢には、消費電力量を取得する際の複数のショット数または複数の測定期間が用意され、ユーザは、表示された選択肢を任意に選択できる。ショット数が1の場合の消費電力量とは、各工程(計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程)で1サイクル単位の累積の電力量である。
比較情報取得欄766bは、ユーザの押し操作により、測定操作入力欄766aで設定されたショット数または測定期間において使用される消費電力量を取得する取得ボタンを有する。つまり、ユーザは、この比較情報取得欄766bの取得ボタンを任意に押すことで、射出成形の消費電力量の比較情報を得ることができる。なお、本明細書におけるユーザによる「押し操作」は操作の一例にすぎず、例えば、タッチパネルでのスライド操作等の他の操作により、情報の入力、取得、切り替え等を実施し得ることは勿論である。
射出成形全電力画面部767は、射出成形の消費電力量をユーザに認識させるために、2種類の消費電力量を表示する。具体的には、射出成形全電力画面部767は、稼働中の射出成形の実施時に測定した消費電力量を実績情報として表示する実績情報表示欄767aと、消費電力量の実績情報と比較するための射出成形の消費電力量を比較情報として表示する比較情報表示欄767bと、を有する。例えば、実績情報表示欄767aと比較情報表示欄767bとは、相互に横方向に並んで配置され、また複数の表示項目を縦方向に配置している。
実績情報表示欄767aおよび比較情報表示欄767bの各々は、複数の表示項目として、「ショット番号」、「モータの消費電力量」、「ヒータの消費電力量」、「周辺機器の消費電力量」および「合計の消費電力量」を有する。「ショット番号」の表示項目は、射出成形において何回目のショットかを番号で表示したものである。なお、実績情報表示欄767aおよび比較情報表示欄767bは、「ショット番号」に代えて、比較情報や実績情報を取得した「日時」等の情報でもよい。なお、図5中では、「モータの消費電力量」を「モータ」、「ヒータの消費電力量」を「ヒータ」、「周辺機器の消費電力量」を「周辺」、「合計の消費電力量」を「合計」と表している。
「モータの消費電力量」の表示項目は、射出成形においてモータ(型締モータ160、計量モータ340、射出モータ350、エジェクタモータ等)で使用された累積の消費電力量を表示する。「ヒータの消費電力量」の表示項目は、射出成形においてヒータ(第1加熱器313、第2加熱器323等)で使用された累積の消費電力量を表示する。「周辺機器の消費電力量」の表示項目は、射出成形においてモータおよびヒータ以外(各種のセンサ、制御装置700等)の機器で使用された累積の消費電力量を表示する。「合計の消費電力量」の表示項目は、モータの消費電力量、ヒータの消費電力量および周辺機器の消費電力量を合計した消費電力量を表示する。
射出成形全電力画面部767は、実績情報表示欄767aと比較情報表示欄767bの表示において、「ショット番号」「モータの消費電力量」、「ヒータの消費電力量」、「周辺機器の消費電力量」、「合計の消費電力量」を同じ高さに配置している。実績情報表示欄767aは、例えば、測定モードが1ショットである場合に、射出成形の1サイクル完了毎の累積の消費電力量を表示する。したがって、実績情報表示欄767aでは、射出成形の1サイクル完了毎にリアルタイムに各表示項目が更新される。比較情報表示欄767bは、例えば、ユーザによる比較情報取得欄766bの取得ボタンの押し操作に基づき、押したタイミングの1ショットの消費電力量を取得して表示する。この比較情報表示欄767bは、1サイクルが完了しても変更されない(表示を固定した)情報である。
そして、射出成形全電力画面部767は、実績情報表示欄767aの表示と、比較情報表示欄767bの表示と、を同一の表示形態で表示している。本明細書における「同一の表示形態」とは、数値や図表等の共通する表現、および/または共通する単位(Wh、kWh、J等)を使用して、ユーザが視認できる状態を言う。例えば、実績情報表示欄767aにおける消費電力量を数値で表示している場合には、比較情報表示欄767bにおける消費電力量を数値で表示する。ここで、共通の単位で表示することがより好ましい。また例えば、実績情報表示欄767aにおける消費電力量をグラフ(バー表示等を含む)で表示している場合には、比較情報表示欄767bにおける消費電力量をグラフで表示する(図7も参照)。これにより、ユーザは、リアルタイムの消費電力量の実績情報と、ユーザの任意の消費電力量の比較情報とをまとめて視認して、相互の差を容易に比較することができる。
なお、測定操作画面部766の測定モードが複数である場合または測定期間である場合には、射出成形全電力画面部767は、その内容に応じて消費電力量の表示を変えることができる。例えば、測定モードが2ショットの設定では、比較情報取得欄766bの取得ボタンの押し操作に基づき比較情報として2ショット分の消費電力量を取得し、比較情報表示欄767bに表示する。そして、実績情報表示欄767aでは、射出成形の2サイクル(2ショット分)完了毎にその累積の消費電力量を表示する。つまり、設定した測定モードに基づき、それぞれ取得した消費電力量を実績情報表示欄767aと比較情報表示欄767bとに表示することで、ユーザが消費電力量を簡単に比較できるようになる。また例えば、測定モードが1時間の測定期間の設定では、比較情報取得欄766bの取得ボタンの押し操作に基づき1時間にわたる消費電力量を取得し、比較情報表示欄767bに表示する。そして、実績情報表示欄767aでも、測定期間(1時間)の経過毎にその累積の消費電力量を表示する。
なお、比較情報取得欄766bの取得ボタンが押されない場合に、射出成形全電力画面部767は、測定操作画面部766の測定モードに応じた実績情報表示欄767aのみを表示してよい。この際、射出成形全電力画面部767は、実績情報表示欄767aと比較情報取得欄766bを並べた表示形態に対して、実績情報表示欄767aの位置を中央に移動させる等して表示形態を変えてもよい。
一方、工程別画面部768は、射出成形の1サイクル(または測定期間)全体の消費電力量に対する複数の工程毎の消費電力量の割合を表示する。これにより、表示装置760は、複数の工程毎に消費電力量に関わる情報をユーザに認識させることが可能となる。
ただし、上記したように射出成形の工程は、多数あり、全ての工程毎に消費電力量を表示しても、ユーザには認識し難い情報となる。そのため、本実施形態では、射出成形の各工程を5つの工程にまとめることで、ユーザにとって認識し易い情報としている。具体的には、工程別画面部768は、型開閉電力欄768a、充填電力欄768b、保圧電力欄768c、計量電力欄768d、エジェクタ電力欄768e、およびショット番号欄768fを含む。
また、複数の表示欄768a~768eの各々は、項目表示769a、割合の数値表示769b、割合のバー表示769cを有する。すなわち、射出成形の各工程の消費電力量に関わる情報は、射出成形全体の消費電力量に対する各工程の消費電力量の割合で表示する。これにより、各工程の消費電力量について、ユーザにとってより認識し易い情報となる。また、実際の射出成形の各工程と、表示している複数の表示欄768a~768eとの工程にずれがあっても、割合による表示とすることで、ずれを吸収した(または含まない)内容で各工程の消費電力量に関わる情報をユーザに認識させることができる。なお、工程別画面部768の表示は、割合に限らず、例えば、数値(実績値)、削減量もしくは削減効果(マーク等)を適用してもよい。
図5中では、各表示欄768a~768eの各々が縦方向に並んでいる一方で、各項目表示769a、割合の数値表示769b、割合のバー表示769cが横方向に並んでいるが、これらの配置は逆であってもよい。割合のバー表示769cは、例えば、射出成形全体の消費電力量を10%単位のマスで区分けしており、消費電力量の割合に応じて左側から右側にマスを塗りつぶすように表示される。なお、割合のバー表示781は、左側のマスから右側のマスの間で色の濃淡を変えて表示してもよい。
型開閉電力欄768aは、型締装置100の開閉移動(型締を含まない移動)に関わる各工程(型閉工程、昇圧工程、脱圧工程、型開工程)の消費電力量を合算した割合を表示する(図4も参照)。すなわち、型締装置100の型閉工程、昇圧工程は一連の動作で認識しているユーザが多く、同じく型締装置100の脱圧工程、型開工程も一連の動作で認識しているユーザが多い。このため、型締装置100の開閉移動における合計した消費電力量を表示することで、ユーザにとってより分かり易い情報となる。
充填電力欄768bは、型締工程内における充填工程の消費電力量の割合を表示する(図4も参照)。充填工程は、射出装置300の動作において主に使用する電力と、型締装置100の動作(型締工程)において主に使用する電力とがある。これら同じ時間軸上の電力を合計して充填工程の消費電力量として充填電力欄768bに表示することで、ユーザは、充填工程において使用される電力を良好に認識することができる。
同様に、保圧電力欄768cは、型締工程内における保圧工程の消費電力量の割合を表示する(図4も参照)。保圧工程は、射出装置300の動作において主に使用する電力と、型締装置100の動作(型締工程)において主に使用する電力とがある。これら同じ時間軸上の電力を合計して保圧工程の消費電力量として保圧電力欄768cに表示することで、ユーザは、保圧工程において使用される電力を良好に認識することができる。
計量電力欄768dは、型締工程内における保圧工程の消費電力量の割合を表示する(図4も参照)。この計量工程では、射出装置300において冷却工程を実施しながら計量モータ340による計量を行い、また型締装置100において型締工程を継続的に実施している。このため、同じ時間軸上の電力を合計して計量工程の消費電力量として計量電力欄768dに表示することで、ユーザは、計量工程において使用される電力を良好に認識することができる。
なお、射出成形機10は、計量工程よりも冷却工程が長い場合に、計量工程と脱圧工程(型開移動)との間にタイムラグが生じ、このタイムラグも型締装置100の電力使用および射出装置300の電力使用が継続している。ただし、このタイムラグは、射出成形の全体の時間に対しては僅かであるため、タイムラグの消費電力量は敢えて表示していない。あるいは、射出成形機10は、例えば、タイムラグの消費電力量を計量工程の消費電力量に含むように計算および表示を行ってもよい。
エジェクタ電力欄768eは、型締装置100の開移動後において成形品を取り出す突き出し工程の消費電力量の割合を表示する(図4も参照)。これにより、エジェクタ装置200の動作における消費電力量を、ユーザに認識させることができる。
図3に示すように、制御装置700は、以上の電力画面部765による消費電力量の表示のために、比較情報表示制御部715aと、実績情報表示制御部715bと、を表示制御部715内に備える。
比較情報表示制御部715aは、ユーザにより比較情報取得欄766bの取得ボタンが押されたことを認識すると、その際に測定操作画面部766で設定されていた射出モードに応じて、消費電力量の比較情報を取得し、表示を行う。例えば、比較情報表示制御部715aは、取得ボタンが押されたタイミングにおける射出成形の1ショットの消費電力量を比較情報として取得し、比較情報表示欄767bに表示する。消費電力量の取得において、比較情報表示制御部715aは、モータの消費電力量、ヒータの消費電力量および周辺機器の消費電力量を個別に算出し、さらにモータ、ヒータおよび周辺機器を足した合計の消費電力量を算出する。
一方、実績情報表示制御部715bは、測定操作画面部766で設定されていた射出モードに応じて、消費電力量の実績情報を取得し、表示を行う。例えば、実績情報表示制御部715bは、射出成形の1ショット毎の消費電力量を繰り返して取得し、実績情報表示欄767aの表示を更新していく。消費電力量の取得において、実績情報表示制御部715bは、モータの消費電力量、ヒータの消費電力量および周辺機器の消費電力量を個別に算出し、さらにモータ、ヒータおよび周辺機器を足した合計の消費電力量を算出する。また、実績情報表示制御部715bは、工程別画面部768の各表示欄(型開閉電力欄768a、充填電力欄768b、保圧電力欄768c、計量電力欄768d、エジェクタ電力欄768e:図5参照)の消費電力量についても個別に算出する。
以上のように、射出成形機10の制御装置700(表示装置760)は、消費電力量の実績情報と、消費電力量の比較情報とを同一の射出成形全電力画面部767に一緒に表示する。このため、表示装置760は、ユーザの任意に設定された(取得ボタンの押し操作に基づき取得された)射出成形の消費電力量の比較情報を、射出成形で測定された消費電力量の実績情報と容易に比較させることができる。これにより、ユーザは、射出成形の実績情報と過去に取得した比較情報とを直接比較でき、射出成形の設定内容による消費電力量の変化について、より認識し易くなる。しかも、比較情報と実績情報を一緒に表示することで、消費電力量の削減方針の検討等を一画面で完結でき、成形条件の設定をより効率的に行うことができる。
また、比較情報は、表示画面761の比較情報取得欄766bに対するユーザの所定操作(押し操作)に基づき取得される。このため、表示装置760は、ユーザが比較したい消費電力量を簡単に取得および表示することができる。さらに、表示装置760は、射出成形の消費電力量について、複数の種類(モータ、ヒータ、周辺機器)に分けて表示することで、複数の種類毎に消費電力量を比較させることができる。そして、表示画面761は、比較情報を取得した際のショット番号の情報(または日時の情報)を表示することで、比較情報を取得したタイミングをユーザに確実に認識させることが可能となる。
消費電力量の表示において、射出成形の1サイクル単位の消費電力量に設定することで、ユーザは1サイクルで使用される消費電力量を容易に把握できるようになる。あるいは、消費電力量の表示において、所定の測定期間にわたる射出成形の消費電力量を設定することで、ユーザは、その測定期間全体としての消費電力量を簡単に把握できるようになる。
なお、射出成形機10、制御装置700および表示装置760は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形例をとり得ることは勿論である。例えば、上記の実施形態では、実績情報表示欄767aの消費電力量および比較情報表示欄767bの消費電力量について数値で表示した。しかしながら、実績情報表示欄767aの消費電力量および比較情報表示欄767bの消費電力量の表示形態として、消費電力量の棒グラフ、または経過時間に対する消費電力量の変動を示す波形グラフでもよい。この場合でも、ユーザにとっては消費電力量を比較し易い表示形態となる。また、比較情報表示欄767bの比較情報は、ユーザの操作に基づく表示に限定されず、制御装置700の制御下に自動的に表示されてもよい。例えば、比較情報表示欄767bは、射出成形の成形条件を変更する度に、1つ前の実績情報を比較情報に移動させて表示してもよく、あるいは、射出成形の成形条件を変更する度に、消費電力量を自動的に計算して比較情報として表示してもよい。また、比較情報表示欄767bは、比較情報として、射出成形の成形条件の変更前の値、過去の所定期間の値、過去の所定のショット数の平均値等を表示してもよい。
また、上記の第1実施形態に係る表示装置760では、消費電力量の比較情報の取得は、ユーザによる比較情報取得欄766bの取得ボタンを押すことをトリガとしていた。しかしながら、消費電力量の比較情報は、過去の射出成形で測定されて記憶された過去情報を使用してもよく、または射出成形の設定内容より推定した推定情報を使用してもよい。以下、この過去情報または推定情報を表示画面761Aに表示する第2実施形態に係る表示装置760について説明していく。
〔第2実施形態〕
図6に示すように、第2実施形態に係る表示画面761Aは、設定画面部762および電力画面部765の他に、過去情報を表示する過去データ画面部790を一緒に表示している。例えば、過去データ画面部790は、電力画面部765の隣接位置(図6では、電力画面部765の上側)に配置している。
過去情報は、消費電力量の情報として「モータの消費電力量」、「ヒータの消費電力量」、「周辺機器の消費電力量」および「合計の消費電力量」と、を含み、また射出成形の設定内容(設定画面部762に表示される内容)を有している。さらに、過去情報は、ユーザの任意の測定期間における複数のショットの消費電力量(「モータの消費電力量」、「ヒータの消費電力量」、「周辺機器の消費電力量」および「合計の消費電力量」)であってもよい。
この測定期間は、測定操作入力欄766aの測定モードと連動しており、例えば、直近の1時間、2時間、…、12時間単位、1日単位、1週間単位、1カ月等の複数の期間からユーザが適宜選択できるように構成され得る。「モータの消費電力量」、「ヒータの消費電力量」、「周辺機器の消費電力量」および「合計の消費電力量」は、選択された測定期間においてそれぞれ使用された消費電力量ということができる。また、過去情報は、稼働中の消費電力量の他に、予備として設定している待機中の電力量を含んでもよい。待機中の電力量も「モータの電力量」、「ヒータの電力量」、「周辺機器の電力量」および「合計の電力量」毎に表示することができる。表示装置760は、稼働中の消費電力量と待機中の電力量とを用いることで、射出成形機10に供給可能な電力情報とその割合をユーザに示すことができる。
そして、過去データ画面部790は、過去情報をユーザに実際に視認させる表示領域791と、過去情報を呼び出すファイル呼出ボタン792と、を備える。表示領域791は、上記した測定期間を示す実施期間表示欄791aと、所定の実施期間の「モータの消費電力量」、「ヒータの消費電力量」、「周辺機器の消費電力量」および「合計の消費電力量」の情報を示す結果表示欄791bと、を有する。
ファイル呼出ボタン792は、ユーザの押し操作に基づき表示領域791に表示されている測定期間における1ショット毎の過去情報(または測定モードの設定内容に応じた過去情報)を読み出すボタンである。ファイル呼出ボタン792は、ユーザの押し操作に基づき、記憶媒体702に記憶されている1以上の過去情報の一覧を表示して、ユーザに選択させるとよい。この際に表示される過去情報の一覧には、ショット番号、消費電力量を測定した日時、合計の消費電力量等が表示されることが好ましい。また、表示領域791は、ファイル呼出ボタン792で呼び出した過去情報の一覧の中からユーザが第1の選択操作(例えば、1クリック)した情報を、表示領域791の結果表示欄791bに表示してもよい。
そして、表示装置760は、過去情報の一覧の中からユーザが第2の選択操作(例えば、ダブルクリック)した情報を、電力画面部765の比較情報表示欄767bに表示させる。これにより、表示装置760は、記憶媒体702に記憶されている過去情報を、比較情報にスムーズに反映することが可能となる。この際、過去情報に紐づいている射出成形の設定内容は、過去情報と共に設定画面部762に表示される。そのため、ユーザは、設定内容を確認しながら、取得した消費電力量の実績情報と、過去に作成した設定内容の消費電力量とを簡単に比較でき、過去からの改善効果を容易に認識することができる。
また、表示画面761Aの測定操作画面部766は、予測計算欄766cおよび一括変更欄766dを有する。制御装置700(表示制御部715)は、例えば、設定画面部762(図5参照)にて射出成形の設定内容を変更した後、ユーザにより予測計算欄766cの予測ボタンが押されると、その設定内容に応じた消費電力量の予測情報を算出する。すなわち、予測情報は、本明細書における推定情報の一例である。そして、表示制御部715は、算出した消費電力量の予測情報を比較情報として比較情報表示欄767bに表示する。
具体的には、表示制御部715は、入力取得部716を介して取得した設定内容と、予め保有している消費電力量の関数(またはモータ、ヒータ、周辺機器の動作と消費電力量とを対応付けたデータベース)とを用いて、予測情報を算出する図示しない予測部を備える。この予測部における予測情報の算出が、本明細書における「推定」の一例にあたる。予測部は、比較情報表示欄767bの表示形態に応じて、モータ、ヒータ、周辺機器毎に消費電力量の予測情報を算出し、さらにこれらの合計の消費電力量の予測情報を算出する。これにより、表示装置760は、算出した予測情報を、比較情報表示欄767bにスムーズに表示できる。そのため、ユーザは、実績情報表示欄767aの消費電力量と、設定内容に基づき予測した比較情報表示欄767bの消費電力量とを簡単に比較でき、変更に伴う予測情報と実績情報との差を認識できる。なお、予測情報との比較は実績情報に限定されず、表示装置760は、ユーザの操作に応じて、予測情報を実績情報表示欄767aに表示して、比較情報表示欄767bの比較情報と予測情報を比較させる構成としてもよい。
一括変更欄766dは、予測計算欄766cの下側に配置される。一括変更欄766dは、電力画面部765の比較情報表示欄767bに表示された消費電力量と、これに紐づいた設定画面部762の設定内容とについて、一括に変更させる一括変更ボタンを有する。つまり、表示制御部715は、設定画面部762に現在表示されている設定内容を、ユーザによる一括変更ボタンの押し操作によって新たな設定内容にセットすることができる。
例えば、ユーザは、変更した仮の成形条件の設定内容に基づく予測情報と、消費電力量の実績情報との違いを視認した後に一括変更実行ボタンを押すことで、仮の成形条件を現在の成形条件に反映できる。逆に、表示制御部715は、一括変更ボタンが押されるまでは、仮の成形条件について稼働中の設定内容として反映されないようにする。これにより、射出成形機10が全自動で生産を行う場合であっても、設定内容の変更による消費電力量の予測が可能となり、生産を止めることなく、設定内容の変更方針を検討できる。
なお、一括変更欄766dの一括変更ボタンは、比較情報表示欄767bに過去情報を表示している状態でユーザが押し操作を行うことで、当該過去情報の設定内容についても一括で変更してよい。これにより、射出成形機10は、過去情報を簡単に再利用することができる。
〔変形例〕
また、表示制御部715(図3参照)は、比較情報取得欄766bの取得ボタンが押される(または予測ボタンが押される、過去情報の選択がなされる等)のトリガに基づき、工程別画面部768の表示形態を変更する構成としてもよい。例えば図7に示すように、変形例に係る工程別画面部768Aは、複数の表示欄768a~768eにおいて、項目表示769aの横方向隣接部(割合の数値表示769b、割合のバー表示769c)を工程別比較表示部780に切り替えている。
工程別比較表示部780は、割合のバー表示781と、削減効果の数値表示784と、を横方向に並べて一緒に表示している。割合のバー表示781は、例えば、射出成形全体の消費電力量を10%単位のマスで区分けしており、消費電力量の割合に応じて左側から右側にマスを塗りつぶすように表示される。なお、割合のバー表示781は、左側のマスから右側のマスの間で色の濃淡を変えて表示してもよい。
また、複数の表示欄768a~768e毎の割合のバー表示781は、それぞれ上下に2段に分割され、上側に比較バー表示782を有し、下側に実績バー表示783を有する。各比較バー表示782は、比較情報(基準情報)における消費電力量の割合(射出成形全体の電力に対する各工程の消費電力量の割合)をそれぞれ表示する工程比較情報表示欄である(図5も参照)。これに対して、各実績バー表示783は、実績情報における消費電力量の割合(比較情報の各工程の消費電力量に対する実績情報の各工程の消費電力量の割合)をそれぞれ表示する工程実績情報表示欄である。なお、バー表示781は、実績バー表示783において射出成形全体の電力に対する各工程の消費電力の割合を示し、比較バー表示782において実績情報の各工程の消費電力量に対する比較情報の各工程の消費電力量の割合を示してもよい。
比較情報の各工程の消費電力量に対する実績情報の各工程の消費電力量の割合は、複数段階の分解能(0%、25%、50%、75%、100%等)の増減に丸めることにより、詳細な割合で算出しなくてもよい。例えば、詳細な割合が12.5%未満であれば0%とし、12.5%以上37.5未満であれば25%として丸める。これにより、ユーザにとって認識し易い情報となる。
ここで、図7の図示例の一部について説明すると、比較情報(基準情報)の型開閉工程における消費電力量の割合が射出成形全体の20%である場合、比較バー表示782では2マスを塗りつぶしている。一方、比較情報の型開閉工程の消費電力量に対して、実績情報の型開閉工程の消費電力量が約50%になったとすれば、表示制御部715は、実績バー表示783について1マスとする(1マス減少させる)。さらに、表示制御部715は、割合の数値表示784について50%削減した旨を表示する。
また例えば、比較情報の充填工程における消費電力量の割合が射出成形全体の36%である場合、比較バー表示782では4マスを塗りつぶしている。一方、比較情報の充填工程の消費電力量に対して、実績情報の充填工程の消費電力量が約75%になったとすれば、表示制御部715は、実績バー表示783について3マスとする(1マス減少させる)。さらに、表示制御部715は、割合の数値表示784について25%削減した旨を表示する。
このように、表示装置760は、工程別画面部768によって、射出成形の複数の工程毎に実績情報と比較情報とを比較させることができる。また、工程別画面部768は、比較バー表示782と実績バー表示783とを一緒に表示することで、各工程の消費電力量の変化をユーザに分かり易く視認させる。しかも、隣接位置の割合の数値表示784により、消費電力量の削減効果を数値で表すことで、ユーザにとって一層分かり易い情報となる。なお、比較情報として予測情報を適用した場合には、例えば、実績バー表示783に対する比較バー表示782の消費電力量の割合を示すことで、設定内容に応じた消費電力量の削減効果をユーザにスムーズに認識させることができる。
今回開示された実施形態に係る表示装置760、制御装置700および射出成形機10は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
10 射出成形機
700 制御装置
760 表示装置
761 表示画面
767a 実績情報表示欄
767b 比較情報表示欄

Claims (11)

  1. 射出成形の情報を有する表示画面を表示する表示装置であって、
    前記表示画面は、
    前記射出成形の実施時に測定される消費電力量の実績情報を表示する実績情報表示欄と、
    前記消費電力量の実績情報と比較するための前記射出成形の消費電力量の比較情報を、前記実績情報表示欄の表示形態と同一の表示形態で表示する比較情報表示欄と、を一緒に表示している、
    表示装置。
  2. 前記実績情報および前記比較情報は、前記射出成形の1サイクル単位の消費電力量または所定の測定期間にわたる前記射出成形の消費電力量である、
    請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記表示画面は、前記比較情報表示欄と共に、前記比較情報を取得した際のショット番号の情報または日時の情報を表示する、
    請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記実績情報表示欄の表示形態および前記比較情報表示欄の表示形態は、数値、棒グラフ、経過時間に対する前記消費電力量の変動を示す波形グラフのうち少なくとも1つである、
    請求項1に記載の表示装置。
  5. 前記射出成形は、複数の工程に区分され、
    前記表示画面は、前記消費電力量に関わる情報を前記複数の工程毎に個別に表示する工程別画面部を有する、
    請求項1に記載の表示装置。
  6. 前記工程別画面部は、前記複数の工程毎の前記消費電力量に関わる情報として、前記射出成形の全体に対する前記複数の工程毎の消費電力量の実績情報の割合を表示する工程実績情報表示欄と、ユーザの任意に設定された前記射出成形の全体に対する前記複数の工程毎の消費電力量の比較情報の割合を表示する工程比較情報表示欄と、を含む、
    請求項5に記載の表示装置。
  7. 前記比較情報は、前記表示画面の比較情報取得欄に対するユーザの所定操作に基づき、取得した前記射出成形の消費電力量である、
    請求項1に記載の表示装置。
  8. 前記比較情報は、過去の前記射出成形で測定されて記憶された過去情報、または前記射出成形の設定内容より推定した推定情報を含む、
    請求項1に記載の表示装置。
  9. 前記表示画面は、前記射出成形の設定内容を表示すると共に、ユーザの操作に基づき前記射出成形の設定内容を変更可能な設定画面部を有し、
    前記推定情報は、前記設定画面部において変更された前記射出成形の設定内容に基づき算出した前記消費電力量である、
    請求項8に記載の表示装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置に対して前記表示画面を表示させる、
    制御装置。
  11. 請求項10に記載の制御装置を有する、
    射出成形機。
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